モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
1- 20
52: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/05/07(土) 19:46:53.91 ID:glNSs2qCo

 上を目指すのは悪いことではない。
 だが上を目指さず、空さえ超えて最果てに思いを馳せることは、身の丈に合わないのだ。

「お前の悩みは、お前自身で折り合いつけやがれ、ってんだ!!!!」

 男は天に向かって手を伸ばす。
 その手中に一人の少女を収めて、地に足を着けた男の誓いは不変。

 もう二度と、取りこぼさないように。

(余計なことなど、考えるな)

 あの時、『あの人』を奪い取ってでも自らの願いを叶えるべきだったのか。
 あの時、任務を忘れ依頼を裏切ってあの村を守るべきだったのか。

 迷った挙句、なにも選ばなかった今はこのざまだ。
 かつての選択は、後悔となって今も化膿している。

 あの日の迷いで、取りこぼしたものは二度と戻らない。
 ならばこそ、もう二度と、あんな思いはしないように。

「俺が手の届く範囲なら、迷ってなどいられるか」

「悩みなんて……ワタシはしない!!!

アナタになんて、理解されたくない!

ワタシは、絶対に後悔なんてしない!!!」

 少女の叫びは、泣き声のようにも聞こえる。
 外界さえ知らぬ未熟な少女にとって、その願いのかたちはこれまでの数年で作り上げた結晶だ。
 それを否定など出来はしない。

 間違っているなどと、否定などが介在する余地などがあってはならないのだ。

「выравниватьй(並べ)!!!!」

 空中に浮遊していた結晶杭はその切っ先を一点に向ける。 
 その対象は、眼下に存在する隊長へと向けられていた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
558Res/632.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice