60: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/04/17(日) 00:33:17.77 ID:WHcPEpPlo
ダゲキ「ちがうのは、きみも だよ」
ダゲキ「けんか しないし」
ダゲキ「まえ みたいに、……なんていうのかな」
ジュプトル「?」
ダゲキ「えーと」
ダゲキ「あ、ぎ、『ぎすぎす』? してない」
ジュプトル「それ、しってる」
聞き覚えのある言葉だった。
人間たちが、とげとげしく緊迫しているときをそう言うはずだ。
ジュプトルが以前いた大きな街の、市場がまさにそうだった。
野良と化したポケモンが商品を掠め取って行ったからだ。
それがあまりに頻発したために、当時は市場全体の雰囲気が悪くなっていた。
もっとも、商品を盗んでいたのはジュプトルたちだったが。
自分がその『ぎすぎす』した状態だと言われると、妙に心外だった。
ジュプトル「おれ……『ぎすぎす』してたんだ」
ダゲキ「うん」
ダゲキ「でも、いまは ちがうね」
ジュプトル「……だって、『かわいそう』は、やめたから」
ダゲキ「え?」
ジュプトル「おれ、いま ぜんぜん、『かわいそう』じゃないし」
言いたいことを言えている自信は、正直なところあまりない。
だが、自分でも不思議と、自分の言葉に確信を持つことができた。
ダゲキは、いたく感心したように目を瞠った。
ジュプトル「だから、もう へいきなんだよ」
ジュプトル「おれは、おこらないで いいんだー」
ダゲキ「……そっか……」
ダゲキ「ジュプトルは、えらいなあ」
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