61: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/04/17(日) 00:36:47.54 ID:WHcPEpPlo
ダゲキはそう呟いたきり、口を閉ざしてしまった。
何と返せばいいのか、ジュプトルも思いつかず黙っている。
ジュプトル(……まあ、いいや)
自分たちの呼吸音がかすかに聞こえる。
それから、やはりどこかから、同じようにかすかな足音が聞こえていた。
夜が開ける前の、森がいちばん静かな時間だ。
ずっとずっと遠くの空が、嫌味たらしく少しだけ白んでいる。
さっさと朝になれ、とジュプトルはじれったく思った。
ぼんやり見上げていると、小さな影が宙を横切った気がした。
自分の頭の葉のように細く長い何かが、視界の隅をかすめただけだ。
眠気に比べればとるに足らない。
だが、気になる。
影は、自分たちを見ていた。
ダゲキ「……ミュウツーが きたのは、 いいこと、と おもう?」
ジュプトルの意識がそれた。
疑う余地もなく、彼はジュプトルに尋ねている。
ジュプトル「……うん」
ジュプトル「あいつが きたら……たくさん かわったよ」
ダゲキ「いいこと だよね」
ジュプトル「いいこと だよ」
聞かれている言葉の意味の、その裏側に潜む意味を考えた。
直接は言いたくない本心があるはずなのだ。
まるでミュウツーがするような、ややこしい尋ね方をするからには。
それは一体なんなのだろう。
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