221: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2017/06/16(金) 23:24:35.39 ID:xCyGumQ8O
だが、次に聞こえたのはけたたましい金属音だった。
ガシャン、じゃらじゃらと遠慮のない騒音が響く。
どうやら、ヨノワールがうっかりチェーンを取り落としたようだ。
重い鎖が支柱から外れ、床に転がっているのが見えた。
雑踏ならいざ知らず、しんとした室内では余計に耳障りだ。
アロエは無意識に息を止めていた。
しばらくして、そっと息を吐く。
アロエ「……うーん、凄い音だったねえ」
音に驚いたのは、十秒にも満たない短い時間だったはずだ。
アロエの耳にはまだ、聞こえが悪くなるほどの残響が残っている。
もっともそれはアロエに限った話ではなかったらしい。
ヨノワール自身も、耳障りな音に目を歪めていた。
アロエは努めて平静を装う。
アロエ「怪我とかしてない?」
アロエ「たまにあることだから、気にしなくていいよ」
いかにも大したことではない、という笑顔を浮かべてみせる。
彼らには何の責任もないからだ。
自分は、あとから警備の人間に釈明しなければならないかもしれないが。
ヨノワールは申し訳なさそうに肩を縮め、自分が落としたチェーンをそっと摘み上げている。
気の毒なほど慎重な動作で支柱に戻し、パーテーションを扉の脇に動かした。
今度こそ上手くできたからか、ヨノワールは傍目にも安堵した様子だ。
アロエ「さてと、それじゃ」
ふたたび歩き始めたアロエの左手に妙な抵抗があった。
手を繋いでいるダゲキが立ち止まって動こうとしない。
アロエ「どうした?」
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