113: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/08/21(日) 00:35:54.32 ID:HsthgRdno
ゲーチス(さすがに、『人語を話すポケモンがいる』という噂の方も)
ゲーチス(現時点で人口に膾炙しているはずはないか)
ゲーチス(ハンター連中が今後、噂を広めることは物理的に不可能ですからね)
ゲーチス(これ以上、周辺の人間に知られることはないに等しい)
ゲーチス(他の人間にとってあの森は、今後ともただの森だ)
事実、どこからどう見ても、どこにでもある森だった。
レンジャーが常駐しているだけだ。
そんな程度には規模があるという、ただただ広大な森である。
目立った伝承や伝説もなければ、特徴らしい特徴もない。
生息しているポケモンも、広さに比例してそれなりに多種多様であるというだけだ。
とりわけ珍しい種類が生息しているわけでも、特筆すべき変わった環境があるわけでもない。
ましてや、ゲーチスが探し求める『例のポケモン』の存在を匂わせる過去の文献はない。
ゲーチス(存在を示すものは、睫毛一本でさえない、と)
ゲーチス(……笑えませんね)
あの森にポケモンが捨てられていくことは、たしかに問題になっている。
ただの方便にせよ、演説の種にしている以上は、ゲーチス自身にも相応に知識がある。
だがそんな『社会問題』も、この森に限った話ではないし、珍しくもない。
ゲーチス(まあ、ある意味で運がいいと言えばそうか)
ゲーチス(行動を起こすにあたって、今なら障害はそれほど多くない、と)
ゲーチス(伝承よりも多少は確実な証言がある以上……)
森の奥、陽も当たらない鬱蒼とした木々の間。
夏の陽射しに反比例するように、落ちる陰は深く藍色に沈んでいく。
そこにじっと佇む、見たこともない都市伝説の影を、ゲーチスは脳裏に描いた。
書類を無造作に数枚めくる。
すると、今度はある個人に関する経歴や人物評をまとめた書類が出現した。
書類の上には、写真が一枚。
面白くなさそうな、少しむっとした表情の人間が写っている。
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