勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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212:名無しNIPPER[saga]
2016/05/08(日) 17:17:14.99 ID:niX7BoNT0
勇者と戦士はこれから探索に向かう先を、泉のほとりにあった独特な形をした岩を背にして真っ直ぐ進んだ方と定めた。
勇者「北も東も分からんから、とりあえずま〜っすぐ進んでみよう」
戦士「今が昼なのか夜なのかも分からんな……私達の世界を基準にするなら、まだまだ昼前のはずだが」
勇者「そもそも昼とか夜の概念があるのかね」
戦士「それにしても静かだ。魔界というからには、もっと魔物がうじゃうじゃいるものだと思っていたが」
勇者「そうだね。でも、そういうことを言ってると大抵……」
何気なく周りをくるりと見渡した勇者は、ある一点で視線を止めた。
土煙を上げながら、何やら巨大な生物がこちらに向かって駆けてきている。
恐竜型魔物「ギャオオオオアッ!!!!」
その魔物は二足歩行で歩く蜥蜴といったような出で立ちだった。
ただ、その体がとても大きい。体高は5mを軽く超えていた。
口には鋭い牙が並び、太い手には頑丈そうな爪が生えている。
どうみてもその魔物は肉食だった。
勇者「こんな風になっちゃうよねー。すっごい勢いでこっち来てるよ。どう見ても友好的じゃねえなありゃ」
そう言って勇者が構えたのはそれ自体が青く輝く不思議な金属で造られた神秘の塊、精霊剣・湖月だ。
戦士「涎をだらだら流している。どうも、私達を捕食対象と捉えているのは間違いなさそうだ」
戦士もまた、赤く輝く精霊剣・炎天を構えた。
未知の敵を相手にしても、二人に焦りは無い。
既に二人は歴戦の強者。迫る敵が自分達に及ばないことは剣を交えずとも感じ取れている。
しかし、油断なく。
されど、慢心せず。
散開した勇者と戦士は二人で挟み撃ちする形で恐竜型魔物を迎え撃った。
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