勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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211:名無しNIPPER[saga]
2016/05/08(日) 17:15:59.41 ID:niX7BoNT0
勇者と戦士は黒く見えていた場所に辿り着いた。
向かっている途中で薄々分かってはいたが、勇者が予測した通り、それは沼だった。
勇者「生き物が生息しているようには見えねーなあ……」
勇者はしばらく沼の表面を目で伺っていたが、やがて思い切って指を突っ込んでみた。
ボジュウ!と音を立て、突っ込んだ人差し指に激痛が走る。
勇者「ぐぁっち!!!!」
戦士「大丈夫か勇者!!」
勇者は慌てて指を抜き、状態を確認する。
指の表面の、皮膚が焼けただれたようになっていた。
勇者「毒の沼だこれ……それもかなり強い毒性の」
戦士「魔物の肉は悉く毒を持ち、打ち捨てられた魔物の死体はやがて溶けてその周囲の土を腐らせる。その死体の量が大量になると、毒の沼が出来るのだったな」
勇者「ああ、周りを良く見るとそこかしこに毒の沼が見えるな……ってゆーか毒の沼だらけだ。流石は魔物の本拠地、魔界ってところか」
勇者は自分の指を呪文で回復させると、今度は荷物からあるアイテムを取り出した。
勇者「さて、今度はこれを試そう。戦士、俺の体に触れてくれ」
勇者にそう言われて、戦士は勇者の肩に手を置いた。
それを確認して、勇者は手に持ったアイテムを発動させる。
勇者と戦士の体が空に向かって飛びあがった。
そして二人は先ほどの泉のほとりに着地する。
過去に行ったことがある所なら、その場所をイメージするだけで使用者をそこまで飛翔させることが出来る魔法のアイテム、『翼竜の羽』の効果だ。
勇者「よし、使えた。翼竜の羽を使ってここまで戻ってこれるなら、ある程度大胆に探索を進めていって大丈夫だな」
戦士「今回持ってきた食糧の量なら、とりあえず五日間の探索といったところか」
勇者「何もトラブルが無ければ、そんなところだろう。それにしても戦士、そういう計算するの上手くなったよな。前は全然だったのに」
戦士「……勉強したんだよ」
素直に褒めた勇者の言葉に、戦士はぷいっとそっぽを向いてしまった。
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