399:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 23:26:21.56 ID:l/rfkXGJo
もともと夕也君が遠くに離れてしまい、あたしがメールでそれっぽいことをいっぱい書
いてあげても、あいつからは冷たいおざなりな返事しか来なかったことが発端だった。東
北なんかに行ってしまった夕也君のことに、それほど執着していたわけではないけど、遠
く離れた地で勝手に彼女を作らないように釘を刺してみたのだ。なのに、夕也君ときたら。
そのことも腹が立ったけど、当時のあたしには大げさに言えば人生の転機が訪れていた
のだ。だから、夕也君の返事のことをあまり気にしている余裕はなかった。
あたしは生徒会の副会長に推されたのだ。
生徒会の改選期のことだった。あたしみたいな生徒会役員とはもっとも縁がないと思わ
れていたであろうあたしが、どういうわけか副会長にさせられた。本当にどういうわけか
としか言いようがない。成績も良くなく、教師の受けもよくないあたしなんかが、副会長
に推薦されたのは、あたしの見た目が多少一目を惹くというか、はっきり言ってしまえば
同学年の他の女の子たちより可愛いということで目立ったからなんじゃないかな。って、
あたしは思った。生徒会の書記の男性の先輩があたしを会長に対して推薦したのだから。
副会長は選挙でなく会長の推薦で選ばれる。
その時は本音で、面倒くさい生徒会活動なんかに時間を取られるのは嫌だったのだけど、
お姉ちゃんがすごいよって誉めてくれたり、仲のいい女の子たちが羨ましそうにおめでと
うと言ってくれたりするのを聞いているうちに気が変わってきた。あたしは容姿は優れて
いるかもしれないけど、校内のステータスというのはそれだけで決まるものではない。も
ちろん、周囲の子たちからちやほやされているのは、自分の容姿の可愛らしさのせいだと
いうことは理解はしていた。でも校内には別な世界もあって、それは成績優秀な子たちの
集まりだったり、生徒会の役員たちの特別なポジションだった。
それは今まではあたしには縁のない世界だと思っていたけど、偶然にもその世界への入
り口が開いた。そしてそのことが校内ではステータスであることを、お姉ちゃんや周りの
女の子たちの反応から悟ったのだ。
そういうことなら多少は時間を取られるかもしれないけど、生徒会副会長になろう。あ
たしの能力では実務的に役には立たないだろうけど、それをカバーできるだけの見た目の
可愛らしさがある。可愛い素直な女の子だと役員の男の子たちに思わせることだってでき
るだろうし、そこまでいったら実務能力の低さなんか非難される要素にはならないだろう。
要は、愛想よく生徒会の人たちの相手をしてあげればいいのだ。
あたしは、その時は当時荒れていた自分の学校内で一大勢力をなしていた、今まで自分
の居場所だった遊び人グループとは一時距離を置いてもいいと思った。その仲間たちのバ
カたちとは異なり、あたしは自分が今後生きていくうえで、いつまでもこんな一時的に楽
しいだけの仲間たちといるわけにもいかないと思ったいのだ。それは、優等生のお姉ちゃ
んを見ていれば自然に身につくことでもあったから。これで、うるさい両親もおとなしく
なるだろうし、あたしは、自分ののステータスを高めることになると、あるいは自分のこ
れまでの生き方の軌道を修正することになると判断して生徒会に加わったのだった。
そこで知り合った一学年上級生の生徒会長の最初の印象はあまりいいとは言えなかった。
少なくともイケメンでもないし、爽やかな印象もないし運動も苦手らしかった。
会長は成績もいいし人望も厚いみたいだったけど、あたしから言わせればそれだけの男
の人に過ぎなかった。例えば夕也君は成績もよかったけど、それだけではなくイケメンで
遊び慣れてもいた。そういう幼馴染がいるあたしとしては、生徒会のトップにいる人とは
いえこの人のことを彼氏候補として考えたことは一度もなかった。
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