女神
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117:名無しNIPPER[saga]
2016/02/06(土) 22:09:30.68 ID:pCvLUfD/o

 今日はいつもより遅い電車だから、有希とは会わないはずだけど。だから別に心配する
ことはないんだけれど。こいつ、いつまで俺の手を握ってるつもりなんだろ。結構周りに
はうちの生徒がいるんだけど。しかし、いきなり俺の手を握るってこれはもう勘違いでは
ないんじゃないか。二見は俺のことを好きなのかもしれない。それにしても、好きな相手
にいきなりああいうああいうスレを見せるとか、普通はないと思うけど。

 隣の駅に着いたけれども、有希の姿はない。有希はやっぱりいつもの電車に乗ったみた
いだ。二見と手をついないでいるところを有希や麻衣に見られないことに安心した俺は、
近くのドアから乗車してきた夕也を見つけた。最近有希や麻衣と一緒に登校していないよ
うだけど、こんなに遅い電車に乗っていたのか。どおりで遅刻ぎりぎりに教室に来るわけ
だ。

「よう夕也、おはよう」

 こいつ今日も寝不足みたいで酷い顔をしている。

「おう麻人・・・・・・って、え?」

 俺の方を見た夕也の表情が氷ついた。

「えって何だよ」

 夕也の視線が下がり、俺と二見が握り合った手に気が付いたようだった。

「おまえさ」

「あ、いや。そうじゃねえよ」

「おまえ、そういうことだったの?」

 夕也の声の温度がひどく下がったようだ。

「おはよう」

 ぼっちの二見が夕也にあいさつしたことに俺はおどろいたけど、夕也はそれを無視した。
俺は反射的に二見の手を離そうとしたけど、手を振り解けない。というかもっと強く手を
握りしめられた。

「俺がバカだったのかな」

「おまえ、何言ってるんだよ」

「俺、おまえのためなら、有希のこと忘れようと思って、時間ずらしたりあいつに話しか
けないようにしてたんだけどよ」

 何を言っているんだこいつは。

「おまえ、最低だな」

「何か勘違いしてるぞおまえ」

「有希の気持を知りながら、返事もしないであいつを悩ませておいてよ。自分は二見さん
と浮気かよ」

「違うって。つうか浮気ってなんでだよ。話を聞けよ」

 俺はとりあえず二見の手を離そうと思ったけど、二見はやはり手を離してはくれない。

「二見さんが好きなら何ですぐに有希のことを振ってやらねえんだよ。おまえ、自分が好
かれてるっていう気持を楽しみたいから、有希への返事を引き延ばしているだけじゃねえ
か」

「てめえ怒るぞ」

「怒るって何だよ。誤解だとでも言いてえのかよ。登校中の電車の中でしっかりと二見さ
んの手を握りやがって」

「握ってると言うか、握られて」


 二見の手が震えてる。この誤解は二見のせいじゃない。こいつを俺のごたごたに巻き込
んじゃだめなんだ。この話が続くと夕也のやつの怒りは二見の方に向くかもしれない。も
う夕也に誤解されても仕方ない。せめて二見を傷つけないようにしないと。

「じゃあな。おまえとはもう話さねえから。あと有希にも全部今朝のこと話すからな。も
うおまえなんかに遠慮したり気を遣ったりするのはやめだ」

 もう何を言っても無駄だろうな。俺はそう思った。

「言い訳すらなしかよ。まあいいや。じゃあな」

 そう言い捨てて、夕也は隣の車両に移動していった。


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