末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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96: ◆54DIlPdu2E[sage saga]
2016/02/28(日) 00:21:54.50 ID:dkyA67w70
末妹「今は、いつもと同じように何の違和感もありません」

末妹「……野獣様の欠片に野獣様の『心』が残っていたのかもしれません」

末妹「正直に言います、私は……あまりにも、自分の両親の結婚式の絵と、違い過ぎて」

末妹「とても切なくて、悲しくて……恐くって……」

(野獣「末妹……」)

末妹「その時…私自身のその感情と、野獣様の心が重なったような気がして、よけい辛くなって」

次兄「相乗効果で増幅されたのかもしれないな」

末妹「でも、涙と一緒に痛みも外へ流れたのでしょう、きっと」

末妹「だからもう大丈夫、ここにある野獣様の『心』の一部も」

末妹「……菫花さんや野獣様と同じように、絵に向き合う辛さを乗り越えたと思うのです」

王子「野獣の、心の一部……」

末妹「ええ、こういう言い方はおかしいかもしれませんが、野獣様から切り離されたがために」

末妹「菫花さんと野獣様に置いてきぼりにされてしまったのでしょうね」

末妹「でも、ようやく私の目を通して向き合う事ができました」

末妹「……それを終えて、今度こそ本当に、この欠片は完全に私に溶け込んだ」

末妹「そう思うのです、そんな気がしてならないのです」

末妹「同時に私自身の心も……今は穏やかです」

末妹「この絵を見て、切ない、悲しい、という気持ちはまだ拭えませんが」

末妹「『恐い』という気持ちは、もうありません。何故かはわからないけれど……」

師匠「……一度あいつから切り離され君に吸収された『あれ』に、あいつの要素が残っていたとは到底考えられんのだが」

師匠「が、あいつと君達が関わることで、儂の思いもよらぬ事象が今までも何度も起きた」

師匠「世の人が呼ぶ『奇跡』という事象かもしれんが」

師匠「ま、奇跡などと大袈裟な物ではない、そんな事もアリか、くらいの話だ」

師匠「信じたからと、誰も損はしない」

師匠「……少年…次兄君、君はどう思う?」
 


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