344: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/11/23(月) 01:13:34.29 ID:9DwdlqBj0
老婆「ああ。今年はまだ、降っとらんはずじゃよ。
毎年11月の半ばじゃな。
上の方は根雪になっとるが、中腹を抜ければいい」
戦士「そうか。
なら雪の心配はないな」
老婆「あんた、火竜山脈なんぞを抜けてどうするんじゃ?
鉱山都市を回れば山間の街道があるのに」
戦士「少し探し物があるんだ。
そうだな、食料を買い込みたい。
どこかに店はないか?」
老婆「良いが、この街は高いよ。
少し登れば烽火台がある。南部諸侯国に救援を伝えるためのものだけど、
今となっては老兵たちが余生を過ごすだけの施設じゃ。
そこで分けてもらうといい」
戦士「わざわざありがとう。
なら、そうさせてもらうよ」
火竜山脈を越える道を選んだ理由はひとつだ。
可能性は高いとはいえ、彼女の研究室は必ずしも火竜の巣穴にあるとは限らない。
山脈を横断しても南を迂回しても然程時間は変わらないため、
少しでも長い時間、山脈を探し回れるルートを選んだ。
老婆「食料はそれでいいが、それなりの準備をして行きなさい。
山脈の魔物たちは手強い」
戦士「魔物が相手なら問題ないさ。
それなりに腕に覚えもある」
老婆「…神の導きのあらんことを」
戦士「よしてくれ、俺は違う」
老婆「おや、この辺りでは珍しいねぇ。
…なら、武運でも祈ろうかの」
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