65: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/26(水) 01:36:02.56 ID:SNn8TeIE0
◇
――合流してきたβ隊と救援の第一部隊によって外部から退路が切り開かれ、私達は這う這うの体で"アナグラ"へ逃げ帰ってきた。
ナナは支部長であり、極東支部のアラガミ技術開発統括責任者でもあるペイラー・榊博士の手引きによって、
彼のラボラトリに運び込まれ、偏食場パルスを遮断する隔離部屋へと収容されている。
榊博士が言うには、ナナの精神状態が安定するまでは、面会も適わないそうだ。
場所は変わって、"アナグラ"のラウンジ。
近年増築された極東支部の来賓区画で、私達が支部に来た際には歓迎パーティーの会場にも使われた。
普段は9歳にしてプロの調理士免許を取得している天才料理人、千倉ムツミがラウンジを切り盛りしていて、
任務前の待機時間や、任務帰りに一息つく神機使い達の憩いの場となっている。
そんな場において、私達"ブラッド"は暗い雰囲気を漂わせていた。
ジュリウスはロビーで次の任務の発注を受けている。
"血の力"による影響が遮断されたとはいえ、その残滓が多くのアラガミを支部の周辺まで引き寄せてしまっているからだ。
「……ナナがいないと、なんか調子狂うんだよな」
重苦しい雰囲気は部隊のムードメーカーの片割れがいないせいもあるけど、その原因の殆どは、先の任務での事だった。
ナナの"血の力"の暴走。
あれは恐らく、元々ナナが持っていた"ゴッドイーターチルドレン"の性質をさらに強化させたものだ。
ナナの母親が頻繁に家を空けていたのも、ナナの力に引き寄せられたアラガミから彼女を守るためだったのだろう。
そして、その最期も……
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