239: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/01/29(金) 02:19:41.12 ID:mI3mcWABo
「……どうしたの、急に」
「……博士から連絡が着た、って言ったでしょ?その時、無理に聞いちゃったの」
「病み上がりなのに支部長室にいるなんて、絶対おかしいと思ったから」
「……幻滅、させちゃったかな」
「してないって言ったら、嘘になるかも」
「……逃げ出すような人には、見えなかったし」
私から、エリナの表情は見えない。
「だから、かな……思い詰めてるあなたの顔を見て、思い出しちゃった」
「昔見た、澱んだ目の女の子」
「……」
「まだ極東に来る前……お父様に連れて行ってもらった本部の会合で、その子を見つけた」
「きれいな髪なのに、何もかも諦めたような顔してて……それが記憶に残ってたの」
「……今の先輩、あの子とそっくり」
出会った頃の、彼女の言葉を思い出す。
顔は合わせなかったみたいだけど、やはり私は彼女と同じ場にいた。
同時に、これでエリナにも、私の素性が知れたことになる。
「……当たり前だよ、本人だもの」
でも、今更どうでもよかった。
どう繕ったところで、私が父の支配から逃れられなかった事実は変わらない。
「勝手な判断で動いて、守るべき人も救えずに敗けて、挙句の果てには責任から逃れようとして……情けないよね」
「……だから、エリナも早いうちに離れた方がいいよ」
笑顔を作れている、自信がない。
そもそも、こちらを一瞥もしないエリナにそれを向けても、意味はないかもしれないけど。
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