とある後日の幻想創話(イマジンストーリー)4
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780: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/12/05(月) 00:30:39.08 ID:FyUFA4MH0

パチュリーは立案者である当麻に視線を向け、その眼を細める。


吸血鬼製造の鍵を握っているレミリアとフランドール。本来であれば、二人は『処刑塔』への幽閉は免れない。
だがあろう事か、上条当麻はその結末を回避できる画期的な方法を知っているという。
心の底では思うところはあっても、結局考えることをしなかったパチュリーにしてみれば、些か複雑な心境である。
組織としての立場があり、そして何より良くも悪くも合理的になりすぎてしまった彼女には、
その行いをすることは土台無理な話だったのかもしれない。
『生き別れになった友人』としてより、『組織に敵対する存在』としての認識が先に来てしまったのだ。
そんな自分になってしまったことを後悔しているわけではないが、言い得ない靄が心に巣くうのを感じていた。


言ってしまえば、パチュリーは当麻に嫉妬しているのだ。
自分では出来なかったことを成してしまったこの少年に対して。
だが彼女は、自身の心に生じた靄が『嫉妬』と呼ばれるものであることに気づいていない。
元々他者との交流を殆どすることがなく、そのことを気にも留めずに生きてきた彼女にとって、
自分と他人を比較して、あまつさえ自身が誰かの後塵を拝することに感情を抱くことなど無かったのだろう。
だから彼女は理由の思い当たらない、しかし確かに存在する不快感に苛立っていた。




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