柔沢ジュウ「雨か」 堕花雨「お呼びですか?」
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260: ◆yyODYISLaQDh[saga]
2016/05/10(火) 20:17:25.82 ID:FMHwTD6FO
そういえば、今まで光と会うときは制服姿ばかりであり、私服をまともに見るのは初めてかもしれない。
もともとこういう服も着るのだろうか、いや、これから行くのも服屋だというし、もしかしたら最近目覚めたのかもしれない。
ジロジロと見過ぎたのか、光が訝しげな視線を送ってくる。

「……なにジロジロ見てんのよ」

「いや、別に」

思ったよりも可愛い服を着るんだな、と言おうとしたが、また何かしらの罵声が飛んできそうでジュウは言葉を飲み込んだ。
光は女子中学生の平均身長どころか成人女性の平均身長を悠に超え、かなりの長身だ。
そのせいで雨と並ぶと光のほうが姉に間違われることもしばしばあるらしい。
そんな光が見た目相応の大人びた服ではなく、年齢相応の可愛らしい服を着ていることに、ジュウはなんとなく微笑ましさのようなものを感じていた。

「…………あっそ」

ジュウの返事に対して小さく呟くと、光は歩調を速めた。
自分の返答が気に食わなかったのか、とジュウは思案したが、他人の気持ちなどわかりようがない、といういつもの答えに辿り着き、考えるのをやめた。
そこからは二人とも無言で駅ビルに入り、そして光が適当に店に入っては服を物色するのを後ろからジュウが眺める、という状況が続いた。
ジュウとしては女性物の服と女性客に囲まれ続けるのはなんとも居心地が悪かったが、本物のデートもこんなものなのだろうか、と適当なことを思った。
ジュウはふと、以前、雪姫と二人で出かけた時のことを思い出す。
あの時には雪姫のマシンガントークが途切れることはなかったし、今の光のように仏頂面で黙っていることなどなかった。
今日も然り、雪姫には初めて会った時から振り回されてばかりだ。
いや、それは光も同じことか。

「……変態」




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