忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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281: ◆jOsNS7W.Ovhu[saga]
2014/01/09(木) 00:47:21.31 ID:5OGn1x0I0
向こうで、姦しくスキンシップをとっている友人たちの声が聞こえてくる。
 ……うん、正直、向こうが気になってしょうがないところもあった。
「だ、ダメッ!」「OH……シノ、大胆デス」「アリス……ここは小さい、けれど」なんて、気にならないわけがないだろう。
 というか、ホントにシャレにならないだろ!
 まずいな、そろそろ――


「綾、ごめん! ちょっとまって、て……」


 私が3人組に割って入ろうと立ち上がると、綾は私の服の裾をキュッとつまんだ。
 その力は弱かったけれど、なぜだか振りきれなかった。


「……いつも、そう」


 私が綾を向いたままでいると、綾は俯きながら訥々と話し始めた。


「いつも――シノ『ばっかり』」


 ……シノ?


 そりゃそうだろう、綾。
 私たちは、シノを友人としてサポートするということを誓い合った仲じゃないか。
 シノのことが心配なのは当たり前――
 ……『ばっかり』?


「陽子は、私を見てくれないの……?」


 綾は、顔を上げ、涙目のまま心細そうに私を見つめる。

 服をつままれた時に思い出した。
 それは、中学生の時に綾が転校して、クラスに馴染めずにいた頃のこと。
 「一緒に帰ろう」と呼びかけた下校の際に、後ろから私の制服の裾を摘んできた思い出が蘇ったから……
 私は、それを振りきれなかったんだ――。


「――シノは、私より、大事?」


 綾の目に、私は射止められてしまったような気がした。
 その透明な涙が、私の心にそのまま落ちてくるみたいな、そんな感覚。
 ……うーん、これは、なぁ。


「……いいか、綾?」


 私は、綾の肩を優しく掴んだ。
 ビクッとする綾に顔を寄せ、はっきりと言う。


「私は、シノのことは――」


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