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デジタルモンスター研究報告会 season2 エピローグ
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63 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 21:04:41.41 ID:v/XkhZoNo
サラマンダモンだった頃のサラは、人間の言葉を理解することはできるが、自ら文章を考えてチャットで意思表示をすることはできなかった。
脳の言語野の発達が、自ら文章を生成できるほどまでに発達していなかったからだ。
だが、チャットで対話できるワームモンとジョグレスしたことで、二体の人格と知能が混ざり合い、デジタマモンはチャットを使えるようになったようだ。
…デジタマモンは、チャットで文章を打ち出した。
『かみき いっしょに いたい』
「…ケン、クルエ。デジタマモンはこう言っているが…」
神木さんがそう言うと、クルエは頷いた。
「…いいよ、デジタマモン。ここのオタマモン達…あなたの子供達と、そして神木さんと。しばらく一緒にいていいよ」
『ありがとう クルエ ブイモンや カリアゲのとこに またもどるよ あとで』
…今ここにいるデジタマモンは、サラであり…
そして同時に、我々の拠点フローティア島でブイモンやカリアゲとデジクロスの特訓をし続けたワームモンでもあるのだ。
デジタマモンは、カンナギ・エンタープライズ・ジャパンのビオトープへと入り込んだ。
そして、サラの子供達である赤オタマモン達とともに、温泉を模した風呂に入った。
『なつかしい おちつく』
「…温泉卵みたいだね」
言っちゃったよ!
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 21:06:35.75 ID:dWlrFQ1z0
デジタマモン進化ー!
おんせんデジタマモン!
65 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 21:17:16.02 ID:v/XkhZoNo
そして私は、これからやろうとしていることを話そうとしたが…。
「待て、私にジャスティファイアとの共同作戦の話をしようとしているのか?重要機密事項だろうそれは。聞くわけにはいかない、君達の研究グループとは協力関係だが、君達のセキュリティ事業に表立って加担しているわけではないのだから」
あっ、そ、そうでしたね。
「…君達にはサラの件の恩がある。クラッカーとの抗争関係と直接関わらないところで、個人的に礼がしたい」
お礼ですか…
何かありますクルエさん?
「…お礼って言っても、サラが頑張ってくれてるだけだから、私はなんともですね」
「欲がないね…」
欲を言っていいなら…
一つ聞きたいことがあります。
「何かな」
66 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 21:24:16.98 ID:v/XkhZoNo
前に教えてくれましたよね。
デジクオリアをそもそも何故作ったのか。
デジクオリアがどういう原理でデジモンやデジタルワールドを観測しているのか。
「…ああ」
元々、古の時代には本物の霊媒師…シャーマン達が世界中にいて、霊視や冥界の観測をするロストテクノロジーを持っているらしかった。
そこで神木さんは、それら霊媒師たちの特殊な脳の状態を人工知能によって再現し、コンピューターに霊視をさせることに成功した。
そうして出来上がったのがデジクオリアであり…
デジクオリアで観測した冥界こそがデジタルワールド。
そして、冥界を漂う幽霊のようなものが、情報生命体デジタルモンスターだったよ。
「そうだ」
…その『実在した霊媒師』とやらの存在を、あまり触れていませんでしたが…
それについて詳しく教えてくれませんか。
「…いいだろう。他言無用でな」
はい、分かりました。
67 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 21:29:31.06 ID:v/XkhZoNo
「…この研究を行うにあたって、実際の霊媒師の存在は不可欠だった。デジクオリアの観測した世界が、実際の霊媒師の視界に近いものが再現されいるかどうかテストするためにな」
そうですね…頑張って集めたんでしたっけ。
「そうだが…幸いにも、ごく身近に霊媒師が一人いたんだ」
誰ですか?
「…私だよ」
えぇ!?
神木さんが!?
「…とはいっても、私は古の時代のシャーマン達ほどちゃんと修行を積んだわけじゃない。祖先から受け継いだ霊感が残っていて、多少目が利く程度だ」
…びっくりした。
マンガの世界みたいですね。
「デジタルモンスターだって怪異だろう」
それはまあ…そうですが。
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 21:32:27.95 ID:KEbWuXoWo
デジモンなんてもんがいる時点で幽霊とか霊媒士とかいても不思議ではないか
69 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 21:42:15.62 ID:v/XkhZoNo
そういえば、カンナギ・エンタープライズって社名…
日本語ですよね。
『巫(かんなぎ)』…
神の依代。神と交信する者。
「そうだ。カンナギ・エンタープライズは、人間の脳をAIで再現し、人工知能を開発する事業をしている多国籍企業であり、収入源もその関連事業だが…、裏の顔がある」
裏の顔…?
「世界各地で、オカルトと揶揄されながらも今も細々と活動している本物の霊媒師達。その人脈を繋ぎ、その秘術の原理を科学で解き明かすことだ。デジクオリア開発にあたって霊媒師を集めることができたのは、その人脈のおかげであり、会社の金をデジクオリア研究に使えたのも元々そういうスタンスだったからだ」
株主からさんざんこっぴどく叱られ、世間から後ろ指をさされ…
そうしてしんどい状況の中で頑張って完成させたんでしたね。
「そうだ。これで霊能力の原理が、オカルトではなく科学によって解明されたということだ。だが、そういう背景は世間に一切公表していない」
…霊媒とか幽霊とか冥界に、フィクションの中で過剰なパブリック・イメージが植え付けられてるから、でしたね。
「そうだ」
…それでですね。
私が知りたいのは…
パブリックイメージ抜きで、実際に古の時代に活動してた霊媒師やら何やらって、結局何者なんですか?ということです。
「…墓場まで持っていくつもりだったが。ケン、君になら話してもいいだろう」
お願いします。
70 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 21:54:22.76 ID:v/XkhZoNo
「現代人は、自分達が百年前や千年前の人々よりも知的な存在だと考えがちだ。だが実際はそうではない。『考える』というタスクを電子計算機に丸投げし、その恩恵を受けることができるようになっただけに過ぎない。現代の一般人が、星の動きを観察してコンピューター無しで自転周期や公転周期を計算できるか?六分儀を使うことができるか?…どう思う?」
…難しいでしょうね。
「そうだ。電子計算機に思考のタスクを丸投げする技術を持たなかった時代の人間の方が、現代人より遥かに生活の中で頭を使っていたといえるだろう」
…まあ、言ってることはなんとなく分かります。
「すなわち、その時代においては、人間の脳こそが電子計算機の役割を果たしていた。つまり古代では、人間の脳が生体コンピューターとして日夜使われていたんだ。科学水準が低い時代とて、そこで日々を考え抜いて生きてきた人間たちの思考そのものは侮れないものだ」
ふ、ふむ…?
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 21:55:23.72 ID:UnkGStO0o
便利になったから人の能力は退化したって考えることもできるか
72 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 22:20:58.11 ID:v/XkhZoNo
「さて、現代において、電子計算機が電気信号によって相互接続することで形成されるコンピューター・ネットワーク上で、は度々デジモンの出現が確認されている。君達の研究施設にマッシュモンが湧いたようにね」
デジタルワールドから、偶発的に開いたゲートを通じてやってくるんでしたっけ。
「そうだ。古代の時代にも、ヒトの脳という生体コンピューターは、音声や視界という信号によって接続されていた」
人間関係…ですか。
「それもそうだが…、古代の時代に自身の脳を生体コンピューターとして酷使し、研鑽を重ねた人間の中には、特殊な能力を身に着けた者達がいた。『自身の思考や感覚を、他人と共有する力』を得た者達だ」
テレパシーというやつですか?
「そうだ。現代の携帯端末が電波で繋がるように、第六感のようなもので他人の脳と繋がれる者達がいたんだ」
…本当にいたんですか?そんな超能力者みたいなの。って、霊媒師本人の前で言うのもなんですが…
「世界一有名な霊媒師の名を挙げよう。モーセ、ムハンマド…そして、イエス。彼らがそうだ」
…預言者ですか。
「そう。彼らは人間の脳だけでなく、それよりさらに上の領域にまで思考バイパスを接続できた。それは即ち、当時は天界や天国と呼ばれていた場所…」
…それが、デジタルワールドですか!
「そうだ。ブッダが説いたとされる六道、天上界というものも、彼がデジタルワールドを断片的に観測し、それを独自に解釈したものではないかという説もある」
え、じゃあデジタルワールドにいる何者かが、旧約聖書やら何やらを預言者へ伝えたってことですか?
「それは分からない。我々が観測しているのと同じデジタルワールドから預言を受けたのかもしれないし、全く別の世界から交信を受けたのかもしれない。あるいは…まあ、中途半端な邪推は止めておこう。どのみち数千年前の者達が実際に何をしたのかなど、今更考えても仕方がない」
は、はぁ…。
「ともかく、現代の人間にはオカルトと切り捨てられることだろうが、古代の人間には脳という生体コンピューターを使い、他人の脳と繋がったり、デジタルワールドに繋がったりできる者がいたということだ」
それで、彼らは何をしたんですか?
「…現代と変わらないさ」
…まさか。
「そう。脳という生体コンピューターに不正アクセスを仕掛ける、『クラッカー』に相当する者が、当時も存在していたんだよ」
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 22:25:42.24 ID:pHjlDLtC0
時代違ってもやること大差ないのね
74 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 22:30:40.00 ID:v/XkhZoNo
脳に不正アクセスするクラッカー…!?
それをやってどうするんですか?
「何をするのかも現代と同じだ。他人の脳から個人情報を抜き取る者もいれば、サイバー攻撃を仕掛けて脳を破壊する者もいただろう」
い、一体どうやって。
人間にそんなマネができるんですか?
「まさか。いくらテレパシーを会得した人間といえど、そこまでの芸当を自力で行うことはできない」
では、どうやって…
…まさか…、『何かの力を利用した』んですか。
「そうだ。世界中によく転がっている逸話があるだろう?黒魔術によって悪魔を召喚し、他人に呪いをかけるとか。丑の刻参りによって妖を呼んで呪詛を仕掛けるとか。陰陽師が式神を操るとか…」
それは、つまり…
「そう。自身の脳をデジタルワールドへ接続し、デジモンを呼び寄せ…、他人の脳へと送りつける。それが世界中に伝わるすべての『呪詛』の基本原理だ」
75 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 22:35:24.88 ID:v/XkhZoNo
…そんな昔から…
人間はデジモンと関わっていたんですか。
「もっとも、その当時は現代に比べて世界中を行き来するデータ量がはるかに少ない。故に当時のデジタルワールドは現代に比べてずっと低栄養状態だっただろう。だから呼び寄せられたとしても、せいぜい幼年期程度…ズルモンやモクモン、ポヨモンなどだっただろうな」
あんまり強くないデジモンですね。
「現代基準ではな。だが当時は違った。データを食らうデジタルモンスターを脳の中へ送り込まれたとなったら、どうなる?」
…脳内のデータ…
記憶が、食い尽くされる。
「そうだ。幼年期程度で十分なんだ、人間を殺すのにはな」
76 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 22:43:15.59 ID:v/XkhZoNo
「そして、クラッカーがいれば当然セキュリティもいる。呪詛に対して、飼育したデジモンの力で立ち向かう者もいただろう」
…デジモンを飼育…。
餌はどうしたんですか?
「君達がデジドローンでデジタルワールドからデジモンの餌を拾ってくるように、彼らもまた自身の術でデジタルワールドから餌を調達していたかもしれないな。あるいは、ビオトープのようなものを作って、そこでデジモンを飼育していたのかもしれない」
ビオトープを…?
どうやって。
「霊媒師は他人の脳と繋がれる。では、霊媒師が宗教の司祭をやったらどうなる?」
…大勢の信仰者と繋がれますね。
「そう。多くの人間の脳とつながれば、そこにはデジタル空間ができる。ならばその中でデジモンを飼育できるはずだ。それが宗教の力だったのかもしれないな。大勢の信仰者と繋がり、広いビオトープを用意することで、幼年期デジモンを進化させてより強力なデジモンを飼育し、強力な呪詛を仕掛けるという力が…」
…雲を掴むような話です。
「君達が今やっていることと同じだろう?」
それは確かに。
77 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 22:53:17.59 ID:v/XkhZoNo
「しかし、そうなると…なんだか『デジタル』モンスターって感じが薄れますね〜」
おお。
クルエが私の意見を代弁してくれた。
「そうか?…ひとつ質問だ。ソロバンはアナログとデジタル、どちらに括られると思う?クルエ」
「ソロバンですか?なーんか一見アナログぽいですよね。電気使わないし。でも話の流れからすると…」
ソロバンは…
現代人か使う用語では、電気を使わないという意味で『アナログ』と誤解されがちですが…
実際は『デジタル』です。
「そうだ。連続的な量を、段階的に区切って数字で表すこと…それこそが『デジタル』の定義だ。電子計算機を使うか否かは本質的には全く関係ない」
なるほど…。
「人間の脳はニューラルネットワークという仕組みで動いている。シナプスの重み付けを行い、ニューロンが発火し、ナトリウムイオンチャネルで通信をする。その仕組みは、十分に『デジタル』側だよ」
…不思議な感覚だ
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 22:57:08.33 ID:YuEoK2YM0
電気使わないものは大体アナログみたいな雰囲気
79 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 23:02:05.99 ID:v/XkhZoNo
そんな霊媒師が、なぜ今は廃れたんですか?
「霊媒師の人口が少なすぎるからだな。科学を発達させた人間達は、極少数の彼らに頼り権力を握られるよりも、万人が利用できる科学によって文明を発達させることを選んだ」
どういうことですか?
「一人の霊媒師に敵を呪ってもらうより、十人の凡人が銃を持って敵を撃ち殺した方がよほど強いだろう?」
そうか…
霊媒師がいくらデジモンをけしかけることができたとしても、情報生命体デジタルモンスターである以上、物理的な干渉力は持ちませんからね。
「そうだ。さらに人間は、『非科学的』という言葉を『否定』のために利用するようになった。…それがロストテクノロジーとなって廃れた理由だ」
インチキ扱いされたわけですね。
「だが、土着信仰とか、儀礼が形だけ残るケースもある。霊媒師でもなんでもない人間が、古代の霊媒師が残した儀礼を形だけ真似ていることはよくあることだ」
なるほど…。
…もしかして。
神木さんが、この話を公表しない理由は…。
パブリックイメージどうこうでなく…
『デジモンによる呪詛という可能性に辿り着く者が出ないようにするため』ですか?
「…察しの通りだ。デジタルワールドには、我々の世界から消えた情報が流れ着き、太陽から栄養データとして降り注ぐ。ゆえに現代のデジタルワールドは、霊媒師全盛期よりもはるかに強力なデジモン達で溢れている」
80 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 23:08:55.17 ID:v/XkhZoNo
もしも。
クラッカーが、デジタルワールドのデジモン達を人間の脳へ送り込むことを画策し始めたら…。
「…霊媒師のロストテクノロジーを、IT技術と組み合わせた場合、古代より遥かに強力な『呪い』が可能になるだろうな」
それは…危険すぎる。
「可能性に気付いたら、やってみたくなるのが人間のサガだ」
間違いないですね。
「…君達だから話した。万が一、そういう手口をする輩が現れても…セキュリティ側として人々を護るために尽力してくれる君達だから。…ローグ・ソフトウェアのようにセキュリティ活動をビジネスとして割り切っている奴らには決して話せない」
…信用してくれてるんですね。
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 23:18:05.36 ID:MlpP8+Qto
デジモンサヴァイブみたいな話だ
82 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 23:19:20.22 ID:v/XkhZoNo
「そういえば、例の詐欺事件はどうなった?学校のセキュリティとして詐欺業者のクラッカーマッシュモンが忍ばされていた件は」
スポンサーさんから聞いた話だと…
親御さん達のスマホ等に侵入していたクラッカーマッシュモンは、ローグ・ソフトウェアが全て倒したそうです。
ついでに、自分達が提供するサービスにその場で乗り換えさせたそうです。
横取りされた気分ですが…
まあ仕方ないでしょう。
「マジでむかつきますよねー」
クルエは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「犯人は捕まったのか?AAAの差し金なのだろう、あのクラッカーマッシュモン達は」
それがですね…
真犯人にたどり着けなかったそうです。
詐欺業者の実際の犯行をやってた実働部隊は、警察が追っているところですが…
闇バイトか何かの可能性が高いみたいで。指示した者には辿り着けるか怪しいそうな。
「デジモンだけではなく人間にまで闇バイトをさせるのか、奴らは…」
厄介ですよね。
「電子計算機が人間の脳の代わりに『考える』というタスクを担うようになった現代では、クラッカーがデジモンを使って行うサイバー攻撃こそが、古の時代の『脳への呪詛』そのものなのかもしれないな」
…そうとも言えるかも知れない。
83 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 23:20:32.51 ID:v/XkhZoNo
続く
これからシーズン2の最終章が始まりますが、更新ペースが今までよりもっと遅くなるかもしれません
ご了承ください
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 23:22:49.92 ID:dWlrFQ1z0
乙
楽しみにしてる
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 23:23:11.57 ID:MlpP8+Qt0
乙
大変そうだ
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 23:24:58.52 ID:WeLfLSx6o
乙
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 23:25:05.49 ID:5z1RH9LZ0
乙
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 23:55:44.56 ID:BJXvjJy/0
乙
もしかしたらエピローグが始まってすぐ終わっちゃうのか……?と思ってたから
そうでないなら喜んで待つよ
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/03(土) 21:09:54.09 ID:9gB6n6JTo
色々気になる要素は最終章で回収されるかseason3まで持ち越されるものもあるのか
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/09(金) 19:46:15.34 ID:veO1fhae0
究極体やその先まで研究するとこ見れれば良いな
91 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 21:41:52.60 ID:sQ1O3fn5O
メガ、教えて欲しい。
デジタルアソートのアプリモンスターズ達は、一体どうやって作ったんだ?
「うーん…本来は機密事項なんだけども…」
今回の戦い、我々バイオシミュレーション研究所の実力だけでは太刀打ちできなかった。
アプモン達が助けてくれたおかげで、対抗できたんだ。
我々も、あれくらい多彩な能力を持つデジモンを育て上げないと、これからの戦いに勝てないかもしれない。
「…分かった。セキュリティデジモンを飼育するノウハウが強化されることは、デジタルアソートにとっても大事なことだ。技術協力していこう」
ありがとう。
「アプリモンスターズ達は、マッシュモンをベースにして作ったんだ」
マッシュモンを…!?
みんな姿がマッシュモンとは似ても似つかないけども。
ガッチモンなんて哺乳類ぽい姿してるぞ。
「マッシュモンは近接格闘能力こそ低いけど、自身を構成する菌糸をアップグレードしたり、同じ記憶を持った個体を複製することができる」
ふむふむ。
「その性質が、僕達の平和利用デジモン計画には非常によく適しているんだ。マッシュモンをベースにして、全身を構成する菌糸に必要な機能のソフトウェアを餌として与えることで、そのソフトウェア・アプリケーションの力を学習・獲得させていったんだ」
なんと…。
ガッチモンもナビモンもドーガモンも、元はマッシュモンだったのか。
「厳密には…マッシュモンを高度に進化させて、全てのアプモンのベースとなる『素体』を作った。それのソフトウェアを学習させたのがアプモンたちだ」
なるほど…。
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 21:43:02.70 ID:/utMINz5o
遂に来たか
マッシュモンあらゆることに使われる
93 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 21:51:12.25 ID:sQ1O3fn5O
どうやって収益化するの?
「マッシュモンは、自身の分身を生み出す力を持っている。アプモン達も、分身を作る力を受け継いでいる。さすがに身体を構成するデータが高度化しすぎたせいか、マッシュモンより複製スピードはずっと遅いけどね」
すると…
アプモン達のコピーを販売することで、収益を得るってこと?
「販売というよりは…見張りマッシュモン同様に、レンタルサービスのサブスクになるね。あまりたくさん殖やすことができないんだ。用が済んだときに勝手に廃棄されちゃかなわない」
それはそうか。
「先日の戦闘に出したアプモン達は、実験中のプロトタイプ。つまり…やがて分身体のオリジナルとなる個体だ」
ということは…
その個体がクラッカーとの戦いで死亡したら。
「バックアップもあるにはあるけど…だいぶ後退することになっていた」
…リスクが高い危険な賭けだったんだね。
「安いものさ。ネットをクラッカーに支配されてしまうのに比べればずっとマシだよ」
…そうだ。
我々の使命は、クラッカーを倒すことそれ自体じゃない。
ネットの治安を維持し、人々の暮らしを護ることだ。
戦闘はその一手段にすぎない。
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 21:52:15.42 ID:/utMINz5o
やること多いお仕事だ
95 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 21:59:50.10 ID:sQ1O3fn5O
そういえば、クラッカーが利用してる粘菌デジモン…
ズルモンやゲレモン、スカモン等も元はマッシュモンだった。
「そう。…今なら分かる。あれらは膨大な失敗作の上にできた一握りの成功だってね」
失敗作…?
「うん。アプモンの研究開発は、毎回トントン拍子で成功するわけじゃない。時に失敗することもある。望まない進化をした個体もいたよ」
…その個体はどうしたの?
「…成功は失敗の積み重ねという。だけど失敗は失敗だ。たくさん出現する失敗個体の飼育に不必要なコストを割いていては、さらに進歩した個体の飼育にコストが回らない」
…処分したのか。
「そうだよ。失敗作は処分した。たくさんのアプモン達が、研究途中で消えていった」
…。
「僕がデジタルアソートを立ち上げて、このバイオシミュレーション研究所と別組織として切り離した理由がこれだ。君達は眩しすぎる…僕達デジタルアソートの研究の路線とは相容れない。誰一人切り捨てないのが君たちの強みだから」
…カリアゲが心配してたよ、メガのことを。
昔とずいぶん、考え方が変わったって。
その理由がそれか。
「僕デジモンが将来平和利用されるために…クラッカーとの抗争の武器以外の役割を持ち、人々の暮らしにプラスの影響を与えられるようにする…。そのために必要なことだったんだ。『失敗作を切り捨てる』ことは」
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 22:01:47.21 ID:ml2e1sKe0
アニメや漫画なら闇落ちする予定のキャラっぽいメガネ
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 22:09:39.49 ID:gaLh2Ya/0
マッシュモンがここまで重宝されるデジモン見たことないや
98 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 22:17:53.85 ID:sQ1O3fn5O
「君達バイオシミュレーション研究所のセキュリティチームは、デジモンを失敗作として切り捨てない。たとえ弱いデジモンや、指示を聞かないデジモンであっても…、その長所を見出し、それらを組み合わせて敵に立ち向かった。だから君達はAAAに勝てた。そうだね?ケン」
…。
うん。私もそう思うよ、メガ。
コマンドラモンやパルモンのように、それ単体で優秀なデジモンだけを画一的に増やしていては、クラッカーに太刀打ちできなかった。
味方デジモンが誰一人欠けても、勝てなかった。
だけどその味方デジモン達は、どんな姿にするかを設計して、指向性を持たせたわけじゃない。
デジモン達自身に、どう進化するかを任せた。
デジモン達が本来持っている進化の力に…。
未知を探求し、予測不可能な進化をするという混沌が生み出す可能性に賭けたんだ。
「そう。だから君達は圧倒的な数の不利を覆せた。だけどそれは…とどのつまり、セキュリティチームの為すべきタスクが『敵性デジモンを暴力で排除すること』だから、そのアプローチが使えるんだ」
…。
「AAAは言った。デジモンは道具だと。…どう思う?」
そんなだから敗けたんだあいつは。
「…そうかもね、そうかもしれない。クラッカーは、ただ暴力で敵を倒すだけのデジモンを育てればいいというわけじゃない。デジモンに情報窃盗をさせたいなら、それができるような能力を持ったデジモンへと進化の指向性を持たせなくちゃいけなかった。それはつまり、望まない形式を持ったデジモンを切り捨てることを意味する」
…スパイウェアデジモンの粘菌デジモン達や、ランサムウェアデジモンのキャンドモンやアイスデビモンを作り上げるためにも、膨大な失敗作を犠牲としてきたってわけか。
「意外かもしれないけど…AAAはね。自分のデジモンを愛しているよ」
ええ!?
そうは思えないぞ。簡単にあっさりとデジモンを切り捨てるし。
蛮族デジモンを捨て駒にしていた。
「蛮族デジモンはあくまで野生デジモンを利用しているだけ…。彼の中では『自分のデジモン』ではないだろう。ズバモンとルドモンに対する彼の執着はどうだった?」
…是が非でも取り返そうとしていた。
使い捨ての蛮族とは真逆だ。
「そう。スカモンもそうだった。最初にスカモンと戦った時は、トドメを刺される前にチューモンに脳を回収させていた」
そういえばそうだっけな。
99 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 22:29:54.94 ID:sQ1O3fn5O
「二度目の戦いもそうだった。クレカ事件の後、クラッカーが僕達のサーバーへ攻めてきたとき、最後に戦場に残っていたのはプラチナスカモンだった。だけどAAAはプラチナスカモンへ破壊命令を出さずに、退却命令を出した。何故だと思う?」
…なぜ?
「おそらく…価値を比べたからだよ、ケン。僕達のサーバーを破壊して、プラチナスカモンを道連れにされて失うことよりも。僕達にトドメを刺せる絶好の機会を手放してでも、プラチナスカモンを生還させることをAAAは選んだんだ」
…それほどプラチナスカモンは大切なのか、AAAにとって。
「きっとそういうことだ。AAAのドリモゲモンが、ケンキモンより先にモリシェルモンを倒したのもそれが理由だ。ケンキモンを不意打ちできるチャンスを手放してでも、プラチナスカモンがモリシェルモンの胃酸で溶かされる前に救出する必要があったんだ」
…。
考えてもみなかった。
AAAにとって、デジモンに優先順位があったなんて。
「プラチナスカモンは戦いの道具やサイバー犯罪の道具というだけじゃない。AAAはプラチナスカモンに…なにか特別な使命を与えているとみえる」
そういえば、鉱山でプラチナスカモンが口からズルモンを出し、チョロモンになって帰ってきたのをレアモンに食わせてたね。
あれはなんだったんだ?
「まだわからない…けど、AAAの企みはきっと、小手先のサイバー犯罪で小銭を稼ぐことだけじゃない。まだなにかある」
嫌だな…。
「先日の戦いで、アイスデビモンだけ扱いが違っていたのに気付いた?」
扱いが違う?
どういうこと?
「アイスデビモンが戦いに投入されたタイミングは、僕達がすべての手札を出し切った後だった。シマユニモンとドリモゲモン、ガニモン寄生型のズルモン…優秀な手駒を数多く失った後で、アイスデビモンを投入してきたんだ。最初から投入していれば、それらを失わずに済んだかもしれないのに」
確かにそうだ。
でも、なぜ…?
「あいつは『失ってもいいデジモン』と『失いたくないデジモン』を明確に分けている。後者を生還させるためなら、前者をいくら犠牲にしてもいいと考えているんだ」
そ…そうか。
最初からアイスデビモンを投入していたら、パルモンの花粉でアイスデビモンが視界を塞がれている間に、モリシェルモンやケンキモンがアイスデビモンを倒していた可能性もあった
「そういうことだね。アイスデビモンを倒されたときのAAAの狼狽ぶりを見た?きっとアイスデビモンもプラチナスカモン同様に、『他の何を犠牲にしてでも生還させなきゃいけない、失ってはいけないデジモン』だったんだ」
…
そんなに大事だったのか。
「だって、ガラスやセメントやワックスを自在に操れるデジモンだよ?その価値を想像してみてよ」
…欲しすぎる!
「そうなるよね。いくらでも活用できる力だ。悪用もね」
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 22:31:33.10 ID:gaLh2Ya/0
一番必要だから一番愛するか
101 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 22:39:19.31 ID:sQ1O3fn5O
「だから、そう。AAAは…、野生デジモンを利用しているんじゃなく、自分で作り上げたデジモンに対しては、『道具として』明確に愛情を持っている、はずだ」
道具として愛情を…?
「そうさ。自作のパソコンを愛機と呼んだり、自慢の車を愛車と呼んだりすることがあるでしょ。人間は道具を、道具として愛せるんだよ。だからデジモンを道具扱いすることは、愛情を持っていないということじゃないんだ」
…その割には、キャンドモンとか粘菌デジモンは使い捨てているように見えたけど。
「消耗品として利用することまで含めて道具…ということだろうね。ケンにも『お気に入りの消耗品』はあるはずだ」
あー。
シャンプーとか洗剤とか食糧品とかね。
そういう感覚なんだ。
「だからあいつは、デジモンを道具とみなしていることを批難されても平然としてるけど…ヘボエンジニアと言われると根に持つくらい怒る。見えっ張りなんだよあいつ」
…随分AAAのパーソナリティーを詳しく分析してるね。
「…僕達デジタルアソートも、デジモンを道具として扱う側だからね。分かるんだ、少し」
メガ…。
「僕達はケンやセキュリティチームとは違う。デジタルモンスターを、僕達が望む姿へ進化させなくちゃいけない。そのためには、デジモンを道具として割り切らなきゃいけないんだ」
…デジタルアソートの研究内容を、カリアゲが知ったら怒るかもな。
「その気持ちがカリアゲのいいとこだ。だからブイモンはカリアゲの気持ちに応えて土壇場でデジクロスに成功した。僕にはできないことだ」
…持ちつ持たれつだね。
102 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 22:45:16.20 ID:sQ1O3fn5O
「軽蔑したかな?僕達のこと、デジタルアソートのことを」
…正直に言う。
私は、デジタルアソートのようにはなりたくない。
「…」
だけどそれは、私自身がそうなりたくないってだけの話だ。それ以上でも以下でもない。
君達デジタルアソートは、社会に必要なことを、そしてデジタルモンスターが人々に受け入れられるために必要な事をやっている。
私がなりたくない姿になってでも。
そのことに、私は敬意を評すよ。
「…ありがとう、ケン」
私だって清廉潔白じゃない。
ディノヒューモンの集落から奪ってきたデジモンの子供を戦わせている。
まるで海外の紛争地帯の少年兵みたいにね。
「うおっ…ケン、言うゥ〜。僕はずっとそれ言わずに黙ってたのに…」
自分達が何をしているかくらい分かってるさ。
この世界に神様がいて、善を救い悪に裁きを下すとしたら…
人間のためにデジモンを利用し戦わせている私達は、裁かれる側かもしれない。
「…綺麗事ばかり言ってられないね」
そうだね。
いつかしっぺ返しを食らうかもしれない。
「その時は、僕も共に裁かれるよ」
103 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 22:46:03.08 ID:sQ1O3fn5O
続く
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 22:46:42.12 ID:ml2e1sKe0
乙
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 22:50:12.61 ID:ml2e1sKe0
乙
当の子供達はお仕事して飯食って勉強して運動するって生活自体はどちらにいても変わらなそうだし気にしてないのかねえ
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 23:06:54.16 ID:EXyred8G0
乙
部分的にアニメとかの世界観に近かったらどうなってたんだろうと思っちゃう話だな……
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/12(月) 00:30:04.51 ID:M4oJJ5yx0
乙
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/12(月) 12:03:08.66 ID:wexGyLwNo
クラッカー側も失いたくない優先順位付ける辺りデジモン作るのそれなりに大変なのね
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/12(月) 12:59:46.05 ID:Itbu8LK20
ズバモンルドモンの時に出てきたスカモン失ったのも何気に痛手だったんだろうか
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/13(火) 01:15:56.90 ID:tcygZYpw0
乙
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/15(木) 21:48:50.45 ID:A+snVod0o
デジタルワールドに神がいるかどうかって話昔少ししてたな
112 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/17(土) 22:35:14.68 ID:41ewblYPO
シュリモンから連絡が来た。
もうすぐ蛮族デジモン達の集会が始まりそう…らしい。
集会とはつまり、ニセシャッコウモンという端末を通したAAAによる演説である。
即座にジャスティファイアへその旨を伝達した。
パルタス氏からの返答は早かった。
『ふはははは!待ちわびたぞ!シューティングスターモン、デジタルワールドに出てエネルギーチャージの準備をしろ!』
パルタスさん。
蛮族の集会が始まり次第、集会のど真ん中にシューティングスターモンの突撃攻撃を撃ち込むということでいいですか?
『できれば集会が終わったタイミングで丁度良く撃ち込みたいところだな!シューティングスターモンは秘密兵器だ、AAAとやらに知らせたくない!』
集会が終わったタイミングで丁度良く撃ち込む…厳しくないですか?
終わり次第解散するかもしれませんし。
「それならうちのドーガモンが時間稼ぎをするよ、ケン」
メガ!
「ドーガモンの力でニセシャッコウモンの姿と声を投影して、『演説の続き』をやる。そこへシューティングスターモンを着弾させると同時にドーガモンを引っ込める。これで蛮族デジモン達を爆心地へ留まらせることができるはずだよ」
『はっはっは!メガよ、デジタルアソートは非戦闘用の平和利用デジモンの開発をしていると聞いたが、随分なキラーカードに化けたな!』
「いや?ドーガモンは何も手を下さないよ、ただちょっとイタズラをするだけ」
『ふはははは!では、共同作戦といこう!』
…そして、シューティングスターモン着弾と同時に、キウイモンの島にスターモンとジオグレイモンが攻め入るんですね。
キウイモンがいたら保護をお願いします。
『そうだな!』
113 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/17(土) 22:44:33.30 ID:41ewblYPO
リーダーが立ち上がった。
「この機会に便乗して…ひとつ、やっておきたいことがある。『ディノヒューモン農園に恩を売る』ことだ」
恩を売る…?
「そうだ。現在は蛮族と対立しているディノヒューモン農園だが、蛮族が潰れたらAAAが農園を味方に付けようとするかもしれない。だから先手を打ち、農園に恩を売って味方につける」
カリアゲが頷く。
「ベーダモンのときみたいにか?リーダー」
「そうだ」
でも、どうやって恩を売るんですか?
「簡単な話だ。シューティングスターモンの爆撃を、フレイドラモンの仕業ということにして、農園の者へ爆心地へ近付かないように事前通告すればいい」
手柄の横取りをするつもりですかリーダー!?
いいんですかパルタスさん!
『ふはははは面白い!シューティングスターモンは秘密兵器だ、他の誰かの仕業にできるならこちらとしても大助かりだ!加えてそれを貴様らセキュリティチームの仕業にできるなら、貴様らの抑止力としての実績アピールにもできるだろう。いいぞ!やるがいい!』
…でも交渉できるんですか?
ディノヒューモン農園の言葉ってまだまだ原始的でボキャブラリーが少ないじゃないですか。
「農園の言葉と我々の言葉の自動変換アプリはメガが開発済みだ。それを使って、どうにか意思疎通をする」
大丈夫なんですか…?
「問題ないはずだ。『暴力による解決を、誰がやるのか』を伝えるだけだ。彼らのボキャブラリーに十分収まる情報だろう?」
なるほど…確かに。
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/17(土) 22:46:02.31 ID:tkOTY8s4o
遂に本格的な接触か
115 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/17(土) 22:50:23.59 ID:41ewblYPO
フレイドラモンがやったことにするのはいいとして…
ブイモンは大丈夫なんでしょうか?
こないだの戦闘で、骨にヒビが入ったと聞いてますが。
ブイモン、調子はどう?
『いてて…まだなおってねーよ』
ほら、無理そうですよ。
「やれるな?ブイモン」
『ああ、やれるぜ!デジタマモンがついてるからな!まかせろ!』
リーダー!?
無理させるんですか!?ブイモンに!
「ブイモンはこれくらいの無理はやってくれる」
いいんですかそんな扱いで…。
『いいぞ!』
「いいんだ。別に実際に戦うわけじゃない、ちょっとディノヒューモンの前に姿を表すだけだ」
か、カリアゲ!
止めないのか!?
「…最近気付いたけど…ブイモンは逆境なほど燃えるとこあるんだよ。いや、いいとこなんだけどな?それに、『ブイモンの体を気遣って黙ってた』と言ったほうがブイモンには悪い」
カリアゲ…。
「過保護にしすぎるのは、仲間への信頼とは真逆だぞ。ケン」
ううっ、カリアゲに諭された…。
正論だ。
116 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/17(土) 22:51:14.34 ID:41ewblYPO
つづく
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/17(土) 22:52:03.06 ID:OcaLkWnDo
乙
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/17(土) 23:00:11.67 ID:Bcrx3rF40
乙
いつの間にか責任重大な役目だブイモン
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/17(土) 23:13:51.13 ID:Cgr6rNic0
乙
120 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/18(日) 07:45:43.05 ID:9tGqR25xo
リーダーはデジドローンとブイモン、デジタマモンをデジタルワールドへ送り込み…
ディノヒューモン農園付近のアクセスポイントから出現させた。
よし…
それじゃブイモン、デジクロスを頼む。
『よっしゃ、やるぞデジタマモン!』
『ウミョォ〜ン!』
デジタマモンは、脚を引っ込めた。
卵殻に炎の紋様が浮き出て、ナイフのように鋭い角が生えた。
https://i.imgur.com/EQAt5Qw.png
カリアゲはデジタマモンのこの形態に「勇気のデジメンタル」と名付けて呼んでいるらしい。
勇気のデジメンタルは、いくつかの破片に分割され、ブイモンを囲った。
破片から放たれる光がブイモンを包み込むと、光の中のシルエットは徐々に大きくなっていく。
やがて、破片が頭部と胸部、手足に装着されて装甲と化し…
フレイドラモンへのデジクロスが完了した。
『できたぜ!』
デジクロスの成功を見届けたリーダーは、デジドローンから音声を発した。
「フレイドラモン、できるだけエネルギー消費を抑えて形態維持に務めることはできるか?」
『そういうのはシェイドラモンのほうが得意じゃねえかなぁ』
「シェイドラモンは喋れるのか?」
『チャットならできるけど…喋るのは厳しいな』
声帯の構造が、喋るのに適してないのか。
「では、シェイドラモンに代わってくれ。チャットの文章を読み上げソフトで機械音声にすれば擬似的な会話はできるな」
『よし!ワームモン、代わるぞ』
フレイドラモンはシェイドラモンへと形態変化した。
シェイドラモンのチャットを読み上げソフトに接続する。
どう?喋れる?
『あー あー きこえる?』
おお!聞こえた!
大丈夫そうだね。
「それでは、ディノヒューモン農園とコンタクトを取りに行くぞ」
リーダーが操作するデジドローンは、シェイドラモンと共に農園の入口へ向かった。
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/18(日) 08:06:16.52 ID:jbKC7HXgo
デジタマモン単独の戦闘力は想定されてない感じか
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/18(日) 08:18:16.21 ID:1VFc8Ueq0
いくらスポンサーさんでもフレイドラモンシェイドラモンへの変形合体も可能!DXブイモン&デジタマモンなんて玩具作れないよなあ
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/18(日) 08:18:28.12 ID:KqJkrjbd0
>>121
この作品だとデジクロスに特化してる設定っぽいし>デジタマモン
124 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/18(日) 08:42:59.92 ID:9tGqR25xo
農園の入口へ付いた。
リーダーは、ディノヒューモン語翻訳ソフトを駆使しながら、マイクに向かって発話する。
「モシモシー! キャクキャク!」
やがて、何者かがやってきた。
…スティングモンだ。
『ナゾナゾ!?』
スティングモンは問いかけてくる。
翻訳ソフトには「誰だ」と文字が出てくる。
リーダーは「私は味方だ、蛮族の敵だ」
「ワレワレ!トモトモ!ウホウホ、ボコボコ!」
それを聞いたスティングモンは…
『お前達、信徒の、仲間か?』
おお!?
日本語で発話して話しかけてきたぞ!?
シント…信徒。
我々が蛮族と呼んでる輩は、デジタルワールドではそう名乗っているのか。
リーダーも日本語で返答した。
「いいや違う。信徒達と戦っている者だ」
『なぜ、この言葉を、使える』
「これは元々我々が使っている言葉だ。信徒の親玉…AAAも、この言葉を使っている」
『トリプルエー?天使のことか』
スティングモンが発した「天使」という名称を聞き、リーダーは眉を潜めた。
「天使…?AAAは、あなた達にはそのように名乗っているのか。傲慢なものだな、天使とやらは」
『傲慢?知らない言葉だ。どういう意味だ』
「他人を見下してばかりいる奴のことだ」
『なるほど、傲慢。信徒共は確かに傲慢だ』
…スティングモンの態度がちょっと和らいだ気がする。
リーダーは今、『AAAの悪口』を交渉の手段として用いたのだ。
敵の敵は味方であることを、感情的・心情的に理解させるための手だ。
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/18(日) 08:45:59.12 ID:1VFc8Ueq0
誰かへの悪口で結束を固める…人間も日常的に使う手段だ…
126 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/18(日) 08:50:05.92 ID:9tGqR25xo
一旦ここまで
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/18(日) 08:50:54.33 ID:rn228+OFo
乙
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/18(日) 08:51:39.10 ID:1VFc8Ueq0
乙
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/18(日) 13:53:24.92 ID:PBKz+Nm80
乙
スティングモン普通に日本語理解してるのすごいな
130 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/21(水) 21:55:13.89 ID:gvIQkeT90
『それで、お前達、何者だ。どこから来て、何をしに来た』
スティングモンが問いかけてくる。
リーダーはデジドローン越しに返事をする。
「我々はセキュリティチーム。ここから遠く離れた土地で、お前達のように社会を形成して生きている。お前達が天使と呼ぶ者、AAAはその社会をデジモンの力で破壊しようとしている悪党だ。それを退治しようとしているのが我々だ」
スティングモンは頷く。
『なるほど、とりあえず信じよう。それで、何の用だ』
「そうか、助かる。今日は話が…」
『また我々の元からタマゴを奪いに来たのか』
「…!?いや、違う!そうじゃない!」
『気づかないと思ったか、セキュリティチーム。そこにいるデジモンは、私の子供だな』
「…認めよう。確かにこのシェイドラモンは、お前の子供だ、スティングモン」
『スティングモン?なんだその呼び方は。私が盟友オサオサから貰った名は「グサグサ」だ。他の名前で呼ぶな』
「…そ、そうか。分かった。お前のことはグサグサと呼ぶ」
グサグサ…
スティングモンってディノヒューモンからそう呼ばれてるんだ。
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/21(水) 21:59:35.41 ID:jhAv3S6go
自分の血縁は分かるもんなのな
132 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/21(水) 22:22:28.45 ID:gvIQkeT90
『あの時、信徒達の襲撃で、ブイブイとブンブンが死んだ。お前達と共犯じゃないのか、セキュリティチーム』
ううっ、すごく睨まれている…!
ブイブイとモスモンが死んだことを怒っている。そりゃそうだ。
「…そう勘違いされるのも無理はない。あのとき我々は、AAAに部下がいることを…信徒達がいることを知らなかった」
『無理な言い訳だな』
「オレは真実を語っている、グサグサ。我々は今からAAAと信徒達を滅ぼしに行くつもりだ。今ここでお前に嘘をついても何の得もない」
『滅ぼしに行く?仲間をか?』
「…何度も言うが、オレたちはAAAの仲間じゃない、敵同士だ。ブイブイとグサグサのタマゴを奪ったことは謝罪する。だがそれは、お前達が優秀なデジモンであり、AAAを倒すためにはその力が必要だと考えたからだ」
『ブイブイの子供はどうした?』
ブイブイ…エクスブイモンの子供。
つまりブイモンのことだ。
「今ここにいるシェイドラモンは… ブイブイの子供ブイモンと、グサグサの子供ワームモンが合体している姿だ。お前がブイブイと合体したように」
『何…!?ガチャガチャができるのか!?さすが我が子、優秀に育ったものだ』
「あの時、我々がお前とブイブイのタマゴを奪ったせいで、グサグサとブンブンに隙ができて…結果、二人はAAAの部下、信徒達に殺されてしまった。どれだけ詫びても、二人の命を戻すことはできない」
『そうだろうな』
「だからせめて、罪滅ぼしに… 償いとして、オレ達が今からこの手で、信徒達を皆殺しにする。そしてこれ以上、信徒達にお前たちの村が襲われないようにする」
『信徒たちを滅ぼす?できるのか?お前たちに。あれらは我々が長い間戦い、未だに滅ぼせていない敵だ。お前たちにあれが滅ぼせるのか?』
「できるさ。シェイドラモンの力があればな」
『それほど強いのか、我が子は』
そう言うと…
スティングモンは構えた。
『シェイドラモン、私と戦え。力試しをしてやる』
スティングモンは、あのスコピオモンの子孫だ。
デジクロスしてパイルドラモンやディノビーモンにならずとも、単体でかなり強いと予想される。
「しかし、今体力を消耗しては、信徒達を滅ぼすための体力が…」
リーダーがそう言おうとしたが…
シェイドラモンは突如光り輝き、フレイドラモンに変形した。
『リーダー!オイラやるよ。見せてやるんだ、今のオイラの強さを、ワームモンの親に!』
構えるフレイドラモン。
…ブイモンは先日の戦いの怪我がまだ残っているのだが…
大丈夫なんだろうか。
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/21(水) 22:25:00.78 ID:JlW5ngTv0
戦うことで分かり合うという概念はデジモンにも存在するのか
134 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/21(水) 22:31:45.09 ID:gvIQkeT90
スティングモンが、フレイドラモンに飛び掛かる!
凄いスピードだ!
フレイドラモンは、スティングモンのパンチをいなす。
そして、スティングモンの顔にパンチを打ち込む!
スティングモンは素早い身のこなしで、フレイドラモンのパンチを躱し…
フレイドラモンの頭部へ右フックを決めようとした!
この軌道は回避できない…!
しかし、フレイドラモンはぴかっと光り、一瞬でシェイドラモンへ変形した。
シェイドラモンはフレイドラモンよりも身長差が低いため、スティングモンの右フックは空を切った。
態勢を崩したスティングモンに向かって、シェイドラモンは粘着糸を放った。
スティングモンの腕に粘着糸が絡まる!
スティングモンがもがいていると…
シェイドラモンは、フレイドラモンに変形し、スティングモンの顔面に蹴りを放つ!
…フレイドラモンは、スティングモンの顔に蹴りが当たる寸前で、脚を寸止めした。
『どうだ?オイラの実力は』
スティングモンは、ふぅと溜息をついた。
『中々やるな。だが、私とブイブイが合体した姿には及ばない』
『つえーもんな、パイルドラモン。オイラもあのくらい強くなりてーぜ!…で?まだやるのか、スティングモン?』
『グサグサと呼べ。…今のが全力か?シェイドラモン』
スティングモンは、フレイドラモンのことをシェイドラモンと呼んだ。
まあフレイドラモンという名前は教えてないから、仕方ないか。
『今はな』
『…私はもういい。貴様らはどうする?このまま私を殺せるチャンスだぞ?ん?』
スティングモンはまだ我々を疑っているようだ。まあ無理もないか…。
リーダーがマイクを握る。
「我々の社会には、『敵の敵は味方』という言葉がある。AAAを滅ぼそうとしている我々にとって、君たちは味方だ。グサグサ」
『…まあ今は信じてみようじゃないか』
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/21(水) 22:33:55.16 ID:CrDonzXso
完全体と成熟期相当のアーマー体では流石にね
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/21(水) 22:35:58.00 ID:NVV9lkz40
成熟期で上位のスティングモンにこれだからほんとに強いねえ
137 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/21(水) 22:42:24.08 ID:gvIQkeT90
「…デジタマを奪って悪かった、グサグサ。だがお前の子供は、これほど強く育ったぞ」
スティングモンは、ふふっと笑った。
『安心した。私の子供は既に信徒たちに食われていると思っていた…諦めていた。だが、生きていたんだな。これほど強くなって…』
「ああ。我々の大切な仲間だ」
『信徒たちに奪われるより、貴様らに奪われた方が、いくらか私の子供は幸せになったようだ』
「間違いない」
『それで、我々にその子を返す気はあるのか?』
「シェイドラモン本人に聞いてくれ」
『…我が子よ、村でオサオサと共に暮らさないか。美味いヤサイがたくさんあるぞ。最近は果物も採れるようになった』
フレイドラモンは、シェイドラモンへ変形し、チャットで返事をした。
『くらさない ぼくのかぞくは セキュリティチームだから』
『…フフ、そうか』
スティングモンは苦笑した。
『でも ぼくをうんでくれて ありがとう グサグサ。きみが ぼくを うんでくれた おかげで ぼくは セキュリティチームの みんなと しあわせに くらせてる』
『…』
『いのちを ありがとう』
『…これから信徒たちと戦うのか?我が子よ』
『そうだよ!』
『必ず生きて帰れ。どのように勝ったか、どのように活躍したか。私に聞かせるんだぞ。シェイドラモン』
スティングモンは、シェイドラモンの頭を優しく撫でた。
『うん!グサグサ!』
スティングモンはリーダーのデジドローンの方を向いた。
『…我が子を粗末に扱うなよ』
「ああ、もちろんだ。大切な家族を、粗末になんかしない」
『ならばよい。罪滅ぼしとやらをするのだろう、さっさとやってこい』
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/21(水) 22:45:38.63 ID:Rr6y42Zao
優しい
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/21(水) 22:46:38.78 ID:NVV9lkz40
スコピオモンの一代目と二代目の子孫なことも含めて感慨がある
140 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/21(水) 22:51:20.90 ID:gvIQkeT90
「いや、まだ話は終わっていない。そちらから聞きたい事と、こっちから伝えたいことがある」
『なんだ、セキュリティチーム』
「まずは聞きたい事だが… グサグサ、なぜお前は我々の言葉が話せる?これは我々やAAAの社会で使われている言葉だ」
『…奴に教わった。バブンガモンに』
バブンガモン…!?
バブンガモンって、蛮族側のデジモンじゃないか!ヒヒ型の!
「バブンガモンは信徒ではないのか?」
『奴は信徒が信徒になる前からいた信徒だ。だから信徒であって信徒ではない』
?????????????????????
141 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/21(水) 22:51:48.15 ID:gvIQkeT90
つづく
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/21(水) 22:53:32.76 ID:JlW5ngTv0
乙
語彙力がまだ足りない!
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/21(水) 22:56:43.10 ID:NVV9lkz40
乙
バブンガモンここで出てくるんだな……
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/21(水) 22:57:00.72 ID:95K34g0g0
乙
元々バブンガモンの群れがいてAAAが接触して蛮族になってフーガモンとかが生まれたのかな
145 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/22(木) 23:06:54.21 ID:Vr+itFZ/0
リーダーは…
「何?バブンガモンが、信徒が信徒になる前からいた信徒で、だから信徒であって信徒ではない、と?」
『何を言っている?理解不能だ』
「いや、グサグサが今言ったことをそのまま復唱したんだが…」
『復唱とはなんだ、知らない言葉だ』
「相手が行ったことを、そのまま話すことだ」
『…私が言ったのか。自分で言ったが、わけがわからないな。あー、…つまり、だ。信徒が信徒になる前に、バブンガモンはすでに信徒だったのだ』
「…要するに…」
リーダーはスティングモンにいろいろと言葉を教えてから、言いなおさせた。
『言いなおそう。つまりバブンガモンは、類人猿デジモンの集団が、AAAに支配され信徒となる前から、既に類人猿デジモンのグループにいたのだ』
「よし!よく理解できた。言葉を覚えてくれてありがとう、グサグサ」
『セキュリティチームの…貴様はリーダーと言ったな。こちらこそ助かった。便利な言葉を教えてもらった』
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/22(木) 23:08:22.84 ID:yEFKwtK30
言語というものは便利だ
147 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/22(木) 23:34:03.42 ID:Vr+itFZ/0
話を要約すると…
我々が『蛮族』と呼んでいるデジモンは、AAAが一から生み出したわけではない。
元々、類人猿型のデジモンの集団がジャングルにいたのだが…
ある日そこにゲートが開き、ニセシャッコウモンが現れた。
そしてニセシャッコウモンは、類人猿型デジモン達に餌として「砂糖」という粉を与えた。
この「砂糖」の甘味に憑りつかれた類人猿型デジモン達は、ニセシャッコウモンの指示を聞くようになった。
ニセシャッコウモンは自身を神の遣い…「天使」と名乗り、天使に従う者を「信徒」と呼ぶようになった。
そうして信徒たちに言葉を学ばせ、青銅の精錬などの原始的な科学知識を教えた。
ニセシャッコウモンは、信徒達にカースト付けをするようになった。
よりよく言語を学んだ者、よりよく神や天使を信仰する者に、優先的に砂糖を与えた。
やがてニセシャッコウモンは信徒達を統率・支配し、狩りやディノヒューモン農園への略奪をさせるようになった。
最初期の信徒達は、「砂糖」によってコントロールされていたのだが…
そのうち信徒達は、砂糖がなくともニセシャッコウモンのいうことを聞くようになった。
信徒という集団そのものに、「ニセシャッコウモンに認められる者ほど身分が高く、支配的な立場をもらえる」という上下関係が出来上がったため、
信徒のデジモン達自身が砂糖という物質的報酬を必要とせずにニセシャッコウモンに認められる行動をとり始めたのだ。
そうしておかしくなっていく類人猿型デジモンの群れを…
バブンガモンは、快く思っていなかった。
だがここで反旗を翻しても結果は目に見えているため、信徒の集団の中では表立って目立った行動はしなかった。
戦うのが嫌いなバブンガモンは、略奪には参加せずに、他の仕事をしていたそうだ。
たとえ、かつて類人猿型デジモンのリーダーだった自分が、どれだけ低いカーストに落ちることになったとしても。
そうしてバブンガモンは、ニセシャッコウモンに従う振りをしつつ、密かにスティングモン及びディノヒューモンとコンタクトをとっていたのだ。
スティングモンとディノヒューモン… ザクザクとオサオサが日本語を学んだのはその機会によるものだそうだ。
スティングモンは日本語の語彙の多さに苦労したが…
先に習得したディノヒューモンから教わり、なんとか使えるようになった。
ディノヒューモン農園にもこの言葉を広めようとしたが…
群れの多くは『敵の言葉なんて使いたくない』と言い、頑なにこの便利な言語の習得を拒んだそうだ。
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/22(木) 23:35:38.14 ID:XEQ439Ddo
麻薬かよ…
149 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/22(木) 23:42:39.70 ID:Vr+itFZ/0
クルエはその話を聞いて、こそっと聞いてきた。
「AAAの奴、砂糖なんかどうやって調達したのかな…」
カリアゲが答えた。
「砂糖も塩も見つけてるよ。砂糖の方は草原に生えるイネ科っぽい植物『サットの実』を、塩はマングローブに生える『ジョッパの実』を収穫すると作れるぞ」
「えー!フローティア島では栽培しないの?」
「ジョッパの実は栽培するぞ。海水で育つからな。ただサットの実はだめだあれ。一度砂糖を作って、コマンドラモンに舐めてもらったことがあったんだよ」
「なんて言ってたの?」
「『これはいけない。こんなものを舐めていてはダメになる。…ところで、もう一回舐めていいか』って5回くらい繰り返し言ってたぜ」
「あー危険薬物ですわこれ。そんなのを蛮族に与えるなんて…やっぱAAAってとんでもない奴だ」
「でも砂糖だぞ?」
「砂糖ならいっか!」
よくない。
…まあクルエとカリアゲの話はいいや。
スティングモンの話の続きを聞こう。
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/22(木) 23:45:30.37 ID:Z0F81XMd0
砂糖を日常的に大量摂取してる我ら人間はダメになりまくっていた?
151 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/23(金) 00:02:09.48 ID:Jk9MsKze0
『つまり… 信徒という集団は今や我々の敵だが、唯一バブンガモンだけは信用できる』
「敵のスパイになっている可能性はないのか?」
『無い。一度それを疑ったこともあった。バブンガモンにニセの情報を本当らしく伝えて、信徒達の待ち伏せをしたが… 罠は不発だった。バブンガモンがAAA達に情報を漏らさなかったからだ』
「なるほど」
『そういうことだ。もし信徒を滅ぼすのなら、バブンガモンと…その親のプレイリモンだけは手を出さないでくれ』
「…」
『どうした』
「我々は、信徒達が集会をしているときに、そのど真ん中に大きな火球を落として一気に全滅させるつもりだ。一体一体倒していくわけではない」
『…!?そんなことができるのか!?シェイドラモンに!?』
「シェイドラモンだけでなく、オレ達セキュリティチームのデジモンの仲間の力を集めて行うんだ」
『…それでは…』
「…トータモンやカメモンが巻き込まれない範囲に落とすようにしてある。だが、そのバブンガモンという奴は、今更個別で攻撃範囲から助けることは難しい」
『トータモン?カメモン?誰だそれは』
「こいつらだ」
リーダーはそれら二種のデジモンの姿を、デジドローンのプロジェクターで投影した。
『…カチカチとノシノシか。こいつらはオサオサの大事な家族だ。助けてくれるのは助かる。だが…バブンガモンが…』
「…すまない。もう間に合わない。バブンガモン個人に伝えて『一人だけ逃げろ』と伝えたら、信徒全員に逃げろと言う可能性がある」
『…間違いなくそうするだろう。何に支配されようと、信徒たちはバブンガモンの家族だ。家族を皆殺しにすると伝えられて、怒らない者などいない』
「…」
『…』
「…許してくれるか、オレ達を」
『…バブンガモンは良い奴だった。狩ったニクをくれたこともあった。一緒に踊って歌ったこともあった』
「…」
『…だが、バブンガモン一人を助けるために、信徒全員を殺せるチャンスを捨てるわけにはいかない。やってくれ』
そう言うスティングモンの声は…
とても辛そうだった。
152 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/23(金) 00:03:02.79 ID:Jk9MsKze0
つづく
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/23(金) 00:05:47.55 ID:+NBiskQro
乙
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/23(金) 00:08:03.71 ID:+cXy+MHj0
乙
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/23(金) 00:12:35.31 ID:BM19BkAu0
乙
うーん悲しい
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/23(金) 01:58:19.97 ID:nCbXQG1lo
バブンガモン…惜しい奴だった…
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/23(金) 21:00:03.98 ID:hKsgNtkLo
グサグサとオサオサ以外の村デジモンにとってはバブンガモンそこまで思い入れある奴じゃなさそうなのが救いか
158 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/23(金) 22:11:40.85 ID:BFJz8vNOO
…さて今、蛮族もとい信徒達の集落はどうなっているか。
草木に紛れて隠れているシュリモンが隠し持っているデジドローンからの映像を見てみよう。
広場に、シャーマモンやコエモン、ジャングルモジャモン、セピックモンが集まっている。
その中には、傷付いたキンカクモンの姿もあった。
腹部には大きな傷跡が残っている。糸で傷を縫っているようだ。
…あの糸はどうやって調達したんだろう。既に糸を紡ぐ技術がこの原始的な文明にはあるのだろうか。
キンカクモンはまだ立って歩けるほど癒えていないらしく、横たわっている。
そこへ…
一体のデジモンが、瓶のような土器を持って近付いてきた。
https://i.imgur.com/TbNo2V6.jpg
これは…!?
人間の少女か!?
どことなく修道女を思わせるような出で立ちの、甘ロリータ衣装を纏った、まるで人間の少女そのものであるかのようなデジモンだ。
信徒デジモンはここまで人間に近付いたのか…!?
『ミズデス キンカクモンサマ』
この修道女デジモンには、仮称としてノワールシスタモンという名を付けておいた。
シスタモンは水瓶をキンカクモンに渡す。
『ヨロシイ ワガコヨ』
キンカクモンはそう言って水瓶を受け取り、水を飲んだ。
なんということだ…。
キンカクモンの子供はああなるのか。
うちのフローティア島にいる第一子はまだトコモンなのに。あっちの方が成長が早いな。
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/23(金) 22:13:12.74 ID:O0TqS0wRo
こんなデジモンでも抹殺される映像をドキュメンタリー番組として世に出せるかどうか
160 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/23(金) 22:14:22.10 ID:BFJz8vNOO
キンカクモンのもとへ、トコモンが一体、ぴょいんぴょいんとやってくる。
口には袋を咥えている。
トコモンはキンカクモンへ、袋を差し出した。
中身は果物のようだ。
『タスカルゾ ワガコヨ』
キンカクモンは、果物をいくつか食べたあと…
『アトハ オマエガ オタベ』
残りはトコモンへ差し出した。
トコモンは、美味しそうに果物を食べ始めた。
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/23(金) 22:19:40.38 ID:BM19BkAu0
これから爆撃するっていうのにやりづらくなりそうな絵面を
162 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/23(金) 22:25:29.19 ID:BFJz8vNOO
広場にはたくさんの信徒デジモンが集まっている。
バブンガモンの姿は見えない。
やがて、デジタルゲートからニセシャッコウモンが出てきた。
信徒デジモン達は一斉に平伏した。
『カミサマ!テンシサマアアーーー!』
ニセシャッコウモンのもとへシスタモンが駆け寄った。
『ミナノモノ!テンシサマの オイデだ!ソノミコトバを イチゴイック カミシめ アリガタく キクヨウに!』
シスタモンがそう言うと、信徒デジモン達は声を揃えてニセシャッコウモンを称えた。
『テンシサマ!シンセイナル テンシサマ! ワレラニ ヨゲンヲ サズケタマエ!』
やがて、ニセシャッコウモンが語り始めた。
『うむ。集まったな。…キンカクモン、これはお前の子か?』
声は異なるが…口調は間違いなくAAAだ。
ボイスチェンジャーを使っているのだろうか。
弱っているキンカクモンの代わりに、シスタモンが答える。
『ハイ!テンシサマ!ワタシは テンシサマのソンザイに チカヅクタメに キンカクモンサマカラ シンセイな ニクタイを サズカり ウマレて キマシた!』
『ふむ、よくやったキンカクモン!これほどまでに我々に近づくとはな!シスタモン、貴様がさらに進化すれば、ようやく我らの一員になれるやもしれんぞ』
『ハハー! アリガタき オコトバ!』
シスタモンはニセシャッコウモンに平伏す。
『第二子はいるのか?シスタモン』
『ワタシの キョウダイが コチラに!』
シスタモンがトコモンがぴょこぴょこと近寄ってきた。
『プワァ!』
『フム、幼年期の段階ではまだシスタモンの幼年期と同じか。貴様も我々に近付けるよう、修行に励むことだ』
そう言い、ニセシャッコウモンはトコモンを撫でた。
『プワァ〜!』
…あいつもデジモンを撫でたりするのか。
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