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魔王に捧ぐ鎮魂歌
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創る名無しに見る名無し
:2023/08/12(土) 13:00:55.43 ID:vbTj/C9bO
銃声と悲鳴が響く。辺りには血と硝煙の匂いが立ち込める。しばらくすると、銃声が止み、足音が聞こえてくる。足音はどんどんとこちらに近づいてきて、やがて私の牢屋の前で止まった。
そいつらは下卑た笑みを浮かべながら、牢屋の扉を蹴り破り、私の腕を掴んで連れ去っていく。連れ去られる道中に広がっていたのは死体の山。
全部、私のせいだ。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい――。
△ △ △
ふと、目が覚めた。カーテンの隙間から差し込む光はまだ弱く、半端な時間に起きてしまったことが想像できた。そして、それを裏付けるように時計は朝の三時を指していた。
横を向くと、そこには一人の少女がいた。うなされているようで、縋るような声で男の名前を何度も呼んでいた。自身の目が覚めた理由を知ると、男はうなされている少女の黒髪を優しい手付きで撫でた。すると、少女の表情が安らいだものになっていき、やがて深い眠りに落ちていった。
男は目の前で寝息を立てている少女について考える。
半年前、近隣の村からの要請を受けて、山賊を襲った。その山賊のアジトに囚われていたのがこの少女である。少女は自身をこの地方に伝わる魔王と語った。始めはそれを家庭のしつけのようなものだと思っていたが、二日もしないうちに訳の分からない集団に襲われた。それだけなら、自身も恨みを買っていないとは言い難い生活を送ってきているので納得することができたが、それが半年たった現在まで続いているので、いよいよ信じるしかなくなってしまっている。
この半年でたくさんの人を殺した。殺さなければ自身と少女が殺されたとは言え、とうにそんな理屈は意味をなしておらず、男の精神を蝕んでいた。自分はたくさん人を殺したのだから、たくさんの人を救わなければ。男はそんな思想に取り憑かれていた。
ある日それに気付いた少女が、自分が魔王になったら人を沢山[
ピーーー
]だろうから、男が自分を殺せと言ってきた。もちろん男はそれを拒絶したが、このまま精神を蝕まれ続けられたのなら、いつの日か、その提案を受け入れてしまいそうで、それがたまらなく恐ろしかった。
◇ ◇ ◇
レンリさんと出会って、一年が経った。レンリさんは今まで出会ったどんな人とも違って、私を魔王と言って恐れないし、殺そうともしない。そして、底なしのお人好しだった。どのくらいかって言うと、自分を殺そうとした人を殺して、罪悪感で押しつぶされそうになってるくらい。自分は人をたくさん殺したから、もっとたくさんの人を助けなきゃって。
別に私だって死にたいわけじゃない。でも、それ以上に私はレンリさんが大好きだ。
彼の大きくて優しく撫でてくれる手が大好きだ。私をしっかりと抱きとめてくれる腕が大好きだ。私を真っ直ぐに見守ってくれる目が大好きだ。こっちまで毒気が抜かれるような笑顔が大好きだ。私を救ってくれる声が大好きだ。心が安らぐ香りが大好きだ。彼の全部が大好きだ。
だから、彼になら殺されてもいいって思える。
レンリさんが辛くなったら私を殺せばいい。ある日そう言ったら、レンリさんは珍しく怒って、三日は口を聞いてくれなかった。レンリさんが私を殺そうとしないことは、まあ、分かってはいたけれど、あそこまで怒るとは正直、思ってなかった。
そのあと、ちゃんとごめんなさいをして、ぎゅってしてもらった。どうしてか、涙が溢れて止まらなくなった。そうしたら、レンリさんがぎゅってしながら頭を撫でてくれた。なんでか、涙がもっと溢れて止まらなくなった。
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