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【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」ニコ「その3だよ」【×影牢】
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377 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/03(水) 21:23:25.27 ID:VA68R6Meo
というわけで今回はここまで。
>348
お気になさらず。自分も過去には三重書き込みをやらかしましたので……。
>349
伏線回収はとりあえず掬えるところは必死に掬っております。
スレ自体は年内に終わらせたいと思っていますが……。
>350
弟は弟でそこそこ能力はありますが、いかんせん今回のやらかしが致命傷になりますかねえ。
父親も海軍の一部に目をつけられていますし、その辺もそのうち書いてみるつもりでいます。
378 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/06(土) 00:07:13.80 ID:kXLLQw9D0
その三重書き込みより前の時代から見てるなぁ...懐かしい
379 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:00:36.22 ID:QAWrUrqZo
囚われの曽大佐の艦娘がどうなったか……。
短いですが、続きです。
380 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:01:18.65 ID:QAWrUrqZo
* 夕方 *
* 封印神殿内 *
ピチョン…
捕獲牢の中の赤城改二「……ここ、は……どこです……!?」
赤城改二「く……体が、重い……力が入らない」ググッ
赤城改二「この、鳥籠は、いったい……」
提督「ん? 目を覚ましたのか」
赤城改二「! あなたは……っ!!」
(提督が暗闇から現れ、それと同時に石畳の通路を照らす松明に火が灯り)
(赤城の捕獲牢を含めて7個の捕獲牢が並んでいる光景が浮かび上がる)
提督「休んでていいぞ。どうせ起きていられねえだろ」
赤城改二「それは、どういう意味です……くっ」クラッ
提督「この捕獲牢はな、捕獲した者の魔力と生気を奪うんだ。そいつがぎりぎり生きられるだけの力を与えつつ、な」
赤城改二「……あなたの、好きには、させません……!」
提督「そうやって強がっても、いまは指を動かすことすらきついだろ? おとなしく寝てな」
381 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:02:02.36 ID:QAWrUrqZo
赤城改二「……こうやって、歯向かうものを、閉じ込めているのですね……!」
提督「そうはそうだが、部外者を閉じ込めたのはお前らが初めてだぞ?」
提督「ここは、俺の鎮守府で馬鹿をやった奴を懲らしめる、いわゆる懲罰房みたいなもんだ」
赤城改二「懲罰房……?」
提督「おい、ケイティー。起きてるか」ユサッ
他の捕獲牢に入れられたケイティー「……あ、ああ……旦那様ぁ……!」ニタァァ
ケイティー「やっと……やっとお会いできた……」テヲノバシ
提督「お会いできたーじゃねえよ。一応毎日見には来てんだぞ? っつうかお前、毎回毎回やり過ぎだって言ってんだろが」
提督「お前はなんで俺が艦娘やほかのメディウムと話してるだけで襲い掛かってくるんだよ」
ケイティー「旦那様に近づく悪い虫は、退治しなければなりませんので……」
提督「だからそういうのやめろっつってんだろが。ったく、全っ然反省してねえな?」
ケイティー「わ、わたくしは、旦那様のことを思って……」
提督「もう少しこの中に入ってろ」デコピン
ケイティー「ヘブッ!?」バチーン ガクッ
提督「はぁ……本来は、こういう感じで、仲間に襲い掛かるような奴を懲らしめるための部屋なんだ。ほぼケイティー専用だけどな」
382 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:02:47.18 ID:QAWrUrqZo
提督「で、この捕獲牢が生かさず殺さずには丁度いいんで、これに入ってもらって反省を促し、自戒してもらってると言うわけだ」
赤城改二「……」
提督「けど、お前らが素直に反省するとは思えねえな。お前らには、深海棲艦に対して過剰すぎる敵意が詰め込まれすぎてる」
赤城改二「……何を、しようと、言うのです……!」
提督「これからお前らの悪い部分を切除する」
赤城改二「せ、切除……!?」
提督「ああ、だから休んでていいぞ。どうせ起きててもしょうがねえ」ガシャ…
(提督が赤城の隣の捕獲牢に手を伸ばし、自分のほうに引き寄せる)
赤城改二「……その鳥籠は……大和さん……!」
提督「さてと。気になってたのはこいつの『魂の色』だ。どんなもんか、見せてもらおうかね」
赤城改二「た、魂!? な、何をする気ですか、やめなさい……っ!!」
(気を失って横たわる大和改二の頭を、提督が捕獲牢の外側から鷲掴みにして、提督が目を閉じる)
大和改二「……う……」ピクッ
提督「おお……こりゃあひでえな、真っ黒じゃねえか。うちの大和とは完全に別風景だな」
赤城改二「い、いったい何の話です!? とにかく、その手を放しなさい……!」
383 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:03:31.87 ID:QAWrUrqZo
提督「うるせえな……少し静かにしてろ」
ズブ…ッ
大和改二「ふぎッ!?」ビクンッ!
赤城改二「ひっ!? て、提督の指が、大和さんの頭の中に沈み込んでる……っ!?」
提督「この赤は爆炎の赤っぽいな……こっちの黒は黒煙か? マジで戦うことしか頭にねえな、こいつ」
大和改二「あッ……あが……ッ!? わっ、ワた、しィは……いったい、なに、ヲ……ッ!?」ビクビクビクッ
提督「何をどうしたら、大和の魂をここまでどす黒く染められるんだ? 曽大佐の野郎は一体何を吹き込んだんだよ……くそが」
提督「この辺りの魂、いらねえな。敵意か殺意か、攻撃的な色しか入ってねえ。こりゃ艦娘じゃなくても害悪でしかねえぞ」グリッ
大和改二「グェゲ……ッ!?」ビクンッ!
提督「ここも……ここも真っ黒だ」グリュグリュッ
提督「ん? こりゃ、あのレ級との記憶か? これも酷えな……こんなに憎悪を前面に出して戦う必要あるかよ」
大和改二「ア゛オ゛ッ!? グエ……ゲエァ、ゴアッ……!!」ガクガクガクッ
赤城改二「ひ、ひいいっ!!」
提督「見れば見るほど敵意の塊だな……曽大佐はここまで深海棲艦を憎んでるのか?」ズブブッ
提督「それにしちゃあ身内が殺されたって話とかもないようだが……曽大佐が艦娘にいい顔してる印象も全然ねえな」グリグリッ
384 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:04:17.26 ID:QAWrUrqZo
提督「もしかしてあいつ、艦娘が嫌いなのか……? まあいい。綺麗な部分がちょっと残ってただけでも良しとするか……」ズリュズリュ
提督「魂、だいぶ減っちまうな。ニコには悪いが、俺の魔力の一部で補っておくか……」グチュグチュグチュ
大和改二「アガ……オ、オブォォ……ウ、ゴベェ……!!」ビクンビクンビクン
赤城改二「あ、あああ……や、やまと、さん……!」ガタガタ
提督「ふう……こんなもんか……」ズポッ
大和改二「ハヘッ」ガクガクッ
提督「ん? なんだこりゃ!? 大和の体がえらく細ってやがる。魂削ったら体も削れるとか聞いてねえぞ……?」
提督「……捕獲牢に大和の魂を吸わせたおかげで魔力が回復してるな。この魔力でついでに大和の体も魂に合わせるよう調整しておくか」
赤城改二「あ、あ、頭の中を、いじくるなんて……っ」ガタガタガタ
提督「よし、これでしばらく様子見だな。これで性格もちったあまともになってくれるといいんだが……さてと」フリムキ
赤城改二「ひっ!?」
提督「先に起きてるお前をやっちまうか。騒がれても面倒だ、おとなしくしてろよ……!」
赤城改二「い、いやっ、こないで……おねがい、たすけてぇ……! おねがいだか」
ズブッ
赤城改二「ら゛……っ」
* * *
* *
*
385 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:05:02.23 ID:QAWrUrqZo
* その夜 *
* 提督の私室 *
提督「くっそ疲れた……今日一日でいろいろあり過ぎだぞ……」
提督「はあ……俺の部屋もベッドも広すぎだろ。なんで毎回誰かが泊まりに来る前提なんだよ、くそ……」
提督「……」
提督「……」
提督「まあ……それも悪くねえのかもな。あんな風に、俺の無茶をわかってくれたり、にこにこと笑ってくれたりしてんだもんな」
提督「……あいつらにも、何かしら返してやれるもんがねえとな……」
提督「何が、いいかねえ……」
提督「……」
提督「すー……」スヤァ…
扉<チャッ…
ニコ「……魔神様?」コソッ
ニコ「あれ、寝ちゃったのかな……」
ニコ「……」
386 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:05:47.33 ID:QAWrUrqZo
ニコ「……」
ホッペツンツン
提督「ん……」スヤスヤ…
ニコ「……」
ニコ「魔神様……ぼくは、このままでいていいのかな」
ニコ「きみが、魔神様と、そうでないものに分かれた時……『きみ』は、そうでないものに分かたれてしまった」
ニコ「ぼくが、慕っていたのは、魔神様じゃなかった……そうなのかな」ウツムキ
ニコ「……」
提督「すー……」スヤァ…
ニコ「……」
ニコ「なんだい、ぼくが真面目に悩んでるのに。本当に……寝坊助なんだから」
ニコ「……」
『我は、かの女の一部なり』
『女。汝もまた、我の一部ぞ』
ニコ「……いいのかな。魔神様……ぼくは、きみを、好きでいて」
387 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:06:32.45 ID:QAWrUrqZo
ニコ「ふたつに分かたれた魔神様は……性格と、神格に、分かたれた」
ニコ「それが、改めて、ひとつになったんだから……」
ニコ「きみは、ぼくの魔神様……それで、いいよね?」
ニコ「……だから……」
チュッ
ニコ「ぼくは……お姉ちゃんは、ずっと一緒だからね……?」
提督「すー……」
ニコ「……」
ニコ「……」
ニコ「はっ!? ぼ、ぼくは、いったい何を……!」カオマッカ
ジェニー「いやいや、ちょっと待ってよ、なに? 今の控えめなキスは」
ニコ「!?!?!?」
ジェニー「前はもっとがっつりディープにやってたじゃない。ほら、やっちゃいなさいよもう一回。遠慮する間柄じゃないでしょ?」
ニコ「っ、っ!?」クチヲパクパク
ノイルース「おや。二人とも、あるじ様の寝室で何をしているのです?」スッ
ジェニー「あれ、ノイルース? あなたこそ、どうしてここに?」
ノイルース「……あるじ様はおやすみのようですね。おやすみの邪魔にならないよう、まずはお部屋から出ましょうか」
388 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:07:32.25 ID:QAWrUrqZo
* 提督の私室前 *
ノイルース「……なるほど。ニコさんがあるじ様のお部屋に忍び込んだと」
ニコ「ま、まだ起きてると思ったんだよ」
ノイルース「艦娘や深海棲艦に見つかってはいませんね?」
ニコ「ま、まあね……?」
ジェニー「私はたまたま見つけたけどね」
ノイルース「艦娘たちの間では、夜間、あるじ様のお部屋に出入りできる者が日ごとに決められております。ニコさんも御存知ですね?」
ジェニー「え? そうなの?」
ノイルース「ええ。以前その禁を破ったケイティーが、今も姿をなかなか見せないのは、そういうことだと聞き及んでいますが?」
ジェニー「えええ?」
ノイルース「ですので、ニコさんと言えども、今後は魔神様のお部屋への出入りは控えていただきませんと」
ニコ「……そういうつもりじゃなかったんだけど」
ジェニー「っていうか、ノイルースはいいの?」
ノイルース「今日は私があるじ様のお部屋にお邪魔する日です。皆さんとそのようにお約束しました」
ジェニー「ええええ!? いつの間に!」
ノイルース「ニコさんもあるじ様も、今朝は大変だったと聞いております。心配なのは理解できますが……」
389 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:08:16.93 ID:QAWrUrqZo
ニコ「……もう大丈夫だよ。ぼくは、魔神様が、魔神様であればいいんだから……」
ノイルース「?」
ニコ「魔神様がエフェメラのせいで、魔神様と深海棲艦のふたつに分けられたとき……ぼくは、深海棲艦のほうに、冷たくしちゃったんだ」
ニコ「これまでいろいろ話をしてきた魔神様が実は深海棲艦で……魔神様は、その中でずっと眠ってた」
ニコ「それに気付けなかったことに謝りたかったのと……改めて『魔神』になった魔神様に、ぼくを、受け入れてもらいたかったんだ」
ジェニー「ニコちゃん……そっか。あの時は確かにそうだったよね……」
ノイルース「なるほど。あるじ様に、懺悔をしに来たと」
ジェニー「ん? 懺悔? 懺悔でキスしにくるかなあ?」
ノイルース「……は?」
ジェニー「さっきニコちゃんがリーダーにキスしてたんだよね。それがすっごい控え目でさ?」
ニコ「じぇ、ジェニー!?」
ノイルース「……」
ジェニー「以前やったときは、口の周りが涎だらけになって、記憶も怪しくなるくらいがっつりやってたのに、今更遠慮しなくても……」
ニコ「ジェニー!? ちょっと!!」オロオロ
ノイルース「……困りますね、ニコさん」
ニコ「いや、それは、その」
390 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:09:02.57 ID:QAWrUrqZo
ノイルース「話したいことがあるのであれば、しっかりお話しして、あるじ様のお耳に入れておかなければならないのでは?」
ニコ「え……?」
ノイルース「本日のあるじ様はお疲れの様子……今宵はゆっくりお休みいただこうかと思いましたが、気が変わりました」ニコノウデツカミ
ジェニー「き、急にどうしたのノイルース?」
ノイルース「ジェニー、すみませんが、今日のところは私とニコさんとあるじ様だけでお話をさせてください」メラッ
ジェニー「へ? ……わ、わかったけど」
ニコ「ちょ、ちょっと、ノイルース……?」ヒキズラレ
ノイルース「そこまでやっているのであれば、もう一度改めてそのラインまで立っていただきませんと」グイグイ
ニコ「何を言ってるの!?」ズルズル
ノイルース「そのような中途半端な意思と態度で、ただでさえライバルの多いあるじ様と一緒にやっていけるとお思いですか?」
ノイルース「艦娘や深海棲艦の皆さんのほうが余程覚悟が決まっているではありませんか。ニコさんも我々メディウムを率いるのであれば……」クドクド
扉<パタム
ジェニー「……ノイルースは、いったい何に怒ってるのよ……」
ミリーエル「あれっ? ジェニー、こんなところでどうしました?」
ジェニー「あっ、ミリーエル! 実はねえ、ノイルースが……」
*
ミリーエル「……ああ、問いただしにかかりましたか。お説教が始まったというか、長女としての使命感に駆られたんだと思いますよ」
ジェニー「使命感……?」
ミリーエル「ノイルース姉さんは面倒見がいいのですが、たまに行き過ぎるところもありまして……」
ジェニー「お節介心に火がついちゃったかあ。結構、世話焼きなんだねー」
ミリーエル「迂闊に口を出すとこちらにも飛び火しますので、早めに退散したほうが良いと思いますよ」
391 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:10:02.49 ID:QAWrUrqZo
* 翌朝 *
* 執務室 *
提督「よう、おはようさん」
大淀「おはようございます、提督」
不知火「昨日は大変でしたね……おや? この香りは」
提督「ああ、昨晩はニコとノイルースが部屋に来ててな。リラクゼーションだかなんだかで、香木を焚くのがノイルースの趣味らしい」
不知火「なるほど……良い趣味ですね」
大淀「え、ニコさんと、ノイ……」
提督「ノイルースな。ファイアーボールのメディウムの」
大淀「も、もうそんな人たちまで提督のお部屋に……!?」
不知火「大淀さん、予定表を見てなかったんですか。しっかり書いてありましたよ」ヒソッ
提督「けど、なんかニコが説教されてたんだよなあ。ちゃんと俺に認めてもらえとか……」
提督「俺としては、ニコが深海棲艦だった俺を無視しても当然のことだと思ってたから、そこまで叱ってやるなって言ったんだけどな」
不知火「提督が深海棲艦に、ですか」
ズズズズ…
提督棲姫「おう。お前たちは見てなかったと思うが、こんな感じの見た目になってたんだよ」
大淀「!?」
392 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:10:47.39 ID:QAWrUrqZo
不知火「これは……声まで女性のものになってますか」
提督棲姫「魔神の要素から深海棲艦の要素を引っぺがされちまってな。それでこの姿にになっちまったんだ」
提督棲姫「軽巡棲姫には、提督棲姫なんて呼ばれるしよ……ま、その通りだから否定できねえけど」
ズズズズ…
提督「ふう。やっぱ、こうやって変身して説明すると手っ取り早いな」
大淀「は、はい。でも、いきなりですからびっくりしましたよ……」
提督「いくらか魔神の新しい能力にも慣れておこうかと思ってな……ん?」モゾッ
提督「ちょっと悪い……」ウワギヌギヌギ
不知火「どうかなさったんですか?」
提督「いや、なんか今、変身したときに服の中が寄れたっつうか……不知火、ちょっと上着預かってくれ」ヌギヌギ
不知火「はい?」ウケトリ
大淀「……」
提督「ウエストのサイズも変わっちまったせいで、下着がずれて気持ち悪いんだ……ちょっと下着を直してくる」モノカゲカクレ
大淀「……」ガンミ
不知火(大淀さんの視線が司令に集中していますね……)
不知火「そういえば、司令? 先ほどの深海棲艦の姿で、海の上を走れるのでしょうか?」
提督「ん? そういや試してねえな。今度誰か随伴してもらって試してみるか……ちょっと怖えけど」
393 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:11:32.01 ID:QAWrUrqZo
* 一方 提督の私室 *
ノイルース「ニコさん……昨晩は眠れましたか」
ニコ「……」フルフル
ノイルース「私も、緊張して眠れませんでした……」セキメン
ニコ「……まさか、魔神様と一緒に寝ることになるなんて、予想してなかったよ」セキメン
ノイルース「私もです……艦の娘たちはみな、あのあるじ様の温もりと心地よさを求めているわけですね」
ノイルース「残念ながら、私はまだそこで安眠できるまでの境地には、至れませんでしたが……」ポ
ニコ「……少しずつ、慣れて行かないといけないね。ぼくがこんなんじゃ、みんなに笑われちゃうよ」
ノイルース「ええ、是非そうなさってください。私もそのように努めます……」
ニコ「……え? わたしも?」ハッ
ノイルース「……!! は、いえ! そ、それは……」カオマッカ
ニコ「……」
ノイルース「……」
394 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:12:17.13 ID:QAWrUrqZo
ニコ「ぼ、ぼくは、魔神様のお姉ちゃんだからね!?」
ノイルース「そ、そこでそう仰られましても!? と言いますか、なぜそれを今!?」
扉<コンコン チャッ
扶桑「あらあら、それじゃ、私はニコさんをお義姉様とお呼びしないといけないかしら」ウフフ
ニコ「!?」
ノイルース「!?」
扶桑「すんすん……あら? この香り……エレノアさんが使ってる香木かしら」
ノイルース「ど、どうしてそれを……?」
扶桑「それなりにメディウムの皆さんとは、仲良くさせてもらっていますからね。うふふっ」ニコニコ
扶桑「ところで……昨晩は、ニコさんがお泊りの順番ではなかったような?」
ニコ「そ、それはその……」
扶桑「ふふ、大丈夫よ。誰にも言わないから、心配いらないわ」
395 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:13:03.07 ID:QAWrUrqZo
ニコ「……本当に? 君だって、魔神様のことはすごく気に入ってるんでしょう?」
扶桑「そこも心配しなくて大丈夫。私は、メディウムのみんなにも感謝しているから」
ノイルース「感謝……ですか」
扶桑「ええ。私の……かつて居た鎮守府の、あの男の呪縛を解いてくれたのは、メディウムのみんなだったでしょう?」
扶桑「私は、深海棲艦に命を助けられて……提督たちにも、山城と一緒にいろいろ助けてもらえたわ……」
扶桑「時雨は、あの時死んでしまったけれど……それでもまた、会って話ができるようになった……!」
扶桑「私はみんなに感謝しているの。そして、その中心に立って、私たちを守ってくれている提督にも……そう、とても感謝しているわ」ニコ…
ニコ「……」
ノイルース「と、ところで扶桑? どうしてあなたはここに?」
扶桑「私はいつもこの時間に、提督のお部屋の洗濯物を回収しているの」
扶桑「お部屋に泊まる子の中には、お寝坊さんもいるから、その時は提督に代わってベッドメークもしているわ」
ノイルース「そういうことでしたか……」
扶桑「提督は早起きでしょう? たまに、その残り香を堪能しに来る子もいるから、早く退散したほうがいいかもしれないわよ」フフッ
ニコ「!」スンスン
396 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:14:01.86 ID:QAWrUrqZo
扶桑「もっとも、その提督の残り香で、このお部屋にいたことがばれてしまうかもしれないけど……シャワーでも浴びてきたほうが」
ニコ「……ノイルース」
ノイルース「は、はい?」
ニコ「ぼくは、今日は一日、神殿のお部屋にいるから」
ノイルース「はい?」
ニコ「今日はこっちに顔を出さないから。よろしくね!」ダッ!
神殿への扉<パッ! ガチャ! パタム! フッ…
ノイルース「……あっという間に神殿のお部屋に逃げられてしまいましたね」アタマオサエ
ノイルース「扶桑の言う通り、せめてシャワーを浴びたほうが良かったと思いますが……」
扶桑「せっかくの提督の残り香を、洗い流したくなかったんでしょうね」
ノイルース「ああ、なるほど……」ポ
ノイルース「ところで扶桑? さきほど、ニコさんをお姉様? と呼んでいましたが……」
扶桑「ええ、彼女が提督のお姉さんだというのなら、私の義理のお姉さんになるかもしれないでしょう?」ニコ
ノイルース「……なっ!?」
扶桑「私は第何夫人になれるのかしらね? 愛人枠でも構わないけれど……うふふ」
397 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/09(火) 00:15:29.97 ID:QAWrUrqZo
今回はここまで。
>378
長く続けていますが、このスレで完結させたいと思います。
……いつの間にか400近くになってしまいましたが……。
398 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/12(金) 00:46:24.24 ID:3/34d2Id0
頭の中というか魂の要素弄ってる?
これ下手したら廃人化したり植物状態になるやつでしょうか。
しかし提督の残り香とは…
399 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:01:50.36 ID:2HZv23fAo
今回は曽大佐のお仕置き編になります。思ったより長くなったので数回に分けて投下。
ちなみにメディウムも深海棲艦も提督も出てきません。
というわけで続きです。
400 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:02:32.40 ID:2HZv23fAo
* 襲撃から数日後 *
* 曽大佐鎮守府 執務室へ続く廊下 *
N特尉「我々は帯同せずに、大和たちだけを執務室に向かわせて良かったのか?」
妙高「コロラドさんもいますから、大丈夫でしょう。それに、最初は行くべきではないとのお話ですし」
N特尉「……そうか……」チラッ
朧「……」ジロリ
初雪「……」ジトッ
初春「なんじゃ? わらわたちの顔に、なんぞついておるか?」
N特尉「……鹵獲した曽大佐の艦娘を返すついでに、曽大佐の鎮守府を見てこいというお達しだったが……」
N特尉「まさか、お前たちと一緒に行けと言う話になるとは……」アタマオサエ
初春「ふっ、貴様の自業自得じゃろうて」
N特尉「まったくだ。もう少し仕事のしやすい環境を望んでいたんだが……いや、言うまい。身から出た錆だ」
磯波「司令官……」
N特尉「あまり心配そうな顔をしなくていいぞ、磯波。仕事はいつも通りだ、そこは何も変わらない」
N特尉「それより、我々が曽大佐の執務室に入るのはまだ早い、ということでいいんだな?」
初春「うむ。まあ、しばし眺めておるが良い」
401 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:03:17.51 ID:2HZv23fAo
* 曽大佐鎮守府 執務室 *
矢矧改二「曽提督、N特務大尉殿がもうすぐこちらにいらっしゃるそうです」ペコリ
鳳翔改二「深海棲艦に鹵獲された大和さんたちを連れてくる、というお話でしたね……?」
曽大佐「ふざけた話だ……海軍はどこまであいつらに浸食されているんだ! 特別任務を担う尉官すらも深海棲艦と通じているというのか!」
加賀改二「大和さんや赤城さんが囚われたと聞いたときは、驚きましたが……これはどうやら、いろいろな意味で油断できないようですね」
曽大佐「殲滅できると言うからこそ送り込んだんだ。この失態、どうしてくれようか……!」
長門改二「曽提督、私を出せ。陸奥ではなく、私を出すべきだったのだ」
金剛改二「ヘイ、長門? 私も一緒に行きマス……榛名の汚名は、私が雪がせて貰うデス」
夕立改二「かたき討ちっぽい! 全部ぶっ潰すっぽい!!」
コンコンコン
曽大佐「入れ!!」
コロラド「失礼します」チャッ
曽大佐「貴様は……川提督のところの海外艦か!! 我が艦隊を支援するどころか、足を引っ張るような真似をしおって!」
曽大佐「よくも恥ずかしげもなく、私の前に姿を見せたものだな! 失態たぞ! 情けないとは思わんのか!」
コロラド「……」
402 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:04:02.41 ID:2HZv23fAo
曽大佐「大和たちも来ているんだろう! さっさと入らせて何があったのかを報告させろ!!」
コロラド「……いいわよ、大和。入って」
大和?「はーい!」
矢矧改二「えっ?」
海防艦より幼い外見の大和(以下「幼大和」)「やまと、はいります!」トテトテトテッ
曽大佐「な、なあっ!?」
鳳翔改二「……大和、さん?」
幼赤城「あかぎ、はいります!」
幼陸奥「おじゃまするわね。あっ、ながとー!」テヲフリ
幼榛名「はるな、さんじょうしました!」
加賀改二( ゚д゚)
長門改二( ゚д゚)
金剛改二( ゚д゚)
幼由良「ゆらです!」
幼朝潮「あさしおです!」
403 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:04:47.70 ID:2HZv23fAo
夕立改二「こ、金剛さん、どういうことっぽい!? なんでみんな小っちゃくなったっぽい!?」オロオロ
金剛改二「わけがわからないデス……!?」オメメグルグル
矢矧改二「こ、こんな、子供みたいな……いくらなんでも、別人じゃないの!?」
幼大和「ていとく、とってもおおきいですね! やまとです、よろしくおねがいします!」ペコリ
幼艦娘たち「「よろしくおねがいします!」」
金剛改二「」チーン
長門改二「こ、金剛!? しっかりしろ!?」
曽大佐「……なんだこれは。どういうことか説明しろ」
コロラド「その前に、あの島の提督から親書を預かってきています」
曽大佐「なに……?」
コロラド「大和」
幼大和「あっ、そうでした! あかぎさん!」
幼赤城「これですね。よいしょ……っと」
(赤城が背負っていた黒光りする立派な木箱をおろして、大和に手渡す)
幼大和「ていとく、これをどうぞ!」ニコニコッ
曽大佐「……」
404 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:05:31.80 ID:2HZv23fAo
コロラド「……」
曽大佐「ふ……」ワナワナ
幼大和「?」
曽大佐「ふざけるな!!」バシーッ!!
幼大和「ひっ!」ビクッ!
木箱<ガッ、ゴロゴロガラン!
鳳翔改二「て、提督!? 落ち着いてくだ……」
曽大佐「何が親書だ! 貴様らは負けて戻ってきたのだぞ! 恥を知れ! へらへらするな!!」
幼大和「ひい……っ! て、ていとく、こわいです……っ!」タジッ
曽大佐「怖いだと!? 貴様ら艦娘が、怖いだと!? 寝ぼけたことを言うな!!」
曽大佐「深海棲艦を殺すために生まれたお前たちが、この程度のことで怯えていて戦えると思うか!!」グワッ!
幼大和「ひうう……っ!」ビクビクッ
幼赤城「やまとさん……!」ヒシッ
幼由良「こ、こわいよぅ……!」ヒシッ
405 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:06:16.77 ID:2HZv23fAo
曽大佐「ええい、泣けば許されるとでも思っているのか! クソガキどもめ!!」
幼榛名「こんごうおねえさまぁ、たすけてください……!」チラッ
金剛改二「は、榛名……!」グラッ
金剛改二(こんなに可愛い榛名の姿はこれまで見たことがないデス……しかし、ここで手を貸しては、逆に曽提督が……)
金剛改二「……ウグウゥ……!」グラグラグラ
夕立改二「こ、金剛さん!? しっかりするっぽい!」
曽大佐「おのれ……奴らは我々の大和を返すと言っていたのだぞ! それを、こんな見知らぬガキどもを送ってくるとは!」
曽大佐「最初から深海棲艦を信用しろと言うのが間違いだったのだ!! どれだけ我々を馬鹿にするつもりだ!!」
加賀改二「……そ、そう、よね。あの赤城さんが、こんな……こんな……ううっ……!」
長門改二「加賀! しっかりしろ!」
曽大佐「おい貴様!! 本当の大和はどこへやった! 本当のことを言え!!」
コロラド「……」
曽大佐「何をためらう! 早く言え!」
406 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:07:02.95 ID:2HZv23fAo
コロラド「ここにいるのが、あなたの艦隊の大和よ。あの島の提督がそう言っていたの」
曽大佐「っ……伝書鳩か貴様は!! この、役立たずが!!」ブンッ!
ガッ!(曽大佐の平手打ちを、コロラドが事も無げに左腕でガードする)
曽大佐「ぐ……っ! 貴様、上官に歯向かうか!!」
コロラド「……」
曽大佐「……なんだその目は!」
コロラド「……」ジロリ
曽大佐「……くっ!!」タジロギ
コロラド(……これは、あの提督の言う通りかしら)
コロラド「彼からは、すべてその親書にしたためた、としか聞いていないわ」
コロラド「何があったのかを知りたいのなら、その箱を開ければいいじゃない。その役目は、私ではないはずよ」
曽大佐「……っ!!」ビキビキッ!
長門改二「お、おい、貴様コロラドだな!? 我々の提督に対するその非礼、看過できるものではないぞ!!」
コロラド「……あなたは、長門ね?」
407 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:07:46.95 ID:2HZv23fAo
コロラド「あなたが仮に、曽大佐がこれまでやってきたことを知っているとしたら、先にそれをどうにかすべきだと思わなくて?」
長門改二「どういう意味だ……話をすり替えるな! 私は、無礼が過ぎると言っているんだ……!」ギリッ…!
幼陸奥「ひ……!」ビクッ
長門改二「く……!」
夕立改二「長門さん……?」
コロラド(長門も、小さくなった陸奥が怯えているのを見るのは嫌なようね……)
コロラド「とにかく。何を言われても、私はこの大和たちを『元の鎮守府に返すように』としか言われてないの」
コロラド「しかも彼は……あの提督は、これはあくまでお願いであって、嫌ならやらなくていいとまで言っていたわ」
コロラド「この場で曽大佐から、この件で叱責されるであろうことも予測してね」
曽大佐「うぬ……っ!!」
コロラド「そもそも、私たちのこの戦いは奇襲作戦よ。逆に沈められても文句は言えないものだったわ」
コロラド「だというのに、不意に現れた深海棲艦から、あの島の艦隊に助けてもらって」
コロラド「その一方でこの本隊は、私たちを救援に来た深海棲艦を背中から撃って……それで負けたのよ。本当に情けないわ」
曽大佐「貴様、言わせておけば……っ!!」
長門改二「コロラド……っ!!」
408 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:08:32.63 ID:2HZv23fAo
コロラド「今後、私やあなたに従った川提督がどんな処分を受けるかわからないし、それも甘んじて受けるべきだとは思うけれど」
コロラド「レ級の撃退に協力する姿勢を見せたあの島の提督が、あなたに何を伝えようとしたのかくらいは、知っておくべきではなくて?」
曽大佐「……」チラッ
(床に転がったままの黒光りする立派な木箱)
曽大佐「この俺に……親書だと」
矢矧改二「て、提督! 私が拾います」タッ
曽大佐「その必要はない!!」
矢矧改二「え?」
曽大佐「こんなものは……こうだ!!」ガッ!
コロラド「ちょっと、踏みつけるなんてどういうつもり……!?」
曽大佐「ふんっ!!」
木箱<グシャ バキバキッ!
幼由良「!」ビクッ
幼赤城「そ、そんな……!」
409 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:09:16.76 ID:2HZv23fAo
幼朝潮「せ、せっかくもってきたのに……!」
幼大和「うう……ぐすっぐすっ」メソメソ
幼陸奥「やまと、なかないで……!」ウルッ
幼榛名「うえええん……!」グスグス
金剛改二「……ふぐううう……!」ズキズキズキ
夕立改二「こ、金剛さん!? 胸を押さえて……どこか痛むっぽい?!」
鳳翔改二「曽提督、さすがにそれは、やり過ぎなのではないでしょうか」オロオロ
曽大佐「深海棲艦と手を組むような愚か者の言葉に耳を傾ける必要はない!! このゴミを持ち帰って伝えろ! 我々は、貴様らに」
割れた木箱から噴き出す白煙<ブシューーーーー!!!
曽大佐「屈しは……なぁっ!? な、なんだこの煙は!!」
白煙→カースドガス<ブシューーーーー!!!
曽大佐「うおお、なんだ!? 何も見えんぞっ!」モワモワモワッ
コロラド「え、ええ!? なに!? 何が起きたの!?」
410 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:10:01.97 ID:2HZv23fAo
矢矧改二「曽提督!」
夕立改二「真っ白で何も見えないっぽい!!」
鳳翔改二「ま、窓と扉を開けてください! 早く!」
長門改二「一体何だというんだ!! くそ、扉はどこだ!?」
コロラド「ちょっと、走ってぶつかったらこの子たちが怪我をするじゃない! 静かに歩きなさいよ!」
長門改二「す、すまん!!」
モワモワモワ…
長門改二「む、煙が晴れてきたか……?」
鳳翔改二「み、皆さん大丈夫ですか!? 具合が悪くなったりしていませんか!?」
夕立改二「前が見えなくなっただけで、苦しい感じも全然しなかったっぽい!」
金剛改二「煙と言うより湯気のような、ただ白いだけの煙でしたネ……?」
コロラド「もし催涙ガスなら刺激臭とかがあるはずだけど……いったい、なんの煙だったの?」
矢矧改二「提督、大丈夫ですか……?」
曽大佐(老人化)「……フガッ?」
矢矧改二「ってええ!?」
鳳翔改二「!?」
411 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:10:46.78 ID:2HZv23fAo
コロラド「ちょっ……!?」
加賀改二「えっ、誰ですかあれは」
長門改二「まさか……曽提督か?」
金剛改二「」シロメ
夕立改二「金剛さん!? しっかりするっぽい!!」ユサユサ
曽大佐「なんだ……俺の身に何が起こっ……ぐう!? い、いたたたた!?」ビキッ!
曽大佐「か、体が痛いし、足取りが重いぞ!! それに目がかすむし……体に力がまるで入らん……!」ヨロヨロッ
矢矧改二「……」ボーゼン
曽大佐「矢矧! 間抜け面でぼーっと突っ立っているな!! 何が起こったのか説明し……ぅげほっ! げほ、げほっ!!」
扉<ガチャtッ
初春「ふむ、やっと箱を開けたか。随分と悶着あったものじゃの……ん? なんじゃ、開けずに壊したのかえ?」
コロラド「初春!?」
曽大佐「ぐぬう、誰だ!! ドアを開けっぱなしにしたやつは!! ……あいつは誰だ!?」
初春「なんとまあ、予想以上の姿になったのう……それより、やはりわらわのことは覚えておらぬか」
幼朝潮「あっ、はつはるさん!」
412 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:11:32.48 ID:2HZv23fAo
幼陸奥「ごめんなさい、あのはこ、こわされちゃったの……」
幼大和「せっかく、ていとくさんから、おくりものだって、いわれたのに……」ジワッ
初春「ああ、気に病むことはないぞ。もともと、壊されても構わぬものじゃったからの。開けずに捨てられようものなら考えたものじゃが」
幼榛名「ところで、あのおじいちゃんはだれですか?」
幼由良「はこからけむりがでてきたら、あのおじいちゃんがいたんです」
初春「ああ、あれが曽大佐じゃ。多分」
幼赤城「そうなのですか? さっきまでいた、つよそうなおとこのひとと、ぜんぜんちがいますけど……」
曽大佐「ぐぅ……目が見えん! あれは誰だ!」ヨボヨボ
矢矧改二「初春です。この鎮守府にはいないはずですが……」
曽大佐「ああ!? 誰だってぇ!?」
矢矧改二「初春です!!」
鳳翔改二「もしかして……耳まで遠くなってますか」
金剛改二「」ヨロフラァ…
夕立改二「金剛さん!! 本当にしっかりするっぽい!!」ガシッ!
413 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:12:16.93 ID:2HZv23fAo
コロラド「ちょっと初春!! あの箱のギミックはいったいどういうことよ!」
初春「ん? コロラドは玉手箱を知らぬのか?」
コロラド「タマテバコ?」
初春「うむ。日本では有名な御伽噺でのう」
初春「砂浜で、子供にいじめられていた亀を助けた浦島太郎という若者が、そのお礼に海底の城でおもてなしを受けるという噺でな」
初春「その浦島太郎が帰り際に渡される箱が玉手箱でのう。開けると煙が出て、あの通り齢を取りおじいさんになる、という代物じゃ」
コロラド「なんでよ!?」
初春「浦島太郎が元の砂浜に帰ったあとは景色が全然違っていて、生家もなくなっていたんじゃと」
初春「それはおそらく、浦島太郎がおもてなしを受けている間、陸の上では数十年の年月が経っていたんじゃと言われておる」
初春「ゆえに、箱を開けたことで、浦島太郎が本来陸の上で過ごしていた時の年齢になった、と、考えられておるんじゃ」
コロラド「ええ……? わけがわからないわ。今の話のどの辺が教訓になるっていうの?」
初春「欧米では童話にも何かしら教訓を持たせるようじゃが、日本の昔話は理不尽な結末も多いからのう。無理に理解せんでも良い」
コロラド「……結局、あのタマテバコは、なんだったの? なんであんなことを?」
初春「……」
414 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:13:01.71 ID:2HZv23fAo
夕立改二「タマテバコ……金剛さん、知ってるっぽい?」
金剛改二「」
夕立改二「へ、返事してっぽい!!」オタオタ
長門改二「か、加賀は、今の昔話? は、知っているか?」
加賀改二「え、ええ……少しだけ。ただ、玉手箱を持って帰ってきたという部分は私も知らなかったわ」
初春「……基本的な教養すら、この鎮守府では教えられておらんと言うか。ふむ……」ボソッ
矢矧改二「て、提督、大丈夫ですか……?」
曽大佐「おのれ、足に力が入らん……さっきの煙の仕業か!? 矢矧、手を貸せ!」
初春「さて。久しいのう、曽提督。最早、見る影もないがの」
曽大佐「……誰だお前は? 久しいなどと言われても、俺の艦隊に貴様がいた記憶はないぞ!」
初春「ふむ、当然ではあるか。わらわも、この鎮守府には3日と居らんかったからの」
鳳翔改二「3日? ……どなたか、知っておいでで?」
長門改二「いや、知らないな?」
415 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:14:47.27 ID:2HZv23fAo
初春「なぬ? 長門には追い掛け回された記憶があるんじゃが?」
長門改二「なんだと? 私は記憶にないぞ」
初春「むう……その様子じゃと、本当に覚えてもおらんようじゃな」
矢矧改二「あなた、いったい何のつもりで……」
初春「……夕立が5隻」
夕立改二「ぽい!?」
初春「村雨が4隻、暁と響と電が3隻ずつ、雷が2隻で、白露と時雨が1隻ずつ、じゃったかの」
初春「それから、朝潮型が6隻、吹雪型が5隻、綾波型と初春型が4隻ずつ、それから……」
初雪「睦月型と陽炎型が1隻ずつ」ヌッ
朧「そして球磨型と長良型も2隻ずつ、だったよね」スッ
加賀改二「……!」ハッ
初春「……なんじゃ、おぬしたちも来たのか」
N特尉「万が一にも、初春に間違ったことを起こされるわけにはいかないからな……っと、もう入って大丈夫なのか?」
妙高「煙はなくなっているから大丈夫みたいですよ」
磯波「心配なら、スマホでやりとりしますか?」
N特尉「スマホのビデオ通話でか? そこまで大袈裟にしていたら、さすがに間抜けに見えるな。やめておこう」
416 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:15:32.13 ID:2HZv23fAo
加賀改二「もしや……」アオザメ
夕立改二「加賀さんもどうしたの!? 顔色悪いっぽい!」
鳳翔改二「失礼ですが、あなたがたは……?」
N特尉「申し遅れました、私はN特務大尉! 妙高と磯波は私の部下。初春たちは協力者として他の鎮守府より同行してもらっています」
N特尉「我々は、曽大佐の艦娘の監督の方法に問題があると伺い、実態を確認するため参じた次第です」
曽大佐「N特務大尉? 貴様か……深海棲艦の手下に成り下がった、特別警察扱いの下っ端というのは!!」
N特尉「……」ヒクッ
妙高「……」カチン
磯波「……」ムカッ
朧(この三人、結構似たもの同士っぽいなあ)
N特尉「ずいぶんな挨拶ですな。まあいい、早速だがひとつずつ伺いましょう。私が深海棲艦の手下というのは、何を根拠に?」
曽大佐「あの島の提督から、俺の艦娘を引き取る取引をしたらしいな! その時点で深海棲艦に媚びを売った非国民ではないか!!」
曽大佐「おまけに連れてきたのは、似ても似つかぬ偽物だ! これで仕事をしに来たとほざくか!? 深海棲艦の犬め!!」
初雪「……なにそれ」
朧「その言い草は、さすがにアタシも頭にくるんだけど」
417 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:16:19.50 ID:2HZv23fAo
N特尉「ふふ……いや、結構結構。謂れのない誹りを受けるのも、この仕事を請け負ってからは慣れたものだ」
N特尉「まず、この小さな艦娘たちが貴君の艦隊の所属であったことは間違いないぞ。その箱に……なんだ? 壊したのか!?」
曽大佐「持って帰れ! そんなもの、見たくもない!」
N特尉「そうはいかない。この箱の中には貴君に見てもらわなければ困るものが入っている」スッ
チャリチャリッ
N特尉「見ろ。これは貴君が大和たちに渡した指輪だ」チャラッ
曽大佐「!!」
鳳翔改二「そ、それは本物ですか!?」
N特尉「カッコカリの指輪はすべて海軍からの支給品だ。誰から誰に向けたものか、裏に刻印が入っている。ご確認いただきたい」スッ
鳳翔改二「……では、私が改めさせていただきます」スチャッ
朧(ここの鳳翔さん、細かいものを見るとき眼鏡かけるのか……)
鳳翔改二「……間違い、ないようですね。同じ刻印が、私の指輪にも同様にありました」
長門改二「あいつらが陸奥たちを殺して奪ったんじゃないのか!?」
N特尉「それはないと思うがな。少なくとも彼は、私たちよりもはるかに艦娘のことを思い遣ることのできる人物だ」
長門改二「何を根拠に!!」
418 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:17:01.80 ID:2HZv23fAo
N特尉「根拠はこの初雪と朧だ。この二人は、深海棲艦の棲むあの島の艦娘で……」
長門改二「あ、あいつの部下だと!?」
N特尉「そして、私の元部下でもある」
鳳翔改二「そういうことでしたか……!」ジロッ
長門改二「貴様らはやはりグルだったということだな!」ギリッ…!
N特尉「残念ながら、そういう間柄ではない。私はかつて、大湊の鎮守府で艦隊を率いていたが……」
N特尉「ある海域の攻略のために捨て艦という戦法を執った。そのとき、この朧を轟沈させている」
加賀改二「!」
N特尉「朧はその後、××国××島に流れ着き、そのままその島の鎮守府に着任して活動することになった」
N特尉「のちに墓場島と呼ばれたその島の鎮守府を管理していたのが、いま、深海棲艦と共に暮らしている提督だ」
長門改二「ご、轟沈経験艦だと……!?」
鳳翔改二「解体せず、そのまま運用していたというのですか……!?」
朧(……ふーん。こっちの長門さんや鳳翔さんは、そういう目で朧を見るんだ……)ムスッ
N特尉「なので、私と彼がグルだと言うのは言いがかりだな。私は彼らに憎まれ疎まれることはあっても、望んでつるむようなことはない」
朧「……」
419 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:17:46.98 ID:2HZv23fAo
加賀改二「初雪も、そうなのですか……?」
N特尉「いや。初雪は、私が艦娘管理ツールを使って酷使したために、過労で遠征途中に意識を失い艦隊から落伍したのだ」
N特尉「その初雪を保護し、人道に反した私を糾弾したのも、同じくあの島の提督だ」
加賀改二「管理ツール……もしや、艦娘洗脳ツールのことですか?」
N特尉「そうとも言われているな。それを使ったことにより、私は鎮守府の運営の権利を奪われ、本営の命により今の任務に就いている」
初雪「……」
加賀改二「……あなたが、洗脳ツールを使った目的は何です?」
N特尉「効率化のためだ。当時、私は深海棲艦を撃滅すべく、分単位で艦娘の行動を指示できるようにと、そのツールを導入した」
N特尉「少しでも、この国から……私の故郷から深海棲艦を駆逐するため、手段を選ばぬ非道な方法を、一度ならず二度、選択した」
加賀改二「……」
金剛改二「……」
長門改二「その程度のことで貴様が罪を問われるのは、おかしくないか?」
N特尉「!」
初雪「……どういうこと……?」
420 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:18:31.87 ID:2HZv23fAo
矢矧改二「人類のために、艦娘を使ったのでしょう? 正しいことに使ったのであれば、何ら問題はないのでは……」
鳳翔改二「かつてこの鎮守府でも、捨て艦自体は行われていたと聞いていますし……」
鳳翔改二「覚悟を決めたのでしたら、そこまで咎められることではないのでは」
磯波「妙高さん……ここの人たち、思想というか、考え方が……」ヒソヒソ
妙高「ええ、いけませんね……」ヒソッ
鳳翔改二「さすがに、その捨て艦で沈んだ艦娘が戻ってきた、という話までは、知りませんでしたが……」
加賀改二「……つまり、あなたが連れてきたその初春は、私たちの鎮守府で捨て艦にした艦娘のうちの一人……」
N特尉「!」
長門改二「なんだと!?」
加賀改二「そして、さっき初春が言っていた、白露型や暁型の数。あれは、曽大佐が沈めた捨て艦の数……」
鳳翔改二「!!」
加賀改二「そう、言いたいのね……!?」キッ
N特尉「……どうなんだ、初春」
コロラド「ちょっと、今の話、本当なの!?」
初春「……」
長門改二「曽提督……そうなのか!?」
鳳翔改二「提督……!?」
421 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:19:17.53 ID:2HZv23fAo
曽大佐「そんな昔のことなど、覚えているか!」フガッ!
曽大佐「捨て艦など、珍しい戦術でも何でもない! その程度のことでうろたえるな!」
曽大佐「使える手段は何でも使うべきだ! そんな弱腰な態度で、深海棲艦を相手に勝利など掴めるか!!」
曽大佐「お前たち艦娘は兵器だ! 深海棲艦という侵略者を打ち滅ぼすための兵器だ! それ以外のなんだというのだ!!」
加賀改二「……っ」
N特尉「これは、取り付く島もなさそうだな」
コロラド「……」
曽大佐「鳳翔! この指輪は本物だと言うのか!」
鳳翔改二「は、はい……!」
曽大佐「だとしたら、この役立たずの餓鬼どもが、我々が見送った大和の成れの果てだと……そう、言うんだな!?」
鳳翔改二「そ、そうだと、思われます……!」
曽大佐「そうか。ならば、こいつらは解体しろ! 我が艦隊には不要だ!」
鳳翔改二「な!?」
幼大和「!!」
422 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:20:02.11 ID:2HZv23fAo
曽大佐「聞こえなかったか! 俺はこいつらを解体しろと言ったんだ!!」
N特尉「……本気ですか」
曽大佐「当然だろう! こいつらは負けたんだぞ! 戻ってくることが出来なければ、今頃海の底に沈んでいたはずの艦娘だ!」
曽大佐「戦力を失うという意味では、海の藻屑になるのも、解体するのも同じこと! 役立たずどもを艦隊に置いておく理由などない!」
曽大佐「いや、解体すればいくらかの資材になるのだ! ただ轟沈させるより何倍も我が艦隊のためになるだろう!!」
N特尉「……」
曽大佐「我々は、いつの間にか甘えていたようだ。艦隊が負けても、迅速に下がれば誰も沈むことはないと」
曽大佐「それが大きな間違いだったのだ! 深海棲艦に敗北すれば、すべてを失う! 本来、戦争で生還できる保証など、どこにもない!」
曽大佐「負ければ死ぬ! それだけの話を、我々は、忘れていただけなのだ!!」
初春「……」
曽大佐「我が艦隊がこれ以上無様な敗北を重ねないよう、見せしめとして大々的に解体処分を行わなければならん!」
曽大佐「とっととそいつらを、工廠へ連れていけ!!」
鳳翔改二「……っ」
幼大和「ぐすっ、ぐすっ……やだ……もう、やだぁ……!」
鳳翔改二「!」ハッ
423 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:21:01.92 ID:2HZv23fAo
幼大和「やまと、ここが、おうちだって、きいたのに……もう、やだぁ……」
幼大和「こんなとこ、おうちじゃないぃ……!」ポロポロポロ
鳳翔改二「……」ズキッ
幼赤城「や、やまとさん……!」
幼陸奥「わたしたち、どうなるの……かいたい、されるの……?」
幼由良「そんなの、やだあ……!」グスグス
長門改二「……っ」
幼朝潮「きたばっかりだったのに……おやくに、たちたかった、です……」ポロポロポロ
幼榛名「は、はるなは……はるなはぁ……」グスッ
金剛改二「ぐ、う、うぎぎぎ……うがあああ!」グラングラングラン
加賀改二「……」ウツムキ
夕立改二「あうう、金剛さんも加賀さんも、さっきから様子がおかしいっぽい!!」オロオロ
曽大佐「おい、特務大尉! 貴様は、こいつらが俺の艦娘だから連れてきた! そうだな!?」
曽大佐「だとしたら、俺がこいつらをどうしようと、俺の勝手だ! 解体は我らの任務のうちにも入っている! そうだな!!」
N特尉「……その通りだ。貴君配下の艦娘をどうするかは、貴君の自由だ」
曽大佐「そうだろう! そうだろう!! 俺が俺の艦娘に何をしようと、貴様にそれを止める権限はないのだ!!」
曽大佐「俺のしていることは正しいのだ! なにも間違ってはいない! ふはははっぐえっ、げほ、げほげほっ!」
424 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:21:48.72 ID:2HZv23fAo
N特尉「……」
妙高「N提督! 何かいい方法は……!」
N特尉「今の時点では彼のやることに違法性はない。俺たちが手出しすることはできない」
N特尉「今の状態で彼の説得は難しいだろう。この場で起こった出来事を本営に報告し、大将たちの判断を仰ぐしかない……!」
妙高「しかしそれでは、大和さんたちが解体されてしまうのでは……」
N特尉「この場で防ぐ方法はない。俺が手を出せば越権行為になる……!」
コロラド「ねえ、N特務大尉。あなたは、彼がなぜあそこまで深海棲艦を滅ぼしたがってるか、知っていて?」
N特尉「ん!? い、いや、彼の家系の影響じゃないのか? 傍流ではあるが軍人の家系で、そこから来る責任感だと思っているが……」
コロラド「あの提督とは、何も話していないのね?」
N特尉「あ、ああ、そこは俺は何も聞いてないぞ」
曽大佐「ぜえ、ぜえ……なんで、こんなに疲れるんだ? おい矢矧、お前、背が伸びたか?」
矢矧改二「ち、違います! 曽提督が縮んだんです!」
曽大佐「縮んだ? 何を馬鹿なことを!」
425 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:22:31.84 ID:2HZv23fAo
磯波「あ、あの、すみません、どなたか大きめの鏡を持ってきてもらえませんか……?」
加賀改二「鏡?」
磯波「曽大佐のあの御様子では、ご自身の身に何が起こったのか、理解できていないのではないかと思います……」
加賀改二「そ、そうかもしれないけれど……」
夕立改二「夕立が持ってくるっぽい!!」ダッシュ!
加賀改二「でも……見せていいものなのかしら」
磯波「ご自身の身に何が起こったのかを理解できていないほうが、問題になると思いますよ……?」
曽大佐「ぐぬう……こいつらが来てから、体が言うことをきかん! やはりあの煙に毒を仕込んでいたんだろう!!」
矢矧改二「で、ですから、曽提督が……」
夕立改二「矢矧さんどいてー! 鏡、持ってきたっぽい! 見てもらうのが一番早いっぽい!!」バッ!
曽大佐「き、貴様!? 勝手にどこかの鏡を……」
鏡『よう、ジジイ!』
曽大佐「お、お、おおおおおおお!?」
曽大佐「な……なんだ!? なんだこの、この貧相な姿わあああああ!!」
426 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/14(日) 20:28:56.28 ID:2HZv23fAo
今回はここまで。
影牢に「タマテバコ」なる罠はありませんが、
初期にあったカースドガス(動きが鈍化するガス)を魔改造して作り込んだものとお考えください。
>398
魂に含まれる害毒な要素を切り取った結果、邪気がなくなり幼児化した、というような感じです。
残り香については、由良さんをはじめとするクンカー勢が詳しいかと……(丸投げ)
427 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/15(月) 07:38:50.99 ID:CXTK4E9p0
魂の総量が減った結果、それに合わせて体が小さくなったのか。理解。それにしても幼いメンツは絶対可愛い。
428 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/17(水) 02:47:36.90 ID:15aDMDXy0
大人化も幼児化もなんでもありですね。最高です。
429 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:30:04.63 ID:slb2WKgBo
それでは続きです。
430 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:30:46.80 ID:slb2WKgBo
初春「……やっと自覚しおったか」フンッ
曽大佐「馬鹿な! これが……これが俺の姿……!!?」ワナワナワナ
曽大佐「俺は……俺はまだ40だぞ? なんだこれは……なんだこの顔はぁぁ……!」ヘナヘナヘナ…
曽大佐「うそだ……俺が、なんで、なんでこんな目に……」
ゴソッ
曽大佐「ん?」
(曽大佐が頭を抱えると、ごっそりと頭髪が抜け落ちて、皺だらけの指に絡みつく)
曽大佐「ぎ……ぎゃあああああああ!! お、お、俺の、髪がああああ!!?」
矢矧改二「ひっ」
曽大佐「……ぁ……あああ……」シオシオ…
鳳翔改二「」ポカーン
加賀改二「」アッケ
長門改二「」アングリ
金剛改二「」シロメ
431 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:31:32.02 ID:slb2WKgBo
N特尉「うわ……あんなに抜け毛がごっそり……」アオザメ
妙高「……一気に老人感が出ましたね……」
初雪「落ち武者ヘアー」ボソッ
磯波「ふぐっ……!?」クチオサエ
朧「初雪、笑わせないで……」クチオサエ
初雪「ん、ごめん」
コロラド「……ちょっと、あとでオチムシャって何のことか教えなさいよ」ヒソヒソ
初雪「うん」コク
夕立改二「わぁ……曽提督さん、いきなりハゲたっぽい……」ドンビキ
曽大佐「ハゲてないわあああああ!!!」
夕立改二「きゃっ!? ゆ、夕立は嘘ついてないっぽい! ちゃんと鏡、見るっぽい!」
曽大佐「やかましい! 口答えするなああ!!」ブンッ!
夕立改二「ひっ!」カガミガード
鏡<ポキョン
曽大佐「……」
432 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:32:16.50 ID:slb2WKgBo
夕立改二「……」プルプル
曽大佐「ぎ……」
夕立改二「?」
曽大佐「ぎゃあああああ! 腕が、腕が痛えええ!!」ゴロゴロゴロ
矢矧改二「曽提督!? だ、大丈夫ですか!?」
夕立改二「ゆ、夕立、何もしてない! してないっぽい……ぽいじゃなくて、してない! ……よね?」
初春「うむ、鏡を見せて、それから殴りかかってきたところを頭を庇っただけじゃ。夕立からは、曽大佐になんら危害を加えておらん」
夕立改二「だよね……えっと、あのね? 初春?」
初春「む?」
夕立改二「曽提督さん、もしかして、めちゃくちゃ弱くなったっぽい?」
初春「まあ、老人になったんじゃから、筋肉も落ちて弱くなったことは確かじゃと思うがの?」
初春「しかし、まさか曽大佐があの場面で夕立を殴ろうとするとは思わなんだ。鏡が割れたら大惨事じゃろうに」
夕立改二「そのくらいなら、よくあることだよ?」
初春「よくあること?」
夕立改二「うん、窓のガラスくらいなら平気で叩いて割るし。その交換修理も明石さんに押し付けて、交換が遅いとまた怒るし」
433 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:33:02.04 ID:slb2WKgBo
夕立改二「夕立も、曽提督さんに報告したり、機嫌が悪くなったりすると、ばしって叩かれてたから」
初春「なんじゃと。それはまことか」
夕立改二「うん、本当。これまでも、たっくさん! 夕立、強いからそんなに痛くなかったけど、なにかあるたびグーで叩かれて」
夕立改二「それで……いま気付いたんだけど、夕立、曽提督さんのこと、そんなに好きじゃない……」
初春「……ぽい、は、つかないんじゃな?」
夕立改二「つけなくていいっぽい……もう、こんなつまんないことで怒られるの、嫌だもん」
夕立改二「あ、それと……さっき言ってた、今の夕立が来る前の夕立を5隻沈めたって、本当っぽい?」
初春「うむ、本営に残っておる記録から調べた結果じゃ」
初春「ただ、その5隻というのも、わらわが沈んだ時と同じ時期の轟沈艦を調べた結果じゃからな」
初春「もしかしたら、それ以上の艦娘を沈めているかもしれぬ」
夕立改二「……そう……そうなんだ」ショボン
曽大佐「うぐううう!! 夕立、貴様あああ!」ヨロヨロッ
夕立改二「ひっ! ゆ、夕立、何もしてない! 初春もそう言ってるっぽい! あ、ぽくない! 言ってる!!」
曽大佐「この……馬鹿犬めがあああ! 解体だ! 貴様も解体処分だあああ!!」
夕立改二「ぽいっ!?」
434 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:33:46.43 ID:slb2WKgBo
曽大佐「連れていけ! 早くこの馬鹿どもを処分しろ!!」
加賀改二「さすがにそれは横暴よ……夕立は、鏡を持ってきてあなたに見せただけだわ」
曽大佐「くっ……なんだその目は! 貴様も俺に楯突くか……ぐっ、こ、腰が……!」ヨロッ
曽大佐「ま、まともに立つことすらできんとは……ええい、加賀! 頭が高いぞ! しゃがめ!」
加賀改二「……は?」
長門改二「て、提督……いくらなんでも、それは」
曽大佐「なんだ長門! 貴様も俺に意見する気か!! どいつもこいつも……俺の上から話しかけるな!!」
長門改二「……そ、そのようなつもりは」オロオロ
曽大佐「なんだその顔は! この鎮守府がここまで評価されているのは、お前たちを指揮する俺の成果だ! 頭が高い!!」
曽大佐「この鎮守府で、その俺に逆らい、口を出すことがあってはならんのだ! そうしなければ、海の平和など生まれん!!」
N特尉「違うぞ曽大佐!! 我々海軍は……」
曽大佐「いいや違わん! 深海棲艦の犬がこの俺に意見するな!」
N特尉「曽大佐!! 我々海軍の本分は国民の……」
曽大佐「やかましい! この侵入者どもも捕まえて全員吊るし上げろ! こいつらは敵だ! 深海棲艦の手先だ!!」
435 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:34:46.42 ID:slb2WKgBo
加賀改二「何を……何を言っているの」
長門改二「……」ヒキッ
矢矧改二「曽提督! 落ち着いてください!」
曽大佐「落ち着けだと!? 敵襲だぞ!! この鎮守府の最高権力者であるこの俺がこんな目に遭っているんだぞ! 早くこいつらを」
金剛改二「っいい加減にしやがれこのファッキンクソテートクがああああ!!!!!」
曽大佐「!?」ビクッ!
N特尉「!?」ビクッ!
長門改二「こ、金剛!?」
金剛改二「さっきから黙って聞いてりゃ、俺言うことを聞け、俺に逆らうなと、自分のことばかり……!」ビキビキビキ
幼榛名「こ、こんごうおねえさま……!?」
金剛改二「私が! あなたの厳しさを受け入れてきたのは、そうでなければ深海棲艦と戦い続けられないからだと信じていたからよッ!」
金剛改二「深海棲艦に命を脅かされている人たちのために! どんな犠牲が出たとしても、強い意志で戦い続けなければいけないと!!」
金剛改二「あなたのその言葉を信じて、私たちは体を張って、命を懸けて、戦ってきたのよ!!」ギリギリギリッ!!
金剛改二「けどなあ! 今日のやり取りを見て確信したわッ!! 『おまえ』は! おまえのためにしか戦っちゃいないってことをなああ!!」
矢矧改二「……」
朧「金剛さんの語尾が……」
夕立改二「壊れたっぽい……」
436 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:35:31.44 ID:slb2WKgBo
金剛改二「曽提督がここまで愛の感じられないバカヤローだとは思ってもなかったわ!! ふざっけんじゃねえええええ!!」
初雪「もう語尾どころじゃないんだけど……」
加賀改二「……残念だけど、私も金剛さんと同じ感想を抱いたわ。もう、曽提督の下で戦いたいと、思えない……」
長門改二「加賀……!?」
加賀改二「私たちは、つけを支払うときが来たのよ。裁きを受けるときが来た……特務大尉が、それを告げに来た。そうなのでしょう?」
加賀改二「思い返せば、仲間を犠牲にすることを前提にして作戦を立てることを、間違いだと進言しなかったのが、私の過ち……」
加賀改二「この鎮守府の歪んだ『普通』に逆らわず……いいえ、逆らって解体されることを恐れた、私の怯懦が生んだ罪」
加賀改二「初春だったわね。私は、あなたのこと、ちゃんと覚えてはいないけれど……あなたたちがいたころのことは覚えてるわ」
初春「!」
加賀改二「確か、あなたがいたころにも、長門や金剛がいたと思うけれど……」
加賀改二「彼女たちは解体されたわ。捨て艦をやめるよう、彼に意見したがために……」
金剛改二「え!?」
長門改二「わ、私に先代がいたのか!?」
加賀改二「ええ。特に長門は、殴りかからんとする勢いで……それに引き換え、私ときたら」
初春「……」
437 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:36:17.30 ID:slb2WKgBo
加賀改二「我が身可愛さに、曽提督を諫めようともせず……だからいま、恥を晒して生き永らえてここにいる……」
加賀改二「今の長門が着任したとき、曽提督がいきなり怒鳴りつけたのも、きっと、そういうことがあったから……」
加賀改二「何をしても曽提督に逆らわないように刷り込んだ。そうなのでしょう、曽提督?」
長門改二「……!」
加賀改二「大和は……見る限り、何も覚えていないようね。それはある意味、不幸中の幸いかもしれないわ」
幼大和「?」グスン
加賀改二「曽大佐が新しく着任した艦娘に恐怖を刷り込み……私はそれを知りながらも止めずに傍観し、唯々諾々と従った……」
加賀改二「ここにいる子たちを解体するというのなら、異を唱えなかった愚かな私も解体されて然るべきよ」
金剛改二「加賀!? あなたはここに残らないと駄目でしょ!? あなたはこの鎮守府の、空母機動部隊の要よ!?」
加賀改二「そんなものは関係ないわ。要と言うのなら、私よりも、皆を思い遣る心を持つあなたのほうが、適任よ」
鳳翔改二「金剛さん、加賀さん。そこまでよ」
金剛改二「!!」
加賀改二「鳳翔、さん……!」
鳳翔改二「曽提督。改めてお伺いします。ここにいる、大和さんたち。および、夕立、金剛、加賀……」
鳳翔改二「この者たちを、全員解体するのですね?」ヒザマズキ
金剛改二「鳳翔……!?」
加賀改二「あなたは、その男に傅くのですか……!」
438 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:37:02.41 ID:slb2WKgBo
曽大佐「……くどい。俺は、さっきからそう言っているだろう! 命令を変えた気はない!」
鳳翔改二「そうですか……わかりました。致し方ありませんね」
金剛改二「鳳翔……っ! まさか……!」
加賀改二「……」ウツムキ
鳳翔改二「曽提督。短い間でしたが、お世話になりました」セイザ
曽大佐「!?」
鳳翔改二「鳳翔は、故郷(さと)に帰らせていただきます」ペコリ
金剛改二「……ほ、鳳翔?」
指輪<コトン
鳳翔改二「これも、お返しいたします」
加賀改二「鳳翔さん……?」
鳳翔改二「この鎮守府に来て、ほんのわずかの間に、皆さんと肩を並べられるほどに鍛えていただいたこと、本当に感謝しております」
鳳翔改二「また、艦娘は敵艦を沈めることで世界に貢献できる。敵の命を必ず奪うが任務ゆえに、我々もまた命を惜しむべきではない」
鳳翔改二「そのように、曽提督から常々ご教示いただいておりましたが……」
439 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:37:47.27 ID:slb2WKgBo
鳳翔改二「これまで曽提督の手足となって、懸命に戦い抜いてきた功労者である大和さんたちを、ただの一言も労うこともなく」
鳳翔改二「ましてや、子供の姿にされた艦娘を、目障りと言わんばかりのその態度に、私は、疑問を覚えてしまいました」
鳳翔改二「私はそれを……鳳翔として、艦娘として。人を守る身として、看過して良いものか、受け入れてよいものか、と」
曽大佐「……なっ、なあっ……」
鳳翔改二「曽提督のご意向に沿うことのできない不束者ですので、指輪をお返しし、ここから去ることを決意した次第にございます」
鳳翔改二「大和さんたちも私が一緒に連れて行きます。轟沈も同然の身であれば、いなくなったとて同じことでしょう」スクッ
鳳翔改二「あとのことは、どうぞご心配なく……」
金剛改二「待ちなさい鳳翔! そういうことなら、私も連れて行きなさい!」
鳳翔改二「金剛さん……?」
幼榛名「こ、こんごう、おねえさま……!?」
金剛改二「ああ、榛名……ごめんなさい、あなたを、たくさん怖がらせてしまったわね」ニコッ
幼榛名「こんごうおねえさま!? おててが、まっかに……!」
加賀改二「手のひらから出血が……金剛、あなた、手を握りしめすぎて、手のひらに爪が食い込んだのね?」
金剛改二「あはは、加減できなくなっちゃって……」
幼榛名「こんごうおねえさま、かわいそう……! はやく、あかしさんにみてもらいましょう!」ウルウル
鳳翔改二「ええ、それが良いですね。工廠に行きましょう、解体ではなく、修理のために」
440 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:38:31.36 ID:slb2WKgBo
夕立改二「待って待って! 夕立も一緒に行くっぽい!」
鳳翔改二「わかりました、では、ご一緒しましょう」ニコッ
夕立改二「ほーらー、加賀さんも、一緒に行くっぽい!!」
加賀改二「わ、私も……!?」
夕立改二「加賀さんも解体される仲間っぽい! だったら、夕立たちと一緒に行くのがいいっぽい!!」ニコー
加賀改二「……そう……そうね」
夕立改二「あ、あとこれ! 夕立、もういらないから!」ポイッ
指輪<チャリンッ
曽大佐「な……」
指輪<チャリリンッ
金剛改二「私のも返すわ!」フンッ!
加賀改二「……お世話になりました。失礼します」
曽大佐「……!!」
矢矧改二「……」アッケ
441 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:39:16.97 ID:slb2WKgBo
幼榛名「こんごうおねえさま、はやくいきましょう!」フリフリ
鳳翔改二「さ、みなさん、工廠はこちらですよ」
幼大和「あ、あの、ほうしょうさん、おてて、つないでいいですか?」テレッ
鳳翔改二「……! ええ、いいですよ、行きましょう」ニコッ
幼大和「はいっ!」パァッ
幼榛名「こんごうおねえさまも、おててをだしてください!」
金剛改二「えっ? 榛名、私の手は……」
幼榛名「おまじないをしてあげます!」テヲトリ
金剛改二「??」テヲトラレ
幼榛名「むむむー……いたいのいたいの、とんでいけー!」クルクルピーン
金剛改二「……!」
幼榛名「おけがはなおせないですけど、いたいのは、これですこしやわらいだとおもいます!」
金剛改二「……ふふっ、そうね……!」ニコッ
幼榛名「さあ、こんごうおねえさま、いきましょう!」ニコニコッ
442 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:40:01.33 ID:slb2WKgBo
夕立改二「夕立も手をつないであげる!! 由良! 朝潮!」
幼朝潮「えっ、いいんですか?」
幼由良「ゆらも、いいの?」
夕立改二「いまは夕立がお姉ちゃんっぽいから、手をつないであげるっぽい!!」
幼朝潮「そ、それじゃ、よろしくおねがいします!」キュッ
幼由良「なんだか、へんなかんじ……でも、うれしい、かなっ」キュッ
夕立改二「加賀さんも、そっちの二人と手を繋いでくるっぽい!」
加賀改二「えっ?」
幼陸奥「……」ジーッ
幼赤城「どうしました、かがしゃん?」クビカシゲ
加賀改二(……小さい赤城さんが可愛すぎて心臓が持たないわ)キューン
幼赤城「かがしゃん? おむねをおしゃえて、くるしそうですけど、だいじょうぶですか?」クビカシゲ
加賀改二「え、ええ、大丈夫……だけど、私は……」
加賀改二(……私は、艦娘の犠牲を容認した身。このまま、生きていていいのかしら……)
443 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:40:46.37 ID:slb2WKgBo
幼赤城「かがしゃん。いっしょに、いきましょう?」ニコー
加賀改二(……でも、この笑顔は、守っていきたい。守っていかなければ……この身に換えても)
加賀改二「そうね。みんなで、行きましょうか」
幼陸奥「うん……」チラッ
加賀改二「! ああ、長門が気になるの?」
幼陸奥「うん……」ションボリ
加賀改二「大丈夫よ、長門はお仕事をしているだけ。話が終われば、きっと後から来るわ」
幼陸奥「……ほんとう?」
加賀改二「もし来るのが遅いようなら、私が呼びに戻るから。みんなで、工廠で待っていましょう?」シャガミ
幼陸奥「……うん!」パァッ
夕立改二「加賀さん遅いっぽい! 早く来るっぽい!」
加賀改二「……あなたこそ、この子たちと歩幅を合わせて歩きなさい」
夕立改二「わかってるっぽい!」
ワイワイ…
曽大佐「……お、俺の」ヘナヘナ…ヘタッ
曽大佐「俺の……鎮守府の艦娘が……俺に、逆らう、なんて……っ!!」
444 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:41:46.19 ID:slb2WKgBo
曽大佐「……解体だ。あいつらは、できそこないだ! 存在を許すな! 解体しろ! 今すぐにだ!!」
長門改二「……し、しかし……」
曽大佐「何をしている長門! 俺の言うことをきけ!」
長門改二「……」
曽大佐「長門!!」
N特尉「……」
妙高「N提督? どうなさいました?」
N特尉「いや、鳳翔が短い間と言っていたが……もしかしてここに鳳翔が着任したのは、鳳翔の第二改装が発表されてからか……?」
矢矧改二「……そ、そういえば、そうかもしれません。一時期、ひたすら空母を建造していましたから……」
N特尉「そうか。いや、別にそれが悪いとは言わん、戦力が欲しいなら必死にもなるだろう。ただ、第二改装が発表がごく最近の話だからな」
磯波「そうだとしたら、鳳翔さんを相当に特別扱いしたんでしょうね……」
N特尉「カッコカリまで済ませたのに、こうもあっさりと三行半を出されたのでは、まあ、なんというか……」
妙高「同じ男としては、同情を禁じ得ない、と仰いますか?」
N特尉「いやいや、同情する気はないぞ? 言ってしまえば、鳳翔の能力目当てに指輪を渡したようなものだからな」
N特尉「悪し様に言い換えれば体目当てでカッコカリしたようなものだろう? 同じ男として、そういうのは許容したくない」
445 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:42:32.14 ID:slb2WKgBo
N特尉「そもそも、もうちょっと信頼関係を築いてからと言うか、お互いを知り歩み寄る時間があってから渡すべきだと思うんだ」
妙高(N提督も、お固いというか、お古いというか……)
N特尉「……まあ、曽大佐の見た目も含めて、こうはなりたくないな、とか、みじめだという気持ちは、多分にあるがな」ボソッ
妙高「それはある意味で同情なのでは?」
N特尉「だからそれはないよ……仮にも指輪を渡した相手に、あの態度はないと思うぞ? 母が大好きな私の父とは雲泥の差だ」
磯波「あの……曽大佐は、そこまで物事をロマンチックに考えてはなさそうですよ?」
N特尉「指輪を単なるブーストアイテムとしか考えてないと? ……そうか。寂しい話だな」
初春「何を呑気に語っておるか。それよりも、この鎮守府の現状を憂うべきじゃぞ」
初春「曽大佐による艦娘に対する圧力と暴力が日常化しており、この鎮守府ではそれが普通であると認識されておるようじゃ」
初春「その結果、他の鎮守府に対しても、非常に攻撃的な思想を持つ艦娘が多かった、と推測できるが?」
朧「……そういうことなんだろうね。矢矧さんや長門さんは、いまも戸惑ってるみたいだし」
磯波「私も、そう思います。モラルハラスメントも多分に含んでいたと言えそうですね」
矢矧改二「……」
長門改二「……」
446 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:43:18.80 ID:slb2WKgBo
コロラド「それより初春は私の質問に答えなさいよ。あなた、この鎮守府の出身なの?」
初春「うむ。着任して3日で捨て艦にされたのじゃ」
初春「ここでの思い出なぞ、せいぜい長門に追いかけられたくらいでな。しかし、やられっぱなしはやはり癪でのう」
初春「ここにいる朧も、N特尉に一泡吹かせておる。それを羨ましいと思ったゆえに、この場で彼奴めの鼻っ柱を叩き折ろうとしたわけじゃ」
コロラド「……誰かが味方になってくれると思ってたの?」
初春「その辺は考えておらんかったな。誰も味方にならぬなら、それはそれでN特尉の仕事がやりやすくなるだけであろうし」
初春「まあ、まさか、わらわのいたころの長門たちが懲罰で解体されていたというのは、ちと予想しておらんかったかのう……」
コロラド「それにしてもよ!? Suicide attack で40人以上も沈めたなんて本当なの!? 戦術以前の問題だわ……」
朧「多分、どんな手を打てばいいかわからなくて、試行錯誤を繰り返した結果、ってこと……なのかな?」
初春「下手な鉄砲……そのうちの一発がわらわであったということじゃな。意味があったか、それとも無駄玉であったかは最早わからぬがの」
曽大佐「……くそっ……艦娘のくせに、なんでこんな真似を……!! どうして、俺に逆らう……!!」
初春「貴様がわらわたちに敵対したからに決まっておろう。貴様がわらわたちや提督に手を出さねば良かったのじゃ」
初春「あの島に住む提督は、艦娘も深海棲艦も、戦わずに済む安息の地を求めておる」
初春「それを貴様は潰そうとした。じゃから提督も、貴様を叩きのめしたにすぎぬ」
447 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:44:02.79 ID:slb2WKgBo
曽大佐「だからと言って、俺をこんな姿にするかぁ……!? この、人でなしどもがぁ……!」
初春「貴様のように艦娘を使い捨てにする輩がそれを言うか。それでは復讐されて当然じゃな」フフッ
曽大佐「なにが復讐だっ! 道具の……道具の分際で!!」
初春「その道具たる艦娘を、これっぽっちも大事にせぬ者が辿る末路としては、相応しいものじゃと思うがのう」
初春「これは、貴様の自己満足のために海の藻屑と化した、わらわとその同胞(はらから)の恨みと心得よ」ギロリ
初春「ただ殺すなど生温い。生き恥を晒し、長く永く苦しむ術(すべ)はないものか……」
初春「そこまでわらわに考えさせたのは、貴様のこれまでの所業ゆえじゃぞ……!」
曽大佐「っ……!」
初春「貴様のような愚か者が二度と現れぬよう、海軍にも見せしめとして大々的に知らしめてやらねばならんしのう?」
曽大佐「見せしめだと……ふざけやがって……!」
初春「ふざけてなどおらぬ。貴様も先刻、大和たちを見せしめのために解体するとのたまっておったではないか」
初春「貴様はすべてにおいて判断を間違ったのじゃ」
初春「有無を言わさず深海棲艦をすべて殺すことを是としたのも、艦娘を道具のように扱ったことも」
曽大佐「間違いなものか……! 深海棲艦を滅ぼさなければ平和な海など来るはずもないのだぞ……!?」
448 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:44:46.35 ID:slb2WKgBo
N特尉「曽大佐。我々海軍の本分をお忘れか」
曽大佐「本分……!? そんなもの、深海棲艦の撃滅以外にないだろう! そうしなければ、海の平和は……」
N特尉「違う。我々の為すべきことは、国民の人命と財産を守ることだ。私は、戦わずに済むのなら、その道を選ぶべきだと考える」
N特尉「人の話を聞かずにすべて否定していたのでは、誰が歩み寄ろうとしているのか、誰が戦おうとしているのか」
N特尉「誰が救いを求めているのか、その声を聴き分けることもできないだろう」
曽大佐「寝ぼけたことを! だったらそのまま寝首を掻かれるがいい! 深海棲艦に裏切られ、そこにいる艦娘に殺されれば良いのだ!」
曽大佐「だいたい、俺だけがこんな目に遭うのは不公平だろう!! 貴様も俺のように、艦娘を沈めた報いを受けなければならんだろう!」
妙高「お言葉ですが、私がいる限り、そのようなことは起こりませんし、起こさせませんよ」
曽大佐「な……!」
妙高「かつてN提督がとった行動は間違いではありましたが、そうせざるを得なかった心情は理解できないほどではありません」
妙高「間違っているのなら正せばよいのです。自分の過ちに向き合い、考えを改め、そのうえで自分にできることをする……」
妙高「それができたからこそ……N提督が信頼に足る人物と私が信じているからこそ、私はN提督の元で働いているのですから」
曽大佐「信頼だと……!?」
449 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:45:31.41 ID:slb2WKgBo
妙高「あなたはどうなのですか? いまここに、この鎮守府に、あなたを心から慕い、信じる艦娘はどれほどいるというのですか!」
N特尉「妙高……」
妙高「あなたが何のために戦っているか。ただ深海棲艦の撃滅だと仰るのなら……」
曽大佐「だ、黙れ黙れ!! 艦娘の分際で、俺に意見するな!! 何が信頼だ!」
コロラド「……初春、そこをどいて」
初春「む?」
コロラド「曽大佐。あなたはどうして、ここまで深海棲艦を打ち倒そうとするの?」ズイ
曽大佐「な……っ、き、貴様! 寄るな!!」ジリッ
コロラド「……」ズイッ
曽大佐「よ、寄るんじゃない……! 来るなあ……っ!!」
コロラド「何を恐れているの? 恐れるべきは深海棲艦でしょう?」
曽大佐「来るなと言っているんだあ!!」
コロラド「……」ジッ
曽大佐「ひ……来るな……!」ガタガタ…
450 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:46:17.04 ID:slb2WKgBo
コロラド「はぁ……もう、いいわ。そういうことね」
妙高「どういうことです?」
コロラド「ここで話すべきことではないわ。あの提督の推測がおそらく当たっていたことだけは、確信できたけど」
妙高「……?」
磯波「あの……曽大佐がおじいさんになったのは、あの島の提督さんの仕業、と言うことになるんですか?」
初春「うむ。あの島に住まう者の中には、艦娘でも深海棲艦でもない、特別な力を持つ者たちがおってのう」
初春「その者たちから、提督があの玉手箱の作り方を教わったと聞いておる」
朧「深海棲艦からもいろいろ教えてもらった、って聞いてたけど?」
初春「うむ、確か、かーすどがす? に、深海の成分を練り込んだと聞いておるが」」
磯波「深海の成分……?」
初雪「……竜宮城が海底にあるから、とか……?」
妙高「関連性がないと言えないのが、なんとも言えませんね……」
451 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:47:01.41 ID:slb2WKgBo
N特尉「しかし……これからどうしたものかな。曽大佐との話が終わったら、鎮守府の実態を調べて結果を持ちかえる予定だったが」
長門改二「ま、待ってくれ。特務大尉殿は、調査が終わったら帰ると言うのか?」
N特尉「ああ、そうだが……」
長門改二「では、曽提督は……私たちはどうなるんだ?」
初春「そんなものは、おぬしたちは好きにすれば良かろう」
矢矧改二「で、でも、曽提督をあんな風にしたのはあなたたちでしょう!?」
初春「責任を取れと?」
矢矧改二「そ、そういうわけじゃ……」
初春「ふむ……わらわが責任をとれと言うのなら、取ってやらんでもないぞ?」
初春「この男のそっ首をこの場で撥ねてやろうという、後始末的な意味でなぁ……?」ドロリ
矢矧改二「な……!!」
N特尉「初春!!」
初春「まあ、それはそこのN特尉が許してはおかんじゃろうから、夢のまた夢でしかないがの」ハァ…
N特尉「あまり焦らせてくれるな。ため息をつきたいのはこっちだ」ハァ…
妙高「しかしこれは、曽大佐がワンマンですべてを決定してきたために、他に鎮守府の運営ができる艦娘がいなくなったということですか」
N特尉「この鎮守府の大淀はどうしたんだ」
矢矧改二「……通信室にいます。ただ、私たちが彼女と話したことはありません」
452 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:47:46.49 ID:slb2WKgBo
N特尉「とりあえず、案内してくれないか。引き続き、この鎮守府の実情の調査もしたい」
矢矧改二「わかりました……長門さん、一緒に行きませんか?」
長門改二「いや……すまない。私はまだここに残る」
長門改二「ここに来た艦娘に、曽提督がなぜこんなことになったのか、説明しなければならないし」
長門改二「その曽提督も、私が見ていないと何をするかわからないからな……」
曽大佐「……」ガタガタ…
N特尉「……」
長門改二「恐れながら、特務大尉殿。この鎮守府を見回ってきた後で良いので、我々はどうすればよいか、ご指示をいただきたい」
長門改二「少なくとも貴殿の感覚では、この鎮守府の規律は行き過ぎているところがある、と見ているのだろう?」
N特尉「……そうだな」
長門改二「恥ずかしながら、我々は貴殿の言う『普通』の感覚が分からない。そこからご教示いただけると助かる……!」
N特尉「承知した。本営に掛け合おう」
長門改二「……よろしく、頼む」ペコリ
長門改二「それから、大淀だが……あの曽提督をして厄介と評されている。彼女から話を聞くのは、一筋縄ではいかないかもしれないぞ」
N特尉「わかった。忠告感謝する」
453 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:48:31.81 ID:slb2WKgBo
* その後 *
* 曽大佐鎮守府内 工廠へ続く廊下 *
曽大佐の艦娘たち「「……」」ポカーン
幼大和&鳳翔改二「♪おーてーてー、つーないでー♪」
幼朝潮&夕立改二「♪のーみーちーをーゆーけぇーばー♪」
加賀改二「……」セキメン
幼赤城「かがしゃん? かがしゃんは、おしえてもらったおうたをうたわないんですか?」クビカシゲ
加賀改二(小首を傾げるさまがいちいち可愛らしい……)キューン
加賀改二「いえ……さすがに、少し恥ず……注目を集めてしまっていますから」
幼赤城「そうなんですか?」
夕立改二「加賀さんも一緒に歌うといいっぽい!」
加賀改二「こういう形で目立つのには、私は慣れていないんです」
鳳翔改二「さ、工廠につきましたよ。金剛さん」
金剛改二「ええ。明石ー!」
明石「ひいっ! み、みみみみなさまお揃いでっ!?」ビクビクッ!
454 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:49:16.32 ID:slb2WKgBo
金剛改二「あー、明石? もう、そんなに怯えなくていいのよ?」
明石「こ、ここ、今度はどんな無理難題……じゃなくて、ご用件でっ!?」ヘコヘコ
幼榛名「こんごうおねえさまの、おててをちりょうしてほしいんです!」
明石「へっ? ……ど、どちらさまで……?」
幼榛名「? はるなが、わかりませんか?」クビカシゲ
明石「は、榛名さ……えええええ?」
幼陸奥「ねえ。よくみたら、あかしもかおいろわるいわね?」
鳳翔改二「えっ? ……言われてみれば、確かに……」ジッ
明石「……ほ、鳳翔さん……?」
幼榛名「こんごうおねえさま。おててのちりょうは、はるながやります」
金剛改二「!」
幼榛名「あかしさんは、おやすみしたほうがよくないですか?」
金剛改二「……榛名は本当に優しい子ね……!」
明石「へっ? えっ?」
455 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:50:01.29 ID:slb2WKgBo
鳳翔改二「確かにこれまで、いろいろ押し付けすぎてきた気がしますし……」
鳳翔改二「いい機会です。明石さんにもゆっくり休んでいただいた方が良さそうですね」
明石「は……?」
鳳翔改二「なにか食べたいものはありますか? 良ければお台所をお借りして、何か作りましょう」
金剛改二「そうね、おかゆとか、何かおなかに食べ物を入れてから、ベッドで休んだ方がいいわね」
明石「……」ポカーン
明石「……」
明石「……」ジワッ
明石「な、なんなんですかあ……いきなり、私を心配するなんて、なにを企んで……」ボロボロボロ
幼大和「あ、あかしさん?」
明石「ちっちゃくなったり、優しくなったり! なにがあったんですかあ! みんなおかしくなっちゃったんですかあ!!」ウエーン!
加賀改二「……明石、ごめんなさい。あなたがそこまで疲弊していたことに、気付けなくて……」
456 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:51:01.27 ID:slb2WKgBo
N特尉「明石も重症だな……怯え切ってるじゃないか」
妙高「曽大佐が絶対権力のようになっていたんですね」
大淀「だから言ったじゃんか。新入り以外にまともな奴なんざこの鎮守府にはいねえってよォ」ケヒヒッ
朧「……こんなにガラの悪い大淀さん、初めて見たんだけど」ヒソヒソ
初雪「うん……目の下のクマもひどいし、すっごいタバコ臭いし」ヒソヒソ
磯波「この分だと、間宮さんも相当なんじゃないでしょうか……」
妙高「以提督鎮守府の間宮さんほどではないにせよ、覚悟した方が良いでしょうね」
N特尉「……ああ、もしもし。さっき話した人員の件、大淀以外も……そうだ、全員だ。ここの艦娘の教育もし直さないとまずいレベルだ」
N特尉「この鎮守府の憲兵および特別警察隊も、一度見直したほうがいい。ああ、そう伝えてくれ」
初春「もう本営に打診しておるようじゃの?」
妙高「ここもこんな有様だったなんて……」アタマオサエ
コロラド「ちょっと、こんなひどい鎮守府、他にもあるの?」
磯波「多いかどうかはわかりかねますが……そういう鎮守府ばかり調査してますね」
コロラド「Oh... Unbeleavable...」
初雪「憲兵さんも、この空気に慣れてるみたいだったのがびっくりした……」
大淀「そっち側もだいたい曽提督に丸め込まれちまってるからなァ」ヒッヒッ
N特尉「これだから特警にしても憲兵にしても、定期的に人員を入れ替えるように進言してるんだがな……」
妙高「長期間、同じ職場で任務を続けていると、どうしても慣れて馴れ合いが発生してしまいますからね」
幼赤城「まんしんしてはだめ……って、あたまのなかでいってるのはだれでしょう?」キョロキョロ
加賀改二「あ、赤城さん? 大丈夫ですか?」アセアセ
457 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:51:47.49 ID:slb2WKgBo
* 幕間 ちなみにその後の曽提督鎮守府のながむちゅ *
幼陸奥「わたしは、ながとがたせんかん、にばんかん、むちゅよ」
長門改二「むちゅ!?」ズギャーン!
幼陸奥「あ、あれっ? むちゅ、じゃなくて、わたしは、むちゅよ! ……あ、あれっ??」セキメン
長門改二「ぐ……っ! こ、これは……っ」モンゼツ
幼陸奥「むちゅ……む、ちゅ……うう、うまく、いえないよぅ……?」ナミダメ
長門改二「ぐぁああああ! か、かっ、かわっ……」ノケゾリ
長門改二「い、いや、ここで倒れるわけには……っ! む、陸奥! もう少しだぞ、がんばれ!」
幼陸奥「わ、わたしは、ながとがたせんかん、にばんかん、むちゅよーっ!!」
長門改二「ぐわああああ可愛すぎるうううううう!!!」バターン
幼陸奥「きゃあっ!? な、ながと!? だいじょうぶ!?」オロオロ
長門改二「だ……大丈夫だ……大丈夫だとも」ヨロヨロ
長門改二「……陸奥。慌てなくていい、自分のお名前を、ちゃんと言えるよう、練習しような?」ニコ…
幼陸奥「ながと……うん、むちゅ、がんばるわね!」ニコッ
長門改二「……ああ……心が洗われていく……」キラキラキラキラ…
幼赤城「ながとしゃんはどうしたんでしょう?」クビカシゲ
加賀改二(気持ちはわかるわ……)
458 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/01/20(土) 21:53:01.40 ID:slb2WKgBo
というわけで今回はここまで。
もうちょっと長くなるかと思いましたが、曽大佐鎮守府編はここまでです。
>427
赤城は「さ」、陸奥は「つ」の発音が覚束ない感じです。あざといですが可愛ければ良いんです。
>428
提督も深海棲艦になるついでに女性化させてますので、本当に何でもありでやらせてもらっています。
459 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/25(木) 00:09:45.70 ID:z+KblGpx0
お疲れ様です。
幼児化、大人化、加えて深海棲艦化、TS…あと洗脳。
…長いことやってるおかげでいくらでもタグ付けられそう。
460 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 15:06:28.25 ID:sXZRkN5u0
大人吹雪たちの伏線なのかな?
461 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 21:40:21.59 ID:BwvVJYMA0
保守点検
462 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/02/11(日) 22:24:44.39 ID:quzN+98xo
続きです。
今回は墓場島のメンバーは提督以外お休みです。
463 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/02/11(日) 22:25:49.48 ID:quzN+98xo
* 墓場島沖 海軍巡視船内 *
扉<Knock knock !
コロラド「コロラドよ! ××島の提督を連れてきたわ!」Bang !
X大佐「ああ、よく来てくれたね。提督、いつも来てもらってありがとう」
提督「ん? X大佐も同席してんのか。あんたも毎度毎度呼ばれて大変だな」
X大佐「僕は構わないよ。仕事でもあるし、僕が望んで来ているわけだしね」
コロラド「え? ちょっと、X大佐と知り合いなの!?」
提督「おう。海軍で深海棲艦との共存を目指してて、俺と仲良くしようとしてる変わり者だ」
コロラド「あなたには言われたくないんじゃないの!?」
提督「それより、そっちに座ってる若いのが、お前んとこの提督か?」
(ぽっちゃり体系の若い提督がかたかた震えながら座っている)
X大佐「うん。紹介するよ、こちらが川提督だ」
川提督「大変申し訳ありませんでしたああああ!!」ドゲザッ!
コロラド「Admiral !?」
提督「……」
464 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/02/11(日) 22:26:31.60 ID:quzN+98xo
川提督「こここ、この度はご迷惑をおかけして大変申し訳ございません! 曽大佐の指示で艦隊を出したことに間違いはなく……!」ビクビク
川提督「ですので何卒! 何卒、ろ、ろ、老人にするのだけはどうかご勘弁をおおおお!!」プルプルガタガタ
提督「……出会い頭からこれかよ……」アタマオサエ
X大佐「ここに来る前からこんな感じだったよ。大丈夫だって言ったんだけどね」
提督「駄目だなこりゃ……おい」
川提督「は、はい!」
提督「お前と話すことはねえよ。とっとと出てけ」シッシッ
川提督「」
提督「聞こえなかったか? お前と話すことはねえっつったろ。失せろ」ギロリ
川提督「ひ、は、はいいいい!!」ダッシュ!
扉<ガチャドタバターン!
X大佐「……」
提督「ドアも静かに閉めろよな。ったくよぉ……」
コロラド「あんな風に凄んだら、怯えるに決まってるじゃない。ただでさえ、Admiral は Chicken heart なのに」
465 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/02/11(日) 22:27:16.59 ID:quzN+98xo
X大佐「追い出して良かったのかい? いろいろ話を聞けるんじゃないかと思ったんだけど」
提督「いやー、無理だろあれじゃ。怯えてまともに話も出来なさそうだし、俺があいつから聞きたいのはお詫びと言い訳じゃねえんだ」
提督「ま、あいつが曽大佐の指示通りに動いたんなら、その指示通りに動いた現場のコロラドに聞いてもそれまでだしな」
提督「こっちから伝えたい話も、コロラドに持ち帰って伝えてもらえばいいさ。あいつの処分だって俺が口を出す話じゃねえ」
コロラド「ちゃんと話したほうが、あなたが本当はいいひとだってわかってもらえる気がするんだけど?」
提督「そんな理解いらねえよ。そもそも俺はもう人間と関わりたくねえんだ、これ以上面倒増やしたくねえっつうの」
コロラド「でも、ここに来ているってことは、人間との国交を考えてるってことでしょ? 矛盾してると思うんだけど」
提督「関わらないために、わざわざ人間に合わせて不可侵条約なりを結ぼうってんじゃねえか。そのための最低限の接触だ」
コロラド「最初から仲良くすればいいじゃない。私たちのやったことが悪かったとは思うけど、そこまで意固地にならなくても……!」
X大佐「コロラド、そこまでだ。君の言いたいことはわかるが、君の理想と彼の理想は違うんだ」
コロラド「……」
X大佐「あまりしつこいようだと、君にも退席してもらわないといけなくなる」
コロラド「……わ、わかったわよ」
提督「……へぇ、お前もそういう顔できるんだな。頼もしいな」
X大佐「肩書相応のことはできないとね。それに、僕は君との関係は継続していきたいんだ、つまらないことで君を困らせたくない」
提督「そうか」フフッ
466 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/02/11(日) 22:28:01.59 ID:quzN+98xo
X大佐「ところでもう一人、君に会わせたい人がいるんだが、その人とは会ってもらえるかな?」
提督「ん? なんだ、ここには来てないのか?」
X大佐「別件の用事があって、そちらを済ませてからくるそうだよ。それまで川提督から話を聞こうと思ってたんだけど」
提督「あいつは本題までの時間潰しだったか。悪いことしたな」
X大佐「さて、じゃあそれまでの間に……とりあえず曽大佐だけど、彼は入院することになった」
X大佐「背が高くて筋骨隆々、まさに働き盛りの曽大佐が、いきなり?せこけた老人の姿になってたから、海軍では大騒ぎになっててね」
X大佐「これも君の仕業だと聞いたけど、これはもうちょっと、なんとかならなかったのかな?」
提督「なんねえし、したくねえな。俺たちは、一応は海軍と敵対したくないって表明してんだぜ」
提督「それを無視して、深海棲艦だからと言って見境なく攻撃してくるような連中を野放しにしておきたくなかったんだよ」
提督「だいたいあいつら、政府の艦艇が海域にいるのに無許可で武器構えてうろついてんだぞ? 海軍としても示しがつかねえだろ」
X大佐「まあね……けど、まさか曽大佐が艦隊を出すなんて、本当にやるとは思ってもいなかったよ。未だに信じられないな」ハァ
提督「おいおい、呑気な事言ってんじゃねえぞ。以前だって、F提督やらH大将やらが、J少将とかに殺されかけてんだぞ?」
提督「手段を選ばない過激な奴は、これからも出てくるって認識しとけよ。平時ならまだしも、まだ深海棲艦とは戦争中なんだからな」
X大佐「む……そう、だね。気が逸りすぎていたよ、申し訳ない」
467 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/02/11(日) 22:28:46.69 ID:quzN+98xo
コロラド「……ところで提督? あのタマテバコの取り扱いは、ちょっと問題だったんじゃないの?」
コロラド「成功したから良かったものの、途中で開けたり、他の誰かが開けてたりしたらどうする気だったのよ」
提督「そうならないように、初春に説明して、初春に持たせたんだがな」
提督「まさかあっちの大和たちに持たせたってことのほうが想定外だぞ。多分、うまくいくと踏んでの作戦だったんだろうけどよ」
X大佐「その箱なんだけど、曽大佐だけが老化したのはどうしてなんだい?」
提督「理屈を説明するのは面倒臭いが、あの罠の発動には、いろいろ条件を付けてたんだ」
提督「人間にしか開けられない、かつ、人間にしか効果がないように作った。だから転んで箱がその辺を転がっても発動はしない」
コロラド「そんなことできるの!?」
提督「まあな。あまり無差別に効果があると面倒なことになるから、指示役さえ潰せりゃいいと思って俺が調整したんだ」
提督「これで他の連中が萎縮してくれればそれでよし。そうじゃなけりゃあ、次はねえぞ、ってことで思い知らせればいい」
提督「今回みたいな調整はくっそ面倒臭かったから、二度とやりたくねえけど」
コロラド「それじゃ、次は私たちもああなるってこと……!?」ゾッ
X大佐「さすがに次はないと思うよ。これまで僕たちのやり取りに難癖をつけていた将官たちも、曽大佐の写真を見たら絶句してたからね」
提督「そうなって欲しいもんだがな」
コロラド「もう、そうなってるでしょ。私の Admiral なんか怯えてて、まさしくその通りじゃない」ムスッ
468 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/02/11(日) 22:29:32.46 ID:quzN+98xo
扉<コンコンコン
X大佐「!」
祥鳳「X提督、祢大将閣下がお見えになりました」チャッ
X大佐「ああ、ありがとう。どうぞ、お入りください」
祢大将「失礼するよ。川提督は追い出されたようだな?」スッ
妙齢のスーツの女性「……失礼いたします」スッ
コロラド(あら、なかなかダンディなおじさまじゃない……!)
X大佐「祢大将殿。改めて紹介いたします、彼があの墓場島の提督です」
提督「……」ペコリ
X大佐「こちらは川提督艦隊所属の艦娘、コロラドです。彼女は同席してもよろしいんで?」
祢大将「うむ。川提督からもヒアリングしようと思っていたのだ、彼女に代理を務めて貰おう」
X大佐「提督、こちらは祢大将殿。この方が君に会わせたい人と言っていたお方だ」
祢大将「よろしく。こちらは私の秘書だ」
女性→秘書「……」ペコリ
469 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/02/11(日) 22:30:17.23 ID:quzN+98xo
祢大将「病院から電話が来ていて遅くなった。曽大佐の老化現象は君の仕業か……なかなか恐ろしいな」
提督「……」
祢大将「ところで、君のところの妖精は元気かな?」
提督「……!」
コロラド「妖精?」
祢大将「確か彼女は女神妖精だったと記憶しているが……」
提督「あいつは……燃えた島から俺たちを助けるために、力を使って消えた」
祢大将「……そうか。残念だ」
X大佐「……?」
祢大将「私は、彼の連れていた妖精と一度会ったことがある」
祢大将「本営の廊下で、彼の書いた手紙を中将へ届けようとしていたときだったな」
X大佐「そんなことが……?」
提督「あのとき、妖精を見つけてくれたのは、あんただったのか……」
470 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/02/11(日) 22:31:01.46 ID:quzN+98xo
提督「あなたのおかげで、俺はこれまで多くの艦娘たちを助けることができた。感謝する」ペコリ
X大佐「!」
コロラド「!?」
秘書「……」
祢大将「私は妖精の訴えに応じてあげただけだ。その後の話については……まあ、いろいろ驚かされたがね」
コロラド「……」ポカーン
提督「……おい、なんでぼけっとしてんだよ」
コロラド「あなた、ちゃんとお礼を言えるのね?」
X大佐「コロラド……いくらなんでもそれは提督に失礼じゃないか?」
コロラド「わ、悪かったわよ……」
提督「謝んなよ、人物評としては正しいんだ。俺が不愛想で不躾で無礼の極みだってのは、今に始まったことじゃねえ」
コロラド「自分でそこまで言ってちゃ世話ないわよ!?」
提督「ところで、祢大将が俺に会って何を話すんだ? 今の妖精の話は俺も知らなかったが、そのためだけに会いに来たわけじゃねえよな?」
祢大将「H大将の指揮下から離れた曽大佐の後ろ盾になったのは、和中将だ」
提督「!」
471 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/02/11(日) 22:32:01.56 ID:quzN+98xo
祢大将「和中将は徹底的にあの島の存在を忌み嫌っているようでね。彼の不始末ということで、私が詫びに来たのだ」
X大佐「祢大将殿は呉の鎮守府の最高責任者だ。和中将殿は祢大将殿の部下にあたる」
提督「呉の……なるほど。確かに祢大将が出てくるには真っ当な理由だが、俺はそこまでしなくていいと思ってる」
提督「俺たちは俺たちのやり方で、既に落とし前をつけさせてもらった。あんたから謝罪を受け取ったら、こっちも頭を下げなきゃならねえ」
祢大将「……謝罪は不要だと?」
提督「俺は、実際に関与した当事者以外を極力巻き込みたくないんだ。確かに、曽大佐は海軍の人間であり、あんたはその上官だろう」
提督「だが、H大将からこの島の事情を聴いて、H大将の意図に反発し、この島に攻め込むよう艦娘に指示したのは、他ならぬ曽大佐自身だ」
提督「後ろ盾になった和中将が焚きつけたという見方もあるなら、この場に詫びに来るのは和中将であるのが筋だろうし」
提督「むしろ祢大将は、身勝手に振る舞った曽大佐たちに振り回されたにすぎないと思ってる。H大将もな」
祢大将「私も被害者だと言いたいのかね?」
提督「あんたが曽大佐を唆したって言うんなら話は別だが、そうじゃないなら、俺たちに対する加害者とは言えないだろう」
提督「形式上の縁者のために頭を下げなきゃならないというのなら、俺の弟がやったことも、俺が頭を下げなきゃいけなくなる」
提督「そんな理不尽で馬鹿な話はなしだ。祢大将が頭を下げる筋の話じゃないと思ってる」
祢大将「ふむ……では、かつてあの島を取材しようとしたテレビ局の不手際についても、一言あったんだが」
提督「テレビ局……その話も今更だな。わざわざ掘り起こすまでもねえや」
472 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/02/11(日) 22:32:47.55 ID:quzN+98xo
祢大将「なるほど。では、この話はやめにしよう。それとは別に、私からいくつか聞きたいことがあるんだが、いいかね」
提督「? 答えられる範囲でならいいが……」
祢大将「まず、君は、曽大佐についてどう考えているかね。どんな人物だと考えた?」
提督「そうだな……最初は、軍人の家系で、本家から見下されないために過激派になったと考えていたが」
提督「そうじゃなく、艦娘不信……というより艦娘嫌悪に近いか。艦娘に見下されたくない、って意識が強いのかと思っている」
提督「あいつの部下の大和たちの記憶を辿っていくと、深海棲艦の撃滅には積極的だが、その成果を褒めたりもしてないようだし……」
X大佐「記憶?」
提督「ああ。あいつらをまっとうにするために、有害な記憶を切り離してやってたんだよ。その時にあいつらの頭の中を見たんだ」
X大佐「……??」
提督「曽大佐の艦娘に対する態度は一貫して高圧的。口答えしたり、機嫌を損ねたりすると、すぐに殴られる」
提督「逆に艦娘を褒めるようなことは全くなく、何をしてもらっても感謝の言葉すらない。艦娘は完全に道具か召使い扱いだ」
提督「大和の頭の中は特にひどかったな。とにかく戦闘のことしか頭にないし、曽大佐のことを神様みたいに崇めてやがった」
提督「多分、一番最初のときに、曽大佐にこっ酷く怒鳴られてるのがトラウマになってたようだが……」
コロラド「……確か、その記憶を、全部消してあげた結果、ああなっちゃった、ってことだったわね?」
X大佐「???」
473 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/02/11(日) 22:33:46.41 ID:quzN+98xo
提督「ああ、ひどい記憶を持った魂を俺が全部取り除いたんだ。そうしてやったら、体も痩せて細くなっちまってな」
提督「ガリガリじゃあ可哀想だから、代わりに無害な魔力を入れてやって……体も、精神年齢相応に調整してやった」
X大佐「いやいやいや、ちょっと待って……? 確かに、報告には大和や陸奥が海防艦並に幼い姿で帰ってきたって……」
コロラド「それも、提督の仕業なのよ」
X大佐「……深海棲艦がやったんじゃなかったのか」
提督「俺も半分、深海棲艦だぞ?」
X大佐「た、確かにそうだけど……」
祢大将「君が艦娘の記憶を操作して、悪い記憶をすべて消した結果、幼児のような艦娘になった……生まれ変わらせたと言うことか」
提督「別にあいつらを子供にするつもりはなかったんだが、結果的にそうなっちまった、って感じだな」
提督「いくら話が通じないとはいえ、うちにいる艦娘と同じ面した奴を沈めるのも気分が悪いし……」
提督「つっても、どいつもこいつもくっそ悪い面してたからなあ。害悪な部分は残らず切り捨ててやりたかったってのはあるな」
X大佐「……まるで工廠の建造妖精みたいだね、君は……」
提督「あいつらほどじゃねえよ」
コロラド(……なんか、嬉しそうね?)
提督「一応、あいつらをあの姿にした後で、工廠の妖精たちにも診てもらってる」
提督「問題もないって言ってもらえたし、余所に移ったとしても、曽大佐みたいな過激なことは言い出したりしないはずだ」
474 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/02/11(日) 22:34:32.62 ID:quzN+98xo
祢大将「君の言い分だと、艦娘は悪い記憶ばかり持っていたことになるな。曽大佐は、艦娘にそこまでのことをしていたということかな?」
提督「俺はそう思う。あいつはとにかく、艦娘が自分に逆らえないようにしたかった、抑えつけたかったんだと思ってる」
コロラド「私もそう感じたわ。曽大佐に会う前に提督からそのことを事前に聞いてたから、曽大佐にはちょっと強く出てみたのよ」
コロラド「そうしたら、それが気に入らないらしくて、平手打ちされそうになったし」
コロラド「老人になった後も、ちょっと近づいたら来るなって叫ばれたの。あれは、曽大佐に怯まなかった私に怯えていたようにも思えたわ」
提督「……いま思ったんだが。艦娘嫌悪と言ったが、もしかしたら女性嫌悪と言ったほうが正しいかもな」
提督「女ばかりの姉妹の中に男が一人だったんだよな? 俺には姉妹はいないからわからねえが、そいつらに嫌な思い出でも作らされたか」
提督「曽大佐が艦娘だけを嫌ってるのかどうかがわからないから、もし人間の女性も嫌っていたら、の推測だが」
秘書「……」
提督「それからあんた。秘書だって言ってたが、あんたは曽大佐の姉だな?」
コロラド「えっ、そうなの!?」
秘書「……ええ、そうです。よくわかりましたね」
X大佐「曽大佐のお姉さんですか! この度は海軍の不手際で大変申し訳……」ペコリ
祢大将「ああ、いいよX大佐。彼女には事情をすでに話していて、理解もしてもらっている」
X大佐「そうでしたか……同じ海軍の人間として、申し訳ございません」アタマサゲツヅケ
コロラド(私も頭を下げたほうがいいのかしら……)ペコリ
475 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/02/11(日) 22:35:17.42 ID:quzN+98xo
秘書「……私からも、弟の愚行をお詫びいたします。あの子がこうなってしまったのは、私たち姉妹の行いによるものです」ペコリ
祢大将「皆、顔を上げてくれ。私からも曽大佐の話をしよう」
秘書「……」
祢大将「まず、提督の考察はおおよそ当たっている物だと感じている」
祢大将「曽大佐には姉が4人、妹が2人いたのだが、その姉のうちの長女が、こちらの彼女だ」
祢大将「彼女の家柄は軍人の家系。その傍流の長女として生まれた彼女は、軍人になるべく厳しく育てられた」
祢大将「しかし、そのご両親は彼女だけを厳しく育てた一方で、妹たちは自由に育て、甘やかされ続け……」
祢大将「結果として、次女から下はいずれもとんでもない女性に育ってしまっていてね」
祢大将「私がこの件で曽大佐のご家族に事情を話しに行ったのだが……まあ、なかなかのことがあったのだ」
祢大将「なので、彼女が私の秘書をしていることも、あちらには秘密にしている。君たちも、このことは口を滑らせないでもらいたい」
提督「……」
秘書「……」ウツムキ
祢大将「さて、曽大佐が長男として生まれると状況が変わる」
祢大将「今度は長男を立派な軍人にするべく厳しく育て始め、一方の長女は軽視されるようになった」
祢大将「過剰な期待を背負わされて育てられたはずの彼女は、いきなりその荷を取り上げられ、好きに生きろと言われたそうだ」
提督「勝手が過ぎるな。子供は親の玩具じゃねえんだぞ、くそが……」ボソッ
476 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2024/02/11(日) 22:36:01.56 ID:quzN+98xo
祢大将「彼女が戸惑う一方で、曽大佐は両親から厳しく躾され、我儘な次女たちからは顎で使われ……」
祢大将「そのあとから生まれた妹たちは、次女たちの姿を見てきたせいか、曽大佐に横柄な態度を取るようになったようだ」
コロラド「……なんてこと」
X大佐「では、曽大佐の艦娘に対する態度は、曽大佐の姉や妹たちから受けてきた態度に起因するものだと……?」
秘書「……私は、そう考えています」
コロラド「でも、あなたは、その妹たちとは違ってたんでしょ? 厳しく育てられたって……」
祢大将「長男の誕生を機に、彼女はご両親から一切気にかけてもらえなくなったそうだ」
祢大将「行く予定だった大学進学も取り消され、一切の金を出さないとまで言われたと。その後、彼女は家を出てご家族と縁を切っている」
提督「ってことは、それ以来、曽大佐と接触してねえってことか」
秘書「……」ウナヅキ
提督「じゃあ、曽大佐がああなったのは、あいつの同居家族が原因ってことだな。ま、今となっちゃあ、どうでもいいけどよ」
コロラド「ちょっと!? どうでもいいって……!」
提督「俺にはどうでもいいことだ。とりあえず、これでもう、曽大佐がこっちにちょっかいを出してくる心配はないんだろ?」
コロラド「じ、自分たちが良ければそれでいいの!?」
提督「当たり前だろ? 余所のご家庭の内情に俺が物申せってか? 当事者にしても赤の他人に首を突っ込まれたいと思わねえだろ」
コロラド「そ、それはそうだけど……その言い方だけは、本っ当になんとかならないのかしら」アタマオサエ
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