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【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」ニコ「その3だよ」【×影牢】
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790 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/08(土) 00:02:46.96 ID:0p8QtWGlo
提督「スクリームフェイスってやつだ。よし、お前ら全員動くな!」
UFO<プワワワワ…
男「う、うわああ!? なんだなんだ!?」フワー
大井「え、えええ……? UFOが男の人を連れてきたんだけど……なにあれ」
不知火「部屋の中に入ってきましたが、いいのですか?」
提督「ああ、問題ねえ」
ダツイクローゼット<バコン!
荒潮「えっ、あんな衣装棚、この部屋にあったかしら」
ダツイクローゼット<バクン! ガタガタ…
大井「男の人が飛んで入って……中に閉じ込められてる!?」
霰「人食い衣装箱……」ゾッ
ダツイクローゼット<ペッ!
男「ぐえっ!!」ベチャッ
飛鷹「ちょっ、なんで下着一枚になってるのよこの人!?」
サラシダイ<ガシャッ!
男「ひいいっ!?」ガシャッ!!
提督「捕獲成功……これで良し」
791 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/08(土) 00:03:33.74 ID:0p8QtWGlo
飛鷹「……い、いったい、なんなんですか!?」
H大将「こいつが魔神の力というやつか」
提督「あまり人に見せたくねえが、あいつらにつながってる手掛かりだ。出し惜しみはしていられねえ」
リ級「提督、メディウムハ、ドウシタ? 連レテキテナイヨナ?」
隼鷹「っていうか、こんな罠のメディウムいたっけ?」
提督「こいつは俺の力だ、まだメディウムにしてないやつだな。さてと……」スクッ
提督「舌を噛まれても面倒だ。とっととこいつの頭の中身を吸い出すか」アタマツカミ
男「な、なにを……ひぐっ!?」
提督「……」
男「ぐ、ぎ、ぐぇぇ……お、おっご、おほぉっ!?」ビクビクッ
北上「……頭の中を吸い出す? って……」
満潮「そんなことできるの!?」
提督「なんだこいつ、ろくな情報持ってねえな。下っ端もいいとこじゃねえか、つまんねえやつだ」
792 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/08(土) 00:04:21.17 ID:0p8QtWGlo
不知火「何が目的だったんです?」
提督「止准尉があることについて喋ってないか、見張り目的で来たらしいな」
止准尉「……!」
提督「盗聴器やレコーダーも用意してたみたいだ。たったいま服と一緒にぶっ壊しちまったけど」
H大将「なんだと? 何を盗聴していたか記録は取れんのか」
提督「あー……どうだろな、破片で良ければこの辺に散らばってるが……ただ、止准尉はこいつの前では一言もしゃべってねえみたいだな?」
男「う、うげええ……」ガクガク
提督「さてと、こいつどうする? 始末していいならこのまま俺が殺っとくぞ」
H大将「簡単に始末などと言うな。そいつの身柄は海軍で預かる」
提督「そうか。なら断っておくが、こいつの頭の中身をまさぐったときに、ちょっとあちこち壊しちまってな」
H大将「なに?」
提督「嘘が付けない可哀想な頭にしちまった。まあ許せ、あんたたちにも都合がいいだろ」
H大将「……」アタマカカエ
山城「さ、さっきから何なのよ一体……何の話なの!? しかも、そっちに隠れてるの、深海棲艦じゃない!」アオザメ
リ級「ア、ヤバ。気付カレテタカ」
提督「心配すんな、と言いたいが、まあ状況が状況だしなぁ……」
793 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/08(土) 00:05:16.98 ID:0p8QtWGlo
隼鷹「んじゃ、私が簡単に説明するよ。この人はねえ……」
* *
山城「……この男が、深海棲艦と一緒に離島で暮らしてる、ですって……?」
隼鷹「そういうこと。私も一時期、その島で提督にお世話になってたから、安心していいよ〜」
リ級「私ハ、コノ男ト一緒ニ、島カラ来テヤッタンダ」ドヤッ
山城「なんでそんなに偉そうなのよ……」
H大将「この男がここに来たのは、今後艦娘を任せるのに問題ない人物かどうかを見極めるためであり……」
H大将「そして、艦娘の保護を邪魔する者がいないか、いればそいつを捕縛するためだ。結果として、見事不審者が捕まったわけだが」
提督「この鎮守府の敷地の外に協力者がいたようだが、逃げたみたいだな。盗聴器を壊されたことに感付いて警戒したのかもしれねえ」
R提督「そんなことまでわかるのですか……」
提督「大まかに、だけどな。だいたい似たような気配を放ってるから、俺の『眼』の届く範囲にいればギリわかる」
提督「それよりH大将、悪いが止准尉と山城の衣服と艤装、それから身の回りのものを洗ってくれるか? ないとは思うんだが念のためだ」
H大将「……わかった。荒潮、今朝話しておいた部屋まで、ふたりの案内を頼む」
荒潮「は〜い、わかりました〜」
794 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/08(土) 00:06:01.86 ID:0p8QtWGlo
山城「はぁ……今日はとことん不幸だわ。提督、行きましょ……」
止准尉「……」
H大将「北上はこの侵入者を別の部屋に連行してくれ。頼めるか」
北上「はーい。あ、一応、霰も一緒に来てもらっていい?」
霰「はい……!」
北上「んじゃ、連れてくねー」ヒョイッ
男「ぐえっ」カカエラレ
スタスタ…
H大将「やれやれ、嫌な予感は当たるものだな……」
提督「なんだ、予見できてたのか?」
H大将「貴様が来ると聞いた時点で、何か起こりそうだと薄々思っていた。とにかく、止准尉からはあとでゆっくり話を聞くとしよう」
満潮「ねえ提督、さっき洗うって言ってたけど……それって、あのふたりにも盗聴器が仕掛けられてるって思ったの?」
提督「いや、おそらく止准尉たちの衣服とかには、仕掛けられてないはずだな。じゃなきゃわざわざ侵入者が見張りに来るはずがねえ」
提督「ただ、止准尉があの通りだんまりだったからな。ありゃ自分たちが監視されてることを自覚してたからこそだと思ってる」
提督「となると、誰にも話せず抱え込んでいたんだろう、警戒心を解くためにもやっといた方がいいなって思ってたんだ」
満潮「ふーん……そういう判断なら、確かにやっておいた方がいいわね」
795 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/08(土) 00:06:46.79 ID:0p8QtWGlo
H大将「ということは、ここへ申し込んできた目的も、艦娘の補充ではなくこの件を誰かに伝えるため、助けを求めて、と見るべきだな?」
提督「そうだな。臆病者が、臆病者なりに勇気を出してここに来たってことなんだろう」
R提督「……すみません、そうだとすると、この申込書の名前は……」ペラリ
H大将「ん? この名前……しばらく休職すると申し出のあった提督の名前だな」
H大将「さては、R提督がしばらく舞鶴から離れてたのをいいことに、わからないと思って余所の鎮守府の誰かの顔と名前を借りたか」
提督「ってことは、普通に招き入れていたら、H大将が気付いてたんじゃねえか?」
H大将「その前に逃げていたかもしれんぞ。あくまで目的が止准尉の監視であるならな」
R提督「……H大将閣下と提督にご足労いただいて、本当に良かった……私だけだったらどうなっていたことか。本当にありがとうございます」
飛鷹「それよりR提督、艦娘引き渡しで待たせている提督が、あとひとりいらっしゃいます」
H大将「よし、一応そいつの顔も見ておくか……なんだ、海外の泊地から来たのか?」ペラリ
R提督「はい。どうしても融通して欲しいとのことで、申し込みがありまして」
飛鷹「早速お呼びしますね」
提督(……ん? なんだこの厭な寒気は)ゾワリ
796 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/08(土) 00:07:35.75 ID:0p8QtWGlo
と言うわけで今回はここまで。
797 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/02/08(土) 00:27:45.93 ID:4eBspP6m0
おつやで
798 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/15(土) 21:00:04.72 ID:dLbzsdaXo
続きです。
組織の核心に迫る前に、提督のトラウマ? のお話です。
799 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/15(土) 21:00:46.40 ID:dLbzsdaXo
*
H大将「さて、最後の一人は一体何者だ……?」
隼鷹「お連れしましたー!」
雷「失礼しまーす!」
遠中尉「失礼いたします!」ケイレイ!
イントレピッド「……失礼します」
不知火「あれは……!」
提督「……不知火、知ってんのか?」
不知火「司令? 覚えていらっしゃらないのですか?」
提督「ん? 俺も知ってる奴なのか?」クビカシゲ
不知火「覚えて……ないのですね」タラリ
H大将「なんだ? 知っているのか」
R提督「ええと……遠中尉でしたか、秘書艦はひとりではないのですか?」
遠中尉「秘書艦は雷ですが、どうしても彼女も来たいと申してまして!」
雷「折角だから、一緒に来てもらったの! ね、イントレピッドさん!」
800 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/15(土) 21:01:31.55 ID:dLbzsdaXo
R提督「どういうことだ? 人数が合わないぞ? 隼鷹、提督6人と艦娘6人だだっただろう?」
隼鷹「そうだったんだけど。あ、そういえば、さっき呼びに行ったとき、いつの間にかひとりいなくなってたねえ?」
雷「トイレに行くって言ってたわ!」
不知火「……ということは、他の提督は自身と秘書艦、スパイは単独で、この方だけ艦娘をふたり連れてきたということですか」
飛鷹「確かにそれだと数は合うわね……でも、そんな数え間違いあるかしら」
H大将「あのスパイの男がそういうふうに誤魔化して話したのならあり得るな」
雷「それより、こんなところで提督准尉に会うなんて! 久し振りね!」
提督「……んん? なんで俺のことを知ってんだ? つうか、准尉?」クビカシゲ
遠中尉「なんで? 貴様、とぼけているのか?」
提督「いや、真面目にお前、誰だっけ?」
遠中尉「……」
不知火「……」アタマオサエ
リ級「ドウイウコトダ不知火? 提督ノ知ッテル人間ジャナイノカ?」ヒソヒソ
不知火「いえ、司令も会ってはいるのですが、思い出したくないのでしょう……」
大井「え、思い出したくないって、どういうこと?」
不知火「その……当時のやり取りが、なかなか強烈でして」
801 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/15(土) 21:02:30.82 ID:dLbzsdaXo
イントレピッド「Ah... Excuse me. 私、発言、しても、いいですか?」
H大将「なんだ? 言ってみろ」
イントレピッド「Thank you... 私、彼の指揮下から脱出? したいです……!」
雷「えええ!?」ギョッ
遠中尉「どういうことだ!?」ギョッ
H大将「除隊を希望すると言うのか?」
イントレピッド「Yes ! だって……だってもう、耐えられないんだもの!!」
イントレピッド「こんな大の大人が、こんな小さな Destroyer girl に抱き着いて! Mamma, mamma って何度も叫ぶんですよ!?」ブワッ!
H大将「……は?」
イントレピッド「もう嫌なの! この人と一緒にいると頭がおかしくなりそう!!」
遠中尉「何を言うんだスカイママ!」
イントレピッド「Nooo !! I'm not your mother !! Why did you call me 'Sky-mamma' !?」
H大将「何を言っとるんだ、こいつらは……?」
大井「さあ……」
隼鷹「あ、あたしちょっとわかったかも。ほら、空母って空の母って書くじゃん」
飛鷹「それでスカイママ……?」タラリ
リ級「……アル意味、直訳、カ」アタマオサエ
802 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/15(土) 21:03:16.28 ID:dLbzsdaXo
北上「ただいまー……あれ、なにやってんの」
荒潮「あらあら、状況がよくわからないんだけど〜?」
霰「なにが、あったの……?」
満潮「この人が連れてきた空母艦娘が、この人の艦隊から抜けたい、って……」
提督「ぐああぁぁぁ!! も……もしかして、あいつかぁ……!?」ガクーッ!
北上「うわあ、提督もいきなり頭抱えてどうしちゃったのさ」
不知火「……思い出しましたか、司令」
提督「思い出した……これっぽっちも思い出したかねえけど、思い出したぞくそが……っ!」ギリギリギリ
遠中尉「なにがくそだと言うんだ准尉! さっきから失礼な!!」
提督「うるせえ! てめえがくそじゃなかったら何がくそだってんだよ、この金魚のくそ野郎が!!」(#゚皿゚)凸ズビシ!
隼鷹「あー、提督、さすがに中指立てるのはやめよーよ、ねぇ?」
H大将「提督、この男を知っているのか?」
提督「ああ、こいつは……遠大佐は、俺の鎮守府にくそ馬鹿芸能人連れてきて鎮守府引っ掻き回してくれたくそったれだ!」
H大将「芸能人?」
大井「大佐?」
803 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/15(土) 21:04:01.12 ID:dLbzsdaXo
不知火「呉鎮守府の祢大将殿と仲の良い映画俳優さんがいらっしゃるはずです。たしか、留父さんと仰ったか……」
不知火「その方の息子にご自身の大佐の地位を譲ろうとしたのが、そこにいる遠、元大佐です」
R提督「もと? ですか」
不知火「はい。彼が中尉になっていたことは、不知火もたった今、初めて知りましたが……」
北上「提督がすっごい不機嫌になってんだけど、なんかあったの?」
不知火「はい。遠大佐は、轟沈した艦娘の救出と言う名目で、島に芸能人と番組制作スタッフを引き連れて押しかけてきたんです」
H大将「……本当か」
雷「ええ、本当よ。そのときは、提督には本当に迷惑をかけてしまったわ……」シュン
H大将「不知火、もう少し詳しく説明してくれるか?」
不知火「はい。留という当時売り出し中の男性アイドルが、呉にある遠大佐の鎮守府に一日提督として着任したのが、おそらく事の発端です」
大井「留……? なんか聞いたことあるわね。結構前にスキャンダル起こしてたような……」
不知火「はい、その人です。留氏が遠大佐の鎮守府で艦隊の指揮を執ったのですが、彼の指揮のせいで遠大佐の艦娘が轟沈しまして」
満潮「はぁ!?」
不知火「留氏は自身の名誉を挽回すべく、轟沈艦が流れ着く先を調べ、私たちの鎮守府がある島に乗り込んできたのです」
大井「それで、島から轟沈艦娘を引き取ろうとしたの? 今だって無理なのに、そんなこと許されないでしょう?」
不知火「はい、今以て許されていませんし、我々もさせませんでした。そもそも司令は、来港した彼らの上陸を一度は明確に拒否しています」
804 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/15(土) 21:04:46.05 ID:dLbzsdaXo
不知火「その後、轟沈した艦娘と話したいという名目で会議室までは通したものの」
不知火「彼らは鎮守府内および島内を無断で散策し撮影を行うなど、当方の指示を一切聞かず勝手な行動を取り続け」
不知火「挙句、夜間に無断外出したテレビクルーが死亡事故を起こしたり、遠大佐鎮守府所属の艦娘に対して強姦未遂事件を起こしたり」
不知火「軽く思い出すだけでも顔の筋肉がひきつるような迷惑行為を引き起こしています」
H大将「……」アタマカカエ
隼鷹「あ、なんか聞いたことあるわ。あたしが島に着く前くらいに、そんな騒動があったんだっけ?」
北上「えーと……なんてーか、迷惑って言葉で片付けていい話には思えないんだけど?」アゼン
不知火「不知火も同感です。もっとも、彼らを連れてきた遠大佐も、彼らがそこまで暴走するとは予想していなかったようですが」
満潮「だとしても信じらんない。なんでそいつらがそこまで好き勝手に振る舞えたのよ、非常識すぎるわ……!」
不知火「先程も申し上げたように、留氏は遠大佐から大佐の地位を譲ってもらえるはずだったからです」
満潮「それこそなんでよ!?」
不知火「その点について、不知火が把握している遠大佐の目的はふたつありまして」
不知火「ひとつは、彼に大佐の地位を押し付け、艦娘の指揮の難しさを思い知らせてみじめな思いをさせようとしたこと」
不知火「もうひとつは遠大佐自身が他の提督に引け目を感じて、一線から退こうとしたからだと、不知火は認識しています」
満潮「っ……そ、そんなことのために、大佐の地位を捨てようとしてたの……!?」クラッ
805 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/15(土) 21:05:31.65 ID:dLbzsdaXo
不知火「はい。そもそも彼は、雷と一緒にいられれば、大佐の地位などなくても良かったのでしょう」
不知火「遠大佐は、雷に、母親になって欲しいと請願したくらいですから」
H大将「……は?」
大井「はぁ?」
飛鷹満潮「「はぁぁぁ!?」」
北上隼鷹霰「「「……なにそれ」」」ドンビキ
荒潮「みんな綺麗にハモってるわねぇ……」
雷「そんなに驚くことかしら?」クビカシゲ
R提督「普通は驚くよ?」ヒキッ
不知火「御覧の通り、雷もそれを喜んで受け入れています。ですから、遠大佐は今も雷をママと呼んでいるのでしょう」
不知火「そちらのイントレピッドさんが仰るように」チラッ
イントレピッド「」シロメ
荒潮「ね、ねえ、今の話、イントレピッドさんも初めて聞いたんじゃないのぉ……?」
R提督「この反応からするとそのようだ……」
イントレピッド「」フラァ
R提督「って、危ない!?」ガシッ
806 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/15(土) 21:06:18.27 ID:dLbzsdaXo
不知火「司令が遠大佐のことを思い出せなかったのも、彼の発言が司令の理解の範疇を大きく外れていたがため」
不知火「記憶に残らないと言うより、理解が追いつかず記憶に残せなかった、と言ったところでしょうか」
提督「つうか理解したくねえよこんな話」
遠中尉「こんな話とはなんだ! 私は真剣なんだぞ! 私もママも今の関係を良しとしているんだ!」
遠中尉「やはり貴様のように親に甘やかされて育った甘ったれに、私の境遇など理解できるわけがない!」
隼鷹「ん? 提督って、親に甘やかされたりしてないよねえ?」
遠中尉「なに? 准尉は政治家のボンボンだろう?」
隼鷹「いやぁ? 提督ってば、親とは縁を切ってるはずだよ? だよねぇ?」
提督「まあな」
H大将「ふむ……遠中尉とその秘書艦は、一旦もとの部屋に戻ってくれ。まずはイントレピッドから話を聞く」
遠中尉「わ、わかりました……」
R提督「で、では、このふたりには戻っていただきます。隼鷹、案内を頼んでいいか?」
隼鷹「あー、りょうかーい」
雷「それじゃ、失礼します。行きましょう司令官、お部屋に戻りましょ?」
遠中尉「うん、ママ!」
全員「「……」」
ガチャッ…スタスタ…
807 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/15(土) 21:07:01.20 ID:dLbzsdaXo
提督「うん、やっぱり理解できねえし理解したくねえ。あいつらのこと、忘れていいか? つうか忘れるぞ」オテアゲー
北上「いやいや、忘れようとしちゃ駄目でしょこんな大問題……」
満潮「私も忘れてしまいたいわ……頭が痛いどころじゃないわよ、こんなの」アタマカカエ
提督「だよな? 普通耐えられねえだろ」
霰「うん、無理。絶対無理」
リ級(食イ気味ニ反応シタナ……)
荒潮(霰ちゃんの遠中尉を見る目が、まるで汚物を見るかのような目つきだったわぁ……)タラリ
イントレピッド「ウ……」ヨロッ
R提督「お、おい、大丈夫か」
イントレピッド「え、ええ……大丈夫です、けど、あの二人は……?」
R提督「いま、別室に案内した。先に君から話を聞こうと思ってる」
イントレピッド「そ、そうですか……その、本当に気を付けてくださいね」
H大将「なにをだ?」
イントレピッド「あのふたり、ふたりきりになると、本当に気持ち悪いことを言い出しますから……」アオザメ
R提督「……」
808 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/15(土) 21:07:45.72 ID:dLbzsdaXo
H大将「艦娘一人では荷が重いか? R提督、悪いがあの二人に同行して見張っててくれるか。秘書艦たちも同伴してくれていい」
R提督「わ、わかりました。なにやら不安ですが……飛鷹、一緒に行くよ」
飛鷹「り、了解です」
スタスタ…
提督「あいつら、もう部屋に閉じ込めて放っといた方がいいんじゃねえの?」
大井「それで目を離した隙にどこかへ脱走されても困ります」
提督「脱走……まあ、確かにねえとは言えねえか」
不知火「脱走と言うより逃避行しかねな……いえ、すでに逃避行は敢行済みでしたね」
北上「あんなのに付き合わされるR提督が不憫だねえ」
提督「まったくだ。もうここになんか置いてないで、とっとと追い返しちまったほうがいいってのによ」
H大将「逸る気はわかるが落ち着け。それで、イントレピッド。あの男はあれで艦娘を管理運用できているのか?」
イントレピッド「Ah...オソラク? Perhaps」
H大将「Perhaps か……またネガティブな回答だな」
809 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/15(土) 21:08:30.88 ID:dLbzsdaXo
提督「お前、あいつの鎮守府に着任してどのくらい経つ?」
イントレピッド「Hmm... サンガツ? about three month ?」
提督「3か月ねえ……じゃあ、お前と同じように気分を悪くした艦娘はどれくらいいる?」
イントレピッド「So many ! たくさんよ! たくさん! みんな、キモチワルイ、って言ってたわ!」
提督「あー、こりゃもう結論出てんじゃねえか? あいつに艦娘を預けんのはやめたほうがいい。そうだろ?」
大井「現時点では、そう考えざるを得ませんね。艦娘の指揮がままならないのは、あの遠提督とその秘書艦の関係が原因に他ならないと」
H大将「遠中尉を帰す前に、中尉の鎮守府に探りを入れよう。実態としてイントレピッドと同じ感想を持つ艦娘がいるか、確認が必要だ」
大井「荒潮さん、泊地を統括しているそこの中将に連絡を頼めるかしら。特警を派遣して調査してもらいましょう」
荒潮「はぁい、手配しますね〜」スクッ
提督「さてと……イントレピッドのケアも必要だが、それより先に俺は止准尉に話を聞きに行きてえな」
H大将「そうだな。いま、優先すべきはそちらだ」
810 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/15(土) 21:09:16.34 ID:dLbzsdaXo
H大将「大井、まずは止准尉たちを呼び戻してくれ。イントレピッドは入れ替わりでその部屋に待機しててもらおう」
提督「ん? 俺たちがそっちに行くんじゃ駄目なのか?」
H大将「不知火はともかく、あいつを鎮守府の中を出歩かせるのは考え物だろう」
リ級「ウン、私ハ、ソウダネー」
提督「……そういやそうだったな。手前の鎮守府のつもりで考えちまったぜ」
イントレピッド「!? ど、どうしてここに、Enemy ship が!?」ガタガタッ!
提督「Enemy じゃねえよ。あいつは、俺の鎮守府の仲間だ」
イントレピッド「……仲間? あ、あなた、シンカイセーカンと、オトモダチなの!?」
提督「おう、そうだ。だからこいつにゃ手を出すんじゃねえぞ」
イントレピッド「...Oh my god」
リ級「オトモダチ、カァ……部下ジャナインダ?」
提督「俺は泊地棲姫を部下にしたわけじゃねえからな。同じ理屈でお前も部下とは呼ばねえよ」
提督「ま、強いて言うならあの島の責任者……地主っつうか家主っつうか、保護者とでも言ったほうがいいか?」
リ級「……ナルホド。ヘーェ」
811 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/02/15(土) 21:11:07.05 ID:dLbzsdaXo
というわけで今回はここまで。
年内に終わらせたいとかこのスレで完結させたいとか思っていたのに全然話が終わってくれない…。
812 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2025/02/25(火) 00:49:11.96 ID:1hEE7ac/0
ポンポン話が思い浮かんで風呂敷が無限に広がっていってるのか…
がんばです。
813 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/02/25(火) 00:49:42.40 ID:1hEE7ac/0
やっべやらかした…
814 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:17:04.68 ID:Ct+GoMMRo
それでは続きです。
815 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:17:49.64 ID:Ct+GoMMRo
*
止准尉「……」
H大将「何度もすまないな。さて、どうして艦娘が必要なのか……それとも、ほかに目的があるのか、話を聞かせてもらおうか」
山城「さっきの変な男はどうしたの」
H大将「別室で拘束している、心配無用だ」
止准尉「……」
北上「なんか、めちゃくちゃ警戒されてない?」
提督「俺たちを信用できねえってか」
山城「当然でしょ!? あんたが一番怪しいのよ。深海棲艦と通じてるのなら、スパイを疑われて当然じゃないの!?」
提督「お前らんとこには情報行ってねえのか? 海軍や政府と条約結ぼうとしてる、艦娘と深海棲艦が共存する鎮守府がある島のことを」
提督「××国××島、かつて墓場島って呼ばれてた島だ。昔、お前んとこにいた吹雪が、若葉や川内連れて来てたよな」
止准尉「……!」
満潮「えっ、若葉たちがこの人たちと関係あるの!?」
提督「霧島と摩耶もな。ま、その二人はついでに連れてきただけで、若葉たちみたいにこいつらの艦隊に所属してたわけじゃねえが」
山城「ちょっと……あんた、どうしてそれを」
提督「その鎮守府にいた准尉ってのが、俺だからな」
816 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:18:34.17 ID:Ct+GoMMRo
山城「それじゃあ、そこの重巡は……その鎮守府にいた艦娘が、深海棲艦になったっていうの?」
提督「いいや? 少なくとも俺の鎮守府の中じゃそんなことは起きてねえよ」
リ級「……不知火。阿賀野ハ、艦娘ガ深海棲艦ニナッタ個体ジャナカッタカ?」ヒソヒソ
不知火「阿賀野さんは、私たちの鎮守府に滞在した結果で深海化した艦娘ではありません」ヒソヒソ
リ級「アア、ソウイウコトカ。ジャア違ウナ」
H大将「? おい、何をひそひそと話しているんだ」
リ級「ナンデモナイ。イロイロト疑リ深イ艦娘ダナ、ト、話シテイタダケダ」
山城「悪かったわねえ!?」イラッ!
リ級「ソレモ、仕方ナイトハ思ッテイル。私モ、島ノ外ノ人間ヤ艦娘ハ、信用シテイルワケジャナイカラ、オ互イ様ダ」
山城「は? だったら、どうしておとなしくしてるのよ」
リ級「ソコノ提督ノ言ウコトニ、従ッテイルダケダ。私ハ、ソノ男ニオ願イサレテ、ココニ来テイルンダカラナ」
荒潮「あらぁ、提督は信頼されてるのねえ〜」
山城「なんでこんな男がそこまで……」
提督「まあ、俺のことはどうでもいいんだ。俺たちが知りたいのは、止准尉が何でここに来たのか、だ」
止准尉「……」
817 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:19:19.20 ID:Ct+GoMMRo
提督「こんだけ俺が喋ってても、だんまり決め込もうってか? 観念しろよ、いい加減によ」
止准尉「……」
提督「お前は、夜が怖いと言ってたな。夜戦するのが嫌だっつってたよな。お前が夜を怖がる理由は、さっきの男と関係あるんだろう?」
止准尉「……」
H大将「……止准尉」
止准尉「……」
提督「口が裂けても喋る気がねえってか? ったく……」スクッ
H大将「提督? 何をする気だ」
提督「話す気がないなら、直接訊こうと思ってな……!」ツカツカ
山城「な、なによ!? 近寄るんじゃないわよ! 止提督に何をする気!?」ガタッ
提督「俺から危害を加えるような真似をする気はねえ。ただ……命が惜しけりゃ、動くなよ」ガシッ!
止准尉「……!」アタマツカマレ
リ級「ナンダ? アイアンクローデモ、スル気カ?」
818 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:20:04.25 ID:Ct+GoMMRo
提督「……」
止准尉「っ!? ……な、なにを……!」
提督「おいおい、今頃になって喋ってんじゃねえよ、遅すぎるぞ? それに、動くなっつったろ? 何度も言わねえぞ……!?」ギロリ
止准尉「……っ!」
不知火「司令……」
山城「動くなって、なによそれ……止提督に何かあったらただじゃおかないわよ……!」
H大将「……」
提督「乱暴するつもりはねえが、気はしっかり持っておけよ……!」
止准尉「う……!」
*
止准尉「く……」
提督「……」
北上「……止准尉、大丈夫なんだろうね?」ヒソッ
大井「すごい汗なんだけど……なに考えてるの、あの人」
819 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:20:50.00 ID:Ct+GoMMRo
リ級「不知火、提督ガ、アレヲ始メテ、ドノクライ経ッタ?」
不知火「もうすぐ10分でしょうか」
H大将「……」
提督「よし……まあ、こんなもんか」テハナシ
止准尉「っ……」クラッ…
山城「止提督! 大丈夫なの!?」ガシッ
提督「そこまで無理をさせたつもりはねえんだが、そこそこ負担だったか? あとはもう横になっててもいいぞ」
山城「止提督に何をしたってのよ、あんたは……!!」ギリッ
提督「……」
山城「ちょっと!? 聞いてるの!?」
提督「ったく、うるせえな、ちょっと整理させろ……H大将、とりあえずこれから俺が喋る話は他言無用で頼みたい。いいか?」
H大将「何の話か知らんが……まあ、いいだろう。お前たちもいいな?」
大井「……承知しました」
提督「よし。どこから話すかな……ちょっとこれまでのおさらいみたくなっちまうが、とりあえず聞いてくれ」
820 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:21:49.13 ID:Ct+GoMMRo
提督「まず、H大将、あんたは少なくとも、J少将が関わっていた深海棲艦の武器化には、反対してたよな?」
止准尉「!!」
山城「はぁ!? なによその話!?」
提督「まあ、順を追って話すから、まずは聞いててくれるか? で、今の話はそうだったよな?」
H大将「ああ。反対したせいであいつらに殺されかけたのは、お前もよく知っているだろう」
山城「んなっ!?」
提督「その深海棲艦の武器化は、かつての俺の上官であり中将の息子である大佐と、Z提督のふたりが中心になって研究していたものだ」
提督「そのZ提督は、およそ3年前、深海棲艦で作った武器の威力の実験台に艦娘を使っていたことが露見して、営倉にぶち込まれている」
提督「Z提督が捕まった後は大佐が単独で研究を続けていたが、Z提督が動けなくなり自分への監視が強まったせいで資金繰りが苦しくなった」
提督「そのせいで大佐の元を離れた研究者から、深海棲艦の武器化の話が流れてJ少将のもとにも届いた、と思われる」
提督「おそらく、大佐の続けていた研究内容を、J少将の支援している研究機関が欲したんだろう。同時に大佐も協力者が欲しかった」
提督「お互いの利害が一致したことで、J少将は、大佐に協力するていで、自分の支援している研究機関へ武器化の研究を引き継がせた」
山城「……」
提督「ちなみに、大佐が死んでからは、営倉から出てきたZ提督が組織に関わるようになった、と、推測してる」
H大将「……あの時、朧君たちを撃った、あの男のことか」
提督「ああ、そいつだ。そのZ提督と大佐が、武器化の研究をやるためにいろいろ裏で悪いことをしてたのも知っての通り」
821 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:22:34.34 ID:Ct+GoMMRo
提督「例えば資金繰りのために鎮守府の金をごまかしたり、材料調達のために危険と言われていた深海棲艦の鹵獲をしていたり」
提督「さらには作った武器の威力を検証するための、実験台にできる艦娘を集めたりもしてた」
大井「……!!」
提督「でだ、ここの時系列がちょっとややこしいんだが、その大佐たちと、J少将の支援する組織は、Z提督が捕まる前までは別物で……」
提督「組織のほうは、艦娘と深海棲艦の生態調査や、艦娘が深海棲艦に、または深海棲艦が艦娘に変わるかどうかの研究をしていたらしい」
提督「ただ、目的は違えど、艦娘や深海棲艦の実験用のサンプルが大量に必要なのは、大佐たちと同じ」
提督「つまり当時は、実験台にしても問題ない艦娘や深海棲艦を求めていた組織が、少なくともふたつ以上は存在した、ってことになる」
H大将「……」
提督「そういう奴らがいる一方で、海軍内には、深海棲艦と友好関係を結べないかと考える連中もいたわけだが……」
提督「そいつらがどんな目に遭ってるかも、H大将は知ってるよな?」
H大将「……それは、F提督たちのことか?」
提督「そういうこった。もっとも、F提督たちを襲ったのがどっちなのかはわからねえんだが……多分、大佐たちのほうなんだけどな」
提督「止准尉の先輩にあたるやつも、その辺の話に関係してるらしいんだよ」
H大将「!」
822 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:23:19.15 ID:Ct+GoMMRo
山城「ど、どうしてあんたがそれを知ってるのよ……!」
提督「止准尉が口を割らねえんで、頭から直接訊いた。いや、直接『視』たっつうほうが正しいか?」
山城「直接って……!?」
H大将「提督、止准尉も彼らと関わりがあったということか?」
提督「そこは巻き込まれたっつったほうがいいかな。止准尉自身はあいつらとは何の関係もなくて、止准尉の先輩があいつらを怪しんでたんだ」
提督「調べていくうちに行きついたのはJ少将の組織のほうだ。その調査中に、F提督も関わっていた深海棲艦との和平を目指す連中に接触したらしい」
提督「F提督たちは自分たちを妨害している相手を特定できなかったようだが、それはおそらく、大佐たちとJ少将の組織が別々だったことも影響してるんだろう」
提督「素性を探っていくうちに、そいつは身の危険を感じるようになって……万が一のためにと、止准尉に連中の情報を書き込んだノートを渡しちまった」
止准尉「……ぐすっ……!」
山城「止提督……!」
提督「その後まもなく、先輩提督が深海棲艦との戦闘で死んだわけだが、その話に変なところが多すぎると止准尉は感じたようでな」
提督「おまけに、その先輩提督が戦死してから、そいつに関わりのあった人間や艦娘が短期間で次々と姿を消した」
提督「それが納得いかねえもんで、託されたノートの中身を見て連中を知り、組織に一矢報いようとした……」
H大将「組織に接触を図ったと?」
提督「ああ、一回だけな。ただ、その一回がまあ、高坊にゃあ余りに衝撃的過ぎたんだろう」
823 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:24:06.99 ID:Ct+GoMMRo
提督「メンタルやられて、御覧の通り、って感じか。夜戦つうか、夜を異常に怖がるようになったのもそのせいだな?」
止准尉「うっ……ううっ……!」ボロボロ…
山城「提督……」セナカサスリ
提督「止准尉は、親が陸自だってのと、妖精がうっすら見えるって特殊な事情のせいで、中学出てすぐ海軍にスカウトされてる」
提督「そこで高校の授業を受けつつ、艦隊指揮に参加するようになったんだが、先生代わりに面倒を見てもらってたのがその先輩提督だ」
提督「その先輩が訳も分からず殺されて、当人は軽い気持ちで……いや、違うな。自分たちが正しいなら、悪い人間は倒せると考えたんだ」
提督「青臭い正義を掲げて、恩師である先輩提督の敵討ちのために、組織を追い詰めようとして逆に自分の無力さを思い知らされた……」
大井「それでよく今まで無事でしたね……」
提督「こいつが今まで無事だったのは、未成年だったから、じゃねえかな?」
提督「連中も醜聞に飢えたマスコミや市民団体とかに騒がれたくねえだろう。その代わり、こいつらが常々監視されてた可能性はある」
提督「あとは、わざと泳がせて接触してきた奴を始末する……いわゆる撒き餌にしたのかもしれねえな」
提督「こいつが自分の口から誰にもこのことを話そうとしなかったのも、巻き込みたくないって意識が強かったからっぽいし」
提督「ま、べらべら喋ってたら俺みたいに拉致監禁されてたかもしれねえから、悪い判断じゃなかったかもな」
山城「はぁ? あんた、拉致監禁されてたって言うの!?」
提督「俺が妖精と話せるもんで、余計なことを見聞きしないように離島に隔離幽閉されてたんだよ。こんな性格だ、危なっかしいだろ?」ニヤリ
山城「……」
824 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:24:49.32 ID:Ct+GoMMRo
提督「俺は大佐にそれをやられたが、止准尉の場合は、変なことを言い出さなかったからこそ、わざと泳がせてたとも思える」
提督「あとは……止准尉を綺麗に始末するために、未成年でなくなるまで慎重になってただけって可能性もある」
H大将「……」
大井「……」
提督「止准尉の記憶をたどって、俺が推測できる話はここまでだ」
H大将「……止准尉、今の話で、君に関する部分に間違いはないか?」
止准尉「……」
山城「提督……」
止准尉「……」
H大将「止准尉」
止准尉「……」コクン
H大将「! ……そうか。わかった」
提督「とりあえずだ、止准尉の先輩とやらは、あいつらの拠点を突き止めていたらしい。俺たちはこれからその拠点をぶっ潰す」
H大将「おい!?」
825 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:25:35.38 ID:Ct+GoMMRo
提督「なんだ、止めるなよ。俺たちはあいつらに接触したんだぞ? やられる前にやるべきだろ」
北上「提督たちだけでやるつもり?」
提督「ああ。助太刀はいらねえぞ? 海軍の中には、連中の存在をありがたがってる連中もいる」
提督「海軍の中にどれだけあいつらの飼い犬が紛れ込んでて、どんな邪魔をしてくるかわからねえし」
提督「それに、ぶっちゃけ敵味方の判別が面倒だ。協力者と共闘できるような器用な戦いをするつもりはねえ」
北上「うわ。提督もしかして、その施設にいる人間、全員殺すつもり?」
提督「当然だろ。その場にいる人間は皆殺しだ」
大井「ちょっと!?」
北上「いやー、それ大丈夫なの? 恨まれたりしない?」
大井「北上さん!? そうじゃないでしょ!?」
提督「恨まれるって言っても、あいつら潰して恨んでくる奴らなんて、だいたいはあいつらと同類の悪人どもだけじゃねえか?」
提督「そういう連中が、二度と深海棲艦や艦娘で実験しようなんて気を起こさないように、懇切丁寧にすり潰してやろうってんだ」
北上「……提督ってば、本っ当に悪い顔するの得意だよねえ……」
提督「ま、大井の心配する法律的な意味でなら、警察とかに目の敵にされても仕方ねえけど、そこは俺たちが気にしてもしょうがねえ」
提督「今も悪人扱いされてる俺たちが、力づくで無理矢理終わらせちまえばいいだけだ」
H大将「……人の法に縛られない、お前たちが全部やろうということか」
提督「まあ、そういうふうに受け取ってもらいてえな」
826 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:26:20.24 ID:Ct+GoMMRo
止准尉「あ、あの……!」
提督「!」
止准尉「あ、あなたが……先生の……先輩たちの、かたきを、とってくれるんですか……!?」
提督「あぁ? 何言ってんだ。俺は、俺の仲間を守るために、俺たちの敵であるあいつらを潰すんだ。お前の先輩なんざ知らねえよ」
止准尉「あ……」
提督「ただ、お前が勇気を出してここに現れたことには感謝してるぜ。そうじゃなきゃ、俺があいつらに辿り着くのは困難だっただろうからな」
止准尉「っ!!」ウルッ
提督「さてと。不知火、リ級、すぐに帰るぞ。あいつらが何か行動を起こす前に追い詰めて、何もかも潰してやらねえとな……!」
リ級「ナンダ、モウ帰ルノカ。姫様ニモ話スノカ?」
提督「ああ、勿論だ。協力も仰ぎたい」
大井「帰るって……船の準備ができていませんよ!?」
提督「しなくていいぜ」
神殿の扉<ズバァン!!
不知火「!!」
大井「な、なに!? 今度はいったいなんなの!?」
H大将「扉がいきなり現れた……!?」
827 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:27:04.40 ID:Ct+GoMMRo
提督「行きはよいよい帰りは恐い……って、大鳳が歌ったあの歌とは逆だな。俺はあの島へはすぐに帰れるんだよ、帰宅限定だけどな」
H大将「ドラ○もんか、お前は……」
提督「そこまで便利なもんじゃねえけどな。よし、行くぞ不知火、リ級」ガチャッ
不知火「は、はい!」
リ級「了解ー」タタッ
H大将「待て提督! 最低でもX大佐には連絡しろ!」
提督「あぁ……?」
H大将「あいつはお前のお目付け役だ。お前が勝手に動けばあいつが責任を取る立場にある」
H大将「俺からX大佐に連絡を入れておく。あいつから連絡があるまでは動くんじゃない!! いいな!?」
提督「……ちっ、仕方ねえな。連絡は早く寄越せよ、俺たちは準備を進めるからな」
H大将「わかっている。くれぐれも早まるなよ……!」
不知火「では、H大将閣下、急で申し訳ありませんがこの場は失礼いたします」
不知火「R提督にもよろしくお伝えください。では」ケイレイ
神殿の扉<パタム!
神殿の扉<スゥゥ…
大井「……消えた……」
828 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:28:04.44 ID:Ct+GoMMRo
北上「いやあ、提督も完全に人間やめちゃったねえ」
H大将「まったく、あの男も勝手なものだ……!」
山城「ちょっと……いったい何者なの、あの男は!?」
H大将「……元海軍の、元人間……と言ったところか」
山城「もと、にんげんって……それじゃ、いったい何なのよ」
H大将「正確な正体については、我々もよくわかってないと言わざるを得ん。魔神などと呼ばれているが、正体はわからん」
H大将「確実にわかっていることと言えば、あの男は、艦娘たちと、一部の友好的な深海棲艦たちを保護しようとしている、ということだ」
H大将「さっきも言ったが、あの男の目的は、行き場を失ったJ少将の艦娘が、変な提督のもとに配属されないようにするため」
H大将「そして、艦娘や深海棲艦を対象に実験を続けている組織の手掛かりを掴むため、というのもあったのだろう」
H大将「あの男にとって、その組織は滅ぼすべき因縁のある相手……あいつの言う通り、艦娘と深海棲艦の敵だからな」
山城「……」
H大将「さて、止准尉。君はその組織についていろいろ知っているようだが、詳しく聞かせてもらえないだろうか」
H大将「君の身柄の安全は保障する。君の艦隊……艦娘たちも、私の鎮守府でまとめて保護しよう」
止准尉「……あの……」
H大将「どうした」
829 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:28:49.30 ID:Ct+GoMMRo
止准尉「あなたは……突然、どこかに行ったり、しないですよね……?」ガタガタ…
H大将「……」
止准尉「あなたは……死んだり、しない……です、よね……!?」ボロボロボロ…
H大将「……」
大井「……」
H大将「俺たちは軍人だ。残念だが、死なない、と言う保証はできかねる」
H大将「だが、守るべきものは、命を賭して守る。君の命も、我々の誇りも。死んでいった仲間のためにも……」
H大将「死ぬつもりはないし、無駄死にするつもりもない」
止准尉「うっ、うええっ……うえええ……」ボロボロボロ…
山城「……」
H大将「山城。貴様は、この話をどこまで知っている?」
山城「全然知らないわよ……何から何まで、今の今まで。全部、初耳よ」ギリッ…
H大将「そうか」
山城「提督……だからなのね? 私たちを危険な海域に向かわせようともせず、それでまともな戦果も挙げられず……」
山城「そのせいで鎮守府が落ちぶれても、艦娘を過保護にして手放そうともしない」
830 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:29:34.47 ID:Ct+GoMMRo
山城「あの島に若葉たちを連れて行ったのも、誰かに狙われることのない、いわく付きの島だと聞いたから……」
山城「余所から引き抜いたあの吹雪の解体にあそこまで世話を焼いたのも、その組織とかいう奴らに狙われないようにしたかったから……」
山城「そういう、ことなのね?」
止准尉「ぐす……っ」コクン
山城「そう」
H大将「……」
山城「まったく……呆れるわ。間違ってるわよ、こんなの」ハァ
山城「こんな優しすぎる子を、戦争に巻き込むだなんて。この国の大人はどうかしてるわ」
山城「戦時中だから、なんて言い訳するような卑怯な大人は、あず○バーで歯が全部砕けて総入れ歯になってしまえばいいんだわ」フン
大井「……なんなのよその喩え……」
山城「わかりづらくて悪かったわね。死なない程度に全員不幸になればいい、と思っているだけよ」ムスッ
H大将「……まったく、耳が痛いな。将来ある子供を守るはずの大人がこのざまでは、そう言われても仕方ない」
H大将「妖精が見える人間を……それが子供であっても戦争の世界に引きずり込むことに、何の疑問も持たなくなっているのは危機的状況だ」
H大将「事情を聴いて『じゃあ仕方ない』ではいかん。俺も含めて、すべての海軍の人間は、一度頭を冷やす必要があるな」
大井「H提督……」
831 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:30:19.73 ID:Ct+GoMMRo
北上「そんじゃ、冷やすためにもアイスでも買ってきますかねえ。あ○きバーでいい?」
H大将「止准尉のような若者が食べるとは思えん。ハー○ンダッツを買ってこい、俺は抹茶で頼む。保冷バッグも持っていけよ」イチマンエンサシダシ
北上「おお〜、マジで? いいんですか?」
大井「提督? ご自身が食べたいからと、そうやって人を巻き込んで無駄遣いするのはどうかと思いますが?」ジトメ
H大将「! ……」
大井「提督?」
H大将「……ああ、すまん。間宮のほうが良かったか」
大井「そ、そうではなくて! なにか、気まずそうにしてましたけど、大丈夫ですか?」
H大将「大丈夫だ」
山城「私はあ○きバーのほうが良かったんだけど……不幸だわ」
北上「んじゃ、一番奥底の特別固いの選んで買ってくるねえ」タタッ
山城「……」
H大将(大井の言い方がいよいよ亡き妻に似て聞こえてきたな……やれやれ、俺も焼きが回り始めたか?)
* * *
* *
*
832 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:31:04.49 ID:Ct+GoMMRo
* 神殿内 *
(篝火が灯る神殿内の廊下を歩く提督たち3人)
リ級「便利ダナ、コノ能力ハ。制約ガアルトハイエ、ドンナ遠距離デモ、歩ケル距離ニデキルノハ、スゴイゾ」
不知火「はい。神殿の中を歩くことにはなりますが、この程度の広さなら苦になりませんからね」
提督「とっとと帰って組織の場所を確認するか。確実にするためにも偵察部隊を組まないとな……」
リ級「ソレ、ドコナンダ?」
提督「日本の横浜だ。時雨が言ってた場所と、止准尉の記憶の場所がほぼ一致してる。おそらくそこが『当たり』だ」
不知火「場所は特定できたということですか」
提督「まあな。確か、海から侵入できるところもあるらしい。潜水艦たちに探ってもらって……ん? なんだ?」
不知火「司令? どうなさいました?」
<ギャアアァ…
不知火「!」
ニコ「やあ魔神様、戻ってきたんだね」スッ
リ級「ウワ!?」ビクッ
提督「……また神殿に侵入者か? こっちも騒がしいな」
ニコ「うん。でも大丈夫、メディウムのみんなで撃退したから、安心していいよ」
833 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:31:49.49 ID:Ct+GoMMRo
リ級「ソレヨリ、イキナリ現レルナ……ビックリシタ」
不知火「ニコさん、侵入者というのは?」
ニコ「この神殿が、魔神様の魂を封印した場所だってことは、以前魔神様が説明してくれたと思うんだけど」
ニコ「その魔神様を復活させるために、ぼくたちは近隣の人間を結構殺しちゃったんだよね」
リ級「……ソノ仕返シ、カ?」
ニコ「ぼくたちが殺して行方不明になった人間がどこに行ったのか、その調査のために、人間たちがこの神殿に入り込んできてるんだ」
ニコ「その人間たちを逐一退治していたら、本腰を入れてきたって感じかな?」
ニコ「もともと魔神様は、一千年以上も前から、人間どもから排斥されてきたから、仕返し以前の話ではあるけどね」
リ級「ソンナニカ……」
メラッ
リ級「! オイ、後ロヲ見ロ!」
提督「後ろ?」
血まみれの男性?「おのれ、魔神の使徒め……! 神の裁きを受けるがいい!」
不知火「人、ですか……!?」
リ級「アイツノ杖ノ先カラ、火ガ出テルゾ!?」
834 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:32:34.49 ID:Ct+GoMMRo
ニコ「あの魔術師、まだ生きていたんだ……!」
不知火「魔術師……!?」
ギルティランス<ズガシャーン!
魔術師「ぎゃああ!?」ザクザクザクッ
スプリングフロア<ズパーン!
魔術師「ひいいい!?」フットビ
トゥームストーン<ヒューー…ドズゥゥン!
魔術師「」
不知火「……」タラリ
リ級「……コレハ、死ンダナ」タラリ
ニコ「うん。今回は殺せたけど、今の魔術師はテレポートを使うから油断できなくてね。罠をすり抜けてくる暗殺者もいるし」
リ級「テレポート? エ、ナニソレ、コッチノ人間オカシクナイ?」
不知火「ニコさんは普段鎮守府に姿を見せていませんでしたが、それは、神殿への侵入者を撃退するためにこちらにいたということですか」
ニコ「頻度は高くないけど、そうだね。艦娘や深海棲艦のみんなにも手伝ってもらえば、もっと簡単に退治できるかもしれないけど……」
ニコ「こちらの世界のトラブルを、そっちに持ち込むのはあまり良くないかな、って思ってるんだ」
ニコ「万が一にも、そちらの世界にこちらの人間を連れ込むわけにはいかないから。あのエフェメラみたいにね」
835 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:33:19.35 ID:Ct+GoMMRo
不知火「ニコさんが門番の代わりにもなっている、ということでしょうか。司令、不知火たちは何かできますでしょうか」
提督「手伝えるとは思うが、こっちには海がねえみたいなんだよ。神殿が山の中で、あってもせいぜい湖沼って程度の水場なんだ」
リ級「ソレダト、私タチハ全力ガ出セナイナ。半陸上型ノ姫様ナラ、多少話ハ違ウケド」
提督「……なあニコ、あのエフェメラって、人間の俺が生まれる以前から、向こうの世界にいたんだよな?」
ニコ「うん。もしかしたら、ここの神殿の扉みたいな場所が、島の鎮守府以外のどこかにも現れてるのかもしれないね」
リ級「ソッチノ世界ノ人間ガ、ソノ扉ヲ使ッテ、攻メテクル可能性ハナイノカ?」
ニコ「ないとは言えないけど……それは余程でない限りできないと思う。この扉を開くための条件も多いし、なにより魔神様の力が必要なんだ」
ニコ「この世界で最も信者の多いアルス教徒たちは、魔神に関係あるものは全部消滅させようとしていたほどだったから」
ニコ「魔神様の力を使おうとした時点で、魔神様を敵視している教会に弾劾されて、裁判にかけられ処罰されるだろうね」
ニコ「もっとも、その解釈自体を自分の都合のいいように言い換えて、魔神様の力を利用する輩もいるだろうから、油断はできないけど……」
ニコ「ぼくが魔神様を復活させるのに苦労したように、今の人間たちが持つ情報から、魔神様の力で扉を作ることは相当難しいはずだよ」
ニコ「もうひとつ懸念があるとしたら、倒したエフェメラの開いた扉を、人間たちが再利用しないかどうか、だけど」
ニコ「エフェメラが倒れたことで魔力の供給が断たれているはず。希望的観測ではあるけど、再利用は難しいと思うよ」
不知火「扉を開くのは難しい、と仰いましたが、ニコさんは比較的自由に扉を開けていますね?」
不知火「司令も同じことができるようになっていて驚いたのですが」
836 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:34:19.46 ID:Ct+GoMMRo
ニコ「一度開いてしまえばあとは割と自由が利くんだ。それに、魔神様との魔力のリンクも済ませてる」
ニコ「だから、魔神様が神殿内やぼくのいるところに扉を開くこともできるし、ぼくも魔神様のいるところに瞬時に現れることができるんだ」
不知火「なるほど……」
リ級「……」
提督「ん? どうかしたか?」
リ級「……コッチノ世界ハ大変ダナ。話シ合イニ応ジル人間ガイル分ダケ、私タチノ世界ノホウガ、少シマシニ思エルナ?」
ニコ「そうかもしれないね。ぼくたちの世界の人間は、どうあっても話の通じない相手だから、言うことをきくまで叩き潰すしかないんだ」
ニコ「こちらの世界の戦いは、人を滅ぼさない限り続くと思う」
提督「……」
ニコ「だからこそ、ぼくは魔神様の完全なる復活を望んでたんだ」
ニコ「……今は、そうでもないんだけれどね」ポ
リ級「ヘーエ……」ニヤニヤ
提督「お前もにやついてんじゃねえよ……ったく」アタマガリガリ
837 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:35:04.30 ID:Ct+GoMMRo
不知火「ふむ……ニコさん? ひとつ質問してよろしいでしょうか」
ニコ「なにかな?」
不知火「ニコさんたちが敵対している、アルス神教……でしたか」
不知火「もし、この神様を信じていないか、対立している人たちがいたとしたら、その人たちと友好関係が結べるものなのでしょうか?」
ニコ「それは考えづらいね。本来の魔神様は人間に慈悲を与える存在じゃない。人間は魔神様の奴隷であり、供物にすぎないんだ」
ニコ「そちら側の人間は、今の魔神様といくらか理解があるからそういう関係が成り立ってはいるけれど」
ニコ「ぼくたちの世界の人間が、そう言い伝えられている魔神様と理解しあえるか、と言う問題が大きいし」
ニコ「なにより、魔神様がどうお考えかが大事なんだ」
ニコ「魔神様が気に入らないと感じたなら、ぼくたちは何の容赦もなく人間を屠るよ。ぼくたちにとっては魔神様が絶対だからね」
不知火「なるほど。司令のお考え次第、ということですか」
提督「まあとにかく、俺はこっちの世界だって気にしてないわけじゃない。つうか、この神殿がニコたちにとって大事な場所なんだろ?」
提督「お前たちが気に入らない相手なら、俺にとっても敵だ」
ニコ「魔神様……!」
提督「だから、ニコも遠慮なく俺を呼べ。艦娘や深海棲艦だって協力はしてくれるだろうさ」
ニコ「……うん、ありがとう。魔神様は優しいね」フフッ
ソニア「もー、ニコちゃんばっかりおしゃべりしてずるーい! 魔神様っ、こうやって働いてる私たちのことも、褒めてほしいなあ〜」ニュッ
ニコ「うわっ!? スプリ……じゃなくて、ソニアっ!?」
838 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:35:49.41 ID:Ct+GoMMRo
提督「おう、実働部隊もご苦労さん。ソニアだけじゃねえよな? 食堂でお茶にするでもいいし、各々しっかり休んでくれ」ナデナデ
ソニア「えへへぇ〜」ナデラレ
コーネリア「しっかり休め、か……それじゃ、次に備えてそうさせてもらうか。戦いで一番重要なのは、備えだからな」
マルヤッタ「わたしもゆっくり休ませてもらうじょ……ふわぁ」
提督「とりあえず、もう敵はいないんだよな?」
ニコ「うん、さっきのが最後だね。ぼくはみんなを呼んで休んでもらうよう伝えるよ。魔神様は鎮守府に行くのかな?」
提督「ああ。艦娘たちで実験してる組織の場所が分かったんでな」
ニコ「ということは、いよいよ決戦だね」
提督「……まあ、そうなんだがな」ウーン
ニコ「?」
839 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2025/03/02(日) 20:36:39.78 ID:Ct+GoMMRo
と言うわけで今回はここまで。
進めようとしていたルートから若干外れて、お話が作り直しになっております。
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