【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」ニコ「その3だよ」【×影牢】

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277 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:08:50.80 ID:2hG6NbIAo

提督「お前の持ってる罠の傾向はだいたいわかった。お前、見た目が屈辱的で痛そうな罠ばかり揃えてるな」

弟「……お前の最期に相応しい罠を用意してやっただけだ。嬉しく思うんだな!」

提督「はっ、馬鹿が。余程、俺を辱めたいようだが……生憎、俺はお前なんぞに用はねえんだよ」

弟「用はない、だとぉ……!?」イラッ

提督「ああ、お前の面なんざ見たくもねえ。とっととおうちに帰んな」シッシッ

弟「お前如きが俺に指図するなと言っているだろうが……!! 落ちこぼれの出来損ないの、我が家の恥さらしの分際で!!」

弟「何の地位も能力も持てなかった無能のくせに! 一般社会に適合できなかった落ちこぼれのくせに! その偉そうな態度はなんだ!!」

弟「父さんにも迷惑をかけ続け、母さんにも毛嫌いされるようなお前が取っていい態度だと思うか! 恥知らずめ!! この世のゴミめ!」

提督「……」

如月「なにあいつ……」ドロリ

大和「提督に向かってなんてことを……」ドロリ

戦艦水鬼改「殺ス」ゴワッ

南方戦艦新棲姫「殺ッチャウカ!」ギラッ

ニコ「うん、殺っちゃおう」ゴゴゴゴ…
278 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:09:36.12 ID:2hG6NbIAo

飛龍改二「ちょっと!? さっきからいったい何の話!?」

蒼龍改二「みんな殺気立ってて怖いんだけど!?」

山城「説明してる余裕はないからちょっと静かにしててよ……」

天龍改二「よくわかんねえけど、よくわかんねえ力で戦ってるってことだよな」

綾波改二「手出ししないでおとなしく静観してたほうがいいみたいですね」

天龍改二「むしろいつでも避難できるようにしてたほうがいいな」

山城「なんでこっちだけ物分かりがいいのよ……」

コロラド「アヤナミとテンリューは、艦隊の Veteran らしいわよ」

霧島改二「川提督艦隊の、初期艦に次ぐナンバー2とナンバー3ですので……」

山城「……そう。まあ、なんでもいいけど」
279 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:10:20.66 ID:2hG6NbIAo

弟「魔神の力は、お前みたいなゴミが持ってていいものじゃない! 俺のような、有能な人間に使われてこそ世界の役に立つものだ!!」

弟「そこの雑魚メディウムども!! 俺の力を見ただろう! 魔神はそいつなんかじゃない、俺こそが真の魔神だ!!」

ディニエイル「哀れですね。借り物の力を自分の力だと勘違いしているようです」

オディール「わたくしたちの魔神様に対して取っていい態度ではありませんわよねぇ?」

ニーナ「我らが魔神様に対する侮辱の数々、その命をもって償っていただきましょう……!」

弟「歯向かうようならお前たちも処断するぞ! さあ、そこにいるまがい物の魔神を殺せ! この俺に、生贄として捧げろ!!」

ゼシール「まがい物だと?」

ジェニー「まだ言うの!」ムカムカ

朧「……あいつ、もう撃っていいですか」ジャキッ

那珂「ちょっ、朧ちゃん!?」

艦娘たち「「……」」ジャキジャキジャキッ

深海棲艦たち「「……」」ジャコンジャコンジャコンッ

那珂「て、提督さん!! みんな無言で構え始めてるんだけどー!!」

山城「ちょっと提督!? いくらなんでもこの数は抑えきれないわよ!?」

那珂「ぶっちゃけ那珂ちゃんも抑えたくないでーす!!」ジャキッ

山城「那珂ちゃんちょっとおおお!?」ガビーン!
280 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:11:08.34 ID:2hG6NbIAo

提督「ああ、待て待て、その必要はねえよ。もう、終わってるからな……!」ダッ

榛名「!」

弟「な、何を企んでる!?」ジリッ

 ギュム

弟「な……?」

 テツクマデ<バチコーーン!

弟「ぐ、あ……!?」ヨロヨロッ

 ヒューマンキャノン<ガシャッ!!

弟「うおっ!?」スポッ

提督「よぉし! よくやったぜ、ミュゼ、ヴィクトリカ」

ミュゼ「いえいえ、ご主人様の誘導のおかげです!」ポフッ

ヴィクトリカ「さすがはキャプテン、いい勘してるぜ!」ポフッ

榛名「ミュゼさん、いつの間に私の艤装から降りてたんですか!?」

山城「私が載せてたヴィクトリカも……!」

弟「な、なんだこれは!? この罠は、もしかして」

ヴィクトリカ「なあキャプテン、こいつ何か言ってるけど……」

提督「ああ、聞くだけ無駄だ。無視していいぞ」

ヴィクトリカ「了解! 発射ああ!!」

弟「なっ!? て、てめ」

 ヒューマンキャノン<ズドーーーン!!

弟「うわああぁぁぁ……」バヒューーー…ン

提督「……ふん」
281 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:11:50.54 ID:2hG6NbIAo

朧「提督、話も聞かずに飛ばしてしまって、良かったんですか?」

提督「あいつから聞ける話なんて、たかが知れてるさ。あいつの魔神の力も借り物だしな」

提督「それに、余力があるのにこうやって有無を言わさず退場させられる方が、力を誇示したがるあいつにとっちゃあ余程屈辱的だろう」

ヴィクトリカ「ミュゼとあたしだけで片付けろなんて言うから、随分あっさりしてるなって思ったけど、そういうことか」

ミュゼ「魔神様、あいつ、本当に殺さなくて良かったんですか? 皆さん、滅茶苦茶やる気だったじゃないですかー」

提督「あいつの魂なんかいらねえよ。ミュゼたちに気付けなかった程度だから、力も大したもんじゃねえし、何より俺の魔力に混ぜたくねえ」

ニコ「……魔神様がそう言うなら、納得するけど」ムスッ

ナンシー「ニコちゃんは嫌だった?」

ニコ「ぼくは、残虐系のみんなに活躍してもらいたかったけどね」

泊地棲姫「私モ、アイツハ、ブチ殺シタカッタ」

戦艦水鬼改「人間ハ、ソウイウトコロハ遠回シヨネ? ヒト思イニ、ヤレバ良カッタノニ」

那珂「ああいう人って、また来ちゃうんじゃない? ストーカーになっちゃったらやだなー」

ヴェロニカ「結局、私の出番はなかったってこと?」(On如月の艤装)

カオリ「私までサーブが回ってこなかったのが残念です」(On朧の艤装)

キュプレ「っていうか、まさかミュゼさんがここで活躍するなんて予想外よね!」

ミュゼ「海の上じゃなかったですからね〜」エヘヘ
282 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:12:35.64 ID:2hG6NbIAo

山城「っていうかあなたたち、いつの間に私の艤装から移動してたのよ」

ヴィクトリカ「近距離なら魔神様とは意思疎通できるんだよ。で、あたしたちの意思に関係なく動かしてもらえるんだ」

山城「提督の魔神化もいよいよ本格化してきたわね……」

ニコ「ねえ魔神様、あいつらはどうするの?」

提督「ん……」

団員1「うう……痛え、痛えよぅ……」

団員2「お、おい、しっかりしろ。だ、誰か、誰か助けてくれ!」

提督「……おい」

団員2「! す、すまな……申し訳ない! これまでやってきたことは謝罪する……どうか、こいつを助けてくれないか!?」ドゲザッ

提督「この島に、人間が治療できる場所はねえよ」

団員2「そんな……!?」

提督「だから、とっととお前らの船に戻りな。お前らの乗ってきたゴムボートは無事だろ」

団員2「!」

提督「この場は見逃してやる。早く行け」

団員2「わ、わかった……本当に申し訳ない! お、おい! 少しの辛抱だ! 船に戻るぞ!」グイ

団員1「ぐぅう、痛えよぉ……!」ヨロヨロ

 ゴムボート<バゥーー…
283 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:13:20.63 ID:2hG6NbIAo

如月「……司令官……」ホッ

ニコ「面倒ごとを避けた、と見ていいのかな……?」

提督「ああ、油断するなよ。まだ敵は潜んでる」

山城「は?」

提督「あいつに……あの馬鹿に、罠を操る力を与えていたのは、エフェメラ。お前だな?」

??「……私の名を……なるほど、そこの出来損ないから教わりましたか」

提督「出来損ない……?」カチン

 ヒュワッ!(何もないところから突然現れるエフェメラ)

??→エフェメラ「小賢しいですね……魔神様の威を借る、死に損ないの亡霊の分際で……!」

ニコ「……!」

提督「何しに来やがった? お前、俺の父親に接触してきたエフェメラだろ? 何が目的だ」

エフェメラ「……おかしいですね。あなたが、この私のことを知り得る可能性はないのですが。どういうことでしょう」

エフェメラ「もしや、魔神様の力だけでなく、記憶も目覚めかけている……?」

提督「何を言ってやがんだ……何を知ってる?」

ニコ「なんであの人間を使って、魔神様を殺そうとした!? ぼくたちの魔神様をどうするつもり!?」

エフェメラ「……真なる魔神様なら、血縁であろうと、あの程度の小物は躊躇いなく始末できたはず」

エフェメラ「いかに華麗に、残虐に、そして屈辱的に殺せるか……魔神様の復活の度合いを測るため、けしかけたのです」
284 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:14:05.64 ID:2hG6NbIAo

エフェメラ「その結果……私の期待は、大きく裏切られました。更には手負いの人間ですら、まともに殺そうともしないとは……」

提督「けっ、手前の思惑通りに動いてたまるかよ」

エフェメラ「不可解です。どうしてこうなったのかわかりませんが……やはり、いまのお前は魔神様と呼べない、不完全な存在……!」スッ

ニコ「みんな、戦いの準備を!」

ニーナ「はいっ!」

提督「艦娘と深海棲艦は下がってろ……何をしてくるかわからねえからな」

如月「大破してる大和さんは後ろに回りましょ!」

大和「え、ええ……!」

泊地棲姫「軽巡棲姫モ、下ガッテナサイ」

軽巡棲姫「私ハ、大丈夫ヨォ……!」

綾波改二「あ、新しい敵ですか……!?」

敷波「いいから下がってて! 何が飛んでくるかわかんないから!」

天龍改二「お、おう……任せて大丈夫なんだろうな?」

ブリジット「こ、ここは我々に任せて退くであります!」

カオリ「はいっ! さっき戦えなかった分、ここで挽回して見せます!」

ヴィクトリカ「私も一発だけじゃあ不完全燃焼だからな! 行かせてもらうぜ!」

ヴェロニカ「さあ坊や、私たちに命じなさい。あんなオモチャ、私たちがバラしてあげるわ」
285 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:14:51.98 ID:2hG6NbIAo

エフェメラ「メディウムが、私と戦う理由はないはず……私の望みは、魔神様の復活」

エフェメラ「そこの使い魔。お前もそうなのでしょう……ならば私に従いなさい」ジロリ

ニコ「ぼくたちの魔神様に手出しをしようと言うのなら、話は別だよ……!」

エフェメラ「……情に絆され本来の魔神様の姿を見失いましたか。真なる魔神様に、慈しむ心など不要です」

エフェメラ「その男が下僕とした艦娘と深海棲艦を生贄に捧げ、その弱い心を、憤怒と憎悪と失望をもって灼き尽くす……」

エフェメラ「そうすることで、真なる魔神様が顕現なさるはずだった……なぜ、お前たちはそうしなかった?」

ナンシー「如月ちゃんたちを殺そうって言うの!? そんなことやらせないんだから!」

ジェニー「今のリーダーもそうだけど、この世界の仲間のことも、結構気に入ってるのよ!」

ソニア「そうよ! 余計なことしないで!」

エフェメラ「まがい物を魔神様だと信じて崇めるとは……哀れな」

ニコ「まがい物だって!?」

エフェメラ「よく見ておくといいでしょう……魔神様の真の目覚めに、不純物は不要だと……!」バッ!

提督「ぐあっ!?」ビキッ

如月「司令官!?」

ニコ「魔神様!」

提督(なんだ!? 体が動かねえ……!)
286 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:15:39.04 ID:2hG6NbIAo

アーニャ「大変! 魔神様の体が宙に浮いてるよ!!」

キュプレ「私の矢の力で、ご主人様を引っ張って助けるわ!」

 ペッタンアロー<パシュ!

  バチッ!

 ペッタンアロー<ポヨーン

キュプレ「あ、あれ? 何かにぶつかって弾かれちゃった!?」

シエラ「バリアでも張られてるデスか……!?」

ゼシール「まずいな、私たちの武器じゃ魔神様の体を傷付けてしまうぞ……!」

南太平洋空母棲姫「ソレナラ、アイツヲ、殺レバイイノネ?」ギロッ

ニーナ「危ない!」ドンッ

南太平洋空母棲姫「!?」

 ペンデュラム<ヴォンッ!!

ニーナ「……やはり、あの人間に力を貸していたのはエフェメラの力だったみたいですね」

南太平洋空母棲姫「ゴメンナサイ、助カッタワ」

エフェメラ「下がっていなさい。先にお前たちを始末しても良いのですよ」

敷波「なんなんだよお、これじゃ、迂闊に攻撃できないじゃん……!」
287 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:16:20.68 ID:2hG6NbIAo

ニコ「エフェメラ……魔神様をどうする気!」

エフェメラ「あなたの魔神様を、真の姿に戻してあげようというのです」

ニコ「なんだって……!?」

提督「ぐ、ぎ……がああああああああああ!!」


 バリバリバリッ!!


「「きゃああっ!!」」

 (提督の周囲の空気が大きな破裂音を響かせる)

 (次の瞬間、空中に拘束されたまま気を失っている提督と)

 (その提督の足元で、何者かがうつ伏せに倒れ込んでいる)


山城「……くぅ、な、なんなのよ一体……!」

ディニエイル「魔神様……は、無事、なのですか?」

ソニア「ちょっと待って、魔神様の下に誰か倒れてる!」


提督?「ぐぅ、痛ってぇ……なんか、からだがヒリヒリしやがる……!」ムクッ
288 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:17:05.53 ID:2hG6NbIAo

大和「どういうことでしょう……提督が二人いるようにも思えるのだけれど……」

榛名「は、はい、雰囲気はそうですけど、あちらは女性のように見えるのですが……!」

蒼龍改二「えっ? あれは深海棲艦じゃないの……?」

敷波「……えっと、見た目は、そうかもしれないけど……」

綾波改二「リ級か、ネ級でしょうか? 重巡クラスに見えますが……」

天龍改二「ああ、雰囲気は重巡だな……けど、装備とか全部剥げてんじゃねえか? おまけに全身ひびだらけでボロボロだ」

コロラド「U.S.Navy っぽくはないわね……誰かしら」

如月「あれは司令官じゃないの? 司令官っ!」タタッ

戦艦水鬼改「提督カ!? シッカリシテ」タタッ

提督?「く……あ、ああ、如月と、ル級か? いったい何が……うお、俺が飛んでる!?」

如月「!?」

戦艦水鬼改「!?」

提督?「? ど、どうした?」
289 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:17:50.72 ID:2hG6NbIAo

戦艦水鬼改「……胸ガ、アル」

提督?「は? ……って、なんだこりゃ? 体が白くなっててひびだらけで……もしかして裸か!?」

如月「し、司令官……これ……」カガミサシダシ

提督?「……なんだこの顔!? 俺また死んだのか!? ってか、女みたいな顔になってる!? なんだか声も高えぞ!?」

戦艦水鬼改「……カラダニハ、サワレルナ。死ンデハイナイゾ」ペタペタ

防空巡棲姫「重巡棲姫ノ見タ目ニ近イネ? 髪型モ似テルシ」

軽巡棲姫「コレハ、重巡棲姫トイウヨリ、提督棲姫ネェ……?」

提督?→提督棲姫「冗談だろ……?」

朧「でも、本当にその通りですよね。体つきも女性のそれになってますし……」

提督棲姫「うわ、アレもねえ!? マジかこれ!!」コカンツカミ

泊地棲姫「女ニナッタノカ……面白クナイナ」ションボリ

提督棲姫「そんなこと言ってる場合じゃねえよ!」

南方戦艦新棲姫「腹ニ、裂ケ目ガアルナ……」

深海海月姫「重巡棲姫ノ名残カシラ……ココカラ艤装ガ生エテタワヨネ?」

榛名「そ、それより、素っ裸になってらっしゃいます。何かお召し物を……!」アセアセ

如月「司令官、足を閉じて。あぐらなんかかいてたらお行儀悪いわ」メッ!

提督棲姫「そんなこと言ってる場合でもねえよ!」
290 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:18:38.84 ID:2hG6NbIAo

山城「っていうか、どういうことよ? こっちの提督が深海棲艦なら、あっちの提督はなんなのよ」

ニコ「……魔神様だよ。そこにいる深海棲艦は、魔神様じゃない……」

提督棲姫「……!」

エフェメラ「その通り。魔神様から、不純物を取り除きました」

如月「司令官を……!」キッ

戦艦水鬼改「不純物ダト……!?」イラッ

ニコ「……」

エフェメラ「そう、その不純物が、魔神様の目覚めを妨げていたのです」

エフェメラ「魔神様の力を覆い隠し、包み込んで封じ込めていた、忌まわしき者……!」

提督棲姫「なんだと? それじゃ、あっちは……あの俺の体が魔神だってことか!?」

エフェメラ「さあ、魔神様、お目覚め下さい。今こそ、世界に破壊と破滅と絶望をもたらし、恐怖によって支配するときです」

提督の体「」ピクン

提督の体「」ビクンビクン…!

ニコ「……この魔力……!」

如月「危ないわ、司令官避難して!」グイッ

戦艦水鬼改「私ガ連レテイク! コレッテ、ヤバクナイノカ!?」ダキカカエ

提督棲姫「ああ、やばいな。あれは俺の体だってのに……やるしかねえのか?」カカエラレ

 ゴォオオオッ!!

朧「うわっぷ……!!」

飛龍改二「と、突風が……!」

山城「ちゃんと捕まってなさい!」

軽巡新棲姫「ナンダッテ言ウノヨ、モー!!」
291 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:19:50.76 ID:2hG6NbIAo
今回はここまで。

保留していた>51に対するニコちゃんの答えは、
>281が回答となります。


>258-259
深海勢は曽大佐艦隊を大破させた点ですでに大活躍していますので、
最後だけメディウムに譲ってあげた感じです。
マリッサはエロ要員としては非常に使いやすくて暴走させすぎないようにするのが大変です。

>260-261
米軍艦モチーフの深海勢なので、ジャパニーズ〜はどうしても言わせたかったネタです。
誰かが「繰り返しはベタネタの基本」と言っておられましたが、その通りだと思います。

>262-263
まあ、ヤられちゃったあとですので……その表現、使えば良かった。
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/09(土) 21:17:53.94 ID:UinDsjOz0
話が大きく動きましたね…。
エフェメラ曰く不純物の深海棲艦の要素が提督の意識ごと分離されて、重巡棲姫の姿は提督の魂の形がそのまま出てきたってことでしょうか。
今や提督は深海棲艦、メディウムが味方する理由はなくなってしまったわけで…。
エフェメラはどうやら時をかける時雨のことは認識していないっぽい?
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/11(月) 09:05:58.94 ID:vGCUy6BM0
生き別れの提督に火の粉を振りかける弟!
だがその火の粉は生半可な物ではなかった。
エフェメラによって提督の力は分けられ魔神の力のみが本体に残った。
生まれる深海棲艦の提督、そして暴れ出すエフェメラ。
この事態を深海棲艦やメディウム達、艦娘達はどうするのか?
294 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:24:49.75 ID:kEJEaoCZo

今回はニコちゃんが追い詰められる回です。初登場はこちらの二人。

・ユリア・カタパルト:ゴルファーのような風貌の女性のメディウム。床が斜めに勢いよくせり上がり、遥か遠くに人間をかっ飛ばす罠。
  ゴルフクラブを手にした長身の女性。スポーツマンに見えるが酒好きメディウムの一人。眺めのいい景色や、風を感じることが好き。
・ヒサメ・スリップフロア:雪女のように冷気を漂わせた着物姿のメディウム。地面を凍結させて、足を踏み入れた人間を転倒させる罠。
  気に入った男は凍らせて飾るのが趣味と宣う、雪女のような女性。掴みどころのない性格で、大人の余裕を見せながらからかってくる。


最初に謝っておきます。出オチ感がひどくてすみません。
続きです。
295 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:25:33.87 ID:kEJEaoCZo

 ヒュオォォオオ…!

エフェメラ「……魔神様の、お目覚めです」

提督棲姫「くそ……どんな奴なん……だ?」


ぶかぶかの提督服を着た少年提督「……」チンマリ


エフェメラ「……」

山城「……は?」

オディール「魔神様が……縮んでしまわれましたわ?」

提督棲姫「なんだそりゃ……?」

如月「……やだ、可愛い……」

戦艦水鬼改「確カニ、可愛イコトハ可愛イガ……ソンナコトヲ言ッテル場合カ?」タラリ

ジェニー「しょうがないじゃない、全然怖くない雰囲気だし。なんか、まだ寝てる感じ? 目覚めきってないみたいっていうか……」

キュプレ「うんうん、朝起きてすぐの寝ぼけ眼って感じよねえ」

天龍改二「龍田が見たら一発で墜ちそうだな……」ボソッ

綾波改二「え、龍田さん、ああいうの好きなんですか」

天龍改二「内緒だぞ?」シー
296 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:26:18.03 ID:kEJEaoCZo

提督棲姫「うーん……言われてみれば、ガキのころの俺に似てるかもなぁ……」

如月「やっぱりそうなの? やぁん、司令官の小さいころの姿が見られるなんて!」

大和「ええ、本当に……なんて愛らしい」

提督棲姫「はしゃいでる場合じゃねえよ。おいニコ、魔神ってのはこんな姿なのか?」

ニコ「……」ニヤケセキメン

提督棲姫「なんだあの顔」

マリッサ「なにかしらあ、その絶妙に嬉しそうで恥ずかしいって感じのお顔」

ルイゼット「あの……ニコさん? それはどういった表情で?」

ミュゼ「……あー! 魔神様のこのお姿! わたし、見覚えありますよ!」

ゼシール「見覚えがある?」

ミュゼ「ええ、いままさしく思い出しました! この世界に来る少し前に神殿をお掃除してた時のことなんですけど!」

ミュゼ「かつてはニコさんが魔神様の復活のため、いろーんな素材を集めていましたよね!」

ニーナ「そういえば、そんな時期もありましたね」

ソニア「あっ、私も聞いたことある!」
297 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:27:02.95 ID:kEJEaoCZo

ミュゼ「その時にニコさんが造っていた素体のひとつが、こういう感じの少年だったんですよ!」

ナンシー「えー? それじゃ、ニコちゃんがマスターをこんな感じに造った、っていうの!?」

ミュゼ「そう! その時の素体と、見た目がそっくりなの!」

オディール「そういえば、ミュゼさんはメディウムの中でも古株でしたわね」

ディニエイル「では、あながち嘘でもないと……?」

ニコ「そこまで知ってるってことは……もしかしてミュゼは、あの秘密の部屋に入ったのかな?」カオマッカ

ミュゼ「え? えーっと……あそこが秘密のお部屋だったんですか? えへへ、知りませんでした……」テヘペロッ

オボロ「し、しかし、伝承の魔神様像とはいささか異なりすぎるお姿では……」

ルイゼット「ニコさん? 本当にあなたが、魔神様のお体を、あの姿で造ったのですか?」

ニコ「……ぼくは、魔神様の復活のために、あっちこっちを歩き回って素材を集めたりしたんだよ?」モジモジ

ニコ「メディウムのみんなと一緒に外敵を駆除したり、魂を集めたり……最初は真面目に作るつもりだったさ」

ニコ「でも、魔神様はちっとも目覚める気配もなくて、呑気に眠り続けてるし……ぼくは、その間も頑張ってお世話したんだよ?」

ニコ「……ちょっとくらい、僕を敬ってもいいじゃないかと思ってさ?」イジイジ

マリッサ「ああ、そういうこと。それで『お姉ちゃん』と呼ばせたくて、それに相応しい姿の魔神様を造ったってことねぇ?」ニチャァ…

ニコ「……その通りだよ……」カオマッカデシャガミコミ
298 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:27:47.81 ID:kEJEaoCZo

ヴェロニカ「……ちょっと、いいの? こんな勝手なことして……」アタマオサエ

ハナコ「ニコさんがいなければ、魔神様の復活自体があり得なかったことですし……良し悪しの判断は魔神様に委ねられますよね」

ヴェロニカ「それじゃ、坊やはあの姿を許容したってこと……? それはそれであんまりなんだけど」ガックリ

提督棲姫「そういや、俺と親が全然似てないって、よく言われてたんだが……ニコが作った顔だったから、ってことか?」

戦艦水鬼改「イイ趣味シテルワネ、見直シタワ」グッ!

提督棲姫「親指立てんな」

ヴィクトリカ「んじゃあ、あれが本来のあたしたちの魔神様だったってことか?」

エレノア「でもほら、あのエフェメラも驚いてるっぽいし……」ユビサシ

エフェメラ「……」アッケ

キュプレ「エフェメラの考えてた魔神様とは、全然違うってことかしら?」

朧「それ、おかしくないですか? エフェメラが魔神を蘇らせようとしたのに、全然違う魔神が出てきた、ってことでしょ?」

山城「そうよね? ここまでやっといて、そんな勘違いするかしら」

ブリジット「そ、それよりも、これはエフェメラを討つチャンスでありませんか!?」

アーニャ「待って待って、あの小さい魔神様を見てよ!」
299 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:28:32.22 ID:kEJEaoCZo

少年提督「……」キョロ

ニコ「!」

エフェメラ「!」

少年提督「……」キョロッ

提督棲姫「全然動かなかった魔神が……」

大和「周囲を見回してますね……!」

軽巡棲姫「ナンカ、フラフラシテナイ……?」

カオリ「ほ、本当ですね。足元がおぼつかないというか」

南方戦艦新棲姫「……居眠リシテナイカ? 目ガ半開キ、トイウヨリ閉ジカケダゾ?」

山城「普通に見てて弱々しく感じるわね? あれが本当に魔神の真の姿なの?」

アーニャ「わかんないけど……なんか、ニコちゃんの方を見てるね?」

少年提督「……」ジッ

ニコ「……魔神、様……?」

少年提督「……」テク、テク、テク

提督棲姫「魔神がニコのそばまで歩いてったぞ……大丈夫なのか」
300 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:29:17.40 ID:kEJEaoCZo

ニコ「……」

少年提督「……お姉ちゃん」ニコッ

ニコ「ンヴ……ッツ!!!」ゾクゾクゾクッ!!

那珂「……ニコちゃんが限界ヲタクみたいな顔してる」

ゼシール「げん……? 表現がよくわからんのだが、念願叶って感極まった……と見ればいいのか?」

ニーナ「お、おそらく、そんな感じでしょうね……」

マリッサ「ニコちゃんがあんな顔してるなんて新鮮だわぁ〜」ンフッ

榛名「あんな愛らしい提督にお姉ちゃんと呼んでもらえるだなんて……ニコさんが羨ましいです!」

アーニャ「だよねー! あの魔神様になら、あたしもお姉ちゃんって呼ばれたいなあ!」

キュプレ「ねえねえ! あの二人、くっつけてあげてもいいかな!?」

ハナコ「さすがに魔神様に矢を放つのは不敬ではないかと。すでにお近づきになってますし、あとは若い二人に任せて……」

朧(……親戚のおばさんかな?)

ルイゼット「」コウチョク

クレア「ちょっとー、ルイゼっちがショックで固まっちゃってるよ!?」

山城「まあ無理もないわね。察するに、せめて普段の提督くらい不遜で態度でかくないと魔神って感じがしないんでしょ?」

クレア「よくわかるね!?」
301 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:30:02.68 ID:kEJEaoCZo

提督棲姫「確かに、あの姿じゃ威厳も何も感じられたもんじゃねえしな……」

ヴェロニカ「本当にもう……これじゃ、絡め取っても面白くないわ。坊やもそう思わない?」ウナダレ

提督棲姫「それを俺に言うなよ……」

カオリ「ヴェロニカさんはどうしてこんなに落ち込んでるんでしょう?」

泊地棲姫「ソンナコトモ理解ラナイトハ、オ子様ダナ」フンッ

カオリ「むっ!! わたし子供じゃないですー!」

ヴェロニカ「完全に子供の反応じゃない。意外とあなた、あの子とお似合いなんじゃないの?」ハァ

カオリ「えええ!? い、いえ、私とコーチとはそういう関係は、えっと、そのお」

ヴェロニカ「皮肉も通じないなんて。おめでたいわ」ハァ…

コロラド「そんなことより、いまの事態は一体どういうことなのよ!? なんであの男が若返ったり深海棲艦になったりしてるの!?」

綾波改二「下手に口を出さないほうがいいと思いますよ? 私たち、事情がよく飲み込めていませんし」

蒼龍改二「綾波こそなんでそんなに落ち着いてるのよお……」ナミダメ
302 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:30:47.51 ID:kEJEaoCZo

エフェメラ「そんな……」

提督棲姫「!」

エフェメラ「魔神様が、どうしてそんな、ふざけたことを……子供のような、ふざけた姿に……ありえない」

提督棲姫「そのふざけた格好にしたのは手前じゃねえか……!」チッ

泊地棲姫「ッテコトハ、完全ニ想定外ノ事態ガ起コッテイル、ッテコトネ?」

エフェメラ「この魔力は魔神様のものに違いないというのに……この違和感は、なに?」

ニコ「……違和感?」

少年提督「……エフェメラ」

エフェメラ「!!」ビクッ

南方戦艦新棲姫「ウオォ、イキナリ迫力アル声ニナッタゾ!」

ルイゼット「ああ、魔神様のお声が……!」ウットリ

ヴェロニカ「あら、いい声してるじゃない」キラッ

シエラ「瞬時に立ち直ったのデス……」

如月「この声、司令官が怒ったときの低音の声よね?」

提督棲姫「そうなのか? 自分の声ってよくわかんねえんだけど……」
303 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:31:34.23 ID:kEJEaoCZo

少年提督「汝、愚児に我の力を与え、我を亡き者にせんとしたは、何故ぞ」

エフェメラ「……!」ビクッ

少年提督「汝、我が冥府を彷徨いし時、如何なる献身をも見せぬとは、何故ぞ」

エフェメラ「……そ、それは、存じ上げず……お、お赦しを」

少年提督「赦さぬ」

エフェメラ「あ……!」ビクッ

少年提督「我の意に背く人形を、手下に置く道理なし」

エフェメラ「あ、ああ……っ!!」

少年提督「我の道行きに汝は要らぬ。我の眼前より、疾く失せよ」

エフェメラ「……ア……!」ボロッ

如月「エフェメラが……!」

深海海月姫「勝手ニ壊レテル……?」

エフェメラ「オユルシ、ヲ……マジ……ン、サ……!!」ボロボロボロッ

提督棲姫「自壊、したのか……」

ニコ「存在意義を否定されたんだ。当然だよ」

エフェメラ「」ガシャンッ

全員「「……」」
304 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:32:17.49 ID:kEJEaoCZo

山城「……壮絶すぎる自滅ね」

提督棲姫「それにしても、どういうことだ? エフェメラは、あいつを魔神と認識したからこそ俺を分断したんだろうが……」

提督棲姫「エフェメラが想定していた魔神とは別だったってことか?」

防空巡棲姫「ワケワカンナイ……」

如月「もしかしたら、司令官の考え方の影響を受けてるとか?」

軽巡新棲姫「見タ目ハ超似テルシ、外見ダケナラ無害ッポイヨネー」

時雨「……やれやれ、この理解に苦しむ状況は、いったいどういうことなのかな」ザッ

提督棲姫「時雨?」

少年提督「! 汝は……」

ユリア「ソニア! クレア! 無事!?」

ソニア「ユリアお姉ちゃん!?」

クレア「えっ、来てくれたの!?」

ユリア「来たわよ! 来たけど……なんか見たことない深海棲艦がいっぱいいるんだけど? 魔神様はどこよ?」

時雨「こっちだよ。エフェメラが壊れたと思ったら、提督がまた深海棲艦に……って、少し姿が違うね!? 女性になってる!」

少年提督「久しいな、共に冥府を彷徨いし魂よ」

時雨「へっ?」
305 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:33:04.96 ID:kEJEaoCZo

扶桑「こちらの子こそ、提督……ですよね? 帰りが遅いから気になってきてみたら、どうして提督が子供に?」

吹雪「ちっちゃい司令官が可愛い!!」キラキラキラッ!

ユリア「ちょっとぉ、魔神さんが縮んじゃってるのに、なんで目を輝かせてるのよー!? かっ飛ばすわよ!?」

吹雪「ひえっ!? ご、ごめんなさい!」

電「……本当に、わけがわからないことにになってるのです……」アタマオサエ

初春「簡単に説明するとな。提督が分裂して、一方は子供になって、もう一方が深海棲艦化した上に女性化までしおったんじゃ」ヒョコッ

時雨「……は? 分裂?」

扶桑「深海棲艦……もしかしてこちらの? 確かに雰囲気はそうだけれど、以前、海上で見たあのお姿とは違いますよね?」

電「説明されても、どうしてそうなったのか、さっぱりわけがわからないのです!!」アタマカカエ

マリッサ「電ちゃん、本当だから落ち着いて?」

電「事実であることが落ち着く理由にはならないのです!!」ジダンダ

ユリア「ねえソニア、説明できる?」

ソニア「うーん、とっても簡単に言っちゃうと、そっちの初春が言ってた通りなんだけど……」

ソニア「それから、こっちの深海棲艦たちは、あっちの艦娘と戦ってる間に姿が変わっちゃったの」

ユリア「そうなの……?」
306 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:33:48.26 ID:kEJEaoCZo

初春「まったく、提督は現場を混乱させることばかり……おぬしはもう少し自分自身の制御ができぬのか?」

提督棲姫「確かにその通りだが無理言うな。つうか、お前どうしてそんなに理解が早すぎんだよ」

初春「わらわは早めに出向いて隠れて様子を見ておったんじゃ。でなくば他の者に報告できぬでの」

ヒサメ「その通り。いざとなればわらわも祭りに混ざるつもりじゃったがのう?」

提督棲姫「この出歯亀コンビめ……」

早霜「私も、見ていました。一部始終……フフフ」ヌッ

提督棲姫「フフフじゃねえよ……」アタマオサエ

少年提督「……」フラッ

ニコ「それよりも、魔神様! なんだか、すごく弱っている気がするんだけど……! すぐに休んだ方がいいよ!」

提督棲姫「そうだな……俺が言うのもなんだが、立ってるのもやっとみたいで、倒れそうだぞ? 魔力槽に入れなくて大丈夫なのか」

少年提督「……我らが魂を、無理矢理引き裂かれたが故」

ニコ「引き裂かれた?」

少年提督「我は、かの女の一部なり」ユビサシ

ニコ「一部……?」

提督棲姫「女……って、俺のことか……つか、おんな……いや、いまは確かにそうだけどよ」ムググ
307 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:34:33.54 ID:kEJEaoCZo

少年提督「女。汝もまた、我の一部ぞ」

吹雪「ど、どういうことなんです?」

少年提督「女よ、我の手を取れ。我ら、今再びひとつにならん」ス…

ニコ「魔神様……?」

提督棲姫「ひとつに? 元に戻れる保証はあるのかよ」

少年提督「恐るるな。我の望みは汝が望みぞ……汝の願うがまま、彼の地を治めて見せよ」

如月「ね、ねえ、これって……司令官に、協力しようとしてるの……?」

ニコ「魔神様……? 魔神様は、いったい、どうしようと……」

少年提督「我は……いま、我の望むるは、我の眷属と、我が従僕の安寧……我を召喚せし眷属たる汝が望む、汝らの世界」

ニコ「……ぼくたちの、世界……!?」

少年提督「其は、かの女が自らの安寧を望むと同義……違うか? 我が半身よ……!」

提督棲姫「それはそうだが、いくらなんでも都合が良すぎる。罠を使って人の魂を刈り取るはずの魔神が、そんな殊勝なこと言うもんかよ?」

少年提督「……我は魔神なれど、我の中の魔神ならざる慈悲持つ神も、また我なり。今や汝も、我らのうちの一柱にすぎぬ」

ニコ「魔神ならざる神……?」

提督棲姫「俺が、魔神の一部だと……!?」

少年提督「汝は、我らの欠けたるもの……我らに失われし『目覚め』を持つ魂。汝おらずば、我はまた眠らねばならぬ……」

少年提督「汝もまた、我の力なくして、汝の家族を守護する手立てもあるまい……我は汝、汝は我。いずれも欠けては在世能わず……」
308 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:35:19.00 ID:kEJEaoCZo

提督棲姫「これまで通りをお望みだから、協力しろってか……!?」

少年提督「然り。我はまた微睡む……汝、我の揺り籠となれ。さすれば汝、我のすべてを得たり……!」ガシッ!

提督棲姫「うお……!!」グイッ

 ズォォォ…(少年が深海棲艦の腕を掴むと、そのまま引き寄せて深海棲艦と融合し混ざりあっていく)

如月「司令官……!?」

戦艦水鬼改「提督!!」

魔神の声『時の名を持つ艦娘よ……改めて、汝に礼を言おう』

時雨「……!」

魔神の声『そして、我が従僕どもよ……我が眷属たるニコよ……これからも、我と共に在れ……!』

ニコ「魔神様……!!」ウルッ

ルイゼット「ああ、なんとありがたきお言葉……!!」

 ズズズズ…(そのまま空間が闇に染まり、凝固した闇が男性の姿……提督の姿に変わっていく)

提督「……」

ニーナ「も、元に戻った……んでしょうか」

泊地棲姫「ヒトマズ、見タ目ハ、ソウダナ……」
309 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:36:02.16 ID:kEJEaoCZo

提督「……いろいろあったが……一応、見た目だけでも元に戻ったのか? 服のサイズもあってるし……」キョロキョロ

提督「とりあえず、お前たちも変わってねえな?」フリムキ

如月「司令官! ちゃんと私たちのこともわかるのね!? ……良かった……!」

ニコ「うん……この世界に来た時に、ぼくが微かに感じていた、魔神様の魔力だ。間違いないよ……!」

戦艦水鬼改「マッタク、人騒ガセナ男ネェ?」

提督「いや、その通りだし当事者だけど、俺もこうなるとは思ってもいなかったんだから、勘弁してくれよ」

大和「ご無事でよかったです! あのままだったらどうしようかと……!」グスッ

ナンシー「だよね! 魔神様が分かれちゃったときなんか、もうどうなるのかと思ったし!」

朧「あれ、メディウムのみんなも戻って欲しかったんですか?」

シエラ「あのちびっこな魔神様も悪くなかったデスけど……今のほうが個人的には落ち着くデス」

ヴェロニカ「私は最初から大人のままでいて欲しかったわよ。何が悲しくてお子様を籠絡しなくちゃいけないのかしら……」ハァ

時雨「というか、僕たちは何を見せられているんだろうね……」

電「まったくなのです……」
310 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:36:47.26 ID:kEJEaoCZo

ニーナ「ま、まあ、個人的な感情はさておいても、魔神様が元に戻られたのは喜ばしいことです」

ルイゼット「ええ、本当に……あのような可愛らしいお姿になっても、わたくしたちの身を案じていてくださって……」

那珂「あっ、ルイゼットちゃんも可愛いって思ってたんだ!!」

ルイゼット「あっ!? いえ、そのような不届きなことは」

エレノア「素直になりなさいよぉ、頬擦りしたかったんでしょ〜?」

ルイゼット「エレノアッ!!」

提督「……あの姿になら、いまでもなれそうだな」

全員「「は?」」

提督「こうか……?」

 ズズズズ…

提督(少年化)「こんな感じか?」チンマリ

全員「「!?!?!?」」

少年提督「さすがに服のサイズまではコントロールできねえか。しょうがねえな」ブカブカ
311 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:37:33.01 ID:kEJEaoCZo

吹雪「し、司令官がまた小さくなっちゃった!?」パァァァッ

初雪(吹雪、嬉しそう……)

ニコ「んま、ままま魔神様!? そ、それってどういう……」ドギマギ

ソニア(ニコちゃん嬉しそう……)

少年提督「どうって、この姿自体はニコが望んでた姿だろ? つうか、もともとこういう姿で作ったんじゃねえか」

ニコ「……それは、そうだけど」カオマッカ

吹雪「……!」ニコニコニコー

朧(吹雪がいい笑顔すぎる……)タラリ

扶桑(好みが同じ人を見つけた時の満面の笑みね……)

ヴェロニカ「あら、口調は変わってないのね?」

少年提督「変わったのはあくまで見た目だけだからな。やろうと思えば子供の真似もできるが、しなくていいよな?」

ヴェロニカ「ええ。それは喜ぶ子にやって頂戴」
312 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:38:17.18 ID:kEJEaoCZo

山城「なんか、唐突すぎるくらいいきなり魔神の力に目覚めたわね……?」

少年提督「まあな。簡単に言うと、エフェメラのせいで、眠ってた魔神の魂が無理矢理叩き起こされちまったんだよ」

ミュゼ「眠ってたんですか!?」

時雨「ちょっと待ってよ、提督の魂は深海棲艦と人間のハーフみたいなものじゃなかったの? 魔神の魂も入ってたなんて、聞いてないよ」

少年提督「そりゃ魔神の魂が人間のふりをしてたんだよ。つうか、最初から俺の魂に人間の要素はねえ」

時雨「」

少年提督「そうじゃねえと、あの世で魂だけになった俺が魔神の力を使えるのはおかしいだろ」

時雨「……ということは、僕も謀られたというわけだね?」アタマオサエ

少年提督「いや、多分その辺は、あの味方したエフェメラも意識してなかったんじゃねえか?」

少年提督「最初からその部分の説明を省いてたせいで齟齬があったのかもしれねえし」

時雨「……やれやれ。でも、そこは知ってなくても目的は変わらないか」

少年提督「で、魔神の力に目覚めたのはなんでか、って話に戻ると、それはさっきエフェメラにやられたことが原因なんだ」

戦艦水鬼改「サッキノ、フタリニ分断サレタ話カ?」
313 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:39:17.40 ID:kEJEaoCZo

少年提督「ああ。それまで主導権を握ってたのは深海棲艦の魂で、魔神の魂はその背中に隠れて眠ってたようなもんなんだ」

時雨「あの世で提督の姿が深海棲艦になっていたのも、そういう理由だってことだよね?」

少年提督「多分な。それがエフェメラの奴に、融合してた魂を無理矢理引き剥がされて、魔神の魂が自分で前に出ざるを得なくなった」

少年提督「強引に覚醒させられたばかりの魔神の魂で体をいきなり任せられたから、ニコからも心配されるほど、眠くてふらふらだった」

オボロ「それで、無理矢理叩き起こされた、と仰られたのですか……」

クレア「安眠妨害されたんじゃあ、まっさんも怒るよね!」

少年提督「魔神の魂はこっちの世界に渡ってきた時に相当な力を使ったらしくて、活動自体は深海棲艦の魂に頼りっきりだった」

少年提督「魔神は自身の回復のためにも、力を引き出せなかった。少しずつニコたちに魔力をもらい、ゆっくり目覚めようとしてたんだ」

少年提督「それが、無理矢理とはいえ魔神の魂が覚醒させられた……それまで矢面に立ってた深海棲艦の魂がいなくなったせいでな」

ニコ「……純粋に、僕の集めた魔神様の魂と僕が作った体だけになったんだね?」

少年提督「そういうことだ。そのために魂が完全に混ざり合えてなくて、エフェメラにも魂を分割させられる隙ができちまってた」

少年提督「今は、魔神の魂が覚醒して、その状態でまた混ざり合ったから、眠ってた部分もしっかり思い出せるようになって……」

少年提督「表面に出てきてる深海棲艦の魂も、魔神の魂が持ってた記憶や能力をこうやって引き出せるようになった、ってわけだ」

電「理屈はわかりましたが滅茶苦茶なのです!」アタマワシャワシャ

山城「現実離れしすぎよ。なんなのそのご都合主義的な話は」

少年提督「しょうがねえだろ、それが事実っつうか、この場で起こった現実なんだから……」
314 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:40:02.56 ID:kEJEaoCZo

軽巡新棲姫「実際、今モチビッ子ニナッテルシ、信ジルシカナイヨネー?」

軽巡棲姫「ソウネ……」ジ…ッ

南方戦艦新棲姫「……オ前、目隠シシテルノニ、ズット提督ノ方ヲ向イテルナ。見エテルノカ?」

軽巡棲姫「秘密ヨォ?」ニチャァ…

マリッサ(前々から思っていたけど、あの子とは気が合いそうねぇ)ニチャァ…

ミュゼ「それよりご主人様? さっき、ニコさんのことをお姉ちゃん呼びしたのはどうしてですか?」

少年提督「ニコが自分を顕現させるために尽力してくれたことを気にかけてたんだと。お礼代わりのサービスだな。反応は予想以上だったが」

ニコ「……」カオマッカ

ルイゼット「あ、あの、魔神様? その、元のお姿には、ちゃんと戻れるのでしょうか……」

少年提督「ああ、そこは心配すんな。元の姿以外にも……」

 ズズズズ…

提督(魔神化)「なろうと思えばこんな姿にもなれるし」

ルイゼット「ああ……これは、伝承の魔神様のお姿……!」

クレア「あの丘の上で見た、怒ったときのまっさんの姿だね!」

 ズズズズ…

提督(深海棲艦化)「こうもなれるってことだ」

朧「あの海を走ってきた時の姿ですね!」

戦艦水鬼改「何デモアリダナ……」

泊地棲姫(オ前モ、ル級カラ随分姿ガ変ワッタジャナイカ……)
315 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:41:02.34 ID:kEJEaoCZo

 ズズズズ…

提督「で、こうやってこれまでの姿にもなれる、というわけだな」

泊地棲姫「レ級ヲ食ッテタ、アノデカイ頭モ、オ前ナノカ?」

提督「あれはニコに聞いた伝承上の本来の魔神なんだが、若干誇張されてる気がするな」

提督「それこそ、なんにでもなれるって性質上、恐ろしさが強調された結果の姿とも考えられるが……」

提督「いずれにしろ、あれを再現するには魔力が必要だから、ずっとあの姿でいろ、っつうのはちょっと無理だな。しんどすぎる」

ゼシール「確かに燃費は悪そうだな」

深海海月姫「ネエ。サッキノ、重巡棲姫ノ姿ニハナレナイノ?」

提督「ん? ……なれることはなれるけどよ。なれってか?」

深海海月姫「デキルノナラ、ネ。可愛カッタワ。恥ズカシガラナクテモ、イイノニ」

提督「いや、可愛いとか言われてもなあ……」

初春「のう提督よ。もしやと思うが、人間のままで女の姿にもなれるのか?」

提督「ん? まあ、なれることはなれるだろうな。深海棲艦が女性の体だったし、それを意識すりゃ女の姿にもなれるはずだが……」

初春「ふむ。であれば『お願い』すれば、それもアリと言うわけじゃな?」

提督「……どこに需要があんだよ、そんなの……」

初春「潮のような男が苦手な艦娘には喜ばれると思うがのう?」

提督(あいつ、普通に俺の背中で居眠りしてたけどな……)
316 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:41:47.43 ID:kEJEaoCZo

提督「ま、いいや。ひとまず戦闘も落ち着いたことだし、いったん引き上げるぞ」

提督「向こうの大和にやられた、大和や軽巡棲姫の怪我もいい加減治療しなきゃいけねえし……」チラッ

コロラド「!」

提督「川提督だったか? そこの艦娘にも入渠してもらうか。どういうつもりでここに立ち入ったのか、話を聞かせてもらいたいしなあ?」ジロリ

ニコ「そうだね。保護しろと指示されたから保護したけど、ここまで立ち入った以上、ただで帰すわけにはいかないね」ジロリ

戦艦水鬼改「アイツラガ何ダッタノカ、包ミ隠サズ話シテモラワナイト……ネェ?」ジロリ

飛龍改二「あわわ……」

蒼龍改二「私たち、どうなっちゃうの……」

霧島改二「……これは、覚悟を決めるしかありませんね」

コロラド「ふう……いいわ、従うわ。私も、あなたたちに訊きたいことはたくさんあるし」

天龍改二「俺、そこまで酷えことにはならなさそうだと思ってんだけど」

綾波改二「あ、私もです。楽観的ですかね?」

飛龍改二「あんたたち、肝が据わり過ぎよ……」
317 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:42:32.18 ID:kEJEaoCZo

提督「そういえば、ソニアとクレアを乗せてたイ級たちはいるか?」

イ級「」バシャバシャ

ロ級「」バシャッ

提督「お、いたか。今回はやばい相手だったのに、よく付き合ってくれたな」

イ級「ガンバッター!」

ロ級「イキテター!」

提督「こいつらにもあとで何かしてやらなきゃな……何がいいかねえ」ナデナデ

イ級「ナデラレタ!」

ロ級「ホメラレタ!」

南太平洋空母棲姫「……フフッ」

敷波「後であたしたちも褒めてもらわないと!」

初雪「うん……!」

イサラ「……もしかして、また髪を梳いてもらえるっスか!?」キラキラッ

ブリジット「そんなサービスがあるでありますか!?」

南太平洋空母棲姫「ソウイウノモアルノナラ、私モヤッテモラオウカシラ」

敷波「あー……私もそっちにしようかな?」

ナンシー「え? ちょっとお、私のお仕事取らないでよー!」

ユリア「いいなあ、私も出たかったなあ……」

初雪(……私は、膝枕のままでいいかな……)
318 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:43:33.83 ID:kEJEaoCZo

 * 鎮守府本館 近辺 *

キャロライン「ダーーーリーーーーン!!」トテトテトテーッ

金剛「テーーートクーーーーゥ!!」ドガシーーッ!

提督「おぐっ」ドゴォ!

キャロライン「コンゴーウ!? ダーリンになにするノー!?」ギョッ

ニコ「ま、魔神様、大丈夫!?」

如月「ちょっと金剛さん!? 司令官が怪我したらどうするの!?」

戦艦水鬼改「何ヤッテンノ……!」ギロリ

金剛「ヒイイ!? どうしてここに鬼級がいるデース!?」

南方戦艦新棲姫「デースジャネエヨ、金剛!」

防空巡棲姫「提督サン、大丈夫?」

金剛「ヒエエエ!? 知らない姫級もたくさんいるデース!?」

ヒサメ「わらわが金剛をすってんころりんさせておけば良かったかのう?」

初春「いやいや、滑ってそのまま頭から突っ込んでいったかもしれんぞ?」

大和「て、提督! しっかりしてください!」

提督「……ああ、意識だけぶっとぶかと思った……ん? 金剛やキャロラインがおとなしく留守番してたのはなんでだ?」

扶桑「本来なら金剛さんたちも私たちと一緒に来るはずだったのですが」

扶桑「先に出撃していたタ級が大破した際に、控えていたタ級が暴走しかけまして」
319 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:44:18.30 ID:kEJEaoCZo

金剛「そのタ級を落ち着かせようと思って扶桑たちに先に行くよう促したんデス……」

キャロライン「だけどネー……」チラッ

欧州水姫「金剛ーー!! 姫タチハ、無事ニ戻ッテキタノカー!?」グオォオ!!

南方戦艦新棲姫「!?」

金剛「なぜかあんな姿になってしまったんデス」

キャロライン「彼女もヒメキュー? ってクラスでショー?」

提督「マジか……」

綾波改二「うわああ……お、欧州水姫まで!?」

欧州水姫「ム? 欧州……ソレハ、余ノコトカ?」

コロラド「……ネルソン……? ねえ、ちょっとあなた、ネルソンじゃない?」

金剛「Nelson デスって!?」

欧州水姫「ム……ナンダ? 聞キ覚エノアル……ナントナク、シックリクル名ダナ?」

コロラド「なんとなくなんだけど、あなたも私と同じビッグセブンの一隻……イギリス海軍の戦艦ネルソンのように思えるわ」

金剛「英国艦デスカ。それで私と紅茶の話題で盛り上がったんデスカネ?」

欧州水姫「ムムム……ソンナ記憶モ、アルヨウナ、ナイヨウナ」

コロラド「覚えてないの?」
320 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:45:03.99 ID:kEJEaoCZo

提督「……なんだかややこしいことになってるな。とにかく大和たちを早く入渠させたいんだ。ドックまで連れてってくれ」

金剛「Y ... Yes sir ! 大和、肩を貸しマース!」

欧州水姫「軽巡棲姫モ、ヒドイ怪我ダナ! 余ガ連レテイクゾ!」ヒョイ

軽巡棲姫「ア、アリガト……」オヒメサマダッコ

如月「私、一緒に行って明石さんに説明してきます!」

時雨「川艦隊のみんなもドックに案内するね」

提督「おう、頼むぞ! ……にしても、なんでまたこっちの奴も姫級だかになっちまったんだ?」

エレノア「ちょっと魔神さん、深海棲艦ってそんなに簡単にパワーアップできるものなの?」

提督「そこは俺もよく知らねえよ。ル級とは一緒の時期が長かったが、パワーアップしたとしても見た目は然程変わってなかったし」

提督「少なくとも、こんなふうに艤装や顔つきにまで変化があったのは、今回が初めてだな」

エレノア「ふーん、そうなの?」

提督「前もそうだったが、多分、俺たちを怒らせるようなことを、今回襲ってきた奴らがやったからだろう」

提督「こんなこと、そうそう起こって欲しくねえけどな」ハァ…

キャロライン「ダーリン、いつも優しくてダイスキー!」

戦艦水鬼改「本当ニ、提督ガ無事デ良カッタワ」

朧「そうですね。元に戻らなかったらどうなってたか……」

ソニア「あんまり考えたくないね〜」

キャロライン「ホワット???」
321 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:56:46.21 ID:kEJEaoCZo
というわけで戦闘終了。今回はここまで。
コーヒーと紅茶で言い争っていたタ級の二人はそれぞれ米軍艦と英国艦になりました。

>292
おおよそご理解いただいた通りです。
今回エフェメラが返り討ちに遭ったのも、ニコちゃんがだいぶ影響しております。
次回はその辺のバックボーンの話になるかと。
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 21:56:35.24 ID:fz1HIHxj0
提督棲姫とショタ魔人のイラスト求む
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 21:58:30.33 ID:fz1HIHxj0
提督棲姫とショタ魔人のイラスト求む
324 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 21:57:53.17 ID:kokBAZkko
ここから先の話はトラップガールズの世界観の話になりますが、シナリオ途中でサービス終了してしまったので、
用意された設定を踏襲してはいるものの、独自に作った設定が多くなっております。ご容赦いただければ幸いです。

今回のスレで初登場メディウムはこちら。
・メリンダ・ベアトラップ:腕や脚に包帯を巻いた、丈の短いメイド服姿のメディウム。足元に設置されたトラバサミが人の動きを奪う罠。
  目と意思を持つトラバサミ「ベアトラ君」を連れ歩く眼鏡の女性。自己肯定感が低いのかMなのか、やたらとお仕置きを要求してくる。
325 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 21:58:35.76 ID:kokBAZkko

 * 一時間後 *

 * 食堂 *

提督「大和と軽巡棲姫の入渠は終わったのか?」

大和「はい、高速修復材を使わせていただきましたので、御覧の通りです! 今は川提督の艦隊に入渠していただいています」

提督「そうか」

ニコ「魔神様。メディウムはみんな揃ったよ」

泊地棲姫「私タチモ、話ヲ聞ケル者ハ集メタゾ」

島妖精A「わたしたちも話を聞かせてもらうからな」

提督「おう、もちろんだ。そんじゃあ全員揃ってるみたいだし、手始めに、魔神のことから話をするか」

提督「ちょっと昔話になるが、まずは聞いてくれ。まず……魔神と呼ばれる神は複数体存在する」

 ドヨッ…

提督「少なくとも、ニコたちがいる時代では、魔神は1柱だけじゃなかった」

ロゼッタ「うええ、そうなの!?」

ノイルース「私たちの知る限りは、魔神様は唯一無二の存在と聞いていたのですが……」
326 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 21:59:20.42 ID:kokBAZkko

提督「とにかくあっちの世界の話から始めないとな。あっちの世界の主神というか、支持信仰を集めているのはアルスとか言う神だが……」

提督「悪いものには蓋をする信仰のせいで、魔神として扱われた神は名前を奪われてる」

如月「名前を?」

ニコ「うん。名前そのものが力や魔除けになるっていう信仰もあって、都ではアルス神の名を書いた護符がいろんなものに貼られてるんだ」

ニコ「逆に忌まわしいものからは名前を取り上げ、存在を有耶無耶にして記録と記憶から消滅させる、というのが、アルス正教のやり方だよ」

提督「そのせいで、魔神については、名前どころか姿や性格も記録らしい記録がまったく残されてない」

提督「ニコが魔神を復活させようとしたときも、残ってる文献はごくわずかだったはずだ」

ニコ「そうだね……手掛かりがなくて、本当に大変だったよ」

提督「魔神の情報を敵対勢力に消されたから、というのが、ニコが魔神の復活に手間取った理由の一つなんだが……」

提督「同じように情報を消された神が、魔神以外にもたくさんいたんだよ」

ロゼッタ「たくさん!?」

提督「ああ。魔神じゃないのに言いがかりで貶められた異郷の神々がそれだ。おそらくアルス神の教義を脅かすと思われたんだろう」

提督「全然関係ねえのにアルス正教が邪教認定して取り潰した、余所の国の豊穣神とか戦神とかが、そういう扱いをされちまってる」

提督「結果として、正確な魔神の情報とその神々の情報が混ざり合い、ますます魔神の情報を特定することが困難になった」

ノイルース「……最悪ですね」
327 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:00:05.10 ID:kokBAZkko

提督「おまけに、魔神はアルス=タリア封印神殿に封じられたと言われているが、封印場所は他にもあるらしいんだ」

提督「とくに魔神の封印は、わざと封印場所を増やして散らして封じたり、そこへ関係のない余所の神も巻き添えで封じたりしたらしい」

ミュゼ「んん? ということは、本来の魔神様の魂ではない、本当なら神殿にはなくてもいい無関係の神の魂もあった、ってことですか?」

提督「ああ、そうだ。ただ、魔神の魂だと言う扱いで封印されている以上、その魂が本当に魔神であったかは、連中にとって重要じゃねえ」

提督「逆に分かたれた魔神の魂が、自分を魔神だと認識し続けていられるか、ってのも、正直わからない。恨みが強けりゃ忘れねえかもだが」

提督「別の名前を付けられて信仰され始めたりしたら、その時点で魔神じゃなくなっちまうし、魔神であったことも忘れられちまうだろう」

山城「なによ、その野良犬になった元家犬に、名前つけて飼い慣らしちゃったみたいなノリは……」

提督「いやいや、こんなの良くある話だぞ? 祟り神や怨霊が丁重に奉られて土地神になった事例なんて、特に日本じゃ珍しくもねえ」

朧「あー……確かに、聞いたことありますね。雷神扱いされてた菅原道真公とかですか?」

提督「例えばで言えばな。あとは分祀されてあちこちに寺社のある神様もそうだ。その土地柄で売り出し方も違うだろ?」

提督「軍神が商売の神様になったり、その土地柄に影響されて、神様の性格も変わってくることも、よくある話だ」

提督「海外じゃあ、ある国の神の信者が余所の国の祖神を邪教扱いして貶めた挙句、引き裂いて邪神や魔王扱いすんのもザラだし」

提督「信仰を集めすぎた天使が教会に嫉妬されて『あれは人心を誑かす悪魔だ!』みたいな言いがかりつけられて貶められた例もある」

キュプレ「えー!? やだ、怖ーい!」

泊地棲姫「一番怖イノハ、ソウイウコトヲ考エル人間ヨネェ」

提督「だよなあ……人間は、神様ですら言うこと利かねえと難癖付けて手前の都合のいいようにぶち壊すからなあ」

初雪「というか、深海棲艦が『人間が怖い』なんて言うとは思わなかった……」
328 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:00:50.87 ID:kokBAZkko

提督「というわけで、まず魔神は一柱じゃねえ」

提督「ニコたちの時代の魔神は、分けて封印された……分祀された結果、魂があちこちに散り散りになったってことと」

提督「全然関係ない神様の要素も混ざってる、ってことを最初に断っておく」

提督「それでだ。ニコが、俺……魔神復活のため、あっちの世界を駆けずり回ってくれたわけだが、結果的にそれは完璧じゃなかった」

提督「ニコも一生懸命調べてくれたが、残ってない記録もあれば誤情報もあった。ニコが行動できる範囲だって限りがある」

提督「そうやって作られた、いわばツギハギの魔神の魂は、本来の魔神と呼ばれる姿とはどうしても食い違うことになってしまった」

ルイゼット「で、では、いまの魔神様は完璧な魔神様ではない、と……!?」

提督「伝承にある始祖たる魔神像とは完全一致していない。一部一致……まあ、3割弱くらいはそうなんじゃねえかな?」

ニコ「3割!? たったそれだけ……!!」

提督「十分だと思うぞ? 情報を入念に消された上に、あちこちにバラバラに封印されてたのを集めてきたんだろ?」

提督「それから、合体前のあの魔神が『目覚め』の要素が欠けてるって言ってたよな? そういう重要な要素も欠けてたんだ」

ニコ「魔神様が全然目を覚まさなかったのも、そのせい……!?」

提督「まあ、結果的にはそうなった感じだな。眠ってる隣でニコが何度も寝坊助って呟いてたのも、なんか魔神としての記憶にあるぜ?」

ニコ「それも、ぼくのせいだったのか……」シュン
329 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:01:36.31 ID:kokBAZkko

提督「連中だって魔神を封印するために、いろんな手を尽くしてきてたんだ」

提督「その目的を確実にするためにも、ニコがいくら探しても見つけられないくらいのことをしてたと思えば、仕方ないことだと思う」

泊地棲姫「ソノ、不足シタ『要素』ヲ補ッテイルノガ、重巡棲姫ノ魂カ」

提督「多分、そういうことなんだろうな。あの魔神を構成する神々の中で欠けていたもの……それを持ってる俺が、表に出てきてるんだろう」

ニコ「ごめんね魔神様、ぼくのせいで……」ションボリ

提督「いやいや、ニコが謝るなよ。妨害があった中で、ここまで魔神の魂をかき集めたのはすげえことだと思うぞ?」

ロゼッタ「ねえねえ! 先生は、その欠けた要素、ってのを取り戻しに行かないの?」

提督「ん? それは行かねえよ、面倒臭え」

カトリーナ「面倒臭えのかよ!?」

ルイゼット「魔神様は完璧を望んでおられないと……?」

提督「完璧な神なんていねえよ。仮にいたとしても、それはそれで融通が利かなくて面白くねえ神様になるんじゃねえかな」

ルイゼット「面白くない……ですか」

提督「堅苦しいのは嫌いなんだ、わざわざ古臭い神になんかならないで、ちょっとくらいいい加減なほうが、お前たちも過ごしやすいだろ」

エレノア「それはそうねえ」

ルイゼット「エレノアっ!?」
330 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:02:20.53 ID:kokBAZkko

提督「ルイゼットはそういういい加減なところを許しておけないのかもしれないが……」

提督「あまりガチガチに魔神様やってたら、人間とつかず離れずみたいな関係は保てないし、どうやっても相容れなくなるだろ?」

提督「いま存在している俺という魔神は、お前たちにとって都合の良い神であったほうがいいと思うんだよ」

ルイゼット「……ま、魔神様が、そう仰られるならば、従いますが……よろしいんですか?」

タチアナ「と言いますか、都合の良い、とは、恐れ多いですね……」

シエラ「ちょっと言い方が卑屈な感じもするデス……」

電「司令官さんは昔から自己肯定感が低いのです!」

提督「なんにせよ、大きな不満や不都合がなけりゃ、このままでもいいと思ってる。ちょっとくらいはゆるくていいだろ」

ナンシー「私は賛成ー!」ハーイ!

キャロライン「私もネーー!」ワーイ!

軽巡新棲姫「私モ、厳シクナイノハ Welcome !」Yeah !

朝潮「朝潮は、司令官がこれまで同様にご健勝であらせられるのであれば、全面的に賛成いたします!!」ズビシッ

比叡「朝潮ちゃん、気合入り過ぎじゃないかな?」

霞「まあ、いいけど」アタマオサエ
331 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:03:05.00 ID:kokBAZkko

ニコ「で、でも、魔神様が不完全なのはぼくのせいなのに……い、いいのかな」

提督「俺はそのほうがいいと思うけどな。ニコは嫌か?」

ニコ「……正直に言えばね。僕は、魔神様を完全復活させるために、人間狩りをしてきたわけだし……」

提督「そういえば、ニコ自身は、魔神が残した魔力そのもの……メディウムとは違う存在だって認識だよな?」

ニコ「そ、そうだけど……」

提督「魔神が完全復活したとしたら、お前も消えたりしないか?」

ニコ「……!」

吹雪「え? どういうこと?」

提督「だって、ニコも魔神の力の一部なんだろ?」

電「もしかして、魔神が完全復活したら、ニコさんも魔神の中に取り込まれて消えちゃう、ってことになるのですか……?」

提督「多分、そうなっちまうんじゃねえかな。だとしたら猶更、完全復活なんてしなくてもいいんじゃねえかと思ってんだ」

ニコ「魔神様……!?」

提督「俺の恩人、親代わりの妖精が消えて……顔なじみがいなくなっちまうことがつらいって、知っちまった」

提督「できれば今のままで……今いる連中で、だらだら仲良く過ごしたい、と思うのは魔神様らしくねえか?」

ニコ「そ、そんなことないよ!? むしろ……ごにょごにょ……」セキメン
332 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:03:50.52 ID:kokBAZkko

ヴァージニア「仲良くか……この島のあるじたる貴様がそれで良いというのなら従おう。だが、それでこの島をしかと守れるのか?」

提督「そこは人間たちと折り合いをつけていくしかねえだろ。友好的にしとけばいいことあるぜ、的な雰囲気に持っていく気でいる」

ヴァージニア「貴様は魔神だぞ? 人間相手に慮るなど……それでいいのか?」

提督「俺たちが安息を得るためなら、あいつらに頭を下げるのも考えるさ。あっちも同じ高さまで頭を下げることが前提だがな」

提督「少なくとも、俺はこの世界の支配者になるつもりはねえ。強すぎる力を誇示したって、人間はビビるどころか反抗してきやがるしな」

泊地棲姫「……マッタク、ソノ通リダナ……」

陸奥「なんか、実感こもってるわね……」

提督「そうでなくとも、俺たちを利用しようとする連中はいるはずだ。そういう奴らは各個始末しつつ、基本無害であることをアピールする」

提督「こっちがおとなしくしてるのに、手を出してくる奴が悪い、って風潮に持っていけば、しばらく安泰になるだろう」

ヴァージニア「……ふん。あの伝承に聞いた魔神の魂を引き継いだというのに、随分と丸くなったものだ」

提督「いいじゃねえか、ニコもそうなんだし。極端な話、ニコも魔神を名乗ってもいいんだ、不服ならニコにも申し立ててみるか?」

クレア「えええ!? ニコっちも魔神なの!?」

提督「神と呼ばれるほどの力ではないにせよ、ニコが魔神の力を持っているのは間違いないんだ」

提督「現に、ニコが魔力槽を管理したり、余らせた魔力から魔法石を作ったりしてるし、俺よりずっと強い魔力を持ってる」

提督「多分、メディウムを生み出すのに相当苦労したらしいから、自称するのはおこがましいって思ってるんだろうけどな」

ロゼッタ「ふーん、そっかー」
333 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:04:35.93 ID:kokBAZkko

提督「だからニコのことを、あのとき魔神は『眷属』と呼んだんだろう。同じ魔神の力を持つ者として」

比叡「ニコちゃんはメディウムじゃなかったんだ?」

セレスティア「はい。直接戦う力を持っていませんので」

軽巡棲姫「ソレデ眷属ネェ……」

提督「……あ、『お姉ちゃん』のほうが良かったか?」

ニコ「っ! そ、そう思うんなら、お姉ちゃんをからかうんじゃないよ……っ!」プイ

提督「悪い悪い」フフッ

吹雪「駄目ですよ司令官、ニコさんは真剣なんですから!」メッ!

ニコ「吹雪……」

吹雪「たまにあの小さな司令官になって、真面目にお姉ちゃんって呼んであげないと駄目なんですからね!」

ニコ「」

提督「……それ、あわよくばお前もそう呼んで欲しいとか思ってないよな?」

吹雪「はい! あ、いや、そういうわけじゃないですが、はい!」キラキラキラッ

提督「……」
334 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:05:20.61 ID:kokBAZkko

ユリア「気持ちいいくらい本音がダダ洩れだわ」

ニコ「……吹雪、もうやめて」セキメン

初雪「吹雪が何かに目覚めた……」ドンビキ

敷波「面倒なことになりそう……」アタマオサエ

ロゼッタ「先生、今の話で、もういっこしつもーん! 先生ってなんにでも化けられるって聞いたんだけど!」キョシュ!

提督「いや、そこは『なんにでも』じゃねえな」

提督「もともと俺が持ってる要素を組み合わせて外見に反映させてるから、艦娘にはなれないし、動物に化けるのも無理だ」

提督「ニコが集めてきた神々と魔神の要素、それから深海棲艦……おそらく重巡棲姫の要素」

提督「それから、人間として過ごしてきたころの俺の要素……その組み合わせだな」

ロゼッタ「じゃあ、人間の女に化けることもできるのかな?」

提督「まあ、人間と深海棲艦の要素を組み合わせれば一応できるかもなあ……初春にも訊かれたが、そんな必要あるのか?」

ロゼッタ「えーっとね、エレノアが昔、やってなかったっけ? 向こうの世界で」

エレノア「ああ、町娘に変装して、男どもを油断させて情報を得ようとしたときね」

提督「危ねえな。あんまりそういう無茶すんなよ?」

エレノア「別に危なくなんかないけど……まあ、いいわ」
335 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:06:05.82 ID:kokBAZkko

提督「さて、次は魔神がこっちの世界に来たことの話なんだが」

提督「以前、ミルファやパメラには話したと思うが、なんでメディウムがこっちの世界の衣装を着てるか、って話をしたんだ」

提督「実はニコに魂を集めてもらって魔神の精神ができた時点で、すでに魔神はこちらの世界に対して興味があったようなんだ」

ニコ「え?」

提督「バラバラになった魂の一部が、こちらの世界を垣間見たんだ。あちらの世界より進んだ文明でありながら、魔法の存在しない世界……」

提督「強大な魔力を持つ者が強者であるあちらの世界より、こちらの世界のほうが娯楽も多く自由に生きやすいんじゃないか……ってな」

提督「実際に、ニコが作ろうとした魔神の魂は、こちらの世界へ渡ってくるための方法をその時点で探っていたらしい」

提督「ニコが作った素体が目覚める前からそういう考えがあったらしく、渡る算段がついたころにはこちらの世界を視ることもできていた」

提督「眠っていた魔神が生み出したメディウムたちの一部が、この世界の住人の姿を模しているのも、こっちの世界に憧れ続けたせいだ」

クレア「なるほどぉ……」

ソニア「クレアお姉ちゃん、わかってるのかな」

ユリア「あれは知ったかぶりしてる顔ね」

提督「ただ、世界を渡るための方法はごくごく限られたものだった。条件がいろいろ揃ったのも、こちらの暦でおよそ30年前……」

提督「向こうの世界と時間の進みや暦そのものが違うらしいから、あっちの世界の6、7年ってとこか?」

ニコ「……ぼくの魔神様が、消えたのもそのくらいだった……!」

大和「そんなに長い間、探してたんですか!?」
336 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:06:50.69 ID:kokBAZkko

提督「……魔神はどうにかしてこの世界に渡ってきたが、力を使いすぎたため深く眠らざるを得なくなり」

提督「その隠れ蓑として深海棲艦の魂の入った人の器に入り込み……」

提督「その事情を知らないエフェメラが深海棲艦の魂に目をつけて、魔神の魂を、魔神の生贄にしようと目論んだ」

提督「そのせいで俺は人間に対する憎悪をため込むことになり、ニコは俺の奥底に眠っていた魔神の力を感じ取って……」

提督「結果、こっちの世界で再会できた。こんな可愛げのない姿になっちまったけどな」

ニコ「……何を言ってるんだか……」ムスッ

如月「そうねえ、素直じゃないんだから」フフッ

提督「その後、俺とニコが再会してから、少しずつ魔力を取り戻し……エフェメラが俺の内に潜む魔神の力に目を付けた」

提督「最初は魔神の生贄にするためで、今は魔神そのものとして覚醒させるため……だよな? 時雨」

時雨「うん。僕が見た未来では艦娘もだいぶいなくなっていたし、提督は残酷な魔神として覚醒していたからね」

提督「最後に、そのエフェメラだが……あのエフェメラが、あのとき俺たちの前に姿を現した理由がわからねえんだよな」

時雨「それこそ、提督を魔神として覚醒させるためじゃないの?」

提督「いや、それはそうだと思うんだが……なんでこんなタイミングで現れたんだ?」

時雨「え? それは……うーん」
337 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:07:35.44 ID:kokBAZkko

山城「単純に、あの弟を名乗る男に力を与えるためじゃないの? 借り物とか言ってたじゃない、あの力」

ニコ「……それはそうだけど、理由はそれだけじゃない気がする。魔神様を目覚めさせようとしてたんだからね」

軽巡棲姫「レ級ガ来タノモ、アノ大和タチガ来タノモ、全部エフェメラガ仕組ンダンジャナイノォ?」

泊地棲姫「十分考エラレソウダナ。アイツハ、艦娘ダケデナク、私タチモ生贄ニスルト、言ッテイタ」

泊地棲姫「レ級モ、敵ノ大和タチモ含メテ、私タチヲ沈メルノニ使エルト思ッテタンジャナイカ?」

時雨「それに加えて、それを確実にするために、魔神の復活に立ち会うためにエフェメラが現れた……ってことかな?」

ニコ「……本来、エフェメラは魔神様や、魔神様に関わりのある人間の補佐をするだけで、直接の力は持たないはず」

ニコ「でも、あのエフェメラは、魔神様を拘束したり、魂を分割するような離れ業もやってのけた」

ニコ「となると、あいつ自身がなんらかの方法で、力を使えるように自分自身に細工をした、ってこともあり得るね」

提督「とはいえ、あのエフェメラが信奉していた魔神は、おそらく俺じゃねえんだろうなあ」

ミュゼ「だとすると、魔神様はご主人様の他にも存在してるってことになるんですか?」

ニコ「多分、エフェメラは古代の魔神様が作ったとも言われているから……この魔神様から、その気配を感じ取ったのは間違いないと思う」

ミュゼ「あー、かつての残虐な魔神様を望んでいたってことですかぁ」

ニコ「そうだね。たとえ不完全であっても、ここにいる魔神様は間違いなく魔神様なんだから……!」

提督「そこなんだけどな。ミュゼの言う、魔神が他にもいる、ってのは、あり得ない話じゃないんだ」

ミュゼ「そうなんですか!?」
338 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:08:20.73 ID:kokBAZkko

提督「さっき、俺の魔神の魂は3割くらいと言ったろ。そうなると別の誰かが残りの7割を持ってることになる」

提督「下手すると、残りの7割がまた3割くらいずつに分かれて、俺以外の魔神が2人以上になってる可能性もある」

ニコ「そうだね……」

タチアナ「ニコさんのようにだれかが集めていなければ、1割の魂を持つ敵が7人現れることもあり得る、ということですか」

ミュゼ「うわ、それ面倒!」

伊8「また、新しい敵が来るんですか……?」

提督「そうと決まったわけじゃねえが、警戒はしとかねえとな。もしかしたら、俺より残虐な魔神として、どこかの世界にいるかもしれねえ」

提督「正直、このまま会いたくねえぜ……マジで面倒臭えし、俺は俺でこっちの世界でおとなしくしていたいな」

ニコ「……」

時雨「そういえば、僕が見た別の未来の提督は、向こうの世界の人間を滅ぼしてきたと言ってた気がする」

時雨「あっちの世界で、魔神の要素を全部集めてきたから、そういう性格になったとも、考えられるかもね」

キャロライン「それじゃ、ダーリンはあっちの世界に行っちゃダメってコト!?」

時雨「そこはわからないよ? ただ、魔神が本来残虐なものだとしたら……」

ニコ「あのエフェメラが望んだ、人間を恐怖で支配する魔神様になるかもしれない、ってことだね」

全員「「……」」

提督「とにかく、今回の出来事は全部あのエフェメラのせいだと助かるな。これ以上面倒な敵がいるとか、思いたくもねえ」
339 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:09:05.51 ID:kokBAZkko

提督「とまあ、ぐだぐだ言ってきたが……!」ガタッ!

全員「「!!」」

提督「俺のやることは何も変わってねえ。この島を、俺たちの安住の地にすること。その目標自体は、これまでと同じだ!」

提督「そのためには、人間たちにこの島を俺たちの住処にすることを認めさせ、面倒臭え諍いが起きないようにするに限る!」

提督「それでも、あのレ級みたいな戦闘狂や、曽提督みたいな深海棲艦排除主義者! そしてエフェメラと、それに乗せられるくそ坊主!」

提督「今後もそういうくそみたいな敵が、この島にやってきて俺たちの平穏を引っ掻き回そうとするはずだ……!」

全員「「……」」

提督「おそらく俺一人じゃあ、きっと成し遂げられねえ。だから……頼む!!」

提督「お前たちの力を貸してくれ!」ベコッ!

如月「もちろんよ司令官!!」ガタッ

戦艦水鬼改「イイゾ。当然ダロウ」アッサリ

ニコ「うん。そこまで言うんなら、仕方ないなあ。お姉ちゃんが、面倒を見てあげるよ?」フフン

島妖精A「久し振りの、提督の頼みか。やってやろうじゃないか」

大和「この大和にもお任せください!!」ガタッ

ニーナ「ま、魔神様に頭を下げられるなんて……!?」
340 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:09:50.84 ID:kokBAZkko

軽巡棲姫「ウフフ……オ願イ、サレチャッタワネェ」ニマニマ

吹雪「大丈夫ですよ、司令官!」

泊地棲姫「ソンナコト、今更ダナ」フフッ

キャロライン「ダーリンのために頑張るヨー!」

「提督ー!!」キャー!

「司令官!」キャー!

「魔神様ー!」キャー!

「マスター!!」キャー!

提督「……」

朧「提督?」

提督「……うう、良かったぁ……」ヘニョヘニョ…

ミルファ「え、ええええ!? 魔神さん!?」

吹雪「どうして腰砕けになってるんですか!」

ナンシー「これまでに見たことないリアクションなんだけどっ!?」

ヴァージニア「な、情けないぞ!?」

軽巡棲姫「ダ、大丈夫ナノ!?」
341 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:10:35.25 ID:kokBAZkko

提督「大丈夫じゃねえよ……だってなあ、今回ばかりはもう駄目か、って思うくらいくっっっそ不安だったんだぞ……」プルプル

提督「しょっぱなレ級の乱入のせいで完全に目算が外れてんだぞ!? あのままあいつらが帰れば時間も稼げて全然違ってたはずなんだ!」

提督「戦闘だって、ル級たち深海棲艦が覚醒しなかったら負けてただろうし、でなきゃメディウム総動員でやっと、って感じだったろ!」

提督「大勢のメディウムたちをレ級との戦闘に回せば、曽大佐の艦娘には苦戦どころか総力戦しなきゃ勝てなかったかもしれないんだぞ?」

大和「確かに……不意を打てたとはいえ、練度はとても高かったですからね」

提督「それにあんなタイミングで、バカ弟はともかく、エフェメラまであんな形で島に乗り込んでくるのは完っ全に想定外だった」

提督「おまけにエフェメラには抵抗すらできずに俺の体を魔神と深海棲艦に引き裂かれたからな……」

提督「魔神の力が使えるようになって、やっと俺も戦える、って思った矢先に戦う力を奪われてんだぞ? どうしようもなかったぞ」

提督「正直、あれで魔神じゃなくなったんだから、メディウムとはここでお別れか、とも思ったくらいだ……!」

ニーナ「なるほど……確かにそうなった可能性もありますね」

提督「最悪、俺どころか艦娘や深海棲艦も魔神の生贄にされちまわねえかと思って、巻き込まない方法を必死に考えてもいたしよぉ……」

電「魔神さんが司令官さんの味方で本当に良かったのです……」

提督「まったくだよ。メディウムたちも、俺が魔神でなければ何の興味もないだろうし、そいつはニコも同じだろう」

ニコ「……」

提督「体を奪われて深海棲艦として生きるにしても、何の装備も持ってなくて身一つじゃあ、戦っていけないだろうし」

提督「ここまでやってきてそうなったら、怨霊以外の何物にもなれやしねえ。何のためにあの世から戻ってきたんだって話だよ」ハァ…
342 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:11:20.65 ID:kokBAZkko

提督「あんな丸裸にされるような、くっそ情けねえことがあったってのに、それでも俺の頼みをきいてくれるとか……」グスッ

提督「情けないからってのもあるが、嬉しくて涙が出てくるなんて初めてだ。ちょっとくらいぼやいてもいいだろ……」グデェ…

如月「司令官……」

敷波「司令官がここまで愚痴っぽくなるなんて、初めてじゃない?」

島妖精B「弱音を吐くシーン自体がなかなかないもんねー」

伊8「吹雪ちゃんに嫌われたときよりもひどいと思う」

軽巡新棲姫「ソンナニ珍シイノ?」

戦艦水鬼改「珍シイワネ。私モ初メテ見タワ、明石ニ殴ラレテタトキモ、ソコマデ落チ込マナカッタノニ」

大和「!?」

提督「しょうがねえだろ。ここまでやってきて魔神の餌じゃ、俺を信用してついてきたお前たちに申し訳が立たねえしよ」

陸奥「それはそうかもだけど……」

南方戦艦新棲姫「最悪、私タチモ全滅シテタカ……?」

深海海月姫「コウシテ、目覚メナケレバ、ソウダッタカモネ」

メリンダ「申し訳が立たない、ですか……ルイゼット?」

ルイゼット「なんでしょう」
343 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:12:06.00 ID:kokBAZkko

メリンダ「本来の……始祖たる魔神様であれば、このようなお言葉を賜ることもないのでしょうね」

ルイゼット「私の知る魔神様は、威厳に溢れた神であるはず。しかし、仲間を大事になさるニコさんが召喚なさったのであれば……」

ルイゼット「慈悲に満ち溢れた魔神様でいらっしゃっても、間違いではないのかもしれません……」

メリンダ「……罰をいただけないのは、残念です……」ションボリ

ルイゼット「」

ジュリア「なんでそこで落ち込むんですの!」ハリセンスパーン!

メリンダ「痛い……もしや、ジュリア……あなたから、罰をいただけるのですか……!?」キラキラキラッ

ジュリア「そんなキラキラした瞳であたくしを見ないでくださいまし!」

ルイゼット「……」アッケ

提督「ジュリア、真面目にツッコミ入れなくていいぞ? メリンダもルイゼットを困らすな。あとリンダはボケようとするな」

リンダ「ちょっ!? うちまだ何も言うてへんよ!?」

メリンダ「魔神様……? それでは……!」キラキラキラッ

提督「そういうのは後でな」ハァ

メリンダ「後ですか……?」
344 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:12:50.22 ID:kokBAZkko

提督「とりあえず今日はレ級と戦った大和やル級たち深海勢や、ソニアやニーナたちを労う方が先だ」

メリンダ「それは当然ですね。残念ですが従います」

初春「メリンダも相当面倒臭い奴じゃのう……」

ジュリア「魔神様もいきなり立ち直らないでくださる?」

提督「ぐだぐだ醜態を晒すのもみっともねえだろ。いい機会なんで弱音は遠慮なく吐かせてもらったが」

提督「吐き出してすっきりしたならそれで終わりにすりゃあいい。酔っ払いのゲ○と一緒だ」

ジュリア「喩えが最悪ですわ!!」ハリセンスパーーン!

リンダ「ウチのボケは!?」

提督「いや、悪酔いしたときは戻すのが一番手っ取り早いぞ? アルコールを体の外に出すわけだからな?」

ジュリア「そういう話ではありませんの!!」

リンダ「黙殺ゥー!?」キビシー!

提督「まあいいや、張り切ってツッコむとそれを期待してボケる奴がいるから、ジュリアは少し落ち着きな」

ジュリア「落ち着いてますわよ……これ以上なく」ハァ

提督「とにかく、これでやっと普段通りに戻せそうな感じだな……」
345 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:13:35.37 ID:kokBAZkko

コーネリア「なあ魔神様、あたしは細かいことはいいんだ。魔神様はこれからも魔神様でいるってことだな?」

提督「おう。いろいろあったが、ある程度の力を取り戻した、って感じで認識してくれりゃいい」

コーネリア「今回は場所が場所だけに、あたしの出番がなかったからな……次があったら出撃させてもらうぜ」

提督「そうだな。今回の曽大佐みたいなことを、今度は余所の深海棲艦が起こすかもしれねえし……当分は警戒が必要だな」

戦艦水鬼改「ソンナ奴ラハ、私ガ潰スゾ?」

提督「……ありがとな。まあ、もしそんなことがあったら、次は真っ先にコーネリア載せてってやってくれ」ニコ

コーネリア「ああ。あたしはその時までに槍を磨いておこうかね」

如月「司令官、微妙に雰囲気変わったかしら」

提督「今回はいろいろと、やらかしたからな……自分で言うのもなんだが、少し滅入ってる」

如月「そういうのじゃなくて、少し、重苦しい雰囲気がなくなったっていうか……」

霞「私もそう思うわ。あんた、いつも他人に対して壁を作ってたでしょ。ずっと近寄りづらい雰囲気を醸してたじゃない」

吹雪「なんて言ったらいいのかな? わざと人を遠ざけるような言い方が、少し柔らかくなったっていうか」

提督「そりゃあ、これ以上突き放す理由もないし、世話になりっぱなしだし……魔神たちの魂のせいもあるか?」

如月「そうなの?」

提督「魔神と混ざり合ったときに、あいつらの性格というか、人柄というか、どんな神様だったのかが見えたんだよ」

提督「厳格そうな奴とか、酷薄そうな奴とか、気性の荒そうな奴とか、妙にニコニコした奴とか……いろいろ混ざってたんだよな」
346 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:14:21.38 ID:kokBAZkko

提督「それから、こいつが魔神だと思える奴もいた。思った以上になれなれしくて、ちょっと警戒もしたが……」

提督「溶けて一緒になるときに、そいつらに、俺たちの力を使え、って言われたような気がしてな。一人じゃないと言われたんだ」

提督「さっきもお前たちに力を貸してもらえる、って言われて、嬉しかったしな……一人じゃないってのは、こういうことか」

霞「魔神にも励まされたんじゃないの? しっかりしなさい、って!」

吹雪「霞ちゃんみたいだね?」

霞「そ、そういうんじゃないったら!?」

提督「なんか、変な気分だったぜ。見知らぬ自分に会ったような感じだった」

提督「ま、なんにせよ俺は俺だ。そうそう変わっちゃいねえから、安心しな」ニコ

ニコ「……」

 *

大和「やっぱり、あのときのお顔の怪我は、明石さんの仕業だったんですか……」ドロリ

提督「目を濁らすな。俺のやり方が万人に通用するわけじゃねえんだからよ」

大和「で、ですが……」

提督「俺はあの時、はっちゃんをル級に撃たせたんだ。明石は怒って当然だろ」

大和「……」

提督「俺の決断が仲間を死なせるかもしれねえ。そのくらいは覚悟のうちだ」

提督「だから、俺が間違ってるときは、お前も容赦なく止めてくれていいんだぞ」

大和「……そう、ならないことを祈ります」
347 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:16:24.66 ID:kokBAZkko

と言うわけで今回はここまで。
次回は深海棲艦勢と川提督の艦娘とのお話です。

>322-323
提督棲姫については、「壊」タイプで、髪型がもう少し短くなって
装備と衣服が全解除の姿で想像していただくといいかもです。
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/26(火) 09:52:30.23 ID:cAqDqD950
ごめんなさい🙇‍♀️
重複しました
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/27(水) 21:25:21.00 ID:4jjNObB30
とりあえず目先の一難は去った、ですが艦これ世界影牢世界両方にまだまだ脅威が残っているという伏線が張られました。
残り七割の魔神の魂のほか、那珂と榛名の養成所の伏線も未回収だったと思いますし、これからが楽しみですね。
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/02(火) 14:40:44.81 ID:EoUKWc/pO
あけおめ!なのです!
協力者を失った父弟がどう動くか気になるところ・・・父のほうは政治面の地力でまだ邪魔な存在足りえそうだけど弟は魔翌力失ったらダメそう
351 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 20:56:35.64 ID:VA68R6Meo

今年は正月早々いろいろ酷いニュースが飛び交ってますが、とりあえず私は引き続き書き込めそうです。

今回登場のメディウムはこちら。

・ルミナ・ヘルレーザー:白衣を纏いモノクルをかけた科学者のメディウム。レーザービームが縦に走って一直線上の人間を焼き切る罠。
  メディウムや魔神さえも研究対象にする狂科学者。モノクルはもとは宝石加工用だったが、なぜかすべてを焼き切る凶悪兵器になった。

こういう科学者キャラは、設定の話をするときに重宝します。というわけで、今回は深海棲艦たちと川提督の艦娘のお話です。
352 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 20:57:16.31 ID:VA68R6Meo

 * 数時間後 *

 * 入渠ドック脇 休憩スペース *

明石「あ、提督! やっと来ましたか!」

提督「おう。深海棲艦たちも含めて全員揃ってんだよな?」

明石「揃ってますけど! なんだってこんなことになったんですか!? 今度はいったい何をしちゃったんです!?」

提督「お前は毎回、俺が何かやらかしたみたいな言い方するんじゃねえよ」

明石「そんなこと言っても原因はあなた以外にないでしょう? いいから早く行ってください、待たせてるんですから!」

提督「お、おう」


 * 入渠ドック内 *

明石「まったくもう……本当に、いったい何をしたんだか」

眠ったように動かないイ級「」

眠ったように動かないロ級「」

明石「……毎度毎度、本当にろくな事しないんだから、あの人は……!」

ヒサメ「まったく、あの男は意識せずいろいろとやらかしてくれるのう」ホホホ

明石「笑い事じゃありませんよ、まったくもう」
353 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 20:58:16.39 ID:VA68R6Meo

ルミナ「それにしても興味深いね。魔神君が撫でたら動かなくなる、ってどういう理由なのかしら」

初春「南太平洋空母棲姫じゃったか。考えられる理由がそれしかないと言っておったからのう」

明石「それ以外に外的要因はない、ということですか」

ヒサメ「しかし……その深海棲艦は随分と面倒見がいいのう?」

初春「この2隻の深海棲艦は、あの南太平洋空母棲姫がこの島の周辺で発見したそうじゃ。以来、行動を共にしておったらしいぞ」

ルミナ「時雨君を見つけた時も随伴していたって話よね」

明石「この島の周辺で、ですか……」

 バキン!!

明石「うわ!? な、なにこれ!? イ級とロ級の背中にひびが……!」

 バキン! バキン! バキン!!

ルミナ「おお、背中が割れたよ!? なんだいこの中身は……」

ヒサメ「なんじゃこれは。真っ白な液体で満たされておるのか?」

明石「ええええ!? 深海棲艦の駆逐艦の外殻の中身って、こうなってたの!?」

初春「む、待つのじゃ、中から何か出てくるぞ!」

 ズリュウ!

明石「て、手ぇぇ!?」

 (乳白色の液体の中から伸びた白くて細い手が、外皮に手をかけ力を入れると)

 ビチャッ…ズルゥ!

 (液体の中から真っ白な少女が現れる)

全員「「!?!?!?」」
354 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 20:59:01.31 ID:VA68R6Meo

 * 一方その頃 *

 * 入渠ドック脇 休憩スペース *

提督「まずはお前たちが何者か、教えてもらうか」

コロラド「……私たちは、川提督艦隊。旗艦のコロラドよ」

提督「ふーん……で、そっちにいるのは霧島と、確か蒼龍か。装備が知ってるのと違うが、そこの二人は見たことあるな」

霧島改二「はい、私が霧島です。川提督指揮下のもと、第二改装まで受けております」

蒼龍改二「えっと、同じく第二改装まで受けた、航空母艦、蒼龍です!」

飛龍改二「私は飛龍です。蒼龍と同じ第二航空戦隊の航空母艦です」

綾波改二「私は、綾波型駆逐艦、綾波と申します」

天龍改二「俺の名は天龍! フフ……怖いか?」

提督「天龍? つうと、お前だな? 死ぬまで戦わせろとかほざく奴は」

綾波改二「あ、言うことは言いますけど、あくまでポーズですよ? 駆逐艦が真似するといけないので、駆逐艦の前では言いません」

天龍改二「そりゃそうだけどよ!?」

提督「ふーん、つまり、本当はそんなに怖くねえんだな?」

天龍改二「いや、怖がれよ!」
355 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 20:59:46.50 ID:VA68R6Meo

提督「怖がれっつってもなあ……見た目で言えばこっちのが怖いだろ」

戦艦水鬼改「コロラド、ネエ? 会ッタコトアッタカシラ……」

軽巡新棲姫「スグニハ思イ出セナイワネー」

南方戦艦新棲姫「名前ハ、ナントナク、ワカルケドナア」

南太平洋空母棲姫「トイウカ、ミンナ米軍艦ダッタノ?」

泊地棲姫「私ニツイテキタンダカラ、ソウダト思ッテイタンダケド……コノ子ハ、ソウデモナカッタノヨネ」

欧州水姫「余ノヨウナ、例外モイルトイウワケダナ。トコロデ、コノ場ニハ、余モ参加シテテイインダナ?」

防空巡棲姫「聞キタインナラ、イインジャナイ? 軽巡棲姫ハ聞カナクテイイ、ッテ言ッテタンダシ……私モ、寝テテイイ?」フワァ

深海海月姫「アナタハ話ヲ聞キナサイヨ……」

綾波改二「そうですよねえ。こんなに大勢の鬼級姫級が一堂に会するのを見てから、天龍さんを怖がれと言うのは無理がありますね」

天龍改二「ちくしょう!」ガクーッ

提督(面白い奴だな)
356 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:00:31.05 ID:VA68R6Meo

霧島改二「それにしても……あの姫級たちが、私たちと一緒に椅子に座って戦うことなく対面しているというのは、初めてと言いますか」

飛龍改二「ぶっちゃけ、生きた心地がしないよ?」アオザメ

蒼龍改二「こんな場を設けられるなんて、ここの提督さんって、本当に何者なんですか?」ヒヤアセ

提督「んー? まあ、運が良かったんだよ、いろいろとな」

天龍改二「とにかくよ、こっちの姫級たちはあんたの部下ってことでいいんだよな?」

提督「いや、部下じゃねえぞ。知り合いっつうか、仲間っつうか……」

泊地棲姫「上下関係ハ、ナイヨウナモノダナ。対外的ニハ、コノ男ガ代表ト言エルカ」

戦艦水鬼改「ソレカ、島ノ同居人、トイッタトコロカシラ。私自身ハ、コノ男トハ、モット親密ナ仲ニナレテモ、イイノダケレド」フフッ

泊地棲姫「抜ケ駆ケスルナヨ?」ジロリ

戦艦水鬼改「アラ。私ハ、素直ナ願望ヲ、クチニシタダケヨ?」ニヤリ

天龍改二「あー……仲が良いってのはわかったから、喧嘩はやめてくれよ。俺たちじゃとても止められる気がしねえ」

軽巡新棲姫「ダヨネー、ワカルワカル」

綾波改二(オランダの軽巡洋艦さんが混ざってる気がしますね)
357 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:01:16.61 ID:VA68R6Meo

提督「えーっと、一応紹介するとだな。泊地棲姫と、んーと確か、ル級とタ級と……」

天龍改二「いや待てそれはさすがに違うだろ!? どう見ても普通のル級とかタ級と一緒にはできねえだろ!?」

提督「つってもなあ。それぞれなんて呼ばれてるか、俺も把握してねえし……」

コロラド「私が分かるわ」

提督「何?」

コロラド「あなたはさっきも言ったけど、イギリスの戦艦、ネルソンよ」

欧州水姫「ホウ……断言スルカ」

コロラド「ええ。見てて確信するくらいにはね。それから……あなたは、アイオワでしょ?」

戦艦水鬼改「!」

コロラド「そして、あなたはホノルルで、あなたはアトランタ」

軽巡新棲姫「ウーン、ソウカモ?」

防空巡棲姫「アー、ソウ言ワレレバ、ソウ呼バレテタカモ」

コロラド「それから、あなたは……きっとサラトガね。シスター・サラ」

深海海月姫「……ソウ……?」
358 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:02:01.74 ID:VA68R6Meo

コロラド「そして、サウスダコタと、ホーネット……!」

南方戦艦新棲姫「ナントナク、ソンナ気ガスルナ。霧島トハ、会ッタヨウナ気ガスルシ」

南太平洋空母棲姫「ソウネ。ソノ名前、懐カシク感ジルワ」

コロラド「私の知ってる U.S.Navy が、こうして姫クラスの深海棲艦になってるところを見るなんて……」

コロラド「どうしてこうなっちゃったのかしら……」ウナダレ

提督「お前たち、自分の名前がはっきりしないのか?」

戦艦水鬼改「ソウネエ。ナントナク、ソウナノカ、ッテ感ジ? アイオワ、ネェ……確カニ、ソウカモ」

コロラド「絶対そうよ! その主砲、規格や特徴が合致してるもの! アイオワでなければ同じアイオワ級のニュージャージーだわ!」

提督「傍目に見て、それが正しいとしても、自覚がねえんじゃなあ……」

蒼龍改二「なんだか、記憶喪失の人に名前を訊いてるみたいな感じだね?」

提督「あー、言い得て妙だな」

天龍改二「なあ綾波? お前、欧州水姫と戦艦水鬼の名前がパッと出てきたってことは、本営の資料にはあるはずだよな?」

綾波改二「そうですねえ。全員分あるかどうかはわかりませんが、取り寄せて照合してもらうといいかもしれませんね?」

提督「お、そういう資料あんのか。名前だけでもなんて呼ばれてるか確認してえな。でないと、なんて呼びゃいいかわからねえ」
359 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:02:46.84 ID:VA68R6Meo

ルミナ「やあやあ魔神君。丁度いい頃合いだし、ちょっと私もお邪魔させてもらっていいかな」スタスタ

深海棲艦たち「「!」」

提督「ルミナ? 丁度いいってなんだよ?」

ルミナ「そちらの艦娘の皆さんにも、確認のためにちょっと聞いて欲しいんだ。深海棲艦と、艦娘の違いについての仮説をね」

ルミナ「多分、深海棲艦のみんなの姿が変わった理由の話もできるだろうからね」

泊地棲姫「私タチノ話ダト?」

提督「ふーん……とりあえず、聞いてもらっていいか?」

霧島改二「……コロラドさん、どうしますか?」

コロラド「え? え、ええ、いいわよ。いまの話に関係しているって言うのなら、話してちょうだい」

ルミナ「了承いただけたのであれば、まずはこちらの二人をご紹介! おいでー!」テマネキ

白露型?「ハイハーイ!」

暁型?「ゴキゲンヨウデス!」

提督「……んん? なんだ? 暁……じゃねえな?」

蒼龍改二「なんだか、北方棲姫みたいなワンピースを着てるわね……?」

天龍改二「そっちのは夕立か? つっても、肌の色どころか髪の毛も服も真っ白だし……いや、村雨か? どっちだ?」
360 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:03:46.85 ID:VA68R6Meo

飛龍改二「っていうか、二人ともあからさまに深海棲艦っぽくない? 目も真っ赤だし、ツノも生えてるじゃないの」

南太平洋空母棲姫「ネエ、ソノフタリ、モシカシテ……」

ルミナ「ねえ魔神君? 君は、ソニアとクレアが乗っていた深海棲艦の駆逐艦の頭を撫でてあげてたよね?」

提督「ああ、それがどうかしたか?」

ルミナ「この二人はそれぞれ、駆逐イ級、駆逐ロ級と呼ばれていた深海棲艦だよ。君が撫でてあげてた、あの2隻さ」

白露型イ級「ソウイウコトッポイ!」

暁型ロ級「ヨロシクナノデス!」

飛龍改二「ええええええええええ!?」ガタッ!

蒼龍改二「イ級とロ級ううううう!?」ガタッ!

天龍改二「どういうことだよそれは! わっけわかんねえ!」

提督「……は?」ポカーン

ルミナ「いやいや、魔神君まで呆けてないで。ほら、あの時雨君を見つけたヲ級君が連れてたあの2隻が、この二人なんだけど」

南太平洋空母棲姫「ソノ『ヲ級』ッテ私ノコトヨネ?」

ルミナ「そうなの?」
361 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:04:32.20 ID:VA68R6Meo

南太平洋空母棲姫「アノ駆逐艦タチハ、コノ島デ知リ合ッタノヨ。コノ島ノ周辺デ生マレタミタイダケド」

提督「島の周辺で……?」

ルミナ「えーと、驚くのは後にしてもらって、ちょっといいかな? ひとまず、これは私の仮説として聞いて欲しい」

ルミナ「まず、彼女たちは、轟沈した艦娘の魂が混ざり合ってできたと考えられるんだ」

霧島改二「轟沈艦……!?」

提督「もしかして、この島に埋葬したやつか?」

蒼龍改二「埋葬!?」

提督「ああ。そういや一時期、白露型や暁型が大勢流れ着いた時期もあったが……まさか、そいつらの生まれ変わりだってか?」

ルミナ「多分ね。おそらくだが、以前、大和君や軽巡棲姫君と一緒に、魂について話をしただろう?」

ルミナ「その時と一緒で、君は無意識に彼女たちの艦娘としての意識を呼び起こしたんじゃないかと思うんだよね」

提督「……それじゃ、俺は迂闊に深海棲艦に触れねえってか?」タラリ

ルミナ「それはちょっとわからないかな? 軽巡棲姫君みたいに触れてても問題ない子もいるからね」

暁型ロ級「ワタシハ、ヨカッタトオモウワ!」

白露型イ級「アシガハエテ、オカノウエデモ、ハシレルッポイ!」ワイジバランスー

提督「おいおい、スカートまくれちまうぞ。足を下ろせ」

白露型イ級「ハーイ」

天龍改二「もう少し慌てろよ。冷静すぎねえか」
362 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:05:16.15 ID:VA68R6Meo

ルミナ「今回の事象を鑑みるに、艦娘にしても深海棲艦にしても、そして私たちや魔神様にしても……」

ルミナ「その魂の出来上がり方は、かつての艦の魂の寄せ集めにすぎないんじゃないか? と私は考えていてね」

天龍改二「寄せ集め!? なんだよそりゃあ!! 認めねえぞそんな話!?」

深海海月姫「静カニシテ、話ヲ聞イテ」ジロリ

天龍改二「ハイ」

綾波改二(さすが姫級、プレッシャーが尋常じゃないですね)

ルミナ「さて、いろいろ言いたいことはあると思うけど、まずは艦娘と深海棲艦の違いは何か? という仮説の話をするね」

ルミナ「私の考える結論から言ってしまうと、魂の作られ方が違うのよ」

綾波改二「作られ方、ですか?」

ルミナ「そう。艦娘は、ある核となる魂があって、その魂が主導権を持つんだけれど」

ルミナ「一方の深海棲艦は、いろんな魂が乱雑に混ざり合って、その中で強い魂が主導権を持つようになってから、姿が出来上がる」

ルミナ「最初から誰になるかが決まってて作られるのが艦娘、誰になるのか決まらないまま作られるのが深海棲艦、って感じかしら」

霧島改二「誰になるのか決まらないまま……?」
363 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:06:01.85 ID:VA68R6Meo

ルミナ「考えてもみてよ、これまで出会った深海棲艦の……そうだね、例えば駆逐艦の姿はどうだったかな?」

ルミナ「大きく分類してイ、ロ、ハ、ニ級が確認されてて、最近ナ級も見つかったんだっけ?」

飛龍改二「ナ級……ソウネ……」ヌラッ

綾波改二「ソンナヤツ、イマシタネ……イナクテイイノニ」ヌラッ

南方戦艦新棲姫「アイツラ、チョット私タチニ似テナイカ?」タラリ

防空巡棲姫「……危険ダネ」タラリ

ルミナ「深海棲艦の一般的な駆逐艦は、大雑把に分けて5種類。それに対して、この世界全体の駆逐艦の数は相当なものだ」

ルミナ「なんで深海棲艦の駆逐艦の種類が少ないのか。それは、彼女たちが自分が何者か、生まれた時にはっきりしていなかったからだ」

ルミナ「例えば、君! 綾波君で良かったかな? 敷波君に似てるね、そういえば」

綾波改二「は、はい! 敷波は私の姉妹艦ですよ。同じ綾波型です」

ルミナ「ああ、そうだったのか。うん、君は自分のことを『綾波』だと、生まれた時から認識してるよね? 綾波であって敷波ではないと」

綾波改二「それは、そうですねえ」

ルミナ「それは魂が、自分が綾波だと自覚し認識しているからであって……」

ルミナ「もしそうでなければ、自分が何者かをちゃんと認識できずあの姿になる、と推測してるのよ」
364 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:06:46.27 ID:VA68R6Meo

綾波改二「その理屈だと、私たちが記憶喪失になったら、あの姿になってしまうってことですか?」

ルミナ「いや、今のその姿は記憶喪失になる前に作られるわけだろう? さすがに変わらないと思うんだけど」

提督「試したいとか言うなよ?」

ルミナ「そこは言わないよ!?」

綾波改二「……深海棲艦には、明確な自我がない、ってことなんでしょうか?」

ルミナ「おそらくね。そのまとまらない自我をまとめるために、生者への怨恨や憎悪という心の方向性で一体化したり」

ルミナ「或いは自分が何者かを仮に決めてしまって、まとまらなかった力をまとめている、と、考えてるの」

提督「艦娘の建造には妖精が携わる。建造妖精が誰になるかを定まるようにサポートしてると考えれば、その仮説も成り立つわけか」

ルミナ「魂のまとまり方によって、イ級だったりロ級だったりになるけれど、最初から芯が決まっていれば、艦娘になって海に現れる」

ルミナ「この二人も、自分が暁型の誰なのか、白露型の誰なのかがはっきりしてないじゃない? 二人とも、自分の名前はわかる?」

白露型イ級「ナマエ……シラツユハ、ナントナクワカル!」

暁型ロ級「ワタシハ、ヨクワカラナイ……デス」

天龍改二「そうなのか……確かにまあ、どっちつかずな感じの見た目だけどよ」ウーン

ルミナ「それから、同じ鎮守府の中でも同じ艦娘が現れることがあると思うけど、微妙に個性が違うことってない?」

ルミナ「それは魂の混ざり方が違っていたり、逆に大事なものが抜け落ちたりするから、と推測してるの」

提督「……ここに来る前に似たような話をしたな、そういえば」
365 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:07:31.09 ID:VA68R6Meo

ルミナ「そこの金髪の艦娘が……」

コロラド「コロラドよ」

ルミナ「コロラド君が、深海棲艦のみんなの名前を呼んだ時に反応が薄かったと思うんだけど」

ルミナ「艦娘が、自分の名前やルーツがなんであるかをちゃんと言えるのに対して」

ルミナ「深海棲艦のみんなが、さっきも『多分こうなんじゃないか?』って感じで自信なさげに話してたのも」

ルミナ「そういうことじゃないかな、と考えているの」

天龍改二「……そんじゃあ、深海棲艦たちが、自分はこいつだ! って認識したら、艦娘になるのか?」

ルミナ「残念ながら、深海棲艦が艦娘になったり、逆に艦娘が深海棲艦になる可能性は、かなり低いというか、ほぼないんじゃない?」

ルミナ「一度決まって生まれてきたものが、その逆のものに突如生まれ変わる、というのは考えにくい」

ルミナ「せいぜい、ここにいるみんなのように、違う深海棲艦に進化……いや、深化するとか、形態が変わるだけになるんじゃないかな」

ルミナ「そしておそらく、それをひっくり返す唯一の現象は『轟沈』しかない、と、私は推測しているよ」

提督「そういや、お前とは以前もそういう話をしたっけな。やっぱそう考えるのが自然か」

全員「「……」」
366 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:08:16.38 ID:VA68R6Meo

ルミナ「そう言えば、魔神君がかつてこの島で行っていた研究……実際には研究ではないけれど」

ルミナ「彼が、轟沈した艦娘をそのまま運用していたことを、君たちは知ってるのかしら?」

飛龍改二「そうなの!?」

蒼龍改二「全然知らなかったんだけど!?」

天龍改二「聞いてた以上にやべー奴じゃねえか!」

綾波改二「でも、だからこそ深海棲艦の皆さんに好かれたのでは……」

提督「そこは関係ないと思うぞ?」

綾波改二「そ、そうなんですか……?」

コロラド「ね、ねえ、なんでみんなそんなに驚いてるの?」

提督「お前は知らないのか。轟沈した艦娘が深海棲艦になる、って話。海軍じゃ有名な訓話だぞ」

コロラド「そ、そうなの……!?」

軽巡新棲姫「ソノ訓話、私モ知ラナカッタケドネー」

欧州水姫「深海棲艦ガ艦娘ニナル、ッテイウ、逆パターンモアッタラシイガ、ドウナンダ?」

泊地棲姫「ドチラモ、アルト言ワレテルケド、私ガ実際ニ、ソノ場面ニ立チ会ッタコトハナイワヨ」

綾波改二「そうなんですか……」
367 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:09:00.93 ID:VA68R6Meo

霧島改二「しかし、あなたはなぜそんな危険なことを……?」

提督「俺はもともと、理不尽な扱いをされて島に逃げてきた艦娘を助けたかったんだ」

提督「轟沈して死にかけたそいつをうちの鎮守府に着任させるときに、その話が出てきて危うく話が駄目になりそうになった」

提督「そこで俺は、この島の立地を理由に、轟沈艦をこの島限定で着任できるようにできないかと持ちかけたんだ」

霧島改二「なるほど……然程重要ではない隔離された鎮守府であれば、有事の際に被害が余所に及ばないからと?」

提督「そういうことだ。だからこの島の人間は俺一人だった。まあ、個人的に人間と関わりたくなかったから、好都合だったが」

戦艦水鬼改「ダカラコソ、私ガコノ島ニイタコトモ、隠シテモラエテタノヨネ」

提督「ああ。俺だけだったからな」

天龍改二「大胆なヤローだな……万が一でも見つかったら、ただじゃ済まねえってのに」ヘヘッ

綾波改二(天龍さん、そういう無茶をする人が好きですよねえ)

ルミナ「そうして魔神君はその轟沈した艦娘たちとずっと付き合ってきたわけだけど、結果的に誰も深海棲艦になることはなかった」

ルミナ「逆に、魔神君と一緒に過ごしていた深海棲艦も、艦娘になることはなかった」

ルミナ「となると、海で轟沈して肉体が滅んだ時……魂だけになった時に、初めて生まれ変われるんじゃないか、と考えられるわけなのよ」

天龍改二「……確かに、新しい艦娘との邂逅は、海で見つけるか、建造するか、だな……」
368 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:09:46.43 ID:VA68R6Meo

ルミナ「海で見つけるケースは、建造よりも発生頻度が低い。自然発生するケースと言うのは、生まれ変わるケースとも考えられる」

ルミナ「もしそうだとしたら、誰かがその瞬間の場面に立ち会うことも、そこまで多くないとも言えるだろうね」

ルミナ「そして、沈む前の自分の艦の名前を色濃く覚えているのであれば、その艦娘として生まれ変わるケースもある……」

コロラド「……だたし、必ずしもその艦娘に生まれ変われるとは限らない、と言うわけね……」

霧島改二「海域の大物の深海棲艦を倒した際に、似た姿の艦娘と邂逅することはありますが、確かにその確率は決して高くありませんね」

提督「なんだ? そういう事例があんのか?」

霧島改二「はい、特に、特別海域でよくあることですね」

提督「特別海域……なんか、強大な深海棲艦が生まれ出た海域って奴か?」

霧島改二「はい。そういった海域に出没する深海棲艦は、その傾向が強いようです」

綾波改二「ここにいる姫級の皆さんも、その特別海域によく出てくるんですよ。性格は全く逆で、すごく攻撃的ですけど」

提督「お前たちはそういう連中を討伐しているってことか」

霧島改二「そうですね。ですので、こうやって戦わずに会話ができているだけでも、私たちとしては驚くべきことですね」
369 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:11:16.48 ID:VA68R6Meo

綾波改二「例えば、コロラドさんがサウスダコタさんと呼んでいるあなた」

南方戦艦新棲姫「ン? ワタシカ!」

綾波改二「はい。良くない例え話をしますが、仮にあなたを私たちが撃沈したとします」

南方戦艦新棲姫「オイ!?」

綾波改二「そうすると、艦娘のサウスダコタさんと邂逅できることがあるんです」

提督「なんだと?」

南方戦艦新棲姫「ジャア、ワタシガ沈メバ、艦娘ニナルノカ!?」

コロラド「それが必ずじゃないから困るのよ……」

提督「なんだよ……艦娘にならなかったら、殺され損じゃねえか」

綾波改二「そうなんです、コロラドさんもさっき言ってましたが、必ずしもその艦娘に生まれ変われるわけじゃないんです」

コロラド「私の知ってる U.S.Navy が、みんな深海棲艦になってたんだもの。敵でしかないと思ったらショックだったわ」

コロラド「こうやって普通に話せてるからいいのかもしれないけど、私としてはやっぱり、みんなに艦娘になって欲しいって思っちゃうのよね」ムー

南方戦艦新棲姫「艦娘ニ、カ……」ウーン
370 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:12:16.16 ID:VA68R6Meo

提督「なんだ、艦娘になりたいのか?

南方戦艦新棲姫「イヤ、イマノ姿ハ、ソレナリニ気ニ入ッテルカラナ。飽キタラ考エナクモナイナ!」

コロラド「ちょっと! いい加減なこと言わないで! やるんなら確実に生まれ変われる方法でお願いするわよ!?」

南方戦艦新棲姫「ソウダナ! ジャア、生マレ変ワリハ、ソノウチダナ! ソノウチ!」

防空巡棲姫「敵ニ心配サレテル」

軽巡新棲姫「新鮮ダネ!」

ルミナ「ふむ……轟沈させた艦娘や深海棲艦が、即座に逆の存在になったところは……」

ルミナ「少なくともこの鎮守府の艦娘、深海棲艦では見たことがないのよね」

ルミナ「見られる機会になるのかと思ったけど。まあ、事情が事情だし、仕方ないか」ブツブツ

蒼龍改二「ね、ねえ、轟沈した艦娘をこの島に埋葬したって言ってたけど……本当なんですか?」

提督「ああ。北東の砂浜に無数に打ち上げられてたんでな。可哀想だし水葬もできねえから、丘の上に埋めたんだ」

蒼龍改二「その、埋葬した艦娘が深海棲艦になったことはないんですか?」

提督「そういや、ねえな……?」

綾波改二「もしかして、海から引き揚げたからでしょうか?」

ルミナ「うーん、考えられるとしたら、そこしかないかしらね」
371 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:13:01.21 ID:VA68R6Meo

霧島改二「考察としては、ある程度納得できるものではありますね……失礼ですが提督、彼女は何者です?」

提督「あんまり詳しく言えないが、俺の協力者、身内だと思ってくれ」

飛龍改二「っていうか、提督のことをマジン君って呼んでたけど。あの『えふぇめら』? っていうのも何者だったのかな」ヒソヒソ

蒼龍改二「あの人も大きくなったり小さくなったりしてたし……どういう意味だろうね? 頭が追い付かないよ」ヒソヒソ

ルミナ「ちなみに、この仮説を後押しする考察として、強化の上限についても話しておこうか」

天龍改二「上限?」

ルミナ「そう。艦娘は、強化しても限界もすぐ見えてくる。それは、最初から器が決まってるからで……」

ルミナ「深海棲艦はその器自体があいまいだから、その辺の雑な魂も無尽蔵に取り込んで、いくらでも存在を大きくできると考えられるの」

ルミナ「ただし、結合力が弱いから極端に脆い部分ができるという欠点も発生する。だからこそ再結合もしやすいと言うのもあるんだけど」

ルミナ「艤装も史実の艦艇と比較して食い違いがあったりするのも、その無尽蔵に取り込むという点が原因だと思うんだけど」

ルミナ「だから、艦娘が第二改装? という、段階を踏んで強化するのに対し、深海棲艦は独自に強化していく、と言う点が違ってくるのよね」

霧島改二「聞けば聞くほど面白い推論ですね……」

ルミナ「まあ、まだ推論の域よ。これが正解かどうかは、これから調べてみたいんだけど、いいよねえ?」ニタリ

深海棲艦たち「「」」

提督「おいおい……」アタマオサエ
372 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:13:46.31 ID:VA68R6Meo

戦艦水鬼改「来ルナ、セクハラ魔人」テイトクノセナカニカクレ

深海海月姫「視姦魔人ヨネ」テイトクノセナカニカクレ

提督「おいルミナ、お前いつの間に不名誉な呼び名ができてんだよ……」アタマカカエ

ルミナ「いやいや魔神君、その程度の呼び名は些細な事さ。それより邪魔はしないでくれたまえよ?」ニジリニジリ

ルミナ「まさか深海棲艦が変異して姫級になるところを間近で見られるなんてねえ……」

ルミナ「いったいどういう感じに変化してるのか、まずは隅々まで見せてもらおうかなぁ?」キュピーン!

ニコ「……ルミナ?」

ルミナ「あ」

ニコ「魔神様のお許しなく、この島の深海棲艦や艦娘に手を出しちゃだめだよって、何回言えば理解してくれるのかな?」

ルミナ「いやあ、艦娘と深海棲艦の謎を解明できそうな、今の話をすれば許してくれるかなあって」

ニコ「後始末するのは、メディウムを束ねるぼくなんだよ? そういうわけだから……ブラックホール」

ベリアナ「もー、また私の出番なのぉ?」フヨッ

ルミナ「」ダッシュ!

ベリアナ「あ、逃げた」

ルミナ「もうブラックホールに閉じ込められるのはこりごりだよーー!!」

ニコ「……やれやれ」

ベリアナ「ニコちゃん、もういい? 早くあっちに行きましょ?」

ニコ「うん。邪魔したね」
373 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:14:30.93 ID:VA68R6Meo

飛龍改二「今の水着の子、浮いてなかった!?」

蒼龍改二「浮いてた浮いてた!」

綾波改二「……結局、彼女たちは何者なんでしょう」

提督「聞いてすぐ理解できるような存在じゃねえから、いっそ忘れたほうがいいぞ?」

飛龍改二「もおお、ここっていったいどういう島なのよー!?」ヒシッ

蒼龍改二「やだやだ怖い怖い帰りたいー!」ヒシッ

白露型イ級「トコロデ、連レテコラレタ私タチハ、ドウシタライイノ?」

提督「あー、そうだな……」

初春「なんじゃルミナめ、こちらに二人を置いてきぼりにしておったか」ニュッ

初春「提督よ、すまんがこの深海の二人、わらわが連れて行っても良いかの?」

提督「ああ、話は終わったところだから構わないが」

初春「ちょっと訊きたいことがあってのう。危険な目には遭わせぬから、安心せよ」

提督「まあ、お手柔らかにな?」

暁型ロ級「行ッテクルノデス!」ブンブン

提督「ああ、ついでに明石に適当な下着見繕ってもらえ。ノーパンでその辺うろつかれても困る」

飛龍改二「ちょっ!? 履いてなかったの!?」

天龍改二「だからもう少し慌てろっつったんだけどな……」アタマオサエ
374 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:15:16.94 ID:VA68R6Meo

提督「それにしても、初春が呼びに来るって……あ、もしかして」ウヘェ

軽巡新棲姫「ナニカ思イ当タルコト、アッタノ?」

戦艦水鬼改「ソノ顔ハ、ロクデモナイコトニ思イ当タッタ顔ネ?」

提督「ああ……あとで全員フォローしとく。まあ、俺の考え通りなら、本当にろくでもねえことなんだ」

コロラド「ねえ。それよりも、曽提督の艦娘はどうする気? できれば、引き渡してほしいんだけど……」

提督「その話なら断る」ギラリ

コロラド「……っ! あ、あなたたちを騙し討ちしようとしたのは謝るわ! でも……!」

提督「然るべき罰を受けさせる。そこにお前たちの意志が介入することは許容できねえ」

コロラド「然るべき罰……?」

提督「なあに、殺しはしねえよ。連中の、邪悪な心を、綺麗に洗い流してやろうって考えてるだけさ……!」ニヤァ

コロラド「……っ!!」ゾクッ

飛龍改二「悪い顔だわ」シロメ

蒼龍改二「悪人よ」シロメ
375 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:16:01.12 ID:VA68R6Meo

霧島改二「だ、大丈夫なんでしょうか……」

提督「大丈夫かどうかは、連中次第だな。素直になればよし、そうでなければ……つうか、あいつら絶対素直になんかならねえか」

綾波改二「痛い目を見ること確定じゃないですか」

天龍改二「洗脳でもする気かよ……」

提督「洗脳されてたのはむしろ今のあいつらじゃねえか? あんなトチ狂った戦闘狂の艦娘なんか、俺はこれまで見たことねえぞ」

提督「ま、安心しな、俺がばっちり呪縛から解き放ってやるからよぉ……!」ニタァァ

飛龍改二「悪い顔だわ」シロメデアワブクブク

蒼龍改二「悪人よ」シロメデアワブクブク

 ヒュンッ

朧「いま誰か泡を吹きました!?」シュタ!

防空巡棲姫「何シニ来タノ、アンタ……」

軽巡新棲姫「テイウカ、忍者ミタイジャナカッタ!?」キラキラッ!

提督「目を輝かせてる場合じゃねえよ。おいコロラド、とりあえずお前らが知ってる曽大佐の情報を全部話せ」

提督「でなきゃお前らも、ただで帰す気はねえぞ」ギロリ

コロラド「……わかったわ。あなたたちには助けられているんだもの、私たちもそれなりの態度を示さないとね……!」

 * * *

 * *

 *
376 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2024/01/03(水) 21:16:48.26 ID:VA68R6Meo

 * その後 *

天龍改二「それにしてもここの大将、思ったより全然話がわかるんだな。もっと自己中な奴かと思ってたぜ」

綾波改二「この分だと、大和さんたちのこともそれほど心配しなくても良い気がしますね?」

天龍改二「そうだけどよぉ、あの大和も俺たちの思ってた以上に狂ってたぜ? 話してどうにかなるもんかあ?」

綾波改二「対話では難しいでしょうね。曽大佐が深海棲艦との戦いをやめようとしない限りは……」

防空巡棲姫「提督サン? コイツラ結構余裕アルミタイナンダケド」

提督「いいんじゃねえの? 俺たちとやりあう気はねえんだろ」

天龍改二「ああ、その辺はちゃーんと弁えてっからよ。捕虜の俺たちが自由にさせてもらってんだからな」

綾波改二「好きに寛いでいいなんて言われたときは驚きましたし、まさか酒保まで開放していただけるなんて思いませんでした」

提督「話が通じる奴を拘束しておく理由はねえからな。その辺ぶっ壊したりしなきゃ」

 ゴンッ

南方戦艦新棲姫「ウワ、ヤベエ! 艤装展開シタラ、壁ニ穴開イチマッタ!」

欧州水姫「何ヲシテイル! 修理シロ、修理!」

南方戦艦新棲姫「ワカッテルヨ! オ前モ手伝エ!」

欧州水姫「ナゼ余ガ!?」

天龍改二「……あいつら、どっちも、もとはタ級なんだっけか」

防空巡棲姫「自分ノ艤装ノ、サイズニマダ慣レテナイッポイネ……」

提督「わざとじゃなきゃいいけどよ……心配だな、こりゃ」
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