【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」ニコ「その3だよ」【×影牢】

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

248 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/03(日) 20:06:49.28 ID:18ZKwdyZo

朝潮改二「そんなこと、やらせま」

 デルタホース<ガッシャン!!

榛名改二「ひぎゃああああ!?」ビウビクビクーッ

朝潮改二「!?」

大和改二「!?」

陸奥改二「な、なに!? 何が起こっ」

 マンリキスピン<ガシャッ!

由良改二「え」ガキーン!

 マンリキスピン<ギュイィィィィイインン!

由良改二「ちょ……あああぁああぁあ!?」ギュルギュルギュルーー!

ジェニー「やっとあたしたちの出番だね! 待ちくたびれたわよ!!」(On軽巡新棲姫の艤装)

オディール「お待たせした分だけ、いつもより多めに華麗にお耽美に回して差し上げますわ!!」(On防空巡棲姫の艤装)

大和改二「い、いったいなにごとです!? これは……」

ハナコ「あなた方は、この世の禁忌に触れたのです。その報いを受けるときが来ただけですよ?」(On大和の艤装)
249 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/03(日) 20:07:34.05 ID:18ZKwdyZo

赤城改二「!? あ、あなたは誰です!?」

ハナコ「うふふ……知らないほうが、御身のためです」ニコッ

 ヒュッ

赤城改二「き、消えた!?」

 ウォッシュトイレ<ガシャッ!!

陸奥改二「きゃあ!?」ズポッ

大和改二「今度は……ト、トイレ!? なんてふざけた真似を……!!」

陸奥改二「ちょ、ちょっとなにこれ!? はまって抜けない……!」

赤城改二「こ、これはまさか……トイレの花子さん!?」ゾクッ

陸奥改二「えっ、なにそれ!?」

赤城改二「い、いえ、以前、曽提督から戯れに冗談のような話を聞いたことがあるのですが……」アオザメ

赤城改二「トイレの中から現れた少女が、用を足しに来た人を便器の中に引きずり込むという怪異がいると……」ガタガタ

赤城改二「先程不意に現れた、おかっぱ頭の少女のいでたちが、まさしくその姿なんです……!!」ブルブル

陸奥改二「えええ!?」マッサオ

大和改二「曽提督が、そのような話を……!?」マッサオ

陸奥改二「や、やだっ! ちょっと早く助けて!?」オタオタ
250 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/03(日) 20:08:19.90 ID:18ZKwdyZo

赤城改二「わ、わかりました! 皆さん手を」

朝潮改二(凍結中)「」カチーン

大和改二「きゃあああああ!?」

赤城改二「な、なんで朝潮さんが凍って……!?」

 ヒュオッ

浮遊砲台たち「「ヴォー」」フワフワッ

深海海月姫「コレハ、泊地棲姫ノ……『アレ』ヲ持ッテキタノネ?」

浮遊砲台たち「「ヴォ」」コクコク

 複数の捕獲牢<ガシャガシャッ!!

赤城改二「と、鳥籠……!?」

ジェニー「あっ、捕獲牢を持ってきてくれたんだ!」

オディール「さすがの手際の良さですわ!」

軽巡新棲姫「ソレジャ、サクット片付ケチャオウカ!!」

イ級「」ザバッ!

ロ級「」ザバッ!

ソニア(ロ級に騎乗)「クレアお姉ちゃん! 私たちの出番だよ!」

クレア(イ級に騎乗)「オッケー! ブレイクチャンスだね!」
251 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/03(日) 20:09:04.49 ID:18ZKwdyZo

大和改二「さ、さっきから一体誰なの!?」

マリッサ「んふふっ、誰だっていいじゃなぁい? そんなことよりぃ……!!」ヌラッ (On南方戦艦新棲姫の艤装)

大和改二「!?」ゾワッ

 スプリングフロア<バシーン!

由良改二「ほええああ!?」フットビ

 スマッシュフロア<ズバーン!!

榛名改二「ひうっ!?」フットビ

 ウォッシュトイレ<ピピッ シャワーーー!

陸奥改二「な、なんなのぉ!?」ピュイイーーン

捕獲牢をぶら下げて待ち構える浮遊砲台たち「!」ガシャッ!

由良改二「な、なに!? なにがあったの!?」ガシャン

榛名改二「はぅんっ!」ガシャン

陸奥改二「も、もういやああ!」ガシャン
252 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/03(日) 20:09:49.34 ID:18ZKwdyZo

赤城改二「鳥籠に3人が……か、解放しなさい!」

 クレーン<ガシッ!

朝潮改二「」キュリキュリキュリー(←凍ったままクレーンで吊り上げられて捕獲牢へ入れられる)

アーニャ「えー、なんでー? あたしが釣り上げたんだから、リリースするかはあたしが決めることだよー?」(On軽巡棲姫の艤装)

ディニエイル「この海域に入って来た時点で、お前たちの生殺与奪は魔神様のものです。観念なさい」(On深海海月姫の艤装)

赤城改二「あ、朝潮さんまで!! そこまでになさ」

 クラーケン<ズバシャアアア!!

赤城改二「いぃい!?」ビクゥ!

 クラーケン<ヴジュルルル!

大和改二「ひ!? い……いやあああああ!?」ヴジュルジュルッ

大和改二「なに、なんなの!? なにこれえええ!?」ガタガタガタ

大和改二「いやぁぁあ!? 取って! これ取ってぇぇ!! は、入ってこないでえええ!! うああああん!!」ボロボロボロ

赤城改二「あわわわ……こ、これは一体っ!?」ビクビク

マリッサ「あはぁ、素敵ぃ……! 恐怖と恥辱が綯い交ぜになってるのねえ、とっ……てもいい悲鳴だわぁ……!!」ウットリ

軽巡新棲姫「ウッワ……」ワクワク

防空巡棲姫「エッロ……」ジットリ

深海海月姫「オウ……コレガ、ジャパニーズ・ショクシュ……」ユビノアイダカラチラミ

南方戦艦新棲姫「オオ、スッゲェ……」フムフム
253 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/03(日) 20:10:34.22 ID:18ZKwdyZo

 *

山城「うわぁ……ちょっと誰よ、よりによってマリッサなんか連れてきたの」

那珂「え? でも、船の天敵のクラーケンだよ? 連れてこない理由のほうが思いつかないんじゃない?」

山城「っていうか那珂ちゃんはアレを見ちゃダメよ!?」バッ

那珂「そういう気遣いは、駆逐艦のみんなにこそしてあげたほうがいいと思うなー」チラッ

如月「わ、私はまあまあ大丈夫だけど……」ポッ

朧「うっわ……」カオマッカ

綾波改二「はわわわ……」カオマッカ

天龍改二「おい、マジか……」カオマッカ

コロラド「ね、ねえ、いまクラーケンって言ってたけど……」

山城「ああ、あれ? 提督の知り合いよ」

霧島改二「し、知り合い……??」

飛龍改二「っていうかクラーケンって滅茶苦茶やばい奴じゃないのー!?」ヒシッ

蒼龍改二「もうやだぁ! 早く帰りたいー!!」ヒシッ
254 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/03(日) 20:11:19.21 ID:18ZKwdyZo

 *

赤城改二「……はっ!! 怖気づいている場合では……や、大和さん! 今助けます!」

カサンドラ「もう遅いです!」(On戦艦水鬼改の艤装)

 アゴニーマスク<ヒューン

赤城改二「きゃっ!!」ガポッ

カサンドラ「あなたもこうなる運命です……!」

赤城改二「あばばばばば!?」バリバリバリー!

大和改二「あ、赤城さあん!?」

マリッサ「あら、自分のことより他人の心配なんかしてあげてるのぉ? 優しいのねぇ、ご褒美あげたくなっちゃうわぁ〜」ニタニタ

大和改二「ひっ!?」

マリッサ「せっかくだからあ、あなたの声が嗄れるまで……んふっ、たくさんたくさん、いぢめてあげるわねぇ〜?」ニチャア…

大和改二「ひいいいいっ!? い、いやっ、やめ……」

マリッサ「ほぉ〜ら、あんよを無様に、がぱぁ〜っと開いて、ひっくり返してぇ〜」グイーッ

マリッサ「恥ずかち〜ぃところが恥ずかしくなってる様子を、ここにいるみんなに、全ぇん部見てもらいましょうねえ〜?」ガパーッ

大和改二「い、い゛や゛ぁ゛ーーーーーーー!!」

軽巡新棲姫「ウッワァ……」ドキドキ

防空巡棲姫「エッグイ……」ネットリ

深海海月姫「オウ……コレガ、ジャパニーズ・ヘンタイ……」ユビノアイダカラガンミ

南方戦艦新棲姫「オオ、ヤッベェ……」マジマジ

大和「……なにも私と同じ艦娘でやらなくても……」(←両手で顔を覆って耳まで真っ赤にしている)

軽巡棲姫「ゴ愁傷様……」セナカポン

大和改二「い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」
255 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/03(日) 20:12:05.05 ID:18ZKwdyZo

 * 墓場島 南岸 *

 <イ゙ヤ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙…

泊地棲姫「悲鳴ガココマデ響イテキテルナ」

提督「マリッサも容赦ねえな……」セキメン

泊地棲姫「ドウシタ、顔ガ赤イゾ?」

提督「いや、見えるんだよ……あっちで起きてることが」

泊地棲姫「ソウナノカ? フフッ、魔神様モ大変ダナ」

ニコ「……」カオマッカ

シエラ「……」カオマッカ

泊地棲姫「オ前タチモカ」

ゼシール「まあ……こういうことに慣れていない者が、我々の中には意外と多いんだ……」チラッ

ニーナ「ちょっ!? わ、わたしですか!?」カオマッカ

オボロ「せ、拙者はそのようなことは……!」カオカクシ

ナンシー「み、みんなめっちゃ動揺してるしー!」

泊地棲姫(コイツラ全員、提督ニ似タンダナ)ウンウン
256 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/03(日) 20:12:49.11 ID:18ZKwdyZo

 * 墓場島 南岸沖 *

 スプリングフロア<バシーン!

赤城改二「きゃあっ!?」

 捕獲牢<ガシャッ!

ソニア「ふう、これであたしたちの分はおしまい!」

クレア「ほらーマリマリ、遊ぶのはいいけど、早く捕獲牢にしまっちゃってよー?」

マリッサ「えぇ〜? もっと弄りたいんだけどぉ……しょうがないわねぇ」

 クラーケン<ネジコミー

大和改二「……」グッタリ

 捕獲牢<ズルベチャヌチョガシャッ!

軽巡新棲姫「捕獲スルトキノ音デスラ、エロイッテドウイウコト……」ドキドキ

防空巡棲姫「粘液マミレダッタモンネエ……」ポ

如月「見た目が完全に『何かされちゃった後』よね?」ドキドキ

大和「み、見ないでください! 特に駆逐艦の皆さんが見ちゃダメなものです!!」

榛名「……もう、いろいろ遅いと思います……」カオマッカ

敷波「うわあ……」ドンビキ

初雪「大和さん……」ポ

南太平洋空母棲姫「……スゴイノ見チャッタ……」セキメン

大和「お願い、もうみんな忘れて……」ミミマデマッカ

朧「青葉さんが不在で良かったですね……」
257 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/03(日) 20:18:27.02 ID:18ZKwdyZo

今回はここまで。
あまりマリッサに喋らせすぎると、R板に行かなきゃいけなくなるので、
だいぶソフトな言い回しを心がけました。

>244
一応、実装済みの艦娘を想定していますが、ちょっと性格が違いすぎて無理があるかも……。
戦艦水鬼については、軽巡新棲姫や防空巡棲姫のように、モチーフがこれ、と言うのがないので、
もとになっている艦娘を意図的にごまかしている部分もあります。
実は、その辺を解説させたりする役割として、今回はコロラドを配役しています。
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/04(月) 07:41:12.44 ID:17IaTPBK0
お疲れ様です
急展開の次は…そうですね、久しぶりのマリッサ無双回とでも呼べばいいのでしょうか(苦笑)
敵とはいえ同情を禁じ得ない…いや色々やらかしてくれた返礼としては妥当…なのか…?
というかせっかく進化した深海勢がほぼ傍観者と化してしまっていますね…。
まあ、手っ取り早く屈服させるにはこれが一番…だったのでしょうね。うん
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/04(月) 08:02:14.96 ID:17IaTPBK0
とにかく誰か大和さんのダメージコントロールしてやってくださいw
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/04(月) 09:23:29.92 ID:aMCjNVZN0
うぽつ。めっちゃおもろいw
特に深海海月姫のジャパニーズ...のとこで笑ってしまったwやっぱり繰り返しは強いなぁ(・∀・)
駆逐艦たちは見てしまったか...手遅れだ。
>259 やめて!!大和のライフはもうゼロよ!
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/05(火) 00:10:20.36 ID:4qKE/Ny30
やっぱりジャパニーズhentaiの認識は世界共通だな
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/12/05(火) 18:10:17.07 ID:Y+4dkt3qo
…まあ、いろんな意味で『事後』だわな…。
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/07(木) 21:22:58.10 ID:HbrVFqt50
事後wwwwww
264 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 13:59:06.35 ID:2hG6NbIAo

前回は大和さんが精神的なピンチになりましたが、今回は提督のピンチ回です。
今回は屈辱系メディウムが多め。というか、前回も屈辱系多めでしたね。

・キュプレ・ペッタンアロー:天使のような衣装のメディウム。ロープと吸盤のついた矢が人間に張り付き、発射台まで引っ張られる罠。
  人と人を物理的にくっつけるのが好きなお節介焼き少女。ただし恋愛そのものには興味が薄く、くっつけた後のケアまでは知りません。
・ミュゼ・テツクマデ:庭師のお姉さんメディウム。おもむろに置かれたテツクマデを人間が踏み、跳ね上がった柄が顔面を打ち付ける罠。
  言動にちょっと年季の入った庭師のお姉さん。忘れっぽいのか、テツクマデをどこかに置き忘れ自分で踏んでしまうことも増えてきた。
・ヴィクトリカ・ヒューマンキャノン:眼帯をした女海賊風のメディウム。巨大な砲台が人間を弾丸にして、遥か遠くへ発射する罠。
  見た目通りの女海賊。海が好きだが残念ながら船は持っておらず、南の海に船で乗り出すのが夢。酒好きメディウムの一人でもある。
・ヴェロニカ・スパイダーネット:煽情的な衣装に身を包む妖婦のメディウム。頭上から蜘蛛の巣が降ってきて、人間の動きを鈍らせる罠。
  何人もの男を絡め取り弄んできた……と思われる蠱惑的な女性。魔神に対しては誘惑が不発に終わることが多く、悶々としているとか。
・カオリ・ボールスパイカー:バレーボール選手のような姿のメディウム。発射台から3発のバレーボールが放たれ、人間を打ちのめす罠。
  日々トレーニングに汗を流す体育会系娘。頑張り過ぎて体を壊したり、神殿の壁を壊したりと、強い向上心に反して自制心は弱い模様。

では続きです。
265 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 13:59:50.72 ID:2hG6NbIAo

 * 墓場島 南岸 *

捕獲牢をぶら下げて戻ってくる浮遊砲台たち「ヴォー……」フワフワッ

提督「おお、全員しっかり捕獲してきたな」

泊地棲姫「疲レタナ……浮遊砲台ヲ、6基向カワセタノハ初メテダ」フゥ…

提督「悪いな、無理させて。おかげで助かったぜ」

ニコ「それじゃ、捕獲牢を回収するよ。こんなに捕獲できたのは、僕も初めてだよ」スッ

 (ニコが手を広げると、浮遊砲台たちがぶら下げていた捕獲牢が消える)

浮遊砲台たち「ヴォ」フワフワッ

泊地棲姫「イキナリ軽クナッタナ」

ニコ「ぼくたちの神殿の一室に転送したんだ。これでもう、あいつらはこっちの世界に簡単に出てこれないよ」

提督「……これでひと安心、だな」

 ザザザァ…!

大和「提督ー!」

戦艦水鬼改「戻ッタワ。提督ト、姫ハ大丈夫?」

提督「おう、おかげさまでな」
266 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:00:35.70 ID:2hG6NbIAo

泊地棲姫「……フフ、マサカ、イマノオ前ニ心配サレルナンテ、思ッテナカッタワ」

戦艦水鬼改「オカシイカシラ?」クビカシゲ

泊地棲姫「私タチハ、チカラヲ持ツ者ガ上……弱肉強食ノ世界ガ、普通ダカラヨ」

戦艦水鬼改「フーン……多分ソウイウノハ、全部コノ男ノセイヨ?」クスッ

泊地棲姫「違イナイワネ」フフッ

提督「何言ってんだお前たち」

南方戦艦新棲姫「戻ッタゼー!」

軽巡新棲姫「タダイマー!」

防空巡棲姫「マジ疲レタ……」

深海海月姫「大破シテル艦ガイルカラ、早ク帰リマショ」

提督「戻ったって……揃いも揃って全員別人みたいになりやがって。これじゃ誰が誰だかわかんねえぞ」

提督「つうか、泊地棲姫の言ってた、面白いこと、って、もしかしてこのことか? 何があったんだお前たち」

南太平洋空母棲姫「ソレハネ、イロイロ、アッタノヨ」クスッ

エレノア「びっくりしたわよー、彼女に載ってる間、感情の昂ぶりと一緒に強烈な魔力の奔流を感じたんだもの」

ディニエイル「きっかけこそよくわかりませんが、これまでより強大な力を持つようになったと実感できます」
267 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:01:20.45 ID:2hG6NbIAo

提督「そいつはいいが……体調がおかしいとか、そういうことはねえな?」

南方戦艦新棲姫「全然! 絶好調ダゼ! ア、デモ、コッチハ大怪我シテルゾ」

軽巡棲姫「イイワヨ、沈マナカッタンダカラ……提督ハ、無事ナノネ……?」

提督「ああ、大和と軽巡棲姫は災難だったな。歩けるか?」

軽巡棲姫「ソウネ。装備ハサンザンダケレド、歩ケナイホドジャナイワァ」ハァ

大和「私も、足元は問題ありません……とても恥ずかしかったですが」マッカ

提督「……そうか。まだ手を貸せる状態じゃないんで、自分で歩けると助かる」

榛名「? まだ何かあるのですか?」

ニコ「そうだね……」チラッ

提督「ちょっと嫌なもんが視えちまっててなあ……まさかこっちに向かってくるとは、思ってもいなかったぜ」

南太平洋空母棲姫「? 何ノ話?」

如月「司令官、こっちの別艦隊の艦娘を保護したわ……あら? あれは誰かしら……?」

 ゴムボート<ザシャアアア…

弟「よーし、ここでいい。指示があるまで、ここで待ってろ」

団員1「本当に用事はそれだけなんだろうな!」

団員2「勝手に抜け出して、あとでなんて言われるか……」
268 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:02:05.80 ID:2hG6NbIAo

敷波「あー、あれって!」

南太平洋空母棲姫「アノ男タチハ……!」

イサラ「なんでここまで押しかけてきたっスか……!?」

弟「フッ……久し振りだな、兄さん」

 ザワッ…!

提督「……」

山城「兄さん!?」

ゼシール「というと、あの男が……」

戦艦水鬼改「提督ノ弟カ!?」

朧「来るなって伝えてたはずなのに……!」

ニコ「あんまり似てないけど……魔神様、本当なの?」

提督「……知らん」

弟「!?」ガクッ

艦娘&深海棲艦&メディウムたち「「」」ガクガクッ

コロラド「みんなどうしてコケてるのかしら……」

霧島改二「さあ……」
269 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:02:51.10 ID:2hG6NbIAo

カサンドラ「あ、あの人間、知らないんですか?」

提督「知らないっつうか覚えがないっつうか……ぶっちゃけ、ガキの頃に縁を切られて以来、顔もまともに見てねえし」

提督「そもそも兄さんなんて一度も言われたこともなけりゃ、今更になって言われる筋合いもねえしなあ」

提督「だから弟だって言われてもピンとこねえし、白々しいっつうか空々しいっつうか……それ以上に、どの面下げて来やがった?」

如月「それはそうなるわよね……」

ディニエイル「ごもっともです」ウンウン

朧「それより提督、大丈夫なんですか? X大佐たちと話してた時に、元家族の話になった途端、すごく不機嫌になったじゃないですか」

提督「そうだったんだが、大丈夫っぽいな。これも思い出補正ってやつか? 昔のことなんで、思い出すたびむかついてたんだが……」

提督「こうして面と向かって対峙してみても、俺の想像と実物がかけ離れてて、もう他人としか思えねえ」

提督「俺もなんでこんなのに神経すり減らしていたのかが不思議なくらいだ。この分なら、親に会っても何とも思わねえかもな」

泊地棲姫「ストレスノ元ガ減ッテ、良カッタジャナイ」

提督「ああ、本当にな」
270 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:03:35.54 ID:2hG6NbIAo

ジェニー「ねえねえ、弟って言うけどさ、リーダーのほうがずっと若く見えない?」

オディール「そう見えますわね。所作にも優雅さが足りないと申しますか……」

クレア「ぶっちゃけ老けてるよね? おっさんじゃない?」

ナンシー「そこまでぶっちゃける!? 私もそう思ったけど!」

ハナコ「ナンシーさんは口に出さなかっただけなんですね」

如月「ナンシーさん、そのあたりはしっかりしてるわよねぇ」ウフフッ

ナンシー「そりゃー一応、人の外見を気遣うお仕事だしー?」フフーン!

弟「……減らず口もその辺にしておけ、メディウムども」

ディニエイル「!」

弟「艦娘も、深海棲艦もだ。そこの落ちこぼれに代わって、この俺が、この島を統治する。せいぜい俺の機嫌を損ねないことだ!」

那珂「統治? どういうこと?」

軽巡新棲姫「タダノ人間ゴトキガ……生意気ダナ」

山城「それより、なんであの男がメディウムのことを知ってるのよ」

深海海月姫「ソウイエバ……!」

提督「おいニコ、気付いてるか?」

ニコ「……うん。メディウムのみんなも気付いてるよ」
271 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:04:21.78 ID:2hG6NbIAo

提督「それなら話は早いな。艦娘と深海棲艦たちは手を出すなよ! あとから人間どもにごちゃごちゃ言われたくねえからな!」ダッ!

如月「えっ!? 司令官!? どこへ行くの!?」

朧「なんでそいつに向かっていくんです!?」

ニーナ「魔神様は、おそらく私たちを巻き添えにしないようにしようとお考えです」

南方戦艦新棲姫「巻キ添エ? ドウイウ意味ダ?」

弟「ハハハハ!! いいぞ、かかってこい! 無様にあがいて見せろ!」バッ!

 魔法陣<ボワッ…!

提督「!」

弟「くらえ! そして魔神である俺の力にひれ伏せ!」

ジェニー「リーダー! 下からくるよ!」

 デルタホース<ガシャッ!!

提督「おっと!」バッ

艦娘&深海棲艦たち「「!?」」
272 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:05:05.75 ID:2hG6NbIAo

ナンシー「今度は上からよ、マスター!」

 魔法陣<ボワッ…!

 ツリテンジョウ<ガラガラガラ!

提督「ちっ!」ゴロゴロッ

弟「なんだなんだ、逃げるだけか!」

ニーナ「魔神様、次は前からです!」

 魔法陣<ボワッ…!

 ペンデュラム<ブゥン!

提督「っと、危ねえ!」バッ

戦艦水鬼改「ドウイウコト!? ドウシテ、アイツガ罠ヲ操レルノヨ!?」

大和「ニコさん、あの男は何者なんですか!?」

如月「あの力は魔神の力なんでしょう!?」

ニコ「うん……あの力はそうだよ。でも、あの男は魔神様じゃない。魔神様の加護を授かった、ただの人間だよ」

泊地棲姫「加護?」
273 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:05:51.51 ID:2hG6NbIAo

弟「くっ……ちょこまかと! 逃がすか!!」

マリッサ「今度は足元よぉ〜!」

 魔法陣<ボワッ…!

 ベアトラップ<ガチン!

提督「ったく、あぶねえな……!」バッ

ゼシール「上だ……でかいぞ! 走れ!」

提督「なに!?」ダダッ

 魔法陣<ボワッ…!

 スエゾー<ズウゥゥンン!!

提督「うおっ!? なんだこいつ!」ゴロゴロゴロッ

ニコ「ぼくたちも見たことないね……異界の化け物かな」

スエゾー「アレ? オレノデバン、コレダケ?」シュウウ…
274 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:06:35.48 ID:2hG6NbIAo

弟「ちくしょう、野次馬が邪魔ばかりしやがって……! おい、お前たち! 提督を捕まえろ!」

団員1「な、なんで俺たちが!?」

団員2「お前をここに連れてくるだけの約束だったろう!?」

弟「……」ギロッ

 魔法陣<ボワッ…!

団員1「!」

 ボートの横すれすれを通り過ぎるペンデュラム<ブゥン!

団員1「うわあ!?」

弟「逃げたりしたら、次は直撃させるぞ……行け!」

団員2「く、くそ……!」

団員1「なんで俺たちがこんな目に……!」
275 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:07:21.21 ID:2hG6NbIAo

提督「おいおい、普通の人間駆り出すなんて、お前……」

弟「落ちこぼれのお前が俺に意見するな!! お前のようなゴミが、俺の兄だなんて認めないぞ!」

提督「ああ!? 誰が認めてくれなんて言ったよ、くそが!」カチン

団員2「脚が止まった……い、いまだ!」ガシッ

提督「げっ! こいつマジかっ……!」

弟「よーし、よくやった! お前も早くあいつを捕まえろ!」

団員1「く……!」ダッ

 魔法陣<ボワッ…!

提督「ちっ……!」

キュプレ「そうはいかないわよ!」(On那珂の艤装)

 ペッタンアロー<パシュッ!! ペタッ!

キュプレ「いつもはくっつける役割だけど、今回は離れてもらうわね!」

提督「うお!?」グイーン!

団員2「うわっ!!」グイーン!

キュプレ「って、あれ!? なんであの人間もくっついてくるの!?」

那珂「しっかり抱き着いちゃってるせいだね……」
276 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:08:05.58 ID:2hG6NbIAo

団員1「な、なんだあ!? いきなり吹っ飛んでったぞ!?」

 ドゲザプレート<ガシャッ!!

団員1「うわっ!? な、なんだこれ……あ、熱! ぎゃあああ!!」ジュウウウ

弟「なんでお前が罠にかかるんだ! どんくさい奴め……!」

提督「くそ、あんな罠を持ってるのかよ……キュプレか、助かったぜ!」

キュプレ「魔神様、油断しないでね!」

団員2「……」

提督「……おい。お前、このままあいつに従ってていいのか? あいつはお前を味方だなんて思ってもいないようだぞ」

団員2「そ、それは……」

提督「俺はあいつを追い払う。逃げてろ」ジロリ

団員2「う……」

提督「さてと……」チラッ

山城(……あら? 私の載せてたメディウムが、いなくなった……?)

那珂「どうしたの山城ちゃん?」

山城「……大丈夫よ、なんでもないわ」
277 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:08:50.80 ID:2hG6NbIAo

提督「お前の持ってる罠の傾向はだいたいわかった。お前、見た目が屈辱的で痛そうな罠ばかり揃えてるな」

弟「……お前の最期に相応しい罠を用意してやっただけだ。嬉しく思うんだな!」

提督「はっ、馬鹿が。余程、俺を辱めたいようだが……生憎、俺はお前なんぞに用はねえんだよ」

弟「用はない、だとぉ……!?」イラッ

提督「ああ、お前の面なんざ見たくもねえ。とっととおうちに帰んな」シッシッ

弟「お前如きが俺に指図するなと言っているだろうが……!! 落ちこぼれの出来損ないの、我が家の恥さらしの分際で!!」

弟「何の地位も能力も持てなかった無能のくせに! 一般社会に適合できなかった落ちこぼれのくせに! その偉そうな態度はなんだ!!」

弟「父さんにも迷惑をかけ続け、母さんにも毛嫌いされるようなお前が取っていい態度だと思うか! 恥知らずめ!! この世のゴミめ!」

提督「……」

如月「なにあいつ……」ドロリ

大和「提督に向かってなんてことを……」ドロリ

戦艦水鬼改「殺ス」ゴワッ

南方戦艦新棲姫「殺ッチャウカ!」ギラッ

ニコ「うん、殺っちゃおう」ゴゴゴゴ…
278 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:09:36.12 ID:2hG6NbIAo

飛龍改二「ちょっと!? さっきからいったい何の話!?」

蒼龍改二「みんな殺気立ってて怖いんだけど!?」

山城「説明してる余裕はないからちょっと静かにしててよ……」

天龍改二「よくわかんねえけど、よくわかんねえ力で戦ってるってことだよな」

綾波改二「手出ししないでおとなしく静観してたほうがいいみたいですね」

天龍改二「むしろいつでも避難できるようにしてたほうがいいな」

山城「なんでこっちだけ物分かりがいいのよ……」

コロラド「アヤナミとテンリューは、艦隊の Veteran らしいわよ」

霧島改二「川提督艦隊の、初期艦に次ぐナンバー2とナンバー3ですので……」

山城「……そう。まあ、なんでもいいけど」
279 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:10:20.66 ID:2hG6NbIAo

弟「魔神の力は、お前みたいなゴミが持ってていいものじゃない! 俺のような、有能な人間に使われてこそ世界の役に立つものだ!!」

弟「そこの雑魚メディウムども!! 俺の力を見ただろう! 魔神はそいつなんかじゃない、俺こそが真の魔神だ!!」

ディニエイル「哀れですね。借り物の力を自分の力だと勘違いしているようです」

オディール「わたくしたちの魔神様に対して取っていい態度ではありませんわよねぇ?」

ニーナ「我らが魔神様に対する侮辱の数々、その命をもって償っていただきましょう……!」

弟「歯向かうようならお前たちも処断するぞ! さあ、そこにいるまがい物の魔神を殺せ! この俺に、生贄として捧げろ!!」

ゼシール「まがい物だと?」

ジェニー「まだ言うの!」ムカムカ

朧「……あいつ、もう撃っていいですか」ジャキッ

那珂「ちょっ、朧ちゃん!?」

艦娘たち「「……」」ジャキジャキジャキッ

深海棲艦たち「「……」」ジャコンジャコンジャコンッ

那珂「て、提督さん!! みんな無言で構え始めてるんだけどー!!」

山城「ちょっと提督!? いくらなんでもこの数は抑えきれないわよ!?」

那珂「ぶっちゃけ那珂ちゃんも抑えたくないでーす!!」ジャキッ

山城「那珂ちゃんちょっとおおお!?」ガビーン!
280 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:11:08.34 ID:2hG6NbIAo

提督「ああ、待て待て、その必要はねえよ。もう、終わってるからな……!」ダッ

榛名「!」

弟「な、何を企んでる!?」ジリッ

 ギュム

弟「な……?」

 テツクマデ<バチコーーン!

弟「ぐ、あ……!?」ヨロヨロッ

 ヒューマンキャノン<ガシャッ!!

弟「うおっ!?」スポッ

提督「よぉし! よくやったぜ、ミュゼ、ヴィクトリカ」

ミュゼ「いえいえ、ご主人様の誘導のおかげです!」ポフッ

ヴィクトリカ「さすがはキャプテン、いい勘してるぜ!」ポフッ

榛名「ミュゼさん、いつの間に私の艤装から降りてたんですか!?」

山城「私が載せてたヴィクトリカも……!」

弟「な、なんだこれは!? この罠は、もしかして」

ヴィクトリカ「なあキャプテン、こいつ何か言ってるけど……」

提督「ああ、聞くだけ無駄だ。無視していいぞ」

ヴィクトリカ「了解! 発射ああ!!」

弟「なっ!? て、てめ」

 ヒューマンキャノン<ズドーーーン!!

弟「うわああぁぁぁ……」バヒューーー…ン

提督「……ふん」
281 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:11:50.54 ID:2hG6NbIAo

朧「提督、話も聞かずに飛ばしてしまって、良かったんですか?」

提督「あいつから聞ける話なんて、たかが知れてるさ。あいつの魔神の力も借り物だしな」

提督「それに、余力があるのにこうやって有無を言わさず退場させられる方が、力を誇示したがるあいつにとっちゃあ余程屈辱的だろう」

ヴィクトリカ「ミュゼとあたしだけで片付けろなんて言うから、随分あっさりしてるなって思ったけど、そういうことか」

ミュゼ「魔神様、あいつ、本当に殺さなくて良かったんですか? 皆さん、滅茶苦茶やる気だったじゃないですかー」

提督「あいつの魂なんかいらねえよ。ミュゼたちに気付けなかった程度だから、力も大したもんじゃねえし、何より俺の魔力に混ぜたくねえ」

ニコ「……魔神様がそう言うなら、納得するけど」ムスッ

ナンシー「ニコちゃんは嫌だった?」

ニコ「ぼくは、残虐系のみんなに活躍してもらいたかったけどね」

泊地棲姫「私モ、アイツハ、ブチ殺シタカッタ」

戦艦水鬼改「人間ハ、ソウイウトコロハ遠回シヨネ? ヒト思イニ、ヤレバ良カッタノニ」

那珂「ああいう人って、また来ちゃうんじゃない? ストーカーになっちゃったらやだなー」

ヴェロニカ「結局、私の出番はなかったってこと?」(On如月の艤装)

カオリ「私までサーブが回ってこなかったのが残念です」(On朧の艤装)

キュプレ「っていうか、まさかミュゼさんがここで活躍するなんて予想外よね!」

ミュゼ「海の上じゃなかったですからね〜」エヘヘ
282 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:12:35.64 ID:2hG6NbIAo

山城「っていうかあなたたち、いつの間に私の艤装から移動してたのよ」

ヴィクトリカ「近距離なら魔神様とは意思疎通できるんだよ。で、あたしたちの意思に関係なく動かしてもらえるんだ」

山城「提督の魔神化もいよいよ本格化してきたわね……」

ニコ「ねえ魔神様、あいつらはどうするの?」

提督「ん……」

団員1「うう……痛え、痛えよぅ……」

団員2「お、おい、しっかりしろ。だ、誰か、誰か助けてくれ!」

提督「……おい」

団員2「! す、すまな……申し訳ない! これまでやってきたことは謝罪する……どうか、こいつを助けてくれないか!?」ドゲザッ

提督「この島に、人間が治療できる場所はねえよ」

団員2「そんな……!?」

提督「だから、とっととお前らの船に戻りな。お前らの乗ってきたゴムボートは無事だろ」

団員2「!」

提督「この場は見逃してやる。早く行け」

団員2「わ、わかった……本当に申し訳ない! お、おい! 少しの辛抱だ! 船に戻るぞ!」グイ

団員1「ぐぅう、痛えよぉ……!」ヨロヨロ

 ゴムボート<バゥーー…
283 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:13:20.63 ID:2hG6NbIAo

如月「……司令官……」ホッ

ニコ「面倒ごとを避けた、と見ていいのかな……?」

提督「ああ、油断するなよ。まだ敵は潜んでる」

山城「は?」

提督「あいつに……あの馬鹿に、罠を操る力を与えていたのは、エフェメラ。お前だな?」

??「……私の名を……なるほど、そこの出来損ないから教わりましたか」

提督「出来損ない……?」カチン

 ヒュワッ!(何もないところから突然現れるエフェメラ)

??→エフェメラ「小賢しいですね……魔神様の威を借る、死に損ないの亡霊の分際で……!」

ニコ「……!」

提督「何しに来やがった? お前、俺の父親に接触してきたエフェメラだろ? 何が目的だ」

エフェメラ「……おかしいですね。あなたが、この私のことを知り得る可能性はないのですが。どういうことでしょう」

エフェメラ「もしや、魔神様の力だけでなく、記憶も目覚めかけている……?」

提督「何を言ってやがんだ……何を知ってる?」

ニコ「なんであの人間を使って、魔神様を殺そうとした!? ぼくたちの魔神様をどうするつもり!?」

エフェメラ「……真なる魔神様なら、血縁であろうと、あの程度の小物は躊躇いなく始末できたはず」

エフェメラ「いかに華麗に、残虐に、そして屈辱的に殺せるか……魔神様の復活の度合いを測るため、けしかけたのです」
284 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:14:05.64 ID:2hG6NbIAo

エフェメラ「その結果……私の期待は、大きく裏切られました。更には手負いの人間ですら、まともに殺そうともしないとは……」

提督「けっ、手前の思惑通りに動いてたまるかよ」

エフェメラ「不可解です。どうしてこうなったのかわかりませんが……やはり、いまのお前は魔神様と呼べない、不完全な存在……!」スッ

ニコ「みんな、戦いの準備を!」

ニーナ「はいっ!」

提督「艦娘と深海棲艦は下がってろ……何をしてくるかわからねえからな」

如月「大破してる大和さんは後ろに回りましょ!」

大和「え、ええ……!」

泊地棲姫「軽巡棲姫モ、下ガッテナサイ」

軽巡棲姫「私ハ、大丈夫ヨォ……!」

綾波改二「あ、新しい敵ですか……!?」

敷波「いいから下がってて! 何が飛んでくるかわかんないから!」

天龍改二「お、おう……任せて大丈夫なんだろうな?」

ブリジット「こ、ここは我々に任せて退くであります!」

カオリ「はいっ! さっき戦えなかった分、ここで挽回して見せます!」

ヴィクトリカ「私も一発だけじゃあ不完全燃焼だからな! 行かせてもらうぜ!」

ヴェロニカ「さあ坊や、私たちに命じなさい。あんなオモチャ、私たちがバラしてあげるわ」
285 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:14:51.98 ID:2hG6NbIAo

エフェメラ「メディウムが、私と戦う理由はないはず……私の望みは、魔神様の復活」

エフェメラ「そこの使い魔。お前もそうなのでしょう……ならば私に従いなさい」ジロリ

ニコ「ぼくたちの魔神様に手出しをしようと言うのなら、話は別だよ……!」

エフェメラ「……情に絆され本来の魔神様の姿を見失いましたか。真なる魔神様に、慈しむ心など不要です」

エフェメラ「その男が下僕とした艦娘と深海棲艦を生贄に捧げ、その弱い心を、憤怒と憎悪と失望をもって灼き尽くす……」

エフェメラ「そうすることで、真なる魔神様が顕現なさるはずだった……なぜ、お前たちはそうしなかった?」

ナンシー「如月ちゃんたちを殺そうって言うの!? そんなことやらせないんだから!」

ジェニー「今のリーダーもそうだけど、この世界の仲間のことも、結構気に入ってるのよ!」

ソニア「そうよ! 余計なことしないで!」

エフェメラ「まがい物を魔神様だと信じて崇めるとは……哀れな」

ニコ「まがい物だって!?」

エフェメラ「よく見ておくといいでしょう……魔神様の真の目覚めに、不純物は不要だと……!」バッ!

提督「ぐあっ!?」ビキッ

如月「司令官!?」

ニコ「魔神様!」

提督(なんだ!? 体が動かねえ……!)
286 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:15:39.04 ID:2hG6NbIAo

アーニャ「大変! 魔神様の体が宙に浮いてるよ!!」

キュプレ「私の矢の力で、ご主人様を引っ張って助けるわ!」

 ペッタンアロー<パシュ!

  バチッ!

 ペッタンアロー<ポヨーン

キュプレ「あ、あれ? 何かにぶつかって弾かれちゃった!?」

シエラ「バリアでも張られてるデスか……!?」

ゼシール「まずいな、私たちの武器じゃ魔神様の体を傷付けてしまうぞ……!」

南太平洋空母棲姫「ソレナラ、アイツヲ、殺レバイイノネ?」ギロッ

ニーナ「危ない!」ドンッ

南太平洋空母棲姫「!?」

 ペンデュラム<ヴォンッ!!

ニーナ「……やはり、あの人間に力を貸していたのはエフェメラの力だったみたいですね」

南太平洋空母棲姫「ゴメンナサイ、助カッタワ」

エフェメラ「下がっていなさい。先にお前たちを始末しても良いのですよ」

敷波「なんなんだよお、これじゃ、迂闊に攻撃できないじゃん……!」
287 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:16:20.68 ID:2hG6NbIAo

ニコ「エフェメラ……魔神様をどうする気!」

エフェメラ「あなたの魔神様を、真の姿に戻してあげようというのです」

ニコ「なんだって……!?」

提督「ぐ、ぎ……がああああああああああ!!」


 バリバリバリッ!!


「「きゃああっ!!」」

 (提督の周囲の空気が大きな破裂音を響かせる)

 (次の瞬間、空中に拘束されたまま気を失っている提督と)

 (その提督の足元で、何者かがうつ伏せに倒れ込んでいる)


山城「……くぅ、な、なんなのよ一体……!」

ディニエイル「魔神様……は、無事、なのですか?」

ソニア「ちょっと待って、魔神様の下に誰か倒れてる!」


提督?「ぐぅ、痛ってぇ……なんか、からだがヒリヒリしやがる……!」ムクッ
288 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:17:05.53 ID:2hG6NbIAo

大和「どういうことでしょう……提督が二人いるようにも思えるのだけれど……」

榛名「は、はい、雰囲気はそうですけど、あちらは女性のように見えるのですが……!」

蒼龍改二「えっ? あれは深海棲艦じゃないの……?」

敷波「……えっと、見た目は、そうかもしれないけど……」

綾波改二「リ級か、ネ級でしょうか? 重巡クラスに見えますが……」

天龍改二「ああ、雰囲気は重巡だな……けど、装備とか全部剥げてんじゃねえか? おまけに全身ひびだらけでボロボロだ」

コロラド「U.S.Navy っぽくはないわね……誰かしら」

如月「あれは司令官じゃないの? 司令官っ!」タタッ

戦艦水鬼改「提督カ!? シッカリシテ」タタッ

提督?「く……あ、ああ、如月と、ル級か? いったい何が……うお、俺が飛んでる!?」

如月「!?」

戦艦水鬼改「!?」

提督?「? ど、どうした?」
289 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:17:50.72 ID:2hG6NbIAo

戦艦水鬼改「……胸ガ、アル」

提督?「は? ……って、なんだこりゃ? 体が白くなっててひびだらけで……もしかして裸か!?」

如月「し、司令官……これ……」カガミサシダシ

提督?「……なんだこの顔!? 俺また死んだのか!? ってか、女みたいな顔になってる!? なんだか声も高えぞ!?」

戦艦水鬼改「……カラダニハ、サワレルナ。死ンデハイナイゾ」ペタペタ

防空巡棲姫「重巡棲姫ノ見タ目ニ近イネ? 髪型モ似テルシ」

軽巡棲姫「コレハ、重巡棲姫トイウヨリ、提督棲姫ネェ……?」

提督?→提督棲姫「冗談だろ……?」

朧「でも、本当にその通りですよね。体つきも女性のそれになってますし……」

提督棲姫「うわ、アレもねえ!? マジかこれ!!」コカンツカミ

泊地棲姫「女ニナッタノカ……面白クナイナ」ションボリ

提督棲姫「そんなこと言ってる場合じゃねえよ!」

南方戦艦新棲姫「腹ニ、裂ケ目ガアルナ……」

深海海月姫「重巡棲姫ノ名残カシラ……ココカラ艤装ガ生エテタワヨネ?」

榛名「そ、それより、素っ裸になってらっしゃいます。何かお召し物を……!」アセアセ

如月「司令官、足を閉じて。あぐらなんかかいてたらお行儀悪いわ」メッ!

提督棲姫「そんなこと言ってる場合でもねえよ!」
290 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:18:38.84 ID:2hG6NbIAo

山城「っていうか、どういうことよ? こっちの提督が深海棲艦なら、あっちの提督はなんなのよ」

ニコ「……魔神様だよ。そこにいる深海棲艦は、魔神様じゃない……」

提督棲姫「……!」

エフェメラ「その通り。魔神様から、不純物を取り除きました」

如月「司令官を……!」キッ

戦艦水鬼改「不純物ダト……!?」イラッ

ニコ「……」

エフェメラ「そう、その不純物が、魔神様の目覚めを妨げていたのです」

エフェメラ「魔神様の力を覆い隠し、包み込んで封じ込めていた、忌まわしき者……!」

提督棲姫「なんだと? それじゃ、あっちは……あの俺の体が魔神だってことか!?」

エフェメラ「さあ、魔神様、お目覚め下さい。今こそ、世界に破壊と破滅と絶望をもたらし、恐怖によって支配するときです」

提督の体「」ピクン

提督の体「」ビクンビクン…!

ニコ「……この魔力……!」

如月「危ないわ、司令官避難して!」グイッ

戦艦水鬼改「私ガ連レテイク! コレッテ、ヤバクナイノカ!?」ダキカカエ

提督棲姫「ああ、やばいな。あれは俺の体だってのに……やるしかねえのか?」カカエラレ

 ゴォオオオッ!!

朧「うわっぷ……!!」

飛龍改二「と、突風が……!」

山城「ちゃんと捕まってなさい!」

軽巡新棲姫「ナンダッテ言ウノヨ、モー!!」
291 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/09(土) 14:19:50.76 ID:2hG6NbIAo
今回はここまで。

保留していた>51に対するニコちゃんの答えは、
>281が回答となります。


>258-259
深海勢は曽大佐艦隊を大破させた点ですでに大活躍していますので、
最後だけメディウムに譲ってあげた感じです。
マリッサはエロ要員としては非常に使いやすくて暴走させすぎないようにするのが大変です。

>260-261
米軍艦モチーフの深海勢なので、ジャパニーズ〜はどうしても言わせたかったネタです。
誰かが「繰り返しはベタネタの基本」と言っておられましたが、その通りだと思います。

>262-263
まあ、ヤられちゃったあとですので……その表現、使えば良かった。
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/09(土) 21:17:53.94 ID:UinDsjOz0
話が大きく動きましたね…。
エフェメラ曰く不純物の深海棲艦の要素が提督の意識ごと分離されて、重巡棲姫の姿は提督の魂の形がそのまま出てきたってことでしょうか。
今や提督は深海棲艦、メディウムが味方する理由はなくなってしまったわけで…。
エフェメラはどうやら時をかける時雨のことは認識していないっぽい?
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/11(月) 09:05:58.94 ID:vGCUy6BM0
生き別れの提督に火の粉を振りかける弟!
だがその火の粉は生半可な物ではなかった。
エフェメラによって提督の力は分けられ魔神の力のみが本体に残った。
生まれる深海棲艦の提督、そして暴れ出すエフェメラ。
この事態を深海棲艦やメディウム達、艦娘達はどうするのか?
294 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:24:49.75 ID:kEJEaoCZo

今回はニコちゃんが追い詰められる回です。初登場はこちらの二人。

・ユリア・カタパルト:ゴルファーのような風貌の女性のメディウム。床が斜めに勢いよくせり上がり、遥か遠くに人間をかっ飛ばす罠。
  ゴルフクラブを手にした長身の女性。スポーツマンに見えるが酒好きメディウムの一人。眺めのいい景色や、風を感じることが好き。
・ヒサメ・スリップフロア:雪女のように冷気を漂わせた着物姿のメディウム。地面を凍結させて、足を踏み入れた人間を転倒させる罠。
  気に入った男は凍らせて飾るのが趣味と宣う、雪女のような女性。掴みどころのない性格で、大人の余裕を見せながらからかってくる。


最初に謝っておきます。出オチ感がひどくてすみません。
続きです。
295 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:25:33.87 ID:kEJEaoCZo

 ヒュオォォオオ…!

エフェメラ「……魔神様の、お目覚めです」

提督棲姫「くそ……どんな奴なん……だ?」


ぶかぶかの提督服を着た少年提督「……」チンマリ


エフェメラ「……」

山城「……は?」

オディール「魔神様が……縮んでしまわれましたわ?」

提督棲姫「なんだそりゃ……?」

如月「……やだ、可愛い……」

戦艦水鬼改「確カニ、可愛イコトハ可愛イガ……ソンナコトヲ言ッテル場合カ?」タラリ

ジェニー「しょうがないじゃない、全然怖くない雰囲気だし。なんか、まだ寝てる感じ? 目覚めきってないみたいっていうか……」

キュプレ「うんうん、朝起きてすぐの寝ぼけ眼って感じよねえ」

天龍改二「龍田が見たら一発で墜ちそうだな……」ボソッ

綾波改二「え、龍田さん、ああいうの好きなんですか」

天龍改二「内緒だぞ?」シー
296 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:26:18.03 ID:kEJEaoCZo

提督棲姫「うーん……言われてみれば、ガキのころの俺に似てるかもなぁ……」

如月「やっぱりそうなの? やぁん、司令官の小さいころの姿が見られるなんて!」

大和「ええ、本当に……なんて愛らしい」

提督棲姫「はしゃいでる場合じゃねえよ。おいニコ、魔神ってのはこんな姿なのか?」

ニコ「……」ニヤケセキメン

提督棲姫「なんだあの顔」

マリッサ「なにかしらあ、その絶妙に嬉しそうで恥ずかしいって感じのお顔」

ルイゼット「あの……ニコさん? それはどういった表情で?」

ミュゼ「……あー! 魔神様のこのお姿! わたし、見覚えありますよ!」

ゼシール「見覚えがある?」

ミュゼ「ええ、いままさしく思い出しました! この世界に来る少し前に神殿をお掃除してた時のことなんですけど!」

ミュゼ「かつてはニコさんが魔神様の復活のため、いろーんな素材を集めていましたよね!」

ニーナ「そういえば、そんな時期もありましたね」

ソニア「あっ、私も聞いたことある!」
297 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:27:02.95 ID:kEJEaoCZo

ミュゼ「その時にニコさんが造っていた素体のひとつが、こういう感じの少年だったんですよ!」

ナンシー「えー? それじゃ、ニコちゃんがマスターをこんな感じに造った、っていうの!?」

ミュゼ「そう! その時の素体と、見た目がそっくりなの!」

オディール「そういえば、ミュゼさんはメディウムの中でも古株でしたわね」

ディニエイル「では、あながち嘘でもないと……?」

ニコ「そこまで知ってるってことは……もしかしてミュゼは、あの秘密の部屋に入ったのかな?」カオマッカ

ミュゼ「え? えーっと……あそこが秘密のお部屋だったんですか? えへへ、知りませんでした……」テヘペロッ

オボロ「し、しかし、伝承の魔神様像とはいささか異なりすぎるお姿では……」

ルイゼット「ニコさん? 本当にあなたが、魔神様のお体を、あの姿で造ったのですか?」

ニコ「……ぼくは、魔神様の復活のために、あっちこっちを歩き回って素材を集めたりしたんだよ?」モジモジ

ニコ「メディウムのみんなと一緒に外敵を駆除したり、魂を集めたり……最初は真面目に作るつもりだったさ」

ニコ「でも、魔神様はちっとも目覚める気配もなくて、呑気に眠り続けてるし……ぼくは、その間も頑張ってお世話したんだよ?」

ニコ「……ちょっとくらい、僕を敬ってもいいじゃないかと思ってさ?」イジイジ

マリッサ「ああ、そういうこと。それで『お姉ちゃん』と呼ばせたくて、それに相応しい姿の魔神様を造ったってことねぇ?」ニチャァ…

ニコ「……その通りだよ……」カオマッカデシャガミコミ
298 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:27:47.81 ID:kEJEaoCZo

ヴェロニカ「……ちょっと、いいの? こんな勝手なことして……」アタマオサエ

ハナコ「ニコさんがいなければ、魔神様の復活自体があり得なかったことですし……良し悪しの判断は魔神様に委ねられますよね」

ヴェロニカ「それじゃ、坊やはあの姿を許容したってこと……? それはそれであんまりなんだけど」ガックリ

提督棲姫「そういや、俺と親が全然似てないって、よく言われてたんだが……ニコが作った顔だったから、ってことか?」

戦艦水鬼改「イイ趣味シテルワネ、見直シタワ」グッ!

提督棲姫「親指立てんな」

ヴィクトリカ「んじゃあ、あれが本来のあたしたちの魔神様だったってことか?」

エレノア「でもほら、あのエフェメラも驚いてるっぽいし……」ユビサシ

エフェメラ「……」アッケ

キュプレ「エフェメラの考えてた魔神様とは、全然違うってことかしら?」

朧「それ、おかしくないですか? エフェメラが魔神を蘇らせようとしたのに、全然違う魔神が出てきた、ってことでしょ?」

山城「そうよね? ここまでやっといて、そんな勘違いするかしら」

ブリジット「そ、それよりも、これはエフェメラを討つチャンスでありませんか!?」

アーニャ「待って待って、あの小さい魔神様を見てよ!」
299 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:28:32.22 ID:kEJEaoCZo

少年提督「……」キョロ

ニコ「!」

エフェメラ「!」

少年提督「……」キョロッ

提督棲姫「全然動かなかった魔神が……」

大和「周囲を見回してますね……!」

軽巡棲姫「ナンカ、フラフラシテナイ……?」

カオリ「ほ、本当ですね。足元がおぼつかないというか」

南方戦艦新棲姫「……居眠リシテナイカ? 目ガ半開キ、トイウヨリ閉ジカケダゾ?」

山城「普通に見てて弱々しく感じるわね? あれが本当に魔神の真の姿なの?」

アーニャ「わかんないけど……なんか、ニコちゃんの方を見てるね?」

少年提督「……」ジッ

ニコ「……魔神、様……?」

少年提督「……」テク、テク、テク

提督棲姫「魔神がニコのそばまで歩いてったぞ……大丈夫なのか」
300 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:29:17.40 ID:kEJEaoCZo

ニコ「……」

少年提督「……お姉ちゃん」ニコッ

ニコ「ンヴ……ッツ!!!」ゾクゾクゾクッ!!

那珂「……ニコちゃんが限界ヲタクみたいな顔してる」

ゼシール「げん……? 表現がよくわからんのだが、念願叶って感極まった……と見ればいいのか?」

ニーナ「お、おそらく、そんな感じでしょうね……」

マリッサ「ニコちゃんがあんな顔してるなんて新鮮だわぁ〜」ンフッ

榛名「あんな愛らしい提督にお姉ちゃんと呼んでもらえるだなんて……ニコさんが羨ましいです!」

アーニャ「だよねー! あの魔神様になら、あたしもお姉ちゃんって呼ばれたいなあ!」

キュプレ「ねえねえ! あの二人、くっつけてあげてもいいかな!?」

ハナコ「さすがに魔神様に矢を放つのは不敬ではないかと。すでにお近づきになってますし、あとは若い二人に任せて……」

朧(……親戚のおばさんかな?)

ルイゼット「」コウチョク

クレア「ちょっとー、ルイゼっちがショックで固まっちゃってるよ!?」

山城「まあ無理もないわね。察するに、せめて普段の提督くらい不遜で態度でかくないと魔神って感じがしないんでしょ?」

クレア「よくわかるね!?」
301 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:30:02.68 ID:kEJEaoCZo

提督棲姫「確かに、あの姿じゃ威厳も何も感じられたもんじゃねえしな……」

ヴェロニカ「本当にもう……これじゃ、絡め取っても面白くないわ。坊やもそう思わない?」ウナダレ

提督棲姫「それを俺に言うなよ……」

カオリ「ヴェロニカさんはどうしてこんなに落ち込んでるんでしょう?」

泊地棲姫「ソンナコトモ理解ラナイトハ、オ子様ダナ」フンッ

カオリ「むっ!! わたし子供じゃないですー!」

ヴェロニカ「完全に子供の反応じゃない。意外とあなた、あの子とお似合いなんじゃないの?」ハァ

カオリ「えええ!? い、いえ、私とコーチとはそういう関係は、えっと、そのお」

ヴェロニカ「皮肉も通じないなんて。おめでたいわ」ハァ…

コロラド「そんなことより、いまの事態は一体どういうことなのよ!? なんであの男が若返ったり深海棲艦になったりしてるの!?」

綾波改二「下手に口を出さないほうがいいと思いますよ? 私たち、事情がよく飲み込めていませんし」

蒼龍改二「綾波こそなんでそんなに落ち着いてるのよお……」ナミダメ
302 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:30:47.51 ID:kEJEaoCZo

エフェメラ「そんな……」

提督棲姫「!」

エフェメラ「魔神様が、どうしてそんな、ふざけたことを……子供のような、ふざけた姿に……ありえない」

提督棲姫「そのふざけた格好にしたのは手前じゃねえか……!」チッ

泊地棲姫「ッテコトハ、完全ニ想定外ノ事態ガ起コッテイル、ッテコトネ?」

エフェメラ「この魔力は魔神様のものに違いないというのに……この違和感は、なに?」

ニコ「……違和感?」

少年提督「……エフェメラ」

エフェメラ「!!」ビクッ

南方戦艦新棲姫「ウオォ、イキナリ迫力アル声ニナッタゾ!」

ルイゼット「ああ、魔神様のお声が……!」ウットリ

ヴェロニカ「あら、いい声してるじゃない」キラッ

シエラ「瞬時に立ち直ったのデス……」

如月「この声、司令官が怒ったときの低音の声よね?」

提督棲姫「そうなのか? 自分の声ってよくわかんねえんだけど……」
303 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:31:34.23 ID:kEJEaoCZo

少年提督「汝、愚児に我の力を与え、我を亡き者にせんとしたは、何故ぞ」

エフェメラ「……!」ビクッ

少年提督「汝、我が冥府を彷徨いし時、如何なる献身をも見せぬとは、何故ぞ」

エフェメラ「……そ、それは、存じ上げず……お、お赦しを」

少年提督「赦さぬ」

エフェメラ「あ……!」ビクッ

少年提督「我の意に背く人形を、手下に置く道理なし」

エフェメラ「あ、ああ……っ!!」

少年提督「我の道行きに汝は要らぬ。我の眼前より、疾く失せよ」

エフェメラ「……ア……!」ボロッ

如月「エフェメラが……!」

深海海月姫「勝手ニ壊レテル……?」

エフェメラ「オユルシ、ヲ……マジ……ン、サ……!!」ボロボロボロッ

提督棲姫「自壊、したのか……」

ニコ「存在意義を否定されたんだ。当然だよ」

エフェメラ「」ガシャンッ

全員「「……」」
304 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:32:17.49 ID:kEJEaoCZo

山城「……壮絶すぎる自滅ね」

提督棲姫「それにしても、どういうことだ? エフェメラは、あいつを魔神と認識したからこそ俺を分断したんだろうが……」

提督棲姫「エフェメラが想定していた魔神とは別だったってことか?」

防空巡棲姫「ワケワカンナイ……」

如月「もしかしたら、司令官の考え方の影響を受けてるとか?」

軽巡新棲姫「見タ目ハ超似テルシ、外見ダケナラ無害ッポイヨネー」

時雨「……やれやれ、この理解に苦しむ状況は、いったいどういうことなのかな」ザッ

提督棲姫「時雨?」

少年提督「! 汝は……」

ユリア「ソニア! クレア! 無事!?」

ソニア「ユリアお姉ちゃん!?」

クレア「えっ、来てくれたの!?」

ユリア「来たわよ! 来たけど……なんか見たことない深海棲艦がいっぱいいるんだけど? 魔神様はどこよ?」

時雨「こっちだよ。エフェメラが壊れたと思ったら、提督がまた深海棲艦に……って、少し姿が違うね!? 女性になってる!」

少年提督「久しいな、共に冥府を彷徨いし魂よ」

時雨「へっ?」
305 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:33:04.96 ID:kEJEaoCZo

扶桑「こちらの子こそ、提督……ですよね? 帰りが遅いから気になってきてみたら、どうして提督が子供に?」

吹雪「ちっちゃい司令官が可愛い!!」キラキラキラッ!

ユリア「ちょっとぉ、魔神さんが縮んじゃってるのに、なんで目を輝かせてるのよー!? かっ飛ばすわよ!?」

吹雪「ひえっ!? ご、ごめんなさい!」

電「……本当に、わけがわからないことにになってるのです……」アタマオサエ

初春「簡単に説明するとな。提督が分裂して、一方は子供になって、もう一方が深海棲艦化した上に女性化までしおったんじゃ」ヒョコッ

時雨「……は? 分裂?」

扶桑「深海棲艦……もしかしてこちらの? 確かに雰囲気はそうだけれど、以前、海上で見たあのお姿とは違いますよね?」

電「説明されても、どうしてそうなったのか、さっぱりわけがわからないのです!!」アタマカカエ

マリッサ「電ちゃん、本当だから落ち着いて?」

電「事実であることが落ち着く理由にはならないのです!!」ジダンダ

ユリア「ねえソニア、説明できる?」

ソニア「うーん、とっても簡単に言っちゃうと、そっちの初春が言ってた通りなんだけど……」

ソニア「それから、こっちの深海棲艦たちは、あっちの艦娘と戦ってる間に姿が変わっちゃったの」

ユリア「そうなの……?」
306 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:33:48.26 ID:kEJEaoCZo

初春「まったく、提督は現場を混乱させることばかり……おぬしはもう少し自分自身の制御ができぬのか?」

提督棲姫「確かにその通りだが無理言うな。つうか、お前どうしてそんなに理解が早すぎんだよ」

初春「わらわは早めに出向いて隠れて様子を見ておったんじゃ。でなくば他の者に報告できぬでの」

ヒサメ「その通り。いざとなればわらわも祭りに混ざるつもりじゃったがのう?」

提督棲姫「この出歯亀コンビめ……」

早霜「私も、見ていました。一部始終……フフフ」ヌッ

提督棲姫「フフフじゃねえよ……」アタマオサエ

少年提督「……」フラッ

ニコ「それよりも、魔神様! なんだか、すごく弱っている気がするんだけど……! すぐに休んだ方がいいよ!」

提督棲姫「そうだな……俺が言うのもなんだが、立ってるのもやっとみたいで、倒れそうだぞ? 魔力槽に入れなくて大丈夫なのか」

少年提督「……我らが魂を、無理矢理引き裂かれたが故」

ニコ「引き裂かれた?」

少年提督「我は、かの女の一部なり」ユビサシ

ニコ「一部……?」

提督棲姫「女……って、俺のことか……つか、おんな……いや、いまは確かにそうだけどよ」ムググ
307 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:34:33.54 ID:kEJEaoCZo

少年提督「女。汝もまた、我の一部ぞ」

吹雪「ど、どういうことなんです?」

少年提督「女よ、我の手を取れ。我ら、今再びひとつにならん」ス…

ニコ「魔神様……?」

提督棲姫「ひとつに? 元に戻れる保証はあるのかよ」

少年提督「恐るるな。我の望みは汝が望みぞ……汝の願うがまま、彼の地を治めて見せよ」

如月「ね、ねえ、これって……司令官に、協力しようとしてるの……?」

ニコ「魔神様……? 魔神様は、いったい、どうしようと……」

少年提督「我は……いま、我の望むるは、我の眷属と、我が従僕の安寧……我を召喚せし眷属たる汝が望む、汝らの世界」

ニコ「……ぼくたちの、世界……!?」

少年提督「其は、かの女が自らの安寧を望むと同義……違うか? 我が半身よ……!」

提督棲姫「それはそうだが、いくらなんでも都合が良すぎる。罠を使って人の魂を刈り取るはずの魔神が、そんな殊勝なこと言うもんかよ?」

少年提督「……我は魔神なれど、我の中の魔神ならざる慈悲持つ神も、また我なり。今や汝も、我らのうちの一柱にすぎぬ」

ニコ「魔神ならざる神……?」

提督棲姫「俺が、魔神の一部だと……!?」

少年提督「汝は、我らの欠けたるもの……我らに失われし『目覚め』を持つ魂。汝おらずば、我はまた眠らねばならぬ……」

少年提督「汝もまた、我の力なくして、汝の家族を守護する手立てもあるまい……我は汝、汝は我。いずれも欠けては在世能わず……」
308 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:35:19.00 ID:kEJEaoCZo

提督棲姫「これまで通りをお望みだから、協力しろってか……!?」

少年提督「然り。我はまた微睡む……汝、我の揺り籠となれ。さすれば汝、我のすべてを得たり……!」ガシッ!

提督棲姫「うお……!!」グイッ

 ズォォォ…(少年が深海棲艦の腕を掴むと、そのまま引き寄せて深海棲艦と融合し混ざりあっていく)

如月「司令官……!?」

戦艦水鬼改「提督!!」

魔神の声『時の名を持つ艦娘よ……改めて、汝に礼を言おう』

時雨「……!」

魔神の声『そして、我が従僕どもよ……我が眷属たるニコよ……これからも、我と共に在れ……!』

ニコ「魔神様……!!」ウルッ

ルイゼット「ああ、なんとありがたきお言葉……!!」

 ズズズズ…(そのまま空間が闇に染まり、凝固した闇が男性の姿……提督の姿に変わっていく)

提督「……」

ニーナ「も、元に戻った……んでしょうか」

泊地棲姫「ヒトマズ、見タ目ハ、ソウダナ……」
309 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:36:02.16 ID:kEJEaoCZo

提督「……いろいろあったが……一応、見た目だけでも元に戻ったのか? 服のサイズもあってるし……」キョロキョロ

提督「とりあえず、お前たちも変わってねえな?」フリムキ

如月「司令官! ちゃんと私たちのこともわかるのね!? ……良かった……!」

ニコ「うん……この世界に来た時に、ぼくが微かに感じていた、魔神様の魔力だ。間違いないよ……!」

戦艦水鬼改「マッタク、人騒ガセナ男ネェ?」

提督「いや、その通りだし当事者だけど、俺もこうなるとは思ってもいなかったんだから、勘弁してくれよ」

大和「ご無事でよかったです! あのままだったらどうしようかと……!」グスッ

ナンシー「だよね! 魔神様が分かれちゃったときなんか、もうどうなるのかと思ったし!」

朧「あれ、メディウムのみんなも戻って欲しかったんですか?」

シエラ「あのちびっこな魔神様も悪くなかったデスけど……今のほうが個人的には落ち着くデス」

ヴェロニカ「私は最初から大人のままでいて欲しかったわよ。何が悲しくてお子様を籠絡しなくちゃいけないのかしら……」ハァ

時雨「というか、僕たちは何を見せられているんだろうね……」

電「まったくなのです……」
310 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:36:47.26 ID:kEJEaoCZo

ニーナ「ま、まあ、個人的な感情はさておいても、魔神様が元に戻られたのは喜ばしいことです」

ルイゼット「ええ、本当に……あのような可愛らしいお姿になっても、わたくしたちの身を案じていてくださって……」

那珂「あっ、ルイゼットちゃんも可愛いって思ってたんだ!!」

ルイゼット「あっ!? いえ、そのような不届きなことは」

エレノア「素直になりなさいよぉ、頬擦りしたかったんでしょ〜?」

ルイゼット「エレノアッ!!」

提督「……あの姿になら、いまでもなれそうだな」

全員「「は?」」

提督「こうか……?」

 ズズズズ…

提督(少年化)「こんな感じか?」チンマリ

全員「「!?!?!?」」

少年提督「さすがに服のサイズまではコントロールできねえか。しょうがねえな」ブカブカ
311 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:37:33.01 ID:kEJEaoCZo

吹雪「し、司令官がまた小さくなっちゃった!?」パァァァッ

初雪(吹雪、嬉しそう……)

ニコ「んま、ままま魔神様!? そ、それってどういう……」ドギマギ

ソニア(ニコちゃん嬉しそう……)

少年提督「どうって、この姿自体はニコが望んでた姿だろ? つうか、もともとこういう姿で作ったんじゃねえか」

ニコ「……それは、そうだけど」カオマッカ

吹雪「……!」ニコニコニコー

朧(吹雪がいい笑顔すぎる……)タラリ

扶桑(好みが同じ人を見つけた時の満面の笑みね……)

ヴェロニカ「あら、口調は変わってないのね?」

少年提督「変わったのはあくまで見た目だけだからな。やろうと思えば子供の真似もできるが、しなくていいよな?」

ヴェロニカ「ええ。それは喜ぶ子にやって頂戴」
312 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:38:17.18 ID:kEJEaoCZo

山城「なんか、唐突すぎるくらいいきなり魔神の力に目覚めたわね……?」

少年提督「まあな。簡単に言うと、エフェメラのせいで、眠ってた魔神の魂が無理矢理叩き起こされちまったんだよ」

ミュゼ「眠ってたんですか!?」

時雨「ちょっと待ってよ、提督の魂は深海棲艦と人間のハーフみたいなものじゃなかったの? 魔神の魂も入ってたなんて、聞いてないよ」

少年提督「そりゃ魔神の魂が人間のふりをしてたんだよ。つうか、最初から俺の魂に人間の要素はねえ」

時雨「」

少年提督「そうじゃねえと、あの世で魂だけになった俺が魔神の力を使えるのはおかしいだろ」

時雨「……ということは、僕も謀られたというわけだね?」アタマオサエ

少年提督「いや、多分その辺は、あの味方したエフェメラも意識してなかったんじゃねえか?」

少年提督「最初からその部分の説明を省いてたせいで齟齬があったのかもしれねえし」

時雨「……やれやれ。でも、そこは知ってなくても目的は変わらないか」

少年提督「で、魔神の力に目覚めたのはなんでか、って話に戻ると、それはさっきエフェメラにやられたことが原因なんだ」

戦艦水鬼改「サッキノ、フタリニ分断サレタ話カ?」
313 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:39:17.40 ID:kEJEaoCZo

少年提督「ああ。それまで主導権を握ってたのは深海棲艦の魂で、魔神の魂はその背中に隠れて眠ってたようなもんなんだ」

時雨「あの世で提督の姿が深海棲艦になっていたのも、そういう理由だってことだよね?」

少年提督「多分な。それがエフェメラの奴に、融合してた魂を無理矢理引き剥がされて、魔神の魂が自分で前に出ざるを得なくなった」

少年提督「強引に覚醒させられたばかりの魔神の魂で体をいきなり任せられたから、ニコからも心配されるほど、眠くてふらふらだった」

オボロ「それで、無理矢理叩き起こされた、と仰られたのですか……」

クレア「安眠妨害されたんじゃあ、まっさんも怒るよね!」

少年提督「魔神の魂はこっちの世界に渡ってきた時に相当な力を使ったらしくて、活動自体は深海棲艦の魂に頼りっきりだった」

少年提督「魔神は自身の回復のためにも、力を引き出せなかった。少しずつニコたちに魔力をもらい、ゆっくり目覚めようとしてたんだ」

少年提督「それが、無理矢理とはいえ魔神の魂が覚醒させられた……それまで矢面に立ってた深海棲艦の魂がいなくなったせいでな」

ニコ「……純粋に、僕の集めた魔神様の魂と僕が作った体だけになったんだね?」

少年提督「そういうことだ。そのために魂が完全に混ざり合えてなくて、エフェメラにも魂を分割させられる隙ができちまってた」

少年提督「今は、魔神の魂が覚醒して、その状態でまた混ざり合ったから、眠ってた部分もしっかり思い出せるようになって……」

少年提督「表面に出てきてる深海棲艦の魂も、魔神の魂が持ってた記憶や能力をこうやって引き出せるようになった、ってわけだ」

電「理屈はわかりましたが滅茶苦茶なのです!」アタマワシャワシャ

山城「現実離れしすぎよ。なんなのそのご都合主義的な話は」

少年提督「しょうがねえだろ、それが事実っつうか、この場で起こった現実なんだから……」
314 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:40:02.56 ID:kEJEaoCZo

軽巡新棲姫「実際、今モチビッ子ニナッテルシ、信ジルシカナイヨネー?」

軽巡棲姫「ソウネ……」ジ…ッ

南方戦艦新棲姫「……オ前、目隠シシテルノニ、ズット提督ノ方ヲ向イテルナ。見エテルノカ?」

軽巡棲姫「秘密ヨォ?」ニチャァ…

マリッサ(前々から思っていたけど、あの子とは気が合いそうねぇ)ニチャァ…

ミュゼ「それよりご主人様? さっき、ニコさんのことをお姉ちゃん呼びしたのはどうしてですか?」

少年提督「ニコが自分を顕現させるために尽力してくれたことを気にかけてたんだと。お礼代わりのサービスだな。反応は予想以上だったが」

ニコ「……」カオマッカ

ルイゼット「あ、あの、魔神様? その、元のお姿には、ちゃんと戻れるのでしょうか……」

少年提督「ああ、そこは心配すんな。元の姿以外にも……」

 ズズズズ…

提督(魔神化)「なろうと思えばこんな姿にもなれるし」

ルイゼット「ああ……これは、伝承の魔神様のお姿……!」

クレア「あの丘の上で見た、怒ったときのまっさんの姿だね!」

 ズズズズ…

提督(深海棲艦化)「こうもなれるってことだ」

朧「あの海を走ってきた時の姿ですね!」

戦艦水鬼改「何デモアリダナ……」

泊地棲姫(オ前モ、ル級カラ随分姿ガ変ワッタジャナイカ……)
315 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:41:02.34 ID:kEJEaoCZo

 ズズズズ…

提督「で、こうやってこれまでの姿にもなれる、というわけだな」

泊地棲姫「レ級ヲ食ッテタ、アノデカイ頭モ、オ前ナノカ?」

提督「あれはニコに聞いた伝承上の本来の魔神なんだが、若干誇張されてる気がするな」

提督「それこそ、なんにでもなれるって性質上、恐ろしさが強調された結果の姿とも考えられるが……」

提督「いずれにしろ、あれを再現するには魔力が必要だから、ずっとあの姿でいろ、っつうのはちょっと無理だな。しんどすぎる」

ゼシール「確かに燃費は悪そうだな」

深海海月姫「ネエ。サッキノ、重巡棲姫ノ姿ニハナレナイノ?」

提督「ん? ……なれることはなれるけどよ。なれってか?」

深海海月姫「デキルノナラ、ネ。可愛カッタワ。恥ズカシガラナクテモ、イイノニ」

提督「いや、可愛いとか言われてもなあ……」

初春「のう提督よ。もしやと思うが、人間のままで女の姿にもなれるのか?」

提督「ん? まあ、なれることはなれるだろうな。深海棲艦が女性の体だったし、それを意識すりゃ女の姿にもなれるはずだが……」

初春「ふむ。であれば『お願い』すれば、それもアリと言うわけじゃな?」

提督「……どこに需要があんだよ、そんなの……」

初春「潮のような男が苦手な艦娘には喜ばれると思うがのう?」

提督(あいつ、普通に俺の背中で居眠りしてたけどな……)
316 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:41:47.43 ID:kEJEaoCZo

提督「ま、いいや。ひとまず戦闘も落ち着いたことだし、いったん引き上げるぞ」

提督「向こうの大和にやられた、大和や軽巡棲姫の怪我もいい加減治療しなきゃいけねえし……」チラッ

コロラド「!」

提督「川提督だったか? そこの艦娘にも入渠してもらうか。どういうつもりでここに立ち入ったのか、話を聞かせてもらいたいしなあ?」ジロリ

ニコ「そうだね。保護しろと指示されたから保護したけど、ここまで立ち入った以上、ただで帰すわけにはいかないね」ジロリ

戦艦水鬼改「アイツラガ何ダッタノカ、包ミ隠サズ話シテモラワナイト……ネェ?」ジロリ

飛龍改二「あわわ……」

蒼龍改二「私たち、どうなっちゃうの……」

霧島改二「……これは、覚悟を決めるしかありませんね」

コロラド「ふう……いいわ、従うわ。私も、あなたたちに訊きたいことはたくさんあるし」

天龍改二「俺、そこまで酷えことにはならなさそうだと思ってんだけど」

綾波改二「あ、私もです。楽観的ですかね?」

飛龍改二「あんたたち、肝が据わり過ぎよ……」
317 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:42:32.18 ID:kEJEaoCZo

提督「そういえば、ソニアとクレアを乗せてたイ級たちはいるか?」

イ級「」バシャバシャ

ロ級「」バシャッ

提督「お、いたか。今回はやばい相手だったのに、よく付き合ってくれたな」

イ級「ガンバッター!」

ロ級「イキテター!」

提督「こいつらにもあとで何かしてやらなきゃな……何がいいかねえ」ナデナデ

イ級「ナデラレタ!」

ロ級「ホメラレタ!」

南太平洋空母棲姫「……フフッ」

敷波「後であたしたちも褒めてもらわないと!」

初雪「うん……!」

イサラ「……もしかして、また髪を梳いてもらえるっスか!?」キラキラッ

ブリジット「そんなサービスがあるでありますか!?」

南太平洋空母棲姫「ソウイウノモアルノナラ、私モヤッテモラオウカシラ」

敷波「あー……私もそっちにしようかな?」

ナンシー「え? ちょっとお、私のお仕事取らないでよー!」

ユリア「いいなあ、私も出たかったなあ……」

初雪(……私は、膝枕のままでいいかな……)
318 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:43:33.83 ID:kEJEaoCZo

 * 鎮守府本館 近辺 *

キャロライン「ダーーーリーーーーン!!」トテトテトテーッ

金剛「テーーートクーーーーゥ!!」ドガシーーッ!

提督「おぐっ」ドゴォ!

キャロライン「コンゴーウ!? ダーリンになにするノー!?」ギョッ

ニコ「ま、魔神様、大丈夫!?」

如月「ちょっと金剛さん!? 司令官が怪我したらどうするの!?」

戦艦水鬼改「何ヤッテンノ……!」ギロリ

金剛「ヒイイ!? どうしてここに鬼級がいるデース!?」

南方戦艦新棲姫「デースジャネエヨ、金剛!」

防空巡棲姫「提督サン、大丈夫?」

金剛「ヒエエエ!? 知らない姫級もたくさんいるデース!?」

ヒサメ「わらわが金剛をすってんころりんさせておけば良かったかのう?」

初春「いやいや、滑ってそのまま頭から突っ込んでいったかもしれんぞ?」

大和「て、提督! しっかりしてください!」

提督「……ああ、意識だけぶっとぶかと思った……ん? 金剛やキャロラインがおとなしく留守番してたのはなんでだ?」

扶桑「本来なら金剛さんたちも私たちと一緒に来るはずだったのですが」

扶桑「先に出撃していたタ級が大破した際に、控えていたタ級が暴走しかけまして」
319 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:44:18.30 ID:kEJEaoCZo

金剛「そのタ級を落ち着かせようと思って扶桑たちに先に行くよう促したんデス……」

キャロライン「だけどネー……」チラッ

欧州水姫「金剛ーー!! 姫タチハ、無事ニ戻ッテキタノカー!?」グオォオ!!

南方戦艦新棲姫「!?」

金剛「なぜかあんな姿になってしまったんデス」

キャロライン「彼女もヒメキュー? ってクラスでショー?」

提督「マジか……」

綾波改二「うわああ……お、欧州水姫まで!?」

欧州水姫「ム? 欧州……ソレハ、余ノコトカ?」

コロラド「……ネルソン……? ねえ、ちょっとあなた、ネルソンじゃない?」

金剛「Nelson デスって!?」

欧州水姫「ム……ナンダ? 聞キ覚エノアル……ナントナク、シックリクル名ダナ?」

コロラド「なんとなくなんだけど、あなたも私と同じビッグセブンの一隻……イギリス海軍の戦艦ネルソンのように思えるわ」

金剛「英国艦デスカ。それで私と紅茶の話題で盛り上がったんデスカネ?」

欧州水姫「ムムム……ソンナ記憶モ、アルヨウナ、ナイヨウナ」

コロラド「覚えてないの?」
320 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:45:03.99 ID:kEJEaoCZo

提督「……なんだかややこしいことになってるな。とにかく大和たちを早く入渠させたいんだ。ドックまで連れてってくれ」

金剛「Y ... Yes sir ! 大和、肩を貸しマース!」

欧州水姫「軽巡棲姫モ、ヒドイ怪我ダナ! 余ガ連レテイクゾ!」ヒョイ

軽巡棲姫「ア、アリガト……」オヒメサマダッコ

如月「私、一緒に行って明石さんに説明してきます!」

時雨「川艦隊のみんなもドックに案内するね」

提督「おう、頼むぞ! ……にしても、なんでまたこっちの奴も姫級だかになっちまったんだ?」

エレノア「ちょっと魔神さん、深海棲艦ってそんなに簡単にパワーアップできるものなの?」

提督「そこは俺もよく知らねえよ。ル級とは一緒の時期が長かったが、パワーアップしたとしても見た目は然程変わってなかったし」

提督「少なくとも、こんなふうに艤装や顔つきにまで変化があったのは、今回が初めてだな」

エレノア「ふーん、そうなの?」

提督「前もそうだったが、多分、俺たちを怒らせるようなことを、今回襲ってきた奴らがやったからだろう」

提督「こんなこと、そうそう起こって欲しくねえけどな」ハァ…

キャロライン「ダーリン、いつも優しくてダイスキー!」

戦艦水鬼改「本当ニ、提督ガ無事デ良カッタワ」

朧「そうですね。元に戻らなかったらどうなってたか……」

ソニア「あんまり考えたくないね〜」

キャロライン「ホワット???」
321 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/16(土) 21:56:46.21 ID:kEJEaoCZo
というわけで戦闘終了。今回はここまで。
コーヒーと紅茶で言い争っていたタ級の二人はそれぞれ米軍艦と英国艦になりました。

>292
おおよそご理解いただいた通りです。
今回エフェメラが返り討ちに遭ったのも、ニコちゃんがだいぶ影響しております。
次回はその辺のバックボーンの話になるかと。
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 21:56:35.24 ID:fz1HIHxj0
提督棲姫とショタ魔人のイラスト求む
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 21:58:30.33 ID:fz1HIHxj0
提督棲姫とショタ魔人のイラスト求む
324 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 21:57:53.17 ID:kokBAZkko
ここから先の話はトラップガールズの世界観の話になりますが、シナリオ途中でサービス終了してしまったので、
用意された設定を踏襲してはいるものの、独自に作った設定が多くなっております。ご容赦いただければ幸いです。

今回のスレで初登場メディウムはこちら。
・メリンダ・ベアトラップ:腕や脚に包帯を巻いた、丈の短いメイド服姿のメディウム。足元に設置されたトラバサミが人の動きを奪う罠。
  目と意思を持つトラバサミ「ベアトラ君」を連れ歩く眼鏡の女性。自己肯定感が低いのかMなのか、やたらとお仕置きを要求してくる。
325 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 21:58:35.76 ID:kokBAZkko

 * 一時間後 *

 * 食堂 *

提督「大和と軽巡棲姫の入渠は終わったのか?」

大和「はい、高速修復材を使わせていただきましたので、御覧の通りです! 今は川提督の艦隊に入渠していただいています」

提督「そうか」

ニコ「魔神様。メディウムはみんな揃ったよ」

泊地棲姫「私タチモ、話ヲ聞ケル者ハ集メタゾ」

島妖精A「わたしたちも話を聞かせてもらうからな」

提督「おう、もちろんだ。そんじゃあ全員揃ってるみたいだし、手始めに、魔神のことから話をするか」

提督「ちょっと昔話になるが、まずは聞いてくれ。まず……魔神と呼ばれる神は複数体存在する」

 ドヨッ…

提督「少なくとも、ニコたちがいる時代では、魔神は1柱だけじゃなかった」

ロゼッタ「うええ、そうなの!?」

ノイルース「私たちの知る限りは、魔神様は唯一無二の存在と聞いていたのですが……」
326 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 21:59:20.42 ID:kokBAZkko

提督「とにかくあっちの世界の話から始めないとな。あっちの世界の主神というか、支持信仰を集めているのはアルスとか言う神だが……」

提督「悪いものには蓋をする信仰のせいで、魔神として扱われた神は名前を奪われてる」

如月「名前を?」

ニコ「うん。名前そのものが力や魔除けになるっていう信仰もあって、都ではアルス神の名を書いた護符がいろんなものに貼られてるんだ」

ニコ「逆に忌まわしいものからは名前を取り上げ、存在を有耶無耶にして記録と記憶から消滅させる、というのが、アルス正教のやり方だよ」

提督「そのせいで、魔神については、名前どころか姿や性格も記録らしい記録がまったく残されてない」

提督「ニコが魔神を復活させようとしたときも、残ってる文献はごくわずかだったはずだ」

ニコ「そうだね……手掛かりがなくて、本当に大変だったよ」

提督「魔神の情報を敵対勢力に消されたから、というのが、ニコが魔神の復活に手間取った理由の一つなんだが……」

提督「同じように情報を消された神が、魔神以外にもたくさんいたんだよ」

ロゼッタ「たくさん!?」

提督「ああ。魔神じゃないのに言いがかりで貶められた異郷の神々がそれだ。おそらくアルス神の教義を脅かすと思われたんだろう」

提督「全然関係ねえのにアルス正教が邪教認定して取り潰した、余所の国の豊穣神とか戦神とかが、そういう扱いをされちまってる」

提督「結果として、正確な魔神の情報とその神々の情報が混ざり合い、ますます魔神の情報を特定することが困難になった」

ノイルース「……最悪ですね」
327 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:00:05.10 ID:kokBAZkko

提督「おまけに、魔神はアルス=タリア封印神殿に封じられたと言われているが、封印場所は他にもあるらしいんだ」

提督「とくに魔神の封印は、わざと封印場所を増やして散らして封じたり、そこへ関係のない余所の神も巻き添えで封じたりしたらしい」

ミュゼ「んん? ということは、本来の魔神様の魂ではない、本当なら神殿にはなくてもいい無関係の神の魂もあった、ってことですか?」

提督「ああ、そうだ。ただ、魔神の魂だと言う扱いで封印されている以上、その魂が本当に魔神であったかは、連中にとって重要じゃねえ」

提督「逆に分かたれた魔神の魂が、自分を魔神だと認識し続けていられるか、ってのも、正直わからない。恨みが強けりゃ忘れねえかもだが」

提督「別の名前を付けられて信仰され始めたりしたら、その時点で魔神じゃなくなっちまうし、魔神であったことも忘れられちまうだろう」

山城「なによ、その野良犬になった元家犬に、名前つけて飼い慣らしちゃったみたいなノリは……」

提督「いやいや、こんなの良くある話だぞ? 祟り神や怨霊が丁重に奉られて土地神になった事例なんて、特に日本じゃ珍しくもねえ」

朧「あー……確かに、聞いたことありますね。雷神扱いされてた菅原道真公とかですか?」

提督「例えばで言えばな。あとは分祀されてあちこちに寺社のある神様もそうだ。その土地柄で売り出し方も違うだろ?」

提督「軍神が商売の神様になったり、その土地柄に影響されて、神様の性格も変わってくることも、よくある話だ」

提督「海外じゃあ、ある国の神の信者が余所の国の祖神を邪教扱いして貶めた挙句、引き裂いて邪神や魔王扱いすんのもザラだし」

提督「信仰を集めすぎた天使が教会に嫉妬されて『あれは人心を誑かす悪魔だ!』みたいな言いがかりつけられて貶められた例もある」

キュプレ「えー!? やだ、怖ーい!」

泊地棲姫「一番怖イノハ、ソウイウコトヲ考エル人間ヨネェ」

提督「だよなあ……人間は、神様ですら言うこと利かねえと難癖付けて手前の都合のいいようにぶち壊すからなあ」

初雪「というか、深海棲艦が『人間が怖い』なんて言うとは思わなかった……」
328 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:00:50.87 ID:kokBAZkko

提督「というわけで、まず魔神は一柱じゃねえ」

提督「ニコたちの時代の魔神は、分けて封印された……分祀された結果、魂があちこちに散り散りになったってことと」

提督「全然関係ない神様の要素も混ざってる、ってことを最初に断っておく」

提督「それでだ。ニコが、俺……魔神復活のため、あっちの世界を駆けずり回ってくれたわけだが、結果的にそれは完璧じゃなかった」

提督「ニコも一生懸命調べてくれたが、残ってない記録もあれば誤情報もあった。ニコが行動できる範囲だって限りがある」

提督「そうやって作られた、いわばツギハギの魔神の魂は、本来の魔神と呼ばれる姿とはどうしても食い違うことになってしまった」

ルイゼット「で、では、いまの魔神様は完璧な魔神様ではない、と……!?」

提督「伝承にある始祖たる魔神像とは完全一致していない。一部一致……まあ、3割弱くらいはそうなんじゃねえかな?」

ニコ「3割!? たったそれだけ……!!」

提督「十分だと思うぞ? 情報を入念に消された上に、あちこちにバラバラに封印されてたのを集めてきたんだろ?」

提督「それから、合体前のあの魔神が『目覚め』の要素が欠けてるって言ってたよな? そういう重要な要素も欠けてたんだ」

ニコ「魔神様が全然目を覚まさなかったのも、そのせい……!?」

提督「まあ、結果的にはそうなった感じだな。眠ってる隣でニコが何度も寝坊助って呟いてたのも、なんか魔神としての記憶にあるぜ?」

ニコ「それも、ぼくのせいだったのか……」シュン
329 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:01:36.31 ID:kokBAZkko

提督「連中だって魔神を封印するために、いろんな手を尽くしてきてたんだ」

提督「その目的を確実にするためにも、ニコがいくら探しても見つけられないくらいのことをしてたと思えば、仕方ないことだと思う」

泊地棲姫「ソノ、不足シタ『要素』ヲ補ッテイルノガ、重巡棲姫ノ魂カ」

提督「多分、そういうことなんだろうな。あの魔神を構成する神々の中で欠けていたもの……それを持ってる俺が、表に出てきてるんだろう」

ニコ「ごめんね魔神様、ぼくのせいで……」ションボリ

提督「いやいや、ニコが謝るなよ。妨害があった中で、ここまで魔神の魂をかき集めたのはすげえことだと思うぞ?」

ロゼッタ「ねえねえ! 先生は、その欠けた要素、ってのを取り戻しに行かないの?」

提督「ん? それは行かねえよ、面倒臭え」

カトリーナ「面倒臭えのかよ!?」

ルイゼット「魔神様は完璧を望んでおられないと……?」

提督「完璧な神なんていねえよ。仮にいたとしても、それはそれで融通が利かなくて面白くねえ神様になるんじゃねえかな」

ルイゼット「面白くない……ですか」

提督「堅苦しいのは嫌いなんだ、わざわざ古臭い神になんかならないで、ちょっとくらいいい加減なほうが、お前たちも過ごしやすいだろ」

エレノア「それはそうねえ」

ルイゼット「エレノアっ!?」
330 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:02:20.53 ID:kokBAZkko

提督「ルイゼットはそういういい加減なところを許しておけないのかもしれないが……」

提督「あまりガチガチに魔神様やってたら、人間とつかず離れずみたいな関係は保てないし、どうやっても相容れなくなるだろ?」

提督「いま存在している俺という魔神は、お前たちにとって都合の良い神であったほうがいいと思うんだよ」

ルイゼット「……ま、魔神様が、そう仰られるならば、従いますが……よろしいんですか?」

タチアナ「と言いますか、都合の良い、とは、恐れ多いですね……」

シエラ「ちょっと言い方が卑屈な感じもするデス……」

電「司令官さんは昔から自己肯定感が低いのです!」

提督「なんにせよ、大きな不満や不都合がなけりゃ、このままでもいいと思ってる。ちょっとくらいはゆるくていいだろ」

ナンシー「私は賛成ー!」ハーイ!

キャロライン「私もネーー!」ワーイ!

軽巡新棲姫「私モ、厳シクナイノハ Welcome !」Yeah !

朝潮「朝潮は、司令官がこれまで同様にご健勝であらせられるのであれば、全面的に賛成いたします!!」ズビシッ

比叡「朝潮ちゃん、気合入り過ぎじゃないかな?」

霞「まあ、いいけど」アタマオサエ
331 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:03:05.00 ID:kokBAZkko

ニコ「で、でも、魔神様が不完全なのはぼくのせいなのに……い、いいのかな」

提督「俺はそのほうがいいと思うけどな。ニコは嫌か?」

ニコ「……正直に言えばね。僕は、魔神様を完全復活させるために、人間狩りをしてきたわけだし……」

提督「そういえば、ニコ自身は、魔神が残した魔力そのもの……メディウムとは違う存在だって認識だよな?」

ニコ「そ、そうだけど……」

提督「魔神が完全復活したとしたら、お前も消えたりしないか?」

ニコ「……!」

吹雪「え? どういうこと?」

提督「だって、ニコも魔神の力の一部なんだろ?」

電「もしかして、魔神が完全復活したら、ニコさんも魔神の中に取り込まれて消えちゃう、ってことになるのですか……?」

提督「多分、そうなっちまうんじゃねえかな。だとしたら猶更、完全復活なんてしなくてもいいんじゃねえかと思ってんだ」

ニコ「魔神様……!?」

提督「俺の恩人、親代わりの妖精が消えて……顔なじみがいなくなっちまうことがつらいって、知っちまった」

提督「できれば今のままで……今いる連中で、だらだら仲良く過ごしたい、と思うのは魔神様らしくねえか?」

ニコ「そ、そんなことないよ!? むしろ……ごにょごにょ……」セキメン
332 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:03:50.52 ID:kokBAZkko

ヴァージニア「仲良くか……この島のあるじたる貴様がそれで良いというのなら従おう。だが、それでこの島をしかと守れるのか?」

提督「そこは人間たちと折り合いをつけていくしかねえだろ。友好的にしとけばいいことあるぜ、的な雰囲気に持っていく気でいる」

ヴァージニア「貴様は魔神だぞ? 人間相手に慮るなど……それでいいのか?」

提督「俺たちが安息を得るためなら、あいつらに頭を下げるのも考えるさ。あっちも同じ高さまで頭を下げることが前提だがな」

提督「少なくとも、俺はこの世界の支配者になるつもりはねえ。強すぎる力を誇示したって、人間はビビるどころか反抗してきやがるしな」

泊地棲姫「……マッタク、ソノ通リダナ……」

陸奥「なんか、実感こもってるわね……」

提督「そうでなくとも、俺たちを利用しようとする連中はいるはずだ。そういう奴らは各個始末しつつ、基本無害であることをアピールする」

提督「こっちがおとなしくしてるのに、手を出してくる奴が悪い、って風潮に持っていけば、しばらく安泰になるだろう」

ヴァージニア「……ふん。あの伝承に聞いた魔神の魂を引き継いだというのに、随分と丸くなったものだ」

提督「いいじゃねえか、ニコもそうなんだし。極端な話、ニコも魔神を名乗ってもいいんだ、不服ならニコにも申し立ててみるか?」

クレア「えええ!? ニコっちも魔神なの!?」

提督「神と呼ばれるほどの力ではないにせよ、ニコが魔神の力を持っているのは間違いないんだ」

提督「現に、ニコが魔力槽を管理したり、余らせた魔力から魔法石を作ったりしてるし、俺よりずっと強い魔力を持ってる」

提督「多分、メディウムを生み出すのに相当苦労したらしいから、自称するのはおこがましいって思ってるんだろうけどな」

ロゼッタ「ふーん、そっかー」
333 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:04:35.93 ID:kokBAZkko

提督「だからニコのことを、あのとき魔神は『眷属』と呼んだんだろう。同じ魔神の力を持つ者として」

比叡「ニコちゃんはメディウムじゃなかったんだ?」

セレスティア「はい。直接戦う力を持っていませんので」

軽巡棲姫「ソレデ眷属ネェ……」

提督「……あ、『お姉ちゃん』のほうが良かったか?」

ニコ「っ! そ、そう思うんなら、お姉ちゃんをからかうんじゃないよ……っ!」プイ

提督「悪い悪い」フフッ

吹雪「駄目ですよ司令官、ニコさんは真剣なんですから!」メッ!

ニコ「吹雪……」

吹雪「たまにあの小さな司令官になって、真面目にお姉ちゃんって呼んであげないと駄目なんですからね!」

ニコ「」

提督「……それ、あわよくばお前もそう呼んで欲しいとか思ってないよな?」

吹雪「はい! あ、いや、そういうわけじゃないですが、はい!」キラキラキラッ

提督「……」
334 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:05:20.61 ID:kokBAZkko

ユリア「気持ちいいくらい本音がダダ洩れだわ」

ニコ「……吹雪、もうやめて」セキメン

初雪「吹雪が何かに目覚めた……」ドンビキ

敷波「面倒なことになりそう……」アタマオサエ

ロゼッタ「先生、今の話で、もういっこしつもーん! 先生ってなんにでも化けられるって聞いたんだけど!」キョシュ!

提督「いや、そこは『なんにでも』じゃねえな」

提督「もともと俺が持ってる要素を組み合わせて外見に反映させてるから、艦娘にはなれないし、動物に化けるのも無理だ」

提督「ニコが集めてきた神々と魔神の要素、それから深海棲艦……おそらく重巡棲姫の要素」

提督「それから、人間として過ごしてきたころの俺の要素……その組み合わせだな」

ロゼッタ「じゃあ、人間の女に化けることもできるのかな?」

提督「まあ、人間と深海棲艦の要素を組み合わせれば一応できるかもなあ……初春にも訊かれたが、そんな必要あるのか?」

ロゼッタ「えーっとね、エレノアが昔、やってなかったっけ? 向こうの世界で」

エレノア「ああ、町娘に変装して、男どもを油断させて情報を得ようとしたときね」

提督「危ねえな。あんまりそういう無茶すんなよ?」

エレノア「別に危なくなんかないけど……まあ、いいわ」
335 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:06:05.82 ID:kokBAZkko

提督「さて、次は魔神がこっちの世界に来たことの話なんだが」

提督「以前、ミルファやパメラには話したと思うが、なんでメディウムがこっちの世界の衣装を着てるか、って話をしたんだ」

提督「実はニコに魂を集めてもらって魔神の精神ができた時点で、すでに魔神はこちらの世界に対して興味があったようなんだ」

ニコ「え?」

提督「バラバラになった魂の一部が、こちらの世界を垣間見たんだ。あちらの世界より進んだ文明でありながら、魔法の存在しない世界……」

提督「強大な魔力を持つ者が強者であるあちらの世界より、こちらの世界のほうが娯楽も多く自由に生きやすいんじゃないか……ってな」

提督「実際に、ニコが作ろうとした魔神の魂は、こちらの世界へ渡ってくるための方法をその時点で探っていたらしい」

提督「ニコが作った素体が目覚める前からそういう考えがあったらしく、渡る算段がついたころにはこちらの世界を視ることもできていた」

提督「眠っていた魔神が生み出したメディウムたちの一部が、この世界の住人の姿を模しているのも、こっちの世界に憧れ続けたせいだ」

クレア「なるほどぉ……」

ソニア「クレアお姉ちゃん、わかってるのかな」

ユリア「あれは知ったかぶりしてる顔ね」

提督「ただ、世界を渡るための方法はごくごく限られたものだった。条件がいろいろ揃ったのも、こちらの暦でおよそ30年前……」

提督「向こうの世界と時間の進みや暦そのものが違うらしいから、あっちの世界の6、7年ってとこか?」

ニコ「……ぼくの魔神様が、消えたのもそのくらいだった……!」

大和「そんなに長い間、探してたんですか!?」
336 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:06:50.69 ID:kokBAZkko

提督「……魔神はどうにかしてこの世界に渡ってきたが、力を使いすぎたため深く眠らざるを得なくなり」

提督「その隠れ蓑として深海棲艦の魂の入った人の器に入り込み……」

提督「その事情を知らないエフェメラが深海棲艦の魂に目をつけて、魔神の魂を、魔神の生贄にしようと目論んだ」

提督「そのせいで俺は人間に対する憎悪をため込むことになり、ニコは俺の奥底に眠っていた魔神の力を感じ取って……」

提督「結果、こっちの世界で再会できた。こんな可愛げのない姿になっちまったけどな」

ニコ「……何を言ってるんだか……」ムスッ

如月「そうねえ、素直じゃないんだから」フフッ

提督「その後、俺とニコが再会してから、少しずつ魔力を取り戻し……エフェメラが俺の内に潜む魔神の力に目を付けた」

提督「最初は魔神の生贄にするためで、今は魔神そのものとして覚醒させるため……だよな? 時雨」

時雨「うん。僕が見た未来では艦娘もだいぶいなくなっていたし、提督は残酷な魔神として覚醒していたからね」

提督「最後に、そのエフェメラだが……あのエフェメラが、あのとき俺たちの前に姿を現した理由がわからねえんだよな」

時雨「それこそ、提督を魔神として覚醒させるためじゃないの?」

提督「いや、それはそうだと思うんだが……なんでこんなタイミングで現れたんだ?」

時雨「え? それは……うーん」
337 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:07:35.44 ID:kokBAZkko

山城「単純に、あの弟を名乗る男に力を与えるためじゃないの? 借り物とか言ってたじゃない、あの力」

ニコ「……それはそうだけど、理由はそれだけじゃない気がする。魔神様を目覚めさせようとしてたんだからね」

軽巡棲姫「レ級ガ来タノモ、アノ大和タチガ来タノモ、全部エフェメラガ仕組ンダンジャナイノォ?」

泊地棲姫「十分考エラレソウダナ。アイツハ、艦娘ダケデナク、私タチモ生贄ニスルト、言ッテイタ」

泊地棲姫「レ級モ、敵ノ大和タチモ含メテ、私タチヲ沈メルノニ使エルト思ッテタンジャナイカ?」

時雨「それに加えて、それを確実にするために、魔神の復活に立ち会うためにエフェメラが現れた……ってことかな?」

ニコ「……本来、エフェメラは魔神様や、魔神様に関わりのある人間の補佐をするだけで、直接の力は持たないはず」

ニコ「でも、あのエフェメラは、魔神様を拘束したり、魂を分割するような離れ業もやってのけた」

ニコ「となると、あいつ自身がなんらかの方法で、力を使えるように自分自身に細工をした、ってこともあり得るね」

提督「とはいえ、あのエフェメラが信奉していた魔神は、おそらく俺じゃねえんだろうなあ」

ミュゼ「だとすると、魔神様はご主人様の他にも存在してるってことになるんですか?」

ニコ「多分、エフェメラは古代の魔神様が作ったとも言われているから……この魔神様から、その気配を感じ取ったのは間違いないと思う」

ミュゼ「あー、かつての残虐な魔神様を望んでいたってことですかぁ」

ニコ「そうだね。たとえ不完全であっても、ここにいる魔神様は間違いなく魔神様なんだから……!」

提督「そこなんだけどな。ミュゼの言う、魔神が他にもいる、ってのは、あり得ない話じゃないんだ」

ミュゼ「そうなんですか!?」
338 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:08:20.73 ID:kokBAZkko

提督「さっき、俺の魔神の魂は3割くらいと言ったろ。そうなると別の誰かが残りの7割を持ってることになる」

提督「下手すると、残りの7割がまた3割くらいずつに分かれて、俺以外の魔神が2人以上になってる可能性もある」

ニコ「そうだね……」

タチアナ「ニコさんのようにだれかが集めていなければ、1割の魂を持つ敵が7人現れることもあり得る、ということですか」

ミュゼ「うわ、それ面倒!」

伊8「また、新しい敵が来るんですか……?」

提督「そうと決まったわけじゃねえが、警戒はしとかねえとな。もしかしたら、俺より残虐な魔神として、どこかの世界にいるかもしれねえ」

提督「正直、このまま会いたくねえぜ……マジで面倒臭えし、俺は俺でこっちの世界でおとなしくしていたいな」

ニコ「……」

時雨「そういえば、僕が見た別の未来の提督は、向こうの世界の人間を滅ぼしてきたと言ってた気がする」

時雨「あっちの世界で、魔神の要素を全部集めてきたから、そういう性格になったとも、考えられるかもね」

キャロライン「それじゃ、ダーリンはあっちの世界に行っちゃダメってコト!?」

時雨「そこはわからないよ? ただ、魔神が本来残虐なものだとしたら……」

ニコ「あのエフェメラが望んだ、人間を恐怖で支配する魔神様になるかもしれない、ってことだね」

全員「「……」」

提督「とにかく、今回の出来事は全部あのエフェメラのせいだと助かるな。これ以上面倒な敵がいるとか、思いたくもねえ」
339 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:09:05.51 ID:kokBAZkko

提督「とまあ、ぐだぐだ言ってきたが……!」ガタッ!

全員「「!!」」

提督「俺のやることは何も変わってねえ。この島を、俺たちの安住の地にすること。その目標自体は、これまでと同じだ!」

提督「そのためには、人間たちにこの島を俺たちの住処にすることを認めさせ、面倒臭え諍いが起きないようにするに限る!」

提督「それでも、あのレ級みたいな戦闘狂や、曽提督みたいな深海棲艦排除主義者! そしてエフェメラと、それに乗せられるくそ坊主!」

提督「今後もそういうくそみたいな敵が、この島にやってきて俺たちの平穏を引っ掻き回そうとするはずだ……!」

全員「「……」」

提督「おそらく俺一人じゃあ、きっと成し遂げられねえ。だから……頼む!!」

提督「お前たちの力を貸してくれ!」ベコッ!

如月「もちろんよ司令官!!」ガタッ

戦艦水鬼改「イイゾ。当然ダロウ」アッサリ

ニコ「うん。そこまで言うんなら、仕方ないなあ。お姉ちゃんが、面倒を見てあげるよ?」フフン

島妖精A「久し振りの、提督の頼みか。やってやろうじゃないか」

大和「この大和にもお任せください!!」ガタッ

ニーナ「ま、魔神様に頭を下げられるなんて……!?」
340 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:09:50.84 ID:kokBAZkko

軽巡棲姫「ウフフ……オ願イ、サレチャッタワネェ」ニマニマ

吹雪「大丈夫ですよ、司令官!」

泊地棲姫「ソンナコト、今更ダナ」フフッ

キャロライン「ダーリンのために頑張るヨー!」

「提督ー!!」キャー!

「司令官!」キャー!

「魔神様ー!」キャー!

「マスター!!」キャー!

提督「……」

朧「提督?」

提督「……うう、良かったぁ……」ヘニョヘニョ…

ミルファ「え、ええええ!? 魔神さん!?」

吹雪「どうして腰砕けになってるんですか!」

ナンシー「これまでに見たことないリアクションなんだけどっ!?」

ヴァージニア「な、情けないぞ!?」

軽巡棲姫「ダ、大丈夫ナノ!?」
341 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:10:35.25 ID:kokBAZkko

提督「大丈夫じゃねえよ……だってなあ、今回ばかりはもう駄目か、って思うくらいくっっっそ不安だったんだぞ……」プルプル

提督「しょっぱなレ級の乱入のせいで完全に目算が外れてんだぞ!? あのままあいつらが帰れば時間も稼げて全然違ってたはずなんだ!」

提督「戦闘だって、ル級たち深海棲艦が覚醒しなかったら負けてただろうし、でなきゃメディウム総動員でやっと、って感じだったろ!」

提督「大勢のメディウムたちをレ級との戦闘に回せば、曽大佐の艦娘には苦戦どころか総力戦しなきゃ勝てなかったかもしれないんだぞ?」

大和「確かに……不意を打てたとはいえ、練度はとても高かったですからね」

提督「それにあんなタイミングで、バカ弟はともかく、エフェメラまであんな形で島に乗り込んでくるのは完っ全に想定外だった」

提督「おまけにエフェメラには抵抗すらできずに俺の体を魔神と深海棲艦に引き裂かれたからな……」

提督「魔神の力が使えるようになって、やっと俺も戦える、って思った矢先に戦う力を奪われてんだぞ? どうしようもなかったぞ」

提督「正直、あれで魔神じゃなくなったんだから、メディウムとはここでお別れか、とも思ったくらいだ……!」

ニーナ「なるほど……確かにそうなった可能性もありますね」

提督「最悪、俺どころか艦娘や深海棲艦も魔神の生贄にされちまわねえかと思って、巻き込まない方法を必死に考えてもいたしよぉ……」

電「魔神さんが司令官さんの味方で本当に良かったのです……」

提督「まったくだよ。メディウムたちも、俺が魔神でなければ何の興味もないだろうし、そいつはニコも同じだろう」

ニコ「……」

提督「体を奪われて深海棲艦として生きるにしても、何の装備も持ってなくて身一つじゃあ、戦っていけないだろうし」

提督「ここまでやってきてそうなったら、怨霊以外の何物にもなれやしねえ。何のためにあの世から戻ってきたんだって話だよ」ハァ…
342 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:11:20.65 ID:kokBAZkko

提督「あんな丸裸にされるような、くっそ情けねえことがあったってのに、それでも俺の頼みをきいてくれるとか……」グスッ

提督「情けないからってのもあるが、嬉しくて涙が出てくるなんて初めてだ。ちょっとくらいぼやいてもいいだろ……」グデェ…

如月「司令官……」

敷波「司令官がここまで愚痴っぽくなるなんて、初めてじゃない?」

島妖精B「弱音を吐くシーン自体がなかなかないもんねー」

伊8「吹雪ちゃんに嫌われたときよりもひどいと思う」

軽巡新棲姫「ソンナニ珍シイノ?」

戦艦水鬼改「珍シイワネ。私モ初メテ見タワ、明石ニ殴ラレテタトキモ、ソコマデ落チ込マナカッタノニ」

大和「!?」

提督「しょうがねえだろ。ここまでやってきて魔神の餌じゃ、俺を信用してついてきたお前たちに申し訳が立たねえしよ」

陸奥「それはそうかもだけど……」

南方戦艦新棲姫「最悪、私タチモ全滅シテタカ……?」

深海海月姫「コウシテ、目覚メナケレバ、ソウダッタカモネ」

メリンダ「申し訳が立たない、ですか……ルイゼット?」

ルイゼット「なんでしょう」
343 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:12:06.00 ID:kokBAZkko

メリンダ「本来の……始祖たる魔神様であれば、このようなお言葉を賜ることもないのでしょうね」

ルイゼット「私の知る魔神様は、威厳に溢れた神であるはず。しかし、仲間を大事になさるニコさんが召喚なさったのであれば……」

ルイゼット「慈悲に満ち溢れた魔神様でいらっしゃっても、間違いではないのかもしれません……」

メリンダ「……罰をいただけないのは、残念です……」ションボリ

ルイゼット「」

ジュリア「なんでそこで落ち込むんですの!」ハリセンスパーン!

メリンダ「痛い……もしや、ジュリア……あなたから、罰をいただけるのですか……!?」キラキラキラッ

ジュリア「そんなキラキラした瞳であたくしを見ないでくださいまし!」

ルイゼット「……」アッケ

提督「ジュリア、真面目にツッコミ入れなくていいぞ? メリンダもルイゼットを困らすな。あとリンダはボケようとするな」

リンダ「ちょっ!? うちまだ何も言うてへんよ!?」

メリンダ「魔神様……? それでは……!」キラキラキラッ

提督「そういうのは後でな」ハァ

メリンダ「後ですか……?」
344 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:12:50.22 ID:kokBAZkko

提督「とりあえず今日はレ級と戦った大和やル級たち深海勢や、ソニアやニーナたちを労う方が先だ」

メリンダ「それは当然ですね。残念ですが従います」

初春「メリンダも相当面倒臭い奴じゃのう……」

ジュリア「魔神様もいきなり立ち直らないでくださる?」

提督「ぐだぐだ醜態を晒すのもみっともねえだろ。いい機会なんで弱音は遠慮なく吐かせてもらったが」

提督「吐き出してすっきりしたならそれで終わりにすりゃあいい。酔っ払いのゲ○と一緒だ」

ジュリア「喩えが最悪ですわ!!」ハリセンスパーーン!

リンダ「ウチのボケは!?」

提督「いや、悪酔いしたときは戻すのが一番手っ取り早いぞ? アルコールを体の外に出すわけだからな?」

ジュリア「そういう話ではありませんの!!」

リンダ「黙殺ゥー!?」キビシー!

提督「まあいいや、張り切ってツッコむとそれを期待してボケる奴がいるから、ジュリアは少し落ち着きな」

ジュリア「落ち着いてますわよ……これ以上なく」ハァ

提督「とにかく、これでやっと普段通りに戻せそうな感じだな……」
345 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:13:35.37 ID:kokBAZkko

コーネリア「なあ魔神様、あたしは細かいことはいいんだ。魔神様はこれからも魔神様でいるってことだな?」

提督「おう。いろいろあったが、ある程度の力を取り戻した、って感じで認識してくれりゃいい」

コーネリア「今回は場所が場所だけに、あたしの出番がなかったからな……次があったら出撃させてもらうぜ」

提督「そうだな。今回の曽大佐みたいなことを、今度は余所の深海棲艦が起こすかもしれねえし……当分は警戒が必要だな」

戦艦水鬼改「ソンナ奴ラハ、私ガ潰スゾ?」

提督「……ありがとな。まあ、もしそんなことがあったら、次は真っ先にコーネリア載せてってやってくれ」ニコ

コーネリア「ああ。あたしはその時までに槍を磨いておこうかね」

如月「司令官、微妙に雰囲気変わったかしら」

提督「今回はいろいろと、やらかしたからな……自分で言うのもなんだが、少し滅入ってる」

如月「そういうのじゃなくて、少し、重苦しい雰囲気がなくなったっていうか……」

霞「私もそう思うわ。あんた、いつも他人に対して壁を作ってたでしょ。ずっと近寄りづらい雰囲気を醸してたじゃない」

吹雪「なんて言ったらいいのかな? わざと人を遠ざけるような言い方が、少し柔らかくなったっていうか」

提督「そりゃあ、これ以上突き放す理由もないし、世話になりっぱなしだし……魔神たちの魂のせいもあるか?」

如月「そうなの?」

提督「魔神と混ざり合ったときに、あいつらの性格というか、人柄というか、どんな神様だったのかが見えたんだよ」

提督「厳格そうな奴とか、酷薄そうな奴とか、気性の荒そうな奴とか、妙にニコニコした奴とか……いろいろ混ざってたんだよな」
346 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:14:21.38 ID:kokBAZkko

提督「それから、こいつが魔神だと思える奴もいた。思った以上になれなれしくて、ちょっと警戒もしたが……」

提督「溶けて一緒になるときに、そいつらに、俺たちの力を使え、って言われたような気がしてな。一人じゃないと言われたんだ」

提督「さっきもお前たちに力を貸してもらえる、って言われて、嬉しかったしな……一人じゃないってのは、こういうことか」

霞「魔神にも励まされたんじゃないの? しっかりしなさい、って!」

吹雪「霞ちゃんみたいだね?」

霞「そ、そういうんじゃないったら!?」

提督「なんか、変な気分だったぜ。見知らぬ自分に会ったような感じだった」

提督「ま、なんにせよ俺は俺だ。そうそう変わっちゃいねえから、安心しな」ニコ

ニコ「……」

 *

大和「やっぱり、あのときのお顔の怪我は、明石さんの仕業だったんですか……」ドロリ

提督「目を濁らすな。俺のやり方が万人に通用するわけじゃねえんだからよ」

大和「で、ですが……」

提督「俺はあの時、はっちゃんをル級に撃たせたんだ。明石は怒って当然だろ」

大和「……」

提督「俺の決断が仲間を死なせるかもしれねえ。そのくらいは覚悟のうちだ」

提督「だから、俺が間違ってるときは、お前も容赦なく止めてくれていいんだぞ」

大和「……そう、ならないことを祈ります」
347 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2023/12/24(日) 22:16:24.66 ID:kokBAZkko

と言うわけで今回はここまで。
次回は深海棲艦勢と川提督の艦娘とのお話です。

>322-323
提督棲姫については、「壊」タイプで、髪型がもう少し短くなって
装備と衣服が全解除の姿で想像していただくといいかもです。
811.30 KB Speed:1.3   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)