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【安価スレ】堕ち行く光
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701 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/08(日) 21:32:45.46 ID:EDrm7GhTO
シンキングタイムの期限はいつまで?
あと、ここで失敗(?)したら何が起きる?ウィンディの離脱とか?
702 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/08(日) 21:38:44.10 ID:z+g4dnpMO
期限は質問などが落ち着いたあたりまでですね。とりあえず今日中が期限ではあります。
最悪なコミュを引いたら行方不明になります。本当に最悪な場合です。
703 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/08(日) 21:49:47.05 ID:abauSLumO
シルヴィアのこなしてきた役割、戦闘面以外での活躍について。
そもそもシルヴィアを仲間にしたのは能力が理由だったか?
かけるべき言葉はわからないけどヒントになる情報がほしいから質問してみるテスト。
704 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/08(日) 22:06:08.25 ID:9iBJ6ZFoo
・あんな情熱的に誘った手前構えてなかったことを謝って安心させる方向(メンドイ系かのじyイヤナンデモナイデス)
・え?そんなんで先生の後釜になれると思ってる?と煽って奮起を促す方向
考えたのはこんなもんかな前者が安定と思うがウィンディ能力だけ見たら逸材なので戦闘(せめて自衛)こなせるようになるならなって欲しい所
705 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/08(日) 22:12:16.92 ID:z+g4dnpMO
シルヴィアのやってたことは、膨大な知識を用いてのリヒトのサポートです。
戦闘以外何もできない何も知らないリヒトにとっては割と重要な舵取り役でした。
仲間に入った理由は、どちらも排斥された者同士というシンパシーや、目的のためにお互いを利用したりです。
706 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/08(日) 22:19:06.04 ID:rpvm0elMo
ウィンディの家族や家庭環境はどんなものでしたか?
707 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/08(日) 22:36:06.87 ID:z+g4dnpMO
ウィンディの家庭環境は非常に良好でした。良くも悪くも普通の一般家庭でした。
まあ、リヒトくんが学院をぶっ壊す数ヶ月前に不慮の事故で両親は死んでるんですけど。
708 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/09(月) 01:41:49.80 ID:kjTfv92SO
すみません遅れました。↓3までにウィンディに何を言うか、どんな行動をするかをどうぞ。
709 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/09(月) 03:36:51.39 ID:bfOACdbXo
風魔法を用いた拠点の空調管理や、ハリゴーディンの整備、チャカの世話、その他やれそうな家事などがあればそれをお願いする
それでもまだ物足りないようであれば、幸い今は旅行中で異国の文化や人々と触れ合える良い機会でもあるので、ここに滞在している間に見聞を広めて自分のしたいことやすべきことを探してみるのはどうだろうと提案する
もちろんここで見つけられなくても良いし焦る必要もないからゆっくり考えていこう、と言って優しく頭を撫でる
710 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/09(月) 11:00:38.68 ID:t/3mHwd+O
13時の時点で安価を終了しますが、正直この安価だけで良い気がしてきました、
711 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/09(月) 12:40:02.04 ID:Po4j3Nwjo
さんせい
712 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/10(火) 01:12:16.54 ID:8VarwLpHO
後頭部をガジガジと掻き、リヒトは眉を顰める。
最初は、えっ!?!???今のウィンディがシルヴィアの後釜になれると思ってんですか!?冗談キツいっすよ勘弁しておくんなまし〜、と盛大に煽り、発破を掛けることをほんの一瞬だけ選択肢に入れた。
まあ、そんなことをしたらどう転ぶか分からないし、彼女が存外タフな精神性をしていることは知っているが、そもそもこの挑発に耐えられるほど余裕があるのかは定かではないのでこの択は論外だ。
こんなことを言ってポッキリ心が折れたら、本当にどうしようもない。
自分がメンタルケアなんてできない人種なのは分かりきっていることだ。わざわざハズレを選ぶこともないだろう。
であれば、取るべき選択は一つ。問題の先送りである。
幸いにして、ウィンディはまだ14歳。自分より8歳も年下のお子ちゃまなのでまだまだ未来ある若者だ。
無限の未来が待っているというのに、何を焦る必要がある。寧ろ、焦るのは自分の方だと思うのだが。
聖女との死別からまもなく二年。シルヴィアと出逢って早一年。それほどの月日が経っても何もできてないのはこちらの方だというのに。
そんな思考をしつつ、考えを取り纏める。納得してくれるかは分からないが、出たとこ勝負だ。なんとかなることを祈るしかない。
713 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/10(火) 01:14:07.92 ID:8VarwLpHO
「…そもそも、だ。君はシルヴィアじゃない。彼女ができることと君ができることは違うだろう」
「俺もそうだ。俺は、シルヴィアや君のような知性は持ち合わせていない。できるのは戦うことだけだ。でも、君は俺にはできないことができる」
人は皆違うものだ。できることもできないことも違うから、人は互いの手を取り合い力を合わせ、共に進む。
リヒトができないことを。シルヴィアができないことを、ウィンディはできる。それで良いではないか、と内心に溢した。
「君が役に立ちたいと言うのなら、君の風魔法で拠点の空調整備なり、ハリゴーディンのメンテナンスなり、チャカのお世話なり、料理とかの家事なりを担当してほしい。どれも俺がやれそうにないのは分かるだろう?」
「絶対無理でしょうね。日頃の様子を見てたから解ります」
「だろ?君にしかできないことはいっぱいあるんだよ」
はあ、とウィンディは気のない返事をした。壊滅的に家事ができないリヒトに呆れていた感があったが、そこを突っついてもこっちが火傷するだけなので放っておく。
714 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/10(火) 01:14:34.39 ID:8VarwLpHO
「それでも物足りないのなら…。そうだな。言ってしまえば今の俺たちは旅行中だ。時間はたっぷりあるし、異国の文化や人々と触れ合える絶好の機会でもある。緋桜郷に留まってる間に見聞を広めて、自分が何をしたいか、何を為すべきなのか。それを探すのも良いと俺は思うがな」
立ち止まることは間違いではない。どうすればいいのか迷ったのなら、一度足を止めて周りを見渡し、ゆっくり考えてもいい。
その果てに進むべき道を見つけることができたなら、その全てに意味があるのだから。
「…もちろん、ここで見つけられなくてもいい。重ねて言うが、時間はたっぷりあるから焦る必要はない。ゆっくり考えていけばいいんだよ」
逡巡ののちに、ぶん殴られることを承知でウィンディの頭を撫でる。
艶やかな髪の感触が手のひらに伝わる。当たり前だが、男である自分の髪とは質感が違った。
715 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/10(火) 01:17:43.63 ID:8VarwLpHO
ウィンディの意志 判定↓1コンマ
01〜05:姿が消えた。
06〜20:お悩みモード突入。
21〜80:落ち着いた。
81〜99:頑張るモード突入。
00:???
716 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/10(火) 02:15:29.83 ID:oOBhO9GZO
あ
717 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/10(火) 02:27:40.13 ID:L71BI8qqo
なんとか良い結果になりそうで良かった
718 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/10(火) 12:23:24.34 ID:RvLfXusyo
セーフ!
719 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/11(水) 23:03:23.94 ID:qwGkd6a1O
そうしていることきっかり一分。撫でる力が強くなり、ウィンディの頭の揺れが少しずつ大きくなった頃。
突如として生まれた風がリヒトを宙に浮かせ、部屋の外に吹き飛ばした。
「むすっ」
ウィンディがおこである。むすっ、と声に出して言うくらいに割と激おこである。どんな理由があれど、年頃の女の子の髪に触れるのはやはりNGだった。
ウィンディの抗議の眼差しを受け、バツが悪そうに目を逸らす。
あの流れで何故自分が悪者扱いされているか解らないが、何を言っても逆効果にしかならないので黙っておく。
「リヒトさんなりに私を気遣って言葉を選んでくれたのは解りました。ありがとうございます。でも、それはそれとして。女の子の髪にベタベタ触るのはやめてくださると助かります。これからお風呂なので多少は大目に見ましたが、もしこれが風呂上がりだったら流石の私も杖で叩いてました。断言します。叩いてたと思うではなく叩いてました。髪の毛のケアって大変なんですよ。男性でデリカシーの無いリヒトさんには解らないでしょうけど!!!!!!!」
全然わからん。リヒトはそう返答し頷いた。寧ろ、ここで分かると言ったらそれこそドン引きされていた気がしてならない。
リヒトの反応を確認した後、温和な笑みを浮かべたウィンディは。
「…とまあ、ウジウジしてた私とはおさらばです。私なりに色々考えて頑張りますので、乞うご期待…やっぱりそんなに期待しないで待っててください」
そう言って、ドアを閉めた。バタバタと音がするので、風呂に入る準備でもしているのだろう。
なんとかなったようで良かった。リヒトも小さく笑い、部屋に戻った。
720 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/11(水) 23:04:06.76 ID:ltKWEKeqO
家族を。学籍を。私を構成していた全てを失った今、私に何が残っているのか。ずっと考えていた。
シルヴィア先生のような叡智は無い。かと言って、リヒトさんのような武力も、戦う意志も無い。
あるのは、この身体を蝕む魔力だけ。ただでさえ病弱な身体に負担を強いる、忌まわしい力。
これがあったから、私は心を磨り減らした。耐え難い仕打ちを受け続けてきた。
何もできない私に、勇者と共に在り続ける資格があるのか。誰に訊いたところで、答えは否としか返ってこないだろう。
まあ、変にお人好しな勇者様は首を縦に振ると思うけど。そういう優しさに甘えている自分がいることは否めない。
施しを受けてばかりというのも気が引ける。だから、何らかの形で力になりたかった。
答えはまだ見つからない。そもそも、捻くれた自分を納得させるだけの答えがあるのかも分からない。
だけど、あの人は待ってくれる、と言ってくれた。時間も、機会も、与えられた。
なら、頑張るしかない。だって私は。
シルヴィア先生(彼岸の大賢者)の弟子なんだから。
721 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/11(水) 23:05:01.69 ID:ltKWEKeqO
風呂に入る際に看板を立てるかを↓1にどうぞ。
A:看板を立てる。ソロお風呂になります。
B:看板を立てない。下の判定が同レスのコンマで行われます。
C:その他。自由安価。
01〜20:無人
21〜40:雫
41〜60:霧香
61〜80:結衣乃
81〜99:静音
00:???
722 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/11(水) 23:15:18.06 ID:PTlWOthao
B
723 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/12(木) 02:34:33.77 ID:ykklmi0nO
かぽーん。温泉に入っている時に聴こえてくる謎の音。かぽーん。
「また聴こえてきた。何がどうなって何のために鳴ってるんだろ」
一定のリズムで響き渡る正体不明の音かぽーん。音源を探ろうと思うも、外に出たら身体が冷えてしまうため断念する。
どうせ看板を置こうが置かまいが変わらないしはっきり言ってめんどくさいので、看板は立てないことにした。
裸を見られたところで死ぬわけでもないのだ。傷だらけのこの身体を見て不愉快に思われる可能性は無きにしも非ず、といったところだが。
まあ、英雄級の傑物さえも慰安に利用する牡丹雪の従業員なら見慣れたものだろう。
無傷で英雄に成るのは不可能だと、リヒトはそう認識している。
数多の負傷と挫折、後悔と決別を経て血で染め上げた修羅道の果てに至った者。
それこそが英雄で、英雄とはそうあるべきだ。もし、苦難も無しに彼岸に至ろうとする者がいるなら。
「先人に殺されても文句言えないよな。…なあ?」
独白しながら月を見上げ笑う幽者の口は、歪な弧を描いていた。
724 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/12(木) 02:36:45.24 ID:ykklmi0nO
何をするかを↓1にどうぞ。
牡丹雪の営業が再開されるので、従業員との交流は難しくなります(安価出したレス(つまりこのレス)のコンマが偶数時のみ可能)。
725 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/12(木) 08:30:17.00 ID:uA2cY25CO
仲間を連れて街を周ろう
726 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/14(土) 20:32:05.80 ID:dj5L0uCwO
定休週が明け、牡丹雪の営業が始まる日。半ば逃げるように店を出たリヒトたちは途方に暮れていた。
これから客の相手をする従業員がいる中、部屋に閉じこもって平静を保てる自信が無かったが故の逃散である。
寧ろ、客に接待する彼女らが近くにいるのにどんな顔をすればいいのか、逆に問い正したいくらいだ。
彼女らはプロフェッショナルだから気にしないだろうが、こちらは変に知識があるえっちな14歳と無気力無知な妖精、頭がバグりにバグりまくったポンコツゴーレムとかわいいペット。
そして、それらキワモノ集団を統べる戦闘しかできない幽者。こんな面子が留まっていて碌なことになるわけがないのだ。
「そういえば、この街に来てからゆっくり観光してなかったですね」
「だな」
緋桜郷に入り茶屋で団子を貪っていたら強制連行されたのは記憶に新しい。ちょうどそこの茶屋だったか。
「〜〜〜♪」
そうそう。そして、珠樹という名の馬耳や尻尾が生えた目の前で団子を食べている少年に案内を受けたはずだ。
どうして彼がここにいるのだろう。リヒトは無性に自身の頬をつねって現実か確かめたくなった。
痛かったので現実だった。
「あ、おはようございます。皆様お揃いでお出掛けですか?」
「まあそんなとこだ」
尻尾をパタパタさせ団子を味わう珠樹の問いを肯定する。
店員と思しき少女や店主っぽいおばちゃんが珠樹に向ける視線がお熱くて困る。飛び火して燃え尽きないか心配だ。
「あ、店員さん。同じのあと二つお願いしますっ」
「はい!!!!!!!!!」
「…お楽しみくださいな」
食事の邪魔をするのはよくない、とウィンディにアイコンタクトをし、そそくさとその場を離れた。
離れた途端に茶屋の前に人だかりができたのは、いったい何故なのだろうか。皆目見当もつかない。
727 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/14(土) 20:33:08.66 ID:dj5L0uCwO
案内所で地図を受け取り、皆で確認する。
一人一枚貰ったのだが、ハリゴーディンが地図を要求した時案内所の人は軽く困惑していた。そりゃそうだとしか言えない。
「こうして見ると緋桜郷って広すぎません?レムカーナの三倍はありますよこれ」
「広い。べらぼうに広い」
魔族を厭いチマチマ領土を広げたレムカーナと来る者拒まず受け入れ続けた緋桜郷。
その規模は雲泥の差であり、格の違いをありありと示していた。
「これ全部観光しようと思ったら何ヶ月掛かるんだ?想像したくないわ」
「関係者以外立ち入り禁止って書かれてること結構ありますけどそれは除外しますよね?」
「流石にするよ?まさか俺ってそれ訊かれるくらいに蛮族と思われてる?」
「はい。だって、ほら。私がここにいる理由考えたら…ね?」
「なるほど完全に理解した」
そんな会話をしつつ街を練り歩く。見るもの全てが新鮮で飽きが来ない。まあ、ここに住んだらやがては退屈になるのだろうが。
ざっと地図を見る限り、すぐ近くにあるのは酒場と武具店、冒険者ギルドくらいだろうか。
少し足を伸ばせば天守閣、桜花衆の居城に行けるが、行ったところで何があるやら。
728 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/14(土) 20:36:31.26 ID:YJPPj8CQO
どこに行くかを↓1にどうぞ。参考までに緋桜郷の立地をざっくり記載します。
A:酒場に行ってみる。
B:武具屋を覗く。
C:冒険者ギルドに行ってみる。
D:その他。自由安価。
緋桜郷の立地
一番街〜九番街まで分かれております。内容は下記に記載。
一番街 天守閣 政界
二番街 牡丹雪 高級店の集合場所
三番街〜五番街 住宅地(数字が大きくなるほど高級に)
六番街 冒険者向けの宿場街 装備についてもここ
七番街 普通の店はここ えっちな店もあるよ 一番広い
八番街 所謂貧民街 でもちゃんと統治してるから治安はいいよ 一応定期的に炊き出しあるよ 病気で人が死んだりするけど平和だよ
九番街 研究するとこ 図書館もここだよ
729 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/14(土) 21:20:01.85 ID:Zb+E4/HMo
9番街の図書館に
730 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/15(日) 00:18:22.04 ID:/DKEMzxzO
とりあえず手持ち無沙汰な現状を打破するため、ウィンディに行きたいところがあるか問う。
しかし、見どころが多すぎて逆に決められないようで、悩んでいる姿を見るに終わった。
仕方あるまい。ここは大人の自分が気を利かせてやろうではないか。
そう意気込んだリヒトは、大仰な咳払いをして、口を開く。
「こういう街にどんな本が保管されてるか気になってんだよね。ってわけで図書館とかどうっすか?」
「なんですかその語尾。その案には大賛成ですけど」
「では出陣である。面白い本が有ればいいな」
「ですね」
『むむ、これは立ち入り禁止でワタクシたちだけお留守番の匂いがプンプンします』
「お前のどこに鼻があるんだ」
『あると思わないでください。これはただのゴーレムジョークです』
「もう何も言うまい…」
数十分掛けて図書館に来たリヒト一行だったが、ハリゴーディンは中に入れなかった。
なんでも「万一暴走とかして器物損壊とかをされたらガチで困るから入んな!」とのお叱りを受けたようだ。
フェルリティアでの世迷言を知っているこちらとしては反応に困った。
731 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/15(日) 00:23:31.42 ID:/DKEMzxzO
どんな本を読むかを↓2までに一冊ずつどうぞ。
ウィンディの読む本は↓2まででコンマ判定します。
01〜05:ムフフな本
06〜45:魔法についての見解〜by(自称)忍術マスターシノビマン〜
46〜80:忍術についての見解〜by(自称)魔法マスターマジックマン〜
81〜99:光と闇の相関、異端なる光について
00:古びた手記
732 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/15(日) 00:33:41.18 ID:lLgAhe2iO
そろそろ00を
733 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/15(日) 01:11:06.59 ID:LJpsECh0o
緋桜郷妖怪絵巻
734 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/15(日) 01:22:59.32 ID:5dFVqQVgO
あと一つリヒトが読む本を募集中です。
よっぽど変な本じゃなければあると思って大丈夫です。もし変な本が出たら審議します。
735 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/15(日) 01:23:06.99 ID:hLFHboGOo
これが世界各地の勇者だ!
736 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/15(日) 01:37:43.64 ID:/6jZyY6sO
今日はここまでです。↓1コンマで勇者本の情報を判定します。
01〜20:初版(約200年前の情報までしか載ってない)
21〜60:第15版(約50年前の情報まで記載(ヴィクター・グランハイトあたりの世代まで))
61〜99:第20版(リヒトがやらかすまでの情報が記載)
00:???
737 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/15(日) 01:56:10.13 ID:O9PeHkAU0
乙
738 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/15(日) 02:14:34.53 ID:wpdTePZMO
というわけで寝る前に妖怪と200年前に観測された勇者を募集します。
足りない時などはこちらで考えますのでご気軽にどうぞ。以下のテンプレートをご利用ください。
【テンプレート】
【名前】その名の通り。
【人種】その名の通り。
【性別】その名の通り。
【魔法】どんな魔法を得意とするか。全く使えない人もいます。
魔法から下は自由記入欄となります。来歴や特徴などご自由にお書きください。
【テンプレート】
【名前】その名の通り。
【異名】その名の通り。
739 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/15(日) 05:35:19.38 ID:hLFHboGOo
【名前】?
【異名】福呼び様
見た目は着物を着ているごく普通の子供にしか見えないらしいが誰もその姿は知らない
食べるのが好きでよく普通の子供にまぎれて飲食店に現れては食事をして去っていくという
その店に繁盛をもたらすと言われているため多くの店の主人はこの妖怪を信じており子供の客には親切にする文化が根付いている
740 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/15(日) 10:03:31.51 ID:daABBzKZO
【名前】ルーク・ファンブルダイス
【人種】人間
【性別】男
【魔法】使えない
遥か昔に世界征服を企んだ魔王を1人で倒して世界を救った勇者。
魔法は使えなかったが、規格外の強さだったようだ。
誰とも会話をせず、一方的に人々を救い続けた。
その結果、その強さと行為を恐れた人々の手によって公開処刑される。処刑される直前でも一言も発さず、ただ静かに笑みを浮かべていた。
741 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/15(日) 14:44:36.55 ID:LJpsECh0o
【名前】ヒオウサンショウウオ
【異名】湖底桜
緋桜郷外れの湖に棲むサンショウウオのような妖怪
小型の竜くらいの大きさがあり、透き通るような淡紅色の体を持つ
性格は物静かで温厚。防衛目的以外に地上の生き物を襲うことはないため、出くわしても特に危険はない。岩場で昼寝していたヒオウサンショウウオに地元の子供が抱き付いても、特に何もせず昼寝を続けたという目撃翌例もある
しかしもし湖を汚したり生態系を乱す乱獲を行うような者がいれば、ヒオウサンショウウオの怒りを買い、不届者の頭上に局所的な豪雨と落雷が三日三晩降り続くと言われている
サンショウウオに似ているが、近年の研究では水竜の一種とする説が浮上してきている
742 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/15(日) 16:46:13.06 ID:sHKLrHQR0
【名前】ネイト・アンドリュー
【人種】人間
【性別】男
【魔法】氷魔法、炎魔法
赤髪で身長が高い男性。2本の剣を持っている。冷静沈着だが困っている人はほっとけない優しい性格。仲間共に数多くの魔物を倒してきた勇者。戦闘スタイルは二刀流で戦い、氷と炎の魔法を使う。性格や実績から多くの市民から慕われおり、結果とある王国の国王になった。現在でも王国ではその伝説が伝えられている。
743 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/15(日) 20:27:57.39 ID:S+LPbjWyO
【名前】ドクロサムライ
【異名】歌う骸骨将軍
腕が6本、甲冑と兜をつけいる大きい骸骨。6本の腕全てに刀を持っている。緋桜郷の外れにある荒れ地にいる(他の場所には移動しないで荒れ地のどこかにいる)。非常に好戦的で誰にでも斬ろうとしてくる。歌うのが好きでよく歌っている。そのため場所の位置もある程度特定できる。一度倒すとバラバラになるがしばらくすると元に戻り封印しない限り何度も復活する(元々封印してあったが封印していた岩が壊れてしまい蘇った)。
昔は宴が好きな将軍で仲間と一緒に宴していた時に敵に襲われ亡くなった。その亡くなった魂の怨念がドクロサムライに変化した。
744 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/16(月) 01:45:17.97 ID:0fzmrwJq0
【名前】イナズマミケネコ
【異名】雷電猫又
緋桜郷の外れにある山に生息する猫又の妖怪。三毛猫のような模様があり、尻尾の先端が雷のようにジグザグしている。大きさは中型の竜くらいの大きさがある。常に電気を纏っており電気による広い範囲で攻撃したり、鋭い爪で切り裂いてくる。さらに動きも結構俊敏。基本的にマイペースな性格だがイナズマミケネコに攻撃すると怒って気がすむまで暴れてしまう。その為、地元の人達は見つけても近寄らないようにしている。
745 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/16(月) 02:09:48.73 ID:WhzL308d0
【名前】トレボール・ヴェルヌ
【人種】人間
【性別】男
【魔法】なし
通称「剣を持たない勇者」
近隣の魔族の王国とのいさかいが絶えない王国で中流階級として生まれた彼は
その類稀なカリスマ、交渉力、リーダーシップによって人民を纏め上げ
ついに魔王との会談にこぎつけ、話し合いによって和平をもたらすという偉業を成し遂げた
戦う力をなんら持たない彼はおそらく歴史上でもっとも弱い勇者であろう
746 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/16(月) 23:57:00.91 ID:dCCVrh3BO
【名前】バン・ブラウ
【人種】人間
【性別】男
【魔法】爆発魔法
自身の魔法と拳だけで魔王を倒した勇者。武器を扱うのが苦手で拳で闘う戦闘スタイル(魔法も得意)。前は王国の騎士を勤めていたが危険な魔法とオラオラ系なところから騎士をクビになった。その後、冒険者となり仲間と共に旅をし魔物や魔王を倒してきた。オラオラ系で言動も威圧的だが信念を曲げず仲間思いの性格のため多くの人に慕われてきた。魔王倒した後、国を作り、領主として人々をまとめた。
747 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/17(火) 13:02:05.01 ID:JiX8zqO+O
ちょっと忙しいので投稿が土曜日くらいになりそうです。妖怪や勇者の募集は終了とします。
連続で申し訳ないですが、桜花衆所属のキャラクターや新しく牡丹雪に入ってくるキャラクターを募集します。
牡丹雪に入る理由は前の店が取り潰しに遭った、捨て子の配属など理由はなんでも大丈夫です。
ではまた土曜日にお会いしましょう。
748 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/17(火) 13:10:01.96 ID:JiX8zqO+O
ちなみに、桜花衆は緋桜郷を支配している組織です。言ってしまえば、日本の国家権力を集約したような存在です。
749 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/17(火) 18:40:33.26 ID:T24fDdPHO
質問ですが桜花衆所属のキャラと新しく牡丹雪に入るキャラの人種は何でもいいですか?それとも鬼や天狗限定ですか?
750 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/17(火) 18:51:16.37 ID:bVMgckxjO
種族の坩堝の緋桜郷は伊達ではありません。人間も天狗も鬼も獣人もエルフも魔族も吸血鬼もなんでもござれです。
751 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/17(火) 23:04:01.78 ID:MCarVK/90
【名前】瓦 権兵衛(かわら ごんべえ)
【人種】鬼
【性別】男
【魔法】風と水の忍術
桜花衆の一人にして緋桜郷における警察組織のトップを長年勤める男
赤と黒が基調の着物を着て、非常に硬い金属で出来た特注の十手を用いる
言動はかなり荒っぽいが義理堅く犯罪を許さない心を持つ
時間に余裕さえあれば自ら街の見回りをし悪人を(下駄とは思えないスピードで走りまわって)追いかけたりする
顔が般若のお面そっくりなため、よく悪人に間違われる
752 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/19(木) 14:04:11.55 ID:gc9r5eg80
【名前】オリビア・ワスティ
【人種】エルフ
【性別】女
【魔法】植物魔法
銀髪でスタイルが良い女性。年齢は400歳と言われている。桜花衆の一人で槍と魔法を使って戦う戦闘スタイル。穏やかでマイペースな性格だが頭がよく桜花衆の参謀をつとめている。元々はエルフがいる森にいたが外の世界に憧れを持ち旅をしていた。その後、緋桜郷を訪れた時に桜花衆の一人にスカウトされ桜花衆に入った。200年前に観測された勇者と共に旅をした事がある。
753 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/19(木) 20:36:27.64 ID:XvdpRIj4O
【名前】エル・ファルス
【人種】吸血鬼
【性別】女
【魔法】変化魔法、変化忍術
緋桜郷が正式に雇っている忍達を取りまとめる長。
しかし、緋桜郷に住む殆どの者はそのことを知らない。
高身長で黒髪。笑うと牙が見える。
幼い頃は奴隷だったが、心優しい貴族に買われて長い時間を共に過ごす。その後、寿命差で主人と離別して死に場所を探していたところ、お雪に出会い、気がつけば桜花衆の一員になっていた。
貴族時代に培った処世術や変化魔法を利用し、忍者としては非常に優秀な能力を持っているが、普段は賭場に入り浸り、賭け事と酒に溺れている。
普段の言動(酔っている時)は荒い口調だが、忍者として行動するときや素面の時は育ちの良さが出る。
754 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/20(金) 02:14:51.28 ID:oJeoS0b7O
【名前】キラ・レイデン
【人種】狐の獣人
【性別】男
【魔法】影魔法
白髪短髪の男性。白い狐耳と尻尾がついている。関西弁を話している。桜花衆の1人で桜花衆の諜報活動を行っている。普段はおおらかな性格だが諜報活動の時は冷静沈着になる。かなりの情報通で色んな事を知っている。幼い頃、家族が事故で亡くなり自分だけが生き残った過去がある。緋桜郷にきた時はその情報通なところをかわれ桜花衆に入った。魔法を駆使して隠密行動や攻撃、捕縛ができる。武器は短剣を使っている。旅館「牡丹雪」の温泉が好きでたまに来ることがある。
755 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/20(金) 04:33:06.39 ID:4PsxJxlmo
【名前】桔梗(ききょう)
【人種】鬼
【性別】女
【魔法】炎魔法、簡単な治癒魔法
長身でショートの桃色髪で出るところの出た女性。腰に刀と脇差をさげている
早くに両親をなくして孤独になったとき周囲が誰も引き取ってくれなかったため子供のころから自分の力で生きていくしかなかった
そのことが少しトラウマになっていて自分の生まれた地域に苦手意識を持っている
緋桜郷の伝統的な武術を身につけて冒険者稼業や用心棒をやっていたときに伝手で牡丹雪の仕事を紹介された
乱暴な客に対応する用心棒として雇われて普段は掃除や雑用を担当
男のような振る舞いをするがそれは一人で生きていくための処世術として身に付いたものであり根は純真で女性らしい
心の奥では自分には帰るべき場所がないという寂しさを抱えている
756 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/20(金) 13:58:17.10 ID:rjB7/JXS0
【名前】灯籠(とうろう)
【人種】天狗
【性別】男
【魔法】鋼魔法
桜花衆の1人にして緋桜郷の商人会長を勤めている。オレンジ髪にサングラスをしている。天狗の羽がついている。腰には武器のメイスを下げている。テンションが高くお調子者。流行には敏感で常に流行を取り入れたり、新しいものを販売しているため、彼のお店はいつも長い列ができている。店は日常のものや冒険者に役立つアイテムなどが売っている。元々孤児だったが優しい商人の人に拾ってくれて育ててくれた。成長して商人なろうと決心し勉強や技術をし今にいたる。魔法を使って体を固くして防御したり、人に教わった体術や武器のメイスを使って戦う。
757 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/20(金) 16:37:46.84 ID:W+KsXtFD0
【名前】嵐月(らんげつ)
【人種】鬼
【性別】男
【魔法】風魔法
桜花衆の中でも幹部的な立ち位置にある、眼光鋭く頬に刀傷のある黒髪長髪の男性。前をはだけた着物を直接素肌に着て、腰には業物と思しき刀を下げている
現在は桜花衆に統合されて存在しないものの、かつては緋桜郷の見回りや用心棒、金を踏み倒すような客への取り立てといった極道的な組織の親分を務めており、その強さと男気から男女問わず憧れられていた
現在でもその武闘派ぶりは健在であり、緋桜郷に勇者であるリヒトがやって来たと聞いて一度戦ってみたいと周囲に漏らしているという
ちなみに戦いで本気になると着物を脱ぎ捨て、背中に彫られた風神の刺青が露わになる
それを見て生きて帰れた者は今まで一人もいないと言われている
758 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/20(金) 19:32:26.56 ID:W+KsXtFD0
>>757
ちょっと文章的におかしい所があったので修正します
【名前】嵐月(らんげつ)
【人種】鬼
【性別】男
【魔法】風魔法
桜花衆の中でも幹部的な立ち位置にある、眼光鋭く頬に刀傷のある黒髪長髪の男性。前をはだけた着物を直接素肌に着て、腰には業物と思しき刀を下げている
現在は桜花衆に統合されて存在しないものの、かつては緋桜郷の見回りや用心棒、金を踏み倒すような客への取り立てといった仕事をこなす極道的な組織の親分を務めており、その強さと男気から男女問わず多くの者達から憧れられていた
現在でもその武闘派ぶりは健在であり、緋桜郷に勇者であるリヒトがやって来たと聞いて一度戦ってみたいと周囲に漏らしているという
ちなみに戦いで本気になると着物を脱ぎ捨て、背中に彫られた風神の刺青が露わになる
それを見て生きて帰れた者は今まで一人もいないと言われている
759 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/20(金) 20:57:57.69 ID:8H87JUlcO
【名前】瑠璃(るり)
【人種】人間
【性別】女性
【魔法】呪詛魔法
新しく牡丹雪に入った女性。年齢はおよそ20歳前後
艶やかな濡羽色の髪を腰丈までストレートに下ろし、いつも物憂げな表情をしている。体つきはやや華奢で暗色系の和装を好む
元はある寒村の出身で食い詰めた家族に奴隷として売られ、最近まで違法な店で働かせられていた。先日その店が桜花衆の働きにより取り潰され、身寄りを失ったために牡丹雪に置かれることとなる
前の店では違法薬物や異常行為を強要されていた。体の傷や異常は都度回復魔法や浄化魔法で治癒されていたため殆ど残っていないが、心には無数の癒えない傷を負っている。そういった事情から自己肯定感が低く、夜の仕事をしている最中にしか生きる実感を得られない。また、自分はそれ以外に価値がないとも思っている
家族のことは恨んでいるが、食い詰めていた事情も理解できるため、心の底から呪うことまではできていない
760 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/21(土) 22:40:59.64 ID:AUXGAStX0
【名前】サイエス・リーヨー
【人種】人間
【性別】男
【魔法】硫酸魔法
桜花衆の一人でもあり科学者を勤めている男性。緑髪で髪はボサボサになっている。メガネをかけて、白衣を着ている。優しくいつも笑顔で話しかけている。緋桜郷のところにある研究所で色んなを研究しており、ポーションなどの回復アイテムも作ることができる。遠距離での攻撃が得意で弓や魔法で硫酸の弾丸を飛ばしたり、科学薬品を投げたりなどしている。元々別の街の出身で研究していたが現在は緋桜郷に住んでいる。桜花衆のメンバーや緋桜郷の住人とも仲が良く飲みに行ったりなどしている。
761 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:07:12.21 ID:4myQnQBDO
お待たせしました。これより再開します。
762 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:08:19.12 ID:73/7szOwO
図書館を見て第一に感じた印象は『古風』だろうか。
緋桜郷特有の木造建築は他の地域の様式と当然のことながら大きく異なり、昔らしさを感じさせる。温かみがあって嫌いではないのだが。
完成して何百年も経っている割には綺麗で、作りもしっかりしている。さぞかし立派な名工が手掛けたのだろう。
まだ午前中だからなのか人は少なく、ざっと見た限りでもご年配の方や真面目な冒険者くらいしか見当たらない。
おそらく娯楽に溢れた緋桜郷の住民は外で遊ぶのだろう。そのような娯楽を必要としない者、知識を求める人がここに集うのだと思われる。
「外に置いてるハリゴーディンがパクられたら敵わん。なるべく手短に済ませて出るか」
「あんなのを盗む物好きいますかね?チャカちゃんは可愛いので盗まれそうですが、アレがリードを持ってるので結局誰も近づかないと思いますけど」
仮にも仲間なのにあんなのとかアレ呼ばわりするウィンディはなかなかイイ性格をしている。
まあ、そんな呼ばれ方をするハリゴーディン側に多大な問題があるので致し方なしである。
30分後くらいに図書館を出るまで自由行動とし、その場は解散することにした。
これで何かしらを得てもらいたいものだと頭の片隅で思いつつ、リヒトは本に手を掛けた。
763 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:08:52.13 ID:73/7szOwO
リヒトが選んだ本は二つ。一つは『緋桜郷妖怪絵巻』なる題名の絵本。もう一つは『これが世界各地の勇者だ!』なる題名のゴシップ誌だ。
緋桜郷妖怪絵巻は、緋桜郷に言い伝えられている妖怪を分かりやすく解説している子供向けの絵本だ。
危険なものはおどろおどろしく、可愛いものは可愛らしく描かれており、いかにも子供が好みそうである。
まあ、その実態は緋桜郷周辺の情報を纏めた魔物図鑑とでも呼ぶべきものなのだが。
先祖代々伝えられる魔物の情報を妖怪として、後世に遺すこの書物の価値は地味に大きい。当時を知る手段にもなる。
たまに本物の妖怪(謎の存在)が紛れ込んでいるのはご愛嬌と言ったところか。
もう一つの本は、当時世界中で観測されていたらしい勇者の情報を収録した勇者図鑑。と本誌は謳っている。
だがその実情は筆者の主観が入りに入ったゴシップ誌と大して変わらない。
数年毎に発刊すると後書きに記載しておきながら、図書館に保存されているのは初版のみ。
発刊したは良いが誰にも買われなかったのか。はたまた売れはしたが信憑性の無い与太話や噂話がありすぎて出版社が焼き討ちでも喰らって絶版になったのか。
真相は定かではないが、二百年前に初版が出たっきりなのでお察しするしかない。話半分で読めば良いだろう。
そう思考に区切りをつけ、本を開いた。
764 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:09:31.94 ID:73/7szOwO
『福呼び様』
昔々、ある村に小さな食堂がありました。子供好きのおばあちゃんが作るご飯はとっても美味しく、村の子供たちに大人気でした。
ですが、その村に病気が流行り、たくさんの人が亡くなってしまいます。
怖くなった人たちはみんな、村を去って出ていきます。
亡くなった子供たちが寂しくないよう、おばあちゃんはたった一人村に残り、何年も何年も、ご飯を作っていました。
ある日、男の子が一人お店にご飯を食べにきました。
その顔は見たことがなく、周りにも家族がいなかったのでおばあちゃんは不思議に思いましたが、お腹を空かせた男の子のためにご飯を作ってあげました。
ご飯を全部食べた男の子は、お辞儀だけをして店を出て行きました。
次の日。何やら店の前が騒がしいとおばあちゃんは朝早くに目が覚めます。
するとなんと、たくさんの行列ができているではありませんか。
お客様に話を聞いてみると、たまたま近くを通りがかった商人が、子供に美味しいご飯屋さんがある、と道案内を受けたというのです。
しかし、もう村には子供はいません。不思議なことが何度もあるなんて、とおばあちゃんは思いますが、お客様のためにご飯を作りました。
それからは、美味しいご飯が食べたいと村に人が戻ってきてお店はとっても繁盛しました。
たくさんの人に囲まれたおばあちゃんは、そのまま幸せに過ごしました。
福呼び様が幸せを呼び込んでくれたおかげで、また一人幸せになれましたとさ。
めでたしめでたし。
著:亀有南斎
絵:脇差ぐねぐね太郎
《緋桜郷妖怪絵巻》より抜粋
765 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:10:27.21 ID:73/7szOwO
何ページか読み進め、リヒトは絵巻を本棚に戻す。福呼び様以外にもいくつか読み込んだが、どれも関わらない方が吉と書かれていた。
ごく一部しか読んでいないので何とも言えないが、ガチモンの妖怪である福呼び様以外はやはり、人類にとって害獣のような存在らしい。
だから、こういった本を使って危ない奴にちょっかいを掛けるな、と警鐘を鳴らしているのだろう。
死が見えているのにわざわざそれに触れる必要は無いのだから。
例えば、ヒオウサンショウウオ。透き通るような淡紅色の身体を持つ、サンショウウオに似た魔物だ。
緋桜郷(ひざくらきょう)の近辺に住むのにヒオウと付いているのが気になるが、湖のヌシと呼ばれる時があるらしいので王と桜のダブルミーニングなのかもしれない。
性格は物静かで温厚。彼側から攻撃をすることは防衛行動以外ではまず無いので、彼の怒りを買うようなことさえしなければ安全らしい。
昼寝中に抱きついても大丈夫らしいが、普段は水底でのんびりしているそうなのでヌメヌメしてそうだ。少なくともリヒトは触りたくないと思っている。
そんなヒオウサンショウウオの怒りを買った不届者はどうなるかと言うと、頭上から局所的な豪雨と落雷が降り注ぐのだという。普通に迷惑で死人が出そうだ。
766 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:11:01.11 ID:73/7szOwO
他にも、ドクロサムライやイナズマミケネコといった魔物も目を引いた。
二又の尻尾を持つ猫型の魔物であるイナズマミケネコは手を出さなければ毛繕いをしたりと可愛らしい姿を見せるが、一度でも手を出せばそれはまさに逆鱗に触れられた龍の如く暴れ始めるらしい。
ただでさえ数mと中型のドラゴン級のサイズを持つ魔物が雷を纏って大暴れするのだから、その被害は想像したくないレベルである。人里まで攻めてこないのがせめてもの救いか。
六本の腕を持つ骸骨の魔物であるドクロサムライに至っては、目が合った瞬間に剣を振るってくるという好戦的にも程がある生態をしている。
宴に興じていた将軍が夜襲を受け、部下と共に惨殺された怨念から生まれた魔物らしい。
悲しい出自の魔物だが危険な存在には変わりなく、殺すのは難しい上に封印も面倒、しかし縄張りである荒れ地からは動こうとしないので、桜花衆側も不干渉に徹しているらしい。
緋桜郷を経由するキャラバン隊にも、荒れ地に接近しないようにとお触れを出しているのだとか。
面白いものが知れた、とリヒトは絵巻の齎した情報に満足する。
ドクロサムライとやらなら、光魔法で存在ごと消し炭にできそうだと物騒な思考をしつつ、次の本に目を通した。
767 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:11:38.61 ID:73/7szOwO
皆様の多大なる要望を経て、本誌が発行できたことを喜ばしく思います。
はい、というわけで始まりました『これが世界各地の勇者だ!』です。好評だったら数年単位で出していこうと思うのでそこんとこよろしく。
えー、まず本誌を出すに至った理由なんですけれども。私は今までに世界各地を旅してバチクソに痛い目に遭ってきましてね。
その時にまあ、目にしたり耳にするわけですよ。勇者のお話とか昔話をね。
んでもって、どれもこれも勇者に至るまでの経歴が違うから面白いって思いましてね。
ならこれを他の人にも知ってもらって、あわよくば印税をガッポガッポ…いやなんでもないです。
何はともあれ、石碑を読み解いたり金を貢いだりしてやっとこさ手に入れた情報ばかりです。
参考にしてくれたら嬉しいです。それでは本題にGo!
768 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:12:22.27 ID:73/7szOwO
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769 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:12:56.20 ID:73/7szOwO
『世界に殺された勇者』
えー。この勇者を初っ端に紹介してええんかと悩んだんですけども。
やっぱり掴みはインパクトが大事!なもんで、現実はそう上手くいくものじゃないよって教えるのも含めて先陣を切っていただきました。本人は首を切られたんですけれども。
彼の名は『ルーク・ファンブルダイス』。冗談みたいな名前ですがマジでこの名前です。ガッチガチに厳重に封印されてた祠の石碑に書かれてたんでたぶんガセじゃないと思います。
もし嘘だったら緋桜の下に埋めてもらって構いません。
彼がどんな勇者だったのか。いつの時代の勇者なのか。についてなんですが。
言ってしまえば遥か昔…そうですねー。ざっと数千年前の時代に存在してたみたいです。
我々が生きるこの世界。文明が長い間続かないのは周知の事実だと思います。ざっくり数百年経ったら綺麗さっぱり滅んで、また新しい国とかできてますしね。
だから世界中に遺跡とかがあるわけです。滅ぶ原因は自然現象だったり戦争だったりとあるわけですが、私は専門家じゃないのでこの話はここまで。
まあつまり、そんな昔に生きていたこの勇者はとにかく強かったんです。とんでもなく強かったんですよ。
少なくとも、魔法の類は一切使えなかったそうですが、そのシンプルにして規格外の強さを以って、世界征服を企んだ魔王をたった一人でぶち殺し、世界を救いました。
しかも、彼は死ぬ瞬間まで何一つ喋らなかったんです。意志も伝えず、ただ黙々と、返礼さえも求めず人を救い続けました。
彼が優しすぎたのか。それとも頭のネジが外れていたのか。何かがあって心を壊したのか。それは情報が無いので何も解りませんけれど。
770 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:13:35.47 ID:73/7szOwO
その力を、行為を恐れた民衆は、世界は、彼の死を望みました。自身を救ってくれた英雄を、ただ怖いというだけで殺そうとしたのです。
しかし、勇者はそれを拒むことなく、首を差し出します。
断頭台に取り付けられ、心無い罵声を浴びせられる中でも、彼は微笑みを浮かべていました。
振り下ろされる大鉈。飛び散る鮮血。
何も求めず、ただひたすらに救い続けた英雄は。人のエゴによって都合良く切り捨てられた英雄は。死してもなお笑っていたのです。
それでもあなたは、勇者になりたいと思いますか?
著:不死鬼 八犬
《これが世界各地の勇者だ!》より抜粋
771 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:14:30.68 ID:73/7szOwO
最初の一人目を読了した時、ぞくりと背筋に氷柱を差し込まれたような感覚がした。
額に手をやると、冷や汗がべったりと付いていた。その理由は考えるまでもなかった。
自分も彼と同じ末路を辿っていたのかもしれない、と、本能が嫌悪感を示したのだ。
何も求めず戦い続けた自分と、何も求めず人を救い続けた彼が、重なって見えてしまった。
厳密に言えば、何も求めなかったわけではないのだが。戦争が終わった後、身を寄せていたフィアリス家への爵位を嘆願した。
その結果、田舎町の名家だったフィアリス家は男爵の爵位を賜り、正式に統治するようになったのは記憶に新しい。
もう戻れない、戻ってはいけない嘗ての故郷に思いを馳せる。
故郷と呼ぶべき場所は三つほどあるが、その中でもフィアリス家が一番居心地が良かった。
「…どうしてあの人は、俺を赦したんだろうな。あれほど俺を恨んでたのに。…憎んでたのに」
護れなかった聖女の父母に会った時。聖女の死を伝えた時。殺される覚悟はしていた。寧ろそれを望んでいた。
なのに、彼らは殺すこともせず見逃した。愛しの娘を見殺しにした大罪人を、裁こうともしなかった。
今でも、その理由は分からない。分かる日はやってくるのだろうか。
光の失せた紅眼が、天井へ向けられる。木材の模様が目に映った。
772 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:15:09.94 ID:73/7szOwO
ニンニン。はじめまして皆の衆。皆大好きシノビマンでござるよ。ニンニン。
さてさて、拙者が此度筆を取った理由でござるが。
どうやら異邦には魔法なる摩訶不思議な妖術があるらしいのでござる。
幸い、魔法への知見を持つ者と対談する機会があったので、魔法に対する見解を述べようと思った次第でござる。
皆もこれを読んで、立派な忍になるでござるよ。シノビマンとの約束でござる。ニンニン!
まず、忍術と魔法の差異について示さねばなるまい。大前提として、どちらも魔力を消費するものであることに変わらぬ。
忍術の場合は、魔力を練りつつ図示したような特定の印を結ぶことで火を吹いたり風の刃を放ったり、と望んだ現象を起こす技術でござる。
しかし、魔法の場合はあら不思議。謎の呪言を呟きながら魔力を練ると、大爆発が起きたり雷が落ちたりするのでござるよ。怖いね。
同じ魔力を使っておきながら、現象を起こすまでの過程がここまで異なるのは驚きでござる。
ここで、拙者はこの差がどう影響を及ぼすのか拙者なりに考察したでござる。少し長くなりまするが刮目して見よ!
著:(自称)忍術マスターシノビマン〜
《魔法についての見解》より抜粋
773 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:16:12.45 ID:73/7szOwO
はじめましての方ははじめまして。そうでない方はお久しぶり。千を超える魔法を極めた最強の魔法マスターマジックマンです。
今回は、緋桜郷と呼ばれる地域で何故か大流行している魔法モドキである忍術について独自の見解を交えて話していこうと思います。
つまらなさそうって思った奴は呪うから覚悟しとけよ。何食っても雑草の味しかしないようにしてやるからな。
ゴホン。魔法とは何か。それを説明しようとしたらそれはもうめんどくさいことになるのでそこから知りたいならまずフェルリティアで一年くらい勉強してきてください。
人の生活様式に地域差があるように、魔法の形式にも地域差があります。
解りやすいのは呪詛魔法とかですね。詠唱と触媒を併用するものもあれば、生贄一つで行使するものもあります。
先述した忍術はおそらく、緋桜郷で独自の進化を遂げた魔法だと思います。そうでないとやってられません。
どっちも魔力を使うし現象を起こしてますからね。
だからって、なんであんな痛々しいポーズを取るのか理解できませんが。頭の中が少年時代で止まった奴が考案したのか?
と愚にもつかない推測はさておき。魔法と忍術の明確な違いですが、魔法の方が才能による効果の差が顕著に出ることですね。
忍術の方はやり方さえ知っていれば、ある程度の効果は保証されます。才能絶無の子供がやっても、天才の大人がやっても最低限の効果はあるってわけです。
その分魔力を喰うのでお子ちゃまがやったら最悪死にますけど。
774 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:17:15.56 ID:73/7szOwO
それに対して、魔法の方は全然変わります。天と地ほどの差が出ます。
才能の欠片もない奴が火炎魔法を行使したところで、蝋燭の火くらいしか出ないんですよ。
同じやり方を私がしたら家が消し飛びます。たぶん。危ないからやったことないんで確証はないです。
ざっくりまとめると違いはこんな感じです。
魔法:魔力消費は魔法ごとに調節可能。威力や難易度も同時に変動する。才能があれば際限なしに性能強化。
忍術:魔力消費は忍術ごとに最低値のみ固定。威力や難易度は結ぶ印の数と魔力消費に依存。魔力量の才能のみが性能に影響を及ぼす。
まあこれは私なりの見解なので、絶対にこうだ間違いない、と保証はしてないです。クレームは受け付けないので悪しからず。
著:(自称)魔法マスターマジックマン
《忍術についての見解》より抜粋
775 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:18:02.80 ID:73/7szOwO
二つの本を読み終えたウィンディは人目も憚らずに嘆息した。書き手の個性が出過ぎている。
もっと簡潔に、詳細を書いてほしいのに、ござるだの呪うぞゴラだの余計なことが書かれていて読む気が失せていく。
意地で読了したが、何を書いていたのか半分くらい頭から抜け落ちてしまった。
今からもう一度読み直す気力も時間も価値も無いので、絶対にしないが。
「そろそろ時間ですよリヒトさん。早く外に出ましょう」
「…ああ」
入り口で突っ立っていたリヒトに声を掛ける。が、表情はあまり明るくなかった。
お目当ての本でも無かったのだろうか。
「どうしました?えっちな本でも探したけど見つからなかったんですか?」
「…違うが。ちょっと考え事をしてただけだ」
「なるほど。そういうことにしておきますね」
「だから違うって」
そんな他愛のない会話をして、二人は図書館を出る。
外に出ると、ハリゴーディンはチャカと共に大道芸をしていた。
何がどうしてそうなったのか。二人は考えるのをやめた。
ちなみに見物客は一人もいなかった。見るからに怪しいのだから当たり前である。
776 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/21(土) 23:19:03.80 ID:73/7szOwO
何をするかを↓1にどうぞ。
勇者の本は借りてるので読みたい時は行動として選んでください。
777 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/21(土) 23:48:17.98 ID:q0t0Tz6eO
武具屋を覗く
リヒトはともかくウィンディやマナはなんか食らったら即死しそうなので…
778 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 01:43:23.44 ID:gy4NW0jYO
続いて一行が向かったのは六番街。冒険者向けの店や宿屋が軒を連ねている宿場街だ。
武具店や道具屋の他、魔導具店といった便利アイテムも取り揃えているので、魔物と戦ったりダンジョンに潜ったりする前に品揃えを見ておいて損はない、とよく言われているらしい。
レムカーナ軍に随伴していた時は支給を受けていたリヒトには微塵も関係ない話ではあるが。
「へー。超硬質メタライトってこんなに高いんだな」
武具店にオーダーメイドしてもらう際に利用できる素材を興味本位で見ていたのだが、偶然ハリゴーディンの装甲材と同じ物を発見した。
値段は馬鹿みたいに高かった。これを採算度外視で大量に注ぎ込んだハリゴーディンの製作者はやはり頭がおかしい。
そんな高級品に自爆機能を盛り込んでいるのだから、一度死んで馬鹿を治した方がいいのではないか、と一瞬真面目に思ってしまった。
流石に失礼すぎたと自覚したため内心で謝罪するが、正直まともじゃないと誰に対してか分からない抗議をしておく。
779 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 01:44:39.84 ID:gy4NW0jYO
「武具店に何か注文するんです?」
「俺の分はするつもりはないが。君とかマナ用の防具くらいは作った方が良いと思ってな」
「戦わないので不要です。痛いのやです」
「どうせいっかいなぐられたらしぬからいらない」
「二人のへちょい耐久力だと流れ弾で死ぬリスクがあるから困ってるんだが」
無数の修羅場を経て鍛え上げられたリヒトと、そんな経験などしたことがない二人では肉対面の強さに圧倒的な差がある。
リヒトにとっては些細な怪我で済むようなダメージも、二人にとっては致命傷になり得るだろう。
妖精という種族である以上、マナの虚弱性は保証されている。これっぽっちも良くないことだが。
しかも、常人より遥かに小さな体躯をしたマナに合う防具などあるのだろうか。
そもそもそれを作ったとして、彼女が着込んでくれるだろうか。
反人工物ウーマンのマナが首を縦に振ってくれるイメージが湧かない。
ウィンディもウィンディで、魔法使いということは重装が難しい現実が立ち塞がっていた。
詳しい理由はリヒトには解らないが、鎧などの重装備をしていると、魔法の行使に悪影響を及ぼすらしい。
だからなのか、魔法使いは基本軽装だし、重装備をした戦士が魔法を行使する際は簡単なものに留めておくか、利用する武器などに触媒としての機能を持たせて、無理矢理性能を底上げして補っている。
リヒトの場合はかなりの特異ケースで、そもそもが軽装であるのに加えて、聖剣が触媒としての機能を勝手に果たしてくれるのでデタラメな魔法をポンポン放てたりする。
ガチガチに装備を固めるよりかは、軽装で素早く動いて魔法をぶっ放した方が戦果を挙げられるのだ。
「なんというか、世の不条理とか理不尽を感じますね」
「どういう意味だオイ」
遠い目をし始めたウィンディに抗議の視線を向けるも、乾いた笑いで黙殺されたリヒトだった。
780 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 01:47:20.82 ID:gy4NW0jYO
誰にどんな装備を買うかを↓2までどうぞ。一レスにつき一人です。現時点ではそこまで金が無いので贅沢はできません。
買わない選択肢もあります。
例
マナ 小盾とお子様用ヘルメット
ウィンディ 耐物ローブとお鍋の蓋
781 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/22(日) 04:22:35.75 ID:HEQa7yoh0
ウィンディ 耐物ローブ
782 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/22(日) 09:40:58.30 ID:6eQquFQIo
マナ 子天狗の葉団扇
783 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 17:57:27.06 ID:DtH6g9FEO
評判の良い武具店を調べ、店内を確認する。陳列されている物は全て規格品のようで、サイズ毎に分別して置かれている。
オーダーメイドも承っているらしく、現に今目の前で装備製作を依頼して去っていった冒険者がいた。
ふむ、と残金と必要な物について思考しつつ、リヒトは藍色のローブを手に取った。
商品の名前は『対物ローブ』。大仰な名前が付いているが立派な市販品であり、はっきり言って世界各地どこでも買える防具だ。
対物と聞くと、分厚い装甲をぶち破るようなパワーを持つイカレ武器ばっかり想像してしまうが、今回手に取ったものは対物理の意味合いを持つ。
斬撃。刺突。殴打といった物理的な攻撃にある程度の耐性を持たせた、魔法使い用の防具である。
ただの布に耐性を持たせるカラクリは、生地に編み込まれた魔法である。
この魔法が衝撃を和らげることによって、魔法使いが苦手とする物理的なダメージを軽減させているのだ。
一流の魔法使いともなれば、高級な素材を贅沢に使って物理、魔法、属性全てに強力な耐性を持たせた防具一式を揃えているのだが、悲しいことにそんな財力は存在しない。
効果が如何程なものか、ウィンディに試してもらう。おっかなびっくりといった様子で鉄の棒を握ったウィンディは、ローブ越しに木の板を叩いた。
カン、と軽い音を立てるが、木の板は割れることなくその形状を保持していた。
ローブを外してもう一度木の板を叩くが、今度は綺麗に割れた。
「おおー…」
なるほど。値段と性能のコスパを考えれば、これは買っておいて問題はなさそうだ。
とにかく安く、それでいてある程度の品質は保証されている。これだから市販品は普段使いにありがたい、とリヒトの口角が吊り上がった。
784 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 17:58:11.23 ID:DtH6g9FEO
さて、お次はマナの道具である。ウィンディにだけ買ってマナだけお預け、なんてことをして拗ねられると非常に困るのだ。
実際、マナはリヒトの肩に座っているのだが露骨に不機嫌になっている。
膨らんだ頬を押すと、ぽひゅー、と間抜けな音を出しながら空気が抜けていった。こうして見ると小動物のようで可愛らしいのだが。
適当に商品を見繕うも、マナはじっとりとした視線を向けてくるだけで評価は良くない。
やはり人工物はNGで、鉄製の道具など論外のようだ。
ならば、とリヒトが取り出したるは『子天狗の葉団扇』なる団扇。
こちらは名前の示す通り、子供の天狗がよく使う道具であり、葉っぱを束ねて作っているので自然に優しい。
秘めたる力はそよ風を生み出したりちょっとした加護を与えたり、と大したことないのが難点だが、子供用の物なので仕方ない。あとこれより大きかったらたぶんマナでは持てない。
マナの視線の温度が下がる。それでもめげずに団扇を押し付けると、渋々といった様子で受け取った。
マナ的には許容範囲ギリギリだったようだ。
お買い物を済ませたリヒトは店を出る。
「えー皆様に悲報があります。活動資金がそろそろ底を突きそうです」
そして、端的に破産一歩手前だと宣告した。
785 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 17:58:54.09 ID:DtH6g9FEO
「えー皆様に悲報があります。活動資金がそろそろ底を突きそうです」
何故こんな悲しい宣言をする羽目になったのか。理由は明白である。それは。
「ぎゃう?」
このかわいいペットを購入したからである。それ以外にも理由はあるが、直近でした買い物の中でぶっちぎりで金が飛んだのがこれなのだ。
アリフで親切な人からもらった宝石などを換金したっきりで、それ以降は特に収入もなく支出ばかりがあったのだから、寧ろよくここまで保たせたと自身の倹約ぶりを褒めちぎりたいくらいだ。
そんなことを考えながら、チャカの頭を撫でる。
「あれ?これもしかして私のせいです?」
「さて、どうでしょうね」
今までに何を買ったのか思い出していたのだろう。先の言葉を呟いたウィンディは冷や汗を掻いていた。
「どどどうしましょう私お金持ってないです働き方も知らないですごめんなさい後生ですから身売りだけは勘弁してくださいこんな貧相な身体じゃ変態しか寄りつかないです杖も売らないでくださいつまり私にお金を稼ぐ手段は無いってことですねつまりもう終わりですねはい!!!!!!!」
はいじゃないが。勝手にヒートアップして結論付けたぐるぐるお目目なウィンディちゃんに、リヒトは呆れながら手刀を振り下ろす。
額からぺち、という音が鳴る。相変わらずウィンディは目を回しながらあうあう言っていた。
「幸い、ここ緋桜郷は人も金も集まる場所だ。俺らでもやれる仕事はある。なんなら俺向けの仕事は絶対に仰山ある。そういうもんだ。ってわけで、君が身体を張って稼ぐ必要はたぶんないんじゃないかな」
そう告げるリヒトの言葉は言外に、荒事に首を突っ込む気満々であることを示していた。
残念ながらそこに気付けるほどウィンディは物騒な思考はしておらず、リヒトさんのえっちと的外れにも程がある返答が返ってきた。
786 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 17:59:42.24 ID:DtH6g9FEO
何をするかを↓1にどうぞ。
787 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/22(日) 18:10:48.45 ID:fh0kr4a00
じゃあ仕事を求めて冒険者ギルドへ
788 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 19:20:13.95 ID:8fvpws2pO
そんな困ったウィンディちゃんを連れ、冒険者ギルドを訪ねる。
気のせいだろうか。ここまで大きな街に設置されているギルドなのに人が全然いない。
魔物退治なりキャラバン隊の護衛なりで人手が欲しいはずなのだが。
「冒険者ギルドにようこそー。依頼を受ける場合はそちらの掲示板で内容を確認するか、受付に直接お願いしまーす」
と、案内を受けて掲示板に目を通す。人が全然いない理由が解った。
「…しょっぺえー」
依頼内容がしょぼかった。それはもう目も当てられないくらいにしょぼい。
期待していたような高給与の依頼などは一切無く、建物の修繕や商店、茶店などのヘルプ募集といった雑用がほぼ全てである。
申し訳程度にある討伐依頼も、八番街に巣を作った人喰いネズミの処理といった簡単なものしかない。
ダンジョンで救援を求めてる人でもいないかな、と救援依頼もチェックするがそんな人はいなかった。そもそも誰も挑戦していない。
何故こんなことになっているのか。天下の冒険者ギルドがこんな体たらくでいいのか。
ちょっと桜花衆の頭領にクレームでも入れようかと思ったが、そこで一つの推論に思い至った。
ここ緋桜郷は享楽の郷。ある人は娯楽を求めて。ある人は疲れた心身を癒やしに。つまりは慰安のために訪れる郷だ。
なのに何故大変な思いをする必要があるのか、という話だ。遊びに来たのに命を懸けることはない。
789 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 19:20:56.22 ID:tD2VwJE1O
それに、緋桜郷は彼岸花 紅華が、桜花衆が統治している郷だ。自国の優先して解決すべき問題は、なるべく自力で解決しようとするはずだ。
桜花衆が処理するまでもない事案、または冒険者ギルドに委託しても良い事案のみが依頼として掲示されているのだろう。
よほど切羽詰まった事態でもなければ、冒険者ギルドに助力を乞うこともない。
それ以前にそんな事態が頻発していたら、とっくにこの郷の統治は破綻している。
以上の理由から、大したことない依頼しか掲示されていないのだと思われる。
なら仕方ない。クレームは取り下げよう。寛大な心を持つリヒトは冒険者ギルドを赦すことにした。
暇そうに談笑している職員を見るに、これが平常運転のようだ。平和でなによりだと、リヒトは小さく笑う。
そんなリヒトをよそにウィンディは図書館のアルバイト募集を受けようとしていた。
楽な方ばかり選んじゃダメよ、とその依頼を取り下げる。
杖で強めに叩かれた。
790 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 19:25:09.92 ID:tD2VwJE1O
何をするかを↓1にどうぞ。
A:簡単な依頼を受ける。誰がどんな内容のものを受けるかを例を参考に記載してください。戦闘系は無いです。
B:八番街の人喰いネズミ退治を受ける。
C:天守閣へ。
D:その他。自由安価。
例
リヒト 回復薬の販売員
ウィンディ 食堂の一日看板娘
791 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/22(日) 19:36:49.24 ID:cS9ALRqCo
B
792 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 20:00:55.24 ID:9lBbC/Q/O
その後リヒトらが引き受けたのは、人喰いネズミの退治依頼。
人喰いネズミは人里にもよく出没する低級の魔物で、新米冒険者が経験を積むための練習台としても有名だ。
しかし、腐っても魔物。いくら低級といえども民間人を殺めるだけの力はあり、『人喰い』と付くだけあって人肉を好んで食す。
下水道などから侵入した人喰いネズミが巣を作り、子供が被害に遭うのはままあることであり、割と頻繁に冒険者ギルドではネズミ退治の依頼が出ている。
今回の依頼場所は八番街の水路。汚水が流れているわけではなく、緋桜郷全体に温泉を通すために張り巡らされた水路にどこからか入り込んだ人喰いネズミが巣食ってしまったらしい。
ギルドに流されたということは火急の要件ではない。もし被害者が続出していたら彼らが既に対応しているはずだ。
おそらく、周辺の地域にはネズミの巣に近づかないよう警告されているのだろう。それでも近づく命知らずの末路はお察しである。
「怖い〜…やだ〜…戦いたくないですぅ〜………」
「そう言うんじゃないよ」
イヤイヤ期に入って駄々をこねるウィンディの背中を押し前進する。道ゆく人の視線がとても痛い。
「ママー。あれなにー?」
「しっ。見ちゃいけませんよ」
邪険に扱われるのはとても辛いものだとリヒトは心中で涙を流す。何故こんな扱いをされにゃならんのだ。
愚痴を溢したくなるが今は我慢である。今はネズミを駆除して、近隣の安全を確保するのが優先だ。
「おうちかえる〜!いたいのやーだー!!!」
遂に幼児退行してしまったウィンディに痺れを切らし、リヒトはネズミの巣まで最短経路で突っ切る。八番街に少女の悲鳴がこだました。
793 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 20:04:35.74 ID:9lBbC/Q/O
人喰いネズミにどんな対処をするかを↓1にどうぞ。
人喰いネズミ
体長50cm程度のネズミ。肉食で特に人肉を好む。
不潔で臭い嫌な魔物であり、人喰いネズミの巣は汚すぎて誰も近寄らない。
戦法は集団でただ噛み付くだけ。知性の欠片もないが、数の暴力でゴリ押ししようとする。
魔物だがネズミの生態に近いので、放っておくと指数関数的に数が増える。
こいつの肉は何があっても食ったらダメ。
794 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/22(日) 20:37:51.86 ID:ab97bn5A0
ウィンディに経験を積ませる意味も込めて囮にする
そして集まってきたところを一気に叩く
795 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 21:10:02.65 ID:IVtGeeOeO
人喰いネズミ駆除 判定↓1コンマ
01〜10:ウィンディ穀潰しの巻
11〜40:ウィンディなんとか最低限は頑張るの巻
41〜80:ウィンディ及第点の巻
81〜99:ウィンディ花丸の巻
00:???
796 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/22(日) 21:16:20.62 ID:cS9ALRqCo
あ
797 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 22:33:24.13 ID:tp+aQWywO
レムカーナにおけるスラム街である八番街。その中にある水路。そこには、薄汚れた獣が群れを成し、巣を作っていた。
汚物に塗れたそれはとても酷い悪臭を放ち、もはや物好き以外は誰も近寄らない禁足地となってしまっている。
そんなところに腐肉が転がっているのは何故なのか。誰も詮索しないししたがらない。
触らぬものには祟りなし。誰も好き好んで、嫌なものに関わりたくはないだろう。それで死んでしまっては、元も子もないのだから。
目的地が眼前に迫り、リヒトは顔を顰める。ウィンディは水路に向けてキラキラを放出した。
乙女への配慮として、その瞬間は見ないであげている。気を配るだけの余裕があることの証左でもあった。
「…臭い。これはちとキツいな」
「でっだい゛じま゛じょう゛ごの゛ま゛ま゛じゃじに゛ま゛ず」
「撤退は許可できん。あいつらは俺たちを獲物として見定めたからな。これで逃げたらこの薄汚いネズミが世に放たれるぞ」
泣き言を宣うウィンディを制し、視線を前に向けさせる。ギラリと光った無数の眼光が二人(と二匹と一機)を射抜いた。
チャカの優れた嗅覚にクリティカルヒットしたのだろう。完全にダウンしてしまっており、ハリゴーディンが抱っこしているのだがうんともすんとも言わない。
役に立つのはリヒトとウィンディだけだ。リヒト一人さえいればそれで充分なのだが。
798 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 22:34:11.96 ID:tp+aQWywO
とはいえ、こんな簡単な依頼を引き受けた理由は一つ。ウィンディに多少強引にでも経験を積ませるためだ。
イヤイヤ言ってばかりのウィンディに少しでも成功体験を積ませれば、自信を持ってくれるかもしれない。
この世界で生きるのであれば、戦わなければならない時はいずれやってくるのだ。たとえそれが、本人が厭う戦いだとしても。
その時にこの経験は役に立ってくれるはずだと、リヒトは大真面目に考えている。
戦いに摩耗したリヒトの精神は、どうしようもないほどに歪んでいた。
人喰いネズミの脅威度ははっきり言って低い。なりたてホヤホヤの新米冒険者でも、四人集まれば二十匹前後はやっつけられる。
回復薬などの入念な準備をしていたら、という但し書きが付くがまあ、才能のあるウィンディなら本気になれば五十は軽く殺せるだろう。リヒトの場合は言うまでもない。
そんな人喰いネズミの数は約四十前後。比較的大規模な群れになっているようだ。あと数日対処が遅れていたらどうなっていたのやら。
そんなことを考え、ウィンディの肩を叩く。あとは任せた、とキラリと光った笑顔とサムズアップを添えて。
「えっ?」
何事もぶっつけ本番あるのみ。リヒトはそう言って、ウィンディから距離を取る。
離れていくリヒトからネズミの巣に視線を向けると。
「ぴいいいいいぃぃぃぃぃ!!!!?!?!!!」
腹を空かせた人喰いネズミの大行列が、ご飯(ウィンディ)目掛けて突撃していた。
ウィンディの初体験が今、始まる。
799 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/22(日) 22:34:55.83 ID:tp+aQWywO
これで今日は終わりです。
800 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/22(日) 23:04:52.33 ID:cjsXtN93O
乙
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