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【安価スレ】堕ち行く光
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801 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/22(日) 23:10:25.25 ID:6eQquFQIo
乙
まあいざって時に身を守れないと実際ヤバい世界観だしね
802 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/22(日) 23:18:58.23 ID:cS9ALRqCo
おつー
803 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/25(水) 23:21:01.79 ID:72ANxGUSO
幽者の思いつきにより突如始まったスパルタトレーニング(ネズミ駆除大作戦)。
その参加者にして被害者の少女は、この状況にどう立ち向かうか。
幽者は後方にて高みの見物(物理)を決め込んでいるが、限界だと感じたらすぐに魔法をぶっ放すつもりでいる。
まあ、危なくなったらすぐお助け、と今後もしていたらやがて甘えが生まれて成長が見込めなくなるので、初回サービスみたいなものである。
つまり、今回だけは早めに助けるが今後はどうするか全く考えていないのである。行き当たりばったりにも程があった。
さて、ヒャッハァ!新鮮な餌だァ!と言わんばかりに押し寄せてくる人喰いネズミに対し、ウィンディが取った策は。
「風穿(エアロレイト)ッ!!!」
お得意の風魔法を使った迎撃戦法である。思い切りの良さは評価点だが、その戦法を使うには相手の物量が多すぎた。
練り上げられた魔力が風の矢となり、肉を穿ち骨を断つ。ベキ、グチ、と嫌な音が鳴る。
先頭を突っ走っていた一番槍に魔法が直撃。螺旋を描く空気の刃が全身を断裁し、肉と血を周囲にぶち撒けた。
しかし、それだけではネズミの侵攻は止まらない。たかが一匹仲間が死んだところで止まるわけがない。
今の彼らには獲物しか見えていない。今の彼らには腹を満たそうとする欲望しか存在しない。
仲間一匹が死んだからといって、何故躊躇う必要がある。どうせいくらでも産み落とす命。先行投資と思えば安いものだ。
「とは思ってねえか。所詮ネズミだ。ただ本能に突き動かされてるだけだろうな」
804 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/25(水) 23:21:33.29 ID:72ANxGUSO
空中からウィンディの奮闘を俯瞰するリヒトは、そう溢して目を細める。
誰かに見られている。敵意の無い視線が全身に突き刺さっていた。
その大半は興味本位のものだ。おそらく周辺地域に住んでいる子供が、空に浮かんでいる自分をへんなのがいる!という感じで見ているのだろう。
だが一つ。たった一つだけ、全く毛色の異なる視線が混じっていた。
視線の大元に顔を向ける。遠く離れた家屋の屋根に、年若い青年が立っていた。この郷屈指のイケメン美人ロリボーイ珠樹くんである。
軽く会釈してみると、こちらに認識されたことに驚いたのか少しの間呆気に取られた表情をしていたが、すぐに表情を戻し、綺麗な敬礼を見せてくれた。
仕事熱心で熱意のある若者だと感心する。おそらく彼は、リヒトたちが依頼を受けたことを知り、各所の水門を閉じていたのだろう。
その仕事が終わったから、進捗確認や実力調査も含めて様子見しているのだと思われる。
水路脇で戦闘する以上、ネズミの死骸や血液が水路に混入するのは半ば確定している。
実際、派手にぶち撒けられたネズミの肉と血が水路を流れる温泉に現在進行形で混入している最中である。
なんなら少し前にウィンディが放出したキラキラが温泉に溶け込んでいるわけで。
こんなものが店の温泉に使われたら大惨事どころではない。この世の終わり、地獄の始まりである。
自分だったらそんな温泉に死んでも浸かりたくない。
そんな益体もないことを考えつつ、再度ウィンディに目を向けた。
805 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/25(水) 23:22:22.54 ID:72ANxGUSO
同胞が一匹天に召したのを無視して、今日のご飯に向けて行軍する人喰いネズミたち。
それに対処すべく、ウィンディは次の魔法の準備を始める。
(私の考案した理論の検証用の魔法だからそんなに効果ないよね解ってましたー…!っていうか人とかに向けて撃ったことなかったから分からなかったけどエグい音出たしあのおっきなネズミがワンパンで死んじゃったしこれ絶対人に向けて撃っていいやつじゃない!!!)
つまり人に向けてはいけない魔法をボコスカ放つであろうリヒトには人の心が無い。
なんならこんな状況に有無を言わさずぶち込んでいる時点でド畜生であった。後でかの邪智暴虐の幽者を呪わねば。ウィンディは決意した。
構えた杖に魔力が集い、大気を震わせる。威力は下がってしまうが詠唱は省略し、魔法の行使だけを最優先とする。
「大嵐流(タービュストローム)!!!!!」
刹那、幾重にも重なった乱気流が、ウィンディの前方に発生した。
周辺への影響を防ぐために範囲は通路ギリギリに抑えているがその分、極小の乱気流を大量に発生させることで威力を補っている。
詠唱省略による威力の減衰は多少なりとも抑えられただろう。
先程の風穿とは比べ物にならない威力の暴力がネズミを襲う。一度乱気流の壁に入ったが最期、全方位から迫り来る風の刃によって細切れにされていった。
しかし、それでも突撃をやめないやめられない。
力押しのごり押ししか能の無いネズミには、どんな障壁が立ち塞がろうと齧り付いて突き破ることしかできないのだ。
806 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/25(水) 23:23:06.52 ID:72ANxGUSO
二十匹ほど仕留めた頃だろうか。風の威力が弱まり、遂にネズミが乱気流の壁を突き破る。
先に殉職したネズミの死骸が障害となり、空気の流れが弱まったのだ。彼らの死は無駄ではなかった。天国のネズミも喜んでいるだろう。
「お疲れさん。初陣でこれだけやれりゃ充分だよ」
障害を乗り越え、ネズミが獲物に喰らい付こうとしたまさにその時。
瞬きの間にウィンディの前方に移動した幽者は、右腕を突き出した。
「天喰らう白狼は遍く御魂を楽土に導く」
微かに耳に聞こえる魔法の詠唱。その優しい声色とは裏腹に研ぎ澄まされる魔力はあまりに冷たく。
「踊れ。天狼星(シリウス)」
産み落とされた白い狼は、真の捕食者がどちらか。哀れな生贄に現実を思い知らせた。
807 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/25(水) 23:23:56.29 ID:72ANxGUSO
同刻。牡丹雪にて。
「本日はお越しいただきありがとうございました。またお客様が牡丹雪を訪ねられる日を、心よりお待ちしております」
客を見送り、息を吐く。雫が注いでくれたお茶を飲み、また息を漏らした。
「どったの女将さん。頭領の愚痴を聴きすぎて疲れちゃった?」
「紅ちゃんの愚痴は聴き慣れてるさ。この溜め息はそれとは別件だよ」
「…やっぱ、アレの件かな?」
コクリ、とお雪は頷く。何かを案じているように目は細まっており、表情は芳しくない。
「…まー、腹立つよね。わたしがあの店に入った時、はらわたが煮えくり返ったもん」
普段の明るい表情を隠し、冷徹な目を入り口に向ける。戸は閉められているので、客に見られる心配はない。
「霧香たちが先手を打ってくれたおかげで、奴らが逃げる前に店を取り潰すことができた。…他所からやってきた時点で探りを入れておくべきだったね」
「たらればを言ってもしょうがないよ。あの子たちの安全を確保できただけ良しとしましょ」
「…もう手遅れかもしれないけどね」
手元の書類に一瞬視線を移し、引き出しに戻す。物憂げな表情をした女性の絵が、名前の横に描かれていた。
「…毎度のことだけど、霧香には頭が上がらないよ。こんな役回りばかり任せて申し訳ない」
「んーにゃ。わたしは気にしてないよ。もう慣れたし、辞める気はないから」
「…ごめんね」
絞り出すようなお雪の謝罪に、霧香は気まずそうに腕を組む。柔らかい双丘が形を変え腕を包んだ。
808 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/25(水) 23:24:27.04 ID:72ANxGUSO
万難を喰らい空へと還る白狼。後に残ったのは血痕だけだった。
こっそり左手に持っていた聖剣も虚空へ戻す。やはりこれがあるのと無いのでは魔法の性能が段違いである。
「………」
ウィンディの方を振り返ってみると、ものすごく不機嫌そうな顔をしていた。私怒ってます。プンプンです。とか言いそうだ。
「ずるです。魔法の勉強してないのにそんな魔法使えるのはどう考えてもずるですよ」
「んなこと言われても。理論とか全然分からないからフィーリングになるが使いたいなら教えるけど?」
「常識的に考えて私が光魔法を使えるわけないですよ。光と闇は希少なんですからね」
「そうなの?メリちゃん最かわ教の化け物どもはポンポン撃ってきてたが」
「それはそのメリちゃん最かわ教の人たちがおかしいだけです」
「そう言われると否定できんな。あいつら揃いも揃って英雄級だったしな…」
当時死闘を演じた猛者を追憶する。
一対一(サシ)で戦り合って辛うじて勝てるかどうかの相手が何人もいたのに、よくメリオゴストーグに一撃入れられたものだと当時の自分を手放しで褒め称えたい。
というか何故攻撃できたのか本当に解らない。同じことをもう一度やれと言われたら即座に首を斬るくらいには無理難題だった。
まあ、何はともあれ戦争は終わったし、今回の依頼も解決した。終わりよければ全てよし。
それでいいではないか、と投げやりになる。
戦うのは二度とごめんです。そんな怨嗟と実感の籠った嘆きが耳に聞こえたが気のせいだろう。
809 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/25(水) 23:25:59.00 ID:72ANxGUSO
何をするかを↓1にどうぞ。
行動時間はだいたいお昼時くらいの時間帯で、報酬金は自動で受け取ります。安い依頼なのでまだ贅沢はできません。
810 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/25(水) 23:55:51.00 ID:zFFuh7n8O
天守閣へ行ってみよう
811 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/26(木) 00:42:46.99 ID:reUN9bHZO
「そこの旅行者、止まれーい!」
リヒトたちは天守閣の正門付近に来たところで足止めを食らう。まあそうなるだろうな、とは思っていたので、そこまで問題ではない。
しかし、相も変わらず荘厳な佇まいだと素直に感心する。ここまでの規模の城を建てるには、並大抵の時間と費用、労力を費やしただろうに。
目の前の現実から逃げ出していたら、足止めをしていた衛兵に詰問される。やれ旅行者が何の用だの招待も受けてないのに来ちゃダメだぞだのやかましい。
そんなマジレスや正論を聴くつもりはない。金だ。金がとにかく欲しいのだ。
だから仕事をくれ。くれないのならこっちから仕事を受けに行く。と抗議しようと思ったところで。
「どうした見張り番。そんなぎゃいぎゃい騒いでよ」
「ら、嵐月様!?」
男性が急に正門を開けて出てきた。着物を着ているのだが胸元はおっ広げられていて、素肌が丸出しで危険が危ない。ポロリしないか誠に心配である。
嵐月と呼ばれた男性は一瞬目を丸くし、ニヤリと笑った。
「誰かと思えば勇者様じゃねえか。あんたの武勇、俺も何度か耳にしたよ」
「勇者…?はっ!?つまり彼は、頭領に数日前に歓待を受けたあの…?」
「そういうことだ。そういや、お前はその時非番だったっけな。顔を知らないのも無理はないか」
「と、とんだご無礼を失礼しましたぁっ!!!」
「そんなビビられるとこっちが困るんだが」
もしや、魔族と見るや即攻撃するような蛮族に思われているのだろうか。
だとするならば抗議も辞さない。裁判に持ち込んで勝訴させてもらおう。
そんな意図を込めて視線を飛ばすと、露骨に怯えられた。
何故だか申し訳なくなった。
812 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/26(木) 00:43:25.99 ID:reUN9bHZO
そんなこんなで天守閣の訪問は許可され、現在は嵐月の同行を受けながら天守閣内を歩いていた。
「案内感謝するよ。前にここに来た時は彼岸花さんのとこまで直行したからな、どこに何があるのかさっぱりなんだ」
「これくらい些事に過ぎん。感謝されても困るってもんだ」
雑談を交わす男連中の後を追い、ウィンディとハリゴーディンは進む。
ワイルドなイケメンの鬼さんでした。のちにウィンディは嵐月のことをそう語ったという。
「桜花衆用の依頼はここで受け付けてる。まあ、お前なら仕事しても問題ないだろ。頭にも俺から口添えしとくわ」
「どうも」
実力だけは買われているのか、特に文句は言われなかった。それだけ忙しいということもあるのだろうが、助かっているので何も言わないでおく。
「俺はこれから飲みに行くんでお別れだ。もし機会があれば、お手合わせ願うよ」
「…機会があれば、な」
カラ、コロ、と下駄を鳴らし嵐月は去っていく。
その足取りは悠然としていて、しかし荒々しかった。
813 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/26(木) 00:49:10.85 ID:reUN9bHZO
何をするかを↓1にどうぞ。
A:盗賊殲滅の依頼を受ける。異常な強さの魔族がいるとの報告あり。
B:ドクロサムライ討伐の依頼を受ける。
C:大量発生した魔物の殲滅依頼を受ける。難易度はコンマで後ほど判定。
D:やっぱりやめる。
E:その他。自由安価。
814 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/26(木) 00:51:25.75 ID:nTuk9GSo0
C
815 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/26(木) 01:04:37.63 ID:reUN9bHZO
魔物の強さ 判定↓1コンマ
01〜10:ブチギレイナズマミケネコの群れ。報酬金いっぱい。
11〜80:何故かやってきたアークミノタウロス先輩たち。報酬金そこそこ。
81〜99:シラヌイドリの大群。報酬金安め。
00:ヌ・レオン降臨
816 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/26(木) 01:16:33.66 ID:otnC0vlgo
あ
817 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/26(木) 01:18:17.47 ID:reUN9bHZO
では本日はここまでです。↓1にウィンディやハリゴーディンたちを同行させるか記載してください。
818 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/26(木) 01:27:09.03 ID:vg/LAus8O
させない
乙
819 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/26(木) 12:10:54.48 ID:jy44QPP0o
おつおつ
リベンジと行こう
820 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/27(金) 20:10:14.79 ID:FVTh8u9EO
「さて、どんな依頼があるのかなっと」
受付嬢に会釈して、依頼リストを確認させてもらう。掲示板方式ではないのはギルドはないからなのかもしれない。
候補は主に三つ。一つ目はどこの街でもターゲットに挙げられる傍迷惑な存在である盗賊の殲滅。
どうやら今回の盗賊団はそんじょそこらのものとは格が違うようだ。
緋桜郷へ向かうキャラバン隊を二つ、緋桜郷から出発したキャラバン隊を一つ壊滅させ、討伐部隊を二度も撃退しているとの報告が上がっている。
それでいて盗賊団の規模が小さいため現在の所在もおおよそでしか分からない、ともはやお手上げ状態とも言える。
大規模な盗賊団であれば、拠点も相応の規模を必要とするので強襲作戦などの策を取れたのだろうが。
二つ目はドクロサムライの討伐。亡霊と成り果てた将軍が、罪なき人々を手に掛ける。
そのような悲劇を終わらせたいのだろう。依頼としてリストに載っているのはそういうことだ。
とはいえ、かなり腕が立つ魔物であることも事実。生半可な強さでは返り討ちに遭う上、生息地にさえ近づかなければ脅威たりえないので後回しにされているようだ。
その間一人寂しく歌っているドクロサムライ将軍がかわいそうでならない。
821 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/27(金) 20:11:14.33 ID:FVTh8u9EO
三つ目はどこからともなく現れたアークミノタウロスの大群の撃滅である。
どこまで行っても邪魔してくるのか、とリヒトは苦い顔をした。
この中で一番優先すべきなのはこの依頼だろう。
盗賊は今のところキャラバンを襲っているだけだし、ドクロサムライは近づかなければセーフである。
しかし、このミノタウロス軍団は違う。こいつらは人肉の味を知った途端にアグレッシブになる。
依頼が出ている以上、世界各地から人の集うここ緋桜郷を狙って侵攻していると見て間違いない。
放っておいても桜花衆が死に物狂いで防衛に当たるだろうが、先手を打っておいて損はないはずだ。
そして、蓮武との模擬戦を経て痛感した。自分はどうしようもないほどに鈍っていると。
根本的な実力差があったのでその時は誤魔化せたが、今冷静に思い返すとちょっと真面目に笑えないレベルでひどい動きをしていた。
身体も、太刀筋も、判断も、感覚も。その全てが衰えていた。
戦争が終わってからは全力を出す機会が無くなったので当然のことではあるのだが、鈍ったことを実感したのなら放置するつもりはない。
戦争が終わり、聖女を喪い、過去を否定され、その果てに貪った怠惰な生活の代償がシルヴィアとの死別。
主因ではなくとも、遠因ではあるのは確定的に明らかだ。
冥光に頼った途端に、アークミノタウロスを跡形も無く消し去った事実が何よりの証拠である。
あの時、当時の二割ほどの輝きを取り戻していたなら、苦戦することもなかったはずだ。
「…リベンジ戦といかせてもらうか」
一線から退き、ぬるま湯に浸かっていたが故に鈍った身体を鍛え直すため。そして何より冥光に頼らず過去を越えるため。
リヒトは一人、過去(トラウマ)と戦うことを決意した。
822 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/27(金) 20:12:13.10 ID:FVTh8u9EO
太陽が沈み、月が顔を見せる。風が吹く夜の草原の中にただ一人、幽者が座していた。
「…ついて来なくていいと言ったはずだがな」
「しるう゛ぃあはいつもりひとのそばにいた。…わたしはしるう゛ぃあにたすけられた」
「だから、わたしもいっしょにいる。それだけ」
リヒトの肩に座り、淡々と喋るマナ。いつになく雄弁であり、いつもより距離が近い。
具体的には、身体一つ分近づいている。いつもは肩幅ギリギリに座っているのだが、今は耳元に寄り添っていた。
「…殺し合うのを観ても、面白くないぞ?」
きにしない、とマナは告げ、首元に手を添える。力が漲った気がした。
「気持ちはありがたいが今回だけは手助け干渉一切無用、だ。俺一人の力で終わらせなきゃ、意味がない」
「…うん…」
躊躇いつつも、マナは手を離す。そして、定位置であるフードに潜り込んだ。
リヒトは瞑目し、暗闇の中で微かに煌めく光に身を委ねる。聖剣の輝きが増し、光が溢れ出した。
幾度となく味わった喪失の痛み。その度に心は渇き、今では涙すら流れなくなった。
幾度となく奪ってきた命。満たされる度に心は渇き、次なる贄を求め飢えていた。
この渇きを。飢えを。空っぽの心を満たしてくれるのは戦いだけだ。
幾多の離別と闘争の果てに心身に刻まれた闘争への渇望はもはや宿痾に等しく。
ただただ、戦う時を待ち望んでいた。
823 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/27(金) 20:12:48.64 ID:FVTh8u9EO
地を揺らす地響きが近づいてくる。閉じていた目を開けると、地を埋め尽くす怪物の群れがそこに。
各々が携えた得物は全て異なり同じものは二つとないが、血に染まり錆びついているのは共通している。
それでこそだと心が躍り、口元は歪な弧を描く。弱者を甚振っても意味はない。強者と戦い捩じ伏せることに意味がある。
ただならぬ気迫を纏っているからさぞかし強いのだろう。手に持つ大斧の血錆が、修羅場を潜ってきたことを物語っている。
相手にとって不足はなし。足りないものを敢えて挙げるならば。
絶対的な強者と相対した時に感じる死の予感だけだ。
ふう、と小さく息を吐き、聖剣を空へ掲げる。軽く手首を捻ると、極大の閃光が空に放たれ、夜を照らす。
「…悪いが、あんたらの鏖殺を仰せつかったんでな。ここから先には誰も行かさないし、誰も逃さない」
空へと連なる光の柱が漆黒の天蓋を打ち砕く。数瞬遅れて光が弾け飛び、地表に降り注いだ。
凄まじい衝撃が大地を揺らし、眩い光が戦場を照らす。
夜に咲く緋桜と同等の長大さを誇る無数の光剣が、リヒトたちを囲うようにして突き立てられる。
その根本、柄から上に向けては十字架が伸び、左右に繋がっている。
何も知らぬ者が見たら天変地異かと見紛うほどに大規模の結界が作り出された。
誰一人として逃さないという決意表明であり。部外者の乱入を許さないという拒絶。
言葉を知らずとも理解したのか、アークミノタウロスの間にも剣呑な空気が広がる。
結界を展開した時に、事前に告知しておけばよかったと後悔するも後の祭り。
何か言われた時は、素直に謝罪すればいいだろう。
そんなことを一瞬考えたが何はともあれ。
時は満ち、舞台は整い、役者は揃った。今、過去との訣別の儀を始めよう。
天を劈く怒号と空間を縫う閃光が、戦いの始まりを告げた。
824 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/27(金) 20:14:54.36 ID:FVTh8u9EO
VSアークミノタウロス軍団 判定↓1コンマ
01〜05:リヒト負傷
01〜15:膠着状態
16〜35:半数殲滅
36〜70:全滅 ある程度当時の実力を取り戻します
71〜99:全滅 当時と遜色ない実力に戻ります
825 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/27(金) 20:37:11.98 ID:0f5257D1o
いけ
826 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/27(金) 22:08:21.15 ID:7iSQT3fdO
草原に響き渡るのは剣戟と咆哮。あるいは悲鳴。人ならざるものが発する身の毛のよだつ絶叫は魂を震え上がらせ、怖気を走らせるだろう。
が、今はそんなことなどどうでもいい。煩くて、煩くて、とにかく耳障りで仕方がない。
「ギィッ!?!」
ので、頭を潰して黙らせた。これで少しは静かになるだろう。
温まっていく身体とは裏腹に、思考は冷めていく。命を刈り取る度に、鋭さを取り戻していく。
嗚呼、この感覚だ。肉を断ち切るこの感覚が懐かしかった。
久方ぶりの実戦に、魂が奥底から悦び震えている。
風切り音と共に大剣が振り下ろされる。
光魔法で剣を二本作り、交差させて受け止めた。
背後から剛腕が振るう大槌が迫る。
左方から剛腕が振るう大斧が迫る。
右方から剛腕が振るう大槍が迫る。
空へと飛び、攻撃を回避する。
聖剣に魔力を込めて、斬撃と共に解き放つ。
空間を光の線が縫い、閃きと共に血飛沫が舞う。
何匹殺したのか、数えるのは途中から辞めた。余計な思考は切り捨て、戦闘に必要な情報だけかき集める。
攻勢に出るものがいるなら、どう躱すかを思考する。そして殺す。
守勢に回ったものがいるなら、どう突き崩すのが有効か思考する。そして殺す。
全ての思考が殺害へと繋がり、出力された行動全てが殺害という結果を残す。
血が流れ、命が消え、大地が赫く染まる。その色はまるで鮮やかに咲く緋桜のようで。
怪物と共に剣の舞(ソードダンス)を踊る幽者と聖剣。その姿はまるで雪にはしゃぐ子供と子犬のようで。
惨憺たる光景を生み出しながら、怪物と人間が踊り狂う。
827 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/27(金) 22:09:06.66 ID:7iSQT3fdO
しかし、その演目はすぐに終わりを迎えた。
「…逃げんなよ。一度武器を取ったなら、殺すか死ぬかの二択だろうが」
風に吹かれて飛ぶ枯葉のように、為す術なく命を散らした同胞。
その惨状に耐えかね逃げ出した生き残りを、容赦も慈悲も存在しない銀色の刃が貫いた。
「戦うのを選んだのはお前たちだ。負けたなら潔く死ねよ」
追い詰められたら人も魔物も変わらないな、と心中に溢し、剣を引き抜く。
臓物と血、そして脂に塗れた聖剣が、月光を反射した。
光の結界が崩れ、夜の帳が再び降りる。静寂が戻った草原で、アークミノタウロスの生首回収に勇者は勤しむ。
「あれだけ派手にやったとはいえ、証拠はやっぱ要るからな。原型を留めてるのがいくらかあって助かるよ」
童心に帰ったように明るい表情で後始末をするリヒト。それを無言で見つめるマナ。
「………っ」
手応えに満足気に頷くリヒトの目は、マナが目を背けたくなるほどに綺麗だった。
828 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/27(金) 22:10:03.38 ID:7iSQT3fdO
今日はこれで終わりです。次から牡丹雪での話に変わります。
829 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/27(金) 22:13:16.58 ID:0f5257D1o
おつ
戦力的に万々歳のはずなのに手放しでは喜べねえのは気の所為と思いたい
830 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/27(金) 23:16:31.39 ID:v9H3L9+8o
乙
これで伝説級の竜とかにも相対することができるようになったのだろうか
しかし意外と正統にヒロインしてるマナちゃん良いね
831 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 00:39:28.22 ID:pFYHrz7EO
山奥に隠された小さな集落。
人が営んでいた頃の面影は影も形もなく、骸が無造作に転がっている。
そして、その亡骸は現在進行形で作られている最中だった。
他でもない、幽者自身の手によって。
首を断ち。心臓を穿ち。胴体を両断し。様々な手段で戮殺する幽者には何の感情もなく、何の感傷もない。
楽しくなければ苦しくもない。嫌でもなければ好きでもない。
幽者からすればそれは、ただ金を稼ぐための手段であり、有り余った時間の浪費先でしかなかった。
作業のように消費される命。断頭台に差し出された頭のように、淀みなく断首が行われ、無為に命が消えていく。
剣を取ろうが、逃げ出そうが変わらない。ただただ無慈悲に。ただただ平等に。死へと導いた。
ある者は武器を捨て跪いた。しかし首を刎ねられる。
ある者は自らの全てを差し出すと言った。しかし首を刎ねられる。
男女問わず。老若問わず。皆、平等に死んでいった。
『なんでもするから…!貴方の好きにしていいから…だから殺さないで…!わたしは、まだ、生きていたいの…!!』
今まで散々殺戮と略奪を楽しんでおいて何を言うのか。呆れながら首を落とした。
『俺たちはまだ子供だぞ!?なんでそんな…平気で殺せるんだよ!?』
武器を取った時点で歳や性別など関係ないだろうに。呆れながら首を落とした。
832 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 00:40:28.69 ID:pFYHrz7EO
戦闘が始まる前に警告はしていたのに。一回だけ猶予を与えたというのに。
それを拒み、戦うことを選んだのは貴様たちだと。
ならば、全てが終わった後の処遇は自分に委ねられているのだと。
何度目か知れない溜め息と共に、聖剣を振り下ろした。
『今からお前たちを全員ぶち殺して金に換えるわけだが、俺も鬼じゃない。今から10数える間に投降した奴は殺さないでやる。…誰もいない、か。じゃあもう手遅れだ。命乞いしようが泣き叫ぼうが俺は殺すからな。恨むなら判断を誤った愚鈍な自分を恨め』
と、確かに自分は宣言した。別に怒ってなどいない。
ただ宣言通りに事を進めているだけだ。
勝てる見込みのない戦いに勝てると思い込み譲歩を突っぱねておきながら、蹂躙され始めた途端に救命を嘆願するなど。
虫のいい話ではないだろうか。
そんな自分勝手な輩に差し伸べる手などないと、幽者は最後の生き残りの首に剣を添える。
『や…あ……ぁ………』
身体はガタガタと震え、言葉にならない声を絞り出す少女。
端正な顔は恐怖に歪み、色々な液体を垂れ流していてぐちゃぐちゃになっていた。
綺麗な顔が台無しだと思いながら聖剣を振り抜く。ずるりと首が落ち、血が噴水のように噴き出した。
『降ってくれれば殺さないって…警告しただろうが。なのにそんな、悲しそうな顔するなよ』
『まるで、こっちが悪者みたいじゃないか』
833 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 00:41:09.97 ID:pFYHrz7EO
undefined
834 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 00:41:48.15 ID:pFYHrz7EO
ふと、過去に一仕事した時のことを思い出した。
今回の虐殺劇が、似たような記憶を勝手に引っ張ってきたのかもしれない。
犠牲者の実力こそ天と地ほどの差があるが、どちらの結末も変わらず。
一人残らず。一匹残らず。その尊くもない命を散らした。
「人のためになることをしても敬遠されるとは難儀なものだね」
アークミノタウロスを余さず滅ぼし、首をかき集め、天守閣に提出した。
プロ根性故か受付嬢は笑顔で応対してくれたが、その笑顔は引き攣っていたし、他の人が自身に向ける視線は化け物に向けるそれと同じだった。
盗賊の首をギルドに提出した時よりはマシな反応ではあったが。
その時は本当にひどかった。
生首を見た受付嬢が全員えずいて白目を剥くわ、子供や女の子の生首を見た冒険者が義憤に駆られて道徳心の欠片もないのか、なんて脳内お花畑なバカ理論を展開された。
もちろん投降勧告はしたし、断った場合は誰一人として例外なく殺すと宣言していた。
その上で首を横に振られたのだから生かしておく理由はない、ときっぱり言い放つと、冒険者は絶句していた。
まあ、冒険者の言い分や気絶してしまった受付嬢らの気持ちは分からないものではなかったが。
彼らは冒険者であって傭兵でも兵士でも断じてない。
そんな彼らが人殺しに忌避感を持っているのは当然のことで。
それ故に、盗賊と相対した時も捕縛で済ませるのがほとんどだ。
だから、老若男女関係なく殺めた自分を冒険者は理解できなかったのだろう。
だから、受付嬢たちも人間の死体を、もっと言うなら人間の首など見ることは滅多になく耐性も付いていないのだろう。
835 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 00:42:18.80 ID:pFYHrz7EO
「…まあ、今回は俺の見た目も原因だろうが。ちょっと下手を打ったな」
そんなことを呟くリヒトは、全身血塗れだった。
別に大きなダメージを受けたわけではない。
寧ろ、今回の戦闘では無傷だった。完全勝利というやつである。
全身を赤黒く染める血の正体は、アークミノタウロスを盛大にぶっ殺した時に浴びた返り血である。
それはもうバッタバッタと薙ぎ倒したので浴びた血の量もえらいことになっており、見るも無惨でブラッディな姿になっていた。
そんな状態で街の中を歩くものだから人混みは自分を避けて空洞ができるし、周囲からはヒソヒソ声が聞こえてくる。
そして、そんな状態で牡丹雪に入ったものだから。
「おお…おおおお女将さーん!!!!!ブラッディでスプラッタなことになっている重傷者が来ましたーーーーっっっ!!!!!!静音さんをーーっっ!!!衛生兵ーーーーっっっ!!!!」
と、盛大な勘違いをさせてしまった。
836 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 00:43:05.67 ID:pFYHrz7EO
汚れを落とすために風呂を浴び、用意されていた着物に着替える。
私服は現在雫が一生懸命洗っているそうなので、しばらく返ってこないようだ。
慣れない肌触りに顔を顰めながら脱衣所を出る。お雪が自分を待っていたのか、そこに立っていた。
「何があったのかは桜花衆から訊いてるよ。お疲れ様…と言いたいとこだけど。あんな姿を見せたリヒトさんにはお説教だよ」
申し訳ないと頭を下げる。聞き分けが良くてもダメだと、どこからか取り出した扇子で頭を叩かれた。
ぺち、と小さな音が鳴る。痛くなど当然ないし、不愉快でもない。
まあ、子供扱いされてる感が気になると言えば気になるが。
それからというもの、晩御飯が冷めてしまったからリヒトの分だけリンが作り直していること。
あんな格好で帰ってきたものだから子供たちが怯えて心配していたことをこんこんとお説教された。
客は全員寝静まっているようなので、他に人がいなかったのが不幸中の幸いか。
837 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 00:43:41.19 ID:pFYHrz7EO
「…と、愚にもつかない説教はここまでにして。お前さんに紹介したい人がいてね。…おいで」
お雪の合図を経て、女湯の扉が開かれる。
もう深夜なので温泉は閉められているのだが、反射的に目を背けた自分は正しかったはずだ。
そんな自己弁護を済ませると、お雪の声が聞こえた。
「彼女たちは本日付けで牡丹雪預かりとなった人たちだよ。ほら、挨拶なさい」
意味がわからない、とリヒトは首を傾げる。
あくまで自分は客人であり、牡丹雪所属の用心棒とかでもないのだ。
新人が入ったからといって、自分に紹介する必要などないだろうに。
そんなリヒトの疑問を無視して、桃色の髪をした女性が口を開いた。
「私は桔梗(キキョウ)と言う者だ。桜花衆の仲介により、牡丹雪で用心棒を務めることになった。貴殿のことはお雪殿より聴いている」
「…何と仰ってました?」
「大層腕の立つ猛者だと。どうやら話通りの辣腕を持つご様子で」
お褒めいただき光栄だ、と返して頬を掻く。
こうも素直に褒められては気恥ずかしいものがあるのだ。
照れているリヒトを見つつ、桔梗は一礼する。
凛とした佇まいが印象的な女性だった。
838 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 00:44:46.45 ID:pFYHrz7EO
「…私(わたくし)は瑠璃(ルリ)と申します。先日、籍を置いておりました店舗が店を畳んだので、お雪様の口添えもあって牡丹雪に引き取っていただく運びとなりました」
続いて口を開いたのは、艶やかな黒髪を伸ばした女性。
深窓の令嬢、という評価がピッタリ当てはまるような、美しい女性だった。
濡羽色、というのだろうか。微かに青みがかった黒髪は艶めかしく輝き、見る者全てを魅了させる。
紺色の着物も相まってその黒は主張をさらに強め、ふとした瞬間に夜に溶けて消えてしまいそうな儚さを内包している。
誰もが目を奪われ釘付けになってしまう絶世の美女。それがリヒトの抱いた印象だった。
奇しくもそれは、牡丹雪に務める女性全員に抱く印象であり、牡丹雪の顔面偏差値のインフレをこの上なく示していた。
だがしかし、彼女に抱いた好印象は瑠璃の発した言葉によって粉々に砕け散ることとなる。
「…私は見習い故、夜のお勤めは許されておりません。ですのでどうか、貴方様がよろしければ一晩でいいので抱いていただきませんか?誠心誠意尽くしますのでどうか、ご一考いただければ…」
これはヤバい。とんでもない激ヤバウーマンだとリヒトの勘が告げていた。
彼女の誘いに乗ったが最後、ケツの毛までむしり取られて捨てられる気配を感じる。
「………」
これはいったい全体どういうことだと、お雪に目線で尋ねる。
悲しげな表情で首を振られた。
どういうことか分からないが、厄ネタを抱えていることはなんとなく分かった。
「………?」
不安そうにこちらを見る瑠璃。
ここで無言を貫き通すのは簡単だが、それで彼女がどう出るか不明なので選択肢から除外する。
ならば、取るべき選択肢は一つ。
「コノケンハオモチカエリサセテイタダキマス」
全人類が所有する伝家の宝刀。曖昧な返事によるはぐらかし、問題の先送りである。
困った時は未来の自分がなんとかしてくれる、とリヒトは考えることをやめた。
839 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 00:47:07.31 ID:pFYHrz7EO
何をするかを↓1にどうぞ。行動順としては夜食→深夜の行動(今回の行動)→朝の行動となります。
他のキャラクターは全員寝ているので、交流できるのはマナ、桔梗、瑠璃、お雪、リンのいずれかのみとなります。
840 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/29(日) 02:51:05.29 ID:4LKeet700
お雪と交流する
841 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 08:42:51.27 ID:pFYHrz7EO
さて、紆余曲折あったが夕食にありつくことができた。
手間暇かけた料理を作り直しさせてしまったのは申し訳なかったが、仕事をしていたなら仕方がない、と許してくれたリンは器が大きい。
食事を済ませて食器を全て洗い終えたリヒトは、お雪の部屋を訪ねていた。
「夜分遅くに何用だい?わしもそろそろ寝たかったんだけどね」
眼鏡を外し印象の変わったお雪がお出迎えする。
寝支度をしていたところを邪魔してしまった形だが、牡丹雪の営業が再開した今、彼女と会話をする機会は限られているのだ。
少しくらい大目に見てほしい、と詫びを入れる。
「そういうことならしょうがないねえ」
と、こちらのわがままに微笑で返してくれたお雪。
本当に優しくて頭が上がらない。
842 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 08:44:14.30 ID:pFYHrz7EO
お雪と何をするかを↓1にどうぞ。
843 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/29(日) 09:08:52.22 ID:d9doKakIo
先ほどの瑠璃の申し出について聞いてみる
844 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 10:25:01.96 ID:pFYHrz7EO
座布団の上に座り、お茶請けのせんべいを齧る。甘辛い味付けが口に合った。
「さっきのことについて訊きたいんだが」
単刀直入に話を切り出す。今回は世間話に興じるつもりはないのだ。
「瑠璃さんはさっき、俺に相手してほしいと言っていた。でもその直前には夜のお勤めは許されていない…とも言っていた。どういうことなんだ?」
「…ああ、そういう話か」
目を細めたお雪ははあ、と臓腑の息を吐き出す。
溜め息を吐くと幸せが逃げるらしいが、そこんとこどう思っているのだろうか。
「それはお互い様だよ。お前さんだって溜め息は吐くだろうに」
それを言われると弱い。リヒトは目を逸らし、話題を戻して誤魔化しに入った。
「…彼女は奴隷階級の子でね。数日前までは、違法な店で働かされていたんだよ。違法薬物や異常行為を強要された彼女は、桜花衆の尽力もあって身柄を保護されたわけだけど…。店でどんな扱いをされていたのかは、ご想像にお任せするよ。…ただ、心を壊すには充分すぎる仕打ちを受けたことは、念頭に入れておくれ」
無言で頷き、続きを促す。お雪も首肯で返し、話を続けた。
845 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 10:25:57.73 ID:pFYHrz7EO
「桜花衆に救出された瑠璃の処遇についてだが、数度の会議を経て牡丹雪で預かることに決まったんだよ。…あくまで引き取りだから、彼女は未だに奴隷としての身分を捨てれていないがね。それは、彼女を心から愛し、守ってくれる殿方の務めさ。わしの役目ではない」
「引き取った理由は?」
「ここに勤めている間は傷ついた心身の療養に充ててもらいたいのさ。だから、夜のお勤めは禁止しているんだ。…実のところ、瑠璃には見習い期間中のみの措置とは伝えているが彼女が務めを果たす日は来ないよ。たとえ彼女が、殿方と床を同じくするのを望んでいるのだとしても、ね」
「じゃあ、あの申し出は断るべきだな。それを馬鹿正直に言ったらダメかもしれんが」
「そうしてもらえるとありがたい。…が、拒絶し続けてどうなるかは未知数。適度に会話して、お前さんからも瑠璃を気にしてあげてくれると助かるよ」
「俺が?逆にトラウマを刺激したりしないか?」
「彼女が夜伽を頼み込むのは、それしか自身に価値がないと思っているから。それさえできなければ切り捨てられると怯えているからだ。…逆に言えば、身体を重ねている間は自分には生きている価値があると認められ、安心を得られるということでもある。お前さんが乱暴しなければ、大丈夫だと信じているけどね」
人の心は分からないから確証はない、とお雪は悲しげに溢す。
艶やかに咲く桜に照らされる緋桜郷。
強い光が深い影を落とすように、緋桜郷にもまた、深い闇が蠢いている。
皆が笑う陰では泣く人もおり、絶望に心身を苛む人がいるのだと実感する。
奇しくもそれは、過去の自分(勇者と幽者の関係)と似ていた。
846 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 10:26:54.11 ID:pFYHrz7EO
お雪と何をするかを↓1にどうぞ。
これで今回の交流は終わりとなります。
847 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 10:32:43.70 ID:pFYHrz7EO
一部訂正します。
「桜花衆に救出された瑠璃の処遇についてだが、数度の会議を経て牡丹雪で預かることに決まったんだよ。…あくまで引き取りだから、彼女は未だに奴隷としての身分を捨てれていないがね。それは、彼女を心から愛し、守ってくれる殿方の務めさ。わしの役目ではない」
「引き取った理由は?」
「ここに勤めている間は傷ついた心身の療養に充ててもらいたいのさ。だから、夜のお勤めは禁止しているんだ。…実のところ、瑠璃には見習い期間中のみの措置とは伝えているが彼女が務めを果たす日は来ないよ。たとえ彼女が、殿方と床を同じくするのを望んでいるのだとしても、ね」
「じゃあ、あの申し出は断るべきだな。それを馬鹿正直に言ったらダメかもしれんが」
「そうしてもらえるとありがたい。…が、拒絶し続けてどうなるかは未知数。適度に会話して、お前さんからも瑠璃を気にしてあげてくれると助かるよ」
「俺が?逆にトラウマを刺激したりしないか?」
「彼女が夜伽を頼み込むのは、それしか自身に価値がないと思っているから。それさえできなければ切り捨てられると怯えているからだ。…逆に言えば、身体を重ねている間は自分には生きている価値があると認められ、安心を得られるということでもある。それに、客相手にするのとお前さん相手にするのでは勝手が違うんだよ。普通の客は遊女の心境など知ったこっちゃないが、お前さんは瑠璃のことを今知った。つまり、彼女を慮った言葉を投げかけられるわけだ」
それで解決するかは分からないけれど、とお雪は悲しげに溢す。
艶やかに咲く桜に照らされる緋桜郷。
強い光が深い影を落とすように、緋桜郷にもまた、深い闇が蠢いている。
皆が笑う陰では泣く人もおり、絶望に心身を苛む人がいるのだと実感する。
奇しくもそれは、過去の自分(勇者と幽者の関係)と似ていた。
848 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/29(日) 13:13:53.31 ID:551tRLirO
改めて諸々の礼を言う
849 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 14:50:15.87 ID:pFYHrz7EO
バリボリと皿に乗っていたせんべいを食べ終える。
わしのお気に入りが…というお雪の小さな嘆きが聞こえた気がするが気のせいだと思われる。
面と面で向かい合う機会はこれからもあるだろう。お互いに息災ならば、きっと。
だが、それでも。言葉にしなければならない、と気を引き締め、口を開く。
「貴女には感謝している。緋桜郷のことなど右も左も解らない俺たちを、文句一つ言わずに迎え入れてくれて。本当に助かった。ありがとうございます」
万感の想いを込めた言葉をぶつけ、頭を下げる。
彼女には、牡丹雪には世話になりっぱなしだ。
寝床を用意してくれて。食事も作ってくれて。
ともすれば、ヒモ扱いされているのではないかと懸念を抱いたことも二度や三度ではない。
実際そうじゃろと言われたらぐうの音も出ないが、とにかく色々と便宜を計ってもらった。
対するお雪の反応は。
「いや、そんな今生の別れみたいな言い方されてもね。まだここには滞在するんだろう?」
微妙だった。
850 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 14:51:29.51 ID:pFYHrz7EO
「…確かに、まだしばらくは滞在するとは思う。だが、こんなご時世だ。いつどこで誰がどう死ぬか分からない。感謝の言葉ってのは後回しにするほど言いにくくなるし、その時お互いに生きてる保証も無い」
あの時言っておけば良かった。そう後悔しないために。
あの時言っておけば良かった。そう後悔してきたから。
だから、敢えてこのタイミングで伝えたのだ。
何も言えず終わるよりは、ずっとずっとマシだから。
聖女にも。大賢者にも。感謝の言葉は伝えず終いだった。
思いがけない事態に陥り、永遠の別れとなってしまった。
言いたいことがたくさん合ったのに、と思えど、時は既に遅く。
人は簡単に死ぬ。散々思い知らされた事実だ。
怪我をすれば死ぬ。病気に罹れば死ぬ。呪いをかけられたら死ぬ。事故に遭ったら死ぬ。
明日、目が覚めた時にお雪がいない可能性は、決してゼロではないのだ。
リヒトがこの世を去っている可能性もまた同様に。
全ては奇跡の上に成り立っている。
この出逢いも。この日常も。全て。数えきれない奇跡が積み重なり、形になったものだ。
その奇跡が残っているうちに、できることはしておきたかった。
「今まで後悔し続けた。ああすればよかったと何度も悔やんだ。だから、こんなタイミングではあるが、感謝の言葉を述べさせていただいた。…同じ思いをするのは嫌だからな」
縁起でもない、というのも解る。
突然結婚すると言ったり、君と出逢えて良かったと言い出したら、その後は決まって不幸に見舞われるものだ。
今リヒトが告げた言葉もその例に漏れず、何故か不幸を呼び寄せてしまう。
だが。
「俺はまだ死ねない理由が山ほどある。だから絶対に死なないよ。何年後だって、何十年後だってまた、ここの温泉に入りに来るさ。絶対にな」
命を懸けて聖女が与えてくれた祝福(呪い)。
死に際に大賢者が遺してくれた願い(責任)。
戦いの最中で受け取り奪い背負った命(十字架)。
それがある限り、勇者(幽者)は決して死なない(死ねない)のだ。
851 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 14:52:05.62 ID:pFYHrz7EO
何をするかを↓1にどうぞ。今回の行動は朝になってます。
852 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/29(日) 15:02:06.25 ID:rd0UjtJz0
緋桜郷の繁栄を神に祈る
853 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/29(日) 15:02:33.19 ID:rd0UjtJz0
緋桜郷の繁栄を神に祈る
854 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 16:54:31.11 ID:pFYHrz7EO
新しい朝が来た。活気に溢れる希望の朝だ。
そんな朝にやることいったら一つしかない。
「………」
神様へのお祈りである。
天にまします我らが神よ、どうか緋桜郷に更なる繁栄と安寧が在らんことを。
幽者の曇りなき黙祷は神に捧げられ、神々のご加護を齎すだろう。
それはそれとして、こんな眼を持って産まれさせた神に怨念と憎悪の籠った怨嗟をついでに呪詛として振り撒く。
紅眼を授かったが故に勇者と成ったが、人並みの幸せと愛を受け取れるのならば、こんな力は要らなかった。
この眼が碧眼だったなら。家族に愛されブラウダ家で平和に暮らせていたのに。
勇者を経て幽者と成る。その過程で救われた命がある。金銀財宝にも勝る尊い出逢いがある。
だが、それでも。それらを全て手放すとしても、家族にだけは愛されたかった。
もう家族ではなくなった人たちへの微かな郷愁と共に、リヒトは中指を立てる。
「何が神様だふざけやがって。お前のせいで俺の人生めちゃくちゃだクソがよお!!!!!!」
信仰する神がいない故に為せる蛮行。
狂信者が見たら発狂死ののちに袋叩き待ったなしの無礼を働き、神様の馬鹿野郎!!!!と無言の抗議をここではないどこかへ行った。
855 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 16:55:18.50 ID:pFYHrz7EO
何をするかを↓1にどうぞ。
856 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/29(日) 17:22:57.19 ID:d9doKakIo
昨晩遅くに夜食の用意や血染め衣類の洗濯等の迷惑をかけたことについて、リンと雫に感謝と謝罪を伝えて菓子折りを贈る
>>855
のコンマが偶数なら従業員と交流できるって認識で合ってる?ダメなら安価下でお願いします
857 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/29(日) 17:25:12.61 ID:pFYHrz7EO
>>856
、その認識で合っております。
続きは夜からの予定です。
858 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/29(日) 17:26:52.42 ID:L6NPwdDQo
たんおつー
859 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/30(月) 02:03:03.47 ID:KAh7ARmFO
さて、そんなこんなでお祈りを済ませたリヒトは、七番街で買い物をして牡丹雪に戻ってきていた。
子供向けのあまーいスイーツから大人向けのビターなスイーツまで、とりあえず買えるだけ買ってきたのだ。
理由は単純明快。先日のひと騒動で迷惑を掛けてしまった人たちにこれから詫びを入れるのだが、どんなお菓子が好きなのか分からないからだ。
どれが好きか分からないならたくさんお菓子を買って好きなものを選ばせればいいじゃない、と万人が恐れ慄き首を垂れること必至の妙案を思いついてしまった自分の聡明な頭脳が恐ろしい。
今更ではあるが牡丹雪は八階建ての旅館であり、構造は以下のようになっている。
一階は受付兼浴場兼休憩室。
ここには簡素な売店も設置されてるので、お菓子や牛乳を飲みながら休憩室で談笑することもできる。
二階は宿泊客用の食事処。
全席個室仕様であり、家族で仲良く食事をしたり、本人の同意があれば遊女と食事をできたりする。
もちろん費用は全額客持ちである。
三、四階は宿泊層。
各階に客室は五つずつと少ないが、そもそも牡丹雪は高級店なのでそこまで客を取るつもりはなく、現状でも充分採算は取れているらしい。
遊女の接待もここで行われるので、防音処理は完璧らしい。
一度チャカに遠吠えさせてみたが、外の人には何も聞こえなかった。
五、六階は従業員用の階層。
五階は新人や子供用の部屋であり個室は無い。数人程度で共同生活をさせているのだとか。
六階は結衣乃や霧香ら遊女、そしてリンや静音といったベテランの部屋であり、全員個室が与えられている。
従業員も増減するので、必要な時は部屋の間取りを変えたりして対応している。
七階はリヒトが現在宿泊している客人用の階層。
桜花衆の賓客や他国の使節など特定の人物にのみ滞在を許される専用の客室である。
八階はお雪用の客層。
お雪の私室や物置き、書庫や会議室などが設置されており、有事の際にはここで会議をする時もある。
860 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/30(月) 02:03:38.24 ID:KAh7ARmFO
閑話休題。
大量の荷物を抱えて、リヒトは五階の子供部屋を訪ねていた。
どうやら来客の対応も落ち着いたようで、チャカを抱っこした雫が中から出てきた。
「ど、どうしたんですかその荷物!?」
目をぱちくりさせながら驚愕する雫に、先日の件で謝罪しに来たと告げる。
取り繕う必要も畏まる必要もないので率直な物言いになってしまったがまあ別にいいだろう。
「夜も遅かったのに血だらけの服を洗わせてすまなかった」
「え…あ、ああ〜!そのことだったんですね!私は全然気にしてないので大丈夫ですよ!」
何故訪問されたのか。その理由を知った雫は強張った表情を氷解させ、明るい笑顔を見せる。
「それよりも、本当に怪我はありませんか?リヒトさんが対応した魔物は、桜花衆のベテランさんでも危険だと耳にしましたが…」
「それは平気だ。一発も喰らわなかったし、だいたいの傷は一日寝たら治る程度にはタフだからね」
聖女様の祝福のおかげでな、と胸中で呟く。
彼女が死んでからは一度も重傷を負っていないが、矢が数本刺さる程度なら数時間で治癒したので相当にえげつない祝福が掛けられているのだと思われる。
ほえー、と感嘆の言葉を漏らす雫の胸元で、チャカがおやつを催促する。
酒のつまみに購入していたナッツ類を齧らせると、嬉しそうに一鳴きした。
861 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/30(月) 02:04:32.58 ID:KAh7ARmFO
続いてリヒトが足を運んだのは六階にあるリンの私室。
一応雫に部屋を訪ねて問題ないか訊いたので大丈夫なはずだが、もしセクハラだと怒られたら土下座しよう。
覚悟を決めたリヒトは、小さく深呼吸してドアをノックする。
しばらく待っても返事はない。
「留守かな…?」
もしかしたら、まだ厨房で料理の仕込みや食器洗いをしているのかもしれない。
入れ違いになっては困るので謝罪の言葉を認めた手紙と菓子折りを部屋の前に置き、厨房へ向かう。
しかし。
「リン?昼ごはんの準備も全部済ませたから夕方まで休憩に入ってるよ。あの人は基本、自室でゆっくりしてるはずだけどね」
とお雪が返答するだけで、リンの姿はどこにもなかった。
気になって部屋に戻ると、置いてあったはずの荷物が無い。
代わりに。
「…ありがとう」
『料理くらいいくらでも作ってあげるから、生きて帰ってきなさいな』とだけ書かれた、リン直筆と思われる紙が、飴玉と一緒に置かれていた。
飴玉はとても甘くて、ほんの少ししょっぱかった。
862 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/30(月) 02:07:37.87 ID:KAh7ARmFO
何をするかを↓1にどうぞ。ウィンディは図書館に勉強しに行ったため交流不可です。
ハリゴーディンとチャカは牡丹雪でお留守番中です。
それ以外は
>>724
のルールで交流の可否が決まりますが、新人の瑠璃と用心棒の桔梗のみ、無条件で交流可能です。
863 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/30(月) 02:08:10.95 ID:KAh7ARmFO
それと今日の更新は終わりです。
864 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/30(月) 02:23:24.57 ID:ch90n1h1o
乙
勇者の本の続き読む
865 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/30(月) 04:17:24.13 ID:JN/x10kuo
乙
866 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/31(火) 01:36:04.03 ID:R3USPI2tO
undefined
867 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/31(火) 01:36:40.77 ID:R3USPI2tO
『剣を持たない勇者』
勇者とは何か。この問いにあなたはどう答えますか。
誰よりも強い者?勇気を持って悪に立ち向かう者?
どんな答えを出すかは人それぞれでしょう。私はそれにとやかく言うつもりはありませんし、言える立場じゃありませんからね。
私はこう思います。
平和のために戦う者、と。
殺し合うだけが戦いではないのです。言葉を交わし対話を試みる。心を通わせることもまた、立派な戦いなのです。
私がこれより紹介する勇者の名は『トレボール・ヴェルヌ』。
人類史上最弱と呼ばれる、奇跡を起こした勇者です。
彼が生まれたのは遠い地イザリアの某国。戦乱に呻く惨劇の時代に生を受けました。
中流階級に生まれた彼は、戦争真っ只中の自国を、そして敵国を憂い、平和の道を模索します。
一番手っ取り早いのは敵を全て、綺麗さっぱり滅ぼすことです。敵がいなくなれば平和になりますからね。
だがしかし、彼はとにかく弱かった。武器の腕はへたっぴで痛いことが大っ嫌い。
喧嘩になったらすぐ謝り事を治める、軟弱者と謗られるような人でした。
力など持たない彼にその選択肢はなく、そもそも彼の人間性もあり、徹底抗戦を選ぶつもりはなかったでしょう。
そんな彼は考えました。何故敵国と争うのかを。その原因とは何か。何のために争うのか。
それを知るために、国中を駆け回りました。
原因については割愛しますが、ほんの些細な誤解から、お互いがすれ違ってしまった…とだけ言っておきましょう。
868 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/31(火) 01:37:19.80 ID:R3USPI2tO
激化する戦争の中で、トレボールもまた、戦い続けました。
貴族と激論を繰り広げ、民衆を先導し、魔王に直談判さえしてしまいます。
その果てに、戦争が終わりました。
対話を経てお互いを理解し、尊重し合う未来が訪れたのです。
戦争が終わるその瞬間まで、トレボールは一度たりとも剣を取ることはありませんでした。
前人未到の偉業を成し遂げたトレボールの功績はイザリア中に語り継がれ、伝説となりました。
故に、人は畏敬を込めてこう呼ぶのです。
奇跡を齎した者。人魔の架け橋。希望に満ちた未来の象徴たる英雄トレボール・ヴェルヌのことを。
『剣を持たない勇者』と。
著:不死鬼 八犬
《これが世界各地の勇者だ!》より抜粋
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
869 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/31(火) 01:38:03.06 ID:R3USPI2tO
史上最弱の勇者の記録を読み終えたリヒトは本を閉じて瞑目する。
素晴らしい。なんとも感動的な話だ。と、万人が喝采を以って讃えるであろう功績。
だが、そんなものは。
「…俺には眩しすぎるよ」
手を汚して、穢してきた自分にはあまりにも眩しい。
戦うことしか知らなかった。戦うことしかできなかった。
戦い漬けの日々を送っていた自分には永遠に成し遂げることのできない奇跡。
そんなものを見せられても、そうですかすごいですねえらいえらい!としか返せないのだ。
いつ死ぬか分からないこの世界。戦う力があるのと無いのでは、ある方が良いのは確かだ。
だが。
「…一度手を汚してしまえば、もう戻れない。そういう意味では、彼は幸せ者だよ」
数えきれない数の命を奪ってしまった。
戦友との死別を何度も経験してしまった。
その結果、命の価値が曖昧になってしまった。
無論、救える命があるなら救うに越したことはない。
だが、手にかける選択肢があまりに身近なのもまた事実。
それ故に、とりあえず殺しときゃ解決するっしょ、と物騒な選択肢が第一候補に入ってしまう。
そして何より、命の優先度を勘案した際に、自分の命が一番安いと理解してしまった。
奪うことしかできない自分より価値のない人がいるはずはないと。
諦念にも似た確信を抱いたリヒトが、自身を愛せないのは道理と言えよう。
故に、愛を求めるのだ。自分で自分を愛することができないから、他人にそれを求めている。
そんな救えない人間が自分なのだと、幽者は嗤った。
870 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/31(火) 01:39:31.29 ID:R3USPI2tO
何をするかを↓1にどうぞ。現在は夕方の行動となります。ウィンディは戻ってきました。
牡丹雪のメンツは依然変わりなく
>>724
のルールで交流の可否が決まりますが、新人の瑠璃と用心棒の桔梗のみ、無条件で交流可能です。
871 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/31(火) 01:45:13.21 ID:Jnt9IT4mo
ドクロサムライ討伐
リヒトくんはもっと感謝されるべきだよ…
872 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/31(火) 02:01:15.54 ID:R3USPI2tO
リヒトくんがこんなことになった原因は戦争とか王様への失望とか聖女死亡とか色々ありますが、根本的には幼少期にひどい目に遭ったからです。
つまり紅眼に産んだ神様が悪い。
873 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/31(火) 02:48:23.93 ID:R3USPI2tO
光と闇。相反する存在であるこの二つはすこぶる相性が悪い。
不浄を祓う浄化の光。
清浄を穢す汚染の闇。
悪を滅する粛正の光。
正義を腐敗させる堕落の闇。
故に、闇は光を畏れ、光は闇を拒む。
相反し、相克する光闇は決して相容れることなく、反発しあう。
つまり、リヒトが扱う光魔法は闇に汚染された不死種の天敵であり、闇と親しい魔族の天敵でもあった。
リヒトがメリちゃん最かわ教相手に戦争終結まで立ち回れたのは光魔法のおかげと言っても過言ではなく、今の本人の人間性はともかくとして、勇者に向いている存在であったことは確かだ。
だが、リヒトは弾けた。世界に絶望した幽者は存在するはずのない、冥光という異端なる光に触れ、自身の力と変えた。
光と冥光。光と闇の関係と似ているようで、その関係性は全く違う。
堕落しようとも光であることは不変であり、しかし、幽者が心に影を落とした時のみ漏出する絶望と憎悪の残滓。
冥光が強まることは即ち、未来の否定と同意義である。
だが、それでも。どこまで堕ちようとも、光と冥光は幽者の傍に在り続ける。
世界に絶望し堕ちてもなお、人のために在ろうとする。
冥光はそんな幽者を表しているのかもしれない。
874 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/31(火) 02:49:08.04 ID:R3USPI2tO
さて、夕暮れ時の緋桜郷を発ったリヒトが向かうのは、ドクロサムライが出没するとされる荒れ地である。
理由は一つ。ドクロサムライ討伐の依頼を受けたからであり、未練や怨讐その他諸々に縛られ現世に留まっている哀れな将軍をけちょんけちょんにして天国へ送ってやろう、という気遣いだ。
ドクロサムライは成仏できてハッピー。
桜花衆も問題が一つ解決してハッピー。
キャラバン隊も安心して物資輸送ができてハッピー。
リヒトも懐が潤ってハッピー。
その事実に気づいたリヒトが意気揚々と依頼を引き受けるに至った。
Win-Win-Win-Winの誰も不幸にならない最高の善行だと、本人は公言して憚らない。
それができるのは無駄に腕が立って光魔法を使えるお前だけだと嵐月に褒められた。くるしゅうない。
枯れ草がまばらに生え、独特な形をした大岩がそこかしこから屹立した荒れ地を全力疾走で行くこと数分。
真っ二つに割れた岩の上に、奴がいた。
「−−−−♪」
声帯が無いのに無理矢理声を出しているからなのか。
それとも魂が擦り切れて人語すら話せなくなったのか。
雑音にしか聞こえない歌を歌い、琵琶を鳴らす骸骨の姿がそこにあった。
875 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/31(火) 02:49:43.53 ID:R3USPI2tO
坐禅を組んだ骸骨の全長は約2.5m。
全身に着込んだ甲冑は激闘に次ぐ激闘と風化によってボロボロであり、兜に至っては角が全て根本から折れている始末である。
六本ある腕のうち二本で琵琶を掻き鳴らし、残りの四本は刃毀れした刀を握りしめている。
そして、両脇には同じ刀が二本地面に突き刺さっており、昏い魔力を纏っていた。
なるほど、これはこれは。
怨念と憎悪の入り混じった不気味な力を感じ取り、幽者はニヤリと笑う。
期待以上の実力を持っていそうだ。アークミノタウロスでリハビリしておいて正解だった。
幽者は虚空より聖剣を取り出し、光魔法を行使。数本の光剣を自身の周りに生成し、狙いを定めた。
「−−−−!!!」
こちらの殺気に当てられたのかピタリ、と演奏を辞めたドクロサムライは、琵琶を投げ捨てて乱暴に剣を引き抜く。
戦う時を待ち侘びていたのだろうか。ドクロサムライは全身を震わせ、顎をガタガタ言わせている。
「…ザ…ジョ…ニ…!!!」
声と認識するのも難しい呻きを上げながら、得物を構える。
対する幽者も、聖剣と光剣を構えた。
郷に入っては郷に従えということで、嵐月より教えてもらった決闘の合図となる言葉を諳んじる。
「いざ、尋常に」
「−−−−!!」
幽者の言葉に応えるように、ドクロサムライの魔力が練り上げられ、紫色の火の玉が生み出された。
876 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/31(火) 02:52:15.10 ID:R3USPI2tO
VSドクロサムライ 判定↓1コンマ
01〜05:死亡判定入りまーす
06〜15:リヒト負傷
16〜35:膠着状態
36〜80:優勢
81〜99:来た見た勝った
00:???
877 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/31(火) 02:58:13.53 ID:vG8rqcB7O
あ
878 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/01/31(火) 03:03:07.24 ID:R3USPI2tO
本日はこれで終わりです。
879 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/31(火) 12:27:16.18 ID:vHuIiX5io
乙
880 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/02/02(木) 22:15:14.28 ID:FTlxw+qOO
さて、今日に至るまで放置されていた、緋桜郷では子供向け絵本に妖怪として登場するドクロサムライはいったいなんなのか。
有り体に言ってしまえば、骸骨兵、一般的にスケルトンと呼ばれる魔物の一種だと学者たちは推測している。
スケルトンはゾンビと並んで不死種の看板を務める二台巨頭だ。
世界各地どこにでもわんさかと湧き、定期的に神父や修道女がげっそりしながら葬送している、誰もが知っている魔物である。
そんなスケルトンとドクロサムライは姿形こそ違えど、共通点が存在している。
血肉が腐り果て骨だけとなった身体。
風雨に晒され劣化し摩耗した装備の数々。
しかし、明確に違う点が一つある。
スケルトンは先述した通り、世界中どこにでも大量に発生する。
だが、ドクロサムライは現在まで放置されている個体以外観測されていない。
つまり、新たに発生したドクロサムライは未だ存在しないのだ。
スケルトン自体様々な亜種が存在するカテゴリーだが、ドクロサムライのようにたった一体しか発生しない、というケースは滅多にない。
ただのスケルトンが夢半ばに散った将軍らの無念を取り込み進化したのか。
それとも、将軍らの魂が成仏できず、ドクロサムライという形で不死種となってしまったのか。
サンプルが一つしかないので、結論が出ていないのが現状である。
だがしかし、先程挙げた共通点からドクロサムライはスケルトンの一種と見做しているし、単体の戦闘力は明らかに格上である。
よって、学者たちはドクロサムライのことを特殊個体(エクストラ)と呼称している。
特殊個体とは、ごく稀に発生する通常種とは別格の戦闘力を持つ個体のことであり、皆一様に、通常種とは隔絶した容姿を持つ。
突然変異だったり度重なる生存競争を経ての自己進化だったりと要因は様々だが、いずれも通常種とは段違いに強いので、観測された時点で周辺地域に緊急通達が出る。
そして、人類に明確な損害を発生させると判断された場合は即座に討伐依頼が発令されるのだ。
確実に討伐できる場合のみ、ではあるが。
881 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/02/02(木) 22:16:01.53 ID:OgZtLCiBO
そんな怨念に囚われて近寄るもの全てぶった斬るマンと化した激強スケルトンことドクロサムライは現在、最盛期の輝きを取り戻した幽者と死闘を演じていた。
止むことのない剣戟の音と爆発音が、その熾烈さを物語る。
怨嗟の紫炎が火閃となり幽者に迫る。
幽者も光閃を放ち対抗する。
二種の閃光がぶつかり合い、衝撃が周囲を破壊する。
一瞬の拮抗ののちに、白き光が打ち克った。
暴力を内包した光閃が亡者に襲う。
どこにそんな俊敏さがあったのか。軌道を見切った亡者は攻撃を躱し、幽者に接近する。
六本の腕を巧みに操り、疾風の如き猛攻を放つドクロサムライ。
三対の腕による手数で反撃を許さず、巨躯が生み出す破壊力で無数の屍の山を築いてきた。
今回もそうなるはずだったのだが。
「−−−−!?」
六本の腕を以ってしても、手数で負けていた。
たった一人の人間にその全てを見切られ、往なされていた。
その原因は今、身をもって知らされている。
光魔法が肉体を加速させ、猛攻に対抗し得る速度を引き出す。
幽者の乱舞に連動するように舞う光剣は、幽者と流麗な輪舞曲(ワルツ)を踊る。
正確無比にして無慈悲な攻撃は、その全てに即死級の威力が込められている。
その技に憐憫や同情といった感情はなく、ただただ冷たい漆黒の意志だけが存在している。
手数の多さという一つの大きなアドバンテージを完全に覆され、六つ腕の亡者は劣勢に立たされる。
それでも。胸に燃ゆる復讐の灯火だけは消してはならぬと、貴様を殺しその魂を焚べると、執念にも似た強い意志で抗う。
地平線に太陽が沈み、夜が目覚める直前。
激戦の余波で崩壊しかけている荒れ地にて剣を交える二人の戦士。
交錯する光芒。鳴り響く剣戟。その音が、光が全て消えた時。
どちらが立っているのか。それはきっと、すぐに分かる。
882 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/02/02(木) 22:16:58.53 ID:rT6JPg8GO
VSドクロサムライ 判定↓1コンマ
01〜05:死亡判定入りまーす
06〜15:リヒト負傷
16〜35:膠着状態
36〜99:なんで負けたか明日まで考えといてください
00:???
883 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/02/02(木) 22:27:05.98 ID:Rvob4ciVO
そろそろ00
884 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/02/02(木) 22:48:43.78 ID:VV1HjrApo
これは勇者
885 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/02/02(木) 23:01:17.40 ID:whAqng8xO
この人失うものがない時だけ強いな。というわけで終わりです。
ある判定だけ↓1コンマでしておきます。
01〜50:なし
51〜66:R
67〜82:F
83〜98:G
99、00:???
886 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/02/02(木) 23:02:20.82 ID:VV1HjrApo
なんか来い
887 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/02/02(木) 23:12:13.75 ID:fZjJ+ob8O
おつ。ドロップ判定かな?Rで雷鳴の剣とか
888 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/02/02(木) 23:24:39.13 ID:avaL6KmGO
謎の人物によりフェルリティアが崩壊しました。大量の避難民(人口の二割)がイルステッド中に発生します。
というわけで、特殊なイベントも今後発生します。シルヴィア関係のイベントになります。
シルヴィアの遺児 判定↓1コンマ
01〜40:一人
41〜70:二人
71〜90:三人
91〜00:四人
889 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/02/02(木) 23:28:36.19 ID:fZjJ+ob8O
多く。
890 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/02/02(木) 23:29:09.77 ID:5rTdGc5d0
はい
891 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/02/02(木) 23:36:40.27 ID:aBnb8rM4o
レムカーナ、フェルリティア、ゴルギュリオかな
シルヴィアの遺児はあのホムンクルスやろか
892 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/02/02(木) 23:39:57.48 ID:DAQFo4w9O
シルヴィアの遺児は彼女が手塩にかけて育てた魔法使いのことになります。
血縁関係はありません。「今まで散々嬲られてきたが、性根の腐った下郎の子など死んでも産みたくないよ」とシルヴィアが言ってます。
シルヴィアの遺児を一人募集します。学生くらいの年齢でお願いします(長命種の場合は、その種族にとって学生になってるくらいの年齢で。必要に応じて調整します)。
また、巡り合う方法については来たキャラ安価からこちらが一人選び、そのキャラの設定からこちらで決めるため、来歴などはシルヴィア失踪まででお願いします。
フェルリティア崩壊後の動向は記載しないでいただくと助かります。それでは今度こそ終わりです。
質問等あれば明日の昼とかに回答できればしたいと思います。
893 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/02/02(木) 23:41:45.08 ID:kCbt9A/kO
>>891
、フェルリティアで出会ったホムンクルスについては、シルヴィアの想定外とだけ言っておきます。
何度か交流すれば(運良くできれば)情報を開示する予定です。
894 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/02/02(木) 23:54:29.67 ID:aBnb8rM4o
わお、フェルリティア崩壊したんならまたどこかで会えそうね
更新乙でした
895 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2023/02/03(金) 01:28:52.64 ID:C6zo/0Sh0
【名前】トリチェ=アースラグランジュ
【人種】ヴァンパイア
【性別】♀
【魔法】眠り魔法
金のツインテールに赤い瞳のロリっこ。腰から小さな蝙蝠の羽が生えている。
面白い事、興味ある事をとことんまで追求するために何でもする+したいというかなり逞しい性格
ナチュラル見下しな言動が多いが本人的にはそんな気はない
実家はそこそこ良家で当然ソリが合わず、最後は当主お気に入りの血袋(人間)を逃がした咎で追い出される
シルヴィアに拾われるまでは泥水啜ってきた(直喩)ので血は吸えるときに限界まで吸うタイプ
魔力、智力は並以下だが有り余る想像力をシルヴィア見抜かれ弟子になる
眠り魔法は対象を眠らせ無力化するもの。始めは見つめ合って30分後……というクソザコ具合だったがシルヴィアの指導により相手によるが10秒見るだけで昏倒させることが可能になっている
896 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/02/03(金) 22:38:05.81 ID:FwJpWqt2O
【名前】シオン・アダマン
【人種】人間
【性別】男
【魔法】錬成魔法
14歳。肩のあたりで切り揃えた青い髪。小柄で華奢な体格。実年齢より幼く見える少女的な顔立ち。
彼の使う錬成魔法とは既存の物質を分解・再構築する(ぶっちゃけハガレ○の錬金術のような)魔法で、この魔法で聖剣でも断ち切れないような合金を作り上げ自分の名前をつけることを夢みている。
普段は臆病ながらも知的好奇心が旺盛で柔軟な発想の持ち主。研究以外には割りと無頓着。
武門の家に生まれたが、戦いに向いてない気質であると判断され勘当された後、一時期町で腐った残飯を魔法で食べられる状態にして食いつないでいたところをシルヴィアに拾われた。
その後、シルヴィアの指導により様々な知識の習得や魔法を熟達させ、シルヴィアに対して恩師として尊敬するとともにほのかな恋心を抱く。
しかし失踪の際に置いていかれたことに複雑な感情を抱いている。
なお、勘当されているため普段は家名を名乗らない。
897 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2023/02/04(土) 09:13:50.14 ID:fJrREgx0O
今日か明日更新予定なのでそれまでが募集と質問回答の期間になります。
898 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/02/04(土) 13:34:40.59 ID:l8vooxKU0
【名前】アスラン・コルズ
【人種】人間
【性別】男
【魔法】模倣魔法(相手の魔法をコピーする魔法)
赤髪短髪。背が低い。13歳の少年。性格は面倒くさがりだがやる時はしっかりやる性格。「面倒くさい」が口癖。模倣魔法は相手の魔法をコピーする魔法でもあって珍しくなおかつ難しかった為、上手く出来なかったがシルヴィアの指導のおかげで使えるようになり、今ではみた魔法はコピー出来るようになった。彼が赤ん坊の時に森に捨てられた時にシルヴィアに拾われ育ててくれた(名前もそこに記されていた)のでシルヴィアの事は、母親のような存在でもあり師匠でもある。シルヴィア失踪の際は、また捨てられたと不安があるけど1人で頑張っている。
899 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/02/04(土) 16:39:09.73 ID:x5DIFxiL0
【名前】ユーマ・スティングス
【人種】人間
【性別】男
【魔法】虫魔法
年齢12歳、灰色の髪で黒いローブを着た男の子。前髪は長く片目が隠れている。
元々両親がおらず孤児院に拾われて育ったが彼の虫を操るという魔法の特性上、他の子供達からは気持ち悪いと蔑まれ陰湿ないじめを受けるようになる。
そんな生活に耐えかねて孤児院を抜け出すが、今度は珍しい属性の魔法を使う者たちを捕獲して売りさばく奴隷商に捕まってしまい人生に絶望していた所、噂を聞きつけてやってきたシルヴィアによって買われるという形で救われた。
彼にとってシルヴィアは自分の魔法をすごいと言ってくれた唯一の人であり、師匠として、そして一人の女性として憧れを抱いていた。
シルヴィアが失踪した際は何も言わずに去ってしまったため当初は悲しんだが、一方で彼女を快く思わない者たちがいた事も察しており、もし失踪理由が自分の予想通りだとしたら弟子の自分が彼女に変わって復讐を成し遂げるべきだと考えている。
上述のような境遇で育った為、無口でなかなか人を信用しない性格だが、根は心優しい少年である。
900 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/02/04(土) 22:48:10.39 ID:WY/Yfcygo
質問
光魔法と闇魔法は相反する性質があって他よりも希少とのことですが、他の属性にもそういった特殊な相性があったりしますか?
また、魔法体系や属性体系のようなものがあれば、開示できる範囲で良いので知りたいです
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