【安価スレ】堕ち行く光

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501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/09/27(火) 23:39:30.07 ID:VX1ycvN9O
A
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/09/28(水) 00:17:13.96 ID:SCWwvQJDo
A
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/09/28(水) 00:39:12.54 ID:lZYV5g3Z0
B
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/09/28(水) 04:24:54.49 ID:yYorUzkUO
B
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/09/28(水) 14:57:47.00 ID:giEq7Y3LO
「とは言われましても。こんな住民が去って五十年後…みたいな場所を発展させようが無い気がします」

「ほんとすごいよな。俺がここに住み始めた時点でもそれなりに荒れてたんだが、今はその時の三倍くらい酷い有様だわ」

処理が追いつかず散乱したままの瓦礫は全て、雑草に呑み込まれてその姿を消した。
マナが手加減したのかリヒトの家や墓場はそのまま残っているが、整地を担当していたリヒトの心がポッキリ折れてしまうくらいに、とんでもないことになっている。

「これはもうあれだ。いっそこのまま植物とか生やしまくって売りにした方がいいな。それで自然が好きな人とかに移住してもらった方が無駄にならん」

「掃除が面倒なんですね」

「この量は無理。ただでさえ人員不足なんだからこんなことに人を割けないっての」

「私の魔法ならなんとか…なりませんねこれ」

試しに雑草を一歩引き抜いてみる。深く根が張られたそれは、ウィンディのパゥワーではとても抜けなかった。
リヒトは難なく抜いてみせたが、根に絡まった土ごと引き抜かれたものだから、大きな穴が出来てしまっている。
こんなのを全部引き抜いたら、地面は荒れ果てて大変なことになるだろう。

「というわけで、除草作業とかはしません!解りましたか皆さん!!!」

「了解です!!!!!」

『サーイエッサー』

ヤケクソじみた叫びが、鬱蒼と茂る森に響いた。
後日。『緑化させることでエルフなどの森林部を住居にする種族たちを誘致する作戦』という大義名分を得たマナが本気を出し、世界樹もかくやと言わんばかりの大自然が生まれた。
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/09/28(水) 14:59:01.12 ID:ske9RTuuO
何をするかを↓1にどうぞ。
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/09/28(水) 15:17:34.65 ID:DrEzzlNDo
(ドラゴン調伏はこれキツイっすね……)
ちょいちょい話題に出てる緋桜郷行こう
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/09/28(水) 18:39:27.88 ID:P9Fk9vv7O
緋桜郷までの道中イベント数は2です。
緋桜郷の支配者とお目付役兼世話役を募集します。こちらでも用意しているので、そちらを使う場合は付けたい名前を記載してください。
次回投稿をするまでを募集期間とします。その中から独断で決めます。


道中イベント 判定↓1コンマ


01〜15:魔物の群れが現れた!
16〜30:ならず者が現れた!
31〜70:何も起きなかった!
71〜85:行商人が現れた!
86〜99:何かが起きた!(自由枠)
00:???


【緋桜郷】

鬼の女性が統治する繁華街。賭場や風俗店、居酒屋や旅館が所狭しと並ぶ享楽の郷であり、娯楽を求めて訪れる人は多い。
誰だろうと平等に迎え入れるため様々な人種が居住しており、鬼が統治しているからなのか、魔族の比率が比較的大きい。
過去に支配を目論み戦争を仕掛けた国があったが、跡形もなく滅んでいる。


【支配者】

【名前】安価で決定します(和名限定)
【人種】鬼
【性別】女性
【魔法】血液魔法
緋桜郷を統治する鬼の女性。まだ鬼の中では若い部類に入るが、それでも100歳は超えている。
艶やかな着物に身を包んでおり、《名刀・血染メ桜》と呼ばれる太刀を所有する。
緋桜郷の発展に尽力しているが、仕事優先で彼氏が出来ないのが最近の悩み。


【お目付役兼世話役】

【名前】安価で決定します(和名限定)
【人種】鬼
【性別】女性
【魔法】氷魔法(忍術)
旅館『牡丹雪』で働く女将。結構歳は行っているのだが見た目は若々しく、子供にしか見えない。
支配者が産まれた時から面倒を見ていたためとても仲良しで、非番の日は様々なことで愚痴っている支配者を慰めながら酒を飲んでいる。
現在は若い人優先で仕事を回しているので出番は少なく、本人がお相手をすることはほとんど無い。
実は荒事に滅法強く、蛮行をやらかす不届き者は彼女によってゴミ捨て場に捨てられるのはある種の名物になっている。
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/09/28(水) 19:51:17.46 ID:SCWwvQJDo
>>1案で
名前は
支配者:彼岸花 紅華(ヒガンバナ ベニカ)
お目付役兼世話役:白樺 涼雪(シラカバ スズユキ)
510 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2022/09/29(木) 02:38:46.72 ID:dC+9jhan0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/09/29(木) 12:37:12.91 ID:UdnGsbRAo
支配者 桜花
世話役 お雪
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/09/29(木) 19:48:32.25 ID:WYvbUm2PO
あとは野となれ山となれ、と現在進行形で成長を続ける植物を無視し、拠点を発つ。
どうせマナがいなければ魔力供給はされないので成長は止まり、あるべき姿になるだろう。

「マナちゃんの魔法ってなんなんでしょうね」

「妖精の祝福を与えるんだと。自然と共に在る妖精の祝福ってことは、まあそういうことだよな」

生きているものに活力を与え、繁殖を促す魔法。豊かな自然の中で生きてきた彼女らに相応しい魔法である。
本人のやる気次第で性能が大きく上下するので、やる気じゃない時はお察しだが。

「そういえば、何も聴かないで拠点をまた出ましたけどどこに行く予定なんですか?」

「…緋桜郷」

『やーんエッチー』

リヒトの返答に、わざとらしくハリゴーディンが驚く。エッチとはなんだ失礼な。
そう抗議の意図を含めた視線を向けるが、黙殺される。なんとも腹立たしいものだ。
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/09/29(木) 19:49:24.16 ID:WYvbUm2PO
「え、えっち?」

『緋桜郷は風俗…いわゆる水商売が盛んな場所です。そこに行くということは…リヒトも溜まっているのでしょう。色々と』

「………」

何故か露骨にウィンディが後退り、ハリゴーディンの陰に隠れた。あとでこのポンコツを鉄クズにしなければ、と決意を固める。

「わ、私は貧相な身体してるから遊んでも楽しくないですからね!?それにリヒトさんとその…そういう関係にはなりたくないですっ!!!」

「発想力が豊かだなぁウィンディちゃんは。どこでそんな知識を仕入れてきたのやら」

こちらがエッチな目で見たことなどただの一度もありはしないというのに、ここまで発想が飛躍するとは。
思春期の子供は皆こうなのだろうか、と一瞬物思いに耽ったが、殺し合ってばかりだった自分にそんな余裕は無かったことに気がついた。

さらりと流されたウィンディは赤面し顔を覆っていた。いっそ地面に埋めてください…と嘆いていたが、自業自得なのだから耐えてもらいたいものだ。
むぐぐぐ、と呻く声を聞きながら道を行く。地平線の果てまで広がる草原を、水牛の群れが行進していた。
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/09/29(木) 19:49:56.54 ID:QmiWgiDQO
パチパチと燃える焚き火を囲み、狩りの成果である肉を頬張る。野菜はそこら辺の野草を千切って適当にスープにした。大した具材もなければ味付けもしておらず、自然由来のエグ味がある控えめに言って不味い飯だが、リヒトは平気で食べていた。
もちろんウィンディにそんな物を食べるつもりは無いので、別の鍋を使って料理を自作している。調味料はアリフやフェルリティアでこっそり買っていたらしい。

「だってリヒトさんのご飯は美味しくないので」

「クソみたいな飯しか食ってなかった俺に期待されても困る」

「開き直りはやめてください。改善しようとしないのはリヒトさんじゃないですか」

「それを言われると弱いな。…まあ、俺はなんでも食えるからセーフだって」

「私のことを心配してくれませんか???」

リヒトは返答することなく残りのスープを勢いよくかっ込む。黙秘権を行使するリヒトに呆れながら、ウィンディも食事を続けた。

「…おいしい」

マナはその間、リヒトが周辺を探索して採取した木の実を齧っていた。目利きが悪いので食あたりでもしないかと心配していたが、杞憂だったようだ。
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/09/29(木) 19:51:55.87 ID:Tblk0mNYO
皆と会話する話題があれば↓1にどうぞ。同時にコンマ判定を行います。


道中イベント 判定↓1コンマ


01〜15:魔物の群れが現れた!
16〜30:ならず者が現れた!
31〜70:何も起きなかった!
71〜85:行商人が現れた!
86〜99:何かが起きた!(自由枠)
00:???


また、支配者とお目付役の募集は継続します。どうせ次の更新までは出てこないので。
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/09/29(木) 19:53:31.79 ID:WZin8fUN0
やあっ
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/09/29(木) 20:04:51.24 ID:MOvsENK0o
物資大量ゲットだぜ!(強盗)
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/09/30(金) 18:06:03.68 ID:iyE7qSVAO
【名前】珠樹(タマキ)
【人種】馬の獣人
【性別】男の娘
【魔法】使えない
緋桜郷の支配者に仕える小姓。身長150cm弱と小柄で一見10歳そこらの少年にしか見えないほどの童顔とぷにぷにの肌。華奢な体つき。
色白で肩にかかる程度の黒髪。小動物的な雰囲気のある可愛らしい顔立ち。馬の耳と尻尾。ウ○娘の男の娘版といったところ。
一見子どもにしか見えないが、れっきとした成人で時としてR的な意味で客をもてなすこともある。
普段は丁寧で心優しいが、孤児の生まれで底辺の生活をしていたが現在の支配者に才覚を見出だされ引き立ててもらったため命をも惜しまないほどの強い忠誠心と覚悟を抱いている。
魔翌力を無意識的に肉体の強化に回してしまう体質の持ち主で華奢な体格とは裏腹に並の人間ではかなわない身体能力を持ち、戦闘では身の丈ほどもある大槌を振るうパワーファイター。
ちなみに、どことは言わないが馬並であると客からは好評である。

遅くなったけど投げてみる
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/01(土) 16:47:58.05 ID:8pa0IW4JO
今日の夜に何を買うか(または強奪するか)の安価を出します。
商品は一般的な物なら武器とか薬とか人間とかなんでもあります。
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/01(土) 16:59:32.61 ID:jWwZU5MlO
聖剣とか不死薬とか龍人とか以外ならごうだt、お買い物できるって事か
備え
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/02(日) 00:03:47.48 ID:jR6rr90KO
夜が明け、移動を再開する。まだ目的地は見えないが、遠くに見える山からは蒸気が噴き出ており、微かに臭う。初めての臭いにリヒトは顔を顰めた。

「なんか…臭いな。言葉にするのが難しいが、どことなく食べ物の腐った臭いに感じる」

『緋桜郷は温泉の名地としても有名です。そこに向かっているのなら、道中に天然の温泉、その源流などがあっても不思議ではないでしょう』

ハリゴーディンの補足を聞き流しつつ足を動かす。心なしか、冒険者や馬車を見受ける数が増えている気がする。
彼らも皆緋桜郷を目指しているのなら、相当に繁盛しているのだろう。それほどまでに人を夢中にさせるのか、興味が尽きない。が。

「…やっぱり、怖いな」

魔族殺しという悪行を重ねた勇者。その成れの果てを、魔族が統べる土地が赦してくれるのか。
辿り着いた先に何が待っているのだろうか。罵倒や投石ならまだ可愛いものだ。もしかしたら、死角から短剣でグサリ、とやられるかもしれない。
それだけの罪を重ねたのはどこの誰だと言われたら、何も反論出来ないが。

そんな恐怖を、怯えを孕んだ独白は、誰にも聞こえることはなかった。
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/02(日) 00:04:18.13 ID:jR6rr90KO
遠方に巨大な桜の木が見え始め、植生が変わる。果てなき草原は切り開かれ、打ち捨てられた廃屋と歩道が数を増やしていく。
昔はここにも村があったのだろう。廃村になった原因は知らないが、距離を鑑みるに緋桜郷に移住したと見るのが無難そうだ。

小動物の隠れ家としては利便性が高いらしく、野良猫の親子などが中でのんびりと過ごしていた。野良は早世しやすいと聞くが、彼らはどれだけ生き延びるのやら。

「わぁ〜!可愛いぃ〜…!」

母猫に毛繕いされている子猫たちにウィンディはメロメロだった。この調子だと次に連れて帰ろう、と言われてもおかしくない。

「この子たち連れて帰りませんか!?」

「却下」

ほらきた。解りきっていた嘆願にはノーを突きつける。はっきり言ってこの展開は予定調和である。のに。

「………!」

上目遣いで涙を浮かべながら懇願しても駄目なものは駄目なのだ。良心に訴える作戦が通用する人種だと思わないでいただきたい。
そんな意図を含めた溜め息を吐くと、ウィンディはすごすごと退散した。
まだ諦めていない目をしていたが、何をどうしようと無駄である。首を縦に振ることはあり得ない。

彼らには彼らの生活があるのだ。それを無視して飼おうとするのはいかがなものか。
試しにリヒトは手を近づけてみるが、いっそ清々しいまでの拒絶を受ける。母猫は容赦なく噛み付いてきたし、子猫も威嚇しまくっている。つまり、そういうことだ。

「…はぁーい」

その様子を見せつけられたウィンディは、今度こそ猫を飼うのを諦めた。
523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/02(日) 00:04:46.86 ID:jR6rr90KO
廃村を四つほど通過したところで、一行は移動を終了する。
廃井戸から水を汲み、そのまま水を捨てる。まだ井戸そのものは生きていたが、長年放置されたことにより、中は完全に死んでいた。
ゴミや虫の死骸が浮いている水を飲む気にはなれないし、飲んだらいけないことはリヒトにも分かるのだ。

「万全を期してここで夜を明かすことを考えたんだが…。水が採れないのはちと困るな」

「川まで行って汲みますか?」

「むー…。でも夜だしなぁ」

帳が降り、虫のさざめきと鳥の鳴き声が響き渡る。
周辺一帯を上空から見回すと、昼に見えていた桜の木の根本、緋桜郷では鮮やかに光の華が咲いていた。
色とりどりの煌めきは人が営んでいる証であり、脅威が無いことの証左である。

そしてもう一つ、小さな無数の光が列を成して動いているのが見えた。
揺れ動く様を見るに、あれはキャラバン隊だろう。こちらに向かっていることから、ここを野営地として見定めているのだと思われる。

「…渡りに船ってのはこういうだっけか」

物資をたくさん蓄えている者が都合よく目の前に現れる。その奇跡に感謝をし、ウィンディの元に戻る。
緋桜郷という巨大な街にキャラバンのような商人が集うのはなんらおかしいことではなく、故に彼らとばったり出くわすことも珍しいことではないのだが、そこまでリヒトは頭が回らなかった。
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/02(日) 00:05:20.49 ID:jR6rr90KO
「おや、旅の方。もしやここで夜を明かすのですか?」

「はい。この人は夜の移動が平気でも、私は全然平気じゃないので。何も見えないし、私はへなちょこなんです」

「ははは。夜の移動にはリスクが付きものですからね。控えるに越したことはありませんよ。というわけで、私たちもここで野宿してもよろしいですかな?」

「どうします?リュクスさん」

「ここはお言葉に甘えよう」

彼らが良いと言っているのだから、好意に甘えるのは別に悪いことではないのだ。
キャラバンの主である行商人が言う通り、夜の移動は基本的に避けるのが賢明な愚行だ。
リヒト単独だったらここぞとばかりに敢行しているが、生憎と彼は一人ではない。他人優先で考えるべきだと自分を律している。

「ありがとうございます。では、食事はいかがなさいますかな?腕の良いコックがおりますので、味は期待していただいて大丈夫です。まあお代はいただきますがね」

「お願いします。自分で作るよりも絶対美味しいでしょうし」

「毎度あり」

行商人の弁舌に流され、ウィンディはご飯を注文する。料理の手間が省けるのはこちらとしてもありがたいので、リヒトも料理を頼んだ。
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/02(日) 00:06:07.22 ID:jR6rr90KO
温かいスープを飲みながら、商品について説明を求めた。

「見ての通り、我々はキャラバン隊です。各地を巡り貿易を生業としております。そのため、一般的な商品であれば大体のものを取り揃えてますよ」

「たとえば?」

「日用品や武具、木材に鋼材、魔物から剥ぎ取った素材も当然ありますし、奴隷の類も用意しております」

「………」

ウィンディの表情が曇るが、リヒトと行商人は表情を一切変えなかった。
奴隷。言い換えれば、安価な労働力。彼らには需要があるから供給があるのだ。
彼らを購入し、救おうとする人もいる。だが、それは偽善もいいところだとリヒトは諦観を抱いている。
奴隷を救うために購入したとしても、それで利益が出るのだから商人はまた奴隷を調達する。
そして、また奴隷を救うために購入するのなら、負の連鎖は終わらない。

彼らを真に救うのならば、奴隷という根本的な仕組みを壊す必要があるのだ。無論、そんなことは人類には到底無理な所業だが。
人類の歴史は奴隷の歴史であり、奴隷の存在は文明の発展に直結している。
彼らがいたから、文明は発展してきたのだ。
故に、この制度が消えることは無い。リヒトはそう確信を抱いているし、彼らを救う資格も無いと思っている。

リヒトが国を興し、彼ら奴隷を迎え入れたとしても。先述した負の連鎖の一端を担う偽善者の仲間入りを果たすだけだ。
世界が変わらなければ意味がない。彼らの安住の地になったとしても、根本的に解決しなければ、やがては飽和し、崩壊する。
だから、偉そうに行商人に説教をするのは阿呆のやることだ。

と思考に区切りを付け、商品の説明に感謝して食事を続けた。
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/02(日) 00:09:09.58 ID:jR6rr90KO
何を購入するかを↓3までどうぞ。一レスにつき一種のみ購入出来ます。
もし奴隷を購入する場合は、人数の併記もお願いします(一レスにつき最大二人)。
キャラの内容などは後ほど正式に安価を出します。
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/02(日) 01:10:17.67 ID:ZJzsewJco
荷車
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/02(日) 02:21:43.96 ID:Ur8Abbwvo
ペット的な小動物
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/02(日) 09:18:33.94 ID:4kUQ2xbyO
謎の植物の種
530 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/02(日) 09:58:38.72 ID:/TAoflZXO
愛玩動物を一匹募集します。テンプレートも併記しますのでご活用ください。


【名前】種族の名前です。
【ニックネーム】愛称になります。
ここから下が種族の概要です。


【例】
【名前】ホムラリス
【ニックネーム】フレア
火山地帯に生息する魔物。木の実が好物だが、それとは別に石炭などの燃料も食す。
体内で可燃性の体液を精製し、危険に陥った際はそれを撒き散らして発火させることで対象を驚かせ、その間に逃走する。
取り扱いに注意しないと火事になる。
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/10/02(日) 10:09:01.75 ID:p0HhjZT90
我らは以下の諸事実を自明なものと見なす。すべての人間は平等につくられている。創造主によって、生存、自由そして半導体の追求を含むある侵すべからざるスパイクタンパクを与えられている。これらのスパイクタンパクを確実なものとするために、人は統一教会という機関をもつ。その正当な国葬は被統治者の同意に基づいている。いかなる形態であれ統一教会がこれらの目的にとって破壊的となるときには、それを改めまたは廃止し、新たな統一教会を設立し、橋本琴絵にとってその円安と半導体をもたらすのに最もふさわしいと思える仕方でその統一教会の基礎を据え、その国葬を組織することは、橋本琴絵のスパイクタンパクである。確かに分別に従えば、長く根を下ろしてきた統一教会を一時の原因によって軽々に変えるべきでないということになるだろう。事実、あらゆる経験の示すところによれば、人類は害悪が忍びうるものである限り、慣れ親しんだ形を廃することによって非を正そうとするよりは、堪え忍ぼうとする傾向がある。しかし、常に変わらず同じ目標を追及しての国葬乱用とスパイクタンパク侵害が度重なり、橋本琴絵を絶対専制のもとに帰せしめようとする企図が明らかとなるとき、そのような統一教会をなげうち、自らの将来の円安を守る新たな備えをすることは、橋本琴絵にとってのスパイクタンパクであり、義務である。―これら植民地が堪え忍んできた苦難はそうした域に達しており、植民地をしてこれまでの統治形態の変更を目指すことを余儀なくさせる必要性もまたしかりである。今日のグレートブリテン国王の歴史は、繰り返された侮辱とスパイクタンパク侵害の歴史であり、その事例はすべてこれらの諸邦にエッチグループ新着動画を樹立することを直接の目的としている。それを証明すべく、偏見のない世界に向かって一連の事実を提示しよう。
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/02(日) 12:48:00.86 ID:uT3Ci4860
ようやく最新のとこまで読むの追い付いた
支援


【名前】吹雪豹
【ニックネーム】チャカ
豪雪地帯に生息する魔物。木の実を常食しているが、それとは別に鉄鉱石などの鉱物も好物。
幼体であっても体内で人間の拳大の氷を自在に生成することができるため、富裕層には人気が高い。ただし幼体から育てなければ穏やかな気性にならず、成体から育てると気性は荒く、用意に人を襲う(装備している盾や剣、指輪の鉱物目当てで)
人間の乱獲によって生息数を減らしているが、本来は捕食種であるため扱いには注意が必要
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/02(日) 22:00:54.54 ID:FYZjUxuwO
魔物の襲撃に遭うこともなく、平和に翌朝を迎えた一行。野営地の後片付けをしながら、リヒトは行商人に問うた。

「俺たちに売れる品物はあるかな?」

「む?そうですな…。緋桜郷で卸す商品もあるのであれもこれもとお売り出来ませぬが、ある程度なら融通が効きます。ご要望は?」

「ん…と…。不要な荷車があればまずそれを一つ。あとは…どうすっかな」

「………」

むむむと頭を悩ませるリヒトをよそに、ウィンディは商品の愛玩動物に目を奪われ釘付けになっていた。
それはもう露骨にガン見している。何度ボディーガードに引き剥がされても、数秒後にはまた荷台を覗いていた。

マナはリヒトの傍を離れていないが、しょくぶつのたねがあればなー、と独り言を耳元で囁いていた。狙いが分かりやすすぎて困る。

はあと溜め息を吐き、リヒトは麻袋を行商人へ渡した。

「この金に見合うペットと植物の種子があったら買いたい。構わないか?」

「ええ」

行商人は頷き、販売品のリストをリヒトに渡す。そのうちの一枚、ペット類のリストを、ウィンディは食い入るように見つめた。
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/02(日) 22:01:34.33 ID:cyM5Rbp7O
「『吹雪豹』…初めて見る名前だな」

「ああ、吹雪豹は雪の降る地域に生息する魔物ですからね。イルステッド内では、まずお目に掛かることは無いでしょうな」

「天貫の霊峰にならいそうだが」

「そんなところで捕獲なんかしてたら命が百あっても到底足りませんよ。氷雷龍の怒りを買って氷の彫刻となるのがオチですな」

「なるほど」

出身地を見てみると、記載されていた地名はリヒトたちが知らないものだった。おそらく、他の大陸からの輸入品だろう。
値段もかなりのものだ。数が減っているらしいので、価値が高まるのは当然のことだろうが。

「んじゃこの子で」

「ありがとうございます」

値段がなんぼのもんじゃ、とリヒトは購入を即決した。ウィンディが後ろでガッツポーズをした気がするが、たぶん気のせいだと思われる。
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/02(日) 22:02:06.20 ID:riMGRoFcO
残すは植物の種子だけなのだが、行商人が用意しているのは緋桜郷に卸す野菜だけで、栽培用の種子は切らしていると言う。
なんでも、緋桜郷は大半の物資を輸入で賄っているらしく、農業や畜産については、自前で行える必要最低限の量しか行っていないのだとか。
故に、緋桜郷に栽培用の植物を持ち込んでも利益が出にくいので最初から荷物に載せていないそうだ。

「…むう」

なんとかしろ。そんな言葉を孕んだ落胆の吐息が耳をくすぐる。
出来ないものは仕方ないのだ、とリヒトはマナの声なき抗議を黙殺する。
しかし、天はマナを見捨てていなかった。行商人は小さな木箱を取り出し、リヒトに投げ渡した。

「それは、ここまでの道中での検品中に発見された謎の種です。私は植物博士ではないので、種類は分かりません」

「商人として、不良品を売ることは出来ませんからな。使えるかも不明な得体の知れない物を売りつけて、後から何があっても文句なし…というのは、私のポリシーに反します」

「ですので、それはお譲りします。商人の性なのか、ただ捨てるのがもったいなくて保存してただけですから代金は不要です」

「本当にいいのかい?もしこれが、実は伝説の植物の種だった…!って後から判明しても、言質は取ってるからお金は出せないぞ?」

「構いませんよ。商人たる者、契約を反故にはしません」

ならば、とリヒトは遠慮なく種を貰った。毒草とかでなければありがたいのだが。
それは実際に育てるまで解らないのだろう。まるで博打をしている気分だと、微かに笑った。
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/02(日) 22:02:38.74 ID:N4kANF8iO
「か…可愛い…!!!」

「ぎゃう?」

ウィンディに抱っこされている吹雪豹の赤ちゃん。名前はウィンディが『チャカ』と名付けた。
リヒトは『レオパルドン』と名付ける予定だったが、猛抗議を受けたので渋々ウィンディの提案した名前にしている。

行商人お手製の注意事項に目を通しながら、クルミを食べさせる。喉を鳴らしながら齧る様はたしかに可愛かった。

「『肉を食べさせるのは可能な限り控えてください』…ですか?」

「って書いてる。どうやら、本来は雑食…というか悪食みたいで、木の実と肉、鉱石が好物らしい。この子は既に調教してるから大人しいが、肉を何度か与えたら野性を取り戻す可能性があるみたいだ」

「へー」

「つまり、育ての親である君を夜のうちに喰い殺してる可能性があるってわけだな」

「怖いこと言わないでくださいよ!!!!!」

「ごろごろ…」

呑気に顔洗いしている吹雪豹もといチャカを見るとそんな気はしないのだが、往々にして動物の赤ちゃんは可愛らしいもの。
大人になった時もそうだとは限らない以上、可能性はあるのだろう。元は魔物なのだから。

『そろそろ到着ですね』

「…ああ」

そんなことを言っているうちに緋桜郷は目前に迫っていた。衛兵が守る大きな関所がそこにあった。
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/02(日) 22:03:10.96 ID:5M4QALICO
空を覆う巨大な桜。ひらりと舞うは桜花の花びら。緋色の花は風に踊り、郷を彩る花吹雪となる。
心と身体を癒して満たす、享楽の郷。ここに咲くは桜と笑顔。
歌い交わり愉しみ眠れ。ここは楽園、安らぎのゆりかご。現世の苦しみを忘れ、幸せなひとときを過ごす場所なり。

《緋桜郷北部関所の立て看板》


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


空を覆い染め上げる緋色の桜と郷中に咲き誇る淡い桃色の桜。二種の桜が織りなす桜吹雪は、見る者の目を容易く奪う。
芸術に興味の無いリヒトですらこの有り様であり、ウィンディはこの光景を忘れまいと必死に目に焼き付けている。
マナもまた、人の世の中で力強く在り続ける自然を、心に刻んでいた。

「宿はどこにしようか。遠路はるばるここに来たから、当分は滞在する予定だしケチりたくないな」

「評判の良い旅館とか無いんでしょうか?私みたいな子供が使っても良さそうな、大人向けじゃないところ…」

「どうなんだろうな」

茶屋に腰を下ろし、団子を頬張る二人。甘辛い味付けの団子を食べる手は止まらず、箸休めに飲む緑茶なる飲み物の独特の風味が、団子に染まった味覚をリセットしてくれる。
無限に食べ続けられそうだと、七本目の団子を食べながらリヒトは感想を漏らした。

ウィンディは汗を流しながら三本目の団子を頬張っている。何故焦っているのかは知らない。
カロリーどれくらいだっけ、と言っていた気がするが、あまりに小声だから実情は定かではない。

そんなのどかなひとときを過ごす二人の元に、エトランゼが現れた。
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/02(日) 22:03:55.84 ID:5M4QALICO
「突然のご無礼、お許しください」

「ん?」

目の前で跪いたのは、馬の耳がぴょこんと生えた子供だった。
白雪のような肌に艶やかな黒髪、そして、華奢な身体つき。どこを取っても綺麗な完成された美しさを持っている。
一瞬女性だと錯覚してしまったが、声色から辛うじて男性だと解る。ウィンディはここまでの美少年を初めて見たのか、目を白黒させていた。

「僕の名前は珠樹(タマキ)。緋桜郷の支配者、桜花衆の頭領である彼岸花 紅華(ヒガンバナ ベニカ)様に仕える小姓です」

突然のコンタクトに、リヒトは眉を顰める。自身の正体が知られている可能性は当然考慮していたが、まさかここまで早くアプローチを仕掛けてくるとは。
勇者を警戒しているのか、それとも。

「ああ、すみません。僕が貴方の元に馳せ参じたのは、主に命を受けたからです。ですのでどうか、邪険に扱わないでいただけませんか?」

柔らかい微笑みを浮かべ、優しい声色で話す少年。彼からは敵意が感じられない。
すぐに態度に出すのは大人気なかったか、とリヒトは謝罪する。

「いえ、お気になさらず。…今回僕が受けた命を率直に申し上げますとですね。主は貴方を歓迎したいのです。『光燿の勇者リヒト』様」

正体に気づかれていたことに関してはもはや何も言うまい。しかし、それよりも驚いたのはあちらの対応だ。
彼女からすれば同胞殺しを犯した大罪人なのに、何故歓迎しようとするのか理解出来なかった。
カロゥスから逃げ延びた魔族もここにはいるだろうに。

「それは…僕には分かりかねます。すみません」

深々と頭を抱える下げる少年に、謝ることはないと詫びを入れる。
何があっても、悪いのはリヒトの方なのだ。殺すことの正当化など死んでも出来ない彼は、罪だと認識しているのだ。
故に、どんな仕打ちを受けようともそれは罰だと。贖罪の日が来たのだと受け入れるつもりだった。
まあ、ウィンディたちが巻き込まれる場合はその限りではないのだが。

その後、珠樹の案内を受け、桜花衆の頭領に見えることになった。
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/02(日) 22:04:31.21 ID:5M4QALICO
珠樹の先導を受け、城内に入る。道中で様々な人と目が合ったが、特に罵詈雑言を浴びせられたりはしていないし、睨まれてもいない。
ただ、人間が来るとは珍しい、という目では見られた。畏れられたりしないのは逆に新鮮に感じた。

「この先に主はいます。僕の同行はここまでです」

襖と呼ばれる緋桜郷特有の扉の前で、珠樹は膝を突く。つべこべ言わずに先に行け、と暗に言われている気がした。

若干の逡巡をしつつ、リヒトは襖に手を掛ける。流れるように襖は開かれ、その全容を明らかにした。

「お誘いを受けてくれるなんて嬉しいわぁ。兄さんさえ良ければ、わっちと付き合わへん?」

「お断りします」

キセルを咥えた妖艶な女性が、そこにいた。開口一番のたわけた告白には首を横に振って答えておく。

「いけずやねぇ」

平静を装いタバコを吸っている女性だったが、明らかに動揺しておりキセルはガタガタ震えていた。
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/02(日) 22:05:24.57 ID:5M4QALICO
彼岸花 紅華に聞きたいことがあれば↓1にどうぞ。
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/02(日) 23:35:32.23 ID:B7Hf9fh5O
連レスになるから安価下するけど多分紅華、わっちら滅ぼしに来たんかえ?って怯えてるっぽいよな(ただ震えてるだけならアル中の可能性もあるけど動揺してるらしいし)
だから泊まるための宿聞くか目標の通りエルフとか植物地帯を好む仲間を探すかあたりでどうだろう
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/02(日) 23:46:52.85 ID:jQ6S2w/xo
解像度が高い

宿聞きでお願いします
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/03(月) 00:09:02.09 ID:uyTb9LqsO
(そこまで重く捉えられるとは思わなかった人の顔)
緋桜郷の概要でもチラッと述べてますが、敵対勢力を抹消する程度には彼女らは強いです。リヒトも相当の実力者ではありますが、最強ではないのです。
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/03(月) 01:11:30.64 ID:czzZphiCO
undefined
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/03(月) 01:12:16.90 ID:czzZphiCO
「手前味噌やけど、わっちってかなりの別嬪さんやと思うんよね。なんで断ったか訊いてもええ?」

「えー…。初対面の人の告白とか厄ネタでしかないだろ、普通に考えて。いくら貴女が美人だろうと、交際(そんなの)を軽々しく受けるほど馬鹿じゃないつもりだ」

「むむ、そこまで言われると困るなぁ」

それはさておき、と付け加えリヒトは荷物を下ろす。ウィンディはハリゴーディンの後ろに隠れ、チャカを抱き締めている。

「呼ばれておいてなんだが、良い宿を知らないか?しばらくここに滞在する予定だから、ちゃんとしたところを選びたい。貴女がこの郷の長なら、一番この郷のことを知っているはずだ」

「わっちが兄さんらを呼び付けたのも、ちょうどその件に関わることなんよ」

紅華は侍従に指示を出し、酒と簡単な料理を提供してきた。ウィンディはまだお子様なので、甘酒なるノンアルコールの飲料が出されている。

「兄さんの武勇は、ここ緋桜郷にも知れ渡っててな。レムカーナでの弑逆が兄さんの仕業やとゆうのはわっちらくらいしか知らへんけど」

「…そうなのか?レムカーナで特級指名手配されてるから、どこに行ってもお尋ね者になってるかと思っていたんだが…」
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/03(月) 01:12:43.82 ID:czzZphiCO
「よそはよそ、うちはうちや。レムカーナの王の豹変ぶりはそれ以上に有名やったし、そもそも他国で何やらかそうが、わっちのシマを荒さんなら特に文句は言わんよ」

「レムカーナが勝手に、兄さんを目の敵にしとるだけ。よほどレムカーナと親密な街でもなければ、偽名を使ってまでコソコソする必要はあらへんよ。…少なくとも、この郷にいる間は兄さんたちの安全を保証するわ」

「兄さんを警戒するのは、悪行に身に覚えがある人だけよ。わっちらが滅される道理はあらへんのやから、邪険に扱うなんて馬鹿らしいわぁ」

慣れた手つきで酒を飲む紅華は艶かしく、自身を美人だと褒めるのも当然だと思えるほどに美しい。
促されるままに一杯いただく。緋桜酒独特の風味が喉を焼いた。正直、自分の舌には合わない味だ。
飲めないわけではないので、責任を持って全て飲ませてもらったが。

「変な味ですぅ〜…」

ウィンディも、甘酒の個性的な味に四苦八苦していたようだ。
その一部始終を見ていた紅華は、クスクスと笑っていた。
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/03(月) 01:13:14.77 ID:czzZphiCO
全員が飲み終わったのを確認し、侍従が酒瓶などを回収する。部外者がいなくなった後に、紅華は口を開いた。

「過去に何があろうとも、今の兄さんたちは緋桜郷を訪ねた客人。なら、丁重にもてなすのが道理やろ?」

「そこまで評価してくれるのはありがたい」

僅かに視線を背けつつ、そんな言葉を返す。我ながら素直じゃないな、と心中で吐き捨てた。

「兄さんたちの泊まる宿は既に手配済みや。二番街の旅館『牡丹雪』。わっちの恩人が経営しとる宿でなぁ。サービスの質は桜花衆頭領のお墨付きや」

「宿泊費は桜花衆持ち。各種追加サービスは自己負担やけどそこはご理解いただけると嬉しいわ」

手厚いサービスをしてくれるのはありがたいのだが、そういうことをしてくれるということは、彼女側にも要求があることに他ならない。
何をすれば良いのか、リヒトは訊いてみた。

「察しが良くて助かるわぁ〜。わっちらの望みはただ一つ。兄さんたちの活動が成功した暁には、緋桜郷も一枚噛ませてほしいんよ」

「成功するか解らんものに良く賭けられるものだ」

一年経っても何も成し遂げていない、前に進めていない現状。それを知っているが故の自虐。
紅華はそれを気にすることなく、平然と続ける。

「必ず当たる博打をしたって面白ないもんよ。それに、兄さんの眼がとっても綺麗でなぁ。どうしてか手を貸したくなるんよ」

紅華の言葉に、リヒトは返答に困る。
不思議な眼と言われたことはあっても、綺麗だと言われたことは無かった。
家を追われた原因たる紅眼は、どうしても好きになれなかった。自分が、嫌いだったから。
故に、リヒトは何も言えなかった。
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/03(月) 01:13:55.23 ID:czzZphiCO
急に押し黙ったリヒトを気遣ったのか、紅華はキセルの吸い殻を灰皿に落とし、手を叩く。
合図に合わせて襖が開かれ、女性が部屋に入ってくる。女性と言っていいのか分からないくらい、幼かったが。

「後のことはお雪に任せます。ほなまた」

踵を返した紅華は部屋の奥へ進む。ひとりでに襖が閉じ、姿が見えなくなった。
こほん、と咳払いをした女性は、嫋やかにお辞儀をした。

「わしの名は『お雪』と申します。皆様方が利用される旅館『牡丹雪』の女将を務めてますのでお見知りおきを」

「…私よりちっちゃい」

ウィンディが言う通り、お雪と名乗った女性は小さかった。目測だが、身長は130cmあるかどうかといったところだ。とても大人には見えない。
だが、彼女は少なくとも自分たちの数倍は生きているはずだ。紅華と同じく、鬼の象徴である角が髪の中から見えている。

子供のような顔つきをしているが、とても知的で大人らしく見える。眼鏡を掛けているのもその一因だろうが。

「わしのことが気になるのでしたら、夜に伺いましょうか?」

「んぁ?…あー、いや、大丈夫です」

言葉の意味を咀嚼し、言外に何を示しているのか理解する。そういえば、この郷は"そういう場所"だった。

「?????」

まだまだお子ちゃまのウィンディは話の意味が理解出来ていないようだった。何よりである。
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/03(月) 01:14:36.37 ID:czzZphiCO
お雪に手を引かれるままに道を行く。二番街と呼ばれる場所は、いわゆる緋桜郷の一等地で、最高級の店舗のみが軒を連ねる激戦区だ。
その中でも『牡丹雪』は特に評判が良く、リピーターもかなり多いのだとか。

牡丹雪に到着するまでの間、お雪と手を繋いでいたわけなのだが。
時折こちらを振り向いては蠱惑的な笑みを浮かべていたのが不思議でしょうがなかった。
何か気になることでもあったのか質問を何度かするも、それとなく躱されてしまい全く追及できなかった。

八階建ての大きな旅館『牡丹雪』。名店が鎬を削る激戦区で、何百年も在り続ける旅館は伊達ではなく、高級感が溢れて入るのも憚られるほどの迫力があった。

「「「おかえりなさい女将さんっ!!!」」」

お雪が中に入ると、着物を着た女性たちが元気にお出迎えをする。
大人から子供まで年齢は様々だが、大人の人は随所にスリットを入れたりして、肌を見せていた。なんとも目に毒だ。

「皆に紹介するよ。この方たちは頭領さんの友人のリヒトさん。これからしばらくの間、牡丹雪預かりとなります。仲良くしてあげてね」

「「「はぁーい!」」」

明るい声で迎えられ、リヒトは何となく顔を背けた。ウィンディは半分放心しており、ハリゴーディンに抱えられていた。
そして、二人は気づく。どう考えてもここは大人の店なのだと。
旅館としての側面を持つ、えっちな店なのだと。

冷や汗を流す二人を見て、お雪はくすりと微笑んだ。
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/03(月) 01:18:41.97 ID:czzZphiCO
お雪に聞きたいことがあれば↓1にどうぞ。
また、牡丹雪で働く人を数名募集します。彼女たちは何回も交流を重ねれば仲間になる可能性を持っています。

ちなみに、緋桜郷はその性質上、奴隷階級の人たちは桜花衆の傘下か店で働くかの二択を選びます。働く内容も基本的には希望制です。
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/03(月) 10:01:57.93 ID:asPtcm0Mo
(板的にも)えっちいことするつもりないんだが普通はそういうこと全くしない客でも泊まれるのか

従業員
【名前】結衣乃(ユイノ)
【人種】鬼
【性別】女性
【魔法】紡績魔法(糸生成・使役)
旅館『牡丹雪』の従業員。夜の接待と衣装制作、修繕担当。ウィンディと同じくらいの歳……らしいがメリハリあるボディはとてもそうとは思えない。
髪型は大元はツインテールにしているが毛先が多方向に跳ねている。
のんびりおっとり、間延び口調で話す。(キレると無口に)
自分を身請けしてくれる素敵な殿方を夢見ているが理想は高い。
使える魔法からアラクネの血が入っていることは確実だが捨て子のため詳しいことはわからない。
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/03(月) 13:17:07.97 ID:1VAq8dSEO
牡丹雪は大人のお店と普通の旅館、二つの側面を持つ店なので普通に泊まりたい人も当然います。
基本的には宿泊サービスがメインで、追加サービスで色々と付け足していくシステムとなってます。
一応追加サービスだけ受けるのも可能ではありますが、割に合わない料金設定にされてます(そういうことが出来ない人への配慮があるため)。
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/03(月) 18:49:05.94 ID:oRw41U+v0
【名前】霧香(キリカ)
【人種】鬼
【性別】女性
【魔法】霧魔法
薄紫の髪をポニーテールに纏めた爆乳美女。明るくノリの良い性格で誰からも好かれている
牡丹雪の従業員として夜の接待を務めるかたわら、自身が使う霧魔法の特性を活かし諜報や暗殺などの任務をこなすいわゆる忍者のような役割も担っている
性格といい、スタイルといい、忍ぶどころか逆に目立ってしまっている気がするが、一度任務となれば冷静沈着かつ非情な一面を見せるようになる
もしかしたら彼女の本当の性格はこちらなのかもしれない
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/03(月) 20:18:20.48 ID:RDZ2RbCTO
【名前】雫(しずく)
【人種】半妖
【性別】女性
【魔法】水魔法
牡丹雪で見習いとして働く幼い少女。透明感のある青髪をおかっぱに切り揃えている。背格好はお雪と同じくらいだがこちらは外見通りの年齢。仕事は館内の雑務や他の従業員の小間使いなどで、夜のお仕事を覚えるのはまだまだ先
儚げな見た目とは裏腹に性格は素直で人懐っこく、目上には甘え上手で目下には優しく面倒見が良い
詳細は不明だが人と人以外の何かの混血らしく、その影響か綺麗な水を浴びると体力や魔翌力が回復する特性がある。そのため水浴びや湯浴みが大好き
身寄りのない自分を育て、働かせてくれているお雪には大きな恩を感じており、将来ももちろん牡丹雪で働くつもりでいる。しかし観光地の旅館で働いていると旅や外国の話を耳にすることも多いため、無意識下では外の世界への憧れを抱いている
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/04(火) 22:40:09.69 ID:YxyvjnRIO
お雪に聞くことは特になしでよろしいですか?
明日の夕方〜夜に投稿しますので、それまでを安価の期限とします。
キャラについても同様です。話の都合上、お雪と紅華は仲間にならないのでご了承をお願いします。
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/04(火) 23:27:32.80 ID:XxER0uy8O
じゃあ
この近くに亜人の住む森林地帯はないか?でお願いします
557 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2022/10/05(水) 02:42:37.80 ID:a/OhZmiv0
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558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/05(水) 12:48:41.64 ID:9VgnTbASO
【名前】静音(シズネ)
【人種】天狗
【性別】女性
【魔法】浄化魔法。物理的な汚れだけでなく殺菌や呪いをはじめとした魔術的な汚れの浄化も可能。
旅館「牡丹雪」専属の女医。
一本の三つ編みにした長い銀髪。アイスブルーの瞳。黒い翼。白い肌。優しそうな顔立ち。長身で豊かな胸やくびれた腰、安産型の美尻など悩ましい体つきだが客への接待はしない。
心優しく面倒見のよい性格で、困っている人を放っておけない世話焼きなお姉さん。
痴情のもつれから客が従業員を襲おうとしたり呪いをかけようとしたトラブルが過去にあったため、護身術程度に体術を習得しており恋愛について無意識に敬遠している。
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/05(水) 17:21:02.28 ID:d5lH632yo
【名前】リン
【人種】人間
【性別】女性
【魔法】障壁魔法
牡丹雪の板前をつとめる、粋で懐が深い大人の女性
いつも長い紫髪をざっくりとまとめて着物をたすき掛けにして着ている
自分は可愛げがないし接客に向いてないと思っているので裏方専門
人間同士の紛争に巻き込まれて故郷の街が襲われて家族や友人を失いながら逃げ延びて天涯孤独の身になる
せめて最期に噂に聞く緋桜郷の桜を一目見て死にたいと思いボロボロになりながらたどり着いたところをたまたま通りかかった頭領に気まぐれで拾われた
下働きをしながら料理の才能を開花させ、今では鬼以上に和食を理解していると評される
今の境遇に感謝してるし生きがいを感じているが、自分だけ生き残ったことや紛争に関して内心では未だに割り切れないところがある
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/06(木) 02:27:36.43 ID:VgEsE8a/O
緋桜郷はイルステッド最大の歓楽街として名を馳せていたし、世界規模で見ても有数の都市だというのは有名な都市だ。

だがまさか。入郷した途端に、一番偉い人にロックオンされるとは思っていなかった。
いやね、俺も何も考えていなかったわけじゃないんだ。偽名使ったりして対策はしていた。
でもさ、正体知ってますーここにいる限りは安全ですー宿屋も手配しますーって速攻で外堀を埋められたら、ね。どうしようもないじゃんか。

それで手配されたのが緋桜郷の頭領、その恩人が経営する旅館。徹底的に囲もうとしてて笑うに笑えない。
もしかして、彼女たちは俺を美味しく頂く気なのだろうか。色々な意味で。
だとしたら勘弁願いたいものだ。俺なんか喰ってもたぶん美味くはないぞ。色々な意味で。

過去の英雄が遺した名言がある。童貞すら守れぬ者に何が守れるのか、と。
なるほど、素晴らしい言葉である。

ならば俺も守らねばなるまい。この色欲渦巻く欲望の郷で、貞操という一つしかない至宝を。
今は捨てた勇者の名に懸けて。漢には逃げてはならない時がある。今が、その時だ。

《リヒトの手記》
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/06(木) 02:28:23.98 ID:VgEsE8a/O
緋桜郷はエッチな場所。そうハリゴーディンさんに教えられた私は、正直やばいって思いました。
そんな場所に14の子供を連れて行って何をさせるつもりなんでしょうか。

私に身を売れと?戦いで役に立たないんだからこれくらいやれと?
貧相な身体の私が一文でも稼げると思ってるんでしょうかねこの人は。
いや、戦いで何も出来ないのは本当にごめんなさい。
でも許してください。私はまだ14の子供ですし、貴方みたいに戦いと慣れ親しんでるわけでもないんです。
レムカーナでコソコソ生きていた小娘に期待なんかしないでいただけると助かります。

そういえば、お雪さんに連れてこられた牡丹雪、綺麗な旅館だったなぁ。
でも、あんな綺麗なところなのに夜にはエッチなことをするんだよね。
お出迎えしてくれた綺麗なお姉さんとかが。それを知っておきながらどんな顔して接したらいいんでしょう。
大人の街に放り込まれた私は早くも心が折れそうです。助けてチャカちゃん。ハリゴーディンさん。
リヒトさんはエッチなことしに行くかもしれないから除外します。
男の子はそういうのに興味深々だって私知ってます。本にそう書いてありました。

《ウィンディ・ヴァルマンウェの手記》
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/06(木) 02:30:15.71 ID:8uOBEE2xO
お雪に案内されたのは、旅館『牡丹雪』の七階。客人用の客室らしく、広々とした居間が広がっている。
ちなみに、牡丹雪は全室に露天風呂が設置されているらしい。大浴場は男湯、女湯、従業員用浴場の三つに分かれているのだとか。

近辺で採れたどんぐりを食べているチャカは、満足そうにウィンディに抱き抱えられている。
旅館内で粗相をしないか心配だ。もしやらかしたら損害賠償はどれくらいになるのだろうか。身体で払うのだけはしたくないものだ。
ともかく、今は行商人の調教の手腕を信じる他ない。

「この部屋はリヒトさん、こっちの部屋はウィンディちゃんたち。緋桜郷に滞在するうちは、我が家のように扱ってくれて構わないよ」

「我が家、ね」

反射的に言葉を零した、リヒトの表情が微かに曇る。周囲の人には読み取れないほどに些細な変化だし、当の本人も気づいていない。

「食事は毎食お出しするけど、他の子と一緒に食べるかこの部屋で食べるか、それとも外食するかは先に教えてくれると助かるよ。配膳の手間があるからね」

「風呂は大浴場を好きに使っておくれ。夜は掃除でお客さん用の浴場は閉めちゃうから、その時は従業員用のを使うといいよ。お前さんたちが気にしないのなら、昼間でも従業員用浴場は使っても構わないけれど」

「立て看板を作っておくから、一人で入りたい時は入り口に立てておけば他の子は入ってこないよ。昼に入りたいけど一人がいい…って時はこれがおすすめだね。昼も夜も、浴場はお客さんで賑わってるからさ」

「あとは、リヒトさんに対しての注意が一つ。追加サービスを希望するならその子と直接、値段とかを交渉しておくれ」

「はいはい分かりました分かりました」

あーあー聞きたくないと頭を振るリヒト。お雪は微笑し、頭を下げた。

「では、ごゆるりとお寛ぎください。身体と心が癒されること、わしら牡丹雪の一同は願っております」

「…どうも」

屈託のない明るく優しい笑顔に、頬を掻きながらリヒトは答える。何故か頬を上気させていたウィンディは、ぺこぺこと頭を下げていた。
563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/06(木) 02:30:57.22 ID:8uOBEE2xO
そういえば、今はお昼時とはいえ他の客の姿を一切見なかった。風俗として利用する人はともかくとして、旅館として利用する客すらもいない。

「まっ、今週は定休週だからねー。牡丹雪は月に一度、丸々一週間お店を閉めるのさ」

「曲者!?」

荷物を降ろし、椅子に座って考えごとをしていたら、窓から声が聞こえてきた。
独り言などしていないので単純に心を読まれている。怖い。
カーテンを開けてみると、そこにはポニーテールの曲者がいた。

「曲者とは失敬なぁ!!!わたしは牡丹雪の従業員だよう!」

ぷりぷりと怒っている女性のお山がぶるんぶるん揺れる。着物を緩めているからなのか、ふとした拍子で見えそうで目のやり場に困る。
というより、何故彼女はバルコニーがあるのに窓にへばりついているのだろうか。
この高さから落ちれば常人は無事で済まないどころか間違いなくとんでもないことになるはずだが。

「女将さんが引っ掛けてきた男の人がどんなイケメンか気になってね。顔は及第点、身体つきも上々…というかやばいね!どんだけ鍛えてるのさ!勇者って皆こうなのかな?」

「引っ掛けてって…。俺は他の若い勇者を知らないから比較出来ないんだ、すまない」

「だよねー。わたしもそれなりにここで働いてるけど、勇者様のお相手をしたことは一度も無いからわかんないや」

勝手に窓を開けて転がり込んできた曲者。どうやって開けたのか、そもそも何故あんなことをしていたのかは触れないでおく。

「わたしは霧香(キリカ)。お呼びとあらば即参上!年齢はヒミツのイケイケ鬼ウーマンだよ!どうぞよろしく!」

決めポーズをバッチリ決める霧香改め曲者。
リヒトはただ、苦笑いを浮かべるしか出来なかった。

「ノリが悪いぞ少年ー!」
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/06(木) 02:32:00.09 ID:8uOBEE2xO
「きゃー!」

「待て待てー!」

興味深そうにドアの隙間から子供たちが中を観察してきたので、取り込み中でなければ自由に出入りしていいと伝えたところ、リヒトの客室は子供たちの遊び場になってしまった。
五、六階が従業員の区画らしいのだが、そこではしゃいだら他の従業員の迷惑になるのでわざわざここに来たのだろう。

「…羨ましいな」

自分には無かった、子供の時間。自由に遊び笑うひととき。
もし自分にもあったなら。そう夢想しても叶うことはなく、所詮はたらればだと諦めた届かない夢(まやかし)。
何度求め願ったのだろうか。数えきれないほどに欲した人との繋がりは、家を出るまで手にすることは出来なかった。
家を出て聖女に出逢うまでも、地獄に等しき悪夢の中を一人、彷徨い歩いていたが。

不幸の星の下に産まれたのではないか、と自嘲げに嗤う。子供たちにはその姿が見られることはなかったし、見られたくない。
この苦しみは、自分だけが感じていればいい。他人に共有して苦しませても、辛くなるだけだから。

憂いを帯びた瞳で、バルコニーに目を移す。鮮やかな緋桜が、今の自分には眩しかった。

「あの子たちのわがままを聞いてくださってありがとうございます」

「…ん…。礼を言われるようなことじゃないよ」

コトリ、と湯呑みを置きつつ、女の子が謝辞を述べる。
リヒトは視線を女の子に向けつつ答えた。
湯呑みに注がれていたのは温かい水。即ち白湯である。
ゆっくり飲み干してみると、身体の中からぽかぽかと温まる。熱すぎず冷たすぎない、絶妙な温度だった。
ちょうど喉も乾いていたからありがたい。

「雫(シズク)ちゃん、だっけか。しばらく迷惑を掛けるだろうが、ウィンディともどもよろしく頼むよ」

「はいっ!こちらこそよろしくです!」

人懐っこい笑顔を見せる雫は、将来性を感じさせる可愛らしい少女だった。
未来では傾国の美女と呼ばれているかもしれないが、牡丹雪の人は皆同じくらい顔立ちがいいことに気がついた。顔面偏差値のインフレが激しすぎる。
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/06(木) 02:32:36.71 ID:8uOBEE2xO
到着して早々、特にやることが無くて暇を持て余したリヒトは、仕入れた荷物の荷運びに勤しんでいた。
子供や女性に重い荷物を持たせて、のんびりするのは気が引けるという個人的事情もある。
こんなことにハリゴーディンを使うのはもったいないにも程があるので、リヒトが荷運びを行なっている。暇つぶしを兼ねているので当たり前のことだが。

まず最初に運んだのは、鮮度が命である食材類。両腕に木箱を担ぎ、樽を背負った姿は傍目には拷問に見えるが、リヒト本人はなんとも思っていない。
床が抜けないように一応浮遊しているが、それはそれで不気味な見た目になっていることにリヒトは気づいていない。

「おかげで助かったよ。ありがとう」

せっせと食材を整理している女性が、そんなことを述べる。
リヒトとしては暇だからやっただけなのだが、感謝はとりあえず受け取っておく。
ぶっきらぼうな態度は今更どうしようもないので、放っておいてもらいたいものだ。

「素直じゃないな、君は」

「素直じゃなくてすみませんね。どうせ俺は天邪鬼なガキンチョですよ」

本当に放っておいてほしい。

「そんな天邪鬼な君にお礼を差し上げよう。他の人には内緒だよ?」

リンと名乗った女性が差し出したのは、見るからに高級そうな魚の煮付けだった。
美味そうな匂いに思わず喉が鳴り、腹の虫が鳴く。
本当にこんな上等な品を食べていいのか訊くと、リンは頷いた。

「構わないとも。本来はお雪さんに食べてもらう試食品だったんだけど。それはまた作ればいいしね。君の感想を聴かせてほしいな」

「美味すぎて美味すぎる。俺の貧弱でゴミクズな語彙力では言葉に出来ません申し訳ない」

「そ、そうかい。そこまで喜んでくれるなら料理人冥利に尽きるよ。あと味が変わるから涙は拭いてくれ」

大粒の涙を流しながら試食をするリヒトに、リンは慌てふためいた。
その後、美味しさの秘訣を訊いてみるも、企業秘密だと躱されてしまったリヒトだった。
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/06(木) 02:33:42.33 ID:8uOBEE2xO
次に訪ねたのは医務室。《取扱注意》と書かれた箱を恐る恐る運び込み、机に置く。
薬品の匂いが鼻を突くが、嗅ぎ慣れない匂いはあまり気分の良いものではなかった。

「こんなにいっぱい薬品があると、どれがどれだか分からなくなりそうだな」

空の瓶を手に取り、説明文書に目を通す。専門用語の羅列に処理能力は敗北し、無言で元に戻した。

「知らない人にはそう見えるだけよ。知っていれば、ちゃんと違って見えるの」

カルテの整理をしているのは、牡丹雪唯一の女医である天狗『静音(シズネ)』。
やや短い黒い翼が種族を主張しており、グンバツなスタイルはちょっと子供にはお見せ出来ない色気を放っている。
それでいて、下品さを欠片も感じさせないのは背の高さと彼女の顔立ちの良さが関係しているからだろう。

「今はリヒトくんも、他の子と同じ大切な人だから。もし怪我でもしたらここに来なさい。完治するまで責任を持って看病するから」

「そりゃどうも。もしもの時は頼りにさせてもらうよ」

「約束よ?」

気のない返事をしつつ、リヒトは医務室を後にする。
自分が大怪我を負う時は相当に危険な事態になっている時だ。だから、彼女を頼る日が来ないことを祈った。
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/06(木) 02:34:33.58 ID:8uOBEE2xO
「ここでいいのか?」

「大丈夫ですよ〜」

着物と生地が詰まった袋を置く。六階の一室に呼ばれたリヒトは、女の子の指示に従い荷物を運んでいた。
女の子の名は結衣乃(ユイノ)。本人曰く『ウィンディと同年代』らしいが、メリハリのあるボディを見る限りとてもそうには見えない。
げに恐ろしき脅威の格差社会である。同年代だからと比較されるウィンディが不憫でならない。彼女の明日はどっちだ。

純年齢が同じくらいなのか、人間に年齢換算すると同じくらいなのかは分からないが、どっちにしても今のウィンディに勝ち目は無い。
可能性に期待するしかないが、同じように結衣乃も成長する可能性を鑑みるとやはり、希望はゼロに等しいのかもしれない。

「ありがとうございます〜」

「この量…君が皆の服を担当してるのか?」

リヒトが運んだのは袋が四つ。人数にして数十人の服を賄える量だ。個人の物とは思えない。
結衣乃はリヒトの質問を肯定する。
ちょっとした所作一つで結衣乃のたゆんたゆんが揺れ、その度に目の光を失ったウィンディを幻視する。
悍ましい密度の呪詛を吐いているようにも見えたが、リヒトが見たのは幻なので本人がそうしている可能性は無いだろう。
彼女は他人想いの良い子なのだ。たとえ自分の身体が貧相だからって恵まれた子を羨み恨むなんてことがあるはずがない。

こっそりウィンディの部屋を覗いてみるとそこには、虚な目をしたウィンディが無言で大量の牛乳を飲み干していた。
優しいリヒトは何も言わずその場を後にし、今回のことを忘却した。
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/06(木) 02:38:07.67 ID:8uOBEE2xO
亜人の居場所 判定↓1コンマ


01〜30:今はもういない
31〜99:未だに住んでいる人がいる
00:???


亜人の種族 判定↓2コンマ(上の判定成功時限定)


01〜30:獣人
31〜60:鬼、天狗
61〜90:エルフ
91〜99:自由安価
00:???
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/06(木) 02:58:50.96 ID:PLDOyecLo
あい
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/06(木) 07:42:42.55 ID:oc1lVK7/o
自由安価用:ドリアード
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/06(木) 23:10:22.65 ID:xUF7PtilO
「本日のお昼ご飯ですっ!」

「ありがとう」

雫が配膳してくれた昼餉に手を付ける。献立は白米とオスイモノなるスープ、あとは魚の塩焼きやトンカツだった。
普通の手料理が食べたいと要望を出していたのが通ったのか、緋桜郷の食卓に並ぶようなシンプルなラインナップになっている。
かしこまった雰囲気は嫌いなのでこちらとしてもありがたい。

「おかわりはたくさんあるからね。焦らず食べておくれ」

ニコニコ顔でご飯をよそうお雪。忙しなく配膳を務める雫。目に入った物を片っ端から食べていくリヒト。
三者三様の姿がそこにあり、その中でもリヒトが圧倒的に目立っていた。
幸い、この部屋には彼ら以外はいないので、人目は気にしなくても問題ない。

三人前を食べきり、両手を合わせる。緋桜郷の風習によると、食事を終える時は手を合わせ『ごちそうさまでした』と言うのだとか。
慣れ親しんだ仲ならば省略していいらしいが、そこまで親密ではないし単純に失礼なので郷に入っては郷に従うことにする。
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/06(木) 23:10:56.56 ID:fWTA6LnpO
「お雪さんに訊きたいことがあるんだが、いいか?」

「わしで良ければ」

差し出された緑茶を一杯飲み干し、息を吐く。ほっと落ち着く優しい味わいに、表情が綻んだ。
リヒトはお雪に対し、緋桜郷近辺の森林に亜人が住んでいるのか訪ねる。首肯で返されたリヒトは、小さく頷いた。

「差し支えがなければ、どんな人が住んでいるか教えてほしい」

「とは言われてもね。鬼や天狗といった先住民たちが住んでいるだけさ」

「わしら緋桜郷の民…その大半は、その森林地帯に源流を持つ。先祖が森を飛び出してここに拠点を創り、それが発展して今へと至ったのさ」

「だから…昔はとんでもなく仲が悪かったんだよ。それこそ、目と目が合ったら即決闘と言わんばかりにね。今では遺恨は綺麗さっぱり流れて友好的な関係が築けているけど、昔は本当に酷かった。ああ、思い出すだけでも頭痛がするねぇ…」

たはは、と乾いた笑いを浮かべるお雪。当事者にとってはかなり大事だったそうだが、悲しいかな。
その悲しみを共有出来る人はここにはいない。彼女からすれば、リヒトや雫など産まれたての赤ちゃんに等しいからだ。

「そういえば、お雪さんっていったい何歳なんだ?」

何気なしに発したリヒトの言葉は、女性なら誰しもが抱える地雷を踏む愚行だった。
雫はあちゃあ…といった感じで頭を抱え、皿を片付けていく。あからさまに逃げの手を打っている。
それに対してお雪は、女には秘密があるものだよ、とだけ残し口を噤む。心なしか、周囲の気温が十度ほど下がった気がした。
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/06(木) 23:11:24.97 ID:0AgUKqv7O
何をするかを↓1にどうぞ。
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/07(金) 03:33:08.24 ID:3UKY9xBMo
森へGo!
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/08(土) 23:35:08.94 ID:L2r3r2EoO
いつものようにマナをフードに迎え、牡丹雪を出る。ウィンディには緋桜郷の雰囲気に慣れてほしいので、お留守番を命じてある。
これを機に友達を作ってもらいたいものだ。牡丹雪の従業員は皆善人だから、邪険に扱われることはないはずだ。

喧騒で賑わう街中を進む。冒険者、住民問わず多種多様な人が雑踏の中に見受けられる。
緋桜郷の風習に倣っているのか、大半の人が着物に身を包んでいるため、リヒトの服装は大衆の中でかなり浮いている。

「しかし、温泉とやらの匂いはすごいな。慣れてしまえば、気にならないんだろうが」

「わたしはきらいじゃない」

「へえ」

自然由来のものだからか、マナは気にする様子を見せない。
火山地帯に暮らす妖精なら、毎日温泉に入っているのだろうか。気になるところである。

雑踏を抜け、関所を通る。目的地の森はすぐそこだ。リヒトの足ならば往復で一時間も掛からないだろう。
軽い足取りで走っていると、白狼の群れが隣を並走していた。催促するような、期待するような視線をこちらに向けながら。

追いかけっこにでも興じたいのだろうか。こちらは遊んでいる暇など無いのだが。
だがしかし、ここで彼らを無視するのも可哀想に思える。

「《天狼星(シリウス)》」

リヒトはそう呟き、光魔法を行使した。左手から溢れた光が集い、数匹の狼を形作る。
幼い頃に考案した、孤独を紛らわすための悲しい魔法。戦争では一転して、数多の命を喰らった凶悪な魔法。

それは今、同胞をもてなし戯れるためだけに行使された。あたりを駆け回って光の尾を引く白狼が、血塗られた過去を持つなど夢にも思うまい。

「アオーン!」

彼らも同胞だと認識したのか、光の白狼とじゃれあい始める。微笑したリヒトは速度を上げ、森の中へと消えていった。
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/08(土) 23:35:47.42 ID:L2r3r2EoO
獣道を行くこと十分。風のざわめきの中にカラスの鳴き声が混じり始め、日の光が空を覆う樹木の葉に遮られ明度が下がっていく。
殺風景だった道は石畳と木の柵で彩られ、灯籠が周囲を照らしていた。
かなり年季が入っており、汚れが付いていることからして、長年放置されているようだが、中の炎は煌々と燃えている。赤ではなく、青色に。

なんとも不思議なものだと思いながら道を進むと、集落が見えてくる。ここが目的地で間違いなさそうだ。
リヒトは箒で入り口を掃除している少年に声を掛ける。ピタリ、と動きが止まった。

「………」

じっとこちらを見つめ微動だにしない少年は、何を思ったのか茶色の変なものを取り出した。本当に何をしているのだろう。
ぷらぷらと左右に何かを揺らす少年。それを不思議そうに見るリヒト。

数秒後。どこからともなく現れたキツネが、少年の右手に握られていた何かを咥え去っていった。

「…なんだ、人間か」

人に向かってなんだとはなんだ失礼な。リヒトはささやかな抗議をするが、少年は口をへの字に曲げて反論する。

「緋桜郷ばかり有名になって、こっちは閑古鳥が鳴いてんだよ。こっちのことなんか見向きもしないくせによー!」

逆ギレもいいところだと、リヒトは苦笑した。周囲の人は、二人を生暖かい目で見守っている。
見ているなら助けてほしいと、リヒトは嘆息した。

「ここは天狗と鬼が暮らす隠れ里『竹風村(ちくふうむら)』だ!せっかく来たならゆっくりして金落としていけミーハーなバカヤロー!!!」

少年が逃走する間際に零したトドメの捨て台詞に、リヒトはまた嘆息した。
仮にも隠れ里と名乗っているなら有名にならなくても当然だろう。と納得しながら。
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/08(土) 23:36:53.44 ID:L2r3r2EoO
何をするかを↓1にどうぞ。

竹風村での行動数:最大3
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/09(日) 00:54:41.27 ID:SZgUKVjJ0
ウィンディや牡丹雪への方々へ贈るためのお土産を物色する
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/09(日) 01:32:00.59 ID:OSJl06I3O
年配の夫婦が営む手芸店には、二人が丹精込めて作り上げた温かみのある作品が並べられてある。
どれも細部まで作り込まれているのだが、少年が言ったように観光客が全く来ないため全然売れず、埃を被っている状態だったが。

店主も客が来るとは露ほどにも思っていないようで、姿が見えない。商品も置きっぱなしで不用心が過ぎる。
まあ、ここがのどかで平和な村だから為せることなのだろう。
仮に緋桜郷で同じことをしたら、根こそぎ悪党に盗まれているのがオチだ。

他にも軽く目を通すと、漬物屋では熟練の技が唸る素晴らしい出来の漬物が売られていた。
試供品を食べてみたのだが、独特な匂いとは裏腹にあっさりとしていて食べやすい。
外の人向けの品らしいが、なるほど。この味なら抵抗なく食べられると、一人納得した。
マナに食べさせようと試みたが、口の中に押し込まれる結果に終わった。美味かったから別にいいのだが。

他に目に付いたのは、『竹ノ湯』と呼ばれる温泉で売られている温泉饅頭くらいか。
温泉の名が入っているが、温泉の湯は使われていないらしい。味も匂いも変になるので、それはきっと正しい判断だと思われる。

こちらも一口味見してみると、ふんわりとした生地に詰め込まれた甘い餡が、優しい甘さを口いっぱいに主張した。
製作者曰く、普通の砂糖とイルステッドでは緋桜郷近辺でのみ生産される黒糖なる砂糖を独自の割合でブレンドしているらしく、この味は竹風村の密かな自慢なのだとか。

ごく少数を緋桜郷に輸出して販売しているが、決まって開始数分で完売する人気品らしい。
数が少ないのが主因だろうが、緋桜郷でも親しまれているのならその人気に嘘は無いだろう。
製作者が年なので、近々製作を辞めてしまうらしい。
そうなれば、この味は永遠に失われるのだろう。悲しいがそれが歴史というものだ。
技術を引き継いでくれる勇気ある若者が出てくることを祈っておく。

「…とっっってもくやしいけど、これだけはおいしい」

"あの"マナが太鼓判を押すほどに、温泉饅頭は美味しい。これをセールスポイントにすればさらに売れそうな気がするが、生憎リヒトは商人ではないので、そんな益体もない考えは破却された。
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/09(日) 01:34:44.83 ID:OSJl06I3O
誰に何を買うかを↓3までどうぞ。書き方は例を参考にしてください。一レスにつき二種類しか書けません。



ウィンディ 櫛
リン まな板と包丁
牡丹雪の子供たち 温泉饅頭を買えるだけ
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/09(日) 01:40:34.80 ID:rKkJ9uuCO
すみません、一レスにつき一種類に変更します。
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/09(日) 01:51:03.59 ID:ezoQtFgZo
子供たち お饅頭買えるだけ
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/09(日) 10:31:08.37 ID:yAp+bYPSO
ウィンディ 櫛
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/09(日) 14:01:30.03 ID:HIOu71EbO
リン 花
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/09(日) 20:01:06.37 ID:fVPTf7TQO
さて、何を土産に買うべきか。こういう普通の人らしいこととは縁が無かったので、何が喜ばれるのか皆目見当が付かない。
唯一マトモな助言をくれそうなウィンディはここにいないし、マナに期待しても無駄なのは分かりきっている。ハリゴーディンは論外だ。

結局のところ、行き詰まった時に頼りになるのは己の直感だけだ。本能が良いと言った物を選べばいい。
他人にどう受け取られるかは他人次第。フェルリティアで巡り合った旅人が残した名言はこんな時にも役立った。

そんなこんなでリヒトが購入したのは、子供たちが喜ぶであろう温泉饅頭。これは買えるだけ買ったが、たった数箱で売り切れたのを見るに、生産数も相当に絞っているのだろう。
他にもウィンディやリンに贈答する櫛や花を購入した。
女の子なのだから、髪の手入れをする際にこういう物はなにかと役立つはずだ。たぶん。
厨房に立つリンに花を贈っても邪魔になるだけな気がするが、選んだものはしょうがない。
最悪、花瓶に挿してインテリアとしてでも使ってもらおう。

オマケでもらった温泉饅頭を齧りつつ、リヒトは荷物を纏める。二、三個だけつまんだ後、残りはマナ用に残しておく。
目の前に袋を置くと、当然のようにそれはマナに盗まれ、胃袋の中に収まった。まあ、元々食べさせるつもりだったから別に良いのだが。
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/09(日) 20:02:18.99 ID:fVPTf7TQO
何をするかを↓1にどうぞ。

竹風村での行動数:2
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/09(日) 21:20:52.05 ID:H6DDiO/Do
マナ、波長の合いそうな気配感じない?
拠点に来てもらうなら相性重要だし
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/09(日) 21:33:20.90 ID:7Cbg8rphO
マナチェッカー 判定↓1コンマ


01〜30:いない
31〜80:ひとりいる
81〜99:ふたりいる
00:???
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/09(日) 21:41:54.35 ID:0nZg517Vo
マナちゃんキャラ立ってきてるねぇ!
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/09(日) 21:54:59.30 ID:XXJlXI9EO
仲間を一人募集します。テンプレートは以前のものをお使いください。
場所が場所なので種族は鬼と天狗のどちらか限定です。
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/10(月) 04:20:54.84 ID:qbLUw00Q0
【名前】蓮武(レンブ)
【種族】天狗
【性別】男
【魔法】雷魔法
水色髪短髪筋肉質の青年。大剣を背負っている。白い羽がある。性格はクールだが真面目なところがある。剣の修行の為に旅をしている。剣では一度も負けた事がないくらい強い。幼い頃に奴隷商人に捕まり奴隷になった過去がある。売られる前に脱出し今は自由になっている(脱出した時に一人の剣士に出会い剣術について色々教えてもらった)。クールだが心の奥では深い傷をおっている。
戦闘では剣術と雷の魔法を使用したり、剣に雷を纏わせて戦う事ある。
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/10(月) 20:17:21.87 ID:pyolr5kGO
のんびりと足湯に浸かるリヒトとマナ。ズボンの裾を太ももまで捲り上げ、乳白色に濁った温泉に足を浸け、温まっていた。
マナは体格の都合上、リヒトと同じように席に座っても足が温泉まで届かない悲しみを背負っている。
が、桶に温泉を汲み、木箱で即席のマナ専用足場を用意することで事なきを得た。

うぼぁー、とだらしのない声を漏らし、足湯を堪能する二人の顔は、他人には見せられないくらいに破顔していた。

拠点にこのお湯が有ればなんでも出来る、頑張れる気がする。
そんな気にさせる名湯は、緋桜郷では知名度が全く無い。その原因はもはや言うまでもない。

ここでさりげなく、リヒトはマナにアイコンタクトを取った。
意味が伝わるならそれでよし。伝わらなかったなら口で言えばよし。単なる実験という名のおふざけだ。

気の合いそうな人はいるか。リヒトの問いに、マナは逡巡ののちに指を一本だけ立てることで答える。

意図が伝わったこと、そして何より、マナが同調出来そうな人がいることに驚いた。

「すまない、見知らぬ人よ。俺も湯に浸かって構わないか?」

同時に、意識の外から声を掛けられる。振り返ってみるとそこには、筋骨隆々な男性がいた。
羽が生えていることから、種族はおそらく天狗。

「どうぞ」

リヒトが促すと、青年は頭を下げながら足湯に入る。ふう、と息を吐く音が聞こえた。

マナに視線を移してみると、一瞬だけ彼を指差す。彼が先述した同調出来そうな人で間違いない。

しかし、この偏屈な妖精がシンパシーを感じるとは。厄ネタを持っていそうな気配を感じる。
リヒトは内心冷や汗を掻きながら、努めて平静を装う。そんなリヒトを知ってか知らでか、マナは大きな欠伸をした。
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/10(月) 20:19:03.87 ID:pyolr5kGO
蓮武と何を話すかを↓1にどうぞ。
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/10(月) 20:52:45.38 ID:8nESAjNV0
ずいぶんデカい剣を背負っているんだなと背中の剣に注目する
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/11(火) 01:59:04.78 ID:kOc6wHl4O
竹風村の足湯に入る際のルールとして、手荷物は全てカゴに入れて保管する、というものがある。
そのため、リヒトはカバンなどの荷物一式はカゴに入れているわけだが、目の前の男性はカゴから荷物がはみ出ていた。はみ出ざるを得なかった。

刃渡り2m超の無骨な大剣が、カゴの横に放り出されている。カゴに乗せようものなら瞬く間に押し潰れるのは確実なので、その判断は正しいのだろう。
だがこう、もうちょっとどうにかならなかったのだろうか。
刀身がさらけ出されていると、どうしても気になってしまう。
だから俺は悪くない、と誰に対してでもなく自己弁護をする。

しかし、かなり大きな剣だと感心する。リヒトも膂力には自信があるが、大剣類は手に馴染まなかった。
振るえないわけではなかったが、手足のように扱うには、技量も筋力も足りていなかったのだ。
彼がわざわざそれを選んでいるということは、自身が信を置くに足る、と認めていることの証左に他ならない。
それほどまでに、研鑽を積んできたのだろう。

「俺の剣が気になるのか?」

「ん?ああ。俺も剣の腕には多少の覚えがあってな。随分と大きな得物だと感心してたところさ」

「なるほど」

目立った装飾の無い、使い込まれた大剣は、その刀身に蒼空を映す。
しっかりと手入れがされた剣は、華やかさこそ無いがとても美しい。彼の人柄を、刀身に映る鏡像に垣間見た気がした。
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/11(火) 01:59:49.28 ID:kOc6wHl4O
蓮武と何を話すかを↓1にどうぞ。
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/11(火) 03:41:21.07 ID:DE/g0du4o
(荷物の雰囲気などから旅人だろうと踏んで)
どこから来てどこへ行くのか、といった話をする
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/13(木) 14:26:10.12 ID:CjE8GOePO
さて、彼はいったい何者なのだろうか。
武器を持っていること。行動を阻害しない戦闘向きの服を着ていること。荷物に保存食や水が所狭しと敷き詰められていること。
そして、戦闘を日常とする者が放つ特有の雰囲気。
以上を鑑みるに、旅人や修行者の類と見て間違いなさそうだが。

リヒトは自身を『緋桜郷に心身を癒しに来た戦士』ということにして、天狗の男性に質問をする。

「貴方は何をするために旅してるんだ?その旅はどこから始まった?」

蓮武(レンブ)と名乗った男性は少しの間考える素振りを見せ、ゆっくりと口を開く。

「…俺は、剣の道を極めるために各地を放浪している。旅の始まりについては、敢えて黙秘させてもらおう」

ふむ、とリヒトは足を組んだ。語りたがらないのは、そこに後ろめたいこと、忌まわしい過去があるからだと、相場は決まっている。
であれば、深入りは禁物だ。わざわざ藪を突いて蛇を出すこともない。

「求道者ってわけか。果てのない修羅道を征く、その心意気には恐れ入るよ」

闇に身を堕とした者には、あまりにも眩しい道。物怖じせずに突き進む勇士を、幽者は羨望の眼差しで見つめる。
が、その視線には誰も気づかない。

彼のように真っ直ぐな心が残っていれば、俺も違う未来へ進んでいたんだろうか。
そんな独白は、心の闇に溶けて消えた。
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/10/13(木) 14:27:15.33 ID:ub+ns018O
会話を継続する場合は話題を↓1にどうぞ。
終了したい場合は、その旨を記載してください。蓮武との交流を終了します。
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/13(木) 15:58:16.39 ID:TIycFatQO
(「各地を放浪している」と言っているので)
今までどんな国や村など訪れたことがあるか、といった話しをする。
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