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勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の続編の続編

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792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:22:52.90 ID:O6K4E5800
『30分後』


商人「みんな同じ衣類だ…全部女性だね」

アサシン「この辺りだけで20体近い…これをどう見る?」

商人「窒息死だよ…生きたままここの空気を抜かれた…これは古代人だ」

狼女「あそこのミイラは何か武器を抱きかかえたままミイラに…」

商人「取れるかい?」

狼女「ミイラが石になってて…」

商人「なるほどね…それは多分古代の兵器だ…取れなかったから盗掘されてない」

アサシン「その武器でミイラの部分を切り取ってしまえ」

狼女「分かった…」スパ スパ

商人「これは他にもありそうだな…僕も探して来る」タッタッタ


盗賊「お〜い!!こっち来てみろ!!」


商人「何か見つけたね?」

盗賊「この部屋はなんだ?謎の機械が並んでいやがる…」

商人「スゴイ!!」

盗賊「これ…椅子に腰かけてるのはミイラだよな?」

商人「この機械を操作してたんだ…ここは指令室か何かだ」ゴソゴソ

盗賊「ガラス越しの向こうにも部屋があるぜ?」

商人「よし…ここまでは雪が入って来て無いから一旦ここを拠点にしよう」


シュタタタ


狼女「古代の兵器取れたよ」

盗賊「おぉ!!見せてみろ」

狼女「これ使えるかな?」カチカチ

盗賊「ほぉぉぉ…インドラの銃みてえだな…」ガチャ

商人「他にも有るかもしれないから見つけた物は此処に…」

盗賊「だな?向こうも見てくる」ダダ


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793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:24:24.07 ID:O6K4E5800
『焚火』


メラメラ パチ


盗賊「燃えそうな物はここに突っ込んでくれな?…ぅぅぅさぶ」ゴシゴシ

狼女「これで3つ目…」ドサ

盗賊「古代の兵器…一人1つづつ持って帰りたいな…ふぁぁ〜あ」

アサシン「盗賊…少し仮眠を取れ」

盗賊「あぁ…ちっと疲れた」

狼女「使える物が無いのが…」

アサシン「エネルギー切れなのだろう」

狼女「もう謎の機械は無視して良いよね」

アサシン「うむ…すべてガラクタだ」


ヨイショ ヨイショ ドサリ


商人「やっと見つけたよ…」

アサシン「それは?」

商人「古代のエネルギーさ…容器の中にウラン結晶が入ってる」

アサシン「では見つけた古代の兵器にエネルギー充填出来るのではないか?」

商人「どうだろう?やり方が分からない」

アサシン「まぁ持って帰ってみてからか…」

商人「今は休憩中かい?」

アサシン「盗賊は軽く仮眠だ」

商人「見つけた物をトロッコまで運ばないとね…」

アサシン「持てる量に限りがあるからな…これ以上探索しても持って帰れん」

商人「書物が一切見つからないのが不思議だよ…本棚らしい物も無い」

アサシン「古代では不要だったのだろう」

商人「ちょっと集めた謎の機械類をバラしてみようかな…」カチャカチャ

アサシン「好きにしろ」
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:24:55.70 ID:O6K4E5800
狼女「その機械…何だと思う?」

商人「腕らしいものが付いて居るから自律で動くペットの様な物じゃ無いかな」カチャカチャ

狼女「沢山在るけど殆ど傷んでた」

商人「傷んで無い物は持って帰られた感じだろうね」カチャ

狼女「シィィィーーー」ピク

商人「!!?」キョロ

狼女「遠くで何か聞こえる…話し声」

アサシン「…」

狼女「先遣隊…部隊が前線から引き揚げて来るって…」

アサシン「私達も一度引き上げた方が良い…」

狼女「大分遠い…多分10人くらい」

アサシン「商人…今回は目標達成と見て良いか?」

商人「僕の目標は達成だね…でもアサシンの目標は達成してない」

アサシン「これほど広いとは想定外だった…すべての探索は2〜3日では終わらん…中止だ」

アサシン「そもそも此処でドリアードと同じ事が起きているかもしれないと言うのは私の勝手な思い込みなのだ」

盗賊「ぬぁぁ寝れやしねぇ…今の話は初耳だが?」

商人「諜報員の情報だとね…エネルギー源としてどこからか持ち込まれたのは黒い魔石らしい」

アサシン「私はそれが魔王を封じた魔石では無いかと疑っている」

商人「ここの所キ・カイでは魔石が供給過多で値下がりしてるのさ…どこかでエネルギーの移し替えをやってる」

盗賊「じゃぁその現場が此処だと思ってた訳か?」

アサシン「前線へのエネルギー補給を考えると此処が望ましい…そう考えて居た…たが確証は無い」

盗賊「なるほど…それを調査したかった訳か…だが広すぎたんだな?」

アサシン「うむ…」

盗賊「まぁ一旦仕切り直しが良さそうだ…マジで探すならしっかり地図とか作らんと厳しい」

商人「軍に見つかってしまう前に戻ろう…」

盗賊「だな?俺がそのエネルギー源とやらを持って帰るからその他は手分けしてくれ」ヨッコラ

アサシン「古代の兵器は1つづつ…後はどうする?」

商人「ちょっと待って…この機械の頭部ユニットだけ外して行く」ガチャガチャ

狼女「帰路は私が先頭…匂いで分かるから」

盗賊「そら助かる…後方は任せろ」


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795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:25:42.19 ID:O6K4E5800
『吹き抜け_帰路』


ヒュゥゥゥ ボボボボ


商人「ガーゴイルが燃えながら落ちて…」

盗賊「空で戦闘やってんな…ありゃ小型の気球が火を吹いてんだ」

アサシン「先遣で陸と空から…定石だな」

盗賊「良く見ると気球が沢山飛んでんじゃ無ぇか…」

商人「ここから一気に降りられると先越される…」

盗賊「ちぃぃ…高くてロープ使っても降りられんな…」

狼女「案がある!!私が変体すれば一人づつなら背負って飛び降りられる」

アサシン「む…」

狼女「元来た道を戻るのは10時間くらい掛かってしまうから…それなら変体した方が早い」

アサシン「良い案だ…リカオンが寝た後は戦力が一人減るがトロッコまで行けばキラーマシンが残って居る」

盗賊「下に降りた後は行き先分かるか?」

狼女「匂いで分かるよ」

商人「よし!それで行こう」

狼女「アサシン…破壊の剣を預かって」ポイ

アサシン「それは私が使おう」パス

商人「あぁぁちょっと!!服を脱いでから変体して!!」

盗賊「ヌハハ後で裸の女背負って行くのも問題が多いしな」

狼女「アッチ向いて!!」ヌギヌギ

盗賊「ヘイヘイ…んん?対岸の兵隊…こっちに気付いてんな」

アサシン「流石は前線の兵士という所か…手練れが居ると見た」

商人「マズいね…軍は貝殻と同じ様な機械を使って連絡し合ってる…気球が降りて来るぞ」

狼女「服を預かって!!」バサ

盗賊「おう!!」

狼女「盗賊から!!背中に乗って!!」ガブリ


ムクムク モサモサモサ


ウェアウルフ「グルル…早く!!」

盗賊「俺が下の安全確保だな?」ピョン

ウェアウルフ「舌噛むな?」ピョン シュタ シュタ


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796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:26:40.41 ID:O6K4E5800
『最下層』


グルルル ガウガウ


盗賊「おら…掛かって来いや」ブン ブン

ハウンドドッグ「グゥゥゥゥ…ガルルル」


ピョン シュタ!


ウェアウルフ「商人降りて…次行って来る!!」シュタタ ピョン

商人「これ…ゾンビの犬かい?囲まれてる…」

盗賊「ゾンビとちっと違う…知能があるから手強いぜ?」

商人「火炎放射器で威嚇した方が良いね…」ゴゴゴゴゴ ボゥ


ヒュゥゥゥ ドサーーー


盗賊「ガーゴイルも降って来やがる…上にも気を付けろ!!」

商人「う…動くぞ!!」

盗賊「さっさと燃やしちまえ!!」

ガーゴイル「ギャアアァァァ…」ヨタヨタ

商人「このぅ!!」ボボボボボ

盗賊「来るぞ?」ダダ
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:27:09.52 ID:O6K4E5800
ハウンドドッグ「ガウルルル…ガァァァ」ダダ

盗賊「くっそコイツ!!」ブン

商人「ハッ!!狙われてるのは盗賊だけか…」

盗賊「その様だな?素早くて対処出来ん!!上手い事燃やしてくれ」

商人「分かってる…賢いなあの犬…」

盗賊「だろ?ちゃんと距離を分かってる」

商人「この場合クロスボウの方が良いけど…置いて来ちゃった」


シュン シュン シュン ドス ドス ドス


ハウンドドッグ「ギャフゥゥン…ギャンギャン」バタバタ

盗賊「何ぃ!!?」

商人「クロスボウの撃ち下ろしだ…あの兵隊は降りて来るのが早い…」

盗賊「俺らを助けようとしてる様だ」

商人「そりゃそうだよね…僕達は人間の形をしてるんだから」

盗賊「あの兵隊は特殊な訓練を受けた精鋭だ…リカオンを狙われたらマズイ」



ピョン ズザザー



ウェアウルフ「アサシン降りて!!」

アサシン「…」ピョン シュタ

盗賊「リカオン!!身を隠せ!!」

ウェアウルフ「え!!?」

盗賊「上に居る兵隊に撃たれるかも知れん…あれは特殊部隊で俺ら以上に出来る奴らだ」

商人「兵隊が移動を始めてる…今の内にトロッコへ急ごう」

ウェアウルフ「こっち!!」シュタタ

盗賊「商人!!続け!!」ダダ
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:27:52.37 ID:O6K4E5800
『チカテツ街道のような所』


シュタタ タッタッタ


盗賊「ここは見覚えがあるぞ!!」ハァハァ

ウェアウルフ「向こう側…」

商人「ここは補給路だ…彼らはどうして先にここを押さえない?」

盗賊「走って来て分かるだろ?この都市はあの縦穴を中心に円形なんだ…押さえてんのは反対側だ」

商人「そういう事か…」

盗賊「焼かれたゾンビ辿って直ぐにここまで辿り着く…サッサと逃げるぞ!!来い」グイ

ウェアウルフ「声が聞こえる…私達の事を残ってる部隊だと思ってる」

盗賊「そら良い知らせだ…お前が見られんで良かったわ」

ウェアウルフ「見られてるみたい…どうしてウェアウルフが味方してるのか何処かに向かって話してる」

商人「それ機械で通信してるな…」

アサシン「ウェアウルフは北の大陸の生物だ…繋がりを勘繰る者が出て来るぞ」

商人「敵だと判断されるのは時間の問題かもね」

盗賊「どっちでも良い!!急いで脱出だ」



『連結トロッコ』


ハァハァ…


商人「みんな乗って!!」

盗賊「やっと休めるぜ…」ドタリ

商人「キラーマシン!!前後入れ替わって逆走して戻る」

キラーマシン「プシューーーー」ウィーン ガチャコン ガチャコン

アサシン「追っ手は間に合って居ない様だ…」

ウェアウルフ「もう匂いが分からないくらい遠い…」

アサシン「リカオン…今日の主役はお前だったな」ナデナデ

ウェアウルフ「撫でられると眠くなる…」

アサシン「もう良い…早く寝て次に備えるのだ」

ウェアウルフ「グルルル…グゥ」zzz

商人「出発するよ?キラーマシン!トロッコを発進させて!」

キラーマシン「プシューーーー」


カタタン コロコロ…


盗賊「さぁて…ここから半日…又ゾンビ列車だな?」ムクリ

商人「今度は火炎放射器が2台あるから随分ラクさ」

アサシン「トロッコに装着して放射しっぱなしでどの位継続する?」

商人「さぁ?でも魔石は沢山拾って来た…試してみようか」

盗賊「ちっと休めるならそれも良いな…貸せ!俺が取り付ける」グイ


ガチャガチャ
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:28:31.64 ID:O6K4E5800
『火炎列車』


ボボボボボボ ボゥ


盗賊「んがぁ…すぴー」zzz

アサシン「このまま進むのは他のトロッコと正面衝突するのでは?」

商人「いや…多分来ないね」

アサシン「地下路線図ではこの路線は一方通行だぞ?」

商人「もうオークとの戦争は終わってる…キ・カイは外海の調査に注力してるのさ」

アサシン「フフ戦地への補給は無しか」

商人「来るとしても少数のキラーマシンを輸送する程度だよ…予定していた子供達が居なくてそれも滞ってる」

アサシン「ゾンビ化の病気をばら撒くとは外道も外道…」

商人「半年もすればオーク領はゾンビだらけ…弱体化した所を攻めるんだ」

アサシン「補給が無いのを不審に思った前線の部隊が戻り始めて居る…そういう事だな?」

商人「多分ね…」

アサシン「もう太陽を見ず時間が分からんのだが…まさかチカテツ街道までこのまま突破じゃあるまいな?」

商人「う〜ん…帰りをどうするかあまり考えて無かったんだ」

アサシン「クックック…詰めが甘い」

商人「流石にキラーマシン3台持って悠々と帰る訳にも行かないなぁ…」

アサシン「キラーマシンは放棄が良かろう…4人で徒歩ならなんとか帰還できる」
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:29:10.56 ID:O6K4E5800
『その頃_チカガイ』


ガチャガチャ


オークの子「爺ぃ!!まだ?」

ジャンク屋「爺ぃと言うなぁぁぁ私は科学者だぞ!!」ガチャガチャ

オークの子「じゃぁ科学者…まだ?」

科学者「慌てんなや…キシシシシ…ホレ」ポイ

オークの子「よし!!これで…」パス

科学者「只じゃないよ?」ギロ

オークの子「…」ポイ

科学者「これだけ?んぎゃあああ…私は研究で忙しいと言うのに…」ムシャムシャ

オークの子「それうちらの最高の御馳走なんだ…それで勘弁して」

科学者「これだからガキは好かん…」ムシャムシャ

オークの子「これどうやって使うの?」

科学者「スイッチを押したらビビビーっとなる位分からんのかや?」ムシャムシャ

オークの子「ありがとう…やってみる」

科学者「それで…」ジロリ

オークの子「忘れて無いよ…機械を持って帰れば良いんだろ?」

科学者「ソレじゃ!!ソレソレソレソレぇぇぇぇ…持ってきたら何でも作ったる」

オークの子「大きな声出さないで…大人に見つかるとヤバいから」

科学者「私は此処で研究を続けて居るから…イヒヒヒヒ」

オークの子「研究ねぇ…牢屋から逃げて来て隠れてたんじゃ無かったっけ?」

科学者「見つかってしまっては研究が出来ん…シッシ!!あっち行け!!」

オークの子「又来る…」ノシ
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:29:53.75 ID:O6K4E5800
『地下通路』


ピチョン ポタ


悪ガキ1「あの爺ぃ頭大丈夫?」

オークの子「大人の中では信用出来る方さ…」スタスタ

悪ガキ2「ブツは手に入ったんだろ?見せろよ」

オークの子「おもちゃじゃ無いんだ!触るな…」

悪ガキ2「ケッ!!」

オークの子「…それで?…地下水路の方にオークの大人はどれくらい集まった?」

悪ガキ2「6人…」

オークの子「誰にも見つかって無いよね?」

悪ガキ2「うん…アイツらヤバい武器持ってるよ?」

オークの子「どんな?」

悪ガキ2「くそデカイ斧」

オークの子「普通だよそんなの…食料は言われた通り渡したか?」

悪ガキ2「木の実と骨…」

オークの子「まぁ良いや…作戦通りオークの退路確保頼んだよ」

悪ガキ2「バッチリ!!例の地図のお陰でチカテツ街道8番の奥まで出られる」

オークの子「じゃぁここからは別行動だ…悪ガキ1!!私に付いて来い」

悪ガキ1「分かってる…」スタ

オークの子「あんたの鍵開けが頼りなんだ…失敗すんなよ?」

悪ガキ1「こいつも連れて行くよ」

お手伝いロボ「ピポ…」ウィーン

オークの子「あの爺ぃが作った奴か…まぁ良いや!来い!」タッタ
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:30:36.27 ID:O6K4E5800
『軍の研究所』


ドドーン グラグラ


兵隊1「んん?何だ!?」

兵隊2「地上の方だ…又何か起きた様だ」


ザザー

緊急!緊急!

外部より未確認の砲撃あり!

地上市街地被害甚大…特別警戒レベル1に相当

至急司令部からの指示を要求する!!


兵隊1「何ぃ!!警戒レベル1だとぉ!!」ガタン

兵隊2「緊急招集が来る!!人駆集めるぞ!!」ドタドタ


ザワザワ ドタドタ

指令部からまだ指示来て無いのか?

兎に角軍用ドックに移動急いだ方が良い

砲撃って何なんだよ!!どっかの軍船か?

投石らしい…噂に聞くオークロードかも知れん

ザワザワ ドタドタ


---------------


ヒソヒソ


オークの子「始まったね…チャンス見てあの扉から入る」

悪ガキ「この場所で間違いない?」

オークの子「あの爺ぃは此処に収容所があると言ってた」

悪ガキ「みんな助けないと…」ブルブル

オークの子「震えてんのかい?」

悪ガキ「これは武者震いなのか?」ブルブル

オークの子「慣れろ…行くよ」グイ
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:31:09.18 ID:O6K4E5800
『研究所の中』


ガチャリ ギィィ


オークの子「よし!!誰も居ない」

悪ガキ「入って来られない様に内側から鍵を掛けて置く…」カチャン

オークの子「私が先に…」スタ

悪ガキ「待って…お手伝いロボ!!先に進んで様子見して!!」

お手伝いロボ「ピポポ…」ウィーン

オークの子「ふむ…良いね」

悪ガキ「大人が反応したらそのビビビの武器で倒して」

オークの子「分かった…後ろ頼むよ」コソーリ


女「うわっ!!だ…誰?」


オークの子「大人の女か…」

女「掃除の機械?一体誰が…」キョロ

オークの子「ゴメンよ!!」ダダダ

女「え!!?子供…いぎゃぁぁぁ」ビビビビ ドタリ

悪ガキ「…」

オークの子「先に進むよ…」グイ

悪ガキ「死んで無いよね?」

オークの子「気絶しただけ…これは遊びじゃない!!真剣にやって!!」

悪ガキ「分かってる…」ダダ
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:32:01.27 ID:O6K4E5800
『研究所の奥』


シクシク エ〜ン


子供達「だれ?ここから出して?」

オークの子「今から鍵開ける…だれもしゃべらないで」ギロ

子供達「…」コクコク

オークの子「悪ガキ!!あんたの出番」

悪ガキ「分かってる…集中するから静かに…」カチャカチャ

オークの子「私は例の機械を探して来るからそれまでに終わらせて」

悪ガキ「うるさい!!集中できない!」カチャカチャ

オークの子「…」タッタッタ

悪ガキ「お手伝いロボ…大人が来たら足止め頼む」

お手伝いロボ「ピピ…」ウィーン

悪ガキ「鍵が開いたら出口は右の奥だよ…出たらチカガイのギャング達と合流するんだ」

子供達「…」

悪ガキ「その後はギャングに従って事が済むまで隠れる…イイネ?」カチャン 

子供達「!!?」

悪ガキ「開いた…今なら逃げられる…早く行って!!」


ドタン! ガラガラ


兵隊「このぉぉ!!」

悪ガキ「ヤバイ…」ダダ
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:32:40.07 ID:O6K4E5800
オークの子「くっそバレた!!」ダダ

兵隊「どうやって逃げ出した!!」

悪ガキ「姉御!!いつも通り!!」スラーン

兵隊「武器を持って居る…だと?」タジ

悪ガキ「…」ギロリ

兵隊「子供が持って良い武器では無い…渡しなさい」

悪ガキ「姉御!!」

オークの子「…」ダダ ビビビビ

兵隊「んがががががが…ぐぅぅぅ」ピクピク

悪ガキ「よっし!!例の機械は?」

オークの子「見つけた…戻るよ!!」ダダ

悪ガキ「みんな付いて来い!!」ダダ


子供達「…」ガクブル



『商人ギルド』


ドカーーン パラパラ


娘「いやぁぁぁぁ…」タジ

影武者「こ…これはダメだ…娘さん!!家族を連れて下へ避難するんだ」

娘「し…下?」

影武者「早く!!商人の隠し部屋が地下通路になってる」

娘「皆を連れて来る!!」ダダ


ギャァァァ

誰か…誰か助けて…

伏せろぉ!!頭だけ守れぇ!!

兵隊は何をやって居るんだ!!
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:33:16.33 ID:O6K4E5800
『隠し部屋』


ガチャリ ギーー


娘「早く入って…」グイ

家族達「こんな場所がギルドの地下に…」

影武者「今はそんな事言ってる場合じゃ無い…奥の通路なら比較的安全だからそっちへ」


ゾロゾロ


娘「上の大部屋はもうグチャグチャ…大事な物は無かったかな?」

影武者「大事な物は命だけさ…」

娘「この砲撃は何だか知ってる?」

影武者「分からない…ただもうここで商人ギルドは厳しいね」

娘「爺ぃの為に家族集めといて良かった…」


ドーン グラグラ


娘「うわわわ…」

影武者「気球で物資運搬どころじゃ無くなったな…気球が無事なら良いけど」

娘「ここに包帯とか無い?」

影武者「ある…僕の包帯と商人のエリクサー」

娘「落ち着いたら他の人の手当てに回らないと…」

影武者「そうだね…」


ドーン ドカーン


-------------

-------------

-------------
807 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:34:23.44 ID:O6K4E5800
『火炎列車』


カタコン ゴーーーーー


商人「もうすぐチカテツ街道8番だ…何事も無く戻って来れたね」

狼女「この人ずっと寝っぱなし…起こす?」ペシ

盗賊「ふんが!?」パチ

アサシン「フフ寝覚めは良いか?」グビ

盗賊「おぉぉ…今何処ヨ?」ムクリ

商人「あと1時間くらいで到着さ…そろそろ徒歩に切り替えようと思ってた所だよ」

盗賊「ふぁぁぁ〜あ…どうやら俺はしっかり寝たみたいだ…腹減ったな」

狼女「ナッツ!」ポイ

盗賊「くぁぁぁケチくせぇ食い物だ…アサシン!ワインくれ」パク

アサシン「もう残り少ない…一口だけにしろ」ポイ

盗賊「一口かよ…まぁ無いよりマシか」グビ

狼女「…」クンクン キョロ

アサシン「リカオンどうした?」

狼女「オークの残り香…」

盗賊「おぉそら又てーへんだ」グビ

狼女「ちょっと待って!!何処かに隠れて居るかも…数が多い」クンクン

商人「このまま走り抜けた方が良いって事かい?」

狼女「いえ…止まって!!正面から何か来る」

商人「キラーマシン!!止まれ!!」

キラーマシン「プシューーーーー」ガチャコン


キキキキキーー ガッタン


狼女「警戒して?」スラーン

アサシン「正面…側道を誰か歩いているな…」

商人「どこ?」

狼女「子供!!」

盗賊「なぬ!?こんな所を一人でか?」

狼女「違う…子供がオークを引き連れて歩いてる」

盗賊「なんだとぅ!!」ダダ

商人「あ…そういう事か…子供はギャングの誰かだ」

アサシン「どういう事だ?」

商人「ギャングはオークと結託しているらしい」

狼女「聞こえる…多分トロッコに何か乗せて引っ張ってる」

盗賊「オークが物資調達やってんだな?」
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:35:27.26 ID:O6K4E5800
商人「参ったね…道を塞がれてる」

盗賊「ギャングなら話通じるだろ」

商人「オークが襲って来なきゃ良いけど…」

狼女「向こうのオークもこっちに気付いたみたい…どうする?」

盗賊「戦うと子供巻き込んじまうな…」

狼女「オーク2体!!走って来る」ピョン クルクル シュタ

盗賊「商人!!火炎放射の準備だ」ダダ

アサシン「私も火炎放射が良さそうだ…」グイ チャキリ

狼女「盗賊!!右側をお願い」スラーン

盗賊「マジか…オークとタイマンして勝てる気がせんのだが…」スラーン


オークウォーリア「ウゴォォォォ!!」ドスドスドス ドカーン


盗賊「うぉっと!!でかい斧だ」

アサシン「盗賊!!武器を壊せ」

盗賊「分かってらぁ!!」ダダ スパ スパ


オークウォーリア「ウゴ!?」バラバラ


盗賊「オラオラ!!武器無しでどうする?」---でけぇ---

狼女「弓!!」


シュン!! ストン!!


商人「あぶっ!!」タジ

盗賊「商人!!トロッコの陰に隠れてクロスボウで撃ち返せ」

商人「あわわわ…」ドタドタ

狼女「向こう引いてる…」

アサシン「こっちが只者では無いと気付いた様だ」

狼女「状況分かって来た…」クンクン
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:35:54.86 ID:O6K4E5800
オークは全部で6体…その内2体は傷付いてトロッコの中…

後方でオーク2体が向こう側と戦っていて

私達の目の前に来てるのが残りの2体…子供達は全部で10人程


盗賊「どういう状況か分からん!!子供達は掴まってんのか?」

狼女「自分の足で歩いてる…」

商人「なるほどオークを逃がそうとしてるね…」

アサシン「これでは膠着状態だな…少し間を詰めるか?」

商人「いや…なにか小さな機械がこっちに向かって来る…」

盗賊「爆発するんじゃ無いだろうな?」

商人「トロッコの陰に隠れようか…」


お手伝いロボ「ピポポ…」ウィーン


商人「張り紙だ!!」ダダ

盗賊「おい!!爆発したらお前吹っ飛ぶぞ…」

商人「道を開けてと書いて居る…」

アサシン「子供の字だな…この状況で道を開けてとは考えが甘い」

盗賊「開け様が無いんだが…どうするよ?」

商人「取引するしか無いね…」カキカキ


お手伝いロボ「ピピピ…」クルリ ウィーン


盗賊「なんて書いた?」

商人「簡単さ…トロッコを入れ替える…その間不戦協定だ」


---------------
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:36:58.37 ID:O6K4E5800
『数分後』


ピチョン ポタ


狼女「さっきのオーク2体は後方の戦闘に行ったみたい」

商人「フフ取引に応じた様だね…その間向こうから攻められたくない訳だ」

盗賊「武器はどうする?」

アサシン「不戦協定なのだろう?下げておけ」スタ

商人「キラーマシン!ゆっくり前進だ…」

キラーマシン「プシューーーー」


ゴトゴト ゴーーー


-------------

-------------

-------------



『取り引き』


ヒソヒソ ヒソヒソ


商人「大人は居ない様だね…君が代表かい?」

オークの子「そうだよ…はぁはぁ」ヨロ

商人「君とは会った事有るかな?」

オークの子「知らない…それよりトロッコの入れ替えを早く」ポタ


ダダダ ズデー


科学者「おぉぉぉぉお!!私の子供達ぃ!!お前は初期型!!まだ残って居たのかぁぁアハハハハ」

キラーマシン「…」

商人「ん?」

オークの子「爺ぃ!!引っ込んでて!!」

商人「あ…」

科学者「爺ぃでは無いぃ!!私は偉大な科学者…うひゃぁぁ!!お前はぁぁ!!」ドタドタ

商人「なんでジャンク屋が此処に居るんだ…」ボソ

科学者「おまいが持って来たあの機械…」プルプル

商人「何の話かな?人違いだよ」

科学者「私の眼はごまかせんぞぃ!!何故他の者に売ったんやぁぁ!!」

オークの子「爺ぃ引っ込んでろって言ったよね!!」


狼女「ちょっと商人!!傷付いたオークが失血で死にそう」


商人「ここでゾンビになられると困るな…僕のエリクサーでとりあえず処置して」ポイ

狼女「一口しか無いよ…」
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:37:32.94 ID:O6K4E5800
アサシン「私の分も使え…」ポイ

オークの子「死ぬとゾンビになると知って?」

商人「ハハ…まぁね」

盗賊「トロッコ入れ替えるも何も…こんなデカいオークを誰が担ぐのよ」

商人「キラーマシンなら出来るじゃ無いかな…」

狼女「今にも死にそう…動かさない方が良い」


ダダダ ズザーー


チンピラ「ダメだ姉御!!ギャング掃討が始まった…全員連れて行かないと殺される!」

オークの子「ちぃぃ…仕方無い!!一旦線路の奥まで行くから全員連れて来て!!」

チンピラ「分かった!!もう少し時間稼いで!!」

盗賊「おいおいどういう話になってんのよ?」ズイ

オークの子「大人には関係無い」ポタ

盗賊「待て待て俺は子供のヒーローだ…お前怪我してんだろ…見せろ」グイ

オークの子「触るな!」グイ

盗賊「おい商人!なんかこの状況おかしく無ぇか?」

商人「そうだね…どうやら僕達は素通り出来そうに無い」

盗賊「察するにオーク呼び込んで政府から追われる立場になってんだな?」

オークの子「…」


科学者「おぉぉ!!こ…これは!!古代の兵器じゃ無いですかぁぁ…これをどうして」


アサシン「近づくな…」ドン

科学者「それがあればキラーマシンを強化して…更に…更に…ウシシシシ」

狼女「後方のオーク4体が押され始めてる…キラーマシンが出て来たみたい」

オークの子「あぁぁ…時間が無い!!子供達が逃げられない…」ソワソワ

盗賊「キラーマシンだけ倒せば何とかなるな?」

オークの子「え!!?」

盗賊「俺が時間稼いでやる…その間にこの状況を何とかしろ」

商人「盗賊…」

盗賊「まぁハイディングでキラーマシンぶった切って来るだけだ…なんとか話まとめろ!!」ダダ

商人「頼む!!」
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:38:45.80 ID:O6K4E5800
『チカテツ街道8番』


ザザー

オーク4体の後方にギャングと思われる子供数人確認

クロスボウでの援護射撃でオーク逃走を支援している模様

子供であろうと抵抗する者は容赦するな

線路損傷を裂ける為爆弾及び榴弾の使用は控えろ


バシュン バシュン ストン ストン


悪ガキ1「ヤバイ…キラーマシンがなにか発射してくる」

悪ガキ2「血が出てるぞ?」

悪ガキ1「今のが太ももに当たった…」ポタポタ

悪ガキ2「くそう!!キラーマシンさえ居なきゃ…」

悪ガキ1「オークもやられそうだ…どうしよう?」

悪ガキ2「逃げるしか無い…歩けるか?」グイ

悪ガキ1「逃げたらダメだ!!時間を稼がないと皆が逃げられない」


バシュン バシュン ストン ストン


悪ガキ2「居場所がバレてる…」

悪ガキ1「ここを死守する!!」ガチャコン

悪ガキ2「俺も付き合う!!」ガチャコン

悪ガキ1「オークに注意が行ったら向こうの柱の陰に行く…」

悪ガキ2「二手に分かれるのか…」

悪ガキ1「マズい!!兵隊がオークの右手に回り始めた…囲まれる」


リリース スゥ
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:39:52.43 ID:O6K4E5800
悪ガキ1「うわぁ!!」バシュン

盗賊「おっと危無ぇ…反射で撃つな」

悪ガキ1「誰だ!!」

盗賊「誰でも良い!!俺が時間を稼ぐからお前等は下がれ」

悪ガキ1「逃げる訳に行かない…ぅぅ」ポタ

盗賊「んん?足か…撃たれたんだな?」

悪ガキ1「これくらい…」

盗賊「おいクソガキ!この角を持ってろ…直に傷が塞がる」ポイ

悪ガキ1「角?」

盗賊「血が出ると長期戦出来んぞ?何でも良いから止血しろ」


バシュン バシュン ストン ストン


盗賊「ハハーン…やっぱあのキラーマシンは囮か…ようし!!」

悪ガキ1「どうする気だ?」

盗賊「お前等2人は骨がある…俺があのキラーマシンぶっ倒すからクロスボウでここから兵隊に向けて撃て…分かったな?」


ハイディング! スゥ


悪ガキ1「き…消えた…」ポカーン

悪ガキ2「兵隊はまだこっちに気付いてない…今なら撃てる」

悪ガキ1「ちょっと止血を…」グイグイ ギュゥ

悪ガキ2「撃つ!!」バシュン バシュン

悪ガキ1「僕も…」バシュン


ガコン ガラガラ ドサドサ


悪ガキ1「え!!?キラーマシンがバラバラに…」

悪ガキ2「おぉ!!一瞬で倒した…誰だあの人」

悪ガキ1「見とれてる場合じゃ無い…オークを援護しなきゃ」ガチャコン

悪ガキ2「そうだ…オークの退路を確保しないと…」ガチャコン


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814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:41:45.18 ID:O6K4E5800
『トロッコ』


ウヒャヒャヒャ

研究材料がまた一つ手に入った…キシシシ…これで亡命して又研究に勤しめる


商人「荷物は食料とポーション類…そうか状況理解したぞ」

オークの子「…」ギロリ

商人「オーク達はゾンビになるのを回避する為にエリクサーを求めに来たな?…それをギャング達が援護した」

オークの子「…」シラー

商人「残りの子供達はどの位で合流出来る?」

オークの子「10分…」

商人「こうしよう…トロッコは全部連結して君達に譲る…どうにかオーク達に守って貰って生き延びるんだ」

オークの子「…」ジーーー

商人「ジャンク屋!!」

科学者「私は科学者だと何度言えば覚えるのかぁ!!」

商人「大人はあなただけだ…キラーマシン3台使って子供たちを守るんだ」

科学者「キシシシ…私はぁ!!私は偉大な科学者ぁぁ…生き延びて世界を作るのだぁぁぁ」

狼女「あの人に話は通じない…」

商人「オークの子…良く聞いて…この魔石を君に譲るから上手くキラーマシンをコントロールするんだ」

商人「それからこの火炎放射器も持って行くと良い…ゾンビは焼けば動かなくなる」


トロッコは連結して合計6台…

これだけ有れば子供全員載せてオーク領まで行ける筈


アサシン「私達は戻るのだな?」

商人「地上がオークの襲撃を受けているんだ…商人ギルドに影武者も盗賊の家族も残されてる」

アサシン「ここを突っ切って戻るとでも言うか?」

商人「仕方ないよね…行くしかない…影武者は失えない…次の時代の僕になる逸材だ」

アサシン「フフ次の時代か…」チラリ

狼女「こんな大事を起こしたギャング達も次の時代の子供達…」

商人「そうさ…残りは大人がどうにかするんだ」


ズルズル


オークの子「悪ガキ!!」ダダ
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:43:05.67 ID:O6K4E5800
悪ガキ「皆連れて来た…」

子供達「え〜ん…え〜ん…」シクシク

オークの子「皆トロッコに乗って!!」


リリース!! スゥ


盗賊「やべぇぞ!!キラーマシン倒すだけじゃもう抑えきれん」

商人「盗賊!!事情が変わった…僕達は徒歩でこのまま帰る」

盗賊「何ぃ!!お前向こうのクロスボウの数半端ないぞ?」

商人「良いんだ…子供達を逃がす為だ」

盗賊「マジかよ…」

アサシン「クックック…毎度の事ながら苦難の道ばかり選ぶ…」

商人「出発だ!!子供達は早く乗って」

盗賊「おら小僧!!お前もだ!!」グイ


悪ガキ「痛い!!くぅぅぅ」

オークの子「悪ガキ?何処か怪我を?」

悪ガキ「大した事無い…」


盗賊「お前がリーダーだな?行くなら行くでサッサと出発させろ!!後は俺らが何とかする」

オークの子「キ…キラーマシン!!トロッコを動かせ!!」

キラーマシン「プシューーー」ガタコン


ゴロゴロ ゴトゴト


盗賊「おっし!!アサシン!!リカオン!!切り抜けるぞ!!」

商人「これだけ持って欲しい…」ヨタヨタ

盗賊「ぬあぁぁぁ…古代のエネルギーか…くっそ!!貸せ!!」グイ

狼女「私が先頭を行く…付いて来て」シュタタ


オークの子「ここから2つ目のマンホール!!そこに抜け道ある!!」


狼女「フフやっと話した…知ってるから心配無用!!行くよ!!」シュタタ

盗賊「じゃぁな!?お前等も上手く切り抜けろ」ダダ



ガタンゴトン ガタンゴトン ゴーーーーー


悪ガキ「…」---あの人が僕の父さん---

悪ガキ「…」---なんて声を掛ければ良かったんだろう---

悪ガキ「…」---僕の事を知らなかった---


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816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:44:06.55 ID:O6K4E5800
『地下水路』


ピチョン ポタ


狼女「オークが上を走り抜けて行った…」クンクン

盗賊「こんな抜け道有ったんだな?」ピチャ

商人「ここは地下路線図に書かれて無いね…ギャング達が隠れ潜んだ場所なんだろうね」

盗賊「方角的には線路と平行して続いてる…歩いた距離からして…」

商人「進入禁止の向こう側に出てくれれば良いけどね…」

盗賊「そういや商人!お前が持ってた古代の兵器はどうした?」

商人「あぁアレはあの科学者にあげた…落ち着きの無い人だったから渡せば大人しくなると思ってさ」

盗賊「マジか勿体無ぇな…」

商人「まぁ僕達はあと2つ有るから良いじゃ無いか」

狼女「ちょっと待って…話し声が何かおかしい」

商人「んん?」

狼女「なんか地上の市街地が壊滅的な状況って…」

商人「え!!?ただオークが攻めて来たんじゃないの?」

狼女「すごく混乱してる…」

商人「ギャングのリーダーからあまり聞き出せてないんだよなぁ…」

アサシン「一難去って又一難か?…いつも通り」

盗賊「早く帰ら無ぇと娘達にどやされるんだが…」

狼女「もうそんな状況では無さそう…」

商人「ちょっと急ごう」タッタッタ
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:44:56.41 ID:O6K4E5800
『チカガイ居住区』


ゴトン ズズズ


盗賊「ほーーこんな所に通じてたか…」ピョン スタ

商人「これは他にも沢山ありそうだなぁ」ヨッコラ

盗賊「アサシン!!手を」グイ

狼女「早く進んで!!」ピョン シュタ


ザワザワ ガヤガヤ

砲撃が止んだらしい…

どうする?荷を外に置きっぱなしなんだ

出入口は避難でごった返して…


盗賊「砲撃だと?」

商人「やっぱり只事じゃない…」

盗賊「ホームから向こうは人がえらい事になってる…他に道は知らんか?」

商人「有るにはあるけれど許可証が無いと通れない」

盗賊「因みにどこよ?」

商人「シェルタ砦から軍港まで連絡通路があるんだ…無理だよ」

盗賊「ぬぁぁシェルタ砦か…無謀すぎるな」

商人「仕方ない…ゆっくり出るしか無いね」
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:46:13.61 ID:O6K4E5800
『外へ通じる階段』


ザワザワ 

怪我人の応急処置の為スペースを開けてくれぇ!!

包帯!!包帯を持ってこい!!


盗賊「おぉ悪いな?通してくれ…」グイ

商人「もう軍が統制取れないくらい混乱してる…」

狼女「あちこちで声がしてて訳が分からない」

盗賊「出口は直ぐそこだ!!急ぐぞ」スタ



『地下入口』


モクモク メラ

雪だ!!雪を撒いて消化しろ!!

怪我人を損壊して居ない建屋に引き入れろ!!

ザザー

こちらB4…敵を見失った…南側の丘陵を西の方へ向かった筈だ

こちらC12…8番地区から逃走したオークはトロッコを用いて移動している模様

こちらD1…気球部隊で索敵を実施する



盗賊「なんだこりゃぁ…」アゼン

商人「あぁぁ…商人ギルドの建屋が倒壊してる…」

アサシン「西側の地区が被害に遭った様だ…東側の港はまだ使える」

商人「これを…ギャング達が主導した?そんな事が子供達に…」

盗賊「違うな…オークの計画にギャングが利用されたんだろ」

アサシン「うむ…不利を知ったオークは決死で敵の本拠地を攻める…これで遠征している部隊を下げざるを得ない」

商人「海軍の居ないタイミングを見計らって?」

アサシン「フフ…これが結果だ」

商人「海軍が居ないのをリークしたのもギャング達…そういう事か」

アサシン「子供達の力を甘く見ていたのだな」

盗賊「おい!!悠長な話してる場合じゃ無いぞ!!娘達の安否確認だ!!」

商人「そうだ!!まずそれだ」タッタッタ


兵隊「おいお前達!!何処に行く!!」


盗賊「悪いな兵隊さん…家族を探しに行くんだ…どいてくれ」

兵隊「又砲撃が始まるかも知れん…地下への非難を急ぐのだ」

盗賊「分かってる!!とりあえず家の確認だ…行かせて貰うぜ?」タッタ
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:47:43.90 ID:O6K4E5800
『倒壊した商人ギルド』


タッタッタ…


商人「信じられない…」ボーゼン

盗賊「見ろ…砲弾じゃなくて投石だ」

商人「誰かぁ!!誰か居ないかぁ!!」ヨロ

アサシン「見事にバラバラだ…」

盗賊「西側からじゃ丁度当てやすい…良い目印になった様だ」

狼女「下!!下で声がする…」

商人「下?…そうか!!僕の隠れ家…」

盗賊「裏口から入れるだろ」

商人「鍵は内側からカンヌキ…」

盗賊「んなもんこの剣で簡単に開く…いくぞ!!」ダダ

820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:48:11.78 ID:O6K4E5800
『裏口』


スパ ギギーーー


商人「誰か居るかぁ!!」スタ

盗賊「リカオン…アサシンも先に入ってくれ」

アサシン「うむ…」スタ

盗賊「俺はカンヌキを直してから行く」ガチャガチャ


娘「商人!!無事だったんだね?」


商人「良かった…みんな砲撃に巻き込まれなかったか…」

娘「爺ぃは?」

商人「居るよ…今裏口の扉直してる」

娘「爺ぃのお陰で家族全員集まってたのさ…」

商人「そうか…影武者は?」

娘「奥で蹲ってる」

商人「ちょっと皆居ると狭いなあ…」

娘「隠し部屋が有ったから助かったんだよ」

商人「まぁ通路も上手く使って休んで」

娘「外はどうなってるの?」

商人「ひどいもんさ…今はゴタゴタしてるから出ない方が良い」


盗賊「いよう!!無事だったか!!」ガシ


娘「マジ死ぬかと思った…」ウルウル

盗賊「何言ってんだ…次行く場所を考えとけ」

娘「船ある?」

盗賊「そういや俺の船何処行った?」

商人「ハハ今頃海で荷物運んでるさ」

盗賊「参ったなぁ…まぁとりあえず飯でも食おうぜ?」

娘「そんなの無いよ…」

商人「あ〜ワインなら僕の隠し部屋にあるよ」

盗賊「おぉぉソレよ…それで十分だ」

商人「まぁ奥に行こうか…」
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:48:59.81 ID:O6K4E5800
『隠し部屋』


カクカク シカジカ


商人「兎に角無事で良かった…」

影武者「こんな事になってしまって本当に残念です…」プルプル

商人「まぁ支店の方は無傷だしやり直しは利くさ」

影武者「2台の気球はどうなったのか知りませんか?」

商人「あぁ…見て無かったな」

アサシン「東の方は投石が届いて居ないから無事の可能性が高い」

商人「ふぅむ…気球が無事なら一旦ここを離れるのもアリだな」

盗賊「ハテノ村に人駆が必要なんだが…」

商人「子供達ばかりで?」

盗賊「10歳超えたら十分働ける」

商人「全員分の食料がねぇ…」

盗賊「この分じゃキ・カイはしばらく混乱状態が続く…商船も入って来ないんだろ?」

商人「う〜ん…じゃぁこうしよう…一旦皆でハテノ村に避難…」

商人「食料の仕入れは大型の気球で海士島か地庄炉村で入手」

盗賊「まぁ北の大陸まで買い入れに行っても良いけどな?…港町辺りによ」

商人「とりあえず今晩の食事をどうするか…」

影武者「運送する予定だった物資が気球に積まれている筈です」

商人「お!?何が積んである?」

影武者「一通りの食材と生活必需品その他諸々…近隣の村へ運ぶ予定でした」

盗賊「なんだ丁度良かったじゃ無ぇか…こんな穴倉に居るより気球の方がよっぽど快適だ」

商人「善は急げとも言うな…」

盗賊「夜まで待ってサッサと移動しちまおうぜ?」

商人「ふむ…ここにある資産は皆で運べば一回で行けるな」

盗賊「どんだけあんだ?」

影武者「ギルド資金で20000金貨と商人さんの分が4000金貨程…」

盗賊「ぶは…それを運ぶのは荷車が必要だ…まぁ良いや…袋に入れて俺がハイディングで運ぶ」

商人「まぁ後は皆で手分け出来るように整理しておくよ」

盗賊「金運んだあと俺は見張りで気球に居るから夜中に全員で来てくれ」

商人「分かった…」
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:49:36.19 ID:O6K4E5800
『夜_大型気球』


ヒュゥゥゥ…


盗賊「遅せぇなアイツ等…」グビ ウィー

盗賊「この辺に避難してる奴らも沢山居るんだからサッサとくりゃ良いのに」


シュタタ シュタ


狼女「もう直ぐ来る」

盗賊「おぉ待ちくたびれた」

狼女「この気球の操作教えて…どうせ向こうの気球は私が操作するよね?」

盗賊「あぁそうなるか…」


この気球はな…左右に張った縦帆で推進するんだ

上空に上がったらこのロープ引っ張って帆を張る…結ぶ場所は此処な?

ほんでだ…帆の角度が重要なのよ

そこの柱に引っかけがいくつもあるだろ?

風の具合に応じて引っかける場所を変える訳よ…まぁ習うより慣れろ…兎に角自分で工夫して早く進める

あと重要なのが風を受けると船体が傾く

そうすると折角の推進力が無駄になるんだ

そうならない様にするのがプロペラ…こいつで船体が傾かない様に上手く調整する


狼女「プロペラが2つ付いて居る理由は?」

盗賊「船体の傾く方向でどちらを強く回すか選択しろ」

狼女「なるほどね…」

盗賊「まぁとりあえず俺が先行すっから上手く付いて来い」

狼女「分かった…向こうでちょっと準備しておく」

盗賊「おう!!」
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:50:03.76 ID:O6K4E5800
『数分後』


ゾロゾロ


商人「荷物は全部荷室に入れて…書物はこっち」

盗賊「いよーーやっと来たな?」

商人「僕は盗賊の気球で良いね?」

盗賊「まぁ好きにしろ…てか人が多く無いか?」

商人「娘の友達夫婦も行く事になった」

盗賊「男手が必要になる事もある…向こうに乗せてリカオンのサポートもやらせてくれ」

商人「わかった…」

盗賊「おいリカオン!!そろそろ球皮膨らませろ!!」

アサシン「フフ大声を出すな…私が伝える」

盗賊「さっさと乗れぇ!!」グイ シュゴーーーー


ゾロゾロ ワイワイ


子供「うわぁ!!高〜い!!」

盗賊「落ちんなよ?暗いから足元に気を付けろ」

影武者「私はこちらの気球に乗ります」

盗賊「全員乗ったな?」

商人「乗ったぁ!!扉閉める」

盗賊「ようし!!出港だ」グイ 


シュゴーーーーーー フワフワ
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:50:34.11 ID:O6K4E5800
『上空』


フワフワ


盗賊「リカオンの気球はちゃんと着いて来てるか?」

商人「見ておくから操作に集中して良いよ」

盗賊「こりゃ逸れんように気を付けんとな…帆を張って来る!!」ダダ

商人「影武者も良く見ておくと良い…君の気球なんだから」

影武者「はい…」メモメモ

商人「リカオンの気球も帆を張り始めたな…やっぱりセンスがあると違うなぁ」

盗賊「アイツは俺の声が聞こえてんだよ…」ドタドタ

商人「ハハそうだね…悪口言えないね」

盗賊「リカオン聞こえてるか?とりあえず進路は南西だ…朝日が昇るまでゆっくり進むから先ずは慣れろ」


--------------

--------------

--------------
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:51:00.01 ID:O6K4E5800
『数日後』


ヒュゥゥゥ バサバサ


盗賊「あんにゃろう…距離を詰めて来やがった」グイ

商人「リカオンと勝負の最中かい?」モグモグ

盗賊「そうよ…俺を抜かしてみろと言ってみたら距離詰めて来やがった」

商人「それは負けられないねぇ…」

盗賊「アイツは風を読む勘がある…俺より先に帆を操作してんのよ」グイ バサバサ

商人「風の匂いとか言ってたなぁ…」

盗賊「うむ…大事な事だ…それより魔女と貝殻で話したんだろ?何か言ってたか?」

商人「あぁ大した話じゃ無い…向こうは物資調達で一旦名もなき島に行くと言ってた」

盗賊「やっぱ物資が無いのか…」

商人「食料だね…ハテノ村が困窮しているらしい」

盗賊「誰か住んでるのか?」

商人「教会に老夫婦と子供だけで働き手が居ないんだとさ」

盗賊「俺らも到着したら速攻調達に行かんとな…この人数じゃ1ヶ月で底を着く」

商人「小麦が欲しいね」

盗賊「今の季節だと北の大陸まで行かんと買えんわな」

商人「この気球でどの位かかる?」

盗賊「早くて一週間ぐらいか?…往復で2週間…結構掛かるな」

商人「積載量考えると船には遠く及ばないか…」

盗賊「女海賊の飛空艇で回数運んだ方が効率良いかもしれん」

商人「どのくらい運べる?」

盗賊「水満タンの樽で5杯だった筈だ…小麦なら10袋って所か」

商人「ふむ…ここは一回僕が港町まで行って商船の手配をした方が良さそうだ」

盗賊「新しい交易か?」

商人「うん…ちょっと女戦士に相談してみる」

盗賊「女戦士?」

商人「海賊の基地を商船の交易ルートに出来ないかってね」

盗賊「ほう?」

商人「キ・カイからすると密輸になるね…海賊の基地から色んな所に物資移送が出来るようになる」

盗賊「なんかキ・カイに近いし海軍が動きそうでヤバく無いか?」

商人「もっとドワーフの領土に近い場所で交易が出来たらなぁ…」
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:51:31.19 ID:O6K4E5800
『ハテノ村上空』


ヒュゥゥゥ バサバサ


盗賊「いやぁぁ…本当何も無い所だ…」

商人「冬だからそう見えるんじゃない?」

盗賊「前に来た時はもっと人が生活してる痕跡が有ったんだが…」

商人「ほら?一応温泉の煙は出てるじゃ無いか」

盗賊「噴火と戦争のせいでみんな出て行っちまったんだな…」

商人「まぁ仕方ないさ…教会見えて来たね」

盗賊「降ろすのは教会の横だな?」

商人「うん…あの辺しか人が居そうにない」

盗賊「まぁ良いや…高度下げる」グイ




『ハテノ村』


フワフワ ドッスン


商人「僕は教会に行って少し話をして来る」

盗賊「おう…俺らは子供連れてちっと周り見てくんな?」

商人「影武者!君は僕に付いて来て」

影武者「分かりました…」


盗賊「お〜い!!お前等ぁぁ!!焚火すっぞ!!」


子供達「わ〜い!!」キャッキャ
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:51:57.69 ID:O6K4E5800
『焚火』


メラメラ パチ


盗賊「おらぁ!!雪だるま作ってそこに並べろぉ!!」

アサシン「何も無い村だな?」スタスタ

盗賊「ヌハハまぁ…見ての通りよ」

アサシン「さてどうしたものか…」

盗賊「んん?盗賊ギルドの事か?ほったらかしでこんな辺境に来ちまったもんな?」

アサシン「ギルドはアヌビスに任せているからそれ程心配はしていない」

盗賊「じゃぁこの困窮した村をどうするってか?」

アサシン「フフ…村だけでは無い…此処に居る子供達全員…今は難民状態なのだぞ?」

盗賊「違い無ぇ…」

狼女「…」シュタタ クンクン

盗賊「いよう!!どうした?何か居るのか?」

狼女「何処かにシカが居る」クンクン

盗賊「おぉ!!そりゃ良い!!」

アサシン「リカオン!狩れるか?」

狼女「勿論」

盗賊「弓持って来て無ぇな…どうやって狩る?」

狼女「これで…」スラーン

盗賊「マジか…お前シカに近付けるんか?」

狼女「ちょっと行って来る」シュタタ

盗賊「弓無しで狩るってそんな事出来るんか?」

アサシン「やらせておけ…シカ狩りはリカオンに任せて良い」

盗賊「ほんじゃ久しぶりに新鮮な肉が食える…」

アサシン「内臓はリカオンに残せよ?」
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:52:50.98 ID:O6K4E5800
『数分後』


タッタッタ


商人「教会で話をして来たよ…寝泊まりは教会を使って良いってさ」

盗賊「まぁ気球を無人にする訳にもイカンから教会使うのは子供達だな」

商人「あと空き家も好きに使えって」

盗賊「もう誰も住んで居ないってか…」

商人「うん…」

盗賊「娘達ぃ!!教会使って良いらしいぞ!!物資運んでくれぇ」

娘1「ベッドある?」

娘2「水浴びしたいんだけど温泉どこ?」

盗賊「説明メンドクサイ訳よ…さっさと子供達連れて教会行け!」

アサシン「では私は少し辺りを見回って来る…」

盗賊「川の上流に温泉が有るからどんな感じか見て来てくれ」

アサシン「分かった…」スタ

盗賊「さぁて…俺はちっとこの辺の整理でもするかぁ」ノソリ


829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:53:21.13 ID:O6K4E5800
『木こり』


ブン! スパッ!! メキメキ…ドサーーーー!!


盗賊「…」ブン ブン


”イノシシの肉焼けてる…持って行って!” 

”忙しい忙しい…”

”ふぅぅぅやっと酒にありつける…カウンターに座るぜ?”

”盗賊さんお疲れでし!!”

”例の酒くれ!!早く飲みてぇ”

”分かってるでしゅ…どうぞ!!”


盗賊「赤毛の…子供達…」ボーーー


スタスタ


アサシン「何を呆けているのだ?」

盗賊「んぁ?…あぁ何でも無ぇ…」---誰だったのか思い出せ無ぇ---

アサシン「こんなに木を切り倒してここをどうする?」

盗賊「おぅ…気球発着に邪魔だったからよ…ちゃんとした広場作ってんのよ」

アサシン「原生の木に限りが有るから伐採し過ぎん様に…」

盗賊「分かってる…これで終わりだ」

盗賊「上流の温泉見て来たか?」

アサシン「うむ…近くの小屋もまだ使える様だ」

盗賊「おぉ!!そら良い!!」

アサシン「周囲は雪が溶けて冬だと言うのに植物が生えて居る…意外と住みやすいかもしれん」

盗賊「確か珍しい薬草が生えるんだ…子供達に採取させるわ」
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:53:59.56 ID:O6K4E5800
『夜_気球』


シーン…


盗賊「な〜んか荷物全部降ろしちまったら5人じゃ広すぎんな?」グビ

商人「そうだねぇ…子供達居ないとこんなに寂しいんだね」

盗賊「全員教会で寝てんのか?」

商人「子供達はそうだね…大人は空き家使うって言ってた」

盗賊「俺らはここで良いとして…当面どうするか考えとかんとな」

商人「とりあえず女海賊待ちかな…明日くらいに戻って来れば良いけど」

盗賊「俺はどうすっかなぁ…明るくなったら近くの村探して物資調達でも行って見るか…」

商人「あーそれなら影武者連れて行って気球の操作やらせて貰えないかな?」

盗賊「おぉそうだな…一台は影武者の物だからな」

狼女「私はもう一台の気球使って狩りに行って来る」

盗賊「ならアサシンと一緒に行け…てかついでに操作方法教えて置くだな」

アサシン「それには及ばん…もう習得済みだ」

盗賊「そうか…でも狩りは危無ぇから2人で行け」

狼女「分かってる…シカ狩って運ぶのが大変なんだ…気球使えばラク」

盗賊「なるほど…」

商人「じゃぁ僕は硫黄鉱山でも行って来るかな…」

盗賊「ツルハシ無いと何も出来んが?」

商人「破壊の剣が有るじゃ無いか…硫黄が入手出来たら色々使える」

影武者「!!?硫黄が…」

盗賊「お?やる気出したか?」

影武者「硫黄が有れば何処とでも取引が…」

商人「そうだねぇ…硫黄が世界の勢力バランスを変えてしまうくらい重要な物になってるね」

盗賊「火薬か…」

商人「あと酸だよ…」

影武者「どのくらい埋蔵して居るのか気になります…」

商人「それも見て来るさ…楽しみにしてて」
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:54:33.25 ID:O6K4E5800
『翌日_硫黄鉱山』


ヨイショ ヨイショ ドサー ゴロゴロ


商人「めちゃくちゃ沢山取れるじゃないか…」

商人「運ぶのに荷車が欲しいなぁ…」


女海賊「お〜〜〜い!!」スタタタ


商人「んん?あ!!女海賊!!戻ってたんだね」

女海賊「ハァハァ…皆何処行ったのさ!!」

商人「気球使って物資調達に行ってるよ」

女海賊「あんた一人で硫黄掘ってんの?ツルハシ持って来てたん?」

商人「いや破壊の剣で露出してるやつそぎ落としてるんだ」

女海賊「その手が有ったか…」

商人「でも掘り進むのは厳しいかも」

女海賊「道具が何も無かったからさぁ…わざわざ名も無き島まで取りに行ってたんだよ」

商人「なんだ食料調達じゃ無かったんだ?」

女海賊「一応積めるだけ積んで来たけどちょっとしか無い」

商人「魔女達は?」キョロ

女海賊「魔女と情報屋は教会…お姉ぇは温泉」

商人「そっか…まぁ合流出来て良かった」

女海賊「あのさ…灰で埋もれた古代遺跡掘り起こすの子供達じゃ無理じゃね?」

商人「まぁ…盗賊が何とかしてくれるんじゃない?」

女海賊「前にローグと一緒に掘ったんだけどさ…メッチャ大変だったんだ」

商人「ハハまぁ今度は場所分かるよね」

女海賊「分かんないよ!!全然地形変わってるし…」

商人「う〜ん…大人の手が欲しいか…」

女海賊「まぁ良いや…とりあえず丁度硫黄が欲しかったのさ」

商人「ここまで飛空艇持って来れる?これ運ぶの大変だよ」

女海賊「おけおけ!!持ってくるからちょい待ってて」ピューー
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:55:02.35 ID:O6K4E5800
『ハテノ村_広場』


フワフワ ドッスン


女海賊「お!!?お姉ぇ温泉出て来たんだ…ちょい来て!!」

女戦士「どうした?」スタスタ

女海賊「これ見て…商人が一人でこんなに硫黄掘ったらしい」

商人「いやいや露出してるのを切り落としただけだから…」

女戦士「これは…純度の高い硫黄」

女海賊「だよね?黄鉄鉱から抽出しないで取れるって事だよ」

女戦士「鉄鋼と石炭は無いのか?」

商人「別の坑道にある…硫黄取るのを優先しただけさ」

女戦士「硝石だけ入手すればここで大量に火薬が作れるな…」

女海賊「てかこれパパに来てもらった方が良いかも」

女戦士「うむ…ただ連絡が取れんのだ」

商人「この硫黄を元手に小麦とか買おうと思ってたんだけどさ…」

女海賊「あーーー小麦はシン・リーンか」

女戦士「魔法で需要はあるから必ず売れるな」

商人「そうそう…女戦士に相談したかったんだけど」

女戦士「んん?」

商人「商船を使った交易を何処か近い場所でやりたいんだ」

女戦士「あぁ…ここの川を下った河口に幽霊船を待機させて居てな」

商人「お?」

女戦士「その近場の漁村を物資運搬の拠点にと画策していた所だ」

商人「そこに商船も入りたいんだけど…」

女戦士「構わん…ただ海賊に襲われん様に私の旗印を掲げて貰う事になるが…」

商人「おけおけ…これでこの村の食料問題は解決する」

女戦士「こうしよう…海の安全は海賊が保証する代わりに硫黄の取り引きは優先させて貰う」

商人「ウィンウィンだね…それで行こう」

女海賊「とりあえずこの硫黄使って爆弾作っちゃうわ」

女戦士「魔女も硫黄を欲しがっていたから少し持って行くぞ?」
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:56:27.32 ID:O6K4E5800
『大型気球』


フワフワ ドッスン


盗賊「いよーーう!!戻って来たんだな?」

女海賊「何処行ってたのさ!!てかアンタ居ないと遺跡掘り起こせないんだけど…」

盗賊「まぁ慌てんな…道具無いと何も出来んだろ?」

女海賊「なんか調達して来た?」

盗賊「ちょい南行った所に放棄されたキ・カイの前哨基地があんだ…まぁいろいろ残っててよ」

女海賊「へぇ?」

盗賊「ちっと降ろすの手伝ってくれ…もう一回行きたいんだ」

女海賊「おけおけ…お姉ぇも呼んで来る」ピューーー

盗賊「あ!!アイツ逃げやがった…影武者!!資材降ろすぞ!!」

影武者「僕は商人さんを呼んで来る」タッタッタ

盗賊「あああああ!!てかなんで男は俺しか居無ぇんだ?」ブツブツ


ヨッコラ ガサガサ


盗賊「どるぁぁ!!」ガラガラ

盗賊「ん?…そういや…」


こないだ行った古代遺跡も…

ミイラになってたのは女ばっかだったな…

戦争で死んで行くのは男が多い…

女しか居なくなるってのは末期的な事かも知れんな…

もしかしてそうやって人口が減るんか?…


タッタッタ

商人「呼ばれて来たんだけど何だった?」

盗賊「おぉ荷物降ろすの手伝ってくれ」

商人「うわぁ…一杯積んで来たね…錆びた武器に木箱…あ!!荷車有るじゃ無いか」

盗賊「まぁガラクタばかりだが直せばまだ使えるんだ」ヨッコラ ドスン

商人「降ろすの一仕事だ…」ヨイショ ドサリ

盗賊「ほんで他の奴らは?」

商人「硫黄取りに行くって言ってたよ?」

盗賊「だぁぁぁぁ!!影武者まで逃げやがった…」

商人「硫黄見て目の色変わってね…」

盗賊「まぁ良い!!これ降ろしてもう一回資材取りに行くぞ!!」
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:56:58.55 ID:O6K4E5800
『夕方_教会』


ワーイ キャッキャ

これ!!文字の書き取りを終わらせてから遊ぶのじゃ!!


爺「いやいやすっかり体の調子が良くなってのぅ…」

婆「皆さんのお陰でちと元気が出て来ました」

女海賊「元気になって良かったじゃん」モグモグ

情報屋「食事を持って来ました…どうぞ」

爺「何から何まで…本真にありがたや」パク

女海賊「ほんでさ?勝手に硫黄掘って良い感じ?」

爺「もう領主様も居らん廃れた村なもんで自由にしなされ」モグ

女海賊「やったね!!」

商人「この辺は今オークは来ないのかい?」

爺「暗黙のルールがありましてな…オークに石なぞ投げなければ襲っては来んのです」

婆「オークの村に行った者も居りますで仲良くなれれば良いのですが…」

女海賊「ふ〜ん…まぁオークが襲って来ないなら割とこの村安全だね」


スタスタ


影武者「戻りました」

女海賊「あ!!あとアンタで最後!」

影武者「え?」

女海賊「病気の予防でみんなに線虫掛けてるのさ」

商人「影武者もやって置いて貰った方が良いよ…たまにガーゴイルが来て疫病持ってくるらしい」

影武者「線虫とは?」

女海賊「体の毒を食べる虫…これで教会の爺ちゃんと婆ちゃんの調子が良くなったんだ」

影武者「虫…苦手です」

女海賊「平気平気!!行くよ?いでよ線虫!!毒を食べちゃえ!」ニョロリ

影武者「え!!?」ニョロニョロ

商人「最初気持ち悪いけど直ぐ気にならなくなる」

影武者「目に…ぁぁぁ目の中に…」ゴシゴシ

女海賊「あんたの場合いろいろ体の調子悪そうだからきっと良くなるよ」

影武者「もう…こんな事止めて下さい…ハァハァ」

商人「まぁまぁ…害は無いから落ち着いて」

女海賊「ほんでさ?お姉ぇはまだ硫黄掘ってんの?」

影武者「今日は硫黄と過ごすとか…」

女海賊「あぁぁ悪いクセが…」

商人「ハハ砂鉄に埋もれたり変な趣味を持ってるね…今度は硫黄に埋もれるのか…」



---------------
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:58:04.21 ID:O6K4E5800
ドタドタ


盗賊「よう!!女海賊!!おもちゃ持って来たぜ」ポイ

女海賊「お!?何コレ?」パス

商人「あぁ忘れてた…古代遺跡で見つけた古代の兵器だよ」

盗賊「どうにかして使える様に出来んかと思ってな?」

女海賊「おぉぉ!!なんか変なデバイス付いてんな…もしかしてインドラの銃?」

商人「そんな感じ…情報屋が言うには光エネルギーじゃなくて別のエネルギーじゃないかって」

女海賊「別?何だろう?」

情報屋「プラズマの類だと思うわ…光が青白いのよ」

女海賊「プラズマ…雷の魔石有ったっけ?」

商人「僕が持ってる…気球に積んで在るよ」

女海賊「おけおけ!!ちょいバラしてみる…ほんじゃバハハーイ!!」ピューーーー



---------------


ワーイ ギャハハハ

これ!騒ぐな…耳を澄ませて妖精の声を探すのじゃ

妖精の声はのぅ…大人になってからでは聞こえ難うなるのじゃ

今の内に聞けるようになっておくが良い


盗賊「魔女は先生か何かやってんのか?」グビ

情報屋「意外と子供の面倒見が良いのよ…子供は嫌いだとか言ってたのに」

商人「アレで資質見てるんじゃない?」

情報屋「そうね…子供達の中に魔法使い向きの子も居るかもしれないし…」

盗賊「ほんじゃこの教会は魔法学校って所かヌハハ」

商人「自衛するなら魔法も使えた方が良いよね」


スタスタ


アサシン「戻ったぞ…ふぅ…盗賊!ワインをよこせ」グイ
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:58:30.38 ID:O6K4E5800
盗賊「遅かったじゃ無ぇか」

アサシン「生きたままシカを連れ帰るのに手間取ってな」

盗賊「おぉ!!もしかしてヘラジカか?」

アサシン「そうだ」

盗賊「マジか…てか気球には乗らんだろ」

アサシン「ロープで吊って運んだ…なかなか手間が掛る」

盗賊「ヌハハすげー事やったな…ほんで今どっかに繋いでるんだな?」

アサシン「うむ…川辺の雪が無い所だ…リカオンが言うには餌になる植物が生えて居るらしい」

盗賊「ようし!!これで土砂運ぶのが捗る」

アサシン「明日から穴掘りを頑張るのだな」

盗賊「何他人事みたいな事言ってんだよ…」

アサシン「私が穴掘りをやるとでも思って居るのか?」

盗賊「おいおい…」

アサシン「今日は生きたシカ一匹捕らえただけだ…明日は食肉になる獲物を探す」

盗賊「んぁぁぁ…まぁそうだな…人数多いから狩りで食料調達も重要だわな」

アサシン「さて…傷んだ体を魔女に癒して貰おう」スック
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:58:57.58 ID:O6K4E5800
『夜』


ホーホー コロコロ ホー バサバサ


情報屋「…それでギャング達はオークと共にキ・カイを出たのね?」

商人「うん…もう引き留めようが無かったんだ」

情報屋「あの子…」プルプル

商人「正直ギャング達があれだけ自立出来ているとは思って無かった」

情報屋「私どうしたら…」

商人「心配だろうけど彼等ならやっていけると思う…オークも相当賢い」

情報屋「キ・カイの商人ギルドはもうやっていけないからこっちに?」

商人「地上の破壊のされ方が半端なくてね…しばらく商売所じゃない」

情報屋「想像出来ないわ…」

商人「オークロードの投石で商人ギルドの建屋が倒壊さ…市場も酒場も全部無くなった」

情報屋「そんなに…」

商人「地上と地下からの同時攻めをギャング達が引導したんだ…想像以上の統率力だ」

情報屋「まだ子供だと言うのに」

商人「いや…ギャングの中には影武者と同年代の大きな子も居るんだ…もう立派な組織だよ」

商人「僕だって小さな頃から盗賊の後ろで何かとやってた」

情報屋「そうね…認めなくてはね…」

商人「実はね?君の子は一人で僕の隠し部屋にドロボーに来たんだ」

情報屋「あの子には何も教えてないわ?」

商人「自分で調べたんだよ…裏口のカンヌキまで自分でどうにかしてさ…凄くないかい?」

情報屋「泥棒って…何かを盗みに?」

商人「キラーマシンにされた友達の脳を…たった一人で助けに来た」

情報屋「一人で…」

商人「僕にダガーを向けてさ…友達を救うその姿は盗賊にそっくりだった…僕はね?未来を感じたよ」

情報屋「…」

商人「子供達の世界がもう始まってる…勇者たちが残した未来を見た」

商人「彼等は今…未来を歩き始めたんだ」


---未来が始まった---
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:59:23.70 ID:O6K4E5800
『翌日_鯨型飛空艇』


ヨッコラ ドサ!!


商人「…ねぇ聞いてる?商船を手配する為に北の大陸まで行きたいんだ」

女海賊「ハイハイ…聞いてる聞いてる」カチャカチャ

商人「この飛空艇は君が操作してくれないと行けないじゃないか」

女海賊「私忙しいんだ…アンタでも操作出来るから行けば良いじゃん」カチャカチャ グリグリ

商人「だったら操作の仕方教えて欲しい…」

女海賊「うっさいなぁ…使って覚えろ」


スタスタ


情報屋「私が操作できるから私も行くわ…」

商人「あぁ…君も色々忙しそうに…」

情報屋「丁度暁の使徒に関する書物を取りに行きたかったのよ…」

商人「そういう事ならお願いしようかな…情報屋も居るなら帰りに名も無き島でホムンクルスを目覚めさせるのも行ける」

女海賊「ん!?ホムちゃん起こせる?」

商人「古代のエネルギーは手に入れたんだ」

女海賊「おぉぉ!!そういう事早く言って!!」

商人「じゃぁとりあえずダッシュで港町まで行って商船手配する…その後名もなき島…これで良い?」

女海賊「おけおけ!!でも今忙しいから飛空艇の操作は情報屋お願い」

情報屋「分かったわ…」

商人「お〜い!!影武者!!」


タッタッタ


影武者「何か?」

商人「ちょっと北の大陸まで商船手配に行って来るからハテノ村の物資管理を君に任せたい」

影武者「わかりました…取り急ぎ塩の調達をお願いします」

商人「分かった…思いつく限り仕入れて来る」

影武者「あと働き手が足りて居ませんので商船でこちらに来られる様に手配もお願いします」

商人「おぉそうだね…そうか人員募集も必要か」

影武者「よろしくお願いします」

商人「もう行くから皆には上手く説明しておいて…じゃぁ!!」ノシ

情報屋「飛空艇飛ばすわよ?」グイ シュゴーーーー


フワフワ
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:59:49.20 ID:O6K4E5800
『上空』


シュゴーーーーーー ビュゥゥゥゥ


商人「うわ…なんだこれ…メチャクチャスムーズに飛ぶじゃ無いか…」

情報屋「目的地までの進路は案内してね?…とりあえず北進」スイーーー

商人「これ直進するだけ?ジグザグに行く必要無い?」

情報屋「風に流されてしまう分だけあらかじめ修正して直進するだけよ」

商人「ええと…」

女海賊「真北でおっけ!!風で流されても赤道超えたらまた元に戻る」カチャカチャ ビヨヨーン

情報屋「分かったわ…じゃぁハイディング!」スゥ

商人「スゴイな…操作系を一か所に集約してるんだ…」

女海賊「あのさ…正面からガーゴイルとか激突するかも知んないから一応前警戒しといて」

商人「あぁ分かった…」

女海賊「インドラの銃は使い方分かるよね?」

商人「うん…」

女海賊「じゃ…あとヨロシコ」カチャカチャ


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840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:01:18.45 ID:O6K4E5800
『翌日』


リリース スゥ


女海賊「おっし!羅針盤確認…ええと進路2時の方向に修正」

情報屋「すこしズレたみたいね…」スイーーー

女海賊「波紋からしてあと狭間入って2時間もしたら陸地見えると思う」

商人「流石に真っ直ぐ飛べると早い…」

女海賊「ちっと古代の兵器を試し撃ちしてく」

情報屋「仕組み分かったのね?」

女海賊「まぁね?磁力でプラズマ拡散しない様にして発射するみたい」

情報屋「エネルギーはやっぱり雷?」

女海賊「そだね…魔石だとエネルギー弱くて充填にちょい時間が掛かるっぽい」

商人「ちょい…というと?」

女海賊「それを今から試す…そこどいて」

商人「あぁ…」

女海賊「ほんじゃ撃ってみる!!いくよぉ!!」スチャ


ピカーーーーー チュドーーン


女海賊「だぁぁぁ何だコレ…飛距離全然出ないじゃん…」

商人「ええ!!?十分じゃ無いか…弾速も早いし爆発だってある」

情報屋「飛距離は300メートルという所かしら?」

女海賊「この手の兵器は飛距離と正確性が重要なのさ…インドラの銃は2キロ先を狙えるよ」

商人「連射は?」

女海賊「やってみる…」カチ カチ


シュン! シュン! パーン! パーン!


女海賊「あぁぁぁやっぱしっかり充填しないと飛距離も威力も弱いね…」

情報屋「いかづちの杖の様な物ね…」

女海賊「ソレソレ…そんな感じ…充填の具合で色々使い分けられるいかづちの杖だね」

商人「魔女の魔法よりも飛距離は出てるっぽいかな」

女海賊「まぁコレあんた使いなよ…クロスボウよりは連射利くからさ」ポイ

商人「ハハ君の期待した性能は無かった訳か…」

女海賊「私はやっぱ実弾のデリンジャーみたいのが好きかなぁ…調整次第でどんどん性能良くなるし」

情報屋「もう一つは私が使うわ?」

女海賊「おけおけ…まぁこれで魔法使い2人居るのと同じだしソコソコ良い武器だよね」

商人「古代の兵隊はこの武器が通常兵装だった様だよ」

女海賊「なんか想像出来る…照準レンズも無いあたり中距離ゲリラ戦用だわ」

商人「こんなの持ち歩いてたら怪しいね…」

女海賊「肩ベルト作ってあげるよ…背負ってマントの中に隠せる」

商人「あぁソレ良いね…」

女海賊「ハイほんじゃ作り物するからもう狭間入って良いよ」

情報屋「わかったわ…ハイディング!」スゥ
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:01:51.06 ID:O6K4E5800
『港町_ユートピア』


フワフワ ドッスン


商船「ここは変わって無いなぁ…」

情報屋「街の方は賑わって居そうじゃない…商船も2隻…あっちは豪族の船かしら?」

商人「やっぱり戦争して居ない国は人が集まるね」

女海賊「あのさ…このあばら家ん中にデカいアラクネーが居るから気を付けて」

商人「え?今日はここで寝られない?」

女海賊「掃除しないと無理…てか私が置いて行ったアラクネーなんだけどね」

情報屋「折角だから宿屋に泊って今日は楽しみましょう」

商人「まぁそうだね…情報も集めたいしね」

情報屋「先にお墓参りしてくるわ」

商人「僕も行くよ」

女海賊「う〜ん…なんか私はこないだ来たばっかりなんだけどなぁ…まぁいっか」

商人「あぁ君は石化してたから年を取って無いのか…」

女海賊「実感ないのさ…アレから何年も経ったなんて」

情報屋「今更だけど…時の砂の効果ってそういう事だったのよね」

女海賊「ピーンと来たぞ!!何千年も石化したままの可能性もある!!」

情報屋「そうだと良いわね…」

商人「希望はある!!」

女海賊「よーし!!さっさと墓参り終わらせて宿屋いくどー!!」

商人「さっさと…あのね…」


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842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:02:19.00 ID:O6K4E5800
『街へ続く坂道_荷車』


ゴトゴト ゴトゴト


商人「僕は硫黄の取り引きと商船の取り付け行って来るから君達とは別行動だ…夜には宿屋に戻る」

情報屋「宿屋はどれくらいの期間?」

商人「そうだなぁ…今日だけで全部やるのは無理だからとりあえず2日かな…」

情報屋「わかったわ…宿屋取った後は私も書物探しに出るから皆別行動ね」

女海賊「私どうすっかなぁ…」

情報屋「酒場で情報収集とかは?私も後で行くわ?」

商人「君は種が欲しいとか言ってたじゃ無いか…露店を見て回るのも良い」

女海賊「お金持って無いんだけど…」

情報屋「とりあえず金貨2枚…これで買えるでしょ?」チャリン

女海賊「ケチ臭いなぁ…」

商人「後でたんまりあげるから我慢してよ」

女海賊「おし!!白狼ごっこでもして遊ぼう!!」

商人「ダメダメ!!騒ぎは起こさないで…ただでさえ君は目立つ」

女海賊「ムフ…ムフフ…そうだよ目立っちゃうんだよ…しょうがない大人しくしとくわ」

情報屋「じゃぁ私は宿屋行って来るから此処で…」ノシ

商人「うん…気を付けて」ノシ
843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:02:46.46 ID:O6K4E5800
『広場』


ワイワイ ガヤガヤ

寄ってらっしゃい見てらっしゃい!!フィン・イッシュ産の銀の武器だぁ!!

魔石ぃぃ魔石有るよぉ!!各種触媒品揃えてるよぉぉ!!

アクセサリーは要らんかね?貴族御用達のアクセサリーだよぉ?

大人のウフフな装身具…ほらほら見て行きなぁ!!

ワイワイ ガヤガヤ


女海賊「なんかなぁ…なぁ〜んも興味無いなぁ…」ブツブツ

女海賊「…」ボー


なんか…

世界に取り残された感じがする…

身を置いてる環境が違い過ぎて

この幸せそうな世界には

私はもう居られない気がする


良く見たら新しい冒険者が沢山居て…

昔は私もあの中の一人だった

もう一度あそこに戻る為には

記憶と経験をみんな無くしてからじゃ無いとやり直せない…


なんだろうなぁ…この寂しい感じ


女海賊「…」トボトボ


トントン


女海賊「んん?…誰?」

吟遊詩人「もしかして貴方は…あぁ!!間違いない!!お久しぶりです僕を覚えていますか?」

女海賊「あぁ!!リュートの吟遊詩人ね…よう!!」ビシ

吟遊詩人「その後姿を見なくなったので外海調査に行かれたのかと…」

女海賊「まぁ言って来たよ…散々だったけどね」

吟遊詩人「おぉ!!良かったらお話を聞かせて貰えませんか?」

女海賊「なんかメンドイなぁ…」

吟遊詩人「食事は僕が御馳走しますのでどうか…」ペコ

女海賊「まぁ良っかぁ…なんもやる事無かった所だし」

吟遊詩人「では酒場の方に…美味しいシカ肉が有るんです」スタ
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:03:34.71 ID:O6K4E5800
『酒場』


ポロロン〜♪


女海賊「…ほんで石化して眠ってた訳さ」モグモグ

吟遊詩人「道理であの時のまま若いのですね」

女海賊「てか私ハーフドワーフだから100年くらい経ってもこのままだけどね」パクパク

吟遊詩人「僕はこの通り年を取ってしまって…」

女海賊「男はまだまだこれからじゃね?」シーハー

吟遊詩人「これで又新しい諸事詩を歌えます」

女海賊「ところでさぁ?最近の新しい話題とか無い?」ゴクゴク プハァ

吟遊詩人「そうですねぇ…北の大陸にオークが渡って来ているというくらいですかね」

女海賊「あー南の大陸で戦争やってっから逃げて来てんだね」

吟遊詩人「オークが作物を荒らすので冒険者ギルドの方でもオーク討伐隊を募集していますよ」

女海賊「オークはめっちゃ強いらしいよ?」

吟遊詩人「そうらしいですね…」


バン! ピラピラ


女海賊「んん?」

赤毛の女「あなた!!この手配書に見覚えは!?」
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:04:20.23 ID:O6K4E5800
赤毛の男「ダメだって!いきなりそんな事をしたら…どうもすみません」ペコペコ

女海賊「なんこれ?」

吟遊詩人「これは…セントラルの手配書…」

赤毛の女「これ…あなたでしょう?」ユビサシ

女海賊「アハ…なんか随分古い手配書だね…そうそうこれ私」

赤毛の女「ほら!!やっぱり当たってるじゃない!!」

吟遊詩人「ええええ!!?これ特A級手配書じゃ無いですか…懸賞金がスゴイ事に」

女海賊「これ貰って良いの?これもってけばお金貰える?」パク モグモグ

赤毛の女「何言ってるのよ!!私達と一緒にセントラルへ行くのよ!!」

女海賊「なんかメンドクサイなぁ…私はガキと遊んでるヒマ無いんだシッシッ!!あっち行け!!」

赤毛の男「いやぁどうも済みません…多分何かの間違いです」グイ

赤毛の女「ちょっと!引っ張らないで!!」ヨロ

赤毛の男「特A級のウォンテッドがこんな所に居る訳無いじゃ無いか…迷惑だから行くよ」グイ

赤毛の女「セントラルに連れて行けば大金が手に入るのよ!!船だって買える!!」

吟遊詩人「あのーーですね…この方はシン・リーン女王公認の勇者様のお一人でして…」

赤毛の子「あああああ!!この人知ってるでしゅ!!女王様お抱えの吟遊詩人様でし」

赤毛の男「ほら?言いがかり付けると僕達がマズい事になる…行くよ」グイ

赤毛の女「ちょっとぉ!!引っ張らないでって言ってるでしょ!!」

赤毛の子「ごめんなさいでし!!あっちに行って来るです」スタタ

女海賊「…」シラー

吟遊詩人「ハハ飛んだ邪魔が入りましたね…じゃぁ気分直しに僕が一曲演奏を…」

女海賊「お!!?イイね」


ドゥルルン〜♪

暁と黄昏は〜何故別れたのだろう〜♪

暁は月を隠し〜黄昏は月を呼ぶ〜♪ 

残酷な世界に光を運ぶ月…暁と交わりすべて謎が解ける〜♪


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846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:05:00.94 ID:O6K4E5800
『カウンター』


女海賊「ここ座って良い?」

マスター「どうぞ…お連れ様の演奏が始まって話し相手が居なくなりましたか?」

女海賊「アハ…バレバレじゃん」

マスター「お酒の方は?」

女海賊「ハチミツ酒!」チャリン

マスター「かしこまりました…」コトン

女海賊「港町はいつもこんな感じ?」

マスター「そうですね…ここ数年は移民も増えて賑わって居ますね」

女海賊「向こうのテーブルで騒いでるのは豪族だよね」

マスター「ハハお察しの通り…綺麗な女性には必ず声を掛けて来ますのでご注意を…」

女海賊「まだ声掛けられて無いんだけど…なんかムカつくな」イラ


カランコロン


マスター「いらっしゃいませ…お一人様ですか?」

情報屋「あぁ居た居た」スタ

女海賊「あ!こっちこっち!!ここ空いてる」

マスター「お連れ様でしたか…飲んで行かれますか?」

情報屋「同じ物を…」チャリン

女海賊「用事済んだ?」

情報屋「まぁね?…ねぇ聞いた?オークが北の大陸に渡って来てるって」

女海賊「聞いた聞いた…戦争逃れて来てんだよね」

情報屋「オークは船を作る技術が無いのよ?…つまりフィン・イッシュから来てるという事だわ」

女海賊「へぇ?」

情報屋「南の大陸へ返らず北の大陸に来てるのはとても興味深い…」

女海賊「どうして?」

情報屋「昔話になっちゃうけれど大昔にオークは北の大陸にも住んで居た事が有るのよ」

女海賊「森の中にも昔からオーク居るじゃん…あんま珍しくないと思うな」

情報屋「まぁそうね…でもどうして北の大陸に来るのか理由が有ると思うわ」

女海賊「食べ物が豊富だからじゃ無いの?」


時の王の時代…黄昏の賢者という人物が居てそれは多分オークなのよ

黄昏の賢者は暁の使徒と永遠の約束をしていたらしい

でも暁の使徒は約束を破ってしまった…その後黄昏の使徒は行方不明
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:05:32.03 ID:O6K4E5800
女海賊「何の話?」

情報屋「時の王が話してくれた事よ…シャ・バクダ遺跡で…」

女海賊「ほんじゃ今北の大陸にオークが来てるのは何か関係してそうなんだ?」

情報屋「確証は無いけれど気になるの…永遠の約束が何だったのか…どうして約束を破ったのか」

女海賊「暁の使徒って未来の可能性が高いんだったよね…」

情報屋「そうよ…少なくとも私はそう思ってる」

女海賊「なんかさぁ…私逃げちゃってるのかなぁ…あんま信じたく無いんだ」

情報屋「良いのよ…もう死んでるなんて話聞きたくないでしょう?」

女海賊「ああああ!!もう考えるの止める!!」

情報屋「御免なさいね…手掛かりだけ追うのに集中しましょう」

女海賊「うん…」グビグビ ゴク


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ウィー ヒック

やってらんねぇぞテメーバーロー ヒック


マスター「ハハそろそろお休みになっては…」タジ

女海賊「誰にも声掛けられてねーっつんだ…ウィー」ヒック

情報屋「女海賊?そろそろ帰りましょうか」


スタスタ


吟遊詩人「あ…すみません…演奏が長引いてしまって」

女海賊「おせーぞコラァァァ」ヨロ ドターン

情報屋「あらら…立てる?」グイ

吟遊詩人「帰りは何処まで?」

情報屋「直ぐ近くの宿屋よ?手伝って貰える?」

吟遊詩人「でしたら僕もそこに泊って居ます…肩を貸しましょう」グイ

情報屋「助かるわ…」

吟遊詩人「以前お会いした事がありますよね?」

情報屋「フフ覚えていたのね」

吟遊詩人「皆さんの事を諸事詩にして歌って居ますので…」

情報屋「どんなかしら?」

吟遊詩人「また後日…」

情報屋「そうね…今日は宿屋に戻りましょう」
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:06:04.91 ID:O6K4E5800
『宿屋』


ガチャリ バタン


情報屋「ちょっと商人…手を貸して」

女海賊「ふごーーー…すぅ」zzz

商人「ちょ…どうしたんだよこんなに酔っぱらって…」

情報屋「たまにはこんな事もあるわ?」

商人「そうかい?それしにても重いな…よっこら!!」ドサ ギシ

情報屋「取り引きの方はどう?」

商人「順調だよ…やっぱりもう一日必要さ」

情報屋「何か手伝う事有る?」

商人「う〜ん…そうだ!!光る隕石が落ちた爆心地…今そこに行けるらしいよ」

情報屋「え?」

商人「森の中にポッカリ穴が開いてるらしいんだけど中心の部分がスゴイんだってさ」

情報屋「スゴイというのは?」

商人「地面がガラスのように光ってるんだって…暇なら見てきたら?」

情報屋「見てみたい…」

商人「硫黄の取り引きの方は一人の方が都合良いんだよ…こっちは気にしなくて良い」

情報屋「そう…じゃぁ明日女海賊と2人で見て来るわ」

商人「うん…じゃぁ僕は少し散歩してくる」ノシ



『翌日』


チュンチュン ピヨ


女海賊「あぁぁ昨夜は飲み過ぎた…反省してる」

情報屋「フフ少しは気が晴れた?」

女海賊「なんだっけ?もう忘れちゃたよ」ゴシゴシ

情報屋「もう良いの…それより今日は光る隕石の落ちた爆心地を見に行きたいのだけれど…」

女海賊「お!!?そういやどうなってんだろ…」

情報屋「中心がガラスになっているらしいわ」

女海賊「へぇ?ちょい行って見ようか…てか商人は?」

情報屋「商人は昨夜出て行った切り戻って無いわ…多分取り引きだと思う」

女海賊「そっか…夜中誰かと会ってんだね」

情報屋「いつもの事よ」

女海賊「爆心地まで行って戻って…夕方までには戻れそうかな…ちゃっちゃと行こう」スック
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:06:33.01 ID:O6K4E5800
『鯨型飛空艇』


シュゴーーーーー フワフワ


女海賊「おっし!!進路北西!!」

情報屋「荷物が空だと上昇が早いわね」

女海賊「そだね…ちょいアクロバット飛行してみる?」

情報屋「え!!?」

女海賊「ハンモックに乗ってれば大した事無いから…一回経験しとくと良いよ」

情報屋「分かったわ…」ギシ

女海賊「飛行中に古代の兵器どうやって撃つか訓練しといて…じゃぁ行くよ」グリグリ


シュゴーーーーー ギュイーーーーン


情報屋「あわわわ‥‥天地が反対に…」

女海賊「反対まで行って無いさ…この角度でどうやって敵を狙うか…」

情報屋「スゴイ…この機動力は他の気球の比じゃない」

女海賊「これ球皮に熱入ってると地上まで落ちないから割と安全なんだよ」

情報屋「なるほど…なんか分かって来た…確かに射撃するタイミングとか慣れれば行けそう」

女海賊「でしょ?」

情報屋「ねぇ…港町の人達が気付いて騒いでる…」

女海賊「ああああ…ここで遊んでちゃダメだったね」

情報屋「早く爆心地に向かいましょう」


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850 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:07:02.63 ID:O6K4E5800
『光る隕石の爆心地』


リリース! スゥ


女海賊「よっし!!見え…うわっヤバ!!!」

情報屋「なにこれ…見渡せないくらい大きなのクレータになってる…」

女海賊「メチャでかいじゃん…えーと…直径何十キロあるんだ?…」

情報屋「向こうの方が爆心地よ…」ユビサシ

女海賊「ぁぁ…真ん中に水が溜まってるね…」

情報屋「海抜0以下になってるのよ」

女海賊「もうちょい高度下げる…地面が光ってるな」

情報屋「熱でガラスになってしまったのね」

女海賊「これじゃもう木とか生えないね…」

情報屋「そうか…だからシン・リーンの東側は不毛の地なのね」

女海賊「んん?」

情報屋「シン・リーンから東の方は広範囲で岩塩地帯…木が一本も生えない…誰も足を踏み入れなくて未踏の地になってる」

女海賊「大昔に光る隕石が落ちた跡って事?」

情報屋「きっとそうよ…しかも何百発落ちたか分からないくらい」

女海賊「マジか…こんなんが何百発も…」


ウンディーネ時代が終わるきっかけになった光る隕石はシン・リーンの東側をすべて更地にした

私達の知らない巨大な文明がそこで滅んだのよ…

その後何千年も草木が全く生えない不毛の大地

きっとそこに溜まった筈の海水がすべて無くなった結果…巨大な岩塩地帯になった


女海賊「ほんじゃ光る夜の時400発全部落ちてたらここも不毛な岩塩地帯になってたんだ」

情報屋「実際目の当たりにするととてつもない破壊だとやっと分かったわ…」

女海賊「これさ…この下に居た動物みんなガラスになっちゃったかな?きっとエルフも沢山居たよね…」

情報屋「想像できない…蒸発したのか…灰になって飛ばされたのか…」

女海賊「なんだろう…自分が生きてるのが急に愛おしく思えて来た」

情報屋「…」

女海賊「こんなに沢山の犠牲があったのにまだ生きてる…そんな感じ」

情報屋「そうよ…生きなきゃ…不毛の地に来て初めて生を知るのね」

女海賊「この世界って残酷だよ…」
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:07:32.41 ID:O6K4E5800
『死の海』


シーン… ヒュゥゥゥ…


女海賊「…」テクテク

情報屋「…」スタスタ

女海賊「足元見て…薄っすら積もってる土…」

情報屋「これ…土じゃ無いわ…虫の死骸」

女海賊「うん…虫達が癒そうとしてる…わざわざここに来て死んでる」

情報屋「もしかしてもう一度森にしようと…」

女海賊「そだよ…虫達のお陰でまだここは死んで無いさ…あと何百年掛かるかな…何千年かな…」


ヒラヒラ ヒラリ…


情報屋「雪…」

女海賊「もうすぐ冬が来るかぁ…」

情報屋「あなた…虫の声が聞こえるのでしょう?」

女海賊「分かんない…」

情報屋「そう…」

女海賊「でもね…人間が立ち入って良い場所じゃないのは分かった」

情報屋「え?」

女海賊「犠牲を踏みにじっちゃダメなんだ」

情報屋「人間が作った物でこんな風になってしまったのね…」

女海賊「行こっか…なんか悲しくなるよ…」テクテク


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 死の海編

   完
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:09:59.09 ID:O6K4E5800

『港町_酒場』


ドゥルルン〜♪


マスター「いらっしゃいませ…お二人様ですか?」

商人「あ!!やっと戻って来たね…こっちこっち」

マスター「ご一緒でしたか…どうぞこちらへ」

女海賊「取り引き終わった?」スタ

商人「やっとさ…どうだった?光る隕石の跡地は」

女海賊「想像を超えてたよ…私の爆弾なんかアリンコ以下さ」

商人「話通りだ…それより空飛ぶクジラの噂がスゴイ事になっちゃってるみたいでさ」

女海賊「あーーやっぱりか…」

商人「ハジ・マリ聖堂の方から魔術師がこっちに向かってるらしい」

女海賊「馬車なら早くて2日…気球なら1日…もう長居できないね」

商人「まぁ商船の取り付けは済んでるからいつでも出発出来るよ」

女海賊「ちっと疲れたんだよなぁ…ちょっと寝てから夜中に出ようか」

商人「おけ…今日は飲み過ぎない様に」


タッタッタ


吟遊詩人「皆さんお集りで…」
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:10:25.79 ID:O6K4E5800
情報屋「昨日はどうも…」ペコリ

吟遊詩人「いえいえ…それより今朝の空飛ぶクジラの件…もしかして皆さんなのではと思いまして」

商人「いや…ええと」

女海賊「そだよ?でも秘密にしといて」

商人「あぁ…良いのかい?バラシてしまって…」

女海賊「どうせ一回仲間だったじゃん…隠してもその内バレるって」

吟遊詩人「実は姫様のご無事が確認されて僕は従士としてハテノ村まで向かう所だったのです」

商人「ええ!?どういう話?」

吟遊詩人「女王様の命令なのです…魔術師を派遣すると怒るとの事で僕が行く事に…」

女海賊「どうやって行くつもりだったん?」

吟遊詩人「キ・カイまで商船で行って政府の軍用気球で向かうつもりでした」

商人「政府?シン・リーンと繋がりが?」

吟遊詩人「外交特権ですね…書状を預かっています」

商人「それはマズい…」

吟遊詩人「え?」

商人「なるほどこういう所から色々バレてしまうんだな…」

吟遊詩人「バレると言いますと?」

商人「話はややこしいんだけど魔女は政府から命を狙われる身なんだよ…そういう事情を女王は知らないんだ」

女海賊「魔女がハテノ村に居る事を知ってるのは他に居る?」

吟遊詩人「女王様と側近達です…魔術師達には知らされて居ません」

商人「ひとまず水際で防いだ感じか…」

女海賊「アンタ女王様と連絡出来るん?」

吟遊詩人「はい…貝殻を預かって居ます」

女海賊「ちっと事情を話して口止めしとかないと又魔女の行方が分からなくなるよ」

吟遊詩人「分かりました…」

女海賊「後さ…アンタペラペラ色々しゃべっちゃうけどそんなんじゃこの先生きて行けない」

吟遊詩人「き…厳しい事を言いますね」

女海賊「私達の側に居るって事はそういう事なんだ…肝に銘じて」

吟遊詩人「はい…気を付けます」

商人「とりあえずキ・カイ経由でハテノ村に行くのは無理だ…これ連れて行くしか無いよね」

女海賊「まぁ良いじゃん…ちょうど男手足りなかった所だしさ」

商人「ハハ…君がそう言うなら…」
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:11:48.80 ID:O6K4E5800
『夜_坂道』


ゴトゴト ゴトゴト


女海賊「なんで先に物資運んで置かないのさ…」ヨイショ

商人「君達は光る隕石の落ちた場所まで行ってたじゃないか…」ヨイショ

女海賊「あばら家まで運んで置けば良かったじゃん」ヨイショ

情報屋「…もう良いでしょ?済んだ話なのだし」ヨイショ

女海賊「てか…おい!!吟遊詩人!!あんたちゃんと押してんの!!?」

吟遊詩人「ちゃんと押してますよ…」グイ


シュン! グサ!


女海賊「ぐぁ!!…ちょ…」ガクリ

情報屋「え!!?」

商人「なっ…」

吟遊詩人「…」ポカーン

女海賊「な…なんで矢が刺さってんの…」ボタボタ


オークファイター「ウゴ…」ドスドス


情報屋「オーク!!商人危ない!!」スチャ

商人「こんな所に!!?」スチャ

吟遊詩人「え?え?…」タジ

情報屋「これ囲まれてる…5体くらい」キョロ

女海賊「くっそ…チョー痛い…ハァハァ」ヨロ

商人「吟遊詩人!!女海賊の応急手当を!!」キョロ

吟遊詩人「あわわわ…」ノソノソ

情報屋「見えた…向かって来る前に撃つわ…」カチ


ピカーーーーーー チュドーーーーン!


情報屋「あぁぁ貫通して爆発は向こう側…ダメ足元狙って!!」

商人「ええい!!」カチ


ピカーーーーーー チュドーーーーン!


商人「どうだ!!?」

情報屋「当たってるけど致命傷じゃ無い…向こうは様子伺ってるわ…」

女海賊「にゃろう…今の内にエネルギー充填しといて…」ヨロ 

情報屋「動いたら血が…」
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:13:02.38 ID:O6K4E5800
オークファイター1「ハキブノアダンナ…」タジ

オークファイター2「レガサンタッイ…」ドドド

オークアーチャー「ルスゴンエ…テケヨンセャシ」ギリリ

オークウォーリア「ルナニリトオガシタワ…テッバウノモベタニダイアノソ」ダダダ


女海賊「ヤバ…女型のオークが突っ込んでくる」チャキリ


ターン ターン ターン ターン


オークウォーリア「ウゴ…」ピョン クルクル スタ

商人「避けた!!」

女海賊「くぅぅ…」ドタリ

情報屋「ダメ!!接近される…」

商人「くそう!!」スラーン チャキ

オークウォーリア「ウガァァ!!」ブン ザクリ!

商人「くぅぅ…」ブン スカ


ドドドド ウゴゴゴゴゴ


吟遊詩人「ひぃぃぃぃぃ…」タジ

オークウォーリア「ウュシッテテッモツヅロクフトヒ」


モクモクモク


商人「煙?…甘い匂い…だめだ!!これは睡眠魔法!!」

情報屋「え!!?そんな…」フラ

商人「遠くへ走って!!逃げるんだ!!」グイ

吟遊詩人「はらひれほれはれ…」フラ

女海賊「私の笛…笛…」zzz

商人「ええい!!くそぉ!!僕だけか…来るなら来い!!」スチャ


ドスドスドス ドドドド


商人「…」---荷物を奪って逃げる?---

商人「…」---いやそれで良い…今は戦って勝てない---

商人「…」---くそ!!オークがこんなに強いとは…---
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:13:51.39 ID:O6K4E5800
『鯨型飛空艇』


ズルズル ドサリ


商人「ええと…どうやってやるんだっけ…」アセアセ

商人「まぁ良いや!とりあえず上空に逃れよう…」シュゴーーーーー


フワフワ


商人「もうエリクサー無いんだよ…薬草で我慢して」ゴソゴソ

商人「矢を抜いたら一気に血が出るな…でもしょうがない」ズボォ

女海賊「ぐぅ…すぅ…」ドクドク ピュー

商人「薬草で押さえて…止まれ止まれ…出血さえ無くなれば…」グググ

商人「情報屋!!起きて!!」ペシペシ

情報屋「ぅぅん…」zzz

商人「くそう…止血で手が離せない」

商人「こんな大きな矢なんか食らって…あ!!そうだ…賢者の石があった!!」

商人「頼む!!出血止まってくれぇ!!」


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857 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:15:03.71 ID:O6K4E5800
『朝』


シュゴーーーーー ビュゥゥゥ


女海賊「ハッ!!」パチ キョロ

商人「あ!!良かった…気分は?」

女海賊「うわっ…なんじゃこりゃ…」ベタベタ

商人「大分出血したよ…そこの大きな矢がお腹に刺さってたんだ」

女海賊「思い出した…笛!笛…あった!!ホッ…」

商人「まさかオークが睡眠魔法使うなんてさ…僕が不死者で良かった」

女海賊「あんたが一人で追い払った感じ?」

商人「いや…食料奪って逃げて行った」

女海賊「ふぅぅぅ…助かって良かった」

商人「本当だよ…」

女海賊「食べ物全部取られちゃった?」

商人「うん…残ってるのは塩と香辛料だけさ…まぁ命が残ってるからそれだけで良い」

女海賊「あの女型のオークさ…メチャ動き早かったんだけど…」

商人「だね…エルフみたいなタイプも居るんだよ」

女海賊「あんたの攻撃も全然当たんなかったよね」

商人「間合いが違う…というか腕の長さが全然違う…あ!!あのオーク変わった剣持ってたな」

女海賊「見逃した…どんな剣?」

商人「オークが使ってる剣じゃない…フィン・イッシュの銀製かも知れない」

女海賊「ふ〜ん…てか飛空艇の進路は?」

商人「とりあえず真南に進んでる」

女海賊「おけおけ…あと私が修正する」グイ ヨロ

商人「大丈夫?ふらついてるけど…」

女海賊「結構血が足りないかも…情報屋起きたらもっかい寝る」フラフラ

商人「そうだね…起こしてみる」ペシペシ

情報屋「ぅぅん…ハッ」パチ

商人「気が付いたね?」

情報屋「ここは…飛空艇…」キョロ


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858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:16:06.72 ID:O6K4E5800
『1日後』


シュゴーーーーー ビュゥゥゥ


女海賊「本当はアラクネーの餌だけど…お湯に溶かしたハチミツ」

情報屋「何も無いよりマシね?吟遊詩人さんお先にどうぞ」

吟遊詩人「すみません…」

女海賊「商人?飲みかけのワイン有るけど居る?」

商人「あぁ欲しい…喉が渇いてる」

女海賊「ほい!!」ポイ

商人「ありがとう…」グビ

女海賊「もうちょいで名もなき島に到着するからお腹減ってるのは我慢して」

吟遊詩人「はい…」

情報屋「吟遊詩人さん元気無くなったわね?」

吟遊詩人「いえ…皆さんはいつもあのような戦いをしてると思うと…」

女海賊「てかあんた何か武器使えないの?」

吟遊詩人「僕が使えるのはこのリュートだけ…」

女海賊「リュートでビビらせるとかなんか無いのか!」

情報屋「無理言っちゃダメよ…吟遊詩人なのだから…」

商人「僕達全員後衛の部類だからオーク相手じゃ勝ち目無いね」

情報屋「そうそう…このプラズマの銃は使い方考えないとダメな様ね」

女海賊「そだね…近距離だと貫通しちゃうみたいだし」

商人「そこそこダメージは与えていたけど相手が悪い…」

女海賊「魔法使うオークって見た?何処に居たのか分かんないんだけどさ…」

吟遊詩人「弓を持ったオークの横に小さなオークを見ました…変わった角が生えた女のオークです」

情報屋「オークシャーマン…」

女海賊「あの感じだと他にも魔法使って来そう…もう会いたく無いわ」

商人「相手に魔女みたいなのが居ると戦い辛い」

女海賊「やっぱオークには関わんない方が良い」
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:16:39.02 ID:O6K4E5800
『名もなき島』


フワフワ ドッスン


女海賊「向こう側にちょっとした集落有るから食事はそっちで…」

商人「僕は早速地下の遺跡でホムンクルスを…」

情報屋「私も付き合うわ?」

女海賊「う〜ん…2人共忙しいのか…ほんじゃ吟遊詩人!!私と一緒に食事行こう」

吟遊詩人「助かります」

女海賊「この島の住人は多分リュート聞いた事無いからさ…演奏すりゃタダで食事出来るよ」

吟遊詩人「おぉ!!」

商人「女海賊!?この島で食料は入手できないかい?」

女海賊「小麦は無いよ…芋ならあるんだけどさ…」

商人「芋でも無いよりはマシさ」

女海賊「芋って重たいから運搬効率悪いんだよね…」ブツブツ
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:17:21.47 ID:O6K4E5800
『古代遺跡_深部』


スタスタ


商人「よし…あの時のままだ」

情報屋「フフ…初めて見た時は驚いたわね」

商人「君はもう十分ここを調査したのかい?」

情報屋「一通り見たけれど動かし方が分からなくて…」

商人「僕が持って来た古代のエネルギーで動かせる筈…」

情報屋「それがそのエネルギー源ね?」

商人「うん…僕もキ・カイで色々調べて古代遺跡のエネルギー源は互換性がある事を突き止めた」

情報屋「この機械は直ぐに動かせる?」

商人「今からやってみる…」カチャカチャ

情報屋「いきなりそんな所を分解するのね…」

商人「他の遺跡も同じなんだ…よし!!このまま収まりそうだ…」グイ

情報屋「何が起こるのかしら…」

商人「頼む!!動いてくれ…」人


シーン…


情報屋「あ!!忘れてた…女海賊から鍵を預かっているわ?」スッ

商人「鍵?」

情報屋「ここの機械を動かす鍵じゃないかって…」

商人「鍵穴なんか…」

情報屋「ここよ?」ユビサシ

商人「おぉ…なるほど起動に鍵が必要なんだな?」

情報屋「入れてみるわね?」カチャ


ブーン ピピッ


商人「おおおおお!!?動いた!!石板に文字が流れ始めた…」

情報屋「あわわ…メモを取らなくては」アセアセ

商人「これは慎重に触らないと下手に動かすとダメかもしれない…」

情報屋「キ・カイの学者はこっちの石板を手で操作する様な事を言ってたのを聞いた事が有るわ」

商人「手で…」カチャカチャ

情報屋「ほら?文字が動いた」

商人「そういう事か…こっちが操作する部分なんだな?」

情報屋「人体の画よ…ちょっと待って!!何かの成分を現した数値ね…」

商人「材料の割合…待て待て…ここにある生体の部品と比較しよう…」


アーデモナイ…コーデモナイ…

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861 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:20:25.32 ID:O6K4E5800
『集落の広場』


ドゥルルン〜♪


ドワーフ爺「…芋ならいくらでも持って行ってええで?」

女海賊「ごめんね!この間貰ったばっかりなのにさ…」

ドワーフ爺「かまんかまん!!それより又直ぐに行ってまうんか?」

女海賊「まぁね…困窮してる村が有って早く食料運ばなきゃいけないのさ」

ドワーフ爺「そら大変やなぁ…この島は気候がええから食料は余っとるちゅうにな?」

女海賊「じゃ!!ありがとね〜」スタ


ヒラヒラ フワフワ


女海賊「ん??あれ?妖精?」

妖精「お?僕の事見える?」ヒラヒラ

女海賊「あんたクルクル回って何やってんの?」

妖精「踊ってる」

女海賊「なんで?どっから来たん?」

妖精「音楽に誘われて踊ってたんだ」

女海賊「あんたら一杯出て来ると皆寝ちゃうじゃん…」

妖精「そんなの知らないよ…僕のせいじゃない」

女海賊「てか今寝ちゃうと困るんだ」

妖精「寝なきゃ良いじゃない」

女海賊「あのね…」

妖精「まだ誰も寝て無いから良いじゃないか!邪魔しないで欲しいな」クルクル

女海賊「んぁぁまぁ良っかぁ…ほんで?おっぱいに挟まる?」

妖精「何言ってるんだ君は…僕は音楽に誘われて踊ってるんだよ?」

女海賊「羽ムシルよ?」

妖精「変な人だなぁ…あっち行ってシッシ!!」

女海賊「ペッ!!ベロベロベー」プイ

妖精「なんなんだあの人…」
862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:21:22.77 ID:O6K4E5800
『小舟のある入り江』


ザザー ザザー


吟遊詩人「ここに居たのですね…月を見ていたのですか?」

女海賊「んあ?まぁね…」

吟遊詩人「又諸事詩が作れそうな情景です」

女海賊「それって私の事?」

吟遊詩人「月を見ている姿が…なんというか…得も知れない孤独に見えました」

女海賊「そうだよ…なんか心に穴が開いちゃってんのさ」

吟遊詩人「何か歌いましょうか?」

女海賊「てかさ…あんたの演奏で妖精出て来てるんだけど…」

吟遊詩人「あぁ女王様に言われたことが有ります」

女海賊「あんた見えないの?」

吟遊詩人「残念ながら僕には見えません」

女海賊「ふ〜ん…まぁ見えたからどうって事無いけどね」

吟遊詩人「魔術師達が言うには僕の演奏で魔法が強くなるとか…」

女海賊「あれ?皆寝ちゃうとかそういう効果じゃ無いの?」

吟遊詩人「良く分からないんです…ギャンブルに勝つとか…怪我の治りが良いとか…」

女海賊「お!!?それもしかしてシン・リーンが発展してるのはもしかしてあんたのお陰?」

吟遊詩人「さぁ?僕には分かりません…ただ女王様は僕を寵愛して下さいました」

女海賊「なるほど良い事聞いたぞ!!あんたはもしかするとラッキーマンなのかも…」

吟遊詩人「ラッキーマン…」

女海賊「演奏聞くとなんとなくラッキーな感じ」

吟遊詩人「ハハそう言って貰えれば歌い甲斐がありますね…」

女海賊「おっし!!何か歌ってみソラシド!!」

吟遊詩人「では…」
863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 22:21:51.36 ID:O6K4E5800
ドゥルルン〜♪

ずっと一緒にいた 二人で歩いた一本道♪

二つに分かれて 別々の方歩いてく♪

寂しさで溢れたこの胸かかえて♪

今にも泣き出しそうな空見上げて♪

あなたを想った…君がいない夜だって♪

そうno more cry もう泣かないよ♪

がんばっているからねって 強くなるからねって♪

君も見ているだろう♪

この消えそうな三日月♪

つながっているからねって 愛してるからねって♪

三日月に手をのばした 君に届けこの想い♪


女海賊「…」ポロポロ

女海賊「……」ポロポロ

女海賊「………」ポロポロ

女海賊「がんばっているからねって…強くなるからねって…うぐっ」グスン

女海賊「分かったよ…あんたの歌がどんななのか…」ググ


so no more cry…もう泣かない

864 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/06/30(木) 18:04:59.82 ID:KpvTj3yS0
『翌日_古代遺跡地下』


ヒソヒソ

生体を構成するタンパク質の材料になるのがこっちか…

アミノ酸の配列は種類ごとに分けられて居て培養に必要なのがエリクサー


女海賊「どう?ホムちゃんは何とかなりそう?」

商人「あぁ女海賊か…そうだな結論から言うと材料が足りない」

女海賊「マジかぁぁ…容器に入ってる分じゃダメなんだ…」

商人「ここに入っていたであろうエリクサーは使っちゃった?」

女海賊「うん…剣士に飲ませる為に使った」

商人「まぁしょうがないね…決定的に足りないのがエリクサーなんだよ」

女海賊「どんくらい必要?」

商人「多分樽で4杯くらいかな…」

女海賊「めっちゃ足りないね…」

商人「精霊樹に分けてもらうしか無いね」

女海賊「おけ!貰って来る」

商人「ちょっと予定変更しても良いかな?」

女海賊「何?」

商人「僕は生体の部品が全部揃って居るかちゃんと確かめたいんだ…つまりここに残って研究したい」

情報屋「私も残って調べたい事があるのよ」

女海賊「何か分かった事有るの?」

情報屋「これ見て…」パサ

女海賊「地図?」

情報屋「そう…古代の世界地図よ…外海まで完璧に記されてる…当時の都市の名前まで」

女海賊「ここで歴史の事も分かるんだ?」

情報屋「そうよ?翻訳に時間が掛かるのだけれど石板に記される絵だけでも多くの事が分かるの」

女海賊「ねぇ?この遺跡って何?」

商人「多分古代の研究所さ…現代の図書館以上の情報が眠ってる」

女海賊「なる…とりあえず2人は調査の為に残るんだね?」

商人「うん…ごめんよ」

女海賊「ほんじゃ私はハテノ村に行った後エリクサー貰いに行けば良いんだね?」

商人「精霊樹の所にエルフゾンビが居る筈…アサシンなら話をし易いと思う」

女海賊「おけおけ…」

情報屋「その地図も持って行って良いわ…今の地図よりもずっと正確な筈だから」

女海賊「なんか内海ちっちゃくね?上下も反対だし」

情報屋「それが真の距離よ…外海の大きさが思って居たもずっと大きい」

女海賊「まぁ良いや貰ってく!行って来るわ!!」
865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:06:38.37 ID:KpvTj3yS0
『鯨型飛空艇』


フワフワ


女海賊「芋を荷室に突っ込んだらもう行くよ…よいしょ!!」ドサリ

吟遊詩人「2人はここに残るのですね?」

女海賊「うん…事情があってこっから先は2人でハテノ村戻る」

吟遊詩人「僕は飛空艇に乗っているだけで良いのですか?」

女海賊「ダメダメ…武器の使い方とか教えるからあんたも戦力になって貰う」

吟遊詩人「戦力…」タラリ

女海賊「ほら早く乗って!!行くよ!!」

吟遊詩人「は…はい!!」スタ


シュゴーーーーー


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866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:07:14.12 ID:KpvTj3yS0
『ハテノ村_鍛冶場』


カーン カンカン


盗賊「鉄鉱石運んで来たぜ?」

女戦士「そこに積んでおいてくれ」

盗賊「しかしこう頻繁にガーゴイルに襲われるんじゃ自由に子供達を遊ばせられんな」

女戦士「倒して数を減らせて居ないのが問題だ」

盗賊「魔女の魔法頼みだがガーゴイルがなかなか降りて来んのがな…」

女戦士「クロスボウのボルトを作り増しては居るが…」

盗賊「動く的になかなか当てられんのよ…上空で炸裂でもしてくれりゃ良いんだが…」

女戦士「火薬を作るのに硝石が無いのだ…これで戦うしかあるまい」


ノソノソ


魔女「ふぅぅちぃと休憩じゃ…よっこら」ストン

盗賊「いよーぅ!!子供達は魔法使える様になってっか?」

魔女「それほど早く習得できる訳無かろう」

盗賊「ヌハハ戦力足り無ぇから早い所一人前になって欲しい訳よ」

魔女「破壊術を使える様になるまでは1年ぐらい必要じゃ…今はまだ成長魔法しか使えぬ」

盗賊「まぁしゃー無ぇ」

魔女「川辺に出来損ないの芋が沢山出来とる故にヘラジカに食わせよ」

盗賊「ま…一応役には立ってる訳か」

女戦士「魔女!妹の事が心配なのだが…」

魔女「心配には及ばぬ…名も無き島から既にこちらへ向かって居る様じゃ…」

女戦士「そうか…それなら良い」

盗賊「アイツは直ぐどっか行っちまうからなぁ…」

女戦士「フフ風呂も30秒我慢出来ん…理解に苦しむ」


ボエーーーーーー ブシューーーーー


盗賊「お!!?また派手な帰還だ…」

魔女「ほう?わらわは見て居らなんだがクジラの潮を真似て居るのか…」

盗賊「俺らの思い付きを具現化したんだ…意味のない機能なんだがなヌハハ」

魔女「いいや…虹が出て居る…」

盗賊「いやいや水を無駄に使ってる訳よ」

魔女「美しいでは無いか…わらわは好きじゃぞ?」
867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:08:10.25 ID:KpvTj3yS0
『鯨型飛空艇』


フワフワ ドッスン


吟遊詩人「ひぃひぃ…」ヨロヨロ

女海賊「あんたさぁ!!男なんだからシャキっとしな!!」


タッタッタ


女戦士「無事に戻った様だな?商人と情報屋はどうした?」

女海賊「名もなき島に残って研究するってさ…ほい!!これお土産!!」パサ

女戦士「んん?世界地図か?」

女海賊「今までの地図より正確なんだって」

女戦士「ほう?…随分見づらい地図だ」

女海賊「あと盗賊!!例の古代兵器…使える様にしといたよ」ポイ

盗賊「おぉ!!どんな感じよ?」パス

女海賊「空に向けて撃ってみ?」

盗賊「ようし!!」チャキ カチ


ピカーーーーーー チュドーーーーン


女海賊「飛距離300メートルくらい…リロードが30秒って感じかな」

盗賊「すげぇじゃ無ぇか!!丁度ガーゴイル倒すのに困ってたのよ」

女海賊「一応連射も効くけど飛距離と威力が落ちる…まぁ使って試してみて」

魔女「わらわの魔法だけで戦うのはキツかった所じゃ…良い武器を手に入れたのぅ」

女海賊「もう一個あるんだけど…どうすっかなぁ」

盗賊「影武者にでも渡そう」

女海賊「アレ?アサシンかリカオンが適任じゃないの?」

盗賊「今居無ぇんだ」

女海賊「どゆ事?」

女戦士「大型の気球で硫黄を運んで貰って居るのだ」

女海賊「えええええ!?マジ?」

女戦士「どうした?何か用が有ったのか?」

女海賊「アサシン連れて精霊樹まで行きたかったのさ…エルフゾンビ居るじゃん?」

女戦士「川を下った河口の漁村まで行っている…戻るのに…」

盗賊「あと2〜3日じゃ無ぇか?」

女海賊「マジかよぉ…足止めかぁ…」

女戦士「2〜3日ゆっくりしたらどうだ?」

女海賊「んあぁぁぁぁ…暇すぎて気が狂うかも」

盗賊「アホか!!穴掘りすっぞ!!」

女海賊「ムリムリ…こいつにやらせて」グイ

吟遊詩人「え!?ハハ…どうも」ペコリ
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:08:44.72 ID:KpvTj3yS0
『焚火』


メラメラ パチ


魔女「…ふむ…母上はそれでそなたを遣わしたのか…」

吟遊詩人「左様に御座います」

魔女「しかし抜かったのう…母上にはわらわが公爵から命を狙われている事を伝えて居らなんだ」

吟遊詩人「塔の魔女に懸賞金が掛けられて以来薄々感じては居たようですが…」

女戦士「今の話からすればハテノ村に刺客が来る可能性が無い訳では無いな」

魔女「そうじゃのぅ…」

女海賊「ちょい待って…塔の魔女の姿ってさぁ…私って事になってんじゃなかったっけ?」

女戦士「なに!?」

女海賊「私だけ魔女の塔で修行してたらいつの間にかそういう事になってんのさ」

盗賊「まぁ来るかもしれんという程度なんだろ?そんなん気にしてもしゃー無ぇと思うんだがよ」

女海賊「私は何処行ってもお尋ね者だからあんま気にして無いけどね」

盗賊「ヌハハ実は俺もだ」

女戦士「言われてみれば私もだなフフ」

魔女「して吟遊詩人…主はわらわの従士を任じられた訳じゃが…わらわを守れるのかえ?」

吟遊詩人「はっきり申し上げますと…僕は守ってもらわなければいけない」

魔女「それでは只の足手まといなのじゃが…」

女海賊「ちっと待って…こいつの演奏で妖精が出てくんのさ」

魔女「ほう?これ如何に…」

女海賊「演奏させときゃ何となく幸運になるっぽい…これ案外バカにできないんだ」

魔女「主は妖精を使役出来るのか?」

吟遊詩人「いえ…僕は妖精を見る事も話す事も出来ない…ただ演奏で妖精を鼓舞出来るらしいです」

魔女「なるほどそれで母上に見染められたか…」

女海賊「演奏させときゃ良いんじゃね?」

魔女「帰れと言う訳にもイカンしな…承知した故に従士としてわらわの傍に居るが良い」

女海賊「ほんじゃ景気付けてなんか歌って!!」


ドゥルルン〜♪

運命の糸が絡まり合って人々を引き裂く時でも♪

響け 世界中の闇の中で僕らがはぐれないように♪
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:09:23.35 ID:KpvTj3yS0
『ハテノ村上流』


ザック ザック


盗賊「積もった雪はどんどん川に捨ててくれ…集めた灰は荷車に乗せて火事場の炉まで運搬だ」

女海賊「この灰は何かに使うの?」ヒィヒィ

盗賊「煉瓦の材料にするらしいぞ?」

女海賊「これさぁ…女がやる仕事じゃないと思うんだけどさぁ…」ヒーコラ

盗賊「しょうが無ぇだろう!!一人前で動けるのはお前しか居無ぇんだから」

女海賊「これさぼったらお姉ぇに尻ぶっ叩かれそうだなぁ…」シブシブ

盗賊「違い無ぇ!!てか女戦士は一人で働き過ぎでよ…俺も休めん訳よ」

女海賊「古代遺跡って何処に埋まってたか覚えて無い?」

盗賊「分かったら苦労せん!!」

女海賊「やっば…これ又1ヶ月掘りっ放しのパターンだ」

盗賊「お前何か妙案無いのか?…その魔人の金槌で消しまくるとか」

女海賊「やってるけど全然掘り進まないんだって…」

盗賊「まぁ地道にやるしか無ぇな…人段落したら美味いシカ肉でも食って酒飲むぞ」

女海賊「あぁぁぁ腹減った…」グゥゥ


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870 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:10:58.96 ID:KpvTj3yS0
『名も無き島_古代遺跡』


ここで研究して居たのは生物学者ね…いろんな分野の生物学者がここに集ってた

ウンディーネ時代の戦争から逃れた学者たちが集まって居たんだわ

魔法と起源となる研究がこの当時の主な研究対象

ウンディーネ時代より以前は魔法を使える人は殆ど居なかったみたい…

第六感と言われる感覚を受容するorc遺伝子の発見

この受容体が発達した人に見られる症状が幻覚を見たり予言を見たり…

精神分裂を引き起こす事から精神病と診断されて隔離され…研究者の実験対象にされていた

中でも特異なのが神の声を聞く人達

それはその当時の権力者に恐れられ悪魔の声を聞く者として徹底的に虐殺された

特徴は青い瞳…世界中にいる青い瞳を持つ者は能力者に関わらず徹底的に殺されたの

それがそもそもの戦争の原因

そんな最中宇宙から飛来した箱舟から異星人が現れた

当時の人間達は対話をする事無く一方的に異星人を捕らえて箱舟も押収した

研究者たちは我が先にと異星人の生体について研究を始めた…そこで明らかになったのが

異星人にもorc遺伝子が発現していて青い瞳を持つ者と精神的繋がりがある事が分かった

いわゆる神の声…

それが明らかになって世界は大戦争へと発展

神を崇拝する者にとって異星人を解放する事が絶対的目標となったのね


商人「この石板に浮かんでいる絵が当時の光景だね?」

情報屋「そうよ…私達の想像を超える文明の形」

商人「それでこの生物学者の研究所にホムンクルスを製造する施設がある理由は?」

情報屋「恐らくスタンドアローンで世界とは離れた環境で研究を続ける為…後はお手伝い役かな?」

商人「ん?スタンドアローン?」
871 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:11:29.34 ID:KpvTj3yS0
情報屋「世界中の機械から切り離して情報が漏れてしまわない様にしたの」

商人「あぁクラウドの事か…」

情報屋「ホムンクルスの情報処理能力を単独で使おうとしたのよ…戦争の標的にされないために」

商人「そうか…だからこんな離れ小島なのか」


でも世界は光る隕石の打ち合いで疲弊してしまう…

そうやって一つの大陸を草一本生えない不毛の地にしてしまった


情報屋「ここからは私の憶測だけれど…その戦争はやがて人間と機械との戦いに姿を変えて行ったと思うの」

商人「わかるよ…僕も見てしまったんだ」

情報屋「え?何を?」

商人「戦いに終止符を打ったのは多分ホムンクルスさ」

情報屋「どうして?」

商人「古代遺跡の扉を最後に閉じたのはその当時のホムンクルスだよ…扉の前で石化してた」

情報屋「ホムンクルスは人間を殺める事は出来ないと…」

商人「直接には出来ない…でも人間を誘導して扉を閉める事は出来る…そうやってすべてをミイラにして封印したのさ」

情報屋「それはもしかして人類の保存の為?」

商人「そう信じたい…戦争を継続するよりも犠牲を払って止めさせる…そうやって生き永らえさせた」

商人「僕はこう思うんだ…ホムンクルスは何年か活動すると自然と人の心が宿るんだよ…そういう特殊なロボットなんだ」

商人「だからロボット三原則も破れる個体に成長してしまう…そして石化する…記憶をクラウドに残してね」

情報屋「それが精霊の本当の姿ね?…」


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872 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:12:08.36 ID:KpvTj3yS0
『数日後_ハテノ村』


おぉぉぉ!!


盗賊「お前意外と筋肉有るな!!ちっと腹見せてみろ」グイ

女海賊「勝手に触んな!!ホレッ!」ガバ

盗賊「ほーーーー俺の筋肉も見てみろ!!」ガバ

女海賊「こんな事も出来るよ…」ボヨヨーン

盗賊「ダハハハハハなんだその腹は!!なんでプヨプヨに出来んのよ!ガハハハ」

女海賊「これドワーフの特徴なんだって!お姉ぇなんかもっと凄いよ?」

盗賊「それ使い分けんのか?」

女海賊「ちっとパンチしてみ?」

盗賊「良いのか?腹にパンチすりゃ良いんだな?」

女海賊「来い!!」プルルン

盗賊「うらぁ!!」ブン

女海賊「フン!!」メキメキ


ドスッ!!


盗賊「おぉぉ!!なるほどな?打たれる時に踏ん張る訳か」

女海賊「でも疲れるんだよ…」プシュー ヘナヘナ


スタスタ


女戦士「何バカな事をやって居るのだ…お前は恥を知らんのか」

女海賊「あ…お姉ぇ!どっか行くの?」

女戦士「上を見てみろ…アサシンのご帰還だ」

女海賊「あああ!!やっと帰って来た!!」

女戦士「あらかじめ言っておくが今日直ぐに行動はしない様にな?」

女海賊「ええ!?もう穴掘り飽きたんだって…」

女戦士「分かったな?…」ギロリ
873 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:12:55.66 ID:KpvTj3yS0
『大型気球』


パタパタ フワリ ドッスン


アサシン「さぁ降りろ…」

男共「ほーーここがハテノ村かぁ…」ゾロゾロ

女戦士「労働者の確保出来た様だな?」

アサシン「皆船乗りだ…鉱山労働は初めてだが体力的に問題無かろう」

狼女「アサシン!食料降ろすよ!!」シュタ

女戦士「やはり漁村だけに魚ばかりか?」

アサシン「フフ言うまでもあるまい…だが影武者の言う通り硫黄で上手く取引が出来た…人駆調達もな」

女戦士「影武者は次の調達を既に準備しているぞ」

アサシン「中々人使いが荒いな」

女戦士「まぁ今日は休んで良い」

アサシン「しかし…少し見ん内に村らしくなったな…水車も動いている」

女戦士「アレは妹が直した…使う宛ても無いのに」

アサシン「ところで幽霊船と商船はいつ漁村へ入るのだ?漁村の衆は心待ちにして居るぞ?」

女戦士「直に来るとしか言い様が無いな…商船は数日前に港町を出港したそうだ」

アサシン「では次漁村へ向かうのは私では無く影武者が行った方が良かろう」

女戦士「その件だが…妹がお前を連れて精霊樹へ向かいたいそうだ」

アサシン「もしかしてエリクサーが入用になったか?」

女戦士「その通り…行って貰えるか?」

アサシン「ふむ…そうだな盗賊ギルドに連絡もあるし良かろう」

女戦士「今の状況で私が此処を離れるのは良く無さそうだ…妹の監視をよろしく頼む」

アサシン「監視とは聞こえが悪い…」

女戦士「アレは感情で動いてしまうから諫め役が必要なのだ…元はお前の助手だろう?上手く導いてくれ」
874 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:13:27.99 ID:KpvTj3yS0
『夜_教会』


ワーイ キャッキャ

そうじゃ!それで良い…一度芽を出したら水をやるのを忘れるで無いぞ?

さらに成長させるには主の魔力を消費せねばならぬ…杖を使って見よ…魔力の集中が出来る


狼女「よいしょ!!これで…最後」ドサリ

影武者「この魚の干物があれば塩の消費を抑えられる…よしよし」

狼女「体が魚臭くなったなぁ…温泉でも行って来るか」

女戦士「リカオン!温泉に行くなら女海賊も連れて行ってくれ」

狼女「ええ!?私の言う事聞く訳無いじゃない」

女戦士「灰で真っ黒になっていると言うのに気にする素振りすらない…どうすれば良い?」

狼女「アハハあの子らしい…無理だよ天然だから」

影武者「こういうのはどうかな?お小遣いで金貨を少し温泉に沈めて置く…」

狼女「へぇ?面白い…アイツどうするかな?」

影武者「僕が温泉に沈めて来るからお宝探しで挑発してみてよ」

女戦士「構わんやってくれ…どうせ女海賊は一銭も持って居ない筈だ」

影武者「じゃぁ僕は先に言って来る…」タッタッタ


女海賊「いやだからもうヘトヘトなんだって…これ食ったらちょい寝る」ガブ モグ


盗賊「なんだお前そのまんま寝るんか?」グビ

女海賊「どうせすぐに汚れるから別に良いさ」モグモグ

狼女「おい女海賊!」

女海賊「お!?リカ姉!!ちょい老けた?」

狼女「ムッカ!!」

女海賊「あゴメ…口滑った」

狼女「ぐぬぬ…あのね…温泉の中にお宝有るらしいんだ…金貨が落ちてるみたいだから拾いに行かない?」

盗賊「なぬ!!そらマジか!!ちょい行って来る」ダダ

狼女「だぁぁぁ盗賊じゃない!!…あ〜あ行っちゃった」

女海賊「??」ポカーン モグモグ

狼女「もう良いや!!あんたのアソコ臭くて鼻が曲がりそうなんだ!温泉行くぞ!!」

女海賊「ええ!?マジ?そんな匂う?」クンクン

狼女「臭くて死ぬ!!行くぞ」グイ

女海賊「おかしいなぁ…あんま触って無いんだけどなぁ…」クンクン
875 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:14:05.16 ID:KpvTj3yS0
『1時間後』


スタスタ


盗賊「ヌハハお宝ゲットだぜ…」ジャラリ

盗賊「金貨10枚も温泉に沈んでいやがった…どうだ?一枚やるか?」

女戦士「…」

影武者「…」

盗賊「ところでよ?鉱山の坑道奥で硫黄掘ってた奴が何かに襲われたらしいが?」

女戦士「あぁその件か…坑道にグレムリンが出る様だ」

盗賊「退治しといた方が良さそうだ」

女戦士「うむ…お前に相談しようと思って居た所だ」

盗賊「俺は坑道入って無いんだが相当広いんか?」

女戦士「私も奥の方までは行って居ない」

盗賊「明日ちっと奥まで潜ってみようぜ?お宝眠ってるかも知れん」

女戦士「私と盗賊…後はリカオンの3人で奥まで行って見るか」

盗賊「村の方は魔女と影武者に任せて良いな?」

影武者「プラズマの銃があれば僕一人でも問題なさそうだよ」

盗賊「まぁ一応用心に越したことは無ぇ」

女戦士「そうだな…」


スタスタ


女海賊「最初から言ってくれれば素直に温泉行くって!!」ホクホク

狼女「一度だって言う事聞いた事無いでしょアンタは」ホクホク

女海賊「えーと!!食いかけの肉何処行ったっけ?」キョロ

盗賊「んあ?あれお前のだったんか?俺食ったぞ」

女海賊「うっわ!!一番おいしい所だったのに…影武者!!もう一個肉頂戴」

影武者「今日の分はもう終わりだよ…芋なら少し余ってる…要るかい?」

女海賊「なんだよ又芋かぁ…」シブシブ

盗賊「酒あるぞぉ!お前もちっと付き合え」グイ

女海賊「私ワインあんま好きじゃないんだ」

盗賊「金貨1枚やるぞ?どうよ?」ホレホレ

女海賊「てかさ!!これ本当は私の物なんだ!!全部ヨコセ!!」グイ
876 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:14:41.66 ID:KpvTj3yS0
『翌日_鯨型飛空艇』


ヨッコラ ドスン


盗賊「おーし!!こんなもんだな?」

女海賊「おけおけ!!硫黄はそんな満載にしなくても良い」

アサシン「さて…新型がどんなものか見させて貰おう」スタ

女海賊「ハンモックに引っかかってりゃどうって事無いよ…ほんじゃ上げるよ」グイ


シュゴーーーーーー フワフワ


女戦士「ではこちらも坑道へ入る準備をしようか」

盗賊「おうよ!!」

女戦士「一応盗賊は例のプラズマ銃を携帯してくれ…私はタンク…近接アタッカーがリカオン」

盗賊「俺ぁ後衛か…」

女戦士「不服か?」

盗賊「てか坑道の中でプラズマ銃は危ないな…崩落しちまう」

女戦士「上手く使ってくれ」



『坑道_上層』


ピチョン ポタ


女戦士「この辺りで作業者が襲われたらしい…」

盗賊「地図書きながら進んでるからゆっくり頼むな?」カキカキ

狼女「グレムリンって見た事無いのだけれど…」

女戦士「羽の無い巨大なガーゴイルだと思え…蹄行性の後ろ足が特徴だ」

狼女「蹄行性という事は動きが早い筈…」

女戦士「うむ…だが巨大な体で坑道を自由には動けん」

盗賊「まぁ狭い坑道じゃなきゃ作業者は殺されて居ただろうな」

狼女「…」クンクン

女戦士「追えるか?」

狼女「確かに匂う…こっちよ」スタ
877 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:15:50.05 ID:KpvTj3yS0
『坑道_中層』


モクモク シュゥゥゥ


盗賊「熱いなこりゃ…湿度も酷い」

女戦士「これは下手に掘り進むとどこからマグマが出て来るか分からんな…」

盗賊「おい見ろ!!少し大きめの縦穴だ…ここから荷物を降ろせる様にロープを掛ける器具がある」

女戦士「むむ…坑道の下に荷を下ろす?」

盗賊「こりゃやっぱ下に何かあるぜ?」

狼女「匂いが近い…気を付けて」クンクン

盗賊「ここなら下に先制でプラズマ銃使えるぞ?」チャキ

女戦士「任せる…私は足止めに専念するから倒すのはリカオンがヤレ」

狼女「…」コクリ

盗賊「居た…うわデカい…撃っちまうぞ?」

女戦士「行け…着弾と同時に私も撃って出る」スラーン

盗賊「外すなよ…」タラリ カチ


ピカーーーーーーー チュドーーーーーン


女戦士「リカオン行くぞ!!」ダダ

グレムリン「プギャアアアアアア…」ドタバタ

盗賊「よっし直撃!!俺も近接で…」スラリ ダダダ

女戦士「前足だ!!前足を切り落とせ!!」ブン スパ


ドテーーーーン バタバタ


グレムリン「オノレ…オノレェェ…」ブン

女戦士「何ぃ!!言葉を…」ガシッ

狼女「そのまま!!」ダダ ブン スパー


リリース! スゥ


盗賊「バックスタブ!!」スパ

グレムリン「グゲェェェ…」

盗賊「ちぃぃぃ首落とし切ら無ぇ!!ぶった切ってくれ!!」

狼女「分かってる!!」ブン ブン スパ スパ


ビヨーーーン バタバタ


盗賊「どわぁぁ!!」ゴロゴロ ズザザー

女戦士「抑えきれん…」ググ

盗賊「脚力が半端無ぇ!!足も切り落とせ!!」

狼女「足か!!」シュタタ スパ


グレムリン「ガフッ…ゴボゴボ…ゲェェェェ」ピクピク


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878 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:16:24.08 ID:KpvTj3yS0
『縦穴の下』


ゴゥ ボボボボボ


女戦士「硫黄を採って来た…砕いて燃料に」ゴン バラバラ

盗賊「これ全部燃やし切るのしんどいな…」

女戦士「病気が散らばってはもっと面倒だ」

盗賊「これよう?他にも居るかも知れ無ぇから魔女も連れて来た方が良いぜ?」

女戦士「そうだな…一応周辺の見取り図だけ作って一度出直そう…これほど広いとは思って居なかった」

狼女「ねぇ…見て…腹の中から人骨出て来た」


デローン グチャグチャ


盗賊「うぇっ…見たく無ぇ」

女戦士「すべて燃やすのだ」ポイ


ボボボボボ ゴゥ


盗賊「デカくて上には上がれんが…こんなの居るんじゃ落ち着いて寝られん」

女戦士「この死体を燃やすのは私がやって置くからもう少し見取り図を書いて来い」

盗賊「おう!!」ダダ

狼女「このグレムリン…坑道を上には出られないのに何処で人間を食べたの?」

女戦士「…ふうむ」
879 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:16:53.72 ID:KpvTj3yS0
『1時間後』


タッタッタ


盗賊「戻ったぜ?まだ死体を燃やし切れて無いか…」

女戦士「地図はどうなっている?」

盗賊「メチャクチャ広い…てか複雑すぎて簡単には書けん」

女戦士「フフしばらく冒険には困らん様だ」

盗賊「もう使えん様だが線路があるんだ…これで意味が通じるか?」

女戦士「やはりか…どこかの地下線路に繋がっている訳か」

盗賊「多分な?だが坑道はもっと地下の方にも続いてそうなんだ…訳が分からん」

女戦士「採取した鉱物を運搬する線路が幾層にも有るのだろうな」

狼女「これ坑道を上がって来られない様に何処かに鉄柵とか必要ね」

女戦士「今それを考えて居た所だ…この縦穴を上手く利用したい」

盗賊「下からは簡単に上がれない様にする訳か」

女戦士「丁度ロープを掛ける金具があるだろう?」

盗賊「そこから昇降するんだな…まぁ簡単なのがロープワーク駆使が良かろう」

女戦士「明日まずそれをやろう…今日はこの死体を処理したら一度戻るぞ」

880 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:17:24.45 ID:KpvTj3yS0
『夕方_ハテノ村広場』


スタスタ


魔女「遅かったのぅ…どうじゃ坑道は」

女戦士「3人では危険だという事が分かった」

魔女「わらわも行かねばならぬか?」

女戦士「中に巨大なグレムリンが居てな…今日は偶然にも倒せたのだが先制攻撃されてしまうと危うい」

魔女「巨大とな?」

女戦士「うむ…それからグレムリンが言葉を発した…知能がある様なのだ」

魔女「では狭間から這い出て何年も迷った個体じゃろうな」

女戦士「言葉を発するのはどういう事だ?」

魔女「それは人間を狩る為の学習じゃ…言葉を発して近寄らせるのじゃな…稀にそういうガーゴイルも居る」

女戦士「なるほど…それでは捕食した人間の最後の言葉だったと思っても良いのか?」

魔女「うむ…ちなみに何と発したのじゃ?」

女戦士「オノレ…だな」

魔女「間違いなさそうじゃ…賢い個体は子供の泣き声をも擬態するで気を付けるのじゃぞ?」

女戦士「しかしガーゴイルにグレムリン…厄介な魔物が近い」

魔女「どこぞに深い狭間が放置されて居るのじゃろう…見つけられればわらわが回収するのじゃが」

女戦士「回収?狭間をか?」

魔女「アダマンタイトを黄金に変性させるのじゃよ」

女戦士「なるほど…」

魔女「影武者が河口の漁村まで行きたいと言うて居るが…」

女戦士「ううむ人出が足りんな…交易も止める訳にいかんしな…」

魔女「坑道の探索は急ぎでは無かろう?」

女戦士「うむ…分かった…とりあえずグレムリンが坑道に這い上がって来ない処置だけ先に済ませよう」

881 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:18:06.22 ID:KpvTj3yS0
『大型気球』


ガサゴソ ガサゴソ


女戦士「此処に居たか…何を探している?」

盗賊「商人の持ち物にキ・カイの地下路線図が有った筈なんだ…おお!!コレだ」パサ

女戦士「そこと繋がっているのか?随分遠いが…」

盗賊「キ・カイじゃ無くてな…他にもキ・カイ並みの地下都市が有るのよ」

女戦士「ほう?」

盗賊「まぁ採取した硫黄を運ぶのはトロッコが一番簡単だろ?多分戦争になる前まで使ってたんだよ」

女戦士「なるほどな…だが明日の予定は少し変更だ」

盗賊「んん?」

女戦士「影武者がもう一台の大型気球で河口の漁村に向かうのだ…リカオンを護衛に当たらせたい」

盗賊「じゃぁ明日は中止か?」

女戦士「例の縦穴だけ処置する…グレムリンが這い出て来なければ引き続き硫黄を掘れる」

盗賊「そういう事か…じゃぁ後は俺の趣味だ」

女戦士「一人で探索する気か?」

盗賊「俺はハイディング出来るんだ…地下の地図を仕上げたい訳よ」

女戦士「ふむ…戦闘を回避しながら調査か…いやマテ!!グレムリンにハイディングが利く保証は?」

盗賊「ガーゴイルはハイディングで俺を見失うんだぜ?」

女戦士「グレムリンは目が退化していた様だ…つまり匂いや音で感知すると思う」

盗賊「おぉぉそらヤバイな…」

女戦士「それから良く聞け?擬態で子供の声を真似するらしい…お前はそれに引っかかる可能性が高い」

盗賊「ヌハハズバズバ来るな?…まぁ承知の上だ」

女戦士「自信が有るのか?」

盗賊「無い…」

女戦士「なら止めて置け…行かせる訳にはイカン」

盗賊「キ・カイのギャング達…アイツ等は地下線路のどこかに向かったんだ」

女戦士「まさかお前…」

盗賊「そうよ…アイツ等が困ってるかも知れん…まぁそんだけの理由だ」

女戦士「…」

盗賊「俺は自慢じゃ無いがお宝の鼻は利く方なんだ…間違い無く繋がってる…だから行きたいんだよ」

女戦士「グレムリンの腹に入っていた人間は子供だったかも知れん…」

盗賊「あぁ見た…」ググ

女戦士「分かった…私も同行しよう」
882 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:18:40.32 ID:KpvTj3yS0
『鍛冶場』


カーン カンカン シュゴーーーーー


魔女「防具を作っておるんか?」

女戦士「グレムリン相手は軽装では致命傷を負うからな」

魔女「やはり行くのか…」

女戦士「盗賊は地下線路に居るであろうギャング達を救いたい様だ…一人で行かせる訳に行くまい」

魔女「あ奴らしいのぅ…」

女戦士「グレムリンを燃やすのに魔法の力が欲しい…杖なぞ無いか?」

魔女「確か商人の持ち物に魔石が有ったな…強い杖は作れぬが死体を燃やす程度の杖なら作れよう」

女戦士「頼む…」

魔女「吟遊詩人がもう少し頼りになればわらわが行っても良いのにのぅ…」ノソ


--------------

--------------

--------------



『翌日_坑道の縦穴』


グイグイ ギュゥ!!


盗賊「ようし!!これで縦穴の側道削り取って良いぞ」

女戦士「行くぞ!!」スパスパ


ガラガラ ドドーン


盗賊「これでロープ無くなっちまったら俺らも戻れんなヌハハ」

女戦士「しかし装備がフルスチールでは暑くて敵わん…」

盗賊「珍しく兜まで装着だもんな?盾は邪魔にならんのか?」

女戦士「お前はグレムリンの攻撃を受けていないから分からんのだ…まともに食らっては首が飛ぶ」

盗賊「へいへいそうかい…そうかい…早い所奥を探索するぞ」

女戦士「広い場所は避けろ…動き回られると相手に助走を与えてしまう」

盗賊「分かってる…まぁ付いて来い」スタ

883 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:19:23.44 ID:KpvTj3yS0
『廃れた線路』


スタスタ ガシャガシャ


盗賊「この辺りは随分前から使って居ない線路だ」カキカキ

女戦士「ふぅ…涼しくなって来た」

盗賊「あの縦穴の辺りにマグマ溜まりでも有るんだろ」

女戦士「しかしお前のその光る笛は中々に便利だ」

盗賊「だろう?気に入ってんのよ」


ペチャ…


盗賊「待て!!」スチャ

女戦士「…」タラリ

盗賊「こりゃどっかに潜んで…」


シクシク エーン


盗賊「ちぃぃ俺らを誘って居やがる…どこだ?」

女戦士「此処の奥だ…」

盗賊「おし見えた…」

女戦士「囮の可能性がある…2体目に注意しろ」

盗賊「うむ…どうする?距離が開いて居るが…」

女戦士「見えている奴の胸辺りを狙えるか?運が良ければ片腕は飛ばせるかも知れん」

盗賊「その後は?」

女戦士「すでに挟まれて居るかもしれんな…」キョロ

盗賊「2発目は30秒待たんと撃てんぞ?」

女戦士「よし一発当てて逆側に走って距離を開ける」

盗賊「元来た道を帰るってか?」

女戦士「側道がいくつもあっただろう…奴らは擬態を使うほど知能が高い…一旦引いて狭い場所に入る」

盗賊「分かったよ…撃つぜ?」チャキ カチ


ピカーーーーー チュドーーーン


女戦士「走れ!!」ガチャガチャ

盗賊「ようし!!腕吹っ飛んだ…」タッタッタ

女戦士「2体目を探せ!!」


ズドドドドド


グレムリン「イヤァァァタスケテーーーー!!」ドドド ブン
884 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:20:03.55 ID:KpvTj3yS0
女戦士「くそう!!真後ろだったか!!」ガシッ

盗賊「ハイディング!!」スゥ

女戦士「来てみろバケモノ!!」ブン スパ

グレムリン「プギャァァァァ…」ブン ブン ドガッ

女戦士「くぅぅ…なんという威圧」タジ


リリース! スゥ


盗賊「バックスタブ!」スパ

グレムリン「ゴフッ…ゴボゴボ…ブシューーー」バタバタ

女戦士「側道へ!!」ガシャ ガシャ

盗賊「やっぱ首を落としきらんな…」

女戦士「構うな…あれで方向見失っている」

盗賊「後ろの奴が動き出した…走って来るぞ!!」

女戦士「ええい!!リロードまだか!?」

盗賊「奥の手があんのよ…」チリチリ ポイ

女戦士「爆弾か!?」


ドーーーーン パラパラ


グレムリン「プギャァァァァ…アナターーーー」ドテーン

盗賊「ちっと下がるぞ!!近すぎてプラズマが貫通しちまう」グイ

女戦士「私が盾で受ける!構わず撃て!」ダダ

盗賊「こりゃ失敗出来んな…」ダダ

女戦士「こっちだバケモノ!!」バンバン

グレムリン「ニゲローーーーアッチダーーー」ググ ブン

女戦士「フン!!」ガシッ

盗賊「頭引っ込めろ!!」

女戦士「!!?」


ピカーーーーーー チュドーーーーン


女戦士「ぅぅぅ…」ビリビリ

盗賊「ようし!!頭吹っ飛ばした!!」ダダ

女戦士「これは…なかなかにキツイ…」ブン スパ

盗賊「首無くてもしばらく暴れてっから気を付けろ?」ブン スパ


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885 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:20:42.76 ID:KpvTj3yS0
『死体処理』


ゴゴゴゴゴ ボゥ


盗賊「こっちの腹ん中にゃ何も入って無え…消化しちまったか…」

女戦士「こっちはもう判別出来ん骨だ…頭蓋が見当たらん」

盗賊「いや…衣類が消化しないで残ってる…又子供だ」ドン!!

女戦士「擬態の声から察しては居たが…」

盗賊「なんつーか胸糞悪いな…全部駆逐してやりてぇ」

女戦士「2人では今の戦闘が限界だ」

盗賊「分かってる…ただイラつくな」

女戦士「思ったのだがプラズマの銃で首の辺りを狙えば一発で首を落とせそうだ」

盗賊「うむ…次からそれで行こう」

女戦士「爆弾は残りいくつだ?」

盗賊「4つ…それが尽きたら戻るだな」

女戦士「さぁ行こうか!お宝を探すのだろう?」

盗賊「おう!!そうよ…人類の宝を探しにな」スック


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886 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:21:28.60 ID:KpvTj3yS0
『数日後_大型気球』


カキカキ カキカキ


女戦士「今日は坑道には行かんで良いのだな?」

盗賊「もう爆弾切れだ…これ以上お前に危険を犯させる訳にイカンからな」

女戦士「フフ気を使っているのか?」

盗賊「怪我してんだろ?ちっと休んでくれ」

女戦士「地下路線図の方はどうだ?」

盗賊「おう…今書き直してんのよ…見てくれ」

女戦士「ふむ…ミネア・ポリスという都市に繋がっているのだな?」

盗賊「うむ…キ・カイからだとミネア・ポリスに行く途中にハテノ村の坑道が位置する訳だ」

女戦士「ギャング達はミネア・ポリスに向かったか…」

盗賊「恐らくな?その途中でグレムリンに襲われた」

女戦士「食われて居た大人はどういう事だ?」

盗賊「分からん…兵隊だとは思うんだがな」


ノソノソ


魔女「頼まれて居た銀貨を持って来たぞよ…何に使うのじゃ?」ジャラリ

盗賊「おぉグレムリンはな…どうやら俺のミスリルの笛に近付かないんだ」

魔女「それで退魔のエンチャントがされた銀貨が欲しかった訳か」

盗賊「坑道に銀貨を撒いときゃグレムリンが近づかん筈」

女戦士「ふむ…それで私は同行しなくても良いという事か…」

盗賊「そうよ!!俺一人で行っても襲われないって寸法よ」

女戦士「それに気付くのに随分苦労した…」

盗賊「てか俺は一撃も攻撃されて無い…お前にばっかり攻撃が行くのはそういう事だった訳だ」

女戦士「一人で戦う様な真似はするな?」

盗賊「分かってる…てか最下層までは粗方退治したから割と安全に行ける」

魔女「退魔が効くとはのぅ…ガーゴイルは無視して来よるが…」

盗賊「目が無い分敏感なんじゃ無ぇか?…まぁちっと行って来るからよ」スック

魔女「そうじゃ帰りにグレムリンの骨を一つ拾って来い」

盗賊「骨?何に使うんだ?」

魔女「使い魔に出来んか調べたいのじゃ」

盗賊「使役すんのか…そら又スゴイ戦力になるな」

魔女「頼んだぞよ?」
887 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:22:12.41 ID:KpvTj3yS0
『夕方_広場』


フワフワ ドッスン


影武者「さぁ皆降りて!!」

傭兵達「やっと着いたかぁ…」ゾロゾロ

女戦士「帰ったか…また大勢人が集まったな」

影武者「商船が到着したんだ…人だけじゃ無くて小麦も入手出来た」

女戦士「んん?今回は若者が多い…どうした?」

影武者「傭兵だよ…北の大陸からわざわざ来てくれてるんだ」

女戦士「それは助かる…私と盗賊でギリギリ凌いでいた所だった」

影武者「僕はハテノ村と漁村の往復で守ってもらう傭兵も欲しかったんだ…これで狼女が自由になる」


ノソノソ


魔女「北の大陸からの傭兵のぅ…」チラリ ジロジロ

影武者「さて狼女!小麦を降ろそう」ヨイショ

狼女「あんた体弱いんだから無理すんなって…」ヨッコラ

女戦士「あぁ私も運ぼう…教会で良いな?」

影武者「みんな悪いね…」ヨタヨタ


ザザー

”魔女!!聞こえる?魔女!!”


魔女「むむ…貝殻を使うとは何か有った様じゃな…」

女戦士「んん?どうした?」ダダ
888 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:22:51.43 ID:KpvTj3yS0
”わらわじゃ…どうした?”

”そっちヤバい事起きてない?”

”いや?変わらぬが?”

”今精霊樹の所に居るんだけどさ…私啓示を受けたっぽい”

”なんと?”

”ハイエルフが啓示を通訳してくれてるんだけど”

”ふむ…”

”闇に光を照らしてって…月を見ろと言ってる”

”それだけかえ?”

”あのさ…月のクレーター…退魔の方陣になってるって知ってる?”

”なんじゃと!!?”

”方陣に一部欠けがあるんだ…多分それを完成させろと言う意味なんだ”

”貸せ…私が話す”

”主はアサシンじゃな?”

”キ・カイの南にエド・モント砦と言う古代遺跡があるのだ…その上空に巨大な狭間がある”

”ふむ…”

”ドラゴンが言うにはその狭間が大きくなっているらしい…そしておそらく魔王を封じた魔石もそこにある”

”待てい!どういう事じゃ?ドラゴンまで南の大陸に来て居るのか?”

”ドラゴンも精霊樹の啓示を受けて居るのだろう”

”もしやガーゴイルとグレムリンが増えて居るのはそのせいか…”

”アダマンタイト以外に狭間を引き寄せる方法はなにか思いつくか?”

”魔石に魔王は封じられて居るじゃろうに…”

”アダムの時の様に何かに使われているとは思わんか?例えば機械のエネルギー源だ”

”魔王が機械を支配していると言うか…”

”精霊樹が案じて居るのはそう言う事だ…ドラゴンはしっかり物を見ている”

”貝殻返して…精霊樹から祈りの指輪も預かった…これの意味わかるよね?”

”待て早まるでない…今闇を集めてはならぬ”

”分かってる…時が来たらと言う事だよ”

”とりあえず出来るだけ早く帰るからそっち注意して”

”承知じゃ…”


ザザーー


女戦士「…」プルプル グググ

魔女「嫌な話を聞いてしもういたのぅ…地軸の移動も直に来るじゃろうに…」

女戦士「私の望遠鏡を用意してくる」タッタッタ


--------------

--------------

--------------
889 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:23:36.71 ID:KpvTj3yS0
『夜』


ホーホーー バサバサ


女戦士「どうだ?見えるか?」

魔女「月が欠けておるで全部は見えぬが…確かに退魔の方陣じゃ」

女戦士「月に隕石を落とせるのか?」

魔女「ムリじゃ…わらわが現地に行かねば落とせぬ…そもそも巨大な銀なぞ用意出来ぬ」

女戦士「誰がやったのかは知らんが途中までは誰かがやったのだろう?」

魔女「ちぃと考えさせよ…」ブツブツ

女戦士「しかし盗賊も帰りが遅い!!何をしているのだ!!」

魔女「しばし待て…千里眼!」

魔女「ムム!!怪我をして逃げて居るな…」

女戦士「馬鹿が無茶な事を…」

魔女「何に追われて居るのじゃ?…ヘルハウンド…オークゾンビも居るな」

女戦士「ええい!!出る!!」ダダ

魔女「わらわも行こう」ノソノソ
890 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:24:09.67 ID:KpvTj3yS0
『坑道_廃れた線路』


タッタッタ ハァハァ


盗賊「くっそ!!ゾンビのクセに段差を超えて来やがる」タッタッタ


オークゾンビ「ヴヴヴヴ…ウゴゴゴゴ…」ドドド ブン


盗賊「どわっ!!」ゴロゴロ ズザザー

ヘルハウンド「ガルルル…ガウガウ」ガブリ

盗賊「くそがぁ!!」ブン スパ

ヘルハウンド「ギャフン…」ピクピク

盗賊「やべぇ!!休んでらんねぇ!!」ダダダ


オークゾンビ「ウゴゴゴゴ…」ドドド


盗賊「今度は爆ぜてくれ!!」カチ


ピカーーーーー チュドーーーン


盗賊「だぁぁぁ又貫通しやがった…」ダダダ



『縦穴』


女戦士「盗賊!!ロープに掴まれ!!引き上げる!!」

盗賊「おおおおお心の友!!ナイスタイミング!!」ダダ ピョン

女戦士「フン!フン!フン!うらぁぁぁ!!」グイグイ


ドドドド ドターン


盗賊「うほーーーー間一髪…」

魔女「ちぃと熱いぞよ?爆炎地獄!」ゴゴゴゴゴゴ ボゥ

オークゾンビ「ウゴオオ…ヴヴヴヴ…ガガガガ」バタバタ

盗賊「やっぱ一人じゃダメだな…ゾンビが多すぎる」

魔女「怪我は何処じゃ?」

盗賊「悪りぃな…左腕が動かんのと脇腹だ…つつつ」

魔女「回復魔法!」ボワー

女戦士「下はどうなって居る?」

盗賊「ゾンビがうようよ出て来てよ…プラズマ銃が貫通しちまって上手く倒せんかった」

魔女「ふむ…燃やさんと何度でも向かって来るじゃろう」

盗賊「ソレだ…真っ二つに切っても半身がそれぞれ追って来るんだ」

女戦士「兎に角一旦引き上げだ…来い!」グイ
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:25:00.52 ID:KpvTj3yS0
『教会』


カクカク シカジカ


盗賊「…なんだと!!エド・モント砦の狭間が広がってるだと!!」

狼女「あの場所…空の方に狭間が…」

魔女「ふむ…話からするにアダマンタイトでは無い様じゃな…そこに狭間を引き寄せる物が有るのじゃ」

盗賊「空の狭間を地面に向かって引き寄せてるってか…つまり下だったんだな?」

魔女「そうなるのう…」

盗賊「てことはそっから魔物が色々這い出て来てる訳か」

魔女「直にレイスやゴーストも出るやも知れぬ…100日の闇と同じじゃ」

盗賊「ますます近付けんくなる…」

魔女「幸い今の所被害は無い様じゃ…対応を考えねばのぅ」

盗賊「次から次へと課題が増える…ちぃぃ地軸の移動も目前だってのに」

女戦士「ミスリルの手配を急がせた方が良さそうだ」

盗賊「未来の予言だと海士島付近が南極点だったな?河口の漁村もヤバく無いか?」

女戦士「考えてある…ドワーフ領の島々へは行けられるのだ…行き場を失う事は無い」

盗賊「ほんじゃ地軸の移動の件は後回しか…どうする?どうにかして魔王を封じた魔石を回収したいな」

女戦士「戦力が足りん…飛空艇を使って上空から行けるのなら話は別だが…」

魔女「狭間を空から探すのは余程の事が無い限り無理じゃ」

盗賊「俺もそう思う…一度狭間に入ったら目標物が無いと出られん」

女戦士「やはり地下から行くしか無いか…」

盗賊「ギャング達がトロッコとキラーマシン持ってんだ!アイツ等探すだな」


スタスタ…


影武者「話に割り込むよ…南のオークと取り引きするのはどうだい?」

女戦士「取り引きか…案があるなら行って見ろ」

影武者「ミネア・ポリスだったっけ?その場所が分かって居るならそこに住んでるオークと仲良くすれば良い」

女戦士「気球で行く訳か…」

魔女「オークロードに投石されなければ良いがのぅ…」

影武者「投石されない為に直ぐ近くに住んでるオークから仲間になって貰う」

盗賊「おぉ!!ちょい南のオークか!!」

影武者「そうだよ…取り引きに欲しい物がどんぐりと松ぼっくり…それからキノコ類」

魔女「女海賊が丁度北の大陸に居るで持って帰る様に伝えて置く」
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