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勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の続編の続編

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692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:04:15.47 ID:c2KZAoSz0
『人だかり』


誰かぁ!!手当を!!

止血剤を持って来てくれぇ!!

ロープだ!!ロープを使って根元を縛れ!!


商人「四肢を切り落として無力化…容赦ないな」

アサシン「これぐらいやらないと恐怖心を植え付けられないのだよ…吊るされないだけまだぬるい」

情報屋「あ!!酒場のバーテンさんが出て来たわ」


バーテン「ひぃぃぃぃ…」ヨタヨタ


商人「待って!!」グイ

バーテン「あ…あなたは…」

商人「酒場の中はどうなって居るの?」

バーテン「あなたを探して来いと言われて僕だけ逃げて来られました…もう…戻りたくない」ガクガク

商人「僕だけ中に入れそうかな?」

バーテン「裏口からカウンター脇には入れますが…行かない方が良いです」

商人「裏口は何処?」

バーテン「探してください…僕は関わりたくない」ヨタヨタ

狼女「商人!!こっち!!」シュタタ

商人「アサシン!!僕だけ中に入ってみる…僕は不死者だ」

アサシン「クックック…ついでにワインも頼む」

商人「フフやってみる」タッタ



『裏口』


ガチャリ ギー


商人「リカオンはアサシンの所に戻って」

狼女「いえ…ここで待つ…用が済んだらここから出て来て」

商人「心配してくれているのかい?」

狼女「海賊は正面突破で出て行く筈…危ないのは向こうの方だよ」

商人「なるほど…」

狼女「情報屋はアサシンが付いて居るから大丈夫」

商人「分かった…なるべく早く済ませる」スタ
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:05:19.12 ID:c2KZAoSz0
『酒場カウンター』


スタスタ


商人「やぁ…久しぶりだね」

女戦士「…」ギロ

海賊1「頭ぁ!!こいつは!?」ドドド

女戦士「待て…撤収の準備だ」

海賊1「へい!!」

商人「驚かないね?君を待ってたのさ」

女戦士「商人…1人ではあるまい?」

商人「4人だよ…アサシンと情報屋…そしてリカオン」

女戦士「北から2番目の商船に今すぐ乗るんだ…これを持って行け」ポイ

商人「記章…」パス


女戦士「撤収だ!!豪族の船を奪って逃げる…来い!!」ツカツカ


海賊共「がってん!」ドドド

商船「ハハ…ここじゃ何も話せないか」ソローリ




『広場』


ザワザワ ザワザワ

酒場の占拠は囮だった様だ…

見ろ!!豪族の船が奪われて動き出した

一般人に怪我人は居ないかぁ!!?


アサシン「ふむ…見事な統率…倍以上の豪族をいとも簡単にあしらうとは…」

狼女「アサシン!戻って来たよ」シュタ

商人「女戦士からの伝言だよ…今すぐ北から2番目の商船に乗れだってさ」

アサシン「んん?帆を開き始めて居るでは無いか」

商人「急ごう!!情報屋!!荷物まとめて行くよ」

情報屋「なんだか急展開ね…」イソイソ

アサシン「あの統率に合わせる為だ…急ごう」ダダ
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:06:09.38 ID:c2KZAoSz0
『商船』


碇を上げろぉぉ!!


商人「待って待って!!あと4人乗る」

船乗り「ダメだぁ!!この船は既に定員一杯だべぇ!!」

商人「これを見て!!」スッ

船乗り「ムム…」

船乗り「早く飛び乗れぇ!!」

狼女「先に行く!!」シュタタ ピョン シュタ

情報屋「ちょっと…私じゃ届かない」

狼女「ロープ投げるから掴まって!!…引き上げる」ポイ シュルシュル

情報屋「荷物が濡れてしまう…」

アサシン「私が持つ」グイ

情報屋「濡らさないでね?」

アサシン「リカオン!!手を!!」ダダダ ピョン

狼女「おととと…」ガシ

商人「情報屋?一緒に飛び込もう…行くよ?」ピョン


ドブン ボチャーン


狼女「そのまま掴まってて!!」エッホ エッホ

情報屋「ギリギリセーフね…」

商人「こんな感じがまたしばらく続きそうだ…」
695 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:07:41.30 ID:c2KZAoSz0
『甲板』


ビチャビチャ…


船乗り「あんたらこの船が何なのか知ってるんだべな?」

商人「アハハなんだそういう事か…船員は皆ドワーフかな?」

船乗り「わかっとりゃ良い…」

情報屋「背格好が…ハーフドワーフだけなのね?」

船乗り「海士島で差別されてしまうもんでな?」

商人「この船に乗れと言われて乗ったは良いけど…何処に向かってる?」

船乗り「行先はドワーフ領だべ…途中で荷の積み替えがあるんやが」

アサシン「幽霊船だな?」

船乗り「察しの通りだべさ…明け方になるで今晩は荷室で休むと良い」

商人「やっと女戦士と合流出来る」

船乗り「あんたらは娘さんの仲間なんやな?」

商人「まぁね…海賊王は元気かな?」

船乗り「そらもう世界中駆け回っておるべさ」

商人「もしかして漂流した飛空艇を探している?」

船乗り「もう何年も探して…」


あらららら?あららら?


商人「ローグ!!この船に乗ってたのか!!」

狼女「む!!あんた誰?匂いが違う」クンクン

ローグ「何言ってるんすか…あっしですよあっし!!」

アサシン「済まん…リカオンの鼻は信用している」ズイ スチャ

ローグ「ちょちょちょ…匂いが違うって何なんすかね?」

商人「ローグももしかして不死者に?」

ローグ「ええ?あっしは生身の人間でやんす」

狼女「おかしいな…匂いを覚え違ったのかな」クンクン

ローグ「あっしは偽物じゃ無いですぜ?酒樽で匂いが染みついちまったかも知れやせんね」

商人「あ…もしかして大量のお酒がこの船に乗ってる?」

ローグ「積み荷は殆ど酒でやんすね…なんで知ってるんすか?」

情報屋「例の大量の酒を発注してたのはこの船だった訳ね…当たらずとも遠からずって所ね」

狼女「お酒の匂いか…」
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:08:21.26 ID:c2KZAoSz0
ローグ「いやいやそれにしても皆さん久しぶりっすねぇ…どうして又お揃いで?」

商人「まぁ色々有ってさ…幽霊船を追ってたらこの船に乗る様に言われてギリギリ乗り込んだ所さ」

ローグ「頭には会いやしたかね?」

商人「一言話しただけさ」

ローグ「頭は姉さん探すのに必死なんすよ」

商人「やっぱりそうだったんだね…僕達も少し情報を持ってるんだ」

ローグ「そら助かるっす…中々見つからんもんで機嫌が悪いの何の…」

商人「状況が知りたいんだけどさ…」

ローグ「海賊王と頭が手分けして世界中の浜辺を見回ってる感じっすね…そっちの情報はどんななんすか?」

情報屋「説明するわ…」


リカオンが貝殻の音から聞き分けられた情報が…

海流のぶつかる寒い海…うっすら雪が積もって植物が一切生えて居ない浜辺…近くに大きな建造物…

世界地図からそういう場所の候補地を割り出したのがこの地図よ


情報屋「内海に墜落したと仮定すると海流から漂着しそうな場所が…記を付けて居る付近ね」

ローグ「ほーーーーこらスゴイっすね」

商人「世界中の浜辺を見て回ってるなら消去法で候補地はどんどん消せるよね?」

ローグ「へい…あっしが知ってる限り消していきやすぜ?」カキカキ

情報屋「おぉ…これで北半球では無いという事が確定ね」

ローグ「ドワーフ領は全部調べたんで残るは南の大陸…地庄炉村村の周辺っすね」

商人「おぉ!!そこまで限定出来れば探せそうだ」

ローグ「ただあの辺は岩礁が多くて何隻も海賊船が座礁してるんす…なんで後回しになってるんすよ」

アサシン「しかし次の行先はこれで絞り込めた訳だ」

ローグ「まぁ甲板じゃ海風に当たっちまいやすんで荷室の方で話やしょう…ついて来て下せぇ」
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:09:16.95 ID:c2KZAoSz0
『荷室』


ユラ〜リ ギギー


狼女「うぅ匂いで酔いそう…」

商人「醸造樽ばっかりだ…」

ローグ「ドワーフは皆酒好きなもんすから」

アサシン「商人!ワインは持って来たか?」

商人「一本だけね…」ポイ

ローグ「ところで皆さん…未来君の予言はどうなりやしたかね?」

商人「殆ど手つかずだよ…飛空艇無しでは名もなき島にすら行けない」

情報屋「予言通りなら後数年…魔女もオークの呪術を探しに行った切り不明になってしまって…」

ローグ「やっぱそんな感じなんすね」

商人「そっちは?」

ローグ「ドワーフの国で移民を促しては居るんすが土着した人は中々動かんすね」

商人「キーマンの女海賊と魔女…盗賊まで居なくなってしまって手詰まりさ」

情報屋「私は色々進展があったわ?歴史の事もほぼほぼ解明したし地軸の移動の件もおおよそ原因が推定出来た」

ローグ「やっぱり予言通り避けられない感じなんすね?」

商人「原因?その話は聞いて無いな」

情報屋「魔王とかそういう類の物では無いのよ…天文学的な事」


シャ・バクダ遺跡で発見された冒険の書と言う物…

これに記されて居た事が事実だったと仮定して…歴史の殆どが辻褄の合う形で符合したわ

4000年以上前…現在よりも遥かに高度な文明でも避けられなかった天災が地軸の移動

それは約4000年周期で太陽系を周回する黒色惑星の影響だと冒険の書で知った

黒色惑星がこの地球に近付くと何が起こるかというと…

質量の重たい北極か南極を重力で引っ張り…丁度駒の回転の様に赤道上で安定させてしまう…

つまり4000年毎に大きな災害をもたらす地軸の移動が起きてしまうのは避けられない事なの


商人「どうにも出来ないという事だね…」

情報屋「でもね?先の文明が滅んだ原因は天災がすべてでは無かった…」


滅んだ原因は人災…人間同士の戦争で汚染された空気が原因で子孫を残せなくなった事が原因なのよ

これは未来君が言って居た光る隕石から出る毒…放射能の事

剣士と未来君はこの世界を滅びから救うために放射能を集めて量子転移で消し去った

…これは私達の歴史…忘れてはいけない歴史
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:10:31.54 ID:c2KZAoSz0
アサシン「クックック…」

情報屋「可笑しい?どうして笑うの?」

アサシン「結局は勇者の犠牲の元私達は生き永らえた…そしてまだ一人勇者が残って居るぞ?何故だ?」

商人「希望が残ってる…そう考えようよ」

アサシン「私達の歴史は今言った避けられない問題の他に…魔王と精霊の戦いが複雑に絡み合っているのだ」

情報屋「そうね…だから私はもっと探求した…」

アサシン「ほう?なにか秘密を掴んだのか?」

情報屋「それは本当の勇者が誰だったのか…私達は何処に向かえば良いのか」


私達が知る歴史の中で最も世界に影響を与えた英雄は時の王よ…

その功績は数知れない…世界を平定し…災いの種となるアーティファクトを封じ

精霊の守護者として魔王と戦い…過去何度も魔王を退けた

そんな彼の右腕として働いて居たのが暁の使徒…未来君よ

時の王を導き…精霊を復活させ…時代を創って来た未来君は

その行きついた先で眠りについて復活の時を待ってる

それを信じていた時の王は長い年月でその記憶を少しづつ失い

失望した果てにシャ・バクダで夢幻に還った


アサシン「未来は戻って来ると?」

情報屋「私はそう考えてる…きっと女海賊もそれを信じてる」

アサシン「未来が還って来たとして魔王をどうする?」

情報屋「わからない…でも彼の名は未来…私達の未来…暁の使徒…それは新しく登る光…それこそ未来だと私は思う」

アサシン「クックック…思い出したぞ…私もこのような与太話をして飽きれられた事が有る…こういう事か」

情報屋「失礼ね…与太話では無いわ…歴史の時系列で全部説明出来る…これを見て」パサ

アサシン「…」


アンナコト コンナコト コウナッテ アアナッテ

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699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:11:33.22 ID:c2KZAoSz0
『朝』


…そう!時の王は2000年も前から暁の使徒が未来と過去を行き来してる事を知ってた


情報屋「それですべて説明が付く…シンリーンの壁画を集めたのも彼…時の砂の伝説を残したのも彼」

アサシン「むぅ…ここまで調べ尽くしているか」

情報屋「暁の使徒が安置されて居るのは恐らくシン・リーンの何処かに有る暁の墓所」

商人「僕達が目指すのは外海では無くシン・リーンか」

情報屋「過去に未来君が外海を中心に活動して居たのは間違いなさそう…でもそこは通過点」

商人「思うにホムンクルスを探し求めた感じだね」

情報屋「きっとそうよ…だから今行っても古代の兵器くらいしか収穫が無いと思う」


ガコン ゴツン


狼女「むにゃ?…グルル」zzz

ローグ「はいはい皆さ〜ん!!荷物移し替えるんで移動してくださいな」

商人「あっという間に朝か…随分話し込んだ」ヨッコラ

ローグ「頭が待っていやすぜ?」

アサシン「さぁリカオン!!起きろ!!」

狼女「…」パチ

商人「情報屋!行こうか…手を」グイ

情報屋「あいたたた…腰が…」ヨッコラ
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:12:48.37 ID:c2KZAoSz0
『幽霊船』


ギシギシ


女戦士「物資を急いで運び入れろ!10分で終わらせるんだ!!」

海賊共「へい!!」ドドドド

商人「うわ…ボロボロじゃないか」

アサシン「歴戦の船と言い変えるべきでは無いか?…久しいな女戦士」スタ

女戦士「船長室へ来い…ローグは物資の積み替えを終わらせてからだ」ツカツカ

ローグ「扱いが雑でやんすぅ…」

女戦士「…」ギロ

ローグ「へいへい…すぐ終わらせて行くでやんす」ダッシュ ドドド

女戦士「入れ…」ツカツカ



『船長室』


ガチャリ バタン


商人「随分急いで積み替えをやるんだね」

女戦士「見られてしまっては向こうの商船が無事では済まんからな」

商人「やっと合流出来た…全然連絡出来ないから…」

女戦士「ほとんど陸に降りる事が無い物でな…それで…本題だ」

情報屋「飛空艇の行方ね?…これが地図よ…南の大陸の地庄炉村付近」パサ

女戦士「どの様に調べた?」

情報屋「リカオンの耳と船乗りから得た海流の情報…その他色々ね」

女戦士「ふむ…確かにその近辺はまだ行って居ない…しかしマズいな…この船では海流に流されてロクに調査出来ん」

商人「え?どういう事?」

女戦士「縦帆が戦闘で傷んでしまってな…逆風を航海出来ないのだ」

アサシン「船体も随分砲弾を撃ち込まれた様だ…修理出来ないのか?」

女戦士「木材を調達出来ない…マストが折れていないのが救いだ」

商人「じゃぁ近くまで行って気球で上から行くのは?」

女戦士「そうだな…ひとまず地庄炉村へ行ってヤクを使った陸路という手もある」

商人「地庄炉村は麻の産地…もしかすると帆を張り替える布が入手出来るかも知れない」

女戦士「ほう?…という事はロープも手に入るな」

商人「決まりだね?地庄炉村を目指そう」

女戦士「分かった…詳しい話は後だ…今は商船から離脱するのを急ぐとする」

商人「僕達はここで?」

女戦士「好きにしろ…勝手は知って居るだろう?」ツカツカ


監視!!他の船は居ないな!?

離船したら狭間に入る!!レイスに備えろ
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:14:12.59 ID:c2KZAoSz0
『甲板』


ユラ〜 ザブ〜ン


女戦士「面舵維持!!そのまま7時方向に回頭しろ」

海賊共「がってん!!」フンフン

女戦士「狭間に入る…ハイディング」スゥ


タッタッタ


商人「レイスに備えるってどういう事だい?」

女戦士「戦闘で魔方陣に欠けが発生したのだ…部分的にレイスが入って来る」

商人「僕は退魔の方陣を知ってる…もう一度方陣を組むから援護して」

女戦士「それは助かる…手すりが崩落しているから海には落ちるな?」

アサシン「クックック…これは又忙しい船だ」

女戦士「通常の航路から外れてしまえば狭間から出てもそれほど危険は無い…それまでは辛抱」

アサシン「一度船をしっかり修理した方がよかろう」

女戦士「海賊のアジトに寄港しても木材が無いでは修理も出来ん…戻るだけ無駄なのだ」

アサシン「ずっとこの状況か?」

女戦士「何度も言わせるな…航路から外れれば少しは休める」

アサシン「見た所大砲は移動式が1門…後はクロスボウか」

女戦士「何が言いたい?武器の不足は承知…海戦では逃げの一択だ」

アサシン「こう実情を知ってしまうとさもしいな…今や幽霊船は伝説になろうと言うのに」

女戦士「フフギリギリを戦い渡って何が悪い?それとも高性能な兵器を使いこなしてるとでも思って居たか?

アサシン「済まんな…フィン・イッシュも同様にギリギリの状況…幽霊船が加われば状況打破出来ると思って居たが…」

女戦士「…」ジロ

アサシン「こちらも同じ状況なのを見て私の浅はかな考えを反省している」

女戦士「さてアサシン…お前が私に会いに来たのは飛空艇の捜索の件だけではあるまい?」

アサシン「そうだ…ただ考えが変わった」

女戦士「貧相な装備を見てか?」

アサシン「いや…セントラルの狙いはフィン・イッシュ攻略では無さそうだと分かったからだ」

女戦士「何の話だ?」

アサシン「まぁ航路を外れて落ち着いてから話す」
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:16:05.01 ID:c2KZAoSz0
『海原』


リリース スゥ


女戦士「よし休息だ!!各自ゆっくり休め!!」


ザブ〜ン ユラ〜


女戦士「ふぅ…」

商人「結局レイスは出なかったじゃない」

女戦士「いつも出て来る訳では無い…魔方陣は修復出来たか?」

商人「初めから引き直してる…もう少し」トンテンカン

情報屋「よく見るとこの船はあちこち傷んで居るわね…」

女戦士「手すりには寄りかかるな?」

商人「戦って居る相手は裏切った豪族かい?」

女戦士「豪族だけならどれほどラクか」

商人「正規軍とも戦って居るんだ」

女戦士「逃げるだけだがな」

商人「そうそう…船体の穴…砲弾の着弾痕が見当たらない…何でやられたの?」

女戦士「キ・カイの軍船から飛んで来た光線弾だ」

商人「軍船でも実用してるのか…それじゃ勝てないな」

女戦士「あれは古代の兵器なのか?」

商人「そうだよ…多分新しい古代遺跡から最近発見された物だ」

アサシン「話に割入る…古代の兵器をキ・カイが既に実用している?」

商人「うん…セントラルもキ・カイも外海調査に躍起になってるのはきっとその兵器の存在が原因さ」

アサシン「道理で外海調査の協力を求めて来た訳だ…その時点で既にフィン・イッシュなぞ眼中に無い」

商人「流れからするとセントラルとキ・カイが衝突する感じだね」

女戦士「今のままではキ・カイの圧勝に終わる」

商人「インドラの銃みたいなものだしね」

女戦士「いや…射程は大砲より短い様だ…ただ大砲よりも圧倒的に命中精度が高い」

商人「なるほどね…」

情報屋「未踏の地に先行しているのはセントラルの方だから直ぐに使えればキ・カイも危ないわね」

商人「どちらも公爵の影がちらついて居るのが気になるけど」

情報屋「そうね…公爵の手下の髭男爵…それからキ・カイ海軍も公爵が絡んでる」

商人「まぁそっちは勝手にやってて貰うとして僕達は先ず飛空艇を探さないと」

女戦士「飛空艇の場所が分かったとして3人の安否が心配だ…」

商人「時の砂を使って未来に飛んでしまった可能性もあるらしい」

女戦士「時の砂?何なのだそれは?」

商人「時間を巻き戻すという伝説があるんだ…それが外海のニライカナイという場所にあるらしい」

女戦士「巻き戻す?それでは過去に行くのではないか?」

商人「詳細不明なんだよ…でも状況的に時の砂を使った可能性は否めない」

女戦士「…ともあれ無事であるという可能性が聞けただけで少し心が落ち着く」

703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:17:19.98 ID:c2KZAoSz0
『数日後』


ガハハハハ…


海賊1「お前が噂に聞く闇商人だとは恐れ入った」

海賊2「がってん俺らは姫様の従士」


女戦士「今何と言った?」ギロ


海賊2「口が滑ったでがんす…」

商人「2人は純血のドワーフだったんだね…道理で体格が良い訳だ」

ローグ「あっしの立場がでやんすねぇ…なーんか軽んじられてるんすが…一応立場的には騎士なんす」

情報屋「ローグが騎士?ウフフ」

ローグ「へい…従士より格が上の筈なんすがどーも雑用ばかり回ってくるでやんすよ」

女戦士「雑用?最も重要な事を頼んでいるつもりだがな?船の補修は終わったのか?」

ローグ「あイヤイヤ…海賊達が楽しそうに会話してるもんでツイ…」

女戦士「補修が済んだら船体に刺さっている矢を回収して再利用に回せ」

ローグ「トホホ…ゴラ海賊共ぉぉ!!船体の補修急ぐでやんすぅぅ!!」

海賊共「へ〜い!!」ドドド


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商人「なるほど…海賊の本来の強さは海戦じゃなくて白兵戦なのか…なんか分かって来たぞ」

女戦士「懐に入ってからの制圧力…大砲は懐に入られない為の道具に過ぎん」

商人「つまり無敗なのはハイディングで一気に懐に入るから白兵戦で勝ってるんだね」

女戦士「ハイディングだけでは無いがな…私が得意とするのは陽動だ…私自身が囮となる」

商人「この間の酒場占領だね」

アサシン「弓で額を撃ち抜かれない様にな?」

女戦士「フフ気を付けて居るつもりだ」
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:17:59.30 ID:c2KZAoSz0
『地庄炉村_近くの小島』


碇を降ろせぇ!! ガラガラ


女戦士「ローグ!!気球の準備だ…商人とリカオン…それからアサシンの4人は地所炉村で物資調達を頼む」

女戦士「幽霊船は狭間に入って待機する…しばらく休憩だ!!小島に降りたい者は小舟を使って構わん」


情報屋「船に乗っていた方が暖かそうね‥」

女戦士「私は降りる気なぞそもそも無い」

情報屋「湯を沸かして水浴びをすると言ったら?」

女戦士「ム…ふむ…良いな」

情報屋「雪を集めて沸かすだけの簡単な仕事よ」

女戦士「従士2人!!私と同行しろ…島に降りて簡易風呂を作る…来い!」

海賊共「へ〜い!!」ドドド



『地庄炉村』


ザワザワ

気球で誰ぞ来よったぞ

ありゃ商人が乗っとるんじゃろうか?

4人居るな?


婆「お前さん方は何処から来たのじゃ?キ・カイかえ?」

商人「あ…こんにちは…近くの商船から物資調達に来たんだ」

婆「商船?何処にも見えんが…なぜ船着き場を使わんのじゃ?」

ローグ「あいやいや…大型な商船なもんで岩礁が怖くて近づけんのでやんす」

男「婆さん!こいつら2人武器を携帯してる!近づくな?」

ローグ「襲う気は無いんで安心して下せぇ…ほんで布とロープを仕入れに来たんすが…」

男「布…ロープ?」ヒソヒソ

婆「麻の産地じゃと知って居ったのじゃろうな…お前さん方は何を売るのじゃ?」

商人「ええと…酒類と小麦…それから薬かな」

男「小麦!!じゃぁ北の大陸からの商船か」

婆「丁度キ・カイからの商隊が来ん様になって困っとった所じゃで良い取引が出来そうじゃな」

商人「ローグ?一度船に戻って荷を持って来てもらえるかな?…多分芋とか肉と交換出来そうだ」

ローグ「分かりやした…」

男「ちょいと俺は村の皆に話してくる」

婆「こっちじゃ…村の広場まで案内するぞい」
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:18:45.89 ID:c2KZAoSz0
『広場』


婆「ここらに露店が集まっとるんやが村の衆しか居らんでこの通りじゃ」

商人「おぉ!!石炭があるじゃ無いか…食材も船に乗って無い物が多い」

狼女「キ・カイより随分安いね?」キョロ

商人「そりゃそうだよ…これが適正な値段さ」キョロ

狼女「ナッツがすごく安い…買って!」

アサシン「…」シラー

商人「ん?僕が?」

狼女「そうだよ…今お金持ってるの商人じゃない」

商人「ハハまぁそうだね」チラリ

アサシン「…」シラー


フワフワ ドッスン


ローグ「適当に物資持って来やしたぜ?」

商人「丁度良かった!!ここで商売始めよう」

ローグ「へ〜い!!はいはい寄ってらっしゃ見てらっしゃい…珍しい物沢山あるでやんすぅ!!」


ザワザワ ザワザワ

おい!!何処からか商人が来てる様だ

小麦が売ってるらしいわ

魔石もあるらしいぞ


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706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:19:19.60 ID:c2KZAoSz0
『気球の露店』


ワイワイ ワイワイ


商人「アクセサリー類をそんなに安く売って良いのかい?」

ローグ「どうせあっしらには要らんもんなんで良いっす…代わりに麻布が安く手に入れば良いでやんす」

商人「ハハなるほど値切る為の先行投資か」

アサシン「石炭は大目に買っても良いんだな?」

商人「うん…箱毎買ってしまえば少しだけど木材も入手できる」

アサシン「では買い入れて気球に積んでしまうぞ」

商人「どんどん買ってお金を回そう…お金が入れば村人も購入意欲が湧く筈」

狼女「魔石とブタを交換したいって言われてるんだけどどうしよう?」

商人「良いじゃない?生きたブタは君の好物だよね」

狼女「やった!!」

商人「アサシン!!オーガの牙がすごく安いんだ…全部仕入れてよ」

アサシン「ふむ…仕入れる品目を紙に書いてくれないか?」

商人「麻布…皮…糸…それからロープ…全部買い占めるかんじで良い」

アサシン「分かった…どんどん仕入れるから気球での運搬はローグに任せる」

ローグ「へ〜い!!」


ワイワイ ワイワイ

707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:20:04.54 ID:c2KZAoSz0
『小島_キャンプ』


メラメラ パチ


女戦士「樽に湯を少し足せ!ゆっくりだぞ?」チャポン

海賊1「へい!!」ドスドス

情報屋「ふぅぅ…雪の中で樽のお風呂…最高ね」チャプ

女戦士「フフ…私が風呂好きな事は知って居たのか?」

情報屋「綺麗好きな事は知って居たから…女海賊とは正反対」

女戦士「世話の焼ける妹だった…」トーイメ

情報屋「ドワーフの寿命はどのくらいあるの?」

女戦士「寿命?なぜその様な事を…」

情報屋「ほら?私は老いて来てる…あなたはまだ綺麗なまま…」

女戦士「そんな事か…純血のドワーフなら400年ぐらいだそうだ…私は混血だからいくつまで生きるか…」

情報屋「羨ましいわ…」

女戦士「済まんな…見せびらかすつもりは無い」

情報屋「ひとつ気付いてしまった…」

女戦士「んん?」

情報屋「精霊がエルフやドワーフを生んで人間よりも長い寿命を与えた理由…」

女戦士「何だ?」

情報屋「はるか昔…およそ4000年前の人間の寿命は20年くらいだった」

女戦士「混血させて伸ばそうとしたと言うか?」

情報屋「きっとそうよ…ただ出生率が問題だったみたいね」

女戦士「人間に純血と言う概念は無さそうだな?」

情報屋「もう失われたのね…少なからずエルフの血が混ざってると思うわ」

女戦士「エルフか…」

情報屋「嫌い?」

女戦士「嫌いと言う訳では無いが感情を読み取れなくてな…苦手と言うべきか」

情報屋「あ!!又気球が船の方へ…」

女戦士「本当だな…どうやら物資調達が上手く行っているらしい」

情報屋「どうする?もう戻る?」

女戦士「折角良い気持ちになった所だ…私もしばらく休む」

情報屋「そうね…ずっと気を張って居たものね」


チャプン モクモク
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:20:43.82 ID:c2KZAoSz0
『地庄炉村_洞穴の宿屋』


ピチョン ポタ


商人「へぇ?変わった宿屋だなぁ…」キョロ

婆「ここらは木材が無いで穴の中に住まいを作っておるんじゃ」

男「手前が酒場になってる…寝床は奥の方を使ってくれ」

商人「お客さんは僕達だけかい?」

婆「そうじゃ…酒場には村の自警団の者が来るけぇ喧嘩せん様にな?」

商人「リカオン!!喧嘩したらダメだよ!!」

アサシン「フフ…」

狼女「あら?問題児みたいな言い方…」

婆「ごゆるりと休むが良い…ではのぅ」ノソリ


------------


ローグ「今乾かしてる布と皮は明日の朝持って来てくれる話になりやした…」

商人「うん…やっぱり布は手間が掛るだけ有ってそこそこの値段するね」

ローグ「お金無くなっちまいやしたか?」

商人「結構使ったけど収穫も大きいよね…まぁトントンだね」

ローグ「地庄炉村もちーっと潤ったと思いやす」

商人「ハハ…アクセサリーはまぁサービスか」

アサシン「全部豪族から奪った物か?」

ローグ「そーっすね…豪族は女を買う為にアクセサリーを沢山持ってるんすよ…あっしらには全く必要ないでやんす」

商人「おかげで随分節約出来たさ」


ドヤドヤ ゾロゾロ

おい見ろ!あの気球の商人達だ

女も来てるぜ?おっと…睨まれた
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:21:30.95 ID:c2KZAoSz0
若者1「隣…失礼するよ」

若者2「酒場が狭いもんでね…おいオヤジ!!いつもの頼む」

爺「んぁぁ…今日は金払ってけよ」

若者1「商人さん達は何処から来たんだい?」

商人「北の方さ…商船が沖に待機してる」

若者1「この村は見ての通り…さもしい村でさ…商人さん達が来ると少し活気が出るんだ」

商人「その様だね…名産の布が上手に売れればもっと発展出来るのにね」

若者1「キ・カイから商隊がなかなか来なくなってねぇ」

商人「どうしてだろう?こっちに関税はかからない筈だけどな…」

若者1「道中の魔物が影響してるらしい…」

商人「オーガかな?」

若者1「分からないけど魔物に襲われたという噂が広まったのが商隊が少なくなった原因に思う」

商人「魔物討伐隊とか組んで退治しないのかい?」

若者1「近場はやってる…ただ遠いと中々行けなくてね」


若者2「あああああ!!俺のナッツ!!勝手に…」


商人「ん?」

狼女「…」モグモグ

若者2「ちょっと…それ俺の食い物なんだが…」

狼女「何?」シラー モグモグ

若者2「口が動いてるだろ!!俺のナッツ食ったな?」

商人「あたたた…ナッツもう一皿頼むから勘弁…」

ローグ「あっしも仲間に入って良いっすかね?」ニヤニヤ

商人「あ…いや…」

ローグ「ああああ!!あれは何だ!!?ま…まさか!!」ユビサシ

若者1「んん?」キョロ

ローグ「ふむ…見間違いでやんす…」モグモグ

狼女「…」モグモグ

若者1「ちょっと…あんたら何なの?俺のナッツは?」タジ
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:22:26.12 ID:c2KZAoSz0
『酒場』


ウハハハハ…


婆「なんや騒がしい思うたら仲良うしとる様やな?」ノソノソ

爺「婆さんも一杯飲んで行くんかや?」

婆「蒸かした芋を持って来たんじゃが…」


狼女「…」ピン!! バチッ!!

若者1「痛てっ!!ナッツを無駄にするなぁぁ」

狼女「無駄にしてるのはあんただよ…食べれば済む」ピン!! バチッ!!

若者2「姉ちゃんこっちに頼む…あーんぐり」

狼女「…」ピン!! パク!!

若者2「ストラーイク!!」モグモグ


婆「お前さん達…蒸かした芋を持って来たが食うか?」

ローグ「ぉお?ナッツだけじゃ物足りなかった所なんすよ」

婆「そうじゃろそうじゃろう…」

狼女「!!?」クンクン スック

若者1「姉ちゃんもう一回俺にも頼む」

狼女「…」シュタタ キョロ

アサシン「ん?リカオンどうした?」

狼女「何か臭う…西の方角」クンクン


ガタガタガタ ブモモー ゲヒゲヒ


若者1「荷車の音だ…外で何か有ったな?」ダダ
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:23:08.54 ID:c2KZAoSz0
『ヤクの荷車』


ブモモモー ガフガフ


馭者「たたた…助けてくれぇ」

若者1「どうした!!何が有った!?」

馭者「直ぐそこでオーガに襲われて…」ゴクリ

子供「パパ?大丈夫?」

馭者「こら!!隠れて居なさい」グイ

若者1「オーガ退治は任せろ…誰か!!手当してやってくれぇ!!」ダダ

若者2「いつも通りだな?行こう!!」ダダ


狼女「何か訳がありそう…どうしよう?」

商人「ひとまず父親の方を手当してあげようか」

ローグ「怪我を見せてくだせぇ…出血はどんな感じでやんすか?」

馭者「わたしの怪我は大した事無い…家内の方を見て欲しい」

女「うぅぅ…」

ローグ「応急手当はあっしがやりやす…商人さん薬草とちょっとだけエリクサー頼みやす」

商人「え…あ…わかった」タッタ


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712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:23:53.83 ID:c2KZAoSz0
『宿屋』


よっこらせっと…


ローグ「ひとまず落ち着きやしたね?」

商人「命の危険は無さそうで安心したね…」

ローグ「どうやらキ・カイから逃れて来たらしいんすが…こら同じ様な人が増えるかも知れんすね」

商人「うん…」

ローグ「キ・カイで何が起きてるんすか?」

商人「話せば長いんだけど…10歳前後の子供を戦争に利用しようとしているのさ」

ローグ「戦力にならんと思うんすが…」

商人「キラーマシンにしてしまうんだよ…10歳前後が一番適合するらしい」

ローグ「まじっすか…そら許せんでやんす」

商人「子供の兵役を可能にする法案が可決してしまう前に逃げて来たのは正解だと思う」

ローグ「ここに逃げて来ても同じキ・カイの領地っすよね?」

商人「そうだね…キ・カイで丁度良い子供が居なくなればこちらに来るのも時間の問題…」

ローグ「そんな狂った法案が簡単に可決するとは思えんのでやんすが…」

アサシン「公爵なら可能だ…」

商人「オークとの戦争で思った様に戦果が出て居ないんだ…キラーマシンは何年も前から増産してる」

ローグ「なんでオークを攻め立てているでやんすか?」

商人「さぁね?どうせ古代遺跡とかそういう奴だよ」

アサシン「やはり公爵を野放しには出来んという事だ」

商人「孤児たちを逃すだけじゃ問題は解決しないか…」

狼女「ねぇ…良い話が聞こえて来た」

商人「ん?何かな?」

狼女「地庄炉村に来る道中で浜辺に大きな骨を見たらしい」

商人「大きな骨?」

狼女「その周辺は朽ちた馬車が沢山放棄されて居て…恐ろしくて急いで通過したとか」

商人「良い話じゃないの?」

狼女「私が貝殻で聞いた音は…近くに大きな建造物…多分大きな骨だったんだと思う」

商人「おおお!!詳しい場所は聞こえないかい?」

狼女「ちょっと待って…今聞き耳立ててるから」
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:25:03.32 ID:c2KZAoSz0
『翌日_貨物用気球』


フワフワ ドッスン


ローグ「頭ぁぁ!!飛空艇の場所がほぼ特定出来やした…やっぱりここから西の方角っす」

女戦士「方角と距離は合わせて言えと何度言えば分かる」

ローグ「ええと…馬車で10日程…なもんで船ならえーと…」

女戦士「気球を使って先行して探してこい…幽霊船は縦帆が無いから直行は出来ん」

ローグ「もし見つけたらここまで吊って来る感じっすかね?」

女戦士「他に方法はあるか?」

ローグ「遠すぎるっす…途中で落としちまう可能性がありやす」

女戦士「では正確な場所を教えろ…近くの沖まで移動しておいてやる」

ローグ「海図に場所を記して置きやす…」ダダ

商人「捜索に行く人員はどうする?」

女戦士「アラクネーは不死者を襲うと思うか?」

アサシン「フフ…それなら私と商人が適任だな…生身では毒が厄介だ」

女戦士「分かった…気球の操舵はローグ…飛空艇の回収作業は商人とアサシンで行け」

狼女「私は?」

女戦士「気球を出来るだけ軽くしたい…身軽なリカオンは縦帆の修理に回って欲しい」

狼女「…」シュン
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:25:44.10 ID:c2KZAoSz0
『甲板』


ザブン ギシギシ


情報屋「フフ連れて行って貰えなくて拗ねているの?」ヌイヌイ

狼女「悪い?」ヌイヌイ

情報屋「アラクネーの麻痺毒は強力だから仕方ないわね」

狼女「布を縫い合わせる作業は地味で退屈」ヌイヌイ

情報屋「これも大事な仕事だと思うわ?早く仕上げないと船を動かせないのだし」


女戦士「碇を上げろ!!一旦沖へ出る!!進路11時!!」


情報屋「出港ね…急いで縫わないと」アセ

女戦士「リカオン!マストに上がれるな?指示通りロープを掛けろ」

狼女「え!?私?」

女戦士「人出が足りんのだ…早くロープを持って上に上がってくれ」

狼女「ロープを上に?ってこれめちゃくちゃ重いじゃない…」

女戦士「つべこべ言わず持って上に上がれ!!」


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715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:26:40.15 ID:c2KZAoSz0
『翌日_貨物用気球』


フワフワ バサバサ


ローグ「水も何も積んで無いもんで喉がカラカラっす…」

アサシン「ワインならあるぞ?」

ローグ「一口頂きやす…」グビ プハァ

アサシン「どうだ?不死者の気分は」

ローグ「ワインが格別美味いっすねぇ…」

商人「ローグ!!見つけた!!巨大な骨…なんの骨だ?」

ローグ「情報通りっすね…高度下げやす」グイ

アサシン「ふむ…あの大きさからするとクジラだな」

商人「クジラ…そうだ未来君の壁画にもクジラが書かれていた…関連するのか?」

ローグ「幽霊船の居場所が分からんのですが…」

アサシン「ひとまず私が先に降りて状況を見て来る」

ローグ「クジラの上で待機っすね?」

アサシン「うむ…」



『クジラの骨_上空』


フワフワ バサバサ


商人「見えた!!間違いない飛空艇の船体が見える」

ローグ「球皮も帆も無くなっていやすね…」

商人「そうか…船体は魔女が樹脂に変性させたから傷まずに残ってるんだ…」

ローグ「な〜んか見たく無い物を見ちまいそうで…」

アサシン「ロープを降ろして先に降りるぞ?」シュルシュル

ローグ「アサシンさんロープを何かに結んで下せぇ…気球が安定しやす」

アサシン「分かった…」

商人「ちょっと待った!遠くにオーガがうろついてる…3体くらいだ」

アサシン「クックック…オーガが不死者を襲うと言うか?食う所が無い」

商人「この辺りはオーガが居るから人が通らなかったんだ…不幸中の幸いか」

アサシン「では降下する…」シュルシュル シュタ

商人「僕も降りようかな…」

ローグ「ちっと待って下せぇ…アラクネーが出て来やした」

商人「え!?」

ローグ「中型が3体…小さいのは一杯居やすねぇ…」

商人「お見合いしてるね…」

ローグ「戦闘にはならん感じっすかね?」

商人「大丈夫そうだ…僕も降りて来る」シュルシュル

ローグ「あああああ!!ちょ…あっしだけ置いてきぼり…」
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:27:47.96 ID:c2KZAoSz0
『クジラの骨_埋まった飛空艇』


シュルシュル シュタ


アサシン「商人も降りて来たか…どうやら大型のアラクネーは居ない様だ」

商人「襲って来ない?」

アサシン「うむ…しかし毒は持って居る筈」

商人「なるほど…だからオーガも近づかないんだね」

アサシン「飛空艇は少し掘り出す必要がありそうだな…入り口が埋まっている」

商人「中を覗いて…ああ!!中はクモの巣になってる…」

アサシン「難儀しそうだ…」

商人「でも見える…石化してるよ!!横たわっているのが魔女…四つん這いなのが女海賊」

アサシン「盗賊は居ないのか?」

商人「どうなってるんだ?酒の瓶を持ったまま石化してる‥」

アサシン「クックック…状況が読めんのだが3人共無事の確認は出来た訳だ」

商人「クモの巣がクッションになったお陰でどこも欠けて無い…よしよし」

アサシン「さぁどうする?」

商人「アサシンは飛空艇の隅にバランスよくロープを掛けて行って…僕は周りを掘り起こす」

アサシン「アラクネーが暴れなければ良いが…」

商人「暴れたって不死者に何も出来ないよね…完全無視で」
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:29:21.39 ID:c2KZAoSz0
『埋まった飛空艇』


ザック ザック


商人「おーい!!気球で少し持ち上げてぇぇ!!」

ローグ「あいさー!!」


グググ ズズズズ


商人「少し横にぃぃ!!」

ローグ「へ〜い!!」ズズズズ

商人「今の状態で待機ぃぃ!!」

ローグ「はいなー!!」

商人「さて…余分な砂を落としてこのまま運びたい所だけど…」

アサシン「商人…見てみろ」ユビサシ

商人「ハッ!!ホムンクルス…」

アサシン「この機械の犬はホムンクルスなのか?」

商人「そうさ…僕が機械の犬にホムンクルスの超高度AIを搭載したんだ…」

アサシン「どう見る?クジラとどうやって意思疎通したと思う?なぜクジラに抱かれている?」

商人「犬笛が首にぶら下がって…そうか音だ…音を使ってクジラの言葉を発する事が出来たんだ」

アサシン「つまりクジラに飛空艇を守って貰った訳か」

商人「そうだね…でもホムンクルスの超高度AIは数年でエネルギー切れを起こした」

アサシン「クジラは友人が死んだと思ったわけだな?…そして抱いたまま此処に…」

アサシン「私はな…どうも海の生物と何かの縁を感じる…不思議なのだがこの状況に強く心を打たれる」

商人「これ明らかに死んでも守ると言う姿だよね?」

アサシン「うむ…」

商人「未来君の壁画に描かれて居たクジラ…もしかして数百年を超えた再会だったのかもね」

アサシン「海の中にも語り継がれない物語がある…そういう事か…」

商人「なんか弔いが必要に思えて来た」

アサシン「海に返すか?」

商人「どうすれば弔えるだろう…命を懸けて守ったのだからずっと一緒にした方が良い気もする…」

アサシン「私達の仲間に加えるのはどうだ?」

商人「え?どうやって?」

アサシン「守って貰うのだ…死しても尚守る…本望では無いだろうか…」

商人「骨を持って帰って材料にするのか…悪い案じゃない」

アサシン「お前もホムンクルスをここに置いて行く気も無いのだろう?なら一緒に連れて行くべきだ」

商人「ふむ…そうだね…よし!クジラの骨も残さず全部運ぼう」
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:30:24.73 ID:c2KZAoSz0
『幽霊船_船首』


ユラ〜リ ギシ


海賊「オーライ…オーライ」


フワフワ ドッスン


ローグ「頭ぁぁぁ!!小舟を岸に付けて下せぇ!!」

女戦士「なに?どういう事だ?」

ローグ「他にも資材を大量に運びたいんす!!」

女戦士「回収した飛空艇以外にも何かあるのか?」

ローグ「木材の代わりになるクジラの骨でやんすぅぅ!!」

女戦士「ふむ…小舟を降ろすから気球で引っ張って行け…今は人手が足りん」

ローグ「分かりやしたぁぁ!!小舟にロープ括りつけて下せぇ!!」

女戦士「小舟を降ろせぇ!!」

海賊「へ〜い!!」ドタドタ


--------------


女戦士「よく飛空艇を回収してくれたな…」ツカツカ

商人「3人共石化して居るけど無事だよ…エリクサー有ったよね?」

女戦士「樽に半分ほど残って居る…足りれば良いが」

商人「あと飛空艇の中がアラクネーの巣になってるから気を付けて」

女戦士「それは厄介だ…」

商人「君は虫を使えないのかな?」

女戦士「使役したことなど無い」

商人「魔女がいつだったか言って居たんだ…ドワーフにはそもそも適性が有るかもしれないってね」

女戦士「私は虫と話した事なぞ無いのだ」

商人「金属とか石の声は虫の声らしいよ?」

女戦士「…」ジロ

商人「あぁゴメン君の秘密なのかもしれない」

女戦士「…」


”怖い…怖い…怖い…怖い…”


女戦士「フフこの落ち着かない感じはそういう事だったか…」

商人「僕には良く分からない」

女戦士「飛空艇に誰も近づけるな!!」

海賊「へ〜い!!」ドタドタ
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:31:19.43 ID:c2KZAoSz0
『月夜』


ユラ〜リ ギシ


情報屋「飛空艇はあのまま放置なの?」

女戦士「アラクネーが落ち着くまでは手が出せん…巣を守っているだけだから落ち着くまでそっとしておく」

情報屋「あなたも虫の声が?」

女戦士「この場合聞こえると言えば良いか?」

情報屋「フフ…あなたも導かれし者かぁ…」

女戦士「導き?」

情報屋「大地の声…虫の声…きっとそれは大いなる神の声」

女戦士「どうした?非科学的な事を言うとは情報屋らしくない」

情報屋「私は歴史を紐解いて少し分かった気がする…神が…いえ精霊があなた達に何を与えたのか」

女戦士「ドワーフの血の話か?」

情報屋「それもあるけれど…私は今大地の声と言ったでしょう?」

女戦士「ふむ…」

情報屋「それはエルフが言う森の声と同じ様に大地が持つ大いなる意思…それが聞こえるあなた達は勇者と言い変えて良いと思うの」

女戦士「大地の精霊と言えばノームと聞くが…」

情報屋「きっとその当時のホムンクルス本人」

女戦士「ふぅむ…大地の声か…意識した事は無かったのだが改めて聞くとその様な気がしないでも無いな」

情報屋「ねぇ?不思議だと思わない?虫があなたの妹を守ってる…大地の加護では無いの?」

女戦士「大地の加護…」ブルリ

情報屋「私は神の意思の真理に近づけててワクワクが止まらないわ」

女戦士「今何かに触った気がする…鳥肌が立った」

情報屋「神を理解したのよ…真理に触れたの」
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/18(土) 18:31:49.72 ID:c2KZAoSz0
『翌日』


フワフワ ドッスン


ローグ「み…水を…枯れちまいやす…」ヨタヨタ

女戦士「物資はすべて積み終わったか?」

アサシン「今ので最後だ…出航して構わん」

女戦士「ご苦労!ローグ…後で褒美をやる」

ローグ「姉さんは…無事っすか?」

女戦士「今はまだ飛空艇に入れん…アラクネーを荒立てるな?」

ローグ「そーっすか…あっしは水分補給してちぃと休みやす…」ヨタヨタ


女戦士「碇を上げて帆を張れぇ!!西進して一度基地へ返る!!」


海賊共「へ〜い!!」ドタドタ

アサシン「…」グビ ゴクリ

女戦士「どうした?浮かない顔をして居るぞ?」

アサシン「そう見えるか?」

女戦士「失恋でもしたかのような顔をしている」

アサシン「フフ…クジラに愛を見せつけられたのだ」

女戦士「お前が愛を語るとはな…」

アサシン「気にするな…何でも無い」


ザブ〜ン ユラ〜リ


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 時の砂編

   完
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:33:46.93 ID:O6K4E5800
『海賊の基地』


トンテンカン トンテンカン


女戦士「竜骨の補強はミスリルを使って構わん!!」

女戦士「フォアからスプリットへの縦帆は3枚にしろ」

女戦士「ミズンマストへの横帆は不要だ…外して他への縦帆に回せ」


アサシン「大幅な改修だな?」グビ

女戦士「旋回性重視に変更だ」

アサシン「古代の兵器対策か?」

女戦士「フフ…海戦の素人にはそう見える様だな」

アサシン「大砲は移動式が一門…商船とさして変わらん…小回りが利く程度か」

女戦士「素人が口を挟むな」

アサシン「クックック…商人達に置いて行かれて暇なのだ」

女戦士「連れて行ってくれと懇願すれば良かっただろう」ニヤ


パタパタパタ


女戦士「商人が戻って来た様だ…大きなプロペラ式気球とは…」

アサシン「これで退屈が凌げる」

女戦士「情報屋に連絡してくれ…エリクサーが届いたとな」
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/06/29(水) 20:34:41.99 ID:O6K4E5800
『プロペラ式気球』


フワフワ ドッスン


狼女「結局私が操作した方が早かったじゃない!」

商人「もっと簡単に操作できると思ってたんだよ」

狼女「あんたは何て言うかセンス無い…風の匂いを嗅ぐ感じだよ」

商人「分かった分かった!!僕は何をやってもセンス無いよ」


ローグ「遅かったっすねぇ…これがキ・カイの新型輸送用の気球っすね?」


商人「ごめんごめん…エリクサーの調達に手間取ったんだ」

ローグ「あっしが運びやす…どれでやんすか?」

商人「手前に置いてある樽だよ」

ローグ「これっすね?…よっこら…あれ?」

商人「樽で半分しか調達できなかった…これで足りれば良いけど」

ローグ「しゃーねーっす…じゃぁあっしは急いで運んで行きやす」

商人「3人の容態はどう?」

ローグ「魔女さんだけ目を覚ましたんすが混乱してるみたいでやんす」

商人「混乱?」

ローグ「ずっと夢幻を見ていたらしいんす…記憶を書き残すと言って書き物してるんすが…」

商人「??」

ローグ「未来君を破門したやら…隕石がどうやら…兎に角混乱してるんす」

商人「まぁ良いや…今はまだ話せない感じだね?」

ローグ「落ち着くの待った方が良さそうっすね」

商人「僕は調達した物を降ろしてから後で行くよ…」

ローグ「あっしもエリクサー届けたらすぐに戻って来るんで待っていて下せぇ」
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:35:31.08 ID:O6K4E5800
『基地_船着場』


トントントン ギコギコ


狼女「女戦士!!頼まれてた盾を大量に仕入れて来たよ」ガサー

商人「クロスボウもこの通り…よいしょ!!」ドサー

女戦士「ふむ…キ・カイの2連式だな?」

商人「うん…関税の影響で商船が入って来なくなったからすごく安かった」

女戦士「石炭は高く売れたか?」

商人「ハハ思い通りだよ…地庄炉村で買った価格の倍以上で売れたさ…生活必需品は何でも高騰してる」


スタスタ


アサシン「商人!ここに居たか…」

商人「あぁ今資材を降ろし終わった所さ…僕を探してた?」

アサシン「ふむ…情報屋がギャングの様子を心配して居てな…話が聞きたいと言って居る」

商人「あぁ…その件か…」

アサシン「ギャングとは誰だ?」

商人「キ・カイの地下に住む孤児の集まりさ…アサシンは知らなかったのか…」

アサシン「やっと理解した…10歳前後の子供が含まれている訳か」

商人「うん…情報屋の子供がギャングの中に居てね」

アサシン「今の状況だと何処かへ避難させた方が良さそうだ…」

商人「そう上手くも行かないんだよ…彼等には彼らの意思があってね…まぁハッキリ言うと言う事聞かない」

アサシン「兎に角情報屋が話を聞きたがっている…行ってやれ」

商人「分かったよ…じゃぁリカオン!そういう事で僕は行って来る」ノシ

狼女「どうして置いて行こうとするのよ!!」カチン

アサシン「リカオン!私と共に来い」ヤレヤレ…

狼女「ベロベロベロベロベーーー」シュタタ

商人「…」アゼン
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:36:35.17 ID:O6K4E5800
『居室』


ガチャリ バタン


魔女「そうじゃ…確か重力の方陣は天体の周期を求める数学じゃった…」ブツブツ

魔女「時空の方陣は重力とほぼ同じじゃ…2枚の方陣に穴を開け三次元化した物がワームホール」ノソノソ

魔女「つまりじゃ…時間の流れは一方向では無い…時空を超えて未来へ行く事は可能なのじゃ…」ブツブツ

魔女「…では夢幻とは何かをもう一度考え直してみよう…」ノソノソ


商人「あ…」ポカーン

情報屋「商人!来たのね…キ・カイの様子は?ギャング達は無事?」

商人「あぁ…今の所変わりは無いよ」

情報屋「ホッ…安心したわ」

商人「でも子供の徴兵制が可決して混乱してる最中だよ」

情報屋「混乱とは?」

商人「親が子供を隠してるんだ…そうなる事は初めから分かってるのに」

情報屋「尚更ギャング達が標的になってしまう…」

商人「いや…彼らはちゃんと逃げ道を知って居るらしい」

情報屋「どうして分かるの?」

商人「ハーフオークの子がオークと結託を始めてるんだ…オーク側に行けるんだよ」

情報屋「それは影武者さんからの情報?」

商人「うん…」

情報屋「完全に戦争の真っただ中に行ってしまうじゃない」

商人「キラーマシンにされてしまうよりはマシさ…」

情報屋「どうにか出来ないの?」


だぁぁぁぁ!! なんじゃこりゃぁぁ!!


情報屋「ハッ!!盗賊が目を覚ました…」ダダ
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:37:02.59 ID:O6K4E5800
盗賊「目が見え無ぇ…どうなってんだ?」

情報屋「まだ動かないで?石化が完全に解けていないわ…エリクサーを一口飲んで」

盗賊「んあ?その声は情報屋か?」

情報屋「聞こえるのね?私よ?」

盗賊「喉がカラカラなんだ…声が出しにきい…ゲホゲホ」

情報屋「はい…エリクサーよ」クイ

盗賊「むぐ…」ゴク

情報屋「ホラ!ワインもあるわ?」

盗賊「おぉ!!ソレだソレ!!見え無ぇ!!」スカ スカ

情報屋「ここよ…手を」グイ

盗賊「ヌハハ…瓶だな?ようし!!手に入ったらこっちのもんよ…」キュポン

情報屋「良かった…元気そうで本当に良かった…」プルプル

盗賊「むぐっむぐっ…ぷはぁ!!」ゴクゴク

商人「アハハ…酒飲みながら石化したのに目を覚ましてやっぱり又酒か…」

盗賊「石化?何の話だ?俺はハテノ村で酔いつぶれて寝てたんじゃ無ぇのか?」

商人「ハテノ村?」

盗賊「そうよ…ハテノ村開拓して酒場作っただろ…そういや情報屋はいつ来たんだ?」

情報屋「…ちょっと待って…メモするわ」カキカキ

盗賊「いやぁぁしかし良く飲んだ…海賊王の爺が持って来た酒がまたキツイ酒でよ」

商人「これは…」

情報屋「…」コクリ

盗賊「んん?何かしゃべれよ…俺は目が見えなくて寂しい訳よ」

商人「ハハそうか…もっと思い出話聞かせてよ」

盗賊「どっから話せば良いんだ?そうだな…情報屋はハテノ村に来たこと無いだろ?初めから説明してやる…」


お前が居ない間俺はハテノ村の子供達と知り合った訳よ…ほんで…

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726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:37:57.80 ID:O6K4E5800
『翌日』


んがががが すぴー


情報屋「…やっと寝たわ…そっちはどう?」

商人「魔女の独り言を僕一人でメモするのはちょっと厳しい…手伝って」カキカキ

情報屋「魔女は寝ないつもりね?」


魔女「アーデモナイ…コーデモナイ…」ブツブツ


商人「難しい言葉ばかり使うんだ…」メモメモ

情報屋「魔女は自分でメモを取って居るわね…」

商人「もうメモ取らなくて良いかな?」

情報屋「今まで取ったメモを見せて?」

商人「ふぅ…やっと解放された」

情報屋「…ええと…」

商人「何か分かる?」

情報屋「やっぱり!!魔女も地軸の移動を経験してる…子供が生まれない原因の事も…」

商人「そうだね…そんな事言ってた」

情報屋「盗賊も一貫して子供が生まれない病気の事を言ってて…子供達を守る為にハテノ村の開拓をしたと…」

商人「これは同じ夢幻を見た…もしくはそこに居たという事だ」

情報屋「未来君の証言とも完全に一致するわ…つまり未来君は本当に未来を変えたという事」

商人「待てよ待てよ…寝ると記憶を失うと言ってたな」

情報屋「次元と調和するというアレね…」

商人「次に盗賊が起きた時には夢幻の記憶を少し忘れてる筈だ…そしてどんどん今の次元に調和して行く」

情報屋「魔女はそれを知って居るから一人で全部書き残そうとして居るのね」

商人「なんか分かって来た…次元を飛ぶとそれまでの事は夢だと認知してしまうんだな?」

商人「どんどん忘れて行って顔も名前も思い出せなくなる…」

商人「どうすれば固定化出来る?」

情報屋「寝ない事…未来君は寝ないで維持しようとした」

商人「盗賊を叩き起こそう…」ダダ


ポカ!


盗賊「んが!?んがががが…すぴー」zzz
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:38:26.27 ID:O6K4E5800
情報屋「それじゃダメよ…」

商人「どうやって起こせば良い?」

情報屋「私がやってみる…」


情報屋「盗賊?起きてる?私子供が出来たみたいなの…欲しがってたでしょう?男の子よ?」


盗賊「んあ?…マジか?男だって?」ムクリ

情報屋「ほらお腹を触って?話しかけてみて?」

盗賊「おおおおお!!ここに居るのか…おーーい!!聞こえているかぁぁ!?」

商人「…」ポカーン

情報屋「あなたずっと寝て居たのだからもうしばらく寝なくて良いでしょう?」

盗賊「ちっと頭がぼーーーっとしてよ…俺何してたんだ?」

情報屋「ちょっと石化してただけ…」

盗賊「石化?んぁぁぁ覚えて無ぇ…ちっと水くれ無ぇか?」

情報屋「そうね…お酒飲み過ぎね」


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728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:38:56.89 ID:O6K4E5800
『基地_船着場』


トンテンカン ギコギコ


デッキ部に盾を並べて配置しろ

クロスボウは盾に隠した位置だ


女戦士「!?商人か…聞いたぞ…盗賊が目を覚ました様だな」

商人「うん…盗賊も記憶の混乱が起きてるよ」

女戦士「無事ならそれで良い」

商人「そろそろ女海賊も目を覚ますんじゃないかな」

女戦士「私が行ってやった方が良いか?」

商人「そうだね…僕よりはずっと良い筈」

女戦士「お前に又お使いを頼みたいのだが…」

商人「何かな?」

女戦士「妹の飛空艇を修復する為に金属糸が必要になると思うのだ」

商人「あぁキ・カイで売ってるね」

女戦士「それから気球の球皮…」

商人「球皮はピンキリだね…好みも有ると思うんだ」

女戦士「そうか…う〜む…」

アサシン「私に案がある…クジラ型の球皮はどうだ?」

商人「お!?それ良いね」

狼女「そんな形の球皮なんかあるの?」

商人「細長い球皮は結構あるんだ…作らせれば良い」

アサシン「クジラの形状は私がデザイン出来る…意を汲んでくれる職人が居るかどうかだが…」

商人「探すよ…ただ資金が僕のお金だけじゃ足りないかも知れない」

女戦士「私の船に魔石とウラン結晶なら沢山積んであるが?」

商人「それはダメだよ…キ・カイにエネルギーを与えてはダメだ」

女戦士「キ・カイ政府に回らなければ良いのだろう?民は寒くて凍えて居るのでは?」

商人「う〜ん…困窮している民からお金を搾り取るのは違う気がするなぁ」

アサシン「機械の犬に入っているエネルギーの尽きた機械はどうだ?」

商人「お!!?使い古した超高度AIか…なるほどもう使えない」

アサシン「闇商人としてキ・カイ政府に高額で売りつけるのだ」

女戦士「公爵は闇商人が白狼の一味だと知って居るのではないか?」

商人「いやそれは無い…知って居たとすれば僕はもう此処に居ない筈だよ」

女戦士「ではキ・カイから資金を搾り取る良いチャンスだ」

商人「一度遺物を研究している学者とコンタクトしてみる」
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:39:29.49 ID:O6K4E5800
『新型貨物用気球』


スタスタ


アサシン「今回は私も同行する…調べたい事もあるからな」

商人「リカオンは?」

アサシン「勿論一緒に来る」

商人「良かった…気球の操作に自信が無くてさ」

アサシン「帆が付いて居ない様だが?」

商人「まぁプロペラで進むんだけど気付いたら全然違う方向に向かっててね…」


シュタタ スタ


狼女「…」ニヤニヤ

商人「ハハ分かってるって…君の力が必要だ」

アサシン「では行こう」スタ

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『上空』


パタパタパタ


アサシン「…これはどうにか改良した方が良い」

商人「やっぱりそうだよね…ちょっと遅いよね」

アサシン「我々が帆付きの気球に慣れているせいでもあるが…」

商人「荷が大量に乗せられるのだけが利点」

アサシン「本来は沖へ停船している船への物資運搬用なのだろうな」

商人「リカオン?改造出来たりしないかい?」

狼女「無理…」

商人「ハハやっぱりそうだよねぇ…」

アサシン「帆船を良く知って居る盗賊か女海賊に頼むのだな」

商人「海賊の基地に戻ったら頼んでみるよ」


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730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:40:12.80 ID:O6K4E5800
『後日_商人ギルド大部屋』


ガチャリ バタン


商人「寝泊まりはこの部屋でお願い…僕は学者とコンタクトする調整とかで出かけてしまうから自由にしてて」

アサシン「護衛は要らんのか?」

商人「う〜ん…」チラリ

狼女「…」ニヤ

アサシン「私は金をあまり持って居ない…リカオンをよろしく頼む」

商人「ちょ…」

狼女「フードをどっかに無くしたんだ…お金頂戴!」

商人「…」アタタタタ


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『隠し部屋』


カチャリ ギーー


商人「戻ったよ…近況を教えて欲しい」

影武者「はい…この方は以前訪ねて来られた…」

商人「あぁ紹介して居なかったね…僕達の仲間さ」

影武者「そうでしたか…追い返して済みませんでした」ペコリ

狼女「…」チラリ

商人「それで…例の法案可決の影響とかどうなってる?」

影武者「徴兵の具体的な内容が通知されて落ち着きを取り戻して来ました」


徴兵は10歳〜16歳までの子供が強制的に軍へ編入される物なのですが

17歳になるまで軍の学校へ通った後…退役するという内容でした


商人「つまり軍事学校だと言うのか?」

影武者「はい…一時子供を隠す動きがありましたが今は落ち着いて居ます」

商人「くそぅ!!それじゃ子供の数人がキラーマシンに変えられても脱走とか事故だとか何とでも言い訳が出来る!!」

影武者「…」

商人「他に変わった事は?」

影武者「魔石が供給過多で値下がりしています」

商人「関税が掛かっているのに何故?」

影武者「分かりません…ですから買い入れは一時ストップしています」

商人「調べる必要があるな…もしかすると古代遺跡からウラン結晶が大量に発掘されて居るかもしれない」

影武者「私もそう思います…関税を重くして流通が減っても自前でエネルギー確保出来る確約があったと思われます」

商人「マズいな…後手に回ってしまった」

影武者「ですがご安心ください…商人ギルドとしての損失は軽微です」

商人「今の所はね…一度本店を移した方が良いかも知れないなぁ…」

影武者「そうは思いません…軍の特需で鉄鋼と石炭の需要が高い為現状でも十分利益が出せます」

商人「チカテツ街道の奥か…」

影武者「はい…」
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:40:39.15 ID:O6K4E5800
商人「でもそれではキラーマシン量産の手助けになってる…」ドン!

影武者「…」

狼女「私がその坑道を壊して来ようか?」

商人「いやそういう問題じゃない…壊した所で別の場所から仕入れるだけになる」

狼女「別の場所も壊せば良いじゃない」

商人「問題はソコじゃない…子供達が犠牲になってる事を明るみにして全員で抵抗しないとダメだ」

狼女「そんな事出来る?」

商人「魔女なら出来る」ギラリ

商人「魔女なら大勢の人を幻惑して真実を信じ込ませる事が出来る筈…それしか無い」


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アーシロ コウシロ…

鉄鋼と石炭で利益確保する代わりにその他の物は価格を下げてみんなに還元しよう

とにかく流通が滞らない様に多少の負担は商人ギルドで受ける

キ・カイ僻地では商隊不足で物資の滞留が起きてるから商船はそちらに回そう


商人「あとこれは個人的に仕入れたい物資なんだけど…金属糸と気球の球皮を買い入れたい」

影武者「球皮?どの様な球皮でしょう?」

商人「職人と話を付けて欲しい…特注になるから図面は後で手配する」

影武者「予算はどの位で考えて居ますか?」

商人「そうだな…球皮だけで1000金貨くらい」

影武者「商人ギルドの資金から出すのですか?」

商人「いや…僕がお金を調達する…ギルドの資金には一切手を付けないよ」

影武者「分かりました…早速職人と話をしてみます」

商人「いつも悪いね…」
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:41:18.26 ID:O6K4E5800
『地下_中央ホーム』


ワイワイ ガヤガヤ


商人「ここで君のフードを買ってあげるよ」

狼女「お金頂戴!」スッ

商人「出来るだけ怪しい感じのフードを選んでくれるかな?」ジャラリ

狼女「どうして?」

商人「この後ちょっと危ない交渉に行くつもりなんだ…君は謎の人物という設定で行きたい」

狼女「危ないと言うのはどういう意味?」

商人「もしかすると殺されるかも知れない…君の鼻が頼りになる」

狼女「フフやっと楽しめるかぁ…」

商人「護衛頼むよ?」


-------------


『ジャンク屋』


ガヤガヤ ガヤガヤ


店主「いらっしゃい…ウシシシ久しぶりだね?又何か持ち込みかい?」

商人「まぁね?今回のは特別さ…買い取って貰えるかな」

店主「今度はどんな機械かねぇ…ウヒヒヒ」

商人「触るのは厳禁だよ?…この瓶の中に入ってる…まず鑑定してくれるかな」

店主「鑑定もタダじゃないよ?」

商人「分かってるさ…」チャリン

店主「どれどれ見せてみソラシド…」

商人「これさ…」スッ


-------------
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:41:48.37 ID:O6K4E5800
店主「おぉ?…待ちぃ待ちぃ…おおお?」ジロジロ

商人「さぁそこまでだよ…返して」グイ

店主「待て待て待て…これを何処で手に入れたんか?」

商人「この人が北の大陸から持って来たらしい…」

狼女「…」ギロリ

店主「北の大陸…ちょっと待ちぃ!!店終いするけぇ…」ドタバタ

商人「これが何だか分かるかな?」

店主「顕微鏡で確認させて貰いたいんだけんども…奥の作業台まできぃ…」ドタドタ

商人「ビンから出さないで確認できる?」

店主「無理に決まっとろうが…顕微鏡で見んと鑑定できんがぁぁ…」ハァハァ

商人「じゃぁ少しだけね…空気に触れると酸化して価値が落ちるかもしれない」

店主「分かっとるわい!!見せぇ…」グイ


おおおお!!すんばらしいぃぃ!!

こんな細かいパーツにまで古代文字が記されて…


商人「はい終わり!!」グイ

店主「あぁぁん…もっと…もっと見せぇ」ハァハァ

商人「さてと…これを買い取れる人を探してるんだ」

店主「金貨100枚!!破格だよ?ウヒヒヒヒ」ジロリ

商人「何言ってるのさ…」

店主「即金!即金で今すぐ出す…」ハァハァ プルプル

商人「桁が2つ違う…金貨10000枚なんだ…そうだよね?」

狼女「…」ギロリ

店主「誰やぁぁ!!こいつはぁ!!」プルプル

商人「それは言えないらしい…」

店主「そそそ…そのビンの中に空気と埃がぁぁ…それじゃダメダ〜メ」プルプル

商人「だからビンから出したく無かったんだよ」

店主「そりは…雑に扱ってはいけない物」ハァハァ

商人「知ってるさ…だから買い取れる人を探してるんだ」

店主「この店で買い取れる訳無ぇけ?」

商人「店主さん元は学者だとか言ってたじゃない…誰か知らないの?」

店主「イカンイカン…研究は私ががが…」ヨタヨタ ズデン!

商人「他のジャンク屋行って見よう…」スタ

店主「待てぇぇ〜い!!」ドタドタ ズコー

店主「明日もう一度持って来ぃ…知り合い連れて待っとるじょ」

商人「行こう…」グイ スタスタ
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:42:23.13 ID:O6K4E5800
『中央ホーム』


ガヤガヤ ガヤガヤ


商人「ここから君の鼻が必要になる…誰かに付けられて無いかな?」

狼女「人が多すぎる…」クンクン

商人「さっきの人は結構有名な科学者だったんだよ…なんでかジャンク屋になっちゃってるけど」

狼女「怪しい動きは無かった様に見えたが?」

商人「あの人が監視されてるのさ」

狼女「ふむ…」

商人「店を閉めるのは明らかにおかしい行動だよね?」

狼女「警戒し過ぎでは?」

商人「ジャンクパーツ見た?」

狼女「見て無かった」

商人「あの人はキラーマシンの生みの親の一人だよ…あそこのジャンク品はキラーマシンをバラした物ばかり」

狼女「では軍の関係ね…」

商人「あ!!…カイサツ門の所で検問やってる」

狼女「え?もう動いてる訳?」

商人「ダメだな今日は地上に上がらない方が良さそうだ…デパチカ居住区の方に商人ギルドの支店があるからそっちに行こう」スタ



『商人ギルド支店』


ワイワイ ガヤガヤ


狼女「ここもあんたの建屋か?」

商人「まぁね…でも僕はこっちに殆ど顔を出さない」

狼女「あんたどんだけ金持ちなの…」キョロ

商人「建屋提供してるだけさ…運用資金はギルドの物で僕の財産じゃない」

狼女「ふ〜ん…見た感じこっちで取引してる人は本店の方と違う層かな」

商人「うん…こっちは主にトロッコで運ばれた地下資源の取引所だね…鉄鋼と石炭が主だよ」

狼女「ここにも隠れ家あるの?」

商人「こっちさ…」スタ
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:43:28.74 ID:O6K4E5800
『隠れ家』


ガチャリ ギーー


商人「入ってよ…」ガチャ ガサガサ

狼女「ちょっと…散らかりすぎね…足の踏み場もない」

商人「ハハ僕が一人で使うとこうなる」

狼女「これ全部ジャンクパーツ?」

商人「そうさ…キラーマシンの部品とか古代の謎の部品とか」

狼女「組みあがってるキラーマシンは動くの?」

商人「魔石入れたら動く筈…ただ本当の初期型だから戦闘には向かない」

狼女「ガラクタなのね…」

商人「でもトロッコ動かすのには使える筈なんだ…人力じゃ大変だから」

狼女「ふ〜ん…あんたがそう言うと言う事はトロッコ使って何かするつもりだったんだ?」

商人「そうだよ…トロッコ使って古代遺跡の調査に行きたかったんだ…でも一人じゃ行けないからここで腐らせてる」

狼女「面白そうだ!!私が行ってあげる」

商人「ダメダメ…鍵開けが必要になるから盗賊が行かないと意味が無い」

狼女「じゃぁ盗賊呼んで来よう」

商人「正気に戻ったらだね…それよりさ?」

狼女「ん?」

商人「アサシンの用事って何なのか知ってる?」

狼女「あぁ…キ・カイに諜報に入ってる盗賊ギルドの仲間が音信不通なんだ」

商人「確認に来てるという事かい?」

狼女「そうなるかな…他にもキ・カイ要人の不審死が続いててその確認だよ」

商人「あ…知ってるぞ!盗賊ギルドが何か関係してるのかな?」

狼女「アサシンは一切関わって無い…それとセントラルでも同様に貴族の不審死が続いて居るんだよ」

商人「まさかそれは公爵が関わって居る?」

狼女「アサシンはそう思ってる筈…」

商人「なるほど読めて来たぞ…変化の杖で公爵が姿を変えたとして元の人は色々不審に思う…だから消される訳か」

狼女「公爵が誰に化けて居るのか分からないから魔女の助言が欲しい…それが私達の目的だった」

商人「待って…」

狼女「ん?」
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:44:16.13 ID:O6K4E5800
商人「その逆もある…公爵は白狼の盗賊団に魔女が居る事を知って居るんだ」

狼女「それが何か?」

商人「公爵からすると何処に魔女が潜んで居るか分からない…公爵も誰が信用出来るか分からないんだよ」

狼女「だから不審死が起きてる?」

商人「まてよ…そもそも公爵の目的は何なんだろう?どうしてあちこちで政治的な影響を行使するんだ?」

狼女「キ・カイがオーク領に攻め入ってる理由も分かんないね」

商人「そうか!!古代遺跡だ…古代遺跡で何か探してるんだ」

狼女「外海の調査も?」

商人「そうだね…セントラルもキ・カイも古代遺跡を目指してる…目的はどちらも一緒なんだ」

狼女「古代遺跡に何が?」

商人「色々だね…古代兵器もそうだけどホムンクルスが居るかもしれない…他にも…ああああああああああ!!」

狼女「え!!?何?」

商人「分かった…古代の船だ…空飛ぶ古代の船を探してる」

狼女「それ何?」


オーク領にあった未来君の壁画にオークの起源が記されて居たらしい

そこには空飛ぶ船が描かれて居てオークは宇宙から来た外来種だと解釈してた

公爵の目的は人類の絶滅防ぐ為に僕達とは違った手段で黒の同胞団として暗躍して来た

そのすべての計画が僕達によって破綻してしまったんだ

最後の手段として空飛ぶ船を使って人類を逃す…考えそうな事だよ
737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:44:45.01 ID:O6K4E5800
狼女「その話だけ聞くと英雄の様だけど…それに振り回されてどれだけの人が亡くなって居るのか…」

商人「そうだね…迷惑な話さ」

狼女「人類の滅亡って本当に起きるのかな?」

商人「んんん…どうだろ?確か…一定以上人口が減ってしまうと遺伝的に繁栄出来ないとか聞いたな」

狼女「それは子供が生まれないという奴?」

商人「詳しくは良く分からない…ほら?近親相関を繰り返すと劣性遺伝するとかいうやつかな?」

狼女「わからんわからんわから〜ん!!」

商人「まぁでも今いま滅亡を言われてもピンと来ないね」

狼女「兎に角公爵がどういう動きをするか分からないから盗賊ギルドは身動き取れなくなってる」

商人「アサシンがそれで苛立って居るのは理解出来たよ」

狼女「それで?これからどうするの?今日はここに隠れて終わり?」

商人「君はこの場所を覚えたね?」

狼女「うん…」

商人「お願いがある…アサシンを探してここまで連れて来てもらえないかい?」

狼女「あんたはどうするの?」

商人「僕は荷物が有るから隠れて居るさ」

狼女「ガラクタと一緒にここに置いて行けば良いじゃない」

商人「あ…ハハハそれもそうだね…待てよ良い事思いついた」

狼女「??」

商人「この超高度AIをここで闇商人が買い取った事にすれば良い…ちょっと帳簿に細工してくる」タッタッタ


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738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:45:27.21 ID:O6K4E5800
『カイサツ門』


ザワザワ ザワザワ

何なんだよ急に検問なんか…

ほら荷物全部出せ!!


商人「何か有ったのかな?」シラジラ

衛兵「軍の小型精密機械が盗難に遭ったそうだ…荷物は無いか?」

狼女「ちょっとおしり触らないで!!」

衛兵「何も持って居ないな?」

商人「どんなもの?」

衛兵「それは言えん!!ふむ…探知機は作動せんな…」

商人「お金は返してよ…」

衛兵「ほら持ってけ!!通ってよし!!」ジャラリ


--------------


スタスタ


狼女「随分厳重な事…」

商人「怖いねぇ…クロスボウこっち向けられてると」

狼女「不死者でも怖い?」

商人「あれゾンビ対策で先端に銀を使ってるんだよ…」

狼女「フフそういう事ね」

商人「因みに…ウェアウルフもタダじゃ済まないよ」

狼女「そんな事知ってる」

商人「君は怖くない?」

狼女「まだ殺気が無いから撃って来ないの分かるし…」

商人「おーそういう感覚は僕分からないんだよなぁ…風が読めないのと一緒か…」

狼女「あんたはセンス無いから」

商人「はいはい…」
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:46:01.71 ID:O6K4E5800
『翌日_本店の隠し部屋』


ガチャリ ギーー


影武者「商人さんお話が…」

商人「なに?」

影武者「支店の方で8000金貨の不足がありまして…」

商人「あぁ…連絡忘れてたゴメン」

影武者「どういう事でしょう?」

商人「金貨は支店の隠し部屋に置いてある」

影武者「何か有ったのですか?」

商人「ちょっと取引帳簿の細工をしたくてさ…闇商人が8000金貨支払った履歴を作りたかったんだ」

影武者「はぁ…」ポカーン

商人「金貨は今日戻しておくから安心して」

影武者「安心しました」

商人「それから多分数日の内に政府が僕にコンタクト取って来ると思うんだ」

影武者「どういった案件でしょう?」

商人「精密機械を取り引きしたいと言って来るだろうさ」

影武者「…なるほど帳簿の履歴はその為なのですね?」

商人「うん…僕が本当に金貨を支払った証拠が作りたかったんだよ…それでちょっとギルドのお金借りた」

商人「まぁこれで闇商人が8000金貨支払う価値の有る物だという事が知れ渡る訳さ」

影武者「その取引は私が対応するのでしょうか?」

商人「そうだなぁ…よし!!任せようかな」

影武者「分かりました…詳細を教えてください」


今日その精密機械をある場所に隠して来る

それで政府から入金が確認されたらその場所を教える…


商人「まぁ簡単な取引だね…直接会わないで書簡でのやりとりで出来る取引だよ」

影武者「高額取引ですが入金に応じますかね?」

商人「応じない場合他国に渡るとでも言っておけば良いさ」

影武者「私に任せて頂けるという事は金貨では無く相応の利権でも構いませんね?」

商人「任せる…とりあえず球皮を調達する資金にしたいだけだから」

影武者「お任せください」
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:47:05.15 ID:O6K4E5800
『数日後_商人ギルド大部屋』


ガチャリ バタン


商人「呼んだかい?」スタ

アサシン「呼び出して済まんな…頼みたい事が出来たのだ」

商人「何かな?」

アサシン「盗賊ギルドの諜報員が地下牢に留置されている様なのだ」

商人「保釈金を用意して欲しい?」

アサシン「軽犯罪だから直に出て来るからそれは良い…ただ急ぎで話を聞き出したい」

商人「看守の買収かぁ…う〜ん」


トントン


アサシン「ん?誰か来た様だ…」

狼女「影武者の匂い…」クンクン

商人「影武者かい?入っていいよ」

影武者「失礼します…」ガチャリ バタン

商人「どうしたんだい?」

影武者「役所から公示送達が届きました…これを」パサ

商人「なんだろう?」

影武者「…」

商人「なんだこれ…脱税の疑いで事情聴取?出頭拒否の場合は身柄拘束…アハハやってくれるねぇ」

影武者「私が出頭して黙秘でよろしいですか?」

商人「それは色々困るなぁ…物資買い入れとかその他取り引きがある」

影武者「脱税は一切やって居ませんので証拠不十分になるかと思います」

商人「多分8000金貨が何処から出て来たとか…そういう嫌がらせだね」

影武者「出頭拒否するのですか?」

商人「まぁ…向こうがどんな証拠を集めて来るか知らないけど…どうするかなぁ」チラリ

アサシン「黙秘で良いなら代わりに私が出頭しよう…丁度諜報員から話が聞きたかった」

商人「そう言ってくれると思った…」ニヤ

アサシン「キ・カイでの拘留期間はどの位になる?」

商人「向こうが用意する証拠次第だけど証拠無しの場合は法的に48時間で釈放しなきゃいけない」

影武者「無実が証明された場合拘留中の損失を相手に支払わせる事も出来ますので直ぐに釈放の可能性もあります」

商人「おぉ!!それ面白い…リカオン!大至急女戦士との取引証明貰って来て」

狼女「どういう事?」

商人「例の精密機械をドワーフの国に10000金貨で売る契約さ…取引日時は今日で良い」

影武者「フフ…」ニヤ

アサシン「なかなかイヤらしい作戦だな…法の強制力で無理矢理支払わせるか」

影武者「提出用の出納記録を用意しておきます…脱税をしていない証拠になります」

商人「じゃぁリカオン!ダッシュでお願い!」


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741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:47:33.96 ID:O6K4E5800
『海賊の基地』


シュタタ シュタタ


女戦士「ハッ!!ウェアウルフ?」ズザザ

ウェアウルフ「わたし!!わたし!!」シュタ

女戦士「リカオンか驚かせるな…どうした?何か有ったのか?」

ウェアウルフ「この書面にサインお願い!!契約印も必要だって言ってた」パサ

女戦士「なんだこれは…闇商人との取引契約だと?」

ウェアウルフ「事情が有って直ぐにこれを持って帰らないと…」

女戦士「ドワーフの国が精密機械を10000金貨で買い取る…だと?」

ウェアウルフ「ちょっと色々訳アリなんだよ…直ぐに戻らなきゃいけない」

女戦士「10000金貨は直ぐに用意出来んのだが…」

ウェアウルフ「要らない要らない!!これは契約不履行させる証拠に使うんだよ」」

女戦士「話が良く分からん」

ウェアウルフ「迷惑は掛けないから急いでサインを…」

女戦士「まぁ良い…詳しくは後で聞かせろ」スラスラ


ドタドタ ヨタヨタ


盗賊「いよ〜う!!なんでウェアウルフになってんだ?」ヒック

ウェアウルフ「あ…盗賊!正気に戻った?」

盗賊「戻ったも何も初めから正気だ…ほんで何やってんのよ?」

ウェアウルフ「キ・カイで色々トラブルがあってね」

盗賊「今からローグと一緒に気球でキ・カイに行こうと思ってたのよ…乗ってくか?」

ウェアウルフ「本当に!?助かる!!」

ローグ「頭ぁ!!ほんじゃ調達行ってきますぜ?」

女戦士「悪いな…品目を記しておいた…持って行け」パサ

ローグ「どんぐりにキノコ…魔法の触媒…あぁぁ硫黄が手に入らんかもっすねぇ…」

盗賊「商人が向こうに居るからなんとかなんだろ」

ローグ「そーっすねぇ…とりあえず商人ギルドに行きやしょう」

盗賊「いんや…まず酒場だ」

ウェアウルフ「あのさ…どうでも良いけど早くしてもらえる?」

盗賊「おぉ悪りぃ悪りぃ…じゃ行くか!」


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742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:48:17.05 ID:O6K4E5800
『貨物用気球』


フワフワ バサバサ


盗賊「…ほんじゃ闇商人に成りすましてアサシンが牢屋の中か?」

ウェアウルフ「この契約書は無実の拘留で生じた損失を証明する為の物…分かった?」

盗賊「つまりキ・カイ政府に対する圧力の一つって訳か」

ローグ「その損失は払わなきゃならんのですかね?」

ウェアウルフ「さぁ?私に言われても分からない」

盗賊「法の番人が法を犯す訳に行か無えんじゃ無ぇか?」

ローグ「そもそもその取引が違法だとか言いだしかねやせんぜ?」

盗賊「こりゃ公正取引の証明書だよな?」

ウェアウルフ「無実の拘留という事になれば良いけど…」

盗賊「もしかするとキ・カイに入って即俺が動く感じになるかもな?」

ローグ「闇商人が脱税した証拠を盗む訳っすね?」

盗賊「てか脱税した証拠ってどうやって把握すんだ?」

ウェアウルフ「あ…マズい…変体が解けそう」

ローグ「ちょちょちょ…脱いだ着替えは何処にあるんすか?」

ウェアウルフ「破れてどっか行った」

盗賊「お前裸で帰るつもりだったんか…」

ウェアウルフ「考えて無かった…変体解けると寝ちゃう」

盗賊「なんだお前世話の焼ける…」

ローグ「空の樽があるんでそれに入れて商人ギルドまで行きやしょう」

ウェアウルフ「あとお願い…寝る」シュゥゥ

盗賊「マジかよこいつ…女海賊並みのアホだな」

ローグ「いやぁぁぁ良い眺めっすねぇ…」ジロジロ

盗賊「樽に突っ込むぞ?」ヨッコラ ドサリ
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:48:56.08 ID:O6K4E5800
『夜_キ・カイ街道』


ヨッコラ ヨッコラ


衛兵「おい!!お前達2人…ここで何をしている?」ジロジロ

盗賊「何をしてるってお前…見りゃ分かるだろ…樽運んでるんだ」

衛兵「中身は何だ?」

盗賊「おいおい勝手に触るんじゃ無ぇ!!」

ローグ「衛兵さん何なんすか?持ち物検査かなんかでやんすか?」

衛兵「そうだ!!持ち物を見せろ」

盗賊「くぁぁぁ…何なんだよ何かあったんか?」ヨッコラ ドスン

衛兵「調べさせてもらう」

盗賊「なんだその探知機は?」


ピーーーーー


衛兵「持ち物を出せ!」

盗賊「嫌だと言ったらどうなるんだ?」

衛兵「脅すつもりか?笛を吹くぞ」スチャ

ローグ「盗賊さん…ここは従っときやしょう…」ゴソゴソ

衛兵「見せろ…ダガー2本と雑貨類…それから金貨の入った袋…」

ローグ「なんも持っちゃ居やせんぜ」

衛兵「次!!お前!!」

盗賊「ちぃ!!」ゴソゴソ ジャラジャラ

衛兵「なんだこの鍵の束は…ロックピック…お前は泥棒だな?」

盗賊「そんな証拠が何処に有んだよ」

衛兵「樽の蓋を開けろ」

盗賊「ほう?お目当ての物じゃ無かったらどうなるか分かってんだろうな?」ギロリ

衛兵「どうなると言うのだ?」

盗賊「二度とその口が利けん様にしてやる…良いか?俺は必ず実行するからな?」

衛兵「開けろ」

盗賊「…」パカ

衛兵「お…女?…裸」ジロリ
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:49:33.13 ID:O6K4E5800
盗賊「さぁどうなんだ?お目当ての物なのか?」

衛兵「裸の女をどうした?」

盗賊「んなこた聞いて無えんだよ!!お目当ての物かどうか答えろ…」

ローグ「衛兵さん…悪い事言わないんで逃げて下せぇ…あっしには止められやせん」

衛兵「おい!!目を覚ませ…起きろ!!」ペシペシ

狼女「ううん…ん?」パチ

衛兵「おい大丈夫か?」

狼女「あれ?ここ何処?もう着いた?」

ローグ「ちっとトラブルっすねぇ…裸見えちまいやすんで隠してて下せぇ」

衛兵「お前達!!なんて紛らわしい事を…行け!!」

盗賊「んあ?何言ってんだコラ!!お目当ての物かどうか俺が聞いてんだろうが…答えろ!」

衛兵「違った様だ…早く行け!」

盗賊「ローグ!リカオン連れて先行っとけ」

ローグ「分かりやした…お大事に」ヨッコラ ヨタヨタ


衛兵「何をする気だ?」タジ

盗賊「俺は先に言ったよな?必ず実行するとな?」

衛兵「貴様!!衛兵を馬鹿に…」


ドン!! ボカッ!!


衛兵「ぐはぁ…」ドタ

盗賊「ベロ出せ…引っこ抜いてやる」グイ


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745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:50:06.39 ID:O6K4E5800
『商人ギルド』


ピーーーーー


商人「なんだか外が騒がしいな…どうしたんだろう?」

影武者「リカオンさん遅いですね…」


ローグ「おろろ?出迎えでやんすか?」


商人「ローグ!!どうして此処に…」

ローグ「リカオンを運んで来やした」

狼女「…」ヒョコ

商人「あ…樽の中か…」

狼女「変体が解けちゃって…」

商人「遅いから心配してたんだ…大部屋の方に」

ローグ「分かりやした!!リカオンが裸なんすが…」

商人「うわ…また着替えを破ってしまったね?」

狼女「急いでて忘れてた」

商人「まぁ良いや…それで契約書は?」

ローグ「ここに有りやす」パサ

商人「よし!間に合った…影武者!急いでこれを届けて」

影武者「はい…」スタ

商人「さぁローグ…中に入って」
746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:50:40.77 ID:O6K4E5800
『大部屋』


ガチャリ バタン


ローグ「いやぁぁぁここに来るの久しぶりっす…」ヨッコラ ドスン

商人「ほらリカオン?着替えだよ…今度こそ破らないで」ファサ

リカオン「眠い所を無理やり起こされたんだ…起きてから着る」

商人「そうか…まぁ寝てて良いよ…走って疲れただろうし」

リカオン「グルル…グゥ」zzz

商人「契約書がギリギリ間に合って良かった…提出期限が夜明けまでなんだ」

ローグ「リカオンさんに聞きやしたぜ?法の強制力で政府にお金を支払わせるとかなんとか…」

商人「まぁどんな言い逃れしてくるのかも楽しみだ…これで僕を拘束するリスクを向こうは知る訳だよ」

ローグ「支払うとは思えんのですが…」

商人「支払わなくても10000金貨の価値があると認めざるを得ない…まぁ駆け引きやってるのさ」

ローグ「無実を証明出来るんでやんすか?」

商人「んんん…向こうがどんな証拠揃えてくるか分からないのがねぇ…」

ローグ「実はっすね…盗賊さんも一緒に来てたんすが今衛兵と揉めててですね…」

商人「外が騒がしいのはそのせい?」

ローグ「そうでやんす…盗賊さんもキ・カイ到着したら早速俺の出番だとか言ってたんで…もしかすると…」

商人「どういう事?」

ローグ「わざと捕まろうとしてるかも知れんでやんす」

商人「あぁ…アサシンと合流しようとしてるって事?」

ローグ「へい…大体事情知ってるもんすから」

商人「衛兵と揉め事程度なら軽犯罪…まぁ直ぐに出て来るだろうね」

ローグ「ハイディングも出来るし鍵開けも出来るんで心配はして居やせん」

商人「まぁ僕達は何もせず高みの見物だね」

ローグ「もし有罪になったらどうするでやんすか?」

商人「何の脱税か知らないけど不足分を支払うのと仮釈放の分も支払う…」

ローグ「損しちまいやすよね?」

商人「どうかな?支払った分を上乗せした価格で精密機械を売る様にすれば良いだけかな…カードは僕が持ってる」

ローグ「なるほど…値下げには一切応じないスタンスを見せる訳っすね」

商人「そういう駆け引きなのさ…だから尻尾捕まえられない様に何もしないのが一番」

ローグ「向こうが買い取りを諦める可能性はどう考えていやす?」

商人「他国に技術を売られるのってどう思うだろうね?無視出来ると思う?」

ローグ「いやぁぁあっしには難しくて分からんす…」

商人「楽しみだねぇ…フフフ」
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:51:18.71 ID:O6K4E5800
『キ・カイ地下牢』


ズダダ!! ドテ!!


盗賊「痛ってぇな…」スリスリ

看守「大人しくしてるんだなガハハハ」ドスドス

アサシン「クックック…アッハッハ…何をしている?」

盗賊「またえらくボロイ牢屋だ…話し声が丸聞こえじゃ無えのか?」

アサシン「お前は何故牢に入れられたのだ?」

盗賊「衛兵をボコボコにしてやったのよ…そんだけだ」

アサシン「ふむ…お前の怪我は大した事無さそうだ」

盗賊「まぁな?速攻降参したからよ…ほんで?そっちは何の罪状よ?」

アサシン「謂れの無い脱税」

盗賊「証拠は?」

アサシン「さぁな?」

盗賊「ちっと見て来るか?」

アサシン「…」ジロ

盗賊「まぁ見てろ…10分で戻る」スッ

アサシン「フフ牢の鍵か…すでにスっていたとはな…」

盗賊「寝てる振りでもしてろや…」カチャリ キー


ハイディング スゥ…


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748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:52:12.96 ID:O6K4E5800
『10分後』


リリース スゥ…


アサシン「何か分かったか?」ヒソ

盗賊「どうやら有形文化財の取引には50%の税金が掛かる様だ…いくらで買った事になってるのか知ってるか?」

アサシン「金貨8000枚だそうだ」

盗賊「つまり金貨4000枚の脱税ってこったな…どうすんだコレ?」

アサシン「払えば問題あるまい?」

盗賊「まぁ払った後に拘留中の損失分金貨10000枚返してもらえりゃ6000枚儲ける訳か…悪く無ぇ」

アサシン「その事実を知れば釈放するしか無いだろうな…更なる損失分を請求される羽目になる…クックック」

盗賊「しかし有形文化財扱いで無理矢理税金取ろうなんざセコイ真似しやがる」

アサシン「対象品目があいまいなのだろう…政府の良い様に出来る様にな」

盗賊「さぁて俺は用が済んだ訳だし返るか…」

アサシン「待て…これを商人に持って行け」パサ

盗賊「ん?メモか?」

アサシン「顕微鏡で拡大して見ろ…地図になっている」

盗賊「マジか…」

アサシン「盗賊ギルドの諜報員が調べた地下線路図なのだ…発見された古代遺跡の行き方も記されて居る」

盗賊「おぉ…とりあえず戻ってからしっかり見るわ…で?その諜報員は何処行った?」

アサシン「5分程前に脱獄した…牢が開いて居たからな」

盗賊「そら騒ぎが起きる前に俺も出とかんとヤバいな」

アサシン「私は寝たふりで残るから早く行け」

盗賊「おう!じゃぁな?」


ハイディング スゥ…


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749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:53:16.97 ID:O6K4E5800
『翌日_商人ギルド隠し部屋』


ガチャリ ギーー


影武者「…戻りました」

商人「どうだった?」

影武者「はい…税金の不足分は支払いを済ませて来ました」

商人「読み通りだったね?…それで契約書の方はどういう反応?」

影武者「先日予定していた取引の契約書3枚提出して明らかに顔色が変わって居ました」

商人「鉄鋼と石炭の大口受けも停止したんだね?」

影武者「はい…本日の分も提出しようとしましたが断られましたので直に釈放されるかと思います」

商人「さぁ次はどう来る?回収する為に何かのレート変えて来るよね」

影武者「暗殺の可能性が高くなりましたね…キ・カイに利する動きが必要に思います」

商人「ふむ…よーし分かった…精密機械を譲渡して摩擦を避けようか」

影武者「良いのですか?」

商人「向こうにはトータルで僕が2000金貨損失してる様に見えてるんだ」

影武者「鉄鋼と石炭の分を含めるとプラスマイナスゼロですが…」

商人「ここで手を引いてこの件に関わりたくないと見せかける」

影武者「分かりました…アサシンさんの釈放と同時に隠し場所を開示します」

商人「うんそれで良い…金貨10000枚にはならなかったけど…まぁ6000儲けたら十分か」

影武者「政府との喧嘩はやはりリスクが高いですね」

商人「今回の件で君は気付いたかな?キ・カイ政府で足並みが揃って無さそうだという事を…」

影武者「その様ですね…法の力を行使しようと策を張って来たのは経済産業省…」

影武者「一方で強行で拘留を行使したのは軍部…足並みが揃わないせいでしっぺ返し食らった形です」

商人「うん…拘留せずに税金の支払い義務が有るとだけ伝えて来ればこちらは支払うしか無かった筈なのに」

影武者「経済産業省は頭が回る様ですので今後注意しておきます」

商人「いやぁ…君は本当に優秀だ」

影武者「お恥ずかしい…今後も頑張ります」
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:54:05.68 ID:O6K4E5800
『大部屋』


ガチャリ バタン


商人「あれ?盗賊はもう釈放されたの?」

盗賊「いよう!!脱獄して来た…ヌハハハ」

商人「ハハまぁ無事なら良いんだ」

ローグ「商人さんこれ見て下せぇ…これ凄いっす」パサ

商人「んん?何だろう?」

盗賊「良く目をかっぽじって見てみろ…」

商人「お?…これ何かの地図?」

盗賊「そうだ…そんなに小さくどうやって書き込んだのか気になるだろう?」

商人「すごいな…小さすぎて良く見えない」

ローグ「商人さん顕微鏡持って無いでやんすか?」

商人「下の隠し部屋にあるよ」

ローグ「なんでもキ・カイの地下路線図が描かれて居るらしいんす」

商人「えええ!!?本当?」

盗賊「盗賊ギルドの諜報員からの情報なんだとよ…ずっと牢屋に入れらてた様だ」

商人「どうして地下路線図なんか調べてるんだ?」

盗賊「詳しくはアサシンに聞かんと分からんな…とりあえずそれを商人に渡せと言われて持って来た訳よ」

商人「ん?僕にちゃんとした地図を書けという事かな?」

盗賊「さぁな?お前は古代遺跡の場所を知りたかったんだろ?それも書かれてるらしいぞ?」

商人「おおおお!!」

盗賊「俺らローグとリカオンの3人で酒場で遊んで来るからよ…地図は任せた」

商人「そうかい…まだ聞いて無かったんだけど女海賊は元気?」

盗賊「体は元気なんだが情緒不安定でな…もうちょい掛かるんじゃ無ぇか?」

商人「盗賊はもう平気なんだね?」

盗賊「たまに混乱するがまぁ大丈夫だ」

商人「夢幻の記憶かな?」

盗賊「それが自分じゃ分かん無ぇ訳よ…そのうち慣れるだろ」

商人「なるほど…そういう感じね」


夢幻を忘れて行ってるのは自分じゃ気付けない…そうやって大事な記憶を無くすんだ

今の次元に調和する…こういう事なんだな

751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:55:00.68 ID:O6K4E5800
『商人ギルド前』


ザワザワ ザワザワ

あのフード被ってるのが噂に聞く闇商人らしい…

政府の軍部と何かの取り引きで拘束されたらしいぞ?


アサシン「私は見世物か?いつになったら釈放するのだ?」

兵隊「例の精密機械が確保されたのが確認されてからだ」

アサシン「クックック…良いのか?今日の損失分を又請求する事になるのだが…」

兵隊「それは上部に言ってくれ…私はただ上部に従っている身…」


ザザー こちらB18…指定の位置で対象を発見した…

鑑識にて特A級精密機械である事を確認…早々に被疑者を解放し取引を完了せよとの事


兵隊「こちらE2…了解!ただちに指定の箱と被疑者解放を実施して帰還する」

アサシン「私の勝ちか?」

兵隊「その様だ…箱の中身を確認して書面にサインを」

アサシン「…との事だ」

影武者「確認は僕が対応するよ…良いかい?」

兵隊「構わん…早くやってくれ」

アサシン「では私は喉が渇いた…建屋に戻るが?」

兵隊「行ってよし!!箱の確認は早く終わらせるんだ!!」


ザワザワ ザワザワ

おぉぉ金貨が詰まってる…

すげぇ!!何の取り引きだったんだ?

特A級精密機械って聞こえたぞ…何だか分かる奴いるか?
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:55:47.46 ID:O6K4E5800
『商人ギルド_大部屋』


ガチャリ バタン


アサシン「商人…ここで見て居たのか」

商人「フフ無事に取り引き終わった様だね…ほらワインだよ」キュポン

アサシン「ふぅぅ…軍部があまりにもザルなのが良く分かった」グビ

商人「ザル?」

アサシン「脱獄が簡単なのだ」

商人「あぁそれはワザとだね…脱獄させて罪を上乗せするんだよ」

アサシン「そういう事か」

商人「特に肩書のある人は脱走が簡単な牢に拘留されるらしい」

アサシン「盗賊達はどうした?」

商人「酒場に遊びに行くと言ってたよ…まぁ僕も仕事に戻るからアサシンも酒場に行ってみたら?」

アサシン「そうだな…集まっている人が掃けたら行って見るか」

商人「いやぁぁ闇商人が有名になってしまったね?」

アサシン「お前には都合良いだろう?」

商人「まぁね?お陰で仕事しやすい」


トントン


影武者「私です…」

商人「入って?」


ガチャリ バタン


影武者「よいしょ…よいしょ…」ヨッコラ ドスン

商人「兵隊は帰った?」

影武者「はい…書面に受け取りのサインをしたら直ぐに引き上げました」

商人「ギルドの資金から借りた分はここから持って行って良いよ」

影武者「わかりました…」

商人「あと君の頑張りの分で3000枚くらい持って行きなよ」

影武者「え!!?」

商人「僕はクジラの球皮が調達出来ればそれで良かったんだ…まぁ上手い事使ってよ」

影武者「こんな大金…私に使えません」

商人「何言ってるのさ…あ!!そういえば君は気球が欲しいと言ってたよね?」

影武者「あ…」

商人「買っちゃったら?どうせお金が何に使われてるのか監視されてるだろうからサッサと使おう」

影武者「監視…ですか」

商人「政府に反する使い方して無いのを示す必要もあると思うんだよね」

影武者「そうですね…分かりました」
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:56:31.41 ID:O6K4E5800
『酒場』


ワイワイ ガヤガヤ


盗賊「…じゃぁキ・カイで蔓延してる黒死病は治せないって事か?」

アサシン「そうだ…人間の体が本来持って居る免疫力で石化していると言うのだ」

ローグ「体の一部を機械に変えるのがそもそも間違いでやんすね」

アサシン「機械を外してしまえば石化の進行は止まるのだが…失った手足が生えて来る事はもう無い」

ローグ「北の大陸の黒死病と南の大陸の黒死病は違う病気だったんすね」

アサシン「いや…北の大陸の黒死病は病原体が浸食するのを体の免疫力が働いた結果石化する」

アサシン「エリクサーは病原体を不活性化する事が出来るから石化が完治する」

アサシン「だが南の大陸の黒死病は体に浸食した機械を体が病原体だと誤認して免疫力が働く…そして石化だ」

ローグ「エリクサーじゃ機械を不活性化出来ないって事っすね」

アサシン「そういう事らしい」

盗賊「せめて子供達が機械化の道を選ばん様にせんとな」

アサシン「それをキ・カイ政府がとうの昔に知って居たと言うのが問題なのだ」

盗賊「機械化を推進してるのが機械省だっけか」

アサシン「うむ…反対して居るのが環境省…この2つが大きく政府内で対立関係にある」


機械化による石化という事実を隠蔽し…治るという薬を売りつけ民から搾取する

これが奇しくもフィン・イッシュ経済を支えて居たのだが

キ・カイ政府内の力関係が変わり薬に効果が無いという事実が表に出て来た

加えて関税による影響もあってフィン・イッシュはポーションで資金調達出来なくなった

我々はこの一連の動きが公爵の計略だと思って居たのだが…実はそうではない


ローグ「なるべくしてなってるって感じっすね…」
754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:57:09.09 ID:O6K4E5800
アサシン「うむ…キ・カイに送った諜報員のお陰で事の真因が掴めた」

盗賊「公爵はフィン・イッシュに殆ど関わって居ないと見るか?」

アサシン「断言は出来んがその可能性が高いと判断する…私が間違って居た」

狼女「じゃぁ一旦公爵を追うのは終わり?」

アサシン「それよりももっと気になる事案が有ってな…」

盗賊「ほう?何よ?」

アサシン「機械化の行きつく先は何だと思う?」

盗賊「キラーマシンか?」

アサシン「脳の機械化だ…どうやら何年も前に既に成功しているらしい」

盗賊「脳を機械にするって…そりゃホムンクルスみたいなもんだな」

アサシン「キ・カイの政務官は表には出てこない…何故なら全身機械化しているからだ」

ローグ「マジっすか…」

アサシン「つまりだ…キ・カイの重要事項は機械が決めて居るのだ…既に機械によって支配されて居ると言って良い」

盗賊「まぁでも元は人間なんだろ?」

アサシン「機械に支配されていないと言い切れるか?」

盗賊「う〜む…良い政治ならどっちでも良いが…」

ローグ「エネルギーの無くなった超高度AIでしたっけ?…それが欲しかった理由はもしかして能力上げたかったんすかね?」

アサシン「そうかもしれん…もしくはそれに入れ替える」

盗賊「ちょい待て…それはアダムと同じじゃ無ぇか?」

アサシン「私が言いたいのはソレなのだ…機械化…それはアダム化なのだよ」

狼女「またあの光る隕石が飛んで来るかも知れないという事?」

アサシン「情報屋が前に言って居たのだ…4000年以上昔ウンディーネの時代…争って居たのは人間と機械なのだと」

アサシン「最終的に人類は機械によって滅ぼされ…機械はエネルギー枯渇ですべて停止した」

盗賊「おいおい酒がマズくなるぜ…滅びの話はもうウンザリだ」

ローグ「そーっすね…お宝探しの話にしやしょう」

盗賊「おおおソレだそれ!!実はよ?ハテノ村にな?…」


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755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:57:53.61 ID:O6K4E5800
『商人ギルド_隠し部屋』


ガタン! ガラガラ


商人「んん?影武者かい?」ノソリ


シーン…

ヒュゥゥゥ…


商人「あれ?裏口から風が…影武者なんだろう?何かあったのかい?」キョロ


タッタッタ シュタ ブン!


商人「うわっ…き…君は…」タジ

悪ガキ「ちぃ…見つかったか…」チャキリ

商人「危ない物を持って居るね…ミスリルのダガーか…」

悪ガキ「悪いけどコレは返してもらう…追いかけて来ないで」

商人「それは君達が扱える物では無いよ…」

悪ガキ「友達だったんだ…閉じ込めて置けない」

商人「…」ジロ

悪ガキ「そこをどいて欲しい…お世話になった人を傷付けたくない」スチャ

商人「君は事の真相を知って居るんだね?…その脳をどうするつもりだい?」

悪ガキ「仲間に加える…ずっと一緒なんだ」

商人「…そうか」トーイメ

商人「わかった…友達を弔ってあげてくれ」

悪ガキ「もうここに迷惑は掛けないから…僕の事は放って置いて」

商人「無茶な事はしない様にね?」スッ

悪ガキ「泥棒みたいな真似してゴメンよ…じゃ」


タッタッタ 


商人「フフ…盗賊にそっくりじゃないか」

商人「友達の為に危険を顧みず…か」

商人「あ〜あ…散らかしちゃって」ガサガサ

商人「…あれ?地下路線図はどこだ?」


んあぁぁぁ!!な〜い!!
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:58:38.35 ID:O6K4E5800
『数日後_商人ギルド』


ワイワイ ガヤガヤ


商人「なんだ僕の気球と同じ物を買ったのか…」

影武者「最新式はどうしても売れないとの事でした…仕方ないです」

商人「まぁ政府相手だと売ってはくれないだろうね」

影武者「でも改造をある方にお願いしましたので」

商人「ある方?」


盗賊「お〜い影武者ぁ!!資材は気球に入れといて良いんだな?」


商人「もしかして…」

影武者「バレてしまいましたね…商人さんの気球も同時にお願いしてあります」

商人「なんだそういう事か…いくらでお願いしたのかな?」

影武者「俺にやらせろと息巻いて居ましたのでタダかと…」

商人「まぁやらせてて問題なさそうだ…それで?クジラ型の球皮の方は調達出来たかい?」

影武者「はい…今気球に積んで居る所です」

商人「よしよし…飛空艇が修理出来れば名もなき島にも行けるようになる…」

影武者「盗賊さんとローグさんが物資を積んで海賊の基地に戻られる様ですが…商人さんはどうされますか?」

商人「僕はここに残って色々仕込みをやるよ…トロッコの準備とか色々ね」

影武者「例の古代遺跡へ行く計画ですね?」

商人「うん…どうにかして古代のエネルギーを入手したいんだ」


盗賊「おい!!そろそろ出発しようと思うんだが…アサシンとリカオンは何処行った?」ダダ


商人「盗賊ギルドの諜報員と会うといって何処かに行ったよ」

盗賊「なんだ置いて行って良いんだな?」

商人「もう一基貨物用の気球があるから大丈夫さ」

盗賊「分かった…俺ら先に戻ってるからよ?後は適当に合流してくれ」

商人「適当か…ハハ」

盗賊「おいローグ!!どっちが早く到着するか賭けるぞ」

ローグ「ええええ!?それ早く言って下せぇ…こっちはクロスボウ大量に乗せてるんで重いんでやんす」

盗賊「うるせぇ!!負けた方が金貨100枚払うな?」

ローグ「いやいやいや…そんな持って無いでやんすよ」

盗賊「女戦士に泣きつきゃどうとでもなるだろうが!行くぞ!!」ダダ

ローグ「あぁぁ!!待って下せぇズルいっす」ダダ


商人「フフ…さぁ仕事に戻ろうか」

影武者「はい…予定の取り引きに出かけて来ます」スタ


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757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 20:59:20.76 ID:O6K4E5800
『海賊の基地』


フワフワ ドッスン


盗賊「ヌハハハハハハ!!俺の勝ちだ!!」

女戦士「何を一人で騒いでいる!!物資調達は済んだのか?」

盗賊「おう!!新しい球皮を調達して来たぜ?」

女戦士「それは良かった…魔女と女海賊の依頼した物も忘れて居ないだろうな?」

盗賊「乗ってるぜ?」

女戦士「急ぎで運んでやってくれ…何やら試したいのだそうだ」

盗賊「ぐぁぁぁ…ローグが居無ぇ!!何やってんだアイツ!!」

女戦士「何を言って居る…サッサと荷物を運ぶのだ」

盗賊「ちぃぃぃ雑用が俺に回って来ちまった…」ヨッコラ ヨタヨタ


女戦士「むぅ?もう一基同じ気球が…」


盗賊「おお!!やっと来たか…」

女戦士「どういう事だ?」

盗賊「もう一基買った訳よ…あっちにも物資が積んで在る」

女戦士「なるほど…では向こうにローグが乗っている訳か」

盗賊「そうだ…あっちにゃクロスボウが大量に乗ってる」

女戦士「クロスボウはもう必要無いが?」

盗賊「このデカい気球に搭載するんだ」

女戦士「ふむ…まぁ良い!早く魔女の所へ荷物を運んでやってくれ」

盗賊「へいへい…」ヨタヨタ



フワフワ ドッスン



ローグ「頭ぁぁぁ!!」ヒョコ

女戦士「ご苦労!!ローグ…来い!」

ローグ「へい?」

女戦士「体が硬くなって来た…マッサージを頼む」

ローグ「うひょおおおお!!今行きやす!今行きやす!」スタコラ

盗賊「ちぃ…アイツ…」
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:00:07.98 ID:O6K4E5800
『居室』


ガチャリ バタン


魔女「…この式が太陽の周りを周回する惑星の周期じゃ…そしてこれが4000年周期で回る黒色惑星」

情報屋「ダメね…桁が多すぎて私達じゃ正確に計算できないわ」

魔女「じゃろうのぅ…ホムンクルスが居れば計算させられるのじゃが…」


盗賊「おいおい俺が帰って来たのに気付かねぇのか?」ヨッコラ ドスン


情報屋「あら?戻って居たのね…議論に熱中してて」

盗賊「女海賊は何やってんだ?」


女海賊「…」ブン ブン ピタリ


魔女「魔人の金槌を振り回して夢を見て居る…依存せねば良いが…」

女海賊「ぶわぁぁぁん…ちゃんと呼んで!」ブン ブン

盗賊「記憶の方はどうなんよ?」

情報屋「割としっかりしてるから大丈夫よ…物資が何も無くてやる事が無かったの」

盗賊「そうか…なら良いんだ」

情報屋「あなたは混乱して居ない?」

盗賊「俺は良く分かん無ぇな?夢だったのか現実だったのか考えるのもメンドクセェ」

魔女「うむ…それで良いじゃろう」

盗賊「ほんで?この落書きの山は何なんだ?」

魔女「落書きでは無い…情報の整理じゃ」

情報屋「そうよ?魔女が見た夢幻の記憶を整理して歴史を紐解こうとしているの」

盗賊「そうか…まぁ俺にゃ関係無えかヌハハ」

魔女「わらわが頼んだ触媒は入手したのかえ?」

盗賊「あぁここだ…箱の中に小分けしてある…確認してくれ」


ドドドド


女海賊「私のどんぐりは!!?あと松脂と硫黄…ほんで砂鉄!!」

盗賊「今持ってくるから待ってろ」

女海賊「あぁぁ待ってらんない…私が行く!!何処!?」

盗賊「まぁ慌てるな…持って来てやっからよ」


ピューーーー スタコラ


情報屋「フフ元気を取り戻したみたいね」

盗賊「てかアイツ水浴びしたか?匂うんだけどよ…」

魔女「言う事聞かんのじゃ放って置け…」
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:01:09.84 ID:O6K4E5800
『10分後』


ヨッコラ ドスン!!


盗賊「ほら追加の物資だ…こら情報屋の物だろ?」

情報屋「盗賊?少し離れてて…」

盗賊「んん?どうした?」

情報屋「テーブルの陰に…」グイ

盗賊「魔女がなんか魔法使おうとしてんのか?」

情報屋「重力の魔法を試そうとして居るのよ」

盗賊「ほう?」


魔女「アブラカタブラ…重力魔法!」フワ


盗賊「何も起きんが?」

魔女「成功じゃ!!やはり夢幻の記憶は正しい様じゃ…見てみよこの小石を…浮いて居るじゃろう」

盗賊「小石?…確かに空中で止まってんな…」

魔女「これは重力を蓄える術じゃ…落下のエネルギーを蓄えて空間で静止しておる」

情報屋「魔女?それは危険だと思うわ?」

魔女「そうじゃな…爆ぜよ!」


シュン! カン!


盗賊「おぉぉぉ!!飛んでった…」

魔女「どこまで蓄えられるか実験したい所じゃが…これは禁呪にせねばイカン術じゃろうのぅ」

情報屋「落下エネルギーの蓄積を解放するのを忘れてしまうと大変な事に…」

魔女「うむ…大惨事になりかねぬ」

盗賊「今のは初めて使う魔法なんか?」

魔女「そうじゃ…重力と時空の魔方陣が理解出来たからのぅ…これで夢幻の記憶が正しい事が証明された訳じゃ」

情報屋「未来君が未来から来た話も全部本当だった」

魔女「夢幻から来たと言う方が正しいぞよ?わらわ達は只覚えて居らんかっただけじゃな…」

盗賊「ほーん…で?なんかヒントあった訳か?」

情報屋「アリアリよ…未来君の歩んだ歴史の殆どが解明したわ」

盗賊「てことはもう足取り追わんでも良いって事か…」

情報屋「あなた達が行ったニライカナイ…ここを拠点として時の王の時代までは行き先がほぼ分かった」

情報屋「白骨化していたエルフの事も辻褄の合う伝説だったのよ」

盗賊「おぉ…そういや金髪エルフの白骨有ったな…誰よ?」

情報屋「それは700年前の犬神伝説…エルフに従う犬神…犬神は剣士と未来君本人だった様ね」

盗賊「なるほど…」

情報屋「フィン・イッシュに伝わる一角仙人の伝説も全部剣士と未来君…ニライカナイを行き来してたの」
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:01:57.35 ID:O6K4E5800
その同時期に時の王と行動を共にしていて…セントラルの建国やシン・リーンに伝わる伝説で暁の使徒として生きた

後に虫を従えてドリアードを倒したのも剣士と未来君…私達の知って居る伝説は必ず剣士と未来君が関わってる

そして暁の使徒が倒れたのは3800年前…恐らく暁の墓所で眠ってると思われる

この後剣士一人で4500年前に飛んだ…ここでオークの地に剣士が予言を残した…


盗賊「暁の使徒が倒れたという話は女海賊に教えたんか?」ジロ

情報屋「教えたわ…遅かれ早かれ知る事になるから」

盗賊「それであの様子か?」

情報屋「何も言わない…認めたくないのでしょう」

盗賊「行くって言いださんな?」

魔女「本人が行くと言うまで触らぬ方が良かろう…認めたくないのは分からんでもない」

盗賊「ちっと俺の記憶の話なんだが…」

情報屋「なにか付け加える事でも?」

盗賊「前にハテノ村にある古代遺跡に行っただろ?ホムンクルスが居た場所だ」

情報屋「フフそういえば一緒に行ったわね…」

盗賊「あそこには遺物がわんさか有ったんだが…確かそこにも壁画があった筈なんだ」

情報屋「え!!?本当?」

盗賊「あとな?こりゃ夢の話なんだがあそこの木の下に大事な物を埋めた気がするんだ…なんか関係ありそうじゃ無ぇか?」

情報屋「ふむ…だとすると3100年前か3800年前のどちらかね…まだ足りない壁画が有ったのね」

盗賊「こういう前向きな話をアイツに伝えてやるべきだ…アイツはまだ信じてんだよ…約束を」


ドドドドド


女海賊「今なんてった!?ハァハァ…」

盗賊「いよーーう…聞いてたんだな?」

女海賊「まだ壁画あるんだね?」

盗賊「まぁそういう事よ…宝探しに行くか?ハテノ村まで」

女海賊「決まってんじゃん!!」

盗賊「おっし!!ほんじゃ飛空艇修理すっか!!」


女海賊「こらぁぁぁ!!海賊共ぉぉ!!」ターン ターン


海賊共「へ…へい!!」ドタドタ

女海賊「お姉ぇの船はもう修理終わったよね!?次は私の飛空艇修理すんよ!!来い!!」

海賊共「がってん!!」ドタドタ
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:02:42.38 ID:O6K4E5800
『飛空艇本体』


カサカサ ブーン


盗賊「おいおい…アラクネーが陣取ってたら近付けんのだが…」

女海賊「これさ…ホムちゃんが一人で何年も生活してたんだよ」

盗賊「その様だな?」

女海賊「船体の穴塞ぐのに鳥の羽詰め込んだり…多分苦労したと思うんだ」

盗賊「お前これそのままにしておくつもりで居たのか?」

女海賊「ホムちゃんの生きた思い出壊したく無かったんだよね…」

盗賊「何て言うか…虫の巣穴なんだがよ…」

女海賊「ホムちゃんゴメン!!もっかいやり直す事に決めた…だからちっと掃除する!!」


ガッサ ガッサ


盗賊「おいおいおい…アラクネーは大丈夫なんだろうな?」

女海賊「ん?あぁ…アンタは線虫居ないからビビってんだね?線虫!!行け!!」ニョロ

盗賊「いやアラクネーでビビんない奴はお前ぐらいだ…」タジ

女海賊「あれ?何コレ?」ガラガラ

盗賊「おぉ…そういやオリハルコンの武器を持って帰って来たんだった…」

女海賊「ちょいお姉ぇ呼んで来てよ…お姉ぇ欲しがってたのさ」

盗賊「うむ…全部出しといてくれ」ダダ

女海賊「あ!!こんな所に妖精の笛落ちてる…あぶあぶ…無くす所だった」

女海賊「樽は全部虫食ってダメだぁ…」


カサカサ カサカサ


女海賊「分かった分かった…新しい巣穴作ったげるから騒がないで」ガッサ


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762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:03:28.85 ID:O6K4E5800
『数分後』


ツカツカ…


女戦士「お前…何をしている?」

海賊共「姉さんが飛空艇の掃除してるんですが…俺ら近付けなくてですね…」

女戦士「フフそれで隠れて居ると言うか」

海賊共「へい…」

女海賊「あ!!お姉ぇ!!」

女戦士「呼ばれて来てみたが…お前は散らかして居るのか?」

女海賊「お姉ぇに良い物あるよ…コレ!」ポイポイ


カラン カラーン


女戦士「んん?」

女海賊「オリハルコンの武器だよ…欲しかったでしょ?」

女戦士「おお!!何処でコレを…」

盗賊「例の島で見つけたもんだ…どうやら時の王が残した武器らしい」

女戦士「時の王が…」

女海賊「刀身は痛んで無いから研ぎだけやれば使えそうだよ」

女戦士「この様な良い武器を雑に扱うな…」ガサリ

女海賊「どう?」

女戦士「ふむ…軽いがなかなか良い剣だ」ブン


”やっぱり女だったんだね…”


女戦士「ハッ!!こ…これは」

盗賊「ん?どうした?呆けて居るぞ?」

女戦士「今夢を見た…」

女海賊「お?もしかして呪われた武器?」

女戦士「これが破壊の剣と言う物…なのか?」

盗賊「ほう?俺にも使えるか?」ガサリ ブン


”お酒飲むでしゅ!!”


盗賊「赤毛の…」

女海賊「間違いなさそうだね…それ何でも切れるから研がなくて良いかも」

女戦士「柄は私が作ろう…盗賊!すべて鍛冶場に運んでくれ」

盗賊「おう!俺にも一本くれい」
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:04:08.76 ID:O6K4E5800
『大型飛空艇』


トンテンカン トンテンカン


サイドマストからスプリットに大き目の三角帆だ…これで上昇気流を推進力に変えられる

プロペラはそのまま尾翼替わりに使うから残してくれな?


ローグ「海賊さ〜ん!!こっちもお願いしやす!!」

海賊共「がってん!!」ドタドタ

盗賊「クロスボウはデッキ上に均等に配置だ」


ツカツカ


女戦士「ロープだらけの気球になったな…」

盗賊「そらそうよ…帆船はロープワークが重要だからな」

女戦士「フフ…どうだ?うちの海賊共は」

盗賊「おぉ…さすがドワーフなだけあって器用だ…特にロープの細工が良い」

女戦士「この気球には何人乗れるのだ?随分大きいが…」

盗賊「15人って所だな…まぁ空中要塞よ」

女戦士「大きさ的に船には乗らんだろうから海は超えられんな…」

盗賊「女海賊がウラン結晶使って良いって言ってたからイケる筈」

女戦士「そうか…では揺れんで済む分船より快適か」

盗賊「まぁ女海賊の飛空艇の方が船に乗せられる分何かと便利なのは確かだ…あっちはハイディングもあるしな」

女戦士「アダマンタイトか…」

盗賊「そんな都合良いサイズなんか無いだろう?」

女戦士「金塊があれば魔女に作って貰えるかもしれんが…良い顔はせん」

盗賊「ところで女海賊の飛空艇は手伝わんで良いのか?」

女戦士「本人が邪魔だと言っているのだ…放って置け」

盗賊「全然組み上がって居ないが…」

女戦士「正直私は妹にゆっくりしてもらいたいのだ」

盗賊「そうか…まぁ慌てんでも良いが」
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:04:41.91 ID:O6K4E5800
『飛空艇』


カーン カンカン カーン カンカン


盗賊「何作ってんだ?」

女海賊「帆の代わりになる物…」トンテンカン

盗賊「んん?骨と金属の組み合わせでか?」

女海賊「この隙間から風が出る仕組みなのさ…風の魔石で推進させる」

盗賊「なぬ?帆無しで推進するってか?」

女海賊「折角クジラの形してんだからさ…帆なんか付けたらクジラじゃ無くなるじゃん」

盗賊「いやまぁ…好きに作って良いが…風の魔石で推進するってのはシン・リーンの気球だろ?」

女海賊「遅いのは分かってるよ…でもその原因は空気抵抗のせいなのさ…それはちゃんと計算してる」

盗賊「ほーん…で?今作ってるのはヒレにあたる部分だな?」

女海賊「正解!!ちょいそっち側持ってて」

盗賊「お…おう」グイ

女海賊「ちっと魔石入れて風出してみる…」ゴソゴソ

盗賊「ほーう?空気を一旦溜めて噴き出す仕組みか」

女海賊「破裂するかも知れないから気を付けといてね…」

盗賊「マジか…」

女海賊「いくよ?」


シュゴーーーーーーー


盗賊「どわっ!!おとととと…」ヨロ

女海賊「もうちょい調整必要だけどまぁまぁかな…」

盗賊「なんでこんなに風が出るんだ?魔石一個だろ?」

女海賊「この隙間から勢い良く噴き出すとさ…周りの空気も一緒に吸われて質量流量が増えるのさ」

盗賊「ほーーーーすげぇな」

女海賊「このヒレの部分がサイドマストの代わり…固定翼になる予定」

盗賊「何か手伝うつもりで来たんだが…」

女海賊「あっちのでかい気球はもう終わったの?」

盗賊「まぁな?あんまやる事無ぇ」

女海賊「ほんじゃさぁ…球皮膨らませて船体を一回吊ってみてよ」

盗賊「んん?まだロープも何も付いて無いが…俺がやって良いのか?」

女海賊「重心がどの辺に来るのか知りたいのさ…一回吊って重心の位置寸法測って欲しい」

盗賊「分かった…」

女海賊「同じヒレをもう一個作るからそっち任せる」

盗賊「おい!ローグ!!お前もヒマだろ…手伝え」

ローグ「はいなー!!」ダダダ
765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:05:20.23 ID:O6K4E5800
『クジラ型の球皮』


シュゴーーー ムクムク


ローグ「あらららら?なんかそんなに大きく無いっすね…」

盗賊「だな?キ・カイの気球は船体が軽いからな…前の球皮よりちっと小さい」

ローグ「材質も良く分からんでやんす…」

盗賊「炭素繊維とか言う材質だそうだ…丈夫で破れにくいらしいが…」

ローグ「色がツヤツヤでクジラみたいっすねぇ」

盗賊「この球皮だけで金貨1000枚だぞ?」

ローグ「うは…高すぎでやんす」

盗賊「やっぱ異形の球皮だから重心寄ってそうだな…ちっと前寄りか」

ローグ「あっしが支えとくんで船体とロープで結んで下せぇ」

盗賊「おう!!」ダダ


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フワフワ

あぁぁ!!ダメだダメだ…これじゃ球皮がかたぐ…もっと前で吊る

これ炉の位置買えないとはみ出ししまいやすぜ?

しゃー無ぇ一回外すか…


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766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:05:50.11 ID:O6K4E5800
『クジラのヒレ』


盗賊「ダメだぁ!!やっぱ左右独立じゃバランス取れん!!」グラグラ

女海賊「ちょっと重さ違うだけでコレかぁ…連結しちゃうかぁ」

ローグ「これ真っ直ぐだからダメなんじゃないすかねぇ?」

女海賊「そだね…連結してヤジロベエみたいに少し垂らす感じで行くわ」

盗賊「設置場所はデッキ上で良いんか?」

女海賊「そこしか無いじゃん…船体貫通すると邪魔になる」

ローグ「尾びれはどうしやす?一緒にやらんと又バランス崩れやすぜ?」

女海賊「ちょい借り付けしといて!!船尾の再後端」

ローグ「テールマストの最後尾っすよね?」

女海賊「その予定…球皮の後端と繋げる予定なんだ」

ローグ「これ重さだけ先に合わせて置いた方が良いんで…何か仕掛け作るならその分何か乗せといた方が良いっすね」

女海賊「ほんじゃ切り出してある骨のシャフトあるじゃん?それ2本テールマストに抱きつけといて」

ローグ「アイサー」ダダ シュタ



『クジラの尾ビレ』


トンテンカン トンテンカン


盗賊「ほーー…コレが舵部になる訳か…」

女海賊「うん…尾ビレだけ可動式」コンコンコン

盗賊「操作が簡単になりそうだ」

女海賊「前の縦帆はロープワーク大変だったからホムちゃんに操作出来なかったんだよ」

盗賊「まぁ…力必要だからな…張り替えも難儀だった」

女海賊「今度のは尾ビレの角度をギアを介して変える仕組み…ホムちゃんでもなんとか操作できる筈」

盗賊「ふむ…左右旋回はヒレ部から出る風の調整だけなんだな?」

女海賊「そそ…空気が出て行く通路の開閉だけかな」

盗賊「ほんじゃ小回り効きそうに無えなぁ」

女海賊「あんま考えて無いよ…もしかしたら尾ビレと組み合わせて回れるかもって感じ」

盗賊「ふ〜む…全体のフォルム重視か」

女海賊「私達を守ってくれたクジラを尊重したいんだ…出来るだけ似せて作る」

盗賊「ヌハハお前らしい…まぁ俺はそういうのキライじゃ無ぇ」

女海賊「今度は空を泳ぐんだ…あ!!!潮吹き機能も付けないとな…」

盗賊「お!!?良い案がある!!」

女海賊「何さ?」

盗賊「ウラン結晶に水掛けると水蒸気出るだろ…そいつを吹き出すんだ」

女海賊「おおおおおおおおお!!!アンタたまには良い事言うね!!」

盗賊「気に入ったか?」

女海賊「汽笛にして音が出る様にしよう!!ちょい作って来る!!」

盗賊「ちょちょちょ…ヒレの固定はまだ終わって無えぞ?」

女海賊「やっといて!!」ピューーーー スタコラ
767 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:06:23.50 ID:O6K4E5800
『鯨型飛空艇』


フワフワ

ヒレは固定翼だから金属糸で突っ張ってしっかり固定しておいて

球皮とデッキ部の隙間は布で全部覆う…接着剤用意したからコレで使って


ローグ「こんな接着剤だけじゃすぐに剝がれちまいやすぜ?」

女海賊「大丈夫!!アラクネーの糸で補強すっから」

盗賊「なぬ!?」

女海賊「なんかアラクネーはこの飛空艇から出て行く気は無いみたい」

盗賊「デッキ上に巣を作るってか…」

女海賊「結局最後まで私等を守ってくれたのはアラクネーじゃん…アイツもクジラとホムちゃんの友達だったのさ」

盗賊「まぁ…好きにしてもらって良いが言う事聞くんか?」

女海賊「巣を荒らさなきゃ何もしてこないよ」

ローグ「ほんじゃデッキ上が巣になるんすね?」

女海賊「そだね…だから隙間なく布張って!風入ると寒いから」

盗賊「球皮が温いから風が入らにゃ結構快適かも知れん」

ローグ「餌はどうするんすか?」

女海賊「ハチミツを食べるっぽい…飛空艇の中でミツバチ育てれば良い」

盗賊「なるほど…ミツバチと共生関係か…土と花…ほんで光がありゃ永久機関か」



『テスト飛行』


フワフワ ドッスン


女海賊「…樽は水満タンで7つが限界かな」

盗賊「まぁ普通の貨物用と同程度だ…十分だろ」

女海賊「あと旋回性がやっぱ課題だね…ちっとヒレの先っぽ細工して傾けられる様に改造する」

盗賊「またバランス崩れやし無えか?」

ローグ「ちっと待って下せぇ…尾ビレと一緒に操作出来るようにすれば良く無えっすか?」

盗賊「ふむ…確かに尾ビレ操作でいちいち船尾まで行くのはメンドクセェな」

女海賊「仕掛けを前の方に持ってくるの大変だなぁ…」

ローグ「いっそのこと操作系は全部尾ビレ付近で良いんじゃ無えすかね?」

女海賊「前が見えなくなるのがさ…」

ローグ「横が見えれば十分っすよ…そうそう正面に何かあるなんて無えでやんす」

女海賊「おけおけ!一回やってみるわ」


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768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:07:02.92 ID:O6K4E5800
『幽霊船』


ザブン ギシギシ


女戦士「フフ…空飛ぶクジラか…」

魔女「女海賊は立ち直った様じゃな?」ノソリ

女戦士「もう無茶はして欲しくないが…」

魔女「あの性格じゃで言う事聞かなかろう」

女戦士「うむ…そろそろ水浴びもさせないといけないのだが…」

情報屋「暖かいお湯なら良いのでは?」

女戦士「そうだな…湯を沸かすように計らう」

魔女「あ奴の入った湯には浸かりとう無いのぅ…」


ボエーーーーーー ブシューーー


女戦士「んん?」

魔女「ほう?クジラが潮を吹き寄った…」

情報屋「ウフフ…そんな機能まで付けたのね」

女戦士「虹だ…」


キラキラ キラキラ


情報屋「どうしてかしら?女海賊が作る物は何故か夢がある…」

女戦士「持って生まれた天性…」

魔女「ふむ…クジラが空を舞う姿は見ていて飽きんのぅ…」ウットリ


ボエーーーーーー ブシューーー

キラキラ キラキラ


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769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:07:41.70 ID:O6K4E5800
『鯨型飛空艇』


シュゴーーーー グググ


盗賊「どわぁぁぁぁ…」ゴロゴロ ドタ

ローグ「ちょちょちょ…」ズデン

女海賊「やっば!!コレ…」ググ

盗賊「おい!旋回やめろ!!」

女海賊「分かってるって…」グルグル

盗賊「樽がみんな転がっちまったじゃ無ぇか…」

ローグ「これ乗せた資材は全部ハンモックに吊らんと滅茶苦茶になりやす」

盗賊「おま…船体が真横向いてたんじゃ無ぇか?」

女海賊「尾ビレ使って旋回するとメッチャ旋回するわ…」アゼン

盗賊「危無ぇんだって!!窓からスッポリ落ちるぞ」

女海賊「なんか楽しくなって来たぞ!!」グルグル

盗賊「おいおいおい!!」ヨロ

ローグ「あららら?又でやんすか?」オトトト


シュゴーーーー グググ


女海賊「この姿勢で窓からクロスボウ撃てそう?」

盗賊「撃てるっちゃ撃てるが…足場がよ…」

女海賊「ちょい色々試すから戦い方考えといて…」グルグル

盗賊「おわわわ‥‥急降下か!!」

ローグ「これ海に落ちやせんよね?」ヨロ

女海賊「くそぅ!!推進の力だけじゃ海面付近まで降りられないか…」

盗賊「ふぅ…その場合球皮の熱も一緒に抜く必要がある」

女海賊「おけ!!もっかいやってみる」グルグル

盗賊「マジか!!…落下させんなよ?」

ローグ「こりゃ初めて乗った人は耐えられやせんぜ?」

女海賊「前の飛空艇より断然自由度高いから操舵がチョー楽しい!!」グルグル

ローグ「姉さん…聞いてやすかね?」

女海賊「もっかい!!右旋回しながら急降下!!」グルグル

ローグ「ちょちょちょ…」ゴロゴロ ズザザー

女海賊「ひゃっほーーーーう!!噴射!!」グイ


ボエーーーーーーー ブシューーーーー
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:08:23.05 ID:O6K4E5800
『海賊の基地』


フワフワ ドッスン


情報屋「おかえりなさい!!見てたわ?クジラが潮を吹くのを…虹が出るのよ?」

盗賊「お…おう…」ヨロ

ローグ「この飛空艇に乗るのは覚悟が要りやすぜ?」ヘナヘナ


ツカツカ


女戦士「どうだ?空を泳ぐ気分は?」

盗賊「最悪だ…見ろ!この傷だらけの体を…」ボロボロ

女戦士「優雅に泳いでいたでは無いか…」

盗賊「優雅も何も飛空艇の中はてんやわんやな訳よ…天も地もありゃし無ぇ」


女海賊「おい!!2人共ハンモック作って!!」


盗賊「ちっと休憩させろや…」グダー

女海賊「課題見つけたんだ…私球皮の熱を早く抜く仕組み作るからハンモックやっといて!!」

女戦士「フフ楽しそうだ…」

女海賊「あと落下防止用のロープも張っといて!!どうすりゃ真横の壁に立てるかアンタ達の方が分かるよね!!」ピューーー スタコラ

盗賊「ったく人使いが荒いぜ…」

情報屋「下から見てる感じではゆっくり泳いでいる様に見えるのに…中はそんなに大変?」

ローグ「そら遠くなんでゆっくりに見えるんすよ…実際は中でゴロゴロ転がってるんす」

盗賊「兎に角地に足が付かん…転がって受け身も取れん」

ローグ「樽があちこちに行くんでマズそれからっすね…樽が無きゃもうちっと動ける気がしやす」

盗賊「だな?」
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:09:01.02 ID:O6K4E5800
『翌日』


ヨッコラ ドサリ


盗賊「物資はハンモックに乗せて置いたぜ?」

女海賊「おけおけ!!ほんじゃどうすっかなぁ…とりあえず様子見に行くだけだから…」

女戦士「私も同行するぞ…」ツカツカ

女海賊「お姉ぇか…そうだね…あんまお姉ぇと行動した事無いな」

盗賊「俺は勿論行くよな?」

女海賊「今回はハテノ村がどんだけ灰で埋もれてるか見に行くだけさ…あんたはあのデカイ気球で来てよ」

盗賊「ちっと遅いが?」

女海賊「良いの良いの!!どうせ灰が積もっちゃってるから人駆が居るんだ」

盗賊「ふむ…」

女海賊「商人に相談してさ…働ける人を集めて欲しい」

盗賊「わかった」

女海賊「あと魔女と情報屋…アハハ全員女だね」

盗賊「まぁ今回は女だけで行って来い」

女海賊「4人なら広く使えて丁度良いさ」

女戦士「ふむ…女海賊!行く前に水浴びだけして行け…湯は用意してやる」

女海賊「ええええええ!!?」

女戦士「来い!」グイ

女海賊「ちょちょちょ…引っ張んないで!分かったから…」シブシブ
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:09:31.64 ID:O6K4E5800
『幽霊船』


ザブン ギシギシ


ローグ!私はしばらく船を降りて妹の監視役をやる…

お前は幽霊船を指揮して一旦父の下へ戻り妹の無事を伝えろ

船に積んで在る酒は土産だ…代わりにミスリル銀を貰ってこい

それから黒の同胞達の基地で見つけた器具類を父に直せるか聞いてみてくれ


ローグ「次の合流は何処でやんすか?」

女戦士「ハテノ村から続く川の河口だな…物資補給の拠点にしたい…父にそう伝えて欲しい」

ローグ「分かりやした…ですがあっしは寂しいっす」

女戦士「妹があの感じだ…又居なくなってしまっては私が耐えられない」

ローグ「へい…」

女戦士「船を任せられるのはお前しか居ないのだ…私が帰る場所を守ってくれ」

ローグ「ええと…貨物用の気球がキ・カイに置きっぱなしっすね…」

女戦士「そうだ…破壊の剣をアサシンにも渡してやってくれ…アレは良い物だ」

ローグ「あっしも使って良いでやんすか?」

女戦士「うむ…好きに使うのだ」

ローグ「ダガーなんて無いっすよね?」

女戦士「使うだろうと思って加工してある…好きな物を持って行け」

ローグ「おおおおおおお!!やっとミスリルのダガーを卒業出来やす」

女戦士「…では後は頼んだ」スタ
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:10:13.34 ID:O6K4E5800
『鯨型飛空艇』


フワフワ


魔女「なんと奇妙な気球じゃろうか…」ノソノソ

女海賊「乗ったらハンモックでくつろいでね」

情報屋「一応クロスボウの準備もあるのね」

女海賊「お姉ぇ!!早く乗って!!」

女戦士「さて…新型がどれくらいか見せてもらおう」スタ

女海賊「ほんじゃ盗賊とローグ!!後はヨロピコ!!」ノシ


シュゴーーーー フワフワ


盗賊「おーーーい!!この貝殻通じるんだろうな?」

魔女「無論じゃ…無くすで無いぞえ?」

盗賊「おっしゃ!!ローグ!!デカい気球で一旦キ・カイまで戻るぞ!!」

ローグ「もしかして又賭けっすかね?」

盗賊「当たり前ぇだ!!」

ローグ「今度は荷物がカラなんで負けやせんぜ?」

盗賊「ほう?やるってんだな?」

ローグ「ウハハハハ!!お先にぃぃぃ!!」ダダダ

盗賊「てめぇ!!」ダダ


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774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:10:46.80 ID:O6K4E5800
『上空』


シュゴーーーーー


情報屋「帆のバタつく音が無いのね…」

女戦士「これはどの位速度が出ているのだ?」

女海賊「えーっと水頭圧と…水銀柱…ほんで気温が−20℃で対向風だから…時速60km程度かな?」

情報屋「その速度だと大体30日で地球一周する計算ね」

女海賊「追い風ならもうちょい速度出ると思う」

女戦士「早いスクーナーの3倍という所か」

女海賊「対向風で真っ直ぐ行けるのと…狭間入って短縮出来るの見込めば大分早い」

情報屋「高度はこれ以上上げられない?」

女海賊「まだ行けると思うけど寒すぎる…これ以上寒いと色々問題出るよ」

情報屋「じゃぁ未踏の地ではもっと巡航速度落ちるのね」

女海賊「未踏の地?なんで?」

情報屋「オークが乗って来たと思われる古代の船は…たぶん未踏の地で封印されてると思うから…」

女海賊「古代の船…きっとそれ使って月まで行けるよね?」

女戦士「…」ギロ

女海賊「お姉ぇそんな目で見ないでよ…もう行くって決めたんだからさ」

情報屋「それを確実にする為にまずはホムンクルスの意見聞かないとね」

女海賊「そだそだ…ホムちゃんを起こさないと」

魔女「その船が封印されておる地の見当はついて居るんか?」

情報屋「たぶん南極の方ね…オーク領の向こう側」
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:11:36.40 ID:O6K4E5800
『山岳部』


シュゴーーーー グラグラ


女海賊「気流が安定しないな…山にぶつかって風が上向いてるのか…」

魔女「煙がポツポツ見えるのぅ…」

女海賊「小さい村がいくつかあるんだよ…なんとか生き抜いてんのさ」

情報屋「ハテノ村にも温泉が有ったわね?」

女海賊「らしいね?あの辺は火山地帯だからまだ誰か居るかも」

女戦士「南部はオークと争っていると言うが…」

女海賊「昔からだね…キ・カイがどんだけ押し込んでるのか知らないけど」

情報屋「全然押し込めて居ないらしいわ?」

女海賊「なんか知ってんの?」

情報屋「キ・カイは硫黄が無くて遠距離の大砲が使えないのよ…主な戦術はキラーマシンを先頭にして後方からクロスボウ」

女海賊「良さそうじゃん」

情報屋「オークロードは知って居るでしょう?」

女海賊「あーーー石投げて来る奴ね」

情報屋「石の遠投でクロスボウ部隊がやられてしまって進軍出来ないって聞いたわ」

女戦士「なるほど…大砲が使えない影響がもろに出ているのだな」

情報屋「だからオークロードが石を投げられない地下線路からのゲリラ戦でしか戦果が出ていない…」

女海賊「じゃぁこの辺まで地下線路が続いてるんだ?」

情報屋「彫り進めるのには時間が掛かるでしょう?全然攻めきれて居ないのよ」

女戦士「空から攻めれば…」

女海賊「ダメダメ!!オークロードは槍も投げてくんだよ…危なくて上から近づくのもダメ」

情報屋「キ・カイ政府内でも意見が分かれてしまって居て…海軍が外海の調査に出たのもあって内部はバラバラよ」

女戦士「内陸で海軍は無力だ…」

女海賊「…てかオーク領攻める意味無くね?」

情報屋「そうね…馬鹿バカしい…」


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776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:12:23.55 ID:O6K4E5800
『キ・カイ_気球発着場』


フワフワ ドッスン


ローグ「ウハハハハハハ!!…あっしの勝ちでやんす」フン!!


フワフワ ドッスン


盗賊「くそがぁぁ!!」ドン

ローグ「これでおあいこでやんすね?ウヒヒヒヒ」ニマー

盗賊「しゃーねぇ…美味い酒が飲めると思ったんだがなぁ…」

ローグ「盗賊さん…あっしは物資調達してちっこい気球で戻りやすんで後はお願いしやす」

盗賊「なんだもう行っちまうのか」

ローグ「この破壊の剣をアサシンさんと商人さんに持って行って下せぇ」ガチャ

盗賊「商人にもか!!ヌハハあいつ剣なんか振れるんか?」

ローグ「次ぎ会うのはハテノ村っすかね?」

盗賊「そうなるか?まぁ俺も人駆集めたらハテノ村向かうからよ」

ローグ「楽しみにしていやす」

盗賊「まぁそっちも上手くヤレ…じゃぁな?」ノシ

ローグ「いやぁぁぁ…盗賊さんの背中…カッコいいっすねぇ…」

盗賊「そうよ!!盗賊の極意は背中だ!!覚えておけ」スタ
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:12:59.02 ID:O6K4E5800
『商人ギルド』


ワイワイ ガヤガヤ

おぉぉ食料が値下がりしてる…

買いだ買い!!まとめて買うぞぉ!!



盗賊「いよ〜う!!帰ったぜ?」

娘「あ!!爺ぃ!!何処行ってたんだよ!!」

盗賊「商人達は居るか?アサシンとかも来てるだろ」

娘「皆地下の支店の方に集まってる…」

盗賊「なんだよ土産持って来たのによ」

娘「爺ぃは寝てく?それとも酒場?」

盗賊「支店に集まって何かやってんのか?」

娘「私等一切関与して無いから何も知らん」

盗賊「影武者は?」

娘「多分一緒」

盗賊「そうか…どうすっかな…」

娘「休んで行きなよ…子供達に顔合わせてさ」

盗賊「んんんん…まぁ先に用事済ませてからだな…ちっと行って来るわ」

娘「ちゃんと帰って来る?食事作っておくけど」

盗賊「おう!!頼むわ…たまにゃ家の飯食わんとな」

娘「よ〜し!!家族集めておく!!」

盗賊「じゃ行ってくんな?」ノシ


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778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:13:35.81 ID:O6K4E5800
『地下_商人ギルド支店』


ヨッコラ ドスン!!


アサシン「ふぅ…中々に重い…」

商人「…これで後はトロッコの所に引っ張って行けば良い」

狼女「食料はこれで足りる?」

アサシン「食料が必要なのはお前だけだ…」

商人「アハハそうだね」

影武者「…では私はこれで失礼します…本店の方へ戻ります」ペコ

商人「ありがとう…3日くらいで戻るからよろしくね」

影武者「はい…お任せください」

商人「じゃぁ行こうか…」グイ

狼女「あんたじゃ弱いんだって…」グイ


ガタゴト ガタゴト


商人「一回動き出したら僕でも荷車引けるよ」ヨタヨタ

盗賊「お〜〜〜い!!何やってんだぁぁぁ?」タッタッタ

狼女「んん?」キョロ

商人「おおおおおおお!!?盗賊!!」

盗賊「さっき帰った所なんだ…どっか行くんか?」

商人「丁度良かった…今からトロッコに乗ってお宝探しに行く所だったんだよ」

盗賊「マジか!!」


影武者「やぁ…」スタスタ


盗賊「おぉ!!気球改造してきたぜ?発着場に2台並んでるから見て来い」
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:14:01.91 ID:O6K4E5800
影武者「待って居たんだ…これで近隣の村との商談が捗る」

商人「どっちもナイスタイミングだ!盗賊が居れば色々楽になる」

盗賊「しまったな…娘達と食事の約束して来ちまったんだ」

アサシン「盗賊抜きでも構わんが?」

盗賊「いや…お宝探しと聞いて俺が行かん訳にも行くめぇ」

影武者「僕は本店に戻るから伝えておくかい?」

商人「3日程で戻るって伝えれば良い」

盗賊「うむ…んじゃ頼むわ…おっと!!忘れてた…ハテノ村に行ける人駆集めるんだった…」

影武者「それはどういう理由かな?」

盗賊「まぁ…穴掘りか?10人程集めたいんだ」

影武者「それはもしかして硫黄鉱山かな?」

盗賊「そうなるかもな?」

商人「おぉ!!良いね…」

影武者「僕が人駆を集めておくよ」

盗賊「そら助かる…気兼ねなくお宝探しに行けるぜ」

狼女「急がないと兵隊の交代時間過ぎちゃうよ」

商人「あぁそうだね…盗賊!!とりあえず今はこの荷車を運ぶのが先さ」

盗賊「お…おう!!じゃぁ影武者頼んだな?」

影武者「分かったよ…」ノシ


ガタゴト ガタゴト
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:14:41.70 ID:O6K4E5800
『チカテツ街道8番_廃線』


ヨッコラ ドスン!! ガチャガチャ


盗賊「重たいなこの箱…何入ってんのよ?」

商人「今は開けられない…」キョロ

盗賊「廃線になってるみたいだが?」

商人「それは政府の嘘だよ…人を近づけない為にそうしてるのさ」

狼女「交代する兵隊が歩いて来る…」クンクン

商人「トロッコの陰に隠れて」スタ


スタスタ

おい聞いたか?古代の兵器はみんな海軍が持って行ったってよ

やっぱりその話は本当なんだな?陸軍が戦線維持頑張っていると言うのに…

前線では脱走兵も出ているらしい…補給もろくに計画してない

俺ら憲兵が言う立場では無いがオークとの戦争はただの消耗戦だ…死にに行けと言ってるのと同じ…

スタスタ


狼女「…」クンクン

商人「…」コクリ

狼女「…」コクリ

商人「トロッコ押して…」ヒソ

アサシン「フン!」カタン コトン

商人「おけおけ…音出さない様に」

盗賊「おま…まさか人力でトロッコ押す訳じゃ無いだろうな?」ヒソ

商人「人力は200メートルくらいだよ…その後はキラーマシンが動かす」

盗賊「おぉ…ほんじゃこの箱の中はキラーマシンだってか」

商人「まぁね?…とりあえず先を急ごう」


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781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:15:28.90 ID:O6K4E5800
『200メートル先』


ゴソゴソ ガチャガチャ


キラーマシン「プシューーー」ウィーン ガチャ

商人「よしみんな!箱の中に入って!」

アサシン「…」ピョン シュタ

盗賊「こりゃ4人じゃ狭いな…」ピョン スタ

狼女「商人!先に乗って」グイ

商人「あぁ悪いね…」

盗賊「クロスボウ3台か…どうする?前方と後方で分けるか?」

商人「前方2台設置であと一台は手持ちだね」

盗賊「まぁ良いや!とりあえず設置しとくぜ?」ガチャガチャ

商人「キラーマシン!トロッコを動かせ!」


キラーマシン「プシューーー」ガチャコン ガチャコン


盗賊「おぉ言う事聞くんだな…」

商人「よしよし動き出した…これで安心だ」

狼女「私前方の索敵やる…クロスボウって引き金引くだけよね?」

アサシン「こう使うのだ…ここを持って照準で狙う」ガチャ

狼女「大丈夫!」

盗賊「あと一台のクロスボウは商人が使え」

商人「あ…うん」ガチャ

盗賊「まぁ少し落ち着いたな…アサシン!女戦士から武器を預かってるんだがよ」

アサシン「武器?間に合っているが?」

盗賊「そう言うと思ってたわ…まぁ使う使わないは任せる」ポイ

アサシン「ほう…これはオリハルコンなのか?」パス

盗賊「破壊の剣っていう呪われた武器なんだとよ…何でも切れるらしい」

アサシン「私はクサナギの剣で十分なのだが…リカオン?使って見るか?」

狼女「私それ知ってるよ…白狼のあの子…未来くんが使ってた剣だ」

アサシン「ゴーレムを切った剣か」
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:16:00.81 ID:O6K4E5800
狼女「ちょっと使ってみたい」

アサシン「フフそれはリカオンにやる…使いこなしてみろ」

盗賊「あと一本…商人の分も預かってんだ」ポイ

商人「僕!?剣かぁ…」パス

盗賊「まぁ護身用でぶら下げとけ…何でも切れるからお前でも使えるだろ」

商人「あ…何でも切れる…開かずの扉も開けられるって事だね」

盗賊「そういうこった…爆発しなきゃ良いがな?」

盗賊「ほんでよ?作戦の詳細が知りたいんだが…」

商人「あぁ説明する…この地下路線図を見て」パサ


驚くだろう?こんな向こう側まで地下線路が続いて居たなんて…

ここがバン・クーバ…ウィニ・ペグ…こっちがミネア・ポリス…全部古代遺跡が眠る場所らしい

そして調査済みの場所なんだ…というより既に滅びたキ・カイの様な都市だった様だ

海の恵みの無い場所だから仕方なかったんだろうね…とっくの昔にオーク領になった…


盗賊「てことはトロッコでオーク領まで一直線で行けるって訳か…」

商人「多分そこが最前線だと思われる…まぁキ・カイはその古代遺跡を取り返したい訳さ」

盗賊「まさかそんな最前線に行く訳じゃ無いだろうな?」

商人「そんな無茶はしない…その手前…エド・モントという場所に要所が有ってね…そこを調査したい」

盗賊「兵隊が沢山居る場所だろ?前線に行くのと変わらんぞ…」

商人「違うんだ…要所が魔物によって占拠されてしまってるのさ」

盗賊「魔物?オークじゃないのか?」

アサシン「話はこうだ…突如現れたガーゴイルとヘルハウンド…それからゾンビに襲われてキ・カイは補給路が断たれた」

盗賊「ガーゴイル…ヘルハウンド…てことは狭間がその辺にあるんだな?」

商人「ビンゴ!!そういう事さ」

アサシン「狭間が有るという事はそこに何かが隠されている可能性が高いのだ…それを調べる」

盗賊「狭間をそう簡単に見つけられんと思うが…」

狼女「私は匂いで分かる」

盗賊「ほう…なるほど面白そうだ」
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:16:39.22 ID:O6K4E5800
『トロッコ』


カタンコトン ゴーーーー


盗賊「…しかし3人で良くこんな遠足行く気になったな?」

アサシン「私と商人は不死者だぞ?何も恐れる事は無い」

盗賊「リカオンは生身だろうが」

商人「盗賊は知らないかも知れないけど…大抵の魔物は襲って来ないんだよ」

盗賊「人間には襲われるじゃ無ぇかよ」

アサシン「人間がこの様な場所をうろついて居ると思うか?」

盗賊「まぁ確かに…さっきからゾンビしか見無ぇし…」

狼女「もうすぐ分岐…次右の方向」

商人「キラーマシン!!速度落として…」


キラーマシン「プシューーー」ウィーーン ガチャ


狼女「見えた!!分岐確認して」

アサシン「私が行く…」ピョン シュタタ

商人「キラーマシン!!一旦停止!!」


カタンコトン コロコロ…


アサシン「分岐を変える必要がある…盗賊!!力を貸してくれ」グググ

盗賊「おう!!」ピョン ダダ

アサシン「そっち側を引っ張ってくれ」グググ

盗賊「こら錆びついて堅い…どらぁぁぁぁ」グイ


ガチャコン


商人「行けるかい?」

アサシン「恐らくな?」タッタッタ ピョン シュタ

盗賊「この分岐はずっと変えた形跡が無いぜ?」

商人「だろうね?通常ルートでは無い線路なんだよ」

アサシン「このまま真っ直ぐでは他の軍と接触する恐れがあるのだ…トロッコで正面衝突はしたく無いだろう?」

盗賊「大丈夫なんか?」

商人「少し遠回りだけど目的地へは反対側から行く感じかな…さぁ乗ってよ!!もう行くよ」

盗賊「なんだかなぁ…俺はビビってんのか?」ピョン スタ


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784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:17:10.44 ID:O6K4E5800
『10時間後』


カタンコトン ゴーーーーー


狼女「正面!!又障害物…止まって!!」

商人「キラーマシン!!止まれ!!」

狼女「見えた!!又放置されたトロッコ」

盗賊「ちっと周囲見て回るか…」ピョン シュタ

商人「これで3台目か…連結して行こう」

アサシン「リカオン!手伝え…手順は前と同じだ…一旦トロッコを横に倒す」

狼女「分かってる…ふん!!」ガタン

アサシン「フフこれで随分な量の宝を持って帰れる」


盗賊「お〜い!!商人!!来てくれ!!」


商人「んん?何かな?」

盗賊「立ちんぼのキラーマシンが2台あるぞ?これ動かんか?」

商人「おぉ!!動かなくても部品取り出来る!!」

盗賊「白骨がその辺に散らばってるから良い物有ったら持って帰るぞ…てかキラーマシンが良い物か…」

商人「こいつは2台とも動くかもしれない…」カチャカチャ

盗賊「そら良い!!」

商人「魔石の予備をもっと沢山持って来れば良かった…」

盗賊「ボルトの残弾まだ残ってそうだ…戦力になる」

商人「よし!動く…CMOS初期化した」カチャカチャ


キラーマシン「ウィーーン…プシューーー」


商人「もう一台の方も試してみる」タッタッタ
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:17:46.06 ID:O6K4E5800
『3両編成』


ウィーン ガチャ プシューーー


アサシン「フフ思わぬ収穫だったな?」

盗賊「俺用のクロスボウも調達できてウハウハよ!!…出発もうちっと待ってくれ!!ボルト拾って来る」ダダ

アサシン「ここは前哨基地だったのか?」

商人「違うね…撤退時にキラーマシン残して下がったんだと思うな」

アサシン「撤退?」

商人「オークの白骨があったんだ…襲撃されたのさ」

アサシン「一本道だが…どちらに撤退したと思う?」

商人「今から行く方向だろうね…そっちの方が近い」

アサシン「側道がいくつかある様だから注意しておかんとな…」


リリース! スゥ


アサシン「何!!?」

盗賊「やべぇぞ!!デカいゾンビが居る…早く出発しろ」

商人「キラーマシン!!出発しろ!!」


カタンカタン コロコロ


狼女「正面!!ゾンビ多数!!どうする?」

盗賊「デカいのが混ざってる!!進路に入って来る様なら先に倒せ!!心臓狙え!!」

商人「オークゾンビかい?」

盗賊「だろうな?いつ襲って来るか分からんぞ?クロスボウで狙っとけ」

アサシン「どうやらこの先は危険地帯の様だ…」

盗賊「来るぞ!?撃て!!」バシュン バシュン


オークゾンビ「ウゴゴゴゴ…ヴヴヴヴ…ガァァァァ」ドスドス
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:18:41.25 ID:O6K4E5800
『ゾンビ列車』


ヴヴヴヴヴ… ガァァァ


盗賊「ダメだ!ゾンビ相手にクロスボウじゃボルトの無駄だ!!」

アサシン「狙われて居るのはお前だけなのだが…」

盗賊「リカオン!クロスボウ撃つの止めてトロッコに憑りついたゾンビだけぶった切るぞ!」スラーン

狼女「じゃぁ私は左側…」シュタ

アサシン「ヤレヤレ…では私は鎮座しておこう」グビ

商人「どうして沢山ゾンビが…」

アサシン「死霊術師でも居るのではないか?」

商人「もしかして昔のフィン・イッシュと同じ事が起きて居ないか?」

アサシン「アレは病気の蔓延…」

商人「まてよ?新しく発見された遺跡に細菌兵器の類が有ったのかも知れない」

アサシン「古代の兵器の他にか?」

商人「それも兵器だよ…その事実を知ってるからキ・カイは新しい遺跡を確保しようとした」

盗賊「オークは病気に掛からんと聞いたが?」

商人「生きている内はね?でも死んだらゾンビになる…そういう病気だったとしたら?」

盗賊「なるほど…オーク領にばら撒きゃ勝手に自滅する訳か」

商人「盗賊ギルド諜報員からの情報でもゾンビが増えて苦戦してると言ってたんだよね?」

アサシン「うむ…」

商人「そうか…だからキラーマシンを増産してるんだ…前線をキラーマシンだけにしようとしてる」

アサシン「それではキ・カイはすでにオークとの戦争に勝っていると?」

商人「自滅を待っている状態…古代の細菌兵器は既に使われている…フィン・イッシュと同じ事がオーク領で起きてるんだ」

アサシン「その病気は直にキ・カイを蝕む…」

商人「機械化すれば回避出来るよね…」



--------------



盗賊「どらぁ!!」ブン スパ

アサシン「切れ味抜群の様だ…クックック」

盗賊「切れるのは良いが打感が全然無いのよ…素振りしてるみてぇだ」

商人「そろそろ到着する…」

盗賊「いよいよだな?」

アサシン「一応作戦だ…ゾンビは盗賊を狙う筈だ…あとは分かるな?」

盗賊「ケッ!!俺が囮になるんだろ?」

アサシン「分かれば良い…ハイディングで上手く逃げろ…後は処理する」

商人「見えた!!あのゲートを潜ったらエド・モント砦だよ」
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:19:17.08 ID:O6K4E5800
『エド・モント砦』


ガチャコン プシューーーー


盗賊「もしかしてコレはキ・カイ並みに滅茶苦茶広いんじゃ無ぇか?」キョロ

商人「そんな感じだね…チカテツ街道と同じ構造だ」

盗賊「兎に角手あたり次第行くしか無ぇな…」

狼女「…」クンクン

アサシン「リカオンどうだ?何か分かるか?」

狼女「狭間の深い方角だけ分かる…でも沢山ゾンビが居る」

盗賊「どっちだ?」

狼女「上の方…多分地上付近」

盗賊「ヌハハ上とは分かりやすい…俺が先頭行くぜ?来い…」スタ



『チカテツ街道のような所』


ガチャガチャ


盗賊「トロッコに大量の物資が積まれたままじゃ無ぇか…」ガサゴソ

商人「火炎放射器だ…スゴイ」

盗賊「使えそうか?」

商人「新品だよ…魔石もある」

盗賊「もうクロスボウは要らん…お前はそれを使え」

商人「…」カチ


ボボボボボボ ボゥ


盗賊「おっし!!それでゾンビ焼ける」

アサシン「これはまさにフィン・イッシュの惨状と同じだな…生き残ってる者は居るまい…」

商人「廃線にした理由はコレだね…誰も近づけない様にしたんだ」

アサシン「ゾンビが来るぞ…気を抜くな」スチャ


ゾンビ「ヴヴヴヴヴヴ…」ズルズル
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:20:17.17 ID:O6K4E5800

『上に続く通路』


ボボボボボ ボゥ


盗賊「俺が倒したゾンビは片っ端から焼いてくれ!!」

アサシン「やっている…」ボゥ メラ

盗賊「リカオン!!どっち行きゃ良いんだ?」

狼女「上!!」タッタ スパ スパ


オークゾンビ「ウゴゴゴ…」ピク


狼女「焼いて!!」

商人「うん…」ボゥ メラ

盗賊「もう大分上がって来たと思うんだがよう…」

狼女「兎に角上…道なんか分からない」

アサシン「しかし何処にガーゴイルなぞ居るのか…」

盗賊「だな?」

商人「これは広すぎるね…甘く見ていた様だ」

盗賊「魔物さえ居なきゃキ・カイと同じ様に暮らせそうだ」
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:20:45.72 ID:O6K4E5800
『吹き抜け』


ヒュゥゥゥゥ


アサシン「足を滑らせるな?」

狼女「上の方でガーゴイルが飛んでる…」

盗賊「見えんな…何匹よ?」

狼女「10匹以上…それしか分からない」

盗賊「まぁ一応ガーゴイルは居た訳だ…」

商人「この遺跡は大きな縦穴なんだね…」

盗賊「うむ…どうやって作ったんだか…」

商人「ゾンビは階段を上がって来ない…ここで少し休憩しようか」

盗賊「アサシン!!一口ワインくれ」

アサシン「フン!」ポイ

盗賊「もう何時間歩き通してる?」グビ

商人「分からなくなったね…帰れるのかも自信がない」

アサシン「焼けたゾンビを辿れば戻れる」

盗賊「違い無ぇ…」

商人「他の遺跡もきっとこれくらいの規模なんだろうなぁ…」

盗賊「こんなんあるの俺ら全然知らんかったな…」

商人「地下だからね…キ・カイの軍事機密でもあったよね」

アサシン「私達が思っていたよりもキ・カイの規模は大きかった様だ」

商人「うん…北の大陸は小国の集まりだったね…」


ヒラヒラ…


商人「雪だ…」

盗賊「ここの吹き抜けはちっと寒い…上がって通路入ろう」スタ
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:21:42.15 ID:O6K4E5800

『開かずの扉』


ダダダ


盗賊「おい!!この扉…」

商人「開いてる…もう盗掘されてるのか…」

盗賊「リカオン!狭間はどっちだ?」

狼女「上…」

商人「う〜ん…読みを外しちゃったかも」

盗賊「どういう事ヨ?」

商人「狭間になってるのはさっきの穴が上空から探せなくする為の物じゃ無いかなって…」

盗賊「空中に浮いてるって事か?」

商人「それは分からない…あれだけ大きな穴なら気球で探せた筈」

盗賊「ふむ…誰がそんな事を…」

商人「さぁね?魔術師の黎明時代なら出来たのかもね」

盗賊「まぁとりあえずこの扉は特別なもんだ…入ってみよう」スタ
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/29(水) 21:22:12.16 ID:O6K4E5800
『古代遺跡』


ヒラヒラ…


商人「ここにも雪が積もって…」

盗賊「なんか色々謎の機械があるぜ?」

アサシン「この並んでいる塔は何だと思う?」

商人「多分光る隕石…ミサイルだよ」

アサシン「やはりな…」

商人「ここはあの光る夜の時天井が開いたんだ…空気が入ったせいで開かずの扉が開いた」

盗賊「火炎放射器で積もってる雪を溶かしてくれ…何があるか調べたい」

商人「もし古代のエネルギーを見つけたら教えて」

盗賊「おう!!ちっと向こう側探索してくるな?」ダダ

狼女「…」クンクン

アサシン「ん?何か臭うか?」

狼女「敵じゃない…何だろうこの匂い」クンクン

商人「何処?」

狼女「今入って来た扉の横…雪で埋もれてる」

商人「あああああああああ!!こ…これは!!」

アサシン「んん?」

商人「石化したホムンクルスだ…」

アサシン「何?」

商人「いつの時代なんだ…」サワサワ

狼女「匂いはその足元だよ」

商人「何処?」ガッサ ガッサ

アサシン「死体か?…いや…これはミイラだな」

狼女「他にも沢山…全部壁際だよ」

商人「ちょっと雪を解かそう」カチ


ボボボボボ ボゥ


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