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勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の続編の続編
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592 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:28:37.61 ID:c2KZAoSz0
『屋敷』
カッコーン チョロチョロ
魔女「これは又風流な庭園じゃな…」
女王「ここでお寛ぎください」
盗賊「俺らあんまり長居する気は無いんだ」
女王「どういったご用件で尋ねて来られたのでしょう?」
魔女「話は長くなるのじゃが…わらわ達は勇者らの足取りを追っておってな?」
女王「はい…」
魔女「どうやら700年前にこの地へ来て居る様なのじゃ」
女王「700年前?」ハテ?
盗賊「簡単に言うとな?祭事に使う祠があんだろ?…そこを調べたいんだよ」
女王「龍神を奉る祠の事ですね?」
魔女「壁画の話から聞かせた方が良さそうじゃな…実はのぅ…シン・リーンで発掘された壁画は…」
カクカク シカジカ
-------------
-------------
-------------
魔女「…という訳でフィン・イッシュに有った壁画がシン・リーンへ持ち込まれた様なのじゃ」
女海賊「これが壁画を写した書物だよ」パラパラ
女王「ハッ!!龍神も描かれて居ますね…」
魔女「なぬ!?」
女王「眼の沢山あるヘビの様な生き物は龍神様です」
女海賊「ワームじゃ無いのか…」
女王「祠を守っていたと言われる龍神が居なくなった謎が解けるかも知れませんね」
女海賊「それっていつの話?」
女王「700年前にフィン・イッシュを流る川に姿を変えたと言い伝えられて居ます」
女海賊「時期がピッタリ合うね…その後何処に行ったのか調べたいのさ」
女王「祠で何か分かるのであれば調査しても構いませんよ?…只何も怪しい物は見当たりませんが…」
盗賊「祠の中をちっと見た事が在るんだが一番奥に祭壇があったろ?」
女王「そうですね…それ以外には石造がいくつかある位しか…」
盗賊「そこを調べたいんだ」
女王「私は行く事が出来ませんので忍びのくノ一に案内させましょう」
盗賊「そら助かる」
女王「リザードマンも多く潜んで居ますので警護に近衛侍も連れて行くと良いでしょう」
魔女「早速じゃが日が落ちる前に調べる寄って主は静養して居るのじゃ」
女王「…体調が万全なら私もご一緒したかったです」
女海賊「何か有ったら全部教えてあげるよ」
女王「はい…お願いします…ずっと横になって居ると退屈な物でして…」
盗賊「じゃぁ行って来るな?」スック
593 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:29:13.94 ID:c2KZAoSz0
『林道』
サラサラ サラサラ
くノ一「この小川を少し下った先が祭事の祠です」
盗賊「この辺りはキノコだらけだな」
くノ一「毒キノコですので食さない様に…」
盗賊「ポーションの材料になるんだろ?」
くノ一「忍びでは古来より万能薬の材料として使って居ます」
魔女「古来からとな?確かホムンクルスが物性値からポーションに変換出来る事を見つけたのじゃがな…」
女海賊「剣士か未来が伝えた可能性あるね」
魔女「ふむ…」
くノ一「我ら忍びの始祖…一角仙人から伝わったと…」
魔女「一角仙人…そうじゃな何かの書物で読んだのぅ」
くノ一「仙人には沢山の逸話が残って居ます…妖術を操り魔物を退けたなど…」
盗賊「まぁ俺らはその謎が知りたい訳よ…だから今から祠を調べに行く訳だ」
近衛侍「祭事の祠にどういう秘密が有ると見込んで居られる?」」
盗賊「開かずの扉が在る筈なんだ…」
近衛侍「扉…そういえば祭壇の奥壁に装飾が在りましたな
盗賊「多分それだ…そいつを俺が開けるのよ」
近衛侍「いやはや楽しみになって来ましたなぁワッハッハ」
594 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:29:49.37 ID:c2KZAoSz0
『祭事の祠』
ピチョン ポタ
女海賊「入り口が大分風化しているけど古代遺跡に間違い無いね」
くノ一「奥に祭壇があります…ついて来て下さい」スタ
魔女「並んでいる石造は何なのじゃ?」
近衛侍「それは農業の神を奉った石造にござる…林道にも随所に…」
女海賊「祭壇ってコレ?」
盗賊「おぉコレか!このどす黒い器はなんだ?」
くノ一「龍神への贄として捧げる男性の血を入れる器です…古来からの慣わしです」
魔女「龍神に血とな?」
くノ一「龍神と言っても色々な龍神が居るのです…中には血を好む龍神も居ます」
盗賊「ほ〜ん…で?この祭壇の奥にある装飾…ビンゴだなキ・カイの扉と一緒だ…」
近衛侍「これが扉だったとは…」
盗賊「開けるのに2時間ぐらい掛かるんだ…ちっと暇になるぞ?」
女海賊「近くに温泉あるって言ってたじゃん?私ちっと入りたいんだよ」
魔女「わらわも行きたいのぅ」
くノ一「案内しましょう」
近衛侍「では警護はお任せあれ…」
『2時間後』
ホクホク
魔女「主はどれだけ水浴びしとらんかったんじゃ?髪の色が変わって居るでは無いか」ホクホク
女海賊「水浴びは寒いから嫌なのさ…体は虫に掃除させてたんだよ」
魔女「なんちゅう汚い女じゃろうのぅ…」
女海賊「うっさいなぁ今綺麗にしたから良いじゃん!」
盗賊「ぬぁぁ待ちくたびれたぜ…扉空いたぞ」
魔女「おぉ待って居ったか…済まんのぅ」ノソノソ
近衛侍「まだ中へは?」
盗賊「入って無ぇよ…何か盗んだと思われたく無いからな」
女海賊「ホムちゃん居たりしてね?」
盗賊「かもな?魔女!照明魔法を頼む!」
魔女「なぬ?主はエンチャントされた笛を持って居ろうが」
盗賊「んん?どうやって使うんよ」
魔女「振れば光るのじゃ…使うてみぃ」
盗賊「こうか?」フリフリ ピカー
魔女「便利じゃろう?」
盗賊「先に使い方説明してくれよ…めちゃくちゃ便利じゃ無ぇか」
女海賊「ほんじゃお先ぃ!」スタタ
595 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:30:19.76 ID:c2KZAoSz0
『古代遺跡』
シーーン
くノ一「ガラス容器にテーブル…食器まで…これは一体」
女海賊「いつもの古代遺跡とほとんど同じだね…」
盗賊「ホムンクルスは居無い様だな?」
女海賊「ん?何だコレ?食器にしちゃデカい…それとこっちの宝石みたいな奴は何だろう?」
盗賊「ほーーそりゃ鏡だな…ほんでこっちは瑪瑙だ…しかし又デカイな」
女海賊「魔女?コレ何だか分かる?」
魔女「巨大な瑪瑙とな?…まさか八尺瓊勾玉ではあるまいな?」
女海賊「なんそれ?」
魔女「シャ・バクダが覇権を握って居った時代にシン・リーンから奪われた宝具なのじゃが…」
女海賊「でかい魔石みたいな物?」
魔女「王を選ぶと言われて居ったそうな…持ち帰って調べる必要があるのう」
女海賊「こっちの鏡は?」
魔女「分からぬ…ここに隠して居ったのじゃからそれなりの理由が有りそうじゃが…」
盗賊「おい!足元見ろよ…これは退魔の方陣じゃ無いのか?」
魔女「なぬ?退魔の方陣じゃと?」
女海賊「本当だ…それ私も組めるよ」
魔女「ではここ数十年で誰ぞ此処に入ったという事じゃ…退魔の方陣はわらわの師匠が発見した方陣じゃでな」
女海賊「剣士か未来じゃないの?」
魔女「どちらにも教えて居らぬのじゃが…」
盗賊「女海賊!!来てみろ…こりゃビンゴだぜ?爆弾を作った形跡があるぞ…」
女海賊「え!!?何処?」
盗賊「食器だと思ってたがこれはお前が火薬を作る時に使うすり鉢じゃ無いのか?」
女海賊「やっぱりここで過ごしたんだね…」
盗賊「散らかってんのは巻紙だろ?…こっちの容器は硫黄と砂鉄を入れるのに使ったんじゃ無いのか?」
女海賊「そう…私が教えた通り」プルプル
盗賊「食器の数からすると2人以外にも仲間が居た様だな?上手く生き延びた証拠だ」
魔女「では退魔の方陣も知って居ったとな?」
盗賊「だろうな?これをやってるって事は100日の闇も在ったのかも知れん」
魔女「そうじゃ忍びにはその様な記録を残した書物は残って居らぬのか?」
くノ一「一角仙人の逸話を残した巻物なら隠れ里に有ります」
魔女「それじゃな…一角仙人とは剣士か未来のどちらかじゃな」
盗賊「どうする?戻るにゃまだ早いが…」
女海賊「私はもうちょっと調べたい」
盗賊「ほんじゃ俺はデカイ瑪瑙と鏡を隠れ里に運んで来るわ…くノ一!先導してもらって良いか?」
くノ一「分かりました…」シュタタ
-------------
596 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:31:03.26 ID:c2KZAoSz0
魔女「何か見つかったかえ?」
女海賊「色々ね…種とか骨を細工した物とか」
魔女「しばらく住んで居ったのじゃな?」
女海賊「少なくても4〜5人…本当は祠の入り口にも扉が在った筈さ…そっちは風化してもう無いけど」
魔女「ではここは寝床という訳か」
女海賊「かな?多分エリクサーが入る石の器の中で横になったんだと思う」
魔女「ホムンクルスは居らんかったんじゃろうか?」
女海賊「どうだろ?6つあるガラス容器が全部空だからね…その当時居たのかも知れない」
魔女「髪の毛なぞ落ちては居らんか?」
女海賊「探したけど一つも落ちて無いさ…ワームが掃除しちゃうんだよ」
魔女「髪の毛でも有れば幻術で当時の夢でも見れたかも知れんのにのぅ…」
女海賊「え?何それ?遺品で夢を見れるん?」
魔女「うむ…体の一部分が在れば夢を見せる事が出来るのじゃ…少しだけじゃがな」
女海賊「なーんも残って無いや…残る手掛かりは一角仙人の巻物だね」
魔女「次の行き先が分かれば良いがな…」
女海賊「まぁでも…多分外海の方だよね…未来の残した地図もフィン・イッシュの外海を記した物だったし」
魔女「外海が黒塗りされて居った様じゃが?」
女海賊「何か隠したのかもね…それか穴が開いてるとか」
魔女「海に穴かいな…」
女海賊「空を飛ぶ分には関係無さそうだからちっと行って見るかな」
魔女「何故黒塗りにしたのか気になるが…」
女海賊「もうここじゃ何も見つけられないから隠れ里に戻ろっか」
魔女「そうじゃな…」
近衛侍「先導致しまする」スック
597 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:32:20.49 ID:c2KZAoSz0
『林道』
シュタタ シュタ
近衛侍「む!!何事…」キョロ
魔女「忍びが慌ただしい様じゃのぅ?」
近衛侍「またもやヒハシの群れが来ている様でござるな…」
魔女「ヒハシ?」
近衛侍「失礼…ガーゴイルの事を忍びの間ではヒハシと呼んで居るのです」
女海賊「群れってどんくらい?」
近衛侍「10匹程度でしょうかのぅ…」キョロ
女海賊「おっし!!インドラの銃・改を試す時が来たぞ」スチャ
近衛侍「空飛ぶ魔物を追い払うのは簡単ではありませんぞ?」
魔女「林の中で視界が悪うては魔法も撃てんのぅ…わらわは回復に回った方が良さそうじゃ」
女海賊「てかミスリルの笛で追い払えない?」
魔女「何処に居るのか分からんでは無いか」
近衛侍「林の切れ目から空を良く見ていて下され…大抵は空を旋回して居りまする」
女海賊「居た居た!2匹見える」スチャ
魔女「何処じゃ?」
女海賊「インドラの銃の先…今望遠鏡で見定めてる」
魔女「遠いのぅ…ここから当たるんかいな?」
女海賊「照準のテストだよ…」シュン!
近衛侍「!!?今のは?」
女海賊「今一発撃った…照準のズレ代分かったから次当たるよ」
魔女「わらわは何も見えんかったが…」
女海賊「望遠鏡で覗いてると光の残像が良く見える…行くよ?」
シュン!
女海賊「当たった!!」
魔女「なんじゃ地味じゃのぅ…」
女海賊「光が貫通したっぽい…あのガーゴイル落ちるよ」
魔女「焼かねばならんな…」
女海賊「移動しよっか!」スタタ
598 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:33:19.29 ID:c2KZAoSz0
『隠れ里』
ピィィィィィ!!
魔女「こちらは無事な様じゃな?」
盗賊「おぉ!!帰って来たか…この笛のお陰でガーゴイルはこっちに近付いては来ん」
魔女「笛を使うとは機転が利いた様のぅ…」
女海賊「何匹居んの?」
盗賊「分からんな…俺が見た感じ4〜5匹なんだが林で良く見えん」
魔女「林に入られると厄介じゃな」
盗賊「降りて来たガーゴイルは忍びに任せても良さそうだ…空飛んでる奴が何も出来なくてよ」
女海賊「インドラの銃で減らして行くしか無いね…」チャキ
盗賊「やっぱさっき一匹落としたのはお前だったか」
女海賊「なんか破裂しなくなって地味な感じになっちゃたんだ」
盗賊「倒せりゃ良いだろ」
女海賊「おっし!捕捉…2匹落とすよ?」シュン! シュン!
魔女「ではわらわは燃やしに行くかのぅ…」ノソノソ
盗賊「ヌハハマジで地味な攻撃になったな?」
女海賊「貫通しちゃってるんだよね」
盗賊「てことは直線上なら何匹も行けるってこったな?」
女海賊「お?それ良いね」
盗賊「そうそう重なる事は無さそうだがなw」
女海賊「なんで破裂しなくなったんだろ…集光してる光が細すぎるんかなぁ…」カチャカチャ
盗賊「さっき落としたガーゴイルは拳ぐらいの穴が開いてたぞ?一応破裂してんじゃ無ぇか?」
女海賊「マジ?一点集中で破裂の規模が小さいだけなんか…威力は十分そうだな」
盗賊「まぁ反則武器には違いないわな」
--------------
599 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:34:07.87 ID:c2KZAoSz0
シュン! シュン!
女海賊「おっし!!これで飛んでる奴全部落とした」
盗賊「しかしなんでガーゴイルが群れてるんだ?」
女海賊「この辺の林は狭間の中じゃん?ちゃんと退魔の方陣を組んでないんじゃないの?」
盗賊「一匹二匹ならそれも分かるが群れって事はどっかで集まってるだろ」
女海賊「深い狭間がどっかに有るって事か…」
盗賊「まぁここは忍びが何人も居るから修行には丁度良いのかも知れんが…」
ノソノソ
魔女「女海賊の言う通り何処ぞに深い狭間が放置されて居る様じゃな」
盗賊「おう魔女!林の方はどうよ?」
魔女「忍びが走り回って居るが大丈夫じゃろう…」
女海賊「これ放って置いて良いの?」
魔女「良くは無いが他国の地じゃであまり口出し出来んのぅ…忍びで対処出来るのであれば魔除けとしての利用価値もあるじゃろうからな」
盗賊「リザードマンとかと一緒って訳か」
魔女「うむ…誰ぞが不用意に隠れ里へ近づかぬ様に利用すると言うのも悪い策では無い」
女海賊「ガーゴイルって使役出来ないの?」
魔女「本来使い魔の一種じゃで闇の使い手であれば使役も可能じゃな」
盗賊「あんまり関わってバランス崩すのもイカンという訳か」
魔女「うむ…近衛侍の口調から察するに大した問題では無い様じゃ…それよりインドラの銃の事じゃが」
女海賊「ん?何?」
魔女「空へ向けて撃つ分には良いじゃろうが何かに当たる様な使い方は危険が有りそうじゃ」
女海賊「え?マジ?」
魔女「小型ではあるがインドラの矢には違いない様じゃぞ?どの様な仕組みになって居る?」
女海賊「集光レンズで散乱光を1ミリ位の光の束に変えてるっぽい」
魔女「笛の径から察するに今までは10ミリ程度の散乱光だった訳じゃな?」
女海賊「うん」
魔女「間違って暴発せぬ様に何か細工をしておくのじゃ…足元に発射してしまうと爆発するぞよ?」
女海賊「その点大丈夫!安全装置は完璧だから…連射出来ないけど」
600 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:35:21.15 ID:c2KZAoSz0
『屋敷』
メラメラ パチ
近衛侍「女王様は産屋の方でお休みになられた…今宵はこの屋敷にてお寛ぎください」
魔女「一角仙人の巻物は拝見出来ぬか?」
近衛侍「ヒハシの騒動で忍び達が出払っている故…もうしばらくお待ちを」
盗賊「はぁぁぁなんか退屈だなぁ…酒か何か無いのか?」
近衛侍「ワッハッハ…そう言うと思いましてな?濁酒をお持ちしたのですわ」
盗賊「おぉ!!珍しい酒だな?米という穀物を使うんだっけか…」
近衛侍「さぁさぁ魔女殿も女海賊殿も一杯飲んでみてくだされ」トクトク
魔女「変わった酒じゃな?」
盗賊「俺にもくれ」
近衛侍「つまみも用意して来ましたので一緒にご堪能あれ」トクトク
盗賊「どれどれ…」グビグビ プハァ
近衛侍「如何ですかな?」
盗賊「こりゃ甘い!!だが飲み口はスッキリしてんな?」
近衛侍「某はこの濁酒で一杯やるのが楽しみでしてな?」グビ
魔女「ふむ…なんと濃ゆい酒か…」
盗賊「食い物が恋しくなる酒だ」
近衛侍「何を食しても不思議と合う酒なのですよワッハッハ」グビ
女海賊「なんか白いドロドロで気持ち悪いなぁ…うげぇ」ゴク
盗賊「ガキにはこの美味さが分からんだろう…いやぁ久々に酒っちゅう酒にありつけた」グビグビ
女海賊「甘すぎなんだよ…」
シュタタ スタ
601 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:35:56.41 ID:c2KZAoSz0
盗賊「おぉ!!くノ一!!もしかして巻物持って来たんか?」
くノ一「近衛侍…又濁酒を持ち込んで…」
近衛侍「客人へのもてなしの為故…勘弁されよ」
女海賊「私は酒より巻物の方に興味があるよ」
くノ一「お持ちしました…これに」パサ
魔女「これは又古い巻物じゃな…」
くノ一「2100年前の巻物も御座います…どうか損傷されぬ様にお取り扱いを…」
魔女「ふぅむ…」ヨミヨミ
一角仙人の逸話は2100年前より語られて居ります
一番新しい逸話は700年前…
いづれもその当時の厄災を不思議な妖術を用い退けた伝説に御座います
魔女「なるほどのぅ…」
女海賊「魔女!この巻物見て…未来の壁画と全く同じ絵が記されてる…」
魔女「壁画には続きが在った様じゃな」
女海賊「私これ書き写す」
魔女「そうじゃな…わらわは内容を精査するとしよう」
-------------
-------------
-------------
602 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:36:29.31 ID:c2KZAoSz0
『深夜』
んがぁぁぁ すぴーー
魔女「…まず分かった事を整理するぞよ?」
700年前に一角仙人は妖術師を引き連れて居った
おそらく剣士と未来じゃな
そしてこの国に剣術を伝え…未来は妖術と称し虫使いの術を伝えた
数年此処に滞在して居った様じゃが未踏の地を目指し行方が分からなくなって居る
次に1400年前
この時に大御神を引き連れてフィン・イッシュを建国して居る
何処ぞでホムンクルスを目覚めさせ一緒にこの地を開拓したのじゃ
その時に退治したのが善女龍王…姿はメデューサかラミアの様じゃがリリスじゃったのかも知れぬ
そして2100年前
黄金郷として栄えて居ったこの国は疫病により滅亡の危機にあった
そこに現れた一角仙人は疫病を忽ち癒し
疫病の元となっていた作物を変え稲作を伝えたそうじゃ
魔女「歴史を逆行しているが…剣士と未来の足取りはこの様な感じじゃな」
女海賊「逆から読み解くと訳わかんなくなっちゃうけど…壁画の続きも大体そんな感じかな」
魔女「700年前に未踏の地を目指したらしいが壁画から何か読み取れんか?」
女海賊「外海のど真ん中にチェリーの木が描かれているくらい」
魔女「そこは未踏の地なんか?」
女海賊「どうだろ?北極とか南極じゃないから行けない事は無いと思う」
魔女「誰も行った事が無いという意味では未踏の地なのやも知れんのう」
女海賊「ニルヤカナヤだっけな?そういうのは書かれて居ない?」
魔女「善女龍王の出所がそこじゃな…ニルヤカナヤより海を越えてこの地で男の血を求めたらしい」
女海賊「黄金が無くなったとかいう逸話は無いの?」
魔女「それは書かれて居らんのぅ…一角仙人とは違う話なのかもわからん」
女海賊「まぁ次行く場所がいまいち特定出来ないね…どうすっかな」
魔女「チェリーの木を探しに行くかえ?」
女海賊「大まかな地図だから探せるかどうかも微妙なんだけど…」
魔女「ミツバチに案内させれば行けるのでは無いか?」
女海賊「お?おぉ!!ソレだ!!」
------------
603 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:36:57.86 ID:c2KZAoSz0
近衛侍「ほう?ニルヤカナヤをご存じとは」
女海賊「おっさんなんか知ってんの?」
近衛侍「近年ではニライカナイと呼ばれておりましてな…死者の集う理想郷があると言われております」
女海賊「なんか聞いた話と違うんだけど…黄金が運ばれたとかそういう話じゃないの?」
近衛侍「確かに遥か昔この国は黄金郷と呼ばれて居た時代は在った様ですな…ニライカナイに運ばれたと言うのは本当ですかな?」
魔女「分からぬ…ニライカナイに有ると言われる時の砂を記した文書と時代が一致するだけじゃ」
近衛侍「ほぉぉ時の砂までご存じで有ったとは…」
魔女「この地にその様な伝説が伝わって居るのじゃな?」
近衛侍「ある漁民が亀に乗り竜宮へ行った伝説ですな…時を超え…それを巻き戻す砂…それが時の砂という物との事」
魔女「竜宮はニライカナイに有るという事か…」
近衛侍「如何にも…まぁ伝説の話ですがなワッハッハ」
女海賊「その場所知らない?」
近衛侍「死すれば分かると言われて居りますが…」
女海賊「なんだよ分かんないのかよ」
魔女「ふぅむ…死者が集うと言うのも気になる話じゃな…何故じゃろうのぅ?」
604 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:37:27.31 ID:c2KZAoSz0
『翌朝』
サーーーー シトシト
盗賊「雨かよ…どうする?」
女海賊「戻るに決まってんじゃん!飛空艇でニライカナイ探しに行く」
魔女「雨に打たれるのは億劫じゃな…」
近衛侍「雨が上がるまで御ゆるりとしていては如何か?」
女海賊「知りたい事知ったらもう此処に居る理由無いのさ…」
魔女「主は相変わらず落ち着かんのぅ」
女海賊「魔女もここに居たって魔方陣の研究出来ないじゃん?」
魔女「そうじゃが昨日の今日でもう出立とは女王に何と思われるか…」
女海賊「大丈夫だって…そんな事最初から知ってるよ」
盗賊「ヌハハその通りだな…いつもすぐ居なくなるしなw」
女海賊「私はもう外海に出たいからさ…魔女どうする?城の書庫行く?それとも飛空艇に乗る?」
魔女「一度主と逸れると次にいつ合流出来るか分からんな…書物があれば飛空艇でも構わん…」
女海賊「ほんじゃちゃっちゃと書物乗せて外海出るよ」
魔女「ヤレヤレじゃ…」ノソリ
近衛侍「では某が王族の気球で城までお届け致す」
女海賊「女王にはよろしく言っといて?又遊びに来るってさ!」
近衛侍「しかと承りました」
盗賊「ほんじゃ行くかぁ」スック
-------------
-------------
-------------
605 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:38:04.07 ID:c2KZAoSz0
『城』
フワフワ ドッスン
近衛侍「ささ皆様方…到着致しました」
女海賊「おっし!私飛空艇に戻ってるからさ…魔女は書物持って来てよ」
魔女「うむ…これ盗賊!主は書物を運ぶのを手伝え」
盗賊「へいへい…」
女海賊「なんか城がバタついてんじゃない?」
近衛侍「その様ですな?某は事情を聞いて参りますのでこれにて…」ペコリ
魔女「では書物庫へ行くかのぅ」ノソノソ
『飛空艇』
タッタッタ
女海賊「ホムちゃん待った?」
機械の犬「クゥ〜ン」トコトコ
女海賊「ごめんよ直ぐに戻るつもりだったんだけどさぁ」
機械の犬「ワン!ワン!」トコトコ
女海賊「ん?何かあった?」スタ
機械の犬「ワン!」フリフリ
コケーーッ コッコ
女海賊「おぉ!!卵産んでんじゃん!!」
機械の犬「ワン!」ヒョコ
女海賊「アハハ!ホムちゃんが温めてるんだ?」
女海賊「よーし!良い物作ったげる…」コネコネ
機械の犬「??」フリフリ
女海賊「懐炉だよ…これホムちゃんのお腹の中に入れとくからさ…これで暖まる筈」パカ ポイ
機械の犬「ワン!」
女海賊「そうだ…硫黄とか買っとかないとな…お金何処に置いてたっけ?」
機械の犬「ワンワン!」ココホレ
女海賊「あれ?何だコレ?なんでこんなに一杯お宝積んでんだ?…まぁ良いや!ちっと金貨持ってこ」ジャラリ
機械の犬「ワン!」ヒョコ
女海賊「ほんじゃちっと買い物行って来るから待ってて!」スタタ
606 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:38:54.19 ID:c2KZAoSz0
『1時間後』
ヨッコラ ドスン
盗賊「あれ?女海賊は何処行ったんだ?」
魔女「飛空艇で待つと言うて居ったのにな?」
機械の犬「クゥ〜ン…」トコトコ
魔女「まぁ良い…わらわは書物で調べ事をして居るでもう話しかけるで無いぞ?」
盗賊「探しに行くと行き違いになりそうだな…まぁ球皮でも膨らませておくか」シュゴーー
タッタッタ
女海賊「お!?戻って来た?」
盗賊「おぉ今戻った所よ…何してたんだ?」
女海賊「買い物だよ…てか町の方が大騒ぎなんだけどさ」
盗賊「海賊が騒いでんだろ?」
女海賊「なんで知ってんのさ?」
盗賊「そんなこったろうと思ってな?」
女海賊「聞いて聞いて!!なんか白狼の盗賊団が出たって騒いでんだよ」
盗賊「ヌハハ…まぁ俺の仕業よ」
女海賊「なんだそれで飛空艇にお宝乗ってたのか」
盗賊「まぁ殆ど町でバラ撒いたんだがな?」
女海賊「海賊の船襲ったのあんただね?」
盗賊「まぁな?」
女海賊「まぁ良いや…ちっと金貨使わせて貰ったよ」
盗賊「あぁ好きに使え」
女海賊「魔石も在ったな…これが在ればホムちゃんのお腹温められる」
盗賊「何する気よ?」
女海賊「ホムちゃんが卵温めてんだよ」
盗賊「卵?ニワトリのか?」
女海賊「別に良いじゃん!」
盗賊「ヌハハゆで卵にせん様にな?」
女海賊「なんか楽しみになって来た!!生まれたらホム子って名付けよう!!」
盗賊「う〜む…センスの欠片も無いが…」
女海賊「うっさいな!!もう飛空艇飛ばすからどいて!!」
盗賊「へいへい…」
シュゴーーーー フワフワ
607 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:39:32.93 ID:c2KZAoSz0
『外海上空』
ビョーーーウ バサバサ
女海賊「とりあえず進路は西!!」
盗賊「まともな地図も海図も無いんだが大丈夫か?」
女海賊「このまま明日の夜明けまで飛んでそっからミツバチに案内させりゃ良いんじゃない?」
盗賊「まぁ食い物には困らん様だから良いっちゃ良いわな…水だけ上手く雨水に有り着けりゃ良い」
女海賊「てかさ?なんで皆外海出るの避けるん?」
盗賊「誰も帰って来ないからだろう」
女海賊「そもそもなんでそんな事になる?やっぱ海に穴が開いてんのかな?」
盗賊「さぁな?てか俺らも戻れんかも知れんぞ?」
女海賊「引き返せば良いだけだから信じらんないんだよね…戻るのなんか簡単じゃん」
盗賊「みんなそう言いながら帰って来ない訳よ」
女海賊「まぁ良いや…ちっと作り物するから飛空艇の操舵変わって」
盗賊「おう!…何作るんだ?」
女海賊「ミスリルの筒がまだ少し余ってるからホムちゃん用の笛作る」
盗賊「機械の犬じゃ吹けんだろ」
女海賊「魔石あったじゃん?風の魔石で音が出る様に細工する」
盗賊「なるほど…」
女海賊「これでホムちゃんの表現も一つ増えるんだよ」トンテンカン グリグリ
ピィィィ
女海賊「音が出る様にするのなんか簡単なんだ…これに風の魔石を嵌めて…」カチャカチャ
盗賊「犬笛って奴だな」
女海賊「そそ!こいつに嚙みつけば音が出るのさ」
女海賊「ホムちゃんおいで!これ骨だと思って噛みついてみて?」
機械の犬「ワン!」トコトコ ハム
女海賊「もうちょい強く噛める?」
ピィィィ
女海賊「おけおけ!!よっし…骨の形にもうちょい加工する」ガリガリ シュッシュ
盗賊「ヌハハこれで立派な番犬になれるな?」
女海賊「一応魔除けの効果あるからね」
608 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:40:09.27 ID:c2KZAoSz0
『翌朝』
コケーーッ コッコッコ
盗賊「ふがっ…おおぅ寝ちまった様だ」ゴシゴシ
女海賊「ふぁぁぁぁ…う〜ん」ノビー
盗賊「まだ暗いな」
女海賊「結構飛んだね?風で流されてない?」
盗賊「んん?ありゃ?いつの間に北に向かってんだ?」
女海賊「風向き安定してないのか…縦帆張り替えるわ」スック
盗賊「いや待て…羅針盤が変な方向差してるかも知れん」
女海賊「その羅針盤今まで狂った事無いよ」
盗賊「やっぱおかしい…針が一定方向を差さん」
女海賊「ちょいデッキ上がる」ダダ パカ
ビュゥゥゥゥ
女海賊「あれ?狭間ん中入ってんじゃん!!リリースしてよ」
盗賊「アダマンタイト触って無いぞ?」
女海賊「ええ!?」
盗賊「ちょい俺も外見る」ダダ
女海賊「ヤバヤバ…これすんごい深い狭間に入ってるわ…真後ろ見て」
盗賊「ぐはぁぁ…大量のレイスに追っかけられてんじゃ無ぇか」
女海賊「ちょい高度下げよう」グイ
盗賊「なるほど…外海に出て誰も帰って来ないのは狭間に迷っちまうんだ」
女海賊「そういう事ね…未来が描いた黒塗りは狭間の事だったのか」
盗賊「ガーゴイルの群れはここから飛んできてるんだよ…てか俺らも危ないぞ?」
女海賊「操舵やって!!私正面見とく」
盗賊「おう!このまま真っ直ぐ行くんか?早い所ミツバチ出してくれ」
女海賊「ミツバチ出て来い!近くのチェリーまで案内しろ!」ブーン
盗賊「おいおい方向分かん無ぇぞ?」
女海賊「探してんだよ!適当に行ってミツバチ反応するの待って」
盗賊「ちぃ大丈夫なんか?」
女海賊「レイスは近寄れないと思うけどガーゴイルにぶち当たられたらヤバいかも」
盗賊「しっかり前見といてくれ」
女海賊「そうそう当たるもんじゃ無いけど…」
609 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:40:52.69 ID:c2KZAoSz0
『狭間』
シュン!
ガーゴイル「グエェェェェ…」ヒュゥゥ
女海賊「インドラの銃はリロード時間が長くてこれ以上キツイ…」
盗賊「もっと高度下げんとイカンな…」グイ
女海賊「デリンジャーは近距離じゃないと当たんないからなぁ…」
盗賊「機械の犬に笛を吹かせろ」
女海賊「ホムちゃん!!笛お願い!!」
機械の犬「ワン!」トコトコ
ピィィィィ
魔女「ううん…騒がしいのぅ…何事じゃ?」ムクリ
女海賊「あ!魔女起きた?なんか狭間の深い所に入っちゃったみたいでガーゴイルが飛んで来るのさ」
魔女「海上で狭間とな?」
盗賊「インドラの銃じゃリロードが間に合わん…魔女も魔法で迎撃を頼む」
魔女「飛んで居る敵には中々当たらんのじゃが…」
女海賊「よしよし…笛のお陰で横から近づいて来なくなった…魔女!正面だけ狙って」
魔女「火炎魔法!火炎魔法!火炎魔法!」ゴゥ ゴゥ ゴゥ
盗賊「そうそう弾幕張れば近寄って来んだろう…魔石あるから上手く使ってくれい」
女海賊「魔女!これ火の魔石!」ポイ
魔女「これで触媒の無駄遣いをせんで良くなったわい…火炎魔法!」ゴゥ
--------------
盗賊「ミツバチの向きが安定しないんだが…」グイ バサバサ
女海賊「ちゃんと示す方向に飛空艇を進めてよ」
魔女「下を見よ!!海面が見えて居るぞよ?」
盗賊「おっと危無ぇ!着水しちまう所だった」グイ シュゴー フワフワ
女海賊「高度低いとガーゴイルの数も減るね…この高度維持で進もう」
盗賊「レイスに追われるんじゃ普通の船じゃ航海出来んわな…」
女海賊「ちっと後ろのレイス掃除してみる」
盗賊「おうヤレヤレィ!!まとめて倒してみろ」
女海賊「どんだけ一気に倒せるかな…」シュン!
盗賊「ダハハ地味な攻撃だ」
女海賊「何匹に当たったか分かんないや」
魔女「エネルギーの無駄じゃで止めて置け…レイスは際限なく湧くでの?」
610 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:41:43.82 ID:c2KZAoSz0
『謎の構造物』
シュゴーーーー
盗賊「おい!!女海賊!!光の石で正面照らせ!!」
女海賊「こっちぁ忙しいんだよ!!魔法で何とかして!!」シュン ガチャコン
魔女「忙しいのぅ…照明魔法!」ピカー
盗賊「なんだありゃ…」
女海賊「対象見っけた?」
盗賊「ちっと揺れるぜ?」グイ
シュゴーーーー バサバサ
女海賊「ちょちょちょ…海面スレスレってあんた分かってんの!!?」ヨロ
盗賊「魔女!!もっと照明魔法頼む」
魔女「照明魔法!照明魔法!照明魔法!」ピカー
盗賊「こりゃ船の墓場だ…海底の何かに引っかかって動けなくなった様だ…」
女海賊「岩礁か何か?」キョロ
盗賊「分からんが海面からいくつも塔らしい建造物が突き出てる…海底にもそれがあるんだろう」
魔女「古代遺跡じゃな」
女海賊「ビンゴだね!!近くに降りられそうな場所無い?」
盗賊「ミツバチの示す方向で良いんだよな?」
魔女「これ盗賊や…座礁した船の年代とか分からんのかいな?わらわはあのような船を見た事が無いでのぅ…」
盗賊「いや俺でも分かるのはごく一部だ…しかし狭間の中でこんだけ傷んでるって事は相当年代もんだぜ?」
女海賊「ちょい左方向見て!!あれってクラーケンの触手じゃね?」
盗賊「なぬ!?」
女海賊「ほら?イボイボと先っぽの形…」
魔女「たまげたのぅ…ここはクラーケンの巣やもしれんな」
盗賊「石化していやがる…」
女海賊「やば…ピーンと来たぞ」
盗賊「おいおいマジか…こんな所に流れて来てるってか?」
魔女「リリス…」ボソ
女海賊「クラーケンが運んで来たって考えた方が良さそうだね」
盗賊「こりゃ探索もラクじゃ無さそうだ」
女海賊「海底探索する訳じゃないさ…リリスは誰も近寄らないこの海域に封じられてた方が良さそう」
魔女「うむ…そうじゃな」
盗賊「まぁ良い…アレは放置しておくとして陸地を探すぞ」
女海賊「てかガーゴイル撃ち落すのに忙しいんだ!!あんたが上手い事探して」
611 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:42:30.02 ID:c2KZAoSz0
『恐らく翌日』
シュン!! グェェェェ
女海賊「ふぅ…リロード出来るまで休憩」ヨッコラ
魔女「また同じ沈没船が見えて来たぞよ?」
盗賊「ぬぁぁぁ分かってる!!ありゃ俺の目印なんだ」
魔女「完全に迷って居るのぅ…」
盗賊「ミツバチがアテにならん訳よ…途中で反転するんだ」
女海賊「着水してみる?」
盗賊「浸水するだろうが!…舵も無いから方向定まらん」
女海賊「大昔には気球なんか無かったって考えたら入り口は海面ギリギリだと思うんだよね」
盗賊「んなこたぁ分かってる!!」
女海賊「ほんじゃもうちょい高度下げれば良いじゃん」
盗賊「波に引っかかったらこんな気球なんざ一瞬でひっくり返るぞ?」
女海賊「操舵は私がやるから帆の調節だけあんたがやって」
盗賊「ケッ!!やってみろ!!」
女海賊「おっし!!マジでギリギリ飛ぶから哨戒頼むね」グイ
ザブン バシャバシャ
盗賊「それ以上下げるな!!」
女海賊「おけおけ!!大波のタイミングで高度上げるからしっかり見てて!!」
魔女「ヒヤヒヤじゃな…」
盗賊「魔女!!船底のクロスボウ撃つ穴をなんとか塞げられ無ぇか?」
魔女「氷結魔法!」ピキピキ カキーン
盗賊「よっし!あとは浸水しなきゃしばらく持ちそうだな」
女海賊「おっ!?おっ!?…ちょ…」
盗賊「んん?明るくなった…狭間を抜けたか?」
女海賊「いきなり島が現れた…」
魔女「ふむ…狭間の中に結界を張って居ったか…わらわの塔やエルフの森と同じじゃ」
盗賊「通りで見つからない訳だ」
女海賊「結果オーライ!!名も無き島と同じくらいの大きさだよ」
盗賊「見ろ!!入り江に船が停船してる!!誰か居そうだ」
女海賊「おっけ!!行ってみよ」
612 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:43:04.74 ID:c2KZAoSz0
『ニライカナイ_入り江』
フワフワ ドッスン
盗賊「おっし!!俺はあの船をちっと見て来る」スック
女海賊「帆が無さそうだけどキ・カイの船かな?」
盗賊「さぁな?お前等2人は周囲を警戒しててくれ…直ぐに戻る」ダダ
女海賊「警戒っつってもさぁ…」キョロ
魔女「この島は主の名もなき島にそっくりじゃのぅ…入り江と言い…丘に生えた樹木と言い…」
女海賊「そだね…朽ちた小舟まである」
魔女「魔物の気配は無さそうじゃが…」
女海賊「飛空艇で空から見た方が色々分かり易そうだなぁ…」
魔女「それはイカンな…どこまでが結界の領域内か分からぬ故…飛ばぬ方が良かろう」
女海賊「まぁ徒歩で探索するかぁ…狭間の中ならゆっくり探索出来そうだ」
魔女「わらわの塔と同じじゃと良いがな?」
女海賊「あのさ?結界って方陣組むのにお札とかそういうの必要だよね?」
魔女「うむ…察するに触媒にあたる銀なぞを海中に沈めて居るのじゃと思う」
女海賊「なる…」
魔女「境界を探すのは無理じゃろうな」
女海賊「私もちっと周り見て来るからさ…魔女もその辺探索しといて」
魔女「わらわはちと休みたいのじゃ…魔法を使い過ぎたからのぅ」
女海賊「おけおけ!ほんじゃ適当に火でも起しといて」
魔女「うむ…遠くに行くで無いぞ?」
女海賊「分かってるって!!ほんじゃちっと行って来る」ピューー
613 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:43:33.79 ID:c2KZAoSz0
『30分後』
メラメラ パチ
盗賊「戻ったぜ?」ドサ ガラガラ
魔女「なんじゃそのガラクタは?」
盗賊「あの船の中に有った物だ…どうやら古代の船だぞありゃ」
魔女「動くのかいな?」
盗賊「さぁな?どうやって動かすのかもさっぱり分からん」
魔女「物色してきたという事は誰も居りそうに無いという事か?」
盗賊「うむ…放置されてどれくらい経ってるのかも分からん…狭間ん中じゃ色んな物が腐り難いだろうからな」
ピヨピヨ ピヨピヨ
機械の犬「ワンワン!」トコトコ
盗賊「お!?卵が還ったか」
機械の犬「ワン!」フリフリ
盗賊「食うのはもうちっとデカくなってからが良さそうだ」
魔女「主という奴は…」
盗賊「ぬはは冗談だよ!!さぁて…折角火を起こしたんだから何か焼いて食うか」
魔女「わらわの分も頼むぞよ…ちと横になるで」
盗賊「貝が居ないか見て来るわ」ダダ
-------------
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-------------
614 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:44:18.15 ID:c2KZAoSz0
ジュゥゥゥ
盗賊「しかしアイツ帰りが遅いが大丈夫か?」モグモグ
魔女「心配には及ばぬ…わらわが眼を見て居るでな?」パク モグ
盗賊「何かあるか?」
魔女「朽ちた集落じゃな…過去に人が住まって居った様じゃ」
盗賊「ほう…そら俺らも行った方が良さそうだ」
魔女「慌てんでもよかろう…主もしばらく寝て居らんのじゃから少し休め」
盗賊「そうだな…ここも魔女の塔の様にそうそう魔物は入って来ないんだろ?」
魔女「入り口が海じゃ…何が入って来るのやら…」
盗賊「ヌハハ食ったし寝るわ!」
魔女「うむ…」コックリ
615 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:45:03.52 ID:c2KZAoSz0
『しばらく後』
スタスタ
女海賊「あ!!やべ…ここまで妖精の笛聞こえてたんか…」
魔女「…」コックリ コックリ
盗賊「んがががが…」スピー
女海賊「まいったなぁ…起きるまで足止めかぁ」
ピヨピヨ
女海賊「お!?ホムちゃんヒヨコ生まれたんだ!!」
機械の犬「ワン!」フリフリ
魔女「ぅぅん…」パチ
女海賊「あ!!あれ?魔女起きるの早くね?」
魔女「うたた寝してしもうた様じゃな…」
女海賊「妖精の笛聞こえた感じじゃ無さげ?」
魔女「むむ?妖精の笛なぞに何故頼らねばイカンかったのじゃ?何か居ったのかいな?」
女海賊「石化したっぽいゴーレムが居てさ…もしかしたら動くかもって思ってね」
魔女「石化…ゴーレム…」
女海賊「あと書物見つけて来た…わたし読めないから解読ヨロ」ポイ
魔女「書物を発見したとはな…朽ちた集落に有ったんか?」ヨミヨミ
女海賊「他にもまだ在ったさ…読めそうなの拾って来た」
魔女「…これは1000年以上昔の古文書じゃ…しかもシン・リーンに伝わって居るルーン文字」
女海賊「何書いてんの?」
魔女「年代が分からぬのじゃが魔王島の伝説が書かれて居る」ヨミヨミ
女海賊「もしかしてこの島って当時の魔王島だったり?」
魔女「丘の向こうには集落の他に何かあるんか?」
女海賊「遺跡が在ったよ…一人じゃ危なさそうだから戻って来た所さ」
魔女「ゴーレムは2体か?古文書にはそう記されて居るが…」
女海賊「おお!!やっぱそうか…もう一体の方は真っ二つになって崩れてた」
魔女「どうやらわらわ達はエライ所に来てる居る様じゃ…」
女海賊「後さ…そこら中に石造が転がってんだよ」
魔女「…」
女海賊「魔女が今腰掛けてる石もそうなんじゃね?」
魔女「なんと!!?」スック
女海賊「ほら?元々は立ってたんだけど倒れて割れちゃってんだよ…」
魔女「わらわはちと書物を読む故…主も食事を済ませてちと休むが良い」
女海賊「おっけ!ちっとお腹空いてた所だった」
魔女「わらわに話しかけるなや?」ブツブツ
616 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:46:09.83 ID:c2KZAoSz0
『翌日』
ザザー ザブン
盗賊「ふが?…んぁぁぁぁ良く寝た」ノビー
女海賊「くっそ!!部品が足りない…」カチャカチャ
盗賊「ぃょぅ…戻ってたんか」
女海賊「これ他に部品無いの?」
盗賊「全部持って来た筈だぞ?もうあの船ん中は空っぽだ」
女海賊「こんな細かい部品は機材が無いと代替品作れないなぁ…ちぃ」
盗賊「何なんだそりゃ?」
女海賊「機械式の時計だよ…振り子が動けば永久に動く筈」
盗賊「ほーん…」ハナホジー ポイ
女海賊「諦めっかぁぁ」ポイ
盗賊「あの船には行ったか?」
女海賊「当たり前じゃん」
盗賊「動かし方分からんか?持って帰りたいんだが…」
女海賊「残念だけど動力源が外されてるっぽい…多分古代遺跡動かす奴と同じだと思う」
盗賊「商人が探してるって奴か」
女海賊「多分ね…」
盗賊「あの船はよ…形から察するに海の中潜る船だと思うんだわ」
女海賊「ハッ!!そういう事か…」
盗賊「んぁ?自己完結すんなや…何よ?」
女海賊「竜宮って海の中に有るとか言ってたじゃん?あの船に乗って行くんじゃね?」
盗賊「って事は俺らに竜宮は探せんって事だな…ヌフフ直すしか無い様だ」ニヤリ
女海賊「無理過ぎる…部品が色々外されてて何が何だか分かんない」
盗賊「う〜む…まぁそれは良いとしてだ…島の探索はどうする?」
女海賊「昨日書物を見つけて来てさ…魔女が解読してるんだけど…」
盗賊「何処行ったんよ?」
女海賊「飛空艇の中だよ…話しかけるなってさ」
盗賊「ほんじゃ俺らだけで行ってみっか?」
女海賊「そうもいかないんだ…どうもこの島は魔王島らしい」
盗賊「なぬ!?どういう事よ?」
女海賊「ゴーレムとか居て下手に探索してるとヤバイかも」
盗賊「マジか…」
女海賊「てか石化しちゃってるんだけどね…石化の原因も良く分かんないから下手に行くとミイラ取りがなんとかって奴」
盗賊「エリクサー全部置いて来ちまったな…」
女海賊「もう小瓶で少ししか無いよ」
盗賊「魔女待ちか…まぁゴロゴロしてても鈍るだけだからちっと動く準備だけしとく」スック
女海賊「何すんの?」
盗賊「丸腰で探索行く訳じゃあるめぇ?」
女海賊「あぁそういう事ね…ほんじゃ私も準備すっかぁ」スック
617 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:47:02.12 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
ブツブツ なるほど一致しておる…
盗賊「寝ずに書物読んでんのか?」
女海賊「シーーーーッ話しかけんなって言われてんだよ!!」
盗賊「ちっとぐらい良いだろ」
魔女「おぉ良い所に来たのぅ…これ女海賊や…他の書物がある場所まで案内せい」
女海賊「お!?解読終わった?」
魔女「一通りは読み終わったが他の書物も気になってのぅ」
女海賊「なんか分かった?」
魔女「この古文書は時の王の時代の事が書かれて居ってな…メデューサの首をどの様に撥ねたかが記されておる」
女海賊「メデューサ?リリスじゃなくて?」
魔女「その当時はメデューサと呼ばれて居ったんじゃな…そしてこの島でメデューサを討伐しておる」
女海賊「なる…ほんで今は海に沈んでる訳か」
魔女「うむ…そしてな?この古文書は後に書かれた伝記なのじゃ…」
魔女「時の王の時代からシャ・バクダ朝の時代までの空白を埋める手掛かりになる」
盗賊「歴史の事はさっぱり分からん」
魔女「話はこうじゃ…」
時の王の時代からシャ・バクダ朝までを記した書物は殆ど残って居らん故に歴史は空白だったのじゃが
何故その様な事が起こるのか?…答えは夢食いじゃ
当時の魔王は祈りの指輪を用い世界中の夢を食らって居った
夢は人の記憶による所が大きい…よって夢を食われた者は知らぬ内にそれまでの記憶を喪失する…
魔女「そうやって歴史の一部が伝わらなんだのじゃ…」
女海賊「じゃぁなんでその書物は残ってんの?」
魔女「さぁのぅ?わらわが思うに時の砂のお陰やも知れぬ」
女海賊「時の砂で思い出す?」
魔女「分からぬ…じゃから何でも良いから他の書物を調べたいのじゃ」
盗賊「おいおい話が随分逸れたみたいなんだが…当時の魔王っていつの時代よ?」
魔女「確かでは無いが700年前か1400年前か…それとも1700年前か…それなら辻褄が合いそうなのじゃ」
盗賊「そういやシャ・バクダの時代もはっきりとした書物が残って無いって情報屋が言ってたな…」
魔女「歴史の欠落が起きるのは魔王が原因じゃろうな」
女海賊「じゃぁ私達の記憶もいつの間に無くなってる?」
魔女「否定は出来ん…わらわは極力書物に書き記しては居る」
女海賊「なんか分かって来たぞ…私が忘れっぽいのはそのせいか」
盗賊「いやいやお前は元々興味無い事は覚え無ぇから…」
魔女「もう行く準備は出来て居るのか?」
女海賊「そんな遠く無いから準備は軽くでおけ!…行こうか」
618 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:47:40.11 ID:c2KZAoSz0
『朽ちた集落』
チュン チュン ピヨ
盗賊「なんつかー…朽ち果てた廃村だが穏やかな雰囲気だ」
女海賊「これさぁ…狭間の中で何年このままだと思う?」
魔女「さぁのぅ…」ノソノソ
盗賊「そこら中にある石は石化した住人か?」
女海賊「多分ね…でも全部傷んでる」
盗賊「こりゃここで戦闘があった証拠だ…石化してる恰好がおかしい」
魔女「うむむ…魔王島に何故集落があるのじゃろうか…」
盗賊「そら調査の為だろ…事が済んだ後の魔王島を後の奴らが調査の為に住んだ訳だ」
魔女「どうにか年代が分かれば良いが…」
女海賊「魔女!あの建屋に本が散らばってたんだ」グイ
魔女「これ引っ張るな…ゆっくりで良い」ノソノソ
『朽ちた建屋』
ガサガサ
女海賊「魔女?この紙の切れ端はどう?」
魔女「パピルスの一部か…同じ様な物があれば集めるのじゃ」
盗賊「くぁぁぁ何も無ぇな…壺なんざ要らんし…」
魔女「主はいつの時代の壺か分からんのか?」
盗賊「んん?シャ・バクダの紋様だから400〜700年前って所か?」
魔女「ますます時代が分からぬ…時の王の時代とどういう接点を持つのか…」ブツブツ
女海賊「壺ん中何か入って無いの?」
盗賊「灰だよ灰!!なんもありゃし無ぇ…」サラサラ
魔女「壺に灰とな…死霊術師が居ったという訳か」
女海賊「やっぱシン・リーン所縁の物が多い感じ?」
魔女「うむ…石板の調査に来て居ったのやも知れん」
女海賊「ソレソレ!!わたしはそれを探したい!!」
魔女「ここでは手掛かりが少ないで遺跡の方に行って見るとするかいな」
盗賊「そらキタ!!待ってたぜ?その言葉を!!」
女海賊「もうちょい先に石化したゴーレムがあんのさ…その向こう側に遺跡があるっぽい」
619 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:48:52.99 ID:c2KZAoSz0
『遺跡へと続く丘』
女海賊「ほらコレ…やっぱ石化したゴーレムだよね?」
魔女「ゴーレムは元々石じゃで石化かどうかは断定出来んのぅ」
盗賊「動き出さんだろうな?」
女海賊「妖精の笛吹いても動かないさ」
盗賊「どうやって動いてたんだろうな?」
女海賊「もしかしてこいつも例のウラン結晶のやつかな」
盗賊「有り得る…動かんのは動力が無いからかも知れん」
女海賊「ほんでこのゴーレム超えたら見晴らし良くなって向こうに遺跡が見えるよ…こっち」
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盗賊「ちょい待て…こりゃぁ大戦の跡地じゃ無ぇか…見てみろ!あの池は隕石か何かが落ちた痕だ…」
女海賊「なるほど…それで地形がボコボコなのか」
魔女「…」ボーゼン
盗賊「あの遺跡…丸くくり抜かれてる断面はなんだ?明らかに不自然だ」
魔女「量子転移の痕跡じゃ…あの場所で何かを消し去って居る」
女海賊「量子転移ってあんなんなるの?」
魔女「主が持つ魔人の金槌も範囲は狭いが同じ様に空間を消し去るのじゃぞ」
女海賊「ちょい待ち…未来が持って行った破壊の剣ってやつ…あれも同じだったよね?」
魔女「うむ…つまりゴーレムの片割れを真っ二つに切ったのは未来の可能性が高い」
女海賊「やっぱりか…やっぱここに魔王倒しに来てたんだね」
魔女「倒しに来たのか…それとも祈りの指輪で魔王を集めて葬ったのかは分からん」
盗賊「なるほどな…それであの量子転移の痕跡か」
魔女「驚くのは量子転移だけでは無いのぅ…奴らは隕石を落とす事は出来ん筈じゃ…つまりシン・リーンの魔術師も絡んでおる」
盗賊「時の王の時代は魔法の黎明期だったんだろ?同行しててもおかしく無い」
魔女「そうなのじゃが時代が合わんのじゃよ…何故にこうも時代がバラバラなのか」
盗賊「やっぱ情報屋を連れて来るべきだったな」
女海賊「ほんなん後で考えれば良いさ…さっさと手掛かり探しに行くよ」ピューー
620 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:49:54.56 ID:c2KZAoSz0
『古代遺跡』
スタスタ
盗賊「こりゃ既に盗掘済みだな…ちぃ」
魔女「えらい荒れようじゃ…瓦礫をどうにか出来んもんか」
女海賊「私が魔人の金槌で消して行くからなんか手掛かり探して」
盗賊「待て待て…下手に消して行くと崩れるかも知れんぞ?生き埋めは御免だ」
魔女「これ!!ここを見よ…灯篭じゃ」
女海賊「お!?何だコレ?銀製じゃん」
魔女「こういう事じゃ…照明魔法!」ピカー
女海賊「良く見るとあちこちに同じのがある」
魔女「うむ…誰ぞ人が出入りして居った証拠じゃ…しかも魔術師じゃな」
女海賊「未来が此処に住んでた?」
魔女「良く考えてみぃ…700年前にどうにかこの島に辿り着いたとして量子転移でさらに700年時空を飛んだ場合…」
魔女「乗って来た船は無い筈じゃ…ここで生活するしか無かったのでは無いか?」
盗賊「おぉ!!そうだな…自前で作るか誰か来るのを待つしか無ぇ」
女海賊「でもさ?量子転移で必ず時空飛ぶって訳でも無いじゃん?」
魔女「ふうむ…そうじゃな」
女海賊「まぁ銀の灯篭をわざわざ作るくらいの期間は滞在してた可能性は高そうだね」
盗賊「てかなんで銀なんか使うんだ?」
魔女「触媒が不要になるでラクなのじゃよ」
女海賊「普段いる場所に明かりが欲しいだろうから手掛かり有るとしたらこの辺だね」
魔女「うむ…灯篭の周辺を探すと良かろう」
盗賊「おし手分けして探索すっぞ!!俺は北側見て来る…女海賊は土手沿いに向こうだ」
女海賊「これ時間掛かりそうだね…わたし飛空艇をこっちに持ってくるわ」
魔女「うむ…そうじゃな…ベースはこちらに有った方が良かろう」
盗賊「分かった…ほんじゃ定期的にこの場所に集合で良いな?」
女海賊「おけおけ!」ピュー
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621 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:50:32.48 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
フワフワ ドッスン
女海賊「ホムちゃん降りて良いよ!!」
機械の犬「ワンワン!」トコトコ
女海賊「魔女どう!?何か見つかった?」
魔女「盗賊が地下に降りる階段を見つけて探索に行きよったわい」
女海賊「おーソレだね」
魔女「予想はして居ったが遺跡の本体はやはり地下じゃな」
女海賊「魔女は何してんの?」
魔女「見つけたパピルスを読んで居る…指示書の切れ端じゃ」
女海賊「お?時代分かりそう?」
魔女「失踪した暁の使徒を捜索しとった様じゃな…時代は1700年前…つまり時の王の時代じゃ」
女海賊「暁の使徒?誰それ?」
魔女「シン・リーンに戻って調べにゃ分からんのぅ…少し聞いた事がある程度しか知らぬ」
女海賊「まぁあんま関係無さそうだ…ほんで私も地下の方行ってみたい…どっち?」
魔女「向こうの灯篭の脇じゃと言うて居った…わらわはここで待つ故行ってみよ」
女海賊「ホムちゃん一緒に行こうか!!おいで!!」
機械の犬「ワン!」トコトコ
622 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:51:36.67 ID:c2KZAoSz0
『焚火』
メラメラ パチ
盗賊「ちっと休憩だ!!」ダダ ドター
魔女「女海賊とは会わなんだか?」
盗賊「途中で分かれたっきりだ…その内戻ってくんだろ」
魔女「まぁ良い…しばらくここに滞在する事になりそうじゃでの」
盗賊「だな?地下の遺跡が広すぎる」
魔女「書物の類は見つけて居らぬか?」
盗賊「書物は無ぇな…武具類と石造ばっかだ…ほらよ!」ポイ カラーン
魔女「むむ…その刀身は」
盗賊「オリハルコンだ…多分シン・リーンで見つけたエクスカリバーと同じ物…」
魔女「いくつもあるのかえ?」
盗賊「わんさかな?つまりその当時の通常兵装な訳よ…今の時代より随分進んでたって事だ」
魔女「やはり時の王が兵を率いてこの島に滞在して居ったか」
盗賊「伝説通りか?」
魔女「不死の力を得た後に国を捨てたのじゃ…理由は諸説あるのじゃが…」
盗賊「ほんでな?そういうお宝が持って行かれて無いって事はその時代以降に盗掘には遭って無い訳よ」
魔女「ふむ…この遺跡は1700年前のままか…では何故700年ほど前のシャ・バクダの壺が有ったのじゃろうな?」
盗賊「未来達が持ち込んだとすれば辻褄が合う」
魔女「なるほどのぅ…壺に入れた灰はもしかすると種だったのやも知れんな」
盗賊「まぁ…まだまだ色々発掘できるだろうから…ちょい休んだら又行って来るわ」
魔女「古代の遺物は無いんか?」
盗賊「俺も探してんだけどよ…当時の時の王が全部持って行ったんじゃ無ぇかと思ってる」
魔女「ふむ…辻褄が合うのぅ…錬金の器具しかり重力炉の出所は此処じゃったか…」
盗賊「まぁお宝探しは俺に任せておけ…そうそう!!地図書くから紙とペン持って行くぜ?」
魔女「好きにせい」
623 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:52:24.82 ID:c2KZAoSz0
『半日後』
ガラガラ ドサー
魔女「主は全部持って帰るつもりか?」
盗賊「オリハルコンの武器は価値高いだろ…持って帰るに決まってんじゃ無ぇか」
魔女「わらわは書物を探せと言うた筈じゃが…」
盗賊「読める状態の書物なんざそうそう無い!剣の柄が腐り落ちるぐらいなんだからな」
魔女「むむぅ…壁画に書き残す未来が如何に優秀か…」
盗賊「ところで女海賊はまだ帰って来んのか?」
魔女「壁画を見つけて泣きながら書き写して居る」
盗賊「お!!マジか!!何処だか分かるか?」
魔女「主が行って居る奥の方では無い」
盗賊「手前だったか…ちっと行って来る」
魔女「待てい!!気が収まるまでそっとしておいてやれ」
盗賊「俺も壁画を見てみたいんだがよぅ…」
魔女「わらわも同じじゃ…我慢せい」
盗賊「しゃー無ぇ…酒でも飲んで待つか…」
魔女「そうじゃ主に頼みがある…チェリーの木を探して実を採って来ては貰えんか?」
盗賊「ぐはぁ…マジかよ」
魔女「ちと体調がおかしいのじゃ…魔力が回復せぬ」
盗賊「チェリー食えば良くなるってか?」
魔女「正確には生きた実から魔力を得るのじゃ」
盗賊「まぁ良いや…探索がてら採って来てやる」
魔女「うむ…よろしく頼む」
624 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:53:21.08 ID:c2KZAoSz0
『森』
サワサワ
盗賊「こりゃ木を登らんと収穫出来んな…」
盗賊「しゃーねぇ上まで登れば見晴らしも良いか…よっ」ヨジヨジ
盗賊「枝ごと落としちまうか…」ブン スパ スパ
盗賊「ほぉぉぉ島の全景が見えて中々良い…結界の外側は海にしか見えんのだな…」
盗賊「ふむふむ…なるほどあの入り江以外に船が取り着けそうな場所は無さそうか」
盗賊「待てよ?この島はもしかして人口の浮島か?てかこの島自体がくそデカイ船なんじゃ無ぇか?」
盗賊「…」
そういや遺跡の地下は水が張ってそれ以上降りられなくなってた…
それが海面だったとすると水が張ってる説明も付く
つまり遺跡の本体は海の下に沈んでる…
だから潜水する船が必要な訳だ
盗賊「なるほどな…竜宮の正体が分かって来たぜ?」
盗賊「遺跡の天井がやたら高いのは空気を溜める浮袋って訳だ」
盗賊「んん?なんだありゃ?…赤潮か?」
盗賊「いや赤潮が起きるほど海の温度は高くない…まさかリリスの血が流れ出て…」
”ちと体調がおかしいのじゃ…”
盗賊「石化か!!こりゃやべぇ!!」
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625 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:54:19.59 ID:c2KZAoSz0
『焚火』
ダダダ ズザザー
盗賊「魔女!!無事か?」
魔女「何を慌てて居る…チェリーは収穫出来たか?」
盗賊「あ…いや…悪りぃ置いて来ちまった」
魔女「手ぶらで帰って来るとは何事じゃ…取りに戻れ」
盗賊「ここに来る途中で石化したクラーケン居ただろ?俺らも石化したりしないよな?」
魔女「可能性は否定出来ぬが体の中に線虫が住んで居るから黒死病には掛からんと思うがのぅ」
盗賊「あぁそうだった…忘れてたわヌハハ」---思い過ごしか---
魔女「早ようチェリーを採って来い」
盗賊「わーった!わーった!」スタ
『しばらく後』
ムシャ ムシャ モグ
盗賊「チェリー食いながら酒ってのも中々の組み合わせだ」グビ
魔女「やる気が出て来たかの?」モグ
盗賊「ちっと休んだらもっかい探索行って来るわ」
魔女「わらわはちと横になって居るでな?」
盗賊「そんな体調悪いんか?」
魔女「動けぬ程では無い…魔力が回復せぬのが不可解なだけじゃ」
盗賊「いつからよ?」
魔女「結界に入ってからかのぅ…もしくは貝を食ろうた後からやも知れぬ」
盗賊「てかここはどんな結界張ってるのか分からんのか?」
魔女「分からぬ…魔除けの類じゃろうが悪い結界では無いのぅ」
盗賊「俺は何も感じん…至って普通だ」
魔女「気にせぬでも良かろう…それ程魔法が必要には思えぬしな?」
盗賊「まぁ大丈夫ならそれで良いんだ」
魔女「さて…飛空艇で横になって居るで書物を探して来い」ノソリ
盗賊「へいへい…」
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626 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:55:21.66 ID:c2KZAoSz0
『壁画のある部屋』
グスン カキカキ
盗賊「んぁぁぁここに居たか…探したんだぞ」
女海賊「邪魔しないで…」カキカキ
盗賊「壁画見つけたんだな?」
女海賊「見りゃ分かるっしょ…」カキカキ
盗賊「遺品とか無いのか?…ってありゃ?白骨が…」
女海賊「…」ギロ
盗賊「こりゃエルフの骨だ…金髪…どういう状況よ」
女海賊「…」プルプル グググ
盗賊「待て待て…連れの可能性が高そうだ…骨はこの一体だけか?」
女海賊「フン!」カキカキ
盗賊「てか随分デカイエルフだな…もしかするとハイエルフと一緒に行動してたのかもな」
女海賊「そこの銀食器…飛空艇に積んどいて」カキカキ
盗賊「銀…やっぱ未来が作ったんか?」
女海賊「作り方…私が教えたの」
盗賊「なる…確定って訳か」
女海賊「…」カキカキ
盗賊「見た所…随分長い間ここを使ってたみたいだな」
女海賊「此処見て…石板に記されてる」
盗賊「んん?こりゃ海図か?」
女海賊「リヴァイアサンを探して未踏の地を何回も行き来してんだよ」
盗賊「次の足取りだな?」
女海賊「壁画写し終わったら北に向かう」
盗賊「おいおい此処のお宝探索はどうすんのよ?」
女海賊「この壁画以上のお宝なんて無いさ」
盗賊「マジかよ…俺はもうちっと探索したいんだが…」
女海賊「写し終わるまでに終わらして」カキカキ
盗賊「くぁぁぁ…とりあえず食器持って行けば良いんだな?」
女海賊「終わったらもう行くから…魔女にそう伝えて」
盗賊「こりゃ休んでる暇無ぇな…」ダダダ
627 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:56:28.79 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
ガラガラ ドサー
魔女「zzz…」スゥ
盗賊「寝てるか…まぁ体は大丈夫そうだな…」
ズズーン グラリ
盗賊「!!?なんだ?」キョロ
魔女「ええぃウルサイのぅ…」モソリ
盗賊「起こしちまったか?横になってろ…何が有ったのか見て来る」ダダ
魔女「何かが体の上に乗って居る…どかせよ」
盗賊「何寝ぼけてんだよ…っておい!!まさか…動けない訳じゃ無いだろうな?」
魔女「しもうた…動けぬ」
盗賊「ぬぁぁぁだから言ってたんだ…このエリクサー飲め」クィ
魔女「むぐっ…」ゴクリ
盗賊「おっし!これで一先ず石化は何とかなるだろう…」
魔女「まずいのぅ…わらわはリリスの血を浴びて石化を一度経験して居る…エリクサーでは止まらぬやもしれぬ」
盗賊「何ぃ!!」
魔女「今回は血なぞ浴びて居らぬが…」
盗賊「貝だ!!貝を食っちまったな!?大量の血を吸い込んでたんじゃ無ぇか?」
魔女「それでは主もマズかろう…」
盗賊「やべぇな…事情を女海賊に話してくる…俺らが石化してもアイツならエリクサー仕入れてなんとかしてくれる」
魔女「主も残りのエリクサーを飲んでおくのじゃ」
盗賊「今ので最後だ!!てか魔法で止められんのか!?」
魔女「無理じゃな…」
盗賊「ぐはぁ…肝心な時に役立たずか!まぁ良い…女海賊の所に行って来る」ダダダ
628 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:57:17.97 ID:c2KZAoSz0
『壁画のある部屋』
タッタッタ
盗賊「女海賊!!緊急事態だ!!」ダダダ
機械の犬「クゥ〜ン」オロオロ
女海賊「…」グゥ スピー
盗賊「ぬぁぁぁマジか…おい!ホムンクルス!!女海賊は貝を食ったんか?」
機械の犬「ワン!」
盗賊「クソがぁ!!俺が背負って行くからホムンクルスは壁画の写しを咥えて持って来てくれ」
機械の犬「ワン!」パク
盗賊「行くぞ!!よっこら…」ドッシリ
女海賊「ふがっ?」zzz
盗賊「フガじゃ無ぇ!!女のクセになんでこんなに重いんだこいつは…」ヨタヨタ
機械の犬「…」トコトコ
盗賊「その壁画の写しを落とすんじゃ無ぇぞ?そいつはこいつの命だ」
機械の犬「…」トコトコ
盗賊「ほんで良く聞いてくれ…俺らが全員石化した場合最後に残ってるのはホムンクルス…お前だけだ」
機械の犬「…」トコトコ
盗賊「後は分かるな?どうにかしてフィン・イッシュ女王の所か商人の所に運んでくれ」
機械の犬「…」ピタ
盗賊「まぁ今の所まだ俺は動ける…石化しちまう前に早く飛空艇で脱出するぞ」
機械の犬「…」トコトコ
盗賊「しかし石化したクラーケン発見した時点で用心しとくべきだった…抜かった」
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629 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:58:19.27 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
どるぁぁぁ ドサリ
盗賊「はぁはぁ…魔女!!動けるか?」
魔女「動かぬ…女海賊も動けぬのか?」
盗賊「寝ちまった様だ…どうやら貝も食ってる」
魔女「吐き出させよ」
盗賊「もう遅いだろ」
魔女「何もせぬより良い…わらわの口にも酒を流し込め」
盗賊「ちっと待て…ここを脱出した後だ…ホムンクルス!!乗れぇ!!」
機械の犬「ワン!」トコトコ
盗賊「ホムンクルス!!操作を良く見とけよ?最後はお前が頼りだ」グイ
シュゴーーーーーー フワフワ
魔女「主はホムンクルスに最後を任せる気かえ?機械の犬に操舵しろと言うておるか?」
盗賊「それしか無いだろ…知恵使ってなんとかしろやい!!」
魔女「これホムンクルス…主に出来ると思うか?」
機械の犬「クゥ〜ン」シュン
魔女「無理じゃと言うて居るが?」
盗賊「うるせぇ!やるんだよ!!…どわっ…マジか!!」
魔女「んん?何か起きとるんか?」
盗賊「入り江でクラーケンが暴れていやがる…さっきの揺れはクラーケンだ」
魔女「リリスは見えぬか?」
盗賊「分からん…血が海を漂ってる」
魔女「これで本真に誰も近づけぬ様になったのぅ」
盗賊「むむ…暗くなって来たぞ?結界から出る」
魔女「ガーゴイルに注意せい」
盗賊「言われんでも分かってる!!どっちに行くか分からんが兎に角全速で飛ぶ」グイ
シュゴーーーーーー バサバサ
630 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:59:13.74 ID:c2KZAoSz0
『狭間_上空』
ガチャガチャ
盗賊「よし…インドラの銃は前方に固定だ」
機械の犬「クゥ〜ン」オロオロ
盗賊「使い方は分かるな?前方に居る敵だけ倒せば直撃は避けられる…試しに撃ってみろ」
機械の犬「ワン!」フリフリ
盗賊「うむ…そうだ…尻尾で引き金引きゃ行ける」
シュン!
盗賊「リロードの仕方は知ってるな?」
機械の犬「ワン!」トコトコ ガチャコン
盗賊「魔女!!どうだ?動けるようになったか?」
魔女「…」スゥ…
盗賊「ちぃぃ…ダメか…やっぱ体が小さいと石化には弱いみたいだな」
女海賊「むにゃ…」スヤ
盗賊「俺は石化が遅いのか…それとも奇跡的に免れてんのか…まぁとりあえず動けるから良いかヌハハ」
盗賊「ほんで進路が良く分からんのをどうするか…待てよ?ミツバチの向く方向の逆行けば出られるかも知れんな」
盗賊「おし!!進路変更…」グイ
シュゴーーーーーー バサバサ
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631 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:00:10.95 ID:c2KZAoSz0
『数年後_ルイーダの酒場』
ドゥルルン♪
バニー「はぁ〜い!!冒険者の集う酒場へようこそ〜」
アサシン「…」ギロ
バニー「あら?お兄さん…パーティーをお探しでしたらカウンターの方へ〜ウフフ」フリフリ
狼女「あ!!アサシンこっちこっち!!」
アサシン「…」スタスタ
狼女「どうだった?千里眼で探して貰えた?」
アサシン「無駄足だ…千里眼でも行方を追えんらしい」
狼女「政治の話は?」
アサシン「シン・リーンは外海調査に一切関わって居無い様だ…戦争もどの国にも汲みする気は無いとの事」
狼女「完全中立か…」
アサシン「当然だな…領地が接して居ないのだから」
狼女「こっち側にはクリーチャーも攻めて来て無さそうだしねぇ…ラクだなぁこっちは」
アサシン「しかし…魔女不在では公爵の変化を見破れん…奴が裏で手引きしているのは間違い無いだろうに」
狼女「シン・リーン女王にも化けてたり…なんてね」
アサシン「…」
狼女「それでこれからどうする?セントラルに戻る?」
アサシン「私はセントラルを経由してフィン・イッシュへ向かう…お前は港町から商船に乗ってキ・カイへ向かえ」
狼女「え…別行動すんの?」
アサシン「リカオン…子供では無いだろう?…一人で商人の所へ行って情報を交換してくるのだ」
狼女「再集合は何処?海士島?」
アサシン「うむ…海士島で良い」スック
狼女「ちょっと…もう行く気?」
アサシン「私は忙しいのだ…直ぐに定期便に乗らねば1日無駄に過ごす事になる」
狼女「ぶぅぅ…」
アサシン「では上手くやれ…」ノシ
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632 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:00:55.67 ID:c2KZAoSz0
『…その頃_商人ギルド』
ワイワイ ガヤガヤ
はいはい買い取りあっち!!
競売はこっち!!
商船の受付は列に並んで〜〜
ワイワイ ガヤガヤ
影武者「戻ったよ…誰か訪ねて来ていないかい?」
娘「あ…又役所から人が来てた…不在って伝えたら出直すってさ」
影武者「分かったよ」
娘「取引は上手く行った?」
影武者「うん…纏まったお金が必要になるから用意しておいて貰えるかな?」
娘「どんくらい?」
影武者「500金貨さ」
娘「私財で…だよね?」
影武者「そうだよ…ギルドの資金は手を付けない」
娘「何の取引だったの?」
影武者「言う訳無いじゃ無いか…フフ」
娘「フン!!シッシッ…邪魔だからアッチ行って」
影武者「下に居るから…用があったら呼んで」スタ
633 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:01:49.57 ID:c2KZAoSz0
『隠し部屋』
トントン
影武者「開けゴマ…」
カチャン
影武者「入ります…」ガチャリ ギー
商人「買い取れたかい?」
影武者「はい…500金貨で交渉成立しました」
商人「いつ受け取れそうだい?」
影武者「次の出兵時に地下街8番で一台停止させるとの事」
商人「分かったよ…ギャング達に奪わせるのは少し危ないけど…出来るね?」
影武者「大丈夫です…そのままギャング達の隠れ家に移送させます」
商人「…こんな時に盗賊が居てくれれば助かるのにさ…」
影武者「私では不足ですか?」
商人「あぁゴメンそういう意味じゃない…君は僕の大事な影武者だから危険に晒したく無いだけさ」
影武者「他の衛兵も買収済みなので問題無いかと」
商人「流石だね…でもそう言うのが危険なんだよ」
影武者「…」
商人「まぁ任せるよ」
影武者「ありがとうございます…今日も役所から闇商人を訪ねて来てた様ですが…」
商人「何か感づかれてるかも知れないねぇ…」
影武者「官僚を調べている件ですね?」
商人「一旦期間を置こうか…今は動くキラーマシンを調べるのに注力しよう」
影武者「ブラフは任せて貰って良いですか?」
商人「足が付かない様に頼むね」
影武者「はい…」
トントン
634 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:02:26.36 ID:c2KZAoSz0
商人「シーッ…」
情報屋「私よ…」
商人「…」
情報屋「あぁ忘れてた…開けゴマ…」
商人「…」ニヤ
カチャリ ギー
影武者「…では僕は仕事に戻ります」ペコ
情報屋「あら?密談中だったかしら?」スタ
商人「やぁ…直接来るなんてどうしたんだい?」
情報屋「外海で難破船を拿捕したという情報が入ったのよ」
商人「それはいつの話?」
情報屋「拿捕した難破船を引いて今軍用の港に入っているらしいわ」
商人「難破船ねぇ…飛空艇だったら飛んで行く所なんだけどなぁ…」
情報屋「政府がわざわざキ・カイまで引っ張って来たのよ?何か有ると思わない?」
商人「君は何処まで入れるのかな?」
情報屋「分からない…学術調査の依頼があればもしかすると…っていう感じよ」
商人「只の難破船に学術調査する事なんか無いでしょ」
情報屋「とりあえず政府用の連絡通路までなら許可証が有るわ?そこから荷下ろしが見られるかもしれない」
商人「なんだ見られる場所まで行けるなら先に言ってよ…行こう!」
情報屋「フフ…」
635 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:02:54.64 ID:c2KZAoSz0
『連絡通路』
衛兵「ここから先は軍用だ!!帰れ帰れ」
情報屋「事情を知って居る人はやっぱりここまで見に来てる様ね…」
商人「みんな学者かな?」
情報屋「大体そうよ…あなたは顔を見せない様に」
商人「分かってるさ…」
情報屋「荷下ろしは始まって居そう?」
商人「あれ?なんでキラーマシンで包囲してるんだろう…」
情報屋「ほら…やっぱり何か乗せて居るのよ」
商人「割と程度の良いコグ船…あれで外海を航海してたのか…スゴイな」
情報屋「なかなか荷下ろしが始まらないわね」イラ
商人「誰かを待ってるみたいだな」
情報屋「あなた望遠鏡持って居ない?」
商人「あるよ…」ポイ
情報屋「誰を待ってるのか…」
商人「ハハ積み荷じゃ無くて人を見るのか」
情報屋「キ・カイ軍船の船長らしい人物が手に何か書物を持って居るわ」
商人「見せて」グイ
情報屋「気になるわね」
商人「本当だ…どうしてわざわざ待って居るのか…」
情報屋「偉い人が大勢来そうね」
商人「こりゃ時間掛かりそうだなぁ…」
636 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:03:52.14 ID:c2KZAoSz0
『1時間後』
情報屋「政府高官が何人も来て居るわ…よほどの積荷よ」
商人「…」ジー
情報屋「どうしたの?無言で…」
商人「いや機械化の大臣があの書物を受け取ったんだ…どうしてかなと思ってさ」
情報屋「軍の司令が手を上げたわよ…何か始まりそう」
商人「キラーマシンが動いた…」
情報屋「あれ?いつの間に軍船が退避始めてる…どうして?」
商人「本当だねぇ…なんか変だねぇ」
情報屋「積み荷はもしかしてリリスとか?」
商人「まさか…いや待てよ…偶然釣り上げたなんて可能性は在るかもしれないなぁ」
情報屋「キラーマシンの後方に何かの兵器を構えてる」
商人「この感じはとんでもない魔物を積んでると考えるべきか…捕らえるつもりだな?」
情報屋「リリスだったとするとキ・カイが全滅しかねない」
商人「直ぐに逃げられる準備はあるよ…まずは状況しっかり見ておかないとね…あ!!荷室を開けようとしてる!!」
情報屋「…」ゴクリ
商人「望遠鏡で見える?」
情報屋「何かしら…リリスでは無さそう」
商人「動かないね」
情報屋「キラーマシンが鎖を持って荷室に入って…」
ドーン バリバリ
637 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:04:24.94 ID:c2KZAoSz0
商人「うわ!!船が大きく揺れてる…中に居るのは何だ?」
情報屋「見えた!!大きなウミヘビ…サーペントみたいな魔物」
商人「なんだ…ただのシーサーペントか…がっかりだよ」
情報屋「でも大きいわ?」
商人「サーペントなんか捕獲しても何にもならない…待って損した…帰ろう」
バシュン バシュン
商人「ハハ攻城用のバリスタ撃ってる…そんなに捕獲したいか」
情報屋「ウミヘビが光り始めた…何?」
商人「もう良いよ…帰ろ…」クルリ
ビビビビビ チュドーン ドカーーーン!!
商人「え!!?」
情報屋「商人!!伏せて!!」ガバ
商人「何が起きた?」キョロ
情報屋「軍港の弾薬が一気に爆発したのよ…ここまで破片が飛んでくるかもしれない」
商人「そんな…誰が?」キョロ
情報屋「私は見てた…あのウミヘビが稲妻出したの」
商人「まさか…そんなサーペントは聞いた事が無い」
ピカーーーー チュドーーーン
商人「ちょ…海で爆発!?どうなってる?」
情報屋「そっちじゃない…兵隊が兵器で反撃してる…」
ピカーーーー チュドーーーン
商人「イ…インドラの銃を使っている…のか?」
情報屋「マズそうね…避難しましょう」グイ
638 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:05:06.54 ID:c2KZAoSz0
『街道』
ガヤガヤ ザワザワ
軍港の方で何か起きてる様だ
見ろ!!煙が上がって居るぞ
海上でも爆発してるぞ
衛兵!!どうなってんだぁぁ!!
ガヤガヤ ザワザワ
情報屋「はぁはぁ…あなた…逃げる用意は有るって言ったわね?準備しておいて」
商人「有るには有る…でもまだその時じゃ無いと思うな」
情報屋「あの魔物は伝説のリヴァイアサンよ…あんな魔物をキ・カイの軍隊が捕獲出来るとは思えない」
商人「リヴァイアサン…外海からここまで連れて来た…話が都合良すぎだけど…」
情報屋「どういう理由か分からないけれど海で最強なのは間違い無いわ」
商人「待って…ここは陸だよ」
情報屋「陸…」
商人「そうさ…リヴァイアサンが陸に上がった話も聞いた事が無い」
情報屋「そ…そうね…落ち着きましょうか」
商人「子供達を避難させる準備は進めて置くさ…それよりもっと情報が欲しい」
情報屋「情報…」
商人「リヴァイアサンだとしたら学術調査で君が調査出来る事も有るかもしれない」
情報屋「私にリヴァイアサンの調査をしろと?」
商人「それもあるけど書物の方さ…研究には必要になりそうだろう?」
情報屋「分かったわ…」
商人「君の息子の事は心配しなくて良い…避難が必要なら最優先してあげるさ」
情報屋「…」
商人「言う事を聞いてくれれば…の話だけど」
情報屋「あの子私の言う事は全然聞いてくれなくて…」
商人「僕の影武者の言う事はちゃんと聞くんだよ…大丈夫…任せて」
情報屋「…」
商人「フフ子育ても悩みが多そうだ」
情報屋「私は学舎に戻るわ…あの子の事頼むわね」タッタッタ
639 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:05:38.30 ID:c2KZAoSz0
『数日後_地下街8番』
ピチョン ピチョン
影武者「…こっちです」スタスタ
商人「ここは封鎖されて以降誰も入って来ないかい?」キョロ
影武者「はい…チカテツ街道から裏道が通じてるのもあって隠れるには良い場所になりました」
商人「政府がこの区画を封鎖した目的は何だと思う?」
影武者「ギャング達の誘導…」
商人「分かって要るじゃ無いか…監視されて居る事は頭に入れて置いた方が良い」
影武者「裏を返せば利用できると言う事です」
商人「早い所分解済ませないと軍が回収に来るな…急ごう」
影武者「そうですね」タッタッタ
『隠し通路』
影武者「到着しました…確認してください」
商人「おぉ…これがキラーマシン改か…」ジロジロ
影武者「約束通り分解が済んだ後の残りはギャングで部品取りしても良いですね?」
商人「約束は守るさ…僕は頭部にあるAIユニットを回収したいだけだよ」
影武者「軍が回収に来るまで約2時間ほどの余裕が稼げていると思います」
商人「上出来…」カチャカチャ
影武者「その他の部品取りもありますので出来るだけ手短にお願いします」
商人「頭部以外の部品取りはもう始めてしまって良いよ」
影武者「許可が出ました…出て来ても良い様です」
ヒソヒソ コソコソ
商人「なかなか統率のとれたギャング達だねぇ…良し…取れた」カチャカチャ
影武者「もう終わったのですね?」
商人「僕はこの頭部を持って帰るとするよ…後は好きにして良い」
影武者「では帰路をご案内します」
商人「大丈夫さ…一人で帰れる…その方が色々都合が良い」
影武者「そうですか…では私は別件の取引に向かいます」
商人「わざわざ案内してくれて助かったよ…気を付けて」ノシ
640 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:06:18.24 ID:c2KZAoSz0
『ジャンク屋』
ガヤガヤ ガヤガヤ
店主「いらっしゃ…キシシシ又何か持ち込みかい?」
商人「まぁね?良い物が回収出来たら又買い取り頼むよ」
店主「今度はどんな機械かねぇ…」
商人「秘密さ…奥の作業台使っても良いかな?」
店主「タダじゃ無いよ…ウヒヒヒ」
商人「分かってるさ…」チャリン
店主「毎度ぉぉ〜分かってるねぇぇぇ」
商人「じゃぁ作業台借りるね」スタ
『作業台』
カチャカチャ
商人「さてさて…」
発信機が付いて居るとしたらこの頭部だ…
ここならジャンク屋に売られたと偽装出来る
さっさとAIユニットだけ外したい
これでどうしてキラーマシンが量産出来るのか謎が解ける…
最悪の結果にはなりません様に…
商人「…」カチャカチャ
商人「……」ピタ
商人「………」ググググ
ドン!! ガラガラ!!
店主「散らかさんでクレやぁぁ!!何しとんじゃぁぁ!!」
商人「…」ギロリ
店主「何をバラしてるか知らんがもう貸さんぞぃ?」
商人「分解ミスした…んだ…分かるだろう?」
店主「器具は元の場所に戻さんとダメダ〜メ…分かるぅ?」
商人「良く分からない発信機と取り出した魔石置いて行くよ…これで勘弁して」
店主「うほほほ…見せてみぃぃな」
商人「ここに置いておく…又来るよ」タッタッタ
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641 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:07:26.34 ID:c2KZAoSz0
『1か月後_商人ギルド』
ワイワイ ガヤガヤ
又レートの変更かよ…
これじゃぁ個人売買した方が良いじゃ無ぇか
娘「関税引き上げられてこうするしか無いの〜ゴメンね〜」
客「こりゃ戦争の影響かね?」
娘「う〜ん…海の向こうとは戦争して居ないんだけどねぇ…」
客「密輸ルートの案内はして居ないんか?」
娘「ダメダメそう言うのはギルドで扱って無いから」
客「ケッ…商売上がったりだ」
『隠し部屋』
影武者「…奴隷貿易禁止法に孤児の移送が引っかかるそうで1人当たり200金貨の罰金が発生するそうです」
商人「フフ政府はどうしても孤児を移送させたく無い様だ」ギラリ
影武者「主な商船の取引にも軒並み関税が掛けられて…」
商人「分かって居るよ…僕に脅しを掛けているのさ」
影武者「重税で困るのは民だと言うのに…」
商人「僕はもう絶対に孤児たちをキ・カイ政府の下で働かせる様な事はしないと決めたんだ」
影武者「そろそろ理由を教えてはくれませんか?」
商人「君は知らなくて良い…」
影武者「孤児院の子供達も自立して働きたいと不満を漏らしています…」
商人「なんとか諫めてよ」
影武者「…」
商人「今回商船に乗せた孤児たちの罰金は支払うとして…」
影武者「はい…」
商人「海賊に孤児院を襲わせる計画はどうなってる?」
影武者「海賊王の娘に取り次ぐと言ったきり連絡が途絶えて居ます」
商人「うむぅ…遅くなると資金が持たないなぁ…」
影武者「盗賊ギルドの力を借りるのはどうでしょう?」
商人「そうだなぁ…僕が動くしか無いか…海士島まで行って盗賊ギルドにコンタクトしてみる」
影武者「はい…留守中の事はお任せください」
642 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:08:18.97 ID:c2KZAoSz0
『商人ギルド受付』
ガヤガヤ ガヤガヤ
だからぁ!!密輸の斡旋なんか商人ギルドでは扱ってないの!!
文句あるならキ・カイ政府の方に言って!!おわかり?
商人「ハハ大分混乱している様だね?」
娘「商人!!もうずっとこんな感じ…どっか行くの?」
商人「ちょっと海士島まで用事が出来たんだ…次の商船はいつ出るかな?」
娘「今荷入れしてるから早く行かないと乗りそびれるよ…1時間で出港すると思う」
商人「うわ…走って行かないと」
娘「ちょっと待って…あんたに会いたいって人が来てたんだけど影武者さん通さないとマズいと思って帰って貰ったんだ」
商人「そうだね…影武者に対応してもらってよ」
娘「分かった…じゃぁ気を付けて」
商人「因みに又役所の人かい?」
娘「背の高い女の人だよ…リカオンって言えば分かるとか言ってたけど知ってる?」
商人「リカオン!?…何処に行ったか分かるかい?」
娘「聞いてないよ…宿屋か酒場じゃないの?」
商人「あぁ…ナイスタイミングだ!!ちょっと探して来る」ダダ
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643 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:09:07.35 ID:c2KZAoSz0
『酒場』
ポロロン〜♪
マスター「いらっしゃいませ…」
商人「ワインお願い…」キョロ
マスター「かしこまりました…どなたかお探しですか?」
商人「まぁね?背の高い女の人なんだけど…見てないかな?」
マスター「まさか先ほど大暴れしたお客様のお連れ様では無いでしょうね?」ギロ
商人「え?どういう事?」
くそぅ!!あんの 売女…逃げられちまった
血ぃ出てんぞ?大丈夫か?
噛みつきやがったんだ…くっそ!金払ってコレかよ
マスター「お客様…他のお客様が居りますのでそういったお話は奥の方で…」
野郎「おぉ騒がして済まんな…今日はツイて無ぇ」
商人「…」アゼン
マスター「…とまぁこの様な感じなのですよ…ワインをどうぞ」コトリ
商人「あ…ありがとう」チャリン
マスター「悪い娼婦が沢山居りますのでご注意を…」
商人「探し人かも知れないから一応追ってみるよ」グビ
マスター「もう行かれますか?」
商人「又来るかもしれない…ありがとう」ダダ
644 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:10:16.58 ID:c2KZAoSz0
『露店』
お客さん!お目が高い…黒死病に良く聞く妙薬なんですよ
これいくらするの?ハァハァ…
お高いですよ?…って…あああああああああ!!
ちょちょちょ…一気に飲む奴があるかぁぁぁ!!
狼女「ぷはぁぁぁぁ…あぁ癒される」ウットリ
店主「お客さん!!金貨持ってるんでしょうね!!」
狼女「これでお願い」ジャラジャラ
店主「…ひぃふぅみぃ…これじゃ足りない!!」
狼女「そんな堅い事言わないでさぁ…もう意識失いそうだったんだよ」
店主「何を言ってるんだ!!頭おかしいのか?衛兵呼ぶぞ!!」
狼女「それで持ってる金貨全部なんだ…ゴメン!悪気は無かった」
店主「ぐぬぬこっちも生活掛かってるんだ!きっちり払って貰わないと…」
タッタッタ
商人「あぁ待った待った…僕が残りを支払うよ」ジャラリ
店主「あ!!商人ギルドの受付の兄さん…このお客さん困った人なんだ」
商人「その様だね…まぁ僕に免じて勘弁してあげて」
店主「まぁそういう事なら…」
狼女「アレ?アレ?…商人?」クンクン
狼女「匂いが違う…誰?」
商人「まぁまぁ…君は騒動を起こしそうだから取り合えず一緒に来て」グイ
狼女「ちょっと待って…あんた誰?…私忙しいんだ」
商人「忙しそうには見えないよ…ここは目立っちゃうから向こう行って話そう」グイ
645 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:11:01.31 ID:c2KZAoSz0
『路地裏』
ファサ
商人「ほら?この顔に見覚えがあるだろう?」
狼女「商人!!探してたんだ…何処にも匂いが無いから居ないのかと思った」
商人「ハハ君は匂いで人を見分けるのか」
狼女「もしかしてアサシンと同じ病気?」
商人「まぁ…そういう事になるかな…不死者になってしまったよ」
狼女「兎に角見つかって良かった…もうお金も無くてどうしようかと思ってたんだ」
商人「いつこっちに来たんだい?」
狼女「昨日だよ…ずっと匂いを探してて疲れたよ」
商人「その様子だと宿屋も無いね?」
狼女「商人をアテにしてたのさ…」
商人「分かった…商人ギルドの建屋に空室があるから今日はそこで休むと良い」
狼女「良かったぁぁぁ」ホッ
646 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:12:01.33 ID:c2KZAoSz0
『商人ギルド_大部屋』
ガチャリ バタン
商人「ちょっと散らかってるけど好きに使って良いよ」
狼女「この部屋…一人で使ってるの?」
商人「今はね?どうして?」
狼女「知った匂いが残ってる…盗賊…女海賊…魔女…他にも」
商人「良く分かるねぇ」
狼女「今何処に居るか教えて」
商人「それは僕も知りたい」
狼女「隠しても無駄…だって匂いが残ってるし」
商人「う〜ん…ここに来てたのはもう何年も前だよ…僕も行方を捜してるんだ」
狼女「困ったなぁ…アサシンが機嫌を損ねる」
商人「察するにアサシンのお使いでこっちに来たんだね?」
狼女「そうよ…公爵の変化が見破れなくて政治的に追い詰められてる…これで理解出来る?」
商人「う〜ん…盗賊ギルドは今どんな感じ?あまり情報が流れて来なくてさ」
シャ・バクダは寒冷化で住みづらくなって盗賊ギルドは撤収
拠点をセントラルに移したものの支持母体がフィン・イッシュだという事が何処からかリークして監視が厳しくなった
貴族達は資金の面から盗賊ギルドとは縁を切れず裏で繋がりを持ったまま
貴族同士の押し引きの裏で私達が暗躍する立場ね
647 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:13:12.05 ID:c2KZAoSz0
商人「昔と変わり無しって事か…」
狼女「アサシンは公爵の暗殺に躍起になっているけれど中々尻尾を掴まえられなくてね…」
商人「君は匂いで見分けられないのかい?」
狼女「匂いも丸ごと変化してるからダメなの」
商人「なるほどね…政治的に追い詰められてるって言うのは?」
狼女「海洋で覇権を持ってる海賊達の半数が豪族を名乗ってセントラル側に付いて居るのよ」
商人「それは知ってる」
狼女「フィン・イッシュは海軍力を大幅に縮小したから海ではセントラルに勝てない」
商人「専守防衛の立場を変えて無きゃあまり関係無いんじゃない?」
狼女「外海が無ければそうね…でもセントラルは外海に進出しようとしてる」
商人「外海に拠点を作られると2方面から攻められる?」
狼女「そう…そして外海に遠征しているのが公爵の下に居る髭男爵」
商人「北の大陸の戦争はまだまだ長引くという事か…」
狼女「外海進出を各国が競っている状況よ…フィン・イッシュはもう出遅れている」
商人「ちょっと待って…政治的な話から逸れてるよ」
狼女「盗賊ギルドの支持母体がフィン・イッシュ…内海と外海の両方を抑えられた時点で資金は全部抑えられたも同じ」
商人「そこはキ・カイと貿易協定を結べば…」
狼女「フフ…さて公爵は何処に居ると思う?」
商人「なるほど…全部公爵にコントロールされてるのか」
狼女「だから変化を見破れるかも知れない魔女の協力が欲しいの…シン・リーンからの協力の件もね」
商人「残念だけど魔女とはいくら貝殻を使っても連絡が取れないんだ…女戦士が知ってたりしないかな?」
狼女「幽霊船は簡単に連絡取れなくって…」
商人「ハハ僕の方も同じだ」
狼女「ねぇ?今日一晩休んだら海士島に戻るからお金頂戴」
商人「頂戴?君はハッキリ物事を言うんだね…まぁ帰るお金は融通しても良いけどもう少しゆっくりしたら良いじゃない」
狼女「アサシンと待ち合わせてるんだ…遅れたりすると置いてきぼり食らうんだよ」
商人「それは切実だねぇ…実はさ…僕も君にちょっとお願いが有るんだよ」
狼女「何?貸しを作ったままじゃ気持ち悪いから聞いてあげるよ」
648 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:14:26.66 ID:c2KZAoSz0
『作戦』
商人「君はウェアウルフに変身が出来るよね?」
狼女「ま…まぁ…」
商人「結論から言うとウェアウルフになって街で大暴れして欲しいんだ」
狼女「死人が出るよ?」
商人「そこはほどほどにやって貰うとして…その目的は混乱に乗じて孤児たちを商船で移送したいんだ」
狼女「孤児?なんで?何処に移送?」
商人「まぁ色々有ってね…兎に角孤児たちをフィン・イッシュで保護して欲しいんだよ」
狼女「暴れるのは簡単だけど…元の姿に戻るときに問題が…」
商人「裸で寝てしまうんでしょ?そこは何とかする」
狼女「う〜ん…」
商人「キ・カイの地上で暴れるとみんな地下の方に避難を始める筈なんだ…その間に孤児たちを船に乗せる」
狼女「私はその後どうするの?」
商人「波戸場にコンテナを用意しておくから最後にその中で寝てしまって良い…船に積んでそのまま出港さ」
狼女「なるほど簡単そうね」
商人「今はオークとの戦争でキラーマシンの数も少ないから中々出てこない筈」
狼女「誰も食べないなら1時間くらいで元に戻っちゃう…それまでに避難終わるかな?」
商人「短いな…殺さない程度に生き血を啜るとか…もう少し時間稼げないかい?」
狼女「生き血…ぅぅぅ」ジュルリ
商人「どうにかして2時間くらい稼いで…あとは何とかする」
狼女「分かった…やる!!」グルル
商人「フフ君は分かりやすいな…興奮してるな?」
狼女「いつやる?今日?」
商人「船の手配が必要になる…明日の夕方でどう?」
649 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:15:54.08 ID:c2KZAoSz0
『夜』
ガチャリ バタン
影武者「お連れしました…」
商人「手間を取らせたね」
影武者「いえ…」
商人「ガレオン級の商船は手配出来そうかい?」
影武者「丁度物流が滞っていたのでなんとかなりました」
商人「それを聞いて安心した」
影武者「…では失礼します」ペコリ
スタスタ ガチャリ バタン
情報屋「話は影武者に聞いたわ…わざわざ孤児達を移送する理由が良く分からないけれど…」
商人「孤児たちを守る為さ」
情報屋「守る?割と安全だわ?」
商人「孤児を引き取った里親が誰なのか…」
情報屋「何度も言うけれど政府は開示してくれないの…でも幸せに暮らしてるって…」
商人「本当かい?」ギロリ
情報屋「どうしたの?そんな怖い顔をして?」
商人「君には本当の事を教えておこうかな」
情報屋「あなたあの子たちの行先知って居るの?」
商人「ズバリ言うよ…脳だけ摘出されてキラーマシン改に搭載されてる」
情報屋「え!!?」
商人「キラーマシン改が量産された時期と推定台数…孤児院から引き取られた子供たちの数がほぼ一緒さ」
情報屋「そんな…」ボーゼン
商人「10歳前後の子供の脳が一番機械化に適合するという研究調書も入手した…これは偶然だと思うかい?」
情報屋「証拠は?…」
商人「あるよ…僕の隠し部屋にね…孤児院に居た子供たちの誰かの脳だ」
タッタッタ…
650 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:16:55.55 ID:c2KZAoSz0
商人「ハッ!!…ぁぁぁしまった声が大きかった…影武者に聞かれたな」
情報屋「信じられない…」
商人「これも教えて置いてあげる…君の息子は1年前から言う事を聞かなくなったね?」
情報屋「…」
商人「仲良くしてた孤児院の子供が政府に引き取られた後からだ…恐らく何か知ってる…だからギャングに居るんだよ」
情報屋「商人や私から距離を置くようになったのはそのせい?」
商人「先月キラーマシン改を確保するのを手伝ってくれたのはギャング達だよ…そこに君の子も居た」
情報屋「あの子…」
商人「彼は盗賊の血を引いてる…察するに一人で友達の行先を確かめて色々知ったのさ」
情報屋「まだ8歳の子供なのに…」
商人「まぁ…そういう事情で僕はもう孤児たちを政府の好きな様にはさせないつもりだよ」
ムクリ シュタッ
狼女「グルルルル…」
商人「なんだ起きてたのか」
情報屋「リカオンさんお久しぶり…」
狼女「キラーマシンもぶっ壊して頭を持って帰って来れば良いんだね?」
商人「あぁぁ残念だけどキ・カイに残ってるのは旧式なんだ…新型はみんな戦地に行ってる筈」
狼女「なんかすっごくイライラする…」
商人「その分明日大暴れしてよ」
651 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:18:31.54 ID:c2KZAoSz0
『隠し部屋』
うぅぅ…ぅぅぅ…
影武者「うっ…くぅぅぅ…」ギュゥゥゥ
商人「影武者…気持ちは分かる…でも変な考えは起こさない様に」
影武者「は…はい…」ポロポロ
商人「まさか僕達が孤児たちを売っている立場になって居たなんてね…僕も腹が収まらない」グググ
情報屋「この事実を知って居る人はどの位居るの?」
商人「さぁね?少なくとも君の息子はある程度知ってる筈…だから大人の言う事を一切聞かなくなった」
情報屋「私があの子の友達を政府に売っていると思われて居たのね…」
商人「…」
商人「影武者…君はギャング達へのパイプ役として重要な立ち位置になっているのは自覚してるね?」
影武者「はい…」
商人「孤児院が無くなった後に政府はどう動くか予測出来るかい?」
影武者「ギャングの子供を拉致…」
情報屋「ちょっと待って…地下で生活してるギャング達も一緒に移送しましょう…ガレオン船なら乗れる筈…」
商人「それは多分無理さ…彼らは大人と戦ってるんだ…言う事聞く訳無い」
情報屋「無理やりにでも…」
商人「ダメだよそれでは…彼らの事をもっと尊重しなきゃダメだ」
情報屋「放置してるとギャングの子供達もキラーマシンにされてしまう…そんなの放って置けない」
商人「影武者…君がキーマンになる…僕のお金は自由に使って貰って構わない…分かるね?」
情報屋「どうする気?」
商人「戦うんだよ…自分の身は自分で守れる様に武器と…場所と…資金を上手く支援出来れば良い」
情報屋「まだ子供なのよ?」
商人「そんなだから君の息子は離れて行ってしまったんだ…認めてあげよう」
情報屋「…」
商人「影武者…君に掛かってる…上手くギャング達を導いてあげるんだ」
影武者「分かりました…」
商人「そうそう…くれぐれもキラーマシン改から友達を救う様な動きはさせない様に」
影武者「…」グググ
商人「その役は僕達大人がキッチリと片を付ける…それまで我慢するんだ」
影武者「はい…」
652 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:19:58.06 ID:c2KZAoSz0
『商人ギルド_屋上』
ヒュゥゥゥ… ヒラヒラ
情報屋「…」
商人「冷えると思ったら…雪か」
情報屋「商人…横にならなくて?」
商人「フッ…分かって居るだろう?」
情報屋「あ…ゴメン…不死者だったわね」
商人「君の方こそ真実を知って堪えたかい?」
情報屋「そうね…私が子供達の手を引いて政府に引き渡したんだもの…里親が誰なのかしっかり確認もしないで…」
商人「済んだ話さ…考えるだけ心がすり減るから無駄だよ」
情報屋「もう取り返しが付かない…あの子に説明する顔も無いわ」ギュゥ
商人「!?それは?…もしかして君の息子から貰った物?」
情報屋「そう…良く笑う優しい子だったの」
商人「そっか…そうそう影武者から聞いた話なんだけど…ギャングの子供達の構成…聞きたい?」
情報屋「教えて?」
リーダーはハーフオークの女の子…姉御って呼ばれてるらしい
その下に悪ガキが何人かいて君の息子はその一人さ
小さいのに絶対負けを認めなくてリーダーに一目置かれてる様だよ
ギャングの中ではちゃんと役割が決まってて
偵察役、囮役、実行役…僕らが思うよりずっと賢くてちゃんと組織になってる
情報屋「沢山仲間が居るのね?」
商人「フフ…まぁそうだよ」
情報屋「ねぇ商人?…私は母親失格だったかな?」
商人「良い母親がどんななのか僕は良く分からないなぁ…う〜ん愛って何なのか知った時に母親を想う」
情報屋「想う?」
商人「うん…離別でもそれを許容した愛に気付く時がある」
情報屋「難しい事言うのね」
商人「僕の場合母さんが死んだ時に母さんが残した言葉や想いが愛だったことに気付いた…それが良い母親なのかなってさ」
情報屋「私はあの子に何か残せてるかしら…」
商人「ちゃんと通じてると思うな…愛ってそういう物だと思う」
情報屋「少し心が落ち着いたわ…ありがとう」
653 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:20:53.54 ID:c2KZAoSz0
『翌日』
情報屋は事が起きるまで孤児院で待機して欲しい
子供達を避難させるルートは外壁を沿って商船まで直行だ
影武者は娘達と一緒に地下の商人ギルド支店の方に避難
僕はこれから軍隊が動きにくい様に色々工作してくる…
情報屋「荷物をまとめて船に積みたいのだけれど…」
商人「騒ぎが起きるのは夕方さ…それまでに間に合うなら先に商船に荷物を載せて構わない」
狼女「私は夕方まで待機?」
商人「君は一緒に来てもらう…工作に君が引っかからない様にあらかじめ教えておきたい」
狼女「工作ってどんな?」
商人「罠だよ…橋げたが落ちるとかロープに絡まるとか…」
狼女「なるほど…確かにそういうの苦手かもしれない」
商人「じゃぁ最後に影武者…僕はしばらく留守にするからその間君が闇商人だ…後は頼む」
影武者「わかりました」
情報屋「これでもう夜まで顔を合わさない?」
商人「そうなるね」
情報屋「分かったわ…」
商人「じゃぁ狼女…行こう」タッタッタ
--------------
情報屋「影武者さん?お願いがあるのだけれど…」
影武者「何かな?」
情報屋「手紙を書くから私の息子に渡して欲しいの」
影武者「構わないよ」
情報屋「少し待ってて…」
影武者「商人ギルドのカウンターに居るから書き終わったら持って来て」
情報屋「フフ…あなた商人の前でも同じように喋れば良いのに」
影武者「一応主従関係は守っているのさ」
654 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:21:31.04 ID:c2KZAoSz0
『街路』
ワイワイ ガヤガヤ
商人「僕は普段から逃走用に色々罠を張ってるんだよ…それを教えて置く」
狼女「へぇ?」
ここの石は踏むと落ちる…
この井戸は向こう側に繋がってる…
この樽を落とすと下まで転がって爆発する仕組みさ
狼女「これあちこちに有るの?」
商人「そうだよ」
狼女「どのくらいの衛兵が出て来る見込み?」
商人「直ぐに出て来るのは10人程度さ…武装も大した事無い」
狼女「軍隊は?」
商人「キラーマシンは足が遅いから君なら楽勝だよ…問題は特殊な兵器を持った人間」
狼女「特殊というと?」
商人「女海賊が持ってたインドラの銃を知ってるかい?」
狼女「話には聞いた…それを使って来るという事?」
商人「…かも知れない」
狼女「音とか匂いに特徴は?」
商人「う〜ん…説明出来ないな…兎に角見た事の無い爆発が起きたらマズイと思った方が良い」
狼女「夜に遠距離攻撃が私に当たるとは思えないけどね」
商人「お!?そうか…明かりを消して置けば良いんだね?」
狼女「それならずっと私のターン」
商人「ランプに水を入れて置くだけの簡単な仕事だ…今からやる」
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655 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:21:56.68 ID:c2KZAoSz0
『日暮れ_商船』
ザブン ギシギシ
船乗り「密航者…まだ来無ぇんだが…」
商人「そろそろだよ…出航の準備始めて良いよ」
船乗り「お前等ぁぁぁ!!碇を上げておけぇぇ」
野郎共「へ〜い!!えっさほいさ!!」
ピーーーーーーー
船乗り「んんん?街の方が何か騒がしいな?」
商人「ハハどうしたんだろうね?」
船乗り「暗くなってきて良く見えんな…」
野郎共「コンテナが一つ荷入れ終わっていやせんがまだ入れんで良いんすか?」
商人「あぁぁ入れるタイミングは僕が言うからもう少し待って」
船乗り「俺らは何も知らんかったで通る荷なんだろうな?」
商人「大丈夫さ…今まで商人ギルドが手配した物にマズイ物なんか有った事無いでしょ?」
船乗り「まぁそうだな…金は貰ってる訳だから文句は言うめぇ」
『数分後_隣の大型船』
ドタドタ ドタドタ
豪族の男「お前等ぁ!!仕事だぁ!!武器持って集まれ!!」
ごろつき「おうよ!!」スラーン
豪族の男「害獣駆逐を装って軍隊の武器かっぱらうぞ」
ごろつき「噂のやつだな?」
豪族の男「アレをセントラルに持って行きゃ領地分与間違い無ぇ…来い!!」ダダダ
ごろつき「うぉぉぉぉ」ドタドタ
656 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:22:37.03 ID:c2KZAoSz0
『商船』
ギシギシ
商人「…」---伏兵か…これはゴチャゴチャになる---
船乗り「街で何が起こってんだ?」キョロ
ドーン パラパラ
船乗り「うぉ!!何だぁ?」
商人「ちぃぃ…暗くてどうなってるか分からないな」
船乗り「早い所出港しないと船が巻き込まれそうだ…」
タッタッタ
情報屋「商人!!作戦変更よ!!はぁはぁ…」
商人「情報屋!!どういう事だい?」
情報屋「何処かに睡眠魔法を使う人が紛れててリカオンが苦戦してるの…ハァハァ」
商人「なんだって!!?」ダダ
情報屋「自分に噛みつきながらなんとか戦ってる…リカオンを撤退させないと」
商人「子供達は?」
情報屋「もう直ぐ此処に来るわ」
商人「睡眠魔法…僕は寝ない…僕が行って来る」
情報屋「街道の井戸の辺り…行ってあげて」
商人「キラーマシンは出てる?」
情報屋「まだ出てない…でもクロスボウが飛び回っているから気を付けて」
商人「こっちは君に任せる」ダダダ
情報屋「任せて」
657 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:23:19.71 ID:c2KZAoSz0
『街道』
路地裏をくまなく探せぇ!!
屋根に上っているかも知れん!!
商人「…この辺で隠れるとしたら井戸だ…」ブツブツ
兵隊「おいお前!!この辺に魔物が潜んで居るから避難しろぉ!!」
商人「あぁ…連れを探しているんだ」
兵隊「状況を分かって居ないのかお前は!!」グイ
商人「隠れれば良いんだね?放して欲しい」
兵隊「分かったらサッサと行くんだ」
商人「井戸の中に…」スタ
兵隊「そこから動くな!?」
商人「うん…」
『井戸の奥』
グルルル フゥ…フゥ
商人「やっぱり此処に居たか…エリクサーがある…一口飲んで」クイ
ウェアウルフ「話が違う…魔法使うなんて」フラフラ
商人「刺さったボルト抜くよ?」
ウェアウルフ「自分で抜ける…」ズボ ダラダラ
商人「出血酷いな」
ウェアウルフ「もっとエリクサー頂戴…正気失うかも」
商人「飲ませにくいな…元の姿に戻れる?」
ウェアウルフ「寝てしまって良いの?」
商人「大丈夫…背負って行くよ」
ウェアウルフ「分かった…ちょっと寝る…失血で気持ち悪い」グター
商人「こんな風に体が変化して行くのか…すごいな」
ウェアウルフ「…」グッタリ
商人「さて…よっこら…アレ?割と軽いな」
商人「なんだエルフとかドワーフとは違うのか」ヨタヨタ
ウェアウルフ「グルル…」ブシュー
商人「動かすと血が出てしまうか…先に止血しよう」グイ グイ ギュー
商人「流石に裸のまま背負って行くのもマズいな…仕方ない」ファサ
商人「さぁ急いで此処を離れよう…」ヨタヨタ
658 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:24:04.33 ID:c2KZAoSz0
『街道』
倒れている者を建屋の中に引きずり入れろぉ!!
こっちはダメだぁ!!火の手が回る
商人「…」ヨタヨタ
兵隊「お前!!隠れて居ろと言っただろう!!」
商人「連れを手当しないと死んでしまう…行かせて」ヨタヨタ
兵隊「怪我をしているのか?」
商人「商船に行けば薬と船医が居る筈…だから行かせて」ヨタヨタ
兵隊「そ…そうか…後ろは見張っててやる!!急いで行け!!」
ピーーーーーーーー 敵襲! 敵襲!
兵隊「ええい!!向こうか!!おいお前!!走れ!!」
商人「分かってるさ…」ヨタヨタ
兵隊「ちぃぃぃ手間のかかる奴だ…ハッ!!お…お前…その顔は」
商人「白狼の一味の人相書きに似てる?ハハ良く言われるんだ…でも違うよ」
兵隊「そ…そうか」タジ
商人「今はそんな事話してる場合じゃ無い…僕は連れを助けたいから行かせて貰う」ヨタヨタ
兵隊「早く行け!!」
商人「気にかけて貰って悪いね…じゃぁ」ヨタヨタ
659 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:24:51.99 ID:c2KZAoSz0
『商船』
ザブン ギシギシ
情報屋「商人!!無事ね?」タッタッタ
商人「うん…出航しよう」ヨッコラ
情報屋「船乗りさん船を出して!!行先は海士島経由でフィン・イッシュ」
船乗り「おうよ!!お前等ぁぁぁ!!帆を張れぇぇ」
野郎共「へ〜い!!えっさほいさ!!」
商人「リカオンに手当てが必要だ…船医を呼んで」
情報屋「ダメ…普通の体では無いから私達で対処しないといけない」
商人「そうなんだ?」
情報屋「犬に玉ねぎを食べさせてはいけないのと同じよ…私達とは違うの」
商人「なるほど…エリクサーがあと少ししか無いんだけど」
情報屋「大丈夫…私の血を飲ませれば良くなる筈だから」
商人「あぁそういう事か…皆から少しづつ血を分けて貰えば良いか」
ドーン
情報屋「爆発?兵隊達は何と戦って?」
商人「豪族がどさくさに略奪を画策してる様なんだ…僕達にしたら都合が良い」
情報屋「そう…」トーイメ
商人「ギャングの事が心配かい?」
情報屋「きっと大丈夫…そうよね?」
商人「一人じゃ無いから」
情報屋「そうね…さて!!私達も仲間を助けましょう!!針と糸を用意してもらって?」
商人「貰って来るよ」スック
660 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:25:25.61 ID:c2KZAoSz0
『埠頭の外れ』
ザブン ザザー
オークの子「会わなくて良かったのかい?」
悪ガキ「…」ジー
オークの子「まぁ良いや…帰るよ」
悪ガキ「…」スチャ
オークの子「ん?どうしたんだよそのダガー」
悪ガキ「形見だって母さんが残して行った」
オークの子「形見?誰の?」
悪ガキ「父さん」
オークの子「父さんが誰なのか教えてくれたのか?」
悪ガキ「うん…母さんは行方不明の父さんを探しに行ったんだ」
オークの子「へぇ?…で?どこのどいつ?」
悪ガキ「秘密だよ」
オークの子「もったいぶんなよ!」
悪ガキ「秘密にするって約束なんだ」
オークの子「フン!!帰るよ」
悪ガキ「僕の道…母さんの道…次はいつ交わるかな…」
オークの子「おっぱいが恋しいか?」
悪ガキ「そんなんじゃねぇ!!」
オークの子「小さい子が待ってんだ!!早く帰るよ!!」グイ
悪ガキ「…」ジー
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661 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:26:15.23 ID:c2KZAoSz0
『商船_客室』
ユラ〜 ギシギシ
商人「リカオンに悪い事したな…傷の縫い目…治るかな?」
情報屋「どうかしら?顔じゃ無かったのが幸いね」
商人「…これ使ってよ」スッ
情報屋「賢者の石ね…丁度良かった」
商人「それにしてもキ・カイに魔術師が居たなんて…侮ってた」
情報屋「黒の同胞がまだ紛れているのかも…」
商人「公爵が化けている可能性は考えて居たんだ…特に機械化の大臣が怪しい」
情報屋「もしかすると変化の杖以外にまどろみの杖を持って居るのかも知れない」
商人「杖か…なるほど」
情報屋「さて…治療は終わり」スック
商人「まぁ無事に出港出来てとりあえず結果オーライか」
情報屋「商人に見てもらいたい資料が有るのだけれど」
商人「何かな?」
情報屋「例のリヴァイアサンを乗せて来た船の航海日誌の件よ」
商人「おぉ!!それも調査出来たんだね」
情報屋「軍の重要機密だったけれど少しづつ写したのよ」
商人「見たいな…」
情報屋「待って…持ってくるから」タッタ
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662 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:27:01.50 ID:c2KZAoSz0
バサッ
商人「これは4000年前の地軸変動以前の世界地図だね?」
情報屋「印が打ってある場所が古代遺跡のある場所よ…大体そこに新しい国が出来上がってる」
商人「これが関係する?」
情報屋「この地図に未来君の壁画から読み取ったフィン・イッシュ沖の地図を追加するとこうなる…」カキカキ
商人「ふむ…外海は巨大な海だ」
情報屋「そして航海日誌にも海図が記されて居て…そこから読み取るとこの場所…」
商人「島?」
情報屋「地図をひっくり返して現在の地図と比較してみるとその島は未踏の地に位置する」
商人「北極圏か…じゃぁリヴァイアサンはそこから連れて来たのか」
情報屋「そうなるわね…そしてそこに古代遺跡が在るらしいのよ」
商人「なるほど分かったぞ!この間キ・カイの軍船が船団組んで出て行ったのはソコを目指してるのか」
情報屋「きっとそうよ」
商人「まさか君はそこに行こうとしてる?」
情報屋「魔女達も其処に行ったのかと…」
商人「僕達だけじゃ無理だろうなぁ…女戦士の幽霊船ならもしかすると行けるかもしれないけれど…」
情報屋「まだ情報があるの…未来君の壁画とフィン・イッシュに伝わる龍神伝説から鑑みて未来君も其処に行ってる筈」
商人「ふむ…でも外海をどうやって移動してたんだろう?」
情報屋「クジラに乗った画が有るでしょう?」
商人「ハハクジラに乗って外海を自由に移動して居た?真似は出来ないなぁ」
情報屋「まだ情報を沢山まとめてあるのよ…これも見て」パサ
商人「ちょっと待った…ゆっくり一つづつ見て行く」
コレハアレデ…アレハコレデ…
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663 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:37:07.66 ID:c2KZAoSz0
『1時間後』
2100年前に初めて時の王と出会う…その後時の王は永遠の命を得て世界を平定
未来君はこの時現代へ戻る事を試みて400年遡った
そして今から1700年前に時の王と再会を果たす
でも魔王を葬る為に量子転移を使い又時空を飛んでしまった…行き先は2400年前
一方…時の王は未来君が過去に戻ってしまった事を知らず再度再開を待ち続けた
次に会ったのは1400年前…でも未来君には何の事か分からない
情報屋「生きた時間が交差し続けた事ですれ違いが起きたのね…」
商人「なるほど…今の仮説通りに進んだとすると全部辻褄が合うのか」
情報屋「この仮説を前提に考えると未来君は時の王が言ってた暁の使徒よ…時の王の話と完全に一致するわ」
商人「つまり暁の使徒の行先を追えば良いのか」
情報屋「シン・リーンには暁の使徒を安置している墓所があるらしいのよ」
商人「じゃぁ魔女に話を聞かないとね」
情報屋「まず魔女を探さないといけない」
商人「外海調査の件でフィン・イッシュが他の国に出遅れているらしい…女王に協力をお願いしてみるかな」
情報屋「その言葉が聞きたかったわ」
商人「でもどうして何年も行方不明になって居ると思う?」
情報屋「伝説が本当だったとすると時の砂を使ってしまったのかも知れない…」
商人「未来君と同じなら何百年も未来じゃないと見つからないのかもねぇ…」
664 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:38:05.91 ID:c2KZAoSz0
『翌日』
フムフム…
情報屋「まだ私の調書を読んで居るの?」
商人「うん…もっと早くこの情報が知りたかったなぁ」
情報屋「どの部分?」
商人「全部さ…特にキ・カイ周辺で新しく発見された古代遺跡の件」
情報屋「あら?知って居るかと思っていたわ」
商人「ホムンクルスを蘇らせる為のエネルギーを探していると言ってたじゃないか」
情報屋「言い出さないから何か考えがあるのかと…」
商人「まぁ…場所が分かったとして探しに行けるかどうか分からないんだけどさ…盗賊が居たらなぁ…」
情報屋「あの人…直ぐに戻ると言って居たのに…」
商人「この間見たインドラの銃はどうせ遺跡から発見された物だよね」
情報屋「きっとそうね…軍の最高機密だから私は知らなかった」
商人「他のホムンクルスとか発見されてるかも知れないなぁ」
情報屋「あら?ホムンクルスの生体が残されている数はホムンクルスが把握して居たのでは?」
商人「あ…そうだったね…キ・カイ周辺には無いと言ってたか」
情報屋「生体の部品ならもしかしたら発掘されて居るかもしれないわね」
商人「だとすると事情を知ってる僕達の方が先を行ってるか」
情報屋「そうそう…例のインドラの銃」
商人「ん?」
情報屋「女海賊が持って居る物と原理が違うと思うわ」
商人「どうして?」
情報屋「発射された光が眼で追えるから高密度の光では無いと思う…多分高密度の電気とかプラズマの類ね」
商人「あぁぁぁそう言えばそうだね…インドラの光は発射が見えない」
情報屋「それでも兵器としては驚異になる」
商人「ハハーン…分かったぞ」
情報屋「??」ハテ?
商人「リヴァイアサンを捕獲したかった理由だよ…高密度のエネルギー源が欲しかったのかなと」
情報屋「捕獲出来たとしても扱えるとは思えない…逃げられて良かったと思うわ」
商人「ふむふむ…キ・カイの弱点はエネルギーだな…魔石流通を握れば僕の勝ちか」
情報屋「関税が上がったのでは?」
商人「そうだね…流通が縮小する…自業自得さ」
665 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:38:43.61 ID:c2KZAoSz0
『甲板』
ザブ〜ン ユラ〜
情報屋「大丈夫?歩ける?」
狼女「風に当たりたい…おえっ」ウップ
商人「あ!!体は平気?」
狼女「誰の血か知らないけど腐った血を飲んじゃった…おぇぇぇぇ」ウゲー
情報屋「抜いた血じゃダメだったのね…」
商人「生き血じゃ無いとダメか…困ったね」
情報屋「なんだか随分瘦せた気が…」
狼女「そういう体質」
商人「ゴメンね無理させちゃって」
狼女「丁度アサシンから痩せろと言われてたんだ…今を維持する」
商人「あと一口エリクサーあるよ…要るかい?」
狼女「要る…頂戴」
商人「海士島に到着したら又買い入れてあげるよ」ポイ
狼女「私どのくらい寝てた?」
商人「1日くらい?まぁ海士島まではまだまだ掛かるからゆっくり休むと良いさ」
狼女「!!?」クンクン
商人「ん?何か匂う?」
狼女「なんだろうこの感じ…下に何か居る気がする」シュタタ
船乗り「で…出たぁぁ…あわわわ…ク…クラーケンやぁぁ!!」アタフタ
情報屋「ええ!!?」ダダ
商人「ちょ…」ダダ
情報屋「船の下に大きな影…」
狼女「これ沈没の危機?」
情報屋「分かったわ…クラーケンは様子を見てる…孤児の中にハーフオークが居るから」
商人「そういう事か…じゃぁ逆に安全かも知れない」
情報屋「昔にもこんな事有ったわね…船乗りさん慌てなくて大丈夫!襲って来ないから」
船乗り「慌てるも何もどうする事も出来んわい!!」
商人「去るのを待つだね…」
ザブ〜ン ギシギシ
おぉぉぉデカイ
襲って来んのんかぁ?
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666 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:39:27.26 ID:c2KZAoSz0
『船首』
ユラ〜 ザブ〜ン
狼女「ヒマ…」
商人「顔色良くなったね」
狼女「何してるの?」
商人「貝殻聞いてるのさ」
狼女「その貝殻は魔女と会話出来ると言う奴?」
商人「そうだよ」
狼女「何か聞こえる?」
商人「波の音…それからカサカサ動くカニの足音かな?」
狼女「アサシンも同じ事言ってたよ…本当に会話出来るの?」
商人「繋がってる筈…だったんだけど今はもう…」
狼女「魔女としか繋がらないと言うのがダメダメだね」
商人「まぁ…そういう貝殻だからさ…仕方ない」
狼女「私耳も良く聞こえるんだ…貸して」
商人「良いよ…海に落とさないでね」ポイ
狼女「どれどれ…」パス
商人「どう?」
狼女「ふむ…波の音…」
海流が早くてぶつかり合う海…
貝が呼吸する音が無いから寒い海…
カサカサする足音は8本足…それは何匹も居る
あ…他にも虫の羽音がする…ミツバチの羽音
商人「ちょっと待った…それって飛空艇の中だな…8本足はアラクネーだ」
狼女「匂いは届かないみたい…」クンクン
商人「何処の海なのか特定出来ないかい?」
狼女「ヒマだからもう少し聞いてみる」
うっすら浅い雪が遠くの音を消してる…
葉っぱのこすれる音が無いから木や植物は殆ど生えて居ない
直ぐ近くに音を遮る大きな建物の様な物がある…なんだろう?複雑な形
667 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:40:19.49 ID:c2KZAoSz0
『居室』
ガチャリ バタン
情報屋「どうしたの?何か有った?」
商人「魔女の居場所が分かるかもしれない…地図借りるよ」パサ
情報屋「急にどういう事?」
商人「耳の良いリカオンに貝殻の音を聴いてもらったら色々分かった事が有る」
情報屋「魔女と通じてるの?」
商人「結論から言う…どうやら飛空艇は海岸の何処かで漂着してる」
情報屋「そんな…」
商人「女海賊は飛空艇を必ず狭間に隠す筈なんだ…それをやってない…つまり何処かに漂着してる」
情報屋「それって3人共既に…」
商人「考えたく無いけど貝殻から聞こえる音からそう読み取れるんだ」
情報屋「波の音がすると言うのは…」
商人「何年も前からその状態のままなのさ…てっきり貝殻を何処かに落としたのかと思ってた」
情報屋「どうして波の音から飛空艇があると分かるの?」
商人「僕がカニの足音だと思ってた音はどうやらアラクネーなのさ…ミツバチの羽音も聞こえるらしい」
情報屋「あぁ…なんかザワつく…あの人がもう死んでるなんて考えたく無い」
商人「地図…借りて行くよ」
情報屋「私も行くわ」
668 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:40:50.14 ID:c2KZAoSz0
『船首』
カキカキ
商人「んぁぁ…音だけの情報で場所の特定なんか出来る訳無いか」
狼女「季節が変わればもう少し違った音も聞こえるかもしれないよ」
情報屋「そこは大陸だとか島だとか…そういうのは判断できないの?」
狼女「生き物の音がもう少し聞こえればもしかしたら判断出来るかも」
商人「今分かるのは恐らく南の大陸の何処か…北の大陸は雪が深いから」
情報屋「外海の側だともっと分からないわね」
商人「海に落ちて漂着したと考えるとある程度絞られる…」
情報屋「船乗りさんにも意見を聞いて来るわ…地図持っていくわね」タッタッタ
狼女「貝殻の音を聞いてるのは心地良い…良い暇つぶしだよ」
商人「なにか気付いたら又教えて」
『船長室』
海図をやすやす人に見せる物では無いんだが…
船乗り「ほーう?その地図は外海の側まで陸地を描いて居るのか…ふむ」
情報屋「交換条件でどう?」
船乗り「よし分かった!!貸してみろ…俺が知って居る範囲で海流を書き込んでやる」
情報屋「助かるわ…」
船乗り「季節によって変わるんだが…」
情報屋「全部知りたいわ」
船乗り「地図一枚では書き表せんな」
情報屋「じゃぁ新しく海図を起こすわ」
船乗り「それが良い…出来たら又持って来てくれ」
情報屋「分かったわ」
船乗り「それから今日は海が時化るから船室の中に入る様に伝えてくれ…測量の邪魔になるから船首に出るなともな」
情報屋「あぁ…邪魔になって居たのね…伝えておくわ」
669 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:42:12.23 ID:c2KZAoSz0
『居室』
ユラ〜〜リ ギシギシ
情報屋「商人仕事よ…この地図に描き込み切れないから同じものを複製するの」
商人「また地味な仕事を…」
情報屋「製図はあなた得意でしょう?」
商人「道具を何も持って来てないんだけどなぁ…」
情報屋「海流が書き込めるだけの簡単な地図で良いわ」
商人「1枚で良い?」
情報屋「季節によって変わるらしいから何枚か必要になると思うわ」
商人「まぁ何もやる事無かった所だし…書くかぁ…」
情報屋「お願いね…私はリカオンの気付きをもう少しまとめてみるから」
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--------------
670 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:42:45.28 ID:c2KZAoSz0
『数日後』
情報屋「海士島に到着したら子供達は一回船を降ろしても良いのね?」
商人「2日間停泊する予定だからそれまでに戻れば良いかな」
情報屋「暖かいから外で夜を明かしても良さそう」
商人「まぁ危ないから寝るのは船が良いでしょ」
情報屋「まとめて休める場所があれば良いのに…」
商人「教会があるけど他の人も沢山居るからねぇ…」
情報屋「リカオンはどうする予定?」
狼女「酒場に盗賊ギルドの連絡員が居るから状況聞いてから決める」
情報屋「連絡員は誰?」
商人「ハハ君はキ・カイで研究しっぱなしだから知らないのか」
情報屋「商人は知って居るの?」
商人「女狐だよ」
情報屋「あぁぁ…お金にガメツイ彼女が連絡員…フフ」
商人「向いてると思うけどね…良く世話になってる」
狼女「今はセントラルよりも海士島の方が情報集まるんだよ」
商人「だろうね?航海で必ず補給に寄る場所だしね」
情報屋「アサシンも海士島に来るのよね?」
狼女「その筈だけど…」
商人「アサシンは何しに来るんだろう?」
狼女「私が魔女の情報掴んでくる想定なんだと思う」
商人「一応掴んでいるじゃないか」
狼女「次の行き先が絞られて居ないのが…」
情報屋「限られた情報で絞り込むのは限界が有るわ…虱潰しに調べるしか無いわね」
商人「僕達は高速で移動する手段を持って居ないのがねぇ…」
情報屋「女戦士と連絡が取れれば良いのに」
商人「アレ?そういえば幽霊船が目撃されてる場所って…」
狼女「フィン・イッシュ沖の外海に出る海峡付近とか…ドワーフの国領の島々とか…」
商人「もしかして飛空艇がどこかに漂着してるのを僕達よりも先に気付いてたりしないか?」
情報屋「ありえるわ…」
671 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:43:19.90 ID:c2KZAoSz0
『海士島』
ガコン ガコ
船乗り「お前等ぁぁ!!碇を降ろせぇぇぇ!!」
野郎共「へ〜い!!えっさほいさ」ガラガラガラ
船乗り「降りて良いぞぉ!!」
わ〜い ウキャキャ
大きい子は小さい子の手を繋いでゆっくり降りて…
銀貨は一人1枚づつ…好きな物買って良いわ
商人「僕は少し物資調達してから酒場に行くけれど…君はどうする?」
情報屋「私は子供達を遠くから監視しておくわ」
商人「夜は船に戻って横になる…それで良いね?」
情報屋「わかったわ…何か有ったら船に戻るから」
商人「じゃぁリカオン!!一緒に行こう…君はお金を持って居ないよね」
狼女「エ…エリクサー欲しい…喉が渇いた」
-------------
『露店』
ワイワイ ガヤガヤ
狼女「あれ商人?あんた歩き方おかしくないか?」
商人「あぁコレね…足の骨が折れてるんだよ」ヒョコヒョコ
狼女「痛みが無いから無理をしても気付かないんだね」
商人「うん…エリクサーじゃ治らないのさ」
狼女「その体も不便だね」
商人「まぁ少しゾンビみたいな歩き方だけどそれ程不自由は無い」
狼女「そういえばアサシンは体傷めない様に注意してると言ってたな」
商人「僕は元々骨が細いからねぇ…もう少しマシな体だと良かったよ」
雑貨屋「黒死病に効く名薬は要らんかね〜?」
商人「お!?エリクサーは有るかな?」
雑貨屋「ほほーエリクサーをお求めとは…ちぃと値が張りますが?」
商人「産地は何処かな?」
雑貨屋「セントラル産でさぁ!」
商人「じゃぁ仕入れは1瓶10金貨だね…いくらで売るの?」
雑貨屋「う…お客さん人が悪いなぁ」
商人「ハハ冗談だよ15金貨で頼むよ」ジャラリ
雑貨屋「むむむ…仕方ない」
商人「ありがとね…リカオン?飲んで良いよ」ポイ
狼女「大事に飲むよ」チビリ ゴク
商人「寒冷化で大分高騰してる…でもこれでも安い方さ」
672 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:44:04.40 ID:c2KZAoSz0
『酒場』
ポロロン〜♪
マスター「いらっしゃいま…せ」
商人「やぁ!!久しぶり」
狼女「…」チラリ
マスター「奥の部屋へどうぞ…」
商人「いやカウンターで良いよ…空いてるじゃない」
マスター「いえ奥へ…」グイ
狼女「…」シラーー
商人「え?まぁ良いや…さっき付いたばっかりなんだ」
マスター「…」ギロリ グイ
商人「ハハ…参ったな」
『奥の部屋』
ガチャリ バタン
マスター(あなた堂々と店に入って来るってどういう神経してるの!!)ヒソ
商人(マズかった?)
マスター(あなたじゃない…そっちの狼女の方!)
狼女(ゴメゴメ…もう騒ぎ起こさないから)
商人(こっちの酒場でも何か起こしてるんだ…ハハ)
マスター(まだあの豪族海士島でうろついて居るから変装するとか少し気を使って!)
商人(まぁまぁ…そんなに長居するつもりは無いから勘弁してよ)
マスター(商人…この狼女はね…必ず酒場で揉め事起こすバカ女なのよ)
狼女「バカ女って何ヨ!!」ガタン
商人「ちょちょちょ…今揉め事起こさないって言ったばかりじゃ無いか」
狼女「フン!!」
商人「とりあえず何か飲もうか」
狼女「コブラ酒!!タンブラー2つ!!」プン
マスター「…」アゼン
商人「ハハ…まぁそれで良いや」
マスター「呆れた…」
狼女「ルールでしょう?」ニヤ
マスター「ぐぬぬ…後でお持ちします!!」スタ
ガチャリ バタン!!
673 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:44:42.99 ID:c2KZAoSz0
商人「怒ってるみたいだけど大丈夫?」
狼女「私も怒ってる」
商人「さっきのやり取りって何かの合図だよね?コブラ酒とか」
狼女「2人を保護しろっていう意味…女狐は私達2人を保護しなきゃいけない」
商人「なるほど…」
狼女「外ブラついてみる?」ニヤ
商人「まぁまぁ…大人しくして居ようか」---揉め事が起きる訳だ---
ヤレヤレ…
--------------
ガヤガヤ ウハハハハ
狼女「ふ〜ん…」
商人「ん?何?」
狼女「私は耳が良く聞こえるって言ったでしょう?」
商人「もしかして酒場で誰かが話してる内容が聞こえてる?」
狼女「そうよ…良い噂が聞こえて来た」
商人「気になるじゃ無いか…教えてよ」
狼女「幽霊船が近くで目撃されて居るらしい」
商人「おぉ!!」
狼女「もしかすると補給で海士島に来るかもしれない」
商人「う〜ん…入れ違いになってしまいそうだ」
狼女「私はアサシンが来るまで海士島に残らなければならないから…会えたら事情を話して置く」
商人「いや…子供達さえ良ければ急いでフィン・イッシュに行く必要も無いんだ」
狼女「良い事思いついた!!子供達の人数分タンブラーを頼むのよ!!どう?」
商人「え!!?そんな事出来るのかい?匿う場所とか…食事代も掛るし手間だって」
狼女「あの女狐はね…お金を沢山貯め込んで居るのよ…何に使うか知らないけれど」
商人「…」
狼女「む…何か知ってる顔…」
商人「実は孤児院に送り主不明の寄付金が届いて来るんだ…もしかしてと思ってね」
狼女「まさか…あの女が寄付なんて」
商人「ふむふむ…よし…子供達の人数分タンブラーを頼んでみよう」
狼女「アハハあの女どんな顔するかな?盗賊ギルドで美人ナンバーワンが…ウフフフ」
商人「嫉妬かい?実力は君がナンバーワンだと思うんだけどなぁ」
ガチャリ バタン
674 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:45:19.90 ID:c2KZAoSz0
マスター「コブラ酒をどうぞ…」ポイ
狼女「あぶっ…」パス
マスター「はい…タンブラーはここに」ドン!!
商人「??」---メモ書き?---
”深夜に醸造蔵の裏で待つ”
マスター「ではごゆっくり」ギロリ
狼女「あぁぁちょっと待って!!タンブラー追加」ニヤ
マスター「いくつご入用でしょう?」シラー
狼女「30個」
マスター「なっ…」プルプル ググググ
狼女「…」ニコニコ
商人「まぁ…もういい加減にしなよ…マスターちょっと耳貸して…実はね」
ヒソヒソ ヒソヒソ
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675 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:46:04.42 ID:c2KZAoSz0
『商船』
ザブン ギシギシ
船乗り「もう帰って来たのか?」
商人「なかなか落ち着ける場所も無くてねぇ…」
船乗り「だろうな?豪族が幅を利かせて落ち着いて酒も飲めん」
商人「船の方がよほど落ち着く」
船乗り「掃除が済んだ所だから適当に甲板で休むと良い」
商人「そうするよ」
狼女「商人?お金頂戴」
商人「え?何に使うの?」
狼女「どうも顔を隠しておかないと自由に行動出来ないみたいだから…」
商人「フードが欲しいんだ?」
狼女「着替えも変えたい…血の汚れが落ちなくてさ…匂いが気になるんだ」
商人「ハハ匂い?鼻が利くとやっぱり気になるのか」
狼女「自分の血は臭くて気持ち悪いんだよ」
商人「そんなもんかねぇ?まぁ良いや…これだけ有れば足りるよね」ジャラリ
狼女「ありぃ!!ちょと買い物行って来る」シュタタ
商人「なかなかお金の掛かる子だ…アサシンが単独行動させたいのが分かる」
狼女「うるさいなぁ!!聞こえてるよ!!」クルリ
商人「小言も言えないか…」
676 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:47:02.50 ID:c2KZAoSz0
『夜』
ザザー ザブン
情報屋「ふぅ…やっと子供達寝たわ」
商人「面倒見…大変だったね」
情報屋「大きな子が殆どやってくれるけれど迷子になる子がどうしても居てね」
商人「みんな楽しめていたかい?」
情報屋「そうね…お金無くしたり色々あったけれど」
商人「ハハ精々30銀貨でしょ?僕は今日だけで30金貨ほど使ったよ…」
情報屋「エリクサーを買ったのでしょう?仕方ないわ」
商人「まぁリカオンを危険に晒した事を思えば安いか」
狼女「ああ!!そうだ…睡眠魔法を使った人」
商人「見たのかい?」
狼女「無詠唱だったんだよ…いきなり周りの人がフラフラ倒れて…」
情報屋「それはまどろみの杖で間違いなさそうね…」
商人「やっぱり公爵の線が強いね」
狼女「これアサシンに報告する重要な情報になりそう」
商人「変化の杖で姿を変えながら割と能動的に動いている感じだね」
狼女「多分…日数から考えて明日くらいに此処に来ててもおかしくない」
商人「…という事は子供達を人目に晒すのは僕達の行動を晒しているのと同じだなぁ」
情報屋「本当に厄介ね…」
商人「そこら辺も今晩女狐に話してみる」
情報屋「今晩?どういう話に?」
商人「彼女はセントラル側の諜報員という立場になっててね…簡単に情報交換出来ないのさ」
情報屋「酒場じゃない場所で会う訳ね」
商人「うん…どうもリカオンと相性も悪いみたいでね…まだ話を聞き出せてない」
狼女「あっちが私の事下に見てるんだよ!!」
商人「まぁまぁまぁ…実力は君の方が上なのは分かってる…耳も鼻も利くし戦闘もこなす」
狼女「…」
商人「2人が噛み合えばベストなんだけどね」
情報屋「私も会いに行って良いかしら?」
商人「僕とリカオンで会う話になっていたんだけど…どうかな?」
狼女「別に良いんじゃない?見知った顔なんだし」
情報屋「あぁ…やっぱり止めて置くわ…人数多いと他に怪しむ人が出て来るかもしれない」
商人「そうかい?」
情報屋「私も盗賊ギルドに居たから分かるのよ…予定変更されると面倒事に発展しやすいの」
商人「そうなんだ?まぁ…話は後で全部教えてあげるよ」
情報屋「わかったわ」
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677 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:48:11.81 ID:c2KZAoSz0
『深夜_醸造蔵の裏』
ゴトン
女狐「入って…」
商人「こんな所に隠し通路か…」
狼女「へぇ?上手く隠してる」
女狐「…」ギロ
商人「リカオンは初めて来たのか…」
狼女「ここは初めて…」
商人「なるほどね…こういう場所が複数有るという事か」
女狐「無駄口は止めて…早速本題…どうして孤児院の子供達を連れて来ているの?」
商人「うん…キ・カイに居ては危険だからだよ」
女狐「盗賊ギルドは託児所では無い…ギルドに利益が生まれる訳でもない…活動の妨げになるのは分かるでしょう?」
商人「お願いしているのはギルドでは無く君にお願いしているんだ」
女狐「状況分からないの?私は諜報員として此処に居るわ…子供の面倒なんか見れる訳無いでしょう」
商人「本当は僕がフィン・イッシュの女王に嘆願するつもりだったんだ」
女狐「それが一番良い」
商人「状況が変わってね…近くに幽霊船が来ている様だから海士島で待って見ようかと」
女狐「それとこれと話が別よ…あなたが面倒を見れば済む話」
商人「乗って来た船が明後日出港してしまうんだ」
女狐「他の船で行けば良いでしょう?」
商人「そうもいかない…公爵が追ってきた場合子供達を連れ歩いて動くと目立ってしまう」
女狐「公爵?どうして公爵が関係して?」
商人「初めから話さないと通じない様だね…」
678 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:49:28.23 ID:c2KZAoSz0
キ・カイではねここ数年でキラーマシン改を量産しているんだ
その頭部に孤児院の子供から摘出した脳を搭載してる…孤児院の子供なら居なくなっても誰も文句言わないからラクなんだよ
僕は子供達を守る為にキ・カイの孤児院から子供達を逃がしている所なのさ
でもキ・カイは子供の移送を阻もうとしている
その最中キ・カイ政府の中に公爵が潜んで居る事を突き止めた
万が一公爵が姿を変えて海士島に来た場合…簡単に僕達の行動がバレてしまう
商人「もしも子供の誰かに化けられた場合は全員見殺しにしないと僕らは逃げられない…」
女狐「子供達がキラーマシン改にされてるなんて…本当にそんな事が…」
商人「証拠はある…」
女狐「今までどのくらいの子供達が犠牲に?」ワナワナ
商人「50人は超えると思われる」
女狐「そんな…」ガク
商人「やっぱり君だね?孤児院への送り主不明の寄付は」
女狐「詮索しないで…」
商人「分かった聞かないよ…子供達を保護したい一方で幽霊船に乗る女戦士と接触する機会を不意にしたくない」
商人「だから君に協力をお願いしているのさ」
女狐「わ…分かったわ…何とかする」
商人「ほっ…良かったよ君に相談して」
女狐「乗って来た商船が出港するのは明後日ね?」
商人「うん」
女狐「どうにか密偵の仕事をフィン・イッシュに作って私が向こうの孤児院まで送り届ける」
商人「助かる」
女狐「その代わりあなたの署名で書き物を頼むわ」
商人「え?何だい?」
女狐「キ・カイから大量の硫黄をフィン・イッシュに密輸してる証拠となる書簡よ…闇商人の署名で」
商人「ほほーなるほどね?それを調べる目的を作る訳か…賢い」
狼女「ふ〜ん」チラリ
女狐「…」ギロ
女狐「ただこういうブラフを流してる事はフィン・イッシュ女王へ説明しておかないと後で問題になるわ」
商人「分かってるよ…戦争が終わらない原因になるね」
女狐「分かったら書簡を用意して」
679 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:50:18.63 ID:c2KZAoSz0
『翌日_商船』
ザブン ギシギシ
商人「…という訳で女狐に子供達の移送をお願いした」
情報屋「じゃぁ私達は船を降りて宿屋住まいね?」
商人「当分そうなるかな…今リカオンが宿屋に行ってくれてる」
情報屋「わたしは子供達に説明してくるわ…あと荷物もまとめなきゃ」
商人「まぁまだ間があるしゆっくりで…」
情報屋「幽霊船の件はその後情報無し?」
商人「女狐が言うには酒類の大量発注があったらしい…もしかするとそれが補給なのかも知れないって」
情報屋「海上で荷の載せ替えをするのね」
商人「また鼻が利くリカオン頼みになってしまう…酒の匂いを追う感じだよ」
情報屋「その輸送している船に忍び込むつもり?」
商人「んんん〜もし違った場合を考えるとリスク高いなぁ…」
情報屋「行動癖を考えると…女戦士は幽霊船から降りると考え難いわね…海士島には降りない」
商人「うん…動いてるのはきっとローグなんだろうけど行動が読めないねぇ」
情報屋「必ず酒場に寄るタイプでも無いものね…」
商人「補給ねぇ…水…食料…大砲は乗せて居ないから火薬は要らない…う〜ん」
情報屋「大量の酒類という情報だけで幽霊船と結びつけるのも危険よね…」
商人「下手に動くのもマズいか」
情報屋「情報を流布して誘って見ると言うのは?」
商人「ふむ…確認しに来たくなる情報…」
情報屋「白狼の盗賊は?」
商人「ダメだよ…偽物が多くて釣りにならない」
情報屋「なにか私達だけが知って居る事…」
商人「よし…漂着した飛空艇の回収作業できる人を募集してみよう」
情報屋「名案ね!!もし女戦士も探して居るとしたら食いつく可能性が高いわ」
680 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:51:13.93 ID:c2KZAoSz0
『酒場』
ポロロン〜♪
マスター「いらっしゃいませ…お二人様で?」チラ
情報屋「どうも…」ニコ
商人「今日は公募のお願いに来たんだ」
マスター「え?あ…どんな内容でしょう?」
商人「漂着した大型気球の回収とアラクネーの退治…報酬は10金貨」
マスター「公募でその報酬は…」
商人「安すぎるのは承知さ…チラシを配らさせてもらって良いかい?」
マスター「どうぞ…飲み物はどうされますか?」
商人「じゃぁ一杯飲んで行くかな…エール2つ頼むよ」ジャラリ
マスター「お待ちください」スタ
情報屋「カウンターで良い?」
マスター「お好きな場所でどうぞ」
商人「マスター…何か面白い話は無いかな?」
マスター「噂ではセントラルの大艦隊が外海調査に向かっているそうです」チラリ
商人「へぇ?戦争はほったらかしなんだ?」
マスター「さぁ?どうなんでしょう…」コトリ
商人「外海には何があるんだろうね?」
マスター「ここだけの話…古代の兵器が眠って居るとか」
商人「おぉ!!どこらへんなのか知ってる?」
マスター「私は噂だけしか知りませんので…エールをどうぞ」コトリ
商人「あぁ…ありがとう…じゃぁ乾杯しようか」
情報屋「ウフフ…」
商人「じゃぁお互いの成功を祈って…乾杯!」チン
マスター「…」チラリ
情報屋「…」ニコ
681 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:52:02.95 ID:c2KZAoSz0
『広場』
ワイワイ ガヤガヤ
情報屋「女狐はあの仕事が向いて居そうね」
商人「うん…さりげなく周囲に情報渡してコントロールしてるんだ…さすがだよ」
情報屋「私はあまり酒場に行く事は無いけれど…盗賊が酒場に入り浸ったのはこういう情報のやり取りだったのね」
商人「だろうね…騒ぎながらいろいろ諜報を兼ねてるんだ」
シュタタ シュタタ
狼女「おーい!!お金お金!!」
情報屋「あら?人込みなのに良く私達を見つけたわね?」
狼女「匂いですぐに分かる…宿屋は先払いなんだ…お金頂戴」
商人「いくら?」
狼女「2人部屋を1週間で4金貨」
商人「お?安いね」ジャラリ
狼女「食事無しだけどね…船から荷物移動しちゃって良いよ」
情報屋「じゃぁ子供達にお別れの挨拶して荷物持って来るわ」
商人「僕は先に宿屋に行っておこうかな…リカオン案内して」
狼女「付いて来て…」
682 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:52:47.65 ID:c2KZAoSz0
『宿屋』
ガチャリ バタン
商人「へぇ?良い部屋じゃ無いか」
狼女「アサシンの息が掛かった宿屋なんだよ…この部屋だけ特別」
商人「なるほど…ここで待ち合わせてる訳か…それで安いという事ね」
狼女「水浴びしてくるから適当に過ごしてて」
商人「分かったよ…買い物して情報屋でも迎えに行って来る」
狼女「じゃ…」ノシ
--------------
商人「さて…チラシでも撒いて来るか」スタ
商人「んん?」
ヒソヒソ ヒソヒソ
…あぁ予定変更だ…
硫黄が既にフィン・イッシュに入って居るとなると後方から大砲で不意打ち食らう可能性がある
船団に合流するのは今回は止めだ
代わりに幽霊船が近くまで補給に来ているらしいから機を伺うぞ
あと一発当てりゃ今度こそ落とせる…仲間集めて来い
商人「…」---豪族か…幽霊船も苦戦している様だ---
商人「…」---さすがに大砲が無いと厳しいか---
683 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:53:44.80 ID:c2KZAoSz0
『夕方_商船』
ザブン ギシギシ
船乗り「…そうか…ここで降りるか」
情報屋「代わりの人が1人乗る筈だからよろしくお願いします」
船乗り「まぁ金は既に貰ってる訳だからフィン・イッシュまでは責任もって移送する」
スタスタ
商人「情報屋!迎えに来たよ」
情報屋「あら?気を使わなくて良かったのに」
船乗り「代わりの人はいつ来るんだ?」
商人「深夜になると思う」
船乗り「日の出前には出港するから早めに乗る様に伝えてくれ」
商人「わかったよ」
情報屋「なんだか他の船も出港して行ってる様ね」
商人「豪族の船だよ…なんだかゴタゴタしてるねぇ」
情報屋「慌てて出港しているみたい」
商人「幽霊船を追ってるらしい」
情報屋「そう…」
商人「まぁ豪族が出て行けば少しは静かになるさ」
情報屋「商船が巻き込まれなければ良いけど…」
船乗り「だから日の出前に出港したいんだ…連絡頼むな?」
商人「子供達とお別れは済んだかい?」
情報屋「うん…もう行けるわ」
商人「じゃぁ宿屋に案内する」スタ
684 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:55:09.11 ID:c2KZAoSz0
『宿屋』
ガチャリ バタン
商人「ここだよ…割と良い部屋なんだ」
情報屋「ハッ!!リカオン!!どうしたのよ!!」
狼女「グルルル…グゥ」zzz
商人「裸…水浸し…」
情報屋「怪我はして居なさそう…これ海水だわ」フキフキ
商人「さっき豪族の船がゴタゴタして居たよね…もしかして…」
情報屋「一人で?何の為に?」
商人「いや…宿屋の外で豪族の話声が聞こえててさ…幽霊船を待ち伏せるって」
情報屋「それを聞いて一人で襲いに?」
商人「何か持って居ないかい?」
情報屋「ああ!!海図と宝石がベッドに…鍵もある」
商人「ビンゴだね…盗んで船室に鍵掛けてるんだ」
情報屋「さすがね…」
商人「あの船はギャラック船で舵が船室にあるタイプだ…鍵を掛けられると操舵出来ない」
情報屋「しばらく戻って来れないのね」
商人「頑丈なのが仇になってるね…しばらく風に流されて海図も無いから目視で帰ってくるしか…」
情報屋「夜に目視って…」
商人「こういう行動力はスゴイね…ウルフだから泳ぎも得意な訳か…海図は何が記されてる?」
情報屋「インクが海水で流れてしまって…乾かせば記した跡が残って居るかもしれない」
商人「それは明日が楽しみだ」
685 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:56:38.16 ID:c2KZAoSz0
『窓』
ヒュゥゥゥ
商人「ふ〜ん…ここから隣の建屋の屋根に通じてるのか」
情報屋「夜寒くなるから閉めて置いて」
商人「船着き場も良く見えるよ」
情報屋「女狐さんはまだ商船に乗って居ない?」
商人「どうかな?」
情報屋「なんか少し心配」
商人「公募のチラシを配るのもあるし…酒場にもう一度行って見るよ」
情報屋「私はリカオンが起きるまで待機かな…」
商人「水浴びにでも行って来たら?」
情報屋「そうね…」
商人「もしリカオンが起きたら酒場にでも遊びにおいで」
情報屋「分かったわ…」
商人「じゃぁ行って来る」スタ
686 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:57:10.94 ID:c2KZAoSz0
『酒場』
ポロロン〜♪
バニー「いらっしゃぁ〜い…お一人?」
商人「あれ?いつものマスターは?」
バニー「しばらくお休みなのぉ」
商人「そうかい…カウンター座るよ」
バニー「どぞん」
バーテン「お飲み物は?」
商人「ワインかな」
バーテン「お食事はどうされます?」
商人「食事は良いや」
バーテン「かしこまりました…」
商人「公募してるんだけど…何か反応聞いてない?」
バーテン「アラクネー退治の公募でしたか?」
商人「うん…」
バーテン「今の所何も…豪族の皆さんは既にお金持ちですから興味が無さそうでした」
商人「ハハ…まぁそうだよね」
バーテン「海士島に観える方は長期滞在しませんので公募は厳しいかと…ワインをどうぞ」コトリ
ドヤドヤ ガヤガヤ
おぉぉ空いてる空いてる
いらしゃぁぁ〜い!!団体様はこちらへ〜
何でも良いから酒と女を見繕ってくれぇ
はぁ〜い!!
商人「忙しくなりそうだね」
バーテン「お陰様で…」イソイソ
商人「僕にはお構いなく…噂話でも聞いて楽しんでるよ」
687 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:57:52.31 ID:c2KZAoSz0
『翌朝_宿屋』
ガチャリ バタン
商人「2人共おはよう…食事を持って来たよ」ドサ
情報屋「あら?朝帰りにしては気が利くわね」
商人「僕は眠れないから…リカオン?新鮮な肉を仕入れて来たよ」
狼女「お!?」シュタタ
商人「丁度今さっき屠畜場で解体された肉さ」
狼女「あんまり食べ過ぎると直ぐに太っちゃうんだけど…ありがとう」ガブリ モグ
情報屋「かわいい顔してなかなかワイルドな…」
商人「エルフも生魚とか頭からかぶりつくらしい」
情報屋「私は…パンとチーズね」モグ
商人「女狐は予定通り商船に乗って出港したよ」
情報屋「知ってるわ」
商人「見てたのかい?」
狼女「匂いと声で分かるんだ」モグモグ
商人「へぇ…ここからでも感知出来るのか」
狼女「あの女…隠し子を孤児院に預けてたんだね」
商人「まぁそんな事だろうとは思ってたさ…船に乗っていたのかな?」
狼女「さぁ?そこまでは分かんないよ」
情報屋「誰だったのかしら…なんだか責任を感じてしまう」
商人「孤児院に送られて来た寄付金の他に車椅子もあった…足の不自由な男の子が居たな」
情報屋「分かった!!その子なら学舎の書物管理で働いているわ…もう立派な大人」
商人「教えてあげられれば良かった」
情報屋「…だとすると随分若い時に産んだ子なのね」
商人「なるほどね…人それぞれ色々あるのかぁ」
情報屋「リカオンもそろそろ良い人を見つけないと…」
狼女「ゲフッ…ゴホゴホ」ガブ モグ
商人「さて!!僕は市場歩いて相場調べに行って来る」
情報屋「待って…私も行くわ…リカオンの着替えも新調しなきゃいけないし」
商人「買ったばかりじゃ無いか…」
狼女「変態して破れた」モグ
商人「脱いでからに変身すれば良いのに…」
狼女「裸で走り回るって言うの?」
商人「まぁ良いや…買いに行こう」
688 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:00:06.15 ID:c2KZAoSz0
『数日後_宿屋』
カクカク シカジカ…
セントラルとフィン・イッシュの国境では沿岸部を中心に領地を巡って小競り合いが継続中だ
停戦の交渉も豪族が第三者を偽って漁村を襲撃して制圧し
セントラル側に有利な立場で中立化しようとして停戦は白紙…泥沼だよ
外海調査の件では協力関係を作ろうとして居るが
フィン・イッシュの港をセントラルの軍船が行き来する事を認める訳には行かず
海上でも緊張した状態が続いているのだ
ここに来てのキ・カイ海軍の介入…交渉事で誰が公爵なのか見極められない現状
動きを悟られたくない隠れの忍び達は里に籠ったまま身動きできない
アサシン「…これが政治的に不利となっている実態なのだ」
商人「公爵のせいでイニシアチブが取れない訳か」
アサシン「私に化けて女王に要らぬ吹き込みをする可能性もある…女王は動けんのだよ」
情報屋「では今は盗賊ギルドが裏で政治判断する材料となる工作をしている状況なのね?」
アサシン「うむ…ただ我々の内側にも公爵が入り込む可能性を考えると信頼できる者意外とは話も出来ない」
商人「状況察した…女狐がガード堅かった理由も分かった」
アサシン「彼女は優秀だ…商人と情報屋をここに止めて置く判断も良い選択」
狼女「アサシンこれからどうするの?」
アサシン「魔女の発見が最優先…その為に女戦士と合流を果たそう」
商人「そうだね…今みんな集合しかけているんだから分かれない方が良い」
アサシン「盗賊ギルドの指示系はアヌビスに一任しているからしばらくは私も同行する…それで…幽霊船とは接触出来そうか?」
商人「公募の詳しい話を聞きたいという人物が今晩酒場に僕を訪ねて来るらしい」
アサシン「フフ…そういう役はローグか」
商人「当たりならそうなる…楽しみだよ」
アサシン「ところでリカオンの働きはどうだ?剣士並みの働きが出来るだろう?」
商人「ある意味剣士より優れている所は在るね…」
アサシン「リカオン…褒められて居るぞ?」
狼女「分かり切った事を言われてもね…」ルン
アサシン「さて情報屋…先ほど話に合った外海の地図とやらを見せて貰おうか」
情報屋「これよ…」パサ
689 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:00:45.65 ID:c2KZAoSz0
アサシン「ふむ…外海調査に向かっている船団は海峡を越えて未踏の地を目指しているか…遠いな」
情報屋「この地図はセントラルに属するコグ船から発見された物でセントラルは既に未踏の地に到達してると見て良いわ」
アサシン「海軍の要所にするには遠すぎる…我々は思い違いをして居た様だな」
商人「もっとフィン・イッシュ寄りだと思って居たんだ?」
アサシン「そうだ…外海から背後を突かれる事を警戒して居たのだが…」
商人「キ・カイの軍船もそこを目指している様だよ」
アサシン「古代の兵器…う〜む」
商人「フィン・イッシュは外海調査に出遅れてると聞いたけど?」
アサシン「海軍力が無いに等しい…軍船はすべて輸送船へと姿を変えたのだ」
狼女「オーク達に与えた船も何処か行っちゃったしね」
商人「オーク?」
アサシン「フィン・イッシュで領地を与えられたオークの事だ…ゲームチェンジャーになると思って居たのだが…」
商人「オークが船を操るなんて初めて聞いたな…ゲームチェンジャーってどういう意味?」
アサシン「どういう訳かオークはクラーケンを操るのだ」
商人「あーーそういう事ね…クラーケンがオークを守ってる感じになる訳ね」
アサシン「海上での抑止になってくれると期待して居たが宛てが外れた」
商人「船で逃げられたんだ?」
アサシン「分からん…オークの自治領を行き来しているらしいが何せ言語が違うからコミュニケーションが謀れん」
狼女「敵意は無いみたい」
アサシン「…それで?魔女達も未踏の地を目指したと見て良いのか?」
情報屋「恐らく…地図を見ながら歴史の説明からして行くわ…」
カクカク シカジカ…
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690 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:01:45.84 ID:c2KZAoSz0
『酒場』
ザワザワ ヒソヒソ
おい見ろ…あの女は海賊王の娘じゃ無いのか?
何ぃ!!
やべぇ隠れろ…2人…いや3人か
ど…どうする?ヤルか?
女戦士「店の修理代だ…取って置け」ドサ ジャラ
バニー「えっと…いらっしゃいませ?」
女戦士「誰も入れるな…」ボソ
海賊1「へい…」
海賊2「がってん…」
ダダダッ
女戦士「何か言ったか裏切者め…」スチャ
豪族1「なっ…くそう!!」タジ
女戦士「フンッ!!」ブン スパ
豪族1「ぎゃぁぁぁ…腕が!!腕が!!」ブシュー ボタボタ
豪族2「いきなりとは卑怯な…」
グサッ ズブズブ
豪族2「うぐぅ…ぐぐぐ」ブシュー
女戦士「さぁて?次は誰だ?」ツカツカ
豪族1「血が…血がぁ」バタバタ
女戦士「今からこの酒場は私の貸しきりだ…文句ある者は前に出ろ」
ひぃぃぃぃ…人殺しぃ…
いやぁぁ!!
キャーーー
ドタドタ バタバタ
海賊1「この豪族はどうしやしょう?」
女戦士「反吐が出る…海にでも捨てて来い」
海賊1「へい!!邪魔だゴルァ!!さっさと立ちやがれ!!」グイ
豪族1「がぁぁ…海賊王の娘がぁぁ!!」ヨロ
海賊2「お前もだ…」グイ
豪族2「げふっ…ゴホゴホ」ヨロ
女戦士「さて…ミルクだ…ミルクをよこせ」ジャラリ
バーテン「は…は…はい…ただいま…」ガクブル
--------------
--------------
--------------
691 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:03:00.17 ID:c2KZAoSz0
『人だかり』
ザワザワ ザワザワ
海賊が酒場を占拠したらしい…
中に押し入った豪族達が逃げ出してる
傭兵は何処に行ったの?
海賊の側について中で暴れて居るって
商人「これはどういう事だ?」タジ
アサシン「また派手な登場だな…どうやら女戦士本人が来ている様だ」
商人「これじゃ酒場に入り難いじゃないか」
ドカーン ドーン
情報屋「船着き場!!豪族の船で爆発よ!!」
狼女「アサシン…これどうする?」
アサシン「ひとまず様子見か…海賊が豪族を襲っている形の様だ」
商人「幽霊船が見当たらない…」キョロ
アサシン「うむ…気球も見当たらん」
『酒場』
ゴクゴク プハァ
バーテン「ミルクのお代わりは…どうしましょう?」
女戦士「アルコール抜きの飲み物は何がある?」
バーテン「フレッシュジュースでしたら…」ガクブル
女戦士「フフ…私は恐ろしいか?」
バーテン「いえ…あの…手が勝手に震えて…申し訳ありません」ブルブル
女戦士「この公募のチラシを配って居た者を知って居るか?」パサ
バーテン「はい…毎晩今お座りの席に来て居りました」
女戦士「そうか…連れて来い」スラーン
バーテン「はははは…はい只今!!」ダダダ
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