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勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の続編の続編
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492 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:02:30.94 ID:rXZyBWej0
『ドリアード喉部』
ドゥーーーーーーム ゴゴーーーーーン
リカオン「…今ので4発目」
アサシン「爆発が長すぎる…これほど長く光に焼かれては森が持たん」
リカオン「これを防ぎたかったのか…」ボーゼン
子供「これだけじゃ終わらないのさ…ここから地獄の始まりなんだ」
剣士「未来…この光が収まったら行くのだな?」
子供「うん…外で僕がパパを鉄に変性させる…パパは僕が集めた放射能を量子転移で消し去れば良い」
アサシン「私とリカオンは遺跡に戻って魔石を魔女に預ければ良いな?」
剣士「壺に封じればそれで良い…頼んだ」
子供「そろそろ光が収まるよ…パパ行こう!!」
アサシン「リカオン!見ておけ…勇者の最後だ」
子供「ダメ!!僕が放射能を集めるとみんな一瞬で液体になって蒸発するから来ないで!」
アサシン「それほど強力なのか…」
子供「鉄に変性しても直ぐに崩れ始める…量子転移が終わるまで出たらダメ」
剣士「未来!!行くぞ…」
子供「アサシンさん!リカオンさんも今までありがとう…戻ったらママに冒険の書を読ませて?」
アサシン「冒険の書?」
子供「読めば分かる…じゃぁ行くね!!パパ!?ハイディングで移動しよう」
剣士「フフ…ハイディング!」スゥ
子供「ハイディング!」スゥ
--------------
アサシン「行ってしまったか…」
リカオン「マズいな…オヤジに怒られるかも知れない…」
アサシン「どうした?」
リカオン「あの子を死んでも守れと言われて出て来たんだよ」
アサシン「守り抜いたでは無いか…そして見送っただけの事」
リカオン「アサシンからそう説明して貰えるかな?」
アサシン「クックック勇者の苦悩に比べればゴミの様に小さい」
リカオン「そう言わないで…あ!!外が赤く光ってる…」
アサシン「見て見たいのだが…」
493 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:03:04.72 ID:rXZyBWej0
『シャ・バクダ遺跡』
シーン パラパラ
盗賊「お…収まった様だ…俺ら生きてんぞ?」キョロ
女海賊「ぅぅぅ…未来…未来…」ポロポロ
盗賊「俺ぁ外見て来る!!情報屋!!女海賊を頼む」ダダ
商人「…」ボーゼン
盗賊「おぉ商人!!血だらけで何突っ立ってんだ?」
商人「エリクサー…」
盗賊「勇者の像の前に樽が置いてある…てかその血はホムンクルスの血だな?」
商人「ホムンクルスはまだここに居る…早くエリクサーに漬けないと…」ヨタヨタ
盗賊「はぁぁこりゃしばらく立ち直れそうに無いな…」
女戦士「盗賊!!夜空にオーロラが光ってる…来い!!」
盗賊「オーロラだと?」ダダ
女戦士「暁色に光るオーロラの筋だ」
盗賊「おぉ!!」
ダダダダ ピューー
盗賊「どわっ!!女海賊…出て行きやがった」
女海賊「未来!!返事して未来!!うぅぅ…」ポロポロ
シュン!
盗賊「オーロラが消えた…何が起こってんのよ…」
女海賊「うわぁぁぁぁん…未来!!剣士ぃぃ!!」ダダダ
盗賊「女戦士…お前の妹も相当ダメージでかいぞ?」
女戦士「剣士と未来が…どうした?」
盗賊「失ったっつーか…世界を救う旅に出ちまった」
女戦士「掛ける言葉が思いつかん…」
盗賊「紐付けとかないとどっか行っちまうぜ?」
女戦士「行って来る…」スタスタ
494 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:03:36.48 ID:rXZyBWej0
『日の出』
ズズーン
盗賊「こりゃまたトロールが綺麗に整列したもんだ…」
女狐「あなた達…いつもこんな風に生きて来たの?」ボーゼン
盗賊「まぁな?常に命掛かってる…どうよ?白狼の盗賊団の居心地は」
女狐「正直…思って居たのと全然違っていた」
盗賊「金の匂いなんか何処にも無いだろ?俺なんか金貨一枚も持って無ぇヌハハ」
女狐「領事の中に魔王が居たなんて…思っても居なかったわ」
盗賊「エルフがなんで戦ってるのかも知らなかった口だな?」
女狐「もっと勇者の行いが知られれば違っていたかも知れないのに…」
盗賊「人知れず戦って誰もそれを目撃して居ない訳よ…伝える奴が決定的に居ない」
女狐「あなたが伝えれば良いじゃ無いの?」
盗賊「俺が何か言ってもほとんどの奴らは聞きやしねえよ…馬の耳に念仏ってやつだ」
スタスタ
女戦士「女狐!!情報屋に代わってお前が魔女の面倒を見ろ」
盗賊「んん?何か有ったんか?」
女戦士「情報屋が倒れた…過労だな…少し休ませる」
盗賊「マジかよ…動ける奴が俺しか居無いぇじゃ無ぇか…」
女戦士「ローグが直に戻る筈だ」
盗賊「アサシンはまだ戻って来んのか?」
女戦士「貝殻の通話が出来ない…待つしかない」
盗賊「商人も腑抜けちまったしなぁ…」
女戦士「今から食事を作らせるから配給を配って貰いたい…」
盗賊「へいへい…」
495 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:04:11.12 ID:rXZyBWej0
『勇者の像』
ガヤガヤ ザワザワ
調査隊を募集してるそうだ!動ける奴は行くぞ!
水だぁ!!水を運び入れろぉぉ
盗賊「食い物持って来たぜ?食えるか?」
情報屋「吐き気がして…」ウップ
盗賊「おい!!女海賊!!お前も食え!!」
女海賊「…」ボーーーー
情報屋「そっとしておいて?貝殻を握ったままずっと蹲ってるの」
盗賊「んぁぁぁ…商人はどうした?」
情報屋「きっとホムンクルスの所ね」
盗賊「しゃーねぇか…昨日の今日じゃ放心状態だろうな」
タッタッタ
ローグ「エンチャントの掛かった角を持ってきやしたぜ?」
盗賊「おぉぉローグ!!お前が居なくて寂しかった所だ」
ローグ「この角を魔女さんとアヌビスさんに…」
盗賊「ほんで飛空艇に乗って来たんだろ?」
ローグ「へい…ですが頭が被害状況を確認するって言って乗って行っちまいやした」
盗賊「まぁそうだろうな…んで?空から見た感じどうなのよ?」
ローグ「エルフの森方面がヤバイっすね…全面火事になって居やす」
盗賊「オアシス砦は?」
ローグ「あっちは石壁に囲まれてるんで耐えやした…石ってスゴイっすね?」
盗賊「ほんじゃしばらくオアシス砦が拠点になりそうか…」
ローグ「剣士さんと未来君はどうなったんすか?」
盗賊「あぁぁ…ちっと言いにくいんだが…女海賊の様子見て察して欲しい」
女海賊「…」ボーーーー
ローグ「姉さん…」
情報屋「そうそう…確か未来君が書いていた絵が有った筈…盗賊探して来て?」
女海賊「…」ピク
盗賊「おう!待ってろ…」ダダ
-------------
496 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:04:39.24 ID:rXZyBWej0
盗賊「有ったぜ?何枚書いてんだ?こりゃ…」
女海賊「…」ズダダ バサ
盗賊「ウハハ動けるじゃ無ぇか…まぁお前の物だ好きにしろ」
女海賊「ちょ…これ未来が描いたの?」
情報屋「必死に書いていたわ?何が書かれてあるの?」
女海賊「…」バサ
情報屋「え!!?…これ」
盗賊「んん?」
女海賊「シン・リーンの壁画…未来は壁画を見た事無い筈…」
情報屋「良く見せて!!」ガバ
女海賊「まさかこれって…予言」
情報屋「虫を持って居る人物は未来君…隕石…毒…地震…津波…牙が在るのはオーク…え?え?」
盗賊「こっちの羊皮紙には地図も書いてあるぜ?こりゃフィン・イッシュだな…」
情報屋「魔女が聞いた未来君の話と擦り合わせが必要だわ…魔方陣も記されてる…」
盗賊「未来が見て来た世界が書いてあるんだな?」
女海賊「私シン・リーンに行く!!壁画を超絶見落としてる…」
情報屋「行くの少し待って…私も行きたいから」
女海賊「もう行くよ!!待てない」
情報屋「下層の石碑がある部屋の壁…風化して居るけど壁画があるわ」
女海賊「え?マジ?」
情報屋「確認してみて?後で私も行くから」
女海賊「行く!!」ダダダ ピュー
497 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:05:12.95 ID:rXZyBWej0
『石碑のある部屋』
ガサゴソ ゴリゴリ
盗賊「おいおい!なんで壁をこすってんだ?」
女海賊「うっさいな!!苔落としてんだよ」ゴリゴリ
盗賊「風化してるってのはそういう事か…苔で覆われちまってんのか」
女海賊「あんたは触んないで!!崩したらデリンジャーで撃つ」チャキリ
盗賊「おーこわ!!」
女海賊「情報屋は?」
盗賊「未来の残した絵とシン・リーンの壁画の写しを見比べてる」
女海賊「え!!?写し持ってんの?なんだ早く言えって話だ…」
盗賊「お前これどういう事か分かってんのか?」
女海賊「未来が残したメッセージさ」
盗賊「ほーん…分かってりゃまぁ良いわ」
女海賊「剣士は最後に帰りを待てって言ったんだ…只待つのは苦痛だから世界中の壁画を探すって決めた」
盗賊「どうやら俺の力が必要な様だな?」
女海賊「忘れてるかも知んないけど…あんた私の捕虜なの」
盗賊「ぶはっ!!まだそんな事言ってんのか」
女海賊「分かったらサッサと他の隠し通路探して!」
盗賊「お?やる気になったな?実はよ…今からこの遺跡の見取り図作ろうと思ってたのよ」
俺の予測はこうだ…
精霊の御所まで通じる隠し通路が有ると思ってる
何故なら昔の精霊がわざわざ外をテクテク歩いて行き来するとは思え無ぇ
更に精霊の御所の入り口が一つだけってのが明らかにおかしい
だが一つ問題がある
トロールが通路を封鎖している可能性だ
まずその場所を特定したい
女海賊「うっさいな!!グダグダ言って無いでさっさと探せよ!!」ゴシゴシ
498 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:06:03.43 ID:rXZyBWej0
『夕方』
シュタタ シュタタ
大型の魔物だ!!射手!!警戒しろ!!
ヤバイ!!ウェアウルフだ…
アサシン「待て!!撃つな!!味方だ…」ノシノシ
女戦士「射手!!待て!!」
アサシン「女戦士!!着替えを一着持って来てくれ」
女戦士「それはリカオンか?」
アサシン「そうだ…直に変態が解ける…裸では歩きにくい」
女戦士「フフ…リカオンが裸を見られて気にするとは思えんが…」
アサシン「飛空艇が見えないがどういう事だ?」
女戦士「ローグに補給も兼ねて見回らせて居る」
アサシン「そうか…上手くやって居るか」
女戦士「立ち話も寒かろう…テントに入れ」
アサシン「兵が驚いてリカオンを撃たねば良いが…」
女戦士「テントの中の方が目立たん!!さっさと入れ」
アサシン「リカオン…休めるぞ?」
リカオン「グルルルル…ハァハァ」シュタタ ドスドス
-------------
女戦士「しかし随分巨大なウェアウルフだな…」タジ
アサシン「食い過ぎだ」
女戦士「ドリアードはどうなった?貝殻の連絡が無くて心配して居たのだぞ?」
アサシン「貝殻は未来が持って行ってしまったのだ」
女戦士「そうだったのか…」
アサシン「もしかするとどこかで連絡できるかもな」
女戦士「接点は貝殻のみとなったか…」
アサシン「私は本物の勇者を見た…未来は間違いなく勇者だった」
女戦士「そうか…」トーイメ
アサシン「アダムは無事に破壊し魔王を封じたと思われる魔石も奪取した…これで戦いは終わりだ」
女戦士「魔石をどうする?」
アサシン「魔女が持つ封印の壺に収めてどこかに封じる…いや光の石で焼くのも手だな」
女戦士「やっと平和が来るか…」
アサシン「ワインが飲みたい」
女戦士「残念だが切らしている」
アサシン「クックック…ツキには見放されたか」
女戦士「さて!!私も少し休みたい…ここはアサシンに任せて良いか?」
アサシン「まず着替えを持って来てくれ」
女戦士「フフ忘れていた…私の着替えでは小さく無いか?」
リカオン「がうるるるる…うぅぅぅぅ」
------------
499 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:06:33.76 ID:rXZyBWej0
『数日後』
ガヤガヤ ガヤガヤ
シャ・バクダ解放だってよ?
どうする?戻れるのか?
建屋の損壊が酷いらしい
しばらくは修繕だろう…
ローグ「エルフが魔女さんを訪ねて来てるんすが…まだ目を覚まさんですかね?」
盗賊「んん?マジか…」
ローグ「蘇生魔法が出来るという話をどっかから聞いて来たみたいなんすよ」
盗賊「ほーん…なんでここに居る事知ってんだろうな?」
リカオン「あ!!私が行き先話したかな…」
盗賊「お前がエルフに?」
リカオン「ほら魔女を背負って帰って来た時…あの時エルフも一緒だったんだ」
盗賊「なるほど…」
ローグ「足引きずってるんで治して貰いたいみたいっすね」
盗賊「そういう事出来んのはもう魔女しか居無ぇ…起きるの待つしかないな」
ローグ「どうしやしょうね?遺跡に入れても良いんすかね?」
盗賊「アサシンか女戦士は居ないのか?」
ローグ「2人共出かけているでやんす…」
盗賊「まぁエルフなら良いんじゃ無ぇか?向こうが嫌がらなけりゃ…」
ローグ「じゃぁ案内しやすぜ?」
500 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:07:21.95 ID:rXZyBWej0
『しばらく後』
ザワザワ ザワザワ
おいおいおい…マジかマジか…
うわぁぁ綺麗
ねぇあのお姉ちゃんってエルフなの?
ええ香りやぁぁ…すぅぅぅはぁぁぁ
ローグ「散らかって居やすがこちらへどうぞ…」サササ
盗賊「どわっ!!こんなに居んのか!!」タジ
ローグ「エンチャントの掛かった角も有りやすんで…」
盗賊「良く見りゃ傷だらけだな…エリクサー飲ませても良いんじゃ無ぇか?」
ローグ「じゃぁ一口づつ口移しでどうっすか?」
盗賊「アホか!!」
タッタッタ
商人「どうしたんだい?この騒ぎは…お!!エルフだ」
盗賊「おぉ!!良い所に来たな…商人お前賢者の石持ってただろ」
商人「うん…傷を癒したいのか」
盗賊「その様だ…ホムンクルス居なくなって寂しかろう?ど真ん中に座って癒してやれ」
商人「ハハ…まぁそんなんじゃ僕の傷は癒えないけどね」
ローグ「あらら?エルフさん座ったまま動かなくなりやしたね?」
商人「瞑想だね…相当消耗しているみたいだ」
盗賊「だな?エルフは顔に出さないから分かり難いんだ…死ぬ寸前かも知らん」
商人「よーし!やっと賢者の石を使う時がやってきた」スッ
盗賊「使うってか掲げるだけだろ?」
ローグ「なーんか…エルフは見て居るだけで癒されやすねぇ…」ウットリ
盗賊「置物みたいで気持ち悪りぃ…全く動かんな」
商人「でもこんなに間近で見るのは女エルフ以来かな…へぇぇ?肌つるつるだ」
ドドドド
501 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:07:55.63 ID:rXZyBWej0
女海賊「どいたどいたぁ!!」ドン ジャラジャラ
盗賊「来たな?何か発掘された様だ…」
女海賊「これ鑑定して…ん?なんで私の敵がこんなに一杯居んの?」
ローグ「エルフが魔女さん訪ねて来てるんす…相当弱って居やす」
女海賊「エルフ…そうか長生きしてるエルフなら当時の事知ってるかもなぁ…」
商人「エルフの平均寿命は400年くらいって聞いたよ…700年前の事は分からないんじゃ無いかな」
女海賊「なんだそんなもんか…」
盗賊「なんで700年前なんだ?」
商人「あぁ下にある石板が作られた年代が大体それくらいなんだってさ」
盗賊「ほう?じゃぁ未来は700年前に実際にここに来た訳か」
女海賊「そゆ事…ほんじゃ戻るから鑑定頼む」ドドド ピューー
盗賊「鑑定ってか…どうせ只の古代金貨だろ?興味無ぇよ」ジャラジャラ
商人「ハハ女狐とは対照的だ…彼女は下で目の色変えて掘ってるよ」
盗賊「酒でも出てくりゃ興味も湧くが…」
-------------
502 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:08:24.44 ID:rXZyBWej0
魔女「ぅぅぅ…」パチ
商人「お?魔女?今動いたぞ?」
魔女「…」ムクリ
盗賊「おぉぉ!!どうだ?体は平気か?」サワワ
魔女「生きて居る様じゃのぅ…」
商人「何か食べるかい?」
魔女「吐き気がする…うぇぇ…飲み物が良かろう」
商人「スープがある…用意するよ」
魔女「わらわは危篤じゃったんか?初めて自我を完全に失ったわい…」
盗賊「血を2〜3回入れ替えるぐらいには出血してたぜ?」
魔女「ほうか…して何故エルフが沢山瞑想して居るのじゃ?」
盗賊「魔女を訪ねて来てんだ…どうやら蘇生して欲しいらしい」
魔女「これ商人…エルフの衣服を脱がせて蘇生が必要な部位を調べよ」
ローグ「あやややそれあっしがやりやすぜ?」シュタ
魔女「ローグでも良いわ…では商人は光の魔方陣を組めるかの?」
商人「退魔の方陣なら知ってる」
魔女「少し複雑なだけじゃで魔術書を見ながら組んでみよ」
商人「分かったよ…はいコレ肉スープ」スス
魔女「頂く…」ズズズ ゴク
盗賊「ほんで重たい話なんだがよう…エルフの森に光る隕石が落ちて森がすっ飛んだ」
魔女「では他にも傷を負ったエルフが居ろうのぅ」
盗賊「そういうこったな」
魔女「剣士と未来は居らんのか?」
盗賊「んぁぁ…もう帰って来無ぇ…例のごとく別の次元ってやつに飛んでった」
魔女「女海賊もか?」
盗賊「いや…女海賊は残ってる…下で遺跡調べてる」
魔女「それは良かった…この次元は現実じゃ」
商人「ちょちょ…それどういう意味?」
魔女「勇者の居る次元が現実なのじゃと思うて居る…この世界は女海賊の次元と言っても良いのう」
商人「勇者の眼が現実を選択してる?」
魔女「うむ…あ奴は次元の握り方をまだ知らぬ故教えねばならん」
商人「じゃぁ剣士の次元は?」
魔女「それも現実じゃ…剣士が歴史を選択したのじゃ…その上にわらわ達が居る」
商人「…なるほど…という事は夢幻は他の可能性…平行世界なのか」
魔女「さて…少し体を動かしてみる…盗賊や…肩を貸せ」ノソ
盗賊「俺ぁ今飯食ってんだ!リカオン!肩貸してやれ!!」モグ
503 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:08:58.99 ID:rXZyBWej0
『石板の有る部屋』
ゴソゴソ カリカリ
情報屋「…辻褄が合わない…この壁画は予言じゃ無いわ」
女海賊「これ未来が彫った壁画には間違いないよね?」
情報屋「そうね…ここに書かれて居る人物の画は私達の事…これが魔女…これが盗賊…」
女海賊「これが私かぁ…」サワサワ
情報屋「時の王から聞いた歴史の事実とこの壁画が表す歴史の事実が異なるのよ…」
女海賊「未来が描いた羊皮紙の方…」
情報屋「これは10年後に起きる予言だと思う…地軸の移動…病気の蔓延…世界の滅び」
女海賊「じゃぁこうだね…その予言を知って私達が行動を変えたら?」
情報屋「はっ!!壁画はその当時の予言だった訳ね?…そうならない様に人類が歩んだ結果予言と異なる方向に進んだ…」
ノソノソ
情報屋「魔女!!目を覚ましたのね?もう動いて平気?」
魔女「また立派な壁画を発見したのじゃな…」
女海賊「未来が書き残したんだ」
魔女「そうか…感慨深いのぅ」
リカオン「未来君が絵を書いている時に私も見たんだ…」
情報屋「何か言って居なかった?」
リカオン「大事な記憶を忘れない様に覚書を書いてると」
情報屋「記憶の覚書?…未来君は自分で忘れない様にこの壁画を掘ったと?」
魔女「ふむ…わらわは理解したぞよ?未来はのぅ…記憶がどんどん無くなるのを恐れたのじゃな」
次元を超えるとじゃな…元の次元の記憶が直に無ぅなるんじゃ
すべて忘れてしまう訳では無いじゃろうが
未来の行いで歴史が変わるたびにその記憶も失う
じゃからこの壁画は未来の備忘録じゃな
504 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:09:24.84 ID:rXZyBWej0
情報屋「後の人はこの壁画を予言だと解釈した…そうやって歴史が逸れて行った」
魔女「その上にわらわ達の次元が乗っかって居るのじゃな」
女海賊「…これは未来が経験した事実…未来の記憶」サワサワ
魔女「未来の歩んだ道がすべて記されて居ろう…未来の日記じゃ」
情報屋「壁画を書き残す動機がこれで判明したわね…忘れたくない…その一心だった」
女海賊「…全部書き写す」ツツー ポロ
情報屋「私も手伝うわ」
未来が無くしたく無かった記憶
この壁画を掘りながら守ろうとした
それでも歴史が修正される度に記憶を失う
なんて切ない壁画なの…
505 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:09:55.67 ID:rXZyBWej0
『キャンプ詰め所』
…ではこちらの警備は少数残して私達はシャ・バクダへ行く
オアシス砦はフィン・イッシュとの連絡用気球の発着を主とする
エルフとは交渉中だが主に遺跡周辺で一時退避になると思われる
女戦士「私は遺跡に残って居れば良いのだな?」
アサシン「そうだ…動ける避難民はオアシス砦へ誘導して遺跡は主に回復のベース基地として運用するのだ」
女戦士「分かった」
アサシン「ヘラジカのソリはこちらで用意して輸送を急がせる」
女戦士「飛空艇の輸送力はどう使う?」
アサシン「急ぎでフィン・イッシュ女王に支援を願いたい…ローグを飛ばしてくれ」
女戦士「お前が行った方が良いのでは無いか?」
アサシン「手が離せんのだ…私はフィン・イッシュの民を救いたい」
女戦士「フフそうか…」
アサシン「アヌビス!リカオンを呼んで来るのだ…シャ・バクダを荒らす異形を追い払うぞ!」
アヌビス「かしこまりました…」
アサシン「そうだ忘れる所だった…魔女が目覚めたらこの魔石を渡しておいて欲しい」スッ
女戦士「預かる…」
アサシン「では…後は頼む」スタ
506 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:10:26.06 ID:rXZyBWej0
『遺跡一層目』
ザワザワ ザワザワ
古代金貨が発掘されたそうだ
金貨ではお腹が膨れないわ?
配るらしいぞ?
盗賊「おら!並んだ並んだぁぁ!!一枚づつだぞ?何回も並ぶな?」
女戦士「…これはどういう状況だ?何故エルフが入り込んで居る?」
盗賊「おぉ戻ったか!!魔女を訪ねて来てんだよ」
女戦士「既にこちらにも来ているという事か…」
盗賊「既にとはどういうこった?」
女戦士「いやシャ・バクダにも傷付いたエルフが多く居るのだ…森を失って帰る所が無いのだよ」
盗賊「ほんじゃこっちに呼んだ方が良さそうだ」
女戦士「うむ…それで魔女は目覚めた様だな?何処へ行った?」
盗賊「下の石板のある部屋だな…もっと奥に隠し通路があっていろいろ発掘してる訳よ」
女戦士「…それがその古代金貨か」
盗賊「まぁな?俺らだけで独占してると文句出るだろ?だから配布してんのよ」
女戦士「他には何か出土しているのか?」
盗賊「いや…宝石が少しあるぐらいで大した物は無ぇ…貴重な物は情報屋が確保してる」
女戦士「金貨が出回って居るという事は流通が思ったより早く再会しそうだ…」
盗賊「どっかで金貨を交換出来るんか?」
女戦士「それは分からん…商隊が入って来たらの話だ」
盗賊「シャ・バクダはどうなってんのよ?」
女戦士「捕虜になって居た兵隊は無事に救出された…だが相当弱っていてな…この遺跡を回復所として運用するのだ」
盗賊「…てことは人で溢れるな」
女戦士「こうしよう…古代金貨を受け取った者から順にオアシス砦に誘導してくれ」
盗賊「わかった!穴に籠ってちゃ滅入っちまうしな?」
女戦士「それから光の石は絶やさず遺跡の中を照らすようにしてくれ…いつ又魔王を抱えた者が入って来るか分からんからな」
盗賊「だな?」
------------
507 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:10:55.79 ID:rXZyBWej0
女戦士「ローグ!!仕事だ!!」
ローグ「ぬわぁ!!」ドテ
女戦士「エルフの裸をどうするつもりだったのだ?」ギロ
ローグ「あいやいやいや…蘇生が必要な個所をですね…」バタバタ
女戦士「フン!!お前は飛空艇でフィン・イッシュに飛んで女王に支援を願って来い」
ローグ「ええ?今からっすか?」
女戦士「今すぐにだ」
ローグ「頭も行くんすかね?」
女戦士「お前一人だ」
ローグ「マッサージの件は…」
女戦士「エルフを触った手でマッサージさせる気は無い…エルフとドワーフは仲が悪い事ぐらい知って居るだろう?」ギロ
ローグ「あいやいや…これはっすね…魔女さんの命令でやんして…」
女戦士「黙って飛空艇でフィン・イッシュへ飛べ」
ローグ「へ…へい」ショボン
女戦士「補給も必要だ…古代金貨をいくらか持って行って物資を買い付けて来るのだ」
ローグ「わかりやした…トホホ」
508 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:11:24.84 ID:rXZyBWej0
『石板のある部屋』
スタスタ
女戦士「魔女!ここに居たか…」
魔女「んん?済まんのぅ…わらわは迷惑をかけて居った様じゃ」
女戦士「無事に目覚めて何より…それよりアサシンから魔石を預かって居るのだ」スッ
魔女「ほう?魔王を封じた魔石かえ?どれどれ…」
女戦士「私には只の魔石にしか見えんが…」
魔女「ふぅむ…その通りじゃ…これに魔王が封じられているとは到底思えぬのぅ」
情報屋「私に見せて…私は魔王を封じた魔石を一度見て居るわ」
魔女「ホレ?」スッ
情報屋「全然違うわ…まず色が違う」
魔女「アサシンはこれが魔王を封じた魔石じゃと思って居るのか?」
女戦士「しまったな…アサシンは不死者になってから色が見えて居ないのだ」
魔女「色盲とな?」
女戦士「白黒の世界らしい…血とワインの見分けが付かないのはそのせいだ」
情報屋「…また魔王が行方不明なのね」
女海賊「今何ってった?」ギロ
情報屋「魔王の所在が不明…」
女海賊「なんで私だけこの世界に居残ったのか…今理解した」グググ
情報屋「…」
女海賊「未来はこう言い残したんだ…後の世界はよろしくって…未来はこうなる事も考えてた」
魔女「ヤレヤレ…まだ終わらぬ様じゃのぅ」
女海賊「どっちみち私は世界中の壁画を探しに行くつもりだったのさ…魔王を追い詰めてやんよ!!」
情報屋「あ!!そうそう魔女に見て欲しい魔方陣があるのよ」
魔女「魔方陣じゃと?」
情報屋「未来君が書き残した羊皮紙に魔方陣が記されて居るの…見て?」
魔女「こ…これは!!重力の方陣…未解明の方陣じゃ!!」
情報屋「どういう意味があるか分かる?」
魔女「調べねばならぬ…書庫はフィン・イッシュ!わらわはフィン・イッシュへ行かねば…」
女戦士「既にローグが飛空艇で飛び立った…書物を持って来させる様に連絡は出来る」
魔女「頼む…書物の名を書き出そう…」ノソノソ
情報屋「私も必要な書物の…おぇぇぇ」ウップ ヨロ
魔女「ううん?主はもしかすると子を宿しては居らぬか?」
情報屋「ええ!!?それで吐き気が…」
女海賊「ちょ…マジ?私も欲しいんだけど…どうやって想像妊娠すんの?」
魔女「ちぃと温い衣服に着替えた方が良かろう」
女戦士「フフそういう体調不良は歓迎だ…情報屋は戦力から外そう」
魔女「父親は誰じゃろうのう?盗賊かえ?」
情報屋「ちょっと秘密にしておいて…纏わりつくのがうるさいから」
509 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:11:51.07 ID:rXZyBWej0
『勇者の像』
へーーっぷし!!
盗賊「あー悪りぃ悪りぃ…鼻水飛んだな…ホレ古代金貨一枚持ってけ」
難民「…」ベター
盗賊「おい商人!エルフの体ばっか触って無いでちったぁ手伝ってくれ」
商人「失敬だな…ちゃんと賢者の石で治癒してるさ」
盗賊「胸揉みまくってんだろ」
商人「違うよ大きな傷があるんだ…良く死なないで生きてると思う」サワサワ
盗賊「未来が残したどんぐりとキノコ有んだろ?目覚めたらそれ食わせろ」
商人「居なくなってもまだ世界を救おうとするか…」
盗賊「なぁ?未来が言ってたていう放射能の毒ってやつ…それが無くなって俺ら救われたんかな?」
商人「どうだろうね?それは未来君だけしか知らない事だよね」
盗賊「女狐とそんな様な話をしたんだ…勇者の行いは誰も見て居ない…だから語られない」
商人「勇者本人しか知らない事だから…本人が壁画で残すしかないんだね…それが伝説の正体だよ」
盗賊「剣士も未来もスゲー良い奴だったよな…居なくなって正直心に穴が開いた感じだ」
商人「みんなそうさ…前を向かないと気が紛れない」
盗賊「うむ…お前はこれからどうすんだ?」
商人「僕はホムンクルスをどうにかして生き返らせる」
盗賊「そうか…俺は壁画とお宝探しだな」
商人「行先は一致しそうだ」
盗賊「だな?とりあえず南の大陸か?」
商人「いや…未来君の残した羊皮紙に地図が掛かれて居たよね…其処だよ」
--------------
510 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:12:20.83 ID:rXZyBWej0
女戦士「何?それは本当か?」
魔女「うむ…2度経験したで間違いない」
女戦士「笛の聞こえる範囲はどのくらいだ?全員寝てしまっては支障が出る」
魔女「どのくらいじゃろうのぅ…遺跡の下層のみで使ってみてはどうじゃ?」
女戦士「ふむ…下層を重傷者の回復ベースとするか」
盗賊「何の話してんだ?」
女戦士「妖精の笛に強い癒しの効果があるらしい…エリクサーを超えるとか」
商人「あ!!僕もそう思ったよ…寝覚めがすごく良いんだ」
盗賊「ほぅ?」
女戦士「魔女の負担軽減でもある…触媒にも限りがあるからな」
盗賊「ほんじゃ回復が必要な奴らだけ下層で治癒させる訳か…この辺が散らからんで良いわな」
女戦士「早速入れ替えを始めたい」
商人「瞑想してるエルフはどうするの?」
女戦士「まぁ動かして良いかどうかも分からんから目覚めるのを待とう…とりあえずこれから入って来る者は下層に案内してくれ」
盗賊「女海賊と情報屋も一睡もして居無いからよ…なんとか騙して眠らせてやってくれ」
女戦士「そうだな…子を宿しているし休ませるか…」
魔女「これ女戦士!下手な事言うでない」
女戦士「あぁ口が滑った」
盗賊「んん?何か言ったか?」
女戦士「何でもない」
盗賊「女狐はまだ掘ってんのか?」
女戦士「フフ柄に合わず必死で財宝を探して居るぞ?古代金貨をばら撒いて居る事は秘密にしておいた方が良いな」
盗賊「ヌハハあいつ思ったより単純な奴だな気に入った!!」
女戦士「多めに金貨を残しておいてやれ」
511 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:12:50.47 ID:rXZyBWej0
『遺跡探窟』
ガサゴソ ゴトン
盗賊「いよう!!様子見に来たぜ?」
女狐「あら?盗賊…見て?壺よ?」
盗賊「ヌハハお前真っ黒に汚れてんぞ?」
女狐「あなた…お金に縁が無いとか言ってたのは嘘ね?」
盗賊「俺は金に興味が無いと言ったんだ」
女狐「じゃぁ私が全部貰うわ」
盗賊「悪いが古代金貨は全部難民に配っちまった」
女狐「えええええ!?何てことするの!!」
盗賊「まぁまぁ聞け…宝石は全部残してある…お前の物だ」
女狐「暴動を防ぐための投資…という訳ね?」
盗賊「そういう解釈でもまぁ良い」
女狐「この財宝を見たら公爵の資金なんかどうでも良くなったわ」
盗賊「お前は金を何に使うのよ?欲しい物なんかそう無いだろ?」
女狐「あなたに関係無いわ」
盗賊「お前の髪色は南の大陸出だな?赤毛…」
女狐「詮索しないで」
盗賊「ほ〜ん…まぁ良い…実はな?俺は昔孤児院の子供を引き取って養ってたんだ」
女狐「孤児院!!どこの!?」
盗賊「お?食いついたな?セントラル東のトアル町だ」
女狐「トアル町…」
盗賊「その感じはハズレか…多分お前は俺と同じ感じだな…孤児院に何か残してんだろ?」
女狐「うるさいわね…詮索しないで」
盗賊「そういう金の使い道は嫌いじゃない…まぁ上手く稼げ…じゃぁな」
女狐「…」ギロ
俺は知ってんぞ…勇者がどういう世界を選択したのか
未来は闇を知って居た
闇を許容する世界を選択したんだ
わかるぞ未来…お前の行きたい世界が
512 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:13:21.48 ID:rXZyBWej0
『翌日』
だぁぁぁぁぁぁ!!
女海賊「なんで私寝てんだよ!!」ドドド ピューーー
商人「あ!!女海賊!!食事を用意してるんだ」
女海賊「なんで起こさないのさ」
商人「気持ちよさそうに寝ていたから…妖精には会えた?」
女海賊「アイツのせいか!!グリグリにしてやる…」
商人「まぁそんなに急がなくても良いじゃないか…壁画は逃げない」
女海賊「それヨコセ!!ふん!!」モグモグ
商人「君が元気な姿見られると僕は癒される」
女海賊「あんた…わたしに惚れてんの?」モグモグ
商人「ハハまぁね…」
女海賊「よし!!奴隷として使ったげる」
商人「あいや…あのね…」
女海賊「私の秘密を一つ教えたげる」
商人「秘密?」
女海賊「あんたホムちゃんを復活させたいよね?」
商人「そうだね…生体を手に入れたい」
女海賊「私持ってんだよ…ある場所に隠してあるんだ」
商人「ええええ!?どういう事だい?」
女海賊「只動かし方が分かんない…あんたなら秘密を解けるかもしんない」
商人「詳しく教えて!!」
女海賊「持ってんのは生体の完成品じゃないんだ…部品を沢山持ってる」
商人「部品…」
女海賊「どうやって組み合わさるのか分かんないのさ…他の材料が何なのかも分かんない」
商人「君の奴隷で良い…それを僕にやらせて」ズイ
女海賊「よし!!私の下着洗って来い!!」ヌギヌギ
商人「ぐぁ…なんでこんなにベトベトなんだよ…」
女海賊「うっさいな!指が勝手に動くんだよ…黙って洗ってこい」
513 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:13:58.76 ID:rXZyBWej0
『キャンプ』
ガガーン ビシビシ
魔女「雷魔法!」ガガーン
盗賊「何事よ!!」ダダダ
女戦士「驚いたか?」
盗賊「敵は何処だ?」キョロ
魔女「敵では無い…地面に雷を落としたのじゃ」
盗賊「なんだ紛らわしい…なんで雷なんか落としてんだ?」
魔女「これで遺跡の中にキノコが一斉に出るじゃろう」
盗賊「キノコ?」
魔女「うむ…キノコが育つのに適正な環境じゃ…エルフに与えよ」
盗賊「なんだそういう事か…どうせならシカ肉が食いてぇんだが」
女戦士「心配するな…リカオンが狩りをしてくれている」
盗賊「おぉ!!やっと肉にありつける」
女戦士「シャ・バクダ砦に酒の備蓄もあるらしい…期待して待て」
盗賊「酒場はいつ再開すんのよ?」
女戦士「損壊した建屋を復旧中との事だ…もうしばらく掛かるな」
魔女「さて…わらわは蘇生魔法を掛けに戻るかのぅ」ノソノソ
女戦士「直にシャ・バクダから治療が必要な者が押しかけて来る…準備しておいてくれ」
盗賊「酒と肉はそいつらと一緒に来るわけだな?」
女戦士「だと良いな?フフ」
514 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:14:41.49 ID:rXZyBWej0
『遺跡下層』
ヒソヒソ
はぁぁぁやっと休める…
ここは暖かくて最高だ
エルフの横で休めるのか
盗賊「配給だぁ!!取りに来てくれい」
商人「エルフはどんぐりとキノコだよ…はいどうぞ」
エルフ「…」カリ モグ
商人「どう?採れたてのキノコさ」
エルフ「…」チラ
商人「フフそれがエルフのありがとうのサインか…分かり難いなぁ」
盗賊「食ったら妖精タイムだ…残さないで食えよ?」
エルフ「…」スス
商人「ん?手伝ってくれるのかな?皆に配って来て?」
エルフ「…」スタスタ
盗賊「お前エルフと話せるんか?」
商人「何となくだよ…孤児院に初めて来た子供ってこんな感じなんだ」
盗賊「なるほど…」
エルフ「…」チラリ
商人「あぁぁはいはい!まだあるよ?全部持って行って良い」スタ
盗賊「何言ってるかさっぱり分からん…」
ヒソヒソ
俺もエルフから配給されてぇ…
それらしい位置に移動だ…ケツで歩け
おぉぉ手を握られた…エルフの手は冷えっ冷えだ
おっし俺は握り返して…
515 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:15:13.43 ID:rXZyBWej0
『遺跡上層』
スタスタ
商人「この笛スゴイな…全員直ぐに眠ったよ」
盗賊「エルフ達もか?」
商人「うん…ビックリだ…エルフが次々倒れて行くんだよ」
盗賊「こりゃ治療に人出が要らんのが相当ラクだな?」
商人「そうだね…食事の用意だけで済む」
魔女「わらわは蘇生魔法で忙しいがのぅ…さて癒して来るわい」ノソノソ
商人「触媒は足りる?」
魔女「ミネラルが欲しいのぅ…直に尽きてしまう」
盗賊「鉱物はこの辺じゃ手に入らんな…」
商人「ミネラルか…ローグが気を利かせて買って来てくれれば良いね」
スタスタ
リカオン「酒持って来たよ…」ドスン
盗賊「おぉぉぉ樽で持って来たか!!ってお前太ったな…」
リカオン「食べすぎた…反省してる…しばらく獣人に変態するのは控える」シュン
盗賊「…で?シャ・バクダの方はどうだ?上手くやってんのか?」
リカオン「クリーチャーが徘徊してる…これが美味しいからつい…」
盗賊「なんだその魔物は?聞いた事無いぞ?」
リカオン「異形の生物をそう呼んでるんだ…色んな動物が混ざった新種の魔物だよ」
盗賊「じゃぁアレだな貴族の成れの果てだ…元は人間だな」
リカオン「中には賢くて手強いのも居るんだよ」
盗賊「じゃぁまだ危ない訳か」
リカオン「クリーチャーよりも人間の方が危ない…セントラルの傭兵が奇襲をかけて来てね」
商人「摩擦はしばらく続きそうなんだ…」
リカオン「でもこちらの方が圧倒的優位だよ?エルフが居るから」
盗賊「なぬ?こっちはエルフと混成なんか?」
リカオン「あれ?聞いて無かったの?精霊樹を守る目的で協力するって」
盗賊「俺ら遺跡に籠ってるからそういう情報が入って来無ぇんだ」
リカオン「そうだったんだ…じゃぁ私から教えようかな」
516 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:15:42.45 ID:rXZyBWej0
ハイエルフは精霊の御所に住まう
ハーフエルフは人間と一緒に住まう事に決まったんだよ
それが精霊樹の意思らしい
商人「それで遺跡にエルフが定着してるのかな?」
リカオン「そうだよ…ハイエルフの命令で人間との交配を進めるんだってさ」
盗賊「ほーう…その代わり人間にも精霊樹を守らせる…そういう取り決めが有った訳か」
リカオン「私も森を安定して守るには人間の協力が必要だと思う…良い歴史の転換ね」
盗賊「こりゃセントラルが嫉妬しそうだ」
リカオン「そういうのがもう起き始めてる…傭兵の奇襲がそれよ」
商人「ふーむ…なんかマズイ気がするなぁ…シャ・バクダは資源が少ない…物流が途絶えると不利になる」
盗賊「森は資源にならんのか?狩り資源なら死ぬほど有ると思うが?」
商人「どうやって運ぶかだよね…商隊のルートを全部セントラルに抑えられてるから言いなりになってしまう」
盗賊「思うんだがよ?ヘラジカの引くソリは馬車よりよっぽど早い…フィン・イッシュ側に商隊ルート作れんか?」
商人「なるほど…中継点をいくつか置けば良いか」
盗賊「エルフが味方ってのは相当デカイ…エルフの女目当てで定住する男も沢山出る筈だ」
商人「そういう路線で行くのも良いね…エルフ装備とか良い値で売れそうだ」
盗賊「まぁアレだ…シャ・バクダをどんだけ守れるかがカギだな」
リカオン「フフ…アサシンの読み通りだ…次は盗賊ギルドの出番だよ」
盗賊「セントラルとの駆け引きが始まるか…争いをうやむやにして先送り」
商人「うやむやねぇ…」
517 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:16:18.68 ID:rXZyBWej0
『石板のある部屋』
纏めるわ…
未来君の残した羊皮紙に書かれてあるのは恐らく予言
私達はこれを回避する必要がある
未来に何が起こるのかと言うと…一番大きいのが地軸の移動
これは多分回避できない
でも地軸の移動によって生じる災害を回避する術はある
ここに記されて居る地図は地軸が移動した後の地図ね
セントラル沖が南極点に変わる…それによって大規模な気候変動が起きる
女海賊「牙の生えている人物はオークだよね?なんで沢山関わってると思う?」
情報屋「この重力の魔方陣の出所だと思うわ…魔女もオークの使う術がどうとか言ってたし…」
女海賊「重力…ほんじゃそれが原因で地軸が移動?」
情報屋「…かもしれない…兎に角一度オークの地へ行って調べる必要がありそう」
女海賊「私何回も行ってんのよ…良く分かんないんだよねオークの文化」
情報屋「オークはエルフと同じくらい賢い生き物…きっと何か知って居るんだわ」
タッタッタ
女海賊「あれ?リカオン姉さん…いつ戻ったん?」
リカオン「未来君からの伝言を伝えるのを忘れてて…」
女海賊「ええ!?なに!?」ズイ
518 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:16:46.89 ID:rXZyBWej0
リカオン「あなたに冒険の書を読ませてって最後に言ってたの」
女海賊「えええ…私字が読めないんだよ」
リカオン「読めば分かるって言ってたわ」
女海賊「マジか…読んでみっかぁ」
情報屋「冒険の書は私が預かって居るわ」
女海賊「あんた読んだ?」
情報屋「少し…」
女海賊「何が書いてあったん?」
情報屋「魔女が言うには読む人によって内容が違うって…」
女海賊「だから何が書いてあったのさ」
情報屋「ウンディーネ時代の物語…光る隕石が落ちた後に生き抜く人間の物語よ」
女海賊「むむ!!未来と同じ事言ってんね」
情報屋「それも予言なのかも知れないわ…あれ?そう言えば物語に虫使いの青年が出て来てた」
女海賊「ちょちょちょ…それ未来じゃね?」
情報屋「分からない…私の場合文字を読んで居るから」
女海賊「ちょい貸して!!」
情報屋「これよ…」バサ
女海賊「どれどれ…」パラパラ
情報屋「読める?」
女海賊「絵だ…絵が動く…」
情報屋「新しい発見ね…文字が読めなくても分かる様になっているのね」
女海賊「ちょいしばらく話しかけないで…てか私向こうでこれ読んで来る」ダダダ ピュー
情報屋「フフ暇つぶしが出来て良かったみたい…」
リカオン「…」クンクン
情報屋「ん?何?」
リカオン「あなたのお腹の中…」
情報屋「分かるの?」
リカオン「ヤバイなぁ…私もそろそろ相手見つけないと…」
519 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:17:16.25 ID:rXZyBWej0
『数日後_キャンプ』
フワフワ ドッスン
ローグ「頭ぁぁぁ!!物資調達してきやしたぜ?」
女戦士「ご苦労…早速荷物を降ろしてくれ」
ローグ「ほんで女王とセントラル王も連れて来たんすが…」
女戦士「何?」
女王「ご無沙汰しております…」ペコリ
セントラル王「これは…ドワーフ国王女殿…」キリ
女戦士「ぁぁ参ったな…先に言え戯け!」
ローグ「視察で急に同行する事になったんす」
女戦士「何も用意して居ないが…」
女王「お気になさらず…地べたに寝る事になっても良いのです」
女戦士「シャ・バクダの方はまだバタバタしているのだ…案内出来る状態では無い」
女王「アサシン様と直接お話がしたかっただけですので…」
女戦士「まぁ綺麗な所では無いが遺跡の中へ入ってくれ…そっちの方が暖かい」
ローグ「あっしが案内しやす…どうぞ」スス
女戦士「側近と近衛も一緒か…」
ローグ「魔女さんは遺跡の中に居やすかね?書物も持って来たんすよ」
女戦士「待って居る筈だ…持って行ってやれ」
520 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:17:52.63 ID:rXZyBWej0
『遺跡上層』
ドヤドヤ
盗賊「んん?おぉぉ!!ローグ!!嬢ちゃんまで要るじゃ無ぇか!!」
女王「ご無沙汰しております…その節はお世話になりまして」ペコ
盗賊「あいやいや堅いのは止めてくれ…まぁちっとキノコまみれだがその辺に掛けてくれ」
女王「はい…」テクテク ストン
ローグ「さぁ皆さんこちらでくつろいで下せぇ」サササ
女王「エルフ達と同居されているのですか?」
盗賊「まぁ流れでそんなんなったんだ…話は全部聞かれているからよろしく頼むな?」
女王「羨ましいです…是非フィン・イッシュにもお越し願いたいです」
盗賊「エルフを釣るなら根菜だな」
女王「後に貨物用気球で到着しますので振舞いましょう」
盗賊「そら楽しみだ」
女王「上空からエルフの森を見ましたが壊滅的な破壊だったのですね」
盗賊「そうらしい…ここに逃れて来るエルフはみんな大怪我負ってんだ…この遺跡は回復ベースな訳よ」
女王「どのくらい逃れて来ているのでしょう?」
盗賊「ここで治療してるのが30ぐらいか?シャ・バクダと精霊樹に居るのも合わせて100ぐらいだとは思う」
女王「光る夜からまだ間が無いのでもっと増えますね」
盗賊「うむ…その為に此処がある訳よ」
女王「近隣の村々はどうなって居るのでしょう?」
盗賊「ひでぇもんよ…本当はセントラル側からも難民受け入れて治療してやりたいんだが中々そうは行かなくてな」
女王「貴方…なにか手はありませんか?」
セントラル王「こういう災時は時の王卿が陰で支援を…」
盗賊「あぁぁぁ…残念だが時の王は死んだ」
セントラル王「何ですと!!まさか時の王卿が…」アゼン
盗賊「なぁセントラル王よ…」
セントラル王「呼び名は戦士と呼んでくれ…セントラル王と胸を張って名乗れない立場故…」
盗賊「じゃぁ戦士や…民が苦しんでるのをどうする?」
戦士「うぐ…何とかせねば…」
盗賊「やっぱ食料と薬の配布が良さそうなんだが…」
商人「話に割り込むよ…それだと権力の一極化が起きる…今必要なのは良識を持った人を送り込む事さ」
戦士「その通り…ただ私にはそれを行使する権限が無い」
商人「貴族院に押さえられてるもんね?こういうのはどうかな?盗賊ギルドから派遣するのさ」
女王「そのお話を詳しく…」
商人「アサシンは盗賊ギルドのマスターなのは知ってるね?」
そこから近隣の村々へ人を送り込むんだ
冒険者とか難民という形で良い
やる事は村の支援となる様に食料や薬の流通を促す
畑を耕して一緒に住まう事で支援する訳さ
521 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:18:21.86 ID:rXZyBWej0
商人「そして盗賊ギルドの支持母体としてフィン・イッシュが構えていてくれれば良い」
盗賊「まぁ元々盗賊ギルドってのはそういう役割なんだがな…なんせ人出が足りん」
商人「見返りとしてエルフ達との友好…決してエルフを裏切らないという約束…お互いウィンウィンじゃないかい?」
戦士「失礼だが君は何者なのか?」
商人「ハハ只の商人さ…物流をコントロールしたいんだよ」
女王「今のお話…アサシン様と進めてみましょう…フィン・イッシュから良識のある人材を派遣すれば良いのですから」
商人「そうそう…そうすれば盗賊ギルドが上手く立ち回る…国を超えて動けるんだ」
女王「このお話…エルフの利が見えませんが」
商人「エルフはね…精霊樹と森を守りたいんだ…その為にフィン・イッシュ側の人間と協力する道を選んだ」
女王「分かりました…森の保護をお約束いたします」
シュタ タタタタ
商人「フフ早速ハイエルフに報告に行った様だ」
522 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:18:56.78 ID:rXZyBWej0
『隅っこ』
うぇっ… ぶへっ… うぇぇぇん… ひっく
ローグ「姉さん…姉さん?…食事と飲み物持って来やしたぜ?」
女海賊「ぅぅぅ…」ポロポロ
ローグ「聞いていやすか?」
女海賊「うるぜぇ…あっぢいげぇぇ」ヒック
盗賊「おいローグ!構うな!」
ローグ「いやでも姉さんゲッソリしていやすぜ?」
盗賊「そらこの2〜3日ずっとあの感じよ…死にゃしねえから放って置け」
ローグ「盗賊さん土産で芋酒持って帰ってきやしたが…」
盗賊「シャ・バクダ砦にワインが備蓄してたんよ…芋酒はエルフに振舞ったらどうだ?」
ローグ「あらら喜んで貰えんで残念す…」
盗賊「まぁそう言うな…お前も飲め」
ローグ「じゃぁあっしもワインを…」グビ
盗賊「やっと落ち着いた感じになって来た」
ローグ「頭にちっと話聞いたんすが…昔の盗賊ギルドの奴らが傭兵になって攻めて来てるらしいっすね?」
盗賊「あぁその話か…俺の顔知ってるだろうから動き辛いんだ」
ローグ「盗賊さんは有名でやんしたからねぇ…あっしはまだ顔バレしてないですわ」
盗賊「リカオンとアヌビスもまだ正体バレて無ぇ…俺ははしゃぎ過ぎた…もうセントラル領には行け無えな」
ローグ「いっその事トレジャーハンターに専念した方が良さそうっす」
盗賊「そのつもりよ…俺は女海賊と共に壁画探しに行くんだ」
ローグ「いつ行くんすか?」
盗賊「さぁな?女海賊次第だ」
ローグ「分かれる感じになっちまいやすね…」
盗賊「まぁ同じギルド同士だから直ぐに合流すんだろ」
ローグ「えーと…残るのはあっしと頭…ほんでアヌビスさんとリカオンさん…後は女狐って感じっすね?」
盗賊「そんな感じだ…遺跡巡りだから情報屋と商人は外せない…魔女がどうするか?」
ノソノソ
魔女「わらわはオークの住まう地へ行くぞ」
523 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:19:37.26 ID:rXZyBWej0
盗賊「お?例の魔方陣の事は何か分かったんか?」
魔女「あれは簡単な暦じゃ…10年後のいつ地軸の移動が起きるか記した物じゃ」
盗賊「未来がそれを知ってたってのが驚きだ」
魔女「うむ…古代魔術をわらわより先に知り居った…オークから学んだに違いないじゃろう」
ローグ「いやぁぁ未来君ともう会えないなんて信じられやせんね…」
ぶわぁぁぁぁん… ごべんね未来ぃぃ 未来ぃぃ
魔女「これ女海賊…ちと休憩せい」
盗賊「冒険の書に未来の事が記されてんのか?」
魔女「女海賊はそう言うて居る…何度も読み返して居る様じゃ」
盗賊「魔女は読んだんか?」
魔女「うむ…恐らく夢幻が記されて居る…わらわは辛ろうて途中で読むのを止めたのじゃが…」
ローグ「姉さん…ちっと休みやしょう?」グイ
女海賊「うぇぇぇん…未来ぃぃ…ぅぅぅぅ」ポロポロ
盗賊「下層に連れてって妖精の笛で眠らせろ!!」
ローグ「姉さん行きやすぜ?捕まって下せぇ」ヨッコラ
魔女「冒険の書は預かっておくでのぅ?」
盗賊「商人!妖精の笛で寝かしつけてやってくれ」
商人「ハハ…困った人だ」
盗賊「あれで勇者だってんだから調子狂うんだよ…なんであんなに脇役みたいな感じなのか…」
魔女「そうじゃローグ!!触媒のミネラルが無くなりそうなんじゃが買って来ては居らぬか?」
ローグ「あいやぁぁ買って無いっす…」
魔女「気が利かん奴じゃのぅ…」
盗賊「回復魔法に使うんだっけか?」
魔女「そうじゃ…蘇生にも必要なのじゃ」
盗賊「鉱物かぁ…そういや崩れたゴーレムが鉱物っぽい感じだったんだが」
ローグ「シャ・バクダ方面に2体転がって居やすね?捕りに行きやしょうか?」
盗賊「そうだな…たまにゃ外に出て見るか」スック
魔女「わらわも行こう…変性でミネラルだけ取り出せるやも知れぬ」ノソリ
524 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:20:13.06 ID:rXZyBWej0
『キャンプ詰め所』
メラメラ パチ
アサシン「女王と話は済んだぞ」
女戦士「早かったな?」
アサシン「まぁ思って居た所が同じだったものでな」
女戦士「女王はどうする?しばらく滞在するのか?」
アサシン「女王のみフィン・イッシュへ還るそうだ」
女戦士「セントラル王は?」
アサシン「しばらく居残って近衛達との摩擦を回避する」
女戦士「摩擦?」
アサシン「女王の側近達にまだ認められて居ないのだ…苦労の多い男だ」
女戦士「フフ…」
アサシン「それで役割をお前と交代したい」
女戦士「私にどうしろと?」
アサシン「お前の貨物船を港町付近の漁村に停船したままだったろう?」
女戦士「河口の漁村にな?取りに戻っても構わんと?」
アサシン「そうだ…ローグと共に戻ってフィン・イッシュを拠点として貰いたい」
女戦士「海賊共はどうする?」
アサシン「任せる」
女戦士「ふむ引き受けた」
アサシン「即答だな」
女戦士「狙いは想像が付く…フィン・イッシュを海上貿易で支援したいのだろう?」
アサシン「察しが良い…出来れば海賊には大人しくして貰いたい」
女戦士「奴らは貴族の資産を奪ってどうせ陸で女を追いかけまわしてる…腑抜けだ」
アサシン「こちらはアヌビスとリカオンが居るから心配しなくて良い…女狐も諜報には役立ちそうだ」
女戦士「そうか女王と話して復興が軌道に乗りそうか…」
アサシン「すべて良い方向に転がって行ってる…諜報が効くようになれば魔王の影も追えるのだ」
女戦士「分かった…私は海に出て一度仕切り直すとしよう」
アサシン「女海賊は一所に留まらんだろうから移動はそっちでやってくれ」
女戦士「言われなくても分かっている」
アサシン「…では私はシャ・バクダに戻る」スタ
525 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:20:39.96 ID:rXZyBWej0
『遺跡上層』
スタスタ
女戦士「アサシンから話は聞いたぞ?私とセントラル王と役割交代だ」
戦士「その呼び名は止して貰いたい…戦士と呼んでくれたまえ」キリ
女戦士「では戦士!私は左遷された…後は頼む」
戦士「左遷とは聞き捨てなりませんな」
商人「ハハ左遷されたのは戦士の方じゃないのかい?」
戦士「いやいや私に限ってそんな筈は…」チラ
女王「皆さん左遷ではありません…私は出産の為に休養するのです…仕方なく国へ戻るのです」
商人「え!!?出産?…てかまだ結婚して無いよね?」
近衛「ぐぬぬぬ…」
女王「跡取りが出来ればそれで色々解決します」
商人「なんだそういう感じかぁ…近衛からしたら勝手に女王が子供作っちゃったんだ」
女王「近衛?もう認めて下さい…」
近衛「王同士のご結婚はさすがに慎重になりまする…」
女王「話が一向に進みませんねぇ…」
商人「まぁしょうがないよね?セントラルに乗っ取られるかも知れないんだし」
戦士「私が不甲斐ないばかりに…」
女戦士「ここで汚名を晴らせ…この地を平定すれば良いでは無いか?」
戦士「そう!!それだ!!私は民を救わねばならない…それが私に科せられた宿命!!」
商人「適任な様だね…」タジ
戦士「まずは整地だ!!私は行く!!力のある限り!!」ドドドドド
商人「なんか変な人だなぁ…」ボーゼン
女戦士「フフ来て早々に整地とは恐れ入る…雪をどうするつもりか…」
女王「いつもあの調子ですのでご迷惑をおかけするかもしれませんが…」ペコリ
女戦士「さて…私は少し横になる…商人!背中を踏んで欲しいのだが」ドサ
商人「お安い御用さ…」フミフミ
女王「やはり城より皆さんと一緒が落ち着きます…」
近衛「いやいやこの地は冷えまするのでお体に障ります…」
526 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:21:33.54 ID:rXZyBWej0
『翌日』
ワイワイ ガヤガヤ
ほーう?キノコでこんな薬が作れるんか…
簡単なポーションですので治療のお役に立てればと
わらわも知らんかったわい…何処で錬金術を学んだのじゃ?
ホムンクルスさんから教わったのです
なるほどのう…材料の物性値から求めたのじゃな…
スタスタ
女海賊「…」ボーーーー
盗賊「お?女海賊!寝覚めはどうだ?」
女海賊「…」スタスタ
盗賊「待て待て!何処行くんだ?何か食ってけ」グイ
女海賊「…」ギロ
盗賊「寝起きの悪いやっちゃな…まぁ座って腹に何か入れろ」グイ
女海賊「…」モグモグ
魔女「落ち着いた様じゃな?これ商人!!よだれで髪が乱れて居るから整えてやれ」
商人「え?僕が?」
女王「私が整えましょう…」スック
女海賊「…」ムシャムシャ
魔女「して?何か話せるかえ?」
女海賊「…」ピタ
盗賊「おいおいおい…泣くのは止せ…振り出しに戻っちまう」
女海賊「…」ポロポロ
盗賊「まぁ食って落ち着け?な?」
女海賊「…」プルプル モグ
527 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:21:59.60 ID:rXZyBWej0
魔女「ふむ…よほど堪えた様じゃな…聞かぬ方が良かろう」
女海賊「シン・リーン行く」ボソ
魔女「壁画じゃな?」
女海賊「…」コクリ モグモグ
盗賊「おっし!!情報屋呼んで来るわ」
魔女「そう慌てんでも良かろう?女王も居るでのぅ」
女王「私もそろそろ行かねばなりません」
魔女「では女王を見送った後じゃな」
女王「お気遣いありがとうございます…ですが私の事はお気になさらず」
盗賊「俺は穴の中で籠るのはもう飽きたんだ…酒場で酒が飲みてぇ」
女海賊「食ったら行く」ムシャ
盗賊「おいローグ!!飛空艇準備しとけ」
ローグ「あいさー!!頭ぁ!!風が吹いて来やしたぜ?」
女戦士「フフ風か…よし!碇を揚げるとするか」ノソ
盗賊「ほんじゃ俺は情報屋呼んで来っから荷物まとめんの頼むな?」タッタッタ
ローグ「飛空艇なら直ぐ到着するんで物資はあんま要らんでやんす」
女海賊「…」スック
ローグ「あらら?姉さんもう行くんすか?ちっと早いっす…」
女海賊「壁画…」スタスタ
528 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:22:29.21 ID:rXZyBWej0
『石板のある部屋』
タッタッタ
盗賊「情報屋!調査の方はどうだ?」
情報屋「もう記録は全部終わったわ…後は学者を呼んでじゃないと進められない」
盗賊「じゃぁ丁度良かった…シン・リーンに行くんだ」
情報屋「女海賊が目覚めたのね?」
盗賊「そうだ…風が吹いたっていう表現だ」
情報屋「風?」
盗賊「出港だよ」
情報屋「フフ船乗りらしい」
盗賊「荷物まとめてくれ…一旦風を逃すと出遅れちまう」
情報屋「分かったわ…皆行くのよね?」
盗賊「うむ…残るのはアサシンとアヌビス…リカオン…女狐だ」
情報屋「女狐さんに教えて置いた方が良さそうね」
盗賊「あいつまだ財宝探してんのか?」
情報屋「割と取り扱いが丁寧で助かって居たのよ」
盗賊「ほう?」
情報屋「財宝と言っても壺とか装飾品ね」
盗賊「キ・カイの古代遺跡とは違うからそんなもんか…」
情報屋「絶対何処かに有る筈だから探して貰って居るの…ちょっと連絡してくるわ」スタ
--------------
529 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:23:03.86 ID:rXZyBWej0
スタスタ
女海賊「未来…」サワサワ
盗賊「お?壁画の見納めか?」
女海賊「あんた…未来がどんな気持ちでこの壁画彫ったか想像できる?」
盗賊「んんん…相当手間かかってるよな?」
女海賊「こんなん簡単に彫れないんだよ…そんだけ守りたい記憶だったんだ」
盗賊「羊皮紙とかにすりゃ良かったのにな?」
女海賊「書いたに決まってんじゃん!失われただけさ」
盗賊「700年だっけか…」
女海賊「あの子ね…記憶が失われて行く事知ってたんだよ…それを全部賭けて世界を救ってんだ」
盗賊「冒険の書の話か?」
女海賊「未来が生きた世界を見たさ…苦悩を見たよ」ツツー
盗賊「この壁画がそうなんだな?」
女海賊「私は壁画を全部見る必要がある…そして未来を迎えに行く」
盗賊「行先を追うんだな?」
女海賊「奴隷にはしっかり働いて貰うから…覚悟して」
-------------
530 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:23:32.98 ID:rXZyBWej0
タッタッタ
女狐「あ…盗賊」
盗賊「おぉ俺らシン・リーンへ行く事になったんだ…寂しくなるな?」
女狐「そうでもないわ?」ジャラリ
盗賊「ウハハ高く売れそうな装飾品だな?」
女狐「私も一度アサシンの所へ戻るわ…酒場のマスターとして雇われたのだから」
盗賊「それが良い…財宝が手に入ると金がどうでも良くなるだろ?」
女狐「フフあなた達の言って居る事が分かった…でもちゃんと使わせて貰う」
盗賊「上手く使えな?てか孤児院のガキ全部買い取れ」
女狐「詮索しないでって言ったでしょう?」
盗賊「悪りぃ悪りぃもう聞か無ぇよ…次ぎ会う時は酒場だな?」
女狐「上等なお酒を用意しておくわ」
盗賊「そりゃ良い!酒がありゃもうちっとマシな話が出来る」
女狐「情報屋が睨んでる…もう行ったら?」
盗賊「おおうヤベェ…ほんじゃあばよ!」ノシ
531 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:24:04.23 ID:rXZyBWej0
『飛空艇』
フワフワ
ローグ「姉さ〜〜ん!!早く乗ってくだせぇ!!」
女海賊「…」スタスタ
戦士「敬礼!!」ビシ
魔女「戦士や…シン・リーンから魔術師を派遣するでちと待っておれや?」
戦士「シン・リーンの姫君…ご厚意に感謝致す」キリ
魔女「主は堅いのぅ…気持ち悪いでヤメイ」
戦士「いやはや私とした事が…ハハハ」
魔女「数日分のポーションはある故ちぃと我慢じゃ…ではのぅ」ノシ
女戦士「全員乗ったな?では碇を揚げろ」
ローグ「あいさぁぁ!!」グイ
フワフワ バサバサ
女王「行ってしまわれましたね…」
戦士「さすが勇者一行…去り際にも余韻を残すとは…」
女王「貴方はあの飛空艇と戦って居た事が有るのでしょう?」
戦士「過去の話…私は前しか見ない…只もう彼らに追いつける気がしない」
女王「本当は貴方も行きたいのでは無いのですか?」
戦士「私は民を救う義務がある…それだけ」
女王「私は王で無ければあの船に乗って居ます…住む世界が違って居るのですね」
戦士「前を!前だけ見れば迷いなし!!」キリ
--------------
--------------
--------------
532 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:24:35.62 ID:rXZyBWej0
『飛空艇』
ビョーーーウ バサバサ
未来はね…ずっと心の中に寂しさを抱えたまま育ったの
小さい時から遊び相手はいつも虫…
そしてあの子が生きた世界ではパパとママに置いて行かれて独りぼっち…
そうやってやっとできた友達や好きな人とも
勇者という使命を果たす為に置いて来てしまった
そんな夢幻をずっと彷徨ってやっと目覚めた時に
そんな未来の心を何も知らないで私は構ってあげられなかった…
未来にとって理解者は心が通じたパパ…
剣士は大事な記憶を失いながら使命を果たす勇者の宿命を知ってた…
だから未来はパパと運命を共にする事を選んだのよ
女海賊「もっと…ぅぅ…もっと構ってあげられれば良かった…ぅぅぅ」ポロポロ
私が未来の蒼い瞳を奪ってしまったから…
あの子は自分の次元を持てなかったの…
だから次元を飛ぶ度に記憶を失う
壁画だけが未来の記憶を繋ぐ手段だった
でも…それでも未来が変わるたびに失ってしまう
あの子は世界を救う旅の果てですべての記憶を失って
最後に月を見た…
それは私との約束だったから
月に行く約束だけ…最後に残った
女海賊「私は月に行く!!」
-------------
-------------
-------------
月の約束…編
完
533 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/12/13(月) 09:10:42.24 ID:YqnUjbcN0
乙。続き気になる
534 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/12/13(月) 15:06:40.95 ID:semu/zPd0
ものすごく長いソードマスターヤマト
535 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/06/18(土) 15:52:38.41 ID:c2KZAoSz0
『1か月後_シン・リーン古代遺跡』
壁画の写し絵製本作業完了しました!
年代毎に並べ替えは良いじゃろうな?
確認をお願いします
どれどれ…ふ〜む…
情報屋「魔女?もう一冊複製をお願いしたいのだけれど…」
魔女「主も携行するのじゃな?」
情報屋「そう…私は壁画の出所を調査したいの」
魔女「材質で割り出すのかえ?」
情報屋「そうよ…キ・カイに戻れば壁画のベースになった石が何処で産出されたのか分かるわ」
魔女「全部調べるのかえ?すべてバラバラの様じゃが…」
情報屋「調べる事でどの地域で壁画が彫られたのか特定出来るから…」
魔女「よかろう…これ学者よ!急ぎでもう一冊複製させるのじゃ」
学者「分かりました…」ペコ
魔女「…しかしこの壁画すべてよそから運んで集めて居ったとはのぅ…」
情報屋「先人の魔術師達が世界中の壁画を集めさせたのよ…偉業だわ」
魔女「残りの壁画は何処にありそうか目星は付かんか?」
情報屋「やっぱり南の大陸かと…確証は無いけれど」
タッタッタ
女海賊「魔女!!宝物庫でこんなんあったんだけどこの金槌何??」スッ
魔女「それはこの遺跡で発見された呪われた装備じゃ…調査の為に一応残しておいたのじゃが…」
女海賊「これ欲しいんだけど…」
魔女「魔人の金槌と言ってな…量子転移のエンチャントに失敗した武器じゃ…呪いが主を支配してしまうぞよ?」
女海賊「私さ…剣とかあんま上手く使えないんだ…金槌なら得意なんだよ」
魔女「使っても良いが依存せぬ様にな?」
女海賊「依存?なんで?」
魔女「破壊力は絶大じゃろうが夢を見るのじゃ…まぁそれで主の心が少しでも癒えるのであれば使うても良い」
女海賊「夢?」ブンブン
---ママ?ママってカリスマなの?---
女海賊「ハッ…」
魔女「コレ!危ないで振り回すでない!!」
女海賊「未来の声が…」
魔女「それが夢じゃ…依存せぬ様にな?」ノソノソ
536 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:53:16.87 ID:c2KZAoSz0
『城の中庭』
チュン チュン ピヨ
女海賊「おいダンゴムシ!敵が来たぞ…丸まれ」コロコロ
女海賊「ワーム出て来い…囮で走れ!」ニョロニョロ
女海賊「スズメバチ部隊!攻撃の準備だ」ブーン
バサバサ パク!
女海賊「ぁぁワーム!!あんた足遅すぎなんだよ…」
女海賊「スズメバチ!ワームを助けろ!!」ブーン
ノソノソ
魔女「上手い事虫を操るのぅ?」
女海賊「ハッ!!ヤベ…見られた」
魔女「恥ずかしがる事は無いぞよ?」
女海賊「あのさ魔女…私に魔法教えてよ」
魔女「前にも言ったが主は魔力1じゃ…適性が無い」
女海賊「魔力1って事は在るって事じゃん…なんか無いの?」
魔女「虫使いの才はある様じゃで虫を詳しく勉強すれば使いこなせるやも知れぬ」
女海賊「何を勉強すれば良い?」
魔女「触媒に何を使うじゃとか…虫が何を好むじゃとか色々じゃ」
女海賊「触媒って何よ?」
魔女「未来はどんぐりや種を沢山持って居ったじゃろう?」
女海賊「どんぐり…」
魔女「うむ…植物の種は命そのものなのじゃ…そこから様々な虫が生まれる」
女海賊「私にも出来る?」
魔女「成長魔法が使えぬ故…大きな虫を生むことは出来ぬ…小さな虫なら使えるじゃろうのぅ」
女海賊「小さな虫って?」
魔女「未来が使って居った線虫じゃな…ワームの一種じゃ」
女海賊「その触媒がどんぐりなんだね?」
魔女「主は虫と話せる用じゃから聞いて見るが良い…わらわは虫の声が聞こえぬで何とも言えん」
女海賊「そっか…未来は虫に聞いて育ったのか…」
魔女「主は未来の心を真似て居ったのじゃな?」
女海賊「見ないで…大人になって虫と遊ぶなんて恥ずかしいから」
魔女「ほうか?ではわらわは見ぬ様にしとる…」ノソノソ
537 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:53:54.61 ID:c2KZAoSz0
『ルイーダの酒場』
ドゥルルン〜♪
盗賊「よう!!待ったか?」
商人「今来た所さ…戦利品売れたよ?」ジャラリ
盗賊「おーし!!分け前は半分お前にヤル!!これで美味い酒に又ありつける」
商人「今日は何を狩ってきたのかな?」
盗賊「例のごとくスノーゴートだ…アレが一番楽なんだ」
商人「角は?」
盗賊「あるぞ…」ゴトリ
商人「肉と毛皮はもう売った感じかな?」
盗賊「狩りのへたくそな奴にやった…まぁ角だけありゃ良いだろ」
商人「これ薬に出来ればもっと高く売れるんだ」
盗賊「そらメンドクセェな…錬金術なんか俺ぁ勉強する気無ぇ」
商人「勉強してみるかなぁ…」
盗賊「ところでちっと面白い噂聞いたんだ…」
商人「何だい?」
盗賊「港町の方で髭男爵って奴が腕利きの冒険者募集してんだとよ」
商人「髭男爵…公爵の手下か…」
盗賊「なんでも外海を冒険するらしい」
商人「帰って来れないじゃ無いか」
盗賊「帰ってくりゃ英雄だわな」
商人「行き先が知りたいね」
盗賊「だな?」
商人「それよりもう公爵が動き始めてるっていう事だよね」
盗賊「よー分からんが貴族の資産は全部海賊に持ってかれてんだろ?もう死に体じゃ無いのか?」
商人「情報が無いから何とも言えないなぁ」
盗賊「シン・リーンは貴族の影響力がほとんど無いから情報も入って来無ぇ」
商人「だね?平和な国だよ…」
盗賊「狩り資源が多いから冒険者には打ってつけだが…」
-------------
538 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:54:22.32 ID:c2KZAoSz0
盗賊「しかし一か月も俺らほったらかしで壁画の調査まだ終わらんのか?」
商人「なんか新しい発見が沢山あったみたいだよ?」
盗賊「お前はもう飽きたんだよな?」
商人「ここの古代遺跡はキ・カイの遺跡と違って僕はあんまり興味無いんだ」
盗賊「お宝は発掘し尽くした感じだしな…俺も行く気が無い」
タッタッタ ガチャリ
情報屋「はぁはぁ…やっぱりここに居たわね」
盗賊「おぉ!!今お前等の話してた所よ…まぁ座れや」
情報屋「女海賊はここに来て無い?」
盗賊「んあ?見て無ぇぞ?」
情報屋「城に居無いのよ…何処か行っちゃったみたいで」
盗賊「アイツは飛空艇の隠し場所知らん筈だから何処にも行けんと思うが?」
情報屋「何処に行ったのかしら…」
盗賊「飛空艇置きっぱなしでどっか行くとは思えんからその内帰って来るんじゃ無ぇか?」
ドロボーーー!!
盗賊「んん?」
商人「街道の方だね…ひょっとしたら女海賊かも」
盗賊「行ってみっか」スタ
539 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:54:48.41 ID:c2KZAoSz0
『街道』
ザワザワ
ったくあの女…こんな大量に盗む奴が居るか!!
盗賊「何の騒ぎだ?」
雑貨屋「売り物の種をごっそり盗んだ女が居るんだ…」
商人「種?ハハ…どれくらいの被害?」
雑貨屋「銀貨10枚程度か…そんな事よりごっそり行かれたのが納得いかん」
盗賊「丁度スノーゴートの角が要らんかったんだ…これで許してやってくれ」ポイ
雑貨屋「おぉ!!?そら済まんな…あんたらあの女の知り合いか?」
盗賊「分からんが連れに手癖の悪いのが居てな…どっちの方向に逃げてったんだ?」
雑貨屋「門の外だな…追憶の森方面だ」
盗賊「なぬ!?外に出たってか…イエティが居るじゃ無ぇか」
雑貨屋「まぁ俺は知らん…角は頂くから衛兵には言わんでおく」
盗賊「そら助かる」
雑貨屋「種を盗む奴なんか初めてだ…変な女も要るもんだ」
商人「どうする?追う?」
盗賊「追うしか無いだろ…イエティなんか一人で相手出来ん」
情報屋「私も武器持って来るわ」
盗賊「待て待て…お前等が一緒だと足手まといになる…俺が一人の方が良い」
情報屋「大丈夫?」
盗賊「まぁ酒場で酒でも飲んでろ…じゃ行って来るな」タッタッタ
540 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:55:17.02 ID:c2KZAoSz0
『1時間後_ルイーダの酒場』
ワイワイ ガヤガヤ
商人「あ!帰って来た…女海賊は見つかった?」
盗賊「だめだぁ…ハイディングして逃げてる奴なんか見つけられっこ無ぇ」
情報屋「心配ね…」
商人「その毛皮はどうしたの?」
盗賊「これか?イエティの変死体を見つけたから剥いで来たんだ」
商人「変死体?」
盗賊「頭から内臓まで何かでくり抜かれた感じで倒れてた…まぁ儲かったわヌハハ」
商人「女海賊では無さそうだね…使うとしたら爆弾…」
盗賊「うむ…てかアイツ貝殻持って無いのか?」
情報屋「あ…忘れてた…魔女に相談してみるわ」
商人「それで?壁画の調査の方はどうなの?まだ掛かりそう?」
情報屋「調べられる事は全部調べて今は手詰まりな感じね…一度キ・カイに戻りたいわ」
盗賊「俺も船が置きっぱなしなんだよな…」
商人「新しく分かった事を教えてよ」
情報屋「あまり驚く様な事は無いわ…未来君の足取りが段々分かって来たって感じね」
商人「すごいじゃ無いか」
情報屋「足取りと言っても確定したのが年代だけね…場所の特定がまだなのよ」
商人「場所?壁画を見れば大体分かりそうな気もするけどなぁ…森とか砂漠とか…」
情報屋「あの壁画には後の人が未来君の壁画を真似て付け足した壁画がいくつも有ったのよ」
商人「ええ?歴史の捏造?」
情報屋「歴史なのか予言なのか分からないけれど捏造された物も混ざっているの」
未来君が彫った壁画には必ず月と暦が彫られて居るの
そして壁画の主役は虫を持った人物…未来君ね
その壁画は石の材質がバラバラでどの地域の石なのかまだ分からない
商人「じゃぁ未来君の壁画だけでまとめると違った解釈になりそうだね」
情報屋「そうよ?勇者が魔王になると言う様な表現は後に付け加えられた捏造ね…未来君はもっと別の物を見てた」
商人「大した発見じゃ無いか!別の物って何?」
情報屋「オークよ…オークに何かを見てたみたい」
商人「じゃぁやっぱり南の大陸か」
情報屋「未来君の壁画だけを写した書物を今複製して貰って居る所なの…それだけ見ると未来君がどんな道を歩んだのか分かる」
盗賊「ほ〜ん…ちっと興味出て来たぞ?」
情報屋「出来たら見せてあげる」
-------------
541 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:55:46.96 ID:c2KZAoSz0
ドゥルルン〜♪
吟遊詩人「神の住む国ニルヤカナヤ〜♪死者の魂が〜帰る安住の理想郷〜♪オホツガグラに呼ばれ〜♪」
盗賊「あの吟遊詩人はすっかりここに定着した様だな?」グビ
情報屋「女王のお気に入りだそうよ?」
盗賊「お前は酒飲まんのか?俺が払ってやるが…」
情報屋「お酒は遠慮しておくわ…」
盗賊「詰まんねぇなぁ…おい商人!代わりにお前が飲め」
商人「朝まで付き合わされるのはもうゴメンだよ」
吟遊詩人「皆さんお揃いで…」
盗賊「よう!兄ちゃん!!稼いでっか?」
吟遊詩人「お陰様で…ところで皆さんに最近のホットな話題をと思いまして…」
盗賊「ほう?何よ?」
吟遊詩人「髭男爵が冒険者を募っているのは御存じで?」
盗賊「噂で聞いたぐらいだな…外海を航海するとか聞いたが?」
吟遊詩人「その行き先がさっき僕が歌って居たニルヤカナヤなんですよ」
情報屋「ニルヤカナヤ…もしかしてニライカナイでは無くて?」
吟遊詩人「今の言葉だとそうなるのでしょうかね?」
盗賊「何が在るのか知ってるか?」
吟遊詩人「それがホットな話題なんです…黄金が眠って居るとか」
盗賊「なんだ只の黄金か…あんま興味無ぇなぁ…」
吟遊詩人「ハハそうでしたか…今冒険者たちはその噂で持ちきりな物だったので」
商人「場所は分かってるのかな?海図とか航路が分からないと帰って来れない」
吟遊詩人「さぁ?僕は伝説の諸事詩しか知らないでの何とも…」
情報屋「昔フィン・イッシュは黄金郷と呼ばれて居たけど黄金を何処かに隠したと言う伝説は知ってる」
商人「じゃぁそのニルヤカナヤに隠したっていう可能性は在りそうだ」
盗賊「黄金なんか手に入れてもなぁ…」グビ
情報屋「あれ?そういえば未来君の壁画に黄金らしき物が記されて…」
盗賊「なぬ!?」
商人「おっとぉ!!?」
吟遊詩人「諸事詩では黄金の他に時の砂で時間を巻き戻すというフレーズもあるんですよ」
商人「時間を巻き戻す…帰ろうとしたとも解釈出来るな…」
情報屋「ちょっと…城に戻って壁画を見直してくる」スック タッタッタ
盗賊「おい吟遊詩人…もうちっと詳しく教えてくれ」
吟遊詩人「あぁ良かった!皆さんに興味を持ってもらえて…」
542 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:56:13.25 ID:c2KZAoSz0
『翌日_宿屋』
ガチャリ バタン
盗賊「戻ったぜ?」
商人「…どうだった?良い情報聞けたかな?」
盗賊「いや…他の冒険者にいろいろ聞いてみたが吟遊詩人から聞いた以上の話は聞けなかった」
商人「残念だな…僕もフィン・イッシュ沖の地図を探して見たけど見当たらなかった」
盗賊「航路が分からんと船じゃ行けん…飛空艇で行くにしても目標物が無いとな…」
商人「大体の場所じゃダメだよね?」
盗賊「海がメチャクチャ広いから遭難するのがオチだ…なんとか海図探してぇ」
商人「ホムンクルスが居ればなぁ…」
トントン
商人「お?誰か来た…」
魔女「入っても良いか?」ガチャリ
盗賊「返事する前に入ってんじゃ無ぇか…」
商人「あれ?魔女イメチェンしたの?」
魔女「変装じゃ…公爵に姿を見られて居るでな」
盗賊「まぁ入れ」
魔女「うむ…」ノソノソ
商人「どうしたの?」
魔女「女海賊が見当たらぬ…狭間に入って居る様じゃで貝殻も千里眼も通じぬのじゃ」
盗賊「まだ帰って無ぇのか…」
魔女「こちらにも来て居らぬという事は…わらわの塔へ行ったやも知れんのぅ」
盗賊「お?そういや追憶の森の向こうだっけか」
魔女「公爵に見られて居るでわらわの塔にはしばらく行かん様にして居ったのじゃがのぅ…」
商人「狭間に入る入り口は知られているの?」
魔女「分からぬ…」
盗賊「まぁ俺が行ってちっと見て来るわ」
魔女「頼む…わらわは下手に動いて見つかりとうない」
543 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:56:45.18 ID:c2KZAoSz0
『追憶の森』
フワフワ ドッスン
盗賊「商人!先に降りてくれ!俺ぁ飛空艇ハイディングさせてから行く」
商人「うわぁ…足元ビタビタだ」ベチャベチャ
スゥ
盗賊「場所覚えてっか?」
商人「大体ね…こっちだよ」ビタビタ
盗賊「雪の上歩け」
商人「この辺まで冒険者は狩りに来るのかな?…これ足跡じゃないか?」
盗賊「泥じゃ足跡かどうか分からん」
商人「待って!やっぱり何か居る…見てあそこの木の下」ユビサシ
盗賊「…うお!!死体じゃ無ぇか」
商人「随分傷んでる…」
盗賊「警戒しろ…戦利品無いか確認する」サクサク
商人「イエティが出るんだっけ…」キョロ
盗賊「一応俺が毒牙のナイフ持ってから足止めは出来る…おぉコイツ金持ってやがる」ガサゴソ
商人「こんな所まで一人で来る事無いよね?」
盗賊「うむ…こいつが食われてる間に他の奴らは逃げたんだろ…割と良い武器持ってんぞ?」ポイ
商人「おっとっと…」パス
盗賊「そいつはククリナイフってんだ…お前に丁度良い…腰にぶら下げとけ」
商人「早く行こう…なんか襲われそうで落ち着かない」
盗賊「だな?あとはゴミだから置いてく…行こう」サクサク
544 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:57:17.16 ID:c2KZAoSz0
『魔女の塔』
ブーン
盗賊「ぬぁぁぁ何でこんなにハチが居んのよ」バサバサ
商人「ミツバチだね…花があるから集まってるのかな?」
ミツバチ集まれ!
よしよしハチミツはこんなもんで良い
褒美に女王バチ増やして良いぞ
おいワーム!ちゃんと掃除しろよ!
へそのゴマやんないぞ?
盗賊「居た居た…アイツ何やってんだ?」
商人「お〜い!!女海賊!!」
女海賊「ヤベ…見つかった!!」ダダ ピューーー
盗賊「なんで逃げんだよ!!おい待て!!」
女海賊「あんた達何しに来たのさ…私修行中なんだよ」
盗賊「なぬ?修行?…お前今虫と遊んでただろ」
女海賊「遊んでる訳じゃ無ぇし」
商人「ハハ…まぁ無事で良かったよ…魔女が心配してるんだ」
盗賊「ひょっとしてお前虫使いになろうとしてんのか?」
女海賊「何さ!!悪い?」
盗賊「いや関心してんだ…お前が魔術師とはな…」
女海賊「ムフ…ハチミツ食ってく?」チラ
盗賊「おぉちっと味見させてくれ」
女海賊「おし!ちっと休憩すっかぁ…こっち来なよ」
盗賊「お前勝手に魔女の塔使ってんのか?」スタ
女海賊「バレなきゃ良いんだよ」
商人「う〜ん…君は考えが単純なんだね…直ぐにバレるよ」
女海賊「元に戻せば別にイーじゃん…文句言うなら帰って!」
盗賊「おい商人!従っとけ」
545 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:57:47.89 ID:c2KZAoSz0
『魔女の部屋』
ザワザワ カサカサ
盗賊「…なんつかー…まぁ綺麗っちゃ綺麗なんだが同居人が虫ってのがよ…」
女海賊「今育ててんの!!ホレ…ハチミツ!」ポイ
盗賊「おわっ…壺ごとかよ」ペロリ
女海賊「どう?」
盗賊「こりゃ美味い!商人!舐めて見ろ」
商人「すごいな…高く売れるよ」ペロ
女海賊「塔の周りにしか花が咲いて無いからそんだけしか作れなかった」
盗賊「壺一つありゃ十分じゃ無ぇか」
女海賊「樹液も集めてんだ…こっちは一杯有る」
商人「君はハチミツ一本で生きて行けるだけ稼げると思うよ…うんうん美味しい!」
女海賊「ほんで何しに来たの?もしかして連れ戻しに来た?」
商人「そういう訳じゃ無いよ…魔女が心配してるから様子を見に来たのさ」
女海賊「魔女が妖精に教えて貰えって言ったんだよ…迷惑掛かんない様に離れた所で笛吹いてんじゃん」
商人「あぁなるほど…妖精の笛を吹くために魔女の塔に来たのか…」
盗賊「魔女の心配はお前の命だ…どうやら魔女を狙って刺客が来てる様だ」
商人「やっぱりさっきの死体は刺客?」
盗賊「ククリナイフ使うなんざそれしか考えられん」
女海賊「あー…そいえば4〜5人来たから虫使って追い返したんだ」
商人「マズいね…又来そうだ」
女海賊「アラクネーけし掛けたら逃げてくくらいショボイ相手だよ…気にしなくて良いんじゃない?」
盗賊「アラクネーまで居るんか」
女海賊「この辺は結構沢山巣があるみたい」
商人「それじゃぁ魔女の塔はアラクネーに守らせておけば良いね」
盗賊「ここに居ると面倒が起きちまうから戻った方が良い」
女海賊「う〜ん…どうすっかなぁ…ハチミツもう集まんないし一回帰るかぁ…」
商人「事情を魔女に話した方が良さそうだよ」
女海賊「おけおけ!修行は一旦中止!行こっか」スック
546 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:58:23.77 ID:c2KZAoSz0
『追憶の森』
ベチャベチャ
女海賊「私さぁ樹皮を集めてから戻るから先に帰ってよ」
盗賊「お前一人じゃ危ないだろ」
女海賊「大丈夫だって!アラクネー連れてたらイエティも襲って来ないから」
商人「ええ!?アラクネー何処に居るの?」
女海賊「鞄の中…育ててるんだよ」
盗賊「ちっこいアラクネーでも襲って来んのか?」
女海賊「なんかイエティ逃げてくよ?」
商人「毒が怖いのかもね」
盗賊「いやしかしだな…一人で森を歩かせる訳にイカン」
女海賊「あんたら一緒だと邪魔なの!妖精の笛使えないから…」
商人「ハハ…なるほどね…何か有っても笛吹けば良い訳ね」
女海賊「そういう事…虫は眠らないからずっと私のターンな訳」
盗賊「もしかしてよ?こないだイエティの変死体を見つけたんだがお前の仕業か?」
女海賊「そうそう!!この魔人の金槌を試してみたんだ」スチャ
盗賊「そら只の金槌じゃ無いのか?」
女海賊「私も使ってビックリさ…叩いた所が消えて無くなるんだよ」
盗賊「それで死体がくり抜かれた感じになってたんだな?」
女海賊「妖精の笛とこの魔人の金槌あれば何に襲われても余裕!!」
盗賊「アラクネーと言い…その武器と言い…お前は反則ばっか使う」
女海賊「分かったらハイハイ…あっち行った!!」
盗賊「おい商人!!飛空艇戻るぞ!!」
女海賊「私お腹空いてるから後で飯代お願い…ルイーダの酒場に行ってるから」
盗賊「へいへい…」スタ
547 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:59:00.12 ID:c2KZAoSz0
『ルイーダの酒場』
ドゥルルン♪
バニー「はぁい!!お一人さまですか?」
女海賊「んぁぁ…連れが2人居るんだけど…まだ来て無いなぁ」
バニー「お席空いてますよ?ぞうぞ〜ウフフ」
女海賊「まぁ良いや…私お腹減ってるんだ…何か持って来てよ」
バニー「お代は先に頂きまぁ〜す」
女海賊「お金は連れの2人が持ってるのさ…なんだあいつ等遅っそいなぁ…」ブツブツ
吟遊詩人「お久しぶりです!!」
女海賊「お!!良い所に来た!!食事したいんだけどお金持って無いのさ」
吟遊詩人「それなら僕がリュートのお礼として御馳走しますよ」
女海賊「ラッキー!!適当にお願い」
吟遊詩人「バニーさん…彼女にはお世話になったんだ…これで何か持って来てあげて」ジャラリ
バニー「はぁ〜い!!ウフフ」
吟遊詩人「今から僕が演奏するからゆっくり食事を楽しんで下さい」
ドゥルルン♪
吟遊詩人「かつての英雄♪赤い瞳の王〜♪えにし森から馬を駆ってやって来た〜♪」
吟遊詩人「メデューサの血を英雄は求む♪来たる来たるは黒の騎士〜♪邪なるものは滅び去る時〜♪」
女海賊「ふ〜ん…時の王のおっさんの歌か…」
バニー「どうぞ〜お食事をお持ちしましたぁ〜」
女海賊「何日振りのまともな食事だろ…頂きマンモス〜」パクパク
548 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:59:31.41 ID:c2KZAoSz0
ヒソヒソ ヒソヒソ
おい見ろ…あの女は魔女の塔に居た奴じゃ無ぇか?
何!?塔の魔女か…どうする?街の中じゃ魔術師がウロウロしてる
麻痺毒だ…動けなくなった所をさらうぞ
女海賊「あの2人遅っそいなぁ…」モグモグ
怪しい男「これは美しい美女…席をご一緒しても?」
女海賊「んぁ?あんた誰?」ムシャ
怪しい男「通りすがりの冒険者さ…貴方のような人にピッタリな話をと思ってねフフ」
女海賊「悪いけど私あんたに興味無いから…シッシ!!」
ヒュン チクリ!
女海賊「痛った!!誰!!」ガタン
怪しい男「こ…これは毒針…一体誰が!?」ニヤ
女海賊「あったま来た!!」ゴソゴソ
怪しい男「動くと毒が回ってしまいますよ?」
女海賊「うっさいなアンタ!!どっから撃って来たか見て無いの?」キョロ
怪しい男「これは吹き矢…角度的に向こうの方から…」---毒効かんのか?この女は---
女海賊「あっちか…」ダダ
ヒュン チクリ!
女海賊「くっそ!!どっから撃って来てんのよ!!」ドタドタ
バニー「どうかされましたか?」
女海賊「なんか吹き矢撃たれてんだって…痛ったいなぁ」
バニー「え!?この酒場で騒ぎを起こされますと大変な事に…」
怪しい男「ささ…こちらの方へ」グイ
女海賊「何すんだよ!あんたに興味無いって言ってんじゃん」
怪しい男「毒の手当てをしますので横に…」
女海賊「あぁぁもうメンドクセェ!!」
ピ〜ヒョロロ
バニー「吟遊詩人の演奏中に他の楽器はダメよ〜ん」
女海賊「ハイハイゴメンね…」ズカズカ
怪しい男「おかしいな…強い麻痺毒の筈なのに」
女海賊「はぁ?なんであんたがそんな事知ってんの?」フラ
ドタリ ドタリ ドタ ドタ
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549 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:00:00.20 ID:c2KZAoSz0
『少し後』
パクパク モグモグ
盗賊「なんだこりゃ…どうなってんのよ」
商人「君一人で食事してるの?」
女海賊「なんか暗殺されそうだったから眠らせた」ムシャムシャ
商人「…これは衛兵呼んだ方が良いね」
女海賊「そこでぶっ倒れてる怪しい男と…吹き矢持ってる奴が刺客…そいつら牢に入れて喋らせれば良い」モグ
盗賊「お前は平気なんだよな?」
女海賊「毒針で撃たれた」
盗賊「なんで無事なのよ…」
女海賊「毒食べる虫が体の中に居るから」モグ
商人「ハハ何でも有りだね…君は」
女海賊「ふぅぅお腹落ち着いたぁ」ゲフー
商人「とりあえず魔術師呼んで事情を話して置く」
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550 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:00:27.07 ID:c2KZAoSz0
『宿屋』
ガチャリ バタン
商人「…やっと納得してもらえたよ」
盗賊「騒ぎになってっか?」
商人「うん…みんな寝てるだけだから困惑してた」
盗賊「女海賊どうする?夜は城に出入り出来んだろ?」
女海賊「無理…てかあいつ等魔女狙ってんだよね?人相全然違うのになんで私狙ってんの?」
商人「魔術師は変性魔法で姿変えるのが認知されてるから状況判断なんだろうね」
女海賊「魔女の塔に行ったのがマズかったのか…」
商人「シン・リーンは何か有ると刑が重いから暗殺なんか無いと思ってたけどね…」
盗賊「魔女の独裁国家だもんなヌハハ」
商人「魔女の影武者って誰がやってるのか知ってる?」
女海賊「王女3人共誰かが化けてるね…誰なのか謎」
商人「塔の魔女が誰なのかも一般に知られて無いのはやっぱ幻惑されてるよね…なんか怖いなこの国」
盗賊「統制がきっちりされてるから悪が蔓延らん…そらそれで良いと思うぞ?」
商人「…それで女海賊は一晩ここに泊って行く訳だから面白い話を聞かせてあげよう」
女海賊「ん?何?」
商人「ニルヤカナヤという理想郷の話さ…」
女海賊「興味無い」
商人「聞いて…未来君が関わってる可能性がありそうなんだ」
女海賊「え!!?何処に有んの?」
商人「壁画に黄金らしき物が記されていたと情報屋が言ってたんだ…その黄金の行き先がニルヤカナヤの可能性があるのさ」
女海賊「ええと…黄金が描かれて居るのは相当昔の壁画…年代いつだっけな」
商人「情報屋がそれを知って壁画を見直すと言ってた」
女海賊「明日聞いてみる」
商人「それでそのニルヤカナヤには時間を巻き戻す時の砂という物があるらしい…つまり未来君は現代に帰ろうとした可能性があるのさ」
女海賊「じゃぁ何で帰って来ないのさ」
商人「失敗したんだろうね」
女海賊「そんなん今見つけても意味無いじゃん」
商人「ある…君はきっとこの時の砂が欲しい筈だ」
女海賊「私が時間を巻き戻す…そういう事か」
商人「兎に角…秘密は知りたいよね?」
女海賊「場所は?」
商人「フィン・イッシュ沖…外海の向こう側さ」
女海賊「よっし!!」
盗賊「待て待て…詳しい場所が分からん上に帰って来た奴が居ない…簡単に行ける場所じゃ無ぇ」
女海賊「行く方法見つけりゃ良いんでしょ?ホムちゃん起こせば座標だって分かる」
商人「そういう事だよ…先にホムンクルスを目覚めさせれば可能性はある」
女海賊「おけおけ!明日行こう」
盗賊「まずは魔女に相談だな?勝手に出て行く訳にも行くめぇ」
551 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:00:57.67 ID:c2KZAoSz0
『翌日_シン・リーン城』
カクカク シカジカ
女海賊「…て訳でホムちゃん目覚めさせに行って来る」
魔女「ちと待てい…南の大陸にはわらわも行きたいのじゃ」
女海賊「ほんじゃ行く準備してよ」
魔女「壁画の製本作業がもう少し掛かるのじゃ」
女海賊「う〜ん…じゃぁ飛空艇の改造に魔女付き合って!」
魔女「わらわが何を出来ると言うのじゃ?」
女海賊「飛空艇の木材を虫が食っちゃうんだよ…だから木材を樹脂に変性させて欲しいのさ」
魔女「ムム?樹脂に変性できると何故主が知って居る?」
女海賊「妖精に聞いたんだ…樹脂なら食わないって」
魔女「よかろう…その代わり製本が済むまで大人しくして居るのじゃぞ?」
女海賊「おけおけ…これで飛空艇の中で虫を育てられる」」
魔女「飛空艇を虫の巣窟にするのかえ?」
女海賊「そうそう!光の石もあるから植物も育てられる」
魔女「なるほどのぅ…土を入れて虫に耕させる訳じゃな」
女海賊「じゃ行こっか!」スタ
552 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:01:26.26 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
トンテンカン ゴソゴソ
盗賊「いよー女海賊!!物資買い付けて来たぜ?」
女海賊「まだ入れないで!今改造中…そこ置いといて」ゴソゴソ
盗賊「これ以上改造する所なんか無いんじゃ無ぇか?」
女海賊「虫の巣にすんだよ」
盗賊「アラクネーだけじゃ足りんってか…」
女海賊「寝床はちゃんと用意しとくからアッチ行ってて」
盗賊「へいへい…」スタ
-------------
商人「魔女は見物かい?」
魔女「うむ…女海賊が虫に憑りつかれて居らんか心配でのぅ」
商人「虫が憑りつく?」
魔女「虫ばかりと会話して居ると俗世から離れて行ってしまうでの…内に籠らねば良いが」
商人「あぁなるほど…未来君がそんな感じだったか」
魔女「悪くは無いが見て居て可哀そうでのぅ…」
商人「…ところで捕らえた刺客の3人はどうなったの?」
魔女「尋問が終わって釈放する所じゃ」
商人「釈放?そんなんで良いの?」
魔女「塔の魔女を暗殺したと思い込ませたのじゃ…これで収まれば良いが…」
商人「泳がせて帰らせるのか…暗殺を計画してるのはやっぱり公爵?」
魔女「公爵が指示して居るのじゃろうが…実際に計画したのは他の者じゃろうな」
商人「誰?」
魔女「冒険者ギルドで賞金首になっとった様じゃ」
商人「えっと…支持団体沢山あるね…商人ギルドも支持団体の一つだ」
魔女「下っ端じゃで尋問しても意味が無いのじゃよ」
商人「商人ギルドの伝手で調べられるかもしれない」
魔女「それは助かる…今のままでは女海賊は動き辛かろう」
商人「女海賊?姿を変えてる様に思われてる?」
魔女「うむ…本当はもう一人居ったらしいが行方が分からん」
商人「まぁ魔女へのタゲが逸れて良かったと言えば良かったんだけど…」
魔女「しばらく様子見じゃな」
------------
553 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:01:57.73 ID:c2KZAoSz0
タッタッタ
情報屋「魔女!!時の砂についてもう一度見解を聞きたいの」
魔女「何度も言うがその様な物は存在出来ぬ」
情報屋「この古文書には時間の巻き戻りの事が少し書かれて居るわ?見て…」
魔女「どれどれ…ふぅむ…確かに巻き戻りがあったかのように書かれて居るな」ヨミヨミ
商人「存在出来ないってどういう意味?」
魔女「時間が巻き戻るのではなく次元を超える事は出来るじゃろうな」
商人「その人だけ超える訳か」
魔女「有るとすれば量子転移が封じられた何かじゃ…祈りの指輪がそれにあたる」
情報屋「砂では無いという事?」
魔女「じゃろうのぅ…砂銀であれば可能かも知れんがわざわざ砂銀に封じる理由が分からぬ」
商人「古代魔術で出来る可能性は?」
魔女「ムム…時空の魔方陣が解明されて居らぬ故何とも言えぬのぅ」
情報屋「やっぱり魔女の見解は時の砂という物は無いという事ね?在っても祈りの指輪の様な何か…」
魔女「そうじゃ」
商人「ねぇ…こんなのはどうかな?」
仮に砂時計の中身に砂銀を詰め込んだとしよう
そこに量子転移をエンチャントしたとしたら
どのくらいの数の砂銀が成功するかな?
魔女「やったことが無いで何とも言えぬが幾千の砂銀の粒のいくつかは成功するやも知れん」
商人「失敗した砂銀はどうなる?」
魔女「呪われた砂銀になるじゃろう…夢を見る砂じゃな」
未来君はそれで夢を見ようとして居ないかな?
夢を思い出す為にそれを作って居無いか?
魔女「なんじゃと!?…」
情報屋「商人…あなたビックリ発想するのね」
魔女「ふぅむ…確かに夢を自分の物に出来るやも知れんのぅ…」
商人「結果論だけどそれで少しだけ次元を飛んでしまうと言うのは?」
魔女「なるほど有り得そうじゃ」
情報屋「ちょっと待って!!この古文書の年代と黄金郷の年代が一致する!!」
商人「つまりこうだね…未来君は第3者と一緒に行動してたんだ…見て居た人が書いたんだよ」
554 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:02:23.88 ID:c2KZAoSz0
『翌日』
ノソノソ
魔女「女海賊は居るかえ?」
女海賊「お!!魔女良い所に来た」
魔女「何じゃ?飛空艇の改造は終わったんか?」
女海賊「まぁ入ってよ…」グイ
魔女「ほう?もう植物が芽を出しよるんか」
女海賊「魔女の塔の花を植えたのさ…ここでハチミツ作れる」
魔女「ハチミツは完全栄養食じゃで飛空艇で作れるのは良いのう」
女海賊「これで長期間補給無しで飛べる」
魔女「主はもう外海へ出る気で居るのじゃな」
女海賊「外海だけじゃ無いよ…オーク領も補給なんか出来ないさ」
魔女「ふむ…今壁画の製本作業が終わって主に持って来たのじゃ…ホレ」バサ
女海賊「おぉ!!」パラパラ
魔女「未来が彫った壁画のみ年代毎に並べて居る…それを完成させるのが主の役目じゃな」
女海賊「よっし!!やる気出て来た…月まで行くぞ!」
魔女「どうやって行くか考えて居るんか?」
女海賊「ホムちゃん頼みさ…どう計算しても地球の重力振り切るエネルギーが足りない」
魔女「重力の魔方陣が解明されれば問題を解決できるやも知れぬ…やる事が多いのぅ」
女海賊「一個一個解決するさ」
魔女「さて…準備は整ったで行くとするかのぅ」
女海賊「おっけ!!盗賊と商人連れて来る…魔女は情報屋お願い」
魔女「うむ…飛空艇で待って居るでのぅ…」
555 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:02:49.24 ID:c2KZAoSz0
『宿屋』
ガチャリ バタン
女海賊「なんで宿屋でゴロゴロしてんだよ!探したんだぞ!!」
盗賊「入って来ていきなりなんだ!」
女海賊「ルイーダの酒場が無くなってんじゃん!!」
商人「あ…それ例の事件で改装するらしいよ?なんか女王が独自の冒険者ギルド作るんだってさ」
盗賊「別所に有った冒険者ギルドを無理やり閉鎖させたみたいだぜ?」
女海賊「ほーん…まぁ関係無いや…もう行くぞ!」
盗賊「その言葉を待ってたぜ?退屈してたんだ」
女海賊「とりあえず今日中に港町行く」
商人「おー墓参りに行けるじゃ無いか」
女海賊「盗賊!今晩髭男爵の船から海図盗んで」
盗賊「なぬ!?」
女海賊「あんたならチョチョイノチョイでしょ?」
盗賊「偵察も無しにいきなりか…」
女海賊「とりあえずユートピア行くから速攻用意して」
盗賊「おっし!!じゃぁまぁ行くか」スック
556 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:03:19.50 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
ウロウロ
情報屋「あ…戻って来た」
女海賊「ん?何してんの?」
情報屋「虫が沢山居るから入り辛くて…」
女海賊「無害だよ…何も悪いことしないから入って」グイ
情報屋「…魔女は平気なの?」ビクビク
魔女「慣れればどうという事は無いぞよ?」
盗賊「うはぁ…サソリも要るじゃ無ぇか…」
女海賊「そいつ毒無いから…暗くなった時の明かりだよ」
盗賊「そういや夜中サソリは光るな?」
女海賊「そそ…樽の上に置いといて目印にするんだ」
商人「…お邪魔しま〜す」コソコソ
女海賊「そんなビビんなくて大丈夫だって!!」
商人「いやぁ…流石に…これどのくらい種類居るの?」
女海賊「ほんなん分かる訳無いじゃん…沢山居る」
商人「僕は何処で横になったら?」
女海賊「何処でも良いよ!虫の方が勝手に避けるから」
商人「踏ん付けそうだなぁ…」
女海賊「踏まれる方が悪いんだって…気にしないでくつろいで?ほんじゃ球皮膨らませるよ?」
シュゴーーーー フワリ
女海賊「お?やっぱ随分軽くなってんな…」
魔女「樹脂は木材より質量が軽いでのぅ」
女海賊「もっと荷を乗せられるんか…」
盗賊「さ〜て!!俺は虫共とくつろぐぞ!!」ドター
商人「まぁ5人だけだと随分広いね」
情報屋「ハチの巣まである…怖い」
女海賊「これから毎日ハチミツ食べられるよ」
盗賊「おぉそうだ!ハチミツが美味いのよ…情報屋も舐めて見ろ」
女海賊「よーし!!進路南!!目標海!!しゅっぱーつ!!」グイ
シュゴーーーー バサバサ
557 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:03:51.18 ID:c2KZAoSz0
『ユートピア』
フワフワ ドッスン
女海賊「はい降りた降りたぁ!!」
商人「さっそく墓参りに行って来るよ」スタ
情報屋「私も行くわ…報告しなきゃいけない事があるから…」スタ
女海賊「盗賊は海図盗んできて!」
盗賊「お前も停船してる船の数見ただろう?どれが髭男爵の船かも分からんのだぞ?」
女海賊「はぁ?ほんなん一隻づつ海図奪ってくりゃ良いじゃん」
盗賊「あのな?簡単に言うが偵察も何もしないで盗むなんざ出来っこ無ぇ」
女海賊「どんくらい掛かる?」
盗賊「とりあえず今晩は酒場で情報収集だ」
女海賊「まぁしょうがないかぁ…」
盗賊「停船してる船の多くはセントラルの軍船なのよ…下手に動くと掴まるのがオチ…お前も勝手にウロウロすんな?」
女海賊「私は望遠鏡で覗くさ」
魔女「わらわが変性魔法で姿を変えても良いぞ?」
女海賊「この美貌を変えようっての?ムリムリこれ以上美人にはなれないから」
魔女「嫌ならまぁ良いがわらわは酒場で一杯飲みたいのじゃ」
女海賊「行ってくりゃ良いじゃん」
魔女「これ盗賊!主がエスコートせよ」
盗賊「お…おう!しかしな…子供の恰好じゃさすがにマズいぞ」
魔女「変性魔法!」グングン
盗賊「おう!それで良い…しばらくその格好で居てくれ」
魔女「女海賊や…着替えを借りるぞよ」
558 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:04:23.12 ID:c2KZAoSz0
『墓』
商人「…」人
情報屋「…」人
スタスタ
女海賊「…」ウメウメ
商人「花を植えてるの?」
女海賊「魔女の塔に生えてた花だよ…もう直ぐ春だからさ」
商人「母さん喜ぶな」
女海賊「盗賊と魔女は酒場行ったんだけどあなたは行かなくて良いの?」
商人「盗賊に付き合うと朝まで飲まされるからさ…明日市場に行って相場だけ少し見たいかな」
情報屋「町に随分人が出て居そうね」
商人「そうだね…なんで急に人が増えたんだろう」
女海賊「情報屋も酒場で飲んで来て良いよ」
情報屋「私はお酒を控えているの」
女海賊「あぁそっか赤ちゃん出来たんだっけ」
情報屋「ちょっと女海賊!!」
商人「えええ!?まさか盗賊の?」
情報屋「女盗賊にその報告に来たのよ…盗賊には黙って置いて?」
商人「なんでさ?言えば良いじゃ無いか」
女海賊「纏わりつかれるのがメンドクサイんだってさ」
情報屋「それもあるけど本当は盗賊の心の中に女盗賊が住んで居るから気を使って居るのよ」
商人「なるほど…大人の事情って訳か」
女海賊「よっし!ハチミツ使った栄養料理でも作るか!!」
商人「君が作ると何でも山賊焼きになる…料理は情報屋に任せておいた方が良い」
情報屋「フフ私が作るわ?ハチミツもちゃんと食べてみたかったし」
559 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:05:00.22 ID:c2KZAoSz0
『海が見えるあばら家』
グツグツ ジュワー
情報屋「さぁ出来たわ…どうぞ食べて?」
女海賊「私達は後で良いんだよ…あんたが栄養付けないと意味無い」
情報屋「フフ沢山あるわ?」
商人「やっぱハチミツ使うと肉が柔らかいね…」ハフハフ
情報屋「少しだけで随分違う料理になるわ」パク モグ
商人「ハチミツは何にでも使えるから本当に重宝する…」ムシャムシャ
女海賊「むふふ…そんな言われるともっと作りたくなるじゃん…むふふふ」
商人「女海賊はミツバチを使役するのが一番得意なの?」
女海賊「さぁどうかな?好きで育ててるだけだから…冬でも育つんだよ」
商人「魔女の塔でやってた修行ってどんな事を?」
女海賊「私成長魔法ってのが使えないから小さい虫で何が出来るのか研究してたんだ」
商人「それで何か居た?」
女海賊「ワーム以外ちゃんと育てないと何も出来ない事が分かった」
商人「それで飛空艇で色々育ててるんだね」
女海賊「でもワームも色々出来るんだよ…毒を吐かせたり物を腐らせたり」
商人「へぇ?スゴイな…立派な魔術師じゃ無いか」
女海賊「むふふ…試しに使って見る?」
商人「いやいや毒は勘弁してよ」
女海賊「毒を食らうワームだよ…線虫って言うの」
商人「ん?それって未来君が使って居たという?」
女海賊「うん…これだけは私も使えるんだ…行くよ?線虫!」ニョロ
商人「ハハ小さいな…見るのもやっとだ」
女海賊「行け線虫!毒を食らって来い!」ニョロニョロ
商人「え!?ちょちょ…うわぁぁ目の中に入って…」ゴシゴシ
女海賊「毒食べるだけだから大丈夫!情報屋もやる?」
情報屋「いや…私は遠慮しておくわ」ゾゾゾ
女海賊「毒食べるから妊婦さんには良いのさ…線虫!行け!」ニョロリ
情報屋「ちょ…いやぁぁぁ…」バタバタ
-------------
560 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:05:28.29 ID:c2KZAoSz0
商人「…ふむふむ君がカバンの中に入れてるアラクネーが魔物除けの役割してるのか」
女海賊「アラクネーの毒が一番厄介だからね」
商人「麻痺毒だったっけ」
女海賊「あとアリが数が揃うと一番強いかも」
商人「飛空艇でアリは育てて居ないね?」
女海賊「増えると他の虫を全部食べちゃうからさ…そんだけ強いんだよ」
商人「虫にも色々バランスがあるんだね」
女海賊「成長魔法使えたらもっと色々試せるんだけどなぁ…」
商人「そういう杖とかあれば補えるのかもね」
女海賊「魔女にお願いしたんだけど使ったらダメだって言われたのさ」
商人「え?なんで?」
女海賊「間違って人に使うと老化させちゃうからだって」
商人「あぁぁなるほど…間違えると死人が出そうだ」
情報屋「危ないわね…お腹の赤ちゃんに掛かってしまうとお腹が破裂するわ」
商人「知能はそのままで大人になってしまったらどんなに不幸か…」
女海賊「まぁ良いや!線虫で我慢しとく」
情報屋「その魔法は何も犠牲にしない所が良いわね」
561 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:05:56.53 ID:c2KZAoSz0
『深夜』
ガチャリ ギー
盗賊「帰ったぜ?」
情報屋「あら?あまり飲んで居無いのね?」
魔女「酒場は海賊共が溢れておってな…座る場所なぞ無かったわい」
商人「もしかして貴族の資産を奪って来た海賊達?」
盗賊「そうよ…豪遊していやがる」
商人「豪遊する程女の人居たっけ?」
魔女「前任の領主…片足の領事じゃが移民の政策をしておったらしいのじゃ」
商人「じゃぁ移民が今になって増えてるのか」
魔女「移民と言うても何処からか集めた奴隷じゃ…奴隷を買い入れる政策をして居ったのじゃ」
盗賊「ほんで海賊共はセントラル行くよりも港町の方に女が多いもんだから集まってる訳よ」
商人「お金が欲しい人と女を買いたい人が集中したか…互いに利があるね」
盗賊「まぁそういうこった…こりゃこれからどんどん人増えるぞ?」
魔女「母上が心配して居ったのが急激に人が増えて統制が効かんくなるのを心配して居る」
商人「今の領主は?」
魔女「魔術院から派遣されておるが…一旦移民の受け入れをしておるでその流れを継続しとる」
商人「人が増えるのは良い事だよね」
魔女「うむ…荒れなければ良いがのぅ…」
女海賊「ほんで髭男爵の船はどれなのか分かったん?」
盗賊「髭男爵はとっくの昔にどっか行ったってよ」
女海賊「ええ!?冒険者募ってるって話は?」
盗賊「外海を冒険するより金持ってる海賊相手にした方が手っ取り早く金入るだろ?だから冒険者が集まらん訳よ」
商人「ハハ海賊共に追い払われた訳だ」
盗賊「そういうこった…わざわざ危ない外海行く奴なんざそう居らん」
女海賊「海図無いと私等も行けないじゃん」
商人「髭男爵の行先は分からないの?」
盗賊「さぁな?キ・カイかフィン・イッシュだろ?どうせ…」
女海賊「停船してるセントラルの軍船は何?」
盗賊「元々ハジ・マリ聖堂を攻め立ててた連中だ…黒の同胞の後ろ盾失って行き先未定なんだと思う」
魔女「元老院による内紛が原因じゃで帰れとも言えんのじゃよ…しばらくゴタ付くじゃろうな」
商人「資金源が断たれてしまったから軍から離脱する人も出そうだ」
盗賊「もう出てるぞ?脱走兵がそこら中に潜んでるらしい」
商人「セントラルは縮小免れないね…貴族が力失っちゃってるもんな…」
魔女「公爵次第じゃな…変化の杖を持って居るでどうとでも立ち回れる筈じゃ」
商人「シン・リーンの女王に化けられたらどうする?」
魔女「母上が今どんな姿をして居るか誰も知らん筈じゃ…無理じゃな」
商人「魔術師に囲まれてる訳か…それは関わらない方が良いね」
562 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:06:26.88 ID:c2KZAoSz0
『翌日_飛空艇』
フワフワ
女海賊「はい乗った乗ったぁ!!」
魔女「あばら家にアラクネーを忘れておるぞよ?」ノソノソ
女海賊「あのアラクネーはもう直ぐ卵産むんだよ…増えすぎると困るから置いて行く」
魔女「ではあばら家を守らせると良かろう」
女海賊「そだね…次来た時どんだけ増えてるか楽しみだ」
盗賊「俺ん家だぞ?大丈夫なんだろうな?」
女海賊「他人に勝手に使われるより良いんじゃね?クモの巣なんか後で掃除すりゃなんてことない」
盗賊「そうじゃ無くてな…俺が帰って来た時アラクネーに襲われるのを心配してんだ」
女海賊「あんたも虫使いになりゃ良いじゃん…アラクネーなんか一番言う事聞く」
盗賊「虫と話なんか出来無ぇって…俺だけ襲わない様に言い聞かせておけ」
魔女「アラクネーは退治しようとさえしなければ大丈夫じゃ」
盗賊「ほう?一緒に住めって訳か」
女海賊「はいはい…もう行くから早く乗って」グイ
シュゴーーーー フワフワ
563 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:07:03.85 ID:c2KZAoSz0
『上空』
シュゴーーーー バサバサ
女海賊「よしよし風捕まえた…安定飛行に入る」ハイディング!
商人「ここから君の島まで5日くらいかな?」
女海賊「もうちょい早く到着すると思う…そうそう魔女!例の魔石頂戴」
魔女「ふむ…わらわには不要じゃ」ポイ
商人「結構大きな魔石だね…属性は?」
魔女「風じゃ…女海賊は風の魔石で飛空艇を改造したいらしいのじゃ」
盗賊「まだ何かやるつもりなんか…」
女海賊「今から作業すっから話しかけないで」
盗賊「へいへい…」
情報屋「それじゃ皆居るから壁画の調査で分かった事を話しておくわ…」
商人「それ聞きたかったんだ」
情報屋「未来君の足取り…壁画には一定の法則があって…」
過去に飛ぶのはおよそ700年の定間隔で飛んでいる様なの
700年前…1400年前…2100年前…
そして飛んだ場所はその場所を維持して飛んだと思われる
つまり剣士と未来君が一番最初に飛んだ場所はシャ・バクダの付近…当時は森だった
法則と外れる壁画もあって…それは1700年前
その後2400年前…3100年前と又法則通りに壁画が残されてる
どうしてそういう事が起きているかと言うと
恐らく時の砂で一度未来へ戻ろうと試みたと思われる…
それが2100年前…この時に400年分だけ未来に飛んだ
それで壁画の年代の説明がすべて辻褄が合う
この未来に飛んだであろう年代に黄金郷の伝説が一致する訳
商人「3100年前から先は?」
情報屋「見つかっていないのよ…その先は恐らく南の大陸だと思うわ」
魔女「各壁画の石の材質はキ・カイへ戻れば分かるのじゃな?」
情報屋「そう…今の所分かっているのは700年前のシャ・バクダと1700年前のシン・リーンだけ…足取りの特定が出来ない」
盗賊「女海賊は冒険の書で未来の足取りを見てるんだろ?場所分からんのか?」
情報屋「冒険の書で見たのは動く絵だけだったらしいわ…その絵がどの場所なのか分からないって…」
商人「そういう事か…文字なら分かるかもしれないのにね」
情報屋「とりあえず1400年前の壁画がどの地域の石なのかが分かればシャ・バクダから何処へ向かったのか分かるのよ」
魔女「実際の歴史と擦り合わせればどの程度関与したのかも推測出来そうじゃ」
商人「ちょっと僕も考察してみたいな…壁画を記した書物見せてよ」
情報屋「ビックリ発想を期待するわ」パサ
564 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:07:38.04 ID:c2KZAoSz0
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商人「ふ〜む…良く見るとこの鍵爪を付けてる人物は多分僕だな…」
盗賊「俺は居ないか?」
商人「居るよ…鍵開けの達人として描かれてる…未来君にはそう見えてるんだ」
魔女「わらわは分かりやすいのう…三角帽子じゃ」
商人「隕石を落としてる姿…これが後の人に予言だと解釈されたんだ」
魔女「わらわの師匠が落とした隕石に話がすり替わった訳じゃな…」
商人「これさ…必ずホムンクルス…というか精霊に関わってるからもしかすると精霊を目覚めさせ回ったのは未来君かもね」
情報屋「きっとそうね…だからホムンクルスが眠って居た遺跡には未来君の痕跡が残って居るかもしれない」
女海賊「ハッ!!そういえばハテノ村の遺跡には遺物が沢山合った…」
盗賊「あそこは噴火してもう近付けんだろ」
女海賊「噴火が収まったらもう一回行けば良いじゃん」
盗賊「まぁあそこは大当たりだったからな…謎の部品がまだ沢山在った」
情報屋「やっぱり探すのはホムンクルスが眠る遺跡の様ね…そういう場所の上に文明が栄えるし…」
商人「キ・カイにもきっと在る筈だよね?」
情報屋「あそこはずっと昔に扉が開けられてもう風化してしまっているわ」
商人「壁画は残って無いの?石は風化しにくい」
情報屋「私の知る限り無いわ…シン・リーンに運ばれたのかも知れない」
商人「…なるほど」
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565 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:08:07.47 ID:c2KZAoSz0
女海賊「線虫!土のなかの毒を食ってこい!」ニョロリン
魔女「ふむ…主はその術のみで良さそうじゃ」
女海賊「これしか使えないよ」
魔女「わらわはのぅ…虫使いはその術だけで良いと思うて居る…その術は何も害が無いでの」
女海賊「害?」
魔女「魔術は害が付き物なのじゃ…よって掟によって縛る必要があるのじゃがその術は好きに使うて良い」
女海賊「掟って何さ?」
魔女「私利私欲で使うてはならぬとか様々じゃな…そうじゃ一つ守ってもらわねばならぬのが…その術で金儲けをしてはならぬ」
女海賊「金儲けね…そんなん考えて無かったわ」
魔女「なら良いが…金儲けで使うて居るのをわらわに知られてしまった場合記憶を消すでの?覚悟せい」
女海賊「ねぇそれよりさ…この線虫は毒を食う以外に何か出来ない?」
魔女「それで十分じゃろう…人を蝕む毒を食らえば闇に侵された心も晴れるやも知れぬ」
情報屋「線虫を掛けて貰ってから体調がすごく良いわ?」
魔女「じゃろうな?エリクサーと同等の癒し効果もあるでのぅ」
女海賊「え?マジ?」
魔女「主は気付かんかったんか?傷が直ぐに癒えるぞよ?」
女海賊「あ!!そういや毒針刺されても直ぐに治ったわ…」
魔女「そういう事じゃ…他に代替できる魔法が無い故…虫使いはその術だけでも十分じゃ」
情報屋「虫使いの他の術ってどういう術が?」
魔女「虫を使った破壊術など色々じゃな…変わった術では虫の知らせという術で他人の思考を読む事も出来る…幻術の類じゃ」
女海賊「あ!!虫の知らせって分かるぞ!!敵が近いのを虫が教えてくれる」
魔女「ふうむ…主は魔力を使わずして声を聞けるのじゃな…ドワーフにはそもそも適性が在るのやも知れんのぅ」
女海賊「お姉は金属と会話出来るんだよ」
魔女「会話とな?」
女海賊「金属は地面と繋がってるらしい」
魔女「なる程のぅ…それも虫の声じゃ…大地の声とは虫の事なのじゃよ」
女海賊「へぇ?」
魔女「ドワーフにもエルフと似た感性がある様じゃのぅ」
566 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:08:50.04 ID:c2KZAoSz0
『数日後』
シュゴーーーー バサバサ
盗賊「そろそろ到着じゃ無ぇか?目標物が無いからよー分からんな」
女海賊「このまま真っ直ぐで良い」
盗賊「海しか見えんが何で分かるのよ?」
女海賊「ミツバチが花の有る方向知ってんのさ」
盗賊「なる…そういやミツバチは羅針盤の代わりになるんだっけか…」
女海賊「私の島には花が一杯咲いてんのさ…又ハチミツ増えるぞ!」
盗賊「そうそうお前の島にはハチミツ酒があったな?早く飲みてぇ」
女海賊「パパ居るかなぁ…」
盗賊「海賊王の爺か…普段何やってんのよ?」
女海賊「開拓が趣味なんだよ…あちこちの島を開拓して拠点作ってる」
盗賊「それがドワーフの国なんか?領土が良く分からんのだが…」
女海賊「海は全部ワイのもんやとか言ってるじゃん?」
盗賊「ヌハハそら無理だろ…海はデカすぎる」
女海賊「でも本人はそう言ってるから」
『名もなき島』
フワフワ ドッスン
女海賊「パパ居ないやぁ…」ショボン
盗賊「俺ぁちっと村の方行ってハチミツ酒飲んでくる」
魔女「わらわも行くぞよ?港町では飲みそびれたでのぅ…」
盗賊「おぉ来い来い!」
女海賊「ほんじゃ私等遺跡の中に居るから」
商人「ホムンクルスの部品まで案内してよ」
女海賊「おけおけ!階段あるから情報屋は足元気を付けて」スタ
情報屋「ゆっくり付いて行くから大丈夫よ」スタ
-------------
567 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:13:33.87 ID:c2KZAoSz0
『古代遺跡』
ズズズ
女海賊「この本棚の裏に隠し部屋あるんだ…奥にホムちゃんの部品があるよ」
商人「おぉぉぉ…ガラス容器に臓器が…」スタタ
情報屋「初めてホムンクルスを目覚めさせた時に一緒に有った臓器ね」
女海賊「そうそう…全部揃ってるかも分かんないんだよ」
情報屋「私も器具をもう一度調査してみるわ…」キョロ
商人「なるほど超高度AIユニットも一緒に沈んでる…これが組み合わさるんだな?」
情報屋「機械は動くの?」
女海賊「動かし方分かんない…色々調べたんだけどどうやっても動かないのさ」
商人「よし!!僕が解明するぞ!!」
女海賊「任せた…私は部屋に戻って横になって来る」スタ
情報屋「商人?これ下手に触ると二度と動かなくなるかも知れないわ?」
商人「うん…分かってる」
情報屋「他に分解しても良いサンプルが有れば良いのに…」
商人「ハテノ村には行けないとしてキ・カイには同じ様な物無いのかな?」
情報屋「遺跡の発掘現場に行けば有るかもしれない…」
商人「まずそっちが先かもね…アテは無いかな?」
情報屋「戻って聞いてみない事には何とも…」
商人「パット見どこも傷んで居ない…エネルギーが供給されれば動きそうなんだけどなぁ…」
情報屋「分解しないと何処がエネルギー供給する場所なのかも特定出来ないわ」
商人「慌てないで一回キ・カイに戻った方が良さそうだね」
情報屋「そうね…一応器具類を全部スケッチしておくわ」
商人「僕は寸法を測るよ…兎に角今はあまり触らない様にしよう」
568 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:14:37.03 ID:c2KZAoSz0
『小舟の有る入り江』
ザザー ザブン
盗賊「なんだ女海賊か…一人で何してんのよ」ヨタヨタ
女海賊「月見てんだよ!!放っといて」
盗賊「酒場が閉まっちまったんだ…お前もハチミツ酒飲むか?」ポイ
女海賊「フン!」プイ
盗賊「まぁそうカリカリすんな…どうせ涙も枯れて黄昏てんだろ?」
女海賊「うっさいな!」グビ
盗賊「ここは剣士と未来との思い出の場所なんだろ?まぁ気持ちは分かる…」
女海賊「この寂しさを未来も抱えてたと思ったら泣けないんだ…」
盗賊「孤児ってのはよ?皆そんな感じな訳よ…それに気付けたお前はある意味幸せだと思え」
女海賊「私が幸せ…」
盗賊「人間てのはな?そんな寂しさの中で小さな愛を見つけて紡いで行く…そういう奴が生き残って来たんだよ」
女海賊「なんであんたがそんな事知ってんだよ」
盗賊「俺も孤児だったからな?勘で分かるんだ…未来はそういう世界を大事にした」
女海賊「未来が…」
盗賊「そうだ…剣士と未来は俺達にそういう世界を残して旅立ったのよ」
女海賊「分かった様な事言って!」
盗賊「お前はどう感じるんだ?この世界を…」
女海賊「私は剣士と未来が居ない世界が真底寂しい…」
盗賊「前だけ見て進んでみろ…その先に小さな光がある…それはきっと愛だ」
569 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:15:21.01 ID:c2KZAoSz0
女海賊「愛…」
盗賊「そうやって紡ぐんだよ…それが人間なんだ」
女海賊「フン!マシな事言ったつもり?」
盗賊「未来の壁画見ただろ?アイツは苦しみを描き残しちゃ居無ぇ…楽しかった思い出を描き残してる」
女海賊「…」
盗賊「俺らが思うより案外楽しく過ごしてんだ…そう思い悩むな?」
女海賊「悪いけどあんたにはホレないよ!」
盗賊「ヌハハそんなつもりは無ぇよ…お前にゃ有り余る光が有るから陰らん様に励ましに来ただけだ」
女海賊「あのさ…一個意見が聞きたいんだ…私から剣士と未来を奪ったのって魔王だと思う?」
盗賊「そうだな…間違い無く魔王だ」
女海賊「どうやってぶっ倒せば良い?」
盗賊「俺はな?昔から思ってる事があんのよ…魔王をぶっ倒す方法は孤児を救う事だってな」
女海賊「孤児…」
盗賊「まぁ俺は俺なりに魔王と戦ってる訳よ?…言い変えりゃ影の勇者か?ヌハハ」
女海賊「孤児ねぇ…そういや一杯居るな…」
盗賊「皆寂しさ抱えててな…誰にも愛されず悪党になっちまう奴も居る訳よ…見てらんなくてな」
女海賊「あんたはどうなのさ?孤児だったんでしょ?」
盗賊「俺は光を見た…だからこう思えるんだ…お前にゃ闇を照らす光の素質がある…例えば光るサソリ」
女海賊「ええ!?サソリ?」
盗賊「そうよ…たったそんだけ教えてやるだけで光を見る事も在るんだ…なんつーかそうやって闇を抜け出すのよ」
女海賊「それが愛?」
盗賊「愛の一つだろう…光るサソリを追った先にきっと何かを見つける…同類と出会ったりな?」
女海賊「分かった…それ希望だ」
盗賊「かもな?お前はそれを失わない様にな?」
女海賊「知ってるさ…私にとっての希望は…月」
盗賊「そうそう…それで良い…真っ直ぐ行けばその内何か見つける…きっとそれは愛なんだ」
女海賊「あんた言ってる事意味わかんない事ばっかだけど…なんか真理を突いて来るな…」
盗賊「まぁ年の功…勘だ勘!!愛を語れるほど経験豊富じゃないが…何となくそう感じる」
女海賊「参考にしとくわ…」グビ
570 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:15:54.80 ID:c2KZAoSz0
『翌日_飛空艇』
コケーー!!コッコッコ!!
盗賊「ぬぁぁぁうるせぇな!!寝れ無ぇじゃんけ!!」ゴロリ
女海賊「もう朝なんだよ!!」ゲシゲシ
盗賊「お前ニワトリ積んで行く気なんか?」
女海賊「悪い!?卵食べたく無いの?」
盗賊「うるさくて敵わん…」グター
女海賊「おいニワトリ!!あんたの寝床は今日から此処だよ…ワーム食っても良いけど種は食うな!!分かったか!?」
盗賊「おいおいマジかよ…家畜小屋にする気か?」
女海賊「うっさいな!補給無しで飛べる工夫してんだから文句言わないで」
盗賊「だったら酒作れる様にしろや」
女海賊「酒かぁ…ハチミツ酒作ってみるかぁ…ハチミツ勿体ないんだよなぁ」ブツブツ
盗賊「栄養が無くなる訳じゃあるめぇ?むしろ発酵して栄養増えるだろ?」
女海賊「てかあんた自分でヤレよ!」
ノソノソ
魔女「朝から騒がしいのぅ…もう出立するんかえ?」
女海賊「魔女も飛空艇に乗っといて…なんか急いでキ・カイに戻りたいんだってさ」
魔女「くつろぐ間も無いのじゃな」
女海賊「ホムちゃん組み立てる方法分かんないからキ・カイで調べるらしい」
盗賊「そら良い…俺ぁこの島が退屈でよ…お宝の匂いが何処にも無ぇ」
女海賊「退屈で悪かったね!!」
盗賊「畑しか無ぇからやる事無い訳よ」
女海賊「じゃぁハチミツ積むの手伝って!!あんたの酒に変わるんだから」
盗賊「うげ…」
魔女「口は災いの元じゃのぅ…」ノソノソ
女海賊「壺に移し替えてるから全部積んで!!」
盗賊「へいへい…」
571 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:16:29.08 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
シュゴーーー バサバサ
商人「…それでキ・カイに戻ったら役割分担するんだ」
僕は商人ギルドの伝手を使ってホムンクルスの組み立て方を調べる
情報屋は壁画の出所について調べる
女海賊と盗賊…そして魔女はオーク領に侵入して残りの壁画を探す
拠点は商人ギルド…飛空艇の隠し場所は港の倉庫を使って良い
盗賊「オーク領で壁画の有りそうな目星は無いんか?」
商人「それは女海賊の方が詳しい…行った事ある様だから」
魔女「オーク領に勝手に侵入出来るんかいな?」
盗賊「オークはエルフと同じでハイディング見破って来るだろ?」
女海賊「そだね…かなり危ない…でも魔女の睡眠魔法と私の妖精の笛で眠らせながら行けば大丈夫だと思う」
盗賊「場所は分かってんのか?」
女海賊「虱潰しさ…前行ったときは睡眠使えなかったからしっかり調査出来て無いんだ」
商人「…という訳でしばらくそんな感じで情報を集めよう」
女海賊「行くのは火山灰の降らない西側から順に回る感じかな」
盗賊「西オークと東オークとか在るんだっけか…」
女海賊「もっと南の方だと赤い肌のオークとかも居て訳分かんないんだ…そっちの方が遺跡沢山在って怪しい」
情報屋「オークは肌の色で部族の違いがあるそうよ?」
女海賊「色んなのが居るから良く分かんない…敵か味方かもさっぱりさ」
魔女「茶色のオークが野良オークじゃと聞いたぞよ?エルフの森に居ったのも茶色のオークじゃったな」
盗賊「野良でも危無ぇじゃ無ぇか…人間見たら追いかけて来んぞ?」
女海賊「まぁそういう危険があるから探索は慎重に行くしかないよ」
魔女「睡眠魔法用の触媒を多めに用意せねばならん様じゃな」
商人「物資の調達は僕に任せて…何でも揃えてあげる」
女海賊「そうそう…種をいろんな奴仕入れて欲しい」
商人「お安い御用だよ…買い付けておくから折を見て取りに来れば良い」
魔女「ふうむ…長旅になりそうじゃのぅ」
盗賊「虱潰しってのがぁ…しょうがないんだが…」
-------------
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572 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:17:04.98 ID:c2KZAoSz0
『キ・カイ_商人ギルド』
ワイワイ ガヤガヤ
はい並んで並んで〜競売は向こう側ね〜
商人「やあ!繁盛してそうだね」
娘「あ!!商人に盗賊!!いつ帰って来たの?」
盗賊「よう?子供達は元気か?」
娘「元気!元気!!てか今忙しいから大部屋の方行っててよ」
商人「ハハそうさせて貰う」
娘「商人宛てに書簡が沢山来てるんだ…全部読んでおいて」
商人「分かったよ…何処に?」
娘「後で持って行かせる…とりあえず邪魔だから大部屋行っといて
『大部屋』
ガチャリ バタン
情報屋「早速だけど私は知り合いの学者を訪ねに行って来るわ」
商人「一息ついて行けば良いのに…」
女海賊「私もオーク領までちっと行って来る…なんか落ち着かない」
盗賊「待て待て…酒を仕入れて行くぞ」
女海賊「先に飛空艇行っとくから早く荷物積んで」
商人「まぁ一旦行動指針決めたから即行動した方が良いかぁ」
女海賊「早い所ホムちゃん組み立てる方法解明しないとクビにすんよ?」
商人「厳しいな…出来るだけ早くやるさ」
魔女「わらわは触媒を仕入れてから飛空艇へ戻るで先に行って居れ」
女海賊「はいはい…わたし待てない性格だから早くして」イラ
魔女「主は鉛を仕入れるとか言うて居らんかったか?」
女海賊「あああああああ!!忘れてた…鉛無いと弾作れないんだった…」ダダ ピュー
商人「女海賊はお金持ってるのかな?」
魔女「毎度毎度じゃが…世話の焼ける女じゃ…」ノソ
盗賊「そうそう…古代金貨あるからよ?これで孤児院の支援も頼めるか?」ジャラリ
商人「おぉ!!シャ・バクダの古代金貨…資金調達に丁度良い」
盗賊「俺は行っちまうからお前に頼んだ」
商人「分かったよ…孤児達を支援できるように計らう」
盗賊「じゃ行って来るな?」タッタ
魔女「これ盗賊や待てい!!わらわを置いて行くで無い」
盗賊「ヌハハ悪い悪りぃ…どっかの国の姫って事を忘れてたわ…大人の体じゃ背負えんが?」
魔女「背負えとは言うて居らぬ…勝手に置いて行くなと言うて居るのじゃ」
盗賊「まぁ良いや!俺が後から付いて行きゃ良いんだろ?」
魔女「ううむ…主にはちぃと分からせる必要がある様じゃな…」
盗賊「わーったわーーた!!ほい行くぞ」グイ
573 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:17:43.87 ID:c2KZAoSz0
--------------
商人「さて…皆居なくなったし…僕も仕事するか…」
ガチャリ バタン
娘「あれ?爺ぃはどっか行った?」
商人「皆忙しいのさ…書簡は持って来た?」
娘「なんだよ…お土産有ると思ってたのにさ」
商人「ハハ在るよホラ?古代金貨さ」
娘「え!?うおぉぉぉぉ!!こんなに?」
商人「換金出来るかい?半分は君達が使っても良い」
娘「マジ?マジ?これめっちゃ高く売れるよ?」
商人「残りの半分でキ・カイの孤児院を支援…やって貰えるかな?」
娘「私等の兄弟増やすんだね?」
商人「まぁそうなるのかな」
娘「孤児院も良いけどチカガイにも子供達の集まりが在るんだ」
商人「へぇ?」
娘「私の子供がそこのギャングに入っててさ…病気持ってるけど商人にそっくりな子が居るんだよ」
商人「そういう子にも支援しよう」
娘「この古代金貨は爺ぃから?」
商人「良く分かるね」
娘「爺ぃのお金の使い道は酒か孤児院って決まってる…よしよしこれだけ有れば」ジャラジャラ
商人「頼むよ…それで書簡は?」
娘「おっと!!忘れてた…」ドサドサ
商人「沢山あるねぇ…」
娘「多分商談だよ…何回も商人尋ねに来てるんだ」
商人「誰だろう?」
娘「知らない!私戻って古代金貨競売に掛けて来る!じゃね」ノシ スタタ
商人「…差出人が書いてないな…誰だろう?」ヨミヨミ
レート介入の見返りに古文書か…
僕が古代遺跡を探している事を知って居る人物だな
随分前の書簡だ…何通も来てるという事は余程レートに介入したいんだな
ふむ…品目は魔石…それから麻薬…
商人「キ・カイ側の人間なのか…それともセントラル側なのか…どちらにしてもお金が大きく動く」
商人「慎重に決めないと僕も只じゃ済まないぞ…」
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574 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:18:24.41 ID:c2KZAoSz0
『数か月後_商人ギルド』
ワイワイ ガヤガヤ
おぉぉ又魔石の値段が下がってる…買いだ買い!!
硫黄は値上がり続けてもう手が出んわい
麻薬は目ん玉飛び出るぐらい高いな…もう趣向品は出回らんぞ
女海賊「…これ鑑定頼める?」
娘「あ!!女海賊…今回は収穫在ったん?」
女海賊「まぁね?それ買い取って欲しいんだけど」
娘「琥珀かぁ…こんなに沢山オーク領で採れるの?」
女海賊「簡単じゃ無いけどね」
娘「珍しい物だから競売の方が良いよ」
女海賊「ほんじゃそれで頼むよ…分け前は半分持ってて良いから」
娘「りょ!!」ビシ
女海賊「情報屋は何処に居るか知らない?」
娘「隠し部屋で商人と一緒だよ…見つからない様に階段居りて行って」ギギー
女海賊「サンキュ!!」ハイディング スゥ
575 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:19:04.49 ID:c2KZAoSz0
『隠し部屋』
ヒソヒソ
これがサンプルの石板よ…壊さない様にお願い
エネルギーが入ればこれが光るんだね?
光ると言うか絵が浮かび上がるそうよ
なるほど…つまり女海賊の遺跡も同じ訳か…
エネルギー次第ね…私は手に入れられない
トントン
女海賊「私…壁画見つけたんだ…ここ開けて?」
商人「今開ける…」ゴソゴソ ガチャリ
情報屋「やっと見つけたのね?何処で?」
女海賊「ずっと南の方の青いオークが居る所さ…持って帰るのは無理だから書物に写して来た…見て?」バサ
情報屋「…これは4500年前ね…何コレ?飛空艇が描いてあるじゃない?」
女海賊「似てるね…でもそれはオークの乗り物っぽいよ」
商人「ええ?オークに高度な物を作る技術が在ったという事かい?」
女海賊「良く写しを見て…宇宙から来たっぽい…この乗り物で月に行けるって事さ」
情報屋「オークは宇宙からの外来種…新説ね」
女海賊「それからオークの旗印も持って来たんだ…見て」バサ
商人「あれ?それ君が良く使うダンゴムシじゃ無いか…」
女海賊「私もビックリさ…未来が残したのに間違い無いよ」
情報屋「未来君はオークの起源に関わって居る可能性があるのね」
商人「他には?遺跡とか無かったの?」
女海賊「有った…でもずっと昔に開封されてグズグズに風化してた…ホムちゃんの石造も在ったよ」
情報屋「キ・カイの遺跡と同じ状態という事ね…」
女海賊「石の器の中に横たわったホムちゃんの石造に向かってオーク達がお祈りしてたさ」
情報屋「それがきっとウンディーネ本人よ…4500年前といえばウンディーネの時代」
女海賊「めちゃくちゃデカイオークが一杯居てさ…危ないからもう行きたくない」
商人「聞いた事あるな…オークロードっていう奴だ…槍とか石を投げて来るらしい」
女海賊「それそれ!それで魔女がやられて瀕死なんだ」
商人「ええええええ!!?それを先に言ってよ…魔女は平気なのかい?」
女海賊「線虫で癒してるから死ぬことは無い…失血で気を失ってるだけだよ」
商人「魔女は失血に弱いね」
女海賊「元々体が弱いのさ…そのくせ粘るから失血で倒れるんだよ」
情報屋「盗賊は?」
女海賊「飛空艇で魔女の看病だよ…下手に動かさないで寝かせておいた方が良いって…」
情報屋「そう…」
女海賊「もうお腹隠し切れないじゃない?」チラリ
情報屋「フフ大丈夫よ!あの人鈍感だから」
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576 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:19:33.47 ID:c2KZAoSz0
女海賊「…それで壁画の年代とか判明した?」
情報屋「そうね…1400年前の壁画はフィン・イッシュに有る花崗岩と判明したわ」
商人「700年に飛空艇とか無い筈だから徒歩でフィン・イッシュに向かったと思われるよ」
女海賊「その後は?」
情報屋「サンゴを含む石灰岩なの…場所の特定が出来ないけれど恐らくフィン・イッシュ外海に出たと思われるわ」
商人「内海にはサンゴが無いからね…外海側の何処かとしか言えないらしい」
女海賊「フィン・イッシュは何回も行ってんじゃん!何処を調べれば良いのさ」
商人「女王に事情を話して遺跡とか知らないか聞いてみるだね」
女海賊「まぁオーク領も飽きたし…一回フィン・イッシュ行って見るかぁ…」
商人「それから君に紹介したい人が居るんだ?」
女海賊「誰?付き合うのメンドクサイ人は遠慮する」
商人「おいで!?」
機械の犬「ワン!」トコトコ
女海賊「え!?もしかしてホムちゃん?」
商人「正解!壊れた機械の犬を直してホムンクルスの器にしたんだ」
女海賊「え?え?こんなんで良いの?」
機械の犬「ワン!ワン!」フリフリ
商人「意思は伝わるよ…ちゃんと疎通も出来る」
女海賊「どうやってお話するのさ」
商人「フフお話してごらん?イエスかノーの2択とそれ以外にも微妙な反応もあるんだよ」
女海賊「連れて行って良いの?」
商人「ちゃんと帰って来るならね?」
女海賊「ホムちゃんこっちおいで?」
機械の犬「ワン!ワン!」トコトコ
女海賊「おおおおおおおお!!来るじゃん!!ホムちゃんと話したい事一杯あったのさ」ナデナデ
機械の犬「ワン!」フリフリ
女海賊「そっか尻尾も動くか…他に何が出来るん?」
商人「お座りとか色々さ…君の話し相手になれば良い…ホムンクルスも部屋の中で閉じこもるより楽しい筈」
女海賊「おけおけ!ちっと散歩行こう」タッタッタ
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577 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:20:05.59 ID:c2KZAoSz0
情報屋「商人?壁画の写しを見て?」
商人「何か分かるかな?」
情報屋「やっぱり年代を追うごとに情報量が減ってる…この頃にはもう私達の記憶は無さそう」
商人「見たまんまを描いて居るのだろうね」
情報屋「この壁画に描かれて居るのは4500年前では無くそこに飛ぶ以前の事…つまり3800年前の出来事」
商人「地軸が移動した後の世界か…」
情報屋「そのまま描いてあるから当時の予言として扱われた可能性が高いわ」
商人「あれあれ?よくよく見ると色々おかしいね…途中から虫を持った人物が居なくなる」
情報屋「そう…彫り方がとても雑になってる…他の人が手を加えたかもしれない」
商人「う〜んこの壁画の考察は慎重に言葉を選ばないと女海賊が怒りそうだ」
情報屋「やっぱりそう思う?」
商人「オークの地で最後を迎えたとは言えないな」
情報屋「私の考察はこうよ…3800年前に未来君は最後を迎えてる…この壁画を残したのは剣士だと思うわ」
商人「未来君の記憶では無く剣士の体験を描いている?それで雑になって居ると?」
情報屋「途中から虫を持った人物が居なくなるのはそれを表して居ると思う…良く見て?視点が虫を持た人物中心じゃない」
商人「剣士がこの壁画を残したとしてその動機はどう考える?」
情報屋「純粋に予言ね…地軸の移動で激変する事を伝え残したかった」
商人「まてまて剣士は記憶を保持していた訳か…それが勇者の眼が持つ特殊性」
情報屋「きっとそうね…剣士が選んだ次元と言えば良いのかしら?」
商人「なるほど…この後は剣士の行先と言う事になるか…」
情報屋「まだ考察の話だから女海賊には伏せておきましょう」
578 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:20:55.86 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
スヤスヤ zzz
女海賊「どう?まだ目を覚まさない?」
盗賊「交代に戻って来たんか?」
女海賊「まぁね?見て!!ホムちゃんだよ」
機械の犬「ワン!」フリフリ
盗賊「なぬ!!?そいつん中に復活させたんか?」
女海賊「そうらしい」
盗賊「マジかよ…話出来るんか?」
女海賊「結構通じるさ…ワンとかクゥ〜ンだけだけど」
盗賊「ヌハハ通じりゃどうでも良いわな」
女海賊「私飛空艇でホムちゃんと話するからあんた酒飲んで来て良いよ」
盗賊「おう!そうさせてもらう」スック
女海賊「フィン・イッシュに行く事になりそうだから適当に物資補給しといて」
盗賊「なんで又フィン・イッシュに戻んのよ?」
女海賊「未来が最初に向かったのはフィン・イッシュらしい…女王に何か無いか聞きに行くのさ」
盗賊「お!?俺一つ知ってんぞ?」
女海賊「何さ?」
盗賊「リザードマンの巣窟になってんだがよ…祭事に使う祠ってのが合ってな?多分そこが遺跡なんだよ」
女海賊「そういやなんかそんな事言ってたなぁ…クサナギの剣を使うとか?」
盗賊「フィン・イッシュの大事な場所らしいから俺はしっかり調べて無いのよ」
女海賊「ほんじゃ行先はそこだなぁ」
盗賊「まぁ焦んな?俺は酒場に行ってちっと遊んで来る」
女海賊「情報屋の所には行かないの?」
盗賊「アイツ最近付き合い悪くてよ…全然酒飲ま無ぇんだ」
女海賊「ほ〜ん…」シラー
盗賊「丁度こっから月も見えるからお前も退屈せんだろ?」
女海賊「お!!それそれ!!ホムちゃん私さぁ…月に行きたいんだよ…なんとかなんない?」
機械の犬「クゥ〜ン」
盗賊「じゃ行って来るな?」ダダ
光る隕石のやつ…えーと何だっけ…何とかミサイル
あれに乗って月まで行けない?
クゥ〜ン
一人乗りに改造するとかなんか方法有りそうじゃん?
クゥ〜ン
じゃ2個連結するとかさ?
クゥ〜ン
いや私も考えたんだよ…重力振り切るだけの加速をどうやって得るとかさ…
てか宇宙って空気無いんだよね?
ワン!
どうやって推進するんだろ?推進しないと重力に引っ張られっぱなしなんだよなぁ…
それ以前にどうやって息するかも課題だな…
579 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:21:29.35 ID:c2KZAoSz0
『翌日』
う〜ん
魔女「…」パチクリ
女海賊「お!?起きた!!」
魔女「どうなったんじゃ?又主に救われたんかいのぅ?」ハテ?
女海賊「線虫間に合ってセーフ!!」
魔女「あまり覚えて居らんのじゃが…」
女海賊「デカいオークの投槍がぶっ刺さったのさ」
魔女「…そうじゃった…まさかあの距離で当てて来るとは思わなんだ」
女海賊「睡眠魔法も妖精の笛も届かない場所から投槍とかオークを舐めてたわ…あいつ等賢い」
魔女「うむ…しかし無事で良かったわい」
女海賊「ほんでちゃんと魔方陣の書かれた呪符はゲットしてきたよ」ファサ
魔女「そうじゃそうじゃ…わらわの目的はソレじゃ」
女海賊「その呪符で何か分かるん?」
魔女「研究したいのじゃ…これは古代魔術じゃでのぅ」
女海賊「なんで壁画と一緒に在ったんだろね?」
魔女「さぁのぅ…それも意味が在るのやも知れぬ…わらわは研究の為に書物を取りにフィン・イッシュへ行きたいのじゃが…」
女海賊「おけおけ!丁度フィン・イッシュに行こうとしてたんだ」
魔女「その前に肉を食らわん事にはどうやら血が足りん様じゃ…」クラクラ
女海賊「ハチミツスープあるけど居る?」
魔女「頂こう…」
ヨッコラ ドスン
盗賊「お?魔女は目ぇ覚ましたんだな?」
魔女「主がわらわを担いで逃げたのじゃな?」
盗賊「そうよ…まぁえらい血が出たな?掃除が大変だったぜ」
魔女「そら済まんかったのぅ」
盗賊「今リンゴ買って来た所だ…ちっと食うと良い」ポイ
魔女「うむ…果物が食いたかった所じゃ」ガブリ シャクシャク
女海賊「もう飛んで良い感じ?」
盗賊「ちょい待て!もう一つ樽があるんだ…それとこれは商人から貰って来たお前のおもちゃだ」ポイ
女海賊「おもちゃ?」パス
盗賊「なんかな?集光レンズらしいぞ?インドラの銃で使えないかってよ?」
女海賊「おお!!ほんじゃ長い砲身要らなくなるな…邪魔だったんだよ持ち歩きに」
盗賊「もう一樽積むからちょい待っててくれ」ダダ
--------------
580 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:22:02.16 ID:c2KZAoSz0
カチャカチャ
魔女「早速改造かいな?」
女海賊「持ち運びが楽になりそうだかんね…」
魔女「ミスリルの筒が勿体無いのぅ」
女海賊「これはこれで何か作れるな…そうだ笛が作れる」
魔女「それは良い案じゃ…2つ程作れそうじゃな」
女海賊「どうせフィン・イッシュに到着するまで暇になるからミスリルの横笛作ってみるわ」
魔女「わらわは横笛を吹けるのじゃぞ?」
女海賊「マジ?」
魔女「どんな音が出るのか楽しみじゃのぅ」
女海賊「てか笛の吹き方教えてよ…妖精の笛吹く時やってみるからさ」
魔女「よかろう…虫との会話も弾むじゃろうしのぅ」
女海賊「え?虫が何の関係あんのさ」
魔女「虫使いはのぅ…笛を使って遠くの虫を呼ぶのじゃ」
女海賊「マジか…笛でそんな事出来んのかよ」
魔女「妖精の笛も原理は同じじゃと思う」
女海賊「虫が眠らせてるのか…てか妖精か…」
魔女「ほんでいつ作るのじゃ?」
女海賊「あぁ今作るさ…ちょい待って」
581 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:22:33.71 ID:c2KZAoSz0
--------------
ヨッコラ ドッスン
盗賊「お前等何やってんだ?」
女海賊「笛作ってんだよ」シュッシュ ガリガリ
魔女「穴の大きさと位置は妖精の笛と完全に一致するようにせい」
女海賊「わーってるって」カリカリ
盗賊「フィン・イッシュ行くんじゃ無かったのか?」
女海賊「今手が離せないから飛空艇の操作お願い!…適当に飛んどいて」シュッシュ ガリガリ
盗賊「ヘイヘイ…忘れもん無いな?」
女海賊「うっさいな!!早く行けよ」カリカリ
盗賊「魔女!肉も買って来たぜ?食うか?」
魔女「おぉ気が利くのぅ」
盗賊「なんで又急に笛なんか作る事になってんだ?」
魔女「細かい事は良いでは無いか…ミスリル銀の笛の音を主も聞いてみとう無いか?」
盗賊「興味無ぇな…笛は笛だろ?」
魔女「主は凡人じゃのぅ…」
盗賊「凡人で構わん…飛空艇飛ばすぞ?」グイ
シュゴーーーー フワフワ
582 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:23:04.13 ID:c2KZAoSz0
『上空』
トゥルルン♪ トゥルル〜♪
盗賊「ほーーー変わった音の鳴る笛になったな」
女海賊「なんか私が吹くとこんな音なんだよ…」
ヒョロロン♪ ヒョロロ〜♪
魔女「吹き方にコツが在るのじゃ…慣れるまで練習せい」
盗賊「なるほど魔女の音の方が聞いて疲れにくい…これが差か」
女海賊「なんでだろうなぁ…」ピーヒャララ
盗賊「その笛はミスリルで作ってっからやっぱ魔除けの効果あるんか?」
魔女「じゃろうのぅ」
女海賊「ミスリル銀って何がエンチャント出来るん?」
魔女「銀じゃで光属性なのじゃが…」
女海賊「退魔のエンチャントで効果倍増したりしない?」
魔女「さぁのぅ?意味が無い気もするが…」
盗賊「照明魔法で光らせるってのはどうよ?道具として便利になるぞ?」
魔女「エンチャントするならその方が良さそうじゃな…薄っすら光る程度でランプの代わりになるでのぅ」
女海賊「よーし!ちょい先に装飾すっからエンチャントは後でお願い」
583 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:23:34.15 ID:c2KZAoSz0
------------
魔女「照明魔法!」シュワー
盗賊「ほーーこりゃ良い!薄っすら光るぐらいが明かりにゃ丁度良いわ…欲しくなって来るじゃ無ぇか」
魔女「しかし良い笛が完成したな?装飾と言い音色と言い…」
女海賊「魔女に一個あげるよ」
魔女「嬉しいのぅ…魔力を使わずして退魔効果とは…」
盗賊「退魔の効果ってよ?悪霊退散とかか?」
魔女「うむ…レイスやゴーストを寄せ付けぬ…ガーゴイルにも効果が在るじゃろうな」
盗賊「俺も欲しいんだが…」
女海賊「練習終わったら私のヤルよ…妖精の笛持ってっから」
魔女「盗賊も笛を吹くんかえ?」
盗賊「俺は明かりが欲しい訳よ…イザって時に退魔で吹くってのも有りだな」
魔女「ふむ…只の筒をこの様に細工し直せる技術は大した物じゃ」
盗賊「だな?売りゃ相当高値が付く筈だ」
女海賊「おいおい売るなよ!」
盗賊「ヌハハ売ったらの話よ…ミスリル銀の楽器なんかそうお目に掛かれんもんな」
魔女「じゃな…しかし美しい笛じゃ…見ていて飽きんわ」
女海賊「おーし!!練習すっぞ!!」ヒョロロー
盗賊「…」ニヤ
そうよ光ってのはそういう感じな訳よ…その先にきっと何か待ってる
584 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:24:14.71 ID:c2KZAoSz0
『フィン・イッシュ_墓地』
フワフワ ドッスン
盗賊「こっちは南の大陸と違って夏か…まぁ過ごしやすそうだ」
魔女「わらわは早速城の書庫へ行くぞよ」ノソ
女海賊「付いて行きゃ女王に会えるよね?」
魔女「付いて参れ…盗賊は人相が悪いで顔を隠すのじゃ」
盗賊「もう顔パスじゃ無ぇのか?」
魔女「主を知らぬ衛兵も居るじゃろう…面倒が起きてはいかんでのぅ」
盗賊「なんだかなぁ…俺はいつまで立っても損な役回りなんだよなぁ…」ブツブツ
魔女「素行が悪いのが問題じゃ…まず歩き方をなんとかせい」
盗賊「やっぱ俺には城は合わんな…酒場に行ってるからそっちはそっちで上手くやってくれ」ダダ
魔女「しょうがない奴じゃ…これ女海賊や…行くぞよ」ノソノソ
『酒場』
ワイワイ ガヤガヤ
おい酒が無ぇぞ!!もう一本持って来い!!
一本入りまぁ〜す!ウフフ…お代はお先に
金は在るんだウヒヒ…今度こそパフパフをだな?
いやぁ〜ん…
バニー「いらっしゃいませ〜お一人様ぁ?」フリフリ
盗賊「一人なんだがこりゃ座れそうに無いな…」
バニー「立ち飲みで良かったらカウンターへどうぞ〜」
盗賊「しゃぁねぇな…ワイン一本ボトルで頼む」ジャラリ
バニー「一本入りまぁ〜す!…チップも頂くわよん」
盗賊「昼間だってのに盛況だな?」
バニー「お金持ちの海賊様がいらっしゃってますのでウフフ」
盗賊「あっちもこっちも海賊だな…」
バニー「ワインお持ちしましたぁ〜ごゆっくり」ゴトン
盗賊「おぉありがとよ…」グビ プハァ
585 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:24:47.28 ID:c2KZAoSz0
マスター「お客さんはどちらから?」
盗賊「んん?俺か?」
マスター「はい…」
盗賊「キ・カイから来たんだ…なんでだ?」
マスター「傭兵の募集が在るのですよ…このチラシをご覧ください」パサ
盗賊「なんだ一杯あんな…リザードマン退治にシーサー退治…んん?船乗りも募集してんのか」
マスター「あぁその船乗りの募集は止めて置いた方が良いかと…なんでも外海へ出るとか」
盗賊「ほう?俺知ってんぞ?髭男爵だろ?」
マスター「髭男爵?違いますね…有名な探検家らしいです」
盗賊「ほーん…このチラシ貰って良いか?」
マスター「どうぞどうぞ…もし傭兵に参加されるのでしたらこのチラシを見たと行って貰えれば報酬が入る仕組みになっていまして」
盗賊「なるほどな?まぁ考えとくわ」
マスター「是非…」
盗賊「しかしこんだけ客が入ってりゃ儲かってウハウハだろ?」
マスター「いやいやそうでも無いのですよ…酒類の仕入れが海賊から高値で買わされていましてね」
盗賊「なんだお互い様って訳か」
マスター「一番儲かっているのは遊女屋でしょうか」
盗賊「ほーん…こりゃ孤児院が増えちまうな」
マスター「全くです…良いのか悪いのか…」
盗賊「ちっと仕事の急用を思い出した…又来るな?」スタ
マスター「又のご来店を…」ペコ
586 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:25:22.40 ID:c2KZAoSz0
『日暮れ_酒場』
ザワザワ ドタドタ
おい!!俺らの船もヤバいぞ!!
いつまで飲んでんだクソが!!船が何処かの賊にやられてる!!行くぞ!!
マスター「いらっしゃいませ…お二人様ですか?」
女海賊「んーーーー連れを探してんだけどさぁ…」
魔女「ここで待って居れば来るのでは無いか?」
マスター「飲んで行かれますか?丁度お席が空きました」
女海賊「魔女?気球待たせても良いんかな?」
魔女「仕方ないじゃろう…これ!ハチミツ酒は在るかいな?」
マスター「あいにく切らして居まして…エール酒は如何でしょう?」
女海賊「おけおけそれで良いよ…魔女お金持ってる?」
魔女「うむ…」ジャラリ
マスター「確かに…少々お待ちください」
女海賊「カウンターで良っか…」
魔女「この騒ぎは何じゃろうのぅ?」
マスター「どうも港に停船してある海賊船が軒並み火事になっているらしいです」
魔女「海賊が狙われて居るとな?」
マスター「さぁ?詳しい話は聞いて居りませんので」
女海賊「まぁ良いじゃん?私等には関係無いし…てか盗賊何処行ったんかな?」
マスター「お二人は吟遊詩人様で?」
女海賊「え?そんな風に見える?」
マスター「笛が覗いて居ますので…もしかしたらと思いまして」
女海賊「お?今お客さんあんま居ないから魔女吹いてみたら?」
魔女「恥ずかしゅうて吹けんわ!」
マスター「構いませんよ?楽器の演奏はどなたでも歓迎なのです」
女海賊「良いじゃん!私も勉強すっからさ!!」
魔女「一曲だけじゃぞ?」シブシブ
マスター「サービスで軽いお食事をお出しします」
女海賊「やったね!」
トゥルルン♪ トゥルル〜♪
マスター「おぉ…音色が特殊な笛なのですね」
587 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:25:53.81 ID:c2KZAoSz0
女海賊「私が作った笛なんだ…良い音色っしょ?」
マスター「ふぅむ…あの方は何処かで見たような…」
女海賊「気のせい気のせい…わたし等そんな有名人じゃないから」
タッタッタ
盗賊「笛の音がすると思ったら此処に来てたんか!」
女海賊「お!!探してたんだよ…何処行ってたのさ」
盗賊「ちっと金稼ぎにな?」
マスター「お知り合いでしたか…席が空きましたのでどうぞ」
盗賊「悪りぃな?俺ワイン忘れて行っただろ?まだ在るか?」
マスター「御座います…どうぞ」キュポン
盗賊「喉渇いてたんだ…」グビグビ プハァ
女海賊「なんかさぁ…女王は出産で城には居ないんだってさ」
盗賊「なぬ?何処行ったんだよ?」
女海賊「教えてくんないんだよ」
盗賊「俺は遺跡の場所分かるから勝手に行っちまうか」
女海賊「魔物の巣窟になってるらしい…」
盗賊「どうせリザードマンだろ?んなもん追い払えば良い」
女海賊「そういう訳にも行かない事情が在るんだってさ…詳しい話は近衛侍がしてくれる事になってんだ」
盗賊「いつよ?」
女海賊「今すぐだよ…だからあんたを探しにここまで来たんだって」
盗賊「なんだよ酒飲む時間無いのか」ゴク
女海賊「半日自由な時間在ったじゃん何してたんだよ」
盗賊「あぁ…孤児院が増えない様に色々とな?」
女海賊「まぁ良いや…魔女の演奏終わったら行くよ」
盗賊「へいへい…」
588 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:26:28.90 ID:c2KZAoSz0
『街道』
ザワザワ ガヤガヤ
見て?船が燃えて居るわ?
なんだなんだ?海戦が始まってんのかぁ?
ドカーン!
魔女「こりゃえらいこっちゃな…火薬に火が回っとるんか」
女海賊「何か始まっちゃってるな」
魔女「わらわ達も混乱に巻き込まれそうじゃ」
盗賊「ほんで俺ら何処行く訳よ?」
女海賊「近衛侍が王族の気球で待ってんのさ」
盗賊「女王の所に連れて行ってくれる訳だな?」
女海賊「なんか教えてくんないんだよ…行けば分かるよ」
盗賊「まぁ…簡単に女王の行き先が分からん辺り警備はしっかりしてんだな」
魔女「じゃろうのぅ…忍びに囲われて居るでな」
589 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:26:59.48 ID:c2KZAoSz0
『王族の気球』
ノソノソ
魔女「近衛侍や…待たせたのぅ」
近衛侍「いえ滅相も無い…ささご乗船を」スッ
盗賊「いよぅ近衛侍…女王の居る所まで連れて行ってくれるんだろう?」
近衛侍「しばしご辛抱を…忍び!加減を…」
盗賊「なぬ?2人隠れて居たんか…」
忍び「御免…影縫い!」
魔女「ムム!これは闇の術…」
忍び「目隠しの術!」
盗賊「こりゃどういう事よ?目隠しと拘束か?」グググ
魔女「妖術師が居ったのか…」
近衛侍「ご心配なさるな…忍びの里へご案内する為の決まりごと故…ご辛抱なされい」
盗賊「ほーーさすが忍びだな」
近衛侍「さてそのままお聞きになられよ…」
女王様は御子の出産の為忍びの隠れ里にて静養中にござる
隠れ里にご案内出来るのは本来近親者のみ
しかし世話になった恩人を帰したとなれば女王様の面目を潰してしまう故に
無礼とは存じておりますがこの様な方法でご案内致す次第
どうか隠れ里の事は他言されぬ様お願い致しまする
魔女「良い良い構わぬ…正直わらわはこの様な出迎えでちと心が躍って居る」
近衛侍「それは結構…」
魔女「ふぅむ…わらわの塔もこの様にすべきじゃな…良い経験になったわい」
盗賊「なるほど…魔女の塔に案内されてる感じな訳か」
魔女「して妖術師はいかなる術を使いこなすのじゃ?」
近衛侍「ハハご勘弁を…」
魔女「おぉ済まなんだ…軽々しく話せる訳では無いじゃろう」
女海賊「これ魔女ん所より厳格な感じなんだね?」
魔女「うむ…感心じゃ…魔術師も本来こうあるべきじゃな」
女海賊「魔女が目立ち過ぎってのが悪い気がするな」
魔女「ふむ…反省じゃな…わらわの師匠も同じ様な事を言って居ったわい」
盗賊「忍びの一族が妖術使うってーと…シン・リーンの魔術師並みにヤバイってこったな?」
魔女「じゃな?しかも力を誇示して居らぬ所が威厳たる証じゃ」
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590 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:27:31.23 ID:c2KZAoSz0
魔女「ほう?リザードマンもシーサーも妖術によって使役されておるとな?」
近衛侍「すべてでは御座らぬが隠れ里へ人が近寄らぬ様にする為の事」
盗賊「酒場で討伐隊の募集が掛かってたぜ?」
近衛侍「ワッハッハそれは民を訓練する為に女王様がご提案されたクエストですな」
盗賊「なんだマッチポンプか…報酬も国が出すのか」
近衛兵「そうやって冒険者を募って経済を回しているのでござるよ」
盗賊「じゃぁ俺らに全部追い払われたら困る訳だな」
近衛兵「特に魔女様に暴れられては隠れ里をも被害を被りますので…」
女海賊「そうだよ!隕石ポンポン落として森を破壊しまくるんだよ」
魔女「狙って森を破壊した訳では無いぞよ?ゴーレムを倒す為じゃ…」
女海賊「魔女の魔法は被害がデカ過ぎなのさ」
魔女「主の爆弾も大概じゃと思うが…」
女海賊「私はもうウラン結晶の爆弾は止めたから」
盗賊「なんでよ?お前の十八番だろ?」
女海賊「あの爆弾から毒が出るじゃん?未来はそれを無くすために一人で毒を集めたんだ…」
魔女「そうじゃな…あの爆弾は使わぬ方が良かろうのぅ」
盗賊「そうか…お前は未来が毒を集めにゃならんくなった原因に自分も含まれてると思って居た訳か」
女海賊「もう言わないで…何も知らなかった私が馬鹿だったんだ」
--------------
近衛侍「そろそろ到着しまする…揺れます故ご注意を」
ドスン ズザザー
盗賊「まだ目が見えんのだが…」
近衛侍「忍び!解除を」
忍び「解術!」
魔女「ほう?これは闇の術とは違うのぅ…何故視覚を急に失うのか」
女海賊「あれ?目の中に線虫が居るぞ?」ゴシゴシ
魔女「むむ…線虫を操り何かさせて居るんか?」
女海賊「そんな事出来んの?」
魔女「線虫は寄生虫の一種じゃで視覚を司る神経を休ませる事なぞ出来るやも知れんな…」
女海賊「おぉ!!それ応用したら何でも出来そうじゃん?」
魔女「それがいわゆる幻術なのじゃが…」
近衛侍「魔女様には敵いませんなぁ…忍びの術は他言しませぬ様に…」
魔女「済まん済まん…それで?隠れ里は何処じゃ?」
近衛侍「ここから見えて居ります赤い鳥居を登った先に御座いまする…天狗が導きます故後を付いて行かれよ」
盗賊「おぉ!!空飛んでんじゃ無ぇか…」
近衛侍「身軽なだけの事…あれも忍びなのです」
女海賊「おっし!付いて行こうか」スタ
591 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:28:01.17 ID:c2KZAoSz0
『赤い鳥居』
ノソノソ
魔女「ふむ…ここは狭間の中じゃな…いつの間に狭間に入ったのじゃろうか」
盗賊「だから迷わん様に鳥居が続いてんだな?」
魔女「天狗が潜らぬ鳥居は通ってはならん様じゃ…さすが工夫されて居るのぅ」
女海賊「案内無しだと辿り着けないんだ」
盗賊「天狗の他にもこっちの様子を伺ってる奴らが居るぜ?」
魔女「ふむ…何故セントラル王が認められんのか分かったわい…忍びから見てセントラル王は中身がペラペラなんじゃな」
盗賊「ヌハハだろうな?単純脳筋バカっぽいもんな?」
女海賊「なんだろうね?この感じ…積み上げられた歴史って感じ?」
魔女「じゃろうな?忍びの歴史を詳しくは知らぬが相当古くから存在して居ったそうな」
盗賊「お?天狗がどっか行ったぜ?」
魔女「到着じゃろう…」ノソノソ
『隠れ里』
チュンチュン ピヨ
女王「お待ちしておりました…」
盗賊「おぉ!!嬢ちゃん!!もう動いて良いのか?」
女王「軽い散歩程度でしたら大丈夫な様です」
魔女「無事に生まれた様で良かったわい…御子の性はどちらじゃ?」
女王「男の子でした…皆喜んでおります」
魔女「ほうか良かったのぅ…」
女王「産屋の方にはご案内出来ませんので屋敷の方へどうぞ…」
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