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勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の続編の続編

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892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:25:35.15 ID:KpvTj3yS0
『大型気球』


ヨイショ ドサリ


盗賊「んん?こっちに引っ越しか?」

影武者「人が増えてベッドが足りなくてね…僕もこっちで寝泊まりする事にした」

盗賊「まぁ荷室で寝るのも慣れりゃ快適だわなヌハハ」

影武者「さて…帳簿を整理しよう」カキカキ

盗賊「取り引きの収支か?」

影武者「まぁね…傭兵を雇ってるから資金繰りだよ」

盗賊「どこの傭兵か知らんがまぁタダでは働かんわな」

影武者「金貨で雇っては居るんだけどハテノ村ではまだ物々の流通しか無いからこのままだと回収出来ないのさ」

盗賊「どうやって金を回収する気よ?」

影武者「武器と防具だね…女戦士に作ってもらうしかない」

盗賊「なるほど…」

影武者「お酒が生産出来れば少し話は変わって来るんだけどなぁ…」

盗賊「ガキ共に作らせてみたらどうだ?」

影武者「そうだね…」


ノソノソ


魔女「わらわもこちらへ移住じゃ…教会は騒がしくて休めぬ」

女戦士「フフ全員こちらへ来たか」

魔女「これ吟遊詩人!わらわの寝床をこさえよ」

吟遊詩人「はい…」スタタ

盗賊「ウハハお前魔女にコキ使われてんだな?」

魔女「何を言うて居る!従士の務めじゃ…これ早ようせい!冷えてしまうじゃろう」ポカ

吟遊詩人「あたた…」スリスリ
893 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:26:20.22 ID:KpvTj3yS0
『翌日』


影武者「…じゃぁ僕は傭兵2人連れてもう一度漁村を往復するよ」

女戦士「私は武器と防具を作り増しておけば良いんだな?」

影武者「うん…今ある物は漁村で売り捌くから…」

女戦士「幽霊船が来て居たらローグに言ってミスリルを融通してもらえ」

影武者「分かったよ…じゃぁ行って来る」スタ


ゴソゴソ


女戦士「今日も坑道へ入るのか?」

盗賊「おう…今日はリカオンも連れて行くな?」

女戦士「それが良い…私は鍛冶場で動けん」

盗賊「ゾンビ燃やす用の杖も持って行くな?」

女戦士「うむ…そして地下線路まで行ってどうする?ギャング達を探すのか?」

盗賊「それもあるが退魔の銀貨を撒いてエド・モント砦側からグレムリンが来ない様にしたいんだ」

女戦士「魔物の拡散防止か…」

盗賊「そうだ…こちら側へ来ない様に封鎖すれば掃討もラクになる」

女戦士「地下線路までは往復で半日…結構な距離になるな…2人では厳しかろう」

盗賊「昨日もその辺りまで行ってんのよ…リカオンが居りゃヘマする事は無い」

女戦士「鼻をアテにしているか」

盗賊「そうだ…先に敵を見つけてしまえばプラズマの爆発に巻き込める」

女戦士「一応リカオンにもプラズマの銃を持たせておけ」

盗賊「こっちの守備は良いんか?」

女戦士「傭兵にプラズマの銃を見せびらかすのもどうかと思って居てな…」

盗賊「なるほど…じゃぁ使わせて貰う」

女戦士「気を付けて行け…」

盗賊「リカオン!!行くぞ!!」ダダ
894 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:26:59.88 ID:KpvTj3yS0
『夕方_広場』


バシュン! バシュン!

くそう当たらない!!

もっと近づくまで撃つの待つでしゅ!!

ガーゴイルたった2匹なのよ!?


魔女「…どうじゃ傭兵の動きは?」

女戦士「見ての通りだ…私が作ったボルトを無駄に消費している」

魔女「後で拾いに行かせれば良かろう」

女戦士「まぁ訓練には丁度良い」

魔女「しかし…シン・リーンの魔術師崩れが混ざって居るのぅ…」

女戦士「あの赤毛か?」

魔女「うむ…恥を晒さんで欲しいのじゃが…」

女戦士「こうして傍から見ると飛距離の出る武器が必要だ…」

魔女「主は大弓なぞ作れんのか?」

女戦士「バリスタか…アレは攻城用で空を飛ぶ魔物に当たる様な物では無い」

魔女「そう考えるとプラズマの銃は優秀な武器じゃったな…」

女戦士「同じような武器が作れれば良いが…」

魔女「花火はどうじゃ?空中で炸裂するじゃろう」

女戦士「おぉ!!筒から発射するタイプか…硝石…硫黄…鉄くず…イケる!!」

魔女「ドワーフは良いのぅ…何でも作れるで」

女戦士「よし!!花火を作って資金回収だ…」スタスタ
895 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:27:39.63 ID:KpvTj3yS0
『1時間後』


ツカツカ


女戦士「どうだ?ガーゴイルの様子は?」

傭兵1「2匹増えて上空で旋回してる…手の出しようが無い」

傭兵2「魔法が届かないでし…」

女戦士「新しい武器を作って来たのだ…今から試し撃ちする」

傭兵1「??…それは小型の大砲?」

女戦士「まぁそんな様な物だ…花火銃と言う」

傭兵2「花火を撃つのでしゅか?」ジロジロ

女戦士「使い方は簡単…ここに花火玉を入れて火を付ける」

傭兵2「ふむふむ…」

女戦士「狙いを付けて待つ…3…2…1…」


ヒュルルルル〜 パーン!!


傭兵1「おぉ!!当たった!!2匹落ちて来る」

女戦士「明日から鍛冶場で売りに出す…興味があったら来い」

傭兵2「落ちて来たガーゴイルを倒すでし!!」スタタ

女戦士「フフ焼くのを忘れるな?」スック

傭兵1「角だけ採取させて!!高く売れるんだ!!」タッタ
896 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:28:12.84 ID:KpvTj3yS0
『翌日_鍛冶場』


ワイワイ ワイワイ

おい!!スチールの装備がメチャクチャ安いぞ!!

武器も色々揃ってる!!


傭兵1「どうも…昨日の花火銃を見たいなと思って」

女戦士「これだ…」スッ

傭兵1「いくらするのかな?」

女戦士「銃が金貨1枚…花火玉が1つ銀貨5枚だ」

傭兵1「おおおおおお安い!!」

傭兵2「私も欲しいでし」

傭兵3「お金は使うために有るんだからケチらず買ったら?」

女戦士「フフ…」ニヤリ

傭兵1「よし3人共買おう…花火玉も余分に…」

女戦士「代金はその籠に入れて置いてくれ」ツカツカ

傭兵1「ええ!?そんなので良いの?」

傭兵3「あぁ言ってるんだから良いでしょう?」

傭兵1「他の装備品もさ…」


---------------


魔女「良いのか?あれほど安く売ってしもうて」

女戦士「構わん…どうせ余りの鉄で作った物だ…これで少しは戦える様になれば安い物だ」

魔女「傭兵達が話して居たのじゃが南の大陸にはオーガの他にベヒーモスも居るらしいのぅ」

女戦士「それはオーク領だな…私も見たことは無い」

魔女「この村は備えが成って居ないとボヤいて居ったのじゃ」

女戦士「ムム…土地勘がある者が居るのか?」

魔女「大型の魔物に襲われた場合も想定した方が良いかも知れぬ」

女戦士「大砲か…確かに準備して居ない」

魔女「まぁ気球が有る故に投下する爆弾でも良いかも知れんがな」

897 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:29:53.35 ID:KpvTj3yS0
『広場』


ザワザワ


狼女「魔女!!魔女はいるか!!」シュタタ

魔女「んん?なんじゃ帰って居ったか…どうしたのじゃ?」

狼女「そこに居たか!!盗賊の怪我の具合が悪い!手当が欲しい」

魔女「又かいの…」ノソノソ

狼女「背に乗って!!こっちだ」シュタタ


------------


ザワザワ

回復魔法!あれぇぇ?おかしいでしゅ…

それじゃダメ…この寄生してる生物をどうにかしないと…


狼女「そこを開けろ!!」シュタタ

魔女「せわしいのぅ…」ノソノソ

狼女「盗賊!!無事か?」

盗賊「よう…また世話掛けるな…」

魔女「ムム!!これは闇の術…この術を使う者が居るのか?」ノソ

盗賊「こりゃどうなってんのよ?俺はなにか他の生物になっちまうんか?」

魔女「話は後で聞く…傷む故に幻術を掛けるぞよ?」アブラカラブラ

盗賊「まぁ手っ取り早く頼むわ…」

魔女「睡眠魔法!」モクモク
898 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:30:23.63 ID:KpvTj3yS0
盗賊「ぐぅ…すぅ…」

魔女「リカオンや…この病変した部分を切り落とすのじゃ」

狼女「分かった…」スラーン

魔女「血が噴き出す故に被るで無いぞ?」

狼女「…」ブン スパ


ブシューーー ニョロニョロ バタバタ


魔女「その病変を焼くで離れよ…爆炎魔法!」ゴゴゴゴゴ ボウ

盗賊「…」ドクドク グター

狼女「盗賊の血が止まらない…」

魔女「触れてはならぬぞ?浄化魔法!」シュワワ

狼女「このままで良いの?」

魔女「まだじゃ…血液が十分循環するまで待て」

盗賊「…」ドクドク グター

魔女「そろそろじゃな…回復魔法!」ボワー

狼女「ふぅ…」ホッ

魔女「誰かエリクサーは持って居らんかのぅ?」

狼女「無い…」

魔女「仕方あるまい…ポーションで代用じゃ」クイ

盗賊「むぐっ…」

魔女「ちぃと安静にしておいた方が良いな」

狼女「私が運ぶ…」グイ



ヒソヒソ

誰?あの三角帽子の女の子…

始めて見る魔法ばかりなのでし

闇の術って何?もしかして禁呪のやつ?
899 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:31:05.42 ID:KpvTj3yS0
『大型気球』


ヨイショ! ドサ


魔女「…それで何故闇の術が掛かって居ったのかなのじゃが…」

狼女「3首のヘルハウンドに噛まれたんだ」

魔女「むぅ?」

狼女「只のヘルハウンドだと思って居たらその辺りのボスだったみたい」

魔女「それはヘルハウンドなぞでは無い…ケルベロスかオルトロスのどちらかじゃ」

狼女「黄泉の番犬…まさか…」

魔女「しかしケルベロスが闇の術を使うとな…魔道書に記しておかなければならぬ」

狼女「やっぱり例の狭間から這い出て来てるのは間違い無いね…」

魔女「うむ…他にも居るやも知れぬ故に安易に行くべきでは無い」

狼女「じゃぁ奥には進め無いな」

魔女「ちぃと事態を甘く見て居った…退魔の方陣は急務じゃ」

狼女「一応退魔の銀貨からこっちへは来られないみたい…だから逃げる事が出来た」

魔女「それは良い知らせじゃ…少しづつ追い詰める事が出来るという事じゃ」

狼女「じゃぁもっと銀貨を」スック

魔女「それには及ばぬ…砂銀をわらわが作る」ノソリ

狼女「じゃぁ…」

魔女「主はゾンビの返り血で汚れている故まず温泉で清めて来い」

狼女「あぁそうだった…直ぐに落として来る」シュタタ
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:31:50.50 ID:KpvTj3yS0
『翌日』


んああぁぁぁ だりぃぃ


女戦士「おぅ…目を覚ましたか」

盗賊「俺はどんだけ寝てたんだ?」

女戦士「1日だ…気分はどうだ?」

盗賊「こりゃ多分血が足りて無ぇな…何か口に入れる物をくれ」

女戦士「テーブルに用意してある」

盗賊「自分で取れってか…よっ」フラ

女戦士「甘えるな…」


ヒュルルル〜 パーン

ワーワー イケーーー


盗賊「外が騒がしい様だが?」

女戦士「例のごとくガーゴイルだ…傭兵にやらせている」

盗賊「そうか…ほんでお前は何を?」

女戦士「爆弾を作って居るのだ…」コネコネ

盗賊「そういうのは女海賊にやらせておけば良いだろう」

女戦士「居ないのだから仕方あるまい」

盗賊「リカオンはどうした?」

女戦士「一人で坑道に入っている…退魔の砂銀を撒きに行くと言ってな」

盗賊「ちぃぃ俺はしばらく休業か…」

女戦士「まぁ休め」

盗賊「しゃぁ無ぇ…しかし何だったんだあのワンころ」

女戦士「魔女が言うにはケルベロスかオルトロスだとか」

盗賊「知らんなぁ…」

女戦士「黄泉から色々な魔物が這い出して来て居るのは間違いないと言う事だ」

盗賊「下手に歩き回れんな…」

女戦士「うむ…頭が痛い」
901 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:32:40.02 ID:KpvTj3yS0
『広場』


ピカーーーー チュドーーーン

え!!何!?飛んでるガーゴイルが突然爆発した…

北東側の空に何か飛んでるでしゅ…

ああ!!あれは空飛ぶクジラだ!!


傭兵1「あのクジラがガーゴイルを撃ち落したのか?」

傭兵2「何も見えなかったです…」


ボエーーーーーーー ブシューーーーー


傭兵1「又クジラが潮を吹いて…」

傭兵2「降りて来そうでしゅね…」


タッタッタ

女戦士「おぉやっと戻って来たか…おい!傭兵達…あのクジラが降りて来るからスペースを開けろ!」

傭兵1「えええ!?あれが降りて来る?」

傭兵2「うほほーい!!ワクワクするでし!!」スタタ

傭兵3「まさかハテノ村に来るなんて…」タジ


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902 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:33:22.63 ID:KpvTj3yS0
『鯨型飛空艇』


フワフワ ドッスン


女海賊「ハイハイ降りて!!」

女戦士「良く戻った!!商人と情報屋も居るな?」

商人「いやぁしばらく見ない内にすっかり村になったねぇ…」スタ

情報屋「早速だけと魔女と話をしたいわ?」

女戦士「教会だな…子供達に魔法を教えて居る」

情報屋「分かったわ…」スタ

女戦士「それでホムンクルスはどうだ?」

商人「あぁその件だけど少し時間が掛かる様だ…だから一度こっちに戻ろうと思ってね」

女戦士「そうか…順調で何より」

商人「影武者が見当たらない所を見ると…大型気球で取り引きに行ってる感じかな?」

女戦士「その通りだ…」

商人「そうか…資材集めは帰って来てからだな」

女戦士「まぁ疲れただろう…温泉にでも入って今日はくつろげ」

女海賊「お姉ぇ…そうも言ってらんないんだよ」

女戦士「どうした?」

女海賊「ヤバイ事が始まってる…もう地軸の移動が始まってるぽい」

女戦士「もう?…何も変わらんが?」

女海賊「ゆっくり変わってるんだ…多分月が昇る方向が今日も違う」


ポツポツ ポタポタ


女戦士「んん?雨だな珍しい…」

女海賊「気候が一気に変わるよ…ちょっと備えた方が良い」

女戦士「ひとまず濡れん様に大型気球に来い」



ヒソヒソ ヒソヒソ

ちょっとどういう事?やっぱりあの女は指名手配の…

ダメだよ僕らは雇われの身なんだ下手な事は出来ない

スゴイです〜クジラの中が見たいですぅ
903 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:34:55.28 ID:KpvTj3yS0
『大型気球』


スタスタ


盗賊「いよ〜ぅ!!待ってたぜぇ?」

女海賊「アンタ何やってんの?」

盗賊「ちっと静養中よ…働き過ぎでな?」

女海賊「古代遺跡は掘り出せた?」

盗賊「まったく手付かずだヌハハ」

女海賊「何やってたのさ!!私はあちこち駆けずり回ってんのに!!」

盗賊「まぁ色々有ってだな…」

女戦士「責めないでやってくれ…これでも昨夜までは瀕死だったのだ」

女海賊「マジ!?何処が?」

盗賊「エリクサー余って無ぇか?」

女海賊「あぁ全部置いて来た…線虫ならやったげる」

盗賊「頼むわ…血が足りなくて立てん」

女海賊「血が足りないのは治んないんだけどさ…線虫!行け!」ニョロリ

アサシン「クックックこれが欲しいのだろう?」ポイ

盗賊「ワインか…チーズもありゃ最高だ」

アサシン「そう言うと思った…食え」ポイ

女海賊「てかお姉ぇは輸血得意じゃん…輸血したん?」

女戦士「当たり前だ…お陰で私も血が足りん」

盗賊「世話掛けるなぁ…これでお前の血を入れるの何回目か…」

女戦士「いちいち数えている訳無いだろう…それより無駄な話は置いてだな…」

女海賊「あぁ…コレね」スッ

女戦士「…」ジロリ

女海賊「精霊樹からこんなん貰っちゃった訳さ…勇者の宿命って何?って感じ」

盗賊「祈りの指輪か…」

女海賊「ヤバいよねコレ…祈りの指輪で闇集めてどっか行けって事だよね」

盗賊「ヌハハハやっぱ経験してる奴は言う事が違うわ…ただ解釈がちっと違うと思うぞ?」ジロ

女海賊「何さ…」

盗賊「もう魔王は魔石に封じられてる訳よ…そいつを奪ってお前の魔人の金槌で消しちまえば良いのよ」

女海賊「そんなんいつも考えてるよ…ほんで指輪はいつ使うの?」

盗賊「取り戻せ…」

女海賊「取り戻す…」

盗賊「そうよ!お前が求めてる物を取り戻せ!夢幻の中に消えちまった物があんだろ」

女海賊「未来…」

盗賊「それだ!!もう迷わんな?」

女海賊「あんたたまにシビれる事言うんだよな」

女戦士「賛成だ…指輪で闇は集めるな…未来を取り戻せ」

女海賊「ヤバい…やる気みなぎって来た」



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904 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:35:51.26 ID:KpvTj3yS0
ホムンクルスは必要な生体の構成物質をエリクサーに溶かし込んで

遺伝子情報の設計図通りに成長させるという方法なんだ

恐らくこれはハイエルフが精霊樹から生まれる原理と同じ…

それをあのガラス容器の中でやって居るのさ

ただ生体が完成するまではしばらく時間が掛かりそうなんだ

でも確実に蘇る…


盗賊「これでお前は安心して成仏できるんだな?」

商人「まぁそうだね…でももう一つ超高度AIが余ってるからもう一体作る材料を残したい」

女海賊「それ前のホムちゃんから取り外したやつ?」

商人「そうだよ」

女海賊「機械の犬に入ってたホムちゃんは?」

商人「あれは精霊の伴侶だった物だね…エネルギーが少ししか残って無かったやつだ」

女海賊「あーそういう事か」

商人「機械の犬に宿らせる事が出来るか分からなかったからそっちで試したのさ」

女海賊「じゃぁもう一個の超高度AIを機械の犬に入れる事も出来るよね」

商人「う〜ん…機械の耐用年数を考えると良いとは思えない…精々10年で壊れる」

盗賊「まぁ生体の部品とエリクサーを準備しておけばもう一体作れるんだろ?」

商人「うん…僕は後世の為に残したいと考える」


ガガーン ザザーーー


盗賊「おおぅ雷か…雨も強くなって来たな」

女海賊「これで一気に雪が溶けてくれると穴掘りが楽になるな」

盗賊「マテ…増水した川に灰を流しちまえばかなり楽に穴掘り出来る」

女海賊「ちょ…マジ?」

盗賊「俺は今動けんからやって来てくれ」
905 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:36:40.04 ID:KpvTj3yS0
『ハテノ村上流』


ザック ザック


商人「手伝いに来たよ…」

女海賊「あんた一人?」

商人「他の人はそれぞれ忙しい様だよ…ヒマなのは僕だけさ」

女海賊「そこの荷車押して川に捨てて来て」

商人「分かった…」

女海賊「なにこのクッソ寒い雨!!」

商人「温泉が近いから入りながらやれば良いじゃない」

女海賊「アサシンは何処行ったのさ」

商人「坑道に入って行った…ゾンビを使役して何かするらしい」

女海賊「そういやエルフゾンビからドクロの杖借りてたな…」

商人「なんか坑道の下に拠点を作りたいらしいよ?」

女海賊「こっち後回しなん?」

商人「地下から来る魔物をどうにかして押さえたいみたいなんだ」

女海賊「んあぁぁやっぱ私だけか…」

商人「君はワームに命令出来るよね?」

女海賊「ムリムリ!ちっこすぎて役に立たない」

商人「ハハそうか…まぁ地道にやろうか」

女海賊「あんたが手伝いに来るって事はここの遺跡にも興味あり?」

商人「勿論さ…ここも使える可能性が高いからね」

女海賊「前に来た時は確かに色々有ったのさ」

商人「僕は君に拘束されてたからねぇ…良く調べて無いんだ」

女海賊「あん時はホムちゃんしか見て無かったね」

商人「必死だったね…もっと周りを見て居れば気付けたことが沢山在っただろうに」

女海賊「それって後悔?」

商人「今更しょうがない事だけど…もっと早く歴史の事も知れた筈…世界がどうなろうとしてたのかも」

女海賊「あのさ?公爵ってそこら辺分かってたと思う?」

商人「あの当時に今の僕達と同じくらいの知識が有ったとすると全部辻褄が合うんだよ」

女海賊「なるほど…10年以上差が付いてんのか」

商人「そろそろ追い付きそうだけどね…まぁ…だから外海の古代遺跡調査に躍起なんだろうなぁ」

女海賊「私達はその遺跡に行かなくて良いんかな?」

商人「公爵の目的と僕達の目的が少し変わったよね…僕達は未来君を追ってる…公爵は世界を救おうとしてる」

商人「今度は公爵の邪魔をしない立ち回りの方が良いと思うよ」

女海賊「でもさぁ?公爵が魔王を封じた魔石を持ち回っていたじゃん?」

商人「公爵にしてみれば只の魔石なのさ…僕が思うにキ・カイに売り払って海軍を手に入れた…そう思う」

女海賊「まぁ良いや!!兎に角さっさと遺跡掘り出さないと…」ガッサ ガッサ
906 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:37:07.73 ID:KpvTj3yS0
『数日後』


ザァァァァァ ザザザ


女戦士「私はしばらく坑道下の製鉄所に行く…ハテノ村の守備は魔女に任せる」

魔女「もう製鉄所が使える様になったんかいな…」

女戦士「大量のゾンビが労働者なのだ…流石アサシンといった所」

盗賊「そろそろ大型気球に乗ってミスリルが到着するんだろ?ローグにも顔を会わせて行けば良いのによ」

女戦士「急ぎで現地で武器を作らんとゾンビは素手のままなのだぞ?」

盗賊「そうか…まぁローグに食料持たせてそっち向かわせるわ」

女戦士「うむ…ミスリルの加工は妹にやらせろ…そろそろ穴掘りも飽きただろう」

盗賊「ほんじゃ俺もそろそろ動くかぁ!!」

女戦士「では行って来る」ツカツカ

盗賊「しかし天気はどうなってんのよ…昼とも夜とも言えん雨続きで訳分からん」

魔女「地震も何も起きんのが不気味じゃな…」

情報屋「地軸の移動で影響が大きいのは沿岸部の洪水よ…ここは山岳部だから分かり難いだけなの」

盗賊「まぁ川の増水でちょっと下流は洪水になってんな」

情報屋「海面が100メートル上昇する地域も出る筈」

盗賊「ぬは…都市部全滅するだろそれは」

情報屋「一気にでは無くて数年掛けて上昇するの…北極と南極の氷が溶けてね」

魔女「シン・リーンは標高が高い故大丈夫そうじゃ」

盗賊「まぁちっと川が氾濫せん様に土嚢積んでくるわ」

情報屋「そうね…これ以上増水してはハテノ村も危険ね」

907 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:41:44.77 ID:KpvTj3yS0
『大型気球』


ザァァァァァ ザザザ


女海賊「はぁぁぁぁ…」ホクホク ドテ

魔女「盗賊と交代して来た様じゃな…温泉上がりかえ?」

女海賊「体冷え切ってたから温泉入って長湯しすぎた…」フラフラ

魔女「温まった後は冷たい雨も気持ちよかろう」

女海賊「うん…ちっと寝る」グゥ

情報屋「よほど疲れたのね」

魔女「…まぁ良い…話を続けよ」


…それでorc遺伝子の発見が魔法の起源という事

太古から第六感が鋭い人間は存在して居てそういう人は神の子として崇められたりした

その特殊な能力は異星人との協調で次元を共有する事から生まれた力

それを魔道と称して現代まで術を昇華させてきた訳


魔女「その異星人と言うのが黄昏の賢者…オークシャーマンか」

情報屋「でもオークシャーマンも仮の姿よ…本当は素粒子の集まり…集合意識なの」


何と称すれば良いのかしら…その異星人は太古ではアヌンナキと呼ばれて居た

アヌンナキは宇宙を巡り生物の遺伝子と黄金を集めていた

その中でこの地球の環境に適した生物がオーク

アヌンナキはオークを培養してその魂に寄生する…そうやって人々の前に現れた

その目的は恐らく人間に地軸の移動を警告する為

でもウンディーネ時代の人間はそのオークを捕らえてしまう

アヌンナキはオークの中に閉じ込められたまま現代まで生存している

それがオークシャーマン


魔女「ふむ…良く調べたのぅ」
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:42:15.88 ID:KpvTj3yS0
情報屋「名もなき島の遺跡がたまたま生物学者の研究施設だったから分かった事なのよ」

魔女「わらわ達が良く知る魔物は実は他の星の生物かも知れんのぅ」

情報屋「そうね…当時の研究者が何も知らず培養した可能性も有るわね」

魔女「今の話を聞いて救うべきはオークシャーマンじゃな…救うと言うのはおこがましい表現じゃが」

情報屋「私達からすると神…」

魔女「うむ…」

情報屋「それともう一つ…黄昏の賢者は暁の使徒と何かの契りをしていた様なの」

魔女「時の王の証言か」

情報屋「そう…私が思うにその契りは現在まで続いてると思うのよ」

魔女「何故そう思う?」

情報屋「その契りと言うのがオークに伝わる予言…予言を遂行する為にオークシャーマンは動いてる…見て?」パラパラ パサ

魔女「オークの地にあった壁画か…」

情報屋「そう…ここには箱舟が記されてる…そして月に行く予言」

魔女「むむ!!なるほど…剣士と未来はオークを月に還す契りを交わしたのか…」

情報屋「逆かも知れない…暁の使徒を月に連れて行く約束…」

魔女「…」

情報屋「…」

女海賊「ぐぅ…すぴー」zzz



『広場』


ザァァァァァ ザザザ


傭兵1「こんなに降ってちゃ花火銃は使えないなぁ…」

傭兵2「ガーゴイルは降りて来ないから無視するでし」

傭兵1「僕らの守りが堅くてガーゴイルもなかなか手を出して来なくなった」

傭兵3「雲の上!!何か居る!!」

傭兵1「あ!!あれは輸送用の大型気球だ…ガーゴイルのど真ん中に…」

傭兵2「マズいでしゅね…気球からは見えて無かったのですね」
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:43:02.77 ID:KpvTj3yS0
『大型気球』


パタパタ ヒュゥゥゥ


ローグ「あらららら?こらマズイっすね…傭兵さん達仕事でやんすぅ…クロスボウで射撃して下せぇ」

傭兵達「え!!?あ…今行く!!」ダダ

ローグ「影武者さんはこのままハテノ村まで気球の操舵に集中して下せぇ」

影武者「分かってるよ…」

ローグ「他の人も開いてるクロスボウ使って撃ちまくってくれやんす!!」


バシュン バシュン バシュン バシュン


ローグ「こりゃクロスボウの人数揃ったら余裕で行けるやも知れんっす」ガチャコン バシュン バシュン

傭兵達「撃て撃てぇぇ!!」バシュン バシュン




『広場』


バシュン バシュン バシュン バシュン


傭兵1「うわ…スゴイな…クロスボウ何台付いてるんだろう?」

傭兵2「全部で12台付いてた筈でし!」

傭兵3「一匹ガーゴイル落ちて来そう!!」タッタ

傭兵1「落ちた奴はこっちで処理しよう!!角は頂きだ!!」ダダ

傭兵2「待つでしゅ!!向こうにオーガが1体いるです!!」

傭兵1「え!!?」ズザザ

傭兵3「クロスボウで威嚇して!!近づいたら雷魔法で動き止めるから!!」タッタ

傭兵1「分かった」バシュン バシュン


オーガ「ガウ!!ウオォォォォ!!」ドスドス


傭兵3「雷魔法!」ビビビビ ガガーン

傭兵2「撃つでし!!」バシュン バシュン


バシュン バシュン バシュン バシュン


オーガ「ウガァァァ…」バタバタ


傭兵1「スゴイ…撃ち下ろしで何十発も降って来る」

傭兵3「何やってんの!!止め差して来て!!」

傭兵1「あぁ…」ダダダ ブン グサ

傭兵2「火魔法!」ボボボ
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:43:39.15 ID:KpvTj3yS0
『大型気球』


フワフワ ドッスン


影武者「さぁ皆さん一旦教会の方へ」

商人達「いやぁ中々良い気球だった…」ゾロゾロ

情報屋「無事に戻ったのね…」タッタッタ

ローグ「あらら?頭は何処行ったんすかね?」

情報屋「坑道を下りて行ったそうよ?」

ローグ「硫黄鉱山でやんすか?」

情報屋「今みんなバラバラで行動してて忙しいのよ…長旅疲れたでしょう?まず休んで?」

ローグ「いやいや退屈しとったんす…早速動きたいでやんすよ」

魔女「これローグ!!マッサージをせい」

ローグ「ええええ!?いやいやマッサージも何も魔女さんは子供じゃ無いっすか…肩なんかこらん筈でやんす」

魔女「主はマッサージ好きじゃと聞いて居るのじゃがな…」

ローグ「あいや…えーと…まぁそうなんすが…」

魔女「早う来い!!外は寒いのじゃ!!」

ローグ「ミスリルを速攻運ばんとイカンのでやんすが…」

魔女「じゃかましい!!今すぐに来い」

ローグ「へ…へい…」トボトボ


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911 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:44:13.79 ID:KpvTj3yS0
『坑道最下層_地下線路』


シュコーーー スゥ


兵隊1「…続け!!」タッタッタ

兵隊2「…」タッタッタ スチャ

兵隊1「待て…あのゾンビこちらと敵と認識しない…」

兵隊2「火炎放射がもう魔石切れだ…」

兵隊1「分かっている…左手から壁沿いにスルー…行くぞ」タッタッタ

兵隊2「正面300メートル熱反応発見」タッタッタ

兵隊1「人だ!!」

兵隊2「おぉ!!」

兵隊1「2人居る…こちらをまだ…いや1人こちらに気付いた」

兵隊2「どうする?」

兵隊1「向こうもこちらの様子を伺っている…」

兵隊2「補給出来るかも知れない」

兵隊1「よし…私だけ投降する…合図を待て」スック

兵隊2「待機!」


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912 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:44:55.02 ID:KpvTj3yS0
『坑道最下層_側道』


クンクン シュタ


狼女「アサシン!人だ…人が来る」クンクン

アサシン「何人だ?」

狼女「手前に2人…奥に後続が6人程…」

アサシン「脱走兵か何かだな…ゾンビを配置する…お前は相手の射線から隠れろ」

狼女「一人手を上げてこっちに来る」

アサシン「ほう?」


スタスタ シュコーーー スゥ


兵隊1「此処で何を?なぜゾンビは襲って来ない?」

アサシン「使役しているからだ…お前達はキ・カイの兵隊だな?」

兵隊1「使役!?シン・リーンの者だな?」

アサシン「まぁ…関係無くはない…どうした?保護を求めるのか?」ジロリ

兵隊1「助かった…ここは安全なのだな?」

アサシン「クックック質問の掛け合いか…そちらに敵意が無ければ襲うつもりは無い」

兵隊1「頼む…後方に9名程部隊の者が控えて要る…休息が欲しい」

アサシン「武器を降ろしてこちら側に来い…そこから向こうはまだ退魔の処置をしていないのでな」

兵隊1「…」フリフリ

アサシン「しかしまぁ…全身機械装着の物々しい格好だ」

兵隊1「私達はキ・カイのレンジャー部隊特殊工作班だ…本体と分断されて退路を失った所だった」

アサシン「リカオン!製鉄所の女戦士に状況を伝えて来い」

狼女「分かった」ピョン クルクル シュタタタ

兵隊1「む!あの身のこなし…お前達は一体…」
913 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 18:46:01.02 ID:KpvTj3yS0
『坑道最下層_側道の奥』


ザザー

こちらB1…安全地帯を発見した

ポイントH-18…繰り返す…ポイントH-18

休息が可能な場所が有る…集合して武装の補給を計りたい

こちらA1…了解


女戦士「丁度10人か…食料は分けてくれ」

兵隊「感謝…」ゴソゴソ スポ

女戦士「ほう?また大層な兜を装着していたな?」

アサシン「これがキ・カイの精鋭部隊か…フィン・イッシュとはえらく差がある」

女戦士「フフ侍にこの重装は無理だな」

兵隊「この場所は一体何なのだ?」

女戦士「硫黄鉱山の真下だ…ここを安全にしてお前達の様な者が来るのに備えている」

兵隊「見た所シン・リーンの魔術師と見るが…」

女戦士「関係無くはない…さて次は私から質問だ」

兵隊「…」

女戦士「前線は全滅だな?そして退路を断たれて行き場を失った…」

兵隊「その通りだ」

アサシン「エド・モント砦はどうなった?」

兵隊「なぜそれを…いや質問に答えるのは私の方か…エド・モント砦でクーデターが起きて占領された」

女戦士「クーデター?」

兵隊「首謀者は誰なのか分からない…だがすべてのキラーマシンがエド・モント砦を占拠したのだ」

アサシン「クックック…キラーマシンが反乱を起こしたか」

兵隊「そうなる…キラーマシン抜きではトロッコでの移動も出来ない…だから徒歩で行動している」

女戦士「すべてのキラーマシンと言ったな?」

兵隊「あぁ…」

女戦士「キ・カイの地下に居たキラーマシンも全部か?」

兵隊「そうだ…皮肉な事に機械と人間という戦いに変化した…オークとの戦いは終わりだ」

女戦士「私達の知らぬ間に色々な事が起きているな…」

兵隊「ここは地上に出られるのか?」

女戦士「上は小さな村だ…上がって休息をさせても良いがそれ程贅沢が出来る物資も無い」

兵隊「ここで部隊を立て直したいのだが…」

女戦士「直に上から補給が来る…まず一旦休息してその後を考えよう」

兵隊「ふぅ…本当に助かった」
914 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:05:54.28 ID:KpvTj3yS0
『休息』


ヒソヒソ ヒソヒソ

あの3人は何者なのだ?信用出来るのか?

シン・リーンの魔術師らしい…ここは従って居た方良い…

この坑道は10年前に崩落して閉鎖したはず…どうやって行き来してるのか…

旧道がまだ使えるのかも知れん…助かるぞ…


ツカツカ…

女戦士「あらかじめ行っておくがお前達の小声はすべて聞こえてると知れ」

兵隊達「!!?」

女戦士「私達を不審に思うのは分かるがこちらも守らなければならない物が有るのでな…」

女戦士「下手な行動をした場合全員処分しなければならない…肝に銘じてくれ」

兵隊達「…」ジロリ

女戦士「フフ信用出来んか…まぁそうやっかくな」

アサシン「女戦士…ここは私が見て置く…鍛冶の続きを急いでくれ」

女戦士「こいつらは精鋭だから油断するな?」

アサシン「愚門だ…行け」


ヒソヒソ ヒソヒソ

ゾンビを操って鉄鋼を掘らせて居るのか…

奥に見えるのは製鉄所だ…あそこでゾンビの装備を作っている様だ

このやり方は北の大陸の戦術だ…何故こちらに来ている
915 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:06:46.85 ID:KpvTj3yS0
『大型気球』


ザァァァァァ ザザザ ガガーン!!


ローグ「いやぁぁ酷い雨っすねぇ…」モミモミ

女海賊「むにゃ…ぐぅ」zzz

ローグ「姉さんは何処も凝って無いでやんす…」モミモミ

魔女「穴掘りで疲れたと言うて居ったんじゃがな」

ローグ「なんつーか…何も反応無いんでつまらんでやんすよ…」モミモミ

魔女「まぁ良い…次は情報屋じゃな」

情報屋「え?私は遠慮するわ?」

ローグ「魔女さんあっしの事を何か勘違いして居やせんかね?」

魔女「主ほど便利な男は居らんと思っとったが違ったかのぅ?」

ローグ「あいたたたた…あっしは忙しいでやんす」

魔女「女戦士の乳を揉むのにか?」

ローグ「ちょちょ…バラさんで下せぇ」

情報屋「フフ…」

ローグ「冗談は置いといてこの気候変動に皆さん気付いて居やすよね?」

情報屋「勿論よ」

ローグ「海の方も酷いもんなんす…霧が酷くてまともに航海出来んでやんすよ」

魔女「やはりか…」

ローグ「海賊王もこっちに向かってる筈なんすが来れるかどうか分からん状況なんすよ」

魔女「ふむ…女戦士は坑道を下りて地下に入って居るんじゃが主は行き方を知らんじゃろう」

ローグ「誰か案内してくれやせんかね?」

魔女「行き方を知って居るのは盗賊なのじゃが今は土方作業をしておってな?」

ローグ「魔女さんは知らんのでやんすか?」

魔女「途中までしか知らぬ…」

ローグ「じゃぁあっし一人でなんとか行って来やす」

魔女「往復で半日掛かるらしい…複雑な様じゃで迷うのがオチじゃ」

情報屋「地下へはアサシンとリカオンも一緒に行ってるから心配しなくて良いわ?」

ローグ「そーっすか…じゃ盗賊さんを手伝うフリをして行き方聞いてみやす」

魔女「なぬ?素直に手伝えばよかろうに…」

ローグ「あらら口が滑った…」

魔女「まぁ勝手にせい…冷えるで盗賊にも程ほどにせいと伝えて来い」
916 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:07:22.97 ID:KpvTj3yS0
『数時間後』


ビクッ ガバッ キョロ


女海賊「むあっ!!?」キョロ

魔女「うお!!びっくりするでは無いか…」ドキドキ

女海賊「あれ?なんで寝てんだっけ?」

魔女「夢でも見とったか?」

女海賊「今って夜?昼?どんだけ寝てた?」

情報屋「寝てたのは数時間よ…昼か夜かは相変わらず何とも言えない…多分夕方くらいね」

女海賊「えーと…何する予定だったけなぁ…」

魔女「主が寝て居る間に影武者とローグか帰って来てのぅ…ミスリルを持って来た様なのじゃ」

女海賊「おぉ!!お姉ぇが武器作っとけって言ってたな…そうそう穴掘り飽きた所だったんだ」

魔女「雨が降っとったで荷はまだ向こうの気球の中じゃ」

女海賊「おけおけ!ちっと作って来るわ」スック



『鍛冶場』


カーン カンカン


吟遊詩人「へぇ?武器も作れるんですね」

女海賊「あんた何?暇なの?」カンカン トントン

吟遊詩人「いえ…僕のリュートも少し傷んで来たので修理して貰いたいなと…」

女海賊「そこ置いといて!あとでやっとくから」

吟遊詩人「ありがとうございます」ペコ

女海賊「あんた何か武器使う?」

吟遊詩人「いえ僕は武器を使った事が無くて…」

女海賊「ほんじゃ護身用にミスリルダガーだけ持っときな」ポイ

吟遊詩人「うわ…」パス

女海賊「装飾もバッチリだから腰につけときゃ恰好は付くよ」

吟遊詩人「これ全部女海賊さんが作ったのですか?」

女海賊「いや…お姉ぇが途中まで作った物に刃を付けて仕上げたのさ」

吟遊詩人「共同作業なんですね」

女海賊「鍛冶はお姉ぇの方が上手い…私は装飾とか細工」

吟遊詩人「スゴイなぁ…こんな武器を作れるなんて」

女海賊「てかさぁ…あんた暇だったらなんか演奏してよ」

吟遊詩人「え…リュート修理して欲しいんですが…」

女海賊「あ!!そうか…先にやるわ」

吟遊詩人「ボディに傷が付いてしまって…」

女海賊「おけおけ…上手い事ミスリルの細工被せて隠したげる…ちょい待って」


トンテンカン ゴシゴシ


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917 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:08:12.73 ID:KpvTj3yS0
『恐らく翌日』


ザザー

”魔女!聞こえるか?”

”うむ…何用じゃ?”

”坑道の下で治療が必要な者が居てな…魔女と女海賊に来てもらいたいのだ”

”3人では無かったのか?”

”事情が有ってキ・カイの脱走兵が集まって来ててな”

”ほう?”

”食料も持って来て貰いたい”

”わらわは行き方を知らんのじゃが…”

”そうだったか…では盗賊に案内させてくれ”

”承知じゃ…そうじゃローグもこちらへ来て居る”

”おぉ!!ではローグも連れて来てくれ…これだけ居れば魔物掃討も行けるかもしれん”

”魔物掃討じゃと?”

”キ・カイの兵隊が魔物に阻まれて孤立している部隊が居るそうなのだ”

”なるほどのぅ…”

”詳しくは下に来てから話す…一応十分な装備と食料を頼む”

”うむ…”

ザザー


情報屋「私と商人は留守番の様ね…」

魔女「吟遊詩人も連れては行けぬ様じゃ…」

情報屋「みんな呼んで来るわ?」

魔女「わらわも準備しておこうかのぅ…ちと長く地下へ籠るやもしれぬ」

情報屋「どういう想定?」

魔女「レイスやワイトが現れるかも知れんと思うてな…」
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:08:54.73 ID:KpvTj3yS0
『1時間後_坑道入り口』


ザァァァァァ ザザザ


盗賊「うはぁ…ここに来るまでにビタビタだ…」ドサリ

ローグ「食料も濡れちまいやしたね」ドサリ

盗賊「まぁ焼けば何でも同じだ…魔女と女海賊はやっぱ遅いな」

ローグ「ビチャビチャで焚火も出来やせんねぇ…」ブルル

盗賊「寒いか?」

ローグ「死ぬほど寒いっす…」

盗賊「ちっと奥まで行きゃマグマで熱いのよ…まぁ辛抱しろ」


リリース スゥ


盗賊「うお!!」

女海賊「はい!魔女降りて!!」

魔女「済まんのぅ…」ノソリ

盗賊「だぁぁぁその手が有ったか…」

女海賊「何言ってんのさ?基本だよ…まさかびしょ濡れじゃ無いよね?」ニマー

盗賊「うるせぇ!!行くぞ!!」スタ

ローグ「盗賊さん荷物忘れてるっす…」


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919 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:09:23.45 ID:KpvTj3yS0
『坑道_縦穴』


モクモク シューーー


盗賊「こりゃどっかに水入って蒸気噴き出していやがる…あっつ!!」

女海賊「このロープ降りるん?」

盗賊「そうだ…こいつ使って荷物降ろすから先行け」

女海賊「これさ?湿気でロープ腐っちゃうんじゃね?」

盗賊「しょうが無えだろ…ここで魔物這い上がって来ない様にしてんのよ」

女海賊「切れたらどうやって上がんの?これ20メートルくらいあるよね?」

盗賊「知るか!!さっさと降りろ!!」

女海賊「ちょい先行っといて…私ちょい細工して行くわ」

盗賊「何すんだ?」

女海賊「こんなロープ直ぐ切れるに決まってんだって…下からクロスボウ撃って引っかかる様に細工すんの」

盗賊「ほう?どうやってよ?」

女海賊「魔人の金槌で壁に引っかけ作るだけさ…もう良いから早く行って!邪魔!」

盗賊「ほんじゃローグ先降りろ」

ローグ「へーい!」シュルシュル

盗賊「荷物結んで降ろすから受け取れぇ!!」エッホ エッホ
920 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:10:04.66 ID:KpvTj3yS0
『少し後_縦穴下』


ボキッ ウワァァァァ ドシーン


女海賊「てててて…なんで私だけ落ちんのさ!!あいたーーーケツが割れる」スリスリ

盗賊「むぐっ…」プルプル

ローグ「んむむ…」

魔女「うむむ…」

女海賊「だから言ったじゃん!!金具が錆びて折れ…なんだよその顔は!!」ジロ

盗賊「な…なんでも無ぇ…大丈夫か?」プルプル

ローグ「姉さん…ちょっと重たかったかも…知れんす」

女海賊「うっさいな!!引っかけ作っといて良かった…」

魔女「誰もクロスボウを持って居らんが?」

女海賊「うわ!!ヤバ…」

盗賊「ハァハァ…そらちっとマズいかもな…女戦士もアサシンもリカオンも持って無え筈だ」

魔女「しもうた…商人も情報屋もここまで来れんのでは無いか?」

女海賊「まぁ良いや作りゃ良いのさ…ねぇ魔女!ケツどうなってる?」スリスリ

魔女「血は出て居らん…回復魔法が欲しいかえ?」

女海賊「ダメダメ歳とる…美貌が崩れる」

ローグ「いやぁぁぁ姉さんはやっぱカリスマっすね…なんつーか天然のカリスマっす」

女海賊「うっさい行くぞ!!」スタ
921 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:10:46.45 ID:KpvTj3yS0
『坑道最下層_製鉄所』


ウウウ ハァハァ


女海賊「お姉ぇ!!来たよ!!これどういう事?」タッタ

女戦士「おぉ来たか…見ての通りだ…まず全員に線虫を頼む」

女戦士「それから魔女!例の闇の術に侵されている者が居るのだ…こっちに隔離している」

魔女「やはりか…」ノソノソ

盗賊「14人…全員手練れの兵装だな?」

女戦士「レンジャー部隊だそうだ…本体と分断されてこの通り」

ローグ「食料を持って来たんすが…どうしやす?」

女戦士「私も食べていない…軽いのを少し頼む」

ローグ「なるほど状況分かりやした…あっしは戦闘食を作りやすね」

女戦士「魔女!!こっちだ」ツカツカ

魔女「うむ…」ノソノソ


女海賊「おおお!!何コレ?」グイ


兵隊「触るな…」ガチャ

女海賊「良いじゃん!!ちょい見せてよ」グイ

兵隊「お前にコレが何だか分かるのか?」

女海賊「クロスボウでしょ?ほんでコレ自動装填の仕掛けだよね?おぉ!!こんなんなってんのかぁ!!」

兵隊「見世物では無い」クル ガチャ

ローグ「姉さん!!兵隊さんは気が立ってるんすよ…先に癒してあげて下せぇ」

女海賊「ほーん?よし…ほんじゃ調子良くなったらソレ貸して」

兵隊「…」ジロ

女海賊「分かった?調子良くなったらソレ借りるから!」

兵隊「何なんだこの女は!…ぅぅぅ」

女海賊「いでよ線虫!癒して来い!」ニョロリ

兵隊「何をする!!」ズザザ タジ

ローグ「兵隊さん大人しくしてて下せぇ…死にゃしないもんで我慢っす」

兵隊「うあっ…虫が…目に…」

ローグ「一応魔術師らしいっす」

女海賊「ハイハイ次の人!!線虫!!行けぇ!!」ニョロ


うわぁ!!ヤメロ!!

動くな…辛抱しろ
922 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:11:28.08 ID:KpvTj3yS0
『30分後』


メラメラ パチ


女戦士「製鉄炉の横の水槽に湯を用意した…魔物の返り血を洗って疫病の予防をして欲しい」

女戦士「汚れたままでは地上に出て休息させてやる事は出来んのだ」

女戦士「動ける者から順に行け…」


盗賊「装備品の熱湯消毒か?」

女戦士「何の血を浴びてるか分からんからな…」

盗賊「しかしここは前線基地みたいになっちまったな」

女戦士「うむ…丁度側道に隠れる事が出来て守備には適している」

盗賊「なんだってレンジャー部隊がここに集まってんだ?」

女戦士「キ・カイでクーデターが有ったらしい…戦力が分断して取り残されたそうだ」

盗賊「ハハーン…オーク攻めに異を唱えてる奴が居る訳か」

女戦士「そうかもしれん…エド・モント砦にキラーマシンを集めて占拠されたと言う事だ」

盗賊「なるほどそれで分断か…ここに居る奴らは戻り遅れたという訳か」

女戦士「狭間が拡大している件もあるしどうもキナ臭い」

盗賊「だな?…だが俺らにしてみりゃいきなり守備戦力増えて良かったじゃ無えか」

女戦士「いや…既に弾薬が枯渇している」

盗賊「弾薬?メイン装備はクロスボウだろ?」

女戦士「特殊なボルトなのだ…自動装填用のな」

盗賊「なるほど…」

女戦士「軍の機密だろうから中々見せん」

盗賊「ヌハハそんな事言ってる場合じゃ無いだろうに…」

女戦士「奴らの装備を良く見ておけ…女海賊好みの仕掛けが沢山仕込んである」

盗賊「さっそく食いついてたぞ?」

女戦士「フフ…上手く真似て貰いたい」
923 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:12:02.54 ID:KpvTj3yS0
『製鉄炉』


ザブザブ モクモク


女海賊「ハイハイ熱湯の中で装備洗うからそこに置いて」

兵隊「メンテナンスは自分で出来る」

女海賊「あのね?これ熱湯なの…このブラシでゴシゴシすんだよ」

兵隊「壊したら除隊されるんだ」

女海賊「ほーん?ほんじゃ自分でやって…ほいブラシ!!」ポイ

兵隊「悪いね…」パス

女海賊「あんたの体に水ぶっかけて洗ったげるわ…火傷防止になるよね?」

兵隊「…」ザブ ゴシゴシ

女海賊「ほい!!」ジャバーー ゴシゴシ

兵隊「うわっ!!冷たい!!」

女海賊「火傷防止だって!!さっさと洗って!!」ゴシゴシ

兵隊「…」ゴシゴシ

女海賊「ふむふむなるほど…」ゴシゴシ


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924 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:12:28.70 ID:KpvTj3yS0
『坑道の壁』


ザワザワ シュルリ


魔女「罠魔法!」ザワザワ シュルシュル

魔女「これ盗賊や…壁面のツタを剥がして資材にせよ」

盗賊「おぉ!!考えたなぁ…このツタでハンモックが作れる」

魔女「うむ…地べたに寝るよりは良かろう」

盗賊「てか魔女が居れば縦穴は問題無く帰れそうだヌハハ」

魔女「水が無ければツタは育たぬ」

盗賊「ぬぁぁぁピンポイントであそこだけ水が無ぇ…」

魔女「撒けば良いが…」

盗賊「紛らわしい事言うなや…まぁ大丈夫って事か」

魔女「無駄口は良いから早うハンモックをこさえてやるのじゃ」


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925 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:13:03.23 ID:KpvTj3yS0
『簡易前哨基地』


ヒソヒソ ヒソヒソ

あっという間に何も無い坑道をツタで囲んだぞ…

草も生やして…いやあれは小麦だ

シン・リーンはこうやって陣地形成するのか

少なくとも魔術師3人…いや妙にするどい女も魔術師かも知れん


ローグ「はいはい皆さん食事が出来やしたぜ?」

盗賊「肉スープとパンだ!食器持って並んでくれーい」

兵隊達「おぉ…小麦のパン」ゾロゾロ

ローグ「これはシン・リーン産の小麦で作ったパンでやんす…こっちじゃ珍しいっすよね?」

魔女「わらわも腹が減ったのぅ…」ノソノソ

ローグ「魔女さんの口に合いやすかね?はいどうぞ…」


ツカツカ


女戦士「さてこれで一旦落ち着いた…食事が終わったら魔物掃討に出るぞ」

盗賊「どういう作戦よ?」

女戦士「ここから線路を東…ミネア・ポリス方面に数十キロ行くとグレムリンが数体居るそうだ」

盗賊「遠いな…」

女戦士「仕方あるまい…その部隊はミネア・ポリスに行く訳にも行かずこちらにも来れん…そうだな隊長?」

隊長「そうだ…私達も動ける者を動員するが…」

女戦士「武器の無い者は邪魔になる…私達だけで掃討する」

隊長「そんな軽装で魔物と戦うと言うのか?バカな…自殺行為だ」

女戦士「フフまぁ見て居ろ…ここの守備はアサシンを残してゾンビに守らせる…それでも不足の場合は兵隊を動かせ」

隊長「分かった…連絡手段は?」

女戦士「これだ…」スッ

隊長「貝殻?」

女戦士「シン・リーンではこの様な物で通話するのだ…何か有ればアサシンに言え」


ヒソヒソ ヒソヒソ

確かに俺達は弾倉が残りわずかだ…

ここの守備って…どう配置するんだ?
926 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:13:38.24 ID:KpvTj3yS0
『製鉄所』


カーン カンカン ゴリゴリ


女戦士「女海賊!魔物掃討に出るぞ…準備しろ!」

女海賊「あーちょい待って!もうちょいで完成するんだ」カンカンカン トントン

女戦士「レンジャーの武装を真似て居るのか?」

女海賊「まぁね?あいつ等の装備は魔石で色々動く様になってんのさ」グリグリ

女戦士「なんだ?これは…」

女海賊「ワイヤーの巻き取り装置だよ」

女戦士「ワイヤーなぞ良く持って居たな」

女海賊「金属繊維のインナー解いて寄りなおしたさ…よっし!これで出来上がりっと…」カチャ

女戦士「どうやって使うのだ?」

女海賊「ちょいそこどいて?」

女戦士「んん?」スタスタ

女海賊「射出!!」パシュン! シュルシュル グサ!

女戦士「おぉ!!それで巻き取る訳か…」

女海賊「そそ!!行くぞぉ!!」カチ シュルシュル


ブラーン シュタ


女戦士「天井に張り付けるのか!!」

女海賊「よしよし使えるぞコレ!!上手く使えば私だけ安全圏でインドラの銃で狙撃できる」

女戦士「今度私にも作ってくれ」

女海賊「おけおけ!ほんじゃ魔物掃討行こっか!!」
927 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:14:07.07 ID:KpvTj3yS0
『地下線路』


ヴヴヴヴヴ… ヒタヒタ


女戦士「アサシン!私達は東方面へ魔物掃討に出る…製鉄所の守備は任せた」

アサシン「私一人か?」

女戦士「そうだ…リカオンも斥候で連れて行きたい」

アサシン「ワインが欲しいのだが…」

盗賊「瓶を2つ置いてあるぞ」

アサシン「フフ…兵隊共には見せられんな」

ローグ「戦闘食を数日分作り置きしてあるんで飢える事は無い筈でやんす」

アサシン「ふむ…まぁ奴らと少し会話でもしてみる」

女戦士「リカオン!!斥候を頼む!!先頭を行ってくれ」

狼女「分かった!」シュタタ


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928 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:14:55.41 ID:KpvTj3yS0
『地下線路_ミネア・ポリス方面』


ピチョン ポタポタ


盗賊「やっぱちっと寒いな…」スタスタ

魔女「主の背中はわりと温いのぅ」

女戦士「少し休憩するか…正確な距離が分からん」

ローグ「焚火出来んすかねぇ…」キョロ

盗賊「燃やすもんが何処にも見当たらん…」


ピカーーーー


盗賊「うお!!目が…光の石か」

女海賊「ちっと光り過ぎだな…この辺だけ照らす」ゴソゴソ

ローグ「あぁぁぁ太陽の光は暖かいっすねぇ…」

盗賊「光が焚火の代わりか…まぁこれでちっと休める」ヨッコラ

女海賊「ねぇお姉ぇ…ここの壁面て何だと思う?ツルツルだよ…」

女戦士「暗くて見えんかったが…良く見ると不思議な壁面だな」

ローグ「あらら?本当っすね…水が染み出してるんじゃなくてコレ結露水っすね…」

女海賊「石じゃ無いなぁ…」コンコン

女戦士「明らかに坑道の壁面とは違うのだな…ふむ金属の様だが…」サワサワ

盗賊「あぁぁ分かった!アレだ古代遺跡の開かずの扉と同じ材質だ…多分磁石も付かんぞ」

女海賊「なる!!そっか…それで大雨でも水が入って来ないのか…」

女戦士「どうやってこんな物を地下深くに埋めたのか…だな」

女海賊「これ良く見たらさぁ…超真っ直ぐじゃん!ずっと向こうの方まで見えるよ」

魔女「では向こうからもこちらの光が見えるという事じゃな…」

女海賊「お!!?ほんじゃ向こうまで望遠鏡で見えるって事じゃん」ゴソゴソ


カチャカチャ


盗賊「どうよ?何か見えるか?」

女海賊「だめだぁ…私の望遠鏡は2km先を良く見える様に調整してるから倍率足りない」

女戦士「フフ面白い観測法を発見したな」
929 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:15:58.41 ID:KpvTj3yS0
女海賊「お姉の望遠鏡は気球に置きっぱなしだよね」

女戦士「うむ…持ち歩くのは邪魔でな」

盗賊「とりあえず2km向こうまでは何も居ない訳か」

狼女「ちょと静かに…」


タタン タタン…


女戦士「む!!この音はどこかでトロッコが動いている…」

狼女「東側だよ」

女海賊「ああああ!見えた!!こっち向かって来る…」

盗賊「そのトロッコにキラーマシンは乗って居ないか?」

女海賊「動かしてんの人だよ…2人でシーソーやってる」

女戦士「分かったぞ…この光を見て突破しようとしている…何かに追われて居ないか?」

女海賊「分かんない…でも火炎放射使ってる」

女戦士「間違い無いな…魔女!照明魔法で周辺を照らしてくれ!」

魔女「照明魔法!」ピカー

女戦士「女海賊はインドラの銃を準備して後方に下がれ」

女海賊「おけおけ…」ゴソゴソ

女戦士「他の者はトロッコに引かれないように脇へ避けるんだ…魔女は罠魔法で追っ手の足を止めてくれ」

狼女「魔女!!出来るだけ前方にも照明魔法を!!」

魔女「照明魔法!照明魔法!照明魔法!」ピカー


ゴーン ゴゴゴーン


女海賊「この音は戦闘始まっちゃってるよ…」

盗賊「任せろ…ハイディングで距離詰めて援護してくる…ローグ行くぞ!!」

ローグ「アイサー!!」

女戦士「ムリはするな?」

盗賊「分かってる!!援護頼むぜ?来い!!」ダダダ


ハイディング!! スゥ…


女戦士「リカオン…距離をカウントしてくれ」


1000メートル…800…600…400…


女海賊「見えた!!撃つよ!!」シュン! チュドーーン!

女海賊「もういっちょ…え!!?」


ブオォォォォォ


女海賊「うわぁぁ!!」ゴロゴロ

女戦士「しまった!!爆風がここまで直接来る…」グググ
930 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:16:30.41 ID:KpvTj3yS0
魔女「ちぃと時間を稼げ…」アブラカタブラ アブソリュート ゼロ

女戦士「接近でやり抜く!!リカオン援護しろ!!」ダダ


ギギギギギー キーーーーー


盗賊「援護やり過ぎだろ!!脱線してるぞ!!」ヨロ

ローグ「耳がキーーーーンと来てなんも聞こえんす…」

女海賊「来る!!へんなデカい奴2体!!」チャキリ ターン


グレムリン「ナンダコイツハーーウテーーー!!」ドドド ブン!


女戦士「遅い!!」ブン スパ

狼女「こっちも!!」ブン スパ

グレムリン「アシガーーーアシガーーー!!」ドドド

魔女「絶対零度!!」


モクモクモク カキーーーーーーン!!


グレムリン「…」ピキピキ

女戦士「…凍った」タジ

狼女「これは…」タジ

盗賊「ヌハハ一瞬で戦闘終了だな…」

女海賊「ちょい待ち!!もう一体こっちに来る!!」

女戦士「ちぃぃまだ居るのか!」スック

女海賊「トロッコの陰に隠れて!!一発で仕留める…」ガチャコン

盗賊「もっかい撃つってか!?」ダダ

ローグ「あわわわ…」ダダ

女海賊「おし!イケる…」カチ


シュン チュドーーーーン!!


女海賊「隠れる!!」ピョン


ブオォォォォォ


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931 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:17:03.53 ID:KpvTj3yS0
『6両編成トロッコ』


シーン…


盗賊「収まったか?」キョロ

女海賊「リロードまであと10分…リカ姉ぇ奥の方警戒して」

狼女「分かってる…」シュタタ

女戦士「凍ったグレムリンは木っ端微塵か…」

盗賊「今の内にトロッコを線路に戻すぞ…ローグ!!そっち側持て!!」グイ

ローグ「アイサー」グイ

女戦士「兵隊は!?」


兵隊「ぅぅぅ…」グター


女戦士「魔女!!怪我人の処置を…」

魔女「分かって居るわい!!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

女戦士「生きて居るのは3人か…」

盗賊「後列のトロッコの中にも横になってるのが居るぜ?ふんっ!!」ガコン

魔女「イカンな…片足を失って失血が酷い…回復魔法!」ボワー

盗賊「応急だ…薄めた食塩水を入れる」ゴソゴソ

魔女「女海賊!線虫が必要じゃ…」

女海賊「おけおけ!!線虫!癒せ!」ニョロリ


兵隊「燃やせ…あの魔物を燃やさないと増える…ぅぅぅ」


魔女「なぬ!?」

兵隊「死体の一部が残って居るとそこから増えるのだ…」ハァハァ

女海賊「あ!!凍ってた奴の破片が動いてる…」

魔女「なんという事じゃ…闇の術が掛かって居ったのか…」ボーゼン

ローグ「この火炎放射器はまだ使えそうでやんす…」ボボボボ

魔女「うむ…残らず焼き尽くせ…わらわも魔法で焼く」
932 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:17:31.61 ID:KpvTj3yS0
『30分後』


ボボボ メラメラ


魔女「すべて燃やしたか?」

狼女「向こうの奴も燃やして来たよ」スタタ

盗賊「グレムリンがやたら多いと思ってたんだが分裂して増えてたんか…」

魔女「主も闇の術に侵されて居ったじゃろう…アレは細胞分裂で新たな個体を生む術なのじゃ」

女戦士「ではどんどん増えてしまうな…」

魔女「エネルギーが無ければ増えぬ…じゃから人を食らい居る」

女海賊「なんかそれヤバイ魔法だね」

魔女「うむ…遺伝子に異常をきたす感染症じゃな」

女海賊「線虫じゃ治せない?」

魔女「線虫の増殖が早いか遺伝子に異常をきたすのが早いかは分からぬ」

女海賊「てことは大量の線虫なら治せるかも知んないね」

魔女「しかしこれは大事じゃぞ…人が子を産む速さよりずっと早いのじゃ…放置すると駆逐されてしまう」

女戦士「退魔の方陣には近づかないのだろう?抑え込んで行くしか無いな」

魔女「そうじゃな…」

盗賊「ここに居てもなんだ…一旦戻ろうぜ?」

女戦士「トロッコは動かせそうか?」

盗賊「イケる…徒歩よりずっと楽だ」

女戦士「よし…では戻るとしよう」

盗賊「ローグ!!シーソーやるぞ…反対側押せ」

ローグ「これ2人ならラクなんすよね」グイ


コロコロ ガタン ゴトン


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933 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:18:09.43 ID:KpvTj3yS0
『坑道_簡易前哨基地』


ヨッコラ ヨッコラ


盗賊「おら…どいたどいた」ドサリ

アサシン「無事に戻ったか…救出できたのは4人だけか?」

盗賊「そうだ…他の部隊は来て無いか?」

アサシン「その後通信が途絶えているらしい…ここに避難出来ているのは20人足らず」

盗賊「他は全滅かも知れんなぁ…グレムリンがやたら強くてよ」

アサシン「そうか…」

盗賊「俺らが居ない間ここはどうだったのよ?」

アサシン「静かな物だ…追加でゾンビが少し増えたくらいだな…全部で40体程度だ」

盗賊「おぉ武器持ってりゃ結構な戦力だ」

アサシン「肉が削げ落ちてどんどん弱くなっていくのが痛い所だがな」

盗賊「ヌハハまぁスケルトンの方が衛生的には良さそうだ」

アサシン「接近では使えんからクロスボウを持たせるのが一番良かろう」

盗賊「なんやかんやでクロスボウ強いからな…一発食らっただけで大怪我だしよ」


ツカツカ


女戦士「アサシン!ゾンビに再度鉄鉱石を掘らせてくれ…製鉄して武器を増産する」

アサシン「今度は何を作る?」

女戦士「特殊弾倉用のボルトだ…レンジャー部隊にも戦力になって貰う」

盗賊「そりゃ良い!!自動装填のクロスボウは増産出来んのか?」

女戦士「フフ妹が作ると息巻いている」

アサシン「話によると弾倉一つにつき24発撃てるそうだ…自動装填でな」

盗賊「すげぇな…今まで使ってたのは2発で手動だ…エライ違う」

アサシン「飛距離と威力は劣る様だぞ?」

盗賊「ほーん…まぁ使い分けか…」

女戦士「では私は製鉄所に戻る…鉄鉱石は頼んだ」ツカツカ
934 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:18:59.39 ID:KpvTj3yS0
『製鉄所』


シュゴーー ボゥ カーンカンカン ギコギコ


盗賊「いよーぅ!食い物持って来たぜ?

女海賊「お!!?良い所来た!!これ持って補給行って来て」ポイ

盗賊「うお!!…なんだコレ?」パス

女海賊「ワイヤーの仕掛けさ…それ使って縦穴登るの…使い方は自分で何とかして」

盗賊「ほーん…んで?何が必要なんよ?」

女海賊「私の飛空艇の中に金属糸と魔石あるから持って来て…あと肉!!」

女戦士「ローグも連れて行ってミスリルも少し持って来させてくれ」

盗賊「肉かぁ…重いんだよなぁ…」

女海賊「ここって補給きびしいよね…何とかなんない?」

盗賊「あの兵隊たちは特殊工作兵だから何か作らせたらどうだ?」

女戦士「ふむ…狭い坑道内を移動出来る小型荷車でもあれば運搬が捗るな…」

盗賊「あとあの縦穴な?」

女戦士「私は今手が離せん…お前が兵隊に話して来い」

盗賊「任せろ…ほんじゃ行って来るわ」スタ

女海賊「いやぁ…コレさぁ…破壊の剣使って加工するとめっちゃ楽だね」スパスパ

女戦士「一つ居るか?」

女海賊「ちょっと私には長いなぁ…」

女戦士「ダガー程度の長さの物もあるぞ?」

女海賊「お!マジ?」

女戦士「私は使わんからお前にヤル」スッ

女海賊「おぉぉこれで加工が捗るわ…」スパスパ
935 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:19:37.45 ID:KpvTj3yS0
『簡易前哨基地』


ヒソヒソ ヒソヒソ


アサシン「魔女…片足の領事がキ・カイで何をやって居たのか裏が取れたぞ」

魔女「ほう?言うてみよ」

アサシン「10年以上前にリッチと共にオーク狩りを指揮していたそうだ」

魔女「リッチ…魔法を使いオークを捕らえて居ったとな?」

アサシン「睡眠魔法だ…オークは睡眠に弱いらしい」

魔女「なるほどのぅ…」

アサシン「その報復でキ・カイの拠点として使われていたすべての坑道を地震と噴火で破壊されたのだそうだ」

魔女「何じゃと?地震と噴火は意図的に発生したのか?」

アサシン「オークシャーマンの呪術によって地震を起こされたと言う証言があるのだ」

魔女「重力魔法か…」

アサシン「更に面白い話が聞けたぞ?」

アサシン「当時オークシャーマンの生け捕りに成功した様だが自由にオークを渡り歩ける…つまり逃げられた…意味が分かるか?」

魔女「何の術じゃろう…」

アサシン「魔王も自由に人間を移り渡る事が出来るだろう?」

魔女「ムム…魔王と同種と申すか?」

アサシン「魔王と対になる存在…」

魔女「ほう…主は鋭いのぅ…実はな…情報屋はオークシャーマンこそ我々の神ではないかと言うて居る」

アサシン「フフ…思う所は同じか」

魔女「素粒子…集合意識じゃと言うて居った」

アサシン「神といえば地震や噴火の天変地異…10年前の噴火も予言に従い起こした奇跡かも知れん」

魔女「良く考えてみれば犠牲は有った物の戦争を一時的に終わらせたのは噴火のせいじゃな…」

アサシン「うむ…だがオークシャーマンの目的がいまいち分からん」

魔女「オークの予言を履行するのが目的であろうとういう話じゃ…」

アサシン「もう少し情報屋の話を聞いて見んとな…」


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936 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:20:15.80 ID:KpvTj3yS0
隊長「…話を盗み聞きした様で悪いが…もしやあなたはシン・リーンの姫君では?」

魔女「じゃとしたらどうなのじゃ?」ジロ

隊長「この刻印に覚えは?」グイ

アサシン「!!?貴様!黒の同胞!!」スラーン チャキ

魔女「主は何者じゃ?」

隊長「父上に仕えた者だと言えば話が通るか…」

魔女「待ていアサシン…父上を知って居るとな?」

隊長「やはりそうか…俺はあなたの父上を守る騎士だった…フフこうして白狼の一党を目の前にして感慨深い…」

魔女「主を信用して良いかわからんのぅ…」スッ

隊長「幻惑の杖…そう…公爵もそうやって人を意のままに操った…俺も…あなたの父上も…」

魔女「何が言いたいのじゃ?」

隊長「勘違いしないで欲しい…人類滅亡を阻止する為に戦って来たのは黒の同胞も…恐らく白狼の一党も同じ」

魔女「…」

隊長「ただ手段が違って互いに噛み合わなかったが不幸だったのは理解している」

隊長「そして黒の同胞達が求めた理想郷も存在しない事が分かって…俺達の歩んだ道も間違って居た事を知った」

アサシン「何?」

隊長「最終的に公爵は俺達を捨てて裏切ったのだ…在りもしない理想郷を残して」

魔女「何の話か分からんのぅ?」

隊長「キ・カイで起きたクーデターの首謀者が分からないと言ったのは嘘だ…首謀者は政務官…全身を機械化したバケモノ」

魔女「理想郷とは何の事じゃ?アダムは破壊された筈じゃ」

隊長「エド・モント砦の最下層にアダムとほぼ同規模の機械が有る…それが政務官…キ・カイの司令塔だ」

アサシン「読めたぞ?機械の政務官は人間を保護するのでは無く敵として認識するようになったな?」

隊長「滑稽か?我々の末路がコレだ…理想郷なぞ始めから無かった」

魔女「わらわの父上は理想郷なぞに行こうとはして居らなんだ」

隊長「俺も行く気なんか無い…人類を救いたかった…その為に人類を管理する者が必要だと信じていたんだ」

魔女「その管理者が人類を選ばなかった訳じゃな…」

隊長「…あなたの父上に謝罪したい…志を引き継げなかった事を…」

魔女「アサシン…こ奴どうする?」

アサシン「忠臣は嫌いでは無い…我々とは行く道が違っただけの同志でもある」

魔女「これ隊長や…主は何故人類が滅亡する前提なのじゃ?予言か?」

隊長「そうだ…オークに伝わる予言に人類を滅ぼす計画が記されている」

アサシン「クックック…どこかで聞いた話だな?」

魔女「いやまて…情報屋はそこまで解明して居らん筈じゃ…予言には続きが有るのやも知れんな…」


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937 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:20:45.65 ID:KpvTj3yS0
魔女「これ隊長!主は怪我が軽かろう…そろそろ動いてはどうか?」

隊長「迷っている…」

魔女「何をじゃ?」

隊長「何を信じるのかだ…ずっと追って来た白狼の一党を目の前にしてもなぜか動く気にもならない」

魔女「わらわに刃を向ける気は起きんか」

隊長「…」

魔女「黒の同胞はあとどのくらい残って居るのじゃ?」

隊長「数名…もう生きているかどうかも分からない」

魔女「主は知らぬかも知れぬが白狼も既に居らんのじゃよ…残した遺児も居らん」

隊長「居ない?」

魔女「人知れず魔王を退け一人犠牲になって世界を繋いで居るのじゃ…」

隊長「伝説の通りに?」

魔女「うむ…」

隊長「ではどうしてこのような世界に…世界中で戦争…殺戮…飢餓…」

魔女「それは人の心の闇が生んで居るのじゃ…それをまた集め残した遺児も何処ぞへ消え去った」

隊長「そうだったのか…」

魔女「空しいのぅ…どうすればこの連鎖を断ち切れるかのぅ…」
938 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:21:20.50 ID:KpvTj3yS0
『坑道最下層』


ワサワサ フミフミ


魔女「これ!!見て居らんで主らも麦の脱穀を手伝わんか!!」フミフミ

兵隊達「あ…あぁ踏みつけるだけで良いのか?」

魔女「種子だけ残して残りは何処かに運ぶのじゃ…邪魔で敵わん」

兵隊達「運ぶと言っても何処へ?」

魔女「主らのベッドにしても良いし縄にしても良い…兎に角邪魔なのじゃ」

兵隊達「わ…わかった」オロオロ

魔女「精鋭ならもっとシャキっと働かんかいタワケ!!」

狼女「私も手伝おうか?」シュタタ

魔女「済まんのぅ…人出が足らんと言うのにあの兵隊共は全く気が利かぬ」

狼女「こんなに沢山の麦をどうする?」

魔女「砂銀に変性させて退魔のエンチャントを掛けるのじゃ」

狼女「あぁ…そういう事か」フミフミ

魔女「早うグレムリンを封じ込めんと手に追えんくなる」

狼女「じゃぁ私が脱穀するから魔女は退魔のエンチャントを…」

魔女「そうじゃな…ここは頼む」ノソ
939 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:21:59.15 ID:KpvTj3yS0
『製鉄所』


カーンカンカン シュゴーーー


魔女「女海賊や…退魔の砂銀を持って来たでこれを兵隊の弾に仕込むのじゃ…」ザラザラ

女海賊「え!?どゆこと?」カンカン

魔女「奴らにグレムリン掃討をやらせよ…退魔の武器を持って居れば襲われんじゃろうからな」

女海賊「おぉ!!なるなる!!」

魔女「地下線路の土地勘はわらわ達よりも有る筈じゃ…兎に角出来るだけグレムリンが広がらぬ様にせねばならん」

女海賊「おっけ!!特殊弾に一つづつ仕込めば良いね?」

魔女「うむ…退魔の方陣が簡単に設置できぬ故…沢山砂銀をばら撒きたい」

女戦士「良い作戦だ…移動用のトロッコもある」

魔女「兵隊にはわらわの方から説明しておくで武器は頼んだぞよ?」

女海賊「てかさ?直ぐに出来るから取りに来る様に言っといて…運ぶのメンドイ」

魔女「…では待って居れ」ノソノソ



『簡易前哨基地』


カクカク シカジカ…


隊長「…では退魔の弾を使えばグレムリンは襲って来ないと…」

魔女「その筈じゃ…逃げる敵を追うのであれば簡単じゃろう」

隊長「トロッコが使えるとなると物資を乗せながら移動も可能か…ふむ」

魔女「わらわ達はは地下線路がどの様に繋がって居るのか知らぬ…主達が適任じゃと思うが?」

隊長「10名程度の小隊なら可能な作戦か…よし条件がある」

魔女「何じゃ?」

隊長「オークゾンビが居た場合思わぬ被害が予測される…あの死霊術師を同行させたい」

アサシン「んん?私の事か?」

隊長「こちらとの連絡役と言う役目もある」

アサシン「フフ良かろう…但し指揮が大概の場合は勝手に離脱するぞ」

隊長「俺は部下を見捨てた事は一度も無い」

アサシン「クックック…私が部下か…まぁ見せて貰おうか」

魔女「決まりじゃな?」

隊長「よし!!兵隊達!!集まれ…他の部隊捜索と味方の弔い合戦に向かう」


今回は退魔の効果が付与された特殊弾が使用できる

これは例のグレムリンという魔物への特効効果があるとの事だ

これを用いて掃討と各要衝の確保が主な目的だ

エド・モント砦手前までの分岐…A点…B点…C点

それぞれバン・クーバ方面へ向けて捜索を実施する

移動方法は6両編成のトロッコ…


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940 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:22:38.90 ID:KpvTj3yS0
『トロッコ』


ドタドタ

干し草は3両目と4両目に入れろ…弾倉の予備は5両目だ

食料は各自バックパックに分けて入れて置け


隊長「…では出動する…全員所定の車両に乗り込め」

兵隊達「サー!!」ドタドタ

アサシン「私はどのトロッコに乗れば良いのだ?」スタ

隊長「俺と一緒に先頭車両だ…来い」スタ

アサシン「しばらくこのトロッコが城か?」

隊長「見た通りだ」

アサシン「お前の名をまだ聞いて居なかったな…名を何と呼べば良い?」

隊長「俺はレンジャーだ黒鉄のレンジャー…それが俺の名だ」

アサシン「私はアサシン…」スッ

レンジャー「昨日の敵は今日の友か…よろしく頼む」ガシ

アサシン「さて…この部隊は特殊工作班だとか言って居たな?」

レンジャー「そうだ…敵の要衝への潜入…破壊に特化した機動隊だ」

アサシン「白兵用の武器は持たんのか?」

レンジャー「白兵戦になる前に撃破出来る…特殊弾の十字砲火でな」

アサシン「相手が大型の魔物だった場合はどうする?」

レンジャー「まともに戦うと思うか?対処法はコレだ…」スッ

アサシン「ワイヤーか…」

レンジャー「此処に居る全員ワイヤーを使っての機動戦を得意とする…白兵は不要」

アサシン「クックック…では私だけ逃げ遅れるな」

レンジャー「部下は見捨てん…言っただろう?」

アサシン「フフ野暮な質問だった様だ…」
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:23:08.41 ID:KpvTj3yS0
『製鉄所』


バシュン! ドス!! ヴヴヴヴ…


女海賊「ふむふむ…なるほど…やっぱ特殊弾だと撃たれたら体の中に弾が入り込むのか…」

女戦士「何をしている?働くゾンビの数を減らすなよ?」

女海賊「お姉ぇコレさぁ…クロスボウの方が飛距離も威力もあるんだけど…」

女海賊「実戦で使うなら特殊弾の方が多分強いわ…撃たれた後体の中に金属片が残る」

女戦士「ほう?ボルドだと抜かれてしまうか」

女海賊「そそ…金属片を取るのに体切り開かないと残ったままになるのさ」

女戦士「飛距離が短いのは致命的では無いか?」

女海賊「まぁ…そうだよね…でも自動装填がメチャ良さそうなんだよなぁ…」

女戦士「2連式クロスボウを自動装填に改造してみては?」

女海賊「それだと重すぎる…そもそもボルトが重い」

女戦士「そうか…特殊弾をどうにかして飛距離伸ばしたい訳か」

女海賊「やっぱクロスボウの限界はこんなもんかもなぁ…」


ノソノソ


魔女「その特殊弾とやらが大きすぎるのではないか?」

女海賊「あ…魔女」

魔女「もっと小さくして威力が無くなった分火薬で爆発するようにすれば良かろう」

女海賊「いやいや…火薬使うと手元爆発…ん?待てよ?」

女海賊「着弾した時に着火するように作れば行けるかも…」

女戦士「先ずは小さくしてどのくらいの飛距離になるかだな」

女海賊「おけおけ!!ちょい作ってみる」


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942 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:23:37.58 ID:KpvTj3yS0
『30分後』


バシュン! ガチャ! バシュン! ガシャ!


女海賊「よしよし…飛距離は普通のクロスボウ並み…自動装填もちゃんと動く」

女戦士「楽しみだな…小型爆弾発射装置になる」

女海賊「黄鉄鉱が有ったよね?それを信管にして火薬に着火させる…」ゴソゴソ カリカリ

魔女「作るのが面倒そうじゃな?」

女海賊「そだね…大量生産には向かないかな」

魔女「じゃが爆弾だけでは無く毒を仕込んだり…場合によってはエリクサーを仕込んでも良いな」

女海賊「お!!?ちょちょ…遠距離からエリクサー打ち込む?…うわぁぁ!!それ熱い!!」

女戦士「なるほど…少し痛いがその分体内に直接エリクサーを打てるのは良さそうだ」

女海賊「いろいろ工夫できるぞ!!よーし!!やる気出て来た!!」カチャカチャ

女戦士「さて私は製鉄に戻る…」ツカツカ

魔女「わらわも小麦を育てて来るかのぅ…」ノソノソ


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943 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:24:48.59 ID:KpvTj3yS0
『数日後』


ヨッコラ ドスン


盗賊「ふぅぅぅ…戻って来たぜぇぇ」ドタ

ローグ「ここまで荷を運ぶのシンドイっすねぇ…」グター

女海賊「遅かったじゃん!!待ってたんだよ」スタタ

盗賊「地上の方でも色々あってよ…海賊王がハテノ村に到着したぜ?」

女戦士「何!!?ここには来ているか?」

盗賊「いや…お前等の無事を知って喜んでは居るがどうやら他事で忙しいらしい」

女戦士「そうか…それで今はハテノ村に滞在しているのか?」

盗賊「温泉に入って直ぐに戻って行った…領地がどうのこうの言ってたな」

女海賊「なんだよ顔合わせないで戻ってったのか」

盗賊「まぁ色々物資持って来たのと数人ドワーフが残って行ってる」

女戦士「硫黄を掘る為か?」

盗賊「拠点を建築するんだとよ…こんな守備では一瞬で占領されるとか言ってたわ」

女戦士「フフ人材不足で仕方あるまい」

盗賊「あとな?食料問題が当面解決したぞ?」
944 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:25:24.61 ID:KpvTj3yS0
女戦士「ほう?気球で運べる物資では期待出来んが…」

盗賊「いやいや…雪が無くなってワームが出没するようになってな」

女海賊「おおおお!!そいつ使役したら穴掘りやらせれるじゃん」

盗賊「悪いが狩った…放置してると危ないもんでな」

女戦士「では食料問題の解決とはワームの事か?」

盗賊「そうだ…当面はワームの肉が食い放題」

女海賊「もしかして今持って来た物資はワームの肉?」

盗賊「あぁこれは干したシカ肉だ」

女海賊「あぁ良かった…ワームの肉なんか食えん…ウンコ食ってんだよあいつ等」

盗賊「アホか!土食ってんだ!!シカ肉より柔らかくて美味い」

女海賊「丁度腹減ってたのさ…シカ肉頂戴!」

盗賊「干し肉だが我慢しろ…」ポイ

女海賊「やっと肉だ…」ガブ モグ

盗賊「ほんでな?地軸の移動の影響が相当ヤバいぞ?」

女戦士「ある程度は想定していた筈だが…」

盗賊「天候がメチャクチャなのよ…吹雪になったり豪雨になったり…川の下流も洪水でエライ事になってるらしい」

女戦士「ふむ…父はそれで領地を見に行ったか」

盗賊「だろうな?地下に潜ってると何も分からんだろう?」

盗賊「そうだ!プラズマの銃を一つ持って行くぜ?雨で花火銃が使えなくてな」

女海賊「もう戻るん?」

盗賊「ワームが出て来て傭兵だけじゃ空が手薄になっちまう」

ローグ「あっしはここに残りやすぜ?」

女戦士「地上も今のままでは戦力不足か…よし!足を負傷した兵隊を一緒に連れて行ってくれ」

盗賊「なぬ?背負ってけってか…」

女戦士「いや…簡単な義足は作ってあるから歩くのは問題無い…グレムリン相手の戦闘はもう出来ないと言う事だ」

盗賊「そういう事か…慣れたクロスボウ撃ちが居れば大分助かるな」

女戦士「有志でハテノ村の守備に回れる兵隊が居ないかも聞いておく」

盗賊「分かった…とりあえず俺は一回戻るな?」
945 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:25:53.31 ID:KpvTj3yS0
『貝殻』


ザザー

聞こえるか?私だ…アサシンだ

おぉ!!どうじゃ?そちらの様子は?

他の部隊20名程と合流した…一度そちらへ戻る

むむ…治療が必要なのじゃな?

その通り…休息と補給もな

20名とはまた多いな…

地下線路に点在している要衝に多少の食料が残って居るのだ

では他にも生き残りが居りそうじゃな

うむ…だが一部地下線路内に水が入り込んで居てトロッコの移動が出来ない…だから一度戻るのだ

承知じゃ…女戦士に連絡しておく

今の所そちらの簡易前哨基地しか満足に補給できる場所が無い…最も重要な拠点になりそうだ

どの位で戻れそうじゃ?

恐らく20時間程…過積載で速度が出ん

20名なら6両のトロッコで問題無さそうじゃがのぅ…

戦利品も回収してきているのだ…破壊されたキラーマシンも積んでいる

ふむ…ベットはこさえて置くで気を付けて戻れ
946 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:26:21.66 ID:KpvTj3yS0
『簡易前哨基地』


ノソノソ


ローグ「魔女さん!!食料を持って来やしたぜ?」タッタ

魔女「おぉ!!ローグか戻って居ったのじゃな…丁度良い手を貸せ」

ローグ「んん?どうしたんすか?」

魔女「負傷した兵隊が20名程戻って来るのじゃ…干し草で寝床をこさえよ」

ローグ「あらら…多いっすね…また食料足りんくなりやすね」

魔女「わらわは食用の小麦を育てて来る故寝床の確保は主に任せる」

ローグ「分かりやした!!」

魔女「終わったら小麦の収穫も手伝いに来るのじゃぞ?」

ローグ「あっしら完全に兵隊の補給部隊みたいになって居やすね?」

魔女「仕方なかろう…わらわ達が前線に出てしまえばハテノ村は占拠されてしまうで…」

ローグ「海賊王もハテノ村まで来たもんでもうちょい待てば簡単に占拠されん様になると思いやす」

魔女「ほぅ?では今はドワーフが来て居るのか」

ローグ「まだ数名なんすがね…」

魔女「ふむ…この大陸の事情は良く知らぬが大勢のドワーフが占拠してしまうと又問題が起きそうじゃな」

ローグ「今はそれどころじゃ無いっすね…魔物退治に手一杯でやんす」

魔女「まぁ良い…小麦を育てて来る」ノソノソ
947 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:26:53.61 ID:KpvTj3yS0
『製鉄所』


カーン カンカン シュゴーーーー


女海賊「また負傷兵が20人も来たら忙しくなるね」カンカン ゴシゴシ

女戦士「ここでの武器生産が魔物との戦線維持の要になりそうだ」シュゴーーー

女海賊「次何作んの?」

女戦士「オークゾンビに持たせる大型の斧だ…刃付けは任せる」

女海賊「うは…大量に鉄使うな…」

女戦士「お前は負傷兵に線虫を施す仕事もあるからそのつもりで居ろ」

女海賊「わかってんよ…ねぇお姉…」

女戦士「んん?」

女海賊「なんかさぁ…こうやって地下で鉄叩くのって不思議と落ち着かない?」

女戦士「何を言うと思えば…ドワーフの本来の姿だ」

女海賊「大地に守られてる感じがすんだよ」

女戦士「お前の光の石が無ければ過ごせた物では無いと思うが…」

女海賊「それそれ!夜光石が光吸ってメッチャ光るんだよ…光消すと宇宙みたい」

女戦士「待てよ?…」トーイメ

女海賊「なんか思いついた?」

女戦士「エド・モント砦上空の狭間を光の石で無理矢理遠ざけられんか?」

女海賊「お!?」

女戦士「確か中心部が円筒の吹き抜けだと言って居た…そこから行けるのでは無いか?」

女海賊「狭間の中を上空から探せないって…」

女戦士「アダマンタイトで狭間になっている訳では無いのだろう?光の石を使えば見つけられそうでは無いか?」

女海賊「…そういやそうだね」

女戦士「少し作戦を考え直すか…地下は兵隊達に任せる様に計らって私達は上空から攻める」

女海賊「製鉄所どうすんの?」

女戦士「父からの増援でドワーフ達が来れば任せられる」
948 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:27:40.25 ID:KpvTj3yS0
『翌日_トロッコ』


キキーーーー ガチャン


レンジャー「全員降車!負傷者を簡易前哨基地へ運べ!」

ローグ「皆さんお帰りでやんす!!寝床を用意してるんで横になって下せぇ」

アサシン「ローグ!戦利品を降ろすのを手伝ってくれ」

ローグ「アイサー!!」ダダ

アサシン「重いぞ?」

ローグ「うはぁぁ…キラーマシンの部品っすか…よっこら」グイ

アサシン「重装射撃砲もある…これが有ればキラーマシンを遠距離から倒せるらしい」

ローグ「姉さん好みの物ばっかでやんすね」ヨタヨタ

レンジャー「一旦修理が必要だ…製鉄所の方へ運んで欲しい」

ローグ「分かりやした!!」



『製鉄所』


ゴロゴロ ガコン!


女海賊「お!!ローグ!!それどうしたん!?」ダダ

ローグ「アサシンさん達が返って来やした…これは重装射撃砲っていう物らしいっす」

女海賊「おおおおおお!!こんなんあるんか…スゲェ!!60o砲弾の精密射撃だ…」

ローグ「修理がして欲しいみたいでやんす」

女戦士「船に艦載してある大砲よりも随分小ぶりだが?」

女海賊「これ見て!!精密水準器だ…水平射撃の精度が全然違うよ」サワサワ

ローグ「なんでも遠距離からキラーマシンを倒せるらしいっす」

女海賊「どんなもんの飛距離出るんだろ…300メートルの精密射撃出来ればキラーマシンなら余裕で火力勝ち出来る」

ローグ「300メートルならプラズマ銃と同じでやんすか?」

女海賊「いやそれ最大射程だね…そうれで言うならこいつは2km以上飛ぶはずだよ…当たんないけど」

ローグ「なるほど300メートルまで精密に狙える訳っすね」

女海賊「おぉぉコレコレこういうのが欲しいのさ…お姉の船に乗せるならこういう奴が良い」

ローグ「とりあえず修理出来やすかね?」

女海賊「おけおけ!!コレ他にもあんの?」

ローグ「同じ物は無いっす…でも他にも色々有るんで持って来やす」

女海賊「ちょいお姉ぇ!!こいつの図面書くから手伝って」


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949 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:28:28.53 ID:KpvTj3yS0
『簡易前哨基地』


ザワザワ 


女海賊「へぇ?オークロードはあの重装射撃砲より長い射程で石投げて来るんだ?」

レンジャー「向こうは移動しながら投げて来る…こちらは固定しなければならない」

女海賊「そりゃ勝ち目無いね」

レンジャー「動く標的には命中精度がなかなか出ないが停止しているキラーマシンなら撃破出来るんだ」

女海賊「なるほど…ほんでトロッコに乗せて遠距離から狙うんだね」

アサシン「だが今は地下線路の浸水でエド・モント砦へはトロッコで進めないのだ」

女海賊「逆に言うと向こうもこっちに来られないんだよね?」

アサシン「いや…泳ぎなら来られる…実際ヘルハウンドの群れが渡って来ている」

女海賊「マジか…」

レンジャー「ヘルハウンド程度なら小隊で対処出来る…水が引かない限り当面は現状維持だ」

女海賊「雨が全然止まないっぽいよ…もう何日降りっ放しなんだろう」

レンジャー「しかしお前…相当な機械フェチだな?」

女海賊「そりゃもう!!これ見て!!」スチャ

レンジャー「俺達の武器を真似たか?」

女海賊「ヌフフ…その上を行くから…見てて?」


バシュン! バシュン! パーン! パーン!


レンジャー「特殊弾が破裂?」

女海賊「飛距離は通常のクロスボウと同じ…着弾で火薬が破裂する仕掛けさ」

レンジャー「おぉ!!」

女海賊「ただ難点が特殊弾を量産出来ない…まぁ私専用だよ」

レンジャー「さすが白狼の一党…こうも簡単に新型兵器を作って来るとは…」

女海賊「これ使って私等はエド・モント砦を上空から攻める計画してるんだ」

レンジャー「何?もしかして例の高機動の気球がハテノ村に有るのか?」

女海賊「あれ?聞いて無かった?重装の気球2台と高機動のが1台…あとドワーフの気球も来てる筈」

レンジャー「そういう事は早く言って欲しかった…そうか地下から攻める一択では無いか…」

女海賊「なんかアンタいつの間に私らの仲間みたいになっちゃってんの?」

レンジャー「今は人間対機械と魔物の戦いになっている…争っている場合では無い」

女海賊「あんた賢いね…そういう事だよ」

レンジャー「よしこうしよう…地下の水が引けるまでの間俺達は地下の安全確保に努める」

女海賊「ふむ…ほんで?」

レンジャー「その間お前達は上空から降下出来る算段を計画してくれ…その際俺達の隊も上空に加わる」

女海賊「上空と地下の2方面から攻めるって事?」

レンジャー「地下線路は避難路だ…主力が上空から行く」

女海賊「なる…ちっとお姉ぇにその話してくるわ」
950 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:28:56.74 ID:KpvTj3yS0
『製鉄所』


カクカク シカジカ


女戦士「…ふむ…あの黒鉄のレンジャー…相当出来る奴だな」

女海賊「なんかアサシンと相性良い感じだよ」

女戦士「あのような者が黒の同胞に居たのか…」

魔女「どうやら隊を率いる器は主と同じ資質を持って居るのぅ…」

女戦士「よし…女海賊!お前は一度地上へ戻って上空から攻略する術を探してこい」

女海賊「おけおけ!!」

女戦士「魔女は地下の維持に必要だからすまんが一緒に残って貰う」

魔女「分かって居る」

女戦士「それからリカオンを連れて行け…鼻が役に立つだろう」

女海賊「プラズマの銃も持って行って良い感じ?」

女戦士「いま今必要無い…兵隊共に見せびらかすのもアレだしな」

女海賊「おーーし!!新兵器を試してみるぞ!!あ…そうだ」

女戦士「んん?」

女海賊「私のデリンジャーお姉ぇに預ける…お姉ぇは遠距離武器持って無いっしょ?」ポイ

女戦士「良いのか?」パス

女海賊「この新型兵器が有るからさ」チャキリ

女戦士「では使わせて貰う…」チャキリ

女海賊「左手にデリンジャー…右手に破壊の剣…お姉ぇはその格好が一番合う」

女戦士「早く行って来い!」
951 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:29:38.69 ID:KpvTj3yS0
『坑道最下層』


ワサワサ フミフミ


女海賊「リカ姉ぇ!!一緒に地上上がるよ!?」

狼女「聞こえてた…もう行く?」

女海賊「あれ?ローグもここに居るって聞いてたんだけどなぁ…」キョロ


タッタッタ


ローグ「姉さ〜ん!!呼びやしたかねぇ?」

女海賊「あ!!居た居た…これアンタの分!!」ポイ

ローグ「おわわわ…」パス

女海賊「それ無いとアンタ縦穴登れないっしょ?」

ローグ「おぉ!!ワイヤーの仕掛けっすね!!」

女海賊「おっし!!ほんじゃ私等地上に上がるからさ…あとお姉ぇの事お願い」

ローグ「分かりやしたぁ!!」

女海賊「ほんでコレ…リカ姉ぇの分」ポイ

狼女「フフ私は自分で登れるのに…」

女海賊「なんだそんなに身軽だったのか…」

狼女「お前より体重が軽いからな?」

女海賊「ムッカ!!悪いけど私はデブじゃないから!!筋肉が重いだけなんだよ」

狼女「競争してみる?」ニヤ

女海賊「何そのエルフみたいな態度…」スタタタ ピュー

狼女「無駄よ」シュタタ

女海賊「フフフ…ワイヤーはこうやって使うんだ」パシュ シュルシュル シュタ

狼女「!!?飛んだ…」シュタタ

女海賊「そっち遠回りだから…お先ぃぃ!!」スタコラ
952 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:30:13.50 ID:KpvTj3yS0
『坑道入り口』


ハァハァ フゥゥゥ


女海賊「くっそ!!なんでそんなに早いのさ!!」ハァハァ

狼女「言ったでしょ?無駄だって…」ハァハァ

女海賊「リカ姉ぇも息上がってんじゃん」

狼女「でもそのワイヤーがすごく良い事は分かった…使わせて貰う」

女海賊「初めから素直にそう言えば良いじゃん…」

狼女「ふぅぅ…やっとゾンビの嫌な匂いから解放…」スゥゥゥ ハァァァ

女海賊「ちっと温泉入って行こうか」

狼女「そのつもり…服も綺麗に洗わなきゃ…」

女海賊「もう何日水浴びして無いんだろう…そろそろアソコ腐りそうだ」

狼女「ちょっと匂い移るから近付かないで」

女海賊「てかリカ姉ぇも濡れた犬臭いんだって」


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953 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:33:00.58 ID:KpvTj3yS0
『温泉』


ザバァァァァ ザザザザー


女海賊「はぁぁぁ超気持ち良いなぁ…」

狼女「服脱がないの?」

女海賊「服も一緒に洗えるから良いじゃん」ゴシゴシ

狼女「私が気になるの!!脱げ!!」グイ

女海賊「濡れてるから着る時大変なんだって…」ジタバタ

狼女「ダマレ脱げ!!」グイ

女海賊「あれ?リカ姉ぇ尻尾が…」

狼女「あぁ…生きた血肉足りなくて隠し切れなくなって…」

女海賊「これ尻尾で体洗って良い?」ゴシゴシ

狼女「ちょっと!!止めて!!」

女海賊「良いじゃん!!これで背中洗える」ゴシゴシ


バチーーーン


女海賊「痛った!!」ヒリヒリ

狼女「私の着替え持って帰って!!」

女海賊「え?」

狼女「ちょっと狩りして来る」ガブリ


ムクムク モサモサ


女海賊「うっわ…変態って見ちゃいけない感じだね」

ウェアウルフ「うるさい!!狩りしたら戻るから先に帰ってて」ピョン シュタ

女海賊「へいへい…どうすっかなぁ…こんな土砂降りで…」

女海賊「しっかり温まってダッシュで還るかぁ…」


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954 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:33:31.49 ID:KpvTj3yS0
『大型気球』


ザブザブ ドテ


情報屋「あら?女海賊じゃない…どうして?」

女海賊「温泉で温まり過ぎた…」

商人「ハハずぶ濡れだ…着替えた方が良いね」

女海賊「あんたどっか行ってよ」フラフラ

商人「君の裸なんか興味無い」

女海賊「まぁ良いや…情報屋着替えある?」

情報屋「残念ながらみんな濡れてしまって…」

女海賊「乾かすしか無いかぁ…」ヌギヌギ

情報屋「此処だとなかなか乾かないわよ?」

女海賊「コレだよ…」


ピカーーーー


商人「うわっ…光の石か…目に痛い」タジ

情報屋「それ暖かいわね…」ポカポカ

女海賊「ちっと日光浴で休む…」グゥ

商人「いやぁ素っ裸で寝てしまうなんて女とは思えないな…」

情報屋「一応毛皮を被せておきましょう」

商人「…じゃぁ話の続きをしようか」


現時点でハテノ村は南極に位置する訳だ…

気温が下がって来ないのは分厚い雲のお陰で急には下がらない

下がるとしても何日か掛けて寒くなるけどその間にどんどん緯度が変わって行く

海士島付近が南極点に位置するとしてハテノ村の最終緯度はほぼ元の位置

つまり北と南が反転する…太陽の登る位置が変わる…

それ以外の影響はあまり大きく無いという事か


情報屋「緯度は少し赤道に寄るから暖かくなる筈ね」

商人「今地軸がどれくらい移動したのか観測する術が無いね…天候が晴れないと何も出来ない」

情報屋「とりあえず食料が足りないという事は無いからしばらく様子見ね」


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955 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:34:00.95 ID:KpvTj3yS0
『数時間後』


シュタタタ ドテ


商人「うお!!リカオンまで裸?」

狼女「寝る…」ゲフー

商人「どうなってるんだ今日は…」

情報屋「困った2人ね…よいしょ」グイ

狼女「すや…」zzz

情報屋「あら?リカオンは軽いのね…」ヨッコラ

商人「君も脱いだら?」

情報屋「ダメよ私はもうおばさんなのだから…」

商人「ハハ気にして無いけどね」

情報屋「私は恥ずかしい気持ちを持って居るの」

商人「さて…そろそろ影武者が取引から戻って来るだろうから外に出て居ようかな…」スック

情報屋「南のオークと良い関係になれば良いわね」

商人「そうだね…こうやって何回か取り引きすれば関係も良くなるはず」

情報屋「オークが石炭とか骨も食べると言うのはどうやって知ったのかしら?」

商人「影武者がハーフオークの子が食べて居るのを見た事が有るらしい」

情報屋「そう…見返りに何が貰えるのか少し楽しみね」

商人「僕もだよ…じゃぁ行って来る」
956 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:34:29.06 ID:KpvTj3yS0
『ハテノ村_広場』


フワフワ ドッスン


商人「やあ!影武者待って居たよ…取り引きは上手く行ったかい?」

影武者「商人さん濡れてしまいます…中へどうぞ」ササ

盗賊「おい影武者!球皮どうすんだ?片づけて良いんか?」

影武者「荷を入れ替えたら直ぐに漁村へ向かうからそのままで良いよ」

商人「君は忙しいねぇ…」スタ

影武者「商人さんこれを見て下さい…」

商人「おぉ!!薬草と毒消し草…琥珀もあるじゃないか」

影武者「全部錬金術の良い材料になります」

商人「オークがこんなものを持って居るのか…」

影武者「これは降ろしてハテノ村で加工しましょう」

商人「錬金術師なんか居たっけ?」

影武者「はい…傭兵の一人に錬金術に詳しい方が居ます」

盗賊「おい影武者!!石炭を積めるだけ積んどきゃ良いんだな?」ゴソゴソ

影武者「そうだよ」

盗賊「おい商人!!お前も荷の入れ替えを手伝え!!」

商人「あ…あぁ…」

盗賊「残念だったな?今じゃお前も雑用係よ…ヌハハ」ヨッコラ

商人「僕は嬉しいよ…影武者の働きぶりを見ると」セッセ

盗賊「どうやら影武者はお前より気が利くんだ…相手の欲しい物を見抜いてるって言うのか?」

商人「そうか…もう次の事を考えて居るんだね」

盗賊「まぁ任せておけ」

商人「そうだね…」


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957 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:35:00.32 ID:KpvTj3yS0
『大型気球』


うひゃぁぁ ドタドタ


盗賊「あぁぁビタビタになっちまったぜ…」ポタポタ

情報屋「おかえりなさい…光の石で日光浴出来るからあなたも脱いだら?」

盗賊「光が漏れてると思ったらそういう事か…女海賊来てんだな?」

情報屋「寝てるから起こさないように…」

盗賊「うお!なんだ裸で寝てんのか…しかもリカオンまで…」

情報屋「疲れているのよ…あまり見ちゃダメ」

盗賊「ガキには興味無え」

情報屋「はい海賊王が持って来たお酒」スッ

盗賊「おぉ気が利くなぁ…」グビ プハァ

情報屋「商人は居る?」

商人「少し貰うよ」

盗賊「ヌハハこりゃちょっとした酒場だ…お前がマスター役な?」

情報屋「何言ってるの…はい商人!」スッ

商人「これで吟遊詩人が居ればねぇ…」

盗賊「アイツは教会で子守役よ…ガキ共に気に入られてるみたいだしな」

商人「向こうは向こうで娘達が酒場みたいな事やってるよ」

盗賊「ガキがうるさくて落ち着かん…しかし日光浴が気持ち良いな」グビ

情報屋「そうね…随分太陽を見て居ないから」

盗賊「地下線路に籠ってる奴らなんかずっと見てないだろうけどな?」

商人「光の石をこっちに持って来て良かったのかな?」

盗賊「あっちは魔女が居るんだ…照明魔法で明るい訳よ」

商人「あぁそうか…」

盗賊「ほんで女海賊とリカオンが揃って戻って来るって事は何か有るんだろうな?」

情報屋「まだ何も聞いて居ないわ?…此処に来ていきなり寝てしまったから」

盗賊「まぁ起きるまで酒飲んで寛ぐべ…」グビ プハァ



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958 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:35:53.82 ID:KpvTj3yS0
『夜?』


ガバッ! キョロ!!


盗賊「いよーう!起きたか?」

情報屋「服が乾いているからこれを着て?」

女海賊「またやっちゃったなぁ…寝過ごした」ゴソゴソ

盗賊「ケツ見えてんぞーヌハハ」グビ

女海賊「うっせー!見んな!!」

情報屋「ワームの肉焼けてるけど要る?」

女海賊「ええ!?シカ肉の方が良いよぉ…」

情報屋「シカ肉は保存用で全部干し肉にしてしまったのよ…こっちの方が美味しいわ?」

女海賊「私のウンコ食ったイモムシはパース!!要らん!!」

盗賊「俺が食うからヨコセ!!」グイ ガブリ

商人「…それで?君達2人が地上に出て来たのは理由が有るんでしょ?」

女海賊「エド・モント砦を上空から探す為さ」

盗賊「狭間に隠れてるんだぞ?空からじゃ無理だな」

女海賊「アダマンタイトで狭間になってる訳じゃ無いんだ…自然に起きてる狭間」

盗賊「同じだろう?」

女海賊「光の石で狭間を遠ざけるのさ…そしたら探せるかも知れない」

商人「おぉ!!そういう事か…」

女海賊「ほんで鼻の利くリカ姉ぇと一緒に探しに行くんだ」

商人「それなら僕も行きたいな…どのくらい地軸が移動したかこの眼で確かめたい」

情報屋「私もよ…」
959 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:36:22.95 ID:KpvTj3yS0
盗賊「ぐはぁ…ヤベェな俺は置いてけぼり食らっちまう」

女海賊「あんたは早く遺跡掘り起こしてよ」

盗賊「ガーゴイルが来るからよう…なかなかそういう訳にも行かなくてな?」

女海賊「今酒飲んで寛いでんじゃん!!めっちゃ暇そうなんだけど!!」

盗賊「いやこれでも警戒中よ…ホラ?」スチャ

女海賊「プラズマの銃か…それ他の人に使わせたら?」

盗賊「ダメだ…他の奴らはセンスが無ぇ…こいつはリロード時間計算して使う必要が有るのよ」

女海賊「ほーん…まぁ良いや…どっちにしても雨止まないと穴掘りも危ない」

盗賊「うむ…いつ崩れるか分からんからドワーフもあそこには近づかん」

女海賊「ちょいリカ姉ぇ起きたら早速行こっか…キ・カイの様子も見て来たいし」

商人「そうだね…出来るなら物資調達もしたいな」

女海賊「物資?何が居るん?」

商人「ホムンクルスの生体に使う材料さ…」

女海賊「もう一人のホムちゃん用か…」

情報屋「キ・カイに行くなら一人だけ助け出したい人が居るのだけれど…」

盗賊「お?前に言ってた足の不自由な学生だな?女狐の隠し子なんだろ?」

情報屋「そう…放って置けない」

女海賊「おけおけ!!おい!!リカ姉ぇ!起きろ!!」グイグイ

狼女「ぅぅん…」パチ キョロ

女海賊「なんか太った?」

狼女「調子に乗ってシカ一匹全部食べた…反省してる」

女海賊「ちょ…なんで残してくれないのさ!!」
960 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:36:52.43 ID:KpvTj3yS0
『鯨型飛空艇』


ヨッコラ ドスン!


女海賊「よっし!これで硫黄は満載…ほんじゃ出発すんよ」グイ


シュゴーーーーー フワフワ


商人「あ!!あれはベヒモスだ!」ユビサシ

情報屋「本当ね…このままだと村が襲われそう」

女海賊「リカ姉ぇ!!このインドラの銃で狙撃して」ポイ

狼女「プラズマの銃と使い方は同じ?」

女海賊「望遠鏡覗いて撃つの…2発撃てるから外したら修正すれば良い」

狼女「分かった…」スチャ

女海賊「この距離なら十分当たる筈…」

狼女「よし…当たれ!!」カチ


シュン! パパパパパン! チュドーーーン


商人「当たった…でも頭は外してる…逃げられるぞ?」

狼女「次で仕留める…」ガチャコン カチ


シュン! パパパパパン! チュドーーーン


狼女「あぁぁぁ頭は外れた…」

女海賊「おけおけ!2発も当たってたら無事じゃ無いから」

商人「これさ?空中で当たった雨粒が水蒸気爆発してる?」

女海賊「そだね…それで微妙に狙い狂って頭外してると思うよ」

狼女「…そういう事か」

商人「ようし!僕はクロスボウで警戒しておこうかな」ガチャ

情報屋「私は反対側を見て置く」ガチャ

狼女「まだプラズマの銃が残ってる…そう考えるとこの飛空艇の火力はスゴイな…」

女海賊「あれ!?思ったより気温低くて高度上げるとヤバいかも…」

情報屋「今は南極圏の筈…上空の氷が怖いわね」

女海賊「ちょい低空で行くわ…ガーゴイル警戒してて」グイ


シュゴーーーーー ビュゥゥゥゥ


商人「視界悪いねぇ…」キョロ

女海賊「ぬぁぁぁ羅針盤もダメだぁ…方向分かんないじゃん!」

商人「影武者は川を目印に河口まで行くと言ってた」

女海賊「おけおけ…一回それで雲の薄い所に出たい…ちょい遠回りだけど…」
961 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:37:23.39 ID:KpvTj3yS0
『翌日_河口付近』


シュゴーーーーーー ヒュゥゥゥ


商人「霧の向こうに海賊船が見える…」

情報屋「ここに集まって来て居るのね」

女海賊「ちょい高度上げて雲の上に出る…揺れるよ?」グイ


グラグラ


女海賊「やっぱ寒いな…今の時点で−20℃だ…」

商人「そんなに感じないけどね?」

女海賊「クモの巣で断熱されてるのかも…」

狼女「視界開けて来た…太陽の位置が低い!」

女海賊「やっぱ方角分かんなくなるね」

狼女「この位置なら海と陸の方向は分かるよ…とりあえず海岸沿いにキ・カイ方面だね?」

女海賊「うん…操舵まかせるわ…わたしちょっと観測する」ゴソゴソ

商人「観測?どうやって?」

女海賊「見えてる星座がどの星座か見るだけさ」

商人「なるほど…それでおよその方角が分かるか…」

女海賊「だと良いけど…」



『1時間後』


女海賊「ダメだァァァなんも分からん!!」

狼女「下も全部霧で覆われてて方向見失いそう…」

情報屋「やっぱり相当深刻ね…海は航海出来ないわ」

商人「陸地が頼りだ…高度落とした方が良いよ」

女海賊「そだね…安定飛行してハイディングしたかったけど無理っぽい」

狼女「高度下げる…」グイ

女海賊「あ!ちょちょちょ…球皮の熱抜かないと高度下がんないんだ…ここ引っ張る」グイ


バサバサ スイーーー


狼女「へぇ?全然操作方法違うんだ…」

女海賊「慣れれば簡単だから」
962 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:37:50.61 ID:KpvTj3yS0
『海岸沿い』


商人「流氷が流れてる…」アゼン

情報屋「どこから流れて来たのかしら…」

女海賊「未来の予言だと海士島付近が南極点だったね…地球は常に回ってるから今の極点はどんどん移動してる…」

情報屋「その筈…もしかするとこの場所が極点かも知れない…でも明日は違う」

女海賊「そうかそれで羅針盤がいつも違う方向差すのか…という事は羅針盤の動きをしっかりメモしてれば良いな」

商人「おお!!?そういう事か…君賢いな!!」

女海賊「うーん…時間を正確に把握できないのと現在地もイマイチ分かんない…やっぱ意味無いな…」

商人「いや…それでも参考にはなる…どれくら地軸がズレたかのね」

女海賊「それって現在地に対してだよ…私等移動してるから分かんなくなる」

商人「あぁぁ…確かに…」

女海賊「結局地軸の移動が安定してからじゃ無いと何やっても意味無い」

情報屋「いつ始まったのかも分からないものね…」

女海賊「せめて晴れて居れば南極星の角度で分かるんだけどね…」

商人「気球で雲の上まで行ったら今度は球皮が邪魔か…」



『キ・カイの壁外』


フワフワ ドッスン


商人「よし!僕は荷車持って来て硫黄を運ぶ…」

情報屋「手伝わなくて良いの?」

商人「あまり人が集まっていると逆に怪しい…僕一人で大丈夫だから君達は自由にしてて良いよ」ゴソゴソ

女海賊「集合はいつにすんの?」

商人「チカガイ居住区の商人ギルド支店にある僕の隠れ家は分かるよね?」

情報屋「ええ…」

商人「明日のこれくらいの時間に集合しよう…それまでに取り引き終わらせるから」

情報屋「わかったわ…例の足の不自由な子も連れて行く」

女海賊「私その場所知らないんだけどさぁ…」

情報屋「案内するわ…まずそこに行きましょう」

女海賊「おけおけ!私もちょっと買い物したい」

情報屋「何が必要?」

女海賊「測量機と望遠鏡さ…緯度と経度調べたい」

情報屋「それなら専門の店があるから教えてあげる」

女海賊「おぉ!!でもあんまお金無い」

商人「僕の隠れ家にある金貨は適当に使って良い」

狼女「それなら私の着替えも…」

女海賊「おっし!!リカ姉ぇのコーディネートも変えよう…行こ!!」

商人「じゃぁ…明日隠れ家で」ノシ
963 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:38:18.81 ID:KpvTj3yS0
『旧市街地』


ヒュゥゥゥ… シーン


情報屋「もう誰も地上で生活して居ないのね…」

女海賊「向こう側はまだ明かりが付いてんじゃん」ユビサシ

情報屋「この感じ…100日の闇を思い出す」

女海賊「そういやあん時も誰も居なかったね…死体が積み上げられてたっけ…」

情報屋「まだ若くて何も知らなかった…今世界の事が色々分かってやっと公爵の行いがどんな物なのか理解出来る」

女海賊「あん時に公爵は今の私達と同じ感じだった?」

情報屋「そうよ…私達のずっと先を行ってたの…公爵もまた英雄の一人だと思うわ」

女海賊「英雄ねぇ…なんか違う気がするけどな」

情報屋「手段はどうあれ世界を導いてる…私達も別の手段で人を導いてる…残念だけど噛み合わなかった」

女海賊「ねぇ…予言の話なんだけどさ…地軸の移動の後に人類が滅ぶって奴…それ未来が回避したんじゃ無かった?」

情報屋「放射能という毒で子供が生まれなくなるのは回避した様ね…でも本当はそれだけじゃ無いの」

女海賊「本当の事って何さ?」

情報屋「良く見て?私は年老いる…あなたは?」

女海賊「え?あぁゴメン若いのを見せびらかすつもりは無いんだ…」

情報屋「人間の純血は遺伝的に終末を迎えてしまうのよ…あなた達との混血しか残されていない」

女海賊「それってホムちゃんが言ってた事?」

情報屋「そう…それを人間が拒否し続けた結果悪い方に事が転んだ」

女海賊「戦争…」

情報屋「精霊はエルフやドワーフ…ノームもオークとも混血させて人間を保存する事を画策したの」

女海賊「ホムちゃんが言ったまんまだね」

情報屋「そうしないと生き永らえない…でも人間はそれらを魔物と定義して嫌がった」

女海賊「私は自分を人間だと思ってるんだけどね」

情報屋「ニュータイプと言えば良いのかな?純血のオールドタイプはそれを嫌がる…それが混沌を生んだ歴史」

女海賊「オールドタイプが滅ぶっていう事か…」

情報屋「もしかするとすべて精霊の計画通りなのかも知れないわ…」

女海賊「ちょいピーンと来た事あんだけど…」

情報屋「何?」

女海賊「光る隕石落としたのホムちゃんって言う可能性は?」

情報屋「フフ…それは商人がずっと前から疑ってる…でも確証が無い」

女海賊「あぁぁぁなんか色々分かって来た…」

情報屋「公爵が純血を保とうとする信条をあなたは理解できる?」

女海賊「失いたくない心?歴史?愛?…人が持って居る何か…」

情報屋「それを誰に折る事が?」

女海賊「私知ってる…人の心も歴史も愛も何もかも残せる物がある…」

情報屋「え?」

女海賊「歌だよ…」


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964 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:38:58.66 ID:KpvTj3yS0
『チカガイ居住区』


ザワザワ ガヤガヤ

志願兵を募ってるってよ…これで食いっぱぐれる事は無くなる

製鉄所でも働き口があるそうだ…どうする?

ザワザワ ガヤガヤ


情報屋「…良い測量器具見つかった様ね」

女海賊「丁度たたき売りしてて良かった」

情報屋「それ六分儀ね?」

女海賊「そそ…あと機械式の時計さ」

情報屋「時計は値が張ったんじゃない?」

女海賊「どうせ商人のお金だし良いんじゃね?…ほんでリカ姉ぇは?」

情報屋「さっき着替えに行って…あ!居た居た」


シュタタ


女海賊「だぁぁ何だよその格好は…男みたいじゃん!!」

狼女「悪いか?」ギロ

女海賊「もうちょっとお洒落に気を使えよ」

狼女「お前は派手過ぎだ…尻が半分見えてる」

女海賊「まぁ良いや!どうせ又破けて着替えるんだから」

情報屋「じゃぁ私は例の子を迎えに行って来るからここで分かれましょう」

女海賊「おけおけ!隠れ家で待ってれば良いね?」

情報屋「まだ時間があるから騒ぎを起こさない程度に散策しても良いわ」

女海賊「騒ぎねぇ…」チラ

狼女「…」シラー

女海賊「リカ姉ぇ!チカテツ街道8番見に行こうか」

情報屋「立ち入り禁止よ!?」

女海賊「分かってる!ちょっとどんな感じか見るだけさ」

狼女「こっちだ!」シュタタ

女海賊「ああ!!ちょい待って…情報屋これ預かってて」ガシャ

情報屋「あ!!もう!!」

女海賊「六分儀…隠れ家に突っ込んどいて!!すぐ戻る」スタタ

情報屋「あの2人は…」プン
965 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:39:35.96 ID:KpvTj3yS0
『チカテツ街道8番_物陰』


ドタドタ

火炎放射器の搭載急げぇ!!

榴弾砲は後方に配置!!貫通砲は前列だ!!


女海賊「…うわ…重装射撃砲いくつあんだろ」

狼女「ここは最終防衛に使う予定みたいだ」

女海賊「あぁそんな感じだね…確かエド・モント砦はこの8番からしか通じて無かった筈」

狼女「この様子だとキ・カイまで魔物が入られることは無さそう…」

女海賊「前線が何処にあるか分かる?」

狼女「エド・モント砦の一つ手前の分岐らしい…ここからトロッコで20時間くらい」

女海賊「結構向こうまで攻めてるんだ」

狼女「殆ど一本道だからね…あの大砲ならグレムリンも一発で仕留められそう」

女海賊「レイスとか出てきたらまた事情が変わるなぁ…」

狼女「その話も聞こえて来る…海抜の低い場所だと出ないとか…」

女海賊「あ!!そういやそうだ…地下は深い狭間にならないんだった…」

狼女「危ないのはむしろハテノ村の方だよ」

女海賊「ほんじゃこっちはあんま心配無いね」

狼女「軍部の派兵団と憲兵団で足並み揃って無い様だよ…さっきからずっと言い争ってる」

女海賊「なる…攻めるか守るかって感じね?」

狼女「エド・モント砦に籠ってるのが機兵団だね…全部でキラーマシン500台程度らしい」

女海賊「ふ〜ん…」ハナホジー ポイ

狼女「んん?なるほど…」

女海賊「何?自己完結しないでくれる?」


キ・カイの指導部では今回のクーデターがオークと協調している様に見えてる様だね

エド・モント砦に攻め入るタイミングで再度キ・カイ本拠地へオークがなだれ込んで来るのを警戒している

オーク側に一人の科学者が亡命したのが協調している証拠だとか…


女海賊「科学者?亡命?何の話?」
966 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:40:03.61 ID:KpvTj3yS0
狼女「私にはとてもバカバカしい揉め事に聞こえる…オーク側に亡命したのは頭のおかしいジャンク屋だと言うのに」

女海賊「ほ〜ん…」ハナホジー ポイ

狼女「さっきから鼻ほじってポイポイするの止めてくれる!!?」イラ


兵隊「そこに居るのは誰だ!!」ダダ


女海賊「ヤバ…」

狼女「各自で隠れ家!」ピョン クルクル シュタ

女海賊「うわ…はや!!」スタタ

兵隊「ここだな!!?」ダダ

女海賊「ハイディング!」スゥ…

兵隊「おかしいな…確かに人影が見えたのに…ん?」キョロ

女海賊「しまった…ここハイディング安定しないんだ…」

兵隊「居た!!動くな!!」チャキリ

女海賊「ベロベロベー…」パシュ シュルシュル シュタ

兵隊「何ぃ!!機動隊か!!」ダダ

女海賊「やばやば…」スタタタ ピューーー

兵隊「憲兵!!憲兵!!出動!!」


ピィィィィィィィィ


女海賊「煙玉の特殊弾…」ゴソゴソ ガチャコン

兵隊「待てぇ!!」バシュン バシュン

女海賊「動く相手に簡単に当たるもんか!!食らえ!!」バシュン バシュン

兵隊「あの武器は間違い無く特殊機動隊…」ダダ


モクモクモク モクモクモク


兵隊「くそう!!どこだ!!」キョロ

女海賊「あらよっと!!」パシュ シュルシュル シュタ

兵隊「上か!!ちぃぃぃ…通常兵装で追える訳無い…」ダダ

女海賊「もっかいハイディング!」スゥ

兵隊「ダメだ…光学迷彩まで…」キョロ


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967 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:40:43.68 ID:KpvTj3yS0
『商人ギルド支部』


ザワザワ ザワザワ

また8番の方で何か有った様だ…

なぁに憲兵団が沈めてくれるさ…この間だってオークを追い返したのは憲兵団だ

もう!静かにしてよ!!取引の邪魔になる!!


情報屋「…あの2人ったら」キョロ

青年「2人?」

情報屋「こっちの話よ…あなたは気にしなくて良いの」

青年「先生…僕はこれから何処へ?」

情報屋「もっと世界を勉強しに行くの…狭い学舎とはお別れよ」

青年「世界…見てみたかったんだぁ…」


スタスタ


商人「あ…情報屋!ここに居たのか」

情報屋「商人!?取引は?」

商人「ハハもう終わったよ…政府が全部買い取ってくれた」

情報屋「錬金術の材料は?」

商人「直ぐに揃えてくれたさ…もうここに用は無い」

情報屋「じゃぁあの2人待ちね」

商人「僕は先に飛空艇へ荷物を運んで来るよ」

情報屋「それなら女海賊の荷物も一緒に運んで?」

商人「良いよ…何処かな?」

情報屋「あなたの隠れ家に置いてあるわ…六分儀よ」

商人「なるほど…一緒に持って行く」スタ

情報屋「この騒ぎ…地上に出られなくなりそうね…」

商人「かもねぇ…」

情報屋「先にこの子も飛空艇に乗せて置いた方が良さそう…私も一緒に行くわ」

商人「じゃぁ僕は飛空艇で留守番かな」

情報屋「そうね…急ぎましょう」


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968 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:41:12.52 ID:KpvTj3yS0
『鯨型飛空艇』


ゴトゴト ヨイショ!!


青年「スゴイ!!何だコレ…」キョロ

情報屋「車椅子は荷室に入れて置くわ…ハンモックへは自分で上がれる?」

青年「這って行けば大丈夫…自由に見て回って良いの?」

情報屋「勝手に動かして壊してしまわないなら…」

商人「僕が見て置くよ…」

情報屋「それなら安心ね」

青年「水銀柱…水頭柱…ピトー管…ジャイロ…測量器具に六分儀…温度計はこれか…」

情報屋「興味身心ね?」

商人「珍しい書物もあるよ?」

青年「先生!!紙とペンが欲しい」

商人「あるある…好きな様にメモ取れば良い」ポイ

情報屋「じゃぁ商人!私は隠れ家であの2人を待ってるから…あとはよろしく」

商人「青年くん!!君は僕と境遇が似てるねぇ…」

青年「ハハそうなんだ?」

商人「僕は心臓が悪かった…君は足だ…どうしてそんな子供が生まれて来るか考察してみよう」

青年「え?」

商人「実は…」


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969 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:42:05.46 ID:KpvTj3yS0
『商人ギルド支部_隠れ家』


ガチャリ バタン


情報屋「…」ジーーー

女海賊「…」ヒョコ

狼女「…」ヒョコ キョロ

情報屋「ふぅぅ…あなた達二人とも…無事ね?」ヒソ

女海賊「外ヤバイ感じ?」

情報屋「厳戒態勢よ…まったく…」

狼女「ドジったのは女海賊の方さ」

女海賊「私がタゲ引いちゃったからリカ姉ぇは安全に逃げられたんだって!」

情報屋「まぁどっちでも良いわ…兎に角このままでは地下から出られないから政府用の連絡通路から出るわよ」

女海賊「おけ!!地上まで出たらハイディングで上手く逃げられる」

情報屋「でも朝まで待たないといけない」

女海賊「今昼か夜か良く分かんない…夜?」

情報屋「朝と言う表現が良く無いわね…連絡通路の門番が来たらっていう事」

女海賊「そういう事ね…」

情報屋「これで分かったでしょう?どうして人間同士争う事になってしまうのか…」

女海賊「え!?」

狼女「…」

情報屋「私は騒ぎ起こさないように言ったわね?…でもあなた達は能力が高いから行動した」


その行動は普通の人には出来ない事なの

きっとそれを見られてしまった訳

人間は自分たちの考え超えた何かをとても恐れる

それは猜疑心を生んで味方を疑い始める


女海賊「ほんじゃ私達の行動で仲間割れ起こさせてんの?」

情報屋「それが人間の弱さよ…恐れて居るの」
970 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:42:31.26 ID:KpvTj3yS0
狼女「その通りだよ…私は全部聞こえてた…誰も悪く無いのに人を疑う…そんなやりとりばかり」

女海賊「てか何もしてないんだけどね…隠れて見てただけ」

狼女「誰かに見られて居るっていうだけで猜疑心が生まれる…」

女海賊「バッカみたい」

情報屋「そうね…でもそれが人間なの…許して」

女海賊「あ…ゴメンなんか責めてるみたいな事言って…」

情報屋「良いのよ…」ニコ

女海賊「私さぁ…人間の凄い所って愛だと思うんだ…」

情報屋「え?」

女海賊「盗賊も人間じゃん?アイツが語る愛ってさ…なんか深いんだよ…ほんで言い返せない」

女海賊「そういう愛を歌にして皆に聞かせてる吟遊詩人も人間なんだ」

女海賊「人間の定めは愛を紡ぐ事だって昔魔女が言ってたんだけどさ…やっぱその通りかなって最近思った」

女海賊「無くしちゃダメだよね?愛を紡ぐって事…」

狼女「…」ガシ グググ

女海賊「なんだよ急に!!」

狼女「見直しただけ…」ギュゥ

情報屋「私達人間を守ってくれる?」

女海賊「なんか守らなきゃいけない気がして来た…大事な心を失ってしまいそう」

情報屋「まだ子供達が残されてる…私達が守らなきゃ…」


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971 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:43:04.08 ID:KpvTj3yS0
『朝?』


ヒソヒソ…

政府用の連絡通路に出たら直ぐにハイディングして飛空艇に行って…

その通路はかなり高所にあるから上手く伝って降りれば良い

あなた達なら簡単でしょう?

その後私は通常の出口から出て合流するわ…じゃぁフードを深く被って…


門番「止まれぇ!!ここは関係者以外立ち入り禁止だ!!」

情報屋「これを…」スッ

門番「んん?学者か…何をしに来た?」

情報屋「この学生2人に軍港を見学させに来ました」

門番「ふうむ…連絡は来ていないが…」

情報屋「リヴァイアサンの雷エネルギー量を算出する為に軍港の形状を見せておきたいのです」

門番「…」ジロリ

情報屋「通っても?」

門番「機械省の者か?」

情報屋「い…いえ考古学部門です」

門番「ふむ…パスにもそう書かれて要るか…通れ!!軍港の奥には抜けるな?」

情報屋「はい…失礼します」ペコリ スタ

女海賊「…」ペコリ

狼女「…」ペコリ


-------------


情報屋「このまま軍港へ向かう通路の上に来たらハイディングして逃げて…」ヒソ

女海賊「おっけ!」ヒソ

狼女「…」クンクン

女海賊「リカ姉ぇ行くよ…」グイ

狼女「…」キョロ

女海賊「ハイディング!」スゥ

狼女「あ…」

女海賊「何してるんだよ…飛び降りるよ!!」

狼女「ダメ!!狙われてた!!」

女海賊「ええ!!?」

狼女「情報屋が諜報員だってバレてる…」

女海賊「ヤバ…戻る!!」


リリース!! スゥ
972 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:43:33.38 ID:KpvTj3yS0
『一瞬前』


撃てぇ!!

バシュン バシュン バシュン バシュン


兵隊「き…消えた…」

隊長「光学迷彩だ!!構わず撃て!!」


バシュン バシュン バシュン バシュン


情報屋「え!!?」グサ グサ

情報屋「待ち伏せ…」ヨロ


リリース! スゥ…


女海賊「リカ姉ぇ!!情報屋背負って逃げて!!」パシュ シュルシュル

狼女「分かった!!」ガブリ


ムクムクムク モサモサ


兵隊「ウェアウルフだ!!化けていやがった」ガチャコン バシュン!

狼女「情報屋!!背中に掴まって!!」

情報屋「くぅぅぅ…」ヨロ ポタポタ

狼女「くそう…」グイ ピョン

女海賊「早く行って!!」バシュン バシュン


モクモクモク モクモクモク


隊長「上だ!!撃ち落せ!!」

兵隊「なんだアイツ…空中を飛んで居るのか…」バシュン バシュン

女海賊「閃光弾…閃光弾…」ゴソゴソ ガチャコン


バシュン バシュン ピカーーーーーーーーーー


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973 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:44:05.76 ID:KpvTj3yS0
『下の路地』


ピョン シュタッ


情報屋「ぅぅぅ…」ポタポタ

狼女「急所には当たって無い?」シュタタ

情報屋「胸…息が出来ない…ごふっ…ごぼごぼ…」

狼女「浅く…早めの呼吸で…」シュタタ

情報屋「フッフッフッ…」

狼女「商人がエリクサー持ってる…我慢して」シュタタ

情報屋「…」クター

狼女「女海賊…空中で戦って居るのか」シュタタ

狼女「アイツあんな戦い方を…」


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974 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:44:31.90 ID:KpvTj3yS0
『連絡通路』


パシュン シュルシュル シュタ


女海賊「足場崩してやる…」チャキリ シュン


チュドーーーーーン! パラパラ


兵隊「どわぁぁぁぁ!!…」ゴロゴロ

隊長「何ぃ!!あの兵器は古代の物か…」タジ

兵隊「まだ狙える…」ガチャコン バシュン バシュン


ピーヒャララ〜♪


隊長「何の音だ?」キョロ

兵隊「笛を吹いて…」


シュン グサ! モクモクモクモク


兵隊「うがぁ…煙が…なんだこれは!!」モクモク

隊長「ええい!!どけ!!」ドン

兵隊「これは殺傷兵器じゃない…軽傷で済む…」モクモク

隊長「あの手この手と忌々しい…さっさと煙を止めんか!!」

兵隊「奴らは何処へ…」フラ

隊長「またワイヤーを使って上に登り寄った…」

兵隊「…この戦い方は機動隊じゃない!!白狼の盗賊…」

隊長「なんだとぉ!?」

兵隊「見た事がある…煙と閃光…光学迷彩…そして誰も殺さない…」フラフラ

隊長「まさか白狼の盗賊が絡んで…」フラ

兵隊「女だった…のか…」ドタリ

隊長「おい!!しっかりしろぉ!!」ユサユサ


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975 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:45:13.81 ID:KpvTj3yS0
『鯨型飛空艇』


ゴボ ゴボゴボゴボ


青年「胸から血が噴き出て…」オロオロ

商人「肺に穴が開いてる…エリクサーで傷が閉じるまで出血は仕方ない…人工呼吸を続けて」

青年「気道よし…ふぅぅぅ」ゴボゴボ

商人「口から血を吸って吐き出すんだ…胸の穴は僕が押さえておく」ギュゥ

青年「ふぅぅぅ…」ペッ

情報屋「…」クター

商人「よしよし…賢者の石で傷口がふさがりかけてる…」

狼女「血が出過ぎてる…」

商人「輸血しよう…青年!君の血を情報屋に移す…腕を」

青年「はい…」スッ

商人「人工呼吸はそのまま続けて…管を入れるから少し痛むよ」グサ

青年「うぅ…」

商人「大丈夫…きっと助かる」

青年「ふぅぅぅ…」

情報屋「すぅぅぅ…」

商人「よし!!胸が膨らんだ…続けて呼吸を!!」

情報屋「げぇぇぇ…」ピューー ドバー

青年「血を吐き出して…」

商人「良いから呼吸続けて…」


リリース! スゥ


女海賊「情報屋は!?」ハァハァ

商人「こんな情報屋は初めて見た…」

女海賊「やば…線虫!癒せ!」ニョロリ

商人「肺の中に溜まってる血を吐き出させないと…薄めた食塩水作るから手当頼む」スタ

女海賊「線虫!線虫!線虫!肺の中の血を食ってこい!!」ニョロニョロ

青年「こ…この虫は!!?」タジ

商人「君は黙って人工呼吸続けるんだ」ゴソゴソ
976 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:45:56.12 ID:KpvTj3yS0
『どこかの上空』


シュゴーーーー ビュゥゥゥ


女海賊「高度上げないでおくわ…呼吸落ち着いた?」

商人「どうにか自律で呼吸出来てる…危なかったね」

女海賊「心臓に当たらなくて良かったよ」

商人「そうだね…でも肺も結構な重症だ」

女海賊「あんま出血して無かったから大丈夫と思ってたけど全部肺の中に血が出たんだね」

商人「うん…僕が傷口を無理やり押さえてたのもある」

女海賊「まぁ助かりそうだから結果オーライ」

商人「…それで?情報屋は諜報員だとバレて居たんだ?」

女海賊「リカ姉ぇがそう言ってた…地獄耳で聞いたんだと思う」

商人「もうキ・カイには戻れないだろうね…」


ニョロニョロ モソモソ


青年「…この虫は?」

女海賊「そいつはワームだよ…情報屋の血で床が汚れたから掃除させてる」

商人「虫だらけで驚いたかい?」

青年「あなた達は何者なんですか?」

商人「そうか情報屋から何も聞かされて居ないのか…」

青年「はい…無理矢理連れて来られて…」

商人「僕が渡した書物を読んで大体分かるんじゃないかい?」

青年「勇者達…伝説の話だとばかり…」

商人「話せば一晩じゃ語り尽くせない…彼女の眼を見てごらん」

女海賊「…」パチクリ

青年「青い瞳…伝説は今も…」

商人「まぁそういう事さ…君は書き物が得意なんでしょ?書き残すが良いさ…」

青年「先生が僕に勉強させたい事って…」

商人「書物1000冊あっても足りないくらいの知識が必要さ…そんな人が他にも居る」

女海賊「あんま期待させる事言うとガッカリするじゃない?」

商人「ハハそうだね…まぁラクにしてなよ」

女海賊「ほんでどうする?アテも無く飛んでるんだけど…」

商人「光の石で下を照らしながら飛んで見ようか」

女海賊「爆弾投下用の穴から照らして」

商人「分かった…通称ウンコの穴ね?」

女海賊「分かってんじゃん…さっさとやって」


パカ ピカーーーーーーーー


女海賊「こんなんで分かるんかなぁ…」
977 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:46:44.39 ID:KpvTj3yS0
『数時間後』


クィ ムグムグ


女海賊「あぁぁこぼしてる…上手い事飲んでくれないなぁ…」

情報屋「…」クター

商人「そりゃ昏睡してるんだから…」

女海賊「ハチミツ勿体ない…」フキフキ

狼女「ふぁぁぁ〜あ!」ノビー

女海賊「お!?リカ姉ぇ起きた!!」

狼女「んん?」キョロ

女海賊「言った通り直ぐに服破っちゃったねヌフフ」

狼女「着替えある?」

女海賊「無いよ」

狼女「あっそ…」スック

商人「あのね…青年も一緒に乗ってるんだから少しは気を使った方が良い」

狼女「着替え無いならしょうがないでしょう」

女海賊「わーったわーった!!毛皮加工して直ぐに作るから裸見せびらかさないで」

狼女「分かってたら先に作って置けば良いのに…」

女海賊「うっさいな気が付かなかったんだよ」ゴソゴソ

狼女「それで?今どんな感じ?」

商人「情報屋は昏睡…エド・モント砦探して彷徨ってる…これで通じた?」

狼女「情報屋が無事ならそれで良い…なんかお腹空いたなぁ…」

女海賊「肉なんか無いよ?」

狼女「地上に降りられる?シカ狩って来る」

女海賊「お?肉食える?」

商人「丁度今星が見えてるから一回下に降りて六分儀使うのも良いね…」

女海賊「おけおけ!!ちょい降りよう」

商人「下は雪だけど良いかな?」

狼女「降りる場所は私が決める…早く防寒着作って」

女海賊「直ぐ出来る…ちょい待って」ヌイヌイ


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978 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:47:15.19 ID:KpvTj3yS0
『凍った湖の横』


フワフワ ドッスン


女海賊「リカ姉ぇコレ着て」スッ

狼女「なんか肌の露出が多いんだけど…防寒着が欲しいって言ったでしょう?」ゴソゴソ

女海賊「そんな沢山材料無いんだって!それで我慢して」

商人「僕のマントを貸してあげるよ…」ファサ

女海賊「なかなか似合ってるじゃん」フムフム

商人「ハハどこかの蛮族だねぇ」

狼女「なんで角とか付いてるの?」

女海賊「それ一応防具なんだよ…急所は角でカバーしてる」

狼女「そう…じゃぁ私は林の方に入ってシカ狩って来るからここでキャンプして待ってて」

女海賊「おぉ!!バーベキューか!!よっし!!薪探して来る」

狼女「商人!プラズマの銃を渡しておくから飛空艇を守って」ポイ

商人「そうか僕しか居ないのか…」パス

青年「…」

商人「青年…君は飛空艇の中からクロスボウを使えば良い」

青年「使った事無いです…」

商人「引き金引くだけさ…まぁ使って慣れるんだ」

青年「は…はい」オドオド


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979 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:47:43.95 ID:KpvTj3yS0
『キャンプ』


メラメラ パチ


女海賊「飛空艇が丁度風よけになって結構暖かいな…」カチャカチャ

商人「そうかい?僕は寒さも感じないんだ…」

女海賊「便利な体だねぇ…」カチャカチャ

商人「僕もバーベキューが食べたいよ…」

女海賊「食えば良いじゃん…お腹壊す前にワームで処理してあげるよ」

商人「ええ!?そんな事出来る?」

女海賊「だからワームはウンコ食ってんだって」

商人「おぉ!!それなら食べても良いのかも…」

女海賊「ふ〜む…やっぱ相当緯度ズレてるな…今南極圏の筈だ」

商人「月の方角もおかしい…東も西も分からない」

女海賊「これ同じ場所で定点観測やらないと何も分かんないわ…ここでもう一晩過ごすのも勿体ないし…」

商人「今居る湖の場所は分かるよ…さっき地図で確認した」

女海賊「マジ?」

商人「ちょっと地図持ってくる」タッタ


ドタドタ ゴソゴソ


商人「これさ!!見て」パサ

女海賊「あれ!?全然違う方向に進んでたんだ…」

商人「エド・モントはこの地図でいう東方向さ」

女海賊「これ目標物しっかり見えて無いと探すのムリじゃね?」

商人「うん…現時点で東西の方角が分かったとして…この地図と合ってるかどうか分からない…」

女海賊「2つ以上の目標物が常に見えて無いと絶対迷う…てかハテノ村に戻る自信も無いよ」

商人「この湖に流れ込んでる川…これが先ず目印かな」

女海賊「ふむ…それなら行けるか」

商人「上流まで行けば山が有るからそれを見ながらだね」

女海賊「おけおけ…てかリカ姉ぇ遅いな…もっかい薪探して来るわ」

商人「うん…」
980 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:48:20.98 ID:KpvTj3yS0
『1時間後』


ジュゥゥゥ


女海賊「ほい山賊焼き!!これ青年に持って行って」

狼女「はいはい…」スタ

女海賊「リカ姉ぇは要らないの?」

狼女「生き血飲んだからお腹一杯…」ゲフー

女海賊「これかなり肉余るなぁ…」

商人「飛空艇に吊るして置いたら勝手に凍るんじゃない?」

女海賊「ダメダメ…風の流れ乱したら直ぐに不安定になる」

商人「捨てるの勿体ないね…」

女海賊「こんな美味しい肉捨てる訳無いじゃん!!」ガブ モグ

商人「まぁスモークでもしようかぁ…少しは長持ちする」

女海賊「やり方わかる?」ムシャ

商人「まぁね?盗賊に仕込まれた…木材のチップが必要なんだけど」

女海賊「おけおけ…薪に持って来たやつすぐカットできる」スパスパ

商人「あと肉も適度な大きさにしておいて」

女海賊「そのままで良いのに…」

商人「釜に入らないじゃないか…」

女海賊「なる…釜に入れてやるんだ」スパスパ

商人「少し時間掛かるから待ってて」

女海賊「うぃーっす!!」ガブ モグモグ


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981 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:49:15.97 ID:KpvTj3yS0
狼女「女海賊!お前昨日どうやって空中で戦った?」

女海賊「例のワイヤーの仕掛けだよ」

狼女「それは分かってる…どうして空中で方向転換出来るのか…」

女海賊「あぁ…2つ使ってるのさ…ホレ?」

狼女「ベルトの左右に一つづつ…」

女海賊「ほら…リカ姉ぇと競争して負けたじゃん?ほんでもう一個付けたら勝てると思ったのさ」

狼女「右と左を交互に使ってる?」

女海賊「そうそう…そしたら意外とクモみたいに動ける事に気付いた」

狼女「クモの糸…振り子のようにぶら下がってあんな戦い方に…」

女海賊「でも近くに建物無いと意味無い…昨日はたまたまそういう場所だったのさ」

狼女「正直言って驚いた…お前があんな戦い方を出来るなんて」

女海賊「あぁぁぁ快感…もっと言って…エルフを超えてるとかもっと言って欲しい」

狼女「私にももう一つクレ」

女海賊「今無い…ハテノ村に帰ったら作ったげるよ」

狼女「エルフの弓を回避できるとは思わないけど…あの戦い方が出来るのはお前だけだと思う」

女海賊「弓の回避かぁ…もっとスピードが居るのか…」

狼女「まだ改良出来る余地が?」

女海賊「いや気になってたのさ…スピードが落下速度に依存してて初速が遅いんだ…」

狼女「フフ…創意と工夫次第でどんどん強くなるか…」

女海賊「う〜む…空中で初速得るならやっぱ風の魔石使わないとダメだなぁ…」ブツブツ


空中で風の魔石使ったとしても大した推進しない…

いやそもそも速度どうやって得てたっけ?

待てよ…巻き取る速さを変えられる様にしておけば良いか…

巻き取りが早いとその分運動エネルギー得てる…それを次の振り子に活かせば良い…
982 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:50:13.76 ID:KpvTj3yS0
『林』


パシュン シュルシュル


女海賊「振り子の速度にワイヤー巻き取る速度加えて増速…」パシュン

女海賊「ほんで次の回転運動に繋げる…」シュルシュル


グルン ヒュン ヒュン


女海賊「おっしイケる!!」パシュン シュルシュル ブチ!!

女海賊「あああああああ!!」


クルクルクル ドサァ!!


狼女「…」アゼン

女海賊「なんだ切れちゃったよ…ワイヤーの強度不足だ」バサバサ

狼女「下が雪じゃ無かったら只じゃ済まないよ?」

女海賊「雪で安全だから試してんのさ…あああ冷たい…」

狼女「空中で止まる事は無くなったね」

女海賊「うん…意識して速度殺さないようにしてる…ちっとワイヤーに改良が必要なのが分かった」

狼女「あれだけ動いて目を回さないのか?」

女海賊「慣れかな?あんま気になんない…てか寒いから飛空艇戻る」

狼女「そろそろ行こうか…」

女海賊「そだね?肉もスモーク終わったじゃないかな」スタコラ ピューーー
983 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:51:03.09 ID:KpvTj3yS0
『鯨型飛空艇』


ドタドタ


女海賊「ぅぅぅぅ寒かった…」ブルブル

商人「食後の運動をして来たのかい?」

女海賊「まぁね…ちっとウラン結晶で暖まる」

商人「もう少しでスモーク終わるから待って」

女海賊「あんま急いで無いからゆっくりやって…」ゴソゴソ

狼女「暖まるんじゃ無かった?」

女海賊「どうせ暖まるならついでにワイヤーの改造もやるよ…」カチャカチャ

狼女「フフ本当忙しい女だね…」

女海賊「うっさいな…おいアラクネー起きろ!!このワイヤーをべた付かない糸で補強しろ!!」


カサカサカサ


狼女「おぉ!!一応言う事聞くんだ?」

女海賊「聞かないと追い出される事分かってんだよ…言う事聞いたらハチミツ貰える事もね」

狼女「お前はクモの女王の様だな…」

女海賊「お?なんか心地良い…そっか私クモでも良いな」

商人「ハハ君は毒グモだよ…昔からね」

女海賊「私の旗印は一応ダンゴムシなんだけど…クモでも良いなぁ…」

商人「ダンゴムシは未来君の旗印さ」

女海賊「未来…」

商人「あぁゴメン…思い出させてしまったか」

女海賊「あの子…僕はダンゴムシになるって…」

商人「湿っぽくなる話はよそう…さぁ肉の処理が終わったよ」ヨッコラ ドスン

女海賊「味見する…ちょっと頂戴」

商人「はい!!」ジョキジョキ

女海賊「おぉ…香りがする」ガブ モグ

商人「どう?」

女海賊「イケるイケる!!」ムシャムシャ
984 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:51:41.78 ID:KpvTj3yS0
『川の上流_上空』


シュゴーーーーー ヒュゥゥゥゥ


商人「よし!山が見えて来た…ここから右手に山を見ながら進む」

女海賊「おっけ!」グイ

狼女「何処にもガーゴイルが見当たらない…」キョロ

商人「寒すぎるんじゃない?直ぐに凍っちゃう」

女海賊「ほんじゃ凍って雪の下に埋もれてるかも…」

商人「あぁぁハテノ村でガーゴイル増えたのはそういう事かもね」


情報屋「うぅぅん…」モゾ


女海賊「あ!!目を覚ましそう…リカ姉ぇちょっと操舵お願い」スタタ

情報屋「…」パチ キョロ

女海賊「良かった!!平気?」

情報屋「ゲフッゲフ…」ボタボタ

女海賊「まだ肺に血が残ってそうだ…安静にしてて」

情報屋「…」コクリ

女海賊「ハチミツ溶かした湯が有るんだ…ゆっくり飲んで」クイ

情報屋「むぐっ…」ゴク

女海賊「多分血が足りなくてかなりシンドイと思う」

商人「低酸素が続いて居たから頭の方が心配だよ…平気かな?」

情報屋「…」ボーー

商人「軽快までもう少し掛かりそうか…その賢者の石をしっかり握ってて」

情報屋「…」チラリ ギュゥ

青年「僕が先生の介抱を…」ヨタヨタ

商人「そうだね…ゆっくりハチミツを飲ませてあげて」

青年「はい…」
985 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:52:13.94 ID:KpvTj3yS0
『山岳部_上空』


シュゴーーーーー ヒュゥゥゥ


商人「正面に見えるのが火山…あれが目印だから見失わないように」

女海賊「進路変えるよ?」

商人「ちょっと通り過ぎてるかもなぁ…」

女海賊「山の形は覚えたから戻って往復してみる…地図だとやっぱ通り過ぎてるね」

商人「これ見つけたとしてもう一回同じ場所に来れると思う?」

女海賊「なんか大きな目印無いと無理」

商人「花でもあればミツバチに案内させられるのに…」

女海賊「こんな寒さで何も育たないさ…」

商人「待てよ?狭間に近付けば妖精が出て来ないか?」

女海賊「妖精は虫だよ…クッソ寒いのに虫いる訳無いじゃん…居ても冬眠中」

商人「これはホムンクルスが目覚めるまで待った方が良さそうだ」

女海賊「私もそんな気がするなぁ…」

狼女「ちょっと待って!!…向こうの空…あそこだけ星が見えない」

商人「ええ!?」ダダ

女海賊「ここ明るくて見えにくいな…ちょっと光の石仕舞う」ゴソゴソ

商人「何処だい?」

狼女「指の先を見て…」ユビサシ

商人「ああ!!本当だ…気付かなかった」

女海賊「夜なら狭間を探せるのか…そんな発想無かったね」

商人「これなら又来れるじゃないか…」

女海賊「おっけ!!ちょいあっちに向かって見る」グイ
986 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:52:40.61 ID:KpvTj3yS0
『狭間の近く』


シュゴーーーーー ヒュゥゥゥ


女海賊「分かったぞ…見えやすい高さがある…低くても高くてもいけない」

商人「下は暗くて何も見えない…そろそろ光の石を!」

女海賊「よっし!!リカ姉ぇ操舵お願いね…」ダダ


ピカーーーーーーーー


商人「見えた!!ビンゴだ!!」

女海賊「ちょい望遠鏡で覗く」ゴソゴソ

狼女「商人!!プラズマの銃を持って警戒して…翼の音が聞こえる」

商人「光に気付いてるか…」

狼女「当たり前でしょう!!?いきなり太陽が現れた様な物なのだから」

女海賊「あぁ…これ高度上げないとヤバいかも…キ・カイの気球が沢山落ちてる」

狼女「高度上げる!!」グイ シュゴーーーー

女海賊「よーし!!ここからなら届く」ゴソゴソ ガチャコン

商人「何する気だい?」

女海賊「退魔のエンチャントがされた砂銀を落として行く」バシュン バシュン

狼女「名案ね…どのくらい有るの?」

女海賊「48発…全部撃って少しでも退魔効果範囲広げて行く」バシュン バシュン

商人「マズいな…ガーゴイルが飛んで来る」

女海賊「あんたホムちゃんの犬笛持ってたでしょ!!それ吹いたらガーゴイル寄って来ない」バシュン バシュン

商人「ええ!!?何処に置いたっけ…」ウロウロ

女海賊「まぁ良いや!!最悪私が妖精の笛吹いて全部眠らせる…兎に角撃ち落して!!」バシュン バシュン

商人「分かった…青年もクロスボウでガーゴイル狙って!!」

狼女「あぁぁぁ操舵役ってイライラするなぁ…」イラ

女海賊「リカ姉ぇ!!あの縦穴の真上に移動して!!特殊弾が届かなくなる」バシュン バシュン

狼女「分かった…」グイ スィーーーー

商人「当たれぇ!!」カチ


ピカーーーーーー チュドーーーーン


商人「次クロスボウ!!」バシュン バシュン
987 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:53:10.70 ID:KpvTj3yS0
青年「え!?え!?」バシュン バシュン

女海賊「おけおけ!良い感じ!!どんどん撃って!!」バシュン バシュン

狼女「向こうはこの高さまで反撃出来る武器は無い?」

女海賊「重装射撃砲がいくつかあるけどアレは真上に撃てない…キラーマシンがウロウロしてるよ」バシュン バシュン

商人「青年!!こうやってリロードするんだよ…」ガチャコン

青年「はい…」ガチャコン

商人「後はスロットにボルトを乗せる…」

青年「簡単だ…」

女海賊「これ爆弾でも落として行こうか…」バシュン バシュン

商人「それはダメだよ…また光る隕石を打たれかねない…相手はアダムだと思った方が良い」

女海賊「ぬぁぁぁ…そうか忘れてた」バシュン バシュン

商人「ガーゴイルがやられてる程度にして引いた方が無難だよ」

女海賊「分かった…今回は退魔の砂銀ばら撒いて終わる」バシュン バシュン

商人「よーし!!2発目」カチ


ピカーーーーーー チュドーーーーン


女海賊「イイね!!ガーゴイル落ちて行ってる!!」バシュン バシュン

狼女「あぁぁ上の方からも来る…」

商人「ええい!!クロスボウで狙うしか無いか」バシュン バシュン

女海賊「もうちょいで撃ち終わるから時間稼いで!!」バシュン バシュン

狼女「囲まれそう…4方からこっちに向かってる」

女海賊「任せて!!妖精の笛口にくわえておくから…」ハム バシュン バシュン

青年「ハァハァ…」バシュン バシュン

商人「リロード待つのがストレスだ…」カチ ビビビビ

狼女「それやると又30秒待たなきゃ…」

商人「くそぅ!!」ドタドタ

狼女「もう限界!!全速前進!」グイ シュゴーーーーー


ピーヒャララ〜♪


狼女「!!?あとどれくらい眠らずに居られる?」

女海賊「2〜3分…私もガーゴイル撃ち落す!!」ガチャコン バシュン バシュン


パーン パーン


商人「よし!!ギリギリまで撃つぞ」バシュン バシュン

青年「当たれぇ…」バシュン バシュン

狼女「私も!!」ダダ バシュン バシュン


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988 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:53:44.56 ID:KpvTj3yS0
『何処かの上空』


ピーヒャララ〜♪


女海賊「ふぅぅぅ…もう追って来ないな…よしよし」

狼女「ぐぅ…すぅ」zzz

商人「…」zzz

青年「すぅ…すぅ」zzz

情報屋「すや…」zzz

女海賊「さてこっからどうやって帰るか…」


妖精「やあ!!呼んだかい?」


女海賊「あぁぁ出て来たね…あんた誰?ワーム?アラクネー?ミツバチ?」

妖精「何の話だよ…用が在ったんじゃ無いの?」

女海賊「んんん…まぁ帰る方向知りたいんだけどさぁ…アンタに分かる?」

妖精「君が何処に帰るのか僕は知らないよ…寒いからおっぱいに挟まって良い?」

女海賊「私のおっぱい暑苦しいよ?」

妖精「寒いのより良いさ…」パタパタ スポ

女海賊「まぁ良いや…一人で寂しかったんだ…話し相手になってよ」

妖精「寝る…」

女海賊「ちょ…おい!!羽ムシルぞ!!」

妖精「又生えるから…ぐぅ」zzz

女海賊「何しに出て来たんだよ…ったく」プリプリ

女海賊「まぁでもなんか久しぶりにおっぱいに挟まったな…」

女海賊「なんか良い事あるかもムフフ」
989 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:54:40.23 ID:KpvTj3yS0
『夜空』


シュゴーーーーー ヒュゥゥゥ


女海賊「…だから覚えて無いの?一緒に旅したじゃん」

妖精「記憶は継続しないんだ…僕であり僕じゃない」

女海賊「意味分からん…じゃぁなんでおっぱい覚えてんの?」

妖精「なんでかなぁ?集合意識だから?」

女海賊「ちょい待ち…あんたら妖精って個体じゃなくて集合意識なん?」

妖精「黄泉の世界もこの世界も集合意識で繋がってる…そこを行き来する僕らも集合意識」

女海賊「あのね…集合意識ってのが何なのか分かんない」

妖精「死んだら分かるよ…僕があの世に案内してあげる」

女海賊「んんん…まぁ良いや…ほんでおっぱいに挟まってるって事はしばらく私の所に居る訳ね?」

妖精「呼んだら出て来るよ…ただ狭間が近く無いと君には見えない」

女海賊「分かった分かった…蠟燭灯すとか墓場行くとかね」

妖精「空が暁色になって来た…そろそろ狭間が遠ざかる」

女海賊「ねぇ最後に一個質問ある」

妖精「さっきから質問ばかりじゃない…今度は何?」

女海賊「アンタさぁ…もしかしてオークシャーマンじゃない?」

妖精「…」

女海賊「なんで黙るんだよ…ビンゴ?」

妖精「僕はね…記憶が継続しないんだ…多分オークシャーマンに呼ばれた事は在るよ」

女海賊「記憶が無いのになんで分かるのさ?」

妖精「集合意識だから?」

女海賊「じゃぁアヌンナキ…この名前に聞き覚えは?」

妖精「…」

女海賊「なんで黙るのさ!!」

妖精「君なんかいろいろするどいね…聞き覚えは有るよ…でも覚えて無い」

女海賊「なるほどぉ…記憶の継続が無いのは集合意識だからか…」

妖精「さっきからそう言ってるじゃない…そろそろ朝になるから僕はおっぱいのベッドで寝るね」パタパタ スポ

女海賊「ふ〜ん…そっか…神様は直ぐ近くに居たのか…」

女海賊「妖精が神様の声を代弁してくれてたんだ…」


情報屋「今の会話…聞いていたわ…」モゾ


女海賊「あ!!起きてたんだ…話して大丈夫?」

情報屋「とても良くなったわ…」
990 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 19:55:08.38 ID:KpvTj3yS0
女海賊「良かった…」

情報屋「妖精と話して居たのでしょう?」

女海賊「うん…」

情報屋「独り言にしてはおかしいと思ったのよ」

女海賊「独り言?情報屋には妖精の声聞こえなかった?」

情報屋「小さくて聞き取れなかった…でもあなたの話す言葉で会話は想像出来る」

女海賊「前に話してくれたアヌンナキの事…」

情報屋「そう…感じたのね?妖精にアヌンナキを…」

女海賊「そうじゃ無いかと思ってさ…」

情報屋「かつて神の声と呼ばれたのは妖精の声だった…他人から見ると奇妙な独り言に移ったでしょうね」

女海賊「それって前に話してくれた歴史の事だよね」

情報屋「色々謎が解けたみたい…忘れてしまう前に書物に書き残さないと…」

女海賊「まだ動いたらダメだよ…」

情報屋「紙にメモを残すだけよ…ペンを取って?」

女海賊「あ…うん」ゴソゴソ

情報屋「はぁぁぁ生きてて良かった…もう少しで謎が全部解ける…」

女海賊「ヤバかったよ3発くらいボルトが胸貫通してた…心臓に当たらなくて本当に良かった」

情報屋「フフお陰で夢も見たわ?…夢幻がどう繋がって居るのかもなんとなく分かった」

女海賊「え!!?夢幻?」

情報屋「答えは集合意識…妖精の記憶が無い様に…私達も無限の記憶が無い…でも全部集合意識に繋がってる」

女海賊「なんか良く分かんないなぁ…」

情報屋「私達人間が神をすべて理解するのはきっと無理ね…だから感じるだけで十分に思うわ」

女海賊「感じるかぁ…集合意識をどうやって感じるか…」

情報屋「きっとそれが祈り…」

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-------------


 妖精の声編

   完
991 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/30(木) 20:01:35.12 ID:KpvTj3yS0
つづき
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