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勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の続編の続編
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542 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:56:13.25 ID:c2KZAoSz0
『翌日_宿屋』
ガチャリ バタン
盗賊「戻ったぜ?」
商人「…どうだった?良い情報聞けたかな?」
盗賊「いや…他の冒険者にいろいろ聞いてみたが吟遊詩人から聞いた以上の話は聞けなかった」
商人「残念だな…僕もフィン・イッシュ沖の地図を探して見たけど見当たらなかった」
盗賊「航路が分からんと船じゃ行けん…飛空艇で行くにしても目標物が無いとな…」
商人「大体の場所じゃダメだよね?」
盗賊「海がメチャクチャ広いから遭難するのがオチだ…なんとか海図探してぇ」
商人「ホムンクルスが居ればなぁ…」
トントン
商人「お?誰か来た…」
魔女「入っても良いか?」ガチャリ
盗賊「返事する前に入ってんじゃ無ぇか…」
商人「あれ?魔女イメチェンしたの?」
魔女「変装じゃ…公爵に姿を見られて居るでな」
盗賊「まぁ入れ」
魔女「うむ…」ノソノソ
商人「どうしたの?」
魔女「女海賊が見当たらぬ…狭間に入って居る様じゃで貝殻も千里眼も通じぬのじゃ」
盗賊「まだ帰って無ぇのか…」
魔女「こちらにも来て居らぬという事は…わらわの塔へ行ったやも知れんのぅ」
盗賊「お?そういや追憶の森の向こうだっけか」
魔女「公爵に見られて居るでわらわの塔にはしばらく行かん様にして居ったのじゃがのぅ…」
商人「狭間に入る入り口は知られているの?」
魔女「分からぬ…」
盗賊「まぁ俺が行ってちっと見て来るわ」
魔女「頼む…わらわは下手に動いて見つかりとうない」
543 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:56:45.18 ID:c2KZAoSz0
『追憶の森』
フワフワ ドッスン
盗賊「商人!先に降りてくれ!俺ぁ飛空艇ハイディングさせてから行く」
商人「うわぁ…足元ビタビタだ」ベチャベチャ
スゥ
盗賊「場所覚えてっか?」
商人「大体ね…こっちだよ」ビタビタ
盗賊「雪の上歩け」
商人「この辺まで冒険者は狩りに来るのかな?…これ足跡じゃないか?」
盗賊「泥じゃ足跡かどうか分からん」
商人「待って!やっぱり何か居る…見てあそこの木の下」ユビサシ
盗賊「…うお!!死体じゃ無ぇか」
商人「随分傷んでる…」
盗賊「警戒しろ…戦利品無いか確認する」サクサク
商人「イエティが出るんだっけ…」キョロ
盗賊「一応俺が毒牙のナイフ持ってから足止めは出来る…おぉコイツ金持ってやがる」ガサゴソ
商人「こんな所まで一人で来る事無いよね?」
盗賊「うむ…こいつが食われてる間に他の奴らは逃げたんだろ…割と良い武器持ってんぞ?」ポイ
商人「おっとっと…」パス
盗賊「そいつはククリナイフってんだ…お前に丁度良い…腰にぶら下げとけ」
商人「早く行こう…なんか襲われそうで落ち着かない」
盗賊「だな?あとはゴミだから置いてく…行こう」サクサク
544 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:57:17.16 ID:c2KZAoSz0
『魔女の塔』
ブーン
盗賊「ぬぁぁぁ何でこんなにハチが居んのよ」バサバサ
商人「ミツバチだね…花があるから集まってるのかな?」
ミツバチ集まれ!
よしよしハチミツはこんなもんで良い
褒美に女王バチ増やして良いぞ
おいワーム!ちゃんと掃除しろよ!
へそのゴマやんないぞ?
盗賊「居た居た…アイツ何やってんだ?」
商人「お〜い!!女海賊!!」
女海賊「ヤベ…見つかった!!」ダダ ピューーー
盗賊「なんで逃げんだよ!!おい待て!!」
女海賊「あんた達何しに来たのさ…私修行中なんだよ」
盗賊「なぬ?修行?…お前今虫と遊んでただろ」
女海賊「遊んでる訳じゃ無ぇし」
商人「ハハ…まぁ無事で良かったよ…魔女が心配してるんだ」
盗賊「ひょっとしてお前虫使いになろうとしてんのか?」
女海賊「何さ!!悪い?」
盗賊「いや関心してんだ…お前が魔術師とはな…」
女海賊「ムフ…ハチミツ食ってく?」チラ
盗賊「おぉちっと味見させてくれ」
女海賊「おし!ちっと休憩すっかぁ…こっち来なよ」
盗賊「お前勝手に魔女の塔使ってんのか?」スタ
女海賊「バレなきゃ良いんだよ」
商人「う〜ん…君は考えが単純なんだね…直ぐにバレるよ」
女海賊「元に戻せば別にイーじゃん…文句言うなら帰って!」
盗賊「おい商人!従っとけ」
545 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:57:47.89 ID:c2KZAoSz0
『魔女の部屋』
ザワザワ カサカサ
盗賊「…なんつかー…まぁ綺麗っちゃ綺麗なんだが同居人が虫ってのがよ…」
女海賊「今育ててんの!!ホレ…ハチミツ!」ポイ
盗賊「おわっ…壺ごとかよ」ペロリ
女海賊「どう?」
盗賊「こりゃ美味い!商人!舐めて見ろ」
商人「すごいな…高く売れるよ」ペロ
女海賊「塔の周りにしか花が咲いて無いからそんだけしか作れなかった」
盗賊「壺一つありゃ十分じゃ無ぇか」
女海賊「樹液も集めてんだ…こっちは一杯有る」
商人「君はハチミツ一本で生きて行けるだけ稼げると思うよ…うんうん美味しい!」
女海賊「ほんで何しに来たの?もしかして連れ戻しに来た?」
商人「そういう訳じゃ無いよ…魔女が心配してるから様子を見に来たのさ」
女海賊「魔女が妖精に教えて貰えって言ったんだよ…迷惑掛かんない様に離れた所で笛吹いてんじゃん」
商人「あぁなるほど…妖精の笛を吹くために魔女の塔に来たのか…」
盗賊「魔女の心配はお前の命だ…どうやら魔女を狙って刺客が来てる様だ」
商人「やっぱりさっきの死体は刺客?」
盗賊「ククリナイフ使うなんざそれしか考えられん」
女海賊「あー…そいえば4〜5人来たから虫使って追い返したんだ」
商人「マズいね…又来そうだ」
女海賊「アラクネーけし掛けたら逃げてくくらいショボイ相手だよ…気にしなくて良いんじゃない?」
盗賊「アラクネーまで居るんか」
女海賊「この辺は結構沢山巣があるみたい」
商人「それじゃぁ魔女の塔はアラクネーに守らせておけば良いね」
盗賊「ここに居ると面倒が起きちまうから戻った方が良い」
女海賊「う〜ん…どうすっかなぁ…ハチミツもう集まんないし一回帰るかぁ…」
商人「事情を魔女に話した方が良さそうだよ」
女海賊「おけおけ!修行は一旦中止!行こっか」スック
546 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:58:23.77 ID:c2KZAoSz0
『追憶の森』
ベチャベチャ
女海賊「私さぁ樹皮を集めてから戻るから先に帰ってよ」
盗賊「お前一人じゃ危ないだろ」
女海賊「大丈夫だって!アラクネー連れてたらイエティも襲って来ないから」
商人「ええ!?アラクネー何処に居るの?」
女海賊「鞄の中…育ててるんだよ」
盗賊「ちっこいアラクネーでも襲って来んのか?」
女海賊「なんかイエティ逃げてくよ?」
商人「毒が怖いのかもね」
盗賊「いやしかしだな…一人で森を歩かせる訳にイカン」
女海賊「あんたら一緒だと邪魔なの!妖精の笛使えないから…」
商人「ハハ…なるほどね…何か有っても笛吹けば良い訳ね」
女海賊「そういう事…虫は眠らないからずっと私のターンな訳」
盗賊「もしかしてよ?こないだイエティの変死体を見つけたんだがお前の仕業か?」
女海賊「そうそう!!この魔人の金槌を試してみたんだ」スチャ
盗賊「そら只の金槌じゃ無いのか?」
女海賊「私も使ってビックリさ…叩いた所が消えて無くなるんだよ」
盗賊「それで死体がくり抜かれた感じになってたんだな?」
女海賊「妖精の笛とこの魔人の金槌あれば何に襲われても余裕!!」
盗賊「アラクネーと言い…その武器と言い…お前は反則ばっか使う」
女海賊「分かったらハイハイ…あっち行った!!」
盗賊「おい商人!!飛空艇戻るぞ!!」
女海賊「私お腹空いてるから後で飯代お願い…ルイーダの酒場に行ってるから」
盗賊「へいへい…」スタ
547 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:59:00.12 ID:c2KZAoSz0
『ルイーダの酒場』
ドゥルルン♪
バニー「はぁい!!お一人さまですか?」
女海賊「んぁぁ…連れが2人居るんだけど…まだ来て無いなぁ」
バニー「お席空いてますよ?ぞうぞ〜ウフフ」
女海賊「まぁ良いや…私お腹減ってるんだ…何か持って来てよ」
バニー「お代は先に頂きまぁ〜す」
女海賊「お金は連れの2人が持ってるのさ…なんだあいつ等遅っそいなぁ…」ブツブツ
吟遊詩人「お久しぶりです!!」
女海賊「お!!良い所に来た!!食事したいんだけどお金持って無いのさ」
吟遊詩人「それなら僕がリュートのお礼として御馳走しますよ」
女海賊「ラッキー!!適当にお願い」
吟遊詩人「バニーさん…彼女にはお世話になったんだ…これで何か持って来てあげて」ジャラリ
バニー「はぁ〜い!!ウフフ」
吟遊詩人「今から僕が演奏するからゆっくり食事を楽しんで下さい」
ドゥルルン♪
吟遊詩人「かつての英雄♪赤い瞳の王〜♪えにし森から馬を駆ってやって来た〜♪」
吟遊詩人「メデューサの血を英雄は求む♪来たる来たるは黒の騎士〜♪邪なるものは滅び去る時〜♪」
女海賊「ふ〜ん…時の王のおっさんの歌か…」
バニー「どうぞ〜お食事をお持ちしましたぁ〜」
女海賊「何日振りのまともな食事だろ…頂きマンモス〜」パクパク
548 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:59:31.41 ID:c2KZAoSz0
ヒソヒソ ヒソヒソ
おい見ろ…あの女は魔女の塔に居た奴じゃ無ぇか?
何!?塔の魔女か…どうする?街の中じゃ魔術師がウロウロしてる
麻痺毒だ…動けなくなった所をさらうぞ
女海賊「あの2人遅っそいなぁ…」モグモグ
怪しい男「これは美しい美女…席をご一緒しても?」
女海賊「んぁ?あんた誰?」ムシャ
怪しい男「通りすがりの冒険者さ…貴方のような人にピッタリな話をと思ってねフフ」
女海賊「悪いけど私あんたに興味無いから…シッシ!!」
ヒュン チクリ!
女海賊「痛った!!誰!!」ガタン
怪しい男「こ…これは毒針…一体誰が!?」ニヤ
女海賊「あったま来た!!」ゴソゴソ
怪しい男「動くと毒が回ってしまいますよ?」
女海賊「うっさいなアンタ!!どっから撃って来たか見て無いの?」キョロ
怪しい男「これは吹き矢…角度的に向こうの方から…」---毒効かんのか?この女は---
女海賊「あっちか…」ダダ
ヒュン チクリ!
女海賊「くっそ!!どっから撃って来てんのよ!!」ドタドタ
バニー「どうかされましたか?」
女海賊「なんか吹き矢撃たれてんだって…痛ったいなぁ」
バニー「え!?この酒場で騒ぎを起こされますと大変な事に…」
怪しい男「ささ…こちらの方へ」グイ
女海賊「何すんだよ!あんたに興味無いって言ってんじゃん」
怪しい男「毒の手当てをしますので横に…」
女海賊「あぁぁもうメンドクセェ!!」
ピ〜ヒョロロ
バニー「吟遊詩人の演奏中に他の楽器はダメよ〜ん」
女海賊「ハイハイゴメンね…」ズカズカ
怪しい男「おかしいな…強い麻痺毒の筈なのに」
女海賊「はぁ?なんであんたがそんな事知ってんの?」フラ
ドタリ ドタリ ドタ ドタ
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549 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:00:00.20 ID:c2KZAoSz0
『少し後』
パクパク モグモグ
盗賊「なんだこりゃ…どうなってんのよ」
商人「君一人で食事してるの?」
女海賊「なんか暗殺されそうだったから眠らせた」ムシャムシャ
商人「…これは衛兵呼んだ方が良いね」
女海賊「そこでぶっ倒れてる怪しい男と…吹き矢持ってる奴が刺客…そいつら牢に入れて喋らせれば良い」モグ
盗賊「お前は平気なんだよな?」
女海賊「毒針で撃たれた」
盗賊「なんで無事なのよ…」
女海賊「毒食べる虫が体の中に居るから」モグ
商人「ハハ何でも有りだね…君は」
女海賊「ふぅぅお腹落ち着いたぁ」ゲフー
商人「とりあえず魔術師呼んで事情を話して置く」
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550 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:00:27.07 ID:c2KZAoSz0
『宿屋』
ガチャリ バタン
商人「…やっと納得してもらえたよ」
盗賊「騒ぎになってっか?」
商人「うん…みんな寝てるだけだから困惑してた」
盗賊「女海賊どうする?夜は城に出入り出来んだろ?」
女海賊「無理…てかあいつ等魔女狙ってんだよね?人相全然違うのになんで私狙ってんの?」
商人「魔術師は変性魔法で姿変えるのが認知されてるから状況判断なんだろうね」
女海賊「魔女の塔に行ったのがマズかったのか…」
商人「シン・リーンは何か有ると刑が重いから暗殺なんか無いと思ってたけどね…」
盗賊「魔女の独裁国家だもんなヌハハ」
商人「魔女の影武者って誰がやってるのか知ってる?」
女海賊「王女3人共誰かが化けてるね…誰なのか謎」
商人「塔の魔女が誰なのかも一般に知られて無いのはやっぱ幻惑されてるよね…なんか怖いなこの国」
盗賊「統制がきっちりされてるから悪が蔓延らん…そらそれで良いと思うぞ?」
商人「…それで女海賊は一晩ここに泊って行く訳だから面白い話を聞かせてあげよう」
女海賊「ん?何?」
商人「ニルヤカナヤという理想郷の話さ…」
女海賊「興味無い」
商人「聞いて…未来君が関わってる可能性がありそうなんだ」
女海賊「え!!?何処に有んの?」
商人「壁画に黄金らしき物が記されていたと情報屋が言ってたんだ…その黄金の行き先がニルヤカナヤの可能性があるのさ」
女海賊「ええと…黄金が描かれて居るのは相当昔の壁画…年代いつだっけな」
商人「情報屋がそれを知って壁画を見直すと言ってた」
女海賊「明日聞いてみる」
商人「それでそのニルヤカナヤには時間を巻き戻す時の砂という物があるらしい…つまり未来君は現代に帰ろうとした可能性があるのさ」
女海賊「じゃぁ何で帰って来ないのさ」
商人「失敗したんだろうね」
女海賊「そんなん今見つけても意味無いじゃん」
商人「ある…君はきっとこの時の砂が欲しい筈だ」
女海賊「私が時間を巻き戻す…そういう事か」
商人「兎に角…秘密は知りたいよね?」
女海賊「場所は?」
商人「フィン・イッシュ沖…外海の向こう側さ」
女海賊「よっし!!」
盗賊「待て待て…詳しい場所が分からん上に帰って来た奴が居ない…簡単に行ける場所じゃ無ぇ」
女海賊「行く方法見つけりゃ良いんでしょ?ホムちゃん起こせば座標だって分かる」
商人「そういう事だよ…先にホムンクルスを目覚めさせれば可能性はある」
女海賊「おけおけ!明日行こう」
盗賊「まずは魔女に相談だな?勝手に出て行く訳にも行くめぇ」
551 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:00:57.67 ID:c2KZAoSz0
『翌日_シン・リーン城』
カクカク シカジカ
女海賊「…て訳でホムちゃん目覚めさせに行って来る」
魔女「ちと待てい…南の大陸にはわらわも行きたいのじゃ」
女海賊「ほんじゃ行く準備してよ」
魔女「壁画の製本作業がもう少し掛かるのじゃ」
女海賊「う〜ん…じゃぁ飛空艇の改造に魔女付き合って!」
魔女「わらわが何を出来ると言うのじゃ?」
女海賊「飛空艇の木材を虫が食っちゃうんだよ…だから木材を樹脂に変性させて欲しいのさ」
魔女「ムム?樹脂に変性できると何故主が知って居る?」
女海賊「妖精に聞いたんだ…樹脂なら食わないって」
魔女「よかろう…その代わり製本が済むまで大人しくして居るのじゃぞ?」
女海賊「おけおけ…これで飛空艇の中で虫を育てられる」」
魔女「飛空艇を虫の巣窟にするのかえ?」
女海賊「そうそう!光の石もあるから植物も育てられる」
魔女「なるほどのぅ…土を入れて虫に耕させる訳じゃな」
女海賊「じゃ行こっか!」スタ
552 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:01:26.26 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
トンテンカン ゴソゴソ
盗賊「いよー女海賊!!物資買い付けて来たぜ?」
女海賊「まだ入れないで!今改造中…そこ置いといて」ゴソゴソ
盗賊「これ以上改造する所なんか無いんじゃ無ぇか?」
女海賊「虫の巣にすんだよ」
盗賊「アラクネーだけじゃ足りんってか…」
女海賊「寝床はちゃんと用意しとくからアッチ行ってて」
盗賊「へいへい…」スタ
-------------
商人「魔女は見物かい?」
魔女「うむ…女海賊が虫に憑りつかれて居らんか心配でのぅ」
商人「虫が憑りつく?」
魔女「虫ばかりと会話して居ると俗世から離れて行ってしまうでの…内に籠らねば良いが」
商人「あぁなるほど…未来君がそんな感じだったか」
魔女「悪くは無いが見て居て可哀そうでのぅ…」
商人「…ところで捕らえた刺客の3人はどうなったの?」
魔女「尋問が終わって釈放する所じゃ」
商人「釈放?そんなんで良いの?」
魔女「塔の魔女を暗殺したと思い込ませたのじゃ…これで収まれば良いが…」
商人「泳がせて帰らせるのか…暗殺を計画してるのはやっぱり公爵?」
魔女「公爵が指示して居るのじゃろうが…実際に計画したのは他の者じゃろうな」
商人「誰?」
魔女「冒険者ギルドで賞金首になっとった様じゃ」
商人「えっと…支持団体沢山あるね…商人ギルドも支持団体の一つだ」
魔女「下っ端じゃで尋問しても意味が無いのじゃよ」
商人「商人ギルドの伝手で調べられるかもしれない」
魔女「それは助かる…今のままでは女海賊は動き辛かろう」
商人「女海賊?姿を変えてる様に思われてる?」
魔女「うむ…本当はもう一人居ったらしいが行方が分からん」
商人「まぁ魔女へのタゲが逸れて良かったと言えば良かったんだけど…」
魔女「しばらく様子見じゃな」
------------
553 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:01:57.73 ID:c2KZAoSz0
タッタッタ
情報屋「魔女!!時の砂についてもう一度見解を聞きたいの」
魔女「何度も言うがその様な物は存在出来ぬ」
情報屋「この古文書には時間の巻き戻りの事が少し書かれて居るわ?見て…」
魔女「どれどれ…ふぅむ…確かに巻き戻りがあったかのように書かれて居るな」ヨミヨミ
商人「存在出来ないってどういう意味?」
魔女「時間が巻き戻るのではなく次元を超える事は出来るじゃろうな」
商人「その人だけ超える訳か」
魔女「有るとすれば量子転移が封じられた何かじゃ…祈りの指輪がそれにあたる」
情報屋「砂では無いという事?」
魔女「じゃろうのぅ…砂銀であれば可能かも知れんがわざわざ砂銀に封じる理由が分からぬ」
商人「古代魔術で出来る可能性は?」
魔女「ムム…時空の魔方陣が解明されて居らぬ故何とも言えぬのぅ」
情報屋「やっぱり魔女の見解は時の砂という物は無いという事ね?在っても祈りの指輪の様な何か…」
魔女「そうじゃ」
商人「ねぇ…こんなのはどうかな?」
仮に砂時計の中身に砂銀を詰め込んだとしよう
そこに量子転移をエンチャントしたとしたら
どのくらいの数の砂銀が成功するかな?
魔女「やったことが無いで何とも言えぬが幾千の砂銀の粒のいくつかは成功するやも知れん」
商人「失敗した砂銀はどうなる?」
魔女「呪われた砂銀になるじゃろう…夢を見る砂じゃな」
未来君はそれで夢を見ようとして居ないかな?
夢を思い出す為にそれを作って居無いか?
魔女「なんじゃと!?…」
情報屋「商人…あなたビックリ発想するのね」
魔女「ふぅむ…確かに夢を自分の物に出来るやも知れんのぅ…」
商人「結果論だけどそれで少しだけ次元を飛んでしまうと言うのは?」
魔女「なるほど有り得そうじゃ」
情報屋「ちょっと待って!!この古文書の年代と黄金郷の年代が一致する!!」
商人「つまりこうだね…未来君は第3者と一緒に行動してたんだ…見て居た人が書いたんだよ」
554 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:02:23.88 ID:c2KZAoSz0
『翌日』
ノソノソ
魔女「女海賊は居るかえ?」
女海賊「お!!魔女良い所に来た」
魔女「何じゃ?飛空艇の改造は終わったんか?」
女海賊「まぁ入ってよ…」グイ
魔女「ほう?もう植物が芽を出しよるんか」
女海賊「魔女の塔の花を植えたのさ…ここでハチミツ作れる」
魔女「ハチミツは完全栄養食じゃで飛空艇で作れるのは良いのう」
女海賊「これで長期間補給無しで飛べる」
魔女「主はもう外海へ出る気で居るのじゃな」
女海賊「外海だけじゃ無いよ…オーク領も補給なんか出来ないさ」
魔女「ふむ…今壁画の製本作業が終わって主に持って来たのじゃ…ホレ」バサ
女海賊「おぉ!!」パラパラ
魔女「未来が彫った壁画のみ年代毎に並べて居る…それを完成させるのが主の役目じゃな」
女海賊「よっし!!やる気出て来た…月まで行くぞ!」
魔女「どうやって行くか考えて居るんか?」
女海賊「ホムちゃん頼みさ…どう計算しても地球の重力振り切るエネルギーが足りない」
魔女「重力の魔方陣が解明されれば問題を解決できるやも知れぬ…やる事が多いのぅ」
女海賊「一個一個解決するさ」
魔女「さて…準備は整ったで行くとするかのぅ」
女海賊「おっけ!!盗賊と商人連れて来る…魔女は情報屋お願い」
魔女「うむ…飛空艇で待って居るでのぅ…」
555 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:02:49.24 ID:c2KZAoSz0
『宿屋』
ガチャリ バタン
女海賊「なんで宿屋でゴロゴロしてんだよ!探したんだぞ!!」
盗賊「入って来ていきなりなんだ!」
女海賊「ルイーダの酒場が無くなってんじゃん!!」
商人「あ…それ例の事件で改装するらしいよ?なんか女王が独自の冒険者ギルド作るんだってさ」
盗賊「別所に有った冒険者ギルドを無理やり閉鎖させたみたいだぜ?」
女海賊「ほーん…まぁ関係無いや…もう行くぞ!」
盗賊「その言葉を待ってたぜ?退屈してたんだ」
女海賊「とりあえず今日中に港町行く」
商人「おー墓参りに行けるじゃ無いか」
女海賊「盗賊!今晩髭男爵の船から海図盗んで」
盗賊「なぬ!?」
女海賊「あんたならチョチョイノチョイでしょ?」
盗賊「偵察も無しにいきなりか…」
女海賊「とりあえずユートピア行くから速攻用意して」
盗賊「おっし!!じゃぁまぁ行くか」スック
556 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:03:19.50 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
ウロウロ
情報屋「あ…戻って来た」
女海賊「ん?何してんの?」
情報屋「虫が沢山居るから入り辛くて…」
女海賊「無害だよ…何も悪いことしないから入って」グイ
情報屋「…魔女は平気なの?」ビクビク
魔女「慣れればどうという事は無いぞよ?」
盗賊「うはぁ…サソリも要るじゃ無ぇか…」
女海賊「そいつ毒無いから…暗くなった時の明かりだよ」
盗賊「そういや夜中サソリは光るな?」
女海賊「そそ…樽の上に置いといて目印にするんだ」
商人「…お邪魔しま〜す」コソコソ
女海賊「そんなビビんなくて大丈夫だって!!」
商人「いやぁ…流石に…これどのくらい種類居るの?」
女海賊「ほんなん分かる訳無いじゃん…沢山居る」
商人「僕は何処で横になったら?」
女海賊「何処でも良いよ!虫の方が勝手に避けるから」
商人「踏ん付けそうだなぁ…」
女海賊「踏まれる方が悪いんだって…気にしないでくつろいで?ほんじゃ球皮膨らませるよ?」
シュゴーーーー フワリ
女海賊「お?やっぱ随分軽くなってんな…」
魔女「樹脂は木材より質量が軽いでのぅ」
女海賊「もっと荷を乗せられるんか…」
盗賊「さ〜て!!俺は虫共とくつろぐぞ!!」ドター
商人「まぁ5人だけだと随分広いね」
情報屋「ハチの巣まである…怖い」
女海賊「これから毎日ハチミツ食べられるよ」
盗賊「おぉそうだ!ハチミツが美味いのよ…情報屋も舐めて見ろ」
女海賊「よーし!!進路南!!目標海!!しゅっぱーつ!!」グイ
シュゴーーーー バサバサ
557 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:03:51.18 ID:c2KZAoSz0
『ユートピア』
フワフワ ドッスン
女海賊「はい降りた降りたぁ!!」
商人「さっそく墓参りに行って来るよ」スタ
情報屋「私も行くわ…報告しなきゃいけない事があるから…」スタ
女海賊「盗賊は海図盗んできて!」
盗賊「お前も停船してる船の数見ただろう?どれが髭男爵の船かも分からんのだぞ?」
女海賊「はぁ?ほんなん一隻づつ海図奪ってくりゃ良いじゃん」
盗賊「あのな?簡単に言うが偵察も何もしないで盗むなんざ出来っこ無ぇ」
女海賊「どんくらい掛かる?」
盗賊「とりあえず今晩は酒場で情報収集だ」
女海賊「まぁしょうがないかぁ…」
盗賊「停船してる船の多くはセントラルの軍船なのよ…下手に動くと掴まるのがオチ…お前も勝手にウロウロすんな?」
女海賊「私は望遠鏡で覗くさ」
魔女「わらわが変性魔法で姿を変えても良いぞ?」
女海賊「この美貌を変えようっての?ムリムリこれ以上美人にはなれないから」
魔女「嫌ならまぁ良いがわらわは酒場で一杯飲みたいのじゃ」
女海賊「行ってくりゃ良いじゃん」
魔女「これ盗賊!主がエスコートせよ」
盗賊「お…おう!しかしな…子供の恰好じゃさすがにマズいぞ」
魔女「変性魔法!」グングン
盗賊「おう!それで良い…しばらくその格好で居てくれ」
魔女「女海賊や…着替えを借りるぞよ」
558 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:04:23.12 ID:c2KZAoSz0
『墓』
商人「…」人
情報屋「…」人
スタスタ
女海賊「…」ウメウメ
商人「花を植えてるの?」
女海賊「魔女の塔に生えてた花だよ…もう直ぐ春だからさ」
商人「母さん喜ぶな」
女海賊「盗賊と魔女は酒場行ったんだけどあなたは行かなくて良いの?」
商人「盗賊に付き合うと朝まで飲まされるからさ…明日市場に行って相場だけ少し見たいかな」
情報屋「町に随分人が出て居そうね」
商人「そうだね…なんで急に人が増えたんだろう」
女海賊「情報屋も酒場で飲んで来て良いよ」
情報屋「私はお酒を控えているの」
女海賊「あぁそっか赤ちゃん出来たんだっけ」
情報屋「ちょっと女海賊!!」
商人「えええ!?まさか盗賊の?」
情報屋「女盗賊にその報告に来たのよ…盗賊には黙って置いて?」
商人「なんでさ?言えば良いじゃ無いか」
女海賊「纏わりつかれるのがメンドクサイんだってさ」
情報屋「それもあるけど本当は盗賊の心の中に女盗賊が住んで居るから気を使って居るのよ」
商人「なるほど…大人の事情って訳か」
女海賊「よっし!ハチミツ使った栄養料理でも作るか!!」
商人「君が作ると何でも山賊焼きになる…料理は情報屋に任せておいた方が良い」
情報屋「フフ私が作るわ?ハチミツもちゃんと食べてみたかったし」
559 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:05:00.22 ID:c2KZAoSz0
『海が見えるあばら家』
グツグツ ジュワー
情報屋「さぁ出来たわ…どうぞ食べて?」
女海賊「私達は後で良いんだよ…あんたが栄養付けないと意味無い」
情報屋「フフ沢山あるわ?」
商人「やっぱハチミツ使うと肉が柔らかいね…」ハフハフ
情報屋「少しだけで随分違う料理になるわ」パク モグ
商人「ハチミツは何にでも使えるから本当に重宝する…」ムシャムシャ
女海賊「むふふ…そんな言われるともっと作りたくなるじゃん…むふふふ」
商人「女海賊はミツバチを使役するのが一番得意なの?」
女海賊「さぁどうかな?好きで育ててるだけだから…冬でも育つんだよ」
商人「魔女の塔でやってた修行ってどんな事を?」
女海賊「私成長魔法ってのが使えないから小さい虫で何が出来るのか研究してたんだ」
商人「それで何か居た?」
女海賊「ワーム以外ちゃんと育てないと何も出来ない事が分かった」
商人「それで飛空艇で色々育ててるんだね」
女海賊「でもワームも色々出来るんだよ…毒を吐かせたり物を腐らせたり」
商人「へぇ?スゴイな…立派な魔術師じゃ無いか」
女海賊「むふふ…試しに使って見る?」
商人「いやいや毒は勘弁してよ」
女海賊「毒を食らうワームだよ…線虫って言うの」
商人「ん?それって未来君が使って居たという?」
女海賊「うん…これだけは私も使えるんだ…行くよ?線虫!」ニョロ
商人「ハハ小さいな…見るのもやっとだ」
女海賊「行け線虫!毒を食らって来い!」ニョロニョロ
商人「え!?ちょちょ…うわぁぁ目の中に入って…」ゴシゴシ
女海賊「毒食べるだけだから大丈夫!情報屋もやる?」
情報屋「いや…私は遠慮しておくわ」ゾゾゾ
女海賊「毒食べるから妊婦さんには良いのさ…線虫!行け!」ニョロリ
情報屋「ちょ…いやぁぁぁ…」バタバタ
-------------
560 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:05:28.29 ID:c2KZAoSz0
商人「…ふむふむ君がカバンの中に入れてるアラクネーが魔物除けの役割してるのか」
女海賊「アラクネーの毒が一番厄介だからね」
商人「麻痺毒だったっけ」
女海賊「あとアリが数が揃うと一番強いかも」
商人「飛空艇でアリは育てて居ないね?」
女海賊「増えると他の虫を全部食べちゃうからさ…そんだけ強いんだよ」
商人「虫にも色々バランスがあるんだね」
女海賊「成長魔法使えたらもっと色々試せるんだけどなぁ…」
商人「そういう杖とかあれば補えるのかもね」
女海賊「魔女にお願いしたんだけど使ったらダメだって言われたのさ」
商人「え?なんで?」
女海賊「間違って人に使うと老化させちゃうからだって」
商人「あぁぁなるほど…間違えると死人が出そうだ」
情報屋「危ないわね…お腹の赤ちゃんに掛かってしまうとお腹が破裂するわ」
商人「知能はそのままで大人になってしまったらどんなに不幸か…」
女海賊「まぁ良いや!線虫で我慢しとく」
情報屋「その魔法は何も犠牲にしない所が良いわね」
561 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:05:56.53 ID:c2KZAoSz0
『深夜』
ガチャリ ギー
盗賊「帰ったぜ?」
情報屋「あら?あまり飲んで居無いのね?」
魔女「酒場は海賊共が溢れておってな…座る場所なぞ無かったわい」
商人「もしかして貴族の資産を奪って来た海賊達?」
盗賊「そうよ…豪遊していやがる」
商人「豪遊する程女の人居たっけ?」
魔女「前任の領主…片足の領事じゃが移民の政策をしておったらしいのじゃ」
商人「じゃぁ移民が今になって増えてるのか」
魔女「移民と言うても何処からか集めた奴隷じゃ…奴隷を買い入れる政策をして居ったのじゃ」
盗賊「ほんで海賊共はセントラル行くよりも港町の方に女が多いもんだから集まってる訳よ」
商人「お金が欲しい人と女を買いたい人が集中したか…互いに利があるね」
盗賊「まぁそういうこった…こりゃこれからどんどん人増えるぞ?」
魔女「母上が心配して居ったのが急激に人が増えて統制が効かんくなるのを心配して居る」
商人「今の領主は?」
魔女「魔術院から派遣されておるが…一旦移民の受け入れをしておるでその流れを継続しとる」
商人「人が増えるのは良い事だよね」
魔女「うむ…荒れなければ良いがのぅ…」
女海賊「ほんで髭男爵の船はどれなのか分かったん?」
盗賊「髭男爵はとっくの昔にどっか行ったってよ」
女海賊「ええ!?冒険者募ってるって話は?」
盗賊「外海を冒険するより金持ってる海賊相手にした方が手っ取り早く金入るだろ?だから冒険者が集まらん訳よ」
商人「ハハ海賊共に追い払われた訳だ」
盗賊「そういうこった…わざわざ危ない外海行く奴なんざそう居らん」
女海賊「海図無いと私等も行けないじゃん」
商人「髭男爵の行先は分からないの?」
盗賊「さぁな?キ・カイかフィン・イッシュだろ?どうせ…」
女海賊「停船してるセントラルの軍船は何?」
盗賊「元々ハジ・マリ聖堂を攻め立ててた連中だ…黒の同胞の後ろ盾失って行き先未定なんだと思う」
魔女「元老院による内紛が原因じゃで帰れとも言えんのじゃよ…しばらくゴタ付くじゃろうな」
商人「資金源が断たれてしまったから軍から離脱する人も出そうだ」
盗賊「もう出てるぞ?脱走兵がそこら中に潜んでるらしい」
商人「セントラルは縮小免れないね…貴族が力失っちゃってるもんな…」
魔女「公爵次第じゃな…変化の杖を持って居るでどうとでも立ち回れる筈じゃ」
商人「シン・リーンの女王に化けられたらどうする?」
魔女「母上が今どんな姿をして居るか誰も知らん筈じゃ…無理じゃな」
商人「魔術師に囲まれてる訳か…それは関わらない方が良いね」
562 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:06:26.88 ID:c2KZAoSz0
『翌日_飛空艇』
フワフワ
女海賊「はい乗った乗ったぁ!!」
魔女「あばら家にアラクネーを忘れておるぞよ?」ノソノソ
女海賊「あのアラクネーはもう直ぐ卵産むんだよ…増えすぎると困るから置いて行く」
魔女「ではあばら家を守らせると良かろう」
女海賊「そだね…次来た時どんだけ増えてるか楽しみだ」
盗賊「俺ん家だぞ?大丈夫なんだろうな?」
女海賊「他人に勝手に使われるより良いんじゃね?クモの巣なんか後で掃除すりゃなんてことない」
盗賊「そうじゃ無くてな…俺が帰って来た時アラクネーに襲われるのを心配してんだ」
女海賊「あんたも虫使いになりゃ良いじゃん…アラクネーなんか一番言う事聞く」
盗賊「虫と話なんか出来無ぇって…俺だけ襲わない様に言い聞かせておけ」
魔女「アラクネーは退治しようとさえしなければ大丈夫じゃ」
盗賊「ほう?一緒に住めって訳か」
女海賊「はいはい…もう行くから早く乗って」グイ
シュゴーーーー フワフワ
563 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:07:03.85 ID:c2KZAoSz0
『上空』
シュゴーーーー バサバサ
女海賊「よしよし風捕まえた…安定飛行に入る」ハイディング!
商人「ここから君の島まで5日くらいかな?」
女海賊「もうちょい早く到着すると思う…そうそう魔女!例の魔石頂戴」
魔女「ふむ…わらわには不要じゃ」ポイ
商人「結構大きな魔石だね…属性は?」
魔女「風じゃ…女海賊は風の魔石で飛空艇を改造したいらしいのじゃ」
盗賊「まだ何かやるつもりなんか…」
女海賊「今から作業すっから話しかけないで」
盗賊「へいへい…」
情報屋「それじゃ皆居るから壁画の調査で分かった事を話しておくわ…」
商人「それ聞きたかったんだ」
情報屋「未来君の足取り…壁画には一定の法則があって…」
過去に飛ぶのはおよそ700年の定間隔で飛んでいる様なの
700年前…1400年前…2100年前…
そして飛んだ場所はその場所を維持して飛んだと思われる
つまり剣士と未来君が一番最初に飛んだ場所はシャ・バクダの付近…当時は森だった
法則と外れる壁画もあって…それは1700年前
その後2400年前…3100年前と又法則通りに壁画が残されてる
どうしてそういう事が起きているかと言うと
恐らく時の砂で一度未来へ戻ろうと試みたと思われる…
それが2100年前…この時に400年分だけ未来に飛んだ
それで壁画の年代の説明がすべて辻褄が合う
この未来に飛んだであろう年代に黄金郷の伝説が一致する訳
商人「3100年前から先は?」
情報屋「見つかっていないのよ…その先は恐らく南の大陸だと思うわ」
魔女「各壁画の石の材質はキ・カイへ戻れば分かるのじゃな?」
情報屋「そう…今の所分かっているのは700年前のシャ・バクダと1700年前のシン・リーンだけ…足取りの特定が出来ない」
盗賊「女海賊は冒険の書で未来の足取りを見てるんだろ?場所分からんのか?」
情報屋「冒険の書で見たのは動く絵だけだったらしいわ…その絵がどの場所なのか分からないって…」
商人「そういう事か…文字なら分かるかもしれないのにね」
情報屋「とりあえず1400年前の壁画がどの地域の石なのかが分かればシャ・バクダから何処へ向かったのか分かるのよ」
魔女「実際の歴史と擦り合わせればどの程度関与したのかも推測出来そうじゃ」
商人「ちょっと僕も考察してみたいな…壁画を記した書物見せてよ」
情報屋「ビックリ発想を期待するわ」パサ
564 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:07:38.04 ID:c2KZAoSz0
-------------
商人「ふ〜む…良く見るとこの鍵爪を付けてる人物は多分僕だな…」
盗賊「俺は居ないか?」
商人「居るよ…鍵開けの達人として描かれてる…未来君にはそう見えてるんだ」
魔女「わらわは分かりやすいのう…三角帽子じゃ」
商人「隕石を落としてる姿…これが後の人に予言だと解釈されたんだ」
魔女「わらわの師匠が落とした隕石に話がすり替わった訳じゃな…」
商人「これさ…必ずホムンクルス…というか精霊に関わってるからもしかすると精霊を目覚めさせ回ったのは未来君かもね」
情報屋「きっとそうね…だからホムンクルスが眠って居た遺跡には未来君の痕跡が残って居るかもしれない」
女海賊「ハッ!!そういえばハテノ村の遺跡には遺物が沢山合った…」
盗賊「あそこは噴火してもう近付けんだろ」
女海賊「噴火が収まったらもう一回行けば良いじゃん」
盗賊「まぁあそこは大当たりだったからな…謎の部品がまだ沢山在った」
情報屋「やっぱり探すのはホムンクルスが眠る遺跡の様ね…そういう場所の上に文明が栄えるし…」
商人「キ・カイにもきっと在る筈だよね?」
情報屋「あそこはずっと昔に扉が開けられてもう風化してしまっているわ」
商人「壁画は残って無いの?石は風化しにくい」
情報屋「私の知る限り無いわ…シン・リーンに運ばれたのかも知れない」
商人「…なるほど」
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565 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:08:07.47 ID:c2KZAoSz0
女海賊「線虫!土のなかの毒を食ってこい!」ニョロリン
魔女「ふむ…主はその術のみで良さそうじゃ」
女海賊「これしか使えないよ」
魔女「わらわはのぅ…虫使いはその術だけで良いと思うて居る…その術は何も害が無いでの」
女海賊「害?」
魔女「魔術は害が付き物なのじゃ…よって掟によって縛る必要があるのじゃがその術は好きに使うて良い」
女海賊「掟って何さ?」
魔女「私利私欲で使うてはならぬとか様々じゃな…そうじゃ一つ守ってもらわねばならぬのが…その術で金儲けをしてはならぬ」
女海賊「金儲けね…そんなん考えて無かったわ」
魔女「なら良いが…金儲けで使うて居るのをわらわに知られてしまった場合記憶を消すでの?覚悟せい」
女海賊「ねぇそれよりさ…この線虫は毒を食う以外に何か出来ない?」
魔女「それで十分じゃろう…人を蝕む毒を食らえば闇に侵された心も晴れるやも知れぬ」
情報屋「線虫を掛けて貰ってから体調がすごく良いわ?」
魔女「じゃろうな?エリクサーと同等の癒し効果もあるでのぅ」
女海賊「え?マジ?」
魔女「主は気付かんかったんか?傷が直ぐに癒えるぞよ?」
女海賊「あ!!そういや毒針刺されても直ぐに治ったわ…」
魔女「そういう事じゃ…他に代替できる魔法が無い故…虫使いはその術だけでも十分じゃ」
情報屋「虫使いの他の術ってどういう術が?」
魔女「虫を使った破壊術など色々じゃな…変わった術では虫の知らせという術で他人の思考を読む事も出来る…幻術の類じゃ」
女海賊「あ!!虫の知らせって分かるぞ!!敵が近いのを虫が教えてくれる」
魔女「ふうむ…主は魔力を使わずして声を聞けるのじゃな…ドワーフにはそもそも適性が在るのやも知れんのぅ」
女海賊「お姉は金属と会話出来るんだよ」
魔女「会話とな?」
女海賊「金属は地面と繋がってるらしい」
魔女「なる程のぅ…それも虫の声じゃ…大地の声とは虫の事なのじゃよ」
女海賊「へぇ?」
魔女「ドワーフにもエルフと似た感性がある様じゃのぅ」
566 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:08:50.04 ID:c2KZAoSz0
『数日後』
シュゴーーーー バサバサ
盗賊「そろそろ到着じゃ無ぇか?目標物が無いからよー分からんな」
女海賊「このまま真っ直ぐで良い」
盗賊「海しか見えんが何で分かるのよ?」
女海賊「ミツバチが花の有る方向知ってんのさ」
盗賊「なる…そういやミツバチは羅針盤の代わりになるんだっけか…」
女海賊「私の島には花が一杯咲いてんのさ…又ハチミツ増えるぞ!」
盗賊「そうそうお前の島にはハチミツ酒があったな?早く飲みてぇ」
女海賊「パパ居るかなぁ…」
盗賊「海賊王の爺か…普段何やってんのよ?」
女海賊「開拓が趣味なんだよ…あちこちの島を開拓して拠点作ってる」
盗賊「それがドワーフの国なんか?領土が良く分からんのだが…」
女海賊「海は全部ワイのもんやとか言ってるじゃん?」
盗賊「ヌハハそら無理だろ…海はデカすぎる」
女海賊「でも本人はそう言ってるから」
『名もなき島』
フワフワ ドッスン
女海賊「パパ居ないやぁ…」ショボン
盗賊「俺ぁちっと村の方行ってハチミツ酒飲んでくる」
魔女「わらわも行くぞよ?港町では飲みそびれたでのぅ…」
盗賊「おぉ来い来い!」
女海賊「ほんじゃ私等遺跡の中に居るから」
商人「ホムンクルスの部品まで案内してよ」
女海賊「おけおけ!階段あるから情報屋は足元気を付けて」スタ
情報屋「ゆっくり付いて行くから大丈夫よ」スタ
-------------
567 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:13:33.87 ID:c2KZAoSz0
『古代遺跡』
ズズズ
女海賊「この本棚の裏に隠し部屋あるんだ…奥にホムちゃんの部品があるよ」
商人「おぉぉぉ…ガラス容器に臓器が…」スタタ
情報屋「初めてホムンクルスを目覚めさせた時に一緒に有った臓器ね」
女海賊「そうそう…全部揃ってるかも分かんないんだよ」
情報屋「私も器具をもう一度調査してみるわ…」キョロ
商人「なるほど超高度AIユニットも一緒に沈んでる…これが組み合わさるんだな?」
情報屋「機械は動くの?」
女海賊「動かし方分かんない…色々調べたんだけどどうやっても動かないのさ」
商人「よし!!僕が解明するぞ!!」
女海賊「任せた…私は部屋に戻って横になって来る」スタ
情報屋「商人?これ下手に触ると二度と動かなくなるかも知れないわ?」
商人「うん…分かってる」
情報屋「他に分解しても良いサンプルが有れば良いのに…」
商人「ハテノ村には行けないとしてキ・カイには同じ様な物無いのかな?」
情報屋「遺跡の発掘現場に行けば有るかもしれない…」
商人「まずそっちが先かもね…アテは無いかな?」
情報屋「戻って聞いてみない事には何とも…」
商人「パット見どこも傷んで居ない…エネルギーが供給されれば動きそうなんだけどなぁ…」
情報屋「分解しないと何処がエネルギー供給する場所なのかも特定出来ないわ」
商人「慌てないで一回キ・カイに戻った方が良さそうだね」
情報屋「そうね…一応器具類を全部スケッチしておくわ」
商人「僕は寸法を測るよ…兎に角今はあまり触らない様にしよう」
568 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:14:37.03 ID:c2KZAoSz0
『小舟の有る入り江』
ザザー ザブン
盗賊「なんだ女海賊か…一人で何してんのよ」ヨタヨタ
女海賊「月見てんだよ!!放っといて」
盗賊「酒場が閉まっちまったんだ…お前もハチミツ酒飲むか?」ポイ
女海賊「フン!」プイ
盗賊「まぁそうカリカリすんな…どうせ涙も枯れて黄昏てんだろ?」
女海賊「うっさいな!」グビ
盗賊「ここは剣士と未来との思い出の場所なんだろ?まぁ気持ちは分かる…」
女海賊「この寂しさを未来も抱えてたと思ったら泣けないんだ…」
盗賊「孤児ってのはよ?皆そんな感じな訳よ…それに気付けたお前はある意味幸せだと思え」
女海賊「私が幸せ…」
盗賊「人間てのはな?そんな寂しさの中で小さな愛を見つけて紡いで行く…そういう奴が生き残って来たんだよ」
女海賊「なんであんたがそんな事知ってんだよ」
盗賊「俺も孤児だったからな?勘で分かるんだ…未来はそういう世界を大事にした」
女海賊「未来が…」
盗賊「そうだ…剣士と未来は俺達にそういう世界を残して旅立ったのよ」
女海賊「分かった様な事言って!」
盗賊「お前はどう感じるんだ?この世界を…」
女海賊「私は剣士と未来が居ない世界が真底寂しい…」
盗賊「前だけ見て進んでみろ…その先に小さな光がある…それはきっと愛だ」
569 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:15:21.01 ID:c2KZAoSz0
女海賊「愛…」
盗賊「そうやって紡ぐんだよ…それが人間なんだ」
女海賊「フン!マシな事言ったつもり?」
盗賊「未来の壁画見ただろ?アイツは苦しみを描き残しちゃ居無ぇ…楽しかった思い出を描き残してる」
女海賊「…」
盗賊「俺らが思うより案外楽しく過ごしてんだ…そう思い悩むな?」
女海賊「悪いけどあんたにはホレないよ!」
盗賊「ヌハハそんなつもりは無ぇよ…お前にゃ有り余る光が有るから陰らん様に励ましに来ただけだ」
女海賊「あのさ…一個意見が聞きたいんだ…私から剣士と未来を奪ったのって魔王だと思う?」
盗賊「そうだな…間違い無く魔王だ」
女海賊「どうやってぶっ倒せば良い?」
盗賊「俺はな?昔から思ってる事があんのよ…魔王をぶっ倒す方法は孤児を救う事だってな」
女海賊「孤児…」
盗賊「まぁ俺は俺なりに魔王と戦ってる訳よ?…言い変えりゃ影の勇者か?ヌハハ」
女海賊「孤児ねぇ…そういや一杯居るな…」
盗賊「皆寂しさ抱えててな…誰にも愛されず悪党になっちまう奴も居る訳よ…見てらんなくてな」
女海賊「あんたはどうなのさ?孤児だったんでしょ?」
盗賊「俺は光を見た…だからこう思えるんだ…お前にゃ闇を照らす光の素質がある…例えば光るサソリ」
女海賊「ええ!?サソリ?」
盗賊「そうよ…たったそんだけ教えてやるだけで光を見る事も在るんだ…なんつーかそうやって闇を抜け出すのよ」
女海賊「それが愛?」
盗賊「愛の一つだろう…光るサソリを追った先にきっと何かを見つける…同類と出会ったりな?」
女海賊「分かった…それ希望だ」
盗賊「かもな?お前はそれを失わない様にな?」
女海賊「知ってるさ…私にとっての希望は…月」
盗賊「そうそう…それで良い…真っ直ぐ行けばその内何か見つける…きっとそれは愛なんだ」
女海賊「あんた言ってる事意味わかんない事ばっかだけど…なんか真理を突いて来るな…」
盗賊「まぁ年の功…勘だ勘!!愛を語れるほど経験豊富じゃないが…何となくそう感じる」
女海賊「参考にしとくわ…」グビ
570 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:15:54.80 ID:c2KZAoSz0
『翌日_飛空艇』
コケーー!!コッコッコ!!
盗賊「ぬぁぁぁうるせぇな!!寝れ無ぇじゃんけ!!」ゴロリ
女海賊「もう朝なんだよ!!」ゲシゲシ
盗賊「お前ニワトリ積んで行く気なんか?」
女海賊「悪い!?卵食べたく無いの?」
盗賊「うるさくて敵わん…」グター
女海賊「おいニワトリ!!あんたの寝床は今日から此処だよ…ワーム食っても良いけど種は食うな!!分かったか!?」
盗賊「おいおいマジかよ…家畜小屋にする気か?」
女海賊「うっさいな!補給無しで飛べる工夫してんだから文句言わないで」
盗賊「だったら酒作れる様にしろや」
女海賊「酒かぁ…ハチミツ酒作ってみるかぁ…ハチミツ勿体ないんだよなぁ」ブツブツ
盗賊「栄養が無くなる訳じゃあるめぇ?むしろ発酵して栄養増えるだろ?」
女海賊「てかあんた自分でヤレよ!」
ノソノソ
魔女「朝から騒がしいのぅ…もう出立するんかえ?」
女海賊「魔女も飛空艇に乗っといて…なんか急いでキ・カイに戻りたいんだってさ」
魔女「くつろぐ間も無いのじゃな」
女海賊「ホムちゃん組み立てる方法分かんないからキ・カイで調べるらしい」
盗賊「そら良い…俺ぁこの島が退屈でよ…お宝の匂いが何処にも無ぇ」
女海賊「退屈で悪かったね!!」
盗賊「畑しか無ぇからやる事無い訳よ」
女海賊「じゃぁハチミツ積むの手伝って!!あんたの酒に変わるんだから」
盗賊「うげ…」
魔女「口は災いの元じゃのぅ…」ノソノソ
女海賊「壺に移し替えてるから全部積んで!!」
盗賊「へいへい…」
571 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:16:29.08 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
シュゴーーー バサバサ
商人「…それでキ・カイに戻ったら役割分担するんだ」
僕は商人ギルドの伝手を使ってホムンクルスの組み立て方を調べる
情報屋は壁画の出所について調べる
女海賊と盗賊…そして魔女はオーク領に侵入して残りの壁画を探す
拠点は商人ギルド…飛空艇の隠し場所は港の倉庫を使って良い
盗賊「オーク領で壁画の有りそうな目星は無いんか?」
商人「それは女海賊の方が詳しい…行った事ある様だから」
魔女「オーク領に勝手に侵入出来るんかいな?」
盗賊「オークはエルフと同じでハイディング見破って来るだろ?」
女海賊「そだね…かなり危ない…でも魔女の睡眠魔法と私の妖精の笛で眠らせながら行けば大丈夫だと思う」
盗賊「場所は分かってんのか?」
女海賊「虱潰しさ…前行ったときは睡眠使えなかったからしっかり調査出来て無いんだ」
商人「…という訳でしばらくそんな感じで情報を集めよう」
女海賊「行くのは火山灰の降らない西側から順に回る感じかな」
盗賊「西オークと東オークとか在るんだっけか…」
女海賊「もっと南の方だと赤い肌のオークとかも居て訳分かんないんだ…そっちの方が遺跡沢山在って怪しい」
情報屋「オークは肌の色で部族の違いがあるそうよ?」
女海賊「色んなのが居るから良く分かんない…敵か味方かもさっぱりさ」
魔女「茶色のオークが野良オークじゃと聞いたぞよ?エルフの森に居ったのも茶色のオークじゃったな」
盗賊「野良でも危無ぇじゃ無ぇか…人間見たら追いかけて来んぞ?」
女海賊「まぁそういう危険があるから探索は慎重に行くしかないよ」
魔女「睡眠魔法用の触媒を多めに用意せねばならん様じゃな」
商人「物資の調達は僕に任せて…何でも揃えてあげる」
女海賊「そうそう…種をいろんな奴仕入れて欲しい」
商人「お安い御用だよ…買い付けておくから折を見て取りに来れば良い」
魔女「ふうむ…長旅になりそうじゃのぅ」
盗賊「虱潰しってのがぁ…しょうがないんだが…」
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572 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:17:04.98 ID:c2KZAoSz0
『キ・カイ_商人ギルド』
ワイワイ ガヤガヤ
はい並んで並んで〜競売は向こう側ね〜
商人「やあ!繁盛してそうだね」
娘「あ!!商人に盗賊!!いつ帰って来たの?」
盗賊「よう?子供達は元気か?」
娘「元気!元気!!てか今忙しいから大部屋の方行っててよ」
商人「ハハそうさせて貰う」
娘「商人宛てに書簡が沢山来てるんだ…全部読んでおいて」
商人「分かったよ…何処に?」
娘「後で持って行かせる…とりあえず邪魔だから大部屋行っといて
『大部屋』
ガチャリ バタン
情報屋「早速だけど私は知り合いの学者を訪ねに行って来るわ」
商人「一息ついて行けば良いのに…」
女海賊「私もオーク領までちっと行って来る…なんか落ち着かない」
盗賊「待て待て…酒を仕入れて行くぞ」
女海賊「先に飛空艇行っとくから早く荷物積んで」
商人「まぁ一旦行動指針決めたから即行動した方が良いかぁ」
女海賊「早い所ホムちゃん組み立てる方法解明しないとクビにすんよ?」
商人「厳しいな…出来るだけ早くやるさ」
魔女「わらわは触媒を仕入れてから飛空艇へ戻るで先に行って居れ」
女海賊「はいはい…わたし待てない性格だから早くして」イラ
魔女「主は鉛を仕入れるとか言うて居らんかったか?」
女海賊「あああああああ!!忘れてた…鉛無いと弾作れないんだった…」ダダ ピュー
商人「女海賊はお金持ってるのかな?」
魔女「毎度毎度じゃが…世話の焼ける女じゃ…」ノソ
盗賊「そうそう…古代金貨あるからよ?これで孤児院の支援も頼めるか?」ジャラリ
商人「おぉ!!シャ・バクダの古代金貨…資金調達に丁度良い」
盗賊「俺は行っちまうからお前に頼んだ」
商人「分かったよ…孤児達を支援できるように計らう」
盗賊「じゃ行って来るな?」タッタ
魔女「これ盗賊や待てい!!わらわを置いて行くで無い」
盗賊「ヌハハ悪い悪りぃ…どっかの国の姫って事を忘れてたわ…大人の体じゃ背負えんが?」
魔女「背負えとは言うて居らぬ…勝手に置いて行くなと言うて居るのじゃ」
盗賊「まぁ良いや!俺が後から付いて行きゃ良いんだろ?」
魔女「ううむ…主にはちぃと分からせる必要がある様じゃな…」
盗賊「わーったわーーた!!ほい行くぞ」グイ
573 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:17:43.87 ID:c2KZAoSz0
--------------
商人「さて…皆居なくなったし…僕も仕事するか…」
ガチャリ バタン
娘「あれ?爺ぃはどっか行った?」
商人「皆忙しいのさ…書簡は持って来た?」
娘「なんだよ…お土産有ると思ってたのにさ」
商人「ハハ在るよホラ?古代金貨さ」
娘「え!?うおぉぉぉぉ!!こんなに?」
商人「換金出来るかい?半分は君達が使っても良い」
娘「マジ?マジ?これめっちゃ高く売れるよ?」
商人「残りの半分でキ・カイの孤児院を支援…やって貰えるかな?」
娘「私等の兄弟増やすんだね?」
商人「まぁそうなるのかな」
娘「孤児院も良いけどチカガイにも子供達の集まりが在るんだ」
商人「へぇ?」
娘「私の子供がそこのギャングに入っててさ…病気持ってるけど商人にそっくりな子が居るんだよ」
商人「そういう子にも支援しよう」
娘「この古代金貨は爺ぃから?」
商人「良く分かるね」
娘「爺ぃのお金の使い道は酒か孤児院って決まってる…よしよしこれだけ有れば」ジャラジャラ
商人「頼むよ…それで書簡は?」
娘「おっと!!忘れてた…」ドサドサ
商人「沢山あるねぇ…」
娘「多分商談だよ…何回も商人尋ねに来てるんだ」
商人「誰だろう?」
娘「知らない!私戻って古代金貨競売に掛けて来る!じゃね」ノシ スタタ
商人「…差出人が書いてないな…誰だろう?」ヨミヨミ
レート介入の見返りに古文書か…
僕が古代遺跡を探している事を知って居る人物だな
随分前の書簡だ…何通も来てるという事は余程レートに介入したいんだな
ふむ…品目は魔石…それから麻薬…
商人「キ・カイ側の人間なのか…それともセントラル側なのか…どちらにしてもお金が大きく動く」
商人「慎重に決めないと僕も只じゃ済まないぞ…」
--------------
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574 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:18:24.41 ID:c2KZAoSz0
『数か月後_商人ギルド』
ワイワイ ガヤガヤ
おぉぉ又魔石の値段が下がってる…買いだ買い!!
硫黄は値上がり続けてもう手が出んわい
麻薬は目ん玉飛び出るぐらい高いな…もう趣向品は出回らんぞ
女海賊「…これ鑑定頼める?」
娘「あ!!女海賊…今回は収穫在ったん?」
女海賊「まぁね?それ買い取って欲しいんだけど」
娘「琥珀かぁ…こんなに沢山オーク領で採れるの?」
女海賊「簡単じゃ無いけどね」
娘「珍しい物だから競売の方が良いよ」
女海賊「ほんじゃそれで頼むよ…分け前は半分持ってて良いから」
娘「りょ!!」ビシ
女海賊「情報屋は何処に居るか知らない?」
娘「隠し部屋で商人と一緒だよ…見つからない様に階段居りて行って」ギギー
女海賊「サンキュ!!」ハイディング スゥ
575 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:19:04.49 ID:c2KZAoSz0
『隠し部屋』
ヒソヒソ
これがサンプルの石板よ…壊さない様にお願い
エネルギーが入ればこれが光るんだね?
光ると言うか絵が浮かび上がるそうよ
なるほど…つまり女海賊の遺跡も同じ訳か…
エネルギー次第ね…私は手に入れられない
トントン
女海賊「私…壁画見つけたんだ…ここ開けて?」
商人「今開ける…」ゴソゴソ ガチャリ
情報屋「やっと見つけたのね?何処で?」
女海賊「ずっと南の方の青いオークが居る所さ…持って帰るのは無理だから書物に写して来た…見て?」バサ
情報屋「…これは4500年前ね…何コレ?飛空艇が描いてあるじゃない?」
女海賊「似てるね…でもそれはオークの乗り物っぽいよ」
商人「ええ?オークに高度な物を作る技術が在ったという事かい?」
女海賊「良く写しを見て…宇宙から来たっぽい…この乗り物で月に行けるって事さ」
情報屋「オークは宇宙からの外来種…新説ね」
女海賊「それからオークの旗印も持って来たんだ…見て」バサ
商人「あれ?それ君が良く使うダンゴムシじゃ無いか…」
女海賊「私もビックリさ…未来が残したのに間違い無いよ」
情報屋「未来君はオークの起源に関わって居る可能性があるのね」
商人「他には?遺跡とか無かったの?」
女海賊「有った…でもずっと昔に開封されてグズグズに風化してた…ホムちゃんの石造も在ったよ」
情報屋「キ・カイの遺跡と同じ状態という事ね…」
女海賊「石の器の中に横たわったホムちゃんの石造に向かってオーク達がお祈りしてたさ」
情報屋「それがきっとウンディーネ本人よ…4500年前といえばウンディーネの時代」
女海賊「めちゃくちゃデカイオークが一杯居てさ…危ないからもう行きたくない」
商人「聞いた事あるな…オークロードっていう奴だ…槍とか石を投げて来るらしい」
女海賊「それそれ!それで魔女がやられて瀕死なんだ」
商人「ええええええ!!?それを先に言ってよ…魔女は平気なのかい?」
女海賊「線虫で癒してるから死ぬことは無い…失血で気を失ってるだけだよ」
商人「魔女は失血に弱いね」
女海賊「元々体が弱いのさ…そのくせ粘るから失血で倒れるんだよ」
情報屋「盗賊は?」
女海賊「飛空艇で魔女の看病だよ…下手に動かさないで寝かせておいた方が良いって…」
情報屋「そう…」
女海賊「もうお腹隠し切れないじゃない?」チラリ
情報屋「フフ大丈夫よ!あの人鈍感だから」
-----------
576 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:19:33.47 ID:c2KZAoSz0
女海賊「…それで壁画の年代とか判明した?」
情報屋「そうね…1400年前の壁画はフィン・イッシュに有る花崗岩と判明したわ」
商人「700年に飛空艇とか無い筈だから徒歩でフィン・イッシュに向かったと思われるよ」
女海賊「その後は?」
情報屋「サンゴを含む石灰岩なの…場所の特定が出来ないけれど恐らくフィン・イッシュ外海に出たと思われるわ」
商人「内海にはサンゴが無いからね…外海側の何処かとしか言えないらしい」
女海賊「フィン・イッシュは何回も行ってんじゃん!何処を調べれば良いのさ」
商人「女王に事情を話して遺跡とか知らないか聞いてみるだね」
女海賊「まぁオーク領も飽きたし…一回フィン・イッシュ行って見るかぁ…」
商人「それから君に紹介したい人が居るんだ?」
女海賊「誰?付き合うのメンドクサイ人は遠慮する」
商人「おいで!?」
機械の犬「ワン!」トコトコ
女海賊「え!?もしかしてホムちゃん?」
商人「正解!壊れた機械の犬を直してホムンクルスの器にしたんだ」
女海賊「え?え?こんなんで良いの?」
機械の犬「ワン!ワン!」フリフリ
商人「意思は伝わるよ…ちゃんと疎通も出来る」
女海賊「どうやってお話するのさ」
商人「フフお話してごらん?イエスかノーの2択とそれ以外にも微妙な反応もあるんだよ」
女海賊「連れて行って良いの?」
商人「ちゃんと帰って来るならね?」
女海賊「ホムちゃんこっちおいで?」
機械の犬「ワン!ワン!」トコトコ
女海賊「おおおおおおおお!!来るじゃん!!ホムちゃんと話したい事一杯あったのさ」ナデナデ
機械の犬「ワン!」フリフリ
女海賊「そっか尻尾も動くか…他に何が出来るん?」
商人「お座りとか色々さ…君の話し相手になれば良い…ホムンクルスも部屋の中で閉じこもるより楽しい筈」
女海賊「おけおけ!ちっと散歩行こう」タッタッタ
------------
577 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:20:05.59 ID:c2KZAoSz0
情報屋「商人?壁画の写しを見て?」
商人「何か分かるかな?」
情報屋「やっぱり年代を追うごとに情報量が減ってる…この頃にはもう私達の記憶は無さそう」
商人「見たまんまを描いて居るのだろうね」
情報屋「この壁画に描かれて居るのは4500年前では無くそこに飛ぶ以前の事…つまり3800年前の出来事」
商人「地軸が移動した後の世界か…」
情報屋「そのまま描いてあるから当時の予言として扱われた可能性が高いわ」
商人「あれあれ?よくよく見ると色々おかしいね…途中から虫を持った人物が居なくなる」
情報屋「そう…彫り方がとても雑になってる…他の人が手を加えたかもしれない」
商人「う〜んこの壁画の考察は慎重に言葉を選ばないと女海賊が怒りそうだ」
情報屋「やっぱりそう思う?」
商人「オークの地で最後を迎えたとは言えないな」
情報屋「私の考察はこうよ…3800年前に未来君は最後を迎えてる…この壁画を残したのは剣士だと思うわ」
商人「未来君の記憶では無く剣士の体験を描いている?それで雑になって居ると?」
情報屋「途中から虫を持った人物が居なくなるのはそれを表して居ると思う…良く見て?視点が虫を持た人物中心じゃない」
商人「剣士がこの壁画を残したとしてその動機はどう考える?」
情報屋「純粋に予言ね…地軸の移動で激変する事を伝え残したかった」
商人「まてまて剣士は記憶を保持していた訳か…それが勇者の眼が持つ特殊性」
情報屋「きっとそうね…剣士が選んだ次元と言えば良いのかしら?」
商人「なるほど…この後は剣士の行先と言う事になるか…」
情報屋「まだ考察の話だから女海賊には伏せておきましょう」
578 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:20:55.86 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
スヤスヤ zzz
女海賊「どう?まだ目を覚まさない?」
盗賊「交代に戻って来たんか?」
女海賊「まぁね?見て!!ホムちゃんだよ」
機械の犬「ワン!」フリフリ
盗賊「なぬ!!?そいつん中に復活させたんか?」
女海賊「そうらしい」
盗賊「マジかよ…話出来るんか?」
女海賊「結構通じるさ…ワンとかクゥ〜ンだけだけど」
盗賊「ヌハハ通じりゃどうでも良いわな」
女海賊「私飛空艇でホムちゃんと話するからあんた酒飲んで来て良いよ」
盗賊「おう!そうさせてもらう」スック
女海賊「フィン・イッシュに行く事になりそうだから適当に物資補給しといて」
盗賊「なんで又フィン・イッシュに戻んのよ?」
女海賊「未来が最初に向かったのはフィン・イッシュらしい…女王に何か無いか聞きに行くのさ」
盗賊「お!?俺一つ知ってんぞ?」
女海賊「何さ?」
盗賊「リザードマンの巣窟になってんだがよ…祭事に使う祠ってのが合ってな?多分そこが遺跡なんだよ」
女海賊「そういやなんかそんな事言ってたなぁ…クサナギの剣を使うとか?」
盗賊「フィン・イッシュの大事な場所らしいから俺はしっかり調べて無いのよ」
女海賊「ほんじゃ行先はそこだなぁ」
盗賊「まぁ焦んな?俺は酒場に行ってちっと遊んで来る」
女海賊「情報屋の所には行かないの?」
盗賊「アイツ最近付き合い悪くてよ…全然酒飲ま無ぇんだ」
女海賊「ほ〜ん…」シラー
盗賊「丁度こっから月も見えるからお前も退屈せんだろ?」
女海賊「お!!それそれ!!ホムちゃん私さぁ…月に行きたいんだよ…なんとかなんない?」
機械の犬「クゥ〜ン」
盗賊「じゃ行って来るな?」ダダ
光る隕石のやつ…えーと何だっけ…何とかミサイル
あれに乗って月まで行けない?
クゥ〜ン
一人乗りに改造するとかなんか方法有りそうじゃん?
クゥ〜ン
じゃ2個連結するとかさ?
クゥ〜ン
いや私も考えたんだよ…重力振り切るだけの加速をどうやって得るとかさ…
てか宇宙って空気無いんだよね?
ワン!
どうやって推進するんだろ?推進しないと重力に引っ張られっぱなしなんだよなぁ…
それ以前にどうやって息するかも課題だな…
579 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:21:29.35 ID:c2KZAoSz0
『翌日』
う〜ん
魔女「…」パチクリ
女海賊「お!?起きた!!」
魔女「どうなったんじゃ?又主に救われたんかいのぅ?」ハテ?
女海賊「線虫間に合ってセーフ!!」
魔女「あまり覚えて居らんのじゃが…」
女海賊「デカいオークの投槍がぶっ刺さったのさ」
魔女「…そうじゃった…まさかあの距離で当てて来るとは思わなんだ」
女海賊「睡眠魔法も妖精の笛も届かない場所から投槍とかオークを舐めてたわ…あいつ等賢い」
魔女「うむ…しかし無事で良かったわい」
女海賊「ほんでちゃんと魔方陣の書かれた呪符はゲットしてきたよ」ファサ
魔女「そうじゃそうじゃ…わらわの目的はソレじゃ」
女海賊「その呪符で何か分かるん?」
魔女「研究したいのじゃ…これは古代魔術じゃでのぅ」
女海賊「なんで壁画と一緒に在ったんだろね?」
魔女「さぁのぅ…それも意味が在るのやも知れぬ…わらわは研究の為に書物を取りにフィン・イッシュへ行きたいのじゃが…」
女海賊「おけおけ!丁度フィン・イッシュに行こうとしてたんだ」
魔女「その前に肉を食らわん事にはどうやら血が足りん様じゃ…」クラクラ
女海賊「ハチミツスープあるけど居る?」
魔女「頂こう…」
ヨッコラ ドスン
盗賊「お?魔女は目ぇ覚ましたんだな?」
魔女「主がわらわを担いで逃げたのじゃな?」
盗賊「そうよ…まぁえらい血が出たな?掃除が大変だったぜ」
魔女「そら済まんかったのぅ」
盗賊「今リンゴ買って来た所だ…ちっと食うと良い」ポイ
魔女「うむ…果物が食いたかった所じゃ」ガブリ シャクシャク
女海賊「もう飛んで良い感じ?」
盗賊「ちょい待て!もう一つ樽があるんだ…それとこれは商人から貰って来たお前のおもちゃだ」ポイ
女海賊「おもちゃ?」パス
盗賊「なんかな?集光レンズらしいぞ?インドラの銃で使えないかってよ?」
女海賊「おお!!ほんじゃ長い砲身要らなくなるな…邪魔だったんだよ持ち歩きに」
盗賊「もう一樽積むからちょい待っててくれ」ダダ
--------------
580 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:22:02.16 ID:c2KZAoSz0
カチャカチャ
魔女「早速改造かいな?」
女海賊「持ち運びが楽になりそうだかんね…」
魔女「ミスリルの筒が勿体無いのぅ」
女海賊「これはこれで何か作れるな…そうだ笛が作れる」
魔女「それは良い案じゃ…2つ程作れそうじゃな」
女海賊「どうせフィン・イッシュに到着するまで暇になるからミスリルの横笛作ってみるわ」
魔女「わらわは横笛を吹けるのじゃぞ?」
女海賊「マジ?」
魔女「どんな音が出るのか楽しみじゃのぅ」
女海賊「てか笛の吹き方教えてよ…妖精の笛吹く時やってみるからさ」
魔女「よかろう…虫との会話も弾むじゃろうしのぅ」
女海賊「え?虫が何の関係あんのさ」
魔女「虫使いはのぅ…笛を使って遠くの虫を呼ぶのじゃ」
女海賊「マジか…笛でそんな事出来んのかよ」
魔女「妖精の笛も原理は同じじゃと思う」
女海賊「虫が眠らせてるのか…てか妖精か…」
魔女「ほんでいつ作るのじゃ?」
女海賊「あぁ今作るさ…ちょい待って」
581 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:22:33.71 ID:c2KZAoSz0
--------------
ヨッコラ ドッスン
盗賊「お前等何やってんだ?」
女海賊「笛作ってんだよ」シュッシュ ガリガリ
魔女「穴の大きさと位置は妖精の笛と完全に一致するようにせい」
女海賊「わーってるって」カリカリ
盗賊「フィン・イッシュ行くんじゃ無かったのか?」
女海賊「今手が離せないから飛空艇の操作お願い!…適当に飛んどいて」シュッシュ ガリガリ
盗賊「ヘイヘイ…忘れもん無いな?」
女海賊「うっさいな!!早く行けよ」カリカリ
盗賊「魔女!肉も買って来たぜ?食うか?」
魔女「おぉ気が利くのぅ」
盗賊「なんで又急に笛なんか作る事になってんだ?」
魔女「細かい事は良いでは無いか…ミスリル銀の笛の音を主も聞いてみとう無いか?」
盗賊「興味無ぇな…笛は笛だろ?」
魔女「主は凡人じゃのぅ…」
盗賊「凡人で構わん…飛空艇飛ばすぞ?」グイ
シュゴーーーー フワフワ
582 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:23:04.13 ID:c2KZAoSz0
『上空』
トゥルルン♪ トゥルル〜♪
盗賊「ほーーー変わった音の鳴る笛になったな」
女海賊「なんか私が吹くとこんな音なんだよ…」
ヒョロロン♪ ヒョロロ〜♪
魔女「吹き方にコツが在るのじゃ…慣れるまで練習せい」
盗賊「なるほど魔女の音の方が聞いて疲れにくい…これが差か」
女海賊「なんでだろうなぁ…」ピーヒャララ
盗賊「その笛はミスリルで作ってっからやっぱ魔除けの効果あるんか?」
魔女「じゃろうのぅ」
女海賊「ミスリル銀って何がエンチャント出来るん?」
魔女「銀じゃで光属性なのじゃが…」
女海賊「退魔のエンチャントで効果倍増したりしない?」
魔女「さぁのぅ?意味が無い気もするが…」
盗賊「照明魔法で光らせるってのはどうよ?道具として便利になるぞ?」
魔女「エンチャントするならその方が良さそうじゃな…薄っすら光る程度でランプの代わりになるでのぅ」
女海賊「よーし!ちょい先に装飾すっからエンチャントは後でお願い」
583 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:23:34.15 ID:c2KZAoSz0
------------
魔女「照明魔法!」シュワー
盗賊「ほーーこりゃ良い!薄っすら光るぐらいが明かりにゃ丁度良いわ…欲しくなって来るじゃ無ぇか」
魔女「しかし良い笛が完成したな?装飾と言い音色と言い…」
女海賊「魔女に一個あげるよ」
魔女「嬉しいのぅ…魔力を使わずして退魔効果とは…」
盗賊「退魔の効果ってよ?悪霊退散とかか?」
魔女「うむ…レイスやゴーストを寄せ付けぬ…ガーゴイルにも効果が在るじゃろうな」
盗賊「俺も欲しいんだが…」
女海賊「練習終わったら私のヤルよ…妖精の笛持ってっから」
魔女「盗賊も笛を吹くんかえ?」
盗賊「俺は明かりが欲しい訳よ…イザって時に退魔で吹くってのも有りだな」
魔女「ふむ…只の筒をこの様に細工し直せる技術は大した物じゃ」
盗賊「だな?売りゃ相当高値が付く筈だ」
女海賊「おいおい売るなよ!」
盗賊「ヌハハ売ったらの話よ…ミスリル銀の楽器なんかそうお目に掛かれんもんな」
魔女「じゃな…しかし美しい笛じゃ…見ていて飽きんわ」
女海賊「おーし!!練習すっぞ!!」ヒョロロー
盗賊「…」ニヤ
そうよ光ってのはそういう感じな訳よ…その先にきっと何か待ってる
584 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:24:14.71 ID:c2KZAoSz0
『フィン・イッシュ_墓地』
フワフワ ドッスン
盗賊「こっちは南の大陸と違って夏か…まぁ過ごしやすそうだ」
魔女「わらわは早速城の書庫へ行くぞよ」ノソ
女海賊「付いて行きゃ女王に会えるよね?」
魔女「付いて参れ…盗賊は人相が悪いで顔を隠すのじゃ」
盗賊「もう顔パスじゃ無ぇのか?」
魔女「主を知らぬ衛兵も居るじゃろう…面倒が起きてはいかんでのぅ」
盗賊「なんだかなぁ…俺はいつまで立っても損な役回りなんだよなぁ…」ブツブツ
魔女「素行が悪いのが問題じゃ…まず歩き方をなんとかせい」
盗賊「やっぱ俺には城は合わんな…酒場に行ってるからそっちはそっちで上手くやってくれ」ダダ
魔女「しょうがない奴じゃ…これ女海賊や…行くぞよ」ノソノソ
『酒場』
ワイワイ ガヤガヤ
おい酒が無ぇぞ!!もう一本持って来い!!
一本入りまぁ〜す!ウフフ…お代はお先に
金は在るんだウヒヒ…今度こそパフパフをだな?
いやぁ〜ん…
バニー「いらっしゃいませ〜お一人様ぁ?」フリフリ
盗賊「一人なんだがこりゃ座れそうに無いな…」
バニー「立ち飲みで良かったらカウンターへどうぞ〜」
盗賊「しゃぁねぇな…ワイン一本ボトルで頼む」ジャラリ
バニー「一本入りまぁ〜す!…チップも頂くわよん」
盗賊「昼間だってのに盛況だな?」
バニー「お金持ちの海賊様がいらっしゃってますのでウフフ」
盗賊「あっちもこっちも海賊だな…」
バニー「ワインお持ちしましたぁ〜ごゆっくり」ゴトン
盗賊「おぉありがとよ…」グビ プハァ
585 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:24:47.28 ID:c2KZAoSz0
マスター「お客さんはどちらから?」
盗賊「んん?俺か?」
マスター「はい…」
盗賊「キ・カイから来たんだ…なんでだ?」
マスター「傭兵の募集が在るのですよ…このチラシをご覧ください」パサ
盗賊「なんだ一杯あんな…リザードマン退治にシーサー退治…んん?船乗りも募集してんのか」
マスター「あぁその船乗りの募集は止めて置いた方が良いかと…なんでも外海へ出るとか」
盗賊「ほう?俺知ってんぞ?髭男爵だろ?」
マスター「髭男爵?違いますね…有名な探検家らしいです」
盗賊「ほーん…このチラシ貰って良いか?」
マスター「どうぞどうぞ…もし傭兵に参加されるのでしたらこのチラシを見たと行って貰えれば報酬が入る仕組みになっていまして」
盗賊「なるほどな?まぁ考えとくわ」
マスター「是非…」
盗賊「しかしこんだけ客が入ってりゃ儲かってウハウハだろ?」
マスター「いやいやそうでも無いのですよ…酒類の仕入れが海賊から高値で買わされていましてね」
盗賊「なんだお互い様って訳か」
マスター「一番儲かっているのは遊女屋でしょうか」
盗賊「ほーん…こりゃ孤児院が増えちまうな」
マスター「全くです…良いのか悪いのか…」
盗賊「ちっと仕事の急用を思い出した…又来るな?」スタ
マスター「又のご来店を…」ペコ
586 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:25:22.40 ID:c2KZAoSz0
『日暮れ_酒場』
ザワザワ ドタドタ
おい!!俺らの船もヤバいぞ!!
いつまで飲んでんだクソが!!船が何処かの賊にやられてる!!行くぞ!!
マスター「いらっしゃいませ…お二人様ですか?」
女海賊「んーーーー連れを探してんだけどさぁ…」
魔女「ここで待って居れば来るのでは無いか?」
マスター「飲んで行かれますか?丁度お席が空きました」
女海賊「魔女?気球待たせても良いんかな?」
魔女「仕方ないじゃろう…これ!ハチミツ酒は在るかいな?」
マスター「あいにく切らして居まして…エール酒は如何でしょう?」
女海賊「おけおけそれで良いよ…魔女お金持ってる?」
魔女「うむ…」ジャラリ
マスター「確かに…少々お待ちください」
女海賊「カウンターで良っか…」
魔女「この騒ぎは何じゃろうのぅ?」
マスター「どうも港に停船してある海賊船が軒並み火事になっているらしいです」
魔女「海賊が狙われて居るとな?」
マスター「さぁ?詳しい話は聞いて居りませんので」
女海賊「まぁ良いじゃん?私等には関係無いし…てか盗賊何処行ったんかな?」
マスター「お二人は吟遊詩人様で?」
女海賊「え?そんな風に見える?」
マスター「笛が覗いて居ますので…もしかしたらと思いまして」
女海賊「お?今お客さんあんま居ないから魔女吹いてみたら?」
魔女「恥ずかしゅうて吹けんわ!」
マスター「構いませんよ?楽器の演奏はどなたでも歓迎なのです」
女海賊「良いじゃん!私も勉強すっからさ!!」
魔女「一曲だけじゃぞ?」シブシブ
マスター「サービスで軽いお食事をお出しします」
女海賊「やったね!」
トゥルルン♪ トゥルル〜♪
マスター「おぉ…音色が特殊な笛なのですね」
587 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:25:53.81 ID:c2KZAoSz0
女海賊「私が作った笛なんだ…良い音色っしょ?」
マスター「ふぅむ…あの方は何処かで見たような…」
女海賊「気のせい気のせい…わたし等そんな有名人じゃないから」
タッタッタ
盗賊「笛の音がすると思ったら此処に来てたんか!」
女海賊「お!!探してたんだよ…何処行ってたのさ」
盗賊「ちっと金稼ぎにな?」
マスター「お知り合いでしたか…席が空きましたのでどうぞ」
盗賊「悪りぃな?俺ワイン忘れて行っただろ?まだ在るか?」
マスター「御座います…どうぞ」キュポン
盗賊「喉渇いてたんだ…」グビグビ プハァ
女海賊「なんかさぁ…女王は出産で城には居ないんだってさ」
盗賊「なぬ?何処行ったんだよ?」
女海賊「教えてくんないんだよ」
盗賊「俺は遺跡の場所分かるから勝手に行っちまうか」
女海賊「魔物の巣窟になってるらしい…」
盗賊「どうせリザードマンだろ?んなもん追い払えば良い」
女海賊「そういう訳にも行かない事情が在るんだってさ…詳しい話は近衛侍がしてくれる事になってんだ」
盗賊「いつよ?」
女海賊「今すぐだよ…だからあんたを探しにここまで来たんだって」
盗賊「なんだよ酒飲む時間無いのか」ゴク
女海賊「半日自由な時間在ったじゃん何してたんだよ」
盗賊「あぁ…孤児院が増えない様に色々とな?」
女海賊「まぁ良いや…魔女の演奏終わったら行くよ」
盗賊「へいへい…」
588 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:26:28.90 ID:c2KZAoSz0
『街道』
ザワザワ ガヤガヤ
見て?船が燃えて居るわ?
なんだなんだ?海戦が始まってんのかぁ?
ドカーン!
魔女「こりゃえらいこっちゃな…火薬に火が回っとるんか」
女海賊「何か始まっちゃってるな」
魔女「わらわ達も混乱に巻き込まれそうじゃ」
盗賊「ほんで俺ら何処行く訳よ?」
女海賊「近衛侍が王族の気球で待ってんのさ」
盗賊「女王の所に連れて行ってくれる訳だな?」
女海賊「なんか教えてくんないんだよ…行けば分かるよ」
盗賊「まぁ…簡単に女王の行き先が分からん辺り警備はしっかりしてんだな」
魔女「じゃろうのぅ…忍びに囲われて居るでな」
589 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:26:59.48 ID:c2KZAoSz0
『王族の気球』
ノソノソ
魔女「近衛侍や…待たせたのぅ」
近衛侍「いえ滅相も無い…ささご乗船を」スッ
盗賊「いよぅ近衛侍…女王の居る所まで連れて行ってくれるんだろう?」
近衛侍「しばしご辛抱を…忍び!加減を…」
盗賊「なぬ?2人隠れて居たんか…」
忍び「御免…影縫い!」
魔女「ムム!これは闇の術…」
忍び「目隠しの術!」
盗賊「こりゃどういう事よ?目隠しと拘束か?」グググ
魔女「妖術師が居ったのか…」
近衛侍「ご心配なさるな…忍びの里へご案内する為の決まりごと故…ご辛抱なされい」
盗賊「ほーーさすが忍びだな」
近衛侍「さてそのままお聞きになられよ…」
女王様は御子の出産の為忍びの隠れ里にて静養中にござる
隠れ里にご案内出来るのは本来近親者のみ
しかし世話になった恩人を帰したとなれば女王様の面目を潰してしまう故に
無礼とは存じておりますがこの様な方法でご案内致す次第
どうか隠れ里の事は他言されぬ様お願い致しまする
魔女「良い良い構わぬ…正直わらわはこの様な出迎えでちと心が躍って居る」
近衛侍「それは結構…」
魔女「ふぅむ…わらわの塔もこの様にすべきじゃな…良い経験になったわい」
盗賊「なるほど…魔女の塔に案内されてる感じな訳か」
魔女「して妖術師はいかなる術を使いこなすのじゃ?」
近衛侍「ハハご勘弁を…」
魔女「おぉ済まなんだ…軽々しく話せる訳では無いじゃろう」
女海賊「これ魔女ん所より厳格な感じなんだね?」
魔女「うむ…感心じゃ…魔術師も本来こうあるべきじゃな」
女海賊「魔女が目立ち過ぎってのが悪い気がするな」
魔女「ふむ…反省じゃな…わらわの師匠も同じ様な事を言って居ったわい」
盗賊「忍びの一族が妖術使うってーと…シン・リーンの魔術師並みにヤバイってこったな?」
魔女「じゃな?しかも力を誇示して居らぬ所が威厳たる証じゃ」
--------------
590 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:27:31.23 ID:c2KZAoSz0
魔女「ほう?リザードマンもシーサーも妖術によって使役されておるとな?」
近衛侍「すべてでは御座らぬが隠れ里へ人が近寄らぬ様にする為の事」
盗賊「酒場で討伐隊の募集が掛かってたぜ?」
近衛侍「ワッハッハそれは民を訓練する為に女王様がご提案されたクエストですな」
盗賊「なんだマッチポンプか…報酬も国が出すのか」
近衛兵「そうやって冒険者を募って経済を回しているのでござるよ」
盗賊「じゃぁ俺らに全部追い払われたら困る訳だな」
近衛兵「特に魔女様に暴れられては隠れ里をも被害を被りますので…」
女海賊「そうだよ!隕石ポンポン落として森を破壊しまくるんだよ」
魔女「狙って森を破壊した訳では無いぞよ?ゴーレムを倒す為じゃ…」
女海賊「魔女の魔法は被害がデカ過ぎなのさ」
魔女「主の爆弾も大概じゃと思うが…」
女海賊「私はもうウラン結晶の爆弾は止めたから」
盗賊「なんでよ?お前の十八番だろ?」
女海賊「あの爆弾から毒が出るじゃん?未来はそれを無くすために一人で毒を集めたんだ…」
魔女「そうじゃな…あの爆弾は使わぬ方が良かろうのぅ」
盗賊「そうか…お前は未来が毒を集めにゃならんくなった原因に自分も含まれてると思って居た訳か」
女海賊「もう言わないで…何も知らなかった私が馬鹿だったんだ」
--------------
近衛侍「そろそろ到着しまする…揺れます故ご注意を」
ドスン ズザザー
盗賊「まだ目が見えんのだが…」
近衛侍「忍び!解除を」
忍び「解術!」
魔女「ほう?これは闇の術とは違うのぅ…何故視覚を急に失うのか」
女海賊「あれ?目の中に線虫が居るぞ?」ゴシゴシ
魔女「むむ…線虫を操り何かさせて居るんか?」
女海賊「そんな事出来んの?」
魔女「線虫は寄生虫の一種じゃで視覚を司る神経を休ませる事なぞ出来るやも知れんな…」
女海賊「おぉ!!それ応用したら何でも出来そうじゃん?」
魔女「それがいわゆる幻術なのじゃが…」
近衛侍「魔女様には敵いませんなぁ…忍びの術は他言しませぬ様に…」
魔女「済まん済まん…それで?隠れ里は何処じゃ?」
近衛侍「ここから見えて居ります赤い鳥居を登った先に御座いまする…天狗が導きます故後を付いて行かれよ」
盗賊「おぉ!!空飛んでんじゃ無ぇか…」
近衛侍「身軽なだけの事…あれも忍びなのです」
女海賊「おっし!付いて行こうか」スタ
591 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:28:01.17 ID:c2KZAoSz0
『赤い鳥居』
ノソノソ
魔女「ふむ…ここは狭間の中じゃな…いつの間に狭間に入ったのじゃろうか」
盗賊「だから迷わん様に鳥居が続いてんだな?」
魔女「天狗が潜らぬ鳥居は通ってはならん様じゃ…さすが工夫されて居るのぅ」
女海賊「案内無しだと辿り着けないんだ」
盗賊「天狗の他にもこっちの様子を伺ってる奴らが居るぜ?」
魔女「ふむ…何故セントラル王が認められんのか分かったわい…忍びから見てセントラル王は中身がペラペラなんじゃな」
盗賊「ヌハハだろうな?単純脳筋バカっぽいもんな?」
女海賊「なんだろうね?この感じ…積み上げられた歴史って感じ?」
魔女「じゃろうな?忍びの歴史を詳しくは知らぬが相当古くから存在して居ったそうな」
盗賊「お?天狗がどっか行ったぜ?」
魔女「到着じゃろう…」ノソノソ
『隠れ里』
チュンチュン ピヨ
女王「お待ちしておりました…」
盗賊「おぉ!!嬢ちゃん!!もう動いて良いのか?」
女王「軽い散歩程度でしたら大丈夫な様です」
魔女「無事に生まれた様で良かったわい…御子の性はどちらじゃ?」
女王「男の子でした…皆喜んでおります」
魔女「ほうか良かったのぅ…」
女王「産屋の方にはご案内出来ませんので屋敷の方へどうぞ…」
592 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:28:37.61 ID:c2KZAoSz0
『屋敷』
カッコーン チョロチョロ
魔女「これは又風流な庭園じゃな…」
女王「ここでお寛ぎください」
盗賊「俺らあんまり長居する気は無いんだ」
女王「どういったご用件で尋ねて来られたのでしょう?」
魔女「話は長くなるのじゃが…わらわ達は勇者らの足取りを追っておってな?」
女王「はい…」
魔女「どうやら700年前にこの地へ来て居る様なのじゃ」
女王「700年前?」ハテ?
盗賊「簡単に言うとな?祭事に使う祠があんだろ?…そこを調べたいんだよ」
女王「龍神を奉る祠の事ですね?」
魔女「壁画の話から聞かせた方が良さそうじゃな…実はのぅ…シン・リーンで発掘された壁画は…」
カクカク シカジカ
-------------
-------------
-------------
魔女「…という訳でフィン・イッシュに有った壁画がシン・リーンへ持ち込まれた様なのじゃ」
女海賊「これが壁画を写した書物だよ」パラパラ
女王「ハッ!!龍神も描かれて居ますね…」
魔女「なぬ!?」
女王「眼の沢山あるヘビの様な生き物は龍神様です」
女海賊「ワームじゃ無いのか…」
女王「祠を守っていたと言われる龍神が居なくなった謎が解けるかも知れませんね」
女海賊「それっていつの話?」
女王「700年前にフィン・イッシュを流る川に姿を変えたと言い伝えられて居ます」
女海賊「時期がピッタリ合うね…その後何処に行ったのか調べたいのさ」
女王「祠で何か分かるのであれば調査しても構いませんよ?…只何も怪しい物は見当たりませんが…」
盗賊「祠の中をちっと見た事が在るんだが一番奥に祭壇があったろ?」
女王「そうですね…それ以外には石造がいくつかある位しか…」
盗賊「そこを調べたいんだ」
女王「私は行く事が出来ませんので忍びのくノ一に案内させましょう」
盗賊「そら助かる」
女王「リザードマンも多く潜んで居ますので警護に近衛侍も連れて行くと良いでしょう」
魔女「早速じゃが日が落ちる前に調べる寄って主は静養して居るのじゃ」
女王「…体調が万全なら私もご一緒したかったです」
女海賊「何か有ったら全部教えてあげるよ」
女王「はい…お願いします…ずっと横になって居ると退屈な物でして…」
盗賊「じゃぁ行って来るな?」スック
593 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:29:13.94 ID:c2KZAoSz0
『林道』
サラサラ サラサラ
くノ一「この小川を少し下った先が祭事の祠です」
盗賊「この辺りはキノコだらけだな」
くノ一「毒キノコですので食さない様に…」
盗賊「ポーションの材料になるんだろ?」
くノ一「忍びでは古来より万能薬の材料として使って居ます」
魔女「古来からとな?確かホムンクルスが物性値からポーションに変換出来る事を見つけたのじゃがな…」
女海賊「剣士か未来が伝えた可能性あるね」
魔女「ふむ…」
くノ一「我ら忍びの始祖…一角仙人から伝わったと…」
魔女「一角仙人…そうじゃな何かの書物で読んだのぅ」
くノ一「仙人には沢山の逸話が残って居ます…妖術を操り魔物を退けたなど…」
盗賊「まぁ俺らはその謎が知りたい訳よ…だから今から祠を調べに行く訳だ」
近衛侍「祭事の祠にどういう秘密が有ると見込んで居られる?」」
盗賊「開かずの扉が在る筈なんだ…」
近衛侍「扉…そういえば祭壇の奥壁に装飾が在りましたな
盗賊「多分それだ…そいつを俺が開けるのよ」
近衛侍「いやはや楽しみになって来ましたなぁワッハッハ」
594 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:29:49.37 ID:c2KZAoSz0
『祭事の祠』
ピチョン ポタ
女海賊「入り口が大分風化しているけど古代遺跡に間違い無いね」
くノ一「奥に祭壇があります…ついて来て下さい」スタ
魔女「並んでいる石造は何なのじゃ?」
近衛侍「それは農業の神を奉った石造にござる…林道にも随所に…」
女海賊「祭壇ってコレ?」
盗賊「おぉコレか!このどす黒い器はなんだ?」
くノ一「龍神への贄として捧げる男性の血を入れる器です…古来からの慣わしです」
魔女「龍神に血とな?」
くノ一「龍神と言っても色々な龍神が居るのです…中には血を好む龍神も居ます」
盗賊「ほ〜ん…で?この祭壇の奥にある装飾…ビンゴだなキ・カイの扉と一緒だ…」
近衛侍「これが扉だったとは…」
盗賊「開けるのに2時間ぐらい掛かるんだ…ちっと暇になるぞ?」
女海賊「近くに温泉あるって言ってたじゃん?私ちっと入りたいんだよ」
魔女「わらわも行きたいのぅ」
くノ一「案内しましょう」
近衛侍「では警護はお任せあれ…」
『2時間後』
ホクホク
魔女「主はどれだけ水浴びしとらんかったんじゃ?髪の色が変わって居るでは無いか」ホクホク
女海賊「水浴びは寒いから嫌なのさ…体は虫に掃除させてたんだよ」
魔女「なんちゅう汚い女じゃろうのぅ…」
女海賊「うっさいなぁ今綺麗にしたから良いじゃん!」
盗賊「ぬぁぁ待ちくたびれたぜ…扉空いたぞ」
魔女「おぉ待って居ったか…済まんのぅ」ノソノソ
近衛侍「まだ中へは?」
盗賊「入って無ぇよ…何か盗んだと思われたく無いからな」
女海賊「ホムちゃん居たりしてね?」
盗賊「かもな?魔女!照明魔法を頼む!」
魔女「なぬ?主はエンチャントされた笛を持って居ろうが」
盗賊「んん?どうやって使うんよ」
魔女「振れば光るのじゃ…使うてみぃ」
盗賊「こうか?」フリフリ ピカー
魔女「便利じゃろう?」
盗賊「先に使い方説明してくれよ…めちゃくちゃ便利じゃ無ぇか」
女海賊「ほんじゃお先ぃ!」スタタ
595 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:30:19.76 ID:c2KZAoSz0
『古代遺跡』
シーーン
くノ一「ガラス容器にテーブル…食器まで…これは一体」
女海賊「いつもの古代遺跡とほとんど同じだね…」
盗賊「ホムンクルスは居無い様だな?」
女海賊「ん?何だコレ?食器にしちゃデカい…それとこっちの宝石みたいな奴は何だろう?」
盗賊「ほーーそりゃ鏡だな…ほんでこっちは瑪瑙だ…しかし又デカイな」
女海賊「魔女?コレ何だか分かる?」
魔女「巨大な瑪瑙とな?…まさか八尺瓊勾玉ではあるまいな?」
女海賊「なんそれ?」
魔女「シャ・バクダが覇権を握って居った時代にシン・リーンから奪われた宝具なのじゃが…」
女海賊「でかい魔石みたいな物?」
魔女「王を選ぶと言われて居ったそうな…持ち帰って調べる必要があるのう」
女海賊「こっちの鏡は?」
魔女「分からぬ…ここに隠して居ったのじゃからそれなりの理由が有りそうじゃが…」
盗賊「おい!足元見ろよ…これは退魔の方陣じゃ無いのか?」
魔女「なぬ?退魔の方陣じゃと?」
女海賊「本当だ…それ私も組めるよ」
魔女「ではここ数十年で誰ぞ此処に入ったという事じゃ…退魔の方陣はわらわの師匠が発見した方陣じゃでな」
女海賊「剣士か未来じゃないの?」
魔女「どちらにも教えて居らぬのじゃが…」
盗賊「女海賊!!来てみろ…こりゃビンゴだぜ?爆弾を作った形跡があるぞ…」
女海賊「え!!?何処?」
盗賊「食器だと思ってたがこれはお前が火薬を作る時に使うすり鉢じゃ無いのか?」
女海賊「やっぱりここで過ごしたんだね…」
盗賊「散らかってんのは巻紙だろ?…こっちの容器は硫黄と砂鉄を入れるのに使ったんじゃ無いのか?」
女海賊「そう…私が教えた通り」プルプル
盗賊「食器の数からすると2人以外にも仲間が居た様だな?上手く生き延びた証拠だ」
魔女「では退魔の方陣も知って居ったとな?」
盗賊「だろうな?これをやってるって事は100日の闇も在ったのかも知れん」
魔女「そうじゃ忍びにはその様な記録を残した書物は残って居らぬのか?」
くノ一「一角仙人の逸話を残した巻物なら隠れ里に有ります」
魔女「それじゃな…一角仙人とは剣士か未来のどちらかじゃな」
盗賊「どうする?戻るにゃまだ早いが…」
女海賊「私はもうちょっと調べたい」
盗賊「ほんじゃ俺はデカイ瑪瑙と鏡を隠れ里に運んで来るわ…くノ一!先導してもらって良いか?」
くノ一「分かりました…」シュタタ
-------------
596 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:31:03.26 ID:c2KZAoSz0
魔女「何か見つかったかえ?」
女海賊「色々ね…種とか骨を細工した物とか」
魔女「しばらく住んで居ったのじゃな?」
女海賊「少なくても4〜5人…本当は祠の入り口にも扉が在った筈さ…そっちは風化してもう無いけど」
魔女「ではここは寝床という訳か」
女海賊「かな?多分エリクサーが入る石の器の中で横になったんだと思う」
魔女「ホムンクルスは居らんかったんじゃろうか?」
女海賊「どうだろ?6つあるガラス容器が全部空だからね…その当時居たのかも知れない」
魔女「髪の毛なぞ落ちては居らんか?」
女海賊「探したけど一つも落ちて無いさ…ワームが掃除しちゃうんだよ」
魔女「髪の毛でも有れば幻術で当時の夢でも見れたかも知れんのにのぅ…」
女海賊「え?何それ?遺品で夢を見れるん?」
魔女「うむ…体の一部分が在れば夢を見せる事が出来るのじゃ…少しだけじゃがな」
女海賊「なーんも残って無いや…残る手掛かりは一角仙人の巻物だね」
魔女「次の行き先が分かれば良いがな…」
女海賊「まぁでも…多分外海の方だよね…未来の残した地図もフィン・イッシュの外海を記した物だったし」
魔女「外海が黒塗りされて居った様じゃが?」
女海賊「何か隠したのかもね…それか穴が開いてるとか」
魔女「海に穴かいな…」
女海賊「空を飛ぶ分には関係無さそうだからちっと行って見るかな」
魔女「何故黒塗りにしたのか気になるが…」
女海賊「もうここじゃ何も見つけられないから隠れ里に戻ろっか」
魔女「そうじゃな…」
近衛侍「先導致しまする」スック
597 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:32:20.49 ID:c2KZAoSz0
『林道』
シュタタ シュタ
近衛侍「む!!何事…」キョロ
魔女「忍びが慌ただしい様じゃのぅ?」
近衛侍「またもやヒハシの群れが来ている様でござるな…」
魔女「ヒハシ?」
近衛侍「失礼…ガーゴイルの事を忍びの間ではヒハシと呼んで居るのです」
女海賊「群れってどんくらい?」
近衛侍「10匹程度でしょうかのぅ…」キョロ
女海賊「おっし!!インドラの銃・改を試す時が来たぞ」スチャ
近衛侍「空飛ぶ魔物を追い払うのは簡単ではありませんぞ?」
魔女「林の中で視界が悪うては魔法も撃てんのぅ…わらわは回復に回った方が良さそうじゃ」
女海賊「てかミスリルの笛で追い払えない?」
魔女「何処に居るのか分からんでは無いか」
近衛侍「林の切れ目から空を良く見ていて下され…大抵は空を旋回して居りまする」
女海賊「居た居た!2匹見える」スチャ
魔女「何処じゃ?」
女海賊「インドラの銃の先…今望遠鏡で見定めてる」
魔女「遠いのぅ…ここから当たるんかいな?」
女海賊「照準のテストだよ…」シュン!
近衛侍「!!?今のは?」
女海賊「今一発撃った…照準のズレ代分かったから次当たるよ」
魔女「わらわは何も見えんかったが…」
女海賊「望遠鏡で覗いてると光の残像が良く見える…行くよ?」
シュン!
女海賊「当たった!!」
魔女「なんじゃ地味じゃのぅ…」
女海賊「光が貫通したっぽい…あのガーゴイル落ちるよ」
魔女「焼かねばならんな…」
女海賊「移動しよっか!」スタタ
598 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:33:19.29 ID:c2KZAoSz0
『隠れ里』
ピィィィィィ!!
魔女「こちらは無事な様じゃな?」
盗賊「おぉ!!帰って来たか…この笛のお陰でガーゴイルはこっちに近付いては来ん」
魔女「笛を使うとは機転が利いた様のぅ…」
女海賊「何匹居んの?」
盗賊「分からんな…俺が見た感じ4〜5匹なんだが林で良く見えん」
魔女「林に入られると厄介じゃな」
盗賊「降りて来たガーゴイルは忍びに任せても良さそうだ…空飛んでる奴が何も出来なくてよ」
女海賊「インドラの銃で減らして行くしか無いね…」チャキ
盗賊「やっぱさっき一匹落としたのはお前だったか」
女海賊「なんか破裂しなくなって地味な感じになっちゃたんだ」
盗賊「倒せりゃ良いだろ」
女海賊「おっし!捕捉…2匹落とすよ?」シュン! シュン!
魔女「ではわらわは燃やしに行くかのぅ…」ノソノソ
盗賊「ヌハハマジで地味な攻撃になったな?」
女海賊「貫通しちゃってるんだよね」
盗賊「てことは直線上なら何匹も行けるってこったな?」
女海賊「お?それ良いね」
盗賊「そうそう重なる事は無さそうだがなw」
女海賊「なんで破裂しなくなったんだろ…集光してる光が細すぎるんかなぁ…」カチャカチャ
盗賊「さっき落としたガーゴイルは拳ぐらいの穴が開いてたぞ?一応破裂してんじゃ無ぇか?」
女海賊「マジ?一点集中で破裂の規模が小さいだけなんか…威力は十分そうだな」
盗賊「まぁ反則武器には違いないわな」
--------------
599 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:34:07.87 ID:c2KZAoSz0
シュン! シュン!
女海賊「おっし!!これで飛んでる奴全部落とした」
盗賊「しかしなんでガーゴイルが群れてるんだ?」
女海賊「この辺の林は狭間の中じゃん?ちゃんと退魔の方陣を組んでないんじゃないの?」
盗賊「一匹二匹ならそれも分かるが群れって事はどっかで集まってるだろ」
女海賊「深い狭間がどっかに有るって事か…」
盗賊「まぁここは忍びが何人も居るから修行には丁度良いのかも知れんが…」
ノソノソ
魔女「女海賊の言う通り何処ぞに深い狭間が放置されて居る様じゃな」
盗賊「おう魔女!林の方はどうよ?」
魔女「忍びが走り回って居るが大丈夫じゃろう…」
女海賊「これ放って置いて良いの?」
魔女「良くは無いが他国の地じゃであまり口出し出来んのぅ…忍びで対処出来るのであれば魔除けとしての利用価値もあるじゃろうからな」
盗賊「リザードマンとかと一緒って訳か」
魔女「うむ…誰ぞが不用意に隠れ里へ近づかぬ様に利用すると言うのも悪い策では無い」
女海賊「ガーゴイルって使役出来ないの?」
魔女「本来使い魔の一種じゃで闇の使い手であれば使役も可能じゃな」
盗賊「あんまり関わってバランス崩すのもイカンという訳か」
魔女「うむ…近衛侍の口調から察するに大した問題では無い様じゃ…それよりインドラの銃の事じゃが」
女海賊「ん?何?」
魔女「空へ向けて撃つ分には良いじゃろうが何かに当たる様な使い方は危険が有りそうじゃ」
女海賊「え?マジ?」
魔女「小型ではあるがインドラの矢には違いない様じゃぞ?どの様な仕組みになって居る?」
女海賊「集光レンズで散乱光を1ミリ位の光の束に変えてるっぽい」
魔女「笛の径から察するに今までは10ミリ程度の散乱光だった訳じゃな?」
女海賊「うん」
魔女「間違って暴発せぬ様に何か細工をしておくのじゃ…足元に発射してしまうと爆発するぞよ?」
女海賊「その点大丈夫!安全装置は完璧だから…連射出来ないけど」
600 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:35:21.15 ID:c2KZAoSz0
『屋敷』
メラメラ パチ
近衛侍「女王様は産屋の方でお休みになられた…今宵はこの屋敷にてお寛ぎください」
魔女「一角仙人の巻物は拝見出来ぬか?」
近衛侍「ヒハシの騒動で忍び達が出払っている故…もうしばらくお待ちを」
盗賊「はぁぁぁなんか退屈だなぁ…酒か何か無いのか?」
近衛侍「ワッハッハ…そう言うと思いましてな?濁酒をお持ちしたのですわ」
盗賊「おぉ!!珍しい酒だな?米という穀物を使うんだっけか…」
近衛侍「さぁさぁ魔女殿も女海賊殿も一杯飲んでみてくだされ」トクトク
魔女「変わった酒じゃな?」
盗賊「俺にもくれ」
近衛侍「つまみも用意して来ましたので一緒にご堪能あれ」トクトク
盗賊「どれどれ…」グビグビ プハァ
近衛侍「如何ですかな?」
盗賊「こりゃ甘い!!だが飲み口はスッキリしてんな?」
近衛侍「某はこの濁酒で一杯やるのが楽しみでしてな?」グビ
魔女「ふむ…なんと濃ゆい酒か…」
盗賊「食い物が恋しくなる酒だ」
近衛侍「何を食しても不思議と合う酒なのですよワッハッハ」グビ
女海賊「なんか白いドロドロで気持ち悪いなぁ…うげぇ」ゴク
盗賊「ガキにはこの美味さが分からんだろう…いやぁ久々に酒っちゅう酒にありつけた」グビグビ
女海賊「甘すぎなんだよ…」
シュタタ スタ
601 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:35:56.41 ID:c2KZAoSz0
盗賊「おぉ!!くノ一!!もしかして巻物持って来たんか?」
くノ一「近衛侍…又濁酒を持ち込んで…」
近衛侍「客人へのもてなしの為故…勘弁されよ」
女海賊「私は酒より巻物の方に興味があるよ」
くノ一「お持ちしました…これに」パサ
魔女「これは又古い巻物じゃな…」
くノ一「2100年前の巻物も御座います…どうか損傷されぬ様にお取り扱いを…」
魔女「ふぅむ…」ヨミヨミ
一角仙人の逸話は2100年前より語られて居ります
一番新しい逸話は700年前…
いづれもその当時の厄災を不思議な妖術を用い退けた伝説に御座います
魔女「なるほどのぅ…」
女海賊「魔女!この巻物見て…未来の壁画と全く同じ絵が記されてる…」
魔女「壁画には続きが在った様じゃな」
女海賊「私これ書き写す」
魔女「そうじゃな…わらわは内容を精査するとしよう」
-------------
-------------
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602 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:36:29.31 ID:c2KZAoSz0
『深夜』
んがぁぁぁ すぴーー
魔女「…まず分かった事を整理するぞよ?」
700年前に一角仙人は妖術師を引き連れて居った
おそらく剣士と未来じゃな
そしてこの国に剣術を伝え…未来は妖術と称し虫使いの術を伝えた
数年此処に滞在して居った様じゃが未踏の地を目指し行方が分からなくなって居る
次に1400年前
この時に大御神を引き連れてフィン・イッシュを建国して居る
何処ぞでホムンクルスを目覚めさせ一緒にこの地を開拓したのじゃ
その時に退治したのが善女龍王…姿はメデューサかラミアの様じゃがリリスじゃったのかも知れぬ
そして2100年前
黄金郷として栄えて居ったこの国は疫病により滅亡の危機にあった
そこに現れた一角仙人は疫病を忽ち癒し
疫病の元となっていた作物を変え稲作を伝えたそうじゃ
魔女「歴史を逆行しているが…剣士と未来の足取りはこの様な感じじゃな」
女海賊「逆から読み解くと訳わかんなくなっちゃうけど…壁画の続きも大体そんな感じかな」
魔女「700年前に未踏の地を目指したらしいが壁画から何か読み取れんか?」
女海賊「外海のど真ん中にチェリーの木が描かれているくらい」
魔女「そこは未踏の地なんか?」
女海賊「どうだろ?北極とか南極じゃないから行けない事は無いと思う」
魔女「誰も行った事が無いという意味では未踏の地なのやも知れんのう」
女海賊「ニルヤカナヤだっけな?そういうのは書かれて居ない?」
魔女「善女龍王の出所がそこじゃな…ニルヤカナヤより海を越えてこの地で男の血を求めたらしい」
女海賊「黄金が無くなったとかいう逸話は無いの?」
魔女「それは書かれて居らんのぅ…一角仙人とは違う話なのかもわからん」
女海賊「まぁ次行く場所がいまいち特定出来ないね…どうすっかな」
魔女「チェリーの木を探しに行くかえ?」
女海賊「大まかな地図だから探せるかどうかも微妙なんだけど…」
魔女「ミツバチに案内させれば行けるのでは無いか?」
女海賊「お?おぉ!!ソレだ!!」
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603 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:36:57.86 ID:c2KZAoSz0
近衛侍「ほう?ニルヤカナヤをご存じとは」
女海賊「おっさんなんか知ってんの?」
近衛侍「近年ではニライカナイと呼ばれておりましてな…死者の集う理想郷があると言われております」
女海賊「なんか聞いた話と違うんだけど…黄金が運ばれたとかそういう話じゃないの?」
近衛侍「確かに遥か昔この国は黄金郷と呼ばれて居た時代は在った様ですな…ニライカナイに運ばれたと言うのは本当ですかな?」
魔女「分からぬ…ニライカナイに有ると言われる時の砂を記した文書と時代が一致するだけじゃ」
近衛侍「ほぉぉ時の砂までご存じで有ったとは…」
魔女「この地にその様な伝説が伝わって居るのじゃな?」
近衛侍「ある漁民が亀に乗り竜宮へ行った伝説ですな…時を超え…それを巻き戻す砂…それが時の砂という物との事」
魔女「竜宮はニライカナイに有るという事か…」
近衛侍「如何にも…まぁ伝説の話ですがなワッハッハ」
女海賊「その場所知らない?」
近衛侍「死すれば分かると言われて居りますが…」
女海賊「なんだよ分かんないのかよ」
魔女「ふぅむ…死者が集うと言うのも気になる話じゃな…何故じゃろうのぅ?」
604 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:37:27.31 ID:c2KZAoSz0
『翌朝』
サーーーー シトシト
盗賊「雨かよ…どうする?」
女海賊「戻るに決まってんじゃん!飛空艇でニライカナイ探しに行く」
魔女「雨に打たれるのは億劫じゃな…」
近衛侍「雨が上がるまで御ゆるりとしていては如何か?」
女海賊「知りたい事知ったらもう此処に居る理由無いのさ…」
魔女「主は相変わらず落ち着かんのぅ」
女海賊「魔女もここに居たって魔方陣の研究出来ないじゃん?」
魔女「そうじゃが昨日の今日でもう出立とは女王に何と思われるか…」
女海賊「大丈夫だって…そんな事最初から知ってるよ」
盗賊「ヌハハその通りだな…いつもすぐ居なくなるしなw」
女海賊「私はもう外海に出たいからさ…魔女どうする?城の書庫行く?それとも飛空艇に乗る?」
魔女「一度主と逸れると次にいつ合流出来るか分からんな…書物があれば飛空艇でも構わん…」
女海賊「ほんじゃちゃっちゃと書物乗せて外海出るよ」
魔女「ヤレヤレじゃ…」ノソリ
近衛侍「では某が王族の気球で城までお届け致す」
女海賊「女王にはよろしく言っといて?又遊びに来るってさ!」
近衛侍「しかと承りました」
盗賊「ほんじゃ行くかぁ」スック
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605 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:38:04.07 ID:c2KZAoSz0
『城』
フワフワ ドッスン
近衛侍「ささ皆様方…到着致しました」
女海賊「おっし!私飛空艇に戻ってるからさ…魔女は書物持って来てよ」
魔女「うむ…これ盗賊!主は書物を運ぶのを手伝え」
盗賊「へいへい…」
女海賊「なんか城がバタついてんじゃない?」
近衛侍「その様ですな?某は事情を聞いて参りますのでこれにて…」ペコリ
魔女「では書物庫へ行くかのぅ」ノソノソ
『飛空艇』
タッタッタ
女海賊「ホムちゃん待った?」
機械の犬「クゥ〜ン」トコトコ
女海賊「ごめんよ直ぐに戻るつもりだったんだけどさぁ」
機械の犬「ワン!ワン!」トコトコ
女海賊「ん?何かあった?」スタ
機械の犬「ワン!」フリフリ
コケーーッ コッコ
女海賊「おぉ!!卵産んでんじゃん!!」
機械の犬「ワン!」ヒョコ
女海賊「アハハ!ホムちゃんが温めてるんだ?」
女海賊「よーし!良い物作ったげる…」コネコネ
機械の犬「??」フリフリ
女海賊「懐炉だよ…これホムちゃんのお腹の中に入れとくからさ…これで暖まる筈」パカ ポイ
機械の犬「ワン!」
女海賊「そうだ…硫黄とか買っとかないとな…お金何処に置いてたっけ?」
機械の犬「ワンワン!」ココホレ
女海賊「あれ?何だコレ?なんでこんなに一杯お宝積んでんだ?…まぁ良いや!ちっと金貨持ってこ」ジャラリ
機械の犬「ワン!」ヒョコ
女海賊「ほんじゃちっと買い物行って来るから待ってて!」スタタ
606 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:38:54.19 ID:c2KZAoSz0
『1時間後』
ヨッコラ ドスン
盗賊「あれ?女海賊は何処行ったんだ?」
魔女「飛空艇で待つと言うて居ったのにな?」
機械の犬「クゥ〜ン…」トコトコ
魔女「まぁ良い…わらわは書物で調べ事をして居るでもう話しかけるで無いぞ?」
盗賊「探しに行くと行き違いになりそうだな…まぁ球皮でも膨らませておくか」シュゴーー
タッタッタ
女海賊「お!?戻って来た?」
盗賊「おぉ今戻った所よ…何してたんだ?」
女海賊「買い物だよ…てか町の方が大騒ぎなんだけどさ」
盗賊「海賊が騒いでんだろ?」
女海賊「なんで知ってんのさ?」
盗賊「そんなこったろうと思ってな?」
女海賊「聞いて聞いて!!なんか白狼の盗賊団が出たって騒いでんだよ」
盗賊「ヌハハ…まぁ俺の仕業よ」
女海賊「なんだそれで飛空艇にお宝乗ってたのか」
盗賊「まぁ殆ど町でバラ撒いたんだがな?」
女海賊「海賊の船襲ったのあんただね?」
盗賊「まぁな?」
女海賊「まぁ良いや…ちっと金貨使わせて貰ったよ」
盗賊「あぁ好きに使え」
女海賊「魔石も在ったな…これが在ればホムちゃんのお腹温められる」
盗賊「何する気よ?」
女海賊「ホムちゃんが卵温めてんだよ」
盗賊「卵?ニワトリのか?」
女海賊「別に良いじゃん!」
盗賊「ヌハハゆで卵にせん様にな?」
女海賊「なんか楽しみになって来た!!生まれたらホム子って名付けよう!!」
盗賊「う〜む…センスの欠片も無いが…」
女海賊「うっさいな!!もう飛空艇飛ばすからどいて!!」
盗賊「へいへい…」
シュゴーーーー フワフワ
607 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:39:32.93 ID:c2KZAoSz0
『外海上空』
ビョーーーウ バサバサ
女海賊「とりあえず進路は西!!」
盗賊「まともな地図も海図も無いんだが大丈夫か?」
女海賊「このまま明日の夜明けまで飛んでそっからミツバチに案内させりゃ良いんじゃない?」
盗賊「まぁ食い物には困らん様だから良いっちゃ良いわな…水だけ上手く雨水に有り着けりゃ良い」
女海賊「てかさ?なんで皆外海出るの避けるん?」
盗賊「誰も帰って来ないからだろう」
女海賊「そもそもなんでそんな事になる?やっぱ海に穴が開いてんのかな?」
盗賊「さぁな?てか俺らも戻れんかも知れんぞ?」
女海賊「引き返せば良いだけだから信じらんないんだよね…戻るのなんか簡単じゃん」
盗賊「みんなそう言いながら帰って来ない訳よ」
女海賊「まぁ良いや…ちっと作り物するから飛空艇の操舵変わって」
盗賊「おう!…何作るんだ?」
女海賊「ミスリルの筒がまだ少し余ってるからホムちゃん用の笛作る」
盗賊「機械の犬じゃ吹けんだろ」
女海賊「魔石あったじゃん?風の魔石で音が出る様に細工する」
盗賊「なるほど…」
女海賊「これでホムちゃんの表現も一つ増えるんだよ」トンテンカン グリグリ
ピィィィ
女海賊「音が出る様にするのなんか簡単なんだ…これに風の魔石を嵌めて…」カチャカチャ
盗賊「犬笛って奴だな」
女海賊「そそ!こいつに嚙みつけば音が出るのさ」
女海賊「ホムちゃんおいで!これ骨だと思って噛みついてみて?」
機械の犬「ワン!」トコトコ ハム
女海賊「もうちょい強く噛める?」
ピィィィ
女海賊「おけおけ!!よっし…骨の形にもうちょい加工する」ガリガリ シュッシュ
盗賊「ヌハハこれで立派な番犬になれるな?」
女海賊「一応魔除けの効果あるからね」
608 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:40:09.27 ID:c2KZAoSz0
『翌朝』
コケーーッ コッコッコ
盗賊「ふがっ…おおぅ寝ちまった様だ」ゴシゴシ
女海賊「ふぁぁぁぁ…う〜ん」ノビー
盗賊「まだ暗いな」
女海賊「結構飛んだね?風で流されてない?」
盗賊「んん?ありゃ?いつの間に北に向かってんだ?」
女海賊「風向き安定してないのか…縦帆張り替えるわ」スック
盗賊「いや待て…羅針盤が変な方向差してるかも知れん」
女海賊「その羅針盤今まで狂った事無いよ」
盗賊「やっぱおかしい…針が一定方向を差さん」
女海賊「ちょいデッキ上がる」ダダ パカ
ビュゥゥゥゥ
女海賊「あれ?狭間ん中入ってんじゃん!!リリースしてよ」
盗賊「アダマンタイト触って無いぞ?」
女海賊「ええ!?」
盗賊「ちょい俺も外見る」ダダ
女海賊「ヤバヤバ…これすんごい深い狭間に入ってるわ…真後ろ見て」
盗賊「ぐはぁぁ…大量のレイスに追っかけられてんじゃ無ぇか」
女海賊「ちょい高度下げよう」グイ
盗賊「なるほど…外海に出て誰も帰って来ないのは狭間に迷っちまうんだ」
女海賊「そういう事ね…未来が描いた黒塗りは狭間の事だったのか」
盗賊「ガーゴイルの群れはここから飛んできてるんだよ…てか俺らも危ないぞ?」
女海賊「操舵やって!!私正面見とく」
盗賊「おう!このまま真っ直ぐ行くんか?早い所ミツバチ出してくれ」
女海賊「ミツバチ出て来い!近くのチェリーまで案内しろ!」ブーン
盗賊「おいおい方向分かん無ぇぞ?」
女海賊「探してんだよ!適当に行ってミツバチ反応するの待って」
盗賊「ちぃ大丈夫なんか?」
女海賊「レイスは近寄れないと思うけどガーゴイルにぶち当たられたらヤバいかも」
盗賊「しっかり前見といてくれ」
女海賊「そうそう当たるもんじゃ無いけど…」
609 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:40:52.69 ID:c2KZAoSz0
『狭間』
シュン!
ガーゴイル「グエェェェェ…」ヒュゥゥ
女海賊「インドラの銃はリロード時間が長くてこれ以上キツイ…」
盗賊「もっと高度下げんとイカンな…」グイ
女海賊「デリンジャーは近距離じゃないと当たんないからなぁ…」
盗賊「機械の犬に笛を吹かせろ」
女海賊「ホムちゃん!!笛お願い!!」
機械の犬「ワン!」トコトコ
ピィィィィ
魔女「ううん…騒がしいのぅ…何事じゃ?」ムクリ
女海賊「あ!魔女起きた?なんか狭間の深い所に入っちゃったみたいでガーゴイルが飛んで来るのさ」
魔女「海上で狭間とな?」
盗賊「インドラの銃じゃリロードが間に合わん…魔女も魔法で迎撃を頼む」
魔女「飛んで居る敵には中々当たらんのじゃが…」
女海賊「よしよし…笛のお陰で横から近づいて来なくなった…魔女!正面だけ狙って」
魔女「火炎魔法!火炎魔法!火炎魔法!」ゴゥ ゴゥ ゴゥ
盗賊「そうそう弾幕張れば近寄って来んだろう…魔石あるから上手く使ってくれい」
女海賊「魔女!これ火の魔石!」ポイ
魔女「これで触媒の無駄遣いをせんで良くなったわい…火炎魔法!」ゴゥ
--------------
盗賊「ミツバチの向きが安定しないんだが…」グイ バサバサ
女海賊「ちゃんと示す方向に飛空艇を進めてよ」
魔女「下を見よ!!海面が見えて居るぞよ?」
盗賊「おっと危無ぇ!着水しちまう所だった」グイ シュゴー フワフワ
女海賊「高度低いとガーゴイルの数も減るね…この高度維持で進もう」
盗賊「レイスに追われるんじゃ普通の船じゃ航海出来んわな…」
女海賊「ちっと後ろのレイス掃除してみる」
盗賊「おうヤレヤレィ!!まとめて倒してみろ」
女海賊「どんだけ一気に倒せるかな…」シュン!
盗賊「ダハハ地味な攻撃だ」
女海賊「何匹に当たったか分かんないや」
魔女「エネルギーの無駄じゃで止めて置け…レイスは際限なく湧くでの?」
610 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:41:43.82 ID:c2KZAoSz0
『謎の構造物』
シュゴーーーー
盗賊「おい!!女海賊!!光の石で正面照らせ!!」
女海賊「こっちぁ忙しいんだよ!!魔法で何とかして!!」シュン ガチャコン
魔女「忙しいのぅ…照明魔法!」ピカー
盗賊「なんだありゃ…」
女海賊「対象見っけた?」
盗賊「ちっと揺れるぜ?」グイ
シュゴーーーー バサバサ
女海賊「ちょちょちょ…海面スレスレってあんた分かってんの!!?」ヨロ
盗賊「魔女!!もっと照明魔法頼む」
魔女「照明魔法!照明魔法!照明魔法!」ピカー
盗賊「こりゃ船の墓場だ…海底の何かに引っかかって動けなくなった様だ…」
女海賊「岩礁か何か?」キョロ
盗賊「分からんが海面からいくつも塔らしい建造物が突き出てる…海底にもそれがあるんだろう」
魔女「古代遺跡じゃな」
女海賊「ビンゴだね!!近くに降りられそうな場所無い?」
盗賊「ミツバチの示す方向で良いんだよな?」
魔女「これ盗賊や…座礁した船の年代とか分からんのかいな?わらわはあのような船を見た事が無いでのぅ…」
盗賊「いや俺でも分かるのはごく一部だ…しかし狭間の中でこんだけ傷んでるって事は相当年代もんだぜ?」
女海賊「ちょい左方向見て!!あれってクラーケンの触手じゃね?」
盗賊「なぬ!?」
女海賊「ほら?イボイボと先っぽの形…」
魔女「たまげたのぅ…ここはクラーケンの巣やもしれんな」
盗賊「石化していやがる…」
女海賊「やば…ピーンと来たぞ」
盗賊「おいおいマジか…こんな所に流れて来てるってか?」
魔女「リリス…」ボソ
女海賊「クラーケンが運んで来たって考えた方が良さそうだね」
盗賊「こりゃ探索もラクじゃ無さそうだ」
女海賊「海底探索する訳じゃないさ…リリスは誰も近寄らないこの海域に封じられてた方が良さそう」
魔女「うむ…そうじゃな」
盗賊「まぁ良い…アレは放置しておくとして陸地を探すぞ」
女海賊「てかガーゴイル撃ち落すのに忙しいんだ!!あんたが上手い事探して」
611 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:42:30.02 ID:c2KZAoSz0
『恐らく翌日』
シュン!! グェェェェ
女海賊「ふぅ…リロード出来るまで休憩」ヨッコラ
魔女「また同じ沈没船が見えて来たぞよ?」
盗賊「ぬぁぁぁ分かってる!!ありゃ俺の目印なんだ」
魔女「完全に迷って居るのぅ…」
盗賊「ミツバチがアテにならん訳よ…途中で反転するんだ」
女海賊「着水してみる?」
盗賊「浸水するだろうが!…舵も無いから方向定まらん」
女海賊「大昔には気球なんか無かったって考えたら入り口は海面ギリギリだと思うんだよね」
盗賊「んなこたぁ分かってる!!」
女海賊「ほんじゃもうちょい高度下げれば良いじゃん」
盗賊「波に引っかかったらこんな気球なんざ一瞬でひっくり返るぞ?」
女海賊「操舵は私がやるから帆の調節だけあんたがやって」
盗賊「ケッ!!やってみろ!!」
女海賊「おっし!!マジでギリギリ飛ぶから哨戒頼むね」グイ
ザブン バシャバシャ
盗賊「それ以上下げるな!!」
女海賊「おけおけ!!大波のタイミングで高度上げるからしっかり見てて!!」
魔女「ヒヤヒヤじゃな…」
盗賊「魔女!!船底のクロスボウ撃つ穴をなんとか塞げられ無ぇか?」
魔女「氷結魔法!」ピキピキ カキーン
盗賊「よっし!あとは浸水しなきゃしばらく持ちそうだな」
女海賊「おっ!?おっ!?…ちょ…」
盗賊「んん?明るくなった…狭間を抜けたか?」
女海賊「いきなり島が現れた…」
魔女「ふむ…狭間の中に結界を張って居ったか…わらわの塔やエルフの森と同じじゃ」
盗賊「通りで見つからない訳だ」
女海賊「結果オーライ!!名も無き島と同じくらいの大きさだよ」
盗賊「見ろ!!入り江に船が停船してる!!誰か居そうだ」
女海賊「おっけ!!行ってみよ」
612 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:43:04.74 ID:c2KZAoSz0
『ニライカナイ_入り江』
フワフワ ドッスン
盗賊「おっし!!俺はあの船をちっと見て来る」スック
女海賊「帆が無さそうだけどキ・カイの船かな?」
盗賊「さぁな?お前等2人は周囲を警戒しててくれ…直ぐに戻る」ダダ
女海賊「警戒っつってもさぁ…」キョロ
魔女「この島は主の名もなき島にそっくりじゃのぅ…入り江と言い…丘に生えた樹木と言い…」
女海賊「そだね…朽ちた小舟まである」
魔女「魔物の気配は無さそうじゃが…」
女海賊「飛空艇で空から見た方が色々分かり易そうだなぁ…」
魔女「それはイカンな…どこまでが結界の領域内か分からぬ故…飛ばぬ方が良かろう」
女海賊「まぁ徒歩で探索するかぁ…狭間の中ならゆっくり探索出来そうだ」
魔女「わらわの塔と同じじゃと良いがな?」
女海賊「あのさ?結界って方陣組むのにお札とかそういうの必要だよね?」
魔女「うむ…察するに触媒にあたる銀なぞを海中に沈めて居るのじゃと思う」
女海賊「なる…」
魔女「境界を探すのは無理じゃろうな」
女海賊「私もちっと周り見て来るからさ…魔女もその辺探索しといて」
魔女「わらわはちと休みたいのじゃ…魔法を使い過ぎたからのぅ」
女海賊「おけおけ!ほんじゃ適当に火でも起しといて」
魔女「うむ…遠くに行くで無いぞ?」
女海賊「分かってるって!!ほんじゃちっと行って来る」ピューー
613 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:43:33.79 ID:c2KZAoSz0
『30分後』
メラメラ パチ
盗賊「戻ったぜ?」ドサ ガラガラ
魔女「なんじゃそのガラクタは?」
盗賊「あの船の中に有った物だ…どうやら古代の船だぞありゃ」
魔女「動くのかいな?」
盗賊「さぁな?どうやって動かすのかもさっぱり分からん」
魔女「物色してきたという事は誰も居りそうに無いという事か?」
盗賊「うむ…放置されてどれくらい経ってるのかも分からん…狭間ん中じゃ色んな物が腐り難いだろうからな」
ピヨピヨ ピヨピヨ
機械の犬「ワンワン!」トコトコ
盗賊「お!?卵が還ったか」
機械の犬「ワン!」フリフリ
盗賊「食うのはもうちっとデカくなってからが良さそうだ」
魔女「主という奴は…」
盗賊「ぬはは冗談だよ!!さぁて…折角火を起こしたんだから何か焼いて食うか」
魔女「わらわの分も頼むぞよ…ちと横になるで」
盗賊「貝が居ないか見て来るわ」ダダ
-------------
-------------
-------------
614 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:44:18.15 ID:c2KZAoSz0
ジュゥゥゥ
盗賊「しかしアイツ帰りが遅いが大丈夫か?」モグモグ
魔女「心配には及ばぬ…わらわが眼を見て居るでな?」パク モグ
盗賊「何かあるか?」
魔女「朽ちた集落じゃな…過去に人が住まって居った様じゃ」
盗賊「ほう…そら俺らも行った方が良さそうだ」
魔女「慌てんでもよかろう…主もしばらく寝て居らんのじゃから少し休め」
盗賊「そうだな…ここも魔女の塔の様にそうそう魔物は入って来ないんだろ?」
魔女「入り口が海じゃ…何が入って来るのやら…」
盗賊「ヌハハ食ったし寝るわ!」
魔女「うむ…」コックリ
615 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:45:03.52 ID:c2KZAoSz0
『しばらく後』
スタスタ
女海賊「あ!!やべ…ここまで妖精の笛聞こえてたんか…」
魔女「…」コックリ コックリ
盗賊「んがががが…」スピー
女海賊「まいったなぁ…起きるまで足止めかぁ」
ピヨピヨ
女海賊「お!?ホムちゃんヒヨコ生まれたんだ!!」
機械の犬「ワン!」フリフリ
魔女「ぅぅん…」パチ
女海賊「あ!!あれ?魔女起きるの早くね?」
魔女「うたた寝してしもうた様じゃな…」
女海賊「妖精の笛聞こえた感じじゃ無さげ?」
魔女「むむ?妖精の笛なぞに何故頼らねばイカンかったのじゃ?何か居ったのかいな?」
女海賊「石化したっぽいゴーレムが居てさ…もしかしたら動くかもって思ってね」
魔女「石化…ゴーレム…」
女海賊「あと書物見つけて来た…わたし読めないから解読ヨロ」ポイ
魔女「書物を発見したとはな…朽ちた集落に有ったんか?」ヨミヨミ
女海賊「他にもまだ在ったさ…読めそうなの拾って来た」
魔女「…これは1000年以上昔の古文書じゃ…しかもシン・リーンに伝わって居るルーン文字」
女海賊「何書いてんの?」
魔女「年代が分からぬのじゃが魔王島の伝説が書かれて居る」ヨミヨミ
女海賊「もしかしてこの島って当時の魔王島だったり?」
魔女「丘の向こうには集落の他に何かあるんか?」
女海賊「遺跡が在ったよ…一人じゃ危なさそうだから戻って来た所さ」
魔女「ゴーレムは2体か?古文書にはそう記されて居るが…」
女海賊「おお!!やっぱそうか…もう一体の方は真っ二つになって崩れてた」
魔女「どうやらわらわ達はエライ所に来てる居る様じゃ…」
女海賊「後さ…そこら中に石造が転がってんだよ」
魔女「…」
女海賊「魔女が今腰掛けてる石もそうなんじゃね?」
魔女「なんと!!?」スック
女海賊「ほら?元々は立ってたんだけど倒れて割れちゃってんだよ…」
魔女「わらわはちと書物を読む故…主も食事を済ませてちと休むが良い」
女海賊「おっけ!ちっとお腹空いてた所だった」
魔女「わらわに話しかけるなや?」ブツブツ
616 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:46:09.83 ID:c2KZAoSz0
『翌日』
ザザー ザブン
盗賊「ふが?…んぁぁぁぁ良く寝た」ノビー
女海賊「くっそ!!部品が足りない…」カチャカチャ
盗賊「ぃょぅ…戻ってたんか」
女海賊「これ他に部品無いの?」
盗賊「全部持って来た筈だぞ?もうあの船ん中は空っぽだ」
女海賊「こんな細かい部品は機材が無いと代替品作れないなぁ…ちぃ」
盗賊「何なんだそりゃ?」
女海賊「機械式の時計だよ…振り子が動けば永久に動く筈」
盗賊「ほーん…」ハナホジー ポイ
女海賊「諦めっかぁぁ」ポイ
盗賊「あの船には行ったか?」
女海賊「当たり前じゃん」
盗賊「動かし方分からんか?持って帰りたいんだが…」
女海賊「残念だけど動力源が外されてるっぽい…多分古代遺跡動かす奴と同じだと思う」
盗賊「商人が探してるって奴か」
女海賊「多分ね…」
盗賊「あの船はよ…形から察するに海の中潜る船だと思うんだわ」
女海賊「ハッ!!そういう事か…」
盗賊「んぁ?自己完結すんなや…何よ?」
女海賊「竜宮って海の中に有るとか言ってたじゃん?あの船に乗って行くんじゃね?」
盗賊「って事は俺らに竜宮は探せんって事だな…ヌフフ直すしか無い様だ」ニヤリ
女海賊「無理過ぎる…部品が色々外されてて何が何だか分かんない」
盗賊「う〜む…まぁそれは良いとしてだ…島の探索はどうする?」
女海賊「昨日書物を見つけて来てさ…魔女が解読してるんだけど…」
盗賊「何処行ったんよ?」
女海賊「飛空艇の中だよ…話しかけるなってさ」
盗賊「ほんじゃ俺らだけで行ってみっか?」
女海賊「そうもいかないんだ…どうもこの島は魔王島らしい」
盗賊「なぬ!?どういう事よ?」
女海賊「ゴーレムとか居て下手に探索してるとヤバイかも」
盗賊「マジか…」
女海賊「てか石化しちゃってるんだけどね…石化の原因も良く分かんないから下手に行くとミイラ取りがなんとかって奴」
盗賊「エリクサー全部置いて来ちまったな…」
女海賊「もう小瓶で少ししか無いよ」
盗賊「魔女待ちか…まぁゴロゴロしてても鈍るだけだからちっと動く準備だけしとく」スック
女海賊「何すんの?」
盗賊「丸腰で探索行く訳じゃあるめぇ?」
女海賊「あぁそういう事ね…ほんじゃ私も準備すっかぁ」スック
617 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:47:02.12 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
ブツブツ なるほど一致しておる…
盗賊「寝ずに書物読んでんのか?」
女海賊「シーーーーッ話しかけんなって言われてんだよ!!」
盗賊「ちっとぐらい良いだろ」
魔女「おぉ良い所に来たのぅ…これ女海賊や…他の書物がある場所まで案内せい」
女海賊「お!?解読終わった?」
魔女「一通りは読み終わったが他の書物も気になってのぅ」
女海賊「なんか分かった?」
魔女「この古文書は時の王の時代の事が書かれて居ってな…メデューサの首をどの様に撥ねたかが記されておる」
女海賊「メデューサ?リリスじゃなくて?」
魔女「その当時はメデューサと呼ばれて居ったんじゃな…そしてこの島でメデューサを討伐しておる」
女海賊「なる…ほんで今は海に沈んでる訳か」
魔女「うむ…そしてな?この古文書は後に書かれた伝記なのじゃ…」
魔女「時の王の時代からシャ・バクダ朝の時代までの空白を埋める手掛かりになる」
盗賊「歴史の事はさっぱり分からん」
魔女「話はこうじゃ…」
時の王の時代からシャ・バクダ朝までを記した書物は殆ど残って居らん故に歴史は空白だったのじゃが
何故その様な事が起こるのか?…答えは夢食いじゃ
当時の魔王は祈りの指輪を用い世界中の夢を食らって居った
夢は人の記憶による所が大きい…よって夢を食われた者は知らぬ内にそれまでの記憶を喪失する…
魔女「そうやって歴史の一部が伝わらなんだのじゃ…」
女海賊「じゃぁなんでその書物は残ってんの?」
魔女「さぁのぅ?わらわが思うに時の砂のお陰やも知れぬ」
女海賊「時の砂で思い出す?」
魔女「分からぬ…じゃから何でも良いから他の書物を調べたいのじゃ」
盗賊「おいおい話が随分逸れたみたいなんだが…当時の魔王っていつの時代よ?」
魔女「確かでは無いが700年前か1400年前か…それとも1700年前か…それなら辻褄が合いそうなのじゃ」
盗賊「そういやシャ・バクダの時代もはっきりとした書物が残って無いって情報屋が言ってたな…」
魔女「歴史の欠落が起きるのは魔王が原因じゃろうな」
女海賊「じゃぁ私達の記憶もいつの間に無くなってる?」
魔女「否定は出来ん…わらわは極力書物に書き記しては居る」
女海賊「なんか分かって来たぞ…私が忘れっぽいのはそのせいか」
盗賊「いやいやお前は元々興味無い事は覚え無ぇから…」
魔女「もう行く準備は出来て居るのか?」
女海賊「そんな遠く無いから準備は軽くでおけ!…行こうか」
618 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:47:40.11 ID:c2KZAoSz0
『朽ちた集落』
チュン チュン ピヨ
盗賊「なんつかー…朽ち果てた廃村だが穏やかな雰囲気だ」
女海賊「これさぁ…狭間の中で何年このままだと思う?」
魔女「さぁのぅ…」ノソノソ
盗賊「そこら中にある石は石化した住人か?」
女海賊「多分ね…でも全部傷んでる」
盗賊「こりゃここで戦闘があった証拠だ…石化してる恰好がおかしい」
魔女「うむむ…魔王島に何故集落があるのじゃろうか…」
盗賊「そら調査の為だろ…事が済んだ後の魔王島を後の奴らが調査の為に住んだ訳だ」
魔女「どうにか年代が分かれば良いが…」
女海賊「魔女!あの建屋に本が散らばってたんだ」グイ
魔女「これ引っ張るな…ゆっくりで良い」ノソノソ
『朽ちた建屋』
ガサガサ
女海賊「魔女?この紙の切れ端はどう?」
魔女「パピルスの一部か…同じ様な物があれば集めるのじゃ」
盗賊「くぁぁぁ何も無ぇな…壺なんざ要らんし…」
魔女「主はいつの時代の壺か分からんのか?」
盗賊「んん?シャ・バクダの紋様だから400〜700年前って所か?」
魔女「ますます時代が分からぬ…時の王の時代とどういう接点を持つのか…」ブツブツ
女海賊「壺ん中何か入って無いの?」
盗賊「灰だよ灰!!なんもありゃし無ぇ…」サラサラ
魔女「壺に灰とな…死霊術師が居ったという訳か」
女海賊「やっぱシン・リーン所縁の物が多い感じ?」
魔女「うむ…石板の調査に来て居ったのやも知れん」
女海賊「ソレソレ!!わたしはそれを探したい!!」
魔女「ここでは手掛かりが少ないで遺跡の方に行って見るとするかいな」
盗賊「そらキタ!!待ってたぜ?その言葉を!!」
女海賊「もうちょい先に石化したゴーレムがあんのさ…その向こう側に遺跡があるっぽい」
619 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:48:52.99 ID:c2KZAoSz0
『遺跡へと続く丘』
女海賊「ほらコレ…やっぱ石化したゴーレムだよね?」
魔女「ゴーレムは元々石じゃで石化かどうかは断定出来んのぅ」
盗賊「動き出さんだろうな?」
女海賊「妖精の笛吹いても動かないさ」
盗賊「どうやって動いてたんだろうな?」
女海賊「もしかしてこいつも例のウラン結晶のやつかな」
盗賊「有り得る…動かんのは動力が無いからかも知れん」
女海賊「ほんでこのゴーレム超えたら見晴らし良くなって向こうに遺跡が見えるよ…こっち」
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------------
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盗賊「ちょい待て…こりゃぁ大戦の跡地じゃ無ぇか…見てみろ!あの池は隕石か何かが落ちた痕だ…」
女海賊「なるほど…それで地形がボコボコなのか」
魔女「…」ボーゼン
盗賊「あの遺跡…丸くくり抜かれてる断面はなんだ?明らかに不自然だ」
魔女「量子転移の痕跡じゃ…あの場所で何かを消し去って居る」
女海賊「量子転移ってあんなんなるの?」
魔女「主が持つ魔人の金槌も範囲は狭いが同じ様に空間を消し去るのじゃぞ」
女海賊「ちょい待ち…未来が持って行った破壊の剣ってやつ…あれも同じだったよね?」
魔女「うむ…つまりゴーレムの片割れを真っ二つに切ったのは未来の可能性が高い」
女海賊「やっぱりか…やっぱここに魔王倒しに来てたんだね」
魔女「倒しに来たのか…それとも祈りの指輪で魔王を集めて葬ったのかは分からん」
盗賊「なるほどな…それであの量子転移の痕跡か」
魔女「驚くのは量子転移だけでは無いのぅ…奴らは隕石を落とす事は出来ん筈じゃ…つまりシン・リーンの魔術師も絡んでおる」
盗賊「時の王の時代は魔法の黎明期だったんだろ?同行しててもおかしく無い」
魔女「そうなのじゃが時代が合わんのじゃよ…何故にこうも時代がバラバラなのか」
盗賊「やっぱ情報屋を連れて来るべきだったな」
女海賊「ほんなん後で考えれば良いさ…さっさと手掛かり探しに行くよ」ピューー
620 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:49:54.56 ID:c2KZAoSz0
『古代遺跡』
スタスタ
盗賊「こりゃ既に盗掘済みだな…ちぃ」
魔女「えらい荒れようじゃ…瓦礫をどうにか出来んもんか」
女海賊「私が魔人の金槌で消して行くからなんか手掛かり探して」
盗賊「待て待て…下手に消して行くと崩れるかも知れんぞ?生き埋めは御免だ」
魔女「これ!!ここを見よ…灯篭じゃ」
女海賊「お!?何だコレ?銀製じゃん」
魔女「こういう事じゃ…照明魔法!」ピカー
女海賊「良く見るとあちこちに同じのがある」
魔女「うむ…誰ぞ人が出入りして居った証拠じゃ…しかも魔術師じゃな」
女海賊「未来が此処に住んでた?」
魔女「良く考えてみぃ…700年前にどうにかこの島に辿り着いたとして量子転移でさらに700年時空を飛んだ場合…」
魔女「乗って来た船は無い筈じゃ…ここで生活するしか無かったのでは無いか?」
盗賊「おぉ!!そうだな…自前で作るか誰か来るのを待つしか無ぇ」
女海賊「でもさ?量子転移で必ず時空飛ぶって訳でも無いじゃん?」
魔女「ふうむ…そうじゃな」
女海賊「まぁ銀の灯篭をわざわざ作るくらいの期間は滞在してた可能性は高そうだね」
盗賊「てかなんで銀なんか使うんだ?」
魔女「触媒が不要になるでラクなのじゃよ」
女海賊「普段いる場所に明かりが欲しいだろうから手掛かり有るとしたらこの辺だね」
魔女「うむ…灯篭の周辺を探すと良かろう」
盗賊「おし手分けして探索すっぞ!!俺は北側見て来る…女海賊は土手沿いに向こうだ」
女海賊「これ時間掛かりそうだね…わたし飛空艇をこっちに持ってくるわ」
魔女「うむ…そうじゃな…ベースはこちらに有った方が良かろう」
盗賊「分かった…ほんじゃ定期的にこの場所に集合で良いな?」
女海賊「おけおけ!」ピュー
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621 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:50:32.48 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
フワフワ ドッスン
女海賊「ホムちゃん降りて良いよ!!」
機械の犬「ワンワン!」トコトコ
女海賊「魔女どう!?何か見つかった?」
魔女「盗賊が地下に降りる階段を見つけて探索に行きよったわい」
女海賊「おーソレだね」
魔女「予想はして居ったが遺跡の本体はやはり地下じゃな」
女海賊「魔女は何してんの?」
魔女「見つけたパピルスを読んで居る…指示書の切れ端じゃ」
女海賊「お?時代分かりそう?」
魔女「失踪した暁の使徒を捜索しとった様じゃな…時代は1700年前…つまり時の王の時代じゃ」
女海賊「暁の使徒?誰それ?」
魔女「シン・リーンに戻って調べにゃ分からんのぅ…少し聞いた事がある程度しか知らぬ」
女海賊「まぁあんま関係無さそうだ…ほんで私も地下の方行ってみたい…どっち?」
魔女「向こうの灯篭の脇じゃと言うて居った…わらわはここで待つ故行ってみよ」
女海賊「ホムちゃん一緒に行こうか!!おいで!!」
機械の犬「ワン!」トコトコ
622 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:51:36.67 ID:c2KZAoSz0
『焚火』
メラメラ パチ
盗賊「ちっと休憩だ!!」ダダ ドター
魔女「女海賊とは会わなんだか?」
盗賊「途中で分かれたっきりだ…その内戻ってくんだろ」
魔女「まぁ良い…しばらくここに滞在する事になりそうじゃでの」
盗賊「だな?地下の遺跡が広すぎる」
魔女「書物の類は見つけて居らぬか?」
盗賊「書物は無ぇな…武具類と石造ばっかだ…ほらよ!」ポイ カラーン
魔女「むむ…その刀身は」
盗賊「オリハルコンだ…多分シン・リーンで見つけたエクスカリバーと同じ物…」
魔女「いくつもあるのかえ?」
盗賊「わんさかな?つまりその当時の通常兵装な訳よ…今の時代より随分進んでたって事だ」
魔女「やはり時の王が兵を率いてこの島に滞在して居ったか」
盗賊「伝説通りか?」
魔女「不死の力を得た後に国を捨てたのじゃ…理由は諸説あるのじゃが…」
盗賊「ほんでな?そういうお宝が持って行かれて無いって事はその時代以降に盗掘には遭って無い訳よ」
魔女「ふむ…この遺跡は1700年前のままか…では何故700年ほど前のシャ・バクダの壺が有ったのじゃろうな?」
盗賊「未来達が持ち込んだとすれば辻褄が合う」
魔女「なるほどのぅ…壺に入れた灰はもしかすると種だったのやも知れんな」
盗賊「まぁ…まだまだ色々発掘できるだろうから…ちょい休んだら又行って来るわ」
魔女「古代の遺物は無いんか?」
盗賊「俺も探してんだけどよ…当時の時の王が全部持って行ったんじゃ無ぇかと思ってる」
魔女「ふむ…辻褄が合うのぅ…錬金の器具しかり重力炉の出所は此処じゃったか…」
盗賊「まぁお宝探しは俺に任せておけ…そうそう!!地図書くから紙とペン持って行くぜ?」
魔女「好きにせい」
623 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:52:24.82 ID:c2KZAoSz0
『半日後』
ガラガラ ドサー
魔女「主は全部持って帰るつもりか?」
盗賊「オリハルコンの武器は価値高いだろ…持って帰るに決まってんじゃ無ぇか」
魔女「わらわは書物を探せと言うた筈じゃが…」
盗賊「読める状態の書物なんざそうそう無い!剣の柄が腐り落ちるぐらいなんだからな」
魔女「むむぅ…壁画に書き残す未来が如何に優秀か…」
盗賊「ところで女海賊はまだ帰って来んのか?」
魔女「壁画を見つけて泣きながら書き写して居る」
盗賊「お!!マジか!!何処だか分かるか?」
魔女「主が行って居る奥の方では無い」
盗賊「手前だったか…ちっと行って来る」
魔女「待てい!!気が収まるまでそっとしておいてやれ」
盗賊「俺も壁画を見てみたいんだがよぅ…」
魔女「わらわも同じじゃ…我慢せい」
盗賊「しゃー無ぇ…酒でも飲んで待つか…」
魔女「そうじゃ主に頼みがある…チェリーの木を探して実を採って来ては貰えんか?」
盗賊「ぐはぁ…マジかよ」
魔女「ちと体調がおかしいのじゃ…魔力が回復せぬ」
盗賊「チェリー食えば良くなるってか?」
魔女「正確には生きた実から魔力を得るのじゃ」
盗賊「まぁ良いや…探索がてら採って来てやる」
魔女「うむ…よろしく頼む」
624 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:53:21.08 ID:c2KZAoSz0
『森』
サワサワ
盗賊「こりゃ木を登らんと収穫出来んな…」
盗賊「しゃーねぇ上まで登れば見晴らしも良いか…よっ」ヨジヨジ
盗賊「枝ごと落としちまうか…」ブン スパ スパ
盗賊「ほぉぉぉ島の全景が見えて中々良い…結界の外側は海にしか見えんのだな…」
盗賊「ふむふむ…なるほどあの入り江以外に船が取り着けそうな場所は無さそうか」
盗賊「待てよ?この島はもしかして人口の浮島か?てかこの島自体がくそデカイ船なんじゃ無ぇか?」
盗賊「…」
そういや遺跡の地下は水が張ってそれ以上降りられなくなってた…
それが海面だったとすると水が張ってる説明も付く
つまり遺跡の本体は海の下に沈んでる…
だから潜水する船が必要な訳だ
盗賊「なるほどな…竜宮の正体が分かって来たぜ?」
盗賊「遺跡の天井がやたら高いのは空気を溜める浮袋って訳だ」
盗賊「んん?なんだありゃ?…赤潮か?」
盗賊「いや赤潮が起きるほど海の温度は高くない…まさかリリスの血が流れ出て…」
”ちと体調がおかしいのじゃ…”
盗賊「石化か!!こりゃやべぇ!!」
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625 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:54:19.59 ID:c2KZAoSz0
『焚火』
ダダダ ズザザー
盗賊「魔女!!無事か?」
魔女「何を慌てて居る…チェリーは収穫出来たか?」
盗賊「あ…いや…悪りぃ置いて来ちまった」
魔女「手ぶらで帰って来るとは何事じゃ…取りに戻れ」
盗賊「ここに来る途中で石化したクラーケン居ただろ?俺らも石化したりしないよな?」
魔女「可能性は否定出来ぬが体の中に線虫が住んで居るから黒死病には掛からんと思うがのぅ」
盗賊「あぁそうだった…忘れてたわヌハハ」---思い過ごしか---
魔女「早ようチェリーを採って来い」
盗賊「わーった!わーった!」スタ
『しばらく後』
ムシャ ムシャ モグ
盗賊「チェリー食いながら酒ってのも中々の組み合わせだ」グビ
魔女「やる気が出て来たかの?」モグ
盗賊「ちっと休んだらもっかい探索行って来るわ」
魔女「わらわはちと横になって居るでな?」
盗賊「そんな体調悪いんか?」
魔女「動けぬ程では無い…魔力が回復せぬのが不可解なだけじゃ」
盗賊「いつからよ?」
魔女「結界に入ってからかのぅ…もしくは貝を食ろうた後からやも知れぬ」
盗賊「てかここはどんな結界張ってるのか分からんのか?」
魔女「分からぬ…魔除けの類じゃろうが悪い結界では無いのぅ」
盗賊「俺は何も感じん…至って普通だ」
魔女「気にせぬでも良かろう…それ程魔法が必要には思えぬしな?」
盗賊「まぁ大丈夫ならそれで良いんだ」
魔女「さて…飛空艇で横になって居るで書物を探して来い」ノソリ
盗賊「へいへい…」
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626 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:55:21.66 ID:c2KZAoSz0
『壁画のある部屋』
グスン カキカキ
盗賊「んぁぁぁここに居たか…探したんだぞ」
女海賊「邪魔しないで…」カキカキ
盗賊「壁画見つけたんだな?」
女海賊「見りゃ分かるっしょ…」カキカキ
盗賊「遺品とか無いのか?…ってありゃ?白骨が…」
女海賊「…」ギロ
盗賊「こりゃエルフの骨だ…金髪…どういう状況よ」
女海賊「…」プルプル グググ
盗賊「待て待て…連れの可能性が高そうだ…骨はこの一体だけか?」
女海賊「フン!」カキカキ
盗賊「てか随分デカイエルフだな…もしかするとハイエルフと一緒に行動してたのかもな」
女海賊「そこの銀食器…飛空艇に積んどいて」カキカキ
盗賊「銀…やっぱ未来が作ったんか?」
女海賊「作り方…私が教えたの」
盗賊「なる…確定って訳か」
女海賊「…」カキカキ
盗賊「見た所…随分長い間ここを使ってたみたいだな」
女海賊「此処見て…石板に記されてる」
盗賊「んん?こりゃ海図か?」
女海賊「リヴァイアサンを探して未踏の地を何回も行き来してんだよ」
盗賊「次の足取りだな?」
女海賊「壁画写し終わったら北に向かう」
盗賊「おいおい此処のお宝探索はどうすんのよ?」
女海賊「この壁画以上のお宝なんて無いさ」
盗賊「マジかよ…俺はもうちっと探索したいんだが…」
女海賊「写し終わるまでに終わらして」カキカキ
盗賊「くぁぁぁ…とりあえず食器持って行けば良いんだな?」
女海賊「終わったらもう行くから…魔女にそう伝えて」
盗賊「こりゃ休んでる暇無ぇな…」ダダダ
627 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:56:28.79 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
ガラガラ ドサー
魔女「zzz…」スゥ
盗賊「寝てるか…まぁ体は大丈夫そうだな…」
ズズーン グラリ
盗賊「!!?なんだ?」キョロ
魔女「ええぃウルサイのぅ…」モソリ
盗賊「起こしちまったか?横になってろ…何が有ったのか見て来る」ダダ
魔女「何かが体の上に乗って居る…どかせよ」
盗賊「何寝ぼけてんだよ…っておい!!まさか…動けない訳じゃ無いだろうな?」
魔女「しもうた…動けぬ」
盗賊「ぬぁぁぁだから言ってたんだ…このエリクサー飲め」クィ
魔女「むぐっ…」ゴクリ
盗賊「おっし!これで一先ず石化は何とかなるだろう…」
魔女「まずいのぅ…わらわはリリスの血を浴びて石化を一度経験して居る…エリクサーでは止まらぬやもしれぬ」
盗賊「何ぃ!!」
魔女「今回は血なぞ浴びて居らぬが…」
盗賊「貝だ!!貝を食っちまったな!?大量の血を吸い込んでたんじゃ無ぇか?」
魔女「それでは主もマズかろう…」
盗賊「やべぇな…事情を女海賊に話してくる…俺らが石化してもアイツならエリクサー仕入れてなんとかしてくれる」
魔女「主も残りのエリクサーを飲んでおくのじゃ」
盗賊「今ので最後だ!!てか魔法で止められんのか!?」
魔女「無理じゃな…」
盗賊「ぐはぁ…肝心な時に役立たずか!まぁ良い…女海賊の所に行って来る」ダダダ
628 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:57:17.97 ID:c2KZAoSz0
『壁画のある部屋』
タッタッタ
盗賊「女海賊!!緊急事態だ!!」ダダダ
機械の犬「クゥ〜ン」オロオロ
女海賊「…」グゥ スピー
盗賊「ぬぁぁぁマジか…おい!ホムンクルス!!女海賊は貝を食ったんか?」
機械の犬「ワン!」
盗賊「クソがぁ!!俺が背負って行くからホムンクルスは壁画の写しを咥えて持って来てくれ」
機械の犬「ワン!」パク
盗賊「行くぞ!!よっこら…」ドッシリ
女海賊「ふがっ?」zzz
盗賊「フガじゃ無ぇ!!女のクセになんでこんなに重いんだこいつは…」ヨタヨタ
機械の犬「…」トコトコ
盗賊「その壁画の写しを落とすんじゃ無ぇぞ?そいつはこいつの命だ」
機械の犬「…」トコトコ
盗賊「ほんで良く聞いてくれ…俺らが全員石化した場合最後に残ってるのはホムンクルス…お前だけだ」
機械の犬「…」トコトコ
盗賊「後は分かるな?どうにかしてフィン・イッシュ女王の所か商人の所に運んでくれ」
機械の犬「…」ピタ
盗賊「まぁ今の所まだ俺は動ける…石化しちまう前に早く飛空艇で脱出するぞ」
機械の犬「…」トコトコ
盗賊「しかし石化したクラーケン発見した時点で用心しとくべきだった…抜かった」
-------------
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629 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:58:19.27 ID:c2KZAoSz0
『飛空艇』
どるぁぁぁ ドサリ
盗賊「はぁはぁ…魔女!!動けるか?」
魔女「動かぬ…女海賊も動けぬのか?」
盗賊「寝ちまった様だ…どうやら貝も食ってる」
魔女「吐き出させよ」
盗賊「もう遅いだろ」
魔女「何もせぬより良い…わらわの口にも酒を流し込め」
盗賊「ちっと待て…ここを脱出した後だ…ホムンクルス!!乗れぇ!!」
機械の犬「ワン!」トコトコ
盗賊「ホムンクルス!!操作を良く見とけよ?最後はお前が頼りだ」グイ
シュゴーーーーーー フワフワ
魔女「主はホムンクルスに最後を任せる気かえ?機械の犬に操舵しろと言うておるか?」
盗賊「それしか無いだろ…知恵使ってなんとかしろやい!!」
魔女「これホムンクルス…主に出来ると思うか?」
機械の犬「クゥ〜ン」シュン
魔女「無理じゃと言うて居るが?」
盗賊「うるせぇ!やるんだよ!!…どわっ…マジか!!」
魔女「んん?何か起きとるんか?」
盗賊「入り江でクラーケンが暴れていやがる…さっきの揺れはクラーケンだ」
魔女「リリスは見えぬか?」
盗賊「分からん…血が海を漂ってる」
魔女「これで本真に誰も近づけぬ様になったのぅ」
盗賊「むむ…暗くなって来たぞ?結界から出る」
魔女「ガーゴイルに注意せい」
盗賊「言われんでも分かってる!!どっちに行くか分からんが兎に角全速で飛ぶ」グイ
シュゴーーーーーー バサバサ
630 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 16:59:13.74 ID:c2KZAoSz0
『狭間_上空』
ガチャガチャ
盗賊「よし…インドラの銃は前方に固定だ」
機械の犬「クゥ〜ン」オロオロ
盗賊「使い方は分かるな?前方に居る敵だけ倒せば直撃は避けられる…試しに撃ってみろ」
機械の犬「ワン!」フリフリ
盗賊「うむ…そうだ…尻尾で引き金引きゃ行ける」
シュン!
盗賊「リロードの仕方は知ってるな?」
機械の犬「ワン!」トコトコ ガチャコン
盗賊「魔女!!どうだ?動けるようになったか?」
魔女「…」スゥ…
盗賊「ちぃぃ…ダメか…やっぱ体が小さいと石化には弱いみたいだな」
女海賊「むにゃ…」スヤ
盗賊「俺は石化が遅いのか…それとも奇跡的に免れてんのか…まぁとりあえず動けるから良いかヌハハ」
盗賊「ほんで進路が良く分からんのをどうするか…待てよ?ミツバチの向く方向の逆行けば出られるかも知れんな」
盗賊「おし!!進路変更…」グイ
シュゴーーーーーー バサバサ
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631 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:00:10.95 ID:c2KZAoSz0
『数年後_ルイーダの酒場』
ドゥルルン♪
バニー「はぁ〜い!!冒険者の集う酒場へようこそ〜」
アサシン「…」ギロ
バニー「あら?お兄さん…パーティーをお探しでしたらカウンターの方へ〜ウフフ」フリフリ
狼女「あ!!アサシンこっちこっち!!」
アサシン「…」スタスタ
狼女「どうだった?千里眼で探して貰えた?」
アサシン「無駄足だ…千里眼でも行方を追えんらしい」
狼女「政治の話は?」
アサシン「シン・リーンは外海調査に一切関わって居無い様だ…戦争もどの国にも汲みする気は無いとの事」
狼女「完全中立か…」
アサシン「当然だな…領地が接して居ないのだから」
狼女「こっち側にはクリーチャーも攻めて来て無さそうだしねぇ…ラクだなぁこっちは」
アサシン「しかし…魔女不在では公爵の変化を見破れん…奴が裏で手引きしているのは間違い無いだろうに」
狼女「シン・リーン女王にも化けてたり…なんてね」
アサシン「…」
狼女「それでこれからどうする?セントラルに戻る?」
アサシン「私はセントラルを経由してフィン・イッシュへ向かう…お前は港町から商船に乗ってキ・カイへ向かえ」
狼女「え…別行動すんの?」
アサシン「リカオン…子供では無いだろう?…一人で商人の所へ行って情報を交換してくるのだ」
狼女「再集合は何処?海士島?」
アサシン「うむ…海士島で良い」スック
狼女「ちょっと…もう行く気?」
アサシン「私は忙しいのだ…直ぐに定期便に乗らねば1日無駄に過ごす事になる」
狼女「ぶぅぅ…」
アサシン「では上手くやれ…」ノシ
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632 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:00:55.67 ID:c2KZAoSz0
『…その頃_商人ギルド』
ワイワイ ガヤガヤ
はいはい買い取りあっち!!
競売はこっち!!
商船の受付は列に並んで〜〜
ワイワイ ガヤガヤ
影武者「戻ったよ…誰か訪ねて来ていないかい?」
娘「あ…又役所から人が来てた…不在って伝えたら出直すってさ」
影武者「分かったよ」
娘「取引は上手く行った?」
影武者「うん…纏まったお金が必要になるから用意しておいて貰えるかな?」
娘「どんくらい?」
影武者「500金貨さ」
娘「私財で…だよね?」
影武者「そうだよ…ギルドの資金は手を付けない」
娘「何の取引だったの?」
影武者「言う訳無いじゃ無いか…フフ」
娘「フン!!シッシッ…邪魔だからアッチ行って」
影武者「下に居るから…用があったら呼んで」スタ
633 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:01:49.57 ID:c2KZAoSz0
『隠し部屋』
トントン
影武者「開けゴマ…」
カチャン
影武者「入ります…」ガチャリ ギー
商人「買い取れたかい?」
影武者「はい…500金貨で交渉成立しました」
商人「いつ受け取れそうだい?」
影武者「次の出兵時に地下街8番で一台停止させるとの事」
商人「分かったよ…ギャング達に奪わせるのは少し危ないけど…出来るね?」
影武者「大丈夫です…そのままギャング達の隠れ家に移送させます」
商人「…こんな時に盗賊が居てくれれば助かるのにさ…」
影武者「私では不足ですか?」
商人「あぁゴメンそういう意味じゃない…君は僕の大事な影武者だから危険に晒したく無いだけさ」
影武者「他の衛兵も買収済みなので問題無いかと」
商人「流石だね…でもそう言うのが危険なんだよ」
影武者「…」
商人「まぁ任せるよ」
影武者「ありがとうございます…今日も役所から闇商人を訪ねて来てた様ですが…」
商人「何か感づかれてるかも知れないねぇ…」
影武者「官僚を調べている件ですね?」
商人「一旦期間を置こうか…今は動くキラーマシンを調べるのに注力しよう」
影武者「ブラフは任せて貰って良いですか?」
商人「足が付かない様に頼むね」
影武者「はい…」
トントン
634 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:02:26.36 ID:c2KZAoSz0
商人「シーッ…」
情報屋「私よ…」
商人「…」
情報屋「あぁ忘れてた…開けゴマ…」
商人「…」ニヤ
カチャリ ギー
影武者「…では僕は仕事に戻ります」ペコ
情報屋「あら?密談中だったかしら?」スタ
商人「やぁ…直接来るなんてどうしたんだい?」
情報屋「外海で難破船を拿捕したという情報が入ったのよ」
商人「それはいつの話?」
情報屋「拿捕した難破船を引いて今軍用の港に入っているらしいわ」
商人「難破船ねぇ…飛空艇だったら飛んで行く所なんだけどなぁ…」
情報屋「政府がわざわざキ・カイまで引っ張って来たのよ?何か有ると思わない?」
商人「君は何処まで入れるのかな?」
情報屋「分からない…学術調査の依頼があればもしかすると…っていう感じよ」
商人「只の難破船に学術調査する事なんか無いでしょ」
情報屋「とりあえず政府用の連絡通路までなら許可証が有るわ?そこから荷下ろしが見られるかもしれない」
商人「なんだ見られる場所まで行けるなら先に言ってよ…行こう!」
情報屋「フフ…」
635 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:02:54.64 ID:c2KZAoSz0
『連絡通路』
衛兵「ここから先は軍用だ!!帰れ帰れ」
情報屋「事情を知って居る人はやっぱりここまで見に来てる様ね…」
商人「みんな学者かな?」
情報屋「大体そうよ…あなたは顔を見せない様に」
商人「分かってるさ…」
情報屋「荷下ろしは始まって居そう?」
商人「あれ?なんでキラーマシンで包囲してるんだろう…」
情報屋「ほら…やっぱり何か乗せて居るのよ」
商人「割と程度の良いコグ船…あれで外海を航海してたのか…スゴイな」
情報屋「なかなか荷下ろしが始まらないわね」イラ
商人「誰かを待ってるみたいだな」
情報屋「あなた望遠鏡持って居ない?」
商人「あるよ…」ポイ
情報屋「誰を待ってるのか…」
商人「ハハ積み荷じゃ無くて人を見るのか」
情報屋「キ・カイ軍船の船長らしい人物が手に何か書物を持って居るわ」
商人「見せて」グイ
情報屋「気になるわね」
商人「本当だ…どうしてわざわざ待って居るのか…」
情報屋「偉い人が大勢来そうね」
商人「こりゃ時間掛かりそうだなぁ…」
636 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:03:52.14 ID:c2KZAoSz0
『1時間後』
情報屋「政府高官が何人も来て居るわ…よほどの積荷よ」
商人「…」ジー
情報屋「どうしたの?無言で…」
商人「いや機械化の大臣があの書物を受け取ったんだ…どうしてかなと思ってさ」
情報屋「軍の司令が手を上げたわよ…何か始まりそう」
商人「キラーマシンが動いた…」
情報屋「あれ?いつの間に軍船が退避始めてる…どうして?」
商人「本当だねぇ…なんか変だねぇ」
情報屋「積み荷はもしかしてリリスとか?」
商人「まさか…いや待てよ…偶然釣り上げたなんて可能性は在るかもしれないなぁ」
情報屋「キラーマシンの後方に何かの兵器を構えてる」
商人「この感じはとんでもない魔物を積んでると考えるべきか…捕らえるつもりだな?」
情報屋「リリスだったとするとキ・カイが全滅しかねない」
商人「直ぐに逃げられる準備はあるよ…まずは状況しっかり見ておかないとね…あ!!荷室を開けようとしてる!!」
情報屋「…」ゴクリ
商人「望遠鏡で見える?」
情報屋「何かしら…リリスでは無さそう」
商人「動かないね」
情報屋「キラーマシンが鎖を持って荷室に入って…」
ドーン バリバリ
637 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:04:24.94 ID:c2KZAoSz0
商人「うわ!!船が大きく揺れてる…中に居るのは何だ?」
情報屋「見えた!!大きなウミヘビ…サーペントみたいな魔物」
商人「なんだ…ただのシーサーペントか…がっかりだよ」
情報屋「でも大きいわ?」
商人「サーペントなんか捕獲しても何にもならない…待って損した…帰ろう」
バシュン バシュン
商人「ハハ攻城用のバリスタ撃ってる…そんなに捕獲したいか」
情報屋「ウミヘビが光り始めた…何?」
商人「もう良いよ…帰ろ…」クルリ
ビビビビビ チュドーン ドカーーーン!!
商人「え!!?」
情報屋「商人!!伏せて!!」ガバ
商人「何が起きた?」キョロ
情報屋「軍港の弾薬が一気に爆発したのよ…ここまで破片が飛んでくるかもしれない」
商人「そんな…誰が?」キョロ
情報屋「私は見てた…あのウミヘビが稲妻出したの」
商人「まさか…そんなサーペントは聞いた事が無い」
ピカーーーー チュドーーーン
商人「ちょ…海で爆発!?どうなってる?」
情報屋「そっちじゃない…兵隊が兵器で反撃してる…」
ピカーーーー チュドーーーン
商人「イ…インドラの銃を使っている…のか?」
情報屋「マズそうね…避難しましょう」グイ
638 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:05:06.54 ID:c2KZAoSz0
『街道』
ガヤガヤ ザワザワ
軍港の方で何か起きてる様だ
見ろ!!煙が上がって居るぞ
海上でも爆発してるぞ
衛兵!!どうなってんだぁぁ!!
ガヤガヤ ザワザワ
情報屋「はぁはぁ…あなた…逃げる用意は有るって言ったわね?準備しておいて」
商人「有るには有る…でもまだその時じゃ無いと思うな」
情報屋「あの魔物は伝説のリヴァイアサンよ…あんな魔物をキ・カイの軍隊が捕獲出来るとは思えない」
商人「リヴァイアサン…外海からここまで連れて来た…話が都合良すぎだけど…」
情報屋「どういう理由か分からないけれど海で最強なのは間違い無いわ」
商人「待って…ここは陸だよ」
情報屋「陸…」
商人「そうさ…リヴァイアサンが陸に上がった話も聞いた事が無い」
情報屋「そ…そうね…落ち着きましょうか」
商人「子供達を避難させる準備は進めて置くさ…それよりもっと情報が欲しい」
情報屋「情報…」
商人「リヴァイアサンだとしたら学術調査で君が調査出来る事も有るかもしれない」
情報屋「私にリヴァイアサンの調査をしろと?」
商人「それもあるけど書物の方さ…研究には必要になりそうだろう?」
情報屋「分かったわ…」
商人「君の息子の事は心配しなくて良い…避難が必要なら最優先してあげるさ」
情報屋「…」
商人「言う事を聞いてくれれば…の話だけど」
情報屋「あの子私の言う事は全然聞いてくれなくて…」
商人「僕の影武者の言う事はちゃんと聞くんだよ…大丈夫…任せて」
情報屋「…」
商人「フフ子育ても悩みが多そうだ」
情報屋「私は学舎に戻るわ…あの子の事頼むわね」タッタッタ
639 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:05:38.30 ID:c2KZAoSz0
『数日後_地下街8番』
ピチョン ピチョン
影武者「…こっちです」スタスタ
商人「ここは封鎖されて以降誰も入って来ないかい?」キョロ
影武者「はい…チカテツ街道から裏道が通じてるのもあって隠れるには良い場所になりました」
商人「政府がこの区画を封鎖した目的は何だと思う?」
影武者「ギャング達の誘導…」
商人「分かって要るじゃ無いか…監視されて居る事は頭に入れて置いた方が良い」
影武者「裏を返せば利用できると言う事です」
商人「早い所分解済ませないと軍が回収に来るな…急ごう」
影武者「そうですね」タッタッタ
『隠し通路』
影武者「到着しました…確認してください」
商人「おぉ…これがキラーマシン改か…」ジロジロ
影武者「約束通り分解が済んだ後の残りはギャングで部品取りしても良いですね?」
商人「約束は守るさ…僕は頭部にあるAIユニットを回収したいだけだよ」
影武者「軍が回収に来るまで約2時間ほどの余裕が稼げていると思います」
商人「上出来…」カチャカチャ
影武者「その他の部品取りもありますので出来るだけ手短にお願いします」
商人「頭部以外の部品取りはもう始めてしまって良いよ」
影武者「許可が出ました…出て来ても良い様です」
ヒソヒソ コソコソ
商人「なかなか統率のとれたギャング達だねぇ…良し…取れた」カチャカチャ
影武者「もう終わったのですね?」
商人「僕はこの頭部を持って帰るとするよ…後は好きにして良い」
影武者「では帰路をご案内します」
商人「大丈夫さ…一人で帰れる…その方が色々都合が良い」
影武者「そうですか…では私は別件の取引に向かいます」
商人「わざわざ案内してくれて助かったよ…気を付けて」ノシ
640 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:06:18.24 ID:c2KZAoSz0
『ジャンク屋』
ガヤガヤ ガヤガヤ
店主「いらっしゃ…キシシシ又何か持ち込みかい?」
商人「まぁね?良い物が回収出来たら又買い取り頼むよ」
店主「今度はどんな機械かねぇ…」
商人「秘密さ…奥の作業台使っても良いかな?」
店主「タダじゃ無いよ…ウヒヒヒ」
商人「分かってるさ…」チャリン
店主「毎度ぉぉ〜分かってるねぇぇぇ」
商人「じゃぁ作業台借りるね」スタ
『作業台』
カチャカチャ
商人「さてさて…」
発信機が付いて居るとしたらこの頭部だ…
ここならジャンク屋に売られたと偽装出来る
さっさとAIユニットだけ外したい
これでどうしてキラーマシンが量産出来るのか謎が解ける…
最悪の結果にはなりません様に…
商人「…」カチャカチャ
商人「……」ピタ
商人「………」ググググ
ドン!! ガラガラ!!
店主「散らかさんでクレやぁぁ!!何しとんじゃぁぁ!!」
商人「…」ギロリ
店主「何をバラしてるか知らんがもう貸さんぞぃ?」
商人「分解ミスした…んだ…分かるだろう?」
店主「器具は元の場所に戻さんとダメダ〜メ…分かるぅ?」
商人「良く分からない発信機と取り出した魔石置いて行くよ…これで勘弁して」
店主「うほほほ…見せてみぃぃな」
商人「ここに置いておく…又来るよ」タッタッタ
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641 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:07:26.34 ID:c2KZAoSz0
『1か月後_商人ギルド』
ワイワイ ガヤガヤ
又レートの変更かよ…
これじゃぁ個人売買した方が良いじゃ無ぇか
娘「関税引き上げられてこうするしか無いの〜ゴメンね〜」
客「こりゃ戦争の影響かね?」
娘「う〜ん…海の向こうとは戦争して居ないんだけどねぇ…」
客「密輸ルートの案内はして居ないんか?」
娘「ダメダメそう言うのはギルドで扱って無いから」
客「ケッ…商売上がったりだ」
『隠し部屋』
影武者「…奴隷貿易禁止法に孤児の移送が引っかかるそうで1人当たり200金貨の罰金が発生するそうです」
商人「フフ政府はどうしても孤児を移送させたく無い様だ」ギラリ
影武者「主な商船の取引にも軒並み関税が掛けられて…」
商人「分かって居るよ…僕に脅しを掛けているのさ」
影武者「重税で困るのは民だと言うのに…」
商人「僕はもう絶対に孤児たちをキ・カイ政府の下で働かせる様な事はしないと決めたんだ」
影武者「そろそろ理由を教えてはくれませんか?」
商人「君は知らなくて良い…」
影武者「孤児院の子供達も自立して働きたいと不満を漏らしています…」
商人「なんとか諫めてよ」
影武者「…」
商人「今回商船に乗せた孤児たちの罰金は支払うとして…」
影武者「はい…」
商人「海賊に孤児院を襲わせる計画はどうなってる?」
影武者「海賊王の娘に取り次ぐと言ったきり連絡が途絶えて居ます」
商人「うむぅ…遅くなると資金が持たないなぁ…」
影武者「盗賊ギルドの力を借りるのはどうでしょう?」
商人「そうだなぁ…僕が動くしか無いか…海士島まで行って盗賊ギルドにコンタクトしてみる」
影武者「はい…留守中の事はお任せください」
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