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勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の続編の続編
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442 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:35:47.38 ID:rXZyBWej0
魔女「何が無念じゃ!!わらわの父は幻惑の杖に操られ不本意に死を遂げたのじゃぞ?」
女の声「不本意とは心外…人類の未来の為に命を捧げた…しかし未来を見る事が叶わなかったのはお前達のせいだ」
魔女「ぐぬぬ屁理屈を…」
女の声「さて白狼…いや白い悪魔め…お前の行いでどれほどの犠牲が出たか自覚は有るのか?」
剣士「犠牲?」
女の声「自覚して居ない様だな…お前が100日の夜を起こすきっかけを作り更に祈りの指輪まで持ち去った…」
女の声「これでどれだけの人の命が失われたと思う?」
女の声「なぜ早々に闇を集め無かった?無知か?それとも外道か?」
剣士「う…」
魔女「こやつの言う事を聞いてはイカン…それは結果論じゃ」
女の声「結果がすべてでは無いのか?塔の魔女よ…良い結果になる様に導くのだろう?お前にはそれが出来ていない」ドン!
魔女「すべてわらわ達が悪い様に解釈して居る様じゃな…主は何を導けたと言うのじゃ!!」
女の声「少なくとも!!10年先に起こるであろう厄災に備え数千の人間を既に退避させた…それでお前達は何をした?」
魔女「…」
女の声「何もしていない…只私の邪魔をしていただけだ」
魔女「主は魔王に魂を売ったのか?」
女の声「事あれば魔王…すべて魔王が悪い…そういう風だからお前達は進歩しない!!魔王なぞ利用すれば只のエネルギーだ」
魔女「それほど甘くは無い!!主の方こそ何も理解して居らぬ!!」
女の声「フッフッフ…話が平行線…無駄だな」
魔女「剣士!!あ奴を倒すぞよ?爆裂魔法で牢を破壊する故わらわを守れ!!」アブラカタブラ
女の声「そうはさせるか!永遠の眠りに付け」
ピーヒョロロー ピロピロピー
剣士「笛?…」
魔女「こ…これは妖精の笛…」ヨロ
女の声「フハハハハハ…アーッハッハハ」
剣士「なんだ…目が霞む…」フラ
女の声「キラーマシン!来い!!」
ウィーン ガシャ ウィーン ガシャ
魔女「くぅぅぅ…ここまで…か」ドタリ
剣士「み…未来…」フラ ドタリ
443 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:36:16.25 ID:rXZyBWej0
『馬小屋_屋根裏』
ガサゴソ ガサガサ
子供「有った!!やっと見つけた…」
子供「弾は?」カチャカチャ
子供「入って無いかぁ…えーと…火薬はまだある…10発撃てるかどうか」
子供「どんぐり行けるかなぁ…」ツメツメ
子供「おぉぉ流石ママ…弾が回転する様にちゃんと砲身に溝切ってる…よしよし」
子ウルフ「ガウルル…ガウガウ」
子供「んん?どうしたの?」
子ウルフ「ガウ…ハッハッハッ」ドタバタ
子供「え?機械の匂い?」クンクン
子供「本当だ…この油はキラーマシン…なんでだ?」
子ウルフ「クゥ〜ン…」バタバタ
子供「何かマズい事起きてるんだね?」
子ウルフ「ワン!」
子供「行こう!!」シュタ
シュタタ
444 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:36:58.23 ID:rXZyBWej0
『村長の家の納屋』
ウィーン ガシャ ウィーン ガシャ
子供「なんでキラーマシンが居るんだ…」ヒソ
子ウルフ「クゥ〜ン…」
子供「納屋の中に女の人が居る…あの人が操ってるのかな?」
子供「あ…出て来た…誰だろうあの人」
女「キラーマシンよ待機だ…万一に備えて私も武器を持ってくる」
キラーマシン「プシュー…」ピタリ
子供「パパ達が見つかったんだ…」ヒソ
子ウルフ「ハッハッ…」
子供「あ…あの笛は妖精の笛…あれで眠らせられたのか」
子供「子ウルフ!あの笛を奪って来て!!」
子ウルフ「グルルル…」シュタタ
シュタタ ピョン!
女「何ぃ!!ウルフだと!?」ドタッ
子ウルフ「ガァァァ…」ガブ
女「キラーマシン!!ウルフを追い払え!!」
キラーマシン「ウィーン…ガシャ」バシュン グサ
子ウルフ「ギャイーーン…」シュタタ
女「このぉ!!笛を返せ!!」ダダ
ターン! バチン!
女「つあぁ!!…こ…子供?」
445 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:37:33.02 ID:rXZyBWej0
子供「線虫!子ウルフを癒せ!!」ザワザワ ニョロリ
子ウルフ「ガウ…」ヨタヨタ
子供「今ボルトを抜いてあげる…」ズボォ
子ウルフ「ギャフン…」
子供「回復魔法!」ボワー
女「君は何処から来たのかね?その笛を返したまえ…」スタスタ
子供「動かないで!!」スチャ
女「何の真似かね?」
子供「公爵だね?」
女「…」ギロリ
子供「やっと見つけたぞ!!アダムの秘密を話して貰う!!」
女「お前!!魔術師だな?ちぃぃ…まだ白狼の仲間が居たとは…」
ターン! バチン!
女「ぐぁ!!」
子供「動くと撃つ!!」
女「なんのこれぐらい!!キラーマシン!!敵を排除だ!!」ダダ
子供「くそう!!成長魔法!!」ニョキニョキ ズドーン
女「地面から突然木が生えるだと?…ええい」
キラーマシン「ウィーン…ガチャコン!」バシュン バシュン
子供「ズルいぞ遠距離ばっかり!!」ヒラリ
キラーマシン「ガチャコン!プシュー」
子供「当たれぇ!!」ターン ターン カキン
キラーマシン「ウィーン…ガチャコン!」バシュン グサ
子供「くぅぅ…キラーマシンにどんぐりは効かないか…成長魔法!」ニョキニョキ ズドーン
女「ハッハッハ…私の勝ちだな…笛を返すのだ」スタスタ
446 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:38:02.24 ID:rXZyBWej0
子供「近寄るな!!」カチ カチ
女「弾切れかね?次は魔法でも撃つか?ハハハハ…」
子供「これでも食らえ!!火魔法!」チリチリ ポイ
モクモクモク
女「煙か…そんな物がキラーマシンに通用する物か…さっさと敵を排除しろキラーマシン!」
キラーマシン「ウィーン…ガチャ」ドスドス
子供「これならどうだ!!」
ピーヒョロロロロ ピーーーー
女「しまった!!お前はその笛の効果を知って…」
子供「僕の勝ちだよ…ぅぅぅ」ダラダラ
女「ちぃぃぃキラーマシン!!排除は中止だ!!私を守って基地へ逃走しろ」
子供「そうは行くか!!火炎魔法!」ボゥ ボボボボ
キラーマシン「ウィーン…」ドスドス ガバ
子供「くっそ!!邪魔だよコイツ!!」シュタタ
女「早く私を連れて基地へ…」ヨロ
キラーマシン「プシュー…」ドスドス
子供「待てぇ!!アダムの秘密をまだ聞いて居ない!!」シュタタ
女「…」zzz
子供「寝ちゃたか…」ヨロ ダラダラ
子ウルフ「クゥ〜ン…」
子供「僕も出血が酷い…線虫!癒せ!」ニョロリ
キラーマシン「…」ドスドスドス
子供「ダメだ追い付けない…ハァハァ」
子供「頭がクラクラする…マズいぞ僕は寝ちゃいけない」ヨロヨロ
子供「パパと魔女を探さなきゃ…」フラフラ
447 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:38:33.89 ID:rXZyBWej0
『納屋_地下牢へ続く鉄扉』
ハァハァ… ヨロ
子供「クヌギを育てて扉が壊せるか…成長魔法!」ニョキニョキ
メキメキ バリバリ
子供「鉄には敵わないか…どうしよう」
妖精「ハロハロー!!呼んだ?」ヒラヒラ パタパタ
子供「あぁぁ妖精さんか…鉄の扉を開ける方法知らないかな?」
妖精「鍵で開けたら?」
子供「鍵が無いんだよ」
妖精「じゃぁ開けられる訳無いよね?」
子供「ハハ…どうしようかなぁ」
妖精「横の石の部分をどうにかしたら?」
子供「お?君賢いね?」
妖精「役に立ったかな?」
子供「助かったよ…石の隙間に爆弾詰め込んで…」チリチリ
妖精「君の鞄の中に入っておくからさ…用があったら又呼んで?」スポ
子供「やばやば…隠れる所が無い…」シュタタ
ドーン! パラパラ
子供「くあぁぁ…も…もう納屋がボロボロだ…」タラー
子ウルフ「ガウガウ!!」シュタタ
子供「よし…下に行けそうだ」フラフラ
448 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:39:13.41 ID:rXZyBWej0
『地下牢』
ピチョン ポタ
子供「パパ!!魔女!!起きて?」ユサユサ
子供「ダメだ…しばらく起きないやつだ…困ったなぁこんな所で足止めされちゃ…」
スッ…
子供「うわぁ!!」タジ
エルフ1「君は誰だ?私達を助けに来たのか?」
子供「ビックリしたぁ…いきなり背後に立たないでよ」
エルフ2「牢が空いてるわ…何が在ったのか話せる?」
子供「助けに来たんだけど公爵っていう人の抵抗が有ったんだ…みんな眠らされてしまったんだよ」
エルフ1「シーーーーッ…表で人間の気配がする」
エルフ2「君は子供の姿をしているが戦えるのか?」
子供「一応魔法は使えるよ」
エルフ1「気配が増えている3人…いや4人か…」
子供「ここに入って来るには大人じゃ入って来れない…外に出る鉄の扉も閉まってるんだ」
エルフ1「まだ閉じ込められているのか…」
エルフ2「戦うにしても武器が無いわ…麻痺毒にやられるのがオチよ」
子供「僕の魔法で麻痺毒は無効に出来る…やってあげようか?」
エルフ1「それは助かる」
子供「虫が体の中に入るから我慢して…線虫!癒せ!」ザワザワ ニョロリ
エルフ1「うぅ…こ…これは…」モゾモゾ
子供「無害だから大丈夫」
エルフ2「麻痺毒は良いとしてどうやって戦うの?」
エルフ1「何か持って居ないのか?」
子供「僕の武器は渡せない…あ!!寝てる見張りが武器を持ってる」
エルフ1「おぉ!!剣だ…」スチャ
エルフ2「他には?」
エルフ1「無い…」
449 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:39:42.97 ID:rXZyBWej0
ドンドンドン ガチャガチャ
どうなってんだこりゃ!!納屋が破壊されてるじゃ無ぇか!!
地下牢の鍵は誰が持ってんだ?探して来い
俺は寝てる奴ら叩き起こして来る!!
見ろ!!血痕だ!!昨夜何か有ったんだ…見張りは何やってたんだ!!
エルフ1「騒ぎ始めたな…他の2人も瞑想から連れ戻すんだ」
エルフ2「分かった…直ぐに戻るわ」スゥ
子供「テーブルの木材を加工して簡単な槍なら直ぐに作れるよ」
エルフ1「欲しい…3つ頼めるか?」
子供「おけおけ…ちょっと待って」
-------------
-------------
-------------
450 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:40:11.40 ID:rXZyBWej0
『10分後』
ガーン ガーン ガーン
くそう!!斧の歯が立た無ぇ…誰だ!!鍵持ち歩いてんのは!!
村長の姿が見当たらんのだがどうする?これじゃ俺らヤバく無いか?
まず捕らえてるエルフ共がどうなってるのか確認が先だ
ボエーーーー ギャーーース
ちぃぃ…ドラゴンが上を旋回していやがる
慌てるな!!ここに隠してるのは見られて居ない筈だ…ありゃ様子を見に来ただけだ
一応弓を装備させるように伝えて来る!
子供「よっし!!これで3つ目…変性魔法!」シュワワ
子供「硬化樹脂の槍だよ…簡単な鎧なら貫ける」
エルフ1「君は何者だ?」
子供「教えて無かったね…そこで寝ているのが勇者と塔の魔女だよ…それで僕は勇者の子さ」
エルフ2「ええ!?ではエルフゾンビが言って居た事は本当だって言うの?」
子供「何を聞いたのか知らないけどエルフゾンビさんは知り合いだよ…精霊樹を守って居るよね」
エルフ1「…どうやらウソでは無さそうだ」
エルフ2「この状況をどうやって脱出するの?」
エルフ3「静かに…7…8人か」クンクン
エルフ4「隠れて機を伺おう」ピョン シュタ
子供「へぇ?スゴイな…天井に張り付けるんだ…」
エルフ1「君も物陰に隠れるんだ」
子供「僕だけ隠れて外に出られるんだよ…何とかしてみる」
エルフ2「人間8人を一人で相手すると言うの?」
子供「眠らせてみる」
エルフ1「扉はどうする?」
子供「うーん…爆弾がもう無い…どうしようかなぁ…」
エルフ2「人間達が扉を開けるのを待って眠らせる事は出来そう?」
子供「お?行けるかも!!」
エルフ1「扉が開けば寝ている者を背負って脱出してやる」
子供「おけおけ…扉からは離れていて?一緒に眠ってしまうと困るから」
エルフ1「分かった…」
451 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:40:40.62 ID:rXZyBWej0
『地下牢へ続く鉄扉』
カチャカチャ
傭兵1「くそう!!鍵師じゃ無ぇと開けられ無ぇ!!」ドン
傭兵2「横の穴をどうにか広げられないか?」
傭兵1「こりゃ石だぞ?爆弾でも無いと無理だ!!それより村長は居ないのか!?」
傭兵2「キラーマシンも居なくなってるんだ…俺らに何も言わずに何処かへ行った様だ」
傭兵1「けっ!!又か…まぁ居なくて良かったという見方もある」
傭兵2「この穴じゃいくらエルフでも通れないよな?」
傭兵1「…」ギロ
傭兵2「なんだ?その顔は…何か思いついたな?」
傭兵1「昨夜女を見たよな?覚えて無いか?」
傭兵2「おぉ夢かと思ってたんだがよ…」
傭兵1「女ならこの穴を通れるかも知れ無ぇ…つまりもうエルフは逃げた可能性がある」
傭兵2「じゃぁ扉はエルフが鍵を閉めたと言うのか?」
傭兵1「俺ら全く無意味な事してるかも知れんぞ?」
傭兵2「どうすんだよ…」
傭兵1「村長がなんかスゲェ武器使ってただろ…探してこい」
傭兵2「勝手に使うのか?そんな事したらぶっ殺される」
傭兵1「無意味な事に時間使ってても只じゃ済ま無ぇだろ…使い終わったら元に返せば良いんだ」
傭兵2「悪いが俺は関りたく無ぇ…お前が取りに行け!」
傭兵1「けっ!!ヘタレ野郎が…無理矢理扉ぶっ壊して突入すっから仲間集めとけ」ドスドス
452 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:41:16.85 ID:rXZyBWej0
『しばらく後』
ドスドス
傭兵1「どけどけぇ!!こりゃ俺の独断で村長の武器を使ってる…お前等は見なかった事にしろ」
傭兵達「扉をぶっ壊したら突入すれば良いんだな?」
傭兵1「そうだ!!もし逃げられてたら全員何処かへトンズラしろ…分かったな?」
傭兵達「お…おう!!」
傭兵1「いくぞ?」スラーン
子供「…」---あの武器は破壊の剣だ---
傭兵1「ふん!!」スパ スパ ゴトン
傭兵達「おぉぉぉ!!」
子供「…」---今だ!!---
ピーヒョロロロロー ピロピロピー
傭兵1「何!?笛の音…」キョロ
傭兵達「木の上にガキが居るぞ!!」
傭兵1「ガキが中に入り込んで居たのか?構わん!!弓を撃て!!」
傭兵達「にゃろう!!」ギリリ シュン
子供「そんな弓じゃ当たんないよ!」ヒラリ
傭兵1「くっそこんな木!切り倒してやる!!」ブン スパ
メリメリ ドシーン!
453 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:41:45.76 ID:rXZyBWej0
子供「こっち!こっちー!!」ピョン クルクル シュタ
傭兵1「ガキがちょこまかと…」ドスドス ブン!
傭兵達「ぐぁぁぁぁ!!…エ…エルフが出て来た!!」
傭兵1「何だと…」タジ
傭兵達「エルフが武器を持ってる…」タジ
傭兵1「くそがぁぁ!!」ダダダ ブン
エルフ1「遅い!!」ヒラリ
傭兵達「させるか!!」ギリリ シュン グサ
エルフ1「ウッ…」
傭兵1「出入口は一つだ!!弓を撃ちまくれ!!」
シュン シュン シュン シュン
傭兵1「ガハハ出て来れまい!!その矢は麻痺毒を塗ってある…当たりゃ動けん筈だ」フラ
傭兵達「ぅぅ…なんだ?眠気が…」フラ
傭兵1「撃てぇ…撃て…」ドタリ
子供「よし!!作戦成功!!出て来て良いよ」
454 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:42:16.46 ID:rXZyBWej0
『壊れた納屋』
ザワザワ
何が起こっとるんじゃろう?
エルフに納屋を壊されたんじゃ無いの?
え?まさか…
エルフが怪我人を運んで…
子供「村の人が集まり始めた…騒がれる前に逃げた方が良い」
エルフ1「一旦森へ身を隠す…良いな?」
子供「うん…ついて行くよ」
エルフ1「急ぐぞ…」シュタタ
ザワザワ
上を見よ…ドラゴンじゃ
キャァァァ!!降りて来る…皆逃げてぇ!!
ギャオーーーース バッサ バッサ
455 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:42:51.81 ID:rXZyBWej0
『森の端』
ドサリ
エルフ1「よし…ここまで来れば逃げ延びたも同然…」
エルフ2「これだけ揺られても全然起きないのね…この人達」
子供「何をしてもしばらく起きないよ」
エルフ2「このままでは凍死してしまう…木の洞の中へ」ヨッコラ ドサリ
宿屋の娘「ぅ…」ピク
子供「あ!!動いた…」
宿屋の娘「こ…ここは?」キョロ
エルフ1「森の端だ…私達はこの3人に助けられたのだ」
宿屋の娘「ロ…ローグの仲間ね?」
子供「お?ローグさんを知ってるんだね?」
宿屋の娘「君は誰かな?そして2人はどうして倒れて?」
子供「公爵っていう人に眠らせられたんだよ」
宿屋の娘「公爵?何故公爵が…話が良く分からない」
子供「そっか…何も知らないんだ」
エルフ1「兎に角この子のお陰で無事に地下牢は脱出出来た」
宿屋の娘「おいオヤジ!起きろ!!」ユサユサ
宿屋の店主「…」パチ キョロ
宿屋の娘「変体寸前だよ…気は確かか?」
宿屋の店主「わ…私はいつからこうなって居る?ガググ…喉が…」グルル
子供「二人ともウェアウルフなんだね?」
宿屋の娘「この尻尾を見られたら言い逃れ出来ないねぇ…」フリフリ
子供「匂いで分かるさ」
エルフ1「…妙な組み合わせだ」
宿屋の店主「血が欲しい…グルル…喉が焼ける」
子供「少しならエリクサーあるよ」ゴソゴソ
宿屋の店主「エリクサー?」
宿屋の娘「貰っておくと良い…それを飲むと喉の渇きが癒える」
子供「はいどうぞ…」スッ
宿屋の店主「ガググ…済まん」ゴクリ
------------
456 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:43:26.74 ID:rXZyBWej0
子供「少し疲れたみたいだ…」フラ
エルフ1「木の洞の中で少し休むと良い…周囲の警戒は私達が…」
子供「そうも言って居られないんだよ…僕は早くドリアードの所に行かなきゃ」ヨタヨタ ドサ
宿屋の娘「んん?良く見たら顔色が悪い…エリクサーが必要なのは君の方じゃないのかい?」
子供「もう血は止まってるさ…きっと大丈夫だよ」
エルフ1「寝ている2人が起きるまでは休んでいた方が良い」
子供「待って居られないんだよ…僕は今すぐにでもドリアードの中のアダムをどうにかしたいんだよ」
エルフ2「ちょ…ちょっと待って!!どうしてそれを貴方みたいな子供が知って?」
子供「色々事情があるんだ…ただ今やらないと人間もエルフもみんな絶滅してしまう」
エルフ1「話が飛び過ぎてて理解出来ない」
子供「まぁ良いや自分で何とかするさ…」スック
宿屋の娘「ちょっと待て…寝ている2人はどうする?このまま放って置くのか?」
子供「あと10時間は起きないと思う…それまで待てないんだよ」
宿屋の娘「一人で行くと言うの?君はまだ子供だろう?無謀すぎる」
子供「じゃぁパパと魔女を背負って一緒に来てよ」
宿屋の娘「なに?…なんで君の言う事を私が聞かないといけないんだ?」
子供「助けてあげたお礼…それじゃダメ?」
宿屋の娘「う…なんか子供じゃ無いみたいな言い分を…」
エルフ1「ここから北は激戦区になる…君の消耗具合を見ると危険が過ぎる」
宿屋の娘「一度どこかで休息するべきだ」
子供「じゃぁ僕を背負って連れて行って?背中で休むよ」
宿屋の娘「どうしてそこまで急ぐの?」
子供「さっき言ったじゃない…早くアダムを破壊しないと光る隕石がいつ飛んで来るか分からないんだ」
宿屋の娘「アダム?…そのアダムが何日か前の光る夜を起こした?」
子供「まぁそんな感じ…それが飛んで来ると人間もエルフも絶滅するんだ…僕達はそれを防ぐために北を目指してる」
エルフ1「…それが本当だとすると急ぎでハイエルフに報告しなければ…」
子供「こうしよう…パパと魔女をシャ・バクダ遺跡まで送って欲しい」
宿屋の娘「君はどうする?一人では行かせられないぞ?」
子供「僕は遺跡に戻れない事情がある…ドリアードを目指すさ」
宿屋の娘「ダメだそんな事!!子供一人で行かせる訳には行かない」グイ
子供「子供子供ってうるさいな!!…尻尾切っちゃうぞ?」スラーン
宿屋の娘「待て!!その武器は…村長が使っていた剣…」タジ
子供「これでアダムを破壊する…それですべて終わり…じゃぁ行くね」ヨタヨタ
--------------
457 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:43:56.86 ID:rXZyBWej0
宿屋の娘「待って!!話を聞くんだ」グイ
子供「うるさい人だなぁ…遺跡に行ったらローグさん達が居るから詳しい話はそっちで聞いてよ」
宿屋の娘「ローグ達が遺跡に?…フィン・イッシュ側に付いて居るのか?」
子供「もう…説明が面倒なんだよ!!アサシンさんとか女戦士とか皆居るからそっちで聞いて!!」グイ
宿屋の店主「ゲフゲフ…アサシンが居るだって!?」
宿屋の娘「これは驚いたね…敵側に居たとは…」
子供「そこら辺の事情は良く分からないけど…向こうはセントラル側の人が敵だとは思って無い」
宿屋の娘「オヤジどうする?」
宿屋の店主「私達が行って受け入れられるのかどうか…」
子供「行けば分かるでしょ…じゃぁ僕は行くね」ヨロ
宿屋の娘「待て待て待て…一人じゃ無謀すぎる…君だけ行かせる訳に行かない」グイ
子供「放してよ!!尻尾切るぞ!!」
トン!
子供「うぁ…」グター
エルフ1「助けて貰って悪いが一度帰った方が良い…護衛は私達が付くから遺跡へ向かえ」
宿屋の娘「分かった…私達は寝ている2人を背負うからこの子は任せる」
エルフ2「私が背負うわ…行きましょう」
--------------
--------------
--------------
458 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:44:28.19 ID:rXZyBWej0
『夢』
君「おっけ!」
僕「フフ僕の真似?」
君「おかしい?」
僕「まぁね?でもそのままで良いよ…ヘンテコな話し方も良い感じさ」
君「私ヘンテコか?」
僕「いや…多分僕の話し方がヘンテコなんだ」
君「ヘンテコ…」
僕「アハハハヘンテコだなぁ…」
------------
------------
------------
459 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:44:57.94 ID:rXZyBWej0
僕「やっと見つけたぁ!!今日はここで寝よう」
君「古いキャンプ跡があるわ?」
僕「あんまり人が通らないんだね…まぁ誰も居ないなら水場も使い放題じゃない?」
君「私水浴びしたい」
僕「うん…僕は周りにどんぐり植えて虫除けの方陣貼って来る」
君「虫除け?」
僕「そうだよ…安心して寝られる様に虫に守らせるんだ」
君「今日はゆっくりして良いの?」
僕「でもね?クヌギの木の皮剥いで馬車を補強した後ね…オーツ麦の種も収穫したい」
君「分かったわ…毛皮は私が洗う…その後ゆっくりする」
僕「じゃ水浴び行っておいで」
----------------
----------------
----------------
460 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:45:29.42 ID:rXZyBWej0
君「オーツ麦出来てる…食べる?」
僕「うん…君は味見した?」
君「まだ…」
僕「待っててくれたか」
君「ウフフ…あなたも裸」
僕「全部洗って来たよ…真っ黒だった」モジ
君「恥ずかしいか?」
僕「そりゃ恥ずかしいさ…なんかこんな荒野で2人裸なのは変だよ」
君「これ食べて…」スッ
僕「おぉ!!ホクホクだぁ」モグ
君「美味しい?」
僕「すごい久しぶりに調理した物を食べる…美味しい!」モグ
君「焼いたどんぐりもある」スッ
僕「殻も剥いたんだ?」ホクホク
君「…」ニコニコ
僕「君も食べたら?」
君「うん…」パク ハムハム
僕「む…牙が無いと食べ辛い?」
君「少し…」ハムハム
----------------
----------------
----------------
君は…誰だ?
もっと良く顔を見せて…
461 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:45:59.33 ID:rXZyBWej0
『数日後_シャ・バクダ遺跡』
ガヤガヤ ザワザワ
配給だぁ!!ワームの肉だが中々美味い!!
セントラル領じゃこんな物食わないんだが…
まぁ食って見ろや!シカ肉より柔らかいんだぞ?
女戦士「未来はまだ目を覚まさんか?」
情報屋「そうね…エリクサーは少しづつ与えてるから体力はちゃんと回復してるわ?」
女戦士「魔女が未来の記憶を心配していてな…」
情報屋「啓示の話ね?」
女戦士「それもあるが精神分裂症の恐れがあるらしい」
情報屋「起きても無理に思い出させる様な事はしない様にするわ」
女戦士「うむ…」
情報屋「シャ・バクダ砦のゴーレム討伐はどうなって?」
女戦士「まだ帰って来ていない…未来が持って帰った妖精の笛で上手くこちら側に付けば形勢逆転なのだがな…」
タッタッタ
盗賊「おーい!!飛空艇が帰って来たんだが女海賊以外全員眠っちまった様だ…運ぶの手伝ってくれ」
女戦士「ゴーレムの使役は上手く行ったのか?」
盗賊「分からんのだとよ!ゴーレムも動かんらしい」
女戦士「そうそう上手く行かんか…」
--------------
462 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/11/28(日) 15:46:29.69 ID:rXZyBWej0
ヨッコラ ドサリ
ローグ「フゴー…」zzz
商人「むにゃ…」zzz
魔女「すぅ…」zzz
剣士「すゃ…」zzz
女海賊「魔結界で大丈夫とか言ってたのにさ…魔女まで寝ちゃってどうにもなんないさ」プリプリ
盗賊「お前が寝なくて良かったな?全滅しちまう…」
女海賊「コレどういう仕組みなんだろ?なんで吹いてる私に効果無いん?」
女戦士「それが救いだな…使い方次第という事か」
女海賊「ほんでどうする?ゴーレムは全部で3体だよ…シャ・バクダ砦に2体と北の方に1体」
女戦士「アレが居る以上私達も動けんのだ…魔女の隕石では被害が大きすぎるからその笛でどうにかしたい」
女海賊「明日一人でもっかい試してみるわ…寝かせた後皆を迎えに来れば良いよね?」
女戦士「う〜む…万が一を考えると危険なのだが…」
女海賊「アヌビスのおっさんとリカオン姉さんは何処行ったん?」
女戦士「アサシンと共にオアシス砦に行って居る…女狐の尋問だ」
女海賊「魔女に尋問された後で何もしゃべる事無いんじゃ無いの?」
女戦士「アサシンは女狐を高く評価している…2重スパイをさせたいのだ」
女海賊「なるほどねぇ…盗賊ギルド復活しそうだね」
盗賊「俺ぁあの女気に入ら無ぇんだがよう…又裏切りそうじゃ無ぇか?」
女戦士「幻術の杖で既に使役された状態だからな…使える者は使いたいのだろう」
子供「う〜ん…」ノビー
女海賊「ハッ!!未来…」
子供「…んん?アレ?ここ何処だ?」キョロ
女海賊「良かったぁぁ…あんたずっと寝てたのさ…何処も痛く無い?」サワサワ
子供「うん…えーと僕何してたんだっけ?」
盗賊「よう!未来…腹減ってるだろう?お前の分のキノコ取り置きしてんだ…居るか?」
子供「あぁお腹ペコペコさ…でもちょっと待って…今夢見てたんだよ」
盗賊「夢?夢幻か?」
子供「分かんない…忘れる前に何かに書き残したい」
情報屋「まだ何も書いて居ない羊皮紙があるわ?使う?」
子供「うん…頂戴」
情報屋「持って来るわ」タッタ
463 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:47:06.41 ID:rXZyBWej0
『古代遺跡_一層目の端っこ』
カキカキ
ホムンクルス「未来君の大好きなスープを作って来ました…」テクテク
子供「ホム姉ちゃんか…頂戴!キノコだけじゃ物足りなかった」
ホムンクルス「はい…どうぞ」スス
子供「美味〜い!!」ゴク モグモグ
ホムンクルス「何の勉強をしているのですか?」
子供「勉強じゃないよ…お絵描きさ」カキカキ
ホムンクルス「私は絵が描けません…見て居ても良いでしょうか?」
子供「アハハ…ホム姉ちゃん真っ直ぐな線も書けなかったね」
ホムンクルス「これは何の絵ですか?」
子供「僕字が書けないからさ…夢の出来事を絵にして書いてるのさ」
ホムンクルス「この場合上手ですねと言えば良いのでしょうか?」
子供「う〜ん…そうなのかな?」カキカキ
ホムンクルス「この絵が何なのか私には理解出来ません」
子供「これ僕にしか理解できないかもね?只の覚書なんだよ」
ホムンクルス「虫を持って居る人は未来君ですね?」
子供「お?正解!!」
ホムンクルス「なんとなく分かりました…夢の中で冒険したのですね」
子供「そうだよ…夢を忘れない様に書いているのさ」カキカキ
ホムンクルス「書き終わったら見せて下さいね」
子供「おけおけ…」
464 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:47:40.74 ID:rXZyBWej0
『オアシス砦_牢屋』
ガチャリ ギー
女狐「…まだ何か話させるつもり?知って居る事は全部喋ってしまった…もう用は無いでしょう?」
アサシン「クックック…そういきむな」
アヌビス「アサシン?女狐を生かしておくのですな?」
女狐「生かす?何をさせるつもりなの?」
アサシン「お前は既に私達に逆らえん…悪いが利用させてもらう…手枷を外してやってくれ」
アヌビス「分かりました…」カチャリ
女狐「利用とは?」
アサシン「簡単な話…お前には酒場のマスターとして諜報の役をしてもらいたいのだ」
女狐「盗賊ギルドの一員として再雇用するという訳?」
アサシン「まぁそうなるか…アヌビスは宿屋の店主…リカオンは宿屋の娘として盗賊ギルドを再構築する」
女狐「どうして私なんかを…」
アサシン「白狼の盗賊団に憧れていたと言っただろう?一員に加えてやると言うのに疑いを持つのか?」
女狐「…」
アサシン「セントラルでお前を無下に扱った事は私も反省している…同志になってくれ」
女狐「同志とは?」
アサシン「白狼の盗賊団が戦って居る相手は魔王だ…人の心を蝕む魔王と戦って居る」
女狐「魔王と戦って何の利が…」
アサシン「利なぞ無い…だが徳はある…お前には魔王に蝕まれた人間達が何をして居るのか諜報して貰いたいのだ」
女狐「私を動かすのはお金よ」
アサシン「徳はな?金より価値があるのだぞ?…お前が白狼の盗賊団に憧れた理由は何だ?金だったのか?」
女狐「…」
アサシン「徳をばら撒く姿に憧れたのでは無いか?」
女狐「私も白狼の盗賊団に…」
アサシン「私と共に来い…世界が今どういう状況なのか教えてやる」スタスタ
リカオン「…」ベロベロベー
女狐「…」ギロ
アサシン「リカオン挑発するな…過去の事はもう忘れろ」
女狐「私は酒場のマスターよ…あなたは宿屋の娘…立場分かってるわね?」
リカオン「アサシン!この女と仲良くなれそうに無い!!」
アサシン「リカオン…お前は私の助手だ」
リカオン「フフ…という事です?立場お分かり?」ニマー
女狐「…」
465 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:48:17.10 ID:rXZyBWej0
『シャ・バクダ遺跡_キャンプ』
メラメラ パチ
盗賊「アサシンが帰って来たようだぜ?女狐も連れている…」
女戦士「フフやはりな…」
盗賊「なんだか懐に入られちまう様で気になるんだがよう…」
女戦士「諜報員としてはギルドでトップなのだろう?」
盗賊「よう!アサシン!!口説き落としたんか?」
アサシン「その通り…シャ・バクダをセントラルから取り戻すぞ」
女戦士「その件だが今日のゴーレム討伐は失敗だ…明日以降仕切り直しになる」
アサシン「それは残念だ…女狐よ紹介しておく…我々の指揮官は女戦士だ」
女狐「マスター代理だったわね…初めまして」
女戦士「もう止めたつもりだったのだが…どういう話になって居る?」ギロ
アサシン「人間を蝕む魔王を退治する…それが我々の目的…そういう話をしただけだ」
女戦士「なら良い…只の泥棒ギルドなら私は願い下げする所だった」
アサシン「白狼を紹介しようと思って居たが剣士は何処だ?」
女戦士「残念ながら妖精の笛で寝てしまったのだ…いくら起こしても目を覚まさん」
アサシン「では紹介は後だな…さて女狐…そこに掛けて公爵の周辺状況を話してやれ」
女狐「分かったわ…」
まず盗賊ギルドのセントラル支部の話から…
セントラル上空に鐘を鳴らす未確認の気球が飛び回って居た時くらいから
公爵は白狼の盗賊団に目を付けて盗賊ギルドの解体を始めた…
ギルドに居た優秀な人材は殆ど公爵に買い取られ
新しく設立されたのが傭兵ギルド…このギルドのトップが髭男爵という人物
女戦士「髭男爵…」
傭兵ギルドから近隣の村々へ派兵された人達は皆公爵の息が掛かっているの
シャ・バクダも例外では無くて傭兵達はみんな公爵から資金を得てる…私も同じだったわ
白狼の足取りが全く掴めない中でセントラルの秘密結社…黒の同胞団は
恐らく白狼の暗躍によってあっという間に壊滅
公爵の手足となって働くのは傭兵ギルドと髭男爵だけになった
466 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:48:44.28 ID:rXZyBWej0
女狐「…これが公爵の周辺で起こって居る事…聞き覚えある?」
盗賊「ヌハハ大有りだな…しかし隠れて居た訳では無いが俺らの足取りが全く掴めないってのは諜報員として失格じゃ無ぇか?」
女狐「見つけても雲の様に消えてしまうのよ…それが謎なの」
女戦士「なるほど…一所に留まった事は一度も無いな」
アサシン「領事の話を教えてやれ」
女狐「領事は公爵の右腕…何人も居るわ」
盗賊「なぬ?何人もってどういう事よ?」
女狐「詳しくは分からない…複製されたのか…魔法で姿を変えられたのか」
盗賊「マジか…」
女狐「少なくとも私は領事が公爵だと思って居た…そしてこの間まで一緒に行動してた」
盗賊「直ぐ近くに居るって事か…」
アサシン「魔女が未来から聞いた話と一致する…公爵が変化の杖を用いて姿を変えながらどこかに潜んで居るとすると…」
盗賊「難民の中に紛れてるってか…」
アサシン「刺客が既に潜入している可能性が高い…だからこうして女狐を我々の側に置く事にしたのだ」
盗賊「足だ…領事は片足を失って居る…それで見分け付か無ぇか?」
女狐「私とこの間まで一緒に居た領事は両足とも有るわ?」
盗賊「なぬ?」
アサシン「複製された別人と考えた方が良いな」
盗賊「どこまで一緒だったんだ?」
女狐「ハズレ町…そこで分かれた」
盗賊「奴の狙いは?」
女狐「白狼の一味を捕らえて殺す事…宿屋の店主とその娘を捕らえておびき出す作戦だったみたい」
アサシン「まんまと引っかかった訳なのだ…未来の働きによって阻止出来たがな」
女戦士「未来はそれも知って居たという事か?」
アサシン「さぁな?未来と話をしたいのだが…」
女戦士「それは待ってくれ…下手に刺激すると精神分裂症の恐れがあると魔女が…」
アサシン「まぁ良い…未来の予言ではホムンクルスがデリンジャーで暗殺されるとの事…まずはそれを防がねばならん」
女戦士「デリンジャーの中に入って居るのはどんぐりだ…それでは暗殺出来ん」
アサシン「釣ろうとしているのか?相手は何をするか分からん…アヌビス!リカオン!ホムンクルスの傍から離れるな」
アヌビス「由何…」
467 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:49:17.67 ID:rXZyBWej0
『遺跡一層目』
スタスタ
ホムンクルス「お戻りになられた様ですね?」ニコ
リカオン「私とオヤジの2人でお前のお付きになったんだ…仲良くしよう」
ホムンクルス「はい…」
リカオン「あの子はどうしてる?壁に向かって何を?」
ホムンクルス「未来君の事ですね?絵を書いています…邪魔にならない様にお願いします」
リカオン「絵?…あの時の殺気だった子とは思えないな」
ホムンクルス「未来君はいつも通りですよ?」
リカオン「少し話をしてみて良いか?」
ホムンクルス「はい…ですが荒立てる様な真似はお止めください」
リカオン「分かって居る…」スタスタ
子供「…」カキカキ
リカオン「君!?目覚めた様だね…名前は未来君だったね?」
子供「んん?誰?」クルリ
リカオン「覚えて居るかい?」
子供「ハッ!!」ガバ
リカオン「おととと…何もする気は無いよ…身構えなくて良い」
子供「アレ?夢の中の人…」
リカオン「混乱しているのかい?」
子供「尻尾は!!アレ?無い…やっぱり夢か…」サワサワ
リカオン「フフ勝手にお尻を触らないで欲しい」
468 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:50:06.16 ID:rXZyBWej0
子供「あぁゴメンよ…尻尾を切るつもりだったんだ…そんな夢さ」
リカオン「夢?」
子供「そうさ夢を見たんだ…」
リカオン「…」---この子…---
子供「僕に何か用?忙しいんだ…」クンクン
リカオン「ちょっと…何処の匂いを嗅いで…」
子供「おかしいなぁ…獣の匂いはどこからするんだろう?」
ホムンクルス「未来君?絵は書き終わりましたか?」
子供「まだだよ…新しい羊皮紙が欲しいな…書きたい事が一杯さ」
リカオン「私が見ても?」
子供「僕にしか分からないと思うよ?」
ホムンクルス「リカオンさん理解出来ますか?」
リカオン「う〜ん…何だろう?分からない…」
子供「僕にしか理解できないよ…邪魔しないで」
リカオン「未来君…光る隕石が落ちるという話はどうなったのかな?」
ホムンクルス「リカオンさん!お止めください…未来君を混乱させてしまいます」
リカオン「この話はマズかったのか…」
子供「…」ボーゼン
リカオン「また今度聞かせて貰おうかな…ゴメンね要らない事を言ってしまって」
子供「ちょっと待って…」
ホムンクルス「未来君?終わりにしましょう…お絵描きの続きを…」
子供「なんで僕の夢を君が知ってる?君は僕の夢の中にも出て来た…尻尾どうしたの?本当は君…尻尾あるよね?」
リカオン「切られたく無いから隠してる…それで満足?」
子供「…」スラーン
ホムンクルス「未来君…ここで武器を使うのは禁止されて居ますよ?」
リカオン「どうも私が絡んではいけない様だ…」タジ
469 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:50:36.43 ID:rXZyBWej0
子供「なんで僕はいつの間に剣を2本背負ってる?」
---次の瞬間---
声「ダメ!!あなたはは私の奴隷…放さないから」
声「行かないで…お願い…」
僕「…ごめんよ」
声「お願い…行かないで」
-----------
-----------
-----------
子供「ハッ!!…」ポロリ
ホムンクルス「未来君?武器を収めて下さい…」
子供「この剣…記憶が頭に流れて来る…これは夢じゃない!!記憶だ!!」
リカオン「??」
アヌビス「リカオン…こちらへ来なさい」グイ
リカオン「オヤジ…私はどうも言ってはいけない事を言ってしまった様だ…」
アヌビス「ホムンクルス様は私が守ります…お前はあの子を死んでも守りなさい」
リカオン「どういう事?」
アヌビス「勘ですよ…お前にも勘が働いて居る筈」
リカオン「勘?そんな…」
アヌビス「獣人への変態を許可します…後の事は私に任せて必ずあの子を守るのです…分かりましたね?」
470 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:51:04.68 ID:rXZyBWej0
『勇者の像の前』
シクシク グスン
情報屋「ぅぅぅ…」ポロ
子供「情報屋さん…パパとママは?」
情報屋「あら未来君…剣士は眠て居るわ?女海賊は飛空艇で見回りに出てる」
子供「ローグさんも寝てるのかぁ…どうしよっかなぁ…」
情報屋「どうしたの?」
子供「暇だから少し散歩がしたかったんだ」
情報屋「それなら私が連れて行ってあげるわ」ヨイショ
子供「いやいいよ…それ冒険の書だね?読んでたんだよね?」
情報屋「どうしてこの書物が冒険の書だと知って?」
子供「夢で見たのさ…僕の子ウルフは何処に行ったか知らない?」
情報屋「遺跡の中には入れて貰えないから外で待って居るかと…」
子供「僕探して来るよ」
情報屋「一緒に行くわ?」
子供「大丈夫だって…ちょっと探して来るね」シュタタ
情報屋「未来君!待ちなさい…」
リカオン「私が追いかける…任せて」シュタタ
471 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:51:31.02 ID:rXZyBWej0
『雪原』
シュタタ
子供「なんで追いかけて来るのさ」
リカオン「子供だけで外をうろつくのは危険でしょう?」
子供「尻尾切るぞ!!」
リカオン「気を取り戻した様ね」
子供「うるさいな!君の方こそ武器を何も持たずに危ないんじゃ無いの?」
リカオン「私は爪と牙が武器なのよ」
子供「ふ〜ん…」ジロリ
リカオン「このままドリアードまで行くつもりね?」
子供「だったら何さ」
リカオン「どれだけ危ない事なのか分からないくらい子供なのね」
子供「そんなの知らないよ!!今やらないと全部手遅れになるんだ!!」
リカオン「ゴーレムに襲われたら?」
子供「悠長な事言ってる場合じゃ無いんだって!!みんなそれが分かって無い!!」
リカオン「光る隕石が落ちて来るのは本当なのね?」
子供「それが落ちたら終わりさ…その前に止める」
リカオン「終わったら私の指示に従って貰える?」
子供「良いよ…何でもいう事聞いてあげる…僕を食べたって良いよ」
リカオン「食べる?フフ確かに美味しそう」
子供「その方が僕もラクなんだ…大事な記憶を無くして行くのが耐え難い」
リカオン「あの絵の事ね…」
子供「そうさ無くしたくないから必死に書いた…でもまだ終わりじゃない事を思い出した」
リカオン「よし付き合ってあげる…獣人に変態するから少し待って」
子供「獣人?」
472 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:51:58.80 ID:rXZyBWej0
ガブリ!
リカオン「見ない方が良いかも?」モサモサ グググ
子供「自傷行為で変身するのか…」
リカオン「ガウルルル…背に乗って!!その方が早い」グルル
子供「やったね!!ラクちんだ」ピョン ドス
リカオン「しっかり掴まって!!」シュタタ
ドヒューーーーン シュタッ シュタタ
子供「うわっ早っ…馬より全然早いじゃ無いか…」
リカオン「舌を噛まない様に」シュタタ
子供「よし!!これで狭間に入れば直ぐだ…ハイディング!」スゥ
473 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:52:27.43 ID:rXZyBWej0
『夜_キャンプ前』
タッタッタ
情報屋「見つかった?」
盗賊「足跡が途中で無くなってる…ドリアードの方角だ」
情報屋「あの子貝殻も持って行ってない」
盗賊「追いかけるしかあるめぇ…剣士と魔女を叩き起こすぞ」ダダ
女戦士「どうやら私達は未来の覚悟を甘く見て居た様だったな…」
情報屋「女海賊とは連絡付いた?」
女戦士「あぁ…直ぐに引き返して来る」
アサシン「今晩が攻め時かもしれん…ゴーレムは身動き一つして居ないそうだ」
女戦士「シャ・バクダはエルフとドラゴンによって陥落するだろう…どうする?我々も未来の後を追うか?」
アサシン「待て…ホムンクルスも守る必要がある…行かせるとしたら剣士と女海賊…そして現場を知って居る盗賊だ」
情報屋「ドリアードは毒で満たされて居て誰も近づけないわ」
アサシン「そういえばそうだったな…では盗賊の代わりに私が行こう」
『遺跡_一層目』
ペシン ペシン!
盗賊「おい起きろ!!剣士!!魔女!!」ユサユサ
魔女「はゎゎ…ここは何処じゃ?」ゴシゴシ
盗賊「遺跡ん中だ…未来が居なくなったんだ…寝てる場合じゃ無ぇ!!」
剣士「!!?未来…」ガバ
盗賊「やっと起きたな?どうやら未来は一人でドリアードに向かった様だ…追うぞ!」
魔女「なんじゃと?一人とな?」
盗賊「リカオンが後を追ったそうだ…無事だとは思う」
魔女「記憶を失っては居らなんだか」
盗賊「しばらく大人しくして居たんだがよう…気付いたら居ない…多分狭間を使って移動してんだ」
魔女「暗示を掛けぬと言う事を聞きそうに無いのぅ…」
剣士「いや…このままで良い…未来を信じる」
盗賊「兎に角飛空艇が戻って来たら後を追うぞ…ドリアードん所にはゴーレムがまだ一体居る筈なんだ」
魔女「隕石を落とさねばならぬか?」
剣士「女海賊の爆弾で倒せそうだよ…僕が弓を使って遠距離から打ち込めば良い」
盗賊「だな?行くぞ!!」ダダ
474 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:52:57.64 ID:rXZyBWej0
『キャンプ前』
フワフワ ドッスン
女海賊「ちょいちょい!!どうなってんのさ!!未来は一人で行っちゃった訳?」
アサシン「リカオンが後を追って居る」
女海賊「リカオン姉さんは貝殻持って無いの?」
アサシン「渡して居ない…連絡の手段が無いから飛空艇で後を追う」
女海賊「マジか…」
アサシン「シャ・バクダに居る2体のゴーレムは動く気配は無いか?」
女海賊「無い…砦はもうエルフとドラゴンが取り付いて今晩中には制圧だよ…」
アサシン「明日から忙しくなるな…」
女海賊「それより未来の方が心配…北の方にまだ一体ゴーレムが居る」
タッタッタ
盗賊「剣士と魔女を起こして来たぜ?」
アサシン「剣士!!飛空艇に乗れ!!」
魔女「わらわはどうするかのぅ?」ノソノソ
アサシン「魔女は暗殺者の出現に備えてくれ…」
魔女「ふむ…ホムンクルスの傍らに居れば良いのじゃな?」
アサシン「万一の蘇生は魔女にしか出来ない…盗賊もローグと商人を起こして事に備えてくれ」
盗賊「お前等3人だけで良いのか?」
アサシン「勇者2人も居て足りんと言うか?」
盗賊「おっとぉ…そういやそうだな」
フラフラ ドタ
情報屋「ぅぅぅ…」ヨロ
盗賊「おいどうした!?」
情報屋「何でも無いわ…軽い目まい」
アサシン「情報屋も少し休め…雪の中を歩き疲れたのだろう」
女海賊「もう行くよ!!剣士早く乗って!!」
剣士「あ…うん…」ピョン スタ
フワリ バサバサ
475 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:53:29.83 ID:rXZyBWej0
『飛空艇』
ビョーーーウ バサバサ
アサシン「女海賊…デリンジャーは持って居るな?」
女海賊「あるよ…どんぐりの入ったデリンジャーね」
アサシン「よし…時の王から授かった祈りの指輪は?」
剣士「僕が持ってる…」
アサシン「それで良い…魔女が聞いた未来の予言はすべて回避出来ている」
女海賊「ホムちゃんの暗殺って本当に起きるんかな?」
アサシン「起こさせはしない…予言は外れる」
剣士「それは未来の記憶を消す行為なんだよ」
アサシン「何?」
剣士「未来は大事な記憶を掛けて未来を変えようとしている…この重みを理解出来るかい?」
女海賊「未来が変わる…」
剣士「そう…そうやって未来は記憶を失っていくんだ」
アサシン「次元を超えた者にしか分からん話だ…」
剣士「だから記憶を失う前にやるべきことをやりたい…それが未来を突き動かしている強い動機」
女海賊「よっし!!全力で未来をサポートする」
剣士「例の爆弾はあと何個ある?」
女海賊「3個…それで最後」コロン
剣士「僕が使うね」
476 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:54:01.64 ID:rXZyBWej0
『雪原』
ヒュン! バカーン!!
子供「右!!」
リカオン「っくしょう!!私の足でも振り切れない…」ピョン シュタタ
子供「左!!」
リカオン「君は何か撃てないのか?」ピョン シュタタ
子供「何撃っても無駄だよ…あんな大きな巨人なんか倒せる訳無い」
リカオン「どうする?…どうする?…」
子供「妖精!!出て来い!!あのゴーレムを眠らせてくれぇ!!」
リカオン「何言ってんのよ!!ちゃんと後ろ見てて」シュタタ
ヒラヒラ パラ
リカオン「雪…これが妖精?」
子供「よしよし!!雪で幻惑されてる…突き放せるぞ?」
ピカーーーー チュドーーーーン!!
子供「え!?アレはママの爆弾…何処から?」キョロ
リカオン「上!!彗星!!」
子供「ママの飛空艇だ!!」
ゴーレム「ヴォオオオオオオオオオオ!!」ドスドス
子供「ゴーレムが止まらない…走って!!」
リカオン「エルフ達はこんなのと戦って居たと言うの?」シュタタ
子供「僕達もずっとこんな戦いなんだ!!」スラーン
リカオン「何をする気?」
子供「この剣は何でも切れる破壊の剣…折り返してゴーレムの脇を抜けて!!」
ピカーーーー チュドーーーーン!!
子供「今!!」
リカオン「ちょっと…ええい!!」クルリ シュタタ ピョン
ゴーレム「ヴォオオオオオオオオオオ!!」グラリ
子供「行けぇぇ!!」スパ スパ スパ
リカオン「切った…マジかよ」アゼン
-------------
-------------
-------------
477 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:54:29.78 ID:rXZyBWej0
『記憶』
僕「うーん…筋肉を感じる」
君「筋肉?」
僕「君の体からすごい熱量の筋肉を感じる」
君「フフ嫌いか?」
僕「お?初めて笑ったね?」
君「…」ジー
僕「笑って居た方が可愛いよ」
君「フフ…」ピト
僕「君暖かいなぁ…筋肉が多いからかなぁ」
-------------
-------------
-------------
478 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:54:59.41 ID:rXZyBWej0
『今』
シュタタ シュタタ
リカオン「…返事をしろ!気は確かか?」
子供「あ…なんだ一瞬夢を見た…」
リカオン「ゴーレムは追って来ない…君の剣で致命傷を負った様だ」
子供「そっか良かった…飛空艇は?」
リカオン「高度を下げて来て居る…あ!!?2人飛び降りたぞ?」
子供「パパが来たんだね?」
リカオン「飛空艇が去って行く…どうしたと言うのか…」
タッタッタ
アサシン「2人共無事か?」
子供「パパぁ!!」シュタタ
剣士「良かった間に合った…」ガシ
アサシン「リカオン良く未来を守った」
剣士「リカオンはウェアウルフだったのか…」
リカオン「飛空艇が去って行くのはどうして?」
アサシン「シャ・バクダのゴーレム2体が目を覚ました様なのだ…妖精の笛で眠らせに向かった」
子供「誰が乗ってるの?」
アサシン「女海賊一人…その方が都合が良いらしい」
子供「ママが一人で…危ないよ」
アサシン「お前が言うな」
子供「そうだ!!ドリアードの中のアダムを破壊しなきゃ…」
アサシン「知って居るかどうか知らんがドリアードは毒で満たされていて私以外が入る事は出来ない」
子供「知ってるよ」
アサシン「クックックそうか…そんな事まで知って居たか」
子供「ここまで来たんだ!パパとアサシンさんも一緒に行くよね?」
剣士「未来は止めても行こうとするだろう?」
子供「パパは僕を止めない…理解して居るから」
剣士「よし!行こう…」スック
子供「待って!!皆に線虫を掛ける…線虫!癒せ」ニョロニョロ
リカオン「うっ…なんだこの虫は…目の中に…」ゴシゴシ
子供「線虫が毒を中和してくれる…これでドリアードに入れる」
アサシン「準備万端だった訳か…まぁ良い!!案内する…こっちだ」スタ
479 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:55:31.05 ID:rXZyBWej0
『ドリアード喉部入り口』
アサシン「少し見ない間にソリの乗り捨てが増えて居るな…」
子供「僕の記憶と形が全然違う…花が無い」
アサシン「花?」
子供「大きな食虫植物の筈…」
アサシン「ここで間違い無いぞ?この洞穴の下に胴体が埋まって居る」
リカオン「臭いな…頭が痛くなる」
アサシン「手短に終わらせよう…入るぞ?」スタ
『喉部』
グググ グググ
アサシン「ムム!!来た道が塞がれて…マズいなこれでは出口が無くなる」
子供「教えてあげる…ドリアードは熱に弱い…火で炙れば開くよ」
剣士「未来はその経験があるんだな?」
子供「うん…」
剣士「来い…撫でてやる」ナデナデ
子供「胃部から核部へ行くのに何枚も隔壁が有って進むことが出来ない」
アサシン「ふむ…それをどうするつもりだったのだ?」
子供「コレだよ…」スラーン
剣士「…何かエンチャントが掛かっている様だ」
子供「破壊の剣っていう物なんだ…量子転移がエンチャントされてる…何でも切れるんだよ」
剣士「ゴーレムを切ったのはその武器か…」
子供「驚いた?」
剣士「リカオンがやったのだとばかり思って居た」
リカオン「いくら私の爪が鋭くても石を簡単に切れるほどでは無い」
剣士「未来は二刀流を目指すか…フフそれも良い」
子供「僕が道を開くからパパはアダムを破壊して?」
剣士「分かった…」
480 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:55:59.47 ID:rXZyBWej0
『胃部』
シュゥゥゥ ポタポタ
子供「胃液が強い酸だから触らない様に」
アサシン「壁面には触るな?ドリアードに捕食されるぞ?」
リカオン「え!!?もう触ってるし…」
子供「その壁面から敵がどんどん湧いてくるから気を付けて」
アサシン「敵が湧く?」
子供「今から僕が隔壁に穴を開ける…そしたら一気に出て来るよ」
アサシン「お前の出番だな?」
リカオン「丁度お腹が減っていた所…」
子供「じゃぁ穴を開けるね?」スラーン
スパ スパ スパ
子供「どんどん切り進むから敵が出てきたらお願い」スパスパスパ
ズズズ ズズズ ボチャッ!!
リカオン「な…なにコレ」タジ
異形の生物「ぎょるば…べひひ…」ズル ズル
アサシン「こんな仕掛けは前に来た時は無かった…」スラーン
リカオン「食べちゃうよ?グルル…」ガオォォ ガブリ
アサシン「後ろ!!」ダダ ズン!
リカオン「うんま!!」ガブガブ
異形の生物「ぐぇぇぇぇ…」ピクピク
剣士「未来…後ろは任せろ…切り進め」スラーン ピカー
481 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:56:30.88 ID:rXZyBWej0
『核部』
スパスパスパ ドサ
子供「ここだ!!」
アサシン「後方はリカオンに任せて良さそうだ…どうする?」
子供「僕はエリクサーを隔ててる壁を切り崩して抜くからパパはあの機械を壊して」
剣士「…」ピョン シュタ
子供「アサシンさん!!どこかに魔王を封じた魔石が在る筈…探してよ」
アサシン「そうだった…確か第3皇子はあの辺りで…」スタスタ
子供「パパ?じゃぁエリクサー抜くね…」スパスパ
ザバァァァァ
子供「うわぁぁぁ…流される」ザブザブ
剣士「アサシン!!エリクサーに飛び込め!!」
アサシン「何?」
剣士「この大きさの機械を壊すのは爆弾が早い」
アサシン「…そう来るか」ピョン ザブーン
剣士「未来!!爆発に合わせてエリクサーに潜れ…行くぞ」チリチリ ポイ
子供「え?え?え?…早い…」ジャブン
剣士「3…2…1…」ジャブン
ピカーーーー チュドーーーーーン!!
子供「ぷはぁ!!やったぁぁ!!」ザブザブ
アサシン「クックック‥‥エリクサーの飲み放題か」ゴクゴク
剣士「後は魔石…魔石を奪えばすべて終わりに…」
子供「良かったぁぁ…これで安心して帰れる」
シュタタ シュタタ
リカオン「…どういう事?」
アサシン「作戦は成功だ…祝杯だお前もエリクサーを飲め」
リカオン「なんだ急に爆発があってビックリした…てか敵が増えてそれどころじゃない」
アサシン「おやつが食えて満足だろう?」
剣士「魔石だ!!壁面に埋まって居る…未来!!その剣で切り出せ」
子供「う…うん!!」シュタタ
剣士「ここだ…この奥に埋まって居る」
子供「おっけ!!」
スパ スパ スパ
--------------
--------------
--------------
482 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:57:06.03 ID:rXZyBWej0
『記憶』
君「あなた!!何かしたわね?」フラ
僕「あ…今君の所に行こうと思ってたんだ」
君「何をするつもりなの?」
僕「君には正直に話して置くよ…ただ目を覚ましたら何も覚えていない」
君「まさかあなた…一人で放射能を集める気ね?ダメよ…許さない」
僕「そんな話したく無いよ…教えてあげる…僕はね…君を守る為に次元を超えて来たんだ」
君「何の話?」
僕「でもね…世界の本質を見て居なかった…このままじゃ僕の大事な人皆失う事に気付いた」
君「話が呑み込めない…意味が分からないわ」
僕「ゴメンね言葉が足りなくて」
君「兎に角一人で行くのは許さないから」グイ
483 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:57:33.62 ID:rXZyBWej0
『今』
君の記憶を奪ったのは僕だった…
記憶を失う事がこんなに悲しい事だったなんて
…ゴメンよ
もう何も奪わせないから…
子供「ぅぅぅ…」ポロリ
剣士「未来…しっかりしろ未来…」
子供「パパ…僕の記憶が消えて行く…」
剣士「魔石は手に入れた…脱出するぞ」グイ
アサシン「早くしろ!!リカオンが抑えられるのはそろそろ限界だ」
剣士「未来!!背中に乗れ」
子供「大丈夫…走れる」シュタタ
ザザー ザザザ
アサシン「何だこんな時に!!」
”アサシン!!返事して!!”
アサシン「今取り込み中だ!!手短に用件だけ言え!!」
女海賊「ホムちゃんが殺されたって魔女から連絡が…」
アサシン「なんだと!!?」
女海賊「ほんで超やばい事が起こってる」
子供「まさか!!…ちょっとアサシンさん僕にも聞かせて!!」
女海賊「光る隕石が飛んで来る…どっか地下に避難して」
アサシン「それはいつだ?」
女海賊「詳しい事分かんない…」
アサシン「今からドリアードを脱出する!!迎えに来い」
女海賊「無理!!魔女とアヌビスのおっさんが瀕死でエリクサー欲しいって…私は遺跡に向かってる」
アサシン「魔女までやられたのか…」
子供「…」プルプル
アサシン「貝殻の会話は続けろ…狭間には入るな」
女海賊「ゴメン!遺跡に戻ったら直ぐに通話再会する…狭間に入って加速したい」
アサシン「ええい!!何もかにも…」
子供「うおぉぉぉぉぉ!!」スパ スパ スパ ブンブン
剣士「未来!!落ち着け…落ち着いて考えるんだ」
子供「くそう!!一歩遅かった…何の為に此処まで来たんだ…」
アサシン「未来…思い出せ…光る隕石は何処に落ちる?」
子供「エルフの森に4発…それ以上の事は知らない」
アサシン「リカオン!!外に出て遠吠えでエルフ達に知らせろ!!」
子供「僕がやる!!」シュタタ
剣士「未来!!待て…」シュタタ
484 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:58:10.94 ID:rXZyBWej0
『喉部』
ゴゥ ボボボボボ
子供「開け!!このぅ!!」スパ スパ
剣士「火炎地獄!」ボゥ ボボボボボ
アサシン「剣士!!異形の生物が追って来られない様に何か魔法を撃てないか?」
子供「僕がどんぐりを持ってる!!木を育てて道を塞ぐ!!」シュタタ
アサシン「リカオン!!戻れ!!通路を塞ぐ!!」
リカオン「ガウルルル…」シュタタ シュタタ
子供「どんぐり爆弾を食らえ!!」ポイ パラパラ
子供「成長魔法!」グングン ニョキニョキ メリメリ
リカオン「ふぅぅお腹一杯…」ゲフゥ
剣士「出口だ!!」シュタタ
アサシン「リカオン!!遠吠えでエルフに危険を伝えろ」
リカオン「よーし…久しぶりの遠吠え…行くよぉぉ」
アオーーーーーン アオーーーーーーン
485 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:58:38.28 ID:rXZyBWej0
『シャ・バクダ遺跡』
フワフワ ドッスン
女海賊「ローグ!!早くエリクサー運んで!!」
ローグ「待ってたっす」ダダ
女海賊「お姉ぇ!!どんな状況なの?」ダダ
女戦士「魔女の血が止まらん…私の血を輸血してもどんどん出血するのだ」
女海賊「なんでそんな事になってんのさ!!」
女戦士「ホムンクルスが持って居た毒牙のナイフ…それの効果だ…早くエリクサーで治癒せねば死ぬ」
女海賊「ホムちゃんはそれでやられた?」
女戦士「背中から心臓を一突き…」
女海賊「くっそ!!片足の領事だね?」
女戦士「2人居たのだ…一人目を捕らえて安心した所をやられた」
女海賊「全部捕まえた?」
女戦士「今頃盗賊にバラバラにされている」
女海賊「バラバラって…」
女戦士「首を落としても死なん…急所が何処なのか分からんのだ」
女海賊「マジかよ…」ゴクリ
486 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:59:06.79 ID:rXZyBWej0
『遺跡一層目』
ザワザワ
何が起こるって言うの?
隕石が落ちて来るらしい…奥の方へ詰めてくれ
下層の方が空いてる!!下へ降りて行けぇ!!
ローグ「エリクサー持って来やした…飲ませて下せぇ」
情報屋「私は止血で手が離せない…ローグが飲ませて」グググ
魔女「…」グッタリ
ローグ「あわわ…」クィ
情報屋「アヌビスさんにも…アヌビスさんはもう出て来る血が無い…手遅れかもしれない」
ローグ「やるだけやるっす…」グイ
アヌビス「…」グター
タッタッタ
女海賊「片足の領事は何処?」
情報屋「下層に降りる途中の側道よ…石板が発掘された部屋」
女海賊「おっけ!!」
ローグ「姉さん!!まだ潜んでるかも分からんので注意して下せぇ!!」
女海賊「炙りだしてやる!!」ゴソゴソ ピカー
487 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 15:59:41.79 ID:rXZyBWej0
『隠し部屋』
メラメラ ボゥ
盗賊「商人!!死体を切り刻んで全部燃やせ!!」
商人「うあぁぁぁ!!」グサ グサ
タッタッタ
女海賊「盗賊!!片足の領事は?」
盗賊「やっと戻ったか!!見ての通りよ…」
女海賊「毒牙のナイフは?」
盗賊「俺が持ってる…これを使うたぁ想定外だったな?」
女海賊「まだ潜んでるかも知れない…探すよ」ピカー
盗賊「良い物持ってんじゃ無ぇか!!」
女海賊「下層へ!!」ダダ
488 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:00:10.13 ID:rXZyBWej0
『下層』
ザワザワ ガヤガヤ
なんだ?この明かりは?
階段を降りて来る
コーン コーン コーン
女海賊「出て来やがれ!!片足の領事!!ミスリルの音と光の石!!逃がさないよ…」
女海賊「あんた達全員この光を見ろ!!背を向けた奴はぶっ殺す!!」ターン ターン
難民達「なんだ?どういう事だ?」ザワザワ
女海賊「こん中に魔王が紛れてんだ…全員顔を上げな!!」ターン ターン
女狐「居た!!一人隠れた!!…右奥」
盗賊「アレだな?」
女海賊「全員良く見ておきな…今度は実弾を撃つ…」ツメツメ
盗賊「おいおい…人込みの中でぶっ放すんか?」
女海賊「うっさい黙れ!!魔王がどんなんなのか全員目ん玉ひん剥いて良く見てろ!!」
ターン ベチャ
浮浪者「ぎゃひぃぃ…」バタバタ
女海賊「どうよ?逃げ場は無いぞ?魔王!!」
浮浪者「ぎょっふっふっふ…無駄無駄ぁぁ…私は不死身ぃぃ」ズルズル
女海賊「私知ってんだ…魔王は狭間の外じゃ何も出来ない…人間を乗っ取るしか脳が無いってね」ターン ベチャ
難民達「ひぃぃぃ…死…死なない…」タジ
女海賊「どうよ?光に焼かれる気分は?」
浮浪者「ぐぅぅ…へべべ…その…その光を向けるなぁぁ!!」ズルズル
女海賊「盗賊!!あんたの出番!!ミスリルダガーをぶっ刺して!!」
盗賊「ほら来た!!俺が魔王に止め刺す!!」ダダ ブスリ
浮浪者「ぐるるるる…ぐぐぐ」シュワシュワ
女狐「影が光で焼かれて…消えて行く…」
女海賊「他に光に背を向ける奴は居ないか!!」クルリ
難民達「…これが勇者か…」
盗賊「そうよ…勇者に逆らう奴はこうなる…俺らは魔王なんぞ怖くない!」
女海賊「盗賊!!領事をバラバラにして焼くよ!女狐は辺りを警戒して」
女狐「え…あ…はい」ソソクサ
489 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:00:41.81 ID:rXZyBWej0
『キャンプ』
ドタドタ
女戦士「避難急がせろ!!」
ローグ「頭ぁ!!飛空艇の移動準備出来やした!!」
女戦士「ローグだけでオアシス砦に行って飛空艇を砦の陰に隠せ」
ローグ「ええ?頭は残るんすか?」
女戦士「アサシンが居ない状況で私はここを離れられない…向こうでこちらに戻る機を伺え」
ローグ「勝手に飛空艇動かして姉さん怒りやせんかね?」
女戦士「そんな事言ってる場合では無い!!早く行け!!」
ローグ「生き延びたらマッサージ約束して下せぇ」
女戦士「分かった!!早く行け」
ローグ「死んでも戻って来やす!!」ダダ
女戦士「400以上もの隕石が降って来るのだ…精々祈れ」
アオーーーーーーン アオーーーーーーン
女戦士「ウルフの遠吠え…」
ローグ「あわわ…いよいよヤバイ感じっすね…」
女戦士「空気が静まった…急げ」
490 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:01:18.71 ID:rXZyBWej0
『勇者の像』
ピカーーーー
女海賊「…光に目を背ける奴は容赦しないよ!!」ズカズカ
情報屋「下層で何が起こって居るの?」
盗賊「領事がもう一人紛れてた…3人目だ」
女海賊「魔女とアヌビスのおっさんは無事?」
情報屋「出血は止まった…後は回復を…」
女海賊「隕石落ちるまであとどんくらいか分かる?」
情報屋「ホムンクルスが言ってたのは4時間後に発射…それからしばらく時間を空けて来る筈…多分もうそろそろよ」
ザザー ザザザ
”ママ?聞こえる?”
女海賊「未来…あんたはちゃんと地下に隠れてる?」
子供「大丈夫だよ…ドリアードの中さ」
女海賊「そこを動かないで!後で迎えに行くから」
子供「ねぇママ…良く聞いて」
女海賊「何?又無茶な事言ったらブツよ?」
子供「良く聞いてね…」
隕石は4発落ちて来る
この隕石が原因で放射能という毒が世界に散らばるんだ
毒のせいで人類は絶滅するんだよ
今から僕とパパでそれを防ぐ
女海賊「ダメ!!無茶な事は許さない!!」
491 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:01:49.68 ID:rXZyBWej0
無茶じゃない…ちゃんと考えがあるんだ
隕石が落ちた跡にパパが持ってる祈りの指輪で僕が放射能を集める
そしてパパが量子転移で消し去る
上手く行けばそれですべて終わるんだ
女海賊「量子転移?それってヤバい魔法じゃなかったっけ?」
子供「パパならきっと大丈夫さ…だって勇者じゃない?」
女海賊「勇者だからヤバいんだよ!!どっか飛んでく…」
子供「ママ?今やらなきゃ世界が滅ぶ…僕はそれを見て来たんだ」
女海賊「そんな…」
子供「ママも勇者だから…後の世界はよろしく…魔王を封じた魔石はアサシンさんが持ってる」
女海賊「後の世界はよろしくってあんた…」
子供「ママ?産んでくれてありがとう…大好きだった」
女海賊「ちょっと未来!!」
剣士「女海賊…未来の事は僕が責任を持って守る…帰りを待て」
女海賊「剣士も…どうして…」ポロポロ
ドゥーーーーーーム ゴゴーーーーーン
女戦士「何かに掴まれ!!」ダダダ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
女海賊「未来!!未来!!返事して!!」
ザザー ザザザ
”ママ?行って…るザザーーザザザザ”
女海賊「未来!!」
盗賊「おい伏せろ!!天井が崩れるかも知れん」グイ
女海賊「貝殻…貝殻が…」ノソノソ
女戦士「出入口を塞げ!!爆風が来る!!」ダダダ
ザワザワザワ ドガーーーーーン
盗賊「ぐはぁぁヤバイなこりゃ…」
ザワザワ ザワザワ
とーちゃん僕達死ぬの?
静かに…皆の迷惑になるぞ?
外で何が起こってるんだ?
ザワザワ ザワザワ
492 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:02:30.94 ID:rXZyBWej0
『ドリアード喉部』
ドゥーーーーーーム ゴゴーーーーーン
リカオン「…今ので4発目」
アサシン「爆発が長すぎる…これほど長く光に焼かれては森が持たん」
リカオン「これを防ぎたかったのか…」ボーゼン
子供「これだけじゃ終わらないのさ…ここから地獄の始まりなんだ」
剣士「未来…この光が収まったら行くのだな?」
子供「うん…外で僕がパパを鉄に変性させる…パパは僕が集めた放射能を量子転移で消し去れば良い」
アサシン「私とリカオンは遺跡に戻って魔石を魔女に預ければ良いな?」
剣士「壺に封じればそれで良い…頼んだ」
子供「そろそろ光が収まるよ…パパ行こう!!」
アサシン「リカオン!見ておけ…勇者の最後だ」
子供「ダメ!!僕が放射能を集めるとみんな一瞬で液体になって蒸発するから来ないで!」
アサシン「それほど強力なのか…」
子供「鉄に変性しても直ぐに崩れ始める…量子転移が終わるまで出たらダメ」
剣士「未来!!行くぞ…」
子供「アサシンさん!リカオンさんも今までありがとう…戻ったらママに冒険の書を読ませて?」
アサシン「冒険の書?」
子供「読めば分かる…じゃぁ行くね!!パパ!?ハイディングで移動しよう」
剣士「フフ…ハイディング!」スゥ
子供「ハイディング!」スゥ
--------------
アサシン「行ってしまったか…」
リカオン「マズいな…オヤジに怒られるかも知れない…」
アサシン「どうした?」
リカオン「あの子を死んでも守れと言われて出て来たんだよ」
アサシン「守り抜いたでは無いか…そして見送っただけの事」
リカオン「アサシンからそう説明して貰えるかな?」
アサシン「クックック勇者の苦悩に比べればゴミの様に小さい」
リカオン「そう言わないで…あ!!外が赤く光ってる…」
アサシン「見て見たいのだが…」
493 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:03:04.72 ID:rXZyBWej0
『シャ・バクダ遺跡』
シーン パラパラ
盗賊「お…収まった様だ…俺ら生きてんぞ?」キョロ
女海賊「ぅぅぅ…未来…未来…」ポロポロ
盗賊「俺ぁ外見て来る!!情報屋!!女海賊を頼む」ダダ
商人「…」ボーゼン
盗賊「おぉ商人!!血だらけで何突っ立ってんだ?」
商人「エリクサー…」
盗賊「勇者の像の前に樽が置いてある…てかその血はホムンクルスの血だな?」
商人「ホムンクルスはまだここに居る…早くエリクサーに漬けないと…」ヨタヨタ
盗賊「はぁぁこりゃしばらく立ち直れそうに無いな…」
女戦士「盗賊!!夜空にオーロラが光ってる…来い!!」
盗賊「オーロラだと?」ダダ
女戦士「暁色に光るオーロラの筋だ」
盗賊「おぉ!!」
ダダダダ ピューー
盗賊「どわっ!!女海賊…出て行きやがった」
女海賊「未来!!返事して未来!!うぅぅ…」ポロポロ
シュン!
盗賊「オーロラが消えた…何が起こってんのよ…」
女海賊「うわぁぁぁぁん…未来!!剣士ぃぃ!!」ダダダ
盗賊「女戦士…お前の妹も相当ダメージでかいぞ?」
女戦士「剣士と未来が…どうした?」
盗賊「失ったっつーか…世界を救う旅に出ちまった」
女戦士「掛ける言葉が思いつかん…」
盗賊「紐付けとかないとどっか行っちまうぜ?」
女戦士「行って来る…」スタスタ
494 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:03:36.48 ID:rXZyBWej0
『日の出』
ズズーン
盗賊「こりゃまたトロールが綺麗に整列したもんだ…」
女狐「あなた達…いつもこんな風に生きて来たの?」ボーゼン
盗賊「まぁな?常に命掛かってる…どうよ?白狼の盗賊団の居心地は」
女狐「正直…思って居たのと全然違っていた」
盗賊「金の匂いなんか何処にも無いだろ?俺なんか金貨一枚も持って無ぇヌハハ」
女狐「領事の中に魔王が居たなんて…思っても居なかったわ」
盗賊「エルフがなんで戦ってるのかも知らなかった口だな?」
女狐「もっと勇者の行いが知られれば違っていたかも知れないのに…」
盗賊「人知れず戦って誰もそれを目撃して居ない訳よ…伝える奴が決定的に居ない」
女狐「あなたが伝えれば良いじゃ無いの?」
盗賊「俺が何か言ってもほとんどの奴らは聞きやしねえよ…馬の耳に念仏ってやつだ」
スタスタ
女戦士「女狐!!情報屋に代わってお前が魔女の面倒を見ろ」
盗賊「んん?何か有ったんか?」
女戦士「情報屋が倒れた…過労だな…少し休ませる」
盗賊「マジかよ…動ける奴が俺しか居無いぇじゃ無ぇか…」
女戦士「ローグが直に戻る筈だ」
盗賊「アサシンはまだ戻って来んのか?」
女戦士「貝殻の通話が出来ない…待つしかない」
盗賊「商人も腑抜けちまったしなぁ…」
女戦士「今から食事を作らせるから配給を配って貰いたい…」
盗賊「へいへい…」
495 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:04:11.12 ID:rXZyBWej0
『勇者の像』
ガヤガヤ ザワザワ
調査隊を募集してるそうだ!動ける奴は行くぞ!
水だぁ!!水を運び入れろぉぉ
盗賊「食い物持って来たぜ?食えるか?」
情報屋「吐き気がして…」ウップ
盗賊「おい!!女海賊!!お前も食え!!」
女海賊「…」ボーーーー
情報屋「そっとしておいて?貝殻を握ったままずっと蹲ってるの」
盗賊「んぁぁぁ…商人はどうした?」
情報屋「きっとホムンクルスの所ね」
盗賊「しゃーねぇか…昨日の今日じゃ放心状態だろうな」
タッタッタ
ローグ「エンチャントの掛かった角を持ってきやしたぜ?」
盗賊「おぉぉローグ!!お前が居なくて寂しかった所だ」
ローグ「この角を魔女さんとアヌビスさんに…」
盗賊「ほんで飛空艇に乗って来たんだろ?」
ローグ「へい…ですが頭が被害状況を確認するって言って乗って行っちまいやした」
盗賊「まぁそうだろうな…んで?空から見た感じどうなのよ?」
ローグ「エルフの森方面がヤバイっすね…全面火事になって居やす」
盗賊「オアシス砦は?」
ローグ「あっちは石壁に囲まれてるんで耐えやした…石ってスゴイっすね?」
盗賊「ほんじゃしばらくオアシス砦が拠点になりそうか…」
ローグ「剣士さんと未来君はどうなったんすか?」
盗賊「あぁぁ…ちっと言いにくいんだが…女海賊の様子見て察して欲しい」
女海賊「…」ボーーーー
ローグ「姉さん…」
情報屋「そうそう…確か未来君が書いていた絵が有った筈…盗賊探して来て?」
女海賊「…」ピク
盗賊「おう!待ってろ…」ダダ
-------------
496 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:04:39.24 ID:rXZyBWej0
盗賊「有ったぜ?何枚書いてんだ?こりゃ…」
女海賊「…」ズダダ バサ
盗賊「ウハハ動けるじゃ無ぇか…まぁお前の物だ好きにしろ」
女海賊「ちょ…これ未来が描いたの?」
情報屋「必死に書いていたわ?何が書かれてあるの?」
女海賊「…」バサ
情報屋「え!!?…これ」
盗賊「んん?」
女海賊「シン・リーンの壁画…未来は壁画を見た事無い筈…」
情報屋「良く見せて!!」ガバ
女海賊「まさかこれって…予言」
情報屋「虫を持って居る人物は未来君…隕石…毒…地震…津波…牙が在るのはオーク…え?え?」
盗賊「こっちの羊皮紙には地図も書いてあるぜ?こりゃフィン・イッシュだな…」
情報屋「魔女が聞いた未来君の話と擦り合わせが必要だわ…魔方陣も記されてる…」
盗賊「未来が見て来た世界が書いてあるんだな?」
女海賊「私シン・リーンに行く!!壁画を超絶見落としてる…」
情報屋「行くの少し待って…私も行きたいから」
女海賊「もう行くよ!!待てない」
情報屋「下層の石碑がある部屋の壁…風化して居るけど壁画があるわ」
女海賊「え?マジ?」
情報屋「確認してみて?後で私も行くから」
女海賊「行く!!」ダダダ ピュー
497 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:05:12.95 ID:rXZyBWej0
『石碑のある部屋』
ガサゴソ ゴリゴリ
盗賊「おいおい!なんで壁をこすってんだ?」
女海賊「うっさいな!!苔落としてんだよ」ゴリゴリ
盗賊「風化してるってのはそういう事か…苔で覆われちまってんのか」
女海賊「あんたは触んないで!!崩したらデリンジャーで撃つ」チャキリ
盗賊「おーこわ!!」
女海賊「情報屋は?」
盗賊「未来の残した絵とシン・リーンの壁画の写しを見比べてる」
女海賊「え!!?写し持ってんの?なんだ早く言えって話だ…」
盗賊「お前これどういう事か分かってんのか?」
女海賊「未来が残したメッセージさ」
盗賊「ほーん…分かってりゃまぁ良いわ」
女海賊「剣士は最後に帰りを待てって言ったんだ…只待つのは苦痛だから世界中の壁画を探すって決めた」
盗賊「どうやら俺の力が必要な様だな?」
女海賊「忘れてるかも知んないけど…あんた私の捕虜なの」
盗賊「ぶはっ!!まだそんな事言ってんのか」
女海賊「分かったらサッサと他の隠し通路探して!」
盗賊「お?やる気になったな?実はよ…今からこの遺跡の見取り図作ろうと思ってたのよ」
俺の予測はこうだ…
精霊の御所まで通じる隠し通路が有ると思ってる
何故なら昔の精霊がわざわざ外をテクテク歩いて行き来するとは思え無ぇ
更に精霊の御所の入り口が一つだけってのが明らかにおかしい
だが一つ問題がある
トロールが通路を封鎖している可能性だ
まずその場所を特定したい
女海賊「うっさいな!!グダグダ言って無いでさっさと探せよ!!」ゴシゴシ
498 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:06:03.43 ID:rXZyBWej0
『夕方』
シュタタ シュタタ
大型の魔物だ!!射手!!警戒しろ!!
ヤバイ!!ウェアウルフだ…
アサシン「待て!!撃つな!!味方だ…」ノシノシ
女戦士「射手!!待て!!」
アサシン「女戦士!!着替えを一着持って来てくれ」
女戦士「それはリカオンか?」
アサシン「そうだ…直に変態が解ける…裸では歩きにくい」
女戦士「フフ…リカオンが裸を見られて気にするとは思えんが…」
アサシン「飛空艇が見えないがどういう事だ?」
女戦士「ローグに補給も兼ねて見回らせて居る」
アサシン「そうか…上手くやって居るか」
女戦士「立ち話も寒かろう…テントに入れ」
アサシン「兵が驚いてリカオンを撃たねば良いが…」
女戦士「テントの中の方が目立たん!!さっさと入れ」
アサシン「リカオン…休めるぞ?」
リカオン「グルルルル…ハァハァ」シュタタ ドスドス
-------------
女戦士「しかし随分巨大なウェアウルフだな…」タジ
アサシン「食い過ぎだ」
女戦士「ドリアードはどうなった?貝殻の連絡が無くて心配して居たのだぞ?」
アサシン「貝殻は未来が持って行ってしまったのだ」
女戦士「そうだったのか…」
アサシン「もしかするとどこかで連絡できるかもな」
女戦士「接点は貝殻のみとなったか…」
アサシン「私は本物の勇者を見た…未来は間違いなく勇者だった」
女戦士「そうか…」トーイメ
アサシン「アダムは無事に破壊し魔王を封じたと思われる魔石も奪取した…これで戦いは終わりだ」
女戦士「魔石をどうする?」
アサシン「魔女が持つ封印の壺に収めてどこかに封じる…いや光の石で焼くのも手だな」
女戦士「やっと平和が来るか…」
アサシン「ワインが飲みたい」
女戦士「残念だが切らしている」
アサシン「クックック…ツキには見放されたか」
女戦士「さて!!私も少し休みたい…ここはアサシンに任せて良いか?」
アサシン「まず着替えを持って来てくれ」
女戦士「フフ忘れていた…私の着替えでは小さく無いか?」
リカオン「がうるるるる…うぅぅぅぅ」
------------
499 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:06:33.76 ID:rXZyBWej0
『数日後』
ガヤガヤ ガヤガヤ
シャ・バクダ解放だってよ?
どうする?戻れるのか?
建屋の損壊が酷いらしい
しばらくは修繕だろう…
ローグ「エルフが魔女さんを訪ねて来てるんすが…まだ目を覚まさんですかね?」
盗賊「んん?マジか…」
ローグ「蘇生魔法が出来るという話をどっかから聞いて来たみたいなんすよ」
盗賊「ほーん…なんでここに居る事知ってんだろうな?」
リカオン「あ!!私が行き先話したかな…」
盗賊「お前がエルフに?」
リカオン「ほら魔女を背負って帰って来た時…あの時エルフも一緒だったんだ」
盗賊「なるほど…」
ローグ「足引きずってるんで治して貰いたいみたいっすね」
盗賊「そういう事出来んのはもう魔女しか居無ぇ…起きるの待つしかないな」
ローグ「どうしやしょうね?遺跡に入れても良いんすかね?」
盗賊「アサシンか女戦士は居ないのか?」
ローグ「2人共出かけているでやんす…」
盗賊「まぁエルフなら良いんじゃ無ぇか?向こうが嫌がらなけりゃ…」
ローグ「じゃぁ案内しやすぜ?」
500 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:07:21.95 ID:rXZyBWej0
『しばらく後』
ザワザワ ザワザワ
おいおいおい…マジかマジか…
うわぁぁ綺麗
ねぇあのお姉ちゃんってエルフなの?
ええ香りやぁぁ…すぅぅぅはぁぁぁ
ローグ「散らかって居やすがこちらへどうぞ…」サササ
盗賊「どわっ!!こんなに居んのか!!」タジ
ローグ「エンチャントの掛かった角も有りやすんで…」
盗賊「良く見りゃ傷だらけだな…エリクサー飲ませても良いんじゃ無ぇか?」
ローグ「じゃぁ一口づつ口移しでどうっすか?」
盗賊「アホか!!」
タッタッタ
商人「どうしたんだい?この騒ぎは…お!!エルフだ」
盗賊「おぉ!!良い所に来たな…商人お前賢者の石持ってただろ」
商人「うん…傷を癒したいのか」
盗賊「その様だ…ホムンクルス居なくなって寂しかろう?ど真ん中に座って癒してやれ」
商人「ハハ…まぁそんなんじゃ僕の傷は癒えないけどね」
ローグ「あらら?エルフさん座ったまま動かなくなりやしたね?」
商人「瞑想だね…相当消耗しているみたいだ」
盗賊「だな?エルフは顔に出さないから分かり難いんだ…死ぬ寸前かも知らん」
商人「よーし!やっと賢者の石を使う時がやってきた」スッ
盗賊「使うってか掲げるだけだろ?」
ローグ「なーんか…エルフは見て居るだけで癒されやすねぇ…」ウットリ
盗賊「置物みたいで気持ち悪りぃ…全く動かんな」
商人「でもこんなに間近で見るのは女エルフ以来かな…へぇぇ?肌つるつるだ」
ドドドド
501 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:07:55.63 ID:rXZyBWej0
女海賊「どいたどいたぁ!!」ドン ジャラジャラ
盗賊「来たな?何か発掘された様だ…」
女海賊「これ鑑定して…ん?なんで私の敵がこんなに一杯居んの?」
ローグ「エルフが魔女さん訪ねて来てるんす…相当弱って居やす」
女海賊「エルフ…そうか長生きしてるエルフなら当時の事知ってるかもなぁ…」
商人「エルフの平均寿命は400年くらいって聞いたよ…700年前の事は分からないんじゃ無いかな」
女海賊「なんだそんなもんか…」
盗賊「なんで700年前なんだ?」
商人「あぁ下にある石板が作られた年代が大体それくらいなんだってさ」
盗賊「ほう?じゃぁ未来は700年前に実際にここに来た訳か」
女海賊「そゆ事…ほんじゃ戻るから鑑定頼む」ドドド ピューー
盗賊「鑑定ってか…どうせ只の古代金貨だろ?興味無ぇよ」ジャラジャラ
商人「ハハ女狐とは対照的だ…彼女は下で目の色変えて掘ってるよ」
盗賊「酒でも出てくりゃ興味も湧くが…」
-------------
502 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:08:24.44 ID:rXZyBWej0
魔女「ぅぅぅ…」パチ
商人「お?魔女?今動いたぞ?」
魔女「…」ムクリ
盗賊「おぉぉ!!どうだ?体は平気か?」サワワ
魔女「生きて居る様じゃのぅ…」
商人「何か食べるかい?」
魔女「吐き気がする…うぇぇ…飲み物が良かろう」
商人「スープがある…用意するよ」
魔女「わらわは危篤じゃったんか?初めて自我を完全に失ったわい…」
盗賊「血を2〜3回入れ替えるぐらいには出血してたぜ?」
魔女「ほうか…して何故エルフが沢山瞑想して居るのじゃ?」
盗賊「魔女を訪ねて来てんだ…どうやら蘇生して欲しいらしい」
魔女「これ商人…エルフの衣服を脱がせて蘇生が必要な部位を調べよ」
ローグ「あやややそれあっしがやりやすぜ?」シュタ
魔女「ローグでも良いわ…では商人は光の魔方陣を組めるかの?」
商人「退魔の方陣なら知ってる」
魔女「少し複雑なだけじゃで魔術書を見ながら組んでみよ」
商人「分かったよ…はいコレ肉スープ」スス
魔女「頂く…」ズズズ ゴク
盗賊「ほんで重たい話なんだがよう…エルフの森に光る隕石が落ちて森がすっ飛んだ」
魔女「では他にも傷を負ったエルフが居ろうのぅ」
盗賊「そういうこったな」
魔女「剣士と未来は居らんのか?」
盗賊「んぁぁ…もう帰って来無ぇ…例のごとく別の次元ってやつに飛んでった」
魔女「女海賊もか?」
盗賊「いや…女海賊は残ってる…下で遺跡調べてる」
魔女「それは良かった…この次元は現実じゃ」
商人「ちょちょ…それどういう意味?」
魔女「勇者の居る次元が現実なのじゃと思うて居る…この世界は女海賊の次元と言っても良いのう」
商人「勇者の眼が現実を選択してる?」
魔女「うむ…あ奴は次元の握り方をまだ知らぬ故教えねばならん」
商人「じゃぁ剣士の次元は?」
魔女「それも現実じゃ…剣士が歴史を選択したのじゃ…その上にわらわ達が居る」
商人「…なるほど…という事は夢幻は他の可能性…平行世界なのか」
魔女「さて…少し体を動かしてみる…盗賊や…肩を貸せ」ノソ
盗賊「俺ぁ今飯食ってんだ!リカオン!肩貸してやれ!!」モグ
503 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:08:58.99 ID:rXZyBWej0
『石板の有る部屋』
ゴソゴソ カリカリ
情報屋「…辻褄が合わない…この壁画は予言じゃ無いわ」
女海賊「これ未来が彫った壁画には間違いないよね?」
情報屋「そうね…ここに書かれて居る人物の画は私達の事…これが魔女…これが盗賊…」
女海賊「これが私かぁ…」サワサワ
情報屋「時の王から聞いた歴史の事実とこの壁画が表す歴史の事実が異なるのよ…」
女海賊「未来が描いた羊皮紙の方…」
情報屋「これは10年後に起きる予言だと思う…地軸の移動…病気の蔓延…世界の滅び」
女海賊「じゃぁこうだね…その予言を知って私達が行動を変えたら?」
情報屋「はっ!!壁画はその当時の予言だった訳ね?…そうならない様に人類が歩んだ結果予言と異なる方向に進んだ…」
ノソノソ
情報屋「魔女!!目を覚ましたのね?もう動いて平気?」
魔女「また立派な壁画を発見したのじゃな…」
女海賊「未来が書き残したんだ」
魔女「そうか…感慨深いのぅ」
リカオン「未来君が絵を書いている時に私も見たんだ…」
情報屋「何か言って居なかった?」
リカオン「大事な記憶を忘れない様に覚書を書いてると」
情報屋「記憶の覚書?…未来君は自分で忘れない様にこの壁画を掘ったと?」
魔女「ふむ…わらわは理解したぞよ?未来はのぅ…記憶がどんどん無くなるのを恐れたのじゃな」
次元を超えるとじゃな…元の次元の記憶が直に無ぅなるんじゃ
すべて忘れてしまう訳では無いじゃろうが
未来の行いで歴史が変わるたびにその記憶も失う
じゃからこの壁画は未来の備忘録じゃな
504 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:09:24.84 ID:rXZyBWej0
情報屋「後の人はこの壁画を予言だと解釈した…そうやって歴史が逸れて行った」
魔女「その上にわらわ達の次元が乗っかって居るのじゃな」
女海賊「…これは未来が経験した事実…未来の記憶」サワサワ
魔女「未来の歩んだ道がすべて記されて居ろう…未来の日記じゃ」
情報屋「壁画を書き残す動機がこれで判明したわね…忘れたくない…その一心だった」
女海賊「…全部書き写す」ツツー ポロ
情報屋「私も手伝うわ」
未来が無くしたく無かった記憶
この壁画を掘りながら守ろうとした
それでも歴史が修正される度に記憶を失う
なんて切ない壁画なの…
505 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:09:55.67 ID:rXZyBWej0
『キャンプ詰め所』
…ではこちらの警備は少数残して私達はシャ・バクダへ行く
オアシス砦はフィン・イッシュとの連絡用気球の発着を主とする
エルフとは交渉中だが主に遺跡周辺で一時退避になると思われる
女戦士「私は遺跡に残って居れば良いのだな?」
アサシン「そうだ…動ける避難民はオアシス砦へ誘導して遺跡は主に回復のベース基地として運用するのだ」
女戦士「分かった」
アサシン「ヘラジカのソリはこちらで用意して輸送を急がせる」
女戦士「飛空艇の輸送力はどう使う?」
アサシン「急ぎでフィン・イッシュ女王に支援を願いたい…ローグを飛ばしてくれ」
女戦士「お前が行った方が良いのでは無いか?」
アサシン「手が離せんのだ…私はフィン・イッシュの民を救いたい」
女戦士「フフそうか…」
アサシン「アヌビス!リカオンを呼んで来るのだ…シャ・バクダを荒らす異形を追い払うぞ!」
アヌビス「かしこまりました…」
アサシン「そうだ忘れる所だった…魔女が目覚めたらこの魔石を渡しておいて欲しい」スッ
女戦士「預かる…」
アサシン「では…後は頼む」スタ
506 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:10:26.06 ID:rXZyBWej0
『遺跡一層目』
ザワザワ ザワザワ
古代金貨が発掘されたそうだ
金貨ではお腹が膨れないわ?
配るらしいぞ?
盗賊「おら!並んだ並んだぁぁ!!一枚づつだぞ?何回も並ぶな?」
女戦士「…これはどういう状況だ?何故エルフが入り込んで居る?」
盗賊「おぉ戻ったか!!魔女を訪ねて来てんだよ」
女戦士「既にこちらにも来ているという事か…」
盗賊「既にとはどういうこった?」
女戦士「いやシャ・バクダにも傷付いたエルフが多く居るのだ…森を失って帰る所が無いのだよ」
盗賊「ほんじゃこっちに呼んだ方が良さそうだ」
女戦士「うむ…それで魔女は目覚めた様だな?何処へ行った?」
盗賊「下の石板のある部屋だな…もっと奥に隠し通路があっていろいろ発掘してる訳よ」
女戦士「…それがその古代金貨か」
盗賊「まぁな?俺らだけで独占してると文句出るだろ?だから配布してんのよ」
女戦士「他には何か出土しているのか?」
盗賊「いや…宝石が少しあるぐらいで大した物は無ぇ…貴重な物は情報屋が確保してる」
女戦士「金貨が出回って居るという事は流通が思ったより早く再会しそうだ…」
盗賊「どっかで金貨を交換出来るんか?」
女戦士「それは分からん…商隊が入って来たらの話だ」
盗賊「シャ・バクダはどうなってんのよ?」
女戦士「捕虜になって居た兵隊は無事に救出された…だが相当弱っていてな…この遺跡を回復所として運用するのだ」
盗賊「…てことは人で溢れるな」
女戦士「こうしよう…古代金貨を受け取った者から順にオアシス砦に誘導してくれ」
盗賊「わかった!穴に籠ってちゃ滅入っちまうしな?」
女戦士「それから光の石は絶やさず遺跡の中を照らすようにしてくれ…いつ又魔王を抱えた者が入って来るか分からんからな」
盗賊「だな?」
------------
507 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:10:55.79 ID:rXZyBWej0
女戦士「ローグ!!仕事だ!!」
ローグ「ぬわぁ!!」ドテ
女戦士「エルフの裸をどうするつもりだったのだ?」ギロ
ローグ「あいやいやいや…蘇生が必要な個所をですね…」バタバタ
女戦士「フン!!お前は飛空艇でフィン・イッシュに飛んで女王に支援を願って来い」
ローグ「ええ?今からっすか?」
女戦士「今すぐにだ」
ローグ「頭も行くんすかね?」
女戦士「お前一人だ」
ローグ「マッサージの件は…」
女戦士「エルフを触った手でマッサージさせる気は無い…エルフとドワーフは仲が悪い事ぐらい知って居るだろう?」ギロ
ローグ「あいやいや…これはっすね…魔女さんの命令でやんして…」
女戦士「黙って飛空艇でフィン・イッシュへ飛べ」
ローグ「へ…へい」ショボン
女戦士「補給も必要だ…古代金貨をいくらか持って行って物資を買い付けて来るのだ」
ローグ「わかりやした…トホホ」
508 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:11:24.84 ID:rXZyBWej0
『石板のある部屋』
スタスタ
女戦士「魔女!ここに居たか…」
魔女「んん?済まんのぅ…わらわは迷惑をかけて居った様じゃ」
女戦士「無事に目覚めて何より…それよりアサシンから魔石を預かって居るのだ」スッ
魔女「ほう?魔王を封じた魔石かえ?どれどれ…」
女戦士「私には只の魔石にしか見えんが…」
魔女「ふぅむ…その通りじゃ…これに魔王が封じられているとは到底思えぬのぅ」
情報屋「私に見せて…私は魔王を封じた魔石を一度見て居るわ」
魔女「ホレ?」スッ
情報屋「全然違うわ…まず色が違う」
魔女「アサシンはこれが魔王を封じた魔石じゃと思って居るのか?」
女戦士「しまったな…アサシンは不死者になってから色が見えて居ないのだ」
魔女「色盲とな?」
女戦士「白黒の世界らしい…血とワインの見分けが付かないのはそのせいだ」
情報屋「…また魔王が行方不明なのね」
女海賊「今何ってった?」ギロ
情報屋「魔王の所在が不明…」
女海賊「なんで私だけこの世界に居残ったのか…今理解した」グググ
情報屋「…」
女海賊「未来はこう言い残したんだ…後の世界はよろしくって…未来はこうなる事も考えてた」
魔女「ヤレヤレ…まだ終わらぬ様じゃのぅ」
女海賊「どっちみち私は世界中の壁画を探しに行くつもりだったのさ…魔王を追い詰めてやんよ!!」
情報屋「あ!!そうそう魔女に見て欲しい魔方陣があるのよ」
魔女「魔方陣じゃと?」
情報屋「未来君が書き残した羊皮紙に魔方陣が記されて居るの…見て?」
魔女「こ…これは!!重力の方陣…未解明の方陣じゃ!!」
情報屋「どういう意味があるか分かる?」
魔女「調べねばならぬ…書庫はフィン・イッシュ!わらわはフィン・イッシュへ行かねば…」
女戦士「既にローグが飛空艇で飛び立った…書物を持って来させる様に連絡は出来る」
魔女「頼む…書物の名を書き出そう…」ノソノソ
情報屋「私も必要な書物の…おぇぇぇ」ウップ ヨロ
魔女「ううん?主はもしかすると子を宿しては居らぬか?」
情報屋「ええ!!?それで吐き気が…」
女海賊「ちょ…マジ?私も欲しいんだけど…どうやって想像妊娠すんの?」
魔女「ちぃと温い衣服に着替えた方が良かろう」
女戦士「フフそういう体調不良は歓迎だ…情報屋は戦力から外そう」
魔女「父親は誰じゃろうのう?盗賊かえ?」
情報屋「ちょっと秘密にしておいて…纏わりつくのがうるさいから」
509 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:11:51.07 ID:rXZyBWej0
『勇者の像』
へーーっぷし!!
盗賊「あー悪りぃ悪りぃ…鼻水飛んだな…ホレ古代金貨一枚持ってけ」
難民「…」ベター
盗賊「おい商人!エルフの体ばっか触って無いでちったぁ手伝ってくれ」
商人「失敬だな…ちゃんと賢者の石で治癒してるさ」
盗賊「胸揉みまくってんだろ」
商人「違うよ大きな傷があるんだ…良く死なないで生きてると思う」サワサワ
盗賊「未来が残したどんぐりとキノコ有んだろ?目覚めたらそれ食わせろ」
商人「居なくなってもまだ世界を救おうとするか…」
盗賊「なぁ?未来が言ってたていう放射能の毒ってやつ…それが無くなって俺ら救われたんかな?」
商人「どうだろうね?それは未来君だけしか知らない事だよね」
盗賊「女狐とそんな様な話をしたんだ…勇者の行いは誰も見て居ない…だから語られない」
商人「勇者本人しか知らない事だから…本人が壁画で残すしかないんだね…それが伝説の正体だよ」
盗賊「剣士も未来もスゲー良い奴だったよな…居なくなって正直心に穴が開いた感じだ」
商人「みんなそうさ…前を向かないと気が紛れない」
盗賊「うむ…お前はこれからどうすんだ?」
商人「僕はホムンクルスをどうにかして生き返らせる」
盗賊「そうか…俺は壁画とお宝探しだな」
商人「行先は一致しそうだ」
盗賊「だな?とりあえず南の大陸か?」
商人「いや…未来君の残した羊皮紙に地図が掛かれて居たよね…其処だよ」
--------------
510 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:12:20.83 ID:rXZyBWej0
女戦士「何?それは本当か?」
魔女「うむ…2度経験したで間違いない」
女戦士「笛の聞こえる範囲はどのくらいだ?全員寝てしまっては支障が出る」
魔女「どのくらいじゃろうのぅ…遺跡の下層のみで使ってみてはどうじゃ?」
女戦士「ふむ…下層を重傷者の回復ベースとするか」
盗賊「何の話してんだ?」
女戦士「妖精の笛に強い癒しの効果があるらしい…エリクサーを超えるとか」
商人「あ!!僕もそう思ったよ…寝覚めがすごく良いんだ」
盗賊「ほぅ?」
女戦士「魔女の負担軽減でもある…触媒にも限りがあるからな」
盗賊「ほんじゃ回復が必要な奴らだけ下層で治癒させる訳か…この辺が散らからんで良いわな」
女戦士「早速入れ替えを始めたい」
商人「瞑想してるエルフはどうするの?」
女戦士「まぁ動かして良いかどうかも分からんから目覚めるのを待とう…とりあえずこれから入って来る者は下層に案内してくれ」
盗賊「女海賊と情報屋も一睡もして居無いからよ…なんとか騙して眠らせてやってくれ」
女戦士「そうだな…子を宿しているし休ませるか…」
魔女「これ女戦士!下手な事言うでない」
女戦士「あぁ口が滑った」
盗賊「んん?何か言ったか?」
女戦士「何でもない」
盗賊「女狐はまだ掘ってんのか?」
女戦士「フフ柄に合わず必死で財宝を探して居るぞ?古代金貨をばら撒いて居る事は秘密にしておいた方が良いな」
盗賊「ヌハハあいつ思ったより単純な奴だな気に入った!!」
女戦士「多めに金貨を残しておいてやれ」
511 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:12:50.47 ID:rXZyBWej0
『遺跡探窟』
ガサゴソ ゴトン
盗賊「いよう!!様子見に来たぜ?」
女狐「あら?盗賊…見て?壺よ?」
盗賊「ヌハハお前真っ黒に汚れてんぞ?」
女狐「あなた…お金に縁が無いとか言ってたのは嘘ね?」
盗賊「俺は金に興味が無いと言ったんだ」
女狐「じゃぁ私が全部貰うわ」
盗賊「悪いが古代金貨は全部難民に配っちまった」
女狐「えええええ!?何てことするの!!」
盗賊「まぁまぁ聞け…宝石は全部残してある…お前の物だ」
女狐「暴動を防ぐための投資…という訳ね?」
盗賊「そういう解釈でもまぁ良い」
女狐「この財宝を見たら公爵の資金なんかどうでも良くなったわ」
盗賊「お前は金を何に使うのよ?欲しい物なんかそう無いだろ?」
女狐「あなたに関係無いわ」
盗賊「お前の髪色は南の大陸出だな?赤毛…」
女狐「詮索しないで」
盗賊「ほ〜ん…まぁ良い…実はな?俺は昔孤児院の子供を引き取って養ってたんだ」
女狐「孤児院!!どこの!?」
盗賊「お?食いついたな?セントラル東のトアル町だ」
女狐「トアル町…」
盗賊「その感じはハズレか…多分お前は俺と同じ感じだな…孤児院に何か残してんだろ?」
女狐「うるさいわね…詮索しないで」
盗賊「そういう金の使い道は嫌いじゃない…まぁ上手く稼げ…じゃぁな」
女狐「…」ギロ
俺は知ってんぞ…勇者がどういう世界を選択したのか
未来は闇を知って居た
闇を許容する世界を選択したんだ
わかるぞ未来…お前の行きたい世界が
512 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:13:21.48 ID:rXZyBWej0
『翌日』
だぁぁぁぁぁぁ!!
女海賊「なんで私寝てんだよ!!」ドドド ピューーー
商人「あ!!女海賊!!食事を用意してるんだ」
女海賊「なんで起こさないのさ」
商人「気持ちよさそうに寝ていたから…妖精には会えた?」
女海賊「アイツのせいか!!グリグリにしてやる…」
商人「まぁそんなに急がなくても良いじゃないか…壁画は逃げない」
女海賊「それヨコセ!!ふん!!」モグモグ
商人「君が元気な姿見られると僕は癒される」
女海賊「あんた…わたしに惚れてんの?」モグモグ
商人「ハハまぁね…」
女海賊「よし!!奴隷として使ったげる」
商人「あいや…あのね…」
女海賊「私の秘密を一つ教えたげる」
商人「秘密?」
女海賊「あんたホムちゃんを復活させたいよね?」
商人「そうだね…生体を手に入れたい」
女海賊「私持ってんだよ…ある場所に隠してあるんだ」
商人「ええええ!?どういう事だい?」
女海賊「只動かし方が分かんない…あんたなら秘密を解けるかもしんない」
商人「詳しく教えて!!」
女海賊「持ってんのは生体の完成品じゃないんだ…部品を沢山持ってる」
商人「部品…」
女海賊「どうやって組み合わさるのか分かんないのさ…他の材料が何なのかも分かんない」
商人「君の奴隷で良い…それを僕にやらせて」ズイ
女海賊「よし!!私の下着洗って来い!!」ヌギヌギ
商人「ぐぁ…なんでこんなにベトベトなんだよ…」
女海賊「うっさいな!指が勝手に動くんだよ…黙って洗ってこい」
513 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:13:58.76 ID:rXZyBWej0
『キャンプ』
ガガーン ビシビシ
魔女「雷魔法!」ガガーン
盗賊「何事よ!!」ダダダ
女戦士「驚いたか?」
盗賊「敵は何処だ?」キョロ
魔女「敵では無い…地面に雷を落としたのじゃ」
盗賊「なんだ紛らわしい…なんで雷なんか落としてんだ?」
魔女「これで遺跡の中にキノコが一斉に出るじゃろう」
盗賊「キノコ?」
魔女「うむ…キノコが育つのに適正な環境じゃ…エルフに与えよ」
盗賊「なんだそういう事か…どうせならシカ肉が食いてぇんだが」
女戦士「心配するな…リカオンが狩りをしてくれている」
盗賊「おぉ!!やっと肉にありつける」
女戦士「シャ・バクダ砦に酒の備蓄もあるらしい…期待して待て」
盗賊「酒場はいつ再開すんのよ?」
女戦士「損壊した建屋を復旧中との事だ…もうしばらく掛かるな」
魔女「さて…わらわは蘇生魔法を掛けに戻るかのぅ」ノソノソ
女戦士「直にシャ・バクダから治療が必要な者が押しかけて来る…準備しておいてくれ」
盗賊「酒と肉はそいつらと一緒に来るわけだな?」
女戦士「だと良いな?フフ」
514 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:14:41.49 ID:rXZyBWej0
『遺跡下層』
ヒソヒソ
はぁぁぁやっと休める…
ここは暖かくて最高だ
エルフの横で休めるのか
盗賊「配給だぁ!!取りに来てくれい」
商人「エルフはどんぐりとキノコだよ…はいどうぞ」
エルフ「…」カリ モグ
商人「どう?採れたてのキノコさ」
エルフ「…」チラ
商人「フフそれがエルフのありがとうのサインか…分かり難いなぁ」
盗賊「食ったら妖精タイムだ…残さないで食えよ?」
エルフ「…」スス
商人「ん?手伝ってくれるのかな?皆に配って来て?」
エルフ「…」スタスタ
盗賊「お前エルフと話せるんか?」
商人「何となくだよ…孤児院に初めて来た子供ってこんな感じなんだ」
盗賊「なるほど…」
エルフ「…」チラリ
商人「あぁぁはいはい!まだあるよ?全部持って行って良い」スタ
盗賊「何言ってるかさっぱり分からん…」
ヒソヒソ
俺もエルフから配給されてぇ…
それらしい位置に移動だ…ケツで歩け
おぉぉ手を握られた…エルフの手は冷えっ冷えだ
おっし俺は握り返して…
515 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:15:13.43 ID:rXZyBWej0
『遺跡上層』
スタスタ
商人「この笛スゴイな…全員直ぐに眠ったよ」
盗賊「エルフ達もか?」
商人「うん…ビックリだ…エルフが次々倒れて行くんだよ」
盗賊「こりゃ治療に人出が要らんのが相当ラクだな?」
商人「そうだね…食事の用意だけで済む」
魔女「わらわは蘇生魔法で忙しいがのぅ…さて癒して来るわい」ノソノソ
商人「触媒は足りる?」
魔女「ミネラルが欲しいのぅ…直に尽きてしまう」
盗賊「鉱物はこの辺じゃ手に入らんな…」
商人「ミネラルか…ローグが気を利かせて買って来てくれれば良いね」
スタスタ
リカオン「酒持って来たよ…」ドスン
盗賊「おぉぉぉ樽で持って来たか!!ってお前太ったな…」
リカオン「食べすぎた…反省してる…しばらく獣人に変態するのは控える」シュン
盗賊「…で?シャ・バクダの方はどうだ?上手くやってんのか?」
リカオン「クリーチャーが徘徊してる…これが美味しいからつい…」
盗賊「なんだその魔物は?聞いた事無いぞ?」
リカオン「異形の生物をそう呼んでるんだ…色んな動物が混ざった新種の魔物だよ」
盗賊「じゃぁアレだな貴族の成れの果てだ…元は人間だな」
リカオン「中には賢くて手強いのも居るんだよ」
盗賊「じゃぁまだ危ない訳か」
リカオン「クリーチャーよりも人間の方が危ない…セントラルの傭兵が奇襲をかけて来てね」
商人「摩擦はしばらく続きそうなんだ…」
リカオン「でもこちらの方が圧倒的優位だよ?エルフが居るから」
盗賊「なぬ?こっちはエルフと混成なんか?」
リカオン「あれ?聞いて無かったの?精霊樹を守る目的で協力するって」
盗賊「俺ら遺跡に籠ってるからそういう情報が入って来無ぇんだ」
リカオン「そうだったんだ…じゃぁ私から教えようかな」
516 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:15:42.45 ID:rXZyBWej0
ハイエルフは精霊の御所に住まう
ハーフエルフは人間と一緒に住まう事に決まったんだよ
それが精霊樹の意思らしい
商人「それで遺跡にエルフが定着してるのかな?」
リカオン「そうだよ…ハイエルフの命令で人間との交配を進めるんだってさ」
盗賊「ほーう…その代わり人間にも精霊樹を守らせる…そういう取り決めが有った訳か」
リカオン「私も森を安定して守るには人間の協力が必要だと思う…良い歴史の転換ね」
盗賊「こりゃセントラルが嫉妬しそうだ」
リカオン「そういうのがもう起き始めてる…傭兵の奇襲がそれよ」
商人「ふーむ…なんかマズイ気がするなぁ…シャ・バクダは資源が少ない…物流が途絶えると不利になる」
盗賊「森は資源にならんのか?狩り資源なら死ぬほど有ると思うが?」
商人「どうやって運ぶかだよね…商隊のルートを全部セントラルに抑えられてるから言いなりになってしまう」
盗賊「思うんだがよ?ヘラジカの引くソリは馬車よりよっぽど早い…フィン・イッシュ側に商隊ルート作れんか?」
商人「なるほど…中継点をいくつか置けば良いか」
盗賊「エルフが味方ってのは相当デカイ…エルフの女目当てで定住する男も沢山出る筈だ」
商人「そういう路線で行くのも良いね…エルフ装備とか良い値で売れそうだ」
盗賊「まぁアレだ…シャ・バクダをどんだけ守れるかがカギだな」
リカオン「フフ…アサシンの読み通りだ…次は盗賊ギルドの出番だよ」
盗賊「セントラルとの駆け引きが始まるか…争いをうやむやにして先送り」
商人「うやむやねぇ…」
517 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:16:18.68 ID:rXZyBWej0
『石板のある部屋』
纏めるわ…
未来君の残した羊皮紙に書かれてあるのは恐らく予言
私達はこれを回避する必要がある
未来に何が起こるのかと言うと…一番大きいのが地軸の移動
これは多分回避できない
でも地軸の移動によって生じる災害を回避する術はある
ここに記されて居る地図は地軸が移動した後の地図ね
セントラル沖が南極点に変わる…それによって大規模な気候変動が起きる
女海賊「牙の生えている人物はオークだよね?なんで沢山関わってると思う?」
情報屋「この重力の魔方陣の出所だと思うわ…魔女もオークの使う術がどうとか言ってたし…」
女海賊「重力…ほんじゃそれが原因で地軸が移動?」
情報屋「…かもしれない…兎に角一度オークの地へ行って調べる必要がありそう」
女海賊「私何回も行ってんのよ…良く分かんないんだよねオークの文化」
情報屋「オークはエルフと同じくらい賢い生き物…きっと何か知って居るんだわ」
タッタッタ
女海賊「あれ?リカオン姉さん…いつ戻ったん?」
リカオン「未来君からの伝言を伝えるのを忘れてて…」
女海賊「ええ!?なに!?」ズイ
518 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:16:46.89 ID:rXZyBWej0
リカオン「あなたに冒険の書を読ませてって最後に言ってたの」
女海賊「えええ…私字が読めないんだよ」
リカオン「読めば分かるって言ってたわ」
女海賊「マジか…読んでみっかぁ」
情報屋「冒険の書は私が預かって居るわ」
女海賊「あんた読んだ?」
情報屋「少し…」
女海賊「何が書いてあったん?」
情報屋「魔女が言うには読む人によって内容が違うって…」
女海賊「だから何が書いてあったのさ」
情報屋「ウンディーネ時代の物語…光る隕石が落ちた後に生き抜く人間の物語よ」
女海賊「むむ!!未来と同じ事言ってんね」
情報屋「それも予言なのかも知れないわ…あれ?そう言えば物語に虫使いの青年が出て来てた」
女海賊「ちょちょちょ…それ未来じゃね?」
情報屋「分からない…私の場合文字を読んで居るから」
女海賊「ちょい貸して!!」
情報屋「これよ…」バサ
女海賊「どれどれ…」パラパラ
情報屋「読める?」
女海賊「絵だ…絵が動く…」
情報屋「新しい発見ね…文字が読めなくても分かる様になっているのね」
女海賊「ちょいしばらく話しかけないで…てか私向こうでこれ読んで来る」ダダダ ピュー
情報屋「フフ暇つぶしが出来て良かったみたい…」
リカオン「…」クンクン
情報屋「ん?何?」
リカオン「あなたのお腹の中…」
情報屋「分かるの?」
リカオン「ヤバイなぁ…私もそろそろ相手見つけないと…」
519 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:17:16.25 ID:rXZyBWej0
『数日後_キャンプ』
フワフワ ドッスン
ローグ「頭ぁぁぁ!!物資調達してきやしたぜ?」
女戦士「ご苦労…早速荷物を降ろしてくれ」
ローグ「ほんで女王とセントラル王も連れて来たんすが…」
女戦士「何?」
女王「ご無沙汰しております…」ペコリ
セントラル王「これは…ドワーフ国王女殿…」キリ
女戦士「ぁぁ参ったな…先に言え戯け!」
ローグ「視察で急に同行する事になったんす」
女戦士「何も用意して居ないが…」
女王「お気になさらず…地べたに寝る事になっても良いのです」
女戦士「シャ・バクダの方はまだバタバタしているのだ…案内出来る状態では無い」
女王「アサシン様と直接お話がしたかっただけですので…」
女戦士「まぁ綺麗な所では無いが遺跡の中へ入ってくれ…そっちの方が暖かい」
ローグ「あっしが案内しやす…どうぞ」スス
女戦士「側近と近衛も一緒か…」
ローグ「魔女さんは遺跡の中に居やすかね?書物も持って来たんすよ」
女戦士「待って居る筈だ…持って行ってやれ」
520 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:17:52.63 ID:rXZyBWej0
『遺跡上層』
ドヤドヤ
盗賊「んん?おぉぉ!!ローグ!!嬢ちゃんまで要るじゃ無ぇか!!」
女王「ご無沙汰しております…その節はお世話になりまして」ペコ
盗賊「あいやいや堅いのは止めてくれ…まぁちっとキノコまみれだがその辺に掛けてくれ」
女王「はい…」テクテク ストン
ローグ「さぁ皆さんこちらでくつろいで下せぇ」サササ
女王「エルフ達と同居されているのですか?」
盗賊「まぁ流れでそんなんなったんだ…話は全部聞かれているからよろしく頼むな?」
女王「羨ましいです…是非フィン・イッシュにもお越し願いたいです」
盗賊「エルフを釣るなら根菜だな」
女王「後に貨物用気球で到着しますので振舞いましょう」
盗賊「そら楽しみだ」
女王「上空からエルフの森を見ましたが壊滅的な破壊だったのですね」
盗賊「そうらしい…ここに逃れて来るエルフはみんな大怪我負ってんだ…この遺跡は回復ベースな訳よ」
女王「どのくらい逃れて来ているのでしょう?」
盗賊「ここで治療してるのが30ぐらいか?シャ・バクダと精霊樹に居るのも合わせて100ぐらいだとは思う」
女王「光る夜からまだ間が無いのでもっと増えますね」
盗賊「うむ…その為に此処がある訳よ」
女王「近隣の村々はどうなって居るのでしょう?」
盗賊「ひでぇもんよ…本当はセントラル側からも難民受け入れて治療してやりたいんだが中々そうは行かなくてな」
女王「貴方…なにか手はありませんか?」
セントラル王「こういう災時は時の王卿が陰で支援を…」
盗賊「あぁぁぁ…残念だが時の王は死んだ」
セントラル王「何ですと!!まさか時の王卿が…」アゼン
盗賊「なぁセントラル王よ…」
セントラル王「呼び名は戦士と呼んでくれ…セントラル王と胸を張って名乗れない立場故…」
盗賊「じゃぁ戦士や…民が苦しんでるのをどうする?」
戦士「うぐ…何とかせねば…」
盗賊「やっぱ食料と薬の配布が良さそうなんだが…」
商人「話に割り込むよ…それだと権力の一極化が起きる…今必要なのは良識を持った人を送り込む事さ」
戦士「その通り…ただ私にはそれを行使する権限が無い」
商人「貴族院に押さえられてるもんね?こういうのはどうかな?盗賊ギルドから派遣するのさ」
女王「そのお話を詳しく…」
商人「アサシンは盗賊ギルドのマスターなのは知ってるね?」
そこから近隣の村々へ人を送り込むんだ
冒険者とか難民という形で良い
やる事は村の支援となる様に食料や薬の流通を促す
畑を耕して一緒に住まう事で支援する訳さ
521 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:18:21.86 ID:rXZyBWej0
商人「そして盗賊ギルドの支持母体としてフィン・イッシュが構えていてくれれば良い」
盗賊「まぁ元々盗賊ギルドってのはそういう役割なんだがな…なんせ人出が足りん」
商人「見返りとしてエルフ達との友好…決してエルフを裏切らないという約束…お互いウィンウィンじゃないかい?」
戦士「失礼だが君は何者なのか?」
商人「ハハ只の商人さ…物流をコントロールしたいんだよ」
女王「今のお話…アサシン様と進めてみましょう…フィン・イッシュから良識のある人材を派遣すれば良いのですから」
商人「そうそう…そうすれば盗賊ギルドが上手く立ち回る…国を超えて動けるんだ」
女王「このお話…エルフの利が見えませんが」
商人「エルフはね…精霊樹と森を守りたいんだ…その為にフィン・イッシュ側の人間と協力する道を選んだ」
女王「分かりました…森の保護をお約束いたします」
シュタ タタタタ
商人「フフ早速ハイエルフに報告に行った様だ」
522 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:18:56.78 ID:rXZyBWej0
『隅っこ』
うぇっ… ぶへっ… うぇぇぇん… ひっく
ローグ「姉さん…姉さん?…食事と飲み物持って来やしたぜ?」
女海賊「ぅぅぅ…」ポロポロ
ローグ「聞いていやすか?」
女海賊「うるぜぇ…あっぢいげぇぇ」ヒック
盗賊「おいローグ!構うな!」
ローグ「いやでも姉さんゲッソリしていやすぜ?」
盗賊「そらこの2〜3日ずっとあの感じよ…死にゃしねえから放って置け」
ローグ「盗賊さん土産で芋酒持って帰ってきやしたが…」
盗賊「シャ・バクダ砦にワインが備蓄してたんよ…芋酒はエルフに振舞ったらどうだ?」
ローグ「あらら喜んで貰えんで残念す…」
盗賊「まぁそう言うな…お前も飲め」
ローグ「じゃぁあっしもワインを…」グビ
盗賊「やっと落ち着いた感じになって来た」
ローグ「頭にちっと話聞いたんすが…昔の盗賊ギルドの奴らが傭兵になって攻めて来てるらしいっすね?」
盗賊「あぁその話か…俺の顔知ってるだろうから動き辛いんだ」
ローグ「盗賊さんは有名でやんしたからねぇ…あっしはまだ顔バレしてないですわ」
盗賊「リカオンとアヌビスもまだ正体バレて無ぇ…俺ははしゃぎ過ぎた…もうセントラル領には行け無えな」
ローグ「いっその事トレジャーハンターに専念した方が良さそうっす」
盗賊「そのつもりよ…俺は女海賊と共に壁画探しに行くんだ」
ローグ「いつ行くんすか?」
盗賊「さぁな?女海賊次第だ」
ローグ「分かれる感じになっちまいやすね…」
盗賊「まぁ同じギルド同士だから直ぐに合流すんだろ」
ローグ「えーと…残るのはあっしと頭…ほんでアヌビスさんとリカオンさん…後は女狐って感じっすね?」
盗賊「そんな感じだ…遺跡巡りだから情報屋と商人は外せない…魔女がどうするか?」
ノソノソ
魔女「わらわはオークの住まう地へ行くぞ」
523 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:19:37.26 ID:rXZyBWej0
盗賊「お?例の魔方陣の事は何か分かったんか?」
魔女「あれは簡単な暦じゃ…10年後のいつ地軸の移動が起きるか記した物じゃ」
盗賊「未来がそれを知ってたってのが驚きだ」
魔女「うむ…古代魔術をわらわより先に知り居った…オークから学んだに違いないじゃろう」
ローグ「いやぁぁ未来君ともう会えないなんて信じられやせんね…」
ぶわぁぁぁぁん… ごべんね未来ぃぃ 未来ぃぃ
魔女「これ女海賊…ちと休憩せい」
盗賊「冒険の書に未来の事が記されてんのか?」
魔女「女海賊はそう言うて居る…何度も読み返して居る様じゃ」
盗賊「魔女は読んだんか?」
魔女「うむ…恐らく夢幻が記されて居る…わらわは辛ろうて途中で読むのを止めたのじゃが…」
ローグ「姉さん…ちっと休みやしょう?」グイ
女海賊「うぇぇぇん…未来ぃぃ…ぅぅぅぅ」ポロポロ
盗賊「下層に連れてって妖精の笛で眠らせろ!!」
ローグ「姉さん行きやすぜ?捕まって下せぇ」ヨッコラ
魔女「冒険の書は預かっておくでのぅ?」
盗賊「商人!妖精の笛で寝かしつけてやってくれ」
商人「ハハ…困った人だ」
盗賊「あれで勇者だってんだから調子狂うんだよ…なんであんなに脇役みたいな感じなのか…」
魔女「そうじゃローグ!!触媒のミネラルが無くなりそうなんじゃが買って来ては居らぬか?」
ローグ「あいやぁぁ買って無いっす…」
魔女「気が利かん奴じゃのぅ…」
盗賊「回復魔法に使うんだっけか?」
魔女「そうじゃ…蘇生にも必要なのじゃ」
盗賊「鉱物かぁ…そういや崩れたゴーレムが鉱物っぽい感じだったんだが」
ローグ「シャ・バクダ方面に2体転がって居やすね?捕りに行きやしょうか?」
盗賊「そうだな…たまにゃ外に出て見るか」スック
魔女「わらわも行こう…変性でミネラルだけ取り出せるやも知れぬ」ノソリ
524 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:20:13.06 ID:rXZyBWej0
『キャンプ詰め所』
メラメラ パチ
アサシン「女王と話は済んだぞ」
女戦士「早かったな?」
アサシン「まぁ思って居た所が同じだったものでな」
女戦士「女王はどうする?しばらく滞在するのか?」
アサシン「女王のみフィン・イッシュへ還るそうだ」
女戦士「セントラル王は?」
アサシン「しばらく居残って近衛達との摩擦を回避する」
女戦士「摩擦?」
アサシン「女王の側近達にまだ認められて居ないのだ…苦労の多い男だ」
女戦士「フフ…」
アサシン「それで役割をお前と交代したい」
女戦士「私にどうしろと?」
アサシン「お前の貨物船を港町付近の漁村に停船したままだったろう?」
女戦士「河口の漁村にな?取りに戻っても構わんと?」
アサシン「そうだ…ローグと共に戻ってフィン・イッシュを拠点として貰いたい」
女戦士「海賊共はどうする?」
アサシン「任せる」
女戦士「ふむ引き受けた」
アサシン「即答だな」
女戦士「狙いは想像が付く…フィン・イッシュを海上貿易で支援したいのだろう?」
アサシン「察しが良い…出来れば海賊には大人しくして貰いたい」
女戦士「奴らは貴族の資産を奪ってどうせ陸で女を追いかけまわしてる…腑抜けだ」
アサシン「こちらはアヌビスとリカオンが居るから心配しなくて良い…女狐も諜報には役立ちそうだ」
女戦士「そうか女王と話して復興が軌道に乗りそうか…」
アサシン「すべて良い方向に転がって行ってる…諜報が効くようになれば魔王の影も追えるのだ」
女戦士「分かった…私は海に出て一度仕切り直すとしよう」
アサシン「女海賊は一所に留まらんだろうから移動はそっちでやってくれ」
女戦士「言われなくても分かっている」
アサシン「…では私はシャ・バクダに戻る」スタ
525 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:20:39.96 ID:rXZyBWej0
『遺跡上層』
スタスタ
女戦士「アサシンから話は聞いたぞ?私とセントラル王と役割交代だ」
戦士「その呼び名は止して貰いたい…戦士と呼んでくれたまえ」キリ
女戦士「では戦士!私は左遷された…後は頼む」
戦士「左遷とは聞き捨てなりませんな」
商人「ハハ左遷されたのは戦士の方じゃないのかい?」
戦士「いやいや私に限ってそんな筈は…」チラ
女王「皆さん左遷ではありません…私は出産の為に休養するのです…仕方なく国へ戻るのです」
商人「え!!?出産?…てかまだ結婚して無いよね?」
近衛「ぐぬぬぬ…」
女王「跡取りが出来ればそれで色々解決します」
商人「なんだそういう感じかぁ…近衛からしたら勝手に女王が子供作っちゃったんだ」
女王「近衛?もう認めて下さい…」
近衛「王同士のご結婚はさすがに慎重になりまする…」
女王「話が一向に進みませんねぇ…」
商人「まぁしょうがないよね?セントラルに乗っ取られるかも知れないんだし」
戦士「私が不甲斐ないばかりに…」
女戦士「ここで汚名を晴らせ…この地を平定すれば良いでは無いか?」
戦士「そう!!それだ!!私は民を救わねばならない…それが私に科せられた宿命!!」
商人「適任な様だね…」タジ
戦士「まずは整地だ!!私は行く!!力のある限り!!」ドドドドド
商人「なんか変な人だなぁ…」ボーゼン
女戦士「フフ来て早々に整地とは恐れ入る…雪をどうするつもりか…」
女王「いつもあの調子ですのでご迷惑をおかけするかもしれませんが…」ペコリ
女戦士「さて…私は少し横になる…商人!背中を踏んで欲しいのだが」ドサ
商人「お安い御用さ…」フミフミ
女王「やはり城より皆さんと一緒が落ち着きます…」
近衛「いやいやこの地は冷えまするのでお体に障ります…」
526 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:21:33.54 ID:rXZyBWej0
『翌日』
ワイワイ ガヤガヤ
ほーう?キノコでこんな薬が作れるんか…
簡単なポーションですので治療のお役に立てればと
わらわも知らんかったわい…何処で錬金術を学んだのじゃ?
ホムンクルスさんから教わったのです
なるほどのう…材料の物性値から求めたのじゃな…
スタスタ
女海賊「…」ボーーーー
盗賊「お?女海賊!寝覚めはどうだ?」
女海賊「…」スタスタ
盗賊「待て待て!何処行くんだ?何か食ってけ」グイ
女海賊「…」ギロ
盗賊「寝起きの悪いやっちゃな…まぁ座って腹に何か入れろ」グイ
女海賊「…」モグモグ
魔女「落ち着いた様じゃな?これ商人!!よだれで髪が乱れて居るから整えてやれ」
商人「え?僕が?」
女王「私が整えましょう…」スック
女海賊「…」ムシャムシャ
魔女「して?何か話せるかえ?」
女海賊「…」ピタ
盗賊「おいおいおい…泣くのは止せ…振り出しに戻っちまう」
女海賊「…」ポロポロ
盗賊「まぁ食って落ち着け?な?」
女海賊「…」プルプル モグ
527 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:21:59.60 ID:rXZyBWej0
魔女「ふむ…よほど堪えた様じゃな…聞かぬ方が良かろう」
女海賊「シン・リーン行く」ボソ
魔女「壁画じゃな?」
女海賊「…」コクリ モグモグ
盗賊「おっし!!情報屋呼んで来るわ」
魔女「そう慌てんでも良かろう?女王も居るでのぅ」
女王「私もそろそろ行かねばなりません」
魔女「では女王を見送った後じゃな」
女王「お気遣いありがとうございます…ですが私の事はお気になさらず」
盗賊「俺は穴の中で籠るのはもう飽きたんだ…酒場で酒が飲みてぇ」
女海賊「食ったら行く」ムシャ
盗賊「おいローグ!!飛空艇準備しとけ」
ローグ「あいさー!!頭ぁ!!風が吹いて来やしたぜ?」
女戦士「フフ風か…よし!碇を揚げるとするか」ノソ
盗賊「ほんじゃ俺は情報屋呼んで来っから荷物まとめんの頼むな?」タッタッタ
ローグ「飛空艇なら直ぐ到着するんで物資はあんま要らんでやんす」
女海賊「…」スック
ローグ「あらら?姉さんもう行くんすか?ちっと早いっす…」
女海賊「壁画…」スタスタ
528 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:22:29.21 ID:rXZyBWej0
『石板のある部屋』
タッタッタ
盗賊「情報屋!調査の方はどうだ?」
情報屋「もう記録は全部終わったわ…後は学者を呼んでじゃないと進められない」
盗賊「じゃぁ丁度良かった…シン・リーンに行くんだ」
情報屋「女海賊が目覚めたのね?」
盗賊「そうだ…風が吹いたっていう表現だ」
情報屋「風?」
盗賊「出港だよ」
情報屋「フフ船乗りらしい」
盗賊「荷物まとめてくれ…一旦風を逃すと出遅れちまう」
情報屋「分かったわ…皆行くのよね?」
盗賊「うむ…残るのはアサシンとアヌビス…リカオン…女狐だ」
情報屋「女狐さんに教えて置いた方が良さそうね」
盗賊「あいつまだ財宝探してんのか?」
情報屋「割と取り扱いが丁寧で助かって居たのよ」
盗賊「ほう?」
情報屋「財宝と言っても壺とか装飾品ね」
盗賊「キ・カイの古代遺跡とは違うからそんなもんか…」
情報屋「絶対何処かに有る筈だから探して貰って居るの…ちょっと連絡してくるわ」スタ
--------------
529 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:23:03.86 ID:rXZyBWej0
スタスタ
女海賊「未来…」サワサワ
盗賊「お?壁画の見納めか?」
女海賊「あんた…未来がどんな気持ちでこの壁画彫ったか想像できる?」
盗賊「んんん…相当手間かかってるよな?」
女海賊「こんなん簡単に彫れないんだよ…そんだけ守りたい記憶だったんだ」
盗賊「羊皮紙とかにすりゃ良かったのにな?」
女海賊「書いたに決まってんじゃん!失われただけさ」
盗賊「700年だっけか…」
女海賊「あの子ね…記憶が失われて行く事知ってたんだよ…それを全部賭けて世界を救ってんだ」
盗賊「冒険の書の話か?」
女海賊「未来が生きた世界を見たさ…苦悩を見たよ」ツツー
盗賊「この壁画がそうなんだな?」
女海賊「私は壁画を全部見る必要がある…そして未来を迎えに行く」
盗賊「行先を追うんだな?」
女海賊「奴隷にはしっかり働いて貰うから…覚悟して」
-------------
530 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:23:32.98 ID:rXZyBWej0
タッタッタ
女狐「あ…盗賊」
盗賊「おぉ俺らシン・リーンへ行く事になったんだ…寂しくなるな?」
女狐「そうでもないわ?」ジャラリ
盗賊「ウハハ高く売れそうな装飾品だな?」
女狐「私も一度アサシンの所へ戻るわ…酒場のマスターとして雇われたのだから」
盗賊「それが良い…財宝が手に入ると金がどうでも良くなるだろ?」
女狐「フフあなた達の言って居る事が分かった…でもちゃんと使わせて貰う」
盗賊「上手く使えな?てか孤児院のガキ全部買い取れ」
女狐「詮索しないでって言ったでしょう?」
盗賊「悪りぃ悪りぃもう聞か無ぇよ…次ぎ会う時は酒場だな?」
女狐「上等なお酒を用意しておくわ」
盗賊「そりゃ良い!酒がありゃもうちっとマシな話が出来る」
女狐「情報屋が睨んでる…もう行ったら?」
盗賊「おおうヤベェ…ほんじゃあばよ!」ノシ
531 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:24:04.23 ID:rXZyBWej0
『飛空艇』
フワフワ
ローグ「姉さ〜〜ん!!早く乗ってくだせぇ!!」
女海賊「…」スタスタ
戦士「敬礼!!」ビシ
魔女「戦士や…シン・リーンから魔術師を派遣するでちと待っておれや?」
戦士「シン・リーンの姫君…ご厚意に感謝致す」キリ
魔女「主は堅いのぅ…気持ち悪いでヤメイ」
戦士「いやはや私とした事が…ハハハ」
魔女「数日分のポーションはある故ちぃと我慢じゃ…ではのぅ」ノシ
女戦士「全員乗ったな?では碇を揚げろ」
ローグ「あいさぁぁ!!」グイ
フワフワ バサバサ
女王「行ってしまわれましたね…」
戦士「さすが勇者一行…去り際にも余韻を残すとは…」
女王「貴方はあの飛空艇と戦って居た事が有るのでしょう?」
戦士「過去の話…私は前しか見ない…只もう彼らに追いつける気がしない」
女王「本当は貴方も行きたいのでは無いのですか?」
戦士「私は民を救う義務がある…それだけ」
女王「私は王で無ければあの船に乗って居ます…住む世界が違って居るのですね」
戦士「前を!前だけ見れば迷いなし!!」キリ
--------------
--------------
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532 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/28(日) 16:24:35.62 ID:rXZyBWej0
『飛空艇』
ビョーーーウ バサバサ
未来はね…ずっと心の中に寂しさを抱えたまま育ったの
小さい時から遊び相手はいつも虫…
そしてあの子が生きた世界ではパパとママに置いて行かれて独りぼっち…
そうやってやっとできた友達や好きな人とも
勇者という使命を果たす為に置いて来てしまった
そんな夢幻をずっと彷徨ってやっと目覚めた時に
そんな未来の心を何も知らないで私は構ってあげられなかった…
未来にとって理解者は心が通じたパパ…
剣士は大事な記憶を失いながら使命を果たす勇者の宿命を知ってた…
だから未来はパパと運命を共にする事を選んだのよ
女海賊「もっと…ぅぅ…もっと構ってあげられれば良かった…ぅぅぅ」ポロポロ
私が未来の蒼い瞳を奪ってしまったから…
あの子は自分の次元を持てなかったの…
だから次元を飛ぶ度に記憶を失う
壁画だけが未来の記憶を繋ぐ手段だった
でも…それでも未来が変わるたびに失ってしまう
あの子は世界を救う旅の果てですべての記憶を失って
最後に月を見た…
それは私との約束だったから
月に行く約束だけ…最後に残った
女海賊「私は月に行く!!」
-------------
-------------
-------------
月の約束…編
完
533 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/12/13(月) 09:10:42.24 ID:YqnUjbcN0
乙。続き気になる
534 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/12/13(月) 15:06:40.95 ID:semu/zPd0
ものすごく長いソードマスターヤマト
535 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/06/18(土) 15:52:38.41 ID:c2KZAoSz0
『1か月後_シン・リーン古代遺跡』
壁画の写し絵製本作業完了しました!
年代毎に並べ替えは良いじゃろうな?
確認をお願いします
どれどれ…ふ〜む…
情報屋「魔女?もう一冊複製をお願いしたいのだけれど…」
魔女「主も携行するのじゃな?」
情報屋「そう…私は壁画の出所を調査したいの」
魔女「材質で割り出すのかえ?」
情報屋「そうよ…キ・カイに戻れば壁画のベースになった石が何処で産出されたのか分かるわ」
魔女「全部調べるのかえ?すべてバラバラの様じゃが…」
情報屋「調べる事でどの地域で壁画が彫られたのか特定出来るから…」
魔女「よかろう…これ学者よ!急ぎでもう一冊複製させるのじゃ」
学者「分かりました…」ペコ
魔女「…しかしこの壁画すべてよそから運んで集めて居ったとはのぅ…」
情報屋「先人の魔術師達が世界中の壁画を集めさせたのよ…偉業だわ」
魔女「残りの壁画は何処にありそうか目星は付かんか?」
情報屋「やっぱり南の大陸かと…確証は無いけれど」
タッタッタ
女海賊「魔女!!宝物庫でこんなんあったんだけどこの金槌何??」スッ
魔女「それはこの遺跡で発見された呪われた装備じゃ…調査の為に一応残しておいたのじゃが…」
女海賊「これ欲しいんだけど…」
魔女「魔人の金槌と言ってな…量子転移のエンチャントに失敗した武器じゃ…呪いが主を支配してしまうぞよ?」
女海賊「私さ…剣とかあんま上手く使えないんだ…金槌なら得意なんだよ」
魔女「使っても良いが依存せぬ様にな?」
女海賊「依存?なんで?」
魔女「破壊力は絶大じゃろうが夢を見るのじゃ…まぁそれで主の心が少しでも癒えるのであれば使うても良い」
女海賊「夢?」ブンブン
---ママ?ママってカリスマなの?---
女海賊「ハッ…」
魔女「コレ!危ないで振り回すでない!!」
女海賊「未来の声が…」
魔女「それが夢じゃ…依存せぬ様にな?」ノソノソ
536 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:53:16.87 ID:c2KZAoSz0
『城の中庭』
チュン チュン ピヨ
女海賊「おいダンゴムシ!敵が来たぞ…丸まれ」コロコロ
女海賊「ワーム出て来い…囮で走れ!」ニョロニョロ
女海賊「スズメバチ部隊!攻撃の準備だ」ブーン
バサバサ パク!
女海賊「ぁぁワーム!!あんた足遅すぎなんだよ…」
女海賊「スズメバチ!ワームを助けろ!!」ブーン
ノソノソ
魔女「上手い事虫を操るのぅ?」
女海賊「ハッ!!ヤベ…見られた」
魔女「恥ずかしがる事は無いぞよ?」
女海賊「あのさ魔女…私に魔法教えてよ」
魔女「前にも言ったが主は魔力1じゃ…適性が無い」
女海賊「魔力1って事は在るって事じゃん…なんか無いの?」
魔女「虫使いの才はある様じゃで虫を詳しく勉強すれば使いこなせるやも知れぬ」
女海賊「何を勉強すれば良い?」
魔女「触媒に何を使うじゃとか…虫が何を好むじゃとか色々じゃ」
女海賊「触媒って何よ?」
魔女「未来はどんぐりや種を沢山持って居ったじゃろう?」
女海賊「どんぐり…」
魔女「うむ…植物の種は命そのものなのじゃ…そこから様々な虫が生まれる」
女海賊「私にも出来る?」
魔女「成長魔法が使えぬ故…大きな虫を生むことは出来ぬ…小さな虫なら使えるじゃろうのぅ」
女海賊「小さな虫って?」
魔女「未来が使って居った線虫じゃな…ワームの一種じゃ」
女海賊「その触媒がどんぐりなんだね?」
魔女「主は虫と話せる用じゃから聞いて見るが良い…わらわは虫の声が聞こえぬで何とも言えん」
女海賊「そっか…未来は虫に聞いて育ったのか…」
魔女「主は未来の心を真似て居ったのじゃな?」
女海賊「見ないで…大人になって虫と遊ぶなんて恥ずかしいから」
魔女「ほうか?ではわらわは見ぬ様にしとる…」ノソノソ
537 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:53:54.61 ID:c2KZAoSz0
『ルイーダの酒場』
ドゥルルン〜♪
盗賊「よう!!待ったか?」
商人「今来た所さ…戦利品売れたよ?」ジャラリ
盗賊「おーし!!分け前は半分お前にヤル!!これで美味い酒に又ありつける」
商人「今日は何を狩ってきたのかな?」
盗賊「例のごとくスノーゴートだ…アレが一番楽なんだ」
商人「角は?」
盗賊「あるぞ…」ゴトリ
商人「肉と毛皮はもう売った感じかな?」
盗賊「狩りのへたくそな奴にやった…まぁ角だけありゃ良いだろ」
商人「これ薬に出来ればもっと高く売れるんだ」
盗賊「そらメンドクセェな…錬金術なんか俺ぁ勉強する気無ぇ」
商人「勉強してみるかなぁ…」
盗賊「ところでちっと面白い噂聞いたんだ…」
商人「何だい?」
盗賊「港町の方で髭男爵って奴が腕利きの冒険者募集してんだとよ」
商人「髭男爵…公爵の手下か…」
盗賊「なんでも外海を冒険するらしい」
商人「帰って来れないじゃ無いか」
盗賊「帰ってくりゃ英雄だわな」
商人「行き先が知りたいね」
盗賊「だな?」
商人「それよりもう公爵が動き始めてるっていう事だよね」
盗賊「よー分からんが貴族の資産は全部海賊に持ってかれてんだろ?もう死に体じゃ無いのか?」
商人「情報が無いから何とも言えないなぁ」
盗賊「シン・リーンは貴族の影響力がほとんど無いから情報も入って来無ぇ」
商人「だね?平和な国だよ…」
盗賊「狩り資源が多いから冒険者には打ってつけだが…」
-------------
538 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:54:22.32 ID:c2KZAoSz0
盗賊「しかし一か月も俺らほったらかしで壁画の調査まだ終わらんのか?」
商人「なんか新しい発見が沢山あったみたいだよ?」
盗賊「お前はもう飽きたんだよな?」
商人「ここの古代遺跡はキ・カイの遺跡と違って僕はあんまり興味無いんだ」
盗賊「お宝は発掘し尽くした感じだしな…俺も行く気が無い」
タッタッタ ガチャリ
情報屋「はぁはぁ…やっぱりここに居たわね」
盗賊「おぉ!!今お前等の話してた所よ…まぁ座れや」
情報屋「女海賊はここに来て無い?」
盗賊「んあ?見て無ぇぞ?」
情報屋「城に居無いのよ…何処か行っちゃったみたいで」
盗賊「アイツは飛空艇の隠し場所知らん筈だから何処にも行けんと思うが?」
情報屋「何処に行ったのかしら…」
盗賊「飛空艇置きっぱなしでどっか行くとは思えんからその内帰って来るんじゃ無ぇか?」
ドロボーーー!!
盗賊「んん?」
商人「街道の方だね…ひょっとしたら女海賊かも」
盗賊「行ってみっか」スタ
539 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:54:48.41 ID:c2KZAoSz0
『街道』
ザワザワ
ったくあの女…こんな大量に盗む奴が居るか!!
盗賊「何の騒ぎだ?」
雑貨屋「売り物の種をごっそり盗んだ女が居るんだ…」
商人「種?ハハ…どれくらいの被害?」
雑貨屋「銀貨10枚程度か…そんな事よりごっそり行かれたのが納得いかん」
盗賊「丁度スノーゴートの角が要らんかったんだ…これで許してやってくれ」ポイ
雑貨屋「おぉ!!?そら済まんな…あんたらあの女の知り合いか?」
盗賊「分からんが連れに手癖の悪いのが居てな…どっちの方向に逃げてったんだ?」
雑貨屋「門の外だな…追憶の森方面だ」
盗賊「なぬ!?外に出たってか…イエティが居るじゃ無ぇか」
雑貨屋「まぁ俺は知らん…角は頂くから衛兵には言わんでおく」
盗賊「そら助かる」
雑貨屋「種を盗む奴なんか初めてだ…変な女も要るもんだ」
商人「どうする?追う?」
盗賊「追うしか無いだろ…イエティなんか一人で相手出来ん」
情報屋「私も武器持って来るわ」
盗賊「待て待て…お前等が一緒だと足手まといになる…俺が一人の方が良い」
情報屋「大丈夫?」
盗賊「まぁ酒場で酒でも飲んでろ…じゃ行って来るな」タッタッタ
540 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:55:17.02 ID:c2KZAoSz0
『1時間後_ルイーダの酒場』
ワイワイ ガヤガヤ
商人「あ!帰って来た…女海賊は見つかった?」
盗賊「だめだぁ…ハイディングして逃げてる奴なんか見つけられっこ無ぇ」
情報屋「心配ね…」
商人「その毛皮はどうしたの?」
盗賊「これか?イエティの変死体を見つけたから剥いで来たんだ」
商人「変死体?」
盗賊「頭から内臓まで何かでくり抜かれた感じで倒れてた…まぁ儲かったわヌハハ」
商人「女海賊では無さそうだね…使うとしたら爆弾…」
盗賊「うむ…てかアイツ貝殻持って無いのか?」
情報屋「あ…忘れてた…魔女に相談してみるわ」
商人「それで?壁画の調査の方はどうなの?まだ掛かりそう?」
情報屋「調べられる事は全部調べて今は手詰まりな感じね…一度キ・カイに戻りたいわ」
盗賊「俺も船が置きっぱなしなんだよな…」
商人「新しく分かった事を教えてよ」
情報屋「あまり驚く様な事は無いわ…未来君の足取りが段々分かって来たって感じね」
商人「すごいじゃ無いか」
情報屋「足取りと言っても確定したのが年代だけね…場所の特定がまだなのよ」
商人「場所?壁画を見れば大体分かりそうな気もするけどなぁ…森とか砂漠とか…」
情報屋「あの壁画には後の人が未来君の壁画を真似て付け足した壁画がいくつも有ったのよ」
商人「ええ?歴史の捏造?」
情報屋「歴史なのか予言なのか分からないけれど捏造された物も混ざっているの」
未来君が彫った壁画には必ず月と暦が彫られて居るの
そして壁画の主役は虫を持った人物…未来君ね
その壁画は石の材質がバラバラでどの地域の石なのかまだ分からない
商人「じゃぁ未来君の壁画だけでまとめると違った解釈になりそうだね」
情報屋「そうよ?勇者が魔王になると言う様な表現は後に付け加えられた捏造ね…未来君はもっと別の物を見てた」
商人「大した発見じゃ無いか!別の物って何?」
情報屋「オークよ…オークに何かを見てたみたい」
商人「じゃぁやっぱり南の大陸か」
情報屋「未来君の壁画だけを写した書物を今複製して貰って居る所なの…それだけ見ると未来君がどんな道を歩んだのか分かる」
盗賊「ほ〜ん…ちっと興味出て来たぞ?」
情報屋「出来たら見せてあげる」
-------------
541 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 15:55:46.96 ID:c2KZAoSz0
ドゥルルン〜♪
吟遊詩人「神の住む国ニルヤカナヤ〜♪死者の魂が〜帰る安住の理想郷〜♪オホツガグラに呼ばれ〜♪」
盗賊「あの吟遊詩人はすっかりここに定着した様だな?」グビ
情報屋「女王のお気に入りだそうよ?」
盗賊「お前は酒飲まんのか?俺が払ってやるが…」
情報屋「お酒は遠慮しておくわ…」
盗賊「詰まんねぇなぁ…おい商人!代わりにお前が飲め」
商人「朝まで付き合わされるのはもうゴメンだよ」
吟遊詩人「皆さんお揃いで…」
盗賊「よう!兄ちゃん!!稼いでっか?」
吟遊詩人「お陰様で…ところで皆さんに最近のホットな話題をと思いまして…」
盗賊「ほう?何よ?」
吟遊詩人「髭男爵が冒険者を募っているのは御存じで?」
盗賊「噂で聞いたぐらいだな…外海を航海するとか聞いたが?」
吟遊詩人「その行き先がさっき僕が歌って居たニルヤカナヤなんですよ」
情報屋「ニルヤカナヤ…もしかしてニライカナイでは無くて?」
吟遊詩人「今の言葉だとそうなるのでしょうかね?」
盗賊「何が在るのか知ってるか?」
吟遊詩人「それがホットな話題なんです…黄金が眠って居るとか」
盗賊「なんだ只の黄金か…あんま興味無ぇなぁ…」
吟遊詩人「ハハそうでしたか…今冒険者たちはその噂で持ちきりな物だったので」
商人「場所は分かってるのかな?海図とか航路が分からないと帰って来れない」
吟遊詩人「さぁ?僕は伝説の諸事詩しか知らないでの何とも…」
情報屋「昔フィン・イッシュは黄金郷と呼ばれて居たけど黄金を何処かに隠したと言う伝説は知ってる」
商人「じゃぁそのニルヤカナヤに隠したっていう可能性は在りそうだ」
盗賊「黄金なんか手に入れてもなぁ…」グビ
情報屋「あれ?そういえば未来君の壁画に黄金らしき物が記されて…」
盗賊「なぬ!?」
商人「おっとぉ!!?」
吟遊詩人「諸事詩では黄金の他に時の砂で時間を巻き戻すというフレーズもあるんですよ」
商人「時間を巻き戻す…帰ろうとしたとも解釈出来るな…」
情報屋「ちょっと…城に戻って壁画を見直してくる」スック タッタッタ
盗賊「おい吟遊詩人…もうちっと詳しく教えてくれ」
吟遊詩人「あぁ良かった!皆さんに興味を持ってもらえて…」
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