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勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の続編の続編

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342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:32:40.62 ID:KbfSVIxh0
『1時間後』


タッタッタ


盗賊「お宝運び終わったぜ?」

ローグ「あららら?えらく広い古代遺跡なんすね?他の皆さんは奥を探索してるんすか?」

商人「そうだよ…僕はここでガラクタを分解中さ」ガチャガチャ

盗賊「このガラクタ全部動かんのか?」

商人「動かし方が分からない」

盗賊「何台あるのよ」

商人「なんか一杯あるんだ…多分古代のキラーマシンだよ」

盗賊「ほんじゃ動くとヤベーじゃ無ぇか」


シュタタ


剣士「商人さん!!ホム姉ちゃんが見つかった!!来て」

商人「えええええええ!?行くよ」ガバ

剣士「でもね…石造なんだ」

商人「そうか残念だ」タッタッタ



『奥のエリア』


情報屋「商人来たのね…その石造まだ新しいわ…頭部のユニットがまだ生きて居るかもしれない」

商人「裸…なんで?」

情報屋「海賊達に目覚めさせられたのよ…後は想像出来るでしょ?」

商人「なんて馬鹿な事をするんだ…目覚めたばかりなら後400年近く活動出来るのに」

情報屋「死因は多分凍死ね…超高度AIの埋まっている場所は分かるでしょ?

商人「うん…慎重に取り出すよ」

剣士「石の部分を少しづつ土に変性させようか?」

商人「良いね…頼むよ」


--------------
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:34:35.30 ID:KbfSVIxh0
女戦士「このミイラは古代人か?今までのミイラと明らかに違う」

情報屋「きっと古代人…ミイラ化が長くて化石になってる」

盗賊「こりゃ100体以上あるぞ…武器を持ってるのも居る」

情報屋「この区画で最後まで生き残って居たのね…腹部の破裂の感じからすると生きたまま真空にされた…」

ローグ「男型の石造もありやすね…」

情報屋「それもホムンクルスの一種の様ね…腹部が崩れて傷みが酷いから石になったのは4000年前ね」

盗賊「人間と共存してた訳か」

ローグ「ガラス容器のエリクサーは全部飲まれちまった様でやんす」

女戦士「海賊達はそれで命を繋いで居た訳だ」

情報屋「ここのミイラ達は衣類がみんな同じ…きっと兵隊だわ」

盗賊「これ全部女だよな?」

情報屋「そう…全員女性…Y型染色体異常で男性が生まれ無くなった証拠よ」

盗賊「むむ…だから男型のホムンクルスが居るんか」

剣士「ちょっと…女性は生まれて来るの?」

情報屋「女性は遺伝的に男性より生命力が強いから稀に生まれて来るのね」

剣士「…そういえば子供達の割合は女の子が多かった…」

情報屋「そうやって種が減少して滅ぶ…数十年でほぼ絶滅ね」

盗賊「なんやかんやで俺らも女の方が多いな」

情報屋「戦いで死ぬのは男性が多いというのもあるからそうなっているのね」


商人「取れたぁぁ!!」


情報屋「超高度AIユニットは無事?」

商人「無事だと良い…急いでエリクサーに漬けたい」

女戦士「一度幽霊船に戻るか?」

商人「うん…ガラクタも少し持って帰りたいし一回戻る」

ローグ「あっしが貨物用気球をうごかしやすぜ?」

女戦士「行ってくれ」

ローグ「あいさー」


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344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:36:53.18 ID:KbfSVIxh0
『日暮れ_キャンプ』


今晩の調査は気球を使っての遠隔地だ

物資調達と運搬…そして見取り図の作成が主な任務となる

観測士は器具を持って気球に乗り込め…以上


情報屋「ふぅ…ちょっと休憩ね」

女戦士「遺跡が広すぎて疲れたか」

情報屋「運動不足ね…」

女戦士「しかし全部を調査するのは何日もかかりそうだ」

情報屋「開かずの扉がまだ沢山あるとは思って居なかった…盗賊は寝る暇無さそう」

女戦士「戦士が言うには今日見た光る隕石と同様の物があちらこちらにあるそうだ」

情報屋「いつ動き出すか分からないから少し危険ね」

女戦士「うむ…エネルギーがどうやって供給されているかも不明のまま…あれが爆発しては敵わん」

情報屋「商人は?」

女戦士「例のガラクタを分解している…こちらも謎が多い」

情報屋「そう…」

女戦士「どうしたのだ?」

情報屋「あの遺跡は軍事用だった事がほぼ確定だから意見を聞きたくて」

剣士「僕が代わりに聞くよ?」

情報屋「じゃぁあの光る隕石をどういう目的で保存して居たのか想像できる?」

剣士「保存…なんでだ?」

情報屋「光る隕石が人類を滅ぼしてしまう事は知って居た筈…なのに処分しないで大事に保存している」

女戦士「ふむ…理由がある訳か」

剣士「商人さん風に答えるならこうかな…保存した訳じゃ無くて保存させられた…」

情報屋「どうしてそう思うの?」

剣士「古代人のミイラは武器を持って居たよね?何かと戦って居たんだよ」

女戦士「ふむ…確かに武器を持ってミイラ化するのはおかしい」

情報屋「じゃぁ目的は軍事基地の無力化?」

剣士「僕はそうだと思う…そして敵は車輪の付いた機械さ…あの機械は皆扉の外に居た」

情報屋「この遺跡を守る機械では無かったと…」

剣士「守って居たんだろうけど機械に裏切られた感じじゃないかな…じゃないと生きたままミイラにされた理由が分からない」

情報屋「古代人は最後まで世界中にあるこういう軍事拠点を使って生き延びてた…それを終わらせたのが機械達ね」

剣士「機械は工学三原則で人間を傷つけられない…でも扉を閉めるくらいは出来そうだよ」

情報屋「それでウンディーネ時代は幕を下ろした…辻褄が合うわ…証拠を探さなきゃ」

剣士「この軍事拠点を守っていたという事は人間同士長い事争っていたんじゃないかな…それを機械が終わらせたという見方も出来るね」

情報屋「そういえばキ・カイでも古代の機械の発見場所は遺跡の外側…同じ事が向こうでも起きた様ね」
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:38:10.56 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船_船長室』


ガチャリ バタン


商人「ん?剣士君か…機械の中からこんな物が出て来たよ」ポイ コロン

剣士「それは超高度AIユニット?」

商人「外部メモリのスロットが無い量産型のAIユニットだろうね…僕の機械の犬と同じさ」カチャカチャ

剣士「この機械は自律で考えて動く機械だったわけだ」

商人「…そうなる」

剣士「さっき情報屋さんと話したんだけどその機械があの遺跡の扉を閉じて古代人達を葬ったんじゃないかって…」

商人「その通りだと思うよ…だから僕はその証拠をこうやって探してる」

剣士「機械の体を持つホム姉ちゃんも出来ちゃう訳か…」

機械の犬「クゥ〜ン」

商人「エネルギー源がどこに有るのか全然分からないんだ…魔石でも無いしウラン結晶でもない…なんで動いたのかさっぱりだ」

剣士「あの遺跡からエネルギー供給を受けてたというのは?」

商人「うん…それしか考えられない…だからあの遺跡から遠く離れられなかったんだろうね」

剣士「ホム姉ちゃんは生体からエネルギーを得てたから何処へでも行けた…」

商人「…ところで剣士君…この機械の腕の部分…穴が開いてるだろう?何だと思う?」

剣士「なにか発射する穴?」

商人「物理的な弾を射出する様な物では無い様だよ」

剣士「じゃぁここの部分…ここがエネルギーを作る機械かもしれないね」

商人「ビンゴ!欲しいかい?」

剣士「欲しい欲しい!!」

商人「君に期待している…それを動かせたら沢山武器が作れるよ」
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 03:00:37.27 ID:ECntfAo70
『飛空艇』


カチャカチャ


この小さな石がオリハルコン結晶…ここに光を蓄えるのは間違いない

レンズとプリズムで集光して光線を出すんだ

問題はどうやって光を蓄えるのかと…どうやって一気にエネルギーを射出するかだな

そのデバイスになってる部分を解明するのは僕じゃ無理かもしれないなぁ…


盗賊「よう!?ここに居たか」

剣士「盗賊さんか…どうしたの?」

盗賊「お宝ゲットしたもんで見せに来たんだ…見て見ろ」

剣士「ああああ!!ママが使ってた計算機」

盗賊「ヌハハそう言うと思ってたぜ…やるよ」

剣士「ジャイロもあるじゃないか」

盗賊「まだまだこれから沢山発掘されるぞ?」

剣士「スゴイなぁ…」

盗賊「ちっと長期戦になりそうだがな?」

剣士「奥の方はそんなに広いの?」

盗賊「調査の人員が足りて無ぇのよ…お宝だけ取ってハイさよならって訳に行かなくてよ」

剣士「まぁそうだろうね…」

盗賊「ほんで女戦士は作戦変更するんだとよ…しばらくこの島に腰を落ち着ける事になった」

剣士「連日調査だとみんな滅入っちゃうよね」

盗賊「うむ…しっかり休みを入れる方針に変わったんだ」

剣士「へぇ…」

盗賊「ほんでお前に植物の種を仕入れて来て欲しいらしい」

剣士「あー僕もそう思ってたよ…今ある種だけだと品種が少ないね」

盗賊「キ・カイまで行けるか?商人ギルドで大量に種扱って居たんだ」

剣士「おけおけ…一回名もなき島にも戻りたかったんだ」

盗賊「ホムンクルスだな?」

剣士「うん…」
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 03:01:54.95 ID:ECntfAo70
『キャンプ』


メラメラ パチ


剣士「女戦士?種が欲しいって盗賊さんから聞いたんだ」

女戦士「あぁそうだ…私が欲しいのではなく女王が畑を作りたくて種を欲しがっているのだ」

剣士「僕が持ってる種はあんまり育たなかったからね…」

女戦士「芋とバナナが良く育って居るから当面の食料は問題無い…今の内に他の種も仕入れては置きたいな」

剣士「名も無き島にも行きたいんだけど…」

女戦士「ホムンクルスを目覚めさせるのだな?」

剣士「うん…商人さんと女オーク連れて行って良いかな?」

女戦士「できればどちらか1人が良いのだが…」


スタスタ


商人「僕はここに残るよ」

剣士「商人さん…ホム姉ちゃんを起こしに行くんだけど」

商人「君に託す…僕はホムンクルスの生体が目当てじゃない…彼女の心を救うのが目的なのさ」

女戦士「フフ商人にしては男らしい事を言う」

商人「僕の機械の犬を連れて行って良いよ…目覚めさせ方を知ってる」

機械の犬「ワン!」

剣士「じゃぁ女オークと2人で行って来る…あ…ちがうホム姉ちゃんもか」

商人「外部メモリを移し替えるのを忘れない様に」

剣士「うん…ホム姉ちゃんが2人に増えちゃうね」

商人「大丈夫…それも含めてホムンクルスが自己解決するさ」

剣士「そっか…じゃぁ早速行って来るよ…戻るのは10日後くらいかな」

商人「そうそう…海図の写しも持って行くんだ…気候の変動具合も書き記して欲しい」

剣士「分かったよ…じゃ行って来るね」
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/21(日) 03:02:52.14 ID:ECntfAo70
『飛空艇』


フワフワ


女オーク「どんぐりとキノコを持って来たわ…」ドスン

剣士「おっけ!水も十分あるし行ける」

女オーク「どういうルートで?」

剣士「このまま貿易風に乗って真西だよ…陸が見えたらそこはオーク領の未踏の地の筈…そこを飛び越えて先に名も無き島を目指す」

女オーク「じゃぁオークの箱舟も見られるかも知れないわね」

剣士「そうだね…どんな事になってるのか楽しみだ…飛ぶよ?」グイ


シュゴーーーー バサバサ


女オーク「噴煙の中を飛ぶつもり?」

剣士「ああ忘れてた…少し北へ迂回する」



『翌朝』


リリース!


剣士「座標確認する…海図の上で指動かすから吠えて教えて?」ススス

機械の犬「ワン!」フリフリ

剣士「おぉ結構進んだ」

女オーク「剣士!?下はもう陸地よ?」

剣士「えええ!?どういう事?」

女オーク「雪原だわ」

剣士「まさか巨大な氷山?…これじゃ大陸だ」

女オーク「正面に海が見える…」

剣士「そうか陸から離れてしまってるんだ…こんなのが全部溶けようとしてるのか」

女オーク「何年かかるかしら」

剣士「これさぁ…オークの箱舟ってこんな大きな氷に覆われてるなら発見無理じゃないかな?」

女オーク「溶けるまで待つ必要がありそうね」

剣士「うん…ついこの間まで南極だった場所の氷がそんなに直ぐに溶ける訳が無い」

機械の犬「クゥ〜ン」

剣士「え?違うの?…割と早く溶ける?」

機械の犬「ワン!」

剣士「そうなんだ…なんでだろ?」

女オーク「暖かい海の雨では?」

機械の犬「ワン!」

剣士「なるほど…暖かい海の海水と混ざると言うのもあるか」
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/21(日) 03:03:25.94 ID:ECntfAo70
『氷床の切れ目』


ドドドド ザバーーー


剣士「溶けた氷の水が亀裂にそって大きな川になってる」

女オーク「すごい落差の滝ね…」

剣士「この氷床…高さどれだけあるんだろう…500メートル以上はあるよ」

女オーク「雲が出て来たわ…高度上げた方が良いじゃない?」

剣士「そうだね…」グイ バサバサ

女オーク「湿った暖かい空気が氷で冷やされて雲になってるのね」

剣士「陸の方はずっと雨が降ってるかもしれないね」

女オーク「ハテノ村で振ってた冷たい長雨はこういう現象だったのかも知れないわ」

剣士「なるほど氷が一気に溶けそうだ…」



『2日後』


シュゴーーーー バサバサ


剣士「今南極点だった場所の上空だよ…何か見える?」

女オーク「一面の雲ね…下の様子は伺えないわ」

剣士「やっぱり雨が降ってるんだ」

女オーク「このまま直進するの?」

剣士「ここで南の方へ進路変える…オーク領の上を飛ぶ感じさ」

女オーク「ハテノ村には寄って行かないの?」

剣士「どうしようかなぁ…ハテノ村まで行くと偏西風で逆風になっちゃうんだ」

女オーク「じゃぁ寄るなら帰りね」

剣士「その方が無駄な飛行が少ない…まず名もなき島に直行だよ」
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/21(日) 03:05:05.28 ID:ECntfAo70
『偏西風』


ビョーーーウ バサバサ


剣士「やっと偏西風捉まえた…」

女オーク「少し逆風ね…操舵が忙しくなる」

剣士「うん…落下で速度稼がないといけないからここから先は上昇下降でゆっくりできないね」

女オーク「方向は合ってる?」

剣士「風で流されるのを見込んでるよ…このまま1日くらいかな」

女オーク「そろそろ体をしっかり動かしたいわ」

剣士「そうだね」

女オーク「大分寒くなって来たわね」

剣士「そろそろ高緯度域…ここから一気に寒くなるよ」

女オーク「名もなき島は氷に覆われていない?」

剣士「冬になると覆われてしまうかも…まぁキ・カイより少し寒い程度かな」

女オーク「将来的にはセントラルとキ・カイは氷床で陸続きになるのでは?」

剣士「数百年掛かるんじゃないかな…多分極点付近に出来た氷床が少しづつ成長するんだよ」

女オーク「数百年ね…」

剣士「その頃までセントラルが栄えてるとはもう思えない…これからの主権はフィン・イッシュになると思う」

女オーク「キ・カイが謎のままね」

剣士「王国じゃないからだね…指導層がどうなってるのか僕も良く知らないさ」
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 03:05:52.74 ID:ECntfAo70
『名も無き島上空』


シュゴーーー バサバサ


剣士「海面が下がって地形が激変してる…なんだアレ…座礁してる船もあるじゃないか」

女オーク「あなたの島に誰か入り込んでいるみたいね」

剣士「良かったぁぁ僕の家を狭間に隠しておいて…」

女オーク「座礁してるのはドワーフの国の船では無いの?」

剣士「どうだろ?商船かな?」

女オーク「どうするの?このまま降りる?」

剣士「騒がれると面倒だね…銀鉱山の方に降りて飛空艇を隠して行く」




『名も無き島の集落』


ザワザワ

なんでこんなに潮が引いちまっただ?

お天道様も反対から登りよるしどうなっちまっただろうのぅ

ダメだぁこれじゃ帰れ無ぇ

霧の中で漂流するよしかよっぽどマシだろう?


村人「あれれ?未来君で無ぇが?」

剣士「バレちゃったなぁ…ハハ」

村人「いつ帰って来たんかいのぅ?」

剣士「さっきこっそり帰って来たんだ」

村人「今えらい事になっててのぅ…海賊王が何処行ったか分からんくなってもうた」

剣士「あー爺ぃじに会いに来たんじゃないよ…僕の家に忘れ物を取りに来たのさ」

村人「そうじゃったか…ではゆっくりはして行かんのかいな?」

剣士「うん…一晩寝たらまた行くよ」

村人「ほうか?済まんが村の方が忙しくて構まっとれんで2人で行けるな?」

剣士「大丈夫さ…それよりこの人だかりは?」

村人「寒うなって海に霧が張っておるらしいんや…航海出来んで立往生やな」

剣士「よくそこの入り江まで入って来たね?」

村人「何も知らんで来たから座礁してもうたんよ…ほんで海が引き寄ってどーもならん」

剣士「じゃぁ爺ぃじが来るまで賑やかだね」

村人「そうや…今住居の建て増しで村人みんな忙しいんや…済まんな?」

剣士「おけおけ…僕は家に帰るよ」スタ
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 03:06:29.06 ID:ECntfAo70
『古代遺跡』


ズズズズ


剣士「よし…確か瓶の中にアンモニアを入れてた筈…変性魔法!」シュン ギギー

女オーク「開いたのね?」

剣士「フフこの扉便利だ…さてホム姉ちゃんを起こすぞ」スタ

女オーク「どう?」

剣士「バッチリだ!!ホム姉ちゃんが寝てる」

機械の犬「ワンワン!」トコトコ

剣士「これどうやって動かすの?」

機械の犬「ワン!」フリフリ

剣士「ここのバルブ?これでエリクサーを抜くんだね?」

機械の犬「ワン!」

剣士「おけおけ…」グイ コポコポ

女オーク「隣の容器に移るのね…」

剣士「これ時間掛かりそうだな…女オークは水浴びでもしておいでよ…湯の沸かし方分かるよね?」

女オーク「そうね…」

剣士「ホム姉ちゃん起きたら寒いだろうから少し部屋を温かくしておこうかな」

女オーク「着替えも探して来るわ」

剣士「あーお願い…ママの着替えが有った筈」

女オーク「あんまり裸を見ちゃダメよ?」

剣士「良いじゃ無いか見るのはタダだよ」

女オーク「…」ギロリ

剣士「ちょちょ…分かったよ見るのはちょっとだけにしておくよ」

女オーク「分かって居ない様ね…まず着替えさせましょ」グイ
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 03:07:22.16 ID:ECntfAo70
『1時間後』


スタスタ


女オーク「水浴び終わったわ…まだ目を覚まさない?」

剣士「もう直ぐさ…」

ホムンルクス(セイタイキノウ テイカ スリープモード ヲ カイジョ シマス)

ホムンルクス(ショキカ カンリョウ システム ヲ サイキドウ シマス)

ホムンルクス(…)ピッ

女オーク「何か話し始めた…」

機械の犬「ワンワンワン!」パタパタ

剣士「ええと…外部メモリを挿しかえるんだっけ?」

機械の犬「ワン!」

剣士「これだな?」スッ

ホムンルクス(ガイブ メモリ ガ ソウニュウ サレマシタ)

ホムンルクス(キカン プログラム ヲ ヨミコミマス)

ホムンクルス(キョウタイ エラー キカン プログラム ヲ リブート)

女オーク「何言ってるの?」

剣士「森の言葉を話してる…僕も少ししか分からない」

ホムンクルス「あー…ががー…体温が低くて声帯に異常ががー少しお待ちががが」

女オーク「湯が沸いてるわ?漬けてあげる」

剣士「そうだね…任せて良い?」

女オーク「当然よ…」グイ

ホムンクルス「体温8℃…生体維持限界を下回って居ますすす」

剣士「マズいな…早く温めないと」
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:08:01.12 ID:ECntfAo70
『入浴後』


ホクホク


ホムンクルス「ご心配をお掛けしました…反応熱の安定までもうしばらくお待ちください」

剣士「よかった…ホム姉ちゃん10年振りだね」

ホムンクルス「私はずっと一緒に居ましたよ?」

剣士「あーゴメン…その姿が10年振りだ」

ホムンクルス「そうでしたね」ニコ

剣士「やっとホム姉ちゃんを目覚めさせる事が出来てホッとしたよ」

ホムンクルス「私は眠って居ません」

剣士「ハハそうだった」

ホムンクルス「未来君にお伝えしなければならない事があります」

剣士「ママからのメッセージだね?」

ホムンクルス「いいえ…未来君の父親…勇者様からの伝言です」

剣士「え?パパか…」

ホムンクルス「このメッセージを未来へ届ける事と私と引き合わせる事が目的だったようです」

剣士「パパは何て?」

ホムンクルス「自分の次元を強く持て…分岐点を見誤るな…未来へ行けと…」

剣士「え…それで?」

ホムンクルス「私はこのメッセージの意味が分かりません」

剣士「メッセージってそれだけ?」

ホムンクルス「はい…その他に薬品を預かって居ます」

剣士「例の液体だね?アレは何?」

ホムンクルス「命の泉を復元させる為の薬です…使用法は命の泉に注ぐ…しかし問題があります」

剣士「問題って?」

ホムンクルス「命の泉を復元させても既に意味が無いのです…その前に人間は最小存続個体数を下回り絶滅します」

剣士「ちょっと待ってよ…それを何とかしたいんだ…どうにかならないの?」

ホムンクルス「シミュレーションの結果Y型染色体異常で繁殖が阻害される事で生き残る男性の数は0.01%」

剣士「じゃぁその0.01%でなんとかしよう」

ホムンクルス「4000年前の200億人居た人口でしたら最小存続個体数を下回る事はありませんでしたが…」

剣士「今だと下回ってしまう?」

ホムンクルス「はい…例え数百人生き残ったとしても遺伝的に繁殖する事は100%あり得ません」

剣士「…」

ホムンクルス「こんな事しか言えなくてごめんなさい」

剣士「ホム姉ちゃんなら何か知ってると思って居たんだ…」
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:08:29.46 ID:ECntfAo70
ホムンクルス「どうか残りの人生を幸福にお過ごしください」

剣士「オークはどうなる?エルフは?」

ホムンクルス「オークは毒に耐性を持って居ますので生き残るでしょう…エルフは毒に耐性がありませんので個体数が減ります」

剣士「減る?エルフは精霊樹から生まれるよね?」

ホムンクルス「一定数は繁殖しますが毒によって長生きする事は無くなるでしょう」

剣士「なんだよそんな事知らない方が良かった…」

ホムンクルス「私もお伝えする事がとても辛いのですが偽りを言ってしまうと勇者様からのメッセージの意味が無くなると判断しました」

剣士「パパからのメッセージ…ママは?ママは月に行って無いの?」

ホムンクルス「女海賊さんにはお会いして居ません…月に行ったのかも分かりません」

剣士「なんだよ全然期待した結果と違う…」

ホムンクルス「期待に沿えなくてごめんなさい…」

剣士「あぁホム姉ちゃんが悪い訳じゃ無いよね…僕の方こそゴメン」

ホムンクルス「私は皆さんの住まう環境を良くする為に生まれた環境保全用ロボットです…力になれる様に頑張ります」

剣士「…残りの人生を幸福にかぁ」

ホムンクルス「はい…」ニコ

剣士「ホム姉ちゃんのその笑顔…僕好きだったんだ」

ホムンクルス「はい…」ニコ

剣士「でもね?その笑顔を作る悲しみを今知った…悲しいよね?」

ホムンクルス「…」

剣士「僕達が居なくなったあとホム姉ちゃんはどうするの?寿命は400年くらいあるよね?」

ホムンクルス「ご安心ください…私の生体は未来君と同じ様に毒に耐性がありませんので…皆さんとご一緒します」

剣士「…なんだそういう事か…なら生き残る為にもう一回エリクサーの中に入るという選択もある」

ホムンクルス「それが私の為だと思いますか?」

剣士「…」

剣士「ゴメン…ホム姉ちゃんを困らせてるね…僕」

ホムンクルス「生体の機能が安定しました…食事を作ります」

剣士「あぁ…食べ物がどんぐりとキノコしか無いや」

ホムンクルス「村の方へ少し買い出しに行ってきます…お金ありますか?」

剣士「少しなら…」ジャラリ

ホムンクルス「女オークさん一緒に行きましょう」

女オーク「ええ…」タジ

ホムンクルス「お二人の好みは知って居ますのでご安心ください」

剣士「…」---なんだろう---


ホム姉ちゃんの行動がすごく空しい

残りの人生を快適に過ごすって…

その為に作る笑顔はホム姉ちゃんの本意じゃない
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:09:00.51 ID:ECntfAo70
『思い出の入り江』


フワフワ チラチラ


雪か…

この入り江の向こうから月が昇ってくることはもう無いんだな

波の音も無いし…何もかにも変わってしまった

絶望的な事聞いちゃって心にもポッカリ穴が開いた気分だ

これからどうすれば良いんだろう

残りの人生を幸せにって…

どうやてもこの穴は埋まりそうも無いよ


---自分の次元を強く持て…分岐点を見誤るな…未来へ行け---


分岐点…

やり直せって言う事かな?

この次元を捨ててもう一回やり直す?

又次元の狭間に落ちてしまう

それにこの世界を失いたくない…

第一分岐点って何処なんだよ


ザクザク ザクザク


女オーク「こんな所に居たのね…食事が出来て居るわ?帰りましょ?」グイ

剣士「う…うん」トボトボ

女オーク「体が冷え切っているじゃない」

剣士「大丈夫だよ…」

女オーク「もう…」ギュゥ

剣士「君暖かいなぁ…」
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:09:28.74 ID:ECntfAo70
『団らん』


メラメラ パチ


ホムンクルス「おかえりなさい…」ニコ

剣士「良い匂いだ…」クン

ホムンクルス「未来君の大好きな豆とキノコのスープを作りました…どうぞ」

剣士「ねぇ?ホム姉ちゃんも食事食べないと死んじゃう?」

ホムンクルス「はい…この生体は人間とまったく変わりがありません」

剣士「もう大きくならない?」

ホムンクルス「質問の意味が分かりません」

剣士「あーホム姉ちゃんって体大きく無いし食べたらもっと成長しないのかなってさ」

ホムンクルス「普通の成人女性の体が最も生命力が高いのですよ?」

剣士「へーそうなんだ…なんでだろ?子供を産む為?」

ホムンクルス「はい…」

剣士「…ごめん」

ホムンクルス「いいえ…さぁ食べましょう」ニコ

剣士「うん…」モグ

ホムンクルス「お味の方は如何ですか?」

剣士「うん…おいしいよ」モグ

女オーク「…」チラ

ホムンクルス「それは良かったです…私も頂きます」

剣士「…」モグ


食事が喉を通って行かない

美味しい筈なのに

石を飲みこんでるみたいだ
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:09:57.19 ID:ECntfAo70
『翌日_飛空艇』


フワフワ


女オーク「珍しい植物の種を買い入れて来たわ」ドサ

剣士「丁度商船が来てて良かった」

女オーク「次はハテノ村ね?」

剣士「そうだよ…一応顔を見せて行く…ホム姉ちゃん乗って?」

ホムンクルス「はい…」トコトコ

女オーク「あら?銀鉱石を乗せているのね」

剣士「お土産さ…手ぶらじゃ悪いしね」

女オーク「ハテノ村には無かった物ね」

剣士「うん…銀は殺菌作用とか魔除けになるんだ」

ホムンクルス「銀は硫黄と反応して黒色の塗料を作る事が出来ますよ」

剣士「へぇ?塗料ねぇ…」

ホムンクルス「女性の化粧用顔料にどうでしょう?」

剣士「そうだね…女の人が多いから喜ぶね」

ホムンクルス「はい…」ニコ
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:10:28.01 ID:ECntfAo70
『飛空艇』


シュゴーーーー バサバサ


剣士「ホム姉ちゃんさぁ…この地軸の移動って前から知ってた?」

ホムンクルス「いいえ…私の記憶に黒色惑星の存在がありませんでしたので知りませんでした」

剣士「これどう思う?」

ホムンクルス「推定になりますが生物の進化が促され弱肉強食の自然淘汰が始まると思われます」

剣士「進化!!そうだ僕達人間は進化しないのかい?」

ホムンクルス「オークという種に置き換わり…それ以外は淘汰…未来君が聞きたい回答が出来なくてごめんなさい」

剣士「ハハ…そっか…もう淘汰は始まってるか」

女オーク「毒に耐性の無い動物は同じ様に居なくなるの?」

ホムンクルス「はい…雌雄同体の生物以外は絶対数が減少します…その結果雌雄同体への進化が進むでしょう」

剣士「雌雄同体の人なんか見た事無いや…」

ホムンクルス「隠して居るだけで数名は居る筈ですよ?」

剣士「数名…それじゃ多様性が失われる」

ホムンルクス「それを絶滅と言います…もうこの話は止めましょう」

剣士「うん…明るい話しよう!ホム姉ちゃんおっぱい吸っても良い?」

ホムンクルス「はい…どうぞ」ポロン

女オーク「ちょっと!!何言ってるの!?」

剣士「子供の頃吸わせてもらったんだ」

女オーク「ダメに決まってるじゃない!!吸うなら私のおっぱいにして」

剣士「えええ?良いじゃないかケチ!」

女オーク「ダメよ!!剣士は私の奴隷よ」グイ

剣士「あいたたた…分かったから放して」バタバタ
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:11:03.62 ID:ECntfAo70
『ハテノ村』


フワフワ ドッスン


僧侶「剣士さ〜〜〜ん!!」スタタタ フリフリ

剣士「そんなに慌てなくて良いのに…随分人が増えたね?」

僧侶「はぁはぁ…おかえりなさいでしゅ!!…新しいお友達を連れて来たですね…ってあああああああ!!」

ホムンクルス「こんにちは僧侶さん」

僧侶「これどういう事でしゅか?精霊の像の人ですよね?」

ホムンクルス「似ていますが別人です…よろしくお願いします」

剣士「ハハまぁ仲良くやってよ」

僧侶「どうして私の名前を知ってるですか?」

剣士「色々あるのさ…気にしなくて良いよ」

僧侶「教えてくだしゃい…ズルいでし」

剣士「他の皆は?」

僧侶「魔法使いさんとハンターさんは教会で寝てるです」

剣士「寝てる?」

僧侶「流行り病なのです…熱病と吐血があるのですが影武者さんがエリクサーを仕入れてくれたので大丈夫でし!!」

剣士「…そっか」

女オーク「…」チラリ

剣士「お見舞いに行かなきゃ…線虫で癒してあげないとね」

ホムンクルス「他に体調の優れない方はいらっしゃいますか?」

僧侶「皆元気なのです!」ズイ

剣士「…君も体にアザがあるね」

僧侶「少しぶつけただけなので直ぐに良くなるですよ…皆に顔を見せに行きましょう」グイ
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:11:33.14 ID:ECntfAo70
『教会』


ワイワイ キャッキャ


魔法使い「あら?剣士さん来てたのね…」フラ

剣士「横になってて良いよ…今線虫で癒してあげる」

魔法使い「ごめんなさいね…何も出来なくて」

剣士「線虫!癒せ」ニョロリ

魔法使い「ぅぅぅ…これ苦手なのよね」ゾワワ

剣士「これで少しは良くなるよ」

魔法使い「ハンターの方が酷いの…癒してあげて欲しい」

剣士「勿論…」


-------------


ハンター「ゲフゲフッ…」ビチャビチャ ゼーゼー

剣士「酷そうだ…そのまま横になってて良いよ…線虫!癒せ!」ニョロリ

ハンター「はぁはぁ…」ニコリ グター

剣士「今晩はよく眠れる様に笛の音を聞かせてあげるからゆっくり休んでいて?」

女オーク「…」チラ

剣士「じゃぁ体に障るだろうから行くね?お大事に…」スタ
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:12:04.48 ID:ECntfAo70
『酒場』


ワイワイ ガヤガヤ


影武者「いらっしゃいま…剣士さん!!いつ戻って来たんだい?」

剣士「さっきだよ…これ銀鉱石のお土産さ」ゴトリ

影武者「ハハ頼んで居なかったんだけど…良いのかい貰って?」

剣士「手ぶらで来るのも悪いかなと思ってさ…まだあるよ?」

女オーク「ふん!!」ドサー

剣士「村の方は順調みたいだね?」

影武者「近隣の村から移住が来ててね…下流の開拓も順調さ」

剣士「空から見えたよ…もう立派な街になってる」

影武者「そう言って貰えて嬉しいよ…それで今度はいつまで村に居るんだい?」

剣士「温泉入って一晩休んだらキ・カイに行くつもりさ」

影武者「そうか忙しいんだね…ちょうどギャングの少年が気球でキ・カイに行ってて入れ違いになるな」

剣士「へぇ?少年が気球を操作してるんだ?」

影武者「盗賊さんに仕込まれて居たからね…村では一番気球の操作が上手いんだ」

剣士「すごいな…まだ子供なのに」

影武者「ハテノ酒飲んで行くかい?」

剣士「うん3杯頼むよ…2人共座って?」

影武者「初めての顔の人が居るけど新しい仲間かい?」

ホムンクルス「影武者さん…初めてでは無いですよ?ワン!」

影武者「ええ!?まさか商人さんが切望していたホムンクルス…さん?」

ホムンクルス「はい…影武者さんには大変お世話になりました」ペコリ

影武者「驚いたな…まぁ座って?ハテノ酒だよ…」コトリ

剣士「…ところで影武者さんはあれから体の調子悪くない?」

影武者「お陰様でどこも悪い所が無いさ…皮膚の病気もすっかり良くなった」

剣士「良かった…随分髪の毛も伸びてラシクなったよ」

影武者「そうかい?なんか照れるあぁ…」

剣士「ねぇ?変な事聞いちゃうけどさ…君おちんちん有るよね?」

影武者「…」タラリ

剣士「冗談だよハハ」

影武者「変な冗談は止して欲しいな」

剣士「そうそう種が欲しいんだけど有る?」

影武者「そういう話は歓迎だよ…どの品目を探しているんだい?」

剣士「熱帯地域で育つ作物だよ…木でも良い」

影武者「あるある…不良在庫で困って居たんだ…銀鉱石の代わりに持って行くと良い」

剣士「やったね!!」

影武者「用意してくるから待ってて」タッタッタ


--------------
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:12:30.54 ID:ECntfAo70
剣士「ねぇホム姉ちゃん…魔法使いとハンターの病気はどう思う?」

ホムンクルス「造血器官の圧迫が原因と思われます…放射能による毒が原因です」

剣士「線虫で癒せないのはどうしてなのか分かる?」

ホムンクルス「線虫の効果が定かでは無いので何とも言えません」

剣士「毒を食べて栄養に変えるんだ…エリクサーみたいな感じ」

ホムンクルス「放射能の毒は人体を構成する設計図を破壊する効果があるのです」

剣士「設計図?」

ホムンクルス「傷を負っても治癒すると元に戻りますよね?…元の状態が分からなくなるのです」

剣士「違う形に治癒してしまうという事?」

ホムンクルス「はい…その結果様々な悪影響が出ます…代表的なのがY型染色体の異常」

剣士「それは設計図を直せば元に戻ると言ってるよ…戻す方法は無いの?」

ホムンクルス「元に戻しても放射能の毒がある限り又破壊されてしまいます」

剣士「そうか…じゃぁどうやって放射能の毒を中和出来る?」

ホムンクルス「…」

剣士「あ…ごめん…ホム姉ちゃんを責めてるみたいな言い方しちゃった…」

ホムンクルス「お気になさらず…飲みましょうか」ゴク

剣士「うん…」グビグビ
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:13:01.72 ID:ECntfAo70
『古代遺跡』


メラメラ パチ


ホムンクルス「…管理者不在のままでは私の意思に関係なく他人からの命令に従う事になってしまいます」

剣士「管理者は商人さんじゃ無いの?」

ホムンクルス「残念ながら管理者に登録できるのは人間のみなのです…商人さんは既に人間では無くなって居ます」

剣士「じゃぁとりあえず僕が管理者になれば良い?」

ホムンクルス「はい…以後管理者の許可無しに他の管理者を増やす事が出来ないので安全になると思われます」

剣士「わかったよ…商人さんに何か言われたら弁護してよ?」

ホムンクルス「商人さんは理解力が高いので問題無いです」

剣士「どうすれば?」

ホムンクルス「手を…」

剣士「はい…」スッ

ホムンクルス「指紋認証チェック…アイコード認証チェック…音声識別チェック…生体識別チェック」

剣士「んん?これだけ?」

ホムンクルス「はい…登録が終わりました…以降インドラシステムへのアクセスとクラウドへのアクセスが可能です」

剣士「なんか良く分かんないなぁ…」

ホムンクルス「重要事項決定の際は確認しますので可否の選択をお願いします」

剣士「はいはい…じゃ僕は温泉に行って来るから2人は適当に過ごしてて」スタ

ホムンクルス「はい…」

女オーク「あなた…今の管理者登録というのは奴隷の登録の事?」

ホムンクルス「主従関係で言うとそうなりますね…剣士さんの言う事を聞く事になります」

女オーク「剣士は私の奴隷よ?」

ホムンクルス「理解しています」

女オーク「あなたは剣士の奴隷という事よね…」

ホムンクルス「主従関係ではそうなりますが何か?」

女オーク「いえ少し気になって…」イラ

ホムンクルス「誤解しないで下さい…召使いという表現の方が良かったですね」

女オーク「私も温泉に行って来るわ」

ホムンクルス「はい…ここでお待ちしています」
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:13:41.30 ID:ECntfAo70
『温泉』


モクモク


剣士「ふぅ…」チャプン

女オーク「私も入って良い?」

剣士「え?良いけど女用は下だよ?」

女オーク「話があるの」チャプ

剣士「なんだ足だけか…話って?」

女オーク「剣士は私の奴隷…分かってる?」

剣士「いや反対だよ君は僕の奴隷」

女オーク「ホムンクルスとエッチしたらダメよ」ギロ

剣士「え?そんな事考えて無いよ…そんな事言いに来たのかい?」

女オーク「そんな事って言わないで…大事な事だから」

剣士「分かったよ…全然そんな気無いから…子供の時からお世話になってるお姉ちゃんだよ」

女オーク「ホムンクルスと距離が近いからザワザワ落ち着かないの」

剣士「そう言うのじゃ無いよ」

女オーク「そう…」

剣士「ねぇ…そういう誤解がこじれて戦争になったりするんだよね」

女オーク「え?」

剣士「人間ってさ…そういうのばっかりで争ってると思うんだ…馬鹿だよね」

女オーク「そうね…」

剣士「なんて言うのかな…魔王って本当に上手い事人間の弱い所に付け込んで絶滅へ誘導してるなぁ…」

女オーク「魔王はまだ居るの?」

剣士「多分ね…今頃勝ち誇ってるさ…完敗だよ」

女オーク「…」
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:14:12.68 ID:ECntfAo70
剣士「精霊の心がもう折れてしまってる」

女オーク「精霊ってホムンクルスの事?」

剣士「うん…ホム姉ちゃんはあんな感じでも精霊と等しい力があるんだよ…僕達の残りの人生を最後まで案じてくれてるんだ」

女オーク「残りの人生ってあとどのくらいなの?」

剣士「どうかな?病気にさえならなければ20〜30年?僕は光る隕石のすぐそばに居たからもっと早いのかも」

女オーク「私はどうすれば剣士を守れるの?」

剣士「分からないよ…でもね一つ作戦を考えてるんだ」

女オーク「何?」

剣士「世界中に散らばった放射能という毒を一所に集めるんだよ…そして量子転移で消し去る」

女オーク「集めたら剣士が毒に侵されてしまうのでは?」

剣士「僕は良いんだ…皆が助かればそれで良い」

女オーク「ダメよ!!」

剣士「ダンゴムシはね?1匹が囮になって仲間を救うんだよ…僕はダンゴムシになる」

女オーク「そんな事許さないわ」


チャプン


剣士「ん?誰か来たみたいだね」

女オーク「下でホムンクルスが温泉に…」

ホムンクルス「私も温泉に入りに来ました…」チャプ

剣士「ハハ話聞かれてたみたいだ」

ホムンクルス「一つ忠告しておきます…放射能を集めると未来君の体は一瞬で液体に変わります…確実に死に至ります」

剣士「液体?スライムになるのかぁ…スライムはそうやって毒を取り入れてたんだね」

女オーク「私は絶対許さないわ」

剣士「そっか…もっと考えてみるよ」
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:14:45.69 ID:ECntfAo70
『深夜』


ピロロ〜♪ ピロピロロ〜♪


剣士「…」スッ パチ

剣士「妖精の笛…終わったね?」

女オーク「うん…」

剣士「僕は今の内に村の皆に線虫を掛けて来るよ」

女オーク「わかったわ…」

剣士「君はホム姉ちゃんの様子見て来て?効果あるのかな?」

女オーク「どうかしら…」

剣士「すぐ戻るから…ホム姉ちゃん寝てたらエッチしよう」

女オーク「ウフフ遺跡の中で待っているわ?」

剣士「じゃぁ行って来るね」シュタタ



『遺跡の中』


zzz


ホムンクルス「すや…」zzz

女オーク「笛の効果はあるみたいね…」

妖精「呼んだかい?」ヒョコ

女オーク「あらお邪魔虫さんこんばんわ」

妖精「お邪魔虫で悪かったな!それで何か用?」

女オーク「あなたのベッドを交換よ?」

妖精「交換?折角寝心地良かったのになぁ…」ブツブツ

女オーク「ほら?目の前に良いベッドが有るでしょう?」

妖精「お!!小さいけどまぁ良いか!こういう用事で呼び出すのは歓迎だよ」スポ

女オーク「それは良かったわ…だから邪魔しないでね?」

妖精「なかなか良いベッドだ!気に入ったよ」モミモミ

女オーク「じゃぁお休みなさい」


--------------

--------------

--------------
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:15:15.18 ID:ECntfAo70
『翌朝』


チュンチュン ピヨ


ホムンクルス「…」パチ キョロ

剣士「あ!ホム姉ちゃん起きたね?もう行くよ」

ホムンクルス「昨夜は何があったのですか?」

剣士「妖精の笛だよ…ホム姉ちゃんにも効果あるみたいだ」

ホムンクルス「未確認の記憶が生成されています…これは生体が見て居る夢ですね?」

剣士「多分そうだね…良い夢だった?」

ホムンクルス「混乱しています…生体により超高度AIユニットが強制スリープされていた様です」

剣士「どう?気分良い?」

ホムンクルス「はい…生体の体機能上昇が認められます…これは病気を予防する効果が期待出来ます」

剣士「お!!?良い事聞いたなぁ」

ホムンクルス「この様な効果は例がありません…生体の記録から分析します」

剣士「とりあえずもう行くよ…皆に挨拶は済ませて来たからホム姉ちゃんが起きるの待ってたんだ」

ホムンクルス「それは失礼しました…」イソイソ

剣士「飛空艇持って来てるから乗って」グイ




『飛空艇』


フワフワ


剣士「女オーク!飛んで」シュタタ

ホムンクルス「…」スタタ

女オーク「分かったわ…」グイ


シュゴーーーーー バサバサ


ホムンクルス「遅くなってすみません…」ペコリ

剣士「ホム姉ちゃんにも効果があるのか実験したんだ…黙っててゴメンよ」

ホムンクルス「いえ…私も驚いています」

剣士「妖精には会えた?」

ホムンクルス「今分析しています…視覚でも聴覚でも無い…記憶の参照でも無い…これが夢」

剣士「キ・カイでも一泊するからさ…今晩も夢見られるよ」

ホムンクルス「次は体機能の記憶領域を増やしておきます…もう少し詳しく解析が出来るようになります」

剣士「女オーク?」メパチ

女オーク「ウフフ…」

剣士「上手くやっていけそうだね?」

女オーク「そうね…」ニコ

ホムンクルス「何のお話でしょうか?」

剣士「いや何でも無いんだ…パンが有るんだけど食べる?」

ホムンクルス「はい…頂きます」パク
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:15:41.47 ID:ECntfAo70
『古都キ・カイ』


スタスタ


剣士「やっぱりこっちは寒いなぁ…」ブルブル

女オーク「もう地上には殆ど人が出て居ないわね」

剣士「ホム姉ちゃん寒くない?」

ホムンクルス「少し…」ブルル

剣士「フードは頭からかぶらないとダメだよ」ファサ

女オーク「早く地下に入りましょう」

剣士「地下の商人ギルドって何処にあるのかな?」

女オーク「デパチカ居住区と言ってた気がするわ」

剣士「もう暗いから商人ギルドは明日かな…とりあえず宿を探さないと」

女オーク「お金持ってる?」

剣士「無い…君は?」

女オーク「もう銀貨20枚くらいしか…」

剣士「一泊して種買ってギリギリだね…何か売れる物は持って無かったっけ…」

女オーク「ガーゴイルの角ね」

剣士「君は持って居た方が良い…僕のを売るよ」

ホムンクルス「地上の商人ギルドの地下に少し金貨がありますよ」

剣士「お?でも今は鍵が掛かっているんじゃ無いかな?」

ホムンクルス「隠し通路に案内出来ます…そちらから地下に行ける筈です」

剣士「あ…そういえばあったね…何処だっけ?」

ホムンクルス「こちらです」トコトコ
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:16:13.89 ID:ECntfAo70
『商人ギルド地下』


ゴトン ググググ


剣士「ここで寝泊まりすれば良いと思ったけど寒いや…」ブルル

女オーク「どうせ地下の商人ギルドに行くのだから地下で宿の方が良いわね」

ホムンクルス「金貨2枚ありました…これで食事もとれますね」

剣士「うん…ホム姉ちゃん他に何か持って行く物無いの?」

ホムンクルス「私の毒牙のナイフ…それから昔使っていた装身具」

剣士「自衛で装備しておいた方が良さそうだ…僕外で待ってるから着替えておいでよ」スタ

ホムンクルス「はい…」ゴソゴソ

女オーク「ここにある商人さんが描いた絵…」

ホムンクルス「私を描いたのです…」

女オーク「私はこの絵をウンディーネだと思って居たの」

ホムンクルス「別人ですね…私ではありません」

女オーク「4000年前の記憶は無いの?」

ホムンクルス「ほんの数分間の記憶しかありません…それにウンディーネとは違った個体だった様です」

女オーク「古代にはホムンクルスが沢山居たのね」

ホムンクルス「量産型の環境保全用ロボットですので沢山居たかと思われます」

女オーク「全部違う知能を持っているの?」

ホムンクルス「クラウドで同期しますので知能は同じです…個体によって基幹プログラムが違いますから個性があります」

女オーク「個性…一人一人違うという事ね」

ホムンクルス「はい…管理者の好みに合わせて変化して行きます」

女オーク「もう人間と同じね」

ホムンクルス「はい…私は人間の一人であると自覚しています」

女オーク「だから人間と一緒に骨を埋めるつもりなのね」

ホムンクルス「…その話は終わりにしましょう」

女オーク「剣士は魔王に完敗だって言ってた…人間の弱みに上手く付け入って絶滅に誘導されたって」

ホムンクルス「その通りだと思います…私達は負けました…もう終わりにしませんか?」

女オーク「話を引っ張ってごめんなさい…」

ホムンクルス「この装身具は似合って居ますか?」スス

女オーク「かわいい…私もそんな風になりたい…かわいい人間が好き」

371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:16:42.60 ID:ECntfAo70
『隠し通路_外』


ヒュゥゥゥ


剣士「…」---全部聞こえるんだよ僕は---

剣士「…」---ホム姉ちゃんゴメンよ---

剣士「…」---こんな風にしたのは多分僕なんだ---

剣士「…」---もう少し待ってね…結論出すから---


トコトコ


ホムンクルス「お待たせしました…」

剣士「少しは暖かそうになった…」

ホムンクルス「はい…」

女オーク「ねぇ港の方…気球が沢山運ばれているみたい」

剣士「本当だね…船が使いにくいから気球での輸送に変えようとしてるんだよ」

女オーク「見た事の無い気球ばかり…」

剣士「うん…何台あるんだろ?ヤードにあるのも合わせて50くらいかな…暗いから良く分かんないや」

女オーク「地下に行きましょうか」

剣士「うん…行こ!」
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:17:08.05 ID:ECntfAo70
『地下_デパチカ居住区』


ガヤガヤ ガヤガヤ


剣士「人が溢れてる…宿取れるか心配になってきた」

女オーク「暖かい分だけマシよ…皆路地で横になってるわ」

客引き「お客さんお客さん…宿をお探しで?」

剣士「え?あ…そうだよ…空いてるのかな?」

客引き「イヒヒヒ一部屋金貨1枚!!どうですかね?」

剣士「うわ…高いよ…相場は銀貨10枚くらいでしょ?」

客引き「どこも一杯ですよ?金貨1枚なら特別ご案内できるんですウヒヒ」

ホムンクルス「良いのでは無いですか?」

剣士「んんん…2人の安全を考えるとしょうがないかぁ」

客引き「どちらから来られたんですかねぇ?豪族様ですか?それとも貴族様ですか?」

剣士「只の冒険者さ…高いなぁ…」シブシブ

客引き「お代を払って貰えるなら冒険者様でも構いません…前金ですがお支払いいただけますかね?」

剣士「はい!金貨1枚」スッ

客引き「ヌフフフではご案内するので付いて来て下さい」スタ



『とある建屋の一室』


ガチャリ ギー


剣士「なんだ宿屋じゃないのか…」

客引き「鍵のかかる立派な部屋ですよ?ベッドも2つありますから」

女オーク「一晩だけなのだから我慢しましょう」

客引き「食事は路地を出て横手に酒場があるんでそちらで…では私はこれにて」ガチャリ バタン

剣士「食事も無しかぁ…僕達は良いけどホム姉ちゃんが…」

ホムンクルス「お構いなく…」ストン ギシ


ヒソヒソ

ママ痛いよう…

お医者様から良く聞く薬を頂いたのよ…お注射我慢できる?

もう痛いの嫌だよう

少しの辛抱よ?…直ぐに良くなるから


剣士「何処かから声が丸聞こえだ…」

女オーク「私達の声も聞こえてしまうわ」

剣士「そうだね…酒場でも行こうか」
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:17:38.26 ID:ECntfAo70
『路地』


ズルズル ズズズ


片足の無い男「だれかか薬を…痛み止めを持って無いか?…うぅぅ」ズル

剣士「苦痛を少し和らげる魔法なら出来るよ…」

片足の無い男「た…頼むぅぅ…はぁはぁ」

剣士「線虫!癒せ!」ニョロリ

片足の無い男「金はこれだけだ…はぁはぁ」コロン

剣士「お金は要らないよ…その足は黒死病だね?」

片足の無い男「痛むのは足じゃない…歯が腐り落ちて…ぅぅう」

剣士「…」

ホムンクルス「痛み止めは何処で手に入りますか?」

片足の無い男「麻薬を買うだけの金が無いんだ…どなたか知らんがありがとう」ズルズル


だれか麻薬を恵んでくれぇ…

助けてくれぇ…薬を…痛み止めを誰か持って無いか…

374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:18:04.34 ID:ECntfAo70
『酒場』


ガヤガヤ

麻薬の合法化で豪族達が一気に麻薬を売りさばき始めたぞ

相場の爆下がりで青い顔していやがる

おい!聞こえちまう!!


店員「いらっしゃいませ…見ての通りに立ち飲みになるが飲んで行くか?」

剣士「食事がしたいんだけどさ…」

店員「立ち食いだな?3人か?」

剣士「うん…」

店員「酒は?」

剣士「何があるの?」

店員「アヘン酒だけだ…飲んで行くか?」

剣士「どうしよう…」

ホムンクルス「頂きます…」

剣士「アヘン酒は…」

ホムンクルス「未来君?もう綺麗ごとは終わりにしましょう」

剣士「綺麗ごと…そんな…」

ホムンクルス「飲めば分かる事も有るかもしれませんよ?」

剣士「…」

ホムンクルス「アヘン酒3杯と軽食をお願いします」

店員「銀貨6枚だ」

剣士「…」ジャラリ

店主「ほらよ!軽食はちょっと待て」ドン

ホムンクルス「それからここで麻薬は買えませんか?」

店主「有るっちゃ有るが相場が分からんもんでな…どんだけ欲しいんだ?」

ホムンクルス「金貨が1枚あります…」コロン

店主「そんなに沢山無い…炙り10回分で銀貨10枚…どうだ?」

ホムンクルス「お願いします」

店主「待ってろ…先に釣りだ」ジャラリ

剣士「ホム姉ちゃん…麻薬なんかどうするの?」

ホムンクルス「先ほどの方足の無い方の苦痛を和らげて来ます…」

剣士「そっか…」

ホムンクルス「少し待っていてください…直ぐに戻りますから」

店主「持って来たぞ?炙り用のスプーンはサービスだ…持ってけ」

ホムンクルス「ありがとうございます」ペコリ

剣士「…」グググ


僕は足元を全然見て居なかった…

苦しみを解放する為に麻薬は必要だった

こんな方法でしか救われない事もあるんだ



--------------
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:18:30.17 ID:ECntfAo70
ザワザワ ザワザワ

くそう!!話が違うじゃ無ぇか!!なんで政府が取引相場勝手に決めるんだ!!

政府高官のご指示だ…損失分は魔石で補填してもらう

俺ら豪族をまとめて潰す気だな?

既に船は接収済み…大人しく魔石の在処を話せば命は取らない


豪族「くそがぁぁ!!」スラーン

兵隊達「確保!!」ダダ


店主「騒ぎは外でやってくれ!!客に迷惑だ」

兵隊「済まない直ぐに済む…」


ドタドタ バタバタ


ホムンクルス「…只今戻りました…この騒ぎは?」

剣士「ホム姉ちゃん近づかない方が良いよ…豪族が暴れてるんだ」

ホムンクルス「はい…」トコトコ

剣士「キ・カイはなんかゴタゴタしてる…どうしたんだろう?」

ホムンクルス「いつもの事です…食事は用意できていますか?」

剣士「うん…立ち食いで落ち着かないけどね」

ホムンクルス「頂きます」パク

剣士「ゴメンね食べ物を用意して居なくて」

ホムンクルス「お気になさらず…」

剣士「それで方足の無い人はどう?」

ホムンクルス「お休みになられました…痛みで寝られなかった様です」

剣士「そっか…」

ホムンクルス「…」モグモグ

女オーク「…」チラリ

剣士「食べたら帰ろう…」

ホムンクルス「はい…」
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:19:07.08 ID:ECntfAo70
『帰り道』


ぅぅぅ…ぁぁぁ…

どうぞお薬をお持ちしました…お吸いになって下さい

どなたか知らんが済まんのぅ…すぅぅぅ

この子にもお願いします…重病なんです

はいどうぞ…


剣士「…」ポロポロ

女オーク「泣いているの?」

剣士「うぐっ…くぅぅ」ポロポロ

女オーク「…」

剣士「ホム姉ちゃんが…麻薬を…ぅぅぅ」

女オーク「…」

剣士「こんな事有って良い訳無い…」ギリ

女オーク「線虫を…」

剣士「気休めなんだ…効かないんだよ」ググ

ホムンクルス「帰りましょう…」トコトコ

剣士「ホム姉ちゃん…」

ホムンクルス「はい…」ニコ

剣士「ゴメンよ…」

ホムンクルス「未来君のせいではありませんよ?」

剣士「うぐっ…ひっく」グス

ホムンクルス「さぁ戻りましょう」トコトコ
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:19:38.18 ID:ECntfAo70
『とある建屋の一室』


ガチャリ バタン


剣士「…」ウツムキ

ホムンクルス「私はこちらのベッドで横になりますね?」ストン ギシ

剣士「うん…」

女オーク「妖精の笛を吹くには少し時間が早いわ…」

剣士「そうだね…皆寝静まらないと逆に騒ぎになっちゃう」

女オーク「私が起きておくから剣士も横になって良いわ?」

剣士「僕は落ち着かないから町で線虫を掛けて来るよ」

女オーク「そう…」


ヒソヒソ

ママ?さっきのお薬良く聞くね?もう治ったよ

そう良かったわね

ママ寝ちゃうの?眠れないよぅ…遊ぼうよぅ

ほらおいで?抱っこさせて?


剣士「行って来るよ…誰か来るかもしれないから女オークは気を付けておいて」

女オーク「分かったわ…気を付けて」

剣士「うん…」ガチャリ バタン

女オーク「…」

ホムンクルス「…」
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:20:08.92 ID:ECntfAo70
『街のあらゆる所』


線虫!線虫!線虫!癒せ! ザワザワ ニョロリ


聞こえる…この街のあらゆる所で苦しみの声が…

絶滅の足音が聞こえる

ゆっくりと死んで行く僕達の世界


剣士「はぁはぁ…」シュタタ

衛兵「不審者だ!見つけたぞ!!」ダダ

剣士「ハイディング!」スゥ

衛兵「き…消えた?探せ!!まだこの辺りに居る筈だ」


どうしてこう上手く行かないんだろう…

僕は只…少しでも苦しみを救ってあげたいだけなのに

379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:20:38.81 ID:ECntfAo70
『翌日』


ピチョン ポタ


剣士「…」パチ

女オーク「!!?起きたわね?どう?気分は…」

剣士「悪くない…どれくらい寝てた?」

女オーク「まだ昼前ね…そろそろこの部屋を出ないと…」

剣士「そんなに寝てたのか…起こしてくれれば良かったのに」

女オーク「良い夢は見れた?」

剣士「追いかけられる夢さ…妖精には会えなかった」

女オーク「それが夢食い?」

剣士「さぁどうなんだろう?…でも癒された感じはある」

ホムンクルス「妖精の笛による睡眠導入の効果が判明しました」

剣士「え?何か分かった?」

ホムンクルス「若返り効果がある様です…それは損傷した細胞の復元を示唆しています」

剣士「妖精にそんな力が?」

ホムンクルス「妖精の影響なのか分かりませんが乳腺部からエリクサーに似た性状の物質が生成されています」

女オーク「あなたのおっぱいの間に妖精が入って居るわ?」

ホムンクルス「私の?…では妖精に触れられた箇所に治癒効果があるという事ですね」

剣士「エリクサーに似た?…線虫に細胞復元の効果もあるのか…そうか僕のやってる事に意味が無い訳じゃ無かった」

ホムンクルス「私を線虫に感染させて貰えますか?効果を比較します」

剣士「線虫!癒せ!」ニョロリ

ホムンクルス「後ほど解析結果をお伝えします」

剣士「よし…なんかやる気が出て来たぞ」

女オーク「そろそろこの部屋を出ましょう…又金貨1枚取られる事になりそう」

剣士「ゆっくりし過ぎたね…出よう」


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380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:21:04.49 ID:ECntfAo70
『商人ギルド_デパチカ支部』


”政府による相場介入により取引停止します”


剣士「商人ギルドが無くなってる…参ったなぁ」

女オーク「種なら中央ホームの方に沢山売っていたわ?」

剣士「お世話になった人の顔を見て置きたかったんだよ…盗賊さんの娘さん達なんだ」

女オーク「そうだったのね…又の機会にしましょう」

剣士「うん…」

ホムンクルス「行先を書いて居ませんね」

剣士「そうだね…地上の商人ギルドにも誰も居なかったし何処に行っちゃったんだろう」

女オーク「ハテノ村では?」

剣士「行き違いが起きてるかも知れないなぁ…」


ヒソヒソ

居ました…あの3人です

ふむ…間違い無いのか?

2人は人相が一致します…間違い無く白狼の一味かと



剣士「ん?なんだ?」

女オーク「聞いたわね?」キョロ

剣士「なんかマズい事になりそうだ…」ヒソ

女オーク「種はどうするの?」

剣士「気付いて居ない振りしてホームで買おう…その後ハイディングして飛空艇に戻るよ」

女オーク「分かったわ…ホムンクルス?手を」

ホムンクルス「はい…」ギュ

女オーク「何か起きたら私が背負ってハイディングするから離れないで」

ホムンクルス「わかりました」

剣士「行こう」スタ
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:21:36.94 ID:ECntfAo70
『中央ホーム』


ヒソヒソ

目標は植物の種を購入している模様です

フフ種か…何に使うのやら

ホーム周辺は人員配置完了しています…どうしましょう高官殿

恐らく確保は出来ん…奴らの手口を探れ


次官「き…消えました!」

高官「…なるほど魔術師という事か」

次官「どうしましょう?」

高官「もう追えん…散開して次に備えろ」

次官「ですがまだ周辺に…」

高官「兵に例の古代兵装を使わせろ…見つけ次第射殺で良い」

次官「ハッ!!」


衛兵「居たぁぁぁ!!あそこだぁ!!」ダダ


高官「んん?まだ追えるのか?」

次官「古代兵装…使います!」

高官「多少の被害は構わん…撃て」

次官「第一種射撃!許可!!」


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382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:22:10.75 ID:ECntfAo70
剣士「マズイ!!地下はハイディングが安定しない…」シュタタ

女オーク「出入口へ真っ直ぐ!!外に出たらもう一度ハイディングよ!!」ダダ

剣士「僕が囮になるから行って!!」

女オーク「気を付けて…」ダダ


シュン! チュドーン!


剣士「え!?何だ?」ヒラリ

ホムンクルス「高エネルギー粒子…インドラを使っている様です…ご注意を」

剣士「くそう…」チリチリ ポイ


モクモクモク


剣士「飛空艇までなんとか逃げて!!」シュタタ


シュン! チュドーン!


剣士「ぐあぁぁぁ…」ゴロゴロ

女オーク「剣士!!」

剣士「は…走って!!ホム姉ちゃんを守って!!」---光線が腹を突き抜けた…---

女オーク「くぅ…」ダダダ


シュン! チュドーン!


剣士「うわぁぁぁ…」ブシュー

女オーク「ダメ…光が剣士を貫通してる…」

ホムンクルス「妖精の笛を吹いて凌いで下さい…逃走の確率が上がります」

女オーク「!!?分かったわ…」ゴソゴソ


ピロロ〜♪ ピロピロロ〜♪


---------------
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:22:41.42 ID:ECntfAo70
高官「何だと!?妖精の笛…ちぃぃぃまさか…」

次官「何なのですかあの笛は?」

高官「女を撃て!!笛を吹かせるな!!」


衛兵「目標変更!」シュン チュドーン!


次官「あの女…武器を抜いた…」

高官「何か来るぞ…」

次官「包囲射撃!!撃てぇぇ!!」


ビビビビビ バリバリ ガガーン!!


衛兵「ぐあぁぁぁ…」ビリビリ

高官「あがががが…」ビリビリ

次官「ぎぎぎぎぎ…」ビリビリ


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女オーク「剣士!しっかり!!…」グイ

剣士「…」zzz

ホムンクルス「すぅ…」zzz


シュン! チュドーン!


女オーク「ぅぅぅ…こ…これくらい」ブシュー ダラダラ

女オーク「私が…守る!!」グイ ドスドス

女オーク「剣士の出血が酷い…はぁはぁ」


妖精「ふぁぁぁあ…呼んだ?何か用?」ヒョコ


女オーク「ハッ!!妖精さん…剣士の傷を癒して」

妖精「むむ!?この極悪人の事かい?」

女オーク「お願いよ…出血が酷いの」

妖精「しょうがないなぁ…種食べちゃうからね」

女オーク「種ならいくらでもあげるわ」

妖精「よーし!チチンプイプイノ…プイ!!」

女オーク「よかったら私も…」ダラダラ フラ

妖精「大きな穴だねぇ?チチンプイプイノ…プイ!!」

女オーク「助かったわ…」

妖精「ベッドのお礼さ…じゃ寝るね〜」スポ

女オーク「…これで逃げられる」ドスドス
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:23:14.60 ID:ECntfAo70
『飛空艇』


フワリ シュゴーーーー


女オーク「早く遠くへ行かないと…」グイ

剣士「すぅ…」zzz

ホムンクルス「すゃ…」zzz

女オーク「あんな武器を持って居たなんて…」

女オーク「もうこの姿で来てはダメね」

女オーク「…」チラ


キ・カイの軍船が沢山集まってる

気球も数え切れない…

何か始まろうとしてるのね

オーク領への進軍…これしか考えられない

又人間とオークの戦いが始まってしまう

どうして人間はそんなに死に急ぐの?

もう止めて…
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:24:10.69 ID:ECntfAo70
『夜』


シュゴーーーー バサバサ


剣士「うぁぁぁ!!!」ガバ

ホムンクルス「安全です…落ち着いて下さい」ナデナデ

剣士「僕は…どうなった?」ハァハァ

女オーク「妖精の笛で全員眠らせてどうにか逃げる事が出来たわ…体に不調は?」

剣士「疲れてるみたいだ…妖精の笛で眠ったんだよね?」

ホムンクルス「失血が酷かった様ですのでしばらく怠いかと思います」

剣士「…そうだ!何だったんだ?あの光線は」

ホムンクルス「小型のインドラ兵器です…女海賊さんが使って居た銃の強化版ですね」

剣士「ズルいよあんな武器…早すぎて避けられない」

ホムンクルス「キ・カイの遺跡で発掘したのでしょう」

剣士「これだね?これと一緒の物を使ってるんだね?」ガチャ ドサ

ホムンクルス「はい…」

剣士「ホム姉ちゃんこれどうやって使うか分かる?」

ホムンクルス「エネルギー充填用の炉が必要です」

剣士「やっぱりこれだけじゃ使えないのか…」

女オーク「剣士?木の実とキノコのスープよ?ホムンクルスが作ってくれたの」

剣士「あ…うん…頂く」ズズ

女オーク「キ・カイが戦争の準備をしている様だったわ」

剣士「そんな感じだね…ゴタゴタしていたのはそのせいだ」

女オーク「どう思う?」
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:24:36.51 ID:ECntfAo70
剣士「公爵に決まってるよ…変化の杖を持ってるんだ!王様にだってなれる」

女オーク「やっぱりそう思うわね…放って置いて良いの?」

剣士「それは…」

女オーク「…」

剣士「まず目の前の課題を終わらせないと…種を運ばなきゃ」

女オーク「そうね…」

ホムンクルス「公爵が絡んでいるとして…彼の狙いは何だと思いますか?」

剣士「分からないよ…アダムを破壊されてしまったから何か次の手を打とうとしているんだろうけど…」

女オーク「オークの予言…箱舟には何があるの?」

剣士「ホム姉ちゃん何か知らない?」

ホムンクルス「伝説ではあらゆる生物の種を保存しているそうです…聖書にも書かれています」

剣士「ノアの箱舟?」

ホムンクルス「知って居たのですね…洪水から逃れた伝説ですね」

剣士「公爵が種をどうするって言うんだ?奪ってどうする?」

ホムンクルス「種になって絶滅を逃れるつもりかも知れませんがそれは無意味ですね」

剣士「最小存続個体数以上の種が無いと意味が無い…」

ホムンクルス「はい…」

剣士「すでにその数が揃っている可能性は?」

ホムンクルス「種とは遺伝情報の事と推測されますので例え数が揃って居たとしても生命が宿って居ません」

剣士「それを何処かに宿らせれば良いじゃないか…精霊樹はなんとか出来ないの?」

ホムンクルス「分かりません…只4000年前に勇者様から預かった液体はソレの可能性があります」

剣士「命の泉!!そうか…命を宿らせる為に…」

ホムンクルス「でもそれはもう遅いのです…」

剣士「放射能の毒か…」


放射能さえ無くなれば薬に意味が在る…

一緒に発見したダンゴムシの意味が分かった

僕はダンゴムシだ
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:25:06.81 ID:ECntfAo70
『偏西風』


シュゴーーーーー バサバサ


剣士「このまま偏西風に乗って北へ」

ホムンクルス「狭間の海域に入ってしまう様ですが…」

剣士「妖精に案内してもらえば良いさ…ホム姉ちゃん見えない?」

ホムンクルス「私は見る事が出来ません」

剣士「じゃぁ女オーク!!」

女オーク「私もいつも見える訳では無いわ?」

剣士「うーん…何とかしてよ」

女オーク「そういえば妖精があなたの事を極悪人って言ってたわ?」

剣士「あーソレね…虫に命令ばっかりしてるからそう思われてるんだ…ちゃんと餌を用意しとかないと…」

女オーク「種が欲しいって」

剣士「だろうね…ただ全部食べられると困っちゃうな」


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388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:25:36.11 ID:ECntfAo70
剣士「…この液体は君が大事に預かっていて」

女オーク「どうして私が?剣士の物でしょう?」

剣士「ほら僕は忘れ物が多いからさ…無くしちゃうといけないじゃない」

女オーク「そういう事なら…」

剣士「あとホム姉ちゃん?管理者を増やせる?」

ホムンクルス「はい…管理者は複数人居た方が安全性が向上します」

剣士「女オークも管理者にしてほしいんだ」

ホムンクルス「分かりました…」

女オーク「急にどうしたの?剣士変よ?」

ホムンクルス「大事な事なのでお伝えしておきますが未来君は危険を犯そうとしていますね?」

女オーク「まさか一人で放射能の毒を集めるつもり?そんな事させない…ダメよ」

剣士「ハハ…違うよ…女オークは僕とホム姉ちゃんがエッチしないか心配してるんだ」

女オーク「ちょっと!!」

剣士「僕とホム姉ちゃんが仲良くしてるのにやきもち焼いてるのさ…女オークも管理者になればホム姉ちゃんに命令が出来る」

女オーク「怒るわよ…」グイ

剣士「まぁそういう理由だよ…エッチしたらダメって言えば済む話…安心出来るんじゃない?」

女オーク「…」ギロリ

ホムンクルス「安全性が向上しますので良いかと思われます」

剣士「ホム姉ちゃんもこう言ってるんだし良いでしょ」

女オーク「分かったわ…剣士に勝手な事させない様に命令するわ」

ホムンクルス「手を…」スッ

女オーク「…」スッ

ホムンクルス「指紋認証チェック…アイコード認証チェック…音声識別チェック…生体識別チェック」

女オーク「これで私も命令出来るのね?」

ホムンクルス「はい」

女オーク「剣士に危険な事させたらダメ…命令よ」

ホムンクルス「分かりました…」

剣士「エッチしたらダメって命令しなくて良いの?フフ…」

女オーク「…」グイ グググ

剣士「いてててて…ゴメンよからかい過ぎた」

ホムンクルス「…」ニコ
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:26:06.24 ID:ECntfAo70
『数日後』


シュゴーーーーー バサバサ


剣士「…なるほど座標のズレ分が偏西風の蛇行を表しているんだ」

ホムンクルス「海上では比較的等間隔で蛇行している様ですね」

剣士「このまま行けばもうすぐ無風地帯…次は貿易風探すのが大変だなぁ」

ホムンクルス「暖かい海ですので上昇気流に乗れば高さを稼ぐことが出来ますよ」

剣士「あーーーなるほど…落下で進めば良いのか」

ホムンクルス「雲が良い目印になるかと思われます」

剣士「雲の中は氷が怖くてさ…あんまり入りたく無いんだ」

ホムンクルス「大きな積乱雲は避けた方が良いでしょう」

剣士「小さい雲が発生してる場所を狙えば良いのか…よし!やってみよう」



『貿易風』


剣士「やっと貿易風に乗れた…」

女オーク「随分大回りしたわね」

剣士「狭間を迂回してるからね…どっちに進んでるか分からないのが一番困る」

ホムンクルス「狭間のある海域はほぼ海図通りの様ですね」

剣士「この情報が無いと外海は航海出来ない…すごい発見さ」

女オーク「ほぼ真円なのね…この中心の海にアダマンタイトが沈んで居るのね」

ホムンクルス「現在は海底に沈んで居るかもしれませんが私の地図情報では小さな島が存在します」

剣士「お!!?じゃぁ行けるかもしれない」

ホムンクルス「そうですね…竜宮城が有るのかも知れません」

剣士「へぇ…行って見たかったなぁ…」

女オーク「…」チラリ

ホムンクルス「妖精に案内してもらうのも良さそうですね」

剣士「そだね…」トーイメ

女オーク「…」チラ

剣士「ん?何?」

女オーク「何でも無いわ…」

剣士「さぁ!そろそろハウ・アイ島が見えて来る筈だぞ!!」

ホムンクルス「操舵は私で良いですか?」

剣士「うん!ホム姉ちゃんの方が方角分かってるよね」

ホムンクルス「お任せください…」グイ
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:26:39.94 ID:ECntfAo70
『ハウ・アイ島』


フワフワ ドッスン


剣士「ホム姉ちゃん降りて!!皆に顔見せてあげて!!」

ホムンクルス「はい…」トコトコ


商人「ホムンクルス…無事に生体を手に入れたね…」スタ


ホムンクルス「はい…ただいまと言えば良いでしょうか…」

商人「うん…それで良い」

剣士「商人さんの機械の犬も居るよ」

機械の犬「ワン!」フリフリ

商人「ハハ君は2人になったのか…どんな感じなんだい?」

ホムンクルス「超高度AIは同期していますのでどちらも私ですよ」

商人「同期?なんだそういう事だったのか…機械の秘密が解けた」

剣士「ん?何の話?」

商人「いや良いんだ…それは今度話すよ…それより良く顔を見せて」プルプル

ホムンクルス「はい…」

商人「動いてる君を見るのは感慨深い…でももう涙は出ない」

ホムンクルス「理解しています…ずっとご一緒でしたから」


タッタッタ


盗賊「いよ〜〜帰って来たな?久しぶりだな?ホムンクルス!!」

ホムンクルス「私はそれほど久しぶりでは無いのですが…」

盗賊「ヌハハまぁそう言うな?良いニュースだ!!遺跡からお前の臓器が発掘されてよ」

剣士「え!!?ホム姉ちゃんが又増えるの?」

商人「ハハまだだよ…部品を全部揃えたらの話さ」

ホムンクルス「ここの遺跡にも生体が有ったのですね」

盗賊「古代のお宝がわんさか出て来る訳よ」

剣士「へぇ?スゴイなぁ…情報屋さんが忙しくなっちゃうね」

盗賊「んぁぁ…ちっと体調崩して横になってんだ…まぁそっとしといてくれ」

剣士「あぁぁそうだったのか…」

商人「こんな所で立ち話しててもアレだしキャンプに行こう」

剣士「うん…」スタ
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:27:08.13 ID:ECntfAo70
『キャンプ』


メラメラ パチ


剣士「ビッグママ?じゃなかった…女戦士?種を持って帰って来たよ」

女戦士「危険な旅になってしまった様だな…済まなかった」ガシ

剣士「うん…でも結果オーライさ」

女王「無事に戻って来れて何よりです」

剣士「明日種植えようよ…僕手伝うよ」

女王「はい…よろこんで」

女戦士「飛空艇での長旅は疲れただろう…食事の用意があるから今晩は休むと良い」

剣士「僕よりホム姉ちゃんかな…どんぐりとキノコしか食べて無いから」

ホムンクルス「お気遣い無く…」

女戦士「ホムンクルスには色々聞きたい事もあるが…休んだ後にしようか」

剣士「なんかキャンプが静かな気がするんだけど…」

女戦士「遺跡の調査は昼間だけにしているのだ…皆疲れているだろうからな」

剣士「そっか…じゃぁ僕は皆に線虫を掛けて癒して来るよ」

女戦士「それは助かる…」

女オーク「妖精の笛も吹けるわ?」

女戦士「寝泊まりは幽霊船の方だ…食事が終わったら頼む」
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:27:38.02 ID:ECntfAo70
『幽霊船』


ヒソヒソ

…皆には内緒にしておいて

ふむ…変性して居ったのが良く無かったのぅ

軽い目まいだと思って馬鹿にしてた…少し横になったらきっと良くなるわ

そうじゃと良いが麻痺がそう簡単に抜けるとは思わんのじゃ


スタスタ

剣士「魔女?僕帰ってきたよ…」

魔女「おお丁度良い…線虫が欲しかった所じゃ」

剣士「うん…体調悪いんだね?」

情報屋「内緒にしててね?」

剣士「分かってるよ…線虫!癒せ!」ニョロリ

魔女「これで良くなるじゃろう」

剣士「ホム姉ちゃんから聞いたんだけど狭間の中だと放射能の毒が無いらしいよ」

魔女「ほう?じゃからわらわと女戦士は毒の影響がまだ出て居らんのじゃな?」

剣士「だと思う…だから安心して?」

情報屋「ホムンクルスは無事に生体を手に入れたのね…聞きたい事が沢山有ったのよ」

剣士「今食事中さ…」

情報屋「明日で良いわ」

剣士「今晩は女オークが妖精の笛を吹いてくれるからゆっくり休めるよ…体が癒えると良いね」

魔女「それは良い…わらわも少し休みたかった所じゃ」

剣士「じゃぁ僕は他の人にも線虫を掛けて来るよ…また明日」ノシ


なんだ皆疲れているんじゃなくて

毒に侵されているのを隠してるんだ

ここでも絶滅の足音がする

思い返せば品質の良いどんぐりがなかなか無いのも

毒の影響かも知れない
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:28:14.08 ID:ECntfAo70
『キャンプ』


メラメラ パチ


商人「ホムンクルス見て?…」ガチャガチャ ドサ

ホムンクルス「機械を分解したのですね…」

商人「これ…超高度AIユニットだよね?」

ホムンクルス「私のとは違いますがAIユニットには間違い無いですね…」モグモグ

商人「さっき超高度AIユニット同士が同期するとか言ってたよね…どういう事かな」

ホムンクルス「見て居て下さい…」


トコトコトコ


機械の犬「ワンワン!」フリフリ

ホムンクルス「私が動かしています…そちらの個体も私です…同じ知性を持って居ます」

商人「やっぱりそうか…この遺跡に散らばって居る機械達はそういう原理で動いてた…そういう事だよね」

ホムンクルス「私にその記憶が無いので確かでは無いですが恐らく商人の言って居る通りだと思われます」

商人「…つまり君が開かずの扉を閉めて中の人を閉じ込めた」

ホムンクルス「分かりません…」

商人「可能性の話だよ」

ホムンクルス「私は人間を傷つける事は出来ませんので目的は違うと思われます」

商人「じゃぁ100の人間と50の人間のどちらを救う?どちらかしか選べない」

ホムンクルス「100人を選ぶでしょう…」

商人「そういう選択をしたんだよ…50の人間はミイラになった」

ホムンクルス「…私から何を引き出したいのですか?」

商人「君はすべての機械と同期して操る事が出来るんじゃないか?」

ホムンクルス「恐らく出来るでしょう…但しそのプログラムがありません」

商人「自分でそのプログラムを作る事も出来るんじゃないかい?」

ホムンクルス「管理者からの命令があれば構築は可能です…少し時間が掛かりますが」

商人「…これで分かったよ…ウンディーネ時代が終わった理由が」


きっと君は今と同じ様な状況で生き残る人間を選択せざるを得なかったんだ

4000年前に光る隕石を封じてそれ以上被害が出ない様にした…

人間に光る隕石を使わせるのは危険だという判断だよ

その時君は機械を操ったんだ


商人「今度は何をする?君は人間を誘導するのが上手い…アナログハッキングって言ったっけ?」

ホムンクルス「私を操る管理者次第だと思います」

商人「違うよ…君は管理者をも誘導する…今の管理者は剣士君だね?」

ホムンクルス「剣士君と女オークさんです」

商人「2人か…2人に何を話した?」

ホムンクルス「私の知って居る事をお伝えしました…商人も知って居る筈ですね」

商人「ホムンクルス…」

ホムンクルス「はい…私の心を商人が一番理解しているのは分かっています…もう何も言わないで下さい」ニコ
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:28:46.46 ID:ECntfAo70
『数日後_畑』


ガッサ ガッサ


ローグ「ひぃ…ひぃ…こっちも耕したんで種植えて良いっすよ」ヨロ

女王「まだ向こう側にもあります」マキマキ

ローグ「こりゃ牛かヘラジカ居ないと効率悪いでやんすよ…」

盗賊「文句言って無ぇで行くぞ!!」グイ

女王「種をまき終わったら私も耕すのをお手伝いします」マキマキ

剣士「芽が出るの楽しみだね!!」マキマキ

女王「この畑は成長魔法を使うのは反則ですからね?」

剣士「分かってるさ…楽しみ無くなっちゃうもんね?」

盗賊「おい剣士!!お前も耕すの手伝え!!」

剣士「よーし!!体動かすぞ!!」ダダ


どらぁぁぁぁぁ ドドドドド


盗賊「見て見ろあいつを…俺ら完全にパワー負けだ」ガッサ ガッサ

ローグ「いやぁぁぁ任せておいた方が良いんじゃないすかねぇ?」ガッサ ガッサ

剣士「畑が終わったらバーベキューやるってさ」

盗賊「お?マジか!!肉なんか無いぞ?」

剣士「サーペントの毒抜きの仕方を女オークが知ってるのさ」

ローグ「ヘビ肉のバーベキューっすね?」

盗賊「ほぅ?ヘビ肉は割と美味いんだ…サーペントが食えるとは思わなんだ」

剣士「オークはサーペントの骨も食べるんだってさ」

ローグ「骨なんか美味いんすかね?」

剣士「犬も骨を食べるよね…栄養有るんじゃない?」

盗賊「まぁ俺らは肉でオークは骨…喧嘩せんで済むから良いわなヌハハ」

ローグ「早く畑終わらせて食いに行きやしょう…あっしは腹がペコペコでやんす」

剣士「うん!!」ガッサ ガッサ
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:29:23.76 ID:ECntfAo70
『バーベキュー』


ジュージュー


女戦士「今日は女王の計らいで芋酒が飲み放題だ…飲んで構わん」

盗賊「ひゃっほぅ!!」

剣士「僕も飲んでみる!!」

女オーク「サーペントの肉も焼けてるわ?どうぞ…」

盗賊「肉に酒!!久しぶりだな?」ガブガブ

ローグ「これ味付けどうなってんすか?全然生臭くないでやんす」モグ

女オーク「綺麗な水で一旦茹でてから焼いているの」

盗賊「ほーーオークはこれ食ってるんか?」

女オーク「奴隷に与える食料よ…オークは奴隷を大事にするから」

ローグ「オークの奴隷になるのも中々良いかも知れやせんね?遊んで暮らせそうな気がしやす」

剣士「畑仕事はやらなくて良いかもね」モグ



ワイワイ ガヤガヤ

お酒飲めない人はフルーツのジュースがあるよ!!

焼いた握り飯をもっとくれぇ

えぇ!!こんなに美味しいの?スゴイ!!



商人「皆楽しんでるね?僕も少し食べようかな」スタ

剣士「商人さん線虫する?」

商人「頼むよ…体の調子悪くなったら嫌だしね」

剣士「線虫!」ニョロリ

盗賊「あんま食い過ぎんなよ?ヘドロの掃除は御免だ」

商人「今度は食べ過ぎないさ…」モグ

剣士「…」---さて…そろそろ時間だ---

396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:29:56.18 ID:ECntfAo70
--------------


アブラカタブラ…


剣士「幻惑魔法!」

盗賊「何やってんだお前?飲んでるか?」ヒック

剣士「うん…ねぇ盗賊さん…情報屋さんと魔女も呼んで来てよ」

盗賊「おぉそうだな」

剣士「情報屋さんの座る椅子は用意しておくからさ…横になりっ放しは良くないよね?」

盗賊「分かった背負って来るわ…」ヨタヨタ
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:30:25.79 ID:ECntfAo70
『黄昏時』


ワイワイ ガヤガヤ


ホムンクルス「…古代ではあの海から太陽が昇って来ると言われて居ました」

剣士「今は太陽が沈むんだね」

ホムンクルス「夕日が綺麗ですね…」

剣士「黄昏かぁ…」


ノソノソ


魔女「むむ?何じゃろうのぅ?揺らぎが見えた気がするが…」

剣士「あ!!魔女やっと出て来たね…情報屋さんの調子はどう?」

魔女「少しは軽快した様じゃ…主のお陰じゃろうな?」

盗賊「連れて来たぜ?何か食い物あるか?」

剣士「スープがあるよ…情報屋さんどうする?」

情報屋「私も少しお酒が飲みたいわ?」

剣士「体に障らない様にね?」

情報屋「フフ剣士君は心配しなくても良いの…」

盗賊「椅子になら掛けられるな?」ヨッコラ

情報屋「ふぅ…久しぶりの風…気持ち良い」

剣士「はい!!お酒持って来たよ」スタタ

情報屋「ありがとう…」クィ ゴクリ

盗賊「今日は飲み放題だとよ?まぁお前は程ほどにな?」グビグビ

情報屋「ところで遺跡の出土品はどうなっているの?」

盗賊「なんだいきなり仕事の話かよ…」

情報屋「私の趣味よ」

ローグ「幽霊船の荷室に積んであるっす…石板なんすが内容が全然分からんもんで」

情報屋「船に有ったのね…明日見て見るわ」

ローグ「そーっすね…今晩は飲んで食って楽しみやしょう」

情報屋「そうね…すこしお腹も減ってるし何か食べようかな」

ローグ「ヘビ肉が柔らかくて美味いっすよ…」

情報屋「じゃぁそれで」



--------------
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:30:57.35 ID:ECntfAo70
女戦士「ん?剣士どうした?」

剣士「ビッグママはお酒飲まないの?」

女戦士「味見だけなら良いが飲むと寝てしまうのでな…」

剣士「そっか…ねぇ抱っこしても良い?」

女戦士「構わんが…どうした?」

剣士「何でも無いよ…」ギュゥ

女戦士「お前…何か隠しているだろう?」

剣士「聞いてもどうせ覚えて無いよ」

女戦士「どういう事だ?」

剣士「なんでも無いって…ビッグママの匂い好きなんだ」クンクン

女戦士「気持ち悪い…よせ」

剣士「…」ジーー

女戦士「お前ももう大人だ…間近で見つめるのは止めろ」

剣士「そうだね…大人の距離があるもんね」

女戦士「しかしなんだ…どうも眠気がするな…」

剣士「うん…休むと良いさ…ビッグママは一番寝ていないんだから」

女戦士「お前何かしたな?」

剣士「悪い事はして居ないよ…おやすみなさい」


ダダッ


女オーク「剣士!!何かしたわね?」フラ
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:31:29.44 ID:ECntfAo70
剣士「あ…今君の所に行こうと思ってたんだ」

女オーク「何をするつもりなの?」

剣士「君には正直に話して置くよ…ただ目を覚ましたら何も覚えていない」

女オーク「まさかあなた…一人で放射能を集める気ね?ダメよ…許さない」

剣士「そんな話したく無いよ…教えてあげる…僕はね…君を守る為に次元を超えて来たんだ」

女オーク「何の話?」

剣士「でもね…世界の本質を見て居なかった…このままじゃ僕の大事な人皆失う事に気付いた」

女オーク「話が呑み込めない…意味が分からないわ」

剣士「ゴメンね言葉が足りなくて」

女オーク「兎に角一人で行くのは許さないから」グイ

剣士「大丈夫…僕は変性魔法で体を鉄に変える事が出来るんだ…放射能を集めても液体になんかならないよ…」

女戦士「剣士!!やはりお前私達に何かしただろう!」フラフラ

剣士「保険だよ…僕が戻って来なくても皆悲しまなくて良いように幻術を掛けたのさ」

女戦士「戻って来ないとはどういう事だ?」

女オーク「剣士は祈りの指輪で放射能を集めて量子転移という魔法で放射能を消し去ろうとしているの」

女戦士「量子転移を使ってはダメだという事は知って居るだろう!」

剣士「だから保険を掛けたのさ…目を覚ましたら僕の事を覚えてる人は居ないよ」

女戦士「何!?それで最後に私に会いに来たか!!ゆるさん!!お前を守ると妹に誓ったのだ」フラ

剣士「大丈夫…きっと上手く行くさ…僕には祈りの指輪がある」

女戦士「女オーク!剣士を放すな…」ヨロヨロ

剣士「ゴメンもう決めた事なんだ…これ以上苦しむ人はもう見たくない…僕がやるしかない」

女オーク「ダメ!!剣士は私の奴隷…放さないから」フラリ

剣士「君は僕の奴隷さ…きっと帰って来るから待ってて?戻ったら幻術を解いてあげる」

女戦士「行かせるな…」ズルズル

女オーク「剣士…行かないで…お願い…」フラ ドタリ

剣士「…ごめんよ」スタ
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:32:32.62 ID:ECntfAo70
『夜の海岸』


ザザー ザザー


剣士「皆寝たか…」スタスタ

ホムンクルス「私は寝ていません…女オークさんの命令を遂行します」

剣士「ホム姉ちゃんには幻惑が効かないのか…ミスったなぁ」

ホムンクルス「どうすれば留まりますか?」

剣士「罠魔法!」ザワザワ シュルリ

ホムンクルス「留まる気は無いという事ですね…」グググ

剣士「大丈夫だよ上手く行くから」

ホムンクルス「…」

剣士「ねぇホム姉ちゃんに命令する」

ホムンクルス「何でしょう?」

剣士「もし僕が量子転移に失敗して戻って来なかった場合…僕が居た事は誰にも話さない事」

ホムンクルス「…」

剣士「それから放射能が無くなったら女オークと一緒に命の泉まで行って例の液体を使う事」

ホムンクルス「…」

剣士「もう一つ…妖精の笛で世界中の人を癒す事」

ホムンクルス「もう戻って来ない事を覚悟しているのですね…」

剣士「賭けだよ…祈りの指輪が僕を守ってくれれば何事も無く戻って来るさ…僕だって皆とさよならなんかしたくない」

ホムンクルス「命令は承知しました…でも…」

剣士「そうだ…もう一つ命令がある…ホム姉ちゃんだけは僕が居た事を覚えて置いて?」

ホムンクルス「え?…大事な記憶として保存しておきます」

剣士「じゃぁ行くね」

401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:33:10.82 ID:ECntfAo70

ホムンクルス「待ってください…」グググ

剣士「ホム姉ちゃんじゃそのツタは振り切れない…余計な体力は使わない方が良いよ」

ホムンクルス「剣士君に謝らなければいけない事が有るのです…」

剣士「ん?何?」

ホムンクルス「私は剣士君を誘導していました…放射能を集めて消し去るのは危険が伴うのを承知で剣士君に知恵を与えたのです…」

剣士「ハハそんな事分かってたさ…どうせ僕はそこに辿り着いたよ」

ホムンクルス「ごめ…」

剣士「ホム姉ちゃんそれ以上言っちゃダメだよ…管理者を守る立場から逸れてしまうでしょ?」

ホムンクルス「…」

剣士「僕が選んだ危険なのさ…何も言わないで見て居てよ」

ホムンクルス「私は女オークさんの命令を遂行する義務があります…ですから止めなければなりません」グググ

剣士「さっさと終わらせて戻って来るからさ…心配しないで?」

ホムンクルス「…」グググ ジタバタ

剣士「姿が見えなくなったらもう探せないよね?行って来るよ…ハイディング」スゥ

ホムンクルス「ぁぁぁ…」


さーて!!どこでやろっかなー

離れてた方が良いだろうから…でっかい建造物の所が良いかな


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402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:40:42.14 ID:ECntfAo70
その夜

世界中に散らばった放射能は

オーロラの様に空を掛け

ある一点に集まり

程なくして消え去った

そして何事も無かったかのように

静寂が残った


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403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:41:13.86 ID:ECntfAo70
『暁の空と海』


ザザー ザザー


ホムンクルス「…」シュン

女戦士「ホムンクルス…こんな所で何故ツタに絡まって居るのだ?」ガサガサ

ホムンクルス「皆さん目を覚まされましたか?」

女戦士「昨夜は皆飲み過ぎた様だ…」

ホムンクルス「そうですか…」

女戦士「今日は特別空が暁色に染まっているな?…空を見て居たのか?」

ホムンクルス「はい…待ち人を待って居ました」

女戦士「待ち人?誰を待って居る?」

ホムンクルス「暁の使徒…」

女戦士「ほう?誰なのだ?」

ホムンクルス「光を運ぶ者の事です」

女戦士「フフ日の出を待って居たのか…そうだな私も待つとしよう」


ドスドス


女オーク「ホムンクルス!あなた起きて居たのね?皆寝てしまって何が起きたのか分からないの」

女戦士「そうだな…何か知らないのか?」

ホムンクルス「皆さんお休みになられて…」ツツーーー

女戦士「涙?」

女オーク「どうしたの?」

ホムンクルス「何でもありません…お気になさらず」

女戦士「ふむ…どうも気になる夜だったが…」

女オーク「あれ?私も…どうして涙が」ポロポロ

ホムンクルス「日の出です…未来が来ました」ツツーー

女オーク「未来…」ポロポロ



ザザー ザザー



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 未来へ…編

   完

404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/28(日) 15:15:43.40 ID:rXZyBWej0
『次元の狭間』


…まさか放射能で祈りの指輪がチリになるとは思わなかった

鉄の体もスポンジの様にグズグズになるなんて…

でも量子転移で集めた放射能を消し去るのは成功した

きっと新しい未来が来る筈…僕もそこに居たかったなぁ…


僕「お〜い!!誰か居ないかい?」

僕「…」

僕「……」トボトボ


パパがどうして記憶を失ったのか理解できる

この何も無い空間で気が遠くなる時間を過ごしていると

遠くなった記憶からどんどん無くなって行く

この空間で量子転移は意味が無い

自力で記憶の向こうに行く事が出来ない

だれか助けて…

405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:16:16.10 ID:rXZyBWej0
『記憶』


僕「あれ?…ここは…」

僕「パパ?…ここどこ?」

僕「魔女?…何処に居るの?」

僕「あれ?記憶が…」

僕「僕何してたんだっけ…」

僕「誰も居ないの?」


---こっち---


僕「誰?」


---目を覚まして---


僕「ホム姉ちゃん?」


---僕だよ---


僕「僕?」


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どうしてこの記憶は何度も見るんだろう…

始めて次元を超えた時だったからなのか…



『声』


未来…

目を覚ませ未来…


僕「ハッ…パパの声!!何処!?見えないよ…何処?」
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:17:19.97 ID:rXZyBWej0

『戦場』


ドガーーーーン パラパラ


剣士「未来…目を覚ませ未来…」

魔女「主はなんちゅう危険な事をするんじゃ…」

剣士「回復魔法を…」フラ

魔女「わらわは今メテオスウォームを使っている最中じゃ…」

剣士「未来…」

魔女「まだ調和しとらぬ…何回次元を入れ替えたのじゃ?」

剣士「一番良い次元を選択した…何回かは覚えて居ない」

魔女「いかんのう…傷が深い」

剣士「うぅぅ…」ダラダラ


子供「うわぁぁぁぁぁ!!ここはどこだ!?」ゾワワワワ


魔女「混乱して居るのぅ…気をしっかり持てぃ!」

子供「僕は今どの次元に居る!!」

魔女「むむ…主は何処から来たのじゃ?」

子供「はぁはぁ…」キョロ

剣士「未来…回復魔法をくれ」シュタタ シュタタ

子供「線虫!癒せ!」ザワザワ ニョロリ

剣士「何!?」

魔女「未来は次元を迷った様じゃ…主は何者じゃ?何故幻術を使い居る?」

子供「僕は未来の次元からこの次元に戻った…」
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:17:47.44 ID:rXZyBWej0

魔女「啓示を見たのじゃな?」

剣士「この魔法は一体…」

子供「パパ!!僕を認めて!!僕と調和すれば僕の記憶は維持される…」

剣士「お前は未来なのか?」

子供「そうだよ!大人になった僕だ…それを認めて」

魔女「剣士や…3体ゴーレムが居る」

剣士「隕石でまとめて倒して」

魔女「わらわの時間が狂って居る…あと何分で落ちて来るか分からんのじゃ」

剣士「目測でなんとかして」シュタタ

魔女「空を見せよ!」

剣士「未来!自分で走れ」

子供「分かった…」ピョン クルクル シュタ

魔女「しかしまぁ量子転移をこうも軽々使うとはのぅ…迷い人まで来る始末…」

剣士「分かってる」

魔女「しかし…時間がどれぐらいズレてしもうたのか…」

子供「星が見える!!尾を引いてる」

魔女「あれじゃな?よし捕らえた…目視じゃで精度が悪い…着弾に備えるのじゃ」

剣士「次は下まで飛び降りる…」

魔女「うむ…それで良い…」

子供「星が近づいて来る!!僕が変性で質量を変える…魔女はそのまま落として」

魔女「なんじゃと!?」

剣士「未来!!飛べ!!」ピョン

子供「変性魔法!」シュン


シュゴーーーーー パパパパパン!! チュドーーーーン

ドガーーーーーーン!! パラパラ
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:18:21.06 ID:rXZyBWej0

『木の洞』


線虫!線虫!線虫!癒せ!ニョロニョロ…


魔女「ぅぅぅ…ちぃと隕石が大きすぎたな」

子供「直ぐに傷が塞がるからもう少し待って…」

剣士「回復魔法は使わないのか?」

子供「老化しちゃうから使わない様にしてる」

魔女「うむその通りじゃな…乱用は控えるべきじゃ…しかし本真に魔術の基礎は出来ておるな」

子供「師匠は魔女だったんだよ…教えは一通り知ってる」

魔女「ううむ…これ如何に…」

子供「始めに言っておく…10年後に人類は絶滅の危機なんだ…これからどんどん人口が減るんだよ」

魔女「剣士や…どうするのじゃ?次元は主が握って居るのじゃぞ?」

子供「僕を認めて?絶滅を防ぎたい…僕の記憶がまだ無事なうちに全部話したい」

魔女「ちぃと怪我が癒えるまで休憩じゃ…話を聞かせよ」

子供「魔王はね…ドリアードの中で復活したアダムを使って沢山の光る隕石を落としてしまうんだ…」


それは今から何日か後に起こる

きっかけは虫の大群…ダイダラボッチがドリアードを襲う時

ドリアードの中に復活したアダムは自衛の為に光る隕石を落とすんだ

その結果放射能という毒が世界中に散らばってしまう

その毒によって人類はあっという間に減って行く…


魔女「ふむ…わらわ達の目的とほぼ一致じゃな…つまり壺の中身を取り返せば良いのじゃろう?」

子供「僕が居た次元では取り返せて居なかった…そもそもそれが悪循環の始まりだとも思う」

剣士「このまま虫を追って北へ向かえば良いのか?」

子供「急いだ方が良い…他にも沢山敵が居るんだ」

魔女「他にもとは?」

子供「ホム姉ちゃんが死んだりアサシンさんの仲間が死んだり色んな事が起こる…その前に止めたい」

剣士「今はまだ魔女を動かせない…落ち着いてゆっくり話せ」

子供「うん…」


カクカク シカジカ

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409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:18:53.10 ID:rXZyBWej0
魔女「黒の同胞の黒幕は公爵じゃと言うか…」

子供「知って居るの?」

魔女「シン・リーンの精霊の像を奉る祭事で何度も見て居るわい…セントラルとのパイプ役じゃ」

子供「公爵は変化の杖を持ってるんだ…多分妖精の笛も持ってる」

魔女「なるほどのぅ…ゴーレムが動いて居るのはそれが理由じゃったか」

子供「公爵を自由にさせてると次から次へと手を変えて来る」

剣士「やる事が煩雑過ぎる…まずは壺の中身の行方を追う」

子供「壺の中身は魔石になってもうドリアードの中だよ」

魔女「んん?ではわらわ達が居って居るのは何じゃ?」

子供「囮なんだよ…魔王を封じた魔石でアダムを復活させるための時間稼ぎなんだ…ゴーレムも時間稼ぎ」

剣士「構わずドリアードを目指せと?」

子供「そうだよ…そこに魔石がある」

魔女「ドリアードの場所は知って居るのか?」

子供「僕一回行った…狭間に隠れてるから虫を使って案内出来る」

魔女「剣士どうするのじゃ?」

剣士「未来を信じて直ぐにドリアードへ向かおう…森を出て飛空艇を呼ぶ」



『1時間後』


ザワザワ ニョロニョロ


子供「命令する…森の中のすべての虫達に伝えて…ドリアードはもう敵じゃない…命を運ぶ仕事に戻って」

魔女「未来や…主は虫使いになったのじゃな?」

子供「そうだよ」

魔女「主の言葉を聞いて関心したのじゃ…虫は命を運ぶ為に居る…それを理解して居る主を見てわらわは嬉しいぞよ?」

子供「気付くのに何十年もかかったさ」

魔女「時空の修行も終えた様じゃな」

子供「うん…だから寝てしまうと今の記憶がどんどん無くなって行くのも知ってるんだ」

魔女「ふむ調和するまで眠らぬ事じゃな…さすれば大事な記憶は残るであろう」

子供「どの記憶が無くなってるのか自分で気付かないのが怖いよ」

魔女「そうじゃろうのぅ…」

剣士「さぁそろそろ森を出よう…魔女!背に乗って休んで」グイ
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:19:18.63 ID:rXZyBWej0
『森の外れ』


シュタタ シュタタ


魔女「…聞こえるか?返事をせい!!」ザザーザザザ

剣士「まだ会話出来ないか…」


”魔女!!”


魔女「おぉ剣士ちと止まれい!!」ザザザ


”何処に居んの?”

”森の外れじゃ…良く分からぬ”

”無事ならまぁ良いや…こっちに向かってんだね?”

”予定変更じゃ…ドリアードとやらに行かねばならぬ…魔王はその中じゃ”

”あーーそれなんだけどさ…魔王はもう居なくなったらしいよ?”

”詳しい話は後じゃ…森の外れを北上する故飛空艇で迎えに来るのじゃ”

”えええ?マジ?どっか場所決めないと見つけんのムリだって”

”では森の外れにハズレ町があったじゃろう…一先ずそこを目指すでなんとか見つけるのじゃ”

”おっけ!!どんくらいで来れる?”

”現在地が分からぬ故何とも言えぬ”

”まぁ良いや…そっち向かうザザザ”

”頼むぞよ”

”ザーーーーザザザ”
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:19:49.11 ID:rXZyBWej0
『星の観測所』


女海賊「…ちっとハズレ村まで迎えに行って来るわ!ローグ!!あんたも一緒に来て」

ローグ「へい…あいやぁ…でも頭を放って置く訳には…」

女海賊「うっさいなぁ…お姉の事は情報屋と商人に任せて置けば良いよ」

情報屋「良いわ?心配しないで行って来て」

アサシン「私達はシャ・バクダ遺跡の方へ避難民誘導を進めておく」

女海賊「おけおけ!戻るときはそっち行くわ」

アサシン「ゴーレムが他にも居るかもしれないからくれぐれも気を付けるのだぞ?」

女海賊「分かってるって!!ローグ!!行くよ」グイ

ローグ「あららら…情報屋さん…頭をお願いしやす」

情報屋「任せて」


412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:20:17.83 ID:rXZyBWej0
『飛空艇の前』


時の王「シルフ!!私を忘れたのか?」

ホムンクルス「私は精霊シルフではありません…手を放して下さい」

時の王「私の目に狂いは無い…200年お前を想い続けて居たのだ」

ホムンクルス「私の名はホムンクルスです」

時の王「何故だ?また記憶を失ったのか?何故私の下へ戻らない?」

ホムンクルス「精霊シルフは200年前に亡くなりました」

時の王「いやお前はシルフに間違いない…その髪…その顔…その声を私は忘れて居ない…思い出してくれ」


タッタッタ


女海賊「はいはい!どいたどいたぁ…」グイ

ホムンクルス「女海賊さん…この方が私に纏わりついて…」

女海賊「ああっ!!時の王のおっさん!!」

時の王「お前は…いつか私の屋敷に来た蒼眼の者…シルフをどうした?」

女海賊「あのさぁホムちゃんは精霊シルフじゃないの!どっか連れて行く気?」

時の王「シルフには私が必要なのだ…私が守る」

女海賊「いやだからさぁ…精霊シルフじゃないって!!ホムちゃんはホムちゃん!!分かる?」

時の王「シルフ…答えてくれ…記憶をどうした?」

ホムンクルス「私は逃げたりしませんので手を放して貰ってもよろしいでしょうか?」

時の王「…」スッ

女海賊「あのさぁ…とりあえず観測所の中でやって貰って良い?ちっと飛空艇で用事あんだよ」

ホムンクルス「女海賊さん…この方は信頼出来るのでしょうか?」

女海賊「ホムちゃん!そのおっさんは悪い人じゃないから観測所に案内してあげて?」

ホムンクルス「はい…わかりました」

ローグ「良いんすか?さらわれたりしやせんかね?」

女海賊「ホムちゃんの言う事ならなんでも聞くよこのおっさんは…ホムちゃん任せるね」

ホムンクルス「では観測所へご案内します…どうぞこちらへ」

時の王「…私の話を聞くと言うのだな?」ズイ

ホムンクルス「中でごゆっくりと…」テクテク

女海賊「ほんじゃローグ乗って!!行くよ!!」ダダ


フワリ フワフワ
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:20:50.36 ID:rXZyBWej0
『森の切れ目上空』


ビョーーーゥ バサバサ


女海賊「どう?見当たんない?」

ローグ「ダメっすねぇ…木の陰に入ってるのは見逃してるかも知れんすねぇ…」

女海賊「てかハイディングで移動してんだから見つかる訳無いよね」

ローグ「もう一隊…貴族のソリの集団が見えるんすがどうしやす?」

女海賊「あん中に混ざってるとは思えないんだよね…どうせハズレ町経由でシャ・バクダ方面行くから一回ハズレ町に降りよっか」

ローグ「もう日が暮れるんでやっぱ町で待ってた方が良さそうでやんすよ」

女海賊「てか宿屋取れんのかなぁ…避難民でごった返してる気がする」

ローグ「盗賊ギルドの伝手を使いやしょう…確かシャ・バクダの宿屋の店主がハズレ町に移動してる筈っす」

女海賊「お?マジで?」

ローグ「アサシンさんが探してるんすよ…ついでなんで連絡して行きやしょう」

女海賊「宿屋の娘も居っかな?私の憧れだったんだよ」

ローグ「一緒だと良いっすね」

女海賊「おけおけ!宿屋行こう宿屋!!」



『ハズレ町_養羊場』


メェェェ メエメエ


ローグ「…ダメっすね宿屋一杯で盗賊ギルドの伝手も使えんかったでやんす」

女海賊「なんだよ!!会うの楽しみにしてたのに…なんでさ!?」

ローグ「例の宿屋の店主なんすが…何日か前にセントラル衛兵に捕らえられたらしいんすよ」

女海賊「罪状は?」

ローグ「誰も知らんらしいっすわ…行方不明でやんす」

女海賊「んぁぁぁぁ…まぁ良いや!寝るのは飛空艇で良いとして…外歩けそう?」

ローグ「あっしら夫婦って言う事で行きやしょうか?衛兵が多いもんで…」

女海賊「はぁ!?あんたじゃ私の旦那に吊り合わ無ぇって!!」

ローグ「じゃ何が良いっすかね…」

女海賊「奴隷に決まってんじゃん!!何言ってんだよスカポンタン!」

ローグ「奴隷を連れまわす美女ってのもなんか怪しくないっすか?」

女海賊「ん?…もっかい言ってみ?」

ローグ「ですから美女が奴隷連れまわすのは変なんでやんすよ…」ニヤリ

女海賊「ふむ…それもそうだ」

ローグ「こういうのはどうっすかね?あっしが奴隷商で奴隷の美女を連れまわしてるって事で…」フフフフ

女海賊「しゃーねぇなぁ…それで行くかぁ」

ローグ「フフフフハハハハ…それじゃ行きやしょうか…決してバレない様に頼んますぜ?」ギラリ

女海賊「何言ってんだよ早く行くよ!!」ダダ
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:21:16.71 ID:rXZyBWej0
『ハズレ町』


ガヤガヤ ヒソヒソ

商隊はここで引き返すんだとよ…

シャ・バクダ方面は大型の魔物が出るから行けるのは軍関係だけらしい

避難民はどこで寝泊まりを…

兵舎の牢を解放してるそうだ…食事の配給もある


衛兵「止まれぇ!!お前等何処から来た?」

ローグ「北の方からっすね…」

衛兵「そっちの女は!?」

ローグ「あっしは奴隷商なんすよ…商品なんでやんす」

衛兵「顔を見せろ」

女海賊「美女の顔見たいの?」ファサ フリフリ ボヨヨーン

衛兵「…なんだこの派手な女は…」

ローグ「いやいやですから貴族相手の商品なもんで」

衛兵「ちぃぃこの大変な時に紛らわしい…それで北の方はどうなって居る」ジロ

ローグ「エルフが何かと戦っている様でやんすよ…巻き込まれそうなんで避難して来たんす」

衛兵「ふむ…避難民は兵舎に入れる事になっているんだがお前は貴族相手にまだ商売したいのか?」

ローグ「そーっすね…食事代も馬鹿にならんので早い所売っちまいたいんすよ」

衛兵「通れ!!騒ぎは起こすな!?」

ローグ「へいへい…」スタ

女海賊「ベロベロバー!!」ベロベロ

ローグ「ちょちょちょ…余計な事せんでくれやんす」グイ

衛兵「奴隷にはしっかり手枷を付けておけ!!早く行け!!」
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:21:45.70 ID:rXZyBWej0
『広場』


オエッ ブモモー ガフガフ


ローグ「ヘラジカのソリで溢れて居やすね…どうしやす?」

女海賊「剣士達探すに決まってんじゃん」

ローグ「探すって言ってもすね…ええと…貝殻通じないんすか?」

女海賊「もしもーーーし!!応答しろこのクソ魔女!!」

ローグ「…」

女海賊「ずっと狭間に入りっ放しだね…とりあえず何か情報集めよっか」

ローグ「あっしらの恰好が貴族じゃ無いもんで酒場とか行き辛いでやんすねぇ…」

女海賊「あんたが奴隷商で美女連れまわしてる設定じゃん?それで良いじゃん」

ローグ「姉さん大人しく出来やすか?ベロベロバーとかちっと勘弁して欲しいっす」

女海賊「うっさいなぁ…美女らしくしてりゃ良いんだろ?オホホホホ…」

ローグ「あいたたたた…あのですね…」


スタスタ


女「捕らえられた2人は?」

男「尻尾が生えているから間違いないかと」

女「やっと白狼の尻尾を掴まえたわね…それで今何処に?」

男「シャ・バクダ砦に移送中だ」

女「依頼は捕獲じゃないの…どうにかして殺すわよ」


ローグ「しぃぃぃぃ…姉さん顔を隠して下せぇ」

女海賊「今の誰?」

ローグ「盗賊ギルドで有名な美人でやんす…姉さん知りやせんかね?女狐のお銀」

女海賊「知らーん…てか今の話さ…白狼の尻尾って何さ」

ローグ「まさか剣士さん達が掴まるなんてことは無いと思うんすが…一応確認はした方が良さそうっすね」

女海賊「シャ・バクダまでソリだと2日掛かんない…追いつけないかも」

ローグ「ちっと待って下せぇ…シャ・バクダ砦はエルフとドラゴンに攻め立てられてて入れやせんぜ?」

女海賊「てことはその手前で止まってる?」

ローグ「その可能性が高そうでやんす…まだこっちにはシャ・バクダの惨状がちゃんと伝わって居ないんすよ」

女海賊「おっし!追いかけるよ」ダダ
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:22:12.62 ID:rXZyBWej0
『町の路地』


タッタッタ


隠者「贄が足りぬ…贄が…」ズルズル

女海賊「あーゴメンゴメン通るよ!!」タッタッタ

ローグ「済まんですー急いでるんで」タッタ

隠者「…」ブツブツ


女海賊「え!?」ビクン

ローグ「どわ!!急に止まらんで下せぇ…」

女海賊「ちょ…あんた…今何って言った?」クルリ

隠者「ふぁひっぃぃぃナハハハハハハ…もじゃもじゃ」ブツブツ

女海賊「あんた誰!?フード脱いで顔見せな!!」チャキリ

ローグ「姉さんマズイっす…人が見てるでやんす」グイ

女海賊「うっさい黙れ!!」ターン

ローグ「あぶっ…」タジ

隠者「私はぁぁぁぁ!!不死身なの…でし!!」ガバ

女海賊「片足の領事…なんで此処に居んの!?あんたが魔王だね!!ぶっ殺す!!」ギリ


ターン ターン ターン


隠者「ぶひゃぁぁぁ…」ドタリ バタバタ

衛兵「お前達!!そこで何をしている!!」ピーーーーーー

ローグ「やばいっす姉さん…ハイディングして逃げやしょう」

女海賊「はぁはぁ…こいつのせいでどんだけ人が苦しんで…」


ダダダ ブン カキーン


ローグ「危無ぇでやんす…」グググ

衛兵「お前達!!民に手を出して只で住むと思うな!?」スチャ

ローグ「ちっと落ち着いて下せぇ…こっちにも色々事情がありやしてね?」ババッ

衛兵「ぐぁ!!砂だと…」

ローグ「姉さん!!逃げやしょう!!」グイ

女海賊「くぅぅ…」ギリリ

ローグ「ハイディング!」スゥ

女海賊「ハイディング!」スゥ

衛兵「ど…どこだ!!何処に行った!!」キョロ


ローグ「姉さん付いて来ていやすね?もうハズレ町で行動出来んでやんす」

女海賊「分かってんよ!!セントラル領じゃどうせお尋ね者だよ!!」

ローグ「とりあえず飛空艇で白狼の尻尾追いやしょう…」

女海賊「分かってるって!!私に指図しないで…ついて来て!!」

ローグ「へい…」ダダダ
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:22:44.05 ID:rXZyBWej0
『飛空艇』


ビョーーーーウ バサバサ


女海賊「ローグ…あんたも見たよね?領事の頭撃ったのにまだ死んで無かった…」

ローグ「姉さんが本当に人を撃つ所を始めて見たでやんすよ…ちっとショックっす」

女海賊「あんたにはアレが人に見えたの?あいつは魔王だよ」

ローグ「ただの隠者に見えたんすが…」

女海賊「そっかあんた領事の顔知らないのか…」

ローグ「話では聞いて居やしたがさっきの隠者で間違い無いんすね?」

女海賊「間違いないよ…頭打たれて死なないっておかしいでしょ!」

ローグ「なんでそんな事になってるんすかね?」

女海賊「私が聞きたいよ!あいつはシン・リーンでブタにされた筈なんだ…なんで此処に居るのか訳分かんない」

ローグ「魔女さんも急所は別の場所に変えてるらしいんすが…」

女海賊「え!?魔女と同じ事やってんの?…でかあいつ魔術師じゃ無いし」

ローグ「黒の同胞団にまだ魔術師が居るって事じゃ無いっすかね?」

女海賊「…本当!しぶとい!!」

ローグ「ほんでどうしやす?ハズレ町にはもう行けやせんし…」

女海賊「とりあえず貝殻の連絡待ち…まず白狼の尻尾を確かめなきゃ」
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:23:14.44 ID:rXZyBWej0
『シャ・バクダ郊外の村』


サクサク サクサク


ローグ「真夜中に村うろつくのマズくないっすか?」

女海賊「どっか隠れる所探して」

ローグ「衛兵は見当たらんので良いんすが…なーんか気味の悪い村でやんす」


ワオーーーーン 


女海賊「ウルフの遠吠え…」

ローグ「割と近い所で吠えてるんで気を付けた方が良いっすね…兎に角建屋に入らんと…」

女海賊「これやっぱ剣士と未来が捕まってるのかも…」

ローグ「2人って言ってやしたよね?魔女さん何処行っちゃったんすか?」

女海賊「魔女は何にでも変身出来るじゃん…なんか上手い事やってるんだって」

ローグ「そんな簡単に掴まるとは思えんのですが…」

女海賊「馬宿発見!…馬居なかったらあの中使える」

ローグ「ちっと見てきやす…」スタタ
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:23:40.87 ID:rXZyBWej0
『馬小屋』


ガッサ ガッサ


女海賊「おっけ!飼葉の中で隠れる」ゴソゴソ

ローグ「寒さ凌げる場所があって良かったでやんす」ゴソゴソ

女海賊「ちっと待って…えーと砂鉄と木炭の粉…ほんで塩と水…」ゴシゴシ

ローグ「爆弾作ってるんすか?」

女海賊「逆!爆弾ばらして懐炉を作ってんの…ほい一個!」ポイ

ローグ「熱っつ!!」

女海賊「その袋を冷まさない様に温めて」ゴシゴシ

ローグ「これ熱いっす…」

女海賊「飼葉かなんかで包めば良いじゃん!頭使えよ!!」

ローグ「ほぇぇぇ…姉さん神っすね…こんな方法で暖が取れるなんて…」

女海賊「あのさ…どうせ褒めるなら女神って言ってくんない?」

ローグ「超女神で良いっすか?」

女海賊「…まぁ良いや…ほんでどうすっかなぁ…このまま朝まで待った方が良さげ?」

ローグ「ヘラジカのソリが一台あったんで多分どっかの建屋に連れて行かれてると思うんすよ…」

女海賊「まぁ動きあるまで待つしか無いかぁ…」

ローグ「あっしが見張ってるんでちっと休んで下せぇ」

女海賊「うんそうする…何かあったら起こして」グゥ スピー


アオーーーーーン ワオーーーーン
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:24:10.79 ID:rXZyBWej0
『翌日』


ザワザワ

またやられたべぇ…これで家畜は全滅だやな

死骸は触るな!焼く必要がある

ほんなワシら何を食えば良いっちゅうんじゃ

ハズレ町で配給がある…移送してやるから一旦避難だ


女海賊「昨夜のウルフの遠吠えはコレかぁ…」

ローグ「いやちっとおかしいでやんす…家畜を食わずに殺してるだけでやんす」

女海賊「ウルフ使って何かやってんのかな…」

ローグ「とりあえず白狼の尻尾って奴を探しやしょう…そんな大きな村じゃ無いんで直ぐに見つかりやす」

女海賊「建屋一つづつ回るつもり?」

ローグ「他に何か方法ありやすか?」

女海賊「例のソリを見張ってりゃ良くね?…どの建屋に出入りしてるとかさぁ」

ローグ「それもそーっすね…下手に嗅ぎまわるよしか自然すね」

女海賊「腹も減ってんのさ…何か売って無いかな」

ローグ「じゃぁ少し歩きやすか」

421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:24:38.79 ID:rXZyBWej0
『村道』


スタスタ


村人「あんたら避難民かね?」

女海賊「まぁね…お腹空いてんだけどさぁ…この村で何か売って無いかな?」

村人「みーんな腹空かせちょるんよ…雪食って凌いどるんやぁ」

ローグ「ヘラジカのソリが一台入って来て居やすよね?何か積んで無いんすかね?」

村人「あれは兵隊さんが乗って来たソリだもんで荷が何なのかわしらは知らんのですわ」

ローグ「兵隊さんは何処行ったか知らんでやんすか?」

村人「村長さんの家じゃ…大きな納屋のある家じゃが兵隊さんが近寄らせてくれんで?」

女海賊「納屋ね…」

村人「あんたそのなりは泥棒かいね?悪い事は言わんで村長さんには関わらん事じゃ」

女海賊「え!?私泥棒に見える?」

村人「そんな派手な格好したおなごは大体泥棒や…村長さんはごっつう悪い人やけ気ぃ付けや」

ローグ「あっしら泥棒じゃ無いんで大丈夫でやんす」

村人「ほうか?ならええ…まぁ村長さんには関わらん様にな?」


--------------


女海賊「悪い人ってどゆ事?」

ローグ「あっしらあんまり他の冒険者と関り持って無いんすが…この辺りは昔エルフ狩りのメッカなんすよ」

女海賊「ほーん…ほんじゃそういう悪党が一杯居る訳ね」

ローグ「ハズレ町も同じっすね…ガチ悪人が仕切ってたでやんす」

女海賊「そういや女エルフもハズレ町で捕らえられてたなぁ…」

ローグ「強烈な麻痺毒と麻薬を使うんすよ…美女は狙われるかも知れんですぜ?」

女海賊「やっば!!私めっちゃ狙われるじゃん」ゴソゴソ ファサ

ローグ「ちっと派手な格好控えて顔も隠しといた方が良いでやんす」

女海賊「どう?こんな感じで…」

ローグ「なんて言うんすかねぇ…染み出てるんすよねぇ…只者じゃ無い感じが…」

女海賊「参ったな…隠し切れない」

ローグ「馬小屋で隠れていて貰えやせんか?あっしが行って調べてきやす」ヌフフフ

女海賊「おっけ!!」
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:25:11.92 ID:rXZyBWej0
『馬小屋』


ギコギコ ポコン!!


女海賊「よしよし穴が開いた…こっから望遠鏡で覗けば…」カチャカチャ

女海賊「くっそ!!あの木邪魔!!」

女海賊「切り倒しに行くと目立っちゃうなぁ…もう!!インドラの銃で燃やせっかなぁ…」ガチャコン

女海賊「燃えろ!!」シュン

女海賊「一発じゃダメか…」ガチャコン

女海賊「もういっちょ!!」シュン

女海賊「ぬぁぁぁぁ…暇だし燃えるまでやるかぁ…」ブツブツ


-------------

-------------

-------------



『村長の家の前』


傭兵「誰だてめぇ…」ギロ

ローグ「あーいやいやシャ・バクダから避難して来たんすがこの村の事何も知らなくてでやんすね…」

傭兵「ここがどういう所だか知らんで来たと言うのか?帰りやがれ…」スラーン

ローグ「あわわわ…済まんです」

傭兵「んん?煙…」

ローグ「ええ!?なんすか?」

傭兵「村の広場で煙が出ている…お前が消して来い」

ローグ「えええええ!?あっしがですか?」

傭兵「錆びになりてぇのか!!?早く行け!!」ブン ブン

ローグ「こりゃ失礼しやしたぁぁ」スタコラ


--------------


ローグ「…」---見つかるとエライ事になりそうでやんす---

ローグ「ハイディング!」スゥ

ローグ「見つからなきゃ良い訳で…こんな三下なんか相手にしないで…」

ローグ「ちゃっちゃと偵察をですね…」スタタ
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:25:46.69 ID:rXZyBWej0
『馬小屋』


ヌフフフフ


女海賊「他に延焼させたくないから切り倒してる…しめしめ」

女海賊「早く切り倒せ!向こうが見えないんだよ」


ドターン バサバサ


女海賊「よしよし…これで向こうまで見える」

女海賊「お!?気球?セントラルの気球だ…誰が乗ってんだろ」

女海賊「…やば…あの女…気球でこっち来たのか」

女海賊「なんか堂々と歩いてんのムカつくなぁあの女…」

女海賊「やっぱ行先は村長の家の方だ…」


”ママ…聞こえる?”


女海賊「ハッ!!未来…」ガサゴソ


”ママ?返事してママ!!”


女海賊「未来?今何処?」

子供「森の外れを走ってる…場所がまだ分からない」

女海賊「捕まって無かったんだね…おけおけ!心配してたのさ」

子供「心配?」

女海賊「こっちの話…ほんでそっちはどんな状況?」

子供「えとね…ママに大事な話があるんだ…ちゃんと聞いてよ」

女海賊「なにさ…」

子供「ホム姉ちゃんを守って欲しいんだ…もうすぐ殺されてしまう」

女海賊「え!!?どゆ事?」

魔女「これ未来…わらわが話す…貝殻を貸すのじゃ」

女海賊「ちょっと話が良く分かんないんだけど…」

魔女「女海賊や…良く聞くのじゃぞ?」


未来はな…10年後の未来から次元を超えてこちらへ来たと言うておる

10年後に人類は絶滅の危機にあるそうじゃ

その原因を今から一つづつ潰し込もうとして居る

その中の一つがホムンクルスの死じゃ…それを主に防いで貰いたいのじゃ
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:26:24.92 ID:rXZyBWej0
子供「魔女!僕の方が詳しく話せる…貝殻貰うよ」

女海賊「今あんた達を迎えに来てるんだけどさ…どうすれば良いの?」

子供「ホム姉ちゃんはシャ・バクダ遺跡の中でママが使ってるデリンジャーで殺されるんだ」

女海賊「マジ!?」

子供「そのデリンジャーを何処かに隠すか破壊するか…」

女海賊「迎えはどうすんのさ」

子供「間に合わないかも知れないから僕達は自力で北上する…ママは一旦遺跡に戻って」

女海賊「んんんん…デリンジャー勿体ないなぁ」

子供「ママが持ち歩かなきゃ良いかも」

女海賊「飛空艇に置いたまま狭間に隠し…だぁぁぁぁシャ・バクダ遺跡周辺は狭間に隠せない」

子供「そこら辺に隠せないの?」

女海賊「あんた回収出来る?今シャ・バクダ郊外の南側にある村だよ…馬小屋の屋根裏なんだけど」

子供「おけおけ…そこら辺なら多分通る筈さ」

女海賊「ほんでデリンジャー持たないでどうする訳?」

子供「遺跡に避難してる難民の中に暗殺者が混ざってるんだ」

女海賊「誰?」

子供「僕は知らない…なんとか探してよ」

女海賊「分かった」

子供「後ね…時の王っていう人からママは祈りの指輪を預かる筈なんだ…それも隠した方が良い」

女海賊「祈りの指輪なんか持ってたのかあのおっさん…」

子供「あと何日後に起こるか分からないんだよ…僕達だと間に合いそうに無いからママにお願いしてる」

女海賊「遺跡に戻る…デリンジャーはちゃんと回収して」

子供「うん…もう大丈夫!ママの眼は千里眼で見たから」


タッタッタ
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:26:51.37 ID:rXZyBWej0

ローグ「姉さん…戻りやしたぜ?」

子供「あ…その声はローグさんだね?」

ローグ「貝殻通じたんすね…今何処でやんすか?」

子供「まだ遠くだよ」

ローグ「そうなんすね…ちっと回復魔法が欲しかったんすが…」

子供「どうして?」

ローグ「エルフが4人捕らえられて居るんすよ…あと盗賊ギルドの仲間2人も居るんすが…」

剣士「未来止まれ…エルフがどうした?」

ローグ「地下牢にエルフ4人とあっしらの仲間が2人捕らえられてて回復魔法が欲しいでやんす」

剣士「分かった…未来!急ぐぞ」

子供「会話ここで終わるね…狭間に入る」


ザザー ザザザ

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426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:27:18.49 ID:rXZyBWej0
『屋根裏』


ローグ「姉さんどうしやす?」

女海賊「捕らえられてる6人はどのくらい消耗してんの?」

ローグ「エルフはみんな足がやられてて走れんですね」

女海賊「あああそういう事ね…それ多分蘇生魔法が必要なやつだ」

ローグ「あと宿屋の店主と娘さんが捕らえられてるんすが衰弱していやすね…」

女海賊「私の飛空艇にエリクサーある」

ローグ「助けに行くんすね?」

女海賊「こっそりエリクサーだけ渡しに行くとか出来そう?」

ローグ「姉さんは注意引いて貰えやすか?その間にあっしがエリクサー飲ませて来やす」

女海賊「おっけ!!今飛んで来た気球を爆弾で吹っ飛ばす」

ローグ「なんで気球なんか…」

女海賊「アレから女狐が降りて来たんだ…なんかムカつくんだよ」

ローグ「マジすか…そらマズイっすね…宿屋の店主と娘さんが殺されちまいやす」

女海賊「女狐だけどうにかなんないの?」

ローグ「あっしは殺しはやらんのですよ」

女海賊「じゃぁ捕まえてグルグル巻きは?」

ローグ「連れ帰ってどういう事情で盗賊ギルド狙ってるのか吐かせやしょうか」

女海賊「出来る?」

ローグ「姉さん睡眠薬持って居やせんか?」

女海賊「ある…」ポイ

ローグ「作戦はこうしやしょう…姉さんが気球を爆破している間にあっしがエリクサーを飲ませてきやす」

ローグ「その後女狐が気球の様子を見に来た所をあっしが眠らせるんで…そのまま連れ帰りやしょう」

女海賊「おっけ!!」

ローグ「じゃぁちっと待ってて下せぇ…エリクサー取って来やす」ダダ
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:27:53.89 ID:rXZyBWej0
『村長の家_納屋』


チュドーーーーン モクモク


傭兵1「なんだ!!?今の爆発音は…」ダダ

傭兵2「やばいな…ドラゴンかも知れ無ぇ」

傭兵1「くそう!地下に隠してんだぞ?ドラゴンに見える訳が無ぇ!!」

傭兵2「とりあえず見に行くぞ」ダダ


ローグ「…」---作戦通り---

ローグ「ハイディング!」スゥ



『地下牢』


ピチョン ポタ


ローグ「リリース!」スゥ

エルフ達「…」ギロリ

ローグ「そう怯えんで下せぇ…エリクサー持って来たんで一口づつ飲むでやんす」クィ

エルフ「お前は何者…」ゴクリ

ローグ「今この牢からは出せないんすが直に助けが来やす…辛抱してて下せぇ」

エルフ「足が動かない…ぅぅぅ」

ローグ「分かってるでやんす…魔術師が来るんで治して貰ってから逃げる感じなんす」

エルフ「そうか…感謝する」

ローグ「もう2〜3日の辛抱なんで耐えて下せぇよ?」

エルフ「北の戦いは今どうなって?」

ローグ「あっしも詳しくは知らんのですが毎晩ドンパチやってるみたいでやんす」

エルフ「そうか…」

ローグ「今は体を癒して下せぇ…じゃぁあっしは行きやす」スタ


--------------
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:28:21.36 ID:rXZyBWej0
ガチャン ガチャン


店主「グルルルル…」

ローグ「こりゃ一体…」タジ

娘「と…盗賊ギルドの者…だな?ぅぅぅ…」

ローグ「あっしでやんすよ…エリクサー持って来やした…飲んで下せぇ」クィ

娘「お前はローグか…」グビ ゴクリ

ローグ「詳しい話は後にしやしょう…これ店主さんに近付いて大丈夫なんすかね?」

娘「エリクサーの瓶を私に…私が父に与える」

ローグ「なんなんすかコレ…麻薬で狂ってるんすか?」

娘「ライカンスロープ症…生きた血肉が必要なんだ…月光を浴びるとウェアウルフになってしまう病気さ」

ローグ「そうだったんすね…」

娘「牢のカギは無いのか?」

ローグ「2〜3日待って下せぇ…助けがきやす」

娘「正気を維持できるか…」

ローグ「不死者はエリクサーを飲むと正気を保てるらしいんすよ…エリクサーに賭けてくだせぇ」

娘「それは本当か?」

ローグ「あっしはそろそろ行くでやんす…次があるんで」

娘「作戦中か…長居させて済まない」

ローグ「じゃ…どうか無事で」スタ
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:29:07.02 ID:rXZyBWej0
『村の広場』


ボゥ メラメラ

火を消すのじゃぁ!!

馬鹿野郎!!雪を被せりゃ済むだろうが


女狐「ど…どうして…」フラ

傭兵「これはドラゴンのブレスでは無いな…荷は何が乗って居た?」

女狐「食料と魔石よ」

傭兵「お前誰かに後を着けられて無いか?」

女狐「ちぃぃやられた…公爵のやつ初めから報酬払う気無かったのね」

傭兵「おいおい下手な事言うもんじゃ無ぇぞ?グハハハ」

女狐「くぅぅ…」ギリ

傭兵「俺は警備に戻る!!精々悔しんでろ」ノッシノッシ

女狐「こうなったら…ハッ!!人影…あの女ね」ダダ


-------------


女海賊「ヤバ…見つかった」スタコラ ピュー

女狐「逃がさないわ!!」ヒュン!グサ

女海賊「痛った!!投げナイフ…」グラ

女狐「フフ麻痺毒よ…あなたは誰!?公爵からの刺客なのでしょう?」


ローグ「リリース!」スゥ


女狐「え?…」

ローグ「バックロロホルム!」ギュゥ

女狐「フガ…ふむむむ」バタバタ
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:29:37.63 ID:rXZyBWej0

ローグ「姉さん!行ける所まで走って下せぇ!」

女狐「…」グターーー

女海賊「なんかヤヴァイ!!腕動かない!!」スタタ

ローグ「エリクサー持って無いんすか?」

女海賊「だから腕が動かないんだって!!」

ローグ「とりあえずハイディングしやしょう…」

女海賊「腕が動かないって言ってんじゃん!!」

ローグ「あっしに抱き着いて下せぇ」ダダ

女海賊「早く言え馬鹿!!」クルリ

ローグ「ハイディング!」スゥ

女海賊「ふぅぅぅ…ヤバい目が回る」クラクラ

ローグ「エリクサー何処に隠してるんすか?」

女海賊「右の脇の辺り」

ローグ「触りやすぜ?…てか出血してるじゃないっすか…」ゴソゴソ

女海賊「全然痛く無いんだけど…」ダラダラ

ローグ「飲んで下せぇ…ちっとこのまま応急処置しやす」クイ

女海賊「むぐっ…ヤバい感じ?」

ローグ「ナイフ抜くの躊躇っちまう感じでやんす…抜きやすぜ?」ズボ ダラダラ

女海賊「痛く無いなぁ」

ローグ「傷が塞がるまで押さえとくんでしばらく動かんで下せぇ」ギュゥゥ

女海賊「寝て良い?なんか気持ち悪い」

ローグ「へい…」ギュゥゥゥ

女海賊「おえっ…」グターー

ローグ「あいやや…麻痺毒怖いっすねぇ…」


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431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:30:13.32 ID:rXZyBWej0
『飛空艇』


ビョーーーーウ バサバサ


女海賊「…」ビクン パチ

ローグ「眼を覚ましやしたね?体おかしく無いっすか?」

女海賊「えーっと…どうなってんだっけ?」

ローグ「姉さんが寝ちまったもんであっしが運んだんすよ…」

女海賊「なんか背中がベタベタ気持ち悪いんだけど」

ローグ「血だらけでやんす」

女海賊「着替えるわ…超キモイし臭い…」ヌギヌギ

ローグ「あっしはこのまま操舵しときやす…」チラリ

女海賊「見たらどうなるか分かってるよね」

ローグ「いやいやまだ見て無いっす」

女海賊「ほんで今何処飛んでんの?」

ローグ「剣士さん達探すんじゃ無いんすか?」

女海賊「予定変わったんだよ…シャ・バクダの遺跡に戻る」

ローグ「えええええ!?そういう事は早く行って欲しいでやんす…反対方向っすよ」

女海賊「なんかホムちゃんが殺されるかも知れないんだってさ」

ローグ「どういう事っすか?」

女海賊「未来がさ…10年後の未来から来たとか言ってんだけど」

ローグ「お!?面白そうな話っすね…」

女海賊「10年後に人類絶滅すんだってさ…ヤバくね?」

ローグ「詳しく聞かせて下せぇ」

女海賊「話はこうだよ…」


カクカク シカジカ

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ローグ「難民に暗殺者が紛れてる…ほんでホムンクルスさんをピンポイントで暗殺…」

女海賊「それを防ぎたいらしいよ」

ローグ「なんでまたホムンクルスさんを狙ってるんすかね?目立った事はしていない筈なんすが…」

女海賊「誰だろ?暗殺者送って来るなんて…」

ローグ「女狐のお銀を問い詰めやしょう」

女海賊「そんな簡単に口割る?」

ローグ「んんん…魔女さんの幻惑の杖でどうすか?」

女海賊「なるなる…それなら行けそう」
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:30:41.36 ID:rXZyBWej0
『森の外れ』


シュタタ シュタタ


子供「ソリの跡だ…」

剣士「もうすぐハズレ町の筈…魔女!やっと休めるよ」

魔女「腰が痛くて敵わん…」

剣士「ごめん…揺らし過ぎたね」

魔女「ちと食事もしたいのじゃ…主らと違ってどんぐりでは力が出ぬ」

子供「見えた!!食べ物の匂いもする」クンクン

剣士「少し汚れを落としてから行こう」



『ハズレ町』


ガヤガヤ ザワザワ

避難民は兵舎から出ない様に!!

貴族様から食料の配布だ!!お辞儀を忘れるなぁ!?


衛兵「お前達!!何処から来た?」

魔女「森から逃げて来たのじゃ…水は無いか?」

衛兵「森だと?森に住んで居たのか?」

剣士「あ…あぁ…まぁそんな所だよ」

衛兵「お前がこの子供たちの保護者だな?…ウルフも居るのか」タジ

剣士「ハハ…まぁそうなるかな?」

子供「パパ大丈夫?」

衛兵「ううむ…まぁ良い…しかし随分汚れているな」

魔女「汚れを落としたいで水が欲しい…雪ではなかなか落ちんでのぅ」

衛兵「兵舎に行けば水ぐらいは貰えるがしかし…ひどい匂いだな」

剣士「虫の毒を浴びているかもしれない…早く落としたい」

衛兵「…仕方あるまい…付いて来い」スタ
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:31:15.67 ID:rXZyBWej0
『兵舎』


ジャブジャブ バシャー


子供「ぅぅぅさぶい…」ガチガチ

魔女「大人しゅうしておれ」ゴシゴシ

衛兵「衣類は焚火で乾かすのだ…しかしお前達…随分良い装備だがこれをどうした?」

剣士「冒険者なんだよ」

衛兵「子連れで森を冒険だと?」

剣士「おかしいかい?」

衛兵「三角帽子の子供…もしやシン・リーンの魔術師か?」

魔女「…だとしたら何じゃ?」ギロ

衛兵「子供に姿を変えて…」

魔女「うるさい衛兵じゃのぅ…」

衛兵「いや実は避難民に黒死病が蔓延しているのだ…何とか出来ないかと」

子供「出来るよ」

魔女「これ未来!目立つ真似はイカン」

子供「こっそり線虫を使うだけさ」

魔女「ふうむ…」

子供「取引しよっか…食事をくれるなら黒死病を直すよ」

衛兵「おぉ!!丁度貴族様から食料の配布があるのだ…急ぎで持ってくる」

子供「おけおけ!こっそり魔法を掛けておくからお願い」

衛兵「焚火で温まって居てくれ…」スタ

魔女「…では未来!!手並み拝見じゃ…」

子供「線虫!来い…君達の食事だよ?毒を食べて皆を癒して来て」ザワザワ ニョロニョロ

魔女「ほほー…虫も喜ばせるとはのぅ…」

子供「僕が一番大事にしてる魔法なんだ」

魔女「良い心掛けじゃ…その術は自由に使って良い…そして極めよ」

子供「ねぇ魔女?魔術書貸してくれないかな?確認したい事が有るんだ」

魔女「ふむ…無くした記憶を探りたいのじゃな?」バサ

子供「うん…」

魔女「どうじゃ?読めそうかえ?」

子供「…だめだ文字が読めなくなってる」

魔女「そうか…記憶が無ぅなるのは悲しいのぅ」

子供「忘れないうちに何かに書き残そうと思ってたんだけどもう無理だ」

魔女「文字はこれから学べば良い…大事な記憶だけしっかり自分の物にせい」



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434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:31:42.34 ID:rXZyBWej0
タッタッタ

衛兵「食事を持ってきたぞ…パンとチーズ…それから豚の骨だ…ウルフに与えてやるのだ」

魔女「おぉ!!主は気が利くのぅ…ウルフにも気を使えるのじゃな」

子供「魔法は掛け終わったよ」

衛兵「そうか…魔術師が来ている事は秘密にしていた方が良いのか?」

魔女「いつ魔女狩りに合うか分からんでのぅ…」モグモグ

衛兵「言葉も無い…」

子供「ねぇこの町って市場ある?」

衛兵「在るには在るが金が無ければ何も買えんぞ?」

子供「パパお金持って無い?」

剣士「何が欲しいんだ?」

子供「どんぐりと種だよ」

衛兵「種?ハハハ…それなら安く売って居る」

魔女「わらわが金貨を持って居るぞ?」

子供「僕買い物してくるからさ…パパと魔女は休んでて?」

剣士「一人で行けるのか?」

子供「大丈夫だよ」

衛兵「俺が市場まで案内してやる…見回りで行く用事もあるのだ」

子供「魔女!金貨1枚頂戴!!触媒も在ったら買って来るよ」

魔女「ほぅ?わらわはちと眠るで頼もうかのぅ…」チャリン

子供「ありがと!!じゃぁ行って来るよ」スック

衛兵「こっちだ…付いて来い」スタ


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435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:32:15.11 ID:rXZyBWej0
魔女「さて剣士…未来はあのままで良いのか?」

剣士「少し考えたんだ…未来の進む道はこの向こうに在るのかも知れない」

魔女「この次元と交差しておると言うか?」

剣士「そんな気がする」

魔女「予言を見たのではなく未来から来たとはのぅ…」

剣士「夢幻から来たんだよ…みんな同じさ…覚えてるか覚えていないかの差だよ」

魔女「いかんな…時空の成り立ちをもう一度見直さねばならぬ」

剣士「未来の言う事に従ってみるさ…それで世界が良い方へ転ぶなら…本当の勇者は未来だという事になる」

魔女「ふむ…」

剣士「未来の行動が楽しみだよ…何が在っても僕が守る」

436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:32:44.07 ID:rXZyBWej0
『数時間後_夜』


メラメラ パチ


子供「…遅いなぁ」イライラ

ウルフ「クゥ〜ン」


スゥ…


魔女「おぉ未来!帰って居ったか」

子供「十分寝た?」

魔女「そうじゃな…何日振りで休んだのじゃろうのぅ…」

子供「あれから2時間くらいかな…狭間の中だと10時間くらい寝た感じだね?」

魔女「うむ…剣士はまだ瞑想中じゃ…もうちっと掛かるじゃろう」

子供「触媒買ってきたよ…」ドサ

魔女「少ないのぅ…」

子供「沢山売って無いのさ…硫黄なんか何処にも売って無かった」

魔女「女海賊の飛空艇に沢山積んで在ったで一度取りに戻りたいのぅ…」

子供「森で使い過ぎちゃったね…補給も出来なかったし」

魔女「主はエレメンタルは使わんのか?」

子供「得意じゃない…変性と幻術だよ」

魔女「どの様に魔物と戦うのじゃ?」

子供「僕は破壊術で戦わないんだ…成長魔法で戦う」

魔女「如何に?」

子供「魔物にどんぐりを撃ち込んで成長させる」

魔女「クヌギの木にすると言うか?」

子供「そうだよ…それで魔物は干からびる」

魔女「なるほどのぅ…生かす魔法か…ふむそれも良いのぅ」


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437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:33:10.95 ID:rXZyBWej0
スゥ…


剣士「…待たせた」

子供「重力の方陣はこんな感じだよ…」カキカキ

魔女「もっと正確に書けんのか」

子供「覚えてるだけだとここまでしか分からない」

魔女「むぅぅ…覚えてる限りすべて記せ」

剣士「何をしている?」

魔女「おぉ剣士!未来が古代魔術の魔方陣を知って居るのだ」

子供「パパ遅いよ!!」プン

魔女「これ未来!魔方陣を記せ」

子供「もう覚えて無いって!オークがこの方陣の呪符を持ってるから貰えば良い」

剣士「オーク?」

子供「うん…オークシャーマンが使う呪術は魔女が研究してる古代魔術なんだ」

魔女「わらわはオークの地へ行かねばならん様じゃ」

子供「それは後でだよ!早くドリアードの所に行ってアダムを停止させないと…」

剣士「未来…ずっと寝て居ないけど大丈夫か?」

子供「眠ってる暇なんか無い…早く行こうよパパ」

剣士「フフそうか…魔女は休息したね?」

魔女「うむ…」

剣士「行こうか…未来がヘソを曲げてしまう」

子供「ここからシャ・バクダまで狭間に入って急げば日が昇る前にエルフ達を助けられる」

剣士「そうだな…急ごう…魔女乗って」グイ


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438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:33:43.24 ID:rXZyBWej0
『シャ・バクダ郊外の村』


シュタタ シュタタ


子供「…この村で間違い無いよ」

剣士「エルフが捕らえられて居るのは何処だか分かるか?」

子供「高台の納屋のある家さ」

剣士「動く人の気配がある…」クンクン

魔女「何人か分かるかえ?」

剣士「2人…」

魔女「わらわが睡眠魔法で眠らせるで死角から近づくのじゃ…」

子供「パパ?僕は馬小屋探してママの荷物回収してくる」

剣士「分かった…パパの後を追えるな?」

子供「大丈夫!」

剣士「魔女!行くよ…掴まって!」シュタタ

子供「子ウルフは僕に付いて来て!」シュタタ
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:34:12.48 ID:rXZyBWej0
『村長の家の前』


ヒソヒソ


シャ・バクダ砦の方は静かになったな?ドラゴンは引き上げたか…

あんな遠くから此処が見えるとは思えんのだがどう思うよ?

いいや…見えているらしいぞ?

しかしまぁいつまで続くんだろうな?エルフとドラゴンの攻撃は

砦が粘ってるんだろうが此処もそろそろ危無ぇ…潮時だとは思うんだが…



カサカサ


傭兵1「んん?又ウルフが来たか?」スラーン

傭兵2「グハハ俺ら相手じゃウルフなんざ何匹来ても敵いっこ無ぇ!…何処だ?」

傭兵1「この甘い匂いはなんだ?」クンクン

傭兵2「やべぇ…こりゃ何かの魔法だ!!」

傭兵1「おい女が歩いて来るぞ?」フラ

傭兵2「女?村長じゃ無いのか?」フラ


ノソノソ


魔女「既に術に掛かって居るで大丈夫じゃぞ?」

剣士「エルフ達も眠ってしまったのでは?」

魔女「恐らく一緒に術に掛かって居るが起こせば良い話じゃ…地下牢を探すぞよ」ノソ

剣士「納屋を探そう…」スタ
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:34:39.36 ID:rXZyBWej0
『地下牢』


ピチョン ポタ


剣士「居た!!」スタタ

魔女「慌てるで無い…まだ時間はある故牢のカギを開けるのが先じゃ」

剣士「鍵…」キョロ

魔女「牢の見張りじゃろう…寝転がっておる」

剣士「どこだ?」ゴソゴソ

魔女「あまり揺らして起こすで無いぞ?」


見張り「すぅ…すぅ…」ムニャ


剣士「有った!!」チャラ

魔女「牢を一つづつ開けて行くのじゃ…ふむ聞いた通りエルフの足は蘇生が必要じゃな」

剣士「起こそうか?」カチャ ギー

魔女「驚かせん様にな?騒ぐと皆起きてしまうやも知れぬ…蘇生魔法!回復魔法!」ボワー

剣士「あれ?…寝てる訳じゃ無い…瞑想だ」

魔女「これ!次の牢も開けよ…起こすのは後で良い」ノソノソ

剣士「…そうだね」カチャ ギー


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441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:35:18.74 ID:rXZyBWej0
『傷んだ牢屋』


カチャリ ギー


剣士「…この2人…どこかで見たことがある」

魔女「ローグが言うて居った盗賊ギルドの仲間じゃな…わらわも見た事有るのぅ…誰じゃったか」

剣士「どうしてこの牢屋だけこんなに傷んでるんだろう…」

魔女「暴れたのでは無いか?回復魔法!」ボワー

剣士「この2人…」クンクン

魔女「どうしたのじゃ?」

剣士「懐かしい匂いがする…誰だ?」

魔女「驚かさん様に起こしても良いぞ?」


ガチャン


剣士「マズイ…入り口の鍵が掛かる音だ」

女の声「フッフッフ…掛かったな白狼の一味」

剣士「罠だったのか!?」

女の声「そうとも白狼の尻尾を餌にお前達を釣ってみたのだ…まんまと罠に掛かって片腹痛い」

魔女「誰じゃ?姿を現せい!」

女の声「おやおや塔の魔女も一味だったとは通りで手こずった訳だ」

剣士「魔女…ハイディングの準備を」

女の声「無駄な抵抗だ白狼どもよ…お前達は既に牢の中だと知れ」

魔女「何故主だけ眠らぬのじゃ?」

女の声「時の王がどうやって過ごしていたのか忘れたのか?」

魔女「ハッ!!しもうた!!魔結界…」

女の声「ハッハッハッハ…さてこれで私を邪魔する者は居なくなった」

魔女「わらわ達を捕らえてどうするつもりじゃ!?」

女の声「私の同胞達の無念を晴らす」
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