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勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の続編の続編

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242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:32:14.64 ID:KbfSVIxh0
『ローグの屋敷』


リリース!


盗賊「戻ったぜ?」

ローグ「早かったっすねぇ…どうでした?」

盗賊「屋敷に公爵らしき人物と数名人が居る…ラットマンリーダは見当たらんかったんだが…」

ローグ「公爵は口ひげを生やしてるんすが…」

盗賊「おぉ…なら間違い無さそうだ」

ローグ「実はっすね…書簡を確認したんすが公爵はあっしに用があるみたいでやんすよ…ちっと本人かどうか確認してきやす」

盗賊「ほう?何の用か分からんのか?」

ローグ「海賊王の娘を引き渡して欲しいみたいっす」

盗賊「ぶはは…売っちまえ!!」

ローグ「いやいや偽物に気付かん程無能じゃ無い筈なんすよ」

盗賊「見た目じゃ見分け付かんだろ?」

ローグ「なーんか裏があると思うんすよね…」

盗賊「ふむ…俺は今から屋敷の見取り図書こうと思ってた所だ…丁度良い俺も同行する」

ローグ「え!?ダメっすよ…2人居るとまともな話にならんです」

盗賊「俺はハイディングしながら屋敷の内部を見たいだけだ」

ローグ「姿現さんで下せぇ…良いっすね?」

盗賊「分かってる…ローグは出来るだけ屋敷の中を案内してもらえる様に動け」

ローグ「ふむふむ…海賊王の娘と交換条件で欲しい物物色させてもらうって言う手もありやすね…」

盗賊「おぉ良いじゃ無ぇか」

ローグ「物が無くなったらあっしが疑われるんすけどねぇ…」

盗賊「そこは白狼の盗賊団のせいにしちまえば良い」

ローグ「まぁ行ってみやすか!!」

盗賊「俺ぁハイディングしながら物陰に居るから好きにヤレ」

ローグ「わかりやした…じゃぁ行きやしょう」スタ
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:32:48.99 ID:KbfSVIxh0
『公爵の屋敷_門』


門番「公爵様は誰ともお会いにならん!立ち去れぃ」

ローグ「この書簡を見て下せぇ…あっしの方が急ぎで呼ばれてるんす」パサ

門番「ん?豪族の頭取…」ジロ

ローグ「あっしの顔に見覚えありやすよね?」

門番「ふむ…公爵様は屋敷でお休みだ…失礼の無いようにな?」

ローグ「分かってるでやんす…通りやすぜ?」スタ


ガラガラ ガシャーン


ローグ「誰か案内してくれんのですかね?」

門番「扉をノックして執事を待て」

ローグ「あぁそういう事っすね…失礼しやした」スタスタ



『公爵の屋敷』


トントン


ローグ「どなたか出て来やせんか?お客さんがきやしたぜ?」

執事「何用で?」ヒョコ

ローグ「おわ!!…なんちゅー所から顔出すんすか…ビックリしやしたぜ」

執事「執事になって間が無いので勝手が分からなくて…」

ローグ「なんか執事というかメイドさんっすか?」

執事「はい…つい先日までメイドをしていました」

ローグ「じゃ掃除中だったんすね?」

執事「ご用件をお伺い致しますが?」

ローグ「この書簡を見て下せぇ…あっしは呼ばれてる立場なんすよ」パサ

執事「ふむふむ…扉を開けますのでしばらくお待ちを…」

ローグ「なーんか変な執事でやんす…」

執事「聞こえていますよ?」ガチャリ

ローグ「そらすまんかったっす…ほんで入って良いっすか?」

執事「どうぞ…ご案内致します」
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:34:06.63 ID:KbfSVIxh0
『公爵の居間』


トントン


執事「失礼します…お客様をお連れしました」

公爵「誰だ?もう日が落ちていると言うのに…」

ローグ「豪族の頭取でやんす…書簡を見て急ぎで駆け付けたんすが…」

公爵「書簡?…あぁ何の件だったか…」

ローグ「…」

公爵「そうそう取引だったか…済まんが執事に任せて居てな」

ローグ「…」---この男---

執事「相場表をお持ちしましょうか?」

ローグ「ええと…海賊王の娘に相場があるんすかね?」

公爵「!!?あぁ忘れていた…その件か…執事此処へ」

執事「はい…」スタ

公爵「少し待って欲しい…」ヒソヒソ

執事「はい…はい…」ヒソヒソ

ローグ「あのですね…海賊王の娘を引き渡して欲しいという事が書いてあるんすが…どういう事なんすか?」

公爵「えーーーオホン!!あいにく現金の手配が出来ていないのだ」

ローグ「いや現金じゃなくても良いんすがね?それよりも何故引き渡して欲しいかの方が重要でして」

公爵「やはり理由無しで取引は出来ない…では引き取り願おう」

ローグ「ちっとそら失礼じゃ無いっすか?わざわざあっしを呼ぶからには理由がありやすよね?」

公爵「これは失礼…捕らえた経緯を詳しく知りたかったのだ」

ローグ「だからそれはなんでか聞いてるんすよ…取引なんすよね?」

公爵「一緒に捕らえた白狼の一味は…仲間の行方を聞いても知らぬ存ぜぬ」

ローグ「な〜るほど…ほんであっしが何か知って居ると踏んでる訳っすね?」

公爵「只今は現金が用意できない…取引は機を待ってという事で如何か?」

ローグ「あっしは現金じゃなくても良いんすよ…何か他に無いんすか?」

公爵「私はそれほど裕福では無い事は知って居るな?他には爵位の譲渡を融通するくらいしか…」

ローグ「屋敷をちっと見させて貰って良いっすか?」

公爵「大した物は無いのだが…」

執事「ご案内致しましょうか?魔石の保管状態をお見せするくらいなら…」

ローグ「それで構わんす…あっしは取引が嫌な訳じゃ無いんすよ…あっしの利になるかどうかっすね」

公爵「執事…案内した後丁重にお見送りをしてくれ」

執事「かしこまりました…」ペコリ

ローグ「じゃぁお願いしやす…」
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:34:41.56 ID:KbfSVIxh0
『廊下』


スタスタ


執事「こちらが応接間…客室…食堂…備品保管庫」

ローグ「外から見たら大きな屋敷なんすが意外とこじんまりなんすねぇ…」

執事「石造りな物ですから…続いて地下に公爵様の書斎と魔石の保管庫が御座います…どうぞこちらへ」スタ

ローグ「年代物の美術品がそこそこありやすねぇ…」スタスタ

執事「美術品に興味がおありで?」

ローグ「現金よりも取引がラクじゃないすか」

執事「気に入った物があればおっしゃって下さい」

ローグ「あっしは書物にも興味ありやすぜ?」

執事「どうぞご覧ください…歴史書ばかりの様ですが」

ローグ「こりゃまた沢山集めたんすね…」パラパラ

執事「そして魔石の保管状況がこちら…」

ローグ「うは…」

執事「如何でしょう?取引の参考になりましたでしょうか?」

ローグ「公爵は裕福じゃないと言ってたのはウソっすね」

執事「この魔石は既に売約済ですので保管してあるだけになります」

ローグ「参考になりやした…次の取引の機会を待って居るでやんす」

執事「では門までご案内致します」スタ


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246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:35:26.33 ID:KbfSVIxh0
『ローグの屋敷』


リリース!


盗賊「ふぅ…中々良い仕事するじゃ無ぇか!!」

ローグ「盗賊さんは会話聞いて無いっすよね?」

盗賊「あぁ…どうだったんだ?」

ローグ「公爵は偽物でやんす…見た感じ本人なんすが良く仕込んだ影武者っすね」

盗賊「…で事はお前もずっと騙されてたかも知れんな」

ローグ「へい…あまり表に顔を出さないってのは間違っているかも知れやせん」

盗賊「今居ないって事はやっぱりフィン・イッシュに行ってるのかもな?」

ローグ「そーっすね…」

盗賊「まぁそれは置いといて…屋敷の中にどうやら冒険の書は無さそうだな?」

ローグ「あっしも色々見たんすがアーティファクトらしき物も見つかりやせんでした」

盗賊「こら収穫無しで戻る覚悟も必要だな」

ローグ「気付いたんすが屋敷の間取りがやっぱおかしいっす」

盗賊「おぉ!俺もそう思った…ちっと待て見取り図を書く」


カキカキ

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247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:36:03.86 ID:KbfSVIxh0
ローグ「こりゃ中庭でやんすか?」

盗賊「いや…屋根に穴は開いて無ぇから多分縦穴だ」

ローグ「縦穴…」

盗賊「ゴミをその縦穴に放り込む訳よ…行き先は下水」

ローグ「じゃぁ下水に降りる隠し部屋があるんすね?」

盗賊「俺の予想だとやっぱ地下の書斎があやしい」

ローグ「そういえば公爵は時の王の派閥…その当時特殊生物兵器部隊が下水に基地を作って居やしたね」

盗賊「それだな…多分そこに繋がってんだ」

ローグ「下水は姉さんが爆破したでやんすよ」

盗賊「全部吹っ飛んだ訳じゃあるまい?どっかに残ってんだよ」

ローグ「貧民街から下水を探すんじゃ時間掛かりそうっすね」

盗賊「うむ…公爵の屋敷から直接降りた方が手っ取り早い…やっぱ明日の夜だな」


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248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:37:15.41 ID:KbfSVIxh0
『夜中』


ガチャリ バタン


剣士「戻ったよ…ふぅ」

盗賊「えらく遅かったじゃ無ぇか…何してたんだよ」

剣士「線虫を使って来たんだ…みんな流行り病に侵されてるみたいだから」

盗賊「なんだそういう事か…心配して損したぜ」

剣士「盗賊さんは体に異常ない?」

盗賊「無ぇな…ヌハハ年取ったせいかアザが中々治らん位だ」

剣士「…そっか」

盗賊「浮か無ぇ顔してるな?」

剣士「はっきり言うよ…盗賊さんも流行り病に侵されてるよ」

盗賊「俺ぁもうどうでも良い…十分生きたしな?」

剣士「そう言うと思った…でもね?一応線虫しておく…線虫!」ニョロリ

盗賊「効果あるんか?」

剣士「どのくらい寿命が延びるかは知らないよ…アザの治りが早くなればそれで良いさ」

盗賊「なんで治り難いんだ?」

剣士「血が固まり難いんだと思うよ…それから新陳代謝の低下かな?」

盗賊「昔みたいには体も動かんし…まぁ無理はし無ぇから」

剣士「出血は避けた方が良いかもね」

盗賊「ところで…公爵の屋敷に行って来たんだが明日の夜に行動する事にした」

剣士「その地図は?」

盗賊「これは下水のおおまかな地図だ…どうやら公爵の屋敷は下水に繋がっててな」

剣士「じゃぁ目標は下水にあるんだ」

盗賊「俺の勘だと間違いない…多分この区画の何処かにある…お前鼻が利くよな?」

剣士「まぁね」

盗賊「最終的にはお前の鼻に頼るかも知れん…しっかり鼻洗っとけ」

剣士「実は女オークも鼻が利くんだよ?」

盗賊「おぉ!そうだったのか…頼りになるなそれは」

剣士「そうそう…レストランで妙な噂を聞いたよ」

盗賊「何だ?」

剣士「殿下が帰って来たって…誰の事か分かる?」

盗賊「殿下…王族の誰かなんだろうがそれだけじゃ分からん」

剣士「その噂で持ちきりなんだ…貴族院の招集がどうのこうのってさ…ローグさんも呼ばれるかもね」

ローグ「あっしは貴族じゃ無ぇす…豪族なんで関係無いすね」

盗賊「今貴族で力持ってる奴なんか居ないんだろ?」

ローグ「あっしの知る限り公爵ぐらいのもんす」

盗賊「まぁ貴族院がゴタつくって事は王族のそれなりの地位の奴が戻って来た…ぐらいしか思い浮かばんな」

ローグ「あんまり気にする事も無いんじゃ無いすかね?」

剣士「そっか…その程度なんだ」
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:38:18.67 ID:KbfSVIxh0
『翌日_貴族居住区』


ヒソヒソ ヒソヒソ

侯爵殿と子爵殿が異議を唱えておってな…

議会が荒れるのは間違いない

新たに特権階級を設定するという話も出ている

公爵殿が囲い込みをしているのがそもそもの…


盗賊「こう人が多くちゃやり辛い…どうだ?水路から下は見えんか?」

剣士「一応見えるけどここから登って来るのは厳しいと思うな…」

盗賊「じゃ次行くぞ…こっちだ」タッタッタ

剣士「高さがあるのは何処も同じじゃ無いかな?」

盗賊「う〜む…やっぱ下水に降りて見んと抜け道探すのは無理か…」

剣士「水が流れて行ってるんだから必ず海には繋がってるよね」

盗賊「まぁそうなんだが…冷たい海なんか泳ぎたく無いだろ」

剣士「そっか…次探そうか」

盗賊「まぁ逃げ道を準備しておくに越した事は無いんだ…行くぞ」タッタ



『夕方_ローグの屋敷』


ガチャリ バタン


ローグ「盗賊さん戻ってきやしたね?ちっとマズイ事になってるっす…」

盗賊「どうした?」

ローグ「公爵の屋敷で貴族院の議会をやってるんすよ…今は人が沢山居るっす」

盗賊「なぬ!?」

ローグ「どうしやしょうかね?折角白狼のローブも用意したんすが…」ファサ

剣士「イイね似合ってる」

盗賊「注意がそっちに行ってるのはチャンスかも知れん…どうせハイディングで例の地下室まで直行だ」

ローグ「じゃぁ予定通りっすね?」

盗賊「只元来た道を帰るのは止めた方が良かろう」

剣士「ハハ水路にロープ設置しておいて良かったね」

盗賊「うむ…」

剣士「まぁ何か有ってもどうせ僕が睡眠魔法使うから大丈夫だよ」

ローグ「目を覚ました後にどうして寝てたんだ?って事になりやすんで乱用出来んです」

剣士「最後の手段さ…気楽に行こうよ」

盗賊「ようし!!日が落ちて暗くなり始めたら作戦開始だ…今の内に体温めておけ」

剣士「おけおけ!!女オークも白狼のローブ纏って?」

女オーク「…」ファサ


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250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:40:00.56 ID:KbfSVIxh0
『黄昏時』


スタスタ シュタ


盗賊「水場の窓が開いたままだ…あそこから入るぞ」

盗賊「侵入したらそのまま地下室へ降りるから付いて来い」

剣士「おっけ!」

盗賊「じゃぁ行くぞ!ハイディング!」スゥ


ハイディング!


盗賊「迷って無いな?」

剣士「大丈夫…みんな居る」

盗賊「来い!!」スタタ




『公爵の屋敷_地下室の扉』


リリース!


盗賊「よしローグ…後方を見張ってろ…鍵開けをする」ヒソ

ローグ「あいさー」ヒソ

盗賊「ん?開いてるな…中に誰か居そうだ」

剣士「1人かな…女の匂いだよ」クンクン

ローグ「変な執事っすね…悪い人じゃ無さそうなんで乱暴はしたくないっす」

盗賊「剣士!眠らせられるか?」

剣士「おけおけ…」

盗賊「騒ぐ前に頼む…開けるぞ?」


ガチャリ ギー


執事「ん?どなたですか?ここは立ち入り禁止と連絡して…」

剣士「睡眠魔法!」モクモク

執事「いま…すぅ…」フラ フラ

盗賊「入れ…鍵かける」カチャリ

ローグ「この執事さん横にして置きやすぜ?」ヨッコラ

剣士「あああ触ると起きる…」

執事「どなたですかぁぁぁ?」ムニャ
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:40:50.31 ID:KbfSVIxh0
ローグ「あわわ…」

盗賊「放って置け!隠し通路探すぞ…」スタ

ローグ「すんません」

盗賊「本棚の反対側の壁を良く調べてみてくれ」

剣士「う〜んおかしい所は無さそうだなぁ…」

女オーク「この執事さんは何か知らないの?」

剣士「お?なんだ…聞けば良いね」

盗賊「そんな事が出来るのか?」

剣士「睡眠魔法は幻術だよ…ねぇ執事さんこの部屋の隠し通路の場所教えて」

執事「隠し通路は御座いません…」スヤ

盗賊「なぬ!?」

剣士「困ったな…宛が違ったみたいだ」

盗賊「ゴミを何処に捨てるのか聞いてみてくれ」

剣士「ゴミ?…ええと執事さんこの部屋のゴミは何処に捨てるのかな?」

執事「書斎の壁にゴミ捨ての口が御座います…」

盗賊「よっし!!この壁だな…あった!!ここだ」

剣士「穴が小さいな…」

盗賊「いや…積んでる石壁が外れる…間違い無ぇここだ」ゴトリ

ローグ「下見えやすか?」

盗賊「見えんが…梯子がある…俺が先に降りるからローグは最後に外した石壁を元に戻してくれ」

ローグ「分かりやした」

盗賊「剣士と女オークは俺に続け…降りるぞ」スタ
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:41:32.02 ID:KbfSVIxh0
『下水』


ザザー ザブザブ


盗賊「足元に水が流れてるから気を付けろ…」

剣士「照明魔法居る?」

盗賊「お前の刀を少し抜く程度で十分な明かりになる」

剣士「なるほど…」スラリ

ローグ「石壁を元に戻して置きやしたぜ?」

盗賊「これで追っては来ない…ゆっくり目標を探せるってもんだ」

剣士「僕が光持ってるから先頭かな?」

盗賊「そうだな…とりあえず一本道だ進んでみよう」


ペチャ ペチャ


盗賊「ん?」

剣士「ラットマンの匂いだ…」

盗賊「なんだ敵が居るんか…」

剣士「あれ?共食いかなぁ…ラットマンの死体を漁ってるよ」

盗賊「俺の飛び道具はデカイ音が出るんだ…ローグ何か持って無いか?」

ローグ「いやいやあっしはダガーしか持っていやせん」

女オーク「私が倒すから先へ進んで…」スラーン

剣士「ちょっと待ってよ?睡眠魔法!」モクモク


ラットマン「!!?」ドタリ グゥ


女オーク「ふん!」ブン ザクリ

剣士「よし行こうか…」
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:43:53.28 ID:KbfSVIxh0
『段差』


ザザー


剣士「広い所に出た…どうする?下に降りる?」

盗賊「こっから降りると貧民街に繋がる下水だな…しまった逆方向だ」

剣士「なんだ戻ろう」

盗賊「うむ…方角がまた変な方向になるんだがなぁ…」

剣士「ねぇさっきからちょいちょいラットマンの死体があるけどさ…ここ誰か入って来てるよね」

女オーク「鉄柵も曲げられてるわ」

盗賊「だな?用心しろ」

ローグ「死体が古いでやんす…死んで一週間ぐらいは経っていやすね」

剣士「急いで戻ろうか…」シュタタ



『突当り』


ピチョン ピチョン


剣士「だめだ…もう進めない」

盗賊「くそう…やっぱ下の方なのか?」

ローグ「上に登る梯子も公爵の屋敷だけの様っすね」

女オーク「待って…ここの壁おかしいわ?」

剣士「あ!!本当だ…音の反射がおかしい」

盗賊「石が積んであるってか?よっ…」スカ

剣士「うわ何だコレ…壁じゃない」

盗賊「壁に見えるだけか…あだっ!!」ゴツン

ローグ「これ凹んだ鏡でこういう風に見えるトリックっすね…出っ張ってる所気を付けて下せぇ」

剣士「スゴイな…こんなトリック初めてだ…」

盗賊「そこら中にこんなんが仕込んで有るってか…あー痛てて」スリスリ
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:44:24.76 ID:KbfSVIxh0
剣士「盗賊さん!有ったよ…扉がある」

盗賊「ようし!!鍵掛かって居そうか?」

女オーク「何かの音がするわ…中に何か居ると思う」


ドスドス ドスドス


ローグ「ラットマンリーダーっすね…足音からすると4匹ぐらいでやんす」

剣士「おけおけ…詠唱するからちょっと待って…アブラカタブラ…」

盗賊「ラットマンリーダーは首を切り落とせ…失敗すると暴れ出すぞ?」

女オーク「わかったわ…」チャキリ

ローグ「あっしもバックスタブで行きやす…」スチャ

剣士「広範囲睡眠魔法!」モクモク

盗賊「おし!鍵開けるぞ?」カチャカチャ ガチン

剣士「僕が明かり役で先行する…入るよ?」

盗賊「行け!!」


ガチャリ ギーー


剣士「よし!!寝てる!!」シュタタ

女オーク「てぁぁ!!」ブン ザクリ ボトン

ローグ「バックスタブ!!」ジョキリ ボトン

盗賊「ほぉぉ女オークはパワーが有り余ってんな…」

剣士「任せて置いて良いね」

盗賊「うむ…」
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:45:17.09 ID:KbfSVIxh0
『隠し部屋』


ドタリ ピクピク


女オーク「片付いた…」スチャ

盗賊「見ろよアレを…」

剣士「古代遺跡の扉だ…」

盗賊「この感じじゃ開けられて1000年ぐらい経ってそうだ…ここで間違いなさそうだな」

ローグ「向こうにも扉がありやすぜ?」

盗賊「ありゃこっちから閂が掛かってる…どうせ秘密基地に繋がってたんだろ」

剣士「公爵はこの場所を独り占めしてたのかな?」

盗賊「だろうな…中に入ってみるか」

剣士「ここが情報屋さんが言ってた古代遺跡か…」

盗賊「まぁ公爵は割と深い所まで秘密を知って居たんだな…」

剣士「行こう…」スタ



『古代遺跡』


シーン


盗賊「…あった!!これだな?冒険の書は…」ゴソリ

ローグ「やりやしたね…」

盗賊「この書物は…」ペラペラ

剣士「それも持って帰った方が良さそうだね」

盗賊「オークの予言?…まてまて…あ〜なるほど公爵の手記だ」

ローグ「奥にお宝がどっさりありやすぜ?」

盗賊「マジか!!袋詰めして持って帰るぞ」

ローグ「ひゃっほい!!」スタタ

剣士「…もう謎の機械は風化して原型が無い…」

盗賊「ガラス容器だけは残ってるじゃ無ぇか…これだけなんで綺麗な状態なんだろうな?」

剣士「エリクサーで満たされてたんじゃないかな?」

ローグ「アーティファクトらしい物見つけやしたぜ?謎の横笛でやんす…これだけ丁寧に保管されていやした」

盗賊「他に何がある?」

ローグ「多分時の王の装備品っすね…デカイ剣とか色々あるんすよ」

盗賊「珍しそうな物全部持って帰るぞ…手分けして持とう」

剣士「杖とかもあるなぁ…何が封じてあるのか分からないけど」

盗賊「ここに置いとくと何に使われるか分からん…フィン・イッシュの遺跡かどっかに隠しておいた方が無難だ」

剣士「まぁそうだね…急いで持って帰ろう」ガチャガチャ


--------------

--------------

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256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:46:18.80 ID:KbfSVIxh0
『下水』


シュタタ


剣士「この荷物背負ってロープ登るのはキツイね」

盗賊「上からロープで引き上げるんだよ…それなら出来るだろ」

剣士「なるほど…」

盗賊「ローグ!お前は最後だ…俺らで荷物引き上げるからお前は下で荷物結んでくれ」

ローグ「分かりやした」

盗賊「よし!剣士と女オークは先に上がって見張ってくれ」

剣士「うん…女オーク先に上がって」

女オーク「わかったわ…」グイ ヨジヨジ

盗賊「荷物引き上げたら真っ直ぐ飛空艇へ向かう…良いな?」

剣士「おっけ!!…じゃぁ僕も登る」グイ ヨジヨジ



『貴族居住区_外れ』


グイグイ ギリリ


盗賊「よし!あと一つ…ロープ降ろすぜ?」シュルシュル

剣士「マズいな…衛兵が近づいて来る」

盗賊「なんとか注意逸らしてくれ…何か無いのか?」

剣士「う〜ん…煙玉しか…」

盗賊「どっか遠くに投げて騒がせば良い」

剣士「わかったよ…」チリチリ ポイ

盗賊「もっとだ!!ほんで騒げ」

剣士「…」ポイポイポイ


モクモクモク


剣士「衛兵さん!!なんか煙が出てるよ…あれ大丈夫?」

衛兵「んん?どこだ?」キョロ

剣士「ほら?あっちにも…こっちにも…」

衛兵「お前のその格好…ふざけて居るのか?」ジロ

剣士「ああ!!何か光った…」

衛兵「お前はそこで待って居ろ…」タッタッタ


ピーーーーーーーー


剣士「なんか疑われてる…どうしよう?」

盗賊「もう少し時間稼げ…よっこら!!」ドサリ
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:47:10.50 ID:KbfSVIxh0
女オーク「衛兵が戻ってくるわ…」

剣士「あの衛兵だけ眠らせる…睡眠魔法!」モクモク

衛兵「おいお前!!何を…した」フラ

盗賊「ローグ!!早く上がって来い…女オークは荷物を持って逃げる準備だ!!」

剣士「他の衛兵も集まり出した…なんで煙の方に行かないんだよ…」

盗賊「一発爆弾をどっかにぶち込め!!…ローグ早く登れ!!」

ローグ「はいよはいよ…ほっ」ヨジヨジ

剣士「ええい!!」チリチリ ポイ


ドーン!! パラパラ


衛兵「な…なんだぁ!!」キョロ


ザワザワ ザワザワ

煙だぁ!!何処か燃えて居るぞ!!

今の爆発音は!?

おい!!見ろ…あそこに白いローブの4人組

又白狼の真似事か?


ローグ「お待たせしやしたぁ!!」シュタ

盗賊「よっし!!荷物持って逃げるぞ…屋根沿いに貴族特区へ向かうんだ」

ローグ「あいさー」グイ

盗賊「剣士!!追っ手の攪乱を任せる…先に行くぞ」ダダ

剣士「え…あ…参ったなぁ苦手なんだよなぁ…こういうの」シュタタ


ピーーーーーーー

白狼だぁ!!屋根に上がってる!!通路遮断しろぉ!!

行き先は!?

分からん!!全部封鎖だ!!


---------------

---------------

---------------



その日の夜を騒がした白狼の一党は

財宝をばら撒く事無く忽然と姿を消した

被害に合った報告が皆無だった事から

只のお騒がせ事案として片づけられた
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:48:37.89 ID:KbfSVIxh0
『フィン・イッシュ_隠れ里』


ノソノソ


くノ一「魔女様をお連れしました…」

アサシン「忙しい所済まないな」

魔女「女王は安定しておるんか?」

アサシン「精神安定の薬で落ち着いては居るが嫌な夢を見ると言ってなかなか寝付けん様だ」

魔女「幻惑かえ?…」

アサシン「いや正気は保って居る…寝付けないから疲れているだけだ」

魔女「事の事情は説明したのかえ?」

アサシン「どうしても教えろと言うから近衛侍の方から粗方話したそうだ」

魔女「身内に毒殺されそうになったのは認められんじゃろう…」

アサシン「事実なのだから認めるしか無いだろう」

魔女「して…どうするかのぅ…和平交渉を待たせて居るのじゃが」

アサシン「魔女はどう思う?」

魔女「わらわは交渉に来た者の首をはねて公爵に付き返せば良いと思うて居るが…」

アサシン「それは宣戦布告と同意だぞ?」

魔女「逆じゃ…女王の暗殺を企てて何が和平じゃ」

アサシン「まぁ確かに…和平をしても利は無さそうだな」

魔女「セントラル国王が何度も頭を下げに来たが…あの男は本当に騙されやすい馬鹿じゃのぅ」

アサシン「魔女が女王にすり替わって居るのはバレて居ないのか?クックック…」

魔女「しかし国の大局じゃ…交渉は女王が担うべきじゃが…」

アサシン「うむ…」


女王「魔女様…お話聞こえていました」ヨロ


魔女「騒がせてしもうたのぅ…主は平気なんか?」

女王「はい…只少し疲れていまして」

魔女「嫌な夢を見るで眠るのが辛い様じゃな…実はのぅ…シン・リーンの魔術師の研究で最近分かった事があるのじゃ」

女王「悪夢に理由が?」
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:49:47.14 ID:KbfSVIxh0
魔女「うむ…どうやら出回って居るアヘン酒や麻薬を摂取すると夢食いが起こる様じゃ」

女王「夢食い…」


夢はのぅ…平行次元での行いに関連づいて居るのじゃ…いわゆる夢幻の様な物じゃ

この夢を食らい増大して逝く者…それが魔王じゃと分かって来た

10年前に勇者らが魔王の欠片を集め次元転移をしたのじゃが

やはりどこかで魔王は息づいて居る


魔女「主はそれを悪夢と言う形で感じて居る様じゃな…異常では無い故心配には及ばぬ」

女王「私はどうすれば安心出来ると思いますか?」

魔女「元々主には心の中に光を持って居る…それを忘れん様にすれば良いが…夢だとやはり忘れてしまうじゃろうのぅ…」

アサシン「銀の仮面はどうした?」

女王「城に置きっぱなしかと…」

魔女「おお!?良い案かも知れぬ…銀は厄除けの効果がある故…つけたまま寝て見るのも良いかも知れぬ」

女王「くノ一!私は城へ戻り仮眠を取ります…後に和平交渉を挑みます」

くノ一「御意に御座います…」

魔女「背後にわらわ達が居るで何も案ずる事は無いぞよ?見て見よ…この顔ぶれを」

女王「シン・リーンの王女…ドワーフ国の王女…旧シャ・バクダ王」

魔女「皆主の仲間じゃ…胸を張って良い」

女王「ありがとうございます…勇気が湧いてきました」ググ
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:51:29.44 ID:KbfSVIxh0
『座敷』


メラメラ パチ


商人「やっと退屈から解放されそうだ」

情報屋「魔女?これを見て…祭事の祠からこんな物が出て来たわ」

魔女「んん?鏡…はて?」

情報屋「女王が言うにはもしかして八咫鏡じゃないかって…」

魔女「むむ…もしやそれは真実を写すと言う鏡では無いか?」

情報屋「知って居るの?」

魔女「本物かも知れんで大事に扱わねばならぬ」

商人「こっちの大きな瑪瑙は?八尺瓊勾玉だっけな…聞いた事無い」

魔女「なんと!!それはシン・リーンがシャ・バクダに奪われたと言われる宝具…フィン・イッシュに有ったとは」

商人「なんか凄い効果があったりする?」

魔女「王を選ぶと言われて居る…この国に有るという事はこの大陸の真の王はフィン・イッシュに居ると言う事になる」

情報屋「あ!!思い出したわ…そうよ勾玉を廻って戦争をした歴史…こんなに大きな勾玉だったのね」

魔女「シャ・バクダが滅び既に消失したと言う事じゃったがここに隠されて居ったとはのぅ…」

アサシン「では在処が知れてしまうと戦争の火種になりかねんな…」

情報屋「じゃぁこういう事ね…先人は隠す事で争いを回避した」

魔女「賢いやり方じゃな…しかしこれを持ち帰るのはイカンと思うが…」

商人「元の場所に保管した方が良さそうだ」

情報屋「あの扉を閉める事は出来る?」

商人「簡単さ…魔女が閉める事が出来る筈」

魔女「わらわに何をせよと?」

商人「扉を閉めた後に中の空気をアンモニアに変性させるだけだよ…それで真空になる」

魔女「なんじゃ簡単な事じゃ…しかし変性の理屈を良く調べたのぅ?」

商人「発案は剣士さ」

魔女「そうか…納得じゃ」

商人「じゃぁこの八尺瓊勾玉だけ戻しに行こう…魔女ついて来て」

魔女「わらわは疲れて居る…背負って行け」ノソ

商人「待って待って…僕はこの大きな勾玉を背負うんだよ?」

女戦士「勾玉は私が持って行こう…商人は魔女を背負えば良い」

商人「なんだよ…まぁ良いか…早く乗って」

魔女「よっこら…」ノソ


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261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:52:19.23 ID:KbfSVIxh0
『古代遺跡』


ヨイショ! ゴトリ


魔女「…シン・リーンの精霊像の安置所とほとんど同じじゃな」

商人「へぇ…」

魔女「こちらの方が傷んで居らぬ」

商人「大体700年前に扉を閉めて封印した様だよ…多分過去戻りした勇者2人さ」

魔女「勘かえ?」

商人「足元を見て…退魔の方陣が仕掛けてある」

魔女「ふむ…退魔のぅ…」ジロジロ

商人「僕が知ってるのと同じだよ…間違い無い」

魔女「確かに退魔の方陣なのじゃが…勇者はこの方陣を知らん筈なのじゃが」

商人「え?」

魔女「わらわは教えて居らぬ…勇者が使こうて居ったのは光の方陣…少し違うのじゃ」

商人「そうだったんだ…」

魔女「退魔の方陣は光の方陣を簡略した物じゃから効果は退魔のみ…光の方陣を知って居れば問題は無いが…」

商人「700年前なら魔術師の黎明期…他の誰かに教わったのかも」

魔女「簡略化できる事を発見したのはわらわの師匠…つまり200年前より以前は発見されて居らぬ」

商人「じゃぁ女海賊は?確か塔の魔女から魔術書を貰ってた」

魔女「それなら辻褄が合う…文字が読めればの話じゃが」

商人「文字か…そうだな僕も文章から読み取った」

魔女「誰かに読み解かせたのやも知れんな…まぁそれは良いとしてこの空間の空気を変性させれば良いのじゃな?」

商人「そうだよ…扉を閉めるから先に出て」

魔女「参考になるのぅ…シン・リーンの宝物庫もこの様に施錠すれば良いな」ノソノソ

商人「じゃぁ変性魔法お願い…」ギギー バタン

魔女「変性魔法!」

商人「よしよし元通りだ…帰ろう」


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262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 15:54:12.89 ID:KbfSVIxh0
『林道』


カクカク シカジカ

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魔女「…では剣士らは公爵が持って居る冒険の書を盗みに行ったのじゃな?」

商人「うん…他にも時の王の遺産が有るかもしれないからさ」

魔女「公爵はフィン・イッシュに来て居る様じゃが?」

商人「どうせ影武者だって言ってたよ」

魔女「ふむ…用心して居った方が良さそうじゃ…何を持って居るか分からんな」

商人「怖いよね?幻惑の杖みたいな物を持ってたとしたら」

魔女「しかし公爵はわらわも顔を知って居る…何故今まで見落として居ったんじゃろう?」

商人「知ってるのは影武者の顔なのかもね」

女戦士「魔女…私の父…海賊王の事なのだが変化の杖という物でバニーになりたいと言っていた事が有る」

魔女「変化の杖…なるほど変性して居る可能性があるのじゃな?」

商人「あああ!!そういえば10年前に死んだ領事…あいつは沢山の身分証を持ってた」

魔女「そうじゃったな…魔術師でも無いのに同じ顔で元老の身分も持って居ったな」

商人「変化の杖を使って他人に成りすましてる…そんな可能性ありそうだ」

魔女「アサシンが領事の身元を知って居った筈じゃ」

商人「ちょっと待てちょっと待て…領事は公爵の影武者の役をしていたんじゃ無いか?」

女戦士「それでは誰も信じられんな」

商人「わかったぞ…ローグが言ってた事はやっぱり本当だ…そうやってセントラル皇子3兄弟を分裂させて利用した」

魔女「やはり変化の杖を持って居るのが濃厚じゃな?」

商人「例の鏡が役に立つよ!!真実を写すんだよね?」

魔女「磨かんと鏡にはならんが…」

女戦士「私が磨こう…金属を磨くのは得意だ…むしろ磨いてみたい」

商人「よしよし…やる事が定まって来た」


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263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 18:42:14.20 ID:KbfSVIxh0
『王族の気球』


フワフワ


近衛侍「ささ皆様お待ちしておりました…お乗りください」

商人「迎えが来てる…」

アサシン「城へ戻るぞ…早く乗れ」

商人「八咫鏡は?」ヨイショ

アサシン「乗せてある」

魔女「ふぅ…疲れたわい」ノソリ

アサシン「祠は無事に封印された様だな?」

魔女「うむ…アサシンに質問なのじゃが死んだ領事を覚えて居るな?」

アサシン「思い出したく無いが…領事がどうした?」

魔女「主は領事の身元を調べて居ったじゃろう?」

アサシン「なんだそんな事か…セントラル王族の分家に当たる…与えられた特権が領事」

商人「公爵とは関り無いの?」

アサシン「血の繋がりは無い…関りがあるとすれば時の王の派閥側だという事ぐらいしか知らん」

商人「その程度か…」

アサシン「なぜその様な質問を?」

魔女「変化の杖という物が合ってな…それを使って他人に成り代わって居るやも知れんのじゃ」

アサシン「領事がか?」

商人「領事も…公爵もだよ…領事は身分証を沢山持って居たよね」

アサシン「なるほど魔女と同じ様に化ける訳だな…領事にそれが出来たとなるとすべての辻褄が合うな」

商人「公爵も他人にすり替わってる可能性が有ると思う」

アサシン「…」ギロリ

近衛侍「私は違いますよ…」

アサシン「誰も信用出来んでは無いか」

商人「そういう事だね…今回の暗殺事件も直ぐ近くに公爵が居たかもしれない」

女戦士「私が八咫鏡を磨いてみる…女王の許可が欲しいのだが磨いて良いか?」

女王「…そういう事でしたら喜んでお預けします」

魔女「しかし本当に変化の杖を用いて居ったとするとすべて公爵の意のままに事が進んだじゃろうな」

商人「そんな物を持たせておいてはいけないね」

魔女「その通りじゃ…奴が持って居るやもしれぬ時の王の遺産はすべて封印した方が良かろう」

商人「魔女が持ってる幻惑の杖もだよ…」

魔女「そうじゃな…これを持って居ると主らにも疑われてしまうでのぅ」フリフリ


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264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 18:43:18.93 ID:KbfSVIxh0
情報屋「世の中にどのくらいのアーティファクトが眠っているか分かる?」

魔女「さぁのぅ?時の王がかつてシン・リーンで魔術師に作らせた物なら分かるがそれ以外は分からぬ」

商人「どんな物が?」

魔女「ほとんどが杖じゃ…恐らく魔法が使えぬ精霊に持たせる為だったのじゃろう」

商人「精霊はそうやって身を守って来たのか…」

魔女「使わなくなったら処分すれば良かったのにな?思い出の品として保管して居ったのが良くない」

商人「それでどんな効果の杖だったの?」

魔女「いかづちを呼ぶ杖…マグマを操る杖…うみなりの杖…色々有るらしい」

情報屋「魔女が使う魔法が封じられているのね?」

魔女「うむ…全部そうじゃろうな」

商人「良い効果の杖は無いの?」

魔女「あるぞよ?癒しの杖…雨雲の杖…守りの杖…じゃが使い方を誤るとどれも危険なのじゃ」

商人「癒しの杖なんか誰が使っても良さそうじゃ無いか」

魔女「使い過ぎると老化してしまう」

商人「あーーそういう事か…薬の副作用みたいなもんなんだ」

魔女「じゃから何も知らぬ人間の手に渡らぬ様に封印した方が良かろう」

情報屋「杖以外にはどんな物が?」

魔女「一番知られて居るのはいのりの指輪じゃな…他には妖精の笛という物もあるらしい」

情報屋「妖精の笛…私冒険の書で読んだわ…ゴーレムを眠らせて操る笛」

魔女「10年前にゴーレムが暴れて居ったな?誰ぞが使うて居ったのは間違い無いじゃろう」

アサシン「状況的に公爵が使っていたと考えるのが正解だな」

魔女「有能な者が敵の中に居ると厄介じゃのぅ…」


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265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 18:44:52.28 ID:KbfSVIxh0
『フィン・イッシュ城』


近衛侍「女王様はお休みになられた…魔女様一行は客間にてお休みくだされ」

魔女「わらわの定位置は書物庫じゃ」

情報屋「私も調べ事をしたいわ」

商人「僕もだよ…ハウ・アイ島の事を調べたい」

女戦士「私は鏡を磨くとしよう」

アサシン「私はやる事が無いな」

魔女「女王の部屋でも守って居れ」

アサシン「近衛侍と忍が居れば十分だ…酒場にでも行くか」

魔女「寝られんと言うのも苦痛じゃのぅ…」

アサシン「言うな…行って来る」スタ


『酒場』


ドゥルルン♪


バニー「ハロハロ〜お一人様ぁ?」

アサシン「バニーの働き口はカジノでは無いのか?」

バニー「マスターが行方不明なのぉ…臨時で雇われよ?お酒何飲む?」フリフリ

アサシン「一番キツイのをボトルで頼む」ジャラリ

バニー「あら?お客さん…どこの豪族?」

アサシン「早く持ってこい」ジロ

バニー「芋酒ですぅ〜お注ぎになる〜?」

アサシン「そのままで良い」キュポン グビグビ

バニー「ウフフ良い飲みっぷり…パフパフは如何?」ボヨヨーン

アサシン「いくらだ?」

バニー「金貨1枚よ?」

アサシン「…」チャリーン

バニー「では個室の方へ…」フリフリ


ワイワイ ガヤガヤ

お金ならいくらでもあるんだ…ほら?楽しませてくれよ

あらすご〜い!!ねぇみんな見て?

僕は回りくどいのは嫌いなんだ…今すぐ脱いでよ

こう?

全部だよホラ全員脱いで大事な所を僕に見せるんだ

ワイワイ ガヤガヤ


アサシン「…」---あの男…いや気のせいか---

バニー「こちらですぅ…早くぅぅぅ」フリフリ

アサシン「あぁ済まない…」

バニー「お客様一人入りましたぁぁぁウフフ…楽しんで行ってね?」

アサシン「何?」

男共「パフパフの殿堂へようこそ!!さぁさぁこちらへ…」ムキムキ

アサシン「…」ボーゼン
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 18:46:41.39 ID:KbfSVIxh0
『翌日_謁見の間』


セントラル王は兵2名のみ帯同許可します…右手に整列を

近衛侍は私の左手側へ…側近は私の言葉を相手に伝えなさい

その他は傍聴席から立たない様にお願いします

では…全員銀の仮面を付けて待機


商人「…これは相当威圧的だ」

魔女「これで良い…この仮面は女王の威厳じゃ」

商人「仮面を被った集団に囲まれての和平交渉か…」

魔女「どんな交渉をして来るか楽しみじゃな」


衛兵「先方来賓されました…公爵と思われる人物と帯同の従士一人」


女王「お連れして下さい…では皆さんご静粛に…」

衛兵「謁見が許可された…2名!!入れ」


スタスタ


女王「…」ヒソヒソ

側近「女王の言葉を復唱します…ようこそお越しくださいました…和平の件…交渉に付けて喜びを感じる次第」

公爵「これは大層なおもてなしですなハハ…お体の調子が悪いと伺っておりましたが触りませんかな?」ニヤ

側近「お陰様で順調に回復しております」

公爵「それは結構…では早速本題に移らせて頂きますが先ずはセントラル貴族院への口利きとしての条件として…」チラリ

セントラル王「…」

側近「ためらわずおっしゃって下さい」

公爵「当初はセントラル王の引き渡しが条件でしたがその必要は無くなった事を冒頭に申し上げます」

セントラル王「!!?」

側近「代わりの条件は如何に?」

公爵「セントラル王との婚姻…そして王権の分与」


ザワザワ


側近「願っても無いご提案ですが民意がそれを許さないのです…困りましたねぇ」
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 18:49:09.66 ID:KbfSVIxh0
公爵「わたくしは先ほどから側近とお話をしていますが…もしかすると女王様は影武者という事は無いでしょうね?」ニヤ

近衛侍「無礼者!!」

側近「何故にその様な疑いを?」

公爵「いやいや私の情報筋では女王様は危篤状態と伺っておりましてな…土産にと思いまして特効薬も持参している次第」

近衛侍「特効薬…お主まさか…」

公爵「ハハ勘違いしないでくだされ苦痛を和らげるには必要な妙薬なのですよ…ここに」ドサ

セントラル王「貴様ぁ!!ぬけぬけと…」スラーン

第3皇子「おっとぉ!!大兄…危ないじゃ無いか」

セントラル王「何ぃ…お前…何故お前が此処に…」タジ

公爵「これ!身を明かすのが早いぞ」

第3皇子「もう茶番は良いでしょ?話は簡単さ…さっさと結婚してフィン・イッシュを僕らの自由にさせろという事だよ」

公爵「余計な事をしゃべるな!!」

第3皇子「こんな提案もある…大兄の持ってる王権を僕に譲れば良い…そうすればめでたくフィン・イッシュ女王と結婚出来るよね?」

セントラル王「ぐぬぬ…再会してお前はそんな話しか出来ないのか!!良く…良く生きていた…」

第3皇子「近寄らないで欲しいなフィン・イッシュの下僕に成り下がった大兄なんかもう知らないよ」


ガタン!


近衛侍「女王様…なりませぬ…落ち着いて下さい」

女王「交渉の件…飲みましょう…ただしこちらも条件があります」

公爵「それは良いご判断で…」

女王「公爵!…いえ…この公爵の偽物の首をはねて本物の公爵の下へ突き返すのです…それが条件です」

第3皇子「そんな事をしても意味が無いよ」

女王「あります…私はもう騙されないと言う意味なのです…近衛侍!!抜刀許可!!」

公爵「ひぇ…」ダダ

近衛侍「御免!!」シャキーン ボトリ

公爵「…」パクパク

女王「続いてセントラル王へ命じます…セントラル王権を第3皇子へ譲渡し私と婚姻しなければこの国を追放します」

セントラル王「…」

女王「私の王権を分与すれば条件をすべて飲んだ形…後はあなたが判断してください…あなたを信用します」

第3皇子「なんだよ勝手に進めないで欲しいな」

女王「戦争は終わりました…第3皇子…あなたも早く宣言をして下さい…戦う必要は無くなったのです」

セントラル王「第3皇子!!来い」グイ

第3皇子「触るな!!」

セントラル王「調印をする…兵を率いて帰るが良い」

第3皇子「フン!分かってる…港は好きに使わせて貰う」
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 18:51:22.27 ID:KbfSVIxh0
『傍聴席』


魔女「歴史が動いたな?」

アサシン「クックック…セントラルが滅びる瞬間を見たな」

魔女「第3皇子には王の器が無い様じゃ」

アサシン「うむ…しかしあの小僧が公爵と手を組んでいたとは…」

魔女「結果的にはこれで良かったかのぅ」

アサシン「まぁこれで貴族院は第3皇子を擁立する側とそうでない側で又分かれる…終わりだよあの国は」

女王「皆様ご心配をお掛けしました…」ペコリ

魔女「見事じゃたぞよ?真実の鏡には何が映って居ったのじゃ?」

女王「口論する兄と弟…その傍らで公爵では無い他人が薄ら笑いを浮かべていました」

魔女「伝説は本当の様じゃな」

女王「思わず首をはねる指示をしてしまったのを後悔しています」

アサシン「気に病むな…お前に毒を盛った者共なのだ」

女王「実は私にはそんな事を指示できる権力は無いのです」

近衛侍「女王様お気になさらず…私めは指示されて動いたのでは御座いません…勝手に切ってしまい忝い」

商人「女王の権限分与ってさ…良いの?セントラル王に分与しちゃって」

女王「その件でしたら私が王として持って居る権限は畑の管理なのです」

商人「畑?」

女王「権限は既に側近や近衛侍…そして忍びに分与済み…資産といえば畑と地下墓地でしょうか」

商人「アハハな〜んだ殆ど民主化してるのか」

女王「はい…でも畑は全部私の物ですから意外と権力は大きいのですよ?」

商人「食べ物を抑えてる訳ね」

女王「その半分をセントラル王に分与する訳です」

魔女「こりゃセントラル王は忙しくなるじゃろうのぅ」

女王「見て居ましたか?あのような状況でも弟の身を案じていたセントラル王を?」

魔女「うむ…なんというか素直なんじゃろうな」

女王「はい…只ひたすら真っ直ぐな人なのです…悪い人では無いのでご勘弁下さい」

魔女「さて人段落したようじゃし…わらわは書物庫へ戻るとするかのぅ」ノソ


この日セントラル王権は第3皇子へと譲渡され

フィン・イッシュ守備隊は解散する事となった

その大半はセントラルへ帰還する事を拒み

第1皇子を慕う者のみで構成される兵団が構成される

269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 18:53:25.98 ID:KbfSVIxh0
『飛空艇』


シュゴーーーーー バサバサ


剣士「女オーク…オークの予言はこれで大体合ってるんだね?」

女オーク「私が知ってる事は少しだけど全部合致してるわ」

盗賊「こりゃ公爵はエライ秘密を知って居た様だな」

剣士「ほとんど情報屋さんが言ってた通りさ…光る隕石も地軸の移動も全部予言されてた」

盗賊「この手記に記されている通りだとすると俺らに残った時間はあと数年…」

剣士「こういう解釈も出来る…これ以上先の予言が無いからそれを終焉と勝手に決めつけてる」

ローグ「あー良いっすねそういう解釈…光が見えやす」

剣士「多分ね4000年前に人類の99%以上が死滅した事を今の時代にもそのまま当てはめてる」

盗賊「1%かよ…そん中に入れってか」

剣士「違う…その時は何も知らないから1%だった…でも今は知ってる…まだやれる事はあるよ」

盗賊「ハテノ村の遺跡で発見したあの液体…まだ謎が残ってるな?」

剣士「うん…あれはきっと事情を知ったママからの贈り物さ」

盗賊「思い出して来たぞ夢幻の夢って奴を…そうだ確か病気を治す薬をハテノ村の木の下に埋めた」

剣士「絶対にソレだよ…早く名も無き島に戻らなきゃ…」

ローグ「公爵がこの予言をいつ知ったのか手記を見て分かりやせんか?」

剣士「始めのページは30年以上前だよ」

盗賊「そんな昔から知って居たんならなんで隠してたんだろうな?」

剣士「信じて貰えなかったとか…何かの理由で隠蔽されたのかもね」

盗賊「30年前っちゃエルフ狩りが活発になった辺りだな」

ローグ「貴族がエルフを奴隷にして競っていやしたね?」

盗賊「まぁ今思えばいのりの指輪狙いだったんだろうな…もうちっと平和に行けば良かったのによ」
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 18:54:50.44 ID:KbfSVIxh0
剣士「ハイエルフが産んだ勇者の誕生にまで関わってる…そうかハイエルフが勇者を隠したのが事の始まりだよ」

盗賊「ほう?それでエルフ狩りが激化した…」

剣士「公爵はすべて思い通りに事が進んだ訳じゃ無いみたいだ…裏切りや抵抗に合って何度も失敗してる」

ローグ「あーそれで予言を隠してたんすね」

剣士「その抵抗も予言の一部だと解釈してるよ…予言を変えようと努力した結果なのか…」ヨミヨミ

盗賊「白狼の盗賊団も抵抗勢力になってた訳か…」

剣士「そこら辺で手記が止まってる…白狼の事は何も書かれてない」

盗賊「それも理由が読めん…なんでだ?」

剣士「僕なんか分かるよ…パパが次元の入れ替えで無理やり歴史を修正したからさ…」

盗賊「んんんよー分からん」

剣士「まぁきっとそういう理由で記憶の不合点が出るんだ…だから書き記せなくなった」

盗賊「忘れて行くってやつか?」

剣士「うん…その時書き留めて置かなかった事は忘れて行ってしまう…そういう事が公爵にも起きたんだよ」

女オーク「ねぇ盗賊さん?盗んで来たこの笛…オークの笛にそっくりなの」

盗賊「ん?どんな効果なんだ?」

女オーク「動物を眠らせる笛よ」

剣士「睡眠魔法か…幻術だからそれを知ってる人には効果が無い」

盗賊「試しに吹いてみろ」


ピーヒョロロ〜


盗賊「ぶははなんだ…音は出るが曲になって無ぇ」

剣士「なんか何も効果が無さそうだ」

ローグ「公爵が持ち歩いて無いって事は只の時の王の思い出の品かもしれやせんね?」

女オーク「上手に吹ける様に練習してみる」

剣士「貰って良いんじゃない?」

盗賊「昼と夜が入れ替わるぐらいの効果が欲しかったな?ヌハハ」


ピーヒョロロ〜


盗賊「まぁちっと疲れたんで寝るわ…」

ローグ「あららら?効果ありやすね」

剣士「その様だ…不思議な笛だなぁ…睡眠魔法とはちょっと違いそうだ」

女オーク「私が飛空艇を見ておくから寝てて良いわ」

剣士「うん…横になるふぁぁぁぁあ…」
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 18:55:38.19 ID:KbfSVIxh0
『夢』


妖精「おい!!起きやがれ!!」

僕「んん?誰?」

妖精「俺様だ!!いつもいつもコキ使いやがって!!」

僕「あ!!妖精だ…僕にも妖精の声が聞こえる様になったんだ」

妖精「反省してるのか!?」

僕「あぁゴメンよ無理なお願いばかりしてさ」

妖精「罰としてどんぐり食べちゃうぞ」

僕「うん…良いよ沢山食べて?」

妖精「分かればよろしい…」パクパク

僕「君は何処から来たの?」

妖精「笛に呼ばれて来たんだ…そしたら極悪人の君が居た」

僕「ハハ僕が極悪人?」

妖精「そう妖精をコキ使う極悪人だ」

僕「ゴメンねこれから優しくするから許して」

妖精「ふん!」プイ

僕「分かったよもっと質の良いどんぐりを用意しておくよ」

妖精「絶対だぞ?」


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272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 18:56:38.93 ID:KbfSVIxh0
『翌朝』


ピロロ〜♪ ピ〜ピロロ〜♪


剣士「ふぁぁぁ…」パチ

女オーク「起きた?」

剣士「…良い夢見たよ…妖精とお話が出来た」

女オーク「妖精を呼ぶ笛ね?」

剣士「多分そうだよ…良い物手に入れたね」


ニョロニョロ


剣士「ん?あれ?ワームがどんぐりかじってる…なんだ君だったのか」

女オーク「虫が妖精?」

剣士「そうらしい…そっか虫とお話出来るのか」

女オーク「この笛欲しい?」

剣士「欲しい…でも君が使って居て良いよ…僕笛吹けないし」

女オーク「ウフフいつでも吹いてあげるわ」

剣士「なんかすごく癒された感じだ…元気出て来たぞ!!」

女オーク「このワームにどんぐりあげれば良いの?」

剣士「うん…松の実もあげて見ようか」

女オーク「沢山あるわ…」パラパラ

剣士「おー食べてる食べてる…お腹減ってたのかー」

女オーク「そろそろフィン・イッシュが見えて来るはず…盗賊さん達を起こして?」

剣士「おけおけ…操舵は任せるね」


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273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 18:57:46.10 ID:KbfSVIxh0
『フィン・イッシュ_墓地』


フワフワ ドッスン


盗賊「いやぁ久々に良く寝た…良い笛ゲットしたな?」ノビー

剣士「睡眠魔法じゃ無いのがスゴイね…僕なんか夢で妖精とお話したよ」

盗賊「俺ぁ死んだ女盗賊が夢に出て来たんだ…あいつ妖精になったんだな」

ローグ「あっしも妖精の美女に囲まれてウハウハでやんした」

盗賊「こりゃクセになりそうだ…なんつーか寝覚めが最高だ」

剣士「今晩皆に聞かせてあげよう」

盗賊「おっし!!荷物持って…ん?何処行きゃ良いんだ?」

剣士「城で良いと思う…空から見た感じ厳戒態勢じゃなくなったみたいだし」

盗賊「まぁ一回城行ってみっか」ヨッコラ ガサリ

ローグ「大収穫でしたねぇ…金銀財宝も沢山あるでやんすよ」ヨッコラ 

剣士「じゃぁ手分けして運ぼう…よいしょ!!」
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 18:59:13.54 ID:KbfSVIxh0
『フィン・イッシュ城_客室』


ガチャリ バタン


近衛侍「ここでお待ちください…魔女様を呼んで参ります」

盗賊「アサシン!!お前一人なんか?」

アサシン「まぁな?皆書物庫で寝泊まりしている…私は付き合って居れん」グビ

盗賊「女王はどうなった?お前又放置されてんだな?」

アサシン「クックック放置か…まぁそうなるか…体は回復してる様だから心配は無用」

盗賊「土産が沢山あるぜ?見て見ろ…」

アサシン「公爵はどうなった…」

盗賊「向こうに居たのは影武者だ…こっちに来てたんじゃ無いのか?」

アサシン「こちらへ来たのも影武者だった様だ…さて何処へ行ったのやら」

盗賊「だがな?公爵が持ってた主要な物は全部頂いて来た…冒険の書もこの通りだ」バサ

アサシン「では尚の事行き先が気になるな…それらはもう不要という判断だろう」


ノソノソ


魔女「無事に戻ったか…話は聞いたぞよ?冒険の書は手に入った様じゃな」

盗賊「おぉ魔女!!この通りよ…見てくれ謎の道具の数々を」

剣士「情報屋さん!!公爵の手記も持って来たんだ…読んでみて」

情報屋「え?手記?」

剣士「予言の事が書いてある…情報屋さんが言ってた事と似てるんだ」

商人「ちょちょ…僕にも見せて」パラパラ

魔女「いかづちの杖…マグマの杖…うみなりの杖…やはり隠し持って居ったな…しかし魔力が枯渇しておる」

盗賊「なぬ?じゃぁ使い物にならんのか?」

魔女「魔石で充填すれば良い」

盗賊「他には使えそうな物は無いか?」

魔女「アクセサリーはすべてそれなりのエンチャントが施されて居るのぅ…武器は呪われて居る」

盗賊「ぐはぁ呪いの武器か…使え無ぇじゃ無ぇか」

魔女「アーティファクトは冒険の書だけの様じゃな…やはり変化の杖は公爵が使って居る様じゃ」

女オーク「魔女様…この笛は?」スッ

魔女「おぉぉ妖精の笛じゃ…やはり有ったか」

剣士「この笛の効果は知ってる?」

魔女「ゴーレムなどの大型の魔物を眠らせる事が出来るらしいのじゃ」

剣士「その笛を吹いたらさ僕達も眠たくなって夢の中に妖精が出て来るんだ」

魔女「そうじゃろうそうじゃろう…」ウンウン

剣士「妖精とお話が出来るから気に入っちゃってさ…これ使っても良いよね?」

魔女「もしもゴーレムに出会うたらその笛で眠らせると良い…それ以外の使い道は思い浮かばんのぅ」

剣士「じゃぁ使って良いって事だね!!もーらい!!」

盗賊「ちぃぃぃ俺が使えそうな物が何も無ぇ…杖なんか要ら無ぇしな」

魔女「何を言うて居る!アクセサリーはすべて一級品じゃ…価値が計り知れぬ」
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:01:39.47 ID:KbfSVIxh0
『しばらく後』


アーデモナイ コーデモナイ


…アヌンナキ…これはオークシャーマンの名前よ

そしてこの箱舟は彼らの乗り物…これが未踏の地の氷床の下で眠ってる

オークは宇宙から来た外来生物だったのね

超古代の伝説にもアヌンナキは神として崇められてる…人類の創造主とか洪水の予言者だとか

この手記には4000年ごとに訪れる黒色惑星によって引き起こされる災害を

事前に警告する為に訪れると纏められて居るわ

でもウンディーネの時代に訪れたオーク達をその当時の人間達が捕獲してしまった…箱舟も一緒に

そしてオークが持つ不思議な技術の権利を廻って世界的な戦争が起きた

当時200億を超えた人口はこの戦争によってたった数十年で1億人にまで減少…

それはたった数発の光る隕石が原因…あっという間にウンディーネ時代が終わる

光る隕石から生じる毒に耐性の有ったオーク達は生き延び箱舟に帰ろうとするが

地軸の移動により生じた気候変動に阻まれ箱舟までは到達出来なかった…

そして4000後…再び地軸の変動が起きて氷床から彼らの箱舟が姿を現す



情報屋「これが私達の知らなかったウンディーネ時代からの歴史…」

商人「まだ続きがある…」


当時捕らわれの身となっていたオークシャーマンを導く人物が現れる

虫を巧みに操る者と女神の2人…後にオーク達はウンディーネと崇める事になった

この2人はオークに数々の予言を与えた

それはこの世界でオークが生き残る術の数々

その予言を絶やすことなく守り続けて…オークシャーマンは今も生きている
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:02:52.28 ID:KbfSVIxh0


情報屋「一度道を踏み外しそうになっているわ…暁の使徒との交わりでオーク達を分断する結果を導いてしまった事」

商人「まぁそうだね…人間と共存を望んだオークとそうじゃないオークに分かれた…でも結論は同じところに収束しそうだよ」

魔女「ではオークシャーマンが目指しておるのは未踏の地に封じられて居った箱舟なのじゃな?」

情報屋「きっとそうね…私達にそれを邪魔する理由は無いわ」

商人「魔女が研究してるオークの呪符…能動的な術じゃないのは変化無いね?」

魔女「うむ…重力などを操作する類の術では無い…動く星たちを秒単位で観測する術じゃ…それで天候を知るのじゃ」

情報屋「一つ注意して欲しいのが…今話した歴史は公爵が冒険の書を読んで得た知識を手記にしたという所」

魔女「事実では無いやも知れんという事じゃな?」

情報屋「私も冒険の書で同じ様な事を知ったわ…でも手記に書き留めなかった…事実と異なる可能性があったから」

商人「行って確かめてみないとね」

情報屋「そうよ…それ無しで学術記録としては残せない」

剣士「行こうか…僕は名もなき島に帰ろうと思ってたんだ…どうせ向こうの大陸に一回渡るんだし乗せて行くよ」

盗賊「おいおい…次行くのはハウ・アイ島だろ?」

商人「それなら僕も行きたいな」

剣士「4人までだよ」

盗賊「全員乗れるように改造すりゃ良いだろ」

剣士「ええ!?そんな大きな羽を支える材料なんか無いよ…今ので精一杯さ」

女戦士「幽霊船で行けば良いのではないか?折角合流したのだから又分かれるのも寂しいだろう」

剣士「んぁぁ急ぎたいんだけどなぁ…」

魔女「わらわが良い事を思いついたぞよ?盗賊が持って来た物の中に風のタクトという杖があったのじゃ」

盗賊「お?風を起こせるんか?」

魔女「そうじゃ航海の役には立たんかえ?」

盗賊「安定した横風受ければ真っ直ぐ行ける…横帆の有る幽霊船なら尚更だ」

ローグ「外海を大航海っすね?ワクワクしやすねぇ?」

盗賊「おっし!!決まりだな」


スタスタ


女王「お話聞いて居りました…その航海に私と主人も連れて行って貰えないでしょうか?」

魔女「なんじゃと?」

女王「皆様方がご一緒なのが一番安全な航海が出来ると思いまして」

盗賊「おぉぉ来い来い!!嬢ちゃんも城ん中に籠ってちゃ退屈なんだろ」

女王「はい…それもありますが皆様の仲間に主人も加えて欲しいのです…王という肩書が無くなってやっと自由になれたのです」

盗賊「だははこりゃ美味い酒が飲めそうだ…帆の張り方教えてやるぜ?約束してたもんな?」

魔女「ヤレヤレ…王が不在でも良いのか?この国は」

女王「側近が私の影武者として働きますので…私はしばらく静養という形で旅に出て見たいのです」

盗賊「本人が良いってんだから連れてきゃ良いだろ」

女戦士「私の船は30人程度が適正な人数だ…乗船する人員を纏めてくれ」

盗賊「アサシン!!幽霊船まで案内してくれ…飛空艇乗せる」


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277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:04:23.99 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船』


フワフワ ドッスン


盗賊「この飛空艇は船首側の甲板に固定が良さそうだ」グイグイ ギュゥ

剣士「僕はどうすれば?」

盗賊「船尾に乗っかってる貨物用気球で荷の運搬やってくれ…俺はちっと備品の整理やる」

アサシン「剣士…こっちだ」

剣士「荷の運搬かぁ…また旧式の古い気球だなぁ…」フワフワ

アサシン「フフ私の唯一の資産だ…20年近く使い込んで居る」

剣士「これさぁ木材変性させてもっと軽く丈夫に出来るよ?やってあげようか?」

アサシン「ほぅ?壊さない程度に改造は自由にやって良い」

剣士「おけおけ!変性魔法!」

アサシン「ん?何か変わったか?」

剣士「板の部分を樹脂に変性させたのさ…重さが半分以下になってる筈」

アサシン「その技は幽霊船にも使った方が良いだろう…あの船も随分使い込んで居る」

剣士「あとでやって置くよ…それで荷を運ぶって何が足りないの?」

アサシン「食料は十分ある…無いのは酒だ」

剣士「なんだそんな物か…」

アサシン「まぁあとは女王が何を持って行くかなのだが…」

剣士「僕は土を持って行きたいなぁ…果物とか育てられるし」

アサシン「ほぅ?それは良いな…女戦士に許可してもらえ」

剣士「よっし!樽に土を詰めて持って行こう」
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:06:00.54 ID:KbfSVIxh0
『城_中庭』


ガガーン ビリビリ


ローグ「荷物をまとめていやすぜ?これ運んで下せぇ」ヨッコラ

剣士「うん…あそこで魔女は何やってるの?」

ローグ「なんか杖に魔法を封じて試し撃ちしてるでやんすよ…危ないんで近寄らんで下せぇ」

剣士「危ないとか言って自分で使うんじゃないか…」

ローグ「女王に護身用で持たせるらしいっす…情報屋さんも使い方教わっていやしたぜ?」

剣士「そういう事か…自分の身は自分で守れって事ね」


スタスタ


ローグ「やば…元セントラル王が来たでやんす…」

元セントラル王「もうその名で呼ばないでくれないか…私は戦士だ…戦士と呼んでくれ」キリ

剣士「アハハこんにちは戦士さん」

戦士「剣士殿にローグ殿…私にも何か手伝える事は無いか?」キラリ

ローグ「荷物を気球の中に運んでもらって良いっすかね?」

戦士「まかせたまえ!!どらぁぁぁぁぁ」ドドドド

ローグ「あら?あららら…ちょちょちょそれ今積んだばかりの荷でやんす」

戦士「あぁ私とした事が…勢い余って荷を下ろしてしまった様だ」

ローグ「ちょっと大丈夫すかねぇ…ゆっくりで良いんで頼んますよ?」

戦士「分かっているさ…どらぁぁぁぁ」ドドドド

剣士「いやぁスゴイなぁ…一気に荷が片付く」

ローグ「脳筋ってこういう人を言うでやんす」ヒソ

戦士「ふぅ…私も君達の幽霊船に興味があるのだ…連れて行って欲しいのだが」キリ

剣士「おけおけ!!船の片付けもあるんだ…助かるよ」

ローグ「じゃぁあっしは又荷物をまとめておくんで運んだら戻って来て下せぇ」

剣士「うん!直ぐに戻るよ…じゃぁ戦士さん乗って!!」

戦士「失礼する…」シュタ

ローグ「なーんかいちいちポーズ決めるの止めやせんか?」

戦士「気に障ってしまったか…済まない」キリ

ローグ「早く行って下せぇ…」---な〜んか変な人でやんす---
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:07:26.00 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船_甲板』


どらぁぁぁぁ バキバキ!


盗賊「うぉ!!甲板に穴空けるんじゃ無ぇ!ボケが!!」

剣士「女オークと腕相撲で互角だ…」

女オーク「まだ勝負ついてないわ…はぁはぁ」

戦士「私には負けられない理由があるのだ…受けて立とう…掛かって来い!!」グイ

女オーク「次は左腕よ…」グイ

剣士「はいはい…力抜いてぇ…レディーーーゴー!!」

戦士「ふんっ…」ミシミシ

女オーク「くっ…」グググ


盗賊「なぁ?…負けられない理由って何だと思う?」

剣士「さぁ?女には負けられなっていう事かな?」


戦士「どるぁぁぁぁぁ!!」ドコーン

女オーク「ぅぅ…まだよ…まだ右手は負けて無いわ…もう一度」

戦士「熱い!!熱いぃぃ!!」グイ

女オーク「勝負は一瞬…熱くなったら負けよ」グイ

剣士「…」ポカーン

戦士「どるぁぁぁぁ!!」ミシミシ

女オーク「私の…勝ち!!ふんっ!!」ドコーン

戦士「この私が…いやまだだ…両腕で勝負だ!!」

女オーク「望む所よ…」ガシッ

戦士「ふぬぬぬぬ…」グググ


盗賊「こら勝負付かんな…おい剣士!甲板に穴空いちまうから魔法で補強してくれ」

剣士「おっけ!!変性魔法!」

盗賊「しかしあのセントラル王がこんな脳筋ヤロウだったとはな…船乗りにゃ丁度良いが」

剣士「なんか面白い人だよ…なんというか悪意を全く感じない」

盗賊「うむ…天然の脳筋だ…第2皇子や第3皇子とまったく違ったタイプだ」

剣士「次は盗賊さんお酒で勝負してみたら?」

盗賊「ほぅ?そりゃ名案だ」

剣士「今晩は城でお祭りでもやろうって女王に話してみるよ」

盗賊「そうと決まりゃサッサと仕事片づけて城に戻るぞ」
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:09:27.68 ID:KbfSVIxh0
『夜_城下』


ワイワイ ガヤガヤ

戦争が終わってセントラルの軍船が入港してくるんだってよ

じゃぁ今晩は終戦祝いの祭りなのか?

理由は聞いて無いがまた例の様に酒と食い物の配給よ…食いそびれんな?


女戦士「フフ…この国は祭りと聞けばすぐに人が集まる」

剣士「盗賊さんがお酒で元セントラル王と勝負するっていうのが事の始まりさ」

女戦士「それで女王が直ぐに手配した訳か」

剣士「うん…近衛侍が一気に動き出してさ」

女戦士「それはな?近衛侍は元セントラル王が膝を着ける所を見たいのだ…」

剣士「なんか楽しみだね」

魔女「勝負はもうついておる…盗賊に酒で勝てる者なぞ居らんわ」

剣士「あれ?女戦士…どうしたのその武器?」

魔女「それは呪われた武器じゃ…時の王が愛用して居ったんじゃろうがどうしても女戦士が使うと言って聞かんのじゃ」

女戦士「これは私が打ち直して使う…呪いなぞはねのけてやる」

魔女「それは破壊の剣という代物じゃ…呪いに支配されぬ様にせねばならんぞ?」

剣士「へぇ?良い剣なんだ?」

女戦士「材質はオリハルコン…お前の刀と同じだ…エンチャントに失敗して呪いが掛かっているのだ」

剣士「オリハルコンってどんなエンチャントが出来る?」

魔女「時空じゃな…量子転移を掛けて時空を切り取れる様にしようとしたのじゃろう」

剣士「へぇスゴイな…」

魔女「成功しておれば伝説の武器になったじゃろうな」

女戦士「単純に武器の性能としては一級品…いやそれ以上…丁度私の手に馴染む重さ」

魔女「呪いさえ無ければのぅ…」

剣士「どんな呪いなの?」

女戦士「稀に夢を見る…その瞬間足が止まる」

剣士「なんだそれだけか」

女戦士「私にはその夢が愛おしい記憶に感じてな…つい見入ってしまう」

魔女「これこれ何度も言うが呪いに支配されてなならぬ」

女戦士「分かって居る…私はこの武器が気に入ったのだ大事に使うさ」

剣士「他にも装備品が色々あったよね?」

魔女「自虐効果の付いた物ばかりでな…不死の体を持つ時の王しか身に着けられん」

女戦士「本当はそれも欲しいのだが流石に体が持たないと思ってな…どうにか呪いが解ければ私が使う」

魔女「無理じゃ!エンチャントは不可逆の変性じゃでもう元には戻らぬ」

女戦士「フフまぁ良い…この破壊の剣で十分だ」
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:11:12.96 ID:KbfSVIxh0
『城_中庭』


ギャハハハハ ワイワイ


ローグ「食事持ってきやしたぜ?」モグモグ

女戦士「気が利くな」

ローグ「魔女さんもどうぞでやんす…」

魔女「盗賊の勝負はどうなっとるのじゃ?」

ローグ「見ての通りっすよ…互角に飲み比べていやす」

魔女「ほぅ…奴も酒豪とな?」

ローグ「どうも結託した様っすね…2人で他の近衛侍も巻き込む作戦に変わったみたいでやんす」

剣士「ハハ巻き込まれない様にしないとね」


盗賊「ごるぁ!!女オーク逃げんな…お前も飲め」グイ

女オーク「お酒は沢山飲まないのよ」

盗賊「酒に肉は一切入って無ぇんだ…材料は芋とキノコだぞ?」


剣士「盗賊さん!!女オークにお酒は意味が無いよ?酔わないから」

盗賊「なぬ!?そら面白く無ぇじゃ無ぇか!先に言えタコ」

女オーク「ふぅ助かったわ…もうお腹が膨れてしまって」

戦士「フハハハハこの勝負…私の勝ちと見た!げふぅぅぅ」フラ

女オーク「又言ってる…どうにかして剣士」

剣士「いや…ここは逃げよう」

魔女「うむ馬鹿に構っておると移るでな…」ノソノソ

商人「ようし!!僕が勝負してあげようじゃ無いか」

戦士「貴殿は商人殿だな?望む所だ…私は背を向ける事を決してしない」ヨロ

盗賊「おいおいこいつは止めとけ…ゾンビだから酒に酔わ無ぇんだ」

商人「あああ!!秘密をバラしちゃダメじゃ無いか!!」

戦士「なんと卑怯な!!貴殿はそれで良いのか!?」

盗賊「おいローグ!!やっぱ俺とお前しか居無ぇ!!来い!!」

ローグ「えええ?又っすか…」

戦士「ローグ殿…共に飲み明かしましょう!ハハハハ」

女戦士「私も一口飲んでみるか…」

戦士「おぉ!!女戦士殿…貴殿の話は伺っておりますぞ…なんでも一口で出来上がってしまうほど弱いとか」

女戦士「なに!!誰がそんな事を…」

ローグ「…」コソーリ

女戦士「ローグ!!来い!!」ギロ

ローグ「へい…」

女戦士「私は味見だけだ…後はお前が責任を取れ」

盗賊「樽持って来い樽だぁぁぁ!!」


うおぉぉぉぉ ワイワイ
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:12:36.40 ID:KbfSVIxh0
『深夜』


んがぁぁぁ ぐぅ


戦士「…」ヨロ

盗賊「よぅ?横になったらどうよ?」グビ

戦士「いやいや私は最後まで立って居なければならん…ヒック」ヨロ

盗賊「ヨロヨロじゃ無ぇか…まぁしかし美味い酒が飲めたな?」グビ

戦士「平和…これ以上美味い酒の肴は無い」フラフラ

盗賊「分かってんじゃ無ぇか…身分違っても思う所は一緒だな?ヌハハ」

戦士「…」スラーン ブン ブン

盗賊「暴れて怪我すんなよ?」

戦士「酔い覚ましの運動さ」ブン ブン



『城のテラス』


魔女「ふぅむ…この勝負…元セントラル王の勝ちじゃな」

女戦士「まだ飲んでいるのか?…ぅぅん」グター

魔女「いやあの男一人だけまだ立って居る…大した胆力じゃな」

女戦士「フフ…セントラル城に立て籠もって居た時も奴だけは諦めずに居た…そういう男だ」

魔女「頭は回らんが英雄の器があるのぅ」

女戦士「英雄か…」

魔女「うむ…カリスマと言えば良いのか?王を失しても褪せん物を持って居る」

女戦士「この時代に英雄は必要だ…守ってやらねばならんな」

魔女「そうじゃな…次の時代の真の王はフィン・イッシュで花開くあの男の様じゃのぅ」

女戦士「んん?八尺瓊勾玉の件か?」

魔女「うむ…王を選ぶと言われる勾玉が発見されたで気になって居ったのじゃよ」

女戦士「私は破壊の剣に魅せられた隠者という所か」

魔女「主は海賊王の道じゃろうのぅ…海の英雄じゃ」


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283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:14:25.76 ID:KbfSVIxh0
『翌日』


乗船する者を確認する


女王 いかずちの杖 軽装

戦士 王家の剣 重装

剣士 銀河の剣 中装

女オーク コバルトの剣 中装

女戦士 破壊の剣 重装

アサシン 草薙の剣 中装

盗賊 散弾銃 中装

ローグ ミスリルダガー 中装

情報屋 マグマの杖 軽装

商人 クロスボウ 軽装

魔女 幻惑の杖 軽装

くノ一 クナイ 中装

近衛侍 カタナ 中装


他調理士2名…医者2名…航海士2名…測量士2名

戦闘要員として兵団から男女混合の10名が同行する

出港は昼過ぎ…各自移送用の気球に乗って船へ乗船してくれ…以上!


盗賊「31人か…賑やかな航海になるな」

女戦士「スケルトンを合わせて40だ」

盗賊「避難は小舟2隻と貨物用気球…まぁこれで目一杯だな」

女戦士「外海に出て見たい連中が沢山居て直ぐに人員が決まった…乗れなかった人には申し訳ない」

盗賊「戦闘要員なんか要らないんじゃ無ぇか?」

女戦士「女王の警護なのだ…全員訓練された選り抜きだ」

盗賊「戦争に行くんじゃあるめぇし…」

女戦士「選り抜きというのは戦闘では無い…技術者や学者も含まれる」

盗賊「んん?古代遺跡の調査か?」

女戦士「そうなるな…女王がノリノリなのだ」

盗賊「なるほど国として海洋進出って訳か…自国領にする訳だな?」

女戦士「そういう事だ…アサシンの進言だよ抜け目がない」

盗賊「まぁ俺らはいつも通りにしてりゃ良いよな?」

女戦士「規律だけは守ってもらう…酒は夕食の時に一杯だけだ」

盗賊「ぐはぁぁ…マジか」

女戦士「長期航海になるかもしれんから健康管理と水の不足を防ぐ為だ…自分で作って飲むのも禁止する」

盗賊「やる事無くなるな…釣りでもすっか」

女戦士「それは大いに助かる…存分にやってくれ」

盗賊「おいローグ!!剣士!!そろそろ船に乗るぞ」

ローグ「へ〜い!!剣士さんも女オークさんもそろそろ行きやしょう」

剣士「うん…女オーク?種忘れてない?」

女オーク「私が持ってるわ?」

剣士「おけおけ!じゃ行こう」グイ
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:16:01.61 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船』


ザブン ギシギシ


剣士「僕達が寝泊まりするのは飛空艇にしようか…」

女オーク「そうね?居室は人が多そうだし」

剣士「食事もみんなと違うんだよね」

ローグ「あっしらも貨物用気球で寝る事になりそうでやんす」

盗賊「飛空艇は忙しいかも知れんぞ?女戦士は氷山を警戒しててな…飛空艇を飛ばして監視すると言ってる」

剣士「そっちの方が気楽で良いや…夜中の飛行だね?」

盗賊「そうだ…お前が持ってる光の石頼りになる」

剣士「おけおけ!夜中も航海した方が早く到着できるしね」

盗賊「船首にロープ結んで飛空艇で飛んだら幽霊船の周りを光で照らす感じだ」

剣士「夜中は交代で見張りしておけば良いのかな?」

盗賊「そうなると思う…お前等2人で大丈夫だよな?」

剣士「気楽で良いよ」

盗賊「まぁ昼間は降りて休んでも構わん」

ローグ「盗賊さん!貨物用気球で人員運搬に戻りやすぜ?」

盗賊「おー頼むわ…俺ぁハンモック編んどく」



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フワフワ ドッスン


ローグ「はい皆さん降りて下せぇ…」ゾロゾロ

近衛侍「…これが有名な幽霊船ですか…ほー」

商人「普通の貨物船だよ…大砲も積んで無い…砲弾も無い」

くノ一「あのスケルトンは?」

商人「船を動かす奴隷さ…アサシンの命令を聞くんだ」

情報屋「私達が寝泊まりする部屋は何処?」

ローグ「盗賊さんに聞いて下せぇ…あっしはもう一回人員運搬に戻りやす」フワフワ

情報屋「桟橋に船が付けられないと本当に不便ね」

商人「そうだね…気球が無いとどうにもならない」

情報屋「さて書物の整理をしなきゃ…部屋は何処かしら」スタスタ
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:17:31.93 ID:KbfSVIxh0
『昼間』


ザブ〜ン ユラ〜


女戦士「全員乗った様だな?」

ローグ「数確認しやした…全員居やす…はぁはぁ」

女戦士「よし…後で褒美をやる」

ローグ「ムフフフフフ…」

女戦士「では出港する!!碇を上げろぉ!!」


どらぁぁぁぁぁ ガラガラ


女戦士「進路北西!横帆展開!!」

盗賊「嬢ちゃん手伝え!!そこのロープほどけ」グイグイ

女王「は…はい!!」グイグイ

盗賊「マスト上がれるか?上にも同じロープあるからほどいて来い」

女王「わかりました…」アセアセ

盗賊「戦士!!船首の縦帆開いて2番に結べ!!」

戦士「2番…2番…右の2番なのか左の2番なのか…」ズドド

盗賊「2番って書いてあんだろ!!早くしろぉ!」

戦士「どらぁぁぁ!!」グイグイ ギュゥ


グググ ギシ


女戦士「面舵一杯!!」グググ

アサシン「クックック…ドタバタだな…私は高見の見物だ」

女戦士「魔女!風のタクトで南風を吹かせてくれ」

魔女「ホレ…」フリフリ


ビュゥゥゥ


盗賊「おお!!良い風が来たぞ…風を横から受ける!!女王こっち来い!!ロープの結び方見とけ」グイグイ ギュゥ

女王「はい…」アセアセ

盗賊「今から横帆の角度調整するんだ…ちっと力が必要になる…まぁ見とけ」グイ

女王「私もお手伝いを…」グイ
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:18:16.86 ID:KbfSVIxh0
盗賊「そうだ!そうやって引っ張って金具に結ぶ!」グイグイ


バサバサ ググググ ユラ〜


女戦士「そのまま保持…進路定まるまで待て」

盗賊「ふぅぅ船が進みだしたぜ?しばらくフィン・イッシュとはさよならだ」

女王「はい…出港は感慨深いですね」

盗賊「だろ?置いて来た物が気になるだろ?それでも向こう側を目指すのが海の男よ…」

女王「私は女ですけれど…」

盗賊「悪いな働きっぷり見たら男だと思ってたわヌハハ」



『甲板』


ザブ〜ン ユラ〜


盗賊「ようし!進路定まったな…ざっと15ノットぐらいか…」

女戦士「思ったより速度が出るな」

盗賊「昼夜この速度で帆走出来るなら相当早く到着するんじゃ無ぇか?」

女戦士「一日300km進めると仮定して海図と比較するとハウ・アイ島まで10日程」

盗賊「狭間に入るのは昼間だけだな?」

女戦士「うむ…昼間に何度か狭間を使って4〜5日だな…もしかすると3日で行けるかも知れん」

盗賊「風のタクトすげぇな…」

魔女「主は杖なぞ要らんと言うて居ったな?」

盗賊「こんな使い方出来るなんて思わなかったもんだからよ…海で安定した風が続くことは無いからメチャクチャ便利だ」

女戦士「この風はどの範囲で吹いているのだ?」

魔女「船の周りだけじゃな…風が巻き込んで一方向から吹いて居るだけじゃ」

盗賊「俺にその杖クレ」

魔女「そうじゃな…使うのも面倒じゃった所じゃ…ホレ」ポイ

盗賊「これがありゃ俺のポンコツ飛行船をもっと早く飛ばせる…むふふふ」

魔女「火事場に風を吹き込む様な使い方はせん様にな?」

盗賊「おぉ!!そんな使い方もあるのか」

情報屋「ちょっと魔女…そんな事教えたら逆効果よ?」

魔女「しもうた…こ奴の頭の悪さを忘れておった」

女戦士「さぁ日が沈むまでの間に狭間に一度入るぞ」
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:19:39.70 ID:KbfSVIxh0
『黄昏時』


リリース!


女戦士「進路を太陽に向ける…取り舵」グルグル

剣士「なんか甲板で観測の準備始まってる…」

商人「新しい海図と航路を作ってるんだ…緯度経度の算出だよ」

剣士「経度ってどうやって算出するんだろう?」

商人「見に行くと良い…真上に来る星と太陽の角度を観測するらしい」

剣士「真上…そうかそれだと詳しい星座が記された書物が必要だ」

商人「らしいね?観測士はその辺り熟知してるよ」

剣士「へぇ…ちょっと見て来る」シュタタ

女戦士「商人…新しい海図を見たいのだが」

商人「今インクを乾かしてる」

女戦士「方角は合っているのか?」

商人「大丈夫…とりあえず西の方に向かえば座礁する事は無いよ」

女戦士「それなら良い…例の探検家の海図は役に立って居るか?」

商人「大分歪んでるみたいだから航海士と相談しながら新しい海図を描いてるんだ」

女戦士「海では目標物が無いからその島を探せるのかも怪しい」

商人「あー実はね…僕の機会の犬がハウ・アイ島の座標を知ってるんだよ」

女戦士「なんだそういう事か…では現在地の座標も分かるだろう」

商人「うん分かってる…観測の精度を試して居るんだよ…それで探検家の海図と比較して浅瀬の位置を特定しようとしてるのさ」

女戦士「フフ私が心配する事では無いか」

商人「まぁ例の海図を生かす為の観測だよ…心配しなくて良い」

女戦士「では私は少し休んで航海士に任せるとしよう」

商人「もうすぐ食事だよ?行って来たら?」

女戦士「お前は口が寂しかろう…私用の酒を持って来てやる」
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:20:54.14 ID:KbfSVIxh0
『夜』


ピカーーーー


盗賊「こりゃ夜でも視界良好だ…おっとぉ!!竿が引いてる」グググ

ローグ「あの光のお陰っすね…良く釣れやす」グイグイ

盗賊「クラーケンなんか釣れたらどうする?」

魔女「わらわが焼きイカにするで案ずるな」グイグイ

戦士「どらぁぁぁぁ!!一本釣りぃぃ」グイ


ピチピチ パタパタ


盗賊「だははは釣りは俺の勝ちの様だ…跪け!!」グググ

戦士「ハハハたまにはこんな事もある…敗北とは心が折れる事…私の心を折る事なぞ出来ん」キリ

ローグ「あややや始まったでやんす…」

女王「…」ニコニコ

魔女「むむ!!大物じゃ…女王や!いかづちの杖を使ってみぃ」ググ

女王「は…はい!」フリフリ


ガガーン!!ビリビリ


盗賊「ぬぁ!!釣りに雷落とすのは反則だろうが!!」

魔女「うるさいのぅ…引き上げるの手伝わんかい!!」グイグイ

ローグ「うわ…サメっすよ…」

盗賊「おぉぉ肝油が取れるじゃ無ぇか…サメは保存食になる上に割と美味い」グイグイ

魔女「釣りはわらわの勝ちじゃな」

盗賊「おいローグ!!目を覚ます前に速攻捌くぞ…肝油が航海には貴重な薬になる」

ローグ「へい!!解体は任してくだせぇ」スパスパ
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:22:14.06 ID:KbfSVIxh0
『日の出』


カチャカチャ

星座の確認と角度の記録を…

天中の星は予測とズレて居ないか?

南極星は角度相違なし


盗賊「んがぁぁぁ…すぴーーー」zzz

情報屋「又あの人あんなところで寝てる…寒く無いのかしら」ゴシゴシ

女戦士「いつもの事だろう…湯でも沸かしておいてやれ」

情報屋「でも大分暖かくなってきたみたい」

女戦士「温暖な海流に入った様だ…次は天気が心配になる」

情報屋「それは経験?」

女戦士「まぁな?こういう場所では天気も変わるし海流も方向が変わるのだ」

情報屋「嵐の航海は避けたいわね」

女戦士「嵐では無い…少し雨が降る程度…水不足にならない救いの雨だよ」

情報屋「なら良かったわ…航海1日目で嵐なんて最悪よね」

女戦士「しかしこれだけ人数が揃った航海はさすがに楽だ…普段は夜寝られないからな」

情報屋「兵団から来た人員を戦士さんが統制しているお陰もあるわね」

女戦士「さすが軍属上がりという所か」

情報屋「間が抜けている様でそうでも無いのよね…不思議な人だわ」

女戦士「しかしだな…船首で仁王立ちするのは止めてもらいたい…言って来てくれないか?」

情報屋「あの人いつ寝るのかしら…」

女戦士「まさか立ったまま寝て居ないだろうな?」

情報屋「フフありえそう…」
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:23:19.88 ID:KbfSVIxh0
『船首』


ザブン ユラ〜


情報屋「…あのー…もし?」

戦士「すぅ…」パチ

情報屋「体冷えませんか?」

戦士「あぁ私とした事が…うたた寝してしまった様だ」フリフリ

情報屋「交代の時間が過ぎていますのでお休みになられては?」

戦士「ハハお気になさらず…航海に心が躍って居るのですよ…朝日!!又今日が始まった!!感謝」

情報屋「気を張りっ放しだと疲れませんか?」

戦士「気を遣わせてしまって申し訳ない…私は只朝日を全身に浴びて身を清めたかっただけ」

情報屋「身を清める?」

戦士「過去と決別したいのですよ…この光の向こう側に行きたい」

情報屋「そうですか…」---心に闇を抱えてる---

戦士「では私はこれにて…」スス

情報屋「…」


裏切り…謀略…挫折…絶望すべて経験して来た人

それでも尚光に向かって進む背中

そういう人なのね…
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:25:22.44 ID:KbfSVIxh0
『デッキ』


ギシギシ ユラ〜


女戦士「よし!飛空艇が戻ったな?狭間に入るから総員休んで良い…ハイディング!」スゥ

商人「新しい海図持って来たよ…」パサ

女戦士「今どこだ?」

商人「ここさ…まだ大した進んでない」

女戦士「狭間にどれだけ入って居られるかだな」

商人「海流がどうなってるか分からないから適宜確認しよう…現在地は僕が直ぐに調べるから」

女戦士「そうだな…商人!お前は一睡も出来ないのか?」

商人「眠たくならないんだよ…どうして?」

女戦士「いや…昔と関わり方が少し変わったなと思ってな…辛く無いか?」

商人「辛いさ…永遠の命なんか欲しいと思わない方が良いよ」

女戦士「私が説教される側になるとはな…フフ」

商人「僕はこの体になって初めて気づいたよ…欲望あっての人間だってね」

女戦士「言う事が逆になったか?」

商人「人間から魔王を取り払うと人間じゃ無くなる…食欲…性欲…強欲…少しは必要だ」

女戦士「アサシンも同じ様な事を言っていた」

商人「だろうね…まぁ酒で口の渇きを癒せるだけマシかな…一応酒を飲みたい欲求はあるから」

女戦士「欲求か…」

商人「今は古代遺跡を探窟したい欲求もあるし気が紛れる…そればっかり考えるのは少し苦痛だけど」

女戦士「つまり前に進めば良いのだな?」

商人「んんーそういう事なんだろうか?」

女戦士「歩むことが人間である証…そう言い変えても良いな」


戦士「それだあああああ!!」ドドドド


女戦士「んん?暑苦しい男が来たな…」

戦士「そうだ私はそれが言いたかった…歩む事!進む事!それが未来!!だから私は行く!!」キリ

商人「ハハハ本当…王様には思えない人だ」

戦士「私は王様なぞ肩書だけの物は要らない!!平和だ!未来だ!民を救い未来に連れて行く…だから私は立つ!!」

女戦士「フフ暑苦しいが純粋なのは嫌いでは無い…ただ船首で仁王立ちするのは邪魔だから止めて貰いたい」

戦士「ハハそれは失敬した…以後気を付ける」キリ

女戦士「さて狭間に入ってしばらく何もする事が無い…今の内に休んでくれ」

戦士「そうか!船長の指示には従う…一つ!休息している事は内密にしてくれ」

女戦士「わざわざ言う物か」

戦士「感謝!!」スタ

商人「…なんだろうなぁ…な〜んかめんどくさい人だ」
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:26:53.57 ID:KbfSVIxh0
『2日後』


ギャァァァス バッサ バッサ

クロスボウは引き付けてから撃て…ボルトを無駄に使うな!!

怪我人は居室に入るんだ


盗賊「…なんで海のど真ん中にガーゴイルが居るんだよ…」タジ

魔女「狭間の深い場所があるのじゃろう」

盗賊「あいつらどこで羽休めすんのよ」

魔女「知るかいな…空を飛び回られては戦い辛いのぅ」


戦士「臆病者め!!この私に恐れをなしたか!!掛かって来い腐れコンコンチキ!!」バンバン


盗賊「何やってんだあの馬鹿」

魔女「いやあれで良い…盗賊や…ガーゴイルが集まったら一気に撃つのじゃ」

盗賊「あいつ巻き添え食らうぞ?」

魔女「承知の上じゃろう…あ奴はそういう戦い方なのじゃ」


戦士「ハハハそんな攻撃では私は倒せん!!束になって掛かって来い!」ブンブン

ガーゴイル「ギャァァァァ!!」イラ バッサ バッサ

戦士「全体射撃!!てぇえええええええ!!」


バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン


戦士「突撃!!」ヨロ

剣士「おっけ!!」シュタタ ブン ザクリ

女オーク「はぁ!!」ブン グサ

女戦士「やるな!?戦士!!」

戦士「私とした事が…ボルトを二三食らってしまった」ヨロ

剣士「線虫!」ニョロリ

戦士「なぁに…これしきの事」ズボ

剣士「傷口は直ぐに塞がる…出血だけ抑えて」

戦士「気を遣わせてしまったな…まだ2匹飛んでいるから私の背後へ…」

剣士「大丈夫…あの2匹は僕がやる」チャキリ

戦士「飛び道具かね?」

剣士「見ててよ?木が落ちて来るよ」ターン ターン

剣士「成長魔法!」グングン


ザブーーーン ギシギシ


盗賊「どわぁぁぁ!!」ゴロゴロ

剣士「貴重な木材ゲット!!引き上げ手伝って」シュタタ

戦士「…」アゼン

盗賊「おま…危無ぇだろ!!船に落ちたら沈没すんぞ…」

剣士「結果オーライさ…丁度木材欲しかったんだ」
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:28:14.44 ID:KbfSVIxh0
『船長室』


女戦士「洋上に空飛ぶ魔物が出るのは想定外だ…この海域は迂回した方が良い」

商人「もう狭間の中に入ってて方向見失ってる」

女戦士「迷ってしまったか…何なんだここは」

女王「もしかして…」

近衛侍「女王様…ニライ・カナイでは?」

女戦士「ニライ・カナイ?知って居るのだな?」

女王「フィン・イッシュの沖の方に有ると言われる安土…死者の国です」

商人「国?島か何かがあるのかな?」

女王「分かりません…竜宮があるとか死後に行く浄土があるとか…伝説で伝えられているだけですので」

情報屋「竜宮…伝説だと海の中ね…そして人魚の住まう地と言われてる」

女戦士「まぁその竜宮が海の中にあるとして私達はその上を通過しようとしている訳だな?」

近衛侍「竜宮と言えば龍神が住まうとも…」

商人「剣士達が言ってた電気ウナギかも知れないね」

女王「龍神と言っても沢山居ますので分かりません」

女戦士「兎に角一刻も早くこの海域を出ないと危ない訳だ…さてどうする」


ガチャリ バタン


剣士「はぁはぁ…銀貨を集めてる!!皆持ってる銀貨を出して!!」

商人「どうしたんだい?そんなに慌てて…」ジャラリ

剣士「レイスだよ…ゴーストも空を飛んでるんだ…魔方陣を隅まで張る」

商人「大変な事になってきてるな…手伝おうか?」

剣士「大丈夫!魔方陣張り終わって安全になったら出て来ても良いよ…銀貨貰って行くね」シュタタ
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:29:35.98 ID:KbfSVIxh0
『甲板』


ンギャーーーーー


剣士「魔女!銀貨持って来たよ」ジャラリ

魔女「魔方陣はわらわが張るで主は戦闘員の武器に照明魔法を掛けて来るのじゃ」

剣士「おっけ!」

魔女「まさかレイスが出るとは思うて居らんで銀を荷に入れて居らなんだな…」

剣士「余った銀貨で僕が即席で武器作るよ…銀貨は節約して使って」

魔女「うむ承知した…早う照明魔法掛けに行って来い」

剣士「うん!!」シュタタ


--------------


ローグ「近づくな!!って言ってるでやんす」ブン スパ

レイス「ンギャーーーー」シュゥゥゥゥ

盗賊「レイスと戦えるのは俺らだけか?」キョロ

ローグ「その様でやんすね…」ダダ ブン スパ

盗賊「ガーゴイルと同時に来られるとキツイぜ?」ダダ ブン スパ

剣士「照明魔法!」ピカー

戦士「むむ!!これは?」

剣士「それでレイスと戦える筈!!魔方陣張り終わるまでレイス近づけないで!!照明魔法!」ピカー

盗賊「おぉ増援だな?船首側を頼む!!」

戦士「承知!!」

盗賊「光の影を作るな!!そっからレイス湧いてくんぞ!!」

戦士「光を受けた者は背を庇いながら散開だ!!続け!!」ダダ


ンギャーーーー シュゥゥゥ


盗賊「やるなあいつ等…やっぱ戦闘慣れしていやがる」

ローグ「助かりやしたね…今んところ死者無し」

剣士「よっし!僕も…」スラリ ピカー
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:31:16.78 ID:KbfSVIxh0
『10分後』


ンギャァァ バッサ バッサ


盗賊「レイスが近づいて来なくなった…後はガーゴイルだけか」

魔女「やっと隅まで魔方陣を張り終わったわい…」ノソノソ

盗賊「おぉ魔女…あのガーゴイル撃ち落せるか?」

魔女「腰が痛いのじゃ…主らで何とかせい」ノソノソ

剣士「木材!!木材!!」ターン ターン

剣士「変性魔法!」グングン


ザブ〜ン ユッサ ユッサ


剣士「またまた木材ゲット!!」

盗賊「何に使うんだよ…引き上げんのダルいんだが」

剣士「虫の食料さ…キノコだって生やせる」

戦士「剣士殿…相談なんだがその木材で弓矢は作れないか?」

剣士「ん?出来るよ?」

戦士「この船にはクロスボウは沢山あるが弓矢が乗って居ない…弓矢があれば対空をもう少し有利に運べる」

剣士「おけおけ!!とりあえず10個くらいあれば良いかな?」

戦士「助かる…急ぎで使いたい」

剣士「ちっと待って…すぐ作るから」



『船長室』


ガチャリ バタン


魔女「戦闘は落ち着いたぞよ?」

女戦士「そうか良かった…魔女にも今の状況を聞いて欲しいのだ」

魔女「ふむ…迷ってしまって居るのじゃな?」

商人「そうだよ…下手に進路変えると狭間に迷ったまま出られなくなるという話をしてた」

魔女「その通りじゃな…真っ直ぐ進んでもいつ出られるか分からんが…」

女戦士「狭間の範囲を予測出来ないか?」

魔女「さぁのぅ?何も目標物が無いで分からぬ」

商人「島でも何でも良いから何か有ったら良いんだけど…」

女戦士「進路変えずに何か見えるまで進むしか無いな」

魔女「魔物はガーゴイルだけじゃで対処出来る…問題は疲労じゃな」

女戦士「仕方ない…交代で戦おう」

商人「僕はクロスボウしか武器を持って無いよ?」

魔女「案ずるな…ガーゴイルは不死者には襲って来ぬ故…主は相当有利じゃ」

商人「お?そういう事ね?」

魔女「剣士が銀の武器を作ると言うて居ったからそれを使って落ち着いて倒せば良い」

商人「よし!!」

女王「私もいかづちの杖で戦えば良いですか?」

魔女「飛び回って居るガーゴイルに当てるのは難しいがやるしか無い」

情報屋「じゃぁ私もマグマの杖で…」
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:32:30.64 ID:KbfSVIxh0
『居室』


ギコギコ シュッシュ


剣士「木材と樹脂のコンポジット弓だよ…出来た奴から持って行って」シュッシュ

戦士「矢は技師に作らせる…材料を少し頂く」ガサガサ

剣士「矢羽が無いでしょ?どうするの?」

戦士「リーフがある…飛距離は出なくても良いからけん制出来れば良い」

剣士「おけおけ…後でちゃんとした矢も作ってあげるよ」

戦士「剣士殿は器用でなかなか頼れる…共にこの難局を乗り越えよう!」キリ

剣士「ハハ…」汗

戦士「では私は弓を配布してくる…」ズドドド


ガガーン ビリビリ ドーン パーン


剣士「お?魔法を撃ち始めたか…」

女オーク「私達は交代で少し休憩よ」ドスドス

剣士「外はどうなってる?」

女オーク「魔女と女王と情報屋さんの3人で魔法撃ってるわ」

剣士「触媒の無駄遣いにならなければ良いけど…」

女オーク「杖を使って撃ってる」

剣士「あーなるほど…この船には魔石が沢山乗ってたね…そういう事か」

女オーク「私も杖なら使える?」

剣士「フフフフフ…杖じゃ無くて良い…コバルトの剣は強烈な雷を封じる事が出来るぞ…フフフフフ」

女オーク「この剣で?」

剣士「荷室に魔石があるから持って来てくれるかな…その間にコバルトの剣にエンチャントしておくよ」

女オーク「わかったわ…」ドスドス
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:33:37.42 ID:KbfSVIxh0
『数分後』


アブラカタブラ ライジングソード チョチョイノチョイ


剣士「はぁ!!」ビシビシ ビリ

女オーク「持って来たわ」

剣士「丁度エンチャント成功した…飾り石を魔石に交換する…」ガチャガチャ

女オーク「どうやって使うの?」

剣士「この剣は切っ先にミスリル銀が仕込んである…雷の出口はそこになるから敵に向けて魔石を強く握れば良い」

女オーク「簡単そうね?」

剣士「握る強さで雷の出方が変わるから上手く調整して?…びっくりするよ?雷はコバルトで増幅するからさ」

女オーク「わかったわ」

剣士「この外したアダマンタイトは無くさない様に大事に持っておいてね」ポイ

女オーク「ハイディング用ね」

剣士「因みにエンチャントしたのは只の雷魔法…基本魔法だけどコバルトの増幅でビックリ魔法になってる筈」

女オーク「フフ楽しみ…」

剣士「よっし!!その剣に名前を付けよう…雷神の剣!!どう?」

女オーク「じゃぁ私は雷神ね?」

剣士「かっこいいなぁ…僕も欲しくなって来たなぁ…」
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:36:17.02 ID:KbfSVIxh0
『甲板』


ガガーン ビリビリ


ガーゴイル「グェ…」ピクピク

女王「だんだんコツが分かって来ました」

魔女「これは良い訓練じゃな…」

戦士「落ちたぞ!!行けぇぇ!!」ズドドド


ビビビビビ ビシビシ


魔女「むむ!!誰じゃ?」

女オーク「私のコバルトの剣にエンチャントしてもらったの」

魔女「ほう?剣士がエンチャントとな?」

女オーク「雷の基本魔法をエンチャントしたのよ」

魔女「コバルトに雷とな…ふむ…最良の組み合わせじゃ…飛んで居るガーゴイルに当てて見よ」

女オーク「まだ使い方に慣れていなくて…」ギュゥ


ビビビビビビ ビシバシ


魔女「雷の出口が又小さいのぅ…もっと強く出せんのか?」

女オーク「もっと強く?」グググ


ビカビカ!! ビビビビビ


戦士「おお!!ガーゴイルに穴が…」

魔女「それじゃ!!当たれば威力は絶大じゃ…出口が小さい分威力が凝縮されておる」

情報屋「これで4人体制で魔法を撃てるわね」

魔女「うむ…全方位手分けじゃ」ノソノソ
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:37:47.16 ID:KbfSVIxh0
『2日経ったぐらい』


ガガーン ビリビリ ドーン パーン


女戦士「さすがに戦い詰めでは皆疲れが出て来ているな」

アサシン「100日の闇を思い出す…疲れで不平不満が出る前に対処せねば後悔するぞ?」

女戦士「分かって居る…しかし狭間から出る術が無い」

アサシン「船底の荷室が比較的静かで眠る事が出来るだろう…兵を休めるべきだな」

女戦士「うむ…兵に食事と休息を与えて来る」スタ

アサシン「甲板は任せろ…」シュタタ


-------------


アサシン「女王!それから情報屋は船底の荷室で仮眠を取れ」

女王「ふぅ…魔法が薄くなっても?」

アサシン「少しくらい甲板まで攻められても問題無い…何とかする」

情報屋「女王…従いましょう」

女王「はい…」スタ


どらぁぁぁぁぁぁ!! ばっちこーーーい!!


アサシン「さて私も加勢するか…」シュタタ

盗賊「おぉ来たな?」

アサシン「どういう作戦だ?」

盗賊「戦士がガーゴイルを引き付けて俺らが弓で狙い撃ちよ…ほんで死体からローグが角を採取する」

アサシン「角をどうする?」

盗賊「回復魔法のエンチャントに使うんだとよ…長期戦の想定だ」

アサシン「そうか皆そのつもりで居るか」

盗賊「やっぱり戦士は実践積んでるから読みが深いぞ?…長期戦想定して兵の損耗最小限に動いてる」

アサシン「100日の闇を生き残った経験だな…ここからが本番なのだ」

戦士「総員!!撃てぇぇぇぇ!!」


シュン シュン シュン シュン グサ グサ グサ グサ


戦士「どらぁぁぁぁ!!」ブン グサ

盗賊「行くぞ!!」ダダ

アサシン「フフ…」シュタタ


-------------

-------------

-------------
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:38:48.32 ID:KbfSVIxh0
『何日経ったか不明』


ガチャリ バタン


女戦士「ええい!!いつになったら狭間から出られる!!」ドン

アサシン「クックックまだ死者は出て居ないのだから取り乱すな…交代するから休め」

女戦士「交代したからと言って眠れる物か」

アサシン「ワイトが居ない内は序の口…頭を冷やすのだ」

女戦士「ワイト?聞いた事が無い…何なんだそれは」

アサシン「悪霊だ…魔方陣を超えて夢の中に現れる」

女戦士「通りで眠れない訳だ…」

アサシン「何?誰もそういう話をして居ないが?」

女戦士「訓練されて居るから弱音を吐かんだけだ…皆眠れないで耐えている」

アサシン「そうか次の段階に入っていたか…行方不明者が出るぞ」

女戦士「…」ジロリ

アサシン「そう怖い眼で見るな…不明者が出ると一気に士気が下がる…さらには内ゲバだ」

女戦士「どうしろと言うのだ」

アサシン「言いたく無いが…最後の手段として私に噛まれるという方法もある」

女戦士「…もう良い…聞きたくない」

アサシン「済まんがそういう状況だと理解しておけ…まぁ兎に角少し休め」スック

女戦士「…」
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:39:50.11 ID:KbfSVIxh0
『船底の荷室』


ググググ ギギギー


女王「ううん…はぁはぁ」ガバ

魔女「やはり眠れんか…」

女王「又…又悪い夢を…」プルプル

魔女「これでは睡眠魔法は逆効果じゃな…どうしたもんか」


ソヨソヨ


商人「空気入れ替えて涼しくしてもダメかい?」

魔女「ダメじゃ…見てみぃ皆うなされて居る」

商人「何日もこんな状況が続くのは良く無いね…疲れが取れない」

女戦士「魔女…来てくれ相談したい事が有る」スタ

魔女「んん?どうしたのじゃ?」

女戦士「剣士が妖精の笛を使えば良い夢が見れると言っているのだ…只全員眠ってしまうリスクがある」

魔女「妖精!!それじゃ…妖精を呼んで狭間の外に案内させれば良い!!」

女戦士「なに?」

魔女「忘れておったわい…そうじゃ妖精を呼べるのじゃ…」

女戦士「では使わせて良いんだな?」

魔女「全員眠ってしまうのはちと考え物じゃな…剣士一人でガーゴイルと戦う事になってしまうが」

商人「耳を塞いでみたら?」

魔女「そんな方法で防げるとは思わんのぅ…」

女戦士「一度剣士と話をしてみてくれ…居室だ」

魔女「うむ…行って見る」ノソリ
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:40:45.44 ID:KbfSVIxh0
『居室』


ガチャリ バタン


剣士「あ!!魔女…聞いた?」

魔女「うむ…主が妖精の笛を使って見たいという事じゃが」

剣士「あー僕じゃない…女オークが笛を吹くんだよ」

魔女「女オーク一人でガーゴイルの相手をする事になるが?」

剣士「大丈夫さ…雷神の剣でチョチョイノチョイだよ」

女オーク「もしかするとガーゴイルも眠らせられるかも知れない」

剣士「アハハそうだね?」

魔女「しかし全員寝てしまうのはリスクが大きいのぅ」

女オーク「ガーゴイルを倒すのは自信があるの…きっと大丈夫よ」

剣士「ほら?こう言ってるんだしさ…もうみんな疲れ切ってるから何とかしないと…特に戦士さん」

魔女「あ奴は一度も寝て居らん」

剣士「でしょ?やってみよう!!」

魔女「ではこうしよう…わらわを最初にたたき起こすのじゃ」

女オーク「分かったわ」

魔女「では早速使うて見よ…」

剣士「窓開けるね…」バタン

女オーク「吹くわね…」


ピロロ〜♪ ピロピロロ〜♪

--------------

--------------

--------------
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 19:43:15.95 ID:KbfSVIxh0
『甲板』


ピロロ〜♪ ピロピロロ〜♪


盗賊「んん?妖精の笛か?」キョロ

ローグ「こんな時に笛っすか…」ダダ スパ

ガーゴイル「ギャァァァ…」ドタリ

ローグ「角げっつ〜〜!!」ボキ バキ

戦士「この笛の音は!?」ダダ

盗賊「まぁ気にする事ぁ無ぇ…戦士!!お前足がもたついてる…少し休め」

戦士「ハハ私は立ったままで平気…」フラ

アサシン「ここは私達に任せろ…邪魔になるから下がれ」ダダ

戦士「それは失敬した…後方で待機する」フラフラ ドターン

盗賊「だから言わんこっちゃ無ぇ…」ヨタヨタ

ローグ「あれれ盗賊さん…酒飲みやしたか?」ゴロゴロ

アサシン「むむ…なんだこの目まいは…」フラフラ

盗賊「やべぇ…笛にやられて…」ドタリ

アサシン「まさか不死者の私が…眠るだと?」フラフラ


ドスドスドス


女オーク「よし!!ガーゴイルが居ない…」

アサシン「こ…これはどういう…」ドタリ

女オーク「魔女さん?起きて魔女さん?」ペシペシ

魔女「すゃ…すぅ…」zzz
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:43:50.83 ID:KbfSVIxh0
女オーク「間を置かないとダメね…」キョロ


フワフワ パタパタ


妖精「おいお前!お前か僕を呼んだのは!!」

女オーク「妖精さん?」

妖精「そうだ僕は妖精だ…何の用だ?」

女オーク「狭間の出口を探しているの」

妖精「なんだそんな事か…でもタダじゃ教えてあげないぞ」

女オーク「どうすれば?」

妖精「おっぱいだ…僕はおっぱいの間に挟まれば言う事を聞く」

女オーク「私のおっぱいは重たいわよ?」

妖精「おっぱいの入り口で良い…入るぞ!!」パタパタ

女オーク「入り口?」モゾモゾ

妖精「ふぅぅぅぅ…癒される…ぐぅ」

女オーク「ちょっと…寝るの?狭間の出口は?」

妖精「ぐぅ…ぐぅ…」zzz

女オーク「何この妖精…全然言う事聞かない」


ボチャーーン ザブーーーン


女オーク「はっ!!ガーゴイルが落ちてる…今の内に倒さないと」ドスドス

女オーク「当たれ!!」ビビビビ ビリビリ
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:45:18.14 ID:KbfSVIxh0
『数時間後』


ペシペシ


女オーク「起きて?魔女さん?…」ユサユサ

魔女「…」パチ キョロ

女オーク「良かった…やっと起きた」

魔女「土に肥料をくれと言うて居る…」

女オーク「え?何の事?」

魔女「おぉ済まんな夢を見て居った…どれくらい寝て居ったんかいのぅ?」

女オーク「半日くらいだと思う…全然目を覚まさなくて」

魔女「そんなに寝て居ったんかい…ガーゴイルはどうじゃ?」

女オーク「大丈夫…私が処理してる」

魔女「早う皆を起こさにゃイカン」

女オーク「無理に起こさないで置いた方が良いかと…」

魔女「むむ…そうじゃなガーゴイルが処理出来て居ればそのままでも良いか」

女オーク「少し怪我をしているから回復魔法が欲しいわ」

魔女「回復魔法!」ボワー

女オーク「ありがとう…よし!皆起きるまで守らないと」

魔女「妖精を見て居らぬか?」

女オーク「狭間の出口を案内してもらう様にお願いしたわ」

魔女「それで今出口を目指して居るんじゃな?」

女オーク「友達に案内させると言って私のおっぱいの間で寝てしまった」

魔女「友達…はて?妖精の友達とは誰の事じゃろう…」

女オーク「分からない…」

魔女「歳をとるとイカンのぅ…妖精が見えぬ」キョロ

女オーク「ここに居るわよ?」ボイン ボイーン

魔女「おぉ…良く見ると薄っすら見えるわ」


タッタッタ


女戦士「寝てしまった…どうなっている?」

女オーク「大丈夫…ガーゴイルは防いで居るわ」

女戦士「アサシンまで寝て居るのか」

魔女「その様じゃ…しかし不死者まで眠らせるとはたまげた効果じゃ…幻術の類では無い」

女オーク「剣士も同じ事を…」

女戦士「その効果を上手く使えばアサシンも快適に過ごせるな」

魔女「うむ…休息に使うべきじゃ」

女オーク「では安全になったら毎日吹くわ」
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:46:45.08 ID:KbfSVIxh0
『甲板』


カキーン バラバラ


女オーク「魔女さんが使って居る杖は氷の魔法?」

魔女「これは氷花の杖という物じゃ…一番使い辛い杖じゃな」

女オーク「氷が降って来るのが…」


シュタタ


剣士「ぐっすり寝てたよ…どうなってる?」スタ

魔女「見ての通り皆寝て居る…そろそろ起きそうじゃな?」

盗賊「ぐぅ…すぴー」

ローグ「むにゃ…」ゴロ

剣士「アハハ…なんでそのまま転がしてるんだよ」

女オーク「動かすと起こしてしまうと思って」

剣士「いや起こせば良いじゃ無いか…おーい!!起きろぉぉぉ!!」ユサユサ

盗賊「ふが?」パチ キョロ

魔女「ヤレヤレ…休ませてやろうと思ったんじゃがのぅ…」

剣士「起きろぉぉ」グイグイ

ローグ「はひぃぃ…」パチ キョロ

盗賊「…どうなってんだ?」

ローグ「いやぁぁぁ良く寝た…」ノビー

剣士「妖精に案内してもらう件はどうなった?」

魔女「案内してもらえるらしいが…わらわもどうなって居るのか分からん」

女オーク「妖精の友達が案内するって…」

剣士「友達ってどこさ?」


ザブーン ブシューーーーー


盗賊「おわっ!!おい見ろ!!クジラだ…」

剣士「アレか!!アレが友達だね?スゴイじゃないか!!」シュタタ

盗賊「マジかよ…」

女オーク「クジラだったのね…船の下に大きな影があって気になってたの」

剣士「おーーーーい!!」フリフリ

盗賊「あのクジラに付いて行きゃ良いんだな?」

剣士「絶対そうだよ…良いなー乗りたいなー」

盗賊「アホか…潜られたら波に飲まれて浮き上がれんぞ…てかこの船も波に飲まれる」

剣士「遠くで姿見せたのは一応気を遣ってるのかな?」

盗賊「知るか!帆の角度変える…支柱1本分後ろへ繋ぎ変えてくれ…女戦士!!面舵で進路変更しろ」

女戦士「やっと狭間から出られるか…女オークは引き続きガーゴイルをけん制してくれ」

女オーク「わかったわ…」ドスドス
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:47:44.10 ID:KbfSVIxh0
『狭間の出口方向』


ザブン ユラ〜


盗賊「早えぇなあのクジラ…どんどん遠ざかってくじゃ無ぇか」

魔女「風向き変えるかえ?」

盗賊「いや良い…風向き変えても速度はこれ以上出ん」

ローグ「あのクジラはあっしらの仲間になったんすかね?」

盗賊「そうだと良いが俺らを背中に乗せる気なんか無さそうだぜ?」

剣士「上!!星だ!!星が見える!!」

女戦士「観測士をたたき起こせ!…現在地の特定を急がせろ」

剣士「おけおけ!!」シュタタ

盗賊「アサシンは転がしたままで良いのか?」

女戦士「寝かせてやってくれ…奴は15年以上寝ていないのだ…いや狭間に居る期間が長いからもっとか…」

盗賊「ふぅやっと収まったな…狭間ん中はやっぱ危無ぇわ」

ローグ「でもガーゴイルの角はたんまり溜まりやしたぜ?」

盗賊「そうだったな?何個ある?」

ローグ「数えやす…お宝ザクザクっすね…うひひひ」

女戦士「労力に見合って居ない気がするが…」

ローグ「ちっと汚ぇんで海水で洗ってきやす」ガサガサ

女戦士「甲板も少し洗い流して欲しい」

盗賊「おう分かった!!良く寝て体調が良い…運動してくらぁ!!」ダダ
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:49:16.45 ID:KbfSVIxh0
『船長室』


観測士「現在地特定出来ました…ここです」

女戦士「ご苦労…食事をして休んで良い」

観測士「ハッ!!」スタ

魔女「随分北に逸れた様じゃな」

女戦士「狭間は円形になっていると考えて良いか?」

魔女「分からぬ」

女戦士「そうか…まぁおよそ円形だとして随分広い範囲が狭間の奥になって居る」

魔女「外海を航海せんかった理由じゃろう」

女戦士「しかしこれで侵入してはいけない海域がおよそ分かった…この収穫は大きい」

魔女「この円形部分じゃな…となるとハウ・アイ島はギリギリ入るか入らないか…」

女戦士「なぜこれほど大きな狭間が存在出来る?」

魔女「一番考えられるのは海底にとてつもなく大きなアダマンタイトが沈んで居るのじゃろう…」

女戦士「アダマンタイトは人口生成物だっただろう?」

魔女「そうじゃ…黄金を変性させるのじゃ」


ガチャリ バタン


情報屋「面白そうな話をしているわね?」

女戦士「起きたか…女王と商人はまだ寝ているか?」

情報屋「商人はぐっすり…女王は起きて戦士を介抱しているわ」

女戦士「介抱?調子が悪いのか?」

情報屋「あちらこちらを矢で撃たれて居たのよ」

魔女「回復が必要ならわらわが行くぞえ?」

情報屋「剣士が事前に虫を使っていたみたいだから平気…寝かせて置いた方が静かで良いわ」

魔女「そうじゃな…」

情報屋「…それで黄金の話だけれど」

女戦士「海底にとてつもない大きさの黄金を沈めてアダマンタイトに変性したのでは?…という話だ」

情報屋「フィン・イッシュの伝説に黄金を埋めたという記録が残って居るわ…きっとそれね」

女戦士「埋めた?」

情報屋「超古代ではフィン・イッシュは黄金郷と呼ばれていた事があるらしいのよ…埋めた黄金が無くなったという記録もある」

魔女「なるほどのぅ…竜宮に誰も寄せ付けん様にした訳じゃな?」
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:49:57.77 ID:KbfSVIxh0
情報屋「多分そうね…たしか海抜を基準にして下の方に行くと狭間の外に出るわよね?」

魔女「わらわは理屈がよく分からんが結果そうなって居るな」

情報屋「そうやって竜宮で生き延びた種が居たのね…人魚なのか…魚人なのか…」

女戦士「あの海域の海底はそういう場所だという事か」

情報屋「私達は行く事が出来ないから関わらない方が良いわね」

魔女「クジラが住人なのかも知れんのぅ」

情報屋「クジラ?何の話?」

女戦士「寝ていたから知らないか…狭間の外に案内してくれたのは大きなクジラだったのだ」

情報屋「わぁ見たかった…クジラは人間と同じくらい知能が高いの…生態系がクジラに入れ替わったのね」

魔女「クジラと戦争になってはイカンでもう近寄らん事じゃな」

女戦士「うむ…ただ戦略的に利用は出来そうだ…ハウ・アイ島を他国が占領に来た場合その海域を知る知らないで随分変わる」

魔女「打算的じゃのぅ…クジラをわざわざ巻き込むのは関心せんな」

女戦士「そういう可能性の話だ…聞き流してくれ」



『朝日』


ザブ〜ン ユラー


ローグ「はぁぁぁ久しぶりの太陽っすねぇ…気持ち良いでやんす」ノビー

女戦士「随分長い事航海した気がするがフィン・イッシュを出てまだ5日目だ」

ローグ「狭間に出入りしてると日付の感覚が分からんくなりやすね」

女戦士「そろそろ慣れたらどうだ?」

ローグ「陸が長いと忘れちまうんすよ」

女戦士「この速度のまま行けば明日には周辺にたどり着く…上手く探せれば良いが」

ローグ「そろそろ氷山警戒した方が良いっすね」

女戦士「うむ…」

ローグ「こんな暖かい所に氷山とか本当にあるんすかね?」

女戦士「情報屋が言うには一気に溶けてるから相当大きな氷山が動いてる筈だと」

ローグ「じゃぁ狭間に入るの怖いっすね…」

女戦士「そうだ…安全を確認して短時間で何度も出入りする」

ローグ「そら良かった…太陽が恋しかった所でやんす」

女戦士「そろそろ行動するから先に食事を済ませておけ」
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:50:57.09 ID:KbfSVIxh0
『甲板』


ドタドタ


アサシン「…」ビク パチリ

アサシン「ガガガ…喉が焼ける…」ズルズル

女戦士「アサシン!!目を覚ましたな?」

アサシン「どうなって居る?」

女戦士「ワインだ…飲め」クイ

アサシン「むぐ…」ゴクリ

女戦士「どうだ?何十年かぶりに寝た気分は」

アサシン「そうか寝ていたか…夢の中で危うく妖精に三途の川を案内される所だったぞ」

女戦士「三途の川?フフ…渡らずに戻ったか」

アサシン「恋人のイルカに連れ戻されてな…しかし癒された気分だ」

女戦士「そうか良い夢を見られて良かった…立てるか?」グイ

アサシン「風に晒されると体表から水分が奪われて動きにくくなるのだ…そのワインを一本頂く」

女戦士「その調子だと商人も心配だな」

アサシン「見て来い…成仏してるやもしれん」



『船底の荷室』


グググ ギギギー


女戦士「商人!生きているか?」ユサユサ

商人「…」ビク パチ

機械の犬「ワンワン!」パタパタ

商人「僕は…生きているのか?」

女戦士「それは私の台詞だ…あぁ不死者に掛ける言葉では無いか」

商人「ハハなんだ夢か…生き返る夢を見たさ」

女戦士「ワインを飲むか?」

商人「喉渇いてないな…湿気が多いからかな」

女戦士「お前が寝ている間に狭間を脱出した…もう危険は無いぞ」

商人「そうか良かった…それにしても不死者でも寝られるとは思って無かった」

女戦士「気分はどうだ?」

商人「最高だね…夢を見るのがこんなに気分が良いなんて今知ったよ」

女戦士「それは夢幻か?」

商人「きっとそうだね…もっと見たい」

女戦士「安全な時間に毎日笛を吹く様だ…毎日寝られるぞ」

商人「寝るってスゴイな…やる気が湧いて来る…なんだろうこの癒された感じ」

女戦士「よし仕事だ!!洋上にあるおよその狭間の位置が分かった…海図を仕立ててくれ」

商人「分かったよ」スック
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:53:12.41 ID:KbfSVIxh0

『デッキ』


ジュゥゥ モクモク


昨晩までの激闘の慰労として食事はバーベキューとする

酒類は1杯まで許可

1時間後に再度狭間へ入るからそれまで存分に日の光を浴びてくれ


商人「良いなぁ…」ジュルリ

盗賊「肉持って来たぜ?気にしないで食え」モグモグ

商人「食べても消化出来ないから腹の中で腐るんだよ」ジー

剣士「腐っても線虫が全部食べてくれると思うよ」パクパク

商人「え?じゃぁ腹がガスで膨れる事無い?」

剣士「そういうのも全部線虫が食べる…むしろ線虫が喜ぶ」

商人「なんだ食べても良いのか…もらうよ」

盗賊「ホレ…割と新鮮な豚肉だ…食え食え」バクバク

商人「久しぶりだなぁ…」モグ

盗賊「美味いか?」

商人「最高だね…」モグモグ


スタスタ


戦士「剣士殿…折り入ってお願いがあるのだが…」

剣士「んん?何?」
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:53:42.87 ID:KbfSVIxh0
戦士「私の王家の剣にエンチャントを掛けて欲しいのだ」

剣士「おけおけ…見せて?」

戦士「頼む…」スラーン

剣士「白銀の刀身…材料何だろう?…銀では無さそうだ」

女戦士「見せてみろ…」

剣士「分かる?」

戦士「竜骨だと聞いて居る」

女戦士「初めて見るな…金属では無いのか」

剣士「魔女!?竜骨ってどんなエンチャント出来るか知ってる?」

魔女「知らんのぅ…女海賊は竜の牙を加工して居ったが銀と同じじゃと言うておったな」

剣士「銀か…なんか銀よりも硬い気がするけどなぁ」

女戦士「貸してくれ…重さを調べたい」

剣士「はい…」スチャ

女戦士「ふむ片手剣にしては重い…なるほど硬いな」

剣士「密度が高い銀って感じ?」

女戦士「熱伝導も高い…重い銀と見てよかろう」

剣士「銀なら光属性だ…僕は照明か浄化くらいしか出来ない…魔女にお願いした方が良いよ」

魔女「上位魔法は失敗するリスクがある故勧められんのぅ…反射までじゃな」

戦士「反射とは?」

魔女「魔法の反射じゃ…魔術師が一番恐れるのは反射じゃな」

剣士「僕はその魔法知らない」

魔女「反射で良ければわらわがやるぞよ?」

戦士「私は魔術師と戦う訳では無い…迫りくる闇を打ち払いたい」

魔女「ではやはり照明が良かろう」

剣士「おけおけ!照明なら出来る…飾り石も細工するからちょっと待ってて」

戦士「よろしく頼む」

魔女「主は女オークの戦いぶりを見て感化されたな?」

戦士「お恥ずかしながらその通り…私もあの様に戦い皆を守りたい」キリ

魔女「素直じゃな…じゃが主は今のままで十分守って居る」

戦士「ハハハ私はまだやれる!!光があればもう少し敵を引き付ける事も出来る筈」

魔女「ほぅ?倒すのではなく引き付けるとな?」

女戦士「光り過ぎて邪魔にならん様にしてくれ」

戦士「迷惑にならない様に気を付ける」キリ
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:54:28.11 ID:KbfSVIxh0
『翌日』


リリース! スゥ


女戦士「見張り台!!前方確認!!」

ローグ「前方クリア!!11時の方向に大き目の氷山がありやす…2海里って所っすね」

剣士「8時の方向の雲の様子がおかしいよ…うっすら黒い」

盗賊「なぬ?…またエライ遠くの雲だな」

女戦士「日が落ちる前に確認したい…速度上げる!!ハイディング!」スゥ


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女戦士「リリース!!見張り台!!前方確認!!」

ローグ「正面クリア!!8時方向…あらら?真っ黒い雲っす」

剣士「あれ火山の噴煙じゃない?」

盗賊「そんな感じだ…火山があるなんて日誌には書いて無かったぞ?」

女戦士「次で最後のハイディングにする…加速する!ハイディング!」スゥ


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女戦士「リリース!見張り台!!前方確認!!」

ローグ「正面クリア!!8時方向に氷山…ほんでその向こう側で噴煙が昇っていやす」

女戦士「距離は!!?」

ローグ「えーと2海里くらいっすね」

女戦士「ええい…もう日が落ちる」

盗賊「海底火山かどうかだけ確認したいな」

剣士「飛空艇で見て来る」

女戦士「頼む…この船は一旦帆を畳んで速度を落とす」

剣士「うん…行って来るね!!」

女戦士「観測士!!海流の方向と氷山のすすむ速度を調べろ!!」
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:55:39.92 ID:KbfSVIxh0
『飛空艇』


フワフワ バサバサ


剣士「近くに島が無いかよく見てて」

女オーク「わかったわ…」

剣士「あ!!山が見える…噴煙の出所はアレか」

女オーク「剣士?左手にいくつか島が見えるわ」

剣士「お!?海底が浅いという事か…日が落ちる前に島まで行くのは無理そうだな」

女オーク「どうするの?」

剣士「座礁するのが怖くて下手に動けない…今の内に周辺の海の深さだけ見ておこう…高度下げる」グイ


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『幽霊船』


フワフワ ドッスン


女戦士「どうだ?何か分かったか?」

剣士「火山が目視で見えたよ…あそこに大き目の島がある…あとここから6時の方向に小さな島がいくつかある」

女戦士「距離は?」

剣士「10海里くらいかな…日が落ちる前に行くのは多分無理」

女戦士「…そうか」

剣士「でもね…碇を下ろせそうな深さの場所なら分かる…6時方向に5海里行けば良い」

女戦士「よし!!取り舵!!」グルグル

盗賊「風向き変えるぜ?」フリフリ

女戦士「これで氷山への激突は心配なくなった…ふぅ」

剣士「でもね?多分シーサーペントが沢山居ると思う…戦う準備はした方が良い」

女戦士「フフ氷山よりマシだ…それにシーサーペントがこの船に登って来るとは思えん」

剣士「大きいのが居なければ良いけど」
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:57:05.20 ID:KbfSVIxh0
『停船』


どらぁぁぁぁ!! ガラガラガラガラ


盗賊「うほーーこりゃ海に落ちたら一瞬で食われそうだ」

女戦士「大きいのは居そうか?」

盗賊「見た感じそうデカいのは居ない」

魔女「サーペントかいのぅ?」ノソ

盗賊「気持ち悪いから一気に殺せんか?」

魔女「共食いさせれば良さそうじゃな…何匹か倒せば良いが…」


戦士「てぇぇぇぇぇ!!」


シュン シュン シュン シュン グサ グサ グサ グサ


シーサーペント「シャーーーー」ニョロニョロ バチャバチャ

盗賊「なんだ簡単そうだ」

女戦士「行動が早いな戦士は…」

魔女「船の安全はあ奴に任せておいて良かろう」ノソ

剣士「なんか心配しなくても良かったみたいだね…ハハ」



『船長室』


アーデモナイ コーデモナイ


商人「…日誌と随分地形が違うみたいだ」

情報屋「多分氷山が崩落して何処かへ行ってしまったのよ」

商人「もう探検家の海図は役に立たないかなー火山の事も書いて無いし」

情報屋「きっと最近噴火したのよ…地軸の移動の影響ね」

商人「これ海面の上昇もあるよね?」

情報屋「そうね…浅瀬が多いだろうから下手に島に近付けないわね」

商人「先に飛空艇で簡単な地図作った方がよさそうだな」

情報屋「結構広そうだから大変ね」

商人「一旦どこかにキャンプ作りたいかなー…基準が無いと適当な地図になっちゃうんだよなぁ」

情報屋「一番大きそうな島は火山のある島だからまずそこを目指してみては?」

商人「そうだね…そこまで行く簡単な海図作るよ…座礁を回避すれば良い」


バーン ジャラジャラ


商人「ん?甲板で戦闘音だ」ドタドタ

情報屋「サーペントと戦ってるみたい…今は出ない方が良さそう」


ザブ〜ン ユッサ ユッサ


商人「おとととと…」ヨロ
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:58:30.50 ID:KbfSVIxh0

『甲板』


盗賊「ダハハハハ…見たか?一発だぜ?」

女戦士「甲板を散らかすな!!ヘドロを掃除しておけ」

盗賊「しょうがないだろ…デカイやつが出て来てんだから」

女戦士「又この調子で戦う嵌めになるとは…」スチャ

魔女「仕方ないのぅ…ちと雷を落とすで海から離れて居れ」ノソノソ

戦士「全体退避!!海から離れろ!!」ドドド

魔女「アブラカタブラ…ビリビリスパーク…広範囲放電魔法!」


ガガーン ビリビリ ピシ!


魔女「海から塩素が出る故ちと風を吹かせい」

盗賊「お?おう…」フリフリ ソヨソヨ

女戦士「全滅か?」タラリ

魔女「海水を塩素に変えたのじゃ…生きて居るサーペントは居るまい」ノソノソ

盗賊「すげぇ…」

魔女「塩素は強い毒じゃで吸い込んではならんぞ?」

剣士「なるほど間接的に変性させたのか…」

魔女「広範囲で一気にやりたかったでな?これで静かになるじゃろう」
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 19:59:26.48 ID:KbfSVIxh0
『デッキ』


ザブン ザブン


女戦士「一気に静かになった…」

女オーク「今晩は笛を吹く?」

女戦士「そうだな…早朝から行動する事を考えると今やった方が良いかも知れんな」

女オーク「じゃぁ観測士の仕事が終わったら吹くわ」

女戦士「又お前一人で船を守る事になるが?」

女オーク「海に雷を使えば良い事が分かったから大丈夫」

女戦士「フフそういう事か…心配無さそうだ」

剣士「僕はどうしたら笛の音に耐えられるか研究したいなぁ」

女オーク「耳を塞いでみる?」

剣士「それは他の人にやってもらう…そうだなぁ…僕は瞑想しておこうかな」

魔女「ほぅ?面白い研究じゃ…ではわらわは退魔の方陣の中に入って置こう」

女戦士「私は何が出来る?」

魔女「主は千里眼で女オークの目を覗いて居れ」

女戦士「ほう…面白い」

剣士「どうして寝てしまうのか謎なんだよね…暗示なのかなぁ?」

魔女「呪いの類やもしれぬ…いわゆる呪術」

剣士「呪いはどうやって防ぐ?」

魔女「呪符じゃな…厄除けの呪符…持って居るぞよ?」

剣士「じゃぁその呪符を誰かに…」

魔女「情報屋に渡して置こう…」

女戦士「では私は皆に笛の旨を連絡してくる…」スタ


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318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:00:39.00 ID:KbfSVIxh0
『夜』


剣士「…」パチ キョロ

剣士「女オーク?何処?」


ドスドス


女オーク「目覚めた?」

剣士「今どれくらい経った?」

女オーク「まだ1時間くらい…」

剣士「よし!!瞑想で回避できるぞ…つまり肉体的に寝てる訳じゃ無い」

女オーク「他の人は全員寝たわ」

剣士「呪符もダメだったのか…」

女オーク「そうみたいね」

剣士「妖精は居る?」

女オーク「私のおっぱいの間に挟まってる」

剣士「妖精さん出ておいで」

妖精「なんだよ!!何か用?」ヒョコ

剣士「なんで皆寝ちゃうの?」

妖精「勝手に寝てるんだから知らないよ」

剣士「そっか…まぁ良いや…ところで女オークのおっぱいは僕の物なんだよ」

妖精「寝心地良いんだ」

剣士「困ったなぁ…誰にもあげる気無いんだけどさ」

妖精「奥の方開いてるよ?僕は入り口で十分」

剣士「奥?入り口?ハハ君面白い事言うね」

妖精「奥は君の物…入り口は僕の物…それじゃダメなの?」

剣士「う〜ん…なんか良く分からないなぁ」

妖精「じゃぁそういう事で!!」スポ

剣士「あぁ!!」

女オーク「フフまぁ良いじゃない?害は無いのだし」

剣士「んんん…2人だけだからエッチしようと思ったのになぁ…」

女オーク「気にしなくて良いわ…ウフフ」


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319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:02:15.50 ID:KbfSVIxh0
『早朝』


ザブン ザブン


剣士「ほら皆起きて?」ユサユサ

女戦士「…」パチ

剣士「女オークも皆起こして来て!」

女オーク「分かったわ…」ドスドス

女戦士「…日の出前だな?剣士はいつ起きた?」

剣士「僕はずっと起きてたさ…瞑想で笛の音を回避できる事が分かったよ」

女戦士「そうかそれは安心になる」


ドタドタ


商人「女戦士…今日のプランに提案があるんだ…寝てしまって昨夜言いそびれた」

女戦士「言って見ろ」

商人「探検家の海図がアテにならないから飛空艇で先行して周辺の地図を書きたい」

女戦士「アテにならんとは?」

商人「火山も書かれて無いし地形が全然違うと思われる」

女戦士「ふむ…この船は待機すると?」

商人「多分一番大きな島は火山のある島だと思う…ゆっくりそちらの方へ移動している間に先行して地図を書く」

女戦士「なるほど…一応日の入りまでには上陸するつもりで居たが構わんな?」

商人「間に合う様に直ぐに地図書くよ…もう飛びたい」

剣士「僕はいつでも行けるよ」

商人「情報屋もサポートで連れて行く…良いね?」

女戦士「わかった…船は安全確認しながらゆっくり火山を目指す…進路に何かあるなら貝殻で連絡してくれ」

剣士「おっけ!!」

商人「じゃぁ早速行こう…情報屋呼んで来る」ドタドタ


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320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:03:16.79 ID:KbfSVIxh0
『ハウ・アイ島近海』


ザブ〜ン ギシギシ


女戦士「見張り台!!小島が増えて来たから浅瀬を良く確認しろ」

ローグ「へ〜い…とりあえず島に近寄らなきゃ座礁する深さじゃ無いっすね…真っ直ぐ進んで下せぇ」

盗賊「剣士達の飛空艇はなかなか戻って来んな…なんか発見したんだろ?」

女戦士「確認したら戻ると言って居たが…心配ではあるな」


”聞こえる?今から戻るよ”


女戦士「このまま前進して問題無いか?こちらは大砲が1台しか無いぞ?」


”大丈夫!確認した…放棄された海賊船だったよ”


女戦士「放棄?誰も乗って居ないと言うのか?」


”うん…誰も乗って無いから安全…帰ってから話す”


女戦士「早く戻れ」

盗賊「海賊に先越されてんのか…こりゃ一戦ありそうだな」

女戦士「今の戦力なら問題無いだろう…しかしどこの海賊が此処まで来たと言うかの方が気になる」

盗賊「だな?だがよう?船を放棄するっておかしく無いか?」

女戦士「うむ…他の船も居るかもしれんな」


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321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:04:57.97 ID:KbfSVIxh0
『船首』


フワフワ ドッスン


女戦士「状況を教えろ…」スタスタ

剣士「すごい発見だよ…古代都市が浅瀬に沈んでる…それで沖に一隻だけ海賊船が放置されてるんだ」

盗賊「おぉ!!」

女戦士「このまま直進で良いんだな?」

剣士「うん…商人さんが簡単な地図を書いた」

商人「これを参考にして」パサ

女戦士「よし…右手に少し回れば良いか」

盗賊「海賊船が沖に放置されてるってどういうこった?」

情報屋「多分その辺りまで氷があったと思うわ…海面が上昇して古代都市が浅瀬に沈んだ…」

商人「つい最近沈んだ感じだね…海に沈んで一気に氷がどっか行っちゃったんだよ」

盗賊「じゃぁ遺跡探掘はお預けか?」

商人「全部沈んでる訳じゃ無いよ…一部は陸にもある」

剣士「沈んだ古代都市の一帯は水深15メートルくらいだよ…この船で行けるよね?」

女戦士「引っかかる物が無ければいけるな」

盗賊「今の話からするとその海賊船は沈んだ古代都市の外側に停泊してんだな?」

剣士「そんな感じ」

女戦士「海賊旗は見たか?」

剣士「ドクロに角突きの兜…多分北方の海賊だよ」

女戦士「船の規模は?」

商人「大き目のキャラック船に大砲を沢山乗せてあった」

女戦士「分かった…セントラル貴族崩れの髭男爵だ…私とは敵対関係になる」

盗賊「上陸する前に船を確保した方が良く無ぇか?」

女戦士「うむ…大砲を奪っておきたい」

剣士「海賊船は本当に誰も居ないよ…砲弾も火薬も放置しっぱなしさ」

盗賊「奪うしか無ぇな…てかその船動きそうに無いんか?」

情報屋「見た感じあまり傷んで無いわ…帆も畳んであったし」

盗賊「おぉ!!使えるなら丸ごと頂く」

女戦士「まずは海賊船の確保に向かおう…」
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:06:36.26 ID:KbfSVIxh0
『放棄された海賊船』


ドタドタ


女戦士「荷を調べろ!!航海日誌と海図を優先で探せ!!」

盗賊「この船なんでこんなに綺麗なんだ?いつから放置されてると思う?」

商人「ここも海が割と浅い…もしかしてここで座礁してたんじゃないかな?」

情報屋「その可能性ありそうね…海面が上がって浮き上がった…」

剣士「食料が何も無いよ…残されてるのが重たい砲弾とか木材とか」

盗賊「小舟も無い所を見ると食料持って島へ避難したか」

女戦士「私達も同じ目に合わん様にせねばな…」


ドタドタ


ローグ「荷が何も無いっすねぇ…日誌も海図も見つかりやせん」

盗賊「俺ぁちっと動かせるか確認してくる」ダダ

女戦士「ふむ…船が無事に浮いていると言うのに取りに帰って来ないと言う事は島に上陸するのは危ない可能性がある」

剣士「空から見た感じ魔物とかも居なさそうだけど…」

女戦士「まず少数精鋭で安全を確認した後がよかろう」

剣士「まぁそうだね」

盗賊「おい!!動くぜ?この船!!」

アサシン「スケルトンをこちらの船に移し替えて私が動かすというのはどうだ?衛生的にもよかろう?」

女戦士「そうだな…この船はアサシンに任せた方が良さそうだ」

アサシン「今からこの船は私の物だ…海賊旗は外させて貰う」

盗賊「マジか!!くっそこんな良い船を…」

アサシン「これで2隻体制…随分な収穫だクックック」

女戦士「もうすこし陸寄りに移動させよう…この船は幽霊船を守る形で位置取り頼む」

アサシン「他の船を警戒しているか?」

女戦士「一応な?…幽霊船で先導するから付いて来てくれ」
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:07:43.20 ID:KbfSVIxh0
『海底都市』


ユラ〜 ギシギシ


情報屋「海から突き出ている塔からは距離を取って?いつ倒れるか分からないから…」

女戦士「驚きだな…この古代都市は当時のまま海に沈んでいるのか」

情報屋「雪と氷で覆われたまま眠って居たのよ…こんなに良い状態で保存されているのはすごい事よ」

盗賊「探検家の奴らが仲間割れする訳だ」

魔女「わらわの塔よりもはるかに大きな塔じゃな」

盗賊「15メートルなら泳いで下まで見に行けるぜ?」

魔女「止めて置け…どこからサーペントが出て来るか分からぬ」

盗賊「そうだったな…下手に海に入らん方が良いか」

商人「見て!!倒れてる塔!!あれを桟橋代わりに出来そうだ」

女戦士「よしアレを挟んで2隻停船させよう」グイ

情報屋「陸まで少し距離があるけど…」

女戦士「ひとまず様子見だ…お前も塔がどんなものか見て見たいだろう」

情報屋「そうね…」



『倒れた塔』


ギシギシ ガコン


剣士「この塔穴だらけだ…足元気を付けて」シュタ

盗賊「こりゃ夜中危無ぇぞ…穴に落ちちまう」

女戦士「アサシンの船に補修用の板が積んであったな…」

剣士「この数埋めるの全然足りないよ」

魔女「人が落ちん程度じゃったらツタでも張れば良かろう…」

剣士「お?種有ったな…」ゴソゴソ

女戦士「ツタを陸まで伸ばせるか?」

剣士「土が足りないかなー」

魔女「主だけ陸に行って向こうから延ばせば良いのではないか?」

剣士「おぉ?賢い…そうだ向こうまでロープ渡せる?」

商人「クロスボウでロープは渡せる…何に当てるかだけど…」

剣士「向こうの建物じゃダメ?」

情報屋「この塔は石で出来てるみたいよ?ボルトは石に刺さる?」

魔女「主が泳いで行けば良かろう」

剣士「えええ…」

魔女「ヤレヤレじゃな…氷結魔法!」ピシピシ カキーン

魔女「すぐに溶けるで走って行け」

剣士「ちょちょ…落ちたらどうするの…」

魔女「ちっとくらい濡れても死なんわ!早う行け」ドン

剣士「あわわ…」シュタタ


ピシピシ パリーン
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:08:48.23 ID:KbfSVIxh0
『古代遺跡』


ギシギシ


剣士「ツタは一人づつ渡って!!」

盗賊「やっと陸に上がれたか…」スタ

女戦士「ハイディングできる4人は周囲の様子を探って来てくれ」

剣士「え?あ…うん」

盗賊「行くか!!ローグ早く来い!!」

ローグ「あいさー」スタタ

女戦士「日が落ちるまでには帰って来い…情報屋と商人はすぐそこの建屋が使えるか調べてくれ」


ドドドドドド


戦士「私は警備で良いか?」

女戦士「桟橋から離れない程度にな?」

戦士「よし!!総員配置に付け!!2名1組射撃警戒!!」ダダ

女戦士「フフ流石だな」

戦士「アサシン殿には大砲での威嚇準備をお願いしたい」キリ

女戦士「伝えて置く」スタ

戦士「感謝!」



『すぐそこの建屋』


スタスタ


アサシン「…呼ばれて来たが何用だ?」

商人「これだよ…ミイラ2体…アサシンの船の戦力になるかと思ってね」

アサシン「そういう事か…衣類を見る限り近代だな?」

情報屋「探検家の仲間か海賊ね…餓死した後に凍って居たんだと思うわ」

アサシン「腐敗して居ないのは凍ったせいという事か?」

情報屋「恐らく…凍っても水分は蒸発していくからミイラになったと思う」

アサシン「ひとまず使役して船へ連れて行く…従え!」フリフリ


ミイラ「…」ピク グググ


商人「この空の樽の運搬もお願いするよ」

アサシン「分かった…樽を運べ!」フリフリ

情報屋「この建物はキャンプ拠点に出来そうだから少し掃除しましょう」

商人「そうだね」
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:10:08.80 ID:KbfSVIxh0
『桟橋周辺』


タッタッタ


商人「あの建屋は資材を運べば拠点として使えそうだよ」

女戦士「情報屋はどうした?」

商人「建屋の掃除をしてる…あそこで誰かがしばらく生活してた跡があるんだ」

女戦士「では他の建屋も同様の可能性があるな」

商人「うん…全部見て回るのは明日だね」

女戦士「遺物などは既に盗掘済みか?」

商人「謎の道具みたいな物は見当たらないね…全部盗られちゃったかもね」

女戦士「まぁ良い…建屋が使えるだけで今の所十分…掃除要員を数名行かせる」

商人「お願い…」


リリース! スゥ


商人「うわ!!びっくりした…」

盗賊「戻ったぜ?この周辺は生き物の気配が何も無いわ…土産は苔だな」ドサ

剣士「少し行くとまだ氷が残っててビチャビチャだよ」

盗賊「ほとんど荒野だな…ほんで苔が生えて来てる」

女戦士「こちらは建屋の中にミイラを2体発見した所だ」

盗賊「ミイラ?なんでまたミイラなんぞ…」

商人「この島に来た人だよ…餓死してミイラになってるのさ」

盗賊「ほ〜ん…まぁ食い物は全く無さそうだな」

商人「もう少し火山の方に行くと少し木が生えてるんだ…そっちに移動したかもね」

盗賊「てかこの島割と広いから探索しんどいぞ?」

女戦士「長期戦になりそうだな…食料問題はちと考えねばならん」

剣士「あ…水分が多い荒野だからいろいろ育てられる…日差しも強いし暖かいし」

盗賊「おぉそうよ…日差しはきついのに氷のお陰で風は涼しい…なかなか良い島だぜ?」

女戦士「桟橋の強化に木材が必要になる…まず木が欲しい」

剣士「おけおけ!!いろいろ育てて見るよ」
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:11:27.82 ID:KbfSVIxh0
『夕方_近くの建屋』


トンテンカン ギコギコ


盗賊「おっし!テーブル一丁上がり!!」ドン

ローグ「剣士君…金貨持ってきやしたぜ?」ジャラリ

剣士「盗賊さんも持ってるよね?全部頂戴」

盗賊「何に使うのよ?」

剣士「金貨溶かしてインゴットにするんだ…どうせ使い道無いでしょ?」

盗賊「インゴットにしてどうすんだ?」

剣士「アサシンさんの船用のアダマンタイト作るのさ」コネコネ

盗賊「なんだそういう事か…勿体無ぇなぁ…」ジャラリ

剣士「財宝だったら幽霊船に一杯積んでるじゃない」

盗賊「まぁそうなんだが酒代に使いにくいもんでな」

剣士「…よっし!出来た…即席の粘土の器」

ローグ「その中に金貨入れて炉で溶かすんすね?」

剣士「うん…情報屋さん!マグマの杖貸して」

情報屋「良いわよ…はい」

ローグ「石炭の代わりに魔法っすか…」

剣士「こっちの方が早いし…」フリフリ ゴゴゴゴゴ ボゥ


アーデモナイ コーデモナイ

6名一組で調査隊を組む…ふむ

休憩は狭間に隠した幽霊船で取れば常時調査隊を2班ずつ出せる

夜間は光源が無いから危険が伴うが…

照明魔法を封じた銀貨を各自持たせれば良いぞ?

なるほど…それで行って見るか


ローグ「しばらく忙しくなりそうでやんすねぇ…」

盗賊「この島を探索すんのにちっと人出が足りん気がするんだが…」

ローグ「そうっすね…後50人は欲しいでやんすよ」

剣士「変性魔法!」シュワ

剣士「出来た!!初めて作ったよ…」

盗賊「これでアサシンの船も狭間に隠せる訳か」

剣士「ちょっとアサシンさんの船に魔方陣張りに行って来る…なにかあったら呼んで」シュタタ

327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:12:32.22 ID:KbfSVIxh0
『海賊船』


ヴヴヴヴ ズルズル


剣士「あれ?ゾンビが居る…え?なんで増えてる?」

アサシン「海中に沈んで居たのも居た様だ…バリエーションが増えただろう?」

剣士「うわ…本当に幽霊船みたいになったね」

アサシン「クックックこの船には武器も積んで合ってな…そこそこの戦力になる」

剣士「この船に使うアダマンタイトを作って来たんだ…これだよ」

アサシン「ほぅ?気が利くな」

剣士「これで完全に幽霊船だね」

アサシン「財宝は何も積んで居ないがな?」

剣士「なんかこっちの船の方がかっこ良いなぁ…大砲一杯だし」キョロ

アサシン「丁度剣士に頼みたい事が合ったんだが…」

剣士「なに?」

アサシン「船底の竜骨部分に亀裂が入っているのだ…浸水には至って居ないがちと心配でな」

剣士「座礁した跡なんだね…一番強度が必要な所が傷んでるのか」

アサシン「なんとかならんか?」

剣士「樹液を流し込んで変性させれば良いんだけど…樹液かぁ…ここの土はクヌギがあんまり育たなくてね…」

アサシン「代替は何か無いのか?」

剣士「う〜ん…ちょっと他の木も育てて見るよ」

アサシン「頼む」
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:13:28.70 ID:KbfSVIxh0
『荒野』


ニョキニョキ バサバサ


剣士「チェリーが良く育つ…よし!これで行ける…成長魔法!」グングン

魔女「何が育つか試しておるのか?」ノソ

剣士「ギク!!ま…まぁそうだよ」

魔女「むやみに生態系を変える真似は良くないぞよ?」

剣士「この島はこれからどう育つかまだ分からないよ」

魔女「まぁ良い…して何が良く育ちそうじゃ?」

剣士「広葉樹も針葉樹もあまり育たない…チェリーだけ良く育つ…あとヤシとバナナかな」

魔女「熱帯の樹木が育つのじゃな…果物が生る木が良かろう」

剣士「小麦もあまり育たないんだ」

魔女「芋が良いじゃろうな…あとはとうもろこしじゃ」

剣士「魔女は作物育てない?」

魔女「魔術で育てるのは反則じゃ…理を超える術はわらわは使わぬ…主がヤレ」

剣士「なんだよ結局容認してるじゃない」

魔女「わらわも果物は食いたいでのぅ…わらわに見つからぬ様に上手くやるのじゃぞ?」ノソノソ

剣士「なんだよ冷やかしに来ただけか…」
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:14:31.48 ID:KbfSVIxh0
『キャンプ」


ドタドタ バタバタ

建屋に物資を運び入れてくれ

見張りは2名づつだ

柵の設置急げぇ!!


女戦士「1班!戦士を隊長として計6名…北側の海岸沿いを探索」

女戦士「2班!近衛侍を隊長として計6名…南側から回ってくれ」

女戦士「作戦は6時間を目安として戻るのだ…最優先は使える物資の調達…遺跡調査は明日以降行う」


女王「皆さん携帯食料を作りましたのでお持ちください」

盗賊「おぉ!!おにぎりか?」

女王「はい…どうぞ」

剣士「チェリーも沢山採れたから持って行って…種は何処かに埋めて来れば良い」

盗賊「おにぎりにチェリーとはまた全然合わんなヌハハ」

ローグ「盗賊さん行きやすぜ?もう向こうに集まってやす」

盗賊「じゃ行って来るわ!」タッタッタ


女戦士「剣士と商人は飛空艇を使って上空から光を照らしてくれ…女オークは幽霊船で笛を頼む」

剣士「おっけ!しばらくは上空待機で良いのかな?」

女戦士「そうだ…小隊が帰る道しるべになって欲しいのだ」

商人「じゃぁ僕は上で周辺の詳細地図でも書こうかな」

女戦士「大いに助かる」

剣士「じゃ行こっか…」シュタタ
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:15:31.05 ID:KbfSVIxh0
『キャンプ_建屋』


ゴソゴソ ガリガリ


女戦士「どうだ?年代は推定出来そうか?」

情報屋「ダメね…キ・カイとほぼ同年代だとは思うのだけれど証拠が掴めないわ」

女戦士「その時期の違う国だったのかも知れんな」

情報屋「地上での建築法はこの遺跡が初めてなのよ…キ・カイでは地上部分がすべて失われてるから」

女戦士「この建屋は何に使われていたと思う?」

情報屋「それも全然分からない…住居にしては頑丈すぎるし」

女戦士「上の階はもう行ったか?」

情報屋「全く同じ間取りよ…崩れた何かが有るだけ」

女戦士「書物類が一切見当たらんのは不思議だな」

情報屋「それはその当時羊皮紙類を使って情報伝達していないからだと思うわ…それはキ・カイと同じ」

女戦士「なるほど…エルフも情報伝達は文字を使わんか」

情報屋「この建屋では調査は限界ね…壁の材料を調べるくらいしか…」

女戦士「壁の断面は知りたく無いか?」

情報屋「え?そんな事出来る?」

女戦士「この破壊の剣がな…どうやら何でも切る事が出来る様なのだ」

情報屋「スゴイ!!…じゃぁ一部だけ切り取って欲しい」

女戦士「どの辺りが良い?」

情報屋「入り口の反対側にも出入口を作るのは?」

女戦士「よし…分かった…」スラーン チャキリ


スパ スパ スパ ズズーン


情報屋「スゴイわ…果物を切るみたいに…」

女戦士「ふぅ…普通の剣ではこんな風に切る事は出来ない…まさに破壊の剣だ」スチャ

情報屋「壁の断面…これ石の中に金属が入ってる…どうやって金属を」ゴソゴソ

女戦士「なるほど…これは石の様に見えるがセラミックだ…武器の製法にこういう作り方がある」

情報屋「心材に金属を使ってセラミックで覆う?」

女戦士「そうだ金属より軽く作れて耐熱性…腐食性に優れるのだ」

情報屋「それで4000年以上も形を留めているのね」
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:17:14.89 ID:KbfSVIxh0
『翌日』


トンテンカン ギコギコ

荷車は全部で4台必要だ…次の調査に間に合わせろ!!

桟橋の補強完了!!これで大砲を下ろせます

海賊船から8台降ろすように伝えてくれ


盗賊「ふぁ〜ぁ…あぁ良く寝た」

女戦士「幽霊船での睡眠は快適か?」

盗賊「うむ…十分休んでも狭間の外じゃ2〜3時間経ったぐらいか?」

女戦士「フフ働いて貰おうか…芋を収穫してくれ」

盗賊「おう!!剣士は何処行った?飛空艇見当たらんな」

女戦士「剣士と商人は島の地図を作りに行った…そうそうこの周辺の地図も出来上がっているから持って行け」パサ

盗賊「早いな…」

女戦士「昨夜商人が書いたのだ…そこに建築計画も記されている」

盗賊「大砲設置?…ガチ拠点作る気かよ」

女戦士「この島は恐らく海洋で最も重要な補給地になると思われる…戦士はその辺の事も良く考えて居る様だ」

盗賊「あいつ頭悪そうだが戦争に関してはやっぱプロか」

女戦士「うむ…幼少から実践での叩き上げだからな」

盗賊「ガチ拠点作るにゃ全然人足りんぞ?」

女戦士「運よくアサシンが海賊船を手に入れただろう?一度フィン・イッシュに戻って貰おうと思って居る」

盗賊「人員と物資の補充だな?…なるほどそれで大砲降ろしてんのか」

女戦士「外海への航海を希望する人間はまだ沢山いるのだ…全員連れて来るつもりだ」

盗賊「全員って200人ぐらい居たよな?」

女戦士「次にアサシンが戻ってくるときは船団を率いて来る」

盗賊「なるほどな…じゃぁ狭間使って帰るとして20日ぐらいで戻る感じだな」

女戦士「そうなるな…その間私達は居住区の設営と遺跡の調査」

盗賊「アサシンは一人で大丈夫なんか?」

女戦士「ゾンビ共を20体以上率いているのだぞ?食料も要らんし大丈夫だ」

盗賊「話し相手で商人あたり連れて行ったらどうだ?」

女戦士「ふむ…海図を完成させる必要もあるな…相談してみる」
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:18:04.93 ID:KbfSVIxh0
『海賊船』


ヴヴヴヴ グルルル


アサシン「…そのまま小舟を引き上げろ」

ゾンビ「ガァァァァ…」グイグイ

アサシン「何処でこの小舟を発見したのだ?」

戦士「北の海岸に打ち上げられていた…帆は痛んでいるがまだ使えそうだ」

アサシン「無いよりはマシだ…」

戦士「ここまで小舟に乗って来る最中イルカの群れを見た…我々を見に来たか…」

アサシン「私の恋人だ…迎えに来た様だな」

戦士「イルカが恋人だと?」

アサシン「まぁな?羨ましいか?」

戦士「代わった趣味をお持ちの様で…」

アサシン「フフ不死者になると好みも変わるのだ…外海で偶然出会ったのは縁があるという事」

戦士「偶然とはいかに?」

アサシン「狭間に迷った時の事…妖精に導かれて生き別れになった恋人に再会したのだ…信じられるか?」

戦士「いやはやアサシン殿は変わったお人だとは聞いて居たが本当にその様ですなハハ」

アサシン「お前も相当変わって居ると思うがな?」

戦士「さて私はそろそろ調査隊の準備に取り掛かる…失礼」スタ
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:18:55.60 ID:KbfSVIxh0
『キャンプ』


ガタゴト ガタゴト


盗賊「芋収穫して来たぜ?荷車一杯になっちまった」

女戦士「これで酒が造れるな」

盗賊「芋酒か!!そら楽しみだ」

女戦士「女王が作ると息巻いて居たぞ」

盗賊「まだ収穫出来るんだがどうする?あんまり採って来ても食い切らんよな?」

女戦士「保存するなら土の中の方が良いか…」

盗賊「うむ…使う分だけ収穫した方が新鮮で良い」


スタスタ


アサシン「女戦士…取り込み中悪いがさっきの話…商人の同行は不要だ」

女戦士「何故だ?」

アサシン「イルカがフィン・イッシュまで案内してくれるのだ」

女戦士「話し相手は要らんと言うか」

アサシン「フフ心配には及ばん…海流の具合もイルカに聞いてみる」

女戦士「ほう…それは良い…海図に書き込めるな?」

アサシン「任せろ…幽霊船に乗ってる酒樽を一つ貰って行くぞ?」

女戦士「好きに使え」

アサシン「エリクサーも少し欲しいのだが…」

女戦士「使う分だけ瓶に小分けして良いぞ」

アサシン「それから盗賊…風のタクトを借りたい」

盗賊「お?もう行くんか?」ゴソゴソ ポイ

アサシン「イルカを待たせているのだ…へそを曲げられては困るのでな」
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:20:38.57 ID:KbfSVIxh0
『桟橋』


ザブン ザブン


盗賊「おぉ…確かにイルカの群れが沖の方に居るな」

女戦士「海賊船は早々に出てしまったか…そう急がんでも良いだろうに」

情報屋「イルカの石化を心配しているのよ」

盗賊「アサシンはいつの間にイルカを手なずけたんだ?」

情報屋「海士島の近くの島で隠れて居た時に知り合ったらしいわ…イルカは狭間に入って来るから付き合いが長いのよ」

盗賊「狭間ん中でイルカと過ごしてたんか」

女戦士「海に住むエルフみたいなものかも知れんな」

情報屋「イルカは独自の言葉を使って意思疎通をするらしいわ…きっとアサシンはお話が出来るのね」

女戦士「さて…私達は仕事に戻るか」

盗賊「俺も調査隊の準備するわ」


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『夜』


島の全体地図が出来たよ

火山はマグマが大量に西側のほうに流れ出てて海まで到達してる

西側は噴煙も酷いから飛空艇で飛び回る事も出来ないし徒歩での探索も無理と思った方が良い

東側の斜面は少しだけ木が生えてて多分水源が有ると思われる

雪に覆われてて川とかはちょっと確認できなかった

次に海岸沿いは北に数キロ行くともう一つ遺跡群がある

例の探検家が辿り着いたのは多分そっち側…日誌と一致するところがいくつかあるんだ

船を使って接岸出来るのはこの場所だけ…ほとんどが断崖で囲まれてる


女戦士「生き物は何か居そうか?」

商人「ほとんど居ないね…海岸付近で陸に上がったサーペントくらいかな」

情報屋「北にある遺跡はここと同じ感じなの?」

商人「ここより建物が少ない…だだっ広い所にポツポツ建物があるのと地面に穴が所々に開いてる」

剣士「あと海にものすごい大きな建造物が沈んでるよ…日誌に書いてあった奴だよ」

女戦士「明日調査に行って見るか」

剣士「僕の飛空艇は樽を降ろせば7〜8人乗れるよ…すごい狭いけど」

女戦士「貨物用気球と合わせて調査隊2班出せるな」

商人「決まりだね?」

盗賊「今度こそお宝だな?」

商人「ホムンクルスが眠って居る事を祈るよ」
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:22:32.68 ID:KbfSVIxh0
『貨物用気球』


フワフワ バサバサ


戦士「ハハ近衛侍殿もくノ一殿もそう睨まんで下され」

近衛侍「女王様をお守りするのは私の役目…」ジロ

くノ一「同じく…」ギロリ

戦士「まさか私から守っていると?」

魔女「うるさいのぅ…そろそろ仲直りしたらどうじゃ?お互いの力は既に分かって居ろう…」

女王「この人との婚姻は私が決めた事なのです…近衛侍もくノ一も…過去の事は大目に見て下さい」

近衛兵「はっ…」

くノ一「…」

戦士「私とした事が…信頼を得るまで努力する故…」

魔女「ヤレヤレじゃ…無駄ないがみ合いは置いておいてじゃな…見てみぃ下を」

戦士「古代都市…これが私達が調査している遺跡か…」

女王「地上に居るとこれほど壮大な都市だとは思いませんでした…」

魔女「4000年前に滅んだ文明はわらわ達の想像をはるかに超えて居るな」

戦士「向こうに見える巨大な建造物は…船か?」

魔女「朽ちた船なのか…それとも島なのか」

女王「何故かとても禍々しい物に見えます」

魔女「そうじゃな…人が住む物には見えんのぅ…何じゃろうのぅ?」

戦士「我々が居た場所は居住スペースだったとすると…距離的に軍事施設…」

魔女「んん?主の勘か?」

戦士「ハハ私ならそういう住み分けにするというだけの話…気にしないで下され」

女王「気になって居たのですがこれだけ大きな都市なのに古代人の痕跡が何も無いのが不思議です」

魔女「そうじゃな…骸の一つくらい見つかっても良さそうなのじゃがな」

戦士「私はその理由を少し知って居るかもしれない」

魔女「ほう?言うて見よ」

戦士「重力炉…これで屍を宝石に変える事が出来る」

魔女「なるほど…古代では亡くなった者を埋葬せず宝石に変えて居った…そういう事か」

女王「墓の代わりに故人を宝石に…それなら古代人の痕跡が見つからないのも納得できますね」

魔女「その宝石はどこに行ったのじゃろうな?」

女オーク「飛空艇が高度下げ始めたわ…もう降りるみたい」グイ
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:23:54.63 ID:KbfSVIxh0
『巨大な建造物のある海岸』


フワフワ ドッスン


女オーク「皆降りて?」

魔女「近くで見るとやはり巨大じゃな…」アゼン

商人「皆来たね?」

戦士「あれは何だ?」

商人「船だね…あの建造物から向こう側の海が深いんだよ…つまりここは港だったのさ」

魔女「およそ船の形はして居らんが」

情報屋「酸化して朽ちているんだわ」

戦士「ではあの建造物には近寄れんか…」

商人「探検家の日誌によるとあの建造物は目印なんだ…本当の遺跡はここら辺にある洞穴の奥なんだ」

戦士「では洞穴を探せば良いのか」

女戦士「二手に分かれて探索しよう…そうだな1時間後にここへ集合…収穫が無ければ気球で場所を移す」

戦士「承知!」キリ

商人「じゃぁ僕達は向こうへ行こうか…戦士たちはあっちね」ユビサシ



『謎の建屋』


コンコン ガサガサ


剣士「同じ建物が沢山並んでる…扉も窓も見当たらない…なんだこれ?」

盗賊「一つぶっ壊してみたら良いんじゃ無ぇか?」

剣士「爆弾持ってる…情報屋さん一個壊してみて良いかな?」

情報屋「そうね…」

女戦士「穴を開けるぐらいなら私がやるぞ?」

情報屋「そうだったわ…」

剣士「穴?どうやって?」

女戦士「フフ見てろ…」スラリ


スパ スパ スパ ゴトン! ドサーーーー モクモク


剣士「おおおおお!!何その武器スゴイ!!」

盗賊「ぶはぁ…なんだ土が入ってんのか…」

情報屋「待って…この大きな建物は物資が入ってる箱よ…中身が風化して土になってるんだわ」

盗賊「ほんじゃ食い物とかそんな感じか?」

情報屋「そういう何かねきっと…」ゴソゴソ

商人「じゃぁコレ並んでるのはレールか何かに乗ってたんじゃないかな?」

情報屋「レールの痕跡も風化して何も残って無い…やっぱり空気にさらされるとこうなってしまうのね」

商人「まぁでも向こう側に続いてたって事だよ」ユビサシ

盗賊「なるほど…船から荷を下ろして運ぶ最中だったって事な?」

剣士「あ!!向こう側!!旗が立ってる!!」シュタタ
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:25:09.74 ID:KbfSVIxh0
『旗』


バサバサ


商人「ここに誰か来たのは間違いないね…」キョロ

女戦士「旗は目印だ…この周囲に何かあるぞ?」

商人「日誌に旗の事なんか書いて無かったけどね」

女戦士「海賊は旗を立てる…後続の仲間に分かる様にな」


ドーン ドーン


剣士「え!?戦闘音…」

女戦士「何ぃ!!」ダダ

盗賊「2班の方だ!!魔女が魔法を使うって事はヤバイ事になってんぞ」ダダ

女戦士「急げ!!」

剣士「僕先行する!!」シュタタ



『洞穴の前』


ゴゴゴゴゴゴ ドーン


魔女「戦士!!あ奴に近付いてはならぬ!!」

戦士「しかし魔法が効いて居ない」ジリ

魔女「わらわが引き付けて居る間に距離を置くのじゃ…火炎地獄!」ゴゴゴゴゴ ドーン

近衛侍「女王様…私の影へお隠れ下さい」

女王「は…はい」スタ


シュタタ スタ


剣士「魔女!!うわ…電気ウナギか」タジ

魔女「魔法が効かぬ故用心せい!!」

剣士「なんでここに戻ってるんだよ」

魔女「この場所を守って居るのじゃな…そのように命令されて居るのじゃろう」

剣士「魔女?電気ウナギは凍ってたらしい…氷結魔法なら動きを止められるかもしれない」

魔女「詠唱する時間を稼ぐのじゃ…アブラカタブラ…」

剣士「電気ウナギこっちだ!!」シュタタ


電気ウナギ「シャーーーーーー」ニョロニョロ
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:26:51.29 ID:KbfSVIxh0
剣士「こんなでっかいのどうやって倒すんだよ…」ピョン クルクル シュタ

女戦士「私が切る!!」ダダ

剣士「ダメェェェ!!そいつは電気ウナギ!!近づかないで!!」

女戦士「何!!…」タジ

ローグ「頭ぁ!!ダメっす…」ダダダ ガシッ


ビリビリ ピシピシ


ローグ「うはぁ又ギリギリセーフ!!」シュタ

女戦士「すまん迂闊だった…」

魔女「絶対零度!!」


ビシビシ カキーーーン!!


電気ウナギ「…」カチコチ

魔女「ふぅ…これで大人しくなったじゃろう」

戦士「どらぁぁぁぁぁ!!」ドドドドド カーン カーン

魔女「これ戦士!無駄じゃ止めて置け」

戦士「このまま放置して居ては危険が危ない」

魔女「数日は溶けぬ故その間に調査すれば良かろう…電気ウナギはここを守って居るだけじゃ…無駄な殺生は良く無いぞ?」

剣士「ハハそうだね…この魔物はドラゴン並みに貴重な魔物だと思うよ」

女王「この魔物が龍神リヴァイアサンなのですね?」

剣士「多分そうだよ…」

女王「フィン・イッシュの守り神リヴァイアサン…」フカブカ ハハー

剣士「何してんの?」

女王「私はこうやって何十年も祠で祈りを捧げて来たのです…これからもフィン・イッシュをお守りくださいと…」フカブカ

剣士「こう?」スチャ フカブカ ハハー

魔女「う〜む…何と言えば良いかのぅ…」


タッタッタ


盗賊「なんだ戦闘終わったんか…ほんで何やってんだお前等?」

剣士「お祈りさ…」フカブカ ハハー

盗賊「しかしこの電気ウナギ戻って来てんのな?」

魔女「その様じゃな…誰ぞに命令された事を忠実に守って居る様じゃ」

盗賊「ほーん…まぁ凍ってんなら放って置くか…洞窟見つけたんだろ?ちゃっちゃと行こうぜ」スタ

女戦士「そうだな…それが先決だ」
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:28:20.88 ID:KbfSVIxh0
『洞窟』


ピチョン ピチョン


盗賊「ビンゴ!!お宝満載じゃ無ぇか…こいつら随分色々集めたな?」ジャラジャラ

情報屋「宝石に謎の機械の数々…」

剣士「スゴイ!!もっと大きなデリンジャーだ…動くかもしれない」

盗賊「ひとまずこのお宝を全部幽霊船に運ぶぞ…ローグ!手伝え」

ローグ「あいさー」ダダ

情報屋「倒れてる人は皆餓死した後にミイラ化してるわね…全滅かしら」

盗賊「そんな感じだな?」

商人「海賊の日誌とかもあるよ…あれ?海賊じゃ無いな…航海士の日誌だ」

情報屋「見せて?」

商人「うん…他にも色々書物がある…とりあえず全部持って帰ろう」

情報屋「この航海士…例の探検家と一緒に航海した人だわ」ヨミヨミ

商人「何か面白い事書いてある?」

情報屋「髭男爵と繋がりをもって居たのね…ここで救助を待っていたみたい」

商人「ははーん…じゃぁ救助に来た髭男爵の船が座礁してしまって共倒れという所か」

情報屋「そこまでは書かれて居ないけどきっとそうね…」

ローグ「ちっと待って下せぇ…髭男爵と言いやしたね?」

商人「あぁローグは知らなかったのか…あの海賊船は髭男爵の物らしいよ」

ローグ「髭男爵は公爵の部下っすよ…つまり公爵はここの存在を知って居たという事でやんす」

女戦士「ここのミイラに髭男爵は見当たらんぞ?」

盗賊「まだ奥があるな…例の扉もどうやって開けたか知らんが開いてる」

女戦士「盗賊とローグはここに有る物を貨物用気球を使って全部幽霊船に運べ…ミイラもだ」

盗賊「お前等は奥に行くんか?」

女戦士「そうだ…ここからが本番だ」

盗賊「まぁ無理すんなよ?全部運んで2往復って所か…急ぐぞ?」

ローグ「分かりやした…」スタ
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:30:23.37 ID:KbfSVIxh0
『開かずの扉奥』


ダダダ


商人「ここは!!…キ・カイのチカテツ街道奥で見つけた遺跡と同じだ」

剣士「見て…天井にいくつも穴が開いてる…前に見た謎の塔も」

商人「アレだよ…大陸間弾道ミサイル…光る隕石だ」

情報屋「これと同じ物がチカテツ街道の奥に?」

商人「うん…謎の機械も石板もほとんど同じだ…10年前に天井の穴が開いて空気が入って来たんだよ」

情報屋「それで開かずの扉が開いたのね」

剣士「奥の扉も開いてる…」スタスタ

商人「キャンプ跡とミイラがある…ここで寝泊まりした様だ」

女戦士「髭男爵はこいつだ…」スラーン

情報屋「え?何をするつもり?」

女戦士「こいつには借りがあってな…私が幼少の頃捕虜に捕らわれた事があってな」ブン スパスパ


商人「アハ…そいつだけバラバラかい?」


女戦士「辱めを受けたのだ…消えて無くなれば良い!」スパスパ

戦士「ここの遺跡も広い様だから私達は奥を探索してくる」

商人「僕達はこの周辺を調べておくよ」

戦士「私が先頭を歩く…皆付いて来るんだ」キリ

情報屋「出来るだけ物は動かさない様にお願いします」
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 20:31:23.47 ID:KbfSVIxh0
『30分後』


ガチャガチャ


商人「ダメだ…エネルギーユニットは入っているのに動かない」ガチャガチャ

女戦士「海賊共がそこら中荒らしたからだな…随分散らかされたものだ」

商人「くそう!」バン

剣士「どこかに食料は在ったみたいだね…空の容器が散らばってる」

女戦士「4000年前の食料が保存されていたと?」

商人「真空で保存されていたなら可能かもしれない」

情報屋「商人?この車輪が付いた謎の機械は動かないかしら?」

商人「どうかな…」ガチャガチャ

情報屋「この機械は多分キラーマシンの原型だと思うわ…可動部がいくつもあるし」

商人「エネルギーユニットが何処に有るのか分からないなぁ…」

剣士「雷の魔法を使って見ようか?」

商人「そうだね…一回やってみて」

剣士「ちょっと離れてて…電撃魔法!」ビビビ


機械「ブーン…ピ」ピク


商人「お!?一瞬動いた」

剣士「足りないのかな?電撃魔法!」ビビビ

機械「ピ…ピピ」シュゥゥ モクモク

商人「ストップ!ストップ!だめだ煙が出て来た…」

剣士「こんな方法じゃやっぱりダメかぁ…」

情報屋「エネルギーは電気だという事が分かったわ」

剣士「これ分解出来る?」

商人「どうやって組み付いているのかさっぱりだよ」

女戦士「私が一刀両断するか…」スラーン

商人「ちょちょ…爆発したりしないよね」

女戦士「エネルギーは枯渇しているのだろう?只の金属の塊だ」ブン スパ


ガチャン バラバラ ビヨヨーン


商人「あれ?中身が結構スカスカだ」

情報屋「やっぱり…原理はキラーマシンと同じ…動力が人口の筋肉繊維ね」

商人「エネルギーユニットがどれなのか分からないや…」ガチャガチャ
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