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勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の続編の続編
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142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 12:49:35.17 ID:KbfSVIxh0
『貨物用気球』
フワフワ パタパタ
盗賊「本当遅せぇなこの気球は…おいクソガキ!縦帆を3番目に結び変えて風を横に受けろ」
少年「3番…3番…」ドタバタ
移民達「だ…大丈夫でしょうか?」
盗賊「あぁ心配すんな…お前等は暖かい所で食事でもしていて良いぞ」
少年「縦帆で風受けたぁ!!」
盗賊「よしよし…このまま斜め方向で良い…俺はデッキに出る!クソガキは後方のクロスボウ用意しとけ」ダダ
少年「分かった…」ドタドタ
盗賊「やっぱ小さいの追って来てる…この距離じゃクロスボウ当てるの無理だな」
少年「どうする?」
盗賊「上昇!!炉に石炭突っ込んでふいご踏め!!撃ち下ろしにする」
少年「…」ガッサ ガッサ
フワフワ フワフワ
盗賊「そのまま上昇続けろ…クソガキ!見てろよ?ドラゴンでもぶっ殺せる俺の武器だ」
少年「え…」
盗賊「行くぞ…」ガチャリ
バーン! ジャラジャラ
盗賊「ぬははは…こりゃ良い!ちっと銅貨が勿体無いがクロスボウ12発撃ったのと同等だ」カチャカチャ
少年「当たった?」
盗賊「分からん…だが何回でも撃てるぞ?」ガチャリ
バーン! ジャラジャラ
少年「当たってるかどうか分からない…」
盗賊「気球はな?何か撃って来られると離れるしか無い訳よ…球皮傷んだら無事じゃ済まないからな?」ガチャリ
バーン! ジャラジャラ
少年「本当だ…追って来なくなった」
盗賊「ようし!距離が開いたら狭間に入る…」
少年「すげぇ…たった3発撃って追っ手を退けた…」
盗賊「36発だ…クロスボウのボルトが36発降って来て近づこうなぞとは思わん…さて狭間に入る!ハイディング!」スゥ
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143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 12:50:32.54 ID:KbfSVIxh0
『湖の上空』
フワフワ パタパタ
盗賊「やっぱ向こうの気球の方が帆がデカい分早いな…」
少年「ローグが手を振ってる」
盗賊「ロープで連結させて引っ張らせる…ローグ!!ロープ受け取れぇぇぇ!!」グルグル ビュン
ローグ「あららららら‥‥あっぶ!!」パス
盗賊「そっちの気球の方が早いから引っ張ってくれぇ」
ローグ「あいさー」グイグイ ギュゥゥ
盗賊「向こうの山間を尾根沿いの飛べ!!」
ローグ「へ〜い!!」ダダ
盗賊「クソガキ!気球の操作は分かるな?高度だけ向こうの気球に合わせろ」
少年「あぁ…縦帆は?」
盗賊「工夫してヤレ…あんまり足引っ張んない様にな?」
少年「盗賊はどうする?」
盗賊「俺はロープ伝って向こうで酒飲んでくる…まぁこっちは任せた」
少年「えええええ!?マジか…」
盗賊「まぁすぐ戻って来るから心配すんな…上手くヤレ」ダダ
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:03:12.81 ID:KbfSVIxh0
『貨物用気球_改』
フワフワ バサバサ
盗賊「…なるほどプロペラは使って無いか」
ローグ「低速の時だけっすね…姉さんの飛空艇より遅いっすが操舵が同じなんで慣れて居やす」
盗賊「俺もハテノ村付いたら改造するわ」
ローグ「風の具合によるんで確実に進むならプロペラも捨てたもんじゃ無いかと」
盗賊「欠点は帆の結び替えでいちいちデッキに出なきゃならん事か」
ローグ「そーっすね…死ぬほど寒いっす…もたもたしてると手が凍傷に掛かっちやいやす」
盗賊「俺は酒を飲みに来たんだがよ?」
ローグ「飲んで行って下せぇ…子供達が騒いでいやすが…」
カーン カーン キーン
盗賊「ごるぁぁ!!武器はおもちゃじゃ無ぇぞ!!当たったらお前等死ぬぞ」
子供達「ひぇぇぇぇ…」ドタドタ
盗賊「なんだこの食いカスは!!」
ローグ「あぁぁそれ魚が凍ってて焼けなかったんすよ…ちっと子供達に料理は無理でやんした」
盗賊「お前等見てろ!魚が凍ってたらマズぶった切れ!」スパスパ
子供達「…」ポカーン
盗賊「ほんでナイフにぶっ刺す!焼く!食う!」ジュゥゥゥ
子供達「…」ジュルリ
盗賊「酒だ酒!!酒持って来い」
子供達「…」ソローリ
盗賊「出来るじゃ無ぇか…」グビ プハァ
子供達「魚…欲しい」
盗賊「おぉ食え食え…俺ぁ魚がキライなんだ」
ローグ「済まんでやんす…食い物が魚しか無いもんすから」
子供達「うんま!!うんま!!」モグモグ
盗賊「もうちっと我慢しろ?ハテノ村に着いたら美味いもの沢山あるぞ?」
子供達「美味いものって何?それ食べられる?」モグモグ
---なるほど…ゴミしか食った事無い訳か---
---こりゃ鍛え甲斐がありそうだ---
----------------
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:04:49.60 ID:KbfSVIxh0
フワフワ バサバサ
ローグ「太陽がずーっと低い位置にあるでやんす」
盗賊「そろそろ日没の筈なんだがな…やっぱ南極付近な訳か」
ローグ「月が全然違う所にあるのは奇妙っすね」
盗賊「何が起きてるのかさっぱりだな?まぁ…まだ生きてる訳だからどうにかなるかヌハハ」グビグビ
ローグ「後ろの気球は少年に任せておいて良いんすか?」
盗賊「あっちは大人が6人乗ってんだ…大丈夫だろ?」
ローグ「見た所2家族で合計11人…少年入れて12人…どんな移民なんすか?」
盗賊「片方は鉱夫でもう片方は元傭兵なんだとよ」
ローグ「商船が動かないもんだから傭兵が稼ぎ無くなった感じなんすね?」
盗賊「まぁそういうこった…そもそも傭兵だけじゃ家族は養えんけどな」
ローグ「なーんかそういう移民が増えそうっすね?」
盗賊「うむ…だがハテノ村も沢山家がある訳じゃ無いんだ…俺らはこの気球に寝泊まりする事になる」
ローグ「あっしはこの気球が気に入りやした…荷物も載せて人も12人乗れるんすからね」
盗賊「もうちっと温い所だとデッキで酒飲むのも良さそうだ…まぁちょっとした船みたいなもんだな」
ローグ「そういやあっしは船を一杯持ってるんすよね…奴隷船なんすが」
盗賊「そら羨ましい…何処に停船してんだ?」
ローグ「今頃フィン・イッシュに4隻…港町に4隻…あとは何処にいるか分からんす」
盗賊「奴隷商を雇ってんだな?」
ローグ「そーっすね…船を貸して奴隷を移送してるんすよ」
盗賊「また奴隷商売とはゲスい事やってんだな?」
ローグ「いやいやいや…地軸の移動を想定して強制退避させてるんすよ…慈善事業ですわ」
盗賊「ほーん…それで略奪品は豪族に回る訳か」
ローグ「そこはしょうがないっす…でも貧しい村よりも資源の豊富な街で暮らした方が生きるのがずっとラクな筈なんす」
盗賊「まぁ南極になっちまうなら仕方無ぇという見方もあるけどな」
ローグ「あっしも強制退去させるのはちっと心苦しい所もあるんすが心を鬼にして…」
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:05:36.13 ID:KbfSVIxh0
『数日後』
フワフワ バサバサ
ローグ「ここらは低木ばかりで目印はなーんもありゃしやせんね」
盗賊「もうちょい行ったら尾根の谷間に沢山木が生えてる…そこがハテノ村よ」
ローグ「あ!!あそこの煙上がってる所っすね?」
盗賊「うむ…毎回来るたびに木が増えてるんだが今回は花も増えて居そうだ」
ローグ「ずっと雪ばっかりだったんで花なんか珍しいっすわ」
盗賊「しかし大分温くなった」
ローグ「高度下げたら丁度良い暖かさかも知れやせん」
盗賊「そろそろ炉を止めるか…俺は後ろの気球にもどるから上手い事誘導してくれ」
ローグ「へい!!」
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:07:39.34 ID:KbfSVIxh0
『ハテノ村』
フワフワ ドッスン
盗賊「こりゃえらく歓迎じゃねぇか…子供達全員か?」
魔法使い「気球は遊び場だから…」
盗賊「おい!クソガキ!!例の玩具を配ってやれ」
少年「あぁ分かってる…みんなこっちだ」
ウキャァァァァ ドタドタ
影武者「物資の移送お疲れ様…売れ行きはどうだったかな?」
盗賊「…見ろ!調達が終わってもこんだけ余ってる」ドスン ジャラリ
影武者「相場が知りたいな」
盗賊「硫黄がクソ高く売れる…木材は高いっちゃ高いが運搬効率が悪いからヤメだ…石炭は安定で高値」
影武者「ハテノ酒は?」
盗賊「なんだそっちのが気になるんか?樽4つで金貨5枚…まぁまぁだろ?」
影武者「評判は?」
盗賊「速攻売り切れたらしい…でも硫黄に比べりゃ運搬効率は悪い」
影武者「まぁお酒だとそうだね…硫黄がいつまで高値が付くか分からないから安定収入を考えたいのさ」
盗賊「魔法使いが作ったポーションの方が稼げるぞ?金持ちが速攻買って行きやがった」
魔法使い「大量に作れないのよ」
盗賊「そうか…酒の方が簡単か…ほんで買取もバッチリ全部積んで来たぜ?」
影武者「確認する…あれ?武器と魚も?」ガチャ ガチャ
盗賊「ローグも同じ気球を買ったんだ…空で戻って来るのも勿体ないから適当に物資積んで来た」
影武者「気球がもう一台増えるのは大きいな…武器も丁度欲しかった」
魔法使い「2キロほど川を下った湖まで村を拡張しようとしているの…資材を運搬したかった所」
盗賊「ここじゃ家を建築するスペースが足りんか」
魔法使い「それもあるけど海賊王のお爺さんは船を使った物流をやりたいみたい」
盗賊「なるほど…村の発展には丁度良い訳か」
魔法使い「建屋が増えれば移民ももう少し受け入れられるし…」
盗賊「2家族連れて来たぜ?鉱夫と傭兵だ…住む場所へ案内してくれ」
魔法使い「分かったわ…皆さん荷物を持って付いて来て下さい…空き家の方へご案内します」
ゾロゾロ
うわぁぁなんか良さそうな村ね
思っていたよりちゃんとしてそうだ
見て!お店で食事してる
コラコラ指を指しちゃイカン
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:09:39.72 ID:KbfSVIxh0
『酒場』
ワイワイ ガヤガヤ
盗賊「ここがハテノ村自慢の酒場だ…俺の家みたいなもんだ」
ローグ「ほえぇぇ?ちゃんと作ってありやすね…」
女将「いらっしゃいませでし!!いやいや…おかえりなさいでし!!」
盗賊「例の酒振舞ってやってくれぃ」
女将「はいなー」スタタ
盗賊「しかし随分雑貨が増えたな?」
影武者「剣士さんが作ってくれているんだ」
盗賊「なぬ!?剣士がこの村に戻ってんのか…俺ぁてっきり幽霊船探しに行ったと思ってたわ」
ローグ「じゃぁ商人さんも戻って来たんすね?」
影武者「商人は戻って居ないよ」
盗賊「剣士は何処よ?さっきは見かけなかったぞ?」
影武者「上の遺跡に籠りっ放しさ…なんでも星の観測をやっているそうだよ」
盗賊「航海術の基本だ…地軸の移動を計算してるんだな」
女将「ハテノ酒とつまみの虫焼きどうぞー!!」ドン
盗賊「なんだこりゃ…バッタを焼いてんのか?」
影武者「ハハ中々美味しいんだよ…醸造で余った酒粕にバッタを漬け込んで焼くんだ」
女将「食料の節約でし…そのバッタは作物食べるので逮捕したです」
ローグ「あ!!本当っすね香ばしくて美味いっすよコレ」バリバリ
盗賊「こりゃ食料に困る事は無さそうだ」グビ プハァ
影武者「どう?ハテノ酒美味しくなって居ないかい?」
盗賊「アルコールが増えていっぱしの酒になったじゃ無ぇか」グビ
影武者「少し寝かせてから醸造するんだよ…このお酒のお陰ですごく儲かってる」
盗賊「儲かる?」
影武者「ドワーフの鉱山労働者が毎日酒場に来る様になってね…お酒を出せばお金が入る…お金で硫黄を安く買う」
ローグ「これあっしらもお金払うでやんすか?」
女将「食い逃げは逮捕するでし!!」ビシ
影武者「ハハ今日は僕が払っておくよ」
盗賊「さすがだな…もう流通が成り立ってるんか」
影武者「儲かるし上手く行くし楽しくってさ…そうそう香辛料も充実したからもっと上手に虫料理が出来そうだ」
盗賊「虫ねぇ…」
女将「影武者さんは虫の食べ方を良く知ってるですよ…子供達も虫を嫌わないで食べてくれるでしゅ」
影武者「なるほどな…ゴミ食って生きてた奴らはこういう才能もある訳か…見習わねぇとな?」
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:10:57.03 ID:KbfSVIxh0
『広場』
じゃぁお願いします…
盗賊「おぉ傭兵の夫婦そろって早速仕事か?」
魔法使い「村の警備をお願いしたの」
盗賊「んん?警備が必要な程危なくは無さそうだが?」
魔法使い「流民がポツポツ来る様になって一応の警戒よ」
盗賊「ほぅ?どっから来てんのよ?」
魔法使い「近隣にはまだ小さな村がいくつもあるのよ…食料難で流れて来てる」
盗賊「じゃぁ丁度武器を持って来て良かったな」
魔法使い「ハンターが言うには昔の兵隊駐屯跡地にも何か住み着いて居るって…」
盗賊「ほんじゃ物資調達にゃ丁度良いじゃ無ぇか…弾薬とか残ってるかも知れん…どこにあんのよ?」
魔法使い「川向うの丘を越えた先…オークとの激戦区だった筈」
盗賊「オークか…あんまり関わりたく無ぇな」
魔法使い「オークとは今の所良い付き合いだから刺激しない方が良いと思う」
盗賊「良い付き合いってどういう事だ?」
魔法使い「どんぐりとか毒キノコを村の外に出しておくと代わりに薬草を置いて行ってくれるのよ…最近では動物の毛皮とかも」
盗賊「なるほどその関係は続けた方が良さそうだ…ドワーフの気球がウロウロしてるこの村に攻め入る事は無いだろう」
魔法使い「そういう風に見えるんだ?」
盗賊「ここの立地だと気球から弓でも撃たれりゃそうそう侵略出来ん…ドワーフの気球は抑止力になってるな」
タッタッタ
影武者「盗賊!気球で物資の移送をお願いしたい」
盗賊「ぬぁ!?今帰って来たばかりで又キ・カイに行かせるつもりか?嫌なこった!ちっと休ませろ」
影武者「あぁ違う違う…上の遺跡から石の建材を運んで欲しいんだよ」
盗賊「石の建材?」
影武者「ヘラジカの引っ張る荷車じゃ往復で効率が悪いのさ…貨物用の気球なら一気に運べる」
盗賊「そうか…まぁ剣士にも会いたかった所だ」
影武者「2往復で全部移送できると思う…お願いするよ」
盗賊「荷の出し入れは人駆用意しとけ?俺ばっかりに重労働させんなよ?」
影武者「分かった分かった」
盗賊「てか石の建材なんかなんで遺跡にあるんだ?発掘してんのか?」
影武者「話して無かったね…上の鍛冶場から出る鉱石の屑から作ってるのさ…これから作る建屋は石の建材で組むんだよ」
盗賊「なるほどゴミの再利用って訳か…こんな田舎で石造りの建屋とはまた豪華だな」
影武者「炭坑が賑やかなうちは建材も沢山作れるからどんどん消費しないと…」
盗賊「ほんじやちっと遺跡まで行って来る…じゃぁな」
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:11:32.78 ID:KbfSVIxh0
『古代遺跡外_鍛冶場』
シュゴーーーー モクモクモク
鉄のた〜めなら〜♪え〜んやこ〜ら♪
おいらはかっじや〜♪おしゃれなか〜じや〜♪
盗賊「お〜い!!石の建材運びに来たんだがよ…どれだ?」
ドワーフ「そこに積んである石は全部運んでかまわん〜で〜♪」
盗賊「どわ…これはでかい釜戸じゃ無ぇのか…こら2往復じゃ無理だな」
ドワーフ「置き場に困っておルンルン♪早く運ん〜で♪くださ〜いな〜〜♪」
盗賊「ローグ!これが全部そうだとよ…気球に積むぞ」ヨッコラ
ローグ「盗賊さん…この石意外と軽くないっすか?」ヨッコラ
ドワーフ「多孔石が混ざってルン♪軽くて丈夫な建材だよん」
盗賊「軽石ってやつが混ざってる訳な…まぁ良いとりあえず乗せれるだけ乗せてちゃっちゃと運ぶぞ」エッホ エッホ
ローグ「全部炭坑から出たゴミで作ってるんすね」ヨッコラ
盗賊「保温性も良さそうな建材だ…ザラザラだけ我慢すりゃ良い家になりそうだ」ヨッコラ
ローグ「この重さなら2往復でなんとか…」
盗賊「日が暮れちまう…急ぐぞ」エッホエッホ
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151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:13:27.71 ID:KbfSVIxh0
『古代遺跡内』
アブラカタブラ ドーニカオマモリクダサイ
盗賊「…遺跡に籠って何やってんだお前」
女オーク「…」
剣士「盗賊さんか…帰って来てたんだね?」
盗賊「おま…こりゃ何の儀式よ?女オークを奉ってんのか?」
剣士「魔方陣で厄災から守ってるんだ」
盗賊「何の厄災よ?外じゃ皆働いてんぞ?」
剣士「うるさいなぁ…厄災から女オークを守るのが僕の仕事さ」
盗賊「星の観測はどうなってんだ?直に日没なんだが…」
剣士「もうそんな時間か…行かなきゃ」
盗賊「えーとだな…俺ぁお前に会いに来たんだが…なんつーかお前はマイペース過ぎてだな」
剣士「あぁそうか!ゴメンよ何の用だった?」
盗賊「ぬははまぁ良い…ほんで星の観測で何か分かったか?」
剣士「地軸の移動速度が遅くなってるさ…やっぱり4000年前と同じ様に90°回転して止まりそうだよ」
盗賊「キ・カイが死ぬほど寒くなってんのよ」
剣士「もう南極点は通過した筈だからこれからもう少し暖かくなると思う」
盗賊「やっぱそんな事になってんだな…最終的な南極点はどこになりそうだ?」
剣士「海士島とセントラルの間だと思う…元々の地図の精度が良く分からないから大体その辺としか言えない」
盗賊「机に広げてあるのが新しい地図だな?」
剣士「うん…北の方角がズレてるから見る時に注意」
盗賊「こりゃもう一回書き直したほうが良いな」
剣士「ハテノ村は過ごしやすい緯度に位置するようになった…キ・カイは寒くて厳しいだろうね」
盗賊「あっちは地下があって奥が広いからなんとかなりそうだぜ?」
剣士「多少寒くても問題無いのか」
盗賊「キ・カイの軍船が内海を航海出来る様だから物流も止まるって事は無さそうだ」
剣士「じゃぁ深刻なのはセントラルぐらいか…」
盗賊「その件でお前に会いに来たんだ…ちっとセントラルに行きてぇのよ」
剣士「地軸が安定すれば行けない事も無い…偏西風に乗って外海を飛び越えればフィン・イッシュ…そこまで行けば簡単さ」
盗賊「地図でみるとやたら遠いな」
剣士「外海が大きすぎるよね…でもどうしてセントラルに?」
盗賊「話はちっと長いんだ…お前も星の観測があるんだろ?俺も温泉に入りてぇ…話は明日だな」
剣士「おけおけ…温泉に入るなら今の内に行かないと真っ黒になったドワーフ達が来ちゃうよ」
盗賊「そら急が無ぇとな…まぁ今晩は酒場でグダグダしてるからお前もたまには顔を出せ」
剣士「わかったよ」
盗賊「おっし!ローグ!温泉行くぞ!!」ダダ
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:14:44.01 ID:KbfSVIxh0
『酒場』
ワイワイ ガヤガヤ
ローグ「いやぁぁぁ温泉に入って…ハテノ酒飲んで…虫の串焼き…最高っすね」グビ ムシャムシャ
女将「最近は毎日こんな感じなのです」
ローグ「酒場の外でもお祭り騒ぎなんすね?」
女将「ハンターさんが焚火で色々焼いてくれてましゅ」
盗賊「はぁぁぁ後は楽器だな…リュートでも聞きながらこうグダグダと飲みながら寝る訳よ」グビ
ローグ「良いっすね…体力全快しそうっす」グビ
盗賊「ドワーフの連中が鉱山から降りて来て酒は足りてるのか?」
女将「ギリギリでし」
盗賊「毎日作ってんなら小麦足りなくなら無ぇか?」
女将「芋が沢山余ってるので大丈夫です」
盗賊「ほーこの酒は芋も混ざってんのか…道理でアルコールがきつくなった訳だ」グビ
女将「醸造で残った酒粕も全部食用で使い切れるです」
ローグ「このチーズみたいな奴っすね?」
女将「それをパンに乗せて焼くのもおいしいです」
盗賊「俺ぁそのパン食いながらワインを飲みてぇ…パンとチーズとワイン」ジュルリ
ローグ「それにしてもなんちゅー平和な村なんすかねぇ…キ・カイとは大違いっすね」
盗賊「自給自足できるってのは良いもんだ」
スタスタ
女将「あ!!剣士さん…降りて来たんでしゅね」
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:15:34.12 ID:KbfSVIxh0
剣士「空いてるかい?2人分」
女将「どうぞどうぞ座ってくださいまし…カウンター空いてるです」
剣士「例のお酒2杯頼むよ…」ジャラリ
女将「はいなー!!」
盗賊「星の観測はもう終わったのか?」
剣士「時間測ってるんだ…しばらく暇になる」
盗賊「しかしお前…只者じゃない雰囲気が出てんなヌハハ…女オークも風格出て近寄り難いぞ?」
剣士「まだ村に馴染めて居ないって事さ…女オーク座って?」
女オーク「…」ドッシリ
女将「どうぞー!!ハテノ酒2杯でし!!」ドン
ローグ「はぁぁなんか2人とも恰好良いっすねぇ…いかにも強そうな感じ出てるっすよ」
剣士「変な事言わないでよ」グビ
女将「剣士さん久しぶりなので皆呼んで来ましょうか?」
剣士「あー気を使わせたくない…今日はちょっと飲んだら戻るから」
盗賊「まぁくつろごうぜ?ほら虫の串焼きでも食え」
剣士「ハハ…バッタかぁ…作物荒らされてない?増えすぎる前に退治しないと種まで食べられちゃう」
ローグ「あっしらが食っちやいやしょう…あっしはこの串焼き好きでやんす」ムシャムシャ
剣士「肉の代わりに丁度良いね…ワームよりも調理しやすいし」
盗賊「どうやら虫のお陰で食料難は解決してそうだな?」
女将「そうですねぇ…小麦の消費は半分くらいになってるですよ」
剣士「それで盗賊さん…今なら話を聞けるけど?」
盗賊「んぁ?別に急ぎじゃ無いから明日でも良い」
ローグ「あっしが話やしょうか?アダムに関連するかもしれやせんので剣士君も興味あるかもしれやせん」
剣士「アダムに?話して…」
ローグ「ええとですね…話は20年さかのぼるんすがね?…」
カクカク シカジカ
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154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:16:16.63 ID:KbfSVIxh0
剣士「冒険の書がもう一冊ある…そうか精霊と時の王がそれぞれ一冊持って居たのか」
ローグ「…それで20年前から起きている事件はみんな公爵が関連していると思うんすよ」
盗賊「まぁそういう訳で公爵が持って居るお宝を俺が全部盗む…それでセントラルに行きたい訳よ」
剣士「理由は分かった…只ね?冒険の書は未来を見るだけの物では無いんだよ?」
ローグ「ええ?どういう事っすか?」
剣士「魔女も冒険の書を読んでるんだけど…大昔の物語だったそうだよ」
ローグ「読む人によって変わるんすね?」
剣士「情報屋さんも読んでるのさ…未来じゃ無くて過去の物語…多分精霊の記憶の一部を覗けるアイテムなんだ」
ローグ「そうだったんすね…てっきり予言の書だと思っていやした」
剣士「でも過去の物語の中で未来の予言があったなら間接的に未来を知ってる可能性はある…それは公爵に聞いて確かめたいかな」
盗賊「ヌハハ直接聞くんか?」
剣士「僕は魔術師だよ…幻術が得意な魔術師ね」
盗賊「怖えぇ怖えぇ…嘘は付けないってこったな?」
剣士「僕もちょっと興味出て来た…アダムの秘密を知ってる可能性が有るみたいだからね」
盗賊「お前が一緒だと俺も安心だ…白狼の盗賊団…今なら復活しても良いぜ?」
剣士「僕と女オーク…盗賊さんにローグさんで丁度4人か」
ローグ「えええ?あっしも?」
剣士「だって目の前に要るじゃない」
盗賊「決まりだな?」
剣士「どっちにしても地軸の移動が落ち着くまではここに居た方が良いよ…飛空艇でも迷っちゃうから」
盗賊「違い無ぇ…しばらく休暇だ」
ローグ「安心しやした…もうちっと幸せを満喫したいでやんす」ムシャムシャ
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:17:47.52 ID:KbfSVIxh0
『数日後』
チュンチュン ピヨ
盗賊「言われた通り俺の気球は下流の湖に置いて来た…あそこに拠点作るんだな?」
影武者「そうらしい…今ドワーフ達が道を整備しているよ」
盗賊「下流の2キロ圏内がハテノ村って感じか…」
影武者「うん…作物も川沿いで育てる」
盗賊「ポツポツ生えてる大木は目印だな?」
影武者「あれは魔法使いが植えてくれてるんだ…領地の目安だね」
盗賊「まぁドワーフ達は建築が早いわ…あっちゅー間にいろいろ建てやがる」
影武者「すごいよね…開拓に慣れているんだよ」
盗賊「ここは石炭も鉄も豊富だし開拓しやすいのかも知れんな」
影武者「魔術師が2人居るのが大きいよ…木材と食料の調達はあの2人が要さ」
盗賊「今ハテノ村の人口は50くらいか?」
影武者「子供達合わせて60かな…ドワーフも入れると100人くらいさ」
盗賊「下流まで開拓進みゃ200人ぐらいの規模か」
影武者「もっと住めると思う…あの石の建材で作る建屋は2階建てに出来るんだ」
盗賊「じゃぁ倍って事か」
影武者「そうだね…そこまで増えれば立派な街として機能する」
盗賊「ついこの間まで何も無ぇ村だったのにな?」
影武者「フフ楽しみだよね?」
盗賊「うむ…オークもこっちに住みゃ良いのにな?」
影武者「魔法使いはそれも考えて居る様だよ…そうそうハテノ酒…これを村の外に置いて居るんだ」
盗賊「なぬ?オークに献上か?」
影武者「原料が小麦と芋とキノコ…全部オークの好みの食材なのさ」
盗賊「なるほど…友好の酒か…何が返って来るか楽しみだなヌハハ」
影武者「オークが味方だと賊から襲われ難いよね?…それと何がトレード出来るのかも楽しみなんだ」
盗賊「オークといえば牙とか角の類だな…ケバケバの衣装もあるな」
影武者「ドワーフが言ってたんだけどオークが使う武器は特殊な細工がしてあるらしい」
盗賊「細工?あのクソでかい武器に細工?」
影武者「それが知りたいみたい」
盗賊「牙とか仕込んであるだけに見えるがそんな珍しい物か?」
影武者「さぁね?エンチャントでもしてあるのかもね」
盗賊「ほーん…ほんで?今日は俺の仕事は終わりか?」
影武者「子供達が武器の使い方を教えて欲しい様だよ?行って見たら?」
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:19:20.90 ID:KbfSVIxh0
『教会の裏』
ヒュンヒュン バシーン
そうそう!次の石を準備する動作はもっと早く
姉御!盾持って動く的お願い
分かった…来い!!
盗賊「ほぉぉぉ?スリングの練習か」
少年「あ!盗賊!!」
盗賊「動く的は良いがちっと危ないんじゃ無ぇか?投石あたったら怪我すんぞ?」
少年「小さい子にはスリングが一番良いと思った…接近された場合どうすれば?」
盗賊「うむ…スリングの選択は正しい…まずはそれを極めろ」
少年「投石を外したらどうするんだよ」
盗賊「腰にナイフを持っとけ…見てろこんな感じだ」
右手でスリング使うだろ?
接近された場合は左手でナイフを逆手に抜くんだ
まぁ護身用だな
格闘戦はお前等じゃもうちっと大きくなるまで無理だ
少年「左手でナイフを逆手に…」スチャ
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:19:46.23 ID:KbfSVIxh0
盗賊「おう!そんな感じよ…まぁ狩りでも良く使うからナイフだけは護身用で持って居て問題ない」
少年「分かった…」
盗賊「しかしスリングの練習たぁ関心する…2〜3人で投石すりゃ並みの賊なら撃退出来る」
少年「これでクマは倒せないかな?」
盗賊「頭部に当てりゃイケる…要は命中率だな?」
少年「ようし!練習続けよう!!」
盗賊「待て待て…動く的は危ねぇ」
オークの子「これは実践練習なんだ…私の練習でもある」
盗賊「スリングなんか見て避けれる速さじゃ無いだろ」
オークの子「急所を外すだけで良い」
盗賊「それじゃ怪我すんだろ?」
オークの子「私が囮になる作戦なんだ黙って見てて!」
盗賊「あぁぁ…なるほどな?…一人囮になって全員で投石する作戦か…ほんで自分は急所だけ守る」
オークの子「…」
盗賊「分かった…お前にコレをやる」ポイ
オークの子「角?」
盗賊「その角にゃ回復魔法のエンチャントが掛かってんだ…怪我しても直ぐに良くなる」
オークの子「あ…ありがとう」
盗賊「まぁ俺は黙って見てるわ…続けてやってみろ」
少年「よっし!!じゃぁ配置について」
盗賊「…」
---オークの気高さか---
---自己犠牲で守る姿が眩しいじゃ無ぇか---
---こりゃガキ共の自警団も馬鹿に出来んわ---
----------------
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:20:25.07 ID:KbfSVIxh0
オークの子「つつつ…」
盗賊「見せてみろ…なるほど全部急所は外してるが…痛いだろう?」
オークの子「これぐらい直ぐに治る…私は他の子と違って丈夫なんだ…傷の治りも早い」
盗賊「まぁその角を上手く使え」
オークの子「…」
盗賊「よし分かった…お前に剣と盾の使い方を教えてやる」
オークの子「え?」
盗賊「まぁ立て…俺の攻撃をまず防いでみろ」スチャ
オークの子「…」スック
盗賊「行くぜ?」ダダ
ビシ バシ バシ
盗賊「木の棒じゃなきゃ死んでるぞ?しっかり見て防げ」ダダ
カン カン コン
盗賊「ふむ…まぁ良い…続けて行くぜ?」
オークの子「…」タラリ
カン カン バシッ
オークの子「え!?どうして…」グラリ
盗賊「死角が疎かになってんだ…自分の死角がどこになるか意識しろ…そこを剣で防げ」
カン カン コン
盗賊「まぁちゃんと防御すりゃなかなか攻撃は当たらんのよ…まずはしっかり防ぐ練習からだ…行くぜ?」ダダ
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159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:21:10.75 ID:KbfSVIxh0
姉御と盗賊が戦ってるよ
やられっぱなしだぁ
でもちゃんと防いでるっぽい
行けぇ姉御ぉぉ
盗賊「ふぅ…どうやらお前は体幹が柔らかい…もっと低く構えてみろ」
オークの子「こうか?」グググ
盗賊「もっと低く出来るだろう?四足獣になったつもりで構えろ」
オークの子「…」グググ
盗賊「そんだけ低いと俺の攻撃は上からしか来ない…防ぐのは簡単になる筈だ」
盗賊「ほんでな?その姿勢から俺に突進してみろ…来い!」
オークの子「…」ダダ ドシン
盗賊「こりゃまるでイノシシだな…今見えただろ?攻撃の糸口が」
オークの子「うん…」
盗賊「お前はな?その低い姿勢からの突進が決め手になる…兎に角低く守って相手の隙を見つけろ」
オークの子「分かった…」
盗賊「じゃぁもう一回行くぞ?」ダダ
カン カン コン ビシ バシ
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:22:18.10 ID:KbfSVIxh0
『酒場』
ワイワイ ガヤガヤ
ローグ「あ!!盗賊さん何処に行ってたんすか」
盗賊「おぉ教会の裏でちっとガキ共と立ち回りをな?」
ローグ「ええ?子供相手にっすか?」
盗賊「いやいやあのガキ共なかなか団結しててな…こりゃ下手な賊が来ても追い払うぞ?」
ローグ「マジっすか…」
盗賊「20人くらいのガキがが一斉にスリング使ってるのを想像してみろ」
ローグ「うは…近寄れやせんね」
盗賊「だろ?ほんでハーフオークのガキが又強い訳よ…普段から炭坑手伝ってるのもあるんだろうな」
ローグ「スリングは上手く使えば弓より飛距離出せやすぜ?」
盗賊「だな?爆弾でも投げりゃ正規軍とだって良い勝負になる」
ローグ「子供に爆弾は危ないっすねぇ」
盗賊「ギャング上がりなもんで割と色々知ってんだよ…スリングをチョイスすんのもそういう経験なんだろう」
女将「剣士さんがもう煙玉の作り方教えてたです」
盗賊「…煙玉…なるほど目くらましした後にスリングで投石すんのか」
ローグ「数撃ちゃ当たりやすもんね」
盗賊「な〜んか…この村はもうガキ共に任せても良い気がして来た」
女将「私がお母さんの代わりなのでしゅ…お任せくだしゃい」
盗賊「そうだな…酒くれ酒ぇ」
女将「はいなー!!」スタタ
アオーーーン アオーーーーン
盗賊「ん?ウルフの遠吠え…」ガタッ
ローグ「…これ敵が入って来た合図じゃないっすか?」
盗賊「様子見に行くぞ」ダダ
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:23:34.09 ID:KbfSVIxh0
『広場』
ザワザワ
上だ!ガーゴイルが飛んでる!
女子供は教会に避難しろぉぉ!!
弓を使える人は弓を持て!!
教会の上にクロスボウが設置してある
盗賊「何匹居るんだ?」
魔法使い「5匹くらいよ」
盗賊「お前は魔法撃てるな?」
ローグ「なんでガーゴイルなんか居るんすかね?」
魔法使い「前からちょくちょく来てるの…今日は数が多い」
ローグ「ガーゴイルは黄泉の魔物っすよ?」
魔法使い「何処かの狭間から迷い込んでいるのよきっと…」
盗賊「暗くなってきて良く見えんな」
シュタタ シュタタ
盗賊「おう!剣士…来たか」
剣士「オークも襲われているらしい」
盗賊「さっきの遠吠えがそうか?」
剣士「うん…僕と女オークは応援に行く…こっちは任せるよ」
盗賊「任せるっておい…」
剣士「オークは飛んでる敵に何も出来ない…ハテノ村は弓もクロスボウもある」
盗賊「ぬぁぁまぁしょうが無ぇな…」
剣士「ちょっと待ってね…夜光虫!従え…飛んでいるガーゴイルに取り付け」ブーン
ローグ「おぉ地面から光が昇って行くでやんす」
盗賊「おぉ!!」
剣士「これで目標を見失わない…近寄って来たら弓で撃てば良い…ガーゴイルは倒したら燃やして?病気を持ってる」
魔法使い「わかったわ…」
剣士「女オーク!急ごうか…オークの集落まで走るよ」
女オーク「うん…」
剣士「じゃぁ行って来る…」シュタタ
--------------
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:24:30.61 ID:KbfSVIxh0
タッタッタ
ローグ「弓と矢を持って来やした…使って下せぇ」ポイ
盗賊「おう!!なかなか降りて来無ぇ…イライラすんな」
ドーーン パーン
盗賊「うお!!花火かよ…ドワーフが遺跡から撃ってんのか」
ローグ「効果ありっすね…火花がガーゴイルに当たっていやす」
魔法使い「ガーゴイルが急降下してくるわ!!狙い撃って」
盗賊「分かってらぁ」ギリリ シュン
ローグ「あっしも…」ギリリ シュン
魔法使い「外れてるじゃない!…火炎魔法!」ゴゥ ボボボ
ガーゴイル「ギャァァァァ…」バッサ バッサ
盗賊「くっそ!こっちは無視か…」
魔法使い「教会の方ね…移動しましょう」
ヒュンヒュン ヒュンヒュン ドスドスドス
ローグ「おぉ!!スリングの投石っすよ…」
盗賊「やるなあいつ等…」
ヒュンヒュン ヒュンヒュン ドスドスドス
ガーゴイル「ギャァァァァ…」ドサーーーー
盗賊「落ちた!!ぶっ殺せ!!」ダダダ グサ
魔法使い「どいて!!燃やす…火炎魔法!」ゴウ ボボボボ
ローグ「こりゃ圧勝っすね…」ギリリ シュン グサ
ヒュンヒュン ヒュンヒュン ドスドスドス
盗賊「数撃ちゃ当たるってなこの事か…弓撃つより全然効果的だ」
ローグ「あっしらは落ちたガーゴイルの処理に専念しやしょう」
盗賊「だな?もう一匹落ちそうだ…行くぞ!」ダダ
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:25:54.01 ID:KbfSVIxh0
『教会の前』
ギャァァ バッサ バッサ
オークの子「こっちだ!!私は美味しいぞ!!」バンバン!
ガーゴイル「ギュルルル!ギャッハァ…」バッサ バッサ
ヒュンヒュン ヒュンヒュン ドスドスドス
ガーゴイル「ウギャァァ…」ドサーーーー
オークの子「このぉ!!」ダダ ブスリ
子供達「やったぁ!!姉御が倒したぁぁ!!」
オークの子「次!!スリング準備!!」
魔法使い「電撃魔法!」ガガーン ビリビリ
オークの子「ハッ…」
魔法使い「後は任せて…みんなで手分けして火事の火を消して来て」
オークの子「あ…はい」
盗賊「よーし!!とどめだ!!燃やしてくれい!」ダダ ブスリ
魔法使い「火炎魔法!」ゴゥ ボボボボ
盗賊「お前等スゲーじゃ無ぇか!!スリング練習した甲斐があったな?」
子供達「うへへへへ…」
オークの子「みんな降りて来て!!火事を消しに行くよ」
子供達「おーーーー」ドタドタ
ローグ「いやぁぁ20人のスリング部隊…スゴイっすねぇ」
盗賊「ガーゴイルが教会に突っ込まなかったのが幸いか…」
ローグ「いやいやクロスボウも撃ってたんで近付け無かったんすよ」
盗賊「なるほど…ちょっとした要塞になってたか」
魔法使い「一先ずこれでガーゴイルは全部撃退…村の点検に回って来るわ」タッタ
盗賊「俺らあんまり活躍出来んかったな?」
ローグ「酒が覚めちまいやしたね?あっしの気球に芋酒あるんでどうっすか?」
盗賊「そだな?酒場行ける感じじゃ無ぇし…見物しながらもうちっと飲もう」
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:27:15.15 ID:KbfSVIxh0
『貨物用気球_デッキ』
グビグビ ヒック
盗賊「火事っつても花火がちっとくすぶってるだけか」グビ
ローグ「もう大丈夫そうでやんす」
盗賊「上の遺跡から花火ぶっ放す準備してるとはさすがだ…やっぱ海賊王の爺は戦のプロだわ」
ローグ「対空もちゃんと考えて居たみたいっすね」
盗賊「立地的に侵略すんなら気球使って来るしか無いんだが…これじゃ攻め切れん」
ローグ「下流の湖の拠点も陸戦を想定してるんでしょうね?」
盗賊「だろうな?大砲の射程内だしな」
ローグ「あ…見て下せぇ向こうの丘がうっすら光っていやす」
盗賊「んん?オークの集落はあっちにあんのか…」
ローグ「剣士君が夜光虫使役する所見やしたよね?」
盗賊「おぉ俺は鳥肌が立ったぞ…光を操る姿は勇者そのものだ」
ローグ「あっしもそう思いやした…地面から昇って行く光に足が震えやしたぜ」
ピカー キラリン!
ローグ「光った…」
盗賊「終わったな…剣士が刀を抜いたんだろう」
ローグ「静かなもんすねぇ…」サラサラ
盗賊「あぁぁ良い風だ…なんつーか地面が落ち着いた風だ」サラサラ
ローグ「これ命の音かも知れやせん…虫の這う音…飛ぶ音…食べる音…」
盗賊「なんだお前いつからエルフちっくになったのよ…柄じゃ無ぇからヤメロ」
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165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:28:11.83 ID:KbfSVIxh0
『翌日_飛空艇』
ヨイショ ヨイショ
剣士「よし…水と食料はこんなもんかな」ドサ
盗賊「よう!出発の準備か?」
剣士「まぁね?あと樽で1つ分荷物が詰めるけど何か乗せる?」
盗賊「ちっと見せてくれ…水はまぁ良い…なんで土なんか乗せてんだ?」
剣士「あーそれで植物成長させるんだ」
盗賊「なるほど食料の代わりか…干し肉はまぁソコソコか…酒が無ぇな」
剣士「お?ハテノ酒1樽貰って行こうか…折角だし楽しみながら行きたいよね」
盗賊「俺が話付けて来る…もう出発するつもりか?」
剣士「予定は決めて居ないよ…準備出来たらいつでも良いさ」
盗賊「ちっと飯食ってからにしよう…酒場に集合で良いな?」
剣士「分かった…先に行っておくね…女オーク!おいで」グイ
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:29:36.50 ID:KbfSVIxh0
『酒場』
ワイワイ
剣士「…オークの集落は10人くらいで洞窟に住んでるよ」
魔法使い「そう…もっと交流出来れば良いのに」
剣士「その場所を守ってるんだってさ…でもハテノ村と争う気は無いみたいだよ」
魔法使い「交流の話よ」
剣士「あー石炭が欲しいって言ってたんだよね?」
女オーク「そうよ?少しずつ食べるの」
魔法使い「本当?」
剣士「代わりに琥珀を貰えるかもしれない…その洞窟は琥珀が一杯あった」
影武者「えええ!?琥珀…」
女オーク「琥珀も食料なの…少しづつ食べるのよ」
影武者「すごいトレードじゃないか…石炭と琥珀が交換出来るなんて…」
女オーク「ハテノ酒をとても気に入って居たわ」
剣士「なんか上手くやっていけそうだね?」
魔法使い「他に欲しい物は聞いて居ない?」
剣士「う〜ん…言って良いのかな」
魔法使い「何よ!言って…」
剣士「一番欲しいのは奴隷なんだ」
魔法使い「え…それは無理」
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:30:19.93 ID:KbfSVIxh0
女オーク「オーク族は奴隷を大切にするのよ…あなた勘違いしてる」
剣士「説明が難しいなぁ…人間の奴隷とは少し違うんだ」
女オーク「剣士は私の奴隷…これで説明付かない?」
剣士「いやいや僕の奴隷が女オークだって…何回も言ってるじゃない」
魔法使い「あのね…奴隷は奴隷でしょう?」
女オーク「もう少し交流を続けないと理解出来ないかもしれない」
魔法使い「奴隷ねぇ…」チラリ
剣士「まぁ何でも言う事聞く人の事さ…オークは奴隷を大事にするのは間違い無いよ」
魔法使い「ふ〜ん…」シラー
ガチャリ バタン
盗賊「よぉ!!準備出来たぜ?」
ローグ「あっしも荷物詰みやした」
魔法使い「急に4人居なくなると少し寂しいわね…」
盗賊「用が済んだら直ぐに戻って来るぜ?俺の気球置きっぱなしだからな」
ローグ「あっしもお気に入りの気球を無くすわけに行かんっす」
剣士「…という事だよ…まぁ仕事に行ったと思って」
女将「うぇぇぇん…ひっく」
盗賊「おいおい湿っぽいのは勘弁してくれぇ…もう行くぞ!!」スタ
剣士「じゃぁ…また…」ノシ
---新しい旅が始まった---
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----------------
----------------
果ての開拓編
完
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:43:56.18 ID:KbfSVIxh0
『飛空艇』
シュゴーーーーー バサバサ
進路はこのまま東…丁度中緯度高圧帯に位置するから偏西風に乗って外海を横断する
地図で言うとこの一番大きな海を飛び越えるんだ…補給できる島とかの情報は何も無い
もしかすると左手方向に未踏の地が見えるかも知れない
何か見つけたら行って見よう
盗賊「この飛空艇で大陸横断はどのくらいかかるつもりで居る?」
剣士「狭間に入ったまま飛んで3日かな?」
盗賊「お?えらく早く到着するじゃ無ぇか」
剣士「進路と現在地の確認で狭間に入りっ放しという訳に行かないよ…合わせて1週間はかかると思う」
盗賊「まぁそうだな…偏西風が蛇行してるかもしれんしな」
剣士「あと暖かい洋上だからストームにも注意したい」
盗賊「一週間もこの狭い部屋に閉じこもるのは苦痛だな…」
剣士「うん…途中でうまく島でも見つけられれば良いけど」
ローグ「これ外海飛び越えるのってあっしらが初っすよね?」
盗賊「だろうな?そもそも大陸間を移動できる気球は限られる」
剣士「うん…動力に魔石を使った気球で帆付きじゃないと無理だね」
盗賊「自信はあるな?」
剣士「僕はもう大陸間を一回飛んでるんだ…今回は地図もあるし色々計算してる」
盗賊「戻るのはどう考えてる?」
剣士「もし計算通り横断出来たなら今度は赤道付近の貿易風に乗って戻る…それも一回試したい」
盗賊「ふむ…今後何度も横断する想定か」
剣士「そうだよ…外海が大きすぎるから船での行き来は厳しいと思うんだ」
盗賊「ちっと俺にも飛空艇の操舵を教えてくれぃ」
ローグ「直ぐに覚えるでやんす…これが主翼でこっちが尾翼…」
盗賊「ふむふむ…ちょっとやらせろ」
剣士「僕は書き物をやってるから上手く偏西風に乗せて東に向かって」
盗賊「おう!高度上げるぜ?」グイ
良いっすね…尾翼で角度変えるんすが速度落ちるんで注意して下せぇ
一旦良い風に乗ったら魔石の向き変えて推進力に加えると高度落ちなくなりやす
ほぉぉぉ良く考えてんな…落下の速度を推進に変えてる訳か
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169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:44:40.37 ID:KbfSVIxh0
『1日目_夜』
リリース!
剣士「よし!南極星の角度確認する…」ギリギリ
ローグ「月が変な所にあるんで方角間違いそうでやんす」
剣士「そうなんだよ…パッと見で低い位置の月は東か西って思っちゃうよね」
ローグ「無いよりマシでやんす…一応月明かりで雲海が見えてやす」
剣士「一応雲の方向を地図に書き足しておいて」
ローグ「へい…」カキカキ
剣士「緯度少しズレて来てるな…進路ちょっと南に調整」グイ
剣士「ええと…基準の星どこだ?…あったあった…えーと羅針盤とのズレがこうだから…」
ローグ「経度の計算っすか…なんか忙しいっすねぇ」
剣士「おけおけ…今地図でこの位置だ…記と時間を記録しておこう」カキカキ
ローグ「な〜んも見えやせんわ…」
剣士「ふむふむなるほど…陸から風が降りて少し北に巻いてる訳か…蛇行を考えると次は南にズレる筈」
ローグ「高度は安定していやす…他に何か調べやすか?」
剣士「しばらく様子見たい」クンクン
ローグ「何か匂うでやんすか?」
剣士「う〜ん…全然わかんないw」
ローグ「ズコ…まぁゆっくり行きやすか」
剣士「狭間に入ったままだと色んな物見落としちゃうからさ…1時間くらい様子見たいかな」
ローグ「そーっすね…ハテノ酒でも飲みやしょう」
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:45:39.60 ID:KbfSVIxh0
『2日目_昼』
シュゴーーーー バサバサ
盗賊「高度下げていくぜ?」グイ
ローグ「何か見えやすか?」
剣士「うん…海の上を群れで何か飛んでる」
盗賊「女オーク!操作変われ…俺も見る」
女オーク「あ…はい…」
剣士「鳥かな?…という事は島か何かあるのかも」
盗賊「いや…あれは魚だ…フライフィッシュって知らんか?」
剣士「聞いた事無い」
盗賊「空飛ぶ魚なんだ…フィン・イッシュで稀に水揚げされるらしい」
剣士「ハハ魚は水の中の生物だよね?空を飛ぶなんて…」
盗賊「ヒレが鋭利な刃物みたいになってるから近付かん方が良いかもな」
女オーク「高度はどうするの?」
盗賊「今の高さ維持だな…これ以上下げると襲って来るかもしれんぞ?」
剣士「あ!!海の中に大きな影…」
ローグ「おぉぉクラーケンっすかね?」
剣士「もっと大きいよ…なんだアレ?」
ザバァァァァァ バクリ
盗賊「どわっ…でか!!」
ザブーーーーーン
剣士「クジラだ…あんな大きなクジラが居るのか…」
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:46:23.52 ID:KbfSVIxh0
ローグ「フライフィッシュの群れを丸飲みしちまいやしたね…ハハ…スケールが違うでやんす」
盗賊「クラーケンよりでかい生き物が居るんか…100メートル近いぞありゃ…」
剣士「もう一回影が出て来る…ちょちょ…女オーク!!高度上げて!!」
女オーク「う…うん」グイ
ブシューーーーーー バシャバシャ
盗賊「うはぁぁぁ潮吹きやがった…」
ローグ「あっしら狙われてやす?」
盗賊「んな訳無ぇだろ…たまたま吹いた潮がここまで届いただけだ」
剣士「なるほど…フライフィッシュはクジラから逃れようとして飛んでたのか…」
盗賊「ほう?つまりフライフィッシュの群れを見たらクジラが居る…ヌハハ勉強になったわ」
剣士「スゴイな…僕達の知らない世界にこんな生き物が居たなんて…乗りたい!」
盗賊「なぬ!?乗る?」
剣士「クジラって話通じると思う?」
女オーク「ウフフ…」
盗賊「あのな…俺らなんか一飲みだぞ?あんなん近付きたく無ぇ!」
剣士「ウルフだってちゃんと話せるんだよ…クジラもさ?クジラ語とかで会話出来るんじゃないかな?」
盗賊「んぁぁぁぁ…ちっと今は止めとけ」
剣士「そうだ!!ホム姉ちゃんが目覚めたら聞いてみよう…うん!そうしよう」
盗賊「まぁ…そうだ…それで良い」
剣士「この飛空艇もさ…クジラの骨で出来てるのさ…なんか縁がありそうだ」
ローグ「いやぁぁぁ剣士君!なんちゅーんすか?…大物っすね?」
剣士「そうだよね?あのクジラ大物だよね」
ローグ「あらら?いやそうじゃなくて…」
盗賊「ローグ止めとけ…ありゃ天然だ」
剣士「しまったなぁ…海の生物の書物買って置けば良かった…ホム姉ちゃんなら何でも教えてくれるのになぁ…」
盗賊「ようし!!もうちょい高度上げて島探すぞ…女オーク!もっと高度上げろ」
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:47:07.03 ID:KbfSVIxh0
『3日目_昼』
シュゴーーーー バサバサ
盗賊「そっちは何か見え無ぇかぁぁ」グター
ローグ「ずーーーーーーと海っすーーー」グター
女オーク「正面!!海の色が変わってる…」
剣士「え!?」ガバッ
盗賊「おぉ本当だな…海が浅くなってんだ…島があるかも知れ無ぇ」
ローグ「マジすか!!やっと足が延ばせやす…」
剣士「あれ?海の中に木が沈んでる…」
盗賊「それで色がおかしいのか…どっか上陸出来る島は無いか?」
ローグ「ちっと小さすぎなんすが一応島はありやすね…ちょい北の方角っす」
盗賊「アレかぁ…飛空艇降ろせる場所は無さそうだ」
剣士「分かったぞ…この辺は小さな島がいくつもあったんだ」
盗賊「海面が上がって全部水没したか?」
剣士「そんな感じだね…ここの座標を調べたい」
盗賊「あの小島に上陸するか?木が海面から出てるだけかも知れんが」
剣士「ロープだけ降ろして飛空艇は飛ばしたままにしておこう」
盗賊「なるほど…ちっとだけ休憩な?」
剣士「うん…僕が操作やるから盗賊さん下に降りてロープを木に引っかけて来て」
盗賊「おう!丁度運動したかった所だ…飛空艇を寄せてくれ」
剣士「寄せる…」グイ バサバサ
-------------
-------------
-------------
剣士「どう?安全そう?」
盗賊「何も居なさそうだ…ロープ降ろすぞ?」ポイ
剣士「ロープ引っかけたら合図して」
盗賊「じゃ降りるな?」スルスル
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:48:34.46 ID:KbfSVIxh0
『無人島』
ロープ結んだぁぁ!!降りてこーーい!!
剣士「女オーク?先行ける?」
女オーク「うん…」スルスル
ローグ「あっしも行きやす」スルスル
剣士「その辺の木を切り倒して飛空艇着陸させられないかな?」
盗賊「斧なんか持って来て無ぇぞ!!」
女オーク「私が切り倒せる」
剣士「女オークお願い!!終わったらロープ手繰り寄せて!!」
女オーク「分かったわ…フン!」コーン
コーン コーン メリメリ ドサーーー
----------------
----------------
----------------
フワフワ ドッスン
剣士「よし!これで安心だ…」
ローグ「この島は山頂が海面から出てるだけで何もありゃしやせんね」
盗賊「その様だ…ざっと15メートル四方って所か」
剣士「ここの座標を調べたいから夜まで休憩しよう」
盗賊「女オーク!切り倒した木を薪にしたい…もう少し小さくしてくれ」
女オーク「わかったわ…」ブン バキ
ローグ「やっとキャンプっすね…魚か何か探してきやす」
盗賊「おう!頼むわ…剣士!木を燃やしてくれ」
剣士「火炎魔法!」ボボボ メラ
女オーク「この木…実がなってる」
剣士「お?」
女オーク「集めて来る…」ダダ
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:49:12.41 ID:KbfSVIxh0
盗賊「見た感じ海面が10メートルぐらい上がった感じか…」
剣士「そうだね…今の緯度で海面10メートルか…赤道付近だともっと上がってるんだろうな」
盗賊「海岸の地形が相当変わってるかもな」
剣士「うん…同緯度だとフィン・イッシュ…港は水没してると思う」
盗賊「洪水被害が出てる訳か…」
カサカサ カサカサ
盗賊「どわっ!!軍隊ガニじゃ無ぇか!!」
剣士「アハ…久しぶりに見たなぁ」
盗賊「こりゃ美味い食い物にありつけた」スラーン
剣士「甲羅が欲しいから傷つけないで」
盗賊「こんなもん手足をちょん切れば…」ザク ザク
軍隊ガニ「ブクブクブク…」ピク
剣士「よしよし…この甲羅で器を作ろう」ガリガリ
盗賊「ほー上手い事細工するもんだ」
剣士「これでスープが作れる」
盗賊「軍隊ガニはこのまま火で炙って食うのが一番美味いぞ?」メラメラ パチ
剣士「僕が食べるのは木の実のスープだよ」
盗賊「勝手にしろやい」ガブリ モグモグ
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:50:36.03 ID:KbfSVIxh0
『数分後』
メラメラ モクモク
ローグ「良い匂いがすると思ったら軍隊ガニが居たんすね」
盗賊「魚は居たか?」
ローグ「居るっちゃ居るんすが捕まえられないっす…あっしも軍隊ガニ頂くっす」
女オーク「チェリーのスープは要る?」
ローグ「え?チェリーはそのまま食べるっすよ」
剣士「これね…砂糖を入れて保存食にしてるんだよ…美味しいよ?」パク モグ
ローグ「あぁジャムっすね?なるほど…」
盗賊「てか何で砂糖なんか持ってんのよ」
剣士「樹液を変性させると砂糖になるんだ…簡単な事さ…これも魔法の触媒だよ」パク モグ
ローグ「ピーンときやしたぜ?虫を使役するのは砂糖を使うんすね?」
剣士「うん…」
ローグ「やっぱそうでしたか…姉さんは甘いものが大好きだったんすよ」
剣士「ママはカバンの中にいつも飴とか入ってた…だから虫が寄って来るんだよ」
盗賊「俺にもジャムくれ…甘い物は酒によく合う」グビ
女オーク「沢山作るから好きなだけどうぞ…」
剣士「日が落ちるまでまだ間があるなぁ…」
ローグ「ゆっくりしやしょう」
”…聞こえるか?”
剣士「あ!!ビッグママの声…」ゴソゴソ
”まだ狭間に入ってるのかな?”
剣士「聞こえてるよ!!その声は商人さん?」
”おぉぉやっと通じた…剣士君は今どうしてる?”
”商人!私が話す…貝殻をよこせ”
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176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:52:13.76 ID:KbfSVIxh0
剣士「えーっと…無事にフィン・イッシュに到着した?」
女戦士「お陰でな?今はそういう話をしている場合では無い…今何処にいる?」
剣士「外海を渡ってフィン・イッシュ方面に飛んでいる所さ…今は無人島で休憩中」
女戦士「そうか…あと何日でこちらへ来れる?」
剣士「う〜ん5日くらい?」
女戦士「5日か…フィン・イッシュ女王が毒を盛られてな…お前の力が必要なのだ」
剣士「エリクサーは無いの?」
女戦士「言いにくいのだが麻薬のヘロインを大量に投与された…エリクサーで治癒が出来ない」
剣士「大量に…生きているんだよね?」
女戦士「魔女のお陰でなんとか生き永らえて居るが廃人…いや昏睡状態だ」
剣士「それだと5日も待って居られない…今すぐにでも麻薬を除去しないと」
女戦士「手が無いのだ…」
剣士「アサシンさんの体液はほぼエリクサーだった筈…線虫も沢山居る筈だよ…アサシンさんの体液を輸血してみて」
商人「おお!?」
女戦士「不死者から輸血しろと?」
剣士「兎に角線虫を体の中に入れれば良い…商人さんでも良いけど排泄されてるかもしれない」
女戦士「アサシン!お前が救える命がありそうだ…来い!」スタ
剣士「…あれ?…お〜い!!」
商人「貝殻置きっぱなしだ…これ使っても良いよね?」
情報屋「良いんじゃない?…話したかったんでしょう?」
商人「女戦士はアサシン連れて行っちゃったよ」
剣士「ハハ輸血上手く行くと良いね」
商人「助かった…それで話が変わるんだけど…色々調べて分かった事が沢山合ってね」
剣士「何?」
商人「ズバリ…地軸の移動はオークシャーマンが起こした訳じゃ無いという事」
剣士「え!?そうなの?」
商人「うん…どうやら予言通りに地軸が移動してるんだ」
剣士「予言?」
商人「海士島で手に入れた呪符…あの中に重力の魔方陣が記されて居たんだ…」
その魔方陣を魔女が調べた結果
どうも太陽系の惑星の位置と速度…それから公転の周期を詳細に記した物なんだ
その中で僕達が知らなかった惑星が一つあってね…公転周期が4000年なんだよ
この惑星は他の惑星と違って縦周り…そして超楕円で太陽の周りを回って居るんだ
僕達の住む地球に接近するのが4000年前と今…次に接近するのは12000年後
そういう計算になるんだ
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:53:16.17 ID:KbfSVIxh0
剣士「そんな星見えて無いけど…」
商人「黒色惑星…光を吸い込むんだよ…だから見えない」
剣士「その惑星の接近で地軸の移動と月の公転軸が変化した…そういう事なんだね?」
商人「そう…それは4000年前に既に予言されているのさ」
情報屋「ここからは私が話すわ」
商人「おねがい」
4000年前に起きた地軸の移動で文明がすべて滅ぶ事になったのは以前話した通り
その滅ぶ原因になったのは地震や洪水の天変地異というのが定説だったけれど
商人が発見した古文書にその答えが書いてあったの
そこにはY型染色体配列の異常についてウンディーネ時代の前後を比較する物だったわ
結論を言うと子供が生まれない原因は染色体の異常…その原因は恐らく光る隕石が原因
つまり文明が滅んだ原因は…現在と同じ子供が生まれ無くなった事が原因なのよ
剣士「光る隕石が原因?アダムは無関係だったと…」
情報屋「隕石を呼び寄せたのがアダムなのは明白ね…多分自己防衛ね」
剣士「そうだったのか…」
情報屋「そしてこうなる事はやっぱり予言されて居た筈…それがきっとオークに伝わっているの」
剣士「オークだけが生き残ったからだね?」
情報屋「そういう事」
剣士「でもどうして光る隕石が落とされる事が予言されてる?惑星の接近とは因果関係が無いよ」
情報屋「予言者は光る隕石が落ちるのを見て居たとしたら?」
剣士「ハッ!!ママか…」
情報屋「ビンゴ!…ウンディーネ時代で光る隕石の影響を知ったのよ」
剣士「子供が生まれないというのはもう防げないのかな?」?」
商人「まだカードは残ってるさ…予言と言うのは未来に起きる事を回避してくださいという願いがこもってる」
情報屋「現代までホムンクルスが生き残ってる事が最後の救いね」
剣士「そうか…だからメッセージが残って居たんだね?」
商人「多分そうだよ…剣士君!君は未来を繋ぐために生まれたんだよ…だから君の名は未来なんだ」
情報屋「なんか話したい事が沢山あるわ…はやくこっちにいらっしゃい?」
商人「あ!近衛兵が呼んでる…慌ただしいな」
情報屋「一旦貝殻の通信終わるわ…行かなきゃ」
剣士「うん…又話しかけて」
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178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:54:21.88 ID:KbfSVIxh0
『焚火』
メラメラ パチ
ローグ「おいっちにーさんしー!!体動かせるって良いっすねぇぇ」ブンブン グルグル
盗賊「星の観測はまだやるんか?」
剣士「基準にしてる星がまだ登って来ないんだよ」
盗賊「南極星で緯度の計算は良いが経度の計算はどのみち精度が出んだろ?」
剣士「うん…まぁ適当にやるよりはマシさ」
盗賊「狭間に出入りしてるから時計がアテにならんのがなぁ…」
剣士「大体補正してるつもりなんだけどね」
盗賊「この島は目印にしちゃ小さすぎると思うんだが…」
剣士「ここにはチェリーが生ってるから蜂を使役すればなんとか方向が分かるんだ」
盗賊「あぁぁお前専用の灯台代わりって訳か」
剣士「うん…一か所でも休憩出来る場所があると大分違う」
盗賊「まぁいつ帆が破れてもおかしく無ぇしなぁ…一旦降ろせる場所があるのは心強い」
剣士「あ!基準の星が昇って来た…日の入りから4時間…よしよし大体想定通りだ」ギリギリ
盗賊「なるほど…複数の基準にしてる星の角度で時間と経度を割り出してるか」
剣士「これが今の限界精度さ…よし!行こうか」
盗賊「お前は良い航海士になれそうだ…おい!ローグ!!行くぞ飛空艇に乗れ」
ローグ「あいさー」
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 13:59:21.09 ID:KbfSVIxh0
『5日目_昼』
シュゴーーーーー バサバサ
盗賊「…まずいな左前方に見えてる積乱雲は多分サイクロンだ」
剣士「南に転換して迂回する」グイ
盗賊「こりゃしばらく風が安定しないぞ?」
剣士「この高度で雲にだけは巻かれたくない…氷で翼が痛む」
盗賊「だな?」
ローグ「南へ迂回してもサイクロンが追って来る感じになりやせんか?」
盗賊「そうなる…だからマズイんだよ」
剣士「出来れば着陸してやり過ごしたいよ…でも下は海だ」
盗賊「最悪海に降りてしばらく漂流っていう手もあるがよ」
剣士「そっちの方が安全かもなぁ…一応高度落としとく」グイ
盗賊「うむ…幸い高度低くても風は十分吹いてる筈だ」
剣士「あれ?船だ!!下に船がある…」
盗賊「おぉぉ!!グッドタイミング…あれに乗せて貰うぞ」
ローグ「外海を航海する船がもう居るんすね…」
盗賊「まぁ大航海時代が来てるという見方もあるけどな?」
剣士「近づいて見る…」グイ バサバサ
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:00:07.49 ID:KbfSVIxh0
『漂流船_上空』
フワフワ バサバサ
盗賊「古いコグ船だ…もう帆が使え無ぇ」
ローグ「誰か乗ってそうっすかね?」
盗賊「小舟が乗って無ぇから逃げたんだろ…まぁ一応一時避難には使えそうだ」
剣士「帆を直せない?」
盗賊「ううむ…横帆としてはもう面積が足りんな…今から縦帆に改造するか?」
ローグ「嵐が来るんじゃどっちにしても横帆は開けないっすよね?縦帆にしとけば一応進む訳ですし…」
盗賊「まぁやってみっか…ロープは余分にあるな?」
剣士「ロープは作れる…大丈夫だよ」
盗賊「うっし!じゃぁ船尾に降ろせ」
剣士「おけおけ…」グイ
フワリ ドッスン
剣士「僕飛空艇を固定しておく」
盗賊「ローグ!荷を調べて来い!それと航海日誌が無いか探して来るんだ」
ローグ「あいさー!!」ダダ
盗賊「女オークはちっと手伝ってくれ」
女オーク「分かったわ…」
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:01:25.70 ID:KbfSVIxh0
『漂流船_甲板』
どわぁあぁぁ!! ドタドタ
ローグ「ちょちょちょ…荷室にくそでかいヘビが居りやす」バタバタ
盗賊「なぬ!?」
ローグ「近づかん方が良いっす…20メートルくらいのがトグロ巻いていやす」タジ
盗賊「それで船員は逃げた訳か…おい剣士!!でかいヘビが居るらしい…何とか出来んか?」
剣士「んん?今忙しい…」グイグイ ギュゥ
盗賊「むぅ…俺らでなんとかしなきゃイカン感じだな」
剣士「ヘビなら頭切り落とすだけで良いじゃない?」
ローグ「クソでっかいヘビなんすよ…頭は牛よりでかいでやんす」
女オーク「それ多分シーサーペントね…狂暴だから放って置くと危ない」
剣士「荷室かぁ…外に出てきたら逃がしてあげても良いんだけど…」
盗賊「使役は出来んか?」
剣士「ヘビは無理だよ…荷室に用が無いなら閉じ込めておくのが一番だと思うな」
盗賊「暴れたらどうする?船が壊れかねんぞ?」
剣士「ヘビが建物を壊すなんて聞いた事無いでしょ?」
盗賊「まぁそうだな」
剣士「捕食する気が無いからトグロ巻いてくつろいでるんだよ…放って置けば良いさ」
ローグ「ハハまぁそーっすね…荷室の扉閉めときゃ大きすぎて出て来れやせんね」
盗賊「ヌハハお前は肝が据わってる…まぁどうせ宝なんぞ無ぇだろうから無視すっか」
ローグ「ほんじゃあっしは居室を見回って来るっす」タッタ
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182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:02:29.30 ID:KbfSVIxh0
ドタドタ
ローグ「皆さん…ちっと来て下せぇ」
盗賊「何か見つけたんか?」
ローグ「この船…有名な探検家の船っすね…日誌と海図がありやした」
盗賊「おぉ!!ちっと待て…もうちょいで縦帆の改造が終わる」グイグイ ギュゥ
ローグ「舵は動きやすか?」
盗賊「追い風受けるから船を南東に向けて見てくれ」
ローグ「あいさー」グルグル
盗賊「おぉ回頭してんな?」
ローグ「一応進みだしやしたね…」
盗賊「しばらくこのままで良いだろう…海図は何処だ?」
ローグ「こっちでやんす…」スタ
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:03:20.93 ID:KbfSVIxh0
『居室』
ギシギシ ユラ〜
剣士「…ベッドで白骨化してる」
ローグ「多分この船の船長っすね」
盗賊「俺ぁこの探検家知ってるぞ…有名なトレジャーハンタだ」
ローグ「この海図…外海っすよね?」
剣士「おおおおおおおおお!!この人…外海で島を発見してる」
盗賊「こりゃスゲエお宝ゲットしちまったな」
剣士「日誌が5年前の日付だ…」
盗賊「見せてみろ…」パラパラ
ローグ「トレジャーハンターにしてはお宝類が見当たりやせん」
盗賊「金目の物は他の船員がみんな持って行ったんだろう…しかし外海でトレジャーハントとは…」
剣士「発見した島に名前がある…ハウ・アイ島…この位置だと今は赤道付近だ」
盗賊「帰りの中継点に使えそうだな?」
剣士「うん!!」
盗賊「荷室に居るでかいヘビをフィン・イッシュまで持って帰ろうとした様だ」
ローグ「まさか水龍っすかね?」
盗賊「さぁな?只フィン・イッシュでは龍神を奉ってんだろ…その関係だろうな」
剣士「あれ?ちょっと日誌見せて…古代遺跡の図だ…フィン・イッシュにも古代遺跡があるのか」
盗賊「ふむふむ…龍神を奉ってる祠の様だな?そういや草薙の剣がどーたらこーたらって話聞いた事あるな」
剣士「この人…龍神を復活させようとしたんじゃない?」
盗賊「そうなるとヘビを持って帰らにゃならんのだが…」
剣士「横帆をどうにかして直そうか」
盗賊「布が無い訳よ」
剣士「う〜ん…布作るのは織機が必要になるなぁ…」
盗賊「まてまて良く考えろ…龍神復活させて何になるのよ?遺跡の扉が開くってか?でかいヘビがどうするってんだ?」
剣士「まぁそうだね…もうちょっと良く日誌を調べてから考えるかな」
盗賊「それが良い…てかこの船は痛み過ぎて満足に航海は出来ん」
ローグ「そーっすねぇ…5年も漂流してたんすからねぇ」
盗賊「とりあえず船でサイクロンが行き過ぎるのを待ってからだな…俺ぁちっと船の塩梅見て来るわ」
剣士「じゃぁ僕はその辺の物調べてみるよ」
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:05:00.94 ID:KbfSVIxh0
『甲板』
ビュゥゥゥ ギシギシ
ローグ「風が強くなってきやしたね…」
盗賊「正面見ろ…やっぱり雲が張り出していやがる…船を見つけて運が良かった」
ローグ「サイクロンを追う感じになりそうっすね」
盗賊「俺の見込みだと俺らの前方を横切って南に逸れると思う…だから進路を北寄りに変更した」
ローグ「じゃぁ逆風になりやすね」
盗賊「うむ…だが丁度縦帆に改造したからな…なんとか進む事は出来る筈だ」
ローグ「ちっとフィン・イッシュ到着が遅くなりそうでやんす」
盗賊「仕方ない…危険犯してサイクロンを飛び越えるのは無謀だ」
スタスタ
剣士「…」ブツブツ
盗賊「おぉ剣士!何処行く?」
剣士「ん?居室の空気が悪いからさ…海図と日誌を飛空艇に運んでおく」
盗賊「そら良い…なんだその書物は?」
剣士「これフィン・イッシュの龍神伝説が記されて居るんだ」
盗賊「ほう?何か分かるか?」
剣士「宝具の守り神が水龍に姿を変えたとかそんな伝説だよ…フィン・イッシュじゃ有名な話なのかも」
盗賊「そういや10年前だったか…一回その祭事に使う祠ってのか?行った事あんのよ」
剣士「古代遺跡なの?」
盗賊「多分な…まぁハテノ村の古代遺跡と同じ様な感じなんだ…近くに温泉があってそれが川に流れて城下まで流れてる」
剣士「へぇ…」
盗賊「フィン・イッシュ女王曰くその川が水龍なんだってよ」
剣士「祠の中には入って無い?」
盗賊「立ち入り禁止だったもんで入って無い」
剣士「この書物には祠の中に開かずの扉が在るらしい…守り神はそこを守って居たとか…」
盗賊「てことはホムンクルスが眠る遺跡の可能性があるんだな?」
剣士「そうだね…この船の探検家はどうにかしてその扉を開けたかったんだと思う」
盗賊「なるほどな…それがわかりゃもうデカいヘビにゃ用が無ぇ…俺が扉を開けられるからな」
剣士「うん…嵐が去って安全になったら予定通り飛空艇でフィン・イッシュ目指す」
盗賊「…ところで航海日誌は全部読んだか?」
剣士「一応ね…発見したハウ・アイ島の事が良く分かったよ」
盗賊「俺も読みてぇんだ貸してくれ」
剣士「うん…」パサ
盗賊「ようし!これで暇つぶしになる」
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:06:04.00 ID:KbfSVIxh0
『夜』
ビュゥゥゥ ギシギシ
ローグ「まだ帆は畳まんで良いっすか?」
盗賊「このぐらい横から吹いてた方が前に進める…縦帆は畳んだ所で大して変わらん」
ローグ「今晩は寝られる感じじゃ無いっすね…」
盗賊「ちっと忙しくなるなぁ…まぁ嵐の規模にもよるが温い風が吹いて来んから大した事無いとは思う」
ローグ「雨が降ってきやしたね」ポツ
盗賊「順当だな?南半球のトルネードは大型になり難いんだ…そうビクつく事ぁ無ぇ」
ザブ〜〜〜ン ユラ〜 ギシギシ
ローグ「あっぶ!!」
盗賊「コグ船だと思って馬鹿にしていたが意外と速度出るな…30ノットぐらいか」
ローグ「予備のロープ持って来やす…縛っとかんと落ちそうでやんす」
盗賊「剣士と女オークにも落ちない様に気を付ける様に言って来い」
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186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:07:54.31 ID:KbfSVIxh0
『翌朝_飛空艇』
ザーーーーー ジャブジャブ
ローグ「ひぃぃ…ちっと休憩っす…雨に打たれっぱなしじゃ体がふやけちまいやす」
女オーク「次は私が代わりに…」ノソ
ローグ「帆と舵はこのまま維持で良いでやんす…風向き変わったら教えて下せぇ」
剣士「まだ飛空艇飛ばせそうに無い?」
ローグ「昼頃には雲が切れるんじゃないすかね?」
盗賊「今飛ぶのはまだ早いな…トルネードに引っ張られるのがオチだ」
ローグ「まぁ今は横風で船が速度出せてるんでこのままで良いかと」
剣士「そっかぁぁ…もう龍神伝説の書物も飽きたしなぁ…」
盗賊「航海日誌に面白い事が書いてあるぞ?」
剣士「何?」
盗賊「どうやら荷室に居るヘビの件で仲間割れした様だ…他の船員はハウ・アイ島に向かったんだとよ」
剣士「へぇ?じゃぁハウ・アイ島に人が住んでるかもしれないんだね?」
盗賊「うむ…ほんでな…その島にも遺跡が有るらしい」
剣士「え!?見せて見せて…」
ここだ…発見した当時は雪に覆われた島だった様だ
大量の遺物も見つけている…そして閉ざされた扉の前で冬眠していたのがくそデカイヘビだった訳だ
例の探検家はそのヘビをフィン・イッシュに持ち帰ろうとこの船に乗せた訳だ
しかし遺跡探掘をしたい他の船員と揉めた訳よ…ほんで一人この船に残ってたという事だ
剣士「ハウ・アイ島に行って見たくなるね…というか行こう」
盗賊「用事が済んだら行っても良い…お宝の匂いがするだろう?」
ローグ「ちょっと待ったっす…あの蛇は5年以上も冬眠してるんすか?」
盗賊「だろうな?地軸が移動する前はこの船も寒い場所に有ったんじゃ無ぇか?」
剣士「凍ってた可能性が有りそうだね…」
ローグ「そういや抜け殻とか無かったですわ…凍ってたんなら納得でやんす」
剣士「冬眠から覚めたらお腹空いてるだろうなぁ…」
ローグ「いやいや…動いて居やしたから」
剣士「まだ自由に動けないのかな…う〜ん…なんか危ないね?」
盗賊「この船は桟橋から荷を入れる扉が船体の土手っぱらに有ったか?」
ローグ「確認してきやす」ダダ
剣士「そんな所開いたら海水入って来ない?」
盗賊「どうせ乗り捨てなんだから別に良いだろ…ヘビに食われるよりゃマシだ」
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187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:08:49.74 ID:KbfSVIxh0
ローグ「ありやしたぜ!!扉!!」
盗賊「さて…どうやって開けるかなんだが」
ローグ「内側からしか開けられんっすよね…」
盗賊「ヘビ相手じゃハイディングなんか意味無ぇしな」
剣士「扉ってどうやって施錠してるの?」
盗賊「内側からカンヌキだな…古いコグ船だから金属は使って無いだろう」
剣士「おけおけ!虫にカンヌキだけ食べさせる」
盗賊「おぉ!!カンヌキが無けりゃ外から開けられるな」
剣士「チェリーを持って来ておいて良かった…虫が居る筈…出でよ虫共!」ニョロニョロ
盗賊「うぉ!!なんだこの虫!」
剣士「ワームの一種だね…丁度良かった…成長魔法!」モソモソ
剣士「よーし…荷室の扉のカンヌキを食べて来い!」モソモソ モソモソ
ローグ「こんな虫がチェリーに入ってるんすね…」
剣士「食べ物には大体虫が入ってるよ?この虫は木の実を食べて腐らせる害虫だね…人には無害だよ」
盗賊「まぁこれで外側から開けられるんだな?どのくらい掛かる?」
剣士「1時間くらい?分かんないよ…」
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:10:03.17 ID:KbfSVIxh0
『1時間後』
ザーーーー ポツポツ
女オーク「雨が小降りになってきたわ」
盗賊「風向きに変化は?」
女オーク「横からだけど少しづつ向かい風になっている気が…」
盗賊「ふ〜む…速度が少し落ちているか…よし!少し南に向ける」ガラガラ
ローグ「荷室のカンヌキそろそろっすかねぇ?あっしがちっと行ってきやしょうか?」
盗賊「任せた!!俺ぁちっと速度見張ってる」
ローグ「あいさー」ダダ
女オーク「荷室のカンヌキって?」
盗賊「あぁ…例のでかいヘビを外に追い出すんだ」
女オーク「シーサーペントは狂暴で危ないわ」
盗賊「うむ…大人しい今の内に追い出したい訳よ」
ガタン バキバキ
ローグ「やりやしたぁぁ!!扉が開いたっす!!」
盗賊「おぉぉ戻ってこーい!!」
ローグ「あのヘビ動きやせんぜ?」
盗賊「その内出てくんだろ…ちっと帆の角度変えたい!!結び目2つ分ロープを緩めてくれ」
ローグ「へ〜い!!」スタコラ
グラリ グググググ
ローグ「おわっ!!ちょちょちょ…」ヨロ
女オーク「あ!!あれ?あのヘビ…シーサーペントじゃないわ!!」
盗賊「目が幾つある?なんだあの魔物は…」
ザブーーーン ユッサ ユッサ
盗賊「海に潜って行きやがった…おい!ローグ気を付けろ…襲ってくるかもしれん」
剣士「この揺れは!?」ダダ
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:10:58.92 ID:KbfSVIxh0
女オーク「例のヘビが海の中に潜って行ったの」
盗賊「ありゃヘビじゃ無ぇ…目が幾つもある謎の魔物だ」
剣士「多眼動物…海の多眼動物といえばウナギだ!!マズイ…飛空艇に乗って!!」
盗賊「お…おう!!」ダダ
剣士「早く乗って!!雷が来る!!」ダダ
女オーク「船の下を泳いでる…」ダダ
剣士「ローグさん飛び乗って!!ロープを切る!!」スパ フワリ
ローグ「へ〜い!!」ピョン
ピカッ ビシビシ ビビビビ
剣士「うわ…ギリギリセーフ」
盗賊「うひょぉぉ一瞬海が光ったな」
ローグ「海に戻しちゃまずかったんすね…」
盗賊「しかしこれで正体が分かった…ヘビに雷と言えばリヴァイアサンだ…どうやらデカイ電気ウナギだった様だな」
剣士「クジラといいこの電気ウナギと言い外海は不思議な動物ばかりだ」
盗賊「違い無ぇ…てか剣士!このままじゃサイクロンに吸い込まれて行っちまうぞ?」
剣士「何とかしてみる」グイ シュゴーーーーー
--------------
--------------
--------------
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:13:02.49 ID:KbfSVIxh0
『飛空艇』
シュゴーーーーー バサバサ
女オーク「雲の切れ目よ…」
剣士「やっと強風域を振り切ったか…」
盗賊「進路は北東だが…もう現在地分からんな」
剣士「夜を待つしか無いよ…東の方向に向いてるだけまだ良い」
盗賊「地図を見た感じ先はまだ長そうだな」
剣士「昨夜から寝て無いからちょっと疲れたね」
盗賊「交代で仮眠取るか…先に寝て良いぞ」
剣士「僕はもう少し良い風を探したい…盗賊さん先に寝て」
盗賊「そうか?」
剣士「ローグさんも休んで…夜中は2人に任せる」
ローグ「じゃぁハンモック借りやす…よっこら」ユラユラ
剣士「女オーク左側の見張りお願い…僕こっちみる」
女オーク「分かったわ…」
剣士「えーと…じゃぁ雲の上にでるかな」グイ
女オーク「ねぇ剣士?私不思議に思ったことがあるんだけど…」
剣士「ん?何?」
女オーク「どうしてリヴァイアサンが遺跡の扉を守っていると思う?」
剣士「あれ?なんでだろう?魚の一種だから知能も低いなぁ…」
女オーク「不思議でしょう?」
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:13:32.36 ID:KbfSVIxh0
剣士「開かずの扉ってもしかしたら電気で開くのかも知れないなぁ」
女オーク「誰かがリヴァイアサンを鍵代わりに使った?」
剣士「そうかもしれない…となると…同時に扉を守らせる命令が出来れば良いともいえる」
女オーク「鍵代わりにするのと守らせるのを同時に誰かがやったという事ね?」
剣士「魚の使役ってどうやってやるんだろう…まてよ?寄生虫でコントロール出来るかも知れないな…」
剣士「あああああああああ!!」
女オーク「え!?何か思い出した?」
剣士「シン・リーンの魔術師に昔蟲使いが一人居たらしい…もしかして」
盗賊「うるせぇなぁ…寝れ無ぇじゃ無ぇか」
剣士「船で見つけた日誌貸して」
盗賊「んぁ?ほらよ…静かにしろやい」ポイ
剣士「…」ヨミヨミ
剣士「やっぱり…この探検家は行方不明の蟲使いだ」
女オーク「どういう事?」
剣士「この人はきっと扉の開け方を知って居たんだよ…リヴァイアサンが凍って居たからフィン・イッシュまで運ぼうとしたんだ」
女オーク「へぇ?私の疑問は解決したわ」
なるほど…寄生虫でリヴァイアサンを操る
電気のビリビリで扉を開閉させる
リヴァイアサンに入り口を守らせておけば中は安全だ
そういう運用をしていたのか
ん?…でも誰が?
ちょっと待てよ?まさかママじゃ無いよな?
いや可能性がある…ママならやりそうだ
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:14:23.89 ID:KbfSVIxh0
『夜』
カチャカチャ ギリリ
剣士「水平保って…おけおけ…角度測定出来た」
女オーク「現在地わかる?」
剣士「えーと…緯度は大分北にズレた…経度が多分この辺り」
女オーク「南東に向かえば良い?」
剣士「そうだね…東南東が良いかな…多分すこし南に引っ張られると思う」
女オーク「分かったわ…」グイ バサバサ
剣士「もう少し高度上げよう…安定したら狭間に入る」
女オーク「これで一安心ね」
剣士「うん…しばらくゆっくり休めるよ」
女オーク「そろそろ交代ね…2人を起こすわ」
剣士「そうだね…」
---------------
---------------
---------------
『2日後_昼』
シュゴーーーー バサバサ
剣士「リリース!」スゥ
ローグ「あららら?下が陸地っす…草原っすね」
剣士「ええ?」
盗賊「おぉやっと北の大陸か…もう北じゃ無ぇか」
ローグ「西に山脈…下は草原てか荒野っすね」
剣士「大分通り越したみたいだ…回頭!!引き返してどのくらいズレたか確認したい」
盗賊「やっぱ経度は精度無いな」
剣士「そうだね…地図書き直す必要がある」
盗賊「西の山脈は見た事有るぞ…フィン・イッシュに近いのは間違いない」
剣士「この感じだと200kmくらいはズレて居そうだ」
盗賊「ついでに地形の確認も出来るからまぁ良いだろう」
剣士「高度下げながら行く…何か見えたら教えて」
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:15:32.92 ID:KbfSVIxh0
『フィン・イッシュ上空』
シュゴーーーー バサバサ
盗賊「こりゃ沿岸部が水没してて元の地形が分からん」
ローグ「海抜の低い場所が全部海になりやしたね」
剣士「港も水没して停泊してる船がバラバラだ…」
盗賊「どこで座礁するか分からんから近寄れんのだな」
ローグ「頭の船は見当たりやせんね…」
盗賊「どっかに隠して居るんだろう…」
剣士「どこに飛空艇降ろそうかな」
盗賊「墓地の裏に隠せる場所は有った筈だ…分かるか?」
剣士「分かんない…案内してよ」
盗賊「俺が着陸させる」
剣士「お願い」
盗賊「まず一旦飛空艇隠して女戦士達と合流だな?」
剣士「うん…事情を聞きたいしね」
盗賊「よっし!降ろすぞぉ」グイ
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194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:16:19.65 ID:KbfSVIxh0
『墓地の裏』
フワフワ ドッスン
剣士「皆降りて?僕はハイディングさせてから行く」
盗賊「おう!!」スタ
ローグ「やっと頭に会えるっす…」ワクワク
剣士「ハイディング!」スゥ
盗賊「しかしここの墓地は何年経っても変わって無ぇ」
ローグ「地下墓地の入り口の鉄柵がここのシンボルっすよ」
盗賊「あそこはもう毒キノコの培養所になってるの知ってたか?」
ローグ「知って居やすとも…あの毒キノコから作るポーションはフィン・イッシュの財源っすからね」
盗賊「昔は銀鉱山が財源だったんだがな」
ローグ「今でも銀はそこそこの値で取引されていやすぜ?」
盗賊「まぁ資源のある国は強いわな」
剣士「お待たせ…」タッタッタ
盗賊「じゃぁ一先ず城にでも行って見るか」
剣士「こんな格好で大丈夫?」
盗賊「ここの城は一般でも入れるんだ…まぁ大丈夫だろ…行くぞ」スタ
『墓地から続く街道』
スタタタ シュタ シュタ
剣士「お?」
盗賊「忍びだな…どうも慌ただしい様だが…」
ローグ「盗賊さん…これちっとおかしいっすね…あっしら監視されて居やすぜ?」
盗賊「ううむ…女王の暗殺未遂で厳戒態勢かもな」
剣士「ビッグママからもあれから貝殻で通信出来ないんだ」
盗賊「俺らは関わって居ないんだが一応振る舞いには気を付けた方が良いな」
ローグ「いきなり城に行くのはマズイんじゃないすか?」
盗賊「そうかも知れん…一旦宿に入って情報集めるか」
ローグ「その方が無難な気がしやす」
盗賊「俺金持って無いんだがよ…」
ローグ「あっしも持っていやせん」
剣士「ええ!?僕も銀貨30くらいしか無いよ?」
盗賊「4人で飯食って2日って所か…」
女オーク「金貨2枚あるわ」
盗賊「おお!!十分!!」
剣士「ハハなんか貧乏な冒険者だ…」
盗賊「とりあえず今日は宿を取ろう…城に行くのは女戦士にコンタクト取った後だな」
女オーク「金貨2枚預けるわ」チャリン
盗賊「宿はこっちだ…」スタ
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:17:36.29 ID:KbfSVIxh0
『宿屋へ続く街道』
ガヤガヤ ザワザワ
ひぃぃぃん…怖いよう
これこれそんな事言ってはいけないよ
あぁ済みません道を空けます…
盗賊「フル武装の軍隊が巡回していやがる…やっぱ厳戒態勢だわ」
ローグ「すごい数の軍隊っすね」
盗賊「そこらの衛兵とは訳が違う…何か有ったら只じゃ済まんぞ」
剣士「これフィン・イッシュの軍隊だよね?」
盗賊「そうだ…軍隊の全権を持ってるのは元セントラル国王なんだが…」
ローグ「まさかクーデターじゃ無いっすよね?」
盗賊「そら無いだろう…フィン・イッシュ女王とは内縁関係の筈だ」
ローグ「いやいや軍部だけが反乱してるとかそんな感じで…」
盗賊「ううむ…それで女戦士達も全員拘束されてるってか?ありえん話では無いんだがしかし…」
剣士「街の雰囲気を見ると制圧された感じじゃ無いなぁ…」
盗賊「軍隊が巡回している以外は…まぁ平和な感じか」
兵隊「止まれぇぇい!!」スチャ
盗賊「おいおい街中でいきなり武器を人に向けんなよ」ギロ
兵隊「麻薬犬来い!!」
麻薬犬「ガウルル…」クンカクンカ
盗賊「何すんだゴルァ!」
ローグ「盗賊さん…ちっと大人しくしやしょう」
兵隊「麻薬捜査だ…大人しくして居ればどうという事は無い」ジロジロ
剣士「どうして麻薬捜査なんかしているの?」
兵隊「民間人は知る必要無い」
盗賊「何だ三下が偉そうに…武器を人に向けるのと関係無いだろうが」
ローグ「盗賊さんちっと我慢っすよ」
女オーク「ちょっとどこの匂い嗅いでるのよ…」
麻薬犬「ハフハフ」クンカクンカ
兵隊「協力に感謝する…通って良いぞ」スッ
盗賊「ちぃぃ胸糞悪い…行くぞ!」スタ
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:18:56.11 ID:KbfSVIxh0
『宿屋の前』
ザワザワ ガヤガヤ
なんだって急に麻薬捜査なんかやり始めたんだぁ?
路地裏の売人はみんな連れて行かれたらしいぞ?
嗜好品は良いんじゃ無かったのかよ
ローグ「部屋取れやしたぜ?今晩はベッドで寝られるでやんす」
盗賊「俺ぁさっそく情報収集で酒場行きたいんだが…」
剣士「女オークは水浴びしたいだろうから僕は後で一緒に酒場に行くよ」
ローグ「じゃぁあっしは城の方を偵察行って来やす」
剣士「部屋は何処?」
ローグ「2階の一番右奥っす…人が多いんでスリに気を付けて下せぇ」
剣士「お金なんか持って居ないさ」
ローグ「いやいや麻薬とか懐に入れられるのを気を付けて下せぇ…なんかそういう被害が出てるらしいっす」
剣士「ふーん…麻薬の運び屋にさせられるんだ?」
盗賊「そういう技は業界じゃ常識だ…気を付けておけ」
剣士「分かったよ…あれ!?何か懐に入ってる!!」
盗賊「ヌハハ今俺が入れたんだ…こういう事だから気を付ける必要がある」
剣士「全然気づかなかった…」
ローグ「剣士くんはボーっとした所あるんで女オークさんよろしくお願いしやす」
女オーク「ウフフ…」ニマー
剣士「なんか腹立つなぁ…にやけるの止めてくれないかい?」
女オーク「はいはい…行きましょう」グイ
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197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:21:02.11 ID:KbfSVIxh0
『酒場』
ドゥルルルン♪
マスター「いらっしゃいませ…お一人様で…」
盗賊「おぉ!?なんでお前が此処に居るんだ?海士島から引っ越して来たんか?」
マスター「しーーーーーーーっ!!」
盗賊「訳アリって事か?まぁ良い…知った顔に会えて嬉しい」
マスター「お客様…お飲み物は如何いたしましょう?」キョロ
盗賊「芋酒だな…連れが後3人来る予定なんだが…まぁカウンターで良いな?」
マスター「どうぞ…少しお待ちください」
盗賊「しかしこの国は景気が良さそうだ…20年前のセントラル並みに人が集まってる」
マスター「いつこの国へ?」
盗賊「さっき付いたばっかりよ…なんだか兵隊がウロウロしてちっと物騒な感じだが」
マスター「そうですか…」
盗賊「何があったか知ってんのか?」ジロ
マスター「いえいえ私はずっと酒場に居た物ですから…」
盗賊「ほーん…まぁ良いや…ところで前に話してた美味い商売の事なんだが…」
マスター「あぁ忘れて下さい…今はそういう状況では無くなった物ですから」
盗賊「なるほどな?今は話せる状況じゃない訳か…おい早く酒出せよ」
マスター「どうぞ…」キョロ
盗賊「おぉコブラ酒じゃ無ぇか…お前…」
マスター「タンブラーは1つで」
盗賊「むむ…そういうのは止めたつもりだったんだがな…」グビ
マスター「味の方は?」
盗賊「久しぶりに飲んだ…はぁぁ砂漠を思い出す」
マスター「味はよろしいでしょうか?」
盗賊「まぁそう慌てるな…ゆっくり味わいたいんだ」グビ
マスター「…」キョロ
盗賊「ふ〜む…見張りは3人って所か…動きづらいわなヌハハ」
ノソノソ
マスター「いらっしゃいませ…お二人様ですか?」
ローグ「盗賊さん!!連れて来ちやいやした…えらいこってすわ」
盗賊「早かったな…っておい!!なんで女王が居るんだ?」ガタッ
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:22:20.32 ID:KbfSVIxh0
女王「ここに座れば良いか?」ノソノソ
マスター「女王!?様…」
女王「ハチミツ酒が飲みたいのぅ…持って参れ」
マスター「ははは…はい!かしこまりました」
盗賊「又えらくラフな格好で出歩いてんな…良いのかそんなんで」
女王「これは訳アリなのじゃ…ちと説明が長ごうなるでローグ!主が説明せよ」
ローグ「大きな声で言えんのですが…話し方で何となく分かりやせんか?」ヒソ
盗賊「あぁそういう事か…」
女王「わらわは一杯飲んだら行かねばならぬ故…詳しくはローグに聞くのじゃ」
ゾロゾロ ゾロゾロ
盗賊「うはぁ…取り巻きも又スゴイ事になってんな…酒場に連れて来んじゃ無ぇよ」
ローグ「普段からお忍びで街を出歩いているらしいんすよ」
マスター「ハチミツ酒をお持ちしました…どうぞ」プルプル
女王「久方ぶりじゃな…」グビ
近衛侍「女王様…毒味をお忘れで…」
女王「おぉそうじゃったなぁ…じゃがもう遅い」グビグビ
盗賊「いやいやなんか無茶苦茶だな…」
女王「さて近衛侍…次は何処へ行けば良いのかの?」
近衛侍「カジノに御座います…お連れ致します」
女王「済まぬが行かねばならぬ…追って伝令を送る故待って居れ」ノソノソ
近衛侍「ささ…こちらへ」
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199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:24:57.27 ID:KbfSVIxh0
『カウンター』
ワイワイ ガヤガヤ
今のはお忍びで来た女王様だよな?
いつもバレバレなのさ
いやぁぁ今日も平和だ…さぁ飲むぞ
盗賊「…ほんで?なんでこんなんなってんだ?」
ローグ「人に聞かれちゃマズイ話になりやす」
マスター「…」
盗賊「あぁこのマスターは大丈夫だ…」
ローグ「本当っすか?」
盗賊「で?どういう事よ」
ローグ「魔女さんが女王様に成り代わって囮捜査をしているでやんす…話はこうっす」
女王は不妊治療で専属の医者を付けて居た様なんすが
毒を盛ったのはその医者らしいんす
医者の出所はセントラル国王の遠縁の家系でセントラルから派遣されて来たらしいんす
ほんで毒を盛ったのは直ぐにバレて近衛侍に首を切られやした
ここから揉め事の始まりっす
女王直近の近衛達は内縁関係のセントラル国王が主犯だと疑っていやす
一方セントラル国王は近衛が口封じの為に医者を切ったと疑っていやす
つまる所毒を盛った主犯が誰なのか分からんままお互い睨み合っている訳なんす
セントラル国王は愛する女王に毒を盛られた事に激怒して
軍隊総動員で麻薬ヘロインの出所を探っている訳っす
盗賊「なるほどそれで大規模な麻薬捜査か…それで毒を盛られた女王の容態は?」
ローグ「教えて貰っていやせん…というか誰も信じられないもんでお隠れになった様ですわ」
盗賊「お隠れ?」
ローグ「側近にも行方を明かして居ないらしいでやんす」
盗賊「魔女が囮捜査ってのは?」
ローグ「主犯からすると毒を盛った筈なのにピンピンしてるのを見ると落ち着きやせんよね?」
盗賊「それでうろついて見せてるって事か」
ローグ「ほんであっしらは落ち着かない輩を探せと言われやした」
盗賊「なーるほど…」チラリ
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:26:05.50 ID:KbfSVIxh0
マスター「…」チラ
盗賊「お前を見張ってた3人が居なくなったな?どういう事か説明出来るか?」
マスター「私は酒場のマスターですのでここでお話出来る事はありません」
ローグ「あっしが思うにですね?こういうやり口は公爵なんすよ…」
マスター「…」ピク
ローグ「こんな感じでセントラルの皇子3兄弟を分断させたんすよ」
盗賊「まぁ動機は十分そうだな…女王が亡くなればこの国はセントラル国王が牛耳る事になる…その時に良い立ち位置に居れば良いだけ」
ローグ「証拠が何も無いんすよね」
コトン!
ローグ「ん?これあっしにですか?」
マスター「どうぞ…お飲みになって下さい」
ローグ「…」---コブラ酒---
マスター「タンブラーは1つです」
ローグ「盗賊さん…どうしやす?」グビ
盗賊「剣士を待ちたかったんだが…しょうが無ぇ…ちっと芝居打つぞ?」
ローグ「へい!」
--------------
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:27:03.82 ID:KbfSVIxh0
ガタン! ドタドタ
盗賊「俺が先に買う約束したんだ…割り込んで入って来るなクソがぁ!!」ドン
ローグ「いやいや何するんすか!!あっしはもうお金払ってるんすよ」スラーン チャキ
盗賊「なんだお前ヤロウってのか?」スラーン チャキ
マスター「え…あ…困ります」
盗賊「おいお前!今俺と寝る約束しただろ…来い!!」グイ
ローグ「レディーが嫌がっていやすぜ?」ダダ ブン グサ
盗賊「痛ぅぅぅ!!この野郎やりやがったな!!」ダダ ブン グサ
ドタン バタン
ザワザワ ザワザワ
なんだぁ?喧嘩か?
外でヤレ外でぇぇ!!
嫌ぁぁぁ血が出てる!
キャァァァ
ザワザワ ザワザワ
マスター「あの…ここでは他のお客様の迷惑に…」オロオロ
盗賊「うるせぇ!こっち来い!!」グイ
マスター「止めて下さい…」ヨロ
ローグ「このぉぉぉ…」ドタドタ
盗賊「出直して来い!」ドカ
ローグ「うわぁぁ…」ゴロゴロ
盗賊「行くぞ!!」グイ
マスター「誰か助けて…」
-------------
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202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:27:40.00 ID:KbfSVIxh0
店員「あのー大丈夫ですか?」
ローグ「いやぁお恥ずかしい…ご迷惑をお掛けしやした」
店員「血が出ていますよ?手当しましょうか?」
ローグ「結構でやんす…あっしはあのゴロツキを追うんで心配せんで下せぇ」スック
怪しい女「…」タッタッタ
ローグ「あんさんもあの男に恨みでも?」スタ
怪しい女「フン!」
ローグ「何処に行っちまいやしたかねぇ…」---身のこなしはくノ一---
---なんでくノ一に狙われているのやら---
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:29:25.70 ID:KbfSVIxh0
『宿屋の部屋』
盗賊「リリース!」スゥ
剣士「うわ!!びっくりした…盗賊さんか」
マスター「…この人は?」
盗賊「仲間だ…とりあえず背中から降りろ」ヨッコラ
剣士「誰?」
盗賊「客だ…剣士に頼みがある…マスターの人相を変えて欲しいんだ」
剣士「ん?どんな風に?」
盗賊「とりあえず別の女だな…子供でも構わん」
剣士「おけおけ!子供にするのが楽だ」
マスター「私が子供に?」
剣士「うん…良いかな?」
盗賊「早くやってくれ…見つかると面倒になる」
剣士「変性魔法!」シュゥゥゥ
マスター「え…」
盗賊「よしこれで一先ず命を狙われることは無かろう…」
マスター「ありがとう助かった…」
盗賊「ほんでどういう事なんだ?」
マスター「私は騙されて麻薬を運ばされたみたいなの…口封じで殺される直前だった」
盗賊「見張ってた男3人だな?」
マスター「そう…公爵の刺客ね」
盗賊「まぁ良く酒場のマスターを何食わぬ顔でやってたもんだ」
マスター「狙われて居たのは男3人だけじゃなくて忍びにも…外に出たら兵隊にも」
盗賊「察するにヘロインを運んだんだな?」
マスター「騙されて運んでしまった…商船の中で私の荷物をすり替えられたの」
盗賊「お前は女王暗殺には関わって居ないんだな?」
マスター「私は公爵の指示通り海士島からフィン・イッシュの酒場に働き口を変えただけ」
盗賊「今までずっと密偵の役割をしていたのか」
マスター「結果的にそうなってしまった…報酬が良かったから」
盗賊「どうせあれだろ?魔石を大量に貰ってんだろ…美味い話ってのは俺に魔石を捌かせるつもりだった訳だ」
マスター「さすが盗賊さんね…すべてお見通し」
盗賊「ヌハハ胡散臭いとは思って居たんだ…ほんで魔石はどうした?」
マスター「全部すり替えられた」
盗賊「ヘロインはどうやって医者の手に?」
マスター「酒場に医者を名乗る人が直接取りに来た…その時は不妊治療の妙薬だと言われて疑わなかった」
盗賊「なるほどヘロインだと気付いたのはその後か」
マスター「そう…私は一門無しだったから不妊治療の妙薬を買い取りに来たと言われて直ぐにお金と交換したわ」
盗賊「医者はヘロインだと気付いて居ないのか?」
マスター「そんな事一言も言って無い」
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:31:16.81 ID:KbfSVIxh0
盗賊「そうか結局全員騙されていた訳か…じゃぁお前はどうしてそれがヘロインだと気付いたんだ?」ギロ
マスター「医者が殺された後に兵隊が足取りを追って酒場まで来て麻薬の取引相手を探してるって…」
盗賊「よく見逃されたな?」
マスター「それからずっと見張られて居たの」
盗賊「ほ〜ん…まぁ大体流れは分かった…ほんでお前これからどうする?」
マスター「もう宛てが無い…」
盗賊「お前の証言は大きく物事を動かす事になる…それを城に行って証言出来るか?」
マスター「公爵はフィン・イッシュで信頼が大きいのは知らない?」
盗賊「なぬ!?証言しても信じてもらえんという事か?」
マスター「多分…公爵はフィン・イッシュとセントラル両国の和平交渉の中心人物」
盗賊「驚きだな…信じて貰えたとしても和平が遠ざかる動きは取れないのか」
マスター「盗賊ギルドは未だ機能しているの?」
盗賊「んんん…ギルマス次第なんだがよ…この件でアサシンがどう動くかによるな」
マスター「そう…」シラー
盗賊「まぁちっと相談してみるわ…とりあえず子供の姿ならお前は安全だから金持って来い」
マスター「お金?」
盗賊「俺らあと金貨1枚くらいしか持って無いのよ…安心料でちっと寄越せ」
マスター「フフ…伝説の盗賊が金貨1枚…」
盗賊「後で女王を紹介してやっからよ…な?」
ガチャリ バタン
女オーク「あら?どこから連れて来たの?」
盗賊「おー水浴びから帰って来たんか…女オークにちっと頼みがあるんだが」
女オーク「何かしら?」
盗賊「子供用の着替えを買ってきてくれんか?」
女オーク「お金が無いわ?」
盗賊「あと金貨1枚ある…ほらよ」ピーン
剣士「ほっ!!もーらい」パシ
盗賊「着替えはお前等に任せる…マスター!お前の金は何処にある?」
マスター「私の家の戸棚に…」
盗賊「どうせ帰れんだろ?俺が盗んでくるから場所教えろ」
マスター「酒場の裏の建屋を間借りしているの…私の部屋は2階の角」
盗賊「分かった…何か盗って来て欲しい物あるか?」
マスター「何も…まだこっちに来たばかりで何も無い部屋」
盗賊「よし!ほんじゃここで待ってろ…直ぐに戻る」ダダ
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:33:23.13 ID:KbfSVIxh0
『1時間後』
ガチャリ バタン
ローグ「あららら?この子供は誰でやんすか?」
剣士「盗賊さんが連れて来た女の人だよ…僕が子供に変身させたんだ」
ローグ「なるほど…そら良い案っすね」
マスター「お陰様で…」
ローグ「いやいやコブラ酒のルールを守っただけでやんすよ…1人保護完了っすね」
剣士「もうみんなで酒場には行かない?」
ローグ「お金が無いでやんす…それに忍びがそこら中飛び回って居るでやんす」
マスター「私を探して?」
ローグ「それだけじゃ無いっすねぇ…どうも要人が何処かに潜んでるみたいでやんす」
マスター「公爵が来てるという噂は本当かも知れない…」
ローグ「ええ!?マジっすか…いやいや有り得ないっすね…公に行動なんかしやせんぜ?公爵は」
剣士「なんかゴタゴタしてるんだね」
ローグ「ちっと大人しくして居た方が良いでやんす…魔女さんの使い待ちっすね」
剣士「魔女に会ったんだ?」
ローグ「魔女さんも忙しい様で後で使いを出すとか」
剣士「なら大丈夫か…」
ガチャリ バタン
盗賊「帰ったぜぇ?お前中々金持ちじゃ無ぇか…金貨200ぐらいか?」ジャラリ ドサ
マスター「例の医者がそれを置いて行ったのよ」
盗賊「ちっと使わせてもらったぜ?ほら食い物と酒だ」ドサ
ローグ「おぉぉ久しぶりの肉…」
盗賊「てかお前の部屋の中に男が潜んでて戦闘になっちまった…痛てて」ポタリ
剣士「線虫!癒せ!」ニョロ
盗賊「おぉ悪いな」
マスター「相手は誰か分かった?」
盗賊「暗器使いだ…喋らせる前に逃げやがった…あっちも深手だが急所外したのがマズかったな」
ローグ「忍びじゃ無かったんすか?」
盗賊「分からんが特殊な暗器を使って居たのは間違いない」
ローグ「な〜んか物騒っすねぇ」ムシャムシャ
剣士「今日は出歩かない方が良さそうだね…まぁゆっくりしようか」
盗賊「そうだな…今日はハンモックじゃなくてベッドで寝れるんだしな」ドサ
剣士「マスターさん一つベッド使って良いよ?僕は女オークと一緒に横になるから」
マスター「ありがとう…」
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:35:26.62 ID:KbfSVIxh0
『夜中』
カクカク シカジカ
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盗賊「…なるほど公爵はもう何年も前から移民を促してこの国にも足ががかり置いて来たっつー訳か」
ローグ「それじゃあっしは公爵の片棒を担ってた事になるんすが…」
盗賊「魔石とケシの流通コントロールでどうとでも出来る…こいつ相当賢いな」
マスター「この国は関税がかからないお陰でほぼセントラルが物価の指標を操作出来てしまう…それが弱点」
盗賊「まぁそれももう終わりだろ?この気候変動で商船はもう動けんしな」
マスター「だから今行動を始めて私も巻き込まれた…」
ローグ「公爵の足掛かりって具体的に何処か分かりやすか?」
マスター「銀鉱山の利権…廃坑になっていた場所を立ち上げ直した」
盗賊「ふむ…それだけじゃ切り捨ててもフィン・イッシュはそう痛まん」
マスター「銀で作った武器を軍隊に配布しているのも公爵」
ローグ「おっとっと…もしかして武器は全部公爵が握ってる感じなんすか?」
マスター「多分…」
盗賊「そういやフィン・イッシュがオークに武器を渡してるという話も聞いた事があるんだが…」
マスター「それも恐らく公爵が関与して居ると思う」
ローグ「あっしの言った通りでやんしたね?戦争を誘導していやすね…」
盗賊「あっちでもこっちでもマッチポンプか…どういう利があるか分からんな」
ローグ「表の顔じゃ和平交渉の先導役…こうやって足掛かりを得てるんすね」
盗賊「つまりすでに国の要人になってるってこったな…力を持った貴族はもう居ないってのは聞いて呆れる」
ローグ「力は金だけじゃ無いっすね…信用が力になる」
盗賊「だから暗殺がはびこる訳か…この状況をアサシンは黙って居ると思うか?」
ローグ「アサシンさんの敵は魔王なんすよ…魔王亡き今…守れなかった多くの命への懺悔の日々なんす」
盗賊「そういう所なんだよなぁ…女王に目染められなかったのは」
ローグ「不死者となってしまったんで無理も無いでやんすよ」
マスター「質問…あなた達は白狼の盗賊団としてフィン・イッシュへ?」
ローグ「…」ピタ
盗賊「それを聞いてどうする?」ジロリ
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:44:17.77 ID:KbfSVIxh0
盗賊「ぶっ!!あのアホ豪族か…あいつらどうなったんだろうな?」チラ
ローグ「セントラルに移送中な筈でやんすが…どうなりやしたかねぇ?」チラ
マスター「その口ぶりは事情を知って?」
盗賊「まぁな?囮だ囮!!」
マスター「まだ白狼の盗賊団は健在と見て良さそうね…」チラリ
盗賊「…」ジロ
マスター「??」
盗賊「さぁて!!仕事だ仕事…」グイ グイ ギュゥゥ
マスター「え!?どうして…」
ローグ「盗賊さん…」
ギロリ
盗賊「お前が盗賊ギルドの一員だった時どういう風に呼ばれて居たか知って居るか?」
マスター「…」
盗賊「女狐のお銀…セントラル支部で俺らの情報を横流しして居たのは知ってんだ…だから距離を置いた」
女狐「今度は違うわ」アセ
盗賊「上手く俺らに取り入って内部に入り込もうとしてんだろ?残念だが俺もそれほど馬鹿じゃ無ぇ」
女狐「誤解よ…今は盗賊業はやってない」
盗賊「お前を付け狙ってた奴は全員フィン・イッシュの忍びだったと俺が気付かんとでも思ったか?」
女狐「そんな事知らない…」
盗賊「それを公爵からの刺客だと嘘をついた…言い訳出来るか?」
女狐「誤解よ!」
盗賊「それとな?俺らの手口を知っちまった以上もうお前は生きられない…理解出来るな?」
女狐「え…」
盗賊「まぁベラベラと情報を出して信用を得るのは良いが…俺も元盗賊だ…こんな形で身内をやるのは心外だが…」
女狐「ねぇ待って!コブラ酒の契約は?」
盗賊「それを知ってるのは一部の人間だけなんだ…なんでお前がその一人なのかは知らんがな」
女狐「私を殺すつもり?」
盗賊「ローグ!!足を押さえろ」
ローグ「へい!!」グイ
盗賊「お前とは酒場の繋がり程度で止めて置きたかった…」スラーン
女狐「お願い…殺さないで…もう裏切らないから」ジタバタ
盗賊「ふぅぅ…アサシンはこうやって身内を屠って来たか」
ローグ「盗賊さん…」
女狐「お願い止めて…」
盗賊「あばよ…」ブン
グサリ! ポタポタ
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:46:05.29 ID:KbfSVIxh0
剣士「んあぁぁ痛いなぁ…」ポタポタ
盗賊「剣士!邪魔すんな…間違い無くこいつは刺客だ」
剣士「もっと平和に行こうよ…僕は幻術が得意な魔術師なのを忘れているよ」
女狐「ひぃぃぃ…はぁはぁ」ブルブル
剣士「人道に反するけどこの場合仕方が無い…催眠魔法!…君は僕達の秘密を他の誰にも話せない」
女狐「な…何を…」
剣士「人助けさ」
盗賊「なるほど…口封じはそれで良い訳か」
剣士「君がどう行動するかは自由だよ?でもね…一線を越える様な場合はどうなるか保証出来ないのは覚えて置いて」
女狐「…」ゴクリ
ローグ「こっわ…」
盗賊「命拾いしたな?これで俺らがどういう人種なのか理解出来たろう」
女狐「私の体は子供のまま?」
剣士「そうだよ…いつ元に戻るか僕も分からない」
女狐「フフフ…アーハハハハ完敗ね…もう何も出来ない」
盗賊「まだたんまり色々知って居そうだな?」
女狐「もう全部話したわ…私は白狼の盗賊団に憧れていた…突然盗賊が現れて試してみたくなった」
盗賊「やっと本音が出たか…裏切り癖さえなけりゃ俺らの仲間だったかも知れんのにな」
女狐「縁が無かったのね」
盗賊「お前だな?10年前にシャ・バクダ宿屋の店主と看板娘を嵌めたのは」
女狐「公爵はその頃から白狼の盗賊団を意識していた…私は雇われただけ」
盗賊「アサシンがやる気を失くしたのはその頃からだ」
ローグ「もしかして盗賊ギルド解体の裏にも公爵が関わって…」
女狐「気付くのが遅いわ」
盗賊「どうも生かして置けんなこの女…」
女狐「私は常に雇われ…悪気は無いのよ…私を雇う気は無い?」
剣士「何言ってるのさ…君はもう僕に逆らえないんだよ?自由にさせてあげてるだけだってさっき言ったじゃない」
女狐「う…」
盗賊「まぁそういう事だ…死ぬまで働け」
トントン
209 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:47:06.80 ID:KbfSVIxh0
ローグ「誰っすかねぇ?こんな夜遅くに…」
盗賊「客だ…入って良いぞ!」
ガチャリ ギーー
ローグ「あらららら?どういう事っすか?」
怪しい女「話はすべて聞かせて貰った」
盗賊「俺らの隣の部屋は忍びが借りてる訳よ…その女が魔女からの使いだ」
ローグ「ええええ?マジっすか…」
くノ一「強力感謝…これで一族にも説明が付く」
盗賊「酒場のマスターをどうする?連れて行くか?」
くノ一「もう泳がせる必要は無くなった…連行する」
マスター「いつから手を組んで…」
盗賊「お前の家に行った時だ馬鹿が…お前が思うより忍びはずっと優秀なんだ」
マスター「フフフ…さすが白狼の一味」
盗賊「ほんで何処に連行するんだ?俺らはどうすれば良い?」
くノ一「今宵は夜が明けるまで待たれよ…早朝に狼煙を上げる故にそこを目指すのだ」
盗賊「狼煙…また古典的な」
くノ一「急ぐ故失礼!…付いて来い」グイ
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210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:48:07.30 ID:KbfSVIxh0
『早朝』
チュンチュン ピヨ
盗賊「なんで狼煙なのよ…見つけたか?」
ローグ「城の方じゃ無さそうっすねぇ…墓地も違う…」
剣士「ねぇ山の上の方…あれじゃ無いかな?」
盗賊「なぬ!?…あそこは古代遺跡に近い場所だ」
剣士「女王が忍んでいる場所ってもしかして…」
盗賊「なるほど…人里離れているという事か」
剣士「飛空艇で行く?」
盗賊「動物が多くて荒らされるかも知れんぞ?こっからなら歩いて2時間…」
剣士「歩きかぁ…じゃぁちょっと買い物して行きたいなぁ」
盗賊「ヌハハ金ならあるぞ?好きに使え」ジャラリ
剣士「女オーク?装備品を新調出来る…買いに行こう」
女オーク「私は今のままで良いわ」
剣士「ダメダメ…金属糸は僕には作れないからインナーだけでも買いたい」
盗賊「おおそうだ!銀の武器を一応用意しろ…ゾンビが出るかも知れんからな」
剣士「おけおけ…行くよ!」グイ
盗賊「集合は墓地!!良いな?」
剣士「分かった〜」シュタタ
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211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:48:54.32 ID:KbfSVIxh0
『2時間後_墓地』
スゥゥ ハァァァァ モクモク
ローグ「それ葉巻っちゅう嗜好品すね?煙なんざ美味いんすか?」
盗賊「ドワーフが吸ってるのを見て俺も試したくなってな…苦みが癖になる」モクモク
ローグ「あ…剣士君達も来やしたね」
盗賊「おぉ丁度良かった」
剣士「ゴメン!待ったかな?」シュタタ
盗賊「葉巻一本吸うくらいにはな?」
ローグ「装備品新調した様に見えやせんが…」
剣士「インナーだけさ…身に着けてるのと着けてないのじゃ傷の具合が全然違うから」
盗賊「違い無ぇ急所がカバー出来てるしな…さて行くか!!」スック
ローグ「こっから先は魔物が出るんすよね?」
盗賊「うむ…まぁリザードマン程度だからどうって事も無いが…」スタ
---------------
『林道』
バサバサ ザクザク
盗賊「…確かこの辺りに獣道があった筈なんだが…」キョロ
ローグ「なんかやけに静かな林っすね…」
剣士「あああ!!松ぼっくりみーっけ!!」スタタ
盗賊「一応魔物に警戒してだな…」
女オーク「毒キノコもあるわ…」ドスドス
ローグ「ハハ警戒感ゼロでやんすよ‥」
剣士「んん?木の上に何か居る…」クンクン
盗賊「どこだ?」ダダ
剣士「お面を被ってる…あれ忍びかな?」
盗賊「天狗だな…」
剣士「こっち見てるね…なんかエルフみたいで気味が悪い」
盗賊「ふむ…俺らを監視してるのか…それとも迎えに来たのか」
剣士「迎え?やっぱり忍びの人?」
盗賊「詳しくは知らん…ただこの辺では始めて見る」
剣士「まぁ気にしなくて良いかぁ…女オーク!松ぼっくり集めて行こう」スタタ
女オーク「うん…」ドタドタ
盗賊「おい!あんまり遠くへ離れるなよ?」
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212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:49:39.20 ID:KbfSVIxh0
ローグ「あの天狗あっしらの前方で一定距離保って居るでやんす」
盗賊「どうやら俺らを案内してんな?」
剣士「ねぇここ狭間が近いよ」
盗賊「どういう事だ?」
剣士「あの天狗見失わない様に進まないと迷う可能性がある」
盗賊「ほ〜ん…なるほどな?忍びの隠れ里がある訳か」
剣士「天狗に付いて行こう」スタ
盗賊「おいおいお前が一番迷いそうだマテ」
『隠れ里』
剣士「…この赤い門みたいな奴は何?」
盗賊「鳥居ってんだ…しかしまぁ上手く隠したな」
ローグ「鳥居の向こう側で天狗が立ち止まっていやす」
盗賊「潜って来いという事か…」
剣士「…なんだろう?不思議な感じだ」スタ
くノ一「客人の案内ご苦労…」
盗賊「おぉ忍びの姉ちゃん…ここは何だ?」
くノ一「我ら忍びが修行する隠れ里だ…こちらへ…アサシン殿が待っている」
剣士「やっと合流出来たね」
盗賊「ここに女王が忍んで居るんだな?」
くノ一「如何にも…信用出来る者が分からぬ故の事」
盗賊「女王は無事なんか?」
くノ一「…付いて来い」スタ
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:51:02.16 ID:KbfSVIxh0
『隠れ屋敷』
女戦士「剣士か?良く来たな…」
剣士「良かった…貝殻が通じないからどうしたかと…」
女戦士「どうやらここは狭間の中らしい…エルフの森と同じだ」
情報屋「待って居たのよ?」
剣士「女王様の容態は?」
女戦士「落ち着いては居るが昏睡が続いていてな…今は熱病で苦しんでいる」
剣士「線虫を掛け直す…見せて貰っても良い?」
女戦士「…との事だが構わんか?」
くノ一「…奥の部屋だ…一人だけ付いて来い」スタ
剣士「うん…」スタ
『奥座敷』
ハァハァ…
アサシン「…」ジー
剣士「アサシンさん…輸血の効果は?」
アサシン「…見ての通りだ…ゾンビ化の病と戦って居る」
剣士「大丈夫まだ生きてる…治療し直すよ」ゴソゴソ
くノ一「何をする気か?」
剣士「光の魔方陣を作って居るのさ…少し待って」ゴソゴソ
くノ一「この者は魔術師なのか?」
アサシン「信用して良い…勇者の血を引く者だ」
剣士「おっけ!浄化魔法!」シュゥゥゥ
女王「はうぅぅぅ…」ピクピク
剣士「線虫!癒せ!」ザワザワ ニョロリ
くノ一「…」ギュゥ グググ
剣士「よし…最後に睡眠魔法!」zzz
女王「すぅ…」スヤ
剣士「ゾンビ化した部分は浄化した…あとは線虫が傷を癒してくれる…目が覚めたら麻薬の事は夢だと思って居る筈」
アサシン「そうか…これで安心した」
剣士「もう僕に出来る事は無いから戻るよ」スック
くノ一「これで女王様はお目覚めに?」
剣士「うん大丈夫…あ!そうだ…夜光虫来い!」フワフワ ピカ
くノ一「これは…」
剣士「蛍だよ…命の水を運んで来るんだ…まぁ出来る事はこれで最後かな…じゃぁ行くね」スタ
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:51:50.73 ID:KbfSVIxh0
『土間』
メラメラ パチ
剣士「へぇ?不思議な作りの屋敷だね…家の中で焚火出来るんだ」
情報屋「これが又便利なのよ…スープがあるけど居る?」
剣士「うん…少し貰う」
盗賊「さて!魔女が居ないがこれで全員揃った…いやいや久しぶりだ」
情報屋「今日は話が尽きなさそう」
盗賊「酒が無いのが寂しい所だ」
商人「僕持ってるよ…居るかい?」
盗賊「お?商人が酒を持ってるたぁどういう事よ」
商人「僕にも色々あるのさ」
盗賊「むむ…お前フードで顔を隠す様になってから様子がおかしいとは思って居たがまさか…」
商人「ハハ血色の悪さが隠し切れなくてね…僕の心臓はとうに止まって居るよ」
情報屋「まぁそういう話は今度にしましょう…はいスープ飲んで」
剣士「ありがとう…」ズズズ
情報屋「じゃぁ情報交換しましょうか…」
カクカク シカジカ
-------------
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215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:53:53.54 ID:KbfSVIxh0
盗賊「フィン・イッシュで信頼出来るのは近衛侍と忍びの一族だけという事か…」
情報屋「そう…私達もセントラル国王から疑われて身の危険があるからこの隠れ里に潜んでるという訳」
盗賊「しかしまぁセントラル国王は馬鹿というか直ぐに騙されちまうんだな」
女戦士「そういう馬鹿正直な男だそうだ」
盗賊「暗殺の主犯の件は伝わって居ないのか?」
女戦士「近衛侍の方から伝えに行ったそうだがまだ反応は見て取れない」
盗賊「まぁ自分の家系から裏切り者が出てるのは認められんかも知れんな」
情報屋「家系から出たというか上手く利用されたのね…公爵という人物に」
商人「僕も驚いたさ…公爵は主要なお得意さんで悪い人では無かった」
盗賊「お前会った事はあるんだな?」
商人「無い…影武者なら会ってるかもしれないけど向こうも本人が動いてるとは思えないしね」
盗賊「魔女が女王にすり替わっているのだが…」
女戦士「和平交渉を女王無しでは進められないのだよ」
盗賊「勝手にやらせてて良いとは思えんのだが」
女戦士「女王の側近にも利用されている人間が居るかもしれないのだ…その辺りのコントロールは魔女に任せた方が良いと思う」
盗賊「独裁国家になっちまうぜ?」
女戦士「近衛侍はその辺を心得ているぞ?まぁ元より近衛侍は和平を望んで居ない」
ローグ「なんか読めて来やしたぜ?和平交渉は公爵から一方的に提案されてるんすね?」
女戦士「そういう事だ」
ローグ「元々戦争の小競り合いは公爵が誘導したマッチポンプ…その辺りを近衛侍は感づいてるんすね」
女戦士「その通り…セントラル国王率いる軍隊を足掛かりにフィン・イッシュの分断を謀って居るのだよ」
盗賊「つまり和平では無く攻めに転じた方が国の為…近衛侍はそう判断しているのか」
女戦士「その戦争を回避するには首謀者の暗殺…これが一番有効になる」
盗賊「実はだな…俺らがこっちの大陸に来た目的が…」
どうやら時の王の資産を全部公爵が抑えて居てな
その中にアーティファクトの冒険の書もあるらしいんだ
他にも色々有るかも知れ無ぇ
ほんで俺がそれを盗みに行くつもりだった訳よ
女戦士「ふむ…目的は合致するな」
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:55:59.29 ID:KbfSVIxh0
盗賊「殺すつもりは無かったが…剣士は公爵を骨抜きにする術を持って居る」
女戦士「剣士が?どんな隠し玉がある…」
剣士「幻術だよ…記憶を奪う事も出来る…人道を外れるけど」
女戦士「なるほど…命を奪う事無く事を納められるのか」
剣士「もう一つ大事な事を忘れてるよ…公爵は魔王を封じた魔石を持って居るかもしれない」
女戦士「なに?」
商人「ちょっと待ってちょっと待って…その情報の出所は?」
ローグ「あっしでやんす…証拠はありやせん…只状況証拠ならいろいろ知って居やす」
商人「魔王を封じた魔石を公爵が持って居たとすると…大量の魔石貿易はそこから来てる…」
ローグ「そういう一切合切を盗みに行くのがあっしらがやろうとしてる事でやんす」
商人「なんか色々読めて来たぞ…疑問が残るのが公爵の目的」
ローグ「それが分からんのです…公爵が冒険の書で何を見たかなんすよ」
情報屋「冒険の書…私が読んだのは遥か昔…光る隕石で溶けて行く世界のお話」
剣士「多分それは本当に在った出来事で精霊の記憶の一部…」
情報屋「分かるわ…同じように公爵も何かを見たなら啓示を感じたのかも知れない」
商人「啓示?」
情報屋「予言の一種よ…私もなんとなく知ってた…光る隕石が世界を滅ぼすって…」
商人「子供が生まれなくなる件の事か…」
情報屋「その時代…放射能と呼ばれていた」
ローグ「放射能…始めて聞く言葉っす」
情報屋「そういう知識が啓示の一つ…いわゆる予言なの」
剣士「じゃぁやっぱり地軸の移動も公爵は事前に察知していたと考えて良いね」
盗賊「国のお偉いさんには通達していた様だしな?」
女戦士「とりあえず公爵は危険な人物である事には変わりない…これからどうするか」
剣士「公爵の件は一旦僕に預けて欲しいかな…アダムの秘密を聞き出したいんだ」
女戦士「ほう?幻術で喋らせるか…」
剣士「うん…大きな戦争に発展してからでは探すのも困難になりそうだ…ここは隠密に行こうよ」
スタスタ
アサシン「話に割り込む様だが…一つ言っておく…公爵は悪い人間では無い」
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:58:57.97 ID:KbfSVIxh0
盗賊「おっとぉ?どういう訳なんだ?」
アサシン「元は私達の同志なのだ…盗賊ギルドの良き支援者でもあった」
盗賊「なんだよ真逆な意見を言うじゃ無ぇか」
アサシン「私達とは手段が違うだけで公爵も世界を救おうとしている…只噛み合って居ない」
商人「参ったね…関りが複雑で何が何やら…」
アサシン「仮に私達がその魔王を封じた魔石を手に入れたとして向こう陣営にどう映ると思う?」
商人「アーティファクトを使って世界を動かしている様に見えるだろうね…」
アサシン「それと同じだ…向こうにはこちらの動きが常を逸した一党に見えているのだよ」
ローグ「ちっと待ってくださいよ?公爵がやって居るのも移民を促して結果的に人を救う行為っすね」
剣士「ドリアードを復活させたのはどう説明するの?」
アサシン「私達は精霊樹を…向こう陣営はドリアードを…手段が違うだけでやって居る事は同じという事だ」
剣士「そんな…じゃぁアダムは破壊する必要が無かったと?」
アサシン「エルフには破壊する必要があっただろうな…どちら陣営が力を持つかだけの差だよ」
剣士「こういう事か…僕達は魔王に侵されるのを拒んだ…向こうは魔王を受け入れた」
アサシン「そういう事だ…魔王は世界の半分を約束する…つまり半分の人間は生き残る」
商人「くそぉぉ!!」バン
情報屋「商人…」
商人「初めからボタンを掛け違って居ると言うのか?もう半分どころか10分の1も生き残って居ない!!」
アサシン「私が掛け違ったボタンだ…始めの魔王復活を邪魔しなければこうはならなかった…済まない」
盗賊「初めから公爵の思惑通りに魔王を魔石に変えときゃ被害は無かったと言いたいのか?」
アサシン「それに抗って事態を悪い方へ転じさせたのは私達なのだよ…意味が分かるか?私達は白い悪魔なのだ」
盗賊「あぁ胸糞悪いな…お前はそれでやる気失せた訳だ」
アサシン「クックック言わないでくれ…」
剣士「…」
僕が初めに自分を意識し始めたのは光る夜の時だった
思い返せば無意識に虫を集めて居た様な気もする
そしてダイダラボッチを起こして光る隕石が落ちた
子供が生まれない原因を作ったのは
僕かも知れない
ボタンを掛け違うというのはこういう事
もう取り返しが付かない
僕のせいで世界は滅ぶ…
魔王は僕だ…
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:00:44.38 ID:KbfSVIxh0
『庭園』
チョロチョロ カコーーン
盗賊「妙な仕掛けだ…こりゃ何の意味がある?」
情報屋「これは鹿威しという仕掛け…野生の動物が寄って来ない様にする古来の工夫よ」
盗賊「ここは安全なんだろうがどうも退屈だ…」
情報屋「仕方ないわ…女王が目を覚ますまではフィン・イッシュに居ては私達も危険」
盗賊「そうだ…まだ言って無かったんだが新しい遺跡を発見したんだ」
情報屋「え!?何処に?」
盗賊「外海なんだがフィン・イッシュから北西だな…なんつったっけ…えーとハウ・アイ島という所があるんだ」
情報屋「知らない…いつの時代なのか分からない?」
盗賊「キ・カイと同じ開かずの扉が在るらしい…ほんでな?どうやらフィン・イッシュの祭事に使う祠も同じ様だ」
情報屋「えええええええ!?見たい…」
盗賊「まぁここの祠は女王に許可貰った方が良さそうだな」
情報屋「ちょっと待って…確か旧時代の世界地図をメモしてた筈…」ペラペラ
あった…そうよ…遺物が残って居る可能性のある分布図
フィン・イッシュも対象に入ってた…セントラルにもある筈
古代文明の遺跡の上に新しい文明が発達するのよ
ええと…今言ったハウ・アイ島はここの島ね?
盗賊「ちっと地図をひっくり返せ…」
情報屋「こう?」クル
盗賊「ふむ…大体そんな位置だな」
情報屋「未踏の地にある遺跡なんて大発見だわ」
盗賊「そこにな?リヴァイアサンと思われる大型の電気ウナギがいてよ…フィン・イッシュまで運ぼうとした探検家が居たんだ」
情報屋「リヴァイアサンが電気ウナギだった?本当に?」
盗賊「真相は分からんが剣士はそう思ってる」
情報屋「キ・カイと同じという事はウンディーネ時代より前…そしてホムンクルスが居るかもしれない」
盗賊「そういうこった」
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:02:44.42 ID:KbfSVIxh0
『座敷』
シーン…
アサシン「…」ジーー
剣士「アサシンさん…」
アサシン「剣士か…どうした?」
剣士「瞑想しているの?」
アサシン「まぁそんな所か…」
剣士「さっきの話…アサシンさんはどんなボタンの掛け違いを?」
アサシン「クックック…直接本人に聞きに来るとはお前も肝が据わって居る」
剣士「あ…昔の話は聞かされてなくて知らないのさ」
アサシン「私はお前の父親を殺そうとして居たのだ…いや一度魔王と一緒に葬った」
剣士「100日の夜だね?」
アサシン「それを招いたのも私の未熟からの結果なのだよ」
剣士「僕も取り返しの付かないミスをしてた事に気付いた…」
アサシン「ほう?」
剣士「10年前に光る隕石が落ちたのは多分僕のせいだ…そして子供が生まれ無くなった」
アサシン「…」
剣士「僕はね…生まれて来る筈の命を全部奪ってしまた様に思う」
アサシン「私と同じだと言いたいのか?」
剣士「うん…アサシンさんも同じ様に取り返しの付かない事で沢山の命を奪ってしまったんだと思う」
アサシン「私はその時薄々感づいて居たのだ…ただ自分の行いを正当化したかった…未熟故にな」
剣士「その時って?」
アサシン「公爵とは旧友なのだ勇者を葬る考えは一致していてな…奴は魔王を勇者諸共魔石に変えると息巻いていた」
剣士「そっか…アサシンさんのお陰で僕が生まれたのか」
アサシン「私では無い…お前の母…女海賊がすべてを塗り替えた…私の心までもな」
剣士「ママが…」
アサシン「私はな…勇者と魔王は表裏一体だと思って居た…勇者の元に魔王が来る」
剣士「…」
アサシン「勇者を葬れば魔王は来ない…それは考えが甘かった…魔王を集めるのは祈りの指輪を持つ誰でも良かったのだよ」
剣士「祈りの指輪…」
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:04:21.22 ID:KbfSVIxh0
アサシン「つまり公爵の思惑通りに進めればもっと早くに魔王を魔石に出来て居た筈…これが私の掛け違えたボタンだ」
剣士「そうすれば被害は最小で済んだ?…という事だね」
アサシン「私が足掻くが故に多くの友に手を掛けなくてはならなくなった…これが罪」
剣士「…ちがうよアサシンさん…それは結果論だよ…例えその時魔王を魔石に封じたとしても人類の滅亡はどんどん進む」
アサシン「私に講釈をするか…」
剣士「分かって居るんだ…人間の心から魔王は居なくならない…魔王は又来る」
アサシン「それを無くしたいと足掻き続けた結果…どんな未来が見えるのか…私には分からなくなってしまった」
剣士「ねぇアサシンさん?僕は取り返しの付かないミスをした事に気付いても不思議と前を見てる」
アサシン「ドワーフの血か?」
剣士「多分ね…僕が魔王を集めたらどうなると思う?」
アサシン「お前が魔王になると言うか?」
剣士「いや…多分もう既に魔王なのさ…幻術が得意な魔王…寄生虫を使ってすべてを操れる魔王」
アサシン「クックック馬鹿な事を言うと思えば…」
剣士「大丈夫…僕はコントロール出来てる」
アサシン「お前が魔王になったとしてどうする?世界を滅ぼすか?」
剣士「もう滅ぼしてしまった…それに気付いたよ」
アサシン「クックック馬鹿馬鹿しい…」
剣士「…どう?少しは気が晴れた?」
アサシン「退屈しのぎにはな?」
剣士「見て…いのりの指輪だよ」キラン
アサシン「…何故お前が持って居る?」
剣士「魔王だからさ…僕は人が抱える闇を取り込むことが出来る…でも僕には何も影響が無い」
アサシン「…」ギロリ
剣士「夜光虫!来い…」フワフワ
アサシン「蛍か…」
剣士「こうやって光を見せる事だって出来る」
アサシン「それがお前の答えか?」
剣士「ねぇもっと教えてよ…パパとママの事」
アサシン「フフ…」---これが勇者と魔王のあるべき姿なのかもしれない---
---これに気付くのに随分犠牲を払った---
---私はまだ生きて良いのか?---
---こう思えるのが希望なのか?---
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:06:18.88 ID:KbfSVIxh0
『道場』
カン カン コン
次は3人同時で構わない…来い!
行くぞ…同時に切りかかれ
はぁっ!!飛んだ?
着地にスキ在り!!
女戦士「フフ…流石に土に足を付けねば避けられんか…」
近衛侍「いやはや3人掛かりでは無いと懐に付けぬとは御見それ行った…」
女戦士「近衛侍達も良くここまで修行した物だ…型を見たいのだが良いか?」
近衛侍「由何…夢幻一刀流…鶴切り…鶯…不如帰…月光…燕返し」スン スン スン
女戦士「ふむ…私には出来そうもないな」
タッタッタ
剣士「音がすると思ったらここで立ち合いやってたんだね」
女戦士「剣士か…丁度良い見て行くと良い」
剣士「パパの型だ…僕も少し出来るよ」
近衛侍「ほう?」
剣士「ほら?鶴切り…鶯…不如帰…月光…燕返し」スン スン スン
近衛侍「その光る刀…いつぞやの剣豪の刀と見受ける」
女戦士「剣士!ここで真剣は抜くな」
剣士「あぁゴメン…」スチャ
近衛侍「しかしまだ若い」
女戦士「その剣豪の子なのだ…その刀は形見」
近衛侍「そうであったか…抜刀術の神業を拝見した事がありましてな」
剣士「パパは腰に差した刀からの抜刀術が基本だったね…僕は刀を背負ってるから出来ない」
女戦士「剣士…少し立ち会って見るか?」
剣士「おけおけ…ビッグママ…いや女戦士と立ち会うのは初めてだね」スチャ
女戦士「お前も時空を超えるのだろう?どれ程か見させてもらう」スチャ
近衛侍「ほほー面白い立ち合いと見た…某が合図を」
剣士「おっけ!!いつでも良いよ」
女戦士「…来い!」
近衛侍「始め!!」
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:07:24.70 ID:KbfSVIxh0
剣士「行くよ?」ダダ
カン カン コン
女戦士「なに?互角…」
剣士「あれ?防がれたなぁ…もう一丁!!」ダダ
カン カン コン
女戦士「これならどうだ!」グググ
剣士「くそう…」タジ
女戦士「ふん!!」ブン
剣士「うわぁぁ…」ゴロゴロ
女戦士「てい!!」ダダ
近衛侍「勝負あり!!」ビシ
女戦士「…」
剣士「強いなぁ…体格差か」
女戦士「剣士…時空の修行は終わって居なかったのでは無かったか?」
剣士「うん…飽きちゃったからさぁ」
女戦士「フフ親が親なら子も…そういう事か」
近衛侍「いやいや…なかなか良い試合を見させて貰った…若いのに見切りを体得して居られる」
女戦士「正直私も驚いた…格闘術を併用しないと剣術だけでは危険を感じた」
シュタタタ
くノ一「近衛侍!女王様がお目覚めに…」
近衛侍「おぉ!!試合の最中であるが御免…」スタタ
剣士「あ…走り方もパパみたいだ…」
女戦士「剣士…お前の父は剣技を伝えてこの国を守って居るのが分かるか?」
剣士「そうだね…分かるよ…多分剣の型の中にパパの意思が入ってる」
女戦士「それが分かれば良い…さて私達も女王の下へ行くか」スタ
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:08:36.81 ID:KbfSVIxh0
『奥座敷』
くノ一「女王様…まだ御安静に…」
女王「良いのです…アサシン様…近くへ」
アサシン「ご無事で…」スス
女王「夢を見ました…アサシン様に背負われる夢です…又私はアサシン様に救われたのですね?」
アサシン「看病は近衛侍と忍びの一族が…」
女王「くノ一…私はどれ程眠って居たのでしょう?」
くノ一「7日程…」
女王「そうだったのですね…私が隠れに居る理由が良く分かりませんがご苦労をおかけしました」
くノ一「滅相も無い…無事に目覚めて何より」
女王「アサシン様は事情を把握しておられて?」
アサシン「勿論…ですが今は御ゆるりと」
女王「子ども扱いですか?」
アサシン「フフまずは女王様の体力回復が先にと…」
女王「少し体を動かしてみたいのです…補助をお願いできますか?」
アサシン「御手を…」スッ
女王「昔の様に話して頂けませんか?他人行儀は嫌なのです」
アサシン「…これで良いのか?」
女王「はい…その方がアサシン様らしい」
アサシン「座敷で懐かしい顔が増えている…何か口にするか?」
女王「少し口が渇いております」
アサシン「スープがある様だ…飲むが良い」
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:10:21.01 ID:KbfSVIxh0
『座敷』
アーデモナイ コーデモナイ
盗賊「お!!嬢ちゃん…目ぇ覚ました様だな?」
情報屋「もう動いて平気なの?」
女王「盗賊様…お久しぶりで御座います」
盗賊「嬢ちゃんが握ったおにぎり食いに来たぜ?」
タッタッタ
剣士「ふぅ…あ!!女王様?」
女王「こちらの方は勇者様?」ハテ?
盗賊「あーーそいつは勇者の子供でな…剣士と名乗ってる」
女王「そうだったのですね…お世話になっております」フカブカ
剣士「え?いやぁ…こちらこそ」ペコペコ
アサシン「情報屋!スープを飲みたいらしい」
情報屋「用意するわ」アセアセ
盗賊「改めて紹介する…こいつが勇者の子で剣士な?」ドン
剣士「あ…はい」ペコペコ
盗賊「ほんでこっちのデッカイのが女オーク…ほんでこっちの貧相なのがローグ」
ローグ「いや貧相って酷くないっすか?」
女王「皆様この度は御迷惑をおかけした様で…」ペコペコ
剣士「いや…こちらこそ」ペコペコ
盗賊「何やってんだ…まぁまず食って体力付けてだな…てか俺ん家じゃ無いんだけどよ」
情報屋「肉と野菜のスープです…どうぞ」
女王「ありがとうございます…」スス ゴク
盗賊「ほほーやっぱ食い方が上品だな」
剣士「どんぐり居る?松ぼっくりもあるよ?あーそうだキノコもあったんだ」
女王「この雰囲気…皆様お変わりなくて安心しました」
盗賊「キノコは生じゃ気持ち悪りぃ…ちっと貸せ!焼いてやる」
ワイガヤ
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225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:11:35.80 ID:KbfSVIxh0
女王「…松の実は私も大好きなのです」モグ
盗賊「キノコ焼けたぜ?」
剣士「僕も食べたい…」
盗賊「おー食え食え」
商人「良いなぁぁ食べられて…お酒だけじゃ口が寂しい」ゴク
アサシン「腹は減って居ないだろう?」グビ
女王「少し食べたら力が湧いて来たようです」
盗賊「まだ畑仕事やってんのか?」
女王「勿論…お陰で体力には自信があるのです」
盗賊「そりゃ良い…そういや船の操作の仕方教える約束すっかり忘れてたわヌハハ」
女王「船…そうでした港の船はどうなったのかご存じ無いでしょうか?」
盗賊「離岸してバラバラに停船してたぞ?」
近衛侍「女王様…政務の事は私共にお任せを…今は御歓談を続けて頂いて結構」
女王「私には約束事が沢山あった筈…」
近衛侍「ですから女王様はご心配なさらず静養されて下さい」
女王「…そうですか」
盗賊「まぁ座敷でゴロゴロすんのもそろそろ飽きたろぅ?ちっと散歩でもし無ぇか?」
女王「そうですね…近衛侍!外に出てもよろしいですか?」
近衛侍「お体に障らない程度に…」
盗賊「実はよ?祭事の時に使う祠が合ったろう?ちっと見たいんだよ」
女王「隠れ里からすぐ近くですね」
盗賊「あと温泉にも入りてぇな…」
女王「温泉…私も入りたいのですが側近が居なくては…」
くノ一「私目がご一緒します」
盗賊「ほんじゃ静養がてら温泉に行くぞ!!」
近衛侍「警護はお任せあれ…」
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:12:58.28 ID:KbfSVIxh0
『林道』
サラサラ サラサラ
女王「この小川を少し下った先が祭事の祠です」
剣士「この辺りはキノコが一杯だね」
女王「毒キノコですので食さない様に…」
剣士「大丈夫大丈夫!女オーク?このキノコ食べられそうだ」
女オーク「私専用ね?ウフフ」
盗賊「嬢ちゃん実はよ?俺らが祠に行きたい理由を言って無かったんだが…」
女王「はい察しております…」
盗賊「なんで聞か無ぇんだ?」
女王「察しておりますのでわざわざ聞く必要も無いと思いまして」
盗賊「扉を開けても良いのか?」
女王「どうぞご自由に…私は誰かのお役に立てる事が嬉しいのです…特にアサシン様には感謝しきれない恩がありますので」
情報屋「その祠は龍神を奉った祠よね?実はこの人たち龍神を発見してるのよ」
女王「そうだったのですね…龍神はいづこへ?」
盗賊「未踏の地で眠って居た様だ…今は外海で元気に泳いでる」
女王「伝説では龍神が祠を守って居たと伝えられています…きっと未踏の地にも祠が有るのでしょうね」
剣士「僕が説明するよ…多分誰かが龍神の使う雷で扉の開閉をしていたんだよ」
女王「誰か…」
くノ一「口を挟みますが我ら忍びの始祖…一角仙人かも知れません」
剣士「へぇ?」
くノ一「仙人には沢山の逸話が残って居ます…妖術を操り魔物を退けたなど…」
盗賊「まぁ俺らはその謎が知りたい訳だ」
情報屋「私は考古学者なので古代文明との繋がりを調べたい」
女王「なんだかワクワクする話ですね…奥に何があるのか楽しみになってきました」
盗賊「そう言って貰えると俺も鍵開けをやり易い…まぁ楽しみにしていてくれ」
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:14:26.48 ID:KbfSVIxh0
『祭事の祠』
ピチョン ポタ
情報屋「入り口が大分風化しているけど古代遺跡に間違いないわ」
女王「奥に祭壇があります…ついて来て下さい」スタ
情報屋「並んでいる石造は割と年代が新しい…」
女王「それは農業の神を奉った石造ですね…林道にも沢山ありますよ」
アサシン「クサナギの剣は祭事でどの様に使うのだ?」
女王「祭壇に置くだけですよ…置いても何も起こりませんけど」
アサシン「これは私が持って居て良い物なのか?」
女王「どうぞお持ちください…私には必要の無い物ですから」
アサシン「私はこの剣を返そうと思って居たのだが…」
女王「なぜ返されようとするのですか?」
アサシン「私はもう殺める事をしたく無いのだ」
女王「ではその剣でお守り下さい…私を守って下さった様に…どうか民をお守りください」
アサシン「守る…」
女王「ふさわしい方にお渡ししているつもりなのです」
アサシン「フフまぁ良い…祭壇は何処だ?」
盗賊「おぉコレか!このどす黒い器はなんだ?」
女王「贄として捧げる男性の血を入れる器です…古来からの慣わしなのです」
情報屋「龍神に血を?」
女王「龍神と言っても色々な龍神が居るのです…中には血を好む龍神も居ます」
盗賊「ほ〜ん…で?この祭壇の裏にあるのが例の扉か…」
女王「開けられそうですか?」
盗賊「こりゃキ・カイの扉と一緒だ…そうだな2時間で開く」
女王「時間が掛かるのですね…」
盗賊「温泉に行って来ても良いぞ?」
情報屋「そうね…開いた後に調査もしたいし今の内に入って来るわ」
剣士「僕も行って来るよ…女オーク!温泉行こう」グイ
女王「では後ほど戻ってきます…ご安全に」スタ
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:16:39.32 ID:KbfSVIxh0
『開かずの扉』
ヒュゥゥゥ
商人「もう扉を開けるのは慣れたもんだね」
盗賊「こう何度も開けりゃな?しかしお前…やけに落ち着いてるじゃ無ぇか…ホムンクルスが居るかもしれんぞ?」
商人「ハハ僕は居ないと思うよ…何故ならホムンクルスが生前に残された生体の数を教えてくれているから」
盗賊「ヌハハそういう事か…楽しみ半減だな」
商人「まぁこれで少し謎は解けた…ホムンクルスの寿命は400年…どうやって精霊が何千年も生き続けたのかね」
盗賊「体を乗り換えて来たって事か」
商人「うん…この大陸にはもう生体は残って居ないのさ」
盗賊「じゃぁ誰がこの扉を開け閉めしてたか?ってのが今から分かる訳だ」
商人「大体想像が付く…過去に戻った勇者2人だよ」
盗賊「仙人ってのもそうだな?」
商人「多分ね…それより未踏の地にあるという古代遺跡の方が気になるよ」
盗賊「ホムンクルスが眠って居る可能性が有るんか?」
商人「うん…残された生体の数は当時の行ける範囲での話さ…未踏の地は除外してる筈」
盗賊「でもよ?リヴァイアサンがそこで凍ってたって事はそっちにも行ってんだよな?」
商人「行ったけど肝心のリヴァイアサンが凍ってしまった…だから開けられなかった…可能性ありそうだよね?」
盗賊「なるほど…やっぱ行く価値ありそうだ」
商人「行くときは僕も連れて行って欲しい…実はさ…僕精霊樹の所に行って死のうと思ってたんだ」
盗賊「なぬ?」
商人「ゾンビは木に生まれ変われるじゃない?ホムンクルスの所に行きたかったんだよ」
盗賊「まぁ止めはしないが…」
商人「気が変わった…まだこの機械の犬は5年くらいは寿命がある…それまでこの世界の秘密を暴きたくなった」
機械の犬「ワン!」フリフリ
商人「僕のお墓は精霊樹で決まり…まだ体が動くからやれる事やる」
盗賊「おう!そういう生き方好きだぜ?」
アサシン「クックック死者が言う言葉か…足掻き方と言い変えた方が良いがな」
盗賊「そういうお前は王女を守ると言う生き甲斐が出来ただろ」
アサシン「セントラル国王と上手くやっていく自信は無いがな?」
商人「忍びの一族には気に入られて居たじゃない」
アサシン「まぁ退屈しのぎにはなるな…」グビ
盗賊「お?俺にも酒飲ませろ」
商人「僕が持ってるよ」ポイ
盗賊「お前等酔いたいなら聖水飲むんじゃ無いのか?」グビ
アサシン「アレは喉が焼ける…味はワインが最高だ」ゴク
盗賊「しかしまぁ…俺と一緒で酒無しじゃ生きて行け無ぇってな?ヌハハ」
商人「酔えるのが羨ましいよ」
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:18:22.15 ID:KbfSVIxh0
『2時間後』
ホクホク
女王「只今戻りました…扉は空きましたでしょうか?」ホクホク
盗賊「おぉ待ってたぜ〜?まだ入って無ぇぞ?」
女王「ワクワクしますね…」
盗賊「剣士!光を頼む」
剣士「おっけ!照明魔法!」ピカー
盗賊「一応危無ぇから後から付いて来てくれな?」
女王「はい…」ワクワク
盗賊「じゃぁ入るぜ?」スタ
『古代遺跡』
シーーン
女王「ガラス容器にテーブル…食器まで…これは一体」
情報屋「食器の年代を調べるわ…」ゴソゴソ
剣士「いつもの古代遺跡とほとんど同じだね…」
商人「やっぱりホムンクルスの生体は無い…予想通りだ」
盗賊「お宝は無さそうだな…」キョロ
剣士「ん?何だコレ?大きな食器かな…それとこっちの宝石みたいな奴は何だろう?」
盗賊「ほーーそりゃ鏡だな…ほんでこっちは又デカイ宝石だな」
情報屋「見せて?…スゴイ!この鏡は相当な年代物…宝石は瑪瑙ね」
女王「もしかすると失われた八咫鏡と八尺瓊勾玉かも知れません」
情報屋「八咫鏡…何かの書物で読んだ事あるかもしれない」
盗賊「まぁこれは嬢ちゃんの物だ…宝具にすると良い」
情報屋「鏡に何か記されてる…古代文字ね…ええとダメね書物が無いと読めない」
剣士「あ!!ここ魔方陣が組んである…退魔の方陣だ…足元に砂銀が置いてあるから踏まないで」
商人「ちょっと機器を触るよ…」ガチャ ガチャ
盗賊「ん?この容器外れるんか?」
商人「その筈…この容器の中にウラン結晶が入ってる筈なんだ」スポ
盗賊「どうよ?」
商人「無い…外されてる…」
盗賊「使ったと見るか?」
商人「だろうね?ここの機器の使い方を知らなかった様だね」
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:19:00.12 ID:KbfSVIxh0
情報屋「食器の年代がバラバラね…陶器があればもっと分かるのに」
商人「一番新しいのは?」
情報屋「700年くらい前ね…銀の食器の傷み具合がバラバラで良く分からないわ」
商人「ガラス容器が全部で6つ…年代毎に何度か来たんだろうね」
ローグ「もしかすると時の王の屋敷にあった精霊の石造は全部本物だったかも知れやせんね?」
商人「そうだね…そこにも石造が沢山あったんだよね?」
剣士「何個あったのか覚えて無いや」
商人「まぁこれで精霊の記憶に連続性が無い事の説明がついた…時の王が困惑した理由だよ」
情報屋「離れて再会するたびに記憶が無い状態なのね」
商人「外部メモリをちゃんと管理する人が居れば別なんだろうけど…」
盗賊「やっぱ遺跡に誰か入られてるとお宝は何も無ぇな…」
商人「鏡と宝石があったじゃないか…十分さ」
盗賊「俺が期待してたのはこのライト見たいな使える小道具なんよ…」ピカー
商人「次に期待しよう」
盗賊「まぁそだな?…ほんで嬢ちゃん!この鏡と宝石は持って帰るか?」
女王「どうしてここに安置されていたと思いますか?」
商人「ふむ…それは歴史を調べないと分からないね」
情報屋「そうね…鏡に書いてある文字を解読すれば何か分かるかもしれない」
女王「では一度持って帰りましょう」
盗賊「隠れ里だな?宝石は俺が運ぶから鏡は誰か持ってくれ」ヨッコラ
情報屋「じゃぁ私が…よいしょ…結構重い」
女王「では戻りましょう…日が暮れてしまう前に」スタ
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:19:54.41 ID:KbfSVIxh0
『隠れ屋敷』
女王「すっかり日が落ちてしまいましたね…私は奥座敷で少し休みますので皆さんもお寛ぎ下さい」
盗賊「嬢ちゃんは病み上がりだからしっかり休め…俺らの事は気にせんで良いぞ」
女王「はい…ありがとうございます…では」ペコリ
スタスタ
情報屋「…」チラリ
女戦士「…」コクリ
情報屋「くノ一さん内密にしておきたい話が…」
くノ一「何用で?」スタ
情報屋「女王様はしきりに喉が渇くと言ってたの…これは麻薬依存の症状」
くノ一「やはりそうですか…」
情報屋「本人は幻術魔法で覚えて居ないけど多分体が麻薬を欲してる…絶対に麻薬に近付けない様に」
くノ一「承知しました」
商人「脳内麻薬の受容体だっけな…それが落ち着くまで時間が必要らしいよ」
情報屋「どのくらい?」
商人「う〜ん…分からない…落ち着くまで情緒不安定になるんだってさ」
情報屋「しばらく国の政務には関わらない方が良いかもしれない」
剣士「魔女が精神安定の薬を作れるよ…それと睡眠魔法も効果的だと思う」
くノ一「急ぎで手配させます…」
情報屋「後は出来るだけ不安を解消させてあげる事ね…」
盗賊「それならアサシンしか居無ぇな…アサシンが何でも相談に乗ってやりゃ不安も無いだろ」
アサシン「…」ギロ
盗賊「なんだ嫌なんか?どうせ何もやる事無ぇんだろ?」
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:20:49.43 ID:KbfSVIxh0
『翌朝』
盗賊「おい起きろ…」ユサユサ
ローグ「へい…むにゃ…」
情報屋「もう行くの?」
盗賊「2〜3日で直ぐに帰って来る」
情報屋「女王様に挨拶して行った方が良いのでは?」
盗賊「寝てる所を起こすのも悪いじゃねぇか…まぁ適当によろしく言っといてくれ」
剣士「準備出来たよ」
盗賊「ローグが起き無ぇんだよ…おい!起きろ」ユサユサ
ローグ「へ〜い…」zzz
剣士「ビックママが酔っぱらてる…」
ローグ「え!!?マジすか…」ガバ
盗賊「アホか!!行くぞ」グイ
ローグ「あら?あららら…」ヨロ
情報屋「公爵の居場所は分かってるの?」
盗賊「行きゃ分かるだろ」
情報屋「和平交渉でこちらに来ているかも知れないって言ってたじゃない」
盗賊「なら都合良いだろ…泥棒に行くんだよ」
情報屋「フフあなたって人は…」
盗賊「まぁ心配すんな…帰って来たら遊んでやんよ」
情報屋「何言ってるの!騒がしいから早く出て行って」
盗賊「よし剣士!来た道覚えてるな?」
剣士「大丈夫」
盗賊「川下って速攻飛空艇に行く…セントラルまで半日程度だよな?」
剣士「うまく風に乗れば夜までには到着する筈…」
盗賊「うし!!急ぐぞ」
剣士「おけおけ…女オークおいで」グイ
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--------------
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:22:02.79 ID:KbfSVIxh0
『飛空艇』
シュゴーーーーー バサバサ
剣士「進路東南東…偏西風に乗れてる」
盗賊「いやいや海岸の形が全然違う」
剣士「そうだね10メートル海面が変わるとこうも変わるんだね」
ローグ「海抜の低かった場所は海に浸食されてあっという間に深い海になるんすね…」
盗賊「この分だとセントラルは内壁まで海水が来てるかもしれんな」
剣士「逆だと思うよ…緯度が低いから前より海面が下がってるんじゃないかな」
盗賊「そんなに変わるもんか?」
剣士「月の影響もあると思う…今は北極の方向に月があって海水がそっちに引っ張られる」
盗賊「なるほど…満ち引きが半端ない訳か」
剣士「フィン・イッシュみたいに海抜のすこし高い場所じゃ無いと生活しにくいね」
ローグ「あっし思うんすがセントラルとフィン・イッシュは海で分断されていやせんか?」
剣士「迂回すれば繋がってそうだよ?もっと北の方」
盗賊「わざわざ迂回して戦争すんのもアホみたいだな?」
ローグ「そっすね…ていうか国境で小競り合いするのにどんな意味があるか分からんす」
盗賊「政治的な意味なんだろうな?」
剣士「そろそろ狭間に入る…ハイディング!」スゥ
盗賊「ところでローグ…公爵の居場所は分かってんのか?」
ローグ「へい…貴族居住区からほとんど出やせん」
盗賊「和平交渉があるとか言ってたんだが?」
ローグ「どうせ影武者か代役を立ててるんすよ」
盗賊「警備はどんな感じだ?」
ローグ「ラットマンリーダーが居るんすが他には2〜3人の警備が居るだけでやんす」
剣士「なんだ…それなら睡眠魔法使えば余裕だ」
ローグ「只一つ心配なのが…ラットマンリーダーをどうやって操っているかなんすよ」
剣士「あーそういえばそうだね…何で言う事聞くんだろ」
盗賊「アレか…魔女が持ってる幻惑の杖みたいな物を持ってる可能性があるってこったな?」
ローグ「へい…同じ物があるのか知りやせんが同等の何かは持ってるかも知れやせん」
盗賊「ちっと調べてから動いた方が良さそうだな…」
ローグ「そーっすね」
盗賊「じゃぁ今晩は偵察だけにしよう」
ローグ「あっしの屋敷が丁度近いんでそこに行きやしょう」
盗賊「そうか…じゃぁ一先ずそこだな」
ローグ「到着したらハイディングしたまま案内出来るっす…」
盗賊「分かったそれで行こう」
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234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:22:58.06 ID:KbfSVIxh0
『数日前_セントラル』
ピーーーーーーッ
見た事の無い魔物だ…数匹壁内に入り込んで居る!
敵は素早い!!射手!!弓を持て!!
何処へ行った?
あの魔物は勘が良い…衛兵の少ない裏路地を移動してる
探せ!!居住区へ入れるな!!
異形の生物「くそう!この恰好じゃ目立ち過ぎる…」シュタタ
異形の生物「確か下水から上層へ抜け道があった筈…」
異形の生物「まず公爵の屋敷だ…あそこに変化の杖がある」
異形の生物「それまでは我慢だ…」ギリリ
シュタタ
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:23:55.55 ID:KbfSVIxh0
『公爵の屋敷』
公爵「何やら外が騒がしい様だが…」
執事「様子を見て参りましょうか?」
公爵「又白狼の真似事をした盗人だろう…一応例の牢を確保しておけ」
執事「かしこまりました…」
公爵「しかし全く行方が掴めんとは…」
執事「キ・カイで確保されたという2人はご確認されたのでしょうか?」
公爵「勿論…海賊王の娘は見知った顔で驚いた」
執事「では白狼の一党だったと?」
公爵「知らぬ存ぜぬとの事だ…覇気も無い」
執事「又…雲を掴まされましたな」
ズルズル ピチャ
執事「ハッ…公爵様お下がりを」
公爵「んん?」
執事「施錠はして居た筈…何処から入って来たのですか?」スラーン
異形の生物「公爵!!僕だよ…変化の杖を持って居るよね」
公爵「なに?…その声はまさか…」
異形の生物「早く貸してよ…この恰好じゃ外も歩けない」
公爵「殿下…なぜその様な格好で?」
異形の生物「僕は回りくどいのはキライなんだ…この爪は良く切れるんだ…早くしろ!!!この薄ノロ!!!」ブン ザク
執事「ぎゃぁぁぁ…」ブシューーー
公爵「殿下…お戯れはおやめ下さい…ささ変化の杖をどうぞ…」スッ
異形の生物「それから魔王を封じた魔石はどうした?設置してた場所から無くなってる」
公爵「私が拝借しておりました…魔石が必要だったもので」
異形の生物「アレは僕の物だ…返してよ」
公爵「…」スッ
異形の生物「ふぅ…やっと落ち着ける」フリフリ シュワワー
公爵「お着替えをお持ちします…」
第3皇子「当たり前だ!!…わざわざ告知しないと動けないのか?」
公爵「ご立腹の様ですな?」
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:25:29.35 ID:KbfSVIxh0
第3皇子「そうだよ…話が違うじゃ無いか公爵…僕はすべてを失ったぞ?どう責任を取ってくれる?」
公爵「はて?すべてをと申しますと?」
第3皇子「アダムが破壊されて夢幻が消失したよ…」
公爵「なに!!?…いや失礼…それは本当でしょうか?」
第3皇子「何度も言わせないで欲しいな…イラつくんだよ…兄者がエルフを率いてアダムを破壊した」
公爵「まさか…エルフには毒の耐性が無い…ドリアードに入れる訳が無い」
第3皇子「兄者は不死者になってるのを忘れてる…実際兄者と対面したさ」
公爵「なんだ…と?私が半生をかけて成した事が水の泡になったと…まさか」ボーゼン
第3皇子「どうするんだよ…ドリアード化が解けて数万の異形の生物が森を徘徊してる…もう統制も何も無いんだぞ」
公爵「そこに白狼は見たか?」ギロリ
第3皇子「誰に向かって話している…偉そうな口利きしないで欲しいな」
公爵「黙れ小僧!!!」ドン チャキリ
第3皇子「くぅ…こんな事をして只じゃ済まないぞ」ジタバタ
公爵「もう一度聞く…答えろ…そこに白狼は居たのか?」ズブリ
第3皇子「うぐぐ…僕を殺すつもりかい?フフ…そうは行くか…」
公爵「すでにお前には地位も名誉も無い…只の小僧だ…殺すのは簡単…私の手駒になれば王の地位は約束してやる」ギロ
第3皇子「また僕を利用する気だね…そうやって母上も姉上も僕から奪った」
公爵「お前が選んだ道だ…私の知った事では無い」
第3皇子「結局僕には何も残らなかったよ…母上も姉上も兄者に取られた」
公爵「なら兄を超えて見ろ!!」ドカ ゴロゴロ
第3皇子「くぅぅ…そうさ超えてやるよ」ヨロ
公爵「超えるチャンスをお前にくれてやろう…第1皇子との対談に興味はあるか?」
第3皇子「大兄と対談?」
公爵「その顔は興味ありだな?」ギロ
第3皇子「今は状況が何も分からない…対談して何なんだよ」
公爵「それは後でゆっくり話してやる…まずは私の質問に答えろ…白狼の一党は見て居ないか?」
第3皇子「見てない…でもオークの匂いがした…それから大量の虫を使ってた」
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:26:42.79 ID:KbfSVIxh0
公爵「オーク…虫…まさかもう黄昏の賢者が動いて居るのか…しかもエルフと共闘だと?」
第3皇子「直にドリアードは虫に食い尽くされるよ…もうドリアード計画は終わりさ…人類滅亡待ったなしだ」
公爵「まだ終焉まで間がある…最後にもう一つだけやれる事が残って居る」
第3皇子「何だよ」
公爵「オークの予言…箱舟を我々が先に奪取すれば一部の人類は生き残れる」
第3皇子「さっき僕を王にする約束したよね?どうなってるんだよ」
公爵「お前が王にならなければオークの箱舟まで辿り着くのは難しいだろう」
第3皇子「どういう事だよ」
公爵「王として戦力を集めなければそこまで到達が難しいのだ…箱舟はオーク領地の更に奥…未踏の地に眠る」
その地はかつてヒュース・トンと呼ばれて居た
そこにオークに伝わる天翔ける箱舟がある
それはあらゆる生物を保存し未来へ送る事の出来る箱舟だ
4000年前の地軸の移動でヒュース・トンは南極点へと場所を変え封印された
そして再度地軸の移動で箱舟の封印は解かれ…オークはその地を目指して居る筈
公爵「我々が先に奪えば毒を浄化した未来へ人類の種を送る事が出来る…絶滅は免れる」
第3皇子「僕はそこに行けるのかい?」
公爵「最後に生き残った者が勝ちだ…兄を超えて見ろ」
第3皇子「よし僕は生き残ってやる…みてろよ」ググ
公爵「フフフ」---お前はハーフエルフだという事を自覚していない…小僧め---
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:27:36.62 ID:KbfSVIxh0
『談話室』
カクカク シカジカ
公爵「…すでにフィン・イッシュへは密偵を送って居る…和平交渉には好条件になっている筈だ」
第3皇子「大兄が率いる軍船で外海に出られる様に取り計らえば良い訳か…」
公爵「そうだ…お前の顔を見て断る事も出来まい」
第3皇子「いつ行動する?」
公爵「直ぐにだ…私の影武者が同行するから詳しくはそいつに聞け」
第3皇子「公爵はどうするんだよ?」
公爵「私はキ・カイの軍船に乗って向こうに渡る…高官と話を付けるから用が済んだらお前もキ・カイへ来い」
第3皇子「分かった…」
公爵「変化の杖は返して貰おう…交渉に必要になる」
第3皇子「ふん!!」ポイ
公爵「シェルタ砦にて待つ」
第3皇子「待ってよ…僕は手ぶらかい?」
公爵「フン…魔王を封じた魔石を持って更に何を欲しいと言うか」
第3皇子「お金だよ…お金が無いと何も出来ない」
公爵「好きなだけ持って行くが良い」ドサ ジャラリ
----------------
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239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:28:52.14 ID:KbfSVIxh0
『セントラル上空』
シュゴーーーー バサバサ
盗賊「あの船も座礁してんな…」
ローグ「海面は5メートルくらい下がったぐらいすか?」
盗賊「うむ…元々遠浅な入り江なのよ…ちょっと下がっただけで大きな船は座礁する」
ローグ「ポツポツ流氷も流れて来ていやすね」
剣士「やっぱり緯度が低いと寒い…」
盗賊「飛空艇を何処に降ろしゃ良いんだ?」
剣士「いつもの海岸は人が居るなぁ…」
ローグ「外郭の外側で良いんじゃないすか?あんまり人が行かんですし…どうせハイディングで門潜るんで」
剣士「そうだね…そっちの方が安全そうだ」
盗賊「おい!!見て見ろ…なんだアレ?」
剣士「ああ!!異形の生物…こんな所まで来てる」
盗賊「知ってんのか?」
剣士「ドリアードの中から出て来てるんだ…多分ドリアード化した人達なんだよ」
盗賊「全部バラバラの形してるんだが…」
剣士「中には強いのも居るよ…侮れない」
ローグ「あんなのが外郭の外に居ると良くないっすねぇ…」
剣士「いっそのことハイディングしたまま時の王の屋敷の庭に降ろそうか…全然人居ないよね」
ローグ「それが良いでやんす…貴族居住区も近いんで逃げる時もラクっすね」
剣士「おけおけ…ほんじゃ降ろすよ?ハイディング!」スゥ
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240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:29:57.29 ID:KbfSVIxh0
『ローグの屋敷』
リリース!
盗賊「ここがお前ん家か…良い所に住んでんな」
ローグ「あっしはもうこんな屋敷要らんです…なーんか散らかされていやすねぇ…」
剣士「入り口の扉に書簡が一杯挟まってるよ」
ローグ「面倒くさいっすねぇ…どうせ貴族達が面倒な依頼をしようとしてるんすよ」
盗賊「なるほど…それが住みたくない原因か」
ローグ「一応一通り目を通しておくんで自由に出回って良いっすよ?」
盗賊「公爵の屋敷は何処だ?」
ローグ「あー地図あるんで記を書きやす…ここっすね」カキカキ
盗賊「俺ぁちっと偵察行って来るわ」
剣士「じゃぁ僕はちょと外歩いて見ようかな」
ローグ「高級なローブがあるんで羽織って行って下せぇ…ちょっと行くと食事出来るレストランがあるんで行って見ると良いでやんす」
剣士「へぇ?レストラン…行った事ないや」
ローグ「金貨ありやしたよね?」
剣士「うん盗賊さんから貰った金貨が20枚くらいある」
ローグ「十分っすね…金貨見せたらちゃんと相手してくれるでやんす」
剣士「おっけ!!行って見る」ワクワク
ローグ「高級なローブは羽織って行って下せぇ…身なりを見られるんで」
剣士「分かったよ…女オーク遊びに行こう」グイ
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:30:58.46 ID:KbfSVIxh0
『街路』
ヒソヒソ
お前…ウィッグが取れ掛かって居るぞ
あら大変…あなたこそ鼻自が出ているでは無いですか…
又か…しかしエリクサーでもこの奇病は良くならんな
嫌ですねぇ…私もこれ以上毛髪が抜けては…
剣士「…」チラリ
紳士「あぁ失礼…いやぁ立派なローブですなハハ…」
淑女「どちらの御曹司様ですの?オホホホ…」
剣士「なんか体の調子悪そうだね?大丈夫?」チラ
紳士「いやいやお気になさらず…流行り病にやられましてなハハ…」フラ
剣士「お大事に…」
紳士「見ず知らずの方に心配されてしまうとは私とした事が…ではご機嫌よう」スタ
女オーク「…」チラ
剣士「…」コクリ
女オーク「セントラルは奇病が酷そう…」
剣士「うん…夜中に線虫をやってみるよ」
女オーク「この奇病は情報屋さんが言ってた放射能の?」
剣士「多分そうだね…治す事の出来ない毒…」
女オーク「キ・カイにはあまり見られないのはやっぱり光る隕石から遠いからなのね」
剣士「だと思う…あっちはまだ子供が少し生まれてるから」
女オーク「本当に滅亡に向かって居ると思う?」
剣士「考えたく無いよ…」
女オーク「フィン・イッシュ女王も子供が産まれなくて…」
剣士「こっちの大陸は殆ど生まれないんだ…産まれても死産…悲しいね」
女オーク「…」
スライムがどうして大量に発生しているのか
なんとなく分かって来た
この毒を食らって浄化する為だったんだ
正常な世界に戻そうとしているスライム達を
僕は何も知らず退治してた
どうしてこう…何もかも噛み合わないのか…
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