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勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の続編の続編
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642 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:08:18.97 ID:c2KZAoSz0
『商人ギルド受付』
ガヤガヤ ガヤガヤ
だからぁ!!密輸の斡旋なんか商人ギルドでは扱ってないの!!
文句あるならキ・カイ政府の方に言って!!おわかり?
商人「ハハ大分混乱している様だね?」
娘「商人!!もうずっとこんな感じ…どっか行くの?」
商人「ちょっと海士島まで用事が出来たんだ…次の商船はいつ出るかな?」
娘「今荷入れしてるから早く行かないと乗りそびれるよ…1時間で出港すると思う」
商人「うわ…走って行かないと」
娘「ちょっと待って…あんたに会いたいって人が来てたんだけど影武者さん通さないとマズいと思って帰って貰ったんだ」
商人「そうだね…影武者に対応してもらってよ」
娘「分かった…じゃぁ気を付けて」
商人「因みに又役所の人かい?」
娘「背の高い女の人だよ…リカオンって言えば分かるとか言ってたけど知ってる?」
商人「リカオン!?…何処に行ったか分かるかい?」
娘「聞いてないよ…宿屋か酒場じゃないの?」
商人「あぁ…ナイスタイミングだ!!ちょっと探して来る」ダダ
--------------
643 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:09:07.35 ID:c2KZAoSz0
『酒場』
ポロロン〜♪
マスター「いらっしゃいませ…」
商人「ワインお願い…」キョロ
マスター「かしこまりました…どなたかお探しですか?」
商人「まぁね?背の高い女の人なんだけど…見てないかな?」
マスター「まさか先ほど大暴れしたお客様のお連れ様では無いでしょうね?」ギロ
商人「え?どういう事?」
くそぅ!!あんの 売女…逃げられちまった
血ぃ出てんぞ?大丈夫か?
噛みつきやがったんだ…くっそ!金払ってコレかよ
マスター「お客様…他のお客様が居りますのでそういったお話は奥の方で…」
野郎「おぉ騒がして済まんな…今日はツイて無ぇ」
商人「…」アゼン
マスター「…とまぁこの様な感じなのですよ…ワインをどうぞ」コトリ
商人「あ…ありがとう」チャリン
マスター「悪い娼婦が沢山居りますのでご注意を…」
商人「探し人かも知れないから一応追ってみるよ」グビ
マスター「もう行かれますか?」
商人「又来るかもしれない…ありがとう」ダダ
644 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:10:16.58 ID:c2KZAoSz0
『露店』
お客さん!お目が高い…黒死病に良く聞く妙薬なんですよ
これいくらするの?ハァハァ…
お高いですよ?…って…あああああああああ!!
ちょちょちょ…一気に飲む奴があるかぁぁぁ!!
狼女「ぷはぁぁぁぁ…あぁ癒される」ウットリ
店主「お客さん!!金貨持ってるんでしょうね!!」
狼女「これでお願い」ジャラジャラ
店主「…ひぃふぅみぃ…これじゃ足りない!!」
狼女「そんな堅い事言わないでさぁ…もう意識失いそうだったんだよ」
店主「何を言ってるんだ!!頭おかしいのか?衛兵呼ぶぞ!!」
狼女「それで持ってる金貨全部なんだ…ゴメン!悪気は無かった」
店主「ぐぬぬこっちも生活掛かってるんだ!きっちり払って貰わないと…」
タッタッタ
商人「あぁ待った待った…僕が残りを支払うよ」ジャラリ
店主「あ!!商人ギルドの受付の兄さん…このお客さん困った人なんだ」
商人「その様だね…まぁ僕に免じて勘弁してあげて」
店主「まぁそういう事なら…」
狼女「アレ?アレ?…商人?」クンクン
狼女「匂いが違う…誰?」
商人「まぁまぁ…君は騒動を起こしそうだから取り合えず一緒に来て」グイ
狼女「ちょっと待って…あんた誰?…私忙しいんだ」
商人「忙しそうには見えないよ…ここは目立っちゃうから向こう行って話そう」グイ
645 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:11:01.31 ID:c2KZAoSz0
『路地裏』
ファサ
商人「ほら?この顔に見覚えがあるだろう?」
狼女「商人!!探してたんだ…何処にも匂いが無いから居ないのかと思った」
商人「ハハ君は匂いで人を見分けるのか」
狼女「もしかしてアサシンと同じ病気?」
商人「まぁ…そういう事になるかな…不死者になってしまったよ」
狼女「兎に角見つかって良かった…もうお金も無くてどうしようかと思ってたんだ」
商人「いつこっちに来たんだい?」
狼女「昨日だよ…ずっと匂いを探してて疲れたよ」
商人「その様子だと宿屋も無いね?」
狼女「商人をアテにしてたのさ…」
商人「分かった…商人ギルドの建屋に空室があるから今日はそこで休むと良い」
狼女「良かったぁぁぁ」ホッ
646 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:12:01.33 ID:c2KZAoSz0
『商人ギルド_大部屋』
ガチャリ バタン
商人「ちょっと散らかってるけど好きに使って良いよ」
狼女「この部屋…一人で使ってるの?」
商人「今はね?どうして?」
狼女「知った匂いが残ってる…盗賊…女海賊…魔女…他にも」
商人「良く分かるねぇ」
狼女「今何処に居るか教えて」
商人「それは僕も知りたい」
狼女「隠しても無駄…だって匂いが残ってるし」
商人「う〜ん…ここに来てたのはもう何年も前だよ…僕も行方を捜してるんだ」
狼女「困ったなぁ…アサシンが機嫌を損ねる」
商人「察するにアサシンのお使いでこっちに来たんだね?」
狼女「そうよ…公爵の変化が見破れなくて政治的に追い詰められてる…これで理解出来る?」
商人「う〜ん…盗賊ギルドは今どんな感じ?あまり情報が流れて来なくてさ」
シャ・バクダは寒冷化で住みづらくなって盗賊ギルドは撤収
拠点をセントラルに移したものの支持母体がフィン・イッシュだという事が何処からかリークして監視が厳しくなった
貴族達は資金の面から盗賊ギルドとは縁を切れず裏で繋がりを持ったまま
貴族同士の押し引きの裏で私達が暗躍する立場ね
647 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:13:12.05 ID:c2KZAoSz0
商人「昔と変わり無しって事か…」
狼女「アサシンは公爵の暗殺に躍起になっているけれど中々尻尾を掴まえられなくてね…」
商人「君は匂いで見分けられないのかい?」
狼女「匂いも丸ごと変化してるからダメなの」
商人「なるほどね…政治的に追い詰められてるって言うのは?」
狼女「海洋で覇権を持ってる海賊達の半数が豪族を名乗ってセントラル側に付いて居るのよ」
商人「それは知ってる」
狼女「フィン・イッシュは海軍力を大幅に縮小したから海ではセントラルに勝てない」
商人「専守防衛の立場を変えて無きゃあまり関係無いんじゃない?」
狼女「外海が無ければそうね…でもセントラルは外海に進出しようとしてる」
商人「外海に拠点を作られると2方面から攻められる?」
狼女「そう…そして外海に遠征しているのが公爵の下に居る髭男爵」
商人「北の大陸の戦争はまだまだ長引くという事か…」
狼女「外海進出を各国が競っている状況よ…フィン・イッシュはもう出遅れている」
商人「ちょっと待って…政治的な話から逸れてるよ」
狼女「盗賊ギルドの支持母体がフィン・イッシュ…内海と外海の両方を抑えられた時点で資金は全部抑えられたも同じ」
商人「そこはキ・カイと貿易協定を結べば…」
狼女「フフ…さて公爵は何処に居ると思う?」
商人「なるほど…全部公爵にコントロールされてるのか」
狼女「だから変化を見破れるかも知れない魔女の協力が欲しいの…シン・リーンからの協力の件もね」
商人「残念だけど魔女とはいくら貝殻を使っても連絡が取れないんだ…女戦士が知ってたりしないかな?」
狼女「幽霊船は簡単に連絡取れなくって…」
商人「ハハ僕の方も同じだ」
狼女「ねぇ?今日一晩休んだら海士島に戻るからお金頂戴」
商人「頂戴?君はハッキリ物事を言うんだね…まぁ帰るお金は融通しても良いけどもう少しゆっくりしたら良いじゃない」
狼女「アサシンと待ち合わせてるんだ…遅れたりすると置いてきぼり食らうんだよ」
商人「それは切実だねぇ…実はさ…僕も君にちょっとお願いが有るんだよ」
狼女「何?貸しを作ったままじゃ気持ち悪いから聞いてあげるよ」
648 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:14:26.66 ID:c2KZAoSz0
『作戦』
商人「君はウェアウルフに変身が出来るよね?」
狼女「ま…まぁ…」
商人「結論から言うとウェアウルフになって街で大暴れして欲しいんだ」
狼女「死人が出るよ?」
商人「そこはほどほどにやって貰うとして…その目的は混乱に乗じて孤児たちを商船で移送したいんだ」
狼女「孤児?なんで?何処に移送?」
商人「まぁ色々有ってね…兎に角孤児たちをフィン・イッシュで保護して欲しいんだよ」
狼女「暴れるのは簡単だけど…元の姿に戻るときに問題が…」
商人「裸で寝てしまうんでしょ?そこは何とかする」
狼女「う〜ん…」
商人「キ・カイの地上で暴れるとみんな地下の方に避難を始める筈なんだ…その間に孤児たちを船に乗せる」
狼女「私はその後どうするの?」
商人「波戸場にコンテナを用意しておくから最後にその中で寝てしまって良い…船に積んでそのまま出港さ」
狼女「なるほど簡単そうね」
商人「今はオークとの戦争でキラーマシンの数も少ないから中々出てこない筈」
狼女「誰も食べないなら1時間くらいで元に戻っちゃう…それまでに避難終わるかな?」
商人「短いな…殺さない程度に生き血を啜るとか…もう少し時間稼げないかい?」
狼女「生き血…ぅぅぅ」ジュルリ
商人「どうにかして2時間くらい稼いで…あとは何とかする」
狼女「分かった…やる!!」グルル
商人「フフ君は分かりやすいな…興奮してるな?」
狼女「いつやる?今日?」
商人「船の手配が必要になる…明日の夕方でどう?」
649 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:15:54.08 ID:c2KZAoSz0
『夜』
ガチャリ バタン
影武者「お連れしました…」
商人「手間を取らせたね」
影武者「いえ…」
商人「ガレオン級の商船は手配出来そうかい?」
影武者「丁度物流が滞っていたのでなんとかなりました」
商人「それを聞いて安心した」
影武者「…では失礼します」ペコリ
スタスタ ガチャリ バタン
情報屋「話は影武者に聞いたわ…わざわざ孤児達を移送する理由が良く分からないけれど…」
商人「孤児たちを守る為さ」
情報屋「守る?割と安全だわ?」
商人「孤児を引き取った里親が誰なのか…」
情報屋「何度も言うけれど政府は開示してくれないの…でも幸せに暮らしてるって…」
商人「本当かい?」ギロリ
情報屋「どうしたの?そんな怖い顔をして?」
商人「君には本当の事を教えておこうかな」
情報屋「あなたあの子たちの行先知って居るの?」
商人「ズバリ言うよ…脳だけ摘出されてキラーマシン改に搭載されてる」
情報屋「え!!?」
商人「キラーマシン改が量産された時期と推定台数…孤児院から引き取られた子供たちの数がほぼ一緒さ」
情報屋「そんな…」ボーゼン
商人「10歳前後の子供の脳が一番機械化に適合するという研究調書も入手した…これは偶然だと思うかい?」
情報屋「証拠は?…」
商人「あるよ…僕の隠し部屋にね…孤児院に居た子供たちの誰かの脳だ」
タッタッタ…
650 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:16:55.55 ID:c2KZAoSz0
商人「ハッ!!…ぁぁぁしまった声が大きかった…影武者に聞かれたな」
情報屋「信じられない…」
商人「これも教えて置いてあげる…君の息子は1年前から言う事を聞かなくなったね?」
情報屋「…」
商人「仲良くしてた孤児院の子供が政府に引き取られた後からだ…恐らく何か知ってる…だからギャングに居るんだよ」
情報屋「商人や私から距離を置くようになったのはそのせい?」
商人「先月キラーマシン改を確保するのを手伝ってくれたのはギャング達だよ…そこに君の子も居た」
情報屋「あの子…」
商人「彼は盗賊の血を引いてる…察するに一人で友達の行先を確かめて色々知ったのさ」
情報屋「まだ8歳の子供なのに…」
商人「まぁ…そういう事情で僕はもう孤児たちを政府の好きな様にはさせないつもりだよ」
ムクリ シュタッ
狼女「グルルルル…」
商人「なんだ起きてたのか」
情報屋「リカオンさんお久しぶり…」
狼女「キラーマシンもぶっ壊して頭を持って帰って来れば良いんだね?」
商人「あぁぁ残念だけどキ・カイに残ってるのは旧式なんだ…新型はみんな戦地に行ってる筈」
狼女「なんかすっごくイライラする…」
商人「その分明日大暴れしてよ」
651 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:18:31.54 ID:c2KZAoSz0
『隠し部屋』
うぅぅ…ぅぅぅ…
影武者「うっ…くぅぅぅ…」ギュゥゥゥ
商人「影武者…気持ちは分かる…でも変な考えは起こさない様に」
影武者「は…はい…」ポロポロ
商人「まさか僕達が孤児たちを売っている立場になって居たなんてね…僕も腹が収まらない」グググ
情報屋「この事実を知って居る人はどの位居るの?」
商人「さぁね?少なくとも君の息子はある程度知ってる筈…だから大人の言う事を一切聞かなくなった」
情報屋「私があの子の友達を政府に売っていると思われて居たのね…」
商人「…」
商人「影武者…君はギャング達へのパイプ役として重要な立ち位置になっているのは自覚してるね?」
影武者「はい…」
商人「孤児院が無くなった後に政府はどう動くか予測出来るかい?」
影武者「ギャングの子供を拉致…」
情報屋「ちょっと待って…地下で生活してるギャング達も一緒に移送しましょう…ガレオン船なら乗れる筈…」
商人「それは多分無理さ…彼らは大人と戦ってるんだ…言う事聞く訳無い」
情報屋「無理やりにでも…」
商人「ダメだよそれでは…彼らの事をもっと尊重しなきゃダメだ」
情報屋「放置してるとギャングの子供達もキラーマシンにされてしまう…そんなの放って置けない」
商人「影武者…君がキーマンになる…僕のお金は自由に使って貰って構わない…分かるね?」
情報屋「どうする気?」
商人「戦うんだよ…自分の身は自分で守れる様に武器と…場所と…資金を上手く支援出来れば良い」
情報屋「まだ子供なのよ?」
商人「そんなだから君の息子は離れて行ってしまったんだ…認めてあげよう」
情報屋「…」
商人「影武者…君に掛かってる…上手くギャング達を導いてあげるんだ」
影武者「分かりました…」
商人「そうそう…くれぐれもキラーマシン改から友達を救う様な動きはさせない様に」
影武者「…」グググ
商人「その役は僕達大人がキッチリと片を付ける…それまで我慢するんだ」
影武者「はい…」
652 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:19:58.06 ID:c2KZAoSz0
『商人ギルド_屋上』
ヒュゥゥゥ… ヒラヒラ
情報屋「…」
商人「冷えると思ったら…雪か」
情報屋「商人…横にならなくて?」
商人「フッ…分かって居るだろう?」
情報屋「あ…ゴメン…不死者だったわね」
商人「君の方こそ真実を知って堪えたかい?」
情報屋「そうね…私が子供達の手を引いて政府に引き渡したんだもの…里親が誰なのかしっかり確認もしないで…」
商人「済んだ話さ…考えるだけ心がすり減るから無駄だよ」
情報屋「もう取り返しが付かない…あの子に説明する顔も無いわ」ギュゥ
商人「!?それは?…もしかして君の息子から貰った物?」
情報屋「そう…良く笑う優しい子だったの」
商人「そっか…そうそう影武者から聞いた話なんだけど…ギャングの子供達の構成…聞きたい?」
情報屋「教えて?」
リーダーはハーフオークの女の子…姉御って呼ばれてるらしい
その下に悪ガキが何人かいて君の息子はその一人さ
小さいのに絶対負けを認めなくてリーダーに一目置かれてる様だよ
ギャングの中ではちゃんと役割が決まってて
偵察役、囮役、実行役…僕らが思うよりずっと賢くてちゃんと組織になってる
情報屋「沢山仲間が居るのね?」
商人「フフ…まぁそうだよ」
情報屋「ねぇ商人?…私は母親失格だったかな?」
商人「良い母親がどんななのか僕は良く分からないなぁ…う〜ん愛って何なのか知った時に母親を想う」
情報屋「想う?」
商人「うん…離別でもそれを許容した愛に気付く時がある」
情報屋「難しい事言うのね」
商人「僕の場合母さんが死んだ時に母さんが残した言葉や想いが愛だったことに気付いた…それが良い母親なのかなってさ」
情報屋「私はあの子に何か残せてるかしら…」
商人「ちゃんと通じてると思うな…愛ってそういう物だと思う」
情報屋「少し心が落ち着いたわ…ありがとう」
653 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:20:53.54 ID:c2KZAoSz0
『翌日』
情報屋は事が起きるまで孤児院で待機して欲しい
子供達を避難させるルートは外壁を沿って商船まで直行だ
影武者は娘達と一緒に地下の商人ギルド支店の方に避難
僕はこれから軍隊が動きにくい様に色々工作してくる…
情報屋「荷物をまとめて船に積みたいのだけれど…」
商人「騒ぎが起きるのは夕方さ…それまでに間に合うなら先に商船に荷物を載せて構わない」
狼女「私は夕方まで待機?」
商人「君は一緒に来てもらう…工作に君が引っかからない様にあらかじめ教えておきたい」
狼女「工作ってどんな?」
商人「罠だよ…橋げたが落ちるとかロープに絡まるとか…」
狼女「なるほど…確かにそういうの苦手かもしれない」
商人「じゃぁ最後に影武者…僕はしばらく留守にするからその間君が闇商人だ…後は頼む」
影武者「わかりました」
情報屋「これでもう夜まで顔を合わさない?」
商人「そうなるね」
情報屋「分かったわ…」
商人「じゃぁ狼女…行こう」タッタッタ
--------------
情報屋「影武者さん?お願いがあるのだけれど…」
影武者「何かな?」
情報屋「手紙を書くから私の息子に渡して欲しいの」
影武者「構わないよ」
情報屋「少し待ってて…」
影武者「商人ギルドのカウンターに居るから書き終わったら持って来て」
情報屋「フフ…あなた商人の前でも同じように喋れば良いのに」
影武者「一応主従関係は守っているのさ」
654 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:21:31.04 ID:c2KZAoSz0
『街路』
ワイワイ ガヤガヤ
商人「僕は普段から逃走用に色々罠を張ってるんだよ…それを教えて置く」
狼女「へぇ?」
ここの石は踏むと落ちる…
この井戸は向こう側に繋がってる…
この樽を落とすと下まで転がって爆発する仕組みさ
狼女「これあちこちに有るの?」
商人「そうだよ」
狼女「どのくらいの衛兵が出て来る見込み?」
商人「直ぐに出て来るのは10人程度さ…武装も大した事無い」
狼女「軍隊は?」
商人「キラーマシンは足が遅いから君なら楽勝だよ…問題は特殊な兵器を持った人間」
狼女「特殊というと?」
商人「女海賊が持ってたインドラの銃を知ってるかい?」
狼女「話には聞いた…それを使って来るという事?」
商人「…かも知れない」
狼女「音とか匂いに特徴は?」
商人「う〜ん…説明出来ないな…兎に角見た事の無い爆発が起きたらマズイと思った方が良い」
狼女「夜に遠距離攻撃が私に当たるとは思えないけどね」
商人「お!?そうか…明かりを消して置けば良いんだね?」
狼女「それならずっと私のターン」
商人「ランプに水を入れて置くだけの簡単な仕事だ…今からやる」
--------------
--------------
--------------
655 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:21:56.68 ID:c2KZAoSz0
『日暮れ_商船』
ザブン ギシギシ
船乗り「密航者…まだ来無ぇんだが…」
商人「そろそろだよ…出航の準備始めて良いよ」
船乗り「お前等ぁぁぁ!!碇を上げておけぇぇ」
野郎共「へ〜い!!えっさほいさ!!」
ピーーーーーーー
船乗り「んんん?街の方が何か騒がしいな?」
商人「ハハどうしたんだろうね?」
船乗り「暗くなってきて良く見えんな…」
野郎共「コンテナが一つ荷入れ終わっていやせんがまだ入れんで良いんすか?」
商人「あぁぁ入れるタイミングは僕が言うからもう少し待って」
船乗り「俺らは何も知らんかったで通る荷なんだろうな?」
商人「大丈夫さ…今まで商人ギルドが手配した物にマズイ物なんか有った事無いでしょ?」
船乗り「まぁそうだな…金は貰ってる訳だから文句は言うめぇ」
『数分後_隣の大型船』
ドタドタ ドタドタ
豪族の男「お前等ぁ!!仕事だぁ!!武器持って集まれ!!」
ごろつき「おうよ!!」スラーン
豪族の男「害獣駆逐を装って軍隊の武器かっぱらうぞ」
ごろつき「噂のやつだな?」
豪族の男「アレをセントラルに持って行きゃ領地分与間違い無ぇ…来い!!」ダダダ
ごろつき「うぉぉぉぉ」ドタドタ
656 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:22:37.03 ID:c2KZAoSz0
『商船』
ギシギシ
商人「…」---伏兵か…これはゴチャゴチャになる---
船乗り「街で何が起こってんだ?」キョロ
ドーン パラパラ
船乗り「うぉ!!何だぁ?」
商人「ちぃぃ…暗くてどうなってるか分からないな」
船乗り「早い所出港しないと船が巻き込まれそうだ…」
タッタッタ
情報屋「商人!!作戦変更よ!!はぁはぁ…」
商人「情報屋!!どういう事だい?」
情報屋「何処かに睡眠魔法を使う人が紛れててリカオンが苦戦してるの…ハァハァ」
商人「なんだって!!?」ダダ
情報屋「自分に噛みつきながらなんとか戦ってる…リカオンを撤退させないと」
商人「子供達は?」
情報屋「もう直ぐ此処に来るわ」
商人「睡眠魔法…僕は寝ない…僕が行って来る」
情報屋「街道の井戸の辺り…行ってあげて」
商人「キラーマシンは出てる?」
情報屋「まだ出てない…でもクロスボウが飛び回っているから気を付けて」
商人「こっちは君に任せる」ダダダ
情報屋「任せて」
657 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:23:19.71 ID:c2KZAoSz0
『街道』
路地裏をくまなく探せぇ!!
屋根に上っているかも知れん!!
商人「…この辺で隠れるとしたら井戸だ…」ブツブツ
兵隊「おいお前!!この辺に魔物が潜んで居るから避難しろぉ!!」
商人「あぁ…連れを探しているんだ」
兵隊「状況を分かって居ないのかお前は!!」グイ
商人「隠れれば良いんだね?放して欲しい」
兵隊「分かったらサッサと行くんだ」
商人「井戸の中に…」スタ
兵隊「そこから動くな!?」
商人「うん…」
『井戸の奥』
グルルル フゥ…フゥ
商人「やっぱり此処に居たか…エリクサーがある…一口飲んで」クイ
ウェアウルフ「話が違う…魔法使うなんて」フラフラ
商人「刺さったボルト抜くよ?」
ウェアウルフ「自分で抜ける…」ズボ ダラダラ
商人「出血酷いな」
ウェアウルフ「もっとエリクサー頂戴…正気失うかも」
商人「飲ませにくいな…元の姿に戻れる?」
ウェアウルフ「寝てしまって良いの?」
商人「大丈夫…背負って行くよ」
ウェアウルフ「分かった…ちょっと寝る…失血で気持ち悪い」グター
商人「こんな風に体が変化して行くのか…すごいな」
ウェアウルフ「…」グッタリ
商人「さて…よっこら…アレ?割と軽いな」
商人「なんだエルフとかドワーフとは違うのか」ヨタヨタ
ウェアウルフ「グルル…」ブシュー
商人「動かすと血が出てしまうか…先に止血しよう」グイ グイ ギュー
商人「流石に裸のまま背負って行くのもマズいな…仕方ない」ファサ
商人「さぁ急いで此処を離れよう…」ヨタヨタ
658 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:24:04.33 ID:c2KZAoSz0
『街道』
倒れている者を建屋の中に引きずり入れろぉ!!
こっちはダメだぁ!!火の手が回る
商人「…」ヨタヨタ
兵隊「お前!!隠れて居ろと言っただろう!!」
商人「連れを手当しないと死んでしまう…行かせて」ヨタヨタ
兵隊「怪我をしているのか?」
商人「商船に行けば薬と船医が居る筈…だから行かせて」ヨタヨタ
兵隊「そ…そうか…後ろは見張っててやる!!急いで行け!!」
ピーーーーーーーー 敵襲! 敵襲!
兵隊「ええい!!向こうか!!おいお前!!走れ!!」
商人「分かってるさ…」ヨタヨタ
兵隊「ちぃぃぃ手間のかかる奴だ…ハッ!!お…お前…その顔は」
商人「白狼の一味の人相書きに似てる?ハハ良く言われるんだ…でも違うよ」
兵隊「そ…そうか」タジ
商人「今はそんな事話してる場合じゃ無い…僕は連れを助けたいから行かせて貰う」ヨタヨタ
兵隊「早く行け!!」
商人「気にかけて貰って悪いね…じゃぁ」ヨタヨタ
659 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:24:51.99 ID:c2KZAoSz0
『商船』
ザブン ギシギシ
情報屋「商人!!無事ね?」タッタッタ
商人「うん…出航しよう」ヨッコラ
情報屋「船乗りさん船を出して!!行先は海士島経由でフィン・イッシュ」
船乗り「おうよ!!お前等ぁぁぁ!!帆を張れぇぇ」
野郎共「へ〜い!!えっさほいさ!!」
商人「リカオンに手当てが必要だ…船医を呼んで」
情報屋「ダメ…普通の体では無いから私達で対処しないといけない」
商人「そうなんだ?」
情報屋「犬に玉ねぎを食べさせてはいけないのと同じよ…私達とは違うの」
商人「なるほど…エリクサーがあと少ししか無いんだけど」
情報屋「大丈夫…私の血を飲ませれば良くなる筈だから」
商人「あぁそういう事か…皆から少しづつ血を分けて貰えば良いか」
ドーン
情報屋「爆発?兵隊達は何と戦って?」
商人「豪族がどさくさに略奪を画策してる様なんだ…僕達にしたら都合が良い」
情報屋「そう…」トーイメ
商人「ギャングの事が心配かい?」
情報屋「きっと大丈夫…そうよね?」
商人「一人じゃ無いから」
情報屋「そうね…さて!!私達も仲間を助けましょう!!針と糸を用意してもらって?」
商人「貰って来るよ」スック
660 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:25:25.61 ID:c2KZAoSz0
『埠頭の外れ』
ザブン ザザー
オークの子「会わなくて良かったのかい?」
悪ガキ「…」ジー
オークの子「まぁ良いや…帰るよ」
悪ガキ「…」スチャ
オークの子「ん?どうしたんだよそのダガー」
悪ガキ「形見だって母さんが残して行った」
オークの子「形見?誰の?」
悪ガキ「父さん」
オークの子「父さんが誰なのか教えてくれたのか?」
悪ガキ「うん…母さんは行方不明の父さんを探しに行ったんだ」
オークの子「へぇ?…で?どこのどいつ?」
悪ガキ「秘密だよ」
オークの子「もったいぶんなよ!」
悪ガキ「秘密にするって約束なんだ」
オークの子「フン!!帰るよ」
悪ガキ「僕の道…母さんの道…次はいつ交わるかな…」
オークの子「おっぱいが恋しいか?」
悪ガキ「そんなんじゃねぇ!!」
オークの子「小さい子が待ってんだ!!早く帰るよ!!」グイ
悪ガキ「…」ジー
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661 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:26:15.23 ID:c2KZAoSz0
『商船_客室』
ユラ〜 ギシギシ
商人「リカオンに悪い事したな…傷の縫い目…治るかな?」
情報屋「どうかしら?顔じゃ無かったのが幸いね」
商人「…これ使ってよ」スッ
情報屋「賢者の石ね…丁度良かった」
商人「それにしてもキ・カイに魔術師が居たなんて…侮ってた」
情報屋「黒の同胞がまだ紛れているのかも…」
商人「公爵が化けている可能性は考えて居たんだ…特に機械化の大臣が怪しい」
情報屋「もしかすると変化の杖以外にまどろみの杖を持って居るのかも知れない」
商人「杖か…なるほど」
情報屋「さて…治療は終わり」スック
商人「まぁ無事に出港出来てとりあえず結果オーライか」
情報屋「商人に見てもらいたい資料が有るのだけれど」
商人「何かな?」
情報屋「例のリヴァイアサンを乗せて来た船の航海日誌の件よ」
商人「おぉ!!それも調査出来たんだね」
情報屋「軍の重要機密だったけれど少しづつ写したのよ」
商人「見たいな…」
情報屋「待って…持ってくるから」タッタ
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662 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:27:01.50 ID:c2KZAoSz0
バサッ
商人「これは4000年前の地軸変動以前の世界地図だね?」
情報屋「印が打ってある場所が古代遺跡のある場所よ…大体そこに新しい国が出来上がってる」
商人「これが関係する?」
情報屋「この地図に未来君の壁画から読み取ったフィン・イッシュ沖の地図を追加するとこうなる…」カキカキ
商人「ふむ…外海は巨大な海だ」
情報屋「そして航海日誌にも海図が記されて居て…そこから読み取るとこの場所…」
商人「島?」
情報屋「地図をひっくり返して現在の地図と比較してみるとその島は未踏の地に位置する」
商人「北極圏か…じゃぁリヴァイアサンはそこから連れて来たのか」
情報屋「そうなるわね…そしてそこに古代遺跡が在るらしいのよ」
商人「なるほど分かったぞ!この間キ・カイの軍船が船団組んで出て行ったのはソコを目指してるのか」
情報屋「きっとそうよ」
商人「まさか君はそこに行こうとしてる?」
情報屋「魔女達も其処に行ったのかと…」
商人「僕達だけじゃ無理だろうなぁ…女戦士の幽霊船ならもしかすると行けるかもしれないけれど…」
情報屋「まだ情報があるの…未来君の壁画とフィン・イッシュに伝わる龍神伝説から鑑みて未来君も其処に行ってる筈」
商人「ふむ…でも外海をどうやって移動してたんだろう?」
情報屋「クジラに乗った画が有るでしょう?」
商人「ハハクジラに乗って外海を自由に移動して居た?真似は出来ないなぁ」
情報屋「まだ情報を沢山まとめてあるのよ…これも見て」パサ
商人「ちょっと待った…ゆっくり一つづつ見て行く」
コレハアレデ…アレハコレデ…
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663 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:37:07.66 ID:c2KZAoSz0
『1時間後』
2100年前に初めて時の王と出会う…その後時の王は永遠の命を得て世界を平定
未来君はこの時現代へ戻る事を試みて400年遡った
そして今から1700年前に時の王と再会を果たす
でも魔王を葬る為に量子転移を使い又時空を飛んでしまった…行き先は2400年前
一方…時の王は未来君が過去に戻ってしまった事を知らず再度再開を待ち続けた
次に会ったのは1400年前…でも未来君には何の事か分からない
情報屋「生きた時間が交差し続けた事ですれ違いが起きたのね…」
商人「なるほど…今の仮説通りに進んだとすると全部辻褄が合うのか」
情報屋「この仮説を前提に考えると未来君は時の王が言ってた暁の使徒よ…時の王の話と完全に一致するわ」
商人「つまり暁の使徒の行先を追えば良いのか」
情報屋「シン・リーンには暁の使徒を安置している墓所があるらしいのよ」
商人「じゃぁ魔女に話を聞かないとね」
情報屋「まず魔女を探さないといけない」
商人「外海調査の件でフィン・イッシュが他の国に出遅れているらしい…女王に協力をお願いしてみるかな」
情報屋「その言葉が聞きたかったわ」
商人「でもどうして何年も行方不明になって居ると思う?」
情報屋「伝説が本当だったとすると時の砂を使ってしまったのかも知れない…」
商人「未来君と同じなら何百年も未来じゃないと見つからないのかもねぇ…」
664 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:38:05.91 ID:c2KZAoSz0
『翌日』
フムフム…
情報屋「まだ私の調書を読んで居るの?」
商人「うん…もっと早くこの情報が知りたかったなぁ」
情報屋「どの部分?」
商人「全部さ…特にキ・カイ周辺で新しく発見された古代遺跡の件」
情報屋「あら?知って居るかと思っていたわ」
商人「ホムンクルスを蘇らせる為のエネルギーを探していると言ってたじゃないか」
情報屋「言い出さないから何か考えがあるのかと…」
商人「まぁ…場所が分かったとして探しに行けるかどうか分からないんだけどさ…盗賊が居たらなぁ…」
情報屋「あの人…直ぐに戻ると言って居たのに…」
商人「この間見たインドラの銃はどうせ遺跡から発見された物だよね」
情報屋「きっとそうね…軍の最高機密だから私は知らなかった」
商人「他のホムンクルスとか発見されてるかも知れないなぁ」
情報屋「あら?ホムンクルスの生体が残されている数はホムンクルスが把握して居たのでは?」
商人「あ…そうだったね…キ・カイ周辺には無いと言ってたか」
情報屋「生体の部品ならもしかしたら発掘されて居るかもしれないわね」
商人「だとすると事情を知ってる僕達の方が先を行ってるか」
情報屋「そうそう…例のインドラの銃」
商人「ん?」
情報屋「女海賊が持って居る物と原理が違うと思うわ」
商人「どうして?」
情報屋「発射された光が眼で追えるから高密度の光では無いと思う…多分高密度の電気とかプラズマの類ね」
商人「あぁぁぁそう言えばそうだね…インドラの光は発射が見えない」
情報屋「それでも兵器としては驚異になる」
商人「ハハーン…分かったぞ」
情報屋「??」ハテ?
商人「リヴァイアサンを捕獲したかった理由だよ…高密度のエネルギー源が欲しかったのかなと」
情報屋「捕獲出来たとしても扱えるとは思えない…逃げられて良かったと思うわ」
商人「ふむふむ…キ・カイの弱点はエネルギーだな…魔石流通を握れば僕の勝ちか」
情報屋「関税が上がったのでは?」
商人「そうだね…流通が縮小する…自業自得さ」
665 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:38:43.61 ID:c2KZAoSz0
『甲板』
ザブ〜ン ユラ〜
情報屋「大丈夫?歩ける?」
狼女「風に当たりたい…おえっ」ウップ
商人「あ!!体は平気?」
狼女「誰の血か知らないけど腐った血を飲んじゃった…おぇぇぇぇ」ウゲー
情報屋「抜いた血じゃダメだったのね…」
商人「生き血じゃ無いとダメか…困ったね」
情報屋「なんだか随分瘦せた気が…」
狼女「そういう体質」
商人「ゴメンね無理させちゃって」
狼女「丁度アサシンから痩せろと言われてたんだ…今を維持する」
商人「あと一口エリクサーあるよ…要るかい?」
狼女「要る…頂戴」
商人「海士島に到着したら又買い入れてあげるよ」ポイ
狼女「私どのくらい寝てた?」
商人「1日くらい?まぁ海士島まではまだまだ掛かるからゆっくり休むと良いさ」
狼女「!!?」クンクン
商人「ん?何か匂う?」
狼女「なんだろうこの感じ…下に何か居る気がする」シュタタ
船乗り「で…出たぁぁ…あわわわ…ク…クラーケンやぁぁ!!」アタフタ
情報屋「ええ!!?」ダダ
商人「ちょ…」ダダ
情報屋「船の下に大きな影…」
狼女「これ沈没の危機?」
情報屋「分かったわ…クラーケンは様子を見てる…孤児の中にハーフオークが居るから」
商人「そういう事か…じゃぁ逆に安全かも知れない」
情報屋「昔にもこんな事有ったわね…船乗りさん慌てなくて大丈夫!襲って来ないから」
船乗り「慌てるも何もどうする事も出来んわい!!」
商人「去るのを待つだね…」
ザブ〜ン ギシギシ
おぉぉぉデカイ
襲って来んのんかぁ?
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666 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:39:27.26 ID:c2KZAoSz0
『船首』
ユラ〜 ザブ〜ン
狼女「ヒマ…」
商人「顔色良くなったね」
狼女「何してるの?」
商人「貝殻聞いてるのさ」
狼女「その貝殻は魔女と会話出来ると言う奴?」
商人「そうだよ」
狼女「何か聞こえる?」
商人「波の音…それからカサカサ動くカニの足音かな?」
狼女「アサシンも同じ事言ってたよ…本当に会話出来るの?」
商人「繋がってる筈…だったんだけど今はもう…」
狼女「魔女としか繋がらないと言うのがダメダメだね」
商人「まぁ…そういう貝殻だからさ…仕方ない」
狼女「私耳も良く聞こえるんだ…貸して」
商人「良いよ…海に落とさないでね」ポイ
狼女「どれどれ…」パス
商人「どう?」
狼女「ふむ…波の音…」
海流が早くてぶつかり合う海…
貝が呼吸する音が無いから寒い海…
カサカサする足音は8本足…それは何匹も居る
あ…他にも虫の羽音がする…ミツバチの羽音
商人「ちょっと待った…それって飛空艇の中だな…8本足はアラクネーだ」
狼女「匂いは届かないみたい…」クンクン
商人「何処の海なのか特定出来ないかい?」
狼女「ヒマだからもう少し聞いてみる」
うっすら浅い雪が遠くの音を消してる…
葉っぱのこすれる音が無いから木や植物は殆ど生えて居ない
直ぐ近くに音を遮る大きな建物の様な物がある…なんだろう?複雑な形
667 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:40:19.49 ID:c2KZAoSz0
『居室』
ガチャリ バタン
情報屋「どうしたの?何か有った?」
商人「魔女の居場所が分かるかもしれない…地図借りるよ」パサ
情報屋「急にどういう事?」
商人「耳の良いリカオンに貝殻の音を聴いてもらったら色々分かった事が有る」
情報屋「魔女と通じてるの?」
商人「結論から言う…どうやら飛空艇は海岸の何処かで漂着してる」
情報屋「そんな…」
商人「女海賊は飛空艇を必ず狭間に隠す筈なんだ…それをやってない…つまり何処かに漂着してる」
情報屋「それって3人共既に…」
商人「考えたく無いけど貝殻から聞こえる音からそう読み取れるんだ」
情報屋「波の音がすると言うのは…」
商人「何年も前からその状態のままなのさ…てっきり貝殻を何処かに落としたのかと思ってた」
情報屋「どうして波の音から飛空艇があると分かるの?」
商人「僕がカニの足音だと思ってた音はどうやらアラクネーなのさ…ミツバチの羽音も聞こえるらしい」
情報屋「あぁ…なんかザワつく…あの人がもう死んでるなんて考えたく無い」
商人「地図…借りて行くよ」
情報屋「私も行くわ」
668 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:40:50.14 ID:c2KZAoSz0
『船首』
カキカキ
商人「んぁぁ…音だけの情報で場所の特定なんか出来る訳無いか」
狼女「季節が変わればもう少し違った音も聞こえるかもしれないよ」
情報屋「そこは大陸だとか島だとか…そういうのは判断できないの?」
狼女「生き物の音がもう少し聞こえればもしかしたら判断出来るかも」
商人「今分かるのは恐らく南の大陸の何処か…北の大陸は雪が深いから」
情報屋「外海の側だともっと分からないわね」
商人「海に落ちて漂着したと考えるとある程度絞られる…」
情報屋「船乗りさんにも意見を聞いて来るわ…地図持っていくわね」タッタッタ
狼女「貝殻の音を聞いてるのは心地良い…良い暇つぶしだよ」
商人「なにか気付いたら又教えて」
『船長室』
海図をやすやす人に見せる物では無いんだが…
船乗り「ほーう?その地図は外海の側まで陸地を描いて居るのか…ふむ」
情報屋「交換条件でどう?」
船乗り「よし分かった!!貸してみろ…俺が知って居る範囲で海流を書き込んでやる」
情報屋「助かるわ…」
船乗り「季節によって変わるんだが…」
情報屋「全部知りたいわ」
船乗り「地図一枚では書き表せんな」
情報屋「じゃぁ新しく海図を起こすわ」
船乗り「それが良い…出来たら又持って来てくれ」
情報屋「分かったわ」
船乗り「それから今日は海が時化るから船室の中に入る様に伝えてくれ…測量の邪魔になるから船首に出るなともな」
情報屋「あぁ…邪魔になって居たのね…伝えておくわ」
669 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:42:12.23 ID:c2KZAoSz0
『居室』
ユラ〜〜リ ギシギシ
情報屋「商人仕事よ…この地図に描き込み切れないから同じものを複製するの」
商人「また地味な仕事を…」
情報屋「製図はあなた得意でしょう?」
商人「道具を何も持って来てないんだけどなぁ…」
情報屋「海流が書き込めるだけの簡単な地図で良いわ」
商人「1枚で良い?」
情報屋「季節によって変わるらしいから何枚か必要になると思うわ」
商人「まぁ何もやる事無かった所だし…書くかぁ…」
情報屋「お願いね…私はリカオンの気付きをもう少しまとめてみるから」
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670 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:42:45.28 ID:c2KZAoSz0
『数日後』
情報屋「海士島に到着したら子供達は一回船を降ろしても良いのね?」
商人「2日間停泊する予定だからそれまでに戻れば良いかな」
情報屋「暖かいから外で夜を明かしても良さそう」
商人「まぁ危ないから寝るのは船が良いでしょ」
情報屋「まとめて休める場所があれば良いのに…」
商人「教会があるけど他の人も沢山居るからねぇ…」
情報屋「リカオンはどうする予定?」
狼女「酒場に盗賊ギルドの連絡員が居るから状況聞いてから決める」
情報屋「連絡員は誰?」
商人「ハハ君はキ・カイで研究しっぱなしだから知らないのか」
情報屋「商人は知って居るの?」
商人「女狐だよ」
情報屋「あぁぁ…お金にガメツイ彼女が連絡員…フフ」
商人「向いてると思うけどね…良く世話になってる」
狼女「今はセントラルよりも海士島の方が情報集まるんだよ」
商人「だろうね?航海で必ず補給に寄る場所だしね」
情報屋「アサシンも海士島に来るのよね?」
狼女「その筈だけど…」
商人「アサシンは何しに来るんだろう?」
狼女「私が魔女の情報掴んでくる想定なんだと思う」
商人「一応掴んでいるじゃないか」
狼女「次の行き先が絞られて居ないのが…」
情報屋「限られた情報で絞り込むのは限界が有るわ…虱潰しに調べるしか無いわね」
商人「僕達は高速で移動する手段を持って居ないのがねぇ…」
情報屋「女戦士と連絡が取れれば良いのに」
商人「アレ?そういえば幽霊船が目撃されてる場所って…」
狼女「フィン・イッシュ沖の外海に出る海峡付近とか…ドワーフの国領の島々とか…」
商人「もしかして飛空艇がどこかに漂着してるのを僕達よりも先に気付いてたりしないか?」
情報屋「ありえるわ…」
671 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:43:19.90 ID:c2KZAoSz0
『海士島』
ガコン ガコ
船乗り「お前等ぁぁ!!碇を降ろせぇぇぇ!!」
野郎共「へ〜い!!えっさほいさ」ガラガラガラ
船乗り「降りて良いぞぉ!!」
わ〜い ウキャキャ
大きい子は小さい子の手を繋いでゆっくり降りて…
銀貨は一人1枚づつ…好きな物買って良いわ
商人「僕は少し物資調達してから酒場に行くけれど…君はどうする?」
情報屋「私は子供達を遠くから監視しておくわ」
商人「夜は船に戻って横になる…それで良いね?」
情報屋「わかったわ…何か有ったら船に戻るから」
商人「じゃぁリカオン!!一緒に行こう…君はお金を持って居ないよね」
狼女「エ…エリクサー欲しい…喉が渇いた」
-------------
『露店』
ワイワイ ガヤガヤ
狼女「あれ商人?あんた歩き方おかしくないか?」
商人「あぁコレね…足の骨が折れてるんだよ」ヒョコヒョコ
狼女「痛みが無いから無理をしても気付かないんだね」
商人「うん…エリクサーじゃ治らないのさ」
狼女「その体も不便だね」
商人「まぁ少しゾンビみたいな歩き方だけどそれ程不自由は無い」
狼女「そういえばアサシンは体傷めない様に注意してると言ってたな」
商人「僕は元々骨が細いからねぇ…もう少しマシな体だと良かったよ」
雑貨屋「黒死病に効く名薬は要らんかね〜?」
商人「お!?エリクサーは有るかな?」
雑貨屋「ほほーエリクサーをお求めとは…ちぃと値が張りますが?」
商人「産地は何処かな?」
雑貨屋「セントラル産でさぁ!」
商人「じゃぁ仕入れは1瓶10金貨だね…いくらで売るの?」
雑貨屋「う…お客さん人が悪いなぁ」
商人「ハハ冗談だよ15金貨で頼むよ」ジャラリ
雑貨屋「むむむ…仕方ない」
商人「ありがとね…リカオン?飲んで良いよ」ポイ
狼女「大事に飲むよ」チビリ ゴク
商人「寒冷化で大分高騰してる…でもこれでも安い方さ」
672 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:44:04.40 ID:c2KZAoSz0
『酒場』
ポロロン〜♪
マスター「いらっしゃいま…せ」
商人「やぁ!!久しぶり」
狼女「…」チラリ
マスター「奥の部屋へどうぞ…」
商人「いやカウンターで良いよ…空いてるじゃない」
マスター「いえ奥へ…」グイ
狼女「…」シラーー
商人「え?まぁ良いや…さっき付いたばっかりなんだ」
マスター「…」ギロリ グイ
商人「ハハ…参ったな」
『奥の部屋』
ガチャリ バタン
マスター(あなた堂々と店に入って来るってどういう神経してるの!!)ヒソ
商人(マズかった?)
マスター(あなたじゃない…そっちの狼女の方!)
狼女(ゴメゴメ…もう騒ぎ起こさないから)
商人(こっちの酒場でも何か起こしてるんだ…ハハ)
マスター(まだあの豪族海士島でうろついて居るから変装するとか少し気を使って!)
商人(まぁまぁ…そんなに長居するつもりは無いから勘弁してよ)
マスター(商人…この狼女はね…必ず酒場で揉め事起こすバカ女なのよ)
狼女「バカ女って何ヨ!!」ガタン
商人「ちょちょちょ…今揉め事起こさないって言ったばかりじゃ無いか」
狼女「フン!!」
商人「とりあえず何か飲もうか」
狼女「コブラ酒!!タンブラー2つ!!」プン
マスター「…」アゼン
商人「ハハ…まぁそれで良いや」
マスター「呆れた…」
狼女「ルールでしょう?」ニヤ
マスター「ぐぬぬ…後でお持ちします!!」スタ
ガチャリ バタン!!
673 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:44:42.99 ID:c2KZAoSz0
商人「怒ってるみたいだけど大丈夫?」
狼女「私も怒ってる」
商人「さっきのやり取りって何かの合図だよね?コブラ酒とか」
狼女「2人を保護しろっていう意味…女狐は私達2人を保護しなきゃいけない」
商人「なるほど…」
狼女「外ブラついてみる?」ニヤ
商人「まぁまぁ…大人しくして居ようか」---揉め事が起きる訳だ---
ヤレヤレ…
--------------
ガヤガヤ ウハハハハ
狼女「ふ〜ん…」
商人「ん?何?」
狼女「私は耳が良く聞こえるって言ったでしょう?」
商人「もしかして酒場で誰かが話してる内容が聞こえてる?」
狼女「そうよ…良い噂が聞こえて来た」
商人「気になるじゃ無いか…教えてよ」
狼女「幽霊船が近くで目撃されて居るらしい」
商人「おぉ!!」
狼女「もしかすると補給で海士島に来るかもしれない」
商人「う〜ん…入れ違いになってしまいそうだ」
狼女「私はアサシンが来るまで海士島に残らなければならないから…会えたら事情を話して置く」
商人「いや…子供達さえ良ければ急いでフィン・イッシュに行く必要も無いんだ」
狼女「良い事思いついた!!子供達の人数分タンブラーを頼むのよ!!どう?」
商人「え!!?そんな事出来るのかい?匿う場所とか…食事代も掛るし手間だって」
狼女「あの女狐はね…お金を沢山貯め込んで居るのよ…何に使うか知らないけれど」
商人「…」
狼女「む…何か知ってる顔…」
商人「実は孤児院に送り主不明の寄付金が届いて来るんだ…もしかしてと思ってね」
狼女「まさか…あの女が寄付なんて」
商人「ふむふむ…よし…子供達の人数分タンブラーを頼んでみよう」
狼女「アハハあの女どんな顔するかな?盗賊ギルドで美人ナンバーワンが…ウフフフ」
商人「嫉妬かい?実力は君がナンバーワンだと思うんだけどなぁ」
ガチャリ バタン
674 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:45:19.90 ID:c2KZAoSz0
マスター「コブラ酒をどうぞ…」ポイ
狼女「あぶっ…」パス
マスター「はい…タンブラーはここに」ドン!!
商人「??」---メモ書き?---
”深夜に醸造蔵の裏で待つ”
マスター「ではごゆっくり」ギロリ
狼女「あぁぁちょっと待って!!タンブラー追加」ニヤ
マスター「いくつご入用でしょう?」シラー
狼女「30個」
マスター「なっ…」プルプル ググググ
狼女「…」ニコニコ
商人「まぁ…もういい加減にしなよ…マスターちょっと耳貸して…実はね」
ヒソヒソ ヒソヒソ
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675 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:46:04.42 ID:c2KZAoSz0
『商船』
ザブン ギシギシ
船乗り「もう帰って来たのか?」
商人「なかなか落ち着ける場所も無くてねぇ…」
船乗り「だろうな?豪族が幅を利かせて落ち着いて酒も飲めん」
商人「船の方がよほど落ち着く」
船乗り「掃除が済んだ所だから適当に甲板で休むと良い」
商人「そうするよ」
狼女「商人?お金頂戴」
商人「え?何に使うの?」
狼女「どうも顔を隠しておかないと自由に行動出来ないみたいだから…」
商人「フードが欲しいんだ?」
狼女「着替えも変えたい…血の汚れが落ちなくてさ…匂いが気になるんだ」
商人「ハハ匂い?鼻が利くとやっぱり気になるのか」
狼女「自分の血は臭くて気持ち悪いんだよ」
商人「そんなもんかねぇ?まぁ良いや…これだけ有れば足りるよね」ジャラリ
狼女「ありぃ!!ちょと買い物行って来る」シュタタ
商人「なかなかお金の掛かる子だ…アサシンが単独行動させたいのが分かる」
狼女「うるさいなぁ!!聞こえてるよ!!」クルリ
商人「小言も言えないか…」
676 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:47:02.50 ID:c2KZAoSz0
『夜』
ザザー ザブン
情報屋「ふぅ…やっと子供達寝たわ」
商人「面倒見…大変だったね」
情報屋「大きな子が殆どやってくれるけれど迷子になる子がどうしても居てね」
商人「みんな楽しめていたかい?」
情報屋「そうね…お金無くしたり色々あったけれど」
商人「ハハ精々30銀貨でしょ?僕は今日だけで30金貨ほど使ったよ…」
情報屋「エリクサーを買ったのでしょう?仕方ないわ」
商人「まぁリカオンを危険に晒した事を思えば安いか」
狼女「ああ!!そうだ…睡眠魔法を使った人」
商人「見たのかい?」
狼女「無詠唱だったんだよ…いきなり周りの人がフラフラ倒れて…」
情報屋「それはまどろみの杖で間違いなさそうね…」
商人「やっぱり公爵の線が強いね」
狼女「これアサシンに報告する重要な情報になりそう」
商人「変化の杖で姿を変えながら割と能動的に動いている感じだね」
狼女「多分…日数から考えて明日くらいに此処に来ててもおかしくない」
商人「…という事は子供達を人目に晒すのは僕達の行動を晒しているのと同じだなぁ」
情報屋「本当に厄介ね…」
商人「そこら辺も今晩女狐に話してみる」
情報屋「今晩?どういう話に?」
商人「彼女はセントラル側の諜報員という立場になっててね…簡単に情報交換出来ないのさ」
情報屋「酒場じゃない場所で会う訳ね」
商人「うん…どうもリカオンと相性も悪いみたいでね…まだ話を聞き出せてない」
狼女「あっちが私の事下に見てるんだよ!!」
商人「まぁまぁまぁ…実力は君の方が上なのは分かってる…耳も鼻も利くし戦闘もこなす」
狼女「…」
商人「2人が噛み合えばベストなんだけどね」
情報屋「私も会いに行って良いかしら?」
商人「僕とリカオンで会う話になっていたんだけど…どうかな?」
狼女「別に良いんじゃない?見知った顔なんだし」
情報屋「あぁ…やっぱり止めて置くわ…人数多いと他に怪しむ人が出て来るかもしれない」
商人「そうかい?」
情報屋「私も盗賊ギルドに居たから分かるのよ…予定変更されると面倒事に発展しやすいの」
商人「そうなんだ?まぁ…話は後で全部教えてあげるよ」
情報屋「わかったわ」
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677 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:48:11.81 ID:c2KZAoSz0
『深夜_醸造蔵の裏』
ゴトン
女狐「入って…」
商人「こんな所に隠し通路か…」
狼女「へぇ?上手く隠してる」
女狐「…」ギロ
商人「リカオンは初めて来たのか…」
狼女「ここは初めて…」
商人「なるほどね…こういう場所が複数有るという事か」
女狐「無駄口は止めて…早速本題…どうして孤児院の子供達を連れて来ているの?」
商人「うん…キ・カイに居ては危険だからだよ」
女狐「盗賊ギルドは託児所では無い…ギルドに利益が生まれる訳でもない…活動の妨げになるのは分かるでしょう?」
商人「お願いしているのはギルドでは無く君にお願いしているんだ」
女狐「状況分からないの?私は諜報員として此処に居るわ…子供の面倒なんか見れる訳無いでしょう」
商人「本当は僕がフィン・イッシュの女王に嘆願するつもりだったんだ」
女狐「それが一番良い」
商人「状況が変わってね…近くに幽霊船が来ている様だから海士島で待って見ようかと」
女狐「それとこれと話が別よ…あなたが面倒を見れば済む話」
商人「乗って来た船が明後日出港してしまうんだ」
女狐「他の船で行けば良いでしょう?」
商人「そうもいかない…公爵が追ってきた場合子供達を連れ歩いて動くと目立ってしまう」
女狐「公爵?どうして公爵が関係して?」
商人「初めから話さないと通じない様だね…」
678 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:49:28.23 ID:c2KZAoSz0
キ・カイではねここ数年でキラーマシン改を量産しているんだ
その頭部に孤児院の子供から摘出した脳を搭載してる…孤児院の子供なら居なくなっても誰も文句言わないからラクなんだよ
僕は子供達を守る為にキ・カイの孤児院から子供達を逃がしている所なのさ
でもキ・カイは子供の移送を阻もうとしている
その最中キ・カイ政府の中に公爵が潜んで居る事を突き止めた
万が一公爵が姿を変えて海士島に来た場合…簡単に僕達の行動がバレてしまう
商人「もしも子供の誰かに化けられた場合は全員見殺しにしないと僕らは逃げられない…」
女狐「子供達がキラーマシン改にされてるなんて…本当にそんな事が…」
商人「証拠はある…」
女狐「今までどのくらいの子供達が犠牲に?」ワナワナ
商人「50人は超えると思われる」
女狐「そんな…」ガク
商人「やっぱり君だね?孤児院への送り主不明の寄付は」
女狐「詮索しないで…」
商人「分かった聞かないよ…子供達を保護したい一方で幽霊船に乗る女戦士と接触する機会を不意にしたくない」
商人「だから君に協力をお願いしているのさ」
女狐「わ…分かったわ…何とかする」
商人「ほっ…良かったよ君に相談して」
女狐「乗って来た商船が出港するのは明後日ね?」
商人「うん」
女狐「どうにか密偵の仕事をフィン・イッシュに作って私が向こうの孤児院まで送り届ける」
商人「助かる」
女狐「その代わりあなたの署名で書き物を頼むわ」
商人「え?何だい?」
女狐「キ・カイから大量の硫黄をフィン・イッシュに密輸してる証拠となる書簡よ…闇商人の署名で」
商人「ほほーなるほどね?それを調べる目的を作る訳か…賢い」
狼女「ふ〜ん」チラリ
女狐「…」ギロ
女狐「ただこういうブラフを流してる事はフィン・イッシュ女王へ説明しておかないと後で問題になるわ」
商人「分かってるよ…戦争が終わらない原因になるね」
女狐「分かったら書簡を用意して」
679 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:50:18.63 ID:c2KZAoSz0
『翌日_商船』
ザブン ギシギシ
商人「…という訳で女狐に子供達の移送をお願いした」
情報屋「じゃぁ私達は船を降りて宿屋住まいね?」
商人「当分そうなるかな…今リカオンが宿屋に行ってくれてる」
情報屋「わたしは子供達に説明してくるわ…あと荷物もまとめなきゃ」
商人「まぁまだ間があるしゆっくりで…」
情報屋「幽霊船の件はその後情報無し?」
商人「女狐が言うには酒類の大量発注があったらしい…もしかするとそれが補給なのかも知れないって」
情報屋「海上で荷の載せ替えをするのね」
商人「また鼻が利くリカオン頼みになってしまう…酒の匂いを追う感じだよ」
情報屋「その輸送している船に忍び込むつもり?」
商人「んんん〜もし違った場合を考えるとリスク高いなぁ…」
情報屋「行動癖を考えると…女戦士は幽霊船から降りると考え難いわね…海士島には降りない」
商人「うん…動いてるのはきっとローグなんだろうけど行動が読めないねぇ」
情報屋「必ず酒場に寄るタイプでも無いものね…」
商人「補給ねぇ…水…食料…大砲は乗せて居ないから火薬は要らない…う〜ん」
情報屋「大量の酒類という情報だけで幽霊船と結びつけるのも危険よね…」
商人「下手に動くのもマズいか」
情報屋「情報を流布して誘って見ると言うのは?」
商人「ふむ…確認しに来たくなる情報…」
情報屋「白狼の盗賊は?」
商人「ダメだよ…偽物が多くて釣りにならない」
情報屋「なにか私達だけが知って居る事…」
商人「よし…漂着した飛空艇の回収作業できる人を募集してみよう」
情報屋「名案ね!!もし女戦士も探して居るとしたら食いつく可能性が高いわ」
680 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:51:13.93 ID:c2KZAoSz0
『酒場』
ポロロン〜♪
マスター「いらっしゃいませ…お二人様で?」チラ
情報屋「どうも…」ニコ
商人「今日は公募のお願いに来たんだ」
マスター「え?あ…どんな内容でしょう?」
商人「漂着した大型気球の回収とアラクネーの退治…報酬は10金貨」
マスター「公募でその報酬は…」
商人「安すぎるのは承知さ…チラシを配らさせてもらって良いかい?」
マスター「どうぞ…飲み物はどうされますか?」
商人「じゃぁ一杯飲んで行くかな…エール2つ頼むよ」ジャラリ
マスター「お待ちください」スタ
情報屋「カウンターで良い?」
マスター「お好きな場所でどうぞ」
商人「マスター…何か面白い話は無いかな?」
マスター「噂ではセントラルの大艦隊が外海調査に向かっているそうです」チラリ
商人「へぇ?戦争はほったらかしなんだ?」
マスター「さぁ?どうなんでしょう…」コトリ
商人「外海には何があるんだろうね?」
マスター「ここだけの話…古代の兵器が眠って居るとか」
商人「おぉ!!どこらへんなのか知ってる?」
マスター「私は噂だけしか知りませんので…エールをどうぞ」コトリ
商人「あぁ…ありがとう…じゃぁ乾杯しようか」
情報屋「ウフフ…」
商人「じゃぁお互いの成功を祈って…乾杯!」チン
マスター「…」チラリ
情報屋「…」ニコ
681 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:52:02.95 ID:c2KZAoSz0
『広場』
ワイワイ ガヤガヤ
情報屋「女狐はあの仕事が向いて居そうね」
商人「うん…さりげなく周囲に情報渡してコントロールしてるんだ…さすがだよ」
情報屋「私はあまり酒場に行く事は無いけれど…盗賊が酒場に入り浸ったのはこういう情報のやり取りだったのね」
商人「だろうね…騒ぎながらいろいろ諜報を兼ねてるんだ」
シュタタ シュタタ
狼女「おーい!!お金お金!!」
情報屋「あら?人込みなのに良く私達を見つけたわね?」
狼女「匂いですぐに分かる…宿屋は先払いなんだ…お金頂戴」
商人「いくら?」
狼女「2人部屋を1週間で4金貨」
商人「お?安いね」ジャラリ
狼女「食事無しだけどね…船から荷物移動しちゃって良いよ」
情報屋「じゃぁ子供達にお別れの挨拶して荷物持って来るわ」
商人「僕は先に宿屋に行っておこうかな…リカオン案内して」
狼女「付いて来て…」
682 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:52:47.65 ID:c2KZAoSz0
『宿屋』
ガチャリ バタン
商人「へぇ?良い部屋じゃ無いか」
狼女「アサシンの息が掛かった宿屋なんだよ…この部屋だけ特別」
商人「なるほど…ここで待ち合わせてる訳か…それで安いという事ね」
狼女「水浴びしてくるから適当に過ごしてて」
商人「分かったよ…買い物して情報屋でも迎えに行って来る」
狼女「じゃ…」ノシ
--------------
商人「さて…チラシでも撒いて来るか」スタ
商人「んん?」
ヒソヒソ ヒソヒソ
…あぁ予定変更だ…
硫黄が既にフィン・イッシュに入って居るとなると後方から大砲で不意打ち食らう可能性がある
船団に合流するのは今回は止めだ
代わりに幽霊船が近くまで補給に来ているらしいから機を伺うぞ
あと一発当てりゃ今度こそ落とせる…仲間集めて来い
商人「…」---豪族か…幽霊船も苦戦している様だ---
商人「…」---さすがに大砲が無いと厳しいか---
683 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:53:44.80 ID:c2KZAoSz0
『夕方_商船』
ザブン ギシギシ
船乗り「…そうか…ここで降りるか」
情報屋「代わりの人が1人乗る筈だからよろしくお願いします」
船乗り「まぁ金は既に貰ってる訳だからフィン・イッシュまでは責任もって移送する」
スタスタ
商人「情報屋!迎えに来たよ」
情報屋「あら?気を使わなくて良かったのに」
船乗り「代わりの人はいつ来るんだ?」
商人「深夜になると思う」
船乗り「日の出前には出港するから早めに乗る様に伝えてくれ」
商人「わかったよ」
情報屋「なんだか他の船も出港して行ってる様ね」
商人「豪族の船だよ…なんだかゴタゴタしてるねぇ」
情報屋「慌てて出港しているみたい」
商人「幽霊船を追ってるらしい」
情報屋「そう…」
商人「まぁ豪族が出て行けば少しは静かになるさ」
情報屋「商船が巻き込まれなければ良いけど…」
船乗り「だから日の出前に出港したいんだ…連絡頼むな?」
商人「子供達とお別れは済んだかい?」
情報屋「うん…もう行けるわ」
商人「じゃぁ宿屋に案内する」スタ
684 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:55:09.11 ID:c2KZAoSz0
『宿屋』
ガチャリ バタン
商人「ここだよ…割と良い部屋なんだ」
情報屋「ハッ!!リカオン!!どうしたのよ!!」
狼女「グルルル…グゥ」zzz
商人「裸…水浸し…」
情報屋「怪我はして居なさそう…これ海水だわ」フキフキ
商人「さっき豪族の船がゴタゴタして居たよね…もしかして…」
情報屋「一人で?何の為に?」
商人「いや…宿屋の外で豪族の話声が聞こえててさ…幽霊船を待ち伏せるって」
情報屋「それを聞いて一人で襲いに?」
商人「何か持って居ないかい?」
情報屋「ああ!!海図と宝石がベッドに…鍵もある」
商人「ビンゴだね…盗んで船室に鍵掛けてるんだ」
情報屋「さすがね…」
商人「あの船はギャラック船で舵が船室にあるタイプだ…鍵を掛けられると操舵出来ない」
情報屋「しばらく戻って来れないのね」
商人「頑丈なのが仇になってるね…しばらく風に流されて海図も無いから目視で帰ってくるしか…」
情報屋「夜に目視って…」
商人「こういう行動力はスゴイね…ウルフだから泳ぎも得意な訳か…海図は何が記されてる?」
情報屋「インクが海水で流れてしまって…乾かせば記した跡が残って居るかもしれない」
商人「それは明日が楽しみだ」
685 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:56:38.16 ID:c2KZAoSz0
『窓』
ヒュゥゥゥ
商人「ふ〜ん…ここから隣の建屋の屋根に通じてるのか」
情報屋「夜寒くなるから閉めて置いて」
商人「船着き場も良く見えるよ」
情報屋「女狐さんはまだ商船に乗って居ない?」
商人「どうかな?」
情報屋「なんか少し心配」
商人「公募のチラシを配るのもあるし…酒場にもう一度行って見るよ」
情報屋「私はリカオンが起きるまで待機かな…」
商人「水浴びにでも行って来たら?」
情報屋「そうね…」
商人「もしリカオンが起きたら酒場にでも遊びにおいで」
情報屋「分かったわ…」
商人「じゃぁ行って来る」スタ
686 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:57:10.94 ID:c2KZAoSz0
『酒場』
ポロロン〜♪
バニー「いらっしゃぁ〜い…お一人?」
商人「あれ?いつものマスターは?」
バニー「しばらくお休みなのぉ」
商人「そうかい…カウンター座るよ」
バニー「どぞん」
バーテン「お飲み物は?」
商人「ワインかな」
バーテン「お食事はどうされます?」
商人「食事は良いや」
バーテン「かしこまりました…」
商人「公募してるんだけど…何か反応聞いてない?」
バーテン「アラクネー退治の公募でしたか?」
商人「うん…」
バーテン「今の所何も…豪族の皆さんは既にお金持ちですから興味が無さそうでした」
商人「ハハ…まぁそうだよね」
バーテン「海士島に観える方は長期滞在しませんので公募は厳しいかと…ワインをどうぞ」コトリ
ドヤドヤ ガヤガヤ
おぉぉ空いてる空いてる
いらしゃぁぁ〜い!!団体様はこちらへ〜
何でも良いから酒と女を見繕ってくれぇ
はぁ〜い!!
商人「忙しくなりそうだね」
バーテン「お陰様で…」イソイソ
商人「僕にはお構いなく…噂話でも聞いて楽しんでるよ」
687 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 17:57:52.31 ID:c2KZAoSz0
『翌朝_宿屋』
ガチャリ バタン
商人「2人共おはよう…食事を持って来たよ」ドサ
情報屋「あら?朝帰りにしては気が利くわね」
商人「僕は眠れないから…リカオン?新鮮な肉を仕入れて来たよ」
狼女「お!?」シュタタ
商人「丁度今さっき屠畜場で解体された肉さ」
狼女「あんまり食べ過ぎると直ぐに太っちゃうんだけど…ありがとう」ガブリ モグ
情報屋「かわいい顔してなかなかワイルドな…」
商人「エルフも生魚とか頭からかぶりつくらしい」
情報屋「私は…パンとチーズね」モグ
商人「女狐は予定通り商船に乗って出港したよ」
情報屋「知ってるわ」
商人「見てたのかい?」
狼女「匂いと声で分かるんだ」モグモグ
商人「へぇ…ここからでも感知出来るのか」
狼女「あの女…隠し子を孤児院に預けてたんだね」
商人「まぁそんな事だろうとは思ってたさ…船に乗っていたのかな?」
狼女「さぁ?そこまでは分かんないよ」
情報屋「誰だったのかしら…なんだか責任を感じてしまう」
商人「孤児院に送られて来た寄付金の他に車椅子もあった…足の不自由な男の子が居たな」
情報屋「分かった!!その子なら学舎の書物管理で働いているわ…もう立派な大人」
商人「教えてあげられれば良かった」
情報屋「…だとすると随分若い時に産んだ子なのね」
商人「なるほどね…人それぞれ色々あるのかぁ」
情報屋「リカオンもそろそろ良い人を見つけないと…」
狼女「ゲフッ…ゴホゴホ」ガブ モグ
商人「さて!!僕は市場歩いて相場調べに行って来る」
情報屋「待って…私も行くわ…リカオンの着替えも新調しなきゃいけないし」
商人「買ったばかりじゃ無いか…」
狼女「変態して破れた」モグ
商人「脱いでからに変身すれば良いのに…」
狼女「裸で走り回るって言うの?」
商人「まぁ良いや…買いに行こう」
688 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:00:06.15 ID:c2KZAoSz0
『数日後_宿屋』
カクカク シカジカ…
セントラルとフィン・イッシュの国境では沿岸部を中心に領地を巡って小競り合いが継続中だ
停戦の交渉も豪族が第三者を偽って漁村を襲撃して制圧し
セントラル側に有利な立場で中立化しようとして停戦は白紙…泥沼だよ
外海調査の件では協力関係を作ろうとして居るが
フィン・イッシュの港をセントラルの軍船が行き来する事を認める訳には行かず
海上でも緊張した状態が続いているのだ
ここに来てのキ・カイ海軍の介入…交渉事で誰が公爵なのか見極められない現状
動きを悟られたくない隠れの忍び達は里に籠ったまま身動きできない
アサシン「…これが政治的に不利となっている実態なのだ」
商人「公爵のせいでイニシアチブが取れない訳か」
アサシン「私に化けて女王に要らぬ吹き込みをする可能性もある…女王は動けんのだよ」
情報屋「では今は盗賊ギルドが裏で政治判断する材料となる工作をしている状況なのね?」
アサシン「うむ…ただ我々の内側にも公爵が入り込む可能性を考えると信頼できる者意外とは話も出来ない」
商人「状況察した…女狐がガード堅かった理由も分かった」
アサシン「彼女は優秀だ…商人と情報屋をここに止めて置く判断も良い選択」
狼女「アサシンこれからどうするの?」
アサシン「魔女の発見が最優先…その為に女戦士と合流を果たそう」
商人「そうだね…今みんな集合しかけているんだから分かれない方が良い」
アサシン「盗賊ギルドの指示系はアヌビスに一任しているからしばらくは私も同行する…それで…幽霊船とは接触出来そうか?」
商人「公募の詳しい話を聞きたいという人物が今晩酒場に僕を訪ねて来るらしい」
アサシン「フフ…そういう役はローグか」
商人「当たりならそうなる…楽しみだよ」
アサシン「ところでリカオンの働きはどうだ?剣士並みの働きが出来るだろう?」
商人「ある意味剣士より優れている所は在るね…」
アサシン「リカオン…褒められて居るぞ?」
狼女「分かり切った事を言われてもね…」ルン
アサシン「さて情報屋…先ほど話に合った外海の地図とやらを見せて貰おうか」
情報屋「これよ…」パサ
689 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:00:45.65 ID:c2KZAoSz0
アサシン「ふむ…外海調査に向かっている船団は海峡を越えて未踏の地を目指しているか…遠いな」
情報屋「この地図はセントラルに属するコグ船から発見された物でセントラルは既に未踏の地に到達してると見て良いわ」
アサシン「海軍の要所にするには遠すぎる…我々は思い違いをして居た様だな」
商人「もっとフィン・イッシュ寄りだと思って居たんだ?」
アサシン「そうだ…外海から背後を突かれる事を警戒して居たのだが…」
商人「キ・カイの軍船もそこを目指している様だよ」
アサシン「古代の兵器…う〜む」
商人「フィン・イッシュは外海調査に出遅れてると聞いたけど?」
アサシン「海軍力が無いに等しい…軍船はすべて輸送船へと姿を変えたのだ」
狼女「オーク達に与えた船も何処か行っちゃったしね」
商人「オーク?」
アサシン「フィン・イッシュで領地を与えられたオークの事だ…ゲームチェンジャーになると思って居たのだが…」
商人「オークが船を操るなんて初めて聞いたな…ゲームチェンジャーってどういう意味?」
アサシン「どういう訳かオークはクラーケンを操るのだ」
商人「あーーそういう事ね…クラーケンがオークを守ってる感じになる訳ね」
アサシン「海上での抑止になってくれると期待して居たが宛てが外れた」
商人「船で逃げられたんだ?」
アサシン「分からん…オークの自治領を行き来しているらしいが何せ言語が違うからコミュニケーションが謀れん」
狼女「敵意は無いみたい」
アサシン「…それで?魔女達も未踏の地を目指したと見て良いのか?」
情報屋「恐らく…地図を見ながら歴史の説明からして行くわ…」
カクカク シカジカ…
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690 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:01:45.84 ID:c2KZAoSz0
『酒場』
ザワザワ ヒソヒソ
おい見ろ…あの女は海賊王の娘じゃ無いのか?
何ぃ!!
やべぇ隠れろ…2人…いや3人か
ど…どうする?ヤルか?
女戦士「店の修理代だ…取って置け」ドサ ジャラ
バニー「えっと…いらっしゃいませ?」
女戦士「誰も入れるな…」ボソ
海賊1「へい…」
海賊2「がってん…」
ダダダッ
女戦士「何か言ったか裏切者め…」スチャ
豪族1「なっ…くそう!!」タジ
女戦士「フンッ!!」ブン スパ
豪族1「ぎゃぁぁぁ…腕が!!腕が!!」ブシュー ボタボタ
豪族2「いきなりとは卑怯な…」
グサッ ズブズブ
豪族2「うぐぅ…ぐぐぐ」ブシュー
女戦士「さぁて?次は誰だ?」ツカツカ
豪族1「血が…血がぁ」バタバタ
女戦士「今からこの酒場は私の貸しきりだ…文句ある者は前に出ろ」
ひぃぃぃぃ…人殺しぃ…
いやぁぁ!!
キャーーー
ドタドタ バタバタ
海賊1「この豪族はどうしやしょう?」
女戦士「反吐が出る…海にでも捨てて来い」
海賊1「へい!!邪魔だゴルァ!!さっさと立ちやがれ!!」グイ
豪族1「がぁぁ…海賊王の娘がぁぁ!!」ヨロ
海賊2「お前もだ…」グイ
豪族2「げふっ…ゴホゴホ」ヨロ
女戦士「さて…ミルクだ…ミルクをよこせ」ジャラリ
バーテン「は…は…はい…ただいま…」ガクブル
--------------
--------------
--------------
691 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:03:00.17 ID:c2KZAoSz0
『人だかり』
ザワザワ ザワザワ
海賊が酒場を占拠したらしい…
中に押し入った豪族達が逃げ出してる
傭兵は何処に行ったの?
海賊の側について中で暴れて居るって
商人「これはどういう事だ?」タジ
アサシン「また派手な登場だな…どうやら女戦士本人が来ている様だ」
商人「これじゃ酒場に入り難いじゃないか」
ドカーン ドーン
情報屋「船着き場!!豪族の船で爆発よ!!」
狼女「アサシン…これどうする?」
アサシン「ひとまず様子見か…海賊が豪族を襲っている形の様だ」
商人「幽霊船が見当たらない…」キョロ
アサシン「うむ…気球も見当たらん」
『酒場』
ゴクゴク プハァ
バーテン「ミルクのお代わりは…どうしましょう?」
女戦士「アルコール抜きの飲み物は何がある?」
バーテン「フレッシュジュースでしたら…」ガクブル
女戦士「フフ…私は恐ろしいか?」
バーテン「いえ…あの…手が勝手に震えて…申し訳ありません」ブルブル
女戦士「この公募のチラシを配って居た者を知って居るか?」パサ
バーテン「はい…毎晩今お座りの席に来て居りました」
女戦士「そうか…連れて来い」スラーン
バーテン「はははは…はい只今!!」ダダダ
692 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:04:15.47 ID:c2KZAoSz0
『人だかり』
誰かぁ!!手当を!!
止血剤を持って来てくれぇ!!
ロープだ!!ロープを使って根元を縛れ!!
商人「四肢を切り落として無力化…容赦ないな」
アサシン「これぐらいやらないと恐怖心を植え付けられないのだよ…吊るされないだけまだぬるい」
情報屋「あ!!酒場のバーテンさんが出て来たわ」
バーテン「ひぃぃぃぃ…」ヨタヨタ
商人「待って!!」グイ
バーテン「あ…あなたは…」
商人「酒場の中はどうなって居るの?」
バーテン「あなたを探して来いと言われて僕だけ逃げて来られました…もう…戻りたくない」ガクガク
商人「僕だけ中に入れそうかな?」
バーテン「裏口からカウンター脇には入れますが…行かない方が良いです」
商人「裏口は何処?」
バーテン「探してください…僕は関わりたくない」ヨタヨタ
狼女「商人!!こっち!!」シュタタ
商人「アサシン!!僕だけ中に入ってみる…僕は不死者だ」
アサシン「クックック…ついでにワインも頼む」
商人「フフやってみる」タッタ
『裏口』
ガチャリ ギー
商人「リカオンはアサシンの所に戻って」
狼女「いえ…ここで待つ…用が済んだらここから出て来て」
商人「心配してくれているのかい?」
狼女「海賊は正面突破で出て行く筈…危ないのは向こうの方だよ」
商人「なるほど…」
狼女「情報屋はアサシンが付いて居るから大丈夫」
商人「分かった…なるべく早く済ませる」スタ
693 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:05:19.12 ID:c2KZAoSz0
『酒場カウンター』
スタスタ
商人「やぁ…久しぶりだね」
女戦士「…」ギロ
海賊1「頭ぁ!!こいつは!?」ドドド
女戦士「待て…撤収の準備だ」
海賊1「へい!!」
商人「驚かないね?君を待ってたのさ」
女戦士「商人…1人ではあるまい?」
商人「4人だよ…アサシンと情報屋…そしてリカオン」
女戦士「北から2番目の商船に今すぐ乗るんだ…これを持って行け」ポイ
商人「記章…」パス
女戦士「撤収だ!!豪族の船を奪って逃げる…来い!!」ツカツカ
海賊共「がってん!」ドドド
商船「ハハ…ここじゃ何も話せないか」ソローリ
『広場』
ザワザワ ザワザワ
酒場の占拠は囮だった様だ…
見ろ!!豪族の船が奪われて動き出した
一般人に怪我人は居ないかぁ!!?
アサシン「ふむ…見事な統率…倍以上の豪族をいとも簡単にあしらうとは…」
狼女「アサシン!戻って来たよ」シュタ
商人「女戦士からの伝言だよ…今すぐ北から2番目の商船に乗れだってさ」
アサシン「んん?帆を開き始めて居るでは無いか」
商人「急ごう!!情報屋!!荷物まとめて行くよ」
情報屋「なんだか急展開ね…」イソイソ
アサシン「あの統率に合わせる為だ…急ごう」ダダ
694 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:06:09.38 ID:c2KZAoSz0
『商船』
碇を上げろぉぉ!!
商人「待って待って!!あと4人乗る」
船乗り「ダメだぁ!!この船は既に定員一杯だべぇ!!」
商人「これを見て!!」スッ
船乗り「ムム…」
船乗り「早く飛び乗れぇ!!」
狼女「先に行く!!」シュタタ ピョン シュタ
情報屋「ちょっと…私じゃ届かない」
狼女「ロープ投げるから掴まって!!…引き上げる」ポイ シュルシュル
情報屋「荷物が濡れてしまう…」
アサシン「私が持つ」グイ
情報屋「濡らさないでね?」
アサシン「リカオン!!手を!!」ダダダ ピョン
狼女「おととと…」ガシ
商人「情報屋?一緒に飛び込もう…行くよ?」ピョン
ドブン ボチャーン
狼女「そのまま掴まってて!!」エッホ エッホ
情報屋「ギリギリセーフね…」
商人「こんな感じがまたしばらく続きそうだ…」
695 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:07:41.30 ID:c2KZAoSz0
『甲板』
ビチャビチャ…
船乗り「あんたらこの船が何なのか知ってるんだべな?」
商人「アハハなんだそういう事か…船員は皆ドワーフかな?」
船乗り「わかっとりゃ良い…」
情報屋「背格好が…ハーフドワーフだけなのね?」
船乗り「海士島で差別されてしまうもんでな?」
商人「この船に乗れと言われて乗ったは良いけど…何処に向かってる?」
船乗り「行先はドワーフ領だべ…途中で荷の積み替えがあるんやが」
アサシン「幽霊船だな?」
船乗り「察しの通りだべさ…明け方になるで今晩は荷室で休むと良い」
商人「やっと女戦士と合流出来る」
船乗り「あんたらは娘さんの仲間なんやな?」
商人「まぁね…海賊王は元気かな?」
船乗り「そらもう世界中駆け回っておるべさ」
商人「もしかして漂流した飛空艇を探している?」
船乗り「もう何年も探して…」
あらららら?あららら?
商人「ローグ!!この船に乗ってたのか!!」
狼女「む!!あんた誰?匂いが違う」クンクン
ローグ「何言ってるんすか…あっしですよあっし!!」
アサシン「済まん…リカオンの鼻は信用している」ズイ スチャ
ローグ「ちょちょちょ…匂いが違うって何なんすかね?」
商人「ローグももしかして不死者に?」
ローグ「ええ?あっしは生身の人間でやんす」
狼女「おかしいな…匂いを覚え違ったのかな」クンクン
ローグ「あっしは偽物じゃ無いですぜ?酒樽で匂いが染みついちまったかも知れやせんね」
商人「あ…もしかして大量のお酒がこの船に乗ってる?」
ローグ「積み荷は殆ど酒でやんすね…なんで知ってるんすか?」
情報屋「例の大量の酒を発注してたのはこの船だった訳ね…当たらずとも遠からずって所ね」
狼女「お酒の匂いか…」
696 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:08:21.26 ID:c2KZAoSz0
ローグ「いやいやそれにしても皆さん久しぶりっすねぇ…どうして又お揃いで?」
商人「まぁ色々有ってさ…幽霊船を追ってたらこの船に乗る様に言われてギリギリ乗り込んだ所さ」
ローグ「頭には会いやしたかね?」
商人「一言話しただけさ」
ローグ「頭は姉さん探すのに必死なんすよ」
商人「やっぱりそうだったんだね…僕達も少し情報を持ってるんだ」
ローグ「そら助かるっす…中々見つからんもんで機嫌が悪いの何の…」
商人「状況が知りたいんだけどさ…」
ローグ「海賊王と頭が手分けして世界中の浜辺を見回ってる感じっすね…そっちの情報はどんななんすか?」
情報屋「説明するわ…」
リカオンが貝殻の音から聞き分けられた情報が…
海流のぶつかる寒い海…うっすら雪が積もって植物が一切生えて居ない浜辺…近くに大きな建造物…
世界地図からそういう場所の候補地を割り出したのがこの地図よ
情報屋「内海に墜落したと仮定すると海流から漂着しそうな場所が…記を付けて居る付近ね」
ローグ「ほーーーーこらスゴイっすね」
商人「世界中の浜辺を見て回ってるなら消去法で候補地はどんどん消せるよね?」
ローグ「へい…あっしが知ってる限り消していきやすぜ?」カキカキ
情報屋「おぉ…これで北半球では無いという事が確定ね」
ローグ「ドワーフ領は全部調べたんで残るは南の大陸…地庄炉村村の周辺っすね」
商人「おぉ!!そこまで限定出来れば探せそうだ」
ローグ「ただあの辺は岩礁が多くて何隻も海賊船が座礁してるんす…なんで後回しになってるんすよ」
アサシン「しかし次の行先はこれで絞り込めた訳だ」
ローグ「まぁ甲板じゃ海風に当たっちまいやすんで荷室の方で話やしょう…ついて来て下せぇ」
697 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:09:16.95 ID:c2KZAoSz0
『荷室』
ユラ〜リ ギギー
狼女「うぅ匂いで酔いそう…」
商人「醸造樽ばっかりだ…」
ローグ「ドワーフは皆酒好きなもんすから」
アサシン「商人!ワインは持って来たか?」
商人「一本だけね…」ポイ
ローグ「ところで皆さん…未来君の予言はどうなりやしたかね?」
商人「殆ど手つかずだよ…飛空艇無しでは名もなき島にすら行けない」
情報屋「予言通りなら後数年…魔女もオークの呪術を探しに行った切り不明になってしまって…」
ローグ「やっぱそんな感じなんすね」
商人「そっちは?」
ローグ「ドワーフの国で移民を促しては居るんすが土着した人は中々動かんすね」
商人「キーマンの女海賊と魔女…盗賊まで居なくなってしまって手詰まりさ」
情報屋「私は色々進展があったわ?歴史の事もほぼほぼ解明したし地軸の移動の件もおおよそ原因が推定出来た」
ローグ「やっぱり予言通り避けられない感じなんすね?」
商人「原因?その話は聞いて無いな」
情報屋「魔王とかそういう類の物では無いのよ…天文学的な事」
シャ・バクダ遺跡で発見された冒険の書と言う物…
これに記されて居た事が事実だったと仮定して…歴史の殆どが辻褄の合う形で符合したわ
4000年以上前…現在よりも遥かに高度な文明でも避けられなかった天災が地軸の移動
それは約4000年周期で太陽系を周回する黒色惑星の影響だと冒険の書で知った
黒色惑星がこの地球に近付くと何が起こるかというと…
質量の重たい北極か南極を重力で引っ張り…丁度駒の回転の様に赤道上で安定させてしまう…
つまり4000年毎に大きな災害をもたらす地軸の移動が起きてしまうのは避けられない事なの
商人「どうにも出来ないという事だね…」
情報屋「でもね?先の文明が滅んだ原因は天災がすべてでは無かった…」
滅んだ原因は人災…人間同士の戦争で汚染された空気が原因で子孫を残せなくなった事が原因なのよ
これは未来君が言って居た光る隕石から出る毒…放射能の事
剣士と未来君はこの世界を滅びから救うために放射能を集めて量子転移で消し去った
…これは私達の歴史…忘れてはいけない歴史
698 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:10:31.54 ID:c2KZAoSz0
アサシン「クックック…」
情報屋「可笑しい?どうして笑うの?」
アサシン「結局は勇者の犠牲の元私達は生き永らえた…そしてまだ一人勇者が残って居るぞ?何故だ?」
商人「希望が残ってる…そう考えようよ」
アサシン「私達の歴史は今言った避けられない問題の他に…魔王と精霊の戦いが複雑に絡み合っているのだ」
情報屋「そうね…だから私はもっと探求した…」
アサシン「ほう?なにか秘密を掴んだのか?」
情報屋「それは本当の勇者が誰だったのか…私達は何処に向かえば良いのか」
私達が知る歴史の中で最も世界に影響を与えた英雄は時の王よ…
その功績は数知れない…世界を平定し…災いの種となるアーティファクトを封じ
精霊の守護者として魔王と戦い…過去何度も魔王を退けた
そんな彼の右腕として働いて居たのが暁の使徒…未来君よ
時の王を導き…精霊を復活させ…時代を創って来た未来君は
その行きついた先で眠りについて復活の時を待ってる
それを信じていた時の王は長い年月でその記憶を少しづつ失い
失望した果てにシャ・バクダで夢幻に還った
アサシン「未来は戻って来ると?」
情報屋「私はそう考えてる…きっと女海賊もそれを信じてる」
アサシン「未来が還って来たとして魔王をどうする?」
情報屋「わからない…でも彼の名は未来…私達の未来…暁の使徒…それは新しく登る光…それこそ未来だと私は思う」
アサシン「クックック…思い出したぞ…私もこのような与太話をして飽きれられた事が有る…こういう事か」
情報屋「失礼ね…与太話では無いわ…歴史の時系列で全部説明出来る…これを見て」パサ
アサシン「…」
アンナコト コンナコト コウナッテ アアナッテ
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699 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:11:33.22 ID:c2KZAoSz0
『朝』
…そう!時の王は2000年も前から暁の使徒が未来と過去を行き来してる事を知ってた
情報屋「それですべて説明が付く…シンリーンの壁画を集めたのも彼…時の砂の伝説を残したのも彼」
アサシン「むぅ…ここまで調べ尽くしているか」
情報屋「暁の使徒が安置されて居るのは恐らくシン・リーンの何処かに有る暁の墓所」
商人「僕達が目指すのは外海では無くシン・リーンか」
情報屋「過去に未来君が外海を中心に活動して居たのは間違いなさそう…でもそこは通過点」
商人「思うにホムンクルスを探し求めた感じだね」
情報屋「きっとそうよ…だから今行っても古代の兵器くらいしか収穫が無いと思う」
ガコン ゴツン
狼女「むにゃ?…グルル」zzz
ローグ「はいはい皆さ〜ん!!荷物移し替えるんで移動してくださいな」
商人「あっという間に朝か…随分話し込んだ」ヨッコラ
ローグ「頭が待っていやすぜ?」
アサシン「さぁリカオン!!起きろ!!」
狼女「…」パチ
商人「情報屋!行こうか…手を」グイ
情報屋「あいたたた…腰が…」ヨッコラ
700 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:12:48.37 ID:c2KZAoSz0
『幽霊船』
ギシギシ
女戦士「物資を急いで運び入れろ!10分で終わらせるんだ!!」
海賊共「へい!!」ドドドド
商人「うわ…ボロボロじゃないか」
アサシン「歴戦の船と言い変えるべきでは無いか?…久しいな女戦士」スタ
女戦士「船長室へ来い…ローグは物資の積み替えを終わらせてからだ」ツカツカ
ローグ「扱いが雑でやんすぅ…」
女戦士「…」ギロ
ローグ「へいへい…すぐ終わらせて行くでやんす」ダッシュ ドドド
女戦士「入れ…」ツカツカ
『船長室』
ガチャリ バタン
商人「随分急いで積み替えをやるんだね」
女戦士「見られてしまっては向こうの商船が無事では済まんからな」
商人「やっと合流出来た…全然連絡出来ないから…」
女戦士「ほとんど陸に降りる事が無い物でな…それで…本題だ」
情報屋「飛空艇の行方ね?…これが地図よ…南の大陸の地庄炉村付近」パサ
女戦士「どの様に調べた?」
情報屋「リカオンの耳と船乗りから得た海流の情報…その他色々ね」
女戦士「ふむ…確かにその近辺はまだ行って居ない…しかしマズいな…この船では海流に流されてロクに調査出来ん」
商人「え?どういう事?」
女戦士「縦帆が戦闘で傷んでしまってな…逆風を航海出来ないのだ」
アサシン「船体も随分砲弾を撃ち込まれた様だ…修理出来ないのか?」
女戦士「木材を調達出来ない…マストが折れていないのが救いだ」
商人「じゃぁ近くまで行って気球で上から行くのは?」
女戦士「そうだな…ひとまず地庄炉村へ行ってヤクを使った陸路という手もある」
商人「地庄炉村は麻の産地…もしかすると帆を張り替える布が入手出来るかも知れない」
女戦士「ほう?…という事はロープも手に入るな」
商人「決まりだね?地庄炉村を目指そう」
女戦士「分かった…詳しい話は後だ…今は商船から離脱するのを急ぐとする」
商人「僕達はここで?」
女戦士「好きにしろ…勝手は知って居るだろう?」ツカツカ
監視!!他の船は居ないな!?
離船したら狭間に入る!!レイスに備えろ
701 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:14:12.59 ID:c2KZAoSz0
『甲板』
ユラ〜 ザブ〜ン
女戦士「面舵維持!!そのまま7時方向に回頭しろ」
海賊共「がってん!!」フンフン
女戦士「狭間に入る…ハイディング」スゥ
タッタッタ
商人「レイスに備えるってどういう事だい?」
女戦士「戦闘で魔方陣に欠けが発生したのだ…部分的にレイスが入って来る」
商人「僕は退魔の方陣を知ってる…もう一度方陣を組むから援護して」
女戦士「それは助かる…手すりが崩落しているから海には落ちるな?」
アサシン「クックック…これは又忙しい船だ」
女戦士「通常の航路から外れてしまえば狭間から出てもそれほど危険は無い…それまでは辛抱」
アサシン「一度船をしっかり修理した方がよかろう」
女戦士「海賊のアジトに寄港しても木材が無いでは修理も出来ん…戻るだけ無駄なのだ」
アサシン「ずっとこの状況か?」
女戦士「何度も言わせるな…航路から外れれば少しは休める」
アサシン「見た所大砲は移動式が1門…後はクロスボウか」
女戦士「何が言いたい?武器の不足は承知…海戦では逃げの一択だ」
アサシン「こう実情を知ってしまうとさもしいな…今や幽霊船は伝説になろうと言うのに」
女戦士「フフギリギリを戦い渡って何が悪い?それとも高性能な兵器を使いこなしてるとでも思って居たか?
アサシン「済まんな…フィン・イッシュも同様にギリギリの状況…幽霊船が加われば状況打破出来ると思って居たが…」
女戦士「…」ジロ
アサシン「こちらも同じ状況なのを見て私の浅はかな考えを反省している」
女戦士「さてアサシン…お前が私に会いに来たのは飛空艇の捜索の件だけではあるまい?」
アサシン「そうだ…ただ考えが変わった」
女戦士「貧相な装備を見てか?」
アサシン「いや…セントラルの狙いはフィン・イッシュ攻略では無さそうだと分かったからだ」
女戦士「何の話だ?」
アサシン「まぁ航路を外れて落ち着いてから話す」
702 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:16:05.01 ID:c2KZAoSz0
『海原』
リリース スゥ
女戦士「よし休息だ!!各自ゆっくり休め!!」
ザブ〜ン ユラ〜
女戦士「ふぅ…」
商人「結局レイスは出なかったじゃない」
女戦士「いつも出て来る訳では無い…魔方陣は修復出来たか?」
商人「初めから引き直してる…もう少し」トンテンカン
情報屋「よく見るとこの船はあちこち傷んで居るわね…」
女戦士「手すりには寄りかかるな?」
商人「戦って居る相手は裏切った豪族かい?」
女戦士「豪族だけならどれほどラクか」
商人「正規軍とも戦って居るんだ」
女戦士「逃げるだけだがな」
商人「そうそう…船体の穴…砲弾の着弾痕が見当たらない…何でやられたの?」
女戦士「キ・カイの軍船から飛んで来た光線弾だ」
商人「軍船でも実用してるのか…それじゃ勝てないな」
女戦士「あれは古代の兵器なのか?」
商人「そうだよ…多分新しい古代遺跡から最近発見された物だ」
アサシン「話に割入る…古代の兵器をキ・カイが既に実用している?」
商人「うん…セントラルもキ・カイも外海調査に躍起になってるのはきっとその兵器の存在が原因さ」
アサシン「道理で外海調査の協力を求めて来た訳だ…その時点で既にフィン・イッシュなぞ眼中に無い」
商人「流れからするとセントラルとキ・カイが衝突する感じだね」
女戦士「今のままではキ・カイの圧勝に終わる」
商人「インドラの銃みたいなものだしね」
女戦士「いや…射程は大砲より短い様だ…ただ大砲よりも圧倒的に命中精度が高い」
商人「なるほどね…」
情報屋「未踏の地に先行しているのはセントラルの方だから直ぐに使えればキ・カイも危ないわね」
商人「どちらも公爵の影がちらついて居るのが気になるけど」
情報屋「そうね…公爵の手下の髭男爵…それからキ・カイ海軍も公爵が絡んでる」
商人「まぁそっちは勝手にやってて貰うとして僕達は先ず飛空艇を探さないと」
女戦士「飛空艇の場所が分かったとして3人の安否が心配だ…」
商人「時の砂を使って未来に飛んでしまった可能性もあるらしい」
女戦士「時の砂?何なのだそれは?」
商人「時間を巻き戻すという伝説があるんだ…それが外海のニライカナイという場所にあるらしい」
女戦士「巻き戻す?それでは過去に行くのではないか?」
商人「詳細不明なんだよ…でも状況的に時の砂を使った可能性は否めない」
女戦士「…ともあれ無事であるという可能性が聞けただけで少し心が落ち着く」
703 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:17:19.98 ID:c2KZAoSz0
『数日後』
ガハハハハ…
海賊1「お前が噂に聞く闇商人だとは恐れ入った」
海賊2「がってん俺らは姫様の従士」
女戦士「今何と言った?」ギロ
海賊2「口が滑ったでがんす…」
商人「2人は純血のドワーフだったんだね…道理で体格が良い訳だ」
ローグ「あっしの立場がでやんすねぇ…なーんか軽んじられてるんすが…一応立場的には騎士なんす」
情報屋「ローグが騎士?ウフフ」
ローグ「へい…従士より格が上の筈なんすがどーも雑用ばかり回ってくるでやんすよ」
女戦士「雑用?最も重要な事を頼んでいるつもりだがな?船の補修は終わったのか?」
ローグ「あイヤイヤ…海賊達が楽しそうに会話してるもんでツイ…」
女戦士「補修が済んだら船体に刺さっている矢を回収して再利用に回せ」
ローグ「トホホ…ゴラ海賊共ぉぉ!!船体の補修急ぐでやんすぅぅ!!」
海賊共「へ〜い!!」ドドド
---------------
商人「なるほど…海賊の本来の強さは海戦じゃなくて白兵戦なのか…なんか分かって来たぞ」
女戦士「懐に入ってからの制圧力…大砲は懐に入られない為の道具に過ぎん」
商人「つまり無敗なのはハイディングで一気に懐に入るから白兵戦で勝ってるんだね」
女戦士「ハイディングだけでは無いがな…私が得意とするのは陽動だ…私自身が囮となる」
商人「この間の酒場占領だね」
アサシン「弓で額を撃ち抜かれない様にな?」
女戦士「フフ気を付けて居るつもりだ」
704 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:17:59.30 ID:c2KZAoSz0
『地庄炉村_近くの小島』
碇を降ろせぇ!! ガラガラ
女戦士「ローグ!!気球の準備だ…商人とリカオン…それからアサシンの4人は地所炉村で物資調達を頼む」
女戦士「幽霊船は狭間に入って待機する…しばらく休憩だ!!小島に降りたい者は小舟を使って構わん」
情報屋「船に乗っていた方が暖かそうね‥」
女戦士「私は降りる気なぞそもそも無い」
情報屋「湯を沸かして水浴びをすると言ったら?」
女戦士「ム…ふむ…良いな」
情報屋「雪を集めて沸かすだけの簡単な仕事よ」
女戦士「従士2人!!私と同行しろ…島に降りて簡易風呂を作る…来い!」
海賊共「へ〜い!!」ドドド
『地庄炉村』
ザワザワ
気球で誰ぞ来よったぞ
ありゃ商人が乗っとるんじゃろうか?
4人居るな?
婆「お前さん方は何処から来たのじゃ?キ・カイかえ?」
商人「あ…こんにちは…近くの商船から物資調達に来たんだ」
婆「商船?何処にも見えんが…なぜ船着き場を使わんのじゃ?」
ローグ「あいやいや…大型な商船なもんで岩礁が怖くて近づけんのでやんす」
男「婆さん!こいつら2人武器を携帯してる!近づくな?」
ローグ「襲う気は無いんで安心して下せぇ…ほんで布とロープを仕入れに来たんすが…」
男「布…ロープ?」ヒソヒソ
婆「麻の産地じゃと知って居ったのじゃろうな…お前さん方は何を売るのじゃ?」
商人「ええと…酒類と小麦…それから薬かな」
男「小麦!!じゃぁ北の大陸からの商船か」
婆「丁度キ・カイからの商隊が来ん様になって困っとった所じゃで良い取引が出来そうじゃな」
商人「ローグ?一度船に戻って荷を持って来てもらえるかな?…多分芋とか肉と交換出来そうだ」
ローグ「分かりやした…」
男「ちょいと俺は村の皆に話してくる」
婆「こっちじゃ…村の広場まで案内するぞい」
705 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:18:45.89 ID:c2KZAoSz0
『広場』
婆「ここらに露店が集まっとるんやが村の衆しか居らんでこの通りじゃ」
商人「おぉ!!石炭があるじゃ無いか…食材も船に乗って無い物が多い」
狼女「キ・カイより随分安いね?」キョロ
商人「そりゃそうだよ…これが適正な値段さ」キョロ
狼女「ナッツがすごく安い…買って!」
アサシン「…」シラー
商人「ん?僕が?」
狼女「そうだよ…今お金持ってるの商人じゃない」
商人「ハハまぁそうだね」チラリ
アサシン「…」シラー
フワフワ ドッスン
ローグ「適当に物資持って来やしたぜ?」
商人「丁度良かった!!ここで商売始めよう」
ローグ「へ〜い!!はいはい寄ってらっしゃ見てらっしゃい…珍しい物沢山あるでやんすぅ!!」
ザワザワ ザワザワ
おい!!何処からか商人が来てる様だ
小麦が売ってるらしいわ
魔石もあるらしいぞ
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706 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:19:19.60 ID:c2KZAoSz0
『気球の露店』
ワイワイ ワイワイ
商人「アクセサリー類をそんなに安く売って良いのかい?」
ローグ「どうせあっしらには要らんもんなんで良いっす…代わりに麻布が安く手に入れば良いでやんす」
商人「ハハなるほど値切る為の先行投資か」
アサシン「石炭は大目に買っても良いんだな?」
商人「うん…箱毎買ってしまえば少しだけど木材も入手できる」
アサシン「では買い入れて気球に積んでしまうぞ」
商人「どんどん買ってお金を回そう…お金が入れば村人も購入意欲が湧く筈」
狼女「魔石とブタを交換したいって言われてるんだけどどうしよう?」
商人「良いじゃない?生きたブタは君の好物だよね」
狼女「やった!!」
商人「アサシン!!オーガの牙がすごく安いんだ…全部仕入れてよ」
アサシン「ふむ…仕入れる品目を紙に書いてくれないか?」
商人「麻布…皮…糸…それからロープ…全部買い占めるかんじで良い」
アサシン「分かった…どんどん仕入れるから気球での運搬はローグに任せる」
ローグ「へ〜い!!」
ワイワイ ワイワイ
707 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:20:04.54 ID:c2KZAoSz0
『小島_キャンプ』
メラメラ パチ
女戦士「樽に湯を少し足せ!ゆっくりだぞ?」チャポン
海賊1「へい!!」ドスドス
情報屋「ふぅぅ…雪の中で樽のお風呂…最高ね」チャプ
女戦士「フフ…私が風呂好きな事は知って居たのか?」
情報屋「綺麗好きな事は知って居たから…女海賊とは正反対」
女戦士「世話の焼ける妹だった…」トーイメ
情報屋「ドワーフの寿命はどのくらいあるの?」
女戦士「寿命?なぜその様な事を…」
情報屋「ほら?私は老いて来てる…あなたはまだ綺麗なまま…」
女戦士「そんな事か…純血のドワーフなら400年ぐらいだそうだ…私は混血だからいくつまで生きるか…」
情報屋「羨ましいわ…」
女戦士「済まんな…見せびらかすつもりは無い」
情報屋「ひとつ気付いてしまった…」
女戦士「んん?」
情報屋「精霊がエルフやドワーフを生んで人間よりも長い寿命を与えた理由…」
女戦士「何だ?」
情報屋「はるか昔…およそ4000年前の人間の寿命は20年くらいだった」
女戦士「混血させて伸ばそうとしたと言うか?」
情報屋「きっとそうよ…ただ出生率が問題だったみたいね」
女戦士「人間に純血と言う概念は無さそうだな?」
情報屋「もう失われたのね…少なからずエルフの血が混ざってると思うわ」
女戦士「エルフか…」
情報屋「嫌い?」
女戦士「嫌いと言う訳では無いが感情を読み取れなくてな…苦手と言うべきか」
情報屋「あ!!又気球が船の方へ…」
女戦士「本当だな…どうやら物資調達が上手く行っているらしい」
情報屋「どうする?もう戻る?」
女戦士「折角良い気持ちになった所だ…私もしばらく休む」
情報屋「そうね…ずっと気を張って居たものね」
チャプン モクモク
708 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:20:43.82 ID:c2KZAoSz0
『地庄炉村_洞穴の宿屋』
ピチョン ポタ
商人「へぇ?変わった宿屋だなぁ…」キョロ
婆「ここらは木材が無いで穴の中に住まいを作っておるんじゃ」
男「手前が酒場になってる…寝床は奥の方を使ってくれ」
商人「お客さんは僕達だけかい?」
婆「そうじゃ…酒場には村の自警団の者が来るけぇ喧嘩せん様にな?」
商人「リカオン!!喧嘩したらダメだよ!!」
アサシン「フフ…」
狼女「あら?問題児みたいな言い方…」
婆「ごゆるりと休むが良い…ではのぅ」ノソリ
------------
ローグ「今乾かしてる布と皮は明日の朝持って来てくれる話になりやした…」
商人「うん…やっぱり布は手間が掛るだけ有ってそこそこの値段するね」
ローグ「お金無くなっちまいやしたか?」
商人「結構使ったけど収穫も大きいよね…まぁトントンだね」
ローグ「地庄炉村もちーっと潤ったと思いやす」
商人「ハハ…アクセサリーはまぁサービスか」
アサシン「全部豪族から奪った物か?」
ローグ「そーっすね…豪族は女を買う為にアクセサリーを沢山持ってるんすよ…あっしらには全く必要ないでやんす」
商人「おかげで随分節約出来たさ」
ドヤドヤ ゾロゾロ
おい見ろ!あの気球の商人達だ
女も来てるぜ?おっと…睨まれた
709 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:21:30.95 ID:c2KZAoSz0
若者1「隣…失礼するよ」
若者2「酒場が狭いもんでね…おいオヤジ!!いつもの頼む」
爺「んぁぁ…今日は金払ってけよ」
若者1「商人さん達は何処から来たんだい?」
商人「北の方さ…商船が沖に待機してる」
若者1「この村は見ての通り…さもしい村でさ…商人さん達が来ると少し活気が出るんだ」
商人「その様だね…名産の布が上手に売れればもっと発展出来るのにね」
若者1「キ・カイから商隊がなかなか来なくなってねぇ」
商人「どうしてだろう?こっちに関税はかからない筈だけどな…」
若者1「道中の魔物が影響してるらしい…」
商人「オーガかな?」
若者1「分からないけど魔物に襲われたという噂が広まったのが商隊が少なくなった原因に思う」
商人「魔物討伐隊とか組んで退治しないのかい?」
若者1「近場はやってる…ただ遠いと中々行けなくてね」
若者2「あああああ!!俺のナッツ!!勝手に…」
商人「ん?」
狼女「…」モグモグ
若者2「ちょっと…それ俺の食い物なんだが…」
狼女「何?」シラー モグモグ
若者2「口が動いてるだろ!!俺のナッツ食ったな?」
商人「あたたた…ナッツもう一皿頼むから勘弁…」
ローグ「あっしも仲間に入って良いっすかね?」ニヤニヤ
商人「あ…いや…」
ローグ「ああああ!!あれは何だ!!?ま…まさか!!」ユビサシ
若者1「んん?」キョロ
ローグ「ふむ…見間違いでやんす…」モグモグ
狼女「…」モグモグ
若者1「ちょっと…あんたら何なの?俺のナッツは?」タジ
710 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:22:26.12 ID:c2KZAoSz0
『酒場』
ウハハハハ…
婆「なんや騒がしい思うたら仲良うしとる様やな?」ノソノソ
爺「婆さんも一杯飲んで行くんかや?」
婆「蒸かした芋を持って来たんじゃが…」
狼女「…」ピン!! バチッ!!
若者1「痛てっ!!ナッツを無駄にするなぁぁ」
狼女「無駄にしてるのはあんただよ…食べれば済む」ピン!! バチッ!!
若者2「姉ちゃんこっちに頼む…あーんぐり」
狼女「…」ピン!! パク!!
若者2「ストラーイク!!」モグモグ
婆「お前さん達…蒸かした芋を持って来たが食うか?」
ローグ「ぉお?ナッツだけじゃ物足りなかった所なんすよ」
婆「そうじゃろそうじゃろう…」
狼女「!!?」クンクン スック
若者1「姉ちゃんもう一回俺にも頼む」
狼女「…」シュタタ キョロ
アサシン「ん?リカオンどうした?」
狼女「何か臭う…西の方角」クンクン
ガタガタガタ ブモモー ゲヒゲヒ
若者1「荷車の音だ…外で何か有ったな?」ダダ
711 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:23:08.54 ID:c2KZAoSz0
『ヤクの荷車』
ブモモモー ガフガフ
馭者「たたた…助けてくれぇ」
若者1「どうした!!何が有った!?」
馭者「直ぐそこでオーガに襲われて…」ゴクリ
子供「パパ?大丈夫?」
馭者「こら!!隠れて居なさい」グイ
若者1「オーガ退治は任せろ…誰か!!手当してやってくれぇ!!」ダダ
若者2「いつも通りだな?行こう!!」ダダ
狼女「何か訳がありそう…どうしよう?」
商人「ひとまず父親の方を手当してあげようか」
ローグ「怪我を見せてくだせぇ…出血はどんな感じでやんすか?」
馭者「わたしの怪我は大した事無い…家内の方を見て欲しい」
女「うぅぅ…」
ローグ「応急手当はあっしがやりやす…商人さん薬草とちょっとだけエリクサー頼みやす」
商人「え…あ…わかった」タッタ
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712 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:23:53.83 ID:c2KZAoSz0
『宿屋』
よっこらせっと…
ローグ「ひとまず落ち着きやしたね?」
商人「命の危険は無さそうで安心したね…」
ローグ「どうやらキ・カイから逃れて来たらしいんすが…こら同じ様な人が増えるかも知れんすね」
商人「うん…」
ローグ「キ・カイで何が起きてるんすか?」
商人「話せば長いんだけど…10歳前後の子供を戦争に利用しようとしているのさ」
ローグ「戦力にならんと思うんすが…」
商人「キラーマシンにしてしまうんだよ…10歳前後が一番適合するらしい」
ローグ「まじっすか…そら許せんでやんす」
商人「子供の兵役を可能にする法案が可決してしまう前に逃げて来たのは正解だと思う」
ローグ「ここに逃げて来ても同じキ・カイの領地っすよね?」
商人「そうだね…キ・カイで丁度良い子供が居なくなればこちらに来るのも時間の問題…」
ローグ「そんな狂った法案が簡単に可決するとは思えんのでやんすが…」
アサシン「公爵なら可能だ…」
商人「オークとの戦争で思った様に戦果が出て居ないんだ…キラーマシンは何年も前から増産してる」
ローグ「なんでオークを攻め立てているでやんすか?」
商人「さぁね?どうせ古代遺跡とかそういう奴だよ」
アサシン「やはり公爵を野放しには出来んという事だ」
商人「孤児たちを逃すだけじゃ問題は解決しないか…」
狼女「ねぇ…良い話が聞こえて来た」
商人「ん?何かな?」
狼女「地庄炉村に来る道中で浜辺に大きな骨を見たらしい」
商人「大きな骨?」
狼女「その周辺は朽ちた馬車が沢山放棄されて居て…恐ろしくて急いで通過したとか」
商人「良い話じゃないの?」
狼女「私が貝殻で聞いた音は…近くに大きな建造物…多分大きな骨だったんだと思う」
商人「おおお!!詳しい場所は聞こえないかい?」
狼女「ちょっと待って…今聞き耳立ててるから」
713 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:25:03.32 ID:c2KZAoSz0
『翌日_貨物用気球』
フワフワ ドッスン
ローグ「頭ぁぁ!!飛空艇の場所がほぼ特定出来やした…やっぱりここから西の方角っす」
女戦士「方角と距離は合わせて言えと何度言えば分かる」
ローグ「ええと…馬車で10日程…なもんで船ならえーと…」
女戦士「気球を使って先行して探してこい…幽霊船は縦帆が無いから直行は出来ん」
ローグ「もし見つけたらここまで吊って来る感じっすかね?」
女戦士「他に方法はあるか?」
ローグ「遠すぎるっす…途中で落としちまう可能性がありやす」
女戦士「では正確な場所を教えろ…近くの沖まで移動しておいてやる」
ローグ「海図に場所を記して置きやす…」ダダ
商人「捜索に行く人員はどうする?」
女戦士「アラクネーは不死者を襲うと思うか?」
アサシン「フフ…それなら私と商人が適任だな…生身では毒が厄介だ」
女戦士「分かった…気球の操舵はローグ…飛空艇の回収作業は商人とアサシンで行け」
狼女「私は?」
女戦士「気球を出来るだけ軽くしたい…身軽なリカオンは縦帆の修理に回って欲しい」
狼女「…」シュン
714 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:25:44.10 ID:c2KZAoSz0
『甲板』
ザブン ギシギシ
情報屋「フフ連れて行って貰えなくて拗ねているの?」ヌイヌイ
狼女「悪い?」ヌイヌイ
情報屋「アラクネーの麻痺毒は強力だから仕方ないわね」
狼女「布を縫い合わせる作業は地味で退屈」ヌイヌイ
情報屋「これも大事な仕事だと思うわ?早く仕上げないと船を動かせないのだし」
女戦士「碇を上げろ!!一旦沖へ出る!!進路11時!!」
情報屋「出港ね…急いで縫わないと」アセ
女戦士「リカオン!マストに上がれるな?指示通りロープを掛けろ」
狼女「え!?私?」
女戦士「人出が足りんのだ…早くロープを持って上に上がってくれ」
狼女「ロープを上に?ってこれめちゃくちゃ重いじゃない…」
女戦士「つべこべ言わず持って上に上がれ!!」
--------------
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715 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:26:40.15 ID:c2KZAoSz0
『翌日_貨物用気球』
フワフワ バサバサ
ローグ「水も何も積んで無いもんで喉がカラカラっす…」
アサシン「ワインならあるぞ?」
ローグ「一口頂きやす…」グビ プハァ
アサシン「どうだ?不死者の気分は」
ローグ「ワインが格別美味いっすねぇ…」
商人「ローグ!!見つけた!!巨大な骨…なんの骨だ?」
ローグ「情報通りっすね…高度下げやす」グイ
アサシン「ふむ…あの大きさからするとクジラだな」
商人「クジラ…そうだ未来君の壁画にもクジラが書かれていた…関連するのか?」
ローグ「幽霊船の居場所が分からんのですが…」
アサシン「ひとまず私が先に降りて状況を見て来る」
ローグ「クジラの上で待機っすね?」
アサシン「うむ…」
『クジラの骨_上空』
フワフワ バサバサ
商人「見えた!!間違いない飛空艇の船体が見える」
ローグ「球皮も帆も無くなっていやすね…」
商人「そうか…船体は魔女が樹脂に変性させたから傷まずに残ってるんだ…」
ローグ「な〜んか見たく無い物を見ちまいそうで…」
アサシン「ロープを降ろして先に降りるぞ?」シュルシュル
ローグ「アサシンさんロープを何かに結んで下せぇ…気球が安定しやす」
アサシン「分かった…」
商人「ちょっと待った!遠くにオーガがうろついてる…3体くらいだ」
アサシン「クックック…オーガが不死者を襲うと言うか?食う所が無い」
商人「この辺りはオーガが居るから人が通らなかったんだ…不幸中の幸いか」
アサシン「では降下する…」シュルシュル シュタ
商人「僕も降りようかな…」
ローグ「ちっと待って下せぇ…アラクネーが出て来やした」
商人「え!?」
ローグ「中型が3体…小さいのは一杯居やすねぇ…」
商人「お見合いしてるね…」
ローグ「戦闘にはならん感じっすかね?」
商人「大丈夫そうだ…僕も降りて来る」シュルシュル
ローグ「あああああ!!ちょ…あっしだけ置いてきぼり…」
716 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:27:47.96 ID:c2KZAoSz0
『クジラの骨_埋まった飛空艇』
シュルシュル シュタ
アサシン「商人も降りて来たか…どうやら大型のアラクネーは居ない様だ」
商人「襲って来ない?」
アサシン「うむ…しかし毒は持って居る筈」
商人「なるほど…だからオーガも近づかないんだね」
アサシン「飛空艇は少し掘り出す必要がありそうだな…入り口が埋まっている」
商人「中を覗いて…ああ!!中はクモの巣になってる…」
アサシン「難儀しそうだ…」
商人「でも見える…石化してるよ!!横たわっているのが魔女…四つん這いなのが女海賊」
アサシン「盗賊は居ないのか?」
商人「どうなってるんだ?酒の瓶を持ったまま石化してる‥」
アサシン「クックック…状況が読めんのだが3人共無事の確認は出来た訳だ」
商人「クモの巣がクッションになったお陰でどこも欠けて無い…よしよし」
アサシン「さぁどうする?」
商人「アサシンは飛空艇の隅にバランスよくロープを掛けて行って…僕は周りを掘り起こす」
アサシン「アラクネーが暴れなければ良いが…」
商人「暴れたって不死者に何も出来ないよね…完全無視で」
717 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:29:21.39 ID:c2KZAoSz0
『埋まった飛空艇』
ザック ザック
商人「おーい!!気球で少し持ち上げてぇぇ!!」
ローグ「あいさー!!」
グググ ズズズズ
商人「少し横にぃぃ!!」
ローグ「へ〜い!!」ズズズズ
商人「今の状態で待機ぃぃ!!」
ローグ「はいなー!!」
商人「さて…余分な砂を落としてこのまま運びたい所だけど…」
アサシン「商人…見てみろ」ユビサシ
商人「ハッ!!ホムンクルス…」
アサシン「この機械の犬はホムンクルスなのか?」
商人「そうさ…僕が機械の犬にホムンクルスの超高度AIを搭載したんだ…」
アサシン「どう見る?クジラとどうやって意思疎通したと思う?なぜクジラに抱かれている?」
商人「犬笛が首にぶら下がって…そうか音だ…音を使ってクジラの言葉を発する事が出来たんだ」
アサシン「つまりクジラに飛空艇を守って貰った訳か」
商人「そうだね…でもホムンクルスの超高度AIは数年でエネルギー切れを起こした」
アサシン「クジラは友人が死んだと思ったわけだな?…そして抱いたまま此処に…」
アサシン「私はな…どうも海の生物と何かの縁を感じる…不思議なのだがこの状況に強く心を打たれる」
商人「これ明らかに死んでも守ると言う姿だよね?」
アサシン「うむ…」
商人「未来君の壁画に描かれて居たクジラ…もしかして数百年を超えた再会だったのかもね」
アサシン「海の中にも語り継がれない物語がある…そういう事か…」
商人「なんか弔いが必要に思えて来た」
アサシン「海に返すか?」
商人「どうすれば弔えるだろう…命を懸けて守ったのだからずっと一緒にした方が良い気もする…」
アサシン「私達の仲間に加えるのはどうだ?」
商人「え?どうやって?」
アサシン「守って貰うのだ…死しても尚守る…本望では無いだろうか…」
商人「骨を持って帰って材料にするのか…悪い案じゃない」
アサシン「お前もホムンクルスをここに置いて行く気も無いのだろう?なら一緒に連れて行くべきだ」
商人「ふむ…そうだね…よし!クジラの骨も残さず全部運ぼう」
718 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:30:24.73 ID:c2KZAoSz0
『幽霊船_船首』
ユラ〜リ ギシ
海賊「オーライ…オーライ」
フワフワ ドッスン
ローグ「頭ぁぁぁ!!小舟を岸に付けて下せぇ!!」
女戦士「なに?どういう事だ?」
ローグ「他にも資材を大量に運びたいんす!!」
女戦士「回収した飛空艇以外にも何かあるのか?」
ローグ「木材の代わりになるクジラの骨でやんすぅぅ!!」
女戦士「ふむ…小舟を降ろすから気球で引っ張って行け…今は人手が足りん」
ローグ「分かりやしたぁぁ!!小舟にロープ括りつけて下せぇ!!」
女戦士「小舟を降ろせぇ!!」
海賊「へ〜い!!」ドタドタ
--------------
女戦士「よく飛空艇を回収してくれたな…」ツカツカ
商人「3人共石化して居るけど無事だよ…エリクサー有ったよね?」
女戦士「樽に半分ほど残って居る…足りれば良いが」
商人「あと飛空艇の中がアラクネーの巣になってるから気を付けて」
女戦士「それは厄介だ…」
商人「君は虫を使えないのかな?」
女戦士「使役したことなど無い」
商人「魔女がいつだったか言って居たんだ…ドワーフにはそもそも適性が有るかもしれないってね」
女戦士「私は虫と話した事なぞ無いのだ」
商人「金属とか石の声は虫の声らしいよ?」
女戦士「…」ジロ
商人「あぁゴメン君の秘密なのかもしれない」
女戦士「…」
”怖い…怖い…怖い…怖い…”
女戦士「フフこの落ち着かない感じはそういう事だったか…」
商人「僕には良く分からない」
女戦士「飛空艇に誰も近づけるな!!」
海賊「へ〜い!!」ドタドタ
719 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:31:19.43 ID:c2KZAoSz0
『月夜』
ユラ〜リ ギシ
情報屋「飛空艇はあのまま放置なの?」
女戦士「アラクネーが落ち着くまでは手が出せん…巣を守っているだけだから落ち着くまでそっとしておく」
情報屋「あなたも虫の声が?」
女戦士「この場合聞こえると言えば良いか?」
情報屋「フフ…あなたも導かれし者かぁ…」
女戦士「導き?」
情報屋「大地の声…虫の声…きっとそれは大いなる神の声」
女戦士「どうした?非科学的な事を言うとは情報屋らしくない」
情報屋「私は歴史を紐解いて少し分かった気がする…神が…いえ精霊があなた達に何を与えたのか」
女戦士「ドワーフの血の話か?」
情報屋「それもあるけれど…私は今大地の声と言ったでしょう?」
女戦士「ふむ…」
情報屋「それはエルフが言う森の声と同じ様に大地が持つ大いなる意思…それが聞こえるあなた達は勇者と言い変えて良いと思うの」
女戦士「大地の精霊と言えばノームと聞くが…」
情報屋「きっとその当時のホムンクルス本人」
女戦士「ふぅむ…大地の声か…意識した事は無かったのだが改めて聞くとその様な気がしないでも無いな」
情報屋「ねぇ?不思議だと思わない?虫があなたの妹を守ってる…大地の加護では無いの?」
女戦士「大地の加護…」ブルリ
情報屋「私は神の意思の真理に近づけててワクワクが止まらないわ」
女戦士「今何かに触った気がする…鳥肌が立った」
情報屋「神を理解したのよ…真理に触れたの」
720 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/18(土) 18:31:49.72 ID:c2KZAoSz0
『翌日』
フワフワ ドッスン
ローグ「み…水を…枯れちまいやす…」ヨタヨタ
女戦士「物資はすべて積み終わったか?」
アサシン「今ので最後だ…出航して構わん」
女戦士「ご苦労!ローグ…後で褒美をやる」
ローグ「姉さんは…無事っすか?」
女戦士「今はまだ飛空艇に入れん…アラクネーを荒立てるな?」
ローグ「そーっすか…あっしは水分補給してちぃと休みやす…」ヨタヨタ
女戦士「碇を上げて帆を張れぇ!!西進して一度基地へ返る!!」
海賊共「へ〜い!!」ドタドタ
アサシン「…」グビ ゴクリ
女戦士「どうした?浮かない顔をして居るぞ?」
アサシン「そう見えるか?」
女戦士「失恋でもしたかのような顔をしている」
アサシン「フフ…クジラに愛を見せつけられたのだ」
女戦士「お前が愛を語るとはな…」
アサシン「気にするな…何でも無い」
ザブ〜ン ユラ〜リ
-------------
-------------
-------------
時の砂編
完
721 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:33:46.93 ID:O6K4E5800
『海賊の基地』
トンテンカン トンテンカン
女戦士「竜骨の補強はミスリルを使って構わん!!」
女戦士「フォアからスプリットへの縦帆は3枚にしろ」
女戦士「ミズンマストへの横帆は不要だ…外して他への縦帆に回せ」
アサシン「大幅な改修だな?」グビ
女戦士「旋回性重視に変更だ」
アサシン「古代の兵器対策か?」
女戦士「フフ…海戦の素人にはそう見える様だな」
アサシン「大砲は移動式が一門…商船とさして変わらん…小回りが利く程度か」
女戦士「素人が口を挟むな」
アサシン「クックック…商人達に置いて行かれて暇なのだ」
女戦士「連れて行ってくれと懇願すれば良かっただろう」ニヤ
パタパタパタ
女戦士「商人が戻って来た様だ…大きなプロペラ式気球とは…」
アサシン「これで退屈が凌げる」
女戦士「情報屋に連絡してくれ…エリクサーが届いたとな」
722 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/06/29(水) 20:34:41.99 ID:O6K4E5800
『プロペラ式気球』
フワフワ ドッスン
狼女「結局私が操作した方が早かったじゃない!」
商人「もっと簡単に操作できると思ってたんだよ」
狼女「あんたは何て言うかセンス無い…風の匂いを嗅ぐ感じだよ」
商人「分かった分かった!!僕は何をやってもセンス無いよ」
ローグ「遅かったっすねぇ…これがキ・カイの新型輸送用の気球っすね?」
商人「ごめんごめん…エリクサーの調達に手間取ったんだ」
ローグ「あっしが運びやす…どれでやんすか?」
商人「手前に置いてある樽だよ」
ローグ「これっすね?…よっこら…あれ?」
商人「樽で半分しか調達できなかった…これで足りれば良いけど」
ローグ「しゃーねーっす…じゃぁあっしは急いで運んで行きやす」
商人「3人の容態はどう?」
ローグ「魔女さんだけ目を覚ましたんすが混乱してるみたいでやんす」
商人「混乱?」
ローグ「ずっと夢幻を見ていたらしいんす…記憶を書き残すと言って書き物してるんすが…」
商人「??」
ローグ「未来君を破門したやら…隕石がどうやら…兎に角混乱してるんす」
商人「まぁ良いや…今はまだ話せない感じだね?」
ローグ「落ち着くの待った方が良さそうっすね」
商人「僕は調達した物を降ろしてから後で行くよ…」
ローグ「あっしもエリクサー届けたらすぐに戻って来るんで待っていて下せぇ」
723 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:35:31.08 ID:O6K4E5800
『基地_船着場』
トントントン ギコギコ
狼女「女戦士!!頼まれてた盾を大量に仕入れて来たよ」ガサー
商人「クロスボウもこの通り…よいしょ!!」ドサー
女戦士「ふむ…キ・カイの2連式だな?」
商人「うん…関税の影響で商船が入って来なくなったからすごく安かった」
女戦士「石炭は高く売れたか?」
商人「ハハ思い通りだよ…地庄炉村で買った価格の倍以上で売れたさ…生活必需品は何でも高騰してる」
スタスタ
アサシン「商人!ここに居たか…」
商人「あぁ今資材を降ろし終わった所さ…僕を探してた?」
アサシン「ふむ…情報屋がギャングの様子を心配して居てな…話が聞きたいと言って居る」
商人「あぁ…その件か…」
アサシン「ギャングとは誰だ?」
商人「キ・カイの地下に住む孤児の集まりさ…アサシンは知らなかったのか…」
アサシン「やっと理解した…10歳前後の子供が含まれている訳か」
商人「うん…情報屋の子供がギャングの中に居てね」
アサシン「今の状況だと何処かへ避難させた方が良さそうだ…」
商人「そう上手くも行かないんだよ…彼等には彼らの意思があってね…まぁハッキリ言うと言う事聞かない」
アサシン「兎に角情報屋が話を聞きたがっている…行ってやれ」
商人「分かったよ…じゃぁリカオン!そういう事で僕は行って来る」ノシ
狼女「どうして置いて行こうとするのよ!!」カチン
アサシン「リカオン!私と共に来い」ヤレヤレ…
狼女「ベロベロベロベロベーーー」シュタタ
商人「…」アゼン
724 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:36:35.17 ID:O6K4E5800
『居室』
ガチャリ バタン
魔女「そうじゃ…確か重力の方陣は天体の周期を求める数学じゃった…」ブツブツ
魔女「時空の方陣は重力とほぼ同じじゃ…2枚の方陣に穴を開け三次元化した物がワームホール」ノソノソ
魔女「つまりじゃ…時間の流れは一方向では無い…時空を超えて未来へ行く事は可能なのじゃ…」ブツブツ
魔女「…では夢幻とは何かをもう一度考え直してみよう…」ノソノソ
商人「あ…」ポカーン
情報屋「商人!来たのね…キ・カイの様子は?ギャング達は無事?」
商人「あぁ…今の所変わりは無いよ」
情報屋「ホッ…安心したわ」
商人「でも子供の徴兵制が可決して混乱してる最中だよ」
情報屋「混乱とは?」
商人「親が子供を隠してるんだ…そうなる事は初めから分かってるのに」
情報屋「尚更ギャング達が標的になってしまう…」
商人「いや…彼らはちゃんと逃げ道を知って居るらしい」
情報屋「どうして分かるの?」
商人「ハーフオークの子がオークと結託を始めてるんだ…オーク側に行けるんだよ」
情報屋「それは影武者さんからの情報?」
商人「うん…」
情報屋「完全に戦争の真っただ中に行ってしまうじゃない」
商人「キラーマシンにされてしまうよりはマシさ…」
情報屋「どうにか出来ないの?」
だぁぁぁぁ!! なんじゃこりゃぁぁ!!
情報屋「ハッ!!盗賊が目を覚ました…」ダダ
725 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:37:02.59 ID:O6K4E5800
盗賊「目が見え無ぇ…どうなってんだ?」
情報屋「まだ動かないで?石化が完全に解けていないわ…エリクサーを一口飲んで」
盗賊「んあ?その声は情報屋か?」
情報屋「聞こえるのね?私よ?」
盗賊「喉がカラカラなんだ…声が出しにきい…ゲホゲホ」
情報屋「はい…エリクサーよ」クイ
盗賊「むぐ…」ゴク
情報屋「ホラ!ワインもあるわ?」
盗賊「おぉ!!ソレだソレ!!見え無ぇ!!」スカ スカ
情報屋「ここよ…手を」グイ
盗賊「ヌハハ…瓶だな?ようし!!手に入ったらこっちのもんよ…」キュポン
情報屋「良かった…元気そうで本当に良かった…」プルプル
盗賊「むぐっむぐっ…ぷはぁ!!」ゴクゴク
商人「アハハ…酒飲みながら石化したのに目を覚ましてやっぱり又酒か…」
盗賊「石化?何の話だ?俺はハテノ村で酔いつぶれて寝てたんじゃ無ぇのか?」
商人「ハテノ村?」
盗賊「そうよ…ハテノ村開拓して酒場作っただろ…そういや情報屋はいつ来たんだ?」
情報屋「…ちょっと待って…メモするわ」カキカキ
盗賊「いやぁぁしかし良く飲んだ…海賊王の爺が持って来た酒がまたキツイ酒でよ」
商人「これは…」
情報屋「…」コクリ
盗賊「んん?何かしゃべれよ…俺は目が見えなくて寂しい訳よ」
商人「ハハそうか…もっと思い出話聞かせてよ」
盗賊「どっから話せば良いんだ?そうだな…情報屋はハテノ村に来たこと無いだろ?初めから説明してやる…」
お前が居ない間俺はハテノ村の子供達と知り合った訳よ…ほんで…
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726 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:37:57.80 ID:O6K4E5800
『翌日』
んがががが すぴー
情報屋「…やっと寝たわ…そっちはどう?」
商人「魔女の独り言を僕一人でメモするのはちょっと厳しい…手伝って」カキカキ
情報屋「魔女は寝ないつもりね?」
魔女「アーデモナイ…コーデモナイ…」ブツブツ
商人「難しい言葉ばかり使うんだ…」メモメモ
情報屋「魔女は自分でメモを取って居るわね…」
商人「もうメモ取らなくて良いかな?」
情報屋「今まで取ったメモを見せて?」
商人「ふぅ…やっと解放された」
情報屋「…ええと…」
商人「何か分かる?」
情報屋「やっぱり!!魔女も地軸の移動を経験してる…子供が生まれない原因の事も…」
商人「そうだね…そんな事言ってた」
情報屋「盗賊も一貫して子供が生まれない病気の事を言ってて…子供達を守る為にハテノ村の開拓をしたと…」
商人「これは同じ夢幻を見た…もしくはそこに居たという事だ」
情報屋「未来君の証言とも完全に一致するわ…つまり未来君は本当に未来を変えたという事」
商人「待てよ待てよ…寝ると記憶を失うと言ってたな」
情報屋「次元と調和するというアレね…」
商人「次に盗賊が起きた時には夢幻の記憶を少し忘れてる筈だ…そしてどんどん今の次元に調和して行く」
情報屋「魔女はそれを知って居るから一人で全部書き残そうとして居るのね」
商人「なんか分かって来た…次元を飛ぶとそれまでの事は夢だと認知してしまうんだな?」
商人「どんどん忘れて行って顔も名前も思い出せなくなる…」
商人「どうすれば固定化出来る?」
情報屋「寝ない事…未来君は寝ないで維持しようとした」
商人「盗賊を叩き起こそう…」ダダ
ポカ!
盗賊「んが!?んがががが…すぴー」zzz
727 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:38:26.27 ID:O6K4E5800
情報屋「それじゃダメよ…」
商人「どうやって起こせば良い?」
情報屋「私がやってみる…」
情報屋「盗賊?起きてる?私子供が出来たみたいなの…欲しがってたでしょう?男の子よ?」
盗賊「んあ?…マジか?男だって?」ムクリ
情報屋「ほらお腹を触って?話しかけてみて?」
盗賊「おおおおお!!ここに居るのか…おーーい!!聞こえているかぁぁ!?」
商人「…」ポカーン
情報屋「あなたずっと寝て居たのだからもうしばらく寝なくて良いでしょう?」
盗賊「ちっと頭がぼーーーっとしてよ…俺何してたんだ?」
情報屋「ちょっと石化してただけ…」
盗賊「石化?んぁぁぁ覚えて無ぇ…ちっと水くれ無ぇか?」
情報屋「そうね…お酒飲み過ぎね」
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728 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:38:56.89 ID:O6K4E5800
『基地_船着場』
トンテンカン ギコギコ
デッキ部に盾を並べて配置しろ
クロスボウは盾に隠した位置だ
女戦士「!?商人か…聞いたぞ…盗賊が目を覚ました様だな」
商人「うん…盗賊も記憶の混乱が起きてるよ」
女戦士「無事ならそれで良い」
商人「そろそろ女海賊も目を覚ますんじゃないかな」
女戦士「私が行ってやった方が良いか?」
商人「そうだね…僕よりはずっと良い筈」
女戦士「お前に又お使いを頼みたいのだが…」
商人「何かな?」
女戦士「妹の飛空艇を修復する為に金属糸が必要になると思うのだ」
商人「あぁキ・カイで売ってるね」
女戦士「それから気球の球皮…」
商人「球皮はピンキリだね…好みも有ると思うんだ」
女戦士「そうか…う〜む…」
アサシン「私に案がある…クジラ型の球皮はどうだ?」
商人「お!?それ良いね」
狼女「そんな形の球皮なんかあるの?」
商人「細長い球皮は結構あるんだ…作らせれば良い」
アサシン「クジラの形状は私がデザイン出来る…意を汲んでくれる職人が居るかどうかだが…」
商人「探すよ…ただ資金が僕のお金だけじゃ足りないかも知れない」
女戦士「私の船に魔石とウラン結晶なら沢山積んであるが?」
商人「それはダメだよ…キ・カイにエネルギーを与えてはダメだ」
女戦士「キ・カイ政府に回らなければ良いのだろう?民は寒くて凍えて居るのでは?」
商人「う〜ん…困窮している民からお金を搾り取るのは違う気がするなぁ」
アサシン「機械の犬に入っているエネルギーの尽きた機械はどうだ?」
商人「お!!?使い古した超高度AIか…なるほどもう使えない」
アサシン「闇商人としてキ・カイ政府に高額で売りつけるのだ」
女戦士「公爵は闇商人が白狼の一味だと知って居るのではないか?」
商人「いやそれは無い…知って居たとすれば僕はもう此処に居ない筈だよ」
女戦士「ではキ・カイから資金を搾り取る良いチャンスだ」
商人「一度遺物を研究している学者とコンタクトしてみる」
729 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:39:29.49 ID:O6K4E5800
『新型貨物用気球』
スタスタ
アサシン「今回は私も同行する…調べたい事もあるからな」
商人「リカオンは?」
アサシン「勿論一緒に来る」
商人「良かった…気球の操作に自信が無くてさ」
アサシン「帆が付いて居ない様だが?」
商人「まぁプロペラで進むんだけど気付いたら全然違う方向に向かっててね…」
シュタタ スタ
狼女「…」ニヤニヤ
商人「ハハ分かってるって…君の力が必要だ」
アサシン「では行こう」スタ
------------
『上空』
パタパタパタ
アサシン「…これはどうにか改良した方が良い」
商人「やっぱりそうだよね…ちょっと遅いよね」
アサシン「我々が帆付きの気球に慣れているせいでもあるが…」
商人「荷が大量に乗せられるのだけが利点」
アサシン「本来は沖へ停船している船への物資運搬用なのだろうな」
商人「リカオン?改造出来たりしないかい?」
狼女「無理…」
商人「ハハやっぱりそうだよねぇ…」
アサシン「帆船を良く知って居る盗賊か女海賊に頼むのだな」
商人「海賊の基地に戻ったら頼んでみるよ」
-------------
730 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:40:12.80 ID:O6K4E5800
『後日_商人ギルド大部屋』
ガチャリ バタン
商人「寝泊まりはこの部屋でお願い…僕は学者とコンタクトする調整とかで出かけてしまうから自由にしてて」
アサシン「護衛は要らんのか?」
商人「う〜ん…」チラリ
狼女「…」ニヤ
アサシン「私は金をあまり持って居ない…リカオンをよろしく頼む」
商人「ちょ…」
狼女「フードをどっかに無くしたんだ…お金頂戴!」
商人「…」アタタタタ
--------------
『隠し部屋』
カチャリ ギーー
商人「戻ったよ…近況を教えて欲しい」
影武者「はい…この方は以前訪ねて来られた…」
商人「あぁ紹介して居なかったね…僕達の仲間さ」
影武者「そうでしたか…追い返して済みませんでした」ペコリ
狼女「…」チラリ
商人「それで…例の法案可決の影響とかどうなってる?」
影武者「徴兵の具体的な内容が通知されて落ち着きを取り戻して来ました」
徴兵は10歳〜16歳までの子供が強制的に軍へ編入される物なのですが
17歳になるまで軍の学校へ通った後…退役するという内容でした
商人「つまり軍事学校だと言うのか?」
影武者「はい…一時子供を隠す動きがありましたが今は落ち着いて居ます」
商人「くそぅ!!それじゃ子供の数人がキラーマシンに変えられても脱走とか事故だとか何とでも言い訳が出来る!!」
影武者「…」
商人「他に変わった事は?」
影武者「魔石が供給過多で値下がりしています」
商人「関税が掛かっているのに何故?」
影武者「分かりません…ですから買い入れは一時ストップしています」
商人「調べる必要があるな…もしかすると古代遺跡からウラン結晶が大量に発掘されて居るかもしれない」
影武者「私もそう思います…関税を重くして流通が減っても自前でエネルギー確保出来る確約があったと思われます」
商人「マズいな…後手に回ってしまった」
影武者「ですがご安心ください…商人ギルドとしての損失は軽微です」
商人「今の所はね…一度本店を移した方が良いかも知れないなぁ…」
影武者「そうは思いません…軍の特需で鉄鋼と石炭の需要が高い為現状でも十分利益が出せます」
商人「チカテツ街道の奥か…」
影武者「はい…」
731 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:40:39.15 ID:O6K4E5800
商人「でもそれではキラーマシン量産の手助けになってる…」ドン!
影武者「…」
狼女「私がその坑道を壊して来ようか?」
商人「いやそういう問題じゃない…壊した所で別の場所から仕入れるだけになる」
狼女「別の場所も壊せば良いじゃない」
商人「問題はソコじゃない…子供達が犠牲になってる事を明るみにして全員で抵抗しないとダメだ」
狼女「そんな事出来る?」
商人「魔女なら出来る」ギラリ
商人「魔女なら大勢の人を幻惑して真実を信じ込ませる事が出来る筈…それしか無い」
---------------
アーシロ コウシロ…
鉄鋼と石炭で利益確保する代わりにその他の物は価格を下げてみんなに還元しよう
とにかく流通が滞らない様に多少の負担は商人ギルドで受ける
キ・カイ僻地では商隊不足で物資の滞留が起きてるから商船はそちらに回そう
商人「あとこれは個人的に仕入れたい物資なんだけど…金属糸と気球の球皮を買い入れたい」
影武者「球皮?どの様な球皮でしょう?」
商人「職人と話を付けて欲しい…特注になるから図面は後で手配する」
影武者「予算はどの位で考えて居ますか?」
商人「そうだな…球皮だけで1000金貨くらい」
影武者「商人ギルドの資金から出すのですか?」
商人「いや…僕がお金を調達する…ギルドの資金には一切手を付けないよ」
影武者「分かりました…早速職人と話をしてみます」
商人「いつも悪いね…」
732 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:41:18.26 ID:O6K4E5800
『地下_中央ホーム』
ワイワイ ガヤガヤ
商人「ここで君のフードを買ってあげるよ」
狼女「お金頂戴!」スッ
商人「出来るだけ怪しい感じのフードを選んでくれるかな?」ジャラリ
狼女「どうして?」
商人「この後ちょっと危ない交渉に行くつもりなんだ…君は謎の人物という設定で行きたい」
狼女「危ないと言うのはどういう意味?」
商人「もしかすると殺されるかも知れない…君の鼻が頼りになる」
狼女「フフやっと楽しめるかぁ…」
商人「護衛頼むよ?」
-------------
『ジャンク屋』
ガヤガヤ ガヤガヤ
店主「いらっしゃい…ウシシシ久しぶりだね?又何か持ち込みかい?」
商人「まぁね?今回のは特別さ…買い取って貰えるかな」
店主「今度はどんな機械かねぇ…ウヒヒヒ」
商人「触るのは厳禁だよ?…この瓶の中に入ってる…まず鑑定してくれるかな」
店主「鑑定もタダじゃないよ?」
商人「分かってるさ…」チャリン
店主「どれどれ見せてみソラシド…」
商人「これさ…」スッ
-------------
733 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:41:48.37 ID:O6K4E5800
店主「おぉ?…待ちぃ待ちぃ…おおお?」ジロジロ
商人「さぁそこまでだよ…返して」グイ
店主「待て待て待て…これを何処で手に入れたんか?」
商人「この人が北の大陸から持って来たらしい…」
狼女「…」ギロリ
店主「北の大陸…ちょっと待ちぃ!!店終いするけぇ…」ドタバタ
商人「これが何だか分かるかな?」
店主「顕微鏡で確認させて貰いたいんだけんども…奥の作業台まできぃ…」ドタドタ
商人「ビンから出さないで確認できる?」
店主「無理に決まっとろうが…顕微鏡で見んと鑑定できんがぁぁ…」ハァハァ
商人「じゃぁ少しだけね…空気に触れると酸化して価値が落ちるかもしれない」
店主「分かっとるわい!!見せぇ…」グイ
おおおお!!すんばらしいぃぃ!!
こんな細かいパーツにまで古代文字が記されて…
商人「はい終わり!!」グイ
店主「あぁぁん…もっと…もっと見せぇ」ハァハァ
商人「さてと…これを買い取れる人を探してるんだ」
店主「金貨100枚!!破格だよ?ウヒヒヒヒ」ジロリ
商人「何言ってるのさ…」
店主「即金!即金で今すぐ出す…」ハァハァ プルプル
商人「桁が2つ違う…金貨10000枚なんだ…そうだよね?」
狼女「…」ギロリ
店主「誰やぁぁ!!こいつはぁ!!」プルプル
商人「それは言えないらしい…」
店主「そそそ…そのビンの中に空気と埃がぁぁ…それじゃダメダ〜メ」プルプル
商人「だからビンから出したく無かったんだよ」
店主「そりは…雑に扱ってはいけない物」ハァハァ
商人「知ってるさ…だから買い取れる人を探してるんだ」
店主「この店で買い取れる訳無ぇけ?」
商人「店主さん元は学者だとか言ってたじゃない…誰か知らないの?」
店主「イカンイカン…研究は私ががが…」ヨタヨタ ズデン!
商人「他のジャンク屋行って見よう…」スタ
店主「待てぇぇ〜い!!」ドタドタ ズコー
店主「明日もう一度持って来ぃ…知り合い連れて待っとるじょ」
商人「行こう…」グイ スタスタ
734 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:42:23.13 ID:O6K4E5800
『中央ホーム』
ガヤガヤ ガヤガヤ
商人「ここから君の鼻が必要になる…誰かに付けられて無いかな?」
狼女「人が多すぎる…」クンクン
商人「さっきの人は結構有名な科学者だったんだよ…なんでかジャンク屋になっちゃってるけど」
狼女「怪しい動きは無かった様に見えたが?」
商人「あの人が監視されてるのさ」
狼女「ふむ…」
商人「店を閉めるのは明らかにおかしい行動だよね?」
狼女「警戒し過ぎでは?」
商人「ジャンクパーツ見た?」
狼女「見て無かった」
商人「あの人はキラーマシンの生みの親の一人だよ…あそこのジャンク品はキラーマシンをバラした物ばかり」
狼女「では軍の関係ね…」
商人「あ!!…カイサツ門の所で検問やってる」
狼女「え?もう動いてる訳?」
商人「ダメだな今日は地上に上がらない方が良さそうだ…デパチカ居住区の方に商人ギルドの支店があるからそっちに行こう」スタ
『商人ギルド支店』
ワイワイ ガヤガヤ
狼女「ここもあんたの建屋か?」
商人「まぁね…でも僕はこっちに殆ど顔を出さない」
狼女「あんたどんだけ金持ちなの…」キョロ
商人「建屋提供してるだけさ…運用資金はギルドの物で僕の財産じゃない」
狼女「ふ〜ん…見た感じこっちで取引してる人は本店の方と違う層かな」
商人「うん…こっちは主にトロッコで運ばれた地下資源の取引所だね…鉄鋼と石炭が主だよ」
狼女「ここにも隠れ家あるの?」
商人「こっちさ…」スタ
735 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:43:28.74 ID:O6K4E5800
『隠れ家』
ガチャリ ギーー
商人「入ってよ…」ガチャ ガサガサ
狼女「ちょっと…散らかりすぎね…足の踏み場もない」
商人「ハハ僕が一人で使うとこうなる」
狼女「これ全部ジャンクパーツ?」
商人「そうさ…キラーマシンの部品とか古代の謎の部品とか」
狼女「組みあがってるキラーマシンは動くの?」
商人「魔石入れたら動く筈…ただ本当の初期型だから戦闘には向かない」
狼女「ガラクタなのね…」
商人「でもトロッコ動かすのには使える筈なんだ…人力じゃ大変だから」
狼女「ふ〜ん…あんたがそう言うと言う事はトロッコ使って何かするつもりだったんだ?」
商人「そうだよ…トロッコ使って古代遺跡の調査に行きたかったんだ…でも一人じゃ行けないからここで腐らせてる」
狼女「面白そうだ!!私が行ってあげる」
商人「ダメダメ…鍵開けが必要になるから盗賊が行かないと意味が無い」
狼女「じゃぁ盗賊呼んで来よう」
商人「正気に戻ったらだね…それよりさ?」
狼女「ん?」
商人「アサシンの用事って何なのか知ってる?」
狼女「あぁ…キ・カイに諜報に入ってる盗賊ギルドの仲間が音信不通なんだ」
商人「確認に来てるという事かい?」
狼女「そうなるかな…他にもキ・カイ要人の不審死が続いててその確認だよ」
商人「あ…知ってるぞ!盗賊ギルドが何か関係してるのかな?」
狼女「アサシンは一切関わって無い…それとセントラルでも同様に貴族の不審死が続いて居るんだよ」
商人「まさかそれは公爵が関わって居る?」
狼女「アサシンはそう思ってる筈…」
商人「なるほど読めて来たぞ…変化の杖で公爵が姿を変えたとして元の人は色々不審に思う…だから消される訳か」
狼女「公爵が誰に化けて居るのか分からないから魔女の助言が欲しい…それが私達の目的だった」
商人「待って…」
狼女「ん?」
736 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:44:16.13 ID:O6K4E5800
商人「その逆もある…公爵は白狼の盗賊団に魔女が居る事を知って居るんだ」
狼女「それが何か?」
商人「公爵からすると何処に魔女が潜んで居るか分からない…公爵も誰が信用出来るか分からないんだよ」
狼女「だから不審死が起きてる?」
商人「まてよ…そもそも公爵の目的は何なんだろう?どうしてあちこちで政治的な影響を行使するんだ?」
狼女「キ・カイがオーク領に攻め入ってる理由も分かんないね」
商人「そうか!!古代遺跡だ…古代遺跡で何か探してるんだ」
狼女「外海の調査も?」
商人「そうだね…セントラルもキ・カイも古代遺跡を目指してる…目的はどちらも一緒なんだ」
狼女「古代遺跡に何が?」
商人「色々だね…古代兵器もそうだけどホムンクルスが居るかもしれない…他にも…ああああああああああ!!」
狼女「え!!?何?」
商人「分かった…古代の船だ…空飛ぶ古代の船を探してる」
狼女「それ何?」
オーク領にあった未来君の壁画にオークの起源が記されて居たらしい
そこには空飛ぶ船が描かれて居てオークは宇宙から来た外来種だと解釈してた
公爵の目的は人類の絶滅防ぐ為に僕達とは違った手段で黒の同胞団として暗躍して来た
そのすべての計画が僕達によって破綻してしまったんだ
最後の手段として空飛ぶ船を使って人類を逃す…考えそうな事だよ
737 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:44:45.01 ID:O6K4E5800
狼女「その話だけ聞くと英雄の様だけど…それに振り回されてどれだけの人が亡くなって居るのか…」
商人「そうだね…迷惑な話さ」
狼女「人類の滅亡って本当に起きるのかな?」
商人「んんん…どうだろ?確か…一定以上人口が減ってしまうと遺伝的に繁栄出来ないとか聞いたな」
狼女「それは子供が生まれないという奴?」
商人「詳しくは良く分からない…ほら?近親相関を繰り返すと劣性遺伝するとかいうやつかな?」
狼女「わからんわからんわから〜ん!!」
商人「まぁでも今いま滅亡を言われてもピンと来ないね」
狼女「兎に角公爵がどういう動きをするか分からないから盗賊ギルドは身動き取れなくなってる」
商人「アサシンがそれで苛立って居るのは理解出来たよ」
狼女「それで?これからどうするの?今日はここに隠れて終わり?」
商人「君はこの場所を覚えたね?」
狼女「うん…」
商人「お願いがある…アサシンを探してここまで連れて来てもらえないかい?」
狼女「あんたはどうするの?」
商人「僕は荷物が有るから隠れて居るさ」
狼女「ガラクタと一緒にここに置いて行けば良いじゃない」
商人「あ…ハハハそれもそうだね…待てよ良い事思いついた」
狼女「??」
商人「この超高度AIをここで闇商人が買い取った事にすれば良い…ちょっと帳簿に細工してくる」タッタッタ
-------------
-------------
-------------
738 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:45:27.21 ID:O6K4E5800
『カイサツ門』
ザワザワ ザワザワ
何なんだよ急に検問なんか…
ほら荷物全部出せ!!
商人「何か有ったのかな?」シラジラ
衛兵「軍の小型精密機械が盗難に遭ったそうだ…荷物は無いか?」
狼女「ちょっとおしり触らないで!!」
衛兵「何も持って居ないな?」
商人「どんなもの?」
衛兵「それは言えん!!ふむ…探知機は作動せんな…」
商人「お金は返してよ…」
衛兵「ほら持ってけ!!通ってよし!!」ジャラリ
--------------
スタスタ
狼女「随分厳重な事…」
商人「怖いねぇ…クロスボウこっち向けられてると」
狼女「不死者でも怖い?」
商人「あれゾンビ対策で先端に銀を使ってるんだよ…」
狼女「フフそういう事ね」
商人「因みに…ウェアウルフもタダじゃ済まないよ」
狼女「そんな事知ってる」
商人「君は怖くない?」
狼女「まだ殺気が無いから撃って来ないの分かるし…」
商人「おーそういう感覚は僕分からないんだよなぁ…風が読めないのと一緒か…」
狼女「あんたはセンス無いから」
商人「はいはい…」
739 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:46:01.71 ID:O6K4E5800
『翌日_本店の隠し部屋』
ガチャリ ギーー
影武者「商人さんお話が…」
商人「なに?」
影武者「支店の方で8000金貨の不足がありまして…」
商人「あぁ…連絡忘れてたゴメン」
影武者「どういう事でしょう?」
商人「金貨は支店の隠し部屋に置いてある」
影武者「何か有ったのですか?」
商人「ちょっと取引帳簿の細工をしたくてさ…闇商人が8000金貨支払った履歴を作りたかったんだ」
影武者「はぁ…」ポカーン
商人「金貨は今日戻しておくから安心して」
影武者「安心しました」
商人「それから多分数日の内に政府が僕にコンタクト取って来ると思うんだ」
影武者「どういった案件でしょう?」
商人「精密機械を取り引きしたいと言って来るだろうさ」
影武者「…なるほど帳簿の履歴はその為なのですね?」
商人「うん…僕が本当に金貨を支払った証拠が作りたかったんだよ…それでちょっとギルドのお金借りた」
商人「まぁこれで闇商人が8000金貨支払う価値の有る物だという事が知れ渡る訳さ」
影武者「その取引は私が対応するのでしょうか?」
商人「そうだなぁ…よし!!任せようかな」
影武者「分かりました…詳細を教えてください」
今日その精密機械をある場所に隠して来る
それで政府から入金が確認されたらその場所を教える…
商人「まぁ簡単な取引だね…直接会わないで書簡でのやりとりで出来る取引だよ」
影武者「高額取引ですが入金に応じますかね?」
商人「応じない場合他国に渡るとでも言っておけば良いさ」
影武者「私に任せて頂けるという事は金貨では無く相応の利権でも構いませんね?」
商人「任せる…とりあえず球皮を調達する資金にしたいだけだから」
影武者「お任せください」
740 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:47:05.15 ID:O6K4E5800
『数日後_商人ギルド大部屋』
ガチャリ バタン
商人「呼んだかい?」スタ
アサシン「呼び出して済まんな…頼みたい事が出来たのだ」
商人「何かな?」
アサシン「盗賊ギルドの諜報員が地下牢に留置されている様なのだ」
商人「保釈金を用意して欲しい?」
アサシン「軽犯罪だから直に出て来るからそれは良い…ただ急ぎで話を聞き出したい」
商人「看守の買収かぁ…う〜ん」
トントン
アサシン「ん?誰か来た様だ…」
狼女「影武者の匂い…」クンクン
商人「影武者かい?入っていいよ」
影武者「失礼します…」ガチャリ バタン
商人「どうしたんだい?」
影武者「役所から公示送達が届きました…これを」パサ
商人「なんだろう?」
影武者「…」
商人「なんだこれ…脱税の疑いで事情聴取?出頭拒否の場合は身柄拘束…アハハやってくれるねぇ」
影武者「私が出頭して黙秘でよろしいですか?」
商人「それは色々困るなぁ…物資買い入れとかその他取り引きがある」
影武者「脱税は一切やって居ませんので証拠不十分になるかと思います」
商人「多分8000金貨が何処から出て来たとか…そういう嫌がらせだね」
影武者「出頭拒否するのですか?」
商人「まぁ…向こうがどんな証拠を集めて来るか知らないけど…どうするかなぁ」チラリ
アサシン「黙秘で良いなら代わりに私が出頭しよう…丁度諜報員から話が聞きたかった」
商人「そう言ってくれると思った…」ニヤ
アサシン「キ・カイでの拘留期間はどの位になる?」
商人「向こうが用意する証拠次第だけど証拠無しの場合は法的に48時間で釈放しなきゃいけない」
影武者「無実が証明された場合拘留中の損失を相手に支払わせる事も出来ますので直ぐに釈放の可能性もあります」
商人「おぉ!!それ面白い…リカオン!大至急女戦士との取引証明貰って来て」
狼女「どういう事?」
商人「例の精密機械をドワーフの国に10000金貨で売る契約さ…取引日時は今日で良い」
影武者「フフ…」ニヤ
アサシン「なかなかイヤらしい作戦だな…法の強制力で無理矢理支払わせるか」
影武者「提出用の出納記録を用意しておきます…脱税をしていない証拠になります」
商人「じゃぁリカオン!ダッシュでお願い!」
-------------
-------------
-------------
741 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/06/29(水) 20:47:33.96 ID:O6K4E5800
『海賊の基地』
シュタタ シュタタ
女戦士「ハッ!!ウェアウルフ?」ズザザ
ウェアウルフ「わたし!!わたし!!」シュタ
女戦士「リカオンか驚かせるな…どうした?何か有ったのか?」
ウェアウルフ「この書面にサインお願い!!契約印も必要だって言ってた」パサ
女戦士「なんだこれは…闇商人との取引契約だと?」
ウェアウルフ「事情が有って直ぐにこれを持って帰らないと…」
女戦士「ドワーフの国が精密機械を10000金貨で買い取る…だと?」
ウェアウルフ「ちょっと色々訳アリなんだよ…直ぐに戻らなきゃいけない」
女戦士「10000金貨は直ぐに用意出来んのだが…」
ウェアウルフ「要らない要らない!!これは契約不履行させる証拠に使うんだよ」」
女戦士「話が良く分からん」
ウェアウルフ「迷惑は掛けないから急いでサインを…」
女戦士「まぁ良い…詳しくは後で聞かせろ」スラスラ
ドタドタ ヨタヨタ
盗賊「いよ〜う!!なんでウェアウルフになってんだ?」ヒック
ウェアウルフ「あ…盗賊!正気に戻った?」
盗賊「戻ったも何も初めから正気だ…ほんで何やってんのよ?」
ウェアウルフ「キ・カイで色々トラブルがあってね」
盗賊「今からローグと一緒に気球でキ・カイに行こうと思ってたのよ…乗ってくか?」
ウェアウルフ「本当に!?助かる!!」
ローグ「頭ぁ!!ほんじゃ調達行ってきますぜ?」
女戦士「悪いな…品目を記しておいた…持って行け」パサ
ローグ「どんぐりにキノコ…魔法の触媒…あぁぁ硫黄が手に入らんかもっすねぇ…」
盗賊「商人が向こうに居るからなんとかなんだろ」
ローグ「そーっすねぇ…とりあえず商人ギルドに行きやしょう」
盗賊「いんや…まず酒場だ」
ウェアウルフ「あのさ…どうでも良いけど早くしてもらえる?」
盗賊「おぉ悪りぃ悪りぃ…じゃ行くか!」
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