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【シャニマス×ダンガンロンパ】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】
- 741 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/16(日) 21:19:39.11 ID:22Mip92F0
- 1 千雪選択
【第2の島 海水浴場】
まあ、やっぱり一番に報告したいのは……こいつだ。
出会った当初は勝手にこっちの領域にずけずけと踏み入ってくる厚顔無恥な女だとばかり思っていたが、今となってはこいつに頭が上がらない。
あの時、スーパーで出会っていなければ。
あの時、飲み交わしていなければ。
私はいまだ美琴と口を利くことができていなかっただろう。
ルカ「よう。……何やってんだ」
千雪「ルカちゃん……ちょっと潮風を浴びながら読書でもと思って。お向かいどうぞ」
ルカ「……ん」
千雪「私、なんだか感激しちゃったな。まさか本当に二人が仲直りしちゃうなんて」
ルカ「私も、まだ現実味がねーよ」
千雪「ふふ……そうだよね、ずっとつらかったんだもんね」
ルカ「別に、そんなんじゃねーよ」
私はただ静かに水平線の方を見つめた。
こんなに穏やかな気分で見れる日が来るなんて、私も思ってもいなかったな。
-------------------------------------------------
‣現在の所持品
【トイカメラ】
【表裏ウクレレ】
【バール】
プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない
↓1
- 742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/16(日) 22:10:11.23 ID:Gl1e4yOH0
- 1 表裏ウクレレ
- 743 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/16(日) 22:10:54.12 ID:22Mip92F0
-
今日はもう安価回りそうにないので離席しますね、上記安価にどなたか書き込みいただければ明日続きから再開します。
↓1
- 744 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/16(日) 22:12:10.90 ID:22Mip92F0
- 申し訳ない、数十秒前に書き込んでくださってましたね
明日表裏ウクレレを渡すところから再開します
ぐだぐだで申し訳ない…
- 745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/16(日) 22:25:45.53 ID:IggrwfnX0
- また明日楽しみにしてます!
- 746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/16(日) 22:26:57.39 ID:9euPjROJ0
- 速報も人口の減少が深刻だぁねぇ……
- 747 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 20:54:59.56 ID:VpymNLoy0
- 【表裏ウクレレを渡した…】
ルカ「これ、あんまり私は楽器の演奏とかはやらねーし……やるよ」
千雪「なんだか変わったウクレレね、両面に弦が張ってあるみたい」
ルカ「お前、こういうのやったことあんのか?」
千雪「ううん、未経験。でもせっかくルカちゃんが私のために新しい世界の入り口を持ってきてくれたんだもの、頑張ってみようかな」
(……特にこっちは何も考えずに手についたもんを渡したんだが、そんな受け取り方をすんのか)
(まあ、普通には喜んだかな)
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美琴とのことが解消したことで、私の中にも幾分か余裕が生まれた。
前には眩しくて見れなかった太陽も、今はそれほどではない。
自分たちのいるこの島がどれほど自然豊かなものだったのか、今日になって初めて知った。
ルカ「……そりゃ、こんな島ならガキは泳ぎたくなるよな」
千雪「ね、泳がせてあげたくなっちゃった私の気持ちもわかった?」
ルカ「前よりはな。……まあ、あの海水浴も参加して正解だったよ。自分がまだまだガキだってこと、お前に教えられなきゃ気づかなかっただろうからな」
千雪「ふふ、そうなんだよね。……でもね、それも私は別の人に教えてもらったことなんだ」
ルカ「……え? そうなのか?」
千雪「うん……私も、前に一度自分の思っていることを中々口に出せなくて、それで悩んだことがあったの」
≪千雪「裁判の時……ルカちゃんが美琴ちゃんと正面からぶつかり合ってくれたおかげで、最後の最後にシーズの二人はお互いの素直な感情を打ち明けられたんじゃないかなって思うの」
ルカ「……」
千雪「美琴ちゃんが納得していなくても、多数決の投票できっと間違った道にはなっていなかった。でも……それじゃダメなんだよね」
千雪「本当の気持ちを押し殺したままなんて……辛いもの」
ルカ「……お前、それって」
千雪「……」
(こいつも、そういう経験があるってことか……?)≫
そういえばこいつと初めて飲み交わしたあの晩、私と美琴の間に横たわる軋轢をスーパーで話した時。
こいつの目の中に私は同じものを見た。
かつて経験したであろう、自分の心の奥底に感情を仕舞い込むことで負った傷跡。
……今の私なら、その傷を知ることが、知ろうとすることができるかもしれない。
それを、してしまってもいいだろうか。
1.なあ、その時のことって聞いてもいいか?
2.……そうかよ
3.自由安価
↓1
- 748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/17(月) 21:12:47.42 ID:pBRM3kG70
- 1
- 749 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 21:37:10.54 ID:VpymNLoy0
- 1 選択
……前までの私なら、訊ねることはできなかった。
自分自身が超えられていない溝に対する解答を挑みもせずに求めるようで、なんだか卑怯に感じていた。
それに、きっとその傷跡に向き合った話をただの美談と断じて、真正面から素直に受け止めることができなかっただろう。
今耳を傾けられるのは……美琴とのことがあったからだ。
ルカ「なあ、その時のことって聞いてもいいか? お前が、自分の気持ちを伝えられなくて苦しんだっつー時の話」
千雪「ルカちゃん、聞いてくれるの?」
ルカ「てめェもさんざん私の話を聞いたからな、こっちだって聞いてやらねーと採算がとれないだろ」
千雪「……うん。ルカちゃんは、アプリコットって雑誌……知ってる?」
ルカ「あ? 聞いた事あるような……ないような」
千雪「私が学生の時の雑誌だから、ちょっと前の雑誌なんだけどね。女の子が興味を持ちそうなファッションとか雑貨とかが詰め込まれた、私にとって宝箱みたいに大好きで大切な雑誌なの」
千雪「その雑誌が復刊することが決まって……その表紙モデルのオーディションがあったの」
ルカ「……へぇ」
口から『よかったじゃねーか』という言葉が出かけたが、抑え込んだ。
この話はそれぞれの傷跡という文脈に載る。この後の結びは私にも見えているのだ。
- 750 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 21:38:04.04 ID:VpymNLoy0
-
千雪「アプリコットからのお話は、甘奈ちゃんにやってきたの」
ルカ「……お前じゃ、なかったんだな」
千雪「私の大切な甘奈ちゃんが、大切なアプリコットからお仕事をいただけたのは純粋にうれしかった。でもね、それだけじゃない気持ちがあるってこと、薄薄気づいてたけど……自分の気持ちを一度無視しちゃった」
ルカ「……」
千雪「そんな時に、わがまま言ってもいい、私はまだ自分の気持ちに素直になれる子どもだって教えてくれた人がいたの」
ルカ「それで、どうなったんだ?」
千雪「甘奈ちゃんと一緒にオーディションを受けた。ユニットの仲間同士でぶつかったの」
ルカ「……!」
私が見ていた一面だけのこいつとは、その行動は全く違った印象を受けた。
相手のことを慮って、そのためにできるコトばかりを探している。そんな風に思っている節もあった。
でも、こいつは自分の気持ち、欲望に従って、仲間とぶつかり合うことを決めた。
相当な判断だったのだろうと思う。
千雪「私は結果として勝つことはなかったけど……でも、やってよかったなって思ってるの」
千雪「やらない後悔よりやる後悔、でしょ?」
それはただ自分の気持ちに向き合うということだけじゃない。
その衝突をしてもいい相手だと、信頼のできる相手だとユニットの仲間を再認識したことを意味する。
こいつにとってこの経験は傷跡というよりも、【刻まれた】大切な思い出なんだろう。
ルカ「……なんだ、もっときつい話なのかと思ったぜ」
千雪「もぅ……私は当時結構悩んだんだから」
ルカ「ハッ……そん時からずっとてめェはお人よしだな」
……そして、それは私にも同じことが言えるのかもな。
美琴との別離も、いつか笑って話せる日が来るのかもしれない。
ルカ「……またてめェに教えられたな」
千雪「え? なんのこと?」
ルカ「……なんでもねーよ」
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【親愛度が上昇しました!】
【桑山千雪の親愛度レベル…5.0】
【希望のカケラを入手しました!】
【現在の希望のカケラの数…21個】
- 751 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 21:41:47.75 ID:VpymNLoy0
- -------------------------------------------------
【ルカのコテージ】
なんというか、あいつと一緒にいると考えさせられることばかりだな。
ガキっぽい無邪気なところもありながら、年長者であるべきところはしっかり年長者の振る舞いをして。
またあいつに余計なことを教えられてしまった。
……まあ、絶対あいつ本人には言ってやらねえけど。
あいつに言ったらガキ扱いされること請け合いだ。
「……ほんと、癪なやつ」
さて、まだ時間はあるな。
【自由行動開始】
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【現在のモノクマメダル枚数…84枚】
【現在の希望のカケラ…21個】
1.交流する【人物指定安価】※透、雛菜を除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)
↓1
- 752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/17(月) 21:48:22.15 ID:OxW12vyj0
- 1 こがね
- 753 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 22:01:26.75 ID:VpymNLoy0
- 1 恋鐘選択
【第1の島 ロケットパンチマーケット】
なんとなく小腹が空いたこともあって、口につまめるスナックでも探そうかと入ってみたスーパーマーケット。
入ってすぐの野菜売り場、そこには長崎女の姿があった。
なにやら野菜を見比べながら唸っている。相当に集中しているらしい。
ルカ「……何をそんなに見てんだ?」
恋鐘「むむむむ……ん? あれ、ルカなんばしよーとね! ルカも料理でもすると?」
ルカ「いや、お前がやたら集中してっから気になっただけだよ……私はただスナック菓子でも取りに来ただけだ」
恋鐘「お菓子、そういえばもうそんな時間とね! 野菜選びに時間ば使うてすっかり忘れとったばい!」
恋鐘「芯が細か方がうまかニンジンになるとよ、出来る限りええもんにしたくてじ〜っと見とるんよ〜!」
ルカ「へー、詳しいんだな」
恋鐘「ふふーん、これくらいは常識ばい!」
得意ぶって連発してきた野菜豆知識を適当に聞き流して過ごした……
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‣現在の所持品
【トイカメラ】
【バール】
プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない
↓1
- 754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/17(月) 22:15:53.02 ID:pBRM3kG70
- 1 バール
- 755 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 22:27:56.80 ID:VpymNLoy0
- 【バールを渡した】
恋鐘「ふぇ? なんね、ルカ。こいって工具じゃなか?」
ルカ「あー、なんかミステリーとかサスペンスだとありがちだろ。『バールのようなもの』でどうこうっての」
恋鐘「聞いたことあるようなないような……」
ルカ「護身用にでも使いな」
恋鐘「そ、そがんこと言われてもこげんもん使ったことなか!」
(……まあ、そりゃそうだよな)
(……こんなもん、誰に渡せばいいんだよ)
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さっきの野菜の目利きといい、毎朝レストランで支度をしている様子と言い、こいつは何かと料理好きな一面が目立つな。
いわゆる女子力ってやつか? ……まあ、私とは無縁な話だな。
ルカ「お前、しょっちゅう料理とかしてんのか?」
恋鐘「ん〜? まあ、寮でおばさんがおらん日はご飯作ることもあるし、時々事務所のキッチンば使ってみんなに料理ふるまうこともあるたいね」
ルカ「よくやるな……洗い物とかそういうのが面倒で私は全くだ」
恋鐘「確かに沢山皿使った後はちょっと骨ば折れるけんど、十年以上料理もやっとると慣れてしもうたばい!」
ルカ「十年以上って……マジか」
恋鐘「うちは実家が料理屋やけんね! 子供んときはよう手伝いしとったとよ」
ルカ「そうなのか……道理であんなに飯作んのもうめーわけだ」
恋鐘「……ルカって人を褒めたりするんやね」
ルカ「私を何だと思ってんだよ……」
思えばこいつとこうやって二人で話すことはこれまであんまりなかったな。
【狸】探しもまだ結局終わってはいないし、他の連中のことを知っておいて損はない。
もう少しこいつの話を聞いてみることにするか。
1.得意料理は何なんだ?
2.寮ってなんか住みづらくねーか?
3.自由安価
↓1
- 756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/17(月) 22:38:55.10 ID:9r/O60Ke0
- 1
- 757 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 22:51:03.15 ID:VpymNLoy0
- 1 選択
こんだけ料理が好きなら、得意料理の一つや二つあるんだろ。
試しに聞いてみるとするか。
ルカ「お前、そんなの料理が好きなら特に特意な料___」
恋鐘「ちゃんぽんばい!」
ルカ「だいぶ食い気味に来たな」
恋鐘「うちの出身の長崎といえば、ちゃんぽん! ちゃんぽんと言えば長崎! そしてちゃんぽんといえばうちばい!」
恋鐘「ルカもこの前……そういえばルカはパーティには参加しとらんかったとね、あの時もうちが腕に寄りばかけてばりうまかちゃんぽん作ったとね!」
(あのパーティ、そんなこともやってたのか)
(鼻息荒くして前のめりに語るあたり……相当な自信なんだろうな)
ルカ「……でも、そうは言われてもな」
恋鐘「ん? ルカ、どげんしたと?」
ルカ「その……ちゃんぽん、あんまよく知んねーんだよな」
恋鐘「ふぇぇぇぇぇぇぇ?!?!?!?!」
ルカ「うっせえよ! 急に大声出すなって……!」
恋鐘「ちゃんぽんを食べたことがなか……?! そげんこつがあり得るばい……?!」
ルカ「いや、なんとなくは知ってんだぜ? あのあんかけ焼きそばみたいなやつ……」
恋鐘「なんばいいよっと!? あんかけ焼きそばとちゃんぽんは全く別物ばい! チャーハンとピラフぐらい違うとよ!」
(それほとんど一緒じゃねーか!)
恋鐘「わかったばい……ルカ、覚悟ば決めんね、うちが本物のちゃんぽん食わしたる! お腹と背中がくっついて……入れ替わるぐらいに腹空かせとって!」
ルカ「え? あ、おい! どこ行くんだよ!」
急にヒートアップしたかと思うと、そのままどこかに行ってしまった。
しまったな……何か面倒なたきつけ方をしてしまったらしい。
これだから283プロの連中は面倒なんだ……こりゃしつこく粘着されるぞ。
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【親愛度が上昇しました!】
【月岡恋鐘の親愛度レベル…1.5】
- 758 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 22:52:27.20 ID:VpymNLoy0
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【ルカのコテージ】
ピンポンパンポーン
いつもより上機嫌に自分の部屋に戻ってきた私を出迎えたのは、いつもの夜時間とは違った調子のチャイム。
これは確か、前に一度聞いたことがある。
私たちの記憶を奪っているとか抜かした、ふざけた漫才の予告のチャイム。
……だとすると、これはまた。
『えー、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会よりお知らせです!』
『オマエラ、大ニュースだよ! 開発部門がついに、とうとう、【とんでもないもの】を作ってしまいました!』
『きっとオマエラも驚くだろうな、驚きすぎてひっくり返るだろうな、ひっくり返ってマントル突き抜けてブラジルまで行っちゃうだろうな』
『とにかく、ジャバウォック公園に緊急集合―! 来なかった奴はハブだよー!』
……【とんでもないもの】?
皆目見当もつかないが、この様子を見るに、私たちに大きくメリットがあるようなものではない。
モノクマ、そして黒幕の欲求を満たすだけのろくでもないものに違いないはずだ。
「……拒否権はない、か」
今朝からの上機嫌にすっかり水を差された気分。
不安と不快と苛立ちと、黒々としたものをごちゃまぜにして部屋を出た。
- 759 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 22:54:14.63 ID:VpymNLoy0
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【中央の島:ジャバウォック公園】
モノミ「あっ、斑鳩さん! よかった、ちゃんと来てくれまちたね!」
ルカ「……おう」
美琴「ルカ、こっち」
公園には既に他の人間の姿も見える。
私は美琴の隣に立って、ほかの連中の注目する、その視線の先にあるものを注視した。
ルカ「あれは……【ゲーム機】か?」
私自身あまりゲームに詳しいわけではない。
レッスンをバックレてゲーセンにこもったときなんかによく見かけた筐体が、公園の中央に違和感剥き出しでぽつんと置かれている。
千雪「前に甜花ちゃんに教えてもらったゲームに似てる……」
果穂「ゲーム、ですか?」
智代子「ゲームセンターとかのゲームって、確かにあんな感じだよね! お金を入れたら動くのかな?」
夏葉「ひとまずは様子見しましょう、智代子。モノクマのことだから、何を仕掛けているかわからないわ」
(流石に誰も迂闊に手を出そうとはしていないみてーだな……)
透「……」
雛菜「……」
(そして、あいつらも一応はちゃんと集まってる、と……)
- 760 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 22:55:56.44 ID:VpymNLoy0
-
得体のしれない筐体を前に、緊張が走る中。
あいつは堂々とまた姿を現した。
バビューン!!
モノクマ「皆さんお集まりのようですね!」
夏葉「モノクマ……現れたわね」
モノミ「やいモノクマ! こんな時間にミナサンを呼び出して何事でちゅか!」
今回はモノミは完全に関与していないらしい。私たちと同じ側に立って野次のような言葉をモノクマにぶつける。
あさひ「モノクマ! とんでもないものってなんっすか?! 何を見せてくれるっすか!?」
愛依「あ、あさひちゃん!? な、なんでそんなノリノリ……!?」
モノクマ「ふっふっふっ、いいですねえ。反応がいい子は先生大好きですよ!」
モノクマ「では発表いたしましょう……今回の動機はこちら!」
モノクマ「新作ゲーム・【かまいたちの真夜中】でございまーす!」
- 761 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 22:58:02.79 ID:VpymNLoy0
-
(……は?)
智代子「げ、ゲームが……動機……なの?」
モノクマ「はい! こちらのゲームはホラーサスペンスを題材にしたADVゲーム! みんなでプレイすれば心もハラハラ不安でドキドキ! その焦燥に駆られてコロシアイに挑むこと請け合い!」
美琴「え……?」
流石に全員が全員困惑した。
前回の動機は、少なからず全員にゆさぶりを与えてきて、その結果一番動揺の大きかった七草にちかの堰が決壊することとなり、コロシアイになったのに。
今回はゲームで不安を煽る……?
ずいぶんとこじんまりした、的を外れたような動機で拍子抜けだ。
だが、まだ警戒を緩めるわけにはいかない。モノクマのことだ、ただそれだけで終わるはずもない。
ルカ「おい、モノクマ……このゲームをクリアしないと私たちを殺す、なんて言い出さないよな?」
美琴「ルカ……」
ルカ「だってそうだろ、こんなゲームだけだなんて怪しすぎる……絶対裏があるはずだぞ」
- 762 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 23:00:12.64 ID:VpymNLoy0
-
だが、モノクマは私の質問を受けても表情を特に変えることもなく。
モノクマ「そんなペナルティなんかないよ! むしろ逆、クリアした人にはクリア特典を用意しています! ま、それがいらないならプレイしなくたっていいよ」
摩美々「えー、じゃあなんのために呼んだのー?」
モノクマ「ボクは純粋に南国生活に飽き飽きしているだろう皆のために、新しい娯楽を用意しただけのこと! 後はオマエラに全部お任せするよ」
(……マジか)
モノクマ「じゃあね! プレイした感想、是非後で教えてね!」
バビューン!!
私たちに任せる、その言葉は文字通りの意味らしい。モノクマはそれ以上何も言うこともなく、すぐに姿を消してしまった。
プレイするもしないも私たち次第。あいつはクリア特典がある、としか言ってこなかった。
- 763 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 23:01:08.07 ID:VpymNLoy0
-
智代子「なんだか拍子抜けだね……てっきり誰かを人質にとるとか、物騒なことを言い出すのかと思ったけど」
愛依「で、ゲームはケッキョクどーする……?」
摩美々「決まってるでしょー、こんなの無視するに限るってー」
結華「まあそれが賢明だよね……クリア特典って言われても、そんなにメリットがあるとも思えないし……」
冬優子「その特典こそがコロシアイの動機になっちゃうかもしれないもんね……」
あさひ「えー、やっちゃダメなんすか?」
夏葉「モノクマが提示してきた動機である以上、なんらかの意図が絡んでいるのは明白よ。あさひの好奇心はわかるけど、ここは我慢してもらえないかしら……」
あさひ「むー……」
雛菜「……透先輩、どうする〜?」
透「……まあ、やっちゃダメっぽいし。うちらもそれに従っとこ」
雛菜「は〜い」
その場に居合わせた人間の相違は『無視』。
プレイしないことで生じるデメリットも特にないし、クリアで得られるメリットも詳細不明。
わざわざそんな怪しいものに手を付ける理由もないだろう。
でも、それゆえにモノクマの意図が読めない。
このゲームにアイツは何を隠している?
このゲームで本当に、コロシアイが引き起こされると思っているのか……?
- 764 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 23:02:13.71 ID:VpymNLoy0
- -------------------------------------------------
【ルカのコテージ】
キーン、コーン…カーンコーン…
『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』
『ただいま、午後十時になりました』
『波の音を聞きながら、ゆったりと穏やかにおやすみくださいね』
『ではでは、いい夢を。グッナイ…』
あれから特に何事もなく、全員で公園を出てそれぞれの部屋に戻った。
美琴もここ数日のオーバーワークを受けて、今日は早くに休むらしい。
また元気になったら、私と一緒に練習もすると言ってくれた。
「……へへっ」
コロシアイの動機も大したことない、美琴との約束も取り付けた。
なんだかすべてがうまく進んでいるような気がした。
あんなに不気味で仕方なかった満月も、今やそれほど怖くもない。
月明かりに照らされるどこか厳かな空気の夜に、私は静かに目を閉じた。
……でも、今になって思えば。
この時の私は呑気が過ぎていた。
ゲームをプレイしない、だなんて口約束。
美琴と仲直りする前の私なら信じるはずもなかったのに。
- 765 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 23:03:05.82 ID:VpymNLoy0
-
人は強くなれば、どこかが必ず弱くなる。
人を信じるということは、いずれ誰かに裏切られるということなんだ。
- 766 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 23:04:19.69 ID:VpymNLoy0
-
というわけで本日はここまで。
動機発表まで来ましたが、事件発生まではもう少し猶予があります。どうかお付き合いください。
また明日同じ時間に更新予定です。それではお疲れさまでした。
- 767 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 21:01:37.35 ID:rPjYemXB0
- ____
______
________
=========
≪island life:day 9≫
=========
【ルカのコテージ】
キーン、コーン…カーンコーン…
『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』
『オマエラ、グッモーニンッ! 本日も絶好の南国日和ですよーっ!』
『さぁて、今日も全開気分で張り切っていきましょう〜!』
美琴との不和を解消してから、目覚めがいい。
他の連中の目を避けるようにして行動していたが、今はそんな気兼ねもしていないから随分と楽になった。
ただ、やはり昨日発表された動機は少しばかり気がかりだ。
全員で島を渡り、解散するまでは私も同席して見届けたが、あの後深夜にコッソリ誰かが抜けだして筐体に手を付けた可能性は多分にある。
だとしても、それを明らかにする術などないし……
(……今は考えても、仕方ないか)
とりあえずは美琴に会うためにレストランへと向かうことにした。
- 768 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 21:03:06.46 ID:rPjYemXB0
- -------------------------------------------------
【レストラン】
結華「ルカルカおはよう!」
ルカ「おはよう」
結華「ホント毎朝毎朝別人じゃないかって思うよ……」
随分な言われようだが気にも留めない。
今日も一直線に美琴の隣の席についた。
美琴「おはよう、ルカ」
ルカ「おっす……あ? お前……シャワーでも浴びたか?」
美琴「え? ……うん」
ルカ「やっぱな、いつもの美琴と違って石鹸の匂いがしたからよ。朝からジョギングでもやって来た口か」
美琴「すごいね、わかるんだ」
ルカ「まあお前の相方やってた時期も短くはないからな」
私が自慢げに答えると、美琴は少し気恥ずかしそうにはにかんだ。
- 769 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 21:05:20.94 ID:rPjYemXB0
-
摩美々「まあ、昨日の今日なんで一応確認しときますケドー。あのゲームやった人っていますかぁ?」
(……誰も手を上げない)
夏葉「昨日全員で決めた通り、あのゲームは無視することにしましょうね。何が引き金になって事件を導くかもわからない、得体のしれないものには関与しない方が吉よ」
果穂「はい! みんなでルールをまもれば安心ですね!」
ルカ「……ま、大丈夫だろ。そこの中学生には首輪でもつけておいた方がいいかもしれないけどな」
あさひ「え……わたしっすか?」
結華「あはは、でもあさたんも分かってくれてるはずだから大丈夫だと思うよ?」
あさひ「昨日夜にやりに行こうと思ったら冬優子ちゃんにすごく怒られたっす、だからもうやらないっす!」
結華「前科はあったんだ……」
冬優子「あさひちゃん、みんなで決めた約束はちゃんと守ろうね?」
あさひ「はっきりダメって言われなかったから、別にいいと思ったっす。でも、みんなが嫌ならやらないっす」
(おいおい、大丈夫かよ……)
智代子「誰も動機に触れてないんだったら大丈夫! 今日もいつも通りに脱出に向けて調査だね?!」
摩美々「それと、ノクチルの二人の懐柔かなー」
千雪「透ちゃんと雛菜ちゃん、大丈夫かな……」
ルカ「この前遺跡で会った時、私たちの邪魔はしないとは言ってたし……一応はそれを信用するしかねーだろ」
美琴「……」
朝食会はゲームに触れたかどうかの確認で終わった。
全員それにはノーと言う返答をしたが、その真偽のほどは定かではない。
信用するしか、ないのか……?
- 770 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 21:06:23.14 ID:rPjYemXB0
- -------------------------------------------------
【ルカのコテージ】
ただ、調査と言っても目新しい成果など出てこないし、同じところをなぞるようじゃどうしても退屈を感じてしまうのも確か。
でもこの退屈に負けちゃいけない。
あのゲームでこの退屈を紛らわせようなんて、そんな邪な考えを抱く前に、思考を他の連中との交流で埋め尽くせ。
今はそれしかない。
【自由行動開始】
【事件発生まで自由行動は残り3回です】
-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…84枚】
【現在の希望のカケラ…21個】
1.交流する【人物指定安価】※透、雛菜を除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)
↓1
- 771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:22:49.81 ID:RKlOEZCI0
- 2
- 772 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 21:28:32.57 ID:rPjYemXB0
- 2 選択
【第1の島 ビーチ】
要らないものをひたすらに他の連中に押し付けてきたが……こう手元にほとんど残ってないとそれはそれで寂しいものがあるな。
確かこのヤシの木に取り付けられてる機械でアイテムの補充ができるんだったか?
実用的なものが何か出てこないとも限らないし、ちょっとだけやってみんのもありだな……
-------------------------------------------------
【モノモノヤシーンに挑戦します】
【使用するメダルの枚数を指定してください】
【現在のモノクマメダル枚数…84枚】
↓1
- 773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:34:09.04 ID:RKlOEZCI0
- 15
- 774 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 21:37:51.69 ID:rPjYemXB0
- 15枚選択
【コンマ判定を行います】
【このレスより直下15回連続でコンマ判定を行い数値に応じたアイテムを獲得します】
↓1~15 ※連投可
- 775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:42:42.87 ID:RKlOEZCI0
- あ
- 776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:43:32.16 ID:RKlOEZCI0
- あ
- 777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:44:52.18 ID:RKlOEZCI0
- う
- 778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:45:31.49 ID:RKlOEZCI0
- え
- 779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 21:46:17.00 ID:M0Z4njArO
- せい
- 780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:46:34.24 ID:RKlOEZCI0
- お
- 781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 21:47:31.22 ID:M0Z4njArO
- ほい
- 782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:47:52.94 ID:RKlOEZCI0
- か
- 783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 21:48:09.88 ID:M0Z4njArO
- はい
- 784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 21:50:09.48 ID:eyRM9GZ40
- むんっ
- 785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:50:44.32 ID:RKlOEZCI0
- はい
- 786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 21:50:56.03 ID:M0Z4njArO
- あい
- 787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 21:51:46.72 ID:eyRM9GZ40
- ほわっ
- 788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:52:12.79 ID:RKlOEZCI0
- き
- 789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 21:53:47.64 ID:M0Z4njArO
- えい
- 790 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 21:56:58.64 ID:rPjYemXB0
-
【ココナッツジュース】
【ジャバの天然塩】
【ひまわりの種】
【エプロンドレス】
【新品のサラシ】
【オスシリンダー】
【シルバーリング】
【メスシリンダー】
【ドライビングニトロ】
【第二ボタン】
【蒔絵竹刀】
【絶対音叉】
【七支刀】
【バール】
【オカルトフォトフレーム】
を手に入れました!
「……ガラクタが15個ってとこか」
気まぐれに回しては見たものの、どれも使い道に困る品ばかり。
結局は他の連中に押し付ける廃品回収にしか使えなさそうだな。
「……はぁ」
またこいつらの押しつけ相手を探す冒険の始まりだな。
-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…69枚】
【現在の希望のカケラ…21個】
1.交流する【人物指定安価】※透、雛菜を除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)
↓1
- 791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 22:06:05.61 ID:eyRM9GZ40
- 1 千雪
- 792 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 22:15:06.67 ID:rPjYemXB0
- 1 千雪選択
【第2の島 図書館】
しょうもない道具ばかりがまた溜まってしまったが、あの中学生なら予想外の所に興味を持つだろう。
そう思ってこの前あいつに会った図書館にやってきたが、出会ったのは別の人物だった。
ルカ「よう、読書中か」
千雪「あら、ルカちゃん? ごめんなさい、探してた?」
ルカ「いや、別に。ちょっとぶらついてただけだ……あ、読んでる途中なら別にいい。そのままで」
千雪「ううん。せっかく来てくれたんだもの、お話したいわ」
ルカ「私もただの気まぐれだしな……それなのにお前の邪魔しちまうのは流石に……」
ルカ「それならこうするか、私もここで本を読む。お前もそのままでいい」
千雪「……! 読書会ってこと?」
ルカ「まあな。……でも普段活字なんか読まねーからよ、お前のオススメとかあるか?」
千雪「任せて、ルカちゃんにちょうどおすすめの本があったの! えっと……どこかしら」
本をじっくりと読むなんていつ振りだろうか。
普段身を置かない時間の過ごし方を体験して、なんだか新鮮な気分だ……
-------------------------------------------------
‣現在の所持品
【ココナッツジュース】
【ジャバの天然塩】
【ひまわりの種】
【エプロンドレス】
【新品のサラシ】
【オスシリンダー】
【シルバーリング】
【メスシリンダー】
【トイカメラ】
【ドライビングニトロ】
【第二ボタン】
【蒔絵竹刀】
【絶対音叉】
【七支刀】
【バール】
【オカルトフォトフレーム】
プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない
↓1
- 793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 22:16:22.67 ID:peTads5B0
- 1 冬優子
- 794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 22:19:22.89 ID:eyRM9GZ40
- 1 第二ボタン
- 795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 22:19:28.97 ID:peTads5B0
- 1 冬優子
- 796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 22:23:07.13 ID:peTads5B0
- すいません...変な連投しちゃいました。
以後気をつけます
- 797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 22:24:38.52 ID:peTads5B0
- 自分の分は飛ばしてくださるとうれしいです
ホントにすいません...
- 798 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 22:28:27.01 ID:rPjYemXB0
- 大丈夫です!
ちょっとズレちゃっただけだと思うのでお気になさらないでください〜
794の安価を採用しますね
-------------------------------------------------
【第二ボタンを渡した…】
ルカ「お前、裁縫とか好きだったよな? これ、使えんじゃねーのか?二
千雪「あら、ボタン? そうね……お洋服に縫い付けることぐらいはできるけど……これって制服のよね?」
ルカ「ん……まあ、そうだな」
千雪「しかも、これって卒業式に憧れの先輩からもらうものじゃない?」
ルカ「……あ?」
千雪「ふふっ、ありがとう。ルカちゃんの気持ちはちゃんと受け取りました!」
ルカ「待て……なんか変な誤解してねーか? 違うぞ、違うからな……?」
【PERFECT COMMUNICATION】
【親愛度がいつもより多めに上昇します!】
-------------------------------------------------
こいつともよく話をしてきたが、その実こっちはこいつの事を未だよく知らない。
283プロのアイドルということで関わることを避けて来たし、興味もそこまで持たないようにしていた。
アルストロメリアっつーユニットで、双子の姉妹と三人でアイドルをやっているという話だったか。それすらあいまいだ。
ルカ「なあ、お前んとこのユニットの話聞いてもいいか?」
千雪「……? それって、アルストロメリアのことかしら?」
ルカ「ああ、実際あんまよく知らねーんだよ。283のアイドルとまともに関わってこなかった……ていうか共演は避けてたし」
千雪「そうかー、どこからお話しようかな。甜花ちゃんと甘奈ちゃんのことは知ってる?」
ルカ「双子の姉妹だろ? 名前ぐらいは知ってっけど」
千雪「そう、とっても仲良しのきょうだいでね。二人ともお互いのことが大好きみたい」
ルカ「ふーん……」
千雪「この前も二人で買い物に行ったみたいで、甜花ちゃんが甘奈ちゃんのコーデで可愛く大変身してたの!」
(アルストロメリアってのはいわゆる『かわいい』の権化みたいなユニットだ)
(私みたいなやつとは魔反対、共演でもしようもんならソフトクリームにタバスコソースをぶっかけるようなもん。要は水と油ってわけだな)
千雪「それによく一緒に寝てるし……」
ルカ「……ん?」
千雪「そういえばこの前甘奈ちゃんが甜花ちゃんの歯磨きするときの歯ブラシを新しくしたって言ってたっけ……」
ルカ「お、おい待て待て! なんだ……その、そいつら! 双子の姉妹、なんだろ? 双子ってことは年齢も離れてねーし……それに、そんなに幼いわけじゃないだろ?」
千雪「まだまだかわいい高校2年生よ?」
ルカ「十分な年じゃねーか……」
(お、おいどうなってんだ……いくら仲が良いったって度を超えてるだろ……)
1.そんだけ仲良かったらお前の挟まる隙間もないんじゃねーのか?
2.おかしいと思わねーのか?
3.自由安価
↓1
- 799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 22:33:31.40 ID:GTGUjbij0
- 1
- 800 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 22:43:37.52 ID:rPjYemXB0
- 1 選択
私があまりコミュニケーションが不得手だということもあるが、そんな二人の間に割り込むなんてまるで想像できない。
ましてやこいつはそこそこ年上と来た。
まるでユニット内部の様子がイメージできない……
ルカ「なあ、その……失礼な言い方かもしれねーけどさ。そんだけその姉妹の中がよかったら、お前の挟まる隙間もないんじゃねーのか?」
ルカ「二人だけで世界が完結するっつーか……」
千雪「あら、そんな風に聞こえちゃった? ふふ、ご心配には及びません。私もその姉妹の一人なんですから」
ルカ「はぁ?」
千雪「かわいい妹二人みたいなものでね、二人ともよく慕ってくれるし……私も二人のことを頼っちゃうんだ」
千雪「別に二人の間をこじ開けたりなんかしなくても、あの二人なら大丈夫。それに、前にも話したでしょ?」
千雪「私たちは、素直に気持ちをぶつけ合える間柄だから」
ルカ「……!」
ルカ「ハッ、いらぬ心配ってわけか」
千雪「ふふっ、ルカちゃんからしたらイメージつきにくいかもしれないけど……年の差があるっていうのも結構いいものなんだぞ」
千雪「アルストロメリアは仲良し三姉妹、今は胸を張ってそう言えるんだ」
……なるほどな、私の物差しが古かったってだけの話か。
美琴と和解する前の私からすれば人と人の間の関係性はもっと格式ばったもので、その線上にない者を拒絶するものだとばかり思っていた。
でも、こいつが教えてくれた自分の気持ちを素直に伝える、それさえあれば別の関係性の結び方もあるってことなんだもんな。
まだ私にはイメージが難しい関係性であることは間違いないが、その一端を掴むことができた。
……そんな気がする。
-------------------------------------------------
【親愛度が上昇しました!】
【桑山千雪の親愛度レベル…7.0】
【希望のカケラを入手しました!】
【現在の希望のカケラの数…22個】
- 801 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 22:45:53.96 ID:rPjYemXB0
- -------------------------------------------------
【ルカのコテージ】
283プロのユニット、前まではまるで興味を持ちもしなかったが今は少し違う。
自分のこれまで知らなかった世界に触れるってのも案外悪くねーもんだな。
……ハッ、すっかり丸くなりやがって。
我ながら滑稽だ。
【自由行動開始】
【事件発生まで自由行動は残り2回です】
-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…69枚】
【現在の希望のカケラ…21個】
1.交流する【人物指定安価】※透、雛菜を除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)
↓1
- 802 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 23:10:19.26 ID:rPjYemXB0
-
そろそろ時間的に厳しくなってきたので離席します。
また明日21時より上記安価の所から再開します。どなたか書き込んでしてくださると幸いです。
それではお疲れさまでした。
- 803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/19(水) 00:34:59.44 ID:Fy7Py5ZN0
- 1 千雪
- 804 : ◆zbOQ645F4s [sage]:2022/01/19(水) 20:10:50.99 ID:ocOXGMBnO
- すみません、急用が入ったので本日更新難しそうです。
明日に持ち越させてください。
- 805 :自由行動、千雪選択より再開します ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/20(木) 20:57:51.05 ID:NxZO6r4R0
- 1 千雪選択
【第2の島 ドラッグストア】
この島に来てからというもの、時々頭痛に襲われることがある。
多分環境が変わったことと、更にはストレスもあっての偏頭痛だと思うがいい加減煩わしい。
いつも使っている頭痛薬はあるだろうかと覗いてみると、またあいつの姿があった。
千雪「あら、よく会うねルカちゃん。どうしたの?」
ルカ「お前私の後をつけて先回りしてんじゃねーよな……? まあいい。私はただ頭痛薬を取りに来ただけだ、お前こそなんでこんなところにいんだよ」
千雪「うん……このドラッグストアって危険なお薬もあるじゃない? 時々様子を見に来て、持ち出されてないか注意してるの」
ルカ「マジか……お前、マメなんだな」
千雪「マメっていうか、心配性なだけなのかも」
ルカ「まあこの島ではそれぐらい危機意識が高い方がいいと思うぜ、で、大丈夫なのか?」
千雪「うん、全部揃ってるし動かされた様子もないから、とりあえずは」
こいつ、お節介な女だとは常々思ってたが、ただ心配性なだけなのか……?
この島に来てから、気が休まる瞬間はなさそうだな……
-------------------------------------------------
‣現在の所持品
【ココナッツジュース】
【ジャバの天然塩】
【ひまわりの種】
【エプロンドレス】
【新品のサラシ】
【オスシリンダー】
【シルバーリング】
【メスシリンダー】
【トイカメラ】
【ドライビングニトロ】
【蒔絵竹刀】
【絶対音叉】
【七支刀】
【バール】
【オカルトフォトフレーム】
プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない
↓1
- 806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/20(木) 21:03:55.92 ID:DE4dap/n0
- 1 オカルトフォトフレーム
- 807 :生乾き [saga]:2022/01/20(木) 21:13:45.23 ID:NxZO6r4R0
-
【オカルトフォトフレームを渡した……】
ルカ「……ん」
千雪「あら、また廃品回収? ふふっ、よく溜まるのね」
ルカ「うるせーよ、要らねーなら返せ」
千雪「ダメです、これはもう私の物なんだから。……あら、フォトフレーム?」
ルカ「なんかこういう思い出とかって、お前らは大事にしそうだと思ってよ。なんか適当に写真入れとけ」
千雪「ふーん……」
千雪「……ルカちゃん、このフォトフレーム写真を入れた瞬間になんだか変わった編集をされるんだけど」
ルカ「え? ……ゲッ」
千雪「心霊写真……になっちゃうフォトフレームみたいね」
(うっ……別のものを渡すべきだったか……?)
-------------------------------------------------
この前はユニットのやつの話を聞いてみたが、今回はこいつ自身の話を聞いてみるか。
ルカ「そういえばお前、ラジオしてんだよな。……なんだっけ」
千雪「もしかして、パジャマ・ジャム・ジャミングのこと? 知ってくれてるなんて嬉しいなあ……もしかして聞いてくれたりなんかも……?」
ルカ「まあ深夜の時間帯だからな……ラジオつけっぱだとたまに」
(やけ酒なんかした晩に、偶然耳にした程度だけど)
ルカ「なんかやたら人気だよな、お前のラジオ」
千雪「どれくらいの人に聞いていただけてるのかはわからないけど……お便りを毎週送ってくださる方もいて、私の番組を楽しみにしてくれてる人がいるって言うのはすごく有難いことだと思ってるかな」
(まあ、こいつに話を聞いてもらいたくなるって言う視聴者連中の気持ちも分かるっちゃ分かる)
(ちゃんと話を聞いたうえで、重くなりすぎないように機転の利いた、ちょっぱし“お茶目”な切り返しをしてくるんだもんな)
ルカ「でもたまにはあるんじゃねーか? 返事に困るお便り、みたいなの」
千雪「うーん……そうだなぁ、返事に困るというか、全くこれまでの人生で出会うことのなかったお話が届くことは時々あるかも」
千雪「もちろん作家さんがある程度は選んでくれてるんだけど、時にはすぐにいい返しの思いつかないお便りもあってね、その時には自分の未熟さを実感しちゃう」
ルカ「それこそお前みたいなのは変に粘着質な野郎からのお便りとか有りそうだもんな」
千雪「でも、どんなお便りでも……この人は誰かに今の自分の気持ちを知ってもらいたい、聞いてほしいからお便りを送ってくれてると思うの。だから、私はその一つ一つをちゃんと拾えるようなパーソナリティになりたいって思うかな」
ルカ「ハッ……まるでカウンセラーだな」
なるほど、こいつはラジオをやること自体結構気に入ってんだな。
私のとこに来るのは変に自己陶酔した、私のイメージを誇大解釈したようなハガキばっかり。
アイドルとしてのキャラクター像の違いはこういうところにも出るのか……
1.今度ゲストに呼んでくれよ
2.やっぱ番組によってリスナーも違うんだな
3.自由安価
↓1
- 808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/20(木) 21:21:03.37 ID:DE4dap/n0
- 1
- 809 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:23:17.95 ID:NxZO6r4R0
- >>807はトリップをミスしていますがIDでわかる通り>>1です
進行には支障はありませんが、一応トリップを以後変更して書き込みます
-------------------------------------------------
ルカ「……なあ、今度お前の番組にゲストに呼んでくれよ。なんかお前の話聞いてると、そのリスナー連中のお便りっての読んでみたくなった」
千雪「あら、いいの? 大歓迎、むしろこっちからお願いしたいくらい!」
ルカ「いっつも私んとこに来るのはなんか気色の悪い文面ばっかだからな……お前んとこのやつ読んで息継ぎしてーんだ」
千雪「こら、そんないい方しちゃダメよ?」
ルカ「お前も私のとこのやつ見たらきっと考えが変わるぞ。カミサマだなんて言って持て囃す連中なんだ、察しはつくだろ?」
千雪「うーん……でも、ルカちゃんのことが大好きで送ってくれてることには変わりないじゃない?」
ルカ「大好き、ねぇ……?」
千雪「それはともかく、番組に来てくれるのは嬉しいな。二人でどんなお話しようかしら」
ルカ「あー……そういやそうだな、こういうオフじゃなくて外向きの会話だもんな」
千雪「あんまりいつもみたいにルカちゃんをいじったら悪いかしら」
ルカ「いじってる自覚はちゃんとあったんだな……」
千雪「ふふっ、ルカちゃんの反応がいいから」
ルカ「……ハッ」
今に笑い澄ましてろ、私がラジオに出るときにはむしろこっちが責め立ててやる。
トークペースをかき乱しまくってやるから覚悟も決めておくんだな。
……そのためにも、まずは生き残んねーとな。
-------------------------------------------------
【親愛度が上昇しました!】
【桑山千雪の親愛度レベル…8.5】
【希望のカケラを手に入れました!】
【現在の希望のカケラの数…23個】
- 810 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:24:40.49 ID:NxZO6r4R0
- -------------------------------------------------
【ルカのコテージ】
キーン、コーン…カーンコーン…
『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』
『ただいま、午後十時になりました』
『波の音を聞きながら、ゆったりと穏やかにおやすみくださいね』
『ではでは、いい夢を。グッナイ…』
昨日は動機の発表があって思うように行動できなかったけど、今日はまた美琴も自主練を再開しているはずだ。
ちょっと顔をのぞかせてみるか。
- 811 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:27:10.19 ID:NxZO6r4R0
- -------------------------------------------------
【第1の島 ビーチ】
ルカ「おー、やってるやってる」
美琴は相変わらず海を背景にして一心不乱に舞い踊っていた。
でも、これまでとは明らかに違う。
自分をぞんざいに扱った、乱暴という言葉でひとくくりにできるようなそれではない。
自分の身を痛めつけることもなく、見るものが思わず息をのむ美しさを持った、
それでいて情熱と気迫とを感じさせるような……【美琴らしい】美琴の姿があった。
ルカ「おーい、美琴―」
美琴「……はぁっ……はぁっ……」
ルカ「……ハッ、相変わらずの集中力だな」
懐かしい。同じ事務所に所属していたころのことをつい思い出す。
仕事終わりに事務所に帰ると、レッスン室の明かりがまだついていて、
そこからはシューズとフローリングとが立てるイルカの鳴き声のような音が聞こえてくるのだ。
扉を開けると、一気に彼女の熱気がわたしを包む。
散らした汗と、上がる体温、口から洩れる息吹。
退屈な仕事で冷め切った私を一気に引き戻してくれるその瞬間が、たまらなく好きだった。
扉が開かれようとも、声をかけられようとも、彼女は気づかない。
その目は鏡に映る自分の動きを見るために、その耳は流れるBGMと自分の体の立てる音を聞くために。それ以外の用途の一切がそぎ落とされているのである。
ルカ「……しゃーねーな」
だから、私は彼女の隣で同じように踊るのだ。
パフォーマンスは、ライトが照らす全員を統合することで完成する。
最高のパフォーマンスを追求する美琴からすれば、同じ舞台に上ってきた人間を気にしないわけにはいかないのだ。
美琴「……ルカ、ちょっと鈍った?」
ルカ「ハッ、生意気言ってんじゃねーよ」
そこからは、ステージの幕開けだ。
- 812 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:28:45.63 ID:NxZO6r4R0
-
____
______
________
ルカ「いったん休憩、いいな?」
美琴「あ……うん。そうだね」
美琴は自分じゃ休憩を取らない。
休んでいる時間があるなら、それもレッスンに充てねばならないと本気で思っている人間だ。
だからそういう調整は私の役目。美琴にタオルと水とを手渡した。
美琴「……あれ」
汗をぬぐいながら美琴がぽつりとつぶやいた。
ルカ「……どうした? 美琴」
美琴「いや、今……誰か通った気がしたんだけど」
美琴はビーチ入り口から続く、島を一周する道を指さした。
ここを抜けて左手にその人物は走っていった、と美琴は主張する。
ルカ「……こんな時間にか?」
美琴「……勘違いだったのかな?」
今はもう夜時間が始まって一、二時間は経とうかという頃合い。
普通なら出歩きはしないと思うが……
美琴「ごめん、大丈夫。とりあえずあと少しだけやろっか」
ルカ「お、おう……」
今から追いかけたとてその正体がわかるとは思えない。
一旦その人物のことは他所において、練習を再開することにした。
- 813 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:29:54.67 ID:NxZO6r4R0
- -------------------------------------------------
【ルカのコテージ】
「美琴のやつ……相変わらずだな」
一体あの底なしの体力はどこから来るのか。
ほんの少し付き合っただけでこんなに疲労がたまるのに、あいつは平気な顔してばかり。
昔からこういうところが癪。
「……つくづくアイドルだよ、美琴は」
水槽のヤドカリを指でつついて、そう漏らした。
美琴は私なんかよりよっぽど技術が高いし、スター性だってある。
でも、それでも私は美琴を夢の舞台へ連れていくことは適わなかった。
それは七草にちかも同じことで。
「……頑張んないとな」
弱音を吐いてなんかいられない。
今私がすべきことは、一刻も早く体を休ませてまた美琴に追いつくための努力をすることだ。
すぐにベッドに横になって目をつむった。
意識が遠のくまでに時間はかからなかった。
- 814 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:31:12.03 ID:NxZO6r4R0
- ____
______
________
=========
≪island life:day 10≫
=========
【ルカのコテージ】
キーン、コーン…カーンコーン…
『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』
『オマエラ、グッモーニンッ! 本日も絶好の南国日和ですよーっ!』
『さぁて、今日も全開気分で張り切っていきましょう〜!』
美琴と練習した翌日。
予想通りというか、予定通りというか……私の身体には疲労が残り、筋肉痛もひどくなっていた。
ソロ活動を始めてからはそこまで激しい振り付けなんかはやってこなかった、
美琴がダンスの道をとことん追い求めたのとは対照的に、私が武器にしたのは歌唱力だった。
フラストレーションをぶつけた歌詞と歌声とは、不思議と同世代の女から注目を集めて、今の立ち位置。
芸能界というのはよくわからない。
まあ、今この島にいる限りはそんな人気や注目だなんてのも意味をなさないのだけど。
「……よし」
それよりも、今はこの久しぶりの痛みが心地よい。
美琴という人間の存在を強く実感できるこの痛みが、何よりも嬉しいのだ。
私はどこか浮足立つ気持ちを抑え、レストランへと向かった。
- 815 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:32:48.80 ID:NxZO6r4R0
- -------------------------------------------------
【ホテル レストラン】
もはや私がやってくることに驚く人間はいなくなった。
適当に挨拶をこなせば、すぐに美琴の隣にいける。
そうしてまた食事をして、会話にも少しは混ざる。
穏やかな日常というものが、少しずつだが形成されつつあった。
結華「え? は、花火大会?」
あさひ「はいっす! 昨日、愛依ちゃんと一緒にスーパーに行ったらこ〜んなおっきな打ち上げ花火があったんすよ! せっかくならみんなでやりたいっす!」
愛依「スーパーには手持ち花火とか線香花火、ねずみ花火なんかもあったし。せっかくならうちもやってみたいなって思って〜」
あさひ「公園とか海岸とか、花火ができそうなところもいっぱいあるっすよ!」
摩美々「公園は今は無理じゃないー? あのゲームの筐体があるわけだしさー」
あさひ「じゃあ第2の島の海水浴場っす! あそこならシャワールームに荷物を置いたりできるっすよ!」
結華「まあ確かに都合はいいか……」
ルカ「おい、美琴。花火だってよ」
美琴「花火か……あんまりやったことないかも」
ルカ「だよなー……」
東京でも結構あちらこちらで花火大会なんかはやっているものだが、美琴からすればそんな時間あるなら……以下略。
手持ち花火すらもまともに触ったこともないんじゃないか?
- 816 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:34:01.02 ID:NxZO6r4R0
-
果穂「たのしそうですー! あたし、やりたいです! 花火!」
千雪「これだけ人数がいれば、花火も見ごたえがありそうね」
摩美々「ま、いいんじゃないー? どうせ時間ならたっぷりあるんだしー」
恋鐘「やるんだったらちゃんと安全には注意せんといかんよ! バケツにありったけの水をため込んでおくばい!」
夏葉「手伝うわ、恋鐘。せっかくなら安心してみんなに遊んでほしいもの」
結華「もうやる方向で進んじゃってるけど、みんなは大丈夫?」
冬優子「うん♡ ふゆ、なんだか今からワクワクしてきちゃう!」
ルカ「私たちも異議なしだ」
結華「よし、決まりっ! それじゃあ今晩は第2の島の海水浴場で花火大会!」
あさひ「やったっすー!」
果穂「やったー!」
- 817 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:35:27.62 ID:NxZO6r4R0
-
美琴「……問題は、あの二人だよね」
結華「とおるんとひななんかー……」
恋鐘「ずっとうちらのことを避けとるけん、ここ数日はまともに会話もできとらんたい……せっかくなら二人も一緒に遊んでほしか……」
愛依「あっ、それならさ……おーい! モノミちゃ〜ん!!」
バビューン!!
モノミ「およびですか、和泉さん!」
ルカ「は……? お前、何してんだよ……」
愛依「この前の第2の島の調査の時も、モノミちゃんが二人を呼んでくれたじゃん? 今回もそうしてくれないかな〜って思って!」
モノミ「浅倉さんと市川さん、でちゅか?」
冬優子「うん……二人とも、ふゆたちと行動はしたくないって、ずっと会えてないんだ」
モノミ「うぅ……らーぶらーぶしてもらうはずが、そんな絶縁状態だなんて……」
美琴「……」
(美琴の奴、やっぱりまだ浅倉透に敵意を抱いてんだな……)
果穂「モノミさん! あたしたち、透さんと雛菜さんといっしょに花火をしたいんです!」
結華「三峰たちじゃ避けられて、説得どころじゃないから……お願いできないかな?」
あさひ「呼ぶのに成功したら花火大会にも参加していいっすよ」
(……鬼だな)
- 818 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:37:06.49 ID:NxZO6r4R0
-
モノミ「ミナサン……あちし、ミナサンが頼ってくれて感無量でちゅ……!」
モノミ「わかりまちた! ミナサンのために、あちしが一肌脱ぎまちゅ!」
愛依「さっすがモノミちゃん! 頼りになる〜!」
モノミ「えへへ、あちしにできるのはこれくらいでちゅから」
摩美々「ふふー、結構扱いやすいですね。あのぬいぐるみー」
恋鐘「こら、摩美々! モノミはうちらのために動いてくれるんよ、そげん言い方はよくなかよ!」
(……まあ、モノクマに比べたらよっぽど都合がいいぬいぐるみなのは間違いないな)
モノミはそのまま促されるままに姿を消した。
アイツのことだ、きっとすぐに二人の説得に向かうことだろう。
智代子「二人はモノミに任せるから……わたしたちは準備をしなくちゃだね!」
結華「花火を持っていくのは当然として、こがたんの言ってたように安全面を考慮した用意も必要だよね」
美琴「それに加えてゴミ袋も必要かな。島での暮らしは自然に気をつかわなきゃいけない、ポイ捨てをするわけにはいかないから」
ルカ「さすが、よく気が付くな美琴!」
愛依「じゃあ、昼間のうちにその準備はしておかなくちゃ!」
果穂「えへへ、すっごくたのしみです!」
あさひ「うん! ワクワクするね、果穂ちゃん!」
千雪「ふふふ……」
結華「じゃあ分担は____」
- 819 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:38:48.76 ID:NxZO6r4R0
-
そのまま私たちは花火大会の準備に向けて話を進めることとなった。
花火を集める係、水の入ったバケツを用意する係、ごみ箱の準備をする係、花火中のお菓子やドリンクを用意する係(放クラの甘党女からの強い要望があった)……
私はどれに参加しようか……?
【花火大会の準備を行います】
【選択したメンバーとの親愛度が少し上昇する選択です】
1.花火を集める係【あさひ、果穂、愛依、摩美々】
2.水の入ったバケツを用意する係【恋鐘、夏葉】
3.ごみ箱の準備をする係【結華、千雪、美琴】
4.花火中のお菓子やドリンクを用意する係【智代子、冬優子】
↓1
- 820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/20(木) 21:40:13.88 ID:X0A0TKPY0
- 4
- 821 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:50:11.30 ID:NxZO6r4R0
- 4 選択
【第1の島 スーパーマーケット】
花火選びはガキどもの相手をしなきゃいけないし、バケツの用意は力仕事……
美琴と一緒の仕事をしてもいいが、単純にこっちのほうが楽そうだ。
そう思い私はお菓子とドリングを用意する係に立候補した。
智代子「ルカちゃんはどんなお菓子が好き? なんでも入れて大丈夫だからね!」
ルカ「お、おう……」
冬優子「ち、チョコちゃん……それって、今晩の花火大会の分なんだよね……? 一週間の備蓄用とかではなくて……」
智代子「え? あはは、ちがうよ、流石にこれ全部わたしが食べるわけじゃないよ!」
冬優子「そ、そうだよね……」
智代子「わたしの分はまた別のカートで用意するから、これはみんなで食べる分!」
ルカ「……こいつ、小金持ちが別の用意で監視できないからってタガが外れてやがんな」
冬優子「……甘ったるいのばっかりじゃないの」ボソッ
ルカ「……? なんか言ったか?」
冬優子「う、ううん! なんでもない! ルカちゃんは何か食べたいお菓子とかある?」
ルカ「そうだな……私はこういう甘いやつよりもっとしょっぱいやつ……こういうポテトチップスとかのがいいな」
冬優子「……!」
ルカ「酒……はガキの手前入れないほうがいいか。あーでも、こういう酒のつまみみたいなやつは食いたいかもな……」
冬優子「ル、ルカちゃん入れちゃおっか! そういうしょっぱいのとか……ほら、成人してる人も何人かいるし、きっと食べてくれると思うな!」
ルカ「お? お、おう……そんじゃ入れるか……」
(気のせいか? やたらこいつが喜んでいるような……)
【親愛度が少し上昇しました!】
【現在の園田智代子の親愛度レベル…0.5】
【現在の黛冬優子の親愛度レベル…0.5】
- 822 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:52:05.48 ID:NxZO6r4R0
- -------------------------------------------------
【第2の島:海水浴場】
いつだったか千雪に付き添って海水浴に付き合ったビーチにはずらりと花火大会の準備が揃っていた。
中学生と小学生は嬉しそうに手持ち花火を火も付けていないのにぶんぶんと振り回し、高校生以上は段取りと注意事項とを確認する段階に移っている。
もちろん私と美琴もその例に漏れない。
夏葉「どこまで厳格に判定を下すかはわからないけど……使い終わった花火は速やかに処理するようにしておいて。モノクマのことだから、勝手な裁量で動く恐れもあるわ」
千雪「ゴミ袋は常に用意しておくから、ポイ捨ては絶対しないようにしてね」
智代子「飲み物はシャワールームの冷蔵庫を使うことにしました! 花火大会が本格的に始まったらクーラーボックスに移動させるね!」
美琴「ビニールチェアも備え付けてあったから出しておいたよ。気軽に使ってくれて構わないから」
しかし本当に奇妙な因果だ。
まさかこの私が283プロの連中と肩を並べて花火なんかに興じることになるなんて。
しかも自分から協力して、なんだからな。
千雪「ルカちゃん、どうしたの?」
ルカ「ハッ……なんでもねーよ」
- 823 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:52:57.94 ID:NxZO6r4R0
-
結華「準備もひと段落したことですし、とりあえずは解散かな?」
恋鐘「まだ日も沈んどらんし、花火をするには少し早いばい」
智代子「花火大会自体はいつからする?」
夏葉「そうね……この前のパーティは灯織が脅迫状のこともあって夜時間以降にしていたけれど……夜時間を過ぎてからでは果穂に少し厳しいわ」
冬優子「そっか……小学生だと、九時には眠くなっちゃうか……」
愛依「じゃあ八時ぐらい? それぐらいなら日も沈んでるし、大丈夫じゃない?」
結華「そうだね、それぐらいにしておこっか」
結華「おーい! わんぱくガールズー! 花火大会は八時からだから、昼寝しておくなら今の内だよー!」
メガネ女の呼びかけに、波打ち際でじゃれあっている小学生と中学生は「はーい」と大声で返事をした。
結華「よし、それじゃ今度こそ解散だね!」
摩美々「お疲れさまでしたぁ」
千雪「花火大会、いい思い出にしましょう!」
ルカ「美琴、私たちも行こうぜ」
美琴「うん」
ルカ「……? 美琴、どうかしたか?」
美琴「……ううん、なんでもない」
ルカ「……? まあ、いいか……」
(美琴の奴……どうしたんだ?)
(今美琴がぼうっと見てたのは……ストレイライトの【ぶりっ子女】か? 一体、どうして……?)
- 824 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:54:16.05 ID:NxZO6r4R0
- -------------------------------------------------
【ルカのコテージ】
花火大会の準備を終えて、私たちはそれぞれ自分の部屋へと戻った。
特に他にやることはないし……まだ時間はあるし、せっかくなら他のやつと話でもしてくるか。
【自由行動開始】
【事件発生前最後の自由行動です】
-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…69枚】
【現在の希望のカケラ…23個】
1.交流する【人物指定安価】※透、雛菜を除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)
↓1
- 825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/20(木) 22:06:04.81 ID:Q6si7nsA0
- 1 千雪
- 826 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:11:10.22 ID:NxZO6r4R0
- 1 千雪選択
【第2の島 図書館】
時間をつぶすにしても当てがなく、なんとなくふらっと立ち寄った。
この前あいつに進めてもらった本がことのほか面白く、続きが気になっていたというのもある。
そんな思い付きで扉を開けると、目に飛び込んできたのはあいつの姿だった。
千雪「……! ル、ルカちゃん……読書?」
ルカ「え? おう……お前、今は読んでなかったのか?」
千雪「え、ええ……何を読もうかなって迷ってたところで突然扉が開いて、びっくりしちゃった」
ルカ「そ、そうか……」
千雪「でも、せっかくルカちゃんに会えたんだし……本を読むよりも、お散歩したい気分かも」
ルカ「散歩……? まあ、いいけど……」
千雪「それじゃ決定! 島の辺りをぐるりと歩きましょう!」
そんなわけでなんだか強引に連れ出される形で散歩をすることになった。
まあ、たまには潮風を浴びるってのも悪くはないかもな。
-------------------------------------------------
‣現在の所持品
【ココナッツジュース】
【ジャバの天然塩】
【ひまわりの種】
【エプロンドレス】
【新品のサラシ】
【オスシリンダー】
【シルバーリング】
【メスシリンダー】
【トイカメラ】
【ドライビングニトロ】
【蒔絵竹刀】
【絶対音叉】
【七支刀】
【バール】
プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない
↓1
- 827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/20(木) 22:13:35.87 ID:X0A0TKPY0
- 1 シルバーリング
- 828 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:21:44.91 ID:NxZO6r4R0
-
【シルバーリングを渡した……】
千雪「わぁ……綺麗な指輪……これ、本当に私に?」
ルカ「ああ……いっつも要らねえもんばっか押し付けてばっかだから、たまにはな」
千雪「……嬉しいなあ、ルカちゃんが私のために……」
ルカ「別にそんなんじゃねえ、なんか……その、中元みたいなもんだ」
千雪「お中元は今はシーズンオフじゃない?」
ルカ「し、知らねーよ!」
千雪「ふふ、ありがとう」
(ここまで喜ばれると流石に照れるな……)
【PERFECT COMMUNICATION】
【いつもより多めに親愛度が上昇します!】
-------------------------------------------------
散歩中の話題はやはり、今日の晩に予定されている花火大会についてだった。
私はお菓子と飲み物の用意係、こいつは美琴と一緒にゴミ箱の準備。それぞれやっていることは別だったので、どんなことをしたのかの雑談に花が咲いた。
ルカ「それでよ、あの甘党女……今度はアメリカのホームパーティでも見ないようなチョコエッグ持ってきやがって」
千雪「まあ……そうなの?」
ルカ「木製のハンマーがねえと割れないようなの、花火しながら食えるかってんだ……お前らの事務所の連中、一体どうなってんだよ」
千雪「ふふ、花火大会とはまた別に遊べそうね」
ルカ「お前がやったのはゴミ箱の準備だろ? 結構地味な仕事だよな」
千雪「そうだなぁ、仕事で言えば地味かもしれないけど、段ボールをちゃんと立ててそこにゴミ袋をセットするのって案外手間なのよ」
ルカ「まあな……夏祭りとかでよく見るあれか」
千雪「そう、美琴ちゃんと結華ちゃんがてきぱきやってくれて助かったけど、一人だったら倍はかかってたと思うな」
ルカ「ハッ、お前は確かにどんくさそうだもんな」
千雪「あっ! ひどい〜! また虐めたな〜!」
しかし、本当につくづく思う。
あの七草にちかの裁判の後、まさかこんなことになるなんて考えもしなかった。
私が283プロの連中と一緒に遊んだり、何かを企画したり……
桑山千雪、全部全部、こいつのせいであり……こいつのおかげ、なんだよな。
1.……今日の花火大会、楽しみだな
2.もっと、いろんなことがやりたい……なんてな
3.自由安価
↓1
- 829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/20(木) 22:30:19.89 ID:DE4dap/n0
- 2
- 830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/20(木) 22:30:58.89 ID:Q6si7nsA0
- 2
- 831 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:37:24.73 ID:NxZO6r4R0
- 2 選択
こいつと一緒に過ごすうちに、私の中にわずかに生まれた衝動。
それは自分自身でも無自覚で、目をそむけたくなるほどに青臭い……羞恥心も抱くような。
そんな認めたくもないような言葉が、口から出た。
ルカ「もっと、いろんなことがやりたい……なんてな」
千雪「……!」
ルカ「私は、美琴ともそうそう遊んだりなんかしてこなかった……それが今、こうやって他の連中とつるんで何かやろうとしてるなんて」
ルカ「……ちょっとだけ、楽しいと思ってるのかもしれねえ」
千雪「……私ね、この花火大会は決してあさひちゃんと果穂ちゃんのためだけにやるんじゃないって思うの」
千雪「この島にいるみんなが協力して打ち上げる花火には、きっともっと大切な意味がある」
千雪「感動をみんなで共有するんだもの、きっと私たちの間にはこれまでなかったものが生まれて、今あるものはより強くなる」
千雪「ルカちゃんも、それを感じてくれたら嬉しいな」
ルカ「……」
千雪「だから、必ず。もっとみんなで色んなことをしましょうね、約束」
ルカ「……指キリげんまんなんてやらねえ」
千雪「もぅ……つれないなあぁ」
約束だなんて言葉も、長い間聞いてこなかった気がする。
この島の暮らしは、私のこれまでを大きく変えてしまっている。
良くも悪くも……
今のところ、その割合は……ちょっとだけ前者が上かもしれないな。
-------------------------------------------------
【親愛度が上昇しました!】
【桑山千雪の親愛度レベル…10.5】
【希望のカケラを手に入れました!】
【現在の希望のカケラの数…24個】
- 832 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:38:38.19 ID:NxZO6r4R0
- -------------------------------------------------
【ルカのコテージ】
窓から差し込む光はいつの間にか陽光から月光へと変わり、涼しい風が吹きつける静かな夜がやってきた。
そろそろいいぐらいの時間だろう。
「……よし、行くか」
花火大会だなんて、まるで趣味ではない。
でも、美琴と本来一緒に過ごすはずだった時間、ユニットを解散してから抜け落ちてしまった時間を埋めるためには都合がよかった。
ワクワクとも違うソワソワを胸に抱きながら、私は部屋を後にした。
- 833 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:39:50.44 ID:NxZO6r4R0
- -------------------------------------------------
【第2の島 海水浴場】
あさひ「あっ、来た! お〜い、こっちっすよ〜!」
ビーチにつくと、既に数人の姿があった。
ずっと日中ソワソワしていた小学生と中学生、そしてその世話役連中だ。
ルカ「……おう、気が早いな」
果穂「えへへ、30分前からちょこ先輩と来ちゃってました!」
ルカ「は、早くねーか?」
智代子「果穂が楽しみで居ても立っても居られないって言うから……せっかくだからあさひちゃんと愛依ちゃんを誘って!」
愛依「ホント二人ともすごく元気でさ、さっきまでは四人でビーチバレーしてたんだ〜」
(これから花火やるってのに体力使って大丈夫か……?)
- 834 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:41:00.95 ID:NxZO6r4R0
-
智代子「まだみんなが来るまでには少し時間がありそうだし……ルカちゃんもせっかくだし一緒に遊ぶ?」
ルカ「え? ……まあ、いいけど」
果穂「ほんとですかー!? あ、でも5人じゃビーチバレーはできないかな……」
愛依「じゃあ鬼ごっこでもする?」
あさひ「いいっすね、負けないっすよー!」
ルカ「……ったく」
早く着いてしまったがために面倒なことに巻き込まれてしまった。
柄でもなく年下連中に付き合って走り回って……声上げて……バカみてえ。
ルカ「おっし、捕まえた!」
あさひ「ルカさん、意外と足はやいっすね」
ルカ「ハッ、緋田美琴の元パートナー舐めんじゃねーぞ!」
やってるうちに熱くなっちまってるのも相当にアホくさい話だ。
そんな素っ頓狂な時間の潰し方をしているうちに、徐々に283プロのメンツも揃ってきた。
- 835 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:42:32.53 ID:NxZO6r4R0
- ◇◆◇◆◇◆
恋鐘「とうちゃ〜〜〜く! ……って、なんね、もう楽しんどるばい!? うちも混ぜて〜〜〜〜〜!」
速攻で鬼ごっこの輪に加わった長崎女。
◇◆◇◆◇◆
結華「おっ、やってるねやってるね! さすがの行動力だね、少女諸君!」
軽妙な言い回しで茶化すメガネ女。
◇◆◇◆◇◆
夏葉「あら、果穂に智代子はもう来ていたの? ……智代子、クーラーボックスの中身がなんだか少ない気がするのだけど」
甘党女を眉をひそめて諫める小金持ち。
◇◆◇◆◇◆
千雪「ふふっ、ルカちゃんったら……」
何を勘違いしているのか上機嫌になるのはあいつ。
◇◆◇◆◇◆
冬優子「こんばんはー、今日は楽しもうね♡」
鬼ごっこには加わらずビニールチェアに腰かけるぶりっ子女。
◇◆◇◆◇◆
美琴「ごめん、皆もう集まってたんだね」
なぜだか集合の段階ですでに汗ばんだ様子の美琴。
◇◆◇◆◇◆
摩美々「ふぁ……眠た……」
マイペースに集合時刻に遅刻して現れた小悪党。
◇◆◇◆◇◆
こうして今朝の打ち合わせに参加していたメンバーは全員そろったのだが、最終的にノクチルの二人がやってくることはなかった。
- 836 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:43:48.73 ID:NxZO6r4R0
-
あさひ「モノミ、説得ダメだったっすかね?」
果穂「透さんと雛菜さん……あたしたちのこと、きらいになっちゃったんでしょうか……」
(まあ、正直そういうことなんだろうな……)
夏葉「……いいえ、今は少しだけ気持ちが通ってないだけ。きっと二人も分かってくれる時が来るわ」
冬優子「う、うん! とりあえず今はここにいるみんなで楽しもう?」
あさひ「そっすね!」
愛依「そうそう、うちらが楽しんでたら、二人もその空気に誘われてやってくるかもしれないじゃん?!」
摩美々「そんな小学生じゃないんだからさぁ……」
とはいえ、あの二人がこれから集合するとも思い難い。
小学生と中学生をあんまり遅い時間まで待たせるのも酷だ。
私たちは今いるメンバーで花火大会を始めることにした。
あさひ「わ〜〜〜〜〜! すごい、すごいっす〜〜〜〜〜!」
果穂「あさひさんの手持ち花火、すっごくカッコイイですー! 色が途中でかわるんですね!」
色とりどりの手持ち花火があちらこちらで着火。
スーパーにある花火を根こそぎ持ってきたと言っていたが、なるほどこれなら数時間単位で遊べそうだ。
- 837 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:44:54.57 ID:NxZO6r4R0
- ◇◆◇◆◇◆
美琴「えっと……これって、こうであってるのかな」
智代子「み、美琴さん!? それ、逆、逆!」
ルカ「おい、美琴……お前それ天然なのか……?」
美琴「ごめん……あんまり触ったことなかったから」
智代子「み、美琴さん!? チャッカマンから直は危なすぎるよ!?」
美琴「えっと……火をつけるんじゃなかったの?」
ルカ「あそこの蝋燭を経由するんだよ! バッカ、もう……貸せ!」
美琴「ルカ、ありがとう」
智代子「あはは! ルカちゃんもにちかちゃんと一緒で面倒見気質なんだね」
ルカ「はあ? あんなチンチクリンと一緒にしてんじゃねーよ!」
美琴「ルカ、もう火花でてるよ」
ルカ「え? あ、アッッッッッッッッッッッッツ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
- 838 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:46:17.33 ID:NxZO6r4R0
- ◇◆◇◆◇◆
あさひ「冬優子ちゃん冬優子ちゃん! これやってみたいっす!」
冬優子「あさひちゃん? どんな綺麗な花火なのかな?」
あさひ「これっす!」
冬優子「……よりにもよってなんでヘビ花火なのよ」
あさひ「なんか火をつけたらモリモリ出てくるらしいっす! わたし、見てみたいっすよ!」
冬優子「愛依ちゃん、やってあげてもらえるかな?」
愛依「冬優子ちゃん……やったげたいのは山々なんだけど……ちょっとごめん」
冬優子「愛依ちゃん……? どうしたの……? もしかして、体調悪い?」
愛依「ご、ごめん……うちもう無理! シャワールームのトイレにいるから、なんかあったら呼んで!」
タッタッタッタッ
冬優子「え、ええ……?」
あさひ「冬優子ちゃん、冬優子ちゃん! 早く火をつけてほしいっす!」
冬優子「はぁ……なんでふゆがこんな地味な花火を……」
- 839 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:47:18.68 ID:NxZO6r4R0
- ◇◆◇◆◇◆
摩美々「ふははー、花火のカーテンですー」
果穂「ま、摩美々さん……! すごくかっこいいですーーーー!!」
結華「ま、まみみん!? それ何個持ち?! あ、危ないって!」
夏葉「花火を複数着火して掲げるだなんて……摩美々、その発想はなかったわ! 負けていられないわね!」
結華「な、なっちゃんまで……?! あーあー、もうめちゃくちゃだよ」
果穂「あたしも負けてられません! 残りの花火を束にして……」
結華「あー、ストップストップ! ほら、年長者がふざけると教育に悪いんだから……二人とも、いい加減にしとかないと!」
夏葉「果穂、火の扱いは慎重にしましょう」
結華「なっちゃんがそれ言う……?」
- 840 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:49:45.70 ID:NxZO6r4R0
- ◇◆◇◆◇◆
私も他の連中に交じって適当な花火を手に取り、それをぼんやりと眺めていた。
すると、私のもとに千雪がやってきた。手には二本の線香花火が握られており、片方を私に向かって差し出す。
千雪「ほら、ルカちゃん。線香花火をどうぞ」
ルカ「お、おう……サンキュー」
千雪「せっかくだし、どっちが長持ちさせられるか勝負でもする?」
ルカ「ハッ! それじゃあ負けたほうが勝った方の命令を一つ聞く、いいな?」
千雪「乗った! ふふ、負けないぞー!」
二人の線香花火に灯がともり、戦いの火ぶたが切って落とされる。
……とはいえ、線香花火なんて地味なもの。
しゃがみこんで二人の花火を見つめているうちに、自然と言葉を交わす。
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