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【安価・コンマ 】ロボットのパイロットとして生きる【オリジナル】

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758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/26(日) 21:37:47.45 ID:cwdFBBsg0
食堂の横に併設されたカフェで飲み物を片手にカズミとバーネットは話していた。

「なるほど。頭では理解しようとしているが、それに気持ちが追いつかないと」

「はい...」

カズミは項垂れながらコーヒーを啜った。

「確かに私たちと違って、後輩は事情が色々と特別だからな...」

「それなら...バーネット先輩も、その、汚れ仕事をやる覚悟があるんですか?」

「ああ。後輩やエヴァ、一部の特殊な境遇の者を除けば、我々は皆その心積もりはできている」

「そう...ですか」

自分だけが未熟なのだと感じたカズミは視線を落とす。

「...はっきり言おう。今抱えている問題は一朝一夕には解決しない。その上、私は答えを与えてやれないし、克服できるのは本人だけだ」

(やっぱりそうだよね...。これは結局"私"の問題なんだ。どんな形であれ決着をつけられるのは私だけ...)

バーネットは紅茶を飲み終えてティーカップを置くと、口を開いた。

「しかし、だ。その手助けをする事なら私達にもできる。いいか、後輩。自分の問題だからといって1人で悩む必要はない。周りの助けを借りればいい、それだけの事だ」

未だ悩みの解決には至っていないが、その言葉を聞いてカズミの気分は少し晴れた。

「ありがとうございます!」

「先輩が後輩の面倒を見るのは当然のこと、構わんさ」

「コーヒーも奢っていただいてありがとうございました!」

「気にするな。気分も晴れたようだし、今日はここでお開きとしよう」

そう言うとバーネットは立ち上がった。

「ああ、それと。後輩よ、こういった時は自分を見つめ直すのがいい、深いところまでな」

カズミの返事を聞くと、バーネットはそのまま立ち去った。

↓1
01〜70 ボーナスなし
71〜90 +1
91〜 +2
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 21:42:57.57 ID:bFmFsg/q0
へい
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/26(日) 21:50:13.58 ID:cwdFBBsg0
57 ボーナスなし
バーネット 5 1/6→2/6


カズミ・アーディガン
白兵戦能力 熟練
操縦技能 エース

操縦技能(ポイントの獲得は同格以上の相手との訓練及び実戦での勝利、昇格に必要な最後のポイントは実戦のみ)
シエラ=レオネ エース
オルデンリッジ 熟練 1.5/4
バーネット 熟練 2.5/4
ガルー 熟練 1/4

白兵戦能力(同上)
シエラ=レオネ エース
オルデンリッジ 熟練 0.5/4
バーネット 熟練0.5/4
ガルー 熟練

好感度 (MAXは6)
エヴァ 4(大好きなお姉ちゃん!)
アダム 4 2/5(お気に入りのパイロット!)
バーネット 5 2/6(期待の後輩だ!)
ガルー 5 3/6(カズミになら背中を任せられるぜ!)
オルデンリッジ 4 2/5(真っ直ぐで良い娘だ)
シエラ=レオネ 3 3/4(素質は悪くないな)
リリス 2(ただのパイロット)

自由行動残り1回
↓1
1操縦技能の訓練(〇〇と〇〇という風に名前をお願いします)
2白兵戦の訓練(同上)
3コミュニケーションをとる(相手の名前と、指定があるならどんな会話をしたか、あるいはどんな事があったかもどうぞ)
4特に何もしない

今日はここまで。
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/27(月) 00:01:21.58 ID:pb/Hpe7To
おつおつ
お姉ちゃんの声聞きたい…電話する
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/27(月) 01:09:51.92 ID:q0TrohFH0
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/30(木) 21:09:27.32 ID:aJnFzVmt0
「ふぅ...ったく、デスクも人使いが荒い」

アルトは自分が務める報道機関のビルの窓から、星空を眺めていた。夜空に輝く光に目を奪われながらタバコの煙を吐く。
可愛い妹は何をしているのだろうかと、そんな考えがふと頭をよぎったその時、携帯が鳴った。

「もしもし?」

こんな時間にかけてくるなんてなんて非常識な奴だと思いながら電話に出ると、聞き慣れた妹の声が耳に入った。

「ああ、アンタか。どうしたんだいきなり?」

本人から明かされたわけでもないので相変わらず他人のふりをしながら尋ねる。しかしアルトには違和感があった。他人ぶって声色を変えている事を加味しても、いつもより妹の声の調子が低いのだ。

「声が聞きたかった?ただの他人の声をか?」

いつもの調子に戻してやろうとカズミを揶揄うが、今日ばかりは上手くいかなかった。

(こりゃ重症だな...)

以前にカズミがひどく落ち込んだのはいつだったかと記憶を探る。それは自分が気に入ってたぬいぐるみを、ピクニックの時にカズミが無くして以来だ、とアルトは思い出した。

「ところでアンタ、姉は居るのか?」

突然の質問にカズミは口籠った。

「よし、じゃあ仮に居るとしよう。妹が居たことがあるから分かるんだが、きっとお姉さんはこう言うだろうな」

アルトは親に反対されながらも記者になる夢を叶える為に家を出ると決心した時に、カズミに言われた事を思い出す。

「どうすべきか悩んでいるなら己を信じろ。その結果どんな事が起ころうとも、そのケツは姉であるアタシが拭いてやるってな」

あの時だけはいつもアタシに世話を焼かれていた妹が、逆に支えてくれたっけか、そんな事を思いながらアルトは微笑む。

アルトの言葉を聞いたカズミはしばらく黙り込む。
そして開いた口から発せられた言葉は短い返事だけだったが、その声には少し明るさが戻っていた。

「ハハ、元気出たか?なら良かったよ」

元気を取り戻したカズミはその後しばらくアルトと会話を交わすと電話を終えた。

「ったく、騒がしい妹だ」

その言葉とは裏腹にアルトの表情は明るかった。

「おっと、最後の一本か。仕方ない、これを味わったら仕事に戻るか」

タバコに火をつけるとアルトは再び星を見上げる。

「頑張れよ、カズミ」
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/30(木) 21:12:43.33 ID:aJnFzVmt0
──ブルトニアのどこか──

「成程、ヤツらの狙いはテルース教の禁足地か...」

豊かに蓄えた髭をさすりながらアルジオットは目を細める。

「目的地が分かっているなら話は早い...と、言いたいところだが」

アルジオットは窪んだ眼孔の奥で鋭く光る眼をシエラ=レオネにむける。

「はい。問題はその禁足地がガザレムの奥地に位置する事です。おそらく民間人や研究者に偽装しても近づくのは困難かと」

「ふむ...」

そう低い声で唸ると、アルジオットはニタリと笑う。その顔は酷く邪悪だったが、同時におもちゃ見つけた子供の笑顔のように純粋だった。

「ならうってつけだ。丁度考えていた良い計画がある」

「計画、ですか?」

「ああ。禁足地がガザレムにあって簡単に立ち入れないのなら、立ち入ることのできる理由を作れば良い」

「それは、そうですが...」

「確かカナアンとガザレムの国境付近では頻繁に小競り合いが起きていたな」

その言葉を聞いてシエラ=レオネはアルジオットが何を考えているのかを察した。

「それを利用するのだよ。貴様ら特務機関がガザレムの兵士に扮装、カナアンの前哨基地を襲撃しろ。それを受けて我々は同盟国であるカナアンの救援として、ガザレムに侵攻する。これなら世論も反対するまい。」

「...ですが、勝利の見込みはあるのですか?」

「...貴様の任務は口答えをする事じゃない。それに心配せずとも、軍部との擦り合わせは既に行なっている」

アルジオット大統領と軍部は犬猿の仲だったはず。にも関わらずこのような大規模な侵攻作戦に協力させる手筈が整っている。やはりこの老人の牙は衰えていないのだとシエラ=レオネは実感した。

「一つ、捕らえた捕虜は目的地が禁足地である事を我々に伝えるよう指示されていたようです。つまりは、罠かと」

その言葉を聞いてアルジオットは鼻で笑った。

「だからなんだ?罠だと分かったのなら綿密な対策を立て、それごと踏み潰すだけだ」

「...は。では作戦に移るため、私は失礼します」

「ああ。さっさと行け」
765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/30(木) 21:17:32.77 ID:aJnFzVmt0
──カナアン、ガザレムとの国境付近──

「お姉ちゃん、元気だして?」

エヴァの呼びかけにカズミは上の空で答える。

(結局サノスさんを脅迫してまで手に入れたのは罠かもしれないって情報だけ...)

もし、もしもっと重要な情報、例えばガーディアンオブエデンの目的や計画を聞き出す事ができたなら、カズミもここまで思い悩みはしなかっただろう。

(さらに今回の任務...これだって、酷すぎる。戦争を起こすための理由をでっち上げるなんて...)

「お姉ちゃん〜?」

カズミの膝の上に座るエヴァが頬を膨らませながら問う。

「ごめんごめん」

「しっかりしてね。...ふぅ」

息を吐いたエヴァの顔色はいつもよりも悪かったが、カズミは気分の落ち込み故にそれに気づくことができなかった。

「ほら、いつもより狭いんだからジッとしててね」

今回は任務の性質上ADMで来るわけにはいかなかったので、ブラックマーケットに流通していたスクエアに搭乗している。

「カズミ、調子は?」

↓1コンマ1桁
1〜3 バーネット
4〜6 オルデンリッジ
7〜9 ガルー
0 シエラ=レオネ
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/30(木) 21:33:52.24 ID:lIMH2DI6o
ヌッ
767 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/30(木) 22:01:41.80 ID:aJnFzVmt0
4 オルデンリッジ

「カズミ、調子は?」

無線越しにオルデンリッジが尋ねる。

「あ、はい。大丈夫ですよ」

「なら良い。所定の時間までに移動を終えなくてはならないからな、急ぐぞ」

「はい。...ガルー先輩とバーネット先輩は無事でしょうか?」

ガルーとバーネットはカズミ達とは別行動をとっている。その目的はカナアンの前哨基地に事前に潜入し、破壊工作の為に爆弾を設置する事だ。
その爆発を合図に、混乱に乗じてオルデンリッジ率いる奇襲部隊が"ガザレム軍"として攻撃を仕掛ける。

「連絡がないと言うことは上手くやっているということだろう。さて進むぞ。全機、周囲に警戒しながら前進だ」

そうして月夜に照らされながらオルデンリッジ達は鬱蒼とした森林を進んでいく。

暫く進んでいると、先頭を進むオルデンリッジのスクエアが停止した。合図を見て後続機はすぐに屈む。
すると上空からフライングボードの音が聞こえてきた。どうやらカナアンの哨戒機のようだ。

「全機、動くなよ」

↓1
01〜30 見つかった
31〜 見つからなかった

短いけど今日はここまで。
768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/30(木) 22:03:26.32 ID:Tn5CMADBo
おつおつ
来年もよろしく
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/30(木) 22:12:28.76 ID:4HFJ3Vqv0
乙でした、良いお年を
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/01(土) 00:06:45.03 ID:nPKV5gTJ0
あけましておめでとうございます
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/03(月) 18:30:47.05 ID:hrO/68gH0
明けましておめでとうございます。今年ものんびりやっていきます。


32 見つからなかった

木々の陰に身を潜めていると、やがて哨戒機はその場を去った。

「やり過ごしたな。よし、進むぞ」

その後も複数回カナアンの哨戒機に遭遇したが、全て見つからずに済んだ。
そしてオルデンリッジの先導のもと数時間後、カナアンの前線基地に到着した。

基地は森林の中を流れる川沿いの開けた所に建てられていた。

「よし、時間通りだ。後は合図を待つだけだな...」

すると地を揺らすような轟音と共に火柱が立ち昇り、基地は炎に照らされた。間もなく緊急事態を告げる警報音が鳴り響き、基地の内部が騒がしくなる。

「合図だ!作戦通り、複数に分かれ奇襲を仕掛けるぞ!今回の目的は殲滅ではなく混乱だ!深入りはせず、各自は機を見て撤退しろ!」

オルデンリッジの言葉を聞くと、特務機関の兵士達は隊を組み、基地へと向かって行った。

「俺たちも行くぞ!」

「はい!」

カズミとオルデンリッジは基地の東方面に向かう。2人はバーネット達の破壊工作によって崩れた壁から中へと侵入した。
するとすぐに敵が2人のもとへと向かってきた。

↓1 カズミ達に向かってきたのは?
01〜20 3機
21〜60 4機
61〜90 5機
91〜 6機
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 18:37:28.03 ID:vk28iRpzo
あけおめヌッ
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/03(月) 19:00:30.53 ID:hrO/68gH0
03 3 機

3機のPEMが2人の前に立ち塞がった。それを見てオルデンリッジが呟く。

「カマエルが3機...想定より少ないな」

CH-929 カマエル──カナアン軍の制式機である。各地に離散していたテルース教の信者からなる国と言うことで、カナアンの国民は相対的には少ない部類に入る。従って戦力の大半をカマエルのような自律型無人PEMで賄っている。柔軟さ等では人間には及ばないが、物量でもってそれを補っている。

「とは言え念のためだ、油断はするなよ!」

「はい!」

カズミ エース オルデンリッジ 熟練
カマエル 兵卒
特務機関に対するカズミの疑心により−5
↓1
01〜30 被弾した
31〜 撃破した
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 19:05:08.26 ID:g54CH6wr0
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/03(月) 19:22:49.89 ID:hrO/68gH0
26−5=21 被弾した

3機のカマエルはまずカズミの乗るスクエアに向かってきた。

「待てっ!」

そのうち1機はオルデンリッジによって道を塞がれたが、残りの2機はカズミのすぐそこまで来ていた。
カズミはスクエアのビームサーベルを起動すると、正面から向かってきたカマエルを斬りつける。

流石にその一撃はフライングボードにより防がれ、実体の刃にレーザーを纏ったソードでカマエルが切って返す。

「なんの!」

カズミはそれをいなすと、相手の胴体に一撃を加えた。

「よし!」

すると突然目の前のカマエルの腹部からソードが突き出してきて、攻撃を喰らってしまった。

「うそ!?」

もう1機のカマエルが味方ごとカズミを攻撃したのだ。

「これが無人機の闘い方...!」


カズミ エース オルデンリッジ 熟練
カマエル 兵卒
特務機関に対するカズミの疑心により−5
↓1
01〜10 撃破された
11〜30 被弾した
31〜 撃破した
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 19:52:19.03 ID:g54CH6wr0
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 19:53:06.62 ID:g54CH6wr0
うわ、>>26の連取りルールに従って取ったんだが、2連続でこれは、流石に申し訳ない……
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 19:56:32.52 ID:N6xrjp95o
序盤に似たポンコツ返りやな…懐かしい
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/03(月) 20:17:58.49 ID:hrO/68gH0
03 撃破された

カズミは破損状況を確認しながら一度後退する。

「動力系は無事、だけどセンサーとカメラに不具合!」

やむを得ず、カズミは肉眼で視界を確保するためにコックピットのハッチを開ける。

「かなり危険だけどこうするしかない!」

そう言いながらカズミはオルデンリッジの方に視線をやる。
オルデンリッジは未だカマエルと格闘中のようだ。

それを確認して視線を正面に戻すと、相手が動き始めていた。

バルカン砲を放ちながらカマエルはこちらに走ってくる。すかさずフライングボードを構えて鉛弾を防ぐカズミ。

「見えない...けど!」

普段であればフライングボードを構えても頭部のモニターで状況を確認できるが、今の状況ではそれも叶わない。
しかしカズミはこれまでの経験と直感から接近する相手の位置を想定、ビームサーベルで薙ぎ払った。

「やった!」

見事、攻撃はブレードを持ったカマエルの右腕を切り落とした。
が、しかし。そこでカマエルは止まらなかった。カズミのスクエアに接近すると残りの左腕と両脚でしがみついたのだ。

「な、なに!?」

カマエルのエンジン部分から火花が走るような、不吉な音が聞こえ始めた。

「カズミ!?」

オルデンリッジは自らが相対するカマエルを斬り伏せるとカズミの方へと走る

↓1
01〜50 間に合わなかった
51〜 間に合った
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 20:21:36.33 ID:N6xrjp95o
ほい
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/03(月) 20:57:46.05 ID:hrO/68gH0
ゾロ目なのでそれぞれのメリットとデメリットを公開した上で多数決します。

オルデンリッジが間に合った場合、カズミの負傷がなくなります。ただコンマ判定で20パーセントの確率でオルデンリッジが死亡します。
オルデンリッジが間に合わなかった場合、オルデンリッジは無事ですがカズミが敵に捕まります。

↓3まで多数決
1間に合わなかった
2間に合った
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 21:26:33.41 ID:98d2LKOU0
1
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 21:27:27.03 ID:vk28iRpzo
1
いのちだいじに
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 21:41:19.95 ID:g54CH6wr0
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/03(月) 21:55:29.79 ID:hrO/68gH0
1 間に合わなかった

カズミは咄嗟にコックピットを閉じると、エヴァを守るように抱き抱えた。
カマエルはエンジンをオーバーヒートさせて自爆。スクエアは全壊、カズミも爆発の衝撃で気を失った。

オルデンリッジは駆け寄ろうとするが、足を止めた。

「ちっ...!」

何処からともなくカマエルが陸と空に10数機は現れた。無人機だからこそ成せる物量と戦術、それこそがガザレムに睨まれたカナアンが未だ主権国家として存している理由である。

「ここで俺が死ねば、救出も叶わん...!」

オルデンリッジは唇を噛みながら、後ろ髪を引かれる思いでその場を離れた。

今日はここまで。
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 22:36:11.01 ID:N6xrjp95o
おつ
新年早々ピンチ
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 23:22:58.67 ID:g54CH6wr0
乙でした
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/06(木) 19:18:26.64 ID:IAxiRtZs0
目が覚めたとき、カズミはエヴァと共にカナアンの留置所に入れられていた。すぐに尋問室へと連れていかれ、所属や目的をカナアンの軍人に詰問された。

尋問室で飲まず食わすの状況で長時間拘束されたが、カズミが口を開かないでいるとやがて独房へと戻された。

そして寝て起きると尋問という日々を暫く過ごしていた。次第に拘束時間や尋問の方法が過激になっていく中、カズミは憔悴しきっていた。

「...」

その日も手酷い尋問を受けたカズミは床に座り込み、壁にもたれていた。

「お姉ちゃん...だいじょうぶ?」

エヴァがカズミの顔を覗き込む。

「ハハハ...へっちゃらだよ」

口ではそう言ったが、カズミの顔に笑顔は無かった。

「きっと...だい、ハァ...だいじょうぶ、だよ」

そう言うと突然エヴァが地面に倒れ込んだ。

「エヴァ!?」

先程までの疲れを忘れたかのようにカズミはエヴァに駆け寄る。

「酷い熱...!いつから!?」

「え...と、この国に...きてから、だよ」

エヴァは息も絶え絶えに返事した。

「な、なんでもっと早く言わなかったの!」

「だって、お姉ちゃんを、ふあんに...させたくなかった」

エヴァは笑顔でそう言った。

「くっ...!」

エヴァの異変に気がつくことができなかった自分に苛立ち、強く唇を噛む。
この熱はまずい、そう感じたカズミは看守を呼ぼうとする。

「誰か!エヴァが──」

しかしその声は爆発音で掻き消された。

「何!?」

するとカズミ達のいる独房の扉とは反対側の壁が音を立てて崩れた。

そこに現れたのは──

↓1
01〜90 ヘルミラー
91〜 RLTH
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/06(木) 19:21:15.70 ID:XNoOX++U0
a
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/06(木) 19:25:14.08 ID:nBUTNxcTo
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/06(木) 20:16:28.26 ID:IAxiRtZs0
70 ヘルミラー

崩れた壁の向こう側には漆黒の装甲に身を包んだPEMが立っていた。

「へ、ヘルミラー!?どうしてここに!」

カズミは熱にうなされるエヴァを抱えると、ヘルミラーから距離を取ろうとする。
するとコックピットが開いて、パイロットスーツに身を包んだイヴが口を開く。

「居た。ノアの言う通り」

「やっぱりね。エヴァ姉ちゃん、しんどそうだね。ま、それは僕も同じだし早く行こうよ」

「分かった。ほら、カズミ」

そう言うとイヴはカズミに手を伸ばした。

その手を見てカズミは逡巡する。

(どうしてイヴがここに?)

それはいくら考えても分からないが、少なくともこのままでいるとカナアンに拘束され続けるのは確実だ。加えてこのような事態になってしまった以上、ここに残っても状況は悪化するのみだろう。

(イヴ達に助けられるのは嫌だけど、エヴァを助けるためにも...)

そしてカズミはイヴの手を取ることに決めた。2人がコックピットに入ったのを確認すると、ヘルミラーは直ぐに動き始めた。

どうやらイヴ達以外にもガーディアンオブエデンのメンバーが来ているようだ。周囲ではカニコフやカタラがカナアン軍と交戦している。

「どうしてここに?」

カズミの問いにイヴは沈黙で返した。

「そりゃ教えてくれるわけないよね...。この際それはどうでもいい、だけどエヴァを休ませないと!」

「...それは分かってる。直ぐにここから離脱する」

イヴの言葉通り、ヘルミラーは仲間の撤退を援護し終えると、あっという間に交戦地域から離脱した。
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/06(木) 20:38:11.46 ID:IAxiRtZs0
そしてそのままカズミとエヴァは以前のように目隠しをされると彼らの隠れ家へと連れて行かれた。ただし今回は拘束される事もなく、落ち着いて過ごすことのできる個室を与えられた。

「...お姉ちゃん...」

すぅ、すぅ、と寝息を立てながらベッドで寝ているエヴァがそう寝言を呟いた。

椅子に座っていたカズミはその言葉を聞いてエヴァの方を見る。

「彼女は大丈夫かな?」

正面に座る男の言葉によって、カズミの意識はエヴァから引き戻された。

「はい。ありがとうございます...ゼウス、さん」

「なら良かったとも」

そう言ったゼウスの表情は笑顔だ。それでもカズミには彼の瞳の奥に何らかの激情が宿っているように思われた。

「ですが、どうして私とエヴァを助けに?そもそも何故あそこに居ると知っていたんですか?」

「何故、か。それは立場が異なるとはいえ、君もまたこの星を守ろうとしていると、以前話した時に感じたからさ。場所に関しては──」

ゼウスがチラリとエヴァを見る。

「ノア君が教えてくれたよ。詳しくは彼に直接聞くといい」

「そう、ですか」

「それで、君たちはこの後どうするつもりだい?」

思わぬ質問にカズミは目を見開いた。

「どうするって...貴方たちに囚われるんじゃないんですか?」

「ハハハハ。まあ、そうなんだけどね」

一瞬でも逃してくれるのではないかと考えたカズミは、そんな自分を諌めるようにため息をついた。

「ただ、このまま特務機関に居続けるのかい?」

「え?」

「君がどれだけカナアンに捕まっていたのか正確なところは分からないが、我々がその事実を把握してから少なくとも1ヶ月以上は経過しているよ」

「そんなに...!」

度重なる尋問によって時間の感覚を失っていたカズミは捕まってからそれだけの日が経っていたことに驚いた。

「これだけの時間が経っているにも関わらず、君を助けたのは我々だった。これが何を意味するか分かるかい?」

ゼウスは顎の前で両手を組むと、カズミの眼を見据える。

「分かるかい?君は見捨てられたのさ。いや、最初から捨て駒だったと言う方が適切かな。彼らは目的のためなら手段は選ばない。君にも思い当たるところがあるんじゃないかな?」

「...」

カズミの脳裏にサノスの面影がよぎる。彼女の心に揺らぎがあると見たゼウスは更に続ける。

「そもそも特務機関への参加だって本意じゃなかったんだろ?それなら、私たちに加われとは言わないが、改めて自分の存在理由を考えてみたらどうかな?」

その言葉をきっかけに何人もの言葉を思い出す。

『ああ、それと。後輩よ、こういった時は自分を見つめ直すのがいい、深いところまでな』

『どうすべきか悩んでいるなら己を信じろ。その結果どんな事が起ころうとも、そのケツは姉であるアタシが拭いてやるってな』

「私は──」

↓1
01〜20 カズミ、ガーディアンオブエデンに協力
21〜60 カズミ、独自路線へ
61〜 カズミ、特務機関に残り続ける
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/06(木) 20:39:46.45 ID:Jd9obPBeo
ぬん
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/06(木) 21:57:37.14 ID:IAxiRtZs0
45 カズミ、独自路線へ

『私は部下を見捨てるつもりはない、安心しろ』

普段のカズミならシエラ=レオネのこの言葉を思い出していただろう。

しかし今のカズミはサノスの件によって心の目とも言えるものが曇っていた。
そんな彼女に思い出されたのは次の言葉だった。

『何を勘違いしている』
『我々は正義の味方などではない。我々の目的はブルトニア共和国を守る事だ』

(だけど、私の目的、やりたい事は...)

カズミはエヴァに視線を移す。彼女の体調は大分良くなり、今は穏やかな顔で眠っている。

(それはあの時に誓った事、何もかも失った自分だけど、せめてエヴァだけは守る事。そしてそれは、特務機関に居なくたってできる)

ゼウスはカズミの思考を読んでいるかのようにニヤついていたが、彼女はそれには気づかなかった。

(...もしかすると、いつかは特務機関がエヴァに牙を剥くかもしれない。そうじゃ無かったとしても、私は特務機関のやり方に納得いかない。そんなモヤモヤしたままじゃ、エヴァを守ることもできなくなっちゃう)

無論カズミは、特務機関、というよりはシエラ=レオネやバーネット、オルデンリッジ、ガルーに対する引け目を感じてはいた。しかし、それ以上にエヴァを守りたいという意識が上回っていた。

(だけど、だからといってガーディアンオブエデンにも加わりたくない。誰にも制約されることなくエヴァを守る。その為にはADMが必要。だから──)

カズミは両頬をパチンと叩くと、ゼウスに向かい合った。

「結論は出たかな?」

「はい。私は特務機関を抜けます。ですが貴方たちにも参加しません」

「ほう...?」

「そして、1つ協力してほしいことがあります。ADMの奪取です」

「...何故、我々に参加するわけでもない人間をわざわざ助けなくてはいけないのかな?」

「はっきり言ってヘルミラーに対抗できるのはADMだけです。そして今の所ADMを動かせるのは私とエヴァだけです。ですが、もしもADMが特務機関のもとに在り続ければ、代わりのパイロットが現れるかもしれません」

カズミの言わんとする事を察したゼウスの目つきが鋭くなる。

「それよりは、第三者である私の手にある方が貴方たちにとってはマシじゃないですか?」

「...確かにあの組織の手中に、我々に対抗可能な戦力があるのは好ましくないね」

ゼウスは目を瞑って暫く考えた後、口を開いた。

「よし、協力しよう」
795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/06(木) 22:03:55.99 ID:IAxiRtZs0
「ありがとうございます。ただ、1つ。貴方たちがするのは足止めだけ、誰も殺さないで下さい」

「...甘いね、甘い。自分の信念を貫くなら、雑念は捨て去るべきだよ」

そう呟いたゼウスの雰囲気は先ほどと少し違っていた。しかしすぐにいつもの、取ってつけたような優しい雰囲気が戻ってきた。

「それは呑んであげよう。ただコッチにも1つ条件がある。我々はいずれテルース教の禁足地に足を踏み入れる。その時がきたら、君たちも来るんだ」

「...何故、ですか?」

「そう心配せずとも君に危害はない。それに人類にとっても悪いことは起こらないよ」

正直なところこの条件を受け入れるべきか、カズミには分からなかった。とはいえ、拒むわけにもいかない。

「分かりました。その時が来たら私も禁足地を訪れます」

「うん。これで交渉成立だね。じゃあ細かい話し合いを進めようか」

そして2人は話し合いを始めた。

その話し合いの中でゼウスから聞いたところによると、特務機関の作戦は成功したらしい。つまりブルトニアとガザレムの戦争が既に始まっていたのだ。両国の同盟国や、利害に関わりのある国も巻き込み世界大戦の様相を呈しているらしい。
ガザレムはカナアンとブルトニアの同時侵攻により、本土へのブルトニアの上陸を許してしまったらしい。とはいえ中央大陸での反ブルトニア勢力によるサボタージュの影響もあって、今の戦況は一時的に膠着しているようだ。

話し合いを終えてゼウスが部屋から出て行くのを見届けると、カズミはエヴァが寝ているベッドに腰かけた。

「お姉ちゃん?」

するとエヴァが目を覚ました。

「エヴァ。もう元気?」

「うん!」

良かった、とカズミはエヴァを抱き締める。そしてエヴァの両肩に手を置くと、覚悟を決めて口を開いた。

「あのね、私、特務機関を抜けようと思うんだ。...その、エヴァはそれでもいい?」

「いいよ。エヴァはお姉ちゃんと一緒ならそれでいいよ」

エヴァは間を置くことなくそう答えた。

「...分かった。ずっと一緒だよ」


今日はここまで。
このスレを立てた時はこんな展開になるとは思っていませんでしたが、これもまたコンマスレの面白いところですね。
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/06(木) 22:06:32.27 ID:nBUTNxcTo
おつおつー
部が変わったな
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/06(木) 22:07:29.00 ID:XNoOX++U0
乙でした
…二人きりになってしまったなぁ
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/07(金) 21:51:09.63 ID:p2hZkkiWO
いうて、特務機関も必ずエヴァを守るとは思えんし
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/11(火) 19:26:29.39 ID:mWcnGKE40
カズミはゼウスからもらった携帯で、ある人物に電話をかけた。

「誰ですか、私は忙しいんですが」

「ミツキさん?」

「...その声はあの時の。確かカズミ、とか言いましたね」

「はい。その、安全な場所を用意していただけませんか?」

「ふむ...。何故?」

「それは──」

カズミはミツキの疑問に答えようとしたが、その前に彼女は話し始めた。どうやらカズミに対してではなく、自身に対しての問いかけだったようだ。

「特務機関を通してではなく、わざわざ一個人として連絡してきた。そして要求は安全な場所の提供。その上、戦争時にもかかわらず例の機体の情報は入ってこない。これが意味するところは──」

するとミツキは黙りこくってしまった。

「も、もちろん見返りはあります。ADMのこと、調べてもいいですよ」

「本当ですか!?」

あまりの大声にカズミは思わず携帯を遠ざけた。

↓1
01〜20 断られた
21〜 協力を約束してくれた
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/11(火) 19:27:16.13 ID:UemAYB0lo
ヌッ
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/11(火) 19:57:23.40 ID:mWcnGKE40
13 断られた

「コホン。すいません、取り乱しました。確かに特務機関は私に"絶対"見せてくれないでしょうね」

「なら──」

「ですが無理です。正直に言うと私はそのADMとやらの研究さえできればそれでいいんですが。ですが今は戦時中という事もあって国からの監視やら締め付けやらが厳しいんですよ」

「そんな...」

「こんな状態では貴女の要求を満たしてあげる事もできませんし、もしバレてしまえば恐らく私は一生PEM開発に携われなくなります。...ですので協力したいのは山々なんですが、今回の話は無かったことに」

「わかり、ました...」

カズミは電話を切ると深いため息をついた。

(まさかアテが外れるなんて...。こうなったらガーディアンオブエデンに用意してもらうしかないや。ゼウスさん達に居場所を知られちゃうし本当は嫌だったけど、そうも言ってられない!)

カズミはそう喝を入れると、再び電話をかけた。

「もしもし?」

「...お姉ちゃん」

カズミの言葉を聞いてアルトは思わず息を呑んだが、すぐに口を開いた。

「どうした、カズミ?」

なんて事ない、いつもの調子のアルトの返事を受けてカズミはどうして何も聞かないの、と言いそうになったがそれをグッと飲み込んだ。

「...私のせいでお姉ちゃんがブルトニアに追われるかもしれない」

「ブルトニアに?」

「うん。だから安全なところに──」

「それなら心配ない」

「へ?」

「今はガザレムの首都にいる、取材でな。流石のブルトニアもアタシのためだけにここに部隊は送らないさ。それにボディーガードも雇ってるしな」

「そ、そっか...」

それよりも、とアルトが続ける。

「父さんと母さんはいいのか?」

「それはもう考えてあるよ。準備が整ったらすぐに動くつもり」

「...そうか。最近は2人でゆっくり過ごしているらしいから、多分家にいるだろう」

「分かった。それじゃ──」

カズミはふと口をつぐんだ。今までにあった事を全て感情のままにアルトにぶち撒けたくなったのだ。だが彼女はそうはしなかった。

「気をつけてね」

「ああ。...カズミ、よく泣きべそをかいてたのに、成長したな」

「...うん。絶対に守りたい子がいるから」

「そうか...。とにかくアタシのことは心配いらない。それじゃあな」

そう言うとアルトは電話を切った。

「あとはADMだけ...」
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/11(火) 20:22:31.55 ID:mWcnGKE40
──中央大陸、特務機関の基地付近──

「おねーちゃーん、まだー?」

「こ、こら、静かに!もうすぐで時間だから騒がないでね」

「はーい」

エヴァを落ち着かせながらも、カズミも少し不安を感じていた。

(ホントにきてくれるんだよね...?)

しかしそんなカズミの心配も杞憂に終わった。

カズミ達がいるのとは反対側の上空にカタラやカニコフが現れた。そしてすぐに銃弾や砲弾が飛び交う戦場へと移り変わった。

「きた!行くよ、エヴァ!」

「はーい」

そうして2人はガーディアンオブエデンが陽動を仕掛けている間に、特務機関への基地へと忍び込んだ。

↓1
01〜35 見つかった
36〜 バレずにADMまで辿り着いた
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/11(火) 20:26:24.36 ID:tmFkk3vVo
それ
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/11(火) 21:05:00.26 ID:zEFvfjPk0
あっぶね
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/11(火) 21:05:35.97 ID:mWcnGKE40
36 バレなかった

道中かなり危ない場面はあったものの、2人は何とかADMのある格納庫まで辿り着いた。

「あった...。よし、早く乗ろう!」

「うん!」

幸いなことに今の特務機関には操縦どころか起動すらままならないためか、周りに人はいなかった。

2人は慣れた手つきでADMに搭乗、起動した。すると聞き慣れた声が耳に入った。

「あれ?カズミ、エヴァ!?な、なんでここに!?」

「アダム...」

「久しぶりだね〜」

「う、うん。で、これはどういう状況なんだい!?」

カズミが悲痛な面持ちで口を開く。

「アダム、私たち、特務機関を抜けるよ」

「それって──」

アダムは何かを察したかのように言葉を止めた。


好感度による補正+10
↓1
01〜40 警報を鳴らされた
41〜 見逃してくれた
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/11(火) 21:06:33.62 ID:zEFvfjPk0
807 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/11(火) 21:12:27.11 ID:mWcnGKE40
62 見逃してくれた

「...そっか。なら、僕を停止するんだ」

アダムの思わぬ言葉にカズミは面食らう。

「え?」

「もしこの機体が特務機関の意思に反して起動された場合、僕はその位置情報や日時を常時報告するようにプログラムされている。だから...カズミがエヴァを守りたいなら僕を停止するんだ」

「わ、わかったよ。それじゃあ、いつか、特務機関とのゴタゴタが終わったらまた起動してあげるね」

「うん。さあ、これを押せばいいよ」

カズミはアダムに言われたボタンに手を伸ばす。

そしてアダムはコックピット内のカメラを通して、カズミとエヴァの姿を記録に焼きつけていた。なぜなら、この場合の"停止"とはアダムの削除を意味していたからだ。
本来ならカズミとエヴァだろうと許可のない搭乗があれば上述したものに加え、操縦のコントロールがすぐに停止されるはずだった。だがアダムは自らのプログラムに抗った。2人に情を抱いていたのだ。

(これだからAIに人格を持たせるべきじゃないんだよ)

「じゃあ2人とも、元気でね」

そんなアダムの呟きと同時にカズミはボタンを押し終えた。

「...アダム?」

何とも言えない胸のざわつきを感じたが、それはエヴァによって遮られた。

「はやくいったほうがいいんじゃないのー?」

「だ、だね。こっからはスピード勝負だ、行こう!」

↓1 基地に居たのは?
01〜30 バーネット
31〜60 オルデンリッジ
61〜90 ガルー
91〜 シエラ=レオネ
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/11(火) 21:16:02.54 ID:LVma8aFk0
a
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/11(火) 21:17:22.37 ID:zEFvfjPk0
思ったより辛いルート入ってる気がする!
けど撃墜→特務機関離脱→ミツキに断られるで3回失敗してると考えるとこれも仕方ないか……
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/11(火) 21:48:25.59 ID:mWcnGKE40
54 オルデンリッジ

──特務機関の基地、敷地内──

「妙だな...。奴ら、攻め手に欠けているのか?」

オルデンリッジはそう呟いた。

奇妙なことに、ガーディアンオブエデンは奇襲を仕掛けてきたにも関わらず、その攻勢に激しさが見られないのだ。
戦時中のため特務機関も数多くの人員が前線に赴いている。ここに残っているのは後方部隊と支援要員のみ。つまり精鋭ではない。にも関わらず相手の押しが弱いことがオルデンリッジは引っかかった。

「そもそもここをどうやって知った...?」

すると仲間から通信が入った。

「オルデンリッジさん、ADMです!ADMが動いています!」

「何だと!?」

慌てて基地の方を振り返ると、崩れた壁からADMが飛び出してきた。

「無線の呼びかけは!」

「応答しません!どうしますか!?」

(アレを動かせるのはあの2人だけのはず...!一体誰が!)

「ちっ!素性が分からん以上仕方あるまい、撃ち落とせ!ただ損害はなるべく抑えろ!」

「了解です!」

↓1 腕前は?
01〜60 兵卒
61〜90 熟練
91〜 エース

↓2 向かってきた機体数
01〜55 1機
56〜90 2機
91〜 3機

今日はここまで。
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/11(火) 22:01:58.84 ID:zEFvfjPk0
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/11(火) 22:26:41.99 ID:7rAq+RT/0
おつ
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/11(火) 23:07:37.89 ID:tmFkk3vVo
おつ
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/16(日) 19:21:16.96 ID:Lfolo81x0
84 熟練
99 ゾロ目ボーナスで繰り下げ 2機

フライングボードで戦線を離脱しようとしていたADMの前に2機のスパイヤーズが立ち塞がった。

「押し通るしかない...よね」

(命は奪わずに...できる?いや、やるしかない!)

↓1
01〜30 被弾
31〜40 拮抗
41〜 撃破
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/16(日) 19:40:36.25 ID:noybljN60
a
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/16(日) 20:09:49.89 ID:Lfolo81x0
25 被弾

迫り来るADMのブレードに対してスパイヤーズの1機がアックスで応戦している隙に、もう1機が横へと回り込んだ。

「そう来るよね...!」

ADMは迫りくるアックスを受け流し、素早く相手の姿勢を崩すと、横から飛んできた弾をジグザグに動いて避けた。
そのまま距離を取るとライフルを構えて狙いをつける。

(...少しでもズレたらレーザーはコックピットに直撃する。そしたら──)

そんな一瞬の迷いをついてスパイヤーズがロケットを放ってきた。
激しい爆風と共に飛んできた弾頭の破片が装甲に突き刺さる。

「くっ...!」

↓1
01〜10 撃破された
11〜30 被弾
31〜40 拮抗
41〜 撃破
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/16(日) 20:10:55.75 ID:QTVrSIXA0
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/16(日) 20:36:47.51 ID:Lfolo81x0
75 撃破

「エヴァ、大丈夫?」

「うん」

エヴァの返事を聞きながらカズミはモニターに目を移した。

「燃料、ここで消費はしたくなかったけど...!」

背に腹はかえられないと、カズミは出力を一気に上げた。

「決める!」

何か仕掛けてくると勘づいた相手は咄嗟に距離を取ろうとする。が、間に合わなかった。

「遅い!」

一筋の白い線が走ったかとおもうと、次の瞬間には2機のスパイヤーズはフライングボードを一刀両断され、地面へと落下していった。

「ふぅ...」

カズミは無事に乗り切ったことに安堵しながらも違和感を覚えていた。

(なんだか速さが格段に上がってるような...?いや、今は先を急ごう!)

↓1
01〜20 オルデンリッジが追いかけてきた
21〜 誰も追いつけなかった
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/16(日) 20:54:13.35 ID:rMExc0+do
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/16(日) 21:35:20.71 ID:Lfolo81x0
35 誰も追いつけなかった

「あの動き...いや、そんな筈は──」

オルデンリッジの脳裏にある顔が浮かぶ。

「にっ、逃げられます!」

「ちっ、俺が行く!」

ADMのスピードに追いつける見込みはほぼ無いと分かっていたが、オルデンリッジ、そして特務機関にとってあの機体を奪われるのだけは何としても避けなくてはならない。
そんな考えからADMの後を追おうとしたオルデンリッジだったが、1機のカニコフが立ち塞がった。

「押しつけられたとは言え、任務は任務。ここは通しません!」

そう意気込んだのはライだった。

本来ここに来るのはカスケードのはずだった。しかし命のやり取りのない戦場は己の居場所ではないとだけ言い残し、かわりに丸投げされたライがこの作戦の指揮を取ることになった。

「こんな時に!」

オルデンリッジは悪態を吐きながらカニコフへと向かって行った。

一方、カズミ達は全速力で特務機関の基地からそう遠くない場所にある街へと向かっていた。

「もうつく?」

「ここからそう遠くないし、この速さならあと30分くらいで着くよ」

「はーい」

カズミは改めてレーダーを見て追手がいない事を確認しながら、不安になる気持ちを抑えようとしていた。

(まだ私は捕まってると思われてるはず。だから、お父さんもお母さんも無事だとは思うけど...いつバレるか分からない。急がないと!)

そしてカズミの言った通り、30分程経過した頃には目的の街が見えてきた。

↓1
01〜10 特務機関がいた
10〜 誰もいなかった
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/16(日) 21:36:30.66 ID:xOkM3uHFo
はい
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/16(日) 22:22:53.21 ID:Lfolo81x0
66 誰もいなかった ゾロ目ボーナスで次のコンマ判定緩和

街は特に兵士や警察の巡回や封鎖があるわけでもなく、いつもと変わらない日常を送っている様子だった。

「良かった、誰もいない」

安全を確認したカズミは街のはずれにある住宅地へと向かい、ある一軒の家の前で止まった。

「着いた...」

久しぶりの実家に思わず感慨深い思いが込み上げる。

すると家の目の前に突然1機のPEMが現れたという事もあって、事態を確かめようとカズミの両親が出てきた。

「お父さん、お母さん...!」

「へー、あれがお姉ちゃんの家族なんだ。そっくりだね〜」

見ない間に少し老けた両親の顔を見て涙が溢れそうになるがそれをグッと堪えると、コックピットを開けて2人に呼びかける。

「早く車に乗って!私が運ぶから!」

コックピットから現れた予期せぬ人物を見て、カズミの両親は涙を流しながらしばらく呆けていた。
その様子に釣られてカズミも一筋の涙を流したが、それを拭うと声を張り上げた。

「早く!」

それを聞いて先に動いたのは母親だった。

「ほら、聞きましたか!行きますよ!」

「あ、ああ...」

返事をしながらも脚が動かない父親の手を引っ張ると、母親は車に無理やり押し込んだ。
それを確認するとカズミもコックピットを閉め、両親が乗った車をADMで抱えるとその場を去った。

↓1 ライとオルデンリッジは?
ゾロ目ボーナス補正+5
01〜05 ライ、死亡
05〜20 ライ、負傷
21〜70 オルデンリッジを圧倒した
71〜 オルデンリッジを圧倒し、サノスも救出した

今日はここまで。
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/16(日) 22:32:59.34 ID:noybljN60
乙でした
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/16(日) 22:39:25.09 ID:rMExc0+do
おつ
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 19:26:39.18 ID:wwhSjM3L0
正規ルート外れた感はあるけど今全体としてはどこなんだろう、中盤くらい?
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/22(土) 20:12:51.98 ID:Ue2MZXXh0
>>825
がっつり終盤ですね。ちなみに特務機関ルートならガザレムとの戦争をもう少し詳しく描くつもりでした。


34 オルデンリッジを圧倒した

「コイツら、何が目的だ...?」

ライとの戦闘の最中、オルデンリッジは疑問を口に出した。

2人の操縦技能の差はとても大きく、オルデンリッジは戦闘が始まって以来未だにライに一撃を与えることさえできていない。それどころかライにしてみればオルデンリッジを仕留める機会は何度もあった。にも関わらずオルデンリッジは未だに生きている。明らかに殺しを避けようとしているのだ。仮に何らかの目的の為の時間稼ぎだとしても、それは敵機を撃破しない理由にはならない。

そんな疑問に頭を悩ませながらもオルデンリッジは何とかその場を突破しようとする。

そんなオルデンリッジの攻撃を華麗に捌いているライにカズミからの通信が入った。

「ライさん、目的は達しました。もう退いて頂いても大丈夫です」

「わかりました。...我々との約束、忘れないで下さいね」

「分かってます」

「では、また会える事を楽しみにしてますね」

そう言うとライはカズミとの通信を終え、部下たちに指示を出して特務機関の基地から撤退していった。

追撃するだけの残存兵力も無く、悠々と去っていくガーディアンオブエデンの背中を、オルデンリッジはただ見ていることしかできなかった。

「なんと長官に報告すればいいんだ...」
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/22(土) 20:15:07.32 ID:Ue2MZXXh0
──中央大陸、どこかの隠れ家──

「──と言う訳で、こんな事になりました」

無事に両親を隠れ家に連れてきたカズミは、これまでのことの経緯を説明していた。

「なるほど...」

父親が深刻そうな表情をしながら、ため息混じりに呟いた。そんな様子を見てカズミは叱責される事を覚悟した。

「...何はともあれ、お前が生きていて良かった」

「え?」

カズミは思わず間抜けな声をあげた。

というのも彼女の記憶にある父親は国家への忠誠心が強い、いかにも軍人といった気質だったからだ。実際、姉のアルトが記者になると言った際には、それなりの一悶着があった。

自分も同じように、国を裏切るとは何事だ、と激怒されるかと思っていたが蓋を開けてみればこの態度で、カズミは驚きを隠せない。

「何だその顔は」

そんな父親の言葉を聞いて、母親がため息をつく。

「これまでの自分の態度を顧みたらどうですか?」

「む...。まあ、色々あったからな。考えも変わる」

「この人、あなたが軍に入るのを許可したこと、ずっと後悔してたんですよ。可愛い娘を手放すべきではなかったなんて言って」

「な、なにを!現に亡くなってなかったんだし、態々それを言わなくてもいいだろう!」

そんな2人の様子に釣られてカズミは思わず笑顔を浮かべた。そんな娘を見て父親と母親も互いに見合いながら微笑む。

「とにかくだ。お前の話し振りからも、決して半端な思いでこの道を選んだのではないことぐらい分かる。子供が自分でした選択なら、どんなものであろうとそれを受け入れるのが親というものだ」

「つまりは、好きにやっていいって事ですよ」

腕を組む父親の横で、人差し指を立てながら母親がそう付け足した。

「ありがとう、お父さん、お母さん!」

「ところで──」

すると不意に母親の視線がカズミの背後へと移った。

「ほえ?」

「あなたがエヴァちゃんね!とっても可愛らしいわ!でも少し髪がボサボサですね。...よし、一緒にお風呂に入りましょうか!それからお手入れをしてあげるから──」

そんな事を言いながら母親は有無を言わさずにエヴァを風呂場へと連れていった。

そんな様子を尻目に見ながら、父親が口を開いた。

「ところで、あいつは無事なのか?」

「お姉ちゃんのこと?それなら、うん。ガザレムの首都にいるらしいよ」

「そうか。なら良いが...」
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/22(土) 20:16:34.55 ID:Ue2MZXXh0
──両親救出より、数週間後──

テレビを見ているカズミの目に思わぬ情報が飛び込んできた。

『ここで速報です。つい先程、ブルトニア軍がガザレムの山岳要塞を突破したとの報せが入りました。ガザレムの首都防衛の要衝となっていた山岳要塞が陥落した事から、ブルトニア軍のガザレム首都への侵攻が懸念されます。これを受けてスフィア連盟国は──』

「お姉ちゃん...!」

カズミあわてて携帯を取り出すとアルトに電話をかけた。

「カズミか?」

「お姉ちゃん、無事!?」

「ああ、無事だ。...ニュースのことだろ?」

「うん!きっと首都ももう安全じゃないよ!私が迎えに行くから──」

「アタシもそうして欲しいのは山々なんだか──」

↓1
01〜10 誰かに見張られている
11〜40 ガザレムの機密情報を知ってしまった
41〜 戒厳令で移動ができない
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/22(土) 20:17:50.81 ID:XcCKaTyz0
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/22(土) 20:33:15.66 ID:Ue2MZXXh0
81 戒厳令で移動できない

「戒厳令で移動が制限されててな、国外に移動できないんだ」

「...つまり、ガザレムに私が直接行かないといけないってことだよね。しかもガザレムとブルトニア、両方の軍を避けながら」

「まあ、そういう事になるな。だから別に来なくてもいいぞ。こっちはこっちで何とかする」

「な、何言ってるの!助けに行くに──」

「まあ、落ち着け。...お前には守りたい人が居るんだろ?ならそっちを優先しろ」

「でも...」

カズミの不安そうな声を聞いて、アルトは軽く笑った。

「心配するな。お前より頭はキレるからな、上手く立ち回るさ」

「...」

↓3まで多数決
1 助けに行く
2 助けに行かない
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/22(土) 20:42:37.75 ID:XcCKaTyz0
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/22(土) 20:44:15.82 ID:+D9DfnQdo
1
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/22(土) 21:11:37.71 ID:Ue2MZXXh0
1 助けに行く

「確かに私には絶対に守りたい子がいる」

そう、自分の意思で入った訳じゃなかったけど、一緒に過ごしてきた人たちを裏切ってでも。

「分かってるよ。だから──」

「でもそれはお姉ちゃんを見捨てる理由にはならないよ」

「カズミ...」

もちろんエヴァのことは必ず守る。しかしエヴァの事を守った上で、せめて自分の手の届く範囲にいる人だけでもいいから守りたい。

それがカズミの導き出した信念だった。

「...カズミがそうしたいのなら、もう言うことはない。そうと決まればすぐにでも来てくれ。首都の国立図書館で待ってるから」

「分かった、すぐ行くね!」

カズミは電話を切ると両親、そしてエヴァに話の内容を伝えた。

「べつにいーよー」

カズミの母親の手によって綺麗になった髪を撫でながら、エヴァはいつもの調子で答えた。そして父親と母親が口を開く。

「...行ってこい」

「あら、そんな淡白な言い方をしなくても。あの娘を迎えに行く為にあなたがずっとあのPEMを動かせないか試してたの、知ってますからね?」

「い、言わなくていい!」

3人の言葉を聞いてカズミは頷いた。

「じゃあ、行ってきます!」

カズミは両親に一礼すると、エヴァに手を差し出した。

「それじゃあ行こう、エヴァ!」

「うん!」
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/22(土) 21:32:41.62 ID:Ue2MZXXh0
──ガザレム首都──

カズミ達は首都を構成する特別区とその外側の地域との境目の上空を飛んでいた。

「やっぱり、もう戦いが始まってる...」

特別区を見下ろすカズミの目には無数の爆発や対空砲火が映っていた。
中でも一際目を引くのは特別区の中心に建てられた平和の塔と呼ばれるモニュメント兼通信塔だ。世界有数の観光名所として名を馳せていたが、今ではその面影は消え去り、改修によって強固な要塞として役割を果たしている。

「あそこが1番の激戦区みたいだね」

「お姉ちゃんのお姉ちゃんはどこにいるの?」

「お姉ちゃんがいるのは国立図書館だよ。地図で見る限り、特別区の北の端っこにあるっぽい」

それを聞いてエヴァは特別区の北側に目を向けた。

「あんまりさわがしくなさそうだね」

「うん。中心からは離れてる上に、戦略的な価値も余り無さそう。とはいえ、気は抜けないね」

それもそのはずでここに到達するまでにカズミは既に数回、ブルトニアの後続部隊や中継基地に出くわしている。
カズミの裏切りが特務機関にバレているのか、仮にそうだとしてブルトニア軍にどう伝わっているのかは分からない。いずれにせよ追手が来る可能性は高い。

「とにかく急ごう!」

↓1 遭遇したのは?
01〜50 ブルトニア軍
51〜 ガザレム軍
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/22(土) 21:34:04.21 ID:PRNe5Yfto
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/22(土) 21:34:11.80 ID:VAP2D9kV0
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/22(土) 22:04:27.59 ID:Ue2MZXXh0
21 ブルトニア軍

雑居ビルの屋上に設置された簡易陣地で2機のスパイヤーズが監視任務を遂行していた。

「異常は?」

「ねえよ。だいだいこんなとこ敵も通らねえだろ」

「まあな...。とは言え、気を抜いてるとコックピットをスナイパーに撃ち抜かれるぞ?」

「ハッ、折角ガザレムの奴らを殺せると思ったのにこんな風にお預け状態なら、そっちの方がマシかもな」

そんな風に暇を持て余していた2人に、未確認の機体が接近している事をレーダーが指し示した。

「お、敵か!?」

「分からない...なんだ、速いぞ?新型か?」

「こんなとこにそんな戦力を投入するか?お、目視出来たぞ」

そう言ってモニターを覗き込んだブルトニア兵の目に見覚えのある姿が入ってきた。

「お、おい、あれ!」

「あ、ああ!」

出発前のブリーフィングで見た、白く凛々しい姿が印象的なPEMだ。
詳細は機密事項として知らされなかったがもしこの機体を見かけることがあったら、現在遂行中の如何なる任務よりも優先して捕らえるようにとの命令が下っていた。

「行くぞ!」

「ああ!こりゃ昇進のチャンスかもな!」

↓1 腕前は?
01〜60 兵卒
61〜90 熟練
91〜 エース

今日はここまで。
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/22(土) 22:29:56.15 ID:XcCKaTyz0
乙でした
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/22(土) 22:41:23.86 ID:PRNe5Yfto
おつ
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/28(金) 19:50:10.85 ID:A6p/oEYU0
15 兵卒

↓1敵の数は?
01〜60 2機
61〜90 3機
91〜 4機
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/28(金) 20:09:54.69 ID:/GsSRc52o
はき
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/28(金) 20:21:23.94 ID:A6p/oEYU0
69 3機

上空を移動するADM目がけて、地上から弾丸が飛んできた。

「危なっ!」

それをサラリとかわすと、カズミは地上に目をやった。

「あれは...ブルトニアの」

ADMの速度で振り切ってしまうか、それとも念のために行動不能にしておくべきか。
カズミがそう悩んでいる間に、付近を巡回していた1機のスパイヤーズが異変に気づき、ADMの行く手を塞いだ。

「しまった...。なら、やるしかない!」

↓1
01〜15 被弾
16〜 敵撃破
843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/28(金) 20:24:28.48 ID:hRnXgPFH0
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/28(金) 20:55:08.24 ID:A6p/oEYU0
48 敵撃破

「よし!トラバースがヤツの足を止めたぞ!」

「これで3対1だ、おまけに挟み撃ち!機密だか何だか知らねえが貰ったぜ!」

2人のブルトニア兵は鼻息を荒くしながらフライングボードを起動して上空へ移動すると、ADMへと向かっていく。十分近くまで背後に接近したと2人が思ったその時、ADMが動いた。

「なに!?」

「どこに──」

消えたADMの姿を見つけようと2人が辺りに目を向けていると、ADMの正面に位置取っていたスパイヤーズが突如地面へと落下する。それと同時にそのスパイヤーズの背後からADMが姿を現した。

「嘘だろ?」

そう兵士が呟き終えるのと同時にADMが動き出す。

「ま、まだ2対1だ!行くぞ!」

2機がかりでスパイヤーズはADMを攻撃するが、全て受け流されてしまう。そしてすぐに先程のスパイヤーズど同様にフライングボードを壊され、彼らは落下した。

そんな様子を見ながらカズミが呟く。

「私が言うのもなんだけど、こんな大事な戦いの時にあんな体たらくで大丈夫なのかな?」

「お姉ちゃんもつよくなったねー。はじめて会ったときとはおおちがい」

「まあね。というか私というよりは、殆どADMの性能のおかげな気もするけど。...と、とにかく、先を急ごう!」

↓1 道中敵に?
01〜30 遭遇した
31〜 遭遇しなかった
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/28(金) 21:15:54.81 ID:/GsSRc52o
846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/28(金) 21:32:26.28 ID:A6p/oEYU0
81 遭遇しなかった

ひょっとすると先の戦闘で異変に察知されたかとも思ったが、追手は来ず、部隊にも会うことはなかった。

このあたりは主要な戦闘地域である中央部から離れており、また避難した民間人が多いことから、両軍ともに部隊は殆ど展開していないらしい。
実際ここに来るまでに着の身着のままで通りを歩く民間人を何度か目撃した。

「これが戦争か...」

そんな事を呟きながらもカズミは国立図書館へと向かい続けた。

そうして進み続ける事十数分後。

「着いた...ここが国立図書館」

↓1
01〜40 ブルトニアの部隊がいた
41〜 敵影なし
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/28(金) 21:38:11.56 ID:hRnXgPFH0
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/28(金) 22:12:25.98 ID:A6p/oEYU0
56 敵影なし

「周りにもPEMの姿はなしっ...と」

周囲の安全を確認し、カズミはアルトに連絡を入れる。

「もしもし、お姉ちゃん?国立図書館まで来たよ」

「分かった。外に...何の音だ?」

「音?」

疑問に思いながら耳を澄ますと、地面の方から何かの音が聞こえてくる。

「ゆ、揺れだした?」

地面の揺れと音は次第に大きくなり、やがて大きな衝撃が辺りを襲った。

「じ、地震?」

「いや、これは──」

アルトが言い終えるよりも早く、轟音が鳴り響いたかと思うと国立図書館の一部が崩落した。

「お姉ちゃん!?」

通信機越しに聞こえてくるのはただの雑音だけだ。

「一体何が...」

「何かいるよー」

エヴァが崩落した国立図書館の方を指さした。

カズミが目を凝らしていると、土煙の中からPEMが出てきた。

「な、何アレ!?あ、アダム...って、今は停止してるんだった」

煙の中から現れたのは、まるで紅い鎧を身に纏った騎士のような風貌のPEMだった。その立ち姿は返り血を浴びた様で、見る者を畏怖させる。
そしてさらにその背後からは六角形に似たフォルムに砲身の長いキャノンが特徴的な白いPEMが現れた。

「あれは特務機関の資料で見た!確か...ヘキサ。ガザレムの砲兵部隊が使ってるPEMの筈...って事はあれはガザレムの部隊!?」

どうして、どうやってここに。そんな疑問が尽きないが、それよりも姉の安否がカズミには気掛かりだった。

すると真紅のPEMと目があった。

「攻撃して...くる?」

ADMの姿を認めると、紅いPEMはヒートランスを構えた。

「やっぱり、やるしかないか!」

↓1 腕前は?
01〜70 熟練
71〜90 エース
91〜 エースオブエース


今日はここまで。
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/28(金) 22:14:04.88 ID:/GsSRc52o
おつおつ!
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/28(金) 22:14:47.49 ID:hRnXgPFH0
乙でした
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/29(土) 19:54:09.12 ID:Q022zQAd0
88 ゾロ目ボーナスで繰り下げ 熟練

目の前に立つ白銀の騎士を思わせるPEMを見てガザレム兵は唸った。

「見たことない機体だ...。新型か?ふっ、だがこのシュヴァリエルージュに勝てるかな?」

彼が口に出した機体、G.W.002 シュヴァリエルージュはガザレムの首脳部がブルトニアとの戦争に備えて製造させた機体である。バウエル・インダストリから流出した技術を採用しており物理、実弾だけでなく、ビーム兵器にも高い耐久性を発揮する。
機体の製造には多額の費用がかかるため精鋭部隊にしか配備されておらず、まさにガザレムにとっての虎の子である。

接近戦は不得意なヘキサが撤退したのを確認すると、シュヴァリエルージュはADMへと突っ込んだ。

(近接→滑空→遠距離→近接...)
↓1 カズミ
1近接
2滑空
3遠距離

コンマ下1桁 敵
1〜3 近接
4〜6 遠距離
7〜9 滑空
0なら10の桁を参照、00ならもう一度
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/29(土) 20:19:50.92 ID:VOED10V8o
1
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/29(土) 20:30:03.74 ID:Q022zQAd0
カズミ 3/3 近接
ガザレム兵 3/3 近接
操縦技能の差により+5

↓1
01〜10 カズミ−2
11〜35 カズミ −1
36〜45 拮抗
46〜70 ガザレム兵 −1
71〜 ガザレム兵 −2
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/29(土) 20:48:09.32 ID:rKHCLGR9o
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/29(土) 21:06:21.66 ID:Q022zQAd0
32+5=37 拮抗

シュヴァリエルージュはヒートランスの穂先をADMに向けながら突進する。

ADMはそれをひらりとかわし、ガラ空きになった敵の背中にブレードを振るった。
が、しかし、シュヴァリエルージュは素早く振り返りながらランスを振り回し、ブレードを払い退けた。続く振り下ろしをサイドステップでやり過ごすと、ADMは一歩下がった。

「止められた...」

見慣れない機体ということもあり、慎重を期すためにいつもより丁寧で遅めな振りかぶりではあったが、それでも十分速度のあるADMの攻撃が防がれた。
つまり、それは先程のブルトニア兵とは違って警戒する必要のある相手だという事を意味している。

「気は抜けない!」

姉のことが頭にチラつくが、そんな自分を戒めるかのようにカズミは声を張り上げた。

(近接→滑空→遠距離→近接...)
↓1 カズミ エース
1近接
2滑空
3遠距離

コンマ下1桁 敵 熟練
1〜3 近接
4〜6 遠距離
7〜9 滑空
0なら10の桁を参照、00ならもう一度
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/29(土) 21:15:37.50 ID:TB0wufFQ0
近接
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/29(土) 21:15:47.43 ID:n3cBZ2/t0
近接
858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/29(土) 21:19:08.58 ID:Q022zQAd0
カズミ 3/3 近接
ガザレム兵 3/3 遠距離
操縦技能の差により+5
相性不利により−10

↓1
01〜10 カズミ−2
11〜35 カズミ −1
35〜45 拮抗
46〜70 ガザレム兵 −1
71〜 ガザレム兵 −2
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/29(土) 21:21:47.56 ID:VOED10V8o
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/29(土) 21:45:26.27 ID:Q022zQAd0
56+5−10=51 ガザレム兵−1

ADMは再びブレードを構えるとシュヴァリエルージュに正面から向かう。

「随分と自信満々だな!」

ガザレム兵は久々の強敵との戦闘で逸る気持ちを抑えながらヒートランスを構えた。

ADMがブレードを横に薙ぎ払うが、縦に構えられたランスがそれを受け止めた。

「ここからっ!」

受け止められた状態のままADMはブレードで突きをお見舞いしようとする。だがシュヴァリエルージュはそれに反応してランスでブレードの軌道を力づくで逸らした。
その反動でADMが後ろによろめくと、シュヴァリエルージュは隙を狙っていつの間にかに取り出した大きなビームマシンガンを構えた。

「これを喰らいやがれ!」

そうしてビームマシンガンの引鉄が引かれるその寸前、ADMは回し蹴りを相手の腕に直撃させて狙いを逸らすとブレードを振るった。

「何だとっ!?」

シュヴァリエルージュは咄嗟にランスで防御行動を取るが、間に合わずに一撃を貰った。

(近接→滑空→遠距離→近接...)
↓1 カズミ エース
1近接
2滑空
3遠距離

コンマ下1桁 敵 熟練
1〜3 近接
4〜6 遠距離
7〜9 滑空
0なら10の桁を参照、00ならもう一度
861 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/29(土) 21:58:40.78 ID:n3cBZ2/t0
滑空
862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/29(土) 22:15:19.06 ID:Q022zQAd0
カズミ 3/3 滑空
ガザレム兵 2/3 滑空
操縦技能の差により+5

↓1
01〜10 カズミ−2
11〜35 カズミ −1
35〜45 拮抗
46〜70 ガザレム兵 −1
71〜 ガザレム兵 −2

今日はここまで。
863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/29(土) 22:21:02.10 ID:TB0wufFQ0
乙でした
864 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/29(土) 22:54:29.87 ID:VOED10V8o
おつー
865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/05(土) 18:58:25.09 ID:6C0JGgcL0
10+5=15 カズミ−1

シュヴァリエルージュは距離をとって体勢を整えようとしたのか、フライングボードを起動すると上空へと移動した。ADMもそれに追随するように飛翔する。

「は、速い...」

ガザレムの秘密兵器ということもありシュヴァリエルージュの素早さは、ヘルミラーを除いて、これまでにカズミが遭遇したPEMの中でも突出していた。

「だけど!」

とはいえ流石にADMの速度には劣り、カズミは敵機の背後に張り付いた。

ADMのライフルから放たれたレーザーが紅い騎士を追いたてる。そしてカズミの思惑通りに誘導されたシュヴァリエルージュに背後からレーザーが迫った。

するとシュヴァリエルージュは振り返って、レーザーを正面から受け止めた。

「効いてない!?」

「ふっ...」

カズミの動揺とは裏腹にガザレム軍のパイロットは落ち着いた表情をしていた。

シュヴァリエルージュはバウエル・インダストリから流出した技術者の協力により、エネルギー兵器に対して高い防御性能を誇る。
それに加えてパイロットは精緻な操縦により、正面の最も装甲が厚い部分で攻撃を受ける事で被害を最小限に抑えたのだ。

「反撃の時間だ...!」

そう独りごちたパイロットはビームマシンガンの狙いをADMに定めた。

こちらに向かってくる光を見てカズミはすぐに回避行動を取ろうとしたが、あることに気づいた。

(背後に図書館!避ける訳には...)

被害が図書館に及ぶことを懸念したカズミは回避せず、こちらもレーザーを放つことで相殺を試みた。
しかし、撃ち漏らした1発がADMに直撃してしまった。

(近接→滑空→遠距離→近接...)
↓1 カズミ エース
1近接
2滑空
3遠距離

コンマ下1桁 敵 熟練
1〜3 近接
4〜6 遠距離
7〜9 滑空
0なら10の桁を参照、00ならもう一度
866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 18:59:32.97 ID:2w22M0We0
867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/05(土) 19:06:13.28 ID:6C0JGgcL0
カズミ 2/3 近接
ガザレム兵 2/3 滑空
操縦技能の差により+5
相性有利により+10

↓1
01〜10 カズミ−2
11〜35 カズミ −1
35〜45 拮抗
46〜70 ガザレム兵 −1
71〜 ガザレム兵 −2
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 19:20:50.72 ID:6LQifWLw0
どうだ
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/05(土) 20:11:05.67 ID:6C0JGgcL0
72 ガザレム兵−2

被弾した今が好機だと考えたシュヴァリエルージュはヒートランス片手にADMに突貫してきた。

「まずっ!」

何とかランスの直撃はかわしたものの体当たりを喰らってしまい、ADMは地面へと落下した。

落下の衝撃で視界がチカチカしながらもカズミはすぐにADMを立ち上がらせた。すると正面から接近してくるシュヴァリエルージュが目に入った。そしてそのままブレードとランスの激しい剣戟が始まった。

「はあっ!」

形勢はカズミが有利だが、相手はうまく攻撃をいなし致命傷を避けている。

「ちっ!」

とはいえガザレム兵の舌打ちが示すように、明らかにシュヴァリエルージュは追い詰められつつある。

その時だった。再び図書館の一部が崩落し始めた。

(お姉ちゃん...!)

その思考は一瞬のことだったが、それを相手は見逃さなかった。

「貰ったぜ!」

シュヴァリエルージュはランスで器用にブレードをADMの手から弾いた。そしてランスの穂先がADMの胴体に狙いを定める。

「死ねぇ!」

そうしてランスが突き出された。その筈だったのに、次の瞬間には何故か元の持ち主にランスが突き刺さっていた。

「ど、どういう事だ!?」

パイロットはランスを持っていた筈のシュヴァリエルージュの手に視線を移した。そこには穂先の少し手前で折られた柄だけが残っていた。

「ば、馬鹿な...。あの速度を捉えただと!」

パイロットは悪態を吐きながらも、何故か相手がトドメを刺してこないので急いで機体から脱出すると路地裏へと消えて行った。

「ふぅ...」

それを見届けたカズミは大きく息を吐いた。
870 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/05(土) 20:13:45.14 ID:6C0JGgcL0
すると突然無線が飛び込んできた。

「ケホッ...おーい、カズミ、ここだ!図書館の入り口だ」

「お姉ちゃん!!」

そちらに視線を移すと、埃まみれになってはいるが五体満足のアルトが手を振っていた。カズミはすぐにアルトを回収した。

「せ、狭いな」

後部座席に座ったアルトが呟いた。

「久しぶりー、お姉ちゃんのお姉ちゃん」

「久しぶりだな」

ちょこんと膝の上に座ったエヴァに挨拶をすると、アルトはカズミに声をかける。

「遅れて悪かった。崩落のせいで混乱に陥った避難民たちでごった返してて身動きが取れなかったんだ」

「いや...お姉ちゃんが無事でよかったよ。あれは地震だったの?」

「違うだろうな。途中でチラッと見たが地面に大きな穴が開いていて、何処かに繋がってるみたいだったぞ。そう、地下通路みたいにな」

「そっか...」

(地下通路...ガザレムの作戦?そういえばさっき赤いPEM以外にもヘキサもいた。あれはガザレムの砲兵部隊...そしてこの辺りはブルトニアの警戒も薄い)

そんな風に思考を巡らせていたカズミだったが、それは突如飛来したビームによって中断された。

「スクエア!?」

(何が起きてるのかは分からない。けどお姉ちゃんは回収したし...)

しかしカズミにはアルトの言葉が引っかかっていた。

『避難民たちでごった返してて身動きが取れなかったんだ』

(まだ中には民間人が居る!たぶん...このままだとここは交戦地域になる。そしたら中の人たちは...!でも長居すると危ない...)

「どうした、カズミ?」

「...」

↓3まで多数決
1避難民を助ける
2アルトとエヴァを優先する
871 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 20:15:28.05 ID:2w22M0We0
872 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 20:19:10.65 ID:27MMnfRho
1
873 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 20:34:39.72 ID:sQeyjTMIo
1
874 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/05(土) 20:49:10.67 ID:6C0JGgcL0
1 避難民を助ける


「ごめん、2人とも。私、図書館の人たちを助けたい!」

それはカズミが姉に語った信念からくる決意だった。目の前に助けられる人がいるなら助ける。その想いが彼女を突き動かした。

「なるほどな...カズミらしいよ。わかった、助けよう」

「いーよー」

「2人とも...!」

本当に自分は周りに恵まれている、そう感じながら目頭が熱くなった。

「なら、私が彼らを安全なとこまで誘導しよう」

「...わかったよ。その間にできるだけ図書館からガザレムを遠ざけておくね」

「ああ。頼んだぞ」

そう言ってアルトはADMから降りると、図書館へと向かって行った。

「よし!」

そうしてカズミが気合を入れるのと同時にスクエアが接近してきた。

↓1 敵の腕前は?
01〜30 兵卒
31〜90 熟練
91〜 エース
875 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 21:09:31.84 ID:2w22M0We0
876 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/05(土) 21:15:00.00 ID:6C0JGgcL0
↓1 敵の数は?
01〜30 2機
31〜80 3機
81〜 4機
877 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 21:16:47.96 ID:3foYT8qI0
a
878 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 21:16:50.46 ID:sQeyjTMIo
879 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/05(土) 21:31:18.20 ID:6C0JGgcL0
アルトが言っていたであろう地下道から出てきたスクエアが4機、ADMのもとへと向かう。

「一体どうなってんだ、ここにブルトニアのクソ野郎共はいない筈だろ?」

「その筈だが...」

「おい見ろ、先行してた筈のアズブル軍曹の機体だ!」

「あの白いの、油断できないな...」

無線でやりとりをしながら、4人は図書館から離れていくADMの後を追った。

↓1
01〜30 被弾
31〜60 拮抗
61〜 撃破した
880 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 21:39:06.45 ID:2w22M0We0
881 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/05(土) 22:19:54.90 ID:6C0JGgcL0
45 拮抗

「それで...わかった。東の学校なら安全なんだな?分かった、ありがとう」

図書館の他に避難に適した安全な場所があることを同僚から確認するとアルトは電話を切った。

埃まみれの図書館の中を進んで、避難している人たちが集まっているところまで向かった。そこでは子供や老人、その家族が恐怖で震えながら身を潜めていた。

「みなさん、聞いてください!このままだとここは戦場になります!東の学校は安全なので、そこに移りましょう」

アルトの大声を聞いて皆が彼女に視線を移した。

「もう安全な場所なんてどこにもないんだよ!」

初老の男性が顔を赤くしながら怒声を張り上げた。

「そうよ...」

「もう俺たちは終わりなんだ...」

アルトはこうなるであろう事を予期していた。

「はぁ...死にたい人はご自由にどうぞ、アタシはあの子程優しくないんでね。だけど、少しでも生きたいって思う奴はアタシに着いて来い」

だからこそこの言葉は彼女の本心だった。

暫く沈黙が流れた後、1人の少年が立ち上がった。

「ボクは行く!」

「お、おい...」

少年を引き止めようとする男の声を無視して、彼は一歩踏み出した。

「このお姉ちゃんはここにいる間、誰よりも励ましてくれた!...それにボクはまだまだやりたい事がある!もっといろんな事を知って、色んなところに行って、それに、まだ何の夢も叶えてないもん!」

少年はぐっと拳を握りしめる。

「...パパと、ママの分までボクは生きたい!」

そんな少年の心の叫びに突き動かされたのか、他の人々も立ち上がり始めた。

「...なら、アタシについて来い」

そう言ってアルトは避難民たちを外へと連れ出し、学校への誘導を始めた。

そんな中、遠くの上空でビームを避けながら駆ける白い騎士を見てアルトは呟いた。

「そっちは任せたぞ、カズミ」

↓1
01〜30 被弾
31〜60 拮抗
61〜 撃破した


今日はここまで。
882 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 22:27:35.62 ID:27MMnfRho
ヌッ
883 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 22:46:49.63 ID:sQeyjTMIo
おうー
884 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/06(日) 22:04:39.30 ID:4RtrxWKy0
62 撃破した

「これだけ離れれば大丈夫かな...」

そう呟くとカズミはADMを反転させ、迫りくるスクエアのうち1機のフライングボードを撃ち落とした。

「くそっ、やられたぞ!」

「直撃はしてなかった、生きてはいる筈だ!」

残る3人のガザレム兵達は狼狽えながらもADMとの距離を詰めていく。そうしてADMを取り囲むと猛烈なビームの射撃が始まった。

「エヴァ、掴まってね!」

エヴァがうなづいたのと同時に、カズミはレバーを一気に倒した。

「なんだ!」

「速すぎて狙いがつけられないぞ!」

「取り敢えず撃て!」

ADMは3機のスクエアを翻弄するように空中を舞う。

ガザレム兵達は視界の端に出たり入ったりする白い影を追うのが精一杯だった。それに加えてあまりにも速い視点の移動のせいで狙いが徐々に雑になっていく。

「居た、そこだ!」

ようやくADMの姿を捉えた1機のスクエアがビームを放つと、ADMは瞬時に姿を消し、その背後にいたスクエアが姿を現した。

「俺を撃ってどうする、このマヌケ!後で覚えてろよ!!」

そんな恨み言を吐きながらスクエアがまた1機落ちていった。

「よし!」

このままの調子で行けば、と考えたカズミだったが、次の動きを予想していた1機のスクエアによって道を塞がれた。

振るわれたビームサーベルをブレードで受け止めると、そのまま近接戦に突入した。

「はっ、流石はトム!そのまま任せたぜ...」

獲物を狙うハンターのように舌なめずりをしながら、ガザレム兵は仲間と戦っているADMに狙いを定める。
息を吐き切るのと同時に放たれたビームは真っ直ぐにADMへと向かって行く。

「それなら!」

ADMはサーベルを振るってきたスクエアの左腕を斬り飛ばすとそれを掴んで、放たれたビームに対しての盾がわりにした。

そのまま正面のスクエアをフライングボードから蹴落とすと、斬り落とした左腕からサーベルを回収、遠方にいた最後のスクエアが乗るフライングボードに投擲した。

「よし...」

安堵するカズミにアルトから連絡が入る。

「カズミ、避難は終えた。迎えにきてくれ」

「すぐ行くね!」
885 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/06(日) 22:05:33.05 ID:072Weh+B0
更新が早い、感謝
886 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/06(日) 22:05:42.74 ID:4RtrxWKy0
カズミはアルトに言われた地点に急行すると彼女を回収、脱出の準備を始めた。

「準備はいい?」

「ああ。いつでも行けるぞ」

「しゅっぱーつ!」

そしてその場から移動しようとしたその時。

「うそ...」

目の前にシュヴァリエルージュの小隊が立ち塞がった。

(1機だけでも手強かったのに!)

加えてレーダーに警告が表示される。

「これ、この識別番号はブルトニアの...!」

その数は少なくとも10数機、おそらくその後ろには予備兵力も控えているだろう。

ガザレム軍もそれに気付いたのか素早く片をつけようと武器を構えた。

「駄目だ...」

「どうした、カズミ?」

アルトの声はカズミの耳には入っていなかった。

「こんな数を相手に、逃げられる訳がない...!私のせいだ!私が...」

「いいや違う。アタシ"達"のせいだ。カズミを止めなかったアタシも悪い。だから...アタシも一緒だ」

「っ...!」

そんな2人のやり取りを見ていたエヴァがふと呟く。

「お姉ちゃんはずっとエヴァを守ってくれた。だから、こんどはエヴァがお姉ちゃんを守るよ」

「え──」

するとエヴァは目を瞑ってハミングを始めた。そのメロディーは戦場には似つかわしくないゆったりとした穏やかなもので、だけど少しの荘厳さが感じられる。

「え、エヴァ?」

「カズミ...見ろ」

アルトに促されてモニターを見ると、さっきまで晴天だった空があっという間に曇天に様変わりしていた。

「いったいどういう──」

カズミの疑問の言葉は、突如鳴り響いた轟音と辺りに走った光に打ち消された。

目の前のシュヴァリエルージュに雷が直撃したのだ。それも一度で終わらず、続けて他の機体にも雷が落ちている。

「ははっ!やったな、カズミ!エヴァは神の子か何かなのか!?」

「わ、わからない...」

2人の会話をよそになおもエヴァはハミングをやめない。

「とにかく今のうちに行こう!」

そうして3人はガザレムからの逃避行を始めた。

その道中で何度もガザレム、ブルトニアの軍に遭遇したが、その度に落雷が敵機を蹴散らした。何本もの閃光が枝分かれしながら降り注ぐその光景は、さながら神の怒りが地上に振るわれているかのようだった。

だが、やがてアルトが一つの異変に気づいた。

「おい、どうしたエヴァ!すごい熱じゃないか!」

そうアルトに問われ、肩を掴まれても、エヴァは歌い続ける。そしてそれに呼応するように雷がADMの行く道を切り開く。

「よく分からんが、早くエヴァを休ませてやらないと!」

「わかってる、飛ばすよ!」

カズミは操縦桿を握る掌が汗ばむのを感じながら、考えを巡らせる。

(前にもカナアンでエヴァの調子が悪くなったことはあった。...でも今回のは明らかに違う。きっとあのハミングだ。私たちを助けるために...!)

カズミは掌が痛くなるほど強く操縦桿を握りしめながら、必死でガザレムから脱出したのだった。
887 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/06(日) 22:07:28.66 ID:4RtrxWKy0
──隠れ家──

「エヴァは?」

部屋の奥から出てきた母親に向かってカズミが尋ねた。

「大丈夫よ。ぐっすり眠ってるし、熱もない」

「そっか...」

何とか隠れ家に辿り着いてから数日後、エヴァの体調は元に戻りつつあった。

膝を抱え込み、俯く娘を見て母親が声をかける。

「何はともあれ、皆無事だった。これ以上にいい事がありますか?」

「...いや」

「ならもっと明るい顔をしなさい。くだらない自己憐憫は慌てたお父さんと同じくらい役に立ちませんからね」

「そんな言い草はないだろう...」

カズミではなく父親が落ち込みながらそう呟いた。

「ところで...戦争の状況はどうなってるんだ?」

父親からの質問にアルトは携帯を見ながら答える。

「同僚から聞いたけどほとんど終わりに近いらしい。首都は制圧、ガザレム軍司令部は第二首都に移動したけど戦線の再構築は絶望的。政府首脳部は各地に亡命、中にはセントラル・ソロニティに潜伏してるのもいるとか」

「なるほど...おおかた傀儡政権が樹立して終戦、反対勢力は悪名高い憲兵団によって一掃と言ったところか」

「ああ、それと。今回の戦いは割と早く終わったけど、本当ならもっと長く続いてたらしいよ」

「どういう事だ?」

「本来ならガザレムの特殊部隊が首都の北部から奇襲を仕掛ける筈だったんだってさ。だけど謎の勢力によってそれが掻き乱されたおかげで首都の制圧がスムーズに進んだんだとさ。おかげで軍民問わず被害が軽く済んだって」

アルトはカズミの方に視線をやる。

「なあ、カズミ。お前たちはアタシだけじゃない、もっと多くの人達の命も救った。無駄じゃなかったのさ」

その言葉を聞いて、ようやくカズミは顔を上げた。

「そう、だね」

笑顔とまではいかないが少し表情が穏やかになった末娘を見て家族の雰囲気が和んだが、それはカズミの携帯の着信音によってかき消された。

「...もしもし?」

「私だ」

「ゼウスさん...」

「何やら派手にやったみたいだが、まあ私には関係ない。それよりも今度はお嬢さんが約束を果たす番だ。禁足地で待っているよ」

それはこの世界の運命を変える、最終局面への誘いだった。


今日の更新はこれだけです。
いよいよ次が最終章です。
888 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/06(日) 22:17:06.97 ID:072Weh+B0
乙でした
889 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/06(日) 22:28:20.78 ID:YesbBxIRo
おつおつ
ほぼほぼトップクラスの実力者になったカズミだが作中最強決定戦はあるのだろうか
890 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/08(火) 19:35:10.26 ID:SoPeP1pq0
──ガザレム西部──

カズミ達はゼウスと交わした約束を果たすため、ガザレム西部に位置するテルース教の禁足地へと向かっていた。

「エヴァ、体調は?」

「だいじょうぶだよ。それに、このままいけばすぐ...」

「?」

「なんでもない」

エヴァの態度が気にかかったものの、カズミは飛行に集中することにした。

このあたりは険しい山々が連なっており、風の流れも不安定になっている。気を抜けば岩に覆われた斜面に激突する羽目になる。

暫く進むと、カマエルの小隊が空路を封鎖していた。

「止まれ!識別番号を示すんだ」

カズミは予めゼウスから教えられていた英数字の羅列をカナアンの士官に伝えた。

「...よし。彼について行け」

するとカマエルの1機が編隊から離れ山中へと向かっていったので、カズミも遅れないように後をついていく。

それからも何度かカナアンの哨戒部隊に遭遇しながら、やがて惑星エデンでも最大級のカルデラである、ゲネシス・カルデラに到着した。

そこにはおそらくガーディアンオブエデンのほぼ全勢力とカナアンの大部隊が控えていた。当然その場にはヘルミラーも居た。
そして何よりも目を引いたのは黒き巨人のようなPEM、B-601アトラスだ。通常のPEMのおよそ2倍強の巨体で、重量のある装甲を備えているためただ腕を振るっただけでも脅威になりうるのは間違いない。

「ようやく来たな、お嬢さん」

どうやらそのアトラスに乗っているのはゼウスらしい。

「はい。ところでそんなもの何処で手に入れたんですか?...いや、そんなものが必要なんですか?」

「ハハハ、すぐにコイツの必要性がわかるよ」

ADMがアトラスのそばに降り立つのと同時に、ライから通信が入った。

「カズミさん」

「ライさん、久しぶりですね」

「はい。そうだ、1つ伝えておきたい事が。貴方の──」
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/08(火) 19:41:33.25 ID:SoPeP1pq0
だがその声はゼウスからの通信で遮られてしまった。

「さて、と。聞こえているんだろう、ガキ。エヴァとか言ったか。お前ならここに来た理由も分かっているな?」

豹変したゼウスの態度に驚きながらも、カズミは後ろを振り返ってエヴァの表情を窺う。彼女の表情は険しかったが、それが何を意味しているのかまではカズミには分からなかった。

「ノアにはもう準備させている、後はお前だ」

「わかった...お姉ちゃん、ヘルミラーに通信をつないで」

「う、うん」

通信を繋ぐとすぐにノアの声が耳に入ってきた。

「エヴァ姉ちゃん、こっちはいつでも良いよ」

「わかった。じゃあ、始めるよ」

エヴァは目を瞑るとガザレムの時と同じようにハミングを始めた。違っているのはメロディーと、ノアも同時に歌っていることだ。

今までのことが頭に浮かんで、カズミはすぐにエヴァを止めようとしたが、他でもないエヴァ自身が片手でそれを制止した。

カズミの心配とは裏腹にエヴァの体調が悪化することもなく、歌はすぐに終わった。そして続いて聞こえてきたのは大きな地鳴りだ。地面が横に大きく揺れる。

そうして揺れが収まった時、カルデラの様相は一変していた。まさしく地が割れたかのように、地下への巨大な穴が空いていたのだ。

「い、いったい何が...?」

かなりの深さがあるようで下の様子は全く見えない。その裂け目はさながら世界の底に続いているかのようだった。

「さて、ここからが正念場だ。地下へ降りるぞ。もちろんお嬢さん、君もね」

カズミに拒否権はなく、地下へ降りる選抜隊、ヘルミラー、そしてアトラスと共に深い闇の中へと入る事となった。

底へと降る道中、カズミは見覚えのあるものを目にした。それは蒼く輝くメルクリウスだ。暗闇の中に蒼白の光が降り注ぐその絶景は、宇宙を知っている者であればそれに近いと思っただろう。

「はぁ...」

そうでなくとも言葉を失う程の眺めだった。

メルクリウスはカズミ達とは対照的に地上へと昇っていき、時折横へと移動して闇の中へと消えていった。

そんな幻想的な風景の中で、カナアンの人々とゼウスだけは憎悪が篭った目をしていた。

「ゼウスさん、奴らがきたぜ」

突然、外に置いてきた部隊を率いるカスケードからゼウスに通信が入った。

「異変を察知して慌ててやってきたってところかな。まあ、もう手遅れだろう。足止めは任せたよ」

「了解だ」
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/08(火) 19:44:11.09 ID:SoPeP1pq0
目を見張る光景もやがて終わりを迎え、カズミ達は遂に底へと到達した。そこは天然の岩石で作られた大聖堂のようで、見る者を圧倒する。

そしてそんな広い空間の中心にメルクリウスと同じ輝きを放つ、光玉のようなものが鎮座していた。アトラスと同等、あるいはそれ以上の大きさだ。

「ようやく会えたな...エデン!!」

抑えようもない激情と共に、ゼウスはアトラスの背中に搭載されたミサイルを発射しようとトリガーに指をかけた。

が、トリガーを引き切る寸前で指の動きが止まった。

「な、なぜ動かない!」

より正確に言うのなら"何か"に止められた。

『まあ、そう焦らないで』

ゼウスの頭の中に声が響いた。それは男性とも女性とも取れる中性的な声音で、随分落ち着いていた。

そしてその声はその場にいた全員に聞こえていた。

『恨みを晴らすのはいいけど、ここまで来たんだ。みんなには色々と知る権利があるよね』

「あ、貴方は?」

『ああ、カズミ・アーディガン。久しぶりだね』

「え、と...」

『あれ、覚えてない?昔、メルクリウスの泉に落ちたよね?その時お話ししたんだけど...それにあなたの勘の良さはその出来事のおかげなのに...。ひどい、薄情ね!』

と、そんな風に恨み言を冗談めかして告げる。

「ご、ごめんなさい。覚えてないです...」

『なら丁度いいし、みんなに向けて自己紹介しようかな。コホン、ようこそ愛しい我が子達!私が、この惑星を形作る生命、惑星生命体の1つ、エデンだよ!』

カズミには彼、あるいは彼女、とにかくエデンと名乗った存在が何を言っているのか理解できなかった。

「つまり、この星は文字どおり生きてるんだよ。地表は皮膚で、地下を流れるメルクリウスは血液。そしてあの光は心臓」

エヴァが大人と変わりない話し方になっているのにも驚いたが、それ以上にその内容に耳を疑った。

「星が...生きている?」

「うん」

『わが眷属の言う通りさ』

「け、眷属?」

『ええ。エヴァ、そしてノアは私が生み出した存在。いわば私の端末とも言うべき存在だよ』

「わ、訳がわかんないや...」

カズミは話について行けず、頭が痛くなってきた。
893 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/08(火) 19:45:12.48 ID:xX2qERSn0
成程、そうきたか
894 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/08(火) 19:47:32.56 ID:SoPeP1pq0
『じゃあ順を追って話そっか。長くなるけど、ちゃんと着いてきてね。まず、遥か昔、地球という故郷を捨てた貴方達人類が私の元へ辿り着いた』

「地球って...あのお伽噺のですか?」

『ええ、実在する星だよ。とにかく、そうして貴方達は惑星エデンに定着して、私も貴方達を我が子のように愛し始めた』

「あ、愛ですか?」

誰かを愛すると言うのは分かるが人類丸ごと愛するとはどう言うことなのだろうと、カズミは思わず尋ねた。

『はい。泣き、笑い、怒り、楽しむ。そんな感情を表現に昇華した芸術。ある発明が誰かを助け、一方で誰かを殺す。人間である事に絶望しながらも、人間らしさを称賛する。そんな矛盾に悩みながらも、人であることをやめない。つまり、人が人であるが故に私は貴方達を愛しているのさ』

「は、はあ」

『とにかく!私はそんな貴方達と長い時を過ごしてきた。そしてその過程で私は自身の身を削り貴方達に資源を与え、貴方達はそれを活用してきた。私はそれで構わないんだよ、我が子のために死ねるんだから。でも宇宙に存在する他の惑星生命体、つまり私の仲間はそれをよくは思ってないようで』

そもそもカズミにとっては宇宙という概念もいまいち分からないが、それは置いておくことにした。

『私のために人類を滅ぼすなんて言い出したんですよ。流石にこのままじゃまずいと思って、ひとまず彼らの尖兵がやってこれないように空を封鎖して、それから彼らを説得したの。私とは別個の意志を持った存在を作り出して、彼らの意見次第で人類をどうするか決める、と。ま、何と言おうと滅ぼす気はないけど。ただ、貴方達を生き残らせる為に数を半分くらいにはするかも。私だってそれは身を削られる思いで嫌だけど、私の仲間に全滅させられるよりはマシ』

ここでようやくカズミにも合点がいった。

「つまり、私たちを見極めるための存在がエヴァ...」

『それとノアだね。そして2人を守護する存在としてADMとヘルミラーを創造したのさ』

話が壮大すぎて実感が湧かないものの、カズミが安堵したことが一つあった。それはエヴァが別個の意志を持った存在、つまりエヴァはちゃんとエヴァという1人の存在だということだ。

「え、えと、じゃあこの惑星、エデンさんは生きていて、エヴァとノアは私たちをどうするか決めるために生まれた。こういう事ですか?」

『その通り、100点!』

「な、なら、どうしてゼウスさんとカナアンの人達はここに?」

『そうだね〜。カナアンの人達は私を憎んでいるんだよ』

「憎んで、ですか?」

『そうさ。彼らが言う"約束の地"とは地球さ。いまあの国がある場所は、あくまで人類の到達と共に地球の土が埋められた聖地、と言うだけ。そして私はまさに地球への帰還を阻止する悪魔、だと思われている訳なんだね』
895 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/08(火) 19:51:10.93 ID:SoPeP1pq0
「じゃあ、ゼウスさんは...?」

『それは本人の口から聞いたほうがいいんじゃない?その方が彼にとっても、この後の展開に良い方向に傾くかも』

そんなエデンの言葉をゼウスは苦虫を噛み潰したような顔で聞いていたが、やがて一つの溜息と共に口を開き、通信を通してカズミに語りかけた。

「...私はかつて特務機関の長官だった」

(い、いきなりトンデモない情報が!?)

「妻と娘にも恵まれ、仕事も順調。まさに順風満帆だった。だが...」

ゼウスの口調が一気に重くなる。

「だがある日、私達が住んでいたところにメルクリウスの鉱床が見つかり、立ち退きを要求された。もちろん従って、引っ越しした。まず最初に私たちを襲ったのは、学校での娘のイジメだ。馴染めなかったのか、他に理由があるのか分からないが、娘はイジメのせいで毎日が辛そうだったよ。だが、その時はまだやって行けてた」

彼の脳裏に娘の顔がよぎる。

「次に襲ったのは引っ越し先での大地震だ。...妻が死んだ。次?娘はこの惨状に耐えかねて自殺したよ」

ゼウスがコックピットの壁を叩いた音、それが無線越しにカズミにも聞こえた。

「娘が死んだことに私は絶望した。だがそれ以上に...私の支えでは足りなかったのか!!!」

部屋の暗闇の中で首を吊った愛娘の姿がゼウスの脳裏にフラッシュバックする。毎晩夢に見る光景だ。

「...後から家族を奪った大地震はメルクリウス採掘のせいだと聞いたよ。だから私はそれを憎んだ。そして自らの死を偽装し、ガーディアンオブエデンを設立した。だが、実際はどうだ?この目の前にいるクソッタレが奪ったんだよ!なあ!何故、あそこにメルクリウスを!?何故地震を起こした!!大勢が死ぬとわかっていただろうがっっ!!」

耳をつん裂くような怒声の後に聞こえてきたのは、変わらない調子のエデンの声だった。

『貴方達も可愛い子には旅をさせよと言うよね?つまり、私は人類を愛している。だからこそ甘やかすだけではなく、時には試練が必要なんだね』

「このっ...外道がァ!!」

ゼウスは必死に指を動かそうとするが、ピクリとも動かない。
896 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/08(火) 19:54:15.56 ID:SoPeP1pq0
『ゼウス、私を殺したいという貴方の願いを受け入れるよ。今後に不安は残るけど...我が子のうちの1人に殺されるのならそれも本望。大丈夫、貴方達ならきっと、ね。ただ、その前にカズミとイヴに伝えておくべきことがあるから、少し待ってね』

突然、名を挙げられたカズミは驚きながらおずおずと尋ねる。

「な、何ですか?」

それと対照的にイヴは口を閉ざしたままだ。

『まず伝えておくべき事として、私が死んだ後、エヴァとノアはどれだけ存在していられるか分からない。最期がやってくるのは明日かもしれないし、10年後かもしれないし、もっと後かも』

「そ、そんな!!」

『でもそれを回避する方法もあるよ。それはエヴァとノアの魂をそれぞれのパートナー、つまり貴方達に移すこと』

「た、魂ですか?」

『はい。ただ留意すべきこととして、1つの肉体に2つの魂は存在できない。どちらかが消える必要がある訳ですが...つまりカズミとイヴ、貴方達のこと』

「消える...」

『はい、意味するのは、死。という事で貴方達には選択肢が幾つかある。1、私を殺させない為に彼らと戦う。2、私を殺す。3、私を殺した上で魂を移す。...あるいは何もせずに立ち去る。さあ、どうする?』

「そんなこと言われても...」

カズミはふと、エヴァを見る。

「好きにしていいよ」

「...」

↓3まで多数決
1 エデンを守る
2 エデンを殺す
3 エデンを殺して、エヴァを救う為に犠牲になる
4 何もせず立ち去る
897 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/08(火) 19:57:19.31 ID:xX2qERSn0
1 エデンに守られてきたのならここでエデンを[ピーーー]のは筋が通らない気がする。対話できる存在ならば[ピーーー]よりもすべき事がある気がする
898 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/08(火) 19:57:21.08 ID:Lw3A3heJo
ノアはどうするね

取り敢えず選択は3
899 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/08(火) 20:06:05.94 ID:UtJe9t5Po
1
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/08(火) 21:11:42.80 ID:SoPeP1pq0
1 エデンを守る

「...エヴァ、正直に教えて。エヴァは、どうしたい?」

カズミはエヴァの真っ赤な瞳を見つめる。

ここに来るまで共に長い間を過ごした瞳であり、カズミが守りたいと思った者の象徴でもある。

そんな瞳は戸惑うように少し左右に揺れたと思うと、しっかりとカズミを見据えた。

「エヴァは...」

少女は何かを呑み込むかのように開きかけた口を閉じ、そしてまた開いた。

「お姉ちゃんに死んでほしくない。エヴァの為にお姉ちゃんが居なくなるのが、一番嫌」

「...わかったよ」

するとカズミは正面の光玉に視線を戻した。

(正直、エデン...さんをどうすべきかなんて私には分かんない。私達は守られていたのかもしれないし、傷つけられていたのかもしれない。どうするのが皆にとって良いかなんて全然わかんない)

だが、彼女には1つだけ確信を持って言えることがある。

(1つだけ、私に分かるのは、ここまでやって来たのは全部エヴァを守る、ただその為。それを貫く為にやってきた自分の行いを裏切りたくない。私はエヴァに死んでほしくない。そしてエヴァも私のことをそう思ってくれている。それなら...!)

「決めました」

『では聞きましょうか』

「私はエヴァを守る。その為に、あなたを殺させはしない」

カズミの言葉を無線越しに聞いたゼウスがため息をつく。

「お嬢さんがどっちに転ぶかは予想できなかったが...残念だよ。こうなれば奥の手を出そう。あのクソッタレを守るというのなら、隠れ家は把握しているんだ、君の家族は殺す」

「っ...!」

カズミは思わず身を乗り出す。

(だけど...エヴァを...)
901 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/08(火) 21:19:38.21 ID:SoPeP1pq0
そんな時、一通のメッセージが届いていた事に気づいた。

『下で何が起きてるかは分かりませんが、念のために先程伝えられなかったことを伝えておきます。貴方の家族は私の信頼できる部下が安全なところに移動させました』

「ら、ライさん!?なんで...」

続きにはこう書いてある。

『貴方がガザレムで民間人を助けたと聞きました。力があるのだから目の前の人間を助ける。...それはきっと、私がやりたかったけどできなかった事です。そして何より...そこには私の家族もいました。貴方の味方になるわけではありません。ですがお礼、いや、貴方の信念に敬意を表して、貴方の家族の安全は私が保証します』

メッセージはそれで終わっていた。

自分の行いはやはり無駄ではなかったと、その事を誇りに思いながらカズミは顔を上げた。

「ゼウスさん、私はエヴァを守ります」

「そうか、それ程までに...なら、私から言うべきことはない」

『ふむ。さて、イヴ、貴方は?』

「私は...唯一私に手を差し伸べてくれたゼウスを助ける。それだけ」

『成程。ノアは?』

「正直、ボクはなんでもいいよ。何にも興味はないから」

『ほうほう。この差はいったいどうして......まあ、いいでしょう。では私は運命を受け入れるのみです』

エデンがそう呟くと、ようやく身動きが取れるようになった。突然の出来事でみな意表をつかれたが、それぞれがすぐに行動に移った。

アトラスは全武装をエデンに向け、惑星殺しを完遂する腹積りだ。

ADMはそれを阻止しようと動いたが、ヘルミラーとその他のPEMに道を遮られる。

「この数は...!」

両者は互いに睨み合ったまま動かない。

(早くしないとエデンさんが...!)
902 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/08(火) 21:21:37.45 ID:SoPeP1pq0
その時、巨大な赤い光線が辺りを薙ぎ払い、周囲のPEMを一掃した。

「聞きたいこと、言いたいことは色々とある。だが状況を見るに、少なくとも今の利害は一致しているみたいだな、カズミ」

聞こえてきたのは馴染みのある声、シエラ=レオネだった。

「は、はい!」

「周囲の雑魚どもは私がやる。ソイツは頼んだぞ」

「分かりました!」

カズミは正面に立つ黒い騎士を見る。

「イヴ、決着をつけよう」

「前は私が勝った。今回も結果は変わらない」

(近接→滑空→遠距離→近接...)
↓1 カズミ エース
1近接
2滑空
3遠距離

コンマ下1桁 イヴ エースオブエース
1〜3 近接
4〜6 遠距離
7〜9 滑空
0なら10の桁を参照、00ならもう一度
903 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/08(火) 21:26:15.85 ID:Lw3A3heJo
最終決戦や…!2
904 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/08(火) 21:26:33.40 ID:xX2qERSn0
見返すと>>649あたりでゼウスはエデンの真実を知ったのか。それまではガーディアンオブエデンの理念で活動してたのがここでエデン殺しに方針転換したのかね
905 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/08(火) 21:40:41.47 ID:SoPeP1pq0
>>904
まさしくその通りです。


カズミ 3/3 滑空
イヴ 3/3 遠距離
相性有利により+10
操縦技能の差により−5
(偶数なら思考盗聴誘導型ロケットにより−5)
(奇数ならシエラ=レオネの援護で+5)

↓1
01〜10 カズミ−2
11〜45 カズミ −1
46〜55 拮抗
56〜90 イヴ −1
91〜 イヴ −2
906 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/08(火) 21:42:51.38 ID:xX2qERSn0
907 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/08(火) 22:05:10.11 ID:SoPeP1pq0
38+10−10=38 カズミ−1

ヘルミラーは初手からロケットを放ってきた。

(これ...!よく分かんないけどこっちの動きにかなり合わせてくる。警戒しないと!)

最初に放たれたロケット3発は、通常のものだった。ADMはそれを何なくかわす。

(次だ!)

カズミの予想通り、次に放たれた2発は思考を読む例のロケットだった。

今回は予め警戒していたこともあって、カズミは思考盗聴による誘導を超える反応速度で何とかロケットを避けていく。

しかし続けざまに更なるロケットが発射される。

(これはどっち...!?)

放たれたのは5発。

最初の1発の時点でカズミには分かった。これは普通のロケットだと。

「コレなら避け切れる!」

そうして4発目まで難なくロケットをあしらったカズミだった。そうして5発目を避けたその時。それは突然急旋回し、避けたはずのADMに向かってきた。

「しまった!これは──」

激しい衝撃がカズミ達を襲う。

「っ!」

カズミはそれにほとんどギリギリの所で反応し、致命傷は避けられた。

だがヘルミラーの攻勢はまだ終わっていなかった。爆煙で視界が悪い中、突如背後から攻撃を受ける。

「うそっ!?」

カズミは確かに爆発の直前までヘルミラーの姿を捉えていた。しかし知らぬ間に背後に回り込んだヘルミラーによるレーザークローをもろに喰らってしまった。

(近接→滑空→遠距離→近接...)
↓1 カズミ エース
1近接
2滑空
3遠距離

コンマ下1桁 イヴ エースオブエース
1〜3 近接
4〜6 遠距離
7〜9 滑空
0なら10の桁を参照、00ならもう一度


今日はここまで。
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/08(火) 22:10:44.76 ID:UtJe9t5Po
近接
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/10(木) 00:44:33.12 ID:ytqkwk7d0
真相を知った後だと最初にメルクリウス発見した組織が星を出ようとしたのも皮肉な……
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/10(木) 17:27:46.56 ID:nJVV8/LDO
SS速報避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
911 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/10(木) 19:49:08.30 ID:coQGl7gU0
カズミ 2/3 近接
イヴ 3/3 遠距離
相性不利により−10
操縦技能の差により−5
(偶数なら思考盗聴誘導型ロケットにより−5)
)
(奇数ならシエラ=レオネの援護で+5)

↓1
01〜10 カズミ−2
11〜45 カズミ −1
46〜55 拮抗
56〜90 イヴ −1
91〜 イヴ −2
912 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/10(木) 20:01:37.20 ID:mFgF6mEro
うい
913 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/10(木) 21:02:45.80 ID:coQGl7gU0
20−20=00
正直判定をどうするかかなり悩みましたがぴったりゼロの強運を引いたということでイヴ−2

これ以上ロケットを発射されると分が悪い、そう考えたカズミはレーザーブレードを片手に一気に距離を詰める。

ヘルミラーは距離を取ろうとするも間に合わず、両者は肉弾戦へと移行する。
イヴとカズミはそれぞれ、これまで培ってきた実力を相手に全力でぶつけていた。そんな2人の戦闘はその高度さ故に、見る者によっては一種の舞踏だと勘違いするほど流麗だった。

しかしながらカズミの操縦技能はイヴのそれと比べて些か劣っていた。その差がいよいよ姿を現し始めた。

イヴの息もつかせぬ猛攻撃に、カズミは次第に押され始めていた。そして遂にカズミお得意の回し蹴りをかわされた後、持っていたブレードを弾き飛ばされてしまった。

「っ...!」

今からライフルを構える余裕はない。ならば距離を置くしかない。

しかしそれを見越したように、ヘルミラーはロケットを発射する。

(まずい!これじゃ後ろに下がってもあのやたら追っかけてくるロケットに狩られるだけ!...追いかけてくる...そうか!一か八か、やるしかない!)

ADMはヘルミラーに機体を密着させ、レーザークローが動かせないように両腕を掴んだ。

(もしあのロケットが私を追いかけてくるのなら、このままいけばイヴもダメージを受ける!そうなる前にきっとロケットをどうにかするはず!)

しかしそんなカズミの予想とは裏腹に、イヴは涼しい顔をしていた。

着実に二人に迫り来る弾頭。そうしてロケットが着弾する寸前、カズミはようやく気づいた。

(イヴは、避ける気なんて...もとからない!?)

文字通りイヴはゼウスに命をかける気だとカズミは察した。

(でも...私だってここで、終われない!)

自分にだって背負ってきたものがあるし、命をかけてでも守りたい人がいる。だからこそ、ここで死ぬわけにはいかない。

そんな思いに突き動かされ、カズミは半ば無意識に操縦桿を動かした。

(近接→滑空→遠距離→近接...)
↓1 カズミ エース
1近接
2滑空
3遠距離

コンマ下1桁 イヴ エースオブエース
1〜3 近接
4〜6 遠距離
7〜9 滑空
0なら10の桁を参照、00ならもう一度
914 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/10(木) 21:27:16.68 ID:W0D4bbtC0
3
915 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/10(木) 21:32:23.47 ID:coQGl7gU0
カズミ 2/3 遠距離
イヴ 1/3 滑空
相性不利により−10
操縦技能の差により−5
(偶数なら思考盗聴誘導型ロケットにより−5)
)
(奇数ならシエラ=レオネの援護で+5)

↓1
01〜10 カズミ−2
11〜45 カズミ −1
46〜55 拮抗
56〜90 イヴ −1
91〜 イヴ −2
916 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/10(木) 21:36:03.89 ID:ytqkwk7d0
917 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/10(木) 22:08:22.22 ID:coQGl7gU0
89 イヴ−1

爆発の衝撃が両者を襲う中、イヴは舌打ちをした。

(やられた...爆発の寸前で位置を入れ替えて盾にされた!)

爆風によって壁面に打ち付けられたヘルミラーだったが、すぐに立ち上がりADMの姿を探す。
一方で当のADMは爆煙の中、地面に倒れたままだった。

「いない。どこに...!」

周囲を見渡しながらイヴはロケットの残弾を確認する。

(まだ余裕はある。ロケットで圧倒すればADMは...!)

そう考えていたイヴの視界にあるものが写った。

それはRLTHがアトラスに向けてメガレーザーランチャーを放とうとしている姿だった。

RLTHのレーザーは規格外の威力を備えている。通常のPEMなら一瞬で溶けて消えるほどだ。幾らアトラスの装甲が厚いとはいえ、流石にそれだけの威力のレーザーを喰らい続けたら、機体はもたないだろう。

そのことをイヴは直感で感じ取った。その後の行動は素早い。RLTHにロケットを放ち、クローで仕留めに向かう。

そしてようやく爆煙が晴れ、視界が明瞭になったカズミもその光景を捉えていた。

(今だ!実力で劣る私がここを逃すわけにはいかない!)

ヘルミラーとロケットの接近に気づいたRLTHがそちらに向けてメガレーザーランチャーを放つ。

それによりロケットは全て撃墜されたが、ヘルミラーだけはレーザーを避けきって、クローが届く距離までRLTHに接近していた。

そしてクローが振り上げられたその時、側面から飛来した一条の光がヘルミラーを射抜いた。

↓1
01〜60 イヴ死亡
61〜 イヴ負傷

今日はここまで。
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/10(木) 22:10:23.45 ID:qz0aJVEio
どうなる
919 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/10(木) 22:12:32.05 ID:edEgcmsso
おつおつ
なん…だと…?
920 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/10(木) 22:15:20.12 ID:ytqkwk7d0
乙でした
921 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/11(金) 20:07:49.51 ID:W4ILDZOR0
45 イヴ死亡

横から飛来してくる光を見てイヴが呟く。

「ゼウス...私っ──」

何かを恩人に伝えようとするイヴを見ながら、ノアはただ鼻で笑った。

そして光が2人を飲みこみ、その姿を消し去った。

膝立ちになりながらライフルを構えたADMの中から、カズミはその様を見ていた。

「...手加減なんてできる相手じゃなかった。確実に止めるにはコックピットを撃つしかなかった」

カズミは言い訳をするように自分に言い聞かせる。

「それでもっ...!」

一方で、視界の端でヘルミラーが撃墜されるのを見ていたゼウスは不思議な感情を覚えていた。
実のところ彼はイヴの事をただの駒としてしか考えていなかった。その姿がどこか娘を思い出させることから、むしろ嫌っている節すらあった。

(にも関わらず、この胸中でうねりを上げる感情は何だ。これは怒りか...?だが何に対してだ?)

するとアトラスはADMの方を向いた。

(さっきから攻撃を叩き込んでいるのに、クソッタレのエデンが死にそうな様子はない。どうやらじっくりやる必要があるみたいだ。その為にも、奴らを先に片付けるか。ついでだ、この怒りもぶつけてやる)

黒い巨体がADMの下へと動き出す。

「カズミ、奴が来るぞ!」

シエラ=レオネからの通信でようやくカズミは我に返った。

「分かりました!」

(近接→滑空→遠距離→近接...)
↓1 カズミ エース
1近接
2滑空
3遠距離

コンマ下1桁 ゼウス 兵卒
1〜3 近接
4〜6 遠距離
7〜9 滑空
0なら10の桁を参照、00ならもう一度


ちなみにゼウスの操縦技能は>>68のコンマを参照して、コンマ表は以下を用いました。
01〜40 兵卒
41〜60 熟練
61〜80 エース
81〜 エースオブエース
922 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/11(金) 20:12:14.99 ID:/9JsJiwqo
【朗報?】ゼウスさん戦、イベントバトルになる
923 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/11(金) 20:12:15.14 ID:q8f6TDXoo
1
924 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/11(金) 20:12:50.07 ID:/9JsJiwqo
すまんずらして…
925 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/11(金) 20:31:01.26 ID:W4ILDZOR0
カズミ 3/3 近接
ゼウス 5/5 遠距離
操縦技能の差により+10
相性不利により−10
ゼウスの怒りにより−5
(奇数ならシエラ=レオネの援護により+5)

↓1
01〜15 カズミ−2
16〜40 カズミ −1
41〜50 拮抗
51〜90 ゼウス −1
91〜 ゼウス−2
926 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/11(金) 20:35:43.98 ID:3rTubfMY0
927 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/11(金) 21:07:25.94 ID:W4ILDZOR0
98+10−15=93 ゼウス−2

ADMが立ち上がったのと同時に、アトラスの背中から大量のミサイルが発射された。

しかし先のヘルミラーのものと比べると特筆すべき追尾性はない。とはいえ八門もの射出口から発射されるミサイルの数は凄まじく、当然ながら気は抜けない。

「懐に入ればっ...!」

そうすれば近接兵装を持たないアトラスにできる事は限られてくる筈だ。そう考えながらカズミは、地面を滑って移動しているかのようにADMを操縦する。

近くまで接近し、アトラスの背後に回り込んだADMは黒い装甲めがけて刃を突き立てようとする。

「うそっ!?」

だが、弾かれた。

(これじゃどうしようも...!)

カズミは焦りながら周りを見渡す。するとあるものが目に入った。

それはアトラスの背面に取り付けられた動力源だ。もちろん装甲はついているが、急造だったのか他の部分よりは薄い。

(あそこなら!)

そう思った矢先、シエラ=レオネから通信が入った。

「カズミ、動力源は狙うな!」

「な、何でですか!?」

「あれは核融合炉だ!下手に壊せばここにいる全員が死ぬぞ!」

「そ、そんな...」

ならばこの巨体をどう止めればいいのか、そう考えていたカズミを叩きのめさんと、アトラスは振り返って拳を上げた。

カズミはそれに気付いて慌てて回避する。

拳が振り下ろされた箇所を見ると、地面が軽く窪んでいる。

「ただのパンチでこの威力...」

その威力に恐れ慄きながら、カズミは考える。

(動力を壊せば爆発する...なら安全に止めるしかない。けどどうやって?...違う、止めるんじゃない。できる事をなくしてやればいい!武器を潰して...でもあの拳はどうすれば?)

その時、ふと先ほどの光景がフラッシュバックした。

(イヴは長官の攻撃を無理にでも止めようとした。...つまり、RLTHのレーザーは効く!ならそれでアトラスの手脚を潰してもらおう!)

そうと決めたカズミは早速、目の前に振り下ろされた右腕に付いていたビーム砲を破壊した。

(やった、やっぱり武装の部分は少し装甲が薄い!コレならイケる!)

(近接→滑空→遠距離→近接...)
↓1 カズミ エース
1近接
2滑空
3遠距離

コンマ下1桁 ゼウス 兵卒
1〜3 近接
4〜6 遠距離
7〜9 滑空
0なら10の桁を参照、00ならもう一度
928 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/11(金) 21:15:32.99 ID:cjdEp2M70
a
929 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/11(金) 21:16:14.01 ID:cjdEp2M70
間違えた、3
930 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/11(金) 21:18:15.07 ID:W4ILDZOR0
カズミ 3/3 遠距離
ゼウス 3/5 近接
操縦技能の差により+10
相性有利により+10
ゼウスの怒りにより−5
(奇数ならシエラ=レオネの援護により+5)

↓1
01〜20 カズミ−2
21〜40 カズミ −1
41〜50 拮抗
51〜90 ゼウス −1
91〜 ゼウス−2
931 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/11(金) 21:18:56.84 ID:q8f6TDXoo
ヌッ
932 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/11(金) 21:29:26.92 ID:W4ILDZOR0
84+20−5=99 ゼウス−2

「この調子で!!」

ADMはフライングボードを起動し、中空に移動した。

自らの周囲を飛び回る蠅を叩き落とすようにアトラスは腕を振り払う。しかしADMは両腕の間を縫って避ける。

そうして相手をしばらく翻弄した後、ADMは背面に回り込み、ライフルでミサイルの射出口を四門破壊した。

(近接→滑空→遠距離→近接...)
↓1 カズミ エース
1近接
2滑空
3遠距離

コンマ下1桁 ゼウス 兵卒
1〜3 近接
4〜6 遠距離
7〜9 滑空
0なら10の桁を参照、00ならもう一度
933 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/11(金) 21:42:30.35 ID:3rTubfMY0
934 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/11(金) 21:52:33.02 ID:W4ILDZOR0
カズミ 3/3 近接
ゼウス 1/5 遠距離
操縦技能の差により+10
相性不利により−10
ゼウスの怒りにより−5
(奇数ならシエラ=レオネの援護により+5)

↓1
01〜20 カズミ−2
21〜40 カズミ −1
41〜50 拮抗
51〜90 ゼウス −1
91〜 ゼウス−2


今日はここまで。
935 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/11(金) 22:02:51.33 ID:q8f6TDXoo
むん
936 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/11(金) 22:07:36.07 ID:/9JsJiwqo
おつー
937 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/12(土) 19:24:00.81 ID:2oOwGv630
33 ゾロ目ボーナスで繰り上げ 拮抗

ADMに翻弄されているうちにアトラスは壁際まで移動していた。
その事に気づいたゼウスは壁と背中でADMを押し潰してしまおうとするが、間一髪、ADMはペシャンコになる前にその場から脱した。

「もう一度近づかないと...」

カズミはアトラスの武装を破壊する為に再度接近しようとする。とはいえゼウスもそれを黙って見逃す筈がない。

アトラスは辺りに転がっていた巨岩を掴むとそれをADM目がけて投擲した。

「わわっ!」

それをかわしたADMだったがまだ終わりではなかった。迫り来る巨岩がADMの視界を遮っている間に、アトラスは更に手近にあった大岩を掴んで軽く上に放り投げると、それを拳で粉砕した。

天然の散弾がADMに飛来する。

「っ!」

数発被弾したが、大した損傷ではない。とはいえアトラスとの距離は依然として縮まっていなかった。

(近接→滑空→遠距離→近接...)
↓1 カズミ エース
1近接
2滑空
3遠距離

コンマ下1桁 ゼウス 兵卒
1〜3 近接
4〜6 遠距離
7〜9 滑空
0なら10の桁を参照、00ならもう一度
938 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/12(土) 19:25:21.34 ID:5J4p5twj0
939 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/12(土) 19:29:27.12 ID:2oOwGv630
カズミ 3/3 滑空
ゼウス 1/5 遠距離
操縦技能の差により+10
相性有利により+10
ゼウスの怒りにより−5
(奇数ならシエラ=レオネの援護により+5)

↓1
01〜20 カズミ−2
21〜40 カズミ −1
41〜50 拮抗
51〜90 ゼウス −1
91〜 ゼウス−2
940 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/12(土) 19:39:55.40 ID:e44zXBNso
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/12(土) 19:43:22.54 ID:5J4p5twj0
よし!
942 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/12(土) 20:50:32.74 ID:2oOwGv630
40+20−5=55 ゼウス−1

アトラスは続け様にミサイルを放つ。加えて先程と同じように投石も行ってきた。

とは言え、先程と違って今度は何をしてくるか分かっている。であれば、余裕も生まれる。

ADMは曲芸飛行の様な軌道を描きながら攻撃をかわし、一気にアトラスの背面に回り込む。そうして遂にミサイルの射出口を全て破壊した。

「クソッ!」

ゼウスの怒りを表すかの様に、アトラスが腕を振り回す。ADMはその場から素早く離脱すると、敵機の正面に回った。

「コレで決める!」

カズミの叫びと同時に、巨大な黒い拳がADM目がけて迫って来る。

それを紙一重で避けたADMはすれ違い様に、左腕のビームを破壊。

遂に、アトラスの全兵装が破壊された。

「クソッ!...まだだ、まだ最後の一手がある!」

そう呟いたゼウスはアトラスをエデンに向かって前進させる。

それを見たカズミは危険を感じ、急いでシエラ=レオネに連絡する。

「長官、アトラスの足と腕を!」

「分かった」

RLTHはメガレーザーランチャーの狙いをアトラスの腕に合わせる。

そうして放たれたレーザーはアトラスの右腕、次いで左腕を完全に、とまではいかないが少なくとも使用はできない程度に溶かした。

それでもアトラスは歩みを止めない。

次に、レーザーはアトラスの脚を狙う。

絶大な威力を誇るレーザーを浴び続けたアトラスの両脚が軋み始める。
そうしてアトラスがエデンの目の前まで到達した時にようやく両脚は動かなくなり、そのまま黒い巨体は光玉にもたれかかるようにして倒れた。
943 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/12(土) 20:54:03.67 ID:2oOwGv630
「や、やった...」

搭乗者の心境を表すかのように座り込むADMだったが、RLTHは違った。シエラ=レオネはまだ戦いが終わっていないことを知っていた。

RLTHがレーザーで溶かし、アトラスのコックピットをこじ開ける。シエラ=レオネもRLTHのハッチを開け、拳銃をゼウスに向ける。

「やはり生きていましたか、長官」

「ふっ、今の長官は君だろう?」

ゼウスの瞳はまだ死んでいなかった。彼はあるスイッチに視線を移す。

「長官、やめてください。それを押そうとするのなら、私は貴方を撃たなくてはならない」

「君も知っているだろう。私は決めたことは必ずやり切る主義だと。ハハハ...この目でクソッタレが死ぬのを見れないのは残念だが、まあいい」

彼が見ているのは人類の悪意を結集したようなスイッチだ。

そもそもアトラスの運用方法とはどのようなものだったのか?絶大な装甲と破壊力のある武装を活用して、敵の戦線に穴をこじ開けることか?或いは動く要塞として防衛線を構築することか?はたまたその巨体によって敵国の兵士や市民の戦意を奪うことか?

そのいずれも違う。アトラス運用の核心はその動力源、核融合炉にある。アトラスはその強靭な装甲によって守られた歩く爆弾として用いられる機体なのだ。つまり、敵国の都市や重要地点まで確実に到達し、その後核融合炉を自爆させる。その事によって敵戦力の壊滅、或いは放射能汚染によって敵国の土地そのものを殺すことが目的だ。

そんな悪意の塊であるスイッチを、ゼウスは躊躇いなく押そうとする。

その瞬間、銃口から火が噴き、アトラスのコックピット一面に血が飛び散った。

「さようなら、長官。貴方を...尊敬していました」

シエラ=レオネは伏し目がちにそう呟いた。

一方、カズミはADMのコックピット内で泣きながらエヴァを抱きしめていた。

「良かった、本当に...!」

「お姉ちゃん...」
944 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/12(土) 20:55:26.65 ID:2oOwGv630
すると、いつの間にかADMの前まで来ていたRLTHから通信が入る。

「カズミ、コックピットを開けろ」

カズミの額に冷や汗が流れる。

(開ける...しか、ないよね)

恐る恐るコックピットを開けると、そこには銃を構えたシエラ=レオネがいた。

「長官...私は──」

そう言いかけた声は銃声にかき消された。

発砲音が反響し、やがて静寂が訪れた時、カズミは自分が生きている事に気づいた。

「私の知る限り、ブルトニア国民の1人であるカズミ・アーディガンは既に死んでいる。...そして、特務機関の裏切り者も今、私が処刑した」

そう言うと彼女は拳銃をホルスターにしまった。

「長官...」

「幸い、お前はブルトニア人を殺さなかった。それに、ゼウスを止められたのはお前のおかげだ。それでチャラだ。エヴァは...いい。だが、ADMは渡していけ。それで良いな?」

↓3まで多数決
1 提案を受け入れる
2 提案を断る
945 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/12(土) 20:56:16.81 ID:e44zXBNso
1
946 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/12(土) 20:56:18.52 ID:5J4p5twj0
947 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/12(土) 21:50:56.78 ID:2oOwGv630
「分かりました。その...すいませんでした」

「...ああ。では上まで行くぞ」

「はい」

シエラ=レオネが自らの機体に戻っていくのを見届けて、カズミはエヴァの方を見た。

「じゃあ、行こっか!」

「うん!」

2機のPEMがその場から離脱するのを見て、エデンは呟いた。

『こうなった、か。喜ぶのは彼女たちに任せるとして、私は...亡くなった子らに少しでも安らぎが在らん事を祈るとしましょう』

こうして、大勢の預かり知らぬところで、人類の命運を決する戦いは終わりを告げた。
948 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/12(土) 21:55:21.07 ID:2oOwGv630
今回の一件を経て、特務機関はその目的を大きく変えることとなった。彼らの目的は外部あるいは内部からの脅威を排除する事から、エデンの監視及び調査、そして来る他の惑星生命体に対処する組織へと変貌した。
彼らはカズミとエヴァを秘密裏に監視しているが、ADMもなく、彼ら自身既にオリジナルとも言えるエデンと接触しているためエヴァに興味が向くことはそうそうないだろう。

グラジオット大統領は特務機関からの報告を受けて、エデンの存在を最重要機密に指定、他国に決して秘密が漏れない様にし、ひとまずエデンを生かす事に決めた。彼は自分ならばエデンを上手くコントロールできると踏んだのだ。それが人類にとって良かったのか、悪かったのか、今はまだ分からない。

一方で、エデンの存在を知っているカナアンとの情勢は急速に悪化し、ブルトニアとカナアンの間での戦争が近いとも噂されている。これと関連してガザレムの関係者の間で不穏な動きがあるとの報告もあり、争いの種は絶えない。

ガーディアンオブエデンはリーダーのゼウスを失った事によって瓦解しかけたが、若年ながらも誠実なライによって立て直された。彼女がリーダーになってからはテロ行為は減少した。紛争地域での人命救助や、メルクリウス採掘によって住む場所や仕事を失った人々にそれらを供給するなど、賛否両論はありつつもその存在感は増している。

一方、カスケードはガーディアンオブエデンとの関係を解消。今でも居場所を求めて紛争地域を渡り歩いている姿が確認されている。

サノスは特務機関の監視つきではあるが解放され、今でも友人を探している。ガザレムに友人がいるという情報を得て、今はガザレム各地を回っている。

ミツキが経営するバウエル・インダストリは、政府から極一部の信頼できる上層部に対してエデンの情報が開示され、調査、研究に参画。そこで得た技術を流用して作られたトンデモ兵器が世界に度々混乱の種を撒く事になる。

カズミの両親は念のため、ブルトニアの影響力が薄い東方大陸に移住。老後を優雅に暮らしている。

アルトは今でもジャーナリストとして世界を飛び回っている。ガザレムの復興を報道を通して支援し続けた事で世界に知られるようになる。

カズミは両親と共に東方大陸に移住。親や家族のいない子供たちを支援するNGOに所属した。死んだ事になっている為、表で称賛される事はなかったが、助けられ、支えられた子供たちによって後に彼女の理念を継ぐ財団が設立された。

そしてエヴァはカズミと共に東方大陸へ移った。そして学校に通い、友人を作り、さまざまな事を学んでいる。
949 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/12(土) 21:56:42.32 ID:2oOwGv630
「ねえ、これ覚えてる?」

砂浜に座り込むカズミが、隣にいるエヴァにとある写真を見せた。

「もちろん!ヒューシャルの観覧車でしょ!」

「そうそう!...懐かしいな〜。はあ...アダムにも今のエヴァの姿を見せてあげたかったな」

「...きっと見てるよ」

「そう、だね。ところで、エヴァは学校を卒業したらどうするの?進学?就職?」

「んー...ワガママ言ってもいい?」

「どうしよっかな〜。なーんて、冗談!良いよ、言ってみて!」

「お姉ちゃんと世界を回りたいな」

「なるほど...。じゃあ、約束ね!」

「お姉ちゃん...うん!」

そうして笑ったエヴァの赤い瞳は、どんなものよりも眩しく光っていた。

──END──
950 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/12(土) 21:57:20.74 ID:2oOwGv630
という事で完結です。
反省点は色々ありますね。折角いただいた案を活かしきれてないとか、展開が雑、というかそこに至るまでの描写が雑というか。心情描写も足りない気がするし。
とはいえ楽しくできたことは確かです。少しでも皆さんも楽しんでいただけていたのであれば嬉しいです。
では、お付き合いくださりありがとうございました。
951 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/12(土) 21:57:24.50 ID:5J4p5twj0
カスケードは最強の一角っぽかったが結局戦わなかったな
952 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/12(土) 21:59:13.55 ID:5J4p5twj0
お疲れ様でした、楽しかった。設定の畳み方、風呂敷の拡げ方が凄く上手かった
953 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/12(土) 22:04:02.19 ID:QLVH/c9M0

東方大陸を舞台にしなかったのとか凄いと思う。まぁ勢力案とかで出てたら使ってたかもしれないが、無闇に行動範囲を広げず安価全部上手に調理して着地させたの本当凄い
954 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/12(土) 22:05:05.42 ID:e44zXBNso
お疲れ様です
安価でありながらカズミの成長物としてとても良くできていたと思う
1スレに収める進行もお見事
楽しかっです!ありがとうございました!
955 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/12(土) 22:26:05.01 ID:SVMv/0CD0
956 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/13(日) 11:54:08.77 ID:25h5+4Mb0
>>ミツキが経営するバウエル・インダストリは、政府から極一部の信頼できる上層部に対してエデンの情報が開示され、調査、研究に参画
言う程信頼できるやろか……
957 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/21(月) 07:26:33.08 ID:SHUxHxf6o
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