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【安価・コンマ 】ロボットのパイロットとして生きる【オリジナル】

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649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/06(月) 21:14:21.87 ID:sr16Tf3y0
見慣れたオレンジ色の髪の毛を揺らしながら、顔を背けたパイロットをアルトは見つめる。

(一瞬見えた顔、それにあのオレンジの髪。見間違えるはずもない、カズミだ。よくよく思い返せば声も似ていたし、見覚えのあるボディライン、それに巨鳥の時みたいに無鉄砲な行いをするのも...)

カズミが生きていたと知り、アルトの胸の中は喜びで満たされた。しかしそれと同時に様々な疑念も浮かんできた。

(どうして嘘の葬式なんか...。詳しくは分からないが、ガーディアンオブエデンと対立してるって事は、少なくともブルトニア政府の側ってことか?公にできない特殊部隊...いや、カズミに限ってそれはないか)

「はいらないのー?」

エヴァの呼びかけによってアルトの思考は中断された。

「ん、ああ。入るとするか」

アルトはわざとカズミの顔が見えるような位置に移動するが、カズミは素早く違う方を向いた。
アルトが怪しんでいる事に気づいたのか、カズミは体が冷えてきたなどと見え見えの芝居を演じ、4人より先に上がった。

(やはり生きていると知られるのはまずいということか。まぁ、どんな事情があるにせよ、五体満足、健康に生きているならそれでいい)

アルトは久々に気持ちが安心したのか、両手を上げて体を伸ばした。

(後は危ないことはやめて、平和に生きてくれれば万々歳なんだが。...そもそも軍人になるのだって反対だったんだ)

アルトはふとため息をつく。

(それにしても、久しぶりに妹と水浴びができると思ったんだが。最後に遊んだのはずっと昔だな。...いや、あれは水浴びなんて呼んでいいものじゃなかったな。何せメルクリウスの泉に落ちたんだ、死んでないのが不思議だよ。カズミは覚えてないみたいだが...)

そんなこんなでカズミを除く4人は水浴びを堪能したのだった。

そしていよいよ別れの時が来た。

「私たちはもう行く」

「ああ」

イヴとノアはコックピットに乗り込む。するとイヴが振り返った。

「次に戦場であったら容赦しない」

「...わかった」

やりとりを終えるとヘルミラーは海上で待つ仲間のもとへと去っていった。

「...我々もあと1時間もすれば迎えが来る。準備しよう」

「だな。そうだ、これをアンタに渡しとく」

アルトがカズミに渡したのは名刺だった。

「これは?」

「連絡先だ。何か困ったことがあったら連絡しろ」

「...助かる」

「あぁ、それと。アンタには命を救ってもらった恩もあるし、お姉ちゃんと呼んでくれてもいいぞ」

アルトは満面の笑顔でそう言った。

「な、何馬鹿な事を言っている!」

(や、やっぱりバレてる!?でも何も言ってこないし、いや、でもお姉ちゃんなら...。ば、バレてない!きっとそうだよ!)

その後カズミ達は無事に特務機関の仲間と合流した。ブルトニアに戻った後、監視付きではあるがアルトは解放された。勿論詳細は知らされなかった。



──中央大陸、とあるアジト──

「何だコレは!!」

手に入れた情報の内容を見てゼウスが机に拳を叩きつけた。

「これが事実なら私のやってきたことは全て、全て...!!」

いつもなら柔らかい彼の表情はまるで般若のようだった。

「フッ...まあいい。私のやる事はこれで決まった」

ゼウスはいつもの表情に戻り笑顔を浮かべたが、目は笑っておらずその奥には憤怒の焔が宿っていた。
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