このスレッドは1000レスを超えています。もう書き込みはできません。次スレを建ててください
【咲-saki-】京太郎「ウルトラマンの力」咲「光よ!」
- 53 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/01(水) 23:25:22.77 ID:8W6qAzpz0
-
倒れた一般人をそっと壁際に寄せる
はやり曰く『病院に連れて行ってどうにかなるものでもない』らしい
京太郎とはやりの二人が東横桃子の座る卓につく
京太郎「素直にやってくれるんですね」
はやり「まぁ強い雀士を倒した方が覚醒が近づくからね……トシさんからの情報だと」
つまり―――
京太郎・ベリアル『飛んで火に入る夏の虫、か』
二人の声が重なる
京太郎「……っていうか、俺にほんとにやれるんですか?」
はやり「メダルを入れた雀士は強くなるからね、ベリアルメダルの入った京太郎くんなら」
京太郎「ベリアルさんのおかげで、ですか……」
はやり「まぁね……それは敵も一緒だけど」
自分も相手も強化をされているらしい
だが、元が弱い自分がベリアルメダルを入れるだけでそれほど強くなれるのか甚だ疑問でもある
それでも、自分は頼られた―――自分は、頼られたのだ
ベリアル『……』
京太郎「役に、たちますか?」
はやり「うん、トシさん曰く京太郎くんとベリアルメダルの相性は、かなりいいらしいから」
京太郎「わかり、ました……」
はやり「それと」
京太郎「はい」
はやり「これもトシさん情報だけど……ビックリしすぎないでね?」
京太郎「は、はい……?」
- 54 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/01(水) 23:33:05.87 ID:8W6qAzpz0
-
自動卓のボタンを押すのは、桃子
ガラガラと音を立てて、牌が自動卓の中で移動していく
東横桃子から溢れだすのは、オーラ
京太郎「っ!」
ベリアル『ハッ、くるぞ小僧!』
京太郎『……はい!』
消える東横桃子、だがその淀んだ邪悪な闇が、ハッキリとわかる
手元にせり出てくる雀牌
それに触れて、感覚が妙に鋭くなっていくのがわかる
京太郎(え、てかこれ鋭くなるってか……視界が、細まるって、いうか……)
- 55 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/01(水) 23:44:25.19 ID:8W6qAzpz0
-
―――【???】
しっかりと、眼を見開いた
雀卓の前に自分はいた―――はずだ
京太郎「はず、なんだけど……」
街―――だった。
そこは街で、先ほどまでいた雀荘の前
田舎道にある雀荘だ
京太郎「えっと……」
ベリアル『そういうことか』
京太郎「え、わかります?」
ベリアル『ハッ! 別にそれほど珍しいことじゃない』
京太郎「そうなんっすか?」
ベリアル『夢の中に出る怪獣の話を聞いたこともあるしな』
京太郎「え、どうやって倒すんですか?」
ベリアル『寝て戦うに決まってるだろうが』
京太郎「えー」
- 56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/01(水) 23:48:26.15 ID:3pU3szVC0
- ティガにそんな怪獣いた気がするww
あれは夢の中に出たとは違うけど
- 57 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/02(木) 00:00:45.60 ID:39PjmD9I0
-
京太郎「にしても、俺は一体これからどうすれば―――」
瞬間、轟音が響く
ビクッと体を震わせてそちらに目をやれば
少し離れた場所に―――
京太郎「なんもいない……」
しかし建造物は倒れている
次の瞬間、さらなる轟音と共に近場の木々が潰された
焦って走り出す京太郎
京太郎「なんだよぉ!」
ベリアル『怪獣だな、ハッ……あいつは確か』
京太郎「と、ともかく!」
取り出したゼットライザーのトリガーを引くと前方に現れるゲート
背後の道が潰される音が響く
ナニカに潰されるより早く、京太郎はゲートへと飛び込んだ
京太郎「い、命拾いしたっ!」
ベリアル「ハッ! 早くしろ! 暴れたい気分だ!」
京太郎「りょ、了解っす!」
ベリアル「それにここなら、好きなだけ暴れられるしなァ!」
頷いて、京太郎が左手にウルトラアクセスカードを持つ
それを右手のゼットライザーにセットするとブレードを稼働させる
ベリアル「いくぞ小僧!」
京太郎「ベリアァル!」
トリガーを引き、叫ぶ!
- 58 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/02(木) 00:27:09.86 ID:gzXPI60Z0
-
空から降りてくるのは白銀の巨人
ウルトラマン、とベリアルは呼ばれたくないとは言っていた
故に呼ばなかったのだが―――ウルトラマン。そう言うにふさわしいと京太郎とて思ってはいる
京太郎『……ベリアルさん、東横さんを助けるために戦いましょう!』
ベリアル『……良いだろう』
意外といえば意外なのだ
粗暴な雰囲気を出すベリアルがここまであっさり自分に協力してくれるのは……
だが、それで助かっているのも事実
そして、まだ変に踏み込んで聞くほどの関係ではないと京太郎とて理解していた
ベリアル『ボケッとしてるな、いくぞ小僧!』
京太郎『はい! ……ってどこに?』
ベリアル『こいつは……』
????「―――!!」
瞬間、咆哮が聞こえた
それと共に衝撃で吹き飛ばされるベリアル
当然変身している京太郎自身も、ダメージを受ける
京太郎『ぐああっ!』
ベリアル『ぐっ……このオレが!』
吹き飛ばされて、身体はそのまま民家を押しつぶして倒れた
顔をしかめる京太郎は、ベリアルの身体を気遣いつつ起き上がる
もちろん京太郎が起き上がればベリアルの身体も起き上がるのだが……
????「―――!」
ベリアル「グアアッ!」
“なにもない空間”から電撃
それを受けてベリアルは黒煙を上げながら、膝をつく
咆哮が聞こえる
京太郎『ベリアルさん! 動きましょう!』
ベリアル『当然だ!』
すぐに横に転がると、先ほどまでいた場所に電撃が直撃していた
京太郎とてなんとなく理解してる
ベリアルの能力は本来ならばもっと高いはずだ
京太郎『すんません、足引っ張って!』
ベリアル『……』
京太郎『でも、それでもっ!』
- 59 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/02(木) 00:44:01.43 ID:gzXPI60Z0
-
京太郎『俺は……戦う、東横さんを助ける!』
転がるベリアルがさらに電撃を避ける
京太郎はハッキリとその願望を口にし、闘志を込めた瞳を虚空に向けた
ベリアルの笑い声が聞こえる
京太郎『ベリアルさん?』
ベリアル『フハハハ! 小僧、ちったぁ戦士らしい眼をする』
そう言うと、京太郎と共に構えを取るベリアル
爪を透明な虚空に向け、しっかりと足を踏みしめる
ベリアルの胸のカラータイマーが点滅を始めた
京太郎『これは?』
ベリアル『不安定な状態じゃ、動ける時間に限界があるってことだ』
つまり、見えない敵を相手に、一方的に攻撃してくる相手に、時間制限までついた
頭を回転させる京太郎
先ほどからの電撃攻撃、破壊された建物
京太郎『もしかしたら!』
ベリアル『やってみろ』
両腕を前に構えるベリアル
その瞬間、右側からの電撃が直撃する
ベリアル「グゥッ!」
京太郎『右ぃ!』
そちらへと顔を向けるベリアル
京太郎『デスシウムロアー!』
顔の、口あたりから放たれる破壊音波
それが攻撃するのは地面であり、巻き起こる砂埃
ベリアル『ハッ! おもしれぇ』
- 60 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/02(木) 01:01:59.26 ID:rPNSB7PE0
-
◆BGM:DREAM FIGHTER【http://www.youtube.com/watch?v=2bJEDgeuVtE】
その砂埃は敵の姿を映しだす
静電気により、その怪獣の姿が見えるようになった
形は曖昧だが、おおよそは理解できる
京太郎『四足歩行?』
ベリアル『ネロンガか』
京太郎『……知ってましたね?』
おそらく、自分を試したのだろう
ベリアル『上出来だ。もうしばらくは、お前の身体を使ってやる』
京太郎『あはは、ありがたいことで……』
ベリアル『それにしてもネロンガ、相手をするのは初めてだな』
そう言うと、素早くその場から退く
迸った電撃がベリアルの真横を奔った
ベリアル『おもしろい、斬ってみるか!』
京太郎『はい!』
ベリアル・京太郎『デスシウムリッパー!』
胸の前で両手を水平に振るう
放たれる斬撃が、ネロンガの頭部にあった角を斬り裂いた
咆哮を上げるネロンガの姿が露わになる。今度はハッキリと
ベリアル「デヤァッ!」
跳び上がり、ネロンガを飛び越えるその瞬間、爪撃をくわえる
京太郎『まだまだぁ!』
さらに斬撃、斬撃、打撃
怒涛の攻撃に、ネロンガはひるみ、吹き飛んで倒れる
まだ立ち上がろうとするネロンガを前に、ベリアルは右手に紅い稲妻を纏う
京太郎『東横さんを、返してもらうぞ!』
そして水平に構えた左腕の後ろに、垂直に右腕を構える
京太郎・ベリアル『デスシウム光線!』
- 61 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/02(木) 01:11:58.40 ID:rPNSB7PE0
-
光線の直撃と共に、爆散するネロンガ
その爆煙を前に、ベリアルは静かに立つ
赤いカラータイマーが点滅し、音を鳴らしている
京太郎『……やりましたね』
なにも言わぬベリアル
地を蹴り、上空へと飛び上がり―――精神世界から去る
京太郎は、東横桃子の無事を願いながら
- 62 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/02(木) 01:26:01.06 ID:rPNSB7PE0
-
―――【雀荘】
意識がはっきりと戻ってくる
だが突如、京太郎の脳内に溢れる記憶
京太郎「ッ!」
ベリアル『ほう、そういうことか』
ハッキリと、記憶があるのだ
東横桃子、瑞原はやりの二人と―――麻雀をやった
京太郎「これは……」
はやり「京太郎くん?」
京太郎「あ、はやりさん……」
桃子の方に視線をやると、意識を失っているようだった
視線をはやりの方へ移すと、安心したような表情を浮かべている
はやり「話に聞いていたより全然、麻雀強いね」
京太郎「そう、なんですかね……」
手に感触もある。自分が打ったと言う経験すら残っていた
精神世界で戦った自分と麻雀を打った自分、どっちが本当かわからない
あるいは両方が本物だからおかしな感覚なのだろう
京太郎「……」
ベリアル『どうでもいいことだ。お前は……戦うだけだ』
京太郎「雀士として、戦士として……」
はやり「……京太郎くん、東横さん連れて行こう? 今ならまだ、認知されてない」
京太郎「え、あ、はい」
周囲のだれも気にしていないようだった
立ち上がった京太郎
昨日ほどの倦怠感はないものの、疲労は確かにあった
京太郎「よっと」
はやり「行こう」
- 63 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/02(木) 01:36:00.42 ID:rPNSB7PE0
-
車に乗り込むはやりと京太郎
後部座席に桃子を横に寝かした状態にする
息をついて座席に身体を預ける京太郎
はやり「ありがとう、京太郎くんが……きっと戦ってくれたんだよね。私の知らないとこで」
京太郎「……いや、はやりさんも麻雀してましたし」
はやり「ううん、勝ったのは京太郎くんだから」
確かに、喜んだ感覚すらも存在するが、自分が自分の力だけでそんな結果生み出せるわけがないのだ
京太郎「……複雑ですけど」
はやり「割り切れると良いね。借りものだとしてもそれは京太郎くんの力だよ」
京太郎「そう簡単に割り切れませんよぉ」
苦笑するはやりが車を動かす
少しの揺れと共に、来た道を引き返していく
今はハッキリと東横桃子の姿が視認できる
京太郎「……」チラッ
桃子「……」ガタンッ タユン
京太郎「あ、おもち」
はやり「おもち?」
京太郎「なんでもないです!」
- 64 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/02(木) 01:43:47.87 ID:rPNSB7PE0
- とりあえず今回はここまでー
次回は第二話後編、安価もある
まだ設定というか世界観説明みたいになってる
もうちょっと明るい話とかもいれられるようどんどん進めてくよー
次はたぶん金曜日になりますー
そんじゃまたー
- 65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/02(木) 01:53:33.96 ID:oC++A9Jm0
- 乙
- 66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/02(木) 11:06:48.54 ID:Pd5teehk0
- 乙
京太郎はしっかりウルトラマンやりはじめたな
今後も長野で戦ってく感じか?
- 67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/03(金) 03:31:40.71 ID:7hkduUvP0
- 麻雀も強くなりつつ事件解決してく感じなのか
次の安価はどんなのだろう
- 68 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 14:04:55.66 ID:GvpZ09gL0
- こんな昼間っからちょっとだけやるー
>>66
全国もいくよー
第一部長野的な
- 69 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 14:16:23.39 ID:2W1DMbNk0
-
―――【???】
車が昨日と同じく施設内の車庫へと入る
息をつくはやりが隣を見れば、そこには眼を閉じて眠っている京太郎
背後の東横桃子も、眠っているようだ
はやり「こんな子供に、守ってもらっちゃって……」
そっと、京太郎の頬に触れる
脳裏に浮かぶのは、昨日のウルトラマンベリアルの姿
はやり「それは京太郎くんで……」
少しばかりの溜息をつきながらも、自身の頬を二度叩く
やることは一つ、今は目の前の少年のサポートと、街を―――世界を守ること
はやり「さて……起きて京太郎くん」ユサユサ
京太郎「んぁ……え?」
はやり「おはよう」フフッ
京太郎「……すみません!」バッ
はやり「いいよ、お疲れさまだね……東横さんをお願いして良い?」
頷くと、京太郎はすぐに車を降りて桃子を抱える
そんな姿を見て、少しばかり眉をひそめはやりは笑った
- 70 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 14:39:11.50 ID:0daSruSx0
-
―――【???:作戦室】
京太郎は、東横桃子を裕子に預け戻ってくる
佳織の方の精密検査の結果はもう出ていると聞いた
その話を聞くためにも、トシとはやりの二人を眼前に席に着く
京太郎「お待たせしました」
トシ「いいや、こっちも積もる話だらけだからね……」
京太郎「そりゃそうか……ところで」
トシ「妹尾佳織なら心配ない。全ての数値が正常だね」
はやり「後は起きるのを待つだけだね……今までのパターンと一緒」
京太郎「麻雀で倒したパターンとってことですよね?」
トシ「ん、ところで東横のメダルは?」
京太郎「え、麻雀で倒してもメダルって出るんですか?」
トシ「そりゃね、身体から出たメダルを手に入れないと、どうにもならないし」
はやり「元を断たないとってことだね」
そう言って、はやりが取り出すメダル
先ほどの怪獣ネロンガが描かれているところを見れば、やはりそれは昨日のベムラーと同じ
京太郎「……怪獣メダル。こんなもの」
ベリアル『ハッ、地球はどこも狙われるもんだ』
京太郎「地球は、どこも……?」
ベリアル『ともかくだ、気にいらねぇ……怪獣の力はともかく……』
京太郎「ともかくって……?」
トシ「デビルスプリンターは?」
はやり「はや? ああ例の、そっちに関しては……倒した時に同時に、消滅を確認してます」
トシ「なるほどね」
頷くトシに、京太郎は小首をかしげた
ベリアルはなにを言うでもない
- 71 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 14:55:26.04 ID:0daSruSx0
-
少しばかりの沈黙
三人とも考えることは山ほどあるということだろう
そして、京太郎は沈黙を破る
京太郎「そういえば、今日って平日ですよね……俺、学校が」
トシ「そっちは大丈夫、それに妹尾や東横の方も大丈夫にした」
京太郎「した?」
トシ「ああ、した」
その言葉に、京太郎が小首をかしげた
京太郎「した、って……どういうことっすか?」
はやり「そのままの意味だよ。公休扱いでどーにでもできるってこと」
そこにきて、根本的な疑問が浮かぶ
昨日と今日でそれどころでは無かったものの……
京太郎「……ここ、なんなんです?」
トシ「……言ってなかったっけ?」
はやり「なかった?」
京太郎「ないっすよ!」
トシ「……じゃあ改めまして」
そう言ってキーボードを叩くトシ
モニターに表示されるのは逆三角のエンブレム
なにやらしっかりと装飾もされていた
トシ「政府極秘公認、特異災害及び特異現象及び超常現象対策課……略して特異課」
はやり「まぁ……お金全然ないけどね」
トシ「実際に怪獣も超常現象も起きてるんだ、こっからだよ。経費使い放題」
はやり「お酒飲み放題ですね」
ベリアル『欲望まみれだな、ハッ!』
京太郎「えっと……とりあえず学校のことは特異課にお任せするとして」
- 72 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 15:07:27.92 ID:0daSruSx0
-
もう一つの疑問が思い浮かぶ
京太郎ははやりが置いたネロンガメダルを手に取った
そこに描かれるネロンガ、そしてホルダーのベムラー
京太郎「和は、原村和は……学校に? それにまこ先輩と、南浦数絵とか」
トシ「……秘匿されてるけど、今は珍しくないんだよ」
京太郎「え?」
トシ「雀士の行方不明」
京太郎「……ま、じっす、か」
はやり「うん、メダルを入れられて敵になっているのか……それとも」
京太郎「嘘でしょ。ゆ、優希! 片岡優希と竹井久さんは!」
焦ったように聞く京太郎に、トシは手を前に出す
落ち着けと言いたいのだろうと理解するが、そう簡単にできるものでもない
はやりが横に来てそっと背中に手をそえた
はやり「わかる、私の友達も行方不明だから……」
京太郎「はやりさん……」
はやり「私たちがやらなきゃだから、今は……ね?」
京太郎「っ……はい」コクリ
トシ「正直に話すとだ、行方不明さ。今あげた全員」
京太郎「なら」
トシ「でも必ず動き出す。それは間違いない……」
ベリアル『後手後手だな』
京太郎「……待つしか、ないか」
そう言って肩を落とす京太郎
トシは静かに、背もたれに身体を預けた
京太郎の背中に添えられていた手が、離れる
はやり「ゆっくり、それまでしっかり休まないとだね」
京太郎「……はい」コクリ
二人が部屋から出ていく
トシ「……明確に全国に広がる前に、なんとかしないと、だねぇ」フゥ
- 73 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 15:21:58.12 ID:0daSruSx0
-
―――【特異課施設:京太郎の部屋】
部屋に入った京太郎が、背を伸ばした
徒歩10分の道のりでコンビニまで行って買ってきた紙パックの飲み物にストローを差す
京太郎「みんな、行方不明……きっと、咲も」
幼馴染を思い浮かべる
数々の出来事、この夏での仲間たちとの……
咲と、麻雀部の者達と、あの―――
京太郎「っ」
燻るような感覚
ベリアル『ハッ……』
京太郎「なにがおもしろいんっすか?」
ベリアル『さぁな』
投げやるような言葉に、京太郎は顔をしかめた
ベッドに体を投げて自らの手を真上に向ける
今朝見えたのはなんだったのかと思い出す
ベリアルの白銀の指先でなく、黒い爪
京太郎「俺は、どうすればいいんだ」
ベリアル『振りかかる火の粉全部、吹き飛ばしゃ良いんだよ』
京太郎「爆風消化ってレベルじゃないっすね」ハハッ
ベリアル『ああ、それで見えた火の元を……叩き潰す、だろ?』
その言葉に、頷く
言葉こそ粗暴、しかし言っていることに間違いを感じない
やることは一致している
自分とベリアル、今はまだ、相棒なのだ……
- 74 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 15:30:18.12 ID:0daSruSx0
-
第2話【雀士で戦士】 END
- 75 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 15:41:01.27 ID:0daSruSx0
-
◆次にやることとは?
1、清澄高校に向かう
2、鶴賀学園に向かう
3、桃子か佳織が起きるまで待つ
◇
- 76 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 15:45:02.45 ID:0daSruSx0
- 一旦ここまでー
再開は本日の21時30分から22時の間ぐらいの予定ー
多少ストーリー変わるけども、ここは多少
そんじゃまたあとでー
- 77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/03(金) 16:35:43.53 ID:7hkduUvP0
- 乙ー
多少の変化ならモモとの絡み求めて3だな
- 78 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 21:25:57.83 ID:7wrwALsG0
- 帰ってきたー
とりあえず安価から、30分からやってきますー
変化は多少のことなんで気にせずどうぞ
- 79 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 21:30:07.82 ID:7wrwALsG0
-
◆次にやることとは?
1、清澄高校に向かう
2、鶴賀学園に向かう
3、桃子か佳織が起きるまで待つ
◇5分間で↓1からコンマが一番高いルート
- 80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/03(金) 21:31:20.79 ID:7hkduUvP0
- 3
- 81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/03(金) 21:35:12.29 ID:R94A1aAKO
- 2
- 82 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 21:37:47.02 ID:7wrwALsG0
-
3、桃子か佳織が起きるまで待つ
- 83 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 21:48:40.71 ID:7wrwALsG0
-
あれから五日が経った
京太郎はと言えば、家に帰って荷物を取って来たり寝たり
少し運動したり、ベリアルやはやり、それに裕子と話をしたり
―――戦ったり、の日々である
森林地帯。ここもまた精神世界
二足歩行の怪獣、シルバゴン
京太郎・ベリアル『デスシウムリッパー!』
水平に腕を振るえば放たれる斬撃
それが真っ直ぐに―――シルバゴンの首を落とした
ベリアル「……ハッ!」
そして白銀の巨人、ベリアルは空へと消えていく
- 84 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 22:00:32.90 ID:7wrwALsG0
-
―――【特異課施設:作戦室】
ドアが開いて、京太郎が入ってくる
肩をぐるぐる回しながら、欠伸を噛み殺す
京太郎「戻りました〜」
裕子「あ、お疲れ」
トシ「お疲れさん」
京太郎「うぃっす」
軽く返事をして、ググーッと体を伸ばした
京太郎「あれ、トシさん三日ぶりです……てか怪獣倒した時ぐらいしか来ないじゃないっすか」
トシ「これでも忙しいの」
裕子「今回は風越の麻雀部生徒だったみたいね」
京太郎「はい、詳しくは知りませんけど
そう言う京太郎に裕子も『レギュラーメンバーじゃない』ということを伝える
知っている顔ばかりがこうなるものと思っていた京太郎だったが、三日前の“戦い”でも知らない他校の生徒だったことを思いだす
京太郎「ここ二回とも余裕でしたけどね」
トシ「麻雀の腕も能力も、妹尾や東横と比べれば……だからね」
京太郎「不思議なもんですね。それで怪獣の強さが変わるなんて」
そんな言葉に、裕子は苦笑する
裕子「こっちから見てる分には麻雀してるようにしか見えないけれど」
京太郎「そっすよね……」
トシ「それとメダルとの相性もそれほど良くないんだろう」
京太郎「そういうもんっすか?」
トシ「そういうもんさ」
- 85 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 22:10:40.47 ID:7wrwALsG0
-
さらに、ドアが開いて入ってくるのははやり
スーツ姿で、身体を伸ばしながら
見慣れたそんなはやりを前に、京太郎は頷く
京太郎「お疲れさんです」
ベリアル『アイツは麻雀打ってただけだろ』
京太郎「そんなこと言わない」
裕子「え?」
京太郎「ああいやなんでも!」
未だに裕子は、京太郎の中に“ウルトラマン”がいることを知らない
はやり「……お疲れ様だね、京ちゃんも」
京太郎「うっす」フッ
トシ「仲良くて結構」
はやり「まぁバディですし?」
トシ「あんたと京ちゃんでバディ・ゴーと」
京太郎「ボケました?」
トシ「どっちの意味か知らないけど、場合によってはぶつよ」
京太郎「すみません」メソラシ
謝って視線を逸らすと、丁度裕子と眼が合う
裕子がハッとしてポンと手の平を拳で叩く
京太郎「?」
裕子「妹尾さんと東横さんが起きました」
京太郎「……えっ!?」
はやり「はやっ! 早く言ってよ!」
トシ「それじゃ、行くかね」
- 86 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 22:23:02.83 ID:7wrwALsG0
-
第3話【連続車両失踪事件】
- 87 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 22:30:58.91 ID:7wrwALsG0
-
―――【特異課施設:休憩所】
丸テーブルがいくつも置かれた場所
その一つのテーブルを囲むようにいる京太郎、はやり、裕子、トシ
そして……
桃子「えっと……」
佳織「そのぉ……」
東横桃子と妹尾佳織の二人
入院患者のような服を着ている二人の前に、京太郎は冷静さを保つのに精いっぱいだ
深くは語るまい……
ベリアル『こいつら、ただの人間だな』
京太郎『そりゃそうですよ、俺の知ってる二人です』
トシ「二人共別状ないようでなにより」
桃子「別状どころか、記憶も曖昧で」
佳織「私なんてほとんどないよぉ」
その方が幸せだとは言うまい、と京太郎は目を伏せる
桃子はともかく佳織はあんまりだ
トシはラッキーだと言っていたがどこがだ、と京太郎は心の中で悪態をつく
トシ「さてと……じゃあ説明を始めようか」
京太郎「どこまで?」
トシ「怪獣のメダルと、身に降りかかったことについてね……」
- 88 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 22:40:34.69 ID:7wrwALsG0
-
説明したのは、文字通りおおよそのことだ
最近このあたりで起きたこと、メダルを入れられたこと
それによって、麻雀をしてどういうことがおこったのかということ……
京太郎(さすがに、妹尾さんの怪獣化までは話さなかったけど……)
ベリアル『いずれわかることだろ』
京太郎『それでも、ですよ……今はね』
ベリアル『ふん』
苦笑する京太郎は佳織と桃子の二人に視線を向けた
どういう状況か、飲み込もうとしていはいる。いるのだが……
桃子「か、怪獣メダルで……」
佳織「雀士が大暴れで雀士が大変?」
トシ「まぁ、大体そんな感じ?」
京太郎「そんな感じですか?」
はやり「誰にメダルを入れられたとか、わからない?」
桃子「えーっと」
佳織「どうして、いつ……」
二人が頭を抱えている
それを見て、京太郎はトシの方に視線を移す
言いたいことは理解できたのか、トシは頷く
トシ「まぁ良いよ、その内思い出すだろ……」
はやり「そういうものかなー?」
トシ「そういうもんだよ」
裕子「それじゃ今日は解散で、妹尾さん東横さん、二人もゆっくり休んでね」
桃子「は、はい!」
佳織「え、えっと……お、お願い、します?」
はやりと裕子の二人が笑みを浮かべて頷いた
- 89 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 22:56:40.44 ID:1PSdxxpq0
-
それからしばらくして、京太郎は先ほどと同じく休憩所
一度、部屋に戻ったもやることもないとそこで麻雀のアプリをしている
はやりが一度通って、世間話をしたが忙しいのか去って行った
京太郎「んー」
ベリアル『おい、テレビを見ろ』
京太郎「あ、またっすか?」
点いていたテレビに映っているのはベリアル
あの日、ベムラーと戦う姿
ここ数日はずっとこうだが、それもまた仕方ないことだ
京太郎「よく雀士が消えてることだけでも隠せてるよなぁ」
ベリアル『ハッ、時間の問題だろ』
京太郎「ですけどね」
??「一人事っすか?」
京太郎「うおっ!?」ビクッ
突然の声に驚きながら首を声のした方へと向ける
京太郎「東横さん……」
桃子「私とかおりん先輩があんなことになってる内に、とんでもないことになってたんっすね」
京太郎「あ〜、あはは、らしい」
桃子「怪獣にウルトラマン、なにがなんだか……」
京太郎「……俺もだよ」ハハハ
- 90 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 23:06:18.65 ID:1PSdxxpq0
-
桃子と二人で話す
そんな機会があるとは京太郎とて夢にも思っていなかった
不思議な感覚を覚えながらも、会話は止まらない
桃子「須賀さんも大変っすねー」
京太郎「まぁお互いだけど……先輩、だっけ?」
桃子「はい、どうやら学校に行ってたり雀荘に行ってたりで、足取りつかめてるって言ってたんで安心ですけど」
京太郎「そりゃなによりです」
ただ、純粋にその言葉を送る
だが桃子の方はというと、少しばかり眉をひそめる
桃子「あ〜清澄はその」
京太郎「麻雀部、全員行方不明らしいから……まぁ内、和にやられてっけど」
桃子「じゃあそのかたき討ちのために?」
京太郎「……そんなつもりじゃないけど」
そんなつもりではないはずだ。だが、実際はどうなのだろうか?
街を、人々を守りたいから戦っているのではないのか?
悩む京太郎
京太郎「……」
??「あ、モモちゃんと須賀君」
桃子「かおりん先輩!」
京太郎「妹尾さん、大丈夫そうっすね」
佳織「あ、うん……聞いたよ。須賀君が助けてくれたって、ありがとう」ニコッ タユン
京太郎「あ、はい」
京太郎(めっちゃおっぱい揺れるやんけー!)ヒャッホー
そして悩みが吹き飛ぶ京太郎だった
- 91 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 23:13:26.28 ID:1PSdxxpq0
-
―――深夜【道路】
長野の地を走る一台の車
真紅のRX-7が風を切って走る
そして、その運転席に座るのが……
はやり「いや〜! やっぱ自分の車が一番だなー!」
自分が出した曲を流しながら走る
特異課の4WDとはまったく違う爽快感
はやり「ん〜今度は京ちゃんも乗せてあげよー」
ピーピーピー
はやり「はやっ?」
車の速度を落として、改造して装備したカーナビに触れる
モニターに映るのは裕子の顔
眠そうな顔をして眼をこすっている
はやり「どしたの?」
裕子『ふぁ〜えっと、その近くにぃ、特異反応がぁ』
はやり「寝てたね」
そう言いながら、カーナビの画面に表示された方へと走る
- 92 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 23:29:23.43 ID:1PSdxxpq0
-
反応をたどって車でやってきた
砂利道を走り、街灯も民家も少ないそこで止まる
倉庫のようなものがいくつもあるが、それだけだ
はやり「ん〜……」
車を降りて、はやりは背を伸ばす
綺麗な空気を肺一杯に入れて深呼吸
そしてケータイを取り出して歩き出す
はやり「ライトつけないと危ないかぁ」
ケータイでライトをつけて車から離れて歩く
はやり(というか、一人って危ない気も……いやいや)
懐から取り出すのはメタリックな銃―――のようなもの
トシ曰く【ガッツハイパー】とかいう名前、円柱型のカートリッジをいくつか左手に持って歩く
ライトを点け目の前を照らしながら……
はやり「ちょっと怖いなぁ……」
ガシャンッ
はやり「はやぁっ!!?」
大きな音に驚いて、ケータイを落とす
少し地面が揺れる感覚を覚えるが、きっと動揺しているからだろう
ケータイを拾って周囲を見渡すが、なにもない
はやり「はやぁ、京ちゃんに来てもらえばよかったぁ」
そこで気づいて、後ろへと振り向く
はやり「え?」
さらに、周囲を見渡す
はやり「え……え?」
おかしい、そんなわけがない
- 93 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 23:33:32.37 ID:1PSdxxpq0
-
ライトが左右へと振られる
はやりの目もくるくる回っていく
はやり「は、は……は……」
倉庫しかない。そう、なかった
“倉庫しか”なかったのだ
はやり「は、はやりの車アァァァァァァァッ!!!!????」
- 94 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/03(金) 23:43:54.81 ID:1PSdxxpq0
-
―――朝【特異課施設:休憩所】
京太郎が作った朝御飯を、桃子と佳織の二人と食べる
昨日の話の流れからそうなったのだが二人共満足そうでなによりと頷く
京太郎「さて、今日は……」
裕子「あら須賀君」
京太郎「ああ裕子さん、どしたんですか?」
裕子「いやぁ、作戦室で寝ちゃって〜異常反応があって〜」
京太郎「へぇ〜」
そう返事をしながらテレビへと視線を向ける
裕子も欠伸をしながらそちらを見て……なにかを思いだそうとしていた
桃子「え〜この辺のニュースっすよ」
佳織「結構、この辺のニュースに敏感になってるみたいだね、みんな」
京太郎「車が一晩で何十台も消えた?」
裕子「なんか思い出しそう……」
京太郎「なんかって……あ、はやりさん」
裕子「そうそう! 瑞原さん!」
そう言った瞬間、止まる
京太郎は小首をかしげて裕子の背後の方を見ていた
裕子の脳内に昨夜のことが、鮮明に思い出される
京太郎「ってどうしたんっすか?」
はやり「……」
振り返る裕子
俯いているはやりは、少しばかりボロっとしているようにも見えた
この季節といえど数十キロも歩いたせいか汗もかくだろうし、髪もぼさっとしているし
裕子「ごごご、ごめんなさい」メソラシ
京太郎「はやりさんどうしたんっすか?」
そう言って、近づいていく京太郎
俯いていたはやりが顔を上げると―――その瞳には一杯の涙
ギョッとする京太郎
京太郎「どどど、どうしたんっすか!?」
はやり「は、はやりの車ぁぁぁぁ」ビエーン
京太郎「く、車……車ぁ!!?」
桃子「……なんか大変そうっすね」
佳織「だねー」
- 95 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 00:08:18.89 ID:hctyo9Wo0
-
―――【特異課施設:作戦室】
集まっているのは京太郎、トシ、はやり、裕子の四人
イツメンというやつである
超常現象だということで色々と情報を整理しようとも思ったのだが……
京太郎「えっと……」
はやり「うぅ〜」エグエグ
京太郎「なんつーか、はい」
泣いているはやりの背中を撫でる
昨日キラキラの瞳で出かけて行ったはやりが脳裏を浮かぶ
哀れである
京太郎「えっと……怪獣ですか? リアルに」
トシ「だろうねぇ、想像つくけど」ハァ
京太郎「さすがっすね
裕子「どんな怪獣なんですか? 周囲のものを砂に分解するとか?」
ベリアル『そう言われると波動生命体を思い出す』
京太郎『知ってるんですか?』
ベリアル『まぁ今回は違うと思うがなぁ』
京太郎「?」
トシ「昨日、はやりが行ったとこの地図出せるかい?」
裕子「あ、はい」
キーボードを叩く裕子
モニターに映し出される上空からの映像
京太郎「倉庫が沢山……」
裕子「元、廃車ばかり置いてあった場所らしいけど」
はやり「なかったよ? 視えるのはシャッターばっかで……」
トシ「ん〜なるほどね」
京太郎「なるほどって?」
トシ「倉庫かぁ」
- 96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/04(土) 00:10:30.28 ID:liNF0+G40
- ギャグ回かww
はやりんかわいそうww
- 97 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 00:18:42.07 ID:hctyo9Wo0
-
手を顎に当てて言うトシに、京太郎が小首をかしげた
京太郎「倉庫がなんかあるんですか?」
トシ「まぁーあくまで予想だけどね」
京太郎「予想? えっと、波動なんとかですか?」
その言葉に、トシが少し眉をひそめる
ベリアルからの知識だと理解したのだろう
トシ「メザードにしちゃ被害が少ないからその可能性は低い」
はやり「少なくないですぅ!」クワッ
トシ「あ〜はいはい、そうだね、被害甚大甚大」
はやり「ばかにしてぇ〜!」
トシ「京ちゃん、はやくはやり連れて調査! 裕子も!」
裕子「はい」コクリ
すぐに立ち上がった裕子に習って京太郎も立ち上がった
スーツ姿のはやりの背に手を添えて立たせる
京太郎「あ〜行きましょうはやりさん」
はやり「ぶっころしてやるぅ〜」
京太郎「牌のお姉さんがそんなこと言わない」
- 98 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 00:37:29.97 ID:hctyo9Wo0
-
―――【廃車場】
トシの指示に従って、京太郎たちは昨日の場所へとやってきた
消えた車の行方を追って、並びに怪獣探しだ
いざとなった時のために京太郎も来たわけなのだが……
京太郎「車ねぇ……」
ベリアル『……』
京太郎『ベリアルさん、心当たりあるんでしょ?』
ベリアル『あるが……まぁ一応周りは見といてやる』
頷く京太郎が、周囲へと視線を向ける
懐からトシから受け取った【ガッツハイパー】を手に、はやり、裕子と共に周囲を探っていく
それでもおかしいところなど見当たらないのだ
京太郎「え〜倉庫の中とか、探りたくないんですけど」
はやり「昨日はやりはもっと怖い思いしたんだからねっ!」
裕子「あ〜はいはい」
はやり「信じてない! 歩いて帰る羽目になったしぃ!」ナミダメ
京太郎「ま、まぁまぁ……」
はやり「じゃあ探索!」
京太郎「あーはい」コクリ
- 99 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 00:52:12.52 ID:SUs7zei00
-
警戒しつつ移動する京太郎たち
ガッツハイパーの射撃訓練は、京太郎とて一応していた
万が一のために、ではない……直近の“使命のため”だ
京太郎「ところで、なんですけど」
はやり「はや?」
京太郎「車、ですか?」
隣のはやりに聞くと、戸惑い気味に頷く
はやり「え、うん」
京太郎『ベリアルさん、車を消す怪獣っていうか……それに近しいのが、いるんですか?』
ベリアル『……ああ、食う、じゃねぇか、運ぶ怪獣がな』
車を運ぶ怪獣。どこに、など些細な問題だ
一番の問題、今ようやく京太郎が辿りつけそうなその問題
裕子がシャッターを遠隔操作で一つ一つ開いていく
京太郎「妹尾さん、東横さん……間に何人かいたけど、鶴賀は五人、そのうちの二人」
あの五人の仲の良さは咲たちからも聞いている
清澄と同じく人数ギリギリの団体戦出場、基本五人でしていた練習
インターハイが終わってからもだと聞いている
京太郎「……それで、車」
一度だけ、故あって乗せてもらった記憶があった
その答えに辿りつけそうな瞬間、地響きが鳴る
京太郎「蒲原智美?」
はやり「はやぁっ!!?」
裕子「そうきたかぁ」
少し離れた場所にある、倉庫が―――“立ち上がった”
裕子「あ、ああ……あーーーー!!」
はやり「倉庫が、倉庫が建ったーーー!!」
裕子「今うまうこと言った!」
京太郎「言ってる場合ですか!」
ベリアル『クレージーゴンか!』
- 100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/04(土) 00:58:36.56 ID:liNF0+G40
- ふざけすぎだろww
- 101 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 01:02:47.47 ID:SUs7zei00
-
立ち上がった倉庫ことクレージーゴン
脚はあるが腕が、右が巨大で左が小さい
右は大きなクレーンのようにも見える……というよりクレーンなのだろう
はやり「て、撤退!」
裕子「はやく車へ!」
京太郎「っ」
走りながら、三人がガッツハイパーを撃つ
その攻撃にひるみもせずクレージーゴンは京太郎たちの方を向く
京太郎「二人はそのまま車へ!」
はやり「っ……わかった!」
裕子「え、はやりさん!?」
狼狽える裕子の腕を掴んで、はやりが4WDの車へと走る
京太郎はそんな裕子たちと離れながらガッツハイパーを撃ちつつ倉庫の影に隠れた
一応周囲を見渡してから頷く
京太郎「っし! いきますよベリアルさん!」
ベリアル『ハッ! 久しぶりのシャバだ……暴れさせろ!』
ゼットライザーのトリガーを引き、ゲートへと飛びこむ
- 102 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 01:15:52.82 ID:SUs7zei00
-
インナースペースと呼ばれる空間
外の世界とは流れる時間が違うそこで、京太郎は静かに息をつく
なにはともあれ、現実で戦うのはまだ二回目
京太郎「……」フゥ
ベリアル『怖気づいたか?』
京太郎「まさか、俺は自分の使命を果たすだけです……!」
ベリアル『使命、か……ハッ!』
笑うベリアルに、少しばかり気になることもある
だが、京太郎がやることとベリアルがやること、目的は違えど手段は同じ
ベリアル『まぁ良い、この不愉快な感覚を全て潰すまでは、付き合ってやる!』
京太郎「ベリアルさん、お願いします!」
頷いてウルトラアクセスカードを差し込む
ベリアル『さぁ、ぶっ潰してやる!』
京太郎「ベリアァル!」
- 103 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 01:25:28.36 ID:SUs7zei00
- 今回はここまでー
色々余裕が出てきた感じの話でしたー
被害者のみんなと仲良くなったり、はやりんと仲良くなったり
そしてはやりの車は犠牲になった
明日も似たような時間からやる予定でござい
そんじゃまたー
- 104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/04(土) 02:08:27.15 ID:liNF0+G40
- 乙
箸休めのギャグ回良かった
地味に背景の説明入れてるのも楽しいし
- 105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/04(土) 02:42:36.72 ID:fqkriOT/0
- 乙
- 106 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 21:16:41.37 ID:UFvEmmJL0
- よっし再開だじぇ
安価は今回の最後の方になりそうー
- 107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/04(土) 21:20:43.44 ID:liNF0+G40
- きたか
- 108 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 21:29:09.71 ID:UFvEmmJL0
-
ロボット怪獣クレージーゴン
それがはやりと裕子の乗る4WDへと迫る
右腕の大きなクレーンを振りかぶったその瞬間―――
ベリアル「デヤァッ!」
クレージーゴン「―――!!?」
―――現れた白銀の巨人“ベリアル”が蹴りを放つ
後ろに下がって、そのまま倉庫を踏み潰すクレージーゴン
ベリアルは爪を立てた指先を開いたまま、両腕を構える
京太郎『はやりさんたちが逃げるまでの時間かせぎを!』
ベリアル『ハッ! 倒しゃ済む話だろ!』
京太郎『ごもっとも、でぇ!』
勢いよく飛び出したベリアルが腕を振るう
別に鋭い爪があるわけでもないが、斬撃が奔りクレージーゴンに確かなダメージを与える
はやり「うわぁっ!」
裕子「はやく! はやく!」
はやり「わかってるよぉ!」
即座にシフトをリバースに入れ、アクセルを踏み込む
勢いよくタイヤが回転して車が後ろへと下がっていく
その上を、行くベリアルが迫るクレージーゴンに両手で光弾を撃つ
ベリアル「ハァッ!」
- 109 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 21:44:39.85 ID:UFvEmmJL0
-
その光弾がクレージーゴンに直撃するも、そちらはあまり効いている様子はない
まだ車も離れておらず、突っ込んでくるクレージーゴンを避けるわけにもいかず両手で押さえようとする
ベリアル「グウァ!」
両腕でクレージーゴンの身体を押さえるも、大きな右腕がベリアルの身体を打つ
京太郎『ぐぅ! こっちが大人しくしてりゃ良い気になりやがってぇ!』
ベリアル『気張れよ!』
クレージーゴンへと、勢いよく蹴りを打ち込み素早く爪撃を三度撃ち込んだ
多少よろけるが大したダメージではなさそうだ
車が離れていくのを見て、身体を横へと転がして少しばかりの距離を取った
京太郎『ベリアルさん! ここらへんなら民家もない……存分にやりましょう!』
ベリアル『あろうがなかろうが、オレはどっちでも良いがなぁ!』
勢いよく飛びかかり、素早く爪撃を撃ちこむ
さらに流れるように拳を数度打ち込み、背後へとジャンプした
京太郎『痛って〜! 硬っ、パンチはやめときましょ!』
ベリアル『クローで攻撃してもそんなダメージが通りそうにねぇな』
京太郎『くっ、こんな硬いのがいるなんてなぁ……』
- 110 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 21:57:23.47 ID:VCgdBPbf0
-
クレージーゴンの右腕が振るわれる
それがそのままベリアルの身体に打ち付けられた
吹き飛んだベリアルが倉庫を潰す
ベリアル「ガァアッ!」
京太郎『くっそが!』
ベリアル『クソ、こんな雑魚を相手に!』
融合しているせいか、それとも別の要因か
本来の力で戦えないベリアルが歯がゆさに悪態をつく
京太郎『つえぇ……最近の奴らと格が違うっ!』
膝をつくベリアルの、胸のカラータイマーが赤くなり点滅を始める
離れていく車の中で、はやりがそれを見ている
はやり「ッ!」
素早くガッツハイパーを取り出す
窓を開けると、裕子と目を合わせて頷く
二人で窓から身を乗り出してトリガーを引いた
クレージーゴン「―――ッ!!」
ダメージなど入っていないのだろうが、クレージーゴンはそちらを見る
頭部からビームが放たれた
はやり「ッ!」
車両はなんとかそのビームを回避するも、周囲の爆発の衝撃は凄まじいだろう
それでもクレージーゴンの敵意を釘付けにするためにはやりと裕子の二人は射撃を続ける
クレージーゴンははやりたちの方へと歩き出そうとしていた
はやり「今だよ! ベリアル!」
- 111 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 22:14:35.97 ID:3ez9bDKm0
-
ベリアルが立ち上がり、再び構えを取る
赤いカラータイマーは動ける限界が近いことを示していた
クレージーゴンは銃撃をするはやりのほうへと向かっていく
ベリアル『ハッ! 余計な真似しやがって』
京太郎『はやりさん! サンキューです!』
◆BGM:DREAM FIGHTER【http://www.youtube.com/watch?v=2bJEDgeuVtE】
素早くクレージーゴンへと接近していくベリアル
クレージーゴンが、接近するベリアルに気づいて右腕を振るう
ベリアル「ハァッ!」
頭を下げて回避すると、素早くクローで右腕を攻撃する
大したダメージでないのはわかっていた
ベリアル『機械が相手なら良いのがある!』
京太郎『この距離ならなァ!』
右腕をクレージーゴンの身体に近づける
掌底を撃ちこむようにクレージーゴンへと掌を向けた
ベリアル「フハハハッ!」
掌から放たれる赤い雷が、クレージーゴンの全身へと流れる
狂ったように左右へと体を振るうクレージーゴンから、ベリアルが距離を取った
腹のシャッターが勢いよく開閉する
京太郎『これならば!』
ベリアル『ハッ、バンダ星人もお粗末なロボットを作るもんだぜ!』
- 112 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 22:23:38.86 ID:3ez9bDKm0
-
ベリアルが、両腕を構えた
右腕に赤い稲妻が奔る
ベリアル『こいつで決まりだ!』
京太郎『こいつでハコ割れだ!』
水平に構えた左腕を前に、垂直に構えた右腕を後ろに……
クレージーゴンを見据えて、ベリアルは必殺の光線を放つ
ベリアル・京太郎『デスシウム光線!!』
放たれた光線が真っ直ぐに、クレージーゴンの開いたシャッターへと奔る
光線はそのままクレージーゴンの背中から突き抜けて空へと消えた
ベリアル「……フンッ!」
光線が消えると、立ったベリアルが右腕を振るう
倒れたクレージーゴンが、その場で大爆発を起こした
それを見据えたベリアルが、両腕を空に、飛び上がる
ベリアル「ハァッ!」
そしてそのまま、ベリアルは空へと消えた
- 113 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 22:30:03.60 ID:3ez9bDKm0
-
車から降りたはやりと裕子の二人
爆散するクレージーゴンを見るはやりの瞳から、涙が流れる
はやり「……ローン、まだ残ってるのになぁ」ツゥー
裕子(哀れ……)
オーイ
裕子「え……あ、あれは!」
走ってくる姿が見えて、裕子の表情がパァッと明るくなった
京太郎「おーい!」ブンブン
裕子「須賀君……よかったぁ」ホッ
はやり「はやりの……」
京太郎「どこか怪我でも?」
裕子「大丈夫、気にしないであげて」
京太郎「あ、はい」
- 114 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 22:39:37.07 ID:3ez9bDKm0
-
その後、京太郎とはやりは車を裕子に任せてクレージーゴンの爆散した地点へと向かう
歩いている二人、炎もすっかり消えているようだった
ベリアル『見つけたぞ……』
京太郎「え、やっぱり……蒲原さん!」
倒れている少女を見つけてそちらへと走っていく京太郎
それに続いて、はやりも“蒲原智美”へと駆け寄る
京太郎「蒲原さん!」
ベリアル『嫌な感じが消えたな……おい小僧』
京太郎「あ……クレージーゴンのメダル」
傍に落ちていたその小さなメダルを拾うとホルダーに入れた
すぐに智美を抱き上げると、車の方へと歩き出す
はやり「お疲れ様……二人共」
京太郎「……うっす」フッ
ベリアル『ハッ、造作もなかったな』
京太郎『そうですか? まぁ、これからもそうであることを、願いますよ』
- 115 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 22:58:32.62 ID:3ez9bDKm0
-
―――【特異課施設:作戦室】
部屋に入るのは京太郎、はやりの二人
裕子は蒲原智美の検査らしい
桃子と佳織の二人も付き添っているそうだ
京太郎「ただいまです」
トシ「おかえり」
はやり「はぁ〜」
トシ「……京ちゃん、良い感じだねぇ。戻ってくる時とか完璧」
京太郎「どゆこと?」
はやり「さぁ?」
まぁトシがわけのわからない話なんて、今更だ
ホルダーに入っているメダルを取り出す
ベムラー・ネロンガ・ガギ・シルバゴン、そして今回のクレージーゴン
京太郎「トシさん……次は」
トシ「ああ、行方不明なのは津山睦月だね」
京太郎「津山さん……」
トシ「ってことで、新しい協力者がきたよ」
京太郎「なにが『ってことで』なんですか?」
はやり「まぁまぁ」
扉が開き、誰かが入ってきた
- 116 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 23:07:00.97 ID:3ez9bDKm0
-
ウィーン
京太郎「ん?」
?「お邪魔しまーす」
トシ「いらっしゃい」
入ってきたのは長い茶髪の女性
どこかおっとりとした雰囲気のようにも見える
はやり「慕ちゃん!」
京太郎「し、の?」
慕「白築慕です……よろしくね?」ニコリ
- 117 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 23:21:39.88 ID:3ez9bDKm0
-
その後、京太郎と慕は軽く挨拶をしあった
それだけで解散となったのはトシの一声があったからだ
詳しくは後日、ということらしいが……
―――【特異課施設:休憩所】
京太郎「どうなるかなぁ」
ベリアル『ハッ! 俺もお前も、やることは戦うことだけだろ?』
京太郎「……人探しぐらい、しますよ」
苦笑していう京太郎
そんな返しにベリアルはなにを言うでもないが、たぶん笑ってるのだろうと思う
なにはともあれ、ベリアルの言うとおり自分がやれることは戦うことだ
京太郎「ま、なんでも良いけど……人々を守るため、なら」
ベリアル『小僧お前……』
京太郎「ん? なんっすか?」
ベリアル『……さてなぁ』
◆誰か来た
1、東横桃子
2、妹尾佳織
3、佐藤裕子
◇安価1↓から〜 五分間でコンマ最高値の選択肢
- 118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/04(土) 23:23:35.75 ID:ElXMvTdl0
- 1
- 119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/04(土) 23:23:54.38 ID:liNF0+G40
- 1
シノチャー出てきたの衝撃
そしてサラッとガギが倒されてた
- 120 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 23:33:58.89 ID:3ez9bDKm0
- (選択肢によってはガギ対シルバゴンがあったりした
1、東横桃子
桃子「あれ、須賀さんじゃないっすか」
京太郎「あ、東横さん……」
別に珍しくもない。最近は特に
京太郎の対面に座ると、テレビへと視線を向ける
やはりやっているのは今日のクレージーゴンとベリアルの戦い
桃子「須賀さんもここいたんっすよね」
京太郎「ああ、銃撃してたぞ一応……囮になったり?」
桃子「なんで、命をかけれるんですか? こわくないんっすか?」
その言葉に、ふと京太郎は考えた
恐いと考えたことが無かった
戦える力があるからだろうか? ベリアルが一緒にいるからだろうか?
京太郎「……人々を、守るためだから」
ベリアル『ハッ、反吐が出る』
頭の中に響く声に、苦笑する
桃子「凄いっすね須賀さんは……私には無理っす」
京太郎「……でも」
桃子「?」
京太郎「死ぬのが……死ぬのが怖くないわけないだろ?」
その言葉に、一瞬目を見開く桃子だったがすぐに微笑して頷く
- 121 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 23:41:35.30 ID:a+8RQ6DD0
-
怪獣を倒す。自分だけにしかできないことだ
それに強制されているつもりはない
だが、戦わなければ後ろの人間の命が危ないのだ
京太郎「……人が好きだから、じゃダメか?」
桃子「……立派っすね」クスッ
京太郎「そんなこと、ないよ」
テレビの方を見て笑う
報道は『敵か味方か、光の巨人』と報道をしていた
京太郎「加治木さんに、会いたくなったりしない?」
桃子「まだ、安全が確実じゃないらしいっすから、私たちの周り」
京太郎「そっか、大変だなお互い」ハハッ
笑う京太郎
少しばかり、頬を赤らめて桃子が視線を逸らす
すぐに意を決したようにうなずいて口を開く
桃子「……京太郎さん、ほどじゃないっす」
京太郎「……そんなことないさ、桃子」
桃子「モモで、良いっすよ」フフッ
京太郎「ん」フッ
他愛のない話が続く
ちょっとした交流だが、こんな事件が起きなければなかった交流なのだろう
不謹慎ながら京太郎は悪くない、と思ってしまった
- 122 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 23:50:46.87 ID:lREGgiqO0
-
―――翌朝【特異課施設:休憩所】
京太郎「たぶん、そろそろ津山さん探し、だよな……きっと」
はやり「どしたの?」
京太郎「ああいや、大したことじゃ……」
わざわざはやりに話すことでもない
桃子も佳織も同じ気持ち、いやもっと強い気持ちなのだろうから
京太郎「そういや、車は大丈夫なんっすか?」
はやり「ふふ〜ん、実は一台、隣町二丁目の中古車ショップで良いレトロ車が」
ピリリリリリ
裕子「大変です! 隣町二丁目で怪獣が出現! 暴れ出しました!」
京太郎「えー……」チラッ
はやり「」シロメ
京太郎「……えー」
第3話【連続車両失踪事件】 END
- 123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/04(土) 23:56:41.36 ID:liNF0+G40
- 京モモのいい雰囲気からのはやりんww
- 124 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 00:22:40.39 ID:hFMCnCX60
-
―――【特異課施設:作戦室】
あれから数日が経った
別段変わったことはなく、蒲原智美も未だ眼を覚ましていない
怪獣に覚醒した者は目覚めが遅いのだろうか?
京太郎「ん〜」
はやり「智美ちゃんの眼がさめればなにかわかるかなぁ?」
京太郎「そうだと良いけど……」
だが、あの日から手に入れたメダルは二つ
隣町で暴れたアーストロン、そして麻雀で倒した他校の生徒から出たダイゲルン
すっかり戦い慣れもしたものでダイゲルンとの戦いはカラータイマーが鳴る前に決着がついた
京太郎「まぁやっぱり……」
ベリアル『相性の問題だろうな』
京太郎「ですよねぇ」
はやり「またベリアルとお話し?」
ベリアル『様をつけろと言っておけ』
京太郎『言いませんよ』
ウィーン
京太郎「あ、トシさんと……白築さん?」
慕「こんにちは京太郎くん」
トシ「ちょっと困ったことになってね」
京太郎「困ったこと、ですか?」
トシ「……まぁ、二者択一ってやつだ」
- 125 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 00:32:40.36 ID:hFMCnCX60
-
京太郎「どういうことっすか?」
トシ「ちょっと鶴賀で妙な反応があってね」
京太郎「鶴賀って、加治木さんがいる!?」
京太郎の言葉に頷くトシ
それと反対に慕の方はというと少し迷った表情をしている
そんな彼女を見てはやりは少しばかり首をかしげた
はやり「どうしたの慕ちゃん?」
慕「えっと、それと同時になんだけど……先日から変な反応が会った場所があって」
はやり「変な反応?」
慕「うん、ちょっとした洞窟の中だったんだけど……巨大な石像があって、それが」
京太郎「どっち行くかって話ですか?」
トシ「そういうこと、片方にはやり片方に京ちゃんだね」
顔をしかめる京太郎ははやりの方を向く
はやりも悩んだような表情をしているが、それもそうだ
どちらかが正解なんていうことでもないように見える
はやり「京ちゃんはどっちに行きたい?」
京太郎「え〜」
トシ「まぁなんでも良いけど」
京太郎「投げやりな……」
京太郎(鶴賀も気になるけど、石像の方も気になる)
ベリアル『ハッ、暴れられるならなんでも良いじゃねぇか』
京太郎『えー』
◆どちらに向かう?
1、石像の調査同行
2、鶴賀の異変調査
◇
- 126 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 00:39:10.11 ID:hFMCnCX60
-
◆どちらに向かう?
1、石像の調査同行
2、鶴賀の異変調査
◇安価1↓から〜 5分間でコンマ最高値の選択肢
- 127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/05(日) 00:42:20.49 ID:RC2mX1930
- 1
安価早くてビビった
もしかしてティガ出るのか?
- 128 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 00:52:06.51 ID:hFMCnCX60
- 1、石像の調査同行
一つ頷くと、京太郎は慕に視線を向けた
京太郎「白築さんに同行します」
慕「ありがとう……はやりちゃん」
はやり「ん、私は大丈夫。ただの調査だしね、怪獣が出ても……きっとウルトラマンがなんとかしてくれるでしょ」
そんな言葉に、慕は苦笑した
加治木ゆみは学園にいまだに通っていると情報が入っているし問題ないだろう
津山睦月がメダルを入れられて、ゆみを狙っているとかだとしたらむしろはやりでも十分対処可能である
はやり「そっちは任せたよ京ちゃん」
京太郎「ラジャーです。はやりさん」フッ
トシ「さて、それじゃあさっそく行ってきな」
京太郎「行きましょう、白築さん」
慕「うん」フフッ
- 129 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 01:03:19.12 ID:hFMCnCX60
-
特異課の基地を慕の運転するジープで出る
助手席には京太郎、後部座席には色々と調査に必要なのか機材が積んであった
はやりに習って、トシが用意したスーツ姿の京太郎
ベリアル『悪くないな』
京太郎『ベリアルさんが褒めてくれるなんて珍しい……』
ベリアル『ハッ、褒めたつもりはねぇがな』
慕「須賀君は」
京太郎「え?」
慕「須賀君はどうして、戦ってるの? まだ学生、子供なのに……」
そんな疑問に、京太郎は視線を慕に向けた
横顔に少しばかりの哀愁を感じるのは大人としての責任か……
似たような表情を、はやりで見た記憶がある
慕「大人に任せておいて良いんだよ?」
京太郎「それを言うために、わざわざ俺を?」
慕「まぁ、半分ね……ただそれでも、きっと須賀君は頼りになるって感じちゃってるんだよね」
京太郎「……そりゃ男冥利に尽きる話です」フッ
そう言って、懐にあるゼットライザーに視線を移す
京太郎(俺にしかできないこと、それがあるから……とは言えないか)
ベリアルのことを知らない者たちからすれば、確かに京太郎がここにいる必要性はないのだ
麻雀で勝つということだけであれば、はやりや白築慕がいる
京太郎「やりたいって、思ったんですよ。ただきっと、白築さんと同じです」
慕「……そっか、それじゃあ頼りにしちゃおうかな」
京太郎「是非」
慕「でも危なくなったら逃げるんだよ?」
京太郎「……了解です」フッ
- 130 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 01:14:48.06 ID:hFMCnCX60
-
車はそのまま山中へと入る
雑に手入れされた道を行き、ある程度の場所で止まった
京太郎と慕の二人が車を出て、荷物を持ち歩き出す
慕「でも……怪獣とか、驚きだよね」
京太郎「そうですね」
慕「メダルを撒いた相手、早く見つけないと……」
京太郎「そう、ですね」
山を登って行き、次に下る
洞窟のような道を行く
階段のようになっている通路、壁には電飾がついていた
京太郎「明るいですね」
慕「一応、特異課の研究員の人たちも入ってるからね」
京太郎「なるほど、ちゃんとスタッフの人いたんですね」
慕「あー熊倉さんの基地、立ち寄る人少ないからね」
どんどんと降りていくと、開けた空洞へと出る
そこにたどり着いて、そこにある石像を見上げて、京太郎は固まった
灰色の人型石像
京太郎「これは……っ」
慕「驚いたでしょ?」
京太郎「―――ウルトラマン」
その石像は、ウルトラマンと形容するほかない姿をしていた
- 131 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 01:27:38.64 ID:hFMCnCX60
-
そこに立つ石像の、なるべく傍へと近寄る京太郎
周囲には沢山の研究員がおり、計器で色々と調べているようだった
二人は持ってきた機材を研究員たちに渡し、並んで石像を見上げる
慕「京太郎くんは、何度も近くでウルトラマンを見てるんだよね?」
京太郎「まぁ、はい」コクリ
慕「どう、その目から見て……」
京太郎「姿かたちは全然違うけど、それでも……これはウルトラマンです」
その言葉に、慕が頷く
ベリアルのことは、良くは聞いていない
おそらく聞かれたくないのだろうということは、察しているからだ
だが―――
京太郎『ベリアルさんは……一体、どこから来たんですか?』
ベリアル『ハッ、地獄の底だ』
京太郎『真面目に答えてくださいよぉ』
ベリアル『……にしても、ティガの石像か』
そんな言葉に、京太郎はつぶやく
京太郎「“ティガの石像”……?」
慕「え?」
京太郎「あ、いや……そんな言葉が、思い浮かんで」
慕「ティガの石像、か……いいね。さしずめここは、ティガの地だ」
笑う慕の隣で、京太郎は黙って石像を見上げている
ネクタイに指を突っ込んで少し緩めつつ京太郎は腕時計型端末を見て時間を確認した
慕「ちょっと歩けばコンビニあるよ?」
京太郎「こんな山中に?」
慕「まぁ、対した山じゃないから、道に沿って歩いてけば」
京太郎「……まぁとりあえず、向かってみます」
慕「行ってらっしゃい、気を付けてね」
京太郎「はい」
- 132 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 01:39:58.65 ID:hFMCnCX60
-
―――【コンビニ】
10分ほど歩いて辿り着いたコンビニ
京太郎は慕に頼まれたものと、自身の昼食を買って出た
店前に置いてあったベンチに座ってパンをかじっている
京太郎『ウルトラマンは、この星にもいるんですか?』
ベリアル『……地球が生んだウルトラマンも確かにいるがなぁ、ティガ、あれはそういうもんとは違う』
京太郎『どういうことですか?』
ベリアル『ティガのガワだ。ありゃな』
京太郎「……ガワ?」
パンをかじってモグモグと口を動かす
9月のほどよく涼しい空気が心地良い
地面を見て考える……ウルトラマン、怪獣、そして仲間たち……
???「須賀君、よね?」
京太郎「へ?」
声がして顔を上げる
噂をすればなんとやら、仲間―――の仲間
京太郎「……福路、さん?」
美穂子「や、やっぱり須賀君!」
彼の数少ない知り合いの一人
そして彼の仲間、竹井久の友人である福路美穂子がそこにはいた
青い右目は、相変わらず閉じられている
京太郎「……お久し、ぶりです」
美穂子「ええ、久しぶり」ニコリ
- 133 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 01:42:56.55 ID:hFMCnCX60
-
第4話【光を継ぐ者】
- 134 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 01:44:31.86 ID:hFMCnCX60
- 今回はここまでー
第四話でこんな感じ
まぁまだ序盤も序盤
頑張るゾイ
たぶん明日もやる
- 135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/05(日) 02:04:35.58 ID:RC2mX1930
- 乙
ティガが出てきそうだけど誰かがなるのか京太郎がなるのか?
レギュラーになるのかゲストなのか?ってとこか
- 136 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 21:37:46.31 ID:RUvJ9HOT0
- よーしのんびりと再開ー
ダークネスヒールズもよろしく!
- 137 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 21:52:34.70 ID:RUvJ9HOT0
-
風越女子麻雀部部長、福路美穂子
かつて憧れていたところもあったが、今の京太郎としてはそう高揚するものでもない
ただ綺麗な少女、そんな彼女が目の前で自分に声をかけてきた
京太郎(……嘘、やっぱちょっとテンション上がる)
美穂子「その、隣良い?」
京太郎「ああどうぞ」
京太郎(嘘、めっちゃテンション上がる)
顔に出さないようにしつつ、京太郎はベンチの座る位置を少しずらす
隣に、そっと腰を下ろす美穂子
その表情は憂いを帯びている
京太郎「……その、風越の」
美穂子「あ、ええ……そうね、そっちも、よね」
京太郎「はい」コクリ
咲、優希、和、まこ、久
誰一人として未だ、見つかっていないのだ
トシから聞いた情報によると、風越はレギュラーメンバーは福路美穂子以外、全員行方不明
京太郎が倒した風越の生徒はレギュラーではない
美穂子「なぜだか、ニュースとかでもやってないし……」
京太郎「福路さん……」
美穂子「華菜、みんなっ……」フルフル
京太郎(なんとか、しないとなぁ……ここも)
- 138 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 21:59:34.53 ID:RUvJ9HOT0
-
俯いていた美穂子が、目元を拭って顔を上げる
なるべく明るく振舞おうと笑顔を浮かべるが、どこかぎこちない
美穂子「ごめんね、須賀君も大変なのに……」
京太郎「いや、俺は全然……」
美穂子「どうして私たちだけ、無事なのかしら」
自分は無事では済まなかったが、それを言うわけにもいかない
しかし、麻雀の力が強い者が襲われている中、どうして美穂子が無事だったのかわからなかった
京太郎「……たまたま、なんですかね」
美穂子「そう、なのかしら……」
京太郎「俺の場合は、仲間と認識されてなかったのかも、なんて」ハハッ
美穂子「そ、そんなことないっ! だって久はっ」
京太郎「じょ、冗談ですよ」
美穂子「あっ……ご、ごめんね?」
京太郎「いや、俺もちょっとここで言うべきことじゃなかったかも」ハハハ
そう言って立ち上がると、背を伸ばす
そろそろ戻らなくては慕も心配するかもしれない
京太郎を見上げる美穂子は、少しばかり驚いた表情を浮かべている
美穂子「……」
京太郎「福路さん?」
美穂子「あ、ごめんね……どうして、スーツなの?」
京太郎「う゛っ……ま、まぁ色々あって」
美穂子「?」
- 139 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 22:12:08.31 ID:RUvJ9HOT0
-
京太郎「と、とりあえず福路さん、その……」
ハッと気づいて、胸ポケットから出したのは名刺ケース
入っているのは無論名刺のようなもの
念のためにとトシに渡されていたが役に立つと思わなかった
京太郎「ど、どうぞ」
美穂子「え、え? 名刺? えっと日本政府公認、特異災害……」
京太郎「見るの名前と電話番号だけで良いんで、はい」
そもそもこんなもの持ち歩いているなんてヤバい奴なのだが、致し方ない
とりあえず連絡先が書いてあるものだけが必要だったのだ
京太郎「……一応、今回の事件解決に協力してるっていうか、協力者として?」
美穂子「え、そうなの? じゃ、じゃあ華菜たちは」
京太郎「そこです。一応、見かけたら話しかけたり近づいたりしないで、連絡をください」
美穂子「一体どういう」
京太郎「お願いです! ね! 約束ってことで!」
美穂子「え、あ……え、ええ……?」
半場強制的に頷かせると、京太郎は立ち上がる
京太郎「それじゃこれで!」
美穂子「え、須賀君っ!」
京太郎「約束しましたからねー!」
自分でも怪しい挙動をしているなと思いつつ、美穂子から遠ざかって慕のいる方へと向かっていく
- 140 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 22:22:55.43 ID:RUvJ9HOT0
-
コンビニからしばらく歩いて、元の山道へと戻ってくる京太郎
森の中に無理矢理作られた駐車場のような場所へとたどり着くと車が何台も止まっている
研究員たちのものだろう
京太郎「えっと、こっちか……」
ベリアル『迷子なんて笑えねぇからな?』
京太郎「わかってますよぉ」
そこからは慕と歩いた道を思いだしつつ、歩く
すぐに洞窟のような場所を見つけて、京太郎は中へと入って行った
物陰から、顔を出すのは福路美穂子
手に持っているのは、ビニール袋
単純に京太郎の忘れものを持って追いかけてきただけなのだが……
美穂子「……悪い子だ、私」
声をかければ良いものを、普通にストーキングしてしまっている
開かれた右目、相手の一挙一動を見逃さないその眼
ガチのストーキング
美穂子「うっ……で、でも、きっと華菜たちに関することが」
自分を納得させて頷くと、ゆっくりと京太郎の後を追い洞窟へと入っていく
- 141 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 22:40:05.31 ID:RUvJ9HOT0
-
京太郎は、洞窟の入り口を通って大きな空洞へと入る
そこには変わらず研究員たち、そしてティガの像
やはり圧倒されるな、と思いつつ慕を見つけて近づいていく
京太郎「戻りましたー」
慕「あ、お帰り……荷物は?」
京太郎「え、あ……忘れた」
慕「なにしに行ったの?」ジト
京太郎「えーっと」メソラシ
戻っても今更、しょうがないだろう
どうするかなぁと思いつつ慕を見るが、クスリと笑った
慕「良いよ別に、ついでだからね……」
京太郎「すみません」
慕「ほんと大丈夫、っていうかなにかあった?」
京太郎「え?」
慕「んー、なんとなくだけど」
京太郎「えー」
慕「あはは」
- 142 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 22:49:36.37 ID:RUvJ9HOT0
-
洞窟の入り口から、一本道
美穂子は隠れる場所も無いのでそのまま進んでいく
足場が悪いものの、電飾に照らされた足場を見てゆっくり
「誰だ!」
美穂子「ひゃっ!?」
そこにいたのは警備員らしく男性
持っているのは―――銃
「何者だ!」
必死に見えるのは、色々な情報を聞いているからだろう
女子高生雀士がおもに怪獣メダルの宿主になっていること、怪獣に覚醒すること
美穂子「わ、私っ……こ、これ!」
バッと出したのは先ほどもらった京太郎の“名刺”である
「こ、これ……須賀京太郎の名刺。あの特権持ちの?」
美穂子「とっけ?」
「ああいえ、協力者の方ですか?」
美穂子「あ、はい……その、か、風越の生徒について」
「なるほど、ではどうぞここから道が分かれていたりするんでご案内します」
美穂子「……お、お願いします」
そのまま、美穂子は警備員の後をついていく
- 143 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 23:10:53.46 ID:ckC9uJ0E0
-
空洞、ティガの像の前に立つ京太郎と慕
慕の持った端末のディスプレイに表示されている映像を横から見る
そんな京太郎に気づき、慕がそっと見やすいように傾けた
京太郎「……つまり?」
慕「なにもわからないって」
京太郎「そっかぁ」
ベリアル『ここより科学が発達した宇宙でも、完全に解析なんてできないだろうな』
京太郎『じゃあ、ここじゃあ……』
ベリアル『10年ぐらい経てばちったぁ変わるんじゃなぇか? それまでこの地球が人間のものだったら、な』
京太郎「嫌なことを……」
そう言って、ティガの像を再び見上げる
瞬間―――警備員の声が響く
「誰だ!」
「なんだこいつ!?」
そちらを見る京太郎
既に、数人の警備員が地面を転がっていた
奔る影が、京太郎の前に現れる
京太郎「ッ!」
ベリアル『小僧!』
京太郎「わかってんよ!」
すぐに拳を振るうが、その影は上に跳ぶ
京太郎の上を飛び越えて、反対側に回った影
素早く回転して脚を後ろへと振るう
京太郎「ッ!」
影は“両腕”でその蹴りを凌ぐも、勢いだけは殺しきれずに吹き飛ぶ
跳んだ影はそのまま、ティガの像、その前に着地する
着地したその影の正体を見て、京太郎は驚愕に眼を見開く
京太郎「なっ!?」
慕「え、あの人って……!」
京太郎「な、なにやってんです!」
わなわなとふるわせた拳を、強く握る
京太郎「部長ォ!」
久「……」
- 144 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 23:51:36.49 ID:ckC9uJ0E0
-
叫ぶ京太郎の視線の先の久が、出ている鼻血を拭った
久「所詮は人間の体か」
京太郎「ッ!」
素早くガッツハイパーを向ける慕と京太郎の二人
トリガーに指をかけるも、その銃身も指もブレる
ベリアル『あいつは人間じゃねぇ!』
京太郎「人の部長の体、勝手に使いやがって!」
久「ふん、ティガの像……人間の体を使ってもダメか」
そう言って息をつく
久「私はレギュラン星人」
京太郎「異星人!!?」
ベリアル『悪質宇宙人か!』
京太郎『通り名最悪っすね』
久「ならば!」
そう言って指を鳴らす久、それと共に周囲の警備員たちの銃が弾き飛ばされる
影が行ったり来たり、そしてそれが京太郎に触れようとした瞬間―――
京太郎「チャアッ!」
―――蹴りを放つ。その直撃により影は吹き飛び久の隣へ
京太郎「なっ!?」
慕「あれは……」
京太郎「池田、華菜……」
久と同じく、身体が着いて行かないのか鼻血を出した華菜が右手で鼻を拭う
さらにダラン、と下がっている左腕を掴み動かすとゴキ、という音がした
左腕を動かして、そのまま京太郎を見る
久「良い知能を持っている。兵器にされていただけあるな……」
京太郎「部長の口で余計なことをっ!」
ベリアル『あいつ、メダルじゃねぇな』
京太郎「メダルじゃないって!」
久「その通り、私は私の技術でこの体を使っている!」
京太郎「汚い技術でうちの部長にっ!」ギリッ
- 145 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/06(月) 00:07:06.13 ID:oTuCkeB90
-
舌打ちをする京太郎だが、ガッツイハイパーのトリガーを引くことなどできない
だが相手もティガの像をどうすることもできないだろう
京太郎(膠着状態、か?)
その瞬間、聞き覚えのある声が響く
???「久、華菜!」
京太郎「福路さんか!」
チラッと後ろを見て言う
それに否定の言葉はなく、走ってくると京太郎の隣に立つ
美穂子「どうして、二人とも! なにがっ!」
京太郎「あれは中身が違う!」
美穂子「えっ」
京太郎「部長と、池田さんを返せ!」
久「……まぁ良い、ならばこの像もろとも消えろォ!」
指を鳴らす久
その瞬間、地が揺れ、咆哮が聞こえた
それは間違いなく“怪獣の声”だ
京太郎「これはっ!」
久「ハハハハハ!」
笑いながら、揺れる地面をもろともせず走り去る久と華菜
その動きは人間を逸している
やはり体を無理矢理使っているようで京太郎が歯ぎしりをするが、どうにかできるレベルでもない
京太郎「怪獣っ、慕さん! みんなを逃がしましょう!」
慕「あ、うん!」
京太郎「福路さんも、手伝ってください!」
美穂子「え……は、はい!」
- 146 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/06(月) 00:27:39.27 ID:1cipy6df0
-
警備員や研究員たちを立ち上がらせていく慕と美穂子
だが京太郎は素早くガッツハイパーのカートリッジを確認して頷く
京太郎「俺は、たぶん出て来てる怪獣を、囮になって遠ざけます!」
慕「っ! そんな!」
京太郎「お願いします。みんなのこと!」
美穂子「まって須賀君!」
京太郎「……!」
笑みを浮かべて頷くと、京太郎は出口へと走っていく
地面を伝わる振動はどんどんと強くなっていくのがわかる
本当に“怪獣”がいるのだろう
美穂子「須賀くん!」
慕「……やろう。福路さんお願い! あの子のやってることを無駄にできない!」
美穂子「そんなっ」
慕「今はそういう世界なだよ。やらなきゃ!」
美穂子「っ……」
慕の言葉に従う美穂子
しかしその表情には焦り
京太郎を心底心配している証拠
慕(どうしてっ……!)
- 147 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/06(月) 00:54:07.25 ID:1cipy6df0
-
外へと出た京太郎が、勢いよく森を走っていく
向上した身体能力、それらを駆使して木々の間を縫って道なき道を行き、道路へと出た
何号線かは忘れた国道、そこに飛び出てから足音のする方へと視線を向けた
京太郎「怪獣!」
両手が鎌となっている二足歩行の怪獣
ベリアル『ほう、宇宙戦闘獣コッヴか』
京太郎「……なんでも良い。あいつを倒す!」
ベリアル『ハッ! わかりやすくて良いじゃねぇか!』
トリガーを引いて、目の前のゲートへと飛びこむ
インナースペースに立つ京太郎
ウルトラアクセスカードを差し込んだ
『キョウタロウ・アクセスグランテッド』
ベリアル「ぶっ潰す!」
京太郎「いきます! ベリアルゥッ!」
ゼットライザーを掲げてトリガーを引く
それと共に、光が広がり―――
ベリアル「ジャアッ!」
―――ベリアルが地上へと現れる
着地と同時に周囲の土を舞い上がらせ、素早く構えを取った
- 148 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/06(月) 01:11:06.64 ID:fmyBTt6T0
-
咆哮をあげるコッヴへと接近すると、素早く爪撃をみまう
その攻撃に下がっていくゴッブ
鎌で攻撃をしかけてくるも、ベリアルは素早く後ろへと下がる
京太郎『こいつ、さっさと決着つけましょう!』
ベリアル『ハッ、こんな雑魚相手に戸惑ってられねェからな』
近寄ると、右腕から電撃を放つ
怯むコッヴにさらに爪撃を打ち込み怯ませる
両腕の鎌を振りかぶって攻撃をしかけてくるが、それを爪撃で撃ち返す
コッヴ「―――!!!」
ベリアル「ハァッ!」
コッヴの両腕の鎌がベリアルの爪撃で破壊された
さらに、素早く膝蹴りを放ち、拳を数度打ち込む
コッヴ「―――!」
怯んだコッヴから距離を取ると、コッヴが頭部から光弾を放つ
それをベリアルは両手を前に出して出現させた円状のバリアで弾く
そこに隙を見つける
京太郎『決めます!』
ベリアル『やるぞ!』
両腕を左右に開き、顔を前に出す
京太郎・ベリアル『デスシウム・ロアー!』
放たれた破壊音波の攻撃
それに怯むコッヴにさらに接近、素早く背後に回ってその尻尾を掴むと、勢いよく回す
宙に浮いて回転するコッヴを、離す
コッヴ「―――!!?」
空へと舞いあがるコッヴに、素早く両腕を振るった
京太郎・ベリアル『デスシウムリッパー!』
放たれた斬撃が空中のコッヴの体を真っ二つにした
地上へと落ちていくコッヴが、途中で光の粒子へと変わって消える
さらに光がゆっくり落ちていくのが見えた
―――その光の先には、風越の吉留末春がいる
京太郎『やっぱり……』
- 149 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/06(月) 01:17:54.84 ID:fmyBTt6T0
-
瞬間、さらに地面が揺れる
驚愕する京太郎が、その震源地らしき方へと顔を向けた
それはティガ石造があった山
京太郎『あれは!』
怪獣が、現れた
頭部が特徴的な、コッヴと同じく二足歩行の怪獣
さらに咆哮が響く、それは空から
京太郎『空にも!!?』
ベリアル『ゴルザにメルバか!』
京太郎『くそっ、だけどこっちはまだ!』
現れた二体の怪獣、ゴルザとメルバ
その二体が山へと攻撃を開始する
京太郎『こいつらティガの石像を狙ってるのか!?』
ゴルザが額から光線を、メルバが口から光弾を放つ
大地を揺るがす怪獣ゴルザ、空を斬り裂く怪獣メルバ
京太郎『やりますベリアルさん! 二体まとめて潰す!』
ベリアル『ハッ、気合入ってるじゃねぇか、上等だ!』
地を蹴り、ベリアルが二体の古代怪獣に飛びだす
- 150 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/06(月) 01:26:16.89 ID:fmyBTt6T0
- 今回はここまで
次回はゴルザとメルバとの戦いからだよー
そんじゃまた明日ー
- 151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/06(月) 03:12:12.42 ID:X79xVpXoO
- 乙
ゴルザとメルバにコッヴってそういうことか
- 152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/06(月) 04:14:50.44 ID:zn+FRcq40
- 乙
この2体も風越の生徒だろうな
ティガフラグめっちゃ建ってるけどシノチャーか?
744.64 KB Speed:0.8
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
スポンサードリンク
Check
荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)