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【咲-saki-】京太郎「ウルトラマンの力」咲「光よ!」
- 153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/08(水) 03:16:01.22 ID:UMxNRupl0
- ここの安価ってハズレとかアタリとかあるんです?
- 154 : ◆3jlGSb6oVpwG [saga]:2021/09/08(水) 20:19:59.05 ID:TqFmf3Fi0
- 投下開始してくー
一昨日やる予定がずれたー
>>151
察しがいいし!
>>153
基本ないっす
展開に違いがあるぐらいっすー
- 155 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 20:22:30.64 ID:TqFmf3Fi0
- 酉間違ったこっち
- 156 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 20:40:57.53 ID:ZfZwEZIv0
-
―――【ティガの地:洞窟内】
凄まじい衝撃と共に、洞窟全体が揺れる
研究員たちを次々に起こして、逃がしていく慕と美穂子の二人
天井からパラパラと落ちてくる
慕「福路美穂子、さんだっけ! 早く逃げて、私一人でいいから!」
美穂子「い、いえ私もっ!」
慕「怪獣が来てるんだよ!? 子供にこんなことっ」
そう言いつつも、慕とて美穂子のおかげで避難が進んでいるのも理解していた
もう最後の研究員が出口へと向かう
数人の研究員たちが出口通路の傍で待っていた
慕「まったくもぉ、福路さん、早く!」
美穂子「は、はいっ!」
走って出口へと向かう二人
揺れるティガの像に視線を移すが、慕は顔をしかめつつ出口に視線を向け直した
いま必要なのはティガの像ではない
慕「なに? 鳴き声が変わった? ううん、増えた?」
「白築さん!」
慕「え……福路さん!」
美穂子「え?」
上から落ちてくる巨大な岩
このまま走って間に合う気がしない
だが―――
美穂子「ごめん、なさいっ!」ガッ
慕「っ!」
勢いよく、美穂子が慕を突き飛ばした
その反動で後ろへと跳ぶ美穂子、前へと転がる慕
その間に、岩が落ちる
慕「福路さぁん!」
- 157 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 20:48:37.01 ID:ZfZwEZIv0
-
起き上がる慕が叫ぶも、その声が届いているようには思えない
洞窟全体が揺れる音もそうだが、その奥
岩の向こう側からさらになにかが落ちる音などが聞こえてくる
慕「なんでっ、また子供ばっかり……!」
「白築さん、早く! ここで死んじゃぁ!」
慕「っ!」
揺れる通路を走って出口へと向かう
慕「っ!」
あふれ出る涙が頬を伝って地へと落ちていく
- 158 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 21:12:20.07 ID:al2ZVL680
-
ベリアルがゴルザの背からその体を掴んで、山から遠ざける
勢いよく引き離されて転がるゴルザをよそに、ベリアルが右手から光弾を出してメルバを撃ち落とす
二体の怪獣が、ベリアルに狙いをさだめた
ベリアル『ハッ、超古代怪獣を超古代竜の二体か……!』
京太郎『こいつら、なんであれを!』
ベリアル『そういうもんだろ―――この世界、アレがあるのか?』
京太郎『え、あれって……』
起き上がった二体を前に、京太郎は言葉を止める
まずは出てくるはずの慕たちを避難させる時間稼ぎをしなくてはならない
ベリアル『気合入れとけよ、二体一だ!』
京太郎『二体二ですよ!』
ベリアル『ハッ、半人前―――いや四分の一人前で言うじゃねぇか』フハハ
ゴルザとメルバへと飛びだすベリアル
まだ余力はある
戦えるはずだ
- 159 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 21:32:13.23 ID:al2ZVL680
-
ティガの像がある洞窟、その真上である山から離れた場所
コッヴが現れたような場所に存在していたのは人間―――ではない
体は人間のようで、スーツまで着ている
だが頭が黒く細長で、亀裂のように黄色い部分に単眼がついていた
????「ウルトラマンベリアル……最凶のウルトラマン」
そう言いながら、メダルを一つ取り出した
そのメダルに描かれているのは『コッヴ』に似たもの
????「なぜこの宇宙に……まぁ良い、早く片付けるか」
そう言いながら、その男(?)は“ゼットライザーのようなもの”を取り出してメダルを差し込んだ
ブレードを、可動させる
『スーパーコッヴ』
????「消えろ、ベリアル!」
そこから放たれる光が真っ直ぐに伸びて、怪獣を出現させた
先ほどベリアルが倒したコッヴ
そこからさらに洗礼された姿、鎌は鋭く胸のクリスタルの形も違う
咆哮と共に、歩き出した超コッヴ
ベリアルは掴みかかってくるゴルザをなんとか投げ飛ばし、メルバの光弾をバリアで弾く
京太郎『ベリアルさん!』
ベリアル『チッ! 超コッヴ……三体相手か!』
京太郎『くそっ!』
- 160 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 21:47:41.14 ID:ItkBuVu20
-
ゴルザと超コッヴの二体を、ベリアルは爪撃でひるませる
だが―――
メルバ「―――!」
ベリアル「ガァッ!」
メルバが放った光弾の直撃を受けて、ベリアルが後ろへと下がった
膝をつき、胸のカラータイマーが点滅を始める
さすがに三体一ともなれば苦戦もするだろう
京太郎『はぁっ、はぁっ……あ、あれは慕さんたち』
ベリアル『よそ見できるほど余裕か小僧?』
京太郎『そんなこと……あれ?』
そちらに、慕たちの方に美穂子の姿はない
先に脱出した様子もないはずだ
なのに―――
京太郎『ッ!?』
泣いている。慕が、泣いていた
京太郎『まさか……』
ベリアル『おい小僧!』
京太郎『ッ!』
慕が洞窟の方を振り返り、大粒の涙を流しているのが見える
なぜだか直感した
福路美穂子がどこにいるのか、どうしたのか
京太郎『あ、あ……アアアァァァッ!』
ベリアル『この力は……そういうことか!』
立ち上がったベリアルの目が赤く輝く
- 161 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 21:57:07.99 ID:4K/gn1+i0
-
―――【ティガの地】
外からの振動が響く
起き上がるのは―――福路美穂子
切り傷や擦り傷、体は砂埃まみれ
美穂子「っ……生きてる」
両足をしっかりと動かして、ティガの像へと近寄る
なぜだか惹かれ、なぜだかそうしていた
美穂子「華菜を、久を……少し前、みたいにっ」
流れる涙、両目を開きその像を見上げる
美穂子「……!」
ティガの像のさらに上、天井が崩れる
山の一部が重力によって降りかかってくる
その瞬間、美穂子は―――
美穂子「―――光?」
- 162 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 22:27:33.11 ID:4K/gn1+i0
-
赤い瞳のベリアル
空飛ぶメルバに光弾を数発撃ちこむ
ベリアル「ジャア!」
落ちるメルバにさらに追撃を放ち、近寄るゴルザに爪撃
斬撃が奔り、ゴルザが仰け反る
ベリアル「デアッ!」
さらに膝蹴りを打つと、即座にかかと落とし
逆方向から近寄る超ゴッヴに雷を放つとさらに回し蹴り
ゴルザを蹴りで倒すと、コッヴの方へと向きなおす
京太郎『テメエェェェ!』
ベリアル『ハッ! 中々やるじぇねぇか!』
さらに両腕を水平に構える
京太郎・ベリアル『デスシウムリッパー!』
超コッヴの胴体に斬撃が直撃した
だが先ほどのコッヴとは違い切断までに至ることもない
それでも弱ってはいるようでふらつく
京太郎『まだまだァ!』
ベリアル「シャア!」
振り返ると同時に腕を振るう
立ち上がって来ていたゴルザとメルバが後ろへと退く
- 163 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 22:53:05.48 ID:0+f5H4eq0
-
そして超コッヴに狙いを定めると、ベリアルが走り出す
振るわれる鎌を避けて後ろへと回るとその胴体に腕を回す
尻尾を振るわれるより、早く―――!
京太郎『ダアアアァッ!』
ベリアル「ウオラァッ!」
超コッヴをバックドロップで投げ飛ばす
即座に起き上がるベリアル
超コッヴ「―――!」
ふらつきながらも起き上がる超コッヴ
ベリアルは即座に接近して拳を何度か打ち込む
超コッヴが鎌を振るおうとするも―――
ベリアル「ジャァッ!」
それに合わせるように両手で光弾を放ち、二つの鎌を破壊する
京太郎『まず一体!』
ベリアル『上等だ!』
両腕を構える
右手と左手をクロスし、必殺の光線を放つ
京太郎・ベリアル『デスシウム光線!』
近距離で放たれた光線は超コッヴを貫き、爆散させた
京太郎『っし!』
ベリアル『油断するな小僧!』
素早く後ろへと下がるベリアル
そのベリアルに、ゴルザが光線を、メルバが光弾を放った
それを避けることもできずに、ベリアルは後ろへと吹き飛ぶ
- 164 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 23:08:14.24 ID:0+f5H4eq0
-
京太郎『ぐっ! 大丈夫っすかベリアルさん!』
ベリアル『こんな雑魚どもにっ!』
起き上がるベリアルが両腕を構える
咆哮する二体の怪獣にどう立ち回るかを考えていた、その瞬間―――
ベリアル『ッ!』
京太郎『え、光?』
山から立ち上る光
それはおそらくティガの像があったその場所
空へと伸びた光が曲がり、ベリアルの隣に落ちた
京太郎『敵か!?』
ベリアル『この光を見て、敵か疑うたぁお前やっぱ』フッ
京太郎『え、なんっすか!』
隣に落ちた光から、なにかが現れた
片手を真っ直ぐと上に、そしてもう片手をまげて、現れるのは―――
京太郎『光の、戦士……?』
―――その名はティガ。超古代の光の巨人
- 165 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 23:31:20.02 ID:0+f5H4eq0
-
ベリアル『ティガだと?』
京太郎『復活した……』
ティガが、上げていた腕を下げて腕を構える
前に出した手を平手に、後ろの手を拳に……
ベリアル『声、届くんじゃねぇか?』
その言葉に、京太郎は頷いてティガの方を見る
京太郎『味方で、良いんですか?』
ティガ「……」コクリ
頷くティガ、そしてなぜだか確信した
目の前のウルトラマンティガ……その、此度の―――
京太郎『ッ! ……行きましょうベリアルさん!』
ベリアル『ハッ、やれるみてぇだな』
京太郎『き、気のせいでしょ!』
両腕を構えるベリアルのその瞳は元の色へと戻っていた
ゴルザとメルバが咆哮を上げ、走ってくる
それを迎え撃つのは、ベリアルとティガ
◆BGM:TAKE ME HIGHER【http://www.youtube.com/watch?v=2FzlpZqyuKg】
ベリアル「セヤァ!」
ティガ「デァ!」
二人のウルトラマンが走り出す
- 166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/08(水) 23:40:09.44 ID:hkxlaxZJ0
- ティガ来てる!
- 167 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 23:44:16.98 ID:0+f5H4eq0
-
二人のウルトラマンが飛びだす
ベリアルはメルバへと接近し素早く爪撃で攻撃をしかける
さらに素早く打撃
ベリアル『一体一ならな!』
京太郎『負けねぇ!』
拳を打ち込む、その隣でティガがゴルザへと打撃をしかけていく
ベリアルとはまた違った戦い方であり、チョップからの蹴り、さらに光弾を放つ
ゴルザ「―――!」
ティガ「―――チャァ!」
両腕を眼前でクロスしたティガが、勢いよく両手を振るう
するとティガの姿が赤く変わった
京太郎『あれは!?』
ベリアル『タイプチェンジだな』
京太郎『そりゃうらやましいこって……!』
そう言うと、ベリアルが腕を振るう
斬撃でメルバが怯むがさらにベリアルは前蹴りを撃ちこんで下がらせる
メルバ「―――!」
- 168 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 23:55:49.25 ID:0+f5H4eq0
-
退いたメルバが素早く顔をベリアルへと向ける
そして、その両目から破壊光線を放つ
京太郎『こいつで!』
ベリアル「ジャア!」
素早く前に出した両手から放たれる光線
それがメルバとベリアルの真ん中で弾ける
ティガ「チャア!」
ゴルザ「――−!」
下がるゴルザがベリアルの真後ろへとやっくると、ベリアルは爪を振るってゴルザを背中から斬る
怯んだゴルザの尻尾を掴み、ベリアルが投げ飛ばそうとするとメルバが再び交戦を放つ
だが前に出たティガがメルバへと光弾を放ち、射線をそらす
ベリアル「デヤァ!」
投げ飛ばされたゴルザが転がる
メルバが、空へと飛び上がった
京太郎『ベリアルさんメルバが!』
ベリアル『あ?』
だがティガが再びタイプチェンジを行った
その身体は紫色に変わる
京太郎『また変わった!』
ティガが素早く空へと飛び上がった
起き上がったゴルザがベリアルへと走る
ベリアルは跳び上がると、突進するゴルザの頭を踏んで、その向こうに着地し回避した
- 169 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 00:12:31.90 ID:5RqDhQ3N0
-
空を飛ぶメルバを追って、ティガスカイタイプが空を行く
後ろへと振り返ってメルバが目から光線を放つ
だが、ティガは軽く体をそらしてそれらを回避
メルバ「―――!」
逃げようと、加速しようとするメルバ
だが、ティガはそれよりも素早く、追い付いてその加速度のままメルバへと蹴りをみまう
ティガ「ゼァ!」
メルバ「―――!!」
その攻撃により高度が落ち、地上へとぶつかりそうになるも、すぐにメルバは体勢を整える
再び破壊光線を放つが、ティガは即座に回避
ティガは両腕を上空へと上げると、左わき腹へと手を構える
ティガ「デァ!」
右手が振るわれると、紫電の如き輝きが伸び、メルバを貫く
紫電の光、ランバルト光弾を受けたメルバが空中で爆散する
- 170 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 00:29:40.18 ID:5RqDhQ3N0
-
地上で、ゴルザを相手に格闘するベリアル
力はゴルザの方が強い
だが素早く爪撃で腕を振り払いつつ、拳を打ち込む
ゴルザ「―――!」
ベリアル「ダリャア!」
さらに回し蹴りを放ってゴルザを後退させる
弱っている様子のゴルザを前に、ベリアルが顎に手を当てて首を鳴らす
隣へと降りてくるティガが、タイプチェンジをして最初のマルチタイプへと戻った
京太郎『いきますよ!』
ベリアル『言われるまでもねぇ!』
ティガ「テァッ!」
ベリアル「ダリャッ!」
ティガが両腕を脇へとやり、すぐに真っ直ぐ伸ばし目の前で交差させる
それを開いていくと紫色の光があふれ出た
京太郎・ベリアル『デスシウム光線!』
ベリアル「ハアァッ!」
ティガ「デァッ!」
ベリアルのクロスされた腕、そしてティガのL字型の腕
放たれた二つの光線がゴルザへと直撃
ゆっくりと倒れていくゴルザが、爆散した
- 171 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 01:04:29.64 ID:bFqseOGQ0
-
敵意を感じないことを確認して、ベリアルはティガの方を見る
ティガはなにを言うでもなく、静かに頷いた
ベリアルはそれになにを返すこともなく、空へと飛び上がる
ベリアル「デヤッ!」
空へと消えるベリアル
ティガはそれを見送ると、光と共に収束して消えた
そして、光が収まったその場所に立っていたのは―――
「ハァッ……ハァッ……」
―――福路美穂子
肩で呼吸をしながら、森の中で尻もちをつき木によりかかった
その疲労は、あの洞窟の中でのものだけではない
美穂子「華菜、久っ……」
京太郎「福路さん!」
美穂子「す、がくん……?」
京太郎「福路さん、大丈夫ですか?」
美穂子「だ、いじょうぶ……」
そう言って弱々しく笑う美穂子を見て、京太郎は顔をしかめる
抱えて帰るしかあるまいと、美穂子を見る
その手に持っているものを視界に入れて、息をついた
美穂子「ちょっと、疲れた……だけ、だから」
京太郎「……はい、休んでください」コクリ
美穂子「ん、ありが、とぉ」
眼を瞑り、一定の呼吸をする美穂子
安心したように京太郎は頷くと、その手に持っていた“モノ”を自分の手に
不思議な形をしたアイテムだった
ベリアル『スパークレンス、だな……似たようなのを見たことある。気がする』
京太郎「?」
ベリアル『まぁ良い、これで確定だな』
京太郎「はい……美穂子さんが、ティガ」コクリ
- 172 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 01:15:43.86 ID:bFqseOGQ0
-
山を降りてすぐ、コンビニの駐車場にいるのは慕
スタッフたちも数人が残っているだけでほとんどが熊倉トシの施設へと向かったようだった
慕「京太郎くん、通信に応えて……!」
「白築さんあれ!」
慕「え?」
スタッフの声に慕がスタッフの指差す方を見る
そこには須賀京太郎、それに……
京太郎「おーい!」
慕「福路さんっ!」
流れそうになる涙を拭って、慕が走っていく
京太郎へ、その背中に乗せている美穂子へ―――
- 173 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 01:31:37.01 ID:DLFHj4D10
-
森の中、落ちているメダル
ゴルザのメダルを拾う影
赤い髪をなびかせる竹井久が、虚ろな目で拾ったメダルを確認した
久「超古代怪獣……」
それを素早く投げれば、受け取る影
先ほどの宇宙人だった
「ご苦労だ……ゴルザ、メルバ、そして超コッヴ」
三枚のメダルを手に入れて、笑う宇宙人
それを見るのは竹井久、そしてその隣には池田華菜
「中途半端な因子のメダルだが、やはり人間に入れて熟成させると……完璧になるなぁ」
久「それで、これから?」
「レギュラン星人、お前は戦闘向けの生物ではないからな……色々と、私が考えてやろう」
久「……貴様」
「役に立つはずだ。貴様の同族の復讐のためにも」
久「……」
なにを言うでもなく、竹井久―――レギュラン星人は山を下りていく
- 174 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 01:45:17.82 ID:AvZcA1Yz0
-
ベリアルとティガが戦った山近く
カメラを持った男がいた
その近くにはメガネをかけた記者
「どう?」
「ウルトラマンの写真は取れましたけど……」
「上々!」
グッと手を振るう女性、西田順子
そしてカメラマンの男の名は山口大介
二人は『WEEKLY麻雀TODAY』の記者であり、京太郎の所属する清澄高校とも関わりがある二人
大介「でも俺らって、麻雀雑誌の記者ですよね? ウルトラマン撮っても」
順子「いえ、私たちはウルトラマン関係の記者よ」
大介「はぁ?」
順子「編集長には話を通してる……表だって報道されない雀士行方不明とコレ、関係あると思わない?」
大介「根拠は?」
順子「勘よ……だから追うわよ。ウルトラマンを」ニッ
大介「……はい」ハァ
意気揚々と歩き出す順子に、大介はため息を吐きつつ着いていくのだった
- 175 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 01:47:56.29 ID:AvZcA1Yz0
-
第4話【光を継ぐ者】 END
- 176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/09(木) 01:48:28.85 ID:sPcw0G0p0
- あー、またいらん事しそうやなこの記者
- 177 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 02:06:58.74 ID:AvZcA1Yz0
-
―――次回予告
京太郎:鶴賀に異変!
はやり:私はさながら囚われのヒロインってわけだ!
トシ:こんな元気な囚われのヒロインはいない
京太郎:強敵ですベリアルさん!
ベリアル:対ウルトラマン用だろうが関係ねぇ! 潰す!
次回【闇の力】
ベリアル:おもしろい、やってみろ!
京太郎:力、お借りします!
- 178 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 02:14:18.02 ID:AvZcA1Yz0
-
今回はここまでー
前の選択肢のもう一個の方っす
明らかに前にやってたら違うなーって話の展開もあったりー
そういえばティガが円谷イマジネーションに来たり
丁度タイムリーな展開だったなーとかー
次は金曜にーそんじゃまたー
- 179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/09(木) 02:53:28.19 ID:W4H7bd470
- 乙
キャプテンがティガだったけど、どうなってくんだ
次の敵がわからんがゆみが楽しみだ
- 180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/09(木) 12:39:00.59 ID:/xmXYvO1O
- そういや今更ながらベムラーとアーストロンのメダルがあるんだよな
ベリアル融合獣にもいつか変身するのだろうか
- 181 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 21:46:38.99 ID:wl09N0oz0
- よーしやってくー
>>180
ベリアル融合獣に関しては、まぁお楽しみってことで!
- 182 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 22:05:35.64 ID:w1o+XgEm0
-
―――【特異課施設:休憩所】
あれから一日
美穂子は未だに眠っているようで、さらに吉留末春
そして付近で深堀純代、文堂星夏も発見された
京太郎「……」
まだ風越の面々が起きた様子はない
だが……
智美「ワハハ、暇か」
桃子「あ、京さんじゃないっすか」
佳織「今日はお仕事ないんだねぇ」
やってきたのは蒲原智美を筆頭に桃子と佳織
ティガが蘇ったあの日の夜、智美が起きたのだがやはり記憶は曖昧なようだった
津山睦月を見た、とのことは聞いていたのだが……
京太郎「ふむ……」
智美「むっきー、見つかりそーか?」
京太郎「全然」ハァ
息をつく京太郎、その視線の先にはテレビ
映っているのはベリアルこと自分と、ウルトラマンティガだった
- 183 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 22:21:48.55 ID:jRxxruUV0
-
京太郎「……」
智美「おーウルトラマン、私の恩人だなーワハハ」
佳織「私も、なんだよね……」
桃子「私はそうじゃないらしいっすけど」
確かに佳織と智美を止めたのはベリアルだ
だが、それも京太郎にとってはやらなくてはならないことだった
人々を守る。それが今の京太郎のやるべきことだ
ベリアル『どぉーせ使命だとか、なんとか思ってんだろ?』
京太郎『うおっ!? なんでわかるんっすか!』
ベリアル『やめとけ、そういうタマじゃねぇよ』
京太郎『……え、どういうことっすか?』
ベリアル『さてな』
それだけ言うとベリアルは返事をしなくなった
小首をかしげる京太郎
佳織「京太郎くん、そういえば瑞原さんは?」
京太郎「ああ、今日も鶴賀だと思うんですけど……」
ピピピピ
京太郎「あれ、通信」
そう言うと、携帯端末を取り出した
京太郎「はいどうも」
裕子『京太郎くん、ちょっと第三医務室までお願いしていい?』
京太郎「っ! はい……」
桃子「仕事っすか?」
京太郎「おう、行ってくる!」
桃子「行ってらっしゃいっす」ニコッ タユン
京太郎(おもち!)
- 184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/10(金) 22:29:59.55 ID:rqcbBLDg0
- きてたのか
ちゃっかりモモたちと距離感近くなってるな
- 185 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 22:40:50.77 ID:jRxxruUV0
-
休憩所から離れて、京太郎は佐藤裕子に指定された部屋へとやってくる
インターホンを押すと、ドアが開いて裕子が顔を出す
京太郎「え、ど、どうも?」
裕子「……ん、どうぞ」
京太郎「どうも」
軽く会釈をして中に入ると、そこにはベッドに座っている少女
そうは言っても京太郎よりも年上なのだが……福路美穂子は相変わらず右目を閉じたまま、京太郎を見た
少しも驚いた表情を見せないのは裕子からある程度聞いていたのか……
京太郎「えっと……おはようございます?」
美穂子「えっと、おはよう?」
二人でぎこちなく挨拶をして、笑う
入院服のようなものを着ている美穂子
だが! その胸は豊満であった!
京太郎(いかん、俺としたことが……)ブンブンブン
裕子「あ〜」ジト
京太郎「な、なんっすか」
裕子「さてね、まぁそのぐらいの方が健全か」
京太郎「ちょ!」カァッ
美穂子「?」
- 186 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 22:54:08.82 ID:jRxxruUV0
-
座っている美穂子の正面に、椅子を出して座る京太郎
裕子はと言うと、頷いて外に出てしまった
知り合い同士でと、気を使ってくれたのだろう
京太郎「……その、福路美穂子さん」
美穂子「あ、その……気絶した私を背負って連れてきてくれたんだよ、ね?」
話を明らかに切ったのだが、理由は予想がつく
美穂子は、ベリアルが京太郎だと気づいていないのだろう
京太郎「……」
美穂子「うっ……む、無理?」
京太郎「はい、俺はわかってますから……」
その言葉に、美穂子がため息をつきつつ頷く
美穂子「光を掴んだの……それで、戦わなくちゃって、あの……べ、ベリアル、さんと」
京太郎「そっか、ティガとして、ウルトラマンとして、か……」
美穂子「……」
京太郎「その……」スッ
服の内側から取り出したのは“スパークレンス”
ベリアル曰く、ティガに変身するためのアイテム
- 187 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 23:12:48.57 ID:dZGeKDBJ0
-
美穂子「あ、これ……」
すぐに理解したのか京太郎の手から受け取って両手でそっと持つ
使い方も心得ているのは文字通り“光を受け継いだ”からか……
京太郎(俺ともまた違うか……)
ベリアルと自分のように同居しているような感じでもない
京太郎「美穂子さんが、その……これを手にすると、また戦うことになります」
美穂子「……」
じっと、美穂子の眼を見つめた
京太郎と美穂子、二人の赤い目が交差する
京太郎「義務感で戦うもんじゃないですよ」
ベリアル『良く言う』
京太郎『え?』
ベリアル『……ていうか、それじゃお前がオレだってバレちまうんじゃねぇか?』
京太郎『う、そこはなんとか……』
目の前の美穂子が、フッと息をついて笑みを浮かべた
美穂子「ううん、戦うわ……私はね、光を継いだ。きっと守るために」
京太郎「……」
美穂子「私自身も守りたいと思う、人が好きだし……なによりも、華菜と久のために」ニコッ
ベリアル『こいつ本心から言ってやがる』
京太郎『えー嫌そうに言いますね』
ベリアル『嫌だからな』
京太郎「……美穂子さん」
- 188 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 23:24:05.66 ID:dZGeKDBJ0
-
美穂子「どうしたの?」
京太郎「お願いします」
そう言って笑うと、美穂子も笑顔を浮かべて頷いた
その後は簡単な話だ
彼女の正体は言わないだとか
自分と同じ立場の方が戦いやすいと、トシには口利きしておくだとかだ
京太郎(まぁ、一緒に麻雀で戦うことはできないだろうけどなぁ)
美穂子「えっと、それじゃあ熊倉さんに話を?」
京太郎「はい、あの人ならなんとかしてくれると……思い、ます」コクリ
美穂子「京太郎くんがそこまで信用してるなら、大丈夫ね」クスッ
笑う美穂子に、京太郎も笑って返す
だがしかし、トシを信用しているのは確かだが謎が多いのも確か
彼女は一体何者なのだろうとも思う
京太郎『しばらく顔出してないけど、あの人……美穂子さんのこと知ってると思います?』
ベリアル『たぶんな、あの感じ……普通じゃねぇだろ』
京太郎『ベリアルさんが言うなら間違いないんでしょうけど』
頭の中でベリアルと会話をしていると、扉が開いた
美穂子は慌てながら入院服の中にスパークレンスを隠す
京太郎(おー……正直、その、いい……)
裕子「さ、福路さん、着替え持ってきたから」
京太郎「それじゃ俺はこれで!」
美穂子「あ、うん」コクリ
京太郎「……それじゃ、また」フッ
美穂子「ええ」ニコリ
裕子「ふ〜ん」
京太郎「え、な、なんっすか」
裕子「すーぐ女の子と仲良くなるんだから」
京太郎「えー、別に良いじゃないっすかぁ」
裕子「……別に良いけど」ジト
京太郎「?」
- 189 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 23:39:17.15 ID:dZGeKDBJ0
-
美穂子の部屋から出て、京太郎はすぐに呼び出された作戦室へと向かう
ティガの一件から増えたスタッフたちに軽く会釈しながらトシの待つ部屋へと入った
そこにいたのは、トシの一人
京太郎「来てたんですね」
トシ「まぁね……とりあえず瑞原から連絡もあったし」
京太郎「いつ?」
トシ「さっき」
京太郎「……え、すぐ来たんっすか? ターボババァ?」
ゴッ
トシ「ぶつよ」
京太郎「ぶってるぅ」ヒリヒリ
頭を押さえながら、京太郎がトシの方を見る
ともかく、とドッシリと椅子に座する熊倉トシが端末を叩く
そこに映っているのはウルトラマンティガ
京太郎「……美穂子さんは、戦うって」
トシ「そ、なにより……」
京太郎「あっけからんとしてますね」
トシ「あの子がティガに、光に選ばれた時点でわかってたことさ」
京太郎「……?」
トシ「あの子はシンプルに、人々を愛するタイプだからね。ウルトラマンに向いてる」
その言葉に、京太郎は自分の手を見る
一瞬だけベリアルの手が重なって見えて、その直後黒い手が重なって見えた
京太郎「ッ!」
トシ「悩んで戦って答えを出す。それが人間でありティガ」
京太郎「え?」
トシ「なにはともあれ、京ちゃんとは違うってことさ」
京太郎「なんっすかそれぇ」
トシ「まぁ人それぞれ、あるってことさ」
- 190 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 23:56:29.13 ID:dZGeKDBJ0
-
トシ「とりあえず福路に話は通しておくよ」
京太郎「あの、美穂子さんの正体については」
トシ「わかってるよ。知らないふりする」
そう言って端末を操作して、ティガの画像を小さく
そして鶴賀学園の画像が大きく映し出された
おそらくだがはやりが撮った写真なのだが、そこに映っていたのは
京太郎「……加治木さん?」
トシ「そう、加治木……ただし、こいつ」
京太郎「……メダルを、握ってる?」
トシ「そ、ちなみにこの後、麻雀やったらしい」
京太郎「ッ!」
つまり、そういうことだろう
しかしメダルを入れられた人間がそこまで狡猾に動くのを見たことが無い
そのはずなのだが……
トシ「ちなみにそっから瑞原から連絡がない」
京太郎「一大事じゃないっすか!」
トシ「だから呼んだ。頼んだ……はい、特異課手帳」
京太郎「なんっすかこれ」
トシ「警察手帳みたいなもんさ、見せりゃなんとかなる」
京太郎「えー眉唾」
トシ「いいから行っといで、瑞原があんなことやこんなことになる前に」
京太郎「行ってきます!」ダッ
- 191 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 23:58:04.94 ID:dZGeKDBJ0
-
第5話【闇の力】
- 192 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 00:17:51.30 ID:8f7FJ2Wy0
-
―――【鶴賀学園:一階】
スーツ姿、サングラスをかけた京太郎が歩く
顔を隠せと言うことでもらったがいかんせん、ガラが悪い気もする
手帳を見せたら当然のように入れたがそれも意味が分からない
京太郎(世の中、知らないことばっかだなぁ……案外宇宙人とかも珍しくなかったり?)
そんなことを思いながら歩く京太郎の隣を歩く女子生徒二人
なんだかコソコソと話をしながら去って行った
京太郎(絶対、恐がられてる)
「今の人こわぁ」
「え、カッコ良くない?」
「まぁどっちかってーと?」
歩いていく京太郎のつけているサングラス
その内側、右方向がピコピコと光る
京太郎(こっちか、はやりさんの反応……)
はやりの端末を示しているらしい、とトシから聞いた
内ポケットのガッツハイパーはいつでも手に取れるようにはしている
だが、実際に出てきたとして“加治木ゆみ”を打てる気がしない
京太郎「……いや、なにかあってからじゃ遅いからな」
- 193 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 00:37:28.17 ID:8f7FJ2Wy0
-
一階の反応がある教室を覗く
だが、そこにはなにもなかった
サングラスの内側の反応は、上を示していた
京太郎「……もっと上? いや、三年の教室があるのは二階、だよな」
ということは、と京太郎は小走りで上階へと向かっていく
すぐに反応を追って行き京太郎は部屋の前へとたどり着いた
明らかに異常な気配を感じる
京太郎「……っ」
ベリアル『上等じゃねぇか、やっちまえ!』
京太郎「はやりさん!」
扉を勢いよく開けて中へと入る
カーテンが引かれた暗い教室
その中に、少女が1人で立っていた
京太郎「加治木、ゆみ……!」
ガッツハイパーを構えるその手に、震えは無い
彼自身も驚くほどだった
京太郎「……人でなしか、俺は」
ゆみ「そうだな。貴様は人でなしだ……ベリアルの器」フフフ
京太郎「ハッ、まさかこんな風に会話できる敵がいるとは」
負けじと笑ってみせるが、内心では気が気でない
銃口はまっすぐゆみの方を向いている
「京ちゃん!」
京太郎「はやりさん!?」
- 194 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 00:53:18.51 ID:8f7FJ2Wy0
-
そこには立てられた十字架にはりつけられているはやり
京太郎がガッツハイパーをそちらに向けた
ゆみ「甘いなベリアルの器!」ガッ
京太郎「っ!」
蹴りでガッツハイパーが弾き飛ばされる
だが、京太郎は体勢を低くして足払いをかけた
跳んで回避したゆみが京太郎と距離を取る
ゆみ「ゼットン星人もこんなものに遅れを取るとは」
京太郎「チィ!」
ベリアル『おい、こいつは一味違うみたいだぞ』
ゆみ「……どうした? ベリアルの器」
京太郎「パンの袋とめるアレみたいに言うんじゃねぇよ」
構える京太郎、次の行動を待ち構えるも―――
ゆみ「それじゃ、これは?」パチンッ
その音共に、カーテンが開かれる
明るい陽射しが教室内に差し込む
ゆみ「さぁ、十分に育ったろう……!」
その向こう、街に現れる影
光りと共に―――巨大なアリジゴクのような怪獣が現れる
京太郎「ッ!」
ベリアル『アリブンタか!』
ゆみ「さぁ、どうする?」
はやり「行って京ちゃん!」
ゆみ「黙れ!」
その瞬間、十字かに電撃が奔る
はやり「がっ、あああっ!!?」
京太郎「はやりさん!」
はやり「っ……アァァッ!」
- 195 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 01:03:24.01 ID:8f7FJ2Wy0
-
京太郎「お、お前ッ!!」
ゆみ「フハハハハ!」
外のアリブンタが徐々に迫ってくる
まだ小さく見えるほどの距離ではあるものの、それは確実だ
十字架からの電撃は収まっている
はやり「っぁ……はぁ、はぁ……」
京太郎「っ」
ゆみ「変身しようとすれば」
だが次の瞬間、アリブンタに銃撃が奔った
驚愕に眼を見開くゆみ
京太郎はその顔に笑みを浮かべる
京太郎「頼んだ、美穂子さん!」
- 196 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 01:13:21.08 ID:8f7FJ2Wy0
-
―――【街中】
トシの運転で、スーツを着た美穂子は街中へとやってきていた
タイミングよく現れたアリブンタ
二人は避難誘導を始めるも……
美穂子「あっちの避難誘導にいきます!」
トシ「……任せた!」
頷いた美穂子がアリブンタを相手にガッツハイパーを撃ちながら走る
アリブンタが美穂子の方に顔を向けた
美穂子「ちゃんと囮はやれてるわね……」
走って裏路地に入る
やることはただ一つ、決めたことだ
美穂子「人々を守る。そのために私は光を……!」
スーツの内側から、スパークレンスを取り出す
強い瞳で、両目を開き……腕を回す
美穂子「……!」
そして、光が溢れる
- 197 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 01:21:35.41 ID:8f7FJ2Wy0
-
―――【鶴賀学園:二階教室】
街中に現れた光の巨人―――ウルトラマンティガ
アリブンタの行く手を遮り、素早く蹴りをみまう
怯み、倒れるアリブンタ
ゆみ「なっ!?」
京太郎「そこだぁっ!」
素早く跳びだした京太郎が、ゆみへと接近して脚を振るう
京太郎「ごめん加治木さんっ!」
ゆみは素早く腕を横に出して凌ぐも、勢いを殺し切れず床を転がる
はやりの拘束を解こうとするが、起き上がったゆみの方が早かった
その瞳がエメラルド色に輝く
ゆみ「ならばァ!」
京太郎「!!」
瞬間、光と共に、校舎が吹き飛ぶ
- 198 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 01:34:49.70 ID:8f7FJ2Wy0
-
校舎を拭き飛ばし、現れるのは巨大な影
金色の鎧のようなものを纏った人型ロボット
右手にナイフ、左手に鋭利なカギ爪
『潰れろベリアル!』
だが次の瞬間、光りと共に現れる白銀の巨人―――ベリアル
体を丸めた状態で現れると、手をそっと下げる
その手から、眠っているはやりが地に降ろされた
『らしくないことを!』
ベリアル『オレもそう思うが、やったのは小僧だ』
京太郎『お前ェ!』
立ち上がると、そのまま敵へと掴みかかる
はやりに被害が及ばぬようそのまま転がって離れると、すぐに距離を取った
もちろん、はやりがいる方を背にだ
ベリアル『エースキラーか』
京太郎『エース殺し、加治木さんにはあってる、のか?』
ベリアル『そういうエースじゃねぇけどな』
京太郎『え?』
ベリアル『だが……あれは中身、いやもっと前提、ヤプールの意思か』
京太郎『誰っすか』
ベリアル『雑魚だ、気にすることじゃねぇよ』
エースキラー『ベリアルゥ!』
両腕を開いて怒りを表すと、エースキラーはベリアルへと走り出す
- 199 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 01:42:08.63 ID:8f7FJ2Wy0
- ってことで今回はここまでー
次回はようやっと戦い
五話にしちゃ展開早い気もするけどまぁ最近のウルトラマンなら普通普通
とりあえずエースキラー戦
もしかしたら明日かも?
そんじゃまたー
- 200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/11(土) 02:08:12.82 ID:Y/sluaEd0
- 乙です
- 201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/11(土) 06:22:48.20 ID:ioGBX/IL0
- 乙
エースキラーがエースキラーしてるな
二人のウルトラマンがちゃんと分担できてていい
- 202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/11(土) 18:13:35.71 ID:vnOIpt/EO
- まあどっかの最後の勇者よりはマシかと
なんせアイツはこの辺りで合体魔王獣やラストジャッジメンターと戦ってるからな
- 203 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 21:32:09.51 ID:aL/RcTEu0
- ようし、やってくー
今日までに五話終わるかなー
>>202
魔王獣はジャグジャグの手加減あったんだろけど……ギルバリスはヤベーイ
- 204 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 21:46:44.89 ID:8cKaUmd20
-
叫び、吠えたエースキラーがベリアルに向かって走る
振るわれたナイフを左手の爪撃で凌ぎ、右手の爪撃で攻撃
だがその攻撃は右手の鉤爪に止められる
ベリアル「!」
エースキラー『半端な力で復活した貴様が、勝てると思うかァ!』
ベリアル『くっ、テメェだってそうじゃねぇのか?』
エースキラー『侮るな、こちらはメダルの力をこの女の力を使い増幅させ……さらにエースキラーの執念、そして私の執念をも取り込んだ超獣ロボット!』
京太郎『ベリアルさん!? 超獣って!?』
ベリアル『怪獣を超えた怪獣、とかヤプールが勝手に言ってるだけだけどなぁ!』
エースキラーの左腕が振るわれるが、ベリアルはその手首を掴む
さらにナイフが振るわれるがそちらの手首を掴んだ
エースキラー『防戦一方のようだなベリアル!』
ベリアル『チッ! 気合入れろ小僧!』
京太郎『入れてますよさっきからぁっ!』
徐々に、力負けしてベリアルが膝をつく
エースキラーのエメラルド色の眼がジッとベリアルを見下ろす
ベリアル『ヤプールっ、テメェ……メダルに取りついた残留思念風情がっ!』
エースキラー『それは貴様も一緒だろうベリアル! フッハハハハ!』
京太郎『っのぉ!』
頭を振りかぶり、そのままエースキラーの頭部にぶつける
ふらつくエースキラーを相手に、ベリアルは素早く後ろに下がろうとするも、エースキラーは素早くナイフを振るった
ベリアル「グアァッ!」
京太郎『ぐぅっ!』
エースキラー『そらぁっ!』
さらに鉤爪での攻撃で、ベリアルはふらつく
- 205 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 22:03:19.71 ID:8cKaUmd20
-
エースキラーが追撃とばかりに蹴りをみまう
ふらついたベリアルが転がるも、すぐに起き上がり手から光弾を放つ
ベリアル「ハァ!」
エースキラー『効くか! そんな情けない攻撃が!』
その光弾を軽く弾くと、エースキラーが額からビームを放つ
素早く転がり、ベリアルは攻撃を回避しさらに左手から雷を放った
京太郎『こいつで!』
エースキラー『そのような半人前の人間と同化した貴様のなにが最凶か!』
雷が当たるかと思われたその瞬間、右腕が前に出されエースキラーが光線を放つ
その光線が、押し負けてベリアルに直撃
ベリアル「ガァッ!」
京太郎『俺が足を引っ張って……またっ』
歯がゆさに顔をしかめて、京太郎は力を込めた
京太郎『俺は、人々を守るために!』
エースキラー『そんな力でウルトラマンのようなことを言う!』
京太郎『今の俺はウルトラマンだ!』
エースキラー『笑わせる! 貴様はウルトラマンではない! その器でもな!』
京太郎『なっ、言わせておけば!』
ベリアル『小僧! さっさと決めるぞ!』
京太郎『はい!』
起き上がるベリアルが、右腕に雷を纏う
- 206 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 22:11:58.57 ID:8cKaUmd20
-
ベリアル『チッ! こんな奴に!』
京太郎『負けるかァ! デスシウム光線!』
放たれるデスシウム光線だが、エースキラーは両腕をクロスにする
左手を水平に前、右手を垂直に後ろ―――それはベリアルと同じ構え
エースキラー『スペシウム光線!』
京太郎『同じ!!?』
エースキラー『ハァ!』
ぶつかった光線、だがそれは呆気なく結果が決まる
そのままエースキラーの光線がベリアルの方へと迫った
京太郎『ッ!!?』
ベリアル『クソがァ!』
エースキラー『貴様らのようなウルトラマンのなりそこないが、消えろ!』
真っ直ぐと、ベリアルへとぶつかる光線
そのまま吹き飛んだベリアルは校舎を押しつぶして倒れた
はやりは踏んでいないはずだし、避難は済んでいると思いたいところだが……
京太郎(ベリアルさんは悪くない、でもっ! 俺がッ!)
ベリアルの中にいる京太郎は拳を握りしめる
噛みしめた唇から血が流れる感覚がした
京太郎(俺はっ、人々を救う。救わなきゃなんだよ!)
- 207 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 22:27:00.94 ID:8cKaUmd20
-
一方、ティガはアリブンタとの戦いで苦戦していた
ティガである美穂子は知らないだろうが、そのアリブンタもまた“ヤプールの執念の力”で強化されている
スカイタイプとなったティガが素早く連続打撃をするが、効いている様子はない
ティガ「!」
アリブンタ「―――!」
振るわれるアリブンタの腕
ティガが素早く回避するも、そのまま回転したアリブンタの尻尾攻撃を受ける
ひるむティガに、アリブンタは近距離でハサミから炎を撃つ
ティガ「ウアッ!」
アリブンタ「―――!」
炎に包まれるティガだが、素早くパワータイプにチェンジ
その火炎攻撃に耐えながら拳を振るってアリブンタをひるませた
美穂子『このアリさん、強い!』
ティガ「ハアァ!」」
アリブンタ「―――!!」
拳を打ち込まれて、アリブンタが怯んだ
だがそれで少しばかり距離を取ったアリブンタは口から蟻酸を放つ
ティガは両手を前にしてバリアを発生させる
アリブンタ「―――!」
ティガ「―――!」
バリアを解いたティガが、手から光弾を放ってアリブンタを攻撃する
- 208 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 22:33:27.76 ID:8cKaUmd20
-
倒れているベリアルへと近づいたエースキラー
ベリアルの胸のカラータイマーが、点滅を始めていた
圧倒的な劣勢―――
京太郎『それでも、それでも俺はっ! 守らなきゃっ!』
ベリアル『おい小僧!』
京太郎『ベリアルさん、俺はッ!』
立ち上がるベリアル
エースキラーは鉤爪でそんなベリアルの首を掴み上げる
両手でその腕を掴むが、ベリアルの体はそのまま徐々に持ち上げられていく
エースキラー『仲間割れとは、ベリアル、貴様らしい!』
ベリアル『黙りやがれっ!』
京太郎『このっ!』
エースキラーがナイフをベリアルへと向ける
- 209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/11(土) 22:36:19.96 ID:ioGBX/IL0
- 京太郎がキャップに注意してたのにめちゃくちゃ義務感だ
強迫観念っぽくもあるな
- 210 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 22:50:30.51 ID:af5i3PFv0
-
ベリアルが倒れている鶴賀学園
その近くのマンションの屋上に、誰かがいた
ローブをまとった真っ黒な人物
「ベリアル様……貴方の力はそんなものじゃない」
そう言うと、ローブに隠れた腕を振るう
それはメダルであり、真っ直ぐに倒れているベリアルへと向かって行った
「だが、その“異物”が余計だ」
足元から消えるローブの人物
「それが早々に消え去ることを期待しています。または、ベリアル様の糧となることを……」
- 211 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:03:07.54 ID:kpx7DOA+0
-
ベリアルの中、インナースペースで首を押さえている京太郎
京太郎「ぐっ!」
浮遊感と首を絞められている感覚
呼吸困難になりながらも、突如目の前に現れたそれを見て顔をしかめる
京太郎「こ、れはっ……」
ベリアル『小僧、気合入れろォ!』
京太郎「こ、こいつ、でっ……!」
目の前に現れたメダルを、右手で掴む
ベリアル『なにやってるっ、小僧!』
京太郎「べ、ベリアルさん! メダルがっ……うわっ!」
右手に持ったメダルが、左手に持ったゼットライザーに引き寄せられていく
それに異様な感覚―――“深い闇”を感じる
京太郎「闇がっ……こ、こんなっ!」
ベリアル『なにしてるっ! 小僧ォ!』
京太郎「や、闇の、力っ……」
京太郎の右手ごと引き寄せるようにメダルがゼットライザーへとハメられた
体が操られるように、ゼットライザーのブレードを動かす
そして、メダルが読み込まれる
『Alien Rayblood』
―――レイブラッド星人
- 212 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:12:01.51 ID:kpx7DOA+0
-
今にもナイフを突き刺されようとしているベリアル
だが次の瞬間、その身体からあふれ出る大量の―――闇
ベリアル「ウオォォォ!」
エースキラー『なっ、なにィ!!?』
勢いよくあふれ出た闇に、吹き飛ばされるエースキラー
その場に、着地するのはベリアル
ベリアル『小僧! この力!』
京太郎『闇っ、この力ッ……!!』
ベリアル「ウオォォォッ!」
そしてその闇はベリアルへと吸収されていく
纏うは闇、全てを飲み込む力
光の相対―――そしてベリアルが“変身”する
エースキラー『そ、その姿は!』
ベリアル『ハッ! よーやく盛り上がってきたじゃねぇか、なぁ小僧?』
京太郎『こ、この力はッ!?』
その身体には黒と赤、先の形態とは正反対の姿
荒々しい表情、そして荒々しい姿、鋭い爪
ベリアルは構えを取ると、狼狽するエースキラーへと走り出す
- 213 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:23:53.16 ID:kpx7DOA+0
-
エースキラーへと接近すると即座に爪を振るう
その一撃は先ほどよりも強力
エースキラー「―――!!?」
ベリアル『戻ってきたじゃねぇか、力がァ!』
京太郎『こんな凄い力!』
高揚する感情
さらに連続で爪撃を放っていけば、エースキラーはなんとか防ごうと両腕の武器を使う
ベリアルの爪をナイフで凌ぐが、即座にもう片手で弾かれる
ベリアル『今のオレに!』
京太郎『勝てるかよォ!』
エースキラーが左手の鉤爪でベリアルの次の攻撃を凌ごうとする
だが、今のベリアルの攻撃はそれでは凌げない
鉤爪ごと、ヅタヅタになるエースキラーの左手
ベリアル『気にくわねぇ類の奴の力だが、力に良いも悪いもねぇ、やるぞ!』
京太郎『でも、これは……』
ベリアル『小僧!』
京太郎『は、はい!』
- 214 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:33:01.28 ID:kpx7DOA+0
-
ティガが、アリブンタの右腕を光弾で吹き飛ばす
さらに左手のハサミをパワータイプの怪力で破壊した
アリブンタ「―――!!」
美穂子『強かった、けど……私は守りたいから、みんなを!』
力強い拳が、アリブンタの胴体を突く
後ろへと仰け反るアリブンタを掴まえると、そのまま回転
凄まじい回転力のまま、アリブンタを上空へと吹き飛ばす
ティガ「ハッ!」
きりもみ回転しながら空へ飛び上がるアリブンタへ、ティガは両手を構える
赤い光が、ティガの両手に集まっていく
ティガ「……ハァ!」
赤い光弾、デラシウム光流が真っ直ぐに伸びていく
アリブンタ「―――!!?」
上空のアリブンタに直撃すると同時に、爆発
爆風と共に、小さな光が地上へと落ちていくのが見えた
それに頷いたティガは、すぐにベリアルの方を見る
美穂子『あれは!!?』
- 215 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:40:45.96 ID:kpx7DOA+0
-
振るわれる腕、爪撃を止める術もなく食らっていくエースキラー
中身、であると思われるヤプールの戸惑う声が聞こえる
エースキラー『なんだ、なぜ闇の力が! レイブラッド星人の力が!』
ベリアル『誰かは知らねェが、力自体はお前らと似たようなもんだろォ!』
上からの爪撃、その勢いのまま回転したベリアルが蹴りを放つ
直撃してエースキラーが倒れる
走って接近したベリアルが倒れたエースキラーに爪を突き立て、上へと振るう
エースキラー「―――!!?」
ベリアル『こいつで決めるぞ小僧!』
京太郎『は、はいっ!』
両腕をいつも通りに構えるベリアル
左手を水平、右手を垂直、そして右手の手の平を目標に向けて
ベリアル『デスシウム光線!』
京太郎『で、デスシウム光線っ』
放たれた光線が、上空のエースキラーを貫き―――爆散
ベリアル『ハッ!』
右手を振るい、左手を顎にそえて首の音を鳴らす
- 216 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:50:07.67 ID:kpx7DOA+0
-
黒きウルトラマン
最凶と言われたベリアルの姿がそこにはあった
京太郎の知らないもう一つの姿
ベリアル『これならしばらくは困らねぇな……相手が対策してこなきゃだが』
京太郎『ッ!」
ベリアル『あ? なんだ小僧、ぐっ!』
瞬間、ふらついて膝をつくベリアル
駆け寄ってくるティガが、ベリアルの傍に寄る
美穂子『京太郎くん!?』
―――【インナースペース】
立っている京太郎は狼狽していた
周囲を見渡すその瞳に映る動揺
京太郎「なんだよっ、これ!」
いつもの白銀の空間とは違う
周囲には闇
京太郎「ま、纏わりつくな! くるな!」
ベリアル『闇を受け入れろ……!』
京太郎「そ、そんなふざけたことっ!」
腕を振るう京太郎が闇を遠ざけようとする
だが迫る闇は―――止まらない
- 217 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:57:35.26 ID:wRkqQIB50
- >>216
ミス
×美穂子『京太郎くん!?』
〇美穂子『ベリアルさん!』
- 218 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:02:57.51 ID:WzyYGAuN0
-
インナースペースでの京太郎
そんな彼を知らない美穂子ことティガはベリアルの傍にいた
だが突如、ベリアルの腕が振るわれる
ベリアル「ガァッ!」
ティガ「グァ!」
その腕の直撃を受けて、ティガが倒れる
美穂子『な、なに!? ベリアルさん!?』
ベリアル「ガアァ!」
暴れるベリアルの手から光弾が放たれた
それが瓦礫を吹き飛ばす
美穂子『て、敵なの!? 闇の力に、操られてるとか!?』
ティガ「テァ!」
パワータイプの力で抑えつけようとするが、ベリアルの爪撃をもらう
ティガのカラータイマーが赤く点滅を開始する
ベリアル「ウオォォ!」
美穂子『ベリアルさん! 届かないの!?』
まだまだだと、近づくティガ
爪での攻撃を回避して胴体にタックルをする
そのままベリアルを地面に倒すも、身体を回転させられてマウントポジションを取られた
ベリアル「ウゴアァァ!」
そのまま両手は、ティガの首へと伸びた
グググ、とティガの首がしめられていく
- 219 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:08:24.28 ID:WzyYGAuN0
-
―――【インナースペース】
京太郎「闇がっ!」
紅に輝く瞳の京太郎が、暴れていた
体を振りまわす京太郎は闇から逃れようとしている
京太郎「っ……!」
美穂子『ぐっ……べりある、さんっ』
京太郎「!」
美穂子『あなたはっ、うるとら、まん、人々を守るっ……』
瞬間、京太郎がハッと前を見る
そこに立つのは黒いウルトラマン
ベリアル『……小僧!』
京太郎「ベリアルさん!」
- 220 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:17:16.26 ID:WzyYGAuN0
-
ティガに馬乗りになっていたベリアルの姿が消えていく
そして、立ち上がったティガが上空へと跳び上がった
空へ消えていくティガ
京太郎「……」
そんなティガを見ながら、京太郎は瓦礫の中で倒れている
全身ボロボロで、口の端には血がにじんでいた
京太郎「俺はっ……」
左手にはゼットライザー、そして右手に握られているのはレイブラッド星人メダル
その顔には、悔しさが滲んでいた
なにに対してのものかはわからない。京太郎自身にも……
京太郎「俺はっ……なにをしたって、弱いっ」
勢いよく上げた右手を、地面に叩きつけた
- 221 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:22:56.89 ID:WzyYGAuN0
-
第5話【闇の力】 END
- 222 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:35:47.18 ID:WzyYGAuN0
-
倒れている京太郎を、高い場所から見下ろすのは熊倉トシ
静かに息を吐きつつ周囲を見渡す
トシ「……誰がレイブラッド星人メダルなんか、って予想はつくけど」
右手でメダルを弾き、右手で撮る
トシ「メダルと執念、厄介だね……」
持っているメダルからあふれ出るのは―――闇
トシ「京ちゃんは弱いんじゃない、不器用なだけだよ」
憂鬱とした表情で別方向を見るトシ
そこには周囲を見回している美穂子、そしてはやり
おそらく京太郎を探しているのだろう
トシ「ベリアル、京ちゃんを……」グッ
- 223 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:46:28.25 ID:WzyYGAuN0
-
―――次回予告
ベリアル:闇を受け入れろ
京太郎:闇!?
ベリアル:オレと、闇と共に!
京太郎:これは、この力はッ!
ベリアル:己の欲望を受け入れろ!
次回【欲望-EGO-】
ベリアル:テメェはウルトラマンになんてなれねェ!
京太郎:俺は、俺はァ!!
- 224 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:54:04.96 ID:WzyYGAuN0
- 今回はここまでー
どっかで見たことあるようなないようなな感じで
ウルトラ特有の主人公迷走回ー
ちょっと早いけど、この手のは早めにね!
ちなみに次回予定の安価
1、妹尾佳織
2、東横桃子
3、蒲原智美
4、福路美穂子
5、瑞原はやり
6、佐藤裕子
7、白築慕
って感じですー
まぁ純粋に迷走イベントがそのキャラメインになるって感じっす
それじゃまた明日ー
- 225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 01:27:57.67 ID:J/b8SUfD0
- 乙
レイブラッド星人メダルで強化はおもいしろい
それと展開的にはサンダーブレスターの話思いだすな
安価は好きなキャラでいいならはやりんいってみるかな
- 226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 18:11:58.52 ID:T56QkXDS0
- 考えてみればすごい図だな
京太郎が美穂子に馬乗りになってたんだから
- 227 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:03:55.85 ID:Gz/xyvFa0
- おっし再開してこうかなー
安価は案外すぐにくるはず
>>225
オーブ意識してました
ベリアル回だったしね!
>>226
それはイッチも思った
- 228 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:13:55.79 ID:Gz/xyvFa0
-
―――【特異課施設:休憩所】
座って、コーヒーを飲んでいる京太郎
その視線の先には、暴れる黒いベリアル
『このベリアルと呼ばれる巨人はやはり敵なのでしょうか?』
『やっぱり黒くなったってことは今まで正体を隠してたんですかね?』
『最初から信用するべきじゃなかったんだよ! 荒々しいし、悪い宇宙人っぽいと思ってたね俺は!』
ワイドショーのコメンテーターたちが好き勝手を言うが、映っている映像では確かにベリアルが、否自分が暴れている
コーヒーを一口飲むと、深く息をつく
そしてティガに襲い掛かる自分が映った
『あのどこからかティガと呼ばれだした巨人も、襲われたようですね』
『あれもベリアルの仲間で自作自演なんじゃないの?』
『次に現れた時は軍が出撃してアイツらまとめて倒すべきだね!』
京太郎(俺が美穂子さんを……)
自分の手を見ていると、黒い手を幻視する
京太郎「ッ!」
『あれから三日が経ちました。復興はどうなってるのでしょう!』
京太郎「あれから……三日」
- 229 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:17:34.09 ID:Gz/xyvFa0
-
第6話【欲望-EGO-】
- 230 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:18:52.84 ID:Gz/xyvFa0
-
第6話【欲望-EGO-】
- 231 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:28:02.48 ID:Gz/xyvFa0
- (ミスった連投
―――三日前【鶴賀学園跡】
破壊された校舎、破壊された建造物
抉れた大地、瓦礫の中で発見された京太郎は車に乗っていた
特異課の息のかかった救助隊や、事後処理部隊なども集まっている
京太郎「……」
慕「お疲れさま……大丈夫?」
京太郎「ちょっと、疲れました……」
慕「そう、だよね……でも無事で良かった」
京太郎「ありがとう、ございます……」
そう応えながら、外を見る
救急隊に連れて行かれる加治木ゆみ
それを見送る福路美穂子
京太郎「あの人は……ちゃんとウルトラマンなんだな」ボソッ
慕「ん?」
京太郎「ああ、いえ……独り言です」
あはは、と笑って慕にそう返すと再び外を見る
瓦礫撤去や、爆散したエースキラーの破片を拾う事後処理部隊
その中に、指揮している熊倉トシもいた
京太郎『ベリアルさん……』
ベリアル『なんだ?』
京太郎『すみません、足引っ張っちゃって』
ベリアル『あれがオレの本来の姿と言っていい』
京太郎『え?』
ベリアル『闇の力を使い世界を手に入れるために暴れ、最後は殺された。それがオレだ』
京太郎『ッ!』
ベリアル『闇を受け入れろ、そうすれば力が手に入る』
京太郎『そんな、ことは……』
ベリアル『……』
京太郎『……ベリアルさん』
ベリアル『なら良い、今はな』
京太郎「……闇の、力」ググッ
- 232 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:35:56.69 ID:Gz/xyvFa0
-
あれから、夢を見る
起きればほとんど憶えていない
だが―――追放と思考誘引、そして復讐心と破滅
ウルトラマンであろうとする京太郎自身と相容れない思想
幾度の復活を経ての……
―――疲れたよね? もう、終わりにしよう……!
―――さよなら……◆◆◆◆
虫食いのような記憶、記録
ただわかるのは、どこか釈然とした感覚
ベリアルの―――追憶
- 233 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:50:38.85 ID:Gz/xyvFa0
-
京太郎「……はぁ」
テレビのワイドショーから聞こえる声
だがわざわざ消しに、テレビに近づくのも面倒だった
加治木ゆみは未だに起きない、アリブンタこと―――津山睦月も同じく
京太郎「……」
鶴賀学園の面々が帰ってきたことに喜んでいた桃子たちを思い出す
美穂子の方も風越の生徒たちも起きたようで喜んでいた
清澄の生徒の情報はまだない
それに、エースキラーのメダルは『ゴルザ・メルバ・超コッヴ』のメダルのように、どこかに持ち去られたようだった
『ティガはその翌日、昨日には子供を庇う姿が目撃されてますね』
『まさに自愛の巨人、ですか』
美穂子は昨日、現れた怪獣と戦いがあったそうだ……
京太郎「……」
『ベリアルはやはり敵だとすべきと思う声が多いようですね』
瞬間―――テレビが消された
- 234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 22:54:13.47 ID:J/b8SUfD0
- ベリアルと一体化したからこの手の問題が早々に出てくるな
ジードも苦労してたけどベリアル本人とだから余計に悩みそうだ
- 235 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:56:18.52 ID:Gz/xyvFa0
-
◆誰かがテレビを消した!
1、妹尾佳織
2、東横桃子
3、蒲原智美
4、福路美穂子
5、瑞原はやり
6、佐藤裕子
7、白築慕
◇5分間でコンマが一番高いキャラクター↓
- 236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 22:57:15.44 ID:xSiLUWOn0
- 5
- 237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 23:00:32.78 ID:Q6VE32le0
- 4
- 238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 23:00:33.31 ID:J/b8SUfD0
- 5はやりんで
- 239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 23:05:00.52 ID:J/b8SUfD0
- キャップかこれはこれで楽しみ
- 240 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 23:16:46.72 ID:4z7Chdqg0
- 4、福路美穂子
テレビを消したのは福路美穂子だった
ハッとする京太郎に、美穂子が苦笑を浮かべる
美穂子「そのね、あまり……見てた?」
京太郎「いえ、俺も消そうと」
その言葉に、美穂子はホッと息をついて京太郎の傍に座る
美穂子「……ベリアルさんはね」
京太郎「っ……はい」
次の言葉を待つ
美穂子「きっと、なにかおかしかったの、あんなことするわけない」
京太郎「わかりませんよ、そんなの」
美穂子「私と一緒に戦ってくれたベリアルさんがそんなことするはずない。瑞原さんを助けたあの人なら」
京太郎「気まぐれかもしれない」
美穂子「いえ、一緒に戦った私だから……わかるの」
その言葉に、京太郎は自嘲するような笑みを浮かべる
- 241 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 23:34:21.44 ID:eqaBN+JO0
-
京太郎「攻撃、されたのに?」
美穂子「ええ、された……闇の力に、飲まれてしまって」
そんな言葉に、京太郎は美穂子に気づかれないようにしながらも拳を握りしめる
相対している美穂子は、持っていたアイスティーを一口
美穂子「私は……それでも、信じたい。人々を助けるという私と同じ願いを持ったウルトラマンを」
京太郎「……」
美穂子「それに最近、夢を見るの」
京太郎「え?」
美穂子「ティガのかつての記憶、別のティガの……闇の巨人の」
京太郎「それって」
美穂子「っ、ごめんね。私のことばかりで」
ごまかすように笑う美穂子を前に、京太郎は小首をかしげた
美穂子「でも京太郎くんも信じてあげて欲しいな、ベリアルさんのこと」
京太郎「俺は……」
信じられないのは、ベリアルではなく自分自身だ
美穂子「信じたい、んだよねきっと」
京太郎「っ」
美穂子「……だから、悩んでる」
京太郎「なんでもわかるんですね」
美穂子「なんでもは、わからないわ」
そう言うと、そっと京太郎の頬に触れる
京太郎「……光の、ウルトラマンですね」
美穂子「いいえ、私は人間よ」
その輝きが、優しさが、今の京太郎には眩しい
- 242 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 23:51:32.03 ID:eqaBN+JO0
-
そっと、京太郎の手に添えていた手を降ろす美穂子
ふふっ、とほほ笑むその顔をみて京太郎もなんとか笑みを浮かべた
美穂子「……あとこれ、熊倉さんから」
京太郎「え?」
美穂子「昨日、倒した怪獣のメダル」
スッとテーブルの上に置かれたメダルは、昨日ティガが戦った怪獣のもの
京太郎「これは……」
美穂子「熊倉さんに管理は京太郎君だからって」
京太郎「はい、ありがとうございます」コクリ
頷いて、それを受け取る
昨日の戦いはトシから『待機しているように』と言われた
理由はわかっているつもりだ
美穂子「危うく松本城を壊されちゃうところで大変だったのよ……ベリアルさんもいてくれたら良かったんだけど」
京太郎「破壊するかもしれませんよ、むしろ」
ついつい、悪態をついてしまう
良くないなと思いつつ、片手で頭を押さえる
京太郎「こんなんだから待機命令なんて出るんだ」ハァ
美穂子「熊倉さん、京太郎くんが悩んでたから心配してたのよ?」
京太郎「……すみません」
美穂子「ううん、謝らなくて、良いから……その、なにか悩みがあるならしっかりと話して?」
京太郎「……」
美穂子「今じゃなくて、気が向いた時で良いから」
京太郎「……はい」コクリ
そう返事をして、立ち上がる
紙コップの中のコーヒーを飲み干すと、ゴミ箱に入れてそこから立ち去った
残った美穂子が背もたれに体を預ける
美穂子「結構、京太郎くんに助けられてたのかも……」
その表情は僅かに暗かった
- 243 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 00:04:43.95 ID:T3HrJP+W0
-
―――【作戦室】
トシからの呼び出しで部屋に入る
そこにいたのは熊倉トシ一人だった
はやりもいないが、まだ怪我が完治していない可能性もある
京太郎「えっと、なんですか?」
トシ「……レギュラン星人から挑戦状だ」
京太郎「部長……」
トシ「ほい」
モニターが変わる
映し出されるのは、データなのだが知らない文字
そうしていると聞きなれた声が頭に響く
ベリアル『なるほどな、決闘か』
京太郎「決闘?」
トシ「そういうこと」
京太郎「はぁ? 宇宙人が?」
トシ「エースキラー、ヤプールの尖兵を倒したからこういうこともあるだろうね」
京太郎「一体どうすれば?」
黙って頷く
トシ「悪質宇宙人レギュラン星人……間違いなく罠を張ってくる」
京太郎「……」
トシ「しかも生身で来いとのことだ」
京太郎「……間違いなく罠じゃないですか」
トシ「だからそう言ってる」
- 244 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 00:11:04.92 ID:T3HrJP+W0
-
深い息を吐くトシを見る京太郎
その瞳には不信感、トシに対するかそれとも―――自分か
トシ「目的はティガだそうだ」
京太郎「……美穂子さん」
トシ「まぁ仲間を連れて来ても良いそうだけど」
京太郎「舐めやがって……」
ベリアル『ハッ! あれを見られりゃな』
京太郎「っ」
顔をしかめた京太郎のことを察したのか、トシは頷く
トシ「……ともかく、待ち合わせは今夜21時」
京太郎「夜ですね」
トシ「福路と一緒に待ち合わせ場所に……三時間前には着いとこう、周囲を調べる」
京太郎「大丈夫なんですか?」
トシ「そんなわかりやすいことするとも思えないけど、一応ね」
そう言って、トシはしっかりと京太郎の瞳を見つめる
トシ「頼んだ……京ちゃん」
京太郎「……はい」
- 245 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 00:27:36.62 ID:T3HrJP+W0
-
―――そこから数時間後【鶴賀学園跡】
周囲に車両
京太郎は簡易椅子に腰を下ろしてコーヒーを飲んでいた
すると、遠くにスタッフと話している少女を見つける
京太郎「……美穂子さん」
ベリアル『小僧、今回は戦いになるが』
京太郎『俺に、やれますかね』
ベリアル『受け入れろ』
京太郎『なにがですか』
ベリアル『闇を受け入れろ』
京太郎『闇!?』
立ち上がりそうになるも、グッと堪える
思い出すのは這いよって来る黒き闇
京太郎『光の巨人が、闇ですか……過去と関係が?』
ベリアル『過去も未来も関係ねぇよ。ただ今必要なのは、闇だろ?』
京太郎『それで、また暴走して人々を守らなきゃいけない俺がっ』
ベリアル『おいテメェ』
京太郎『ウルトラマンは人々を守らなきゃいけないんですよ!?』
ベリアル『お前はウルトラマンにはなれない』
京太郎「ッ!」
ベリアル『少なからず、お前が考えるようなウルトラマンにはな』
京太郎『才能、ですか?』
ベリアル『ああ』
拳を強く握りしめる
今年、数ヶ月前に既にそれは味わっているのだ
自分は取るに足らぬ存在、外部の人間―――努力はした。ここ最近だってそうだ
だが、どうしたって追い付けない
それに自分より麻雀歴が浅い怪物たちが沢山いることも知った
京太郎「っ……俺は」
美穂子「京太郎くん」
京太郎「美穂子さん……」
- 246 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 00:39:50.90 ID:T3HrJP+W0
-
隣に座る美穂子
京太郎の視線の先には破壊された鶴賀学園―――瓦礫の山
周囲に人がいないのを確認してから、口を開く
京太郎「美穂子さんは、どうして戦えるんですか?」
美穂子「え?」
京太郎「人間のため、ですか?」
美穂子「ええ、戦えないすべての人々のため……」
京太郎「……」
美穂子「私はその願いのために、ウルトラマンとなって戦える」
遠くの星を見る美穂子
京太郎はそれに習って空を見た
街灯がない故に目に映るのは満点の星々
美穂子「できるなら、この星々すべてを守りたいとさえ思う」
京太郎「……光の巨人、ウルトラマンにふさわしいですね」
美穂子「こんなに欲張りなのに?」
京太郎「欲張り?」
美穂子「うん、欲張りだと思う……私」クスッ
京太郎「……でも、その願いは」
京太郎(俺が思う。俺がなりたいウルトラマンだ)
- 247 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 00:49:16.12 ID:T3HrJP+W0
-
美穂子「でも、京太郎くんは凄いと思う」
ふと、美穂子が発した言葉に京太郎は小首をかしげる
京太郎「え?」
美穂子「……誰かを守るために、戦ってるでしょ?」
それはそうだ。そうありたいと思っている
ウルトラマンであるならば、そうでなければいけないと思っている
京太郎「でも、美穂子さんみたいな」
美穂子「京太郎くんは、私に言ったよね」
京太郎「え?」
美穂子「義務感で戦うものじゃないって」
京太郎「俺は義務感なんかじゃ!」
美穂子「本当にそう?」
閉じられていた青い目が京太郎を見つめる
硝子のように綺麗な瞳、それが真っ直ぐと京太郎の赤い目を見つめた
交差する視線、そして―――
ピピピピ
京太郎「ッ!」
美穂子「時間よ……行きましょう」
京太郎「……はい」
- 248 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2021/09/13(月) 00:55:10.12 ID:lCIlMwEA0
- ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
都内 某駅前
京太郎「…日陰でこの暑さなのはヤバいっすね」パタパタ
菫「…ああ。十日連続で真夏日だとかなんとか」
京太郎「温暖化の影響ですか」
菫「どうだろうな…ん?」ブー
菫「…亦野からだ、席が取れたらしい」
京太郎「こっちも…着いたみたいですよ」
- 249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/13(月) 00:56:02.23 ID:lCIlMwEA0
- 誤爆すみません!やらかした
- 250 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 01:13:14.40 ID:cmUhPCtn0
-
二人が瓦礫の中を歩く
目的地地点まで数メートル
ガッツハイパーを持つ京太郎と美穂子
京太郎(俺が、義務感で……)
ベリアル『小僧、くるぞ』
京太郎「っ!」
美穂子「久っ!?」
そこに立っているのは竹井久
素早く、京太郎はガッツハイパーのカートリッジをスタン性のものに変える
美穂子は銃口を震えさせていた
久「フフフフ」
竹井久の姿をしたレギュラン星人が手を向ける
敵意を察した瞬間、京太郎は迷わずトリガーを引く
だがその
京太郎「ッ!」
美穂子「京太郎くんっ!?」
ベリアル『ハッ! 悪くねぇ!』
京太郎「実体じゃない……」
美穂子「なんで、あんな迷いなく……」
京太郎「スタンのものですし……」
銃を降ろす京太郎
その隣で、美穂子も同じく銃を降ろした
目の前の幻影に攻撃手段はないだろうと、それ以外の周囲を警戒する
京太郎「それに、美穂子さんが危なかったし」
ベリアル『……』
京太郎「俺が、守るから」
そんな言葉に、美穂子が少しばかり頬を染める
- 251 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 01:15:47.21 ID:cmUhPCtn0
- >>248-249
ええんやで(ニッコリ)
- 252 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 01:28:06.84 ID:cmUhPCtn0
-
美穂子「そ、そのっ……」
久『戯れるな!』
美穂子「え、きゃあっ!?」
瞬間、美穂子を囲むように金色の輪が現れる
京太郎が素早くガッツハイパーを輪に向けるが、なにかをする間もなく消えた
顔をしかめる京太郎が幻影の方を向く
京太郎「美穂子さんをどこにっ!」
久「消えろ雑魚が!」
幻影から、光弾が放たれた
京太郎「ッ!!?」
直撃は回避するが、地面に当たった爆風で吹き飛ぶ
そのまま瓦礫の中に突っ込む京太郎
レギュラン星人の幻影はそのまま消える
京太郎「ぐっ、美穂子さん……!」
ベリアル『よく避けた。いくぞ』
京太郎「……はい」
ベリアル『フッ! この礼はきっちりしてやる』
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