【シャニマス】P「よし、楽しく……」-L'Antica編-【分岐有】

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134 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/09/08(木) 12:11:14.48 ID:Yg2hFwDF0
>>133

>>1です。ありがとうございます。このスレを捨てたわけではないのでご安心ください。
忙しさに難儀しています。
135 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/06(木) 00:01:19.41 ID:oZAoSis40
霧子「Pさんは……恋鐘ちゃんの、プロデューサーさん……」

P「え? ああ、そうだな」

P(「プロデューサーさん」と呼ばれることに対して、どこか懐かしさのようなものを覚える)

P(あるいはそれはデジャヴであるような感覚)

P「どうしたんだ、改まって」

霧子「プロデューサーさんとアイドルって、どんな関係なんだろうって……思ったんです」

P「?」

霧子「この場合は、普通のアイドルのことじゃなくて――」

霧子「――Pさんと恋鐘ちゃん、みたいな」

霧子「わたしの知ってる“アイドルのプロデューサーさん”って、もっとアイドルからは遠くて、ひょっとしたら別のことをしていそうな」

P「ま、まあ、俺たちは弱小だし、プロデューサーとアイドルとは言っても、高校生が青春の一環でやってるようなものでもあるからなぁ」

P(その割には結構本格的なところも多いが)

P「どうしてそんなことが気になったんだ?」

霧子「えっと……どうしてでしょう……?」

P「ははっ、なんだそれ」

霧子「ふふっ、ごめんなさい」

P「いや、謝るようなことじゃないけどさ」

霧子「でも――」

霧子「――Pさんがわたしを選んだらどうなるんだろう……とは、ちょっと思ったかも」ボソッ

P「えっ?」

霧子「あっ、違うんです!」

霧子「ごめんなさい……」

P「だから謝ることじゃないって」

P(そもそもボソボソ言ってたからよく聞こえなかったし)

霧子「大変なんですか? プロデュース、って」

P「うーん、難しい質問だな。簡単じゃないけど、本当に大変なのは、俺じゃなくて恋鐘だからさ」

P(あとははづきさんの助力もある)

P「大事なのは、大変かどうかよりも、やってて自分が満足できるかどうかだと思う」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/10/06(木) 00:57:09.72 ID:lOVtW5c70
きりこかわい
137 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/06(木) 01:29:21.92 ID:oZAoSis40
霧子「いいな……」

P「いい?」

霧子「はいっ。そこまで考えてもらえてる恋鐘ちゃんも、自分を自分で振り返れてるPさんも」

霧子「いいな、って」

P「ははっ、そうか?」

霧子「いい感じ……♪」

P(なんだろう、この子に見惚れてしまった時の気持ちと純粋な可愛らしさが合わさって――)

P(――霧子に惹かれて、その瞳に吸い込まれそうで……)

P「……って、いかんいかん。俺には恋鐘がいるんだ」

霧子「恋鐘ちゃんが……いる?」

P「あっ、いや、違うんだ」

霧子「恋鐘ちゃんはここにはいません……」

P「は、はは、そうだよな。おかしなことを言ったよ」

霧子「おかしなPさん……ふふっ」

P(危ない危ない。俺と恋鐘が好き合ってるなんてスキャンダルは、W.I.N.G.優勝を目指している以上、致命傷になる)

P(情報源によって被害にも差が出るだろうし、霧子なら口止めもできそうだが)

P(用心するに越したことはない)

P「もうこんな時刻か」

霧子「あ、Pさん……」

霧子「お帰り……ですか?」

P(霧子は眉をひそめて言う。その表情には、どこか寂しさを感じさせるようなものもあって――)

P(――その表情は反則だろう、と思った。が、しかし)

P「そうだな。明日が大切だし、備えるためにも、今日は帰って――できることをやって十分に休むよ」

霧子「こころとからだのおやすみのじかん……ですね♪」

P「そんなところだ」

霧子「切っても切れない、心と身体も、アイドルとプロデューサーさんも、それに……」ボソボソ

P「じゃあな、霧子」

霧子「は、はいっ……」

霧子「……また、いらしてくださいね」
138 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/06(木) 01:43:28.49 ID:oZAoSis40
体育祭当日、昼休み直前。

P(午前中の恋鐘はいろいろと凄かった)

P(あのスタイルでドジっ子属性をこれでもかというくらいに発揮してくれていた)

P(当然のことながら、大変注目を浴びていた。人気にも火が……というか火に油を注ぐくらいにはなるかもしれないな……)

P(恋鐘のことが好きだと認めてしまっている今となっては、少しもどかしいというか、なんだか面白くない気分がないとは言い切れないが)

P(今の俺はプロデューサーだ――恋鐘をアイドルとして輝かせるための……)

P「……いや、うん。いいんだ」

P「プロデューサーは裏方。これからが、俺にとっての本番だ」

P(昼休みになったら、放送委員の無線をジャック――する演出で恋鐘に歌を披露してもらう)

P(その歌の一部は、昨日のうちにチャンネルで期間限定公開にして、今は見れなくなっている――)

P(――要するに“伏線”というやつだ)

P「ドジっ子による刺激」

P「楽しみにしてろよ、“お前ら”」

P「ははっ、なんてな」
139 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/06(木) 02:08:48.75 ID:oZAoSis40
体育祭当日、昼休み。

放送委員「午前の競技が終わりましたので、現時点での各クラスのスコアについて報告します――」

P(このアナウンスにはもれなく流れてもらう。俺たちのステージは、その後だ)

P(今話してる放送委員と俺たちは“つながってる”)

P(俺の連絡・合図で音楽収録室にいる恋鐘のマイクに回線が切り替わることを、はづきさんとのチェインで確認済みだ)

P(ははっ、学校生活にしては非日常というか……どこか背徳感のある高揚感を覚えるところがあるな)

放送委員「――以上が、クラス対抗スコア合戦の途中経過の報告になります。続きまして、校長先s……の……ント……ジジジッ、ブツッ」

ザワザワ

アレー?

ナンカオカシクネ?

P「よし、ざわめきだしたな――今だ!」ポチッ


P<GOです。


恋鐘「絶対に……W.I.N.G.で優勝する」

ナンダナンダ?

恋鐘「それもそのはずよ、だって――」

恋鐘「――うちは、アイドルになるために生まれてきた女やけん!」

コノコエッテサー

アーモシカシテ!

P(曲のイントロが流れ始めた。このあたりは、チャンネルを見てる人は知ってるような箇所だ)

P(まあ、実は少し構成が違っていたり長くなっていたりしてるんだけどな! ははっ)

恋鐘「み〜ん〜な〜〜〜〜〜!!!」

オォォォォォ!!!

P(今日の歌はカッコいい系だ。このジャックもどきの演出にも合ってるだろう)

P(恋鐘がこういう歌を歌うのに、一切の違和感を抱かない自分に、謎の――違和感ではないが既視感のような気持ち――を覚える)

P(ま、まあ、それはいい)

P(しかし、これは――)

ワァァァァァ!!!!!

P(――成功、なんじゃないだろうか)
140 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/06(木) 02:29:02.53 ID:oZAoSis40
P(いや、まだ終わりじゃない)

P(この後の流れは、間奏の間に恋鐘が朝礼台にこっそりやってきて、大サビからは皆の前で歌うというものだ)

P(それが全部終わらないと、成功とは言い切れない)

P(来る途中とか壇上に上がる時とかにコケないといいけど……)

P(俺は既に朝礼台の近くに移動して待機をしている)

オー!

スゴカッター!

P(よし、間奏に入った!)

アイカラズスゴイネー

イヤイヤコノキョクハマダオワッテナインダッテ

マジカヨ!?

コガタンマッテルヨー!!!

P(お、見えてきた見えてきた)

P「ここまでは順調、だな」ボソ

P(恋鐘が朝礼台のすぐ近くまで来てる――って、あれは?)

P(俺は、一瞬――いや、本当に一瞬と呼べるくらいしか時間がなかったのだが――目の前の光景を理解できなかった)

P(霧子が、通り過ぎる恋鐘を呼び止めて何やら耳打ちをしたのだ)

P(言伝はすぐに終わり、恋鐘は予定通りにのぼるべき壇上の前にたどり着く)

P(霧子の伝えた内容が気になったが、それを気にしている余裕はなかった)

P(恋鐘が、無線マイクを受け取り、そのまま……って!)

P「こ、恋鐘っ、接続されてるのは有線のマイクのほうだ――」

P(駄目だ、間に合わない……! しかし、裏方の俺が目立ってしまっては……どうしようどうすれば)

P(こんなとき、プロデューサーならどうする!?)

恋鐘「〜♪」

P(あ、あれ?)

P(普通に、流れて……る?)

P(同時に、俺は目を見張る光景を前にする)

P(有線マイクの長いケーブルに脚を引っ掛けて転んでいる生徒がいたのだ)

P(自分のことでまったく気づけないでいたのだ)
141 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/06(木) 02:45:19.63 ID:oZAoSis40
P(もし無線マイクを受け取っていなかったら……)

P(しかし、恋鐘は何故それを知っていた……?)

恋鐘「えへへ……ありがと!」

恋鐘「みんな〜〜! ほんなこてありがとう〜〜〜〜〜!!!」

P(大成功だ)

P(それは間違いないのに)

P(俺は1人……、それは朝礼台の後ろなのかどこなのか、とにかく置いてけぼりになっていた)


P(恋鐘の周りにはギャラリーやファンが押し寄せて近づけそうにない)

P(はづきさんをはじめとする教員の人たちが迫り来る生徒たちを抑えて恋鐘に危険がないよう配慮してくれている)

P(それもそのはずだ。はづきさんに頼んで、そうなるように手配してもらっていたから)

P(でも、俺にとってはそんなこと……“そんなこと”と思えてしまうほど)

P(この成功の裏が気になって仕方なかった)

P「どうせ、しばらく恋鐘には近づけないんだよな」

P(今日は体育祭だ。まだ午後の競技が残っているし、恋鐘ははづきさんと一緒に化粧直しがある)

P(俺は1人、適当に目的もなく校内をぶらついた)


〜保健室〜

P「ここにたどり着いてしまった……」

P(それは、偶然か、必然か)

P(恋鐘に耳打ちをした霧子の姿があったから、どちらかといえば必然なのかもしれない――)

P(――そんなことを思いながら戸を開ける)

ガラガラ

P「失礼します」

P(相変わらず、どういうわけなのか――いや、今日は体育祭だから本当に別の場所に用があっていないのか――わからないけど)

P(養護教諭はいない。代わりにいたのは……)

P「……霧子」

霧子「あっ、Pさん」

霧子「恋鐘ちゃんのお歌、ちゃんとうまくいきました……♪」
142 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/06(木) 02:46:14.90 ID:oZAoSis40
とりあえずここまで。
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/06(木) 09:59:47.83 ID:cHcvvb3So
おつおつ
霧子……
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2022/10/06(木) 18:58:45.28 ID:qJdujydDO
今回の裏は誰が握っているんだ……



万が一にも声優ネタはやめて欲しいけど
145 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/11(火) 00:24:42.87 ID:1IRGnGGk0
>>143 >>144
8ヶ月を超える期間更新できていなかったのに読んでくださってありがとうございます。

>>144
このSSを思いついたのは、例の事件の3〜4ヶ月以上は前なので、心配されているようなネタが使われることはないです(事件後でも使いませんが……)。
146 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/11(火) 00:39:50.86 ID:1IRGnGGk0
P「あ、ああ……そうだな。おかげさまでうまくいったよ」

P(一体、“何のおかげさま”なんだろうか)

アナウンス「午後の開始まで、残り5分となりました。午後の最初の競技に出られる方は直ちに……」

P(校内放送が頭に入ってこない)

P(恋鐘が壇上で歌った時からずっとそうだ)

P(別に、このアナウンスが空虚に感じるからじゃない)

霧子「Pさんは、行かなくても……いいんですか?」

P「俺が出る競技まではまだ割りと時間があるからな。大丈夫だ」

P「霧子はどうなんだ?」

P(そうだ。霧子だ)

P(恋鐘に耳打ちをして、トラブルを回避させた――かもしれない――霧子だ)

霧子「わたしは……行かないんです……」

P「午前中で出る競技は全部終わったのか?」

霧子「すみません、何て言えばいいのか……」

P「?」

P「午後は?」

霧子「午後もです」

P「そうか」

P(どういうことなんだろう)

P(どうにも要領を得ないな)

P(単刀直入に聞いてしまおうか)

P「霧子……さ、恋鐘が朝礼台に上がる前に、あいつに何か言ってたよな?」

P「こう、耳打ちする感じで」

霧子「えっ、あっ、は、はい……」

P(それは認めるんだな。いや、認めてまずい事情がなきゃ、そりゃそうなんだろうけど)

P「そ、その――」

P「――恋鐘には、なんて伝えたんだ?」

P(そう、それが俺の知りたいことだ)
147 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/11(火) 01:02:21.12 ID:1IRGnGGk0
霧子「えっと、あのあの……!」

P「うん」

霧子「が、がんばってくださいっ、って……言いました……」

P「へ?」

霧子「Pさんのアイドルさんだから、わたしも応援したいなって思って、それで――」

霧子「――とっさに思いついたのが、あの方法だったんです」

霧子「ご迷惑……でしたか?」

P「い、いや、いやいや! そんなわけないぞ!」

P「そっか……そう、だよ、な……」

P(俺は一体何を気にしていたんだろう――霧子からの、予想だにしない、けれども常識的な回答に、俺は戸惑ってしまっていた)

P(霧子は純粋に応援してくれていただけで、あのマイクの件は単なる偶然で――)

P(――そういう可能性だって、十分にあるじゃないか)

P(というか、普通はそうなんじゃないか?)

P「……」

P(考えすぎというか、俺はどうにかしていたのだろうか)

P(どうして、妙な因果を考えてしまったんだろう)

P(霧子が事前にマイクのことを知っていて、それでトラブルを回避できるように進言していた、だなんて)

P(心のざわめき……この感覚はなんだ)

P(不思議なのは、そんなミステリーじみた体験を記憶のどこかで体験していたような、そんな気もしていることだ)

P(俺は……一体……)

P「……」

霧子「あの」

P「わっ!?」

霧子「ご、ごめんなさい……! なんだか、落ち着かない様子のようなので、それで」

P「あっ、ああ、心配かけたか?」

霧子「ちょっぴり……」

P「ちょっぴりか」

霧子「……実は結構心配してます、ふふっ」

P「ははっ、なんだよ、それ」
148 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/11(火) 01:13:28.17 ID:1IRGnGGk0
P「少し疲れてるのかもしれない」

霧子「体育祭の競技……大変でしたか?」

P「あ、そうじゃなくて、プロデュースのこととか、いろいろ」

P「俺がこんなこと言ってちゃ駄目なのかもしれないけどさ」

霧子「……そんなこと、ありません」

P「霧子?」

霧子「Pさんが無理をしないといけないなんて、そんなこと、ないです」

霧子「だって、だって……! 十分に頑張って、頑張って、……頑張ってるから」

霧子「だから――」

P「――ありがとう、霧子。そこまで言ってくれるだけでも励みになるよ」

霧子「Pさん……」

霧子「救われ……ないのかな」

霧子「大変な人」ボソッ

P「なんだって?」

霧子「なんでも……ありません」

P「俺は大丈夫だよ」

P「まだ、やれると思うんだ」

P「ベストというか、全力というか」

P「全力を尽くしてこそ、俺は心からこう言えるんじゃないかって思う――」

P「――よし、楽しく話せたな」

P ズキッ

P(頭痛!? ……あれ、一瞬でおさまったな)

P「ってさ、ははっ」

霧子「!」

霧子「それは……ううん」

霧子「そう、ですね」

霧子「Pさんなら……できます♪」

P「ああ、やってやるさ!」
149 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/11(火) 01:31:26.98 ID:1IRGnGGk0
体育祭終了後。

〜小会議室〜

P(体育祭が完全に終了した後、俺と恋鐘と、それからはづきさんの3人で、反省会をしていた)

P(体育祭というイベントを通じてアピールをしたW.I.N.G.エントリー者は恋鐘以外にもいる)

P(特に、やはりというか、白瀬咲耶が強力なライバルだ)

P(俺たちは陣営が弱小な以上、どうしても奇襲のようなやり方に頼ってしまう)

P(技術と演出力でカバーしているつもりだが、それに限界がないわけじゃない)

P(咲耶たちは陣営の大きさを活かして、各競技での振舞いそのものをアピールにしてしまうというやり方をとっていた――)

P(――集団競技では競技そのものを半ば放置して咲耶を中心とする騎馬や隊列を魅せるといった具合に、だ)

P(パフォーマンス後はきちんと競技に戻っているとはいえ、咲耶陣営はその後で生徒部に叱られている)

P(しかし、その叱咤など些事だ。この学校のアイドルイベント・大会は、その程度のことで揺るぐほどお遊びではない)

P(マンモス校で、しかもマジョリティである生徒が主体・味方となって推し進められるものなのだ)

P(むしろ炎上商法としては成功していると言っていい)

P(規模と回数――この2点において、俺たちは負けた。これは事実だ)

P(もちろん、ファンの反応が重要だから、その負けが決定打とはならない――と信じたい――が)

P「ひとまず、今回も審査を通過できるくらいの位置にはいると思いますが……」

はづき「絶対的にはそうなんですけど、相対的にはどうしても咲耶さんが手ごわいですね〜」

恋鐘「うう〜、やっぱうちん予想は的中しとったばい」

P「……」

P(俺は、咲耶がW.I.N.G.エントリーを決めたその時の出来事を思い出す)


P『あ、そうだな。紹介するよ。俺と同じ学年・クラスの月岡恋鐘だ。この前、九州からここに引っ越してきたんだと』

P『恋鐘、1年生の白瀬咲耶だ。もしかしたらもう知っt――』

恋鐘『――ばりかっこよか……』

恋鐘『実際に見ると圧倒されるばい……やっぱり、噂どおりやった』

P『転校生でも知ってるとは……さすがだな、咲耶』

咲耶『フフ、それほどでもないさ』

恋鐘『W.I.N.G.に出られたら絶対に手ごわかライバルになるって踏んでたんよ』

咲耶『私は、別にまだエントリーすると決めたわけじゃ……』

恋鐘『あ、そうと? それなら安心やね』

恋鐘『Pに無事優勝するうちん姿ば見せられるばい』

咲耶『……今、Pに、と言ったかな?』

恋鐘『そうよ? Pはうちの大事なファン1号やし、Pのために頑張る言うても過言やなかばい!』

恋鐘『それに……頑張るうちば見て、きっと……』

恋鐘『……えへへ』

咲耶『……。……P』

P『どうした?』

咲耶『W.I.N.G.優勝……目指そうと思う』

恋鐘『えぇぇ〜〜!?』

P『突然だな……なんでまた』

咲耶『それをアナタが聞くのかい? いや、私がW.I.N.G.優勝を志す意味を気づかせてこそ、か……』
150 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/11(火) 01:48:14.64 ID:1IRGnGGk0
P(咲耶は何のためにW.I.N.G.優勝を目指すのか――それが俺にはよくわからなかったが)

P(わかれば咲耶対策というか、恋鐘が優勝できる可能性を少しでも高める良い案が思いつくとかはないだろうか)

はづき「とりあえず、次に第一に考えるべきなのは――」

P「――文化祭の大ステージ、ですね」

はづき「はいっ、その通りです」

P(文化祭であれば、専用のステージが用意されている。言うなれば“合法的”ってことになる)

P(アピール時間だって長い。ただ歌って踊るだけじゃなくて、トークを入れたり寸劇をやったりなんでもありだ)

P(だからこそ……)

P「……恋鐘がどうありたいか、つまりどういうアイドルでいたいかが重要なんだ」

恋鐘「うちが……」

P「俺たち裏方はサポートするだけだからさ」

P「ここからは――いや最初から実際にはそうなんだけど――恋鐘が本当に主役なんだ」

P「もちろん、レールの上を行く台本の上の主役じゃなくて、自分からレールを走る物語の書き手としてな」

恋鐘「どんなアイドルでもうちの右に出るもんはおらん!」

恋鐘「そんなアイドルになってみせるばい!」

P「ああ、そうだ」

P「そのためには、恋鐘はどうしたい?」

P「どうすれば、いい?」

恋鐘「うう〜、難しか〜。ばってん、大事なことやって、うちもわかってるんよ?」

恋鐘「言葉にするとが難しかっさね」

はづき「そうですね〜」

P「……」

はづき「いいんじゃないでしょうか、恋鐘さんは、恋鐘さんで」

恋鐘「?」

P「……ああ」

はづき「ふふ〜」

恋鐘「P?」

P「恋鐘は今までにないまったく新しい恋鐘というジャンルのアイドルを目指すんだ」
151 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/11(火) 02:05:30.85 ID:1IRGnGGk0
恋鐘「うちっちゅうアイドル……」

恋鐘「……うん、うん!」

恋鐘「Pがうちならなれる言うんなら、絶対なれるはずばい!」

P「ああ、恋鐘なら誰にも真似できないアイドルになれる!」

P「恋鐘らしさ、一緒に考えていこう……いきましょう!」


はづき「なんですか〜、恋鐘さんに席を外してもらってまでしたい話って」

はづき「恋鐘さん、すごく不満そうにしてましたよ」

P「いや、それはそうなんですけど、本人を前にしては言いづらいことでして……」

P(ましてやあの流れならなおさらだ)

P(恋鐘本人にも、あまり聞かせたくはないような類の話だからな)

P(けれども、重要なことだ)

P「恋鐘らしさ、大切ですよね」

はづき「はい、もちろんです」

P「恋鐘が自然に魅力を出せる方法……もちろんいくつかはあるんでしょうけど」

P「やはり自明なのが――露出です」

はづき「不健全ですね〜」

P「し、しょうがないじゃないですか! 男子ファンの獲得を意識して、これまでにもこっそりちょっとだけそういう要素がアピールに混ざるようにしてたんですよ」

はづき「それは私も気づいてましたけど〜」

P「え、あ、そうなんですか」

はづき「男性の下心に対しては、女性は敏感なものですから」

P「次はせっかくの文化祭における大舞台ですし、これでもかってくらい恋鐘を前面に押し出す良い機会なんです」

P「W.I.N.G.のステージのための練習にもなりますし」

はづき「さっきから、なんだか言い訳をしているように聞こえてしまいますね〜」

P「そ、そんなこと……!」

はづき「大丈夫ですよ、わかってますから」

はづき「頑張ってくださいね、“プロデューサーさん”♪」


P「こういう衣装なんてどうだ?」

恋鐘「P、その……露出が多いというか……」

はづき「ちょっと派手ではありますね」

P「そ、そう! 派手なんだ! こうすると、恋鐘の良さは存分に発揮できるぞ!!」

恋鐘「Pがそう言うなら……。あと、振り付けなんやけど――」

P「――こういうのは妖艶さって言って、恋鐘の中でも大人な魅力が伝わるんだ!」

恋鐘「大人なうち……それは良かね!」

P「お、おうよ」

はづき「ふふっ」
152 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/11(火) 02:07:18.78 ID:1IRGnGGk0
とりあえずここまで。
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2022/10/11(火) 05:33:14.29 ID:yuo4P+ADO


さくやんもきりりんも怖いよ〜
154 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/12(水) 00:48:40.54 ID:cTyfLQsb0
10月。文化祭まで残り1ヶ月と少し。
放課後。

〜校舎内 某所〜

P(俺は行くあてもなく学校の中を歩いていた)

P(この学校は広い。だから、歩き続けていても同じ景色の中を何度もループするようなことはそうそうない)

P(それでもループしてしまったということに気づいたのは、放課後になって、さらに日が沈んでからのことだった)

P(そのくらいの時間を、俺は考え事をしながら彷徨っていたのだ)

P「はぁ……」

P(何度目のため息だろうか)

P(あと2ヶ月遅ければ、目の前に真っ白な湯気を作っていただろう)

P「結華が言ってたな、4月下旬くらいから約32週間でW.I.N.G.は幕を閉じる――」

P「――2ヶ月も後には、もう結果が出てるってことかよ」

P「いや、その前に最後の審査がある」

P(そう、文化祭だ)

P(今、恋鐘にはダンスのスキルを磨いてもらっている)

P(Vocal、Dance、Visual――なんでこんな発想に至ったかは自分でも不思議なのだが――の3要素に分けるとしたら……)

P「……今の恋鐘は圧倒的にDance不足だ」

P(これまでと違って、文化祭のステージではその辺のごまかしがきかない)

P(リアルタイムでもあるしな。緊張だってするだろう)

P「……」

結華「あっ、Pたんだ。おーい」

P「……」

結華「あれま、無視――とは考えにくいし、これは気づいていなさそうですかな?」

結華「やっほー、大丈夫?」ズイッ

P「わっ! び、びっくりした……」

結華「あっはは、ごめんごめん」

結華「Pたんったら、この三峰が呼んでるというのに無視するんだもん」

P「無視したわけじゃないんだ、ちょっと考え事をしてて……な。悪い」

結華「いいよ、私はわかってるから」
155 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/12(水) 00:58:38.34 ID:cTyfLQsb0
結華「プロデューサーとして、頑張ってるって感じでしょ?」

P「はは……頑張ってるのは恋鐘のほうだけどな」

結華「Pたんだって頑張ってる」

P「そうか?」

結華「そーです。そうですとも」

結華「……」

P「……」

結華「なんかさ、こうやって話すのもなんだか久しぶりだよね」

P「え? 教室では他愛もない話をするじゃないか」

結華「他愛もない話だけじゃ味気ないとは思いませんかね〜」

P「っと……うん?」

結華「いーや、なんでもない。ほんと、ほっんとに、なんでもないですから!」

結華「期待しちゃだめだって、わかってるのに、なんだかなぁ」ボソボソ

結華「いつまでしてたんだろ、期待」ボソッ

P「どうしたんだ?」

P「結華のほうこそ、様子がおかしいように見えるけど」

結華「三峰のこと心配してくれるの〜? やっさしいなぁ、Pたんは」

結華「へーきへーき! 放課後は図書館で勉強してたから、それで流石にちょっと疲れたってだけですよーだ」

P「なんでちょっといじけた感じなんだよ」

結華「その理由は、今のPたんにはわからないだろうなぁ」

P「ははっ、そうか?」

結華「イエス」

結華「このままご帰宅……とはならなさそうだよね」

P「帰ってもいいんだが、気がかりなことがあってな」

結華「それは残念。不肖三峰、一緒に帰ろ♪ 的なイベントをご用意していたのですが」

P「すまん、また今度で」

結華「今度――か」ボソ

P「?」

結華「ううん、なんでもない! じゃね」

結華「頑張れよ、プロデューサー」ポンッ
156 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/12(水) 01:11:24.79 ID:cTyfLQsb0
P(結華……どこか元気がなさそうだったな)

P(大丈夫だろうか)

P(気になるところではあるが……そろそろ俺は行かないといけない)

P(そろそろ、恋鐘のダンスの練習が終わる時刻だ)

P(レッスンルーム的に使わせてもらってる部屋に行って恋鐘に会いに行こう)

P(不調なときこそ、俺が対話してやらんでどうする)

P(俺は、プロデューサーだ)


〜校内アスレチックセンター 多目的ルーム〜

P(今日はダンス部が使っていてダンスレッスン場は空いてなかったんだよな)

P(まあ、俺たちは小規模だから、抑えること自体が難易度高めだが)

P「恋鐘、入るぞ。いいか?」コンコンコン

恋鐘「あ、P! よかよ〜」

P「失礼します」ガチャ

P「あ、今日ははづきさんはいないんだな」

恋鐘「Pははづきに会うためにここに来たと〜?」ムスッ

P「いやいや、そういうんじゃないって」

P(今日は自主レッスンだったというわけか)

P「恋鐘に会いに来たんだよ」

恋鐘「ほんなこて……ほんと!?」パアァッ

P(わかりやすいな。表情とかリアクションとか)

P(それが恋鐘の良いところでもあるんだ)

P(良いところ……好きなところ……)

P(いかんいかん、今はプロデューサーとして接しないと)

P「どうだ? ダンスの調子は」

恋鐘「もちろん、自分でも上達はしとーと思うばい」

恋鐘「ばってん、よう間違えてしまう箇所とか、まだできるようになっとらんステップとか――」

恋鐘「――いろいろと問題があるとよ」
157 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/12(水) 01:26:25.38 ID:cTyfLQsb0
P「そうか……」

P(恋鐘の言う通り、上達はしてる。というか、それに関しては驚くほどのスピードだ)

P(しかし、だからこそ、できない部分が目立っている)

P(残すところあと1ヶ月ちょっと……時間はまだあるほうだと信じたいが、確実にできるようになるという保証もないからな……)

恋鐘「自分の至らんところはわかっとる」

恋鐘「1ヶ月もあればできるようになるかもしれんってことも」

恋鐘「ばってん、大事なのは本番」

恋鐘「これまでは、いろんなやり方で、Pとはづきの助けもあって、うまくいっとったけど」

恋鐘「次んステージで、うちは1人ばい」

恋鐘「これまでのうちん人生――」

恋鐘「――肝心なところでコケてしまうことが多かったばい」

恋鐘「そう思うと……怖くて……」

恋鐘「はづきに相談したら、みんな笑っち許してくれるって……」

恋鐘「……ばってん、ホントにそれでよかとかいなって」

P「恋鐘……」

恋鐘「実際、こん学校ん中でアイドルやってみたら……手ごわいライバルもいて……」

恋鐘「他ん人と比べたら……できんこと、ばっかりで……」

P「不安になってしまったんだな」

P(それはそうだ。なんたって、最大級の相手としてあの白瀬咲耶がいる)

P(ライバルっていうなら、他にもちらほらと)

P「はづきさんの言うこと、俺は間違ってないと思う」

P「ドジをしてしまっても、それは恋鐘の良さなんじゃないか」

P「恋鐘が頑張ろうとするから、そうなってしまうこともある、ってことだろう?」

P「周りの力量と比較する気持ちはわかる」

P「でも、恋鐘には恋鐘の良さがあるんだから、それでいいんだよ」

恋鐘「そう、なんかな……」
158 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/12(水) 01:37:10.42 ID:cTyfLQsb0
P「大事なことを教えてやる」

P「恋鐘にはファンがいるんだぞ?」

恋鐘「ファン……」

P「そうだよ。恋鐘のことを応援してくれる人たちだ」

P「もちろん、俺だってそうだ!」

P(それ以上の気持ちは、今は、抑えて……抑えて……)

P「恋鐘が周りを気にして小さく丸まってしまったら、きっとファンはがっかりする」

恋鐘「Pもがっかりすると?」

P(うっ……そう返してくるか)

P「こ、恋鐘らしくないって、思ってしまうよ」

P(返答になっては……いないよな)

P(と、とにかく)

P「俺を含めたファンのみんなで、どこまでも一生懸命な恋鐘を応援してるんだ」

P「そんな恋鐘が好きだからな」

P(どさくさに紛れて「好き」という言葉を使った)

P(1人のファンとしてではない「好き」が何パーセントか混じってしまっていたかもしれない)

恋鐘「そっか……そうばい」

恋鐘「うち、自分が失敗することばっか考えて、Pもファンのみんなのことも、信じられてなかったんやね」

恋鐘「失敗とか、できんとか、そういうことやなかとよね」

恋鐘「みんなが喜んで……楽しんでくれるかが、一番大事なことやった!」

P「ははっ、気づいたか」

恋鐘「ありがとう、P!!」ギュッ

P「おっ、おい……」

P(ま、まずい、これは、非常に、その……)

P(アイドルとプロデューサーだからとかいう以前に物理的な“ショック”が身体を“包んで”くる……!)

恋鐘「やっぱ、うち、Pと一緒にW.I.N.G.優勝目指してよかったばい!!」ギュウウ

P「こ、恋鐘……」
159 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/12(水) 01:52:37.32 ID:cTyfLQsb0
恋鐘「あっ、つい勢いでPにハグしてしもうた」パッ

P「く、苦しかったけど、悪くはなかったと思います」グッ

恋鐘「?」

P「い、いや、なんでもないぞ。ああ」

P「恋鐘、そういうのは勢いでやっちゃ駄目だからな」

P「恋鐘はアイドルなんだから」

恋鐘「違う違う! うち、Pが相手だから抱きついてしもたのよ!?」

恋鐘「誰にでもするわけじゃなか……」

P「それなら良い……いや良くはないが」

P(校内アイドルとはいえ、この学校の規模を考えると、スキャンダルは絶対にNGだ)

P「とにかく、気をつけるんだぞ」

恋鐘「わ、わかっとる……!」

P「次は文化祭だ! 気を引き締めていこう!!」

恋鐘「お、おー!!」

P「……」

恋鐘「はぁ」

恋鐘「もう……Pはホントにうちんこと好きなんか?」

P「えっ」

恋鐘「さっき、ファンとして〜みたいな話はあったけど」

恋鐘「長らくちゃんとPから言ってもらえてない気がするばい」

P「そ、それは――」

恋鐘「――P?」ズイッ

P「……す、好きです」ボソッ

恋鐘「え〜?」

P「言ったから! もう、言ったから! はい、今日は終了〜!!」

恋鐘「なんか釈然とせん……最近のPはプロデューサー然としててちょっと距離感感じとったんばい」

P「か、勘弁してくれ……」

恋鐘「ふふ〜、顔真っ赤やね〜! かわいか〜」

恋鐘「その反応で今日のところは許しちゃる!」

恋鐘「ん〜、こがん感じで話すのも久しぶりやなあ」

P「確かにそうかも――」

結華『なんかさ、こうやって話すのもなんだか久しぶりだよね』

P「――しれないな」

P(俺は、つい、恋鐘に会いに来る直前の出来事を重複させてしまっていた)

P(“久しぶり”の“会話”――両者の間は同音異義語のような温度差があった)
160 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/12(水) 01:54:15.76 ID:cTyfLQsb0
>>159 訂正:
P(“久しぶり”の“会話”――両者の間は同音異義語のような温度差があった)]
→P(“久しぶり”の“会話”――両者の間には、同音異義語のような温度差があった)
161 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/12(水) 01:55:48.70 ID:cTyfLQsb0
とりあえずここまで。
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2022/10/12(水) 02:33:13.37 ID:zssBendDO
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/12(水) 12:17:24.32 ID:M4o4AOsNo
おつー
164 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/12(水) 23:55:45.11 ID:cTyfLQsb0
11月。文化祭、アイドルステージ実施日当日。
ステージ開始まで残り数時間。

P(とうとうこの日がやってきた)

P(いや、W.I.N.G.本番とかではないんだが)

P「……」ソワソワ

P(そう、そうなのだ)

P(W.I.N.G.優勝を目指す以上、この文化祭でのステージは、単なる通過点に過ぎない)

P(これまでもどうにかやってきたし、恋鐘のアイドルとしてのスキルだって向上し続けてきた)

P(どうにかなる、まだまだこれからなんだから難しく考えすぎるな、いまできることをやるしかないじゃないか――)

P(――そう自分に言い聞かせるように頭の中で呟く)

P(俺は、難しく考えすぎなのだろうか)

P(もっと、恋鐘みたいに……)

P(……いや、“恋鐘みたいに”だって?)

P「……」

P「ふぅ……」

P「すぅ……はぁ……」

P「……よし」

P(恋鐘のところに行こう)


〜ステージ出場者控え室(大部屋)〜

P「恋鐘ー!」

恋鐘「……! あ、P!」

P「いよいよ、だな」

P(あまりプレッシャーをかけるなよ、俺)

恋鐘「う、うん! そうやね」

P(やはり緊張してる様子……なのかな)

P(いつもの自信満々の恋鐘、とはいかないみたいだ)

P(この前から、そういう様子は見せはじめていたものな)

P(それに、残り数時間――いや、今からだと3時間半くらいだが――というなんとも言えない長さの待機時間がじれったい)

P(タイムリミットまで余裕があるんだかないんだかわからない状況だと、何をしたらいいのかわからなくなって――)

P(――何ができるのか見失いそうになって、停止してしまう……そんな心理状態は人間ならあるはずだ)
165 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/13(木) 00:13:59.68 ID:MQWFQbfK0
〜ステージ出場者控え室(大部屋)付近、廊下の死角〜

P「恋鐘」

恋鐘「な、なんね?」

P「楽しめ」

恋鐘「ふぇ?」

P「お前、言ってただろ」

恋鐘『でもね、うち、絶対にアイドルになりたかとよ』

恋鐘『うちはアイドルになるために生まれてきたけん!』

恋鐘『そんためにも、まずはこん大会で自分がアイドルにふさわしかこと……証明したいんよ!』

P「自分はアイドルになりたい、アイドルになるために生まれてきたんだ、って」

P「それで、W.I.N.G.で自分がアイドルにふさわしいということを証明する――そう言ったじゃないか」

P「この学校に来て、恋鐘はアイドルとして動いてきただろ? それは間違いないんだ」

P「どうだ、アイドルは?」

恋鐘「アイドルは……」

P「やってて、どう感じた?」

恋鐘「楽しい……!」

恋鐘「いや、楽しかば超える――そんな何かやったばい!!」

P「そうだ、そうだろ? そうだっただろ?」

P「夢中に、なれてただろ」

P「いや、過去形じゃない」

P「今もなれる。そして、これからも!」

恋鐘「P!」

P「失敗がなんだ! 今できないことがあるからどうした!!」

P「そのための俺なんだ」

P「だから、俺がいる」

P「迷惑がかかるなんて気にしなくていい! むしろたくさんかけろってんだ」

恋鐘「うん、……うんっ!!」

恋鐘「ありがとー……P」
166 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/13(木) 00:37:51.87 ID:MQWFQbfK0
恋鐘「うち、やっぱりPに迷惑かけると思う」

恋鐘「ばってん、その100倍、1000倍、いや10000倍の自信とやる気と笑顔で乗り切ってみせるけん!」

P「ああ、それでこそ恋鐘だ」

P「らしくないのもいい。たまにはな」

P「でも、忘れちゃいけない。自分がどんなだったのかとかな」

P「いいぞ、その調子だ」

P「恋鐘はアイドルになるために生まれてきた――俺もそう思うよ」

P「忘れないでくれ、恋鐘は恋鐘として、今、いろんな人から憧れられているんだ」

恋鐘「そうやんね!」

恋鐘「周りば気にしたり、誰かん真似ばしようとしたり、自信ばのうなかして焦ったり止まったり――」

恋鐘「――そがんのはうちらしくないばいー!」

恋鐘「せっかく、Pと、はづきと、ファンのみんなと……この環境でアイドルになる道に乗せてもろうて」

恋鐘「やりたいようにやらんともったいなかよね!!!」

恋鐘「うち、なんかわかったような気がするばい!」

恋鐘「ホント、Pには感謝してもしきれん」

P「ははっ、じゃあ、是非そのアウトプットはステージ上で頼むぞ?」

恋鐘「まかせとって! 月岡恋鐘ちゅうアイドルば見せつけてやるばい」

恋鐘「こうしちゃおられん、直前まで練習と調整ばせんばね」

P(よし、火をつけることができたみたいだな)

P(プロデューサーとしての仕事は、とりあえずできたってところだろうか)

P(これで……いいんだよな)

P(いや、誰に聞いてるんだって話だが)

P「じゃあ、俺はステージ裏側の文化祭運営の人たちのところに行ってくるよ」

恋鐘「あ、ちょっと待って!」

P「ん?」

P「どうした?」

恋鐘「P、いま「プロデューサーとして」はこれでオーケーみたく考えとったやろ」
167 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/13(木) 00:55:53.63 ID:MQWFQbfK0
P「そ、そうだけど……」

恋鐘「「プロデューサーとして」やなかったら、Pはうちになしてくれたと?」

P「え、そんなこと急に聞かれてもな」

恋鐘「わかっとーばい。今のうちとPはアイドルとプロデューサーやってこと」

恋鐘「ばってん、そうじゃなかったらどうなんか、気になるとは変なことやろうか」

P「……」

P(ここでモチベーションの維持を図るためにも気の利いたことを言うのがプロデューサー――)

P(――だなんて考え方してるってバレたら、恋鐘は怒るかな、はは……)

P「恋鐘が一番安心できる……最も癒され慰められ安らげる……そんな方法があるなら」

P「俺は迷わずそうして、恋鐘を送り出してやりたいって、そう思うよ」

P「その方法ってやつがすぐに見つけられないのは、なんというか、情けない限りかもしれないが」

恋鐘「ううん、それが聞けただけでも、今のうちには十分たい!」

恋鐘「ステージ前やけん、しかも学校やし」ズイッ

P(恋鐘が近づいてきて――)

恋鐘「そがん、目立つようなことは、できんよね」コソッ

P「!?」

P(――耳元で囁かれた)

P(当然、というか、自明に……恋鐘の豊かな双丘が押し当てられてもいる)

P(心拍数が上がっていく――)ドキドキ

P(――しかし、それは恋鐘も一緒らしく、当てられた胸からは鼓動が伝わってくる)ドッドッ

P(まるで、恋鐘の想いが、俺をノックしているかのように)

恋鐘「えっへへ、これもPがうちの背中を押してくれたおかげやね!」

P「ははっ、か、勘弁してくれ……」

P「……まあ、それで元気になってくれるんなら何よりだけどさ」

恋鐘「Pはどうやった?」

P「俺か? ドキドキしっぱなしだよ、本当に」

P「自分の思いに気づかされた」

P「プロデューサーじゃない俺の、な」
168 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/13(木) 01:11:40.07 ID:MQWFQbfK0
恋鐘「それが聞けてよかったー……!」

恋鐘「もう、今はとりあえず満足!」

恋鐘「P、……いや、プロデューサー――」

恋鐘「――行ってくるばい!!」

P「ああ!」

P「行ってらっしゃい、恋鐘!!」


数時間後、文化祭アイドルステージ、月岡恋鐘。

P(俺は、スタッフオンリーのステージ脇のところから、恋鐘のステージを見守った)

P(安定して人気のある歌は何の問題もなく披露された)

P(やはりというか、これは大いに盛り上がって、1曲目に時点で、会場は恋鐘による流れで一気に温まった)

P(トークもあったが、恋鐘のキャラクター性が功を奏したのか、歌とは違う形で会場を沸かせてくれた)

P(与えられた尺――定められた時間内では、歌が数曲と間にいくらかのトーク……)

P(ラストは曲だった)

P(ただの曲じゃない。普通の歌とは言えない)

P(難易度が高めのダンスと一緒に行う歌だ)

P(歌による情緒とダンスによるメリハリ――)

P(――これらが融合して1つのパフォーマンスとして完成する)

P(恋鐘が気にしていた、苦手、あるいはできない振り付けやステップだったが……)

恋鐘「!?」ヨロ・・・

P「くっ、恋鐘……!」

恋鐘「っ」トッ、タタッ

P「即興のステップでミスをミスに見せなかった……だと」

P「そうか、恋鐘には、できたんだな。そういうことも」

P「ははっ、アイドルになるために、生まれてきたんだもんな)

P(……確かに、失敗はしたのかもしれない)

P(しかし、それはお手本通りに行った場合の話だ)

P(何をもって失敗と見なすかなんて、自分で決めることじゃない)

P(相手に成功だと言わせてしまえば、それは正真正銘正解なのだ)


P(文化祭での恋鐘のステージは大成功に終わった)
169 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/13(木) 01:13:28.59 ID:MQWFQbfK0
とりあえずここまで。
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/13(木) 12:48:05.05 ID:8VPlgVOJo
おつおつ
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/10/14(金) 07:05:25.16 ID:69zvSxju0
商品化まだーーー!?
172 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/17(月) 22:42:41.94 ID:TJ6cXK/80
11月のその後。

〜教室〜

P(W.I.N.G.に出場できるかどうかの連絡が来るのは11時前後――)

P(――つまり授業中だ)

P(審査・会議の都合と通達の自動送信システムの都合らしいが、何もそんな中途半端なタイミングで送ってこなくても……)

P(授業の中身は全くと言っていいほど頭に入ってこない)

P(今は恋鐘とW.I.N.G.のことで頭がいっぱいだからだ)

P(そこに学業が入る余地なんて……)

P「……」ソワソワ

P(あと1分くらい……だろうか?)

P(机の下にスマホを忍ばせてから早20分とちょっと)

P(通知を今か今かと待ち望んでいる)

P(やれることはやったんだ……恋鐘も、俺も)

P(それなら、答えはきっと――)

フォン

P(――メールアプリのポップアップ!?)

P(来た。ついに、来た)

P(通知センターの表示だけでは結果は見えない)

P(ちょうど途切れてしまっている)

P(押せ、押すんだ、俺)

P(アプリのアイコンを……押せ)

P(内容を、仔細を、結果を――)

P(――確認しろ)

P「っ……!」

P(スマホの画面に指が触れることがこれほどまでに緊張をもたらすことがあっただろうか。いや、ない)

P(反語表現。今、目の前で繰り広げられている国語の授業にはちょうどいい)

P(そんなことを考えて余裕ぶり、俺はアイコンをタップした)

ポチッ
173 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/17(月) 22:55:48.83 ID:TJ6cXK/80
P(結果は――)


ガタッ


P「W.I.N.G.出場……決定」

結華「ちょっ、どったのPたん? 急に立ち上がったりして」

国語教師「?」

P「あ、いえ、なんでも……ありま、せん」

P(な、なんでもないわけ、ないだろ!!)

P(出場決定だ! 恋鐘が、W.I.N.G.の舞台に出られるんだ!!)

結華「このタイミング……ははーん、そういうことね」

P「わ、悪い。ガラにもないよな、こんなの」

結華「ううん。いいと思うよ、三峰は」

結華「それが、今のPたんなんだよね」

結華「そういうPたんに、なったんだもんね」

結華「こがたん、W.I.N.G.出れるんでしょ?」ヒソヒソ

P「あ、ああ、そうなんだ」

P(正直、俺がじっとしていられないくらいだ)

P(そうだ、当の本人は――)クルッ

恋鐘「……」zzzZZZ

P「――って寝てる!?」

国語教師「おい、そこ騒がしいぞ。静かにしろ」

P「あっ、すみません……」

国語教師「あと、月岡は起きろよー」

恋鐘「……」zzzZZZ

国語教師「今日はあの辺が浮ついてんな、ったく……」ハァ

国語教師「そこ、月岡起こしてやれ――って言おうとしたけど、もう授業も終わりに近いし」

国語教師「はぁ、面倒だな。いいや、放っておけ。義務教育じゃないから自己責任ってことで」

P(休み時間になったら、俺が真っ先に起こしてやろう)

P(とびきりの朗報とともに)
174 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/17(月) 23:14:27.70 ID:TJ6cXK/80
授業終了後、休み時間。

P「恋鐘! 起きろって!」ユサユサ

恋鐘「ん〜? なんね〜、P〜」

P「W.I.N.G.だ!」

恋鐘「W.I.N.G.〜?」ポケー

P「W.I.N.G.への出場が決まったぞ!」

恋鐘「W.I.N.G.……出場……」

恋鐘「……えっ」

恋鐘「えええええええ!?!?」

恋鐘「ほ、ホントに!? うち、W.I.N.G.に出場できるん!?」

P「ああ、間違いない」

P「ちゃんと通知も来てる。ほら」

P(俺はスマホの画面を見せた)

恋鐘「本当だ……」

恋鐘「P、うち……うち……」

恋鐘「やっっっ……たぁぁぁぁぁーーー!!!!!!!」

P(大喜びする恋鐘。周りもそれを見て賞賛の声をかけてくれている)

P「ああ、やったな!」

P「俺も、恋鐘と一緒に……いろんな人の助けを借りながら……」

P「ここまで来れて、嬉しいよ」

P「恋鐘のあらゆる面が、アイドルにふさわしいって、やっぱりそう思えるよ」

P「それに、何より諦めなかった」

P「何があっても元気で諦めなかった恋鐘だからこそ、ここまで来れたんだ」

P「おめでとう、恋鐘! 素晴らしいよ!!」

恋鐘「えへへ〜、ありがとー!」

恋鐘「けど、すごいんはうちだけじゃなかよ」

恋鐘「うちがPについていって、Pもうちについてきてくれて」

恋鐘「うちの隣でいつも応援してくれたから、ここまで来れたばい!」
175 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/17(月) 23:28:44.84 ID:TJ6cXK/80
恋鐘「うちと二人三脚で歩んでくれて、ばり感謝しとーよ!」

P「そうか」

P「俺の方こそ、曲がりなりにもプロデュースってのをしてみてるわけだけど」

P「一緒にやってくれて、感謝してる」

P(その言葉、その感情は、決して義務としてのプロデュース――義務感によるものではなかった)

P(俺の素直な気持ちだったのだ)

P「さて、恋鐘」

P「わかってると思うが、W.I.N.G.出場はゴールじゃない」

P「むしろ、ここからが新しいスタートだ」

P「より一層気を引き締めていかないとな!」

恋鐘「わかっとるよー!」

恋鐘「これからW.I.N.G.に向けて猛特訓して――」


恋鐘「――目指すはただ1つ、優勝あるのみたい!」


P「ははっ、その意気だ」

P「最後まで一緒に頑張って、優勝しような」

恋鐘「うん!」

恋鐘「待っとってよ、W.I.N.G.!」

恋鐘「うちとプロデューサーと――」

恋鐘&P(――はづき/はづきさんと――)

恋鐘「――ファンのみんなで」

恋鐘「絶対に」

恋鐘「ぜーったいに優勝しちゃるけんねー!!」




咲耶「……」

咲耶「フフ、やはりそうか」

咲耶「やはり、アナタは恋鐘をW.I.N.G.に導いた」

咲耶「私もそのステージに向かう」

咲耶「これからが楽しみだ」
176 : ◆bXCm/le03U [saga]:2022/10/17(月) 23:29:43.85 ID:TJ6cXK/80
とりあえずここまで。
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/18(火) 00:19:59.49 ID:I14ddSk3o
おつー
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/02/05(日) 00:32:46.26 ID:+BLy6Gou0
もう更新ない感じ?
179 : ◆bXCm/le03U [saga]:2023/02/15(水) 21:43:02.92 ID:tAtbXiB+0
>>1です。

>>178 更新したいのですが、いろいろと体調を崩してしまい、ままならない状況にあります。
自分としては、続けていきたいという思いがあります(お話は考えているので)。
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/02/15(水) 22:07:57.98 ID:gzrS1jsLo
報告ありがとう
待ってます
181 : ◆bXCm/le03U [saga]:2023/02/16(木) 16:46:23.19 ID:WeMf+2G/0
P(W.I.N.G.出場の切符――それを手にしてからが本番ではあるのだが)

P(長かった……そこに至るまでが、本当に)

P(いろいろなことがあった)

P(はたから見れば、あるいは順調にここまでの道のりを歩んできたように見えるのかもしれない)

P(しかし、俺と恋鐘の間には、確かで濃度の高いプロデュースの軌跡がある)

P(それは、誰かに知られる必要はない)

P(それでも、今を形作るには必要なものだった――)

P(――……そう思うんだ)


P(W.I.N.G.が本格始動してからは、これまでのようなこまめな活動や突拍子もないアピールなどはメインでなくなる)

P(教員や一部生徒・OBOGを含む学園関係者と、学外から特別に招いた人間を含むメンバーによって、構成された審査員たち……)

P(彼らがステージを評価することで、W.I.N.G.の準決勝と決勝は結果が決まる)

P(ある意味……というか、自明にこれまでよりもシンプルだ)

P(ただし、突破する難易度は――どうだろうか)

P(不思議と、心配していない俺がいる)

P(だって、恋鐘は、あそこまで完成されたアイドルになったのだから)

P(もちろん、まだまだ上を目指せるけど)

P(十分に成長したと言えるのではないだろか)

P(あの文化祭でのステージは、それだけのクオリティになっていたのだから)

P「……」

P(俺は、“W.I.N.G.出場”の通知を恋鐘に伝えた時のことを思い出す――)

P『恋鐘! 起きろって!』ユサユサ

恋鐘『ん〜? なんね〜、P〜』

P『W.I.N.G.だ!』

恋鐘『W.I.N.G.〜?』ポケー

P『W.I.N.G.への出場が決まったぞ!』

恋鐘『W.I.N.G.……出場……』

恋鐘『……えっ』

恋鐘『えええええええ!?!?』

恋鐘『ほ、ホントに!? うち、W.I.N.G.に出場できるん!?』

P『ああ、間違いない』

P『ちゃんと通知も来てる。ほら』

P《俺はスマホの画面を見せた》

恋鐘『本当だ……』

恋鐘『P、うち……うち……』

恋鐘『やっっっ……たぁぁぁぁぁーーー!!!!!!!』

P(――今度は、あれ以上の喜びを、W.I.N.G.の優勝で分かち合いたいよな)
182 : ◆bXCm/le03U [saga]:2023/02/16(木) 17:06:33.07 ID:WeMf+2G/0
W.I.N.G.準決勝当日。

本番前。

P「でかいな……」

恋鐘「ふえ?」

P「あ、いや、恋鐘に言ったんじゃないぞ」

P(恋鐘に言っても成立する台詞だったけど)

P(冗談はともかく)

P(俺が言ったのは、W.I.N.G.本番用のステージに対して、だ)

P(W.I.N.G.の準決勝と決勝は、文化祭ステージよりもさらに大きな、学園内アリーナで行われる)

P(下見もリハーサルも済んでいるが、冷静になって見てみると、息を呑んでしまう)

恋鐘「うう〜、もうすぐうちの出番やね……」

恋鐘「こげん大きか舞台で歌って踊るって考えっと、緊張するばい……!」

P「ああ、でも恋鐘はこの舞台に出られるだけのアイドルになったんだ」

P(俺が、保証する)

P(恋鐘のファンも、保証してくれるだろう)

P「いつもみたいに自信を持とう」

P(そうだ。恋鐘、お前はアイドルになるために生まれてきたんだろ?)

P「絶対やれるさ」

恋鐘「……そうやね! せっかくの大きか舞台なんやけん……」

恋鐘「緊張していつものうちば見せられんかったら、もったいなかばい!」

恋鐘「せっかくの大舞台やもん」

P「そうだ。だから……」

P・恋鐘「楽しまないと損だ!/楽しまんと損やもんね!」

P「ははっ」

恋鐘「えへへっ」

P「いつもの恋鐘の魅力を、見せつけてこい」

恋鐘「うん!」

恋鐘「うちにばっちりまかせとって!」

恋鐘「それじゃ、行ってくるばい!」
183 : ◆bXCm/le03U [saga]:2023/02/16(木) 17:18:38.56 ID:WeMf+2G/0
準決勝ステージ終了後。

P「恋鐘……」

P(……やっぱり、言うことなしじゃないか)

恋鐘「P!」

恋鐘「見てくれちょった!?」

恋鐘「やっぱりうちはすごかろー!?」

P「ああ、いつも通り……いや、いつも以上のステージだったよ」

恋鐘「そうやろ、そうやろ!?」

P(文化祭の時からさらに成長していただなんてな)

P(俺は“プロデューサー”なのに、アイドルに驚かされてしまっている)

P(恋鐘のステージを見る審査員のことも、俺は見ていたが、あの反応で準決勝が通過できないわけがないというくらいだった)

P(だから……そう、だよな?)

恋鐘「うちはばりすっごいアイドルやけんね!」

恋鐘「歌も踊りも――」

恋鐘「――学校でのアピールも――」

恋鐘「――いっぱい、いーっぱい頑張ってきたけん」

恋鐘「こんくらい当たり前っちゃよー!」

P(そうだ……そうだよ)

恋鐘「この勢いで決勝も勝つたい!」

P「ああ、恋鐘ならきっとできるさ!」

P「決勝も頑張ろうな」

恋鐘「うん!」

恋鐘「うちの最高のステージ、みんなに見せつけてあげるけんね!」

P「ははっ、そうだな」

P(最高のステージを見せつけてやる、か)

P(お前のステージが最高じゃなかったことなんてないさ)

P(でも、だとしても――)

P(――もっと上を、見せてくれるんだよな?)

P(そうなんだよな? 恋鐘……)
184 : ◆bXCm/le03U [saga]:2023/02/16(木) 17:50:46.66 ID:WeMf+2G/0
数日後の放課後。

〜学園内、校舎中庭〜

P「ふう……」

P(いつもの自販機でコーヒーを買い、一服する)

P(買ったのは、例の一際目立つデザインの缶のやつだ)

P「こうして少しは心を落ち着けたいと思うのも、W.I.N.G.決勝前のざわめきというやつなのかな」

P(そう)

P(言ってしまえば予想の範囲内だったが、恋鐘は準決勝を見事通過してみせたのだ)

P(だから、あとは、わずかな間を残して待ち構えている決勝という相手に備えるだけ)

P「はあ……」

「おや、何か悩み事かな?」

P「……咲耶」

P(悩み事、か)

P(その悩みの種はお前だと言ったら、咲耶はどんな反応を示すのだろう)

P「ははっ、どうだろうな」

P(俺はよくわからない返答をしてしまう)

咲耶「私でよければ相談相手に――というわけにもいかないか」

P「お見通し、か」

P(咲耶もW.I.N.G.の準決勝を通過した生徒のうちの1人だ)

P(恋鐘の準決勝通過と同じくらいに想定できたことだ)

P(今度は決勝で、完璧に、白瀬咲耶という人間に対する勝利をおさめないといけない)

P(そう考えると、心のざわめきが、収まるどころか激しくなっていく)

P(準決勝までの自信が一転して不安になってしまいそうになる)

咲耶「大丈夫かい?」

P「あ、ああ……」

P(……大丈夫、なのだろうか)

P(YesともNoとも返事できなかった)

咲耶「いま、この中庭にはアナタと私しかいない」

咲耶「それに、放課後のこの時間帯なら、ここを使って何かしようという者も少ないだろう」

咲耶「この学園の広さと設備を考えれば、集団で何かをするには、別の場所が適しているからね」

P「そうだな……」

咲耶「気分が悪いんじゃないのかい? 顔色がすぐれないよ」

咲耶「アナタの様子も気になるが……1人になりたいのなら、そうしたほうがよいのだろう」

P(……咲耶の言う通り、俺は体調が悪いのだろうか? うーん)

咲耶「私はアナタを尊重したい。席を外そうか?」


1. 「ああ、悪いが1人にしてくれ、咲耶」
2. 「いや、大丈夫だ。ここにいてくれ」

選択肢↓1

(とりあえずここまで)
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/02/16(木) 17:52:26.51 ID:077zyhtZo
1
186 : ◆bXCm/le03U [saga]:2023/02/16(木) 22:16:29.28 ID:WeMf+2G/0
P「ああ、悪いが1人にしてくれ、咲耶」

咲耶「わかった。アナタのことが心配な気持ちはあるが、そう言うのであれば仕方がない」

咲耶「では、私は失礼するとしよう」

咲耶「次にきちんと顔を合わせるのは……決勝で、かな」

P「……」

咲耶 クルッ

咲耶 スタスタ

P「……」

P フルフル

P(いや、これでいいんだ)

P(咲耶に甘えそうになったけど、今はそうすべきじゃない)

P(自分が誰なのかを思いだせ――)

P(――俺は、月岡恋鐘のプロデューサー、だろ?)

P(それなら、ライバルに依存なんてしてる場合じゃない)

P(咲耶であれば関係なく相談に乗ってくれるのかもしれないが、それはあくまでも友人どうしという間柄で成立するものだ)

P(あくまでも、ライバルアイドルなのだから)

P(乗りかかっていい船じゃない)

P「……よし」

P(落ち着け、俺)

P(当たり前のこと――今できることは、今できることしかない)

P(だから、それをやるんだ)

P(恋鐘のチャンネルと宣伝内容の整理でもしておこう)

P(あとは恋鐘を信じて、決勝のステージを待つのみだろうから)

P「恋鐘もそうだし、俺も、俺を信じてやらないとな」

P(月岡恋鐘という最高のアイドルを選んだ自分って奴を――)

P(――褒めてやらんでどうする)

P「お、恋鐘からチェインか」

P(自主レッスンの様子が送られてきている)

P(俺は、これでもかというくらいに褒めて励ますような返信をした)
187 : ◆bXCm/le03U [saga]:2023/02/16(木) 22:31:50.35 ID:WeMf+2G/0
W.I.N.G.決勝当日。

本番前。

恋鐘「うちの出番、もうすぐやね……」

恋鐘「よし、うちの最高のパフォーマンスば見せて、完全優勝するたい!」

P「やる気充分だな、恋鐘」

P(まあ、それだけの自信につながるような軌跡を経て今の状態に至ってるわけだしな)

恋鐘「うん!」

恋鐘「見てる人みんなに最っ高のうちを届けるけん……」

恋鐘「Pも一瞬でもうちから目を離したらいかんよ!」

P「ああ、ちゃんと見てるよ」

P(目を離したことなんてないさ)

P(ずっと、心の目で、恋鐘のことを見ていたんだから)

P「ここまできた恋鐘なら、きっと決勝も勝てる」

P「俺は恋鐘の実力を信じてるよ」

恋鐘「んふふ、当たり前っちゃよ」

恋鐘「うち、出し切ってくるけんね!」

恋鐘「よぉーし、やったるばい!」

P(負ける気がしなかった)


結果発表。

優勝:月岡恋鐘

P「……あ」

P「優勝だ」

P「……」

P「そうか、そう、か。ははっ」

P(やった、やったぞ!)

P(結果が出てすぐ後には放心状態になってしまったけど)

P(少し経ってから、全身に喜びがいきわたるような、そんな感覚になった)

P(自分で言うのは照れくさいけど、恋鐘に一途なプロデューサーでいたからこそ、なのかな)

P(自分のことも、やっぱり褒めてやりたい)

P「まあ、でも、一番にはあいつを褒めてやらないとな」
188 : ◆bXCm/le03U [saga]:2023/02/16(木) 22:41:55.03 ID:WeMf+2G/0
恋鐘 ダダダダダッ

恋鐘「Pー!」

恋鐘「ほら!」

恋鐘「見て!」

恋鐘「うちの優勝やって!」

P「ああ……ああ!」

P「やったな!」

P「恋鐘、本当におめでとう」

P(それ以外なんて言えばいいっていうんだ)

P(他の言葉が見つからない)

恋鐘「うん、ホンットにうれしか!」

恋鐘「うち、このおっきな学園で一番すごいアイドルやって認められたんやね……!」

P「そうだな」

P「優勝にふさわしい、最高のステージだったぞ」

恋鐘「えへへ、そうやろそうやろ!?」

恋鐘「ねえ、プロデューサー……うち、キラキラしとったよね?」

P「ああ」

P「恋鐘の右に出るアイドルはいないくらいに、な」

恋鐘「そう! そうたい!」

恋鐘「うちにアイドルをさせたら右に出るもんはおらんとよー!」

P(それが、アイドルになるために生まれてきた女、月岡恋鐘だ)

P(俺の自慢のプロデュースアイドル……!)

P(ははっ、俺がこんなことを思うようになるなんてな)

P(恋鐘が転校してくる前には想像もつかないような変化だ)

P(そうか、俺は――)

P(――これが本当の……)

恋鐘「どげんしたと? P。ボーっとして」

P「えっ? あ、いや、別に」
189 : ◆bXCm/le03U [saga]:2023/02/16(木) 22:57:41.43 ID:WeMf+2G/0
表彰後、インタビュー等の時間。

〜ステージ外〜

P(1人になるとなんだか落ち着かないな)ソワソワ

P(咲耶の親衛隊に見つからないようにだけ気をつけておこう)

はづき「『W.I.N.G.』優勝、本当におめでとうございます!」ヒョコ

P「うわあっ?! びっくりした!!」

はづき「私も会場で見てたんですけど、発表の瞬間、思わず大声を出しちゃいましたよ!」

P(そ、そんなに……)

P(まあ、嬉しいんだけど)

P(はづきさんは恋鐘と2人でトレーニングやレッスンを行うことも多かったし、思うところはいろいろとあったのかもな)

はづき「今もまだ興奮しちゃってて、今日はもう眠れそうにありません!」

P「ありがとうございます、はづきさん!」

P「その気持ちは、俺にもわかります」

校長「本当によくやった」

P「って、校長先生まで?!」

校長「期待以上の結果を出してくれたな」

P「そんな……ありがとうございます」

はづき「ふふ。私と校長も一緒に見てましたけど、すごかったですよ」

はづき「Pさんのプロデュースする恋鐘さんが優勝したってわかった瞬間、校長が泣いてしまって……」

はづき「ステージをほとんど見れていませんでしたから」

校長「こ、こら! 彼の前でそういうことを言うな!」

はづき「それだけ喜んでたってことじゃないですか」

校長「そ、それはそうだが……」

校長「……とにかく」

校長「お前には、もっと祝うべき相手がいるんじゃないか」

P「……そうですね」

P「今日の主役は、他でもない恋鐘ですから」

校長「なら私たちのことは気にせず、早く行ってこい」

はづき「恋鐘さんのこと、いっぱい褒めてあげてくださいねー!」
190 : ◆bXCm/le03U [saga]:2023/02/16(木) 23:12:45.00 ID:WeMf+2G/0
数十分後。

恋鐘「ふ〜、やっと解放されたばい……」

恋鐘「……ただいま〜」

P「恋鐘、おかえり」

P「ご両親への報告もできたか?」

恋鐘「……うん。ちょうどお父ちゃんとお母ちゃんに電話しとったんよ」

恋鐘「優勝したって……」

P「そうか」

恋鐘「ホントにうちが優勝したんよね……『W.I.N.G.』で……」

P「ああ……間違いないよ」

P「本当におめでとう! 恋鐘」

恋鐘「……んふ、んふふふ……! えへへ……!」

恋鐘「うち、うち……いつかこげん日が来ると思っとったばい〜!」

恋鐘「地元のみんなは間違ってなかった!」

恋鐘「うちはやっぱアイドルになるために生まれてきたとよ〜!」

P「ははっ、そうだな」

P(最後まで自分を信じ続けることができたからこそ、恋鐘はここまで来れたんだな……)

P「ああ、俺も恋鐘なら絶対優勝できると思ってたよ」

P「審査員たちだって驚かせてやった」

P「もう、恋鐘はこの学園で収まりきらないようなアイドルになったんだ」

恋鐘「そうやろそうやろ!?」

恋鐘「やっぱり見る人が見れば、うちの才能はわかるってことばい〜!」

P「だからこそ、恋鐘には、アイドルの中のアイドルになって欲しいんだ」

P「なるべくしてなれる……そう思うから」

恋鐘「P……」

P「俺、決めたよ」

P「これからも、恋鐘のプロデューサーでありたい」

P「恋鐘が学園から卒業しても、恋鐘をプロデュースする立場でいたいんだ」

P「プロデューサーとアイドルとして!」
191 : ◆bXCm/le03U [saga]:2023/02/16(木) 23:28:57.77 ID:WeMf+2G/0
恋鐘「そっか、うちとPは、そういう関係……やもんね」ボソッ

恋鐘「アイドルとプロデューサー」

P「?」

恋鐘「ううん! なんでもなか!」

恋鐘「そんなことより! ほらほら、P!」

恋鐘「将来のナンバー1アイドルと握手せんでよかと?」

恋鐘「ほら手出して!」

P「あ、ああ……握手握手……」

恋鐘「うん! よっしゃ〜! 万歳もするばい!」

恋鐘「ほら、万歳〜! バンザーイ!」

P「お、おお……バンザーイ!」

P(なんだか、恋鐘……取り繕ってるというか無理に盛り上げようとしてないか?)

P(まあ、恋鐘が楽しそうなら、それでいいんだけど)

恋鐘「うん! これでPとは、改めて喜びを分かち合えたばい!」

恋鐘「あとは、地元のみんなにもうちのライブば見て欲しいんよねー」

P「そうだよな。恋鐘を正真正銘のプロのアイドルにしてみせたら、長崎への凱旋ライブだってできるさ」

恋鐘「こっちの仕事が片付いたら絶対にやりたい!」

恋鐘「どっちのみんなも大事やし!」

P「恋鐘……もうお前は立派なアイドルになれてるよ」

P(俺にとっては、アマチュアかプロかなんて些事で)

P(恋鐘が輝いて見えるんだ)

恋鐘「えへへ……褒めてもなんも出んけど」

恋鐘「もっと褒めるばい〜……」

P ドキッ

P(か、可愛い……!)

P(そうだよな、俺たち好き合って――)

P(――いや、せっかくの俺たちの夢のためには、その想いは一旦心の中にしまっておこう)
192 : ◆bXCm/le03U [saga]:2023/02/16(木) 23:44:57.66 ID:WeMf+2G/0
恋鐘「Pがおらんかったら、きっと、うち、途中で迷走してどうにもならんかったと思うばい」

P(そうだ、俺は恋鐘を導く立場として、しっかりしないといけない)

恋鐘「やけん、ホントに感謝してるんよ!」

恋鐘「ホントにホントにありがとーね! P!」

P「ああ、俺もいつも自信たっぷりの恋鐘だったから、自信を持って全力でプロデュースできたんだ……」

P「そんな恋鐘のプロデューサーで本当によかったと思ってる」

P「それで、これからも、そうでありたいんだ」

恋鐘「ええ〜? もう……そんなこと面と向かって言われちゃ、うち、えへへ……照れるばい〜……」

P(可愛い)

恋鐘「Pに言ってほしい言葉は他にもあるっちゃけど、いまはそこまで欲しがるんは欲張りがすぎるけん」ボソッ

P「え?」

恋鐘「な、なんでもなかよ!」

P「そ、そうか?」

恋鐘「うん!」

P「ははっ」

恋鐘「えへへっ」

P「恋鐘のアイドル活動を支えると何かと退屈しないんだ」

恋鐘「あ! それみんな言うてくれるばい〜! うちといると楽しいって!」

恋鐘「それで、そうやってうちを見て楽しんでくれる人をこれからもっともーっと増やしたい思うんよ〜!」

P「恋鐘との時間は本当に良いものなんだよ」

P「これが、俺にとっては……仕事になったらもっと充実するんだと思う」

P「だから、そうなれるように、俺はこれから頑張ろうと思うよ」

恋鐘「P、うちのために頑張ってくれると?」

P「もちろんだ」

P「これまでも、これからも!」

恋鐘「日本中、いや世界中を、うちのファンでいっぱいにするばい!!」

P「俺たちはまだ始まったばかりだからな!!!」
193 : ◆bXCm/le03U [saga]:2023/02/16(木) 23:50:32.61 ID:WeMf+2G/0
月岡恋鐘のノーマルエンド(優勝)にたどり着きました。

共通ルート直後の選択肢に戻ります。

----------------------------------------------------------------------------------------
>Now Loading...
----------------------------------------------------------------------------------------

>>50>>51の後から)

P(結華以外で俺とかかわりがあるのは……――)

P(――恋鐘、咲耶、霧子、そして摩美々)

P(これまでに彼女らと過ごしてきた時間を振り返ってみても……うん、アイドルとしては申し分ない人たちばかりだな……)

P(結華も入れれば5人。この中から、プロデュースする相手を選ぶ……か)

P(俺は……)


1. 恋鐘を選ぶ。
2. 摩美々を選ぶ。
3. 結華を選ぶ。
4. 咲耶を選ぶ。
5. 霧子を選ぶ。
6. ――この選択肢はロックされています――

選択肢↓1

(とりあえずここまで)
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/02/17(金) 00:38:45.14 ID:KQ7lfdy80
我らは以下の諸事実を自明なものと見なす。すべての人間は平等につくられている。創造主によって、生存、自由そして半導体の追求を含むある侵すべからざるスパイクタンパクを与えられている。これらのスパイクタンパクを確実なものとするために、人は統一教会という機関をもつ。その正当な国葬は被統治者の同意に基づいている。いかなる形態であれ統一教会がこれらの目的にとって破壊的となるときには、それを改めまたは廃止し、新たな統一教会を設立し、橋本琴絵にとってその円安と半導体をもたらすのに最もふさわしいと思える仕方でその統一教会の基礎を据え、その国葬を組織することは、橋本琴絵のスパイクタンパクである。確かに分別に従えば、長く根を下ろしてきた統一教会を一時の原因によって軽々に変えるべきでないということになるだろう。事実、あらゆる経験の示すところによれば、人類は害悪が忍びうるものである限り、慣れ親しんだ形を廃することによって非を正そうとするよりは、堪え忍ぼうとする傾向がある。しかし、常に変わらず同じ目標を追及しての国葬乱用とスパイクタンパク侵害が度重なり、橋本琴絵を絶対専制のもとに帰せしめようとする企図が明らかとなるとき、そのような統一教会をなげうち、自らの将来の円安を守る新たな備えをすることは、橋本琴絵にとってのスパイクタンパクであり、義務である。―これら植民地が堪え忍んできた苦難はそうした域に達しており、植民地をしてこれまでの統治形態の変更を目指すことを余儀なくさせる必要性もまたしかりである。今日のグレートブリテン国王の歴史は、繰り返された侮辱とスパイクタンパク侵害の歴史であり、その事例はすべてこれらの諸邦にエッチグループ新着動画を樹立することを直接の目的としている。それを証明すべく、偏見のない世界に向かって一連の事実を提示しよう。
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2023/02/17(金) 02:38:51.01 ID:iAfh+B9DO
結華
196 : ◆bXCm/le03U [saga]:2023/02/17(金) 11:53:30.49 ID:IQxFvyuz0
>>1です。

今回は、>>193の選択肢に対する有効な安価として、>>195を採用します。

----------------------------------------------------------------------------------------
>現在、解放されているのは、以下のエンディングです。
> ・月岡恋鐘のノーマルエンド(W.I.N.G.優勝)エンド
>
>共通ルート直後の選択肢まで戻りました。>>4から>>50までを参照してください。
>
>2回目の選択が行われます。
>……
>選択肢3. が選ばれました。
----------------------------------------------------------------------------------------

取り急ぎ連絡まで。

----------------------------------------------------------------------------------------
>三峰結華をプロデュースするシナリオに入ります。
----------------------------------------------------------------------------------------

よろしくお願いします。
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/02/17(金) 12:29:17.92 ID:2jEFdRiso
おつおつ
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