他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
Check
Tweet
146 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/13(金) 22:10:20.36 ID:d6Ws/u/Ao
一方通行「…………」
食蜂「さて、ここまで説明すれば私の言いたいことが嫌でも分かってくるんじゃないかしらぁ?」
一方通行「……そォだな。要するにアレだろ。アイツの記憶喪失が治った場合、半年前の人格、今のアイツとはまったく関係のない結標になっているっつゥことだろ?」
食蜂「そうよぉ。ちなみにこの三つ目パターンの記憶喪失っていうのは、一つ目のやつと同じでちょっとしたことで記憶が戻ってくるかもしれないわぁ」
一方通行「つまり、もしかしたら明日記憶が戻っているかもしれないし、一年後に戻ってくるかもしれない、そォいうことか?」
食蜂「まあ、その記憶が戻るトリガーが何かによるかな。それが普段の彼女にまったく関係ないものなら戻らないし、身近だけど出会ってないものならすぐにでも戻る可能性があるしぃ」
一方通行「……で、こんなところでわざわざそんな記憶喪失の説明会開いて、一体オマエは何が言いたいンだよ?」
食蜂「それ、本気で言ってるワケ? だとすると本当にアナタは理解力のない間抜けな人間ってことになるのよねぇ」
一方通行「何だと?」
食蜂「分かってないのなら教えてあげる。彼女が記憶を失ったのは去年の九月一四日。原因はアナタ、一方通行との交戦での頭部へのダメージ」
食蜂「つまり、半年前の結標さんからしたら、アナタは同じ家に住む居候同士でもなければ同じ高校に通うクラスメイトでもない」
食蜂「ただの、自分に危害を加えた『恐怖』の対象でしかない」
一方通行「……ああ。たしかに俺はあの時アイツと接触し、明確にオマエを倒すと宣言し、圧倒的なチカラで叩き潰した」
一方通行「そンなヤツがいきなり目の前に現れて、恐怖を覚えねェほうがおかしい」
食蜂「よかったわぁ、ちゃんと理解してくれてるのねぇ。だったら、改めて聞かせてもらうわぁ」
食蜂「アナタはいつまでこの偽りの中を過ごしていくつもりなのかしらぁ? いくらアナタが今の彼女と思い出を作っていっても、たった一つのきっかけで全てが壊れてしまう」
食蜂「そんな辛い結末が待っている物語を、アナタはまだ紡いでいこうと言うのかしら」
一方通行「…………」
食蜂「……そう。それがアナタの答えなのねぇ。ふふっ、カッコイイじゃなぁい?」
一方通行「ッ!? オマエ俺の思考を……!」
食蜂「ただその考えは逃げに過ぎないわぁ。与えられた選択肢を選ぶことなく保留にして、自分で答えを出そうとしない受け身な考え」
食蜂「まあでも、アナタがそれで良いと思っているなら、それもある意味一つの答えかもしれないしねぇ」
一方通行「…………」
食蜂「さて、これでお開きとしましょうかしらぁ? そろそろ御坂さんが来てもおかしくない時間だしぃ」
一方通行「……そォだな。これ以上オマエと話すことなンてねェ」
食蜂「あ、そうそう。最後に一ついい?」
一方通行「あン?」
食蜂「もし結標さんの記憶が戻ってしまって、アナタが前の結標さんのほうがいいなぁ、なんて思ったりしたら私に言ってちょうだい。私の能力を使って――」
ガシッ!
一方通行「…………」ギロッ
食蜂「あらぁ、女の子の胸ぐら掴むなんていけな――」
一方通行「人の記憶を玩具扱いしてンじゃねェぞ。クソガキが」
食蜂「ふふっ、冗談よぉ。そんな怖い顔なんかしちゃダメだゾ☆」
一方通行「……チッ」パッ
147 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/13(金) 22:11:22.32 ID:d6Ws/u/Ao
<ありがとうございましたー!
一方通行「……オイ、最後に一ついいか?」
食蜂「何かしらぁ?」
一方通行「オマエは何のために俺と接触したンだ? オマエの今日の行動が何一つ解せねェ」
食蜂「最後って言うから何かと思ったらそんなことなのねぇ。ふふっ、気になるぅ?」
一方通行「別に」
食蜂「ええっー、何その素っ気ない答え? アナタから聞いてきたことでしょー?」
一方通行「どォせオマエは真面目に答えねェだろォが」
食蜂「そんな決めつけはひどいゾ☆ ま、その通りなんだケド」
一方通行「だろォよ。答える気がねェならさっさと消えろ」
食蜂「はいはーい! あっ、でも一つだけ教えてあげるわぁ。私がなぜこんな場をセッティングしたのか。それは――」
食蜂「――――同情よ」
一方通行「……どォいう意味だ?」
食蜂「それじゃあごきげんよう、鈴科百合子さん☆」タッタッタ
一方通行「……チッ、無駄な時間食っちまった。行くか」
美琴「……ちょっと待ちなさい」
一方通行「……居たのか超電磁砲」
美琴「まあね。あんな性悪女の時間稼ぎなんて、ちょちょいと終わらせてやったわ」
一方通行「その余った時間で覗き見かァ? いい趣味なこった」
美琴「勘違いしないでよね。私が来たのはついさっきだし、別にアンタたちの会話なんて一言たりとも聞いてないわよ」
一方通行「そォかよ」
美琴「で、何話してたのよ? って聞いても教えてはくれないでしょうけど」
一方通行「わかってンじゃねェか。その理解の良さに敬意を表して教えてやる。どォでもイイよォな世間話だ」
美琴「嘘くさ。世間話ならそんな顔して喫茶店出てこないっつーの」
一方通行「元からこンな顔だ」
美琴「そうですかい。じゃ、アンタもそんな時間もないと思うし、ちゃっちゃと用事済ませちゃいましょうよ」
一方通行「……ああ」
―――
――
―
148 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/13(金) 22:12:00.49 ID:d6Ws/u/Ao
同日 19;00
-第七学区・とある公園-
一方通行「……はァ、やっとあのクソみてェな格好から開放された(以下一方ボイス)」
美琴「まーた捨てちゃったのね、勿体無い。まだ入る機会があるかもしれないんだから、どうせなら取っとけばいいのに」
一方通行「ねェよそンな機会。金輪際」
美琴「それってフラグってやつ?」
一方通行「ねェよ。チッ、しかしチョコレートでも二○セットもあったら流石に重ェな」ガチャリガチャリ
美琴「そりゃそうよ。というか一体何で買って……もしかして明日のホワイトデーのためとか?」
一方通行「まあな」
美琴「へー、アンタって意外とモテるのねー」
一方通行「不本意だがな」
美琴「……そのもらったバレンタインって全部、まさかの本命?」
一方通行「ンなわけねェだろォが。顔も知らねェ頭ン中がピンクな一部のヤツらを除けば、全部義理だ」
美琴「そんなヤツらのためにわざわざお返しを用意するなんて、マメなやつ」
一方通行「は? 返さなくイイのか? これ」
美琴「当たり前じゃない。わけのわからない人からもらったものに対して、お返ししてやる義理なんてないじゃない」
一方通行「言われてみりゃそォだな」
美琴「アンタ今までのホワイトデーって、もしかして律儀に全部返してたわけ?」
一方通行「いや返してねェ。つゥか、今までバレンタインやホワイトデーなンかをするよォな世界で生きていなかったからな。もらったことねェからそンな概念すらねェよ」
美琴「だから女装してまでたっかいチョコレート買うなんて迷走してるのね」
一方通行「値段の三倍ルールに対応するには、これくらいの金額のチョコレートが必要だろォが」
美琴「どこの誰だかが勝手に決めたルールに騙されてどうするのよ。大切なのは気持ちよ気持ち」
一方通行「芳川め……クソみてェな情報握らせやがって」
美琴「で、その話を聞いてアンタはどうするわけ? その大量のチョコレートセット」
一方通行「あァ? まァ買ってしまったモンは仕方がねェよ。とりあえずもらった分は全部返す」
美琴「律儀ね。返さなくても誰も文句は言わないだろうに。何というか、似合わないわね」
一方通行「ホント、何やってンだろォな、俺は……」
美琴「でも、血みどろの殺し合いなんかをやっているときよりはよっぽどマシよ」
一方通行「…………」
149 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/13(金) 22:12:43.90 ID:d6Ws/u/Ao
美琴「じゃ、私行くわ。打ち止めによろしく言っといてね」
一方通行「何でアイツの名前が出てくンだ?」
美琴「どうせ打ち止めの分もその中に入っているんでしょ?」
一方通行「……ああ」
美琴「あっ、あとアンタ性悪女に何言われたか知らないけどさ、気にしないほうがいいわよ。アイツは適当なこと言って人を困らせて楽しんでるだけだから」
一方通行「適当、か……」
美琴「とにかく、アイツの言ったことをいちいち気に留めてちゃダメよ? ストレスで白髪増えるわよ」
一方通行「もともと白髪だっつゥの。つーかオマエ、もしかして俺を励ましてるつもりか?」
美琴「べ、別にそんなことしてないわよ。ただ食蜂と会ってからのアンタは何か変だから。うまく言葉には出来ないけど」
一方通行「そォかよ」
美琴「ま、アンタが変だろうと私には関係ないし、何でもいいんだけど」
一方通行「だったら放っておけよ」
美琴「じゃ、今度こそ行くわ」
一方通行「ああ、アリガトよ。わざわざ付き合ってもらってよ」
美琴「………‥」
一方通行「? どォした?」
美琴「やっぱ変よ。アンタから『ありがとう』の言葉が出るなんて」
一方通行「オマエ叩き潰すぞ」
―――
――
―
150 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/13(金) 22:13:37.68 ID:d6Ws/u/Ao
同日 20:00
-黄泉川家・リビング-
ガラララ
一方通行「帰った」
結標「あら、おかえりなさい。随分と遅かったのね。晩ご飯冷めてるわよ」
一方通行「おォ。他のヤツらは?」
結標「黄泉川さんと打ち止めちゃんはお風呂に行ってて、芳川さんは部屋にいると思うけど」
一方通行「そうかよ」
結標「ところでどこ行ってたのよ? 貴方がこんな時間まで出歩くなんてよっぽどよね」
一方通行「別に。オマエには関係ねェよ」
結標「そう言われると気になっちゃうのよね。その荷物は何? 随分と大きな紙袋だけど」
一方通行「それもオマエには関係ねェ」
結標「……あっ、もしかしてあれ? エッチな本的な……?」
一方通行「そンなモンこンなデカイ紙袋一杯に買うわけねェだろォが」
結標「実はコレクションをする趣味があったりして」
一方通行「ねェよ。つゥか、俺の部屋入ったことあるよなオマエ?」
結標「押入れの中は見たことないわ」
一方通行「はァ、馬鹿なこと言ってンなよ。部屋に荷物置いてくる」
結標「ごゆっくりー」
一方通行「その言葉の意味、あえて聞かねェようにする」ガチャリガチャリ
『いつまでこの『偽り』の生活を送っていくつもりなのかしらぁ?』
一方通行「……結標」
結標「何?」
一方通行「いや……何でもねェ」ガチャリガチャリ
結標「? 変なの」
――――――
151 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/13(金) 22:15:15.53 ID:d6Ws/u/Ao
食蜂さんがもし馬鹿なこと言ってたらそれはワイが馬鹿なだけだからゆるして・・・
次回『ホワイトデー』
152 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 21:57:23.65 ID:9mCcFctro
今回ちょっと長め
投下
153 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 21:58:11.72 ID:9mCcFctro
8.ホワイトデー
March Second Thursday 07:30
-とある高校・昇降口-
シーン
一方通行「ふァー、ねっむ。……よし、この時間帯ならまだ人は少ねェ。絶好のチャンスってヤツだ」
一方通行「バレンタインの時、俺の靴箱にモノぶち込みやがったヤツは全員で十人」
一方通行「一年が四人、二年が二人、三年が一人。残りは送り主不明のヤツ、コイツらと卒業して居なくなった三年はどォしようもねェから放っておく」
一方通行「返せるヤツ全員の靴箱の位置は既に確認済。靴箱に入れてきたンだから、靴箱に返してやるのが礼儀っつゥモンだよなァ」
一方通行「靴箱にチョコレートを入れる動作は三つ。開ける、入れる、閉める」
一方通行「これを普通にやったら時間を食ってしまい、他人に見られる危険性が高まってしまう。だが……」
一方通行「この俺のベクトル操作を使えば、そンな動作を七回繰り返すくれェ簡単なンだよッ! 一瞬で終わらせてやるぜェ!」カチッ
バッ!
ダダン! ダダン! ダダン! ダダン! ダダン! ダダン! ダダン!
モブ生徒A「うわっ、何だっ!? この変な物音は!?」
モブ生徒B「うるさっ! 靴箱叩いて遊んでるのかしら?」
モブ生徒C「一体誰がこんなことを………」
一方通行「……ケッ、ミッションコンプリートってヤツだ。クソったれ」カチッ
―――
――
―
154 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 21:58:47.15 ID:9mCcFctro
同日 07:50
-とある高校男子寮・上条当麻の部屋-
上条「じゃ、学校行ってくるよ」
禁書「うん! いってらっしゃいとうま!」
上条「あ、そうだ。これを渡すのを忘れてた」ゴソゴソ
禁書「えっ、何かくれるの?」
上条「おう。こいつだ」スッ
禁書「……何それ? クッキー?」
上条「そうだ。上条さんお手製のクッキーだぜ」
禁書「なるほど。昨日とうまがコソコソ作ってたのはこれだったんだね」
上条「コソコソって言うなよ」
禁書「ところで何でいきなりクッキーをくれるなんてことしてくれるの? 別に今日はバースデイでも何でもないんだよ」
上条「あー、お前らには馴染みがないかもしれないけど、今日はホワイトデーっつって、バレンタインのお返しをする日なんだ」
禁書「へー、ホワイトデーそういうことだったんだ。てれびで見たけどよくわからなかったんだよ」
上条「つーわけで、こいつはバレンタインに対するお返しだ。インデックス、チョコレートありがとな」スッ
禁書「うん、どういたしまして。そしてありがとうなんだよ! よし、早速いただいて」
上条「お前さっき朝飯食ったばっかだろ!」
-第七学区・通学路-
上条「ふんふーん♪ この時間なら遅刻なんてまずないだろ。やっぱ早起きって素晴らしーい!」
舞夏「うーい、上条当麻ー!」ウイーン
上条「よお舞夏。こんな時間にこんなところにいるなんて、もしかして上条さんのホワイトデー目当てか?」
舞夏「別にそんなつもりはなかったけど、もらえるものならもらっとくぞー」
上条「何だ違うのか。まあいいや。ほらっ、上条さん特製のクッキーだぜ」
舞夏「ありがとなー。へー、手作りなのか。これはまた何で?」
上条「市販されてるホワイトデー仕様のお菓子って高いんだよなー。それなら自作したほうが安上がりっつーことでの手作りクッキーってわけ」
舞夏「ふーん、てっきり私に対抗意識を燃やしてたのかと」
上条「お前に対抗意識燃やしても勝ち目まったくねーよ。ワンパンだよワンパン」
舞夏「それじゃあ私は行くとするぞ。上条当麻も勉強頑張れなー」ウイーン
上条「うーい、お前もなー」
―――
――
―
155 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:00:04.26 ID:9mCcFctro
同日 09:00
-ファミリーサイド・従犬部隊オフィス-
ガラララ
ヴェーラ「おはようございます」
ナンシー「おはようございまーす!」
数多「おう、お前ら二人ちょっと来い」
ナンシー「はい?」
ヴェーラ「何でしょうか」
数多「ほら、お前らにこいつをくれてやる」スッ
ナンシー「……あっ、これってもしかしてホワイトデーのプレゼントじゃないですか?」
ヴェーラ「いいんですか? こんなものをいただいて」
数多「いいんだよ。人の厚意は素直に受け取っとけ」
ナンシー「あ、ありがとうございます社長!」
ヴェーラ「ありがたく頂戴します」
円周「ふーん、今日はホワイトデーなのかあ」
ピンポーン
円周「おっ、打ち止めちゃんかな?」タッタッタ
ガチャ
打ち止め「おはようございまーす! ってミサカはミサカは元気いっぱいに挨拶をしてみたり!」
円周「うおおはぁようっ!! 打ち止めちゃん!」
数多「朝っぱらからうるせぇぞガキども」
芳川「おはようございます木原さん。今日もよろしくお願いします」
数多「どうもでーす。あっ、そうだ。芳川さんこいつを」スッ
芳川「あら、もしかしてこれホワイトデーの?」
数多「ええ。あといつ会えるかわからないんで、黄泉川さんの分も渡しといてくれませんか?」スッ
芳川「わかりました。わざわざありがとうございます」
数多「いえいえ」
156 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:00:41.95 ID:9mCcFctro
打ち止め「……ねえねえキハラ?」
数多「あん?」
打ち止め「ミサカの分のプレゼントは? ってミサカはミサカは手のひらを差し出して要求してみる」
数多「えっ、お前からバレンタインもらったっけか?」
打ち止め「あげたよぉ! ミサカ渾身のスーパースウィートチョコレートを! ってミサカはミサカはバレンタイン当日とのことを思い出しながら熱弁してみたり」
数多「……あー、そういやもらってたなぁ。あのゲロ甘いヤツ」
打ち止め「その表現には納得いかないけどちゃんと思い出してくれたんだね、ってミサカはミサカはそっと胸を撫で下ろしてみる」
打ち止め「というわけでプレゼントを寄越せー! ってミサカはミサカは再度要求してみたり!」
数多「チッ、だったらこれでいいだろ。ほら、チョコボールだ。しかも銀のエンゼルが当たってるレアモンだぞ」
打ち止め「えっ、何ですでにエンゼルの有無がわかってるの? ってこれ食べ残しじゃん! こんなのいらないよ、ってミサカはミサカは抗議してみる」
数多「我慢しろ」
打ち止め「ううっ、あんまりだー、ってミサカはミサカはチョコボールを食べながらしょぼくれてみたり」ショボーン
数多「…………」
円周「うわぁ、いい歳こいたおっさんが幼女を泣かせたー。全世界のロリコンを敵に回したね」
数多「……チッ、しょうがねーな。ほらよっ、やるよ」スッ
打ち止め「えっ? くれるの……?」
円周「って、あげるんかあい!」
数多「いつまでもくよくよされてもうっとおしいからな」
打ち止め「あ、ありがとうキハラぁ! ってミサカはミサカは満開の笑顔でお礼を言ってみたり!」
円周「てか、用意してたのに渡すのを渋るなんて意地悪なおじさんだねー」
数多「違げえよ。こいつはもともと近所のババァに渡す用のヤツだったもんだ」
円周「……あー、あの犬飼ってるおばさん?」
数多「そうだ。別にあのババァには渡さなくても問題はねえだろうと判断したまでだ」
円周「数多おじちゃんは熟女より幼女を取ったってわけかー」
数多「語弊のある言い方はやめろクソガキ」
打ち止め「うんまーい!! ってミサカはミサカは思わぬチョコレートの美味しさに感想を叫んでみたり」
数多「うるせぇ!」
円周「ところで数多おじちゃん。私もチョコレートあげたよね? 私のホワイトデーは?」
数多「お前からは何ももらってねーなぁ。たしかポリバケツさんにあげたんじゃなかったか?」
円周「あっ、そうだった。ポリバケツさーん、ホワイトデーのお返しちょうだあい」テクテク
数多「アホか」
―――
――
―
157 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:01:28.11 ID:9mCcFctro
同日 09:40 〜一時間目-ニ時間目間休み時間〜
-とある高校・一年七組教室-
吹寄「――で、あたしたちに話って何よアクセラ」
姫神「まあ。だいたい予想はつくけど」
結標「そうなの?」
一方通行「おォ、オマエらに渡すモンがある。ホワイトデーのお返しっつゥヤツだ」スッ
結標「あっ、なるほど。昨日の大荷物はそれだったのね。道理で隠そうとするわけだ」
吹寄「へー、まさかアクセラが自分からそういうことするなんてね。珍しいというからしくないというか」
一方通行「うるせェな。黙って受け取ることも出来ねェのか」
姫神「ありがとアクセラ君。……ん? こ。これは……!」
結標「どうしたの姫神さん?」
姫神「二人とも。このチョコレートよく見て」
吹寄「えっ、何なの……、ッ!? こ、これはあの有名な店のチョコレートセット!?」
結標「ええっ!? 有名な店って世界で学舎の園にしか出店してないっていうあのッ!?」
姫神「間違いない。雑誌とかでよく見るあのパッケージ。まったく同じ……!」
吹寄「開店後10分で売り切れで、何か政界の要人とか某国の王族などのVIPにしか予約とかすることが出来ないとか、いろいろ聞いたことあるわ!」
一方通行(へェ。そンなすげェモンだったンだな。つか、それを20セット予約できる超電磁砲は一体何者だ? あっ、レベル5の第三位か)
結標「あ、貴方一体どうやってこんなすごいものを……?」
一方通行「あ、ああ。常盤台に通ってる知り合いに買ってきてもらった」
姫神「なるほど。さすがレベル5第一位。人脈も広いのね」
吹寄「一生縁のないものだと思ってたけど、まさかそんなものを食べられるなんて……アクセラありがと!」ニコッ
一方通行(オイオイ吹寄のあンな笑顔初めて見たぞ。何なンだこの店のチョコレートセット……!)
上条「……あのー」
吹寄「何よ? 大した用じゃないなら後にしてくれる?」
上条「あのですね。一方通行のチート級のプレゼントで盛り上がってるところで本当に申し訳ないんですが、私めもホワイトデーのプレゼントなるものを持ってきてましてね」
結標「えっ、そうなんだ。何持ってきたのかしら?」
上条「本当みすぼらしくて申し訳ないのですが、手作りのクッキーのようなものを持ってきましてね、はい」
吹寄「クッキーのようなものって何よ。クッキーじゃないのそれ?」
上条「いえ、紛れもなくクッキーでございます、ははぁー」
一方通行「何だこの流れ」
姫神「……上条君」
上条「はい、何でしょうか?」
姫神「私。上条君がこんなものを作ってくれてきたなんて。とっても嬉しいわ」ニコッ
上条「……お、おう。こちらこそもらってくれてほんとありがとう」
158 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:02:12.22 ID:9mCcFctro
吹寄「……ふむ、しかし」
一方通行のプレゼント←三人とも同じチョコレート
上条当麻のプレゼント←三人とも同じクッキー
吹寄「……もっと空気読めないのかしら?」
上条「えっ、何が!?」
一方通行「さァ?」
吹寄(だいたいこっちは本命チョコレートを渡してるっていうのに、全員同じって……)チラッ
結標(一方通行からのプレゼントかぁ、すごく嬉しい!)キラキラ
姫神(上条君からの手作りクッキー……!)キラキラ
吹寄「……はぁ、まあいっか。本人たちがそれでいいなら」
上条「何だったんだ一体?」
一方通行「知るかよ」
土御門「おっ、みんなして集まって何してるんだ? もしかしてホワイトデープレゼント会でもやってるのかにゃー」
青ピ「女性陣の皆さん! この愛の貴公子青髪ピアスが、最高のホワイトデープレゼントをお渡しまっしょう!」
吹寄「……いや、あなたたちには何も求めてないから。別にいらないから」
青ピ「ひどい吹寄さん! せっかく用意してきたって言うのに!」
吹寄「どうせロクなもんじゃないでしょうに」
青ピ「まあまあそんなことを言わずに。どうぞこれを!」スッ
吹寄「……何これ? 大量のウエハースチョコ? 何よこの謎チョイス」
青ピ「ああ、食玩のカードが入ってるヤツ。大人買いしたらいっぱい余っちゃってなあ。まだまだ一杯あるでえー」スッスッ
吹寄「あたしはゴミ回収係じゃないわ! そんなプレゼントじゃ愛の貴公子の名前が泣くわよ!」
青ピ「いや、別に愛の貴公子じゃないですし……」
吹寄「自分で言った言葉は最後まで責任を持ちなさい!」
土御門「ちなみにぶっちゃけるとオレ、今日のホワイトデー何も用意して来てないんだぜい。すまん」
吹寄「別にいらないけど、それはそれでムカつくわね」
土御門「オレのホワイトデーは舞夏に全力だからにゃー。他に回す金なぞないっ!」
一方通行「ああそォだ。ちょっとイイか土御門」
土御門「何だ?」
一方通行「コイツをオマエの妹に渡しといてくれ。俺もバレンタインの日一応もらってたからな」スッ
土御門「…………」
一方通行「あン? どォした」
159 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:03:37.66 ID:9mCcFctro
土御門「――キエエエエエエエエエエエエイッ!!」ドガッ
上条「あっ、一方通行の超高級チョコレートが叩きつけられた! もったいなっ!」
吹寄「えっ、そこ!?」
一方通行「何をしやがるンだ土御門ォ?」
土御門「貴様ぁ、オレと舞夏の恋路を邪魔するつもりか。一方通行、貴様は今からオレの敵だ」
一方通行「へっ、上等だァ。この俺をどォにか出来ると思ってンのかァ? 三下がァ!」
上条「あっ、そういえば俺、さっき舞夏にクッキー渡したわ」
土御門「おらぁ!!」ドゴッ
上条「ぐほっ!? な、何しやがる!」
土御門「オマエラ・コロス・スベテ・マイカノ・タメ」
吹寄「いい加減にしろ」
ゴッ
土御門「ひでぶっ」ガタッ
青ピ「おおっ、さすが一年七組のドン。つっちーを一撃で沈めるなんて……」
吹寄「誰がドンよ!?」
結標「あら、青髪君じゃない。どうしたのその大量のウエハースチョコ」
姫神「どうせまた。食玩か何かのやつ」
青ピ「正解! どうや二人とも? 一袋くらいいる?」スッ
姫神「いらない」
結標「私も今日はいいわ」
青ピ「なんやつれないなー。ボクのホワイトデーは誰も受け取ってくれへんわ。寂しいホワイトデーやでー」
吹寄「そんなこと言うくらいだったら、もっとまともなもの持ってきなさいよ」
青ピ「まあでも、あんなモテすぎてお返しが大変、ってなるくらいなら実際はこれくらいがええんやろうな。ムカつくけど」
結標「えっ?」
姫神「どういう――」
160 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:04:23.87 ID:9mCcFctro
一方通行「オイ。この前のバレンタインの返しだ。大人しく受け取れ念動使い」スッ
念動使い「えっ、私にくれるの? 別にいいのに……ってこれあの店のチョコレートセットじゃない!? うわっ、やばっ!? すごっ!」
女子生徒A「うわーいいなぁー、あたしもアクセラ君にチョコあげればよかったー」
女子生徒B「私にも一個食べさせてよ」
念動使い「やなこった。ありがとねアクセラ君!」
一方通行「……おォ」
上条「バレンタインありがとな。これお返し」スッ
女子生徒C「あっ、クッキーじゃん。ありがと上条」
上条「これホワイトデーのお返しな。受け取ってくれ」スッ
女子生徒D「えー、別にお返しなんていいのにー」
上条「上条さんお手製のクッキーを受け取ってくれ」
女子生徒E「これ手作り? 上条君こんなの作れたんだすごーい」
結標「…………」←同じチョコレート
姫神「…………」←同じクッキー
結標・姫神「「よく見たらこれ全部同じヤツ!?」」
吹寄「今さらっ!?」
―――
――
―
161 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:05:14.58 ID:9mCcFctro
同日 10:00
-ファミリーサイド・従犬部隊オフィス-
円周「――数多おじちゃーん、例の物が出来たよー」
数多「やっと完成したか。遅せーぞ」
円周「えー、これでも超特急で作ったんだけどなあ」
数多「あれぐらい五分で作れ」
円周「カップうどんじゃないんだからさあ」
打ち止め「ところでエンシュウ。一体何が出来たの、ってミサカはミサカはテレビを間近で凝視しながら質問してみたり」ジー
数多「そんな近くで見てっと目が悪くなるぞ」
円周「うーん、まあ見てからのお楽しみと言うか……」
打ち止め「えっ、そんなに面白いものなの!? ってミサカはミサカは興味を持ちつつ興奮を覚えてみたり」
円周「うん。すごく面白かったよ。勉強にもなったし」
打ち止め「うぇー、勉強するのか。それは嫌だなぁ、ってミサカはミサカは渋い顔をしてみる」
円周「別にそういうのじゃないんだけどなあ。で、数多おじちゃん。あれいつやるの?」
数多「今から」
円周「おー、さすが数多おじちゃん行動が早い」
打ち止め「何か面白そうだからミサカも行くー! ってミサカはミサカはテレビを消して立ち上がってみたり」ピッ
ヴェーラ「社長、どちらへ?」
数多「ちょっとホワイトデーのプレゼント渡してくる」
ナンシー「えっ、さっきの会話ホワイトデーのプレゼントの話だったの? まったく予想つかなかったんだけど……」
数多「暇ならお前らも見に来るか? 面白れーモンが見れるかもしれねーよ」
ナンシー「……じゃ、じゃあ行こうかなー」
ヴェーラ「ちょっとナンシー。あなたまだ仕事がたくさん残ってるでしょ」
ナンシー「いいじゃないちょっとくらい。休憩よ休憩」
ヴェーラ「……もう!」
ナンシー「とか言いながらヴェーラも付いて来ようとするのね」
ヴェーラ「私は良いのよ。ナンシーと違って仕事早いから」
ナンシー「嫌味な言い方ね」
162 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:06:13.75 ID:9mCcFctro
-ファミリーサイド・屋上-
ヴェーラ「……なにこれ?」
打ち止め「うおおっ、かっこいい! ってミサカはミサカは率直な感想を述べてみる」
ナンシー「あっ、懐かしい。これペットボトルロケットじゃない? 子供の頃作って飛ばしたことあるわ」
数多「それはそんなしょうもねえモンじゃねえよ。こいつは超小型の巡航ミサイルだ」
ヴェーラ「…………えっ、なんて言いました?」
数多「だから超小型の巡航ミサイルだっつってんだろ」
打ち止め「おおっ、ミサイルってあれだよね? びゅーんって飛んでどかーんってなるやつ、ってミサカはミサカは擬音を駆使して説明してみたり」
円周「違うよ。ばしゅーんからのぼぉん! だよ」
数多「どっちでもいいわ。それよりきちんと機能すんだろうなこれ?」
円周「うん。数多おじちゃんの言う通りに出力、角度、座標設定etc。完璧にこなしましたあ!」
打ち止め「へー、エンシュウってこんなものを作れるんだー、ってミサカはミサカは素直に尊敬してみたり」
円周「作るっていうかただ設定しただけだよ。誰でも出来る簡単な作業だねー」
ヴェーラ「……ところで、このミサイルとホワイトデーに一体何の関係が……?」
数多「ああ。それを今から見せてやる。まずはこいつを使う」つ お得用マシュマロ一袋
ナンシー「マシュマロ? たしかホワイトデーでは『あなたのことが嫌い』の意味をもつお菓子でしたっけ?」
数多「そうだ。こいつをミサイルに括り付ける」スッ
数多「そして発射」ポチッ
ピシューン!
打ち止め「うわーマシュマロが飛んで行っちゃった。勿体無いなぁ、ってミサカはミサカは指を加えてみたり」
ヴェーラ「ところであのミサイルはどこに飛んでいったのですか?」
数多「ああ、お前ら木原病理ってヤツ覚えてるか?」
ナンシー「バレンタインの日に来られた木原一族の方でしたっけ? あの窓ガラスを割らずに窓ガラスを割って侵入してきた」
ヴェーラ「そっちは乱数さんでしょ。車椅子に乗ってた女性の方よ。で、その人がどうかしたのですか?」
数多「あの糞女バレンタインの日に、未元物質チョコレートとかいう産業廃棄物を渡しに来ただろ? まあ受け取ってはねーけど」
数多「だがあの女の中ではその時点でバレンタイン成立=ホワイトデーのお返しがもらえると思ってやがるから、必ずまたここに現れるはず」
数多「だからその前に先手を打った、ってわけだ」
ヴェーラ「……つまり、あのマシュマロ(ミサイル)は今その木原病理さんのところへ向かって飛んでると?」
数多「おう。アイツの住んでるマンションのベランダの窓、そこに直撃するように設定してある」
163 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:06:46.09 ID:9mCcFctro
<ドッゴーン
円周「あっ、着弾したみたいだね。予定通り」
数多「よし、それじゃあ撤収ぅー。ナンシー、ヴェーラ。そこの玩具片付けとけ」
ヴェーラ「あっ、はい」
ナンシー「何か今頃向こうではテロリストとか何とかで騒ぎになってそう……」
ピピピピッ! ピピピピピッ!
数多「あん? ……チッ、電話か」ピッ
数多「もしもし」
??『どうも数多クーン! 最高のホワイトデーのプレゼント、ありがとうございましたー!』
数多「やっぱこの程度じゃ死なねえか。木原病理よぉ」
病理『私、焼きマシュマロというものを初めて食べたのですが、なかなかいけますねー』
数多「そりゃ喜んでくれて何よりだ。次の機会があったら、ガトリングレールガンの弾をマシュマロ替えてブチ込んでやるから楽しみにしてな」
病理『おー、それはそれは素晴らしいですねー。来年を楽しみにしてまーす。ではではー』ピッ
数多「…………」
ヴェーラ「…………」
ナンシー「…………」ゴクリンコ
数多「さーて、仕事に戻るぞー」スタスタ
円周「打ち止めちゃん、今日は何して遊ぶ?」テクテク
打ち止め「うーん、そうだ! 今日は強くてニューゲームの人生ゲームをやろう、ってミサカはミサカは画期的なアイデアを繰り出してみたり」トテチテ
ヴェ・ナン((な、何事もなく帰っていったあああああああああっ!?))
―――
――
―
164 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:07:34.22 ID:9mCcFctro
同日 13:00
-第七学区・とあるファミレス-
ワイワイガヤガヤ
浜面「えー、本日はご多忙の中お集まりいただき――」
フレンダ「――結局、サバが最高の食材というのは揺るぎない事実な訳!」フンス
滝壺「何でふれんだはこんなに興奮しているの?」
麦野「この前連れて行ってあげたレストランのコース料理で出た、魚料理のサバのムニエルが相当お気に召したみたい」
絹旗「えっ、そんなところ行ったんですか!? ずるいです、私も超行きたかったです!」
浜面「……あのー」
麦野「はあ? 誘ったけど、アンタは映画見に行くとか言って断ったじゃない」
フレンダ「ま、でもああいうレストランはお子様にはまだ早いって訳よ。ファミレスでじゅーぶんじゅーぶん」フフン
絹旗「その程度のことでマウントを取っているつもりでいる人が行けるなら、超大人な私でも行けると思うんですが」
フレンダ「うん? それはどういう意味かな絹旗ちゃーん?」
滝壺「大丈夫。そんなふれんだを私は応援している」
浜面「ちょっとすんませーん! 話、聞いてもらってもいいですかねー!」
麦野「何だよさっきからうるせえなあ浜面ァ」
浜面「いえ、本当に申し訳ないですが、少しお時間をいただきたく」
絹旗「何というか、敬語で喋る浜面って超少しキモいですね」
浜面「少しキモいのか超キモいのかハッキリしろよ!」
フレンダ「あっ、私のメロンソーダなくなってる。ちょっと浜面行ってきて」
浜面「お、おうちょっと行って……って人が話をしようって時に雑用頼むなよ!」
滝壺「大丈夫。私はノリツッコミに勤しんでいるそんなはまづらを応援してる」
浜面「しなくていいから話を聞いてくれ……」
165 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:08:04.38 ID:9mCcFctro
麦野「で、話って何よ? まあどうせホワイトデーのお返しがある、みたいなありがちなヤツだろうけどな」
浜面「えっ、何でバレてるの!? 俺のサプライズっ!?」
フレンダ「そりゃ今日は三月十四日。ホワイトデーの日にアンタがキモい挙動を取ってたら、そりゃもうね」
絹旗「で、浜面は何を持ってきたんですか? まあ、超期待なんてできませんけど」
浜面「え、ええっと……なけなしの金で買ったデパートのそこそこの菓子屋の菓子詰め合わせ」スッ
麦野「うわっ、ふっつー」
絹旗「まあでも、浜面にしては超努力したほうではないでしょうか?」
フレンダ「ま、所詮は浜面って訳よ」
浜面「すぎのこ村を買ってきたヤツに言われたかねえよ!」
フレンダ「何ぃー? すぎのこ村を馬鹿にしたなぁ? あれ見つけるのすっごく苦労したんだからね!」
浜面「ウケ狙いでそんなもん買おうとするからだろ!」
フレンダ「称賛もされないしウケもしないものよりは遥かにマシって訳よ」
麦野「いや、お前のすぎのこ村もそんなウケてはないよ?」
フレンダ「しょ、しょんなー!?」
浜面「く、クソ……たしかに俺のは面白みもねえただのお菓子の詰め合わせだ。駄目だ、勝てねえ……」
絹旗「えっ、今のでどこか負ける要素ありましたか? 何でこんなに超悔しがっているんですか?」
滝壺「大丈夫だよはまづら」
浜面「た、滝壺……」
滝壺「面白くないものでも大事なのは気持ちだから。どんなに面白くないものでも気持ちがこもっていれば大丈夫だから」ニコッ
浜面「何か一番ひでえっ!?」
麦野「まあいいや。食後のデザートっつうことで食ってやるか」
絹旗「へー、マカロンとか入ってますよ。さすがそこそこの店の詰め合わせ」
フレンダ「まあそこそこ美味しいね。悪くはないって訳よ」
滝壺「普通だね。ありがとうはまづら」
浜面(ぐっ、案の定ボロクソに言われているがそれは別に構わねえ。俺の狙いはただ一つ……!)
滝壺「……ん? なにこれ?」つ飴玉
166 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:08:36.73 ID:9mCcFctro
浜面(き、来た……! 俺があとから入れた、駄菓子屋で買った飴玉だ……!)
フレンダ(なっ、あ、あれはキャンディー!? ホワイトデーでの意味は『あなたが好きです』!)
絹旗(私や麦野、フレンダの分には入っていない……? ってことはまさか浜面!)
麦野(……チッ、ヘタレ野郎かと思ってたけど結構攻めるじゃん。さーて、どうなるのか……?)
滝壺「……はまづら。これ……」
浜面「た、滝壺! こ、このキャンディーが俺のきも――」
滝壺「このお菓子の詰め合わせの内容物じゃないよね? 異物混入ってやつだよ。お店に連絡しといた方がいいよ」
浜面「えっ、あ、うん。そうだな」
絹旗「…………」
フレンダ「…………」
麦野「…………」
滝壺「……? どうしたの三人とも? 私の顔に何か付いてる?」
絹旗「……いえ、何でも。ぷぷっ」
フレンダ「ふふふふ何でもないって訳よ」
麦野「くくく、べ、別に……ふっ」
浜面「」
滝壺「?」
―――
――
―
167 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:09:29.01 ID:9mCcFctro
同日 14:00
-第七学区・とあるホテルの一室(グループの隠れ家)-
ピー、ガチャン
黒夜「うーす、って誰もいるわけないか」
黒夜「ま、集合時間の二時間以上前だからそりゃなあ」
黒夜「そんな時間に来て何やってんだ私は」
黒夜「…………」
黒夜「時間もまだあるし、昼寝でもして暇でも潰すか」ゴロン
黒夜「…………」
黒夜(そういや今日ってホワイトデー、だったよなぁ)
黒夜(ひと月前のバレンタインで私は番外個体のヤツに嵌められて、海原のクソ野郎にイタズラという名目で手作りチョコレートなんかを渡すなんてことがあったが)
黒夜(あのクソ野郎は果たして私にお返しなんてものをしてくれんだろうか?)
黒夜(いや、別に期待なんてしてないし、欲しいとも思ってないんだけど)
黒夜(ただこっちだけ痛手を負って、向こうだけ何もないっつーのもおかしな話だよな)
ガチャ
黒夜(……よし、何も用意してなかったらヤツのドタマをかち割ってやる。いや、でも待てよ)
黒夜(そんなことをしたら、まるで私がお返しが欲しいヤツのように見えないか?)
黒夜(いやいやいらねえよそんなモン! ただくれなかったらムカつく、それだけだ!)
黒夜(でももしかしたらめっちゃ良いものもらえたりして……って何考えてんだ私!)
黒夜(これじゃまるで私がプレゼントをすごく欲しいみたいな――)
海原「おや黒夜じゃないですか。珍しいですね、こんなに早く来ているなんて」
168 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:10:44.75 ID:9mCcFctro
黒夜「っておわっ!? う、海原ァ!? いつの間に現れやがったッ!?」
海原「今さっきですが。どうしたのですかそんなに取り乱して」
黒夜「な、何でもねーよ。アンタこそどうしたんだよ、こんな集合時間二時間以上前から来やがって」
海原「自分は特に異常がなければこれくらいの時間には来ていますが。ご存知ではなかったでしょうか?」
黒夜「んことなんて知るわけないだろ」
海原「まあ、いつも集合時間ギリギリに来ている黒夜には知るすべはありませんか」
黒夜「喧嘩売ってんのか?」
海原「そんな売ってもつまらないものなど、売る道理はありませんね」ガサゴソ
黒夜「うっとおしいヤツ。……何こそこそやっているのさ?」
海原「番外個体さんのお菓子のストックがここにはなかったはずなので、補充をしているんですよ」
黒夜「チッ、あのクソ女なんかの為にご苦労なことで。何が良いんだかあんなヤツ」
海原「彼女はそういう存在ではありませんよ。自分が守りたい人の、その周りの世界の中の一欠片。ただそれだけです」
海原「まあ、あの人から見たら彼女のことなんて毛先ほども知らない存在でしょうけどね」クスッ
黒夜「ふーん、そっか。でもさぁ、あの女を守ることとあの女のパシリになることは全然違うと思うんだけど、そこんとこどうよ?」
海原「パシリとは失礼ですね。これは彼女を守ることの一環としてお菓子等を買っているだけです」
黒夜「あー、そう。ま、別にどうでもいいんだけどね」
海原「……そうだ。貴女にちょっと用があるのを忘れていました」
黒夜「何だよ?」
海原「先月貴女からバレンタインのチョコレートをいただいたので、ホワイトデーのお返しを渡そうと」
黒夜「ふぇっ!?」
海原「えーと、確かこの辺に……」ゴソゴソ
黒夜「い、いや私そんなつもりで渡したんじゃねーっての! ありゃイタズラだから! だからそういうの求めてないから!」
海原「いえ、イタズラであれ何であれ、もらったものに対してお返しはしないと」ガサガサ
黒夜「だからいらねェっつゥの! 話聞けェ海原ァ!」
海原「……あっ、ありました。どうぞこちらを」スッ
つ5円チョコ
黒夜「……なにこれ?」
海原「ふふっ、しょせん貴女程度ではこの程度のものがお似合いだと思い、用意させていただきました。どうぞごゆっくりお召し上がりください」ニッコリ
黒夜「…………」
海原「おや、あまりにも感激しすぎて声も出ませんか?」ニヤリ
黒夜「…………び」
海原「び?」
169 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:12:04.16 ID:9mCcFctro
黒夜「びえええええええええええん!! 何で私ばっかこんな扱いなんだああああっ!! あんまりだああああああああああっ!!」
海原「なっ!? 何ですかこれは、マジ泣き……!?」
黒夜「リーダーに性的な目で見られ、ビリビリ女に玩具にされて、その上に海原にまで弄ばれてええええええええっ!!」
海原「え、えっと……、本気なんですかこれ?」
番外個体「うわぁー、何か女の子を泣かせてやがるクソ野郎がいるー。まじひくわー」
海原「み、番外個体さん!? い、いつから……!?」
番外個体「さて問題。ミサカはいつから居たでしょうか? 『1.最初から 2.はじめから 3.スタートから』。どれでしょーか?」
海原「全部最初からじゃないですか! 一体どこに隠れていたんです!?」
番外個体「ずっとお風呂場でスタンバってました」
海原「また貴女は何かイタズラをしようと……」
番外個体「それがミサカの存在意義でもあるしね♪」
海原「なんですかその陰湿な存在意義は」
番外個体「ま、女の子泣かすようなヤツには言われたくないけどにゃーん?」
海原「……はぁ。それについては誤解があるんですよ。いや、誤解と言うのとも違う気がするんですけど。まあ自分が悪いことには変わりないんですが」
番外個体「ほうほう。このクソ野郎確定の状況を打破できるような理由があると?」
海原「打破できるかはわかりませんがね」
黒夜「ひぐっ、ひぐっ、もうやだこのグループ。みんなして私をイジメやがって」
海原「黒夜。ちょっとよろしいでしょうか?」
黒夜「……ひっぐ、なにさ?」
海原「今貴女に渡したヤツはあれです、冗談です」
黒夜「……冗談?」
170 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:12:55.94 ID:9mCcFctro
海原「はい。ちょっと面白いかなと思ってやってみたんですが、まさかマジ泣きされるとは思わなくて……申し訳ないです」
黒夜「……ふ、ふざけンじゃねェ! 何が冗談だ、何が面白いだ、ふざけンなッ!」
海原「だから、お詫びと言っては…‥いえ、違いますね。これは詫びではないです。貴女に最初から渡そうと決めていたものです」
海原「都合のいいことを言っている自覚はありますが、受け取ってはいただけないでしょうか黒夜?」スッ
黒夜「これが……本当のやつ?」
海原「はい……」
黒夜「……チッ、うっとォしィ野郎だ。しょ、しょうがねェから受け取ってやるよ」スッ
海原「ありがとうございます」
番外個体「うわっ、ちょろっ」
黒夜「な、何か言ったかなァ? 番外個体クゥン?」グスン
番外個体「そんな涙目で睨まれても怖くないんだけど。やっぱかわいいねークロにゃんは♪」
黒夜「ぐっ、今回ばかりは言い返す言葉がねェ」
番外個体「あ、そうだ。海原ー、ミサカの分のホワイトデーはぁ?」
海原「もちろん用意してありますよ。自分のあらゆる人脈を使って手に入れた、あの店のチョコレートセットを!」
番外個体「あれ? ミサカには5円チョコくれないの? 面白愉快で泣けるサプライズはないわけー?」
海原「番外個体さんにそんなことするわけないじゃないですか。そんな面白くもないサプライズ」
黒夜「……は? 何言ってンだオマエ。何で私にやってそのクソ女にはやらねェンだよコラ」
海原「いえ、番外個体さんにはその分野ではかないませんからね。それにバレてるドッキリをやるほど自分も愚かではありませんよ」ニッコリ
黒夜「た、たしかにそォだけど、何か納得いかねェ!」
番外個体「あの店のチョコうめー」モグモグ
―――
――
―
171 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:13:30.81 ID:9mCcFctro
同日 15:00
-第七学区・スクール隠れ家-
砂皿「…………」カチャカチャ
誉望「……ところで砂皿さん?」
砂皿「…………」カチャカチャ
誉望「砂皿さん?」
砂皿「…………」カチャッ
誉望「ちょっと無視ないでくださいよ。相変わらず愛想がないっスね」
砂皿「……何だ? 気が散るから手短に話せ」
誉望「おっ、悪口言ったら反応してくれた」
砂皿「貴様が五月蝿いから返事をしただけだ」
誉望「はいはいそーっスね。えっと今日ホワイトデーじゃないっスか?」
砂皿「それがどうした?」
誉望「砂皿さん彼女さんへお返ししたんスか? あの外にいる、えっと……ステファニーさんでしたっけ?」
砂皿「……だからあれはそういうものではないと言っているだろう」
誉望「またまたー、隠さなくてもいいのにー。本当は付き合ってるんでしょー?」
砂皿「くどいぞ」
ガチャ
海美「お疲れー。楽しそうに何を話しているのかしら?」
誉望「あっ、お疲れっス。砂皿さんが彼女さんにホワイトデーのお返ししたのかなー、って話してたんス」
海美「ああ、ステファニー・ゴージャスパレスさんに? それは気になるわね」
砂皿「だから違うと言っている」
誉望「往生際が悪いっスよー。素直にゲロっちまった方が楽なんじゃないですか?」
砂皿「今ここで撃ち殺してやろうか。ゼロ距離なら貴様でも防げまい」スッ
誉望「あははー、冗談冗談ホワイトデージョークっすよ」
海美「教えてくださいよー砂皿さーん!」キッ
砂皿「ッ、能力者め、そんなものを使っても貴様に話す口など持たん」
海美「もう、強情ね。まあ別にいいけど」
172 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:14:07.98 ID:9mCcFctro
誉望「あっ、そうだ。これどうぞ心理定規さん」スッ
海美「あら、これってホワイトデーの? ありがとう誉望君」
誉望「いえいえ。大したもんじゃないですけど」
海美「……たしかに。私の渡したやつの金額を三倍した数字よりは安そうよね」
誉望「えっ!?」
海美「冗談よ。ありがと、うれしいわ」ニコッ
誉望「あはは……」
砂皿「…………」
海美「ん? 何か言いたそうな顔ね、砂皿」
砂皿「受け取れ能力者」ポイッ
海美「っと。あら、まさかあなたからお返しがもらえるとは思わなかったわ」
砂皿「ただの社交辞令だ。それ以上の意味はない」
海美「そうね。それ以上の意味は私たちにとっては必要ないしね。まあでも……」
誉望「でも? どうかしたんすか?」
海美「私にお返しをしたということは、必然的に彼女にはお返しをしたということになるわね」
砂皿「!?」
誉望「おおっ! たしかに!」
海美「砂皿―ステファニーの心理距離は友達以上恋人未満の数値だったわ。ただの他人の私に渡してそんな彼女に渡さない理由がないものね」
砂皿「勝手なことを言うな。能力者め」カチャ
海美「私を撃つつもり砂皿さん?」キッ
砂皿「くっ……!」
海美「……ところで垣根はここには来てないのかしら?」
誉望「そうですね。今日はここにずっといましたけど見てませんよ」
海美「そう。あの野郎もしかして日付変わるまで逃げるつもりかしら。電話にも出ないし」
誉望「やっぱ垣根さんにもバレンタインあげたんスね。しかし垣根さんのホワイトデーのプレゼントってすごそうっスよね。あの店のチョコレートセットとかめっちゃ買ってきそう」
海美「それくらいのをくれないと私絶対に許さないから」
誉望「一体何があったんスか……?」
海美「別に。ガキの相手は疲れるってだけ」
誉望「?」
チャララー♪
173 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:14:42.24 ID:9mCcFctro
海美「電話? あら、噂をすれば何とやら」
誉望「垣根さんスか?」
海美「そう……もしもし?」ピッ
垣根『よお心理定規。何か用か電話なんかしてきて』
海美「別に用なんかないわ。暇つぶしに電話しただけ」
垣根『そんな理由で俺に電話してきてんじゃねえっつーの』
海美「あらごめんなさい。いっつも暇そうにしてたから、今日もてっきり暇なんだと思ってたわ」
垣根『喧嘩売ってんのか?』
海美「別に」
垣根『チッ、まあいい。ところでお前、今日の夜空いてるか?』
海美「唐突ね。特に用事はないけど? どうかしたのかしら、私に用事?」
垣根『えっと、あれだ。お前今夜一緒に飯でも食わね? よかったらだけど』
海美「……えっ? 今何て言った?」
垣根『だから飯食わねえかっつってんだよ。何回も言わせんなよ面倒臭せえ』
海美「いえごめんなさい。あなたがそんな食事のお誘いなんてしてくるなんて思わなかったら。一体どういう風の吹き回しかしら?」
垣根『チッ、つまんねえ詮索はするな。イエスかノー、それだけ答えろっつーの』
海美「そうね。特に何もすることないからいいわよ」
垣根『……そうか。それじゃあ第三学区のスクールのアジトに六時半に集合っつーことで。じゃあな』ピッ
海美「えっ、ちょ、どこの何の店に……って切りやがったわね。せっかちなヤツ」
誉望「どうかしたんスか?」
海美「垣根に夕食のお誘いを受けたわ。どこの何の店に食べに行くのかは教えられずに切られたけど」
誉望「へー、そうなんスか」
海美「ま、どうせあれよ? 焼肉食べたいけど一人じゃ入れないし、一緒に行く友達もいないから私に泣きついてきたに決まってるわ」
誉望「ふーん」
海美「そーいうわけだから、来たばかりで悪いけど私帰るわね? じゃ、あとよろしくね」
誉望「よろしくされても、別に今日も何もないでしょうけどねー」
海美「そんなことを言ってると、別の暗部組織に襲撃されちゃうかもしれないよ?」
誉望「不吉なこと言わんでくださいスよ……」
海美「じゃ、お疲れ様ー」
ガチャ
誉望「……砂皿さん」
砂皿「何だ?」カチャカチャ
誉望「さっきの話、あれって絶対垣根さんのホワイトデーのお返しの食事ですよね?」
砂皿「知るか。子供の色恋沙汰など興味ない」
誉望「ちぇー、さすが彼女持ちで大人な砂皿さんは言うことが違うスよねー」
砂皿「だからアイツは違うと言っている」
―――
――
―
174 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:15:15.76 ID:9mCcFctro
同日 16:00
-とある高校・一年七組教室-
小萌「――というわけで、今日のホームルームは終わります」
青ピ「気をつけ、礼」
<ありがとうございましたー
結標「ふぅ、今日も終わったわね。帰りましょ一方通行」
一方通行「ちょっと待ってろ。少し用があるヤツがいる」
結標「用、って誰に?」
一方通行「見てりゃわかる」ガチャリガチャリ
女子生徒A「せんせさよならー」
女子生徒B「さよならー!」
小萌「はい、さようならー」
一方通行「……オイ、月詠」
小萌「はい? 何ですかアクセラちゃん?」
一方通行「ホワイトデーだ。何も言わずに受け取れ」スッ
小萌「えっ、もしかしてアクセラちゃん、わざわざ用意してくれたんですかー? 先生のために」
一方通行「何も言うなっつっただろォが。別にオマエの為にじゃねェよ。ついでだついで」
小萌「ってこれって有名なあの店のやつじゃないですかー!? せ、先生はそんなつもりでバレンタインを渡したつもりはないのですよー!」
一方通行「うぜェ。いらねェならゴミ箱にでも放り込ンでろ」
小萌「むむむむ、わかりました。ありがとうございますアクセラちゃん」ニコッ
一方通行「チッ、ぐだぐだ言わずにさっさと受け取れっつゥンだ」
上条「あっ、小萌せんせー! 俺のプレゼントも受け取ってくれー!」タッタッタ
小萌「上条ちゃんまで持ってきてくれたのですか? もー、そんなつもりで配ったんじゃないのにー」
上条「一方通行に比べたらしょぼいけど、上条さんの真心がこもった手作りクッキーなんで是非受け取ってくだせえ」
小萌「プレゼントに豪華もしょぼいもないんですよー。大事なのは気持ちなのですー。だから大丈夫ですよ、上条ちゃんの気持ちは気持ちはきちんと伝わりました」
上条「うわっ、そうまじまじと言われると何か照れくせーな」
小萌「上条ちゃんありがとうございました」ニコッ
結標「…………」
一方通行「終わったぞ。帰るか」
結標「まさか小萌先生の分まで用意してるなんて……一体何が貴方をそこまで駆り立てたのよ?」
一方通行「さァな。俺にも分かンねェ」
結標「……もしかして熱でもあるんじゃ……?」
一方通行「ねェよ、そンなモン」
―――
――
―
175 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:17:44.94 ID:9mCcFctro
同日 17:00
-黄泉川家・リビング-
ガララ
一方通行「帰ったぞ」
結標「ただいまー」
打ち止め「あっ、アクセラレータにアワキお姉ちゃん! おかえりなさい、ってミサカはミサカは迎えの挨拶をしてみたり」
円周「二人ともおかえりー。そしてお邪魔してます」ピコピコ
一方通行「本当に邪魔だな。さっさと隣へ帰れ」
円周「やだよーだ。今イイところなんだから」ピコピコ
結標「何やってるの? ゲーム?」
打ち止め「うん! 学園都市クエストがいつまで経ってもクリアーできないから、エンシュウにやってもらってるの、ってミサカはミサカは説明してみる」
円周「そうそう。今さっきラスボスのアクセラお兄ちゃんを倒してクリアーしたところだよ」
結標「えっ、クリアーしたの? すごいわねー、いくら戦っても勝てなかったのに……」
一方通行「は? 俺がいつ負けたっつゥンだよ。ふざけたこと言ってやがるとぶち殺すぞガキが」
打ち止め「やだなーゲームの話だよー。そんな本気にしないでよ、ってミサカはミサカは振り上げた右腕を引っ込めることを勧めてみたり」
一方通行「ンだァ? ゲームの話だと? このゲームはクソゲーだな。全然原作再現出来てねェ」
円周「えっ、でも結構負けてるじゃんアクセラお兄ちゃん。当麻お兄ちゃんに数多おじちゃんに。あと、スキー場で一回第二位にやられてるし」
一方通行「随分と物知りだなァ、褒めてやるからこっちこい。頭撫でてやるからよォ」カチッ
円周「頭を撫でるのに何で電極のスイッチを入れてるの?」
結標「へー、貴方って上条君と戦ったことあるんだ。喧嘩か何か?」
一方通行「……まァ、そンなところだ」
打ち止め「あとヨミカワにも負けてるよねー。よくゲンコツ食らって伸びてるし、ってミサカはミサカは自分が食らった記憶を思い出して頭を押さえてみたり」
一方通行「アレはこっちがやられてやってンだよ。本気でやれば余裕でやれるし」
円周「でも電極スイッチ入れた時点で負けみたいなものだよねー」
結標「で、結局どうやって倒したの? ゲームの一方通行」
円周「簡単だよー。まず木原一族の仲間になります。木原神拳を取得します。アクセラお兄ちゃんをボコボコにします。以上」
一方通行「それは真っ当なクリアーの仕方なのか?」
円周「ゲームに実装されている時点で、それは正規の仕様なのだあ」
打ち止め「すごかったよねー木原神拳最終奥義。ダメージが9999でカンストしてたし、ってミサカはミサカはあの時の衝撃を思い出しながら語ってみる」
一方通行「絶対ェ正規の方法じゃねェ。チーターっつゥヤツじゃねェのか」
円周「オフラインゲームだからセーフ」
176 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:18:32.79 ID:9mCcFctro
打ち止め「ところでアクセラレータ、ってミサカはミサカは唐突に呼びかけてみる」
一方通行「あン? ホント唐突だな」
打ち止め「ミサカ、ホワイトデーのお返しのプレゼントが欲しいんだけど、ってミサカはミサカは手のひら差し出して要求してみる」
一方通行「ああ、そォか忘れてた。ほらよ」スッ
打ち止め「えっ!? ……何で?」
一方通行「何でって、ホワイトデーだからだろ。つゥか、オマエが要求してきたンじゃねェか、何でそこで疑問を持ちやがる」
打ち止め「いや、だって素直にあなたがプレゼントを渡してくるなんて、今まで前例のないことだから、ってミサカはミサカは動揺を隠しきれなくなりながらも説明してみる」
結標「まあたしかにそうよね。ツンデレ一方通行らしくない行動よね」
一方通行「いつから俺はツンデレとかいう訳の分からねェモンになったってンだ」
円周「まあそれは最初からとしか……いや、待てよ。もしかしたら小学生の頃は素直で純粋な少年だったかもしれない……!」
結標「素直で純粋な一方通行……」
一方通行(ショタ)『ボク淡希お姉ちゃんのこと大好きー!! 一緒にベクトル操作の実験しよー!!』
結標「……素晴らしい!」グッ
一方通行「何勝手に一人で盛り上がってンだオマエ。残念ながら小学生の頃から俺はこンなだよ」
打ち止め「へー、そうなんだ。何か想像できないなーあなたがミサカと同じくらい小さいころなんて、ってミサカはミサカは想像力のなさに歯噛みしてみたり」
円周「でもあれだよね。小学生の頃からこんなってことは、あれから全然成長出来てな――」
ゴッ!
円周「おごごごごごごごごご、これ絶対つむじ増えたっ……! つむじが二つでダブルサイクロン……!」
一方通行「つーわけでオマエにはホワイトデーのプレゼントはきちンと渡した。だからこれ以上変なモン要求してくンじゃねェぞ」
打ち止め「うんそうだね。何はともあれあなたからのプレゼントは素直にうれしいかも。ありがとうアクセラレータ、ってミサカはミサカは笑顔でお礼を言ってみたり!」ニッコリ
一方通行「……おォ、大事に食えよ」
打ち止め「了解、ってミサカはミサカはさっそく包装紙を破いて開封作業に入ってみたり」
一方通行「言ったそばから雑に扱いやがって……」
円周「ねえねえアクセラお兄ちゃん」
一方通行「何だ」
円周「私の分がまだなんだけど」
一方通行「あるわけねェだろ。オマエからは何にも受け取ってねェンだからよォ」
円周「あれー? おかしいなあ? たしか私はずなんだけどなあ? あれー?」
一方通行「オマエの薬品入りチョコレートはきっちりオマエに突き返してやっただろうが」
円周「……そういえばそうだった! くそう、何で薬品なんて混ぜちゃったんだろうひと月前の私」
一方通行「知るか」
円周「ちっ、こうなってしまったら仕方がない。『木原』的にここは撤退するぜ」スタタタ
一方通行「おォ。そのまま帰って二度と来ンな」
結標「ばいばーい。また遊びにおいでー」ノシ
打ち止め「じゃあまた明日ー! ってミサカはミサカは手を振って見送ってみたり」ノシ
―――
――
―
177 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:19:03.30 ID:9mCcFctro
同日 17:10
-第七学区・とある公園-
美琴「…………遅い!」
美琴(まったく、珍しくアイツからの呼び出しだっていうのに何で時間に遅刻するかな)
美琴(でも、今日の呼び出しってことはアレよね。ほ、ホワイトデーの……)
美琴(……も、もももしかしたら、もしかしたらって展開あったりして……な、なんて)
上条「おーい、御坂ー!」タッタッタ
美琴「なっ、アンタちょっと遅いわよ! 10分遅刻よ10分!」
上条「わりーわりー。ちょっといろいろあって」
美琴「アンタが決めた時間なんだから、そういう不足の事態を含めて時間を決めなさいよ」
上条「いやー、こっちもこれからバイトとかあるから、この時間しかないって思ってさ。すまねえ」
美琴「もう! まあいいわ、30分のとか1時間の大遅刻とか、挙句の果てには約束すっぽかすなんてことなかっただけマシよ」
上条「ははは、そんなことないって言えないのが情けねえ……」
美琴「で、よよ用事って何よ。私をこんなところに呼び出して」
上条「ああ。お前バレンタインの時にチョコくれたじゃん。だから、そのお返しにプレゼント渡そうと思ってな」
美琴「えっ、あ、そう。そうだったんだ。そういや今日ホワイトデーだったわねー、忘れてたわー」アセッ
上条「そうなのか。そういうイベントを忘れるくらい忙しかったんだな御坂。悪いなそんな時に呼び出したりして」
美琴「い、いや別にそんなことないわよ。気にしないでいいって」
上条「そうか。だったら喰らえ、上条さんお手製スペシャルデリシャスファンタスティックただのクッキーだ!」スッ
美琴「……要するにただのクッキーってわけよね。いろいろ言ったけど」
上条「そうです。超高級チョコレートとかじゃなくてすみません」
美琴「べ、別にいいわよそういうのは金額じゃないし。というかアンタクッキーとか作れたのね、意外」
上条「上条さんほどの料理スキルがあれば、レシピを片手にクッキーを作ることなど造作のないことだぜ」
美琴「それって別に大した自慢にはならないんじゃない?」
上条「ま、まあな」
美琴「ふーん、まあいいわ。ありがと、ありがたくいただくわ」
上条「おう。じゃあ俺バイトあるから行くわ。またな御坂」タッタッタ
美琴「あ、うん。また……」
美琴「…………」
178 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:19:37.50 ID:9mCcFctro
同日 同時
-柵川中学女子寮・佐天涙子の部屋-
佐天「……ふむふむなるほど。テレポーターは三次元から十一次元へ物体を特殊変換する能力、つまり別次元に干渉できる能力である」
佐天「つまり、並行世界や異世界に物質を転移することが出来てもおかしくはない。またはその逆もまた然りである。
佐天「こういった理論を実証するための研究が密かに行われているという噂」
佐天「ふーん、何かすごそう! 今度白井さんに教えてあげよう、と」
チャララー♪
佐天「はい、もしもし」
美琴『あっ、佐天さんこんにちは。ちょっと電話いい?』
佐天「いいですよー、どうかしました?」
美琴『さっきアイツにホワイトデーのプレゼントってことで、手作りクッキーもらったんだけど』
佐天「ああ上条さんにですか? へー、そうなんですか。それは良かったですねー」
美琴『それが素直に良かったと言えるかどうか微妙なのよ』
佐天「どういうこと……あっ、たしかクッキーって」
美琴『そうなのよ。ホワイトデーでクッキーの意味って『友達でいましょう』じゃない? これってやっぱりそういうことなのかな……』グスン
佐天「あー、えーと、その……、た、たぶん大丈夫じゃないですか?」
美琴『……何で?』
佐天「たぶんですけど、上条さんはそういうつもりで渡したんじゃないと思います。今から名探偵涙子がバリバリの推理をしながら説明します」
美琴『お、お願いします!』
佐天「まず、上条さんがホワイトデーのクッキーの意味を知っているかどうか、それは正直どっちの可能性もあります。なのでこれは置いておきます」
美琴『置いておくんだ……』
佐天「まず御坂さんから聞いてた話からの推測です。上条さんは大変モテモテな人です。事実バレンタインデーにたくさんのプレゼントをもらっていました」
美琴『う、うん。全部義理ってアイツは言ってたけど……』
佐天「いえ、おそらくそれは勘違い。間違いなく本命も混じっているでしょう。まあ、その話は今とは関係ないので置いておきます」
美琴『置いておくなら何で話すの……?』
佐天「いやー、何と言うかいたずらごころっていうかなんというか」
美琴『もう! こっちは真面目に話してるのよ!』
179 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:20:11.82 ID:9mCcFctro
佐天「えへへごめんなさいごめんなさい(御坂さんをからかうのは面白いけどこれ以上はやめとこ)。では続きを」
佐天「大量のバレンタインプレゼントをもらったということは、必然的にホワイトデーに大量のお返しをしないといけないことになります」
佐天「別に返さなくてもいいんですけど、御坂さんから聞いた感じでは上条さんは律儀に返しそうな人だから、間違いなくそういう事態になるでしょう」
佐天「そして上条さんは結構家計が厳しい家庭の方です」
美琴『そうね、いつもスーパーの特売特売言ってるし、バイトしてるらしいし』
佐天「そんな上条さんに大量のホワイトデーのプレゼントを買う余裕はないはず。そこで上条さんは考えました」
佐天「お菓子が買えないなら作ればいいじゃない、と」
佐天「普通に買ったら少し割高になるものでも、業務用のスーパーとかで材料を買い込んで大量生産すれば安上がりになります」
佐天「しかもクッキーは、作る手間もそんなに面倒臭くなく簡単なので、大量生産にはうってつけのお菓子です」
美琴『な、なるほど……』
佐天「ほかにも手作りできるお菓子の種類はありますが、難易度、メジャーさ、それらを考えればクッキーがベスト!」
佐天「だから上条さんはホワイトデーにクッキーを作ることを強いられていた、つまりそんなホワイトデーのお菓子の意味なんて考えてる暇はなかったはずです」
美琴『…………』
佐天「そういうわけなんで、大丈夫ですよ御坂さん。そんな心配なんて無用です」
美琴『……あの、佐天さん?』
佐天「なんでしょう?」
美琴『どのみち大量生産されたクッキーってことは、結局そういう義理的な意味になるんじゃ……』
佐天「…………」
美琴『…………』
佐天「だ、大丈夫ですよ御坂さん! おそらく上条さんはホワイトデーのお返しを全部クッキーで済ませてる=本命の相手なんていないはずなので、まだまだチャンスはありますよ!!」
美琴『い、一体それはどういう推理で導き出された答えなの……!?』
佐天「……め、名探偵涙子ちゃんの勘、ですかね?」
美琴『駄目じゃない!!』
―――
――
―
180 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:20:49.49 ID:9mCcFctro
同日 17:30
-第七学区・ファミリーサイド付近のコンビニ-
ウイーン
御坂妹「ありがとうございました、とミサカは感謝の挨拶をします」
芳川「ありがとうございましたー」
御坂妹「…………」ソワソワ
芳川「ふふっ」
御坂妹「何ですか? いきなり意味深な笑みを浮かべて、とミサカは怪訝な表情を浮かべます」
芳川「そろそろ彼が来るから、一見無表情な貴女でも内心ウキウキワクワクなんだろうなあ、とか思ってたら面白くて」
御坂妹「勝手に人の心を妄想して笑うのはやめていただきたいのですが、とミサカは注意を促します」
芳川「あら、間違ってた?」
御坂妹「そうですね。正確にはドキドキワクワクです、とミサカは訂正します」
芳川「大して変わらないじゃない。ちなみにだけど私は今ウキウキワクワクしてるわよ。割と」
御坂妹「あなたのことなど知りませんよ。というかなぜです? とミサカは問いかけます」
芳川「ホワイトデーに踊らされてる人からイイものがもらえるかもしれないからよ」
御坂妹「?」
ウイーン
上条「とあっ! よし、ギリギリセーフッ!」ダッ
御坂妹「……何か一カ月前も同じような光景を見たような、とミサカはデジャヴを感じ困惑します」
芳川「というかいい加減遅刻しそうだからって、正面入り口から入ってくるのやめたら? お客様が居たら失礼よ」
上条「あははすみませんつい」
御坂妹「そもそもギリギリセーフでたどり着いても、仕事の準備ができてなければアウトなのでは、とミサカは正論を述べてみます」
上条「ぐっ、たしかに」
181 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:21:50.91 ID:9mCcFctro
芳川「何でもいいけどとりあえず準備してきたら?」
上条「う、うっす。……あっ、そうだ、二人に渡すものがあるんだけど」
芳川「おっ、お待ちかねのホワイトデーのプレゼントよ」
上条「へっ? そんな期待しても大したもん出ないすよ?」
芳川「別に私はそうでもないんだけどね……ねえ?」
御坂妹「なぜこっちを見るんですか、とミサカは横目で睨みつけます」
上条「まあいいや。俺が作ったクッキーなんすけど。本当に大したもんじゃなくてすんません」スッ
芳川「いえいえ、そんな気にしなくて大丈夫よ。嬉しいわありがとう」
上条「ほら、御坂妹も」スッ
御坂妹「あ、ありがとうございます、とミサカは受け取りながらお礼を言います」
芳川「しかし、男の子でわざわざ手作りするなんて珍しいわね。お料理が好きなのかしら?」
上条「いえ、単純に金無しなんで安上がりのもんで済ましてるだけですよ」
芳川「なるほど。手作りせざるを得ない状況になるくらいもらっているわけか。さすが、ね?」
御坂妹「だからなぜミサカを見るのですか、とミサカは再度問いかけます」
芳川「別に意味はないわ」ニヤニヤ
御坂妹「ぐっ……」
上条「じゃあ着替えて準備してきまーす」テクテク
上条(しかし、結局雲川先輩やイギリスの連中には渡せなかったなぁ)
上条(まあイギリスの連中がここに来ることなんて稀だからしょうがないとしても、雲川先輩くらいは運良く会えるかと思ったけど)
上条(……よくよく考えたら、上条さんに運良くなんてことあるわけなかったな。こんなことなら卒業式の時に連絡先聞いとけばよかったなー)
―――
――
―
182 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:22:29.29 ID:9mCcFctro
同日 18:30
-第三学区・スクール隠れ家-
海美「さて、そろそろ時間かしらね」←私服
海美「一体何を食べに行くっていうのかしらね? というかこれ垣根の奢りよね? 何かそういうところケチ臭そうだから割り勘とか言ってきそう……」
海美「サイフここに置いといてやろうかしら」
〜10分後〜
海美「……遅い。あれ? 待ち合わせ時間六時半よね? もう10分も過ぎているのだけど」
海美「もしかして六時半ってあれ? 明日の朝六時半って意味? いや、でもたしか今夜って言ってたはず……」
ガチャ
垣根「おぃーす。待たせたな」
海美「……ふう、よかったわ」
垣根「あん? 何の話だ?」
海美「ええ、私が時間を間違えたわけじゃなくてあなたが無様に遅刻した、ってことがわかったからよかった、って話よ」
垣根「誰が無様だとテメェ」
海美「……ていうか、ちょっといいかしら?」
垣根「何だよ」
海美「あなたの私服ってそんなフォーマルな感じの服装だったっけ?」
垣根「いや違うけど。今日の為に買った」
海美「今日の為? あなた一体今夜どんな店に行くつもりなのかしら?」
垣根「まあ見てのお楽しみっつーところだ。それじゃあ行くぞ」スタスタ
海美「え、ええ」
183 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:22:57.41 ID:9mCcFctro
-第三学区・とある高級ホテル前-
海美「……こ、ここって」
垣根「そう。学園都市の中でもトップクラスの、いわゆる最高級ホテルっつーヤツだ。その最上階にあるフレンチレストラン、そこが今日のメシ食う場所だ」
海美「ちょ、ちょっと聞いてないわよこんなところでご飯を食べるなんて!」
垣根「あん? 言ってなかったっけ?」
海美「言ってなかったわよ! こ、ここに来ることがわかってたら、こんなみすぼらしい格好してこなかったわよ!」
垣根「てか何で今日はオフの格好してんだお前? いっつもキャバ嬢が来てそうなドレス着てんのに」
海美「あれはあくまで仕事着よ。普段から着てるわけじゃないし。だいたい今日は焼き肉とかファミレスとかそういうしょっぼい店に行くと思ったから、こういう服装で来たわけだし」
垣根「誰も焼き肉やファミレスなんて行くって言ってないだろ」
海美「さっきも言ったけど高級レストランに行くなんて一言も聞いてないからね」
垣根「まあいいや。それじゃそろそろ時間だ、行くぞ」
海美「よくないわよ。ちょっと一度戻って着替えてくるわ。こんなみすぼらしい格好で店に入りたくないわ」
垣根「知るか。予約の時間が来るっつってんだろ。そんな戻ってる時間はねえ」
海美「嫌よ」
垣根「……ったく、しょうがねえなぁ」ファサッ
海美「こんなところで能力を使って何をする気? もしかして私の家まで送ってくれるのかしら?」
垣根「そんな面倒なことするか。お前、気を付けしろ気を付け」
海美「? こう?」
垣根「……数値はこんなところか。行くぜ、未元物質(ダークマター)物質化、ドレス」
キュイーン
海美「こ、これは……」←白ドレス着用
垣根「よし、我ながら上出来だな。色は味気ねえ白だが、これなら別に浮かねえだろ」
海美「…………」
垣根「どうした? もしかして気に入らねえって言うつもりじゃねえだろうな? その場合全裸で入店コースっていうもっとみすぼらしいことになるけどよお」
海美「いえ、そういうわけじゃないわ」
垣根「じゃあ何だってんだよ」
海美「ただ素敵なドレスね、って思っただけよ」
垣根「……お、おう。そりゃそうだ、誰が作ったと思ってやがる。つーか時間が来てんだ、こんなところでゴチャゴチャ言ってねえで行くぞ」
海美「そうね」クスッ
184 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:23:29.28 ID:9mCcFctro
-第三学区・とある高級ホテル最上階フレンチレストラン-
ウェイター「――二名でご予約の垣根様ですね。こちらの席へどうぞ」
垣根「おう」
海美(うわっ、ほんとにこのレストランで食事をするのね。まるで夢でも見てるようだわ……)
垣根「どうした? 顔強張ってんぞ? 緊張してんのか柄にもねぇ」
海美「まあね。この店に来るのは初めてだし」
垣根「援交してるときにパパに連れてきてくれるみたいなことなかったのかよ」
海美「援交じゃないし、援交言うなし。たしかにこういうレストランに連れてきてくれる人は居たけど、このレベルのヤツは初めてよ」
垣根「……へー」
海美「だいたいこんな場所で下品な発言やめてくれない?」
垣根「じゃあ何て言えばいいんだよ? パパ活?」
海美「意味的にはそっちのほうが合って……だから、そういう発言をやめなさいと言ってるの」
垣根「へいへい」
ウェイター「こちらが席になります」
海美「!!」
垣根「ほう、こいつは絶景ってヤツだな」
ウェイター「どうぞお掛けください」スッ
海美「すごい、ここって窓際の特等席じゃない!?」
垣根「当たり前だ。俺に相応しい席っつったらここしかねえだろうが」
海美「相応しいかどうかは知らないけど、……へえ、いい夜景ね。ビルの窓からの光がたくさんでまるで星空みたい……」
垣根「この光一つ一つにちんけでカスみたいなヤツらがせこせこ働いてると考えると、笑えて来るよな」
海美「……台無しよ」ハァ
―――
――
―
185 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:24:00.17 ID:9mCcFctro
同日 19:00
-黄泉川家・リビング-
ガラララ
芳川「ただいま」
打ち止め「おかえりなさい! ってミサカはミサカは出迎えの挨拶してみたり」
結標「おかえりなさい。さっき連絡あったんですけど黄泉川さん今日アンチスキルの仕事で、遅くなるらしいですね」
芳川「ええ、私のほうにも連絡がきたわ。だからこれを買ってきたわ」スッ
打ち止め「おお、コンビニのお弁当だ! ってミサカはミサカはレジ袋の中身に興味津々になってみる」
芳川「別に大したもの入っていないわよ。ただの弁当におにぎりくらい」
打ち止め「こんな時間にコンビニ弁当を食べるだなんて新鮮かも」
結標「そうかもね。いつもはちゃんと黄泉川さんが作ってくれるし、遅くなってたら出前頼んでたものね」
芳川「悪かったわね。安物のコンビニご飯で」
結標「いえ、別にそんなことを言ってるわけじゃ」
ガラララ
一方通行「コーヒーコーヒーっと、あン? 帰ってやがったのか芳川」
芳川「帰ってたのよ一方通行」
打ち止め「今日の晩ご飯はコンビニの弁当だよ、ってミサカはミサカは報告してみる」
一方通行「どォでもイイ」
打ち止め「どれが食べたい? 唐揚げ弁当とかのり弁とかあるけど、ってミサカはミサカはあなたの言葉を無視して話を進めてみる」
一方通行「オマエらで適当に食ってろ。余ったのもらう」
結標「無欲ね。というより選ぶのが面倒臭いとか言うつもりかしら?」
一方通行「御名答」
186 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:24:51.10 ID:9mCcFctro
芳川「だったらこのサラダを残しておきましょ。そうすれば野菜分の足りてない彼にはいい栄養補給になるんじゃない?」
一方通行「ふざけンなァ! そンなモン買ってきてンじゃねェぞ芳川ァ! 嫌がらせかコラ」
芳川「何でもいいって言ったのはキミじゃない? 自分の言葉には責任を持ちなさい」
一方通行「クソったれが」
結標「安心して一方通行。それ私が選ぼうとしてたやつだから」
芳川「駄目よ淡希甘やかしちゃ。こういうヤツには厳しくしてやらないと付け上がるだけよ」
結標「いや、私は普通にこれが食べたいだけなんですが……」
一方通行「そォいうわけだ。無様な作戦失敗だな芳川ァ」
芳川「こんなこともあろうかと野菜スティックなるものを買ってきているのだけど」スッ
一方通行「よし、せっかくだから俺はこの唐揚げ弁当を選ぶぜ」スッ
結標「えらくあっさり選んだわね……」
打ち止め「のり弁に入ってる磯辺揚げうまー、ってミサカはミサカはちくわを頬張りながらコメントしてみる」モグモグ
一方通行「……そォだ。芳川、これ受け取れェ」ポイ
芳川「よっと。あら、随分と手荒なホワイトデーじゃない?」パシッ
一方通行「オマエ俺を騙しやがったな? 三倍返しが絶対みてェなこと抜かしやがって」
芳川「誰も絶対とは言っていないわ? キミが勝手にそう解釈して動いただけじゃない?」
一方通行「チッ」
結標「……なるほど。やけに今日の一方通行は準備がいいなあって思っていたけど、芳川さんが裏で動いていたのね」
芳川「人聞きの悪いこと言うわね。ただ彼が私にホワイトデーとは何なのかを尋ねてきたから答えてあげたに過ぎないわ」
一方通行「オマエに聞いたのは最大の失敗だったわけだなァ。反省しねェとな」
結標「うわっ、反省するって言葉がここまで似合わないヤツっているのかしら?」
一方通行「頭ァ叩き割るぞオマエ」
芳川「ま、とにかくありがとね一方通行。ありがたくこのチョコレートセットはもらっていくわ」
一方通行「覚えてろよクソババァ」
芳川「はいはい」
―――
――
―
187 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:25:50.50 ID:9mCcFctro
同日 20:30
-第三学区・とある高級ホテル最上階フレンチレストラン-
垣根「ふぅ、なかなかうまかったな。さっきの肉料理」
海美「それはそうよ。どれだけランクの高い店だと思っているわけ」
垣根「まあでも量は少なかったな。もうちょっと欲しかった」
海美「何というか、その発想が貧乏人臭いわね。ここはそういう店じゃないのよ? わかってる?」
垣根「うっせーな、わかってるっつうの。ただ素直な感想を言っただけじゃねえか」
海美「思っていてもそれは言わないようにするのがマナーよ」
垣根「チッ、面倒臭せー店だなおい」
海美「……それで、何であなたは今日、その面倒臭い店で食事をしようなんて言い出したのかしら?」
垣根「あん? ああ、あれだよ。まず食事をしようって誘ったのは、これがホワイトデーのお返しっつーことだからだ」
海美「えっ、これがホワイトデーのお返しだったの?」
垣根「つか気付かなかったのかよお前」
海美「……言われてみれば、ここまでの行動すべて何をとってもあなたらしくない行い、たしかに気付くポイントはあったわね」
垣根「お前何か失礼なこと言ってんだろ?」
海美「別に。というか何でお返しが食事なわけ? 普通にプレゼントをくれればよかったんじゃない?」
垣根「はあ? お前、俺を誰だと思ってやがる。垣根帝督だぞ? 俺に常識的なホワイトデーなんて似合わねえ。っつーわけで食事に誘ったっつーわけだ」
海美「なるほどね。で、わざわざここを選んだ理由は?」
垣根「ま、それはあとで教えてやるよ。……そろそろだな」
海美「何?」
垣根「サプライズってヤツだ。窓の外を見やがれ」
海美「サプライズをサプライズって言ってやったら意味ないんじゃない?」
垣根「いいから見ろっつーに」
海美「はいはい、……!? こ、これは……!」
モブA「お、おい見てみろよ窓の外。何か巨大な真っ白な花火が上がっているぞ?」
モブB「てかあれって花火なの? 全然消える様子がないんですけど……?」
モブC「すごい……いろいろな形に次々と変化していく」
モブD「どういう原理なんだあれ?」
188 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:26:36.54 ID:9mCcFctro
海美「…………」
垣根「俺の未元物質(ダークマター)に常識は通用しねえ」
海美「あの花火、あなたの仕業?」
垣根「当たり前だ。あんな芸当俺以外じゃ出来ねえよ」
海美「相変わらず趣味が悪いわね。真っ白な花火なんて華やかさの欠片もないわ」
垣根「悪かったな」
海美「……でも」
垣根「あ?」
海美「綺麗ね……とっても」
垣根「……へっ。テメェも十分趣味悪りいじゃねえか」
海美「誰かさんといつも一緒にいるおかげでね」
垣根「人のせいにするなっつーの」
ウェイター「失礼いたします。こちらデセールになります。あの店のチョコレートを使用した、『ブロンディ・オ・ショコラノワール・エ・ショコラブラン』です」スッ
海美「あら、すごいわね。あの店のチョコレートを使っているなんて、さすがね」
ウェイター「こちらのチョコレートは垣根様よりお持ち込みいただいたものです」
垣根「おい余計なこと言ってんじゃねえよ」
ウェイター「申し訳ございません。出過ぎた真似をいたしました」
海美「へー、あなたがわざわざ、ねえ」ニヤニヤ
垣根「チッ、そんな顔で見んなうっとおしい」
ウェイター「ではごゆっくり」
189 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:27:09.76 ID:9mCcFctro
同日 21:00
-第三学区・とある高級ホテル前-
垣根「……ふぅ、やっぱ何か食った気がしねえな」
海美「あれくらいでちょうどよかったわよ。だいたいああいう店はお腹一杯にするのが目的じゃないわ」
垣根「コスパが悪いっつーヤツだな」
海美「……やっぱりあなたには似合わないわね、ああいう店は」
垣根「チッ、まあもう来ることもねえから別にいいけどよお」
海美「そういえばまだ聞いてなかったわね。何でこの店を選んだのかを」
垣根「ああそうだ。これを言っとかなきゃ俺のホワイトデーは終わらねえんだった」キリ
海美「な、何よいきなりそんな真面目な顔して……」
垣根「ああ。これは今日絶対にお前に言っときたい言葉があってな」
海美「……えっ、そ、それって」アセ
垣根「よーく聞け心理定規……いや、 獄彩海美」
海美「ちょ、急に本名で呼ばないでちょうだい、き、気持ち悪い……!」ドキン
垣根「チッ、うるせえな別にいいだろ面倒臭せぇヤツめ。まあいい、よく聞け心理定規」
海美「……は、はい」ドキドキ
垣根「ざまあみろクソガキが!」
海美「……え?」
垣根「お前バレンタインのときに散々俺をガキ扱いしやがっただろうが。だがよお、今日のホワイトデーのお返しを思い出してみろ!」
垣根「高級ホテルで食事。サプライズの花火。こんなもんそこらのガキじゃ出来ねえ。つまり俺は超絶完璧な大人っつーわけだ」
垣根「思い知ったか心理定規! この俺の『大人』なホワイトデーっつーのをよお!」
海美「…………はぁ」
垣根「あん? 何だその残念なものを見た後のため息みてえなのは?」
海美「別になんでもないわ。私ちょっと気分が悪いから先帰らせてもらうわ」
垣根「そーか。じゃあここでお開きだな。お前絶対今日のことを、かけがえのないひと時として記憶の中に永久保存しとけよ」
海美「……そうね」
垣根「あん?」
海美「たしかに楽しいホワイトデーだったわよ。こんなの初めてだったし、たぶん忘れることもないわ」
海美「ありがとうね、垣根」ニコッ
垣根「……お、おぉ」
―――
――
―
190 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:27:37.80 ID:9mCcFctro
同日 21:30
-黄泉川家・リビング-
ガラララ
黄泉川「ただいまじゃん! いやーすごかったすごかった」
結標「おかえりなさい黄泉川さん。すごかったって何がですか?」
黄泉川「何か九時前くらいに真っ白な花火が上がってたんだけど、それがどういう仕組み知らないけど10分くらいずっと形を変えながら空に滞在してたじゃんよ」
結標「へー、学園都市の新しい技術なのかしら?」
一方通行「こンな時期に花火を上げるなンて酔狂なヤツがいたモンだな」
黄泉川「しかしみんな遅くなって悪かったじゃん。コンビニ弁当を晩飯にさせちゃって」
結標「たまにはいいですよ。黄泉川さんも今日くらいゆっくりしてください」
黄泉川「ほんと悪いじゃんねー。しかし一方通行、お前がこの時間にこんなところにいるなんて珍しいな。いっつも部屋かソファで寝てんのに」
一方通行「あン? 居たら悪いかよ」
黄泉川「別に。なんなら久しぶりに将棋でもするかー?」
一方通行「そンな勝ち負けの決まったゲームなンざしたくねェよ」
黄泉川「まあ私も正直疲れてるからやりたくないけどな」
一方通行「だったら誘ってくるなよ」
結標「あっ、黄泉川さんお茶でも入れてきましょうか? それともコーヒーがいい?」
黄泉川「ありがとうじゃん。お茶で頼む」
結標「はーい」テクテク
一方通行「……黄泉川」
黄泉川「何じゃん?」
一方通行「疲れてるっつったな。だったらコイツでも食ってろ」スッ
黄泉川「うん? おっ、何これチョコレート?」
一方通行「疲れてるときには甘いもの、ってな」
黄泉川「……ぷふっ」
一方通行「あァ?」
191 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:28:17.81 ID:9mCcFctro
黄泉川「ぷわっははははははははははははははははっ!!」
一方通行「な、何を笑ってやがる!?」
黄泉川「くふっ、い、いやーだってお前がそんな似合わないセリフを言うなんて思わないじゃん?」
一方通行「チッ、俺だってわかってンだよ、らしくねェなンてよォ」
結標「そうよね。ほんと、今日の貴方はいろいろと変わってるわよね。お茶置いときますね黄泉川さん」ガチャ
黄泉川「おっ、ありがとじゃん」
一方通行「皆まで言うな。面倒臭せェ」
黄泉川「これってあれか? 今日ホワイトデーだから、バレンタインのお返しってやつ?」
一方通行「そォだよ。分かったら黙って受け取ってろよ」
黄泉川「はいはいありがとじゃん。へー、これってあの有名な店のチョコレート? すごいじゃん」
結標「ほんとすごいですよね。どんな手を使って手に入れたのやら……」
一方通行「言ったじゃねェか。常盤台の知り合いに頼ンだってよ」
結標「ほんとかしらね?」
一方通行「嘘は言ってるつもりはねェ」
黄泉川「しかし、今日はお疲れじゃんね。お前たくさんもらってたから今日一日大変だったんじゃないか?」
一方通行「まァな」
黄泉川「そうか。……で、どうだった? 今日のホワイトデーの感想は?」
一方通行「……‥…」
一方通行「二度と御免だ。こンなクソイベント」
―――
192 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/20(金) 22:30:21.88 ID:9mCcFctro
心理定規ちゃんとゴーグル君の名前が解禁されてたから改名させたけど違和感すげンだわ
次回『焼き芋大会』
193 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 19:46:23.69 ID:8jcO/JJGo
とくに書くことねーや
投下
194 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 19:47:19.86 ID:8jcO/JJGo
9.焼き芋大会
March Forth Saturday 20:00
-黄泉川家・食卓-
一方通行「ハァ? 明日焼き芋大会に行って運営を手伝えだァ?」
黄泉川「そうじゃん」
結標「その焼き芋大会ってどういうのなんですか?」
黄泉川「ああ、町内会の主催のヤツじゃん。近くのでっかい公園を借りてやる子供向けな感じの」
一方通行「つーか、何でそンなモンの手伝いに行かなきゃいけねェンだ?」
黄泉川「いやー、実は私もその大会の係員の一人だったんだけどさー、ちょっとアンチスキルの仕事で緊急なヤツが入ってな」
結標「なるほど。それで代わりに私たちに行ってこい、と」
黄泉川「そうそう」
一方通行「オイ、その大会とやらは町内会でやってるヤツだろ? だったらその役員の中に暇なヤツくらい何人かいるだろ。ソイツらに頼めよ」
黄泉川「いやー、そうしたいのはやまやまなんだけどなー、こんな夜分に連絡するのも悪いし、ぶっちゃけると私、町内会の中では結構若年者だから頼み辛くて……」
一方通行「えっ? オマエの年齢ならもっと上の――」
ゴッ!
結標「それにしても何で私たちなんです? 芳川さんは出られないんですか?」
芳川「残念。私はバイトよ。まあ、休みだとしても行きたくはないけどね」
黄泉川「薄情な親友じゃんね」
一方通行「……まあ他に頼めるヤツが居ねェことはわかった。だが欠員は一人だろ? だったら一人だけ行かせりゃイイだろォが。俺を巻き込ンでンじゃねェ」
黄泉川「運営するのは大人たちだからな。その中に子供一人に行かせるのは酷だろ? だから二人で行けば怖くない、って感じじゃん」
一方通行「そォか。だったら結標はしっかりしているから問題ねェ。安心して任せられる」
結標「何よ? 私が行くことは確定しているわけ?」
一方通行「どォせ暇だろうが」
結標「それは貴方にも言えることじゃない? ちなみに昼寝で忙しいはなしね」
一方通行「クソが」
195 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 19:48:00.92 ID:8jcO/JJGo
打ち止め「はいはーい!! だったら代わりにミサカが行くよ、ってミサカはミサカは挙手して志願してみたり」
一方通行「一番の不安要素は黙ってろよ」
打ち止め「ぶーぶー」
黄泉川「そういうわけだから、二人とも頼むじゃん。手伝ってくれたら焼き芋一個ただで食べさせてくれると思うからさ」
結標「……まあ、別に明日はすることないからいいですよ。参加する側じゃなくて、運営する側ってのも面白そうだし」
一方通行「つゥか、金取るのかよこの焼き芋大会」
黄泉川「ちなみに参加費三百円じゃん」
一方通行「俺らの日当三百円かよ」
打ち止め「三百円か……それならミサカのお小遣いでも大丈夫そうだね、ってミサカはミサカは明日の予定が出来たことを喜んでみたり」
一方通行「チッ、オマエも来るのかよ」
打ち止め「うわっ、露骨に嫌な顔するね。慣れない環境の中だったら知り合いが一人でも多い方が気が楽になったりするよ、ってミサカはミサカは知ったようなことを言ってみたり」
一方通行「慣れない環境だろうと気なンて重くならねェよ」
芳川「あら。スキー旅行の行きの時、車の中で風斬さんと二人きりになってものすごく動揺してたキミがそれを言うのかしら?」
一方通行「何だと?」
結標「そういえばメールでSOS出してきてたっけ。あれは面白かったなあ……」
一方通行「変な記憶呼び起こしてンじゃねェよ!」
黄泉川「じゃ、二人ともよろしくじゃん」
結標「はい」
一方通行「面倒臭せェ」
―――
――
―
196 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 19:49:00.16 ID:8jcO/JJGo
March Third Sunday 13:00
-第七学区・とある公園-
一方通行「……はァ、今日ほど面倒臭せェと思ったことはねェな」
結標「そのセリフ、今までに何回も聞いたことあるような気がするのは気のせいかしら?」
打ち止め「よーし、今日は焼きまくるぜー! ってミサカはミサカは背中に大きな気合の炎をまとっている気分になってみたり」
結標「そういえば今日は円周ちゃんいないのね。いつもこういうイベント事のときって一緒に付いてきてるイメージあるけど」
打ち止め「誘ってみたんだけど、何か今日は実験で忙しいとか言ってて断られちゃったんだ、ってミサカはミサカは説明してみる」
結標「そう。それは残念ね」
一方通行「うぜェのがいなくてせいせいするがな」
結標「……あっ、設営のテントが見えてきたわ。たぶんあそこが会場じゃない?」
打ち止め「よーし、ならばいざ突撃じゃー! ってミサカはミサカは指をさしながら駆け出してみたり」タタタ
一方通行「走ンな! コケて怪我でもされたら面倒だ」
打ち止め「コケないよーだ! ってミサカはミサカは気にせずダッシュ!」ダダダ
結標「子供は元気よねー」
一方通行「うっとォしいだけだ」
結標「こんにちはー」
係員1「おやこんにちは。話は聞いてるよ、黄泉川さんの代理の方たちだね?」
結標「結標です。至らぬ点が多々あると思いますが、本日はよろしくお願い致します」ペコ
係員1「これはご丁寧に。こちらこそよろしくね」
打ち止め「おおー、アワキお姉ちゃんが家では見せたことないような大人な対応をしてる、ってミサカはミサカは動揺を隠しきれずにいたり」
一方通行「やっぱ俺いらねェよォな気がして仕方がねェンだが」
打ち止め「そうだね。あなたが出ていっても何もできなさそう、ってミサカはミサカは同意してみる」
一方通行「オイ、それはどォいう意味だクソガキ」
結標「何やってるのよ一方通行。こっちに来て自己紹介しなさいよ」
197 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 19:50:04.70 ID:8jcO/JJGo
一方通行「一方通行だ」
打ち止め「打ち止めでーす! ってミサカはミサカは自己紹介してみる」
係員1「はいよろしく。ちなみにこの子は……」
打ち止め「ミサカはお手伝いさんじゃなくて、このなけなしの三百円を持ってきて焼き芋を食べに来た参加者でーす、ってミサカはミサカは百円玉三枚を見せつけてアピールしてみたり」
結標「すみません。この子一人じゃここまで来れるかわからないので、先に連れてきちゃったんですよ」
係員1「なるほど。……そうだ、始まるまで暇だろ? なら君も手伝ってくれないかな? そうしたら参加料をタダにしてあげよう」
打ち止め「えっ、ほんと? 手伝う手伝うー! ってミサカはミサカはやる気アピールを発してみたり」
結標「いいんですか?」
係員1「構わないよ。それに始まるまで一時間もあるんだ。君たちもこの子が目に届く範囲にいたほうが助かるんじゃないかな?」
結標「ありがとうございます。ところで私たちは何をすればいいんですか?」
係員1「そうだね。君たちは机と椅子の設営を手伝ってもらおうかな」
結標「机と椅子を?」
係員1「そうそう。長机とパイプ椅子があるからそれを運んで、組み立てて並べてほしいんだ。すでにやってる係の人がいるから詳しくはその人に聞いてくれ」
結標「分かりました」
係員1「あと君たちはお客さん、要するに子供たちの対応も手伝ってもらおうと思っているのでそのつもりでいてくれ」
一方通行「は?」
打ち止め「了解! 子供の対応なんて全部ミサカに任せなさい、ってミサカはミサカはお姉さんアピールをしてみたり」
係員1「いや、君はそのときはお客さんとして参加してくれればいいよ」
打ち止め「そっかー、それは残念だね、ってミサカはミサカは指をくわえてみる」
係員1「じゃ、頼むよ」
結標「分かりました」
-机・椅子設営場所-
係員2「おっ、黄泉川さんとこの居候さんたちだね。今日は来てくれてありがと」
結標「いえ。ところでどういう風にやればいいです?」
係員2「ああ、あそこに積んである長机とパイプ椅子をこっちに持ってきて、組み立てて並べていくんだよ」
係員2「並べ方は長机を二つ横に並べて一つの島を作る。一つの島には左右三つずつ合計六つのイスを並べる。このセットを十セット作ることになる」
一方通行「つまりこれは六十人が定員の大会っつーことか?」
係員2「まあそれくらいだね。椅子の予備はあるからある程度は許容できるよ。まあでも、今頃の子供はこういう古臭いイベントに参加したがらないからねー、埋まることはないと思うよ」
結標「もしかしたら人がまったくこない、みたいなことになるってことですか?」
係員2「いや、それはないよ。近くの養護施設の子たちが来たりする予定だから、ある程度は席は埋まるよ。人が居なくて中止はまずないね」
一方通行「俺たちのやることは無駄にはならねェってことだな」
結標「ちょっと一方通行言い方悪いわよ?」
係員2「ははは、いいよいいよ。それじゃあ並べていこうか」
198 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 19:50:59.70 ID:8jcO/JJGo
結標「……しかし、机と椅子が積んである場所から設営場所までそこそこ距離があるわね」
打ち止め「そうだねー。いちいち何回も往復しなきゃいけないんだね。それにミサカにとっては結構重そう、ってミサカはミサカは自分の細腕を見ながらげんなりしてみる」
一方通行「面倒臭せェ。結標、ここはオマエの能力を有効活用する場面だ」
結標「私の?」
一方通行「ああ。長机二本、パイプ椅子六つを一セットになるよォにして、設営場所まで移動させろ。そォすりゃあとは組み立てるだけの作業になる」
結標「また私ばかり働かせるつもりね? 雛祭りのときみたいに」
一方通行「能力の有効活用だ」
結標「貴方でも出来るでしょうに」
一方通行「出来るが、オマエがやるより絶対に遅くなるだろうから無駄な時間を過ごすことになる。なにより電極のバッテリーの無駄遣いはしたくねェ」
結標「私だって脳のブドウ糖大量消費するんですけど?」
一方通行「この後クソ甘ェ焼き芋食うンだからプラマイゼロだろ」
結標「……はぁ、わかったわ。やりますやらせていただきますよ」
打ち止め「おおっ、アワキお姉ちゃんの超能力ショーの開幕だぜ、ってミサカはミサカは目を輝かせながら胸をときめかせてみたり」キラキラ
結標「係員2さーん」
係員2「どうかした?」
結標「かくかくしかじかなんでだいたいの配置予定を教えてもらませんか」
係員2「へー、君ってテレポーターなんだ。すごいねえ。それじゃあこれが配置図だ」ペラッ
結標「ありがとうございます」
係員2「がんばってくれ」
結標「えーと、この配置だと島と島のスペースがだいたい2〜3メートルくらいになるのかな?」
結標「まあ、細かい調整は組み立てるときにすればいいから、適当に飛ばせばいっか」スッ
シュン! シュン! シュン! シュン! シュン! シュン! シュン! シュン! シュン! シュン!
結標「ざっとこんなもんか」
打ち止め「おおっー! さすがアワキお姉ちゃん鮮やかなお手並みだ! ってミサカはミサカは称賛の拍手を送ってみたり」パチパチ
一方通行「へェー、前より演算の速度上がってンじゃねェか?」
結標「それはそうよ。雛祭りの時に散々能力使わせられたのだから。配置から片付けまで」
係員2「お見事だねー。この分じゃ設営はすぐに終わりそうだね」
打ち止め「よーし、それじゃあ組み立てよー! ミサカに続けー! ってミサカはミサカは隊長気分で先陣を切ってみたり」タッタタ
一方通行「オマエ組み立て方分かンのかよ?」ガチャリガチャリ
打ち止め「知ってる? ああいうのって適当にやっても誰でも組み立てられるように設計されているんだよ? だからやったことなくてもだいじょーぶ! ってミサカはミサカは博識ぶってみたり」
一方通行「誰でも、っつゥ範疇にクソガキは含まれてねェだろ」
―――
――
―
199 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 19:51:49.61 ID:8jcO/JJGo
同日 13:30
ワイワイガヤガヤ
結標「あっ、設営が終わったと思ったら、いつの間にか結構人が来てるわ」
係員2「あれは近くの養護施設の子たちだね」
一方通行「ざっと見た感じ三十人っつゥところか」
打ち止め「見たところそれ以外の人たちもいるよ。見た目中学生とか、高校生の人たちもぽろぽろ見かけるね、ってミサカはミサカはざっと公園を見回してみたり」
結標「たぶん兄弟とか近所で仲良くしてる小さい子の付き添いでしょうね」
係員1「おっ、終わったみたいだね。じゃあ君たちにはこれからやることをざっと説明するよ」
結標「お願いします」
係員1「まずこの焼き芋大会の流れなんだけど、君たちが作ったブースで子供たちがサツマイモに濡れ新聞とアルミホイルを巻く」
係員1「そのあと別の係員が作った焚火で芋を焼く。だいたいこれが一時間くらい。その一時間の待ち時間に子供たちはゲームとかして遊んで時間をつぶす」
結標「ゲームですか?」
係員1「ボールを用意してるからドッジボール大会でも開こうと思っているけど、まあ強制とかじゃないから適当に自由にしてもらって構わないよ」
係員1「で、それで一時間くらい経ったら完成すると思うからまたブースに戻って実食。終わったらお土産にお菓子を渡して終わりって感じ」
結標「なるほど。それで私たちのやる仕事っていうのは?」
係員1「君たちはブースでの焼き芋の準備とゲーム中の子供たちを見守るのが役目だよ。あっ、ちなみに焼き芋の準備のときに君たちも自分の分も作っておいてくれ」
係員1「焼き芋の準備のときはHとIの島を君たちは見ていてくれ」
係員1「まあ、あとは終わった後の片付けも手伝ってもらおうかな。遠めで見たけど君はなかなか便利な能力を持っているようだ」
結標「ありがとうございます。任せてください」
係員1「それじゃあ時間までゆっくりしてていいよ」
結標「わかりました」
結標「――というのが私たちの役割よ」
一方通行「面倒臭せェ」
結標「言うと思ったわ」
200 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 19:53:06.54 ID:8jcO/JJGo
一方通行「ただでさえこのクソガキの子守で面倒だっつゥのに、他のガキどもに構ってる暇ァあるかよ」
打ち止め「大丈夫だよ。ミサカは平気だから安心して自分の仕事に臨むといいよ、ってミサカはミサカは胸を張ってみる」
一方通行「オマエが一番安心できねェっつってンだろォが」
結標「しかしだんだん人が増えてきたわね。あれならブースのほとんどは埋まりそう」
一方通行「こンなくだらねェ行事によく参加できるモンだ」
結標「あら、こういうイベントで思い出を作っていくのが普通じゃない? ましてやあの年代の子たちになると」
打ち止め「そうだそうだー!! そういうわけだからミサカをもっとイベントごとに連れてけー!! ってミサカはミサカは抗議デモのごとく要求してみたり」
一方通行「うるせェ――ッ!?」ゾクッ
打ち止め「ん? どうしたの、ってミサカはミサカは首をかしげてみる」
一方通行「……このニオイ」
結標「ニオイ? ああ、たしかに焚火の葉っぱが燃える特有のニオイはするわね」
打ち止め「おおっーたしかにそうだ。何か悪いものを肺に吸い込んでる気がしてすごいねー、ってミサカはミサカは深呼吸しながら言ってみたり」スー
結標「焼いてるのは落ち葉とかだから身体に悪いものはないと思うけど、深呼吸するのはやめときなさい」
一方通行「…………」ガチャリガチャリ
結標「ちょっと一方通行? どこに行くつもりよ」
一方通行「トイレ」ガチャリガチャリ
結標「あっ、そう。でもそっち――」
一方通行「すぐ戻る」ガチャリガチャリ
結標「……うん」
結標「…………」
打ち止め「どしたのアワキお姉ちゃん?」
結標「いや、アイツトイレがある方とはまったくの逆方向に歩いていったのよ」
打ち止め「そうなんだ。だったら教えてあげればよかったんじゃ、ってミサカはミサカは当然のことを聞いてみる」
結標「何か……、そういうこと言えるような表情じゃなかったのよ、アイツ」
打ち止め「へー、あれじゃないかな。おしっこ漏れそうなんだよきっと、ってミサカはミサカは名推理を披露してみたり」
結標「それって名推理なの?」
201 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 19:54:07.76 ID:8jcO/JJGo
フレンダ「フレメアー! お姉ちゃんここのベンチに座って休んでるから時間になったら教えてー」
フレメア「えー、お姉ちゃんも一緒にやろうよバイオハザードごっこ。お姉ちゃんがゾンビ役で私が配属初日の新米警官役」
フレンダ「ごめんねー。私そんなバイオレンスな遊びに付き合えるほど元気じゃないって訳よ。昨晩遅くまで出かけてた疲れが今になってたたってきてだるい」
フレメア「にゃあ。今日一緒に焼き芋大会に行くことは約束してたはず。それなのに遅くまで出かけてたなんて、大体お姉ちゃんが悪い」
フレンダ「私にもいろいろあるって訳よ。だからほんとマジで休ませて。遊びならまた今度付き合うからさー」
フレメア「もう! しょうがないなあ。ここは私が大人になろう。私一人でバイオハザードごっこやるよ。ゾンビ役は……ここにいる人たちみんなだ!」タッタッタ
フレンダ「はいはい、怒られない程度に頑張ってねー……ふう、やっと静かになった。ちょっと仮眠でも取ろう」ゴロン
一方通行「オイ」
フレンダ「……ゲッ、だ、第一位!?」
一方通行「オマエ、こンなところで何をしてやがる」
フレンダ「えっ、ええっと……」アセッ
フレンダ(や、やばい。こんなところで第一位と遭遇するなんて思ってもみなかった訳よ。ど、どうする私……!?)
一方通行「他のアイテムの連中もいるのか?」
フレンダ「い、いやいないと思うよ。今日はプライベートでここに来たって訳よ」
一方通行「暗部組織のオマエの言葉なンざ一ミリも信用できねェな」
フレンダ「別に信用してくれなくてもいいよ。アンタがいくら警戒しようが他のメンバーはここには来ないから無駄骨を折るだけって訳」
一方通行「まァイイ。で、オマエはこンな場所で何をやっている。まさか焼き芋大会に参加しに来た、とかいう似合わねェ言葉を言うわけじゃねェだろォな?」
フレンダ「えっ、何で分かったの?」
一方通行「……はァ、面倒臭せェ」
フレンダ「ベクトル操作って相手の思考を読むチカラでもあるの? うんたらかんたらのベクトル操って解析、みたいな?」
一方通行「ンなモンねェよ。ここが焼き芋大会の会場で、その会場のベンチで寝てるヤツならたぶン参加者だろう、そォ思っただけだ」
フレンダ「ってことは、アンタもこの焼き芋大会に参加するつもりな訳?」
一方通行「不本意だがな。それに俺は参加者側じゃなく運営側だ」
フレンダ「へー、似合わなっ」
一方通行「だから不本意だっつってンだろ。家主に頼まれて仕方がなく手伝っているだけだ」
フレンダ「あーそう。ま、正直アンタが何でここにいるのかとかどーでもいいけど」
一方通行「オマエはどォして焼き芋大会なンて参加してンだ? オマエこそ柄じゃねェだろこンな平和ボケした催し」
フレンダ「私がいつでもどこでも暗部モードだとか思わないでよ? まあ私だって不本意だってところは一緒だけどね」
一方通行「あン?」
フレンダ「あそこを見て」スッ
フレメア「ふりぃずっ! バンバンッ!」
子供1「うわあ、やられたー」
フレメア「ゾンビはやられたー何て言わない! 『あうぅん……』って感じで死んでいく!」
子供2「それってゾンビがやられたときのセリフだっけ?」
子供3「というか何で鬼ごっこしてたのにいつの間にかゾンビごっこになってんの?」
202 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 19:55:12.09 ID:8jcO/JJGo
一方通行「……あのガキ、オマエの妹か何かか」
フレンダ「そ。あの子の付き添いで来てる訳よ。昨晩も暗部のお仕事があったから今日ぐらいゆっくり休みたいんだけどね……おっと、仕事があったなんか言っちゃいけなかった、忘れて忘れて」
一方通行「忘れろと言われて素直に忘れられるわけねェだろ」
フレンダ「まあアイテムの存在自体がトップシークレットだし、それを知ってるアンタに知られたところで何てことないんだけどね」
一方通行「随分なトップシークレットだなオイ」
結標「一方通行ー! そっちにトイレないわよー! ってあら?」
打ち止め「あっ、何かどっかで見たことあるような外国のお姉さんとお話している。これはレアなケースですなあ、ってミサカはミサカは分析してみたり」
一方通行「チッ、面倒なのが来やがったか」
フレンダ「げっ、座標移動(ムーブポイント)まで来てんのかよ」ボソッ
結標「えっと、確か貴女は浜面君の上司の方でしたっけ? たしかスキー場の雪合戦の時に爆弾使ってた」
フレンダ「そ、そうそう。フレンダっていうんだけど、改めてよろしくね結標さん」
結標「うん、よろしく。で、こんなところでこのフレンダさんと何を話してたのよ貴方は?」
一方通行「別に。たまたま会ったから喋ってただけだ。コイツもこの焼き芋大会に参加するそォだ」
結標「へー、そうなんだ。焼き芋好きなんですね」
フレンダ「いや違う違う。私は――」
フレメア「ばんばん! くらえっ、頭蓋骨爆散キック。とあっ」バッ
打ち止め「甘いぜ! ミサカにはお姉さまの最強DNAが受け継がれているので、そんな攻撃見てから回避余裕なのだ、ってミサカはミサカは左右にステップしながら回避行動に移ってみたり」シュバッ
フレメア「何だと!? まさかお前はウイルスの適合者!? こーなったら……必殺RPG−7発射!!」
フレンダ「……あの子の付き添いよ。別に焼き芋なんかに全然興味はないって訳よ」
結標「妹さん? 随分と元気な子ね」
一方通行「つゥか、いつの間に仲良くなりやがったンだこのクソガキ。まだ出会って一分とかそンなモンだろ」
結標「まあ、子供ってそんなもんだし」
係員1『えー大変長らくお待たせいたしました。まもなく焼き芋大会を始めますので集合をお願いしまーす』
結標「あっ、そろそろ始まるそうよ。私たちも戻らなきゃ」
一方通行「面倒臭せェ」
フレンダ「あっ、そうか。アンタたちは運営側なんだっけ?」
結標「そうよ。まあ楽しめるかどうかは分からないけど、楽しんでいってくださいね」
一方通行「オイ、クソガキ行くぞ。いつまでも馬鹿みてェな遊びしてンじゃねェ」
打ち止め「ふんっ、今日のところは許してやろう、ってミサカはミサカは偉そうな態度でこの場を立ち去ってみたり」
フレメア「にゃあ。こうなったら決着は焼き芋大会の決勝戦でつけてやる」
フレンダ「焼き芋大会に決勝戦なんかないでしょ。てか結局仮眠取れなかった訳なんだけど。サイアクなんだけど」
―――
――
―
203 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 19:56:05.12 ID:8jcO/JJGo
同日 14:00
係員1「では皆さん。もらったサツマイモに濡れた新聞紙を巻いてから、そのあとにアルミホイルを巻いてください」
係員1「何かわからないことがあったら、近くにいる係のお兄さんお姉さんに聞いてねー」
<はーい!! <わかったー!! <ラジャー
-H・Iの島-
フレンダ「……えっと」
一方通行「何でオマエらがピンポイントにこっちの島に来ンだよ」
フレンダ「し、知らないよ。何かこっちの島に行ってくれって係のおじさんに言われた訳よ」
結標「まあいいじゃない。知り合いは少しでも多い方が貴方にとっていいんじゃない?」
一方通行「知り合いが居りゃイイっつゥモンじゃねェだろォが」
フレメア「にゃあ。また会ったなちびっこ! あの時の決着をここでつけてやる。この焼き芋大会という大舞台で!」
打ち止め「受けて立つぜちびっこ! このスウィーツマイスターのミサカに焼き芋で戦いを挑むなんて十年早いぜ、ってミサカはミサカは腕組しながら胸を張ってみたり」
子供1「やったれフレメアちゃーん!」
子供2「負けるな打ち止めちゃーん!」
子供3「焼き芋大会に勝敗があるのか知らないけど、二人ともがんばれー!」
一方通行「……あァ、頭痛てェ」ズキズキ
結標「まあわからなくはないけど我慢しなさい」
フレンダ「アンタたちも苦労してるんだね」ハァ
子供4「ねえねえお姉さん」
結標「何かな?」
子供4「どうすればいいのかわかんないや。教えて」
結標「いいわよ。お姉さんに任せなさい」
一方通行「……オイ」
結標「何よ?」
一方通行「オマエ、大丈夫か?」
結標「大丈夫って何が?」
一方通行「焼き芋の作り方なンて教えてよォ」
結標「その質問の意図が分からないけど、大丈夫よ。きちんと教えてもらったし」
一方通行「ならイイが」
子供5「お姉ちゃん早くおせーてー」
結標「はいはーい」
204 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 19:57:27.81 ID:8jcO/JJGo
結標「まずはテーブルに置いてある新聞紙を一枚とります」
結標「次にこれを水が入ったトレイに浸します」
結標「この水を浸した新聞紙をサツマイモに巻き付けます」
結標「そして、このアルミホイルをサツマイモにグルグルして巻きます」
子供6「なるほどなるほどー」
子供7「わかりやすーい」
一方通行(さすがに料理音痴レベル5の結標でも、焼き芋の作り方ぐらいまともに説明できるか。これなら安心――)
結標「あっ、あと最後にひと工夫するとおいしくできるわよ」
子供8「ひと工夫?」
子供9「なんだろう」
結標「アルミホイルを巻いたサツマイモにこれを塗りたくりまーす」
結標「てってれー♪ ガーソーリーンー!」
ズガン!!
結標「痛いっ!? な、何するのよ一方通行ぁ!?」
一方通行「それはコッチのセリフだ馬鹿野郎が!! 一体どォいう思考をすれば焼き芋にガソリンを塗りたくるっつゥ答えが導き出されンだ!?」
結標「あれよ。焼き芋っていうくらいだから圧倒的な火力で焼いてあげればきっとおいしいはずよ。だから火力を助けるために、サツマイモにガソリンを塗れば火力アップでおいしさアップ!」
フレンダ「えぇ……」
一方通行「オマエそンなことしたら火力が出すぎて焼き芋通り越して灰になるぞ! それどころか下手すりゃ結構なボヤ騒ぎになるかもしれねェ!」
子供4「なるほどガソリンを塗るのか」
子供5「うわー変なにおーい」
子供6「でもこれでおいしくなるなら……!」
一方通行「塗るンじゃねェガキどもッ!」
子供達「!?」ビクッ
フレンダ「ちょ、ちょっとアンタ子供にそんな怒鳴り方したらダメでしょ! ごめんねー君たち、このお兄ちゃんはみんなの安全の為に大声を出しただけで、怒ってる訳じゃないよー」
結標「そんな怖い顔にしちゃだめよ? 子供たちがおびえちゃうわ」
一方通行「誰のせいだ誰の」
205 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 19:59:08.74 ID:8jcO/JJGo
打ち止め「……なるほど、さすがアワキお姉ちゃん。ガソリンはどうかと思うけど塗るというアイデアはいいと思うな。つまりアレが使える、ってミサカはミサカは意味深なことを言いつつポケットの中を探ってみたり」ゴソゴソ
フレメア「いいこと思いついた。大体、これを使えば焼き芋を最高のすうぃーつに出来る!」ゴソゴソ
打ち止め・フレメア「「じゃーん! このチョコレートを溶かして塗りたくればあっという間に、おいしいおいしいチョコレート焼き芋の出来上がり!!」」バッ
打ち止め「…………」
フレメア「…………」
子供1「おおっ、見事に息ピッタリで同じアイデア繰り出した!?」
子供2「あらかじめ打ち合わせをしていたかのようなミラクル!?」
子供3「しかも持ってるチョコレートのメーカーも同じだし」
打ち止め「おのれまねっこめー!! ミサカのグレイトなアイデアをパクったなー!! ゆるさーん、ってミサカはミサカは訴訟を辞さない覚悟で糾弾してみたり!」
フレメア「それはこっちのセリフだまねっこめー!! にゃあ!! ゆるさーん!!」
打ち止め「こうなったらどっちがこのアイデアを持つにふさわしいか」
フレメア「勝負をして決着をつけるしかないし! ぎゃおー!!」
一方通行「ハイ、そンな奇抜なモン没収ゥ」ヒョイ
フレンダ「チョコレートなんて入れたら、焼き芋の良さが丸ごと消し飛んでしまうって訳よ」パシッ
打ち止め「ああっー!! ミサカのチョコレートがあ!! ミサカのグゥレイトォなスウィーツがあ!! ってミサカはミサカはジャンプしてチョコレートの奪還を試みてみる!」ピョンピョン
一方通行「返してやるよ。この焼き芋大会が終わった後でなァ」
フレメア「にゃあ! 返してお姉ちゃん! これがないと焼き芋大会で優勝できない!」
フレンダ「焼き芋大会に優勝なんてない訳よ。みんな仲良く一等賞。いい思い出ができた人が優勝って訳」
結標「あのー、ちょっと四人ともいい?」
フレンダ「何?」
結標「もうみんな準備ができて焚火のほうに行ったわよ? だから早く準備してくれるとありがたいんだけど」
一方通行「どォでもイイが、責任の一端を担っているオマエにだけは言われたくねェよ」
結標「な、何でよ!?」
一方通行「とりあえずそこに置いてあるガソリンが入ったポリタンクを、元あった場所に戻せば理由が分かるかもしれねェなァ?」
打ち止め「……で、結局これどうやってやればいいんだっけ? 焼き芋の準備って、ってミサカはミサカは腕を組んでみる」
フレメア「さあ? 私もわかんない。にゃあ」
一方通行「オマエらは今まで何を聞いていたンだ?」
フレンダ「はぁ、二人とも見てて。こうやってサツマイモに濡れた新聞紙を巻いて……はっ!」
フレンダ(これの新聞紙の間にサバ缶のサバを入れれば、落ち葉で蒸し焼きしたサバというまだ試したことない食べ方を開拓できるんじゃ……!?)
一方通行「オイ」
フレンダ「な、なにかな?」
一方通行「オマエもそっち側に行く気かコラ」
フレンダ「な、なんのことやら……」スヒュー
一方通行「そのセリフが言いてェなら、その手に持ったサバ缶をしまってから言いやがれよサバ女」
―――
――
―
206 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 20:00:08.77 ID:8jcO/JJGo
同日 14:30
子供A「ドッジボールする人集まれー!」
子供B「わーいやるやるー!」
子供C「この俺の球で全滅DA!」
子供1「じゃあゾンビにちなんでゾンビ鬼ごっこしようよ」
子供2「ゾンビ鬼ごっこって?」
子供3「捕まった人が鬼になるのは同じだけど、捕まえた鬼の人がそのままでだんだん鬼が増えていくっていうヤツだっけ?」
子供1「そうそう。ゾンビみたいに増えていくからゾンビ鬼」
子供4「だったらボクがゾンビをやるよ。がおー、みんなゾンビにしてやるー」
フレメア「おのれゾンビめ! 私が全滅させてやる。にゃあ!」
子供5「遊び方が違うよ! 逃げなきゃダメじゃん!」
打ち止め「ふっ、逃げているだけではいつまで経っても戦いに勝つことは出来ぬのだよ、ってミサカはミサカは歴戦の勇者のような口ぶりになってみたり」
子供6「いや、だからそういう遊びじゃないんだってば」
ワーワーギャーギャー!!
一方通行「……うるせェヤツらだ」
結標「まあ子供だし。それに元気なのはいいんじゃない?」
一方通行「うっとォしいだけだろ」
結標「特に元気に駆け回ってる男の子、相手をやっつけようとボールを一生懸命投げてる男の子、いいわよねぇ……」ウットリ
一方通行「何を言っているンだオマエは」
係員1「結標さん。ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけどいいかな?」
結標「あっ、はい。大丈夫です、すぐ行きます」
一方通行「俺は行かなくてイイのか?」
結標「別にいいんじゃない? 私を名指しだし。ゆっくりベンチにでも座って子供たちを見守っててちょうだい」
一方通行「そォか。じゃあお言葉に甘えて」ゴロン
結標「誰が寝ていいって言った?」
一方通行「チッ」
打ち止め「うぉぉぉぉ、ゾンビだぞぉぉぉ、血ぃ吸わせろぉぉぉ、ってミサカはミサカは迫真の演技をしながら全速力で追いかけてみたり」シュバババ
フレメア「にゃあ!! 大体ゾンビが全力疾走するなんて反則だ!! ルール違反だ!!」
打ち止め「いつからゾンビが全速力で走れないと錯覚していた? ってミサカはミサカは的確なコーナリングで追い詰めてみる」キキィィ
フレメア「なん…‥だと……?」
子供7「ていうか血を吸うのはゾンビじゃなくてバンパイアじゃね?」
207 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 20:01:17.11 ID:8jcO/JJGo
一方通行「……元気だなァ。面倒なくらい元気だなァ」
フレンダ「ちょっとゴメン。隣いい?」
一方通行「無理」
フレンダ「な、何でさ!? いいじゃん空いてるんだから!」
一方通行「何で俺が座っているベンチに来やがったンだ? 別のとこ行け」
フレンダ「いやー、だって他のベンチ誰かしらに座られてんじゃん? 知らない人の隣に行くはちょっとアレだからここに来たって訳」
一方通行「迷惑な話だ。つゥか、座るだけならあそこのパイプ椅子並べたブースに行きゃイイだろォが」
フレンダ「私は別に座りたいわけじゃない。ちょっと昼寝をしたい訳よ」
一方通行「なおさら向こうでイイだろ」
フレンダ「あんな目立つところで昼寝するのはやだ」
一方通行「そンな変わンねェだろが」
フレンダ「違うって。まあまあお仕事の邪魔しないから」スッ
一方通行「オマエの存在そのものが邪魔なンだよなァ」
フレンダ「じゃ、おやすみ」
一方通行「話聞けよオマエ」
フレンダ「…………」
一方通行「…………」
フレンダ「……ねえ、ちょっといい?」
一方通行「結局邪魔すンのかよ」
フレンダ「ちょっとくらいいいじゃん」
一方通行「寝ろよ。そのつもりでここに来たンだろ?」
フレンダ「何かね、いざ寝ようと思って目をつぶってみるとあら不思議、なぜだか眠気がなくなってたんだよね。よくあることでしょ?」
一方通行「少なくとも俺にはねェよ。てか寝る気がねェなら向こうに行け」
フレンダ「……はぁ、しかしあーやって元気にやってる子たちを見ると、私は一体何をやっているのかなぁー、って思う訳よ」
一方通行「何勝手に話を続けてンだよ。話聞けコラ」
フレンダ「アンタって一応暗部出身でしょ? それなのに今はこーいう平凡な日常を送れてるなんて、羨ましい限りって訳よ」
一方通行「……オマエは暗部を抜けたいと思ってンのか?」
フレンダ「さあ? わかんない」
一方通行「ハァ? オマエが羨ましいつったンだろォが」
フレンダ「羨ましいからと言っても、そうなりたいと思うこととイコールじゃないよ」
フレンダ「私は暗部で何十人もの人を殺してきたし、それについては何とも思ってない。むしろ殺すことは快感を覚えるくらい大好きって訳」
一方通行「とンだクソ野郎だな」
フレンダ「アンタだけには言われたくないんだけど。まさか自分は違うとか言うつもり?」
一方通行「…………」
208 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 20:02:25.66 ID:8jcO/JJGo
フレンダ「ま、暗部にいるヤツなんて基本クソ野郎しか居ないから、アンタの言ってることは正しいっちゃ正しい訳よ。でも、そんなクソ野郎な私でも、さっきみたいにたまに思うことがあるのよ」
フレンダ「こういう平凡な日常を過ごす度、楽しむ度、安心する度、何で私は暗部なんかに堕ちたんだろう、ってね」
一方通行「後悔してるっつゥことか」
フレンダ「いや、ところがそうでもないよ。いざお仕事してるときの充実感は、まさしく『生きてる』って感じがして楽しいし、たっかい法外のギャラをもらった時だってやっててよかったって思う訳」
一方通行「で、オマエは一体何が言いてェンだ?」
フレンダ「別にぃ。ただちょっと愚痴りたかっただけよ。アイテムじゃこんなこと絶対に言えないし、アンタみたいなこっちの事情知ってる知り合いいないし。ただそれだけって訳よ」
一方通行「くっだらねェ。そンな愚痴言うくらいならやめちまえ」
フレンダ「あはは、笑えない冗談だね。それがどれだけ難しいことか、知ってて言ってるんだよね?」
一方通行「ああ」
フレンダ「ちっ、暗部ってのは底なし沼みたいなものよ。沈むのは簡単だけど、這い上がろうすることがどれだけ難しいか。難しいどころか不可能と言ってもいいかもしれない」
フレンダ「みんながみんなアンタみたいなラッキーなんて起きる訳ないってこと。わかる?」
一方通行「…………」
フレンダ「ま、ついでに一つ忠告しておくけど。間違ってもまたあの泥沼に足突っ込もうなんて思わないことね。絶対にもうラッキーなんてもの起きやしない訳よ」
フレンダ「今暗部間ではあることが噂になっているの。近いうちに暗部組織で抗争が起こる。下手したら暗部組織一つを残して全て壊滅する、なんてことがあるかもしれない」
フレンダ「そんな状況に軽々しく突っ込んでもみなさいな。今度こそアンタは一生泥沼、もしかしたら死んでしまうかもね♪」
一方通行「……ふわァ」
フレンダ「……えっ、あれ? 何でこの空気であくび? わけわかんない」
一方通行「悪りィ。あまりにもどォでもイイ話だから、つい眠気が」
フレンダ「ふふふ、さすが第一位って訳よ。こんな話を聞いても何一つ取り乱さないなんてね」
一方通行「取り乱すだァ? オマエは大きな勘違いをしてンだよ」
フレンダ「勘違い?」
一方通行「ああ。俺は暗部組織に堕ちよォなンて欠片も思ってねェし、オマエら暗部の連中がどンな馬鹿騒ぎしよォがどォでもイイと思っている。まァだけど一つだけ言えることがある」
一方通行「もし俺の身内に指一本でも触れてみろ。全員まとめて俺が叩き潰すぞ」
フレンダ「……そう、それは残念」
一方通行「残念、だと?」
フレンダ「うん。もしアンタが暗部に堕ちるってなったら、ぜひともアイテムに味方して欲しかったなーとか思ってた訳よ」
フレンダ「そうしたらこれから起きるであろう抗争でも、私の生存率はぐっと上がるしね。ま、麦野はいい顔しなさそうだけど」
一方通行「チッ、自分勝手なヤツだ」
フレンダ「当たり前じゃん。暗部において一番重要なのは自分が生き残ること。他人のことなんて気にするな、それが暗部での鉄則」
一方通行「そォかよ。だったらせいぜい死なねェよォに頑張ってくれ」
フレンダ「ハイハイ頑張りまーす。じゃ、お仕事邪魔したね。また後で」
一方通行「……ああ」
209 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 20:03:16.11 ID:8jcO/JJGo
一方通行「…………」
結標「ただいまー。はぁ、疲れた。何かいろいろ雑用頼まれちゃった。あんまり能力って見せびらかせない方がいいのかもね」
一方通行「能力が世の為人の為になってンだ。よかったじゃねェか」
結標「そうなのかしら?」
一方通行「まァ、俺が同じ立場になったらブチ切れるだろォがな。なにコキ使ってくれてンだコラ、ってな」
結標「うん、知ってた」
一方通行「そォかよ」
結標「で、とくに問題はない?」
一方通行「知らね」
結標「知らね、って貴方今まで何やってたのよ。ちゃんと子供たちを見守ってなかったの?」
一方通行「忘れてた」
結標「まったく。どうせまた昼寝とか何とかやってたんでしょう?」
一方通行「気にすンな」
結標「いや、気にするなとかそういう問題じゃないでしょ」
一方通行「ハイハイ悪かった悪かった」
結標「…………」
一方通行「あァ? 何だよ」
結標「貴方、何かあった?」
一方通行「別に、何もねェよ」
結標「そう。ならいいんだけど」
一方通行「…………」
―――
――
―
210 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 20:04:14.74 ID:8jcO/JJGo
同日 15:00
打ち止め「はふはふっ、おおっー甘くておいしい! さすが焼き芋そのままでも見事なお味ですな、ってミサカはミサカは噛みしめてみる」
フレメア「にゃあ。大体チョコレートがいらないなんてわかってた。しんぷるいずざべすと!」
結標「ほんと、おいしいわね。なるほど、石焼き芋のおじさんはこんなすごいものを売っていたのか」
一方通行「……甘ェ」
フレンダ「あら? 第一位は甘いものが苦手な訳?」
結標「そうなのよ。甘すぎるものを食べたときは気絶するくらい嫌いなのよ」
一方通行「余計なこと抜かしてンじゃねェよ」
フレンダ「へー、それはあれだよね。病気だよ病気」
一方通行「ンだとオマエ!」
フレメア「にゃあ。お兄ちゃん好き嫌いしちゃだめだよ。大きくなれないよ」
一方通行「あァ?」
打ち止め「そうだそうだー! ってミサカはミサカは便乗してみたり」
結標「ぷふっ」
フレンダ「にひひっ、たしかにそうだね。第一位様とあろうものが食べ物の好き嫌いなんかしてたら駄目って訳よ」
一方通行「人間っつゥのはなァ、摂取しちゃいけねェモンを摂取したときにはよォ、拒絶反応が出て身体に重大な問題を起こすンだよ」
フレンダ「それって毒物か何かを摂取したの時の話じゃない?」
結標「ただの好き嫌いを小難しく言い換えただけよ」
打ち止め「つまりピーマンは毒だった……? ってミサカはミサカは驚愕の事実に気付いてみたり」
フレメア「グリーンピースも毒って感じの味がする。にゃあ。やっぱり食べなくて正解」
一方通行「好き嫌いしてンじゃねェクソガキども」
結標「お前が言うな」
211 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 20:05:37.47 ID:8jcO/JJGo
係員1『それでは、本日はお集まりいただきありがとうございました。これで焼き芋大会のほうを終わりとさせていただきます』
係員1『お土産としてお菓子の詰め合わせをご用意しておりますので、お帰りの際はお持ち帰りいただくよう、宜しくお願い致します』
打ち止め「おおっー!! こんなにいっぱいお菓子をもらえるなんて、ってミサカはミサカはサプライズに歓喜してみたり」
一方通行「オマエそれを家に持ち帰ってすぐ食うつもりじゃねェだろォな」
打ち止め「な、何のことやら……」
一方通行「オマエの今日のおやつは焼き芋で終わってンだよ。これ以上の食い物は余計な間食だ」
結標「そうよ。晩ごはん残したら黄泉川さん怒るわよ」
打ち止め「ひえっ、それは非常に困るなあ、ってミサカはミサカは諦める決意をしてみる」
フレメア「ふふふ。それに関しては私は大丈夫! 大体このお菓子を食べても夕飯なんてよゆーで完食できるのだ!!」
フレンダ「アンタこの前パフェとかクレープとかいろいろ食べた日、夕飯食べ切れずに食堂のおばちゃんに怒られてたでしょ?」
フレメア「な、なぜその機密情報をお姉ちゃんが!? 一体どうして!?」
フレンダ「寮監さんに聞いた」
フレメア「にゃあ。まさかそんなところに繋がりがあるなんて……」
フレンダ「そりゃそうでしょ。一応、アンタのここでの保護者なんだから」
一方通行「…………」
打ち止め「お互い大変だね、ってミサカはミサカは仲間意識を持ってみたり」
フレメア「うん。われわれが今考えるべきことはただ一つ!」
打ち止め・フレメア「「いかに晩御飯を食べなくて済むようにしておやつをたくさん食べるか!!」」
一方通行・フレンダ「「いや、おやつを食べずに晩御飯を食えよ!!(食べなさいよ!!)」」
結標「だから貴方が言っても正直お前が言うな、って感じなんだけど」
212 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 20:06:34.65 ID:8jcO/JJGo
フレンダ「じゃ、私たちはこれで。残りの係員の仕事頑張ってね」
結標「うん、ありがとう。気を付けて帰ってね」
フレンダ「こんな時間からこの平和な第七学区に危険なんて早々ないって訳よ。それに私を誰だと思ってる訳?」
結標「えーと……爆弾魔?」
フレンダ「あれ? 私のイメージってそれだけ? いや、間違ってはないけど、あれ?」
フレメア「にゃあ。今度会ったときは、フロントスープレックスで即死させてやるから覚えていろよちびっこ」
打ち止め「ふんっ、そんなものお姉様流まわし蹴りで見事に迎撃してやるぜ。覚悟しておくんだなちびっこ、ってミサカはミサカは宣戦布告してみる」
結標「この子たちは仲が良いのか悪いのか、さっぱりわからないわね」
一方通行「クソガキなだけだろ」
フレンダ「それじゃあ第一位、次会うときは敵じゃないことを祈ってるよ」
一方通行「それはオマエら次第だ」
フレンダ「そうだねー。結局、こればかりは神のみぞ知るってところな訳かな?」
結標「?」
フレンダ「結標さんもまた……いや、もしかしたらもう会うことはないかもしれないね」
結標「何で? きっと会えるわよ。学園都市はそんなに広くないわ」
フレンダ「……そうだね。それじゃ、また会おうね。フレメア、行くよ」
フレメア「にゃあ。またなちびっこ! あっ、あと私にはフレメアという名前があるから覚えておけ!」
打ち止め「ミサカにも打ち止めって名前があるんだからそっちも覚えておけちびっこ! ってミサカはミサカは怒りの自己紹介をしてみたり」
結標「……さて、片付けの手伝いに行きますか」
一方通行「面倒臭せェ」
結標「今度こそ貴方が能力使って頑張りなさいよね。大まかな移動なら私の方が効率いいかもだけど、細かい片付けとなると逆に貴方の方が効率的でしょ?」
一方通行「オマエよりはマシってだけで非効率なことには変わりねェよ」
結標「ベクトル操作による超高速机・椅子の折り畳み! みたいなの出来ないわけ?」
一方通行「やってもイイが、それで机・椅子がブッ壊れても責任は持ってくれるっつゥことだよなァ?」
結標「……じゃあいいです」
一方通行「ま、効率的に使える部分くらいはチカラァ使ってやるよ」
結標「珍しいことを言うわね。自分からそういうこと言ってくるなんて」
一方通行「焼き芋分の働きくらいしねェとな」
結標「本当珍しいわね」
打ち止め「じゃあミサカは終わるまでおやつを食べながら待ってるね、ってミサカはミサカはキャ○ツ太郎の開封作業に取り掛かってみる」
一方通行「だから食うなっつってンだろ。オマエも焼き芋分の働きをしろクソガキ」
――――――
213 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/08/27(金) 20:09:29.37 ID:8jcO/JJGo
学園都市に町内会なんてあるのか知らんけどままえやろの精神
ここまで禁書3期放映中くらいに書いてて心折れた分を直したやつで次からはスレ建てのタイミングで書いてたつまり現在進行系で書いてるやつ
次回『花見(前編)』
214 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 19:57:58.35 ID:uq9K3Ykio
こっから前中後編の長編
なんで花見なんかにこんなに尺使ってんですかねぇ・・・
投下
215 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 19:59:11.80 ID:uq9K3Ykio
10.花見(前編)
March Third Wednesday 12:30 〜昼休み〜
-とある高校・一年七組教室-
青ピ「花見に行こうや!!」ドン
吹寄「……いきなり何? うるさいわよ?」
一方通行「同感だ。つゥか、何でオマエらはいっつも俺の席の周りに集まってくンだ? 別のところ行けうっとォしい」
姫神「それはアクセラ君と結標さんの席が隣同士だから」
一方通行「だったら吹寄か姫神の席で食ってろよ」
吹寄「だってこの辺りの席の人たちはみんな学食行くんだもの。つまり空席だということだから席の確保が容易なのよ」
土御門「にゃー、オレたちはれっきとした理由があるんだぜい。アクセラちゃんといると楽しいからにゃー、おちょくる的な意味で」
青ピ「そうそう。ボクらは何も面白みのない昼食の時間に彩りを付けるために、アクセラちゃんにちょっかいかけながらご飯食べてるんやでー」
上条「テメェら、その自分たちのたちの部分に、まさか俺を含めてるんじゃねえだろうな?」
青ピ「何をいまさら。ボクらデルタフォースはいつでも一緒、一心同体!」
土御門「さらに言うなら、オレたちはスクエアフォースでもあるから、アクセラも一緒に昼休みを過ごすのは当然だということですたい」
一方通行「だから一緒にすンじゃねェって何度言えば分かる。そろそろ愉快なオブジェ展覧会を開催した方がイイかもしれねェよなァ三馬鹿諸君?」
上条「げっ、また俺が巻き込まれるパターン!? ゆっくりほのぼのメシくらい食わせろよクソったれ!」
土御門「カミやーん。俺たちにほのぼのな昼休みなんて存在しないんだぜい?」
青ピ「せやせや。ボクらがほのぼのな昼休みを過ごす為にはなぁ、ボクら四人が美少女化して日常系四コマ漫画のキャラみたいなきゃっきゃうふふ、みたいなことにならんとできへんのやでぇ!」
一方通行「昼時に気持ち悪りィモン想像させンなクソ野郎がッ!!」
216 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:00:03.14 ID:uq9K3Ykio
ワイワイギャーギャー!!
吹寄「うるわいわねえ、お昼ぐらい静かに食べられないのかしら?」
姫神「それは今更な話」
結標「さっき青髪君が言ってたけど、花見いいわね! 私花見行きたいわ!」
吹寄「花見かー、今年は早咲きだから今がシーズンになるのかしら?」
姫神「たしかそう。ニュースでは今週末くらいから満開とか言っていた」
青ピ「そうそう。だから今週末くらい一緒に行かへん? って誘おうと思って机叩いたんよ。なのに何でこんなことになったんやろ?」ボロッ
吹寄「それは貴様らが馬鹿だからじゃないかしら。ねえ上条当麻?」
上条「何で俺が主犯みたいな言い方なんだよ? 俺むしろ被害者なんだけど」ボロッ
一方通行「いや、被害者は俺だろ」
土御門「実行犯が何か言ってるにゃー」ボロッ
結標「一方通行! 花見行きましょうよ花見!」
一方通行「花見だとォ? そンなの勝手に通学路に咲いてる桜でも見とけよ」
結標「それは花見とは言わないんじゃないの? 世間一般的な意見として」
一方通行「知るか」
土御門「しかし満開時に行くなんて人が多そうだにゃー。ましてや週末だし」
青ピ「だからこそ行くんやろ! 人が多そうだから行くのやめよう、って思っている人多そう読みの週末花見決行やッ!」
姫神「そんなことを考える人が多いのなら。世の中人込みの大渋滞なんて起こらない」
吹寄「ま、こういうので大切なのは場所取りよ。いかにいい場所を確保するかが楽しい花見ができるかを左右するわ」
結標「なるほど。つまり私が花見決行一日前から場所を確保しておけばいいわけね」
一方通行「やっぱり馬鹿だろオマエ。春が来ているとはいえまだ夜は寒いンだぞ? そンな寒空の中で一晩過ごすつもりか?」
結標「あははー、やっぱ駄目かしら?」
一方通行「そンなモンで風邪ひかれて寝込まれたら、コッチが困るンだっつゥの」
結標「……もしかして、心配してくれてるわけ?」
一方通行「してねェよ。ただ風邪で寝込まれたあとに起こるであろう、俺への被害が面倒だから止めてるだけだ」
姫神「相変わらずのツンデレ」
吹寄「素直じゃないわよね」
一方通行「うるせェぞクソアマども」
217 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:01:07.59 ID:uq9K3Ykio
吹寄「まあ行くことは決定としていつ、どこへ行くのかを決めましょ?」
土御門「場所は第七学区の桜公園でいいんじゃないか? メジャーなところだから人も多そうだけどにゃー」
姫神「メジャーじゃなくていいところは知らないの? いろんな隠れた飲食店を知っている。土御門君なら知っていそうだけど」
土御門「あるにはあるけど、第七学区からは結構遠めのところになるな。電車とバス乗り継いで、バス停から結構歩く感じになるけどいいか?」
土御門「それに花見の為に作られたところじゃないから、コンビニとかが遠かったりするからいろいろ不便だぜい」
吹寄「……それを考慮するなら、早めに桜公園のほうの場所を確保して花見したほうがよさそうね」
姫神「うん。帰りの時間を考えなくてもいいのが大きい」
結標「場所はそれでいいとして日程はどうする? とりあえず今週末やるとして土曜日か日曜日よね? 私はどっちも大丈夫だけど」
青ピ「もちろんボクも両方大丈夫やで! なんたって言い出しっぺなんやからなー」
姫神「私は日曜日の午前中にちょっと行くところがある。といっても昼まではかからないくらいの用だけど」
土御門「オレは土曜日の昼から以外だったらいつでもいいぜい」
上条「悪りぃ、俺土曜日のほうは夕方にバイトあるから無理だ。昼開始の夕方解散ならできないことないけど」
吹寄「あたしは土曜日は一日用事があるからダメね。だから日曜にやってくれるならありがたいんだけど」
一方通行「俺は両方とも昼寝で忙しいな」
結標「……つまり、日曜日の午後からなら問題ないってことよね?」
吹寄「そうね。じゃあ日曜日の午後からってことで」
みんな「はーい!」
一方通行「ちょっと待て。俺の意見がまったくと言っていいほど反映されてねェ」
吹寄「当たり前でしょ。昼寝なんてただの暇つぶしでしょ? また別の日にやりなさいよ」
一方通行「暇つぶしだとォ? 何を言ってやがンだ、昼寝っつゥのは趣味、生活の一部、いや人生――」
土御門「場所と日時が決まったところで何をするかを決めようぜい」
吹寄「そうね。花見と言ったら飲み食いよね。花より団子という言葉もあるわけだし」
姫神「それなら私がお弁当でも作ってくるよ。店屋物やお菓子だけじゃ味気ないし」
青ピ「おっ、ヒメやんの手作り弁当やってえ!? そいつはめっさ楽しみやなぁ! なぁカミやん?」
上条「おう。姫神料理うまいからな。すっげぇ楽しみ」
姫神「がんばります!!」ガタッ
上条「うわっ、急にどうした!?」
土御門「姫神も結構単純だにゃー」
結標「お弁当を用意してがっつり食べるってことは、時間帯は夕方になるのかしら?」
青ピ「そりゃそーでしょ! 夕方どんちゃん騒ぎして、最後夜桜を見て帰宅。これが最高の花見プラン!」
土御門「どんちゃん騒ぎするためにはいろいろ余興が必要ですなー、ピアス君」
青ピ「そうですねー。これは我々で用意をする必要がありますねー、カミやん君」
上条「えっ、俺も用意するのか?」
土御門「当たり前だろ上条当麻ぁ!! 貴様まさかただで花見に参加できると思っていたのか!?」
青ピ「働かぬものに食わすメシはなぁい!! それ世界の定理ッ!!」
上条「ぐっ、お前らに言われると何か納得いかねえけど正論だ……わかったよ手伝やいいんだろ余興の準備!」
218 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:02:28.83 ID:uq9K3Ykio
吹寄「……準備するのはいいけど、変なもの持ってこないでよ? わかっているんでしょうね上条当麻?」
上条「俺に忠告するより先に、そこのアホ二人に言った方がいいと思うんですけど吹寄さん!?」
一方通行「…………」ムスッ
姫神「どうしたのアクセラ君? 会話に参加もしないで」
一方通行「別に。何でもねェよ」
結標「勝手に話が進んでいくから拗ねてるだけよ」
姫神「なるほど」
一方通行「勝手なこと言ってンじゃねェぞコラ」
吹寄「あっ、姫神さん。お弁当作り大変そうだからあたし手伝いに行くわ。材料の買い出しとかお弁当持っていくのとか大変でしょ?」
姫神「それはありがたい。どうせヤツも来ると思うから荷物は多くなりそうだし」
吹寄「ヤツ……?」
姫神「私の宿敵」
結標「吹寄さんがお弁当手伝うのなら、私も手伝いに行こうかしら? どうせ暇だし!」
みんな「「「「「「それだけはやめろッ!!」」」」」」
結標「みんなしてひどいっ!!」ガーン
吹寄「お弁当はこっちに任せてくれていいから大丈夫よ。それにあなたには、いえあなたたちには重大な役割があるわ」
結標「役割? それは一体……?」
吹寄「結標さんとアクセラ、あなたたちには花見の場所取りをお願いするわ!!」
結標「おおっ! たしかにそれは重要な役割! 何か一番しょぼい役どころっぽいけどたしかに重要!」
一方通行「ちょっと待て! 何で俺がそンな三下みてェな役割やらなきゃいけねェンだ!?」
土御門「アクセラちゃーん。働かざるもの食うべからず、何の役目もないニート野郎は姫神特製弁当を食う権利はないんだぜい!」
一方通行「つーか、花見自体参加するとは言ってねェぞ!」
結標「どうせ参加することになるんだしいいんじゃない?」
一方通行「どォせって何だ!? それは一体どォいうことだオイ!」
上条「お前参加しないのか?」
一方通行「当たり前だろォが。俺は昼寝で忙しいっつっただろ」
青ピ「よくよく考えたら昼寝で忙しいって面白い言葉やなぁ、あははは」
一方通行「そのニヤケ面今すぐ凹ませてやろォかクソ野郎が」
姫神「アクセラ君。いいことを思い付いた」
一方通行「あァ?」
姫神「アクセラ君は昼寝をしたいんだよね? 日曜日は」
一方通行「そォだな」
姫神「だったら花見の会場で場所を取ってから。そこでゆっくり昼寝すればいい。そうすれば場所も取れて昼寝がこなせる。完璧な一石二鳥」
219 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:03:22.35 ID:uq9K3Ykio
一方通行「お、おォ」
上条「す、すげえ。一方通行を言葉でねじ伏せた」
土御門「そうか? 割といつも言葉でねじ伏せられてるような気がするけどにゃー」
青ピ「まああれよ。実はみんなと花見したいけど素直になれないツンデ――」
ガシッ!
一方通行「で、青髪ピアス君。オマエの死体は桜の木の下に埋めとけばイイのかァ? なァ?」ニヤァ
青ピ「あ、あははははだめだよアクセラくーん。綺麗な桜の木の下には人の死体が埋まってるなんて、あんなの迷信やでー」
一方通行「迷信かどォか、ちょっと試してみようぜ?」グググッ
吹寄「やめなさいアクセラ。こんなヤツの汚い血で桜を汚しちゃダメよ」
青ピ「イタイイタイ! アクセラちゃんのベクトル握力と吹寄さんの容赦ない言葉の暴力で二重に痛いっ、でも感じちゃう!!」
一方通行「うわっ、気持ち悪っ」パッ
吹寄「今更ね」
結標「ところで場所取りって何時くらいに現地に行けばいいのかしら?」
一方通行「オマエさっき一日前とか自分で言ってなかったか?」
結標「いや、あれは場の勢いから出た適当な発言というか……」
土御門「まあ、あそこの公園は結構広いから、そんな早く行かなくてもいい場所は取れるとは思うけどにゃー」
上条「でもこの前ニュースで見たぞ。花見の為に朝五時からゲーム機片手に場所取りしてるヤツ」
土御門「安心しろ。そいつはガチ勢だ。まともに張り合う必要性は皆無だ」
結標「五時か……頑張ればいけそうね!」グッ
一方通行「やっぱり馬鹿だろオマエ」
吹寄「まあ五時は早すぎだとしても、いい場所取る為なら昼くらいに行けばいいんじゃない?」
青ピ「でも満開日やからそれじゃあ遅いかもわからんよなぁ」
一方通行「そンなに心配なら俺の代わりに朝五時から待機しててくれよピアスクン」
青ピ「ボクには花見を盛り上げるための余興の準備があるから」
一方通行「クソの役にも立たねェ余興なンて準備の必要ねェだろ」
青ピ「なんやてっ!? だったらやってやらぁ、アクセラちゃんがあっと言わせるような余興をッ!!」
一方通行「そォかよ。そりゃ楽しみだ」
220 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:04:07.42 ID:uq9K3Ykio
結標「ちなみに花見の開始時間は?」
吹寄「夕食もかねてだから、まあちょっと早いかもだけど五時くらい? 次の日学校だから終わりが遅くなりすぎてもあれだし」
結標「昼十二時に来たとしても五時間待機か……長期戦ね。雑誌とかいっぱい持っていけばいいのかしら?」
吹寄「それかいい機会だし公園の散歩とかでもして時間潰せばいいんじゃない? そこそこ広いところだし。場所取りは片方でも居ればいいわけだし」
姫神「何なら二人で桜並木道を歩いてみては? 平たく言うならお散歩デート」
結標「ちょ、姫神さん何を言っているのよッ! こんな状況でッ!」
姫神「おっと口が滑った。てへ」
一方通行「……つゥか、場所取りに行ってンのに二人で出歩いたら意味ねェだろ。アホか」
結標「…………」
姫神「…………」
一方通行「あン? 何だコレ?」
青ピ「アクセラちゃん。何というか、某最強のスルースキル持ちを見て呆れてたけど、キミも大概なんだよなぁ……」
一方通行「ハァ? 何言ってンだコイツ?」
上条「さあ?」
土御門「要するにアクセラちゃんも馬鹿野郎ってわけだにゃー」
一方通行「言っている意味はよく分からねェが、とりあえず喧嘩売ってるっつゥことで構わねェンだよなクソ御門クン?」
土御門「そうだ。さぁ、能力なんて捨ててかかってこい!」
一方通行「やなこった」カチッ
土御門「よし、カミやんあとは任せたッ!」ダッ
上条「だから俺を巻き込むんじゃねえッ!」
吹寄「……はぁ、ストップストップ収集付かなくなる前に話をまとめるわよ」
吹寄「花見の会場は第七学区の某桜公園。日時は今週末の日曜日の午後五時集合」
吹寄「各員の役割は、姫神さんとあたしでお弁当係。三馬鹿は特には求めてはないけど余興の準備係。結標さんとアクセラで場所取り」
221 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:05:05.85 ID:uq9K3Ykio
青ピ「ひどい言われようやなぁ。せっかく盛り上げようとしたのに」
土御門「そうだにゃー。カミやんに裸踊りでもさせて盛り上げようとしたのに」
上条「絶対やらねえぞ? 俺の幻想殺しでそのくだらねえ余興全部ぶっ壊してやるよ」
姫神「……少し見てみたいかも」ボソッ
上条「あれ? 何か聞きたくない言葉が聞こえてきたんですが姫神さん!?」
結標「吹寄さん。ここ以外のメンバー連れてくるのあり? たぶん話聞いたらうちの打ち止めちゃん付いてきそうなんだけど」
吹寄「別にいいんじゃない? 人数多い方が楽しいし」
一方通行「それを認めるとなると、上条さンちのリーサルウェポンが来るっつゥわけだな」
上条「あっ、やべえ。忘れてた……」
土御門「お弁当全滅の危機だにゃー」
姫神「大丈夫。それを想定して多めに作るつもり」
結標「さすが姫神さんね!」
上条「ありがとうございます姫神様!」ハハァ
姫神「くるしゅうない」
一方通行「はァ、だがその想定を上回るのがあのシスターだ……しょうがねェ。俺も何か適当に買ってくるか」
上条「ありがとうございます一方通行様!!」ハハハァ
姫神「……むっ」ジロッ
一方通行「ンだァその面ァ? 人がせっかく食料防衛に手ェ貸してやろうって言ってるのによォ」
姫神「別に」
222 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:05:53.66 ID:uq9K3Ykio
キーンコーンカーンコーン
結標「あっ、予鈴」
吹寄「話は大体まとまったし。あと何かあったらまた話しましょ」
姫神「わかったわ。さて。今のうちに何作るか考えとかなきゃ」
青ピ「とりあえずあれとあれを用意して……」ブツブツ
土御門「やっぱり罰ゲーム的なのがあったほうがいいかにゃー。じゃああれを……」ブツブツ
上条「こいつら絶対悪だくみしかしてねえ」
一方通行「くだらねェ」
結標「今から楽しみよね。ね、一方通行?」ニコッ
一方通行「今から億劫だよ」
結標「それは楽しみだ、という解釈でいいのかしら?」
一方通行「オマエの思考回路はどォなってやがる」
吹寄「あっ、そうだ結標さん」コソッ
結標「何かしら?」
吹寄「姫神さんじゃないけど、せっかく二人きりの状況なんだからこのチャンス活かしたほうがいいとあたしも思うわ」
結標「えっ、いやそんな急に言われても……」アセッ
吹寄「どうせなら告っちゃえば?」
結標「!?」ブッ
吹寄「ま、それは冗談だけど。ちょっとくらいは頑張ってみてもいいんじゃない? じゃね」タッタッタ
結標「えぇ……」
―――
――
―
223 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:06:53.52 ID:uq9K3Ykio
同日 19:30
-黄泉川家・食卓-
結標「――というわけで、今週末の日曜日に花見に行くことになったんですよ」
黄泉川「おっ、いいじゃんねえ花見。綺麗な桜を肴にこう酒をぐいっと」
一方通行「オマエは酒が飲めれば何でもイインだろォが」
黄泉川「そんなことないぞー。やっぱシチュエーションっつーのは大事だと思うのよ。飲み屋で飲む酒と桜を見ながらの酒、また味わいが違うじゃんねえー」
打ち止め「なるほど、シチュエーションか。部屋の中で食べるお弁当と公園とかで食べるお弁当の味が違う現象みたいな感じだね、ってミサカはミサカは一例を挙げてみる」
黄泉川「もちろんお前らと団欒しながら飲む酒もうまいぞー!!」
一方通行「うるせェ黙れ酔っ払い」
芳川「でも淡希。その日ってたしか満開の予報が出てたわよね? 人が多いんじゃない?」
結標「はい。だから早めに行って場所を確保するのが私と一方通行の役目なんですよ」
芳川「ふーん。まあ、せいぜい早く出ることね。学園都市には花見ガチ勢が結構いるから」
結標「そ、そうなんですか……? 昼くらいに行こうかと思ってたんですけど……」
芳川「それくらいなら主要な場所が抑えられてる可能性があるわね。残ってるとしたら、端っこのしょぼくてトイレもコンビニも遠い不便な場所」
結標「な、なんと!?」
一方通行「面倒臭せェ展開になってきやがったな」
芳川「そこそこの場所でいいのなら九時くらいに行くのが安全だと思うわよ」
打ち止め「詳しいねヨシカワ」
芳川「まあね。研究者時代にこの時期は花見してたからそれなりに知ってるわ」
結標「九時か……学校行く日と同じくらいの時間に起きて、行動しなきゃいけないわね」
一方通行「別に場所とかどこでもよくね?」
結標「嫌よ。場所取り係になったからには出来る限りいい場所を確保したいわ。レジャーシートが敷けないみたいな場所は絶対にごめんよ」
一方通行「ま、別に出遅れてたとえ場所がなくてもアレだ。俺がちょっとチカラ使って脅してやりゃ、連中快く場所空けてくれると思うぜ?」
黄泉川「うん? 何か悪事が聞こえてきた気がするんだけど、気のせいか?」ジロッ
一方通行「気のせいだろ」
黄泉川「あんまり無茶するなよお前ら。一応、その日は私のいる班のアンチスキルが見回りしてると思うから、ちょっと問題でも起こしてみろ。いくら身内でも容赦しないじゃん」
結標「き、気を付けます」
一方通行「チッ、厄介なヤツが居やがる」
結標「……ってことは黄泉川さん当日はお仕事ってことですか?」
黄泉川「そうじゃんね」
結標「それは残念ですね。一緒にどうかな、って思ったんですけど」
一方通行「ソイツは朗報だな。面倒なのがいなくて清々する」
黄泉川「なんだー? 生意気なことを喋る口はこいつかぁー? このこのー」ツネッ
一方通行「いふェえ、はひひやはるッ!?(痛てェ、何しやがるッ!?)」
224 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:07:39.76 ID:uq9K3Ykio
芳川「ちなみにだけど淡希。私もその日はバイトと時間が被ってるから行けないわ」
結標「そうですか」
芳川「ま、休みでも行かないけどね」
結標「何でですか? もしかして面倒臭いとかどっかの白髪みたいなこと言うつもりじゃ……?」
一方通行「へェー、ソイツは奇遇だなァ」ヒリヒリ
打ち止め「大丈夫? ほっぺたが真っ赤に腫れてるよ? ってミサカはミサカは急激な肌色の変化に心配してみたり」
一方通行「あの野郎一体握力いくつだ? 本気でつねりやがってよォ」
黄泉川「覚えてないけど、リンゴくらいなら握り潰せるじゃん」
一方通行「怪力ゴリラババ――」
ゴンッ!!
芳川「うーん、面倒臭いっていう気持ちがあるのは否定はしないけど、理由は別にあるわ。子供たちの集まりに大人が混じるのって正直あれだからよ」
結標「な、なるほど。その発想はありませんでした」
芳川「子供には分からないでしょうね。この気持ち」
黄泉川「別にいい気がするけどなー。引率みたいなもんじゃん?」
芳川「高校生の花見に引率が付くなんて聞いたことないわよ?」
一方通行「行きたくねェな、そンなモンが付く花見なンてよォ」
黄泉川「花見なんて学生がはっちゃける行事の筆頭だからな。節度のある花見をするように指導しなきゃいけないじゃん」
打ち止め「指導? 節度のある花見にするための指導って何なの? ミサカはミサカは率直な質問をしてみたり」
黄泉川「そうだなー。例えばアルコールの入ったジュースを飲もうとしたら取り上げたり、アルコールの入った炭酸の麦ジュースを飲もうとしたら取り上げたり」
一方通行「両方酒じゃねェか。それしか基準がねェのかよ節度のある花見っつゥのはよォ」
黄泉川「そりゃそうだろ。花見の飲み会なんてはっちゃけるのが普通じゃん? 未成年がアルコールを飲まなきゃ、好き放題してくれりゃいい。あくまで常識の範囲内でだけどな」
一方通行「随分と適当だな。アンチスキル」
黄泉川「そこまでギチギチに締め付ける気はないってだけじゃん」
結標「あっ、そうだ。打ち止めちゃんはもちろん来るわよね?」
打ち止め「……ふふふっ、残念ながらミサカはここでノーと答えさせてもらうぜ、ってミサカはミサカはハードボイルドを気取ってみたり」
芳川「貴女ハードボイルドの意味知ってる?」
結標「珍しいわね打ち止めちゃん。貴女がこの誘いに乗ってこないなんて……花見はあんまり興味なかった?」
一方通行「どォりで話に食い付いてこねェわけだ」
打ち止め「おっと勘違いさせちゃってるね。ミサカはあくまでアワキお姉ちゃんたちとは一緒に行けないって言いたかったんだよ、ってミサカはミサカは追加の説明を入れてみる」
一方通行「あァ?」
打ち止め「同じ日の同じくらいの時間帯にキハラたちも花見をするんだ。それにエンシュウから誘われたからそっちのグループで花見するよ、ってミサカはミサカはさらに追加説明してみたり」
結標「へー、木原さんたちも花見するんだ」
一方通行「嫌なヤツと鉢合わせしそォだ」
打ち止め「そういうわけだから一緒にいけないんだ。まあ、ちょくちょくそっちの方にも顔出してちょっかいかけるとするよ、ってミサカはミサカは二つの組織をまたにかける女スパイの気分になってみたり」
一方通行「何がスパイだ。コッチの菓子とか食いモン目当てに寄って来る乞食の間違いだろ」
打ち止め「へへー、やっぱりバレてた? ってミサカはミサカは舌を出しておどけてみたり」テヘペロ
225 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:09:10.17 ID:uq9K3Ykio
結標「ところで一方通行? 当日何時に行くのがいいと思う? やっぱり九時がいいかしらね?」
一方通行「面倒臭せェ、そンなに九時に行きてェならオマエだけ先に行ってろよ」
結標「ええっー、それは嫌よ。行くなら一緒よ? 一人で長時間寂しく待機なんて絶対嫌っ!」
一方通行「だったら昼頃行くか?」
結標「でもそれだったらいい場所取れない可能性が……」
打ち止め「こうなったらジャンケンで決めればいいよ! このままじゃどうせいつまで経っても埒が明かないんだからさ、ってミサカはミサカは解決案を提示してみたり」
一方通行「……ほォ、面白れェじゃねェか。この俺にジャンケンを挑もうなンて百年早ェンだよ」
結標「何よ、随分な自信じゃない? 誰がやっても平等に三分の一の確率で決まる勝負なのに」
一方通行「俺を誰だと思ってやがる? あらゆるベクトルを観測できるこの俺が、オマエの出す手を見抜けねェわけねェだろォが」カチッ
結標「なっ、理屈はよく分からないけど能力を使うつもりね!? 汚いわよ!」
芳川「たぶんあれね。ジャンケンの手を出すときの微妙な筋肉の動きとかを観測して勝つつもりよ。要するにやることは後出しと一緒」
一方通行「ケッ、チカラ含めて俺の実力だ。オマエにとやかく言われる筋合いはねェ」
黄泉川「だったらここに何かのパーティーで使ったジャンケンカードがあるじゃん。これでやれば公平だろ」
一方通行「は? 何でそンなモンがあンだよ?」
黄泉川「何か隅っこに転がってた」
芳川「なるほど。これを使えばベクトル操作の能力で、相手が何を出すのかを知ることはほぼ不可能ね」
結標「ナイスアシストです黄泉川さん! よし、これで純粋な運の勝負よ一方通行!」
一方通行「チッ、調子に乗るなよ格下がァ! この俺が普通にやったところでオマエなンかに負けるわけねェだろォが!」スッ
結標「ジャンケンに格下格上なんて関係ない! それじゃ行くわよ!」スッ
一方・結標「「ジャンケン、ポン!!」」バッ
―――
――
―
226 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:10:00.89 ID:uq9K3Ykio
March Forth Sunday 09:00
-第七学区・とある桜公園-
結標「よし、着いた。ここが桜公園ね」
一方通行「何で俺がこンな朝早くからこンな場所に来なきゃいけねェンだ」
結標「ぶつぶつうるさいわよ。大人しく敗者は勝者に従いなさい」
一方通行「たかだかジャンケンごときに勝ったぐらいでそこまで偉そうに出来るなンて、ある意味才能だな」
結標「そのたかだかジャンケンに負けてゴチャゴチャ文句垂れてるヤツに言われたくないわね」
一方通行「チッ、面倒臭せェ」
結標「しかし、桜すっごい迫力ね。これが満開の桜ってやつか……綺麗」
一方通行「ふーン、あちらこちら見回して見ると、例の場所取りガチ勢とやらが結構居やがるな」
結標「芳川さんの情報は正しかったってことね。信じてこの時間に来てよかったわ。昼頃に来てたらほとんど埋まってたんじゃない?」
一方通行「この桜の量ならどこにレジャーシート敷こうが同じだっつゥの」
結標「……まあ、それはたしかに思う。ちょっとだけだけど」
一方通行「つまり、わざわざいい場所を取る必要はなくなったっつゥわけだ。じゃ、一回家帰って寝直してからまた昼頃来るとするか」ガチャリガチャリ
結標「まあ待ちなさい。せっかく来たのだから、ちゃんと場所取りしましょうよ」ガシッ
一方通行「オマエもさっきどの場所でも同じっつってただろォが」
結標「いや、もしもの話をしましょ? もしここで帰ってまた昼間に来たとしましょう。すると大盛況でレジャーシートを敷く隙間すらありませんでした」
一方通行「考えすぎじゃねェのか?」
ガチ勢「それが考えすぎではないぞ!!」
一方通行「あン?」
結標「誰っ!?」
ガチ勢「今日は日曜日に加え満開日だ。さらにこの時間の段階で場所取りしているグループの数がそこそこ多いッ!!」
ガチ勢「もちろんそのグループは夜に花見をするグループではなく、昼で解散するグループかもしれない。だが経験からしておそらくあの中では半分くらいだッ!!」
ガチ勢「さらにこの週末にはこの公園周辺で桜祭りと言って出店が出ているため、集客力がかなり高まっているだろうッ!!」
ガチ勢「以上のことからして、この時間ここにいるのならば場所取りをしない理由は皆無ッ!! では、レッツ花見ライフッ!!」スタスタ
一方通行「……何だったンだ今の?」
結標「さ、さあ? 例の花見場所取りのガチ勢の人じゃない?」
227 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:11:06.58 ID:uq9K3Ykio
一方通行「よくわからンがアイツが言うことを信じるなら、昼間に来たら場所がなくなっている可能性が高いっつゥことか」
結標「ほ、ほら私の言った通りじゃない。やっぱり場所取りはしとくべきよ」
一方通行「あンな見ず知らずの不審者の言うことを聞くつもりかオマエは?」
結標「見ず知らず不審者じゃないわ、ガチ勢の人よ」
一方通行「俺からしたらほぼ同じ意味なンだがな……まァイイ、花見ガチ勢か。お手並み拝見と行くか」
結標「しかしいい場所と言ってもどういう場所がいいのかさっぱり分からないわね」
一方通行「ネットで見る限りだと、桜が綺麗に見える場所、トイレとかゴミ箱が近い場所、座る場所が荒れてなく座りやすい地面の場所、とかだそうだ」ピッピッ
結標「へー、なるほど」
一方通行「あと、俺らは夜桜の予定だから足元が見やすい街灯とかの下がイイらしい」
結標「…………」
一方通行「あァ? どォかしたか?」
結標「いや、さっきまで文句しか言ってなかったヤツがこういろいろ調べてくれてるのに違和感が……」
一方通行「人がせっかく働いているっつゥのに、何でそンなこと言われなきゃいけねェンだ?」
結標「あはは、ごめんごめん。でもあれよね。なんだかんだ言って貴方も花見が楽しみだったってわけよね?」
一方通行「どこをどォ思考すればそンな考えが出てくる? 勘違いすンじゃねェぞ。オマエに適当な場所を闇雲に取られて、俺まで他のヤツから総スカン食らいたくなかったから調べただけだ」
結標「はいはいそうですねー、私はそんなことをやりそうな馬鹿ですよーと」
一方通行「チッ、癇に障るヤツだ」
結標「……うーんざっと見た感じ、さっき貴方が言ったポイントに当てはまりそうな場所は大体取られているようね」
一方通行「そりゃそォだ。わざわざこンな時間に来るヤツがゴミみてェなポイントを陣取るわけねェからな」
結標「やっぱりガチ勢ってすごいのね。ほら見てみてよあそこ。わざわざ寝袋まで持ってきて場所取りしてるわよ。一体いつからあそこに待機しているのかしら?」
一方通行「あンなのカワイイモンだ。アッチにはテント張ってる馬鹿が居やがるぜ?」
結標「あそこまでしないといい場所は取れないってことね。甘く見ていたわ花見の場所取り……」
一方通行「まァ、俺が脅せば一発で」
結標「だからやめときなさい。黄泉川さんのお世話になりたくないでしょ?」
一方通行「だったら金でも積むかァ? コンビニのATMで五万くらい下ろしてくっかァ?」
結標「それも黄泉川さんならきっとアウトって言うからやめときなさい。というか嫌にリアルな数字よね五万って」
一方通行「買収の何が悪いのか理解に苦しむねェ。俺たちは場所を取れる、相手は五万円儲かる。まさしくWin−Winの関係だっつゥのに」
結標「まあそうなんでしょうけど……あっ、あれを見てよ一方通行」
一方通行「あン?」ジロッ
黒服1「…………」
黒服2「…………」
黒服3「…………」
結標「黒いスーツにサングラス、まさしくいかにもな人たちが場所取りしてるわよ。しかも結構良さそうな場所」
一方通行「ほォ、いかにもな三下どもだな。まさしく花見の場所取りにピッタリなヤツらだ」
結標「やっぱりあれくらいの人たちじゃないといい場所が取れないのね」
一方通行「……つゥかアイツら、どっかで見たことあるよォな気がする顔だな」
結標「えっ、ほんと? うーん……」ジィ
228 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:11:54.80 ID:uq9K3Ykio
黒服1「……あっ、一方通行さんに結標さん、おはようございます!」
黒服2「ちわっす!」
黒服3「そちらも花見の場所取りですか? お互い大変ですねー」
結標「……あっ、思い出した! たしか木原さんの会社の!」
マイク「どうも。コードネーム:マイクです」
オーソン「オーソンっす」
デニス「デニスと申します」
一方通行「……つゥことは、ここは木原の野郎が来る予定の場所か?」
オーソン「そうっす。夕方五時スタートの予定です」
結標「ふーん、偶然にも同じ時間ね。じゃあここら辺の近くで場所取れば、打ち止めちゃんとも一緒に花見できるわね」
一方通行「オイやめろ。何で花見の時に木原の顔なンて見なきゃいけねェンだ。この位置から真反対の場所に行くぞ」
結標「ここから真反対だと、さっき貴方が言ったトイレやゴミ箱に近いって条件に全然合わない位置になりそうよ」
一方通行「俺の平穏の為には背に腹は代えられねェ」
結標「ほんと貴方嫌いよね。木原さんのこと」
一方通行「普通の思考していたら、ヤツを嫌悪しねェヤツはいないはずなンだがなァ」
結標「じゃ、そういうわけなんで私たちは行きます」
マイク「場所取り頑張ってください」
デニス「花見の場所取りは戦争ですからねえ。ご武運を」
結標「ありがとうございます」
229 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:13:04.28 ID:uq9K3Ykio
結標「さて、じゃあ別の場所を探すとしますか」
一方通行「もォこの際普通に座れりゃどこでもイイだろ。トイレなンて歩かせりゃイイし、ゴミなンてオマエが飛ばせばすぐ運べる」
結標「貴方の言うことには納得しかねるけど、この空いてる場所からしてそうせざる負えないようね」
一方通行「何だその言いようは? そンなに気に入らねェならゴミは俺が大気圏外に向けてぶっ飛ばしてやるよ」
結標「宇宙にゴミをばら撒くのはやめなさいよ」
一方通行「もともとデブリだらけなンだから問題ねェだろ。そもそも大気圏の摩擦でゴミが燃え尽きるっつゥの」
結標「まあトイレとゴミ箱は度外視するとしても、せめて街灯とかは欲しいわよね? 足元とか見づらいと何かと不便だし」
一方通行「それなら楽な条件だ。街灯のある道沿い歩いて行きゃどっかあンだろ」
結標「そうね。じゃあ、その辺適当に歩いてみましょ」
一方通行「ああ。しかし、吹寄のヤツよくもこの俺にこンな面倒事押し付けてくれたな。覚えてろよアイツ」
結標「まあいいじゃない。どうせ上条君たちと余興の準備をしろって言われても嫌がるでしょ貴方」
一方通行「それはもちろン全力で逃げる。チカラァ使ってでもなァ」
結標「かと言って女子二人に混じってお弁当作りを手伝え、って言われても嫌でしょ?」
一方通行「まァな。まあ馬鹿三人に付き合うよりはマシだろォけどよ」
結標「じゃあ場所取りしかやることないじゃない」
一方通行「まだやることは残ってるだろ」
結標「何よ?」
一方通行「家で昼寝して集合時間が来るまで待機」
結標「まだそんなこと言っているの貴方は? いい加減諦めなさいよ」
一方通行「オイ結標」
結標「何よ?」
一方通行「面倒だからあの場所でイイだろ。街灯もあるし、地面も平面に近いから座りやすいし、広さもそこそこだ」
結標「うーん、まあトイレまで片道五分くらいかかりそうなところだけど、いいんじゃないかしら? 景色もまあ良さそうだし」
一方通行「場所も場所だから人が少ないのも俺からしたらポイントが高いな。ま、時間が経てばここにも有象無象で溢れかえるンだろォが」
結標「じゃ、ここら辺にしましょ。シート敷くから手伝って」ゴソゴソ
一方通行「ハイハイ」ガサガサ
結標「……よし、これで場所は取れたわ」
一方通行「やっとこの場所取りっつゥクソみてェな作業から解放されンだな」
結標「残念ながら花見が始まるまでが場所取りです。絶対に逃がさないわよ」
一方通行「わかってるようるせェな。逃げやしねェよ」
結標「本当かしら?」
一方通行「当たり前だろォが。あっ、そォだ。ちょっとコーヒーが飲みたくなってきたから自販機行ってくる」
結標「とか言って逃げるつもりじゃないでしょうね?」
一方通行「ンなわけねェだろォが。どれだけ信用されてねェンだ俺は?」
結標「逃げたら絶交だからね?」
一方通行「その程度で絶交されるなンてクソみてェな信頼関係だなァオイ」
―――
――
―
230 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:13:47.53 ID:uq9K3Ykio
同日 11:00
-とある高校男子寮・上条当麻の部屋-
青ピ「――というわけで、長い話し合いの末にボクらの用意する余興が決まりましたぁー!」
土御門「いえーい!」
上条「ちょっと待てコラ」
青ピ「なんやカミやん。何か不満でもあるんかいな?」
上条「不満しかないわ! お前ら本気で『アレ』を花見の会場でみんなの前でやるつもりなのかよ?」
青ピ「むしろああいう場でやってこそやん。それにインデックスちゃんもやる気になってるし」
禁書「なんだかよくわかんないけど頑張って歌うんだよ!」
上条「なんだかよくわからないものを頑張ろうとするな! 大体お前歌とか歌えんのかよ?」
禁書「むむっ、とうま! 私は声とか歌を使った魔術のプロフェッショナルなんだよ! だから歌は大大大得意かも!」
青ピ「魔術……?」
上条「あ、あははいやいや何でもない何でもない気にしないでくれ。つーか、お前が歌おうとしてる歌はそういうのまったく関係ないヤツだろうが」
禁書「そこのところは大丈夫! だって毎週欠かさず観てるし、何より私には完全記憶能力があるからね。バッチリ歌えるんだよ」フフン
上条「くっ、なんつう自信満々の顔だ」
土御門「カーミやーん、諦めて大人しく受け入れたほうがいいんじゃないか?」
上条「……い、いやでも」
土御門「だったら代わりに姫神ご所望の裸踊りでもやるかい?」
上条「ぐっ……、わかったよ。やりますよやらせていただきますよ」
青ピ「さすがカミやん。わかってくれると思うとったで」
禁書「ねえねえとうま」
上条「何だよ?」
禁書「そろそろお昼の時間なんだよ。お腹が減ってきたかも」
青ピ「ほな練習は昼メシ食べてからにしよーか。腹が減っては戦はできぬ、ってね」
土御門「よし、ならラーメン食いに行こうぜラーメン。近くに最近見つけたうまいラーメン屋があるにゃー」
禁書「わーい、らーめんらーめん♪」
上条「ラーメンは二杯までだからなインデックス。そんな手持ちないんだからな、わかってんだろうな?」
禁書「ちゃーはん♪ ぎょーざ♪ からあげ♪ ほいこーろー♪」
上条「サイドメニューは二つまでにしろ!」
禁書「はーい!」
青ピ「なんや貧乏貧乏言うとるわりには結構許容してへんか?」ボソッ
土御門「カミやんはなんだかんだ言って甘いからにゃー。それにインデックスに慣れすぎて感覚が軽くぶっ壊れてるのかもしれない」ボソッ
青ピ「カミやんェ……」
上条「なに二人してコソコソ喋ってんだ? さっさと行こーぜ?」
―――
――
―
231 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:14:20.32 ID:uq9K3Ykio
同日 12:00
-第七学区・とある桜公園-
ワイワイガヤガヤ
一方通行「Zzz」
結標「ただいまー、お昼買ってきたわよー、って寝てるし。この騒がしい中よく寝られるわね……」
結標「ちょっと起きなさいよ一方通行! お昼ご飯買ってきたわよ!」ユサユサ
一方通行「Zzz――あァ? ……チッ、俺の睡眠を妨げやがってクソが」
結標「相変わらずの寝起きの悪さね。ほら、お昼買ってきたわよ」つコンビニ弁当
一方通行「別に腹なンて減ってねェよ。だから俺の昼寝の邪魔をするなよ」
結標「周りはお花見昼の部で大騒ぎしてるっていうのに、よくこの状況で昼寝しようなんて思うわね」
<うわー桜満開すごいねー!! <昼間から飲む酒うめええええ!! <ここで一曲歌います!!
一方通行「……おォーおォー、いかにもなヤツらがハシャギ回ってンなァ」
結標「えっと、鮭弁とからあげ弁買ってきたけど貴方どっちがいいかしら?」
一方通行「だから腹減ってねェっつってンだろ。いらねェよオマエ一人で食え」
結標「なっ、い、嫌よ何で私が二人分のお弁当食べなきゃいけないのよ!」
一方通行「オマエが勝手に買ってきたンだろォが」
結標「大体、夜にもたくさん飲み食いするっていうのにここでそんなに食べたら、絶対、その、体重が……」ボソッ
一方通行「あァ? 別に誰もオマエの体重の増減なンざ気にしねェだろ」
結標「私が気にするのよ! ったく、貴方って本当にデリカシーってのがないわよね」
一方通行「今さらそンなこと言われてもなァ」
結標「……はぁ、まあいいわ。私鮭のほう食べるから唐揚げのほうよろしく」カパッ
一方通行「勝手に決めンな、つゥかいらねェっつってンだろォが」
結標「どうしても今食べないっていうのなら私にも考えがあるわ」
一方通行「あン?」
結標「この唐揚げ弁当、今から私直々に美味しく味付けして食べさせてあげるわ。どんな手を使ってでも、ね」ニヤッ
一方通行「いただきまァす」カパッ
結標「はい、よろしい」ニコッ
232 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:15:28.00 ID:uq9K3Ykio
一方通行「……はァ。自分のウィークポイント晒し上げまでするとは、どンだけ弁当食わせてェンだよオマエ」モグモグ
結標「いや、なんかこのまま引き下がったら負けた気がして」パクパク
一方通行「何つゥか、オマエも超能力者(レベル5)らしくなってきたな」
結標「何でよ?」
一方通行「負けず嫌いっつゥか、我が強いっつゥか」
結標「そ、そうなのかしら……、まあでも貴方にはさすがに負けるけどね」
一方通行「誰が負けず嫌いで我が強いヤツだってェ?」
結標「だって事実よね? 負けるの嫌いだし、何が何でも自分のこと押し通そうとするし」
一方通行「チッ、そォかよ」
結標「……そういえばさ」
一方通行「何だよ」
結標「まだ二人しかいなくて、食べてるものもこんなショボいコンビニのお弁当なんだけどね」
一方通行「買ってきたのはオマエだろォが。で、それがどォかしたかよ」
結標「これもある意味花見をしてる、ってことになるわよね?」
一方通行「桜見ながらメシを食う、っつゥ行為が花見って言うならそォだろォな」
結標「場所取りって一見損な役回りっぽいけど、昼間の桜の木を見ながらご飯食べられるならある意味役得よね」
一方通行「そォか?」
結標「そうよ。だってみんなが来るのは夕方からだからみんなが見られるのは夕方からの桜だから。私たちは長くいろんな桜を楽しめるってこと」
一方通行「……まァ、大半の場所取りしてるヤツらは寝てたり本読ンでたりゲームしてるから、そンなこと思ってるヤツは少数派だろォよ」
結標「別にいいわよ。少数だろうが多数だろうが私が良ければ」
一方通行「つゥか、オマエいつからそンなお花サン大好き女になったンだ?」
結標「別にそういうわけじゃないわよ。ただ、せっかく花見に来たんだから桜の景色楽しまなくっちゃねって感じよ」
一方通行「へェー」
結標「貴方も少しは景色を楽しんでみたらどう? すぐに昼寝しようとせずにね」
一方通行「……まァ、別にそれはやってもイインだけどよォ」
結標「あら、貴方にしては意外な答えね。何かしら屁理屈こねて突っぱねると思ったのに」
一方通行「俺を一体何だと思ってやがる」
結標「あはは、ごめんごめん」
一方通行「……たしかに、こォいう風に揺れる花とか木々とか見ると落ち着くよなァ」
結標「そうね。わかってるじゃない」
一方通行「落ち着くからか知ンねェけどよォ」カクン
結標「うん?」
一方通行「……こう、自然と、睡魔が――Zzz」
結標「結局寝るんかい! ていうか、お弁当食べ差しにしたまま寝るな!」
―――
――
―
233 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:16:22.32 ID:uq9K3Ykio
同日 14:00
-とある高校女子寮・姫神秋沙の部屋-
吹寄「………ふう、今頃場所取り二人組は仲良くやってるかしらね」
姫神「やっぱり場所取りを二人に任せたのは。そういう意図があったからなのね」
吹寄「まーね。って言っても、あの選択肢三つだったら消去法で結局はああなりそうだけど」
姫神「アクセラ君だったらなんやかんや言いながらも。余興とかなら渋々参加してくれそうな気がする」
吹寄「たまによくわからないノリの良さを見せるわよねアクセラって」
姫神「ふふふ。そうね」
吹寄「ま、二人のことは置いといて、姫神さんも花見中に隙を見つけてガンガンアタックしなさいよね」
姫神「うっ。それは……」
吹寄「花見の宴会って言ってもずっと同じ場所にいなきゃいけないってことはないんだから、連れ出して二人きりになっても構わないわけだし」
吹寄「今日は桜祭りで屋台とか出てるみたいだし、一緒に回ってみたりすればいいんじゃないかしら?」
姫神「なんとも難易度の高い要求。そんなことができるのなら。こんな状況にそもそもなっていない」
吹寄「そんなこと言ってたらいつまで経ってもこのままよ?」
姫神「む……。それはそう」
吹寄「だったら今日のお花見は上条当麻を誘って一緒に屋台に行く。これがミッションよ♪」
姫神「……なんか楽しそうね。他人事だと思って」
吹寄「何言ってるのよ。ちゃんと姫神さんのこと考えてるわ」
姫神「本当に?」
吹寄「だって実現できたら姫神さん、嬉しいでしょ?」
姫神「……まあ。たしかに」
吹寄「じゃあ決まりね! 頑張ってね姫神さん。出来る限りのことはあたしもサポートするわ!」
姫神「ありがとう。じゃあ。なんとかやってみるとする」
吹寄「よし、そうと決まればささっとお弁当の準備済ませて、結標さんたちと合流しましょ」
姫神「うん」
―――
――
―
234 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:17:25.04 ID:uq9K3Ykio
同日 15:00
-第七学区・とある桜公園-
結標「…………」←来るときに買ってきたファッション誌を読んでいる
一方通行「…………」←寝たらなぜかどつかれるので仕方無しに漫画雑誌読んでいる
ワイワイガヤガヤ
結標「……気付いたらこの辺りも人が増えてきたわね」
一方通行「そォだな」
結標「やっぱり早いうちから場所取りしてて正解だったってことね」
一方通行「ここまでのことをしないといけねェとは、ホント面倒臭せェイベントだよなァ花見ってヤツはよォ」
結標「その分楽しいわよ。きっと」
一方通行「だとイイがな」
結標「何よそれ。少しは楽しもうという意思を見せたらどうかしら?」
一方通行「チッ、くっだらねェ」
結標「もう……」
『せっかく二人きりの状況なんだからこのチャンス活かしたほうがいいと思うわ』
結標「…………」
『どうせなら告っちゃえば?』
結標「……はぁ、そんなこと言われてもねえ」ボソッ
一方通行「あン? 何だよ」
結標「えっ、いやなんでもないわよ、あははははは!」アセッ
一方通行「?」
結標(大体二人きりと言っても周りには他の花見客とかいるわけだから、言うほど二人きりって状況じゃないわよねこれ)
結標(そんな公衆の面前で恋愛マンガみたいな熱烈な告白なんかしたら、恥ずかしすぎて死ぬってレベルじゃないわよね)
結標(そもそも二人きりって状況、私たちの場合別に珍しくないのよね。登下校とか結構二人きりのこと多いし)
結標(だからか二人きりの状況の活かし方がぜんぜん思いつかないわ……)
235 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:19:09.68 ID:uq9K3Ykio
結標「……はぁ」
一方通行「さっきから何ため息ばっかついてンだ、うっとォしい」
結標「別に。あっ、もうこんな時間か。おやつでも食べよっと」ガサゴソ
一方通行「あと二時間弱か。もう少しでこの場所取りとかいう苦痛から解き放たれるっつゥことだよな」
結標「むっ、私といる時間が苦痛って言いたいのかしら?」
一方通行「薄寒い空の下の固い地面の上で、長時間座ったりしながら本読ンだりぼォっとし続けるのは苦痛だろォが。オマエの有無は関係ねェ」
結標「あー、たしかにね。私もそろそろキツくなってきたわ、クッションとか持ってくればよかった」
一方通行「チッ」
結標「まあまあそう機嫌を悪くしないでちょうだい。そうだ、ポッキー食べる?」つポッキー
一方通行「いらねェよ。大体そンなモンで機嫌がよくなるわけねェだろォが」
結標「何? 私のポッキーが食べられないっていうのかしら?」
一方通行「甘いモンはいらねェ」
結標「安心してちょうだい。これは大人なビターなヤツだから」
一方通行「そォだとしてもいらねェよ」
結標「むー、だったらこの突き出したポッキー行方は一体どうなるっていうのよ?」
一方通行「自分で食えばイイじゃねェか」
結標「なんかムカつくから貴方が食べなさい! はい、あーんしなさいあーん」
一方通行「やるわけねェだろ!! 馬鹿言ってンじゃねェぞクソアマが!!」
ワーワーギャーギャー!!
モブ(なんだあのバカップル……糞がッ!)
―――
――
―
236 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:19:44.02 ID:uq9K3Ykio
同日 16:00
-ファミリーサイド・従犬部隊オフィス-
数多「――さて、お前ら食いモンとか酒とかの準備は出来ているな?」
ヴェーラ「問題ないです」
ナンシー「バッチリです」
数多「ならそろそろ行くとするか。おいクソガキども! そろそろ行くぞ準備出来てんだろうな!?」
打ち止め「別に準備するものなんて特になかったから大丈夫だぜ、ってミサカはミサカは両手のひらを見せて手ぶらアピールをしてみる」
円周「私も特には言われてなかったけど、いろいろと準備はできてるよー」ゴチャゴチャ
数多「あん? 何をそんなに持っていこうとしてんだよ」
円周「えっとね、よく掘れるシャベルに掘削用の手持ちドリル、それに岩盤破砕用のダイナマイトにー」ゴソゴソ
数多「お前一体どこに行くつもりなんだ? 一人だけ炭鉱にでも行こうってか?」
円周「違うよ数多おじちゃん。これは桜の木の下に埋まってる死体を掘り起こすための道具だよ」
打ち止め「ひっ」ビクッ
数多「お前人の話聞いてたか? 花見に行くっつってんだよ穴掘り大会に行くなんて一言も言ってねえんだよこっちはよ」
円周「でも数多おじちゃん、『木原』的には桜の花びらの鮮やかさと、地面に死体が埋まってるかどうかの関連性はぜひとも調べないといけないよね?」
数多「んなもん調べてどうするってんだ?」
円周「……さあ?」
数多「ノープランかよ。飲み食いしている隣で砂埃撒き散らされてもこっちは迷惑なんだっつーの。どうしてもやるなら別のところ行けや」
円周「うーん、ここで私だけハブられるのはあまりよくないなー。わかったよこの死体発掘セットは置いとくよ」ガタッ
数多「いい子だ」
打ち止め「……ねえねえキハラ? 本当に埋まってるの……? その、死体……、迷信じゃなかったの? ってミサカはミサカは恐る恐るたずねてみる」
数多「何でそんなこと聞くんだよ」
打ち止め「だってその答えによっては花見に行きたい度がガクっと下がるかもしれないから、ってミサカはミサカは震えながら答えてみたり」ガクブル
数多「あー……まあ埋まってると言えば埋まってるし、埋まってないと言えば埋まってはいないだろうな」
打ち止め「えっ、それどういうことなの!? ってミサカはミサカはあまりにも曖昧な回答に驚きながらも返答してみたり」
円周「この辺りの土地は大昔戦で死体が放置されてたり、死体処理場だったりしたような場所だから、土に還ってるって意味では埋まってるってことだよ」
打ち止め「はえー、なるほど。つまり桜の木の下に生々しい死体が埋まってるってことはないんだね? ってミサカはミサカは確認をとってみる」
円周「まあ誰かが新しく埋めたりしてない限り、そんな生々しいのは出てこないだろうねー」
打ち止め「う、埋まってないよね……?」
円周「……ふふふ、さーてそれはどうか――」
ゴッ
数多「いい加減にしろクソガキが! いつまでここで足踏みさせるつもりだ!? 埋まってねえからさっさと行くぞ!」スタスタ
円周「ぐごごごごごごあともうちょっと力が強かったら、私が桜の木の下に埋まる死体になってたよ危ない危ない」
打ち止め「大丈夫エンシュウ? ってミサカはミサカは心配そうに眺めてみたり」
―――
――
―
237 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:20:36.03 ID:uq9K3Ykio
同日 16:30
-第七学区・とある桜公園-
吹寄「あっ、いたいた! おーい結標さんアクセラー!!」タッタッタ
結標「吹寄さんに姫神さん! 早いわねもう来たの?」
姫神「場所取りの待ち時間。退屈にしてると思って」
吹寄「本当に大変だったでしょ? 何時くらいからここにいるの?」
一方通行「どっかのアホが馬鹿の言葉を真に受けたせいで九時からだ」
結標「何言ってるのよ。九時に来たからこそ、こんなそこそこ良い場所を取れたんじゃない」
姫神「……逆算すると。だいたい七時間半か。なかなかのハードさ」
吹寄「す、すごいわね。本当にありがとうね二人とも!」
結標「いや、これが私たちの仕事だし全然いいわよ……しかしお弁当の量すごいわね」
姫神「あのシスターが来るなら当然」
一方通行「……そォいや俺の方でも何か適当に食いモン買うっつってたの忘れてたな。コンビニでも行ってくるか」
吹寄「別に今行かなくても大丈夫じゃないかしら? これだけあればしばらくはもつだろうし、買いに行くなら近くに屋台とか出てるからそこに買いに行けばいいと思うわ」
一方通行「ああ、そンなモン出てるっつってたな」
結標「吹寄さんたちが来たことだし、あとは上条君たちが来ればお花見始められるわね」
吹寄「あいつらちゃんと集合時間に来るのかしら?」
姫神「間に合わない確率のほうが高そう」
一方通行「まァ、大体の遅刻の原因のインデックスのメシ作りっつゥのが今回はねェから、多少の希望は持てるかもなァ」
結標「他にもたくさんあった気がするけどね。遅刻の理由シリーズ」
姫神「驚異の信号赤率。おばあちゃんの道案内。財布とか携帯を家に忘れるetc……」
吹寄「ちゃんと早めに出てれば間に合うんだから、そんなのを言い訳にするなんて甘えよ甘え」
一方通行「信用のねェヒーローだこった」
〜35分後〜
吹寄「…………遅い!」イライラ
姫神「予定調和」
結標「ま、まあまあ落ち着いて吹寄さん」
吹寄「大丈夫。あたしは至って冷静だから」イライラ
結標「そうには見えないんだけど……」
一方通行「ったく、何でこォ面白いよォに毎回同じ展開繰り返してンだアイツらはよォ」
238 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:21:18.71 ID:uq9K3Ykio
上条「おーい!」タッタッタ
結標「あっ、上条君たち来たわ!」
吹寄「ちょっと上条当麻ぁ!! 5分遅刻よ5分!!」
上条「ぎゃあああ申し訳ございません!! 言い訳なんですが驚異の赤信号率、おばあちゃんの道案内、財布とか携帯を家に忘れるetc……とかやってしまいましたすんません!!」
一方通行「フルコースじゃねェか」
姫神「これはひどい」
結標「よく5分遅刻で済んだわね。逆にすごいわ……」
土御門「にゃー、カミやんが居てくれると吹寄の雷の避雷針になってくれるから助かるぜい」
青ピ「ほんまやなぁ。カミやんさまさまやでえ」
一方通行「オマエらも少しは反省しとけよクソ野郎どもが」
青ピ「まあボクらは悪くないしなぁ」
一方通行「連帯責任っつゥ言葉ァ知ってるか?」
上条「許してください頭突きだけは勘弁してくれー!!」ドゲザ
吹寄「なっ、ちょっとわかったから土下座はやめなさい! こんな人目の多い場所で!」
一方通行「甘えとか言ってたくせに許すのかよ」
結標「まあ、あんな勢いで謝られたら怒る気も失せるわよね」
土御門「さすがの吹寄も、大量の見物客の前で説教ショーができるようなメンタルは持ち合わせてなかったことだにゃー」
239 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:22:20.59 ID:uq9K3Ykio
禁書「ねえねえあくせられーた」
一方通行「あァ?」
禁書「本日はお招きいただきありがとうございますなんだよ」ペコリ
一方通行「別に俺が呼ンだわけじゃねェぞ。つゥか、何だァ? 今日はやけに礼儀正しいじゃねェか」
禁書「そういうわけだから早くご飯が食べたいんだよ!」
一方通行「と思ったら別にそォでもなかったな」
禁書「あいさのお弁当すっごく楽しみ!」
姫神「楽しみなのは良いけど。一人で全部食べようとはしないでね」ジトー
禁書「うっ、き、気をつけるんだよ」
青ピ「ほな、吹寄さんの説教も終わったことやし、ぼちぼち始めるとしますかー」
姫神「ちょっと待って。今準備する」
上条「姫神手伝うよ」
姫神「……ありがとう。じゃあ飲み物の準備をお願い」
上条「了解!」
ワイワイガヤガヤ
青ピ「――ではみなさん飲み物は回りましたかー?」
土御門「イエーイ!!」
吹寄「大丈夫よ」
姫神「うん」
一方通行「何でオレンジジュースなンだよ? コーヒーに替えろ」
結標「最初くらい我慢してみんなに合わせなさいよ」
禁書「えっ、これまだ飲んじゃいけなかった?」
上条「おいお前何先飲んでんだよ!? 紙コップ貸せ、すぐ入れるから!」
青ピ「ほな、もう一年生もほぼ終わりやからお疲れ様っちゅうことで、カンパーイ!!」
「「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」」
――――――
240 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/03(金) 20:23:31.59 ID:uq9K3Ykio
リア充爆発しろみたいな表現使おうとしたんやがあれってもう死語なんやなって
ワイくんの文章年齢透けてそう
次回『花見(中編)』
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/06(月) 11:27:21.63 ID:JBBDTekFo
懐かしい〜 過去スレ読み直すかあ
242 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/10(金) 20:14:20.16 ID:a/WesWa7o
いまさらやけど花見なんてしたことありません(半ギレ)
投下
243 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/10(金) 20:15:29.50 ID:a/WesWa7o
11.花見(中編)
March Forth Sunday 17:30
-第七学区・とある桜公園-
禁書「おいしい! これもおいしい! あいさのお弁当ほんとおいしいね!」ガツガツムシャムシャ
姫神「当然」フフン
上条「もうちょっと落ち着いて食べろよ。喉詰まらすぞ?」
禁書「ふふん、私はそんなドジは踏ま――ごほっごほっ!?」
上条「ほら見ろ言わんこっちゃない」
土御門「華麗で迅速なフラグ回収だったにゃー」
吹寄「言ってる場合じゃないでしょ! ほら、インデックス飲み物よ!」
禁書「――ぷはっ! し、死ぬかと思ったんだよ……ありがとうせいり!」
青ピ「まあでも、そないがっつくのもわからんこともないけどなー」パクパク
上条「たしかに。ほんと姫神って料理うまいよなー」モグモグ
姫神「……あ。ありがとう」テレ
一方通行「どっかの誰かさンとは大違いだな」
結標「……うるさいわね。私だって練習していずれは上達してみせるわよ」
一方通行「やるなら一人で練習しろ。俺を味見役とかにしよォとかするンじゃねェぞ」
結標「えぇー? 味見くらいいいじゃない付き合ってよ」
一方通行「殺す気かオマエ」
土御門「――さーて、そろそろオレたちの余興で場をさらに盛り上げてもいい時間帯じゃないかにゃー?」
青ピ「せやな。花見のオープニングを飾るにふさわしいモン見せたるわー!」
上条「いっ、あれ本当にやるつもりか? こんな場所で」
青ピ「当たり前やんカミやん。キミは三時間にも及ぶ猛特訓を無駄にするつもりかいな?」
上条「ここでやらずに済むなら全然無駄にするけどな」
結標「結局何をするのよ余興って?」
土御門「それは見てからのお楽しみだにゃー。じゃあちょいと準備してくるぜよ」テクテク
青ピ「やったるでー! お花見会場を沸き上がらせてやるんや!」テクテク
上条「……はぁ、やるしかねえのか。いくぞインデックス! 出番だぞ!」
禁書「! ふんふぁかった!! いふいふ!!(うんわかった!! いくいく!!)」モガモガ
上条「弁当は置いてけ」
244 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/10(金) 20:16:25.88 ID:a/WesWa7o
吹寄「……あの馬鹿ども、一体なにを企んでるのかしら?」
結標「さあ? 全然わからないわね」
姫神「でもろくなことじゃなさそう」
一方通行「ま、この前あンだけ大口叩いたンだ。せいぜい楽しみにさせてもらおうとするか」
打ち止め「おおっーい! お花見やってるー!? ってミサカはミサカは手を振りながら駆け寄ってみたり」トテチテ
結標「あっ、打ち止めちゃんに円周ちゃん。いらっしゃい」
円周「あれー? なんか人数少ないお花見会だねー。しかもアクセラお兄ちゃんハーレム状態だー。やったじゃん」
一方通行「何アホなこと抜かしてンだこのクソガキは? 他のヤツらは余興の準備とやらで席外してンだよ」
打ち止め「余興? 何か始まるの? うおおーっ!! 最高のタイミングでこっちに来れちゃった、ってミサカはミサカは興奮してみる!」
円周「スタートで滑り散らかしたかいがあったねー」
吹寄「……ねえ結標さん。この子は?」
結標「ああ、この子はウチの隣に住んでる木原さんっていう人の親戚の子で円周ちゃんっていうのよ」
打ち止め「エンシュウはミサカの親友なんだよ、ってミサカはミサカは補足説明してみたり」
吹寄「へー、そうなんだ。吹寄制理っていうんだけど、よろしくね円周ちゃん?」
姫神「姫神秋沙。よろしく」
円周「制理お姉ちゃんに秋沙お姉ちゃんだねー、打ち止めちゃんから話は聞いてるよ。よろしくー……ん?」
姫神「?」
円周「んー?」ジー
姫神「? 私の顔に何か付いてる?」
円周「……へー、秋沙お姉ちゃんって変わったチカラを持っているんだねー珍しい」
姫神「!?」
結標「あれ? 姫神さんって能力者だったの?」
吹寄「あたしも知らなかったわ」
姫神「……いや。私は身体測定(システムスキャン)で判定されている通り。レベル0の無能力者」
円周「ふーん、そっか、そういうことね。ごめんねー私の勘違いだったよ」
姫神「うん。大丈夫だよ。気にしていない」
一方通行「…………」
245 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/10(金) 20:18:27.62 ID:a/WesWa7o
〜10分後〜
打ち止め「アイサお姉ちゃんの料理おいしいね! ってミサカはミサカは素直に感想を言ってみたり!」
姫神「ありがとう」ニコッ
結標「ところで打ち止めちゃんたちはこっち来てていいの? 木原さんところでお花見してたんじゃないのかしら?」
円周「あー、ちょっとね。私たちもオープニングセレモニーってことで二人でちょっとした余興をしたんだー」
打ち止め「それでちょっと会場の空気を微妙にしちゃったんだ。だからちょっとこっちに避難してきたってわけだよ、ってミサカはミサカは説明してみる」
一方通行「何やったんだよオマエら」
円周「えっとねー、私と打ち止めちゃんでちょっとまんざ――」
青ピ「おまたせしましたーん!! これからボクらぁのショータイムが始まりますよ―ん!!」
結標「あっ、戻ってきたわ」
土御門「よっこいせ、っと」ガタン
吹寄「何よそれ」
土御門「カラオケセットですたい。あとでカラオケ大会でもやろうぜい」
吹寄「そんなもの用意して一体なにをす――ッ!?」
禁書(カナミンコスプレ状態)「あっ、らすとおーだーにえんしゅうだ!! おーい!!」ノシ
姫神「!?」
一方通行「あン?」
打ち止め「おおっー!? 超機動少女カナミン(マジカルパワードカナミン)の格好してる!! すごい!! ってミサカはミサカは称賛の声を上げてみたり」
円周「おおー、やっぱりこういうコスプレは外国の人が着たほうが画になるよねー」
結標「お、思い切ったことをやってきたわね……」
上条「……なぁ、これでウケてるんだからもうやめないか?」
青ピ「はぁ? 何言うとんねんカミやん!! ウケとるってことは流れがこっちに来とるってことや!! 攻めなくてどうするんや!!」
土御門「ここまで来て言うことじゃないぜい。諦めろ」
吹寄「…………」ズンズンズン
青ピ「うん? どしたん吹寄さん? 何かよ――」
ドゴッ!! バキィ!! ガン!!
1732.47 KB
Speed:0.6
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)