結標「私は結標淡希。記憶喪失です」

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246 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:20:09.53 ID:a/WesWa7o


青ピ「ごふっ!?」土御門「ぐはっ!?」上条「おぼっ!?」



吹寄「貴様らあんな小さい子にいかがわしい格好させてどういうつもりよ馬鹿者どもが!!」



土御門「ご、誤解だにゃー吹寄! そんな吹寄が思ってるようなことは起こっていないぜい」

青ピ「そうそうつっちーの言う通りやで、なあカミやん?」

上条「あ、ああ。たしかに提案したのはこっち側、つーかこいつらだけだけどノリノリで了承したのはアイツだ。俺はどっちかと言ったら反対派でしたよ」

青ピ「あっ、カミやんなに一人だけイイ子ちゃんアピールしとるん!? ずるいでボクら仲間やろ!?」

上条「うるせえ変態ども!! 上条さんは健全な出し物を望んでんだよ!!」

青ピ「健全ですぅー! カナミンは女子小学生と大きなお友達から大きな支持を得ている健全なアニメなんですぅー!」


吹寄「……はぁ、まあいいわ。無理やり着せたわけじゃないことはわかったから」

上条「えっ、今のやり取りのどこにそんな要素が!?」

土御門「ついに吹寄がデレたのかにゃー?」

吹寄「違うわよ! 大体、貴様らのやり取りなんて少しも当てにしてないわ」



禁書「――マジカルパワード……カナミン!!」ビシッ

打ち止め「うおおおおかっけえー!! ねえねえミサカにもそのステッキ貸してー!! ってミサカはミサカは目を輝かせながらお願いしてみたり」



吹寄「あれを見たら無理やりじゃないってことはあたしでもわかるわ。無理やりやらされてる子があんなノリノリにポーズ決めるわけないもの」

上条「……あはは、たしかに」

土御門「それじゃ吹寄のお許しも出たことだし、そろそろ余興のほうを始めるとしようぜい」

吹寄「? コスプレしたインデックスを見せびらかすのが余興じゃなかったの?」

青ピ「んなわけないやろー、そんなんじゃデルタフォースの名が泣くでえ」

上条「泣かせとけよそんなもん」

青ピ「よし、ほなインデックスちゃんやるでー! 準備してやー!」

禁書「了解なんだよ!」


247 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:21:12.94 ID:a/WesWa7o


青ピ「――では始めます! ポチッとな」ピッ



スピーカー<チャーチャチャチャチャー♪ タタター♪



打ち止め「おおっ、これはカナミンのオープニングテーマだ!! ってミサカはミサカは聞き覚えのあるBGMに心を踊らせてみたり」

結標「あー、なるほどね。コスプレしたインデックスちゃんが歌うっていうやつね」




禁書『〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」←〜には適当な魔法少女的な歌詞入れて遊んでください




一方通行「結局あのガキ任せであの馬鹿三人は何にもやらねェのかよ」

姫神「インデックスの後ろで待機してるから。あの三人もなにかやるみたい」

円周「なにか両手に持ってるねー。あれはペンライトってやつかな?」

吹寄「ペンライト……?」




禁書『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪』


上条・青ピ・土御門「「「ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!!」」」シュバッシュバッシュバッ




打ち止め「うおおっ、なんか後ろで変な踊りみたいなのやってる! ってミサカはミサカは実況してみる」

円周「あれはいわゆるヲタ芸ってやつだね」

結標「知ってるの円周ちゃん?」

円周「うん。乱数おじさんのカビにやられた人たちがあんなのやってたよー」

結標「よくわからないけど詳しくは聞かないことにするわね……」


248 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:22:04.67 ID:a/WesWa7o


禁書『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜、〜〜〜〜♪〜♪〜〜〜〜〜♪』

上条・青ピ・土御門「「「カナミン!! ミン!! ミンミンミンミン!!」」」バッバッバッバッ


禁書『〜〜〜〜〜〜〜♪ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪』

上条・青ピ・土御門「「「カーナミン!! カーナミン!! マジカルパワードカーナミン!!」」」グワングワングワン



ざわ……ざわ……



一方通行「……当たり前だがすげェ注目浴びてンな」

結標「まあしょうがないわね。あれだけ騒いでたら嫌でも見ちゃうわよ」

姫神「別にあそこに立って。一緒に歌ったり踊ったり。しているわけじゃないけど。恥ずかしくなってきた」

吹寄「頭痛い……」



禁書『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪』

上条・青ピ・土御門「「「ハイ!! ハイ!! ハイ!!」」」シュバッシュバッ

禁書『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪ 〜〜〜〜〜〜〜〜♪』

上条・青ピ・土御門「「「ハーイ、ハイ!! ハーイ、ハイ!!」」」シュババババ

禁書『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪』

上条・青ピ・土御門「「「ハーイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ!!」」」シュバーンシュバーン

禁書『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪』

上条・青ピ・土御門「「「ハイ!! ハイ!! ハイ!!」」」グルグルグルグル

禁書『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪』

上条・青ピ・土御門「「「ハイッ!!」」」バッ



打ち止め・円周「「いえーい!!」」

一方通行「うるせェぞクソガキども」

打ち止め「せっかくのライブなんだから楽しまなきゃ損だよ、ってミサカはミサカは正論を言ってみる」

一方通行「全然正論じゃねェだろ。もっと楽しむものをしっかり選べ」


249 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:22:54.99 ID:a/WesWa7o



<ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!!



吹寄「ん? なんかいろんな方向から掛け声みたいなのが聞こえて――」




通りがかりのヲタク集団「ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!!」シュバッシュバッシュバッ




吹寄「」

姫神「いつのまに……」

円周「もしかしてフラッシュモブってやつ?」

一方通行「ただの便乗して騒ぎたい豚どもだろ」

結標「うわー、すごいわ。本当のアイドルのライブみたいね」



禁書『――マジカルパワード……カナミン!!』ビシッ




<ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!




一方通行「……うるせェ。この俺直々に黙らせてやろォか」ピキピキ

結標「気持ちはわからないことはないけど落ち着きなさい」


―――
――



250 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:24:13.19 ID:a/WesWa7o


同日 17:50


禁書「すっっっっごく楽しかったんだよ!!」←修道服に着替えた


上条「……そうか。そいつはよかったな」ゲンナリ

姫神「おつかれさま」

打ち止め「インデックスって歌が上手なんだね、ってミサカはミサカは意外な特技に驚きを隠せなかったり」

禁書「ふふーん。私は声とか歌を使った魔術のプロフェッショナルなんだから当然なんだよ」ドヤァ

吹寄「まじゅつ……?」

上条「あははー何でもない何でもない気にしないでくれあっははー」アセッ

円周「なるほどね。何かにおうなぁと思ったらそっちサイド人だったかー納得納得」

結標「? 何の話?」

円周「何でもないよー」

一方通行「…………」

青ピ「アックセラっちゃーん! どうやったボクらぁの余興? おもろかったろ?」

土御門「アクセラちゃんもこっち側に来とけば一緒に楽しめたんだけどにゃー」

一方通行「あァ? あンなクソみてェな真似、この俺がやるわけねェだろォが」

上条「まあたしかに」

土御門「カミやんはわかってないにゃー? アクセラちゃんはツンデレだからな。内心は一緒にやりたかったって残念がって――」

一方通行「あンま馬鹿なこと言ってるとそのグラサン、レンズなしに改造してやるぞクソ御門クン?」

土御門「にゃはははー、そいつは勘弁」


円周「……さーて、面白いもの見せてもらったし私たちも何かお礼をしてあげないといけないよねー。ねえ打ち止めちゃん?」

打ち止め「お礼? どうするつもりなのエンシュウ、ってミサカはミサカは首を傾げてみる」

円周「この場をさらに盛り上げるために私たちも余興をやろう」

打ち止め「え゛っ!? あのキハラたちの空気を微妙な感じにしたアレをまたやるつもりなの!? ってミサカはミサカはあのときのことを思い出してみたり」

円周「大丈夫だよ打ち止めちゃん。あれは数多おじちゃんたちがオッサンだったから受けなかっただけで、ここにいる人たちには受けると思うよ。たぶん」

打ち止め「……今たぶんって言わなかった? ってミサカはミサカは疑いの眼差しを向けてみる」

円周「気のせいだよー」

結標「打ち止めちゃんたちは結局なんの余興をやったのよ?」

円周「何って……ただの漫才だよ」


251 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:25:15.29 ID:a/WesWa7o


打止・円周「「どうもー!!」」テテテテ


打ち止め「打ち止めです! ってミサカはミサカは元気よく自己紹介してみたり」

円周「円周でーす!」


打止・円周「「二人合わせて、『円周率は3』でーす!! どうぞよろしくお願いしまあす!!」」


青ピ「うおお!!」パチパチパチ

土御門「待ってましたー!!」ピューピュー

一方通行「どォいうコンビ名だよ」

結標「円周率は円周ちゃんのことでしょうけど3はよくわからないわね」

姫神「ミサカのミを3にして。昔ニュースとかになってた円周率は3で教える。っていう誤報にかけたんじゃ?」

吹寄「あー、なるほどね納得」


円周「いやあアツはナツいですねー」

打ち止め「いやアツとナツが逆! というか今春なのになんでそのネタ使っちゃったの? ってミサカはミサカは問いかけてみる」

円周「そう言われると思いましてなんと! なんと! 春バージョンのネタも考えてみましたあ!」

打ち止め「おおっーさすがエンシュウだー! ってミサカはミサカは称賛の拍手を送ってみる」パチパチパチ

円周「じゃあいくよ。いやあポワはハルいですねー」

打ち止め「いやポワとハルがぎゃ……ってポワってなに!? ってミサカはミサカは突然現れた謎の名詞に驚愕してみたり」

円周「打ち止めちゃん。『ぽわい』は名詞じゃなくて形容詞だよー」

打ち止め「そんなのどっちでもいいよ! 『ぽわい』って何かってミサカは聞いてるの! ってミサカはミサカは頬を膨らませて怒りアピールしてみたり」プンプン

円周「何かって言われても『ぽわい』は『ぽわい』だよ。春はぽわいよねーって使うよ」

打ち止め「むー説明されてもわかんない。もういいよぽわいは。漫才続けようよ? ってミサカはミサカは呆れながら促してみ――」

円周「春ですねー。お花見とかいきたいよねー」

打ち止め「わっ、急に来たっ。そうだねーシーズンですからねー、ってミサカはミサカは同意してみる」

円周「花見に行きたすぎてちょっと下見に行きましてねー」

打ち止め「そうなんだ。たしかに下見とか大事だよねー、いつ行ったの? ってミサカはミサカは質問してみる」

円周「去年の12月」

打ち止め「12月!? 冬じゃん!? 季節全然違うじゃん!? そんなタイミングで下見して一体なにがわかるのさ!? ってミサカはミサカは息を荒げなからも問いかけてみたり」ゼェゼェ

円周「うーん、そうだねー。冬には桜の花は咲かないってことがわかったよ」

打ち止め「えぇ!? そんなの下見しなくてもわかることじゃん常識じゃん……ってミサカはミサカは衝撃的な答えに思わずため息が出たり」ハァ

円周「ああでも、桜の木に雪が積もってたから満開の桜に見えなくはなかったよー」

打ち止め「いらないよそんなフォロー」


252 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:26:09.63 ID:a/WesWa7o


円周「そうだ。私、食レポしてみたいんだー」

打ち止め「また急に話が変な方向に飛んだね、ってミサカはミサカは話の展開の急さに戸惑ってみる」

円周「せっかくの花見だから桜にちなんだ食べ物を食べて食レポするから、何を食べてるのか当ててみてよ」

打ち止め「なるほど、食レポクイズだね。いいよ受けて立つよ、ってミサカはミサカは肩を回してやる気アピールをしてみる」クルクル

円周「じゃあ始めるよ。わーおいしそうですねー。さっそくいただきまあす。ボリッボリッ」

打ち止め「ボリッボリッ? 硬いものかなー? 桜えびとか使ったおせんべいかな? ってミサカはミサカはさっそく予想してみたり」

円周「うーん、苦くて独特な味ですねー。特に皮の味が濃いですよー」

打ち止め「苦い? 皮? なんだろ? 思いつく食べ物がないわけじゃないけど桜に全然関係ないしなー、ってミサカはミサカはお手上げムードになってみたり」

円周「じゃあ次は葉っぱの部分を食べてみましょう。この部分は一般的にも食べられる部分ですからねー。もしゃもしゃ」

打ち止め「葉っぱ? キャベツとかそういう野菜かな? 春キャベツみたいに桜キャベツっていうのがあるのかもしれない、ってミサカはミサカはキャベツに皮がない事実を無視しながら推測してみる」

円周「うーん、やっぱり普通に食べると青臭いですね。やっぱり塩漬けにしないとねー」

打ち止め「塩漬け……? も、もしかして……まさかアレ? ってミサカはミサカは思いついてしまった答えに困惑を隠せなかったり」

円周「では最後に花びらを食べてみましょー。もきゅもきゅ」

打ち止め「はい!! 答えは『桜の木』ー!! てか桜にちなんだというか桜本体じゃん!! 食べ物じゃないじゃん!! ってミサカはミサカは出題内容に抗議してみたり」

円周「はい。正解は『桜の木』でしたあ! よくわかったねー。さすがクイズ王を名乗るだけあるよ」

打ち止め「そんなの名乗ったこと一度もないよ! ってミサカはミサカは否定してみる」

円周「ところで花見に来たら一度やってみたかったことがあるんだあ」

打ち止め「いっつも突然来るね。何かな? ってミサカはミサカは不安を抱きながらも聞いてみる」

円周「一度綺麗に咲いてる桜の木の下を掘ってみて、死体が埋まってないか確認してみたいんだー」キラキラ

打ち止め「うぇー、なんでエンシュウはそんなグロテスクなことを目を輝かせながらやりたい発言できるの―? ってミサカはミサカは怪訝な表情を浮かべてみたり」

円周「私は桜の木の下を掘る人やるから打ち止めちゃんはなんか一緒にいる人やってよ」

打ち止め「なんか一緒にいる人って曖昧な感じの役だなー。一緒に掘る人役でいいと思うんだけど、まあいいか、ってミサカはミサカはしぶしぶ了承してみる」

円周「わあい、今日は絶好の死体掘り日和だあ! 掘るぞ掘るぞー! ザッザッ」

打ち止め「死体掘り日和ってどんな日なの? 晴れの日? 雨の日? お昼? それとも夜? ってミサカはミサカは疑問符が止まらなくなってみたり」

円周「ザッ! ザッ! ガッ! おっ、なんか出てきた! ……これは箱? 棺桶かなあ?」

打ち止め「えっ、桜の木の下の死体ってそんな感じで埋まってるの!? ってミサカはミサカは意外な事実に面食らってみたり」

円周「ではさっそく開けてみよう。ガチャリ」

打ち止め「死体が入ってるかもしれないのに箱を開けるのに躊躇がなさすぎるよ、ってミサカはミサカはその迷いのなさが怖い」

円周「なにが出るかなあ♪ なにが出るかなあ♪ うん? これはビック○マンシール? しかも古いやつだ」

打ち止め「なんでそんなものが入ってるの? ああ、もしかして生前大事にしてたものと一緒に埋葬するっていうあれかなー、ってミサカはミサカはドラマで見た知識をひけらかしてみる」

円周「他にはなにか入ってないかなあ? おっ、これは写真だ。小さい男の子が写ってるね」

打ち止め「たぶん息子さんの写真とかだろうね。やっぱり子供って親から見たら大事なものだしね、ってミサカはミサカは推理してみる」

円周「あとは……あっ、手紙が出てきたよー、ほら」スッ

打ち止め「手紙? 一体何が書かれてるんだろ? ってミサカはミサカは好奇心に負けて手紙を開けてみたり、べりっ」

打ち止め「なになにえっと、『10年後のボクへ』……ってこれ10年後の自分への手紙ぃ!! これ棺桶じゃなくてタイムカプセルじゃんッ!! ってミサカはミサカは今日一番の声量で吠えてみたり!」

円周「これじゃあ死体掘り大会じゃなくて同窓会だね。どやぁ」

打ち止め「いやドヤ顔するほどうまくはないから! もういいよ!」


打止・円周「「ありがとうございましたあ!!」」


253 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:27:19.59 ID:a/WesWa7o



パチパチパチパチパチ



結標「……うん、頑張ったね二人とも!」

青ピ「いやーロリ二人がイチャイチャ漫才してるところ見てたらこうふ――ぶべらっ」ドガァ

一方通行「棺桶に入れてそのまま桜の木の下に埋葬してやろォか変態野郎」

姫神「ところどころに。光るところはあった。ような気がする」

土御門「まあたしかにちゃんと漫才っぽくなってたと思うぜい」

吹寄「そうね。きちんとネタを作ってやり切るなんてエライわ」

禁書「おふわははらはったへほ、おはっはほおほうほんはお!!」モガモガ

上条「口の中に物がなくなってから喋れ!」


打ち止め「……うわーん! やっぱり微妙な空気になっちゃったじゃん! だめだったじゃんエンシュウ! ってミサカはミサカは涙ながらに文句垂れたり」

円周「やっぱりだめだったかあ。しょうがない。空気が元に戻ってそうな数多おじちゃんたちのところに撤退しよう」タッタッタ

打ち止め「あっ、ちょっとまってよエンシュウー! ってミサカはミサカは追いかけてみたり」トテトテ


結標「……二人ともいっちゃったわね」

一方通行「うるせェのが消えてせいせいするな」

結標「ところで一方通行様的にはさっきの漫才はどうでした?」

一方通行「内容の良し悪しはよくわからねェけど、あのクソガキの長ったらしい語尾がテンポ崩してるってことはわかる」

結標「あー、なるほどね」


―――
――



254 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:28:25.96 ID:a/WesWa7o


同日 18:00



青ピ「――さあて、盛り上がってきたところでお次の余興です! じゃーん、みんなで楽しく王様ゲームをやりまひょー!」つ割り箸



土御門「うおお」

結標「漫画とかでよく見るやつだわ!」

姫神「定番だね」

禁書「王様ゲームって何とうま?」モシャモシャ

上条「当たりと番号書かれたくじを引いて当たりを引いた人が王様になって、他の人になんでも好きな命令できるってゲーム」

禁書「えっ、なんでも!?」

上条「常識の範囲内のなんでもだぞ」

吹寄「王様ゲームか……ゲームに乗じていやらしいことをしてやろうって魂胆が見え見えね」ジトー

青ピ「いやいやそんなわけないですよ吹寄さん。紳士であるボクがそないな卑劣極まりないことするわけないやん」

吹寄「どうだか……」

結標「それならそういう命令は禁止にすればいいんじゃないかしら?」

吹寄「それもそうね。そうしましょ」

青ピ「ヴェ!? ……せやな。健全で楽しい王様ゲームにしましょ」

一方通行「さっきのヴェは何だよ」

土御門「まあぶっちゃけ王様になっていやらしいことしようとしても、相手はランダムだからにゃー。下手したら男×男の地獄絵図が生まれるからリスクがでかすぎるぜい」

結標「それはたしかにキツいわね……」


青ピ「ほなさっそく始めるようや。みんな割り箸選んで選んでぇ」スッ


禁書「これにするんだよ!」スッ

上条「こういうのって当たり引いたことないんだよなぁ。一回くらい引いてみてえなぁ」スッ

姫神「反対に。命令の対象にばかりされそう」スッ

吹寄「でもいざ王様になってもやってほしい命令なんて思いつかないわね」スッ

土御門「ま、なんでもいいわけだから気楽にいこうぜい」スッ

一方通行「面倒臭せェ。これ俺が王様引いたら王様ゲーム終了って命令してもイイか?」スッ

結標「百パーセント白けるから絶対にやらないでよ?」スッ


青ピ「よし、みんな選んだな。ほな――」




「「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」」




255 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:29:52.87 ID:a/WesWa7o


青ピ「おっ、いきなりボクかラッキーやなあ」

吹寄「いきなり当たってほしくないヤツが王様になったわね」

青ピ「まあまあそんな警戒せんでもええでー、吹寄さんが思うとるようなことはせんせん」

一方通行「それだけ信用がねェっつゥことだろうな」

姫神「残念ながら」

青ピ「みんなしてひどいなぁ。ほな、最初の命令は軽いジャブってことで」スッ



青ピ「この場にあるあらやる飲み物や調味料を絶妙な割合で配合した、スーパーデリジャスグレイトワンダフルエナジードリンクを一気飲みしてもらうでえ!!」ババーン



結標「うっ、すごいニオイ……」

土御門「なんとも形容し難い色をしてるにゃー」

吹寄「そういえばこの馬鹿はこういう方面でも馬鹿だってこと忘れてたわ」

一方通行「そこら辺の泥水すすったほうがマシだな」

禁書「……さ、さすがの私もそれは口にしたくないかも」

姫神「あの暴食シスターが。そんなことを気にするなんて。あれは相当やばい……!」


青ピ「さて、このスーパ(ryドリンクを飲むのは4番の人やでー!」


上条「うわぁ、絶対に飲みたくねーなぁ……ん? 4番?」

上条「…………」つ4番の割り箸

青ピ「…………」つスーパーデリジャスグレイトワンダフルエナジードリンク

上条「…………」

青ピ「…………」ニッコリ

上条「……あはは」スッ



256 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:31:04.07 ID:a/WesWa7o



上条「」チーン



土御門「無茶しやがって……」

姫神「残念ながら。予定調和」

青ピ「じゃあカミやんが再起不能になったんで、次はカミやん抜きでやりますか」スッ

禁書「王様ゲーム……まさかこんな過酷なゲームだったなんて思わなかったんだよ」

一方通行「いや、全部が全部あンな命令じゃねェだろ、たぶン」




「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」




結標「あっ、次は私ね! どうしようかなー?」

吹寄「まあ結標さんなら無茶な命令はしないでしょ」

一方通行「そォとも限らねェぞ。『私の作った料理食べろ』なンつゥ命令が下された瞬間、上条クン2号が誕生することになるぞ」

結標「そんなにその命令をして欲しいならしてあげようか?」ギロッ

一方通行「スンマセン、勘弁してください」



結標「じゃあ私の命令よ。1番の人はこの王様ゲーム中ずっと語尾に『にゃん』をつけなさい!」



姫神「まあ。こういう命令なら」

吹寄「というかこれ土御門が対象だったらほぼダメージないじゃない」

土御門「たしかにそうだにゃー。でも残念ながらオレは5番だから対象じゃないぜい」

禁書「じゃあ誰が1番なのかな?」


一方通行「…………」つ1番の割り箸


青ピ「あっ……」

吹寄「ぷふっ」

姫神「おお。これは面白い展開」


一方通行「……ちょっと用事思い出したから帰るわ。じゃあな」ガチャリガチャリ

結標「まあ待ちなさいよ1番の人」ガシッ

一方通行「離せ腐れ王。俺には大事な用事があるンだよ」

結標「どうせお風呂入って寝るとかそんなんでしょうが。許さないわよ」

一方通行「クソが! 学園都市第一位の超能力者(レベル5)のこの俺が何でこンな真似をしなきゃ――」


257 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:32:51.24 ID:a/WesWa7o


青ピ「王様の」ニヤニヤ

姫神「命令は」ニヤニヤ

吹寄「絶対」ニヤニヤ

土御門「だにゃー」ニヤニヤ

禁書「えびふらいおいしいんだよ」モグモグ


一方通行「クソ野郎どもがァ……」ギリリ


結標「じゃ、改めて命令するわ。1番の人は語尾に『にゃん』をつけなさい!」

青ピ「そういや1番の人の名前ってなんやったかなぁ? ちょいと自己紹介してほしいでー」

土御門「おっ、そいつはいい考えだにゃー。じゃあ1番の人お願いしまーす!!」



一方通行「…………お、俺の名前は、あ、一方通行(アクセラレータ)だ……、にゃン」



青ピ「ぶふっ、ぶわっはははっははははははははははははっ!!」

土御門「ひぃーひぃー腹痛い!! 腹痛い!!」

吹寄「ふふふ、ま、まあに、似合ってるんじゃない? っく」

姫神「まさしく。王様ゲームらしい楽しい展開。ぷふっ」

一方通行「オマエらあとで絶対ブチのめすから覚えてろよ……にゃン」

禁書「あくせられーた?」

一方通行「あン?」

禁書「何で語尾に『にゃん』なんてつけてるの?」

一方通行「オマエは王様ゲームに参加しているンじゃなかったのか? ……にゃン」


青ピ「いひひひ、さてひとしきり笑ったところで次のくじ引きましょか」

上条「……あー、死ぬかと思った」

吹寄「あら、上条当麻。復活したのね」

上条「今どういう状況なんだ? やけに笑い声が聞こえてきたけど」

土御門「それはアクセラちゃんに聞いてみると一番よくわかると思うぜい」

上条「? どうなってんだ一方通行?」

一方通行「……オマエに喋ることなンざねェよ引っ込ンでろ三下……にゃン」

上条「……にゃん? あー、誰かに語尾に『にゃん』つけろみたいな命令されたのか。かわいそうに」

一方通行「何でオマエはそういうところだけ察しがイインだよォにゃン!? もしかして知ってて聞きやがったなクソ野郎がにゃあああああン!!」カチッ

上条「ぎゃあああなんか当ててしまってすまん!! すまんから電極のスイッチ切ってくれえええ!!」


258 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:34:11.98 ID:a/WesWa7o



「「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」」



吹寄「あら、今度はあたしね」

上条「おっ、次は吹寄が王様か」

土御門「一体どんな冷徹非道な命令が下されるんだにゃー? 恐ろしいぜい」

吹寄「なっ!? あたしはあなたたちと違ってそんな命令しないわ!」

青ピ「ならどんな面白おかしい命令が飛び出すんやろうなぁ」

結標「楽しみね」

一方通行「俺に被害が及ばなかったら何でもイイにゃン」

姫神「なんかにゃんの語尾が。普通に定着してきてない? アクセラ君」

吹寄(……しかしいざ王様になってみても何にも命令が思いつかないわね。どうしようかしら?)

禁書「……どうかしたのせいり?」

吹寄「な、なんでもないわ。よし、だったらあたしからの命令よ」



吹寄「5番の人が今ここにあるゴミをゴミ捨て場に持っていきなさい!」

ゴミ『塵も積もれば山となるってなぁ!!』



上条「あー、なんつーか吹寄らしい命令だな」

青ピ「ぶーぶー、そんな命令してなにがオモロイんやー! ぶーぶー」

吹寄「う、うるさいわね! 何でもいいでしょ!? てかあたし王様よ? 文句言わないでちょうだい!」

結標「ところで5番って誰なのかしら?」

姫神「5番は私」つ5番の割り箸

土御門「おお、よりもよって女子にこの命令が下ってしまったのか」

吹寄「ご、ごめんね姫神さん」

姫神「問題ない。それじゃ。ゴミを捨てに行ってくる。よっと」スッ

禁書「うわー、重そうなんだよ。本当に大丈夫なのあいさ?」

姫神「……大丈夫。持っていけないことはない」フラッフラッ



上条「……よし! 姫神、俺も一緒に行くよ」



259 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:35:09.61 ID:a/WesWa7o


姫神「えっ? いいよ。私一人で大丈夫だから」

上条「何言ってんだそんな足をふらつかせて。無理すんなって」

姫神「でもこれは。王様ゲームの命令だから」

上条「……なあ王様、俺もゴミ捨て手伝ってもいいだろ?」

吹寄「えっ、ええ別にいいわよ」

上条「王様の許可が下りたな。じゃ、行こうぜ姫神」ニコッ

姫神「……うん。ありがとう」ニコッ



一方通行「ケッ、さすがは上条だにゃン。大したヒーローっぷりなこったにゃン」

禁書「……はぁ、まあとうまはああいう人だからね。しょうがないんだよ」

青ピ「まさしく一級フラグ建築士やでー」

土御門「まあもともとフラグは建ってる相手だから、その言葉を今使うのはちょっと微妙だけどにゃー」

結標「ねえ、吹寄さん」ボソッ

吹寄「な、なに結標さん?」

結標「さすがね。ああいう展開になることを予想してあの命令を出したのね」

吹寄「えっ?」

結標「えっ?」

吹寄「…………」

結標「…………」



吹寄「……そ、そうよ! まさしく計画通り、ってやつよ!」

結標「うおお吹寄さんすごい!」



一方通行「何二人盛り上がってンだにゃン。あの馬鹿二人はにゃン」

禁書「……なんか私の中でね、あくせられーたが『にゃん』って言ってるのに違和感がなくなってきたかも」ゴモゴモ

一方通行「オイやめろにゃン」



260 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:36:48.55 ID:a/WesWa7o


青ピ「じゃ、姫神ちゃんたちが帰ってきたから続きやるでー!」スッ




「「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」」




一方通行「……おっ、アハッ、俺が王様かにゃン」

上条「今度は一方通行か」

結標「変な命令しないでよね」

一方通行「オマエが言うンじゃねェにゃン。何だよ『にゃん』をつけるとかいうクソみてェな罰ゲームはにゃン」

結標「何言ってるのよ? こういうのは王様ゲームでは定番よ? 漫画で見たから間違いないわ」

一方通行「フィクションの世界じゃねェか!」

吹寄「もういいからアクセラ? さっさと命令しちゃいなさい」

一方通行「おォ。じゃあ俺の命令はこれだにゃン」




一方通行「1番の人が7番の人に全力でデコピンしろにゃン」




青ピ「うわー暴力なんてサイテー」

土御門「ゲームの楽しい空気ぶち壊しだにゃー」

一方通行「ハァ? これくらい問題ねェだろ、別に全力でぶん殴れって言ってるわけじゃねェンだからにゃン」

結標「ま、まあそうだろうけど」

上条「ちなみに1番は俺なんだけど、7番の人って誰だ?」つ1番の割り箸



吹寄「……あたしよ上条当麻」ギロッ



上条「」

姫神「おお。これは」

青ピ「カミやんがついに一年七組の最高戦力に反旗を翻すのか……盛り上がってまいりました!!」

土御門「いけいけカミやーん! お前のゲンコロフィンガーを見せてやれい!」

禁書「よくわかんないけどがんばれーとうまー!」モシャモシャ

一方通行「ぎゃはっ、適当に考えた命令だったが結構盛り上がってンじゃねェかにゃン」

結標「まあ、約一名絶望に満ち溢れた表情してるけどね」



261 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:38:25.06 ID:a/WesWa7o


吹寄「…………」

上条「……ええと、吹寄さん?」

吹寄「なによ?」

上条「い、今から全力デコピンすんだけど、これはあくまで王様ゲームの命令であって」

吹寄「それくらいわかってるわよ。早くしなさい」

上条「……本当にやっていいんでせうか?」

吹寄「王様の命令は絶対よ? いいから早くやりなさい、やらないなら逆にあたしがデコピンするわよ?」

上条「いぃぃ!? やります!! やらせていただきます!!」


吹寄「……ふう」スゥ

上条「じゃ、じゃあ行きますよ?」

吹寄「き、来なさい……!」ギリッ


結標「…………」ドキドキ

姫神「…………」ジー

禁書「…………」モグモグ

青ピ「…………」ワクワク

土御門「…………」ニヤニヤ

一方通行「ふわァ」



上条「――あああああああああああああッ!! 吹寄さん!! 申し訳ございませええええええええええええええええええええええええん!!」パッ



バチン!!



吹寄「痛ッ……!」グラッ

上条「があああああああああおでこ硬ったああああああああああああああああああ!? 指があああああああああああああああああああああああああッ!!」ゴロンゴロン



結標「だ、大丈夫吹寄さん?」

姫神「おでこ。切ったりとかして。傷とか出来てない?」

吹寄「え、ええ大丈夫。あれくらい平気よ」

青ピ「おおー、驚異の防御力やなぁーさすがやで」

土御門「まさしく吹寄おでこDXだにゃー」

一方通行「どォでもいいけど、オマエら地面にのたうち回ってる三下を少しは心配したらどォだにゃン」

姫神「まあ。上条君なら平気だろうし」

土御門「心配するだけ損だにゃー」

禁書「とうま! このたこさんウインナーすごく美味しいんだよ! とうまも食べる?」

上条「…………不幸だ」


262 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:39:57.93 ID:a/WesWa7o




「「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」」




青ピ「おっ、またボクやんラッキーやで! 日頃の行いがええからやろうなぁ」

一方通行「寝言は寝て言えにゃン」

吹寄「次は一体どんなひどい命令をする気かしら? また変なドリンク飲ませるみたいな二番煎じしようと思ってるんじゃないでしょうね?」

禁書「飲むなら美味しい飲み物が飲みたいかも」モグモグ

上条「それじゃ罰ゲームにならねえから面白くないだろ」

青ピ「まあさすがに同じネタを繰り返すなんて馬鹿なことせーへんわ。さーて、あんまドギツイ命令すると吹寄さんに怒られそうやからこれくらいのライトなのにしよーかな」



青ピ「3番の人が1番の人に食べ物をあーんするんや!!」



吹寄「……まあ、これくらいならいいか」

禁書「あっ、1番は私なんだよ! 早く食べさせてほしいかも!」つ1番の割り箸

上条「お前さっきからずっと食ってばっかじゃねえか!」

姫神「じゃあ。3番は誰?」

一方通行「……チッ、また俺かよにゃン」つ3番の割り箸

結標「!?」

吹寄「あー、まあこれはしょうがないわね」

姫神「ドンマイ」



一方通行「面倒臭せェからさっさと終わらせるかにゃン。オイクソシスター口開けろにゃン」つからあげ

禁書「あーん!」

一方通行「ほら食えにゃン」スッ

禁書「んっ……おいひいんはほ! あふぃあふぉあふへはへーは!(おいしいんだよ! ありがとあくせられーた!)」モガモガ

一方通行「口に物入れたまま喋ってンじゃねェにゃン」



結標「…………いいなあ」ボソッ

青ピ「……おかしいなぁ。本当は他の女子連中が恥ずかしがりながら食い食わせする展開を期待してたのになぁ」

土御門「打って変わってのほのぼの展開だったにゃー」


263 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:41:23.14 ID:a/WesWa7o




「「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」」




土御門「おっ、今度はオレかい?」

吹寄「変な命令するんじゃないわよ?」

土御門「わかってるにゃー。ちゃんとやっていいラインは心得てるつもりですたい」

一方通行「本当だろォなにゃン。オマエの言ってることは全然信用できねェンだよにゃン」

土御門「信用されてないにゃー。ま、いっか。じゃあオレの命令行くぜい」スッ




土御門「6番の人は王様ゲーム中、このミニスカメイド服+ネコミミを着用するんですたい!!」つミニスカメイド服セット+ネコミミ




青ピ「うおおおおおおおおおおおおおボクは7番だから高確率で女の子のメイド服が見れるうううう!!」つ7番の割り箸

上条「わっ、俺2番かこえー。つーか、これ吹寄的にアウトになるんじゃねえのか?」つ2番の割り箸

土御門「にゃー、これはアウトとは言わせないぜい。吹寄はさっきインデックスがやったカナミンのコスプレを許容したからにゃー」

吹寄「あ、あれはインデックスが望んで着てるから――」

禁書「おおっー! 何かまいかが着てる服に似てるんだよ! ちょっと着てみたいかも! でも私は3番だから違うんだよ」モグモグ

土御門「最年少のインデックスが着たいと言ってるのに、大人な我々が恥ずかしいなどと言って拒否するのどうなのかにゃー?」ニヤリ

吹寄「ぐっ、まあいいわよ。言っておくけどあたしは6番じゃないわよ」つ5番の割り箸

結標「私も4番だから違うわね」つ4番の割り箸

姫神「私も違う」つ1番の割り箸

結標「……ってことは」チラッ



一方通行「…………」つ6番の割り箸



青ピ「あっ……」

吹寄「えぇ……」

結標「……ぷぷっ」

上条「ありゃあ……」

姫神「今日はよく当たるね。アクセラ君」

禁書「?」モグモグ



264 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:42:29.45 ID:a/WesWa7o


一方通行「…………あばよ、クソ野郎ども」カチッ



結標「あっ、逃げるつもりよ!」

姫神「まあ。これはしょうがない」




一方通行「こンな茶番、付き合ってられ――」グッ




バガン!!




一方通行「なっ!? 能力が使えねェだと!?」


ヒラヒラ


上条「? なんだこのヒラヒラした紙吹雪みたいなの? どっかで見たことある気がする」



土御門『攪乱の羽(チャフシード)』。電波攪乱兵器の一種だぜい」




一方通行「またかクソがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」ドンドン




上条「まあまあ落ち着けって一方通行」ポン

一方通行「さり気なく右手で触って能力封じてンじゃねェぞ三下ァ!!」

青ピ「そない怒らんでもええやんアクセラちゃん。ほな、行こうや」ニヤニヤ

一方通行「あァ!? どこ行こうってンだゴルァ!!」

土御門「お着替えタイムだぜーい」ニヤニヤ



〜しばらくして〜



265 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:44:03.96 ID:a/WesWa7o



一方通行(ネコミミミニスカメイド)「クソッタレが……」



結標「きゃあああああ!! 前から見てみたかった一方通行の女装姿!!」キラキラ

上条「おおっ、なんだ結構似合ってんじゃねえか」

姫神「元の顔立ちが中性的だから。女物の服でも違和感がないね」

禁書「たしかにあくせられーた女の子みたいなんだよ!」モガモガ

吹寄「ぷふっ、そうね女の子みたい」クスクス

土御門「みんなに大好評で何よりだにゃー。こっちも準備してきた甲斐があるってもんだぜい」


青ピ「……なあアクセラちゃん」

一方通行「あァン!?」

青ピ「ボクって実は『男の娘』もいける口なんよなぁ」ワキワキ

一方通行「オラァ!!」スッ



パコン



青ピ「おうふっ、アクセラちゃんの能力なしヘナチョコパンチが女の子らしさが出ててよきッ!!」

一方通行「クソがッ!! まだチャフの効果切れてねェのかよ長げェよ!!」

土御門「ああ、能力使われて逃げられても困るから、登場シーンの前くらいにもう一回撒いといた」

一方通行「余計なことしてンじゃねェぞクソ野郎がァ!!」

結標「ねえ一方通行?」

一方通行「何だよ!?」

結標「一つ忘れてることがあるでしょ?」

一方通行「あァ?」

結標「私が王様になったときの命令よ」

一方通行「あっ……」

結標「ね?」ニコニコ

一方通行「…………」



一方通行「オマエらあとでホントにぶっ潰してやるからにゃああああああああああああああああああああああン!!」



266 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:45:44.65 ID:a/WesWa7o




「「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」」




姫神「あっ。私が王様」

上条「次は姫神か。くそーやっぱなかなか王様引けねーなぁ」

青ピ「ヒメやーん! いっちょ面白い命令頼むでー!」

姫神「……了解した。そこまで言うなら。期待に応えよう」ニヤリ

土御門「おっ、なんか嫌に自信満々やなぁー楽しみだぜい」

姫神「では……」スッ




姫神「4番と7番の人が。このポッキーを使って。ポッキーゲームをしてもらう」



青ピ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

土御門「きたああああああああああああああああ!!」



姫神「ちなみにルールは。王様である私と二人の勝負。途中でどっちかがポッキーを折ってリタイアしたら二人の負け」

姫神「負けたら罰ゲームとして。青髪君が作ったドリンクの残りを。二人に飲んでもらう」

吹寄「ちょ、ちょっと姫神さん!」

姫神「大丈夫。さすがにマウストゥマウスはマズイと思うから。二人の鼻頭が接触したら。クリアとする」

吹寄「……まあ、それならいーか」

姫神「だけど鼻頭で済ますか。またその先を目指すかは。本人たち次第とします」ニヤリ

禁書「うーん、私は5番だから外れだね。ポッキー食べたかったかも」

上条「お前はそればっかだな」

一方通行「結局、4番と7番って誰なンだにゃン? 俺は違うぞにゃン」つ2番

結標「私も違うわ。なんか焦ってそうだったから吹寄さん?」つ1番

吹寄「違うわよ。不健全なゲームにならないように止めようとしただけよ。ちなみにあたしは6番よ」

上条「俺は3番だな。まあこういうゲームはあんまりやりたくないから、当たらなくてラッキーだぜ」



青ピ・土御門「「……ん?」」



青ピ「……えっと、つっちーって何番?」

土御門「……4番なんだけど。ちなみにピアスクンは?」

青ピ「7番……」

姫神「…………」つポッキー

青ピ・土御門「「…………」」


姫神「……王様の命令は絶対」ニヤリ


267 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:47:04.07 ID:a/WesWa7o



〜見苦しいシーンなので割愛〜



土御門「オエエエエエエエエエ!! 何が楽しくて野郎とゼロ距離顔面しなきゃいけないんだオエエエエエエエエエ!!」

青ピ「それはこっちのセリフやでオロロロロロロロロロロ!!」



吹寄「ふん。いい気味よ」

一方通行「あはっ、ぎゃはっ!! 俺を散々おもちゃにしてくれたバチが当たったよォだにゃン!! ざまあねェにゃンッ!!」

禁書「すごく嬉しそうだねあくせられーた」パクパク

上条「うぇ、これやるほうも地獄だろうけど見る方も地獄だな」

姫神「世の中には。こういうのを見たりして。楽しむ女子がいるらしい」

結標「へー、そうなんだ」



青ピ「――はぁ、はぁ、オェ……じゃあ、気を取り直してくじ引くでー」フラッ



上条「そんな状態になりながらまだやるつもりなのかよ」

吹寄「もうやめたら? いろいろダメージを受けた人もいるだろうし、これ以上やっても素直に楽しめる気がしないわ」

土御門「だにゃー、そろそろ潮時かもな」

結標「そうね。ドキドキ感とかはすごいせいか知らないけど、すごい疲れた気がするし」

一方通行「オマエは特に何も罰を受けてねェだろォがにゃン」

青ピ「ぐぬー、ボク的に思い通りの展開には出来なくて残念やが、みんながそう言うならしゃーないなぁ。ほな次ラストにしましょ」スッ

姫神「まあ。もう一回くらいなら。いいか」

吹寄「しょうがないわね」





「「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」」





268 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:48:28.52 ID:a/WesWa7o


禁書「うん? とうまー、なんか割り箸に赤い印が付いてるんだよ」

上条「お前それ王様の当たりくじじゃねえか! チクショウ、やっぱ俺じゃ王様引けなかったか」

結標「王様になって何の命令するつもりだったのかしら?」

上条「いや、ただ当たりを引きたかっただけで、別にそのあとのことは考えてなかった」

吹寄「じゃあインデックス。王様になったのだから命令を言ってちょうだい」



禁書「うーん、だったらやきそばが食べたいんだよ!! あくせられーた買ってきて!!」



一方通行「ハァ? 何言ってンだオマエにゃン? ルールきちンと理解してねェようだにゃン?」

禁書「?」

姫神「1から7までの番号を言って。その番号を引いてた人がその命令をやる。さっきまであなたもやってたでしょ?」

禁書「なるほど。だったらあくせられーたと7番の人は焼きそば買ってきて!」

一方通行「だから何で俺だけ名指しされなきゃいけねェンだにゃン!? 潰すぞクソガキが!」

吹寄「もういいじゃない。7番の人と焼きそば買ってくれば?」

一方通行「納得いかねェにゃン。何でルールガン無視しやがるクソ王にパシりさせられなきゃいけねェンだにゃン」

青ピ「まあ最後の命令ってことやしサービスってことでええやん」

一方通行「……やっぱり納得いかねェにゃン」

上条「ところで7番の人って誰だ?」


結標「……えっと、私」つ7番の割り箸


一方通行「……うわァ」

結標「うわぁ、とは何よ? どっちかと言ったら女装してにゃんにゃん言ってるヤツと一緒に歩かないといけない、私のほうがうわぁだわ」

一方通行「その半分はオマエのせいだってこと忘れるなにゃン」

吹寄「はい! じゃあ二人とも屋台の方に行って焼きそば買ってきてちょうだい」

上条「ああ、焼きそば代出すよ。いくら王様の命令は絶対だからって言って、金まで出させるわけにはいかねえからな」

一方通行「チッ、いるかよそンな端金にゃン。結標、とっとと行って終わらせるにゃン」

結標「はいはい。じゃあちょっと行ってくるわね」

吹寄「ふふっ、ごゆっくりー」

禁書「いってらっしゃいなんだよ!」

一方通行「……つゥか、服着替えてイイかにゃン? こンな格好他の知り合いに見られたらマズイにゃン」

青ピ「何言うとんねんアクセラちゃん!! お使いが終わるまでが王様ゲームや!!」

土御門「ま、それに今のアクセラちゃんなら、ちょっとくらいの知り合いになら見られてもバレないと思うからへーきへーき」

姫神「それはたしかに言えてる」

一方通行「クソ野郎どもがにゃン……」


――――――



269 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/10(金) 20:51:01.41 ID:a/WesWa7o
一方さんが幻想殺し宿したんじゃないかっつうくらい罰ゲーム喰らいまくってるけどままえやろ

次回『花見(後編)』
270 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:12:44.98 ID:H6pEj9I5o
インデックスさん登場シーンを書いてるときにはスフィンクスさんの存在を高確率で忘れているけど日常シーンで一緒に居ないってのはおかしいから一応おるということにしておこう

投下
271 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:13:30.64 ID:H6pEj9I5o


12.花見(後編)


March Forth Sunday 18:30

-第七学区・とある桜公園・桜祭り会場-



ワイワイガヤガヤ



一方通行「クソが……何で俺がこンなことしなきゃいけねェンだにゃン」ガチャリガチャリ

結標「ちゃんと私の命令律儀に守ってて偉いわね」テクテク

一方通行「守らねェとオマエグチグチ言ってきてうるせェだろにゃン」

結標「私って貴方から見たらそんなふうに映ってるわけ?」

一方通行「さァにゃン」

結標「もう……しかしいろいろな屋台が出ててすごいわね」

一方通行「おかげで人が多くていけねェにゃン。つゥか――」


モブ客1(メイド服……?)ジロジロ

モブ客2(うわー、肌しっろ。外国の人?)ジロジロ

モブ客3(ネコミミメイドか。ふっ、尻尾がついてないから70点だな)ジロジロ


一方通行「この服装のせいでやけに注目浴びてうっとォしいにゃン」ギロリ


モブたち「!!」スタコラサッサー


結標「関係ない人たち睨んでどうするのよ?」

一方通行「ヤツらがジロジロ見てきやがるのが悪いにゃン」

結標「しょうがないわよ。ただでさえ白髪赤眼で目立つのにネコミミメイド服だし」

一方通行「これもしかしてバレてンじゃねェのかにゃン? 俺が男だって」

結標「うーん、どうだろ? まあでも土御門が言ってたみたいに、知らない人ならたぶん女の子だとは思うだろうけど」

一方通行「チッ、女装好きの変態野郎なンて思われたくねェぞ俺はにゃン」

結標「大丈夫よ、変態野郎なんて思われないわよきっと。ああ、そういう人なんだなあ、くらいでしょたぶん」

一方通行「どっちにしろ俺からしたら不本意なンだよクソッタレにゃン」

結標「でしょうね」

一方通行「チッ、面倒臭せェ状況になる前にとっとと焼きそば買って帰るにゃン」

結標「はいはい」



黄泉川「おっ、淡希に一方通行じゃん! よーす」



272 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:14:12.43 ID:H6pEj9I5o


一方通行「!?」

結標「あっ、黄泉川さんどうも」

黄泉川「おーおー、一方通行の格好からしてどうやらお花見をしっかり楽しんでるようじゃんねえ。よかったよかった」

一方通行「あァ!? 楽しンでるわけねェだろォがにゃン!」

黄泉川「にゃん? ああ、王様ゲームでもやってんのか? そいつは災難だったな」

結標「すごいですね黄泉川さん。よくわかりましたね」

黄泉川「ま、アンチスキルの飲み会とかでもたまーにやったりするからな。だからなんとなくわかったじゃん」

結標「なるほど」

一方通行「つゥか、アンチスキルって一応教師の集まりだったよにゃン? そンなヤツらがこンないかにもな不健全なゲームやっててイイのかにゃン?」

黄泉川「お前らが思ってるような命令はさすがにやらないさ。そのへんはちゃんとわきまえてるじゃんよ」

結標「例えば黄泉川が王様になったらどんな命令するんですか?」

黄泉川「私? うーんそうじゃんねー。私だったら腕立て伏せ100回やれ! とかかな?」

結標「それはなかなかにハードですね……」

一方通行「オマエとは絶対ェ王様ゲームやらねェぞ」

黄泉川「えぇー? 今度ウチでご飯食べてるときとかやろうよー?」

一方通行「するかボケ!」

結標「……ところで黄泉川さん。さっき普通に一方通行って呼んでたけど、こんな格好でよくわかりましたね?」

黄泉川「そりゃそうだろー。なんせ一緒の家に住んでる同居人じゃん?」

結標「あーたしかにそうですね」

黄泉川「それにこんな目立つ容姿のやつ、この学園都市に二人や三人居てたまるかっての」

一方通行「……そいつは俺のことを馬鹿にしてるっつゥことでイインだよにゃン? 黄泉川クゥン?」

黄泉川「なははごめんごめん。でも特徴的なのは事実じゃん?」

一方通行「チッ」

黄泉川「……おっと、そういや見回りの途中だった」

結標「そういえばそうでしたね。すみませんなんか喋っちゃって」

一方通行「サボってンじゃねェよアンチスキルさンよォにゃン」

黄泉川「じゃ、花見楽しめよー」ノシ

結標「黄泉川さんもアンチスキルのお仕事頑張ってください」ノシ


273 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:15:37.46 ID:H6pEj9I5o


一方通行「……チッ、いきなり知り合いに会うとは思わなかったにゃン」

結標「たしかにね。でも黄泉川さんだったからよかったんじゃない?」

一方通行「まァな。もしアレが木原とかクソガキどもとかだったら俺は理性を抑えきれる気がしねェにゃン」

結標「黄泉川さんのお世話になるようなことはやめなさいよほんと」

一方通行「それはこれからの運次第だにゃン」

結標「運って……はぁ、だったら早く焼きそば買って、王様ゲーム終わらせて着替えないとね」

一方通行「たまにはイイこと言うじゃねェか結標クン。この格好をする時間を伸ばせば伸ばすほどよくねェことが起こる確率が高まるンだにゃン」

結標「そうね……」



ワイワイザワザワ



結標「この人混みだからどこに誰がいるかわかったものじゃないしね」

一方通行「ハァ、ホント人混みっつゥのは慣れないにゃン」

結標「じゃ、早く行ってパパっと終わらせて帰りましょ? インデックスが待ってるわよ?」

一方通行「つゥか、何であの野郎は俺を名指しで指名しやがったンだにゃン?」

結標「……ふん。それはあれでしょ? 貴方がいつもいつもインデックスに優しくしてあげてるからでしょ?」

一方通行「優しくしてるつもりはねェにゃン。ぎゃあぎゃあうるせェからメシィ与えて黙らせてるだけだにゃン」

結標「それが優しさっていうんじゃないかしら?」

一方通行「……オマエ何か怒ってないかにゃン?」

結標「別に!」

一方通行「チッ、まァイイ。とにかくさっさと焼きそば買って――」




??「――あら? もしかして鈴科さんではないでしょうか?」




一方通行「ッ!?」

結標「すずしな?」



274 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:16:26.58 ID:H6pEj9I5o


婚后「やっぱりそうでしたわ! 奇妙な格好をしているので最初気付きませんでしたのよ」

湾内「お久しぶりですわね鈴科さん」

泡浮「鈴科さんも桜祭りへ来られていたのですね」


一方通行(こ、こいつらたしか超電磁砲の知り合いの常盤台のガキどもッ!?)

一方通行(クソがッ! まさかよりにもよって俺の女装姿のときの知り合いに出会うなンて、ツイてなさ過ぎるだろオイッ!?)


結標「? 常盤台の制服? 貴方の知り合い?」


一方通行(しかもこの場に俺が女装をして、『鈴科百合子』っつゥ女を演じていたことがあるという事実を知らねェヤツがいやがる)

一方通行(何より最悪なのは『鈴科百合子』の声は俺がベクトル操作で作った姫神の声だっつゥところだ)

一方通行(目の前にいるガキどもは俺の地声を知らねェ、結標は俺が姫神の声を使っていることを知らねェ)


結標「?」

三人「?」


一方通行(……つまり、下手に声を出すと俺の人生が終わるってことだ)


結標「……どうしたのよ? 突然黙り込んで?」


一方通行(……さて、どォする。どォやってこの状況を切り抜ける?)

一方通行(無難なのは俺は『鈴科百合子』なンて女じゃなくて『一方通行』だ、って感じに人違いだってことにするか?)

一方通行(……いや、一見安牌な方法に見えるが一つ欠点がある。それは俺の見た目だ)

一方通行(白髪赤眼で肌が白い人間なンざ、黄泉川が言ったとおり学園都市中探しても多くないだろう)

一方通行(まだその段階なら人違いで済ませられるが俺には決定的に他のヤツらと違う特徴がある)

一方通行(この首についてる電極付きのチョーカーとこのメカメカしい特注品の杖だ)

一方通行(これら全部の特徴を持ったヤツが俺以外に学園都市の中に存在するのか? いや、それは否だ)

一方通行(だからこそ、こいつらは俺がいままで一度も着たことないメイド服を着ていても、俺のことを『鈴科百合子』と断定して話しかけてきたンだ)

一方通行(そンな状況で俺は『一方通行』だって名乗っても、おそらく素直にハイそォですかとはいかねェだろう)

一方通行(常盤台のヤツらは能力だけじゃなく学力も高水準だ。そこら辺で馬鹿騒ぎしてる三下どもとはオツムが違う)

一方通行(下手したら『一方通行』=『鈴科百合子』という公式がガキどもの中で生まれてもおかしくはない)

一方通行(そォした場合ヤツらは共通の知人である超電磁砲に問い詰めるだろう)

一方通行(その場合超電磁砲が真実を話すかどうか、っつゥ話になるが間違いなくヤツは暴露するだろう)

一方通行(なぜなら俺と超電磁砲は別にそンな仲のいい関係でもないただの知り合い、ってか過去のことを考えれば仇敵と言ってもイイか)

一方通行(そしてそこの三人と超電磁砲はおそらくトモダチだろう)

一方通行(その場合どちらを取るかっつったら、間違いなくヤツはトモダチのほうをとる)

一方通行(暴露の仕方はどォいうのかはわからねェが、いずれのパターンでも俺は女装して男子禁制の場所に侵入した変態野郎の烙印を押されるだろう)

一方通行(……つまり、人違い作戦は使えねェっつゥことだ)


婚后「……? どうかしましたか鈴科さん? 全然喋りませんけど」

湾内「もしかしてわたくしたちの声が聞こえてなかったのでしょうか? この騒がしさですし」

泡浮「そうかもしれませんね。ではもう一度呼んでみましょう。鈴科さん! 聞こえますでしょうか?」


275 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:17:00.74 ID:H6pEj9I5o


一方通行(あと思いつく作戦は何だ? コイツらをチカラを使って一瞬で気絶させる、いやこンなことしたら変態野郎よりも最悪なクソ野郎になる)

一方通行(チカラを使って逃亡するか? いや、俺だけ逃げても結標を置いていくことなるから無理だ。残ったアイツがこの三人に俺が『一方通行』だっつゥことを伝えるかもしれねェからな)

一方通行(だったら結標ごと逃亡するのはどォだ? ……ダメだ。逃亡したあとに何であンなことをしたンだという結標からの質問対して、有効な回答が出てこねェ)

一方通行(……こォなったら、強引だがこれで行くしかねェ……!)


結標「……? ちょっと貴方? 話きいて――」

一方通行「ゴホッゴホッ!! ゴホッゴホッ!!」

結標「? ど、どうしたのよいきなり咳なんてして?」

湾内「咳? 風邪でも引いているのかしら」

婚后「たしかにすごいガラガラ声ですわ」

泡浮「だから喋れなかったのですわね」

一方通行「ゴホッゴホッ結標ゴホッゴホッ!! ゴホッゴホッ!!」

結標「な、なによ!?」

一方通行「ゴホッゴホッ!! 先にゴホッゴホッ!! 焼きそば屋ゴホッゴホッ!! 行っててくれゴホッゴホッ!!」

結標「……先に行ってろってこと? 何でよ?」

一方通行「イイからゴホッゴホッ!! 先に行ってろってンだクソ野郎ゴホッゴホッ!!」

結標「? よくわからないけどわかったわ。じゃ、先行ってるわよ?」テクテク


一方通行(…………よし行ったな。あとは)カチッ


婚后「あら? お連れの方が行ってしまいましたわよ?」

泡浮「ところで大丈夫ですか? さっきから咳が治まらないようですけど……)

湾内「も、もしかして救急車とか呼んだほうがよろしいのでしょうか?」オロオロ

一方通行「あーあー、ゴホン! 悪りィもォ大丈夫だ。ちょっと砂埃かなンか吸ったみてェでむせてただけだ(以下姫神ボイス)」

湾内「あらそうでしたのですね。それなら安心ですわ」


276 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:17:38.89 ID:H6pEj9I5o


一方通行「オマエらはこンなところで何やってンだ? って、さっき桜祭りとか何とか言ってたか」

泡浮「はい。今日桜祭りがあると聞きまして、寮の門限延長申請を出してここに来ましたのよ」

婚后「本当は桜の木の下に座してお花見会といきたかったのですが、さすがにこの人多さだとそこまでは出来ませんでしたわ。残念です」

一方通行「あァ、ここには花見場所取りガチ勢がいるから、オマエらみたいなのじゃたしかに厳しいかもしれねェな」

湾内「がちぜい、さん? この辺りの桜の場所を管理している方でしょうか?」

泡浮「なるほど。その人にお願いしないと場所が貸していただけないのですね」

一方通行(これが世間知らずのお嬢様ってヤツか。面倒だからツッコムのはやめておくか)

婚后「ところで鈴科さんはどうしてそんな奇妙な服装をしているのでしょうか? 丈の短いスカートをしたメイド服のようなものに加え、猫の耳を模したカチューシャなどをして」

一方通行「ああ。これはな、花見でやったゲームのちょっとした罰ゲームみたいなモンだ。別に俺の趣味とかじゃねェから安心しろ」

婚后「はあーそうなんですの。高校生のお花見というのはそういうことをするものなのですね」

一方通行「まァ全員が全員やってるわけじゃねェと思うけどな」

泡浮「勉強になりますわね」

湾内「桜祭りに来てよかったですわ」

一方通行(チッ、そろそろ話切り上げねェとな。前はクソガキに能力使用モードに制限付けさせてたからよかったが、今は普通の能力使用モードで変声してるから電池残量が心配だ)


一方通行「……ま、そォいうわけだから俺は行くとす――」



美琴「あっ、婚后さんたちいたいた! おー……い?」タッタッタ



一方通行「あっ」

美琴「あっ」


黒子「……お姉さま? どうしたんですかいきなり手を上げたまま固まって」

佐天「もしかしてだるまさんが転んだでもしてるんじゃないですか?」

初春「またまたー、佐天さんじゃないんだからそんな急に変なことしないですよー」


一方通行(クソがあああああああああああッ!! 抜かったッ!! こいつらがいるっつゥことは超電磁砲とその連れもいるっつゥことだろォが何やってンだ俺ェ!?)

美琴(えっ、ええええええええええっ!? あれ一方通行よね!? なんで学舎の園の中じゃないのに女装してるのアイツ!? なんでっ!? どうして!?)


婚后「あら、御坂さんたちどうかなさりましたか?」

佐天「婚后さんたちがやりたがってた金魚すくいの出店が見つかったので呼びに来たんですよ」

初春「なんとなく金魚すくいって夏祭りのイメージあるんですけど、探してみれば案外あるものなんですね」

黒子「……ところでそちらの奇抜な格好をなさった方は婚后さんたちのお知り合いですの?」

湾内「はい。鈴科さんと言って、一ヶ月ほど前に学舎の園で会いましてお知り合いになりましたのよ」

婚后「御坂さんのお知り合いの方でしたから、てっきり貴女たちも知っているかと思っていましたわ」

佐天「うーん、鈴科さんかー。聞いたことないねー」

黒子「わたくしも聞いたことありませんわね」

初春「まあ御坂さん知り合いの人多そうですから、知らない人がいてもしょうがないですよね」


277 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:18:51.11 ID:H6pEj9I5o


美琴「(ちょ、ちょっと一方通行ぁ!? アンタ何でこんなところで女装してんのよ!? も、もしかして私のせいで女装癖に目覚めて――)」

一方通行「(ンなわけねェだろ殺すぞオマエ! こちらとら罰ゲームでクソみてェな服着せられてンだよ!)」

美琴「(あー、なるほど。それでその状態で婚后さんたちに会っちゃって仕方無しに『鈴科百合子』になったってわけね。……よかった、私のせいじゃなくて)」ホッ

一方通行「(まァ、そもそもオマエが『鈴科百合子』なンておぞましいモン生み出さなきゃ、こンなことにはならなかったンだがな)」


佐天「御坂さん御坂さん! その人誰なんですか!? あたしたちにも紹介してくださいよ!」

美琴「えっ? え、ええ、ええっとこちら鈴科百合子さん。ちょっとした知り合いよ」

初春「初春飾利です! よろしくおねがいします」

佐天「佐天涙子でーす!」

黒子「…………」

美琴「……? どうかしたの黒子?」

黒子「いえ、どこかで見たようなお姿だと思いまして……はて、どこでしたっけ?」

一方通行「ッ!?」

美琴(そ、そういえば初詣のときに『一方通行』の姿でこの子たちと会ってたんだっけ!? すっかり忘れてたやばい!!)

佐天「うーん、言われてみればなんかそんな気がしないこともないような気がするなー」

初春「それするのかしないのかどっちですか? まあたしかに私もなんか引っかかってる気がするんですよねー」

婚后「あら? 貴女たち鈴科さんと知り合いでしたの?」

黒子「いえ、そういうわけじゃないんですが……ふむ」ジロッ

美琴「あ、あははー、多分気のせいよ気のせい」アセッ

一方通行「そォだ。俺はオマエらのことなンて知らねェからな。気のせいだ白井」

黒子「……うん? どうしてわたくしの名字を知っているんでしょうか? わたくしはまだ自己紹介していないと思うんですけど」

一方通行「あっ」

美琴(ちょ、ちょっとなにやってんのこの馬鹿ッ!?)

黒子「どうしてわたくしの名字を知っているのですか? 鈴科百合子さん?」ジロッ

一方通行「……あ、アレだ。超電磁砲からオマエのことを聞いててよォ、それで知っててつい呼ンじまったンだ」

黒子「なるほど、たしかにそれはありえますね」

美琴「ほっ」

黒子「変に疑った目を向けてしまって申し訳ございません。職業柄こういうことには敏感で……。あっ、紹介が遅れましたわね」

黒子「わたくしは常盤台中学一年で風紀委員(ジャッジメント)をさせていただいています、白井黒子と申します」

一方通行「おォ。よろしくよろしく」

黒子「ちなみに御坂美琴お姉さまとはルームメイトであり、将来を誓い合った仲ですのでお見知り置きを」

美琴「だからアンタは勝手に変なことを初対面の人に言うなッ!!」


278 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:19:30.02 ID:H6pEj9I5o


美琴「――じゃ、私たちは行くわ」

婚后「鈴科さん。また学舎の園にぜひ遊びに来てくださいね?」

湾内「アフタヌーンティーでもしながらゆっくりお話したいですわね」

佐天「いいなぁー、そのときはあたしたちも誘ってくださいよ!」

泡浮「ふふふ、もちろんですわ」

初春「あ、アフタヌーンティー……ああ、お嬢様っぽくていいですねー」

黒子「では、ごきげんよう」



ワイワイガヤガヤ



一方通行「……やっと行ったか(以下一方ボイス)」カチッ

一方通行「クソッタレが。土御門の野郎のせいでとンでもねェ目に遭っちまったな。あのクソ野郎絶対許さねェ」ギリリ

一方通行「……まあイイ。さっさと結標のところに行くか」


結標「あっ、いた! 一方通行!」タッタッタ


一方通行「あン?」

結標「ちょっと何やってたのよ遅いわよ。もう焼きそば買ってきちゃったわ」つ焼きそば

一方通行「あァそォか。すまねェな」

結標「ところでさっきの常磐台の子たち誰なのよ?」

一方通行「あァ? 知らねェよ」

結標「えっ? でもあの子たち貴方に話しかけてたじゃない?」

一方通行「人違いだった。どォやら俺の女装した姿に似た知り合いがいるらしくて、そいつと間違えて俺に声をかけたらしい」

結標「へー、貴方に似ている女の子ってすごいわね。その人貴方の生き別れの妹さんだったりするんじゃない?」

一方通行「俺にそンな小説の物語にでも出てきそうな設定の身内なンざいねェよ。はァ、目的のモン買ったなら戻ンぞ?」ガチャリガチャリ

結標「あっ、ちょっと待ちなさいよ!」タッタッタ

一方通行「こンな危険を呼ぶ服、さっさと脱ぎ捨ててェ」

結標「……ところで一方通行?」

一方通行「何だ?」

結標「『にゃん』の語尾、また忘れてるわよ」ニヤリ

一方通行「…………にゃン」


―――
――



279 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:20:00.86 ID:H6pEj9I5o


同日 19:00

-第七学区・とある桜公園-



青ピ『そげぶマ〜ン♪ そげぶマ〜ン♪ ララララそげぶマ〜ン♪』



結標「ただいまー!」テクテク

一方通行「チッ、クソみてェなお使いだったにゃン」

吹寄「おかえり二人とも」

結標「今何やってるの? カラオケ大会?」

吹寄「そうよ。ごめんね、二人を待とうって言ったんだけど馬鹿どもが勝手に始めちゃって」

結標「別にいいわよ。どうせ王様ゲームは終わりってわかってたしね」

一方通行「オイ、インデックス。ご所望の品だにゃン」つ焼きそば

禁書「わーい! ありがとうなんだよあくせられーた!」

一方通行「……さて、王様の命令もこなしたところで、さっさとこのクソみてェな服脱ぎ捨てねェとにゃン」

土御門「あっ、アクセラちゃんお疲れだぜい!」

一方通行「チッ、土御門ォ。オマエのせいで本当に疲れたにゃン」

土御門「どうかしたのか? 小太りのハゲ散らかしたオッサンにでも一発どう? って誘われたりでもしたのかにゃー?」

一方通行「……そっちのほうがまだマシだったにゃン。みぞおちに一発入れてやりゃ済む話だからにゃン」

土御門「よくわからんが楽しんでいただけてなによりですたい」

一方通行「どこをどォ聞いたらそンな言葉が出てくるンだにゃン?」

結標「……そういえば、姫神さんと上条君が見当たらないけどどうかしたのかしら?」

吹寄「ああ、二人なら屋台のある方へ言ったわよ。すれ違わなかった?」

一方通行「イイや、知らねェにゃン」

吹寄「そう。あとで結標さんたちももう一回屋台とか回ってもいいわよ? さっきのは王様ゲームの命令だったからゆっくりできなかったでしょ?」

一方通行「チッ、行かねェにゃン。二度とゴメンだにゃン」

吹寄「……何かあったの?」

結標「ええ、女装したせいで知らない女の子たちに人違いで話しかけられたみたいよ」

土御門「ぷふっ、そ、そいつはすごいにゃー」

一方通行「笑うンじゃねェ殺すぞにゃン。……まァイイ、とにかくさっさと着替えるにゃン」ガチャリガチャリ


青ピ「おっ、アクセラちゃん帰ってたんやなー」


一方通行「おォ」

青ピ「ちょうどいいタイミングやったなぁ。カラオケの出番、次がアクセラちゃんの番やったんや。ほい、マイク」ポイッ

一方通行「ハァ? 何で俺が歌なンざ歌わなきゃいけねェンだにゃン。つゥか、勝手に曲入れるなよ。帰ってくるの間に合わなかったらどォするつもりだったンだにゃン?」パシッ

青ピ「でぇーじょうぶだ、アクセラちゃんたちが帰ってくるのが見えてから曲割り込ませたから」

一方通行「クソみてェなことしてくれてンじゃねェにゃン」

青ピ「まあまあ。ちゃんと今アクセラちゃんにピッタリの曲入れといたから安心しぃ」

一方通行「あン?」


280 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:21:13.65 ID:H6pEj9I5o


一方通行「今の俺にピッタリの曲にゃン? 一体何の曲――」



『はっぴぃ にゅう にゃあ/芹沢文乃(伊藤かな恵)&梅ノ森千世(井口裕香)&霧谷希(竹達彩奈)』



一方通行「なっ!? コイツは……!」

結標「ぷふっ、な、懐かしいわね」

吹寄「あー、冬休み前の打ち上げでカラオケ行ったときのヤツね」

土御門「にゃっははーまさしくピッタリな曲だぜい! ナイス選曲だ青髪ピアス!」

青ピ「アクセラちゃんの萌え萌えにゃんにゃんライブの始まりやでー!!」

一方通行「ふざけンなッ!! 何で俺がこンなクソ曲歌わな――」

青ピ「あっ、この曲すぐ始まるやでー」



タータタタンタータタタタンタ♪ タータータータータタタタタタタタタン♪



一方通行『にゃあ♪』



青ピ「うん?」



一方通行『ンでンでンでェ♪(にゃあ)にゃァンでェ♪ かまってかまって欲しィのォ♪』


一方通行『イイ子じゃないとォきのわたしィ、カワイィとかありえなァい♪』


一方通行『それそれそれェ♪(にゃあ)らァあぶッ♪ もらってもらってくださいィ♪』


一方通行『非常事態が日常ですゥ♪ 好きって言ったらジ・エンドにゃン♪』



土御門「なっ、なにぃ!? 何のテレもなく完璧なリズムで歌いこなしてるだと!?」

青ピ「そ、そんな馬鹿な!? ネコミミメイドのアクセラちゃんが赤面状態でたどたどしく歌うっていう、おもしろおかしいシチュのはずだったのに!?」ガクッ

結標「まあ、一方通行の頭なら一回曲歌えば完璧に歌えそうではあるわね」

吹寄「それに二回目だから恥ずかしさとかも半減だろうし。完全に馬鹿二人の負けってことかしら?」



281 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:21:56.32 ID:H6pEj9I5o


一方通行『わがままそのままねこまンまァ♪ 上から目線のてンこ盛ィ♪』


一方通行『三毛ブチィ♪ トラシロォ♪』


結標「はやくしろっ♪」


一方通行『うェるかむねこまねきィ♪』


青ピ「なんかしらんけど姉さんまでノリノリやんけ!? つっちー!! どうやら遊んでる暇はなさそうやで!!」

土御門「たしかに、一般人どもに負けるわけにはいかないにゃー」

吹寄「何の勝負よ?」


一方通行『ちょォしにのっちゃだめェ♪ にゃンたら優しすぎるのだァいキィラァいィ♪』


ダン! ダン!


結標・土御門・青ピ「「「みゃーん♪」」」


一方通行『はァァァぴィにゅうにゃァ♪ はァァァじめましてェ♪』


一方通行『キミにィあげるゥ最初のオォォバラァン♪ 逃げるからァ追い掛けてェまァるい世界ィィ♪』


ティロティロ♪


一方通行『ラァアアアッキィニューフェェイス♪ ちィィかづいてるゥ♪』


一方通行『わたしだけェェ見つけなさいィィ♪ 拾いたいなら拾えばァァァ♪』


一方通行・結標・土御門・青ピ『「「「いーじゃン(ん)♪」」」』



<ぎゃははははははははははははははははははっ!!



一方通行(……あン? 何か聞き覚えのあるクソみてェな笑い声が聞こえて――)チラッ



282 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:23:05.72 ID:H6pEj9I5o


数多「ぎゃはははははははっ!! 何だぁ? クソガキが花見してるって聞いて何してっかなぁって様子見に来たらよぉ、馬鹿みてぇな格好して馬鹿みてぇな曲歌ってやがるじゃねえか!!」

打ち止め「おおっ!! あれは伝説の『はっぴぃ にゅう にゃあ』だっ!! ってミサカはミサカはもう一度伝説を目の当たりに出来て感動を覚えてみたり!」

円周「くそう。こっちはこんなにおもしろい展開になってたのかあ。つまんない数多おじちゃんのところになんて戻らなきゃよかったよー」


一方通行『』


結標「あっ、打ち止めちゃんたち。それに木原さんもいる……あっ」

吹寄「あれが噂の木原さんね……なんか怖い雰囲気ね」

青ピ「ひえー顔面に刺青入れてるなんて裏の人やないんかい?」

土御門「…………」



一方通行『……木ィィィィィ原くゥゥううううううううううううううううううううううンッ!!』



キィィイイイイイイイイイン!!


吹寄「わっ」

土御門「うるさっ!?」

結標「ちょっと一方通行マイクマイク!!」

青ピ「耳がッ!? 耳がああああああああああああああああああッ!?」


一方通行「木原ァ……今見たこと」カチッ





一方通行「忘れろっつってもどォせ忘れねェだろォからなァ!? 記憶ゥこの俺が直々にその腐った脳みそグチャグチャにしてェ、命もろとも跡形もなく消し去ってやるよォおおおおおおおおおおおッ!!」バッ

数多「ぎゃはっ、面白れェ。少しは強くなったか見てやるよ。来やがれクソガキィ!!」





ドガン!! ズガガガガガガガ!! バギィン!! ゴォウ!! ドドドドド!! ベキン!! ゴパァ!!





<ぎゃああああああああ!! <なんだなんだ喧嘩か!? <ああああああすごい突風で桜の花びらとか食べ物とかいろいろ飛んでいくううううう!?


打ち止め「ちょ、ちょっと二人ともやめてええ!! ってミサカはミサカは精一杯呼びかけてみたり!!」

円周「おおー、まさか桜の満開日がそのままシーズン終了日になるなんて思わなかったなあ。さすが学園都市だねー」


結標「ちょっと一方通行落ち着きなさい!! このままじゃもう騒ぎどころか大事件に発展しちゃうわよ!!」

禁書「ああっ、私の焼きそばが飛んでいった!?」

吹寄「な、なんというかすごいわね……」アゼン

青ピ「つ、つえー……あのアクセラちゃんをまるで駄々こねる子供みたいにあしらうなんて。一体何者やあの人ぉ」

土御門(ふっ、さすがは木原数多だな。間違いなくヤツも敵に回したくない相手の一人だ)


―――
――



283 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:24:16.13 ID:H6pEj9I5o


同日 19:10

-第七学区・とある桜公園・桜祭り会場-



<ドッッゴオオオオオオオン!!



上条「うわっ、何だ!? 何かすげえ音が聞こえたぞ!?」

姫神「あの方向は。私たちがさっき。花見をしていた場所辺り」

上条「マジかよ。何事もなければいいけど……」

姫神「たぶん大丈夫。そろそろアクセラ君が戻っているはずだから。なにか事件みたいなのがあれば。解決してくれてると思う」

上条「……そうだな。それに結標もいるし何とかなるか」

姫神(まあ。でもあんな騒ぎ起こせる人って。私の中では一人しかいないけど。黙っておこう)


上条「……しかし、もう三月も終わりで一年生も終わりってことは、もう二年生になるってことだよな?」

姫神「そうだね。ところで。上条君?」

上条「何だよ?」

姫神「補習の常連メンバーだったくらいの成績だったけど。二年生に進級できるの?」

上条「がっ、そ、そりゃ大丈夫だったよ! 一方通行や結標に期末試験の勉強手伝ってもらって最後の補習回避できたおかげでな!」

姫神「へー。正直心配してたから。ホッとした」

上条(でも最後のテストもダメだったら本気でヤバかったなんて言ったら、なんか怒られそうだから黙ってよう……)タラッ

姫神「どうしたの?」

上条「いやなんでもねえよ。だけどもう二年生かぁ……なんかあっという間だった気がするよ」

姫神「私も。この学校に転入したのが九月だから。余計に早く感じる」

上条「まぁ、俺も夏休み前半以前の記憶がないからだろうなぁ……」ボソッ

姫神「なにかいった?」

上条「いや、なんでもないんだ気にしないでくれ!」アセッ

姫神「?」

上条「で、でもあれだよな。あっという間に感じるってことは楽しい学校生活を送れてるってことだよな?」

姫神「うん。合ってると思う」

上条「だよな。ほんと楽しかったと思うよ。辛いこととかもたくさんあったっけどさ」


284 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:25:01.15 ID:H6pEj9I5o


姫神「……上条君」

上条「何だ?」

姫神「私がこうやって。楽しい学校生活を送れてるのは。上条君がいてくれたから。だから。改めてお礼が言いたい」

上条「お礼? なんでそんな……」

姫神「上条君があのとき。私を助けに来てくれなかったら。今こうして生きていられたかも。わからない」

上条「…………」

姫神「……だから。その。ありがとうございました」ペコリ

上条「……ははっ」

姫神「? 何かおかしいこと言った?」

上条「いやーごめんごめん。おかしくて笑ったわけじゃないんだ。そこはわかってくれ」

姫神「じゃあ。なんで?」

上条「俺はな、別にお礼を言われるために助けたわけじゃないからな。だからいざお礼なんて言われたから、なんか笑っちゃってさ」

姫神「……それって。やっぱり。おかしいと思って。笑ったってことにならない?」ジロッ

上条「あれ? そうなりますかね?」

姫神「うん」

上条「……マジで?」

姫神「うん」

上条「姫神様のありがとうございましたを笑ってしまってスンマセンっしたぁ!!」

姫神「……だめ。ゆるさない」ムスッ

上条「そ、そこをなんとか……」

姫神「…………ふふ」

上条「?」

姫神「ふふふ。冗談。面白くて。ちょっとからかっちゃった」クスッ

上条「……ははっ、人が悪いですよ姫神さん」

姫神「ごめんなさい。ふふっ」

上条「くそぅ……まあ、でも」

姫神「うん?」


285 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:25:50.04 ID:H6pEj9I5o





上条「こうやって姫神が笑顔で笑ってくれるならさ、真面目な顔してお礼なんか言われるよりずっと嬉しいよ。俺にとってはさ」ニコッ





姫神「…………ッ」

上条「……あら? なんかスベった?」

姫神「…………」プイッ

上条「あのー、なんでそっぽを向くんでせうか? そんなに俺変なこと言いましたかね?」

姫神「……ごめん。今。私。そっち。向けない」

上条「?」

姫神「…………」

上条「…………あのー?」

姫神「……よし。いこう」

上条「いく? どこか行きたいのか?」

姫神「上条当麻君」

上条「うおっ、なんだいきなりフルネームで呼んで?」

姫神「あなたに。話がある」

上条「お、おう」



姫神「私は。あなたのことが――」



婚后「あら? その声もしかして鈴科さんですの?」




286 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:26:51.55 ID:H6pEj9I5o


姫神「!?」ビクッ

上条「すずしな?」

婚后「……あら? 全然違いましたの」

上条(常盤台の制服だ。御坂の知り合いだったりするのか?)

姫神「……私に。何か用?」

婚后「申し訳ございません。貴女の声が先程出会えた知り合いの声に似ていて、思わず声をかけてしまいました」

姫神「そう。別にいい。勘違いは誰にでもある」


湾内「婚后さーん! どうかなさいましたかー?」

泡浮「早くいかないと御坂様たちと離れてしまいますわ」


上条(御坂様? やっぱり御坂の知り合いか)

婚后「ごめんなさいすぐ行きますわ! それでは失礼致します」ペコリ

姫神「うん」



<ドウシタンデスカイキナリハナレテ? <イエスズシナサンソックリノコエノオカタトオアイシマシテ <ソンナグウゼンガアルノデスワネー



上条「なんだったんだ?」

姫神「さあ?」

上条「ところで姫神。結局話ってなんだったんだ?」

姫神「話?」

上条「ほら、さっき何か言いかけてただろ?」

姫神「…………」

上条「?」

姫神「!!!?!!!?」バッ

上条「うおっ!? いきなりまたそっぽ向いてどうした姫神!?」

姫神(私は!! さっき!! 一体!! なにを!! しようと!! していた!?)

上条「……あのー、姫神さん?」

姫神「……ごめんなさい。さっきの話。なしで」

上条「お、おう? わかった」

姫神(恥ずかしすぎて。とても顔が。見れない)カァ

上条「?」



―――
――



287 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:27:37.68 ID:H6pEj9I5o


同日 19:30

-第七学区・とある桜公園・外れ-



一方通行「…………」ゴロン ←普通の服装に戻っている



結標「あっ、いた! こんなところで一人寝転がって何やってるのよ?」

一方通行「……結標か」

結標「そろそろお開きの時間だから、みんな片付けとかやってるわよ? 私たちも行きましょ?」

一方通行「悪りィ、今日は疲れてンだ。もう少しここに居させてくれ」

結標「……もう、しょうがないわね」スッ

一方通行「あン? 何で俺の隣に座りやがンだ?」

結標「うん? サボり仲間が欲しいんじゃないかと思って、一緒にサボってあげてんのよ」

一方通行「いらねェよそンなモン。グチグチ言われるのは俺一人で十分だ」

結標「別にいいでしょ? たまには私だってそういう日があるってことよ」

一方通行「……チッ、勝手にしろ」

結標「…………」

一方通行「…………」ボー

結標「……着替えたんだ」

一方通行「あァ?」

結標「ネコミミメイド服」

一方通行「当たり前だろォが。俺を何だと思ってやがる」

結標「似合ってたわよ? 私の思ったとおりね」

一方通行「世界で一番言われても嬉しくねェ褒め言葉だな」

結標「ふふっ、そうね。ごめんなさい」

一方通行「散々な花見だったなクソッタレが」

結標「あら? 楽しくなかったのかしら?」

一方通行「当たり前だろォが。朝から場所取りさせられて、クソみたいな罰ゲーム食らわせられて、馬鹿みてェな曲歌わせられて、木原のクソに調子に乗られたうえにやられて」

結標「いや、最後のは貴方がいきなり暴れだしたのが悪いんじゃないかしら?」


288 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:28:12.67 ID:H6pEj9I5o


一方通行「……とにかく、俺が楽しめる要素皆無だったっつゥことだ」

結標「ふーん、まあいいじゃない。それでも」

一方通行「ハァ? 何言ってンだオマエ?」

結標「苦労することでみんなが笑ってくれるなら、それでもいいじゃないってことよ」

一方通行「いつから俺はそンなドM野郎になりやがったってンだ?」

結標「別にそうは言ってないわよ。最高の場所とは言えないけど、場所取りしてあの場所を確保したことによってみんなが花見を楽しめた」

結標「それだけで私は、休日なのに朝早く起きてここに来てよかったと思ってるわよ」

一方通行「お気楽クンはイイねェ。俺にはどォやってもあンな格好で醜態晒されたことをそォいう風にやってよかった、っつゥ感想に持っていくことが出来ないねェからな」

結標「……でも、貴方は本気で断らなかったじゃない」

一方通行「ハァ?」

結標「だってそんなことを言うくらい嫌だ、っていうことならそういう状況になったときって本気で嫌がって断るじゃない?」

結標「それか、本気で怒ってどんな手を使ってでもこの場から立ち去ろう、なんてことしようとしたんじゃないかしら?」

一方通行「何言ってやがる。アレはオマエらがあの手この手で俺の退路を塞いで――」

結標「だけど断ってはなかったわよね? 本気で逃げようともしてなかったわよね? 逃げられる場面ならいくらでもあったっていうのに」

一方通行「…………」

結標「いくら王様の命令は絶対、って言っても所詮はゲーム。本気で嫌がるのだったらみんなだって潔く引き下がってくれるはずよ。貴方だってそれくらいはわかるでしょ?」

一方通行「……ああ。甘い連中だよ本当に」

結標「わかってるじゃない。そう、わかっているのに断らなかった、ってことはそういうことでしょ?」ニコッ

一方通行「……馬鹿馬鹿しい。そンなわけねェだろが、くっだらねェ」

結標「はいはいそうですねー」

一方通行「ンだァ? そのクソみてェな口ぶりはよォ?」

結標「何でもないですよー、別に」

一方通行「チッ」

結標「……ところでこの辺って全然人がいないのね。ちょっと中心にいけば花見客がごった返してるっていうのに」

一方通行「ここら辺は街頭やら電灯やらが少なくて暗い上に桜もそンなに生えてねェし、中心部から遠いから桜祭り会場やトイレとかに行くのにも不便だからな」

結標「あー、言われてみればそうね」

一方通行「わざわざこンなクソみてェな場所で花見しよォなンざヤツはまずいねェだろ」

結標「なるほど。つまり、人混みの大嫌いな貴方にとってはオアシスみたいなものってことね」

一方通行「まァな」

結標「でもさっきの説明、一つだけ間違えてるところがあるわよ?」

一方通行「あン?」


289 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:29:00.09 ID:H6pEj9I5o


結標「貴方はここをクソみたいな場所って言ったけど、貴方が思うほどここは悪いところじゃないわよ?」

一方通行「……なぜそォ思う?」

結標「向こう見てちょうだい」

一方通行「……桜公園の中心部か。桜並木が街頭や電灯とかの灯りに照らされてライトアップされてやがンな」

結標「そう。ちょっとしたイルミネーションみたいなものよね? こんな風景が見られるのだからいい場所だと思うわよ私は」

一方通行「イルミネーションって言うには地味で淡い光だと思うがな」

結標「いいじゃないそれで。たしかに、誰かがお客さんを喜ばすために緻密に計算して色彩鮮やかにした灯りもいいかもしれない」

結標「でも、ただその場を明るくするためだけの灯りが集まってできた、偶然見つけた光の集合も素敵だと私は思うわよ?」

一方通行「……そォかもな」

結標「あら、珍しいわね。貴方がこういうのに同意してくるなんて」

一方通行「別にイイだろォが。俺の勝手だろ」

結標「ふふっ、ごめんごめんつい」

一方通行「うっとォしいヤツだ」

結標「…………あれ?」

一方通行「あァ?」

結標(……今って、二人きりでいて、綺麗な夜景を一緒に見てて、なんというか……いい雰囲気な気が)



『せっかく二人きりの状況なんだからこのチャンス活かしたほうがいいと思うわ』



結標(これって……いわゆるチャンスってヤツ……?)


一方通行「……どォかしたか? 急に馬鹿みてェにフリーズしやがってよ」

結標「あっ、うん何でもない何でもない気にしないでちょうだい!」アセッ

一方通行「?」


結標(な、なんかそういう状況って気付いちゃったせいか知らないけど、なんかすごく恥ずかしくなってきた……!)

結標(あれ? 私ってさっきまでどうやって喋ってたっけ? どんな顔してたっけ? どうやってアイツの顔見てたっけ?)

結標(や、やばい、心臓がドキドキしてきた、顔が熱くなってきた、どうすれば、私はどうすれば――)



『どうせなら告っちゃえば?』



290 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:29:40.54 ID:H6pEj9I5o


結標「――って絶対無理ッ!!」


一方通行「あァ? 何だいきなり?」

結標「ご、ごめんなさい! 変な声が出ちゃった! な、何でもないわ! 気にしないで!」

一方通行「何か顔赤けェぞ? まさか風邪でも引いたンじゃねェだろォな?」

結標「ち、違うの!! そんなんじゃないから!! ほんと大丈夫だから!!」

一方通行「……チッ、まァイイ。オイ、他のヤツらンところ戻ンぞ」スッ

結標「あ、あら休憩はもういいのかしら?」

一方通行「オマエみてェなのが隣に居られたら休めるモンも休まらねェよ」

結標「……ちょっと、それはいくらなんでひどいと思うんですけど?」

一方通行「黙ったと思ったらいきなり大声上げるようなやつが隣りにいて、オマエは心休まンのかよ?」

結標「そ、それはごめんなさい」

一方通行「……はァ、それにアレだ。風邪引いてるかもしれねェヤツを、いつまでもこンな寒空の下に居させるわけにはいかねェからな」

結標「…………」

一方通行「だから、とっとと戻って片付ける終わらせてウチに帰……あン? どォした?」

結標「……ふふっ、いえ。やっぱり貴方はツンデレってヤツよね、って思ってね」

一方通行「ハァ? そンなくだらねェ単語使って俺をわかった気でいるンじゃねェよ」

結標「そうかしら? 私的にはドンピシャだと思うのだけど?」

一方通行「ケッ、オイさっさと行くぞ」ガチャガチャ

結標「あっ、ちょっと待ちなさいよ!」


青ピ「おおっーい!! アクセラちゃんに姉さーん!!」ボヨンボヨン


一方通行「あァ?」

結標「あら青髪君。片付けはどうしたの?」


291 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:31:42.18 ID:H6pEj9I5o


青ピ「姉さんら遅いでほんま。もう終わってしもうたよ」ボヨンボヨン

結標「あっ、そうだったの。サボっちゃってごめんなさい」

青ピ「ええってええって、二人のおかげでぎょーさん笑わせてもろうたし。特にアクセラちゃんとか」ボヨンボヨン

一方通行「今度は全力でブン殴るぞオマエ?」

青ピ「あははーすまんすまん」ボヨンボヨン

結標「ところで青髪君。その手に持ってる大きな風船? は何なのかしら?」

青ピ「ああこれ? よくぞ聞いてくれました! これは水ヨーヨーの出店に一つだけ浮いてたキングサイズの水ヨーヨーだぜ!」ボヨンボヨン

結標「へー、よくそんなの取れたわね。すごいわ」

青ピ「せやろせやろ?」ボヨンボヨン

一方通行「くっだらねェ。行くぞ結標」ガチャリガチャリ

結標「あっ、うん」テクテク

青ピ「あーん、ちょっとまってや二人とも――ってぎゃああああズッコケて水ヨーヨーがすっぽ抜けたあああああああああッ!?」スポン

結標「なにそのやけに説明口調な悲鳴!? って一方通行危ないっ!?」

一方通行「あァ? なン――」



パンバシャアアアアンン!!



一方通行「だよ……」ポチャンポチャン

結標「あっ」

青ピ「いっ」

一方通行「…………」ポチャンポチャン

結標「だ、大丈夫一方通行?」

青ピ「すまんアクセラちゃん! わ、わざとじゃないんやわざとじゃ……」アセッ

一方通行「……青髪ピアスクゥン?」ポチャンポチャン

青ピ「は、はいぃ!!」


一方通行「死体確定だこのクソやああああっくしょンッ!!」


青ピ「……くそやくしょん?」

結標「あ、一方通行?」

一方通行「…………は」




一方通行「はっくしょン!!」




――――――


292 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/17(金) 23:33:59.93 ID:H6pEj9I5o
はっぴぃにゅうにゃあってもう10年以上前の曲なんやなって
おっさんなのバレちゃうねぇ

次回『風邪』
293 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:01:20.13 ID:WSQjvE0To
週2更新とかにしたいけど全然書き溜めのマージンが全然取れねんだワ

投下
294 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:02:48.74 ID:WSQjvE0To


13.風邪


March Forth Monday 07:30

-黄泉川家・一方通行の部屋-



一方通行「――ゴホッ! ゴホッ!」



芳川「……熱は38.5℃。結構な高熱ね。まあ症状からしてただの風邪でしょうけど」

打ち止め「大丈夫? ってミサカはミサカは心配そうに見つめてみたり」

一方通行「……ああ。ちょっと咳が出て、喉が痛くて、鼻水が出て、身体がだりィだけだ。問題ねェ」

黄泉川「いや、そんなに症状が一度に出てる時点で問題だから」

結標「やっぱり原因は昨日水かぶったせいかしらね?」

芳川「それに昨日は比較的に寒い日だったわ。そんな中、長時間外に居たのだから免疫力が低下してしまってても当然ね」

打ち止め「アワキお姉ちゃんは大丈夫なの? 一緒に場所取りとか行ってたんでしょ? ってミサカはミサカは質問してみる」

結標「ええ、私の身体はとくに異常はないわよ」

芳川「まあ、普段から食事をあまり取る方じゃない上に運動とかもしないモヤシ君が、そんな過酷なことをしていたのだからしょうがないわね」

一方通行「好き勝手なこと抜かしてンじゃねェぞ芳川ァ。……よっと」ガチャリ

黄泉川「ちょ、ちょっと一方通行! いきなり立ち上がってどうするつもりじゃん?」

一方通行「決まってンだろ。学校行くンだよ」

黄泉川「馬鹿言ってんじゃないじゃん! そんな身体で行けるわけないじゃんよ!」

芳川「キミなら学校サボれるって言って喜んで休むと思ったのだけど、いつからそんなに学校が好きになったのかしら?」

一方通行「あァ? 何勘違いしてンだ。オマエらがいつもサボるなサボるな言ってるから従ってやってるだけじゃねェか」

黄泉川「サボると休むは全然違うじゃん!」

一方通行「チッ、グチグチうるせェヤツらだ。大体こンな風邪なンてなァ、俺のチカラァ使えば余裕なンだよ」スッ

芳川「!? 打ち止め! 能力使用モードの制限をかけなさい! 早く!」

打ち止め「えっ、な、なんだかよくわかんないけどわかった! ってミサカはミサカはミサカネットワーク上に制限指示を送ってみたり」ビビッ

一方通行「どォいうつもりだオマエら!? 人がせっかく風邪を治そうとしてンのによォ!」

芳川「……一方通行。今何をしようとしてたのか言ってみなさい」

一方通行「あァ? 決まってンだろ。俺の能力で風邪のウイルス皆殺しにしてやるンだよ」

芳川「一方通行。悪いけどそれは許可できないわ」

一方通行「何だと?」

芳川「キミが能力をどういう使い方をして風邪を治そうとしているのかはわからないけど、今のキミが能力を使うのは危険すぎるわ」

一方通行「オマエ、この俺がチカラの使い方ァミスるって言うつもりか!?」


芳川「そうよ。キミの頭は今、高熱に侵されて思考能力が低下している。いくら演算はミサカネットワーク上でやってくれるとはいえ、演算の指示を出すのはキミのそんな頭」

芳川「出す指示を少しでも間違えれば能力は機能しない、いや、機能しないだけならまだいいわ。間違って能力が意図しない方向へ暴走してしまうかもしれない」

芳川「身体に関するベクトル操作は電子顕微鏡レベルの緻密さが求められる。以前キミが言っていたことよ」

芳川「今のキミにそれができるとは私には到底思えないわ」


295 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:03:59.20 ID:WSQjvE0To


一方通行「…………」

芳川「てなわけで、今日は一日寝てなさい。学園都市製の薬を飲んで一日寝てれば風邪なんて治るわよ」

結標「そ、そうよ一方通行。今日はゆっくり休んだほうがいいわ」

打ち止め「ミサカもそう思うよ、ってミサカはミサカは同意してみる」

黄泉川「身体を休めて風邪をしっかり治すことも学生としての立派な務めじゃん」

一方通行「……チッ、わかったよ。うるせェ女どもだ」

結標「あのー、私も休んだほうがいいですか? 看病とか必要だと思うし」

一方通行「あァ? いらねェよ看病なンてよォ。ガキじゃねェンだから」

結標「でもなんか心配だし……」

黄泉川「まあただの風邪だし、淡希がそこまでする必要はないじゃん」

芳川「下手に一緒にいて貴女に風邪が感染っても困るしね」

結標「……そうですね。わかりました」

打ち止め「ふふふ、安心してアワキお姉ちゃん! 代わりにミサカがしっかりと看病してあげるから、ってミサカはミサカは胸に拳を当ててしっかり者アピールしてみたり」

一方通行「話聞いてなかったのかクソガキ。オマエに風邪ェ感染ると面倒だ。さっさと木原ンところにでも行ってろ」

打ち止め「ぶーぶー」

芳川「付きっきりの看病はしてあげられないけど、バイトの休憩中くらいは様子見にきてあげるわ」

黄泉川「頼むじゃん桔梗。私も合間で様子見に来たいところなんだけど、今日は忙しくてちょっと抜けられそうにないじゃん」

一方通行「だから看病なンていらねェっつってンだろが。薬ィ飲ンで一日中寝てるだけだっつゥのにオマエらから借りる手なンざねェンだよ」

黄泉川「ほら、熱冷まシートとか交換したり、体拭いてあげたり」

一方通行「いらねェよ」

結標「でも寝てる間に病状が悪化してたらどうするつもりなのよ?」

一方通行「ほっとけ。最悪死ぬだけだ」

打ち止め「ええぇー!? 死んじゃ嫌だよ!! ってミサカはミサカは率直な気持ちを伝えてみたり」

一方通行「あくまで最悪の場合の話だ、そンな簡単に死ぬかよ。つゥか、オマエらいつまでこの部屋に居座るつもりだコラ。早く休ませろよ」

黄泉川「あはは悪い悪い。じゃ、私らは退散するとしようじゃん」

芳川「薬ここに置いとくから適当なもの食べてから飲んでおいてね」

結標「……学校から帰ったらまた顔出すわ」

打ち止め「死なないでね、ってミサカはミサカは懇願しながら部屋を後にしてみる」


ガチャ


一方通行「……ったく、休めやら寝とけやら、自分でほざいてたくせに、うっとォ……しィヤツらだ」ゼェゼェ

一方通行「頭ン中、ガンガン、金槌で、叩かれてる……みてェだ」ゼェゼェ

一方通行「クソ……が……」ガクッ



ドサッ!



―――
――



296 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:04:54.68 ID:WSQjvE0To


同日 08:20

-とある高校・一年七組教室-


吹寄「えっ、アクセラが風邪で寝込んでる!?」

結標「ええ、そうなのよ」

土御門「馬鹿は風邪を引かないって話だったけど、あれは迷信だったのかにゃー?」

姫神「いや。アクセラ君は普通に。頭はいいよ?」

土御門「頭がいいと馬鹿かどうかはまた別の話だぜい」

青ピ「せやせや。アクセラちゃんはクラスの四バカ(スクエアフォース)の一員なんやで? それなのに風邪に負けるなんてなさけ――」


ゴッ!


吹寄「風邪の直接的な原因のあなたが偉そうに言ってんじゃないわよ!!」

青ピ「ぶびばべん……」

上条「しかし一方通行が風邪引いて寝込むなんて全然想像できないな」

吹寄「そうね。不健康そうな見た目だけど、病気らしい病気にかかってるところなんて見たことなかったし」

土御門「アクセラちゃんはちゃんと病気にかかってるぜい。中二病っていう心の病がな」

青ピ「これは重症ですねぇ」

吹寄「心配してる人もいるんだから、少しは考えて発言しなさいよ馬鹿ども!」

姫神「大丈夫? 結標さん」

結標「…………」

姫神「結標さん?」

結標「あっ、ごめんなさい! ちょっとボーッとしてたわ」

吹寄「アクセラのことでも考えてたのかしら? たしかに心配よね」

結標「い、いや別にそんなんじゃないわ! というか二人とも深刻な顔し過ぎよ、所詮はただの風邪なんだから」

上条「風邪だからって心配しちゃいけないってことはないだろ。心配なもんは心配だ」

結標「もう上条君までそんなこと言って……、あっ、そろそろHRの始まる時間だし席着いとかなきゃ。じゃ、またあとでね」タッタッタ


吹寄「……結標さん」

姫神「こっちも。割と重症みたい」

土御門「ま、ほんとに風邪なら一日も寝てれば治るだろうし、大丈夫だろ」

青ピ「さすが学園都市製の風邪薬やで!」

上条「でも高いんだよなぁ。上条さんちで風邪が流行った瞬間家計に大打撃だぜ」

土御門「カミやんは風邪とか引かないからへーきへーき」

吹寄「インデックスならともかく、上条当麻ならたしかに平気そうね」

上条「さっきまであんなに真面目な発言をしていた吹寄さんまでひでえ!?」


―――
――



297 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:05:35.17 ID:WSQjvE0To


同日 09:00

-ファミリーサイド・従犬部隊オフィス-


円周「はえー、アクセラお兄ちゃん風邪引いちゃってるんだ」

打ち止め「そうなんだー。今頃部屋で寝てるんじゃないかな? ってミサカはミサカは推測してみる」

数多「宴会で大はしゃぎして次の日体調崩して学校お休みなんて、ほんとガキだなぁアイツ」

打ち止め「もー、たぶんキハラもその体調を崩した原因の一つだと思うよ、ってミサカはミサカはジト目でにらみながら物申してみたり」ジトー

数多「あ? 何で俺なんだよ」

円周「そういえば昨日、数多おじちゃんアクセラお兄ちゃんボコボコにしてたからねー。そら体力も奪われて風邪引いちゃうよ」

数多「おいおい、あれはただの自己防衛だぜ? 悪いのは先に仕掛けてきたあのクソガキだ」

円周「ところでアクセラお兄ちゃんは強くなってたの? 試してやるみたいなこと言ってたけど」

数多「あぁ? あー、前よりはマシにはなってたんじゃねえのか? まあ、俺に勝つのはまだ百年足りねえけどな」

打ち止め「キハラってなんでそんなに強いの? ってミサカはミサカは素朴な疑問を投げかけてみたり」

数多「そりゃお前決まってんだろ。俺が『木原数多』だからだ」

打ち止め「答えになってないよ、ってミサカはミサカは頬を膨らませてみる」

円周「ねえねえ数多おじちゃん! 私とアクセラお兄ちゃんだったらどっちが強い?」

数多「今風邪で寝込んでるほうのクソガキ」

円周「えー? 即答ー?」

数多「だってお前弱いし」

円周「うーん、おかしいなあ。私も毎日『木原』を勉強しているつもりなのにねー」

数多「『木原』は勉強して身に付けるようなもんじゃねえんだっつーの。いい加減わかれよ」

打ち止め「なにしゃべってるのか全然わかんないからテレビでも見よっと、ってミサカはミサカはリミコンのスイッチを押してみる」ピッ

円周「ねえねえ打ち止めちゃん。あとでアクセラお兄ちゃんのお見舞い行こうよ」

打ち止め「えぇー? やめといたほうがいいよー。あの人看病されるのすごく嫌がってたからそういうことすると多分怒るよ、ってミサカはミサカは警告してみる」

円周「それはあれだよ。押すなよ絶対に押すなよみたいなやつだよきっと。本当は看病してほしいに決まっているんだあ」

打ち止め「本当かなー?」

円周「ま、それに今のアクセラお兄ちゃんになら怒られても怖くないし、どっちにしろ私は行くことはケッテー! って感じなんで」

打ち止め「もーエンシュウったらほんとイタズラ大好きだね、ってミサカはミサカはため息をついてみる」

円周「よーし、そうと決まったらお見舞いの準備だあ。数多おじちゃん、ちょっといろいろ買ってくるからカード貸して?」

数多「自分の金で買えクソガキ」


―――
――



298 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:07:00.00 ID:WSQjvE0To


同日 10:30 〜三時間目前休み時間〜

-とある高校・一年七組教室-


青ピ「いやー今日行って明日行けば春休みやでー! うおお遊ぶぞおおおおおおおおおお!!」

吹寄「昨日あんなに遊んだのにまだ遊び足りないのかしら?」

青ピ「なにいうとん吹寄さん、ボクは三六五日二四時間常に遊びのことしか考えてないんやでー?」

姫神「その時間と労力を。勉強方面に持っていけば。医者でも弁護士でもなれそう」

土御門「いやいや無理無理。青髪ピアスがいくら勉強したって、頭の中にそんな知識が身に付くわけないにゃー」

青ピ「なんやとつっちー? 失礼な。ボクだって本気出せば何にでもなれるで! 魔法少女にでも美少女戦士にでも」

上条「性別自体変わってんじゃねえか」

青ピ「ま、そんなどうでもいい話置いといて、春休みもまたみんなでどっか行って遊ぼうや!」

姫神「なんとなく。来るとは思ってた」

吹寄「ほんとそればっかよねあなたって」

土御門「どこか行くって具体的にはどこ行きたいのかとか決まってるのかにゃー?」

青ピ「もちろんノープランや!」

上条「だろうな」

青ピ「それを今からみんなでじっくり決めていくんやでー!」

吹寄「……はぁ。まあそれは別にいいけど、こういうのは普通全員が揃ってから決めるものじゃないかしら?」

姫神「そうだね。今日は。アクセラ君が休んでるから」

上条「たしかにここで決めてもアイツが嫌だっつったら駄目だしな」

土御門「でもアクセラちゃんなら何だか言って了承してくれる気がするにゃー」

上条「それはわからんでもない」

青ピ「……ん? そういやいつもならこんな遊びの話題を出すと、真っ先に食いついてくるお方が全然会話に乗ってこーへんなぁ」

土御門「姉さんはどっかいきたいとことかないのかにゃー?」

結標「…………」

土御門「姉さん?」

結標「……えっ? ああ、ごめんなさい。えっと、何の話してたんだっけ?」アセッ

姫神「完全に上の空」

土御門「姉さんの頭の中にはもうアクセラちゃんしかいないようだにゃー」

吹寄「しょうがないじゃない。今日はもうそっとしておきましょ」

上条「そうだな」

結標「?」

青ピ「ほな、また授業中にスペシャルなお遊びプランを考えておくでー」

吹寄「授業中は勉強に集中しなさい馬鹿者!」


―――
――



299 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:07:51.11 ID:WSQjvE0To


同日 11:00

-黄泉川家・一方通行の部屋-


一方通行「…………おァ?」ムクリ

一方通行「…………」

一方通行「……そォいや風邪でぶっ倒れてそのまま寝てたのか」

一方通行「今何時だ? ……一一時か。俺にしては早起きじゃねェかよ」

一方通行「……クソが。まだ頭がボーっとしやがる」

一方通行「……ああ、薬飲ンでなかったな。面倒臭せェが何か適当に食って飲むとするか」ガチャリ

一方通行「あー、クソ。身体がフラフラしやがる。特注品の杖じゃなかったらまともに歩けてねェなこりゃ」ガチャリガチャリ

一方通行「……風邪ェ治ったら、真っ先に青髪ピアスの野郎を川に放り投げてやる」


ガチャ


-黄泉川家・リビング-


一方通行「……クソッタレが。まさか部屋からリビングまでがこンなに遠いなンてなァ」ゼェゼェ

一方通行「チカラァ使えりゃ楽なンだろォが、心配性のヤツらのおかげでまだ能力使用モード絶賛使用禁止中と来たモンだ」

一方通行「早く薬飲ンで、ベッドに横たわりてェぜ」



<ワイワイギャーギャー!!



一方通行「……あン? 何かキッチンの方が騒がしいな。クソガキの野郎、木原のところ行かずここで遊ンでやがんのか……?」

一方通行「言う事聞かねェガキには説教が必要だな。余計な体力を使わせやがってよクソガキが――」



円周「はあい! ここで四四種類の風邪に効く食材やら薬品やらをブレンドしたものを、先程炊きあがったお粥の中に全部投入しまあす!」ドボボボ

打ち止め「ぎゃああ!! 真っ白だったお粥の色が何とも形容し難い色へと変色しちゃった!? ってミサカはミサカは驚愕してみたり」



300 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:08:58.70 ID:WSQjvE0To


一方通行「……あァー頭痛てェ。これは風邪のせいなのか? いや、絶対違う気がすンぞ」

円周「あっ、アクセラお兄ちゃん起きてたんだ!」

打ち止め「ちょ、ちょっと立ち歩いてて大丈夫なの!? ってミサカはミサカはフラフラのあなたを見て心配してみる」

一方通行「大丈夫じゃねェからそのまま回れ右して、元の居場所に引き返しやがれクソガキども」

打ち止め「でもその言葉通りにしちゃうと結局ミサカの元の居場所はここになるから、ここにいてもいいよってことにならない? ってミサカはミサカは言葉の揚げ足を取ってみたり」

一方通行「イイから木原ンとこ行ってろクソガキ。風邪感染ンぞ」

円周「本当に風邪つらそうだねーアクセラお兄ちゃん。言葉の一つ一つに覇気が全然ないよ」

一方通行「わかってくれて嬉しいぜ。そォいうわけだから早く俺の前から消えろ」

円周「そんなアクセラお兄ちゃんのために、なんと! なんと! なんと! 円周ちゃんがスペシャルなお粥を作っちゃいましたあ!!」

一方通行「人の家で産業廃棄物を生み出してンじゃねェよ」

円周「こいつを食べればウイルスなんて一気に消滅して、風邪を完治することができるすぐれものだよー」

打ち止め「えっ、それ本当に食べられるものなの!? ってミサカはミサカは鼻を摘みながら質問してみる」

円周「当たり前だよー。ちょいと見た目とニオイと味は悪いけど、効果だけはすごいんだぜ。なんたってこれは『木原一族』に代々伝わる秘伝のお粥になってくれたらいいなあと思ってるよ」

打ち止め「それ秘伝でもなんでもないただのお粥じゃん。いや、お粥と言えるかも正直怪しいけど、ってミサカはミサカは透かさずツッコんでみたり」

一方通行「……チッ、どォやらそれをどォにかしねェと帰るつもりはねェよォだな」

円周「そのとおり! そういうわけで、たんと召し上がれ!」つスペシャルなお粥入鍋

一方通行「わかった。鍋ごとよこせ」

円周「おー、ついにアクセラお兄ちゃんが私の手料理を食べてくれるときが来ちゃったよー」

打ち止め「ほ、本当に食べるつもりなの? もしかして風邪で頭がちょっとおかしくなってるんじゃ、ってミサカはミサカは心配しつつ止めようとしてみたり」

一方通行「心配すンな。俺は至って正常だ」

打ち止め「ほ、ほんとぉ?」

円周「さあ! さあ! アクセラお兄ちゃん、ぐぐっとどうぞ!」

一方通行「……オイ、オマエ虫歯になってねェか? ちょっと見てやるから口ィ開けてみろ」

円周「えっ、ほんと? あーん」



一方通行「オラァ!! 自分で作ったモンは自分で処理しやがれクソガキがッ!!」ナベポイー

円周「ばごヴぇるごぶちゃえ!?」



打ち止め「うわぁ!? エンシュウの口の中にスペシャルなお粥が全部流し込まれた!? ってミサカはミサカは今起こったことをありのまま解説してみたり」

円周「」チーン

打ち止め「だ、大丈夫エンシュウ? ってミサカはミサカはほっぺたつんつんして意識の有無を確認してみる」ツンツン

一方通行「そこの馬鹿連れてさっさと向こうに帰れ。俺はパンでも食って薬飲ンでから寝る」ガチャリガチャリ

打ち止め「う、うんわかった! ってエンシュウおもいー! これじゃ一人で連れて行くのは無理そうかも、ってミサカはミサカはあなたに助けを求めてみたり」

一方通行「病人に肉体労働の助けェ求めてンじゃねェよ。向こうで暇そうにしてるオッサンにでも言ってろ」

打ち止め「あ、うんたしかにそうだよね、ってミサカはミサカは納得してみる」



―――
――



301 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:10:41.08 ID:WSQjvE0To


同日 12:30 〜昼休み〜

-とある高校・一年七組教室-


青ピ「せや! 今日学校終わったらアクセラちゃんのお見舞いにでもいこうや!」


土御門「おおっー! なかなか面白いアイデアじゃないかにゃー」

結標「えっ、そんな悪いわよ。ここからファミリーサイド結構距離あるから、行って帰ってとかやってたら完全下校時刻来ちゃうわ」

吹寄「というかあなたたち本当にお見舞いする気あるの? 行ってギャーギャー騒ぐだけじゃお見舞いにならないわ」

青ピ「わかっとるわかっとる。アクセラちゃん部屋に閉じこもっててきっと悶々しとるやろうから、エロ本の一冊や二冊持っていけば喜ん――」


ゴガッ!


青ピ「かいらくてんっ!?」

吹寄「この変態!! 普通はお見舞いって言ったらフルーツとかゼリーとかプリンみたいなデザートとかでしょうが!!」

姫神「スポーツドリンクとか。飲み物もありだね。風邪だと汗かくから。水分は欲しい」

土御門「わかってないにゃー女子どもは。男ってのは疲れるとムラムラっとするもんなんだぜい。なあカミやん?」

上条「うわっ、こっちにそんな話題振んなっ! 昼間っからどうどうと女子にセクハラ発言してんじゃねえよテメェら」

青ピ「だって事実やん。カミやんやってエロ本もろうたほうが嬉しいやろ?」

上条「上条さん的には食い物もらったほうが嬉しいっつーの。メロンとかみたいな普段お目にかかれないような高級品なんてもらった日にはもう大喜びだ……インデックスが」

姫神「悲しい現実」

青ピ「まあとにかく、放課後みんなでアクセラちゃんのお見舞いいくってことでええな?」

吹寄「待ちなさい。こんな大勢で押しかけたら迷惑よ? 二人くらいに人数絞ったほうがいいわ」

結標「うちの人たちは別にそんなことは気にしないと思うけど……」

吹寄「……でも普通に考えて五人がかりでお見舞いなんておかしいと思うわ。常識的に」

青ピ「ほなみなさんを代表してボクが行ってきますん!」

上条「何かお前が行ったら逆に風邪悪化しそうだな」

土御門「よし。ここはオレの出番というわけだにゃー」

吹寄「というか三馬鹿トリオは誰が行っても迷惑かけそうだから論外ね」

上条「えっ!? 今んとこ常識的な発言だけしているつもりなのに同列扱い!?」


302 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:11:52.07 ID:WSQjvE0To


青ピ「吹寄さーん、三馬鹿トリオなんてダサい名前で呼ばんといてーな。ボクらにはデルタフォースというかっこいい名前があるんや」

吹寄「知らないわよ! とにかく、お見舞いはあたしと姫神さんで行ってくるわ」

姫神「あっ。吹寄さん」

吹寄「何かしら?」

姫神「ごめんなさい。私は今日。用事があるから行けない」

吹寄「あっ、そうなの。こっちこそ勝手に決めちゃってごめんなさい。だったらしょうがないわね、あたし一人で――」


青ピ「はいはーい!! 一枠空いたんならボクがヒメやんの代わりにいっきまーす!!」

土御門「抜け駆けは許さんぞピアスくん! オレが行って面白おかしいお見舞い会にしてやるんだにゃー」


吹寄「何言ってるのよ。ダメに決まってるでしょそんなの」

青ピ「でも吹寄さんは最初二人と言いましたー!」

土御門「真面目で優等生な吹寄さんが一度言ったことを曲げるなんていけないと思いまーす」

吹寄「ぐっ……」

姫神(本当は『二人くらい』って言ってたけど。放っておいたほうが面白そうだから。黙っておこう)

吹寄「わ、わかったわよ。だったら三馬鹿でじゃんけんして勝った人がお見舞いにいく。これで文句ないでしょ?」

青ピ「了解やでー。よーしやるでー! うおおおおおおっボクのこの手が光って唸るぅぅううううう!!」

土御門「オレのチョキはすべてを切り裂くぜい」

上条(別に俺行きたいとは一言も言ってないんだけどなあ……まあジャンケン弱いしどうせ負けるだろ)


青ピ・土御門・上条「「「ジャンケン!!」」」


結標(別に何人だろうとアイツは嫌がりそうよね……まあ今さら言い出せなさそうな空気だし、別にいいか)



―――
――



303 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:12:55.74 ID:WSQjvE0To


同日 13:00

-黄泉川家・一方通行の部屋-



一方通行(…………眠れねェ)


一方通行(どォいうことだ? いつもなら寝転べば秒で眠れるってのにかれこれ二時間弱意識が消えねェ)

一方通行(午前中に二時間くらい寝たからか? いや、あの程度で俺の睡眠に支障はきたさねェはずだ)

一方通行(だとするとやはり原因は風邪か? それとも飲ンだ薬の副作用か?)

一方通行(チッ、風邪ってヤツは面倒臭せェなァオイ)



コンコン!



一方通行「あァ? 誰だ?」



ガチャ



芳川「あら? もしかしてノックの音で起こしちゃったかしら?」

一方通行「芳川か。いや、もともと起きてたから問題ねェ」

芳川「そう。でも寝てないと風邪は治らないわよ?」

一方通行「わかってるが眠れねェンだからしょうがねェだろ」

芳川「なるほどね。体調不良で身体の調子が出なくて、いつもやっている睡眠が出来なくなっているのね」

一方通行「たぶンな」

芳川「普通は逆なんだけどね。風邪を引いたら身体が十分な睡眠時間を確保するために、脳が休ませようとするはずなんだけど」

一方通行「もしかしたらこれも、ホルモンバランスが崩れたことが原因によるモンなのかもしれねェな」

芳川「眠気を促すためには食事を取ることで血糖値を上げるといいわ。どうせお昼ご飯とか食べてないでしょ? うどんでも作ってあげるわ」

一方通行「いらねェよ。二時間くらい前に食パン一枚食ったからイイだろ」

芳川「風邪を治すためにはきちんとしたものを食べて、エネルギーを摂取することも重要よ?」

一方通行「オマエが適当に食って薬飲めっつったンだろォが」

芳川「あらそうだったかしら? ごめんなさいね。文字通り適当なこと言って」

一方通行「チッ、大体オマエ料理できンのかよ。どっかの料理音痴みてェにダークマター精製したりしねェだろうな?」

芳川「愛穂みたいに上手ではないけど、人並みにはできるつもりよ」

一方通行「アイツの場合上手い下手というより、炊飯器の性能に全部任せてるだけだろ」

芳川「ま、それは否定はしないわ。それじゃ作ってくるからちょっと待っててね」


304 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:13:43.48 ID:WSQjvE0To


〜一〇分後〜



ガチャ



芳川「ほら、できたわよ」

一方通行「……何だ普通のうどんじゃねェか。てっきりカップ麺でも持ってくるかと思ったが」

芳川「ほんと失礼ねキミ」

一方通行「疑り深いと言って欲しいねェ」

芳川「あと部屋見渡す限り飲み物とか全然飲んでなさそうだから、飲み物も持ってきたわ」つ缶コーヒー

一方通行「うどンに缶コーヒーかよ」

芳川「どうせキミはこれしか飲もうとしないでしょ?」

一方通行「違いねェ。……ああ、そういや今日一回もコーヒー飲ンでなかったな」

芳川「それは珍しいわね。いつもならカフェイン切らすと手足がプルプル震える中毒者なのに」

一方通行「そこまでじゃねェよ。人を薬物中毒者みてェに言うンじゃねェ」

芳川「カフェインも見方を変えれば薬物みたいなものでしょ?」

一方通行「チッ、まァイイ。コーヒー見たら本当に飲みたくなってきた。ありがたくいただく」プルプル

芳川「ほら、手、震えてるわよ?」

一方通行「これは風邪の影響だっつゥの。イイ加減にしろ」パキッ

一方通行「…………」ズズズ

一方通行「……あァ、コーヒーうめェ」

芳川「手の震え、止まってるわよ?」

一方通行「……残念ながらまだ震えてるぜェ? そりゃそォだこれは風邪の影響なンだからなァ」プルップルッ

芳川「なんかわざとらしい震え方ね」

一方通行「気のせいだ、……ろ……」カクン

芳川「あらどうしたの? いきなりボーっとし始めて」

一方通行「……いや、何か急に……睡魔が……」カックンカックン

芳川「えっ!? まさかコーヒー飲んだから!? 普通逆でしょ逆!?」

一方通行「……そォいうわけだ。俺は寝る……じゃあ、な」ガクッ

芳川「ちょ、ちょっと待ちなさい! キミ私が作ったうどん一口も食べてないじゃない! 一口ぐらい食べて食レポしてから寝な――」


一方通行「…………Zzz」


芳川「……はぁ、完全に寝てるわね。というかカフェイン摂取したら落ち着いて眠れるなんて、本格的に中毒者のそれじゃない」

芳川「さて、このうどんどうしようかしらね? 私はさっきお昼食べたばかりだからこんなの食べられないし……」

芳川「…………」

芳川「まあ、冷蔵庫にでも入れていれば誰か食べるでしょ」


―――
――



305 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:15:12.78 ID:WSQjvE0To


同日 16:00

-とある高校・校門-


吹寄「さて、とりあえずコンビニにでも寄ってお見舞いの品買ってからいきましょう」

上条「……まさかバイトの日じゃないのに、ファミリーサイド周辺に行くとは思わなかったな」

結標「ごめんなさい二人とも。わざわざアイツのために時間作ってくれて」

吹寄「いいわよ別に。どうせこの時期は暇だしね」

上条「まあ風邪で弱ってる一方通行というレアな姿が見られるんなら、それくらい安いもんだぜ」

吹寄「貴様もそんな不純な動機でお見舞いに志願したのかしら上条当麻?」

上条「いや、そういうわけじゃねえよ。そういうわけじゃねえけど見てみたいだろ?」

結標「別にそんな面白いものじゃないと思うわよ。咳とかしてる以外普通だと思うし」

上条「冗談だって。ちょっと様子見て帰るだけだから、そんな期待してねえよ」

吹寄「……ところで上条当麻。その手に持ってる紙袋は一体何なのかしら?」

上条「これ? ああ、何か青髪ピアスが、お見舞い行くんやったら代わりに持っていってくれー、って渡してきたヤツ」

結標「お見舞い決まったの今日の昼休みなのに、一体いつの間に用意したのかしら……」

吹寄「何にしてもあの馬鹿が準備したものならロクなものではなさそうね」

上条「さすがにアイツも一回喋ったネタだから、同じことやるようなつまらないヤツじゃないと思うけどな」

吹寄「念の為に中身確認しときなさいよ」

上条「用心深いな。えっと……ジャ○プに○ンデー、その他諸々。ああ漫画雑誌か」

結標「なるほど。退屈しのぎのアイテムってわけね」

吹寄「まともね。不自然なくらいまとも。まともすぎるのが逆に変」

上条「ひでえ言われようだな。しょうがないけど」

吹寄「……まあいいわ。じゃ、コンビニに向かいましょ。結標さん、通学路にコンビニある?」

結標「ええ。五分くらい歩いたところにあるわ」

吹寄「そう。なら向かいながらで寄れるわね」

上条「さーて、何買っていこうかなー。つーか、アイツ何喜ぶんだ?」

吹寄「変なもの買おうとするんじゃないわよ?」ジロッ

上条「買わねーよ!」


―――
――



306 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:16:08.36 ID:WSQjvE0To


同日 17:00

-黄泉川家・一方通行の部屋-


一方通行「…………Zzz」

一方通行「Zzz……ン、……ふわァ。今何時だ?」チラッ

一方通行「五時か。一時過ぎに寝たから四時間弱寝たっつゥところか」

一方通行「やっぱ本調子じゃねェから眠りが浅せェみてェだな。コーヒーでも飲ンで寝直すか」ガチャリガチャリ



ガチャ



-黄泉川家・リビング-


打ち止め「あっ、アクセラレータだ! 起き上がって大丈夫なの? 元気になったのかな? ってミサカはミサカは心配しながらも質問してみたり」

芳川「あらおはよう。随分と早起きなのね」

一方通行「……ああ、オマエらか。まあ身体の状態は前よりはマシっつゥところか。薬が効いてンだろォな」

芳川「熱は?」つ体温計

一方通行「ああ」ピピィー

一方通行「……37.4℃だな」

芳川「体温も落ちてきてるし、このままいけば明日には治ってるわね」

打ち止め「わーい! よかったねアクセラレータ! ってミサカはミサカはバンザイして喜びを表現してみたり」

一方通行「チッ、うるせェな。大げさなンだよクソガキ」



ガチャ



結標「ただいまー……って一方通行!? ちょっと立ち歩いてて大丈夫なの!?」

一方通行「おォ。少しはマシになった」

吹寄「お邪魔します。あら、アクセラ思ったより元気そうじゃない」

上条「たしかにそうだな。わざわざお見舞いに来るほどじゃなかったみてえだ」

打ち止め「あっ、ヒーローさんにセイリお姉ちゃんだ! いらっしゃい! ってミサカはミサカは歓迎してみる」


307 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:16:51.29 ID:WSQjvE0To


一方通行「ケッ、わざわざこンな場所までご苦労なこった」

結標「ちょっと。せっかく来てくれたのにそんな態度はないんじゃないかしら?」

吹寄「いいのよ結標さん。そっちのほうがアクセラらしいし」

打ち止め「そうそう。あんなこと言ってるけど内心大喜びだしね、ってミサ――あたっ、ちょっと照れ隠しでチョップするのやめてほしいかも、ってミサカはミサカは頭を抑えながら抗議してみる」

一方通行「テレてねェよ。勝手なこと言ってンじゃねェぞクソガキ」

吹寄「あっ、そうだ。お見舞いの品持ってきてたんだった。はい、お腹が空いてるときにでも食べてちょうだい」スッ

一方通行「何だこりゃ」

吹寄「プリンとかそういうの買ってこようと思ったけど甘いもの嫌いらしいし、コーヒー好きだから無糖のコーヒーゼリーよ」

一方通行「へー。まァ気が向いたら食ってやるよ」

吹寄「全然嬉しそうじゃないわね。まあいいけど」

上条「上条さんは安牌の缶コーヒー買ってきたぞ。何が好きなのかわからないから、種類バラバラで適当に買ったヤツだけど」スッ

一方通行「おォおォ、さすがは上条クンだ。見事に最近飽きたヤツばっかセレクトしてやがる」

上条「げっ、まじか」

一方通行「まァ、いつか飲みたくなるときが来るかもしれねェからな。ありがたくもらっとく」

打ち止め「ねえねえ。そっちの紙袋はなんなの? ってミサカはミサカは指を指して尋ねてみたり」

上条「ああこれか。これは青髪ピアスからの見舞いだ。漫画雑誌たくさん入ってるから暇つぶしにでもしてくれ」スッ

一方通行「漫画の雑誌か。風邪で寝込ンでンだから暇もクソもねェと思うがな」ガサゴソ

結標「……というか貴方、さっきから文句しか言ってなくないかしら?」

一方通行「悪りィな。そォいう人間性なンだ。諦めてくれ」

結標「もう」

一方通行「……あァ? 漫画雑誌の中に変なのが混じってンな」スッ

上条「変な雑誌?」



『月間まんが4545タイム』



308 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:18:05.07 ID:WSQjvE0To


一方通行「…………」

上条「…………」

結標「…………」

吹寄「…………」

打ち止め「ねえねえそれなんの漫画雑誌? みせてみせてー、ってミサカはミサカは興味を示してみたり」



バシィ!!



吹寄「こ、これは何でもないのよ!? 何でも!! おほほほほほほほほほほほほ!!」

打ち止め「えっー? そんなこと言われちゃうと逆に気になるよ、ってミサカはミサカは好奇心が止まらなくなってみたり」

芳川「打ち止め。貴女にはまだ早いわ」

打ち止め「?」

吹寄「そ、それじゃあんまり長居してもいけないし、あたしたちはそろそろ帰るとするわ。ねえ、上条当麻?」ギロリ

上条「ひぃ!? 殺気!? あ、はい、僕も帰ります」

打ち止め「そうなんだー残念だね。ばいばーい! ってミサカはミサカは手を振って見送ってみたり」ノシ

吹寄「お邪魔しましたー!」

上条「ましたー!」


ガチャ


一方通行「……チッ、くだらねェ。俺ァコーヒー飲ンでから寝る」

結標「あ、うん。わかったわ」

打ち止め「晩御飯は食べないの?」

一方通行「飯時に起きてれば食う」

芳川「なんなら冷蔵庫に私が作ったうどんがまだ残ってるけど食べる?」

一方通行「いらねェよ、絶対ェ汁の油とか固まってンだろそれ」

芳川「レンジでチンすれば溶けるでしょ」

一方通行「だとしてもいらねェよ」



窓の外<不幸だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!



―――
――



309 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:19:26.12 ID:WSQjvE0To


同日 18:00

-黄泉川家・リビング-



ガチャ



黄泉川「ただいまー!」



打ち止め「おかえりー、ってミサカはミサカは返事のあいさつをしてみたり」

結標「おかえりなさい」

黄泉川「お腹空いてるだろうし、ちゃちゃっとご飯作るから待っててくれ」

打ち止め「はーい!」

黄泉川「そういえば一方通行の調子はどうじゃんよ。少しは良くはなったのか?」

結標「体温も下がってきてるようですし、部屋から出歩けるくらいには回復してましたよ」

黄泉川「そっか。それはよかったじゃん。で、今何してんの?」

打ち止め「一時間前くらいに寝るって言って部屋に戻って行ったよ、ってミサカはミサカは説明してみる」

黄泉川「あー、そうなるとしばらく起きないじゃんね。アイツの晩ご飯どうしよう」

結標「夕食時に起きてたら食べるって言ってましたけど……起きないでしょうね、たぶん」

黄泉川「まあいいや。とりあえずお粥でも作っとけば、仮にアイツが腹減って夜中起きたとしても、勝手に温めて食べるじゃん」

芳川「彼がそんな面倒なことしてまで食べるかしら?」

黄泉川「残ってたら残ってたで明日の朝食にするから問題なし」

打ち止め「お粥の話してたらミサカもお粥食べたくなってきた、ってミサカはミサカは唾液を飲み込んでみる」

黄泉川「よし、だったら今晩はお粥パーティーにでもするか!」

結標「何か寝る前とかにお腹とか空きそうね。お粥消化にいいから」

黄泉川「……ところで桔梗はなんでうどんなんか食べてるじゃん? 腹減りすぎて我慢できなかったのか?」

芳川「いえね。これもともと彼のお昼ご飯のために作ったものなのだけど、結局食べてもらえなくてね」

芳川「このまま捨てるのももったいないから、こうやって自分で食べているってわけ」

黄泉川「へー、それ食べて大丈夫じゃん?」

芳川「冷蔵庫で保存してたから問題ないわ。まあ、味は半減してるけどね」

芳川「そういうわけだから、私の夕食少なめで」

黄泉川「へいへい。じゃ、ぱぱっと作るから待っててくれ」


「「はーい」」


―――
――



310 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:20:43.99 ID:WSQjvE0To


同日 19:00

-黄泉川家・一方通行の部屋-


一方通行「……Zzz」


コンコン、ガチャ


結標「……一方通行? 起きてる?」

一方通行「……Zzz」

結標「まあ、起きてるわけないわよね」

一方通行「……Zzz」

結標「……ほんと、寝てるときの表情だけは穏やかよねコイツ。いつもは常に眉間にシワが寄ってて敵意むき出しって感じなのに」

一方通行「……Zzz」

結標「熱はどうなのかしら……よっと」スッ

一方通行「……Zzz」

結標「うーん、私と同じかちょっと温かいくらいだから、たぶん下がってきてるってことよね」

一方通行「……Zzz」

結標「…………」



結標(……ねえ一方通行? 私ね、すごくすごく心配したのよ。貴方が知る由もなかったでしょうけど)


結標(今日、私は学校に行ったのだけど、学校で何があったかまったく覚えてないわ)


結標(登下校で見た景色も、授業で先生が話していたことも、休み時間みんなと喋った内容も、お昼に食べたお弁当の中身も)


結標(全然頭の中には残っていないわ)


結標(……それは当たり前ね。だって何をしてても、貴方のことだけ考えていたから)


結標(きちんとゆっくり寝られているかしら? お薬はちゃんと飲んでいるのかしら? 症状が悪化していないかしら?)


結標(ずっとそんなことばかり考えていた気がする)


結標(だから、家に帰って普通に立ち歩いている貴方に出会えて安心した。嬉しかった)


結標(……ほんと馬鹿みたい。ただの風邪なのにそんな心配事なんてしちゃってね)


結標(でも、そんなことを思えるってことは、やっぱり私は――)


311 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:22:00.83 ID:WSQjvE0To













結標「――私は、貴方のことが、一方通行のことが好きってこと、なのよね」













312 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:23:04.60 ID:WSQjvE0To


一方通行「…………」

結標(……ってあれ? 私さっき声に出してた!? 嘘!? 一方通行起きてないわよね!?)

一方通行「…………Zzz」


結標(ほっ、よかった。あんなの聞かれたら恥ずかしすぎて三日間は部屋に引き込もれる自信があるわ……)

結標(……しかし情けない話よね。面と向かって言おうとしても全然言えなかったっていうのに)

結標(相手が寝てたらこんなにすんなり言えちゃうなんて)

結標(何やってんだろ私……)


結標「……はぁ」



コンコン!




打ち止め「アワキお姉ちゃんいるー? 晩ごはんの準備できたよー、ってミサカはミサカは報告してみる」



結標「あっ、ご飯できたんだ」

結標「さて、じゃあ私は行きますか。じゃあね一方通行」



ガチャ



一方通行「…………Zzz」



―――
――



313 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:24:47.82 ID:WSQjvE0To


March Forth Tuesday 07:00

-黄泉川家・結標淡希の部屋-


ピピピピ! ピピピピ!


結標「…………ん」スッ


ピッ!


結標「…………朝か」

結標「…………」ボッー

結標「……起きよ」


ガチャ


-黄泉川家・リビング-


結標「……おはようございます」


黄泉川「淡希おはようじゃん」

芳川「おはよう」

結標「……はぁ、とりあえず今日の修了式が終われば春休みね」

芳川「あらそうなの? もう二年生になるのね、早いわ」

結標「本当は三年生でこれから受験、って歳なんですけどね。あはは、どうしてこうなった……」

黄泉川「ま、なっちゃったもんはしょうがないし、その状況をめいいっぱい楽しめばいいじゃん」

結標「まあ、一年七組のみんなは良い人ばっかりでよかったとは思いますけどね」

芳川「でも二年生になると魔のクラス替えがあるわよ? 仲良かったメンバー全員と離れるなんてことも」

結標「うっ、それはたしかにつらい……」

芳川「特に中二病で陰キャな一方通行クンにとっても怖いイベントよね」

結標「あはは、そうですね。ところで一方通行の風邪は治ったんですか?」

黄泉川「ああ、熱も下がってたし顔色もよかったし大丈夫だと思うじゃん」

芳川「無茶してぶり返さないかだけが心配だけどね」クスッ

結標「そうなんですか。よかった……で、その一方通行はどこですか? まさかまだ部屋で寝てるんじゃ……?」

黄泉川「ああ、一方通行なら何か今日日直だっつって、先に学校へ行ったぞ」

結標「……えっ?」

芳川「たしかに驚くわよね。あの子が日直なんてものに真面目に取り組んでるなんて」

黄泉川「真面目にやってくれているならいいことじゃん。まあたしかに、こんな時間から行ってまでするほどの仕事なんて日直にはないと思うけどな」

芳川「たぶんあれよ。きっと早く行って終わらせて、机に突っ伏して睡眠の続きをやっているに違いないわ」

黄泉川「あー、ありえるじゃんね。てか、机で寝るのは身体に悪いから保健室のベッド借りればいいのに」

芳川「そこツッコむところかしら? ……ん? 淡希どうしたの? 急に黙って」

結標「……いえ、ちょっと疑問がありまして」

黄泉川「何じゃん?」


結標「……一方通行って今日、日直だったっけ?」


――――――


314 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/09/24(金) 20:27:22.12 ID:WSQjvE0To
次回からまた長編に入るらしい

次回『春休み』
315 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:16:06.68 ID:H/mwOrQ9o
今回からワンクール日常アニメにありがちな終盤のギスギスみたいなのあるからうんちやね

投下
316 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:17:02.37 ID:H/mwOrQ9o


14.春休み


March Forth Tuesday 08:30

-とある高校・一年七組教室-



ガラララ



吹寄「あっ、結標さんおはよう」

姫神「おはよう」

結標「おはよう。ねえ、一方通行いる?」

吹寄「えっ、アクセラ? 見てないけど」

姫神「アクセラ君。風邪治ったんだ。よかった」

結標「……おかしいわね。何か今日日直だから、って言って先に学校に行ったらしいんだけど」

吹寄「それはないわよ、だって今日の日直はあたしだし。何ならこの教室に最初に来たのもあたしだし」

結標「そうなんだ。何か妙ね……」

姫神「そもそもアクセラ君。日直だからって学校に早く来たことないよね」

結標「うん。一体どういうことなのかしら? なら一方通行は今どこにいるのよ?」

吹寄「電話してみればいいんじゃないかしら?」

結標「それもそうね。じゃあ――」スッ



キーンコーンカーンコーン



ガララ



小萌「はーい、朝のホームルームの時間ですよー。みなさん座っちゃってくださーい!」



結標「あっ、しまった。先生来ちゃった……」

姫神「まあ。ホームルームと修了式の間に。ちょっとだけ時間がある」

吹寄「まったく。最後の最後の日にサボろうなんてことないでしょうね」


317 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:17:44.52 ID:H/mwOrQ9o



小萌「――ちゃん。アクセラちゃん……今日もアクセラちゃんはお休みですかー?」



結標「いえ、学校には行くってウチを出たみたいなんですけど、まだ学校には来てないみたいで……」

小萌「はえーそうなんですか。それはちょっと心配ですね……なにか事故とかに巻き込まれてなければ良いんですが」

結標「先生。HR中ですけどちょっと電話してみてもいいですか?」

小萌「……そうですね。お願いします結標ちゃん」

結標「じゃあ――」



ガラララ



一方通行「…………」ガチャリガチャリ


青ピ「あっ、アクセラちゃん来たで!」

結標「えっ?」


小萌「アクセラちゃん。遅いですよー何かあったのですかー?」

一方通行「悪い。寄り道してたら遅れた」

小萌「そうだったんですか。ダメですよアクセラちゃん。明日から春休みで浮かれる気持ちもわかりますが」

一方通行「ああ」


結標「ちょっと一方通行」

一方通行「……あァ?」

結標「貴方どこに行っていたのよ? 黄泉川さんたちには日直だから先に行くって言ってたみたいだけど、そうじゃないんでしょ?」

一方通行「……別に。ただの野暮用だ。オマエには関係ねェよ」

結標「だったらそう言えばいいじゃない。何で変な嘘なんか……」

一方通行「…………」

結標「?」


―――
――



318 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:20:05.34 ID:H/mwOrQ9o


同日 09:00 〜修了式〜

-とある高校・体育館-


校長『――であるからして』


青ピ(……二次元か三次元か。はたまたゲームかアニメか漫画か小説か妄想か。今日はどれで一発いこうかなー?)

土御門(ふむ、どうにかして舞夏に花見のときのネコミミミニスカメイド服を着させられないだろうか……)

上条(今日の特売はたしか鶏肉だったよな……、こいつは気合い入れねえといけないな)

姫神(……七回目)


結標「…………おかしいわね」

吹寄「(……どうしたの結標さん? いま式中よ?)」ボソッ

結標「(あれを見てちょうだい)」ボソッ

吹寄「?」


一方通行「…………」


吹寄「(……アクセラがどうかしたの?)」

結標「(……寝てないのよ)」

吹寄「(……えっ、なんて?)」

結標「(校長先生の話の途中だっていうのに……寝てないのよ、アイツ)」

吹寄「(……いや、別にそれ普通じゃない?)」

結標「(おかしいわよ。だって、アイツ校長先生が話してるとき、寝てなかったことなかったのよ?)」

吹寄「(言われてみれば、いつも黄泉川先生に起こされていた気がするわね)」

結標「(でしょ?)」

吹寄「(まあ、普通は起きてるものだから、そういう日もあるってことでいいんじゃないかしら?)」

結標「(……ふむ。でもやっぱりおかしいわよね)」

吹寄「(しかし、そんなこと気付けるってことは結標さん、あなたこういうときはいっつもアクセラのこと見てるってことよね?)」ニヤリ

結標「(えっ、そ、そんなこと……)」

吹寄「(だって寝てなかったことないって断言したってことは、そういうことでしょ?)」

結標「(べ、別に私はいっつも黄泉川さんに怒られてるなぁって思って見てただけで、特にそんな――)」



黄泉川「結標、吹寄。随分と楽しそうになに話しているじゃん?」ニコニコ



結標・吹寄「……あ」

黄泉川「校長先生のありがたーい話の途中なんだから、ちゃーんと聴いとかないといけないじゃんよ?」ニコニコ

結標・吹寄「……す、すみません」



校長『――であるからして』



一方通行「…………」


―――
――



319 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:21:38.15 ID:H/mwOrQ9o


同日 12:20 〜四時間目LHR〜

-とある高校・一年七組教室-



小萌「――というわけで、明日から春休みですがみなさんあまり羽目を外し過ぎないように注意してくださいね」

小萌「そして何より、怪我なく病気なく健康面にも気をつけてください」

小萌「新学期に、二年生になったみんなの元気な姿をまた見せてほしいのですー」

小萌「……それでは――」



青ピ「一年七組!! 起立!!」



ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!



小萌「ふにゃっ!? な、なんです突然ー?」



女子委員長「小萌先生! 一年間ありがとうございました!」


クラス一同「ありがとうございました!!」


青ピ「小萌センセと、この一年七組のみんなとワイワイできた一年間、ほんま最高やったで!」



<うおおおおお一年七組最高おおおお!! <小萌先生、くそお世話になりました!! <FOOOOOOOOOOOOOOOO!!



小萌「……ふえぇ、みなさん大げさですよー、まだ一年生が終わっただけなんですよ? なのに、そんな、ぐすん」



320 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:22:18.55 ID:H/mwOrQ9o



ワイワイガヤガヤ



結標「さて、帰りますか。お昼どうする?」

一方通行「……何でもイイだろ」

結標「相変わらずの返答ね」


青ピ「アクセラちゃんに姉さん! これから春休みの打ち合わせも兼ねてファミレスで昼どーや?」


結標「あらいいわね。じゃあ行きましょうか」

一方通行「……春休みの打ち合わせ?」

結標「ああ、昨日みんなで話してたのよ。春休みどこか一緒に遊びに行こうって。まあ、私は昨日なに話してたかはあんまり覚えてないんだけど」

一方通行「……そォかよ」

青ピ「もっちろんアクセラちゃんも行くやろ?」

一方通行「どォせ行かねェっつっても、あれこれ抜かして無理やり連れてくつもりなンだろォがよォ。面倒臭せェが行ってやるよ」

結標「素直じゃないわねほんと」

一方通行「…………」

結標「……あれ?」

青ピ「みんな姉さんらも行くってー! ほな、ファミレスにレッツゴー、なので!」

上条「変な語尾付けんな気持ち悪りぃ」

吹寄「打ち合わせするのはいいけど、ちゃんとどこ行きたいかとか決めてきたんでしょうね?」

土御門「それはファミレス行ってからのお楽しみだにゃー」

姫神「随分ともったいぶるね」


一方通行「…………」

結標「ほら、一方通行。私たちも行きましょ?」

一方通行「……ああ」

結標「……一方通行?」

一方通行「……何だ?」

結標「えっと……いや、何でもないわ。気にしないで」

一方通行「……ああ」


―――
――



321 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:23:08.64 ID:H/mwOrQ9o


同日 12:40

-第七学区・とあるファミレス-



青ピ「――というわけで、春休みに『スターランドパーク』に行くことが決定しました!! どんどんぱふぱふー!!」



吹寄「ちょっと待ちなさい! 決定しましたってどういうことよ?」

土御門「ああ、それはこういうことだぜい」スッ

姫神「これは?」

土御門「スターランドパークの入場券。とあるルートで入手したものだぜい」

上条「うさんくせーな。本当に正規品かこれ?」

吹寄「なるほどね。この券が手に入ったからみんなで行きましょう、ってこと」

土御門「そうそう。しかもなんと一〇枚もありまーす!」

姫神「なんでそんな大量に……」

土御門「いや、一口一〇枚だったからにゃー。まあ、人数分足りるしセーフってことで」

青ピ「さすがはつっちーやで! 褒めて使わす!」

上条「褒め方が偉そうだな」

結標「スターランドパークってあの大きな遊園地よね? オープン日に行ったのが懐かしく感じるわ」

姫神「結標さんも初日のナイトパレード。見に行ってたんだ」

上条「あっ、それ俺も行ったぜ。まあ、追っかけ回された記憶ばっかでパレード全然覚えてないんだけどな……」

土御門「なんだ。結構行ったことあるやつ多いのかにゃー」

結標「しかし、楽しみね。一回行ったけど広すぎて全部は回れなかったのよね」

姫神「アトラクションだけでも一五〇種類あるのだから。一日で回るのは不可能」

吹寄「すごい数ね……一日どころか一週間でも無理そう」

青ピ「ある程度的を絞っていけば効率よく回れそうやな。ボクらは絶叫度レベル5のアトラクションはしごしまくるでー!」

上条「げっ、マジかよ? 俺ジェットコースターのやつ乗ったけど死ぬかと思ったぞマジで」

土御門「なにを言っているんだカミやん。死ぬほどじゃないと面白くないぜよ」

結標「ふふっ、そういえば一方通行って絶叫マシンダメなのよね」

姫神「それは意外」

吹寄「能力で音速飛行しまくってるのに、今さら絶叫マシン程度でなにが怖いというのか……」

青ピ「えっ!? アクセラちゃんって絶叫マシンあかんの!? あはははははっアックセラちゃんこっどもっー!」

上条(あっ、これいつもの流れだ)


322 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:23:43.52 ID:H/mwOrQ9o


一方通行「…………」ボォー


青ピ「こっどもーこっどもー! ……あれ? ベクトルツッコミがない……だと……?」

土御門「なんだと!? これは一体どういうことだ!?」

吹寄「あなたたちの馬鹿さ加減に愛想つかしたってことでしょ? 毎度毎度いい加減飽きるでしょ」

上条「おい一方通行? おーい一方通行?」

一方通行「…………!? お、おォ、何だよ?」ビクッ

姫神「どうしたのアクセラ君。ぼーと窓の外なんか眺めて。なにかあるの?」

一方通行「いや、別に何でもねェよ。ただ何となく外眺めてただけだ」

吹寄「もしかして昨日の風邪まだ残ってる感じ? 早く帰って休んだほうがいいんじゃない?」

土御門「なるほど。病み上がりだから青髪ピアスのしょうもない煽りにも反応しなかったんだにゃー」

一方通行「別にそォいうわけじゃねェ。チカラ使ってきっちり滅菌したから万全のはずだ」

上条「どんなベクトル操ったら風邪のウイルスが全滅すんだよ……」

青ピ「ほーん、そうとわかったらリピートぅ! アクセラちゃん絶叫マシン怖いってこっどもー! ……ほら、ほら、ツッコミカモンカモン!」

一方通行「そンな見え見えの挑発のるかよドM野郎かオマエは? つゥか、絶叫マシンなンて怖くねェ」

姫神「でも。結標さんが言ってたよ。絶叫マシン苦手だって」

一方通行「……また適当なこと抜かしやがって」

結標「あはは、ごめんごめん……ん?」

結標(あれ? そういえば……)

青ピ「まあ、そろそろ本題に戻しましょか。次にスターランドパークへいつ行くかやけど――」



ワイワイガヤガヤ



結標(一方通行、頼んだコーヒー、さっきから全然飲んでない……?)


一方通行「…………」ボォー



―――
――



323 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:24:31.41 ID:H/mwOrQ9o


同日 13:00

-ファミリーサイド・従犬部隊オフィス-



数多「…………あー、なんか面白れェことねえかなー」ボー



円周「はい。こちらが平日の昼間からダラダラしてるダメ人間さんです。よいこのみんなはこんな大人にならないように気をつけようねー」

打ち止め「はーい! ってミサカはミサカは挙手してみる」ノ

数多「あ? 誰がダメ人間だって?」

円周「平日の昼間から面白いことないかなーってぼーっとしてるおっさんが、ダメ人間じゃないわけないよね」

数多「何言ってんだお前。俺は今絶賛仕事中だぜ? 次の仕事が来るまで待機っつー仕事をよ」

打ち止め「ちなみに次の仕事っていつくるの? ってミサカはミサカは好奇心のままたずねてみたり」

数多「あー、あれだよあれ。五分後かもしれねえし、はたまた明日かもしれねーし」

円周「仕事なくてサボってるだけだね。社内ニートってやつだよ」

数多「潰すぞクソガキ」

打ち止め「でも部下の人たちは今も忙しそうにしてるっていうのに、キハラは暇なんだね、ってミサカはミサカは社員のみんなを見ながら言ってみる」


ヴェーラ「ちょっとオーソン! この伝票領収証付いてないわよ! 早く出して!」

オーソン「あっ、悪い! 今から運びの仕事だからまた今度でいい?」タッタッタ

ヴェーラ「いますぐもってこい!!」

ナンシー「……ああっ!? あと少しで終わりだった資料を保存せずに閉じちゃった!? 私の三日間返して……」

マイク「いや、三日間もやってて何で途中保存してないんだよ……って言ってる場合じゃねえ、早く出ねえと」スタスタ



数多「まー、俺はここの社長だからな。席で踏ん反り返るのが仕事みたいなもんだろ」

円周「暇人おじさんが開き直っちゃったよ」

打ち止め「だめだこりゃ、ってミサカはミサカは呆れながらお手上げポーズしてみたり」

数多「そもそもお前らの遊びに付き合ってやってんだから十分だろ。保育も立派な仕事だ」

打ち止め「ええっー? うっそだー、いっつもゲーム一緒にやろうって言ったら忙しいとか言って逃げるくせに、ってミサカはミサカは反論してみる」

円周「これは育児放棄だね。出るとこ出るよ」

324 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:25:16.87 ID:H/mwOrQ9o


数多「……よーし、じゃあこれから鬼ごっこだ。一秒数えるからその間に逃げろ。捕まったヤツには罰ゲームとして木原百裂拳脳天に食らわせてやるよ」ゴキゴキ

打ち止め「ヴぇっ!? こ、これはまずい! ってミサカはミサカは全力で逃走を図ってみたり!」ダッ

円周「うんうん、わかってるよ数多おじさん。『木原』なら逃走する前にトラップを仕掛けて追跡を振り切る確率を上げるものだよね」スッ

数多「はい、いぃぃち! 覚悟しやがれクソガキども――」



ピピピピッ! ピピピピピッ!



数多「あん? はい、木原だ」

打ち止め「おっ、なんか電話に出たよ。もしかしたら死の鬼ごっこ中止になるかも、ってミサカはミサカは希望的観測をしてみたり」

円周「うーん、せっかく地雷仕掛けたのに。足が吹き飛んで無様に地面を這いつくばる数多おじさんっていう、面白いものが見られると思ったのになあ」

打ち止め「うえぇー、そんなの見たくないから今すぐそれ撤去してよ、ってミサカはミサカはグロテスクな光景を想像したことに後悔を覚えたり」

数多「――ああ。ああ。はい、りょーかい。じゃ、そういうことで」ピッ

円周「何の電話だったの?」

数多「新しい仕事の電話だ。残念だったなクソガキども。テメェらと遊ぶ暇が消えちまった」

打ち止め「仕事ってどんな仕事なの? ってミサカはミサカは聞いてみる」

数多「あー、あれだ。泥臭いクソみてえな裏の仕事じゃなくて、表の世界を盛り上げるエンターテイナーみてぇな仕事だな」

打ち止め「?」

数多「おいヴェーラ!」

ヴェーラ「はい!」

数多「全社員に通達しろ」


数多「明日から死ぬほど忙しくなるぜ、ってな」ニヤリ



―――
――



325 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:25:56.84 ID:H/mwOrQ9o


同日 14:00

-第七学区・通学路-


結標「…………」テクテク

一方通行「…………」ガチャリガチャリ

結標「……ねえ、一方通行?」

一方通行「……あァ?」

結標「やっぱり、昨日の風邪ちょっと残ってるんじゃない?」

一方通行「……どォしてそォ思う?」

結標「いや、何ていうか、今日の貴方何か変よ?」

一方通行「……変?」

結標「うん。何か全然居眠りとかもしてないし、かと思ったらぼーっとしてるし、コーヒーも全然飲んでないし」

一方通行「……オマエがいつも俺のことをどォ思ってンのかがよォくわかった」

結標「それに何か喋り方に違和感があるわ。勢いがないというか……」

一方通行「……いつもこンなモンだろ」

結標「いや、絶対違うわよ。伊達に貴方と毎日一緒にいるわけじゃないわ」

一方通行「……そォかよ」

結標「家に着いたらすぐ休んだほうがいいんじゃない? って、私が言うまでもなくすぐに寝ちゃうんでしょうけどね」

一方通行「……だろうな」

結標「そういえば久しぶりに風斬さんに会えるかもしれないのね。楽しみだわ」

一方通行「……風斬? どォいうことだ」

結標「ぼーっとしてたから貴方は知らないでしょうけど、春休みにスターランドパークへみんなで行くってことになって、それで風斬さんも誘おうって話になったのよ」

一方通行「……スターランドパーク? ……ああ、そォいうことか。だから遊園地の話してたのか」

結標「本当に全然話聞いてなかったのね」

一方通行「……で、何で風斬を呼ぶことになってンだ?」

結標「土御門君が用意したスターランドパークのチケットが一〇枚あって、私たちで七枚使うってことは三枚余るでしょ?」

一方通行「……何で一〇枚も用意してンだよ」

結標「さあ? 何か一セット一〇枚だったらしいわよ? まあ、それで余った三枚は打ち止めちゃんとインデックス、それで風斬さんも誘おうってことになったのよ」

一方通行「…………」


326 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:26:33.38 ID:H/mwOrQ9o


結標「スキー旅行のとき以来か……来てくれると嬉しいわね」

一方通行「……そォだな」

結標「やっぱり今日の貴方は変ね。素直に同意してくれるなんて」

一方通行「……別にイイだろ」

結標「……はっ!? もしかして貴方、風斬さんのことが……!?」

一方通行「ンなわけねェだろ。馬鹿言ってンなよ」

結標「そ、そうよね。あはは、ごめんごめん」

一方通行「…………」

結標「そうだ。貴方どうせ話聞いてなかっただろうから言っておくけど、スターランドパークに行く日は明日よ? 朝八時に駅集合。忘れないでよ?」

一方通行「……わかった」

結標「本当にわかったんでしょうね? ちゃんと聞いてるわよね?」

一方通行「……チッ、明日の朝八時だろ? うるせェな」

結標「はい、よろしい」ニコッ

一方通行「……はァ」

結標「なによそのため息?」

一方通行「……何でもねェ」

結標「あっ、あとちゃんと風邪治しときなさいよ? 遊ぶ当日までそんな感じだったら嫌よ? 何か調子狂うわ」

一方通行「……ああ。俺もそォ思うよ」


―――
――



327 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:27:16.42 ID:H/mwOrQ9o


同日 14:30

-ファミリーサイド・十三階廊下-



ピンポーン



ガチャリ



ヴェーラ「はい……あっ、黄泉川さんのところの」

結標「いつもお世話になってます。打ち止めちゃん迎えに来ました」

一方通行「…………」

ヴェーラ「打ち止めちゃーん! 迎えが来たわよー!」



ドタドタドタ!



打ち止め「オイース! おかえりなさい二人とも、ってミサカはミサカは元気いっぱいに駆け寄ってみたり」トテチテ

一方通行「少しは静かにできねェのかクソガキ」

打ち止め「元気こそミサカのアイデンティティーだからこればかりはどうしようもないね、ってミサカはミサカは断言してみる」

一方通行「そォかよ」

結標「それじゃあ、明日からは私たち春休みなんで、二週間くらいはこっちで打ち止めちゃんの面倒見ますから」

ヴェーラ「はい、聞いています」

結標「ではお世話になりました」

打ち止め「ましたー! ってミサカはミサカは簡略化して復唱してみたり」



328 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:27:55.07 ID:H/mwOrQ9o


-黄泉川家・リビング-



打ち止め「ええっー!? 春休みにみんなでスターランドパークに行く!? 行く行く行きたい行きたい!! ってミサカはミサカは歓喜の声を上げてみたり」


一方通行「うるせェ」

結標「あはは、打ち止めちゃんならそう言うと思ったわ」

打ち止め「で、スターランドパークにはいつ行くの? ってミサカはミサカはウキウキ気分でたずねてみたり」

結標「明日よ。別に予定とかないでしょ?」

打ち止め「えらく急だね、うん大丈夫だよ! エンシュウとは一週間くらい会えないからね。暇を持て余しまくってるぜ、ってミサカはミサカは得意げに言ってみたり」

結標「円周ちゃんどうかしたの? 一週間って結構長いわよね?」

打ち止め「何かキハラたちの会社で出張の仕事が入ったみたいで、それが一週間くらいかかるみたい、ってミサカはミサカは人差し指を立てて説明してみる」

結標「なるほどね。それに円周ちゃんも付いていくってことか」

打ち止め「そうそう」

結標「一週間の出張って一体どんな仕事なんでしょうね?」

打ち止め「さあ? 何かエンターテイナーとかなんとか言ってたよ、ってミサカはミサカはあのときの言葉を思い出してみたり」

一方通行「どォせくだらねェ仕事だろ。考えるだけ時間が無駄だ」ゴロン

打ち止め「家に帰って真っ先にソファに寝転ぶなんて相変わらずだね。たまにはミサカと遊んだらどうだあ! ってミサカはミサカは文句垂れてみたり」

結標「あっ、打ち止めちゃんごめんね。一方通行昨日の風邪がまだちょっと残ってるみたいだから、そっとしといてあげて」

打ち止め「……へー、風邪、か。それはたしかにそっとしといたほうが良さそうだね、ってミサカはミサカは優しく見守ることを決意してみたり」

一方通行「うっとォしいこと決意すンな。余計なことすンじゃねェぞ」

打ち止め「はーい、ってミサカはミサカは軽く返事をしてみる」

一方通行「…………」


―――
――



329 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:29:30.17 ID:H/mwOrQ9o


同日 17:00


打ち止め「――あっ、もう五時だ! 超機動少女カナミン(マジカルパワードカナミン)の再放送が始まる時間だぜ、ってミサカはミサカはテレビのリモコンのスイッチを押してみたり」ピッ


テレビ<チャーチャチャチャチャー♪ タタター♪


打ち止め「このオープニング見てると花見でインデックスがコスプレしてたの思い出すなぁ。ミサカもコスプレしてみたいなぁ、ってミサカはミサカは一人で勝手に願望を吐露してみたり」


ガチャ


芳川「ただいま」

打ち止め「おかえりー、ってミサカはミサカはテレビの画面を凝視しながら挨拶してみる」

芳川「あら、二人してテレビ鑑賞? 随分と仲良しなのね」

打ち止め「えっ、二人?」チラッ


一方通行「…………」ボー


打ち止め「……あれ? あなた寝たんじゃなかったっけ? ってミサカはミサカは記憶を思い返しながら聞いてみたり」

一方通行「…………」ボー

打ち止め「? おーい、どうかしたの? おーいアクセラレーター、ってミサカはミサカはあなたの目の前で手の平を振ってみたり」

一方通行「…………何か用かクソガキ」

打ち止め「用っていうかあなた風邪で疲れてるから寝たんじゃなかったの? ってミサカはミサカは首を傾げてみる」

一方通行「……ああ、ちょっと考え事してた」

打ち止め「あれから二時間くらい経ってるのに一体何をそんなに考えてるの? ってミサカはミサカは少し興味を持ってみたり」

一方通行「オマエには関係ねェよ」

打ち止め「……ふーん、そう。まあいいや、カナミンの続き観よっと、ってミサカはミサカは視線をテレビへ移してみたり」

一方通行「……チッ」

芳川「一方通行」

一方通行「あン?」

芳川「ほら、缶コーヒーよ。キミならこれ飲めば熟睡できるのでしょ?」スッ

一方通行「……ああ、悪い」スッ

芳川「…………」

一方通行「…………」

芳川「……ん? 飲まないの?」

一方通行「……何か飲む気が起きねェンだよな」

芳川「家にいる時間の九割は睡眠時間、一日に飲む缶コーヒーは二ダース以上のキミがこんなことになるなんて、異常事態ね」

一方通行「そンなに寝てねェし飲ンでもねェよ」

芳川「まあそれは言い過ぎだとしても、キミのメインの欲求二つを満たそうとしてない時点で十分おかしいわね。さっきあの子は風邪とか言ってたけど、もしかしたら別の病気とかにかかってたりして」

一方通行「……それこそ言い過ぎだな。俺は至って健康体だ」

芳川「それ、仮に万全のキミが言ったとしてもギャグにしか聞こえないわよね?」

一方通行「解体されてェかクソババァ」


―――
――



330 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:30:04.48 ID:H/mwOrQ9o


同日 19:00


一方通行「…………」ボッー


黄泉川「――おおーい、一方通行? 晩御飯の時間じゃんよ」

一方通行「…………」ボッー

黄泉川「おーい」

一方通行「…………」ボッー

黄泉川「…………」


ゴッ


一方通行「痛ェ!? 何しやがる黄泉川ァ!?」

黄泉川「なーにぼーっとしてるじゃんよ。晩御飯できてるって言ってるじゃん」

一方通行「チッ、だったら口で伝えりゃイイだろォが」

黄泉川「口で言っても聞かなかったから、拳で語ってやっただけじゃん♪」

一方通行「そォかよ、悪かったな」


-黄泉川家・食卓-


結標「あっ、やっと起きたのね一方通行」

打ち止め「うーん、まあ起きるのは起きてたんだけどね、ってミサカはミサカは訂正してみる」

結標「どういうこと?」

打ち止め「何かずっとテレビとか窓の外とか部屋の隅のなにもないところとか見ながら、今までずっとぼーっとしてたよ、ってミサカはミサカは事細かく説明してみる」

結標「風邪治せって言ったのに何やってるのよ」

一方通行「……言っただろォが。風邪はもォ完璧に治ってる」

結標「そういう風に見えないから治せって言ったのよ」

一方通行「…………」

黄泉川「はい、そんな調子の悪そうな一方通行には特別メニューを作って上げたじゃん♪」

一方通行「特別メニューだァ?」

黄泉川「おう」カチャ



大皿一杯のサラダ『盛るぜぇー超盛るぜぇー!』



一方通行「……オイオイ、何だこの雑草の山はァ?」

黄泉川「野菜は身体の調子を整えるじゃん。さらに今日の晩御飯のメニューはトンカツ! 豚肉も身体の疲労を回復してくれる優れものじゃんよ」

一方通行「だったら豚肉だけでイイだろォが!」

黄泉川「一方通行」

一方通行「あァ?」

黄泉川「栄養バランスは大事じゃん♪」

一方通行「絶対ェバランスおかしいだろこのメニュー!?」


331 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:30:52.18 ID:H/mwOrQ9o


黄泉川「へー、明日スターランドパーク行くのか。いいじゃんいいじゃん楽しんできな」

結標「はい」

芳川「春休み真っ只中だから人が多そうね」

結標「ですね。まあそれはどうしようもないから割り切ってます」

打ち止め「イエーイ!! 今から楽しみで夜も眠れなくなりそうだぜ、ってミサカはミサカは興奮を抑えきれなくなってみたり!」

黄泉川「食事中に騒ぐんじゃないじゃん」

打ち止め「ごめんなさい、ってミサカはミサカは行儀よく座り直してみる」

黄泉川「しかし、そんな楽しいイベントがあるならなおさら身体の調子取り戻さないとな。なあ一方通行?」


一方通行「…………」ボッー


打ち止め「あっ、食事中なのにまたぼーってしてる、ってミサカはミサカは少し驚いてみる」

黄泉川「おい一方通行。そんなぼーっとしてたらご飯冷めちゃうじゃんよ」

一方通行「……ああ、悪りィ」

芳川「大方、目の前にある野菜の山から現実逃避していたのでしょうけど、いくら時間を潰しても食べない限りなくならないわよ、それ」

一方通行「チッ、わかってンだよそれくらい……おェ、不味っ」モシャモシャ

打ち止め「がんばえー、って言いつつもミサカも頑張って自分の分のサラダ食べなきゃ……ってミサカはミサカはたじろぎながらも応援してみたり」モシャモシャ

結標「…………」

芳川「どうかした淡希?」

結標「いえ、大丈夫かなって」

芳川「彼のこと? たしかにちょっと様子はおかしいけど、そんな心配するほどじゃないとは思うけどね」

結標「……そうですね。まだぼーっとしてるけど下校してるときよりはハキハキ喋ってる気がするし、よくなってますよね、たぶん」

芳川「そんなに変だったの? 下校中」

結標「はい、喋り方が変っていうか、勢いがないと言うか」

芳川「……ちなみにそのときって二人きりのとき?」

結標「そうですけど、それがどうかしましたか?」

芳川「いえ、なんとなく聞いただけよ……ふーん」

結標「?」


一方通行「ぜェ、ぜェ、クソがっ、やっと半分かよ……おェ」

黄泉川「なんならおかわりもあるぞ?」

一方通行「いるかッ!!」


―――
――



332 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:31:38.60 ID:H/mwOrQ9o


同日 21:00

-黄泉川家・リビング-



テレビ<ギャハハハハハハ!! <チンサキニギガデインナンヨ!!



一方通行「…………」ボッー


ガララ


結標「一方通行、お風呂空いたわよ?」

一方通行「…………」ボッー

結標「またぼーってしてる……ちょっと一方通行? 一方通行ぁ!」

一方通行「……何だようるせェな」

結標「貴方がぼーってしているのが悪いんでしょ。お風呂空いたわよ」

一方通行「……わかった」

結標「……あっ、上条君から連絡来てる! 風斬さん来られるって!」

一方通行「……そォか」

結標「もうちょっとテンション上げてくれると私も報告したかいがあったのだけど」

一方通行「……別にイイだろ」

結標「というかまたその変な喋り方に戻ってるわよ? 一体どうしたっていうのよ今日の貴方は?」

一方通行「……さァな」

結標「早くお風呂入って温まってからゆっくり寝なさいよ」

一方通行「……ああ。そォさせてもらう」ガチャリガチャリ



ガチャ



結標「……もう、本当に大丈夫なんでしょうね明日」

結標「あんな状態で一緒に遊園地回ったって全然楽しくないわ」

結標「まあ、さすがに明日になったらもとに戻ってる、わよね?」



しかし、そんな彼女の希望も虚しく当日も一方通行はあんな感じなのだった。



――――――


333 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/01(金) 20:33:33.67 ID:H/mwOrQ9o
なんで昔のワイは一方さんに絶叫マシン駄目設定なんてつけたんや……?

次回『スターランドパーク、再び』
334 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:27:12.91 ID:oCYJ/As4o
ここまで読んだ人がいれば分かると思うけど過去のネタの使いまわしばっか

投下
335 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:28:03.64 ID:oCYJ/As4o


15.スターランドパーク、再び


March Forth Wednesday 08:00 

-第七学区・地下鉄駅前-



結標「あっ、みんなおはよー!」テクテク

打ち止め「おっはよー!! ってミサカはミサカは飛び跳ねてみたり」ピョンピョン

一方通行「……朝っぱらからうるせェ」ガチャリガチャリ


吹寄「三人ともおはよっ」

姫神「おはよう」

青ピ「おっ、姉さんらが来たってことはビリはカミやん組で確定やな」

土御門「ま、それはわかってたことだからにゃー、賭けにもならないぜよ」

結標「やっぱり上条君たちはまだ来てないのね」

姫神「まあ。今回は風斬さんも連れてこないといけないから。しょうがないと言ったらしょうがない」

吹寄「姫神さん甘いわよ。いつもと違うことがあるのなら、それを踏まえて早く行動しなきゃいけないのよ?」

土御門「カミやんにはその言葉、何百何千言ったところでまったく聞かないと思うけどにゃー」

青ピ「すだれに腕押しってやつやな」

姫神「それを言うなら。のれんに腕押し」



上条「うおおおおおおおおおおおっ!!」タタタタタ

禁書「とうまー! だから走るの速いんだよ! ひょうかもいるんだからもっとゆっくり走ってよ!」ドタドタ

風斬「インデックス。私は大丈夫だから、ね?」タッタッタ



打ち止め「あっ、ヒーローさんたち来たよ! ってミサカはミサカは報告してみる」

吹寄「遅いっ!」キッ

上条「ひいぃ!? さ、三分くらいなら誤差なのでは……?」

吹寄「三分だろうが三秒だろうが遅刻は遅刻よ!」

青ピ「おっ、いつもの説教始まった始まった」

土御門「三分で済んだのがこっちからしたらラッキーみたいなもんだにゃー」


336 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:28:56.35 ID:oCYJ/As4o


一方通行「…………」

禁書「おはようあくせられーた。……えっと、何かちょっと元気ない?」

一方通行「そォかもな。オマエは相変わらずアホ面でのんきそォにしてて羨ましいこった」

禁書「むぅ、元気はなくても悪口はいつもどおりなんだよ」

打ち止め「この人の口の悪さには困ったものですなぁ、ってミサカはミサカはため息交じりに呆れてみたり」

一方通行「泣かされてェのかクソガキども」

風斬「……、あの。えっと、ど、どうも」

一方通行「……おォ」



『あなたが思ってる以上に『化け物』かもしれませんよ?』



一方通行「…………」

風斬「え、えっと。その、私の顔に、なにか付いてるでしょうか?」

一方通行「……いや、何でもねェ」

風斬「…………」

結標「? 二人して黙って見つめ合ってなにやってるのかしら?」ジトー

風斬「!? い、いえ、別に何でもないです」

一方通行「……妙な言い回ししてンじゃねェよ」

結標「それより風斬さん! スキー旅行のとき以来よね、久しぶり!」

風斬「は、はい……、お久しぶりです」

結標「今日はめいいっぱい楽しみましょうね」ニコッ

風斬「……はい!」ニッコリ

一方通行「…………」


337 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:30:13.51 ID:oCYJ/As4o


吹寄「さて、みんな揃ったことだし行きましょうか。スターランドパーク」

青ピ「なんやもう説教終わったんかつまらん」

姫神「電車の時間もあるし。しょうがない」

上条「くそー、なんでこうギリギリ間に合わないんだろうなぁ」

土御門「右手ぶった切ったら間に合うようになるんじゃないかにゃー」

上条「無茶言うなっ!」

打ち止め「ミサカね、実はスターランドパーク二回目なんだー! ってミサカはミサカは自慢気に言ってみる」

禁書「私も行ったことあるんだよ。こもえとあいさと一緒に行ったんだよ」

結標「風斬さんは行ったことあるのかしら?」

風斬「……、な、ないです」

打ち止め「そうなんだ! ふふん、だったらスターランドパーク先輩のミサカがスターランドパークのなんたるかを教えてあげよう、ってミサカはミサカは偉そうに胸を張ってみたり」

風斬「え、えっと、……よ、よろしくね」

禁書「ひょうか! 私も先輩だから聞いても大丈夫かも」

一方通行「……オマエに聞いても食い物のことしかまともに答えられねェだろうな」

禁書「あくせられーた? 見くびらないでほしいかも。ちゃんとあのとき乗った乗り物九種類全部名前言えるんだよ。なんならいま言ってあげてもいいよ?」

一方通行「言われたところで答え知らねェから意味ねェよ」

結標「教えてもらったらいいんじゃない? 貴方、行ったことあるって言っても、ほとんどの時間寝てたから全然アトラクションとか行ってなかったでしょ?」

一方通行「……チッ、うっとォしい」

結標「…………」



結標(……はぁ、やっぱり今日も何か変ね。一体どうしたっていうのよ一方通行?)



―――
――



338 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:31:28.34 ID:oCYJ/As4o


同日 08:50

-第六学区・スターランドパーク入口-


ワイワイガヤガヤ


吹寄「……ふむ、やっぱり春休みだけあってすごい人ね」

姫神「まあ。それはわかっていたこと」

上条「開園初日並に人がいる気がするな……」

土御門「レビューサイトとか見るとリピーター率結構高めらしいからにゃー。何度も通っている玄人たちもたくさんいるんだろ」

打ち止め「そうなんだ。ミサカも玄人っていうのになってみたいなぁ、ってミサカはミサカは毎日連れてけアピールを交えながら願望を吐露してみたり」

一方通行「ふざけンなクソガキ」

青ピ「よし、つっちー、カミやん、アクセラちゃん! 我らスクエアフォースは開園早々に『トルネードスクリューコースター』へ突撃するぞ!」

土御門「了解だぜい。絶叫レベルマックスのジェットコースターだ。楽しみだぜい」

上条「げっ、マジで絶叫レベル5ツアーを敢行するつもりなのかよ……」

一方通行「……オイ、何で俺までメンバーに入れられてンだよ?」

青ピ「なにいうとんアクセラちゃん! 我らスクエアフォースは一心同体。せやから絶叫マシンで絶叫するときも常に一緒なんやで」

土御門「そうだぜい。ジェットコースターが脱線してアスファルトに頭から突っ込むときも一心同体だにゃー」

上条「遊園地の目の前でそんな不吉なこと口走るんじゃねえ!」

一方通行「くっだらねェ。行くならオマエら三馬鹿だけで行って来い」

土御門「……なるほど。さてはアクセラちゃんビビってんじゃないかにゃー?」

一方通行「あァ?」

上条「あー、そういや絶叫マシン駄目とかなんとか言ってたもんな」

一方通行「馬鹿言ってンじゃねェよ。怖くねェよそンなモン」

打ち止め「はいはーい! だったら代わりにミサカが行ってあげるよ、ってミサカはミサカは立候補してみたり」

一方通行「クソガキは絶叫レベル1ツアーでもやってろ」

打ち止め「ぶーぶー」

青ピ「……まあええわ。せいぜい女子連中と一緒に生ぬるいアトラクションでキャッキャウフフを楽しむとええでアクセラちゃん」

吹寄「たしかにこっちはそんな絶叫レベル高いやつばかり行くつもりはないけど、なんかその言い方イラってくるわね」ピキピキ

青ピ「ひぃ!? すんません生意気言いました!!」

一方通行「チッ、あいにくだが俺は女子連中とも行くつもりもねェよ」

姫神「だったら。あなたは一体どこに行くつもりなの?」

一方通行「そりゃオマエ、カフェに行ってコーヒー飲みながら閉園時間を待つに決まってンだろ」

結標「今日貴方は何しにここに来たのよ? 駄目よそんなの私が許さないわ」

一方通行「……クソが、俺の勝手だろうが好きにさせろ」

結標「せっかくみんなで来たんだからみんなで楽しまないと。だからそういうの禁止よ」

一方通行「……チッ、わかったよ。うっとォしいヤツだな」

禁書「ひょうかひょうか! ここのカフェのケーキもおいしかったし、ここのレストランのパスタもとってもおいしかったんだよ!」

風斬「へー、そうなんだ」

禁書「あとあと、ここにあるソフトクリームもなかなか――」

上条「お前今日は遊園地に遊びに来たんだぞ? 飯食いに来たわけじゃないぞ?」

禁書「わ、わかってるんだよ! ただ私的におすすめなお昼ごはんやおやつを食べられるスポットを紹介してるだけであって」

上条「まだ開園もしてないのに昼メシやおやつの話してんじゃねえ!」

339 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:33:01.49 ID:oCYJ/As4o


係員「ただいま九時となりました。これより開園します。押さず走らずゲートをお通りください」


青ピ「うおお!! 開いたでえ!! 総員突撃!!」ダダダ

土御門「よっしゃあああああ!!」ダダダ

吹寄「走るなって言ってるのが聞こえてないの!? この馬鹿者ども!!」

姫神「放っておいて。他人のふりをしたほうがいいかもしれない」

上条「俺もそうしとこ」

打ち止め「いよいよ入場かー! みなぎってきたあー! ってミサカはミサカは興奮を抑えきれなくなってみたり」

結標「打ち止めちゃん? 盛り上がっているところ悪いけど、今回はちゃんとチケット持ってるわよね?」

打ち止め「もちろんだよアワキお姉ちゃん。この通り! ってミサカはミサカはチケットを掲げてみる」



ビュウウウウン!!



打ち止め「あっ、チケットが風に飛ばされていっちゃった!? ってミサカはミサカは実況してみたり」

結標「って言ってる場合か!」



パシッ



一方通行「……チッ、手間ァかけさせてンじゃねェよクソガキが」カチッ

打ち止め「あっ、ありがとう! またあなたに助けられちゃったね、ってミサカはミサカは以前のことを思い出してみたり」

結標「まったく。ちゃんと気をつけなさいよ?」

打ち止め「はーい、ってミサカはミサカは敬礼してみる」ビシッ

禁書「わっ、わっ、すごい人かも! ひょうか! はぐれちゃいけないからしっかり付いてきて欲しいかも」

風斬「う、うん」

上条「一番はぐれそうなのはお前だろうが!」


―――
――



340 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:34:03.48 ID:oCYJ/As4o


同日 09:10

-スターランドパーク・ゲート前広場-


青ピ「ほな、ボクらはさっき言ったとおり絶叫レベル5めぐりしてくるから、ここで一旦お別れや」

吹寄「わかったわ。なら、一二時くらいにここでまた落ち合いましょうか」

土御門「了解だぜい。じゃ、走れ走れー! 絶叫レベル5は人気アトラクションだにゃー! できる限り列の前の方へ行けるように急ぐんだッ!」ダダダダ

青ピ「うおおおおおお!! デルタフォース突撃ぃいいいいいいい!!」ダダダダ

上条「こんなところで体育のときでも見せたことないような全力疾走してんじゃねえよ!」タッタッタ


吹寄「さて、あたしたちはどうしようかしらね?」

姫神「こういう遊園地で遊ぶ時間で。もっとも割合が多いのは順番待ち。つまり待ち時間が少ないアトラクションを乗っていけば。効率よく数をこなせる」

吹寄「なるほどね。さっき馬鹿どもが言ってたように絶叫レベルが高いやつに人気が集中してるようだから、低めのやつを狙えば良さそうね」

結標「そうね。小さい子もいるしそっちのほうがいいわ」

打ち止め「ミサカは絶叫レベル4でも5でもなんでもオールオッケーだよ、ってミサカはミサカは胸を叩きながら豪語してみたり」

結標「でも前来たときは絶叫レベル3くらいのやつでもボロボロになってたじゃない」

打ち止め「ふふん、ミサカは成長しているんだよ? あのときのミサカとは違うのだ! ってミサカはミサカはレベルアップの効果音を頭の中で鳴らしてみたり」

結標「いや、頭の中じゃ聞こえないわよ」

吹寄「ま、とりあえずレベル3のやつ試しに行ってみて、それから方針を決めれば良いんじゃないかしら?」

姫神「異議はない」

結標「そうね。たしかに二回目だから案外いけちゃうかもしれないしね」

打ち止め「いけちゃうじゃないよ、いけるんだよ! ってミサカはミサカは訂正を求めてみる」

吹寄「インデックスと風斬さんもそれでいい?」

禁書「よくわからないけど良いと思うんだよ」

風斬「よくわからないのに了承したらいけないよ……、あっ、私は大丈夫です、はい」

吹寄「アクセラ、あなたもそれでいいわよね?」

一方通行「…………」ボォー

吹寄「……アクセラ?」

一方通行「……ああ、悪りィ。何だ?」

結標「またぼーっとしてたわね、もうっ」

姫神「とりあえずお試しで。絶叫度レベル3のアトラクション行ってみる。っていう話をしていた」

一方通行「ああ、別にそれで構わねェよ」

禁書「……ねえ、あくせられーた」

一方通行「何だよ?」

禁書「なにか悩み事でもあるのかな?」

一方通行「……どォしてそォ思う?」

禁書「いや、なんとなくだけど」

一方通行「そォか。だったらオマエの勘違いだ。安心しろ」

禁書「そうなんだ。ならいいけど……」

打ち止め「…………」


341 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:35:17.29 ID:oCYJ/As4o


吹寄「さて、そうと決まったらどこに行くか決めましょう」

結標「どんなジャンルに行きたいかよね。ジェットコースター、空中ブランコ、バイキング、ウォーターライドとか」

打ち止め「その中だったらウォーターライドっての乗ったことないから行ってみたい、ってミサカはミサカは挙手して発言してみる」

禁書「うぉーたーらいどってなに?」

吹寄「水路の上を船みたいなもので進んでいくアトラクションよ。ものすごい坂の水路を船が下っていくようなのテレビとかで見たことない?」

禁書「ああ、それなら前行ったとき乗ったんだよ! たしかうぉーたーあどべんちゃーって名前のやつ」

姫神「……そういえば乗ったね。たしかあれは絶叫度レベル2のやつだった気がする」

吹寄「よくよく考えると来たことある人たくさんいるのよね。だったら出来る限り前行ったのと被らないようにしたほうがいいわね」

結標「別に気にしなくてもいいわよ。面白いアトラクションなら何回乗っても面白いわ」

姫神「まあとりあえず。絶叫度レベル3のウォーターライドに行こう。マリンチェイサーっていうやつがレベル3だし。空いているっぽい」

打ち止め「うん? なに見てるのアイサお姉ちゃん、ってミサカはミサカは持ってる携帯に興味を示してみる」

姫神「これは遊園地が配布しているアプリ。全アトラクションの場所とか調べられる。その上待ち時間もリアルタイムでわかる優れもの」

打ち止め「はえーなんかすごいね、ってミサカはミサカは感心してみる」

吹寄「じゃあそこにしましょ。グズグズしてる間に待ち時間増えてもあれだし、さっそく行きましょうか」

打ち止め「おおっー! ってミサカはミサカは拳を突き上げてみたり」

禁書「ところでまりんちぇいさーってなにかな?」

風斬「さ、さあ? 直訳すると海の追跡者? かな?」

禁書「ああ、やっぱりそういう意味なんだ」

一方通行「…………」ボォー

結標「あっ、またアイツぼーっとしてるわね。ちょっと一方通行! 行くわよ早く付いてきなさい!」

一方通行「……ああ、悪りィ」

結標「貴方、最近そればっかり言っているわよね。本当にどうしたのよ?」

一方通行「……何でもねェよ。気にすンな」

結標「そんなこと言われても気になるものは気になるわ」

一方通行「…………」

結標「……もういいわ。早く行くわよ」

一方通行「……ああ」


―――
――



342 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:36:06.50 ID:oCYJ/As4o


同日 09:20

-スターランドパーク・マリンチェイサー-


吹寄「……なるほどね。マリンチェイサーってそういう意味か」

打ち止め「おおっー、何かサメの絵とかがいっぱい描かれてる、ってミサカはミサカは見たままの光景を口にしてみたり」

禁書「わあっ、なんかすごいねひょうか!」

風斬「そ、そうだね」

結標「何か絶叫度の種類が違う気がするわね……」

姫神「もう一つ絶叫度レベル3の。ウォーターライド系のアトラクションはあるけど。この位置からは真反対だから結構距離がある」

吹寄「うーん、そうなるとここでいいかってなるわね。待ち時間も一〇分とかだし」

打ち止め「ミサカは大丈夫だよ! どんなアトラクションだってどんと来いだ! ってミサカはミサカは胸を張ってみたり」

結標「そう。じゃあ並びましょうか」



〜一〇分後〜



係員「――では次のお客様!」

吹寄「すみません。七人なんですけどいけますか?」

係員「はい。こちらのアトラクションは八人乗りなので大丈夫ですよ。では一緒になれるように調整いたしますねー」

吹寄「ありがとうございます」

係員「では、こちらのボートに乗ってください」


打ち止め「うおおっ! いよいよ始まるのかー楽しみだぜ! ってミサカはミサカは胸を躍らせてみたり」

吹寄「どういう感じのアトラクションなんだろ。最後は坂を滑り降りる感じのだとは思うけど」

姫神「学園都市外のテーマパークに。同じ題材でびっくり系のアトラクションがあったけど。たぶん似たような感じだと思う」

結標「やっぱりそういうやつなのね」

禁書「ところでサメって食べられるのかな?」

風斬「中華料理にフカヒレがあるくらいだから、種類によっては食べられると思うよ」

禁書「そうなんだ」

風斬「……、あの、一応言っておくけど、ここで出てくるサメはたぶん、作り物だから……食べられないよ?」

禁書「そ、それくらいわかっているんだよ! ただ気になったから聞いてみただけであって」

吹寄「というか本物だったとしても食べられないでしょ。むしろ逆にこっちが食べられるわ」

一方通行「…………」


343 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:37:13.21 ID:oCYJ/As4o


係員「それでは危険でデンジャラスな海の旅をお楽しみください」



バシャー!!



打ち止め「われわれは今洞窟っぽいところをひたすら進んでおります、ってミサカはミサカは実況してみたり」

結標「誰に向かって言っているのよ?」

姫神「海の旅とか言っていた気がするけど。洞窟の中なんだね」

吹寄「まあ、洞窟出たら海なんでしょ、たぶん」



ゴゴゴゴゴゴッ!!



禁書「ん? 何か変な音が聞こえてくるかも」

打ち止め「おっ、そろそろサメさんの登場かな? ってミサカはミサカは目を輝か――」



ドパァァン!!



サメ『ガアアアアアアアアアアアア!!』



打ち止め「ぎゃああああああっ!? 船の右側からサメが出てきた!? てか顔怖っ!? ってミサカはミサカは驚きながらも実況を続けてみたり」

吹寄「本物のサメをこの目で見たことはないけど、なんかリアルっぽいわねこの作り物」

姫神「そうだね。図鑑とか動画とかで見る。ホウジロザメそのもの」



ガン!! ガン!! ガン!! ガン!!



禁書「わっ、サメが船に突進してきているんだよ! こ、このままじゃ転覆しちゃうかも!?」

打ち止め「ひゃあああどうしよ海とかプールとかミサカ泳いだことないんだけど!? ってミサカはミサカは未知の世界に恐怖を覚えてみたり」

結標(楽しんでるなー、どうせ作りものだから安全って思っている自分がちょっと寂しい)



ザパン



打ち止め「あっ、サメが海の中に帰っていった。諦めてくれたのかな? ってミサカはミサカは安心のため息をついてみる」



ゴポポ、ドパァァン!! ガギン!!



風斬「ひっ!?」

打ち止め「ああああっ!? 今度は前からサメが出てきてボートの前部分を噛み付いた!? ってミサカはミサカは懇切丁寧に実況してみたり!」

吹寄「へー、すごいわね。乗り物自体に干渉してくる装置なんて見たことないわ」

禁書「これって大丈夫? すごい勢いで噛み付いてきているけど……」

姫神「学園都市製の乗り物だから大丈夫だよ。さすが学園都市」

一方通行「…………」


344 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:38:03.54 ID:oCYJ/As4o


〜五分後〜


打ち止め「いやー、なかなか面白いアトラクションだったねー、ってミサカはミサカは率直な感想を言ってみる」

結標「そうね。すごい風が吹いてきたと思ったら、大量のサメが上から降ってきたヤツはすごかったわね」

姫神「でも。砂浜からサメが突然現れたり。双頭のサメが現れたり。タコみたいな足が生えたサメが出てきたときは。なにかと思った」

吹寄「一体何を見せられてるのかとちょっと困惑したわね……まあ最後の巨大サメに食べられて急落下したところはよかったわ」

打ち止め「でもさ、食べられてから落ちた後それで脱出できました、でアトラクションが終わったってことは、ミサカたちはサメさんのうん――」

姫神「それ以上はいけない」

禁書「なんかガチャガチャしてて派手なアトラクションだったね」

風斬「う、うん……、こ、怖かった……」

打ち止め「ふふふ、レベル3がこれなら4どころか5でも余裕かも、ってミサカはミサカは不敵な笑みを浮かべてみたり」

吹寄「いや、あれは絶叫マシンと言えるか少し怪しいから、もうちょっと様子を見たほうがいいんじゃないかしら?」

打ち止め「よーし、だったら次は絶叫マシンの王道ジェットコースターに行こー! ってミサカはミサカは提案してみる」

結標「たしかにそういうヤツのほうがわかりやすいか」

姫神「ジェットコースター系で絶叫レベル3は。スカイラインコースターってやつと。フロートフィーラーってやつが待ち時間少なめ」

結標「スカイラインは前来たときに乗ったやつね。成長を見られるって意味ならそっちのほうがいいかも」

打ち止め「うっ、い、いややっぱり一度乗ったやつだと新鮮味がないからね。もう一個のほうがいいんじゃないかな、ってミサカはミサカは提案してみる」

禁書「らすとおーだー。なんかすごい汗かいてるよ?」

吹寄「フロートなんとかってのはどんなの?」

姫神「足場がない系のジェットコースター。よくあるやつだね」

吹寄「あー、足場がないだけで恐怖感が増すって聞くあれね」

打ち止め「ふふん。足場があろうがなかろうがジェットコースターには変わりないのだ! ってミサカはミサカは核心に迫った発言をしてみたり」

結標「人生で一回しかジェットコースター乗ったことないのに、よくそんな自信満々に発言できるわね」

姫神「ちなみに待ち時間は今の所二〇分」

吹寄「ジェットコースターは遊園地の花形だから、さっきのやつよりはちょっと長いわね」

結標「それでも人気アトラクションに比べればすぐよ。それじゃあ行きましょ」

打ち止め「うおしゃあああああっ!! 足場なしがなんぼのもんじゃーい!! ってミサカはミサカは勇ましい口調で意気込みをアピールしてみたり」


一方通行「…………」ボォー


結標「……ほらっ、一方通行キビキビ歩くっ!」ガシッ

一方通行「……ッ!? オマエ引っ張ンじゃねェ危ねェだろォが」

結標「だったらぼーっとしてないで自分で歩きなさい!」

風斬「…………」

禁書「? どうかしたひょうか」

風斬「……、う、うん。なんでもないよ、あはは」

禁書「?」


―――
――



345 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:39:18.36 ID:oCYJ/As4o


禁書「へー、なんだか大変そうだね」

吹寄「そうは言うけどインデックス? あなたも修道服着ているから似たような自体には陥っているのよ?」

禁書「そ、そうなの?」

吹寄「だってそれってワンピースみたいなものでしょ? しかも足首まで伸びてるロングスカートの」

禁書「……あー。だから前ここに来たときこもえが『なんで動きづらい修道服で来ちゃったんですか!?』って言ってきたんだね」

姫神「気付いていなかったのか……」

吹寄「ったく。だいたい上条当麻は遊園地に行くってわかっていたのだから、二人に動きやすい服装を準備するように言っておくくらいしてくれててもよかったのに。まったく気が利かないヤツね」

結標「まあ、男の子だしそういうの気付くほうが珍しいからしょうがないわよ」

姫神「で。どうするの? 別のヤツに変える?」

風斬「い、いいですわざわざ私たちのためにそんな! し、下で待っておきますので大丈夫です」

禁書「えっ、私も待つの?」

姫神「修道服の裾をまくりあげた姿を。公衆の面前にさらしてもいいなら。乗ってもいいと思うけど」

禁書「うっ、なんかそういう言い方されると乗りたくなくなるかも」

吹寄「でも待つといっても待ち時間とジェットコースターに乗る時間で二〇分強かかるわよ?」

風斬「それでも、別のアトラクションへ移動する時間と、そこでの待ち時間を考えたら、余計に時間がかかってしまいます。皆さんにそんな、無駄な時間を使わせたくない、です」

結標「だけど、それだと貴女たちだけが私たちが終わるまでの待ち時間という無駄な時間を使うことになるわ。そんなの悪いわよ」

風斬「……いえ、私たちは大丈夫なので」


一方通行「……ったく、面倒臭せェ。だったらその待ち時間で別のアトラクションに乗って時間潰せばイイだろォが」


風斬「!?」

打ち止め「あっ、アクセラレータがシャアベッタアアアアアア!? ってミサカはミサカは子供らしいハイテンションなリアクションをしてみたり」

一方通行「何で俺が喋っただけで、そンなリアクション取られなくちゃいけねェンだ」

結標「いや、それは貴方がさっきからぼーっとしてばかりだからでしょ」

一方通行「……悪かったな」

吹寄「……たしかにアクセラの言う通りかもね。なにもみんなで同じアトラクションに絶対に乗らないといけないなんてことはないんだもの」

一方通行「そォいうわけだからオマエらはそっちのジェットコースターに乗ってろ。俺はこいつらと適当に時間潰す」

姫神「アクセラ君はそっちに行っちゃうんだ」


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