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高森藍子「加蓮ちゃんたちと」北条加蓮「生まれたてのカフェで」
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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/12/25(金) 20:50:06.61 ID:mOMWMpAw0
「これ……。見た目より、甘い味なのね」
唇の先を濡らすように啜った看護師さんが、少しだけ目を見開いた。
「そうなんです。大人でも、今日は子どもの……クリスマスに、わくわくしたり、サンタクロースを心待ちにしていた頃に戻れるように。そんな想いを込めて、入れさせてもらいました」
「だそうよ? 加蓮ちゃん」
「子供の気持ちに、か」
「加蓮ちゃんも――」
早くもジュースの交換を始め、そしてまた歓声をあげる2人へと、目を遣りながら。
「加蓮ちゃんにも、子どもの気持ちで、楽しんでもらえるといいな……」
――招待状は、4人分。今日の私は、藍子の側ではなくて、そーちゃんやしろちゃんと一緒にクリスマスを楽しむ側。
その言葉の意味が、ようやく完全な形で理解できた気がした。
「かれんちゃんも、子どもなの? わたしとおなじ?」
「ふふっ。そうみたい。そーちゃんと同じだね……」
「じゃあ、これ! かれんちゃんも、これ飲んで!」「……の、のんでください」
「もう。一気に2つなんて飲めないよ。じゃあ……まずはこっちから!」
「わくわくジュースだ!」「……だっ」
レモン色のジュースはひどく薄味で、舌でたっぷり馴染ませることでようやく果物の感じが分かるくらい。それなのに明らかにレモン以外の成分が混ざっている。いつまでも口の中で浸らせていると、そーちゃんも真似をして口にいっぱい含ませて、そのうち息苦しくなっちゃったのか少しだけ溢してしまった。慌てて飲むと今度は咳き込み、看護師さんを心配させてしまう。
はい、どうぞ。そう言って手拭きを渡してあげた藍子は、以外にもあまり焦っているようには見えなかった。
「加蓮ちゃんなんて、お水を思いっきり噴き出したこともありましたから、それに比べれば」
「あら」
「……細かいこと覚えてないけど、どうせ藍子が変なこと言ったとか、そんなんでしょっ」
ホント、変なことまで全部覚えてるんだから。
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