【リゼロSS】ラム姉様の華麗なる日常

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25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/24(木) 13:38:26.13 ID:QwI0H8A5O

ーーーーーーーーーー


ジャリッ ジャリッ

エミリア「見て見て、ラム。あそこの肉屋さんのお惣菜美味しそうね」

ラム「はいはい、後で買ってあげますからいい子にしていてくださいね。まずは買い出しを終わらせましょうね」

エミリア「最近ラムに子供っぽく扱われてる気がするわ」

ラム「気のせいです」

エミリア「そういえば久しぶりにユリウスとお話できて嬉しかったわね!」

ラム「他意が一切ないことは分かっていますが、それバルスが聞いたら怒りますよ。バルスには話さないでくださいね」

エミリア「え、スバルにも『ユリウスは元気だったよー』って教えたら喜ばないかな?スバルとユリウス、仲直りしてお友達になったんでしょ?」

ラム「ユリウス様の方はバルスを友人として認識して居ますが…」

ラム(説明めんどくさいわね)

ラム「…あれです、男同士の友情に女が土足で入るのはマナーに反するのです」

エミリア「あれ?でもラム結構スバルやオットーくんやガーフィールがお話してるとこに割り込んでなかった?」

ラム「マナーに反するのです」

エミリア「え、はい…」

ラム「なので、バルスには何も言わなくて結構なのです」

エミリア「う、うん…分かった……わ?」

ラム(エミリア様相手でも苦しい誤魔化しだったわね)


ラム「…では、ここでの買い物を済ませば終わりですね。エミリア様は地竜用の餌を頼みます」

エミリア「うん」

ラム「いいですか?ラムより先に買い物終わっても勝手に外をうろつかないでくださいね?ちゃんと待っていてくださいね」

エミリア「そんな念を押さなくても…」

ラム「それでは」

エミリア「うん!……さて、と」

エミリア「パトラッシュちゃん達のご飯…ん?」



「泥棒ーーーっ!!!」



エミリア「!」



ダダダダダッ!!


「誰か捕まえておくれ、泥棒だよぉ!!」



エミリア「まさか、ユリウスが言ってた……」

エミリア「ラム、ごめんなさい!」


シュダッ!!

26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/24(木) 13:55:25.42 ID:QwI0H8A5O
ザッザッザッザッザッ!!


少年「はあっ!はあっ!よし、今日も成功だ…」


「待ちなさ〜い!」


少年「ん?女の声?まあ女じゃ俺には追い付けな…」


シュダダダダダッッ!!

エミリア「悪い子は、メッしちゃうんだからあっ!」


少年「って、はっやいな!?何あれ!!?」

エミリア「えいっ!」

少年「ぐあっ!」


ズザザッ!!



エミリア「こんなことして、お父さんとお母さんが怒るわよ!?」

少年「…お父さんと、お母さん……?」

少年「居たら、こんなこと…!」

エミリア「…え?」



小柄な少年「お姉さん、覚悟しなぁ!」

エミリア「!?」


ブンッ!ブンッ!

エミリア「きゃっ!」

ベチャッ!!


エミリア「わ、臭いっ!なにこれお馬さんの糞!?…私には付かなくて良かった…」



大柄な少年「今だ、逃げろっ!」

少年「悪いなお前ら!!」



エミリア「あぁ、とんずらこいちゃった!!」


エミリア(…あの子、一瞬…悲しそうな顔をしてた…)



「…まったく、私が居ない間に巻き込まれて…」

エミリア「!」


ラム「盗みの上に、女に糞を投げ付けるとは躾のなってない子供ね…」

ラム「お仕置きが必要だわ」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/24(木) 18:15:10.33 ID:lRMiQS2uO
エミリア「えっと、糞の片付け…」

ラム「…幸い町の外なので放置でいいです、いえ良くはないですが」

ラム「それより追い掛けますよ!」

エミリア「うん!」



ザッザッザッザッザッ!!

少年「よっと!!」

シュタッ


少年「お前らも早く上がってこいよ!」


大柄な少年「おう、ちょっと待てって!」

小柄な少年「あ!あれ!」




エミリア「ラム、あそこの木を登って崖の上に逃げるみたい!」

ラム「すばしっこい奴等ね…」

ラム「フーラッ!!」

ビシュッ!!

ズウゥッンッ!!


少年「なっ!?」


大柄な少年「いぃっ!?」
小柄な少年「やべぇ、木が折られた!!」


大柄な少年「お前は早く逃げろっ!!」
小柄な少年「妹が待ってんだろぉ!」


少年「くそ…悪いっ!!」


ラム「…妹…ね」



大柄な少年「俺達は少しでも時間を稼ぐぞ!」
小柄な少年「女だからって手加減しねぇ!」


エミリア「人に汚いもの投げちゃ、メッでしょ!」ペシンッ!

小柄な少年「デコピン!!」


大柄な少年「舐めんな、俺は三人で一番つえぇ!!」



ラム「はいはい。お尻ペンペンの刑よ」

大柄な少年「待って、痛い!待って!」


ラム「盗んだものは…持ってないわね。さっきの子供の逃げ先を教えなさい」


大柄な少年「そ、それだけは…言わねえ!!」

ラム「…」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/24(木) 18:15:51.37 ID:lRMiQS2uO
少年「はあっ!はあっ!はあっ!」

ザッザッザッ…



「そこまでだ、少年」


少年「…っ!!」



ユリウス「ふむ…アナスタシア様が手に入れていた情報通り、犯人は子供か」


少年「な…」


ユリウス「逃げるルートも調査済みだった。アナスタシア様の交渉相手だった方が最近、二度ほど盗みの被害に遭い…犯人の確保を頼まれていたものでね」


少年「ど、どけろよ兄ちゃん!俺は帰らなきゃいけねぇんだっ!!」


ユリウス「…おとなしく盗んだものを返し、罪を償いたまえ。私とて子供に手荒な真似はしたくはない」


少年「うっせぇんだよ!邪魔すんじゃねえっ!!!」


ユリウス「…向かってくるか…」


少年「おおおぉぉっ!!!」


ユリウス(…あの目は…)


ユリウス「そうか…君も、守りたいがあるのだな」


少年「!!!」



ビタァンッ!!!


少年「ぐはぁっ!?」


ユリウス「だが、如何なる理由があれど悪事を働いた責任は負うべきだ」


少年「くっ、そ……離せ…っ!!」

ユリウス「そういう訳にはいかない。君をこのまま野放しにはできない」





エミリア「ユリウス!」


ラム「そちらは捕らえていましたか…」



ユリウス「お二方とも…巻き込んでしまい申し訳ありません…」


エミリア「いいの。それより…」

少年「…っ」

エミリア「…話を聞かせて」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/24(木) 18:39:13.85 ID:lRMiQS2uO
訂正

× 守りたいが

○守りたいものが
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/24(木) 19:02:00.74 ID:lRMiQS2uO
ーーーーーーー

エミリア「…え…」

ユリウス「魔女教、か…」


少年「俺が留守番で、両親と妹が出掛けてて…それで、魔女教に、襲われて…!」

ラム「…」


少年「父ちゃんも母ちゃんも、死んだ。そして妹は生きてたけど…記憶喪失になって、帰ってきた…」

ラム(クルシュの様な症状………私からレムも奪った『暴食』の仕業か)

エミリア「ごめんね。私、無神経に…」

少年「いいよ、あんたは、事情なんか知らなかっただろ…」


ユリウス「それで残る妹を支えられる者が君しか居なくなった…か。村の大人や親類には頼れなかったのか?」

少年「…閉鎖的な村だからさ。魔女教に狙われる様な家には、関わるなって…」

エミリア「…」

少年「でも、あいつらだけは俺と友達で居てくれて」

大柄な少年「そ、そいつは悪くねぇ。仕方なくやっちまったんだ…」

小柄な少年「ちゃんと正しい道に導けなかった俺達の責任だ!」

少年「違う、俺が悪いっ!だから、あいつらは見逃して…」


ユリウス「…君達の意も汲んであげたいところだが、そうも行かない。情状酌量で多少は罪も軽くなるかも知れないが、罰せられることは避けられないだろう」

少年「…そしたら、妹は、誰が……」


エミリア「ユリウス…」

ユリウス「…ご心配なくエミリア様。我々も鬼ではありません」

ユリウス「この三人の身柄は我々が預かる。ラム女史もよろしいでしょうか?」

ラム「えぇ。構いません」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/24(木) 19:04:13.53 ID:lRMiQS2uO
訂正

×クルシュ

○クルシュ様
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/24(木) 19:32:33.67 ID:lRMiQS2uO
少年「…罪は償います…けど、妹を…」

ユリウス「分かっている。妹の心配しなくていい」

ユリウス「…そういえば、最近雑用係が三人ほど人手が足りなくてね。君くらいの年齢でも出来そうな仕事だが…」

少年「え?」

ユリウス「いや。今はまだこの話はいいだろう」

エミリア「…ふふ。ユリウスは優しいわね」


ラム「…すみません。最後に少しだけ、その少年とよろしいでしょうか」

ユリウス「えぇ。お構い無く」


ラム「…あなた」

少年「な、なに…」


ラム「………」

少年「…何なの?」


ラム「…私はね、妹の記憶が無いのよ」

少年「え?」


ラム「それでもね。私は、妹を愛している」

少年「…」


ラム「いつかきっと記憶が戻るとか、根拠なく希望的観測だけで言えるようなお気楽な性分ではない。けれど…」

ラム「もし暴食と直接会うことがあれば、その時は私が奴を八つ裂きにしてあげるわ」


少年「…うん」


ラム「あなたも妹を愛しているのでしょう?」

少年「当たり前だ」


ラム「ならしっかり、妹から愛される兄で居なさい」



ラム「…それだけよ」


【六話目】おしまい
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/24(木) 21:41:37.92 ID:BEHAB3xDO
【七話目】


スバル「第三回!EMT陣営腕相撲選手権ーっ!!」

ベアトリス「わーっ、かしら」


エミリア「ウデズモー?」

ラム「第三回って何?一度もやった覚えがないのだけれど。妄想で二回やったの?」

スバル「今まで男子組だけで二回やったからな。残念ながら妄想ではない」

エミリア「ウデズモーって何?美味しいもの?」

スバル「食べ物違う」

オットー「ナツキさんから教えてもらった……まあ分かりやすい力比べですね」

ガーフィール「腕っぷしの強さを競いあうンだ!俺ァ大将にもオットー兄ィにも完勝したッぜ!」

フレデリカ「まあそれなら勝てるでしょう」

ラム「その二人相手に力比べで負ける方が大問題よ、ガーフ」

スバル「なんかシレッと雑魚扱いされてる?」

オットー「否定できないのが苦しいですね」

エミリア「私あまり人を叩いたりは…」

スバル「大丈夫だよエミリアたん、痛いことはしない遊びだから。手本を見せてあげよう。よしペトラこっち来い」

ペトラ「はい!」

スバル「こう…手を握り合って……」

スバル「相手の手の甲をテーブルに付けさせた方が勝ち!というシンプルなゲームだ!」

スバル「さあ、やれペトラ!」


ペトラ「えいっ!」

ビタンッ!

スバル「ぎゃー!やられたー!」

ラム「え…子供にまでやられてる……バルスという名も勿体無いわ。もうバね」

スバル「いや、今のはレクチャーとして皆に教えるためにわざと負けたんだからね?あと最早言ってる意味が分からない」

ラム「ハッ!」

エミリア「面白そう!私もやってみたい」

スバル「うん、皆でやってみよう!」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/24(木) 21:42:07.21 ID:BEHAB3xDO

そして、第三回EMT陣営腕相撲選手権大会はトーナメント方式で行われた

対戦カードはくじ引きによって決められる


スバル「予選の組み合わせは決まったな!」

予選

スバルVSオットー

エミリアVSラム

ガーフィールVSフレデリカ

ベアトリスVSペトラ



ロズワール「面白そうだから、見て楽しませてもらうとしようかぁーな」

スバル「ロズっちは参加しねぇの?」

ロズワール「私が参加することに不服そうな子が、二名ほどいるからねぇーっえ」


ガーフィール「…」

ペトラ「…」


スバル「あぁ……だな。言っとくが同情はしねぇぞ」

ベアトリス「お前の自業自得なのよ」

ロズワール「お厳しいねーぇ」



ガーフィール「おォ、まずは大将とオットー兄ィからだッぜェ」

スバル「よし。手加減しねぇぜオットー」

オットー「僕の台詞ですよ、ナツキさん」

35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 09:01:04.10 ID:6+JEl/KlO
『スバルVSオットー』

スバル「エミリアたん、俺の為の声援を頼む!」

エミリア「わかった!スバル〜、オットーく〜ん!頑張ってー!」

スバル「オットーの名前も入ってるよ!?」

ベアトリス「いちいち締まらん奴かしら」

ラム「この二人の勝負で負けた者は実質この陣営最弱よ。心して掛かりなさい」

オットー「そう言われるとプレッシャー半端ないんですがっ!」


ガーフィール「よーしッ、始めッぜェ」

スバル「勝てばエミリアたんからの祝福、負ければ姉様からの洗礼が待っているだろう」

オットー「後者は考えたくありませんね」


ガーフィール「スタート、だッ!!」


スバル「ふんぬぅっ!!あぁっ!!」

オットー「い、あぁぁっ!!!」

グググググッッ


エミリア「わ、結構いい勝負してる!?」

ラム「正直バルスが瞬殺されるものかと思っていました」

ベアトリス「スバルもこの半年以上鍛えてきたのよ…以前とはちょっとは違うかしら」

ロズワール「更にオットー君はここ1週間仕事が多かったから、体力も万全じゃあ無いだろうからね〜ぇえ」

ラム「ちょうどいいハンデになってる、と言ったところですか」

ガーフィール「どっちも頑張れやァ!」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 09:01:35.65 ID:6+JEl/KlO
オットー「ナツキさん、やっぱり強くなってますねぇ…!聖域で殴り合った頃より!」

スバル「へっ!あんときゃ、お前は暴れすぎて森をメチャクチャにしたっけなぁ!」

オットー「いや僕そこまではやってないですけどねぇ!?」

グイッ!!

スバル「ぐあっ!やべぇ!ツッコミ入れる程にオットー力が高まんのか!?」

オットー「変なこと言ってるとこのまま僕が勝ちますよ!?」

スバル「わ、真面目にやべぇなおい!くっそおぉぉ!!」



ベアトリス「スバル、もっと気張るかしら!」

ペトラ「頑張ってスバル!」

エミリア「スバル頑張って!オットーくんも頑張って!」

ラム「負けた方が最弱よ」


スバル「ぬぐうぅ〜…なんか色々と複雑な声援だ!!」

スバル「だがやる気は増して来たぜぇ!!」

グイッ!!

オットー「わ!まだ来ますか、でもそれでこそ男ですナツキさん!」


スバル「必殺、カイザーダイナミックゴッドハンドぉ!!!」

オットー「大層な名前の割りに特に変わんねぇ!!」

ガーフィール「かっけェ…」


『…噛ませて』

オットー「ん?」

『噛ませて』

ぷ〜ん

オットー「わ、虫!?ちょっ…」

スバル「オラアぁぁっ!!!!」

ダアアァンッ!!

オットー「そんなあぁぁっ!?」


ロズワール「勝負ありだぁーねっ」



スバル「しゃあぁ、勝ったー!!」

エミリア「やったわね!」

オットー「納得いかない!絶妙なタイミングで虫さえ来なければぁ!」

ラム「運も実力の内よ。おとなしく敗北を認めなさい」

オットー「ぐうぅ…!」

スバル「まあ落ち込むなオットー。あれがなけりゃぶっちゃけ俺が負けていた。今回は俺が運良かっただけだな」

オットー「次は負けませんからねぇ!」

スバル「はっはっはっ!!」

ラム「バルス、運良く勝てただけで調子乗った顔するのはやめなさい。あんなもので能天気に勝ったと言えるとは幸せものね」

スバル「さっき運も実力の内て…」


オットー「…よく考えたら僕、立場的に騎士でも戦闘員でも無いんだから負けても問題ないのでは?」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 13:44:09.70 ID:Zx2s2yJMO
『エミリアVSラム』

エミリア「次は私達ね!」

ラム「えぇ。ラムはか弱いので自信はありませんが…」

ガーフィール「よッく言うぜェ…」

フレデリカ「あなたがか弱いなら私もか弱い女の子ですわね」

ラム「ハッ!」


ラム「…腕相撲の間くらいなら、ある程度の力は出せるので御安心を」

エミリア「わかったわ、私もすごーく頑張っちゃう」

スバル「すごーく応援してるよ、エミリアたん!」

エミリア「もう、真似しないでよ。スバルのあんぽんたん」

スバル「あんぽんたんってきょうび聞かねぇな…」


ガーフィール「エミリア様ァ強えェぞ、ラム」

ラム「分かってるわよ。だから私だけを応援なさいガーフ」

ガーフィール「何様目線だよォ」



フレデリカ「それでは両者とも準備はよろしいですか?」

エミリア「うん!」

ラム「問題ないわ」


フレデリカ「始めっ!」


ビシイッ!!


エミリア「んん〜〜〜っ!!」

ラム「…くっ…!!」

グググッ!
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 13:44:41.09 ID:Zx2s2yJMO

エミリア「やっぱり、ラムは強い…!けど」


エミリア「私だって負けないんだから!」


グンッ!!


ラム「うぅっ!?」


ベアトリス「エミリアの方が優勢なのよ」

スバル「ああ。だが勝負はまだ分からねぇ」

ガーフィール「ラムはまだまだやれッぜ!!」


ロズワール「…」


ラム「…ふー…」


ラム(ロズワール様の前で…)

ラム「情けない姿は見せないわ!」

グオォッ!!

エミリア「きゃっ!?」


フレデリカ「ラムが巻き返しましたわ!」

ペトラ「どっちも凄い…」

オットー「凄いですね。ラムさんの視線があの人に瞬間、力が…」

ガーフィール「ハハッ!俺だァ、俺様ッの激励がラムに届いたんだぜッ!!」

オットー「はいもう、そういうことでいいですよ」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 13:46:41.74 ID:Zx2s2yJMO
訂正

×あの人に瞬間

○あの人に向いた瞬間
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 14:04:46.90 ID:Zx2s2yJMO
エミリア「う〜〜〜っ!」

エミリア「まだまだ頑張る!!」

ラム「くうぅぅ…っ!!」


グググググッッ!!!


スバル「行けー!行けー!エっミリっアたっ」


ラム「うあっ!!」

ガクンっ!

スバル「おいラム危ねぇぞ!」

ベアトリス「スバルはどっちの味方なのかしら」

スバル「くっ…心はエミリアたんへの味方250%だけど、仲間がピンチになる姿を見たらつい反射的に…!」

ラム「ごちゃごちゃうるさいバルスね、あんたから心配されるほど落ちぶれてないわ!それよりオットーにすら正攻法で勝てない自分を心配なさい!」

スバル「姉様は心配せずとも大丈夫そうだな。なら心置きなく…」


スバル「頑張れ!エミリア!EMT!」

ガーフィール「行けえェ!ラムー!!」



ラム「はあああっ!!」

エミリア「えーいっ!!」


ダアンッ!!


ラム「…はあ…」

エミリア「…やった!」


スバル「エミリアたんの勝利だ!」

ガーフィール「ラムぅっ!」



エミリア「楽しかったわ、またラムとやりたい」

ラム「ふ…今日はもう無理ですよ…」

フレデリカ「ラムも頑張りましたわ。お疲れ様です」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 17:43:53.72 ID:QES9nZ5eO
『ガーフィールVSフレデリカ』

ガーフィール「さて、やろッかよォ、姉貴」

フレデリカ「ガーフとの力比べだなんて久しぶりだわ」

ガーフィール「ハッ、やり方は違ったがなァ」

スバル「ちなみに過去の戦績の方は?」

ガーフィール「姉貴にャア一回も勝てなかった」

エミリア「凄いフレデリカ!」

フレデリカ「あくまで以前の話です。今は昔みたいに勝てる自信はありませんわ」

ペトラ「応援してます、フレデリカお姉様!」

スバル「よし!俺とオットーで応援ダンスを踊るぜ、ガーフィール!」

オットー「応援はしますがダンスまではしないですよ!」


ラム「…雑談はそろそろいいかしら?さっさと済ませるわよ」

フレデリカ「急かさないの、ラム」

ガーフィール「準備は万端だ」


ラム「はい、始め」


グッッ!!


ガーフィール「ッらアアァッ!!」

フレデリカ「う…っ!」

フレデリカ(以前のガーフとは比べ物にならない…なんて力…!)

グググググッッ!!!


フレデリカ「本当に、強くなりましたわね、ガーフ…」

ガーフィール「ハッ!姉貴ッこそ相変わらず強ェじゃねぇかよォッ!!」

フレデリカ「はい?」

ガーフィール「身体がメチャクチャでかくなっただけァあるなッ!腕力も油断したらやべェぐらい…」

フレデリカ「…今、なんと?」

ガーフィール「アァン?だから身体がメチャクチャでかく…」


ブォンッ!!!

ビタァッ!!

ガーフィール「うお!?ッぶね、急に負けたッかと思ったじゃねェかよォ!」

フレデリカ「女性に対し失礼な発言をするんじゃありませんわ!ガーフ!!」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 18:06:26.31 ID:QES9nZ5eO
ガーフィール「ちょっ、ちょっと口が滑っただけだろッがよォ!!」

グンッ!!

フレデリカ「それがいけないと、言っているんです!そもそもあなた今の自分の立場を分かって居ますの!?」

グンッ!!!

ガーフィール「んなもン、エミリア様の盾だぁッ!!」

フレデリカ「ならもっとそれらしくなさい!!」


スバル「姉弟喧嘩が始まっちゃったんですが…幼馴染のラムさん」

エミリア「大丈夫なの?」

ラム「大丈夫です、仲が良い証拠ですよ」


フレデリカ「公の場でさっきの様な失礼な発言を行った時、印象が悪くなるのはあなた一人だけでなく陣営全体なんですわよ!!」

ガーフィール「わーッタ!わかった!俺が悪かった!」

ガーフィール「気を付けるッよオォッ!!」


ビタンッ!!!


ラム「…勝負あり」


ガーフィール「はあ…勝ったぜェ…」

フレデリカ「たまにはこういうのもいいですわね」


ガーフィール「…ラム、俺の勝利をもっと讃えてくれても良いッンだぜ」

ラム「そうね。さすがガーフよ、あなたなら勝てると思っていたわ…」


ラム「姉弟喧嘩は惨敗だったけどね」

ガーフィール「余計なこと言わなくていッンだよォ!!!」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 18:53:41.26 ID:IAUepbMLO
『ベアトリスVSペトラ』


ペトラ「ん〜〜っ!」

ベアトリス「こ、この小娘、なかなかやりやがるかしらっ!」



スバル「平和な光景だなぁ」

エミリア「ふふふ。すごーく可愛らしいわね」

ラム「幼女使いの騎士の名に恥じぬ光景ね、バルス」

スバル「その呼び方はやめて姉様。マジで」



ベアトリス「スバル、ちょっとベティーと手を繋ぐのよ!」

スバル「ん、どしたの?ペトラと手ぇ繋ぐだけじゃ足りない?」

ペトラ「じゃあ私の左腕も繋ぐ?ベアトリスちゃん」

ベアトリス「そういう意味じゃないかしら!」

ベアトリス「手を繋いでバルスからちょっとでもマナを分けてもらうのよ!そうすればもう少し力を出せるかしら!!」

スバル「いや試合中にそれはダメだよベア子。ズルだよ」


ペトラ「えーいっ!」

ベアトリス「ふぎゃ〜、かしら!」

べたんっ!


ペトラ「勝ったー!」

ベアトリス「ぐぬぬ〜、もっかいやるのよ!」

ペトラ「後でね」



スバル「ふ…ベア子も大きくなったなぁ」

エミリア「も〜、スバルったらおじさん臭いんだから」ニコニコ

スバル「どゆこと!?」



予選終了


準決勝

スバルVSエミリア

ガーフィールVSペトラ
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 18:55:15.41 ID:IAUepbMLO
ミスです

ベアトリスがスバルを「バルス」と呼んでいるとこがありました
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 19:34:30.99 ID:6+JEl/KlO
『スバルVSエミリア』


スバル「さて、エミリアたん…いくら君がEMTでも今は真剣勝負。本気でやろうぜ!」

エミリア「うん、私も全力全開でやっちゃうんだから!」

スバル「いや、全力全開はちょっと俺の腕がヤバイかも…」

ベアトリス「カッコ悪いのよ」

オットー「そんな弱気な発言して恥ずかしく無いんですかねぇ」

ガーフィール「男なら堂々と受け入れたらどうだッ大将」

ラム「まったく、騎士様が笑わせてくれるわね」

スバル「後ろからの言葉に耳が痛い」


グッ!


ベアトリス「それじゃあ、始めるかしら!」


スバル「いくぜ、ふんっ!があぁっ!!」

エミリア「…」

ピタッ

スバル「んんんっ!!?」


エミリア「…」


スバル(え、何これビクともしないんだけど)

ピタッ

スバル(エミリアたん強いのは知ってたけどここまでの差があんの!?)

エミリア「?」

スバル(そして何そのキョトンとした顔!?いや可愛いけど!なんかちょっと悔しい!)


エミリア「…スバル?もう始めてもいいのよ?」

スバル「いや、もう俺は始めてるんですけどねぇ!?エミリアたぁん!?」

エミリア「え、あっ!ごめんなさい!」

スバル「逃げも隠れも誤魔化しもしない!来い、エミリア…」

エミリア「よいしょっ!」

ダアァァァンッ!!!

スバル「たああぁぁぁんっ!!?」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 19:51:19.61 ID:6+JEl/KlO
エミリア「勝った!」

スバル「瞬殺…今更だが自分が情けねぇぜ…」

エミリア「スバル、手は大丈夫?」

スバル「大丈夫大丈夫!むしろエミリアたんに手を叩き付けられるなら光栄よ!」

エミリア「もう、またそうやって茶化して」


ラム「ちなみにバルス、勝負時間は20秒よ」

スバル「なんでわざわざ俺のだけ数えてるのかな姉様?おちょくるため?」

ラム「いえ、むしろ褒めているわバルス。予想より20倍長く持っていたもの」

スバル「1秒で負ける予想だったの!?」

オットー「まあ正直僕もそう思ってました」

スバル「んなっ!?」

ガーフィール「安心しろ大将、俺ァ5秒は持つと思っていた」

スバル「どっちにしろほぼ瞬殺!!」


ベアトリス「…まあエミリアの天然が無ければ1秒だったかしら…」

スバル「…うん…」


エミリア「またしようね、スバル!」

スバル「うん…次はもっと頑張る…」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 20:13:47.28 ID:6+JEl/KlO
『ガーフィールVSペトラ』

ペトラ「よろしくお願いします!」

ガーフィール「おオよ」


エミリア「ペトラ〜!」

スバル「ペトラ!お前ならやれる!」

オットー「頑張ってペトラちゃーん」


ガーフィール(…皆の応援はペトラ行ってんな、ま、そりゃそうか。まだ小さいガキだし…)

ラム「さあ、始めなさい」


ペトラ「やーっ!」

グッ


ガーフィール(女のガキ相手にはどうすんのがいいんだ?なんか勝つのも大人げない気がすっぞ。わざと負けた方がいいのか?)

ペトラ「ん〜!強い〜!」


ラム「…ガーフ、あんたの考えてることは分かるわ」ボソッ

ガーフィール「!」

ラム「甘さは捨てなさい」

フレデリカ「わざと負けたりする方が失礼ですわよ、ペトラは本気でやってます。ガーフも答えてあげなさい」ボソッ

スバル「…ガーフィール!!」



ガーフィール「…ふん、ま、そッだよな」


ペトラ「え〜いっ!」


ガーフィール(本気でやってるやつにわざと負けるなんざ相手をバカにしてるのと同じだ。…勝ってやらぁ!)


グッ


ペトラ「やーっ!えーい!」

ガーフィール「…」



スバル「…ん?ガーフィール、なんか本気出すぜ的な顔さっきしてたけど特に変わってなくね?」


ガーフィール「るっせェな!加減が難ッしいンだよ!!あんま力入れて怪我でもさせたらヤベェだろが!!」

オットー「乱暴な口調で言ってることは優しい…」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 20:25:00.86 ID:6+JEl/KlO

ペトラ「うぅぅ…っ!!」

ガーフィール「おら、よっ!」

ベタンッ!


ラム「終わりよ」


ガーフィール「ふゥッ」

ペトラ「わーん、負けちゃった!」

スバル「頑張ったぞペトラ!」

フレデリカ「えぇ、よくやりましたわ」

エミリア「お疲れ様」


ガーフィール「…ま、その年のガキにしちゃア、なかなかだったぜ…」


ペトラ「えへへ、ありがとうございます、皆」



決勝戦

エミリアVSガーフィール





ロズワール「最後に残ったのは、エミリア様とガーフィールだーぁねっ」

ラム「えぇ。まあ最後にこの二人が残るのは初めから分かっていたことですが」

スバル「一番大事なのは誰が強いかじゃなくて皆で楽しむことだからいいんだよ」

49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 22:06:09.82 ID:xDMJ/ZJGO
『エミリアVSガーフィール』

エミリア「頑張りましょうね、ガーフィール!」

ガーフィール「ハッ、加減ァしねェぜ?エミリア様よォ!!」


スバル「さあさあ、いよいよ最後だ!みんな盛り上がって行こう!!」

ペトラ「わー!」

ベアトリス「わーっ、かしら」


オットー「小さい女の子に囲まれてナツキさんが一番盛り上がってますねぇ」

ラム「幼女使い…」ボソッ

スバル「聞こえてるよ!?姉様っ!!」


フレデリカ「頑張ってくださいね、ガーフ」

ガーフィール「おオ、今日一番腕ッがなるぜ」


スバル「エミリアたん、ガーフィールはマジで強いからな!」

エミリア「うん、大丈夫。私負けないから!」

ラム「もしエミリア様に傷をつけたらガーフを叱りつけておきますので」

エミリア「もう、そんなことしなくていいわよ」

ガーフィール「俺にも声援送ってくれや、ラム…」

ラム「勝ったら褒美にラムの肩叩き権を贈呈するわ」

ガーフィール「あんがとよ!」

スバル「それでいいんだ」



スバル「…さて、準備OK!?」

エミリア「ん、おーけー!」

ガーフィール「いつでもやれるぜェ」


スバル「よし、スタートだあっ!!」


ビシイイィッ!!!


ガーフィール「ッラアアアァァァッッッ!!!」

エミリア「よいしょおっ!!」



ラム「エミリア様の掛け声は気が抜けるけれど、本気のガーフィールと張り合っている…さすがね」

スバル「あぁ、こりゃもうヤベェな…互角の力がぶつかり合いマナが共鳴してヤバイことが起きるかもしれん。こいつぁそれ程の接戦だぜ…」

ベアトリス「訳わかってて言ってんのかしら、スバル」

スバル「すまん実はわかってない」

オットー「わかってないのかよ!!」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 22:44:42.89 ID:xC6JC8knO
グググググッッッ!!!

エミリア「うんしょーっ!!」

ガーフィール「どらアアァッしゃああァァァッッ!!!」



スバル「エミリアたんの掛け声のせいで緊迫感薄れてるけど、これ凄い戦いなんだよな?」

ロズワール「もちろんだーぁとも。ここまで高レベルの接戦が出来る者は王国内でも数少ない」

フレデリカ「格の違いを感じますわ…」


エミリア「よっこいしょー!!」

ガーフィール「負けッかよオォッ!!!」

ミシッ
ミシッミシッ!!


スバル「なるほど………ん?ミシッ?」

ペトラ「なんの音?」

ミシミシッ!ベキッ!

オットー「…!いけません、あの二人を止めてください!!」

スバル「え?」

ラム「エミリア様!ガーフ!それ以上は…!」

ベアトリス「…もう、手遅れなのよ…」

スバル「……あぁぁっ!!?」


バキ、バキッ!メキィッ!!


エミリア「あ…」
ピタッ

ガーフィール「やべ」
ピタッ



ラム「………」

スバル「テーブルが破壊されちゃったあぁっ!!?」


エミリア「ごめんなさい、肘に力を入れすぎて…」

ガーフィール「悪ィ、夢中になりすぎた」


オットー「えぇ…どうするんですかそのテーブル…」

スバル「買い替えか修理だろ……」

ベアトリス「この勝負は引き分けかしら」

エミリア「ごめんなさい」

ガーフィール「すまん」


ラム「はあっ………」

七話目 おしまい
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/25(金) 22:47:44.23 ID:xC6JC8knO
あと三話くらいで終了予定ですが
残りは書き溜めてから一話ずつ投下していきます
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/26(土) 20:33:35.17 ID:Pu+ZnIny0
待ってるZE
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/27(日) 11:20:03.82 ID:cbRExmMSO
【八話目】

聖域の事件解決から10ヵ月が過ぎた…


ペトラ「スバル!いつまで寝てるのだらしない!」

スバル「だって今日すげぇ寒い…大丈夫、もう起きるから…」

ペトラ「まったくもう!あとでラム姉様にもどやされたらいいよスバルは!」

スバル「てか様付け無くなってる…」

ペトラ「だらしない人に敬称なんか付けません!」

スバル「厳しいなぁ…」

ペトラ「さて、フレデリカ姉様のとこに行かないと!」



スバル「…最近ペトラの俺への当たりが強い気がするんだけど。反抗期かな…」

ベアトリス「スバルのだらしない姿を頻繁に見てれば言いたくもなるかしら」

スバル「…身長も伸びてきてるし、仕事や口調もテキパキするようになって…ペトラも成長してんだなぁ」

スバル「娘を持つ親父の気分だぜ」

ベアトリス「何か言ってるのよ」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/27(日) 11:20:31.28 ID:cbRExmMSO

ラム「あら起きたのね。もう少し起きるのが遅ければ私もバルスをボコボコに出来たのに」

スバル「何なの?姉様は俺を言葉で叩くのが趣味なの?」

ラム「日課ではあるわね」

スバル「涼しい顔して何言ってんだ」


ラム「それはそうと、朝からとある問題が起きているのよ。バルスの力が必要だわ」

スバル「え?俺そんな特別な力とか無いよ?オットーの方が色々できる…」

ラム「オットーはダメよ。メィリィの事だもの」

スバル「あぁ…メィリィか。ならオットーはダメだな。あいつメィリィから『弱そうな人』とか呼ばれてるもんな」

ラム「バルスの騎士としての力を発揮するときが来たわ。ワガママ言うメィリィに言うこと聞かせて来なさい」

スバル「仕方ねぇ。頼られちゃあ、この騎士ナツキ・スバルも見過ごせないな!」

ラム「そんなに張り切って…やっぱり幼女使いの騎士だったのねバルス」

スバル「て、おい待てコラ!!」



『座敷牢』

スバル「…で、メィリィは何をワガママ言ってるわけ?」

ラム「今朝、様子を見に行った時の事よ…」


メィリィ『今あるお人形だけじゃ飽きちゃったわあ。他にもっと面白いものちょうだぁい』

メィリィ『くれなきゃ嫌いなお野菜食べてあげないんだからあ!』


ラム「とか何とか生意気な事を…」

スバル「殺し屋だから最初は警戒してたけど、あいつも子供っぽくて可愛いとこあんだよなぁ……」

ラム「そういう甘いところが本当にバルスね」

スバル「本当にバルスってなに?」

ラム「着くわよ」

スバル「俺が開ける、ちょっと待ってろラム」

コンッコンッコンッ
コンッコンッコンッ



コンッコンッコンッコンッコンッコンッコンッ

スバル「OKだな」

ラム「何?今の」

スバル「俺が3ノックを二回やったら、7ノックするようメィリィに教えたんだ」

ラム「意味のわからない事を教えるのね」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/27(日) 11:20:57.59 ID:cbRExmMSO
スバル「よっ、おはようメィリィ!」

メィリィ「おはよう、お兄さぁん。今日は何を持って来てくれたのかしらあ?」

スバル「すまんまだ何も持って来てないんだ。その前に話が…」

メィリィ「なら知らなぁい」

スバル「メィリィさん、せめてお話だけでも聞いてください」

メィリィ「つまんないからやあ」

ラム「聞きなさいメィリィ。このバルスこそがあなたの新しい玩具よ」

スバル「おいラムてめぇ、俺をどうしたいんだよ」

メィリィ「いらなあい」

スバル「いらなあいって何かちょっと複雑!?」

ラム「まあ確かに私もいらないけれど」

スバル「なに?なんか俺、今日特に扱い酷くね?」

ラム「朝ダラダラと起きた癖によくそんな偉そうにしていられるわね。その図太すぎる神経がラムは怖いわ」

スバル「それ言われたら何も言えねぇ…」

メィリィ「クスクス」

スバル「お…!」

メィリィ「そうねえ、二人が私の前で今みたいに面白いとこ見せ続けてくれたらいいわあ」

ラム「却下」

スバル「即答だな!」


ーーーーーーーーー

スバル「…という訳だ」

エミリア「メィリィが最後笑ってくれて良かったわね」

スバル「うん、まあそうなんだけど本題はそこじゃなくてねエミリアたん」

スバル「なんとかメィリィの機嫌をよくしなきゃならない…頼りになりそうなペトラもフレデリカも仕事だし」

スバル「我等が武闘派内政官オットーも仕事がたくさんだ。最初は呼ぼうと思ったがさすがに可哀想だからやめておいた」

ベアトリス「私達だけで何とかしなきゃダメかしら」

ガーフィール「そいつア、また難儀だなァ…」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/27(日) 11:21:24.52 ID:cbRExmMSO
ーーーーーーーーー

ーーーーーーー

『座敷牢』

メィリィ「あら、また来たのねえ。今日は賑やかだわあ」

エミリア「こんにちは。メィリィ」

スバル「俺達賑やかし隊がお前を楽しませてやるぜ」


スバル「まずはお前と年の近い遊び相手、ベア子だ!」

ベアトリス「ベティーはお人形遊びに興じるほどお子様ではないかしら。ま、仕方ないから付き合ってやるのよ」

スバル「お前が言っても可愛いだけだな」

ベアトリス「で、ベティーに何をして欲しいのかしら?メィリィ…」

メィリィ「私のお気に入りの人形を勝手に触らないでえ!お嬢ちゃんにこの子達は上手く扱えないわあ!」

ベアトリス「か、可愛いげのない奴なのよ!」

スバル「おい、メィリィ…人と一緒に遊ぶことも大事なんだぞ?」

メィリィ「ならその髪の毛触らせてちょうだい、楽しそうだわあ」

ベアトリス「ちょっ、ベティーの髪をグチャグチャにするんじゃないかしらっ!」

スバル「ははは」

ベアトリス「微笑ましいもの見るような顔するんじゃないのよ!」

ガーフィール「しゃ、次は俺だナァ」

メィリィ「牙のお兄さん。何それ?」

ガーフィール「ちょっとした小せェ机と椅子だがな。ちょい前、暇潰しに作ってたもンだがァ、お前にくれてやってもいい」

スバル「色付けは俺とベア子で行った」

ベアトリス「感謝するのよ」

メィリィ「わあ凄い!」

スバル「ちなみに安全面もまずはオットーに使わせて試した結果大丈夫だったから問題ねぇ」

ガーフィール「今この場に居ねえのにオットー兄ィのツッコミが聞こえた気がしたぜ」

メィリィ「ありがとねえ」


エミリア「じゃあ、この机で私とお絵描きしましょメィリィ!最近、絵のお勉強もしているの」

メィリィ「いいわよぉ、私は魔獣ちゃん描こうかしらあ」

スバル「エミリアたん、何を描くの?」

エミリア「見てからのお楽しみ」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/27(日) 11:21:52.51 ID:cbRExmMSO
メィリィ「描けたわよぉ」

ガーフィール「なかなか上手ェじゃねぇかよォ」

スバル「あ、これあれだ。始めて俺が戦ったあの魔獣…シャマクさん大活躍したとこの」

ベアトリス「どんだけシャマク好きなのよ」


エミリア「私も描けたわ!」

メィリィ「わあ!ヘンテコだけど可愛い魔獣ちゃんね、名前はなんて言うのぉ?」

エミリア「魔獣じゃなくてパトラッシュちゃん描いたんだけど…」

スバル「あー…うん、口の形とかよく特徴捉えてるね!」

エミリア「そう?ありがと」

ベアトリス「苦しいフォローかしら…」


メィリィ「お兄さんは何かないのお?」

スバル「あぁ、待たせたな。俺からはこいつだ」


スバル「いつもより奮発して作った大きめな新作ぬいぐるみ、クジラくん人形だっ!」

メィリィ「わあぁ!丸っこくて可愛いっ!お魚みたいな子ねえ」

スバル「まあ、哺乳類だからどっちかつーと獣…?でも見た目魚っぽいし…」

スバル「まあ魚でいいか。これはデカイ魚だメィリィ」

スバルは元いた世界の生物学を敵に回した
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/27(日) 11:22:31.85 ID:cbRExmMSO
エミリア「このお人形、抱いて寝たら気持ち良さそうね」

スバル「だろ?大きめに作ったからな。実演してやろう、こういう風にこのクジラくんを抱き付きながら寝転がって…」

メィリィ「本当ね、これ抱き付いたら気持ちいいわあ」

スバル「待って、俺がクジラくん抱き付いてる時に一緒に来ないでメィリィ。これ絵面的にヤバイ」

エミリア「仲良しの兄妹みたいで微笑ましいわよ?」

スバル「いやでも…」



ガチャッ

ラム「…」



ベアトリス「あ」

エミリア「ラム…」

ガーフィール「なんッてタイミングで…」



ラム「…」

スバル「…あ、いや、姉様。違うんだこれは…」

ラム「はあー………」

スバル「溜め息つきながら冷たい目ぇ向けるのやめてくれる!?」

メィリィ「やっぱり二人は面白いわあ」


八話目 おしまい
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/28(月) 20:45:09.64 ID:oAOH/mRgO
【九話目】

オットー「…あれは僕が夜、残った仕事をしていた後の事です…」

ラム「なに?残業代の請求でもしたいの?ラムに言われても困るわ」

オットー「違いますよ!その日は僕が自主的に夜中にもやってただけですし!」

ガーフィール「真面目だなァ、オットー兄ィ」

スバル「いつまでも居るつもりは無いとか言いながら、まったくこの照れ屋さんめ…でもあんまり遅くまで仕事すんのは良くねえぞ」

オットー「だって、この陣営でこういう仕事がマトモにできるの僕くらいでしょう?今までどうしてたんですか」

スバル「仕事いっぱい頼んでるのは本当にごめんなさい」

ガーフィール「それに関しちゃア、面目ねェ…」

オットー「まあ別にいいんですけどね」

ラム「オットーが居なければ陣営がマトモに回らないのは事実ね。バルスやガーフよりもよっぽど組織に貢献しているわ」

スバル「言い返せないのが痛い…」

ガーフィール「ぐヌヌ」

ラム「彼はあなた達と違って頭も良いし有能……」

ラム「唯一の欠点はオットーがオットーだと言うことくらいかしら」

オットー「珍しく持ち上げてくれてると思ったらあっ!わかってましたけどねぇ!!」

スバル「…で、始めの話の続きをどうぞ」

オットー「そうでした。夜、仕事が終わりトイレから出たあと部屋へ戻ろうとした時のことです」

ーーーーーーー

オットー『はー…疲れたけど、あそこまでやれば明日はゆっくり出来る』

『…てる』

オットー『…ん?』

『あ…てる』

オットー『女子トイレの方から微かに声が…?』



『あいしてる』


ーーーーーーーーーーー


オットー「…と、何か声が聞こえたんです。それも何度も…」

スバル「はあっっっ!!?」ガタッ

60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/28(月) 20:45:36.77 ID:oAOH/mRgO
オットー「あんな声、うちの女性陣では聞いた覚えがありません……つまり…」

ガーフィール「幽霊…ッて、事かァ?」

ラム「気味が悪いわね」

スバル「え…!?…はあっ!!?」

ラム「どうしたのバルス、そんなにオバケが怖いの?情けないわね」

オットー「なんかめちゃくちゃ動揺してますね、幽霊苦手でしたらすみません…」

スバル「幽霊ってか……まあ俺の知ってる奴だったらガチの幽霊なんだけど。本当にそいつなら笑いごとじゃねぇぞ………いや1周回って笑えるけど」

ガーフィール「幽霊と知り合いなのか大将?」

ラム「妄想力、ここに極れりね」

スバル「もう好きに言って!!」

スバル(いやまさか嫉妬の魔女が現れたなんて事は……理由が分からねえし。だいたい本当だったとしたら何で女子トイレなんだよふざけんなよ」

オットー「ナツキさん、よく分かりませんが最後の方から声に出てますよ」

スバル「…今夜、俺がもう一度確かめてみるか…」

ガーフィール「オ、幽霊退治か?面白そッだなア!!」

ラム「バルス、ラムも行くわ」

スバル「いや、何かあったら危ないから…」

ラム「男だけで女子トイレに入るつもりなの?あなた達が社会的に死なないためにラムが配慮しているのよ、わかりなさい」

スバル「あ…確かにそうです、はい」

オットー「まずは他の女性陣にも聞いて情報を集めてみましょうか」

61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/28(月) 20:46:15.89 ID:oAOH/mRgO
ーーーーーーーー

エミリア「トイレにオバケ?んーん、見たこと無いけど」

スバル「そっかぁ。実はオットーが昨夜、女子トイレから変な声を聞いたみたいで」

オットー「ええ。何か聞いたことのない小さな声が…」

エミリア「え?オットーくんトイレ間違えちゃったの?」

オットー「そういう事じゃなくてですねえ!?」

エミリア「私も初めて屋敷に来たとき、実は一回間違えちゃったの。ついうっかりね。うふふ」

ラム「エミリア様、屋敷外ではそういう間違いは絶対にやらないでくださいね。トイレを間違える王様とか言われたら洒落にならないので」

スバル「本当もうやめてね?今初めて聞いてビックリしたよ」

エミリア「そんなに心配しなくてもわかってますっ」

ガーフィール「悪ィ。実は俺も一回間違えた」

オットー「流れで一緒に明かさなくていいですからそんな話!」


ベアトリス「…私もそんな声は聞いた覚えが無いかしら」

スバル「んー…ならペトラとフレデリカにも聞いてみっか」


ーーーーーーーー


フレデリカ「すみません…その様なものは見たことも聞いたこともありませんわ」

フレデリカ「トイレを間違えたガーフになら会ったことはありますが」

ガーフィール「その話はいいだろ」

ペトラ「ごめんね、スバル様、オットーさん。私も知りません」

スバル「女性陣はみんな知らないか…ちなみに聞き忘れてたけど姉様は?」

ラム「知ってたら言うわよ。そもそも遭遇したら、その場で生意気なオバケとやらを吹き飛ばしてるわ」

スバル「姉様つえぇ…」

ペトラ「今朝もそこのトイレの掃除をしてましたけど、特に変わったものはありませんでした」

オットー「んー…昨日だけたまたま聞こえたのか、夜だけに出るのか…」

ラム「もしくはオットーの妄言か、どれかね」

オットー「せめて『聞き間違い』とか言ってくれませんかねえ!?」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/28(月) 20:46:43.14 ID:oAOH/mRgO
夜 トイレ前廊下


ラム「真夜中に女子トイレの前でたむろする男達…」

オットー「やめてくださいその言い方」

ガーフィール「本当に来たのッかよォ、ラム」

ラム「私が居なくなる事は貴方達の行為を弁護する者が居なくなるということよ。社会的に死にたいなら帰るけど」

スバル「いえ居てくださいお願いします。誰かに見られたら是非弁護を」

ラム「仕方ないわね」

スバル「さて、エミリアたんは勉強中…ベア子はお寝んねでペトラも就寝中だ」

オットー「今のところトイレの中から声は聞こえません」

ガーフィール「いざとなッたら俺に任せなァ」

オットー「寝てる子達を起こさないようなるべく静かに行きましょう」


スバル「…三人はいったん待機しててくれ、俺が先に行ってみる。いざとなりゃガーフィールはオットーとラムを頼んだ」

ガーフィール「おオ?」

オットー「あれ、なんかやけに凄く慎重ですね」

ラム「…待ちなさい、バルス。危険よ」

スバル「ラム…?どうした?」


ラム「一人で女子トイレに入れば、やらしいバルスの理性が外れ何をやらかすか分からないわ」

スバル「お前は俺を何だと思ってんの!?」

オットー「ナツキさん静かに!」

ガーフィール「いきなり何言ッてんだよ…」

ラム「震えは止まったわね、行きなさい」

スバル「……おう」

スバル(ラムには俺が半分ビビってる事がバレてたか…)

スバル(俺の緊張を解くためにわざわざラムの奴……ったく。ビビんな俺、この目でしっかり確かめてやらぁ)

ザッ
ザッ
ザッ


スバル「ただの勘違いなら別にいい。だが、もし居るなら出てこいよ…嫉妬の魔女」ボソッ

スバル「まあ本当にこんな場所に出て来られても困るけど…」



ボトッ!!!
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/28(月) 20:47:22.05 ID:oAOH/mRgO


スバル「ぎゃあああああああああああっっっ!!!」






オットー「ナツキさんっ!?」

ガーフィール「大将の声だ、今ッ行くぜ!!」

ラム「バルスっ!!」


ザッザッザッザッザッ!!



スバル「あ…ああ、あああっ!!!」


ラム「バルス、落ち着きなさい!」

オットー「何があったんですか!?」

ガーフィール「なにか出たッてェのか?幽霊だろうが俺がぶっ潰して…」

スバル「あたま、頭…」

ラム「頭?」



スバル「頭に、ムカデが、落ちてきたああぁっ!!!」

ラム「…は?」

ガーフィール「ムカデだァ?」


カサカサカサ!

オットー「うわ!本当だ、居る!」


スバル「マジでビビった、もうこの世の終わりかと…まだ心臓バクバク言ってやがるぜ…」

ガーフィール「あァ…まあ分かるぜ大将。俺も聖域に居た頃、寝てた布団にムカデが入り込んでたことあってビビったからなア。ありゃ怖かッた」

オットー「とりあえず、ナツキさんが無事だったのは良かったです…ただ」

ラム「…」

オットー「ラムさんがものすっごく冷たい視線向けてますよ」

スバル「う…」

スバル「仕方ないじゃん、本当に恐かったんだからさあ!ラムだって実際に経験したら分かる!」

ラム「…」ゲシッ!ゲシッ!!

スバル「ちょっと痛いっ!無言で蹴らないで!本当に痛いっ!」

オットー「まあ騒ぎすぎたナツキさんが悪いですよ。それだけラムさんも心配してたって事ですから…」

ラム「黙りなさい、口の中にその帽子突っ込むわよ」

オットー「なんで僕まで怒られたんだろう…」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/28(月) 20:47:48.87 ID:oAOH/mRgO
ラム「なるほど分かったわ、オットーが昨夜聞いた声はムカデの声だったのよ。あなたの頭の上に落ちたいくらい愛していたのよ。良かったわねバルス」

スバル「ムカデから愛されたって嬉しくないんですけど!?せめて控えめに現れて!?」

オットー「まあまあ、ラムさんもその辺で…」


オットー「…ん?ムカデの声?」

ガーフィール「どうしたァ?オットー兄ィ」

スバル「おい、まさか本当にムカデの声とかじゃ無いよね?」

オットー「いえ安心してください、それは違います」


オットー「しまったなぁ、僕としたことが…暗闇から変な声が聞こえた恐怖で冷静な思考が出来ていなかった」

ラム「何か思い付いたのね?」

オットー「他の女性方は聞いたこと無くて、僕にだけ聞こえた声…このトイレの位置、その下には…」

ラム「…なるほど。そういえばこのトイレの窓のすぐ下には、竜舎があるわね」

スバル「…!まさか!?」

ガーフィール「どういうこッたよォ?」

ラム「つまりね…」

オットー「とりあえず下に行って確認してみましょう。それで違ったら本当の幽霊疑惑が高まりますが」

スバル「それだけは避けてえな」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/28(月) 20:48:30.35 ID:oAOH/mRgO
竜舎


フルフー『おや坊っちゃん。こんな時間にどうしたんで?』

オットー「昨夜…この竜舎に、『あいしてる』とか言ってる地竜いませんでしたか?フルフー」

フルフー『ええ、居ましたよ。彼女、パトラッシュさん』


パトラッシュ「…」


フルフー『その隣にいる雄の地竜がね』


地竜♂「…」


オットー「あぁ…あの子ですか」

フルフー『どうやら彼、パトラッシュさんに惚れた様で…それで愛を伝えようとしていたみたいですが、ことごとく振られてしまったんです』

オットー「はあ…そういう経緯かあ……」

フルフー『もう夜も遅いです。坊っちゃんもそろそろ休まれてくださいな』

オットー「そうですねえ、じゃあ。ありがとうフルフー」



スバル「…どうだった?オットー」

オットー「はい、そこの地竜くんがパトラッシュちゃんを口説こうとしてたみたいですね」

スバル「まあ、うちのパトラッシュは女子力高くて姉御肌な乙女だからな。惚れられたって不思議じゃねぇ」

ガーフィール「確かにいい女だぜ、パトラッシュはよォ。俺も分かる」


パトラッシュ「…」


スバル「でもあの雄地竜もなかなかイケメンだと思うんだがなぁ…」

オットー「まあ僕らが口を挟むことでは無いですよ」

ラム「結局大した事は無かったって訳ね。夜更しする程でもなかったわ」

スバル「まあ、そう言うなよ。不安が無くなるのはいいことだ」

オットー「わざわざありがとうございました、ラムさん」

ラム「私への正しい接し方が分かってきたじゃないのオットー。なら、この後もするべきことは分かるわよね?」

オットー「感謝の上に更に何をしろと!?」

ラム「ハッ!」

ガーフィール「そろそろ帰ろうぜ。あんま遅くまで起きてると姉貴もウッセェからよォ…」

ラム「そうね」

オットー「じゃ、地竜の皆さん。夜遅くに失礼しました」

スバル「みんな悪かったな。パトラッシュもおやすみ」


パトラッシュ「クアァ」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/28(月) 20:49:25.11 ID:oAOH/mRgO

ザッザッザッ…


ラム「…バルス」

スバル「ん?どうしたラム」

ラム「今なら誰も聞いてないわ、話しなさい」

ラム「何故あんなに怯えていたの?」

スバル「え?」

ラム「ただオバケが怖いだけの怖がり方では無かったわ。…何にあんな怯えていたの?」

スバル「姉様は…よく見てるな」

ラム「ラムを甘く見ないでちょうだい」

スバル「…悪い。本当に誰にも話せないことなんだ」

スバル「けど、まあ今回はただの俺の勘違いだっただけだし!?何事も無く解決したんだからそれでOK…じゃあダメ?」

ラム「バカね…」

ラム「弱くて泣き虫で臆病で、しょうもなくて一人じゃ何もできないただのバルスが………何でもかんでも一人で抱え込むもんじゃないわよ」

スバル「はは、姉様にしちゃ分かりやすい気遣いだな」

ラム「本当の事をいっただけよ」

スバル「…ありがとうな」

ラム「ふん」


九話目 おしまい
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/28(月) 20:49:58.10 ID:oAOH/mRgO

次回、明日の投稿で完結の予定です
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/29(火) 13:05:47.23 ID:hxDL4kD3O
【十話目】


ラム「…」


ラム「今夜も来たわよ……レム」



レム「…」


ラム「…」


屋敷の一室で、いまだに眠り続ける少女…

声を掛けても勿論、返事が返ってくることはない


レム「…」



ラム「…今日も、色々なことがあったわ」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/29(火) 13:06:15.34 ID:hxDL4kD3O
ーーーーーーーーー

スバル「ぬおおぉっ!!」

ダッダッダッ!


ベアトリス「ゴールかしら!」


スバル「ぶはあっ!」

ズザザッ



エミリア「スバルもすごーく頑張ってるわね」

ラム「…エミリア様、何故お弁当を四人分持ってきているのですか?バルスとベアトリス様への分の筈では…」

エミリア「うん、ついでだから皆で食べようと思って。ラムも一緒に食べましょ?」

ラム「まあ構いませんが」



スバル「はあ、はあ……疲れた…」

ベアトリス「先月よりもまた少し、記録は良くなってるみたいかしら」

スバル「そうか…そりゃ良かった。タオルありがとなベア子」


ザッザッザッ!

エミリア「お疲れ様スバル、はいお水」

スバル「今日のエミリアたんはまた一層輝いてるな…EMM(エミリアたんマジ女神)…」

エミリア「もう、またおかしなこと言ってる」クスクス

スバル「俺なりの最大級の感謝の気持ちだよ」

ラム「バルス、受け取りなさい」

ブンッ!

スバル「ぶわっ!?お前…タオルの渡し方乱暴過ぎない?放り投げんなよ」

ラム「タオル一枚じゃ足りないと思ったから私からもくれてやったのよ。まずは感謝なさい」

スバル「くれたのは嬉しいけどさあ…もうちょい優しく出来ないのかね」

エミリア「もう、ラムもあまりスバルに意地悪しないの。程々に、ね?」

ベアトリス「程々にならいいのね…」

ラム「ご安心くださいエミリア様。バルスはああいう厳しいやり方に喜びを感じる男なので」

スバル「勝手に人をドMみたいに言わないでくれる!?」

ラム「ハッ!」

エミリア「二人がすごーく仲良しなのはわかったけど、そろそろお昼にしましょ?」

スバル「ちょっと待ってエミリアたん」

ラム「勝手に仲良し認定しないでくれますか?」

ベアトリス「相変わらずな奴等なのよ」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/29(火) 13:06:48.46 ID:hxDL4kD3O
ーーーーーーーーー


ラム「…本当に、エミリア様はどっか抜けていて困ったものだわ」


ラム「帰ったら、帰ったで、ガーフとフレデリカが喧嘩…いえ、一方的にガーフが怒鳴られていたわね。ペトラも混じってたわ」


ラム「更にそこがオットーの仕事部屋の前だったから、三人とも揃って怒鳴られて…」

ラム「ああ、きっとあなたはオットーを知らないわよね。まぁそういう名前の男が新しく増えたのよ」


ラム「…で、エミリア様はその光景を見て困った顔をしながら平和そうに笑っていたわ」

71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/29(火) 13:07:51.34 ID:hxDL4kD3O

レム「…」


ラム「…エミリア様は、抜けているけれど、強くなられた」

ラム「ベアトリス様も心を開くようになった」

ラム「ガーフとフレデリカも、ちゃんと話せるようになって…」


レム「…」


ラム「………」


ラム「ついさっきまで、バルスもここに居たわ。真剣な顔でじっと見つめて、あなたの手まで握って、喋りかけて…」

ラム「本当にバカな男よ」


レム「…」



ラム「…なんて、ラムも人の事は言えないわね。触れても、話し掛けても、何の返事もないことは…分かっているのに」



ラム「………らしくないわね」


レム「…」



ラム「もう、私も寝ましょう…」



立ち上がり、自室へ戻る準備をする

扉へ向かい、部屋から出る前に彼女へもう一度振り向き

レム「…」



ラム「…明日もまた来るわ。レム」

72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/29(火) 13:08:28.07 ID:hxDL4kD3O
おしまい
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/29(火) 19:18:38.43 ID:yWDj3+j70
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/31(木) 12:19:10.11 ID:2qhO0kZr0
面白かった。レムは出せないけど、4〜5章の間が一番キャラが多くて面白い。
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