勇者「魔王は一体どこにいる?」続編のつづき

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594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 19:51:26.30 ID:pYa2Z27w0
盗賊「俺はこの塔に登って何なのか調べる…僧侶はその辺に埋もれてる物調べてくれ」

僧侶「はいな!!」ガサガサ

盗賊「うし!!」ピョン ピョン

僧侶「盗賊さん!!この塔はロープで繋がってるです」

盗賊「ロープ?」

僧侶「あれれ?ロープじゃないなぁ…なんだろ?」グイグイ

盗賊「何処に繋がってるか調べろ…しかし何だこりゃ?材質は鉄だな…」コンコン

僧侶「ロープが何かの機械に繋がってるですぅ!!」

盗賊「その辺でお宝探せ!!」

僧侶「小さな謎の機械があるです」

盗賊「おぉぉソレだそういう物を片っ端から袋に入れて持って帰る」

僧侶「なんかいっぱいあるですね…」ガチャ ガチャ

盗賊「この塔はハズレだな…先っぽにも何も無ぇ」ピョン シュタ

僧侶「この大きな機械は何でしゅかねぇ?」

盗賊「…おかしいな」

僧侶「何ですか?」

盗賊「鉄のクセに錆び付き具合が軽度だ…こりゃ割と新しい…なんでだ?」

僧侶「こっちにも色々有るです」

盗賊「おう!!」ダダ ガッサガッサ

僧侶「良い物ですかね?」

盗賊「んんん…なんじゃこりゃ?まぁ一応持って帰るか」ガチャ ガチャ

僧侶「石板ですかねぇ?」

盗賊「石じゃ無ぇな…鉄でも無い…樹脂か?それにしちゃ複雑だな」

僧侶「全部持って帰るのは大変でし」

盗賊「同じ物は省こう…なんつーか金になりそうな物が無ぇな」

僧侶「向こうも探してくるです」スタタ


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595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 19:52:04.31 ID:pYa2Z27w0
『1時間後』


ガチャガチャ


盗賊「んぁぁ一杯有るがみんなガラクタだな…」ポイ


ドコーーーン!!


盗賊「何だぁ!!」

僧侶「あそこでしゅ!!煙が舞ってるです」


ガガーーン ビリビリ


盗賊「魔法撃ってんな?行くぞ!!」ダダ

僧侶「あわわわ…」スタタ


--------------


ハンター「盗賊さん!!ワームが居る!!」ギリリ シュン

魔法使い「ダメ…ハンターの麻痺矢が効いてない!!」タッタッタ

盗賊「一匹か!?」

ハンター「3匹!!大きい!!」

盗賊「魔法使い!雷魔法で動き止めろ!」

魔法使い「雷魔法!」ガガーン ビリビリ

盗賊「よし!今の内に入り口に向かって逃げろ…俺が時間を稼ぐ」スチャ

魔法使い「1人じゃムリ…」

盗賊「良いから行け!!」

ハンター「魔法使い!言う事聞こう」グイ


ワーム「シャァァァァ…」ピクピク


盗賊「お前の弱点知ってんぞ!?ケツの穴だ」ダダダ ザクリ

僧侶「盗賊さん…」

盗賊「早く行けって…俺も危無ぇんだから!!」

僧侶「ほぃ…」スタタ

盗賊「これでも食らえ!!」チリチリ ポイ


ドーン!! ベチャ


ワーム「プギャァァァ…」グネグネ バタバタ

盗賊「うっし!今の内…」ダダ



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596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 19:52:44.23 ID:pYa2Z27w0
『入り口』


タッタッタ


盗賊「急いでトロッコに戻るぞ」

ハンター「ベアトラップに気を付けて…ここ踏まないで」

魔法使い「先に出るわ…よいしょ」

僧侶「あわわ…」ピョン

盗賊「ワームが追いかけて来なきゃ良いが…」ピョン

ハンター「トロッコに戻る…ちょ…ちょっと待った!!」

盗賊「ん?」

ハンター「トロッコの場所が変わってる…誰か居るぞ?」

盗賊「何だとぅ!?」

魔法使い「音に気付いて隠れたのね?」

盗賊「ちぃぃぃマズイな挟まれてる」

ハンター「何処だ?」キョロ

魔法使い「きっと通路の奥よ…暗くて見えない」

盗賊「俺が囮に出る…相手が仕掛けて来たら盲目魔法を使え」

ハンター「大丈夫?」

盗賊「まぁ見てろ…援護頼む」タッタッタ

僧侶「はぁぁドキドキするでし…」



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597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 19:53:50.05 ID:pYa2Z27w0
ハンター「トロッコに付いた…何も起きない」

僧侶「盗賊さんどうするつもり…あっ!!消えた」

魔法使い「え?なんで?」スック

ハンター「待って…動かないで…策があるんだ」

魔法使い「…」ジー

僧侶「…」タラリ

ハンター「足音…」ヒソ


ペタペタ ドタドタ


ハンター「3人以上居る…」ヒソ

僧侶「盗賊さん出て来た!…どうなってるの?」ヒソ

ハンター「まだ待って…」ヒソ


シュンシュン カンカン!


魔法使い「又消えた…」ヒソ

ハンター「射手2人…通路の奥だ」ヒソ

僧侶「大きなオークが一人来たです」ヒソ

ハンター「あのオークは僕が麻痺矢当てる…君は奥の射手に盲目魔法を」ヒソ

僧侶「はい…」ドキドキ

ハンター「撃つよ…」ギリリ シュン グサ!

僧侶「盲目魔法!」モクモク

ハンター「行く!!」ダダ


オークファイター「ウゴ!?」


ハンター「もう一発!!」ギリリ シュン グサ!


オークファイター「ウガァァァァ!!」ブン ブン


僧侶「うわぁ大っきい…」タジ

魔法使い「ハンター!!ダメ麻痺効いてない…火炎魔法!」ゴウ ボボボボ

僧侶「下がるです…もう一回盲目魔法使うです」

ハンター「分かった」ダダ

僧侶「盲目魔法!」モクモク


オークファイター「ウゴ?ウゴ?」キョロ


盗賊「リリース!」スゥ

盗賊「どわぁ!!でけぇ…」
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 19:54:22.19 ID:pYa2Z27w0
僧侶「盗賊さん!!盲目魔法使ったです…目が見えてないしゅ」

オークファイター「ウガァァァ!!」ダダダ ブン

盗賊「危無ぇ!!」ガキーン ゴロゴロ

魔法使い「盲目効いてない?」

盗賊「こいつらエルフだと思え!!耳で場所把握してる」


シュンシュン カランカラン


盗賊「不利だ!!トロッコ乗れ!!」

ハンター「動かす!!飛び乗って!!」ピョン

盗賊「魔法使い!魔法撃ちまくれ!」

魔法使い「火炎魔法!火炎魔法!火炎魔法!」ゴゥ ドカーン


ゴゥ ボボボボボ


盗賊「乗れ乗れぇ!!」ピョン

僧侶「はわわわ…」ピョン

魔法使い「えいっ…」ピョン


カタコン カタコン ゴーーーーー


僧侶「追って来るです…」

盗賊「構わず魔法撃ちまくれ…」ガチャコン バシュ


オークファイター「ウガァァァ!!」ドスドス


魔法使い「火炎魔法!」ゴゥ ドーン


ガチャコン バシュン

ガチャコン バシュン


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599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 19:55:13.05 ID:pYa2Z27w0
『トロッコ』


ゴーーーーー カタタン カタタン


盗賊「ふぅぅぅぅ危なかったなぁ…」

ハンター「4対3でもまともに戦ったら全然勝てる気しない」

魔法使い「麻痺も盲目も効かないなんて…」

盗賊「相手が3人だけだったから助かった様なもんだ」

僧侶「魔法もあんまり効いて無かったですね?」

魔法使い「呪術で強化されてるんだと思うわ…魔法に耐性ありそう」

盗賊「ちっと予定変更だな…キャンプに戻るのは止めだ…あそこに何か荷物置いてるか?」

僧侶「水と食べ物置いて来たです」

魔法使い「私も…」

盗賊「よし…スルーして戻るぞ…オークが危なすぎる」

僧侶「ハンターさんは何も残して無いですか?」

魔法使い「全部持って来てるに決まってるじゃない」

ハンター「こんな事もあろうかと…」

盗賊「ヌハハケチが良い方に転んだ様だ…とりあえず水には困らんな?」

ハンター「ハハ…」

盗賊「しかしオーク相手じゃこっちもキラーマシン居無ぇとどうにもならんな」

僧侶「オークは抵抗しない人間には何もしないのです」

盗賊「なぬ?」

ハンター「それは本当だよ…連れて行かれちゃうけど」

盗賊「そりゃ知らんかった」

僧侶「掴まると奴隷にされるです」

盗賊「なるほどな…人間の女が好みだとは聞いた事がある…掴まえて奴隷か」

魔法使い「人間も昔は女のエルフを狩って奴隷に…」

盗賊「実は俺も一回あやかった事が有る」

魔法使い「うわ!!最低…ゲスオヤジ」

盗賊「若気の至りだヌハハ」
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 19:55:51.92 ID:pYa2Z27w0
『4時間後』


カタンカタン カタンカタン


盗賊「さて…どうやって戻るかなんだが…」

魔法使い「強行突破?」

盗賊「うーーーん…どうせキラーマシンが封鎖してる…どーっすかなぁ」

ハンター「戦利品は4人で手分けすれば持てるから…突破して人に紛れるでどう?」

盗賊「僧侶の盲目魔法使って行くか?」

僧侶「お?」

盗賊「突破する時に盲目魔法撃ちまくって逃げちまう…ほんで人込みに紛れる」

魔法使い「良さそうね?」

盗賊「さっさと地下を出て商人ギルドで落ち合う…行けるな?」

僧侶「私の出番でし!!」ズイ

盗賊「期待してるぜ?」




『チカテツ街道1番』


ゴーーーーー スタタン スタタン


ハンター「衛兵10人くらいと動いてないキラーマシン2台」

盗賊「衛兵気付いたな?魔法撃て!!」

僧侶「盲目魔法!!」モクモク

盗賊「行けるところまで突っ込むぞ…魔法はどんどん撃てよ?」

僧侶「はいな!!盲目魔法!!」モクモク


衛兵1「なんだぁ?誰だ明かり消した奴は!!」

衛兵2「常備用の松明あるだろ…早く点けろ」

衛兵1「トロッコ近づいて来る音だ…衝突するぞ!?」

衛兵2「止まれ止まれぇぇ!!」


魔法使い「ウフフ…馬鹿ねぶつかる物何も無いのに」

僧侶「盲目魔法!!」モクモク


衛兵1「あぁぁ見えない…松明何処だ?」

衛兵2「だめだぁこっちも見えない」ウロウロ


ハンター「止まるよ!?作戦通り人込みに入って!!」ピョン タッタッタ

盗賊「行くぞ!遅れるな?」ダダ

魔法使い「ウフフ…なんか楽しい」タッタッタ

僧侶「ほいさっさぁ!!」スタタ


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601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 19:56:27.49 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド_大部屋』


ガチャリ バタン


盗賊「お?遅かったな?…水浴びして来い!真っ黒だぞ」

魔法使い「ハンターと僧侶はまだ?」

盗賊「もう水浴びしてどっか行った…」ガチャガチャ

魔法使い「ええ!?私が最後か…じゃぁ水浴びしてくる」ドサリ

盗賊「今日はもうやる事無いから自由にして良いぞ」

魔法使い「寝る…魔力使い過ぎて頭痛い」

盗賊「ヌハハ頑張り過ぎだな?」


--------------


僧侶「ただいま〜」ガチャリ

盗賊「シーーーーッ」

ハンター「ん?魔法使いは?…あぁ寝たのか」

僧侶「戦利品の整理終わったですか?」

盗賊「おう!!使えそうな物はコレだな…ペン型のライトだ」

ハンター「何それ?」

盗賊「照明魔法みたいなもんだ…ホレ?」ピカー

ハンター「おぉ!!」

盗賊「これはお前が使え…俺は同じ様な物持ってっからな」ポイ

僧侶「他には無いですか?」

盗賊「今分解してるんだけどよ…このランタンみたいな奴の中にウラン結晶らしいものが入ってんだ」ガチャ ガチャ

僧侶「ウラン結晶?」

盗賊「まぁ魔石のお化けだ…小さいがこいつが高く売れる」

ハンター「エネルギー元なんだ」

盗賊「多分な?これこのまま落ちてたんか?」

ハンター「大きな機械から外したんだ」

盗賊「てことはやっぱエネルギー元だな…もっと他に在ったのかもしれんな」

ハンター「そうだね…でももう行く気になれない」

盗賊「行くなら戦力揃えんとな」

ハンター「ワームがね…見えてたのが3匹だけどもっと居ると思うんだよ」

盗賊「まぁ生きて帰れて良かった…ちっと甘く見過ぎてた」

ハンター「オークもさ…たまたま射手2人を無効化出来たから逃げれたけどさ…本当危なかったと思う」

盗賊「うむ…んん?なんだ僧侶も寝たのか」

僧侶「…」スヤ

ハンター「結構魔法連発してたしね…頑張ったね」

盗賊「まぁお前もこのクソ重いランタンずっと背負ってたんだろ?」

ハンター「ハハハ重たかったよ…途中で捨てようかと思ったさ」

盗賊「お宝ハントはとりあえず大成功だ…大の字で寝ろ」

ハンター「そうする…おやすみ」
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 19:57:26.68 ID:pYa2Z27w0
『翌日』


ガチャガチャ


魔法使い「ふぁぁ…」ノビー

盗賊「お?起きたな?頭痛は良くなったか?」

魔法使い「ん?」キョロ

盗賊「まだ休んでて良いぞ…」

魔法使い「何してるの?」

盗賊「ガラクタを下に運んでるんだ…商人に鑑定してもらう」

魔法使い「ハンターと僧侶は?」

盗賊「商人の所に行った…どうする?お前も来るか?」

魔法使い「私だけ寝てる訳に行かないでしょ?」

盗賊「下よりこっちのが環境良いけどな…商人の部屋はガラクタとゴミの山だ」

魔法使い「どんな人なのか気になるから行って見たい」

盗賊「そうか…じゃぁ付いて来い」スタ



『商人ギルド地下』


ヨッコラ ヨッコラ


盗賊「商人!持って来たぜ?…これで最後だ」

商人「奥に…」

魔法使い「何此処…研究室?」

商人「本当は誰も入れないんだけど…君達は特別なお客さんさ」

魔法使い「特別?」

商人「取引がしたい…今運んできたガラクタだよ…譲って欲しいんだ」

魔法使い「譲るって…ハンター!?どういう話になってるの?」

ハンター「金額の交渉をされてるんだ」

僧侶「いくら欲しいか聞かれてるです」

盗賊「俺らじゃ価値が分かん無ぇ…商人はいくら出す?」

商人「君達には只のガラクタだよ…」

盗賊「答えになって無い」

商人「ズバリ言うよ…頂戴」

魔法使い「ぷっ…面白い人ね」

盗賊「おいおいお前が欲しがる理由くらい聞かせろや」

商人「盗賊…この3人は信用しても良いのかい?誰なんだよ…」

盗賊「疑り深けぇな…こう言えば信用出来るか?夢幻を知ってる…」

商人「…」ジロリ

僧侶「なんか怖いです」

商人「盗賊…ちゃんと鍵は掛けたかな?」
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 19:58:05.96 ID:pYa2Z27w0
盗賊「あぁ掛けた掛けた…どうしたんだお前」


???「アーッハハごめんごめん…ソレは影武者さ」


盗賊「なぬ!?」


ガコン ギギギー


盗賊「なんだ本棚の裏にさらに隠し部屋があるんか…」

商人「影武者ごくろうさん…どうやら信用できそうだ」

影武者「誘導出来ませんでした…すみません」

商人「まぁ又練習しよう…休憩してて良いよ」

影武者「はい…」スタ

商人「その遺物持って奥に入って来て」

盗賊「お…おう」ガチャガチャ

604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 19:58:32.56 ID:pYa2Z27w0
『隠し部屋』


盗賊「おま…これ俺にずっと秘密にしてたんか?」

商人「言う必要が無かっただけさ」

盗賊「あの影武者はいつから?」

商人「もう5年くらいになるかな…ほとんどの事は彼女がやってる」

盗賊「なぬ!?女だと?」

商人「僕と同じ体格なのは子供か女の子だけさ…声は良く似てたよね?」

盗賊「道理でフード脱がない訳だ…」

商人「さて?夢幻を知って居る君達3人は誰なんだい?」

ハンター「え…えーと」

盗賊「ハテノ村の子供達だ…どうやら俺を覚えてる」

商人「なるほどね…」

盗賊「それでお前はこんな隠し部屋に籠って…ホムンクルス作ろうとしてんだな?こりゃ…」

商人「そうだよ…それで古代の遺物を調べたいんだ」

魔法使い「この器具は錬金術?」

商人「うん…今は生体を産む研究をしてる」

魔法使い「スゴイ…」

僧侶「この絵の女の人は精霊でしゅか?」

盗賊「ホムンクルスだ…良く描けてる」

魔法使い「シン・リーンの精霊の像にそっくり…」

盗賊「まぁ色々あんのよ」

商人「それであの遺物の事だけど譲って欲しいのは本当なんだよ…僕もそんなにお金持ちじゃない」

盗賊「俺らにはガラクタっちゃぁガラクタなんだがよ…ちっと小遣いくらい欲しい訳よ」

商人「じゃぁ金貨100でどう?」

盗賊「金持ってんじゃ無ぇか!!」

商人「それくらいならギルド運営に影響は出ない」

盗賊「お前等金貨100で良いな?」

ハンター「うん…どうせ要らない物だし逆になんか悪いかな」

盗賊「お前らしく無ぇぞ?」

ハンター「ハハ…」

商人「じゃぁ商談成立という事で…」



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605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:00:53.35 ID:pYa2Z27w0
盗賊「ところであのガラクタは一体何なんだ?」

商人「これからラヴと一緒に調べるけど…多分古代文明の兵器を操る物だと思う」

盗賊「兵器?インドラの矢とかか?」

商人「10年前の大陸間弾道ミサイル…隕石だと言われてる奴だ」

盗賊「そういや遺跡に塔みたいな物が立ってたな…ソレだな?」

商人「あーー他に発掘されてる物と同じ証言だ」


覚えてるかな?10年前に飛んできたミサイル…

本当は何百発も落ちて来る筈だったのに4発しか落ちなかった

それはホムンクルスが止めたんだよ

その内のいくつかがキ・カイで発掘されてるんだ


盗賊「そうか…それで灰に埋もれてたんか…」

商人「僕もその現場に行きたいんだけど国と折り合いが付かなくてね…丁度君達が持って帰ってきてくれた訳だ」

盗賊「お前が古代の遺物を欲しがる理由はホムンクルスか?」

商人「うん…もしかすると他にもホムンクルスが眠って居るかもしれないと言う事と…」

商人「あと数年でラヴの中にある超高度AIのエネルギーが枯渇するからそれを何とかしたい」

機械の犬「ワン!」フリフリ

盗賊「数年…何でそんな事分かるんだ?」

商人「ラヴとは意思疎通が出来るんだよ…イエスかノーの2択だけど」

機械の犬「ワン!」

盗賊「そういう事か…」

商人「それで?久しぶりに夢幻の事を聞いたけど…どういうつもりなんだい?」

盗賊「ちっと話が長くなるんだが…」


お前ここ10年…子供の数が減少しているのは知って居るか?

どうやらな?麻薬とアヘン酒が蔓延しているのが出産率を下げて居る可能性があるんだ

ほんで材料になるケシの実がどこから産出されているかと言うと

エルフの森全域に出現するようになったスプリガンが原因らしい

勇者2人が魔王を封じてからこっち平和になった様に見えるが

その実…人間の出生率を下げる病気が蔓延して子供が生まれ無くなってる訳だ

あと10年もすりゃ子供産める女はほぼ居なくなる…静かに滅亡へ向かってる訳よ

夢幻の記憶を思い出してみると俺らはハテノ村で最後まで戦った記憶が在る

その最後の最後に薬を作って木の下に埋めたんだよ…それがどうしても気になるんだ
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:01:28.62 ID:pYa2Z27w0
商人「…」

盗賊「お前はなにか気付かんか?お前の方が夢幻を覚えてるんじゃ無いのか?」

商人「錬金術にかまけて大事な事を忘れて居たかもしれない…そうだ僕らは病気と闘った」

盗賊「夢幻での導きはまだ終わって居ない様に思わ無ぇか?」

商人「ラヴ…今の話を聞いてどう思った?」

機械の犬「キャンキャン!」

商人「その反応は知らない…何か思う事があるんだね?」

機械の犬「ワン!」

商人「イエス…このままでは僕達は滅亡する?」

機械の犬「ワン!」

盗賊「おい…この反応はイエスだな?」

商人「やっぱり急がないといけないな…もうちょっとラヴと会話してみる…お金は影武者から貰っておいて」

盗賊「お…おう…お前の邪魔はしない方が良さそうだな?」

商人「うん…考え纏まったらまた教えるよ…今は出て行って」

盗賊「ヌハハはっきり言う奴だ…じゃぁ金は貰って行くぜ?」スタ
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:01:55.09 ID:pYa2Z27w0
『大部屋』


ガチャリ バタン


僧侶「商人さんは結局顔を見せてくれなかったでしゅね」

盗賊「気にすんな!…でだ金貨100枚と魔石27個…ほんでウラン結晶が残った」

ハンター「クロスボウ9台もお忘れなく」

盗賊「魔石とウラン結晶は売らんで残しといた方が良い…とりあえず金貨25枚づつ山分けな?」ジャラリ

僧侶「儲かったですねぇ…むふふ」

盗賊「こんだけありゃ物資調達は問題無いだろう」

ハンター「気球はいつ手に入るかな?」

盗賊「2〜3日か?とりあえず俺は船乗り達に商船の指示して来にゃならん…俺の船で又荷物運ぶからな」

ハンター「今度は何処へ?」

盗賊「予定ではフィン・イッシュに物資運ぶんだ…俺は行か無ぇから船乗りに任せる」

魔法使い「私達どうする?」

ハンター「物資買い入れても置き場がねぇ…」

盗賊「買い取り品目だけ商人ギルドの受付に言っておけば物資は揃うぞ?…置き場もでかい倉庫がある」

ハンター「へぇ?そうだったんだ」

盗賊「商人ギルドは伊達じゃ無ぇぞ?商船20隻は動かしてるからな」

魔法使い「すご…でも商人はお金無いって…」

盗賊「そら個人的な小遣いだ…ギルド運営で金貨10万くらいは動かしてる」

ハンター「ええええええええ!!?そんなに…」

盗賊「国相手に取引してんだからそんくらいはな?」

魔法使い「しばらく暇になりそうだからエリクサーでも作ってみようかな…」

盗賊「それが良い…高く売れるぞ?」

ハンター「じゃぁ僕は買い取る品を考えておこうかな」

僧侶「私は酒場で遊んで来るです」

盗賊「お?後で俺も行くから飲み過ぎんなよ?」

僧侶「は〜い」ビシ
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:02:38.90 ID:pYa2Z27w0
『数日後_商人ギルド周辺』


ガヤガヤ ガヤガヤ

へいらっしゃい!!フィン・イッシュ産の装飾品買って行かないかい?

シーサーの肉!それから毛皮お値打ち品だぁ!!買った買ったぁ!!

セントラル直送!肝油に樹液!松脂!!錬金術素材何でもあるぞぉ!!


魔法使い「…」キョロ キョロ

盗賊「おう!!魔法使い…ここん所ずっと露店うろついてんな?何か探してんのか?」

魔法使い「関係無いでしょ!?」

盗賊「機嫌悪そうだな…お前等の気球買い付け決まったんだ…ハンターと僧侶は見に行ってるが…お前も行くか?」

魔法使い「私は忙しいから良い…」キョロ

盗賊「そうか?俺も見に行って来るが…スリに気を付けろ?」

魔法使い「分かってるわ…私の事は放って置いて」

盗賊「へいへい…じゃぁな!!」ノシ
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:03:09.53 ID:pYa2Z27w0
『気球発着場』

…球皮に損傷はありません

船体の木材部分がすこし傷んでいますが一応は使えます

木材がある様でしたら修繕した方が良いですね

炉は魔石が無くてしばらく使用していませんでしたので少し錆びついております


盗賊「ほ〜う…こりゃキ・カイの輸送用気球だな?」

ハンター「あ!!盗賊さん…助かった気球の事が全然分からなくてさ」

売人「説明は以上になりますがご質問は?」

盗賊「船尾に付いてるプロペラは何だ?こんなん初めて見たぞ?」

売人「炉に連動して回る仕組みになって居ます…風の魔石を使わない工夫です」

盗賊「なるほどな…球皮は畳んである様だがどんくらい膨らむ?」

売人「帆の揚力で浮くタイプですので大きな球皮ではありません」

盗賊「じゃぁ発着に滑走が居るんか…ちっと不便だな」

売人「荷が空の場合はそのまま浮くことが出来ます」

盗賊「大体分かったぞ」

僧侶「引き取って大丈夫でしゅか?」

盗賊「まぁ任せろ」

売人「それでは譲渡完了という事で商人ギルドの方へ代金を引き取りに行きます…ここにサインを」パサ

ハンター「あ…はい!」スラスラ

売人「ではごきげんよう」ペコリ


--------------


ハンター「随分律儀な売人だったね…」

盗賊「ありゃ多分キ・カイの役人だ…旧式の気球を手放したんだろうな」

ハンター「これ乗ってみて良い?」

盗賊「お前等の物だ…好きにしろ…てか俺にも見せろ」

僧侶「うほほ〜い!!」スタタ

610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:03:44.17 ID:pYa2Z27w0
『輸送用気球』


ギシギシ ドタドタ


盗賊「こりゃ軽量化してて床板踏み抜きそうだ…」ギシギシ

ハンター「下の荷室は割と丈夫そうだよ」

盗賊「ほーーう!炉に機械の細工がしてある…これでプロペラ回すんか」

ハンター「操作方法分かる?」

盗賊「こりゃ小回り効かんが操作はえらく簡単だぞ?このレバーが横帆に連動…ほんでこっちのレバーがプロペラに連動」

ハンター「僕にも出来るか試してみたい」

盗賊「石炭買ってあるな?」

ハンター「うん…でも倉庫が何処にあるのか?」

盗賊「よっし!ちっと試すぞ…倉庫は船着き場のヤードにある…行くぞ!!」

僧侶「わたし今日ここで寝るです…荷物持ってくるでし」

盗賊「ヌハハ気に入ったか?お泊りセット持って来い」
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:04:16.24 ID:pYa2Z27w0
『1時間後』


ボボボ メラ


盗賊「このフイゴを足で踏んで風を送るんだ」シュゴー シュゴー

ハンター「球皮が膨らんで来た」

僧侶「ワクワク…」

盗賊「なるほど…船体の割に小さい球皮だな…本当に浮くんかいな」


グラリ


盗賊「お?早い…」

ハンター「これ地面に結んであるロープ外した方が良いよね?」

盗賊「おう!!ロープ抜いてくれ」

ハンター「よいしょ!!」グイ スルスル


フワフワ


ハンター「浮いた…すげぇ!」

盗賊「なんでこんな簡単に浮く?船体が軽いって事か?」

ハンター「この木材は船みたいに頑丈な木じゃなくて薄い樹脂だね…錬金術で変えてるんじゃないかな」

盗賊「錬金術か…なるほどな…俺らの知ってる気球はもう古いのか」

ハンター「僕が操作してみて良い?」

盗賊「おう!フイゴは休まずに踏め…ほんでこのレバーで多分プロペラが回り出す…やってみろ」

ハンター「うん!!」グイ


パタパタ パタパタ


僧侶「動いたですぅ!!」

盗賊「横帆の操作は勘で覚えろ…このレバーだ」

ハンター「…」グイ

盗賊「なかなか良い気球じゃ無ぇか!スピードは無いが動きが確実だ」

僧侶「デッキに上がって外見て来るでし!!」スタタ

盗賊「落ちんなよ!?」

僧侶「うわぁ…景色汚い…ドブの中にキ・カイの街があるです」

盗賊「とりあえず海の上一回りすっぞ!」

ハンター「うん!!」グイ


パタパタ パタパタ
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:04:50.76 ID:pYa2Z27w0
『気球発着場』


フワフワ ドッスン


ハンター「よし!着陸成功…球皮畳んでくる」ダダ

盗賊「う〜む…ちっと問題ありだ…気球が遅すぎる」

僧侶「そうなんでしゅか?」

盗賊「プロペラじゃ逆風で全然速度が出ん…高高度だと尚更風に流されるんだ」

僧侶「低空専用ですかね?」

盗賊「だな?短距離の低空飛行専用だろう…ちょいと改造が必要だ」

僧侶「盗賊さん出来るですか?」

盗賊「木材が無ぇんだよなぁ…う〜む」

僧侶「木なら成長魔法で育てられるです…あんまり大きく出来ないですが…」

盗賊「あんまり改造し過ぎて重くなっても意味が無い…どうすっかなぁ」

僧侶「私の使っていない槍はどうですか?2メートルくらいあるです」

盗賊「お?そいつを支柱に縦帆2枚…そうだな木材加工するよりずっと精度の良い棒だな」


支持部は金属でこさえるとして…

金属糸で支柱を支える

帆はデッキの左右に2枚…

まてよ…それだと船体が傾いちまう

反力起こすのに横帆を使うか

ちっと張り方変えんとイカン


盗賊「あーでもない…こーでもない…」ブツブツ

僧侶「私槍を持って来るです」スタタ

盗賊「お…おう!そうだな…改造と調整でもうしばらく掛かりそうだわ…これは」

ハンター「まぁそんなに急いで無いし…必要な物があったら買って来るよ」

盗賊「帆を張るのに大き目の布とロープだな…あと金属糸も欲しい」

ハンター「分かった仕入れて来る」タッタッタ
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:05:29.69 ID:pYa2Z27w0
『露店』


ワイワイ ガヤガヤ


魔法使い「…」キョロ

ハンター「魔法使い!もしかして剣士を探してる?」

魔法使い「そうよ…いつ現れるか分からないから」

ハンター「来るかどうかも分からないよ…休んだら?」

魔法使い「そうね…」

ハンター「今気球に乗ってみたよ」

魔法使い「どう?」

ハンター「操作は簡単…でもね?盗賊さんが言うには速度が遅すぎるって」

魔法使い「しょぼい気球掴まされた感じ?」

ハンター「そうじゃない…物はすごく良い…短距離の輸送専用気球だったみたい」

魔法使い「どういう事?」

ハンター「ハテノ村まで行くのは長距離用に改造が必要なのさ」

魔法使い「そうなんだ…じゃぁ改造でもう少し掛かりそうなのね?」

ハンター「うん…帆を張るのに布とロープが必要だって」

魔法使い「沢山売ってるよ…この辺の露店は全部見たから安い所知ってる」

ハンター「おー!!案内して」

魔法使い「こっちよ」グイ


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614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:05:56.28 ID:pYa2Z27w0
『気球』


トンテンカン トンテンカン


ハンター「盗賊さん…布とロープ仕入れて来たよ」ドサリ

盗賊「早かったな?」

ハンター「魔法使いが安く売ってる所知っててさ…」

盗賊「今気球に槍を取り付けた所だ…金属糸あるか?」

ハンター「うん…」ポイ

盗賊「ようし!!こいつを張るから手伝ってくれ」

魔法使い「私は何かやる事ある?」

盗賊「布を縫い合わせて縦帆に出来るくらいの大きさにしてほしい」

魔法使い「…という事は針と糸も必要ね」

盗賊「言うの忘れてた…まぁそんなに急がんでも良いぞ?まだしっかり設計も纏まって無ぇんだ」

ハンター「そんなに難しい設計なの?」

盗賊「まぁな?下手すると気球が空でひっくり返る」

ハンター「うわ…それはマズイ」

盗賊「船の技師と相談しながら作るから…そうだな…まだ2〜3日は飛べん」

ハンター「何か手伝える?」

盗賊「いや素人は触らん方が良いな…暇ならアレだ…オーガの討伐隊にでも行って来たらどうだ?」

魔法使い「あ!!聞いた…高額報酬出るって」

盗賊「うむ…衛兵が地下遺跡に行ってるから戦力不足なんだとよ…お前等3人なら余裕だろ」

ハンター「オーガか…牙が高く売れるんだったね?」

盗賊「1本金貨1枚が相場だ…小遣い稼ぎにゃ丁度良い」

ハンター「行って見ようか?僕の麻痺矢で足止めして魔法使いが焼く」

盗賊「ほんで僧侶が止めな?」

ハンター「僧侶は何処に?」

盗賊「お泊りセット取りに商人ギルドに戻ったがそろそろ戻って来る」

魔法使い「お泊り?…まさか気球で寝泊まりするつもり?」

盗賊「おいおい!お前等の初めての気球なんだぞ?愛着持てや」

ハンター「中に入って見たら?結構しっかり作ってあるんだよ」

盗賊「うむ…触って分かったがこの樹脂って奴はかなり丈夫で気密性が良い…住んでも良さそうだ」

魔法使い「へぇ?見て見る…」スタスタ
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:06:26.11 ID:pYa2Z27w0
『居室』


魔法使い「あら?もうハンモックが…」

ハンター「僧侶だねw」

魔法使い「これが炉ね?煙突は外に出てるんだ…へぇ?」

ハンター「石炭燃やしても煙には蒔かれないよ」

魔法使い「下が荷室?」

ハンター「うん…荷室の方が頑丈に出来てる」

魔法使い「荷室も合わせたら15人くらい乗れそう」

ハンター「そうだね…どれくらい荷物載せられるのかもテストしないと…」


スタタ ドタドタ


僧侶「あ!!ここに居たですね?皆さんもお泊りするですか?」

魔法使い「何持って来たの?」

僧侶「食べ物とお酒でし」ドサリ

ハンター「アハハここでくつろぐつもりだ」

僧侶「ランタンも完備でし」ビシ

ハンター「オーガ討伐に行こうかなと思ってるんだけどさ」

僧侶「お?何処まで行くですか?」

魔法使い「東にちょっと行った所で馬車が襲われたらしいわ…その辺りに何匹か居るみたい」

ハンター「まだ日暮れまで時間があるからちょっと行って見よう」

僧侶「はいなー!!」
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:07:12.64 ID:pYa2Z27w0
『日暮れ』


…プロペラが一定の推進力を生んでるならセンターボードの変わりはその前に置けば良いっすね

この大きさで行けると思うか?

やって見ん事には何とも…やっぱりセールを立てられないのは制限がキツイっすわ

縦帆を斜めに張ったとしてセンターボードと連動して無いとどうしても横に流れる

もういっその事センターボードは止めて尾翼を作ったらどうですか?

材料が無いんだ…下手な木材使っても折れるだけだしな

もう一本同じ槍があればなんとかなるんじゃないすか?

ううむ…有るにはあるが

尾翼さえ作ってしまえばあとは縦帆2枚でコントロール出来ますよ


ハンター「ただいまー…なんか忙しそうだ」

盗賊「おぉ!!丁度良かった…魔法使いが持ってる槍を貰えんか?」

魔法使い「え?私武器無くなっちゃうけど…」

盗賊「後で代わりの武器用意してやる…ミスリルのスピアヘッドが俺の船に積んであるんだ」

魔法使い「ミスリル?良いのそんな良い素材を貰って」

盗賊「俺が今欲しいのはその槍の柄の部分なんだ…その柄は長くて質が良い」

魔法使い「じゃぁ使って…」

盗賊「代わりの武器はまた明日用意してやる…ちっと短くなるけど良いな?」

魔法使い「まぁ…杖替わりだし…程ほどの長さの方が良いかもね」

盗賊「悪いな?せっかく槍に慣れた所なのによ」

魔法使い「ミスリルの槍が貰えるなら良し…」

盗賊「ヌハハそれで?オーガ狩りはどうだったんだ?」

ハンター「オーガ3体狩って牙6本…それから報酬金貨2枚」

盗賊「儲かったな?」

ハンター「うん…オーガは盲目も麻痺も効いたから余裕だった」

盗賊「どうやって止め刺したんだ?そう簡単に死なんだろ?」

魔法使い「私が槍を刺して直接体の中に魔法を撃った」

盗賊「ほーう?そんな荒業があるんか」

魔法使い「銀の槍が上手く雷を通すの…一発でショック死」

僧侶「私出番無かったです」

魔法使い「ミスリル銀ならどうなるのか試してみたい」

ハンター「新しい槍がもらえたらもう一回行って見ようか」

盗賊「分かった分かった…明日の朝一でなんとかしてやる」

魔法使い「楽しみが増えたわ…フフ」

617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:08:24.47 ID:pYa2Z27w0
『数日後_飛行船』


フワフワ


ハンター「…これで樽15個」ドスン

盗賊「ふむ…まだ乗せられそうだ」

ハンター「もう樽が無いよ…荷物も全部積んだ」

僧侶「乗って良いでしゅか?」

盗賊「おぉ乗れ乗れ」

ハンター「そろそろ出発?」

盗賊「あと大工と工夫を乗せる事になってる…そいつらが来たら出発だ」

ハンター「じゃぁ魔法使い呼んでくる」

盗賊「また露店でウロウロしてんのか?」

ハンター「うん…」

盗賊「お前等誰か探してんな?」

ハンター「ハテノ村の仲間が来ないかと思ってね…」

盗賊「そうか…商人ギルドの娘達に人相書き渡しときゃ良かったな」

ハンター「そんな手も有ったのか」

盗賊「又戻って来るからそん時までに用意しとけ」

ハンター「分かった…じゃぁ魔法使い呼んでくる」タッタッタ


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618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:08:55.35 ID:pYa2Z27w0
魔法使い「遅くなったわ…ハンター荷物入れて」

ハンター「荷物あるならもっと早く言ってよ…」ヨッコラ

僧侶「はぁぁ…いつもの事ですねぇ…」

盗賊「ようし!!乗ったら上昇すんぞ?」

ハンター「よいしょ!!」ドスン


フワフワ 


盗賊「ハンター!!飛行船の操作はお前がヤレ…俺は縦帆張る」ダダ

ハンター「南東だね?」

盗賊「そうだ!!操作しながら覚えろ」

ハンター「おっけ!!」グイ シュゴー シュゴー


パタパタ パタパタ


ハンター「おぉぉ!!早い…」

盗賊「大まかな方向は縦帆の調整次第だ…後は横帆と尾翼で上手く方向定めろ」

ハンター「うん…スゴイ!どんどんキ・カイから離れて行く」


ビョーーーウ パタパタ


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619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:09:49.73 ID:pYa2Z27w0
『荷馬車』


ブモモー ガタゴト ガタゴト


剣士「やっとキ・カイに到着だ…長かったね」

女オーク「門の所にキラーマシンが居るわ?あと衛兵も2人」

剣士「このまま入れるんじゃないかな?荷物も大したもの載せて無いし」

女オーク「私オーク臭くない?」

剣士「大丈夫だって」


衛兵「止まれぇ!!」


剣士「…」グイ ブモモー

衛兵「お前達は行商人か?2人で移動してくるとは…」

キラーマシン「…」ウィーン ガチャ ウイーン

剣士「東の方にある地床炉村から来たんだ…あやしい物は積んで居ないよ」

衛兵「一応荷を確認する…」スタ

衛兵「これは又大きな骨だ…どうした?コレを売るつもりなのか?」

剣士「それは途中の海岸に落ちてたクジラの骨だよ…何かの材料にならないかと思ってね」

衛兵「ふむ…あとは木の実と食料…大量のオーガの牙と角」

剣士「何もあやしい物は無いでしょ?」

衛兵「まぁ通っても良いが質問だ…お前達は旅の戦士なのか?2人で地床炉村から来るのは怪しいと言わざるを得ん」

剣士「僕は魔術師…彼女は見ての通り大剣を使う戦士だよ」

衛兵「そうか…魔物ハンターという事か」

剣士「あぁその説明の方が早いね」

衛兵「地下で傭兵を募集していてな?興味があったら行って見るが良い」

剣士「へぇ?情報ありがとう」

衛兵「うむ…通って良いぞ…ご安全に!!」


ガタゴト ガタゴト
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:10:34.48 ID:pYa2Z27w0
『古都キ・カイ』


ワイワイ ガヤガヤ


剣士「久しぶりだぁ…前と全然変わって無い」

女オーク「…」キョロ キョロ

剣士「確か…広場のちょっと先に商人ギルドがあった…その裏手に馬宿もあった筈」

女オーク「今日も馬車で寝るの?」

剣士「宿屋が良いね…水浴びもしたいし…酒場にも行って見たいよね?」

女オーク「フフ…」

剣士「まず馬車置いてオーガの牙と角を売っちゃおう…買い物もしたい」

女オーク「おっけ!」

剣士「ちょっと僕の真似やめてよ…君には似合わない」

女オーク「そう?」

剣士「よ〜し!今晩は酒場に行って会話に慣れよう」


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『商人ギルド裏』


タッタッタ


剣士「ヤクを預けて来た…荷物の準備良い?」

女オーク「クジラの骨はどうするの?」

剣士「それは何かの材料に残しておこう…売るのは牙と角だけで良いと思う」

女オーク「うん…」

剣士「よーし!!フード被って」ファサ

女オーク「…」ファサ

剣士「行こうか!!手を」グイ

女オーク「…」ギュ
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:11:22.28 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド』


ガヤガヤ ガヤガヤ

はい!商船の窓口はこっち…商隊はあっちね!!

買い取りの品目と相場は入り口で確認して!!


剣士「ええと…オーガの牙は一つ銀貨80枚か…角は安いなぁ」

女オーク「牙は全部で30本…角は15本」

剣士「面倒だから全部売っちゃおう」

女オーク「これは何の材料になるの?」

剣士「錬金術でポーションの材料とかだよ…牙は武器に加工される事もあるね」

女オーク「剣士は使わない?」

剣士「道具が有ったら加工しても良いけど面倒くさい…全部売る」


受付「買い取り?それとも商談?」

剣士「あぁ…この牙と角を買い取って欲しい」ドサドサ

受付「うはぁぁ…又一杯持って来たね…ええと牙30角15で金貨25枚と銀貨50枚」

剣士「うんそれで良い」

受付「それにしてもこれ全部自前で狩って集めたの?」

剣士「そうだよ…」

受付「ふ〜ん…盗品じゃないよね?てか名前書いてる訳じゃ無いし盗品でも良いか」ジャラリ

剣士「こんなに沢山持ってくるのは変かな?」

受付「一気に持ってくるのは珍しいね」

剣士「そうだったんだ…でも買い取りありがとう」

受付「はいはい…又のお越しを〜」ノシ


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622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:11:58.39 ID:pYa2Z27w0
『雑貨屋』


店主「らっしゃい!!」

剣士「換金して来たよ…何か欲しい物ある?」

女オーク「ゴーグル付きのマスク」

剣士「お!?良いね…どれ?」

店主「お客さんお目が高いねぇ…このマスクは灰を防ぐだけじゃなくて黒死病の予防にも良いんだ…買って行くかい?」

剣士「じゃぁそれ2つと…そうだフードとマントも買い替えよう」

女オーク「うん!」

剣士「これと…これと…あ!!ブーツも買い替えよう」

女オーク「私コレが良い」

剣士「おけおけ…ああああ!!金属糸のインナーが有る…これ君にピッタリだ」

女オーク「剣士は要らないの?」

剣士「僕は魔法に干渉しちゃうから要らない…でも君は魔法使わないから絶対着ていた方が良い」

店主「お客さんの場合体が大きいから男用だね」

剣士「それ買って行こう…後でサイズ調整してあげる」

剣士「ええと…これ全部でいくら?」

店主「金貨7枚だ!払えるかい?」

剣士「おけおけ!!」ジャラリ

店主「ほーーーこりゃ良いお客さんだ」

剣士「もっと買い物しよう!」グイ


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623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:13:03.46 ID:pYa2Z27w0
『宿屋』


ワイワイ ガヤガヤ


店主「…あいにくお部屋が一杯でして」

剣士「ここもかぁ…」

店主「申し訳ありません…水浴びだけでしたらご自由にお使いください」

剣士「女オーク?水浴びは自由だってさ?浴びて行く?」

女オーク「うん…」

剣士「じゃぁそこの酒場で待ってるから行って来て良いよ」

女オーク「直ぐに浴びて来る」

剣士「ゆっくりで良いさ…今日は酒場で食事したら馬車に戻ろう」

女オーク「分かったわ…じゃぁ行って来る」スタ



624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:13:33.96 ID:pYa2Z27w0
『酒場』


ワイワイ ガヤガヤ

どうも蛮族たちの戦争が激化してるんだってよ

また略奪が増えそうだなぁ

蛮族たちに通貨がありゃ特需でぼろ儲けなんだがなぁ…

あいつら何か良い物持って無ぇのかなぁ

噂では古代の遺物を沢山持ってるらしいが…そんなん使ってるの聞いた事無いんだよなぁ


店主「いらっしゃいませ…お一人様ですか?」

剣士「後でもう一人来る…席空いてるかな?」

店主「カウンターでお待ちください…席が空き次第ご案内出来ます」

剣士「まぁあんまり長く居るつもりは無いからカウンターで良いや」

店主「では…どうぞ…お飲み物は如何いたしますか?」

剣士「何があるの?」

店主「おすすめはハチミツ酒ですが値が張ります…安値のお酒でしたらアヘン酒が御座います」

剣士「フフフお金は持ってるんだ…ハチミツ酒2杯お願い」

店主「銀貨20枚頂きます」

剣士「おけおけ!」ジャラリ

店主「お食事はどうしましょう?バイキングでしたらお一人銀貨5枚ですが」

剣士「じゃぁ2人分で銀貨10枚だね」ジャラリ

店主「景気がよろしい様で?」

剣士「まぁね?久しぶりの酒場で気分が良いんだ…ケチケチすると気分も悪くなる」

店主「冒険者様なのでしょうか?」

剣士「うん…魔物ハンターと言えば早いかな」

店主「そうでしたか…どうぞハチミツ酒になります」コトリ

剣士「ありがとう…」グビ

剣士「あれ?この味…シン・リーン産のハチミツ酒だね?」

店主「お分かりで?先立入荷したのですがお高いので売れ行きはいまいちなのです」

剣士「そうなんだ…おいしいのにね」グビ

店主「お連れ様とは待ち合わせでしょうか?」

剣士「宿屋で水浴びしてから来る…まぁゆっくり待つよ」


スタスタ
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:14:07.12 ID:pYa2Z27w0
剣士「あれ?女オーク…水浴びは?」

女オーク「水浴び場に他の男達が居たから軽く洗って出て来たわ」

剣士「なんだ…水場も人が一杯なのか」

店主「今は豪族達の船が入船していますのでどこも一杯ですね」

剣士「豪族?」

店主「ご存じ無い様ですね?お金持ちと言う所でしょうか…どうぞハチミツ酒になります」

女オーク「これ…私?」

剣士「うん…先に飲んでるけど乾杯しようか」

女オーク「初めて飲む…」チーン グビ

剣士「どう?シン・リーン産のハチミツ酒だよ」

女オーク「甘い…」グビ

店主「お二人は体格が良い様なので手慣れの魔物ハンターとお見受けします」

剣士「あー体格でバレちゃうかぁ…」

店主「商人ギルドの方で高額報酬の傭兵を募集していますよ?」

剣士「お金はもう要らないかなー」グビ

女オーク「剣士?船に乗って北の大陸に戻るならお金が必要なのでは?」

剣士「これからどうするのかあんまり考えて無いんだけどさ…急ぎじゃ無いから明日考えよう」

女オーク「フフそうね?」

剣士「今考えてもストレスになるだけだ…明日の事は明日考える!お金は持ってるだけ全部使う!」

店主「ハチミツ酒の次はフィン・イッシュ産の白酒でもどうでしょう?」

剣士「良いね!それも飲んでみたい」


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626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:15:25.71 ID:pYa2Z27w0
ドヤドヤ ドヤドヤ

さっきの女何処行ったか探せ…赤毛だ

居た!あそこだ…ちぃぃ連れの男が居やがる

はぁぁぁ海から上がって女神が現れたと思ったのによぅ

どうも俺はあれ以来ツキに見放されちまった…もう豪族の下働きなんざ真っ平だ…せめて良い女抱ければ

又お前は女女女女…お前のせいで俺はガッポリ稼ぐ予定が全部水の泡なんだ!いい加減にしろ


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剣士「フフ…なんか君の事付け狙ってる2人組が居るね?」

女オーク「知ってる…水場に居たの」

剣士「あれで聞こえないと思ってるんだろうか?」

女オーク「関わらない様にしましょう」グビ

剣士「そうだね…」

店主「お気を付けください?豪族の手下は節度の無い方が多いですから」

剣士「気にしないで何か食べようか?」

女オーク「うん…」

剣士「食事はバイキングなんだ…良さそうなものを持って来るよ」

女オーク「私肉は要らない」

剣士「分かってるって…ちょっと待ってて」タッタ


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野郎1「おい見ろ…男がどっか行くぞ」

野郎2「俺が欲しいのは金だ…女は買えば良い」

野郎1「じゃぁ俺は女頂く…お前は男から金取り上げりゃ良いだろ」

野郎2「おいおいあんな貧相な格好の奴が金を持ってる訳…むむ!!ハチミツ酒の空き瓶…」

野郎1「ほら見ろ…高い酒飲めるぐらいの金は持ってそうだぞ?」

野郎2「いつもの麻痺毒使うか?」

野郎1「俺はあの女を襲う…お前は男に行け…いつも通り吹き矢でこっそりな?」

野郎2「おい待て…男が戻ってきやがった」

野郎1「うむむ…チャンスを待つ」


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627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:16:01.39 ID:pYa2Z27w0
剣士「ナッツにクルミ…それからこれオリーブだ」

女オーク「オリーブ!食べたい」

剣士「種は残して」

女オーク「種が美味しいのに…」モグ

剣士「ナツメヤシの実もある」ガリ モグ

女オーク「白酒に合うわね…」グビ

剣士「君はお酒は大丈夫みたいだね?」

女オーク「オークは毒に耐性があるのよ?」

剣士「あーそういう事か…じゃぁ全然酔わないんだ」

女オーク「気分は良くなるわ」

剣士「良い効果だけ残るんだ…その体良いね」

女オーク「オークの弱点は呪術…呪いに弱い」

剣士「君は陰口にも弱いよね?」

女オーク「そう…そういう呪いに弱いのよ」



『街道』


テクテク


剣士「…まだあの2人付けて来るね」

女オーク「困った人間…」

剣士「なんか麻痺毒を使うつもりな様だけど…どうするかなぁ」


シュン! チクリ


剣士「あ…線虫!」ザワザワ ニョロ

女オーク「剣士?どうする?」

剣士「君は麻痺毒平気だね?」

女オーク「平気…」

剣士「飛蚊!行け」プーン

女オーク「蚊?」

剣士「彼らには蚊で十分さ…無視して行こう」グイ

女オーク「ウフフ…」タッタッタ
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:16:45.07 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド裏』


メラメラ パチ


剣士「よし!焚火はこれで朝まで持つ」

女オーク「けっこう馬車で寝泊まりしている人居るのね?」

剣士「荷物の置き場が無いからきっとそうするしかないんだよ」

女オーク「ここの匂い覚えてる…」

剣士「色んな匂いが混ざって表現しにくい」

女オーク「剣士はもう寝る?」

剣士「いや…ちょっと作り物をやる」

女オーク「これね?クロスボウ…」ガチャ

剣士「そうそう…君の分も作る予定だよ」

女オーク「これで弓を?」

剣士「うん…硬さが丁度良いんだ…多分君も行ける」

女オーク「弓は使った事無いの」

剣士「教えてあげる…弓があるのと無いのとでは戦いの幅が全然違うから」

女オーク「クロスボウのままじゃダメ?」

剣士「弓の方が手軽に撃てる…それから矢の方が安いし簡単に作れる」

女オーク「そうなんだ」

剣士「君は休んでて良いよ…」

女オーク「ううん?見てるから気にしないで」

剣士「そっか…じゃぁ見てて」ガリガリ


トンテンカン トンテンカン


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629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:17:30.58 ID:pYa2Z27w0
『茂み』


ブ〜ン バチン!!


野郎1「ちくしょう麻痺毒が効かねぇ…パチ物を掴まされた」ボリボリ

野郎2「虫が多い…俺ら酒飲んでるから刺されまくりだ」バチン!ボリボリ

野郎1「とことんツキが無ぇな…あのゴツイ体格の中身がどうなってるのか知りてぇ…」ウズウズ

野郎2「もう諦めろ…今は兎に角金だ!金がありゃ女なんかいくらでも買える」

野郎1「くそぅ!!ぬあ!!酒場に金置いて来ちまった…又かよ」

野郎2「お前は何回金無くすんだ?もう俺の金はやらんぞ」

野郎1「戻るぞ!!酒場でもう一回カモを探す」ドタドタ

野郎2「はぁぁぁぁ俺らいつになったら報われるんだ?ガッポリ稼ぐ山はもう無いのか?」

野郎1「うるせぇ!早く行くぞ」


ドタドタ ドタドタ



『翌朝』


チュン チュン


剣士「…」パラパラ

女オーク「また鳥達とお話?」

剣士「そうだよ…噂を聞いてる」

女オーク「何か?」

剣士「ここから東に2日くらい行った所に海賊の隠れ家があった筈なんだけど…もう無くなったらしい」

女オーク「海賊の隠れ家になんかどうして?」

剣士「ビッグママに会えると思ってたんだけどさ」

女オーク「ビッグママってあの時の大人の人?」

剣士「そうだよ…君知ってるよね」

女オーク「剣士はそこに行くつもりだったの?」

剣士「行けば会えると思ってた…でももう隠れ家は無い…宛てが無くなっちゃたよ」

女オーク「やっぱり船に乗るお金が必要ね」

剣士「う〜ん…北の大陸に戻るかぁ」

女オーク「今お金はいくらあるの?」

剣士「あと金貨4枚」

女オーク「ウフフまた稼がなきゃ」

剣士「ちょっと船に乗るのにどのくらい掛かるのか聞いて来る」

女オーク「じゃぁ私は火を起こして食事作っておくわ」

剣士「任せた!!ちょい行って来る」シュタタ



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630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:18:01.68 ID:pYa2Z27w0
『30分後』


メラメラ パチ


女オーク「遅かったわね?船はいくらだった?」

剣士「一人金貨10枚」

女オーク「またオーガ狩らないと…」

剣士「傭兵の話も少し聞いてきた…そっちの方が良いかもしれない」

女オーク「何の傭兵?」

剣士「地下にある古代遺跡までの安全確保らしい」

女オーク「行くの?」

剣士「気乗りしないけど何処に居るか分からないオーガ探すよりは良いかなと…」

女オーク「弓の撃ち方教えてくれるのでしょう?」

剣士「あぁそうだったね…弓の練習のつもりで良っか」

女オーク「弓使ってみて良い?」

剣士「うん…硬さの調整は任せて」ポイ

女オーク「…」ギリリ ブン

剣士「どう?」

女オーク「ちょっと硬い…剣士にはコレが丁度良いの?」

剣士「そうだよ?」

女オーク「え…私より腕力有る?」ギリリ ブン

剣士「さぁ?使って見てどうしても硬いなら調整するよ」

女オーク「分かったわ」ギリリ ブン
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:19:34.91 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド』


ワイワイ ガヤガヤ


受付「はいあんたね?こっちの人がもう一人の傭兵ね?」

剣士「うん…どうすれば良いのかな?」

受付「ちょい奥に案内するから付いて来て…」スタ


ガチャリ バタン


受付「商人!さっき話した傭兵連れて来たヨ」

商人「待ってたよ…2人顔を見せてくれるかな?マスク外して」

剣士「あ…うん」---あれ?この人…商人さんか?---

女オーク「…」ガサリ

商人「君は?顔を見せられないの?」

剣士「いや…」ガサリ

商人「ふむ人相書きの人物じゃ無いね…体格も十分…戦闘に自信は?」

剣士「相手によるんだけど…」

商人「あぁゴメンゴメン何も話して無かったね…魔物の殆どはゾンビさ…オークも居るかな」

女オーク「オーク?オークと戦うの?」

商人「殺す必要は無い…追い返せば良い」

女オーク「剣士…オークが相手だと危ないわ」

商人「こっちも戦うつもりは無いんだよ…今回はどんぐりを沢山持って行く…取引がしたいのさ」

女オーク「どんぐりで?」

商人「うん…僕らは遺跡の調査がしたいだけなんだよ…終わったら直ぐに引き上げる」

剣士「オークと話せる人は居るの?」

商人「居ない…でもね?オークは賢いから察すると思ってる…オークの何かを奪いに行く訳じゃ無いからね」

女オーク「そう…それなら良いわ」

商人「なんか君詳しそうだね?」

女オーク「別にそれほど詳しくは…」

剣士「地下の遺跡にはどれくらいの人数で?」

商人「キ・カイの衛兵4人とキラーマシン2台…それから君達合わせて全部で4人」

剣士「僕達の仕事は?」

商人「主に僕の護衛だよ…万一の時は僕を逃がしてくれれば良い…謝礼は保障する」

女オーク「剣士どうする?良いの?」

商人「ここまで話を聞いてしまったからには行かないという選択はもう無い…良いね?」

剣士「分かった…いつ出立?」

商人「今日の昼…チカテツ街道の1番…そこで衛兵達が待ってる」

剣士「準備して行く」

商人「期待しているよ…じゃぁ」ノシ

剣士「…」---違う…この人は女だ…僕の知ってる商人さんじゃない---
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:20:19.72 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド裏』


ガサゴソ


剣士「よし荷物はここに置いて居ても良さそうかな」

女オーク「貴重品は全部持ったわ」

剣士「どんぐりと松ぼっくりしか乗って無い馬車なんか誰も興味無いよねw」

女オーク「フフフそうね…」

剣士「あと矢を途中で買って行こう…あ!そうだ」

女オーク「うん?」

剣士「君のコバルトの剣を貸して…」

女オーク「どうするの?」スラーン

剣士「切っ先だけ銀に変性させておく…これでゾンビも倒せる…変性魔法!」シュワ

女オーク「突いて使う?」

剣士「そうだよ…銀になってるのはほんのちょっとだから重さは変わってない」

女オーク「ふん!」ブン ブン

剣士「その剣ならゾンビは簡単に真っ二つに出来るだろうし無理して突きじゃなくて良いと思う」

女オーク「そうね…」スチャ

剣士「じゃ行こうか」グイ スタタ


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633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:21:12.23 ID:pYa2Z27w0
『チカテツ街道1番』


ガヤガヤ ガヤガヤ


剣士「矢筒は40本まで入る…腰に提げておいて」ガサリ

女オーク「この矢尻は全部銀に変性させた?」

剣士「うん…一番安い矢を変性させたんだ…品質は良くないけどゾンビには十分」

女オーク「あなたの変性魔法は本当に便利ね」

剣士「悪い魔術師はこの魔法でお金稼ぎをするんだよ…それをやると魔女って言う人が制裁に来る」

女オーク「へぇ?」

剣士「私利私欲で使うのは禁じられてる…良い事の為だけに使う魔法」


スタスタ


商人「やぁ待ってたよ…君達2人は体格が良いから良く目立つ」

剣士「もう行く準備は出来て居るの?」

商人「もうすぐ終わる…ちょっと説明するよ」


トロッコ2台で目的地まで行く…所要時間は大体5時間

それぞれのトロッコにキラーマシンが1台づつ乗ってトロッコを動かす

先頭のトロッコには衛兵4人が乗る

後続するトロッコには僕達4人が乗る

どんぐりは先頭のトロッコに積んであるからそれを目的地周辺で降ろす

その間僕達は遺跡の探索だ…しっかり僕を守ってね?


剣士「あと一人は何処?」

商人「もうトロッコに乗って居るよ…君達も行くかい?」

剣士「そうだね…待たせちゃいけない」

商人「じゃぁ行こうか」スタ
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:21:52.80 ID:pYa2Z27w0
『トロッコ』


キラーマシン「…」ウィーン プシュー

剣士「へぇ…間近でみるとやっぱりスゴイな」

商人「乗って」ピョン スタ

剣士「どうも…よろしく」ピョン

アーチャー「…」ペコリ

機械の犬「ワン!」フリフリ

剣士「機械の犬…」

商人「気にしないで良いよ…おまけだから」

女オーク「乗るわ?」ピョン ドサ

剣士「君達2人の武器はクロスボウなんだ?2連装だね…良いなぁ」ジロジロ

商人「珍しいかい?」

剣士「仕組みに興味があるんだ…あーこうなってたのか」フムフム

商人「そちらは普段どんな魔物を狩るのかな?」

剣士「う〜ん…何でも狩るけど…悪い魔物だけかな」

商人「答えになって居ないなぁ」

剣士「オーガとかシーサーペントも狩ったな」

商人「2人で?」

剣士「そうだよ…こっちの女オークなんかオーガを真っ二つに切るよ」

商人「それは頼もしい…君達が傭兵で良かった」


キラーマシン「…」ウィーン ガチャコン ガチャコン


商人「お!?予定通り動き始めた…」

剣士「このトロッコっていう奴に乗るのは初めてだ…馬より早そうだ」

商人「キラーマシンのお陰だね」

剣士「すごいなぁ…ワクワクする」キラキラ


ゴーーーーーー カタタン カタタン


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635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:22:46.10 ID:pYa2Z27w0
『5時間後』


商人「そろそろ目的地だよ…ゾンビに警戒して」

剣士「…」クンクン

女オーク「匂う?」

剣士「何処かに居る」


キラーマシン「…」ウィーン プシュー


剣士「止まった…」

商人「降りようか」ピョン スタ

剣士「…」ピョン シュタ

女オーク「…」ピョン ズダ

商人「先頭車両と少し話してくる…ここで待ってて」タッタッタ

アーチャー「…」ヨッコラ ノソ

剣士「暗いな…女オークは大丈夫?」

女オーク「夜目は利くから大丈夫」

剣士「ここで戦闘跡がある」

女オーク「倒れて居るのは皆ゾンビね…燃やされた跡もあるわ」


タッタッタ


商人「予定通り!!衛兵とキラーマシンでトロッコを守る…僕達は遺跡の調査だよ…しっかり守ってね」

剣士「うん…」

商人「僕が先導する…付いて来て」

剣士「暗くない?明かりを付けられるけど…」

商人「え!?本当に?」

剣士「付けて良いなら照明魔法を使う」

商人「おおおお!!魔法も使えるのか…先に言って欲しかった」

剣士「照明魔法!」ピカー

商人「トロッコの周りにもお願い…松明じゃ遠くまで見えない」

剣士「おっけ!!照明魔法!照明魔法!照明魔法!」ピカー

商人「…なんだ君が先頭の方が良さそうだ」

剣士「じゃぁ僕が先頭を行く…女オークは最後に」

女オーク「うん…」

剣士「行こう…」スタ
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:23:26.41 ID:pYa2Z27w0
『大扉』


ギーーーー


女オーク「待って!通路の奥にゾンビが居る」

商人「あ…大きい」

女オーク「なんてことなの…オークがゾンビにされてる」

剣士「倒せる?」

女オーク「私が倒す…」ギリリ シュン ドス!


オークゾンビ「ウゴ…ウゴゴ」ドタリ


女オーク「こんな所にオークシャーマンが来てるなんて…」

剣士「オークシャーマン?」

女オーク「オークをゾンビにして使うのはオークシャーマンなの…呪術で死体を操る」

剣士「死霊術だね…僕もやろうと思えば出来るんだよ」

女オーク「そうなの?」

剣士「蟲を使役するのとほとんど同じなんだ…蟲を使うか死体を使うかの差だけだよ」

商人「もう良いかい?ここに来たのは遺跡の調査だ…戦闘は必要が無いなら控えて欲しい」

剣士「ゴメン分かった…先に進もう」
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:24:19.39 ID:pYa2Z27w0
『古代遺跡』


モクモク


剣士「マスク買っておいて良かった…灰がスゴイね」

商人「僕達が調査している間の安全をよろしく」

剣士「あ!!ちょっと待って…ワームが沢山居る」

商人「ワーム?」

剣士「大きなイモムシだよ…命令して灰をすこし掃除させる」

商人「それは良い」

剣士「ちょっと待ってね…蠕虫!従え…灰を食らえ」


ゴゴゴゴゴ ドスーン


商人「うわ!!」タジ

剣士「ワームに守られてるからこの辺は完全に安全だよ…好きなように調査して良い」

アーチャー「…」タッタッタ

機械の犬「ワンワン!」トコトコ

商人「助かる」タッタッタ

女オーク「剣士…私トロッコの方が心配」

剣士「ん?オークが来るかもしれない?」

女オーク「そう…向こうを援護してくるわ」

剣士「おっけ!!こっちはワームが居るから絶対大丈夫…君は気を付けて」

女オーク「うん…」タッタッタ
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:25:09.74 ID:pYa2Z27w0
『30分後』


商人「よいしょ…重い…」

剣士「何か見つけた?」

商人「これを持って欲しい」

剣士「結構重いね…何だろうコレ」

商人「それを探しに来たんだよ…今他にも無いか探してるからもう少し待って」

剣士「分かった…先にトロッコに運んでも良いかな?」

商人「僕達の安全が確保出来て居るなら良いよ」

剣士「こっちはワームが居るからよほど大丈夫」

商人「じゃぁ任せる」

剣士「直ぐに戻るよ」


--------------


『トロッコ』


ヴヴヴヴヴ ガァァァ


剣士「ゾンビ…」ギリリ シュン グサ

衛兵「遺跡の調査はまだ掛かりそうか?」

剣士「分からない…ゾンビの数は!?」

衛兵「囲まれている…少し引いて守備する」

キラーマシン「…」ウィーン ブン ザクリ

ゾンビ「ガァァァ」ズル ズル

女オーク「オーク達も何処かに居る筈…警戒して様子を見てるわ」

衛兵「右手にゾンビ3体!!」

女オーク「少しづつ下がって…」ギリリ シュン グサ

剣士「商人達に急がせる!」ギリリ シュン

衛兵「私達は撤収の準備を始める…急いでくれ」

剣士「分かった」シュタタ



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639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:26:16.59 ID:pYa2Z27w0
『古代遺跡』


ドドドド ドコーン


剣士「何だぁ!?上か!!」

商人「あぁ!!戻って来たんだね…」

剣士「何が居る?」

商人「ガーゴイルだよ10体くらい飛んでる」

剣士「引いた方が良い」

商人「その様だ…」ヨッコラ ヨッコラ

剣士「僕が後方から援護する…トロッコに向かって」

商人「敵は任せる…戻ろう!!」

アーチャー「…」ノソノソ

機械の犬「ワン!」トコトコ

剣士「来る!早くトロッコへ!!」


ガーゴイル「グェェェェ…」ビュゥゥゥ バッサ バッサ


剣士「早いな…」ギリリ シュン

剣士「蜻蛉!従え…敵を食らえ」ザワザワ バサバサ

商人「虫の大群…君は一体何者なんだい…」

アーチャー「…」ジロ

剣士「蟲使いの得意な只の魔術師さ…足を止めないで早くトロッコへ」

商人「う…うん行こう!」ヨッコラ


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640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:27:19.55 ID:pYa2Z27w0
『トロッコ』


ヴヴヴヴヴ ガァァァァ

正面8体!右手4体!

後ろにも4体居るわ

キラーマシンはトロッコを動かすから宛てにするな


女オーク「私が処理するから作業急いで!」ギリリ シュン

商人「戻った!ゾンビに囲まれてる?」

衛兵「よし!!撤収出来るな?」

商人「報告より敵が多かった…キ・カイに戻ろう」

衛兵「そちらは後続のトロッコで追っ手を処理してくれ」

商人「分かった…皆乗って!」ヨッコラ

アーチャー「…」ノソノソ

女オーク「私達は飛び乗るから早くトロッコを動かして」ギリリ シュン

剣士「火炎魔法!火炎魔法!火炎魔法!」ゴウ ゴウ ゴウ


ボボボボ メラ


剣士「僕が引き付ける…」シュタタ ギリリ シュン

衛兵「助かる…」ダダダ

女オーク「火炎でゾンビの動きが遅く…」ギリリ シュン

剣士「どんどん撃って!」ギリリ シュン

商人「スゴイな…手慣れてる」

剣士「火炎魔法!火炎魔法!火炎魔法!」ゴウ ゴウ ゴウ


ボボボボ メラ


女オーク「…」ギリリ シュン

キラーマシン「…」ウィーン ガチャコン ガチャコン

女オーク「トロッコが動き始めた!剣士乗って!!」ピョン ドスン

剣士「おっけ!!」ピョン クルクル シュタ


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641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:28:53.31 ID:pYa2Z27w0
『帰路』


ゴーーーーー カタタン カタタン


商人「ふぅぅ…ここまで来ればもう安心」

剣士「もう調査は終わり?」

商人「目的の物が3つも手に入った…十分さ」

剣士「良かった…これで一人金貨20枚づつだね」

商人「ハハハガメツイな…ちゃんと帰ったら報酬は支払うよ」

剣士「なかなか楽しかったよ…弓の練習にもなったね?女オーク…」

女オーク「フフ剣士には負けたわ…魔法と併用するなんて反則よ」

剣士「魔法も教えてあげようか?」

アーチャー「…君達…何者?」ジロ

剣士「見ての通り魔術師と戦士さ」

アーチャー「マスクを外して顔を見せてくれないかい?」

剣士「また?良いけど…」ズルリ

女オーク「私も?」ズルリ

アーチャー「良く見せて…」ジロ

剣士「人相書きにはなって無いと思うけどなぁ…」

アーチャー「君…未来君だね?その目は未来君だ」

剣士「ええ!!?どうして…もしかして商人さん?」

アーチャー「アハハ…大きくなったねぇ…全然気が付かなかったよ」

女オーク「え?剣士どういう事?知り合い?」

アーチャー「そうか剣士って名乗ってるいるのか」

剣士「商人さんの方こそどうしてアーチャーに…」

アーチャー「身を隠して居るんだよ…僕が商人でもう一人の方は僕の影武者なのさ」

剣士「え!?」キョロ

影武者「…」ジー

剣士「道理で…この人女の人だよね」

商人「分かってたんだね」

剣士「まぁ匂いでね」
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:29:48.13 ID:pYa2Z27w0
商人「君の連れの戦士とはどういう関係なんだい?」

剣士「女オークは信用しても良い…えーと僕のパートナー?」

女オーク「剣士は私の奴隷よ」

商人「ハハハ未来君は奴隷なのか…まぁ良いや未来君は家族みたいなものだ信用しよう」

剣士「あのさ…お金はちゃんと貰うよ?」

影武者「ぷっ…」

商人「分かってるよちゃんと支払うよ…いやぁそれにしても君はお父さんにそっくりになったね」

剣士「そう?」

商人「性格はお母さんにそっくりだ…良く目を見せて?」

剣士「…」ジー

商人「そんな目をしてイタズラばっかりしてたんだよ…懐かしい目だ」

剣士「商人さんは遺跡の調査で何を探して?」

商人「まぁ色々有ってね…そうだ!おいでラヴ!」

機械の犬「ワン!」フリフリ

剣士「機械の犬?」

商人「驚くなよ?この機械の犬は君がよく甘えていたホムンクルスだよ」

剣士「えええええええええええええ!!?ホム姉ちゃんは死んだんじゃ無かったの?」

商人「僕が蘇らせた…そして遺跡の調査はホムンクルスをちゃんと蘇らせる為なんだ」

剣士「ホム姉ちゃん…信じられない…この中にホム姉ちゃんが?」

機械の犬「ワン!」フリフリ

剣士「そうだったのか…」ナデナデ

機械の犬「クゥ〜ン」フリフリ

剣士「商人さんはどうしてずっと顔を隠して居るの?」

商人「身を隠して居るのもあるけど…僕はもう人間ではなくなってしまって居てね」

剣士「どういうこと?アサシンさんと同じ不死者になったとか?」

商人「う〜ん…それに近いかな…皮膚を見てみるかい」グイ

剣士「え?…ウロコ?」

商人「僕はねどうも皮膚の再生があまり良く無くて全身のウロコが隠せなくなったんだよ」

剣士「そんなの変性魔法でどうにでもなるよ…治してあげようか?」

商人「あぁこれはこれで良いんだ…普通の皮膚よりも硬いしなにより火傷に強い」

剣士「そっか…でもどうしてウロコなんか…」

商人「僕は何も知らずドラドンの涙を飲んだんだよ…心臓が弱いのに中々死ななくてね…気付いたらこうなってた」

剣士「アハハドラゴンになったんだね?」
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:30:36.26 ID:pYa2Z27w0
商人「そういう事になるのかな?いやぁ…なんか話すことが一杯あるね」

剣士「僕も聞きたい事が沢山あるんだ…どうしよう?どっちから話そう?ジャンケンで決める?」

商人「ジャンケンって何だい?」

剣士「これがグー…これがチョキ…そしてこれがパーでね?」


グーはチョキに勝ち

チョキはパーに勝ち

パーはグーに勝ち


商人「おお!!そう言うのはラヴが大好きなんだ…やってみて」

剣士「え…じゃぁグーは?」

機械の犬「ワン!」

剣士「チョキは?」

機械の犬「キャン!」

剣士「パーは?」

機械の犬「クゥ〜ン」

剣士「アハハハ行けるね…じゃぁせーの!!」ポイ

機械の犬「ワン!」

剣士「ちょちょちょ…見てから鳴いてるよね?もう一回!せーの!!」ポイ

機械の犬「クゥ〜ン」

剣士「ちょちょちょ…ダメだってズルいから」


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644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:31:35.86 ID:pYa2Z27w0
『数時間後』


カクカク シカジカ…


商人「…通りで人並み外れた戦い方をする訳だ…オークがこんなに人間と慣れあうなんて」

剣士「それでずっと一緒にキ・カイまで一緒に旅して来たんだよ」

商人「言葉も君が教えたんだね?」

剣士「最近はすごく上手になったよ…ね?」

女オーク「ウフフ…」

商人「君に教えておかないといけない事が有る…さっき話してた君の3人の仲間」

剣士「うん…」

商人「この間まで商人ギルドまで来てたんだ…今は気球を買ってハテノ村まで飛んで行った」

剣士「そうだったんだ…安心したよ」

商人「本当は遺跡の護衛を彼らにお願いしようと思って居たんだけどね…タイミングが悪かった」

剣士「それで傭兵を募集してたんだね」

商人「君で良かったよ…あんなにワームが居たんじゃどうにもならなかった」

剣士「金貨20枚の働きはしたでしょ?」

商人「アハハ抜け目が無いのはお母さんと一緒だ」

剣士「やっぱり似てる?」

商人「何て言うのかなぁマイペースな所?きっと他に夢中になる事が出来たら金貨20枚の事も忘れるよ」

剣士「いやいや…ちゃんと貰うから」

商人「遺跡から発掘した謎の機械が一杯あるんだよ…見たくないかい?」

剣士「おぉ!!見たい見たい…」

商人「よし!帰ったら僕の秘密の部屋に案内してあげる…他の人は誰も入れないんだ」

剣士「どんな機械?」

商人「君のお母さんがデリンジャーっていう武器を持って居たよね?そんな感じの奴さ」

剣士「おおおおおお!!」キラキラ

女オーク「ウフフ…剣士かわいい」

商人「君は剣士君の保護者みたいだね」

剣士「どっちかって言うと僕の方が保護者なんだけどさ…なんか逆に見られるんだ」

商人「じゃぁどうしてずっと膝の上に乗って居るんだい?」

剣士「座るのに丁度良いだけだよ…商人さんも座ってみる?暖かいんだ」

商人「ええ!?いや僕は遠慮する…それで君が聞きたい話って何なのかな?」

剣士「あーまた今度で良い…なんかデリンジャーの事で頭が一杯でどうでも良くなった」

商人「ほらね?お母さんにそっくりだ…飽きっぽいと言うか」

剣士「このトロッコもすごく改造したくなる…多分もっと早く出来る」

645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:32:18.07 ID:pYa2Z27w0
『チカテツ街道1番』


ガヤガヤ


剣士「影武者さん…置いて行って良いの?」

商人「交渉事は全部任せて良い…僕達は先に戻るよ…収穫した物を無くさない様に?」

剣士「これ重いね…何なの?」

商人「古代のエネルギーユニットさ…」

剣士「へぇ?何が入ってるんだろ」

商人「帰ってからのお楽しみに」

剣士「女オーク?迷わない様について来てね」

女オーク「ウフフ…」ニッコリ



『商人ギルド地下』


ドタドタ


剣士「…こんな所に地下があったのか」

商人「ふぅぅぅ無事に持って帰って来られた」

剣士「謎の機械は?」

商人「奥にある…おいで」


ギギーー


剣士「うは!今度は本棚の中か…念入りに隠してあるんだw」

商人「こっちだよ…」スタスタ


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646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:34:04.25 ID:pYa2Z27w0
剣士「おぉぉぉ沢山ある!!見て良い?」

商人「どうぞ好きな様に…でも壊さないでね」

女オーク「…この絵」

商人「あーそれね…僕が描いたんだよ」

女オーク「精霊ウンディーネ…東オークの守る神様」

商人「え…ちょっと待った…どういう事だい?」

女オーク「東オークは精霊ウンディーネを信仰しているの…ずっと昔から眠るウンディーネを守って居るわ」

女オーク「西オークは呪術信仰で…オークに伝わる予言を守って居る」

商人「まさか…君達が情報を持って居たとは…」


西オークのオークシャーマンは予言に従いウンディーネを目覚めさせようとしている

でも東オークはウンディーネを手放さない

だからオーク達は争い合ってる

オークシャーマンは戦いに勝つために暁の使徒の力を求めた


商人「そこで剣士君が捕らえられた?そういう事か…」

女オーク「でもオークシャーマンは悪いオーク…沢山のオーク達に呪いを掛ける」

商人「呪い?」

女オーク「従わせる呪いやゾンビになる呪い…グールやオーガ達と同じ…」

商人「そうやって言う事を効かせて居るんだね…戦争に勝つための選択か」

女オーク「オーク達は本当は戦いたくないの」

剣士「ねぇ今の話…呪いって何だと思う?」

女オーク「呪いは呪い…呪怨って呼ばれてる」

剣士「僕が思うにそれはただの病気だと思うな…ゾンビ化する病気」

女オーク「剣士は虫の力で治せる?」

剣士「多分ね…」

剣士「そしてオークシャーマンの力…それは多分僕と同じ蟲使いだよ…使う術がほとんど同じだ」

女オーク「虫を…」

剣士「使役しているのが虫か死体かの違いだけだ」
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:34:34.67 ID:pYa2Z27w0
女オーク「オークシャーマンは治癒の虫を使った事無い」

剣士「知らないだけじゃない?僕は蟲を良く知ってる…オークシャーマンは死体を良く知ってる…そんだけの差」

女オーク「言われてみれば…剣士は死体を使ったの見た事無い」

剣士「そうそう…得意なのがちょっと違うだけ」

商人「フムフム…今の話から察するにウンディーネが目覚めれば解決する話だね」

女オーク「そんな事が出来る?」

商人「手はある…只ちょっとリスクが高い…僕はもうミスを犯したくない」

剣士「ミス?」

商人「ホムンクルスを2度も失ってるんだ…この機械の犬の中に居る君まで失いたくないんだ」

機械の犬「クゥ〜ン」

商人「もう一枚外部メモリが有ったらなぁ…」

剣士「ホム姉ちゃんが見つかったハテノ村に残って無いかな?」

商人「…」


”私が眠っていた場所にならもしかしたら合ったのかもしれません”


商人「そうだ…心当たりが2つ有る…探しに行くか」

剣士「ハテノ村?」

商人「いやそっちは灰で埋まって居る…先に行くのなら名も無き島…君が生まれた場所さ」

剣士「おぉ!!爺いじにずっと会って無い…行きたい」

商人「ちょっと考えさせてくれ…部屋は好きに使って良い」ブツブツ



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648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:35:08.88 ID:pYa2Z27w0
カチャカチャ シュコシュコ


商人「使えそうかい?」

剣士「うん!掃除して組み立ててる…」

商人「それは良かった…僕はそれのメンテナンスが良く分からなくてね」

剣士「多分ママが持って居たのと同じさ…錆びついて居たけどこれで大丈夫」カチャカチャ

商人「火薬は有るのかい?」

剣士「勿論!!…よっし!出来た…」シャキーン

商人「んん?砲弾じゃなくてどんぐり?」

剣士「あぁコレね…どんぐりを変性させて鉛に変える事もできる…普段はどんぐりで十分かな」

商人「どんぐりを撃つのかw」

剣士「ちょっと試し撃ちして良い?」

商人「部屋を壊さないで欲しいな…」

剣士「撃つのはどんぐりだよ…石壁なら大丈夫でしょ?」

商人「壊さないでよ?」

剣士「うん…」チャキリ ターン


バチン! バラバラ


商人「おぉ!!結構威力がある」

剣士「線虫!」ザワザワ ニョロ

商人「え…今の撃ったどんぐりから虫が?」

剣士「こういう使い方がしたいんだ…どんぐりからワームも産めるし木に成長させる事も出来る」

商人「鉛を撃つより汎用性がある?」

剣士「うん!気に入った…もう僕弓要らない」

商人「ハハ喜んで貰えて良かった」

剣士「ねぇ女オーク!!ちょっとオーガ探しに行こうよ」

女オーク「いま夜よ?」

剣士「んあぁぁ…寝て待つかぁ…」ショボン

商人「この建屋の上の部屋なら好きに使っても良いよ…受付には話しておくから」

女オーク「あ…水浴びしたい」

剣士「おっけ!今日は我慢する…一緒に水浴びしよう」

商人「一緒に?ハハ…まぁ好きにしなよ」

剣士「じゃぁ行こ!!」グイ
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:35:44.54 ID:pYa2Z27w0
『客室』


ガチャリ


受付「ふぁ〜むにゃ…こんな夜遅くに」ブツブツ

剣士「ここ使って良いんだね?ありがとう」

受付「もう起こさないで…じゃ」バタン

剣士「やっとベッドに横になれる」ドスン ギシギシ

女オーク「こんな良いお部屋初めて…」

剣士「あぁそうか…君は人間の街で生活するの初めてだったね」

女オーク「窓から外が見える…」スタ

剣士「ちょっと狭いけど落ち着くね」

女オーク「ねぇ今日は満月よ?」

剣士「今見える?灰で曇って無い?」

女オーク「丁度見えてるわ?」

剣士「…思い出した…そういえば昔ママが言ってた…あの月に絶対何かあるって」

女オーク「何か?」

剣士「ママは月に行こうと真剣に考えてたんだよ…夜の闇を明るく照らす月に絶対秘密があるってさ」

女オーク「ウフフ…本当かしら?」

剣士「そうだ望遠鏡買わなきゃ…ママと月を見る約束したまんま見ていない」

女オーク「じゃ明日望遠鏡買いに行かなきゃ…」

剣士「まてよ!?海賊の隠れ家に置いてあったな…ビッグママの望遠鏡…倍率の高い奴」

女オーク「やる事が尽きないわね?」

剣士「そうだそうだ…そうしよう」キラキラ

女オーク「剣士かわいい…」ギュゥ

剣士「ちょちょちょ…」

女オーク「ウフフ」

650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:36:23.74 ID:pYa2Z27w0
『翌朝』


トントン


剣士「う〜ん…」パチリ

女オーク「剣士起きて?誰かノックしてる…」ゴソゴソ

剣士「だれ〜?」ゴソゴソ

商人「起きて居るかい?開けて良いかな?」

剣士「うん…」アセアセ


ガチャリ ギー


商人「君にお願いが有ってね…」

剣士「どうしたのさ?」

商人「ズバリ言う…木材が欲しい」

剣士「なんだ…そんな事か…簡単だよ」

商人「そう言ってくれると思って居た…実はね…急にお金が必要になったんだ」

剣士「木材とどんな関係があるの?」


新しく気球を買いたいんだけどもう僕が自由に出来るお金が少ししか無くてね

木材は高く取引できるから欲しいんだよ…剣士君なら出来ると思った


剣士「あんまり派手にやると魔女が怒るなぁ…」

商人「クヌギの木だったかな?10本もあれば十分さ」

剣士「なんだそれくらいで良いのか…直ぐに出来るよ」

商人「よし!付いて来てくれないか?指定の場所に生やしたいんだ」

剣士「おけおけ!」

商人「散歩みたいな物だから女オークも一緒においで」

女オーク「はい…」
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:37:37.28 ID:pYa2Z27w0
『街道』


ガヤガヤ


商人「よし!人が居なくなった…そこの庭に3本…こっちの庭にも3本」

剣士「成長魔法!」ザワザワ

商人「…これで終わりだよ」

剣士「ハハ簡単だ」

商人「今植えた物件はね…売り屋なんだ…これで高く売れる」

剣士「なんかお金儲けなのに良い事した気分だ」

商人「さぁ戻ろうか」

剣士「商人さんは気球持って無かったの?」

商人「僕の気球は今頃セントラルの港にあるよ…船に乗せっぱなしさ」

剣士「じゃぁ新しく気球を買うって言うのは?」

商人「名も無き島に行くためには普通の気球じゃ行けない…帆付きの気球を買うんだ」

剣士「なるほど…じゃぁアダマンタイトも欲しいね」

商人「そんなレアな物は持って居ないし市場にも出ないかな」

剣士「採ってこようか?」

商人「ハハそんな簡単に手に入るのかい?」

剣士「ここから東にある海賊の隠れ家覚えてる?」

商人「君のママに連れて行かれた場所だね?あそこは何度も探索したけど見つけられなかった」

剣士「行き方があるんだよ…多分アダマンタイトもそのままあるんじゃないかな?」

商人「そうか…取りに行きたいけどちょっと僕はやる事が有るなぁ…」

剣士「僕と女オークで取りに行って来るよ…それでさぁ?」

商人「何だい?」

剣士「あそこにあった隠れ家にはもう誰も居ない様なんだけどなんで?」

商人「あぁ…君は知らなかったんだね…」


資金が潤沢になった海賊達は

女戦士率いる派閥とそうでない派閥に分かれてしまって離別したんだよ

その結果あそこにあった隠れ家は放棄された…というか女戦士が海賊を追いだした


剣士「ママが居なくなったからかな?」

商人「さぁね?海賊達の事情は良く知らない」

剣士「離別した海賊達が豪族になった感じ?」

商人「そうだね…資金を全部奪って豪族になったんだよ…その後女戦士は何処に行ったのか分からない」

剣士「ビッグママは何度か僕に会いに来てくれてた…最後に会ったのは3年前だったかな」

商人「まぁ元気にして居れば良いさ」

剣士「この後直ぐに隠れ家に向かうよ」

商人「そんなに慌てなくても良いけどね」

剣士「う〜ん…はやくデリンジャーの使い勝手を試したいんだ」

商人「ハハそうかフフフお母さんにそっくりだねぇ…まぁ気球を買い付けておくから又戻っておいで」

剣士「うん!!女オーク!!行こう!!」グイ


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652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:38:04.06 ID:pYa2Z27w0
『荷馬車』


ブモモ〜 ガタゴト ガタゴト


女オーク「ねぇ剣士?行き場所は分かって居るの?」

剣士「大体ね…この道は通った事ある」

女オーク「地図とか買った方が良かったんじゃない?」

剣士「アハハすっかり忘れてた…まぁきっと大丈夫だよ」

女オーク「それから報酬の金貨20枚は貰った?」

剣士「ああ!!忘れてた…デリンジャーで頭が一杯だった…」

女オーク「剣士の弓も忘れて来たわね」

剣士「弓はもう良いや…しまったなぁ…悪いクセが出た」

女オーク「ウフフ…」

剣士「馬車に入れてた種とかは無事だね?ふぅ…まぁ良いや!水もちゃんとあるし何とかなる」

女オーク「これから何をしに行くか覚えて居る?」

剣士「望遠鏡だよ!!それからアダマンタイト…あと何だっけ?」

女オーク「デリンジャーのテスト?」

剣士「そうそう…それだ!的は…う〜ん別にオーガじゃなくても良いか」

女オーク「適当に撃って木に育ててみては?」

剣士「そうだね…それで調整してみる…もう少しキ・カイから離れてからやろう」


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653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:39:31.52 ID:pYa2Z27w0

『荒野』


チャキリ ターン!


剣士「成長魔法!」ザワザワ

剣士「う〜ん…照準がなかなか合わない」カチャカチャ

女オーク「ねぇ剣士…馬が2頭こっちに向かってる」

剣士「え…見えた」クンクン

剣士「こっちが風上だ…誰だか分からない」

女オーク「きっと私を付け狙ってる2人組」

剣士「まだ諦めて居ないのか…」

女オーク「馬車を物色された跡が有ったの…何も盗られて無いけど」

剣士「ちょっと痛い目を見ないと諦めない様だね…困った人達だ」

女オーク「どうするの?」

剣士「まぁ見てて?デリンジャーの的にする」


バカラッ バカラッタ


野郎1「おい!お前等待ちやがれ…どういう事か分かるな?」

野郎2「痛い目見たく無けりゃ大人しく止まれ」スラーン

剣士「あのさぁ?痛い目見たくないなら構わないで欲しいな」チャキリ ターン ターン


ヒヒ〜ン ブルル


野郎1「どわぁぁ!!」ドテッ

野郎2「だぁぁ!!」ドサリ
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:40:26.98 ID:pYa2Z27w0
剣士「お馬さんごめんよ!走って逃げて…線虫!」ザワザワ ニョロ


ヒヒ〜ン パカラッ パカラッタ


野郎1「何しやがる!!ぬぁぁ…馬が」ダダ

野郎2「くっそ!許さねぇからな?」ダダッ

剣士「しつこいなぁ…」チャキリ ターン ターン

野郎1「ぐはぁ…何だその武器」ポタ

野郎2「おま…血が出て…」タジ

剣士「フムフム…この距離だと全然いけるな」ツメツメ

野郎1「くそう!野郎2!!ヤクを先に殺せ!!」

野郎2「馬車を止めやがれ」ダダ

剣士「ハハもっと走って動いて?」チャキリ ターン ターン

野郎2「はぶぶ…」ズダダ ゴロゴロ

剣士「蠕虫!食らえ!」ゾワゾワ ニョロ

野郎2「ひぃぃぃ虫が体から…やべて…やべてくれぇ」バタバタ

剣士「ふむ…中距離で少し逸れるか…もうちょっとどんぐりが回転するように工夫しなきゃ…」カチャカチャ

女オーク「このまま放って置いて良いの?」

剣士「大丈夫…あんな小さなワームじゃたかが知れてるよ…死にはしないさ」

女オーク「これで懲りてくれれば良いけど…」

剣士「どんぐりの威力もこれで良く分かった…皮膚を貫通する程度にはなる」

女オーク「どんぐりも使い方次第なのね」
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:41:27.58 ID:pYa2Z27w0
『夕方』


ガタゴト ガタゴト


剣士「今まで気づかなかったけど2輪の馬車だと進行が随分早いみたいだ」

女オーク「どうして分かったの?」

剣士「海賊の隠れ家に到着するのは明日の予定だったのさ…もうすぐ到着するよ」

女オーク「ヤクの体調が良いお陰では?早い様には感じないわ」

剣士「あ〜そうだね…ヤクの負担が軽いのと餌の品質だねきっと」

女オーク「道を逸れてしまったけどここで良いの?何も見当たらないけど」

剣士「目印があるんだ…あそこあそこ…あの石と石の間を通る」

女オーク「何も無いけど…」

剣士「狭間っていう場所に隠してるんだよ…驚かないでね?」

女オーク「…」ジー

剣士「入るよ?3…2…1…」

女オーク「え!?あの時の入り江…どうして?」

剣士「そういう仕掛けなのさ…でも良く無いなぁ…ゴーストが彷徨ってる」

女オーク「見た事無い…」

剣士「コバルトの剣を出して?」

女オーク「どうするの?」スラーン

剣士「照明魔法!」ピカー

女オーク「光?光で倒す?」

剣士「うん…光の武器かミスリルじゃないと対処出来ない…僕が退魔の方陣を張るまでヤクを守って」

女オーク「分かった…」

剣士「ええと…寒く無いし入り江の真ん中で良いか…」


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656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:42:50.99 ID:pYa2Z27w0
『廃れた入り江』


ザザー ザブン


女オーク「何処?…」タジ キョロ


ゴースト「シャァァァァ…」スゥ


女オーク「地面の下…」ダダダ グサ

剣士「照明魔法!照明魔法!照明魔法!」ピカー

女オーク「ゴーストが見えないの…」

剣士「影だよ…影の中に居る」

女オーク「何処?…」タジ キョロ

剣士「もう少し粘って…あとちょっとで退魔の方陣が出来る」シュタタ


ゴースト「シャァァァ…」スゥ


女オーク「そこ!!」ブン スパァ

女オーク「手ごたえ無い…」タジ

剣士「よし!!終わった…もう大丈夫!!」

女オーク「…」タジ

剣士「アダマンタイトを探しに行こう…おいで?」

女オーク「ふぅふぅ…」

剣士「初めての事で混乱しているかな?大丈夫…魂は握られて無いよ」

女オーク「これが闇…」

剣士「狭間の奥から迷い込んだゴーストさ…憑りついて悪さする」


僕達魔術師の役目はね…

世界中にあるこういう放置された狭間を処理しなきゃいけないんだ

こういう所を通じて深淵から悪霊が這い出て来る

なんか色々分かって来た

海賊達に裏切られたビッグママはこの場所に誰も近づかない様にする為に

退魔の方陣を解いて海賊を追いだしたんだ

良くない方法だったけどアダマンタイトを乱用されるのは防いでる


女オーク「そのアダマンタイトと言う物がこの不思議な空間を作って居るの?」

剣士「そうだよ…僕はそれを処分しなきゃいけない」

女オーク「どうやって処分を?」

剣士「変性魔法で違う物質に変える…それがこの魔法の本来の目的」


スタスタ スタスタ
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:43:49.29 ID:pYa2Z27w0
『朽ちた隠れ家』


剣士「…やっぱり狭間の中だと色んな物が錆びつかない」

女オーク「高価そうな物は何も残って居ないわ」ガラガラ

剣士「全部略奪されたんだ…なんか寂しいね」

女オーク「あそこに倒れてるのは望遠鏡では?」

剣士「おお!!残ってる…」タッタッタ

女オーク「良かったわね」

剣士「なんだ望遠鏡はいっぱい残ってる…」ガチャガチャ

女オーク「私も一つ貰って良い?」

剣士「うん…ああああ!!ママが使ってた望遠鏡だ…こんな所に置きっぱなしだったんだ…」グイ

剣士「でも古い奴だ…要らなくて置いて行ったのか」

女オーク「宝物見つけて良かったじゃない」

剣士「他には…」ガサ キョロ


ゴースト「シャァァァァ…」スゥ


女オーク「剣士!危ない!!」ダダ

剣士「うるさいなぁ!!照明魔法!」ピカー


ゴースト「…」シュゥゥゥゥ


女オーク「あ…」

剣士「折角ママの残した物見つけたんだ!邪魔しないで…」

女オーク「フフ剣士には何でもない敵なのね…」

剣士「落ち着いて探せないや…先にアダマンタイト何とかしよう」スタ

女オーク「うん…それが賢い」


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658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:44:51.60 ID:pYa2Z27w0
剣士「有った!!これだフンッ!!」グイ

女オーク「持つ?」

剣士「いや重さ確認した…そうかこの位の重さでこの範囲か…」ブツブツ

剣士「変性魔法!」シュワワ

剣士「おっけ!!只の石に変えた」

女オーク「何か変わった?」

剣士「ここじゃ分からないね…外に出たら星が見える筈」

女オーク「へぇ?」

剣士「他にもいろんな大きさのアダマンタイトがある…ママはここで色々試してたのか」

剣士「ダメじゃ無いか置きっぱなしにしたら…変性魔法!」シュワワ

女オーク「剣士に似てたのね…」

剣士「持って帰るのは少しで良いや…」ガサゴソ

女オーク「もう安全ならその辺物色してきても良い?」

剣士「良いよ!僕もママの物他に無いか探してあとで馬車に戻る」

女オーク「じゃぁ…後で」タッタ



『廃れた入り江』


メラメラ パチ


剣士「よっこら…よっこら」ドスン ガラガラ

女オーク「スープ作ったわ?」

剣士「丁度何か欲しかった所だよ…あれ?この食器は拾ったの?」

女オーク「そう…銀の食器がいくつか残ってた…ナイフもあるわ?」

剣士「僕はね…ジャーン!!ミスリル銀の欠片を見つけた…これで何か装飾品を作れる」

女オーク「それもあなたのお母さんが残した物?」

剣士「多分ね…何かの材料の一部だと思う…あ!!そうだ君のコバルトの剣…刃先をミスリル銀に変えよう」

女オーク「ここで出来るの?」

剣士「炉と金床があるんだ…ちょっと待ってて」タッタッタ


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カーン カンカン 
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:46:00.86 ID:pYa2Z27w0
『1時間後』


タッタッタ


剣士「出来たよ…剣を打ち直して長さが少し伸びた…振ってみて?」ポイ

女オーク「やっと普通のグレートソードの長さね」ブン ブン

剣士「これで君にもゴーストが倒せる」

女オーク「突きね?」

剣士「切っ先にはミスリル銀が溶解してるから先端なら切りでも行ける」

女オーク「ゴーストは実体が無いから切っ先でも良いのね」

剣士「そうそう!重量乗せなくても良いんだ」

女オーク「へぇ?ちゃんと考えて居るんだ…関心」

剣士「ねぇスープ飲みたい」

女オーク「温まってる…飲んで?」

剣士「ズズズ…ぷはぁ」

女オーク「焼きどんぐり居る?」

剣士「うん!!」カリ モグ


ドスドス


女オーク「この足音はオーガ…」

剣士「狭間から出たら早速来たね…ちょっとデリンジャー試すから手を出さないで」

女オーク「分かった」スック


オーガ「ガウ!!ウオォォォォ!!」ドスドス


剣士「1体か…」チャキリ ターン

剣士「成長魔法!」ザワザワ

オーガ「ウグゥゥゥ…」ガクリ

剣士「行ける…木で握りつぶせる…成長の方が強い」

女オーク「土の代わりにしたのね?」

剣士「うん…木がオーガの生気を吸って成長した」

女オーク「すごいわね!その武器」

剣士「気に入ったよ…僕にピッタリの武器さ…どんぐりの銃だ」
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:47:30.24 ID:pYa2Z27w0
『翌日』


ガタゴト ガタゴト


剣士「よし…これで動く」カチャカチャ

剣士「君の望遠鏡だよ?これでピント会う筈」

女オーク「見せて?…」

剣士「この部分を回すんだ…」グイ

女オーク「あ…見える」

剣士「大体10倍くらいで一番使いやすい」

女オーク「大きな望遠鏡は?」

剣士「これは星を見る為の望遠鏡さ…倍率が高くて使いにくいけど遠くまで見える筈」

女オーク「それで月を?」

剣士「うん…空がきれいに見える場所で使わないと」

女オーク「じゃぁ灰の外に出ないと」

剣士「気球なら灰の上に出られる…気球が一番良いかな」


ドドド ドーン


女オーク「あら?左手…ワーム?」

剣士「大きいのが1匹居るね…無視で良い」

女オーク「剣士にとって虫は全部味方なのね」

剣士「まぁね…味方というか使役出来るだけなんだけどね」


実は僕達が生きてるこの星はね

植物と蟲が支配しているんだよ

僕達人間はその中でほんのちょびっとの存在なんだ


女オーク「虫に支配…」

剣士「特に人間は完全に植物に支配されて居るんだ…気付いて居ないだろうけどさ」

女オーク「どうやって支配を?」

剣士「食べ物だよ…植物は実を実らせて人間や動物の口に入る…そして精神的に操るんだ」

女オーク「私もどんぐりに操られて居るという事?」

剣士「そうだね…食べ物の有る所に集まるよね?そうやって植物は人間や動物の動きを操作して居るのさ」

女オーク「共生では無いの?」

剣士「違うね…支配だよ…でも人間はそれに気付かないからそれで幸せなんだ」
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:49:43.08 ID:pYa2Z27w0
女オーク「虫の役割は?」

剣士「蟲と植物は共生関係さ…でも能動的に動ける蟲の方が強い」

女オーク「じゃぁ虫を操る剣士はもっと強いのね」

剣士「ハハそういう言い方になるか…でもここまで言ったらどうして人間達が困窮しているのか分かるよね?」

女オーク「植物に誘導されてる…」

剣士「正解!…なんでだろうね?」

女オーク「え?どうしてだろう…」

剣士「教えてあげる…人間が不要になったんだ…今まで利用してた人間がもう要らなくなった」

女オーク「利用って何?」

剣士「う〜ん…そうだな花粉や種を運ぶとか害虫を駆除させるとか…植物にとって有益な何か」

女オーク「それを失うと困るのは植物では?」

剣士「困らなくなったから不要になったのさ…」

女オーク「それって何?」

剣士「植物はね…10年前に知恵の実を得たんだよ…この星を統べる知恵を得たんだ」

女オーク「10年前…光る夜の時ね」

剣士「君も遠くで見ていたんだね…そう…あの光は知恵の実を得た植物が起こした」


知恵を得たのと同時にこの星を焼き尽くす力も得たんだ

そして僕達人間は不要になった

きっと不要になったのは人間だけじゃない…共生関係に無い生物はすべて不要だ

エルフもドワーフもオークも…ドラゴンだって…クラーケンさえ

植物にとって皆要らない存在だ…僕達はゆっくりと滅びの道を進んでる


剣士「…これで良いんだっけ?ってよく考えるよ」

女オーク「知恵を得た植物をどうにかしないと…」
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:50:25.00 ID:pYa2Z27w0
剣士「僕は10年前にその現場に居たんだ…幾千幾億の蟲が束になっても光で焼き尽くされた…どうにも出来ないんだよ」

女オーク「さっき植物より虫の方が強いって…」

剣士「それを超える力を植物が得たんだ…10年前にね…もう調和させるのは無理だよ」

女オーク「…イエローストーンより火竜いずる時我らが主目覚めん」

剣士「え?なにそれ?」

女オーク「西オークに伝わる予言の一説よ」

剣士「どうして急に予言の話なんか…」


主を目覚めさせしは未来

その者…主に従い厄災を払わん

万物の生けとし生きる物の調和を謀らん


女オーク「私が知って居るのはほんの一説…でも何か分かって来た…未来って個人の名前だったのね?」

剣士「ええ!?僕?なんで?」

女オーク「すべてのオークは未来に主である精霊が目覚めると思ってる…私はあなたが目覚めさせると思った」

剣士「予言に個人名なんかおかしいじゃ無いか」

女オーク「誰が予言したのかしら?」

剣士「…まさか」

女オーク「あなたのお父さんとお母さんは何処へ?」

剣士「パパとママが残した言葉…なのか?ちょちょ…その予言もっと知りたい!」

女オーク「私は少ししか聞かされて居ないからそれだけしか知らない」

剣士「予言でメッセージを残してるのか…そうか!!壁画にもメッセージが有る筈だ」

剣士「分かったぞ…パパもママも文字が描けない…だから画にした」

女オーク「オークに伝わる予言は詩になってる」

剣士「ずっと予言なんか後から書かれた体の良い歴史の修正だと思ってた…興味無いから無視してたよ」

女オーク「帰ったら予言も調べないとね」
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:51:48.20 ID:pYa2Z27w0
『古都キ・カイ_路地』


ガヤガヤ ガヤガヤ


女オーク「剣士!!遅いから探しに来たの…書物は見つかった?」

剣士「シーーーッ」ジー

女オーク「どうして蹲っているの?」

剣士「ダンゴムシを観察してた」

女オーク「ダンゴムシ?書物は?」

剣士「予言が記された書物なんかそんなに簡単に見つからないよ」

女オーク「…それで虫の観察?イジケテルの?」

剣士「ママがさ…良くダンゴムシを観察してたんだ…何か分かるかなと思ってさ」

女オーク「剣士…もう日が落ちたから帰りましょ?」


プチ ゲシゲシ


剣士「ああああああ!!誰だ!!」ガバッ

野郎1「よう…昨日は世話になったな?この女は俺が頂くぜ?」ガシ

女オーク「しまっ…た」ググ

野郎1「お前等放すんじゃ無ぇぞ?」

海賊共「この女…力がむぐぐぐ」ギュゥゥ

野郎1「麻痺薬使え!」

海賊共「ぐあぁぁぁ…抑えられ無ぇ!!」ドタドタ ゴロゴロ

女オーク「剣士!!」ダダダ ドン!

野郎1「どわっ…」ゴロゴロ

剣士「線虫!ダンゴムシを治して…」ニョロ

野郎1「野郎…俺らを馬鹿にしやがって…こんだけ人数囲まれて無視する気か?」


ターン ターン ターン ターン


海賊共「ほげぇ…あ…あの武器は…海賊王の娘が使って…」

野郎1「何ぃ!!」

野郎2「こりゃヤバイ…俺ら消される」タジ
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:52:36.22 ID:pYa2Z27w0
剣士「僕は人殺しはしたくないんだ…」ツメツメ

野郎1「おい止めろ…悪かった…俺はただその女が欲しかっただけだ」タジ

剣士「こうすれば大人しくなるかなぁ?」チャキリ ターン

野郎1「ぐあぁぁ…俺の玉が…うぐぐ」

剣士「次は君だね?」ターン

野郎2「ひぃぃぃ…」ガクブル

海賊共「逃げろ!!逃げろぉぉ!!」


ターン ターン


剣士「線虫!2〜3日したら治せ」ザワザワ ニョロ

野郎1「おい!!置いて行くなぁ…」ズルズル

野郎2「来い…早く逃げる…やべぇ海賊王に消される…」ダダ



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女オーク「そのダンゴムシを飼うつもり?」

剣士「意外と賢いんだよ…最強のダンゴムシに育てる」

女オーク「賢いってどんな風に?」

剣士「他の仲間を助ける為に犠牲になるんだよ」

女オーク「ウフフ剣士って本当変わった人ね」

剣士「書物も無かったし…やる事無くなっちゃったなぁ」

女オーク「商人さんが探していたわ?」

剣士「お?気球手に入ったのかな?」

女オーク「さぁ?行ってみましょ」
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:53:53.57 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド_地下』


影武者「…どうぞ」

剣士「ありがとう…君はいつもフードを被って顔を隠して居るんだね」

影武者「それが仕事さ」

剣士「僕分かるよ?君は病気だよね?」

影武者「…」

剣士「免疫不全性の皮膚の病気だ…人に見せられないんでしょ?」

影武者「…どうして分かる?」

剣士「匂いさ…皮脂の匂いでわかる」

商人「剣士君…いじめないでやってくれ…僕の大事な影武者なんだから」

影武者「…」ペコリ

剣士「治してあげられるよ?」

影武者「え?」ピタリ

商人「本当かい?どんな薬や魔法でも治せなかった…君に出来るならお願いしたい」

剣士「椅子に掛けて?驚くといけないから目を閉じてて」

影武者「…良いのですか?」

商人「君の不憫さは見ていられないからね…治ればお金を貯める必要もなくなる」

影武者「はい…」ストン

剣士「体が細いのも免疫不全で内臓が侵されて居るからだ…不遇に過ごして来たんだね」

影武者「…」

剣士「目を閉じて…行くよ?線虫!毒を食らえ!」ザワザワ ニョロリ


ゾワゾワ ニョロニョロ


影武者「うっ…」ブルブル

商人「剣士君の使う魔法は多くの人には受け入れられなさそうだ」

剣士「回復魔法なんかよりずっと良いんだよ…回復魔法は成長魔法の一種だから老化が促進されてしまう」

商人「僕の心臓は治せるのかな?」

剣士「毒は取り除ける…物理的な治療は自己治癒に依存」

商人「賢者の石と同じ様な効果か」

剣士「少し違うけど…」

商人「影武者?大丈夫かい?モゾがゆそうだ」

剣士「直ぐに調子良くなるから我慢して…」

影武者「痒みが収まった…鏡を」スタ

剣士「完全に治るから心配しなくて良いよ」

影武者「…」ファサ

剣士「髪の毛もほとんど抜けてるのか…それは生えるのに時間が掛かるなぁ」

影武者「仕事に戻る…」ファサ

商人「僕達は奥へ…剣士君に見せたい」スタ
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:55:21.52 ID:pYa2Z27w0
『隠し部屋』


ピピ ツーツツ


剣士「…これは遺物の石板?文字が浮かんでる…古代文字か」

商人「この間取りに行った古代のエネルギーを使って動かしたんだ…中にはウラン結晶が入っていた」

剣士「文字が動く…」

商人「それはラヴが動かして居るんだ…ほら?」

剣士「謎の機械…これで石板の文字を?」

機械の犬「ワン!」フリフリ

商人「南の大陸の地図とかも石板に浮かんだんだ…多分重要な情報だよ」

剣士「ホム姉ちゃんに覚えさせてる?」

商人「そうだよ…僕達には全く理解出来ない…解読できるのはラヴだけだね」

剣士「あ…画が浮かんだ…これは古代の風景?」

商人「そうだろうね?南の大陸は自然に覆われていた様だ」

剣士「スゴイな…この石板はどういう仕組みなんだ?」

商人「君は内容よりも仕組みの方に興味がありそうだね」

剣士「分解してみたい」

商人「ダメだよ…やっと動かせるようにしたんだから」

剣士「アハハ機械の犬は尻尾でその機械を動かしてるのか…」

商人「自由に動かせる所が限られているからね」

機械の犬「ワン!」

商人「それで剣士君…」

剣士「ん?何?」

商人「ちょっと僕はやる気が出て来てね…急ぎで名も無き島に行きたいんだ」

剣士「気球は?」

商人「手に入った…4人乗りの新型輸送用だ」

剣士「新型?」

商人「他の気球と比較して早いのさ…これを君に改造してもらいたい」

剣士「おぉ!!ヤルヤル!!」

商人「そう言うと思って居たよフフフ…君の馬車にクジラの骨が乗っていたよね?」

剣士「うん…使い道に困っていたんだ」

商人「その骨を使う前提で設計図を書いてみたんだ…これだよ」パサ

剣士「ママの飛空艇みたいにする?」

商人「君なら出来ると思って話して居るんだ…あの機動力があればウンディーネを目覚めさせに行けるかもしれない」

剣士「おけおけ!!月まで行ける飛空艇作る!!」

商人「月?」

剣士「ママは月に行くつもりだったんだ!僕だってやってやる」

商人「ハハ期待しているよ…欲しい材料は何でも揃えるから言って」

剣士「沢山必要なのが布と金属糸かな」

商人「分かった…明日影武者に気球まで案内させるから楽しみに」

剣士「ワクワクして来た…」
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:56:14.75 ID:pYa2Z27w0
『翌日_気球発着場』


ブモモ〜 ガタゴト


影武者「…この気球だよ」

剣士「え!?これ気球?…なんだこれ…どんぐりみたいな」

影武者「最新の気球は球皮と船体が合わさって居るんだ」

剣士「へぇ?こんなのが飛ぶんだ…もっと大きいのを想像していたよ」

影武者「資材は後でこの馬車でここまで運んで来る…今載せて居る荷物を降ろして」

剣士「女オーク!荷物降ろそう…」ダダ

女オーク「全部?」

剣士「今晩はこの気球の中で寝よう」

女オーク「そういう事ね…」グイ ドサリ

影武者「じゃ後で布と金属糸は持ってくる」ノシ


ブモモ〜 ガタゴト

剣士「ちょっと中見て見よう…おいで」グイ

女オーク「うん…」タッタッタ


--------------


剣士「なーんだ炉が有るだけか…プロペラと連動ねぇ…」

女オーク「只の荷物運搬用なのね」

剣士「そうだね…骨組みも何も無い只の入れ物だね」

女オーク「どんな気球に改造?」

剣士「フフフフ…出来てからのお楽しみに!!炉は要らないから外に出そう」カチャカチャ

女オーク「え!?飛べなくなるんじゃ?」

剣士「いーのいーの!!そっち持って」グイ

女オーク「結構重たい…」グイ

剣士「そのまま外へ…」ヨッコラ


ドッスン!


剣士「プロペラも要らないから外しておいて?出来る?」

女オーク「やってみるわ…」タッタ

剣士「よーし!僕はさっそく骨組み作る…」タッタッタ
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:56:42.78 ID:pYa2Z27w0
『気球大改造』


ギコギコ トンテンカン


剣士「おけおけ!!そのまま支えて置いて?」

女オーク「こう?」

剣士「ちょっと待ってね…」トンテンカン

女オーク「これは帆を張る為の支え?」

剣士「この気球に帆は張らない…大きな羽を付けるんだ」

女オーク「羽で飛ぶ?」

剣士「商人さんの構想ではね滑空翼を付けて落下しながら飛ぶんだ」

女オーク「羽を支える為に丈夫なクジラの骨を使ったのね」

剣士「これから羽の骨組みを作って行く…君は影武者から布を受け取ったら大きく縫い合わせておいて欲しい」

女オーク「針と糸が…」

剣士「有るある!!作業台の上に置いてあるからそれ使って」ギコギコ


トンテンカン トンテンカン

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669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:57:21.82 ID:pYa2Z27w0
『翌日』


ギリギリギリ カチャン


剣士「もうちょっと右側張った方が良いな」

女オーク「うん…」ギリギリ

剣士「おけおけ!!そこそこ…歯止め打つからその位置で固定」トンテンカン

女オーク「もう一回動かしてみるわ?」

剣士「うん!!外から羽の動き見てるから何回か動かしてみて」

女オーク「うん…」ギリギリ


タッタッタ


剣士「良いよーーー!!動かしてーーー!!」

女オーク「…」ギリギリギリ ガチャン

剣士「戻してーーー!!」

女オーク「…」ギリギリギリ ガチャン

剣士「おっけーーーい!!主翼完成!!」

女オーク「次は尾翼ね?」

剣士「こっち来てーーー!!肩車お願い」

女オーク「よいしょ!!」グイ

剣士「尾翼を拾える?」

女オーク「はい…」グイ

剣士「立つよ?そのまま動かないで…」グイ トンテンカン

女オーク「金属糸は居る?」

剣士「欲しい…今ある?」

女オーク「ウフフ…はい」

剣士「おけおけ…もうちょい待ってね」グイグイ ギュギュ

女オーク「金属糸を張るわ」

剣士「うん!!僕反対側行く」ピョン シュタタ

女オーク「これで羽の取り付けは終わりね?」グイグイ ギュ

剣士「あと微調整かな…ちょっとこの重さで上昇出来るか試してみたいなぁ」

女オーク「昨日作った魔晄炉乗せるわ」

剣士「あ…魔石を商人ギルドの部屋に置きっぱなしだ…全部持って来てよ」

女オーク「大事な物を置いてきたのね…持ってくる」タッタ
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:58:09.11 ID:pYa2Z27w0
『飛空艇』


トンテンカン ギリリ ガチャン


剣士「よしよし…尾翼も上手く動く」

女オーク「魔石持って来たわ」タッタッタ

剣士「火の魔石が魔晄炉の中…風の魔石はこっち」

女オーク「動かす?」

剣士「ちょっとだけ上昇してみたい」

女オーク「じゃぁ固定してあるロープ抜くわね?」スルスル

剣士「お試し運転!始動!!」


シュゴーーーー


剣士「僕達2人は重いからちょっと心配…」ドキドキ

女オーク「あ…動いた」フワリ

剣士「おぉ!!早い…元が軽いから重さ十分だ…もう少し乗せられる」


フワフワ


女オーク「風に流されて海の上に…」

剣士「羽開いてみよう…」ギリギリギリ ガチャン

女オーク「風に乗った?」フワリ グググ

剣士「旋回してみる…ワンノッチ分」ギリ ガチャン

女オーク「ゆっくり旋回してる…すごい」

剣士「よし!反対側も」ギリリ ガチャン

女オーク「風上にはどうやって進むの?」

剣士「フフフフ落下させるんだ…見てて」


ビュゥゥゥ バサバサ


女オーク「ウフフ早い…すごく早い!」

剣士「落下と上昇の繰り返しで風上へも真っ直ぐ進める」

女オーク「大成功ね!!」

剣士「後は安定させるための細かい仕掛けを作ったら完成かな…君にも操作出来るよ…やってごらん」

女オーク「うん…これが主翼で…こっちが尾翼ね?」

剣士「簡単でしょ?帆の操作より全然簡単だ」


ビュゥゥゥ バサバサ
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 20:59:26.14 ID:pYa2Z27w0
『翌日』


トンテンカン トンテンカン


女オーク「剣士!!樽に水を汲んできたわ」

剣士「今行く!!」

女オーク「商人さんも様子を見に来たの」

商人「これは…僕の設計図と全然違うじゃ無いか…縦帆は無くても良いのかな?」

剣士「大丈夫!自信ある」

商人「横帆で滑空するのは合ってそうだけど…その羽は折り畳みなんだ?」

剣士「今から樽がいくつ乗るかテストするから商人さんも乗って」

商人「まぁ…さすが女海賊の子という所か…どれどれ」ノソリ

女オーク「水の入った樽は全部で6つよ…」ドスン

剣士「クロスボウとか色々乗せたからちょっと心配だね…乗って乗って!!」

女オーク「ロープ抜く!」スルスル

商人「あぁ…僕もなんだか年甲斐もなくワクワクしてる」

剣士「いくよ?」


シュゴーーーーー


剣士「…」チラ

女オーク「…」

商人「…」ワクワク

機械の犬「…」パタパタ

剣士「う〜ん…やっぱり重いか」フワリ

商人「お?」

剣士「なるほど…今がギリギリなんだ…つまり4人乗るならあと樽2個降ろさないとダメだ」

女オーク「降ろす?」

剣士「1個だけ降ろして…重い状態の挙動が知りたい」

女オーク「分かったわ…」グイ ドスン


フワフワ
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:00:06.33 ID:pYa2Z27w0
商人「ハハハまぁこの4人なら樽4つで十分だよ」

剣士「羽開くよ!!商人さん見ててね?」ギリリ ガチャン


ビュゥゥゥ バサバサ


商人「おぉ…この傾く感じ…女海賊の飛空艇みたいだ」

剣士「あれ?重たくても操作性変わらない…どっちかっていうと安定してる…上昇するスピードだけだな」フムフム

商人「スゴイね…風上に真っ直ぐ進めてる」

剣士「うん!帆付きよりも迂回しないで目的地に行ける…課題は上昇するスピードかな」

商人「アダマンタイトはどうした?」

剣士「もう設置してる…ハイディング!」スゥ

商人「おぉ!!退魔の方陣も済みかい?」

剣士「勿論!!クロスボウだって左右にある…撃っても良いよ」

商人「短所は狭いだけか…完璧だよ」

剣士「寝るのはハンモック吊るしてじゃないとキツイね」

商人「よし!決めた…食料積んだらもう名も無き島へ出発しよう…僕と君達の3人で」

剣士「魔石がどれだけ持つか分からないからウラン結晶を1つ用意して欲しい」

商人「初めからそのつもりさ…降りたら荷物の用意する」

剣士「おっけ!!ほんじゃ降ろすね?」

商人「フフその言い方…昔を思い出すよ」
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:01:22.67 ID:pYa2Z27w0
『気球発着場』


ギリリ ギュ


剣士「そっちも金属糸で張って…」ギリリ ギュ

女オーク「ウフフ金属糸だらけになったわね」ギリリ ギュ

剣士「さっきの飛行で羽のしなり具合が分かったからね…何か有った時の予防さ」

女オーク「これだけ張ってあったら矢の防御にもなりそう」

剣士「そうだね…まぁそうそう矢を当てられるとは思わないけど」


タッタッタ


商人「お待たせ…荷物を持って来た」ハァハァ

剣士「なーんだ…大した荷物じゃ無いじゃない」

商人「イヤイヤ僕は君達と違ってどんぐりは食べない…僕用の肉だよ肉!」

剣士「女オークが結構おいしい物を作ってくれるよ…木の実だけど」

商人「木の実だけでバーベキューはしたくない!肉が主役さ」

剣士「ハハまぁ良いや…行こう!丁度最後の調整も終わった所だし」

商人「君は地図も用意していないだろうと思って持って来たよ…羅針盤もある」

剣士「おぉ!!忘れてた…」

商人「さて…いくらで買う?」

剣士「え…お金無い」

商人「地図が金貨20…羅針盤も金貨20…これで借金帳消し…どう?」

剣士「高すぎる…」

女オーク「ウフフ剣士もう良いじゃない?忘れてたあなたが悪いし…」

剣士「まぁ良っかぁ…気球も貰っちゃったし」チラリ

商人「それは違う!!この気球は僕の物さ」

剣士「この羽は僕の物さ」

商人「…分かった!取引をしようじゃ無いか…この気球は金貨500枚以上する高級品なんだ…簡単には渡さない」

剣士「何?条件は…」

商人「女オークさ…僕は女オークの協力が欲しい…それが条件だよ」

剣士「ちょ…弱い所を…くぅぅ女オークは渡せない」

商人「良い条件だと思うけどなぁ…」

剣士「女オークをどうする気?」

商人「まぁ色々とね」

剣士「ダメだよ…いくら商人さんでも女オークは渡さない…他に条件は?」

女オーク「剣士?商人さんは協力が欲しいって言ってるだけよ?」

剣士「じゃぁこうしよう!!僕と女オークはセットだ…逃げる可能性もある」

商人「面白い…逃げて見てくれ…運命から逃げられるならね」

剣士「運命だって?」

商人「まぁ良いじゃ無いか…これで商談成立だ…早く名もなき島に行こう」

剣士「う…うん…乗って」---なんか---


---うまく誘導されただけだな---

---運命か---

---僕の運命って何だろう?---
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:02:00.85 ID:pYa2Z27w0
『飛空艇』


シュゴーーーーー バサバサ


商人「このまま4時の方向…陸が切れたら南に進路を変える」

剣士「おっけ!!高度上げる」グイ

商人「重力を結構感じるね…その分早いって事か」

剣士「偏西風に乗れれば安定飛行出来る筈」

女オーク「気温が一気に下がったみたい…」

剣士「よし!風に乗れてる」

商人「速度が分からないけど狭間に入って2日程で到着する筈だよ」

剣士「安定したらハイディングする」

商人「この飛空艇は気密性が良いからそれほど寒くないけど壁面が冷たいなぁ」

女オーク「毛皮を積んであるわ…2枚だけだけど」ファサ

剣士「壁面が冷たくなるのは想定して居なかった…」

商人「毛皮あるし大丈夫さ」

剣士「安定飛行に入った…ハイディング!」スゥ

商人「帆が無いとロープの繋ぎ変えが無くてラクそうだね?」

剣士「商人さんにも操作できると思うよ」

商人「…それにしても良く作ったね…女海賊の飛空艇よりシンプルで機能が同じなんて」

剣士「ママの飛空艇は木材で作って居たから大型で色んな物が付いてたね」

商人「見せるときっと喜ぶ」

剣士「見せたいよ…」

商人「あぁ…済まない」

剣士「僕の目…ママの目だよね?」

商人「フフそうだね…見てるのかも知れない」

女オーク「剣士?座って」

剣士「うん…」ストン

商人「君達を見て羨ましいよ…自然に膝の上に座るのがすごく羨ましい」

機械の犬「クゥ〜ン」

商人「あ…僕もか…おいで」

機械の犬「…」トコトコ チョコン

剣士「ホム姉ちゃんの事だね?」

商人「僕は今でもあの時の戦いの続きをして居るんだ…僕のやり方でホムンクルスを助けようとね」

剣士「その機械の犬は全部商人さんが作ったの?」

商人「壊れた機械を集めて作った…ホムンクルスが入れるすごく小さな器」


この機械の犬にホムンクルスが宿った時

僕がやらなきゃいけない事が何なのか思い知ったよ
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:02:28.71 ID:pYa2Z27w0

商人「それからずっと機械の研究と生体の研究をしている…ギルドで稼いだお金をちょろまかしてね?」

剣士「それに協力して欲しいと言う事だよね?」

商人「ズバリそうだよ…ホムンクルスが未来で会わなきゃいけない人まで送り届けるのが僕の使命さ」

剣士「未来で会う?誰?」

商人「さぁね?でもそれまで僕は死ねないな〜なんてね」

剣士「協力って具体的にどうするの?眠ってるウンディーネにホム姉ちゃんを宿らせる?」

商人「う〜ん…それが良いのかどうかは分からない…選択肢の一つでは有るけどね」


実はね…ホムンクルスの在り方は生体の中に居るよりも

今みたいに機械の犬の中の方が本人にとって幸せなのかも知れないとも思ってる

ただ今のままではホムンクルスの寿命があと2年なんだ

この寿命を少しでも伸ばすのがまずやりたい事…だから古代の遺物からどうやって寿命を延ばすか調べてる

手っ取り早いのはウンディーネに外部メモリを挿せば済むかもしれない

でもそれはホムンクルスを失うリスクがあるし

そもそもウンディーネの人格自体を破壊してしまう事でもある


剣士「ウンディーネはどうして眠りについたんだろう?」

商人「分からないよね?それも調べなきゃいけない…だからオークの事情に詳しい女オークに協力して欲しいんだ」

女オーク「私はウンディーネの居る東オークの事は良く知らない」

商人「まぁ良いんだ…君が居たからホムンクルスの生体が他にもある事に気付けた…南の大陸はまだ謎だらけなのさ」

女オーク「西オークにも戻れないから何も出来ないわ?」

商人「気負わないで良いんだよ…少しづつオークの文化を教えてくれればそれで良いさ」



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676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:21:35.38 ID:pYa2Z27w0
『ハテノ村』


フワフワ ドッスン


ハンター「教会が焼けないでまだ残ってる…」

盗賊「こりゃまだ誰か住んでそうだな?」

ハンター「見て…元のハテノ村の方に木がまだ残ってるよ…あっちは湯が沸いてる筈だ」

僧侶「早く教会に行くです」

魔法使い「人が何処にも見当たらないけれど…」

盗賊「お前等3人で教会見て来い…俺は水の確保行って来る…大工と工夫は飛行船で待っててくれ」

ハンター「行って来る!!2人共付いて来て」タッタ

僧侶「待ってくだしゃい」スタタ


--------------

--------------

--------------


『旧ハテノ村』


サラサラ チョロチョロ


盗賊「よっこら!!」ザブン

盗賊「こりゃ良い!!湯が沸いてる…植物もまぁまぁ生えてんな」

盗賊「建物は全部埋まっちまった様だな…こりゃ掘り起こすの大変だ」


ズドドドド ゲヒゲヒ


盗賊「おぉ!!イノシシじゃねぇか…しまった!弓置いて来ちまった」

盗賊「教会から歩いて500メートルって所か…まぁまた今度狩るかぁ…よっこら」

盗賊「灰が積もっちゃいるが他ん所に比べりゃマシな方だ」ヨッコラ ヨッコラ


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677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:22:11.45 ID:pYa2Z27w0
『飛行船』


ワイワイ キャー


盗賊「おいおいおい…この子供たちは教会に居たんか?」

魔法使い「シスターのお婆ちゃんと神父のお爺ちゃんが居たの…子供たちは9人」

盗賊「全員ハーフオークだな?んぁ人間の子も居るか…どうなってんのよ?」

魔法使い「戦争孤児よ…私達と同じ」

盗賊「なるほど…こいつら言葉は話せるか?」

魔法使い「大丈夫…シスターが教えてくれてるらしいわ」

盗賊「そりゃ良い!!教会に住んでんだな?」

魔法使い「うん!私達を歓迎するって」

盗賊「復興の足掛かりが出来て良かったじゃ無ぇか…よし!物資を教会に降ろそう」

魔法使い「そう言うと思った…」

盗賊「ハンターと僧侶は教会に居るんだな?」

魔法使い「うん…」

盗賊「大工と工夫!!荷物運ぶから手伝え!!」

大工「へい!!」

工夫「うい!!」
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:22:49.01 ID:pYa2Z27w0
『教会』


ヨッコラ ドサリ


盗賊「おいハンター!物資運ぶの手伝え」

ハンター「あぁゴメン話し込んでた…今行く」

魔法使い「シスター…薬を持ってきたの…飲んで?」

シスター「済まないねぇ…」ヨヨヨヨ

魔法使い「神父さんも」

神父「ごほっごほっ…はぁぁ助かったわい」ゴクリ

盗賊「老人2人で子供たちの世話は大変だったろう?」

シスター「あの子たちは食事を自分で採るので手が掛からなかったのです」

盗賊「ハーフオークだから食費が掛からんか…弱ってるのは人間だけだな?」

シスター「はい…木の実だけでは栄養が偏ってしまって」

盗賊「食い物の心配はもう要ら無ぇぞ?魔法使い!何か作ってやれ」

魔法使い「うん…」

盗賊「僧侶は適当に麦育てて来い…やれるならクヌギの木も育てろ」

僧侶「はいなー!!任せるです」スタタ

盗賊「しかし…教会も半分埋まっちまってやっぱり住む場所作らんとイカンな」

魔法使い「そうね…」

盗賊「まぁしばらく飛行船に住みながら整えて行くか」

魔法使い「シスター…台所をお借りします」

シスター「自由に使っておくれ」



『夕方』


トンテンカン ギコギコ


ハンター「盗賊さん!イノシシ狩って来たよ」

盗賊「おぉ早いじゃ無ぇか…解体は出来るな?」

ハンター「うん!毛皮は干しておく」

盗賊「ヌハハ言わんでも分かってるか…関心関心」

ハンター「今作ってるのは?」

盗賊「木材加工用の仕掛けだ…人力で動かすが木材をまっすぐに切れる」トンテンカン

ハンター「もう建築準備してるんだ」

盗賊「何作るにしても木材が必要になるからな?」

ハンター「僕も狩りだけじゃダメだな…何しよう?」

盗賊「穴掘りだ…向こうで大工と子供達が穴掘ってるから手伝ってこい」

ハンター「分かった!!」
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:23:23.36 ID:pYa2Z27w0
『夜_教会』


ワイワイ キャァ


魔法使い「オーツ麦のパンとチーズ…干し肉と木の実のスープ…取れたてのどんぐり」

子供達「んまーーーい!!」キャッキャ

シスター「何年振りの肉でしょう…ありがたや…ありがたや」モグ

神父「うまいのぅ」ガツガツ モグ

ハンター「イノシシの肉焼けたよ」

盗賊「おぉ!!俺はそれが食いてぇ…骨付き貰うぜ?」ガブモグ

ハンター「罠を仕掛けて来たから明日は違う肉が食べられるかも」

盗賊「そうだ!!ヘラジカ居ないか?」

ハンター「捕らえる?」

盗賊「うむ…石炭と硫黄の運搬で馬車引かせたい」

ハンター「生け捕りかぁ…難易度高いな」

盗賊「ロープ使って上手い事罠作れ…水場に餌置いときゃその内来る」

ハンター「そうだね…やってみる」

僧侶「ふぃぃ…」ヨロ

盗賊「魔法使い過ぎたか?」

僧侶「はいです…木を育てるのは1日20本が限界でし」

盗賊「疲れた時は酒だ…飲むか?」グビ

僧侶「飲んで寝るです」グビ

盗賊「酒も造らんとすぐ無くなりそうだな…」

魔法使い「あ…醸造なら任せて…ポーションの材料も一緒に作るから」

盗賊「ほう?そりゃ楽しみだ」

魔法使い「醸造用の樽がいくつか欲しいわ」

盗賊「ようし!明日作ってやる」
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:23:54.36 ID:pYa2Z27w0
『翌日』


ワイワイ ワイワイ

樽持ってけぇぇ!!

おい!子供達!!木材切ったらちゃんと積んどけ

炭坑の入り口見つけたって!!

おぉ!!小屋作りに行くぞ


魔法使い「僧侶大丈夫?」

僧侶「張り切り過ぎたです…ふいぃ」ヘター

魔法使い「時空の修行をさぼったから魔力が足りないわね」

僧侶「今日は木を21本育てられたです…少しづつ良くなってましゅ」

魔法使い「私もやろうかな…」

僧侶「水場の近くだと良く育つでし」

魔法使い「うん…やってみるわ」

僧侶「スギの種を拾ってきたので使ってください」パラパラ

魔法使い「わかった…行って来るね」タッタッタ


ワイワイ ワイワイ

水場は罠置いてるから気を付けて

皆!野鳥を掴まえて来たよ…鳥かご作るから手伝って

麦はそこに並べて干しておくんだよ


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681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:24:35.22 ID:pYa2Z27w0
『名も無き島_上空』


シュゴーーーー バサバサ


剣士「気流が安定しない…着陸難しいな」グイ

商人「沖の船がこっちに気付いて近付いて来るね…警戒されちゃってるかな」

剣士「う〜ん…どうしようかな羽畳むと風に流される」

商人「この飛空艇は着陸が難点か…」

剣士「いや…風の問題だよ…女オーク!クロスボウに金属糸付けてどこかの木に当てられる?」

女オーク「やってみるわ…」ゴソゴソ

剣士「もう一回高度下げる…いくよ?3…2…1…撃って」

女オーク「…」バシュン シュルシュル

剣士「羽を畳む!!」ギリリ ガチャン


ガクン


剣士「よし!球皮の熱抜くよ…金属糸手繰り寄せて」グイ

女オーク「…」エッホ エッホ

商人「人が集まって来てる…」

剣士「爺いじ居る?」

商人「見当たらないなぁ…」

剣士「降りるよ」


フワフワ ドッスン
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:25:08.10 ID:pYa2Z27w0
『広場』


ザワザワ ザワザワ

誰?3人降りて来る…

海賊王の娘さんでねぇか?


剣士「爺いじは何処?僕帰って来たよ?」

村人「あんたら何しに来たんじゃ〜?」

剣士「驚かせてゴメン…武器を降ろしてよ」

村人「3人共知らん顔じゃなぁ?この島はよそ者は入れてはイカン事になっとるんじゃ」

剣士「僕だよ!!女海賊の子だよ…ここで生まれた」


ザワザワ ザワザワ

娘さんの子じゃて?

誰か顔を知ってる者は居らんのか?


剣士「これだ!!これを見て」スラーン ピカー

村人「おぉぉ!!それは銀河の剣…皆の衆!!見てミソラシド」

剣士「ミソラシド?アハハ…そうだ!そんな感じだったね」

村人「済まんなぁ?未来君じゃったかのぅ?」

剣士「うん!!大きくなったから分からないかも…」

村人「こりゃエライこっちゃな…海賊王に連絡せんとイカン」

剣士「爺いじは何処に?」

村人「船で出ちょるけ簡単には連絡出来んのや」

剣士「そうか会いたかったなぁ…」

村人「ゆっくりはして行かんのかいな?」

剣士「う〜ん…どうしよう?」

商人「ここの遺跡は細部まで探索したのかい?」

剣士「分からない…部屋は2つだけしか使って居なかった」

商人「2〜3日待ってみようか…その間色々調べてみよう」

剣士「…という事だよ…僕の家には入っても良い?」

村人「そりゃ構わん…わしらは未来君の家を守っちょったんやから」

剣士「僕の家…」

村人「そうや?ここに居ったら何にも心配せんで良いんだで?」


---忘れてた---

---ママは僕を産むためにこの島に来たんだった---

---僕の島だ---


村人「ゆっくりして行きぃや」

剣士「うん…家に帰る」
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:25:51.19 ID:pYa2Z27w0
『古代遺跡』


ダダダ ズデ


剣士「はぁはぁ…照明魔法!」ピカー

剣士「昔のままだ…パパの椅子…ママの使ってたコップ…」


僕のおもちゃ

欲しかった望遠鏡

ママの道具

ママと寝たベッド


剣士「…」クンクン

剣士「匂いがまだある…うぅぅぅ」ポロポロ

女オーク「…」

商人「…」

剣士「分かった…僕もアレからずっと戦ってるんだ…終わってなんか無かった」

剣士「ぅぅぅ…ここにパパが居たんだ」スカ

剣士「ママはこの作業台で…ここに座って」スカ

剣士「僕の時間を奪ったのは…魔王だ」

剣士「魔王が僕のパパとママを奪った」

剣士「ぅぅぅ…空っぽになった」

女オーク「…」

商人「悲しみを抱えたままだった様だね…君は自分の道をもう歩んで居るんだ」

剣士「うん…分かってる」

剣士「パパとママが残したこの世界を未来に繋ぐ…それが僕の役目」

剣士「だから…やらなきゃいけない事がハッキリした」

商人「え?」

剣士「アダムを倒す…僕はアダムを倒す為に居る」

機械の犬「ワン!」


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684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:26:29.89 ID:pYa2Z27w0
『団らん』


メラメラ パチ


女オーク「食事出来たわ?」

商人「お?肉スープか…僕も頂く」

女オーク「どうぞ…」

剣士「その食器は全部ママの手作りだよ…銀鉱石一緒に掘らされたんだ」

商人「鉱石からここまで仕上げてるのか…スゴイな」

剣士「椅子もテーブルもベッドも何もかも全部…ママが作った」

女オーク「剣士の宝物ね?」

剣士「うん…ママが残した物がこんなに沢山有るのを忘れてたよ」

女オーク「肉スープ居らない?」

剣士「僕は肉好きじゃないのにママは肉ばっかり…思い出しながら頂く」ズズズ

商人「美味しいよ」

剣士「目を閉じると昔の雰囲気そのままだ…あれ?」

商人「ん?」

剣士「耳を澄ませると音がおかしい」タッタ

女オーク「何かある?」タッタ

剣士「本棚…この奥に何か有る」

商人「もしかして隠し部屋!」

剣士「どうやって動かすんだろう…」

商人「見せて…」タッタッタ

剣士「分かる?」

商人「本の裏に何か仕掛け無いかい?」

剣士「…」ゴソゴソ

剣士「あ!!ハンドルがある」ガチャリ ギー

商人「ハハ通路を隠して居たか」

剣士「知らなかった…何があるんだろう…照明魔法!」ピカー

商人「もう一段下の層があるんだね…行ってみよう」
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:27:50.01 ID:pYa2Z27w0
『下の階』


商人「キ・カイの扉だ…ここの中にホムンクルスが居たんだ」

剣士「照明魔法!」ピカー

商人「うわ…ガラス容器!生体の部品だ…」

剣士「こんな部屋が有ったんだ…スゴイ何か色々ある」

女オーク「横たわっている石造…ウンディーネだわ」

商人「まだ奥に部屋が有るじゃ無いか」

機械の犬「ワン!ワン!ワン!」

商人「ん?ガラス容器?何か見つけた?」

商人「あああああ!!超高度AIユニットが沈んでる…そうかこれは全部ホムンクルスの部品だ」

剣士「すごーーい!!奥の部屋に宝が一杯だ!!」

商人「何がある?」

剣士「商人さんの部屋にあった石板だよ…一通り揃ってる…これ分解出来るよ」

商人「ちょっと待って…エネルギーの入れ物はどこだ?」キョロ

剣士「ランタンみたいな奴?」

商人「そう…あった!!これだ…ウラン結晶も入ってる…動くぞ?」

剣士「ワクワクする」

商人「ラヴ!!これどうやって起動させる?」

機械の犬「クゥ〜ン」

商人「分からないか…調べよう」カチャカチャ

剣士「スゴイなぁコレ…この機械全部繋がってるよね」

商人「剣士くん!しばらくこの島に滞在する事になりそうだ」

剣士「商人さんはここで研究?」

商人「超高度AIユニットが有ったんだ…目的の一つは達成した…寿命の問題は解決だよ」

商人「次にこの機械が動けばもっと色々な事が分かる可能性がある…しばらく調査したい」

剣士「分解はその後ね?」

商人「ハッキリ言う…分解は僕の部屋にある奴でやって…この部屋の機械の分解は待って欲しい」

剣士「ハハそうだよね…完全な形の機械だもんね」

商人「こんなに収穫が在るとは思わなかった…この場所を守ってた女海賊はやっぱり天才だよ」

剣士「ごゆっくり…僕は上でゆっくりしておくから」

商人「うん…ありがとう」カチャカチャ
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:28:38.59 ID:pYa2Z27w0
【小舟のある入り江】


ザザー ザザー


剣士「…」カチャカチャ

女オーク「見える?」

剣士「うん…今日は更待月だ…見てごらん?」スッ

女オーク「月の模様がしっかり見えてる」

剣士「多分月に隕石が落ちた跡だよ」

女オーク「あそこにあなたのお母さんが居ると思う?」

剣士「隕石とか大好きだから」

女オーク「月には住めるかしら?」

剣士「この星と同じなら住めるかもね…でも見た感じ全部岩塩かなハハ」

女オーク「岩塩の塊?」

剣士「月も色が変わるよね…きっと岩塩さ」

女オーク「月はいつも同じ模様…」

剣士「お!?それだよそれ!!僕なら裏側に何があるのか確かめたい」

女オーク「あなたのお母さんもきっと同じね」

剣士「うん!!探すなら裏側だ…ママならきっとそこに行く」

女オーク「なんか不思議…月を見てると心が静まる」

剣士「岩塩にもそんな効果が有るんだ…よしレンズ変えてもう少し倍率を」カチャカチャ

女オーク「十分見えているのに…」

剣士「もしかしたら遺跡が有るかもしれない」ジー

女オーク「ウフフ…」

剣士「ビッグママも良く月を見ていたんだよ…探し物してるみたいにね」

女オーク「もうその呼び方やめたら?」

剣士「名前で呼ぶのが恥ずかしくってさ…アレ?」

女オーク「うん?」

剣士「どうして隕石の跡が魔方陣になっているんだ?」

女オーク「え?そうだったの?」

剣士「右側の暗い所が見えないから全部確認できない…あぁでも違うか歯抜けが有るな…偶然か」

女オーク「魔方陣にはどんな効果が?」

剣士「光の方陣だったとすると退魔かな?」
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:29:37.26 ID:pYa2Z27w0
『翌日』


カーン カンカン 


剣士「熱つつつ…」ジュゥ

鍛冶屋「なんや珍しい物作っとるんやなぁ?」ジロジロ

剣士「コバルトとミスリルの合わせ加工さ…刃の部分を全部ミスリルにしようと思ってね」カンカン

鍛冶屋「ミスリル銀を溶かしちょるんか…硫黄が無いけ爆ぜるで気ぃ付けぇ」

剣士「うん!もう後は研いで終わりだよ」

鍛冶屋「見せてみぃ…ほ〜うこりゃ波紋が楽しみやのぅ」

剣士「フフフ見て分かる?」

鍛冶屋「しかしなんちゅう重い剣やろう」ズッシリ

剣士「女オーク!!振ってみて」ポイ

女オーク「フンッ!!」ブン ブン

剣士「重さはどう?」

女オーク「丁度良いわ」ブン ブン ズダッ

剣士「よし…研いであげる…貸して」シャコシャコ



『古代遺跡深部』


ガサゴソ


商人「はっ…剣士君丁度良い所に来た」

剣士「どう?何か分かった?」

商人「結論を言うと鍵開けが必要になる…どうも起動させる為には特殊な鍵が必要な様なんだ」

剣士「鍵…見てないなぁ」

商人「女海賊もちゃんと調査した様だよ…でも動かせられなかった…考えてる事は一緒さ」

剣士「一緒?」

商人「ここに生体の部品があるだろう?これを組み立ててホムンクルスを作る…その為の機械だよ」

剣士「だから大事に隠してあった?」

商人「そういう事だろうね…ちょっと予定を変更してハテノ村へ行って盗賊を連れて来たいんだ」

剣士「ハテノ村かぁ…僕の友達はみんなそこに行ってるんだよね」

商人「そうさ?ちょっと顔を出しに行かないか?」

剣士「爺いじが帰って来るかもしれないからなぁ…」

商人「海賊王は船で出て居るから連絡が付くのは時間が掛かる…今日明日に戻っては来ないよ」

剣士「それもそうだね?僕も退屈になってきた所だったw」

商人「この島は平和過ぎるね」

剣士「よっし!いっちょハテノ村までひとっ飛び!行こう」
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:30:12.07 ID:pYa2Z27w0
『飛空艇』


フワフワ


村人「もう行ってしまうんかいな?昨夜伝達を飛ばした所なんよ…」

剣士「2〜3日でまた帰って来るよ…ちょっとハテノ村まで行って来る」

村人「ほうか?ならええ」

剣士「家には誰も近づけない様にお願い」

村人「わかっとる…誰も悪させんで安心せいや?」

剣士「…じゃ行こう!!ロープ抜いて」

女オーク「うん…」スルスル

剣士「主翼展開!」ギリリ ガチャン


シュゴーーーー バサバサ


商人「一気に風に乗った…なかなか運転が荒い」タラリ

剣士「西の方角だよね?」

商人「南西かな」

剣士「おっけ!!」グイ

商人「狭間に入って1日は掛らない筈だよ」


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689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:31:01.20 ID:pYa2Z27w0
『ハテノ村上空』


シュゴーーーー バサバサ


商人「見つけた!!アレだ…あそこの森になって居る所だ」

剣士「アハ分かりやすい…川沿いに木が植えられてる」

商人「結構整理が進んでいるなぁ…」

剣士「こっちに気付いて武器を構えだした…どうしよう?」

商人「どうしようって…このまま着陸するしか無いよね」

剣士「そうだ!ハイディングを見せよう…きっと分かって貰える」

商人「良いね!」

剣士「ハイディング!」スゥ

剣士「リリース!」スゥ

商人「ハハハ驚いてる」

剣士「着陸する…」グイ


フワフワ ドッスン
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:31:40.49 ID:pYa2Z27w0
『ハテノ村』


ギャーギャー  ダダダ


盗賊「おお!!誰かと思ったぜ…お前未来だな?そうだよな?」

商人「驚かせてしまったね…」

盗賊「商人!どういう事よ?説明しろや」

商人「まぁ色々ね…」

盗賊「これ飛空艇だよな?なんで帆が付いて無ぇんだ?」

剣士「帆無しで設計したんだよ」

盗賊「おぉぉぉ未来!こっちコイ!!…久しぶりだな!」ガシガシ

盗賊「なんで商人ん所居んのよ?…しかし良い体になったなぁ」グイグイ

剣士「ハハ宛ての無い旅で商人さんに拾われた感じさ」

盗賊「こっちの女は誰だ?」

剣士「名は女オーク…両手剣の戦士だよ」

盗賊「ほーう!!良い体付きしてる…まぁ立ち話もなんだから俺らの飛行船に入れ」

剣士「う…うん」

盗賊「家みたいなもんだ…座ってくつろげるぞ?」

商人「まぁちょっと情報交換しようか」

剣士「ねぇ盗賊さんと一緒に僕の友達3人居るよね?何処?」

盗賊「なぬ!?お前等知り合いなんか?」

剣士「あれ?何も知らない?」

盗賊「何も聞いて無ぇぞ?」

剣士「あぁぁぁそうか!秘密を守ってくれていたのか…」

盗賊「何か知らんが…ハンターは狩りに出てる…魔法使いと僧侶は森で薬草集めてんな…直に帰って来るぞ」

剣士「そうか…じゃぁちょっと待たせてもらおうかな」
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:32:33.61 ID:pYa2Z27w0
『飛行船』


ジュージュー


盗賊「良い肉があんだ…焼くから待ってろ」

剣士「僕は肉はちょっと…」

女オーク「私も肉は…」

盗賊「うるせぇ食え!山賊焼きだ!世界で一番美味めぇ」

商人「こっちの飛行船の方が広くて落ち着くね…デッキもあるし寝床もしっかりしてる」

盗賊「遅いのが難点よ…ただ15人も乗れるからデッキからのクロスボウの撃ち下ろしは火力高けぇぞ?」

商人「何と戦うつもりなんだい?」

盗賊「ヌハハそんな敵居ねぇか…肉焼けたぞ?酒もあるぞ?」

剣士「盗賊さんは昔と全然変わって無いね」

盗賊「ちっと髭の白髪が目立つ様にはなったな?しかしお前はあん時の剣士にそっくりになった」

剣士「剣技はパパ程じゃないよ」

盗賊「魔術師になったんだろう?魔女の修行はどうよ?」

剣士「魔女はあまり押し付けて来ないんだ…自由に学ばせて貰った」

商人「盗賊…剣士君は魔女と全然違うタイプの魔術師になって居るよ…蟲使いさ」

盗賊「虫?クモとかワームとかそういう奴か?」

剣士「どんな虫でも使役出来るよ」

盗賊「ほーそりゃスゴイんか?俺にゃ良く分からん」

商人「スゴイと思う…神の領域さ…どんな病気も治せて…大きなワームを自由に操る」

盗賊「そういや女海賊も最強のミツバチとか育ててたな?」

剣士「ママは魔力が無かったけど蟲使いの素質は有ったみたいだ…自然と蟲を使ってたね」

商人「剣士君…盗賊にも例の虫で癒してあげたらどうだい?腹の中に入ってる鉛が痛むと良く言っている」

盗賊「まぁ古傷だ…ちっと痛むが俺の戒めなんだ」

剣士「任せて…線虫!」ザワザワ ニョロ

盗賊「うぉ!!体ん中に入って…うげ」

剣士「大丈夫!害は無いから…毒を食べ終わったら自然と排出されるよ」

盗賊「鉛は毒なんか?」

剣士「体には良くない…炎症した部分が痛むんだと思う」


ダダダ ドタドタ

692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:33:07.40 ID:pYa2Z27w0

魔法使い「剣士!!あぁぁ無事で良かった…」ヘタリ

僧侶「はぁはぁ…どういう事でしかコリは…」

剣士「君達の無事は商人さんに聞かされて居たよ…随分活躍している事もね」

魔法使い「そうだ剣士に渡さなきゃいけない物が…」タッタッタ

剣士「ん?何だろう?」

魔法使い「あなたの鞄を預かっていたの…これ!」ドサ

剣士「あああ!!これは僕のミスリルナイフ…」

魔法使い「大事にしてたの知ってたから…」

剣士「ありがとう…フフ種もあるじゃ無いか」

僧侶「何の種だか分からなかったので使って居ないです」

剣士「南の大陸には無い物ばかりだよ…少し育ててみようか」

盗賊「おぉ?麦以外に収穫出来るならありがてぇ」

剣士「ちょっと植えて来るよ」スタ



-----------------



商人「…ところで硫黄の採掘は上手く行きそうなのかい?」

盗賊「炭鉱は無傷で残っててな…しかもハーフオークの子供達が大人張りに動けるもんで順調だ」

商人「それは収入の安定が見込めそうだね」

盗賊「建築にちっと人出が欲しいのだが急いでも仕方が無いからゆっくりやるだな」

商人「人出ねぇ…ギルドで募集を掛けて見ようか?」

盗賊「金が払えそうに無い…金でも採掘出来りゃ話は変わるんだが…」

商人「ふむ…移住できる人の募集になるか」

盗賊「そりゃ歓迎だ」

商人「実はね…セントラルで難民が溢れているんだ」

盗賊「又えらい遠くから人集めだな」

商人「商船に乗る運賃を下げれば少しづつ流れて来ると思う」

盗賊「まぁ気長に待つわ」

商人「それからここに在る古代遺跡…どうなって居る?」

盗賊「入り口が灰で埋まってる…多分2メートルぐらいだが掘るにしても人出がな」

商人「案内出来るかい?ここに来た目的の一つなんだよ」

盗賊「分かった…付いて来い」
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 21:33:49.02 ID:pYa2Z27w0
『川辺』


ザワザワ シュルリ


剣士「よし!これだけ植えれば良いか」

僧侶「実は収穫して良いですか?」

剣士「食べる分だけね…他の鳥や動物たちにも残してあげて」

魔法使い「果物があると皆喜ぶ…」

剣士「種は残すようにね」


スタスタ


盗賊「おぉ!ここに植えたか…」

剣士「盗賊さん…何処へ?」

盗賊「古代遺跡だ…灰で埋まってるんだがお前も行くか?」

剣士「行って見ようかな…まだ何か残ってるかもしれない」

盗賊「いや埋まっちまってんのよ…正確な場所も良く分からん」

剣士「今から掘りに行く?」

盗賊「待て待て…宛ての無い穴掘りは相当労力使うんだ…今から掘る前に色々やる事がある」

剣士「穴掘りはワームにやらせれば良い」

盗賊「マジか…整地を虫にやらせられるのはメチャクチャ助かる」

剣士「簡単だよ…一緒に付いて行く」

盗賊「おぉ来い来い!!」
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