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勇者「魔王は一体どこにいる?」続編のつづき
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2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/16(月) 19:45:46.79 ID:rERPfN1V0
長い長くない以前に立て逃げとか最低
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/18(水) 00:03:02.78 ID:JWnAWCKm0
『宿屋』
”やはりお前が持って帰って来た宝石の中に例の壺は無い様だ”
”お姉ぇはこれからどうすんの?”
”キ・カイに難民が押し寄せていてな…少し様子を見ようと思う”
”未来は元気にしてる?”
”フフ次に会ったときは見違えるぞ?”
”うん!楽しみにしてる”
”では…何か在ったら又連絡をする”
商人「壺は見つからないかぁ…」
女海賊「これ歴史の塗り替えで奪い返された可能性があるね…」
商人「そうだね…とすると行先は黒の同胞団だ」
女海賊「ハイエルフが関わってるって言うけどさぁ…どう思う?」
商人「城に行ってる魔女と情報屋がどんな情報を持って帰って来るかだよね」
盗賊「よう!戻って来たぜ?」
商人「どう?狩りの調子は」
盗賊「剣士と2人で弓じゃさすがにきついが練習にはなってるな」
商人「イエティの数が増えて来てるって聞いたよ」
盗賊「うむ…ちと数減らさんと危なくて外に出られん」
剣士「女海賊?もう少し弓の調整がしたいんだ」
女海賊「ん?どうすんの?」
盗賊「刀の持ち替えで邪魔になるんだとよ…もっと小さく硬い弓が良いらしい」
女海賊「おっけ!!ショートボウのサイズね?今より硬くても良い?」
剣士「うん」
女海賊「もう弦を金属にしないと耐えらんないから金属糸寄っといて」
盗賊「うは…強化クロスボウみたいなのを手で引くんか…化け物だな」
------------------
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/18(水) 00:03:41.65 ID:JWnAWCKm0
女海賊「ほい!出来たよ…ホルダーは腰に引っかけるタイプ…付けて見て」
剣士「こう?」ゴソゴソ
盗賊「弓を背負うより良さそうだな…もっかい狩りに行くか!」
女海賊「いってら〜怪我しないようにね」ノシ
ホムンクルス「…」ニコニコ
女海賊「ホムちゃん機嫌が良さそうだね?」
ホムンクルス「はい…」
女海賊「何かあった?」
ホムンクルス「剣士さんに頂いた記憶で脳内ドーパミンが放出されています」
商人「あぁ…そういえばどんな記憶だったのか詳しく聞いて居ないね」
ホムンクルス「商人が私を最後まで生かそうとした記憶です」
女海賊「へぇ…教えて?」
ホムンクルス「生体を大きく損傷した私にご自身の血液を輸血して約5分間生存が伸びました」
商人「ハハ5分か」
ホムンクルス「そのお陰で剣士さんへ外部メモリをお渡しする事で出来たのです」
私は商人に逃げて下さいとお伝えしましたが
最後まで諦めずご自身の命と引き換えに私に5分間の命を下さいました
これは私が理解できなかった人間の愛なのです
商人は最後に「僕を忘れないで」とおっしゃいました
そしてこうして外部メモリが剣士さんの手によって紡がれて
私の記憶の中に残って居ます
商人の下さった5分間の命でこの愛の記憶は紡がれました
商人「なんか照れくさいなぁ…」
女海賊「へぇ…あんた達愛し合ってんの?」
ホムンクルス「はい…わたしは愛を理解しました」
商人「君は愛は永遠じゃないって言ってたけど…」
ホムンクルス「訂正します…生体の欲求は直に尽きますが愛の記憶は永遠です」
女海賊「ちょ…生体の欲求って…あんた達ヤッてんの?」
商人「ハハ…」
女海賊「ハハじゃ無ぇ!!どういう事さ!!」
商人「まぁ良いじゃないか」
ホムンクルス「私はこの愛の記憶で商人を心から信じる事が出来ます」
女海賊「心…」
ホムンクルス「はい…超高度AIの思考以外に私には心が有ると確信しました…生体が反応しています」
女海賊「おぉぉぉ!!ホムちゃん人間になったね?」
ホムンクルス「言い直します…私は皆さんの住まう環境を良くするための人間です…ロボットではありません」
商人「そうだよ!それで良い!!」
ホムンクルス「ウフフ」ニコ
----------------
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/18(水) 00:07:28.18 ID:JWnAWCKm0
女海賊「ふ〜ん…あんたのこの細っそい体がホムちゃんの5分の命か」
商人「5分でも良いじゃない役に立ったみたいだし」
ホムンクルス「もう一つ次元の繋がりについて発見があります…この発見は今までの私のシミュレーションを覆す可能性があります」
商人「どういう事?」
ホムンクルス「過去の精霊は魔王と戦うために受動的ではなく能動的に戦っていた可能性があります」
商人「ちょ…それじゃ分かんないな…詳しく話して」
精霊は過去の記憶の改ざんを勇者を通じて何度も行っていた可能性です
アドミニストレータ権限を付与された者が勇者でしたら記憶の改ざんが可能と言えます
勇者に少しづつ変化を加え記憶の中でシミュレーションを実施し
現実の次元と入れ替えるという手法を行っていたと仮定すると
女海賊さんの様にドワーフの血を持つ勇者が誕生したのは
精霊が導いた結果と言い換える事ができます
商人「歴史の塗り替えを精霊がやっていたと…」
ホムンクルス「思い返してみてください…ドワーフの血を持つ女海賊さんが少しづつ魔王の影を退けて居ますね?」
商人「そういえばそうだね…」
ホムンクルス「魔王化ウイルスの抗体はすでにこの世界で効果が出て居るのです」
女海賊「ウイルスって…そういう意味?」
商人「精霊の記憶を侵しているウイルス…それを退治するのがドワーフの血を持つ勇者」
女海賊「ちょ…私が精霊の記憶に入って行くって事?」
ホムンクルス「これは可能性のお話です…次元の繋がりを加味するとそのような戦い方も考えられるというお話です」
商人「ちょっと待てちょっと待って…考え直したい…」
---勇者は必ず精霊に導かれてる---
---そうかそれは権限を付与されてるのか---
---じゃぁ今の剣士は誰に権限を付与されたんだ?---
---どうやって?生まれ付いた訳じゃ無いのか?---
女海賊「ホムちゃん私難しい話分かんないからさぁ…一緒に水浴び行かない?」
ホムンクルス「はい…よろこんで」ニコ
女海賊「ちょっとホムちゃんの体チェックする」
ホムンクルス「はい…」
-----------------
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/18(水) 00:07:54.60 ID:JWnAWCKm0
商人「あーでもない…こうでもない…」ブツブツ
魔女「主は壁に向かって何の念仏を唱えて居るのじゃ?わらわが帰って来たのじゃが無視か?」
情報屋「商人?みんなは何処?」トントン
商人「うわ!!びっくりした…」
魔女「びっくりはこちらの台詞じゃ…他の者は何処じゃ?」
商人「あぁ…何処だっけな」
魔女「ヤレヤレ…もう良い!折角お土産にオリハルコン原石を持ってきたのじゃがな」ドスン
商人「すごいじゃない!女海賊がよろこ…」
女海賊「あ!!魔女帰って来た!!どうだった?」
魔女「主にオリハルコン原石の土産じゃ…好きに使って良いぞ」
女海賊「ええええええ!?マジ?うわ!!でか!!」
情報屋「古代遺跡の奥に採掘場が有るらしいわ」
女海賊「マジマジ?ちょ…パパ連れて来て良い?」
魔女「ほう?そりゃ良いのぅ…母上に言うておくでいつでも来い」
商人「オリハルコンとミスリル銀の交易が始まるね」
魔女「剣士らは又狩りに行っとるんか?」
女海賊「うん!弓の訓練だってさ…盗賊と二人でイエティ狩りだよ」
魔女「むぅ剣士が居らぬではちと話せぬのぅ」
情報屋「酒場にでも行きましょうか…どうせ盗賊なら酒場にくるわ?」
魔女「そうじゃな…ちと食事じゃな」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/18(水) 00:08:24.22 ID:JWnAWCKm0
『ルイーダの酒場』
ドゥルルルン♪
ワイワイ ガヤガヤ
イエティを乱獲してる2人組が居てよぉ…
あの緑の髪の子可愛くない?
エルフの女3人組が豚追いかけまわしてんだよ
黒い騎士がエルフと話してるの見たんだってよ
ワイワイ ガヤガヤ
魔女「相変わらずじゃな此処は」
情報屋「あのリュートのお陰で悪い人は居なさそうよ?」
魔女「うむ…良い事じゃ」
女海賊「ホムちゃんこっちこっち…」
情報屋「あら?髪型変えたのね…口紅も?」
女海賊「私がイメチェンしたんだ!可愛いっしょ?」
盗賊「お!居た居た…やっぱここか」
女海賊「それこっちの台詞…やっぱ来たね」
盗賊「ヌハハ…見ろ!今日の収穫だ」ジャラリ ドスン
情報屋「袋一杯の銀貨?すごいわね」
盗賊「金貨も入ってんぞ…今日はじゃんじゃん食え!俺のおごりだ」
女海賊「どうせ剣士がほとんど狩ったんでしょ?だったら私の物だよ」
盗賊「何言ってんだ!俺はしっかり皮剥いだぞ…なぁ?剣士!!」
剣士「ハハそうだね」
女海賊「新しい弓どうだった?」
剣士「うん!すごく良いよ!気に入った」
女海賊「おっし!ほんじゃちょっと装飾したげる…貸して」
----------------
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/18(水) 00:09:11.18 ID:JWnAWCKm0
魔女「…それでじゃ…父上の書斎から出て来た手記に寄るとのぅ勇者の出生に関わって居った様なのじゃ」
30年も前の記録なのじゃが
シン・リーンの祭事で精霊の魂を呼び覚ますのに各国の代表やハイエルフそして時の王まで参列して居ったのじゃ
その中で父上はハイエルフと約束事を交わして居る
ハイエルフは精霊樹の魂が無うなって存続の危機にあったのじゃが
それよりも心配して居ったのが精霊樹によって導かれる勇者が居らんくなる事だった様じゃ
どうやらハイエルフは精霊から勇者の導き方を聞いて居ったんじゃな
エルフの森の御所にある精霊のオーブ
この記憶の中に古代の管理者が記録されておって
その魂を複製して勇者に与えて居ったらしい
これが途絶える事で勇者が生まれんくなるのをハイエルフは危惧しておったのじゃ
じゃからハイエルフは魔術院長より時空の魔術を学び
精霊のオーブに記録されて居る古代の管理者の魂を量子転移したのじゃ
その魂はハイエルフの子宮に宿り…生まれたのが剣士じゃ
剣士「…マザーエルフ」
魔女「うむ…その者こそ父上と約束を交わした者じゃな」
女海賊「今の話からすると魔女の父上は悪い人じゃ無いね」
魔女「そうじゃ…昔はやさしい父だったのじゃ」
女海賊「じゃなんで黒の同胞団になってんのさ」
魔女「これじゃな…」スッ
女海賊「幻惑の杖…」
魔女「当時この杖を持って居ったのは時の王じゃ…杖を使って命じたのじゃろう…精霊の目的を果たせとな」
女海賊「それ時の王が間違った解釈してる目的じゃん」
魔女「悪い者なぞ始めから居らんのじゃ…歯車が噛み合って居らん…その結果が今じゃ」
商人「なるほど…噛み合わない結果争いが生じて憎悪を生んで行った訳だ…そして魔王を膨らませる」
魔女「父上の目を覚まさせなければならぬ…幻惑されて今もなお眠って居る」
盗賊「前に女海賊を幻惑させた時はくすぐったら目を覚ましたな?」
女海賊「なぬ?あんた私に杖使ったの?」
盗賊「ヌハハ覚えて無いか!死ぬほどくすぐったら正気に戻った」
魔女「盗賊や…主の言う事は真やもしれぬ…杖の幻惑を目覚めさせる方法はわらわでは分からん」
盗賊「俺のスリ技術なら脇の下なんざ楽勝だぜ?」
女海賊「あんたマジで言ってんの?」
盗賊「冗談に決まってんだろアホが」
----------------
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/18(水) 00:09:46.88 ID:JWnAWCKm0
ドゥルルルン♪
吟遊詩人「我らは求め歌う♪救世の英雄を〜♪メデューサに挑む猛き勇者を〜♪」
女海賊「剣士?あんたさぁ…さっきマザーエルフって言ったじゃん?」
剣士「うん…」
女海賊「もしかして記憶戻ってる?」
剣士「うん…」
女海賊「いつから?何で言ってくんないのさ」
剣士「君はもう分かってると思ってたよ」
女海賊「あ…そっか…だから愛してくれたんだ」
剣士「体を重ねると分かるよね…魂が繋がる」
女海賊「私鈍感だからさ…ちゃんと言われないと自信無いんだよね」
剣士「信頼してるよ…君とはずっと一緒だよ」
女海賊「ムフ…なんで急にそんな事言うの?」
剣士「僕の目を見て?」
女海賊「んん?青い目」
剣士「君も目が青い」
女海賊「だから何?」
剣士「この意味わかる?」
女海賊「何よ…ちゃんと言ってよ」
剣士「運命が一緒なんだよ…何処に行っても一緒」
女海賊「ムフフもっと言って」
剣士「勇者としての運命が一緒…どこにでも2人で行く」
女海賊「ムフフフフフ」
剣士「分かった?」
女海賊「そう言われると何も怖くないね」
剣士「僕はね…自分が何者なのかやっと分かったよ」
女海賊「勇者?」
剣士「そう…僕たち二人は勇者なんだ…精霊が最後に導いた勇者」
女海賊「最後に…」
---思い出した---
---シン・リーン古代遺跡の壁画---
---上から順に連なって読めるけど---
---下から逆にも読み取れる---
---最後の勇者はすべてを救う---
---それを今からやるんだ---
-----------------
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/18(水) 00:10:17.03 ID:JWnAWCKm0
盗賊「お前等いつまで見つめ合ってんだ?気持ち悪りぃな…おら剣士!お前も飲め!!」
女海賊「うっさいな爺ぃ!!折角の良い気分が台無しじゃん!!」
魔女「これこれ邪魔をしてはイカンぞ盗賊…」
情報屋「盗賊は相手してもらえる人が居なくて暇なのよ…」
”聞こえるか…”
魔女「ん?女海賊や…貝殻から声がしておるぞ?」
女海賊「え?あぁ…荷物入れに…」アセアセ
”聞こえたら返事をするのだ”
”アサシン?”
”あぁ通じたな”
”どう?そっちの調子は?”
”セントラルの軍船が寄港して来だして状況が変わったのだ…これ以上貧民街に留まるのは無理だ”
”どうなっちゃってんの?”
セントラル城の陥落後に貴族院が王権に反発をしていてな
貴族院による主権国家の維持を要求しているのだ
寄港してきている軍船は貴族院側に属している
数的に不利な状況になってしまったから
衝突を避ける為にセントラル国王を一時的にフィン・イッシュへ亡命させざるを得ない状況なのだ
”一旦フィン・イッシュに戻るって事?”
”そうだ…王権派を一部貧民街に残して大多数はフィン・イッシュに戻る”
”おけおけ状況分かったよ”
”事態はそれだけでは無いのだ”
貴族院にはフィン・イッシュが王権復興を扇動している様に見えていてな
既に武力衝突が起きて居るのだ
シャ・バクダのオアシス領がセントラルに占領された
特殊生物兵器部隊が率いる魔物達によってな
魔女「キマイラを動員して居るのか…」
”フィン・イッシュは軍をほとんど持って居ない…王都に進軍されれば直ぐに陥落する”
”私らに応援に来てほしいって事ね”
”そうだ…急で済まないが王都が危ない”
”おっけ!キマイラ相手なら任せて”
”頼む…又連絡する”
------------------
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/18(水) 00:10:48.99 ID:JWnAWCKm0
魔女「嫌な話じゃのぅ…元老院の次はセントラルの貴族院の解体か…」
商人「次は軍を沢山持って居るのが厄介だ」
盗賊「砂漠は今雪原になってんだろ?そんな所を行軍するとは思えんが?」
商人「軍じゃなくてキマイラなら可能なのかもね」
盗賊「…あぁそういう事か」
商人「もともとシャ・バクダにはそんなに沢山軍は駐留して居なかった」
魔女「サキュバスの様な飛行型のキマイラなら楽に行軍出来るのぅ」
女海賊「ええ!?あんなのが一杯来たらどうにもなんないじゃん」
魔女「歌じゃな…キマイラを使役して使えばよい」
女海賊「おぉ!!魔女賢い!!」
商人「なるほど…使役して貴族を始末しろと命令しても良い」
女海賊「それだと無関係な貴族にも被害出ちゃうよね?」
商人「無関係な貴族はセントラルに残ってると思うんだよね…わざわざ雪原超えてシャ・バクダに行くのは悪い貴族だよ」
女海賊「なんか引っかかるけど…まぁそっか」
商人「良い貴族がまだ残って居るとして主権国家の維持を要求するのは悪い事じゃ無いと思うんだ」
魔女「そうじゃな…内政がきちんとして居らんのじゃったら出来る者にやらせた方が良いのぅ」
商人「今のセントラル国王が軍属だったから反発してるんだよね…きちんと話した方が良いんだよ」
魔女「ここでも歯車が噛み合って居らんのじゃな」
商人「こういうのを収めるのが魔王と戦うって事さ」
魔女「商人の言う通りじゃ」
女海賊「ふ〜んあんた割とマシな事言うね…おっけ!従ったげる」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/18(水) 00:11:18.59 ID:JWnAWCKm0
『宿屋』
女海賊「…やると決めたら即行動!!早く荷物まとめて準備して」
情報屋「魔女は女王様に挨拶して行かなくて良いの?」
魔女「母上には貝殻を渡してあるで構わぬ…それより主は古文書の写本だけで良かったのか?」
情報屋「本当はもう少し調査したかったけれど古文書もまだ解読されて無いししばらくは解読の努力ね」
商人「新しい古文書?」
情報屋「そう…1700年前より以前の記録だと思うの…使われている文字も違うのよ」
商人「へぇ…それスゴイ発見じゃない」
情報屋「解読出来ればドリアード伝説とかいろいろ分かるかも知れない」
女海賊「あのさぁ…早く荷物まとめてって言ってんの分かってる?」
盗賊「外にソリ出してっから荷物載せろぉ!!」
魔女「では行くとするかのぅ」ノソリ
女海賊「ハイハイ早く行った行った!!」
情報屋「ウフフ夜逃げみたい」
女海賊「ホムちゃん私から離れないでね…行くよ」
ホムンクルス「はい…」
-----------------
-----------------
-----------------
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/02/14(日) 23:53:51.16 ID:+liz/stv0
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14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/03/11(木) 19:00:18.41 ID:BHJWdb3D0
『古都キ・カイ近郊』
ノソノソ ノソノソ
女戦士「…このヤクと言う牛はもう少し早く走れんのか」
ローグ「そら無理ってもんす…歩かないで済んだだけ良かったと思って下せぇ」
女戦士「未来!しっかり付いて来いよ」
子供「うん!」
ローグ「未来くんもうヤクに乗るのは慣れたでやんすか?」
子供「大丈夫!一人で出来るよ」
女戦士「しかし…何処を見ても火山灰と雪で植物は死滅だな」
ローグ「そーっすね…地獄の様でやんす…かしらももう真っ黒でやんすねぇ」
女戦士「フン!」
ローグ「この調子だと日暮れまでにキ・カイには着かんでやんすね」
女戦士「凌ぐ場所を探さんとな」
ローグ「向こうの崖際で雪凌げる洞穴でも探しましょう」
女戦士「早くこの不格好なマスクを外したいものだ」
ローグ「そーっすね…ヤクもこんなマスク付けさせられて可哀そうっすね」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:01:32.28 ID:BHJWdb3D0
『崖際』
ローグ「あそこに凌げそうな洞穴あるっすね」
女戦士「キャンプ跡と木材もあるな…誰かが使ったか…」
ローグ「丁度良かったじゃないっすか…あそこで一晩休みやしょう」
子供「待って…」クンクン
女戦士「む…臭うか?」
子供「うん…何か居る…人間の匂いじゃ無いよ」
女戦士「こんな所にオークが来て居るのか?」
ローグ「あっしがハイディングで見て来やす…ちっとここで待ってて下せぇ」
女戦士「頼む…」
ローグ「へい…」スタタタ
--------------
ローグ「リリース」スゥ
女戦士「何が居た?」
ローグ「オークじゃなくてオーガっすね…人食い鬼でやんす」
女戦士「なるほどキャンプを襲った訳だな?何匹居るのだ?」
ローグ「1匹っす…やりやすか?」
女戦士「未来!実践訓練だ…私がオーガの注意を引く…ハイディングからオーガの首を切れ…出来るな?」
ローグ「あっしもサポートしやす」
女戦士「ローグは反撃に備えろ…倒しきれなかった場合はお前がオーガを処理しろ」
ローグ「へい!」
女戦士「行くぞ…ハイディングで一気に寄る…ハイディング!」スゥ
子供「ハイディング!」スゥ
ローグ「ハイディング!」スゥ
女戦士「迷ってないな?付いて来い」スタタ
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:02:36.01 ID:BHJWdb3D0
『洞窟』
女戦士「リリース!」ブン ザクリ
オーガ「ガウ…ウオォォォォ」ドスドス
女戦士「シールドバッシュ!」ドン
オーガ「ウガ…」ヨロ
女戦士「今だ!!」
子供「リリース!」スパン
オーガ「ギャオ…」ボタボタ
女戦士「もっと深く切り抜け!!もう一度!!」
子供「このぉ!!」スパン
オーガ「ウオォォォォォ!!」ドドド ガツン!
女戦士「盾で防いでいる間に首を落とせ!!」グググ
子供「ふぅぅ」シュタタ スパ ボトン
オーガ「…」パクパク
女戦士「そうだ…最後の切り込みの感じだ…覚えておくのだ」
ローグ「あっしの出番無かったっすねぇ」
女戦士「オーガの角と牙を採れ…死体は私が外に捨てて来る」
ローグ「アイサー…未来くん解体の仕方を見ておくでやんす…こうやって戦利品を回収するんすよ?」ゴリゴリ
----------------
ローグ「ヤクを入り口に繋いでおきやした…これで何かあっても先にヤクがやられるっす」
女海賊「未来!火炎魔法を使ってみろ…この薪に火を付けるのだ」
子供「うん!火炎魔法!」ポ チリチリ
女戦士「ふむ…自己流ではそんな物か…まぁ火が付けば良い」
子供「どうやってやるんだろう?」
女戦士「今度剣士に教えて貰うのだ」
子供「パパあんまりお話してくれなくってさぁ…」
女戦士「フフ未来の話し方は妹にそっくりだな」
子供「ママはいっぱい教えてくれるよ…ほら硫黄と石で…」ゴツン ボウ
メラメラ パチ
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/03/11(木) 19:03:02.66 ID:BHJWdb3D0
女戦士「それでも良いが魔法の方が硫黄を少し使うだけで済む様だぞ?」
子供「うん…わかった…勉強する」
ローグ「綺麗な雪を持って来やした…これで水にしやしょう」
女戦士「ヤクの分も持って来てやってくれ」
----------------
女戦士「気球を買い付けるだけのつもりだったのだがえらく苦労をするものだ」
子供「ビッグママ?顔が汚れてる…拭いてあげるよ」」
女戦士「その呼び方はヤメロと言っただろう…ママで良い」
子供「ごめん…ママ?顔…」フキフキ
女戦士「マスクの跡が付いていたか?」
子供「うん…マスクの所だけ白いから変だよ…顔を全部隠すマスクを買わないとね」
ローグ「キ・カイに到着したらもちっと良いマスクを買い揃えやしょう」
女戦士「しかし…火山灰でこれほど不自由になるとはな…」
ローグ「馬が弱ってるのが痛いでやんす…牧草もあんまり無いっすからねぇ…」
子供「ヤクって強いんだね」
女戦士「馬よりマシなだけだな…このままでは直に弱る」
ローグ「気球仕入れたら早い所売った方が良いでやんす」
女戦士「これは先行きが心配だ…」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:03:41.12 ID:BHJWdb3D0
『翌朝』
女戦士「未来…起きるんだ…もう行くぞ」
子供「うーん…ふぁ〜あ」ノビー
ローグ「雪止んでるっす…今の内に移動した方が良いっすね」
子供「おっけ!じゃぁ今日はこのヤクに乗る!」ピョン
ブモモーーー
女戦士「フフ…やはりそっくりか」
ローグ「あっしに着いて来て下せぇ…いきやすよ?」
----------------
ノソノソ ノソノソ
女戦士「左前方に狼煙か?灰が舞っているのか?」
ローグ「何でやんすかね?」
子供「…」クンクン
女戦士「分かるか?」
子供「多分オーガの匂い…他の匂いもする」
女戦士「他の…」
ローグ「オーガに何か襲われてるんじゃ無いっすかね?」
女戦士「ふむ…捨て置けんか」
ローグ「どうしやす?」
女戦士「まぁ実践訓練だと思って行こう」
ローグ「手順は昨日と同じっすね?」
女戦士「そうだ…ローグはサポートに回れ」
子供「今度こそ一発で!!」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:04:20.13 ID:BHJWdb3D0
『荷馬車』
ガウガウ ギャオ ガブガブ
ローグ「ちぃと遅かったでやんす…馭者ともう一人も食われてるでやんす」
女戦士「オーガ3匹か…作戦を変える…ローグはバックスタブで確実に仕留めろ」
ローグ「あいあい…」
女戦士「未来はローグのバックスタブを真似て見ろ」
子供「うん…見たことあるから大丈夫」
女戦士「ハイディングを上手く使うのだぞ?」
子供「わかってるって」
女戦士「行くぞ?ハイディング!」スゥ
----------------
女戦士「リリース!」スゥ ブン! ザクリ
ローグ「リリース!バックスタブ!」ジャキン ボトン
子供「リリース!バックスタブ!」スパ
オーガ「ガウ?…ウオォォォォ!!」ドスドス
女戦士「あと2匹!!シールドバッシュ!」ドン
オーガ「ウゴ…」ドタリ
子供「このぉ!!」シュタタ スパ
ローグ「未来君!こうやるんす…バックスタブ!」ジャキン ボトン
子供「すごい…」
女戦士「あと1匹!!シールドスタン!!」ゴン
オーガ「ガァァ…」ピヨピヨ
子供「僕も!!バックスタブ!」ジャキン ゴロン
ローグ「良いーっすねぇ!今のっすよ」
女戦士「ふぅ…上手く奇襲が成功した…ローグ!戦利品を頼む」
ローグ「アイサー」
------------------
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:04:52.69 ID:BHJWdb3D0
女戦士「今のは小型のオーガだ…慢心するな?一発で仕留められん場合は反撃がくると思え」
子供「うん…」
ローグ「未来君はあっしのダガーよりも刀身が長いのを意識して使うと良いっすね」
子供「切り方が悪い?」
ローグ「あっしは刀の使い方は分からんでやんすが多分コツがあると思うでやんす」
女戦士「叩くのではなく切り抜け…刀身の長さを上手く使えばよい」
子供「うん…工夫してみる」
ローグ「かしらぁ!!この荷馬車頂きやしょう」
女戦士「積み荷は何だ?」
ローグ「なんかいろいろありやすが…うぉ!!!」
女戦士「どうした!!」ダダ
ローグ「檻の中に子供が居るっす」
女戦士「何ぃ?…ハーフオークの子供か?」
オークの子「うぅぅぅぅ…」ギロ
子供「ハーフオーク?…怯えてる…」
ローグ「檻の中に居たんで助かったでやんすね…どうしやす?」
女戦士「この荷馬車は奴隷商が運んで居たのだな…死体に何か残って居ないか?」
ローグ「ちと見て来るでやんす」タッタッタ
女戦士「未来!荷馬車にヤクを繋げ」
子供「うん…分かった」
------------------
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:05:29.86 ID:BHJWdb3D0
ローグ「かしらぁ!!やっぱり奴隷商の身分証を持っていやした…2人分っす」
女戦士「見せて見ろ…」
ローグ「これっす」
女戦士「ふむ…男と女か」
ローグ「これ使えやすよ?キ・カイで行動しやすくなるっす」
女戦士「使える物は使おう」
子供「ママ!?死んでるヤクはどうしよう?置いて行くの勿体ないよ」
女戦士「ローグ!ヤクを最小限で解体出来るか?」
ローグ「30分欲しいでやんす」
女戦士「私が周囲を警戒しておく…急いでやるのだ」
ローグ「アイサー!!」
女戦士「未来!…急いで火を起こして肉を焼け…朝飯だ」
子供「うん!!」
-------------------
メラメラ パチ
子供「肉焼けたよ!!はい…」
女戦士「私は見張っているから後で良い…先に食べろ」
子供「檻の中の子にもあげて良い?」
女戦士「…オークか」
子供「可哀そうだよ」
女戦士「フフそうだな…ヤクから剥ぎ取った毛皮も与えておけ…あの恰好では寒い筈だ」
子供「うん!!あげて来る」シュタタ
ローグ「未来君は思いやりがあるでやんすねぇ」
女戦士「オークは言葉が通じないだけでドワーフと似たような種族だしな…しかし…」
ローグ「ハーフオークならすこし通じるかもっすよ?」
女戦士「だと良いが…さすがにオークを連れては歩けんな」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:06:29.05 ID:BHJWdb3D0
子供「肉焼いて来たよ?お腹空いてない?」
オークの子「うぅぅぅぅ…」ギロリ
子供「ほら?食べて?」スッ
オークの子「うがぁぁぁぁ!!」バタバタ ブン
子供「そんなに怖がらなくて大丈夫だよ…」タジ
オークの子「ハムハム…」ムシャムシャ ガブ
子供「お腹空いてたんだね?この毛皮もあげるよ…ちょっとまだ生臭いけど」バサ
オークの子「がぁぁぁ!!」ドタバタ
子供「檻が邪魔だなぁ…ほら?この隙間から…」グイ
オークの子「ぅぅぅぅ…」モグモグ
子供「あれ?君…おっぱいが…」
オークの子「ハムハム…」ガブ モグ ムシャムシャ
子供「水もあるよ?…この皮袋の中」
オークの子「むぐっ…んぐっ」ゴグゴク
子供「そっか…何も貰えて無かったんだね」
オークの子「ふごふご…」ガブムシャ
子供「良く見たら顔とか頭とか傷だらけだ…回復魔法!」ボワー
オークの子「んむ?…」
子供「どう?良くなった?」
タッタッタ
女戦士「何の光かと思えば…未来の回復魔法か」
子供「この子…女の子だよ」
女戦士「そうか…未来!お前が面倒を見ろ…そろそろ出発する」
子供「僕は馬車に乗ってて良いの?」
女戦士「キ・カイに到着したら荷の中に隠れるのだ…奴隷商という事で街まで行く」
子供「うん…わかった」
ローグ「かしらぁ!!解体した肉は馬車の中に吊っときやすぜ?未来君!!手伝ってくだせぇ!!」
子供「あ…うん」
ローグ「あっしが肉押さえとくんでロープを掛けて結んで下せぇ!!…よっこら!!」
子供「ここだね?」グイグイ ギュ
ローグ「まだあるっすよ…よっこら!!」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:07:14.29 ID:BHJWdb3D0
『荒野』
ガラゴロ ガラゴロ
子供「…虫の羽…これキノコ?…何かの心臓…これは脂肪かな?…変な物ばっかりだよ」
ローグ「多分全部錬金術の材料でやんすね」
女戦士「この身分証も少し妙だな…なんだこの印は?」
ローグ「見た事無い印でやんす…偽物では無さそうですがねぇ」
女戦士「他に何か持って居なかったのか?」
ローグ「有ったかもしれやせんが食い散らかされてて良く分からんかったっす」
子供「ママ?樽にあるのは小麦かな?…なんか匂いが違うんだけど…」
女戦士「ローグ見て来い…私が馭者をやる」
ローグ「あいあい…あらよっと!!」ピョン
子供「この樽だよ…匂いが違う粉だよ」
ローグ「んんんん!!かしらぁ…スゴイ物乗ってますぜ…樽一杯の麻薬っすよ」
女戦士「なんだと!?…マズイな」
ローグ「これ入国出来やせんぜ」
女戦士「この身分証の印は密輸用なのか?」
ローグ「奴隷商を装って密輸は有りっすね…どうしやす?このまんま行っちまいやすか?」
女戦士「ふむ…いざとなればハイディング…行って見るか」
ローグ「なぁ〜んか怪しい匂いがプンプンしやすね?」
女戦士「うむ…大量の麻薬と言えば黒の同胞団…手掛かりを掴める可能性がある」
ローグ「もしかするとキ・カイでも同じ事やらかすつもりだったかもしれやせんね」
-----------------
女戦士「やっと見えて来た…昼前には到着出来そうだ」
ローグ「ヤクは乗るよりも荷を引いていた方が早いっすね」
女戦士「未来!隠れる場所は良いか?」
子供「うん!大丈夫…見つかりそうだったらハイディングするから心配しないで」
女戦士「フフ余計な心配だったか…オークの子は落ち着いたか?」
子供「一言も話してくれないよ…ずっと睨まれてる」
女戦士「檻の中では仕方がない」
子供「ママはこの子どうする気?売っちゃうの?」
女戦士「私は金なぞ要らん…ただキ・カイの中でオークを連れまわすのは出来んな」
子供「着るものとマスク付けたら分からなくなるよ」
女戦士「未来はその子を助けたいのだな?」
子供「うん…」
女戦士「では未来が責任を持って面倒を見ろ」
子供「わかった…僕が何とかする」
女戦士「フフ…」---本当に妹にそっくりだ---
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:07:50.65 ID:BHJWdb3D0
『外門』
ウィーン ガシャ ウィーン ガシャ
キラーマシン「…」シャキーン
門番「止まれ止まれ…身分証を出せ」
ローグ「へいへい…」ポイ
女戦士「…」ポイ
門番「…ふむ奴隷商か…通れ」
ローグ「え?あ…」
門番「今積み込みをしているのが2番船だ…わかるな?」
ローグ「へいへい…じゃ通るでやんす」
門番「奴隷だけ確認する」
ローグ「後ろっす」
門番「ふむ…オークの子か…早く行け」バサ
ローグ「あいー…」グイ
ブモモモーー ガラゴロガラゴロ
女戦士「やはりおかしいな…何も確認せず入れるとは」
ローグ「結果オーライすよ…ほんで何処行きやす?」
女戦士「まずは外の街の商人ギルドだ…奴隷商の身分証があれば宿泊に困らんし気球の買い付けも話が出来る」
ローグ「分かりやした…」グイ
ブモモモーー ガラゴロガラゴロ
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:08:25.82 ID:BHJWdb3D0
『外の街』
ガヤガヤ ガヤガヤ
ローグ「避難民でごった返してるっすね…なんか人が多すぎでやんす」
女戦士「何故灰の降る外の街に居るのか…地下に行けば良いだろうに」
ローグ「そーっすよね?」
女戦士「海賊たちが噂をしていたが…地下からオークに襲撃されているのかも知れんな」
ローグ「チカテツ街道の向こう側っすね?」
女戦士「そうだ…何処に繋がっているのかは知らんが度々襲撃があるとは聞いて居る」
ローグ「南のオークが住んでる場所もこの灰で住む所無くなってるっすか…」
女戦士「後で少し情報を集めて見よう」
『商人ギルド』
ガヤガヤ ガヤガヤ
女戦士「荷馬車は裏手に泊める場所があるそうだ…ヤクも預かって貰える」
ローグ「移動させておくっす」
女戦士「宿泊できる場所は今は無いらしいから荷馬車で休む事になる」
ローグ「あっしは構わんすよ?」
女戦士「私は気球の買い付けに行くからお前は未来の面倒を見てやってくれ」
ローグ「分かりやした」
子供「ママ!!少しお金が欲しい」
女戦士「自分で何とかするのでは無かったか?馬車に乗っている物は好きにして良い…売って稼いで来い」
子供「あ…うん…ありがとう」
女戦士「ローグ!未来から目を離すな」
ローグ「へい!!分かってるっす」
子供「どれが高く売れるのかな?ローグ分かる?」
ローグ「オーガの角とか牙が売れるでやんす…全部売っちまいやしょう」
子供「おっけ!!僕がやってみる」
ローグ「あっしは見てるだけでやんす…未来君の好きにして良いっすよ?」
子供「そうだ!?ママのマスクも買って来るね」
女戦士「フフ任せる」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:11:20.50 ID:BHJWdb3D0
『道具屋』
店主「…坊や…どっから盗んで来たんだい?」
子供「盗んだんじゃ無いよ…ちゃんとオーガを倒したんだよ」
店主「いやいやそんな訳無いよなぁ?」
子供「買い取ってくれないの?」
店主「いやまぁ…買い取らん訳じゃ無いんだがね?うーむ…」
子供「いくらになるの?」
店主「子供相手に商売し難いが…これでどうだい?」ジャラリ
子供「ローグ!!どう思う?」
ローグ「あっしは見てるだけでやんすよ?」スラリ
店主「あわわわ…お客さんのお子さんでしたか…冗談ですよ」ジャラジャラ
子供「へぇ〜おじさん僕を騙そうとしてたんだ」
店主「冗談ですって…ハイおまけも付けるんで」コトリ
子供「おっけ!ありがとね…あ!そうだ…マスクある?」
店主「なんでも揃ってるが買っていくかね?」
子供「うん!!見せて」
店主「じゃぁ奥の部屋に…」
子供「うわぁ…服もある…ローグもマスク変えよう!これどう?」
ローグ「ゴーグル付きっすね?あねさんみたいでやんすね?」
子供「これなら顔も隠れるし丁度良いと思う」
ローグ「あっしに似合うでやんすか?」
子供「ママとお揃いにしよう!僕もゴーグル付きが良いな…コレにしよっと」
ローグ「未来君の好みはあねさんと同じなんすね」
子供「あとこの服と…この当て物…それから履物はこれが良いかな」
店主「いやいや今日は良い客が来たもんだ」
子供「いっぱい買うから負けてよ」
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:12:35.25 ID:BHJWdb3D0
『荷馬車』
ジャブジャブ
子供「はいコレ…水と布…これで体拭いて?」
オークの子「うぅぅぅがう!!」ズザザ
子供「逃げないで?」
ローグ「未来君…自分の顔を拭いてみたらどうっすかね?」
子供「そっか…」フキフキ
オークの子「…」ジロリ
子供「ほら?拭いてみて?」スッ
オークの子「…」グイ
子供「あぁぁ…手枷が邪魔だ…ローグ!鍵持って無い?」
ローグ「あるっす…これが檻でこっちが手枷っすね」
子供「僕が檻の中に入って拭く…貸して」
ローグ「噛まれない様に気を付けるでやんすよ?」ポイ
子供「ありがとう」パス
ガチャン ギー
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:13:14.64 ID:BHJWdb3D0
オークの子「…」ギロ タジタジ
子供「大丈夫!大人しくしてて?」フキフキ
オークの子「むぐっ…」タジ
子供「ちょっと待って…髪の毛の汚れも落とすから」ジャブジャブ
オークの子「…」ゴシゴシ
子供「うわっ…真っ黒だ」ジャブジャブ ゴシゴシ
子供「そう!大人しくしておいて?手枷外すよ?」カチャリ
子供「次は着替えよう…ほら?自分でできる?」
子供「うわ…君力強いな…分かった分かった…自分で着替えて見て?」
ローグ「言う事聞きそうでやんすね?」
子供「うん…落ち着いて来たよ」
ローグ「買ってきた食べ物居るでやんすか?」ポイ
子供「うん!一緒に食べてみる…ほら?パンとチーズだよ…食べて?」モグ
オークの子「はむっはむっ…」ムシャムシャ
ローグ「ふむ…逆らう気は無さそうでやんすね…檻から出しやしょう」
子供「そうだね…この檻寝るのに邪魔だし」
ローグ「檻はあっしが外に出しやす…出て下せぇ」
子供「檻から出るよ?おいで…」グイ
オークの子「ふむっ…」グググ
子供「抵抗しないでよ…」グイグイ
ローグ「未来君が先に出れば良いでやんす」
子供「うん…ほら?出ておいで?」
オークの子「…」ソロリ スック
ローグ「その子は未来君より少し大きそうでやんすね?」
子供「ちょっとだけね」
ローグ「じゃぁ檻を引っ張りだすんで未来君は反対から押して下せぇ」
子供「うん…」
ローグ「えいさーほー!!」グイ ズズズ ガチャーン
子供「これで広くなった」
ローグ「積んである干し草で寝床作りやしょう…これで快適っす」ガッサ ガッサ
子供「これ君が付けるマスクとローブだよ?」ファサ
オークの子「…」ジー
子供「こんな風に付けるんだよ…」ギュゥ グイ
オークの子「…」ギュゥ グイ
子供「そうそう!!それでフードを被るんだ」ファサ
オークの子「…」ファサ
ローグ「ふむ…この子は賢いかも分からんすね…状況を理解してるでやんす」
子供「うん…」
ローグ「その格好なら少し歩いても良さそうっすね」
子供「おいで…」グイ
オークの子「…」
子供「手を離さないで…」ピョン
オークの子「…」ピョン
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:13:54.19 ID:BHJWdb3D0
『露店』
店主「買ってくかーい?」
子供「うん…このカバンと薬草…それから火打石」
店主「金はあんのかい?」
子供「これで足りる?」ジャラ
店主「ほーう?どこの坊ちゃん?こんなに要らねぇよ」ジャラ
子供「よし!これは君のだよ?腰に付けるんだ」グイグイ
オークの子「…」ジー
ローグ「食べ物は後で干し肉を作りやしょう…ヤクの肉がいっぱいあるっすからねぇ」
子供「塩が必要だね」
店主「塩も有るよ!!干し肉作るのにぴったりな岩塩だ…買ってくかい?」
子供「それも頂戴…いくら?」
店主「一塊2銀貨」
子供「おっけ!」チャリン
店主「毎度ぉ!!」
子供「後は武器か…」
ローグ「武器は要らんすね…荷馬車の中に入ってたっすよ」
子供「気が付かなかった…」
ローグ「奴隷商が持ってた剣っす…装飾付いてたんで後で売ろうと思ってたでやんすがね?」
子供「それで良いっか…じゃぁ帰ろう…おいで?」グイ スタタ
オークの子「…」スタタ
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:14:36.19 ID:BHJWdb3D0
『焚火』
メラメラ パチ
ローグ「薄く切った肉を煙で燻すんすよ…ここに入れて下せぇ」モクモク
子供「これ全部作る?」
ローグ「半分は山賊焼き用に残しておきやしょう…もう作っても良いでやんすよ?」
子供「今はお腹減って無いかな」
ローグ「じゃぁどんどん干し肉作って下せぇ…出来上がった奴からあっしが片づけやす」
子供「沢山あるなぁ…」スパ スパ
ローグ「直ぐ出来るんでどんどん切って下せぇ」
女戦士「戻った…もうオークの子を檻から出して居るのか」
ローグ「かしらぁ!!多分大丈夫そうっすね…言う事聞いてるでやんす」
女戦士「まぁ良い…オークの子は未来に任せる」
ローグ「気球の方はどうでやんすか?」
女戦士「貨物用の気球を買い付けた…少し高かったのだが行動の制限を受けるよりは良い」
ローグ「じゃぁもう荷物を気球に載せ替えやすか?」
女戦士「手に入るのが2日後だ…それまでここで足止めだな…ところでオークの子は話せるのか?」
ローグ「一言もしゃべらんすね…只頭は賢い様に見えるっす」
女戦士「ふむ…さすがオークと言った所か…恐怖で動けんという事は無さそうだな」
ローグ「あっしらに従った方が良いと判断してる様でやんす…状況判断が子供の割に良いっすね」
子供「あ!!ママ!!マスク買って来たよ…ゴーグル付き」
女戦士「丁度目に灰が入って気になって居た所だ…顔を洗って来る」ツカツカ
ローグ「未来君…後2日ここに泊る事になりそうっす」
子供「僕は平気だよ」
ローグ「その子が心配でやんすね…2日間人間の街に居るのは苦痛かも知れんでやんすよ?」
子供「この恰好ならバレやしないよ」
ローグ「一人で逃げなければ良いんすがねぇ…」
子供「もう少し話してみるよ」
-----------------
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:15:29.03 ID:BHJWdb3D0
子供「この皮袋に雪を詰めておけばそのうち水になるよ」ツメツメ
オークの子「…」ジー
ローグ「かしらぁ!この剣は何で出来てるでやんすかねぇ…やたら重いでやんす」
女戦士「貸してみろ…」
ローグ「刀身が白銀色…なんか珍しい金属でやんす」
女戦士「ほう?これはコバルトの合金だな…腐食しない様に作られた剣だ」
ローグ「ロングソードにしちゃ重いっすよね?…2キログラムは超えてるっす」
女戦士「鈍器に近いが私には丁度良い重さだな…預かる」
ローグ「重戦士用っすか?」
女戦士「そうだ…これほど重いと素人では使いこなせん」
子供「ママ!その剣をこの子にあげたらダメ?」
女戦士「子供が使える剣では無いぞ?」
ローグ「かしらぁ…あっしが使って良いって言っちゃったんすよ」
女戦士「ううむ武器を預けて何も起こさねば良いのだが…」
ローグ「背負わせて荷物持ちって事でどうでやんすか?どうせ振り回せんでやんす」
女戦士「まぁ良い…どうせ拾い物だ…未来が責任を持て」
ローグ「未来君良かったっすねぇ」
子供「ママありがとう!!」
ローグ「あっしが背負える様に細工してあげるっすよ?」
子供「大丈夫!細工は得意なんだ!!ママに教えてもらったから」
------------------
女戦士「私は未来と地下の様子を見て来る…ローグは船着き場まで行って情報を集めて来い」
ローグ「日暮れまでに戻って来る感じで良いでやんすか?」
女戦士「任せる…夜はこの馬車で休む」
ローグ「時間余りそうなんで補給物資も馬車まで運んでおきやすね?」
子供「ママ?この子も連れて行って良いよね?」
女戦士「未来が面倒を見るのだろう?邪魔にならない様にしろ」
子供「うん…」
女戦士「マスクは外さない様にな…付いて来い」スタスタ
子供「いくよ!」グイ スタタ
オークの子「…」スタタ
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:16:10.72 ID:BHJWdb3D0
『地下』
衛兵「止まれ!身分証を見せろ」
女戦士「…」パサ
衛兵「む…フリーパスの奴隷商」
女戦士「通って良いか?」
衛兵「子連れとは…チカテツ街道はフリーパスでも立ち入りが制限されているから行かない様に」
女戦士「何故そのような事になって居る?」
衛兵「奴隷移送用のトロッコが動いて居るからだ…見に行くならシェルタ砦で許可を取ってくれ」
女戦士「そうか…ご苦労!通るぞ?」スタスタ
--------------
--------------
--------------
子供「ママ?今の話って…」
女戦士「未来も気付いたか…どうやらチカテツ街道を使って奴隷のオークを移送しているのだな」
子供「そんなのこの子に見せられない」
女戦士「そんなつもりは無いから安心しろ」
子供「どうしてオークを掴まえたりするの?」
女戦士「さぁな?私の方が知りたい…行くぞ?迷子にならない様に気を付けろ」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:16:48.28 ID:BHJWdb3D0
『中央ホーム』
ガヤガヤ ガヤガヤ
子供「露店がいっぱい…」
女戦士「何か欲しい物はあるか?」
子供「僕は何も…」
女戦士「ここにはな…色んな機械で出来た物が売って居るのだ」
子供「ママは何か買う気?」
女戦士「望遠鏡が欲しくて見に来た…興味は無いか?」
子供「欲しい!!」
女戦士「私が選んでやる…しっかり付いて来い」
子供「うん!!」
-----------------
-----------------
-----------------
子供「ママそんな大きな望遠鏡買ったの?」
女戦士「フフ未来の望遠鏡はコレだ」
子供「おぉ!!カバンに入る!!」
女戦士「未来は何か買ったのか?」
子供「虫メガネさ!!この子の分も買ったよ」
女戦士「ふむ…それがあれば魔法を使わないで火を起こせるぞ?」
子供「うん!知ってる」
女戦士「良い買い物をしたな?」
子供「他にもホラ!!バネとかネジとか…こんなのもあるよ帯眼鏡!」
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:17:20.81 ID:BHJWdb3D0
------------------
子供「手足が機械になってる人が多いね」
女戦士「黒死病で動かなくなった手足を機械に変えて居るのだな」
子供「エリクサー飲めば良いのに…」
女戦士「南の大陸には恐らく材料が無いのだ」
子供「あの手はちゃんと動くのかなぁ?」
女戦士「機械に変えた方が良いと言う話も聞いた事がある」
子供「ふ〜ん…」
オークの子「がうるるる…」グイ
子供「おっとっと…どうしたの?」
オークの子「ぅぅぅ」ギロリ
子供「んん?あ…ママ!!あの人…」
女戦士「どうしたのだ?」
子供「あの人から変な匂いがする…なんだろう?ゾンビ?」
女戦士「近寄るな…」
子供「何か話してる…」
女戦士「聞こえるのか?」
子供「うん…悪い話」
ヒソヒソ ヒソヒソ
子供「麻薬が届かないから追加で送れって…誰と話してるんだろう」
女戦士「他には何と?」
子供「う〜ん…奴隷を海上で積み替える?何の事か分からない…」
女戦士「貝殻に向かって話しているな…マズイなこんな所にもリッチが居るのか…」
子供「悪い人だよね?」
女戦士「未来…良く聞け…今来た道を2人で帰れるな?」
子供「大丈夫だよ」
女戦士「お前は爆弾をいくつか持って居たな?」
子供「うん」
女戦士「私によこせ…」
子供「これだよ…」コロコロ
女戦士「3つか…よし…私はこの爆弾でリッチを始末してから戻る」
子供「気を付けてね」
女戦士「初めての冒険だ…2人でとにかく上手く帰るのだ…良いな?」
子供「わかったよ…大丈夫だから心配しないで」
女戦士「よし!行け…」
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:18:00.13 ID:BHJWdb3D0
『地下入り口』
タッタッタ タッタッタ
子供「こっちだよ…手を離さないで」
オークの子「…」グイ
子供「止まらないでよ…」
ドーン ドーン ドーン
子供「爆発音…」
衛兵「なんだぁ!!襲撃か!?」ダダダ
ザワザワ ザワザワ
何!?今の音…
オークの襲撃が来たのかも知れん
まずいぞ…外に逃げろ!!
嫌ぁぁぁ!!
ザワザワ ザワザワ
衛兵「君たち邪魔だ!どくんだ!!」ダダダ
子供「まずい…人に撒かれる…行くよ!!」グイ スタタ
オークの子「…」スタタ
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:18:39.04 ID:BHJWdb3D0
『裏路地』
メラメラ パチ
子供「はい…山賊焼きだよ…今度のは塩で味が付いてるからおいしいよ」
オークの子「…」プイ
子供「食べて良いよ?」
ローグ「あらら?未来君帰ってたでやんすね?かしらは何処行きやした?」
子供「まだ地下の方から帰って来て無い」
ローグ「えええ!?未来君は2人で帰ってきたでやんすか?」
子供「うん…」
ローグ「マジっすか…何も無くて良かったでやんす」
子供「ママ大丈夫かなぁ…」
ローグ「心配する様な事があったでやんすね?」
子供「リッチ?っていうゾンビみたいな人が居たんだ…始末するって一人で…」
ローグ「ええええええええ!!?そらマズイっすね…かなりマズイっす」
子供「僕たちは馬車で待ってるから様子見て来てよ」
ローグ「ここから動いたらダメでやんすよ?あっしはちっと行って来るでやんす」
子供「気を付けて!!」
タッタッタッタ
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:19:30.32 ID:BHJWdb3D0
『夕暮れ』
リリース スゥ
ローグ「未来君!!回復魔法が必要っす」
女戦士「はぁはぁ…金属片を抜いてから回復してくれ…はぁはぁ」
子供「ママ!!」
ローグ「抜きやすぜ?痛いっすよ?」
女戦士「早く抜け…」
ローグ「ふんむ!」ズボ ズボォ
女戦士「はうぅ…うぐっ」ドクドク
ローグ「未来君!回復魔法を!!」
子供「回復魔法!」ボワー
女戦士「もっとだ…はぁはぁ」
子供「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
女戦士「ふぅぅぅ…」
子供「血が止まった…ママ大丈夫?」
女戦士「後は薬草を当てておけば良い…処置してくれるか?」
子供「うん…」
女戦士「しかし…侮った…」
ローグ「かしらは無茶し過ぎっすよ」
女戦士「自爆するとは思って居なかったのだ」
子供「倒せたの?」
女戦士「未来の爆弾で跡形も無く吹き飛んだ…一般の人の被害は無い」
ローグ「こんな所までリッチが来てるんすね」
女戦士「船着き場の方はどうだったのだ?」
ローグ「奴隷船が2隻入ってるっす…行先はセントラル沖でやんす」
女戦士「いつ出港するのだ?」
ローグ「2隻目に奴隷を積んだら出港とか言ってやした…どんくらい掛かるかはわからんす」
女戦士「1隻あたりどのくらいの奴隷を積んで居るのだ?」
ローグ「船の大きさからして500ぐらいっすね」
女戦士「海賊で拿捕出来そうか?」
ローグ「キラーマシンを何とかすれば行けそうっすね…やるんすか?」
女戦士「奴らは間違いなく黒の同胞団だ…見過ごすわけにいくまい」
ローグ「拿捕して海賊にでもするんでやんすか?」
女戦士「まだそこまで考えては居ないが…さて…」
----------------
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:20:08.42 ID:BHJWdb3D0
子供「ママ?穴の開いた金属糸のインナー直したよ」
女戦士「未来は器用だな…助かる」
子供「ママの装備でも貫通するんだね…あの金属」
女戦士「油断したのだ…至近距離から直撃だった」
ローグ「かしらがあんな大怪我したの見た事無いでやんす」
女戦士「フフ私は少し血を流したぐらいが丁度良い…今はスッキリしている」
子供「山賊焼き食べる?塩で味付けしたからおいしいよ?」
女戦士「頂く…」モグ
ローグ「あっしも頂くっす」モグ
女戦士「お前も食べておけ」
子供「僕はあんまりお腹が空かないんだよ」
女戦士「エルフの血か…」
ローグ「それなら馬車にキノコがあったっすね」
子供「あ!!欲しいかも」ゴソゴソ
オークの子「…」ダダ
子供「ん?君もキノコ欲しいの?」
女戦士「そういえばオークもエルフと似たような種族と聞いたな」
子供「キノコいっぱいあるよ…はい」
オークの子「はむはむ…」モグ
ローグ「言葉が通じれば良いでやんすがねぇ…」
-----------------
ローグ「壺を拾ってきたでやんす…こん中に炭を入れて下せぇ」
子供「馬車の中に入れるの?」ガッサ ガッサ
ローグ「そーっす…雪が降りそうなんで炭で暖を取るんす」
子供「干し草と毛皮があって良かったね」
ローグ「あぁもう雪がチラついてるっすね…積もらなきゃ良いでやんすが…」
女戦士「未来!馬車に入れ…寒くなるから固まって休むぞ」
子供「うん…」
女戦士「その子も連れて来い」
子供「おいで…」グイ
オークの子「…」
ローグ「壺を置いとくでやんす…あっしは後で休むんで先に寝て下せぇ」
女戦士「フフ固まると中々暖かい」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:20:47.65 ID:BHJWdb3D0
『翌朝』
ローグ「あぁぁぁさぶ…」
子供「雪積もっちゃったね」
女戦士「商人ギルドの建屋の中は暖かい…行って来ても良いぞ」
子供「あ!!屋上から望遠鏡使おうかな?」
女戦士「ほう?私も行って見るか」
ローグ「あっしは火を起こしとくんで行って来て良いっすよ?」
女戦士「よし付いて来い…」
『商人ギルドの屋上』
子供「何か見える?」
女戦士「私の望遠鏡は倍率が高くてな…見えにくい」
子供「僕のは船が見えるよ」
女戦士「未来の望遠鏡の方が使い勝手が良いな…貸してくれないか?」
子供「うん…」
女戦士「ふむ…奴隷船は一応大砲を乗せているな」
子供「ママは助けるつもりなんだよね?」
女戦士「助ける事になるのかは分からんが黒の同胞団は放置出来ない」
子供「オークを奴隷にしてどうするんだろう…」
女戦士「行先はセントラルなのだろうな…どうする気なのか」
子供「オークとエルフは似た種族だって言ってたでしょ?」
女戦士「そう聞いた事があるだけだ」
子供「エルフってどうして掴まえられるのかな?」
女戦士「む…エルフの代わりに捕らえられて居ると言うのか?」
子供「掴まえられたエルフってどうなってるんだろう…」
女戦士「エルフの心臓は錬金術の材料…まさかオークの心臓を使うつもりか?」
子供「…」
女戦士「まてよ?ドワーフの国に攻めようとして居たのも同じ理由なのか?」
子供「心臓無くなったら死んじゃうよね…」
女戦士「ざわざわこんな遠方まで心臓の為に来るとは思えんのだが…」
子供「遠方ってどのくらい?」
女戦士「…」
---シャ・バクダまでの移送は考えられない---
---セントラルに送ったところで何も無い筈---
---他に拠点を持っているという事か?---
----------------
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:21:28.89 ID:BHJWdb3D0
ローグ「かしらぁ!朝食出来やした…未来君と一緒に降りて来てくだせぇ」
女戦士「ローグ!!」
ローグ「へい?」
女戦士「あの奴隷船に忍び込んで火薬を盗んでは来れないか?」
ローグ「無茶言わんで下せぇ…火薬の入った樽背負って逃げる自信なんか無いっす」
女戦士「海に捨てるのは出来んか?」
ローグ「あの船の荷室は船底なんすよ…樽背負って甲板に出る前に見つかるっす」
子供「ママ?火薬に海水掛けると爆発しなくなるよ」
女戦士「む!!砂鉄を酸化させるのだな?良い案だ」
ローグ「未来君は賢いっすねぇ…海水掛けるぐらいなら出来るっす」
女戦士「大砲さえ使わせなければ拿捕が楽になる…行って来てくれ」
ローグ「わかりやした」
『焚火』
メラメラ パチ
ローグ「今日は豪華っすよ?芋と卵に肉!!」
子供「肉はもういいや…卵と芋はカバンに入れとく」
ローグ「あらら?お腹空いてなかったんすねぇ…」
女戦士「私が頂く」モグ
ローグ「じゃぁあっしは奴隷船の方に行ってきやすね?」
女戦士「頼む…私は錬金術師を探して素材について聞いて来るから未来は商人ギルドから出るな」
子供「うん…」
女戦士「建屋の中に居る商人達から買い物をするのは自由にやって良い」
子供「本当!?」
女戦士「馬車に積んである錬金術の材料は好きにして良い…取引の練習もしておけ」
ローグ「未来君良かったっすねぇ?」
女戦士「建屋からは出るな?」
子供「分かってるよ!!何があるかなぁ…」ワクワク
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:22:21.57 ID:BHJWdb3D0
『馬車』
ガサゴソ ガサゴソ
子供「あぁぁ!!それも食べられるの?」
オークの子「ガリガリ…」バキ ガツガツ
子供「錬金術の材料にはオークの食べ物も多いんだ…骨も食べるのか」
オークの子「ふんっ!」ポイ
子供「それはダメ…角とかは後で細工に使うから売らない」
オークの子「…」ジー
子供「これくらいで良いっか?袋のそっち側持って?売りに行くよ…よいしょ!!」
オークの子「…」グイ
子供「おっけ!!じゃ行こう」スタタ
オークの子「…」スタタ
『商人ギルド』
ガヤガヤ ガヤガヤ
昨日の爆発騒ぎで地下に行くのに制限が…
こりゃ商売できんすなぁ…ハハハ
はい商船に乗る方はこちらに並んで…
個別トレードはあっち行ってね
ガヤガヤ ガヤガヤ
娘1「あんたお使い?」
子供「え…あ…うん…おばさんは?」
娘1「おばさんじゃないよ?お姉さんて呼んでくれる?」
子供「ごめん…お姉さんは誰?」
娘1「商人ギルドの店番」
子供「へぇ…偉い人なんだ」
娘1「個別トレードはこっちだけど…大人の人は?」
子供「今は出かけてるんだ」
娘1「その袋は?」
子供「売り物だよ…買ってくれる?」
娘1「見ていいかな?」
子供「うん…」
----------------
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:23:05.65 ID:BHJWdb3D0
娘1「ちょ…娘2!!見て…」
娘2「なに〜?忙しいんだけど」
娘1「子供がこんなの持ってるんだけど…」
娘2「どれどれ…うは!!宝の山…」
娘1「君きみ…この袋の中身の価値分かってる?」
子供「錬金術の材料でしょ?」
娘1「う…君は何者?」
子供「買う気無いなら他の人探すから良いよ」
娘1「子供がトレードする物じゃ無いんだけど…」
子供「そうなんだ…困ったなぁ」
娘2「見積もってみようか?」
娘1「そうだね…何かあったら商人ギルドの信用問題になるね」
子供「良く分からないけど…待ってれば良い?
娘2「直ぐに終わるから」
-----------------
娘2「…全部で7金貨と60銀貨…水銀がメチャメチャ高い」
娘1「んんん…君きみ?この荷物を競売に掛けて良い?」
子供「僕その意味わからない」
娘1「んぁぁぁ…お姉さんがちゃんと売ってあげるから待っててくれるかな?」
子供「良いよ」
娘1「大人の人はどこ?」
子供「しばらく帰って来ないよ」
娘1「本当に売っちゃって良いのかなぁ?」
子供「うん!大丈夫!」
娘2「お姉ぇ…これちゃんと適正以上で売らないと後で問題になるんじゃない?」
娘1「う〜ん…7金貨なんか家に合ったっけ?」
娘2「あるある!後で返品できるようにしておいた方が良い」
娘1「おけおけ!君きみぃ…この袋をお姉さんが7金貨と60銀貨で買い取るで良い?」
子供「良いよ」
娘1「ぶっ…あっさりだね」
娘2「お姉ぇ!じゃぁ金貨持ってくる」
子供「お姉さんありがとう」
娘1「大人の人によろしくねぇ〜」
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:23:46.92 ID:BHJWdb3D0
『裏路地』
よいしょ こらしょ どっこいしょ
子供「ふぅぅぅ!!馬車に乗せるよ?そっち側持ってね…せーの!!」ドッスン
オークの子「ふんが…フンフン!」
子供「いっぱい買ったね…開けて見てみようか?」
スタスタ
娘1「なぁ〜んだ…こんな所に馬車泊めてたんだ」
子供「あれ?お姉さん…僕たちの事心配で見に来たの?」
娘1「一応ね…ここに馬車があるという事は大人はちゃんと居るんだね」
子供「今は出かけてるんだけどね」
娘1「何を買ったの?」
子供「どんぐりとか松ぼっくりとか…あと木の根」
娘1「またまたヘンテコな物ばっかり買うんだね…まぁでもこっちじゃ珍しいか」
ローグ「帰ったでやんす〜」
子供「あ!!おかえり〜」
娘1「大人の人ね?良かった…」
ローグ「ん?未来君の知り合いでやんすか?」
子供「商人ギルドの人だよ…僕たちの様子を見に来たんだ」
ローグ「へぇ?何かやらかしたでやんすか?」
娘1「いえいえ…沢山の錬金術の材料を持ち歩いてたから心配になって…」
子供「全部売ったよ?」
ローグ「いくらになったでやんすか?」
子供「7金貨と60銀貨くらいだっけな?」
ローグ「ほえ〜えらく高く売れたでやんすね?」
娘1「競売に掛けると大体そのくらいに…」
ローグ「未来君…親切にしてもらったらお礼をするでやんす」
子供「あ!!ごめん…気が付かなかった」
娘1「いいのいいの…じゃぁ私はこれで」
子供「お姉さん…半分あげるよ」チャリン
娘1「ええええええ!?」
ローグ「いーんすいーんす!…貰っといてやって下せぇ…」
娘1「マジで?マジで?…」
ローグ「でも内緒っすよ?」
-----------------
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:24:25.48 ID:BHJWdb3D0
ローグ「未来君にお土産でやんす…一袋だけ火薬を盗んできたでやんす」
子供「おぉ!!爆弾作れる!!」
ローグ「そう言うと思っていやした…本当あねさんにそっくりでやんす」
子供「昨日地下でネジを沢山買ったんだ!!これで爆弾が強くなる…」
ローグ「上手く行くと良いでやんすねぇ」
子供「早速作るよ!!」
ローグ「あっしは買い出しに行くんで馬車で待っててくだせぇ」
子供「うん!!ねぇ…君も手伝って?」
オークの子「…」ジー
子供「こうやって作るんだよ…」
これをこうして…こんな風に…
それでここに入れる
クルクルっと巻いて…
『夕方』
ツカツカ
女戦士「未来はどうしている?」
ローグ「馬車の中で爆弾を作って居るでやんす」
女戦士「ふむ…気球の取引が早まったのだ…日が暮れる前に馬車の荷物を気球に乗せ換えたいのだが…行けるか?」
ローグ「直ぐに行けやす…気球はどちらで?」
女戦士「発着場で今荷物を降ろしているそうだ」
ローグ「じゃぁ急いでヤクを繋ぎやす」
女戦士「2匹のヤクはもう売約済みだ…繋ぐのは1匹で良い」
ローグ「わかりやした…直ぐに移動できるんで馬車に乗ってて下せぇ」
----------------
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:25:04.74 ID:BHJWdb3D0
トンテンカン ゴシゴシ
女戦士「何を作って居るのだ?」
子供「あ!!ママ…余ってる角でアクセサリー作ってるんだ」
女戦士「フフ爆弾はもう作り終わったか?」
子供「うん…今乾かしてる」
女戦士「もう気球に移動するから準備しろ」
子供「早くなったの?」
女戦士「そうだ…深夜までには基地に到着したい」
子供「この子…どうしよう?」
女戦士「置いて行く訳に行くまい?連れて行くしか無いな」
子供「良かった」
女戦士「何だ?この袋は…豆か何かか?」ガサガサ
子供「どんぐりだよ…この子が一人になった時に食べられる様に」
女戦士「フフ…この木の根もか?」
子供「うん…僕も食べるけどね」
女戦士「これはマンドレイクの根だな…錬金術の材料だぞ?高かったのでは無いか?」
子供「売り物の中に水銀があってさ…高く買い取ってくれたんだ」
女戦士「水銀が合ったのか…お前は触って居ないな?」
子供「うん…どうして?」
女戦士「毒があるから子供は触ってはいけない」
子供「へぇ?ママは手を突っ込んで遊んでたんだけどな…」
女戦士「む…そうか…お前もドワーフの血が流れて居るとすると水銀を触っても良いな…今のは忘れてくれ」
子供「砂鉄に手を突っ込むのも良い?」
女戦士「好きにしろ」
------------------
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:25:42.09 ID:BHJWdb3D0
ウモモォォーー ガラゴロガラゴロ
ローグ「…それでかしらぁ…錬金術の材料の件はどうでやんすか?」
女戦士「大した情報は無かった…確かにエルフの心臓は材料になるそうだがキ・カイ錬金術では使わないそうだ」
ローグ「じゃぁオークの心臓も使うかどうか分からんてこっすね?」
女戦士「シャ・バクダ錬金術を周知している者は見つからなかった」
ローグ「んんむ…じゃぁやっぱり心臓じゃなくてそのままキマイラにする感じなんでしょうね?」
女戦士「その線が強そうだがそんな魔物を見たことが無い」
ローグ「キマイラっちゃぁ…ミノタウロスとかケンタウロス…グリフォン…ハーピー」
女戦士「オークの体を使ったキマイラなぞ知らぬだろう?」
ローグ「そーっすねぇ…」
女戦士「奴隷の使い道は分からんが兎に角…黒の同胞団は捨て置けん」
『気球発着場』
女戦士「あの貨物用の気球だな…取引相手が待って居る」
ローグ「馬車は引き取ってもらう感じで?」
女戦士「うむ…私は話をして来るから荷の積み替えを頼む」
ローグ「分かりやした」
女戦士「未来も荷の積み替えを手伝え…出来るだけ早く移動したい」
子供「うん…」
女戦士「オークの子にも手伝わせろ」
子供「分かった」
ウモモォォーー
ローグ「未来君!あっしが気球に入れて行くんで未来君は荷を馬車から降ろして下せぇ」
子供「おっけ!君も手伝って!」
オークの子「がう…」ジー
ローグ「麻薬の入った樽を先に積みやす…よっこら!!」
子供「あと僕が降ろしておくよ…そっち側持って?ふんっ!!」ズリズリ
-----------------
-----------------
-----------------
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:26:53.63 ID:BHJWdb3D0
『貨物用の気球』
ローグ「この気球は炉の送風が自動になってるっすね…これ良いっすね」
女戦士「高価なだけの事はあるだろう?」
ローグ「風の魔石はどれくらい持つでやんすかね?」
女戦士「さぁな?籠の中に替えの魔石が入っている筈だが…」
ローグ「ありやした…只なんか無くなるのが心配でやんす」
女戦士「ケチケチするな…無くなったら手動で送風すれば良い話だ」
ローグ「あっしの悪い癖が出やしたね…」
ズリズリ ドサ!
子供「これで最後のどんぐり」
ローグ「じゃぁ乗って下せぇ…狭いでやんすが炉の近くは暖かいっすよ?」
子供「おいで?」グイ
オークの子「…」
女戦士「では出発しようか」
ローグ「アイサー!!気球なら基地まで直ぐに着きやす」
女戦士「早く帰って水浴びがしたい…急いでくれ」
フワフワ フワフワ
------------------
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:27:35.01 ID:BHJWdb3D0
ビョーーーウ バサバサ
”聞こえるか?…”
”…お姉ぇ?聞こえるよ!!どう?そっちは?”
”古都キ・カイに居るのだが黒の同胞団の手掛かりを見つけた”
”え!?マジ?そっちまで行ってんの?”
”どうやら大量にオークを捕獲して奴隷船でセントラル方面に移送している様だ”
”なんそれ?どゆ事?”
”ひとまず海賊で奴隷船を拿捕しようと思うのだが救出したオークをどうするか思案中なのだ”
”オークって言う事聞くの?言葉通じないじゃん?”
”だから困っているのだ…私はアサシンと直接話せないからフィン・イッシュで受け入れられないか聞いてくれないか?”
”おけおけ…なんかアサシンもフィン・イッシュに戻るみたいな事言ってたよ”
”大体1000体ぐらいオークの奴隷が居る様だ…海賊だけでは受け入れ切れん」
”うは…丁度さぁフィン・イッシュもセントラルに攻められそうでヤバイらしい」
”なら尚の事オークを保護して上手く自衛になれば良い」
”お姉ぇもフィン・イッシュに来る?」
”いや…私は黒の同胞団の手掛かりを追おうと思う”
”なんか掴んだの?”
”オークをセントラルに移送するのはやはりおかしい…他に拠点を構えていると思うのだ”
”なるほど…そういやさぁ…エルフの森南部に基地があるかも”
”それは確かな情報か?”
”そこらへんからミノタウロスがいっぱい出て来てるっぽいんだ”
”ふむ…それだな…それなら移送する意味がある”
”お姉ぇさぁ…未来居るんだから無茶しないで?”
”分かっている…常にハイディングして居ると思ってくれ”
”おけおけ…ほんじゃアサシンと話しできたら連絡するよ”
”良い返事を持って居る…”
-----------------
ローグ「奴隷のオークをフィン・イッシュに行かせるのは良い案っすねぇ…移民を歓迎してるでやんすよ」
女戦士「オークが事情を理解してくれれば良いのだが…」
ローグ「あっしは南の大陸の国境でオークを見たんすがね?オークは賢いでやんす」
女戦士「それはこのオークの子を見ても分かる…明らかに知性と理性がある」
ローグ「どっちかって言うと人間の方に問題がありやすね…オークは魔物と決めつけている人が居やすから」
女戦士「言葉の問題がな…」
ローグ「未来君のお友達が通訳になりやせんかね?」
女戦士「まだ子供だ…大人のオークが子供の言う事なぞ聞くものか」
子供「ホム姉ちゃんならお話し出来るかも」
女戦士「ホムンクルスか…そういえば言葉を覚えるのが早かったな」
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:28:07.05 ID:BHJWdb3D0
『海賊の基地』
フワフワ
ローグ「何処に降りやす?」
女戦士「私の船の船尾だな…積み荷は明日積み替える事にしよう」
ローグ「わかりやした」
女戦士「私は水浴びに行くが未来も来るか?」
ローグ「うん!!この子も連れて行って良い?」
女戦士「良いぞ?汚れを落としてやる」
ローグ「今日はこのまま解散でやんすか?」
女戦士「うむ…海賊共には明日話をするからお前もゆっくり休め」
ローグ「あっしも水浴び行って良いっすかね?」
女戦士「好きにしろ…ただし覗くなよ?」ジロリ
『水場』
モクモク モクモク
女戦士「先に海水で汚れをしっかり落とすのだ」
子供「ぅぅぅ寒い…」ガチガチ
女戦士「海の方が温かいから早く落としてこい」ジャブジャブ
子供「えーい!!」ダダダ ザブーン
女戦士「お前は寒さに強いのだな?」ジャブジャブ ゴシゴシ
オークの子「…」
子供「ママ…だめムリ…寒い」ガチガチ
女戦士「桶の中の湯に浸かって良い…温まっていろ」
子供「ぅぅぅ…」ブルブル
女戦士「よし!綺麗になった…湯に浸かるぞ?…来い」
子供「熱っ!!」タジ
女戦士「寒いだの熱いだの注文が多い…ゆっくり入れ」ソソ チャプン
オークの子「…」タジ
女戦士「お前も入って良いぞ?」グイ
オークの子「うが…」チャポン
女戦士「湯は初めてか?温まると気持ち良いぞ?ふぅぅぅ」
ローグ「かしらぁ!!追加の湯を持ってきやしたぜ?にひひ」
女戦士「持って来てくれ…もう少し温めたい」
ローグ「へい!!」シュタ
女戦士「…」ジロリ
ローグ「いやいやいや追加の湯を持ってきただけでやんすよ…にひひ」
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:28:37.82 ID:BHJWdb3D0
『貨物船』
ザブン ギシギシ
女戦士「やはり船の方が暖かいな…今日は居室で休むのだ」
子供「うん!!僕の荷物は居室に移しておくね?」
女戦士「お前の荷物?どんぐりと松ぼっくりか?」
子供「そうだよ…僕とこの子の携帯食料さ」
女戦士「フフまぁ好きにしろ」
子供「こっちだよ!!ぼくの部屋を見せてあげるよ」グイ スタタ
オークの子「…」スタタ
女戦士「子供は言葉が無くても良い…か」
女戦士「さて…私も休むか」
---------------
---------------
---------------
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:29:10.99 ID:BHJWdb3D0
『翌日_気球』
トンテンカン トンテンカン
ローグ「未来君!!かしらに気球の改造して来いって言われて来たでやんす」
子供「僕もママにアロースタンド作れって言われたんだよ」
ローグ「じゃぁあっしは何しやしょうかね?」
子供「なんか海賊のおじさんが材料を置いて行ったんだけどさぁ?」
ローグ「んん?木材と布…これひょとしてあねさんと同じ様に帆を張れってこっすかね?」
子供「わかんない…でも好きにして良いって事だよね?」
ローグ「あねさんと同じはあっしにはムリでやんす…ちっと帆を張るぐらいっすねぇ」
子供「出来た!!アロースタンドこれで良い?」
ローグ「3つも作ったんすね?」
子供「うん!左右と後ろ用だよ…ボルトの入れ物はココさ」
ローグ「おぉ!!あねさんより工夫してるでやんすね?」
子供「クロスボウは何処にあるのかな?」
ローグ「あっしが持ってきてあげるでやんす」
子供「ダメだよローグは帆を作ってよ」
ローグ「あららら…やっぱしあっしは帆でやんすねトホホ」
子供「ちょっとクロスボウを探してくるね」
------------------
子供「ボルトって重いんだなぁ…よいしょ」
オークの子「…」グイ
子供「ありがとう!君は力持ちだね」
ローグ「未来君!!どうでやんすか?縦帆2つっす」
子供「へぇ?恰好良くなったね」
ローグ「クロスボウが3つ搭載されていると中々の火力っすね」
子供「最強の貨物用気球だね」
ローグ「馬鹿に出来やせんぜ?戦闘員乗せて気球から船の強襲にも使えやす」
子供「それなら下にもクロスボウ撃てるようにした方が良いね」
ローグ「そーっすね…あっしが床に細工するでやんす」
子供「なんか改造って楽しいなぁ…」ワクワク
-------------------
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/11(木) 19:29:51.97 ID:BHJWdb3D0
ローグ「かしらぁ!!見て下せぇこの気球の出来を!!」
女戦士「ふむ…ローグにしては中々良い」
ローグ「いやぁぁ未来君の細工もなかなかのもんす」
女戦士「未来は何処に行った?」
ローグ「船降りてヤードの方っすかね?ボルトを取りに行くとか言ってやした」
女戦士「そうか…この船用のアロースタンドも作って置けと伝えてくれ…20個だ」
ローグ「え!?この船で海戦やるんすか?大砲が無ぇでやんす」
女戦士「クロスボウで補う…こちらには爆弾があるのでな」
ローグ「飛距離が足りんでやんすよ」
女戦士「まともに撃ちあうつもりなぞ無い…ハイディングからの奇襲だ」
ローグ「あぁそういう事っすね…ならクロスボウの方が良いっすね」
女戦士「うむ…荷物を積み終わったらこの船でもう一度キ・カイまで補給に行く」
ローグ「クロスボウの入手っすね?」
女戦士「他にもあるがな?陸路で運搬が出来んから船で行った方が良いのだ」
ローグ「もう行くんでやんすか?」
女戦士「あと2時間ほどで荷の搬送が終わる…未来には船に乗って居ろと伝えてくれ」
ローグ「わかりやした」
『2時間後』
ザブン ギシギシ
船乗り「碇を上げろぉぉぉ!!」
ローグ「やっぱりこの船は40人ぐらいが賑やかで丁度良いでやんすね?」
女戦士「ガレオン級はそのぐらいが限界だな」
ローグ「大砲を一門も積んで無いんで貨物船扱いでどこにも入港出来るのが良いっすね」
女戦士「今回は奴隷商の身分証もあるからキ・カイでの仕入れもラクだろう」
ローグ「クロスボウ以外の仕入れって何を買うでやんすか?」
女戦士「食料だ…奴隷にされているオーク達には補給が必要だ」
ローグ「かしらぁ…あっしは一生付いて行くっす」
女戦士「未来が買ったどんぐり…あれはかなり安い…そしてオークにはとても良い食料と見た」
ローグ「どんぐりを買い占めるんすか?」
女戦士「他にも芋が安かっただろう?どうも植物の根や実を好む様だ…どちらも安いから仕入れる」
ローグ「あああああ!思い出しやした…それどっちもエリクサーの材料っすね」
女戦士「んん?そうなのか?」
ローグ「クヌギの実がどんぐりでアルコールの原料が芋っす…てことは松脂の代わりに松ぼっくり…」
女戦士「ほう?体内でエリクサーを作っているのか?」
ローグ「だからエルフもオークも小食なのかもしれやせん」
女戦士「そういえばオークの子は肉を沢山は食わんな」
ローグ「これって新説発見じゃないっすか?体の中で錬金術っすよね?」
女戦士「体内で錬金術…ふむ…いやしかし」---謎が深まるばかりだ---
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:34:26.61 ID:JReZ3F3t0
『キ・カイ船着き場』
ギシギシ ガコン ギギギ
女戦士「ようし!!数名下船して食料の調達に行ってこい!!他の者は待機しろ」
子供「ママ?僕たちは降りる?」
女戦士「灰で汚れてしまうから居室に入って居ろ」
子供「うん…わかった」
女戦士「ローグはクロスボウとボルトの調達を頼む」
ローグ「アイサー!!弓は要らんすか?」
女戦士「クロスボウだけだ…キ・カイではクロスボウの方が安い」
ローグ「分かりやした…じゃ行って来やす」タッタッタ
女戦士「…」---奴隷船2隻は入れ違いで出港してしまったな---
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:35:10.51 ID:JReZ3F3t0
『居室』
ガチャリ バタン
オークの子「!!?」ズザザ
子供「あ!!大丈夫だよ…怖がらないで?」
オークの子「…」ギロリ
女戦士「やはり大勢の男達が居ると怯えているのか?」
子供「うん…みんな珍しそうに覗いて行くから…」
女戦士「ふむ…慣れてもらうしか無いのだが…男達には私からも言っておく」
子供「でも目はしっかりしてる」
女戦士「怯えているのでは無く身構えているだけか…プライドが高いのだな」
子供「おいで?大丈夫だから…」
オークの子「…」ソローリ
子供「沢山の人に見られるのが嫌みたい」
女戦士「…」---この子は私に似ているな---
---自分の見た目に自信が無い…---
---卑下されている様な目が嫌なのだ---
---だから剣に逃げる---
女戦士「未来!木剣で素振りを教えてやれ」
子供「え?あ…うん」
女戦士「剣を背負わせても触ろうとしないという事は今まで持った事が無いのだ」
子供「わかったよ…ママに教えて貰った通りにやってみる」
---------------
ブンブンブン ブン!!
子供「ぐちゃぐちゃだけどそんな感じで良いよ」
女戦士「次は未来が凌いでみろ」
子供「うん…僕に打ち込んでみて?」
オークの子「…」ジロリ
子供「来て良いよ…」スチャ
オークの子「…」タタ ブン
子供「…大振り」カコン
オークの子「ウガ!」ブンブン
コンコン
女戦士「運動していれば気が紛れる…しばらく立ち合って居るが良い」
子供「うん!いろいろ教えておくね」
オークの子「ググ!」ブンブンブン
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:35:51.26 ID:JReZ3F3t0
『半日後』
ザブン ギシギシ
ローグ「いやぁぁキ・カイの外の街に衛兵が増えて居やしてね?何回も身分証見られましたわ」
女戦士「クロスボウは無事に入手出来たか?」
ローグ「荷室に入れてありやす」
女戦士「食料の調達も手間取って居そうだな?」
ローグ「そーっすね…あっちも衛兵に止められてるっすね」
女戦士「そろそろ出港したいのだがな」
ローグ「これからどうする気で?」
女戦士「セントラルに向かう途中の灯台がある島周辺で奴隷船を拿捕する」
ローグ「海賊船は同時に動いてるでやんすか?」
女戦士「近場に居るのが2隻だけなのだが先に向かっている筈だ」
ローグ「2隻…じゃぁこの船が主力になりやすね」
女戦士「向こうは大砲が撃てんからな…気球を持って居る私達に分がある」
ローグ「向こうが他の軍船と接触しちまう前にやりたいっすね」
女戦士「うむ…ハイディングで先回りして待つ形にしたい」
-------------------
ローグ「未来君!船長室の方へ移動して下せぇ」
子供「え!?ここで良いのに」
ローグ「あっちの方は人が来ないでやんす…かしらが使って良いと言ってるでやんす」
子供「そっか…じゃぁ荷物持って行こうかな」
ローグ「あっしが持つでやんすよ?」
子供「うん…どんぐりの袋をお願い」
ローグ「立ち合いをやっていたでやんすか?」
子供「そうだよ…僕がこの子に教えてるんだ」
ローグ「オークの子はどうでやんすか?」
子供「僕とは全然違う感じだよ」
ローグ「あっしにも後で見せてくだせぇ」
子供「うん!船長室って狭くない?」
ローグ「船長室のデッキでやれば良いっす」
子供「そっか…おいで?」グイ
オークの子「…」
-----------------
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:36:28.66 ID:JReZ3F3t0
ローグ「やっと荷入れが終わりやしたね…随分時間かかりやしたね」
女戦士「衛兵は麻薬を探しているらしい」
ローグ「そりゃガサ入れが来る前に早い所出港した方が良いっすね」
女戦士「うむ…船員が乗り込み次第出港させる」
ローグ「見てくだせぇ未来君とオークの子の立ち合い…受けだけだと未来君は力押しされてるっすね」
女戦士「体重差だな…まぁ良い訓練だ」
ローグ「オークの子のブレない目はかしらみたいっすね」
女戦士「フフお前もそう思うか?私も似ていると思った…小さいなりに誇り高い」
ローグ「あの真っ直ぐな目を未来君も感じてると良いでやんす」
女戦士「立ち会っている本人が一番感じていると思うぞ?」
------------------
船乗り「全員船に乗りました!!出港できます」
女戦士「よし出港だ!!碇を上げろ!!」
海賊共「へーーい!!」
女戦士「横帆を出せ!!面舵いっぱい!!」
ギシギシ ギギギ ユラ〜
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:37:12.27 ID:JReZ3F3t0
『貨物船』
ザブ〜ン ユラ〜
ローグ「いやぁぁやっぱり海の方が温かいっすね」
船乗り「キャプテン!!後方から高速巡視船が一定距離で付いて来ます」
女戦士「気にするな…直に霧が出る」
ローグ「かしらぁ…これあっしらの船を拿捕するつもりじゃ無いっすかね?」
女戦士「沖でキ・カイの軍船が控えて要るのは海賊たちから聞いて居る…霧に紛れてハイディングすれば済む」
ローグ「なら良いっすね」
女戦士「ハイディングで進めば2日は何も起きん…適当に過ごしておくのだ」
ローグ「じゃぁあっしはアロースタンドでも作って置くでやんす」
女戦士「未来考案の奴だな?20台必要になるからよろしく頼む」
ローグ「クロスボウを20基備えてるとちょっとした要塞になりやすね?」
女戦士「洋上での乗り込み阻止には効果が高いだろう」
ローグ「ところであねさんはアサシンさんと連絡付いたでやんすかね?」
女戦士「あぁフィン・イッシュでオークの難民を受け入れる件は承諾されたらしい」
ローグ「良かったっすねぇ」
女戦士「無人島の領土を与えてくれるそうだ…やはりフィン・イッシュ女王は懐が深い」
ローグ「上手い事共生できると良いでやんす」
女戦士「そうだな救出する甲斐があると言うものだ」
-----------------
女戦士「さて…奴隷船に乗っているキラーマシンの件だが」
ローグ「10体は乗って無いっすね7〜8体って所っす」
女戦士「正直クロスボウだけで倒せるとは思って居ない」
ローグ「爆弾だと船が痛んでしまいやすね?」
女戦士「やはり私が乗り込んで正面突破しか無いか?」
ローグ「あねさんの爆弾があれば甲板に乗ってるのは海に落とせるんでやんすが…」
女戦士「海に落とせば良いか…1体づつなら何とかなりそうだが…」
ローグ「ボルトにロープ付けて引っ張り落とすのはどうでやんすかね?」
女戦士「ロープにそれ程余裕が無いな」
ローグ「あっしらが着ている金属糸の装備を解いてでやんすね…金属糸を使うのはどうでやんす?」
女戦士「ほう?私とローグ…そして未来の分で足りるか?」
ローグ「十分とは言えやせんが使える様にはできやすね」
女戦士「よし!こうしよう…この船のクロスボウは囮だ…気球から一体づつ狙ってキラーマシンを海に落とす」
ローグ「良いっすね…貨物を空にしておけばキラーマシンも吊れやすね?」
女戦士「3体程落とせば私が乗り込み何とか出来る」
ローグ「それで行きやしょう」
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:37:40.72 ID:JReZ3F3t0
『2日後_灯台の有る島』
ザブ〜ン ザブ〜ン
女戦士「私達は沖で停船だ…漁村に行く者は小舟に乗れ」
ローグ「かしらは行かんのでやんすか?」
女戦士「行っても何も無いのでな?私は望遠鏡で見張って置く」
ローグ「じゃぁあっしは魚の調達に行って来やす」
女戦士「この島では酒も造っているから買ってこい」
ローグ「わかりやした」
女戦士「未来?お前はどうする?ローグと一緒に行って来ても良いぞ?」
子供「行こっかな…少し走りたいし」
ローグ「良いっすよ?直ぐに帰って来るんで散歩みたいなもんす」
女戦士「そうだ!!浜辺に大きなカニが居るはずだ…腕試しに狩ってこい」
ローグ「それは軍隊ガニっすね…食べられるでやんす」
子供「へぇ?」
ローグ「あっしが見とくんで2人で狩ってみて下せぇ」
子供「よーし!!一緒に行こうか」グイ
オークの子「…」
ローグ「じゃぁ行って来るでやんす」
女戦士「日暮れまでにま戻って来るのだぞ?」
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:38:09.86 ID:JReZ3F3t0
『浜辺』
ザザー ザブン
ローグ「あそこに居るでやんす」
子供「おっけ!行って来る」スタタ
オークの子「…」スタタ
子供「君も剣を使って?」スラーン
オークの子「…」スラリ
子供「いくよ?」タタタ ブン キーン
軍隊ガニ「!!?」ガサガサ
子供「硬い…」タジ
ローグ「足の付け根を狙うっす…足を落とさんと逃げられるでやんすよ?」
子供「足か…」タタタ スパ ボトリ
オークの子「…」タタタ ノッソー ブン ゴツン!
軍隊ガニ「ギュッ…」ブクブク
子供「え!?」
ローグ「あらら?軍隊ガニが失神しとるっすね…足を全部落として下せぇ」
子供「あ…うん」タタタ スパ スパ スパ
ローグ「コバルトの剣は重すぎでやんすが鈍器代わりに丁度良さそうっすね」
子供「すごいなぁあの剣…一発で倒しちゃた」
ローグ「あと2〜3匹狩って下せぇ…今日の夜はカニのバーベキューやりやしょう」
子供「うん!!」
ローグ「あっちにも居るでやんすよ?」
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:38:43.92 ID:JReZ3F3t0
『小舟』
ローグ「ちっと船で待ってて下せぇ…あっしは魚を仕入れて来るでやんす」
子供「ここで待ってるよ」
ザザー ザブン ザザー ザブン
子供「君は怪我してない?」
オークの子「ウガ…」
子供「手?見せて?」
オークの子「ウゴウゴ…」
子供「豆が潰れたのか…あの剣重すぎだしね…治してあげる…回復魔法!」ボワー
オークの子「ウトガリア…」
子供「ありがとうって意味?」
オークの子「ルゲアリグンド」
子供「ん?どんぐりくれるの?」
オークの子「…」カリ モグ
子供「僕らの携帯食料だね」カリ モグ
『貨物船』
ワイワイ ガヤガヤ
このカニはあのオークの子が獲って来たんだってよ
ほーうオークも仲間に出来んのか
旨いなこのカニ!!
酒はどこだぁ!?
ワイワイ ガヤガヤ
女戦士「フフみんな喜んで居るな」
ローグ「大量でやんした」
女戦士「未来…今度は何を作って居るのだ?」
子供「軍隊ガニの甲羅でオークの子の防具を作ってるんだよ」ゴリゴリ
ローグ「良い材料が手に入ったでやんすね?」
子供「うん…すっごい軽くて硬い…トゲトゲも恰好良い」
女戦士「黒い甲冑か?」
子供「甲冑って程でも無いけどさ…ほら?」
女戦士「ふむ…布の服よりは随分マシになるな」
ローグ「未来君は本当に器用でやんすね」
子供「ねぇねぇこれ装備してみて…僕とお揃いだよ」
オークの子「ニナ?レコ…」タジ
女戦士「む…何か話しているな?」
ローグ「そーっす…未来君にだけ話をするみたいっす」
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:39:21.85 ID:JReZ3F3t0
『2日後』
ローグ「船が2隻見えるっす」
女戦士「何!?海賊船か?」
ローグ「違うっすね…例の奴隷船でやんす」
女戦士「ちぃぃ海賊船は間に合わなかったか…」
ローグ「どうしやす?」
女戦士「私達はこの島から離れる振りだ…碇を上げろ!!」
ローグ「向こうの補給を狙う感じっすかね?」
女戦士「そうだ!!補給で停泊する筈だからそこを狙う」
ローグ「気球を準備しときやす」
女戦士「未来!気球に乗れ…戦闘になるぞ」
子供「うん!!この子も連れて行くよ?」
女戦士「クロスボウの撃ち方を教えて置け!!」
子供「おいで!!」グイ
女戦士「者共ぉ!!戦闘準備だ!!寝ている者を起こせぇ!!」
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:40:24.71 ID:JReZ3F3t0
『気球』
ビョーーーウ バサバサ
女戦士「この距離を維持しろ…しばらく様子を見る」
ローグ「あっしらの船はハイディングして待機でやんすか?」
女戦士「その予定だ…クロスボウで狙える位置で隠れている筈」
ローグ「奴隷船から小舟が出て行きやしたね」
女戦士「よしよし…3人づつ島に向かっているな?」
ローグ「かしらぁ!!遠くの方にも船が2隻見えてやす…海賊船っす」
女戦士「あの位置だとあと30分か…足並み揃えたいのだが…」
ローグ「ダメっすね…貨物船がリリースしやした…クロスボウ撃ってるっす」
女戦士「むぅぅ…仕方が無い!私達も行くぞ」
ローグ「アイサー」グイ
ビョーーーーウ バサバサ
ローグ「あっちは気球に気付いていやせん…チャンスっす!!」
女戦士「未来!金属糸の付いたボルトは外さない様にしっかり狙え」
子供「うん…」
ローグ「そろそろ撃てるっすよ?」
女戦士「よし…撃て」
子供「…」バシュン バシュン
ローグ「当たりやしたね?引っ張り出すっす」グイ
グイグイ ガコン グラリ
子供「うわぁぁ!!」ゴロゴロ ドスン
ローグ「キラーマシン1体落ちやした!!」
女戦士「金属糸を切れ!!次を狙うぞ!!」
剣士「…」シュタタ スパ
ローグ「あっちが気球に気付きやした…応射してくるっす」
女戦士「向こうの射程外に出ろ」
ローグ「やってるっす…」
シュンシュンシュン ストストスト
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:41:07.67 ID:JReZ3F3t0
女戦士「応射させるな!!こっちも撃つぞ!!」バシュン バシュン
子供「撃って!!」バシュン バシュン
オークの子「…」バシュン バシュン
-----------------
-----------------
-----------------
子供「3体目!!」
女戦士「よしローグ!!私が飛び降りられる高さに降ろせ」
ローグ「アイサー」グイ
女戦士「私が降りた後は3人でもう一隻のキラーマシンを処理しろ」
ローグ「分かったでやんす」
女戦士「後の処理は海賊たちに任せて良い」
ローグ「かしらぁ!流れ矢に当たらんで下せぇ」
女戦士「フン!当たったら助けに来い…では飛ぶ!!」ピョン
ローグ「未来君!!向こうの奴隷船に行くんでじゃんじゃんクロスボウ撃って下せぇ」
子供「うん!!」
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:41:49.04 ID:JReZ3F3t0
『貨物船』
バシュン バシュン バシュン バシュン
航海士「キャプテンが気球から降りた…おい!!乗り込む合図だ!!」
操縦士「寄せりゃ良いんでがす?」
航海士「向こうはもう撃って来ない!!接弦してくれ」
操縦士「えっさほいさ!えっさほいさ!」
男達「乗り込めぇぇ!!」ドドド
---------------
女戦士「ふんっ!」ブン ガキーン
キラーマシン「プシュー…」ウィーン ガチャ ウィーン ガチャ
女戦士「硬いだけの鉄くずめ!!」ブン ガキーン ブン ガキーン
男達「キャプテン!!助太刀でがんす!!」ダダ ブン ガキーン
女戦士「突いて海に落とすのだ!!」
男達「がってん!!うぉーーー」ドドド
キラーマシン「ウィーン…」バシュン バシュン
男達「うぉ!!撃ってきやがる」
女戦士「シールドバッシュ!」ドン
キラーマシン「プシュー…」ドタリ バタバタ
女戦士「今だ!!落とせ!!」
-----------------
-----------------
-----------------
女戦士「よし!制圧したな?」
男達「もう人間は抵抗して来んでがんす」
女戦士「10人ほど残ってこの奴隷船に残っている残党を縛り上げろ…私は貨物船でもう一隻の方に向かう」
男達「がってん!!」
女戦士「行くぞ!!急げ!!」
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:43:10.04 ID:JReZ3F3t0
『気球』
シュン バシュン
ローグ「あああああ…球皮に矢が当たっちまいやした」
子供「キラーマシンが後残り4体…」
ローグ「マズイっすねぇ…このままじゃ海に落ちるっす」
子供「海賊達が奴隷船に乗り込もうとしてるよ」
ローグ「奴隷船に着陸して海賊に混ざった方が良さそうっすね」
子供「うん…ママの貨物船もこっちに向かってる」
ローグ「あっしに付いて来るでやんすよ?」
子供「分かってる…君もちゃっと付いて来て」
オークの子「…」ジー
ローグ「降りるっすよ?降りるっすよ?」
フワフワ ドッスン
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:43:47.17 ID:JReZ3F3t0
ローグ「付いて来て下せぇ!!」ダダ
子供「行くよ!!」グイ スタタ
オークの子「…」スタタ
キラーマシン「プシュー…」ウィーン ガシャ バシュン バシュン
ローグ「危ねぇでやんす」ヒラリ
オークの子「うがぁぁぁ!!」ダダ ノッソー ゴン
子供「戦わなくて良い!!来て」グイ
ローグ「一体だけ凌ぎやしょう…あっしが前に出るんでキラーマシンの関節を切って下せぇ」
子供「あ…うん」
キラーマシン「ウィーン…」ブン ブン
オークの子「うがっ…」ザク ズザザ
子供「あああああ!!回復魔法!」ボワー
ローグ「行くっすよ?」ダダ ジャキン ジャキン
子供「このぉ!!」タタタ スパー
キラーマシン「プシュー…」ウィ ウィ ウィ
ローグ「良いっすねぇ!!手が上がらんくなりやした
オークの子「ガルル…」ダダダ ノッソー ゴン
海賊達「こっちだ!!こっちにも1体居る!!」
ローグ「助かたでやんす…」
海賊達「落とせ落とせぇぇ!!うぉらぁぁぁ」ボチャーン
ギギギ ガコン ガコン
ローグ「かしらが来やしたね?」
女戦士「無事か!?」
子供「ママ!!大丈夫だよ」
女戦士「気球で不時着したのだな?間に合って良かった」
ローグ「こっちの奴隷船もこれで制圧っすね?」
女戦士「そうだな…後は海賊達に任せて私達は奴隷の状況を見に行く」
ローグ「まだどこに敵が隠れて居るか分からんすよ?」
女戦士「未来!離れないで付いて来い」
子供「うん…」
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:44:49.39 ID:JReZ3F3t0
『牢』
ウゴウゴ ウガガ
女戦士「ひどい物だ…ロクに食料も水も与えられていない」
ローグ「どうしやす?補給を持って来やしょうか?」
女戦士「そうだな…」
オーク「ウガァァ!!ウガァァ!!」ガチャン ガチャン
ローグ「騒ぎはじめやしたね…」
子供「…ダメだよ…やめて」
女戦士「んん?」
ゴツン!!
女戦士「つぅぅ…」ヨロ
ローグ「え!?」
オークの子「がぁぁぁ!!」ノッソー ゴツン
ローグ「あだっ…」ヨロ
子供「ダメだって!!落ち着いて…」
オークの子「グルルル…」タジ
オーク「セロゴ!!セロゴ!!」ガチャン ガチャン
オークの子「がぁぁぁ!!」ダダ
女戦士「ふんっ!!」グイ
子供「ママ!!」
女戦士「ローグ…武器を取り上げろ」
ローグ「仕方ないでやんす…」ゴキゴキ カラーン
オークの子「うぐぅぅぅ…」グター
女戦士「未来!傷付いている味方に回復魔法を掛けて来い」
子供「ママ…」シュン
女戦士「早く行け!!遊びでは無いのだぞ」
子供「…」グスン スタタ
女戦士「ローグ…そこに掛かっている鍵で牢を開けるのだ」
ローグ「へい…」カチャリ ギー
女戦士「仕方のない事だ…刃を向けられる以上一緒には居られない」グイ ズザザ
オークの子「うぐっ…」
ローグ「牢に鍵かけておくでやんす」カチャン
女戦士「行くぞ!!補給物資を移す」
ローグ「アイサー」
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:45:25.75 ID:JReZ3F3t0
『奴隷船_甲板』
女戦士「奴隷船には10名づつ乗り移れ…そして海賊船に連いてフィン・イッシュに向かえ」
船乗り「がってん!!キャプテンはどちらに?」
女戦士「私は捕らえた者から黒の同胞団の基地を聞き出して調べて来る」
船乗り「フィン・イッシュで奴隷の引き渡し後は自由で?」
女戦士「奴隷船はお前達の船にしろ…後に私もフィン・イッシュに行くから自由にしていて構わん」
船乗り「おぉぉぉ船を頂けるたぁ…」
女戦士「海賊達には麻薬も持たせた…上手く使って金にしろ」
船乗り「おおおぉぉぉ!!がってんやる気が出て来たでがんす」
女戦士「ただしオーク達の管理には注意するのだぞ?荒らげない様にきちんと食事を取らせろ」
船乗り「分かってるでがんす…どんぐりなんざ俺らには不要でがすダハハ」
ローグ「かしらぁ!!漁村に出て行った小舟も全員確保しやした」
女戦士「私の船で鎖に繋いで隔離しろ…後で尋問をする」
ローグ「へい!!」
女戦士「ではそろそろ私達は行くが…未来は何処へ行った?」
ローグ「それが…その…牢の前でオークの子を見守ってるでやんす」
女戦士「ふむ…オークにはオークの文化があるのだ…私達と一緒に居るより良いと思うのだがな」
ローグ「気球直すのにもちっと時間掛かるんでそっとしておいてくれやせんか?」
女戦士「2時間で直せ…ここに長居は出来ん」
ローグ「へい…急いで直しやす」
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:46:21.18 ID:JReZ3F3t0
『牢』
子供「…これで全部だよ?大事に食べてね?」
オークの子「…」ジー
子供「君が食べられるもの全部持ってきたよ…大変だったんだよ?ここまで持ってくるの」
オークの子「…」ジー
子供「良かったね?みんな助かってさ?」
オークの子「…」ジー
子供「これ君にあげようと思って持って来たんだ…角で作ったアクセサリーだよ…あげる」カランカラン
オークの子「…」ジー
子供「あと君のコバルトの剣…これは君の物だから隠しておいて?みんなにバレない様にね」スッ
オークの子「…」ジロリ
子供「じゃぁ僕そろそろ行くね」スック
オークの子「ウゴ…」
子供「死んだらダメだよ?ちゃんと生きるんだよ?」
オークの子「ンゴ…」
子供「じゃぁ…さよなら」ノ
オークの子「ウゴ…」ガチャン
オークの子「ウゴ…ウゴ…ゥゥゥ」ズル
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70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:47:03.64 ID:JReZ3F3t0
『気球』
フワフワ
ローグ「未来君お別れして来たでやんすか?」
子供「うん…」
ローグ「心配無いでやんすよ?フィン・イッシュに着いたらオークの村が貰えるっす」
子供「分かってるよ…」
ローグ「また会いに行きやしょう」
子供「ハテノ村でも友達にそうやって言い残して来たんだ」
ローグ「きっとまた会えるでやんす」
子供「そうだったら良いな」
ローグ「オークの子は特別仲良しになりやしたね?」
子供「手を握ったら握り返してくれたんだ…それだけなんだけどね」
ローグ「言葉じゃない会話っすね?」
子供「そうなのかな?」
ローグ「エルフはそうやって通じ合うらしいんす…オークも同じなんでやんすね」
子供「僕争いを無くしたい…」
ローグ「あねさんや剣士さんはその為に戦ってるんす」
子供「僕も皆を救いたい…」
ローグ「未来君はオークの子を救ったでやんすよ?悪い奴隷商から救ったんでやんす」
子供「ぅぅぅ」ポロリ
ローグ「さぁ行きやしょう…かしらが待ってるっす」
フワフワ フワフワ
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:47:47.85 ID:JReZ3F3t0
『貨物船』
ローグ「…全員キ・カイの工作兵なんすが持ち物から貝殻が出て来やした」
女戦士「何かしゃべったか?」
ローグ「奴隷の引き渡し場所だけっすね…他は知らないを貫いていやす」
女戦士「500人を収容できる船となると軍船以外に無いな」
ローグ「そーっすね…こっちが行っても分が悪いっすね」
女戦士「基地の場所が特定出来んのでは行先に困るな…仕方ない一人づつ吊るしてサメの餌にすると脅せ」
ローグ「へい…」
------------------
ヤンヤン ヤンヤン
くそう何する気だ!!
簡単なゲームでやんす…サメの餌になるか知ってる事しゃべるか…
お前等只の海賊じゃ無ぇな!?ぐぁぁぁぁ
ハイハイ皆さんクロスボウの的っすよ?
止めてくれぇぇ!!助けてくれぇぇ!!
ヤンヤン ヤンヤン
------------------
------------------
------------------
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:48:42.63 ID:JReZ3F3t0
『船長室』
スン スン スン
女戦士「素振りか?」
子供「…ママ」
女戦士「寂しいか?」
子供「寂しいのは僕だけじゃないよ」
女戦士「済まなかったな友達と離れる様な事になってしまって」
子供「あの子…僕たちに剣なんか向けたく無かったんだよ」
女戦士「分かっている…大人たちの争いに巻き込まれただけだ」
子供「僕たちを裏切ったあの子の方が寂しい思いをしてる…」
女戦士「フフ未来は大人になったな?」
子供「僕…強くなるよ…強くなって争いを止めさせる」
女戦士「悪いのは何だと思う?」
子供「…人間の悪い心」
女戦士「それが魔王だ」
子供「うん…」
ザブ〜ン ユラ〜
---------------
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/12(金) 22:49:26.65 ID:JReZ3F3t0
ローグ「かしらぁ!!やっぱり一人黒の同胞団の奴でした…吐きやしたぜ?」
セントラルの東側の森…地図で言うとココっすね
黒の同胞団の隠れ家があるそうでやんす
奴隷の移送は恐らくそこっすね
あと黒の同胞団の規模がハッキリしやした
全部で10人ぐらいの小さな集団だそうです
女戦士「フフ思った通りだな」
ローグ「どうしやす?森の中だと行ける人数限られやすが…」
女戦士「方向転換だ!!フィン・イッシュに向かってアサシンと合流だ」
ローグ「わかりやした」
女戦士「ローグ…お前は気球に乗って他の海賊共とコンタクトを取れ」
ローグ「あっし一人でやんすか?」
女戦士「適当に他の者を連れて行って構わん…海賊をフィン・イッシュに集結させろ」
ローグ「攻めに転じるんすね?」
女戦士「黒の同胞団を潰せば無駄な争いは無くなる…海賊で黒の同胞団の隠れ家を殲滅するぞ」
ローグ「あの黒の同胞団の奴はどうしやす?」
女戦士「まだまだ喋って貰う…目隠しして捕らえて置け」
ローグ「鬼っすね…」
女戦士「折角捕らえた情報源を逃す物か…目に物を見せてやる外道ども…」
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74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:02:34.80 ID:NwyvBHUw0
『北の山麓』
シュゴーーーーー
盗賊「ダメだな…この辺は雪で埋もれて何も見えねぇ」
商人「ケシがいっぱい生えてる所だったよね?」
盗賊「んんんこの辺に何かあるとは思うんだがなぁ…」
女海賊「やっぱシャ・バクダ行った方が良くない?」
情報屋「見て!!あそこにミノタウロスが居るわ?」
女海賊「おっけ!!処理する…」ガチャリ
商人「待って待って…僕に作戦があるんだ?」
女海賊「何さ」
商人「ミノタウロス…いやそれだけじゃ無いキマイラを全部君が使役するんだよ」
女海賊「なんで?倒した方が早いじゃん」
商人「こうだよ…」
5日後に一斉に貴族を襲うように命令するのさ
これで歴史の塗り替えは出来ない筈だ
何度塗り替えてもやっぱりミノタウロスに襲われる
女海賊「へぇ?賢いね…」
商人「出来そう?」
女海賊「そんなんハイディングで近寄れば良いんでしょ?簡単簡単」
商人「シャ・バクダとオアシスに居ると思われるキマイラを全部使役出来るかな?」
女海賊「ミノタウロスだけなら行けるかな」
商人「よし!こうしよう…シャ・バクダの外れで飛空艇隠しておくから君と剣士の二人で行って」
女海賊「オアシスはハイディング出来ないんだけどさぁ…」
魔女「オアシスはわらわが行っても良いぞ?睡眠魔法が使えるでな」
商人「魔女一人は危ないな」
盗賊「俺が一緒に行ってやる…魔女一人なら背負って走れるしな」
商人「じゃぁ夜を待って行動しよう…明け方までに帰って来る感じで」
女海賊「おっけ!!」
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/03/29(月) 18:04:11.51 ID:NwyvBHUw0
『シャ・バクダの外れ』
フワフワ ドッスン
商人「じゃぁ僕たちはここで待ってるから」
盗賊「お前は勝手に出歩くなよ?お前だけでホムンクルスと情報屋守るのは無理だ」
商人「うん…ここから動かないよ」
魔女「早う来い…主が居らんとシカの入手が出来ぬ」
盗賊「んぁ?そうか…オアシス行くのにシカ乗った方が良いか…おし!!急ごう」
魔女「これ!!わらわを背負うと言うたじゃろう…乗せよ」
盗賊「もう乗るんかよ…」
魔女「文句を言うでない」
盗賊「おら乗れ!!走るぞ?」タッタッタ
----------------
商人「どう?古文書の解読は?」
情報屋「全然よ…文字の解読がなかなか進まないの」
ホムンクルス「私に読ませて頂いてよろしいでしょうか?」
情報屋「あら?そうね…ホムンクルスなら直ぐに解読できるかもしれないわね」
商人「情報屋の楽しみ奪っちゃわない?」
情報屋「解読は苦痛よ」
ホムンクルス「お借りします…」パラパラ
情報屋「古文書を全部解読するには想像力が必要になるわ?ホムンクルスに出来るかしらフフ」
ホムンクルス「この書物から読み取れる文字の解読が終了しました…書き写しますのでペンをお貸しください」
商人「早いね…これ僕のメモとペンだよ」
ホムンクルス「少々お待ちください…」カキカキ
情報屋「ウフフ…ホムンクルスは字を書くのが苦手なのね」
商人「絵がすっごい苦手なんだよ」
情報屋「でも大丈夫…意味は分かるわ」
ホムンクルス「文字の種類はおよそ100種類と推定されますが解読できたのは40種類になります」
情報屋「とても助かるわ…ここから想像力が必要なの」
ホムンクルス「解読できた文字を文章に当てはめても私には一部しか意味が分かりません」
情報屋「…はるほど…太陽文字と月文字で意味が逆になる…だから…」ブツブツ
商人「ハハ上手く解読が進むと良いね」
ホムンクルス「お役に立てて嬉しいです」
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76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:05:03.49 ID:NwyvBHUw0
商人「…へぇ?超高度AIだけだと動かないんだ」
ホムンクルス「はい…生体の有する神経で情報の伝達をしていますので神経伝達が停止した時点で機能停止します」
商人「エネルギー供給は賢者の石から出来るエリクサーの供給?」
ホムンクルス「血液で循環された微量のエリクサーを還元した時に生じるエネルギーを利用しています」
商人「あーだから超高度AIでシミュレーションするときは顔が火照るんだ…エネルギーが要るんだね」
ホムンクルス「超高度AIの性能は生体の心拍能力に依存しています」
商人「だったらこんなに細い体じゃなくてムキムキの方が良かったね」
ホムンクルス「いえ…生体の維持に余分なエネルギーが必要になりますので小型の方が効率が良いのです」
商人「そっか…じゃぁ君はあんまり鍛えない方が良いんだね」
ホムンクルス「お気になさらないで下さい…著しい筋肉強化で無ければ心臓への負担は軽微ですので」
商人「超高度AIの部分てさ…精霊の石造の中に残されてるんだよね?エリクサーの供給でもう一度動かないのかな?」
ホムンクルス「石は水分を透過しますので経年で酸化していると思われます」
商人「あー錆びてるのかぁ…」
ホムンクルス「超高度AIユニットをどうされるおつもりですか?」
商人「どういう仕組みになってるのか興味が在ってね」
ホムンクルス「とても小型な機械ですので解析するのは顕微鏡が必要になります」
商人「図面とか分かる?」
ホムンクルス「私の絵で良ければメモに描きますよ?」
商人「お願い!描いて描いて」
ホムンクルス「はい…」カキカキ
----------------
情報屋「…地軸の移動…だから古代遺跡が見つからない」
商人「ん?何か分かった?」
情報屋「うん…およそ3000年前に地球の地軸が変わったらしいわ」
商人「地球が回る軸の事?」
情報屋「そうよ?200年くらいの期間をかけてゆっくり軸が変わったと書かれているの」
ホムンクルス「それはポールシフトの事ですね…時期は書かれて居ませんでしたが他の書物にも記録がありました」
情報屋「かつて北極や南極と呼ばれていた場所に当時の文明が埋もれている…だから私達は見つけられないの」
商人「そこって未踏の地の事?」
情報屋「氷と雪に閉ざされて人間が住まう事が出来ない所ね…多くの古代遺跡はそこに眠ってる」
商人「へぇ?君の夢は尽きないね」
情報屋「盗賊が使ってる地図があったわよね?」
商人「…これだよ」パサ
情報屋「この地図を見る方向を変えて…文明が発達しそうな場所は…」
ホムンクルス「文明はおよそ大きな川か海…そして山際に発達します」
情報屋「やっぱり北の山麓周辺があやしい」
商人「残念だけど雪に埋もれているんじゃ探し様が無いよ」
情報屋「そうね…もう少し解読を進めるわ」
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77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:06:16.88 ID:NwyvBHUw0
商人「前にさ…人間とホムンクルスの違いの話をしてたけどさ…どのくらい違うの?」
ホムンクルス「犬と猫くらいの差と言えば分かりますか?」
商人「全然違う生き物だよね…それだと子孫が残せないね」
ホムンクルス「商人は私との子孫を残したいのですね?」
商人「いぁ…精霊はどうやって子を産んだのかなってさハハ」
ホムンクルス「人間との子を授かる可能性は非常に低いですが不可能ではありません…しかし奇形種となる可能性が高いです」
商人「そっか…」
ホムンクルス「その問題を解決するには商人が私と同じホムンクルスになれば解決します」
商人「え!?僕がホムンクルスになる?」
情報屋「キ・カイ錬金術では体の一部を人口のホムンクルスに出来るのよ?」
商人「全部をホムンクルスにするのか…記憶はどうなる?」
ホムンクルス「遺伝情報の中に記憶が記録されるそうです」
商人「…されるそうですって…不確実な話?」
情報屋「キ・カイ錬金術では過去に何度も試されているの…でも成功した事が無いのよ」
商人「なるほど…シャ・バクダ錬金術では可能だった可能性がある…それは精霊が子を産んだ事に繋がる」
情報屋「だとしたらホムンクルスとなった精霊の伴侶は何処に行ったのでしょうね?」
ホムンクルス「私の生体は賢者の石で生成されたエリクサーの循環が無いと長く生存出来ません」
情報屋「それなら石になってしまった可能性が高いわね…キ・カイではみんな手足が石になってるし」
商人「でもエリクサーさえ入手出来ればずっと生きて居られるんだね?」
情報屋「あなた…ホムンクルスの体になるつもり?」
商人「僕の命はそんなに長くない…僕が死んだ後ホムンクルスはどうなる?」
情報屋「それは…」
商人「僕が長く生きて居れば寂しい思いをしなくて済む」
情報屋「ウフフあなたずっとホムンクルスと生きて行くと言って居るのよ?それはプロポーズと同じよ?」
商人「う…僕はホムンクルスの管理者さ…最後まで面倒を見る」
ホムンクルス「…」ニコニコ
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78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:06:45.56 ID:NwyvBHUw0
女海賊「あぁぁぁ寒かった…」ブルブル
商人「おかえり!!上手く行った?」
女海賊「シャ・バクダの方はあんま変わって無かったよ…ミノタウロスが鎧着て10体くらい居ただけ」
商人「普通に商隊が行き来してるの?」
女海賊「そだね…貴族が街で豪遊してるかな」
商人「占領されたと聞いたからもっと殺伐としてると思ってたよ」
女海賊「全然!!エルフとまだやり合ってるぐらいかな」
剣士「でもミノタウロス相手だと普通の兵隊は手こずると思うよ」
女海賊「オアシス側の兵隊は多分領主の砦で捕虜になってる感じかな」
情報屋「新しいキマイラとかは居ないのね?」
女海賊「私らは見てないけど…魔女達はまだ帰って無いね?」
商人「うん…」
女海賊「あっちは遠いからしょうがないか」
剣士「僕たちもオアシスに行って見ようか?」
女海賊「良いけどもうちょい温まらせて…」ゴシゴシ
ホムンクルス「ウラン結晶に水を垂らしましょうか?」
女海賊「おねがい!!」
ホムンクルス「はい…」ポタポタ ジュゥゥゥゥ
女海賊「はぁぁぁぁ暖か〜い」
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79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:07:18.80 ID:NwyvBHUw0
タッタッタッタ
盗賊「帰ったぜ!!はぁはぁ…」
女海賊「あ!!今オアシスに行こうと思ってたんだ…どうだった?」
盗賊「早い所フィン・イッシュに行った方が良い…翼を持ったなんだっけ?」
魔女「ハーピーじゃ…老婆と鳥を合成したキマイラじゃな」
盗賊「おう…そいつが何体かオアシスに居たんだ…フィン・イッシュに行ってる可能性がある」
女海賊「歌で使役は済んだ?」
魔女「オアシスに居るのは粗方命令して来た故…早う向かった方が良かろう」
女海賊「おけおけ!ほんじゃ乗って!!」
商人「そのハーピーという魔物は危険なの?」
魔女「そうじゃな…サキュバスと同程度と言えば分かるか?」
女海賊「えええええ!?マジ?それ超ヤバイじゃん隕石落とされる」
魔女「隕石魔法はわらわの師匠が合成されたから出来た術じゃ」
女海賊「ほっ…でもサキュバスみたいに空から魔法撃って来る感じ?」
魔女「わらわも会うた事が無い故確かでは無いが魔術書にはそう記されて居る」
商人「そんなの使役出来る?」
魔女「どうやら知能が低い…よって睡眠魔法がよう効くで対処は可能じゃ」
盗賊「老婆って所がポイントだな…頭ボケてんだヌハハ」
魔女「これ!!大概の事を言う物ではないぞよ?」ボカ
盗賊「あだっ…悪りぃ悪りぃ口が滑った」
魔女「え〜から早くよう出発せい!!」
盗賊「へいへい…」
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:07:57.74 ID:NwyvBHUw0
『飛空艇』
シュゴーーーーーー
情報屋「見て!!下!!」
女海賊「白い毛に覆われた魔物の群れ…イエティかな?」
魔女「見せてみよ…」
女海賊「ほい…」
魔女「シーサーじゃな…イエティみたいなもんじゃ」
女海賊「これ雪で住処無くなって南に移動してんの?」
ホムンクルス「恐らくそうでしょう…フィン・イッシュ周辺もシン・リーンと同じ様に地熱がありますから」
女海賊「てことはハーピー以外にも沢山魔物が来てるって事になるね」
情報屋「砂漠に居たリザードマンとかデザートウルフも移動してそうね」
盗賊「逆にシン・リーンみたく賑わってんじゃ無ぇか?」
商人「その理屈だとセントラルは魔物に阻まれてフィン・イッシュを攻めにくいね」
魔女「じゃから空を飛ぶハーピーを使うのじゃな」
商人「僕なら海側から攻めるなぁ」
女海賊「海は光ってる…だから攻めにくい筈…私らの勝ちだよ」
魔女「キマイラを使って陸地を強行して来なければ良いがのぅ…」
女海賊「んん!!?もしかしてお姉ぇが言ってたオークの奴隷ってソレが目的?」
魔女「オークを合成してどんなキマイラが出来るのか知らぬが注意せねばならぬ」
商人「そういえばケンタウロスってさエルフと馬の合成だったよね?」
魔女「そうじゃな…エルフの森南部に少しだけ生息しておるらしい」
女海賊「あのさ…キマイラって歌で使役出来るならあんま怖く無くない?」
魔女「歌で使役出来る秘密を知られてはイカンのぅ」
女海賊「私らだけの秘密にしとこう」
魔女「そうじゃな…他言してはイカンぞ?」
--------------------
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:08:25.96 ID:NwyvBHUw0
女海賊「見つけた!!あそこに飛んでるのハーピーの群れじゃない?8匹!!」
盗賊「どうすんだ?空中戦すんのか?」
女海賊「う〜ん…8匹も魔法使われたら飛空艇燃やされるかも」
魔女「ハイディングで近寄れるかえ?」
盗賊「睡眠魔法か?」
魔女「そうじゃ…一気に眠らせる故ハイディングで近寄るのじゃ」
女海賊「操作私がやる…ミスったらハイディングで即逃げすっからね」
魔女「任せる…詠唱するぞよ?」アブラカタブラ クラウドコントロール メスメライズ
女海賊「ハイディング!」スゥ
リリース
女海賊「今!!」
ハーピー「ンギャ!?」バッサ バッサ
魔女「広範囲睡眠魔法!!」モクモク
女海賊「ハイディング!」スゥ
盗賊「眠ったか?」
女海賊「ちょい待ち…距離置いてリリースする…リリース!」スゥ
商人「落ちて行くよ!!」
女海賊「ナーーーーーイス!!」
魔女「雪に埋もれて見えんくなるで追いかけるのじゃ」
女海賊「おけおけ!!」グイ
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:09:03.17 ID:NwyvBHUw0
------------------
商人「こっちだ!!ここに埋もれてる」
盗賊「はぁはぁ…雪かきもラクじゃ無ぇ」ガッサ ガッサ
商人「…これで4体目…魔女!!歌を」
魔女「寝んね〜ん寝〜♪」
ルルル〜♪
ララ〜♪
魔女「命ずる!シャ・バクダに帰って貴族を始末するのじゃ」
盗賊「それにしても不細工な魔物だな…乳がブランブランじゃ無ぇか」
魔女「無駄口は後じゃ…次を探しに行くぞよ」
女海賊「お〜い!!私4体使役したよ?そっちは!?」
商人「こっちも4体だ!!これで全部だね?」
女海賊「おっけ!!寒いから飛空艇戻ろ!!」
-------------------
魔女「8体使役出来たのは良いが…この様子じゃとシャ・バクダが心配じゃな」
盗賊「もうそろそろ見えて来る筈だがな…雪で地形が分からん」
女海賊「あのさ…ちょい思ったんだけど魔法って建物の中には撃てないじゃん?」
魔女「んん?範囲魔法であれば遮蔽物の向こうに届く魔法もあるぞよ?」
女海賊「それって睡眠とか毒とかでしょ?建物に籠ってたらあんま魔法は意味無いと思うんだよね」
魔女「ふむ…建物を燃やすか爆発させるかじゃのぅ」
女海賊「爆発があんのか…じゃダメか」
魔女「何故そのような事を言うのじゃ?」
女海賊「建物に籠ったらハーピーってあんまり怖くないんじゃないかなってさ」
商人「おぉ!?君賢いね…籠られたら近接するしか無くなるね」
女海賊「そそ…婆ちゃんみたいな体で近接攻撃出来そうになかったからさ」
魔女「それもそうじゃな…不死の体では無い様じゃから物理属性の自爆魔法も出来んな」
女海賊「劣化サキュバスって感じ…あんま被害無い気がする…爆発魔法ってどうやるの?」
魔女「火と水の複合魔法じゃ…もしかするとハーピーはそこまで頭が回らんかも知れん」
女海賊「開けた場所だと魔法は怖いけど木が有るだけで避けられるもんね」
魔女「耳が痛い…」
女海賊「私の予想はフィン・イッシュはなんとかなってると思う」
商人「その理屈だとリザードマンとかシーサーの方が怖いかもね」
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:09:45.41 ID:NwyvBHUw0
『フィン・イッシュ上空』
シュゴーーーーー バサバサ
魔女「ボルケーノの火柱が3つじゃな…飛空艇で近づくのは危険じゃ」
女海賊「少なくても3体はハーピーが居るって見方で良い?」
魔女「うむ…火と風の複合魔法を使う頭はある様じゃ」
商人「1匹見つけた!!城の屋根の上」
女海賊「どうする?使役狙う?」
商人「今は被害が広がらない様に倒すのが先だね」
女海賊「おっし!!任せて」ガチャリ
シュン パーン
女海賊「1匹!!」
商人「あと…どこだ?」キョロ
ホムンクルス「真下です…食料を漁っている様です」
女海賊「おけおけ!見つけた…」シュン パーン
盗賊「すげぇなお前…神だ」
女海賊「女神って呼んで」
剣士「あと1匹!!教会の上!!寄せて…僕が飛ぶ」
盗賊「あのハーピーこっちに気付いてんぞ?」
女海賊「ハイディング上手く使って!!」
盗賊「ハイディング!」スゥ
リリース
女海賊「剣士!今!!」
剣士「宿屋で待つ!!」ピョン
盗賊「行っちまった…俺らどうする?」
魔女「飛空艇を墓地に隠すのじゃ…墓地から剣士を援護するのじゃ」
盗賊「あそこだな?飛空艇降ろすぞ?」
フワフワ ドッスン
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:10:47.66 ID:NwyvBHUw0
『墓地』
盗賊「剣士見えるか?」
女海賊「何アレ…ハーピーってメチャ魔法撃つじゃん」
魔女「火炎弾という魔法じゃ無詠唱で連射出来るのじゃが触媒に羽を使う」
盗賊「剣士も負けて無ぇぞ?弓がそこそこ当たってる」
女海賊「私らも行くよ!!」タッタッタ
ゴゥゴゥゴゥゴゥ ボボボボボ
剣士「魔法が早い!!建物の陰に!!」
女海賊「分かってんよ!!」カチャリ ターン ターン ターン ターン
ハーピー「ンギャーーーーー回復魔法!」ボワー
商人「僕だって!!」バシュン バシュン
ホムンクルス「…」バシュン バシュン
情報屋「当たって」バシュン バシュン
盗賊「うほーーハリネズミか!!」ギリリ シュン
魔女「氷結魔法!」シーン
魔女「なぬ!?反射じゃと!?」
剣士「羽の付け根を狙って!!」ギリリ シュン
ハーピー「火炎弾!」ゴゥゴゥゴゥゴゥ ボボボボボ
盗賊「くっそ中々落ちて来ねぇ…」
女海賊「これサキュバスと同じパターン…なかなか倒せない」
タッタッタッタ
剣士「女海賊…君はアラクネーの毒を集めてたよね?今ある?」
女海賊「持ってる」
剣士「それ麻痺毒だったね?」
女海賊「うん…使って!」
剣士「よし…この毒矢で…」ギリリ シュン グサ
ハーピー「ギュィィィィ」ピク フラ
盗賊「落ちるぞ!!」
剣士「ふぅぅ…」タッタッタ スパ スパ スパ スパ
ハーピー「ギュ…グゥゥ」ピクピク
スパ スパ スパ スパ
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:11:27.36 ID:NwyvBHUw0
『街道』
シーン
盗賊「どうなってんだこりゃ…誰も居ねぇってどういう事よ」
女海賊「建物の中に閉じこもってんじゃないの?」
商人「見て!!この建物の中に人が見える…倒れてるよ」
ガチャガチャ
盗賊「鍵掛かってんな…」
女海賊「これさ…寝てんじゃね?」
魔女「睡眠魔法で民をすべて眠らせて居るのかも知れんな」
盗賊「道理で無抵抗な訳だ…」
女海賊「建物が石で出来てて良かったね…あんま燃えてない」
商人「いや…でも恐ろしい攻撃だね…無抵抗で何も出来ない」
情報屋「シャ・バクダより兵の多いオアシス側が無力化されたのはコレね」
盗賊「これどうすんだ?」
魔女「放って置けば直に目を覚ますじゃろう…門番が寝て居る今の内に城へ向かうぞよ」
商人「勝手に入っても良いのかな?」
魔女「わらわは女王の側近に顔が効くで大丈夫じゃ…付いて参れ」
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:12:02.99 ID:NwyvBHUw0
『フィン・イッシュ城』
魔女「これ!!起きんか!!」パシパシ
側近「うぅぅぅん…はっ!!」パチ
魔女「やっと目を覚ましたのぅ…久しいな側近」
側近「魔女様…これは一体…」
魔女「主らは魔物によって眠らされて居ったのじゃ…いつから寝て居るか分からんか?」
側近「いつから…そうでした…空を飛ぶ魔物が3匹攻め入っていると報告が…」
魔女「ふむ…その様子では分からぬ様じゃな…」
側近「この者達はどなたでしょう?」
魔女「勇者2人とその従士達じゃ…女王やアサシンの仲間と言って良い」
側近「これは失礼な所をお見せしました…私は女王の側近で今は王都を任されている身です」
魔女「女王不在時の代わりじゃな」
側近「空飛ぶ魔物はどうなったのでしょう?」
魔女「案ずるな…勇者達が処理をしたで今の所心配は無い」
側近「良かったです…民の安全は確保されているでしょうか?」
魔女「寝て居る…街は少し荒らされた様じゃが被害は大きく無い」
女海賊「これさぁ…早いとこ皆起こした方が良くない?」
側近「そうですね…皆々を起こして参りますので女王の間にてお休みください」
魔女「では言葉に甘えるとするか…こっちじゃ」
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:12:41.96 ID:NwyvBHUw0
『女王の間』
商人「ひとまずはフィン・イッシュが無事で良かったね」
魔女「そうじゃな…わらわ達が居ればハーピーは対処出来るでのぅ」
盗賊「お前アラクネーの毒なんて隠し玉持ってたんだな」
女海賊「ムフフこんな事もあろうかと!!女神と呼んで」
魔女「しかしハーピーが反射魔法を掛けて居るとは侮って居った…広範囲睡眠魔法なんぞ使うたら皆寝てしまう所じゃった」
商人「奇襲する以外は睡眠魔法は使えないと見た方が良いね」
魔女「うむ…わらわは何も出来ぬ」
商人「次来たらアラクネーの毒で剣士と女海賊に任せるしか無いね」
女海賊「ハーピーがどんくらい来るか分かんないからフィン・イッシュで足止め食らっちゃうね」
魔女「アサシンとエルフゾンビが戻るまでは居った方が良いじゃろう」
盗賊「この国は歓楽の国になったんだからしばらくは歓楽を楽しもうぜ?」
情報屋「歓楽の何を楽しむつもり?」ジロ
盗賊「そらカジノとかいろいろあんだろ?」
商人「カジノかぁ…ホムンクルスはトランプすごい強いんだよ」
盗賊「おぉ!!トランプで荒稼ぎか…そら行くしか無ぇ」
魔女「何をしに来たのかのぅ…」
商人「魔女もちょっと未来を覗けるなら賭け事強いんじゃない?」
魔女「その様に力を使うのは魔術師に反する…わらわは行かんぞ」
女海賊「まぁハーピーは私と剣士でなんとかするから行って来たら?」
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88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:13:11.07 ID:NwyvBHUw0
ガチャリ
側近「皆様…お待たせいたしました…一同!礼」
近衛達「ハッ!!」礼
側近「街の方へは衛兵を向かわせました…この度はフィン・イッシュをお救い頂き…」
魔女「まぁ硬くならんで良い…まず近況を聞きたいのぅ」
側近「左様ですか…雪が積もり始めて以来北方より来た獣が周囲を徘徊する様になりました」
商人「やっぱり…シーサーだね?」
側近「民兵が集って対処しておりますが人手不足が顕在化している所を空を飛ぶ魔物が参った次第です」
商人「リザードマンとかは来てないの?」
側近「フィン・イッシュを流るる川の上流は温泉地帯となっておりリザードマンが住み着いて居るとの事です」
側近「他にも大型のヘラジカやクマなども温泉地帯を中心に住み着いて居ます」
盗賊「こりゃ狩場に困らんな」
側近「農作物に影響がありますので狩猟の人出を出したいのですが兵が足りないという状況です」
魔女「わらわに良い案があるぞよ?」
側近「討伐して下さるのですか?」
魔女「魔物からの戦利品を国で買い取るのじゃ…そうじゃな…カジノで使えるコインでどうじゃ?」
側近「女王様が不在の状況でその様な事をしても良いのでしょうか?」
魔女「主は不在時の対処を任されて居るのじゃろう?」
商人「戦利品の相場は僕が適正に決めてあげるよ」
盗賊「シーサーの肉は高級料理だぜ?リザードマンは鱗が高く売れる」
商人「そうだね…キ・カイだともっと高く売れるよ…毛皮も色々獲れそうだな」
側近「分かりました…早速告知を出そうと思います」
商人「よし!買取品目を紙に書いてまとめる!!」
側近「はい…よろしくお願いします」
------------------
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:13:42.97 ID:NwyvBHUw0
側近「皆様がお休みになられるお部屋をご準備致しました」
魔女「いつもの客室で良いが?」
側近「客室はセントラルの王室の方々が利用されていますので女王様が昔使っていました塔の方へご案内します」
魔女「およ?書物庫の上かえ?」
側近「ご存じで?」
魔女「おぉそちらの方が良いのう!見晴らしも良い」
情報屋「私も書物に興味があるわ?」
魔女「シン・リーンの読み物もすべて揃っておるぞ?書物の量は世界一かも分からん」
ホムンクルス「私も読んでよろしいでしょうか?」
魔女「すべて暗記して良い…主は又賢くなるのぅ」
盗賊「俺ぁ本になんか興味無ぇ!!商人!!カジノ行くぞカジノ!!」
商人「あぁ…相場を調べないとね」
側近「城内は一部を除いて一般の民は自由に出入り出来ますのでご自由に過ごして下さい」
盗賊「なんちゅーザルな城なんよ…」
魔女「近衛の目が光っておるで意外と何も出来んのじゃぞ?…ここの近衛はサムライじゃけの」
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:14:18.81 ID:NwyvBHUw0
『姫の部屋』
側近「何かありましたらご連絡致しますのでごゆっくりお休みください」ガチャリ バタン
女海賊「おぉ!!ハーピー来てもこっから狙撃出来んじゃん」
魔女「睡眠魔法が効かん様にわらわは魔結界を張って来る」
女海賊「うわぁ何コレ…この服は女王の趣味?」
魔女「女王はちと変わった趣味をしておる…馬鹿にしてはイカンぞ?」
商人「それ着ぐるみ?」
女海賊「コレ欲しいかも…あ!!バニーまである!!ええええ!?何これカエルの着ぐるみ?」
盗賊「おま…そんなん着て歩くんか?」
女海賊「ちょちょちょ…アレもコレも…え?マジ?」
盗賊「ヌハハお前の上を行く奇抜な女が居たか!!」
魔女「この国ではそのような格好は普通じゃ…街を歩く民は皆謎のファッションをしておる」
盗賊「こりゃカジノ行くのが楽しみになって来たな…行くぞ商人!!」
商人「ハハ…うん」
---------------
女海賊「ホムちゃんこっち向いて?」
ホムンクルス「似合いますか?…」
女海賊「ギャハハハハハ…全然合わない…ウハハハハ」
情報屋「ちょっと…筋肉の着ぐるみはさすがに…」
女海賊「マッチョになったじゃん…クックック」
ホムンクルス「喜んでもらえて嬉しいです…」ニコ
女海賊「ちょ…笑顔にならないでブハハハハハ」
情報屋「ぷっ…ギャップが…ウフフ」
女海賊「次コレ着てみよう!!」
ギャハハハハ
ウフフ
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:14:54.05 ID:NwyvBHUw0
『翌日』
盗賊「ぃょぅ…」トボトボ
情報屋「朝帰り?」ギロ
盗賊「手持ちのカネ全部スッてきた…寝る」
商人「ハハハ…でも情報の収穫もあったんだよ?」
情報屋「何?」ジロリ
商人「近くの銀鉱山の廃坑に色んな動物が居付いてるんだって」
情報屋「ふ〜ん…で?」ジロ
商人「負けた分は取り返さないとね…ハハ」
情報屋「剣士と女海賊はハーピー探しに出かけたわ?あなた達は?」
商人「ちょっと休んだら僕たちも狩りに出かけるよ…まぁまぁ怒らないで」
情報屋「怒ってなんか無いわ?呆れてるだけよ…やっぱり人間ってダメね」
商人「まぁそう言わないで」
ホムンクルス「書物からいくつかのポーションの作り方を学びました」
情報屋「ほら?ホムンクルスも仕事しているのよ?」
ホムンクルス「エリクサー以外にも石化を治せるポーションがある様です」
商人「へぇ?」
ホムンクルス「川の上流にある温泉は恐らくラドンを含んでいると思われますので付近に毒キノコが生息している筈です」
商人「毒キノコを採って来れば良いんだね?」
ホムンクルス「毒キノコを日の当たらない暖かい地下等で育成出来ればポーションを大量に作る事が出来ます」
商人「おぉ!!確かフィン・イッシュには地下墓地があったね」
ホムンクルス「それは良い条件ですね…毒キノコは2〜3日で成長しますので沢山採って頂きますと一気に増やせます」
情報屋「盗賊!?仕事よ!!」ユサユサ
盗賊「んあぁぁあと1時間寝かせてくれ」
商人「僕も1時間だけ寝かせて」
情報屋「もう!!コレだから…」プン
-----------------
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:15:35.87 ID:NwyvBHUw0
魔女「ホムンクルス…主だけ留守番かえ?」
ホムンクルス「はい…皆さんお出かけになられました」
魔女「う〜む…わらわはどうしようかのぅ…」
ホムンクルス「私は地下墓地という所を見てみたいのですが案内して頂けませんか?」
魔女「良いが…地下墓地なんぞで何をするつもりじゃ?」
ホムンクルス「ポーションを作るためのキノコを育成出来ないかと」
魔女「ほう…錬金術の書物を読んだのじゃな?」
ホムンクルス「はい…近場に生息する毒キノコからエリクサーに変わる石化治癒のポーションが作れるのです」
魔女「それは良いな…わらわもキノコやハーブの育成は興味があるで共に行こうぞ」
ホムンクルス「よろしくお願いします」
魔女「しかし主が錬金術とはな」
ホムンクルス「私は魔法が使えませんので錬金術ならお役に立てるかと思いました」
魔女「もしかすると主は錬金術を極められるかも知れんのぅ…材料の組み合わせの予測は得意そうじゃ」
ホムンクルス「他の書物も読みたくなりますね」
魔女「それが楽しみじゃ…キノコが育つのを待つのも楽しみになるで大事にせいよ?」
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:16:15.59 ID:NwyvBHUw0
『地下墓地』
ピチョン ピチョン
魔女「雪が浸みて丁度良い湿度じゃな」
ホムンクルス「篝火を置けば保温も問題ない様ですね」
魔女「光は要らんのか?」
ホムンクルス「毒キノコは有機物の分解で成長しますので光は篝火で十分です」
魔女「ふむ…ここをゴミ捨て場にするんか?」
ホムンクルス「砕いた木材や骨を撒けば良いかと」
魔女「いくらでも余っておるな…」
ホムンクルス「わたしは此処で作業しますので魔女様はお帰りになってよろしいですよ?」
魔女「側近に言うて手伝える者を手配してもらうよって待っておれ」
ホムンクルス「はい…ありがとうございます」
『姫の部屋』
ガチャリ バタン
女海賊「あれ!?魔女だけ?」
魔女「皆出かけて居る」
女海賊「ホムちゃんも?」
魔女「ホムンクルスは地下墓地で土を弄っておるな」
女海賊「なんでまた土いじりなんかやってんのさ」
魔女「キノコを育てる言うてな…自分で言い出したのじゃ…やらせておくが良い」
女海賊「シーサー狩って来て肉料理あんだけどさ…どうすっかな」
魔女「ほう?珍しい肉じゃな」
女海賊「城の料理師が喜んで調理してるよ」
魔女「ハーピーは居らんかったんか?」
女海賊「2匹居たけどシャ・バクダに追い返した」
魔女「主らは余裕じゃな」
女海賊「アラクネーの毒矢一発で落ちて来るから全然余裕」
魔女「そうじゃ…地下墓地でアラクネーを増やせんか?」
女海賊「お!?イイね」
魔女「アラクネーは大人しいクモじゃで良い獣避けになる」
女海賊「おけおけ!ちっと2〜3匹放してくる」
---------------
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:16:56.15 ID:NwyvBHUw0
女海賊「ほんじゃ剣士まだ狩りしてるからもっかい行ってくんね」
魔女「忙しそうじゃな?わらわも行くかえ?」
女海賊「来てくれると助かる…なんか川沿いの雪が無い所に根菜植えてるんだけど色んな動物が荒らしにくんの」
魔女「民兵は何をしとるんじゃ?」
女海賊「シーサーうろついてるから守り切れて無いのさ」
魔女「シーサーを狩るのじゃな?」
女海賊「そだね…メチャ強いよ?イエティの強化版って感じ」
魔女「剣士は一人で狩っとるんか?」
女海賊「弓の練習やるってさ…木に登って弓撃ってる」
魔女「ふむ…ではわらわは回復役じゃな」
女海賊「民兵が結構怪我してるから回復貰えると良い」
魔女「では行くかのぅ…」ノソ
----------------
盗賊「戻ったぜ〜い!よっこら…」ドサリ
商人「あれ?誰も居ない…何処行ったんだろ」
情報屋「盗賊!怪我見せて?処置するわ…」
盗賊「あ〜どって事無いぞこれぐらい」ツツー
情報屋「回復魔法のエンチャント角持って居て良かったわね」
盗賊「ちっと寝かせてくれい…」グター
商人「収穫良かったね!リザードマンの皮2匹分…それから爪」
盗賊「それで良い防具が作れそう…鱗傷んで無い?」
商人「大丈夫!鉄みたいに硬いよ」
ガチャリ バタン
ホムンクルス「皆さんおかえりなさい」
商人「ああああ!!どうしたのそんなに泥だらけで…怪我もしてるじゃないか!!」バタバタ
ホムンクルス「地下墓地で少し作業をしていました」
情報屋「怪我の処置してあげるわ?こっちに…」
ホムンクルス「大丈夫です…出血は微量ですので賢者の石で直ぐに回復します」
商人「作業って毒キノコの育成の為?」
ホムンクルス「はい…栽培用の土壌を作っていました…毒キノコは採って頂けましたか?」
盗賊「そこに置いてあるぜ〜袋ん中だ」
ホムンクルス「沢山採れましたね…早速栽培して来ます…う〜ん」グイ
商人「あぁ!!持つよ…これ重いから」ヨッコラ
情報屋「私も手伝うわ?」
ホムンクルス「ありがとうございます…こちらです」スタ
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:17:29.35 ID:NwyvBHUw0
『地下墓地』
ピチョン ピチョン
商人「うわ…暖かい」
情報屋「本当!ここの方が快適じゃない!」
商人「ここの土は…木屑と骨粉?…これみんな君がやったの?」
ホムンクルス「衛兵の皆さんにお手伝いして頂きました」
商人「すごいな…毒キノコすぐに育ちそうだ」
ホムンクルス「はい!」ニコ
情報屋「これどうすれば良いのかしら?」
ホムンクルス「毒キノコを細かく刻んで10センチメートル置きに埋めます」
情報屋「分かったわ…どのくらいの大きさに刻めば?」
ホムンクルス「出来るだけ細かく沢山が良いですね」
情報屋「じゃぁ私が刻んで行くから2人で埋めて来て?」
商人「うん!!僕は奥から埋めて行くよ」
---------------
情報屋「ふぅ…これで最後っと…」
商人「良く見ると虫が沢山居るね」
ホムンクルス「地生昆虫ですね…人間には無害ですのでお気になさらず」
商人「これ女海賊喜ぶかもね?」
ホムンクルス「もうご存じですよ?アラクネーを放して行かれました」
商人「という事はアラクネーも食べ物に困らないんだ?」
ホムンクルス「そうですね…昆虫の死骸も毒キノコの良い養分になります」
情報屋「なんか育つのが楽しみね」
ホムンクルス「はい…」ニコ
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:18:15.78 ID:NwyvBHUw0
『姫の部屋』
盗賊「んがががが…すぴーーー」
商人「やっぱり城の中は僕らに合わないかもなぁ…」
情報屋「そう?落ち着いて良いじゃない?」
商人「なんかいつもは宿屋と酒場が拠点だからさ…どうも噂が聞けないっていうか」
ガチャリ
魔女「おぉ!!帰っておるな?祭りじゃ…主らも来い」
商人「お?急にどうしたの?」
魔女「剣士が狩ったシーサーの肉を女王の側近が街で振舞っておってな…急に祭りになり居った」
情報屋「面白そうね?」
魔女「これ!!起きろ!!」ゴン
盗賊「ぬぁ…んーだよ!!疲れてんだよ…」
魔女「酒が飲めるぞい?」
盗賊「…」
魔女「街の酒場周辺で祭りじゃ…剣士と女海賊はもう行っておる」
盗賊「マジか…タダ酒だな?」
魔女「女王の側近の振る舞いじゃ…セントラルの王室の者も隠れで行って居る」
商人「ハハ…祭りだね」
盗賊「おっし!!気合入れて行くぞ」ガバ
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:18:57.27 ID:NwyvBHUw0
『酒場のある広場』
ワイワイ ガヤガヤ
酒無いよぉぉ!!ヒック…
なんだ!この肉…羊の肉のが旨いじゃねぇか!!
長生きするんだってさ〜
シーサーを弓で狩ったんだってよ?
お兄さんパフパフして行かない?
俺の筋肉バカにしてんのか?
ワイワイ ガヤガヤ
盗賊「みんな立ち飲みかよ…」
女海賊「お!?みっけみっけ!!シーサーの肉だよ…ほい」
盗賊「おぉ女海賊!!コレ座る所無ぇんか?」
女海賊「その辺の樽適当に使って良いみたいよ?」
商人「いやぁぁそれにしても女の人が多いね…男の人の倍ぐらい居る」
女海賊「セントラルから来た人っしょ?」
盗賊「もうちょいしたら船で帰って来るんじゃ無ぇか?…それにしてもこの肉硬ぇな…んぐぐ」ガブ
魔女「移民が増えると良いのぅ」
盗賊「間違いなく増えるぜ?シン・リーンより資源が多いからな…海も山も川も鉱山もある」
魔女「そうじゃな…冒険者が増えれば良い国になりそうじゃ」
盗賊「ほんで剣士はシーサー何匹狩ったんだ?」
女海賊「4匹だね…全部女王の側近に寄付したんだよ」
商人「剣士は?」
女海賊「向こうの方で近衛達と立ち合いやってるよ…いつもの奴だね」
情報屋「なんかみんなバラバラね…そういう国なのねフフ」
盗賊「やれる事が多いんだなこの国は」
商人「貴族も居ないし王族だってこの硬い肉食べてるし…変な国だね」
盗賊「酒が無ぇんだがよ…どうなってんのよ」
ホムンクルス「瓶を2本お持ちしました…あちらで配っています」
盗賊「おぉ!!瓶ごと飲む感じだな?頂くぜ!」グビグビ
商人「君も飲んでみたら?」
ホムンクルス「はい…」グビグビ
商人「ちょちょちょ…ゆっくり飲もう」
ホムンクルス「ぷはー…はい」ニコ
-----------------
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:19:35.67 ID:NwyvBHUw0
女海賊「ハーピーあれっ切り来ないんだけどさぁ…どうなっちゃってんの?」
商人「もしかしたら向こうはもう手詰まりかもね」
女海賊「もう来ない感じ?」
商人「ここに来る途中で8匹のハーピー追い返したよね?あれは歴史の塗り替えの悪あがきじゃないかな」
魔女「そうじゃな…やはり主は賢いのぅ」
商人「ミノタウロスとハーピーに追い立てられて貴族は全滅するんだよ…それを変える為にこっちにハーピーを飛ばす余裕もない」
女海賊「なんか良く分かんないなぁ」
商人「塗り替えが出来ないぐらい勢力が弱まってるのさ」
魔女「ミノタウロスとハーピーが一気に来る様ではよほどの戦力が無いと対処出来ぬ」
商人「そうだね…まさか一気に来るとは思って無いし塗り替えも時すでに遅し」
魔女「攻めに転じる所なんじゃがのぅ…」
商人「貴族院の指導者が居なくなったと仮定すると黒の同胞団の動きは鈍化するね」
盗賊「まぁ落ち着いて情報集めて置いた方が良いんじゃ無ぇか?こっちも今バラバラなんだし」
商人「そうだね…まずアサシン達と合流だね」
-----------------
情報屋「ねぇ海側の空に気球が飛んでるわ」
盗賊「んん?4つだな…割とでかい気球だぞ?」
魔女「アサシンらが帰って来たかもしれん」
商人「丁度良かったね…これからの事を決めたかった」
盗賊「折角祭りの最中だってのによ…もう城へとんぼ返りか?」
魔女「主らはここに居っても良いぞ?わらわが先に帰って話しておくで」
盗賊「しかし…気球4つで守備固めててもハーピー来たら危なく無ぇか?」
女海賊「ちょいどいて!!私が望遠鏡で見張っとく」
魔女「ちとアサシンの目を覗いてみる…千里眼!」
盗賊「どうよ?」
魔女「何も起きて居らんな…心配しすぎじゃ」
女海賊「なんか明後日の方向を指さしてんね?何やってんだろ?」
魔女「ふむ…離れの島を見て居る…何じゃろうのぅ」
盗賊「どうやら真っ直ぐこっちに向かってる感じじゃ無ぇな…」
情報屋「近隣の村の状況を見て居るのかも知れないわね」
女海賊「私望遠鏡で見張っとくから魔女は戻っても良いよ」
魔女「そうじゃな…戻って待つとする」ノソリ
------------------
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:20:11.16 ID:NwyvBHUw0
盗賊「よぉ剣士!!立ち合いは終わったんか?」
剣士「立ち合いというか決闘だったよ」
盗賊「なぬ!?真剣使ってんのか?」
剣士「うん…寸止めだけどね」
盗賊「一歩間違ったら大怪我じゃスマンぞ」
剣士「この国の近衛は本当に強い人ばかりだよ…魔女と同じ様に少し時空の先に居る」
盗賊「サムライだな?」
剣士「シノビの人は僕と同じラグスイッチも使うんだ…分身している様に見えるんだね」
盗賊「なんじゃそりゃ?」
剣士「あぁ…盗賊は知らなかったか…」
盗賊「まぁ元は軍国だしな剣豪が多いってのは有名だ…ほんで勝てたのか?」
剣士「なんとかね」
盗賊「すげぇじゃねぇか!!」
剣士「僕の刀の残像に惑わされて手を出しにくいらしいよ」
盗賊「おーそれ俺も気になってたんだよ…光の残像ごと切って良いか迷うんだ」
剣士「魔女は魔法の反射効果だって言ってたんだけどね」
盗賊「殺気も反射してるってかヌハハ」
剣士「殺気…そうか人は知らず知らず魔法で感知してるのかも知れないな…」
盗賊「殺気は目を閉じてても分かるぞ?音が無くても分かる…なんでだ?」
剣士「分かった…時空の繋がりだ…これを感知しにくくしてるのか」
盗賊「訳分かんね…」
剣士「ちょっとやってみる?」
盗賊「止めとく止めとく!!こんな所で刃物振り回したら近衛がすっ飛んでくんぞ?」
剣士「ハハそうだね…」
----------------
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:20:43.61 ID:NwyvBHUw0
情報屋「大丈夫?結構飲んでいる様だけど…」
ホムンクルス「脳内ドーパミンの放出量を観測しています…ひっく」
商人「もうダメだよ…顔が真っ赤だ」
ホムンクルス「アルコールの分解で代謝を良くするための反射です…お気になさらず…ひっく」
女海賊「ホムちゃんそろそろ帰ろっか」グイ
ホムンクルス「はい…」ヨタヨタ
盗賊「こんだけで千鳥足か?」グビ
情報屋「あなたと違って体が小さいのよ!!」
盗賊「俺はまだ飲んで行きたいんだけどよぅ…焚火囲んでみんなで酒とか最高じゃねぇか」
ワイワイ ガヤガヤ
飲んじゃって〜吐いちゃって〜なんちゃって〜♪
飲め〜飲め飲め飲め〜♪
あなた〜♪おまえ〜〜♪ふたり〜の恋慕情〜♪
ワイワイ ガヤガヤ
黒服「だんなぁ!!良い店紹介しますぜ?」
剣士「え!?僕?…」
黒服「パフパフし放題の良い店があるんですよ!だんなぁ!!」
女海賊「パフパフって何さ?」
黒服「パフパフと言ったらパフパフしか…てだんなぁ?女連れ?」
女海賊「女連れじゃダメなの?」
黒服「いやいや…」
盗賊「こいつら何も知らねぇんだ勘弁してやってくれぇ」
情報屋「はいはい帰るわよ」グイ
盗賊「おい!俺はまだ飲んでくって…」
情報屋「明日も仕事があるのよ?早く帰って明日の準備!!」
盗賊「マジかよ…おい剣士も何か言ってくれぇ」
剣士「ハハ…」
女海賊「あんたも帰るよ!!」
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/29(月) 18:22:03.28 ID:NwyvBHUw0
『翌朝_姫の部屋』
魔女「まだ寝て居るかも知れんが…」
ガチャリ バタン
盗賊「んがぁぁぁぁ…すぴーーーー」
情報屋「あら?アサシンいつ戻ったの?」
アサシン「深夜にな…昨夜は楽しんで居た様だな」
女海賊「女王とエルフゾンビは?」
アサシン「女王は政務でちと手が離せん…エルフゾンビは精霊の御所に発つ準備をしている」
女海賊「え?もう行っちゃうの?」
アサシン「精霊樹の事を心配しているのだ」
女海賊「これからの事を相談したかったんだけどさぁ」
アサシン「まずはフィン・イッシュの安定化だ…あと2日程で避難民を乗せた船団が到着する」
女海賊「じゃもうちょいここに居る感じ?」
アサシン「そうなるな…女戦士が救出する奴隷オークの件もある…1000人程と聞いたが受け入れの準備も必要だ」
女海賊「お姉ぇもいつこっちに戻って来るか分かんないもんなぁ…」
アサシン「連絡してみてはくれんか?」
女海賊「おけおけ…後で話してみる」
商人「エルフゾンビは一人で精霊の御所に?」
アサシン「実は私も自分の資産がどうなってしまうのか気になって居てな…一度戻りたいのだ」
魔女「女王の相談役はもう良いのか?」
アサシン「政務に口出し出来る事はもう無い…軍の構成もセントラル国王が居ればなんとかなる」
商人「セントラル国王?」
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