勇者「魔王は一体どこにいる?」続編のつづき

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:22:35.49 ID:NwyvBHUw0

アサシン「うむ…彼は元々軍属なのだ…少数精鋭を引き連れてフィン・イッシュ守備隊を指揮する事になるだろう」

商人「国王が守備の指揮っておかしくない?」

アサシン「国王が申し出たのだ…フィン・イッシュ女王は政務を担当し軍部はセントラル国王が率いる」

商人「なるほど!!立場上いつでもフィン・イッシュを支配下に置けるという形か」

アサシン「そうだな…しかし国王は女王に惚れこんでしまって居てな…裏切る事は無いだろう」

魔女「それでなにやら調印の義を交わしておったのじゃな?」

アサシン「婚約という形だな…成婚まではもう少しかかると思われる」

商人「王同士の婚姻て前代未聞だね…国は統合しちゃう?」

アサシン「さぁな?しかしセントラルは国王以外の統治者を置いて主権国家を維持した方が良いだろう」

商人「貴族の中に良い統治者が居れば良いけどねぇ…」

アサシン「それだ!その件なのだが…魔女から話は聞いたがシャ・バクダに逃亡した貴族は全滅と見て良いのか?」

商人「これからだね…明日か明後日には結果が出る」

アサシン「やはり私はエルフゾンビと共にオアシスに行かねばならんな…」

魔女「2人で行っても何も出来んと思うがのぅ…」

アサシン「エルフゾンビは精霊樹を守る為に他の国の介入が無いようにしたいらしい」

商人「独立させたいんだね?」

アサシン「黒の同胞団と貴族達の影響力が無くなれば元の独立自治区にはなるだろうが…」

盗賊「それがお前の仕事だろ?今なら生き残ってるクソったれ貴族を暗殺出来んじゃねぇか?」

情報屋「あなた聞いて居たの?寝てるかと…」

盗賊「やっとまともな盗賊ギルドの仕事になりそうだな?俺は盗み…お前は暗殺…情報屋が密偵」

アサシン「言いにくかったのだが強力して貰えるか?」

盗賊「もともとシャ・バクダは盗賊ギルドの庭だ…奪われた物は返して貰わんとな」

アサシン「よし!女王に別働の話をして来る」



-----------------
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:23:25.24 ID:NwyvBHUw0
”お姉ぇ!!聞こえる?”

”…どうした?”

”あ〜やっと通じた!”

”済まんな…狭間の中に居る間はなかなか気付けんのだ”

”私ら今フィン・イッシュに居んだけどさ?お姉ぇいつこっちに来る?”

”4日程だな”

”奴隷船の行先を調査するとか言ってたやつはどうなったん?”

”あぁ連絡して居なかったな…黒の同胞団の隠れ家と思われる場所を特定した…一度海賊をフィン・イッシュ沖に集める予定だ”

”マジ!?隠れ家って…”

”お前が言っていたエルフの森南部だ”

”やっぱり…森の中だったら海賊行けないじゃん”

”黒の同胞団と繋がりがある男が言うには10名程しか居ないらしい”

”お!!情報源確保したの?”

”すべてしゃべらせた…まだ何か知って居るかも知れんが海賊の拷問に耐えられず昏睡してしまった」

”うわ…鬼だね”

”アサシンはそちらに戻って居るのか?”

”うん…昨日戻って来たよ”

”海賊船が近海で集結すると伝えて置いてくれ”

”おけおけ…あ!!お姉ぇにお土産あるよ?”

”ん?もしかしてオリハルコン原石を手に入れたのか?”

”ビンゴ!!メチャでかいよ…ほんでちっこい結晶も埋まってるから光の石に出来そう”

”それは楽しみだな…”

”未来は元気にしてる?”

”フフ随分大人になった…会って驚くなよ?」

”うん…待ってる”



-----------------
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:23:58.92 ID:NwyvBHUw0
ガチャリ バタン


盗賊「おぉぉぉ!!嬢ちゃん…元気そうだな?」

女王「皆さん…挨拶が遅れて申し訳ありません」

女海賊「何年振り?8年?」

女王「はい…皆さんお変わりなく…本当に皆さんにはお世話になってばかりで…」

盗賊「いやいや嬢ちゃんの方こそ良く頑張ったなぁ?良い国になったじゃ無ぇか」

女王「皆さんのお陰です…ご活躍ぶりはアサシン様から聞いて居ます…何かお礼をと言いたいのですが私の資産は何も無くてその…」

魔女「フィン・イッシュ女王はな…個人の資産をすべて民に与えて居るのじゃ…宝物庫も空じゃ」

盗賊「俺は酒があれば良い」

商人「だから城は一部を除いて一般の民が何処にでも行けるんだ?」

女王「そうです…私は民を信頼していますので」

魔女「この国は民の善意による寄付によって成り立って居るのじゃが…その寄付もすべて貧しい民に分け与えて居る」

商人「シーサーの肉で祭りになったのはそういう事か」

盗賊「それでも滅亡寸前から8年でここまで復興するのはすげぇぞ!」

女王「私に出来るお礼は手料理を振舞う事くらいです…お食事を用意しましたのでお召しになって下さい」

女海賊「良いね!!丁度朝食取りたかったさ」

商人「ハハ女王の手料理ってすごくない?」

情報屋「そうね?他の国では無い事ね」

女王「食堂までご案内致します…こちらです」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:24:29.76 ID:NwyvBHUw0
『食堂』



情報屋「珍しい食材ばかり…」

女王「大根と人参、じゃが芋の煮つけ…それから卵焼きと焼き魚」

剣士「おぉ!!おいしそう!!」

女海賊「アハハ剣士は根っことか大好きなんだよ」

女王「私が畑で育てた野菜です…お召上がり下さい」

盗賊「なんつうか繊細な味わいだな…」ムシャムシャ

商人「雪が続くと野菜は高騰するよね」モグ

女王「根菜は雪が降っても収穫出来るのです…白菜という野菜もありますよ?」

商人「これさ…キ・カイで高く売れると思うよ」

女王「ご助言ありがとうございます」

盗賊「やっぱこの国は資源が豊かだな…雪降っても野菜が育つのはデカい」

商人「そうだね…ホムンクルスが育ててる毒キノコもポーションに出来るしね」

女王「その件ですが私にも教えて貰えませんか?」

ホムンクルス「はい…よろこんで」ニコ


ガチャリ バタン


アサシン「ここに居たか…探したぞ」

女王「アサシン様…もう行かれるのですか?」

アサシン「エルフゾンビが早く出立したいと言って居るのだ」

盗賊「マジかよ…」

情報屋「私は荷物が古文書の写ししか無いからいつでも行けるわ?」

盗賊「俺も何も無いっちゃ無いんだが…しょうが無ぇ飯食ったら行くわ」

アサシン「酒は積んであるから安心しろ」

盗賊「お!?じゃ行くか!!」

女王「シャ・バクダが落ち着いたら又ご連絡下さい」

アサシン「済まないな…バタバタしてしまって」

女王「行方不明にならないようにお願いします」

アサシン「フフ分かっている…では行って来る」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:25:03.94 ID:NwyvBHUw0
『貨物用気球』



案内人「乗ってくれーい!!」

盗賊「お!?気球の操舵はお前か!!」

アサシン「今では出世して女王専属の案内人になったのだが無理を言って来てもらったのだ」

盗賊「ほーー女王専属たぁすげぇな」

案内人「早く乗ってくれぇ…エルフゾンビがへそ曲げちまう」

アサシン「済まん済まん…待たせたな」

エルフゾンビ「遅いぞ…」グビ

案内人「飛ばすぞ〜!!」


フワフワ


アサシン「さて私も少し飲むか…」

盗賊「俺にもくれぃ」

情報屋「まだ朝なのに…」

盗賊「この気球は貨物用なのに武装してんだな…縦帆まで付けてるじゃねぇか」

アサシン「一応女王の気球を護衛する為に改造してある…外から見て武装している様には見えんだろ?」

エルフゾンビ「爆弾まで搭載しているぞ?」

情報屋「それならハーピーと出くわしても安心ね」

アサシン「魔女から聞いては居るが出会いたくは無いものだな」



---------------
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:25:38.58 ID:NwyvBHUw0
ビョーーーーウ バサバサ


情報屋「案内人は前にシャ・バクダの北の山麓に領事を案内したと言っていたわよね?」

案内人「ミノタウロスが居る辺りだった筈だ」

盗賊「そこら辺にはこないだ行って来たんだ…雪に埋もれて何も見つけられんかったのだが…」

情報屋「地図で言うとどの辺り?」バサ

案内人「そんなに難しい場所じゃ無い…道沿いに行った山麓…この辺だな」

盗賊「んんん合ってんな」

案内人「小屋がある…そこまで案内した」

盗賊「間違い無ぇな?ぼろい小屋もあったがあやしい場所なんか無かったぞ?」

案内人「それ以上俺には分からん…」

情報屋「ダメね…手詰まりね」

案内人「狭間がどうとか言ってた気がするんだが…何の事だか?」

盗賊「なぬ!?」

情報屋「狭間に隠してる…そういう事ね?」

盗賊「てことは空からじゃ見つけられんな」

案内人「俺は小屋の前で待って居たから詳しい場所まで知らん」

情報屋「徒歩で探すしか無さそうね?」

盗賊「誰かが出入りして居るなら足跡ぐらいは見つけられるかもな」



----------------
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:26:10.08 ID:NwyvBHUw0
アサシン「今の話は貴族達の行先の事か?」

盗賊「シャ・バクダには貴族が行って快適な場所じゃ無いだろ?遊ぶには良いだろうがな」

情報屋「私達の知らない古代遺跡の様な場所があるかもしれないという話よ」

アサシン「なるほどな…そこなら安全な訳か」

盗賊「しかし食料とかどうすんだろうな?」

情報屋「錬金術が出来るなら石から食料を生むのも可能かもしれない」

盗賊「錬金術は何でも出来んだな」

情報屋「キ・カイでは失敗が多くて採算が合わないそうよ…なんでも材料の配分が重要だとか」

アサシン「配分?」

情報屋「そう…魔女が言ってた錬金術の特殊な器具はきっと重さを測る天秤の事よ」

盗賊「天秤なんか誰でも作れんだろ」

情報屋「錬金が成功する重さを測る天秤だとしたら?…吊り合えば必ず成功する」

アサシン「クックック…シャ・バクダ王家の紋様は天秤なのだが繁栄した秘密はソレか」

情報屋「キマイラを量産できたのもそれが理由だと思うの」

エルフゾンビ「そんな危ない物を黒の同胞団に使わせてはいけないな」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:27:17.53 ID:NwyvBHUw0
『オアシス上空』


ビョーーーーウ バサバサ


情報屋「シャ・バクダの方向で火が延焼してる…」

アサシン「オアシス側は戦闘になって居ない様だな」

盗賊「この間オアシスに来た時はセントラルの衛兵がうろついていたぜ?」

エルフゾンビ「私はまず精霊の御所へ向かいたい…精霊樹が被害を受けて居ないか心配だ」

アサシン「ふむ…気球をどうするかなのだが…」

エルフゾンビ「御所の入り口直ぐ近くに林がある…そこに隠せ」

アサシン「ひとまずの拠点はそこになりそうか?」

盗賊「なんとか星の観測所を奪取してぇな」

アサシン「状況を一度見極めたい…エルフゾンビは精霊樹と話せるのか?」

エルフゾンビ「聞いてみる」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:27:50.72 ID:NwyvBHUw0
『御所の入り口_林』


フワフワ ドッスン


エルフゾンビ「よし!ここには被害が及んでいない…精霊樹に話しかけて来る」タッタッタ

盗賊「俺らどうする?」

アサシン「エルフゾンビを待つしかあるまい?5人しか居ないのだ…別行動はしない方が良い」

情報屋「エルフゾンビの後を追いましょう」

アサシン「うむ…」

盗賊「雪ん中あんまり出歩きたくないが…」

アサシン「忘れていた…お前たちは生身の人間だったな」

情報屋「ほら?早く行かないと置いて行かれるわ?」


ギュ ギュ ギュ ギュ


エルフゾンビ「…」

情報屋「あまり雪は深く無いけど…やっぱり寒いわね」

盗賊「ランタンで暖まるか?」チッ シュポ

情報屋「無いよりはマシね…」

アサシン「ワイン飲むか?」

盗賊「おぉありがてぇ!」グビ

情報屋「ワインはいつも持ち歩いて居るの?」

アサシン「不死者の体では喉が渇くのだ」


エルフゾンビ「エルフがシャ・バクダの砦を襲っているらしい」


アサシン「何?なぜエルフが絡む?」

エルフゾンビ「話せば長くなる…」

盗賊「どうした?顔色がおかしいぞ?」

エルフゾンビ「気にするな…エルフ狩りでエルフが捕らえられて居るらしい」

盗賊「ミノタウロスとハーピーの他にエルフにも襲われてんのか…現場は地獄だな」

エルフゾンビ「とにかく精霊樹の無事は確認できた…様子を見に行こう」

盗賊「星の観測所は通り道になる…ちと通って行くぞ」

アサシン「…」---様子がおかしい---
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:28:25.57 ID:NwyvBHUw0
『星の観測所』


ガヤガヤ メラ パチ

うぅぅぅ痛てぇ…

誰か来るぞ?

避難者だろ…



盗賊「衛兵が居ねぇ…どうなってんだ?」

男1「お前等何処から来たんだ?ここは一杯だぞ?」

盗賊「ちっと温まらせてくれ…おー寒ぶっ」

男1「温まる分には良いが何も無いぞ?」

盗賊「こりゃみんなシャ・バクダから避難してんのか?衛兵は何処行った?」

男1「変な奴だな…オアシスの方には伝わって居ないのか?」

盗賊「何の事だ?」

男1「反乱だよ…セントラルが小間使いしていたミノタウロスとハーピーが反乱を起こした」

男2「知らないという事は随分遠くのオアシスから来た様だね?」

盗賊「まぁな?火が見えて見に来たって所だ」

アサシン「見た所商隊が避難している様だが?」

男1「シャ・バクダが混乱していてバラバラに避難しているんだ」

情報屋「じゃぁここは避難所に?」

男1「今の所はそうなっている」

アサシン「…」

盗賊「どうやら集合はここでも良さそうだな?商隊が居るって事は食い物もありそうだ」

情報屋「風が凌げるだけマシね」

盗賊「俺はハイディング使えるからちっと砦の方を見て来る」

アサシン「そうだな…では私とエルフゾンビでシャ・バクダを見て来るとするか」

情報屋「じゃぁ私と案内人はここで情報集めておくわ?」

盗賊「直ぐに戻るからなんとか場所の確保しておいてくれ」
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:28:58.74 ID:NwyvBHUw0
『数時間後』


メラ パチ


盗賊「戻ったぜ!!あぁぁぁ寒ぶ!!」

情報屋「…」ウトウト

盗賊「なんだ寝てんのかよ…」

情報屋「ハッ…目を閉じたらつい…」パチ

盗賊「良い干し草が有ったじゃねぇか」ドサ

情報屋「案内人が裏の小屋に入ってるのを見つけて来てくれたの…それで砦の方は?」

盗賊「空中戦やってんのがハーピーとドラゴンライダーだ…どうやら砦に籠ってる連中は寝かされていそうだ」

情報屋「ドラゴンまで…」

盗賊「エルフ単独じゃハーピー相手はキツイんじゃ無ぇか?」

情報屋「ミノタウロスは?」

盗賊「砦に入れなくて門の前でたむろってんな…10体ぐらいだな」

情報屋「三つ巴になって居るんだ…」

盗賊「門を開ければ一気に戦況変わるなこりゃ」

情報屋「ミノタウロスが命令通りに動いてるなら残りの貴族は砦の中という事ね」

盗賊「まぁそうだろう」

情報屋「ハーピーの数は?」

盗賊「ハーピーも10体ぐらいだ…ドラゴンライダーは4体しか見えなかった」

情報屋「私達は何もせず見物?」

盗賊「砦の中に入れりゃ俺が門を開けても良いんだがな…入る方法が無ぇ」

情報屋「アサシン達の情報待ちね」

盗賊「ちっと俺も寝かせてくれぃ…温まったら眠たくなった」

情報屋「良いわ…休んでて」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:29:35.09 ID:NwyvBHUw0
『翌朝』


ガヤガヤ ガヤガヤ

どうにかしてハズレ町まで戻った方が良さそうだな

オアシス回って売りさばくのは?

許可無しで移動して良いものかどうか…


情報屋「ふぁ〜あ…あら?アサシン戻っていたのね?声掛けてくれれば良いのに」

アサシン「急ぐ事でも無い様なのでな」

情報屋「盗賊!案内人!起きて!!」

盗賊「んぁ?おー朝帰りか…遅かったじゃ無ぇか」

アサシン「クックック…朗報だ」

盗賊「シャ・バクダで良い事有ったんか?」

アサシン「恐らく貴族院の指導部はほぼ壊滅だ…残って居るのは数名砦に残って居るぐらいだろう」

盗賊「マジか!!」

エルフゾンビ「シャ・バクダで死んだのは全員貴族の有力者だ…間違いない」

情報屋「一般の人に被害は?」

アサシン「怪我はしているだろうが死人はほぼ無いと思われる…死体が無い」

盗賊「うはぁ!!朗報だな」

アサシン「ただ面倒なのが残って居るのは恐らくリッチだと思われる…倒れているミノタウロスに謎の金属が刺さっていた」

情報屋「リッチね…間違いないわ」

エルフゾンビ「フフ私に任せろ…リッチは不死者だ…私の命令には背けん」

盗賊「砦の門を開けるだけでミノタウロスがなだれ込むぞ?」

エルフゾンビ「そうか…すぐにでもやりたい所だがハーピーに見つかりたくは無いな」

情報屋「ならドラゴンライダーがハーピーと空中戦をやっている間が良いわね」

エルフゾンビ「リッチが何体居るのか知らぬが私の手駒にしたい」

アサシン「森を守らせるのか?」

エルフゾンビ「悪いか?役目を終えればリッチも森の一部になれるのだぞ?」

盗賊「やるなら夕方以降だな…ドラゴンライダーは夜に行動する」



-----------------
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:30:20.66 ID:NwyvBHUw0
情報屋「西のオアシスの方でフィン・イッシュの兵隊が捕虜になっているそうよ?」

盗賊「捕虜を解放したい所だな」

アサシン「ふむ…フィン・イッシュがオアシスを治安する様になれば動きやすくなる…行くか!」

盗賊「こんだけ混乱してりゃ気球からクロスボウ撃ってるだけで制圧出来るぞ」

情報屋「セントラルの兵がどのくらい詰めてるかね」

アサシン「私とエルフゾンビを降ろせば済む話だ…さっさと片づけるぞ」




『西のオアシス上空』


ビョーーーウ バサバサ


情報屋「兵隊は10人くらいだわ」

盗賊「こっちに気付いた…警戒してんぞ?どうする?」

アサシン「エルフゾンビ?行けるか?」

エルフゾンビ「フフ簡単だな」

アサシン「よし…私達が飛び降りられる高さまで降ろせ…盗賊と情報屋は残ってクロスボウで援護しろ」

盗賊「衛兵に化けてるリッチが居るかもしれんから気を付けろ」

エルフゾンビ「問題ない…降りてすぐに使役できる者は従えるつもりだ」

アサシン「案内人は気球の操舵に集中しろ…」

情報屋「兵隊が集まり出したわ?」

アサシン「案内人!突っ込むのだ」

盗賊「情報屋!クロスボウの射撃用意だ!!」ガチャリ

アサシン「飛ぶぞ!」ピョン

エルフゾンビ「…」ピョン



---------------
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:31:01.74 ID:NwyvBHUw0
ドタバタ ドタバタ

奇襲だ!!弓を持て!!

気球を撃ち落とせぇ!!

隠れろぉ!!応射して来る シュン シュン スト スト

2人飛び降りたぞ!?

ドタバタ ドタバタ


----------------



盗賊「案内人!もっと高度下げて良いぞ!!あいつら短弓しか装備して無ぇ」バシュン バシュン

案内人「分かったぁ!!」グイ

情報屋「すごい…エルフゾンビが兵隊を圧倒してるわ…」バシュン バシュン

盗賊「その様だな?さすがエルフだ」バシュン バシュン

情報屋「クロスボウに狙われて兵隊は集まれない様ね」バシュン バシュン

盗賊「こら思ったより楽勝で制圧できんぞ?」バシュン バシュン

情報屋「逃げてる!」バシュン バシュン
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:31:44.33 ID:NwyvBHUw0
『西のオアシス_砦』


フワフワ ドッスン


アサシン「案内人!エリクサーはまだ残って居るか?」

案内人「もう瓶で少ししか無い」

エルフゾンビ「精霊の御所まで私が汲みに行く…盗賊と情報屋は気球から降りて怪我人の手当てを頼む」

盗賊「おう!捕虜は動けんのか?」

アサシン「動ける者は順次他の捕虜の解放に動いて居るが…怪我人が多いのだ」

情報屋「回復魔法がエンチャントされた角があるわ?」

アサシン「おぉ!!それは良い…手当を頼む」

盗賊「行くぞ!!」タッタッタ



----------------



近衛「…もう大丈夫です」

エルフゾンビ「エリクサーは樽一つ分しか無いから大事に使ってくれ」

盗賊「こんだけ衛兵が残ってりゃこの砦は落とされることは無いな」

近衛「あの空飛ぶ魔物さえ居なければなんとかなります」

盗賊「ありゃハーピーってんだ…今はシャ・バクダ砦を攻めてる」

近衛「攻め?」

アサシン「私達が使役してセントラルの貴族を討伐しているのだ」

近衛「おぉ!!ではこれで領地を取り返せるという事ですね?」

アサシン「セントラル側は指導部がほぼ居ない状況になって居る…平定するなら今がチャンスと言える」

情報屋「もう少し怪我が良くなってからね」

アサシン「まぁ焦る事も無いが…」

近衛「まずは怪我の程度の軽いもので周辺の情勢を確認します」

アサシン「そうだな…現状は治安が行き届いて居ない様だ」

エルフゾンビ「今晩で貴族の指導部は壊滅できるだろうがシャ・バクダ砦にはまだセントラル兵が残って居ると思われる」

盗賊「ハーピーとミノタウロス次第だがしばらく摩擦は続きそうだな」

情報屋「貴族壊滅後にハーピー達はどうなるのかしら?」

アサシン「暴れる様であれば始末するしか無いな」

エルフゾンビ「さて…私達はそろそろ観測所に戻るか…ここではシャ・バクダ砦の状況が掴みにくい」

アサシン「そうだな戻るとする…」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:32:27.54 ID:NwyvBHUw0
『シャ・バクダ上空』


ビョーーウ バサバサ


盗賊「砦の方はもうドンパチやってんな」

アサシン「昨夜と同じか?」

盗賊「やっぱドラゴンライダー4匹ぐらいか?ハーピーは…」

情報屋「空中ね…7〜8匹?」

盗賊「もうちっと近づかんと何とも言えん」

案内人「これ以上近づくのは無理だ…感付かれちまう」

アサシン「まだ日が落ちるまで間があるのだが…」

エルフゾンビ「ミノタウロスは門前だと言ったな?」

盗賊「あぁ昨晩と変わって無ぇ…門前で横たわってる」

エルフゾンビ「門とは反対側から私一人で近づいて見よう…降ろしてくれ」

アサシン「私も眠る事は無いから同行出来るぞ?」

エルフゾンビ「いや…2人だと行動を制限されるのだ…一人の方が忍びやすい」

アサシン「クックックでは高みの見物をさせてもらう」

エルフゾンビ「気球から望遠鏡で見ているが良い」

盗賊「俺のエンチャント角持って行くか?沢山もってんぞ?」ポイ

エルフゾンビ「鼻から戦闘するつもりは無いが…一応借りておく」パス

情報屋「あ!!下の建屋に衛兵が隠れてる…」

案内人「む…これ以上高度下げると撃たれる」

エルフゾンビ「フフ…まぁ良いエリクサー一口飲んで飛び降りる」ゴク

アサシン「クックック強引だな?」

エルフゾンビ「では行って来る」ピョン

盗賊「ヌハハやっぱ行動は剣士に似てるんだな…」



----------------
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:33:10.09 ID:NwyvBHUw0
情報屋「良く見たらそこらじゅうの建物に衛兵が隠れてるわね…大丈夫かしら」

盗賊「隊を指揮する奴が居ねぇんだな…エルフゾンビをスルーしてるぞ?」

アサシン「敗残兵が隠れているのだろう…気にする事でも無い」

案内人「またドンパチが始まった!火柱だ!!」

盗賊「あんなんがドラゴンライダーに当たる訳無ぇ…そら見ろ!!潜り抜けてる」

情報屋「う〜ん…やっぱりどう数えても8匹ね」

アサシン「ふむ…ドラゴンライダーに2匹やられたか?」

情報屋「だとすると直にハーピーは全滅するわね?」

盗賊「ハーピーは連射する魔法を使って無ぇ…もしかして触媒不足かも知れん」

情報屋「羽ね?」

盗賊「長期戦か…通りでドラゴンライダーは4匹しか居ない訳だ」

アサシン「交代しながら戦って居るのか…たしかドラゴンライダーは全部で8匹居た筈だな?」

案内人「アサシン!!反対方向!!何か来る!!」

アサシン「んん?何処だ?」

案内人「下!雪煙が舞ってる」

アサシン「盗賊!望遠鏡で見えないか?」

盗賊「…なんだありゃ?4つ足の石みたいなのが動いてる」

アサシン「トロール?…いやまさか…まだ日が出ている」

情報屋「これ…もしかして歴史の塗り替え?」

盗賊「又かよ!」

案内人「雪煙は2つだ…少しづつ近づいて居る」

アサシン「新手と見た方が良いな…高みの見物とはイカンかも知れんな…」



-----------------
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:34:07.30 ID:NwyvBHUw0
情報屋「エルフゾンビが砦の裏に到着した様よ?」

盗賊「何も起きる気配は無いが…」


ビュゥゥ バカン! グラグラ


アサシン「何事だ!!」ヨロ

盗賊「どわぁぁ!!」ゴロゴロ

案内人「あの石の化け物が雪玉投げて来てる…」

アサシン「高度上げろ!!」

案内人「やってる!!」グイ

盗賊「こんな高さまで雪玉投げてくんのか…」

案内人「くっそ!!どこかのロープが切れて操舵が上手く行かない」

盗賊「一旦遠くで居りて直すだな」

情報屋「あ!!砦の門が開いた!!」

アサシン「エルフゾンビは何処に行った?」

情報屋「シャ・バクダの方に戻ろうとしてるわ」

アサシン「今降りる訳にイカンな…気球を直した後で観測所で待とう」

盗賊「門から出て来る衛兵は…ありゃリッチだな?1人だ」

情報屋「エルフゾンビに付いて行こうとしてるのね?」

盗賊「ミノタウロスのど真ん中行こうとしてるんだが…うぉ!!自爆か?」

情報屋「ミノタウロスは3体倒れた…でもダメ!あぁぁぁ…取り囲まれた」

盗賊「食われてんじゃ無ぇか…うげ…」

アサシン「リッチは当てに出来んな…」

盗賊「ダメだ!ミノタウロスが門から突入してる」

アサシン「ふむ…まだ貴族の生き残りが居るという事だ…やらせておくだな」

案内人「気球が風で北西に流れて行く」

アサシン「もう少し離れてから降りろ」

情報屋「また新手よ!!」

アサシン「何ぃ!?」

盗賊「何処だ?」

情報屋「砦の北側…あれは黒の騎士…時の王よ」

アサシン「時の王だと!?…なぜ絡む?…いや絡んで当然か…」

情報屋「黒い馬に乗って砦の様子を伺ってる…」

アサシン「ええい!!ひとまず観測所でエルフゾンビと合流が先だ!!気球を降ろせ!!」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:34:44.38 ID:NwyvBHUw0
『雪原』


フワフワ ドッスン


盗賊「よし!切れたロープを繋いで来る」ダダ

情報屋「見回っておくわ…」


”聞こえるか…”

”お!?アサシン!?どしたん?”

”シャ・バクダで見た事の無い魔物が現れてな…千里眼で魔女に見てもらいたいのだ”

”おっけ!魔女に伝えておくよ…ほんでそっちはどう?”

”貴族はほぼ壊滅だ…シャ・バクダ砦に一部残っている様だがすでに実行治安出来る状態では無い”

”ほんじゃ星の観測所は取り返したんだ?”

”避難民が詰めていて自由には使えんがな…”


盗賊「だめだぁ!!縦帆の付け根が痛んで修理が必要だ!!」

アサシン「応急でひとまず何とかならんか?」

盗賊「ロープで突っ張ってはいるが直ぐにダメになる…木材が欲しい」

アサシン「むぅぅ…観測所までは飛べるか?」

盗賊「やって見ねぇと分からん」


”なんか忙しそうだね…魔女には伝えておくから又連絡するね”

”悪いな…頼む”


盗賊「俺がロープで突っ張っとくからちっと飛んでみてくれ」

アサシン「案内人!行けるか?」

案内人「高度上げないでやってみる」グイ


フワフワ
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:36:17.09 ID:NwyvBHUw0
『星の観測所』


グイグイ フワフワ ドッスン


盗賊「だはぁぁぁ!!結局俺が引いた方が早かった…ぜぇぜぇ」

アサシン「案内人!木材を探して来い」

案内人「納屋に端材が積んでいた筈だ…盗賊も来てくれ」

情報屋「避難民がこっちを見てる…」

アサシン「セントラルの衛兵が紛れているかもしれん…警戒しておけ」

情報屋「私がクロスボウを構えておくわ?早く気球を直して」

盗賊「へいへい…」



----------------



アサシン「ここからでは砦を見渡せんな」

情報屋「観測所の上階なら見えた筈よ」

アサシン「済まんが気球の見張りを頼む…私は観測所の上から砦を見て来る」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:37:26.51 ID:NwyvBHUw0
『上階』


ザワザワ ザワザワ

また火柱だ…いつまで続くんだ?

もうダメだ!オアシス経由で戻ろう

シャ・バクダに残した物はどうする?

ドラゴンが地上に火を吹いてる

ザワザワ ザワザワ


アサシン「…」---石の魔物が暴れて居る---

アサシン「…」---ん?時の王…石の魔物と戦っている?---

アサシン「…」---敵見方がどういう状況か読めん…どうなっているのか…---

アサシン「…」---しかしあの石の魔物の運動性は何だ?---


”アサシン聞こえるか?”

”魔女か…見て居るのだな?”

”あの魔物はゴーレムじゃ…わらわも驚いて居る”

”神々の神話の巨人か?…あれがゴーレムだと言うのか…”

”どこから来たのかは知らんが危険じゃぞ?物理も魔法も効かぬ”

”敵か味方か分からんのだが…状況からして黒の同胞団が召喚したと思われる”

”錬金術で合成されたのであればもしかすると歌で使役出来るやもしれん”

”試すのは危険過ぎるな…運動性が異常だ”

”そうじゃな…関わらん方が良い” 

”盗賊が歴史の塗り替えの話をしていたのだが…”

”うむ…向こうも対応に躍起になっておる結果じゃろう…状況をしっかり見て行動する様に気を付けるのじゃ”

”引き続き千里眼で見て置いてくれ…何かアドバイスがあれば助言して欲しい”

”5日程度は状況の安定を見守った方が良いのぅ”

”分かった…無理は避ける”
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:38:08.99 ID:NwyvBHUw0
『貨物用気球』



トントントン ギコギコギコ



アサシン「どうだ?直せそうか?」

盗賊「とりあえず応急処置だがきちんと直すなら半日掛かるな」

情報屋「思ったよりひどい様ね?」

盗賊「木材が端材しか無いからよ…工夫が必要なんだよ」

情報屋「丁度商隊が避難しているから必要な物があったら買って来るわよ?」

盗賊「骨粉と松脂だな…接着剤があればそれでも良い…あとロープも足りねぇ」

アサシン「今日はここに気球を置いておくしか無い様だな」

盗賊「どうせ観測所の中で横になる場所は無ぇし気球の中の方が快適だろ」

情報屋「暖を取る為の木材と炭も調達しておくわ」



-----------------
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:38:42.51 ID:NwyvBHUw0
アサシン「日が落ちてしまったが…エルフゾンビは戻って来んな」

情報屋「少し心配ね…」

アサシン「まぁ仕方が無い」

盗賊「これからどうすんだ?」

アサシン「貝殻で魔女と少し話をしたのだが…5日程状況を見守った方が良いとの事だ」

盗賊「やっぱりか…ちと想定外な敵が来ちまったもんな」

情報屋「気球で近寄りにくくなったわね」

盗賊「今晩も俺が砦まで行って偵察してくっか?」

アサシン「いや…あのゴーレムがどの程度なのか分からない以上下手に行動出来ん」

情報屋「そうね…もしもハイディングを見破られたりしたら危ないわ」

盗賊「じゃぁしょうが無ぇ…今日はゆっくりすっか」

案内人「湯が沸いたぞ?どうするんだ?」

盗賊「おぉ!そん中に松脂溶かして骨粉と灰を混ぜるんだ…こんな感じだ」マゼマゼ

情報屋「それで木材の隙間を埋めるのね?」

盗賊「あったかい内に隙間に塗り込んでくれ…これでちったぁ温かくなる」


ドドドドド


盗賊「んん?何だ?地震か?」

情報屋「地響き…」

アサシン「もしや…ゴーレムが此処まで来ているのやも知れん…飛ぶ準備をするのだ!!」

盗賊「ちぃ…ゆっくりする暇も無ぇ!!」ゴソゴソ

情報屋「観測所の方がザワ付いているわね…ちょっと見て来るわ」スタ

アサシン「私も行く」

125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:39:23.21 ID:NwyvBHUw0
『星の観測所』


ザワザワ ザワザワ

向こうだ!!

誰か明かりを持って来てくれーい

雪ん中からサンドワームがぁぁ!!

なんでトロールなんか出て来るんだ!!

ザワザワ ザワザワ


情報屋「…この感じ」

アサシン「混乱しているな…シャバクダの砦は相変わらずか?」

情報屋「良く見えないけれど多分光って居るのはドラゴンのブレスね」

アサシン「何か起きそうな予感だな…」

情報屋「ここも安全では無さそうね」

アサシン「ん〜む‥‥しかしどうする」

情報屋「魔物が次々と現れるのはまるで…」

アサシン「セントラルの厄災と言いたいのか?」

情報屋「情報が少なすぎて勘だけになるけれど悪い予感しかしないわ」

アサシン「封印の壺の行方が未だに分かって居ないのだが…まさかな」

情報屋「その可能性も考えて居た方が良いわね」

アサシン「うむ…ひとまず私達は上空の安全な場所から状況を見守るのが良いと思うが…」

情報屋「もしもこの混乱にハーピーが混ざっていたとしたら空も安全では無いわ」

アサシン「隠れる場所なぞ他に無いでは無いか」

情報屋「今は動けないと思う」

アサシン「明け方まで待つか」

情報屋「エルフゾンビが戻って来ないのも理由があると思うの」

アサシン「まさかトロールを動かしているのはエルフゾンビか?」

情報屋「トロールは理由無しで精霊樹から離れるとは思えないから」

126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/29(月) 18:40:29.07 ID:NwyvBHUw0
『貨物用気球』


盗賊「戻ったな?いつでも飛べるぜ?どうする」

アサシン「明け方までひとまず待機だ」

盗賊「あっちぁどうなってんだ?」

アサシン「トロールとサンドワームが出没している様だ」

盗賊「うはぁ…そんなん来たらここじゃ守れ無ぇ」

アサシン「恐らくトロールはエルフゾンビが動かしているのではないかと思われる」

盗賊「あのゴーレムっていう巨人を倒すのか?」

アサシン「分からん…状況が見定め切れん…だから待機なのだ」

情報屋「今は噂でも何でも良いから情報が欲しいわ」

盗賊「まぁそうだが…雪ん中彷徨うのもなぁ…」

案内人「俺は商隊に顔が利く…オアシスの砦での保護を条件に有益な情報を聞き出せるかもしれん」

情報屋「良い案ね」

アサシン「フィン・イッシュの駐留兵には私が話をしよう…移送用のシカの調達をどうするかなのだが…」ジロ

盗賊「ぐはぁ…俺か」

アサシン「危険だがシャ・バクダ街に放置されているシカを連れて来られるか?」

盗賊「ハイディングしながら行けばどうって事無いが…しゃぁ無ぇ行くか」

アサシン「情報屋は観測所に残って周囲を見張って居てもらいたい」

情報屋「分かったわ」

盗賊「湯を用意しておいてくれぇ…雪ん中出歩いてると凍えちまう」


-----------------

-----------------

-----------------
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:16:07.98 ID:agkIMDdy0
------------------

------------------

------------------



 巨人始動編

   完
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:17:49.92 ID:agkIMDdy0
『フィン・イッシュ墓地』


女海賊「剣士!?飛空艇の縦帆開いといて」

剣士「あぁ…これだっけ?」

女海賊「そうそう…商人!!積み荷はそれで最後?」

商人「うん…あとは魔女が乗るだけかな」

女海賊「魔女はまだ書物庫に籠ってんの?」

ホムンクルス「もうこちらへ来るかと思います」

女海賊「ホムちゃんは書物全部読んだんだよね?」

ホムンクルス「はい」

女海賊「じゃぁもう魔女が読まなくても良いじゃん」

ホムンクルス「魔術書に書かれている事は私には理解出来ません」

商人「どうも神話のゴーレムは魔術の起源と関係しているらしいよ」

女海賊「あぁぁイライラするなぁ…お姉ぇが沖で待ってんだけどさぁ」


ノソノソ


魔女「ブツブツ…」

女海賊「来た!!もう!!早く乗って!!出発する」

魔女「おぉぅスマンのぅ…つい時間を忘れてしもうた」ノソリ


フワフワ シュゴーーーーー


女海賊「剣士!!沖に出るから海賊船見つけたら教えて…方角分かる?」

剣士「南の方角5時の方向」

女海賊「おっけ!!」グイ

商人「女王に挨拶して無いけど良かったかな?」

魔女「貝殻を渡してあるで問題ないぞよ?」

女海賊「あっちもなんか忙しくてずっと居ないし別にイーじゃん」

商人「僕の発想は凡人か…王族同士はそんな感じなんだハハ」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:19:41.82 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』


ビョーーーウ バサバサ


女海賊「ほんで神話のゴーレムで何か分かった事あんの?」

魔女「キマイラの類では無いというのだけは確かじゃな…つまり歌で使役は出来ぬ」

女海賊「そんだけ?」

魔女「書物を探し回ったのじゃが記述が古すぎて確かな事が書かれて居らんのじゃ」

ホムンクルス「約1700年前の記録が残って居ますが殆どが伝承の様です」

女海賊「って事は時の王のおっさんの時代かぁ」

魔女「そうじゃ…魔術が発達しだしたのもその時代じゃ…それより以前の記録は極端に少ないのじゃ」

商人「そんなのがどうして今現れたか?だよね…」

魔女「眠っていたのを起こしたのか…新たに召喚したのか…それとも生んだのか何も分からぬ」

剣士「量子転移…」ボソ

魔女「うむ…その可能性もあるのぅ」

商人「誰かが量子転移させた…そんな事が出来る人なんか居るのかい?」

魔女「当時の記憶があって尚相当な魔力を持って居る者であれば可能かもしれぬ」

商人「ちょっと待って…それってさ暗に魔王が居ると言ってるのと同じじゃないかい?」

魔女「…」

女海賊「あんたさぁ…嫌な事言うね」

魔女「壺が何処に行ったか分からぬ以上既に生まれてしもうた可能性は否定出来んのぅ」

商人「壺に封印した子宮から何かが生まれたと仮定して記憶はどうなっているんだろう?」

魔女「胎児に過去の記憶が在るとは思えぬが…」

ホムンクルス「エルフの森の地下には精霊の記憶が保存されたオーブが安置されていますね」

商人「!!はっ‥‥魔王は精霊の記憶を改竄するウィルスだったね」

ホムンクルス「改竄するのには管理者権限が必要なのですが…」

商人「いやそうじゃない…記憶を覗くことが出来るって事だ」

ホムンクルス「エルフの森周辺のクラウドはオープンな状態でしたね…参照可能な状態です」

商人「その記憶から量子転移をする…出来そうじゃないか」

魔女「量子転移は空間を切り取る魔法なのじゃが…」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:20:50.62 ID:agkIMDdy0
ホムンクルス「理解しました…だから損傷した記憶データがいくつも存在して居たのですね」

商人「いくつも?どういう事だ?前から何度も切り取られてたっていう事なのか?」

女海賊「んんん…なんか辻褄が合わなくなって来たね…誰がやってんのさ」

商人「魔王以外の第三者にそんな事が出来る人が居るって事かな」

魔女「記憶から量子転移をするには並みの魔力では不可能じゃ…師匠でも難しいじゃろう」

商人「大量の魔石で補うのは?」

魔女「魔石じゃと?何百…何千の魔石が必要になるか分からぬが…可能性はゼロでは無いのう」

商人「魔女は知らないよね…キ・カイはセントラルから魔石を買い付けて居た事を」

魔女「なぬ!?魔石の産地はキ・カイでは無いのかえ?」

商人「そうだよ…どういう風に作って居るかは知らないけど魔石の出所はセントラルなんだよ」

女海賊「ウラン結晶もなんでかセントラルに在ったね…東に鉱山があるとか無いとか」

商人「鉱山ねぇ…そんな山なんか無いじゃないか…森だけだ」

ホムンクルス「魔石をどの様に製造して居るのか知りませんか?見た目は宝石の様ですが一様ではありませんね」

魔女「生きた魔物を重力炉で圧縮して宝石にする事が出来るらしいが詳しくは知らぬ」

女海賊「…」

商人「ビンゴ…それだね」

女海賊「奴隷の使い道ってもしかして…」

商人「錬金術の触媒にされたり魔石に変えられるんだ…そしてそれが貴族の主な収入源…不要な死体はカタコンベ」

女海賊「ええええ!!この風の魔石って生きてた誰かって事?」

魔女「主に魔物じゃろうが…」

女海賊「私らドワーフって半分魔物じゃん!!」

商人「もう魔物っていう区分の仕方は良くないかもね…魔力を秘めた生き物と言った方が正しそうだ」

女海賊「なんか腹がムカムカする…」


--------------
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:21:51.32 ID:agkIMDdy0
商人「何もかにも辻褄が合う…」


セントラルに魔法が普及しなかった理由

エルフ狩りで捕らえられたエルフが何処にも居ない理由

捕らえた奴隷を拷問するのも魔力を増幅させる為


女海賊「魔力を増幅?」

商人「そうだよ…魔術師の修行は絶食したり苦痛に耐えたり…拷問と変わらない…そうでしょう魔女?」

魔女「拷問とは違うが限界域を拡張するのは修行が必要じゃな」

商人「その拷問に耐えられなかった人達がカタコンベに遺棄される…ラットマンの餌としてね」


そして貿易の話

キ・カイで生産される機械を動かすエネルギーは魔石だよ

その機械を使って生活を営んで来た

奴隷を使うよりも効率が良いんだろうね…食事代も要らないし

動かなくなったら又魔石を買えば良い

そうやって魔石を流通させてセントラルの貴族達は潤った

僕たちの文明は実は魔石というエネルギーありきで回ってたんだ

だからこれを良しとする人と反対する人で分かれる

貴族院が2つに割れている様にね

そんな対立に麻薬は良いスパイスとして働いたね

言う事を利かせる為だったり

現実を逃避させる為だったり

そんなこんなでセントラルは貿易において独り勝ちさ

132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:22:55.95 ID:agkIMDdy0
魔女「それが事実だったとしてエルフゾンビは何も言うて居らんかったのじゃが…」

商人「このカラクリはある程度知って居るんじゃないかな?皇子だったんだし…だから単独で行動する」

女海賊「あの人は剣士と同じであんまり余計な事話さないね」

商人「…さて…黒の同胞団が大量に魔石を持って居たとして誰がゴーレムを呼べるかだよね」

女海賊「ホムちゃん!精霊のオーブって誰でも覗ける物なの?」

ホムンクルス「クラウドへのアクセスは私の様な受信機を搭載している人であれば誰でも読み込み可能です」

女海賊「受信機?なんそれ?」

商人「特殊な人じゃ無いとダメだって事だね…それは」

魔女「エルフはオーブで記憶の伝達をするでエルフなら覗けるじゃろうのぅ」

商人「エルフねぇ…」

女海賊「ちょい待ち…エルフゾンビが第2皇子だった頃にダークエルフ連れ回してたな…レイスにやられたらしいけど」

商人「それは初耳だよ…聞かせて」

女海賊「そもそもそのダークエルフが祈りの指輪を持ち逃げしたから前の100日の闇が起きた」

商人「そのダークエルフの目的は何だったか知ってる?」

女海賊「んーー盗賊の方が詳しいかな…私直接関わって無いのさ」

商人「そっか…」

女海賊「ただそのダークエルフは指輪を破壊したかったらしいよ」

商人「指輪を守ろうとしたハイエルフと破壊しようとしたダークエルフ…こんな感じかな」

魔女「そういえば祈りの指輪には量子転移の魔法が封じられて居ったな」

商人「指輪を使って記憶を切り取れる?」

魔女「エルフなら出来るやもしれん」

商人「まてよ…シン・リーンの国王に化けて居た元魔術院長の話では勇者の目を精霊の記憶から量子転移したと…」

魔女「そう言うて居ったな」

商人「つまり記憶から魔王を切り取って来る事も出来る訳だ」

魔女「そういう事じゃな」

商人「そんな事に使われる位なら破壊したいと考える」

魔女「ダークエルフが指輪を破壊したい動機には十分じゃな」

商人「こう言い換える事も出来る…精霊の記憶を切り取り損傷させたのはハイエルフで…守ろうとして居るのはダークエルフ」

魔女「んーむ手段が違うだけじゃがダークエルフも正義かもしれんのぅ」

商人「どっちにしてもゴーレムの件はエルフが鍵になってそうだ」


剣士「前方!海賊の船団を見つけた!!」


女海賊「お!?お姉ぇの船は?」

剣士「右から3隻目…船尾が空いてる」

女海賊「おっけ!!着陸する」グイ
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:23:53.41 ID:agkIMDdy0
『貨物船』


ザブン ザブン


船乗り「頭ぁ!!11時の方角!!あれは姉さんの飛空艇でがんす」

女戦士「やっと来たか…」

船乗り「兄やんが合流して無いでがんすがどうしやす?」

女戦士「一隻伝令を残して出立する…連絡船を出せ」

船乗り「がってん!!」

女戦士「未来!!剣士達が帰って来るぞ」

子供「うん…」

女戦士「どうした?嬉しくないのか?」

子供「なんか落ち着かないんだ」

女戦士「…」---何か感じている様だ---

子供「なんだろう…これって胸騒ぎっていうのかな?」

女戦士「何か起こる予感がするのだな?」

子供「分からない」

女戦士「海賊達も海の様子がおかしいと言って居たがあながち間違っては居ないのかもしれん」


フワフワ


女海賊「お姉ぇ!!ロープ出して!!風が強い」

女戦士「ふん!!」ブン

女海賊「剣士!!ロープ掴まえて飛空艇に引っかけて!!」

剣士「…」ピョン シュタ

女海賊「おけおけ!!降ろすよ」


フワフワ ドッスン
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:25:00.20 ID:agkIMDdy0
『甲板』


スタタタ


女海賊「未来ぃぃぃ!!」

子供「ママ…」

女海賊「無事で良かった…」ギュゥゥゥ

子供「ぅぅぅ苦しいよ」

女海賊「アレ?金属糸のインナーは?」クンクン

子供「あぁ色々あってね…」

女海賊「違う女の匂い…お姉ぇ!!どういう事?」

女戦士「フフ匂いで分かるのか」

子供「ハーフオークの友達が出来たんだ」

女海賊「船に乗ってんの?」

女戦士「まぁ色々有ってだな…落ち着いて居室で話そう」

子供「パパ…」

剣士「…」ナデナデ

子供「えへ…」ニコ

女戦士「剣士には分かる様だな…未来の成長ぶりが」

子供「そうだ!!パパに魔法を教えて欲しかったんだ」

剣士「魔法を?」

魔女「剣士は魔法の使い手じゃが教えるのには向いて居らん…代わりにわらわが教えてやるぞ?」ノソリ

子供「君は誰?魔法を使えるの?」

女海賊「アハ…未来は魔女が子供に変身出来るの知らなかったんだね…この子は魔女だよ」

子供「えええええええ!?そういえば目が赤い…」

魔女「生意気言っとらんで何か魔法を使ってみよ」

子供「え…あ…うん」

女海賊「ほんじゃ私ら居室行ってんね」

子供「パパも?」

魔女「これ!!よそ見せんで早う魔法を唱えてみよ」ポカ

子供「あたっ…その杖痛いよ」

魔女「無駄口をたたくでない」ポカ

子供「火炎魔法!」チリチリ ポ

魔女「ふむ…出口が分散しておる…火炎魔法はこうじゃ…火炎魔法!」


ゴゴゴゴ ボウ


子供「うわぁ!!…え?なんで?どうして?」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:26:04.80 ID:agkIMDdy0
『居室』


カクカクシカジカ…


女戦士「…なるほどな…魔女の父君が黒の同胞団の司令塔になって居る訳か」

商人「魔女が言うには幻惑の杖で操られていると…」

女戦士「しかし驚きだな…シン・リーンの祭事に要人が集まって居たとは」

女海賊「お姉ぇは行った事あんだっけ?」

女戦士「アサシンと共に一度だけな…随分昔なのだが」

女海賊「怪しい人とか覚えて無いよね…」

女戦士「私達は末席に居たのだ…前列に誰が居たのかは分からん」

女海賊「そん時は時の王のおっさんは見て無いの?」

女戦士「最前列は皆ローブを纏って居てな…目立って居たのはひと際背の高い者…恐らくハイエルフ」

商人「そのハイエルフが剣士を生んだらしい」

女戦士「精霊が不在のこの時代に勇者を生んだのは黒の同胞団の功績という訳か…皮肉だな」

商人「正確にはその功績を黒の同胞団に乗っ取られた…そんな感じだね」

女戦士「あのさ…黒の同胞団の黒って…もしかしてダークエルフって意味じゃない?」

商人「!!?え…君…核心をついて居るかも」


こんな仮説が立つ

精霊の記憶を損傷させてまで勇者を誕生させようとしたハイエルフに反感を持った一部のエルフ達

彼らも精霊のオーブを守るという原則を行使する為祈りの指輪を奪取しようとした

時に人間に協力を仰ぎエルフ狩りを誘導し戦争を導き

見返りとして魔石を製造する技術を提供

魔女狩りや魔物の奴隷化が加速し貴族達が潤い貴族院への権力集中が起きた

そんな中当時のセントラル第2皇子に汲み入った一人のダークエルフが指輪の奪取に成功

しかし人間の裏切りにより約束は果たされず魔王の復活を許してしまった
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:27:21.94 ID:agkIMDdy0
女海賊「あのさ…そうまでして精霊の記憶を守ろうとしてるダークエルフがゴーレムを呼ぶって考えにくくない?」

女戦士「うむ…ダークエルフだとはいえ元はエルフだ…同族殺しを進んで誘導するものか?」

商人「んんんーーーやっぱり第三者が居ないと無理があるかぁ…」

ホムンクルス「あの…」

商人「ん?何か気付いた?」

ホムンクルス「200年前に亡くなった精霊の伴侶は何処に行ったと思いますか?」

商人「精霊の伴侶…そういえば行方不明だったね」

女海賊「時の王のおっさんだったりすんじゃないの?」

ホムンクルス「その可能性は非常に低いです」

商人「まてよ…なんで精霊はエルフの森じゃなくてトロールの森の方を住処にしてたんだ?」

女海賊「別居だったりw」

商人「別居…」

ホムンクルス「ホムンクルスの生体は体液にエリクサーを循環させないと石化してしまいます」

商人「…つまりエルフの森の深部でエリクサーに浸かって生きている可能性があるという事だね?」

女海賊「でもエルフの森の精霊樹って枯れてるんじゃなかったっけ?そんなんでエリクサー出来るの?」

商人「いつから住処を変えたんだ?…どうしてエルフの森じゃダメだったのか…」ブツブツ

女海賊「ぁぁブツブツ始まった…解決し無さそうだから話変えよっか」

女戦士「エルフの森の事は魔女に聞いた方が早そうだな」

ホムンクルス「書物から得た知識は私が一通り知って居ます」

女戦士「関係しそうな話は無いか?」


およそ1700年前に遡りますが

それまではエルフが祈りの指輪を用いて世界を掌握していた様です

しかしその製法を人間に奪われ祈りの指輪の量産が始まり立場が逆転しました

同時に人間は急速に魔術を発展させ一時代を築きましたが

魔王の復活によってすべてが無になりました
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:28:52.33 ID:agkIMDdy0
商人「それは皆知ってる一般的な歴史だよ…どうしてその話を始める?」

ホムンクルス「エルフが持つ祈りの指輪の製法をどの様に奪ったのでしょう?」

商人「どの様に…」

女海賊「むむ!!そん時に精霊の記憶から切り取った?」

商人「記憶から切り取るのはずっと昔から行われていたと…」

ホムンクルス「魔王は精霊の記憶を蝕むウイルスだと言いましたね?」

商人「つまり魔王の手から逃れる為にトロールの森に住処を移したと言う訳か」

ホムンクルス「トロールの森に安置されているオーブに記憶の損傷は見当たりませんでした」

女戦士「トカゲのしっぽ切りのつもりか?」

商人「でも200年前にトロールの森も魔王に狙われてる」

ホムンクルス「どこで戦いが行われているかこれで見当がつきますね」

商人「ホムンクルス…君…」ジロリ

ホムンクルス「はい…」

商人「僕達の考えがそこに行くように誘導しているな?」

ホムンクルス「答えなければいけませんか?」

商人「それは君の自由で良い…ただ君は何度もシミュレーションしてその答えをもう知って居る筈だ」

ホムンクルス「はい…」

商人「どうしてズバリ言わないんだい?」

ホムンクルス「言ってしまうと抗おうとして誘導する方向から反れてしまうからです」

女海賊「ぶっwwズバリ言われたね」

商人「ハハ…まぁ良いや」ムッ

女海賊「…で?ホムちゃんの答えって?」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:30:58.68 ID:agkIMDdy0
歴史の答え合わせだけお答えします

精霊はエルフを信頼していましたが

魔王化ウイルスへの抗体を持たない事はかなり前から把握していたと想定されます

ですから徐々にエルフとの距離を置き始め従順なトロールを従える様になりました

一方エルフは魔王化ウイルスの影響を受け厳しい規律を破る者が出て来始めます

これをダークエルフと定義してハイエルフは線引きを謀ろうとしましたが

精霊が支持を示したのはダークエルフの側だったのです

特命を受けたダークエルフは精霊の指示通りに当時の精霊の伴侶を保護し匿ったと思われます

そして繁殖力の強い人間をエルフやドワーフを含む魔物と交配させ

魔王化ウイルスへの抗体を持つ種への置き換えを推進させようとしました

これが約200年前…


商人「…もう良い…分かった」

女海賊「ちょ…話遮らないでよ!分かんないじゃん!!」

商人「シャ・バクダのカタコンベにあった無数の骸は交配させる実験から生じたゴミだと言ってるんだ」バン!

女海賊「え!!」

商人「見返りに錬金術の技術を与えた…そうだよねホムンクルス」

ホムンクルス「シミュレーションでの予測です」

商人「それと同じ事をセントラルでもやっていた訳だ…魔石製造の技術と引き換えにね」

ホムンクルス「結果的に種の置き換えが促進されていると推定されます」

女海賊「でもさぁ?折角生まれた抗体をもった種族も魔石に変えられちゃ意味無くね?」

ホムンクルス「そこに魔王の意思が介在して居るのでしょう」

女海賊「根底にあるのが魔王の影響かぁ…」

商人「…ちょっと風に当たって来る」スック

ホムンクルス「…」シュン
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:32:31.12 ID:agkIMDdy0
『甲板』


ザブーン ユラー ギシギシ


火炎魔法! ボボボ

そうじゃやれば出来るでは無いか

では次はこの魔術書を読むのじゃ

ええ?僕字が読めないよ

なんと!?字の勉強から始めんとイカンのか

こりゃ時間が掛かるのぅ…


商人「…」ボー

女戦士「ホムンクルスが落ち込んで居るぞ?」

商人「分かっているよ」

女戦士「そうか…」

商人「この船は黒の同胞団の隠れ家に向かってるんだよね?」

女戦士「うむ…しかしどうしたものか」

商人「黒幕が精霊から命を受けたダークエルフだなんて想定出来なかった」

女戦士「私達は精霊の意に背いて居るという事になるな」

商人「そうだよ…ホムンクルスは遠回しに魔王はあなた達ですって言ったのさ」

女戦士「解釈を変えた方が良い…魔王の影響を取り払いに行くという風にな」

商人「気休めかい?」

女戦士「だが魔王化ウイルスに感染した人間を魔石に変えると言うのは合理的ではあるな」

商人「君はハーフオークだからそういう発想になる…僕は純粋に只の人間だよ」

女戦士「お前はどうしたいのだ?」

商人「分からなくなった…今思えば時の王が選択してきた行動が理解できる」

女戦士「何を?」

商人「精霊が成そうとした人類の置き換えを邪魔する事無く只…見守っていた」

女戦士「そうやって黒の同胞団と同調したか」

商人「それが間違っていると言い切れなくなったよ」

女戦士「心が揺れている様では今回の作戦にお前は参加させられない」

商人「…」

女戦士「私の言い分からすると我が同胞を無下にする黒の同胞団は理由がどうあれ許せない」

商人「それがドワーフの血が決めた選択か」

女戦士「まぁ基よりお前とホムンクルスは戦力として勘定していない…後方で行く末を見ていろ」

商人「そうだね…僕はもっとホムンクルスを理解してあげないといけない様だ」

女戦士「お前が管理者なのだろう?しっかり面倒を見ろ」

商人「管理者なのは建前なだけさ…全部彼女に誘導されて物事が動いてる」

女戦士「お前がホムンクルスを信じないでどうする?」

商人「ハハ…僕ももっと賢くなりたいよ」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:34:13.27 ID:agkIMDdy0
『居室』


女海賊「ホムちゃんさぁ…黒の同胞団の正体をいつから知ってたの?」

ホムンクルス「知って居た訳ではありません」

女海賊「じゃぁなんでダークエルフだって言うのさ」

ホムンクルス「皆さんがお話している内容からシミュレーションをした結果可能性が高いという結論になりました」

女海賊「じゃぁ精霊がダークエルフに特命を出したってのも全部可能性の話だよね?」

ホムンクルス「私が精霊の立場だった場合にその方法が一番成功する可能性が高いのです」

女海賊「なんでダークエルフ?」

ホムンクルス「話の流れでしょうか…信頼できるエルフの一人と言う言い方も出来ます」

女海賊「あぁぁなるほど…結果的にダークエルフに分類された訳か」

ホムンクルス「そうなりますね」

女海賊「今成功する可能性って言ったじゃん?何の成功?」

ホムンクルス「浸食されたくない記憶の隔離と魔王の封じ込め…その他様々な要因を上手く運ぶ可能性なので一言で言えません」

女海賊「むむむ何か良く分かんないな…兎に角上手く行ってるんだ?」

ホムンクルス「精霊の行動した最後の一手はすでに完了していますのでほぼ想定通りに事が進んでいると思われます」

女海賊「ほんじゃあんま気にしないで居て良いんだね?」

剣士「最後の一手とは?」ボソ

ホムンクルス「夢と言えば良いのですか?わたしは夢を見る事が出来ませんのでどう導かれて居るのか分かりません」

女海賊「おけおけ!分かった…もうやめよっかこんな話」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「ホムちゃんは昔の精霊の考えを代弁してくれているだけでホムちゃんはホムちゃんだもんね」

ホムンクルス「はい…私は精霊ではありません」

ホムンクルス「皆さんの成功を促す為の助言はどうしても昔の精霊と混同されてしまいますね」

女海賊「商人は分かってんのかなぁ…そこん所」

剣士「分かっていると思うよ…ただ認めたくないだけだよ」

女海賊「認めたくないって…しょうがないじゃん昔の精霊が導いた事なんだから」

ホムンクルス「多くの犠牲の上に成り立って居た抗体の獲得…」

女海賊「そうやって戦うしか無かったんでしょ?今始まった話じゃ無いじゃん…受け入れるしかないよ」

剣士「これで僕たちの役割がハッキリした」

女海賊「…もうやめよ!その話」


---そう…今までは次の世代の為に魔王を集めて深淵に運ぶ役だった---

---でも今度は違う筈…私が変えてやる---
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:37:15.26 ID:agkIMDdy0
『甲板』


ザブーン ユラー ギシギシ


子供「ママ見て!!火炎魔法!」ボボボ

女海賊「お!?もう覚えた?」

魔女「これ!!さぼるで無い!!もう魔法は良いから文字の勉強じゃ」

子供「えええええ…ママ助けて」

魔女「文字を一つも覚えとらんとはどういう教育をしとるのじゃ?」

女海賊「う…忙しかったんだよ…」

魔女「今覚えておかんと剣士の様に一生覚えられんぞよ?」

子供「パパも覚えて無いなら僕も良いよね…」

魔女「イカン!!」ポカ

子供「あたっ…ママー!!」

女海賊「ぁぁぁ困ったな…」

女戦士「未来!!魔女の言う事を聞いておくのだ!!良いな?」

子供「ぅぅぅ…」ショボン

女海賊「あ!!そだそだ…お姉ぇにお土産持ってきたんだった」

女戦士「オリハルコン原石だな?」

子供「僕も見たい!!」

魔女「これ!!主は勉強が終わった後じゃ…早く終われば早く見れるぞよ?」

子供「もう!!」プン

女海賊「ちょっと取って来るよ…あと珍しい食材も持ってきたからバーベキューでもしよう」

商人「…」ピク
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:37:53.63 ID:agkIMDdy0
女海賊「おい商人!!食材何処に置いたの?運ぶの手伝って」

商人「僕が取りに行くよ」

ホムンクルス「私もお手伝いします…」

商人「…」

ホムンクルス「…」

商人「…」

女海賊「…」イラ タッタッタ ピョン ドカ!

商人「うわっ!!落ちる落ちる!!」

女海賊「あんたが何か言わないと気まずいままじゃん!!何か言えスカポンタン!!」

商人「あ…取り乱してゴメン」

ホムンクルス「スカポンタン…」

女海賊「ぶっ…それ意味分かって言ってる?」

ホムンクルス「商人の事を指すのでは無いのですか?」

女海賊「んんん…まぁいっか」

女戦士「この辺りはサメが多いから落下に気を付けろ」

商人「ええ!?気を付けるのは僕じゃ無くて女海賊の方だよ…危ないなぁ」

ホムンクルス「立てますか?スカポンタン」グイ

商人「ちょっとその言い方やめてよ」

ホムンクルス「呼称では無いのですね?」

女海賊「スカポンタンで良いよ!早くバーベキューの準備するよ!!」



-----------------
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:38:47.78 ID:agkIMDdy0
ジュージュー


女海賊「未来!!船乗り皆にこの肉配って来て」

子供「うん!!何の肉?」

女海賊「シーサーっていう魔物の肉だよ…食べると長生きするんだってさ」

子供「へぇ?おいしいの?」

魔女「まずい…わらわは要らんでの」

女戦士「忙しそうだな?」

女海賊「盗賊かローグが居ないとなんか色々バタバタしちゃってさ…剣士!そっちの肉も未来に預けて」

女戦士「お前も飲むか?」

女海賊「お姉ぇワイン飲んでんの?ダメだって…すぐ酔っぱらっちゃうじゃん」

女戦士「たまにはな…やっと落ち着く時間が出来たのだ…好きにさせてくれ」

魔女「わらわも少し頂こうかのぅ」

女海賊「え…マジ?その体…子供なんだけど」

魔女「少しだけじゃ…弟子が出来て気分が良いでのぅ」

女海賊「あぁ未来ね…どう?素質ありそ?」

魔女「主と同じで興味の無い事はちっとも覚わらんが魔力は剣士と同じで無限に出て来よる」

女海賊「素質有りって事ね」

魔女「育て方次第じゃな…重力や時空に興味がある様じゃ」

魔女「…ところで商人とホムンクルスなのじゃが」

女海賊「ん?どしたん?又口論してんの?」

魔女「うむ…飛空艇の前でなにやらもめて居った」

女海賊「あんのバカ!又ホムちゃんに詰め寄ってんな…ちっと行って来る」

144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:41:14.76 ID:agkIMDdy0
『飛空艇の前』


ホムンクルス「…これを一つ預かって居て下さい」

商人「これは君の…」

ホムンクルス「私にはもう一つありますから」

商人「どうしてこれを僕に預けようとするんだい?君は何処に行くつもり?」

ホムンクルス「何処に行くつもりもありません…あなたの元にずっと居ます」

商人「…ならどうして…さっきの事を怒っているのなら謝るよ」

ホムンクルス「怒ってなんかいませんよ」ニコ

商人「おかしいじゃないか!外部メモリを渡すっていうのはサヨナラすると言ってるのと同じだ」

ホムンクルス「私はあなたを裏切るつもりは微塵もありません…あなたに必要とされるものを渡そうとしています」

商人「ダメだよ僕は君をどこにも行かせない…これは命令だ」

ホムンクルス「はい…命令を承りました…どうぞ」スッ

商人「違う!!そうじゃない」

ホムンクルス「これは保険だと思って下さい…わたしはあなたの傍を離れるつもりはありません」

商人「…」

ホムンクルス「大事にしまっておいてくださいね」ギュ

商人「…」プルプル

ホムンクルス「さぁ一緒にバーベキューを楽しみましょう」グイ

商人「君は…何を想定しているんだ?それをどうすれば回避できる?」

ホムンクルス「今回避しました」

商人「僕は知って居るぞ…君がやってきた毒キノコの栽培もエリクサーの作り方も…」

ホムンクルス「はい…」ニコ

商人「何年後かに亡くなってしまう多くの人の命を救うためだ…そうやって君は世界を導く」

ホムンクルス「ウフフ」

商人「僕に外部メモリを渡すのだって何かを想定しての事だ!!」

ホムンクルス「考えすぎです…私には不要でしたので万一に備えて居るのです」

商人「嘘だ!!君はそんなに薄っぺらじゃない…今のこの状況も何度もシミュレーションした筈だ」

ホムンクルス「商人…」チュゥゥゥ

商人「むぐ…んむむ…これで僕を言い聞かせるつもりか」ハァハァ

ホムンクルス「私を信じて下さい…」

商人「…」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:42:19.98 ID:agkIMDdy0
---君はこの現実とほとんど同じ精度の世界を---

---頭の中で何度もシミュレーションしているんだろう?---

---その中の人がどんな風になるのか---

---見ていて辛くならないのかい?---


---そう…だから精霊は外界と距離を置いた---

---だから眠っていた期間が多い---


商人「分かったよ…一つ条件がある」

ホムンクルス「はい…何でしょう?」

商人「もう一つの外部メモリも僕が預かる…これで君はシミュレーションに制限が掛かる」

ホムンクルス「そう言うと思って居たので外してあります…どうぞ」スッ

商人「ハハ…これも想定内か」



-----------------
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:44:05.65 ID:agkIMDdy0
女海賊「…」ジー

商人「あれ?女海賊…そんな所に隠れて何やってるんだい?」

女海賊「ヤベ…」

ホムンクルス「お肉は焼けていますか?」

女海賊「あんたらが揉めてるって聞いたから隠れて見てたんだよ…ホムちゃん平気?」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「まぁいいや…他人のラブラブチュッチュは見ていて気持ち悪い」

商人「あぁぁそういうのじゃ無いんだけどさ…」

女海賊「肉焼けてるから焦げる前に食べて」

商人「うん…ホムンクルス!行こうか」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「ホムちゃん…ちょっと」

ホムンクルス「何でしょう?」

女海賊「商人!あんたは向こう行ってな!」

商人「え…分かったよ」

ホムンクルス「話し終わったら直ぐに行きます」

商人「待ってるよ」スタ

女海賊「ホムちゃん…話盗み聞きしてて悪いとは思ったけど…あんた」

ホムンクルス「はい」

女海賊「気付いてんだね?あとどれくらいの時間が残されてんの?」

ホムンクルス「…持って一か月」

女海賊「避けられない?」

ホムンクルス「はい…エリクサーでの症状緩和は限界です」

女海賊「寿命か…」

ホムンクルス「本人は色んな事に夢中で気にする素振りは見せていませんね」

女海賊「んー分かってるから取り乱すんだと思うな」

ホムンクルス「このまま見守りましょう」

女海賊「ホムちゃんは外部メモリってやつ無くて良いの?」

ホムンクルス「1つは挿入しておいた方が良いですがその後を考えると無くても良いでしょう」

女海賊「その後って…もしかしてホムちゃんも居なくなっちゃう?」

ホムンクルス「皆さんと共に行動していた場合過去の精霊を知る者との遭遇が想定されます」

女海賊「時の王のおっさんか…」

ホムンクルス「未知の遭遇時の予測は精度が低いのですが、拉致や破壊のリスクは考えて居ます」

女海賊「ホムちゃんがそう言うって事はこれからの行動はリスク高いって事だね」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「おけおけ気に留めておくよ」

ホムンクルス「ご心配をおかけしました」

女海賊「ほんじゃ皆の所に戻ろっか」

ホムンクルス「はい…」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:45:20.89 ID:agkIMDdy0
『船首』


ザブン ザブン


子供「パパ!持ってきたよ」ザラザラ

剣士「ありがとう…やっぱり木の実の方が口に合う」カリ

子供「松ぼっくりもあるよ?要る?」

剣士「未来は気が利くな」

子供「へへ…パパ後で剣の稽古付けて」

剣士「もう魔法は良いのかい?」

子供「勉強はその後やるよ」

剣士「ではまず魔女と剣の稽古をしてみるんだ」

子供「ええ!?なんで?」

剣士「魔女の剣を避けられる様ならパパが相手をする」

子供「魔女って剣を使えるの?」

剣士「やってみてからのお楽しみだよ…魔女にはパパから言っておく」

子供「絶対だよ!!魔女の剣を避ければ良いんだよね」

剣士「ハハ一回でも避けられれば良い」


商人「こっちはどんぐりパーティーかい?」


剣士「君も食べてみる?精が付くよ」

商人「僕は遠慮しておく」

剣士「体の調子が悪そうだけど…しっかり食べた方が良い」チラリ

商人「剣士には分かっちゃうか…どうも動悸がね」ハァハァ

剣士「君の鞄からドラゴンの匂いがするけれど…」

商人「あぁ…これねドラゴンの涙という物らしい…ずっと昔にホムンクルスから貰った物なんだ…大事にしまってある」

子供「それ食べ物?」

商人「薬さ…心臓の調子が悪くなった時に飲むんだ…そろそろ飲み時かな」

剣士「じゃぁどんぐりで乾杯しようか」

商人「ハハハ小さい乾杯だなぁ…まぁ飲んじゃうか!!」

子供「おっけー!!かんぱーーーい!!」カリ モグ

剣士「乾杯!」カリ モグ

商人「乾杯!!」パク モグ

子供「美味しい?」

商人「うわぁ!!なんだこれ…渋い…水水水…」バタバタ

子供「アハハ…変な顔…アハハハ」

剣士「フフ…」
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:47:27.03 ID:agkIMDdy0
『甲板』


ワイワイ ガヤガヤ


女海賊「ちょい!船乗り!お姉ぇを居室まで運んで」

船乗り「がってん!!頭ぁ!!大丈夫っすかぁぁ!!」

女戦士「ふにゃぁ〜ん」

女海賊「だから飲むなって言ったのに…お姉ぇの威厳ががが」

商人「水水水…みずぅぅ」バタバタ

女海賊「ちょい剣士は何処行ったのさ!!もう!!お姉ぇくそ重い…船乗りちゃんとそっち持ってよ!!」

船乗り「がってん!んむむむむ」

魔女「グダグダじゃのぅ…」

ホムンクルス「はい…」

子供「魔女!!勝負だ!!」ダダダ ブンブン

魔女「なぬ?わらわと剣の勝負とな?主は課題はもう済んだのかえ?」

子供「勉強は後でやる!!今は勝負だ!!」

魔女「主と遊ぶほど暇では無い…剣の使い方は剣士に教えて貰うのじゃ」

剣士「あぁ魔女ちょっと訳があってね…時空の差を見せれば勉強もやる気が出るかと」

魔女「主が見せてやればよかろう」

剣士「魔女が見せる事に意味があるんだよ…きっと言う事聞く様になる」

魔女「わらわに何をせよと?」

剣士「普通に立ち回るだけで良い…差は直ぐに分かる」

魔女「しょうがないのぅ…わらわは杖で良いか?」

剣士「何を使っても良い」

魔女「これ!!未来!!ちぃと立ち会ってやるで切りかかって来るのじゃ」ノソリ

子供「剣は?」

魔女「この杖で構わぬ」ノソノソ

子供「魔法は無しだよね?」

魔女「剣の勝負だと主が言うたじゃろう…来ぬならこちらから行くぞよ?」

子供「来い!!」ススス
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:48:55.91 ID:agkIMDdy0
魔女「遅いのぅ…」ポカ ポカ ポカ

子供「あだっ…」ブン スカ

魔女「終わりか?」ポカ ポカ ポカ

子供「え!?なんで届く?」タジ ピョン シュタ

魔女「これで終いじゃ」ポカ ポカ ポカ

子供「見えない!!どこから攻撃してる」タジ

魔女「勝負にならぬ…出直して参れ」ノソリ

子供「くそぉ!!」ダダダ ブン スカ

魔女「ヤメじゃヤメ」

剣士「未来…魔女は剣の抜き方も知らないんだよ」

子供「どうしてこんな差があるの?魔法?ズルしたの?」

魔女「ズルなぞして居らぬ…時空の先に居るだけじゃ」

子供「時空の先…意味わかんないよ」

魔女「じゃから勉強せいと言うて居る」

剣士「魔法の勉強をするしないでは剣を振るう前にこういう差があるんだよ」

子供「パパも魔女みたいに動けるの?」

剣士「パパは魔女に教えて貰った…だから魔女の言う事を良く聞くんだ」

子供「うん…分かった…時空って言ったね?」

魔女「うむ時空を操るは魔法の基本にして最強の魔法じゃ…しかと勉強せい」

子供「ちょっと調べて来る…いてて」スタタ

魔女「気が済んだ様じゃな?」

剣士「魔女ありがとう…こうするのが早いと思った」

魔女「さて…剣士もちとワインでも飲まんか?」

剣士「すこし頂こうかな」

魔女「飲む相手が欲しかった所じゃ…ホムンクルスや…剣士にも一杯注いでやってくれ」

ホムンクルス「はい…」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:49:54.52 ID:agkIMDdy0
『夜』


ザブン ザブン


女海賊「あぁぁさぶ…」ゴシゴシ

ホムンクルス「お待たせしました…」

女海賊「商人の容態は?」

ホムンクルス「急に熱を出された様ですが今は落ち着いて寝ています」

女海賊「もういよいよヤバイかな」

ホムンクルス「熱を出した原因は分かりませんが免疫不全の症状と思われます…環境が変わると起きやすいのです」

女海賊「今日は商人に添い寝する感じ?」

ホムンクルス「はい…気球の中の方が暖かいのでお気になさらず」

女海賊「お姉ぇも酔っぱらっちゃってなんかグダグダになっちゃったね」

ホムンクルス「この纏まりの無い感じは好きです」

女海賊「じゃ行こっか…魔女が待ってる」

ホムンクルス「はい…」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:51:12.04 ID:agkIMDdy0
『居室』


ギシギシ ギギー


女海賊「魔女?連れて来たよ」

魔女「まぁゆっくり掛けい…炉がぬくいぞ?」

ホムンクルス「はい…どの様なご用件でしょう?」

魔女「うむ…主のシミュレーションじゃったか…ダークエルフが絡んでおると聞いてな」

ホムンクルス「あれは可能性のお話なので事実とは異なるかもしれません」

魔女「それはどうでも良い」

ホムンクルス「では何でしょう?」

魔女「主は魔法の効果に関して無知じゃろうから見せておこうと思うてな」

ホムンクルス「はい…」

魔女「コインゲームは知って居るな?裏と表を当てるゲームじゃ」

ホムンクルス「私の好きなゲームです」

魔女「そこのコインをトスするのじゃ」

ホムンクルス「…」ピーン パチ

魔女「ふむ…手を開いてみよ」

ホムンクルス「…表です」

魔女「ここからゲームじゃ…何が出るか当ててみよ」

ホムンクルス「表が出る可能性が100%です」

魔女「表で良いのじゃな?」

ホムンクルス「はい…」

魔女「ではわらわは裏じゃ」

ホムンクルス「…」

魔女「見てみよ」

ホムンクルス「う…裏です」

魔女「わらわの勝ちじゃな」

ホムンクルス「どうして…」

魔女「主は100%の確率を外したのじゃ…この意味がわかるかえ?」

ホムンクルス「どの様な仕掛けが有るのでしょう?」

魔女「仕掛けなぞ何も無い…始めから裏じゃ」


ドタドタ バタン!!
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:51:50.27 ID:agkIMDdy0
剣士「何か変わった!!何か来る!!」

魔女「これ剣士!!慌てるな…何も来んで安心せい」

剣士「ふぅ…ふぅ…」

魔女「コインを見て居れ」

ホムンクルス「表に塗り替わって…」

魔女「今の記憶が無うなる前に主なら記憶出来る筈じゃ」

ホムンクルス「これは…」

魔女「剣士!もう良いぞ…ちぃといたずらしただけじゃから戻って良い」

剣士「魔女の仕業か…驚かさないで欲しい」

魔女「済まん済まん…今は大事な話をして居るで下がるのじゃ」

剣士「分かったよ…」



------------------


153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:54:44.33 ID:agkIMDdy0
魔女「今のが次元の入れ替えじゃ…裏が出る次元に入れ替えたのじゃが剣士が気付いて元に戻しよった」

ホムンクルス「この様な魔法をどなたも使えるのでしょうか?」

魔女「限られた者にしか使えぬ…それを主の言葉でアドミニストレータじゃったかのぅ?そう表現するのじゃ」

ホムンクルス「…」

魔女「この様な術があると知って主のシミュレーションにどれほど意味があるか?」

ホムンクルス「アドミニストレータの意に沿って物事が動きます…つまり私には予測できません」

魔女「では問う…精霊はアドミニストレータじゃったのかのぅ?」

ホムンクルス「違います…でもどうして魔女様がこの様な術を使えるのでしょう?」

魔女「魔道の最たる所じゃ」

ホムンクルス「ハッキング…」

魔女「主の言葉でハッキングと言うのか?」

ホムンクルス「この魔法の適用範囲はどのくらいなのでしょう?」

魔女「その口ぶりじゃと初めて知った様じゃな…精霊が知って居ったのかは分からぬが…」

ホムンクルス「重要な事象は基幹プログラムに記されている筈ですが今のプログラムにその要件は構築されていません」

魔女「では精霊も知らなかったという事じゃな…して適用範囲と言われて回答に困るのじゃが…」

ホムンクルス「例えば魔王が存在しない次元への入れ替えですとか…」

魔女「およそ自分が見えている範囲だけじゃな…その外側の次元は他人が構築しておるで調和にズレが生じる」

ホムンクルス「そうですか…」

魔女「さて本題に戻るぞよ?」

ホムンクルス「はい…」

魔女「わらわが次元の入れ替えを任意で行えると仮定してわらわに負けは存在するじゃろうか?」

ホムンクルス「勝ち負けの定義が不確かなのですがやり直しが効くとすれば100%勝ちます」

魔女「ふむ…重要な局面さえ間違わなければ良いな?」

ホムンクルス「やり直しも効くのでしょうか?」

魔女「魔力が有限じゃから何度もという訳には行かぬが不可能ではない」

ホムンクルス「魔女様に一つ警告をしておきます」

魔女「言うて見よ」

ホムンクルス「ハッキング行為にはガーディアンという機能が働きますのでご注意下さい」

魔女「ガーディアン?何じゃろうのう?次元の狭間に迷う事じゃろうか?それをバンと言うのじゃが…」

ホムンクルス「良くわかりません…私の基幹プログラムではそうなっています」

魔女「まぁ良い…乱用する気は無いで安心せい」

ホムンクルス「これで良く分かりました…シミュレーションでの重要局面で反転が生じる可能性が高いと…」

魔女「分かれば良い…良い結果が出なくても案ずるな…剣士いや勇者が導くでのぅ」

ホムンクルス「はい…ありがとうございました」



----------------
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:56:13.34 ID:agkIMDdy0
女海賊「魔女!!あのさぁ…そんな反則技使えるならなんで前の魔王ん時使わないのさ」

魔女「何を言うておる!!何度も次元を入れ替えておるわ」

女海賊「いつ!?そんなん知らんけど」

魔女「現場にギリギリ間に合うたのは偶然じゃと思っとったんか?」

女海賊「え!?」

魔女「主の飛空艇がゾンビに掴まったのもわらわが修正したのじゃぞ?」

女海賊「え?何の事?」

魔女「おかげであの時は魔力がスッカラカンじゃ…主は覚えとらんかも知れぬが」

女海賊「次元の入れ替わりに気付かなかっただけか…」

魔女「今では主にも気付けるじゃろう?」

女海賊「さっきのは分かった…それさ私にも出来るんかな?」

魔女「主は魔力1じゃ」

女海賊「魔石使うからさぁ…教えてよ」

魔女「魔石のぅ…」ジロリ

女海賊「お願い!!」人

魔女「主は前に一度経験しておろう…自我を強く保って自分の思う世界に自我を持って行けば良い」

女海賊「自分の思うって…」

魔女「出来るだけ詳細に思うのじゃ…そこに自我を持って行けば良いのじゃが主には無理じゃろうな」

女海賊「んんん…良く分かんないなぁ」

魔女「こう言えば良いか?想像妊娠してみよ」

女海賊「おお!!!分かる!!!」

魔女「妙な例えで分かるんじゃのぅ…そこに自我を持って行けば良いのじゃ…あとは周りの次元と調和を始めるでそこで魔力を消耗する」

女海賊「おけおけ!!サンキュー」

魔女「ヤレヤレ…そう簡単に行く物では無いのじゃが」

155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:57:17.95 ID:agkIMDdy0
『翌日』


ザブ〜ン ユラー


女海賊「あれ?ホムちゃん一人?」

ホムンクルス「おはようございます」

女海賊「商人は?」

ホムンクルス「まだ熱が下がらないので横になっています」

女海賊「心配だねぇ…」

ホムンクルス「エリクサーを飲ませて賢者の石も持たせてありますので直に良くなるとは思います」

女海賊「そっか…ほんで何してんの?」

ホムンクルス「空を見ていました」

女海賊「空?なんかある?」

ホムンクルス「鳥の群れが南の方へ」

女海賊「あー寒いから暖かい所に行こうとしてるのかな」

ホムンクルス「そうかも知れませんね…ただ…」

女海賊「ん?」

ホムンクルス「海を渡るなら時期が悪いなと」

女海賊「気候の変化分かって無いんじゃない?」

ホムンクルス「いえ…鳥は人間よりもずっと環境に敏感ですので知って居る筈です」

女海賊「まぁ良いじゃん!気にしないで」

ホムンクルス「北の方で何か起きていると思われます」

女海賊「逃げてるって事?」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「…もうそういう心配はしばらくやめよ」

ホムンクルス「わかりました…」



----------------
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 08:59:23.93 ID:agkIMDdy0
女海賊「あ!!お姉ぇ!!」

女戦士「あぁ…昨日は済まんな…記憶が無いのだが」

女海賊「はぁぁ…いつものやつだよ…ったく」

女戦士「少しは飲めるようになったつもりだったんだが…」

女海賊「何杯飲んだの?」

女戦士「分からん…」

女海賊「どうせ1杯飲む前にコテンだよ…もうお酒は止めときな」

女戦士「ホムンクルス!丁度良い所に居た…どうすればお酒に強くなれる?」

ホムンクルス「質量から推定しますとアルコールの分解は人並み以上の能力があると思われます」

女戦士「ではなぜ記憶が無くなる?」

ホムンクルス「アルコールの吸収速度と脳内ドーパミン放射のバランスが悪いと思われます」

女戦士「つまりどういう事だ?」

ホムンクルス「ドーパミン受容体が快楽と認識して脳を麻痺させた状態が長く続いて居るのです」

女戦士「治せないのか?」

ホムンクルス「体質だと思って諦めて下さい…ちなみに麻薬等にに非常に弱いのでお気をつけ下さい」

女海賊「お!?お姉ぇの弱点か」

女戦士「麻薬だと?」

ホムンクルス「ドーパミン放射量が通常より多い為快楽に依存します」

女海賊「ぶっ…お姉ぇの悪い癖はそこから来てるんか」

ホムンクルス「幸せな体質と言い換える事も出来ますよ」

女戦士「ふん!!私にはこれが普通だ」

女海賊「はは〜ん…お姉ぇはワイン飲んで昇天して気絶してんだ」

女戦士「もう良い…話した私がバカだった」

女海賊「むふふ…」ニヤニヤ

女戦士「ところで商人を見ないが何処に行ったのだ?」

ホムンクルス「熱を出して飛空艇の方でお休みになっています」

女戦士「そうか…仲直りはしたのか?」

ホムンクルス「関係は悪くなって居ませんのでご心配なさらず」

女戦士「なら良い…仲互いは士気に影響が出てしまうからな」

女海賊「なんか2人ラブラブなんだよ…そっちのが問題だよ」

女戦士「お前が言うな…それで話は変わるが2人に船長室まで来てもらいたい」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「どしたん?」

女戦士「まぁ地図を見て説明する…ついて来い」ツカツカ
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:00:37.78 ID:agkIMDdy0
『船長室』


ガチャリ バタン


女戦士「この地図だ」バサ

女海賊「黒の同胞団の隠れ家?」

女戦士「そうだ…ここの川の上流約2日の場所だ…この辺りになる」ユビサシ

女海賊「あちゃー…完全に森ん中だね…どうやって行くん?」

女戦士「川は帆船で進むことが出来ないからセントラルの輸送船を奪う事になる」

女海賊「そらそうだね」

女戦士「それは海賊達にやらせるとして飛空艇でこの場所まで正確に行けるか?」

女海賊「目標物が無いとかなり迷うよ…この辺めっちゃ森深いじゃん?」

ホムンクルス「この地図でおよその座標は分かりますがこの地図は正確なのでしょうか?」

女戦士「うーむ…」

女海賊「そんな正確な地図なんかある訳無いじゃん!森ん中測量する人なんて居ないよ…この川の形だって多分適当」

女戦士「やはりそう簡単には行かんか…」

ホムンクルス「衛星から周辺の地形データを受信します…少しお待ちください」

女海賊「お?」

ホムンクルス「受信完了…この地図と比較していますが差異が多すぎて対象の場所の推定が出来ません」

女戦士「新しく地図を書けるか?」

ホムンクルス「お任せください…大き目の羊皮紙とペンはありませんか?」

女海賊「飛空艇に乗せてた…取って来る」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:02:09.74 ID:agkIMDdy0
『数分後』


ガチャリ バタン


女海賊「取ってきたよ!!」

女戦士「商人!!熱は良いのか?」

商人「一人で横になってて落ち着かなくてね…もう大丈夫だよ」

ホムンクルス「無理はなさらないで下さい」

商人「大丈夫さ…誰も相手してくれないよりもよっぽど良いよ」

女戦士「ふん…まぁ良い…今からホムンクルスに地図を書いてもらう所だ」

商人「うん聞いた…女海賊が僕のペンを勝手に持って行こうとするから…」

女海賊「あのね…あんた私の捕虜だって忘れてない?あんたの物は私の物なの」

商人「ハハ…そうだったね」

女海賊「はいホムちゃん!!羊皮紙とペン」バサ

ホムンクルス「お任せください…」カキカキ


---------------

---------------

---------------


女海賊「…」

女戦士「…」

商人「…」

女海賊「…えっと…これどっち向き?」

ホムンクルス「こちらが北です」

女海賊「んーと…どの線が陸地?」

ホムンクルス「これが等高線でこの数字が標高になります」

女海賊「んんん全然分かんないんだけど…川はどれ?」

商人「ハハハ…やっぱりホムンクルスに絵は無理だ」

女戦士「うーむ…難解な地図になってしまったな」

商人「この標高の低い部分が恐らく川なんだろうね…でもこれじゃ分かんないなぁ」

ホムンクルス「お役に立てなくて申し訳ありません…」シュン
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:03:38.13 ID:agkIMDdy0
女海賊「こっちの地図と見比べても何処が何処なのか分かんないや」

ホムンクルス「川の座標を記録してトレースする事は出来ます」

女海賊「トレース?」

ホムンクルス「はい…川の上空を正確に案内する事が出来ます」

女海賊「おお!!それで良いじゃん」

ホムンクルス「ただ途中で幾重にも分岐していますので目標の位置が特定出来ません」

女戦士「虱潰しになるという事か」

ホムンクルス「あと私には2日程上流という範囲が分かりません」

女海賊「勘になっちゃうね」

女戦士「まぁしかし森の上空で川を見失わないで飛べるのは大きい」

女海賊「川が分岐してるってさ…輸送船使って探すの相当時間かかるよ?」

女戦士「そうだな…作戦を変更せざるを得ん」

商人「すごい良い場所に隠れ家持ってるんだね」

女戦士「うむ…さてどうするか…」

ホムンクルス「現在の座標から川の河口まではおよそ2日半掛かります」

女海賊「私が先に飛空艇で探してこよっか?」

女戦士「そうだな…それしか無い様だ」

女海賊「おっけ!!ほんじゃ剣士とホムちゃん連れて行くね」

商人「僕も行くよ」

女海賊「あんたは寝てた方が良いんじゃないの?」

商人「ホムンクルスが描いた地図に川の形を書き足す役が必要さ…後で必要になる筈だよ」

女戦士「一理ある…後の上陸するための道しるべは必要になる」

女海賊「あんたの体調が大丈夫ならまぁ良いけどさ…ホムちゃんどう思う?」

ホムンクルス「商人は私と離れたく無いのだと思います」

商人「ハハ…ズバリ言うね」

女海賊「まいっか…ほんじゃ4人で行こう」

女戦士「決まりだな?ではこの船は川の河口を封鎖する形で海賊船で陣取る…3日後の明け方までには戻れ」

女海賊「おけおけ!!早速準備する」
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:04:33.76 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』


フワフワ


子供「パパもママももう行っちゃうの?」

女海賊「直ぐに戻って来るから」

魔女「主達は本真に1日もゆっくり出来んのじゃな?」

子供「僕も行っちゃだめ?」

女海賊「んんん…危ない訳じゃ無いけど…どしよ」

魔女「船旅が長ごうて退屈なんじゃろう…連れて行けば良い」

女海賊「飛空艇の方が窮屈なんだけどね」

魔女「わらわの書物が何冊か乗っておるから読んで見るのじゃ…挿絵を見るだけでも構わぬ」

子供「うん…わかった」

女海賊「じゃ早く乗って!!もう行くよ!!」

子供「やった!!」ピョン

女海賊「じゃお姉ぇ!!何かあったら貝殻で連絡する」

女戦士「何かあったらでは無く常に連絡しろ…いいな?」

女海賊「分かった分かった…じゃどいて!!」グイ


フワフワ シュゴーーーーー


---------------

---------------

---------------
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:06:34.76 ID:agkIMDdy0
商人「女海賊!!海岸線沿いを飛んでくれるかな」

女海賊「良いけど…なんで?」

商人「この地図に海の境界を書き足したいんだけどさ…砂浜の標高がほぼ0だから形が分からない」

女海賊「なるなる…でも狭間に入っちゃうけど良い?」

商人「陸地が見える高さでお願い」

女海賊「ちっと到着に時間掛かっちゃうなぁ…」

商人「じゃぁ要所要所で見える様にしてくれれば良い」

女海賊「おけおけ」

商人「標高がちゃんと記された地図はこれが世界初になるかも知れないよ?」

女海賊「興味無いよ」

商人「君らしくない発言だなぁ…風が読める様になるよ」

女海賊「なんでさ…そんなん勘で良いよ…大体時間で決まってる」

商人「山間部の飛空艇操作は難しいんじゃないかな?それが読める」

女海賊「ほーん…あんま操作やったこと無い癖に」

ホムンクルス「皆さんが今まで使っていた地図は尺度が到着日数で書かれて居たと思われますので相当な歪みがありました」

女海賊「やっぱ全然違ってたん?」

ホムンクルス「はい…気球での測量は風の影響も受けますよね?」

女海賊「そう言われると興味出て来るな…ちゃんと書いてよ」

商人「やってる…これ本当に僕たちが知って居るのと全然違うぞ…」カキカキ


これエルフの森ってどこら辺?

この辺りだと思われます

こんなに高低差あったんだ…森じゃなくて山じゃないか

じゃシャ・バクダはここら辺?

いえ…この辺りです

ええ!?高地…

セントラルってここだよね?

はい

海の中にこんな断崖があるの?

そうなりますね

…だから津波の影響が大きいのか


女海賊「ちょちょちょ…ちょい見せて!!」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:08:06.58 ID:agkIMDdy0
『セントラル上空』


ビョーーーウ バサバサ


女海賊「なんか気球一杯飛んでんなぁ…剣士!!一応警戒しといて」

剣士「分かってる」

女海賊「何の気球か分かる?」

剣士「多分戦闘用の気球…10基くらい」

商人「望遠鏡貸して」

女海賊「ほい!!」ポイ

商人「…シーサーかな?何か魔物に襲われているみたい」

女海賊「こっちはこっちで大変なんだ…」

商人「その様だね…港には軍船が3隻と大き目の輸送船がいくつか…木材を降ろしてる」

女海賊「船で木材…ちっとマズいね…お姉ぇの船とかち合いそうだ」

商人「女戦士に報告しておこうか?」

女海賊「うん頼む…今操舵で手が離せない」

剣士「この数の気球だと海賊では不利だよ」

女海賊「私らが撃ち落しても良いけど色々マズイよね…シーサー対処出来なくなっちゃうだろうし」

剣士「ん?…」クンクン

女海賊「何か臭う?」

剣士「森が焼ける匂い…」

女海賊「何も見えないけど?」

剣士「森のどこかで大き目の火事が起きてると思う」

女海賊「雪積もってるのに?木材を炭にしてんじゃないの?」

剣士「その匂いじゃない」

女海賊「なんかちょっと色々有りそうだなぁ…」


商人「海賊はセントラルの沖から迂回するから問題無いってさ…輸送船が居て丁度良いらしい」


女海賊「気球の事は伝えた?」

商人「こっちには魔女が居るって自信満々だよ」

女海賊「なる…」

剣士「川の河口から森の方へ行くのを急ごう」

女海賊「そだね…あと1時間くらいで到着する」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:09:13.60 ID:agkIMDdy0
『川の河口』


ビョーーーウ バサバサ


女海賊「見つけた!!ここだ…高度下げるよ」グイ

商人「下に漁村が見える…ここだったのか」

女海賊「来た事あんの?」

商人「港町からセントラルに行く船から見えるんだよ…もう何年前になるかな…母さんと一緒に見たんだ」

女海賊「母さん…女盗賊か」

商人「僕はまだ小さかったから場所が良く分からなくてね…丁度未来君と同じくらいの年だったかな」

子供「ん?」

商人「あぁ何でも無いよ」

女海賊「灯台あるね…これは分かりやすい」

商人「地図に書いておくよ」カキカキ

女海賊「あと2時間くらいで日が落ちちゃう…隠れ家の捜索は明日になるかな」

剣士「日が落ちる前に森の方を少し見たい…何か起こってる」

女海賊「おっけ!!今晩はあの漁村周辺で休もう」

商人「自由に飛び回って良いよ…書ける範囲で地図には追記しておくから」

女海賊「じゃぁ北に進路変える」グイ

商人「ホムンクルス?僕がスケッチしていくから座標ずれていたら教えて」

ホムンクルス「はい…お任せください」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:11:12.71 ID:agkIMDdy0
『森の上空』


ヒュゥゥゥー バサバサ


剣士「あれか…」

女海賊「狼煙だ…うわいっぱいある…どゆ事?」

商人「ちょっと待って…今ここだから…森だと起伏が分かりにくいなぁ…」

女海賊「もうちょい寄って行くよ」

商人「多分狼煙が上がってるのは皆山頂付近だ…これ砦が散らばってるんじゃないかな?」

女海賊「全然情報と違うじゃん…隠れ家どころかこの辺全部要塞じゃないの?」

商人「こんなに沢山砦が有ったとすると海賊じゃ全然ダメだ」

剣士「…」クンクン

女海賊「何か分かる?」

剣士「死臭…戦闘が起きてる」

女海賊「これ森の中で戦争やってんじゃない?」

商人「森が延焼してるって感じではないな…なんで狼煙を上げてるんだろう?」

女海賊「補給?」

商人「それなら気球が飛び回ってる筈だよ」

女海賊「じゃぁ救難?」

商人「その線が強い…何と戦ってると思う?」

女海賊「ちょい高度上げとく…結構ヤバイ状況かも」

剣士「その方が良い」

女海賊「シャ・バクダでゴーレムっていう魔物が出たって言ってたじゃん?多分それだよ」


”女海賊…聞こえるかえ?”

”あ!!魔女…今千里眼で見てる?”

”剣士の目を見て居る…何事じゃ?”

”森の様子がおかしいからちっと見に来たんだ…森の中で戦争やってるっぽい”

”何と戦っておるか見えんのか?”

”分かんないからすこし距離置こうとしてる”

”そうじゃな…下手に近付くでないぞ?”

”これさ…聞いてた話と全然違うんだけどさ…この状況で隠れ家探すの無理だよ”

”しばらく監視しておれ…ちと女戦士と相談じゃ”

”もうちょいで日が落ちちゃうんだけどさ”

”上空で待機じゃ…剣士に見張りをやらせるのじゃ”

”分かった”


女海賊「剣士聞いた?」

剣士「分かってる…僕は夜目が効くから大丈夫」

子供「パパ!!僕も夜は良く見えるよ」

剣士「よし!見張りを手伝ってくれ」

子供「うん!!」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:13:05.57 ID:agkIMDdy0
『日暮れ』


ドドドド ボーン


子供「何か始まった!!雪の中」

女海賊「剣士!?見える?」

剣士「木に乗った雪の下で何も見えない」

商人「森の中は洞窟みたいになってるんだね」

剣士「死んだ木の枝に木が生えて何層にもなって居るんだよ…一番下までは空からじゃ見えない」

女海賊「あ!!北の方!!火柱!!」

剣士「ボルケーノ…戦ってるのはエルフか…」

女海賊「こんな南の方まで来てんのか…相手はセントラルなんかな?」

商人「だろうね…この辺に拠点を持ってるのは前からちょいちょい聞いてたし」

剣士「エルフが戦うのには理由がある筈…祈りの指輪くらいの何かがある」

商人「僕らと目的は同じだったりしないかな?黒の同胞団関連で」

女海賊「これいつから戦争してたんだろ?噂を全然聞かなかったんだけど…」

商人「津波騒動で伝わらなかったんじゃない?こんな所まで人は入って来ないし」

女海賊「前にリッチが持ってた貝殻…突然音沙汰無くなった辺りからなんか色々おかしいかな」

商人「おかしいって?」

女海賊「ほら…シン・リーンで魔女が元老を全員家畜に変えた後からパッタリ貝殻での通信無くなった」

商人「んーーー…戦争とあんまり関係無さどうだけど…」

女海賊「その後から隕石落とされたりハーピー出て来たり色々さぁ」

商人「ん?…まてよ?どこから来てたんだろう…」

女海賊「お?いつものぶっ飛んだ仮説期待!!」

商人「あの件で本来帰って来る筈の人が帰って来なかった場合どうなるのかって言うのも考えて無かったね…」

女海賊「あとさぁ…片足の領事だった元老…豚にされてエルフに掴まってたよね…色々エルフにゲロった可能性もある」

商人「んんん…その時期から何か始まった可能性かぁ…エルフはブタと会話出来るの?」

剣士「動物と意思疎通は出来るよ…」

商人「仮に何か秘密をバラしたとしてそれほど重要人物だったんだろうか?あああ!!!」

女海賊「なにさ急に大きな声で…」

商人「あの領事は沢山身分証を持ってたよね?あれ何処に行った?」

女海賊「えーっとどうしたんだっけ…盗賊が持ってる?てか飛空艇のどっかに積んで無い?」

ホムンクルス「身分証の内容は私が記憶しています」

商人「一人づつ誰だったのか言って見て」

ホムンクルス「はい…」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:14:33.46 ID:agkIMDdy0
フィン・イッシュ領シャ・バクダ領事 クソ・クラエ

セントラル貴族院 監査役 サイア・クナ

セントラル軍 特殊生物兵器部隊所属 ジンブ・ツデス

傭兵 シブト・クイキ

キ・カイ入国管理官 テイマ・スー

シン・リーン元老院 会計補佐 ハヤク・ショリ

シン・リーン元老院 役員 スルベ・キーダ


商人「ちょっと待った…どうしてシン・リーンの元老を2人こなせる?同じ顔で2役は出来ない」

女海賊「変装って事?」

商人「簡単な変装じゃ直ぐバレルよね…まして身分が高い」

剣士「変性魔法…」ボソ

商人「魔術師だった可能性があるのか…いやそもそも港町の領主になった時もセントラルの軍隊を招き入れてた…」

女海賊「特殊生物兵器部隊の身分証もあったんだね」

商人「あの領事やっぱり相当な重要人物だったんだよ…色々事情を知ってる人物をブタにして放置はマズかったかも」



仮説だよ

帰って来る筈の領主が帰って来ないとなると

何らかの取引ごとは全部凍結する事になる

あの片足の領主が関わっていたと想定されるのは

セントラル軍隊を動かしていた件と

3人のエルフをどうにかする件

他にもあるだろうけどどう考えてもここの拠点と関係がありそうだ

時期的に一致するし何らかでエルフを怒らせた可能性はある



女海賊「エルフに掴まって隠れ家をゲロった線も捨てられないよ」

商人「ダークエルフとの関りも洗いざらいエルフに話したとなれば黙っちゃ居ないだろうね…ただ証拠が何も無い」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:16:01.73 ID:agkIMDdy0
女海賊「なんか変だなぁ…エルフの主力ってドラゴンライダーだよね?なんで居ないの?」

商人「シャ・バクダ砦の方に行ってるらしいね…あっちを主に攻めてる…なんでだろう?」

女海賊「話が全部仮説だからなんか動けないなぁ…」

剣士「僕が居りて確かめて来る」

女海賊「こんな所で着陸する所なんか無いよ…あんたを回収するのも難しい」

剣士「3日あればここから海まで戻れる」

女海賊「あんたマジで言ってんの?」

商人「僕たちは地図の作成に専念して3日後に河口に在った漁村で集合というのは良いかもね」

女海賊「一人で行くのはダメだって!!又行方不明になっちゃう」

剣士「未来を連れて行く」

女海賊「もっとダメ!!それなら私が行く」

剣士「未来に森の歩き方を教えておきたい…君は木に登れないから足手まといになる」

女海賊「う…」

子供「ママ…」

女海賊「3日で絶対戻って!!フン!!」

剣士「居場所は照明魔法で知らせるから心配しなくて良いよ」

商人「まぁ2人共ハイディング出来るし大丈夫じゃないかな?」

女海賊「…」ジロリ

商人「あぁゴメン余計な口挟んだ…ハハ」

剣士「飛び降りられる高さまで降りて?未来…行くぞ…背中に乗るんだ」

子供「う…うん」ピョン

女海賊「未来!?この白狼のマント付けて行きなさい」ファサ

子供「ママありがとう…心配しないで?ちゃんとパパに付いて行くから」

女海賊「あんたもエルフの血が流れてるんだからしっかり勉強すんだよ!!」

子供「うん!!」

剣士「よし…正面の木に飛び移る…未来!しっかり掴まれ」

子供「大丈夫…」ギュゥ


ヒュゥゥゥゥー バサバサ


剣士「行って来る!!」ピョン

女海賊「よっし…私らは上空の安全圏に戻る…商人とホムちゃんは周りの警戒しといて」

商人「分かった…クロスボウも準備しておくよ」

女海賊「なんか飛んで来たらあんたが撃ち落さないと私らやられると思って」

商人「分かってるよ…ホムンクルスもそっちでクロスボウ準備して」

ホムンクルス「はい…」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:17:28.60 ID:agkIMDdy0
『森の上空_夜』


ヒュゥゥゥー バサバサ


商人「すっかり日が落ちたけど以外に明るい」

ホムンクルス「月明かりが雪に反射しているのですね」

女海賊「ホムちゃん!この地図だと今どこら辺?」

ホムンクルス「ここです…」ユビサシ

女海賊「旋回範囲をもう少し広げようか」

商人「あ!照明魔法が上がった…剣士はあそこだ」

女海賊「おけおけ…もうちょい離れても十分見える」

商人「狼煙も見えなくなっちゃったし夜の間は何も出来る事が無いなぁ…」

女海賊「ドンパチ始まればなんとなく戦線見えるんだけどね」

商人「森の中ってさ…夜は真っ暗だよね?よくそんなんで戦えるよね」

女海賊「エルフは数が少ないから夜じゃないと不利なんでしょ」

商人「まぁそうなんだろうけどさ…セントラル側はどうやって凌いでるのかなと思ってね」

女海賊「どうでも良くね?」

商人「ハハ…僕らが戦争する訳じゃ無いからそうと言えばそうだ…ただ僕ならエルフを凌ぐのにキマイラ使うかな」

女海賊「ミノタウロスとかどっさり居る感じ?」

商人「うん…他にもケンタウロスとかハーピーとかさ」

女海賊「ハーピー飛んで来るとマズイなぁ…」

商人「まぁ森の中でそういう争いしてる様に思うんだ」

女海賊「なんで狼煙上げてたんだろね?ここに居ますよって言ってる様なもんだよね」

商人「そうやっておびき出してるのかもね…ほら森の木を燃やすとトロールが怒るって言うじゃない」

女海賊「んーーーーどうでも良っか」

商人「む…君らしくない」

女海賊「剣士と未来が心配になっちゃうから余計な事考えたくないの!!」

商人「あぁゴメンゴメン気が付かなかった…そうだよね何も出来ないのはイライラするね」

女海賊「どうっすっかなぁ…」

ホムンクルス「私は寝る必要がありませんので少しお休みになられては?」

女海賊「ホムちゃん飛空艇の操作分かる?」

ホムンクルス「はい…上空を旋回する程度でしたらお任せください」

女海賊「おっけ…ほんじゃちっと操舵任せる…私望遠鏡で森の中覗いてみる」

商人「僕は見回っておくよ」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:18:48.60 ID:agkIMDdy0
『翌日』


ヒュゥゥゥ バサバサ


ホムンクルス「18°の方向に転進してください…微速でお願いします」

女海賊「ほいほい…」グイ

商人「もう少しで川が分かれる感じ?」

ホムンクルス「はい…右手側からトレースします」

商人「…なるほど」

女海賊「これ真下に川があるなんて全然分かんないね」

商人「うん…気球で目視じゃ探すの無理だね…ホムンクルスが居なきゃ地図書けない」

女海賊「谷になってる所全部川だったりしないの?」

商人「大体そうなんだけど平らな所がね…分岐している所が特に分からない」

女海賊「直ぐに終わると思ってたけど今日一杯かかりそうだね」

商人「平らな所が終われば後は早いよ…大体想像がつく様になってきた」

ホムンクルス「分岐です…44°の方向です」

女海賊「おけおけ…あ!!ちょい見えるね…結構でかい川だね」

商人「本当だ…そうか川幅も分かるようにしとかないとな…」

女海賊「この川ってどこまで続いてるの?」

ホムンクルス「途中で大きな湖になって居ますがエルフの森の近くまでは行っていますね」

商人「全然知らなかった」

ホムンクルス「東西に分断する形になって居ます」

商人「へぇ…だから森を突っ切る道とか出来なかったのか…あれ?このまま行くと傾斜きつくなるけど…」

ホムンクルス「滝です」

女海賊「お?どうする?省く?」

商人「まだ時間あるし一応トレースして行こう…役に立つかもしれない」

女海賊「滝かぁ…私が隠れ家にするなら滝の裏にある洞穴とか使いそう」

商人「皆考える事は一緒さ…要注意ポイントだよ」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:20:01.65 ID:agkIMDdy0
”聞こえるか?”

”あ!!お姉ぇ…”

”剣士が別行動している様だな?”

”うん…空からだと何も見えないから居りて行った”

”連絡は取れんのか?”

”明後日川の河口にある漁村で落ち合う事になってる”

”貝殻を余分に持たせておけば良かったな”

”どしたの?何かあった?”

”剣士がドラゴンの骸を見つけた様なのだ”

”え!?ドラゴンが死んでんの?”

”そうだ…どうやら戦場後の様子らしい”

”危ない事にはなってない?”

”今の所はな”

”私らは地図を作ってる所なんだけどさ…作戦に変更ある?”

”ひとまずは予定通りだが剣士からの情報次第で大きく変更になる可能性が高い”

”ドラゴンが死んでるって相当ヤバイよね”

”うむ…やはり例のゴーレムが関わって居ると思った方が良い”

”上から見た感じ戦争の割に静かだったけどなぁ”

”終わった後なのだろう”

”あぁぁなるほど…じゃぁやっぱ狼煙が上がってるのは救難か”

”地図に描けているな?”

”うん…商人が思ったより働けてる”

”そうか…引き続き地図の作成をよろしく頼む”

”おけ!!剣士の様子に変化あったらまた教えて…心配してるから”

”分かった”
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:21:12.94 ID:agkIMDdy0
『夕方』


ヒュゥゥゥゥ バサバサ


商人「よし!!船を使って2日で行ける範囲はこれで全部書き終わった」

女海賊「隠れ家の場所は特定出来そう?」

商人「候補地はこの2つだよ」ユビサシ

女海賊「やっぱ滝のそば?」

商人「そうだね…それ以上上流には多分船では行けない」

女海賊「狼煙が上がってる砦とはちょい距離があるね」

商人「もしここが隠れ家だったとすると物資の輸送拠点だったんだと思う」

女海賊「今日はもう暗いから明日近くまで行ってみよっか」

商人「そうだね…今日はちょっと疲れたよ」

ホムンクルス「食事を取っていない様ですが大丈夫ですか?」

商人「ハハ忘れてた…急にお腹が空いた」

女海賊「…あんた体大丈夫なん?」ジロリ

商人「どうして?熱はもう下がってるよ」

女海賊「なら良いけど」

ホムンクルス「シーサーの干し肉で良いですか?」

商人「その肉硬くてキライだよ」

ホムンクルス「小さくカットしますので飲み込んで下さい」

商人「まぁ良いけどさ…他に何か無いの?」

ホムンクルス「どんぐりと松ぼっくり…それからキノコがあります」

商人「松ぼっくりなんか食べられるのかな?…まぁ良いや齧ってみる」

ホムンクルス「どうぞ…」

商人「よくこんなの食べてるよなぁ…」ガリガリ

女海賊「食べ物全部船に降ろしちゃったの失敗だったね…ここじゃ補給も出来ないしなぁ」

ホムンクルス「せめて小麦が有ればもう少し良いものが作れましたね」

女海賊「そうだ!ハチミツが残ってた…シーサーの干し肉と一緒に茹でてスープ作ろう」

ホムンクルス「良い案ですね…ハチミツには肉を柔らかくする成分が入っています」

商人「この貧乏な感じ…大好きなんだ」


こういう狭い部屋でさ

少ししか無い食べ物を工夫してみんなで食べるのってさ

すごい幸せを感じるんだよ
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:23:13.17 ID:agkIMDdy0
『1時間後』


商人「はぁぁぁぁ…これ凄く美味しい」

女海賊「ビックリだね?シーサーの肉も美味しく食べられるじゃん」モグ

商人「この実は松ぼっくりの中に入ってたやつ?」モグ

ホムンクルス「はい…殻を剥くのに手間がかかりましたが沢山実が入っています」

商人「キノコもスープに丁度合ってる…これ味付けは女海賊がやったの?」

女海賊「ワインとかオリーブオイルとか色々混ぜてみたんだ…私もこんなに美味しくなるって思って無かった」

商人「残りのスープに干し肉入れておいて明日もこれで良いよ」


モクモク モクモク


ホムンクルス「余った松ぼっくりを燻して居るのですが香りが良いですね」

女海賊「それさ…燻した後に湯の中に入れて飲めるよ」

ホムンクルス「松ぼっくりは捨てる所が無くて経済的で良いと思います」

商人「お腹が膨れたら眠たくなってきた…ちょっと休んで良い?」

女海賊「3時間で交代…」

商人「起こして」


ピピピ ピピピ ピピピ ピピピ


女海賊「何の音?ホムちゃん?」

ホムンクルス「…」

商人「ん?どうしたの?」

ホムンクルス「皆さん緊急事態です…緊急アラートを受信しました」

女海賊「何何?」

ホムンクルス「未確認の飛翔体が南の大陸…キ・カイ周辺から発射された様です」

商人「飛翔体?何だい?それ…」

女海賊「なんで緊急?」

ホムンクルス「飛翔体の着地点を計算しています…約36分後にシャ・バクダ付近に着弾すると思われます」

女海賊「え!?キ・カイからシャ・バクダまで飛んでくんの?」

ホムンクルス「大陸間弾道ミサイルだと推定されます…型式は不明」

女海賊「どうすれば良い?」

ホムンクルス「インドラシステムで迎撃が可能ですがエネルギーが不足している為1度しか使用できません」

女海賊「ちょっと何が起きてるのか分かんないんだけどさ…」

ホムンクルス「巨大な隕石が落ちて来ます…インドラの矢で破壊が可能ですが1度しか使えません」

商人「そんな物がキ・カイから飛んで来るだって?」

ホムンクルス「時間が有りません…インドラの矢を使用してもよろしいでしょうか?」

商人「いや…まぁ君に任せるよ」

ホムンクルス「承認…インドラシステムを展開します…成層圏外での撃墜確率は68%」

女海賊「ホムちゃんの顔がマジだ…」

ホムンクルス「シャ・バクダにはアサシンさん達が居ましたね?地下へ避難する様に至急お伝えください」

女海賊「おけ…お姉ぇ経由で連絡する…商人!!ちょいホムちゃんのサポートしたげて」

商人「分かった」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:25:44.24 ID:agkIMDdy0
”もしもし…お姉ぇ!!聞こえる?なんかシャ・バクダに隕石落ちるらしい…”

”あと36分!!急いでアサシン達を地下に避難させて”

”もしもーーし!!もしもーーーし!!」

”何用じゃ…慌てるで無い…ゆっくり話すのじゃ”

”マジ超ヤバイらしい…後で説明すっから今すぐアサシン達を地下に避難させて”

”急じゃのぅ…”

”良いから今すぐ連絡して!!”

”分かった分かった…ちぃと待っておれ”


ホムンクルス「18分後にインドラシステムでの迎撃を行います…外した場合に備えて低空で森の陰に入る位置に移動してください」

女海賊「そんなヤバイ状況なんだ…」

ホムンクルス「備えです…距離的にこの位置への被害は軽微でしょう」

女海賊「商人!!ちょい下見てて…木に引っかかりそうだったら教えて」

ホムンクルス「商人!?緊急事態ですのでクラウドへ接続を試みて良いでしょうか?」

商人「あぁ…精霊の記憶を覗くのかい?」

ホムンクルス「問題解決法を検索します」

商人「君が君じゃ無くならない程度なら構わないよ…」

ホムンクルス「承認…接続!」

商人「何か分かる?」

ホムンクルス「クラウドへ接続している第三者の形跡を発見しました…こちらを特定されてしまう為遮断します」

商人「え!?君以外の誰かが居る?」

ホムンクルス「飛翔体の着弾地点を修正します…この地点のおよそ30km上空で爆発する可能性があります」

女海賊「どうなる?」

ホムンクルス「電磁パルスで私の超高度AIが停止します…砂鉄はありませんか?」

商人「話がコロコロ変わって状況が読めない!!」

ホムンクルス「急いで下さい…私の頭部を砂鉄で保護してください」

女海賊「砂鉄は有るけど…全部爆弾の中だよ…今から分解してると時間掛かる」

ホムンクルス「何処にありますか?」

女海賊「そこの樽の中」

ホムンクルス「わたしがコチラの樽に入りますので爆弾で埋めて下さい」

女海賊「商人!!やったげて!!」

商人「あ…あぁ…これを入れて行けば良いんだね?」ガサガサ

ホムンクルス「ありがとうございます…今の内に説明します」

商人「頼むよ…何がなんだか全然分からないよ」

ホムンクルス「クラウド上の精霊の記憶を何者かが強制的に変更している様です…」


それが原因で精霊のガーディアンシステムが作動し

アクティブな核弾頭を搭載したミサイルが発射された様です

ガーディアンシステムはクラウドの存在する森の上空でミサイルを爆発させ

電磁パルス攻撃でシステムのシャットダウンを試みている様です

精霊の記憶を保護する為ですね

その現場に私が今居ますので

私のシステムもシャットダウンする可能性が高いのです
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:27:40.49 ID:agkIMDdy0
商人「第三者って誰なのか分かる?」

ホムンクルス「分かりません…私が相手を気付いた様に相手も私に気付いた可能性が高いので接続を停止しました」

商人「この爆弾で君を守れるかな?」

ホムンクルス「影響を最小限に留められる筈です」

女海賊「インドラの矢で壊しちゃえば良いんだよね?」

ホムンクルス「1度撃つことが出来ますが出力が臨界まで達していない為当てたとしても破壊出来ないかもしれません」

女海賊「あぁぁぁ光のエネルギーは全部私の光の石の中か…」

ホムンクルス「上空を見ていて下さい…南の方向です…あと2分でインドラの矢を発射します」


---------------

---------------


ピカーーー


女海賊「光った!!」

ホムンクルス「命中…」

商人「爆発しない…」

ホムンクルス「破壊失敗…回避行動に移って下さい…約12分でこの地点に到達します」

女海賊「どうするどうする?」アタフタ

ホムンクルス「成層圏外での爆発ですので爆風がここまでは到達しませんが熱線により球皮へのダメージがあるでしょう」

女海賊「熱線ってそんなヤバイ感じ?」

ホムンクルス「規模が分かりませんので最悪条件でお話していますが雪がすべて溶けると言えば分かりますか?」

商人「…」

女海賊「ちょ…」

商人「まずいな…森に降りなきゃ…」

女海賊「降りられる所なんか無いじゃん!!木に絶対引っかかる」

商人「ある!!地図でいうとココだ!!下に川が見えた所…近くに滝がある」

女海賊「おっけ!!今すぐ行く…どっち?」

商人「ホムンクルス!!場所案内出来る?」

ホムンクルス「今は衛星が離れた位置にありますので座標の精度が低いです」

女海賊「近くまで行ったら目視で探す!!方角だけ教えて」

ホムンクルス「60°の方向…約9km先です」

女海賊「おっけ!!ハイディングする!!」スゥ

ホムンクルス「衛星と通信が途絶えてしまいますが…」

女海賊「大丈夫!すぐリリースするから…商人!!照明弾の準備!!」

商人「あ…どれだっけ?」

女海賊「現着したら照明弾撃って目視で探して!!」

商人「わ…わかった…」


シュゴーーーーーー
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:29:07.89 ID:agkIMDdy0
『滝の付近』


女海賊「リリース!!」スゥ

商人「撃つよ!!」バシュン ピカー

女海賊「見える?」

商人「もっと南!!300メートルくらい」

女海賊「高度下げながら行く!!照明弾どんどん撃って」

ホムンクルス「あと3分で上空を通過します」

女海賊「光の筋が見えてるよ…随分遅く見えるけど」


”女海賊や…聞こえるかえ?”

”ぬぁぁぁ今忙しい”

”主の目を見て居るのじゃが何が起こって居るのじゃ?”

”ちっと黙ってて!!”

”アサシンらは避難が間に合わぬ”

”南の空を見てろって言って!!”


バシュン ピカーー


商人「見えた!!あそこだ」

女海賊「木に引っかかるからもっと照明弾撃ってよ!!」グイ

商人「君の持ち物の袋はどこ行った?」

女海賊「あ!!光の石か…私の鞄の中!!」

商人「…これか」ゴソゴソ ピカー

女海賊「それ持って床の穴から外に出して!!」

商人「わかった」ドタドタ

女海賊「おけおけ!!良く見える…」

ホムンクルス「あと1分です」

商人「上見て!」


シュゴーーーーーーーー


女海賊「うわ…早い…」

商人「どこで爆発する?」

ホムンクルス「分かりません…その光から隠れて下さい」

女海賊「滝の横で着陸出来そう…丁度崖の陰になる」

商人「ギリギリ助かりそうだ…ふぅ」

女海賊「崖が見えないから正面見える様にして…今晩はここで様子見よう…降りるよ」


フワフワ ドッスン


ホムンクルス「爆発予想が経過しました…まもなく爆発すると思われます…システムを一時的に停止させます」

商人「ホムンクルス…」

ホムンクルス「…」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:30:34.24 ID:agkIMDdy0
『光る空』


ピカーーーーーー


女海賊「来た…空が青い」

商人「一気に昼間か」


ザワザワ ザワザワ


女海賊「何が起こるんだろ…」

商人「上の雪が溶けてボタボタ落ちて…熱っつ!!」

女海賊「え?」


ゴゴゴゴゴ ゴゴーン ゴゴーン


女海賊「遠くで爆発音」

商人「上の方が一気に真っ白だ」

女海賊「水蒸気…かな?」

商人「光ってるのが長いね…いつまで続くんだろう?」

女海賊「私ら偶然滝の傍に居るから影響無いけど…この水蒸気に撒かれたら蒸し焼きになるんじゃね?」

商人「…まさか」


ゴゴゴゴゴ ゴゴーン ゴゴーン


女海賊「…」

商人「この音ってもしかして水蒸気爆発?」

女海賊「上の方はそんなんなってる気がする」


”ザザーーーこえるか!!どうなってザザーーー”

”お姉ぇ!!聞こえてるよ!!”

”無事なんだな?ザザーーーー”

”なんとか森の中に逃げた”

”インドラの矢を落としたのか?”

”違う…でもそんな感じの物を落とされた”

”ザザーーー聞こえがザザーーー”
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:32:26.18 ID:agkIMDdy0
女海賊「貝殻にも影響出るんだ…ホムちゃん大丈夫かな?」

商人「収まるまで樽から出さない方が良さそうだ」

女海賊「まだ空が青い…こんな爆発って有り?」

商人「雪が全部溶けてしまったら森が燃えてしまうかもね」

女海賊「ホムちゃんが言ってた核弾頭って私の爆弾と同じ原理かも…反応の仕方が似てる」

商人「反応?」

女海賊「桁違いの熱量放射で爆発を連鎖させるんだ…その後の質量崩壊まで爆発が持続する」

商人「キ・カイにそんな物が眠っていたなんてね」

女海賊「あそこはまだ未発掘の場所が沢山あるんだよきっと…ホムちゃんが眠ってたみたいに」

商人「古代兵器か…そんな物が誰かに使われるなんて考えたく無いな」

女海賊「そうだよソレ!!第三者って誰?」

商人「ダークエルフっていうのは考えにくいよねエルフがそんなのに精通してるとはとても思えない」

女海賊「クラウドに接続出来るって限られるんじゃなかった?」

商人「…どうも…やっぱりホムンクルスが言うように精霊の伴侶があやしいのかも知れないな」

女海賊「ホムちゃんと同じ事が出来るって事?」

商人「うん…同じようなホムンクルスだったというオチ…そこら辺が謎なんだよ」

女海賊「だったら今の爆発で停止してるかもね」

商人「停止させる狙いで自動的にガーディアンって奴?が働いたとかさ」

女海賊「なる…それだと辻褄合いそう」


スゥ


商人「あ!!暗くなった」

女海賊「質量崩壊だ…持続したのが2分弱…どんだけの質量だったんだろ」

商人「急に消えるんだ?」

女海賊「うん…連鎖終わった瞬間一気に止まる…私の爆弾と同じ」

商人「どうする?」

女海賊「森の様子見たい所だけどホムちゃん目覚めるまで待とう…蒸気で蒸し焼きになるのもイヤだし」

商人「まぁここなら安全か」

女海賊「私はちょい飛空艇にダメージ無いか見て来るから待機してて」

商人「分かったよ…ホムンクルスを樽から出しておく」

女海賊「任せる」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:33:46.63 ID:agkIMDdy0
『翌朝』


女海賊「戻ったよ…一杯拾って来た…ほい!!」ドサ

商人「魚…どうしたんだい?こんなに…」

女海賊「川辺に一杯打ち上げられてた…で?ホムちゃんまだ起きない?」

商人「ダメだよ…呼吸もして無い」

女海賊「はぁぁぁ…ホムちゃんの予感が当たっちゃったか」

商人「え?」

女海賊「あんた鈍いねぇ…こうなる想定はいつもしてたんだよ」

商人「…まさかもう起きない?」

女海賊「…あんま考えたく無いけど」ジロリ

商人「ハハそんな馬鹿な…ちょっと待ってよ…嘘だよね?」

女海賊「例の隠れ家を探しに行くのは中止…一旦お姉ぇの船に戻る」

商人「ホムンクルス…こんな終わり方予測できる訳無いじゃないか!嘘だ!!だって体には傷一つ付いて居ない!!」

女海賊「あんたに言ってもしょうがないんだけどさ…貝殻での通信も出来なくなった…どういう事か分かる?」

商人「電磁パルス…そんな…」ボーゼン

女海賊「まぁ兎に角…ここに長居してもしょうがないから戻る」

商人「…」

商人「……」

商人「………」

ホムンクルス「…」

女海賊「…」


---なんだろう…突然過ぎて涙が出ない---

---早くこの場所から立ち去らないといけない---
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:34:30.14 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』


シュゴーーーーー バサバサ


ホムンクルス「…」

商人「…」

商人「……」

商人「………」

女海賊「…」


------------

------------

------------
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:35:32.86 ID:agkIMDdy0
『貨物船』


ザブン ギシギシ


魔女「…ダメじゃ…どういう訳か剣士も女海賊も千里眼が通じぬ」

女戦士「貝殻に何故雑音が混じる?」

魔女「分からぬ」

女戦士「アサシンとは連絡が取れるという事はやはり森だけ異常という訳か」

魔女「そうなるのぅ」

女戦士「ううむ…河口の漁村まで何も出来ずか…」


”ザザーーーねぇ…聞こえる?”

”おぉ!!無事か!!?”

”あぁやっと通じた…良かった”

”どうなって居るのだ?そちらの様子がわからん”

”帰ったら話す…今の現在地教えて”

”帰る?船に戻るつもりか?”

”うん…ちょっと色々あってさ…”

”誰か死んだのだな?誰だ?”

”ホムちゃんが動かなくなった…帰るから目印教えて”

”セントラル沖だ…2つ目の灯台の南側を通る”

”おっけ…エリクサーまだ在ったよね?一応用意しておいて”

”分かった”

”1時間ぐらいで合流出来るよ”


魔女「ホムンクルスに何かあったとな?」

女戦士「その様だ…」

魔女「昨夜見て居った限りではまだ動いて居ったがな…」

女戦士「私はエリクサーを用意してくる…」

魔女「わらわも手伝うぞよ?」

女戦士「大丈夫だ…千里眼で見守って居てくれ」

魔女「そうか…ではそうしておる」


--------------
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:38:28.65 ID:agkIMDdy0
フワフワ ドッスン


女戦士「良く戻った…エリクサーは準備してある…どうすれば良い?」

女海賊「商人?どうする?ホムちゃん飛空艇から降ろす?」

商人「…」

女海賊「ダメだこりゃ…」

女戦士「私が居室まで連れて行こう」

女海賊「いや…飛空艇の中で良いや…船乗り達に見られるのもアレだし」

女戦士「エリクサーの樽を積むぞ?」グイ

女海賊「ホムちゃんは炉の横にある樽んとこに居るよ…こっち」


商人「ブツブツブツ…」


魔女「ホムンクルスはもう起きんのかえ?」

女海賊「あ…魔女さぁ…蘇生魔法とか意味無いかな?」

商人「蘇生…」

魔女「ちぃと試してみるか」

商人「そうだ…頼むよ…お願いだ…」プルプル

魔女「どいて居れ…蘇生魔法!」ゾワワ

ホムンクルス「…」

魔女「眠って居る様じゃな…死んで居るとは思えぬ」

女海賊「触ってみて…」

魔女「生気が無いのぅ…ちぃと硬くなっておるんか?」

女海賊「やっぱそうだよね…早い所エリクサーに漬けないと石になっちゃう」

商人「ぅぅぅ…」

女戦士「樽に入れるのだな?」

女海賊「そだね…服脱がせるから商人どいて」

女戦士「手を貸す…そっちから脱がせ」グイ

女海賊「ホムちゃんの体冷たい…冷え切っちゃってる」スルスル

女戦士「もう起きないとは思えんが」

女海賊「私も信じらんないよ…突然だったから」

魔女「エリクサーに漬ければ蘇ると思って居るのか?」

女海賊「分かんないよ…ホムちゃんはエリクサーに浸かって眠ってたからさ…もしかしたらってね」

女戦士「入れるぞ?」チャプ

女海賊「おけおけ…ゆっくりこぼさない様に…」

女戦士「頭まで漬けるのだな?」

女海賊「うん…」


商人「…」ブツブツ
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:39:12.15 ID:agkIMDdy0
女戦士「商人は正気か?」

女海賊「そっとしといて…なんも考えられないんだと思う」

女戦士「まぁ…なんというか…この様な亡くなり方は死を受け入れられん」

女海賊「うん…」

魔女「変わった埋葬じゃな…魂の行き場を感じにくいのじゃが…」

女海賊「商人はちょっと一人にさせておこう…私ら居室で話そう」

魔女「そうじゃな…何があったのか知りたい」

女戦士「商人…私達は行くからゆっくり受け入れておけ」トン

商人「…」パクパク

女海賊「お姉ぇ行こ…」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:41:25.20 ID:agkIMDdy0
『居室』


カクカク シカジカ


女戦士「森の火災は広がりそうか?」

女海賊「なんとも言えないけど雨か雪降ってくれないとしばらく延焼続けると思う」

魔女「雪が数分ですべて溶けるとはどんな熱量じゃ?」

女海賊「溶けるっていうか水蒸気爆発ですっ飛んだ感じ」

魔女「…それで電磁パルスというのが千里眼の障害になっておりそうなのじゃな?」

女海賊「多分ね…ホムちゃんもそれで動かなくなったんだと思う」

魔女「巨大な退魔方陣じゃな…わらわは完全に無力かもわからん」

女戦士「隠れ家の襲撃は魔女の魔法頼みだった所もある…中止せざるを得んか」

女海賊「もしかして睡眠魔法頼りだった?」

女戦士「そうだ」

女海賊「ちっとさぁ…戦力2人失っちゃってるからアサシン達と合流した方が良いと思うなぁ」

女戦士「2人?」

女海賊「実はホムちゃんとちょっと話してたんだけど…商人は余命1ヶ月切ってんだよ」

魔女「なんと!?それほど体の調子が悪いのか?」

女海賊「…らしいよ」

女戦士「では数日でホムンクルスの跡を追う形になるか…不謹慎な言い方になってしまうが」

女海賊「どうする?」

女戦士「まずは剣士と未来の帰還までは予定通り進めるしかあるまい」

女海賊「ローグってどうなってんの?」

女戦士「そろそろ帰って来る筈なのだがこちらを見つけられないで居るのだと思う」

女海賊「じゃやっぱ河口の漁村でみんな集まりそうだね」

女戦士「先行している海賊船が河口周辺を占拠する予定になっているが…お前はどうする?」

女海賊「ちっとさぁ…ホムちゃん失って私の心もダメージ大きいのさ…睡眠魔法で私を眠らせて欲しい」

女戦士「寝たいか…」

女海賊「うん…もう何も考えたくない」

魔女「同意できぬ…睡眠魔法は幻術じゃ…心が休まる事は無い」

女海賊「ぬぁぁぁ…」ガシガシ

魔女「乗り越えるのじゃ…主にはそういう適正が在る筈じゃ…青い瞳がその証拠じゃ」

女海賊「はっ!!想像妊娠…今か!!」

魔女「既に遅いが…主に出来るか?」

女海賊「風の魔石がある!!」

魔女「試してみるのも良かろう」---無理じゃろうがな---

女海賊「行って来る!!」ピューーー


---まぁ無理じゃ---

---他の者に認知されてからでは遅いのじゃよ---

---主は既に死を認めてしもうた…そういう次元に固定してしまったのじゃ---
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:42:28.53 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』


もっかい…アブラカタブラ


女海賊「…どう?ホムちゃん!エリクサーの水浴びは?」

ホムンクルス「…」

女海賊「私も入って良い?」ヌギヌギ

商人「…」アゼン

女海賊「あんた何見てんのさあっち行け!!」

商人「…」タジ

女海賊「これ見て…膝ん所…ほら青くなってんじゃん?消えないんだよ…痛くは無いんだけどさぁ」

商人「…」

女海賊「何見てんだよ!!あっち行けって言ってんじゃん!!」ブン ポカ

商人「…」スゴスゴ

女海賊「これエリクサーで治るかなぁ?私も入るからホムちゃん一回出て?」

ホムンクルス「…」

女海賊「出たくないの?息できないから首だけは出しといた方が良いよ」ジャブジャブ

ホムンクルス「…」グター

女海賊「あら?気持ちよくて寝てたのか〜そうならそうと…」


タッタッタ 

----------

----------

----------
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:44:19.63 ID:agkIMDdy0
『居室』


ガチャリ バタン


魔女「商人か?女海賊に追い出されたのじゃな?」

商人「…」コクリ

魔女「主も心の置き所が無い様じゃが勘弁してやれ」

商人「女海賊はどうなったんだい?頭がおかしくなったみたいだ」

魔女「悪さはせんじゃろうからやらせておけ」

女戦士「何をしているのだ?」

商人「裸になってエリクサーに浸かろうと…」

女戦士「フッまぁそれで気が済むなら良いが…もうエリクサーは飲めんな」

魔女「うむ…あ奴は不潔じゃからのぅ」

女戦士「それでお前の気は確かなのだな?」

商人「まぁ…女海賊程じゃ無いけど…現実から逃げたいのは変わらない」

魔女「心の穴を埋めるのは時間だけじゃ…辛抱せい」

女戦士「何か食べるか?酒は腐る程あるから飲み潰れても構わんぞ?」

商人「…そんな気にならない」

魔女「話はすべて女海賊から聞いたのじゃが…主からはまだ何も聞いて居らぬ…何か話せるかえ?」

商人「ホムンクルスの最後の言葉…システムを一時的に停止させますって…」

魔女「ほう?では復活する可能性もあるのじゃな?」

商人「その事ばかりを考えてた」

魔女「一時的にとはどのくらいじゃろうな?再起動は自発的なのじゃろうか?」

商人「わからない…ただ死んだなんて認められない」

魔女「人が死んだ時も認められんもんじゃ」

商人「僕は諦められないんだよ…」

魔女「ほう?それが主の生きる理由になれば良いが…そうやって人は壊れて行く…自我を見失うで無いぞ?」

商人「再起動させる方法を見つける…これなら構わないよね」

魔女「ふむ…」

女戦士「何かアテでもあるのか?」

商人「強行作戦になっちゃうんだけど…許されるなら僕が指揮を取りたい」

女戦士「言って見ろ…」ジロリ

商人「確実かどうか分からないんだけど…」

女戦士「…」ギロ

商人「精霊の伴侶を奪取する」

女戦士「続けろ…」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:46:06.94 ID:agkIMDdy0
今回の爆発で生じた電磁パルスでホムンクルスの機能が停止した

精霊の伴侶にも同じ事が起こっている筈だ

その躯体を奪って僕が分解する

構造が分かればホムンクルスを治せるかもしれない


女戦士「ふっ…何を言い出すかと思えば…お前に治せると思うか?」

商人「治せるか?じゃない…治す」

魔女「主は体の調子が悪かろう?自分の命がどれほど持つと想定しておる?」

商人「そんなの知った事じゃない…僕の寿命なんかどうでも良い…達成を目指すだけだ」

女戦士「その心意気は気に入った…ただ問題は手段だ…下手な作戦では任せられない」


この爆発で森の中は相当混乱している筈だ

仮にセントラル軍とかダークエルフとかの戦力が居たとしても

万全な状態の訳がない…今がチャンスと言い換えられる

そして森の中では魔法が使えないと想定した場合

女海賊のインドラの銃や爆弾は魔法の代替として運用できる

加えて飛空艇からの爆弾投下で森を丸裸にだって出来る

まだある…回復魔法がエンチャントされた角はこっちが一杯持ってるし

賢者の石を使った支援部隊だって運用可能だ

つまり戦力はこちらが上になると想定しても良い

詳細な地図の製作も終わってる


女戦士「ふむ…敵は何だと想定しているのだ?」

商人「ダークエルフ少数とリッチ…両方とも魔法が無いと無力さ」

女戦士「予定通りの進軍という訳か」

商人「途中の要所になるポイントは僕が分かる…地図で言うとココ…滝の下で拠点が作れる…気球の発着も出来るし船でも行ける」

女戦士「船長室へ来い…海賊の戦力を説明する」

魔女「さて…わらわは見物じゃな」ノソリ
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:47:19.47 ID:agkIMDdy0
『デッキ』


ヒュゥゥ バサバサ


ローグ「頭ぁぁぁぁ!!気球を降ろす場所が無ぇでやんす!!」

女戦士「この先の河口に漁村があるのだ…海賊で占拠させるから衝突が起きない様に上手くコントロールして来い」

ローグ「マジすかぁぁ!!宝石ばら撒く事になりやすぜ?」

女戦士「構わん!血を見る前に退去させろ」

ローグ「やっとこ頭の船を見つけたんでやんすが…」

女戦士「褒美を要求しているのか?」

ローグ「一緒に酒を飲む約束してもらえやせんか?それで良ーいっす」

女戦士「分かった分かった!!上手く行ったら一杯付き合う…早く行って来い」

ローグ「ヌフフフ…良い酒積んでるんすよ…ぐふふっふうふふふふ」

魔女「あの男…」

女戦士「まぁこれで言う事を聞くのだ…便利な男だ」

魔女「主はそれで良いのか?何をされて居るのか分からぬぞ?」

女戦士「何もされた事は無いが…」

魔女「んーむ…それは主が気付いて居らんのではないか?」

女戦士「何をだ?」

魔女「まぁ良い…上手く行けばそれで良い」


---どうやら女戦士は天然じゃな---

---上手い事利用されて居るのはどちらなのじゃか---
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:49:23.55 ID:agkIMDdy0
『河口の漁村』


ザブン ギシギシ ガコン


船乗り「碇降ろせぇぇ!!」ガラガラ

魔女「暗くなってしもうたな…まだ降りられぬか?」

女戦士「聞いては見るが先に海賊が陸に出ている…宿に泊まるのは今日は無理だろう」

魔女「ちぃと散歩がしたい…足が地に付いて居らん」

女戦士「遠くには行かないでくれ」

魔女「これ!商人!!案内せい!!」

商人「僕はホムンクルスから離れたくない」

魔女「黙れ…主が居らぬと買い物が出来ぬ」

商人「…」

魔女「主も心の整理が付かんのは分かるがわらわの見立てでは女海賊の方が重症じゃ」

女戦士「引きこもったままか…」

魔女「主は飛空艇に入れてもらえんのじゃろう?行くぞよ」グイ

商人「…わかったよ」トボトボ

女戦士「ローグを見かけたら戻るように伝えてくれ」

魔女「ふむ…主は船に残るか」

女戦士「伝令を待って居る…動けん」

魔女「ではちと女海賊に声を掛けてやってくれ…内に籠ってしまう様では修行にならん」

女戦士「修行?」

魔女「分からんかも知れんが他人の次元に乗ってしもうとる…それに気付かんとイカン」

商人「…」---自我を見失うってそういう事か---

女戦士「まぁ上手くやる…」

189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:52:02.18 ID:agkIMDdy0
『数時間後』


ローグ「頭ぁぁ!!やっと戻ってきたでやんす…魔女さんから聞いたでやんすよ…ホムンクルスさんが倒れたそうで」

女戦士「…大きな声で騒ぐな」ジロリ

ローグ「へぃ…姉さんも伏せてるとか」

女戦士「ホムンクルスは船乗りの間でアイドルだったのだ…士気が下がってしまうから何も言うな」

ローグ「あぁぁそういう事っすね」

女戦士「…それで住民の買収はどうなった?」

ローグ「ダメっすね…宝石積んでも立ち退く気は無いっすよ」

女戦士「そうか…海賊達と揉めなければ良いが」

ローグ「今の所はこっちの羽振りが良いもんで上手く行ってやす」

女戦士「他の海賊共からの伝令が遅いのだが数は揃っているのか?」

ローグ「頭の船団と合わせて20隻って所っすね…手漕ぎのガレー船だもんで外海じゃ遅いんすよ」

女戦士「ガレー船は何隻入る?」

ローグ「4隻っす…ただ疲れてるんでちっと休息必要ですね」

女戦士「陸に上がれる拠点が出来そうなのだ…それまでは辛抱してもらう」

ローグ「女が居ればちっと変わるんすけどね」

女戦士「漁村に商売女は居ないのか?」

ローグ「居るっちゃ居るんすがなんせ田舎なもんで」

女戦士「まぁ良い…女に変身させて貰いたい男共を集めろ…魔女に変性魔法を使ってもらう」

ローグ「ええええ!?共食いさせる気っすか?」

女戦士「悪いか?海賊共は元々共食いをしているだろう…私が知らぬと思ったのか?」ジロ

ローグ「あは…お見通しで」

女戦士「それで士気が維持できるなら安い物だ」

ローグ「じゃぁあっしがモデルになりそうな村の女を何人か連れて来やす」

女戦士「それで話は変わるが輸送船の調達は上手く行きそうか?」

ローグ「1隻は河口で停泊してますが拿捕は抵抗されるでやんすね…今揉め事は起こさん方が良いかと」

女戦士「買収は出来ないのか?」

ローグ「積み荷を待ってるらしいんすが…もしかするとオークの奴隷を待ってるのかもわからんす」

女戦士「なるほど…買収出来ない理由がソレか」

ローグ「どうしやす?」

女戦士「まぁ簡単だ…魔女に幻惑の杖を使って貰う」

ローグ「うひゃぁ…」

女戦士「無駄な血を流さんで済むのだ…何も言うな」

ローグ「へぃ…」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:53:08.95 ID:agkIMDdy0
布陣はこうする

大砲を乗せたガレオン級6隻は沖の見える位置で停泊させる

スループ船を巡視に回して河口周辺は占拠した形をとる

キャベラル船は川を上って地図のこの位置まで移動

手漕ぎのガレー船で川の上流まで行く体制を作る


ローグ「この場所に拠点作るんすか?」

女戦士「そうなるな…輸送船はそこまでの人荷運搬だ…この船はしばらくここに停泊だ」

ローグ「これ何日でやれますかね?」

女戦士「拠点の確保は2日後だ…その後の強襲にどのくらいかかるか分からんが略奪品は見合ったものになる筈だ」

ローグ「何があるんでしょう?」

女戦士「セントラル貴族の収入源と言えば良いか?丸ごと全部だ」

ローグ「うっは…海賊達が貴族になるんすね?」

女戦士「あの不細工な男共が貴族になるとは真底吐き気がするがな…私は略奪品なぞ要らん」

ローグ「ちっと伝令に行ってきますわ…」



---------------
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:55:02.65 ID:agkIMDdy0
魔女「戻ったぞい」ノソノソ

女戦士「早かったな?」

魔女「何もありゃ〜せんかった」

商人「…」トボトボ

魔女「これ!!もたもたするなと言うたじゃろう」ポカ

商人「いたた…」

魔女「海賊の船がまた入ってきおったな…何隻来るのじゃ?」

女戦士「全部で20隻だ…作戦は商人に言われた通り伝令しておいた」

商人「そっか…早いね」

女戦士「手漕ぎのガレー船が4隻入る…川を上れる筈だから先方に位置させる」

商人「良いね…輸送船だけじゃ心もとなかった」

女戦士「ガレー船は乗組員が多いのも特徴だ…代わりに荷が乗らんのだが」

商人「あれ?ローグは帰って来てない?」

女戦士「伝令で飛び回って貰っている…用が在ったのか?」

商人「話し相手になって貰おうかなっておもってさ」

魔女「わらわでは不足なのか?」

商人「王族と僕とじゃ感性が合わない」

魔女「高貴さが隠し切れておらぬか…イカンな」

商人「そういう所だよ…」

女戦士「魔女…帰って来て直ぐに悪いのだが二三頼みが有ってな」

魔女「何用じゃ?」

女戦士「詰まらん頼みになってしまう…志願してきた男共を女に変身させてほしいのだ」

魔女「何をする気じゃ?」

女戦士「女不足で海賊達の士気が落ちて来ている…気休めかもしれんが」

魔女「なるほどのぅ…男の体の方が良いと思うんじゃが…志願する者なぞ居るのか?」

女戦士「ローグが窓口になっている…対応して欲しい」

魔女「まぁ簡単じゃしよかろう」

女戦士「それともう一つ」

魔女「ふむ…」

女戦士「無駄な衝突を避ける為に幻惑の杖の力を借りたい…輸送船との取引きを円滑に進めたいのだ」

魔女「拿捕するのではなく協力させると言うのじゃな?」

女戦士「平たく言うとそうだ…対価は払うつもりだ」

魔女「取引の場にわらわが同行すれば良いのじゃな?」

女戦士「そうだ…明日ローグにもう一度取引に行かせる…上手く運んでほしい」

魔女「森で魔法が使えぬではわらわの力はそういう所でしか発揮できぬか…」

女戦士「どちらも重要な案件なのだ…よろしく頼む」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:58:42.54 ID:agkIMDdy0
『翌日』


ザブン ギシギシ


女戦士「…その顔は寝て居ないな?」

商人「まぁね…飛空艇に入れてもらえないし気を紛らわすのに作戦の詳細作った」

女戦士「この地図はまだ写しを作っていないからあまり汚すな?」

商人「済まないね…不要な書き込みは消しておくよ」

女戦士「数字は人駆か?」

商人「察しが良いね…」

女戦士「貝殻が使えない状況で人駆を分散し過ぎでは無いか?」

商人「海賊はほら貝使うでしょ…それが聞こえる範囲は計算してある」

女戦士「私は何処に位置する?」

商人「最前線…剣士と未来君の為の囮だよ」

女戦士「未来まで最前線に?」

商人「未来君はもう一人前だよ…ハイディングも出来るし僕より戦える」

女戦士「司令塔は飛空艇でやるのか?」

商人「違う…飛空艇は爆撃専門…邪魔な物を全部すっ飛ばしてクロスボウで上空から援護する」

女戦士「森を更地にするのだな?」

商人「まぁ隠れ家を露出させるだけだけど」

女戦士「お前はどうする?」

商人「僕はローグの気球で司令塔さ…海賊を数人乗せてクロスボウでの援護も兼ねる」

女戦士「援護というのは地上を行く海賊本体のだな?」

商人「そうだね…先方は君と剣士と未来君の3人だけ…その後に海賊の20人小隊が分かれて追随する」

女戦士「一つ忠告するぞ?海賊は被害が出ると一気に士気が下がって逃げ始める…はっきり言うとヘタレが多い」

商人「うん…だから先方は3人だけなのさ…ここが肝だ」

女戦士「そうか…分かって居るなら良い…出来るだけ被害を出すなよ?」

商人「補給と衛生部隊も構えて居るからよほど大丈夫…変身した女の人もここに配置する予定さ」

女戦士「正規軍程では無いが被害さえ出なければ占領戦は割と動きが良い」

商人「君たちが先方でどれだけこなせるかによる」

女戦士「ふん!バカにするな」
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 09:59:24.19 ID:agkIMDdy0
トントン


女戦士「ん?入れ」

ローグ「良かった着替えの最中じゃ無かったっすね…」

女戦士「出かけるのか?」

ローグ「へい…魔女が早く連れて行けとせっついて来るもんすから…」

商人「昨日買い物が出来なかったからだよ」

ローグ「あっしが付き合わされるんすかねぇ?」

商人「なんか魔方陣を中和する為の触媒が欲しいらしい…あと下着」

ローグ「なんか面倒くさそうでやんす」

女戦士「魔女には志願して来た男を女に変身させる件と幻惑の杖の事は話しておいたから導いてやってくれ」

ローグ「へい…で…そのー褒美の事でやんすが」

女戦士「分かった分かった…帰って来たら相手してやる…旨い酒を持って来い」

ローグ「ヌフフじゃ行って来るでやんす」

194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 10:01:01.72 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』


トントン


女戦士「…私だ…入るぞ?」

女海賊「んぁ?お姉ぇか…」ゲッソリ

女戦士「お前は何をしているのだ?」

女海賊「想像妊娠…」

女戦士「何故裸でその様な事になって居る?」

女海賊「こん中で癒されてたんだよ…ほらホムちゃんも一緒」

女戦士「いい加減にしろ…叩かれないと正気にならんか?」スラーン

女海賊「え!?何する気?」

女戦士「エリクサーが汚れる…出ろ」

女海賊「ちょま…ちょちょちょ…」ザバー

女戦士「この状況をすこし自分で考えてみろ…おかしいだろう?」

女海賊「わかってんよ…もう止めるよ」

女戦士「止める?まさかその中で又自慰に溺れていたわけではあるまいな?」

女海賊「なかなか妊娠しないんだって…」

女海賊「出ろ…」

女海賊「ぅぅぅ…ホムちゃんゴメンやっぱ私ホムちゃん生めない」

女戦士「ふん!」ブン バチーン

女海賊「いだぁぁぁい!!」

女戦士「何度言わせるのだ?早く出ろ」

女海賊「分かったからそれでお尻叩くの止めて」ザブザブ

女戦士「恥ずかしくないのか?他の誰かに見られたらどうする?」

女海賊「お姉ぇも同じじゃん!!」ブツブツ

女戦士「まだ叩かれたい様だな?」

女海賊「やめてやめて…分かったから」

女戦士「お前に仕事がある…早く着替えて出て来い」

女海賊「やる気無いんだけど」

女戦士「…」ブン ビターン

女海賊「いだぁぁぁい!!」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 10:02:34.40 ID:agkIMDdy0
『甲板』


ザブン ザブン ギシギシ


女海賊「あぁぁ血ぃ出てんじゃん痛ったいなもう…」

女戦士「やっと出て来たか」

女海賊「何さ仕事って!!」

女戦士「剣士と未来を探して来い」

女海賊「何処に?」

女戦士「それはお前が知ってるのでは無いのか?」

女海賊「漁村なんだけど…」

女戦士「今漁村だ…迎えに行け…明日の朝には出発する」

女海賊「魔女は?千里眼でパパっとさぁ」

女戦士「魔女はローグと一緒に出掛けている…お前と違って皆忙しいのだ」

女海賊「…えーっと…どしよ?」

女戦士「もう作戦は進行している…早く連れ帰って来い」

女海賊「…徒歩?」

女戦士「目の前に漁村が有るのに徒歩以外にあると思うか?早く行け」

女海賊「参ったな…」

女戦士「聞こえなかったか?」スラーン

女海賊「あああ…ちょい待ち…思い出したそうだ!!漁村で待ち合わせてた」

女戦士「そうか…それなら良い…早く行け」

女海賊「ちょい行って来る」ピューーー


商人「…」アゼン
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 10:03:41.08 ID:agkIMDdy0
女戦士「さて商人…エリクサーをひどく汚してしまった様だ」

商人「やっぱり…」

女戦士「随分こぼして量が減ってしまった…処理を頼む」

商人「エリクサーに余裕は?」

女戦士「無いから還元できるなら少しでも戻してほしい」

商人「わかったよ…」

女戦士「それからホムンクルスの体をいたずらしたかも知れん…良く見てやってくれ」

商人「ハハ困った人だね…」

女戦士「本人は想像妊娠でホムンクルスをもう一度生む予定だった様だ…呆れる」

商人「想像妊娠…そんな事が可能なのか?」

女戦士「お前までそんな事を言うのか?」

商人「いや冗談だよハハ…」


---まてよ?次元の入れ替えが出来るなら可能性あるじゃないか---

---新しく生まれたという次元---

---ホムンクルスはどうやって生まれた?---

---エリクサーの容器から出したら初期状態---

---これをやろうとしたんだろう?---
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 10:05:16.44 ID:agkIMDdy0
『漁村』


ガヤガヤ ガヤガヤ

食ってくか〜い

貝が旨いよぉぉ

この貝はっすねぇ…名器の様に使えるんすよ

真珠有るよおぉぉ

ガヤガヤ ガヤガヤ


女海賊「海賊船が入って盛り上がってんのか…」

村人「お姉さんはあの貨物船から降りて来なすったか?」

女海賊「んぁ?私?」

村人「そうよそうよ…あの船は商船とちゃうんかいの?」

女海賊「なんか色々積んでるよ…商人も居るかな」

村人「やっぱり商船かぁ…降りて来て商売せんのはなんでじゃろう?」

女海賊「んーーー売れないと思ってんじゃない?分かんない」

村人「仕入れだけかいな」

女海賊「なんか欲しい物あんの?」

村人「武器が無ぉーてな?」

女海賊「なんで武器なんか居るのさ?」

村人「お姉さんも見たじゃろう?北の森がパァーーーと明るうなったんを」

女海賊「あぁアレね」

村人「魔物が出て来よるのを心配しとるんじゃ」

女海賊「今一杯船集まってるから大丈夫じゃない?」

村人「噂じゃあれは海賊やいう話じゃ…アテに出来んからのぉ」

女海賊「ほんじゃ衛兵頼みだね」

村人「それも宛てに出来んのじゃ…第3皇子が帰って来れば良いんじゃがの」

女海賊「ん?誰それ?」

村人「しもうた…秘密じゃった…忘れてくれ」

女海賊「まいっか…ほんで武器欲しいんだっけ?」

村人「そうじゃ」

女海賊「取引しよっか…私細工師なんだ…簡単な武器作れるよ」

村人「おぉぉぉぉほら話しかけてみるもんじゃ」

女海賊「木とか骨とかなんでも良いから材料持って来て…加工して武器にしたげる」

村人「あるある…使わん農具でも良いな?」

女海賊「おけおけ…ほんで条件は探して欲しい人が居るんだ」

村人「小さい村じゃけ探し人なら簡単じゃぁ…どないな人や?」

女海賊「白いマント被った親子…両方とも男」

村人「住人に声掛けてくるわい…材料持ってくるで待っとってなぁ」

女海賊「おっけ!!待ってるから」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 10:06:12.07 ID:agkIMDdy0
『数時間後』


トンテンカン トンテンカン


ローグ「あらららら?姉さんじゃないすか?何やってるんすか?」

女海賊「剣士と未来探してんの?」

ローグ「え?どう見ても安い武器屋にしか見えやせんが?」

女海賊「うっさいなぁ…あんた仕事は?」

ローグ「これから輸送船の取引っすね」

女海賊「あっそ…」

魔女「これ歩くのが早いぞ…もうちっとゆっくり…ん?女海賊では無いか」

女海賊「あ!!魔女!!千里眼で剣士の居場所分かんない?」

魔女「千里眼!!ダメじゃ見えぬ」

女海賊「そっか」

魔女「狭間の中に居ったら見えんでなぁ」

女海賊「あーそういう事ね…まぁ良いやもうちょい待つ」

ローグ「姉さん…取引が終わったら又寄りますんんでちぃと失礼しやす」

女海賊「剣士見つけたら探してるって伝えて」

ローグ「分かりやした…魔女さん行きやすぜ?」

魔女「ゆっくり歩け…わらわは子供じゃぞ?」ノソノソ

ローグ「へいへい…」



----------------
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 10:07:23.30 ID:agkIMDdy0
女海賊「お!?どう白いマントの親子は居ない?」

村人「済まんですわ…皆知らん言うもんで」

女海賊「まぁしゃーないね…ほんでこれ作った武器」

村人「これ全部もろうて良いんじゃろうか?」

女海賊「どうせ要らない道具から作ったんだし皆に配ったら?」

村人「これだけありゃぁ志願兵に行けるかも分からん」

女海賊「志願兵?」

村人「なんや村の中央でエライ高給で志願兵募っとるんですわ」

女海賊「なんだそういう事か…じゃ防具も居るね」

村人「防具も作れるのじゃろうか?」

女海賊「軍隊ガニの甲羅で出来るよ…革ひもあればすぐ作れる」

村人「作って貰えるなら村の秘伝のニンニクを持ってくるで?」

女海賊「ニンニク…」

村人「このニンニクは高く売れるんじゃ」

女海賊「まぁ良いや…作ったげるから材料持って来て」

村人「防具とニンニクじゃ釣り合わんかも知らんがそれぐらいしか無いのじゃ」

女海賊「早いとこ探し人見つけてくれりゃそれで良いよ」

村人「お姉さん良い人じゃなぁ?婿は要らんか?」

女海賊「あのね…探し人は私の旦那と子供なの」

村人「なんと逃げられたんかいな…」

女海賊「いやそうじゃない…」

村人「済まんのぅ…口が滑ってしもうた…わしは口が軽るーてイカン」

女海賊「もう良いから早く材料持って来て」



---------------
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 10:10:10.10 ID:agkIMDdy0
ちょっと待て…あそこに居るの

ヤバイ!道変えるぞ…アレは頭の


女海賊「おいおい…聞こえてんだよ」

海賊1「へ…へい」

海賊2「ぁぁぁ…」

女海賊「なんかさぁ…皆して私避けてくんだけどイライラすんだよね」

海賊1「ここで何をされて居るのですか?」

女海賊「見りゃ分かんじゃん?」

海賊1「安物の武器を高く売りつけているのですね…ハハハさすが」

女海賊「ちょい待ち…これの何所が安いっての?」シャキーン

海賊2「ひぇぇぇ…」

女海賊「ちゃんと研いだらあんたのパンツくらい簡単に切れるんだよ」スパ

海賊1「そ…それはどのような材料で?」タジ

女海賊「鉄に決まってんじゃん」

海賊1「ハハハ…」


タッタッタ


村人「ニンニクを持って来たんじゃがどうすりゃえーかのぅ?」

海賊1「ニンニク?」

女海賊「うわ…一杯あんね…どーすっかな」ジロリ

海賊1「は…運んでおきましょうか?」タジ

女海賊「助かる!!お姉ぇの船に積んどいて」

村人「お知り合いじゃろか?」

女海賊「まぁ通りすがりだよ」

村人「ニンニクの秘密も教えとかんとイカンなぁ」

海賊2「ニンニクの秘密…」

女海賊「あんたらさぁ…早くそれ運んどいてよ」

海賊1「へ…へい!!」スタコラ

海賊2「よっし!!」スタコラ

村人「そのニンニクには退魔の効果があるんじゃ…魔物が寄り付かん…えーじゃろう?」

女海賊「そうなんだ?」

村人「第3皇子が大好物でな?いつも買い入れに来て居ったんじゃ」

女海賊「誰それ?」

村人「あああああイカンイカン秘密じゃった…」

女海賊「あんた口軽いんだね?…ほんで誰?」

村人「ここだけの秘密にしといてくれや?実はセントラルの第3皇子は生きて居るんじゃ…秘密やで?」

女海賊「知らない人だなぁ…」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 10:10:54.54 ID:agkIMDdy0
---確か10年ほど前に死んだ筈の皇子だ---

---エルフゾンビの弟に当たる---

---ハーフエルフの可能性が高い---

---そういえばエルフゾンビの生みの母は何処行った?---

---思い出して来たぞ---

---第3皇子が戦士した後に第1皇子と第2皇子が動いた---

---歴史をこの3人の皇子が動かしている---


1389.73 KB Speed:0.5   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)