【シャニマス】ティモンディ・高岸「放課後クライマックスガールズ……?」

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370 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/02(月) 18:54:36.00 ID:DsRZggHFO

<19話・世界 サイジョウ 最愛 掴みたい>


〜283プロダクション・事務所〜


「……エルビヨンドの皆さん、ありがとうございました!」

「さて、お次のアイドルは……新進気鋭の自称・アイドル戦隊!」

「ほう……アイドル戦隊とは、斬新ですね」

「見た目も中身もバラバラな五人、コンセプトも奇抜と……」

「そんなユニットが、今日はどんな5色の爆発を見せてくれるのか!」

「では、放課後クライマックスガールズの皆さん、お願いします!」

「はい! みなさん、聴いてくださいっ!」

「夢咲きAfter school!!!!!」

「〜♪」


高岸「……」ジーッ

高岸「……」ニコニコ


ガチャリ
371 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/02(月) 18:55:45.19 ID:DsRZggHFO

樹里「お疲れ様でーす」

はづき「お疲れ様です」

高岸「お疲れ様です! 樹里さん」

樹里「ん、プロデューサー……」

樹里「この間の収録見てたのか」

高岸「はい!」

「ビバアフタースクールイェイェー♪」

樹里「……あ」

樹里「ちょうどアタシが映った。ひでー笑顔……」

高岸「そうですね……とても苦い飴を舐めているような……」

樹里「……ちょっとくらいは、フォローしろよな」

高岸「あはは! すみません!」

樹里「……」

高岸「……」

「ねえねえ、ちょっと話聞いて〜♪」

樹里「……」

樹里「……な、なんだよ」
372 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/02(月) 18:57:00.27 ID:DsRZggHFO

高岸「……?」キョトン

高岸「どうかしましたか?」

樹里「え? いや……」

樹里「きゅっ、急に黙るから、アタシに言いたいことでもあんのかと思って……」

高岸「言いたいこと、ですか……あ!」

高岸「今日の樹里さんは、いつもと違う匂いがしますね!」

樹里「!」ビクッ

高岸「これは、柑橘系……?」クンクン…

樹里「〜〜っ」カァッ

樹里「──嗅ぐなっ!」

樹里「ア、アタシは先に行ってるからな! アンタも時間までにはちゃんと来いよ!」


ダダダッ……ガチャリ……


高岸「樹里さん……」

高岸「何をしに事務所に……?」

はづき「……ふふふっ」クスクス
373 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/02(月) 18:58:02.25 ID:DsRZggHFO

・・・・・


〜数日前・オーディション後〜


高岸「──エルビヨンドの皆さん、一位おめでとうございます!」ニコッ

ラビィ「ぁ……」

エイル「……ええ。ありがとう」

エルビヨンド「……」シュン…

高岸「おや? 皆さん、元気がないみたいですが……」

シイナ「いや、気にしないで……」

シイナ「勝てるとは思ってなくて、びっくりしてるだけだから」

高岸「そうでしたか!」

高岸「僕は、どちらが勝ってもおかしくないと、思っていましたよ!」

エイル「……ふふっ」

高岸「……エイルさん?」

エイル「……はぁ……」

エイル「……なんかね」
374 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/02(月) 18:58:56.23 ID:DsRZggHFO

エイル「アナタが……負けたことを全然気にしてないみたいで、吹っ切れたっていうか」

エイル「あんな風に喧嘩を売っておいてなんだけど、アナタに対して変に気を遣おうとしてて……」

エイル「……とにかく、ありがとう。私たちを気持ちよく戦わせてくれて」

高岸「そんな! 僕は、何もしていませんよ!」

高岸「エイルさんがそう思うのは、皆さんが全力を尽くして、ステージをやりきったからです!」

高岸「だから、自分たちの頑張りに、胸を張ってください!」ニコッ

エイル「……!」

高岸「それに、負けたことはやっぱり悔しいです。でも、それ以上に……」

高岸「今日のオーディションは、見ていてとても興奮しました!」パァァ

高岸「放クラが、とても熱くなっていたのを見れて、嬉しかった!」グッ

エイル「……そう」
375 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/02(月) 19:02:33.45 ID:DsRZggHFO

エイル「分かったわ」ニコッ

ラビィ「私たち、次も負けませんからね!」

高岸「はい! また全力で、戦いましょう!」

シイナ「もう睡眠時間を削るのはやめようね……」

エイル「……それはそうと、今日は来ないのね」

シイナ「何の話……?」

エイル「審査員よ、審査員」

エイル「この間は、まるで高岸を探していたみたいに話しかけてきたじゃない」

ラビィ「そういえば……確かに?」

ラビィ「高岸さん、お知り合いだったんですか?」

高岸「いえ! あのとき、初めてお会いしました!」

高岸(そういえば、山崎さんや軽口さん……歌田さんまで、一目で僕を「283のプロデューサー」と……)

高岸(……どうしてでしょう?)

ラビィ「そうなんですか」

シイナ「まあ、あの人たちはW.I.N.G.でも特別だし……高岸さんを知っててもおかしくない……かも」

高岸「特別、ですか」

シイナ「うん」スッ
376 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/02(月) 19:03:50.45 ID:DsRZggHFO

シイナ「山崎すぎおは、有名アイドルお抱えの敏腕スタイリスト……彼の経営する都内4つの美容室は、もれなく予約半年待ち……」ペラ…


シイナ「軽口哲也は青森出身のダンサー……全盛期は世界大会5連覇、今はヒップホップ界の異端児と呼ばれている、とか……」ペラ…


シイナ「そして歌田音……元ミリオン歌手の超有名ボイストレーナー……今も曲を出してて、現役の時と同じくらい売れてる……」ペラ…


シイナ「そしてこの3人はW.I.N.G.決勝の審査員を歴任している、審査員の中の審査員……」

シイナ「一部では神のごとく信奉され、ゴッド3(スリー)と呼ばれているらしい……」
377 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/02(月) 19:04:47.67 ID:DsRZggHFO

エイル(……神、ね)

ラビィ「おー! 流石、メモ魔のしーちゃんだ」

高岸「すごい! シイナさんは情報通ですね!」

シイナ「……別に」フイ

シイナ「勝ち抜くには、審査員を知ることも必要だから……」

高岸「データ野球は、強いですからね!」グッ

エイル「──で、その歌田って審査員が今日、途中で帰ったのよ」

エイル「まったく。受けた仕事は最後までやり遂げなさいよね! いい大人のクセに!」

シイナ「……せっかく一位取ったのに、今日はアドバイスもらえないからイラついてる」

エイル「違うわよ!」


「──プロデューサー、ここにいたのね」


エイル「!」

エイル(この流れは、まさか……!)

エイル(……来たわね、歌田音!)ニヤリ
378 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/02(月) 19:07:42.01 ID:DsRZggHFO

高岸「夏葉さん!」

エイル(って、違うのかい!)ガクッ

ラビィ(えーちゃんが1人で顔芸してる……)

夏葉「エルビヨンドの皆さんも一緒だったのね」

高岸「はい! 打ち合わせの前に、少しお話をしていました!」

高岸「みなさんにご紹介します! こちらが、放クラのグリーン、有栖川夏葉さんです!」

夏葉「初めまして」ペコリ

夏葉「この前はダンスの動画をありがとう。何度も見返して、参考にさせてもらったわ」

エイル「……別に感謝なんて要らないわ。フェアな戦いをするためのハンデよ」

ラビィ「だから、そういう不遜系キャラは流行らないって……」

エイル「うるさいわね」

ラビィ「ゴメンなさい、夏葉さん。気を悪くしないでください」

夏葉「うふふ、私は平気よ。むしろ……」
379 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/02(月) 19:18:45.58 ID:DsRZggHFO

夏葉「アナタのような人は好きよ! だって、まるでライバルみたいじゃない?」

夏葉「私は、ユニットの仲間もよき競争相手だと思っているけれど」

夏葉「ただの敵じゃなくて、お互いに高め合いながら一位を目指すライバルは貴重だもの……」

夏葉「だから私は、こういう出会いを大事にしたいと思っているわ」

エイル「……!」

ラビィ「か、カッコいい〜……!」キラキラ

シイナ(あー……この2人、根っこがおんなじタイプなんだ……)

シイナ(髪も、赤とオレンジのロングで似てるし……雰囲気も喋り方もどことなく……)

エイル「やっぱり、ライバルというのは惹かれ合う運命みたいね」

エイル「……私はエイル。よろしく、夏葉」スッ

夏葉「こちらこそ、エイル」ギュッ

ラビィ「わ、私も握手してください! ラビィです!」

ラビィ「えっと、エルビヨンドのピンク髪で覚えてください!」スッ

夏葉「ツインテール、とても似合ってるわね! よろしく、ラビィ」ギュッ

ラビィ「ありがとうございますっ!」
380 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/02(月) 19:20:02.61 ID:DsRZggHFO

シイナ「じゃあボクは『銀髪のシイナ』で……」スッ

夏葉「よろしく、シイナ。今までに見たことないくらい綺麗な髪ね」ギュッ

夏葉「どんなケアをしているのか、気になるわ」

シイナ「ありがとう。これは地毛で、まあ、特に何もしてないんだ……」

シイナ「あっ、エイルは赤髪のちびっ子で覚えてね」

エイル「ちびっ子いうな!」

シイナ「でも業界の人たちは、大体そんな感じで覚えてくれてるみたいだけど」

ラビィ「『あの〜、真ん中の小さい赤い子!』 って言われるもんね」

夏葉「ふふっ」

高岸「あはは!」

エイル「笑うなー!」ギャー

高岸「大丈夫ですよ! エイルさんは、小さな巨人ですから!」ニコッ

エイル「どういう意味よ?!」

エイル「ていうか、アナタたちが大きすぎるのよ!」ビシッ
381 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/02(月) 19:21:12.57 ID:DsRZggHFO

夏葉「……」ニコニコ

夏葉(……三人がお互いの持ち味をよく理解していて、とても良いユニット……)

夏葉(ステージは見れなかったけど、きっと素晴らしいものだったのだと思う)

夏葉(……負けたのよね、私……エルビヨンドに……)

夏葉(動画のハンデまでもらって……)

夏葉(……っ)

夏葉(……悔しい。悔しくて仕方ない!)

夏葉(ここで負けているようじゃ、W.I.N.G.では勝てない……!)

夏葉(どうすれば、一位に……)

夏葉(私は……どうしたら良かったの……?)



高岸(夏葉さん……求めていた出演枠が取れたのに、あんまり嬉しそうじゃない……?)

高岸(やっぱり、何か……)


・・・・・
382 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/02(月) 19:23:08.20 ID:DsRZggHFO

「……プロデューサーさん……」

「お〜い……」

高岸「……?」

はづき「あの〜、起きてください〜」ユサユサ

高岸「!」ガバッ

高岸「……はづきさん」

はづき「気持ちよさそうだったので、ちょっと申し訳なく思ったんですけど」

はづき「もうすぐ時間なので起こしちゃいました」

高岸「時間……あっ! ありがとうございます」

はづき「いえいえ。相当、お疲れみたいですね〜」

はづき「最近たまにクマが出来てますし、ちゃんと眠れていますか?」

高岸「はい! 大丈夫です!」

高岸「僕はいつでも、全力全開ですよ!」ニコッ

はづき「ふふっ。無理はしないでくださいね」

はづき「……配信用の機材は全部、ここに揃えておきました」ジャン

高岸「ありがとうございます! これでみんなを、バッチリ撮影できます!」

はづき「はい〜。プロデューサーさんも、楽しんで来てくださいね」

高岸「はい! 行ってきます!」


ガチャリ
383 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/02(月) 19:25:59.19 ID:DsRZggHFO

「……それで、アイドル戦隊っていうのはどういう意味なのかな?」

「はい。私たちの初ステージが、とある戦隊ヒーローの応援をする公演で」

「そのときに『人を応援するヒーロー』、という意味を込めてアイドル戦隊と名乗り始めました」

「人を応援するヒーローねぇ……」

「で、今もそのまま、戦隊モノのコンセプトでアイドルをやってる訳だ」

「ちなみに、これは誰が考えたの? プロデューサー?」

「ちょこ先輩が考えてくれました!」

「ちょこセンパイ……?」

「あっ、私です……園田智代子、の『ちよこ』から、チョコって呼ばれてます! えへへ」

「ちよこでチョコ。良いね〜、俺もそう呼ばせてもらおうかな」

「はい! ぜひっ!」


はづき「……」ジーッ

はづき「みんな可愛いな〜……」ニコニコ


「さて、一旦CM挟みま〜す。CMのあとは!」


ピッ


はづき「よ〜し、お仕事がんばりますか」グッ


<19話・終わり>
384 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/02(月) 19:32:26.16 ID:DsRZggHFO

次回からはやっと楽しい回が始まる…予定です
後日更新します!よろしくお願いします
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/02(月) 20:03:34.13 ID:gTh5sGY/o
おつー!
えーちゃん!ちっちゃいえーちゃんカワイイ!

前田は元気でやってるのかきになる…
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/03(火) 17:07:34.43 ID:uM3Xznvwo
乙乙
387 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/11/07(土) 18:52:12.61 ID:aFpqLnN4O

乙ありです!いつもありがとうございます!励みになります

この世界の前田は…今のところ自分でも謎ですね…
また出るかは分かりませんが、お楽しみにということで…

20話更新します!
388 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 18:53:35.83 ID:aFpqLnN4O

<20話・待ち合わせた景色>


〜商店街〜


高岸「……準備、できましたよ!」

果穂「画面に『ちょっと待ってね』って出てます」

智代子「それ私が設定したやつ! そのままで大丈夫だよ!」

果穂「分かりましたー!」

高岸「ファンの方が、もうコメントを入れてくれていますね!」

果穂「『放クラ待機』、『初見です』……えーと……」

高岸「しょうげき、ですね!」

果穂「ありがとうございます! 『衝撃に備えろ』……って書いてあります!」

高岸「視聴者数も、100人を超えましたね」

智代子「そっか、もう見てくれてる人が……」

智代子「よ、よーし……」ドキドキ

高岸「──智代子さんっ、リラックス、リラックス!」

智代子「は、はい……!」

智代子「すぅ……はぁ〜……」

果穂「ふぅー……はぁー……」

高岸「お二人とも、楽しんでいきましょう!」

果穂・智代子「はい!」ニコッ

智代子「こほん。あー、あー……」

智代子「プロデューサーさん、お願いします!」

高岸「はい!」ピッ
389 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 18:55:00.07 ID:aFpqLnN4O

智代子「──皆さん、こんにちは!」

智代子「放課後クライマックスガールズのピンク、園田智代子と!」ピース!

果穂「小宮果穂です! レッドです!」バーン!


『始まった!』
『きたー』
『こんにちは』
『2人が画面に近くてドキドキした』
『チョコちゃん!』
『果穂ちゃんかわいい〜〜♡♡』


智代子「チョコです! お忙しい中、ご視聴いただきありがとうございます」

智代子「声のバランスとか、大丈夫ですか……?」

果穂「ちゃんと映ってますかー?」フリフリ


『大丈夫だよー』
『自撮り?じゃないよねこれ』


果穂「カメラマンさんは、あたし達のプロデューサーさんです!」

高岸(……b)グッ

果穂「……カオダシはしないそうです!」


『プロデューサーってこういうこともやるんですね』
『カメラマンさんもファイト!』
『うわ、返事くれた!やば』
390 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 18:56:22.59 ID:aFpqLnN4O

智代子「ふふっ、お返事もバンバンしていきますよー」

智代子「今、果穂が持っているタブレットで、皆さんのコメントを見ながら配信していきますので!」

果穂「これです!」ズイッ


『初配信なのに段取りがいいね!』
『しっかり者チョコちゃん』
『お前ら変なコメントすんなよ』


智代子「えへへ、ありがとうございます!」

智代子「放クラ初めての配信は、ここ! 中谷銀座商店街からお送りします!」パッ


『おー』
『ここ行ったことあるかも』
『会社のトイレから見てます』
『今日は他のメンバーはいない感じ?』


智代子「あ、えっと……実はですね……」

智代子「……別の場所で今、撮影の準備をしているところなんです」
391 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 18:57:30.33 ID:aFpqLnN4O

智代子「その様子は明日以降に公開の予定でして、日によって生配信だったり〜動画だったり〜……」ゴニョゴニョ

果穂「──今日はあたしが、ちょこ先輩を独り占めします!」ギュッ

智代子「か、果穂っ?!」

高岸(ナイスフォローです! 果穂さん!)


『あら〜♡』
『やったぜ』


智代子「……あ、あと! アーカイブなどもツイスタでお知らせしますので」

智代子「途中からの皆さんも、途中で見れなくなっちゃう皆さんも、楽しんでいってくださいね!」

智代子(こ、こんな感じで大丈夫ですかね……?)チラッ

高岸(智代子さん、いい感じです!)

高岸(流石、放クラのディレクターですね!b)グッ!

智代子(……この調子で頑張ります!b)グッ!


『ありがとー!!』
『しっかりしてるね!』
『安心しました。仕事いってきます』


果穂「お仕事、頑張ってください!」

智代子「……じゃあそろそろ、今回の企画の発表にいきますか!」
392 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 18:58:53.09 ID:aFpqLnN4O

『お?』
『なになにー?』


智代子「果穂、パネルどうぞっ!」

果穂「はいっ!」

果穂「中谷銀座カウントダウンチャレンジー!!」ドンッ


『おー』
『カウントダウンチャレンジ?』
『とは』


智代子「説明しますね!」

智代子「ここ中谷銀座商店街では、2週間後に夜市というお祭りが行われるのですが」

智代子「そこで放クラがミニライブをさせて頂けることになりまして……」

智代子「そのライブに向けて毎日、放クラメンバーが何かに『挑戦』するという企画になります!」


『なるほど』
『ライブ?マジ??』


果穂「マジですっ!」

智代子「ライブといっても、AMELIAさんという超有名なバンドさんの前に一曲歌うだけなんですけど」

果穂「あたしたちは前座です!」

智代子「そう! よく知ってるね!」
393 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 19:00:23.26 ID:aFpqLnN4O

果穂「えへへ、凛世さんに意味を教えてもらいました!」

智代子「なるほど!」

果穂「みなさん、よかったら見に来てくださいっ!」

智代子「絶対、後悔はさせません!」キリッ


『アメリア?』
『アメリア知ってる!』
『引退したんじゃなかったっけ』
『おっしゃ、行きます!』
『生放クラ楽しみ!!』
『地方民だけど遠征するぜ』


果穂「いっぱいコメント、ありがとうございます!」

智代子「ありがとうございます!」

智代子「遠くからいらっしゃる方は、無理だけはなさらないようにお願いします!」

智代子「……説明も済んだところで、今日のチャレンジに参りましょう!」

智代子「今日は果穂の担当なんですが、実は私もまだ知らないんですよね〜……」

高岸(ちなみに僕も、知りません!)ドンッ
394 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 19:01:31.45 ID:aFpqLnN4O

智代子「……果穂、お願い!」

果穂「はい! 今日は、『大食いチャレンジ』です!」ドンッ

智代子「──えっ!?」ビクッ

高岸(!?)ビクッ


『!?』
『えぇ』
『草』
『画面揺れたけどプロデューサーさんも知らなかったのかなw』
『初回から飛ばすねぇ』
『…がんばれ!』


果穂「ちょこ先輩には、あそこのラーメン屋さんで、3.8キロの大盛りラーメンに挑戦してもらいます!」

智代子「えっ、私? えっ!?」


『ドSかな?』
『いっぱい食べるちょこちゃんが好き』


果穂「ちょこ先輩、行きましょー!」ダダダッ

智代子「えっ……確かに特技は大食いだけど────!?」


・・・・・
395 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 19:03:18.06 ID:aFpqLnN4O

〜ラーメン屋『荻上』〜


店主「お待たせしました……大盛り一丁!」


ドドンッ‼


智代子「ありがとうございます!」

智代子「……うわぁ〜!」アングリ

智代子(食べられるかな、私……)

果穂「スゴい、大きいです……!」

智代子「大きいね〜……!」


『おいしそう』
『すごい量』


智代子「確かにとっても美味しそうです……ドンブリは、比べるならうちの炊飯器より大きいですね……」

智代子「そしてネギが富士山のように高く積もっていて、存在感がすごいです……!」

智代子「……」スンスン

智代子「ん〜〜!!」

智代子「とても芳醇な味噌の香りが鼻をくすぐって、何枚も乗ったチャーシューに涎が止まりません」ニコニコ

智代子「麺は中太でちぢれていて、スープとよく絡みそうで……」

果穂「わぁ〜……!」ジュルリ
396 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 19:05:24.41 ID:aFpqLnN4O

『レビューが上手!』
『グルメリポーターちょこ』
『大食い…これがアイドルのやることなのか』


智代子「私、グルメ番組を見るのが結構好きで、よく見てるんです! 今のはそれの真似といいますか……」

智代子「……って、アイドルらしくなかったですよね。あはは……」

智代子「でも私、食べることが大好きなので、大目に見てください!」テレテレ


高岸(アイドルらしくない……)

高岸(──いえ、そんなことありません!)

高岸(食レポ中の智代子さんの笑顔も、とても素敵ですから!)ニコッ

智代子(プロデューサーさんが笑ってる……よし、このまま頑張ろう!)


智代子「では! 伸びないうちにいただきます」

智代子「……ずるずるっ」

智代子「あづっ」

智代子「ずずっ……んっ、おいしい〜!!」キラキラ


果穂(おいしそ〜……!)

果穂(ちょこ先輩が食べてる物って、なんでこんなに美味しそうに見えるんだろう……?)

果穂(レッスンの休憩に食べるお菓子だって……)

果穂(あれ……ちょこ先輩って、いつも何か食べてる?)

果穂(じゃなくて……!)

果穂(見ているだけで幸せな気持ちになるのは、なんでだろう?)
397 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 19:06:53.44 ID:aFpqLnN4O

高岸「……こちらの麺は、こだわりの自家製麺、なんですよね? ご主人!」

店主「はい! 今の形にするまで3年かかった、うちの自慢の麺になります」

智代子「3年!! そのご苦労の重みが、味の深みとおいしさに繋がっているんですね」


『すごい』
『うまそー!』
『食べ方めちゃくちゃ綺麗だね』
『今の、プロデューサーさんの声かな?』
『腹減ってきた』
『美味しそうに食べるなぁ』


果穂「ちょこ先輩、食べ方綺麗だねってコメントが!」

智代子「えへへ、ありがとうございます! 母によく躾けられました」

智代子「それでは、チャーシューも頂きます!」

智代子「……はむっ」

智代子「!」ピクッ

智代子「──口の中で、溶けちゃいました!」

果穂「あたしも! あたしも、食べてみたいですっ!」ワクワク
398 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 19:08:21.48 ID:aFpqLnN4O

智代子「良いよー! はい、あーん」

果穂「あー……むっ……」

果穂「ん! ホントに、なくなっちゃいました!」

店主「チャーシューも自家製なんですよ。美味しいでしょう?」

智代子・果穂「はい!」キラキラ

智代子「このとっても美味しいラーメン、じっくり味わいたいところですが」

智代子「今日は大食いチャレンジなので、頑張って1時間以内の完食を目指します!」

果穂「ちょこ先輩が食べ切れなかったら、あたしも食べます!」

智代子「ありがとう、果穂〜!!」

智代子「では、いざ! やれば、できる!」グッ

高岸(頑張って、智代子さん! アフリカゾウのような大食いを!)

店主「よーい……スタート!」カチッ


・・・・・
399 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 19:09:15.55 ID:aFpqLnN4O

すみません、一旦切ります!
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/07(土) 19:31:40.77 ID:OGETNGwko
旦乙
401 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/11/07(土) 21:02:26.92 ID:EzsohnAQO

〜数日後・商店街・振興組合〜


八百屋「……おう、プロデューサーさん!」

高岸「理事長! こんにちは!」

八百屋「また、いつものかい?」

高岸「いえ! 今来たのは、ライブの打ち合わせでして」

八百屋「そうかい。あんたも大変さね」

高岸「好きでやってることですから!」ニコッ

八百屋「……そんな笑顔で言われちゃ、敵わねぇなぁ〜」

八百屋「そういや、凛世ちゃん達の動画、見させてもらってるよ」

高岸「……! どうでしたか?」

八百屋「いやぁ、最高だ!」

八百屋「俺ぁ料理はあんまり自信がねぇんだが、凛世ちゃんと樹里ちゃんが考えたメニューなら、ってんで頑張って作ってさ」

八百屋「それが美味いのなんのって……」

高岸「そうですか!」

八百屋「それに、あのチョコちゃんって子の食いっぷりなんて、傑作だねェ! はは!」

高岸「本人も、やり甲斐があったと、喜んでいました!」

八百屋「そうかいそうかい」ニコニコ
402 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:03:34.75 ID:EzsohnAQO

八百屋「……いやぁ、プロデューサーさんにこんな話をするのもなんだが」

八百屋「うちの商店街も、再開発の話を持ちかけられて久しいからね」

八百屋「周りが次々に看板を下ろしていく中で」

八百屋「俺も、もうここいらで……なんて思う日もなかった訳じゃないが……」

高岸「……!」

八百屋「プロデューサーさん達のおかげでまた頑張れそうだ! なんて、うちの年寄り連中も色めき立っててな」

八百屋「はっはっはっ!」ガハハ!

高岸「嬉しいです……!」

高岸「放クラの頑張りで皆さんを元気づけられたなら、これ以上のことはありませんよ!」

八百屋「そういうあんたは、ちょっと見ないうちにだいぶやつれたんじゃねぇか?」

高岸「……そうですか?」

高岸(夏葉さんに、はづきさん……)

高岸(色んな人に似たようなことを言われてる気がするなぁ、あはは……)

高岸(夜市のライブが終わったら、心配されないようにいっぱい食べよう!)
403 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:04:54.07 ID:EzsohnAQO

高岸「……トレーニングで、顔が引き締まったんですかね! あはは!」

八百屋「へっ、強がっちゃいけねぇよ」

八百屋「毎日遅くまで、この事務局でライブの準備してんだろ?」

八百屋「色々手作りしてるとか、なんとか……」

高岸「そこまでご存知でしたか。さすがですね!」

八百屋「あと、うちのカミさんが教習所のそばであんたを見たって」

八百屋「組合の若いもんと一緒だったらしいが」

高岸「!」

高岸「……実は、一緒に夜間講習を受けている方がいまして! 僕よりとても、上手なんですよ!」

高岸「免許も、もう少しで取れるところなんです!」

八百屋「……」

八百屋「それも、樹里ちゃんたちの為かい?」

高岸「そうかもしれませんね! あはは!」

高岸「これが僕の、やりたいことなので!」

八百屋「……そうか」

八百屋「……」

八百屋「プロデューサーさん……俺の話、ちょっと聞いてくれるか?」

高岸「はい! 何でしょう?」

八百屋「樹里ちゃんのことなんだけどな」

高岸「樹里さんの……?」

八百屋「樹里ちゃん……ここに越してきた頃な、あんな風じゃなかったんだ」

高岸「あんな風……」

八百屋「ちょっと陰があるっつうか、なぁ……」

高岸「!」

高岸(あの樹里さんが……!)
404 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:06:42.00 ID:EzsohnAQO

・・・・・


〜八百屋のおっちゃんの昔話〜


八百屋「おう! そこの嬢ちゃん!」

樹里「……」キョロキョロ

樹里「……アタシ?」

八百屋「そうそう。見ない顔だなぁ、と思ってよ」

八百屋「最近、ここいらに引っ越して来たのかい?」

樹里「うん、まぁ……」

八百屋「なんだ、元気ねぇなぁ」

八百屋の奥さん「あらアンタ……この子、あれよ。アイドルの!」

八百屋「アイドルぅ?」

奥さん「すぐそこの283プロダクション……でしょう? 私、入ってくのを見かけたのよ」

樹里「ああ……今、そこの寮に入ってる」

八百屋「本当なのか。こりゃすごい子に声かけちまったなぁ。未来の大スターだ!」

樹里「そんなんじゃ……まだ、デビューもしてねーし」
405 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:07:32.32 ID:EzsohnAQO

奥さん「そういえば、あの時一緒にいたお団子の子……あの子もアイドルなの?」

樹里「え?」

樹里「お団子……」

樹里「ああ……智代子っていって……」

樹里「同じユニットになる予定なんだ」

八百屋「ユニ……?」

八百屋「まあいいか。今度はその子も連れておいで! 野菜、安くしとくよ!」

奥さん「またアンタはそうやって……ゴメンね〜、お節介好きの若い子好きだから」

八百屋「おい……!」

樹里「いや、大丈夫……ていうか」

樹里「智代子は……友達じゃないし……」

八百屋「……ほ?」

樹里「同じユニットなだけだから」

八百屋「……そうか。そりゃ……すまなかったなぁ」

樹里「いや……あ、アタシ用事あるから」

樹里「じゃ、じゃあまたな」タッタッ…

八百屋「おう! また来てくれよー」


・・・・・
406 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:09:14.02 ID:EzsohnAQO

高岸(まだ智代子さんと樹里さんしか居なかった頃、でしょうか)

高岸(放クラを結成する前の……)

高岸(樹里さん……何か理由が……)

高岸(……)

高岸(それに……『友達じゃない』、か)

高岸(そんな二人が、今では……)

高岸「……そんなことが」

八百屋「でもな、プロデューサーさん」

八百屋「この前、樹里ちゃんが凛世ちゃんを連れてきた時……」


樹里『アタシの友達で、同じアイドルの凛世だ』


八百屋「って言ってな」

高岸「!」

八百屋「……樹里ちゃんは、この商店街のみんなの娘みたいなもんでさ」

八百屋「まあ……今となっちゃ、5人全員大好きなんだけどよ」

八百屋「樹里ちゃんが今みたいに明るい子になったのは、あんたのおかげだって、みんな思ってる」

高岸「そんな……僕は……」
407 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:10:55.54 ID:EzsohnAQO

高岸「僕じゃないです。きっと、放クラのみんなのおかげですよ!」

高岸「それに、樹里さんは元から明るい人でした!」

高岸「眩しいくらい明るく輝いていたから、スカウトしたんです!」パァァ

八百屋「へっ。上手いこと言うねぇ」

八百屋「そんだけ言うなら……プロデューサーさん」

八百屋「実の親でもないのに勝手極まりないとは思うが……」

八百屋「樹里ちゃんのこと、頼んでもいいか?」

高岸「……!」

高岸「──はい!」

高岸「樹里さんの笑顔、守ってみせます!」パァァ

高岸(約束、しましたから!)

八百屋「……おう」

八百屋「任せたぜ。俺たちはテレビ見ながら応援するからよ」

八百屋「ちゃんと、ウイング? っつーのも勉強したんだぜ? すごい大会に出てるんだろ?」

高岸「……はい! そうなんです! ありがとうございます!」

八百屋「なに、大したことじゃねぇよ」

八百屋「──そうだ。この後、飯に付き合ってくれねぇか? 凛世ちゃんたちの話も聞かせておくれよ」

高岸「あ、打ち合わせの後は、樹里さんと待ち合わせをしてまして……」

八百屋「おっと。そっちのが大事だな!」

八百屋「振られちまった! はっはっは!」

高岸「すみません! 次は僕から、お誘いさせてください!」

八百屋「おうよ!」ニッ


・・・・・
408 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:11:50.16 ID:EzsohnAQO

〜商店街そばの神社〜


樹里・高岸「……おー!」

高岸「夕日が綺麗ですね!」

樹里「ああ……ここ、アタシのお気に入りの場所なんだ」

高岸「よく来るんですか?」

樹里「うん……」

樹里「境内まで長い階段を登るから、その間に色々考えたり……」

高岸「……大切な時間ですね」

樹里「……」コクリ

樹里「ここからだとさ。建物に隠れてた太陽が、はっきり見えて」

樹里「この街を……好きなものを一度に全部見られて……好きなんだ、アタシ」

樹里「……って、何言ってんだろな。夕日見たら、無駄にセンチメンタルになっちまった」

樹里「へへっ」

高岸「とても素敵な景色ですね」ニコッ
409 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:12:39.53 ID:EzsohnAQO

『……はぁ、はぁ……』

『残り15分!』

『……ふぅ……うっ……』

『ずるずるっ……』

『──ごふっっ!!』

『あ゛ーっ! ちょこ先輩のお腹がパンッパンにな゛ってますーっ!』


樹里「……ふふ」

樹里(果穂がカメラの前に出て、上手い具合にチョコを隠したな……)

高岸「面白かったですか?」

樹里「ああ。このシーン、何回見ても笑っちゃうよな」

樹里「……スマホ、返すよ。ありがとな」スッ

高岸「どういたしまして!」
410 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:14:15.25 ID:EzsohnAQO

高岸「……智代子さん、すごく頑張ってました!」グッ

樹里「……チョコはさ……」

樹里「いつも……誰かの為に、って頑張ってくれるよな」

樹里「ジャスティスVの公演のときも……いや、最初からか……」

高岸「智代子さんだけじゃないですよ」

樹里「……そうだな。みんな優しくて、すごくて……」

高岸「──樹里さんもですよ!」

樹里「アタシは、別に」

高岸「聞いてください!」

高岸「樹里さんと凛世さんのお料理チャレンジも、大食いに負けないくらい、すごい再生数なんですよ!」

高岸「八百屋のおじさんも、お二人の考えたメニューを作って食べてるんだって、言ってました!」

高岸「……それに、樹里さん達がオススメした野菜、売れ行きが良いそうです!」

樹里「……」

高岸「夏葉さんと果穂さんの、トレーニング・フードチャレンジも……」

樹里「見たよ。夏葉の『ここのコロッケは完全食よ!』ってセリフが、頭から離れないんだよな」

樹里「ツイスタでも『完全食』が流行ったらしいし……」

高岸「あはは! やっぱりすごいですね! 放クラのみなさんは!」ニコニコ

樹里「……」シュン…

高岸「……?」
411 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:15:49.41 ID:EzsohnAQO

高岸「樹里さん?」

樹里「……実はさ」

樹里「料理動画は、凛世が考えたんだ。自分の練習してる分野なら、皆さんにお見せできるかもしれません、って」

樹里「アタシも料理はそこそこ出来るつもりだし、それに乗っかっただけで……」

樹里「アタシ、何もしてねーんだよな……」

樹里「……みんなと違って、アタシは、何にも……」ボソリ

高岸(樹里さん……あんなに張り切っていたのに、あのときの元気は……)

高岸「そんな悲しい顔をしないでください!」

高岸「それに、樹里さんは何もしてないなんて、ありえません!」

高岸「凛世さんだって、僕と同じように言うと思います!」

樹里「それは、そうだと思う。けど……」

樹里「アタシが自分に納得できないんだ」

樹里「……悔しいんだ。言い出しっぺの自分が、みんなの役に立ててないのが」

高岸「……」

樹里「夜市のことだけじゃない。アタシだけ、みんなと違う」

樹里「アタシだけ、ぼんやりしてる。アイドルになった意味も、目標も……」ウルウル

高岸「……!」
412 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:18:11.39 ID:EzsohnAQO

高岸(……樹里さん……今までに見たことがないくらい、切なそうな顔を……)

高岸(それほど……)

高岸(……たぶん、自信がないんだ……今の樹里さんは……)

高岸(……)

高岸(……僕は、約束したんだ)



樹里『……約束だ。アイドルになるよ』

高岸『良いんですか? えーと……』

樹里『西城樹里だ。樹里って呼べよ』

高岸『分かりました! 樹里さん!』

樹里『ちゃんとアタシを、アイドルらしくしてみせろよ』

樹里『……プロデューサー』

高岸『はい! 任せてください!』

高岸『やれば、できる!』パァァ

樹里『……へへ、何だよそれ』



高岸(僕が……樹里さんを前向きにする!)

高岸(商店街のアイドルを、笑顔にするんだ……!)
413 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:19:03.23 ID:EzsohnAQO

高岸「……」

高岸「樹里さんの目標、僕にも教えてください」

高岸「樹里さんは、どんなアイドルになりたいですか?」

樹里「どんな、アイドル……」

樹里「……」

樹里「アタシは……」

樹里「……自分の周りの人を笑顔にしたい……アタシの好きな人たちに、笑っていてほしい」

樹里「……かな」

高岸「それは、ファンの皆さんですか?」

樹里「うん……あと放クラも、商店街のおっちゃんたちも、プロ……──とにかく、みんなだ」

樹里「な? ぼんやりしてるだろ」

高岸「……そんなことありません!」

高岸「自分の力で、人を笑顔にしたい! 樹里さんはもう、立派な夢を持っていますよ!」

樹里「夢……」
414 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:20:06.48 ID:EzsohnAQO

樹里「でもアタシは……自分の力じゃ、人を笑顔にできなかった」

高岸「そんなことないですよ!」

高岸「それに……」

高岸「樹里さんなら、みんなを笑顔にできます! 樹里さんの、大好きな気持ちさえあれば!」

樹里「……そんな簡単な話じゃねーって」

高岸「いえ! 簡単ですよ!」

高岸「樹里さんが、この商店街の大好きなところを、紹介すれば良いんです!」

樹里「大好きなところを紹介、っつったって……」

高岸「試しに、好きなところを挙げてみてください!」

樹里「……ん……」

樹里「全部、かな……」

高岸「全部ぅ!?」

樹里「ほら、無理だろ?」

高岸「──無理じゃない! できます!」

高岸「全部好きだなんて、素晴らしいじゃないですか! やりましょう、樹里さん!」ニコッ

高岸「樹里さんが好きなところ! 商店街の全部、紹介しましょう!」グッ
415 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:21:00.85 ID:EzsohnAQO

樹里「そんなこと……」

高岸「できますよ!」

高岸「だって……ここからなら、商店街も全部見えますから!」

樹里「!」

樹里「……」

樹里(確かに、プロデューサーの言う通りだけど……)

高岸「この絶景と、商店街と、樹里さんのお気に入りの場所……」

高岸「全部、ファンの皆さんに紹介しましょう!」

高岸「タイトルは……そうですね……」

樹里「おい、勝手に話進めんなって!」

高岸「……すみません。嫌でしたか?」

樹里「そうじゃねーけど……」

樹里(……違う……)

樹里(あーもう……何でアタシは、いつもこうなんだよ!)

樹里(くそっ……)

樹里(恥ずかしいけど……チョコや果穂みたいに、素直に……)

樹里「……その……」ソワソワ

高岸「……?」

樹里「……ありがとう、プロデューサー」

高岸「!」
416 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:25:16.64 ID:EzsohnAQO

樹里「アンタの案に乗る……じゃなくて……やるよ、アタシ」

樹里「プロデューサーと一緒に……」

樹里「好きなとこ全部、紹介する」ニコッ

高岸「……はい!」パァァ

高岸「──あっ!」ピコーン

樹里「こ、今度は何だよ……?」

高岸「タイトル、思いつきました!」

高岸「『樹里さんぽ』、はどうですか?」

高岸「樹里さんと、散歩を、かけてるんですが!」チェケラ

樹里「それは分かるけど……どうなんだ?」

高岸「あはは……微妙でしたね」

高岸「『挑戦』、『チャレンジ』の方をかけたほうが良かったかな……」

樹里「あ、いや。まあ、アタシは悪くないと思うけど……」ボソリ

高岸「樹里さんなら、良いタイトルもきっと、思いつきますよ!」ニコッ

高岸「すぅー……」

高岸「……樹里さんならっ!」

高岸「やれば、できるううううあああぁっ!」

夕日「……」ピカー

樹里「夕日に向かって叫ぶとか……!」

樹里「は、恥ずかしいからやめろ……ばかっ!」カァッ


*・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉11,367人 

二回目の審査まで あと0人
W.I.N.G.本戦まで あと22→20週

・・・・・・・・・・・・・・・・*


<20話・終わり>

417 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/11/07(土) 21:26:34.46 ID:EzsohnAQO

次は夜市回です!
また後日更新します!よろしくお願いします
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/07(土) 21:38:17.35 ID:WJSOZJBR0
乙!
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/12/23(水) 14:54:51.95 ID:DW3TjQlKO
復活してくれー!
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